第191回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年5月19日(火)16:01~19:17

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
  • 【説明者】
    国民生活センター
    仲野 商品テスト部企画管理課長
    小坂 商品テスト部企画管理課消費生活専門相談員
    日本エア遊具安全普及協会
    栗橋 代表理事
    消費者庁
    尾原 消費者安全課長
    経済産業省
    三浦 商取引・消費経済政策課長
    吉川 商取引監督課商取引監督官
    農林水産省
    星川 食料産業局商品取引グループ長
    消費者庁
    鈴木 消費者政策課長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 商業施設の遊戯施設について
    国民生活センター
    仲野 商品テスト部企画管理課長
    小坂 商品テスト部企画管理課消費生活専門相談員
    日本エア遊具安全普及協会
    栗橋 代表理事
    消費者庁
    尾原 消費者安全課長
  3. 商品先物取引における不招請勧誘禁止規制について
    経済産業省
    三浦 商取引・消費経済政策課長
    吉川 商取引監督課商取引監督官
    農林水産省
    星川 食料産業局商品取引グループ長
    消費者庁
    鈴木 消費者政策課長
  4. 食品ワーキング・グループの報告について(トランス脂肪酸に関するとりまとめ)
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第191回本会議」を開催いたします。

最初に、配付資料の確認をお願いいたします。

○大貫参事官 議事次第の下に配付資料がございます。

議題2ポツの関係が資料1から資料3まで、資料1が国民生活センター、資料2が2-1と2-2に分かれておりますが、日本エア遊具安全普及協会の提出資料。資料3が消費者庁の提出資料でございます。議題3ポツに関する資料が資料4と資料5でございまして、資料4が農林水産省、経済産業省提出資料、資料5が消費者庁提出資料です。議題4ポツに関する資料が資料6でございまして、トランス脂肪酸に関するとりまとめでございます。

このほかに参考資料として、委員間打合せの概要をお配りしております。

不足の資料がございましたらば、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


≪2.商業施設の遊戯施設について≫

○河上委員長 最初の議題は、「商業施設の遊戯施設について」であります。

国民生活センターでは、商業施設内の屋内遊戯施設における子どもの事故について、平成25年6月に消費者への注意喚起を行っております。事故情報データバンクによれば、その後も事故が発生しているということであります。

本日は、近年急速に普及している商業施設内の遊戯施設における子どもの事故の実態と、これまでの対策等について、消費者庁、国民生活センター、日本エア遊具安全普及協会にお越しいただき、御説明の後、意見交換をお願いできればと考えております。皆様方におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、国民生活センターから「商業施設内の屋内遊戯施設における子どもの事故」についてということで、10分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国民生活センター仲野商品テスト部企画管理課長 それでは、私、仲野が御説明させていただきます。

お手元にございます資料は、平成25年6月6日報道発表に用いました資料でございます。「商業施設内の屋内遊戯施設における子どもの事故」ということでございます。

屋内遊戯施設は、天候や気温に左右されず、商業施設の屋内にあるということもあり、人気が出ているという背景がございました。一方で、PI0-NET等に危害・危険などに関する事故情報が寄せられており、骨折など、治療に期間を要するという事例も見られるということがございました。このために、この事故情報を分析するとともに、こういった施設を利用されている保護者の方を対象としたアンケート調査、それから事業者に聞き取りを行い、そして注意喚起をしたということでございます。

次のページでございます。

まず、危害情報の概要でございます。PI0-NET及び医療機関ネットワークに寄せられた、これら施設に関する危害情報を集計、分析したということでございます。

(1)としまして、遊具の種類別の主な危害事例を載せてございます。

1)としまして、ジャンピング遊具でございます。一般的にトランポリンなどと言われていますけれども、こちらのほうで遊んでいるときに落ちてしまって肘などを骨折するとか、固い端の部分に肘をぶつけるということでけがをされているという事例を載せてございます。

続きまして、下のほう、2)としまして、滑り台でございます。こちらのほうは、滑り台から走りおりた際に、ソファに額を打ってしまって、縫合するほどのけがを負ってしまったという事例を載せてございます。

続きまして、3ページ目、3)としまして、ジャングルジムでございます。こちらは、ジャングルジムから落下して肘を骨折してしまったという事例を載せてございます。

4)としまして、ボールプール、いわゆるボールがたくさん入れてあるようなスペースでございますけれども、こちらではボールの中に隠れていて見えなかった階段に額をぶつけて、縫うほどのけがを負ったという事例を載せてございます。

5)には、その他ということで、2事例ほど載せてございます。

次の4ページ目に、通報事例、PI0-NETに寄せられた危害情報の概要を載せてございます。我々のほうでは、2007年度以降、6年間、事故の件数をまとめてございます。

2)としまして、被害者の年齢をまとめてございまして、5歳児が多くなったということで、これは性別のほうでは特にばらつきというものはございませんでした。

危害程度を見てみますと、治療に1か月以上要していたという事例が3割ほどございました。

次、5ページ目でございます。危害内容・危害部位でございます。危害部位としては、顔面、大腿・下腿が多く見られました。そして、危害内容としましては、骨折が多く見られております。

続きまして、6ページ目でございます。屋内遊戯施設の利用に関するアンケートということで、施設を利用した経験がある12歳以下のお子さんを持つ保護者の方にアンケートをとった結果でございます。

結果としまして、(1)屋内遊戯施設は、利便性や安全性が高いとのイメージから、子どもが身体を動かして遊ぶことができる場所の一つとして保護者に認知されておりました。

詳細は割愛させていただきまして、続いて、8ページ目でございます。(2)としまして、回答者の14%は、屋内遊戯施設で子どもがけがをした、あるいはけがをしそうになった経験があったと回答しておられました。

次の9ページ目でございます。(3)といたしまして、利用している施設で従業員から受けた説明や掲示の内容について尋ねましたところ、安全な利用にかかわる注意事項の説明や掲示を認識していないという保護者が半数以上いらっしゃいました。また、従業員が遊びの見守りを行っている施設でも事故は発生しているということがわかりました。

また詳細を割愛させていただきまして、11ページ目でございます。3ポツとしまして、屋内遊戯施設に関連する国内及び海外の基準等を調べたものをまとめてございます。

日本国内では、国交省が都市公園に設置された遊戯施設というものに関する指針を示されています。また、一般社団法人日本公園施設業協会は、この指針に沿いまして自主基準というものを策定されています。しかし、管理者などが常駐して、施設の管理だけではなく、遊びを指導し、見守っているような遊び場などに設置された遊具につきましては、この対象とはなっておりません。

エア遊具や空気膜の遊具と呼ばれる遊具につきましては、一般社団法人の日本エア遊具安全普及協会が定めます「安全運営の10ヶ条」というものがあります。これは、後ほど詳しい御説明があるかと思いますので、そちらに御説明を譲りたいと思います。

それから、海外におきましては、やはり空気で膨らませるような遊具については、アメリカ、それからEUのほうでも幾つか基準がありましたり、注意喚起されているようなこともございますので、書き記してございます。

続きまして、13ページでございます。こういった調査とかアンケートをもとに問題点をまとめてございます。

(1)としまして、安全に子どもを遊ばせることができるというイメージから屋内遊戯施設を利用している消費者もいますが、施設内ではけが等の事故が発生しており、中には骨折等の重篤なけがを負うケースも見られました。

(2)PI0-NETや医療機関ネットワークに寄せられた危害情報の中には、施設や遊具の安全対策が不十分、不適切であったために事故が発生したと思われるケースが見られました。遊具や施設については、適切な安全対策や維持管理がなされていない施設が存在する可能性があると考えられました。

詳細も書いてございますけれども、割愛させていただき、14ページ目に、これらを受け、消費者へのアドバイスというものをまとめてございます。

(1)屋内遊戯施設を利用する場合は、施設や遊具の掲示に従い、適切な方法で利用しましょう。また、保護者はできる限り子どもから目を離さないようにしましょう。

(2)屋内遊戯施設でけがをした場合は、すぐに施設の管理者に事故の発生を知らせましょう。

そして、6.事業者への要望を書いてございます。

屋内遊戯施設は公園など屋外の遊び場よりも高い安全性を期待して利用する消費者もいることが考えられます。より高い安全性が確保されるよう、安全対策の改善を要望しますということでまとめてございます。

○国民生活センター小坂商品テスト部企画管理課消費生活専門相談員 1つ付け加えさせていただきますと、今、5の(2)で、すぐに施設の管理者に事故の発生を知らせましょうと申し上げたのですけれども、事業者のお話をお伺いして、運営経営体制がさまざまであるために、誰が主体となっているのか、消費者の側がわかりにくいという実態が見られるように思いました。ビルのオーナーが設置しているのか、それとも一部を別会社が借りて経営しているのか。あるいは、遊具も自前のものであるのか、レンタルであるのか。万が一、事故が発生した場合に誰と交渉すればよいのかが、消費者にはすぐにはわかる体制ではないのではないかという感想を持っております。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

続きまして、日本エア遊具安全普及協会から、自主基準である「安全運営の10ヶ条」の内容について、また協会における事故情報の共有と再発防止の取組についてということで、10分程度で御説明をお願いできればと思います。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 代表をしております栗橋と申します。

お手元の資料に沿って簡単に説明いたします。

まず、協会の設立の背景、目的、活動内容を資料の最初のページにまとめております。

先ほどの説明の中に少々ありましたけれども、設立の背景というのは、ここに書いてありますように、エア遊具の普及が格段に広まってきまして、それとともに類似事故が毎年のように起こっている。2008年設立当時の状況ですけれども、ガイドラインがないということもありまして、業界として一丸となって安全対策を立てるべきだろうという共通認識のもとに設立いたしました。

目的は、ここにありますように、子どもたち、あるいは利用者が安全かつ安心して遊べるエア遊具の安全環境の整備と向上ということで、活動の3本柱として、事故情報、安全対策情報の共有と活用。あと、安全に関するガイドライン作り。あと、教育・研修制度の3本柱で活動しております。

会員の推移と内訳は、この資料のとおりでございます。

「安全運営の10ヶ条」ですけれども、添付資料で細かく付けてはおりますけれども、どうやってこの10ヶ条を作っていったのかというのをここで示しております。

まず、日本及び海外の過去の重大事故事例の情報を集めて分析しまして、最も注意が必要と思われるようなハイリスクアイテムが、何なのか。どういう場所で発生しているのか。どういった使用条件のときに発生するのかということ。また、事故原因を分析したと同時に、海外の安全基準の研究もしまして、この安全ガイドラインの策定に当たっては、海外の基準をそのまま日本に準用するのではなくて、日本独自のマーケット環境を考慮して、できるだけシンプルで、わかりやすくて、実効性、即効性のある内容。かつ、重大事故、類似事故の再発防止に主眼を置いた内容といったところを主眼にまとめております。

この設計・製造のところは、かなり軽く書かれております。「安全運営の10ヶ条」ということで、運営に重点を置いているので「運営」が言葉として入っております。2008年5月に公開して、2010年12月に改訂しまして、2011年1月に消費者庁から通達を全国の事業者あるいは自治体宛てに出していただきました。

次のページを御覧ください。「安全運営の10ヶ条」の策定及び消費者庁通達による効果として、協会が認識しているものですが、エア遊具の安全の取り扱い、あるいは業務手順についての認知度の裾野が幅広く上がったのではないか。あと、会員数の増加。依然として現在40社で、多いとは言えませんけれども、増加が見られている。あと、2011年11月を最後に、メディア報道されるような重大事故は起きていません。ただ、水面上に浮上しないさまざまな事故等があるということの認識はしております。

あと、ガイドラインを作っただけではなかなか定着しませんので、協会では講習会に力を入れてやっております。2つありまして、安全講習会は入門編ですけれども、年6回実施しておりまして、丸1日、座学と実習を組み合わせたもの。これまでの受講修了者が236名。

あと、その上の段階で、エア遊具の安全管理責任者としての知識と技能を有する者を認定しておりますけれども、丸2日かけて座学と実習をしているのですが、これまでに受講修了者が44人に上っております。

次のページを御覧ください。事故時の対応、特に事故情報の共有と再発防止の流れです。もちろん、会員からの自発的情報提供あるいは相談というものはあります。あと、メディア報道からの収集もしております。あと、個別の事案ですけれども、協会に消費生活センターの相談員から相談を直接受けることが何件かあります。

あと、消費者庁からの注意喚起が出ますと、それを全会員にメール配信して、注意喚起と再発防止を会員間に流し、それを以後の講習会のプログラムに組み入れるということをしております。必要があれば、協会の技術委員会にて、特に事故原因等について必要があれば協議しているという体制です。

もちろん、課題もあります。課題については最後のページにまとめておりますけれども、屋外あるいはイベント現場での重大事故の発生は低下しているのではないかと、これは数値的な根拠は余りないのですけれども、感じている一方、屋内常設の遊戯施設については、事故件数は増えているのではと懸念しております。

私どもの協会で対象にしているのはエア遊具のみで、常設の遊戯施設では複合的な遊具で構成しているという環境がありますので、扱う遊具は限定的となります。またエア遊具を使わない遊戯施設の設置も増加しておりまして、エア遊具とは違った事故リスクが存在すると思っております。ただ、屋内遊戯施設業界の自主基準を含めた標準的な安全ガイドラインは存在しないという現状です。

もう一つ、法的責任の考え方が、いわゆるエア遊具をやっている事業者と屋内常設の遊戯施設の事業者では微妙に異なるという現状があります。私どものやってきた活動をそのまま屋内に当てはめるのは、なかなか適用しにくい。具体的には、遊具の設計・製造及びメンテナンス責任はあるけれども、遊んでいるときの自発的事故の責任は、当事者または保護者にあるという考えが割と多く見られます。公園の遊具に近い考え方とも言えます。

要員配置についても、平日あるいは休日、また時間帯の繁閑を考慮して柔軟に設定が必要という考えが屋内の事業者には強く見られるということも特徴的なものです。事業者として、どこまで法的責任をとっていくのかという統一的な見解がまだ確立されていない状況かと思います。

最後ですけれども、消費者の観点からすれば、インドアプレイランド業界全体としての統一的な安全への取組が望まれていると当協会は認識しておりまして、その取組においては当協会も協力していきたいと考えております。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、消費者庁から、この分野に関するこれまでの措置につきまして、10分程度で説明をお願いします。

○消費者庁尾原消費者安全課長 消費者庁消費者安全課より、資料3で説明させていただきます。

表紙をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。

消費者庁における事故情報の収集・活用の全体像でございますが、消費者の生命・身体にかかわる事故が発生したものにつきましては、消費者安全法に基づき、自治体・関係省庁から情報が来るもの。また、消費生活用製品安全法に基づき、事業者のほうから重大製品事故の報告があるもの。また、個別法によらない任意の情報提供といたしまして、事故情報データバンクの参画機関で、独立行政法人等から事故情報の提供があるもの。また、医療機関ネットワーク参画機関からの事故情報の提供情報を消費者庁のほうで一元的に集約しております。それを踏まえて注意喚起等を行っておるところでございます。

本日は、そのうち屋内遊具等の事故防止に関するこれまでの対応につきまして、2ページ以降で説明させていただきます。

これまで消費者庁からは、平成23年にはエア遊具に関する事業者等への安全対策の要請、消費者への注意喚起等を実施しております。また、平成24年には、屋内アミューズメント施設の利用の実態を把握するためのアンケート調査の結果をもとに、消費者に対して注意喚起を実施しております。

その他、平成25年度以降におきましても、子ども安全メールにおきまして、随時、滑り台、公園遊具など、遊具に関する情報発信を実施しておるところでございます。

具体的な注意喚起の内容につきましては、3ページからでございます。3ページ、エア遊具に関する対応でございます。

先ほど日本エア遊具安全普及協会のほうからも説明がありましたけれども、平成22年11月の事故を契機といたしまして、平成23年1月に地方公共団体及び関係関連事業者に対して、一般社団法人日本エア遊具安全普及協会が策定した「安全運営の10ヶ条」を守る等、安全管理の徹底を要請したことを初め、8月、11月に事故が起きたときにエア遊具の緊急点検等を呼びかけ、あるいは消費者に対して利用する際の注意を呼びかけをしたところでございます。

4ページでございます。また、遊具に関する注意喚起ということで、屋内アミューズメント遊具に関する注意喚起でございます。これは、屋内のアミューズメント施設を利用した経験のある方500名へのアンケート調査の結果で、施設を使用する際、4人に1人が注意事項を確認していないことがわかりましたものですから、消費者に対して、利用する際には、遊具の利用方法などの注意事項を確認することなどの呼びかけをしたものでございます。

あわせて、アンケートの結果、けがをした、あるいはしそうになった遊具として挙がった「滑り台」、「エア遊具」、「ジャングルジム」、「ボールプール」について、各遊具を使用する際の注意事項を呼びかけております。

また、エア遊具に限らず、各種遊具に関する注意喚起でございますけれども、消費者庁が配信しております子ども安全メールにおきまして、平成25年以降も5件、注意喚起を行っております。最近では、先月、平成27年4月に「滑り台での事故に御注意!」。これは、遊具の中でも滑り台の事故が一番多いことから、注意喚起を呼びかけたものでございます。また、先日は「ブランコでの事故に御注意!」ということで、ブランコについても子ども安全メールにて注意喚起を行っております。

以上、消費者庁における屋内遊具、エア遊具等の事故防止、注意喚起等についての御説明でございます。以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に基づいて、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。この件についての担当委員は、齋藤委員、夏目委員、山本委員ですけれども、何かございましたら。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 ありがとうございます。

それぞれに1件ほど質問したいと思います。

まず、国民生活センターです。PI0-NETを中心にデータを集められていますが、実態を調べていく中で、業界団体がないのが、一つネックになろうかと思います。その中でいろいろ調査されたわけですけれども、どのような点に苦労があったか、どういう工夫をしたかを教えていただければありがたいです。今後、このような事故の調査のアプローチの仕方の参考になると思います。

次に、協会のほうにお願いいたします。ハードの面とソフトの面で一定の基準があればいいと私も思うのです。ハードに関する基準はアメリカ、ヨーロッパにはあるということですが、これにはソフトに関するものも含まれているのかどうかということが1点。

それから、エア遊具に関しては、ほとんどが日本製ではなくて外国製ではないかということを聞いたことがあります。もしそうだとすると、日本で厳しい規格を作った場合に、外国業者が日本は面倒くさいから売らないということがあり得る。そのとき、どのように安全確保を実行していくかというのが気になるところです。その辺について見解があれば教えていただきたい。

それから、「安全運営の10ヶ条」が徹底されると効果があり、最近、協会のメンバー間では事故が報告されていないということです。そうすると、この10ヶ条だけとことん徹底していけば日本全国で事故がなくなるのだろうか、と安直に思ったりするのです。その辺りはどう認識されているかということ。

あと、掲示している利用上の注意というのがあります。監視する人が注意すべき項目がいろいろ書かれていると思うのですが、その中に、利用するときの服装というか、裸足はいけないとか、上半身裸もだめだとか、子どもだからどんな格好をするかわかりません、そういうものも指導項目の中に入っているのかどうか、入れるべきかどうかを含めてお伺いしたい。

それから、消費者庁です。こういう事故がうまく収集できない状況に、今、あると思います。また、事故の重大さの基準もいろいろな機関によって少しずつ違うのだろうと思います。医師・病院に近いほうの基準では、入院するかどうかが一つの目安になる。けれども、消費者庁では、重篤な事故というと、死亡はともかくとして、1か月以上の治療を要するという基準になっている。こうした中で、このような情報を集める際に何か工夫すべき点があるかどうかということが一つ。

もう一つは、責任の所在に関係しますが、事故があったときに補償が十分なされているかどうかについて、どういう考えをお持ちか。それと、こういうビルや建物の中にあるような施設については、保険が付されていると思うのですけれども、その実態をどう認識されているかということを伺いたい。

以上です。

○河上委員長 では、国民生活センターのほうからよろしいでしょうか。

○国民生活センター小坂商品テスト部企画管理課消費生活専門相談員 それでは、資料の13ページを開いていただきたいと思いますが、中ほど下のところに「など、安全な運営に努めている屋内遊戯施設や事業者もありました」と書いてあるのですけれども、ということは、ないところもありましたということです。そして、あるところというのは、一緒に遊ぶ子どもの体格や身体能力をきちんと分けて、一つの遊具の中に一緒に入れないように配慮していらっしゃるところもあれば、事例の中にありましたように、周りには大きい子どもが多く、だんだん弾みが大きくなり、飛び出した状態になったようだというように、一緒くたに入れてしまうところもある。

それでは、統一の遊具ごとの基準を作ってみてはどうかと考えてみたところ、それは先行している業者にとっては、そのノウハウが一つの企業としての財産であり、みんなで共有していくということは、まだなかなか難しいのかなと感じたところでありました。

もう一つは、遊具の管理についてですけれども、先ほどあったように、ボールプールの中に硬いものがあったとか、エア抜けしていたのではないか。空気遊具のエアが抜けていたから、子どもが弾んだときに足が下に行ってしまったとか、遊具の管理についても、きちんとされているところと、そうでないところもあったということを感じました。

それから、今後の課題として思っておりますところは、業界団体として、どういうところを入れていくのかということですけれども、本件におきましては、屋内遊戯施設として除外したものがあります。例えば、お店が販売店の中に設置している、いわゆる子どもの遊び場コーナーみたいなものも事故が散見されるのですけれども、私どもの考えとしては、今回は主たる目的が遊びである、子どもが遊ぶところでの事故と考えまして、ほかの目的があって子どもを遊ばせておくところは除いたという背景があるのですけれども、子どもが遊ぶ場所という意味では、今後はそういった点も視野に入れていかなければいけないのではないかなと、調査した者としては感じております。

○河上委員長 齋藤委員、国民生活センターについてはよろしいですか。

○齋藤委員 調査範囲を広げ出したら、どこまで広がるかというのは、やり出してから、途中で苦労されたことと思います。実際にルールを作るときには、その辺りの経験を生かしていかないと進まないという気もしました。

○河上委員長 続きまして、エア遊具安全普及協会、お願いします。質問事項は幾つかありましたけれども、まとめてお願いします。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 まず最初の海外の規格ですけれども、今回のテーマに関係するものとしては、エア遊具そのものの規格、海外にももちろんあります。これは、EUとアメリカでも大きく考え方が違っておりまして、アメリカはASTMという規格ですけれども、4ページしかありません。細かいハード面の設定とか設計の数値などは余り入っておりません。どちらかというとソフト面に重点を置いた規格になっております。一方、EUは50ページぐらいありまして、どちらかというと遊具の設計・製造等に重点を置いた規格になっております。

どちらもソフトも入っておりますけれども、アメリカの場合は、エア遊具に関しては、Amusement Rides and Devicesと言いますけれども、遊戯設備として考えているので、遊園地などで使う設備の派生形として捉えている。ある面、リスクが高いということで、遊園地設備の基準を準用しているという背景があります。ヨーロッパでは、公園遊具の規格をそのまま遊具に持ってきています。

もう一つ、いわゆる屋内常設の規格というのも、それぞれEUもアメリカもあるのですが、これは割と似通っていまして、EUもアメリカでも、どちらかというと公園の遊具の規格をそのまま持ってきている。ハードとソフト、両方入っていますけれども、大きな違いは運営事業者側のやるべきことの考え方が、公園遊具のほうは基本的に事業者側が人をつけて安全環境を作っていかなければいけないという考え方が余りなくて、ハザードを除去することによって、事業者が無人であっても、ある意味自己責任で遊んでもいいような安全な環境作りをしましょうねという考え方です。エア遊具は、絶対人をつけないと無理だということで、運営側に非常に厳しく規格が作られている。

日本は後者のほうをとっているわけですけれども、今回、インドアの遊戯施設で起こっているものは、エア遊具も関係している部分もあるけれども、ボールプールとか、それ以外のものもありまして、ちょうどグレーゾーンと言いますか、遊具なのか、あるいはエア遊具として遊園地に近い設備なのか、こういうはざまにありまして、我々協会もそれを全部カバーするような規格にはなっておりません。事業者間においても、そこに若干整理が必要なのかなと思っております。

あと、エア遊具ですが、以前は日本国産のメーカーがかなりたくさんあったのですけれども、グローバルな競争が厳しいものがありまして、メーカー社数は今、5社ぐらいに減っております。海外から輸入するものが恐らく過半を占めているのではないかという現状でございます。海外は、そういったことで返答になっておりますでしょうか。

○齋藤委員 海外関係ですか。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 はい。

○齋藤委員 日本製のウエイトが少ないと、特に技術的な規格を決めたときに本当にどこまで実施できるのかというのが1つ気になるところです。余り独特な規格を作ると、今度は非関税障壁などと言われかねない。そういう中で安全確保を前面に出して実施すると言うけれども、外国企業の立場で考えると、同じような遊具が外国でもたくさん使われている、特に中国などが多い、となると日本に売るより簡単に売れる。後でクレームのつかない市場に売るのが一番いいと考えて、日本からそういう商品が消えていくのも困る。この辺はどのようにお考えですか。やってみなければ分からないところがありますが。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 エア遊具に関しては、アメリカとEUの基準のエッセンスを取り出したみたいなところがありまして、EUないしはアメリカの基準を合格している遊具が基本的に日本に入ってきます。風速基準だけが日本が若干厳しくなっておりまして、安全使用に関する耐風速ですね。風による事故が日本はとても多いということがあって、風洞実験を大学の先生に協力してもらって数値を検証したところ、EUとアメリカよりも、瞬間風速で現在10m/sですけれども、海外は11.1m/sぐらいで、日本のほうがちょっと厳しい。その1点だけで、それ以外はほとんど海外の基準をそのまま持ってきても問題なく、大丈夫です。

3つ目が、10ヶ条を徹底すれば事故はどんどん減っていくのかということですけれども、屋外あるいはイベント使用については、そういう効果が見られると思います。ただし、今回のテーマのインドアに関しては、カバーしている領域が狭い、限定的だということがあって、これはちょっときかないのではないか。また新たな取組が必要だと思います。

もちろん、エア遊具を使っていないから、自分たちは関係ないよというインドアの事業者においても、確かにエア遊具にガイドラインがあるのは知っているけれども、エアを使わないボールプールとか立体ジムで構成した場合は直接関係ないので、フリーな、自分たち独自の、あるいは会社独自の体制で行けるだろうという認識があります。

4つ目の掲示等についてですけれども、これもエア遊具に関しては要員配置がマストなので、入場前にきちんと子どもでもわかるような言葉で口頭で説明して、掲示だけでは漢字が読めない子はわからないということで、入場前説明というのも実効的な形でやって、ということで、ガイドラインに書いてあるし、講習会もやっている。

ただ、インドアに関しては、掲示はしなさいよというのが海外の規格にはありますけれども、それを運営の現場にどこまで落として、実効的な安全策をやりなさいというところまでは書いていない。公園遊具と同じように、掲示はしないといけない。ただ、それを見て、どう判断するかは利用者の責任というところがあって、現在のインドアの状態というのはそれに近いのではないかと思われます。

○河上委員長 利用上の注意の中に服装というのは入ってくるのですかという質問もありましたけれども、いかがですか。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 エア遊具に関しては、服装はあります。ヘアピンとか尖ったものはだめということが当然ありますし、入場前の掲示もするし、口頭でも説明するというプロセスが標準です。遊具によっては、靴下を脱いでくださいとかも含めて。ただ、事業者が全て徹底するかどうかというのは、また問題ではあります。

○河上委員長 齋藤委員、よろしいですか。

○齋藤委員 掲示の中に「保護者の方へ」というメッセージがあり、「自己責任で子どもを監視してください」という掲示もあろうかと思います。アメリカやヨーロッパと比較するときに、この点で、日本のあり方はどちらの方向がいいか考えたことがあるでしょうか。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 はい。日本の環境に合ったお客さんへの情報提供が必要だろう。今はお金をもらうことに一生懸命ですが、入場前にこれだけは守って欲しいというお声がけをするということも必要だろう。

ただ、事業者によっては、そこに余り入ってしまうと、安全責任を背負っていく範囲も広いので、そこの線引きが今、なかなか統一されていないと少々感じております。エア遊具に関しては、その中で起こったことに関して、ある程度安全の確保というのは、事業者側で見ないといけないというのは基本スタンスにあるのですけれども、そこが少々違うかな、ギャップがある。

○齋藤委員 ほかの、ボールを使った遊具では。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 そうです。インドアの事業者には、そこは議論すべきだし、統一すべきかなと。

○齋藤委員 わかりました。

○河上委員長 では、消費者庁、お願いします。

○消費者庁尾原消費者安全課長 消費者庁でございます。御質問を3ついただいたかと思います。

第1に、消費者事故が収集できていない状況にあるのではないかという御質問をいただきました。お子さんの事故の特徴ですが、お子さんが事故に遭われた場合、親御さんは消費者事故で通報するという考えになるよりは、むしろ自分が注意していなかったから不注意で事故が起きたのではないかと考えがちで、ともすれば消費者事故として通報されない可能性がございます。そのため消費者庁では、医療機関ネットワーク事業の充実を重視しております。この事業は、国民生活センターと消費者庁の共同事業で平成22年度から開始しておりまして、当初、13医療機関が参加していたものが、今期、今年度から28機関が参画しております。

この医療機関ネットワークでございますけれども、役割としては、重大事故を集めるということのみを目的にしているわけではなくて、まさに提携している医療機関にかかられている患者さんを見て、これは消費者事故によるものではないか、あるいは今後、消費者事故を起こすおそれがあるのではないかという、程度から言えば、重大事故だけではなくて、軽傷のものも含めて情報提供いただいておるところでございます。

ですので、2番目の御質問、重大事故の情報が上がってくる基準が違っているのではないか。ともすれば軽い事故、ヒヤリハットみたいなものが上がっていないのではないかという御質問だったかと思いますけれども、それについては、医療機関ネットワークに関して言えば、そこの情報は御協力いただいている機関から、これは消費者事故のおそれがあるのではないかという警鐘も含めて情報提供いただいておるところでございます。

今、第3期になりまして、引き続き上がってくる情報について、本当に御協力いただいておるところでございますが、我々としても情報提供いただく情報の質をできるだけ高めるべく、国民生活センターと連携して、各病院の方々にも、研修等も含めて、しっかりとやっていきたいと思っておるところでございます。

3つ目でございます。各種損害保険、補償の問題でございますが、ずばり事業者によって違うのではないかという御質問をいただきました。すみません、多分、各種事業者団体は損害保険に入られているかと思うのですが、今、私の手元のほうに、詳細がどうなっているか保険に関するデータがなくて申しわけございません。ですので、定性的なことしか申し上げられませんが、一般的に言えば、事業者のほうで各種保険に入られているのではないかと考えております。

○河上委員長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 では、エア遊具安全普及協会のほうで、今、細かいデータはないかもしれませんが、持っている情報がありましたら御紹介いただきたいと思います。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 保険については、傷害保険と施設賠償責任保険、大きく2つありますけれども、傷害保険は過失ある、なしにかかわらず、自動的に払われるのですが、料率等の問題もあって、かけている事業者の割合は余り多くないのではないか。これは調査が必要かもしれません。

救済という面では施設賠償責任保険というものがすごく効果的なのですが、1点問題がありますのは、過失があったときに保険会社は払うというスタンスなので、事業者が特定の個々の事故について、自分たちは過失があると思って保険会社に連絡するのか、ないと判断すると、この賠償責任保険は使えない。結果として、利用された方の救済という面ではオールマイティーではないという問題があろうかと思います。

○河上委員長 保険は、責任保険のタイプのものと、場合によっては事故保険のタイプのものとあると思うのですけれども、現時点では責任保険タイプのものに入っていることが一般的なのですか。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 はい。賠償責任保険は、全事業者がほぼ間違いなく入っていると思いますけれども、いわゆる過失を問わずに、遠足に行ったり、レクリエーションをやったときに皆さん、子どもさんたちに必ずかけたりしていますけれども、ああいった事故が発生して傷害が起きたときに、すぐある基準によって払われますというものについては、意外と付保している事業者というのはそんなに多くないのではないかという印象があります。

エア遊具の会員においても、ある特定の重要なイベントのみ傷害保険をプラスαでつける。通常は、賠償責任保険だけで動かしているという実態があろうかと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 消費者庁にお伺いしたいと存じます。

屋内遊具等の事故防止に関するこれまでの対応につきまして、御提供いただきました資料3の2ページから3ページ、4ページに記載されております。

先ほど国民生活センターからの問題点の指摘の中にも、インドアプレイランドの事故というのは、要するに利用者、消費者に問題があるという場合もあるかもしれませんけれども、施設を提供する事業者のほうにかなり問題があるのではないかということが指摘されていたと思います。適切な安全対策や維持管理がなされていない施設が存在するのではないかとか、遊具や周囲の安全対策・維持管理が不十分であったり、従業員による監視体制が不十分あるいは不適切であったり、事故が発生した場合の事業者の対応が不十分ではないかということが指摘されていたと思います。

消費者庁のこれまでの対応を伺いますと、例えば3ページですと、エア遊具に関する対応につきましては、平成23年1月から23年8月、23年11月。23年11月の場合は、エア遊具のみならず、それ以外の遊具についてのことも含まれていたかと思うのですけれども、こういうことでやっています。それに対しまして、遊具に関する注意喚起は4ページに記載のとおり、消費者に対して、利用者に対してアンケートもとり、実際には子ども安全メール等で注意喚起を最近まで5回にわたってしているわけです。

そうしますと、まず私がお伺いしたいのは、事業者に対する要請が23年以降、どのようにされているのかということを確認したいと思います。消費者には注意喚起を頻繁にやっているのですけれども、事業者への記載が23年を過ぎてからされていません。事業者への要請・指導というお考えを伺わせていただきたいというのが1点目でございます。

それから、エア遊具の取組で安全普及協会にお伺いしたいと思います。

この業界で初めてガイドライン、自主基準をお作りになられて、すばらしい取組をされてきたと思います。それでお伺いしたいのは、当初は12社で始まった会員数が40社にまで増加し、安全な取り扱いについての認知度が向上してきたのではないかという御説明がございました。この40社というのは、業界全体から見るとどういう数字なのかというのがいま一つはっきりしないということがございます。もちろん、お取り組みいただきました「安全運営の10ヶ条」というものができたことによって、これを消費者庁も利用されて通達等、しているわけですけれども、そのところがもう一つわかりません。教えていただければと思います。

もう一つは、エア遊具だけではなくて、インドアプレイランド業界全体としての統一的な業界団体とか基準というものが全くないわけでございまして、そういうものに対して、協会としては、もし取組ができるようであれば協力していきたいと述べられていらっしゃいますけれども、可能性としては、例えば業界全体で統一的な安全の自主基準なりガイドラインなり業界団体を作るとか、そういうことも含めて、今、できない理由というのはどういうところにあるか、もしおわかりになれば。逆に作るとすれば、どういう方向から入っていけるのかということをお聞かせいただければと思います。

以上でございます。

○河上委員長 消費者庁のほうからお願いします。

○消費者庁尾原消費者安全課長 消費者庁でございます。

初めに、平成24年以降の事業者向けの注意喚起の状況について御質問いただきました。平成24年12月に実施した屋内アミューズメント遊具での思わぬけがに御注意という注意喚起をさせていただいておりますけれども、そのときには23年、24年、屋内遊具にかかわる重大事故が続いたということもあって、アンケート調査を踏まえ24年12月に注意喚起をしたものでございます。平成24年当時、4件の重大事故が消費者庁のほうに寄せられておりました。

その後、重大事故という形で消費者庁のほうには事故情報が来ておりません。そういう意味では、25年以降は重大事故というものが発生していないこともありまして、その後、事業者に対して個別具体的に注意喚起を行っていないところでございます。

○河上委員長 よろしいですか。

○夏目委員 今、消費者庁に届いた重大事故が4件という話で、その辺の認識が少し違う。さまざまな情報収集の仕方というところに問題があるので、重大事故は本当に4件だけなのかというところが疑問のあるところかなと思います。事業者への指導要請ということは、そういう状況であるということは了解いたしました。

○河上委員長 日本エア遊具安全普及協会からお願いします。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 会員数、ただいま40社なのですけれども、エア遊具を活動の一環として取り入れて、関係がある企業・団体と言いますと、一つの指標としては、「安全運営の10ヶ条」を消費者庁が事業者に通達を出したときのリスト、協会にはありませんけれども、恐らく700社から800社ぐらいに達していると聞いたことがありますので、潜在的にはそれに全部入っていただくと全て網がかかるかなと。

最近では、都道府県の財団法人公園協会が少しずつ増えてきまして、そういったのも全ての都道府県が入るとあっという間に50。今、4団体ですけれども、そういったことで底上げしてきても、まだまだでございます。もっとたくさん、いろいろなところで使われているというのがエア遊具の特徴でございます。

ただ、その取組を業界団体あるいはインドアプレイランドの業界団体、どういった形で取り組めばいいかということは、私も確たるアイデアはないのですが、インドアの遊戯施設を転換されているリーダー的な事業者。先ほど国民生活センターのヒアリングの中では、自分たちのノウハウが流出するリスクが一方ではあるということをおっしゃっていた事業者もあるかと思いますけれども、そこを一歩踏み込んで、安全に関しては共有しよう。個々のマーケットで競争しても、そういった形でリーディング企業が意識を持って変わるということが、まず大事ではないかと思います。

どうやって持っていただくかというのは、協会の中にそのような屋内のほうの事業者のリーディング会社が入っていれば、いろいろな橋渡しとか働きかけもできるのですが、まだまだ力不足で、屋内の事業者のエア協会への参画がないものですから、入っていただいて、そこから同じような取組をやっていただくということもあるかもしれないと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 御説明ありがとうございます。

今、触れられた中で、国民生活センターのほうで遊戯施設にヒアリングしたときに、先ほどのノウハウの件などあったのですけれども、ヒアリングをした中で、そういった安全基準を決めたほうがいいのではないかという業界の方の希望というのは、感触だけでもいいのですが、教えていただきたいと思います。

それと、消費者庁のほうで、先ほど夏目委員が言っていたように、平成25年度以降には通報等がないということだったのですけれども、そういった業者に対して、重大事故、またヒヤリハットの案件がございますかという積極的な問い合わせ等は行っていないのかどうかということをお聞きしたいと思います。

それから、エア遊具協会のほうは、「安全運営の10ヶ条」を作って、それを徹底することで、ある程度の防止につながっているというお話を聞いて、こういった安全基準がインドアの場合もあるといいなと私は思ったのです。エア遊具とインドアはちょっと違うということなのですけれども、その場合、インドアの方々に業界がまとまるようなアドバイスをするとしたら、どういうものなのか。2008年に協会ができるきっかけになったときの中心的な役割を担ったところが、どういうところだったのかということをもうちょっと詳しく教えていただければと思います。

以上でございます。

○河上委員長 では、国民生活センターから、お願いします。

○国民生活センター小坂商品テスト部企画管理課消費生活専門相談員 使われている器具が非常にさまざまで、遊具がさまざまで、統一的なものをどこに持っていくのかというのがなかなか難しいのかなと、皆さん、思っておられるようでありました。例えば公園遊具の場合、滑り台の着地点の周りはコンクリートで固めないみたいなことがあります。それは簡単なことではないかもしれませんけれども、事故の中で、エアの滑り台をおりたところが硬かったというものがあるので、最低限、そういうことは皆さんで共有できるのではなかろうかと感じましたけれども、使われている遊具が非常にさまざまでありました。

ですから、先ほどエア遊具安全普及協会が、独自の自社ルールでやっているところがあるようだとおっしゃられましたけれども、自分たちで開発した遊具であって、自分たちで安全基準を設けて、そして管理体制もやれるところもあります。一方、そうではなく、買ってきて、何だかよくわからないけれども、置いて、子どもが遊んでいるみたいなところもあるわけで、全部を統一してというのは、長い時間をかけていかないと難しいのかなと思いますけれども、できるところからやれる部分はあるかなとは感じました。

○橋本委員 確認させてください。

○河上委員長 はい、どうぞ。

○橋本委員 今、遊具がさまざまで、施設全体を通しての安全基準というのはちょっと難しいけれども、初めの一歩として、それぞれの遊具に対する安全基準というものを設けることはできるのかなというお答えだったと。

○国民生活センター小坂商品テスト部企画管理課消費生活専門相談員 滑り台については、公園のものを引っ張ってきて作れるかなとヒアリングのときに思ったのですけれども、滑り台だけではなく、本当にいろいろなタイプのものがあるので、一つ一つを決めていくといっても、滑り台と言ってもさまざまな形態のものもありますし、ボールプールと言ってもさまざまな形態のものがありますので、なかなか難しいかなと思います。

もう一つは、例えば一つの遊び場に入れる子どもの人数とか身体能力といったものを分けていくというのは、割と着手しやすいのかなと感じました。

○消費者庁尾原消費者安全課長 消費者庁でございます。

平成25年度以降、エア遊具を初め、屋内遊戯施設の事業者についてヒアリングをした実績があるかという御質問を頂戴いたしました。そういう形で個別の事業者に対して事故情報の収集依頼はかけておりませんけれども、かわりに消費者庁としては、医療機関ネットワークの充実。お子さんがけがして病院に行く。提携している病院のほうから、これは消費者事故に当たるのではないかと、しっかりと情報収集した上で、仮にそういう事故、注意喚起する事案が出てくれば、我々としても迅速に対応したいと思っておるところでございます。

○河上委員長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 逆に、事業者団体に事故情報を上げて欲しいと、これから依頼したほうがいいのではないかと思います。そうすることで、いろいろな事故情報をいろいろな事業者が共有できるのではないかということがありますので、情報として医療機関だけではなくて、事業者サイドからも情報が上がってくるように、ぜひ努めていただきたいなと思います。これは希望です。

○河上委員長 協会から何かおっしゃいますか。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 事業者側への働きかけというところで、補足ですけれども、もともと協会を作ったときに、我々事業者の危機感というのもベースにあったのですが、もともとは私ども、発注者側がいろいろなシチュエーションでエア遊具を使っているのですが、一つの出来事がありました。それは、大手の商業施設を開発しているディベロッパー、あるいは施設を管理運営している会社のほうから、エア遊具を自分たちの施設の中で使うのはもちろんいいのだけれども、安全については心もとない。事業者によって水準がすごくさまざまだ、と。

今後とも仕事を発注する、あるいは自分たちの空間の中でエア遊具を使うことに当たっては、業界の自主基準がない限り、一つ一つの企業が努力しても、うちは発注しないと言われたことが背景にありました。もちろん、直接事業をやっているところの働きかけというのは必要なのですが、どこでその事業を営んでいるか。大きな権限を持っているのは、特にインドアの場合、ショッピングセンター内の立地が一番多いかと思いますので、ショッピングセンターを運営している会社からの働きかけというのが意外と大きいのかなと。

ある部分的な場所でけがをされても、初めのころに利用者がどこに言いに行ったらいいかわからないという問題もありました。ただ、究極的には大家のところにも行くだろう。その業者を選定して、そこで一定のサービスを見てデイリーにやっているわけですから、事業者直接への働きかけも必要なのですが、外堀を埋めるといった働きかけというのも意外と効くのではないか。我々がそうだったので、と思っております。

○橋本委員 ありがとうございます。

○河上委員長 よろしいですか。

先ほど、注意喚起したのが700社とか800社ぐらいあったという話だったのですけれども、そのときは何を基準に消費者庁は相手先を選ばれたのですか。

○消費者庁尾原消費者安全課長 平成23年1月にエア遊具に関する安全対策の要請ということで、幅広に各種団体にまいた。詳細のデータがぱっと出ないですが、多分500社ぐらいでした。本当に幅広に、自治体も含めて、それこそ公園事業者の団体も含めて、各種団体を含めて注意喚起の依頼をしておるかと思いますけれども、対象は500社程度と伺っております。

○河上委員長 では、組織率を考えると、事業者数はもう少し少な目に考えないといけないですね。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 そうですね。まだ増やす余地はあるかなという認識もあります。

○河上委員長 ありがとうございました。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 これは、協会の方にお伺いするのが多分一番いいと思います。遊具の種類はいろいろあるので、全部を統一的に定めるルール作りは難しいと思います。けれども、ソフト面であれ、ハード面であれ、大手のしっかりした事業者は自分たちの基準を持っていると言われました。その会社が、ノウハウになるのかもしれませんが、安全にかかわる重要なことだと認識してオープンにした場合に、それがデファクトスタンダードになっていく可能性はあるでしょうか。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 私はあると思います。それが業界を引っ張る企業のポジションであればあるほど、効果はすごく大きいと思います。

○齋藤委員 先ほど、施設に関する賠償責任保険は、過失があったときには出ないということですが、どちら側の過失ですか。

○高橋委員 事業者に過失があると出る。

○齋藤委員 事業者に過失があると出るのですか。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 過失があると出ます。

○齋藤委員 その保険の出具合にも関係すると思うのですが、デファクトスタンダードが一定の暗黙のルールになる場合に、保険の出方を読みながら、どこまでデファクト化が可能か、どういう形でオープンにするのがいいか等を検討する価値がありそうです。その辺りで懸念されるような事故がありましたら教えていただきたい。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 懸念される事故は直接思い当たりませんけれども、保険については、確かに過失ある、なしを保険会社が目で見るのですけれども、法的なものがなければ、業界の自主基準というものを見て、確かにこれは過失がありそうだ。1%でも過失があれば、保険会社というのは拒否できません。ただ、その判断基準も、現状ではインドアに関してはないので、そこもけがをされた利用者からすると、もうちょっと統一的なもの。保険会社にとっても、インドアプレイランドの事故について、どういう判定をすべきという判断がないので、一層難しくなっているという現象があると思います。

○齋藤委員 判断するときの一つの物差しにはなるわけですね。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 なります。

○河上委員長 ほかにいかがでしょう。岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 時間もありませんので、1つだけ消費者庁にお尋ねしたいと思います。

商業施設内での遊戯施設は、近年、利用者が非常に増えてきているということ。そして、そこでの事故は減っておらず、多発しているということ。知る限りにおいては、死亡事故は幸いにしてないのかもしれませんが、そのリスクも潜んでいることを考えると、今の行政の所管の体制に問題があって、それが根源なのかなという感じもするのです。

情報を一元的に収集しにくい。収集した情報を関係者に伝達するということも難しい。事故防止のための基準作りも、ごく一部を除いてできていないという、これは業界が非常に多様であることも関係しているかもしれませんが、いわゆる所管官庁がない。そして、こういう事故を防止するための安全についての法的なルールもないという、そこに根源的な問題がありそうな感じが私はしているのですが、その点について消費者庁はどのように見ていらっしゃいますか。

○消費者庁尾原消費者安全課長 ありがとうございます。

まず、情報収集については、もう何度も御説明させていただいたとおり、我々としては、それこそ医療機関ネットワークも含めて、重大事故に限らず、軽症事故も含めて、特に子どもの事故については、子どもを事故から守るという観点から、幅広い情報集約に努めていきたいと思います。

その後の注意喚起のところで、今、いただいたところで、所管省庁がないからすごく事故が増えているか。そこについては、それがどうなのかということも含めて、今日いろいろ御意見を頂戴したところもあるかと思います。ただ、一般論で申し上げてしまうと、どこの所管だから事故が増えているということよりも、まず、基本は、事業者、それから消費者もともに正しく注意しながら用具を使うという認識を持っていただく。その中でできるだけ事故を防いでいくというのが大事だと思います。

ただ、その中で所管するところがない、かつ重大事故が起きて、今後事故が拡大するおそれがあるということになりますと、消費者庁のいわゆるすき間事案に落ちてくるものも出てくるでしょうし、あるいは政府全体として関係省庁と連携しながら取り組んでいかなければいけない。そうであれば、そこについて、またどういうことができるかも含めて検討させていただければと思います。

○河上委員長 よろしいでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 消費者庁が子ども安全メール等で注意喚起していらっしゃる。この御努力はよいと思うのですけれども、消費者自身に、消費者と言っても、この場合、保護者でしょうが、遊具とか施設の選択能力をつけさせるということが非常に大切だと思います。それがないと、例えば協会とか、いろいろなところで幾ら基準を作ったとしても、あるいはデファクトにしても、選ばれないということになってしまうので、まずは消費者庁の消費者教育の分野で、安全のための教育を具体的にやっていただく必要があると思うのです。

そのためには、基準を作っていただかないと教育のしようがないと思います。例えば私などが現地を見に行ったときに、ボールプールの横に何の境もなく、単に廊下1つ挟んだだけで、木のおもちゃの遊び場があるわけです。子どもですから、その木のおもちゃの遊び場から、そのまま持ってボールプールに入れば、そこで当然事故が起きる。そのように屋内のアミューズメント施設が作られているわけですので、もう少し具体的な基準作りに取り組んでいただくことが必要ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁尾原消費者安全課長 基準を作って事故を減らすという考え方も、手段の一つとして当然あると思います。他方で、平成24年、消費者庁が発表したアンケート調査でも、親御さん500人のうち、4分の1の人は注意事項を見ずに使っていますというところがあります。それが現状でどれぐらい減っているかも含めて、まずは親御さんがどういう施設を使っているか、正しく認識していただいた上で、現在、役務・サービス提供がさまざまな形でなされているかと思います。その中で、この施設はどういうルールでやっているかというのをきちんと親御さんが理解し、子どもに理解させた上で遊ばないと、それは認識のずれが生じてしまうということがあるかと思います。

そういう意味も含めて、以前、消費者庁としては、まず注意事項をよく読んで、正しく用具を使うには、正しく情報を知る必要がありますので、そこをしっかりと理解した上で使ってくださいという形で、消費者の皆様向けに注意喚起したところでございます。まさにそれがまだ足りないのであれば、消費者教育も含めて、更にどういうことができるかを考えていきたいと思っております。

○河上委員長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 御回答ありがとうございます。

お願いしたいのは、ルールがあって、それを読みなさいということではなくて、こういうルールがあるところはある程度安全ですよとか、最低、こういうルールがないところで遊ばせるのは危険ですよと、もう少し具体的に落として欲しいなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○消費者庁尾原消費者安全課長 御意見を頂戴して、消費者庁として何ができるかを、また考えさせていただければと思います。

一方で、業界の対策となると、さっき所管省庁がない話もしてしまったのですけれども、アミューズメント、商業施設全般になると、業界の所管が経済産業省とか、それぞれ関係省庁と連携して取り組む必要がありますから、所管省庁も含めて、御指摘を踏まえて、どういうことができるかというのをしっかりと検討させていただければと思っております。

○河上委員長 山本委員、どうぞ。

○山本委員 時間がありませんので、1つだけ日本エア遊具安全普及協会と消費者庁、両方にお伺いしたいのですけれども、先ほど御紹介ありましたように、米国と欧州では、それぞれのお子さんの遊ぶ環境とかお子さんの体力等に応じて規格が定められている。これもそんなに網羅的なものではないと思いますけれども、簡単か、あるいは詳細かというところにいろいろな差はあるとしても、作られているということなので、率然と考えると、日本でも全部初めから完全なものを作るのは難しいかと思うのですが、国がある程度主導して安全基準を作っていくことが必要なのではないかと思うのですけれども、その点について御意見を協会と消費者庁からそれぞれお伺いしたいと思います。

○日本エア遊具安全普及協会栗橋代表理事 インドアの遊戯施設に関しては、参考になる規格というのがアメリカ、EUにありまして、エア遊具とは随分趣が違うというお話をしましたけれども、かなりハード寄りではあるのですが、エア遊具、ボールプール、滑り台も含めたものを規格では持っております。ASTMで持っているのですけれども、そういったものを参考にして、そのまま持ってくるのか、あるいは日本の実態に合わせて作るのかも含めて検討すれば、一つの指針にはなるだろうと思っております。

○消費者庁尾原消費者安全課長 消費者庁です。

先ほどの御質問にちょっと関連するのですけれども、役務・サービスを提供する小売業・遊戯施設等の所管が経済産業省のほうになります。多分、お問い合わせとしては、欧米の基準を踏まえて何らかのものをということだと思うのですが、その辺りになりますと、関係省庁で連携して取り組む必要があるのかなということがございます。

また、海外の事例を踏まえて、業界全体で何らかの対策となりますと、それぞれの業界の事情もあるのではないかというところもございますので、一律でこういうふうにすべしという形になるのかどうかということも踏まえて、また、先ほど御指摘いただいたことを踏まえながら、消費者庁としてどういうことができるかというのを考えていきたいと思います。

○河上委員長 かなり時間を超えてしまいましたので、この辺りでということにしたいと思います。

本日、皆様から御説明いただいて、また意見交換しながら、種々の取組、あるいは御努力がなされているということがよくわかりました。

ただ、同時に、さまざまな問題がこの領域にはあるということも気付かされました。例えば、商業施設内の遊戯施設には、いわゆる所管省庁のすき間に落ちている領域があるのではないか。都市公園なら公園に関する基準とか、そういうふうに基準があるところはいいのですけれども、そうでないところは、結局、自主基準である程度対応せざるを得ないという状況にあるということです。

そういうものについて見ると、外国の基準とか、あるいはそれに付随するほかの施設の基準などを参考にしながら、場合によっては共有できる、あるいは共通する基準を作るという可能性がありそうだと思われました。しかし、他方で基準の一般化はなかなか難しいという御指摘もございましたから、その辺の問題もありそうですけれども、安全基準というものが具体的に存在しないということについての問題は認識を共有できました。

更に、事故情報も、今、いろいろ工夫されて、広めに収集されているということですけれども、結果的には重大事故にならない限りはなかなか集まりにくい情報がある。その収集のルート、ネットワークも、一様ではないということが指摘されておりました。

問題は多という気はいたしますけれども、子どもの骨折などの重大事故の発生が必ずしも少なくないことを考えますと、一層の対応を行う必要があると委員会としては考えております。この問題については、委員会として引き続き調査・審議を行っていきたいと思いますので、またいろいろな機会に御協力をお願いするかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。

消費者庁、国民生活センター、日本エア遊具安全普及協会におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(消費者庁、国民生活センター、日本エア遊具安全普及協会退席、
消費者庁、経済産業省、農林水産省着席)

≪3.商品先物取引における不招請勧誘禁止規制について≫

○河上委員長 次の議題は、「商品先物取引における不招請勧誘禁止規制について」であります。

消費者庁、経済産業省及び農林水産省にお越しいただいております。皆さん、お忙しいところを審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございます。

経済産業省及び農林水産省は、昨年4月5日、「商品先物取引法施行規則」及び「商品先物取引業者等の監督の基本的な指針」の改正案を公表して、意見公募手続を開始いたしました。この改正案に対して、当委員会では、4月8日付で「商品先物取引における不招請勧誘禁止規制の緩和策に対する意見」を公表いたしまして、改正案は制度的脆弱性を始め、消費者保護の観点から重大な危険をはらんでいるということで、不招請勧誘禁止規制を緩和すべきではないということを申し上げ、その再考を求めたところでございます。

その後、経済産業省及び農林水産省は、消費者庁を含めた3省庁による協議を続けてこられたところですけれども、その結果を踏まえて、本年1月23日、「商品先物取引法施行規則」の一部を改正する省令等が公表されたところであります。当委員会では、1月27日の消費者委員会本会議において、3省庁から改正内容についてヒアリングを行いまして、6月の改正省令等の施行までの4か月間で消費者被害を防止するための取組を徹底していただくことをお願いしたところでございます。

本日は、商品先物取引法施行規則等の施行準備状況について御説明いただき、その後、若干の質疑を行いたいと考えております。

まず、経済産業省及び農林水産省より、20分程度ではございますけれども、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 ありがとうございます。経済産業省の三浦でございます。1月にこの場で御報告させていただきました。そのときにはいろいろと御指導ありがとうございました。そして、本日はまた改めまして、6月1日に向けた施行の準備状況ということで御説明の機会を頂戴いたしました。御礼申し上げたいと思います。

それでは、早速でございますけれども、中身の説明に入らせていただきたいと思います。お手元の資料4でございます。これに沿いまして御説明させていただければと考えております。

表紙を1枚おめくりいただきますと、目次でございます。今日、御説明申し上げる取組の全体像を表しているかと思います。3つございます。

1つは、実施に向けた細則の整備ということでございます。省令・告示は1月23日に公布されたということですけれども、そのもとでの細則がございます。これについては、1月23日以降に施行までに準備をしなければならないということで、その整備を進めてまいりました。更に細かく分類申し上げれば、自主規制機関が決める部分、それから理解度確認テスト、更に主務省の運用。今日は、この3点についてお話申し上げることになります。

それから、1ポツの細則の部分も含めて、このルール・規律というものについて、関係者にしっかり周知する。

3つ目に、その他の体制整備ということで、この順番でお話をさせていただければと思います。

まず、細則・ルールについてということであります。

その1つ目のルールであります自主規制機関におけるルールの整備ということで、始めさせていただきます。スライドの2ページに自主規制機関が行うこととしているルールの3つの柱がございます。

その後ろに参考資料という形で配らせていただいておりますけれども、一番最後のページでございます。束ねたものをひっくり返していただくと、こういう赤いフローチャートが出てくるかと思います。これが1月27日に御覧いただいた紙で、復習で恐縮でございますけれども、このとき「自主規制」という欄で2つございます。1つは、「再勧誘を防止するシステム等の導入義務」、もう一つは、「悪質な外務員の排除(永久追放)」でございます。それから、これはこの表では被害の救済と別項になっておりますけれども、同じく自主規制機関が行っておりますADRということで、被害の救済関係の規律の強化ということでございまして、3つございます。

順次申し上げます。スライドをおめくりください。3ページ目でございます。まず、「再勧誘防止システムの導入義務」ということでございます。

これにつきましては、日本商品先物協会におきまして、6月1日から自主規制を改正し、施行する予定でございます。これによりまして、これまでルール上は例示的な位置付けだった、勧誘を断られたときの再勧誘ができなくなるための電話発信規制装置の登録、いわゆる再勧誘防止システム導入が義務になるということが1つです。

加えまして、資料に書かせていただいたとおり、これは別に勧誘を断られたわけではないが、アプローチしたときに顧客が勧誘条件を満たさないことが判明した場合には、直ちに勧誘を中止するということはもちろんですけれども、これに対して、更に勧誘を目的とする省令2号、3号に基づく訪問・電話はできないということで、これを更に徹底しなければならない。そして、お客さんの電話番号を電話発信規制装置に登録して、かけられないようにするということを徹底するということにいたします。こういうことが規則で決まるということでございます。

次のスライドに行っていただきまして、2つ目の柱で、「悪質な外務員の排除(永久追放)」ということでございまして、これにつきましても、同じく6月1日付から、法令、自主規制規則等に違反した外務員であって、悪質な者については、外務員資格を永久に剥奪されるという仕組みを入れるということにしております。

更に、自主規制規則の3番目でございますけれども、スライドの5ページでございます。これは、27日のスライドを御覧いただければわかりますとおり、3つポイントがございました。1つは、紛争仲介の標準処理期間の短縮、6か月を4か月ということ。それから、関係資料の提出義務。それから、周知徹底ということであります。

このうち1つ目と2つ目、標準処理期間の短縮、関係資料の提出義務付けについては、紛争処理規定の改正ということをいたします。1月にこの委員会に御説明させていただきましたときも、この強化は6月1日からスタートするのかという御下問があったかと思います。これにつきましては、お約束どおり、新たな規律について6月1日からスタートということで進めております。

このうち、2段目の紛争仲介における関係資料の提出の義務付けというのがあります。これまた27日の復習で恐縮でございますけれども、先ほど御覧いただいた紙の1ページ前を見ていただきますと、契約ごとのフローがあって、その下段にいろいろな説明とか確認したときのエビデンスをきちんととる、保管する、10年間ということでございますけれども、この保管義務がかかっておりますところを、作成・保管を怠ると、ADRに持っていかれたときには、手続違反のレベルで既に負けるということでリンクすることになります。

それから、最後の、全ての新規顧客に対して自主規制機関が行う紛争仲介制度の周知徹底は、もうやることにしております。商品先物取引業者においては、全ての新規顧客に対し、この制度、つまり日商協のあっせん協定制度の周知を徹底するということが監督指針上、定められているということでございます。

以上、ここまでのページで、1月に御説明したことについて着実に進めているということを申し上げたところでございます。

これに加えまして、1月の時点では案としてなかったのですけれども、この委員会での御指摘も踏まえまして、追加的に新しく規律の強化を行いたいと考えております。

まず、理解度確認テストでございます。スライドの6番を御覧ください。

理解度確認テストについては、強化のポイントを3つ考えております。1月の御説明では、リスクを御理解いただきたいということで、リスクを御理解いただくためのシミュレーションを実際に解いてもらうということを申し上げました。今、考えておりますのは、それもやっていただくのですけれども、シミュレーションの前に、ここにございます、商品先物取引の概念、仕組みそのものについての説明や確認のパートを作って、その部分の記述、理解度の確認を充実したいと考えております。すなわち、先物商品の価格というのはどんな要因で変わるのか、とりわけ注意すべきリスクはどういうものかということを説明する部分を計算、シミュレーションの前に盛込むことを考えております。

それから、2つ目でございますけれども、「問題文で引用されている値動きの数値の性格についての記述の充実」ということを図りたいと考えております。これも1月27日のこちらの委員会でも御指摘を賜った点でございます。1月時点でのドラフトで、1日にこれだけ値動きがあると、という形のシミュレーションを解いていただくという御説明を申し上げたわけでございますけれども、実際の値動きでは、1日、また次の日と連続していくと、この損失ももっと上がるのではないかといった御指摘を頂戴いたしました。

確かに1日を超えて1か月持てば、その分、さらなる価格変動が起こる可能性があるということでございまして、こういった1日を超えて持った場合のシミュレーションというのも追加したいと考えております。

3つ目に、「外務員からの回答示唆の禁止の徹底」と書かせていただいたところでございます。もともと外務員が回答示唆してはいかぬということは、ルール上、明確にしてあるわけでございますけれども、更に理解度確認テストの中に、顧客の方に外務員から回答の示唆を受けていないということを書面上、書いてもらわなければいけないということを入れたいと考えております。こういうことで、理解度確認テストについても、追加的に強化したいと考えております。

更に、7ページでございますけれども、これも1月にはなかった話ですけれども、主務省を含めて、運用規律の強化・明確化をしたいと考えております。

資力・年齢の条件該当性の担保と書いておりますけれども、勧誘対象を絞り込むとしております。1月の御説明では、先ほどのフローチャートのとおりでございまして、最初の時点で説明してくださいということを申し上げておりました。そして、勧誘受諾意思の確認ということで、ほとんどの場合は対象に当てはまらないお客様であって、かつ勧誘を望まないという方はここで断ると想定していたというのが1月27日の図でございますけれども、更にこれに加えて、業者は顧客に対し、条件に当てはまっているかどうかを勧誘受諾意思確認の前に口頭で確認するというルールを入れたい。これを主務省のQ&Aという文書で明らかにしたいと考えております。

1月の時点では、説明をすれば次のステップに進めるということだったのですけれども、今度は説明した後で、お客様、この年齢なり資力の要件を満たしていますかと聞かなければいけないということであります。したがって、まず条件を説明する。その後、お客様に対して、お客様はこれらの条件に当てはまっていますかと聞かなければいけない。そこでイエスと言われたら、次に勧誘受諾意思確認として、それでは勧誘してよろしいですかと、もう一度聞かなければいけない。これにもイエスをもらって、2つのイエスをもらって、初めてその次に進むというルールにするということを考えております。

2つ目でございますけれども、勧誘受諾意思の確認前にできることの明確化、これもやりたいと思っております。これも、この委員会で御指摘いただきました、条件の確認といっても、セールストークと一体になるのではないだろうか。説明としてできることをポジリストの形で示すべきではないか。ネガリストではなくてポジリストだと。これだけだと、これ以上のことを言ったら勧誘になるというはっきりした基準を示す。委託者の保護に欠けないためには、そのぐらい明確な線を出すことが必要だろうと御指摘をいただきました。

これは、ポジリストを作りたいと考えております。一定の事項を列挙いたしまして、そこに挙げたこと以外について、条件の口頭確認及び顧客の勧誘受諾意思の確認前に言ってはいけないということを文書で明らかにしたいと考えております。

3つ目に、実質的に招請と認められない場合についてのルールの明確化もしたいと考えております。2号、3号に基づいてアプローチした。アプローチして話しているうちに条件を満たさないことがわかった。一度撤退するのだけれども、その後、お客さんのほうから、それをきっかけに電話がかかってきたら、それは果たして招請と呼べるのかという論点があったと思います。これについては、もともと実質的に判断する。お客さんからかかってきても、全部招請とはみなせないということは、かねてから申し上げておりました。

これは形式的な線引きはなかなか難しい、総合的な事情を考慮するのですが、少なくとも最初の電話・訪問から、次のお客さんからのコンタクトがあったのだとすれば、それまでの期間が一つの要素であるということは明示したいと思います。自主規制規則のほうで、少なくとも何日以上あかないといけないということを決めたいと思っています。もちろん、その期間を超えれば何でもオーケーかというと、そんなことはないけれども、少なくともこれだけはあかないとだめだという外延を明確にしたいと思います。

そのほか、勧誘の要請を示唆するということがあっては、それはいけないということとか、例えばこういうことを言うのはだめだということを、ある程度具体例を文書で明確にしていきたいと考えております。

最後、投資上限額をめぐる規律の明確化・強化ということでございますけれども、投資上限額を設定するというのは27日の資料でも出てきておるわけでございます。投資上限額について、年収・資産の3分の1よりも少なくということまでは言っていたのですが、その範囲内で更に小さくしていたのを大きくする、あるいは大きくすることを誘うことができるか、できないかということについては、1月の時点では特に言及していなかったのですけれども、これも増額の勧誘をしてはいけないということをはっきりさせたいと思います。かつまた、資力が減少したら、速やかに反映する。そのために定期的にお客様の資力を確認すべきことも明らかにしたいと考えております。

以上、1月に御説明したことに加えて、更に上乗せしてルールを作っていくということでございます。

次に、これを周知するということで、スライドの8番でございます。

まず1つは、外務員研修ということでございまして、これは1月の御説明にもございました。実際、主務省自らが、省令102条の2第2号または第3号の勧誘を行う全外務員に対して、4月22日から5月18日にかけて、ちょうど昨日で終わりましたけれども、全国7カ所で合計21回、研修を実施いたしました。我々の知る限り、主務省自らが外務員に直接というのは例がないと思いますけれども、今回、それだけ力を入れて規律の周知ということについてもしっかりとやるということでございます。

あと、これも1月の説明の追加的にということでございますけれども、外務員だけではなくて、その他の働きかけと周知ということをしてございます。経営者レベルでの働きかけということでございまして、これは国内商品市場取引業者である31社全ての経営レベルに対して、今回の措置の内容、それから法令の遵守の徹底というのを求めました。更に、管理部レベルでの働きかけ。最後、消費者への周知。この部分は、消費者庁様の御支援をいただく部分でございまして、後ほどお話があるかと思います。また、我々主務省のほうでも、先ほどの新規顧客へのADRと苦情処理体制の周知をすることとしているところでございます。

最後、スライドの9ページで、トラブル110番、それから仲介業者の内部統制体制の構築ということでございまして、これはそれぞれ6月1日に向けてしっかり進めているところでございます。

以上、私どものほうからの御説明でございました。ありがとうございました。

○河上委員長 ありがとうございました。

続いて、消費者庁のほうから御説明いただきますけれども、5分程度でということでお願いいたします。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 消費者庁の消費者政策課長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

消費者庁の資料は資料5でございます。商品などの先物取引の注意喚起ということでございまして、2枚目に消費者基本計画、3月に決定されましたが、その抜粋をつけてございます。基本計画におきまして、仕組みが複雑であるとか、内容がわかりにくい、損失が生じた場合に高額になる、適切な価格が判断しづらいなどのリスクが高い取引、その例として、商品などの先物取引というのを基本計画でも書いていたわけですけれども、そういうリスクの高い取引について、所管省庁でそれぞれ対応されている取組のほかに、必要に応じて消費者庁においても国民生活センターと連携して、取引の際にはリスクについて十分な理解が必要であるなど、被害の未然防止の観点から注意喚起を行う、とされたところでございます。

基本計画にこういう記載がされたことも踏まえまして、消費者庁と国民生活センターのほうで、今回の件に関連する注意喚起をする予定で、今、準備しているということでございます。
まず1つは、消費者庁のほうで、チラシの作成・配布等をするということで、高齢者の方はネットもなかなか使いづらいということもあると思いますので、最低限気をつけて欲しい点を周知するチラシを紙で作成して、全国の消費生活センターとか消費者団体のほうに配布して、周知・啓発に活用していただきたいというお願いをしようと考えております。また、ウェブサイト内に、チラシの内容のほかに、関連する情報も整理したページを作るということで、これらを5月中にやる予定でございます。

それから、国民生活センターのほうでは、ウェブサイトでの注意喚起ということになりますけれども、今回の制度改正の内容を踏まえて、もう少し具体的な消費者へのアドバイスも含めた形での注意喚起を行うということで、現在、準備をしているところでございます。

簡単でございますが、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。

それでは、私のほうからまず何点かお尋ねしたいと思います。

まず、内部統制の体制構築の関係ですが、これは1月のときにも、これなしに不招請勧誘をすることは許されないという御説明をいただいているところであります。

そこでお尋ねしますが、内部統制システム構築義務自体は会社法で採用されているものでありますし、上場会社であれば金融商品取引法にも導入されているものですし、また、商品先物取引業者の場合では、監督指針で法令遵守体制、II-4-1として既に盛り込まれているものではあるのですが、重ねてこれを要請しなければならないというところが問題かと思います。今回の改正省令は、重層的な委託者保護策で委託者保護に欠けるところはないと、こういう組み立てだと思います。内部統制の体制構築について確保されたという確認はできているのでしょうか。

というのは、御承知のとおり、名古屋高裁平成25年3月15日の判決は、商品先物取引業者の役員に、会社法施行規則所定の内部統制システムを適切に整備・運営することを怠ったということで、会社法429条1項に基づいて損害賠償を負うという判決でありまして、これは昨年4月24日の最高裁の決定で確定しております。業界に警鐘を鳴らしたものであるということで、コメントつきで幅広く判例雑誌や何かに紹介されているものであるわけですが、そのような中で、どういう形でこの内部統制の構築が確認されたということであるのか、まずその点をお尋ねいたします。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 ありがとうございます。

内部管理体制ですけれども、まずその意味としては、今、御指摘いただいたような、どんな会社でもやっている会社法あるいは金商法上のもののみならず、監督指針でもお示しさせていただきましたような、業者内の審査手続体制の構築とか、苦情の対処とか、社内規則マニュアルといった、まさに商品先物に関係する固有のいろいろな体制整備ということもあわせてやっていくことが必要ということでございます。構築できているのかということでございますけれども、ここについては、私どもも慎重に対応しなければいけないと思っております。

それで、今回、2号、3号の勧誘を、そもそもやりませんと言った企業があります。ただ、やりたいと言った企業については、きちんと本当に体制が整備されているかということについて、私どものほうもこれをしっかり確認しなければいけないと思っています。したがいまして、書面調査、更にヒアリングということを行いながら、場合によっては、ここは不十分だから直さなければだめだということで、今、指導して、それぞれ不招請勧誘、今回の新しいルールに基づいてやりたいというタイミングがございますけれども、そのタイミングまでにきちんとできると、今、指導している最中でございます。

仮に、彼らが力及ばず、それまでにきちんとこちらが要求したことができないということであれば、その会社は、そのタイミングでは今回の2号、3号の勧誘はできないという扱いにしたいと考えております。

○石戸谷委員長代理 重層的な委託者保護策でもって委託者保護に欠けるところはないということでありまして、そこの大前提となるのが、この内部統制システムの構築・運営のところだと思いますので、ミクロ的にどこがどうしたということではなくて、組織全体として、この法令遵守体制の整備・運営ができるかどうかというところの確認が要ると思って御質問しているわけです。

先ほどの判決もそうですし、平成24年以降の行政処分を受けた案件、8件、中身を見てみますと、法令遵守体制の徹底ないし内部統制システムの充実・強化というのが全部に入っておりまして、このような体制で内部統制システムの構築・運営ができているということが言えるのかという観点でお尋ねしたわけですけれども、そこはいかがなのですか。現状では確認できていないのですか。

○経済産業省吉川商取引監督官 現状でございますけれども、先ほど御説明しましたとおり、書面によって内部統制の準備状況といったものを確認しまして、その内容を、関係書類等を提出していただいて、話を聞いて指導している最中でございます。もちろん、その内容でございますけれども、内部統制体制の構築につきまして、事前に組織とかシステムの整備、勧誘手法とか審査方法等を定めたマニュアルですとか、社内ルール、社内規定といったもの。また、説明資料等の関係資料の内容について適切なものであるかといったものを今、見ているところでございます。

また、こういったものを事前にチェックできますけれども、事前にチェックするとともに、これらの実際の運用状況がどうかということを引き続き確認することが必要になってまいりますので、実態の運用状況とか、実際に書類を作成して保存されているか、また問題が発生した場合の対応状況等につきましては、今後の立入検査とか報告聴取で実態を確認していくということをあわせて考えております。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 また、補足ですけれども、過去の処分を受けて、とりわけそこで内部統制ができていない、整えなければいけないのではないかということがあった企業については、それは処分を受けて、きちんと体制を整備してあるというのが恐らく基本だと思いますし、仮にその後、綻んだか何かで、今はできていないということであれば、そういうところは今回、確認を受けられないということになると思います。

○石戸谷委員長代理 裁判所の指摘も重く受けとめていただきたいと思うのですが、先ほどの名古屋高裁の判決も、業務に関する準則やマニュアル、研修、法令遵守体制の整備等の構築がなされているように見受けられるのだけれども、実際の運用を見ていると適切な整備・運営がなされていないということで、違反だと認定しているわけでありますので、構築そのものとその後の適切な実際の運営というのが2段階あるわけですので、後者のほう、実施されていない場合は、前提条件に欠けてしまうということになると思われるので、そこを十分見ていただきたいと思います。

今の話ですと、そこがうまくいっていないところは不招請勧誘をする前提が欠けているということでよろしいわけですね。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 そうですね。

○石戸谷委員長代理 はい。

○河上委員長 では、唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 御説明ありがとうございました。

先ほどの御説明の中でちょっと伺いたいのですが、7ページの主務省庁等の運用規律の強化・明確化のところで、先ほど御説明いただいたポジリストの具体的な内容と比べるとか、実質的に招請と認められない場合のルールの明確化の具体的な内容を考えたいとおっしゃられていましたが、今日が5月19日で、6月1日からの施行ということですと、あと10日間しかないのですが、いつその具体的な内容をお考えになられて発表されるのでしょうか。外務員研修を既に21回実施されたとも伺いました。この中で外務員にポジリストの具体的な内容できちんと御説明いただいていなくて、果たして実際に事業者が実行できるのでしょうかという点について伺いたいです。

それから、消費者庁には、同じく消費者向けのチラシの作成が5月中にセンターや消費者団体に配布するとのことですが、こちらもあと10日間で、私ども消費者団体にもこういうものをいただけるという御案内でしたが、間に合うのでしょうかという点、確認させてください。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 ありがとうございます。

まず、最後、公布・施行という手続上、セットになるのが6月1日ということにしております。ただ、内容については既に作って、業界との関係ではきちんと周知をしております。最終的な調整やファインチューニングはあるかもしれませんが、業界との関係では徹底して、研修の中でも織り込んで周知しております。これを最終的にドキュメントにして公表する、施行するというタイミングについて、6月1日ということにしております。

○唯根委員 そうしますと、私たちが見られるのも6月1日以降になるということですか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 はい。表に最終的にセットして出すのは、6月1日ということにしております。

○石戸谷委員長代理 今の関連でよろしいですか。

○河上委員長 はい、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 私もお尋ねしようかと思っていたのですが、今まで自主規制で御説明いただいた中で、紛争処理の標準期間の6か月が4か月ということについては、4月24日付で紛争処理規定の改正がなされて、それが日商協のホームページにもアップされているのですけれども、その他の自主規制規則については、まだ手当てがないと見られる。

それと、今日の御説明によりますと、再勧誘を防止するシステム等の導入義務について、自主規制規則だけではなくて、それを受けて社内規則に定めるということになるので、そうすると自主規制規則が出ただけでは、社内規則というのは各社別々の話になるので、そこはまたタイムラグが生ずるのではないかと思うのですけれども、その点がどうなのかということと、再勧誘を防止するシステムというものの具体的な中身についても、ちょっと御説明をお願いしたいと思います。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 タイミングにつきましては、24日に既に出たもの。あと、その他のものについては、内容を作ると同時に、タイムラグが生じないように、これを実施する業界・企業との関係では、かねてから調整しながら、周知しながらやっておりまして、タイムラグなく実施したいと考えております。

電話勧誘システム、再勧誘の電話発信の規制システムそのものについては、その電話番号を入れておくと、もうそこにはかからないという機械でございまして、これをきちんと6月1日で入れなければいけないということで、対象となる事業者とは並行して調整しております。なので、突然新しい規則が6月1日にぱっと出て、慌てて対応しなければいけないというのではなくて、もうそれは徹底しながら仕上げていくということでございます。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 すみません、消費者庁への御質問に対するお答えですが、チラシですけれども、まだ調整中の部分があるので本日お示しはできないですが、大体できており、まもなく印刷を始められるという状況になっておりまして、5月中に消費生活センターなどにはお渡しできるように準備しております。

○石戸谷委員長代理 さっきのところだけ関連で。

○河上委員長 はい。

○石戸谷委員長代理 先ほどの再勧誘を防止するシステムの導入のところですけれども、資料4の3ページでは、条件を満たさないことが判明した場合について書かれているのですけれども、そもそもこういうものではなくて、条件の確認に入る以前の問題として、もう勧誘しないでくださいと言ったものも含まれるということでよろしいのですね。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 そういうことです。

○石戸谷委員長代理 はい。

○河上委員長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 幾つかお伺いしたいことがあるのですが、まず1つ目は、今、話題になりました電話発信規制装置、再勧誘防止の登録です。これを入れるということは、そもそも勧誘自体はその会社にある特定の電話からしか勧誘はしてはいけないということに、規則上、なっているのですか。携帯電話とか、ほかの電話ですることはないということですか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 会社に設置してある、基本的にはどの営業で使う電話でも間違ってかかることはないというのが、このシステムでやることでございます。

○高橋委員 そうすると、勧誘の場というのは、再勧誘に限らず、ある会社の上司、スーパーバイザーがいるようなところできちんとやるという内部統制が敷かれると理解してよろしいですか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 そういうことが前提になると思います。もちろん、これはこれだけという話ではなくて、そもそも再勧誘をしてはいけないというのがルールとしてあります。それから、当然条件に当てはまらなかったら、またかけてはいかぬというのもルールとしてあります。加えて、それを確実にするために、会社の電話機をシステムで全部コントロールできるのだから、そういうものはきちんとコントロールしなければいけないというのが更に加わるというイメージで捉えていただければと思います。

○高橋委員 もう一度確認ですが、それは再勧誘だけではなくて、最初から勧誘するときもその電話しか使えないということでよろしいのですね。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 基本的には、会社としてそのようにするということだと思います。

あと、電話と訪問がありますので、もちろん訪問というアプローチがあって、これは当然、機械では対応できない部分でございますけれども、そちらはルールのほうでやっていくということだと思います。

○高橋委員 続いてよろしいですか。先ほど、そもそもやらないという事業者とやりたいという事業者があるということですが、そちらの所管の事業者で何社がやると言っていらして、何社がやらないとおっしゃっているのか、教えていただけますか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 都合50余り、業界全ての業者を入れるとありますけれども、うち、今の時点で今回の新しい2号、3号でやることをどこかで考えたいと言っているのは15社です。ただ、どこかでやるかもしれないというのは、やるかもしれないし、やらないかもしれないというところも含まれています。あと、やりたいと思っているけれども、いつやるというのを決めていないところも入っています。なので、今の時点で、もう私はやりませんと宣言しているところ以外の人が15社だと思っていただければ。

○高橋委員 そもそも市場を拡大するということが大義名分としてあったと思うのですけれども、当然、事業者として採算に乗らないようなことはやらないだろうと思います。こういう面倒な仕組みになって、電話なり訪問販売をするときに顧客がまず勧誘条件を満たすのかどうか。資力とか年齢とか条件とか、それを勧誘していって満たす人を見つける確率というのはどのぐらいあるのだろうかということ。

それから、勧誘の対象者を見つけた場合に、確認テストを受けてもいいという消費者の確率をどのぐらい想定しているのか。更に、テストを受けた人が取引をする確率というのはどのぐらい見ているのだろうか。この辺も当然シミュレーションをやっていらっしゃると思うので、教えていただきたいと思います。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 確率というと、なかなか難しいところでございます。800万円とか2,000万円というお金を持っている人がどのぐらいか。この辺は、統計からわかる部分でありますけれども、その後の理解度確認をどのぐらいの方が実際クリアされるのか。更に、その先、本当に取引される方がどのぐらいかとなると、定量的に申し上げるのはなかなか難しい部分かなと思います。

そういう意味で、今おっしゃった確率がどういうことかというのを定量的に示すのはなかなか難しいのですけれども、今回、丁寧な手順を踏む必要はありますけれども、顧客ベースの拡大ということについて、道ができたことはできたということでありまして、我々としては、市場活性化につながることを期待しているという気持ちでございます。

○高橋委員 内部統制システムまで構築してしっかりやる業者であれば、収益計画というのは当然立てていると思って、それも監督官庁としてある程度把握していらっしゃるだろうと思って、今、御質問させていただいたのですけれども、出てこないのが残念だなというのがまず一言。

それと、そもそも電話なり訪問販売をする相手のリストというのは、どこから手に入れると御認識していらっしゃるのでしょうか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 訪問・電話のリスト自身は、業者によっていろいろなパターンがあると思います。セミナーなりを開催して、そこでエントリーシートを記載していただいた、これは一つの例かもしれませんけれども、そこについてはいろいろなやり方が考えられるかなと思います。

○高橋委員 そのセミナーをやるというのは、勧誘ではないのですか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 セミナー自身は、広告して申し込んで来てもらうというのはあると思います。

○高橋委員 では、その気になってアンケート用紙に関心があると書いた人に対して、電話勧誘とか訪問勧誘をするということを御当局としては想定していらっしゃる。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 それも一つであろうと思います。

○高橋委員 そうですか。私は、それは入り口としては相当に甘いなと思っているのですけれども、そもそもそういうセミナーでこういう取引をしたいという気持ちにさせているわけですから、幾ら後で理解度テストをしようが、そこで勧誘行為に入っているのではないかと思うのですけれども、明確なお答えをいただきたいと思います。

この時代、個人情報保護法もありますし、経産省も名簿屋の規制をされているところだと思います。今までこういう取引というのは、古いNTTの電話帳とか、いろいろ売買された名簿をもとに、特にカモリストのようなもので行われることがかなりあったのではないかと思いますので、そういうことも当然に考えた上で、こういう施策の状況を見ていただく必要があると思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 いわゆる名簿の取り扱いを含めて、個人情報保護、その他いろいろな情報管理の規律・法令を犯さない、その範囲内での活動であることは、これは当然だと思います。それは、別に今回の省令改正云々ということに限らず、かつまた、この商品先物業界に限らず、そういった情報の規律に反した名簿の入手の仕方、勝手な利用な仕方というのは許されない。これは当然の前提だと思います。

○河上委員長 よろしいですか。

○高橋委員 はい。

○河上委員長 唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 すみません、もう1点教えていただきたいのですが、4ページの悪質な外務員の排除の「悪質な者」というところですが、これの定義というのでしょうか、いつ、誰が、どういう形で決められるのでしょうか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 ありがとうございます。

悪質とは何かということだと思います。外務員の永久追放ということにつきましては、ほかに類似の制度もございますので、そういったものを参考にしながら検討したいと思っています。証券業のほうでは、証券業の営業マンの永久追放制度は既にございまして、こちらのほうでは証券業の信用への悪影響が、特に著しい行為を行ったと認められる者は悪質だとみなされておりまして、そういったものを参考にしたいと思います。

これは、これに限られるということになってはいけないので、あくまでも例示と思って聞いていただければと思いますけれども、詐欺的な勧誘を行った人とか不当な勧誘行為を組織的に主導した人などは、該当するのだろうと考えております。ただ、これも、これに限るとあらかじめ限定してしまうと、かえって使いにくくなってしまうので、最後は実質判断をしながらやっていくのかなと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 それで、実質的に招請と認められない場合が問題になってくるかと思うのですが、そもそも招請があったのか、なかったのかということで争いになる場合もありまして、不招請勧誘であるということで不招請勧誘禁止義務違反ということを認定した広島地裁・高裁の最近の判決もあるのですけれども、例えば広告などを見て電話すると、招請があったということで社内のチェックシートを作って、検査に入っても書類だけ見ていると招請があったような形になって、全然わからない。

これは、冒頭に申し上げた内部統制システムが正しく運用されているかどうかというところの検査と直結する問題なのですが、こういう運用面をどう見るかというところが、実際問題としては書類だけ見ているとわからないという面があるので、こういう本質的な部分については電話の録音というのが一番有効かと思うのですけれども、そういうシステムを導入するということは考えられていないのでしょうか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 録音義務のお尋ねだと思います。

それで、録音については、一方で外務員、2,000人以上いて、その全てのやりとりを全部録音するということはなかなか現実的ではないというところがありまして、べたっと徹頭徹尾、録音義務を課すというのは、すぐには現実的には難しいかなと考えております。

他方、さはさりながら、少しでもそういう間違い、トラブルがないように、ルールでできるところはなるべく作り込もうと考えております。先ほど一例として、期間を設定して、その期間内に電話が来たら、本当はお客さんが実際に勧誘して欲しくて電話してきたかもしれないが、形式的にその期間内であればアウトにするとか。

もう一つ、そういった規律も実効性あるものにしたいので、最初、電話なり訪問したときには、そのログ、記録をつけなさいというルールも入れたいと考えております。そこで、誰が、いつ、電話した、訪問したということ。それから、電話・訪問した結果、勧誘を断られたのだったら断られた旨。それから、断られはしなかったのだが、条件に引っかかったという場合には、条件に引っかかった旨、必ず記録してとっておくというルールを入れる。そして、同じ顧客にアプローチする人は、必ずそのメモを見なければいけない。メモを見て条件を満たさないのであれば、勧誘してはいけない。

こういったことも最大限入れて、御懸念のようなことにも応えられるようにやりたいと考えている次第です。

○石戸谷委員長代理 どういう形のルールでやるかということはあるかと思いますけれども、実質そういう方向でぜひやって欲しいというのは、証券のほうの顧客数というのは、商品先物の分野に比べて桁違いに多いと思うのですけれども、録音システムが導入されていて、裁判になりますとテープ並びに反訳書が出てきて、それを当事者・裁判所が検討して判断するというのはごく普通にやっていることでありますので、導入できないということはないと思いますし、実質的な利用としましても、書類を残すのだと、書類をどう書くかという人の手が加わってしまうということと、行政処分などを見ましても、今月の1日付で商品先物業者及び商品先物取引の仲介業者に対する行政処分が出ているのですけれども、その仲介業者に対する行政処分の理由を見ますと、不招請勧誘の禁止違反並びに再勧誘の禁止違反というのがありまして、再勧誘の禁止違反のところは、取引の委託を行わない旨の意思を繰り返して表示している顧客に対して、取引の委託の勧誘を行っていたということがあって、こういう実態があるのであれば、録音するということが、規律を遵守する緊張感といいますか、実効性も十分高められるものだと思いますので、ここは委託者保護に欠けない前提条件の整備ということだと大変重要なところではないかと思いますので、申し上げておきます。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 ありがとうございます。兼ね合い、バランスというところで、なかなか難しいところでございます。

ちなみに、証券について御指摘がございました。恐らく日本証券業協会のガイドラインで、75歳以上の高齢者に対しては、特にリスクの高い商品の勧誘を行う場合には、面談・電話での会話による顧客の理解度確認が必要という規律があって、その記録及び保存の義務ということだと思いますが、これも録音については、このルールのもとではある種例示でありまして、そちらのほうでも必ずしも事業者に顧客との全てのやりとりについて、録音と保存を義務付けるというところまでは、証券業のほうも行っていないのではないかと理解はしております。

ただ、我々、そういう現実性、市場活性化との兼ね合いはどうしても気をつけなければいけないのですけれども、顧客保護ということをしっかりやらなければいけないということは、もうこれは我々も重々肝に命じておりますので、うまく両立できる範囲で最大限、いろいろな手を使って顧客保護に頑張っていきたいと思っております。今日も1月、御紹介したものに加えて、ここでいただきましたいろいろな御指摘も踏まえて、幾つか追加的な措置を私どものほうでいろいろ、ああでもない、こうでもないということで議論いたしまして追加させていただいたということでございまして、これからもそこはしっかりと顧客保護を損なわないということで頑張りたいと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

○石戸谷委員長代理 はい。

○河上委員長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 冒頭のやりとりの中で、内部統制システムが有効に機能するかどうかということがありました。これは、チェックリストで外形的にチェックしてもなかなか難しい部分がありまして、私は、それと公益通報者保護制度を抱き合わせにして運用しないと、なかなかうまく実態を把握できないと思います。そのときに、公益通報者保護制度の通報先の中で、行政ということになると、経済産業省の中ではどの部署が担当されるか、決まっているのでしょうか。

それから、こういうことがあったら、内部でまず検討するにしても、らちが明かないときは、いつでも「こちらへどうぞ」と研修先等でアピールされているのでしょうか。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 経産省の中で公益通報者制度をある種横断的に見ている部署という意味合いですか。すみません、そういう特定の部署の名前自身、今、持ち合わせておりませんけれども、そこは今後、まさに冒頭おっしゃったように、形式的なチェックだけではだめで、これは生き物ですから、そこにいる人がしっかりやっていかなければいけないということは、もうおっしゃるとおりだと思います。

ですので、今回も書類できちんとできていますかというものもとったのですけれども、それだけではなくて、本当にできているのか、どういう意味だとか、誰がやっているのかというヒアリングもあわせてやっております。これからも、チェックリストで1回チェックしたら、それで終わりではなくて、そこのところは引き続き、いただいた御趣旨も踏まえて、よく担保していきたいと考えております。

○経済産業省吉川商取引監督官 それと、苦情等も含めまして、商品先物取引に関する紛争とか法令違反の情報ということで、商取引監督課の中にそういう相談窓口を設けております。そこで、ある確率でもって企業の現役の公益通報も受けております。公益通報につきましては、法律に基づいて公益通報者の保護ももちろん義務付けられており、その内部セクションが経産省の中にありますので、もしそういった公益通報がございますと、内部の管理をしている担当課と協力しながら対応しているというのが現状でございます。

○河上委員長 はい。

○高橋委員 この問題は、そもそも法律で導入された不招請勧誘の禁止を省令で緩和することが認められるかという大きな問題もはらんでいると思うのですけれども、不招請勧誘の禁止に関しては、先般、消費者庁が意識調査をされて、5月13日でしたか、ホームページに載っておりますけれども、発表されたということです。そこの中では、20代から70代までの消費者2,000名に対して調査されているのですけれども、訪問販売というものを全く受けたくないという人が96.2%、電話勧誘を受けたくないという人が96.4%。これは全く受けたくないと、こういうアンケート調査結果が出ているのです。

ですので、これを御覧になったかどうかわかりませんけれども、招請のない勧誘に対しての消費者の意識というのは、今、ここまで来ているのだということを鑑みて、いろいろな措置を打っていただきたいと思います。

今回、こういう形で6月から新しい施行規則が導入されるということですけれども、改めるということもはばからずやっていただきたいなと思います。再勧誘だけではなくて、もろもろ違反したものは、経産省、農水省、そして消費者庁に情報が入るようなシステムを作っていただいて、被害防止を図っていただくことが非常に重要と思っています。

消費者庁がいい調査をしてくださったなと思うのですけれども、この調査を調査にとどめず、消費者被害の防止にどうやって活用していくかということが大事だと思うのですが、消費者の意向が、9割以上の人が全く受けたくないという回答をしているということに対して、コメントがあればぜひお願いしたいと思います。それぞれの省庁にお願いしたい。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 今、高橋委員がお話されたのは、特商法の見直しの関係でされたアンケートの関係だと思うのですけれども、今まさに特商法の見直しが議論されているところで、その中で電話勧誘・訪問販売について、どういう検討をするかという検討材料として出されたものだと思います。特商法の制度をどうするかという議論として。

電話勧誘・訪問販売について、特商法以外の法律で規制されている部分もあり、特商法以外の規制がかかっている部分については、それぞれの法律で消費者保護を図っていくというのが現在の制度の建てつけで、特商法がどういうふうに見直されるかはありますけれども、今回の規制見直しについては、現在の建てつけの中でいろいろな議論をしてこういう内容になったものです。今、高橋委員がおっしゃったように、施行した後、問題が起こるかどうかというのは、しっかり3省庁でフォローし、問題が起こったら見直すということにしておりますので、この制度については、まずはそういう形で取り組むということかと思っております。

○経済産業省三浦商取引・消費経済政策課長 消費者庁がおっしゃったことに尽きているかなと思います。我々主務省としては、被害防止に向けて、本日御説明したような措置を中心に緊張感を持って取り組みたいと思っております。

○農林水産省星川商品取引グループ長 農林水産省といたしましても、先ほどからるる説明がありました、まさにやるところについて、今、事前で内部統制、それは、それぞれの会社の仕組みもそうですし、それを担当している、本来管理すべき人がそれをわかってやっているのかということを含めて、今やっているところでございますが、しっかりしているところしかやらないという形で、「6月1日が来ました。だから、やります。」というのではなくて、彼らができていないとだめだ、というのをしっかりやりたいと考えております。そのように進めていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○唯根委員 最後に1つ。

○河上委員長 唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 すみません、最後に意見なのですが、被害の救済でADRの制度の周知徹底をなさると5ページで書いていただいています。こちらですけれども、保険業界が申込書の段階で、そういう救済制度、相談窓口があるというのを用紙に書いてくださっているのです。そういうものも参考にしていただいて、農水省や経産省の相談窓口、ADRもあわせてぜひ契約書段階で御紹介いただいて、周知徹底を図っていただきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 希望ということでよろしいですか。

○唯根委員 はい。

○河上委員長 では、大体時間も参りましたので、ここまでにしたいと思います。

今日は、3省庁から商品先物取引法施行規則等の施行の準備状況について御説明をいただきました。それぞれ規制に向けての大変力強い心づもりを伺いまして、頼もしく思います。ただ、以前、指摘いたしましたように、消費者被害が生じるのではないかという懸念は、決して払拭されておりません。重層的な委託者保護というものが果たしてうまく機能するのかどうか。実際にそれが図られて、うまく機能していくかどうかということの保障は残念ながらございません。その意味でも、今後、消費者被害が生じることのないように、しっかりとモニターをしていただく必要があります。

もちろん、今回のこの措置に関しては、理論的な問題とか、いろいろな問題が別個にもありましたけれども、それはそれとして、改正省令の施行はもう間近に控えているという状況でございますので、3省庁におかれましては、消費者被害の発生を防止するために最大限の取組を行っていただくよう切にお願いしたいと思います。

私自身、記者会見などの場面でも繰り返し申し上げてきたところですけれども、もし勧誘に関する苦情相談が増加に転ずるような兆しが少しでも見えたときには、直ちに省令を改正していただきたいと思います。先ほど不招請勧誘の話が出まして、特商法の中で議論があって、一定のアンケートの結果が出ていると高橋委員から紹介されましたけれども、普通の商品でさえそうなのです。

ましてや、リスクを含んだ複雑な商品に関して、消費者が進んでそれを購入するということがない限り、まずはそのようなことについての勧誘を受けるということに対しては、否定的な考え方により近づくのではないかという気がいたします。その意味でも、不招請勧誘というのは更に一般的な問題を含んでいるのだということになろうかと思います。

それから、さきほど唯根委員から要請があった、勧誘の前のポジティブリストですが、これは、事業者にはもう既にある程度説明されていると承りました。どうぞ委員会にも、提出してください。果たしてそのようなポジティブリストで十分かどうかということも含めて、消費者委員会として検討させていただければと思いますので、ぜひご提出いただければと思います。

時間ですので、もうここまでにいたしたいと思いますけれども、これからの各省庁の頑張りを大いに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。

消費者庁、経済産業省及び農林水産省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

(消費者庁、経済産業省、農林水産省退席)

≪4.食品ワーキング・グループの報告について(トランス脂肪酸に関するとりまとめ)≫

○河上委員長 次の議題は、「食品ワーキング・グループの報告について」であります。

食品ワーキング・グループでは、トランス脂肪酸について、昨年4月から今年3月までに計3回の会議を開催し、有識者ヒアリングや、これまでに収集されている知見等から、トランス脂肪酸に対する考え方について、とりまとめが行われたところであります。

本日は、食品ワーキング・グループの座長を務めておられる阿久澤委員から、とりまとめの内容について御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿久澤委員 それでは、御説明させていただきます。資料6を御覧ください。

このとりまとめの構成は、1ページに「はじめに」としまして、議論に至った背景と取り組み方を記しております。2ページから本論として、まずトランス脂肪酸とは何かについて。また、4ページから10ページにかけて、トランス脂肪酸をめぐる現状の確認として、食品中のトランス脂肪酸含有量、摂取の推定量、そして健康への影響について整理しております。また、今後の課題として、予防医学の視点を持って、リスクに対する意識付けが重要とし、最後、10ページから11ページに今後の対応としてまとめております。

もとに戻りまして、1ページですが、トランス脂肪酸に関する議論の背景です。

新たな食品表示基準検討の栄養表示に関する対象成分の審議の中で、国民の健康リスクがあることから、トランス脂肪酸についても表示を求める旨の意見が出されたことを受けまして、平成26年3月25日に消費者委員会に設置された食品ワーキング・グループでトランス脂肪酸について議論することとなりました。

そこで、食品ワーキング・グループでは、初めにトランス脂肪酸に関する問題提起の趣旨を確認した上で、トランス脂肪酸をめぐる現状についての確認などについて、合計3回の有識者からのヒアリングや、また、これまでに収集されている知見等をあわせまして、トランス脂肪酸に対する考え方についてまとめました。

2ページですけれども、本論の最初に、トランス脂肪酸とは何かについて説明をしております。

三大栄養素の1つである脂質を構成する1つである脂肪酸ですが、必ずしも正確な表現ではありませんけれども、炭素と水素と酸素によってできております。非常に単純なものですが、その単純なものが結合の仕方によって非常に複雑なものに変わりまして、図1に示されていますように、脂肪酸が飽和と不飽和脂肪酸に大きく分けられます。更に、その不飽和脂肪酸は、シス型、トランス型に分類されております。

今回のトランス脂肪酸ですが、これはまた更に大きく分けて、工業由来と反すう動物由来があります。この工業由来のトランス脂肪酸は、冠動脈疾患のリスクになる可能性が高いことが報告されております。この工業由来は、液状油を固形油に変えるときや、サラダ油等食用植物油を製造する際、生じます。もう一つの反すう動物由来は、反すう動物の胃で生成されまして、乳製品及び肉の中に含まれますが、冠動脈疾患のリスクにはならないことが多くの研究で示されております。

工業由来と反すう動物由来のトランス脂肪酸を分析上で判別する方法は、現在のところ、そのような報告はございません。されていないのが現状です。

続いて、4ページから10ページの上段にかけてですけれども、トランス脂肪酸をめぐる現状を確認し、日本人におけるトランス脂肪酸のリスクについて整理いたしました。

(1)食品中の含有量についてです。

参考資料1、2、3に食品中のトランス脂肪酸含有量、それと参考資料4には、外食食品中のトランス脂肪酸含有量を示したデータを付けております。しかし、加工食品では、油脂類やクリーム類などに、外食食品では、ハンバーガー、ピザ及び洋食に区分される食品にこのトランス脂肪酸含有量が多い傾向が見られました。食品事業者においては自主的に低減する取組を進めており、食品中のトランス脂肪酸含有量は、全体として近年減少傾向にあります。

一方、参考資料2で示すとおり、マーガリン、ファットスプレッド及びショートニングについてですが、平成18年と平成22年、これは食品安全委員会による調査ですが、それを比べると、製品によっては、トランス脂肪酸は低減する一方で、飽和脂肪酸の含有量が増加しているものも認められています。なお、この飽和脂肪酸というものは、過剰摂取によって心筋梗塞に大きな影響をもたらすとされております。

次に、(2)、マル1諸外国の摂取量の推定についてです。

2003年に、食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会議において、トランス脂肪酸からのエネルギー摂取量を1日当たり総摂取量の1%未満とすべきと勧告されています。

6ページの表1で、アメリカ、ヨーロッパから3カ国、ニュージーランド、アジアからは中国のトランス脂肪酸平均摂取エネルギー比、または平均摂取量を紹介しています。これらのデータは、工業由来、反すう動物由来、両方を含んだものです。この表の数値の変化より、近年、世界的にトランス脂肪酸摂取量は減少傾向にあります。一番右側に記されておりますが、食品中のトランス脂肪酸含有量の規制や表示の義務付けを行っている国もあれば、規制は行わず、自主的な取組に委ねている国もあります。

続いて、マル2日本人の摂取量の推定についてです。

食品安全委員会による推計結果では、表2のとおり、トランス脂肪酸平均摂取エネルギー比は、男女とも年齢が低いほど高く、20歳から50歳代では女性のほうが高い傾向が認められるものの、全体では0.3%と、WHOの勧告基準を大幅に下回っています。

また、参考資料5に示すように、トランス脂肪酸を含む脂質全体の摂取量は、男性の約2割、女性の約3割が食事摂取基準の目標量であるエネルギー比20から30%の範囲を超えており、年齢が若いほど目標量以上に摂取している割合が高くなっています。

一方、図3と4を見ていただきますと、平成15から25年の10年間で男女ともにエネルギー摂取量は減少し、女性ではやせの者の割合が増加の傾向にありますが、エネルギー摂取量に占める脂質の割合は男性より女性のほうが高くなっています。

次に、(3)健康への影響についてです。

食品安全委員会の評価書によると、諸外国における研究結果においては、トランス脂肪酸の摂取により、冠動脈疾患の発症については増加する可能性が高いとされています。一方、平均的な日本人の摂取量において、疾病罹患リスク等と関連があるかにつきましては明らかでないとされております。また、日本人の大多数がエネルギー比1%未満であること、また、摂取量が健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいとされています。ただし、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要があると指摘されています。

食品ワーキング・グループのヒアリングにおいて、心筋梗塞に大きな影響を与える飽和脂肪酸と比較すると、トランス脂肪酸による影響度は相対的に小さいことが示されております。他方、食事中のトランス脂肪酸をシス型不飽和脂肪酸に変えるだけでも、冠動脈疾患の予防につながることが示されました。

これらのことから、さまざまな要因を視野に入れて相対的な議論をすることが必要であると同時に、トランス脂肪酸の摂取量の多い人にとっては、食事中のトランス脂肪酸を減らすことが健康に及ぼす効果は大きいことがわかりました。

(4)今後の課題についてです。

現在の平均的な日本人の推定摂取量では健康への影響は小さいと考えられますが、食生活の変化により、日本人のトランス脂肪酸摂取量が1%を超えて増加するような場合には、今後の摂取量を注視していく必要があります。

摂取量が増えることによる健康への影響は、長い年月をかけて現れます。例えば、冠動脈疾患につながる動脈硬化は何十年もかけて起こるため、子どものころからいかに気をつけていくかという予防医学の視点が重要である。消費者にこのようなリスクに対する意識付けを行うことが有益ですが、現時点においては、十分に行われておりません。

10ページ、最後にまとめです。

現時点において、日本人の大多数は摂取量が健康への影響を懸念するレベルではないですが、摂取量を増やさないよう意識することが重要です。特に、若年層や女性は摂取量が多い傾向にあり、また脂質の摂取が多い人もトランス脂肪酸を多く摂取する可能性が高くなります。そこで、トランス脂肪酸のみを意識するのではなく、まずは脂質全体の過剰摂取に注意することが必要です。

その上で、工業由来のトランス脂肪酸は人に不可欠なものではないことから、専ら摂取の低減が望まれ、より一層低減の取組を行う必要があります。任意表示の位置付けの中でトランス脂肪酸の摂取をより少なくするためには、引き続き事業者の自主的な取組と、それらを後押しするリスク管理機関の取組をより一層進めていくことが重要となります。

自主的な取組としては、食品中のトランス脂肪酸含有量の低減と適切な情報提供が挙げられます。含有量の低減は既に事業者が行っていますが、引き続き低減に努める必要があります。その上で、リスク管理機関は取組の効果を確認していくことが重要であり、またトランス脂肪酸の摂取量についても継続して確認していく必要があります。

消費者にとっては、まずトランス脂肪酸のリスクを知ることが重要となるため、わかりやすい情報が必要となります。リスク管理機関は、特に若年層や20歳から50歳代の女性、更に子どもの食生活を支える養育者に、トランス脂肪酸のリスクに対する意識付けを行うことが必要です。

更に、消費者がトランス脂肪酸について理解した上で、自主的に商品を選択することができるよう、食品事業者においては、消費者庁の指針に沿って、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示する取組を一層進めていくことを期待します。

このような自主的な取組を続けていくことで、日本人全体のトランス脂肪酸の摂取量を増やさない努力を続けても、今後、リスク管理機関の確認を通じて摂取量の増加傾向が認められる場合は、所管省庁において、食品中のトランス脂肪酸含有量について上限値を設ける規制措置や、トランス脂肪酸含有量の表示義務付けを検討する必要があります。

食品ワーキング・グループとしては、消費者委員会において、本とりまとめを踏まえて、随時トランス脂肪酸の動向を注視すべきと考えます。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、この報告について御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。ワーキングの担当委員の方々は本当に大変だったと思いますけれども、もし何か御感想なり、ございましたらお願いします。夏目委員。

○夏目委員 有識者ヒアリングをさせていただいて、食品安全委員会がリスク評価をして、その結果を覆すだけのものが現状では出ていないということがより明確になったと思います。その上で、この報告書の中にも記載されているように、つまり日本人の食生活そのものが変化しているというのは事実でございます。とりわけ若年者、そして特に女性の脂質のとり方が大きいということ。

そして、長い期間にわたってトランス脂肪酸の影響が出てくることを考えますと、子どもを育てていく養育する立場にある人たちが、トランス脂肪酸のみならず、脂質全体のとり方も含めて、そういうものについての正しい情報、適切な情報を得ながら食生活を過ごすことがとても大事だということを改めて確認したところなので、引き続きリスク管理機関にきちんと見守っていただいて、少しでも評価を覆すような傾向が出てくるということが認められるのであれば、次のステップに進んでいくことも必要であるということを改めて確認したところでございます。

今の段階では、そういうところがこのワーキング・グループで出した結論でございますので、消費者委員会としても報告書を出したから、それで終わりということではなくて、しっかりと見守っていくべきだと考えたところでございます。

以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 ありがとうございます。

私は、自分自身がこのトランス脂肪酸の摂取を注視すべき対象者であることを意識し、勉強させていただく中で、10ページの課題のところにありましたように、予防医学の視点。何十年というスパンで私たちの食生活を見ていかなければいけないということ。これをリスク関係機関、各関係省庁が実行していくわけですけれども、協力し合って、私たちの食生活全体を見ていく、今回はトランス脂肪酸という要素でしたけれども、ほかの栄養素や他にもいろいろな食品に含まれる物質という視点で考えれば、あらゆる要素を今後とも長いスパンで見ていく視点が大事だということを強く感じました。今回、ワーキング・グループのメンバーに入らせていただくことで改めて、食生活の内容を見直さなければいけないと自覚できたと思います。

ですから、今回、このとりまとめをするにあたっては、非常に多くの情報、いろいろ示唆も先生方からいただき、ここまでまとめ上げた労作を、皆さんに知っていただきたいことを書かせていただきましたので、ぜひ多くの方に読んで知っていただきたいと思います。

以上です。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょう。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

最後の11ページの一番下の段落の結論のところが大事だと思いますけれども、「日本人全体のトランス脂肪酸の摂取量を増やさない努力を続けても」の次のところです。「リスク管理機関の確認を通じて摂取量の増加傾向が認められる場合」。これは、検討の要件のような前段部分になるかと思うのですけれども、前の文章は日本人全体の話なのですが、ここで言っている摂取量の増加傾向というのは、あくまで平均で見るということではなくて、年代・性別、ある特定のところが増えているとか、特定の食品が増えているという意味合いも含めて言っているのだと読んでいるのですけれども、それでいいのかどうかということと。

それと、後段は検討の対象が表示にとどまらずに、上限値を設ける規制措置、含有量規制も含めて検討するということで、ここは、トランス脂肪酸は有用性が判明していないが、リスクは明確で摂取量は少ないほうがいいということで、動脈硬化学会のほうではゼロが目的だということも言っている。全体としては減少しているけれども、一部食品でダーッと増加していて、トータルとして平均的に見ると余り増加しているようには見えないが、食品安全委員会のデータでも製品によるばらつきが非常に大きいということで、多くの事業者が努力して減らしているにもかかわらず、一部の事業者が非常に多い含有量を使っているという場合は、表示の問題というより、含有量規制で行ったほうが、多くの事業者に関係なく、かつ有効に規制ができるのではないかと思いますけれども、そういう意味合いを含めて言っているのでしょうかという、この2つについてお話を伺えればと思います。

○河上委員長 阿久澤委員、お願いします。

○阿久澤委員 摂取量の増加傾向というのは誰が対象かということですけれども、平均はもちろんですけれども、ここで言っていますように、若年層、それと20歳から50歳代の女性というものを特に注視しなければならないということですので、そこも含めて対象ということです。

それと、上限値を設ける規制措置につきましては、食品そのものというより、その食品を作る材料におけるトランス脂肪酸の含有量というものが重要になってくるわけですので、当然、そこをチェックする機関、ここではリスク管理機関と表現しておりますが、そこによるきめ細かい継続的なチェックですね。

現在も報告書に書かせていただいておりますが、一度に全てということは無理のようですので、目標を定めてトランス脂肪酸の含有量チェックを農林水産省がしていますが、この辺につきましては食品中の含有量軽減に有効的であるということから、更にきめ細かく現在のチェックを継続的に進めていただければということで、世界的にも減少傾向にあるように、日本でもそこを抑えれば、増えることはないと個人的には考えております。

それと同時に、トータルでの脂質摂取が重要です。どの脂質が健康にいい、悪い。それぞれの食品にそれぞれの健康への寄与、いい、悪いというものがあるように、この脂質についても、トクホと同様に、バランスのとれた脂質の摂取。例えば動物性、植物性、魚介をバランスよく食べることによって、脂質についてもトータルで見れば健康が維持できるということになろうかと思います。バランスのよい摂取ということが(リクス分散できるという意味で)重要という見方もあっても良いのではないかと考えております。

以上です。

○河上委員長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 質問です。難しい仕事をどうもありがとうございました。

結論としては、法的な規制ではなくて、自主的な取組として、1つは食品の中に含まれるトランス脂肪酸の含有量を実態的に減らしていく努力。これは、主として農水省が所管してやっていくということだと思いますし、それから含有量などについて、できればしっかり表示していく。これは自主的な取組ではありますが、消費者庁が情報開示についての指針も持っていて、これに基づいて情報開示をまた進めていこうということだと理解したのです。

それで、質問したい点は、そういう含有量を減らすことについての役割を担っている農水省、そしてその表示を自主的に促進していくことを担っている消費者庁の、この問題についての取組の意欲というのか、意識というのは、どのようにお感じになったかということと。

それから、業界からもしヒアリングをされておられたら、業界自体がどういう問題意識や、今、どういう温度感があるのかといった、その辺りの情報を教えていただきたいと思います。

○阿久澤委員 農水省、消費者庁がトランス脂肪酸に対しての意識がどうかということですが、この中にも触れていますように、必須のものではない。

○岩田委員 ゼロでいいと。

○阿久澤委員 ゼロでいいというものですので、当然、前向きに取り組んでいこうという意識は感じております。

○岩田委員 業界はどうですか。

○阿久澤委員 今回は業界に対してのヒアリングをしていませんが、私、業界の方との個人的なお話の中では、栄養素として我々にとって全く必要のないものですので、減らしたいという意識を持っているということを感じております。

○岩田委員 情報開示も自主的にやるということが大体スタンダードになっているのでしょうか。それから、もしそうでなければ、これからそれは開示していこうという動きになるのでしょうか。

○阿久澤委員 情報開示がスタンダードになっているかどうかということは、私の感覚では企業間に差があり、十分に行えていないのかなと感じております。ですから、そこを全体のスタンダードにできればいいかなと思います。

○河上委員長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 質問というより感想になってしまうのですけれども、ワーキング・グループの方々には、このような報告書をまとめていただいて、改めて私もトランス脂肪酸というものについては、よく理解することのできる報告書の内容になっております。

先ほど阿久澤委員のほうからも、これはゼロでもいいものであるということでお話を伺った結果、直ちにこの上限値であるとか含有量の表示の義務付けを検討するという段階ではないけれども、今、岩田委員からもおっしゃったように、今後、こういった情報をもっと広げていく。今、食育というものもありますので、そういった部分できちんと情報開示。そして、それに対する食育という部分で頑張っていかなければいけないのかなと感じております。リスク管理機関だけではなくて、そういう意味でも、文科省などでもこういった取組をしていただければいいかなと感じた。

そういう感想でございますが、本当にワーキング・グループの方々、お疲れさまでございました。

○河上委員長 はい。阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 どうもありがとうございます。

それで、先ほど私からゼロでもよいという内容の発言について補足させていただきたいのですが、ゼロに近付けるのが理想ですけれども、これも我々消費者が理解しなければならないのは、ゼロに近付けることによる食品の品質ですね。食品の品質はいろいろな要素から成り立っているわけでして、トランス脂肪酸を使うからおいしいというものもあるわけです。ですから、そういう意味でゼロに近付けつつ、品質も維持していくという、ある意味、難しい局面もあり、折り合い点を見つけつつ、含有量減少に努力しているということも理解しなければいけないかなと感じています。

○河上委員長 よろしいですか。

なかなか難しい課題で、トランス脂肪酸というものが基本的に余り身体によろしくないということは、これははっきりしているもののようですけれども、伺っていると、全体としては非常に相対的な評価をしないといけない代物で、そこでの評価の仕方には非常に複雑な要素が入り交じっているという感じがいたしました。食品表示の問題として考えたときには、表示したほうがいいのはいいのだろうと思うのですけれども、実際問題として、ほかにもいろいろ表示すべき重要なものがたくさんあるときに、トランス脂肪酸だけを取り出すということでいいのかどうか。さっきの話だと、脂肪そのものの。

○岩田委員 飽和脂肪酸。

○河上委員長 飽和脂肪酸ですか。そのほうが逆に悪さをすることもあるぐらいだということでして、なかなか厄介なものだなと痛感いたしました。

報告書を読んで、私、非常に勉強になったのですけれども、ぜひ、いろいろな方にも読んでいただいて、自分が食生活の中で脂肪があるものをどういうとり方をするのかということとか、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸が果たす役割について勉強していただければと思いました。自画自賛になりますけれども、短いレポートながら、非常によくまとまった、大変よいレポートができ上がったと思います。

本日、食品ワーキング・グループのとりまとめを、御報告いただいたわけですので、これをぜひ消費者委員会として公表していくという手続を進めまして、いろいろな方にこれを読んでいただいて参考に供したいと思います。このとりまとめを踏まえて、随時、消費者委員会としてトランス脂肪酸の動向に注意してまいりたいと考えております。

とりまとめに御尽力されました阿久澤座長、夏目座長代理、唯根委員、そして事務局で準備作業のために活躍された方々に心から御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

本日の議題は以上になります。


≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に事務局から、今後の予定について説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の本会議の日程、議題については、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせいたします。

この後、委員間打合せを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては委員室のほうに御移動いただくよう、お願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)