第183回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2015年2月3日(火)16:03~19:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

  • 【委員】
    河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
  • 【説明者】
    消費者庁
    鈴木 消費者政策課長
    中村 消費者政策課企画調整官
    厚生労働省
    辺見 老健局高齢者支援課長
    老健局高齢者支援課担当者
    国土交通省
    中田 住宅局安心居住推進課長
    住宅局安心居住推進課担当者
    厚生労働省
    医政局総務課担当者
    医政局総務課担当者
    健康局生活衛生課担当者
  • 【事務局】
    黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視について
    (1)次期消費者基本計画の素案の概要等について
    消費者庁 鈴木 消費者政策課長
    消費者庁 中村 消費者政策課企画調整官
    (2)高齢者向け住まいについて
    厚生労働省 辺見 老健局高齢者支援課長
    厚生労働省 老健局高齢者支援課担当者
    国土交通省 中田 住宅局安心居住推進課長
    国土交通省 住宅局安心居住推進課担当者
    (3)エステ・美容医療サービスに関する消費者問題について
    厚生労働省 医政局総務課担当者
    厚生労働省 医政局総務課担当者
    厚生労働省 健康局生活衛生課担当者
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第183回本会議」を開催いたします。

山本委員が若干遅れてお見えになるということでございます。

それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○大貫参事官 配付資料でございますが、資料1について1-1から1-3まで、資料2につきましては2-1、2-2-1、2-2-2、2-2-3、2-3、資料3につきまして3-1と3-2-1から3-2-3まで、及び参考資料として委員間打合せ概要をお配りしております。

不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。


≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

(1)次期消費者基本計画の素案の概要等について

○河上委員長 それでは、本日の議題でございますが、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。

消費者基本法においては、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。

このため、消費者委員会においては、次期消費者基本計画について、これまでも委員間打合せにおいて消費者庁から検討状況についてのヒアリングを行ってきたところであり、新計画の素案については、現在、パブリックコメントにかけられていると伺っております。当委員会としては、これまで発出してきた建議等に関連する施策を中心に、実施状況や今後の取組等についてのヒアリングを実施して、新計画の策定に向けた意見表明を行うこととしております。

本日は、その第2回目といたしまして、3項目ございますが、1番、次期消費者基本計画の素案の概要等、2番、高齢者向け住まい、3番、エステ・美容医療サービスに関する消費者問題、それぞれについてヒアリングを行いたいと思います。

最初は、「次期消費者基本計画の素案の概要等について」であります。消費者庁におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

まず初めに、計画の素案の概要について消費者庁から御説明をお願いしたいと思います。大部なものではあるのですけれども、説明時間は15分程度ということでお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。

お手元には資料1-1から1-3までお配りいただいております。

委員長から御紹介ありましたとおり、ただいま基本計画の素案とその工程表につきましてパブリックコメントを実施しておるところでございます。先週木曜日から実施しておりまして、3週間ということで、2月19日まで実施しております。資料1-2と1-3についてのパブリックコメントということでございます。

資料1-2と1-3の順序が逆なのですけれども、資料1-3と書いてございますほうが基本計画の本体でございまして、資料1-2は基本計画の工程表ということで、後ほど御説明いたしますが、本体の中に「5年間で取り組むべき施策の内容」という章がございまして、その中で書かれている取組について、各省庁の実施時期とか、さらに具体的な施策の説明が文章で書いてあるのが工程表ということでございます。資料1-3が基本計画の本体でございます。こちらを中心に御説明させていただきたいと思います。

時間の関係もございますので、資料1-1、基本計画(素案)のポイントという資料をつくっております。基本的には、見出し、構成をもとにつくったものでございますが、これと本体を参照しながら御覧いただければと思います。

素案の表紙をめくっていただきますと目次がございまして、「第1章 はじめに」ということで、1ページから3ページまでありますが、過去5年間の現行計画期間の振り返りということで、いろいろな法律をつくったということを記載してございます。ただ、まだ体制は十分ではない、まだまだやることがあるということを記載しております。新しい基本計画も5年間の計画ということを記載してございます。

第2章が「消費者を取り巻く環境の変化と課題」でございます。ポイントの横長の左上の項目でございますが、赤で塗っておりますところが何カ所かポイントの資料にございまして、これが現行計画との大きな違いの部分と考えてございます。この第2章の環境の変化と課題という章でございますが、現行計画はこういう章がございませんで、政策の基本方針を書いて、いきなり具体的な施策に入るという構成になっておりましたけれども、今回の基本計画につきましては、社会の変化とか現状とかトレンドを踏まえて作成しようということで、こういう章を1章立てたということでございます。

この環境の変化と課題の中では、7つ、「経済の動向」、「人口減少、高齢化・独居化の進行」、「女性の活躍の進展」、「高度情報通信社会の進展」、「消費生活のグローバル化」、「東日本大震災後の社会・意識の変化」、「消費者行動・意識の変化」という7つの項目を立てて、それぞれ現状の数値とか現状を踏まえた課題をまとめさせていただいております。

最初に書いてございます経済の動向のところだけ、簡単にちょっと御紹介いたしますと、経済の好循環ということが今、求められている中で、そのためには消費を伸ばしていくことが重要である。日本経済の中、GDPの中で消費のウエートが6割ということで、大きな位置づけを占めている。一方で、まだ消費者被害とか消費者トラブルが多い。昨年の消費者白書では6兆円という推計もございますが、そういった中で消費を伸ばしていくためには、消費者が安心して消費できる環境づくりということが重要であるということを書かせていただいております。

その次の第3章では、消費者政策の基本方針ということで、個別の施策に入る前に横断的な考え方の整理ということでございまして、本体のほうでは7ページから始まる部分でございます。

「消費者政策の推進により目指すべき姿」ということでは、3つ挙げておりまして、消費者の権利が尊重され、安全な商品・サービスを安心して消費できること。消費の効用・満足度が高まり、豊かな消費生活を営めること。これは、どちらかというと個々の消費者の観点。3つ目として、消費者が、公正で持続可能な社会の形成に積極的に参画すること。消費者市民社会ということですが、一人一人だけではなくて、社会のことを考えての消費ということで、こういう3つが実現できることが目指すべき姿ということで記載しております。

2つ目の項目として、「消費者政策を推進する上で考慮すべき視点」ということで、4つ掲げさせていただいております。本体では9ページからでございますが、府省横断的な施策の一体的推進と行政・消費者・事業者の連携。消費者行政の現場である地域の体制や取組の充実。規制改革が消費者に与える影響の考慮。新たに生じる消費者問題への機動的な対応ということで、4つの横断的な視点を記載させていただいております。

「第4章 5年間で取り組むべき施策の内容」というところで、施策を整理しております。施策の体系化・構造化が必要であるということが、昨年の総務省の政策評価や委員会の御意見でもいただいていたところですので、今回の基本計画では6つに整理しております。

1番目が「消費者の安全の確保」、2つ目が「表示の充実と信頼の確保」、3点目が「適正な取引の実現」ということで、ここまでが事業者と消費者の間の接点を3つの側面で整理したもの。残りの4、5、6は、もう少し横断的な切り口ということで、4番目が「消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成」、5番目は「消費者の被害救済、利益保護の枠組みの整備」、6番目が「国や地方の消費者行政の体制整備」ということでございます。

それぞれのグループの中を、さらに2つないし5つにまとめているということで、「消費者の安全の確保」であれば、「事故の未然防止」、「消費者事故の情報収集と発生・拡大防止」、「的確かつ迅速な原因究明と再発防止」、「食品の安全性」という4つに取組を整理しているということでございまして、施策の体系化・構造化という観点でこういうふうに整理してございます。

それから、ポイントの、「5年間で取り組むべき施策の内容」の右下に、「(1)、(2)…の項目ごとに、KPI(重要業績評価指標)を設定」と書いてございますが、このKPIの設定が今回の基本計画が前回のものと違う、大きく変えている部分の一つということでございます。

本体を見ていただきますと、12ページの事故の未然防止のところであれば、ページの真ん中からちょっと下に5つ挙げてございますが、「社会経済の変化に対応した法令」、「ガイドライン等の整備・見直しの状況」、「法令、ガイドラインの周知の状況」、「注意喚起の実施状況」、「危険な物質・商品の取締り状況」、「事故の件数・内容」ということで、基本的にはこういう法令の整備・見直しの状況、法令の周知・実施状況、それから被害の状況という切り口は、なるべく横断的にそれぞれの項目で共通して、こういう観点が入るようにということで入れてございます。

工程表は、この「5年間で取り組むべき施策の内容」につきまして、各府省が具体的にどういう施策をするかということをまとめたものでございまして、安全のところでいきますと、1ページ目の、「身近な化学製品に関する理解促進」から始まりまして、帯表が2ページ続いており、それぞれの施策につきまして3ページ、4ページで言葉での説明があるという形で、本体の「5年間で取り組むべき施策の内容」の項目にあわせて、それぞれの項目ごとに各府省の施策を整理しているということでございます。

それから、ポイントのほうに戻っていただきまして、最後の章になりますが、「計画の効果的な実施」でございます。本体でいえば30ページからでございます。

先ほど申し上げた「工程表の作成」というところが赤く塗ってございますが、これが現行計画との大きな違いの一つということで、先ほど見ていただきましたような形で、各府省の施策につきまして、取組のスケジュールと施策の説明を図と表の形で整理しております。

それから、計画本体のほうでは、先ほど申し上げた法令の整備・見直しの状況といった、やや抽象度の高いKPIを横断的に設定しておりますが、工程表のほうは、それぞれの施策に応じて、より具体的なKPIを設定する形で作成しております。

こういう形で計画、工程表を作成し、ポイントの右下でございますが、「計画の検証・評価・監視」ということで、計画をつくって終わりということではなくて、その実施についてちゃんと検証・評価・監視をしていくということで、毎年度、実施状況を取りまとめて国会に提出する。これは消費者白書のことでございます。消費者委員会の監視機能も発揮していただきながら、実施状況を随時確認していただくということも記載しております。1年に1回は工程表を見直し、環境、課題、施策に大きな変化がある場合には、計画の改定ということでございます。

こういう形で今、パブリックコメントをしておりまして、2月19日まで意見をいただき、その意見を踏まえて必要な修正をし、最終の案ということで整理いたしまして、法律上の委員会の意見を聴く、諮問という形での手続を踏み、年度中に決定するということを目指して作業させていただいております。

簡単でございますが、説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。

現行の2010年から5年の基本計画の立案のときは、ちょうど消費者庁、消費者委員会が創設されたときで、それとの関係が大きいテーマになったと思います。今回は、先日、閣議決定された内閣府のスリム化問題で、総合調整権限が消費者庁に移るというところが総論で言えば大きい問題だなと思うので、そこについては素案の総論部分で書き込んでおられまして、今後は消費者庁において総合調整機能を発揮して、さらなる消費者施策の推進を図るとなっているのですけれども、消費者基本計画との関係で言うと、総合調整権限が消費者庁に移るというのがどういう具合に違ってくるのでしょうか。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 今の時点では、まだ来ていないということですが、基本計画をつくって終わりではなくて、先ほども申し上げたように、実際の実施状況のフォローアップが重要だと考えておりまして、そういうところでは、総合調整権限があれば、今までよりも円滑にといいますか、的確にできるのではないかと思います。

○石戸谷委員長代理 現行の基本計画の頭のほうに、総合調整権限は担当大臣にあるので、そこを発揮して行政改革を指揮するということが書かれているのですけれども、検証・評価という意味からすると、この5年間というのは、その意味での総合調整権限というのはどうなのですか、そうすると、余り発揮されてきていないという評価ということでいいのですか。つまり、消費者庁のほうでやっておられる消費者基本計画の消費者政策会議の事務方としての役割というのが、総合調整権限とは違う、事務方としての各省に対していろいろ注文をつけたりするという形の関係、そこをちょっと御説明いただければ。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 実際にどういう行為、活動を、これは調整権限の行使であると言うのか、それをわざわざ言って調整するのかということもあると思うのですけれども、現行計画についてのある意味反省点的なところとしては、フォローアップが十分ではなかったのかなと。日常的な情報収集や連絡も含めての連携・調整ということはもっとやらないといけないのではないかと思っておりまして、そういう意味では総合調整権限が来るということは、有効ではないかと思っております。

○石戸谷委員長代理 それはわかりました。

基本計画をつくるときですけれども、具体的な例を出すと、この後ヒアリングをやる美容医療だと、素案では5年間、ガイドラインの周知徹底みたいなものが工程表で帯が伸びていて、こういうものは従前の当委員会の意見や何かからしても、随分物足りないと思うのですけれども、つくる段階での総合調整権限があるのかないのかという話があるのかわからないですけれども、今の基本計画でも、総務省の勧告でも司令塔機能を発揮して云々とありますね。それとの関係で、今回出てきた素案というのは、その辺の調整を経て出しているという考え方で考えればいいのかどうか、そこをお尋ねします。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 今回の基本計画については、施策の体系化・構造化という観点でいえば、施策の整理・項目立てとしては、現行計画よりもわかりやすくしたつもりです。なおかつ、現行計画のような、見出しがあって、いきなり表が始まっているということではなく、それぞれの安全の確保なら安全の確保、その中での(1)事故の未然防止なら未然防止というそれぞれの項目の出だしで、それぞれの取組の考え方について整理して記述したと考えております。

そういうところは、司令塔というか、各府省横断的な共通の考え方とかを整理するという意味で、消費者庁としてやるべき仕事であったと思っております。

あと、個々の施策について、今の記述が十分かどうかということについて言うと、作業としては、現行計画で書いてある施策が今後5年間どうなっていくかということが最初の各省との作業のスタートであったわけです。出てきたものについて、さらに改善できないかどうかということについては、それなりにやりとりをしていたわけですけれども、パブリックコメントの中で、ここはまだ不十分ではないかとか、あるいは消費者委員会の御意見も何がしか出てくると思っておりますので、そういう部分については、再考いただく、さらに検討していただくという形で調整していくのかなと考えております。

○石戸谷委員長代理 わかりました。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 今日、ポイントの図式をいただきまして、改めて今回の素案を拝見して、基本政策について5年間で取り組むべき施策の内容の4の、要は確認というか、私たちは消費者庁に期待する消費者の意見の反映が4の(4)に来ているのですけれども、これは逆に一番最初に来るべきことではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

そして、本文を読ませていただきますと、今の状況では、今後もパブリックコメントぐらいでしか消費者の意見を反映していただけないようにもとれてしまうので。私たちの消費生活の中で日々起きた問題をビビッドに消費者庁が把握していただいて、それを取り上げて見直していただくというのが、この基本計画の見直しのところでも書いてあると思ったものですからお尋ねします。工程表を毎年見直しも含めて書かれていますので、そういう部分では、うがった言い方で恐縮ですが、長官が消費者教育にたけた方ということで4の(1)に消費者教育が来ているのですが、その後に(4)として政策の透明性確保と消費者の意見の反映が来るよりも、(4)の政策の透明性確保と消費者の意見の反映をまず第1に行うべきことだと考えていただくほうがいいのではないかと思った次第です。意見でした。

○河上委員長 何かお答えになりますか。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 実際の具体的な問題とか課題に対して対応するというのは、基本的方針の機動的な対応のところでも基本的考え方としてお示ししておりますが、その具体的な問題が安全なり表示なり取引の問題であれば、それぞれの分野において取り組むべきことという形で整理しておりまして、先ほど御説明でも申し上げた、4、5、6というのはどちらかというと、横断的な仕組み、枠組みの部分でありますので、具体的な施策というよりは、その仕組み、枠組みの取組として書いております。

安全の問題とか表示の問題とか取引の問題でそれぞれ問題があれば、そこの問題として、消費者の皆さんの意見を聞きながらやっていくということです。個別の分野については、それぞれのところで考慮するということで、ここは記述としてはそんなに分量が多くないことになっている面があります。

消費者教育については、横断的という位置づけもありますが、消費者教育自身の取組としていろいろな取組があるので、消費者教育の部分の分量は多くなっております。

○唯根委員 分量のことを申し上げているわけではないのですが、消費者の意見の反映を第1に考えていただきたい。まして横断的にとおっしゃられていますので、ぜひそこを第1に考えていただきたいという意見です。

以上です。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 ここの並びは、完全に同じではないですが、消費者基本法の条文の並びも参考にしつつ書いた部分がありまして、消費者の意見の反映と透明性の確保というのは、消費者教育とか公正・自由な競争の後にあるということも踏まえながら構成立てをしたというところでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 お願いと質問があります。

5つほどあるので順番にいきます。まず第1番目は、今の1枚の横書きのタイトルが全部入っているような用紙で、左上の「消費者を取り巻く環境の変化と課題」のところに多くのタイトルが書かれています。そのタイトルを見ると、中身がわかるものとわからないものがあります。この紙は、恐らく後日、基本計画ができ上がった段階で、これがポイントだといって啓発用に使われると思うので、内容がわかるタイトルにしていただければありがたい。「経済の動向」では、中身がわかりません。それから、「意識の変化」が6番と7番にあります。これも中身がありません。

できればわかるように書ければいい。今、自分でも中身を提案できるわけではありませんが、最終的にでき上がった段階では、パブコメも踏まえて、それがわかるように表現していただきたい。御用とお急ぎの方が、これ1枚だけ見たらわかるようにできると思います。よろしくお願いします。

2番目ですが、「消費者の安全の確保」のところです。これは(1)、(2)、(3)と、それから(4)が大きく違っています。(1)、(2)、(3)は恐らく10年後でも20年後でも、このままのタイトルが使えるだろうというタイトルです。「未然防止」、「発生と拡大防止」、「再発防止」、「原因究明調査」。これらは永久に使えるタイトルで、中身がないに等しいと思います。中身が何か見える形にしていただければありがたい。

それから、(4)だけが「食品」です。今、消費者の安全の中では食品が一番大事なのかという認識をお伺いしたい。

3番目。「適正な取引の実現」のところに、「規格・計量の適正化」があります。これは、素案のA4横書きの21ページの一番下に書かれていますけれども、この中身を見ると、最初、「食品に対する消費者の信頼を確保」から入って、その次に「国内・国際標準化関連活動」云々があり、その次に「適正な計量の実施の確保を図る」と3項目並んでいて、1つまとまったものになっておりません。単に3つの項目を列挙しただけだと思います。

普通に読むと、大項目が「国内・国際標準化の視点の適切な反映」で、その中の個別項目が「食品」と思うのですが、そうすると書く順番が違う。ここで何を言いたいのか、はっきりわかるように書いていただきたい。

それから、4番目です。先ほどコメントがありましたけれども、「消費者教育の推進」です。これも「消費者教育の推進」だけでは中身がわからない。恐らく消費者教育を推進して、自立した消費者を育成するとかいうことになるのだろうと思う。その中身が浮き出る書きぶりになるといいと思います。

5番目。最後のほうに、「地方における体制整備」と書かれています。私はこれが、消費者基本計画が成果を上げるかどうか、一番の決め手になると思います。ここが固まっていない状況のもとで、この計画が実現できるとは思い難いので、もう少し強調して訴えたいと思う次第です。並べ方は、全体の目次はこうなる、ということかもしれませんが、特に強調すべき事項はないのか。あるいは、強調する必要はない、このような横並びでいいのだ、と思っておられるのか、それを確認させていただきたい。

○河上委員長 鈴木課長、いかがですか。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 まず、見出しをよりよいものといいますか、より内容をあらわしたものにできないかということについては、齋藤委員から御意見いただいたところが全部直せますと、今の段階ではちょっと言えませんが、検討させていただきたいと思います。

それから、規格・計量の記述は、工程表の施策と対応していまして、国内・国際標準化活動の関係は、具体的な施策としては、今、JISの関係がこういう観点で取り組むということが一つの施策として挙がっているので、こういう書き方になっております。ここもどういう表現ぶりがいいのか、検討・調整をさせていただければと思います。

あと、地方の体制整備が重要ということは、そういう考えでございまして、基本的方針、本体の9ページですが、ここに「消費者政策を推進する上で考慮すべき視点」ということで、省庁横断的な推進と行政・消費者・事業者の連携が1番ですけれども、2つ目に、地域の体制や取組の充実ということがあって、これは個別の施策という観点だけではなくて、横断的な考え方として、地方の体制整備が重要であるということをここで言っております。具体的取組としては構成上最後に書いているのですけれども、これは別に軽視しているということではないということはわかるように書いたつもりではございます。

○齋藤委員 規格のところで追加質問があります。普通、規格と言うと安全規格が多いと思うのですが、ここで言う規格は取引の項目に書いてありますから、取引関係の規格だけになるのでしょうか。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 安全の規格も排除しているわけではないのですが、具体的な取組が、そういう観点、適切な取引ができる共通の基盤というものなので、整理としてここへ入れたということでございます。基本法では、規格の適正化という条文が1つ立っておりますが、「商品の品質の改善及び国民の消費生活の合理化に寄与するため、商品及び役務について適正な規格を整備し、その普及を図る」という書き方で、ちょっと抽象的です。

現行の基本計画も、規格のグループのところには、どちらかというと安全系のものではなくて、取引的なものが入っていて、安全に関する基準のような取組は安全のほうで書いているという感じになっております。その整理自体、見直したほうがいいということがあるのかどうかですけれども、具体的に今、挙がっている施策との関係ということでは、ここに位置づけるのが適当かなということです。

○齋藤委員 それでは、パブコメもいろいろ出てくるかもしれませんが、それも踏まえた上で、大項目が「取引」となっているので、取引関係だけの規格だと考えていいのかどうか。

それから、先ほど言いましたように、21ページの一番下の3つの項目として「標準化関連」、「食品」、「適正な計量」と書かれると、恐らく「標準化」が最初に来るのではないかと思います。そのあたりで誤解が生じることのないように、最後にもう一回チェックしていただければと思います。

○河上委員長 では、高橋委員。

○高橋委員 次期消費者基本計画は、前期、現行のものと比べて、かなり工夫されているなと感じております。体系化・構造化、非常にわかりやすくという努力をされているのですけれども、計画は実効性の確保が非常に重要だと思います。

その意味で、今回はKPIと工程表ということで取り組んでおられるのですけれども、実際に工程表のほうを拝見しますと、せっかくの矢印の帯が5年間べたっと張りついているものが非常に多いと感じます。中身を読めば、1年に1回、我々の消費者委員会の検証・評価も含めて見直すことになっているのですけれども、工程表というのはアクションプランですから、5年間、ずっと長い帯はまずいのではないかと思います。どんな計画でも2、3年に一度は大きな見直しが必要なので、矢印を一旦、2年か3年で必ず切るというルールで、各省にもう一度つくり直していただくことはできないでしょうか。

KPIに関しても、素案を拝見しますと、30ページに「効果把握のための指標として、本計画に示したKPIを可能な限り施策ごとにさらに具体化するものとする」と書いてあります。これは重要なことですが、いつ、どのようにするのかということが書いていないわけです。

ですので、この辺も明確化していくことが必要だと思いますし、KPI自体に関しても、物によってはアウトプット指標ばかりで、あれをやる、これをやるというところまでしか書いていなくて、アウトカムの要素がない。効果をどう上げていくのかということを最初に策定して計画を進めるとは考えにくいものも見受けられます。今後、PDCAをきちんと回していくために、KPIと工程表のつくり方を工夫していただきたいと思います。以上、意見でございます。

○河上委員長 よろしいですか、何か発言されますか。

○消費者庁鈴木消費者政策課長 工程表の帯が5年間、そのまま伸びているものが多いというのはおっしゃるとおりでありまして、各省からすると、決まっていないからなかなか書けないという事情もあると思うのですが、毎年見直すので、変更があれば、早くなった、遅くなったということで見直していただければいいとか、あるいは、今、明確に時期が決まっていなければ点線で分けるなど書き方についてはいろいろな工夫ができますとか、毎年の見直しの時点で実際の状況にあわせて変更できるということなども説明しつつ、改めてもう少し細分化といいますか、期限の具体化ができないかということは調整したいと思っております。

あと、施策ごとのKPIについても、各省と調整して、書けるものをなるべくということで出していただいたのですけれども、今、高橋委員のアウトプットではなくてアウトカムをという御意見で、さらに見直せるところがないかということは改めてお願いしたいと思います。

○高橋委員 御説明ありがとうございます。それで進めていただきたいと思うのですが、矢印の帯でやるにしても、例えば64ページの工程表は1年ごとに区切ってあるのですけれども、同じことをコピペで張りつけてあります。こういうことをされてしまうと、これはアクションプランにはならないわけなので、少なくとも2年とか3年で一度、大幅見直しみたいなことを工程表の中にもしっかり表現していただくことが必要だと思います。KPIも、毎年きちんと前年のものを状況を踏まえながら変えていっていただかないと、我々も評価・監視するときに有効に活用することができません。そのあたりをぜひお願いしたいと思います。

○河上委員長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 実は、高橋さんと全く同じことを言おうとしていたので、重なりますけれども、意見として申し上げたいと思います。

まず、評価したいと思いますのは、昨年の総務省の政策評価書で指摘されたことがあったわけですね。政府全体としての具体的な政策目標の設定、個別施策の体系化・構造化、効果把握のための指標の設定、実施工程の明確化、こういう具体的な指摘があって、これら全てに消費者庁としては非常に前向きに、意欲的に取り組まれたと思いますので、その点は評価したいと私は思っています。

それから、もう一つ、ありがたいと思いましたのは、私たち委員会と消費者庁の間では委員間打合せという非公式の場で、昨年から何回も計画本体については意見交換する場を設けさせていただいて、私たちの意見を相当柔軟に取り入れてきていただいているということがありますので、その点もありがたいと思っています。

残っていることは、各省が具体的に取り組むのは、むしろ工程表のほうだと思うのですけれども、工程表の具体的な項目ごとにしっかりした議論が私たちとしてもできなかったのですけれども、まさに高橋さんが今、おっしゃったように、2つ弱点があると思います。

例だけ申し上げたいと思うのですけれども、たまたま例に当たった省庁は申しわけありません。この後、ヒアリングさせていただきますけれども、22ページに医療機関のホームページによる情報提供というのがありますが、これは5年間かけてガイドラインの周知と、5年間かけて自治体へのアンケート調査となっています。これは5カ年計画ではありません。こういうのは5カ年計画とは言いません。ですから、まさに鈴木課長がおっしゃったようないろいろな工夫の仕方があるわけですから、そういうことで各省庁を御指導いただきたいと思います。

もちろん、法の厳正な執行とか、それは5年間、帯になるというのは当然のことだと思うのですけれども、そうじゃない具体的な取組は、この5年間の帯というのは5カ年計画ではないということを肝に命じて御指導いただきたいと思います。

それから、KPIのつくり方は、素案の本体は非常にしっかり、基本的にどういうKPIが必要かということをまとめていただいたのですが、それを受けた各省庁のKPIがまだまだ不十分で、例えばその1ページ前の21ページがたまたま開いたら見えたので、恐縮なのですが、これは表示のところです。例えばマル1の家庭用品の品質表示の見直しのKPIを見ますと、講師を何回派遣したかがKPIになっていますし、マル2を見ますと、パンフレットの配布状況、パンフレットを何枚配布したか。こういうものはKPIじゃないと思います。

本体のほうでは、素案のほうではそれはどういうふうに書かれているかというと、例えば商品・サービスに応じた表示ルールの周知・普及の状況というのがKPIの考え方なのです。ですから、どのくらい周知されたかとか、それがKPIにならなければいけないので、こういう講師の数とかパンフレットの枚数というのは、そういう次元のものではないということをぜひ各省庁に御理解いただきたいと思います。以上です。

○河上委員長 何かございますか。

○岩田委員 もういいです。同じことです。

○河上委員長 答えなくていいですか。

橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 同じような内容だったので、私のほうからは齋藤委員が言ったところの、もう一回だめ出しみたいなところですけれどもね。

地方の体制づくりというところ、先ほどの御説明の中では、決して軽視するものではありませんという御説明でした。ただ、この計画の中で拝見しますと、地方公共団体との連携及び地方公共団体に対する支援の状況とKPIのほうには書いてあるのですけれども、支援のところでは交付金などのことが書かれているのです。

連携というところ、齋藤委員がおっしゃったように、地方の体制がきちんとしないと、消費者行政、消費者問題というのはなかなか解決できる問題ではないと思っております。そういった意味でも、この書きぶりであると連携が図られるのかなと。量の問題ではないとおっしゃっていましたけれども、地方との連携、地方の体制づくりというところをもうちょっとしっかり書いていただきたいなと思います。これは、お答えは結構ですので、希望ということです。

○河上委員長 それでは、夏目委員、お願いします。

○夏目委員 私も要望を申し上げさせていただきたいと思います。この新しい基本計画を策定するに当たって、消費者庁が今までのものと違って意欲的な取組をされていることはとても評価したいと思います。消費者を取り巻く環境の変化と課題という現状分析をされつつ、工程表の作成とかKPIを取り入れたというのは、今後、それをどういうふうに実行するかという意味で注視していきたいと思います。

その上で、この消費者基本計画を進めていく上で、9ページから、消費者政策を推進する上で考慮すべき視点というものを4点にわたって記載されています。この考慮すべき視点というのは、消費者庁が消費者を保護する省庁として、消費者目線を持つ省庁として、忘れてはならない視点ではないかと思います。もちろん、消費者市民、消費者自身が自主的に自立した消費者として、経済の好循環、それから市場の活性化に積極的に関与していくという視点は大事でございますけれども、とりわけ(3)規制改革が消費者に与える影響の考慮というところは、慎重に取り組んでいく必要があるのではないかと思います。

これまでにも、この規制改革がもたらすさまざまな分野におきましては、期限を区切って拙速に議論しているのではないかという、私自身はそういう感触がございます。規制改革、規制緩和をしていくことが、消費者保護に本当にきちんとつながっていくかどうかというところは、改めて、この新しい消費者基本計画の中でも忘れないでやっていただきたい。そんなふうに思います。これは要望です。お答えは必要ではございません。

以上でございます。

○河上委員長 では、特にお答えは要らないということで。

ほかにはいかがですか。よろしいですか。

いろいろ注文がつきましたけれども、やはり、工程表が評判悪いですね。工程表の中で、情報提供とか何々の推進とか何々の検討というのをぺたっとそのまま張り出しているというのは、余りよろしくない。逆に消費者庁も64ページに、毎年区切ってはいるのだけれども、年度の数だけが変わっている。これも恥ずかしいからやめたほうがいいと思います。

つまり、どういう観点でやっていくのかとか、今後の手順のあり方とか、もうちょっと工夫しながら、毎年課題を考えていく。結果的には、いろいろ調査を実施して、それを報告し、政策に移していくことになるのですけれども、アウトカムという観点から言うと、現在の書きぶりではどうかなという感じがいたします。

全体としてはプラスの評価も随分あったことは、今、お聞きのとおりでして、当委員会が昨年5月に発出した意見の趣旨とか、委員間打合せのヒアリング結果等を踏まえて策定作業を進めていただいていることは、拝見してよくわかります。その意味では、御努力を多としたいと思います。恐らく問題を整理・体系化して、一定の方針のもとに施策を書き込んでいくというやり方にトライしてはいるのですけれども、その階層のつくり方が非常に不完全といいますか、整理されていないのではないかという気がいたします。

先ほど齋藤委員からも指摘がありましたが、いつでも出てくるようなテーマが一番上にあるのはわかるのですが、それをさらに具体化したテーマがなかなか見えない。体系指向の問題と問題指向の書き方とが混在してしまっているものですから、全体としてバランスが非常に悪いという印象を受けてしまうのではないかと思います。

例えば「安全」だって、食の安全だけのはずはないとすると、他に衣食住が出てきてもおかしくないし、その他のレジャーとかが出てきてもおかしくないわけです。ところが、食の安全だけが突出しているのは、安全問題の中でその重要性にかかわるのかもしれませんけれども、違う観点から整理されてしまったという印象になってしまうだろうと思います。

「規格」の位置などもかなり特殊なものがありますので、少し場所を考える必要がありそうです。

個人的に一番心配なのは、こうやって体系的に問題が整理されていくと、これはこれで、なるほど、こういう考え方で消費者政策をやっていくのだなというのはよくわかるのですが、他方で、どの問題を、どこの省庁が、どういうふうに取り組むのかというところが見えにくいといいましょうか、探さないとわからない場合があるのです。以前は、口の悪い人は、これはホチキスでとめただけの計画だと評していましたけれども、それはそれでどこそこの省庁は、この問題についてこれをやると言ったのをまとめていますから、そうか、厚生労働省はこの計画ではこれをやるのだなといったことがすぐわかったのです。

それがちょっとわかりにくい感じになっているのです。ですから、これはこれでよいとして、各省庁がどういう問題を、どういうふうにやるかという整理も必要かなという感じがするのです。これは私の個人的な感想であります。

消費者を取り巻く環境の変化と課題ということで、人口減少、高齢化・独居化の進行。それから、高度情報通信社会の進展、消費生活のグローバル化の進展というのを挙げた上で、個々の施策が体系的に整理されているということ。消費者基本法を意識した整理が見える点も、これは一方で高く評価したい。このことは、先ほどから申し上げているとおりでございます。

また、計画の効果的な実施として、個々の施策についての対象期間中の取組予定を示した工程表をつくって、効果把握のための指標についてKPIを示そうとしている点も、高く評価いたしますが、具体的な中身に関しては、もう一工夫あっていいのかなという意見が、先ほど来、出ているとおりです。

新計画が消費者政策のさらなる充実を目指す内容となるために、消費者庁におかれては原案策定に向けた作業を一日も早く進めていただければありがたいと思います。特に、今後5年間で取り組むべき個々の施策について、消費者を取り巻く環境の変化と課題と十分対応しているのかどうかということの見直しをお願いしたいと思います。

当委員会では、関係省庁ヒアリングや消費者団体ほか関係団体との意見交換を予定しておりまして、それを通じて、さらに新計画の素案について検証・評価を行い、しかるべき時期に意見を述べさせていただくことにしたいと思います。

消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

(消費者庁退席、厚生労働省・国土交通省着席)

(2)高齢者向け住まいについて

○河上委員長 続きまして、「高齢者向け住まいについて」というテーマであります。

厚生労働省、国土交通省にお越しいただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。

高齢者向け住まいに関しては、当委員会において平成22年12月に「有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議」を行い、その後、フォローアップを行ってきているほか、平成25年5月に有料老人ホームや認知症高齢者グループホームにおける防火対策について関係省庁からヒアリングを行っております。

新しい消費者基本計画の素案では、高齢化への対応が課題とされておりまして、高齢者向けの安心で安全な住まいが確保されることはますます重要な課題になっていると思われます。そこで本日は、現行の消費者基本計画に盛り込まれている事項への取組状況を御報告いただくとともに、契約上のトラブルや生命・身体被害の防止対策、さらに新たな問題として、近年増加しているサービス付き高齢者住宅や、行政に届けられていない有料老人ホームをめぐる問題などについても、現状と問題点、それから今後の対応策等について関係省庁からヒアリングを行いたいと思います。

まず、厚生労働省から15分ほどで御説明をいただき、続いて国土交通省から10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 厚生労働省高齢者支援課の辺見でございます。消費者委員会の先生方におかれましては、日ごろより有料老人ホームの運営につきまして御指導いただきまして、ありがとうございます。本日、私のほうからは、有料老人ホームの現状につきまして御説明させていただくとともに、いただきました高齢者向け住まいに関しましての御質問について、幾つか資料を用意してまいりましたので、御説明をさせていただきたいと存じます。

まず、横長のヒアリング説明資料を御覧いただきたいと思います。

表紙をおめくりいただきますと、高齢者向け住まいの定員数ということで、グラフをお示ししております。8つの種類がありますけれども、うち2種類は医療施設でございますので、いわゆる住まいは6つになります。

まず、グラフの凡例の左側上にあります介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームとも言いますけれども、要介護状態になった方、身体または精神の状態で介護が必要になった方が入所し、介護サービスを提供する施設でございます。

次の介護療養型医療施設は、これは医療施設でございます。

3つ目の養護老人ホームは、経済的な問題や生活環境の問題で生活が困難になった方を、契約ではなくて市町村からの措置という形で入所していただくホームでございます。

4つ目の有料老人ホームは、基本、民間の契約により入居する老人ホームでございます。

右側の一番上、介護老人保健施設は、医療施設と福祉施設の中間的な施設という位置づけもございますけれども、基本的には医療スタッフを常時配置して、医療的な適用がある要介護者の方を介護するということで、平均入所期間も1年ぐらいのいわゆる医療施設でございます。

次の認知症高齢者グループホームは、認知症の高齢者の方を対象とした介護保険法上に位置づけられた施設でございまして、基本的にこちらに入居される方は介護保険の要介護認定を受けた認知症の高齢者でございまして、全ての方が介護保険の適用となっております。

軽費老人ホームは、有料老人ホームと契約で入所するところについては若干共通する部分がございますけれども、設備の整備、建設に関する部分とか運営費について、若干の公的な補助を設けまして、家賃負担分の軽減を図っているものでございます。

サービス付き高齢者向け住宅は、登録制度に基づいて展開されているものでございまして、一定の基準を満たして登録を受けて、基本的に入居については契約で入居しているというものでございます。

それぞれの定員数、グラフにおいて御覧のとおりでございますけれども、一番多い特別養護老人ホームが54万人ぐらいの定員数がございますけれども、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅を足し合わせた数、グラフ上の数字を計算しますと54万6,000人ぐらいになりまして、かなり伸びてきているという実態がございます。

続きまして、資料の2ページ目でございます。有料老人ホームの制度的な概要ということでございますが、現在、有料老人ホームにつきましては、絵でお示ししておりますように、老人を入居させ、マル1からマル4のいずれかのサービスを提供している施設としております。

介護保険との関係では、有料老人ホームに該当するもののうち、一定の基準を満たすものについては特定施設入居者生活介護ということで、いわゆる家賃で入居している居住部分ではなくて、提供されている介護サービスの部分に着目して、介護保険の給付の対象とするということになっております。この基準につきましては、都道府県知事の指定を受ける、いわゆる指定事業者となることが前提に給付が認められるものでございます。

若干繰り返しになりますけれども、右側は有料老人ホームの定員数と施設数をグラフにしたものでございます。この20年ぐらいで施設数で言うと二、三百件ぐらいから9,500件まで伸びてきているという状況でございます。

次、3ページでございます。この有料老人ホームの制度でございますが、実は18年に大きな改正を行っているところでございます。従来の有料老人ホームは、定義のところをちょっと御覧いただきますと、常時10人以上で食事の提供を行っていることということで、一定の制限がございましたが、定義については人数要件を廃止しております。

また、提供サービスについても、食事の提供さえ行わなければ、有料老人ホームに該当しないということで、意図的に登録対象から逃れるという懸念もございましたので、広く生活支援にかかわるサービス、食事の提供、介護の提供、家事、健康管理、いずれかを行うということで対象を広くしているところでございます。

また、入居者の保護等につきましても、改善命令といったものとか、有料老人ホーム協会による入居者基金制度が設けられていたところですけれども、より広く、関係文書の保存・作成の義務とか、一時金についての算定基礎の明示といったことにより、入居者保護の充実を図ってきているところでございます。

4ページ目でございますが、先ほど委員長からも御指摘がございました平成22年の消費者委員会からいただきました建議でございます。短期の解約特例制度についての法制化・明確化ということで、前払金を受領しながら短期解約特例制度を設けていない事業者が少なからず存在している状況に加えまして、苦情が絶えない。こういったことを踏まえて以下の措置を講ずることということで、90日ルールの法制化。また、契約締結時点で入居可能でない場合の取り扱いを定めることなど、幾つかの御指摘をいただいたところでございます。

これを踏まえまして、5ページ目でございます。平成24年の改正でございますけれども、大きく2点の対応をさせていただいております。

まず1つ目は、短期間での契約解除の場合の返還ルールということでございます。従来、上のほうに書いてあるところでございますけれども、法律の第29条第8項に明記いたしまして、利用者保護の観点から、有料老人ホームへの入居後一定期間の契約終了の場合に、施行規則で定める返還方法に基づき、前払金を返還する契約を締結することを義務づけるということで、基本的に3カ月ということですけれども、義務づけを行っております。

また、2つ目、右側ですけれども、権利金等の受領の禁止ということで、従来、権利金等は利用者にとって何に対する対価であるのか不明確であることが、トラブルの原因の一つであったということを踏まえまして、家賃、介護等のサービス費用、敷金のみを受領可能とし、権利金等を受領しないということを事業者に義務づけを行ったということでございます。

また、この法施行とあわせまして、消費者・利用者に対して、こういった仕組みについて広く情報提供、お知りいただくために、資料、後ろのほう、2つ後ぐらいにつけておりますけれども、オレンジ色の表紙のパンフレットを用意させていただいております。消費者向けガイドブックということで作成させていただきまして、地方自治体等の窓口などに用意させていただいて配布させていただいているところでございます。

次、6ページ目でございます。この18年、また24年の法改正を踏まえました有料老人ホームの指導の考え方ということでございます。この資料は、私ども、指導権限を持っております都道府県に対してお願いするときに使っているものでございますので、若干それを踏まえた表現になってございますが、大きく3つのポイントを強調しているところでございます。

1つは、届出の有無は関係ない。法律上は、先ほど申し上げました有料老人ホームを設置する方は、届出を行うことが義務とされているところでございますけれども、仮に届出を行わなかったとしても、定義に該当する場合、要件に該当する場合には、老人福祉法上の有料老人ホームとして扱われる、該当するということを見解として明らかにしております。したがいまして、仮に届出をしていない場合であったとしても、有料老人ホームの定義に該当する場合には、第29条第1項に届出の規定があるのですが、その後ろのほうの指導監督の規定については、都道府県としては発動可能ということでございます。

また、高齢者虐待防止法で「有料老人ホーム」という言葉を引用しておりますけれども、そういった解釈についても、届出がなかったとしても、要件に当てはまる場合は有料老人ホームであるということを明確にさせていただいております。

ポイントの2つ目は、入居者の人数は関係ないということでございます。有料老人ホームの定義においては、従来、先ほど申し上げましたように10人以上という要件がございました。これを回避するために9人でということもあり得たところでございますけれども、この要件を撤廃しておりますので、その趣旨を徹底しております。これによりまして、実態上は10人を回避するために9人というレベル以外にも、もう少し小さい規模で集団的に支援を行っているといったケースもあり得るわけでございます。そういったものも、定義に該当する場合には有料老人ホームとなり得る状況になっておりますので、都道府県において未届施設を把握する際には、そういった、かなり幅広い把握が必要になってきているということでございます。

ポイントの3つ目でございますけれども、サービス提供の一体性に留意ということでございますが、有料老人ホームの要件は、入居サービスと介護等のサービスの一体的な提供が行われているということにございますので、入居サービスを提供する、いわゆる大家さんとなる事業所とサービスを提供する事業所が別の事業者の場合がありますが、そういった場合においても、両者の間に例えば委託の関係があるといった経営上の一体性が認められる場合には、有料老人ホームとして扱って差し支えないということでお示ししているところでございます。

続きまして、消費者基本計画から御指摘を受けておりますことについての対応でございます。平成25年度に一時金の実態調査、平成26年度に一時金の実態を分析し、必要な方策を検討といったことについて御指摘を受けているところでございます。

具体的施策の下の58-2のところでございますけれども、一時金の在り方についてということで、引き続き検討とさせていただいているところでございます。後ろのほうの資料で検討の状況について御説明させていただきたいと思います。

こちらで、資料が行ったり来たりで申しわけないのですけれども、資料2-1で、今回、ヒアリングに際しまして御質問事項をいただいております。8ページ以降は、こちらの御指摘に沿った形で資料を用意させていただいておりますので、あわせて御覧いただければと思います。いただいております2-1の資料で(1)と書いてあるところの厚生労働省とした後に、中ポツが6個ほど打ってあるのですけれども、便宜上、私どもの資料で「1.の1番」と書いてございますのが1つ目の中ポツという意味でございます。以後同じでございますので、御留意いただければと思います。

まず、資料2-1の1つ目でございます。現行の消費者基本計画の施策58-2に掲げられた取組に関しまして、121回の消費者委員会で私ども、御説明させていただいているところでございますけれども、その取組状況についてということでございます。

8ページは121回の議事概要でございますので、説明は割愛させていただきます。

9ページを御覧いただきたいと思います。平成25年度に実態調査を行って、平成26年度の調査におきまして、今後の検討等についての調査を行っております。平成26年度の調査におきましては、施設長さんを対象とするアンケート、消費者を対象とするアンケート、自治体を対象とするアンケート、金融機関へのアンケートといった調査を行いまして、それぞれの方における保全措置の理解度や説明の状況・実態等について把握し、今後の検討に結びつけていくという取組をしているところでございます。

資料10ページでございます。その前提となる平成25年度の調査で把握した前払金の償却期間の状況について、こちらで御紹介させていただきますが、この資料は85歳、要介護3の方が入居した場合を想定して、全額前払い。前払いと申しますのは、家賃分を毎月の払いとするのではなくて、まとめた形で支払いをするという仕組みですが、この場合と一部前払い・一部月払いとしている場合の前払金の算定の根拠となる期間を比較したものでございますが、おおむね基本的に60カ月もしくは60カ月を超えて120カ月未満あたりに山があるという状況が、平成25年度の調査の段階では見てとれます。

また、次の11ページでございます。家賃部分につきまして、全額前払いとしているケース、一部前払い・一部月払いとしているケース、もしくは月払いとしているケース、こういったケースについて、重複ありの形で御回答いただいているところでございます。赤い色になっているところが平成25年度、青いところが平成26年度の数字です。

そのたびの調査でございますので、動向の比較が可能かどうか、ちょっと微妙ではございますけれども、月払いの選択肢を設けているところは、実際には半数以上とかなり多く、特に新しい平成26年度の調査では、7割のところが月払いの方式をとっている、もしくは月払いの選択肢を示しているということが御覧いただけるかと思います。

資料2-1に戻りまして、先ほど私、ポツの1の説明をしておりましたけれども、今の一時金の状況ということで、ポツ2のほうの御説明もあわせてさせていただいたところでございます。

3つ目のポツですけれども、老人福祉法や高齢者住まい法で禁止されている権利金を法律に違反して入居者から徴収しているような事案はないか、実態を把握していれば、説明をということでございますけれども、私ども、現時点において把握している限りでは、権利金を徴収しているということについては確認しておりません。念のため、今回のヒアリング出席に際しまして、一部の自治体にも確認してみましたけれども、一般的な指導として、こういった権利金を行っているところでございます。また、前払金等あれば、算定根拠を明確にすべしといった指導は行っているところでございますけれども、法律に反した権利金の徴収ということについては、現時点では把握しておりません。

次に、4つ目のポツでございます。高齢者向け住まいの運営の適正化を図る上では、事業者団体の設立が必要ということで状況をということでございます。

資料2-2の横長のほうに戻りまして、12ページ目でございます。事業者団体の状況ということで、3つの団体についてお示しをさせていただいております。

有料老人ホームにつきまして、全国有料老人ホーム協会。特定施設入居者生活介護の指定事業者となっている事業者の団体として、一般社団法人全国特定施設事業者協議会。またサービス付き高齢者向け住宅の団体として、一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会というのが、それぞれ御覧のような設立年、活動内容で設立されております。

組織率については、有料老人ホーム協会が8.2%。これは、有料老人ホームの母数が格段に今、増えておりますので、設立当初の組織率と比べると随分落ちてきている実態があろうかと思います。特定施設事業者協議会に関しましては、45.9%。サービス付き高齢者向け住宅協会については24.8%の組織率ということでございます。

続きまして、2-1の資料の5つ目のポツです。法律に定められた届出を行っていない事業者の状況をどのように把握しているか、これらの事業者における入居一時金の実態把握状況及び対策状況を説明されたいということでございます。

届出を行っていない事業者につきましては、通報などによりまして自治体が把握したものを、毎年、私どもとしても集計を行っております。2-2の資料の13ページがその状況でございます。オレンジ色と黄色の棒グラフが届出施設と未届施設の数をお示ししたものでございます。未届率は、届出施設、未届施設を足したものを分母といたしまして、未届施設を分子に置いた場合の率ということでございます。

平成25年度でがくんと増えております。これは、特定の都道府県において400件ぐらい増えております。これは、その地域において地域的な事情で季節的に高齢者が入るタイプの施設があったところですが、従来、これを旧制度下の考え方では有料老人ホームではないと扱ってきたところ、自治体が指導していく中で有料老人ホームと考え方を切りかえてきたことによって、未届施設として一旦把握されて、今後、届出に向けて指導されるということになっております。

続きまして、資料2-1の1の6番目のポツでございまして、一番下になります。全国の消費生活センターにおいては、さまざまなトラブルが寄せられている。これらについて把握しているかということでございますけれども、基本的には都道府県など、現場レベルでの連携・対応ということかと考えております。全国的な状況としての把握というのは、申しわけございませんが、できておりません。

なお、有料老人ホームに関しますトラブルについては、法的な仕組みとしては、改善命令や罰則の適用などの規定が設けられているところでございます。その内容につきましては14ページにお示ししております。老人福祉法第29条第11項でございます。

大きく3つの場合でございますけれども、有料老人ホームの設置者が第4項から第8項までというのは、これは手続的な違反ですけれども、基本的に帳簿の作成とか情報の開示といった求められた手続を行っていない場合。また、マル2で書いてございますのは、入居者の処遇上の問題がある場合。3番目は、その他ということで、入居者の保護上の必要がある場合ですけれども、こういった場合に都道府県知事は改善命令をすることができます。

なお、こちらにちょっと書いてございますが、改善命令の前提として、立入検査等の規定も設けられているところでございます。

また、ページの一番下に書いてございますけれども、命令に従わなかった場合は罰則により担保がされているところでございます。

次に、資料2-1、裏面に入ります。(2)の1つ目のポツでございます。事故等のデータということでございますが、2-2の資料の最後、15ページに老人ホームにおけます不慮の事故の死亡者数のデータを人口動態調査から転記いたしまして、お示しをさせていただいております。

青い線になっているところが自宅における事故で、こちらを参考としてお示ししております。1%台で推移しております赤い折れ線が老人ホームの事故ということでございます。こちらをデータとしてお示しをさせていただきたいと思います。

また、その次のポイントでございます。高齢者向け住まいにおける施設・サービスの利用における事故の防止に向けた取組状況(ガイドラインの策定、事業者に対する指導・監督等)とその効果についてということですけれども、ガイドラインにおいては、事故防止に関しての規定というのは従来から設けておりまして、この周知は行っておりますけれども、効果というのはどういう観点から測定するのかというところは、いろいろあるかと思います。現時点では、申しわけございません、御説明できる内容はございません。

続きまして、(3)でございます。サービス付き高齢者向け住宅を巡る諸課題の1つ目は、国交省にお願いしたいと思いますけれども、最後の厚生労働省のところで、厚生労働省が平成26年度に実施した実態アンケートの調査結果についての説明をということでございます。

実は、この調査は平成26年度の調査でございますので、まだ進行中でございます。進行中なのですが、いろいろなところに御協力いただいて調査を行っているものでございますので、調査を行っていること自体は知られているところでございます。そうした中で、実はまだ報告としてまとめていない段階で、一部マスコミにおいて囲い込みが横行しているのが調査でわかったということ、有料老人ホームの介護サービスの囲い込みが横行していることが調査でわかったという報道がされたのですが、実はそれは必ずしも正確ではございません。

御覧いただきたいのは、資料2-2-2でお配りしております。実は、報告はまとまっていないのですけれども、そういった一部報道の背景もございましたので、暫定集計という形で調査に御協力いただいた自治体に対して調査の状況をお知らせしております。

その中で、例えば2ページです。2の結果概要のIIの1番です。入居者による介護支援専門員の選択の自由について、これはこういった居住施設に入っている方がケアマネジャーを選ぶことができるか。事業者と何らか関係があるところにひもづけ、もしくは囲い込みされているのではないかということについて、そういった問題が起きているかどうかを、認識の問題として、起きていると思っている、思っていない、わからないということで確認したところ、思っているとお答えになったところが41%ということで、この調査におきましては、自治体の担当者の方々の認識を問うたところでございます。

いわゆる心配事として、こういったことがあるかどうかということを把握したというのが、この調査の状況でございます。ほかの部分については、時間の関係もありますので、説明は省略させていただきたいと思います。現在、この調査につきましては暫定集計でございまして、こういった状況も踏まえつつ、必要に応じてヒアリングなども行いながら、高齢者向け住まいと外付けサービスというか、外部の介護サービスの事業との関係について調査研究を進めているところでございます。

以上、私からの御説明とさせていただきます。

○国土交通省中田住宅局安心居住推進課長 国土交通省の安心居住課長の中田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

時間も押していますので、簡潔に御説明申し上げたいと存じます。サ高住を巡る諸課題という事務局ペーパーをいただきました。去年9月から検討会を開いて議論をしていますけれども、その論点などについて報告せよという御下命でございますので、報告申し上げます。

資料2-3という2枚紙でございます。御覧いただきたいと思います。

左手、メンバーのところにございます。委員の方は5名、それからオブザーバーとなっていますけれども、本案件は厚生労働省、国土交通省、共管にわたるものでございますので、協力して議事を進めております。委員の中で高橋紘士先生に座長をお願いしている状況でございます。

開催経緯ですが、これまで3回やってきております。2枚目に論点を整理しておりますけれども、あわせまして、現在の状況はどうなっているのかというのを見ながら御議論を進めさせていただいております。

めくっていただきまして、主な論点とございます。

大きく3つに分けておりますが、1つ目は法律、高齢者住まい法に基づいて、まずは高齢者居住安定確保計画、計画的にサ高住の整備を進めましょうとあるのですけれども、その策定状況がまだ一部都道府県でも十分でないところがありますし、これはまちづくりに関しますので、市町村との関係で、もうちょっと市町村さんにも考えてほしいということも思っていまして、そういう計画の策定についてどうすべきかというのが1つあります。

2つ目、特に私ども国土交通省は今、コンパクトシティといったことでまちづくりを進めさせていただいていますけれども、立地の関係でいいますと、サ高住のみならず、老人ホームもそういう傾向がありますけれども、地価の安い郊外部に立地する傾向が見受けられるのではないかという問題提起です。これを実証しながら、検証しながら、まちづくりとの連動のあり方について。特に、介護については市町村さんが主体になられますので、その辺の関係でどう結びつけたらいいのかというのを議論させていただいています。

3ポツ目は、サ高住の提供するサービスの質ということで、1つ目の丸、サ高住については、状況把握あるいは生活相談サービスは必須でございます。こうした必須のサービスについて、きちんとした人がちゃんとしたサービスをしていただいているのかというチェックが1つでございます。

2つ目の丸で、先ほど来出ていますけれども、サービスを押しつけるような囲い込みがないか、あるいは過剰なサービスが提供されていないかというチェック。

3つ目ですが、情報提供のあり方につきまして、御利用者の方はまずどういう情報が出ていて、それはきちんと御利用者様に説明されているのか。そういったことにつきまして、果たして十分な枠組みが整っているかといった検証をしてございます。

4つ目は、一旦お入りになった利用者の方も、要介護度が高くなっていく、あるいは途中で入院されるケースがございます。そういった方々がそのままサ高住に住む場合、あるいは一旦病院に行かれて戻ってこられる場合、きちんとした対応ができるのか。この辺について検証させていただこう。

最後、5つ目ですが、公共団体、これは都道府県さんなどに登録ということになっておりますけれども、登録していただいている中できちんとした監督が十分行われているのかといったところで、再度、行政庁としてもチェックしていこうということで、こういった主な論点を専門の委員の方に御意見いただきながらまとめているところでございます。

めどとしましては、今年の春ごろに何かしら中間取りまとめめいたものをまとめていこうということで、今、作業を進めさせていただいています。以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 大変詳細な御説明、ありがとうございました。よくわかりました。

まず、消費生活センターのほうに介護サービスの契約関係のことで相談が寄せられているということがありまして、先月末更新の国民生活センターの相談事例をホームページで見てみたら、いろいろ載っておりまして、入居したらホームを相続人とする公正証書遺言を書いてくれとか、同じところから何回も電話がかかってくるとか、かなり深刻な相談事例が載っております。都道府県で情報を把握するというのはもちろんですけれども、ぜひ全体を集約していただいて、問題の所在を把握すれば、次にどうということも出てきますので、ぜひその点をお願いしたいというのが1点と。

もう一つ、安全のほうに関しては、裁判になっているのもこのごろ出てきまして、判決も散見される状態になっております。こちらのほうについても、事故情報の集約をぜひお願いしたい。今回、死亡者数について御説明いただいたのですが、負傷とか事故全体も含めた集約というものについて御検討をお願いしたい。現状、どういう具合に集約しているのか、その辺からまずお尋ねしたい。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 現状、事故が発生した場合に、例えば全国的な形での集約という措置は、御指摘のとおり講じていないところでございますけれども、有料老人ホームのガイドラインという形で都道府県を通じて事業者の指導に用いている中におきましては、事故発生の防止や発生時の対応ということで苦情処理の体制を整備するとともに、外部の苦情処理機関について入居者に周知すること、発生した場合の対応について指針を定めたり、その後の分析、改善措置といったことを組織内において対応すること、入居者の処遇により事故が発生した場合には、都道府県、指定都市、中核市などに連絡することなどが書いてございますが、これはいわゆる指導権限を持っているところに対して連絡をするということをお示しするとともに、しっかりと記録しなさいということで、記録を残すことを指導しております。

ホームにおいて組織的な対応をしっかりとしていただくのとあわせて、監督官庁に対しての報告ということもしっかりとしていただきたいということを指導させていただいているところでございます。

○河上委員長 石戸谷委員、よろしいですか。

○石戸谷委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかには。橋本委員。

○橋本委員 御丁寧な説明、ありがとうございます。私の頭の中でもかなり整理されたところですが、先ほどの説明の中で届出のところです。どうして届出をしないのかということは、今後調査していくという記述がございますが、現段階でそういった届出がされない理由をある程度把握しておられることがもしあるのであれば、それをお聞きしたいのと。

先ほど、事業者団体の状況につきまして、例えば有料老人ホームは最初の分母が少なかったので、今、分母がかなり増えているので、組織率が低いというお話だったのですが、新しい施設がなぜこういった業界団体に入ることをしていないのかという理由がわかりましたら、それもお聞きしたいと思います。

それと、国交省の方にお聞きしたいのですけれども、サービス付き高齢者向け住宅の場合、例えば退去する場合、部屋を汚したとか、そういう場合の原状回復についてはどのようにお考えなのかをちょっとお聞きしたいです。

以上3点でございます。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 まず、未届の理由ですが、統計的な意味での把握はしていないところですけれども、いろいろ指導する中で自治体等から聞く限りだと、大きく分けると2つございまして、行政からの指導を避ける観点から届出を渋っているケースというのが想定されるところです。

もう一つは、非常に小さい家庭的な雰囲気の中で、どちらかというと事業としての老人ホームというよりは、一緒に住むところから始めて、それがだんだん発展してきたという形でやっているところについては、必ずしも法律上の言葉にこだわるわけではないと思うのですけれども、老人福祉法では「施設」と定義されていることから、いわゆる「施設」としてとらえられることについては極めて抵抗があるといったことで、自分のところは老人ホームではないとお考えになられているところもあるようです。

あと、経過的な話で、3つ目になりますけれども、平成18年に法律が変わっておりますので、従来の法体系で有料老人ホームではないつもりで事業を行ってきたところが、法律が変わったから適用対象ですよと言われても、すぐ対応できないところが、特に10人の部分で、小さいところはそういったところがあるように思われます。

また、団体への加入でございますけれども、これもまた統計はないのですが、先ほど申し上げましたような新しいところに一定程度小さいところもございます。こういったところは、全国団体に所属して活動ということについては、いろいろな意味で抵抗もあろうかと思います。また、そもそもの活動範囲も必ずしも広くない事業者さんだと思いますので、そういった理由も一部にはあろうかと思います。ただ、現状の数は、設立当初の200、300という数から比べると拡大してきておりますので、組織率の拡大の動きが有料老人ホーム全体の増加にまだ追いついていないという側面もあろうかと思います。

○国土交通省中田住宅局安心居住推進課長 サ高住、サ付きの話でございますけれども、サービス付き高齢者向け住宅は、あくまで住宅ということで、賃貸借住宅と思っていただければと思います。その中で敷金という話がありますので、そういったところで精算されると考えております。今のところ、まだ三、四年の話なので、実績はそうないですけれども、退去の際にもめているという話は聞いていない状況でございます。

あと一点、団体の話がございました。サ高住もサ住協という25%ほどの団体がありますけれども、これもあくまでも推測でしかわかりませんが、集まっていらっしゃる加盟の企業は大きなところが多うございます。実際、私どもが把握している範囲では、サ高住を運営される事業者の半分ぐらいの方は、1つの地域の中で1つ運営されるという方が多い世界であります。そういう意味で、今の25%が多いのか少ないのか、若干微妙なのですけれども、もろもろの環境の中で今の数字があるのかなと理解しております。

○橋本委員 ありがとうございます。これから超高齢社会ということで、ついのすみかのあり方というのは消費者問題としても非常に大きくクローズアップされると思いますので、今後ともいろいろな面で頑張っていただきたいという希望でございます。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 2点お伺いしたいと思います。

1つは、入居一時金の問題に関してですけれども、90日ルールの徹底など、よい方向に向かっているなと思うのですけれども、一方で確実にそう分析できるかどうかわからないとおっしゃいましたけれども、月払い形式の契約というか、そういう提供が増えているように先ほどの資料で理解いたしました。

ただ、消費者としましては、一時金方式で月々の負担を安くする形を選ぶのか、毎月一定額をずっと払い続けるのかというのは選択の問題だと思うのですね。ですから、行政がどちらかに向けていくというのも不自然だと思います。今後、インフレが進んだり、長生きをした場合に備えて、一時金を払って、資産運用など余り心配しないでいくというのも一つの方向だと思うのです。消費者にとって、この施策によって選択できない方向になっているのか、あるいは事業者がどちらでも消費者の選択ですよということで契約条件を明示した上で選べるような形に進んでいるのか、その点をお伺いしたいと思います。それが1点です。

2点目は、厚労省と国交省の連携について伺いたいと思います。サービス付き高齢者住宅についてになるわけです。有料老人ホームは入居サービスとほかのサービスを一体として提供しているので、厚労省さんの管轄になる、サ付きの場合には国交省さんは賃貸住宅の部分を主に担当し、そこで提供されるサービスについては厚労省の管轄になってくると理解しているのですけれども、それでよいかを確認させてください。

サ付きの場合、検討会も始まっているようですけれども、検討会には両者ともオブザーバーで出ていらして、連携を目指しておられるということですが、現在のトラブルの実態とか、今後想定されるトラブルを見ていったときに、その連携がどういう形で進んでいくのかが気になります。

この政策を拝見していて、高齢者に新たな住宅を供給して経済成長に資するというところがかなり重いポイントであったので、サービス付き高齢者住宅自体はたくさん建っている状況ですけれども、介護サービス、特に在宅介護とか、そちらのほうの介護に携わる人たちはなかなか増えない状況にあるので、住居をつくっても確実に長期間にわたって介護サービスが受けられる保証はないように感じるのです。

だとすれば、状況をちゃんと見て、建設をある程度セーブさせるとか、そのサービスについて厚労省と国交省が連携して、消費者に対してよりよいものを提供する方向性が探られる必要があると思うのです。そういう方向性について、今、どのように検討されているのか、実際どういうことが進んでいるのか、検討会以外のことがあれば教えていただきたいと思います。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 まず、一時金か月払いかについての選択の件でございますけれども、現在の制度から申し上げますと、選択ができる形になっております。ただ、私どもが今、行っております調査におきまして、方向性として、どちらかにするとか、どちらかを削るということでは必ずしもないと思いますが、何らか指針的なものが必要かどうか、そういったものはよく見極めていきたいと思っております。先生御指摘のように、消費者の判断で選択できるということは極めて重要だと思いますし、そうした中で消費者の権利がきっちりと保護される仕組みというのはどうあるべきかといったところをよく考えていきたいと思っております。

次に、両省の連携でございますけれども、先生御指摘のような介護サービスの部分、厚生労働省、居住の部分、国土交通省ということでおおむね正しいかと思っておりますけれども、厳密にそこを線引きし過ぎると谷間に落ちるところがございますので、私どもは基本的に両方かぶるところがあっても、多少やむを得ないと申しますか、そのくらいのところがある覚悟で両省連携で取り組んでいるというのが実態でございます。

最後の居住をつくってもサービスの保障がないということと直接かかわるかどうかわかりませんけれども、介護サービスを整備した場合、これは実は施設系の特別養護老人ホーム等のサービスについても同じですけれども、介護保険の仕組みのもとでは、サービス拠点をつくることによって、サービスが利用しやすくなること自体はいいことなのですけれども、想定以上にサービス量が増えてしまうと保険料の負担が増えてしまうといったこともございます。

ですので、都道府県等が計画をつくる際には、施設のサービスとか、先ほどちょっと触れました有料老人ホームが指定を受けて介護サービスを行う場合の特定施設入居者生活介護については、計画において定めた値を超える場合には指定しないということができるという仕組みは設けられております。このところは、必要なサービスをどう確保していくのかということと、この計画値をどう設定するかということとのせめぎ合いと申しますか、各地域において十分な検討が必要かと思いますけれども、そうした中で一定のコントロールする仕組みはございます。

○国土交通省中田住宅局安心居住推進課長 一言だけ。

今、高橋先生のお話、非常に難しい話も含んでいるかと思います。福祉人材の育成についてもやらないといけないと思います。

1つだけですけれども、サ高住をつくるから介護が増えるとか、そういうことではなくて、サ高住自身は要介護の方も入れば、そうでない方も入られるということで、基本は住宅でありますので、在宅介護の延長にもなるかと思います。先生がおっしゃったいろいろな問題については、厚労省と今日は並んでおりますけれども、しょっちゅう一緒にやっているのです。今までは、これはなかったことでありますので、十分に連携して、まちづくりと地域包括ケアを一緒になってやっていかないと、地方のまちづくり、福祉がなかなか成り立ってこないので、その辺、我々は意識して取り組んでまいりたいと思います。

○高橋委員 御説明ありがとうございました。

最後の点だけ、さらにお伺いしたいのですけれども、サ高住の場合、要介護の人も入れば、そうでない人も入れるということですが、要介護の人にも度合いというものがあるわけです。要介護1とか2の人を想定されている制度だと思っておりましたけれども、検討会の資料等を見ますと3以上の人が3割以上を占めているということです。その人たちは、今後も要介護度が進んでいくわけですね。今、1、2の人も3、4、5と進んでいくわけです。それがサービス付き高齢者住宅で介護サービスをし切れるのかどうなのか。

実際に、既に消費生活相談にもトラブルが入っていますけれども、入居している人に出てくれということで、ほかの施設を探さなければいけない状況も出てきているように思います。そうであれば、最初から有料老人ホームに入ればよかったと感じる消費者もいるようです。ずっと暮らせるのかどうかという点、サービス付き高齢者住宅が入居者に幻想を与えていないかというところも、非常に気になります。最後のみとりまでやるような施設を持っているサービス付き高齢者住宅も、一部に今、登場してきていることも承知しておるのですけれども、全体的な量から見た場合には、要介護3以上になったときに消費者が戸惑ってしまうという状況があるのではないかと思うのです。その点について、お聞かせいただきたい。

○国土交通省中田住宅局安心居住推進課長 サービスの話なので、私が余り言うのもあれですけれども、要介護度が高くなって、サ高住でうまく対応できないような事業者があるのではないか。これをこの勉強会でずっと調べていまして、それを先生、御覧になっておっしゃっていて、まさにそういうところを何とか今のうちから手だてして、介護度が進んだからといって、ほかに移らなければならないということではないようにしていこうと取り組んでおります。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 サービス付き高齢者向け住宅の登録基準の話でいきますと、要介護度の状況に応じて退去させるということについては、基本的にはできませんよということにはなっているわけでございますけれども、そこのポイントも1つですけれども、サービス付き高齢者向け住宅において、先生御指摘のような状況が仮に起こるとするならば、それは中田課長からの御指摘もあったように、地域におけるサービスの状況が必ずしも十分にないので、外からホームヘルパーさんが入ってくるとか、もしくはショートステイするような施設が周囲にあれば、そこの場において生活を継続することが可能であるにもかかわらず、そういった環境整備ができていない。

これは、もしそういう地域であるならば、サービス付き高齢者向け住宅だけではなくて、その周辺にある在宅サービスというか、住宅の方も同様の課題を抱えている可能性がありますので、地域におけるサービスの提供体制をどうしていくかという観点からしっかり取り組んでいく必要があるのかなと思っております。

○高橋委員 最後に1点だけ確認させていただきたいと思います。

特定施設に関しては、自治体がいろいろな規制制限をしているということは理解したのですが、一方、サービス付き高齢者住宅のほうはそれとはまた違う制度であるので、どんどんつくれるという状況があると思っているのですが、その辺の認識が間違っていないかどうか、お答えください。

○国土交通省中田住宅局安心居住推進課長 別にどんどんつくっているということではないと思います。ちなみに、老人ホームとサ付きなどを合わせまして高齢者向け住宅としたときに、2020年に高齢者人口に対して3から5%まで持っていこうというのが、今の閣議決定のベースでございます。どちらかというと、日本は特養を初め、施設が充実しているのですけれども、住宅系が少ないと言われる中でこんな取組をしております。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 1つ、前提として、よく混乱されがちなのは、有料老人ホームについてもサービス付き高齢者向け住宅についてもそうですけれども、介護サービスがどういう形で提供されているかということでございます。先ほど申し上げました特定施設入居者生活介護の体制をとる場合は、そのホーム自体が介護サービスを提供いたしますけれども、実は今、増えている大方の場合はそのタイプではなくて、介護サービスの部分はみずからのホームでは提供せずに、外部の別の事業者から提供される。そういう意味では普通の住居と一緒であり、ホームヘルプやデイサービスを利用することになります。

それが同じ建物の中にある場合もございますので、そういった場合に囲い込みの心配というのがあるのですけれども、いずれにしても外からの介護サービスを受けるという形になります。住居自体が増えているのは、高齢者の方がお住まいになる場所を転居していらっしゃるということですので、それ自体が問題というよりも、そこにどういう形でサービスが関与していくかということが問題になってくるかなと思います。

○高橋委員 ありがとうございます。その辺は理解しているつもりですけれども、それが消費者のほうにきちんと伝わっていないので、サービス付き高齢者住宅というときに、宣伝されているような金額で非常に手厚いサービスがあるのではないかという誤解を持って入居する方々もいらっしゃる。特定施設のように、自治体が介護サービスについて高齢者住宅を建てる業者に対して何らかの権限を持っているということでもないように理解しましたので、これは注視していきたいと思います。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 ただいまの高橋委員の質問、御発言とも重なるところがございます。サービス付き高齢者住宅に入居した方が介護度が進んだときにどうなるのかというお話はございましたけれども、別の観点で、サービス付き高齢者向け住宅というのは、あくまでも建築といいますか、住居の提供が主にされているということですし、そこを選択するのは消費者の選択の自由です。ということは、当然ある程度のお金がないと入れないということになろうかと思います。

そのお金ですけれども、検討会の議論の中でも出てきたと思うのですけれども、サービス付き高齢者向け住宅の入居者の25%が生活保護受給者となっているという御発言がありました。この数字が確かかどうかはわかりませんけれども、少なくとも生活保護受給者ということは一定の収入がある人たちとなるわけですね。国の措置という形になろうかと思いますけれども、そういう方たち、25%がそういうサービス付き高齢者向け住宅の入居者であるかどうかということの確認と。それでもって、ある意味ビジネスモデルが成立しているとするならば、少しいびつな構造ではないかなと私自身は思っております。

ですから、そういうサービス付き高齢者向け住宅に入居している方々の実態、特に所得面からの実態。もしそうであれば、例えば生活保護も受けない、なおかつ高齢者で低所得である方たちの高齢者の住居というのは、厚労省としてはどういうふうに整備していくのかというお考えについて聞かせていただければと思います。サービス付き高齢者住宅は、選んでそこに入居するわけですから。

○国土交通省中田住宅局安心居住推進課長 データとして申し上げます。私どもが調べた範囲では、入居者総数に対しまして生活保護者の方の割合が、サ付きの場合は平均8%台、有料老人ホームで言いますと9.3%。有料老人ホームのほうが多い感じでございます。

あと1点、サービス付き高齢者向け住宅と言っても、先ほど有料老人ホームの定義がありました。サ高住の9割強は有料老人ホームでもありますので、その辺、サービス内容を注視して、先ほど来いろいろ御議論ありますけれども、厚労省と一緒に取り組んでまいりたいと思います。

○河上委員長 よろしいですか。厚労省からも何か補充すべき点が、ありますか。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 結構です。

○夏目委員 すみません、発言させていただいたのは、厚労省として、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅も含めて、そこに入れない方たち、また特定の施設は入居待ちという状況が全国的にあるわけですね。そうしますと、低所得の高齢者に対する居住の保障といいますか、そういう政策をどのように今後進めていかれるのかというお話をいただければと思います。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 まず、低所得者の方についてのこういった有料老人ホーム等への入居の実態に関しましては、方向性としては、平成21年にたまゆら事件というのがございまして、有料老人ホームの定義を拡大した後ではございますけれども、実態として、特に小規模の中で低所得者という形での事業はございます。それを有料老人ホームの定義を拡大することによって、届出を促すことによって、行政として把握していくという仕組みにしております。これをしっかりやることによって、先ほど中田課長がお話されたような実態をよく見ていくということが必要かと思います。

そうした上で、先生御指摘のような、低所得であるがゆえに住宅確保が難しい方についての取組、これはいろいろな観点がございます。公営住宅における取組といったものもあるかと思いますけれども、私ども厚生労働省におきましては、昨年度から地域の取組として、生活支援と居住の確保といったことを、福祉の担い手である社会福祉法人などが一緒に関与する形でネットワークを形成しながら進めていく。こういった地域の取組を補助するようなモデル事業を始めております。

モデル事業のための費用は若干あるのですけれども、むしろ我々としては、こういったモデル事業によって取組のモデルをつくった上で、福祉の担い手である社会福祉法人等の今後の地域貢献の一環として位置づけるという部分もあるかと思っております。これは、最初に申し上げましたように、低所得の方へのアプローチというのはいろいろあると思いますけれども、その中の一つとして取組を進めているものでございます。

○河上委員長 よろしいですか。

予定の時間が来ていますけれども、問題が難しくて、なかなか解が出づらい問題です。例えば高齢者が今、入院していて、だんだん長期入院してほしくないということで退院をうながされる。しかし、行くところを探してみると、有料老人ホームに入るほど金はないし、月々のお金の払いというのは年金等で限界がありますから、どうしても安いところを探して、結局、無届けのサービス付き住宅に行かざるを得ない。そこで集まっていると、これは有料老人ホームに該当するのだから届け出なさいとか基準を守りなさいと言われると、そこの経営者たちは、それだったら私たちはやれませんと言って、また老人を放り出してしまうという状況が繰り返されているということもよく言われす。

そういう場面で、安全性に関するレベルを下げるわけにはいかないのでしょうけれども、別の形で福祉とタイアップする仕方を考えないと、もう現状のままではいかないのではないかという疑問があるのですけれども、その辺はどうなのですか。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 非常に重要な御指摘だと思います。最初のほうの御質問にもございましたけれども、届出を避ける理由は何なのかというところ、ここが重要なところかと思っております。理由として、仮にハード的な理由というか、よくあるのが、既存建物を活用することによって整備している場合に、居室の広さをと言われても部屋は広くならないので、そういう状況で既に事業を始めている場合にどうしたらいいのだろうかといったことは言われます。

今、わかりやすい例で申し上げたわけですけれども、ガイドライン的には柔軟な適用も従来から進めているところでございますけれども、それでもまだ不都合なところがある可能性はあります。そこは、もしかするとアプローチを変えることによって、ハード的なアプローチであるものをソフトに変えるとか、もしくは基準をつくるのではなくて、透明性を増すような形にしていくとか。もしかするとアプローチのやり方はいろいろあるのかもしれないと思っておりまして、そのあたりはよく研究していきたいと思います。

もともと有料老人ホームの届出の制度は、公的な老人ホームと比べて、民間のさまざまな創意工夫により展開される事業について、届出と処遇改善のための指導という形で利用者の保護を図っていく。いろいろな形での規制をするということでは必ずしもありませんので、そうした中で利用者の保護を図っていくためにはどういう形がいいのかということについてはよく研究していきたいと思っております。

○河上委員長 特養とかが入りにくいだけに、何とかほかの部分で受け皿をつくらざるを得ないという状況があるのだろうと思います。

もう一つ伺いたかったのは、昔は「終身」ということがよく言われました。死ぬまでということですね。終身の利用権として有料老人ホームの入居権を購入するという言い方をされたのですが、これは今ではフラットな賃貸型に変わっていくということなのですか。権利金等々の怪しげな計算基礎がよくわからないものは、もう取ってはいけないと言った以上は、後はランニングコストとしての賃料だけを考える方向に進みます。さきほど敷金と同じように考えるのだとおっしゃいましたけれども、それは、賃貸型のほうにぐっと寄せていこうという発想の結果なのですか。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 終身という言葉については、恐らく終身介護といった形で使われていたケースが多かったかと思います。これは、特に介護保険制度導入前から有料老人ホームの制度がございますので、基本的に全額自己負担で将来の介護サービスを購入するという場合に、終身介護というのが一つの言葉として使われていたかと思います。この点につきましては、表示の問題として何度も御指導いただいているところでございまして、今すぐ手元で確認できないのですけれども、終身ということについては基本的に控えるような形の基準になっていると思います。

一方、実態の問題として、介護保険制度が導入されて十数年たちますので、大方の方は全額自己負担で介護サービスを賄うということはなく、介護保険制度を利用されながら暮らしていくという形になっております。そういう意味では、いわゆるマーケットの実態として終身介護サービスということをうたうかどうかということが、環境が変わってきているような気がいたします。

○河上委員長 建物に関して1代限りの区分所有権を購入するようなもので、その後、介護に関しては、ランニングコストは国からのいろいろな保険で賄うとすれば、終身はあり得なくはないですね。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 家賃についてはそうなっていますね。

○河上委員長 だとすると、今の発想でずっといくと、初期償却で10年ぐらいで償却してしまったときに、お金を全然払っていないけれども住んでいるという状況の人が、出てきそうですけれども、それでいいのですか。つまり、ランニングコストとして払っていくということになったときに、長生きしたときのリスクというのはあくまで自分が負いなさいという発想になってしまうのかなと思うのです。昔は、平均的なところでやって、残りの部分は保険的な相互扶助の考え方で、早く死んだ人の分が長生きした人のところに渡って、全体としては賄えていけるという考え方があったと思いますが、それはむしろ否定していこうということなのですか。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 必ずしも否定ということではなくて、透明性を高めていくということかと思っております。先生御指摘のようなパターンがトラブルとなる場合というのは、多くの場合、返還金のケースですね。短期間で退去した場合に、想像以上に返還額が少ないといったケースかと思いますけれども、そういった状況に備えるために制度改正の中でやってきたことというのは、計算、考え方についてしっかりと説明するということ。あと、説明のつかない、根拠のない権利金といったものは受け取らないこと。こういった取組を今、進めておりますので、透明性を増すことによって一定の選択を残しながら運営しているというのが今の状況でございます。

○河上委員長 否定しているわけではないということですね。さっき高橋委員がおっしゃったみたいに、むしろ選択肢はちゃんと残して、しかも透明性を高めることで実質的な選択権を高めるという方法だってあるという御指摘だと思いますので。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 方向性はそれで。

○河上委員長 方向性はそれでいいわけですか。

○厚生労働省辺見老健局高齢者支援課長 はい。

○高橋委員 違う観点から1点だけお願いしたいのですが、施設サービスの利用における安全についてもお答えをいただきました。最初の資料の15ページに、死亡者数の違いというのが、老人ホームだと事故死亡率が1%ぐらいで、自宅だと4%ぐらいという数字が示されているのですが、ここにサービス付き高齢者住宅が入っていないわけです。まだできて間もない制度ということもあると思いますし、また事故の把握が非常に難しいのかなと思うところもあります。

ただ、サービス付き高齢者住宅に入る人は、古家にひとりで住むことの不安などがあって、バリアフリーである程度の見守りをしてくれるサービス付き高齢者住宅が望ましいと思い、有料老人ホームほど高くないものもたくさんあるということで入居されていると思います。

ですので、一般的に想定すると、この表の1から4の真ん中ぐらいにサービス付き高齢者住宅での事故というのが出てくるのかなと想像するわけです。有料老人ホームの場合は必ずその施設の中で誰かが見ているわけですし、人の目があって事故が把握しやすいと思うのですけれども、賃貸住宅の中での在宅介護というサービスを受けていく住宅の場合に、そのサービスが介護事故によって起きたとか、あるいはサービス付き高齢者住宅はマンション的なものが多く、高齢者がエレベーターを自分で操作したり、ベッドの操作もやるわけですけれども、そういう機器に関する問題がないかなどの把握をしていくことも大事だと思うのです。

サービス付き高齢者住宅の安全性といいますか、そこに住むことに伴う事故とか事故の報告とか、そういうことがどういうふうになっているのか、教えていただきたい。

○国土交通省中田住宅局安心居住推進課長 サービス付き高齢者向け住宅も生活相談とか見回り、見守りということで常駐原則なので、人はおるような感じになります。だから、近所の世話焼き人のような方が建物の中にいらっしゃるというところでございます。

事故の話は私自身は聞いていないですけれども、恐らく老人ホームと極めて対応も似ているところがございますので、事故については、このデータが老人ホームと書いてあるだけなので、サ付きが入っているかどうかというのは微妙なところがあるのです。ないとは申し上げませんが、御指摘を踏まえて、検討会もやっていますので、もう一度そういったものがきちんと把握され、安全が守られるように考えてまいりたいと思います。

○河上委員長 予定の時間が過ぎてしまいましたので、この辺でとりあえずおさめたいと思います。

ただいまの厚生労働省と国土交通省の御説明でもわかりますように、高齢者の生活の場が非常に多様化している中で、行政において、それらの実態が必ずしも十分にはつかめていないように思われます。届出義務が課されている範囲が非常に狭いせいかもしれませんが、実態がまだまだわからない部分が少なくないようです。それで、契約面や安全面など、高齢者が安心して生活できるようにするための消費者保護の制度や取組が、十分に行き渡っていないというのが実情ではないかと考えられます。

現在、意見公募手続が行われております次期の消費者基本計画の素案には、高齢者向け住まいに関する取組が盛り込まれておりません。そこで、本日の審議も踏まえまして、新しい基本計画の策定に当たっては、有料老人ホームに限らず、高齢者向け住まいに関する取組についても、厚生労働省、国交省において考慮していただければありがたいと思います。当委員会としても後日、意見を取りまとめる予定でおりますので、よろしく御配慮いただければと思います。

厚生労働省、国土交通省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(厚生労働省・国土交通省退席)

○河上委員長 大分時間がたちましたので、申しわけございませんが、二、三分休憩を入れさせてください。

(休憩)

○河上委員長 それでは、そろそろ再開しますので、御着席ください。

(厚生労働省着席)

(3)エステ・美容医療サービスに関する消費者問題について

○河上委員長 続きまして、「エステ・美容医療サービスについて」であります。

厚生労働省におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、しかもお待たせして大変申しわけございませんでした。

エステ・美容医療については、平成23年12月に消費者委員会として建議を取りまとめ、建議の対応に関してはこれまでに何度も御報告いただいているところであります。直近では、昨年5月の本会議において厚生労働省の取組状況について説明をいただきました。その際、「医療広告ガイドライン」及び医療機関ホームページガイドラインの遵守状況と、「自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等についての指針」策定後の状況について検証・評価を実施した上で、実効性が担保されていないのであれば、法律改正を含めた何らかの措置を検討していただきたいという点をお願いしたところでございます。

本日は、厚生労働省からその後の検討状況等について御報告をいただきます。

それでは、まず本件に関する取組状況や、事前にヒアリング項目としてお示ししている点について厚生労働省から説明をいただきたいと思います。説明時間については、申しわけございませんが、10分程度ということでお願いいたします。

○厚生労働省医政局総務課担当者 本日はよろしくお願いいたします。

まず、資料3-1のヒアリング事項に沿って簡潔に御説明させていただきます。

マル1でございますが、「医療広告ガイドライン」、またインフォームド・コンセントに関する指針の検証・評価についての御質問でございます。これらにつきましては、平成25年9月に「医療広告ガイドライン」のほうにつきましては、バナー広告等とリンクした医療機関のホームページについて、医療法の広告規制の対象とすることを明確化する通知の一部改正を行ったところでございます。また、インフォームド・コンセントの取扱い等についてのほうでございますけれども、こちらは美容医療サービスにおける事前説明の内容や方法に関して、留意すべき事項を策定して通知したところでございます。

これらの効果について自治体担当者へ聞き取りを行いましたところ、実際に相談や口頭で指導した事例といたしましては、広告可能な事項ではない治療の方法が記載されているケースや、自由診療の場合で標準的な費用が併記されていないもの等のケースがございましたが、こういったケースにつきましてもガイドライン等に基づく指導に従った改善がおおむね認められるとの意見をいただきました。

こういった施策の効果につきましては、医療機関は全国に17万件以上存在するため、全ての医療機関のホームページについて、措置を実施する前後の状況を正確に把握することは困難でございまして、通知を発出した効果は評価しづらく、また、インターネット環境は急速に変化しておりますので、施策の実施前後を単純に比較することは困難でございます。こういった理由から、正確に定量的な検証や評価を行うことは難しいものでございますが、御指摘を踏まえまして、今後、自治体とも相談の上、各自治体において集計している指導件数の提供を自治体に依頼するなどして、国としても可能な限り把握していきたいと考えております。

なお、自治体の担当者への聞き取りにおきましては、国に期待する役割として、自治体での指導状況や疑義照会事例の共有を希望する御意見が多くございました。こうした意見を踏まえて、現在、年度内の施行を目指して、自治体担当者から募った質問事項や疑義照会事例等をもとにQ&Aの追加改訂作業に取り組んでいるところでございます。厚生労働省としては、定量的な検証・評価のために、各自治体において集計している指導件数の把握に取り組んでいくとともに、自治体が医療機関に対して指導を行いやすいように、関係ガイドライン等の周知徹底とQ&Aの作成等を引き続き行いまして、トラブルを未然に防止するために努めてまいりたいと考えております。

マル2についてでございますけれども、バナー広告を通じて閲覧するホームページと、検索結果を通じて閲覧するホームページとの違いは何か、同等の取り扱いとすべきではないかとの御質問でございます。

こちらにつきましては、まず医療法では、誘因性、特定性及び認知性という3つの条件のいずれも満たす場合に広告に該当するものと判断されまして、そういった場合には広告可能な事項が制限されております。通常のホームページ、すなわち検索結果を通じて閲覧するものにつきましては、認知性がないため、広告に該当しないものと判断されております。その一方で、バナー広告等を通じて閲覧するものにつきましては、認知性があるものと判断されますので、ほかの2つの条件であります誘因性及び特定性がある場合には広告に該当すると判断されております。

仮に通常のホームページ、すなわち検索結果を通じて閲覧するほうでございますが、こちらについても広告と判断いたしますと、これを医療法により規制いたしますと、患者さんが知りたいと思っている方法、例えば自由診療の治療法とか内容が入手できなくなるなど、患者さんの知る権利を侵害するおそれがあることや、また、自由診療を行う医療機関だけではなく、通常の医療機関にも規制の射程が及ぶことになりますので、過剰な規制となるおそれがあります。そのため、医療機関の通常のホームページについての規制は、慎重な議論と対応が必要であると考えております。

なお、美容医療を行う医療機関の多くがバナー広告等を出しているところでございますので、こうしたバナー広告等とリンクする医療機関のホームページについては、医療法の規制対象となる医療広告であることを明確化し、自治体が医療法に基づく措置を講じることが可能となった意義は大変大きいと考えております。

次に、マル3の御質問に行きます。こちらは、健康被害について、実態の把握及び対策の状況を、という御質問です。

都道府県等におきましては、医療安全支援センターというものが設置されておりまして、こちらで患者さんや家族からの御相談に応じることとなっております。美容医療サービスにおける健康被害に関する情報につきましても、本センターの業務を介して自治体が把握し、事案に応じて適切に対応しているものと認識しております。また、消費者安全法におきましては、都道府県知事等は重大事故や消費者事故等の情報を内閣総理大臣に対して、実際には消費者庁長官に委任されておりますが、通知しなければならないとされているところです。これらに該当する事例を把握した場合についても、各自治体において適切に対応していると把握しております。

なお、厚生労働省において個別事例について把握または相談を受けるなどした場合には、適宜、自治体に情報提供や助言等を行っており、今後も自治体と協力しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

最後に、マル4です。こちらは、新基本計画の計画期間内において、いつまでに、どのような取組を行うのかという御質問です。

新基本計画というのは、平成27年度から31年度までの5年間を対象としておりますが、美容医療サービス等の消費者被害防止のために、施術の前に患者さんに丁寧に御説明し、同意をいただくことが望ましい内容等につきまして関係者に周知徹底するとともに、必要に応じて指針の改訂を行うこととしております。具体的には、平成25年9月に発出いたしましたインフォームド・コンセント等の取扱いを示した通知を継続的に自治体に周知しているとともに、具体的な問い合わせ事例や自治体担当者からの意見等を踏まえて、必要に応じて指針の改訂やQ&Aの策定等を実施していく予定でございます。

また、消費者等への適切な情報提供のため、平成24年9月に発出いたしました医療機関ホームページガイドラインにつきまして継続的に周知することにより、関係団体等の自主的な取組を促すこととしております。

なお、取引面につきましては、特定商取引法が施行5年経過後の見直しの時期を迎えていることから、消費者庁さんのほうで昨年行った特商法関連被害の実態把握等に係る検討会において、美容医療の契約・解約トラブルの問題性が御指摘を受けているところでございます。今後、美容医療を特定継続的役務提供に追加することについては、当該見直しの中で検討されることになる場合には、厚生労働省として必要な情報提供を行うなど、協力させていただきたいと考えているところでございます。

駆け足ではございましたが、以上をもって御説明とさせていただきます。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 続きまして、美容医療以外のエステの部分について、ヒアリング事項のマル3について御説明させていただきます。健康局生活衛生課です。よろしくお願いいたします。

いわゆるエステティックに関します健康被害の実態把握ということでは、お手元の資料3-2-1を御覧いただけますでしょうか。こちらは、厚生労働科学研究を実施いたしておりまして、資料の下、7ページとお示ししております2枚目のところになりますけれども、こちらの4番といたしまして、エステティックサロンにおける健康被害実態調査として、皮膚科医師への健康被害症例のアンケート調査を実施しております。また、同じく7ページに記載しております5番で、独立行政法人国民生活センターの健康情報の収集ということで、被害情報の分析を実施しております。

こういった実施しております結果を踏まえまして、今年度におきましては、接触性皮膚炎や熱傷が多いということはわかっておりますので、接触性皮膚炎の原因究明といたしまして、いわゆる皮膚のバリア機能の変化を検証するとともに、化粧品の刺激性について試験を行っております。また、熱傷に関しましても、施術用機器の安全性の検証ということで実施いたしております。

また、衛生管理にかかわるところになりますけれども、これまでの消費者基本計画におきましても、エステティックの衛生基準ということで御説明させいただいておりますけれども、お手元の資料3-2-2といたしまして、財団法人日本エステティック研究財団における自主基準といたしまして衛生基準をお示ししております。これを周知徹底するということにつきましては、平成22年度よりe‐ラーニングを実施しておりまして、現在、平成26年度におきましても引き続きe‐ラーニングを実施している状況でございます。

また、学術会議を継続的に行うということも基本計画の中に挙げさせていただいておりましたけれども、これも年に1回という断続的な開催ということで、最新の衛生管理の知見について周知しているところでございます。

また、同じく基本計画の中に、衛生管理の実態を把握して、施術者や店舗の参考となる情報提供に努めていくということで挙げさせていただいておりましたけれども、これも資料3-2-3でお示ししておりますけれども、資料3-2-2のエステティックにおける衛生基準をいかに施設へ導入していただけるかといったところで、こちらも厚生労働研究の中で衛生状況の実態把握をしながら、簡単に、いかに取り組んでいきやすいかといったところで、衛生管理の注意点とか器具や用具類の消毒方法、また日常の点検といたしまして、チェックリストを用いて導入しやすいようにということで、見本といいますか、このままお使いいただけるような形のものを作成しているところでございます。

ヒアリング事項のマル4にもかかわるところですけれども、こういったところで、これまでの施策にかかわるところに取り組んでおりまして、平成26年度で達成済みということで挙げさせていただいているところです。

以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。美容医療は、現行の基本計画でも重点施策に位置づけられているものの一つであります。平成26年度に実施しますという中に、「医療広告ガイドライン」の改正を周知徹底するとともに、遵守状況を把握しますというのがありまして、これを実施されていると思うのですが、先ほどの御説明ですと、自治体関係者からの聞き取りというのがそれに該当するかと思うのですけれども、これは甚だ漠然とした話だったのですが、通常、聞き取り調査をやる場合には、どのぐらいの自治体数にどのぐらいの期間で、どういう聞き取り項目を行って、集計がどうなったのかということが出てくるかと思うのですけれども、その辺、いかがなのでしょうか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 ご質問いただきました自治体担当者への聞き取り方法でございますけれども、毎年秋に当課のほうで、広告の指導等を実際に自治体で行っております担当者を対象にした会議を行ってございます。こちらの中で、全ての自治体ですので、140を超す自治体、都道府県等になりますけれども、そういった担当者に対して、我々のほうでこういった施策の効果について御意見を伺いたいという旨を御説明させていただきまして、各自治体担当者の方から御意見を募ったところでございます。

聞き取り項目につきましては、実際の施策の効果、担当としての感覚的なところをお伺いしたところですけれども、具体的には、実際の業務の中で担当の方が感じられていることですので、定量的な把握というのはなかなか困難でございまして、先ほど御説明させていただいたとおり、感覚として、相談事例とか広告に関する口頭指導事例というものは引き続きある状態ではございますけれども、通知とかガイドラインのQ&Aに基づいて関係の医療機関等に指導した場合には、それに従った改善をしていただいているという回答を受けております。

○石戸谷委員長代理 ですので、参加されて意見を聞かれたときに、どういう意見が何件、あるいは効果が全然ないと思うという回答もあったかと思うのですけれども、今の話だと余りに抽象的で意味がわからないのです。効果が上がっているのか上がっていないのか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 申しわけありません。手元に正確な数値はないのですけれども、記憶の範囲でお答えさせていただきますと、おおむね140近い自治体に対し確認させていただいたところ、効果の実感というのが正確には認識できないという回答のほうが半数近くを占めてございました。一方で、効果がなかったというか、悪化したというものにつきましては、これは回答としてはほとんどなかったと記憶してございます。

○石戸谷委員長代理 バナー広告に該当すると、医療法6条5で広告できる事項というのは法律上、限定されているので、違反しているか、していないかというのは非常にわかりやすいと思うのですけれども、その辺の把握というのは難しいことじゃないと思うのですけれども、そこはどういうふうに考えておられるのですか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 実際の医療機関全体に対する違反の件数ということでよろしかったでしょうか。

○石戸谷委員長代理 そういうことではなくて、主観的に改善されたと思うとか、そういう漠然としたことではなくて、どういう違反がどのぐらいあったというのは、通常は遵守事項を把握しますというと、当然含まれているだろうと思うので伺っているわけです。先ほどの話だと、年1回、講習会を開いて、そのときにどうでしょうかと聞いて、そのとき参加された方の主観的な意見だとこうだと、そういう話ですか。客観的な把握というのは無理だと。

○厚生労働省医政局総務課担当者 申しわけありません。前回のこちらの委員会のほうで施策の効果の把握という御指摘をいただきました際に、まずは直近の担当者会議のほうで担当の所見を確認させていただくとさせていただいたところですが、まさに先生御指摘のとおり、感覚的なところだけを把握していても具体的な数値には結びつかないということで、先ほども御説明させていただきましたとおり、今後は実際に各自治体のほうで何件程度の指導を行っているのか、あるいは相談を受けているのかといった数値のほうを提供いただけるように、自治体と方法等を含めて御相談していきたいということで検討している最中でございます。

○石戸谷委員長代理 美容医療について重点施策になっているというのは、それに関する苦情相談、被害事例が多くなっているので、基本計画の中でも特に重点施策として位置づけているわけですけれども、苦情相談の推移というのは把握されていないのですか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 先ほど御説明させていただきました中に医療安全支援センターについての御説明があったかと思いますが、基本的にこちらは自治体の事務となっておりまして、自治体のほうで把握している状況でございます。しかしながら、こちらにつきましても、先ほどの広告指導と同様に、今後、厚生労働省のほうでも各自治体の相談件数を把握してくように検討してございます。

○河上委員長 唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 昨年も5月のときに同じ質問をさせていただいて、同じ回答をいただいて、次回までにはその辺、きちっとデータも出していただけると、今日、期待して待っていたところです。それで、私ども消費者団体として、実際に違反広告だと思うことを、医療機関のある自治体さんの保健所に動いていただいたことも把握しているのですが、そういう御報告や何かも上がってきていない。逆に言うと、聞き取りもしていただいていないというお答えと捉えてよろしいですか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 個々の事例についての聞き取りということでしょうか。

○唯根委員 自治体さんと連絡をとられていたり、聞き取りをしていただいているのであれば、昨年の5月から今までの期間に、厚生労働省さんとしてはどういうところにアプローチをして情報を確認されたのですか。先ほどの講習会での聞き取りだけしかしていただけなかったという理解でよろしいでしょうか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 大変恐縮ではございますが、「だけ」と御指摘いただてしまうと、そういった面もあるかと思うのですが、実際に自治体担当者に対する会議の中で、広告に関する相談や指導事例として、具体的に各自治体にどのようなものが多いのかというところは、御意見のほうを受け付けまして、先ほど御説明させていただきましたとおり、Q&Aの追加のための事例を現在、取りまとめているところでございます。140を超す自治体からの提案でございますので、時間がかかっておりまして大変恐縮ですけれども、そういった事例の収集ということは取り組ませていただいております。

○河上委員長 よろしいですか。

岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 消費者委員会はいろいろな領域の消費者被害と、それへの各省庁の対応が適切かどうかというのを見せていただいているのですが、エステと美容医療のところは非常に対応が遅いのです。そして、一方では被害についての相談は全く減っていない。それから、今の御報告だと、自治体からヒアリングをなさっても、半数以上のところはガイドラインなどについて効果はなかったとおっしゃっているということもあると、本当にこのままでいいのでしょうかという感じがするのですよ。

例えば金融という領域だと、消費者被害を防止するために新しい法律改正とか政省令の改正をすることになると、効果があったかどうかというのはてきめんです。苦情相談とか被害の実態の数字を見ていますと、その直後に著しい効果がある。これは、政策的によかったのではないかと思うのですね。

ということを考えると、まず、今のやり方では効果があるとはとても思えないのですね。それに次の手をどういうタイミングで打ちますかということです。政策評価というのは、何か新しい手を講じたときに、その政策が有効であるかどうかというのは3年も5年もかけて見るようなものじゃないと思うのです。その直後に効果というのは出るはずですので、それが出ていないということだといかがかなという感じがします。

周知ということもおっしゃっていますけれども、周知も新しいガイドラインができるということになると、その前後に数カ月、集中してやることであって、何年もかけて周知するということではないと思いますので、その周知の仕方とか周知の効果をどういうふうに把握するかというところが、時間をいかにもかけ過ぎているという感じがします。私たちは、今のやり方では効果はない。一方では、身体被害も含めて、財産被害も含めて、深刻な被害が継続していると思っていますので、早く次の手を打ってほしいと思っています。

そういうふうに考えると、今の皆さんの次期消費者5カ年計画の工程表というのは、非常に不十分であると思いますので、まだこれは最終案ではないと思いますから、今日の消費者委員会の意見や、それからパブリックコメントもあるかもしれませんけれども、そのあたりを踏まえていただいて、ぜひ早い段階で次のステップに入るようにお願いしたいと思います。

○河上委員長 石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 今の話の関連ですけれども、医療情報の提供のあり方等に関する検討会の報告書が24年3月にまとめられております。その中に既に、当面の措置ということで、改善を図るが、あわせて、その実効性の把握に努め、改善が見られない場合は、対象を絞りつつ法規制も含めてその後の対応を検討すると、24年の段階でもう入っているのです。

それで、実効性が上がっているかどうかわからないということだと、当然、次の段階に行ってもらいたいと思うし、当委員会のほうでも昨年5月のヒアリングのときに、委員長のほうから、少なくとも明確な効果が出ていないということであれば、法的措置も含めて、さらに適切な措置を講じていただけるように重ねてお願いしたいということで申し上げているわけです。その点は今度の基本計画の素案の中に入っていませんけれども、ぜひ盛り込んでいただきたいです。この検討会がそういうことを言っているのが平成24年ですから、ぜひお願いしたいと思います。

それと、実態が把握されていないということは、もう致命的だと思いますね。この検討会報告書のほうでも、実効性の把握をして効果が上がらない場合は法規制も含めてということを言っているので、把握できないというのであれば、もう厚生労働省として、その問題に対処できるのかどうかということ自体に疑問が生じてしまうので、お願いしたいと思います。

以上が医療機関のホームページに関する情報提供のところですが、インフォームド・コンセントも、現行基本計画で実施しますと言っている中身が、インフォームド・コンセントの取扱いについて指針の周知徹底及び遵守状況の把握というのが入っておりまして、遵守状況の把握を当然書いてあるのでやっていると思うのですけれども、先ほどの御説明を聞いていると、どのように遵守状況を把握しているのか、全然わからない。美容医療分野の苦情相談の推移が増加傾向にあるし、現に裁判なども起こっているわけですね。まず、そもそも把握されていますか。訴訟がどの程度起こっているのか、把握されているのですか。そこはいかがですか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 件数として、すぐにお答えできませんけれども、個々の事例につきまして訴訟等が生じた場合や、厚生労働省のほうに御連絡いただいたものについては、情報を共有させていただいております。御指摘のとおり、広告もインフォームド・コンセントにつきましても、自治体の自治事務とはいえ、こういった御指摘も受けている中で、相談件数等を厚生労働省のほうで吸い上げを行っていなかったというのは、我々のほうで努力が足りなかった点も多々あるかと存じます。

そういったことも、来年度から新たに5カ年計画、消費者基本計画が始まるところも受けまして、必ず我々のほうでこういった件数の吸い上げというところは実行してまいりたいと考えておるところでございます。

○石戸谷委員長代理 ぜひお願いしたいと思います。美容医療は、病気とかけがとまた性格が全然違いますので、それによって被害がまた生じるというのは、あるまじきことだとこちらとしては考えておりまして、それが苦情として増加しているというのは、本来的に非常におかしい。即座に対応していただかないとおかしいことだと思っておりますので、現在の次期基本計画の素案にあるような、周知徹底して、必要に応じて指針の改訂を行うという程度では、とてもではないけれども、こちらとしては納得いきませんので、よろしくお願いしたいと思います。

○厚生労働省医政局総務課担当者 御指摘をいただき、ありがとうございます。まさに今、御指摘いただいた点、我々も日々考えているところでございまして、こちらの基本計画案として出させていただいたものにとどまらず、厚生労働省として実行可能なものはできるところから必ず実行してまいりたいと考えております。

○河上委員長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 データ集め、実態把握にかなり苦労しているということは伝わってきましたが、アプローチの仕方を変えることもあり得ると私は思います。私は、今、国民生活センターでADRの委員をやっているのですけれども、昨年、美容医療で数件、トラブルがありました。医師と、被害者つまり患者さんの間では話がつかなかったのでADRに来るのです。ひどい案件で最後まで医師がかたくなに拒絶する場合、医院の名前を国民生活センターのADR委員会として公表することになると申し上げたこともあります。そうすると、患者さんが大体満足するような形で和解に至る。

先ほどのデータ集めはデータ集めで、きちんとしていただきたいという思いはありますけれども、17万の医療機関があるので捕捉率が少なくなる可能性があります。おそらく真っ当なところが申告し、トラブルを起こすようなところはデータを余り提供しないことが考えられるので、そういう医療機関を公表するとか、公表の仕方は難しいかもしれませんが、何か手があるのではないかと思います。指導を繰り返し、何回やってもだめなら、ブラックリストに載せることも他の業界ではあるのです。医療機関でもあっていいと思います。

安全にかかわることで、身体・生命に直結しかねない。もともとそれを業とするところがそういうスタンスでかたくなに拒絶するのは放置できない。アイデアを考えてくれと言えば、幾らでも出せる人がいるのではないかと思います。

○厚生労働省医政局総務課担当者 御助言をいただき、ありがとうございます。こういったことの適正化のための方策の中には、ただいま御紹介いただきましたような事例や、恐らく我々の承知している以外のさまざまな分野での取り締まりがあり、医療の分野にも活用できるようなものが多々あるかと思いますので、また先生方からも何かお気づきの点があれば、こうした機会を通しまして、我々厚生労働省のほうに情報提供いただきながら、積極的に取組のほうを検討してまいりたいと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。山本委員、どうぞ。

○山本委員 広告規制の問題に戻るのですが、先ほどの御説明で私、ちょっと理解が至らなかった部分がございます。先ほどの御説明ですと、一般のホームページ等の広告の規制を行うと、サービスの受け手が情報を入手する権利が侵害される。したがって、規制については慎重に考えるべきではないかという御説明だったと思います。

ただ、広告規制がそういう効果を持つということはあるかと思いますけれども、それはむしろ規制の中身を適正化すべきであるという話に結びつく事柄であって、規制の対象を狭めればよいという話ではないのではないか。言い方をかえますと、そのように言われますと、現在の認知性があるとされる広告を規制しているのは、それは問題ではないかということになりかねないわけで、ちょっと事柄が違うのではないか。

さらに言えば、そういうふうにサービスの受け手が知る権利を侵害されるおそれがあるからということは、ホームページ等の認知性が非常に強いから、そのような問題が生じるということなのではないか。御説明の中に何か矛盾があるような気がするのですけれども、その点、私があるいは誤解しているからかと思うので、もし補足すべきことがあったら補足していただきたいと思います。

○厚生労働省医政局総務課担当者 説明を加えさせていただきます。ホームページの認知性につきまして、知る権利とか患者様がお知りになりたい情報等の兼ね合いの部分でございますけれども、一般の医療機関が独自に作成されているホームページにつきましては、患者様あるいは一般の消費者様のほうで、例えば何々クリニックについて情報を得たいと思われた方、あるいは何か特徴的な治療方法を行っていることをお知りになりたいといった方の意思に基づいて御覧になるといったところで、医療法上は、そこに関しては広く認知されているものではなく、御自分から情報を受け取りに行くといった整理をさせていただいているところでございます。

一方で、御指摘いただいた、一般の広告以外のホームページのところでは、知る権利を重視してという部分についてですけれども、そもそも広告規制の中では、客観的な事項とかごく限られた事項のみが広告可能とされている状況でございまして、それをむしろ適正化すべきではという御意見だったかと思います。そちらについては、確かにもっと広告できる事項を増やすというのは一つの手段かと思っております。

しかしながら、多くの患者様が知りたいと思う医療の効果、例えばこの病院を受診したときにどの程度の手術の成功率があったとか、どれくらいの期間で退院されているとか、院内感染がどれぐらいの率であるといった情報は、患者様にとっては病院選択の非常に大きな情報かと思うのですけれども、背景因子、つまり、地域差や実際の患者様の特徴、大学病院ですとすごく重症の方が集まってしまう、まちのクリニックであればかぜとかインフルエンザの方が来やすいとか、そういった背景因子の影響が非常に多くございまして、どういった情報であれば客観性を持った数字が御提示できるのかというのは、非常に検討が必要なところでございます。

これに関しましては、別途、厚生労働省で表示の内容等を、どこまで表示できるのかといったことも含めまして研究等を行っているところでございまして、少しずつ患者様が知りたいと思っている情報を、従来の広告でできる範囲の中に組み込もうと努力しているところでございます。

○山本委員 別の論点になってしまったような。私が申し上げたかったのは、広告の内容規制をもっと緩やかにすべきだということではなくて、むしろそこのところで知る権利を持ち出すとすると、既存の規制自体の合理性を疑わせることになるのではないか。そうだとすると、説明として、どうも矛盾があるというか、現在の規制自体が不合理であると言っているように思われたものですから、そこを伺いたかったということです。

○河上委員長 石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 消費者法の分野で広告を規制している法律はたくさんありますけれども、ホームページが広告に当たらないと言っているのは、医療法のここだけです。そこが消費者側が非常に大きく混乱しているところで、医者が広告していて医療法の規制を受けないとは思っていませんので、何でそんなことが通用するのだろうかというのが混乱のもとだと思います。

先ほどの医療情報の提供のあり方等に関する検討会のほうでも、医療機関のホームページを医療法上の広告と見なすか否かという点は、以下のような現状を踏まえると、これまでと同様、広告と見なさないのは難しくなりつつあると考えられるということで、以下、理由をだあっと説明しているわけですね。こちらも別に広告全般を問題にしているわけじゃなくて、検討会の報告書でも、当面は美容医療サービスや歯科インプラント治療などの自由診療分野を念頭に対応することが適当だと言っているわけで、医療広告全般をああせい、こうせいとこちらで言っているわけじゃないのです。

実際、被害とか苦情が出ているのが美容医療の分野なので、病気を治すとかけがを治すというのとは、全然別途の違った性格のものであるのに、そこで被害が生じているということをもうちょっと重く受けとめられないのかなということ。その入り口が広告になっているので、そのあり方を見直していただけないかというのを先ほどから言っているわけです。

○河上委員長 何かお返事されますか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 御指摘、御意見をいただきまして、ありがとうございます。今、御指摘いただきましたとおり、入り口は広告ということになっておりまして、現状の医療法上の規制では、美容医療というものを特に分けて規制をしていないため、先ほどのような回答になってしまい、大変失礼いたしました。御指摘いただいておりますとおり、また先ほどから回答させていただいておりますとおり、我々としても、この分野が消費者の方に大きな問題を与えているということは十分認識しておりますので、医療法の枠組みの中で、この分野についてどういった取組がとれるのかということを改めて検討させていただきたいと思います。

○山本委員 ちょっと今の点でよろしいですか。

○河上委員長 はい。

○山本委員 他の広告規制においては、もっと広く広告の概念がとられていると思うのです。それは、例えば医薬品等のように厚労省所管の法律の中にも、ほかにも広告規制はあるわけですね。その中で、医療法に関する広告規制について、特に狭く考えているということについては、どのような理由があるのでしょうか。もちろん所管が違うというのはありますけれども、同じ法体系の中にあるわけですから、その中で医療法について特に狭くしているというのは、何か合理的な理由があれば、それはそうかなということになるのですけれども、どのような理由で他の広告概念に比べて狭く理解しておられるということなのでしょうか。

○厚生労働省医政局総務課担当者 他の法令の成り立ち等との比較というのは、この場で私のほうではお答えできないのですけれども、医療法につきましては、昭和の早い段階から広告に関する規制も含めて成立しているところでございます。その中で、当時はもちろん、こういったインターネットに関するものは情報としてはなかったものでございますので、想定されるのは、一般的なまちなかの看板とか、チラシ等があったかと思います。そういったものに関しては、他の法律と同じような取り扱いがなされていたものと理解しております。

そういった流れの中で、今般のようなインターネットとかウェブサイトを介した情報提供ツールというものが出てまいった際に、医療に関しては広告で広く患者様が御覧になるもののほかに、医師のほうから直接御説明されたい内容というものが出てくる。その中で、実際に医療を提供する医療機関から発信する情報といった意味で、他の法令とは違った扱いがされてきたのかなと考えております。

ただ、医療提供者が出すものだから規制しなくていいというのは、今般、問題をいただいているとおり、そういったものでは全くないと思いますし、それが理由で他の法令と違った立てつけが認められているものではないかと思います。繰り返しになりますが、他の法令との比較という観点で、明確な理由として、なぜ違う取り扱いになっているのかというのは、この場で私のほうからはお答えしかねます。

○河上委員長 よろしいでしょうか。

厳しい意見が沢山出ましたけれども、お医者さんの表示だからといって、著しく優良な誤認を惹起するような表示が許されていいはずがないわけです。ほかのものに関しては、それなりにそれぞれ規制がかかっている。医療の中の領域だから医療法でもってガードしてしまっていること自体も、なかなか説明しづらい部分があるだろうと思います。エステなどになると、そうでないところがかかわってきますし、美容医療になると少し医療のほうに近づいていくので、違いが出てきてしまう。いずれにしても、ちゃんとした正しい情報を提供するというのは、どの世界でも同じことなので、そのことはきちんとやっていただく必要があると思います。

これまで私は3回も同じことを申し上げたので、もう一度言わないといけないのは大変辛いのですが、現状がどんな状況なのかということを、例えばガイドラインとか指針とか、その遵守状況はどうなのかということを本気で調査していただいて、その検証結果を見た上で、これまでの施策が改善につながっていないということが明らかであれば、法規制を含めた、さらなる次の措置をとっていただくように、ぜひお願いしたいと思います。

次期消費者基本計画では、それをやるぞということと、その検証・評価の結果を踏まえて、どういう取組をするかということをはっきりと具体的に書き込んでいただきたい。ついでに申しますと、その実施時期・目標を明確にして、具体的行程を計画に書き込んでいただけるよう、ぜひお願いしたいと思います。

消費者の身体被害防止のための取組についても、早急に適切な措置を講じていただくことが必要であります。当委員会としても、後日、意見をまとめさせていただきますけれども、これまでの対応に関しては、正直言って満足できる状態ではありませんので、強くお願いしたいと思います。

厚生労働省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

最後に事務局から、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の本会議の日程、議題については、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせいたします。

消費者団体ほか関係団体等との意見交換会につきましては、2月10日火曜日、13時から16時、消費者関連専門家会議、全国消費者行政ウォッチねっと、全国消費者団体連絡会、全国消費生活相談員協会、日本経済団体連合会、日本産業協会、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、日本ヒーブ協議会、日本弁護士連合会を予定しております。傍聴の受付等は委員会ホームページを御覧ください。以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)