第137回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2013年11月26日(火)16:00~19:09
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
- 【委員】
- 河上委員長、石戸谷委員長代理、岩田委員、高橋委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
- 【説明者】
- 金融庁 齋藤 総務企画局市場課長、鎌田 総務企画局市場課市場取引対応室長、中澤 総務企画局市場課市場法制管理官、
八木 監督局証券課証券監督管理官、五十嵐 証券取引等監視委員会事務局証券検査課特別検査官、伊佐 証券取引等監視委員会事務局開示検査課主任証券調査官 - 経済産業省 石崎 商取引・消費経済政策課長
- 農林水産省 得田 食料産業局商品取引グループ長
- 警察庁 柴山 生活安全局生活経済対策管理官、刑事局捜査二課特殊詐欺対策室担当者
- 内閣官房 濱島 情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官、瓜生 情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官
- 総務省 松井 総合通信基盤局電気通信利用者情報政策室長
- 消費者庁 浅田 消費者政策課長
- 【事務局】
- 小田事務局長、大貫参事官
議事次第
- 開会
- 消費者基本計画の検証・評価・監視について
(1) 金融取引について(商品先物取引における不招請勧誘禁止規制について)- 金融庁 齋藤 総務企画局市場課長
- 金融庁 鎌田 総務企画局市場課市場取引対応室長
- 経済産業省 石崎 商取引・消費経済政策課長
- 農林水産省 得田 食料産業局商品取引グループ長
- 金融庁 中澤 総務企画局市場課 市場法制管理官
- 金融庁 八木 監督局証券課 証券監督管理官
- 金融庁 五十嵐 証券取引等監視委員会事務局証券検査課 特別検査官
- 金融庁 伊佐 証券取引等監視委員会事務局開示検査課 主任証券調査官
- 警察庁 柴山 生活安全局生活経済対策管理官
- 警察庁 刑事局捜査二課特殊詐欺対策室担当者
- 内閣官房 濱島 情報通信技術(IT)総合戦略室 内閣参事官
- 内閣官房 瓜生 情報通信技術(IT)総合戦略室 内閣参事官
- 総務省 松井 総合通信基盤局電気通信利用者情報政策室長
- その他
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:9KB)
- 【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングの対象施策等(PDF形式:103KB)
- 【資料2】 商品先物取引における不招請勧誘禁止規制に関する意見
- 【資料3】 「総合取引所」における商品デリバティブ取引に係る不招請勧誘規制のあり方について(金融庁提出資料)(PDF形式:146KB)
- 【資料4】 商品先物取引法における 不招請勧誘の禁止について(経済産業省、農林水産省提出資料)(PDF形式:461KB)
- 【資料5】 投資詐欺関連資料(金融庁提出資料)
- 【資料6】 高齢者の消費者取引トラブル関連資料(金融庁提出資料)
- 【資料7】 クラウドファンディング関連資料(金融庁提出資料)
- 【資料8】 パーソナルデータに関する検討会について(内閣官房提出資料)(PDF形式:535KB)
- 【資料9】 スマートフォンにおける利用者情報の適切な取扱いに関する取組(総務省提出資料)(PDF形式:711KB)
- 【資料10】 食品表示部会関連資料
- 【資料11】 新開発食品調査部会関連資料
- 【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:93KB)
≪1.開会≫
○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会本会議(第137回)」を開催いたします。
本日は、所用により、阿久澤委員、齋藤委員、夏目委員が御欠席となっております。
それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。
○大貫参事官 配付資料ですが、議事次第の裏にございますように、資料1~資料11まで、及び参考資料として、委員間打合せ概要をお配りしております。
なお、委員長から、本日、第137回の本会議ということで、本会議という名称を使っていただきました。これにつきましては、消費者委員会という組織の名称と消費者委員会という従来の会議の名称が全く同じで、わかりにくいということで、本日より、本会議という名称で呼ばせていただくことになりました。
なお、配付資料の不足がございましたら、事務局までお申出いただきますようお願いいたします。
以上です。
≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫
○河上委員長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。
本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。
当委員会においては、毎年春秋の2回にわたって、計画中の具体的施策の進捗状況について、関係省庁に対してヒアリングを実施しております。今般、計4回の委員会本会議において、関係省庁に対するヒアリングを行い、今年度前半までの具体的施策の進捗状況の検証・評価並びに今後の課題等について、検討を行いたいと考えているところであります。
本日は、その第3回目といたしまして、第1に金融取引、第2に個人情報保護、いわゆるビッグデータの問題について、関係省庁からヒアリングを行いたいと思っております。
なお、前回と同様、消費者庁消費者政策課の浅田課長にも御出席いただいておりますので、必要が生じた場合は、適宜、御説明をお願いいたします。
(1)金融取引について(商品先物取引における不招請勧誘禁止規制について)
○河上委員長 最初に、金融取引のうち、商品先物取引における不招請勧誘禁止規制に関してでございます。金融庁、農林水産省、経済産業省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本件に関しては、今月12日の第135回消費者委員会本会議において、「商品先物取引における不招請勧誘禁止規制に関する意見」を発出いたしました。意見は、資料2-1、意見の概要は資料2-2
にあるとおりでございます。
本日は、商品先物取引における不招請勧誘禁止規制に係る検討状況について、当委員会の意見を踏まえた対応があれば、その点についても含めて御説明をお願いしたいと考えております。
まず、金融庁から御説明をお願いいたします。説明時間については、短くて恐縮ですが、15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○金融庁齋藤総務企画局市場課長 金融庁総務企画局の市場課長をしております齋藤でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、私どもにこうした形で説明、意見聴取の機会を設けていただき、ありがとうございます。本日の消費者基本計画施策番号47は、委員長からのお話にもございましたとおり、もともとは商品先物取引法ということで、農林水産省及び経済産業省が御担当というふうに承知しております。しかしながら、本日、私ども金融庁もお招きいただきました。私どもとしては、金融商品取引法を所管する立場から、平成24年の改正金融商品取引法の施行に向け、いわゆる総合取引所における商品デリバティブの取扱い、その場合の適用される規制に関してということで、御説明をさせていただきたいと存じます。
まず、お手元に資料をお配りさせていただいております。右肩に資料3と番号を振っていただいている資料でございます。こちらの資料に沿いまして、総合取引所に関するこれまでの経緯、また、私どもの不招請勧誘規制に関するこれまでの考え方について、御説明をさせていただきたいと存じます。
まず、資料1ページをお開きください。「総合取引所に係るこれまでの経緯」ということでございます。先生方、御存じの方も多くいらっしゃるかと思いますけれども、総合取引所と言われますものは、金融と商品という取引の垣根を取り払って、利用者利便の向上、取引所の国際競争力の強化をねらいとして検討が進められてまいりました。
1ページにございますように、最初にこの方向で議論を始めていただいたのは、第1次の安倍内閣のとき、いわゆる「骨太の方針」の中で「取引所において、株式、債券、金融先物、商品先物など総合的に幅広い品揃えを可能とするための具体策等を検討し、結論を得る」ということで閣議決定をいただいたものでございます。その後、政権交代がございましたけれども、政権交代後もこの方向での検討が進められ、昨年、平成24年9月に「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が成立・公布され、総合的な取引所の法律的な枠組みが整ったわけでございます。
資料の2ページでございます。総合取引所の法律的な枠組みでございますけれども、右側、文章部分に書かせていただいておりますように、金融と商品にまたがる部分について、法律的にはどのような枠組みになっているかと申しますと、商品デリバティブ取引を金融商品取引所において取り扱えることとする、という形で整えられたわけでございます。その際、その総合取引所における商品デリバティブ取引につきましては、内閣総理大臣、具体的には金融庁が一元的に監督する。ただ、実際にデリバティブ取引の原資産である商品について、監督官庁である農水省、経産省さんとの間での協議、連携という規定もあわせて盛り込まれているということでございます。こうした形で、一つの取引所において、一つの業者が、金融・商品双方の取引を投資家、顧客に対して提供できる枠組みが整ったということでございます。
その上で、今回、お尋ねをいただいております不招請勧誘規制をどのようにしていくのかということを、次に御説明させていただきたいと存じます。資料の3ページにお進みいただければと存じます。
総合取引所は、あくまでも法律的な枠組みとしては金融商品取引法のもとで金融庁が監督する取引所でございますので、私どもが、金融商品取引法の中でこれまでデリバティブ取引の不招請勧誘規制について、どのように考えてきたのかということを御説明申し上げたいと存じます。その点について記述をさせていただいておりますのが、資料の3ページでございます。
金融商品取引法におきましては、従来から、その取り扱う商品の商品性、取引の実態、勧誘の態様等によって投資家が損失を被ることがないかといった点を総合的に勘案した上で、店頭デリバティブ取引と取引所デリバティブ取引に分けて規制の考え方を整理しております。店頭デリバティブ取引につきましては、業者が自由に商品内容を設計でき、価格の透明性も低く、投資者被害が発生しやすいという性質に鑑みまして、不招請勧誘を禁止いたしております。
一方で、取引所デリバティブ取引につきましては、その商品の周知性や透明性が高いことから、不招請勧誘規制の対象外としつつ、自主規制ルールによるリスク説明の徹底を含め、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により投資者保護の充実を図ってきたところでございます。具体的には、例えば、自主規制の中で取引開始基準というようなものを策定する。その中で、顧客の年齢、資産状況、あるいは投資経験といったことに基づいた基準を策定し、それを遵守してもらうという形で投資者保護を図ってきたわけでございます。
少し説明の仕方を変えさせていただきますと、現行の金融商品取引法におきましては、法令のみならず自主規制を含めた規制全体の枠組みの中で、投資家への勧誘、販売に当たりまして、個々の顧客の状況、年齢、財産、投資経験といったことですけれども、そうしたものに応じた対応、勧誘のあり方を確保する。言い方をかえれば、顧客の状況に適合した勧誘のあり方を確保する。これは適合性原則と言われているものでございますけれども、これを徹底していくという考え方を基本としているところでございます。
また、こうした法令のみならず、自主規制まで含めた規制全体の実効性を確保するために、金融庁あるいは証券取引等監視委員会といった規制当局に加えまして、日本証券業協会あるいは取引所の自主規制法人といった、自主規制機関との連携体制のもとで検査・監督の徹底を図ってまいったところでございます。
今、申し上げたのが、これまでの金融商品取引法におけるデリバティブ取引に関する不招請勧誘規制の考え方でございますけれども、それでは、総合取引所における商品デリバティブ取引について、どのように考えていくのかという点でございます。資料の4ページにお進みいただければと存じます。平成24年の改正金融商品取引法の関係政府令の整備に関しましては、本年6月に閣議決定された規制改革実施計画において、総合取引所における行為規制については、「垣根を取り払い横断的に市場環境を整備するとの基本的な考え方のもとで、関係法令を整備する」とされているところでございます。
御説明申し上げてまいりましたように、もともとの総合取引所というものの考え方、すなわち、金融取引と商品取引の垣根を取り払って、利用者利便の向上、国際競争力の強化を目指していくという考え方、それから、本年6月に閣議決定されました規制改革実施計画の内容。さらには、これも今、御説明させていただいたところでございますけれども、これまでの金融商品取引法上の不招請勧誘規制の考え方を踏まえた上で、私どもとしては、今般整備する関係の政令において、総合取引所における商品デリバティブ取引の規制のあり方をまさに検討しているところでございます。
11月12日に公表されましたこちらの委員会の意見書については、丹念に熟読させていただきました。こちらの委員会の意見書、あるいは消費者委員会というお立場からすると、消費者保護、私どもの言葉遣いで言えばむしろ投資家保護ということになるのかもしれませんが、そうした保護を十分に図っていく必要がある点について、私どもはもとより異論があるわけではございません。金融商品取引法におきましても、その目的規定の中で投資家保護がうたわれているわけでございます。
ただ、先ほど来申し上げましたように、私ども金融商品取引法の不招請勧誘規制の全体的な枠組みは、法令のみならず自主規制も含めた規制全体の枠組みの中で、十分な水準の投資家保護を図っていくことでございますので、そのような考え方に立って検討を進めてまいり、来年3月に予定されておりますこの改正金商法の施行のタイミングまでに、関係の規定の整備を図りたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、農林水産省及び経済産業省における検討状況につきまして、両者を代表する形で、経済産業省から御説明をお願いしたいと思います。説明時間は10分程度でお願いできればと思います。
○経済産業省石崎商取引・消費経済政策課長 経済産業省の商務流通保安グループの商取引・消費経済政策課長の石崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
農林水産省さんも含めたペーパーにつきまして、金融庁さんから少し制度の説明がありましたので、そこははしょりながら説明させていただきたいと思います。
資料をめくっていただきますと、1ページ目に、不招請勧誘の禁止についてペーパーがございます。これは、金融庁のほうで既に御説明をされているということで、詳細は省略させていただきます。
2ページ目、商品先物取引法につきましては、法律、政令、省令の3段階で規定しておりまして、法律において不招請勧誘を禁止する旨を一般的に規定し、政令において、禁止の対象となる契約としての、1、2というところで規定しております。省令におきましては、例外的に適用除外となる場合を規定いたしまして、1、2、3ということで掲げております。詳細については、また後ほど、もし御質問がありましたらその中で説明したいと思います。
3ページ目が、商品先物取引に係る苦情・相談件数でございます。商品先物取引に係る苦情・相談件数は、委託者保護に関する累次の法律改正、過去3回法律改正がございましたが、その中で全体の苦情・相談件数は、ピークから見ますと8分の1。国内商品市場取引に係る苦情につきましては、苦情・相談件数は約25分の1に減少しているという状況でございます。
4ページ目は、PIO-NETの苦情・相談件数について、規制の段階別に件数と内訳を見たものであります。これで見ますと、再勧誘禁止規制(平成17年施行)による効果というのは顕著でありまして、その後はその効果が定着している。オレンジ色は、かつて100社以上会社がありましたが、その中で現在営業を行っている業者の勧誘に対するものでございます。逆に言えば、その差分というのは、過去のかつて営業を行っていた会社のものも含まれているということでございます。
5ページ目は、平成24年受付分の苦情・相談件数について、その内訳を見ると、既に廃業した業者などに関する苦情・相談件数が約半分にのぼります。現在の許可業者によるものは、右側の円グラフのマル4のところですが、大体半分になっているということであります。
6ページ以降につきましては、経緯が書いてございます。
1つ目の参考1は産構審の報告書でございます。平成21年2月、商先法の改正のときの不招請勧誘の禁止規定の導入の範囲について、これは消費者委員会の中でも御議論があったかもしれませんが、いわゆるプロ化と言われる路線について少し打ち出したときの報告書でございます。3-(3)の中段ぐらいからありますけれども、「商品先物取引のうち、特に危険性が高く、被害も実際に多数発生しているような取引類型については、不招請勧誘行為自体を禁止することには一定の合理性が認められる」ということで、政令指定をする中で、店頭商品先物取引、海外商品先物取引については指定をすることが適切、もしくは指定を検討する必要がある。また、国内商品先物取引、これは取引所取引ですけれども、これにつきましては、「近年、苦情・相談件数自体が大きく減少していることから、その推移を見守ることが適切である」、そういった指摘が産構審でなされております。
しかしながら、7ページの参考2に「改正商品取引所法審議における附帯決議」とございます。衆参、多少の違いはありますけれども、比較的似た内容でございますが、不招請勧誘の禁止に、店頭取引のほかに、初期の投資以上の損失が発生する可能性がある取引所取引を政令指定の対象とすることという、衆参の委員会の決議が出ております。
8ページ目でありますが、これは直近の産業構造審議会の商品先物取引分科会の報告書です。この中では、多様な取引参加者の拡大ということで、プロ化というところに比べますと、個人投資家の役割を明記しているところに特徴がございます。第3章1ポツ(4)のマル2でございますけれども、外務員の役割として、委託者保護の徹底、それに加えまして、商品市況や資産運用に関する相談に的確に対応しうるよう資質の向上を図るべきである、という指摘がございます。
産構審の報告書のマル2でございますけれども、平成21年の衆参両院での附帯決議で、不招請勧誘の禁止対象の見直しについての検討というのが指摘されておりまして、それの是非についてということで書いてございます。
1ポツの、「不招請勧誘の禁止について」ですけれども、商品先物取引に係る苦情等の件数は着実に減少しており、一定の効果を上げている。一方、不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しかたっておらず、相談・被害件数の減少と禁止措置の関係を十分に見極めることが難しいため、引き続き効果分析を試みていくべきである。その上で、将来において不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により、再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である、という指摘がございます。
拡大するか否かにつきましては、現時点においては拡大が必要な状況にはないと考えられ、引き続き規制の効果と被害の実態を検証していくべきである、ということになっております。
今後の検討の方針でございます。金融庁さんからもございましたが、参考5に、本年6月の「規制改革実施計画」、この中で10の「行為規制の整備」、これは金融庁から御説明がありましたとおり、「垣根を取り払い横断的に市場環境を整備するとの基本的な考え方の下で、関係法令を整備する」。12の「顧客勧誘時の適合性の見直し等」は、商品先物取引法に特記されている内容で、これは後段でございますが、「勧誘等における禁止事項について、顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行う」、平成25年度措置ということなので、25年度に検討を行うことになっております。こういった方針に従いまして、私どもとしては、今年度中を一つの目途として検討を行うことになっております。
11ページ、これは参考でございますが、商品先物取引業者に対する不招請勧誘禁止以外の主な規定でございます。
1ポツは、悪質な取引業者の排除でございまして、商先法につきましては、6年ごとの更新の許可制ということで、商品先物取引におけるトラブルが非常に多かった平成10年~16年に主務省から行政処分を受けた事業者22社のうち、17社が既に廃業しているということで、厳格な監督を行ってきたと考えております。高齢者及び低所得者に対する勧誘といたしましては、政府の監督指針において、75歳以上、年収500万円未満という数値を明示した上で、実質上の勧誘を制限しております。自主規制団体につきましては法定化をしておりまして、平成10年の商品先物取引所法の改正により、業界の振興部門を分離し自主規制団体ということに特化しております。その他、4ポツ、5ポツという措置もとっております。
12ページですけれども、私どもの認識といたしましては、国内商品市場を取り扱う商品先物取引業者及び登録外務員数は激減している。赤線が登録外務員数、青棒が商品先物取引業者数です。また、月間平均取引枚数については、実は、2009年~2013年、数字上は全体の取引件数は比較的横ばいにも見えますが、この間に海外の取引が相当増えてきております。逆に申しますと、国内の取引、これは2010年と2012年を見比べていただければ、24%減少ということで、相当程度減っているというのが私どもの認識でございます。
今般、消費者委員会から意見書をいただきました。これは金融庁さんと同様でございまして、消費者側の御意見ということで重々承りつつ、基本的には10ページの規制改革実施計画の中にありますように、「勧誘等における禁止事項について、顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行う」ということで、検討を行ってまいりたいというのが私どもの考え方でございます。
以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、30分ぐらいの枠組みで、御意見、御質問等を承りたいと思います。よろしくお願いいたします。
石戸谷委員長代理、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 消費者委員会で意見を出させていただきましたけれども、それを精査しつつ、なお検討中ということなので、若干お尋ねいたします。
金融庁の資料3ですが、考え方として、3ページに不招請勧誘規制の考え方がまとめてあります。この22年9月13日というのは、不招請勧誘禁止の対象商品を拡大したときのものですね。見直しの内容が2ポツにありますけれども、その前の1ポツに見直しの方針というのが大前提としてございます。(1)は、そこに要約してあるようなことで、不招請勧誘規制の対象範囲については次のことを総合的に勘案していく必要があるということで、マル1は商品性だと思います。マル2は、執拗な勧誘や利用者の被害の発生といった取引の実態と、被害実態を踏まえなさいということが大前提としてございまして、マル3で、強引な勧誘等に対し投資者の投資判断力が不十分であること等により、損失を被ることがないか。これも、言ってみれば被害実態を踏まえたことだと思いますけれども、そういうものを踏まえて、総合的に勘案して検討せよというふうになっております。
それを踏まえますと、それまで金商法の対象でなかった商品先物取引業が新たな総合取引所の中に入ってくる場面において、商品取引においては今まで非常にたくさんの被害があって、データ的にも出ていますが、我々弁護士も全国でたくさんの裁判をやって、判決も非常に集積しております。法改正の都度、国会で議論されて、審議が積み重なって、先ほど石崎課長からお話がありましたような附帯決議や何かというのをずっと踏まえて、国会の中でも非常にトラブルが多い実態が周知されているわけです。そういった実態を踏まえて、見直しというものを考えていく必要があるのではないか。司法の判断、国会の議論の経緯、それと、全国から不招請勧誘禁止を撤廃すべきでないという意見や要望が続々と来ておりまして、本日現在で31件。全国の弁護士会の会長声明とか、取り組んできた消費者団体からの要望等の意見が届いております。それだけ被害が多く、取組みの実績が長いということです。そういうものを重く受け止めて検討すべきではないかと思いますけれども、そこはいかがですか。
○金融庁齋藤総務企画局市場課長 私ども、検討するに当たって考えなければいけない要素が幾つかあろうと思っております。その中の一つが、おっしゃったように、これまでの取引に伴う被害の実態というのでしょうか、そういった面もあろうかと存じます。他方で、先ほど私からも簡単に御説明させていただきましたように、もともと総合取引所というものをつくっていくことの考え方は、一つの取引所において金融の取引と商品の取引の双方について、規制の垣根の隔てなく行えるようにしていく。それを通じて投資家の利便を図る、ひいては取引所の魅力を増すことによって、国際的な取引所間の競争の中でも伍していける日本の取引所をつくっていくということでございます。
したがいまして、私どもとして考慮しなければいけない要素というのは、両面と言うのでしょうか、御指摘いただいたように、これまでの被害の実態という点で申し上げれば、商品先物取引についていろいろあったことは私どもも当然承知しております。ただ、それに関しては、先ほどの経済産業省さんの説明にもありましたように、被害自体は減少している。これは恐らく一つの事実だろうと思っております。もちろん、それで現状において十分なのかどうかという点は十分に考慮しなければいけないと思っております。
もう一つ、これも繰り返しになって恐縮ですけれども、総合取引所という規制の垣根を取り払った取引所をつくっていくという観点で考えたときに、どのようなありようにすべきなのか。さらに申し上げれば、先ほど御説明させていただきましたとおり、私どもの金融商品取引法におきまして、投資家保護を考えていくときのベースになっている考え方というのは、適合性原則ということでございます。投資家の特性に応じた勧誘が行えるようにということでございます。
そうした適合性の原則を考えたときに、不招請勧誘を禁止するというのは、そもそも投資家に接触することを禁止するということですので、適合性云々の前にというのでしょうか、入口時点でそもそも投資家に接触させなくするということでございますので、これはある意味、最終的な選択肢なのだろうというふうに思っているわけでございます。したがいまして、石戸谷委員長代理から、委員会の意見を踏まえてもなお検討中なのですかというお尋ねがありましたけれども、不招請勧誘を禁止するというのは、ある意味では究極的な手段であろうと思っております。一足飛びに結論としてそこに行くということではなくて、その前の段階で、適合性原則の徹底が本当に図れないのだろうか、ということを十分に精査した上でないと結論を出せないと思っておりますので、そこの検討をさせていただいているということでございます。
○石戸谷委員長代理 わかりました。一つには、総合取引所の点ですけれども、総合取引所の実現については、取引所の合併、事業譲渡等で総合取引所にして、そこに商品デリバティブを上場するというわけですので、それ自体は不招請勧誘とは直ちに結びつかない話ではないか。ある意味で、総合取引所というのはできるのではないか。我々はそれに反対しているわけではないので、そこは誤解のないようにお願いしたいということ。
それと垣根を取り払いというところの関係ですけれども、金融商品取引法の適用のデリバティブにおいても、何を不招請勧誘の禁止対象にするかというのは、政令で指定して府令で除外するという二段階の枠組みで、最終的に何ができて、何ができないかというのを決めているわけです。そうしますと、そこに商品デリバティブが入ってきたときも、金商法の対象のデリバティブとしては、多様なデリバティブの中のワンオブゼムになってしまうわけです。ですから、その商品特性にこれまでの被害実態、その他を踏まえて、何を不招請勧誘禁止の対象にするか、しないかというのは、ほかのこれまでの金商法適用対象デリバティブで何を対象とするか、しないかという、その辺の選択と全く矛盾しない。横断化は既にされていて、ワンオブゼムの中で何を対象とするか、しないかという振り分けをするだけなので、全く横断化に矛盾しないと思います。それが一つ。
適合性原則の関係につきましては、きょうは適合性の原則のテーマもその2であるので、そっちのほうで議論をすればいいのではないかと思っていましたけれども、既に出てきているので、若干言及したいと思います。
店頭FXとか、あの辺も適合性原則が期待できないということで、金融先物取引法のときに、取引所取引、店頭取引にかかわりなく不招請勧誘禁止の対象にしたということで、究極といっても、不招請勧誘禁止の対象も、金融先物取引法のときと金商法のときでは違っているし、金商法でも、出していただいた当初の対象商品と22年の個人の店頭デリバティブ全般に拡大すると、このときで違っている。ですから、商品デリバティブを新たに持ってきたときに、そういうことで何を対象にするかというのは横並びで考えればいいだけの話で、適合性についても、全くこれまでの経緯を踏まえて比較すればいいのではないかと思います。
それと、適合性原則について、経済産業省のほうも今まで、行政処分等を盛んに出してこられて、そういう意味ではかなり執行をやってみえたと思います。その執行と、金融商品取引法になった場合の執行とどこが違うのかということをちょっと疑問に思います。せっかく経済産業省がいらしているので、経済産業省におかれては、検査体制がどのくらいの体制で、何社を検査して、どのくらい行政処分を出してきたのかということを御紹介いただきたい。次に金融庁のほうに、証券取引等監視委員会がやられるのか、財務局との関係はどうするのかわかりませんが、とりあえず証券取引等監視委員会のほうで、どのくらいの体制で、どのくらいの検査先を持っておられるのかというところを御紹介いただければと思います。
○河上委員長 最後の点について、農水省からお願いします。
○農林水産省得田食料産業局商品取引グループ長 検査を実施しておりますので、経産省と共同でやっているので同じ答えにはなりますので、御報告申し上げます。
25年について見ますと、検査件数は9件しております。24年は12件、23年は12件。大体こういったペースで、着実にしっかりと検査をしているということでございます。
処分件数、公表件数ございますけれども、例えば24年について申し上げますと、公表件数は2件でございます。25年は今のところ、3件公表しておりまして、先ほどいろいろ御説明がありましたが、我々としては執行の部分についても適切にやっているというふうに考えております。
以上です。
○石戸谷委員長代理 検査官の数とか、検査先の数とか、その辺を御紹介いただければと思います。
○経済産業省石崎商取引・消費経済政策課長 これは定員ベースですけれども、農林水産省、経済産業省の検査・監督定員は約133名あります。そして、商品先物業者ですけれども、国内商品市場取引を行う商品先物業者の数が32社でございます。そのほか、海外先物とか、店頭がありまして、これを含めると55社という数字になっております。
○河上委員長 ということは、かなりきめの細かい指導ができているという理解でよろしいですね。
○経済産業省石崎商取引・消費経済政策課長 はい。
○河上委員長 では、金融庁さん、お願いできますか。
○金融庁齋藤総務企画局市場課長 何点か御指摘をいただきましたけれども、件数、定員といったところを先にお答えさせていただきたいと存じます。先ほども私から御説明をさせていただきましたように、金商法の枠組みの中では、当局による検査以外に自主規制団体による監査もあわせて実施しているわけでございます。ここ3年ぐらいのところで見ますと、監視委員会による検査、自主規制団体による監査、両方あわせて150~160社に対して毎年検査を行っている、そんな状況でございます。
定員でございますけれども、今、申し上げたような件数を行うに当たって、金融庁、証券取引等監視委員会の検査・監督の定員については、約500名の人員を擁しているところでございます。
処分件数については、申しわけございません。今、手元にデータがございませんので、いかがいたしましょうか。よろしゅうございますか。済みません。その上で、御指摘いただいた1つ目、あるいは2つ目の点について、私どもの考え方を若干申し上げさせていただきたいと存じます。
まず、総合取引所実現の中で、規制の垣根を取り払うことについての考え方でございます。繰り返しで恐縮ですが、一つの取引所で扱われるさまざまな商品について、例えば同じ取扱業者である証券会社が、顧客である投資家の態様にあわせて、適切な組み合わせで顧客に対してその商品を提示できることが必要だろうと思っております。そういう意味では、仮に総合取引所で取り扱われることになった商品デリバティブ取引を不招請勧誘規制の対象にして、これは、投資家から要請がない場合には勧誘してはいけないということにしてしまうと、証券会社が投資家に対して何がしか投資の提案、ポートフォリオの提案を行うときに、投資家のほうから、個別具体的にこれについてということでの要望がなければ、証券会社は、金融商品あるいは金融デリバティブ、金融先物については、その提案の中に含めることができるけれども、商品デリバティブについては含めることができないことになってしまうわけでございます。これが本当に投資家にとって利便を損なわないのかどうかという点については、十分に検討しなければいけないのではないかと思っているということでございます。
それから、適合性の原則の関係でございます。先生御指摘のとおり、もとより私ども、適合性原則と、どの範囲について不招請勧誘を禁止するかということについて、過去いろいろと変化があったことは事実でございます。ただ、現状において、取引所におけるデリバティブ取引、現状においては金融デリバティブですけれども、そこについては不招請勧誘の禁止は行っていないわけでございます。仮にそこで商品については禁止するということになると、業者が投資家に対して何がしか提案するときに、本当は商品デリバティブを含めることで、投資対象を分散化することによってリスクを抑えることの提案が可能であるにもかかわらず、場合によってはできなくなってしまうことになっていいのかどうかということ。
もう一点、先生のほうから御指摘があったところで、FXについては、もともとは店頭だけではなく、取引所のFXについても不招請勧誘が禁止されていたのではないかという点。これは全くもって御指摘のとおりでございます。ただ、その点に関して申し上げますならば、取引所でのFX取引について、もともとは不招請勧誘が禁止されていたものをその禁止対象から外したわけでございますけれども、禁止対象から外したことによって、FX取引について何がしか投資家の方の被害が拡大するとか、そういった問題が発生したかというと、少なくとも私ども承知している限り、そういったことはないのではないかと思っている次第でございます。
○石戸谷委員長代理 今の、証券会社がいろいろな商品を出すときに不便だとかいう話については、要請があれば別にいいわけですね。要請がないときの話でありまして、それと、先ほどもお話ししましたけれども、対象を何にするかというのは、政令で指定して府令で除外する。府令で除外する先が、取引経験者だとかいろいろ列挙されているわけです。だから、その辺で支障を来さないような工夫があり得るのではないかという点だけ、一つ、指摘しておきたいのと、適合性原則の処分件数というのは、調べるまでもなく、1件しかありません。名前を出しては悪いから、名前は出しませんけれども、某社1社しか行政処分は出していないでしょう。
それと、検査先ですけれども、150~160というのは定期的にやっているところの話だと思いますが、そうではなくて、検査しなければいけない対象がどのぐらいあるのかという話だったので、金融法務の雑誌によると、2010年段階で検査先が8,000ぐらいあるという報告が出ています。その程度なのかどうかということ、そこを尋ねしておきます。
○金融庁齋藤総務企画局市場課長 先ほど、私ども当局の検査と自主規制団体による監査とあわせて年間150ないし160と申し上げましたけれども、この自主規制団体は日本証券業協会でございます。そちらに加盟しております第1種の金商業者ということで、数で申しますと、300社程度が検査の対象の会社数ということでございます。
○河上委員長 唯根委員、お願いします。
○唯根委員 経産省さん、農水省さんに伺います。商品先物取引法の審議会に出ていたので、平成21年、先ほど、6ページから始まる資料のほうで御説明いただいたあの当時、要はプロアマ化を図ろうということで、一般委託者というか、消費者を巻き込まないような市場にしていこうという取り組みで、そこから始まって、不招請勧誘禁止、要は、望んでもいない、それこそ理解もできない一般消費者を勧誘するのはいかがなものかということで、ようやくこの規制を入れていただいた経緯があったと思います。
その意味では、去年の審議会でも、多様な取引参加者の拡大というところを先ほど御指摘のプロ化というふうにおっしゃられた。ここでの個人というのは、一般消費者ではなくて、それこそ商品先物を必要とする個人事業者というのでしょうか、そういう方までの拡大であると消費者委員会側の委員としては理解していたわけです。そこからすると、4ページ、5ページで、被害の件数が少なくなったという御指摘をいただいていますけれども、32社の許可事業者さんで、まだ66件も勧誘の問題で消費者からの苦情があるということは、プロ化がきちっと図られているというふうに御認識いただける状況なのでしょうか。そこをお尋ねしたいと思います。
○経済産業省石崎商取引・消費経済政策課長 農水省さんから補足があるかもしれませんけれども、昨年の産業構造審議会の商品先物取引分科会、私も事務局としておりました。プロ化というのが何を定義するかというのは難しいわけですけれども、商品先物取引の特徴といたしましては、ちょっと金融商品と異なる点というのは、商品の生産流通のためのリスクヘッジということですから、いわゆる当業者、石油の事業者ですとか、商社ですとか、そういった事業者がいるわけです。一方におきましては、リスクテイカーということで、これが一般的な投資家に近いところで、機関投資家もおれば、海外投資家もおれば、個人の投資家もいる。そんな構造になっているわけです。
当時の議論といたしましては、これは人数を再度確認する必要がありますが、一般論で申しますと、石油ですとか、穀物などもそうかもしれませんが、流動性が不足している。生産や流通のリスクヘッジという意味での産業インフラとしての機能が、今、なかなか果たしにくい状況になっている。トレンドで見ましても、一般的な出来高の減少率というのはありますけれども、特にエネルギーとか、穀物ですとか、そういった産業政策上、重要なところのリスクヘッジに支障を来している状況がある、そんなことが言われていたと思います。
そんな中で個人投資家についての見方は、確かに消費者の委員の方々と事業者の方々で、多少見方が分かれていたのは事実でございます。一般的に申しますと、海外ですとか、いわゆるプロップハウスという専門の取引業者、こういったのが入ってくるにしても、やはり個人の投資家がいないと現実にはなかなか入りにくい状況にあるという意味では、取引参加者の拡大が重要なのではないかというところはあると思います。商品先物取引法の場合、これは金融商品のほうはあれかもしれませんけれども、適合性の原則というのはかなり厳格にやっております。年収要件とかありますから、いわゆる低所得者とか、判断能力というか、高齢者とか、そういうのは実態上、かなり排除されています。そういったものを排除した中の投資家、どれだけ法令遵守のもとでこういった投資を増やしていくのか、これは一つの課題としてはあると思っております。
○河上委員長 岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 不招請勧誘の禁止の緩和ができるかどうかというのは、ぜひ、被害の実態をしっかり見ていただきたいと思います。先ほど御説明いただいた資料の中には、被害件数自体は減少しているという御説明があったのですが、経済産業省、できれば金融庁にも同じことをお尋ねしたいと思いますが、経済産業省の資料の9ページに平成24年時点の報告書の抜粋があります。下から2つ目のパラグラフ、「その上で、将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として」というところですが、次の行の後半にいきますと、「再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である」と書いてあります。これまで例えば苦情件数が減ってきているとか、そういうことをしっかり踏まえるというのは当然ですけれども、仮に規制緩和をしたときに、再び被害が拡大することがないということの確証が得られると。これの証明責任は規制緩和を判断される側にあると思いますので、なかなかこれは難しいことだと思いますけれども、この点についてどのくらい重く思っておられるのか。具体的にはこれはどうやって判断されようとしているのか、そのあたりをお尋ねしたいと思います。
○経済産業省石崎商取引・消費経済政策課長 産業構造審議会の報告書というところで、そこに書いてありますとおり、苦情・相談の件数は着実に減少している。それから、法律改正ですとか、コンプライアンスの取組みが一定の効果を上げているという中で、実態として消費者・委託者の保護の徹底が定着したと見られて、読んでいただければわかりますとおり、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により、再び拡大する可能性が少ないと考えられるということです。我々といたしましては、これはこのときの報告書の考え方ですけれども、不招請勧誘の禁止以外の代替措置、これはさまざまあると思いますが、そういったもので被害の拡大する可能性が少ないという状況、これを見極めた上で判断する。これはここに書いてあるとおりでございます。
もちろん、実態というのはよく見なくてはなりません。それから、何度も申しますけれども、商品先物取引というのは、商品の生産流通の観点から言いますと、ある種の産業インフラとしての側面があります。特に現下のエネルギーが非常に不足している中で、市場をつくっていくという中において、流動性の拡大という政策的な要請もあるわけです。それと顧客の保護に留意する、その両方のバランスをとっていくことであると考えております。
○金融庁齋藤総務企画局市場課長 それでは、御指名でございますので、こちらの産構審の報告書は、基本的には商品先物取引法の世界についての御意見だと思いますけれども、私どもの総合取引所における商品先物取引、商品デリバティブ取引についてどのように考えていくのかという点でございます。先ほど来の説明の繰り返しみたいで恐縮ですけれども、私ども、法令プラス自主規制も含めた規制全体の枠組みの中で適合性原則を徹底し、投資家保護を図っていく、かような考え方に立っているわけでございます。そういう意味では経産省の説明とだぶる部分がございますけれども、不招請勧誘の禁止以外の規制措置というところで、どこまできちんと適合性原則の徹底を図り、商品先物取引、商品デリバティブ取引にかかわる投資家の方の保護を図っていけるのかというところを、今、まさに私ども検討を行っているということでございます。
○河上委員長 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 今、経産省さんからも、金融庁さんからも、代替措置のお話が出たのですが、具体的にどういうものを検討しているのかを出していただかないと、我々としては意見も言えない状況になりつつあるということをまず申し上げたいと思います。今ここで出せないにしても、3月までというプロセスの中で、どこでどういうふうに出していただけるのか、我々が意見が言えるような形にしていただけるのかというのは、ぜひ教えていただきたいと思います。
それから、お話を伺っていて、特に金融庁さんですが、想定している投資家、あるいは投資者像というのが、そちら側とこちら側に大きな隔たりがあるというふうに私は感じました。損失が生じる可能性のある金融商品、つまりリスクの高い取引というのは、そもそもそれに自ら魅力を感じる人たちがやることが健全な市場の発展に資するものであって、まだ何もわからない、特に不招請勧誘という、必要な心構えとか、知識とか、経験とか、そういうものが備わっていない人が、不意打ち的にといいますか、魅力的な言葉で誘われて取引を開始する。それで不測の損失が生じる可能性があるものに対して、不招請勧誘の禁止をずっと検討してきたというふうに、かつての金融審の委員として思います。
ただ、御説明の中で、リスクの説明を徹底するとか、勧誘のときの説明の問題をとてもおっしゃったのですが、説明すればリスクが移転するというふうな議論が行われたのは、金融商品販売法のときでございます。それではだめで、顧客の理解、納得が必要なので金融商品取引法になった、私はそのように理解しているのですけれども、間違っておりますでしょうか。そうだとしますと、OECDの調査等で出ていますように、日本人の金融リテラシー、とりわけ投資に対する知識、複雑な金融商品を含めてですけれども、知識のレベルというのは非常に低いわけです。ですから、代替的な措置を講じる以前に、適合性の判断以前に教育をやっていくことが大切だということだと思います。金融庁のほうでも、そういう会議をいろいろやっていらっしゃるわけですけれども、商品先物についてやっているわけでもなく、まだまだ国民の金融リテラシーのレベルがそこまでいっていないのに、今、なぜ緩和するのですか、というのが正直な思いでございます。
○河上委員長 金融庁さん、まず、スケジュール感のようなものがありましたら、それから教えていただけますか。
○金融庁齋藤総務企画局市場課長 先ほど来御説明させていただきましたように、私ども、不招請勧誘の禁止に係る部分も含めた政令あるいは府令を、来年の3月までに手当てをしなければいけないと考えているわけでございます。その上で、委員から御指摘をいただきました仮に不招請勧誘の禁止以外の措置ということになると、具体的にどういうものなのかということですけれども、申しわけございません。現時点ではまだ検討中でございまして、きょう、この場で私どもから御説明できる段階には至っていないということでございます。
ただ、来年の3月までには、仮に不招請勧誘を禁止しないということになればということで、そこはいずれにせよ結論が出ているわけではございませんので、誤解のないようにお願いいたしたいというふうに思いますけれども、不招請勧誘を禁止しないということになった場合、それでは、代替というのでしょうか、具体的にどういう措置を講じることで投資家保護を図っていくのか。その点については、こちらの委員会から御要請があれば説明をまたさせていただければと思いますし、具体的に私どもの検討の進捗状況がどうなのかというあたりについては、事務局と随時御連絡を取らせていただければというふうに思う次第でございます。
また、御指摘のありました、日本人の金融リテラシーというのでしょうか、あるいは金融教育の現状について、不十分ではないかという御指摘。これは、私どもとしても非常に耳が痛いところでありますけれども、ごもっともな部分はあろうかと思いますので、そこは我々も、これまでも取り組んできているところですけれども、引き続き努力を重ねてまいりたいと思っている次第でございます。
その上で、商品先物取引にかかわることになる個人投資家像のイメージが、少しずれているのではないかという御指摘をいただきました。この点について、一言だけ補足させていただきます。これは、商品デリバティブ、商品先物に限りませんけれども、先物取引というところで、少ない証拠金で大きな想定元本、ポジションをとって投資をする。そうしたリスクのある形での投資を行う投資家、これは、金融あるいは投資に関する十分な知識が求められるというのは、これはもっともですし、そのとおりだと思っております。
ただ、これも済みません、釈迦に説法みたいになって恐縮でございますけれども、先物取引を利用する場合の利用目的といいますのは、そうした少ない証拠金、元手で大きなポジションをとるという、いわゆるスペキュレーション(投機)と呼ばれる先物取引の利用のほかに、ヘッジという取引の活用方法がございます。例えば個人の投資家の方であっても、個人の方で自営業をされていて集配等で車が必需である。あるいは、公共交通機関の便が悪いところにお住まいで、車が日常の足として必需品であるという方にとっては、ガソリン価格がどう動くのかというのは非常に大きな関心事になるわけでございます。今のガソリン価格ならばいいけれども、この先、例えば中東情勢とかいろいろな要因でガソリン価格が大きく上がったら困るという方。あるいは寒冷地にお住まいで、ストーブとかファンヒーターで灯油が必要な方で、灯油価格が上がったら困るという方が、今の価格がいいからといって、あらかじめ買って備蓄していくわけにはいかないわけですけれども、例えば向こう半年なり1年なり、必要と思われるものについて先物取引のところで買っておく。
その上で、仮に実際にガソリン価格なり灯油価格が上がれば、普通は現物と先物と同じように価格が動くわけですから、買っておいた先物の価格も上がっているので、その先物を売却することによって利益が出て、それによって、現実に上がってしまったガソリン価格なり灯油価格の上昇分を補てんできる。あるいは、もし仮に価格が下がってしまった場合、先物取引において損は出るわけですけれども、現実にガソリンの価格なり灯油の価格なりというのは下がっているわけですから、そこである意味では埋め合わせができる。そういう使い方を可能なわけでございます。
そうしたヘッジという使い方というのは、決して取引の本質上、リスクを伴うわけではない。むしろリスクをヘッジする取引でございますので、そういう使い方もあり得るということは念頭に置いておいていただければというふうに思う次第でございます。
○河上委員長 石戸谷委員長代理、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 別にヘッジが不要だとか、そんなことを言っている覚えは全然ありません。それと、やりたい人がどんどんやるというのは反対しているわけでも何でもない。FXはほとんど店頭だと思いますけれども、400万口座ぐらいに増えていますからね。今どき、電話訪問で総合取引所で商品先物取引をやりませんかというようなビジネスモデルを展開して、市場を少しでも取引を増やそうという発想そのものが、おかしいのではないか。被害実態をよく見ていただきたいと思います。判決が山ほどありますよ。それを少しでも見ていただければ、どういう実態で被害が発生したのかというのはわかりますから、お願いしますよ。
適合性原則については、代替措置というのが自主規制機関もあるというので、適合性原則で、かつ、それを自主規制機関でというふうな雰囲気が漂っていますけれども、それは全くおかしいというのは、後で適合性原則のテーマがありますから、そこでまた御指摘させていただきます。
○河上委員長 どうぞ。
○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 先ほど来、齋藤から、自主規制も含めた規制の枠組みの中でという話をしておりますが、自主規制、つまり日本証券業協会が定めたルールに違反した場合、どうなるかということですが、この場合も当局が業務改善命令を出す、あるいは、報告徴求を求めた上で業務改善命令を打つことは可能です。それから、業務改善命令になお違反する場合、これは業務停止命令、あるいは登録の取消をすることも可能でございます。もちろん、不招請勧誘を法令で定めて、それに違反した場合は法令違反ということになるわけですけれども、自主規制のルールに違反した場合であっても、当局の措置は、同様に最終的には登録取消まで取ることができるということは、補足して申し上げておきたいと思います。
○河上委員長 いろいろ議論をし始めるとなかなか大変なのですけれども、御承知のように、今、高齢者の投資被害というのは決して少ないわけではない。老人の命ガネというのがそもそも投資の原資になるような性格のものかということでして、先ほど来、「投資家」という言葉が出てくるのですけれども、消費者と、投資家として、つまり投資を意図してそこに出かけていく人間とは、区別しないといけないのではないかという感じがいたします。初期の投資額以上にさらに損失まで出るというリスクの高い商品が、高齢者の命ガネで博奕にかけられるというような状況が本当にいいとは誰も思っていないのではないかという気がします。
高齢者に対する不当勧誘が、もしこれで緩和されたときに、再燃しないということについて、果たして確信を得るだけのデータが、今、あるかということも問題です。そういうデータがないにもかかわらず、大体大丈夫だろうということで、ほかのものも混ぜてやっていけば何とかというふうに考えるのが果たしていいのかどうか。商品先物取引における不招請勧誘禁止規制というのは、非常に長い間にわたる訴訟や国会の審議を受けてできたものでありまして、先人の努力によって積み重ねられてきたものです。これらの先人の努力の賜物をここで無にしてしまうことが、どれほど重い意味を持つかということをよく考えていただく必要があります。たくさんの消費者団体や弁護士会から意見書が届いている現状から考えても、消費者委員会としては、少なくとも現状よりも後退する形で保護の水準を下げることは、あってはならないということが意見書の背景にあったということです。
もう一つ、商品先物取引所が少なくとも米に関して残りそうだという話ですけれども、商品先物取引所取引の今の規制水準と、総合取引所取引に係る部分での規制水準とに、言ってみればギャップが生じる部分ができます。悪貨は良貨を駆逐するではないですけれども、そのギャップのところで、両方とも緩めてしまえという話になってしまう可能性も出てくるのではないかと大変憂慮しているわけであります。委員会としての問題意識を、きょう、委員からもいろいろお話しさせていただきましたので、その辺を十分考慮の上、これからの検討を進めていただきたいと思います。
金融庁、農林水産省、経済産業省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
(2)金融取引について(第二種金融商品取引業等について)
○河上委員長 続きまして、金融取引のうち、いわゆる第二種金融商品取引業等について、議論を進めたいと思います。金融庁、警察庁にお越しいただいております。お忙しいところをありがとうございます。
近年、いわゆるファンドへの出資に関する消費トラブルが増加しております。ことしの消費者白書では高齢者の消費トラブルが特集されておりますけれども、その中でもファンド型投資商品が相談件数のトップに挙がっています。ファンドの販売勧誘については、原則として、金融商品取引法における第二種金融商品取引業の登録を受けた業者が行うこととされております。加えて、この例外として、一定の要件を満たすことにより、届け出のみでファンドの募集及び運用を行える適格機関投資家等特例業者があります。第二種登録業者については、ことしの春ごろに、多額の顧客資産が他に流用される中で勧誘を継続し、顧客に虚偽のことを告げていたMRIインターナショナルの問題が明るみになったところであります。また、以前より、悪質な適格機関投資家等特例業者が販売・運用するファンドによる投資家被害が多発しております。特に、高齢者を中心とする投資経験の乏しい消費者がねらわれていると言われているところであります。
本日は、このような背景から、第二種金融商品取引業者及び届出業者に係る消費者被害に対する対応等について、金融庁及び警察庁から伺いたいということと、金融商品に係る適合性の原則についても、先ほど若干議論がありましたけれども、この点についても金融庁から御説明をお願いしたいと考えております。
さらに、盛りだくさんでありますが、最近、新たな資金調達の制度としての検討が行われています、いわゆるクラウドファンディングについて、その政策的効果をどう評価して審議がなされているのか。また、消費者保護上の問題について審議内容がどういう状況にあるか。金融庁から御説明をお願いしたいと考えております。
まず、金融庁から御説明をお願いいたしますが、説明時間につきましては、申しわけございませんが、15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 金融庁証券課の八木と申します。本日はよろしくお願いいたします。
まず初めに、適格機関投資家等特例業務届出者及び第二種金融商品取引業者に係る、消費者被害の実態及び被害防止対策の実施状況について、御質問をいただいているところでございまして、まず、そちらからお答えさせていただきます。
適格機関投資家等特例業務届出業者に対する監督でございますけれども、金融庁では、悪質な業者の特例業務の届出を排除すべく、平成24年4月1日に内閣府令と監督指針の改正を行ったところでございます。具体的に申し上げますと、届出事項に適格機関投資家の名称を追加するといった内閣府令の改正を行ったほか、届出者の受理時の確認事項として、例えば投資事業有限責任組合の実態の有無ですとか、組成の手続の適法性などを確認するということを、確認項目として追加する旨を監督指針に記載したところでございます。
また、金融庁では、適格機関投資家等特例業務届出業者、この後は届出業者と述べさせていただきますが、それにつきまして、行う業務に関し、苦情等の情報が寄せられた場合には、実態を把握するよう努めるとともに、虚偽告知ですとか、無登録金融商品取引業といった違法な行為が認められた場合には、金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針に基づきまして、当該行為を直ちに取りやめるよう警告しております。
さらに、金融庁では従前から、届出業者に対する警告書の発出などの事実につきまして、一般の方々に周知を行い注意喚起を行うといった観点から、警告を行った会社名だけでなく、代表者名、所在地等につきまして、金融庁及び財務局のホームページにおいて公表するとともに、届出業者の場合、通常、届出業者一覧というところにホームページ上載っておりますけれども、そちらから削除いたしまして、問題があると認められた届出業者リストに移行するといった、被害拡大防止に向けた取組みを進めているところでございます。
次に、無登録でファンドを行う業者に対する対応についても、追加で御質問をいただいていると聞いておりますので、それについてもお答えさせていただきます。
当庁におきましては、無登録業者に関する情報が寄せられた場合、被害の拡大を防ぐ観点から、これも当庁の監督指針に基づきまして、実態把握に努めているところでございます。その結果、無登録業者の存在を把握した場合には、当該無登録業者に対して違法な営業行為を直ちにやめるよう求める警告書を発出するとともに、一般の方々への注意喚起のため、警告書を発出した事実等を金融庁ホームページで公表すると同時に、警察、消費者庁、監視委員会といった関係機関との間で無登録業者の情報を共有するといった、被害の拡大防止を図るための取組みを推進しております。
こうした取組みの中、無登録でファンド業務を行う者に対しては、その被害の拡大防止の観点から、23年度1件、24年度1件、25年度は、11月21日までの時点ですけれども、9件の警告書を発出してその旨を公表しているところであり、傾向としては増加傾向にあると考えております。
また、併せて投資者保護の観点からさまざまな対応を行っているところでございます。最近は、その例として、これは資料5-1ですが、当庁のホームページ等において「金融庁や証券取引等監視委員会の職員を装った投資勧誘等にご注意ください!」といった注意喚起を行ったり、詐欺的投資勧誘被害の未然防止に係る金融機関に対する要請を実施しております。具体的には、投資勧誘被害未然防止のために、金融機関においても、顧客に対する店頭での積極的な声がけですとか、被害の水際防止のための取組み強化をしていただくよう、要請しております。その際に、5-2
のパンフレットもあわせて配布するといった対応を行っているところでございます。
続きまして、監視委員会のほうから御説明いたします。
○金融庁五十嵐証券取引等監視委員会事務局証券検査課特別検査官 証券取引等監視委員会の五十嵐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、無登録でファンド業務を行う者に対する監視委員会の対応状況ということで、御説明をさせていただきます。
私ども証券取引等監視委員会では、近年、無登録業者による未公開株式ですとか、ファンド等の販売勧誘、これに係る消費者の被害が拡大し社会問題化している状況を踏まえまして、金融商品取引法上の重大な違反行為を行う無登録業者、これには金商業、無登録で業として行う適格機関投資家等特例業務届出者も含みますけれども、これらに対しまして、その違反行為をやめさせるために、金商法192条を活用した裁判所への申立を行うことによりまして、その違反行為者に対する禁止命令等を求めていくことが必要だと考えております。今年度、平成25年度の私どもの証券検査基本方針、ここにもその旨を明記しておりまして、これを対外的にも公表しているところでございます。
裁判所への申立でございますけれども、これは、平成20年の金商法改正によりまして、証券監視委員にも与えられた権限でございます。それ以降、私どもは無登録業者に対する情報を収集し、分析活動を進めておりまして、平成22年、ここで初めて、無登録で株式等の勧誘を業として行っていた業者等、これらに係る申立てを裁判所に行いまして、裁判所から違反行為に対する禁止命令等が発出されているところでございます。その後もこの制度の活用を図ってきておりまして、無登録金商業の違反行為につきましては、これまで4件の申立を行いまして、いずれも裁判所の禁止命令が下っているところでございます。
最近の事例でございますと、今月12日になりますけれども、無登録で集団投資スキーム持分、具体的には匿名組合契約ですけれども、この募集等の取扱いを行っていた業者等につきまして、東京地方裁判所に対する金商法192条の申立てを行ったところでございます。併せて、同日付けで監視委員会のウェブサイト上におきましても、この無登録業者の名称、代表者名、法令違反行為の内容、これらを公表しまして、一般投資家あるいは消費者に広く周知して注意喚起を行うとともに、金融庁にも情報提供を行ったところでございます。ちなみにこの事例につきましては、本日、裁判所の禁止命令等が下されております。後刻、監視委員会のホームページにもその内容がアップされる予定になっております。
また、このような無登録業者に係る調査結果につきまして、あるいは、そこで得られた情報につきましては、必要に応じて、消費者庁ですとか、捜査当局にも情報提供を行っているところでございます。監視委員会としましては、限られた人員の中でございますけれども、関係機関と連携しまして、こうした裁判所への申立制度の活用によりまして、引き続き、無登録業者の違法な行為に厳正に対処したいと考えております。
以上でございます。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 先ほど、警告を行った届出業者に関する公表を行っていると申し上げましたが、資料を追加させていただきましたので、こちらを付言いたします。
続きまして、第二種金融商品取引業者に対する監督対応について、申し上げます。
金融庁・財務局では、第二種金融商品取引業者に関する情報、苦情等が寄せられた場合であって、当該情報が法令違反や悪質な投資勧誘を行っている疑いがある場合には、当該業者に対しヒアリングや報告徴求等を行いまして、実態把握をしているところでございます。その内容については、当然、証券取引等監視委員会とも情報共有しております。
平成24年度の第二種金融商品取引業者に対する検査件数は、20件でございましたが、そのうち2件につきましては、ファンド勧誘の際に顧客に虚偽の事実を告げていたとか、ファンドの出資金も流用していたといった、重大な法令違反が認められましたので、監視委員会からの勧告を受け登録取消を行っております。25年度につきましても、10月末の時点で、先ほどお話がありましたMRIも含めまして4件の登録取消を行っております。また、MRI事案の問題を踏まえまして、本年11月21日から実施中の金融商品取引業者等に関する内閣府令等の改正のパブリックコメントにおいて、以下の点を盛り込んでいるところでございます。
一点は、契約締結前交付書面の記載事項の追加でございますが、具体的には、金融商品取引業者が事業型ファンド持ち分の販売を行う際に、顧客にあらかじめ交付する契約締結前書面において、ファンドの資金の流れ等を記載事項とするですとか、事業報告書の記載事項の追加、具体的には、事業報告書において金融商品取引業者が販売を行ったファンドの一覧ですとか、各ファンド別の詳細な事項等を記載事項としまして、より監督のほうでそういったことを把握できるような措置を、今、パブリックコメントをかけているところでございます。
続きまして、高齢者の消費者取引トラブルについて、適合性原則の遵守状況及び対策についてということで、御説明させていただきたいと思います。
当庁におきましても、特に高齢者の顧客に対する対応につきましては、問題意識を持ってきたところでございます。本事務年度の監督方針におきましても、特に高齢者については、顧客の立場に立ってこまめに相談に乗るといったことや、商品性、リクス特性について顧客の理解が確保されるためのきめ細やかな取組みですとか、トラブルの未然防止、早期発見に資する取組みを、勧誘から受注、約定、モニタリングといった各段階において行っているかについて、監督の着眼点とする旨を明記したところでございます。
さらに、自主規制団体であります日本証券業協会におきましても、高齢顧客については、短期的に投資判断能力が変化する場合ですとか、視力、聴力などの低下により、契約内容について十分な理解が困難となる場合がある、といったことを考慮されまして、高齢顧客に対する勧誘・販売について、自主規制規則の導入を検討してきたところでございます。具体的には、協会内のWGにおいて、本年7月から9月にかけまして、WGを延べ6回開催し、その結果、本年10月29日に高齢顧客に対する販売勧誘に関する自主規制規則を新設するとともに、当該規則を受けたガイドラインを制定したところでございます。こちらは本年12月16日に施行することとなっております。
これにあわせまして、当庁においても、本年11月1日に、高齢顧客に対する金融商品の勧誘・販売について、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正を公表しまして、パブリックコメントの手続を開始したところでございます。これについては資料6-1につけております。また、自主規制規則の改正の内容については、資料6-2
にガイドラインの概要等を添付させていただいております。
監督指針の改正案につきましては、日証協の自主規制規則の改正も踏まえまして、当局としても、高齢顧客に対する勧誘販売に関する社内規則を整備するとともに、社内規則の遵守状況をモニタリングする体制を整備しているか、また、商品の販売後においても、高齢顧客の立場に立ってきめ細やかに相談に乗り、投資判断をサポートするなどの、丁寧なフォローアップを行っているか等に留意して監督する旨をお示ししているところでございます。こちらは今、パブリックコメント中でございますけれども、パブリックコメントに寄せられた御意見を踏まえながら、また、こちらも成案に向けた作業を進めてまいりたいと思っております。
長くなりましたが、以上でございます。
○金融庁中澤総務企画局市場課市場法制管理官 続きまして、市場課市場法制管理官の中澤でございます。
ちょっと流れが変わってしまいますけれども、クラウドファンディングについての審議状況について、簡単に御説明させていただきます。資料7-1~5までですが、7-1のイメージの図をまずごらんになっていただければと思います。
クラウドファンディングにつきましては、一般的には、2ページに書いていますが、「新規・成長企業と投資家等をインターネットサイト上で結びつけ、多数の投資家から少額ずつ資金を集める仕組み」と言われています。1ページの図で見ますと、真ん中の仲介者というところがサイト運営者になるところでございまして、右側の有価証券の発行者が新規・成長企業でございます。金融審におきましては、新規・成長企業へのリスクマネーの供給を促進するという観点から、金融仲介機能の取組みをあげようということで、株式形態を含めてインターネット等を通じた資金調達の枠組みができないかということで、議論をしているところでございます。
クラウドファンディングには、投資型以外にもいろいろございます。2ページに表をつけさせていただいておりますが、金銭によるリターンの場合は投資型になりますけれども、例えば商品、サービスでリターンが返ってくる場合は購入型。リターンがなく、単純な寄付というのが寄付型と言われていますが、このうち、金融審では投資型のところのルールを整備しようということで議論を進めさせていただいているところでございます。
3ページ、なぜこういう議論が盛り上がってきたかということでございます。米英を中心にこういう動きが出てきているということで、各国ともルールの整備等が進められているということがその背景にあるところでございます。
最後に、金融審での議論の概要でございますが、7-4をごらんになっていただければと思います。いろいろな意見がございまして、やはり少額のものをつなぎ合わせることが重要ではないかという意見がもちろん出ていますし、仲介者がサイトで情報を提供することになりますが、その役割をしっかりする必要があるという話。それから、全部法令で規定するのはなかなか難しい世界でもありますので、自主規制機関の役割が重要になってくるといったような意見を、今、やっているところでございます。年内に金融審では、制度設計、必要な事項について取りまとめをすることになっているところでございます。
私からは以上です。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
続きまして、警察庁から御説明をお願いいたします。説明時間については、10分ほどでお願いできればと思います。
○警察庁柴山生活安全局生活経済対策管理官 警察庁生活経済対策管理官の柴山でございます。
まず、施策番号60番について説明を求められておりますので、それについて御説明をさせていただきます。資料はございません。口頭でさせていただきます。
私ども警察では、金融商品取引法や、いわゆる出資法などに違反して行われる事犯を利殖勧誘事犯と申しておりまして、最重点で取り締まることにしております。この方針につきましては、警察内部の全国会議などを通じて、その旨、都道府県警察に対して指示を行っているところでございます。その結果、平成25年、ことしの上半期でございますが、利殖勧誘事犯の検挙事件数は22事件、検挙人員が93人、検挙法人数が5法人、被害に遭われた方が約7,800人でございました。
また、この種事犯を行う犯罪者は、被害者からだまし取ったお金を銀行口座に振り込ませているほか、消費者向けのさまざまなサービスを悪用することがございます。例えば送りつけ商法。送りつけ商法というのは、健康食品などを注文していないにもかかわらず、注文したとして、一方的に高齢者の方々に健康食品などを宅配便で送りつけ、代金を取る商法でございます。送りつけ商法で宅配便の代金引きかえサービスを悪用する例がございました。つまり、宅配便の配達員が代金を回収しまして、宅配業者を介して悪質業者が金を回収するというシステムでございました。
このような現状に鑑みまして、まず銀行口座に関しましては、被害者からこれ以上お金が振り込まれないようにするため、あるいは、被害者のお金が口座から引き出されないようにするため、お金の振込先の口座名を、その口座が開設された金融機関に対して迅速に伝えまして、金融機関によって口座が凍結されるようにしているところでございます。
また、悪用されたサービスの事業者に対しまして、悪用した者との契約を解約するなどしていただきたいという要請をしているところでございます。先ほどの代金引きかえサービスの例で申し上げますと、宅配便の事業者に対しまして、送りつけ商法を行っていると認められる事業者との間の代金引きかえサービスを、解約していただきたいと要請しているところでございます。このように、消費者向けのさまざまなサービスが犯罪に悪用されることを防ぐ対策を、私どもとしては推進しているところでございます。
さらに、警察では、高齢者の方などが利殖勧誘事犯の被害に遭わないよう、ラジオ、ホームページ、パンフレット、チラシなど、さまざまな広報媒体を通じて注意を喚起するようにしております。警察庁ではそのホームページにおきまして、「悪質業者は“うそつき”です」といった標語。どういうことかと申しますと、うまい話は信用しないの「う」、相談するの「そ」、つられて返事をしないの「つ」、きっぱり断るの「き」、こういった標語をつくりまして広報しているところでございます。
このほか、最近、高齢者宅などに食材を配達している業者というのがありますし、健康飲料の配達業者というのがありますので、そういった方々の御協力を得まして、広報啓発用のチラシが配達先、すなわち高齢者の方のところに届くようにしていただいているところでございます。
こうした私どもの取組みとか、消費者庁、金融庁、あるいは自治体などの関係機関、団体が同じような取組みをしていると認識しておりますので、こういった取組みの成果だと思いますが、ここ数年、利殖勧誘事犯に関する消費生活相談はどちらかというと減少傾向にあると、私どもとしては認識しているところでございます。
今後の私どもとしての取組み方針でございますけれども、確かにここ数年、そういった消費者生活相談は減少傾向にありますが、依然として多額の被害が発生していること。例えば、先ほど説明しました22事件の検挙事件における被害総額は約100億円でございます。前年が約245億円にのぼっております。依然として多額の被害が発生していることと、被害者に占める高齢者の割合が高いこと。平成25年上半期の消費生活相談におきまして、契約当事者が65歳以上の高齢者であるものの割合が約73%でございました。そういったことを踏まえますと、私どもといたしましては、引き続き、利殖勧誘事犯を最重点として取り締まってまいります。
また、消費者向けのさまざまなサービスが犯罪に悪用されないための対策、これを私どもは「犯行助長サービス対策」と言っておりますけれども、これらの対策を推進しまして、検挙と抑止の両面の対策を強化していきたいと考えているところでございます。
続きまして、ヒアリング項目の適格機関投資家等特例業務届出者、第二種金融商品取引業者についての、消費者被害の実態及び被害防止対策の実施状況でございます。私どもといたしましては、平成25年上半期の利殖勧誘事犯の検挙件数22事件、これを類型別に見ますと、いわゆる集団投資スキーム、あるいはファンドに関係するものが3事件でございました。この3事件の被害者が約720人、被害額が約3億円5,700万円にのぼっている状況でございます。
この3事件のうち1件が集団投資スキーム、いわゆる任意組合への出資の関係の事件でございまして、もう1件が投資運用業に関する事件、あと1件が、合同会社の社員権募集でございました。この合同会社の社員権募集につきましては、被疑者が適格機関投資家等特例業務の届出を行っておりましたけれども、その当該届出によっては社員権募集ができないにもかかわらず、社員権募集を行っていたものでございます。これら3事件のうち、被害者からのお金の振込先として預貯金口座が利用されていたのが2事件ございましたので、その口座につきましては口座名を銀行に伝えているところでございます。
なお、利殖勧誘事犯におきましては、私ども警察が、お金の振込先として利用された口座の口座名を、口座が開設された金融機関に提供しておりますけれども、こうした情報提供した口座につきましては、一定の手続を経た上でその他の多くの金融機関にも情報提供をしているところでございます。つまり、ある金融機関で口座凍結された口座の名義人の方が、同一の名前で他の金融機関に口座開設を申し込んでも、事実上、口座開設が難しくなるような対策を行っているところでございます。
引き続き、私ども警察といたしましては、適格機関投資家等特例業務届出者や第二種金融商品取引業者に関する事案を含みます利殖勧誘事犯、これを最重点として取締りを推進していきますし、また、犯行助長サービス対策を推進しまして、検挙と抑止の両面の対策を進めていきたいと考えているところでございます。
以上です。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
石戸谷委員長代理、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 聞きたいことは山ほどありますけれども、時間も限られておりますので、優先順位的には、先ほどの話のつながりで適合性原則からいきたいと思います。
適合性原則につきましては、行政処分例として私が認識しているのは、某証券会社のオプション取引にかかわる案件1件だけだと思いますけれども、それでよかったでしょうかね。1件しかないということは、適合性原則がおおむね守られているから処分がない、こういうことなのか。その辺の御説明をお願いいたします。
○河上委員長 金融庁さん、お願いします。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 1件というのは、監視委員会の検査の中で、適合性原則違反という勧告を受けて行政処分をした件数でございますけれども、では、世の中に、適合性原則違反というか、適合性原則の観点から望ましくないものがそれだけしかなかったのかといえば、決してそうではないと思っております。実際に検査で違反行為として認定がなされているのはこの1件になりますけれども、我々としては、高齢者の取引も含めて、適合性の観点ですとか、そういったことから、望ましくないと思われる取引に関する情報等があった場合には、それを活用しつつ監督を行っております。そこは、処分されていることが1件だということのみをもって、何もしていないということではないと御認識いただければと思います。
○石戸谷委員長代理 もちろん、何もやっていないということを言っているつもりではないです。先ほどの不招請勧誘の禁止のところで、適合性原則を遵守させることができれば云々という話が出ているので、適合性原則が監督によって遵守できるという認識にあるのか。そうではなくて、適合性原則が遵守されていないことが多々見られるという認識であるのか。その辺、いかがですか。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 件数は、今手元にございませんが、実際に顧客との間で例えば訴訟になったもので、適合性原則違反とされている場合もありますし、FINMAC等でも、適合性原則に鑑みてそういった紛争になっているものもあると認識しておりますので、そういったものは当然あるという認識はございます。
まさにそういったことを踏まえまして、我々としても監督上の着眼点として、これまでも、高齢者をはじめとして、勧誘に際しては、商品性、リスク特性を顧客が理解するまで、きちんときめ細かく対応するようにといった監督方針も打ち出しておりますし、また日証協さんのほうでも、特に高齢者に対する取引について、自主規制規則を改正され、また、ガイドラインを作成されたというふうに認識しております。ですから、そういった問題意識のもとで我々も監督してきておりますし、自主規制機関のほうもそういった問題意識のもとで対応を行ってきているということだと考えております。
○石戸谷委員長代理 問題は、実効性が上がっているのかということなのです。御承知だと思いますけれども、裁判所のほうで高齢者に対する判決というのが出ています。ことしの2月だけでも、大阪地裁で精神疾患に罹患していた無職の独身女性、6,188万の損害賠償を命ずる判決が出ています。これは仕組債です。同じ月の20日は、77歳で聴力に支障があるひとり暮らしの女性客、適合性原則違反で894万という損害賠償を命ずる判決が出ています。これも仕組投資、ノックイン型投信ですよ。同じ2月22日には、適合性原則違反で、これは証券会社ですが、76歳のひとり暮らしの女性。これは株価連動債、660万など、出ています。最近でも先月の21日には、これは銀行ですけれども、兄が80歳、妹が78歳。兄は途中で亡くなったけれども、妹のほうの判決で、証券会社は認知症だというのはわからなかったと言うけれども、裁判所は、重度の認知症だというのは話をすればすぐ認識できたはずだということで判決が出ています。
高齢者に対して、裁判所のほうがこういうふうに損害賠償を命ずる判決が相次ぐというのは、実効性が上がっていないということなのではないですか。なぜ、違反がある場合に行政処分をやって、適合性原則の実効性を確保するようにきちっとやらないのですか。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 まさにおっしゃったような高齢者に対する販売勧誘に関する問題意識から、先ほどから申し上げているとおり、自主規制団体である日証協においても、規則を新設するとともにガイドラインを作成しております。そのガイドラインの概要を申し上げます。
○石戸谷委員長代理 ガイドラインはいいですよ。実効性が上がっているかどうか。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 ガイドライン自体は本年12月16日以降の施行になります。これまで、そういった問題もあったことを踏まえまして、今回、一歩踏み込んだ形でガイドラインをつくっております。まず会員各社においては、次の業務フローを適用することになっております。一つは、目安として75歳以上を高齢顧客と位置づけた上で、次に、高齢顧客に対して勧誘可能な商品と勧誘留意商品、さっきおっしゃっていた仕組債ですとか、通貨選択型の投資信託ですとか、そういった複雑な仕組みの商品については、勧誘留意商品となりますけれども、そういったものを選定する。
さらに、高齢顧客と位置づけた75歳以上の顧客に対しましては、勧誘に当たって役席者が事前面談を行う。それによって勧誘の可否を判断することを義務づけるとともに、事前面談においては、顧客の健康状態、投資意向等を確認する。また、面談内容については記録を保存し、必要に応じたモニタリングを行う。加えて、80歳以上の顧客につきましては、即日受注を原則として禁止するとか、役席者による受注、担当営業員以外からの約定連絡、さらに事後モニタリングを行うといったことを義務づけることによって、実効性が確保できるのではないかと考えております。
こちらについては、10月29日に制定いたしまして、施行は本年12月16日になっております。各証券会社、金融機関におきましては、こういったガイドラインに対応するための体制整備を、今、進められているところと承知しております。
○河上委員長 高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 ガイドラインの御説明はわかるのですけれども、実効性が確保できていないということが問題だと思います。証券会社も今までも一生懸命やってきたわけですね。FINMACのあっせん申立ですけれども、60代前半と80代前半がふたこぶラクダのように非常に多いのですが、4割以上が70歳以上なのです。60歳以上で約8割を占めてしまうわけですから、あっせんのところに来ている高齢者が非常に多い。これに鑑みて、そういうガイドラインをつくれば大丈夫という問題ではないというふうに思います。もっと実効性のある措置をとれないのか。とれなければ、不招請勧誘の禁止ということにならざるを得ないのではないかというふうに思います。
先ほどから、こまめに説明とか、丁寧に説明というふうにおっしゃるのですが、高齢者の特性を考えたら、こまめに説明したり丁寧に説明すればするほどわからなくなり、「あなたに任せる」というふうになっているのが、相談の実情の中で非常に多いわけです。若い人だったら、わからなかったらわからないと言えるのですけれども、高齢者は、こんなに説明してもらったのにわからないなんて申しわけないとか、恥ずかしいとか、わからないということすら意思表示できていないというのが現状なのです。ですから、実態に即した監督が必要だと思います。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 ガイドラインの話に戻りますけれども、そういった高齢者独特の特性も踏まえて、今回、特に80歳以上の顧客に対しては、日証協のほうでもWGで議論された結果、まず、即日受注を原則禁止して、その日には受注ができないですとか、そういった一歩踏み込んだ形でガイドラインをつくられています。
我々としましても、さっきおっしゃったように、ガイドラインができたからよかったで終わるのではなく、今後は監督上、このガイドラインも含めて、遵守状況をきちんと見ていく所存でございまして、監督指針の改正案として、今、パブリックコメントに付しているところでございます。引き続き、こういったガイドラインもできましたので、こういったものにも基づき、我々としても一層きちんと監督をしていきたいと考えております。
○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
警察のほうで、例えば、口座凍結などを依頼したときに銀行はすぐ応じてくれているのですか。
○警察庁柴山生活安全局生活経済対策管理官 全数検査はしておりませんけれども、一部サンプル調査をいたしますと、比較的迅速にやっていただいているのが実情でございます。大体1週間以内にはほぼ100%やっていただいているものと認識しているところでございます。今、手元には資料がありませんけれども、当日でもかなりのパーセンテージやっていただいていると聞いているところでございます。
○河上委員長 それがなかなか動かないという話を、逆に聞いたものですから。
唯根委員、どうぞ。
○唯根委員 今のことに関連して、口座凍結していただいた後は、誰がどう対応したのかと見ていただいているのですか、その後の取扱いは銀行ごとになるのでしょうか。それとも、金融庁か警察庁とで連携をとられて、その後の処分や何かにつながっているものでしょうか。
○警察庁柴山生活安全局生活経済対策管理官 口座凍結した後につきましては、正直言って、私どもの手を離れているところがあります。それぞれ被害者の方が、損害賠償請求といいますか、それで差し押さえることもありますでしょうし、多種多様な方法をとられているのだと思います。私どもとしては、その後どうなったかということについては、詳細には把握しておりません。
○唯根委員 そうしますと、一旦凍結しても、その後また開設というか、当事者が異議申立や何かをしたり、被害者が返金や手続きを求めてこなければ、そのまま取引が再び続いていくのかになるのですか。その辺の一旦なさった措置が、その後、誰が見届けるのかというところがわからないので教えて下さい。今回、金融庁さんにしても、警察庁さんにしても、いろいろな措置をとって公表していただいているのはありがたいと思いますが、結局、被害を救済する方法がわからない、救済されない高齢者の方がすごく多いのではないか。そこを何か担保していただくことまで検討していただけるのかどうか。その辺を伺えればと思います。
○河上委員長 実際には、警察から連絡があって銀行が口座を凍結したときに、その後は金融庁に連絡が行くわけですか。そうではなくて、とりあえず凍結したという状態で、あとは関係者が適当にそこを差し押さえたりするということを期待しているのですか。
橋本委員、どうぞ。
○橋本委員 銀行口座が凍結されるというのは被害の拡大防止にはなりますけれども、例えば、相手方にお金が残っていた場合、そういった場合の措置はどうなっているのか。被害に遭ったと思われる被害者に、口座が凍結されて幾らか残っておりますが、それについてはあなたのお金も入っているかもしれませんとか、そういう連絡が当然行っているのではないかと思っておりまして、仕組みのところが今までの理解とちょっと違っていたものですから、その辺を詳しく聞かせていただきたい。凍結して、せっかくそこにお金が残っているのであれは、被害者救済に充てていると思っていたものですから、申しわけありません、私もその辺は詳しく知りたいと思います。
○警察庁柴山生活安全局生活経済対策管理官 舌足らずのところがあったかもわかりませんが、振り込め詐欺被害者救済法がございますので、その法律に基づき口座凍結された場合には、当然、その法律に従ってお金が分配されていると私どもとしては認識しております。
○唯根委員 当然、その法律ができたということで、凍結もしていただけているというところで理解して、その後、金融庁さんなのか、警察庁さんなのか、かかわってくださっていると思っていたのですけれども、今のお話ですと、後は金融機関に任せるということになってしまうのですか。被害者だと自分がわかる方はいいですが、それ以外の方たちの救済については、どなたも把握されていないということですか。
○警察庁柴山生活安全局生活経済対策管理官 私どもの所管の法律ではございませんが、先生も御存じのとおり、振り込め詐欺被害者救済法に基づきますと、その後、公告とかの手続がとられて、被害者の方にお金が返っていくと私どもは認識しております。
○河上委員長 石戸谷委員長代理、どうぞ。
○石戸谷委員長代理 振り込め詐欺被害者救済法の支払い手続に関しては、ここで時間を費やす必要はないのではないかと思います。それは手続でありますので。問題は、凍結したところまではいいのですが、要は犯罪があると思料されるときに、そこから捜査が進んでいるのかどうかというところが問題であって、そこの部分ですよ。被害者が言っても、被害届けや告訴をなかなか受け付けてもらえないという部分について、どうなんでしょうかということをお尋ねしています。
○警察庁柴山生活安全局生活経済対策管理官 被害届けにつきましては、私どもとしてもきちっと受け付けるようにという指示はしているところでございます。ただ、刑事事件として立件するわけですから、いつ、どこで、どういう形でだまされましたとか、どういう形で勧誘を受けましたとか、そういう点につきましては、私どもとしてはきちっとお伺いさせていただかないと、なかなか立件は難しいところがありますので、その辺はきちっと伺っているというふうには聞いております。ただ、一概に最初から受け付けないということはやっていないと私どもとしては認識しております。
○河上委員長 だいぶ時間が来ました。クラウドファンディング等について、あと5分ぐらいを使って質疑をお願いします。
どうぞ。
○高橋委員 第二種金融業者についても、御質問させていただきたいと思います。第二種は登録要件が緩く個人も参入できると承知しておりますけれども、金融商品取引業者向けの監督方針では、第二種金融商品取引業にかかわる対応として、MRI問題を踏まえて、モニタリングの強化を図るとともに、情報分析力のさらなる向上、監督体制の整備についても検討するというふうにあります。実際、どういうふうに検討されて、どういうふうに強化しようとしているのかということをお伺いしたいと思います。
それから、クラウドファンディングのほうですけれども、先ほど御説明をいただいたところでは、匿名組合型ファンドと株式型があると。株式型のほうは第1種なので、ある程度安心できるところがあると思いますけれども、ファンド型のほうは、第二種金融業の登録があればできるということになっているわけですね。お返事をお聞きした上でさらに御質問をしようと思ったのですけれども時間がないので、第二種で大丈夫なのでしょうかということと、今まで、監督規制に関しては、協会加盟とか自主ルールを非常に強調していらしたのですけれども、第二種業者は非常に協会への加盟率が低く、そういう自主規制が働かないと思います。たしか3%、専業7社のみという説明を受けたことがあります。これはお配りいただいている資料7-5、金融審の検討のところで、「例えば、自主規制機関への加入を強制することも考えられるのではないか」という論点が出ていますが、これがどのように検討されているのかもあわせて教えていただきたいと思います。
それから、匿名組合、いわゆるファンド型と株式型ですが、資料7-3に米国と英国というふうに参考資料が載っています。アメリカ、イギリスの場合も、株式だけではなくてファンド型というのをやっているのかどうか、教えてください。
以上です。
○河上委員長 では、3点、それぞれ担当者の方にお願いします。
○金融庁八木監督局証券課証券監督管理官 まず、二種業の監督について御説明いたします。御指摘がありました監督方針につきまして、まず監督強化ということで、先ほど少し申し上げましたけれども、実態把握の強化に向けて、今、パブリックコメント中ですが、1点は、事業報告書というものを毎年、業者から提出を受けているところでございます。今まで、ファンド数ですとか、出資を受けた金額ですとか、そういった程度の内容しか記載を求めていなかったのですが、これについては、今回のMRIの事案等も踏まえまして、販売を行ったファンドの一覧、各ファンドの詳細事項、例えばそれぞれの出資額ですとか、出資者の属性、例えば個人がどれぐらいいるとか、そういったことも含めて詳細な事項を入手するために、事業報告書の記載事項の追加を行ったところでございます。
分析の強化につきましては、そういった事業報告書を現状は紙ベースで提出を受けているところでございますけれども、それですと横断的な情報分析に非常に時間もかかりますし、非効率であることから、これは、今後の予算次第というところもあるのですが、システム上でそういったデータを取り込んで、それを比較分析できるシステムの整備についても、今、検討を進めているところでございます。いずれにしろ、情報収集の強化、情報分析の強化といったことを、今、検討しているところでございます。
○高橋委員 システムの強化をされるということですが、そもそも検査体制として、人員不足とかそういうことはないのでしょうか。私は行政評価局の政策評価委員会の委員を務めていまして、11月13日に、消費者取引に関する政策評価の取組みの方向性、中間報告を出させていただいた中に触れておりますけれども、平成24年度に証券取引等監視委員会と財務局、平成19年からは財務局にも事業報告書が出ていますが、両者の第二種金融商品取引業者に対する検査は63件、実施率は4.9%。これで追いつくのでしょうか。規制緩和でまたさらに対象が増えるわけですので、非常に検査体制として脆弱ではないかというふうに思います。その点はいかがでしょうか。
○金融庁五十嵐証券取引等監視委員会事務局証券検査課特別検査官 監視委員会からお答えさせていただきます。質問にお答えするために、まず、証券検査を巡る環境について述べさせていただきたいのですけれども、現在、検査対象業者と申しますと、金商業者のほか、適格機関投資家等特例業務届出者、これを併せて8,000社となっております。これに加えて、先ほどから御説明申し上げている無登録業者、こういった者の動向も注意していく必要があるということで、かなり限られた人的資源を的確かつ有効に活用して、効率的・効果的で実効性ある検査・調査を実施していく必要があるということを私どもは考えているところでございます。したがいまして、直接的なお答えになるかわかりませんけれども、二種業者につきましても、金融庁、国民生活センター、日証協等もありますが、そういったところから情報をもらうということ。それから、私どもに寄せられる一般投資家等からの情報、これも年間6,000件ほどございます。こういったものを活用して、個別の業者ごとに検査・調査の優先度を判断して、対象先を絞って検査を実施しているというのが現状でございます。
委員おっしゃるとおり、私どもも決して現在の人員で足りているとは思っておりません。25年度の定員で申し上げると、監視委員会全体で400、地方財務局合わせて339人、合計739人です。このうち、手元に正確な数字はございませんけれども、証券検査部門は4割強の人員がそれに当たっているところでございます。そういう環境にございます。ただ、今までもいろいろな人員の増強をいただいていますので、私どもとしてはこれからも引き続き、限られた人数ではございますけれども、法令違反行為に対しては厳正に対処していくという所存でございまして、是非とも御理解いただきたいと思っております。
○河上委員長 頑張るということですね。
○金融庁五十嵐証券取引等監視委員会事務局証券検査課特別検査官 はい。
○河上委員長 クラウドファンディングのほうをお願いします。
○金融庁中澤総務企画局市場課市場法制管理官 二種で本当に大丈夫なのかという御指摘ですけれども、実は、今の二種でクラウドファンディングは日本ではできる構造になっています。したがいまして、それを一律に規制強化して、業務を禁ずることはなかなか難しいかもしれない、というのがまず一点としてございます。
ただし、先ほど申し上げましたが、ネットを使って情報を提供するということが今回のクラウドファンディングの肝になります。そこをしっかりできる業者をどうやって選んでいくかということを、今後の審議会では議論されていくのではないかと思っています。
次に、第二種金商業協会については、確かに高橋委員が御指摘のように、加入率が非常に少ないというのは問題意識として持っていまして、ここについてもさまざまな議論があるのは事実でございます。7-5のところ、強制という議論もありますけれども、その下のところでは、コストの問題もあるので行政との役割分担を考えたほうがいいのではないか、という意見もございます。それから、団体への強制介入というのは、我が国は法制上の問題があってなかなか難しいという論点がございます。したがいまして、強制加入が本当にできるかどうかよくわからないのですけれども、加入を促進させることは重要だと思っていますので、そういう観点から御議論がなされるのではないかというふうに思っているところでございます。
最後に、アメリカとイギリスでございます。アメリカは実は投資型については、今のところ、できない状況にあります。これはJOBS法というのがありますけれども、JOBS法のSEC規則の制定は随分放置されていて、出ていなかったということがあります。10月23日にこれがパブリックコメントにかけられまして、2月3日までの期限ですが、それで成案が得られれば、アメリカでも投資型のクラウドファンディングが解禁されることになろうかと思います。したがいまして、株もファンドも両方なのかという御指摘は、現状はないので、なかなかお答えできませんが、法令規則を見る限り、株かファンド、どちらかに限定しているわけではなく、証券であれば何でもできる形になっていますので、両方出てくるのではないかというふうに思っているところでございます。ただ、米国の法令を見る限り、念頭に置いているのは、これは株式だろうなというふうには見えます。ただ、ファンドを排除しているものではありません。
イギリスにつきましては、現状、業者が存在しています。株式形態もございますし、ファンド形態でもございます。
○河上委員長 ありがとうございました。
これもまた、議論し始めるとたくさん問題がございますけれども、時間も来ましたので、ここまでにしたいと思います。
幾つか論点がございましたけれども、一つは、第二種の金融商品取引業者、適格機関投資家等特例業務届出業者に係るいわゆるファンドへの出資に関する消費トラブルについては、無登録業者に対するものも含めて、関係省庁におかれましては、一層積極的な法執行、監督体制の強化をお願いして、被害防止対策を検討していただければと思います。
金融商品取引に係る適合性の問題は、総合的な監督指針の改正があったり、いろいろな形で自主規制機関による指針の充実などもあって、少しずつ前に進んでいると認識しております。ただ、それが実効性をもって実施されるかどうかというあたりが大事でして、私も文献で読む限りでは、例えばアメリカなどでは、自主規制とか、FTCの審決などがどんどん出ていて、適合性原則についての行政的な取締りがなされているから、逆に裁判所の民事裁判は余り振るわない。ところが、日本の場合は逆で、行政が動いていないから、一生懸命裁判所を使って頑張っているというような評価を聞いたことがあります。できるだけ実効性のある形で適合性原則についての行政的な監督をやっていただいて、被害の減少につながるよう運用していただければありがたいと思います。
クラウドファンディングについては、新規の成長企業へのリスクマネー供給を促進するという観点から、整備が必要であることは確かでありまして、そのために、幾つかの問題点や留意点が出てきているというのがよくわかりました。これを消費者保護の観点から見たときに、どういう形でルールを用意していくかというあたりについても、十分な検討がなされることを期待したいと思っております。消費者委員会は実は、ことしの8月に高齢消費者に対する投資被害ということで救済方法の建議を出しました。その中の最後のところは、いろいろな機関がもう少し連携して、お互いに消費者を守る形で情報共有をして、見守りをしていくように協力してくださいということもお願いしたところです。警察を含めて、金融庁、消費者庁ともちゃんと連絡を取って、しっかりとスクラムを組んで投資被害について努力していただければありがたいと思います。
本日のテーマの金融取引につきましては、今後とも、当委員会において注目して見てまいりたい、また、必要に応じて調査審議をしてまいりたいと考えておりますので、また、そのときには御協力をお願いしたいと思います。
本日は、金融庁、警察庁におかれましては、お忙しい中、ありがとうございました。
(3)個人情報保護(ビッグデータ)について
○河上委員長 時間が押して申しわけございません。続きまして、個人情報保護についてであります。
内閣官房、総務省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
個人情報保護の問題につきましては、本年6月に閣議決定されました「世界最先端IT国家創造宣言」を踏まえまして、内閣官房IT総合戦略本部のもとにパーソナルデータに関する検討会が設置されまして、パーソナルデータに関する利活用ルールの明確化等に関する調査及び検討が行われております。検討会では年内に制度見直しの方針が取りまとめられる予定で、現在、制度見直し方針案についてのパブリックコメントが実施されていると伺っております。また、パーソナルデータの中でも、スマートフォンの利用者情報については、先行的に総務省の研究会において取扱いルールが策定され、本年9月には、ルールに沿った利用者情報の取扱いのための対応策に関する提言、「スマートフォン安心安全強化戦略」という名前の提言ですが、これが公表されたと認識しています。
本日は、内閣官房からは、制度見直しの方針の検討状況について、総務省からは、スマートフォン安心安全強化戦略における利用者情報に関する課題への対応策について、御説明をいただきまして、質疑をさせていただければと思っております。
本件につきましては、まず、内閣官房から御説明をお願いしたいと思います。説明時間については、15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○内閣官房瓜生情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官 内閣官房情報通信技術総合戦略室参事官の瓜生でございます。
私から、資料8について、御説明をさせていただきます。1枚おめくりいただきまして、1ページ目でございますが、本年6月14日に世界最先端IT国家創造宣言が閣議決定されました。その中で、基本的にはビッグデータの活用により新しい日本の成長を進めていこうという話がございまして、特にビッグデータの中でも、いろいろと扱いに丁寧なことが要求されますパーソナルデータにつきまして、検討会を開いて検討することになっております。それにつきまして、一番上の枠の中でございますけれども、この利活用の環境整備を行うため、監視・監督、苦情・紛争処理機能を有する第三者機関の設置を含む、新たな法的措置も視野に入れた制度見直し方針を年内に策定せよというふうに、閣議決定されたところでございます。
これを受けまして、早速、検討会を立ち上げたところでございます。座長は堀部政男・一橋大学名誉教授になっていただいております。その他の委員につきましては、右下のほうに全員、お名前がございますが、研究者、弁護士、消費者、経済界等々の代表の方に来ていただいているところでございます。
パーソナルデータに関する検討会の位置づけでございますけれども、IT総合戦略本部の下にパーソナルデータに関する検討会を設置しております。ここで基本的に議論をするわけでございますが、データの扱いになりますと技術的な検討も一緒にやったほうがいいという話もございまして、下に技術検討WGを設置しながら、あわせて議論をしているところでございます。論点につきましては、後ほどまた御説明します。
そこで検討を始めるわけでございますけれども、論点の設定といたしまして、現状と課題からいろいろと論点を設定したわけでございますが、情報通信技術(IT)が飛躍的に進歩している中で、いろいろなところに個人に関連した情報の蓄積が急速に拡大している。そういう中で、いろいろなITを使って生活をされているわけですけれども、その消費者の方にいろいろな意識の変化がありますとか、データの使い方が企業で変わってきますとか、その企業自体がグローバルに活動するなど、いろいろな環境変化が伴っているという認識がありまして、それに基づいた対応が必要ではないかと思っております。
もう少し細かく言いますと、現状と課題のところにございますけれども、消費者の意識といたしましては、プライバシーの意識が非常に高まっているのではないかと考えております。それに対して対応が必要でございますが、企業においては、さまざまな消費者のプライバシーの観点につきまして、どう対応すればいいかわからないということがありまして、なかなかデータ利活用ができないとか、萎縮する形になっているのではないかと、問題意識としては持っております。
一方、企業側といいますか、データを使う側でございますけれども、いろいろな社会的課題の解決、新ビジネス創出などにおいて、データの利活用の可能性が高まっているわけでございます。現行の個人情報保護法ですと、事前に利用目的を明示した上でデータを取得し、それを活用することになるのですが、いろいろな利活用を考えれば考えるほど、目的以外の使用といいますか、想定外の使用がどんどん出てきます。これが個人なのか、そうでないのかという点とか、どこまで行くと拡大になっているのか、なっていないのか、そういう点で法解釈的な曖昧さが残っているのではないかというふうに問題意識として持っているところでございます。
さらに、企業活動がグローバル化して、国境を越えてデータセンターが外にあるとか、いろいろなことがございます。一方で、欧米、特に欧州などが、プライバシー保護に対する制度設計をかなりやっているようでございます。国際的な整合性をとっていかないと、今後、日本の企業としてデータ活用なりの事業が進んでいかないのではないかという危惧もあるのではないかと考えております。
そういうことを踏まえまして、論点として、その利活用の枠組みの明確化、利活用ルールのあり方、保護を有効に機能させるための仕組みのあり方、独立した第三者機関の設置についての考え方等々につきまして、検討を開始したところでございます。
3ページ目でございますけれども、これまでの検討状況でございます。第1回は9月2日にやっておりまして、そこでは事務局より、今、申し上げた問題意識に基づく論点を提示させていただきました。第2回、第3回、第4回の前半ぐらいまでは、その各論点に対して、委員の方々から御報告及び意見の提出をしていただいているところでございます。そういう意見を踏まえまして、11月22日、制度見直し方針の事務局案を提示させていただいているところでございます。先ほど委員長から、パブコメにかけているという話もございましたが、実はかけおりませんで、パブコメは政府の中で決定した上でかけるのが筋だろうということで、今、委員の中で議論をしていただいているところでございます。委員の意見を集約した形で、次回、12月10日、予定としておりますが、ここで各検討会の意見としてまとめていただくという形で進めているところでございます。
4ページ目は、11月22日に出しました制度見直し方針の要約と申しますか、それを準備させていただいております。
背景及び主旨でございます。先ほどの問題意識でも述べたこととほぼ一緒でございますので簡単に申し上げますと、情報通信技術の進展によって、ビッグデータとかデータの利活用が、いろいろ想定されていなかった状況で行われるようになっております。一方でプライバシー意識が高まっていますので、事業者にとっても、どこまでちゃんとやれば遵守しているかというのも非常に難しくなってきています。さらに、企業活動がグローバル化する中で、国際的な整合性、調和を図る必要があるという問題意識に立ちまして、大きな方向性でございますが、基本的にIT総合戦略室は世界最先端IT国家創造宣言に基づいてやっておりますので、最終的には、いかにデータを利活用できる形をとるかというのを1つ目に置いております。
ただし、2つ目でございますけれども、当然のことながら、プライバシーをちゃんと保護した上で、個人の期待に応えられるデータの利活用をどうやっていくかというのを次の方向性として挙げております。3つ目はグローバル化でございます。
具体的な中身でございます。まず第1に、宣言の中でもございましたが、いわゆる第三者機関(プライバシーコミッショナー)の設置を掲げております。内容でございますけれども、独立した第三者機関、いわゆる三条委員会になると想定しております。業務は、まだ検討中ですけれども、今のところ相違ないと思っておりますのは、分野横断的な統一見解の提示、事前相談、苦情処理、行政処分の実施などについて行う権限が与えられるのではないかと考えております。
それに当たって参考になりますのは、社会保障・税番号制度におきまして、来年1月以降立ち上がる予定ですけれども、「特定個人情報保護委員会」というのができますので、その権限などを踏まえてやるべきだと考えております。一方で、分野横断的なことに対応しようといたしますと、現行の主務大臣制の関係が重要になってきますので、そこについてどう整理をするかというの、問題意識として挙げているところでございます。
2つ目でございますが、これは、データの利活用をいかにどういう形でするかという問題意識で述べているところでございます。一定水準まで個人が特定される可能性を低減した個人データ、いわゆるプライバシーへの影響が比較的少ないだろうというデータ、そういうカテゴリーを新たにつくりまして、それについて、23条にあります第三者提供の中で、本人の同意なくできるものという形で新たに設定してはどうかと考えているところでございます。ただし、何も無尽蔵にといいますか、何もせずに第三者提供を許すというわけにいきませんので、取扱事業者に対して、何かしら守るべき義務を別途法定いたしまして、その義務を守っている間は、同意を得なくて第三者提供を可能とする道が開けないか、というのを検討するということでございます。そうなります、一定水準まで個人が特定される可能性を低減した個人データというのは、技術的な観点も出てくるものですから、それで技術検討WGと調整しながら、ある一つの形について打ち出せないかというのを考えているところでございます。
5ページ目、国際的な調和を図る観点の事項でございます。1つ目が、まさに制度との調和ということでございますが、海外事業者、国内に立地していませんが、海外から日本国内の人に対してビジネスをしている事業者に対しては、国内法の適用はなかなか難しいという話もあります。それに対していかに対応するかという話ですとか、最後、適用できなかった場合に、第三者機関が海外の第三者機関と執行協力を行うなどの措置を行うことによって、プライバシーをどう守るかという形を挙げております。
2つ目は情報移転の話でございます。例えば、日本人の情報が、プライバシー保護やパーソナルデータの保護が十分ではない国に簡単に渡ってしまうと問題を起こしますので、そういう十分でない国に対していかに情報移転を止めるか、制限するかということも考える必要があるのではないかと、論点として挙げているところでございます。
3つ目は、現行法でも、本人の関与の機会としまして、開示、訂正、利用停止などの規定はございますけれども、最後の確実な履行と申しますのは、いろいろな面で、権利とまでは言いませんけれども、ちゃんと確実な履行ができる体制がとれていないというか、そういう建付けになっていないという御指摘もあります。そこをどういうふうに確保していくかというのを、論点として挙げているところでございます。
4つ目につきましては、遵守の仕組みの点検でございますけれども、罰則についてどう考えるかということを述べているところでございます。
5つ目でございますけれども、プライバシーへの影響につきましては、いわゆる量ではなく、質が問題であろうということで認識しております。特にEUなどにおきましては、そういう規定みたいなものはないと考えるとすれば、現行法にございます、個人情報が過去半年間で5,000件未満であれば適用除外となるようなものにつきまして、どう考えるかというのを論点として挙げているところでございます。
6ページ目でございます。大きな3つの論点以外のその他になりますけれども、1つ目が、実際の法律の目的と申しますか、パーソナルデータを保護する目的の明確化というところでございます。プライバシー保護をするために行うものというのは当然ですけれども、一方で、特に医療等、公益の観点から、プライバシー等を比較衡量して取扱いを考えるべき分野もあるかと思いますので、そこについてどう考えるかという点について提示しております。
2つ目でございますけれども、保護される範囲の明確化でございます。現行の個人情報保護におきまして、特定の個人が識別される情報となっておりますが、そういう範囲が正しいのかどうかというか、どこまで範囲を広げていくかという話を一つ挙げているところでございます。「また」以降につきましては、いわゆるプライバシー性が高い「センシティブデータ」、医療ですとか、信用情報とか、いろいろ言われておりますけれども、それについて明確な規定はないものですが、一方でEU等海外におきましては、そういうものをちゃんと規定して措置をすると言われているところでございますので、それをどう扱うかについて検討することとしています。さらに、扱うに当たりまして、専門的な知見を有する機関というか、そういうところがどういうふうに関与していくか、というところについても考える必要があるのではないかと考えております。
続きまして、適正利用・流通のための手続のあり方でございます。事業者にとっていろいろな手続が規定されていますが、その中で、利用目的の提示、その後の拡大の話ですとか、先ほどありましたように、第三者提供において本人同意は原則となっていますが、それを外れる規定として、オプトアウトですとか、共同利用ですとか、委託といったものがございます。そういうものについて、事業者のデータ利活用の観点からどういうふうにすればよいか、というのを検討しようということを一つ述べております。
さらに、個人情報取扱事業者において、基本的なルールといたしまして、プライバシー影響評価、PIAを導入するとか、しないとか、そういうことについて検討してはどうかというのを、論点として挙げているところでございます。
以上が重立った方向性でございますが、さらに4ポツでございます。事業者規制の個人情報保護法に限らず、行政機関、独立行政法人に対しては、別途、個人情報保護法がございますし、地方公共団体は条例がございます。それらにつきまして、守るべき範囲の定義ですとか、いろいろな措置につきまして、整合性をとっていく必要性があるかどうかも含めて、引き続き検討を行ってはどうかというふうに考えているところでございます。
今後のスケジュール感でございますけれども、年内にパーソナルデータ検討会で方針を出していただきまして、それをIT総合戦略本部で決定させていただければ、方針となって決定するわけですが、それを踏まえて、年明け以降に制度設計に入りたいと考えているところでございます。制度設計のスケジュール感でございますが、基本的に半年後、6月までに、法改正の内容を大綱として取りまとめまして、次々期の通常国会へ改正法案を提出することができればというふうに考えて、今、作業をしているところでございます。
以上でございます。
○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、総務省から御説明をお願いいたします。説明時間は10分程度で、お願いします。
○総務省松井総合通信基盤局電気通信利用者情報政策室長 総務省の電気通信利用者情報政策室長の松井でございます。
お手元の資料9に基づきまして、御説明させていただきます。資料は、御参考も含めて多めに用意させていただいていますが、10分という説明の時間でございますので、その中で抜粋して御説明申し上げます。
スマートフォンの利用者情報の取扱いにつきましては、先ほど御紹介がありましたスマートフォン安心安全強化戦略の中で、「スマートフォンプライバシーイニシアティブII」という項目において、さらに検討を進めております。
おめくりいただきまして、1ページ目でございます。背景でございますけれども、スマートフォンの普及状況については、改めて御説明は不要かと思いますが、急速な普及が進んでいます。出荷台数は2013年度では80%近く、契約数で見ても、13年度末では5割程度になるのではないかという数字が出ております。
2~5ページは、スマートフォンの利用者情報の収集事例を幾つか紹介させていただいております。詳細はごらんいただければと思いますけれども、位置情報、電話帳情報、そうした情報がスマートフォン上では取得できるということで、それを利用した不正なアプリが複数出てきた問題事例があったということでございます。
6ページ目でございますけれども、不正アプリの数は年々急増しているという状況も触れさせていただければと思います。
7ページ目、8ページ目は、スマートフォンの基本的な情報でございます。スマートフォンになって、これだけ利用者情報の取扱いが問題視されていることの背景には、スマートフォンにおいてはさまざまな情報が蓄積されているということでございます。電話の機能としての通話履歴、電話帳データをはじめ、位置情報、写真、映像情報、ウェブ、インターネットへの履歴、ソーシャルメディアを多数使われることが想定されておりますので、そうした利用履歴等が蓄積されている。それが24時間持ち歩かれているということで、かなり個人と結びついた情報が蓄積されているということでございます。
その中で、8ページ目でございますが、スマートフォンはアプリの利用を前提としております。アプリについては、アプリ事業者がさまざまな形で提供しているということで、その中には有料なものもあれば、無料なものもある。無料の場合の多くが広告配信ビジネスと結びついておりまして、アプリの中で広告が提供される。そういう場合に、広告配信のための情報収集も行われているということがございまして、利用者から見ると、どのような情報が取られているかがわかりにくいという状況がございます。
9ページでございます。総務省の今の取組み、スマートフォンプライバシーイニシアティブI・IIを出しておりますけれども、この概要をまとめさせていただいております。スマートフォンの利用者情報の取扱いの問題を踏まえ、24年8月にスマートフォンプライバシーイニシアティブという第1弾を出させていただいておりまして、この中では、利用者情報の取扱いの基本的な原則を提示しております。基本的には、スマートフォンの利用者情報をどのように扱うかというプライバシーポリシーをしっかり作成すること、それを公表すること。プライバシー性の高い情報、例えば電話帳情報、位置情報、そうしたものについては個別の同意を取得することを提言しております。詳細は後ほど御紹介させてください。
そうした昨年8月の取組みを踏まえまして、さらに現状を検討したところ、まだまだプライバシーポリシーの作成状況は進んでいないという状況がございました。そういったことを踏まえまして、さらにプライバシーポリシーの作成・掲載を進めていくこと。それから、プライバシーで書いてあることと実際にアプリで行われていることが、本当に一致しているかどうかという検証を行うことが必要だろうということで、スマートフォンプライバシーイニシアティブIIを、今年9月に公表したところでございます。
10ページ以降、スマートフォンプライバシーイニシアティブの概要がございますけれども、その中で御説明させていただきたいのが12ページでございます。スマートフォンのアプリケーションにおいて、記載すべき8つの項目を提案しております。これがプライバシーポリシーに記載いただきたい事項でございます。まず、提供者の氏名または名称、どのような情報を取っていくのかという情報の項目、その取得方法、利用目的、通知・公表または同意取得の方法、利用者関与の方法、外部送信・第三者提供・情報収集モジュール(情報を取得するためにアプリの中に組み込まれているプログラム)の有無、問い合わせ窓口、プライバシーポリシーの変更を行う手続。こうしたものをアプリケーションのそれぞれにおいて明示していただいて、利用者にちゃんと周知していただくことを提言しております。
その中でマル5の注1にございますけれども、個別の情報に関する同意取得ということで、一部のプライバシー性の高い情報については、例えば電話帳情報、位置情報、通信履歴、写真、こうしたものを取得する場合には、原則、個別の同意を取得することを提案させていただいております。
こうした取組みを踏まえて、その後の状況でございますけれども、14ページ、民間事業者、関係者の間の取組みも進んでおります。業界団体において、スマートフォンプライバシーイニシアティブを踏まえた自主ガイドラインが複数作成されておりまして、それに所属する団体、企業の方々は、それに沿った対応を進めているということでございます。
また、15ページですけれども、スマートフォンの利用者情報等に関する連絡協議会が昨年10月に設立されております。30以上の業界団体と関係者が参加する中で、各関係者の取組みを情報共有し、一層の周知を図っているという状況でございます。16ページ目がその関係団体でございます。
17ページは、そうしたプライバシーポリシーの作成・掲載状況について、引き続きフォローしているところでございますけれども、現状で申し上げますと、日本のアプリの作成状況は決して高くない。今年1月の調査においては、20%~30%台のアプリケーションのプライバシーポリシーの作成・公表状況ということで、米国のアプリと比較してもまだまだ遅れているという状況がございます。引き続き、しっかりやっていく必要があるだろうということでございまして、18ページ、スマートフォンプライバシーイニシアティブIIを公表しております。その中で、プライバシーポリシーの作成・公表を一層推進していくこと。あわせて、プライバシーポリシーの表記とアプリケーションの実運用の状況が合っているかどうかを検証する仕組みとして、第三者検証の推奨を行っております。
18ページの右下に第三者検証の詳細を書いておりますけれども、まずは、プライバシーポリシーに書いてある内容が適切であるか。先ほど申し上げた8項目がしっかり記載されているかどうかを確認するとともに、それがアプリケーションの中で技術的にそのように動いているかどうか。書いてあることとやっていることが違わないかということを、プログラムの解析と、実際にアプリを動かしての解析である静的解析・動的解析を行った上で、検証していくという取組みを進めていく予定でございます。
その第三者検証の詳細ですけれども、19ページ目以降、簡単に御紹介させていただきます。
19ページは、今、申し上げたことを詳細に書かせていただいておりますので、御参照いただければと思います。
20ページ、実際に第三者検証を複数の機関が進めているものがございます。例えばOS提供事業者においても、どのような情報が取られているかということを一覧で表示する仕組み、あるいは通信事業者においても、実際にアプリケーションを審査したものだけをマーケットにのせるという取組みもされております。また、セキュリティベンダーにおいても、そういったプライバシー性も踏まえた対策ソフトも発表しているところがございます。レビューサイトの運営事業者でアプリのレビューをしているところにおいても、どのような情報が取られているかといったことも踏まえた審査を行っているところがございます。
こうした各第三者検証の取組みが、一定程度、複数の事業者によって行われておりますので、第三者検証においては、民間のこうした取組みを一層推進していく方向で進めていければと思います。端的に申し上げると、一つの何か公的な機関をつくって行っていくという形ではなく、各民間のそれぞれの取組みを支援していく取組みを、行政として進めていきたいというふうに思っております。
その一つの取組みが、21ページ目でございますけれども、第三者検証に関する検証基準をまとめていくことでございます。今、第三者検証については複数の方がそれぞれのやり方でやっていますけれども、利用者にとってわかりやすく検証を行われているという意味で、ある標準の検証基準を設けていくことができないかということで考えております。一つが、アプリケーションのプライバシーポリシーの記載、これがしっかり行われているかという項目の詳細を検討していくこと。技術的検証においても、こういった項目を技術的に検証していくといった具体的な検証基準をこれから詳細をつくっていきたい。こちらは今、大まかな実例事案として記載されていますけれども、これを実例に合わせてより詳細なものをつくっていければというふうに思っております。
今後の取組みということで、ページ番号がなくて恐縮ですが、23枚目でございます。具体的な取組みということで詰めていきたいと思っているところを項目としてまとめさせていただいております。アプリケーションのプライバシーポリシーの策定推進と様式の共通化。これは、できるだけプライバシーポリシーの策定をするとともに、その記載している内容ができるだけ共通していると、利用者にとっては、パッと見てどこに何があるかわかりやすいということでございます。こうした共通化の取組みも進めていきたい。
次のページで詳細を御説明させていただきますが、今、KDDI研究所が、スマートフォンプライバシーイニシアティブに沿ったプライバシーポリシー作成ツールというのを、アプリ提供者に無償提供しております。これを使っていただくと、簡便にプライバシーポリシーを作成することができるというツールでございますので、こうした取組みをどんどん推奨して、利用も普及させていきたいというふうに思っております。
マル2にございますけれども、第三者検証の実施主体の公表・リスト化ということで、実際に第三者検証を行っている団体等をリストにまとめて、その検査内容等についても公表するということで、利用者に対して周知を行っていきたいと思っております。
また、第三者検証の結果の表示の検討、利用者支援・検証支援のためのアプリケーションやウェブサイト等の検討ということでございます。こちらについては、次ページでもう少し詳細を御説明しますけれども、来年度予算において、スマートフォン上のアプリケーションにおける利用者情報の取扱いに係る技術的検証等に係る実証実験ということで、これを3か年の予定で、今、予算要求をしているところでございます。こうした実証実験を通じて、アプリケーションの今の技術的検証における課題を整理するとともに、実際の利用者にどのように周知していくのがよいかといった、利用者への検証結果の表示方法等についてもしっかりと普及を図ってまいりたいと思っております。
また、マル4にございますけれども、提供サイト運営事業者の連絡通報窓口の連携ということでございます。さまざまな危険なアプリがございますけれども、そうしたものが出てきた場合、緊急で対応する場合も多うございます。非常に危ないアプリが出た場合には、マーケットから一斉に削除するとか、利用者に周知するといったことが必要になる場合もありますので、連絡通報窓口をしっかりと提供できるようにしていきたいということでございます。
また、情報収集モジュールのリスト化・共有ということでございます。主に広告配信事業者において、情報収集モジュールを配布し、各アプリ事業者が使っているという状況がございますけれども、実際にどのような情報収集モジュールがあって、どのような情報を取っているのか。これは、利用者にとっても周知する必要があるとともに、アプリの開発者が情報収集モジュールを実際に組み込んでやっていくものですから、アプリの開発者にとっても、どのような情報を取っているか、それが適切に周知されているという、適切な情報収集モジュールであるかどうかを判断することも非常に重要なポイントということで、こちらのリスト化・共有を進めていきたいということでございます。
マル7番、定期的なアプリケーション調査ということで、アプリケーションプライバシーポリシーの策定状況については、総務省としてしっかりフォローできるように、定期的に調査を行っていく予定でございます。そうした状況については、3月までにまとめまして、全体の最終の取組み状況については、4月目途に報告書として取りまとめて公表していきたいと考えております。
最後になりますが、24ページ、先ほど申し上げたKDDI研究所のプライバシーポリシー作成支援ツールの概要、総務省の予算の概要をまとめさせていただいております。こうしたツール、予算を活用して、一層、利用者情報の適切な取扱いを推進していきたいというふうに考えております。
説明は以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
大変多岐にわたる論点を、コンパクトに説明していただきました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 御説明、ありがとうございました。初めのパーソナルデータに関することについて、基本的なことをお伺いしたいのですけれども、1ページを見ますと、最初の検討会について、年明け以降に新たな法的措置の内容について検討予定とございます。最後のところ、平成26年6月までに、法改正の内容を大綱として取りまとめるというスケジュールだと思いますけれども、このボリュームから見ると、法制化するのは、内容面においても、形式面においてもかなり大変ではないかと想像します。今後、どのように法制化に向けて検討を進めていかれるのかという、スケジュールというか、手続について、お伺いしたいと思います。
あわせて、次回12月に方針を取りまとめられるということですけれども、その段階までに、きょうの御説明からもう少し踏み込んだ内容の取りまとめ案が出てくるのかということも、お伺いしたいと思います。
○内閣官房瓜生情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官 1つ目の今後のスケジュールのお話でございますが、まだ中では正式に決まっていませんけれども、論点も多いですし、作業も多くございますので、何かしらそういう体制を内閣官房でつくらなければならないだろうという話は中ではしております。それにあたりまして、当然のことながら、法を所管されています消費者庁さんとはちゃんと協力させていただいた上で、体制をつくった上で、各論点を詰めていって、6月までに何とか法案の大綱を出していきたいと考えているところでございます。
2つ目の見直し方針の内容でございますけれども、22日に事務局から提示させていただいたわけですが、各委員の方からもいろいろと意見をいただいております。そのいただいた意見をどこまで取り入れるかというのを、今後、事務局及び委員と調整しながら、そんなに大きな形では変更はないと思いますが、一部、詳細化されるところもあるかと思いながら、今、調整をしようとしているところでございます。
○河上委員長 よろしいですか。
○山本委員 年明け以降に検討予定というのは、体制を組み直すという御趣旨ですか。
○内閣官房濱島情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官 いずれにいたしましても、制度見直し方針を策定いたしまして、その後、このパーソナルデータの問題を内閣官房において取り扱っていくことになると思います。そういう意味では、私どものほうで大変な作業だとは思いますけれども、いずれにいたしましても、関係省庁の協力を得ながら体制を整えていきたいと思っております。要するに、改正作業に足るような体制を整えていきたいと思っております。
○河上委員長 ほかにはいかがですか。
ちょっと気になったのですけれども、4ページ目に、「一定水準まで個人が特定される可能性を低減した個人データ」という、特別な類型をつくってはどうかという話があり、そこでは、本人の同意なしに第三者に提供することができるものにしようではないかという話ですけれども、最初にパーソナルデータを取るわけですね。そのときに、これこれこれ等のというか、ある程度使用目的を明らかにしておけば済むことではないですか。それとも、個人の同意とは切り離して、もっと自由に加工したり使ったりできるようにしたいという、そういう需要があるわけですか。
○内閣官房瓜生情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官 今回、始めるにあたりまして、いろいろな企業の方ですとか、産業界にもいろいろお伺いをしてきました。個人情報をそのまま使うのは別として、例がよいかわかりませんけれども、人の移動情報ですとか、購買情報というものが、ある特定の個人に行ってしまうと個人情報ですが、例えば移動であれば、どこかの市にどれぐらいの人間が何時間ぐらい滞在していると。個人を別に特定する必要はないけれども、人の動きですとか、人の行動を取ることによって、マーケティングですとか、都市開発に使いたいですとか、そういう利用をされたいというお声は聞いたことがございます。そうなりますと、そういうときに必要なのは別に個人情報そのものではなくて、個人の特定性を排除したあるビッグデータといいますか、そういうものをうまく受け取って、それを利用することが実際あるというふうに認識しています。すぐに個人情報とは言えないのですけれども、そういう中から、一定のそういう特定性を、低減といいますか、できるだけ排除した形にしたものについては、御本人様に同意をもう一回取り直すというよりは、そういう形を出せる形にして利活用が促進できないかと考えているところです。
一方で、そこで最大の問題になりますのは、出た情報をもう一回、個人を特定して戻して個人へ行ってしまうということです。再識別化という言い方をしますが、そういうことは事業者にさせないとか、すると罰則が当たるとか、事業者がやってはいけないことを義務化とか、法定化して、変な使い方をされない形を担保しながら、出せる情報は有効活用するような環境がつくれないかというのを、今、検討しているところでございます。
○河上委員長 それも最初の段階で、ある程度の一般的な利用に関する同意を取っておくぐらいのことはしても、罰は当たらないのではないかという気がします。しかも、いろいろな角度から、新たな指標での類型を二重、三重、四重と重ね合わせていくと、「大体この人」と特定できることがありますね。今、再識別化とおっしゃいましたか。そういうことを考えると、危険性は同じようにあるような気がしますけれども、そんなことはないのですか。業者に一定の法的な義務さえ課しておけば、守られるということですか。正当性が果たしてあるのか気になります。
○内閣官房濱島情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官 まず、一般的な同意を取っておけば、目的外利用とか第三者提供ができるという御指摘については、パーソナルデータに関する検討会の後の議論の中で、スマートフォンの議論でも出てくると思いますけれども、要するに同意の内容というのが、事前同意の内容が甘いのではないかという議論がそもそもある。一般的にボワッとした同意の取り方では、消費者のほうが、これまた不安なところがあるのではないかという話がありました。したがって、同意の方法を、余り複雑化させるのは問題ではありますが、消費者にわかりやすく、かつコンパクトに、ピンポイントでちゃんとどういうことをやるのかとわかるような同意の方法というのは、依然として必要だと思っています。
一方で、一般的な同意というのは非常に難しい。難しい中で、データの利活用というもの、ビッグデータの時代に有効に生かしていこうとすると、こういう事業者というか、産業界のニーズというものも出てくる。識別化の可能性という問題につきましても、我々、技術WGというのをつくっておりまして、その中で、どういうリスクがあるのかというのをいろいろと検討しております。いろいろなリスクを検討した上でこういうカテゴリーをつくっていって、かつ、保護的な措置をあわせて考えて産業界のニーズにも応えていく、という答えが一つの道なのではないかということで、こういう結論に至っているということでございます。
○河上委員長 私も、2段階で同意を取らないと無理ではないかと思います。はっきりとした形で、この目的以外には使えませんというのと、こういう形にした場合に一般的な利用があり得ますということについても、同意があるということにしてはどうかと思ったものですから。
ほかに御意見はいかがですか。
高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 基本計画の中では、きょう、経済産業省さんはいらしていませんけれども、パーソナルデータの利用・流通に関する研究会が報告書を出されて、これも踏まえて検討するというふうに承知していますが、今お答えいただいた点で言えば、本人にわかりやすく情報をきちんと明示して同意を取る。同意が形骸化しないために、いろいろな工夫というのをWGの報告書で出されていたと思います。ラベルの一覧表示とか、消費者にとって非常にわかりやすい例示がされているのですけれども、今の段階でそれをたたき台にして、食品表示並みの厳しい規制もありというふうな形で検討されているのかどうか、そのあたりを教えていただきたいと思います。
○内閣官房瓜生情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官 資料8の6ページ、3ポツの見直し事項(つづき)の、3つ目のカテゴリーのところに、「データ取得時におけるルールの充実」ということで、取得手続の標準化について検討すると。どちらかというと、今、自主的な例えば民間の取組みなどを想定されているかもしれませんけれども、それをさらに法定化するところまで含めて、そういう形の検討はしていいのではないかという問題意識は持っているところでございます。
○河上委員長 ほかによろしいですか。
山本委員。
○山本委員 これから検討されるということですので、今の段階でどれぐらいお考えかということをお伺いしたいのですけれども、4ページ、委員長の御指摘があったところは、確かに同意手続との関係の問題もありますし、ここで言われる義務を法定化したときに、それをいかに実効性を担保するかという問題がある。特に、それがさらにどこかに移るとか、データが移っていくということになると、義務の履行の確保のさせ方が難しいのではないか。単に罰則を設けておけばそれで済むかというと、そういう問題でもないだろうと思います。当事者間の契約ベースで責任を負わせるといいましても、これも実際にどれほど実効性を持つかというのはやや疑わしいところがあると思います。この辺について、どのように検討されているのかということ。
もう一つは、6ページの3の(4)の3番目、プライバシーに配慮した云々というところです。ここで、「目的の拡大にあたって事業者が取るべき手続や第三者提供における本人同意原則の例外規定のあり方について検討するとともに」とあります。これも、かなりいろいろな考え方があり得るのではないかと思いますけれども、これについては、もう少し具体的に申しますと、どのような方向で検討されるということなのでしょうか。
○内閣官房瓜生情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官 まず、1つ目の点でございます。今、契約という言葉を発せられたのですが、いわゆる「FTC3要件」と言っております、アメリカの連邦取引委員会が出しているある基準がございます。私の理解ですと、FTCが規制対象になるような、いわゆるプライバシー保護の個人情報といいますか、それを規制対象外になる条件としまして、基本的に個人情報を、識別というか、特定できないような情報にまず加工することとございます。その加工したものについて、提供する側においても、それをもう一回戻さないという、公表とかいうのをするといいまして、最後、提供した先を、第一の先もそうですし、“any downstream users”と言いまして、ずっと先までそれを再識別しないというのを契約で約束すれば、その3つ条件を満たすと、規制の対象から外すという類型があるというのは、我々としては勉強していまして、それを日本の中に持ってこられないかどうかというのを、今、検討を始めているところでございます。委員おっしゃるように、アメリカでは契約という概念がかなり強く効力を発揮しますけれども、日本については、契約だけで十分か。そうではなくて、制度的に法定して禁止するとか、そういうこともあるのではないかということも含めて検討しているのが1つ目の点でございます。
2つ目でございますけれども、今のところ、事務局の経産省なり総務省なりの話ですとか、各委員の御意見を、言われた状況を申し上げますと、利用目的の拡大にあたりましては、経済界から、先ほどの委員もおっしゃっていましたが、個人情報のままで使うのであれば、ちゃんと目的を拡大するときに同意を取る必要があります。その中で彼らが言うのは、コンテクストに応じたとか、ある技術要件を出すときに、これぐらいなら使われてしまうかなぐらいの想定といいますか、そういうのがもしあるとすると、それが著しく逸脱すると問題かもしれませんが、ある程度、これぐらいの情報で使うと想定できる範囲があるとすれば、そこを目的の拡大と言うのかどうかわかりませんけれども、その範囲では、事業者が同意を取らずに使っていいような手続ができないか、ということの希望があるというふうに伺っているのがあります。
一方で、第三者提供における本人同意原則の例外規定のオプトアウトとか、共同利用につきましては、実は別の委員の方から、逆にこれが同意を取らない抜け道になって、非常に不正に使われている場合があるので、これについては、本当に共同利用なのかとかちゃんと確認した上で、正当にそれが扱われているかどうかをチェックするようなことを、強めるべきではないかという意見をいただいているという点でございます。
○河上委員長 もう時間なのでここまでにしたいと思います。インターネットやスマートフォンの普及は、我々の日常生活の利便性を向上させる上で非常に大事なものになっております。他方で、個人に関する大量の情報が容易かつ広範に提供される状況をもたらしておりまして、こうしたパーソナルデータの取扱いについては、当委員会としても大きな関心を持っているところであります。
JR東日本による、スイカの履歴データの第三者提供事例における消費者の反応等を踏まえますと、パーソナルデータの利活用にあたっては、保護されるべき個人情報の範囲について、相当慎重な検討が必要ではないかという感触を持っております。また、消費者から同意を得る際には、消費者にわかりやすくそれを表示して、実質的な同意を得るということ。それから、自分のことに関する情報の開示、訂正、消去を求める権利が、きちんと十分に保障されることが大前提ではないかと思います。その上で策定される利活用のルールがきちんと遵守されるように、設置予定の第三者機関とか、監督権限を持ったところの執行体制をきちっと付与することも重要ではないかと考えます。
今後、制度の見直し方針を年内にまとめて、その方針でさらに実施していくべき内容、施策を考えていく予定のようですけれども、内閣官房、関係省庁におかれましては、今後の施策の検討にあたって、これらの点も含めて、パーソナルデータの保護に十分配慮していただくようにお願いしたいと思います。
また、総務省におかれましては、スマートフォンのアプリケーションについて、プライバシーポリシーの作成、利用者へのわかりやすい掲示の推進を引き続きお願いしたいと思います。さらに、プライバシーポリシーに関する周知・啓発を含めて、スマートフォンを安心安全に利用するための利用者への周知・啓発についても、引き続き御努力をお願いしたいと思います。
内閣官房、総務省におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
≪3.その他≫
○河上委員長 それでは、「その他」に入ります。
食品表示部会、新開発食品調査部会について、事務局から報告がありますので、お願いいたします。
○大貫参事官 資料10をごらんいただきたいと思います。
食品表示部会のもとに3つの調査会を置くことについては、以前の消費者委員会において同意いただいているところでございますけれども、そこに属する臨時委員の指名について、河上委員長から決裁をいただいたものでございます。また、3つの調査会について、座長の指名についても河上委員長から決裁をいただいたものでございます。これが資料10-1、10-2
、10-3
になります。
一方、資料11-1、11-2
でございますけれども、新開発食品調査部会、これは以前から2つの調査会がこの部会のもとに置かれております。こちらにつきましても、臨時委員、専門委員のうち、どなたに参加いただくかということについて、河上委員長に決裁いただいて指名をいただいた。また、座長についても指名をいただいたということでございます。こちらは11月18日付ということです。
以上でございます。
○河上委員長 この点については、私の決裁で確定ということですので、御報告ということになります。
本日の議題は以上でございます。
≪4.閉会≫
○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定についての説明をお願いいたします。
○大貫参事官 次回の第138回委員会本会議につきましては、12月10日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題につきましては、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」の第4回目といたしまして、地方消費者行政、消費者教育について、関係省庁からのヒアリングを実施します。また、食品表示等適正化対策について、消費者庁からヒアリングを実施する予定です。詳しい議題につきましては、確定次第、委員会のホームページで御案内させていただきます。
また、傍聴のみ資料配付をしておりますけれども、「第10回地方消費者委員会(大津)」の御案内、日時は12月14日の土曜日、場所は滋賀弁護士会館、テーマは健康食品の表示等のあり方について、開催いたします。
委員の皆様は、この後、委員室に移動いただきまして、19時15分から打ち合わせを開催したいと思います。
以上です。
○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)