第175回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2014年10月21日(火)16:00~17:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【説明者】
総務省 吉田 総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官、金児企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 電気通信事業者の販売勧誘方法に係る消費者問題について
    総務省 吉田 総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長
  3. 消費者契約法専門調査会の設置について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第175回本会議」を開催いたします。

また、本日は所用によりまして阿久澤委員が御欠席、唯根委員が若干おくれて出席の予定となっております。

それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○大貫参事官 本日の配付資料でございますが、資料1が1-1から1-5。資料2、参考資料1、参考資料2ということでお配りしております。不足がございましたら、事務局のほうにお申し出いただきますよう、お願いいたします。


≪2.電気通信事業者の販売勧誘方法に係る消費者問題について≫

○河上委員長 では、最初の議題ですけれども、「電気通信事業者の販売勧誘方法に係る消費者問題について」というものであります。総務省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

当委員会は、平成24年12月に「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」を取りまとめ、また昨年7月には検討状況のフォローアップを行い、総務省に対しまして、消費者が契約内容を十分理解して利用できる環境の実現を図るための法的措置を講ずることなど、必要な措置を検討して実施するよう求めてきました。その後、総務省のICTサービス安心・安全研究会において、その検討が行われ、本年7月に消費者保護ルールの見直し・充実や、通信サービスの料金、その他の提供条件のあり方等につき、同研究会が「中間とりまとめ」を取りまとめられた際にも総務省から御説明をいただきました。当委員会は、「中間とりまとめ」の内容を高く評価するとともに、残された課題についての検討を続けていただきたい旨の委員長発言を行ったところであります。

その後、同研究会において事業者等の関係団体からのヒアリングも行い、このたび「報告書(案)」が取りまとめられて、今月11日からパブリックコメントが実施されていると承知しております。本日は、今回公表された「報告書(案)」について、「中間とりまとめ」からの変更点を中心に御説明いただき、質疑応答を行いたいと思います。説明は15分程度でお願いしたいと思います。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 総務省の消費者行政課長の吉田でございます。総務省では、現在、電気通信サービスに関する消費者保護ルールの見直し・充実ということについて検討させていただいておりまして、その検討状況につきまして御報告させていただきたいと思います。

まず、お手元の資料1-1を御覧いただきたいと思います。これは、本件に関する検討状況が報告書(案)という形でまとまっておりますものの中で一番コンパクトな概要になります。

中間とりまとめの際にも若干御説明させていただいたかと思いますが、もともとどういう形で検討しているかということでございますが、資料1-1の2ページ目の検討スケジュールを先に御覧いただきたいと思います。現在、総務省では、2020年代に向けた情報通信の展望と目指すべき姿ということで、情報通信サービスのあり方全般についての検討を行っております。この中で、利用者視点の重視というところは非常に大きな柱の一つになってきておりまして、具体的な消費者保護ルールの見直し・充実につきましては、ICTサービス安心・安全研究会で議論を行っております。

そういう意味で、2ページ目にちょっと複雑な検討スケジュールがありますけれども、情報通信審議会で情報通信サービス全体の在り方についての議論をやっておりまして、その中での消費者保護ルールの見直し・充実に関する部分につきまして、この問題に対して深掘りする形で研究会で議論しておりまして、これを全体の情報通信のあり方の中へフィードバックして、その中に位置づけた上で改めて在り方を検討しているという状況でございます。

まず、ICTサービス安心・安全研究会のほうでございますけれども、7月に中間とりまとめを行いました後、残された課題と、中間とりまとめでまとめられた形についてということで、改めて事業者・団体等へのヒアリング等も行いまして、9月25日に報告書(案)についての議論をこの研究会で行っております。ここでも若干御議論がございましたので、それを踏まえ、現在、報告書(案)についての意見募集を、資料1-3、1-4、1-5ということになりますけれども、10月11日から11月10日まで行っております。

また、この報告書(案)につきましては、情報通信サービスの在り方全体に関する議論を行っている情報通信審議会のほうでも報告が行われまして、この報告書(案)の中身も審議会報告書(案)の骨子に組み込まれるような形になってございます。現在、情報通信審議会のほうの報告書(案)につきまして、基本政策委員会、それからその親会に当たりますICT基盤政策特別部会でそれぞれ議論が行われまして、情報通信政策全体のあり方についての報告書(案)につきましても意見募集が、ちょうど今日、10月21日から行われております。

実は、全体の報告書(案)の中で消費者保護の部分がどういう形で書かれているかということにつきましては、お手元の資料1-2「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」ということで、全体になりますと相当大部なものですから、目次と「5.1.消費者保護ルールの見直し・充実による安心してICTを利用できる環境の整備」という部分を抜粋しております。今日は、まず概要ということで、この答申(案)となっておりますものが、現状の報告書(案)の中身になっておりますので、これを簡単に御説明させていただいた上で、御質問等ございましたら、さらに詳しい資料等も用いまして御説明させていただければと思います。

それでは、資料1-2をお開きいただきまして、40ページでございます。まず、全体としての考え方ということで、「消費者保護ルールの見直し・充実による安心してICTを利用できる環境の整備」につきまして、「現状と2020年代に向けた課題」というところでございます。

「ICTサービスの高度化・多様化・複雑化や、利用者からの苦情・相談の件数が増加している現状を踏まえ、2020年代に向けて消費者保護ルールの見直し・充実により、安心してICTを利用できる環境の整備が必要となる。

このため、苦情・相談の状況を踏まえ、業界団体等による自主的な取組による効果が十分に挙げられていないと認められる事項等について、法的な枠組等による必要な制度・規律の在り方の検討を行う苦情・相談件数は、これも御承知かと思いますけれども、電気通信サービスに関しましては、高どまり、増加傾向にあるということでございます。」 次の「政策の具体的方向性」ということでございますけれども、先ほど申しましたICTサービスの安心・安全研究会において報告書(案)が取りまとめられたということで、「この報告書(案)において示された考え方を踏まえ、消費者保護ルールの見直し・充実等に向け、電気通信事業法をはじめとする関連法令の改正等、制度規律による実効性の確保を含め、具体的な制度設計を行うことが適当である」としておりまして、電気通信事業法等の改正という方向性を明確に打ち出しております。

そして、「関係団体、電気通信事業者、代理店等においても、総務省を含め、関係者の間で十分な連携を図りながら、報告書(案)に示された考え方を踏まえた具体的取組を早急に行うことを期待する」ということ。

また、「総務省における制度設計についての検討状況や、関係団体、電気通信事業者、代理店等による取組状況については、同研究会等の場でフォローアップしていくことが適当である」ということで、制度改正を行って、その具体的な取組を関係者が行って、この研究会でその取組状況もフォローアップしていく方向も示しております。

そして、めくりまして41ページ以下が具体的な制度改正等の方向性ということでございます。

まず、「説明義務等の在り方」ということでございまして、第一に適合性の原則。「利用者の知識、経験、契約目的等に配意した説明を行うことを制度化することが適当である」ということを打ち出しております。

二番目に、書面交付義務ということで、これも制度化することが適当であるという方向を打ち出しております。

三番目の広告表示につきましては、「電気通信事業法及び不当景品類及び不当表示防止法に基づく法執行を通じ、広告表示等の適正化を図ることが適当である」ということで、特に景表法につきましては最近改正も行われているということでございまして、こうしたものの法執行を通じて適正化等を図っていくという方向性が示されてございます。説明義務等の在り方については、ICT安心・安全研究会の中間とりまとめから、そのままという状況でございます。

それから、「契約関係からの離脱に関するルールの在り方」というところでございますが、ここが中間とりまとめの後もいろいろと議論がございまして、書きぶり等も少し変わってきている部分があるということでございます。

一番目に、禁止行為・取消しにつきましては、「提供条件の説明が必要な事項のうち契約締結判断に通常影響を及ぼす重要事項に係る不実告知及び不利益事実の不告知等につきまして禁止することが適当である」としております。その上で、「違反行為に対する取消しについて検討することが適当である」という形で、この報告書(案)では、禁止行為として明確化するというところに力点を置いた書き方としております。

二番目、ここがいわゆるクーリングオフという形で中間とりまとめでは記載されていた事項でございますが、ここについて「初期契約解除ルール」という名称でこの報告では記載しております。内容でございますけれども、「電気通信サービスの基本的特性を踏まえ、販売形態によらず、初期契約解除ルールを導入することが適当である。対象となるサービスは、契約内容が複雑であったり、実際に利用しないとサービスの品質が分からなかったりするものを基本に検討すべきであると考えられる」としておりまして、この内容につきましては、中間とりまとめと変わっておりません。

ただ、ここに注をつけておりますけれども、「本制度は電気通信サービスの特性を踏まえ導入するものであり、訪問販売等における「クーリングオフ」とは、その導入の理由や内容が異なる部分があることから、「初期契約解除ルール」という用語を用いることとしたものである」としておりまして、用語について、こうした記載にしてございます。

それから、42ページにまいりまして、初期契約解除ルールの行使可能期間中のサービス利用の対価や工事費の取り扱いといったところについても記載がございますが、ここは中間とりまとめと大きな変更はございません。

その後のところが実は中間とりまとめの後に議論がございまして、少し考え方が変更になっている部分でございます。

「端末等の物品に関する初期契約解除ルールの取扱いについては、主要事業者で携帯電話サービスに係る試用サービスが実施される方向であること等を踏まえ、店舗販売の場合における端末等の物品に係る制度化は、現時点では行わないこととし、当面、SIMロック解除等の推進の事業者の取組状況等を注視することとする」とした上で、事業者、代理店による苦情・相談等の減少に向けた自主的取組の効果等が十分でないということがありましたら、「『ICTサービス安心・安全研究会』等の場において、その状況を注視し、制度的措置の検討を改めて行うことが適当である」という記載をしております。

それから、三番目の解約のところにつきましては、特に期間拘束・自動更新付契約、携帯電話などで、通称「2年縛り」といったことで言われることが多いわけでございますけれども、こうした部分につきましても、中間とりまとめの後、かなり議論がございまして、「提供条件の説明や更新月のプッシュ型通知の方法等において改善されることが必要である」ということで、この点につきましては、中間とりまとめ以降の研究会でのヒアリングの場で、「一般社団法人電気通信事業者協会からは、契約解除料を支払うことなく解約が可能な期間の延長と、更新月が近づいた時点で利用者へのデフォルトでのプッシュ型の通知を行う方向で検討している旨の表明があった」ということでございます。

こういった自主的な取組をやっていただいた上で、この研究会の場でそういった改善状況を検証していくことが適当であるということを記載しております。

オプションサービスの部分は、中間とりまとめのときから変わりございません。

それから、43ページの「販売勧誘活動の在り方」でございますけれども、「勧誘拒否の意思を表示した利用者に対する再勧誘禁止の制度化」、代理店に対する監督制度を設けるといったところにつきましても、中間とりまとめのときと基本的に同じトーンでございます。

それから、「苦情・相談処理体制の在り方」、ここも中間とりまとめの後、引き続き議論が必要というところであったわけでございますけれども、中間とりまとめ以降の研究会の議論の中で、「一般社団法人電気通信事業者協会から、業界として苦情・相談を窓口で受け付けて分析する体制を整備し、苦情・相談件数の減少に向けた取組を進めていく方向を検討している旨の表明」がございました。

また、携帯電話代理店各社からも、今、この代理店につきましては、苦情処理等の在り方について団体として取組という形がなかなかできていないわけでございますけれども、これにつきましても「業界団体を発足させ、苦情・相談件数の縮減につながる活動を実施する旨の表明」がございました。こういうことを「総務省としても積極的に支援・推進していく」ということを、研究会の報告書、それから審議会の報告書の中でも記載しております。

そういう意味では、「今後の方向性としては、まず機動性や柔軟性に優れていると考えられている民間型第三者機関による苦情・相談の処理を早急に実現し、その状況を見ながら、紛争解決の仕組みの在り方等について、中長期的に引き続き検討することが適当である」という報告を取りまとめているところでございまして、こうした取組につきましても、「この『ICTサービス安心・安全研究会』等の場に随時フィードバックを行い、フォローアップしていくことが適当である」としてございます。

とりあえず、最初の御説明としては以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 御説明ありがとうございました。

大きく変わったところが何点かあるということで、まずクーリングの初期契約解除ルールというところで、店舗販売のときには、「端末等の物品に係る制度化は、現時点では行わないこととし」というところが大きく変わったということだと思うのですけれども、特商法でこの関係を適用除外しているというのは、特商法と同等以上の消費者保護が図られているということが前提というか、そういう考え方のもとに適用除外としていると思います。

その場合の特商法並みと言うときの考え方で、やや誤解があると困るので申し上げておきますけれども、特商法の場合だと訪問販売がクーリングというイメージが大変強いのですけれども、それは勧誘の攻撃性とか突然性みたいなところに着目してクーリングを導入したのは、ごく初期のときのクーリングの話であります。

その後、クーリングはさまざまな法律で採用されておりますけれども、特商法に限ってみた場合でも、攻撃的勧誘云々ではなくて、契約の複雑性みたいなところに着目してクーリングを導入するという類型が多くなっているわけでありまして、例えば特商法の中でも、連鎖販売取引とか特定継続的役務提供、それから業務提供誘因販売といった取引類型は、取引の複雑性に着目してクーリングを導入しているがゆえに、店舗であるか、店舗外であるかということ関係なく、クーリングを導入しているわけであります。したがって、特商法並みと言った場合に、どこに着目して考えるのかというところが大変重要だと思うのです。

その意味では、先般のICTサービス安心・安全研究会の報告書においては、電気通信サービスの特性をきちんと初めに書いておいて、そこのまとめ方が大変すばらしいということで大いに評価したわけですが、その中には、店舗販売においても複数オプションサービスの組み合わせ等の複雑な販売がなされているとか、販売形態も何段階かにわたって複雑だというところに着目して、店舗のほうにもということがきちんと明確にうたわれていたために、そこはきちんと書かれているということで大いに評価したところでありまして、クーリング導入の根拠がごく初期の訪問販売のときのクーリングにやや傾いているのではないか。現在、クーリングはそういうことに限定されていない。

特商法に限らず、特定商品預託取引法、ゴルフ会員契約適正化法。金融の分野でいきますと、保険業法などでも、自宅に限らずクーリング、銀行に出向いていって契約した場合でもクーリングが認められているという形態になっておりますので、そこを踏まえて、ここはちょっと考え直していただきたいなというのが意見でございます。

○河上委員長 どうでしょうか。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 実は、そこの部分というのは、今回、この報告書(案)で中間とりまとめを変更したということではございませんで、そこの考え方をより明確化したということでございます。名前が少し変わったということで、そういう印象になっているのではないかと思います。

そこにつきましては、お手元の資料1-5の23ページと24ページを御覧いただければと思います。今回、初期契約解除ルールを導入するというところにつきましては、いわゆる訪問販売等の特性ということで、「不意打ち性のある販売方法等に起因する消費者の意思の不安定性」、これが初期のクーリングオフの導入の理由として割と多かったかと思いますが、今回の導入につきましては、「商品・役務の複雑性に起因する消費者の不十分な理解」ということで、これも今、御指摘のように、保険業とか連鎖販売などでもあるかもしれませんけれども、特に電気通信サービスの場合には契約の在り方が複雑だということは、一般の皆様からも御意見をいただいているところでございます。

さらに、「実際に利用してみないと役務の品質等がわからない場合がある」ということで、これも移動体サービスが典型ですけれども、使ってみたら使いたいところで使えなかったとか、これくらいスピードが出ると思っていたら、使いたい場所では出なかったといったことがございますので、こういったもの全体を含めて、この初期契約解除ルールが必要だということで作られております。

そういう意味では、クーリングオフという名前について、これは特にヒアリングの場等で、初期のクーリングオフという考え方で御理解されている関係事業者の方が多かったのかもしれませんけれども、不意打ち性のために導入するとか、とにかくルールが適用されると無料で全て返品を余儀なくされるというところと、今回、この研究会で電気通信サービスに提唱されているものは、目的とか内容がちょっと違うのではないかというところもありまして、こういう形でまとめられたわけでございます。

そういう意味では、訪問販売等の特性や商品・役務の複雑性、それから実際に使わないとわからないといった電気通信サービス全般にかかわる問題を解決するために、この制度を導入するべきではないかという考え方自体は変わってございませんし、適用としても、販売形態を問わないで電気通信サービスに適用していくべきだという案になっておりますので、そこについて考え方は変更になっていなくて、書き方について関係者の御意見等もございまして、こういう形でまとめさせていただいているという状況でございます。

○河上委員長 よろしいですか。もし御議論があれば。

○石戸谷委員長代理 ありがとうございました。今の御説明ですと、ますます店舗販売の場合の端末も含むと言うのが、筋が通っているのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○河上委員長 実は、公表された研究会での資料を、我々も拝見いたしました。業界の方からの御意見を読ませていただきましたけれども、それは基本的にはクーリングオフという概念についての誤解が非常に大きいという気がいたしますし、クーリングオフがついた取引形態が何か悪い取引なのではないかというイメージを持っておられるようなのですが、保険業界だってクーリングオフ制度を持っているわけでして、その種の懸念は今ごろ言うべき議論ではないという感じがいたします。

この報告書の中でまとめられているところが、電気通信サービスの基本的特性を踏まえて、この言葉にしたのだということですが、その基本的特性の脚注を見ると、要するに内容が複雑だということと、やってみなくちゃわからない部分が多いというのが特性だと書いてあります。そのことは、今、委員長代理が言われたように、特商法の中の幾つかのタイプでも同じことが言われているということですから、逆にクーリングオフという概念についての正しい理解を一般の方に知らしめる意味でも、ここであえて違う言葉で議論されるというのはどうかという問題意識だろうと思います。

もう一つ、クーリングオフという言葉ではなくて契約解除ルールという言葉にしたということは、曲がりなりにも契約が成立して、その契約を事後的に解消するためのルールであるという理解になろうかと思いますけれども、場合によっては、申し込みの撤回も含めて考えないといけないとすると、契約解除ルールという言い方が果たしてふさわしいのかという基本的な疑問も生ずるということであります。補足的に申し上げました。何か追加的にお話されますか。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 そこにつきましては、契約解除という言い方をしているから、ほかのいわゆるクーリングオフの制度が導入されていることと、法律の条文の書き方も変わってきてしまうかどうかということについては、そこはむしろほかの既存の法律の規定をベースに制度化を検討していくということかと考えておりますので、これもこれから政府部内で内閣法制局等とも議論して作っていくことになるかと思います。

既存のいわゆるクーリングオフ制度がとられているところでも、当然、法律では片仮名でクーリングオフと書いてあるわけではなくて、契約解除という言葉も使って規定されているところもあるかと思います。その辺の消費者委員会の皆様からの御要請もよく把握もしてございますので、こういう表現になっているから条文の書き方も変わるということではなくて、そこはそういう趣旨だとお考えいただければいいかと思っております。

○河上委員長 少なくとも「解除」という言葉は避けたほうがいいかなということであります。

ほかにいかがでしょうか。唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 42ページの「端末等の物品に関する初期契約解除ルールの取扱い」についてですけれども、現状、2年縛りの契約自体も通信サービスとセットでの契約になっておりまして、消費者にはこれが一体の契約というか、どこがどう違うのか、それからこの端末の単価が幾らなのかがわからないのが実態です。丁度きのうも私の携帯メールにキャンペーンという御案内が来て、その中を見ましても、今契約すると月々幾らになるからということで、端末の単価がわからないような宣伝内容なのです。

そういった場合に、特商法であればサービスと商品のセット販売なら同時に解約できるわけなので、42ページの3行目にある、「制度化は、現時点では行わないこととし」の文言は要らないのではないかと思います。本来だったら、端末と通信サービスのセット契約の在り方を業界にすぐにでも検討し直していただきたいところなので、SIMロック解除で当面は見るということだけでいいのではないかと思いますので、わざわざ「行わないこととし」ということまで書き込まないでいただきたい。できないというのをここで表明されているように思えて、どうしても納得できなかったので、意見として言わせて戴きます。

もう一点、広告表示についてですが、さっき申し上げたように、携帯メールなどでキャンペーンということで頻繁に勧誘があるのですが、こういったものについては広告にあたるのか。またネット広告についてですが、事業者団体による自主的な取組については、ネット広告は含まれていないと思います。それらを広告として今後どう扱われるかについて、お尋ねします。

○河上委員長 では、お願いします。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 広告の在り方につきましては、多分いろいろな状況に応じて、新たなやり方が出てくるかと思いますので、問題になっているものについては、業界等において検討していただくということと、総務省のほうでも、ここにありますように事業法や、景表法等についても法改正が行われまして、連携が可能になるということもありましたら、そういう規定も含めまして対応していきたいということでございます。そこは、既存、行われている自主規制とか法律の制度を活用する形で、これは問題ではないかというものについて取り組んでまいりたいと考えております。

○河上委員長 今のは広告のほうの話でしたね。最初のほうの問題はどうですか。端末の物品に係る制度化は、現時点では行わないと書かれてある部分というのは、これは不要ではないですかという御趣旨の質問ですけれども。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 この問題につきましては、さまざまな観点から、両サイドからいろいろ御意見をいただいているところでございまして、今まさにパブリックコメントで御意見を寄せていただいているということでございます。

この報告書(案)につきましては、最初にも申しましたけれども、パブリックコメントを今、やっておりますので、それを踏まえて最終的に決めるということで、御議論を研究会、審議会にしていただいて取りまとめていただくということでございます。要するに、報告書(案)ができているから、それから変わらないということではなくて、非常に御関心も高くて、両方のサイドから御意見をいただいていることでもございますので、改めてパブリックコメントの御意見等もいただいた上で、この研究会、審議会のほうで御議論いただくということで、総務省で書く、書かないという性格のものではないと思っております。

ただ、この研究会、審議会の取りまとめで今、こうなっているのは、SIMロックの解除を推進していくということと、もう一つは、事業者のほうから試用サービス、実際に使って、例えば使えなかった場合には返品に応じるとか、正式な契約になる前に電波が受信できるかどうかを確認してから、その契約をしていただくというサービスを提供していきたいという表明もありましたので、今までこれは行われていなかったものでございますので、まずそういう取組状況を注視するということもあってもいいのではないか。それから、SIMロックの解除の推進が行われていけばということもあって、現状では、この報告書(案)ではこうなっております。

いずれにいたしましても、この点につきましては幅広く御意見いただいているところでございますので、パブコメの議論も踏まえて御議論いただくことになるかと思ってございます。

○河上委員長 唯根委員、よろしいですか。

○唯根委員 パブコメで変わることを期待したいと思います。

○河上委員長 では、橋本委員、次、高橋委員、お願いします。

○橋本委員 きょうは意見ということで、私も初期契約解除ルールというのは、既にクーリングオフという言葉で消費者に浸透しているということから、あえてこういう言葉に直すというのは、かえって混乱を招くのではないかと思います。

それから、先ほどの端末等の物品に関する解除ルールにつきましても、唯根委員が言ったように、これは一体のものなので、「行わないこととし」というところにはちょっと違和感があるところではありますが、パブコメでいろいろな御意見が出てからとおっしゃっていましたので、今後、見ていきたいのですけれども、それの根拠として、42ページに書いてありますように、先ほどおっしゃられた「試用サービスが実施される方向である」とか、「SIMロック解除等の推進の事業者の取組状況等を注視する」というのは、新しい業界ですので、業界団体をこれからつくっていくというところで自主的にやっていくことを見ていくという前提になっております。

それから、その下の解約のところで、「更新月が近づいた時点で利用者へのデフォルトでのプッシュ型の通知を行う方向で検討している」という、これも今後やっていきますよとやっている。

それから、相談体制につきましても今後やっていきますよと業界側で言っているという内容ですけれども、これらが業界として、もし行われなかった場合、どこが監督して、その時点できちんとまたこういった部分での制度的なことを話し合うのか、その辺をお尋ねしたいのですけれどもね。

○河上委員長 では、お願いします。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 まず、これはパブコメをやっていて、報告書(案)の段階で、報告書として取りまとまっていないものでございますので、仮にこれが取りまとめられましたらということもあります。また、この案を議論するときも、業界団体等で行われる取組をどう評価するかというところは、この研究会でも当然御議論があったわけでございますけれども、改めて最終案を取りまとめをしていこうというときにも、こういったところをどう評価するか、議論があるところなのではないかと思ってございます。

その上で、本当にそういう取組が行われるかどうかというところが重要なわけでございますので、この報告書がまとまれば、総務省のほうにいただくということでございますので、総務省のほうでも状況を注視していくということもございます。また、この研究会の報告書(案)では、この報告書を取りまとめて研究会を閉じてしまうのではなくて、継続的に研究会を開催して、こういう状況が行われているかどうか。ここにも、「取組が十分でない場合には、制度化を検討すべきではないか」といった点も記載されておりますので、この研究会の場で注視していくとともに、この報告書(案)がまとまりましたら、それを受ける総務省のほうでもその点を受けとめて注視していくことになると思います。

○河上委員長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 私も橋本委員と同様の御質問を申し上げたいと思っていたのですが、今の御回答をお聞きして、研究会の場で注視していくという、その辺の時間軸がよくわからないわけです。この報告書の中で、「当面、SIMロック解除等の推進の事業者の取組状況を注視する」という、この「当面」というのが、パブリックコメントを受けたら、この当面がもう少し具体的になってくるのか、あるいはもう注視すること自体は時間切れですねとなるのか、これが読めないのです。

私は、かつて情報通信審議会の委員をしていた立場からすると、本当に10年近くこの議論をやってきて、2010年のころから山が動いたと思ったのですけれども、実際には新しく発売されている端末が全てSIMフリーになっているわけではありませんし、もう十分に注視してきたという感じがしているわけです。この研究会というのは、冒頭で御説明がありましたように、利用者視点を重視して検討しているということで、中間報告ではそういうふうに思えたのですけれども、今回出たものを見ると、どうも大分後退したなという感じ、印象が拭えません。

SIMロックの解除に関しては、ここに全てが委ねられているような感じがするのですが、報道では義務化とばっと書いてあるわけですけれども、いつそうなるのかもわからないというのが消費者としての不安だと思うのですね。これさえきちんとしてしまえば、先ほど唯根委員からも御意見がありましたような、通信料金か端末料金か、その辺もはっきりしない、さらに付加サービス料金もわからない状況も改善します。普通の商品、サービス契約であれば、それは当然ながら区分してわかるべきものだと思うのですが、電気通信事業に関しては一緒になっているし、端末料金の割引を通信料金でやるということが行われているわけですよね。

付加サービスについても、実際に要らないものを代理店が契約させて、一定期間内に解約すれば、その料金はかかりませんよという、消費者にとって非常に不利益なことが行われています。パブリックコメントでも消費者団体等から多分そういうことが寄せられると思いますけれども、そんなに時間を待っているような状況ではなくなってきているのではないかと思います。ですので、時間軸について、もう少し明確な御回答があればお願いしたいと思います。

○河上委員長 いかがですか。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 実は、研究会の場でも、この報告書(案)を議論するときに同様の議論がございまして、消費者サイドの委員の皆様から、この問題を長年議論しているので、もう待てない。今回初めて出してきたというわけではないのではないかという議論もありました。ただ、特に代理店さんについては、我々がこの話を聞いたのは、この春である。業界としても真剣に受けとめて、取組をきっちりやっていきたいから、そういう意味ではもう少し時間をくれないかということがありましたが、消費者団体のほうからは、いや、この問題は、おっしゃるように、そもそも知らなかったというのが問題じゃないですかという御議論もございました。

いずれにしても、中長期的に見ていくという話ではないのではないかという認識なのではないかと思いますけれども、そのあたり、総務省の研究会のほうでも御関心が高い分野で、今の段階で私のほうからどれがというところを言う立場ではないかなと思うのですけれども、いずれにしても、御指摘の点は、総務省のICTサービス安心・安全研究会でも認識いただいている問題で、それを報告書のところでどうまとめるかということで、現在の案はこうなっているわけでございます。その辺につきましても、またパブリックコメント等で御意見がございましたり、今日のこの委員会の議論も踏まえまして、研究会のほうで御検討いただくことになるかなと思っております。

○河上委員長 よろしいですか。

齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 私は、電気通信事業者と代理店の関係について質問します。

両者が健全にビジネスを行って、全体として電気通信事業が健全なビジネスになればいいと願っているわけです。ところが、実際にはキャンペーンなどで代理店が独自にやったものだから、電気通信事業者は知らないなどというトラブルを聞きます。そうすると、そのあたりをどのように是正していくのかというのが気になって、先ほどのレポートを見ておりました。

43ページに販売勧誘活動の在り方と書いていまして、「電気通信事業者等においては、数次にわたる代理店を把握した上で、適切な販売勧誘が行われるよう、監督体制を整備することが適当である」と書かれています。これはこのとおりだと思います。気になるのは、資本関係がない代理店をどのようにコントロールしていくのかということで、独禁法が気になるところです。そこをうまく、どのように運用するのかという議論がなされたのでしょうか。これを具体的に示さないと、恐らく壁に再度当たるような気がします。もし具体的に議論がなされたのであれば、御紹介いただきたいと思います。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 ここの部分につきましては、少なくとも中間とりまとめが行われた後は、この研究会の場では具体的な議論は、ここに特化した議論はなかったと記憶しております。

この監督の在り方につきましては、お手元の資料1-5の30ページに記載がございまして、構成員等からは、電気通信事業者及び代理店の構造が複数、多階層なものとなっており、把握されていない代理店が存在しているという指摘があったということで、再勧誘禁止等をきちんとやっていただく上でも、この電気通信事業者のほうで、まず監督をしっかりやってくださいということを踏まえた上で、事業者のほうでも全部把握し切れないという場合もあるのではとか、代理店のほうで違法な行為がどうしても行われてしまう場合もあり得るので、そういう監督については、総務省としても違法なものがあれば是正させていくという取組を行っていくことが適当ではないかということです。

この最後の部分につきましては、中間とりまとめの後の検討の進展なども考慮いたしまして、報告書の今の案でこれを盛り込んでいる状況でございます。

○河上委員長 よろしいですか。

○齋藤委員 ぜひ有効に機能する仕組みをつくっていただきたいと思います。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 ありがとうございます。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。石戸谷委員、どうぞ。

○石戸谷委員長代理 すみません、もう一点だけ。

契約関係からの離脱に関するルールの、クーリングと並んでもう一本の柱の禁止行為・取消しのところです。今回は禁止行為を定めて、取消しについては今後検討という話になっていて、脚注を見ると、消費者契約法の見直しの議論、動向も参考にしつつということが書かれているわけです。確かに消費者契約法の見直しの議論を進めるわけですけれども、各分野において、その分野に特徴的なというか、必要な禁止行為を定めて、それについて取消しできる効力を付すというのは、これは消費者契約法の見直しの議論と並行してやって全く妨げない話だと思います。

とりわけ、例えば特商法との横並びといいますか、考え方でいきますと、特商法のほうでも取引類型ごとに、その取引類型に応じた禁止行為を定めて、それに対して取消権を付与しているわけでありまして、そのことはそれぞれの取引類型について見ていけばわかるわけでありまして、訪問販売の場合の禁止行為と、その取消しと、特定継続的役務提供の場合の禁止行為と取消しというのは、条文というか、条項の数も違うし、一目瞭然です。それぞれの取引類型に応じて何が禁止行為の対象として必要なことであるかというのが、紛議の対象や何かを踏まえた上で明確にして、それに対して取消権を付与する形でやっておりまして、これが機能しているわけです。

それが重要だというのは、規範の明確化と苦情紛争の早期解決。一々裁判をやらなきゃいけないという重い制度では、簡易・迅速な紛争解決にはなかなかならないということがありますので、この分野は特にその配慮が必要であると思いますので、この点についてもぜひ考慮いただきたいと思います。

○河上委員長 何かお答えになりますか。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 現状を言いますと、そもそも電気通信は禁止行為の規定も明確にないということでございますので、まずこれを明確に決めるべきだろうということです。その上で、取消権を付与することがどうかという論点でございますので、そういったところについて検討してまいるということでございます。

結局、消費者にとって重要なのは、実際に禁止行為があって、そういうことがあったときに取り消すという効果が得られるかどうかということかと思ってございまして、要するに法律で権利として義務付けないと、本当にそういうことが担保されないということなのか、禁止行為があれば、実際上、取消という効果が提供されるようになるのかということも含めて、業界としての在り方も含めた上で、取消権的なものもないとだめなのかどうかというところも検討した上で、いずれにしても、この取消についてということは検討課題となってございます。

そういうところにつきまして、報告書(案)が仮にこういう方向でまとまりましても、制度化に向けて検討してまいりたいと考えてございます。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 この問題を考えますときに、消費者にとって仕組みが非常にわかりづらいということがずっと言われてきて、そのためによりわかりやすく、さらに消費者の利益を十分保障するという意味で、この検討が重ねられてきたと思うのですけれども、当初御説明がありましたように、苦情・相談の数も高どまりしていて、減る見通しがないような状況に来ているということは、業界団体がそれぞれにお取り組みをされていても、苦情・相談が増え続けているという現状を受けとめていただかないといけないと思います。

中間報告のときに、事業者と利用者の間の情報の非対称性とか交渉力の格差が拡大する傾向になって、利用者が非常に契約内容とか役務の品質を理解して契約することは困難であるということをきっちり把握していらっしゃいまして、あの報告書をおつくりになったわけです。ですから、そういう意味で、さらに消費者保護のルールがあの報告より、ある意味後退したような印象を受けるというのは、業界団体にとっても決していいことではないと思います。

お示しの1-5の38ページから、見直し・充実に関する要望というものが、私どもの消費者委員会を含めて、さまざまな消費者団体から寄せられているという現実を重く受けとめていただきたいと思います。

一般の社団なり、そういう業界団体がお取組されるのはいいのですけれども、通信事業者の、さらにその先にある販売店・代理店、今もお話が出てきましたけれども、そういうところを、業界として全てを把握し切れていないという現状がおありになると思うのです。そうしますと、業界団体で取り組みますとおっしゃっていても、そこからはみ出るところがかなりありますと、消費者に対して不利益な契約というのが引き続き続いていく状態は解消できないのではないかという懸念を持っております。

それから、苦情・相談処理体制のところも、もちろん業界が取組をしていくことに対して、「総務省が積極的に支援、推進していくことが適当である」。それは確かに適当なのですけれども、そこはきちんとやっていただかないと、業界だけに任せていると、業界からはみ出ているところ。先ほど販売者、勧誘活動のところは、総務省が監督体制をきちんと整備することが適当だとおっしゃいましたけれども、苦情・相談処理のところも、ある程度総務省がきちんと監督体制を整備することにかかわっていただくことが必要ではないかと、こんなふうに思うわけでございます。

あと、クーリングオフのところは同じでございまして、消費者をますます混乱させるのではないかという意見がほかの委員からも出されましたけれども、消費者にとってわかりやすいルールを目指すことが一番大事ではないかと思います。それは、条文に書き込む文字とはまた別の問題かもしれませんけれども、そこに対してはきちんと議論してほしいというところ、要望なりでございますけれども、以上でございます。

○河上委員長 特に返事はよろしいですか。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 今、おっしゃられました消費者にとってわかりやすく、例えば苦情が減っていくとか、消費者の保護の程度が向上するということを実現していくのが本当に重要と思っておりまして、そこはきょう御出席の先生方とも認識は全く変わりはないと思ってございます。

ただ、中間とりまとめで案が出た後、それを具体化していくという中で、ある意味実質的に実現するためには、何をどういうふうに進めていったらいいのかというところも加えて検討した上で、現在、報告書(案)としてはこういうものになっているわけでございますけれども、実質的に進めていくということが重要と考えておりますし、そこは総務省としてしっかりやっていくべきところということも、よく認識してございますので、引き続き消費者委員会の先生方からの御指導等も受けつつ、取り組んでまいりたいと考えてございます。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。

この消費者委員会でも何度か総務省さんにお越しいただいて、この問題についてヒアリングをいたしました。最初のころはなかなかいい返事がなくて、ある段階からは事業者に一度ちゃんとやらせてみる。取組も始まっているから、もう少しその様子を見てからというお話があって、消費者委員会としてはだめ押しをするように、様子を見ても状況が変わらなかったら法制度に取りかかってくださいという意見書を出したという経緯がございました。それを考えますと、今回、中間報告でそれにきちんと応えていただいたということで、委員会としては大変高く評価をしたところでございます。

余り高く評価し過ぎて業界の方々を驚かせたのかと、ちょっと反省しているところもあるのですが、中間報告から後退した部分の幾つかが、様子見を少ししてみたいというか、事業者団体の方がこういう取組をするからとおっしゃっている部分を酌んだ形での表現で、後退しているような印象をどうしても受けてしまったのですね。だから、そういうことではないということを確認していただきたいなと思いました。

きょう、いろいろ意見ございました。クーリングオフの話とか、それから取消権ももうちょっと様子を見てからという言い方だったけれども、それは様子を見る必要は全然ないことなのですという話とか、それから、先ほどの取消しした際にSIMロック解除をすることはいいことだけれども、それとは別に、品物だけは手元に残ってしまうような状態が生ずることは、それは避けたほうがいいでしょうという指摘もございました。いずれもごく当たり前の議論だろうと思いますので、その辺も十分検討しながら、最終案に向けて取りまとめをしていただければありがたいと思います。

現在、パブリックコメントにかかっているということですので、パブリックコメントの結果などを踏まえまして、今後、関係法令の改正案の策定が行われると承知しておりますけれども、これまでの問題状況をしっかり踏まえて、消費者が契約の内容を十分理解して、この商品を利用できる取引環境の実現を図っていただきたいと思います。とくに、実質的な選択権というものを消費者に確保するということを第一に考えていただきたいということが第1点と、消費者トラブルの防止に十分な実効性が確保されるように、民事ルールを含めて、消費者保護ルールの見直し、充実について積極的に推進していただくようにお願いしたいと思います。

きょうは、今回の報告書について委員の間から疑問点がたくさん出ましたけれども、少しでもよいものをという気持ちからですので御許しいただいて、今後、制度化に向けてどうぞ頑張っていただければと思います。

総務省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

○総務省吉田総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長 どうもありがとうございました。いずれにしても、制度化に向けて取り組んでまいるというところは変わりございませんので、どうぞよろしくお願いいたします。

(総務省退室)

≪3.消費者契約法専門調査会の設置について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者契約法専門調査会の設置について」ということでお諮りしたいと思います。

既に御紹介したとおり、本年8月5日、内閣総理大臣から当委員会に対しまして、消費者契約法について、その実体法部分、すなわち契約締結過程ならびに契約条項の内容に係る規律のあり方を検討されたいということを内容とする諮問が行われたところでございます。また、消費者庁におかれましては、本年3月から9月にかけて、消費者契約法の運用状況に関する検討会が開催され、今月15日にその検討結果が取りまとめられた報告書が公表されております。大変充実した検討結果が文書となっているところでございます。その前にも、消費者委員会でワーキングチームが論点整理を行ったという経緯もございます。

こうした経緯を踏まえまして、当委員会で諮問事項について検討することがこれから必要になってくるわけでありますけれども、消費者契約法というのは適用範囲が大変広いということがあり、各方面に与える影響の大きさ、それから専門性を確保するという観点なども考慮いたしまして、消費者委員会における調査審議体制を強化するために、今般、消費者委員会に消費者契約法専門調査会を設置して、諮問内容の検討に当たりたいと考えております。

お手元に消費者契約法専門調査会の設置・運営規程(案)を配付しておりますので、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○金児企画官 資料2を御覧ください。設置・運営規程の案ですけれども、基本的には委員会の過去の専門調査会の設置・運営規程の例に倣って案を策定してございます。

第1条の総則、第2条の専門調査会の設置については、従来の専門調査会と同様でございます。

第3条専門調査会の所掌でございますけれども、これは諮問の内容についての調査審議をするということを所掌としております。

第4条調査会の設置についても、従来の専門調査会についての規定と同様でございます。

次のページの第5条の第3項から第5項までは、オブザーバーと参考人の出席に関する規定でありまして、本年7月の下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせを受けまして、追加等をしてございます。

このうち第3項につきましては、専門調査会に属さない委員は、あらかじめ座長に届け出ることにより、専門調査会にオブザーバーとして出席できるというものですけれども、これまでの規定では「オブザーバーとして」という部分がなく、単に「専門調査会に出席できる」となっておりましたが、ここに「オブザーバーとして」という文言を追加しております。

第4項は新たに追加したもので、専門調査会に属さない臨時委員、専門委員や行政機関職員等のオブザーバーとしての出席についての規定です。

第5項も新たに追加したもので、これは参考人の出席についての規定でございます。

次に、第6条、第7条は、従来と同様でございます。

第8条が調査審議に当たって、消費者庁の協力を得るとしてございますけれども、これは課徴金の専門調査会のときもそうでしたけれども、消費者庁から諮問を受けて審議を行うという経緯でございますので、消費者庁の協力を得ることとしてございます。

第9条、第10条は、従来と同様でございます。

御説明は以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。

この設置・運営規程(案)について、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。よろしいですか。

広くいろいろな御意見を伺う必要がございますので、委員の先生方にはできるだけ時間をつくって参加をお願いしたいと思います。オブザーバーの形でありますけれども、もちろん発言等はできるわけでありますから、意見を述べていただくことも結構でございますので、積極的に参加をお願いいたします。規定案の内容については、よろしいですか。

それでは、消費者委員会に消費者契約法専門調査会を設置し、消費者契約法専門調査会設置・運営規程を決定いたしたいと思います。どうもありがとうございました。

本日の議題は以上になります。


≪4.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○金児企画官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページ等を通じてお知らせいたします。

この後、委員間打ち合わせを開催いたしますので、委員の皆様におかれましては委員室のほうに御移動いただくようお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)