第189回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年4月14日(火)16:45~19:09

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
  • 【説明者】
    金融庁
    田原 総務企画局市場課長
    多田 総務企画局市場課市場機能強化室長
    消費者庁
    植田 消費者教育・地方協力課長
  • 【事務局】
    黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 適格機関投資家等特例業務について
    金融庁
    田原 総務企画局市場課長
    多田 総務企画局市場課市場機能強化室長
  3. クラウドファンディングについて
    金融庁
    田原 総務企画局市場課長
    多田 総務企画局市場課市場機能強化室長
  4. 「消費者教育推進会議取りまとめ」について
    消費者庁
    植田 消費者教育・地方協力課長
  5. その他
  6. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第189回本会議」を開催いたします。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○大貫参事官 資料1-1、1-2、資料2-1、2-2、3-1、3-2、資料4、5、参考資料をお配りしております。不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、お願いいたします。


≪2.その他≫

○河上委員長 それでは、時間の関係もございまして、本題に入ります前に「その他」といたしまして、「1.特定保健用食品の表示許可に係る答申について」、「2.消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧について」ということで御審議をお願いしたいと思います。

まず、新開発食品調査部会から報告がございます。阿久澤部会長から説明をお願いいたします。

○阿久澤委員 それでは、「特定保健用食品の表示許可に係る答申について」、私のほうから報告させていただきます。

平成27年4月7日に開催した第25回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、4月8日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。

資料4の答申書をごらんください。内閣総理大臣より諮問を受けて、第25回新開発食品調査部会において安全性及び効果について審議を行った結果、了承することが部会長に一任され、特定保健用食品として認めることといたしました。

私のほうからの報告は以上になります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。特に問題はないですね。

次に、消費者委員会に寄せられた意見等の概況について事務局のほうから御報告をいただいて、委員の間で若干の意見交換を行いたいと思います。参事官のほうから説明をお願いいたします。

○大貫参事官 資料5をごらんください。本年1月から3月までに委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧になります。こちらは、定期的に公表している資料になります。

この間に委員会に寄せられた意見書・要望書等は、合計で52件ございました。このうちの32件について、受付番号5番にございます、商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に関するものということになります。残りが20件ありますので、案件について簡単に御説明したいと思います。

受付番号1番が事故調のもの。

2番と23番が消費者基本計画関係です。

3番がネット取引110番。

4番が消費者委員会の消費者庁への移管ということで、スリム化の関係でございました。

ちょっと飛びまして、2ページ目の14番は、ニュータウン新線の運賃に関するものでございます。

3ページ目に参りまして、20番、電気通信事業法の改正。

21番、パーソナルデータに関して。

22番が消費者安全法改正について。

4ページ目に参りまして、23番も消費者基本計画です。

24番と39番は、ノンアルコール飲料のトクホに関してということです。

26番がプロ向けファンド。

28番と52番は消費者契約法ですが、28番のほうは新聞協会販売委員会というところから、事業者側の御意見ということでございます。一方、52番は消費者側の御意見になっております。

5ページ目に参りまして、31番がワクチンメーカーのコード違反について。

6ページ目に参りまして、被験者の健康被害補償。

38番が電気料金の値上げ。

39番が先ほど申し上げたノンアルコール飲料。

41番が保育・教育施設の事故について。

43番が個人情報保護法。

49番がクラウドファンディング。

最後の8ページに参りまして、52番が消費者契約法。こちらは、先ほど申しました消費者側からの意見ということでございます。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

いずれも大事な論点が随分含まれておりますけれども、御意見のある方は発言をお願いしたいと思います。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 2点申し上げます。

1点目は、2番と23番の消費者基本計画についてです。消費者基本計画に消費者の意見を幅広く反映させるプロセスに意を尽くすべきという意見は、大変重要な指摘だと思っております。私自身もこれを受けとめて、各方面から寄せられた意見を参考にして意見を述べてきました。

本日は、この後の審議で消費者教育推進会議取りまとめもテーマになっておりますけれども、そこで目指されている消費者市民社会は、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会ということでありまして、目指しているものが消費者の積極的な参画による社会ということであるわけでして、消費者の選択行動が変わるときに社会経済が動くということですので、そこには消費者が問題を認識して、それに対する対応を考えるということが不可欠の前提になります。

そういう観点からしても、消費者基本計画のような広範囲な問題について、消費者、消費者団体が検討を加えて意見を述べるということは、本来的に大歓迎されるべきことでありまして、消費者市民社会の一歩一歩の歩みのバロメーターになるような、意見募集に寄せられる意見の数とか内容が、いわばその道しるべとして位置づけられるべき重要なものであると思います。

そういう意味からしますと、消費者がせっかく消費者基本計画について意見を述べたい、その作成プロセスに積極的に参画したいという意欲を示しているわけでありますので、これをぜひ前向きに受けとめて、今後の評価・検証に際しては今まで以上に幅広い意見が提出され、たくさんの団体がそれを検討して意見を述べるような機会を工夫願いたいと思います。

2点目は、多数の意見が寄せられております商品先物取引の不招請勧誘の問題です。この問題については、第3期消費者委員会が継続して一貫して取り組んできているものです。振り返りますと、第1段階は総合取引所における商品先物取引の不招請勧誘禁止を維持すべきという意見を消費者委員会で出しまして、この段階から多くの消費者団体、弁護士会、弁護士会連合会から意見が寄せられて、金融庁においてはそれを重く受けとめていただいて反映した形で金融庁案が策定されて決着をいたしております。

第2段階は、商品取引所における不招請勧誘の解禁のパブコメ案でありまして、これは昨年4月5日にパブコメを開始して、同月8日に見直すべしという意見を消費者委員会で出したものでありました。これの関係についても多数の意見が寄せられて、主務省が再検討に入ったという段階であります。

第3段階は、1月23日に改正省令が公布されて、以後、今日までの段階でありまして、現在はこの改正省令に対する意見が続々と寄せられているという段階にあると思います。消費者基本計画のところで述べたこととも関連しますけれども、この問題に対する消費者委員会の意見は、内容的にも数的にも、たくさん寄せられてきた意見を反映したものであると言えると思います。

1月23日に公布された改正省令は6月1日施行の予定とされていますけれども、全国の消費者の反発をますます大きくすることになるように思います。強行しようとすればするほど、商品先物に対する反発は強くなる一方ではないか。世界的に見ても、これだけ消費者被害を引き起こして、なおかつ個人の顧客を参画させようという政策をとる国というのは聞いたことがありません。ぜひ多く寄せられている意見を反映して、商品市場の本来の市場機能の発揮のために、機関投資家等の洗練された取引参加者による市場となるような方向転換を望み、改正省令の見直しを望みたいと思います。

以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

ほかには何か御意見ございますでしょうか。いかがですか。商品先物の問題は、省令を見直してくれるといいですけれどもね。

○石戸谷委員長代理 段階としては、省令後、国会で質疑が行われておりまして、今後、この問題というのがずっと検討されると思いますけれども、ぜひできるだけ速やかに見直して決着していただきたいと思っています。

○河上委員長 41番に保育・教育施設事業における事故についての消安関係の御意見が来ております。これも当委員会のほうで出した建議に深くかかわっているということで、もし可能であれば、そうした現状についての御意見とか体験などについて、消費者の方に直接伺う機会を委員会としても持てればいいなと思っているところです。

ほか、よろしいですか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 抽象的なコメントになります。これだけたくさん意見をいただいていますが、件数を見ると、一番右側の分類では、取引・契約関係が圧倒的に多い。消費者問題というと、安全関係、取引関係、表示関係が大きな三羽がらすだと私は思っています。これにあと、個人情報などがあります。このような意見件数が少ない分野については、消費者委員会や消費者庁のほうで目配りすることをいつも意識しなければならないと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

たくさんの御意見、要望書等、ありがとうございました。消費者委員会にとってみると、こうした意見とか要望書というのは、我々の問題意識にとっても重要ですし、励みにもなるということで、感謝したいと思います。

また今後とも情報を共有しながら、定期的に委員間で意見交換を行う機会をつくって、必要に応じて委員会としての考え方を示していきたいと思います。

(金融庁着席)

≪3.適格機関投資家等特例業務について≫

○河上委員長 次の議題ですけれども、「適格機関投資家等特例業務について」であります。

適格機関投資家等特例業務、いわゆるプロ向けファンドという業務を悪用した詐欺的な投資勧誘と、これによる深刻な被害が後を絶たない状況にありますため、消費者委員会では昨年4月22日に「適格機関投資家等特例業務についての提言」を公表し、金融庁に対して、投資者の範囲の要件の見直しや悪質業者の排除のための取組の徹底を求めたところであります。

その後、金融庁では、昨年5月、適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令、内閣府令案を公表してパブリックコメントを実施されましたが、この改正案に対してはさまざまな意見が出されたと伺っております。このような経緯を踏まえて、昨年10月から金融審議会の投資運用等に関するワーキング・グループで審議を行い、その結果を受けて、金融庁において金融商品取引法の改正案が立案され、本年3月24日に法案が閣議決定されたということであります。

本日は金融庁にお越しいただいておりまして、法案の説明をいただくことにいたしました。お忙しいところをありがとうございます。

まずは、金融庁から適格機関投資家等特例業務に係る改正案の内容等について御説明をお願いしたいと思います。説明時間につきましては、15分程度ということでお願いいたします。よろしくお願いします。

○金融庁田原総務企画局市場課長 どうもありがとうございます。金融庁の市場課長でございます。本日は説明の機会を頂戴しまして、ありがとうございます。

お手元の資料1-1と1-2で御説明させていただきます。まず資料1-2をごらんいただきますと、今、委員長から御紹介いただきました金融審議会の報告でございまして、1月にワーキング・グループの報告を取りまとめさせていただいたものが、3月に金融審議会の報告という形で承認されたものでございます。

この内容は2ページ以降に記載されておりますが、このうち具体的な中身に関します提言は3ページ以降になっておりまして、こちらをほぼ踏まえた形で法案のほうが書かれておりますので、これに沿って御説明させていただければと考えているところでございます。

今、御説明いただきましたように、昨年5月にパブリックコメントをさせていただいたわけですが、その際には2つ、大きな意見がございまして、1つは、投資家の範囲をもっと狭めるべきではないかという御意見。つまり、投資者の保護という観点からすれば、この範囲は少し広過ぎるのではないかという御意見。もう一方で、ここまで範囲を狭められてしまうと、一部のファンドの方からすれば成長資金の供給に支障が生じるのではないかという御意見もございました。

こういう双方の御意見を踏まえまして、どういう仕組みにしたらいいかということを金融審議会で御議論いただき、結論といたしましては、出資者の範囲の見直しにとどまらず総合的な対応をとっていくことが必要だということでございまして、その具体的な中身については5つに分けられるわけでございます。

法律も、この5つを踏まえた形でつくられているということでございまして、順次紹介させていただきます。

1点目は、届出者につきまして、どういう方が届出をできるか、実際にどういう方が業務を営めるかということでもあります。その内容としては、拒否要件・欠格事由など、一定の要件が必要ではないかということ。それから、届出書の記載事項や添付書類について、拡充を図ることが必要ではないかとされたところでございます。

それから、2点目といたしまして、プロ向けファンドのプロと言われる適格機関投資家について、どのように考えたらいいのかということ。そもそも適格機関投資家等特例業務につきましては、基本的には適格機関投資家を対象とするということで、金融イノベーションを阻害しないような簡素な規制とされ、関連する一般投資家の方が出資している場合があるということで、そういう方についても少人数の場合は同じような仕組みで認めるということにされたわけでございますけれども、実際には適格機関投資家の中に実態を伴わないような方を適格機関投資家という形で関与させて、このスキームを使うという事例が見受けられました。

このため、マル1ですけれども、出資者として実態を伴わないような適格機関投資家、典型的には投資事業有限責任組合が多いわけですが、こういうものを排除するために適格機関投資家等特例業務については、適格機関投資家として認められる投資事業有限責任組合に要件を設ける。例えば、運用資産残高を5億円以上とするという御提言を頂戴しておりまして、こういったものが措置できるような仕組みを法律の中に盛り込んでいるということでございます。

3点目が行為規制でございまして、行為規制につきまして、現行の届出制度は非常に簡素な仕組みとなっておりますので、登録の場合と同等の行為規制を設けるということでございまして、4ページの下、マル1から義務について記載がございますけれども、こういった義務を入れる形で今回の法律をつくったわけでございます。

また、マル4ですけれども、現行法におきましては事業報告書の作成や当局への提出、帳簿作成・保存も届出者に義務づけられておりませんので、こういったものについても義務づけを行うことといたしております。

それから、4点目でございますけれども、問題を起こした届出者の方への対応ということでございます。現行の法律上は行政処分などを行うことができないということになっておりますことから、検査などで問題を発見した場合につきましても警告書の発出をして、ホームページにそういった業者の名前を公表するということで注意を喚起するという対応をとっているところでございますが、今回の法改正では一歩踏み込みまして、行政処分を行うことができるようにするということで、マル1にありますように、業務改善命令、業務停止命令、廃止命令を行うことができるようにいたしております。

また、罰則についても引き上げを行っておりまして、例えばマル2にありますとおり、無届けについての罰則は現行、1年以下の懲役となっておりますが、こちらについては5年以下の懲役ということで、大幅に強化することにいたしているところでございます。

また、マル4の検査権限などにつきましても、投資家保護という観点から検査をすることを明確化しておりますし、マル5の裁判所の禁止命令につきましても、法律・命令違反の場合以外でも、投資者保護上、緊急に届出者の行為を止める必要がある場合には、裁判所に禁止命令を打つことをお願いできるという仕組みにさせていただいているところでございます。

最後に、5点目は、出資者の範囲ということでございます。こちらにつきましては、昨年5月の段階で一つの案を提出させていただいたわけですが、それにつきましては広いという意見と狭いという意見、双方ございました。その後、両者に入っていただいて、1点目から4点目までの議論をさせていただきまして、1点目から4点目までの措置をとることを前提といたしまして、昨年5月の段階の投資家の範囲よりもやや広げるという方向で一つの結論をいただいたということです。

それから、7ページのマル4ですけれども、ベンチャー・ファンドにつきましては、日本の置かれている環境というものを踏まえまして、下にポツが4つございますが、上場会社の役員、元役員、ファンドの業務執行組合員、元業務執行組合員とか大株主の方々。それから、経営革新等支援機関として認定されている士業の方々。それから、会社の立ち上げ実務などに携わった方々。こういった方々を入れるということでございます。

一方で、上のほうに書かれているようなガバナンスの確保、ファンド契約書類の提出、総会開催、決算情報の開示。また、一番大きなものとしては、財務諸表の公認会計士・監査法人による会計監査の実施と公認会計士名の公表という上乗せ規制を行うことを前提として、こういった方々もベンチャー・ファンドに限り、投資ができるという形にすることを審議会のほうに提言いただいておりまして、こういったことができるような仕組みを法案の中で措置しているということでございます。

資料1-1に戻っていただきまして、本日は要綱をお持ちいたしましたが、今、申し上げたようなことを法案の中で書いているということでございます。

まず、一の1でございますが、登録拒否要件の追加ということがございます。

2つ目に、業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧の方法の見直しということでございまして、そういったものをインターネットなどで見られるようにすることも可能ということにしたものでございます。

3つ目といたしまして、適格機関投資家等特例業務に関する特例等の見直しのうち、(1)で、適格機関投資家等特例業務として行うことのできる場合から、投資者の保護に支障を生じるおそれがあるものを除外するということでございまして、先ほど申し上げた、形骸的な投資事業有限責任組合などを除外するようなことは、政府令で定義できるように措置しているところでございます。

それから、(2)は、届出時の事項の見直しと添付書類の追加ということ。それから、欠格要件についての定めを置くということでございます。

それから、(3)がベンチャー特例のケースでございますが、ベンチャー特例を受ける場合は、契約の契約書の写しを内閣総理大臣に提出するということでございます。

それから、(4)につきましては、金融商品取引業者に対する行為規制についての規定を準用する形で規定することになっております。

それから、(5)が帳簿の作成及び保存、事業報告書の作成及び内閣総理大臣への提出といったことについての規定の御説明です。

それから、(6)が監督上の処分として、業務改善命令、停止命令、廃止命令を行うことができるようにしていることのほか、監督上の規定を追加するということでございます。

それから、(7)が検査権限の明確化というものでございます。

それから、(8)が裁判所の禁止又は停止命令の対象を拡充する内容の改正案についての説明でございます。

それから、(9)が罰則の強化でございまして、以上、ほぼ報告書の内容に沿った形での法改正案を作成させていただいたということで、これにつきまして、本年3月24日に国会に提出させていただきまして、現在、審議をお待ちしている状況でございます。

私からの御説明は以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの金融庁の御説明について、御意見、御質問のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明、ありがとうございました。

このテーマについては、消費者委員会のほうとしては、出資者の範囲を見直して、被害防止のために早期実施ということで提言を出したわけですけれども、金融庁のほうで問題の所在を掘り下げていただいて、法改正で法律上の充実した手当てをしていただいたという点については、私としては評価して感謝したいと思います。その上で、若干、今後のためにも参考になるかと思いますので、意見ないし質問したいと思います。

もともとこの制度は、平成17年の金融審答申で「投資サービス法に向けて」という報告書に基づいて、プロ向けの特定投資家のみを対象とするファンドということで構想されたのですが、パブコメにかけられた段階でプロ向けという切り分けになっていなかったので、それに対して、その当時から、これは悪用されるおそれがあるのではないかという意見がパブコメにも寄せられていたところであります。

実際に、その後、国民生活センターとか金融庁のほうにも、利用者相談室を経由したり、証券取引等監視委員会のほうの検査や何かで、悪用されてきた実態というのが出てきた。そのプロセスというのは、投資運用等に関するワーキング・グループのほうでも、かなり明らかにされたということだと思うのです。ということであるとすると、関係機関、とりわけ証券取引等監視委員会と金融サービス利用者相談室というのが密接な重要関連部局としてあると思うのですけれども、その辺の連携をもうちょっと密にして、早目の対応が必要だったのではないかという気がしております。

投資運用等に関するワーキング・グループのほうで、証券取引等監視委員会から出された段階では、問題掲載業者リストというのが平成26年8月末段階で527という数だったと思うのですけれども、ネットで見てみたら、直近では700近い数になっている。監視委員会のほうでも、検査したら半数以上に問題があるということで、しかし、取り消しとか業務改善命令などの行政処分を発する権限がないので、検査結果を公表して投資者に注意喚起するしかないということがあった。

この辺は今後の教訓にもなると思うのですけれども、もうちょっとその辺の関係を密にした対応といいますか、検討のあり方というのがあってもいいのではないかと、全体プロセスを見ていて感じた次第ですけれども、その点、いかがですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 これについては、石戸谷委員、よく御存じの経緯でございまして、そもそもファンド業というのは規制がかかっていなかったということについて、これはある意味ビッグバンのときからの宿題ということもあり、あるいはその間に消費者被害などがあったことも踏まえて、それも一つの流れとして投資サービス法から金融商品取引法という流れがあったわけです。

その過程で、新しい規制としてファンド業というものが規制されたものですから、もちろん個人を対象とされる方については登録制という形で、行為規制、行政処分まで含めた規制が導入されたわけですが、一方でプロの世界をどの程度規制するかというのは非常に難しい問題だったのではないかと思います。

その中で、届出制という形になって、届出制をベースとして、まさに今、御指摘があったように、証券取引等監視委員会がどの程度チェックすべきか。これもなかなか難しいところもあったかと思いますが、国民生活センターの数字など見ても、問題として大きくなってきたのは2010年ぐらいからではないかと思います。そのあたりからは監視委員会でもかなり気をつけて見て、ここ数年は事務量の問題というのもありますが、検査件数をふやして、本年は多分30件ぐらい検査しているのではないかと思いますので、与えられている体制の中ではかなり努力しているのではないかと思います。

一方で、投資家被害というものがかなりの数、出ていることも踏まえれば、今後の対応ということでいえば、法改正の内容、結果も踏まえてしっかりやっていく必要があるかなと思うところでございます。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

金融サービス利用者相談室では、四半期ごとの苦情件数内訳などを公表していますけれども、ここのところ、四半期ごとに1万件程度、直近だとちょっと下がって9,000件台になっていますけれども、かなりの数が出ていますので、そういったデータも活用していただいて、苦情とか検査の結果や何かを制度の改善のほうにもぜひ役立てていただきたいと思います。

それと、法改正の中身の届出制の部分ですけれども、ワーキングの議論の中でも出ていましたが、これは政省令が決まってみないとあれですけれども、出資者の範囲で、例えば富裕層個人の要件に実際には当たっていないのに、当たっているということでどんどん集めているという場合に違反になっているわけです。そういう場合に、無登録2種にという形の罰則の適用になるのか、あるいは行政処分が今度かなり強くなりましたので、業務停止になるとか廃業までありますので、その辺の問題になるのかというのが出ていましたけれども、その点はいかがですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 これは、まず法律ができ上がってみないと何とも申し上げられない点がございますが、個別のケースについては個別に認定していかないといけないものですから、ざっくりとしたお答えはできないかなと思います。監督サイドのほうでも、問題の事案に応じて適切に対処していくようにやると考えております。

○河上委員長 石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。まだ法案が国会に出た段階ということですので、それは承知しております。

ということで、政省令で出資者の範囲や何かが定まるということでありますので、このワーキングの報告だと、パブコメにかけた案、プラス拡大する部分がこうとなっておりまして、そういう内容として政省令を決めていくということで、それはよろしいのですね。そこが大事だと。

○金融庁田原総務企画局市場課長 私どもとしては、金融審議会で御議論いただいた内容を踏まえてやっていきたいと思っております。一方で、国会における御議論というのも今後、ございますので、そういうものも見ながら最終的には検討していくのかなと思っているところでございます。

○河上委員長 石戸谷委員、よろしいですか。

○石戸谷委員長代理 すみません、あと1点だけ。

富裕層個人のような場合の想定でありますけれども、適合性原則とか説明義務とかの行為規制が今度、適用になるということでありますが、その場合に適合性とか説明義務の中身が、当該商品特性との関係で考えるべきことが一般の商品とは違ってあるのではないか。上場株式や何かと比べて市場価格というのはないし、解約もそもそもできないというので、投資判断が非常に難しい。社債と違って格づけもないということでありますので、そういう商品特性を踏まえた適合性と説明義務のあり方みたいなもの、これは法律事項じゃなくて府令とか監督指針レベルの話になるかと思いますけれども、その点、ぜひ考慮して対応いただきたいと思います。

私としては、国会に出されている法案の早期成立と、早期成立した暁には、日々、被害が発生しておりますので、できるだけ早く施行をお願いしたいと思います。

以上です。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 昨年4月の当委員会の提言に対しまして、1年にわたり真摯に丁寧に御対応していただいたことに、まず感謝申し上げたいと思います。とはいえ、先ほど投資家被害というお話がありましたけれども、投資家と呼べないような消費者の被害がそもそも多数出た件でございますので、消費者被害が防止できることを期待していますが、正直、まだ懸念もあるところでございます。ですので、確認ということで、石戸谷委員と重なるところもありますが、御質問させていただきたいと思います。

1つは、登録制でなく届出制で本当に大丈夫なのかということ。届出後に事業者が要件を満たさないことになった場合に、この体制で対応できるのかどうかを伺いたいです。

それから、そもそものこととして、訪問販売、電話勧誘、いわゆる不招請勧誘の禁止をしなくて大丈夫なのか。この辺に関して、金融審ではどういう議論があったのかを少し御紹介いただきたいと思っています。今回、ある意味、当初おっしゃいましたように、両側の意見の妥協の産物的なところがどうしてもあると感じるわけですけれども、今後、これですんなりおさまるとも考えづらく、先ほど石戸谷委員からデータ活用の御要望がありましたけれども、今後、その不招請勧誘の禁止を含め、御当局としてはどのような数字なりをウオッチして見直しを検討するのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。

○金融庁田原総務企画局市場課長 まず、1点目の登録制、届出制のことですが、この点については審議会のワーキング・グループでも大変議論になったわけであります。ベンチャーキャピタルで実務をされている方からすると、登録制ということになりますと登録に時間がかかるということで投資機会を逃すなどの問題があるということで、届出制は何としても維持していただきたいという御意見でございました。

一方で、今回の法改正の内容は先ほど御説明いたしたように5つのパートからなっておりまして、拒否要件とか、特に行為規制とか罰則につきましては、かなり登録制に近い。行為規制についてはほとんど同等ですし、例えば無届け営業については5年以下の懲役ということで、そういう意味ではかなり厳しい規制になっております。それから、行政処分なども、廃止命令まで含めて行うことができるという形になっておりますし、今、一番問題になっております形骸的な適格機関投資家についても資産要件を課すということでございます。

確かに、議論を始めた段階では、両者、意見がかなり違っていた面もあるわけですけれども、総合的な対策を打った上で、投資家の範囲をこういう形にするということについては、両者のコンセンサスが待たれていますので、結果的に妥協の産物というよりは、止揚したというか、かなりいい結果のものができたのではないかと考えているところでございます。

これのエンフォースメントでございますけれども、もちろんこういう形でエンフォースメントの手段もございますし、そもそも義務づけという形で総合的な義務づけの形になっていますので、これで投資家被害を抑止するということを目標に、私どもも成長を目指しますし、監督部局、検査部局も尽力していくということでございますけれども、体制面で課題があるということは答申の中でも指摘されておりますので、こういった点もしっかりやっていきたいと考えているところでございます。

それから、不招請勧誘の議論につきましても、ワーキングの中で御意見が出たのはたしかでございますけれども、不招請勧誘につきましては、適合性の原則が全く期待できないようなときに導入するということが基本的な考え方ということでございますことと、今回、改正していった結果として、一般の個人の方には勧誘は基本的にできないという形になりますので、そういった観点からしますと、不招請勧誘を入れるという議論が盛り上がったという形にはなってございません。

今後の話につきましては、現在、こういう形で法案をお願いしている段階でございますので、私どもとしては、これを早く成立させて投資家被害を防止するということが最大のゴールでございますので、その結果をまずは見るということしか現時点では申し上げられないということでございます。

○河上委員長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 ありがとうございます。

結果を見るということですけれども、しつこくて申しわけないですが、どういうデータをウオッチしていくということなのか、それについて教えていただけますか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 データというか、具体的にどういう形で、この業界というものが今後動いていくかということを見ていくということだと思いますので、具体的にどのデータということではないのかなと思います。現段階でこのデータを見れば、この業界で何の問題が起こっているかというのがわかるというのは、なかなか難しいのかなと思います。

○河上委員長 高橋委員、よろしいですか。何かこれを見たらいいというデータがあれば教えてください。

○金融庁田原総務企画局市場課長 むしろ私どものほうでお伺いしたい。

○高橋委員 石戸谷先生からのご提案を含め、検討いただきたいです。

○河上委員長 そうですか。

ほかにはいかがでしょうか。

唯根委員もご担当ですけれども、よろしいですか。

○唯根委員 すでに質問していただいたので、今の段階ではございません。

○河上委員長 はい。ありがとうございました。

ほかにはございませんでしょうか。

今回の適格機関投資家等特例業務に係る金融商品取引法改正法案、今、伺ったところでも、例えばその販売・運用を行う者について欠格事由を導入したという点。それから、適合性原則やリスクの説明義務等の行為義務を拡充して強化しているという点。さらに、問題業者に対する業務改善命令等の監督業務処分の導入あるいは罰則の強化。そういった点で消費者被害を防止するための措置が講じられていくとなっていることから、これらの点については高く評価したいと思います。

適格機関投資家等特例業務については、投資者被害が発生しているという事態を踏まえますと、国会において本改正法案が早急に審議されて成立するということを期待しているところでございます。その上で、今後、政令とか府令で、例えば出資者の範囲とか、そういった問題について明らかにされていくことになりますけれども、消費者委員会の提言あるいは金融審議会、ワーキング・グループの報告に沿って、その内容を消費者被害を防止するための適切なものにしていただくということをお願いしたいと思います。まずは、ここまでよくやってくださったということでお礼を申し上げたいと思います。

≪4.クラウドファンディングについて≫

次の議題は、「クラウドファンディングについて」であります。引き続いて、またお願いすることになりますが、新規・成長企業へのリスクマネー供給を促す投資型クラウドファンディングに関しては、平成25年11月26日の第137回消費者委員会本会議において、金融審議会における審議の状況について金融庁からヒアリングを行いました。その後、同年12月25日に金融審議会の「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」の報告書が公表されました。

消費者委員会としましては、クラウドファンディングに関する規制を緩和するに際しては、消費者を保護するための十分な措置が講じられるべきであると考えて、昨年2月25日ですけれども、「クラウドファンディングに係る制度整備に関する意見」というものを取りまとめて公表したところであります。この意見の中では、クラウドファンディングの仲介業者に対する規制など、例えば参入規制、情報提供義務、新規事業への投資の特質の理解とその確認、勧誘規制に関して、金融庁に対して投資家被害を防止するための適切な措置を講ずることを求めていたわけでございます。

その後、金融庁におかれましては、金融商品取引法の一部を改正する法案を立案され、同法案は国会において審議を経て成立し、昨年5月30日に公布され、1年以内に施行されるというはこびとなっております。

本日は、金融庁に先ほどのプロ向けファンドに引き続きまして、このクラウドファンディングについて、その制度整備に関し御説明をお願いしたいと考えております。説明時間については、15分程度でお願いいたします。よろしくお願いします。

○金融庁田原総務企画局市場課長 引き続きよろしくお願いいたします。資料2-1と資料2-2に沿って御説明させていただきたいと思います。クラウドファンディング全体についても説明するようにということでございましたので、やや繰り返しになって恐縮ですが、資料2-1でまず全体の御説明をさせていただきたいと思います。

もう先生方、御承知のとおり、クラウドファンディングは寄附型とか購入型とかあるわけですが、そのうち投資型につきましては、金融商品取引業などと軌を一にするものでございまして、例えば左側のベンチャー企業のようなところが事業のための資金が必要であるということでありましたら、お金を組合形式とか株式形式で集める。そのときにクラウドファンディング業者を経由して投資家の方からお金を集めるということで、このクラウドファンディング業者がいわゆる金融商品取引業者に当たるということでございます。

現状とありますけれども、法改正のときの資料でありますので御容赦いただきたいのですが、法改正前、現状でもそうですけれども、有価証券への投資を勧誘するためには、金融商品取引業者としての登録が必要ということでございまして、株式の場合には第一種金融商品取引業の登録を受ける必要がございますし、ファンドの場合、組合型の場合には第二種金融商品取引業の登録を受けるということで、それぞれ例えば最低資本金を5,000万円又は1,000万円とする規制や兼業規制があるわけでございます。また、非上場株式の勧誘につきましては、日本証券業協会の自主規制では、原則禁止とされているところでございます。

クラウドファンディングにつきましては、世界的にも新しいお金の集め方ということで注目されているといった観点から、そういったものを利用促進していくという観点がある一方で、投資者保護のためのルールの整備ということが必要であることは言を待たないということでございまして、この2つの要請を満たすような形で法改正を行ったものでございまして、1つは、参入要件の緩和ということでございまして、少額のもののみを扱う業者さんについては、兼業規制などを課さないこととするとともに、登録に必要な最低資本金基準を引き下げるという方向での法改正をしたわけでございます。

また、先ほど御紹介いたしました日本証券業協会の自主規制規則につきましても、非上場株式の勧誘について、少額のクラウドファンディングに限っては解禁するという方向で現在、作業を進めているということでございます。

その一方で、投資者保護のためのルールの整備ということで、詐欺的な行為に悪用されることがないように、クラウドファンディング業者に対しましては、ネットを通じた適切な情報提供やベンチャー企業の事業内容のチェックを義務づけるということで、登録の拒否要件とか業務管理体制の整備ができるような法改正をしたということでございます。

現在、政府令の最終的な詰めに入っているところでございますが、先般、その辺についてパブリックコメントをさせていただいた内容が資料2-2でございます。

その内容でございますが、まず政令案につきましては、当時、この制度改正に際してワーキングなどで議論したものを踏まえた形で、新たに設けられる第一種少額電子募集取扱業務、第二種少額電子募集取扱業務で行います。内容につきましては、発行価額の総額を合計額が1億円未満、有価証券を取得する者が払い込む額を50万円以下とする。

それから、こういう業務のみを行う業者について、参入要件の緩和ということで、第一種少額電子募集取扱業者、第二種少額電子募集取扱業者というものを設けまして、そちらの最低資本金につきましては、当時議論されていたように1,000万円と500万円にするということを政令案で規定する予定となってございます。

それから、内閣府令案のほうは大きく分けて2つございまして、1つは業務管理体制を整備するということ。もう一つは、ウェブサイトなどによる情報提供義務を明確にするということでございまして、まず業務管理体制につきましては、内閣府令案の概要の1の(1)からまいりますと、発行者に対する審査ということで、発行者に対して審査、例えば財務状況、事業計画の内容、資金使途等の審査を行うための措置を講じなければいけない。

それから、発行者による投資者への情報提供の確保ということでございまして、資金受け入れ後の事業の状況につきまして、発行者から投資者への情報提供が確保されるための措置を講じなければいけない。

それから、3点目でクーリングオフでございますが、クーリングオフ期間がとられていることを確認するような措置をとる必要がある。

それから、(4)でございますが、目標募集額の取扱いということで、事業計画に照らして適当な目標募集額に設定されているか確認するとともに、当該目標募集額に達しなかった場合、または目標募集額を超過した場合に投資者に誤解を与えないための措置をとる必要がある。

それから、目標募集額に達しなかった場合に返金する形式の場合には、目標募集額達成前に発行者に応募代金が送金されないようにすることを確保するための措置を講じる必要があるということでございます。

それから、発行総額等の制限の実効性の確保ということで、第一種・第二種少額電子募集取扱業者につきましては、先ほどのような制限がかかっておりますので、これが取り扱う有価証券の発行価額の総額及び個々の投資者が払い込む額の制限の実効性が確保されるための措置をとるということが必要ということでございます。

それから、ウェブサイト上での情報提供ということでございまして、金融商品取引業者については標識掲示義務がございますので、これと同内容のものをウェブサイト上で表示するための措置を講じているところでございます。

それから、電子申込型電子募集取扱業務の一般につきまして、業務を適確に遂行するための社内規則の整備を義務づける予定で、現在、検討いたしております。

2点目は、ウェブサイトによる情報提供義務でございますが、電子申込型の電子募集取扱業務を行う者に対して、ウェブサイトや契約締結前交付書面において、下記の情報提供を義務づけることとしております。

1点目は、発行者に対する審査の内容及び結果ということで、発行者に対しまして適切な審査を行うための措置の内容とその実施結果の概要について情報提供する。

2点目は、クーリングオフを行うために必要な事項についての情報提供を行う。

3点目は、目標募集額に達しなかった場合などの応募代金の取扱いということで、申込期間並びに目標募集額及び当該目標募集額に達しなかった場合などの応募代金の取扱いについての情報提供ということでございます。

4点目は、応募代金の管理方法で、電子申込型電子募集取扱業務を行う者が金銭の預託を受ける場合の分別管理をどのように行うかについての説明をするということでございます。

5点目は、同じリスクなどでございまして、電子申込型電子募集取扱業務の一般的なリスク、当該銘柄の事業に係るリスクなどについての説明義務を課すということでございます。

6点目は、発行者に関する情報を提供するということで、商号、住所、代表者名などを情報提供する。

それから、事業の内容、計画、資金使途などについての説明。

それから、市場リスク、信用リスクについても同様でございます。

また、手数料、報酬その他の対価などについても同様の説明義務を課すということでございます。

それから、電子申込型の電子募集取扱業務以外の電子募集取扱業務を行う者につきましても、(6)から(9)について義務づけられるとされております。

また、少額電子募集取扱業者と、これまで業務を行ってきた方とはたてつけが当然違っておりまして、新たに規制緩和された方々についての義務づけと、既存の業務を継続して行う方でやや異なっているわけでございますけれども、そのうち第一種少額電子募集取扱業者、第二種少額電子募集取扱業者につきましては、そもそも法律上、電話・訪問勧誘はできないことになっております。

参考のところに書いておりますように、既存の第一種金融商品取引業者、第二種金融商品取引業者につきましても、自主規制機関のルールにおいて、電話・訪問による勧誘は禁止するという方向で今、関係諸団体で検討が進められていると承知しております。

私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの金融庁の御説明について、御意見、御質問のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。

私のほうからは、消費者委員会の意見との関係にわたる事項3点、それと純粋な質問1点、4点お尋ねしたいと思います。

まず、クラウドファンディング特有のリスクの説明と理解の問題でありまして、プロ向けファンドと同じような問題ではあるのですが、プロ向けファンドの場合は富裕層個人等ということで想定されていますが、クラウドファンディングの場合はより広範囲な参加を予定しているということでありますので、濫用されないような仕組みというのは大変重要になると思います。

その意味で、ファンドに投資することの意味合いといいますか、流動性リスクとかデフォルトリスクを十分理解して投資しているかどうかというのを、仲介者が確認する等の措置を講ずべきであるというのが委員会の意見の中であるわけですが、法案の国会質疑の中でも、衆議院の財務金融委員会で桑原局長もこの点について、クラウドファンディングを通じた投資に当たりましては、投資家がベンチャー企業に対する投資に特有のリスクを十分理解して投資していただくことが重要だと考えておりますと述べられておりまして、全くそのとおりだなと。

ここが重要なところだなと思うのですけれども、金融商品取引法の37条の3、1項7号で定める内閣府令で、金融商品取引業法等に関する内閣府令の83条1項6号等を新設して、当該有価証券の取得に関して、売買の機会に関する事項その他顧客の注意を喚起すべき事項というのを契約締結前交付書面の共通記載事項にしているということで、これはこれで意味合いとしてはわかるのですけれども、売買の機会に関する事項その他の顧客の注意を喚起すべき事項ということだと、ちょっと抽象的かなという印象が否めないといいますか。

念のため監督指針のほうを見てみましたら、V-2-4-2-2に勧誘・説明態勢というのがありまして、電子募集取扱業務を行う金融商品取引業者は、組合契約等の概要や、ファンドが現に行っている事業の概要、当該契約に基づく権利のリスクに関する説明が、当事者に対して十分になされているかについて留意するものとするとなっておりまして、府令を受けた形の指針になっているというか、それは当然といえば当然ですが、もうちょっと具体的に書き込めないかという感じがするのですけれども、そこはこの書きぶりで十分ですか、どうですか。まず、それを1点最初に伺いたい。

○金融庁田原総務企画局市場課長 私どもとしても、この点については非常に検討したところですが、こういう案で御提案させていただいたのは、いろいろな事業が考えられる中で、個別具体的な書き方をするというのはなかなか難しいということもございまして、その意味では、包括的に顧客の注意を喚起すべき事項ということで御提案させていただいているということでございます。監督指針のほうも、それを踏まえて、そういう形で書いてあるということでございまして、これを踏まえて、各業者にはしっかりとその注意を喚起すべき事項については記載していただきたいと考えているところでございます。最終的には、まだ検討中でございますので、御意見も踏まえて考えてみたいと思います。

○石戸谷委員長代理 よろしくお願いしたいと思います。

2点目が電話や対面による勧誘の禁止についてのところでありまして、今、御説明にもありましたとおり、第一種少額電子募集取扱業者と第二種少額電子募集取扱業者については、法律上の定義上、電話・訪問の勧誘はできないことになっておるということであるのですけれども、それはそのとおりだと思います。ただし、いろいろ問合せがあったり、実務的にはさまざまなケースが出ると思うのですけれども、その場合に問合せに対する説明や何かで話をしている際に、投資案件の案内を行うということは、流れからしてあり得る事態ではないかと思います。

法律上・定義上、できないというのはそのとおりですが、念のためといいますか、できないというのを何らかの形で、監督指針でも何でもいいですけれども、実務上、明瞭にしておくということが要るのではないかと思いますけれども、そこはいかがでしょうか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 御懸念のような事態が起こらないということは、多分ないというのはそのとおりだと思うのですけれども、法律上はできないということになっておりますので、できないということでございます。

○石戸谷委員長代理 明らかだと、そういうことですか。では、そういう運用でぜひお願いしたいと思います。

3点目が情報提供義務と情報の正確性の確保の問題であります。ここも消費者委員会の意見のほうで大事だなと思って入れてあるところでありますが、そこはよく見てみると、金商業者等が整備しなければならない業務管理体制というところで、府令70条の2の業務管理体制の整備で出てくるのがそれに当たるのかなと読めるのです。

監督指針の場合だと、IV-3-4-3-1というところに業務管理体制ということで、(1)発行者の事業計画等に係る適切な審査というのがありまして、ここにデューデリジェンスの適切性とか情報の正確性という、いろいろなものをこの部分で読み込んでいくのかなということですが、これももうちょっと具体的なものがなくて大丈夫かという感じがするのですけれども、それはいかがですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 この点についても、先ほどとかなり似たところがあるわけですが、具体的には、府令の70条の2第2項で順次書いてあるものが、先ほど御紹介した体制の整備というもので、内容的にはかなり充実した中身になっていると私どもとしては認識しておりまして、これをより細かく書くということも一つの考え方ではあるのですが、細かくすると逆に漏れるところもあります。細かく、あれをやれ、これをやれとか、あれをやるな、これをやるなという規定にするのか、ある程度体制整備義務という形で包括的な規定を置いたほうがいいのかというのは、なかなか難しいところがございます。

今回につきましては、これから立ち上がる業務であるということと、体制整備を金商業者に対してお願いするという観点から、こういう形での規定の仕方にしたということでございまして、仮に不都合が生じるようなことがあれば、そのときにまた対応については考えていきたいということでございます。

○石戸谷委員長代理 わかりました。では、よろしくお願いいたしたいと思います。

最後は純粋な質問でありまして、これはよくわからないので教えていただきたいという趣旨であります。電子募集取扱業務については、定義にあるのですけれども、その定義とは別に金融商品取引業等に関する内閣府令の70条の2の7項に電子申込型電子募集取扱業務というのが出てきます。そうしますと、電子募集取扱業務のうち電子申込型電子募集取扱業務とそれ以外の業務があると思うのですけれども、電子申込型電子募集取扱業務以外の業務というのは、具体的にどういうものが想定されるのでしょうか。それに対する規制などもあわせて教えていただければと思います。

○金融庁田原総務企画局市場課長 電子申込型というのは、文字どおり最終的な申込みは電子で行われますので、電子申込型電子募集取扱業務というのがいわゆるクラウドファンディング、つまり全て電子、ネット上で完結するものでございまして、電子募集取扱業務自体の定義としては、ほかの申込み、つまり電話とか郵送による申込みも含みますので、ワーキングの議論などでも、この両者の間で意思決定の仕方にかなり違いがあるということで、電子申込型のほうについては、気安く投資をした結果として問題が起きないようにするという趣旨で要件をより加重しているということになっています。

電子申込型でない電子募集取扱業務につきましても、態様に応じて、今回措置すべきところは措置しておりますが、フルセットでかけるのは電子申込型の電子募集取扱業務ということでございます。例えば、およそウェブを利用していれば、そういう意味では電子募集取扱業務になり得るということでございますので、こちらはかなり広い概念ということになろうかと思います。

○石戸谷委員長代理 ちょっと複雑な条文でよくわからなかったのですが、わかりました。ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 御説明ありがとうございました。

3点ほど素朴に質問させていただきたいことがございます。

1つ目は情報提供についてですけれども、投資については発行時の情報提供はもとより、発行後の情報提供というのが非常に重要だと考えます。御説明で、発行時は大丈夫だと思うのですけれども、発行後については余り縛りがないように読めるのです。発行後の情報提供がきちんとなされない場合、クラウドファンディング業者に対して、募集して終わりにならないように何らかの措置がとられているのか、ペナルティーがあるのか、これについて伺いたいと思います。

2点目は、体制整備、あるいは情報提供のところで、募集金額の目標値に達しないときのことが書かれているのですけれども、目標値に達しなかったときに、振り込んでいないケースはいいのですけれども、渡していた場合に本当にお金が戻ってくるのが担保されているかどうか、これについて伺いたいと思います。

3点目でございますけれども、政令・内閣府令に加えて、電子申込みでないケースの自主規制として不招請勧誘の禁止が検討されていることは、非常に心強く思います。しかしながら、日本証券業協会には期待が大きいのですけれども、第二種金融商品取引業協会については、以前こちらでお伺いしたときにも組織率が非常に低いことが明らかになったわけです。その後、第二種協会に関して、どんな陣容になっているのか、また加入率はどういうふうになっているのか、これらについてお伺いしたいと思います。

○金融庁田原総務企画局市場課長 御質問、どうもありがとうございます。

1点目の事業の状況についての定期的な報告でございますけれども、こちらについての体制整備とか、これを確保するための措置がとられているということがパブコメ案の中でも入っております。

それから、お金が戻ってくるのかということでございますけれども、これは戻るようにしなければいけないということでございまして、基本的には預り金ができる者の要件というのは下げておりませんので、二種であれば5,000万円要るということと、一種については当然預り金ができるということになるわけですが、それについては分別管理義務がかかっておりますので、返る形で業務をしていただくということでございます。

それから、3点目の自主規制機関でございますが、二種協会のほうでは組織率を上げるために努力しておるところでございまして、二種業者も非常に数が多いということで、組織率がなかなか上がらないというのは事実でございますが、一方で法律のほうでは、二種業者、自主規制協会に参加していない者については、みずから規則をつくって、それを遵守する。それは、協会のほうでつくるようにということでございますので、こちらについては監督のほうでしっかりとチェックしていくということになろうかと思います。

○高橋委員 ありがとうございました。

規則のほうですけれども、第二種金融商品取引業協会の自主規制の規則自体がなかなか出なくて、たしか出たのが先週だったと思うのですけれども、この辺に関してはどういうふうに評価されているのか、教えてください。

○金融庁田原総務企画局市場課長 これは、二種協会において、この事案の難しさとか重要性に応じて慎重に検討された結果ではないかと考えております。

○河上委員長 よろしいでしょうか。

ほかには。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 すみません、教えていただきたいのですが、クーリングオフに関してです。電子商取引になるので、どこの段階でクーリングオフが始まるのでしょうか。

それから、きょうの御説明の2の情報提供義務のところに、契約締結前交付書面という種類の書面の提示というのがありますが、契約書も全部ウェブサイト上で、それらの違いなどを出資者のほうはどう確認したりするのでしょうか、その辺の情報提供の仕方について、伺いたいのですが。

○金融庁田原総務企画局市場課長 クーリングオフについては、申込み時から8日間という規定になっておるのでございますが、おっしゃるように、申込みがどこかということで、通例であればクリックして申し込んだところが申込みと思うのですが、その内容については個別に判断していく必要があるのではないかと考えているところでございます。

それから、すみません、2点目の御質問は意味がちょっとよくわからないのですが。

○唯根委員 書類、締結前交付書面の文言がここにあったので、当然、締結時書面とか、種類が幾つか出てくるのだと思うのですが、全部ウェブ上ですと、その違いとか、いつの段階で見るのかという確認の仕方に工夫があるのでしょうか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 基本的には、締結時に表示されるものについては、締結時に表示されるということかと思うのですが、すみません、ちょっと質問の意味がわかっていないかもしれません。

○唯根委員 締結時の書面と締結前書面というのの内容の違いがわかるのでしょうか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 締結前交付書面は、契約締結以前に御提示すべき書面ということ。

○唯根委員 勧誘内容が書かれてある書面ということですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 おっしゃるとおりです。

○唯根委員 クリックすると、成立後に契約書面が出てくるのですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 契約成立時に渡すべき書面が締結時交付書面ということ。

○唯根委員 種類が違って、出てくるわけですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 種類が違うものがあるということです。

○唯根委員 通常、私たちが通信販売を利用する場合には、電子商取引についてはクリックしただけでは申込みではなくて、事業者側にそれが届いて、それについてオーケーのメールが消費者に届いた段階が契約の成立となるので、時期がずれるのですけれども、こちらのクーリングオフの制度は違うことになるのでしょうか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 個別に判断することになろうかと思うのですが、現在、事業者さんがいらっしゃるわけですけれども、通例、申込みが受け付けられるまでそんなに時間的に何日という単位で変わるようなものであるとは聞いていないので、ほぼそれが同時に終わるという前提で先ほど申し上げたわけですけれども、仮にそこが解釈の余地として申込み時がもっと後であるということになれば、そこから8日ということになるかと思います。

○河上委員長 よろしいですか。

○唯根委員 個別に判断するのですか。

○河上委員長 なかなかわかりにくいのですけれども、間にクラウドファンディング業者がいて、ベンチャー企業の計画をウェブサイトで提示する。それを見て、これはいいなということでクリックして振り込んだ時点では、これはまだ目標額に達していない状態なので、少なくともベンチャー企業との間では契約は成立していない。停止条件つきで成立するのですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 現在のパブリックコメント案では、基本的には申し込んだ段階から8日ということになっております。

○河上委員長 ベンチャー企業ですか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 募集の取扱者に対する申込みから8日間となっております。

○河上委員長 では、募集の取扱者であるクラウドファンディング業者との間で一定の契約関係がそこででき上がって、それに関してクーリングオフがかかるという理解でいいでしょうか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 繰り返しになりますが、申込みの段階がいつかというのはあるわけでございますが、その段階で、その募集の取扱者、クラウドファンディング業者に対する申込みということになって、それが受け付けられたところから8日間というのが今回のクーリングオフの規定の考え方ということです。

○河上委員長 そうすると、申込みが受け付けられた段階でクラウドファンディング業者との間で一定の契約関係が発生するという理解になるのでしょうか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 私どもの知っている例では、同時に匿名組合契約が成立する形になっているというふうに聞いているところでございます。ただ、これはまさに今後どういう形で出てくるかわかりませんので、そこはまた私どもとしてもよく見ていきたいということです。

○河上委員長 ただ、一方では場の提供をしているにすぎないのだという形で、仲介しているような場面もないではない。それは、本来は金商法の適用対象ではなくなるのでしょうかね。つまり、持ち分権を販売しているような金商法の適用対象としては、固有の契約当事者としてクラウドファンディング業者が登場する場面のみという理解になるのでしょうか。

○金融庁田原総務企画局市場課長 すみません、即答はできませんが、募集の取扱いという形になっている限りにおいては、クラウドファンディング業者にはなるということかと思います。

○河上委員長 クラウドファンディングもいろいろなタイプのものがございますから、これでどこまでが守られたのかというのはなかなかわかりにくいところがあることはたしかですが、金商法で対応できる限りでは、こういう形で情報提供もきちんとやろうということのようですね。

ほかによろしいでしょうか。はい。

金融庁におけるクラウドファンディングの制度整備については、当委員会からの意見の趣旨をほぼ盛り込んでいただいたものであって、高く評価したいと思います。投資型のクラウドファンディングは、今回、初めて導入される新たな制度ということでもあります。何事も最初が肝心と言われますように、悪質な業者によって被害が多発して新しい市場の信頼性を損なうことがなく、投資者が安心して取引に参加できる健全な市場となるように、投資者の保護のために万全を期していただきたいとお願い申し上げます。

金融庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

○金融庁田原総務企画局市場課長 本日は、どうもありがとうございました。

(金融庁退席、消費者庁着席)

≪5.「消費者教育推進会議取りまとめ」について≫

○河上委員長 次の議題でございますけれども、「消費者教育推進会議の取りまとめについて」であります。

消費者教育推進会議は、本年3月5日に今後の消費者教育の推進に関する考え方や提案、消費者教育の担い手への期待などについて、「消費者教育推進会議取りまとめ」を公表しております。本日は、取りまとめについて御説明いただいた上で、消費者庁としての今後の取組等についても御説明をお願いしたいと考えております。消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。説明時間については、大部な報告ではありますけれども、10分程度でお願いいたします。よろしくお願いします。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 消費者庁の消費者教育・地方協力課長です。よろしくお願いいたします。今、御紹介いただいたとおり、3月5日に消費者教育推進会議の取りまとめを公表しておりますので、その御報告をいたします。

資料は、資料3-1、資料3-2です。資料3-1が本日の御説明資料、資料3-2が取りまとめの本体です。

それでは、資料3-1に従いまして御説明いたします。

1枚おめくりください。消費者教育推進会議における検討状況と取りまとめの性格についてです。平成24年12月に「消費者教育の推進に関する法律」が施行、消費者教育推進会議が設置されていますが、第1回会議は平成25年3月に開催されており、平成27年3月で丸2年経過しました。委員の任期が満了になりましたので、ここで取りまとめを行ったということです。第1回会議から第4回会議については、基本方針について検討しています。消費者委員会からも御意見をいただき、25年6月に閣議決定しています。

本取りまとめは、平成25年8月の第5回会議から、基本方針で「今後検討すべき課題」とされたテーマについて、3つの小委員会の議論をもとに、今後の消費者教育推進についての考え方や、消費者教育推進会議としての提案、消費者教育の担い手への期待などを会議として取りまとめていただいたものです。

次のページから、取りまとめの概要について御説明いたします。法律ができてから、これまでの消費者教育の推進の進捗といたしましては、もちろん基本方針の策定と、それに基づく施策の実施ということがあるわけですけれども、まず会議では、推進法ができた意義と消費者教育の理念の整理をいただきました。こういったことをしっかり概念として示すことで、消費者教育を担っていただく方にもよく理解していただこうという趣旨です。

平成16年に消費者基本法が改正されて、消費者教育が法律で位置づけられていたわけですけれども、それに加えて消費者教育推進法ができた意義というものを、3ページ目の取りまとめの概要(1)で整理しています。推進法ができる前の消費者教育については、消費者一人一人が、正しく、適切な情報を基に、自分自身のために合理的選択を実践し、被害に遭わない、豊かな生活を送ることを基本とする、自立支援のための教育ということを目指してやってきたということです。これに対して、推進法ができた後には対象の視野が広がったということで整理いただいております。すなわち、個人として自立しているだけでなく、消費者が社会の一員として行動することも「消費者の自立」の要素であるということ。それから、消費者一人一人が「自分は被害に遭わない、自分は大丈夫」と考えるだけではなく、「消費生活に関する問題は、自分だけでなく社会の問題」と理解して実践していくこと。こういったことがこれまでの消費者教育と違う。消費者市民社会という概念が法律の中に盛り込まれておりますけれども、もちろんこういう考え方はこれ以前にもあったわけですけれども、法律上、明確に位置づけられたという点で推進法の意義があると整理していただいています。

それから、4ページです。このように消費者教育の視野が広がったとことから、会議では、消費者教育が育成しようとする消費者のあり方、消費者像について、まず具体的なイメージを皆さんに持っていただく必要があるのではないか、こういったことが共有されることが重要であるという議論がありまして、消費者の行動例を整理いただいております。

消費者市民社会における消費者の行動の特徴ですけれども、自ら情報収集し、理解し、実践する。身近な周囲の人にも情報提供やサポートを行い、その実践を促す。課題解決に向けて、社会(行政機関、団体、事業者等)に働き掛けるということです。これは、つまり自分だけがよければいいということではなくて、社会にも働きかけていくという、先ほどの整理に沿ったものです。

具体的な行動例として3つ挙げていますけれども、商品等の安全、生活の管理と契約、情報とメディア。消費者市民社会と言うと、自分とは距離が遠いのではないかとお感じになる方もいらっしゃるかもしれないということで、身近な例に引きつけて、こういった行動をとっていただきたいということを整理したものです。消費者が情報の受け取り手であると同時に、情報の発信者でもあるということ。それから、地域へのネットワークに参加して活動していただきたいという整理をいただいたところです。

取りまとめの概要(3)は、多様な担い手による消費者教育の実践に向けた提案です。消費者教育は、多様な担い手により、消費者に密接した地域で行われることが期待されるわけですけれども、地域における実践には、既に行われている先進事例をモデルケースとして参考にしたり、活用したりすることが有益であるという観点から、具体的な事例から、日常の身近な問題に対して、どういったことをやっていけばいいかということを、「消費者教育の担い手ナビゲーション」作成していただきました。

このナビゲーションの特徴は、消費者教育の担い手、例えば教育関係者であるとか消費生活相談員の方、消費者団体、事業者、事業者団体の方々が消費者教育の対象に、どのようなことを教えていくのかという観点から消費者教育の事例を整理しています。特に、今回、学校関係について、文科省と連携して学習指導要領との関係も明示したということで、学校での消費者教育の取組にも資するものとなっていると思います。

ちょっと見にくいのですけれども、「あなたは?」というところを見ていただきますと、高校の先生がこれを使っていただくということで、どういったところで使うかというところを見ていただくと、左ですけれども、公民、家庭科、情報教育などで、こういった授業を行う際に、学習指導要領にはどういう記載があるか。それから、消費者教育のイメージマップとの関係。それから、実際にどういった具体的な事例があるかを探していただけるようになっています。

これは、消費者教育ポータルサイトと連携を図りまして、どういった方が、どういったことをやりたいときに、どういった事例があるかということを探していただくような仕組みとして提案いただいています。こういったことを消費者庁の宿題としていただいていますので、こういった活用ができるような取組を消費者庁としても行ってまいります。ここでは高校の先生の例だけを挙げましたけれども、学校教育、家庭とか消費生活相談員の方、事業者の方など、それぞれにこうした形をつくっています。

それから、黄色いところの2番目の消費者教育ポータルサイトの活用です。消費者委員会からも何度か御指摘いただいております。これまでも改良を重ねてきていますが、さらに、消費者教育の事例紹介の動画を配信するとか、掲載して見ていただく際に役立つ評価に関する情報を載せるべきであるといった提案を会議からいただいていますので、それも消費者庁の宿題として対応してまいりたいと考えております。

それから、消費者教育に関する「プロジェクト」の実施。「プロジェクト」は、一過性のイベントにとどまらず、共通のテーマに賛同した主体、国とか自治体、事業者、ボランティアといった方々が共通のロゴマークとかキャラクターなどを活用してテーマを推進していくものとして提案いただいております。熱中症対策などの事例があるようでございますけれども、そういったことを消費者教育でもやっていくことが、もともと消費生活に関する情報に余り関心がない方々に向けた情報発信として非常に有効であるという提案をいただいています。

(4)地域における多様な主体の連携・協働について。消費者教育の実践には、地域で活動する多様な主体の連携が重要です。その中でも、消費生活センターを拠点として位置づけ、センターを活用して各主体の連携を図っていくということで、コーディネーターの役割が重要です。これは基本方針でも指摘されておるところでございますけれども、それについて整理を行っていただきました。

消費者教育の拠点として消費生活センターにどういった機能が期待されるかを6つ挙げております。

1番目が、消費者教育への関心の輪を広げる。これは、無関心な層への働きかけということです。

2番目が、消費者教育を自ら企画・実施する。講座などを行うということ。

3番目が、消費者教育の実施を働きかける。自身だけでなくて、学校、福祉団体での実施を働きかける。

4番目が、消費者教育の関係者をつなぐということ。

5番目が、消費者教育の担い手を育てる。サポーター養成講座などを行うということ。

6番目が、自主学習・交流・情報発信の場を提供する。これは、物理的な場ということも含めて提供を行っていくことが消費生活センターに期待されるということをいただいています。

それから、地域の連携・協働を担うコーディネーターの育成ということで、地方公共団体において、職員や元職員、消費生活相談員、消費者団体やNPOの一員として活動する方々、学校関係者、社会教育主事などの方々の中からコーディネーターを育成していくことが求められます。具体的には国民生活センターの研修なども活用して、コーディネーターを育成していくことが期待されるということです。今、消費者庁としても、地方公共団体や、様々な団体に向けて、コーディネーターの育成について働きかけているところです。

取りまとめの概要(5)消費者市民社会の形成に参画する多様な主体の活動への期待ですけれども、会議からそれぞれの担い手、主体の方々に、お願いしたいということを挙げていただいたものです。

消費者・サポーター、これは繰り返しになりますけれども、自分だけがよければいいということではなくて、社会の問題として捉えて周囲に働きかけていただく。また、見守り役となっていただく。ネットワークにも積極的に参加していただきたいということ。

学校教育関係者においては、指導要領における消費者教育を充実してやっていただきたい。

大学関係者においても、自立を支援する消費者教育。それから、大学生がボランティアや研究活動の一環として活動するといったこと。それから、サークル活動なども実践していただきたいということ。

社会教育関係者においても、地域でのコーディネーターの役割を担っていただきたいということ。

消費者団体は、見守りネットワークの中で消費生活センターをサポートする、補完する役割というのが重要であるということ。

ネットワークにつきましては、福祉のネットワークが先行して行われておりますので、連携を図っていくということ。

事業者・事業者団体についても、高齢者宅を頻繁に訪問する機会のあるような宅配の方とか、いろいろな事業者がいらっしゃいますので、そうした方々の協力。それから、消費者からの情報提供とか対話などから生まれた環境面や安全面での事業の改善などに関する情報を積極的に消費者に伝達すること。それから、従業員に対する教育、地域において、生きた事例を使った消費者教育を実践などしていただきたいということ。

行政については、消費者教育とその他の消費者行政、福祉、教育、環境、産業振興行政など、横の連携をしっかり図っていくということ。それから、地方消費者行政推進交付金を最大限に活用して、地域における連携・協働や、消費生活センターの機能の充実・強化、コーディネーターの育成・配置など、その他の地域のモデルとなるような事業の実施が求められております。これは、消費者庁としての課題と考えています。都道府県と市町村との連携・協働を強化ということについても御指摘をいただいています。

前期の消費者教育推進会議は3月に終了しておるわけですけれども、次期の推進会議の立ち上げを今、行っているところでして、課題として残ったマル1からマル8。それから、ここに挙げておりませんけれども、安全について、順次取り上げていきたいと考えています。いろいろ宿題を消費者庁としていただいていますので、まず地方公共団体、それから消費者団体、地域でいろいろ活動されている方々に向けて、今、この提言内容について働きかけを行っているところです。具体的には、モデル事業として実施を幾つかのところで行って、うまくいったものについては全国展開をしていくことを検討しています。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの消費者庁の御説明について、御意見、御質問のある方は御発言願います。いかがでしょうか。岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 基本計画との関係はどうなっているのでしょうか。ここに提案されたものについて、今の関係主体に働きかけをし、モデル事業は多分予算をつけて、それがよろしければ全国展開するというお話もあったのですけれども、この報告に盛り込まれていることは、基本計画の中には盛り込んでいると理解してよろしいのでしょうか。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 時期的に基本計画の前に3月5日に報告をいただいておりますので、この内容については、ほぼ基本計画の中に盛り込めたと考えております。

○岩田委員 その上で2つお聞きしたいこと、言いたいことがあるのです。

1つは、基本計画全体がそうだったのですが、なるべく具体的な成果目標を掲げて、それに照らしてPDCAサイクルをしっかり回そうということになっています。今、御説明いただいた会議からの報告書というのは、方向性は非常にいいと思うのですが、議論がまだ非常に抽象的で、これを行政に乗せて、しっかりPDCAサイクルを回していくことの間にちょっと距離があるかなという感じもいたしました。どのような具体的成果目標を掲げて、何を重点にこれをやっていくのか。PDCAサイクルをしっかり回すために、少し距離がある、そこをどのように考えていらっしゃるのか。これが1点目です。

それから、2つ目は、消費者市民社会の形成に参画する多様な主体として、事業者とか事業者団体を位置づけていただいていることは、非常にいいと思います。7ページの、ここには3つのことが書かれていますけれども、特に真ん中について、消費者・消費者団体と事業者が対話する。エンゲージメントと言っていますが、目的のある対話をして、そして消費者・消費者団体から企業に向けて情報や意見をいろいろ頂戴し、それに応えて事業者はまた努力し、その結果を消費者のほうにフィードバックしていく。そして、消費者に対しても言いたいことがあれば言っていくという、事業者と消費者・消費者団体との関係。

これは、CSRのCに限らず、SRについてのISOのガイドラインにも盛り込まれている考えで、一部の企業は実際にCSRのステークホルダーミーティングという形で、こういうことをやり始めているのです。事業主をこの消費者市民社会形成の一つのステークホルダーとしてしっかり位置づけて、この方向でぜひ広めていっていただきたい。そのために、何か具体的にお考えになっているようなことがあればお聞きしたい。これが2点目です。

以上です。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 1点目でございますけれども、基本計画の中のPDCAですけれども、数値目標としては、消費者教育推進地域協議会の設置が法律上努力義務となっていますけれども、その地域における消費者教育推進地域協議会の設置を目標の1つに掲げています。地方消費者行政強化作戦を策定していますが、その一つの項目に、5万人以上の市町には必ず設置していただくよう働きかけを行っていくことを目標にしております。消費者行政だけでなくて、ほかの分野の行政、事業者を含めて参画いただくことよう働きかけてまいります。

それから、先ほども申し上げましたけれども、モデル的事業といいますか、先駆的な取組を促進して、その成果を全国に展開するということでございます。取りまとめの中でも幾つかモデル的な事業の提案をいただいておりますので、どこかの地域でやって、実際に全国展開していくことを、まずは考えています。

それから、消費者教育の担い手に関しては、先ほども少し触れましたけれども、国民生活センターの研修などを利用して、コーディネーター、それからサポーターという方。これも数値目標は持っておりませんけれども、そういった方々をふやしていく。地域のネットワークに参加していただく。先ほど、自分だけではなく、社会に参画していくというお話をしましたけれども、そういった方々を今後ふやしていくということを、交付金を活用して実施していくことを考えているところでございます。

それから、2点目につきましては、1つは先ほども申し上げましたような消費者教育推進地域協議会の場を活用して、地域においても事業者の方々、いろいろな担い手の方々との連携を図っていくということが、まずはあります。それから、事業者・事業者団体の取組事例についても積極的に収集する必要があると思っておりまして、消費者教育ポータルサイトなどにも掲載していくということです。さまざまなところでどういった連携が図れるか、今、考えているところです。いずれにしても、多様な担い手と多様な主体ということで進めていかなければ、消費者教育の推進はなかなか難しいということですので、そういったことで取り組んでまいりたいと考えています。

○河上委員長 よろしいですか。

橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 御説明ありがとうございます。

今、既にいろいろな形で消費者教育という形でやってきたのですけれども、先ほど御説明があったように、どちらかというと消費者被害をいかになくすかという観点での消費者教育が今までなされてきました。ただ、今回、消費者教育推進法ができて、御説明にあったように、さらに積極的に消費者市民社会を形成するような市民・消費者を育てていこうということ、それが実現したら本当にすばらしいなと、お話を聞いて思っていたのですけれどもね。

先ほど図らずも最後におっしゃっていましたが、本当に立派な取りまとめ報告書ができたのですけれども、それをいかに広げていくかというところが今後、大切なところかなと思いまして、その観点から何点か御質問と、意見になるかもしれませんけれども、発言させていただきます。

例えば5ページにあります消費者教育の担い手、ナビゲーションの活用ということですが、これは私ども消費者団体とか消費生活センターの相談員、それから啓発に行こうという者にとっては非常に役に立つものだなと思いますし、ポータルサイトについても、今後、本当に活用できるなと思うのですが、こういうものが存在しているというのをどうやって今後、いろいろな人に広げていくのかが非常に課題かなと思っております。

せっかくいいものができたのですけれども、こういったものがあるというのは余り現場とかに知らされていないのではないかなと思っておりますので、これをもっと活用できるような方法を考えていっていただきたいと思っています。先ほど、活性化基金等の活用とおっしゃっていましたけれども、もう少し具体的に何かございましたらお話ししていただきたいなと思います。

もう一つ、教育現場の方にお話を聞きますと、先ほど岩田委員もおっしゃっていましたが、事業者の中にも積極的に消費者教育をしていくというのが会社の社会的責任であると感じて、いろいろな啓発資料等、消費者教育の資料等をつくったりとかして学校に持っていったり、それから消費者団体がこういったプログラムがありますよと学校教育現場等に持っていったりするのですけれども、いろいろなところからたくさん来て、後から見ると非常にいいものが来ていたのに、年度当初の1年の計画の中に取り入れる資料を読みこなすことがなかなかできないということです。

先ほど、コーディネーターの養成をしていくということだったのですが、これは非常に大事なことだと思いますので、早急に取り組んでいただきたいと思います。せっかくいろいろな資料とか、ここにも書いてある先駆的プログラムがあるのですけれども、それをどうやって、特に学校教育は今、私も教科書等を見ると、前に比べれば消費者教育に関する記述がふえていると思うのですけれども、それをもっと学校現場へ広げていくためにはコーディネーターが必要ではないかというのを、学校の先生方とお話ししていて非常に感じるところです。

学校の現場の先生が動くには、地方公共団体の教育委員会を動かすというのも非常に大事なことだなと思うのですが、ある程度情報提供ぐらいしかできないのか、その辺、国と地方公共団体との関係もあるので難しいとは思いますけれども、今後、文科省と図って、どのように地方公共団体の教育委員会にこういった情報をきちんと伝えていくのかというところ、今後の課題になるのか、もし既にそういったことを検討しているのであれば、その辺のところをお聞きしたいなと思っております。

それと、担い手のところで、消費生活センターの役割が非常に書かれているのですけれども、実は地方公共団体では相談業務を期待しているところがあって、そこにこうした消費者教育をする担い手を置く場所だよというところが、果たして地方公共団体の消費者行政の方にうまく通じているのかというのがちょっと疑問かな。先ほど言ったように、消費者被害の未然防止というところでは、今、非常に積極的にやっているところですが、御説明にあった、一歩踏み込んだところの消費者教育をする担い手を育ててほしいというところをきっちりやっていただきたいと思っております。質問というか、お願いになってしまいましたけれども、お願いいたします。もし言えるところがありましたら、その部分だけお願いします。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 非常に重要な御指摘ばかりで、我々自身もどう取り組んでいけばいいかと悩んでいるところです。

まず、ポータルサイトにつきましては、ごらんいただいているのは消費生活相談員の方ないしは学校の先生方が多いと思います。もちろん、そういった方々にもポータルサイトの存在と中身について、どう活用いただければよいかということを、使いやすくする一方で働きかけてまいります。

先ほども申し上げましたように、多様な担い手ということで、家庭であればお母さん方、それから福祉関係の方々、いろいろな方々が消費者教育の担い手になり得るということですので、そういった方々にもポータルサイトをぜひ活用いただきたいと思います。ポータルサイトの認知度を上げていければと考えております。

それから、コーディネーターの養成につきましても、必ずしも消費者行政をやっておられる方がコーディネーターにならなければいけないということではなくて、その地域をまとめることができる方々になっていただくということ。それから、消費者行政だけではできない部分というのがありますので、そういった方々をつないでいただく役割かと思います。まずは研修のプログラムを検討していますけれども、御指摘のとおり、早急に開始したいと考えています。

学校教育との関係ですけれども、教育委員会が、学校の現場がなかなか忙しいということで、事業に取り入れていただけないということを消費生活センターの方々から聞くことも多いのですけれども、一方で積極的に取り組んでいただいている事例もたくさん出てきています。成果が上がっている事例が集まってきていますので、それらを参考にしていただけるようになってきているのではないかと考えております。推進法ができる前は、文科省の連携といっても、消費者教育といえばどうしても消費者行政の分野という意識が、我々のほうにも学校教育のほうにも恐らくあったのではないかと思いますけれども、推進法ができたことで、まさに連携してやっていくものだという意識ができておりますので、文科省と連携して積極的に取り組んでまいります。

それから、今、消費生活センターでは、相談業務で忙しいので、消費者教育、さらに被害防止だけでなくて市民社会形成への参画というところまで、なかなか手が回らないという事情は確かにあると思います。消費生活センターも規模によって違う場合もありますし、小さいところでも熱心に消費者市民教育に取り組んでいるところもありますけれども、これ以上、我々のほうから負担をお願いするというのもなかなか難しいところもあります。その対応策として、1つは、地域で活躍されている消費者団体とかNPOの活動を支援していくということ。消費生活センターでの実施が難しいのであれば、それを補完する形でさまざまな担い手の活動を支援していくという仕組みを考えているところです。県、市町村への働きかけとともに、地域で活躍されている消費者団体、NPOの方々への働きかけも同時に行っておるところでございます。

以上です。

○河上委員長 夏目委員。

○夏目委員 消費者庁と消費者教育推進会議への期待を込めて発言させていただきます。

この2年間、消費者教育推進会議では大変意欲的にさまざまな課題を取り上げて、こういうふうに報告書ができましたことはとてもすばらしいことだと思います。ですから、次期推進会議では、ぜひこの報告でまとめられた内容の実効性、具現化するための方向性を審議していただきたいなと思っております。例えば消費者市民社会という新しい概念が、法律ができて出てきまして3年目に入っておりますけれども、これがなかなか広く国民の間に広がっていかないという状況がございます。

報告書の中の20ページにも、推進会議の委員の方々の中でも、例えばイメージ図やパンフレットが必要だとおっしゃりながらも、それぞれの委員の描くイメージ図というものがまだ一致するまで行っていないという記録もございます。ですから、専門的に議論されている場でもそういう状況ですので、国民のところに早く、できるだけ具体的なイメージ図、これから目指す消費者教育、消費者市民社会というのはこういう方向性なのだということが具体的にわかるようなところを、審議の中でぜひ早目にお示しいただけるように会議でやっていただくとよろしいかなと思っております。

言葉で言うと簡単なのですけれども、具体的な想像するというか、思い描くところがばらばらというのが現実かと思いますので、推進会議に期待を込めて、ぜひお願いしたいと思います。

以上でございます。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 おっしゃるとおり、言葉で言うと簡単なのですけれども、具体的にという段階でなかなか難しい。一つの試みとして、身近な事例に引きつけた行動例ということで整理をいただきましたけれども、これに加えてもう少しわかりやすい図で示せないかという議論もありました。結局そこまでうまく絵が描けませんでしたが、次期会議では議論を深めていただいて、わかりやすい説明ができるようにしてまいりたいと思います。どうもありがとうございます。

○河上委員長 石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。

今の点ですが、取りまとめの21ページでも今の話が書かれておりまして、モデル事業について先進的な事例を取りまとめて公表していくというのが次期推進会議ということになっておりますが、これは非常に重要で、何をどういうぐあいにやればというのも、ああ、こういうふうにやると、こううまくいっているのかというのがあると、また俄然具体的なイメージがわくし、取組もやりやすいと思いますので、ぜひ推進していただきたいと思います。具体的には、いつごろ、どういうことで取りまとめとか、今のところ考えておられるのか、お答え可能な範囲で。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 モデル事業につきましては、今年度の交付金の対象事業として、今、各自治体から提案いただいていまして、4月にスタートしたものもございます。今年度内の実施分については、今年度内に整理して推進会議で検証していくということを考えておるところでございます。

○河上委員長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 こういう議論があったかどうかをお伺いします。ここに書かれたような内容については、ぜひ実際に実現していくように取り組んでいただきたいと、強く思います。

翻って考えると、今日まで消費者の教育啓発活動を行ってきて、大きな役割を果たしてきたのは消費者団体であると思います。今回のこの取組を広げる中で、消費者団体の従来の活動とオーバーラップしてくるところが当然、相当部分あると思います。消費者庁のほうでカウントされている2,430の消費者団体がございますけれども、その消費者団体のあり方が少し変わる可能性がある分野などの議論が多分あったのではないかと思います。もしそういうことがあったのであれば御紹介いただきたい。

なかったのであれば、この次の会議で検討すべきテーマの中に消費者団体に関する事項がありませんけれども、もう議論済みなのか、走りながら考えるということなのかなど、どういう考えかをお伺いしたい。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長   消費者団体については、現在、高齢化が進んでおり、また、財政面で厳しい団体が多いということでございます。会議でも消費者団体にどう活躍いただくかという議論がございました。

1つは、ネットワークの中に入っていただいて、先ほど申し上げましたけれども、消費生活センターを補完するような役割を担っていただく。会議では、具体的な議論には至りませんでしたけれども、消費生活センターなどで相談業務を担っておられる消費者団体などもありますので、例えば、ネットワークの事務局機能を果たしていただく場合もあり得るかと考えております。いずれにしても、消費者団体の方々と協働・連携していくような仕組みというのをつくっていかなければいけないという議論はあったと記憶しております。取りまとめの中では消費者団体の課題について明示的に挙がっていないかもしれませんけれども、当然そういったことも検討の対象として取り組んでまいりたいと思います。

ありがとうございました。

○齋藤委員 現場からわき上がってくるエネルギーを吸い取るだけではまずいと思います。そのエネルギーが失われないような取組をぜひ続けていただきたい。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

○河上委員長 石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 すみません。学校教育のほうと地域のほうと両面あると思いますけれども、学校教育のほうは文科省との関係が大事だと思うのですが、取りまとめの14ページから15ページにかけて、その辺が出ておりまして、指導要領に従った教育をということで、それはそうだと思うのですけれども、もうちょっと素材とか教材とか情報の交流ですね。前は、ティーチングガイドでしたか、国民生活局の時代にみずからつくって使ったようなこともあったようですけれども、そういうサポートとか、逆に文科省のほうからの情報とか連携というのを具体的にもうちょっと書き込むというか、推進していただけないかというのが1つと。

それと、地域のほうは消費生活センターが拠点としてということで、そうかなとも思うのですが、消費者庁ができたときは全国どこにいても同じように相談をというのをメーンで言っていたのですけれども、その後、安全法が改正されて、消費者教育推進法も実施されてということで、見守りの協議会とか消費者教育のほうの拠点とか、業務が消費者庁をつくったときから質的に違うような重要性となっているので、それを加味した包括的な支援策みたいなものが要るのではないかと思うのですが、その点、いかがでしょうか。

以上、2点、お尋ねします。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 文科省との連携につきましては、今、実はかなり具体的に進めております。どういうことができるのか、どういうところまで、こういった解決策があるというところまで成果が出ているわけではありませんけれども、連携が最近は非常にうまくできていると思っております。具体的なことについては文科省とよく話しながら考えてまいりたいと思います。文科省も、先ほども申し上げましたけれども、現状の調査とか、教育委員会と消費者行政部局との連携についても取り組んでおりますので、成果を出していきたいと思っております。

それから、先ほどの御指摘とも重なると思いますけれども、現場がなかなか大変であるというのは、我々も本当にどのようにしていけばいいかということを考えておるところです。1つは、交付金をどう活用していくか。今のところの手段としては、交付金が財政的な支援としては最大の我々の手段であります。積極的に活用いただいているところもありますけれども、なかなか活用されていないところもあります。消費者教育を進めていく必要があるということをまずは御理解いただいて、その上で必要な体制については交付金を活用いただくことができます。

また、消費者行政担当だけでやるのではなくて、いろいろな部局を含め、消費者団体の方々、事業者、事業者団体の方々と協働して、ネットワークの中で解決していくことを我々からも働きかけていき、そこでどういったお金の使い方ができるのかということについては、よく御相談させていただいて、進めていけるものと考えております。

○河上委員長 よろしいですか。

高橋委員。

○高橋委員 今回の推進会議の取りまとめの中で、多様な担い手による消費者教育の実践というのが非常に重要であると書かれていて、それの担い手は、まさに消費者教育の司令塔である消費者庁がなすべきことというのを明確に書いているなと私は読ませていただきました。その点で、消費者庁が開設している消費者教育ポータルサイトの充実・活用の拡大について、先ほど認知度の向上を含め、橋本委員との質疑もありましたけれども、さらに関連してお伺いしたい部分があります。

このポータルサイトは、確かに当初よりはかなり充実してきていると思うのですけれども、これ自体、情報の登録、教材とか取組とか講座、それがどういうふうに推移しているのかとか、それの教材等に関しても、今はネットで見て、それが満足か不満足か普通なのか、三択で印をつけたり、コメントができるようになっています。それから、ポータルサイトについて、さまざまな意見を書けるようになっているのです。

こういう教材御意見メールボックスとか、そういうものを集計して、どういうタイミングで出して見直しを図っていくかということがPDCAを回す上でとても重要だと思っているのですけれども、これはどんなタイミングで、どのように活用していくのか。消費者委員会にもぜひ報告していただきたいなと思うわけです。後手に回らないように、あらかじめどんな計画なのかをお伺いしたいと思います。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

情報利用促進小委員会でも御議論いただきまして、消費者教育ポータルサイトの掲載情報の評価検討会を消費者庁につくるようにという提案をいただいています。実際に利用していただくように、評価や使い方も含めて提案できるような内容を発信していくようにということですので、そのようにぜひ対応してまいりたいと思います。年度が変わりましたので、早急に検討会を立ち上げて、我々自身も含めてですけれども、専門家の方に御検討いただいて、発信を行ってまいりたいと思います。

また、それに限らず、ポータルサイトのさらに改善ということと、掲載の教材の充実ということも図ってまいりたいと考えております。

○高橋委員 御説明ありがとうございました。

やはり全国の教育を担う人たちが注目するようなものであってほしいと思いますし、そういう形で本来はつくられたものだと思うので、当然ながらどういう評価がされるかということが決まった上でそういう書き込みシートが出てこないと、なかなか有効な活用というのが難しいのではないかと、正直感じました。ですので、これはぜひ早く進めていただくことが、地方の事業者とか、多様な担い手がこの消費者教育に参加していく上でのかなめだと思いますので、よろしくお願いいたします。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 ありがとうございます。

○河上委員長 不手際で大分時間が経過してしまいました。予定した時間を30分ほど超えてしまいましたので、この辺で閉めたいと思います。

御承知のように、消費者委員会からいろいろ提言や建議を出していますけれども、最後は消費者教育とか消費者啓発というところで期待する部分が多かったわけです。その意味では、消費者教育推進法ができて、消費者教育推進会議で具体的な議論をしていただけるようになったということで、大変ありがたく思います。これまでの検討に基づいて、このたび取りまとめがなされたわけですけれども、ここで書かれている消費者教育の理念とか行動、それから教育の実践といった多岐にわたる論点についての取りまとめは、かなり御苦労の多い作業ではなかったかと拝察いたします。そういう意味では、大変いいものが出たということを評価したいと思います。

本日御説明いただきました取りまとめには、7ページに次の課題が挙げられていますが、次期推進会議はもう立ち上がっているのですか。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 これからです。

○河上委員長 そうですか。検討すべきテーマとして8項目ほど挙がっているということですけれども、引き続き精力的な検討が行われることを期待しております。

ただ、正直申しますと、国が上から教育の内容を云々することは余りいいことでもないと思います。むしろ、ボトムアップで現場の方々の需要とか、何が必要なのかということをしっかりと酌み上げて、どの時点でどういうことをやっていくのがいいのかというのを、逆にボトムアップで支えて支援していくというか、そういう協力体制をぜひとっていただければと思います。

もう一つ、私が気になるのは、ネットワークとか連携という言葉がいっぱい出てくる点です。けれども、既存のものがたくさんあるのです。それで、地方の方に聞くと、今度は推進何とか会議をつくらなければと言うけれども、似たような人が出てきて、ここは何をするところだろうという議論していることもあるらしくて、既存の会議との関係というか、会議体の持ち方を整理したほうがいいのか、あるいはネットワークのつくり方について、もうちょっと効率的なつくり方を考えてみるといったことも必要ではないかという気がいたします。いずれにしても、今後、推進協議会でさらに充実した検討が行われることを期待しております。

きょうは、本当にありがとうございました。

○消費者庁植田消費者教育・地方協力課長 ありがとうございました。

○河上委員長 本日の議題は以上でございます。


≪6.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の本会議の日程、議題については、決まり次第、委員会のホームページ等を通じてお知らせします。

なお、消費者庁記者会見室において、この後、報道機関の皆様を対象とする委員長記者会見を行いますので、お知らせいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)