第131回 消費者委員会 議事録

日時

2013年8月27日(火)16:00~18:35

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、川戸委員、田島委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 国土交通省  伊藤 住宅局住宅生産課長
松野 住宅局住宅生産課住宅ストック活用・リフォーム推進官
 消費者庁  片桐 表示対策課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正について
○説明者: 国土交通省  伊藤 住宅局住宅生産課長
松野 住宅局住宅生産課 住宅ストック活用・リフォーム推進官
消費者庁  片桐 表示対策課長
3.消費者安全専門調査会の報告について
4.インターネットを通じた消費者の財産被害対策について
5.第2次消費者委員会のこれまでの活動と今後について
6.その他
7.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正関連資料(国土交通省、消費者庁提出資料) 【資料2】 食品リコールの現状に関する整理関連資料 【資料3】 インターネットを通じた消費者の財産被害問題に対する当委員会の現時点での考え方(案)(PDF形式:368KB)
【資料4】 第2次消費者委員会の活動実績関連資料 【資料5】 次期消費者委員会への主な引継事項(案)(PDF形式:190KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:66KB)
【追加資料】 答申案(住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条の規定に基づく日本住宅性能表示基準(告示)の見直し)(PDF形式:58KB)

次期消費者委員会への主な引継事項(確定版)(PDF形式:15KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第131回)」会合を開催いたします。今回は、第2次消費者委員会としての最終会合となります。
また本日は、所用によりまして、稲継委員、夏目委員、村井委員が御欠席の予定となっております。
それでは、配付資料について、事務局から説明をお願いします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の下に配付資料の一覧をおつけしております。
資料1の関連が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正関連資料」ということで、国土交通省と消費者庁から提出していただいた資料です。枝番がついておりますけれども、資料1の関連になります。
資料2といたしまして、「食品リコールの現状に関する整理関連資料」ということで、委員会事務局で準備をしたもので、これも枝番がついておりますけれども、資料2の関連になります。
資料3といたしまして、「インターネットを通じた消費者の財産被害問題に対する当委員会の現時点での考え方」ということで、これについては案ということで、委員会事務局が準備した資料になります。
資料4といたしまして、「第2次消費者委員会の活動実績関連資料」ということで、これも枝番がついておりますけれども、委員会事務局で準備をしております。
資料5といたしまして、「次期消費者委員会への主な引継事項(案)」ということで、これも委員会事務局で御提案しております。委員間打合せで決めてきたものですけれども、準備をしております。
参考資料といたしまして、この間、8月20日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
机上配付としておりますけれども、本日の午前中に食品表示部会を開催しておりまして、そちらから、「次期消費者委員会への要望」ということで御提案をいただいておりますので、その資料を配付しております。
以上になります。審議の途中で不足がございましたら、お申出いただければと思います。
それでは、河上委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正について≫

○河上委員長 それでは、審議に入ります。
初めに、「住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示改正について」であります。国土交通省、消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、ありがとうございます。
住宅の品質確保の促進等に関する法律は、住宅の品質確保の促進、住宅購入者の利益の保護、住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を目的としております。また、同法に基づき運用されている住宅性能表示制度の表示基準を変更する場合は、同法3条4項において、あらかじめ消費者委員会の議決を得なければならないとされております。
本日は、告示改正を予定している内容等について、国土交通省及び消費者庁から御説明をいただき、意見の取りまとめを行いたいと思います。それでは、説明を10分程度でお願いいたします。

○国土交通省伊藤住宅局住宅生産課長 国土交通省住宅局住宅生産課の伊藤でございます。
本日は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に係る告示ということで、性能表示についての変更の御説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料、資料1のグループが私どもの関連の資料でございます。
まず、資料1-1PDFを別ウィンドウで開きますでございます。住宅性能表示制度とはどういうものかということで、資料1-1をおめくりいただきますと、平成12年4月に施行されたものでございまして、中身としては、住宅の性能表示、瑕疵担保責任の特例、紛争処理体制の整備、この3本柱でできた法律でございます。もともと住宅市場において、消費者が住宅の建設や売買のときに、安心して買ったり建てたりすることができるようにすることを目的とした法律でございます。特に本日御審議いただきます住宅性能表示制度というのは、最低限の基準は、建築基準法なり消防法なり、そういったもので確保されているわけでございますが、それよりも高い性能、あるいは、それには規定されていないようないろいろな性能について、どんなものなのかというのを消費者がわかった上でそれを選びたいというときに、第三者機関も入った形で、信頼ある一種の物差しになるというのがこの住宅性能表示制度でございます。
具体的な住宅性能表示制度の概要は2ページに載せております。共通のルール、本日御審議いただきます性能表示基準と評価基準に基づいて、公正中立な第三者機関、私どもが指導監督をしております住宅性能評価機関、そういうチェックをする能力のあるところが、設計図書の審査や施工現場の検査を経た上で等級をつけるという形になっております。
例えばどういう性能評価の項目があるかというのが、3ページにあります。構造、火災時の安全性、劣化対策、維持管理等々、こういう項目について、等級1、2、3と評価します。1が最低基準でございまして、2、3と上がるにつれて性能が上がっていくという格好になっておりまして、この表示をしていく。ただ、これは任意の制度でございますので、すべての人が性能表示を使っているというわけではないのですが、我々としては、住宅市場においてできるだけ性能表示がある住宅が増えると、消費者が、例えば中古になったときでも選択しやすいのではないか。こういうふうに思っている次第です。
4ページは今の実績でございます。新築住宅につきましては、累計約200万戸。新築のフローベースで言いますと、2割強が住宅性能表示制度を使っているという状況になっております。既存住宅につきましては、そこまでの数ではない状態になっております。
今回の見直しの概要でございますが、6ページを見ていただきますと、「住宅性能表示制度の見直しについて」ということで、表示基準の改正は2点でございます。
一つは、省エネ基準の見直し等に伴う改正ということで、後で詳細を御説明いたしますが、省エネ法に基づく住宅の省エネ基準をこの10月に改正する予定でございます。また、低炭素まちづくり法、通称エコまち法と私たちは呼んでいますが、それに基づく低炭素建築物の認定基準というのも昨年12月に決めたところでございまして、要は省エネ関係について、これと整合性をとった格好での基準に変えていきたい、これがメインでございます。その他の改正事項はいささか技術的に細かいことでございますが、知見がためられて新たに基準に追加したほうがいいものについて、実際は杭状改良地盤でございますが、その表示基準を追加するという、この2点でございます。
なお、参考資料1-1、今の資料の1のグループの一番最後のページに、住宅性能表示制度というのは市場においてどのように使われているか。特に支援策のようなものがあるのかということについて、若干補足説明をさせていただきたいと思います。1枚紙でまとめさせていただきました。
性能表示制度自体は、これそのものは物差しでございますので、この物差しの等級が2であればこういう融資の特例があるとか、性能をはかるための物差しに使っている格好になっています。例えば、融資で住宅金融支援機構、昔で言う住宅金融公庫でございますが、そこでのフラット35Sという、35年一定の金利でやる制度があるわけでございますが、それについて、例えば耐震性や省エネルギー性能が優れた住宅を取得する場合は、当初5年間を通常のものより金利を0.3%下げる。「長期優良住宅等の特に優れた住宅を」と書いてありますが、長期優良住宅というのは右側に性能表示制度と関連する要件がございますが、耐震、劣化、維持管理、省エネに関して、性能表示の等級を原則としては引っ張った格好で総合的に優れている住宅ということになっていますが、そういうものについても、やはり10年間、金利を0.3%引下げとなっています。
補助制度になりますと、これは長期優良住宅の補助という格好になっていますが、結果的に、性能表示制度も活用して長期優良住宅をお取りになられる場合がほとんどということになります。中小工務店がそういう総合的に優れた長寿命化の住宅をお建てになられる場合に、建設費の一部を補助しています。あるいは税について、長期優良住宅、本日省エネの関係で追加したいと思っております低炭素建築物相当のもの等については、所得税、いわゆる住宅ローン減税等について基礎控除を増やすといった特例を設けております。
また、贈与税につきましては、省エネ性、耐震性を満たす住宅については、一定金額まで非課税措置を通常のものよりは少し額を上げています。そのときに省エネ等級が普通よりも高いもの、耐震性能が普通より高いものであることといった格好になっております。また、耐震については、地震保険の中で、等級が上がれば、割引率が高くなります。安全率が高くなるということです。そういった形で、性能表示の等級を使った格好で支援策が打たれているものがあるという内容でございます。
今回の改正内容でございますが、資料1-2PDFを別ウィンドウで開きますでございます。まず、「省エネ基準の見直し等に伴う改正」ですが、めくっていただきまして、住宅の省エネ基準につきましては、主に2点の変更がございます。一つは、今まで住宅の性能表示は、外皮といいますか、いわゆる外壁とか窓の断熱性能を見ていました。それだけの基準しか見ていなかったわけですが、例えば照明、冷暖房、給湯といったものはエネルギー消費量が多いものですから、こういったものも含めた総合評価方式にするというのが、今回の省エネ基準の改正の中身でございます。それとあわせて、細かい話ですが、断熱性能の評価に当たっての評価方法の計算方法は若干見直しをしております。
次の2ページでございますが、低炭素建築物認定基準でございます。これは、総合評価方式の省エネ基準の一次エネルギー消費量基準よりも10%さらに省エネにしてくださいというものです。それとあわせて、低炭素に関する取組みをしているものについて認定をするという仕組みをとっておりまして、これについては税の特例等を設けているところでございます。
そういう改正が省エネ関係にあったので、4ページをごらんいただければと思いますが、「現行」にございますように、今までは外皮と言われる窓や外壁だけの断熱性能でしたのに対して、一次エネルギー消費量の等級を入れたい。平成11年基準というのが等級4で一番高いのですが、今回の基準の見直しは、外壁そのものの断熱性能については、大きく基準のレベルを変えるという性格ではございませんので、これは並びで等級4にした上で、それと見合う格好で、設備も含めた新たにつくった省エネ基準について、等級4として一次エネルギー消費量等級を新たに設定したいと思っています。あわせて、低炭素基準につきましては、等級4よりもさらにマイナス10%の一次エネルギー消費量ということでございますので、等級4の上を等級5として追加したいと思っております。
なお、5ページに載せておりますが、最上位の等級につきましては、先ほどマイナス10%と申し上げましたけれども、それよりもっと高い、例えばマイナス20%とか、そういうことをやられる方もいらっしゃるものですから、そういうことを念頭に置いた上で、参考までに、数字そのものを合わせて書けるような形でより情報提供を充実したいと思っております。
6ページにスケジュールを載せております。省エネ基準そのものにつきましては、平成25年10月に改正されます。性能表示については、この省エネ基準の告示をそのまま引っ張ってきている格好になっていますので、これが廃止されますと、引っ張ってくるものがないという状況になりますので、新たな、一次エネルギー消費量なりを含めた基準が施行されるまでの間につきましては、なお従前の告示が使えるという経過措置をまず設けたいと思っております。
あわせて、省エネ基準につきましては経過措置がちょうど1年半ありまして、この10月から新しい告示にはなるのですが、省エネ基準についても周知措置が必要なものですから、1年半の経過措置期間があった上で完全施行が平成27年4月1日になります。この27年4月1日に合わせて性能表示も新たなものに移行する格好にしたいと思っております。
次のページをめくっていただきますと、今の住宅の性能表示基準がどう書かれているかというのが書かれております。こういう形で告示がそのまま引かれていますので、今回、経過措置をまず設けるのと、最終的には、先ほど御説明した一次エネルギー消費量等を追加する改正をしたいというものでございます。
資料1-3PDFを別ウィンドウで開きますを引き続き御説明させていただきたいと思います。「その他改正事項」でございます。これは技術的な話でございますが、今まで、地盤の許容応力度、杭の許容支持力のいずれかを表示方法で示すという格好になっていました。柱状改良や鋼管杭など、杭をいっぱい打つような地盤改良をするやり方があるわけですけれども、こういう地盤についての表示方法が定められていませんでしたので、今回これを新たに定めるというのが改正の内容でございます。書き方は、参考までに見ていただきますと、2ページの書き方になるということでございます。
なお、今回、表示基準の話以外に、性能表示としましては、資料1-4PDFを別ウィンドウで開きますにスケジュールが載っていますが、8月20日に社会資本整備審議会をかけておりますので、本日、消費者委員会の御審議を経た上で、私どもとしてはパブリックコメントに入らせていただきたいと思います。その際、省エネ基準の見直し等に伴う改正、これは御説明したとおりでございます。
あと、表示基準の見直しではないので、審議内容にはなっていませんが、あわせて、液状化に関する情報提供ということで、今回の震災被害を踏まえた上で、性能表示の等級という格好ではなく、特記事項という格好で、地域の液状化のしやすさの状況、敷地の液状化のしやすさ、それに対する対策を何をやったかというものについて、情報提供する仕組みをあわせてつくりたいと思っています。また、3に「必須/選択項目の範囲の見直し」と書いていますが、よりたくさんの人に、使っていただけるよう、必須項目が余りにも多くなっていて不合理なものもあるものですから、ここの見直しをするとか、その他、JIS改正にあわせた形式改正とか、そういったものを改正する予定になっております。
パブリックコメントを経た上で、私どもとしては10月に再度、社会資本整備審議会を経て、基本的には27年4月に施行したいと思っております。
説明については、以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。震災がございまして、それ以降、私も関心があって、いろいろ耳に入ってくるところはあるのですが、2つお聞きしたいと思います。
一つは、省エネは大変結構なことですし、今回の改正についても賛成ですけれども、実は別の人といろいろ話をしていたら、ネーミングをどうするのかと聞かれました。というのは、1980年(昭和55年)の基準は省エネ基準ということです。92年(平成4年)の基準は新省エネ基準と言って、99年(平成11年)の基準は次世代省エネ基準と言うそうです。そうすると今回の省エネ基準は、ハイパー省エネと言うのか何か知りませんが、わかりやすいネーミングにして、多くの消費者あるいは施主に理解を求めるという工夫をされてはどうかというのが一つです。
もう一つは、きょうの説明にはございませんでしたが、先般、委員間打合せにおいでいただいて御説明があったときに、液状化に関する情報提供の見直しをするということで、震災被害を踏まえて液状化に関する情報提供を住宅性能表示制度において整備して、専門家の相談や流通時の判断材料として活用するようにするという話がありました。実は仙台辺りで、谷を埋め立てたところが大きな問題になっているとか、東京湾岸の一部でも大きな問題が起こったりしております。どうするのかというのは心配しているところなのですが、その話と、先ほどちょっと説明があった杭状改良地盤の場合、許容支持力を表示することとするという、この辺の関係とがよくわからなかったので、液状化対策のところで、余り専門用語が並ぶとわからなくなりますので、できるだけわかりやすく御説明いただければと思います。

○国土交通省伊藤住宅局住宅生産課長 まず、省エネの話でございますが、御指摘のとおり、今まで、省エネ基準、新省エネ基準、次世代省エネ基準というふうになっていたのですが、省エネ基準自体は将来的には、今の省エネ基準を念頭に置いて、新築の住宅・建築物については義務化をしていく方向で議論させていただいているところでございます。逆に言うと、いずれですが、省エネ基準とか、新省エネ基準という言葉自体が多分意味がなくなると思います。既存の住宅については意味のあるものになると思いますけれども、新築に関しては、今のこの基準が恐らくベースになっていきます。今回をハイパーにしてしまうと、もしかしたらスーパーハイパーとかをつくらなければいけないというのもあるかもしれませんので、そういうことも念頭に置きながら、どういうふうに周知をしていくかは、業界の関係者とも意見交換を是非させていただきたいと思います。
実は一次エネルギー消費量については、その他は全部等級1にさせていただいていて、昔の新省エネとか、省エネ基準と言われているものに該当するものをあえてつくっておりませんのは、そういう意味でございます。過去、確かにそういうふうに言ってきて、一歩一歩前進してきたことは事実だとは思いますけれども、どういうふうに言うかというのは、また議論させていただきたいと思います。
もう一つ、液状化の話を。

○国土交通省松野住宅局住宅生産課住宅ストック活用・リフォーム推進官 液状化の話はテクニカルなので、私のほうから御説明いたします。
先ほど、山口委員長代理からお話がありました液状化対策、確かに東日本大震災で非常に大きな課題になってございまして、一方で、液状化についてなかなか知見がないというのも実態でございます。そういった中で杭状改良地盤というのは、もともと液状化だけではなく、通常のいわゆる軟弱地盤対策、通常でもちょっとずつ地盤が沈下するというときにも、こういう工法はもともとあったものですから、これについての技術的な検討は別途してきたというのがございます。杭状改良地盤のいわゆる工学的に評価する方法は、別途、もともと震災前から検討してきて一応ルールが定まっていて、性能表示の見直しのタイミングで入れましょうということで準備をしておりました。
もう一つの液状化対策として入れるという項目は、こういう性能表示の表示基準の中身とは別に、いわゆるフェースシート的なところで情報を書く欄、例えば住宅が木造であるとか、2階建てであるとか、どの場所にあるとか、そういう情報欄に特記事項として液状化に関する情報を書くということを先ほど御説明したところでございます。
例えば、地方自治体でハザードマップなどを公表しております。浦安市とか東京都等は出しておりますけれども、そのハザードマップの情報、あるいは住宅が建つその敷地で実は地盤調査をしているケースも結構ございますので、地盤調査をした経歴があるかとか、そのときのデータはどうなっているかということを書くということでございまして、この杭状改良地盤の話は、もともとこういう工事をやったときにはこのぐらいの力が出ますということを表示できる。これは地盤の地耐力を表記するものですけれども、液状化について、もうちょっと別の情報を幅広く情報提供するということを整理してございます。たまたまタイミングとしてはこういう時期に重なったものでございますけれども、そういう御説明になろうかと思います。
それから、先ほど課長から省エネのネーミングの話を申しましたけれども、実は省エネについても建築分科会で議論があった際に、わかりやすさというのは御指摘がたくさんございました。表示の仕方についても、消費者にわかりやすいマークのようなものを考えてはどうかということで、これも別途検討しておりますので、委員長代理の御指摘にあったように、わかりやすさを取り組んでいきたいというふうに思っております。

○国土交通省伊藤住宅局住宅生産課長 もう一つだけ申し上げますと、先ほど山口委員長代理からお話しいただいた、宅地の問題です。私どもは、個々の住宅に関連しての情報提供をさせていただくということですけれども、それとは別に、新たな宅地開発をするときの基準をどうするべきかという話があるわけです。これは非常に技術的な話ですが、それは国土交通省の都市局で別に検討させていただいておりまして、指針の公表をさせていただいているところでございます。これは面的に新たに宅地開発するときには、今回の震災を踏まえた上で、こういうことは少なくともやってほしいというような形のものをあわせて進めてございますので、御紹介させていただきたいと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
私も2点ほどお伺いしたかったのですけれども、この基準というのは、委員間打合せで説明されたときもよくわからなくて、なかなか理解し難いところがあります。実際に購入する一般の人は、この基準については、何か説明を受ける際の方法があるのかどうかということ。
もう一つは、こういう基準が出された場合、その土地あるいは建物が有すべき性状といいますか、瑕疵担保の問題を考えるときに、この基準というのはどういうふうに効いてくるのかというのを伺えればと思います。よろしくお願いします。

○国土交通省伊藤住宅局住宅生産課長 まず、宅地建物取引業の重要事項説明の中で、性能表示のある無しについては必ず説明しなければいけないことになっています。あるということが説明されて、それはどんな内容ですかというふうにお聞きいただければ、その中身の詳細もたどり着くことができる。宅地建物取引業の重要事項説明というのはすごくたくさんなものですから、細かく全部この項目を言うというのはなかなか難しいのですけれども、そういう取っかかりを重要事項説明の中ですることになっています。今、売買のお話をいただきましたが、あとは、具体に建物を注文する人が、より省エネに優れたものにしてほしいとか、そういった格好で設計のときに注文をつけてやられる場合もあろうかと思います。
2点目の瑕疵担保でございますが、資料1-1、性能表示にかかわらず、すべての住宅、欠陥住宅問題については、当然、10年の瑕疵担保の義務化があるわけでございます。性能表示がついている住宅につきましては、マル3に紛争処理体制の整備とございますが、建設住宅性能評価書が交付された住宅に関する紛争処理というのは、指定住宅紛争処理機関、いわゆるADRで調停、仲裁を利用していただくことが可能になっております。これは性能の中身にかかわらず、性能以外の話も含めて、性能表示住宅についてはそういう仕組みを取らせていただいているという格好になります。
どちらかというと性能表示自体は、民・民の契約に基づく設計・工事を第三者機関がチェックをする格好で、こういうふうになっていますということを言う性格を持っています。かつ、先ほど申し上げましたように紛争処理の体制に、この紛争処理に関しては、建築士と弁護士からなっている委員会を設けておりまして、そこでADRをやらせていただく形になっております。

○河上委員長 ということは、例えば等級が3となっているときに、等級3にふさわしい性能がなかったら、これは欠陥住宅だというふうに認定されたり、あるいは、そうではないものを等級3と認定した場合は、認定上の責任があるということになるのですか。

○国土交通省伊藤住宅局住宅生産課長 登録評価機関に対する処分規定はあります。この第三者の機関については国に登録をする格好になっておりますので、当然、間違いがあれば処分対象になります。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、前にも説明いただいたところでございますので、既に委員会として答申案は用意してございます。まず、それを配付いただきましょうか。

追加資料PDFを別ウィンドウで開きます配付)

○河上委員長 お配りした追加資料は、今、総理が海外におられるということで、宛先が代理になっておりますけれども、それ以外は特に変わったことはございません。
改正を行うことについては、住宅の品質確保の促進等に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申するという結論で案を作成しておりますが、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○河上委員長 それでは、この答申案については皆様の御了解をいただいたということで、代理宛てに答申をしたいと思います。日付を作成して案をとってください。
どうもありがとうございました。

≪3.消費者安全専門調査会の報告について≫

○河上委員長 次の議題は、「消費者安全専門調査会の報告について」であります。
消費者安全専門調査会につきましては、残された期間で、食品リコールの現状に関して調査・審議し、このたび、その中間整理が取りまとめられました。本日は、消費者安全専門調査会の担当委員であります小幡委員から、専門調査会の整理内容について御報告をいただきまして、意見交換を行いたいと思います。
それでは、小幡委員から御報告をお願いいたします。

○小幡委員 それでは、私が担当しておりましたので、はじめに概略をご報告して、詳細は事務局から説明をいただきたいと思います。
第2次の消費者安全専門調査会では、平成24年4月から検討を開始いたしまして、消費者事故の未然防止、拡大防止のための対応策として、主にそのときは製品リコール情報の注意喚起情報の周知徹底の方策を検討してまいりました。平成25年1月に報告書をまとめております。
ただ、この報告書は主に製品を中心にやっておりましたので、製品以外の食品、医薬品、自動車等全体すべてをカバーしたというものではございませんでした。今回、時間的な制約もございますが、やはり包括的な法整備もしていきたいという話も出ましたので、まずは全体の状況を整理しておきたいと考え、食品は一番身近な存在なのですが、この前の報告書では落ちていましたので、今回、食品についてテーマとして取り上げ、ヒアリングを中心とした審議調査を行ってまいりました。
調査会では、5月から4か月間で5回開催いたしました。行政や事業者、消費者団体等から食品リコールについての現状のヒアリングを行いました。時間的な制約がございまして、ヒアリングが十分であったかというとまだまだのところはございますが、とりあえずは現状の整理ということで報告させていただきたいと思います。
食品というのはかなり特徴がございまして、すぐに消費されてしまうということはございます。健康被害まで出ないものは多いですが、アレルギーなどによる重篤な症状もあるということでございまして、表示のミスからアレルギーによる重篤な事故が起きる可能性もございます。食品の場合、どのような表示ミスでもすべて回収していくのかなど、いろいろ製品と違う考えるべき部分もございまして、現状どうなっているかということをまず調査して整理したことは、とりあえずは意義があることであったのではないかと考えております。
詳細については事務局から説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○原事務局長 それでは、事務局から説明したいと思います。資料といたしましては、資料2-1から資料2-5まであります。
資料2-5PDFを別ウィンドウで開きますをまずごらんになっていただきたいのですが、これまでの消費者安全専門調査会での審議経過ということで、5月13日にスタートいたしまして、8月22日まで5回。ヒアリングを中心に、事務局でも調べたものということで、委員の意見を中心に取りまとめております。
資料2-1PDFを別ウィンドウで開きますに戻っていただきたいのですが、「食品リコールの現状に関する整理」ということで、8月22日の消費者安全専門調査会で取りまとめを行ったものです。
中を開けていただきますと、「はじめに」というのが3ページから入っております。今、担当委員の小幡委員から御説明のあったとおり、1月に「消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策」について報告書をまとめておりますけれども、これは注意喚起徹底のところに焦点を当てておりましたので、リコール過程全般にしたものではなかったということ。それから、全般について議論をしていたのですけれども、力点が消費生活用製品になってきておりまして、食品、市販医薬品、自動車、製品以外の設備・施設・役務など全体をカバーするものとなっていなかったので、まず身近な食品分野について整理をしておこうということで、8月までの短い期間ですけれども、実施いたしました。
リコールの考え方が2ポツで書いておりますけれども、広義には、危害を最小限にするために必要な是正措置のすべてを指すものと考えます。もっとも狭義には、皆さんがリコールと言った場合、頭に思い浮かぶのが、消費者の手元にあるものでの事故の発生を予防するため、無料で交換修理・回収等をなすことであるということになるかと思います。
4ページに入りまして、食品リコールの考え方ということで一旦整理をしております。食品のリコールについては、食品関連法令に基づくリコール、(2)といたしまして、法令には基づかない自主リコールというものが行われております。
食品関連法令に基づくリコールのほうでは、食品の衛生、安全については食品衛生法で規定がございます。食品の表示に関しては、主にJAS法、食品衛生法で規定がございます。厚生労働省のホームページでは、輸入品についての回収事例が掲載されておりまして、件数をそこに掲示しております。なお、関連法令の法執行の主体としては、地方自治体の保健所や農政局という機関が存在しています。
(2)自主リコールの部分ですが、これはいろいろな判断のもとに行われておりまして、FAMICの調査によると、平成24年度での食品自主回収件数は920件ということが提示されております。都府県、市によっては、自治体による自主回収報告制度が条例で制定されておりまして、これがかなり活用されている。後ほど資料も御紹介したいと思います。
5ページ、6ページにかけて、食品リコールの現状になります。実態ということで、場面を分けて掲載しております。
(1)が食品の不具合や異常に関する情報収集の体制ということで、事業者の場合は、事業者が設置しているお客様窓口に消費者から直接情報として入ってくる場合、販売・流通事業者からの情報提供がございます。
行政の場合は、食品衛生法に基づき保健所の監視員が収去検査などを行って違反を確認したり、農政局のJAS法に基づくモニタリング調査なども行われていますし、実際に健康危害が発生した事例は、消費者本人もしくは医療機関から直接保健所へ情報が入ってくる状況です。
(2)食品の自主リコールの判断基準。実際に判断基準はどうなのかといことですが、法令に基づくものについては、法令に基づいてということでの判断がされているわけですが、自主リコールについてはどうか。標準的な判断基準はなく、各々の要素について検討し、案件ごとに判断されているのが現状であるということで、具体的には、マル1 健康危害の程度、マル2 法令への抵触性、マル3 発生件数、発生時の態様、マル4 社会的影響ということで、コンプライアンスや企業のブランドイメージといった社会性も判断要素とされているケースもございます。
(3)といたしまして、周知方法と回収方法ですが、実際には返金とか代替品提供などの対応が主になされております。消費者への告知方法ということでは、社告、記者会見、ホームページ掲載というところで、これは消費生活用製品全般とも共通するところですが、こういった媒体、ツールを使って周知をさせております。ただ、実際には情報周知を行ったものの回収率にはバラツキがあり、特に健康被害がないものの回収率は低いという現状がございました。
(4)といたしまして、終了・再発防止ですが、マル1 終了時期につきましては、一般的には消費・賞味期限を目安としているのが現状です。先ほど御紹介いたしました自治体の自主回収報告制度の場合ですけれども、自治体によっては、終了報告の際、回収率や打ち切る理由など届出を求めているところもございました。
マル2 再発防止に向けた取組みということで、製品、食品全体を含めて、再発防止が非常に重要ですけれども、食品衛生法による回収命令の場合は、保健所による立入検査が追加実施され、必要があれば改善命令が出されております。自治体の自主回収報告制度では、報告書にその記載を求めておりまして、再発防止に重点を置いております。
7ページに入りまして、消費者安全専門調査会における分析ということで、これについては22日の専門調査会で非常に御議論のあったところで、この分析の項目を入れました。現状を踏まえると以下のとおりの課題があるのではないかということで、(1)食品リコールの特性ということで、健康危害を引き起こすおそれがあることから迅速性と徹底性が要求される。短期で消費されてしまうものが多いため、周知から終了判断に要する期間はおおむね短い。健康危害のあらわれ方は、個人の体質や体調、感受性の違いにより、原因の特定が難しい。ちょっと時間がかかるということです。ただ、アレルギーの場合は重篤でございますので、「万全の体制が必要である」といたしました。
それから、製造段階だけではなく、流通、販売、家庭それぞれの段階での原因によるリコールが発生しうるため、個別判断・対応が多いという状況にあるのではないかということです。消費生活用製品との共通で言えば、消費者への情報周知が課題であると考えられる。
(2)食品リコールの現状から考えて、1つ目といたしまして、情報を一元的に管理している機関が確認できなかったということです。
2つ目は、多大なコストがかかることから、小規模、零細事業者には負担が大きいのではないか。したがって、自主リコールは企業によってバラツキが生じているおそれもある。断定はできなくて、そういったことも考えられるのではないかということで書いております。
3つ目は、自主リコールの場合は、事業者から相談を受けた行政の対応も全国統一的なものになっているかどうか、不明な点もあるのではないか。
4つ目は、食品の特性から、事故との因果関係の特定に時間を要したりするので、リコールの充実だけで消費者を事故から十分に守ることは難しいと考えられます。
最後ですが、健康危害の原因を究明し再発防止につなげるには、個別の事案の再発防止だけではなく、情報収集体制や実施体制、HACCPの仕組みの導入等が有効という指摘もございました。
なお書きのところでは、それの繰り返しになりますけれども、食品の安全を実現するためには、リコールの充実だけを図るのではなく、全体的に総合的に取り組むことが有効であると考えられます。
8ページに入りまして、「おわりに」というところですけれども、現状から、真ん中の段に書いております3つのことを課題として掲げております。事故情報・不具合情報の一元的収集体制の整備、健康危害の度合いによるリコールの判断基準、実施方法、実施主体との明確化と迅速性の確保。それから、新しくできました食品表示法ですけれども、安全性に重要な影響を及ぼす場合には回収命令の規定が入りましたので、これの具体化も必要ではないかと思っております。
最後の「また」というところに書いておりますのは、1月に取りまとめました報告書をそのまま引用してきておりますけれども、リコールへの自主的な取組みのためのガイドラインや、国内・国際規格の策定、法令運用の改善などのリコールの効果を上げる方法の検討。さらに、事業者、行政のそれぞれの責務を定めた包括的な法整備に係る課題についても、引き続き検討することを要望するというふうにいたしました。
残りの資料を説明しておきますが、資料2-2PDFを別ウィンドウで開きますは、ヒアリング内容の整理、それから、委員からも個別に、専門調査会の場だけではなく書面でも御意見をいただきましたので、それを項目ごとに整理したものになります。
資料2-3PDFを別ウィンドウで開きますは、食品関連の主な法令とリコール(回収等)に関する記載内容を整理したものになります。現行、こういう状況になっています。
資料2-4PDFを別ウィンドウで開きますですが、先ほど報告の中で何度も申し上げましたけれども、自治体による食品の自主回収報告制度というのが設けられております。東京都や群馬県は非常に一生懸命やっておられるところですが、どういう回収制度を設けておられるかということを整理しております。これはもともと、小規模・零細事業者が自主リコールされた場合、それを消費者に周知する手立てはなかなか大変だということで、自治体に届け出ていただければ、それを自治体のホームページに掲載することで消費者にも知らせてあげましょう、ということでスタートしております。かなりしっかり仕組みとしてつくられてきているように思いましたので、これも大変参考になる資料となったというところです。
事務局からは以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 興味深くお聞きしました。資料2-4ですけれども、これはどういう順番で並んでいるのか、一つ、素朴に思ったのですが、熱心にやっているところからなのか。でも、その次のページを見ると、北から南に行っているような感じもあって、これが全てなのか、それともほかの県もあるのか。それから9ページを見ると、さいたま市と宇都宮市と前橋市が書いてありますが、多くの市でこういうのがあるのか。それとも、ここだけ特にこういうものをつくられているのか。その辺がどうなのか。
それから、報告が義務づけられる回収事由という項目があって、これを見ると本当にばらばらなのです。隣県の埼玉県と栃木県でこんなに違っていていいのかと思ったりしますけれども、どうしてこんなばらばらなのか。食品衛生法で一定の強制権限を持った厚労省がやるべきなのと、それよりもう少しリスク度合いが低いが何とかしたほうがいいものについて、それぞれの都道府県の思いで、あるいは、市の思いでつくられているいきさつがあるのか。その辺の歴史的あるいは地域的な経過もよくわからないので、素朴なところで教えていただければと思います。

○原事務局長 資料2-4ですけれども、群馬県を最初に持ってきているのは、専門調査会でヒアリングを行ったということと、群馬県が中心になって各県と連絡をとって、ネットワークを組んでいろいろと工夫をされているということで、群馬県が最初に来ています。東京都も最初に来ていただいてヒアリングしております。次に群馬県に来ていただきました。資料2-5PDFを別ウィンドウで開きますにございますので、ごらんになっていただければと思います。
それから、これは全部かということですが、実際におやりになっているのは37都県市です。県もありますし、市も入っているというところで、これは事務局で整理をしたものですけれども、項目によって自治体ごとに少し違うというところもあります。でも、全体的にはそんなに大きな違いはなかったというところです。詳細を見ていくと違っているところもある状況、と思っていただけたらと思いますけれども、そういう整理の仕方になっております。
それから、歴史的なところはどうかと言われましたが、1970年代から、熱心な自治体は食品については条例をつくっていろいろな規定をされておりますので、その延長線上に、熱心に取り組んでおられたところがこういうところもやっておられるという印象は持っております。
以上です。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○山口委員長代理 結論としては、第3次に引き継ごうということですね。

○小幡委員 その前の製品のリコールについての審議報告のあとで、我々の任期まで時間が少しあるというところで、今回は、食品リコールの現状を調べたということでございますので、包括的なリコールのあり方、例えば流通業者に課していくべきではないかとか、そういうことも含めて、できれば是非次期でやっていただきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。

○山口委員長代理 担当の委員は、せっかく報告書を出されるなら書いたほうがいいと思います。

○原事務局長 わかりました。どういう体裁で公表物にするかというのを考えまして、そのときはもちろん担当委員名は書きます。

○河上委員長 これは報告書として残すのですね。

○原事務局長 どういう取りまとめにするかというのは、御相談させてください。あくまでも整理をしたという感じのものですので。

○河上委員長 2次の委員会として調査・審議の経過を残すとすれば、紙にしておいたほうがいいですね。

○原事務局長 わかりました。そういう方向で整理させていただきます。

○小幡委員 せっかく安全専門調査会の委員の方々に熱心に御議論いただいたので、残していただければと思います。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
消費者安全専門調査会におかれましては、本年1月の「消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策について」という題名の報告書を出していただいておりますが、それに引き続いて、今回、「食品リコールの現状に関する整理」という報告をいただいたわけでありまして、まことにありがとうございました。審議の途中では、例の株式会社カネボウ化粧品の美白化粧品の問題等も出てきたこともありまして、やはり考えてみると、リコール制度全体については、何らかの包括的な検討が必要な状況になっているのではないかとも思われます。今回の食品リコール整理の取扱いにつきましては、本年1月の報告書とあわせまして、次期消費者委員会への引継事項にしたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

≪4.インターネットを通じた消費者の財産被害対策について≫

○河上委員長 次の問題は、「インターネットを通じた消費者の財産被害対策について」であります。本件につきましては、去る8月6日に開催しました第129回委員会において、有識者の山田司法書士から、インターネットを通じた消費者の財産被害の現状についての報告をいただき、さらに総務省から、プロバイダ責任制限法の概要や、同法に関して行われた検証結果等についての説明を受けて議論を行いました。
本日は、これまでの検討結果を踏まえまして、消費者の被害回復を可能にするための方策等について、当委員会としての現時点の考え方を取りまとめたいと考えております。
それでは、山口委員長代理から、考え方の案について説明をお願いいたします。

○山口委員長代理資料3PDFを別ウィンドウで開きますとして、「インターネットを通じた消費者の財産被害問題に関する消費者委員会としての現時点の考え方」の案をお配りしております。これについて御説明申し上げて、御了承いただければと思います。
近年、インターネット利用者の増加に伴って、インターネットを通じた消費者の財産被害に関する相談が増加しています。全国の消費生活センターに寄せられたPIO-NETの件数は、2003年度の3万1,000件から、2012年、9年後には18万3,000件に拡大しておりまして、全体が80万件ですから、かなりのウエートをインターネット関係の相談が占めております。そのうち、相手方と連絡不能なものや、相手方の所在が不明なものが、2003年度の1,400件から2012年には1万3,000件に増加しております。また、架空請求に関する相談のうち、請求手段が電子メールでやるものの割合が2012年には77%にも及んでいます。つまり、ネット発信してきた相手方への連絡がとれないために被害回復が困難な事案が増加しています。その手口としては、ウェブページだけではなく、電子メールも用いられる、こういう傾向があります。
このような事案において、消費者の被害回復を可能にするための方策について、当委員会では、ことしの3月以降、有識者を交えてグループをつくって検討を重ねてきました。ウェブページなどによる情報の流通によって権利の侵害があった場合、発信者情報開示請求などを規定する法律として、プロバイダ責任制限法、正規の名前は長いのですが、この法律がございます。
しかし、発信者のプライバシー及び、表現の自由を保護する視点から、同法の対象は、この情報が流通することで直接他人の権利を侵害する名誉毀損の事案、あるいは脅迫行為、著作権侵害などに限られておりまして、財産被害の事案には適用されないことになっています。また同法は、不特定の者を対象とする通信によってなされる権利侵害のみを対象としておりまして、特定者間の通信ということになっている電子メールなどは対象に含まれていません。プロバイダなどによる発信者情報の開示が正当行為と認められる場合を規律しているのは、現行ではプロバイダ責任制限法だけでありまして、この法律による対応はその本来的機能に合致したものと考えられます。
そこで、次のような理由から、同法において、発信者情報開示請求が、財産被害事案及び電子メールにも適用可能となるように検討が行われる必要があると考えております。
まず、財産被害事案への適用の問題であります。これは2ページ以下で書いていますが、一定の法律関係にあるものとして金銭を支払った相手方を特定することができないという状況は、消費者から被害回復の機会を奪うものであります。自ら金銭を請求し受け取ったものについて、相手方に対して自らを匿名にしておく利益というのは、認められるとしても要保護性は低いことは明らかです。発信者の利益は、要件を具体化・明確化して、例えば金銭を既に支払ったこと及び発信者情報開示請求によらない限り、損害賠償請求を行う相手が特定できないことを要件として明示することで、保護可能であると考えております。その点が意見でまとめられています。
次に、電子メールの適用についてであります。6ページ以下でまとめていますが、不特定の電子メールアドレスに同一の文書の電子メールを、ひどいときには数万件発信する事例がございまして、特定者間の通信という概念から外れる現実がかなり出ております。被害の広がり、あるいは拡大スピードの点において、ウェブページとの間で大きな差異があるとは言えないと考えられます。
8ページの2行目以下ですけれども、以上のとおり、当委員会としては検討結果を踏まえて、現時点において、マル1 インターネット上のウェブページを通じた消費者の財産被害事案、マル2 電子メールを利用した消費者の財産被害事案において加害者を特定するため、プロバイダ責任制限法による発信者情報開示請求が係る事案にも適用可能となるような検討が行われる必要がある、という見解をまとめたところであります。
実はこの考え方について、消費者委員会の提言として総務省に発信することを考えました。そこで総務省と何回もやり取りをしたわけですが、幾つかの論点について総務省から強い異論が出されました。私ども消費者委員会としても、現実にどの程度発信者が判らなくて困っているような事例があるのか、諸外国の運用がどうなっているのか、その他の事情についてなお検討し、それらの検証を踏まえてより説得力のある建議か、提言にした方がよいのではないか。その上で、総務省あるいは消費者庁、関係省庁に改善を求めていくことが望ましいのではないかと考えるに至りまして、あえて第2次の委員会として提言することにこだわらずに、この意見をまとめて、これを対外的にも公表すると同時に、第3次の消費者委員会に引き継いで、より幅広の議論をしていただいて意見を発信していただくことを期待して、現段階でのこの書面をまとめることにいたしました。
以上の内容を消費者委員会の現時点での考え方として取りまとめるという形で、お諮りしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。
山口委員長代理はかなり抑えた言い方をされていましたけれども、本当は建議にまで持っていければいいなということで、半年近くにわたって専門家を交えて相当の議論を積み重ねてきたものであります。総務省との間で前々回、第129回のときにヒアリングをしてこの問題を出してみたところ、プロバイダ責任制限法はそういう法律ではないということをはっきりおっしゃって、ちょうど前に消費者庁が特定商取引法で指定権利制の廃止についておっしゃったのと、非常によく似た対応を示されたことは記憶に新しいことです。
その後、委員会と総務省の間でも随分意見の交換がなされたわけですけれども、ただ、建議にまで至らなかったというのは山口委員長代理がおっしゃったとおりで、やはり立法事実に当たる部分がいまひとつ具体的に明確でないのではないかという懸念が残りました。それから、特商法に関連しては、消費者庁とこの間は徹底的に意見交換をした上で、なおかつ委員会として、これは維持せざるを得ないと考えたところは、あえて指定権利制の廃止をという建議を出したのですが、それだけの手続をまだとりきれていない。時間切れということもあるわけですが、それでも2次の委員会として何かきちんと残しておいて、3次に向けて一定の発信をしておくことは意味があるだろうということで、こういう「現時点での考え方」という文章になっているということです。
いかがでしょうか。何か御意見があれば。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 私も総務省との前々回のやり取りで納得はできなかったのですが、典型的に今までプロバイダ責任制限法を使っているのは、名誉毀損等であることはよく理解しましたが、財産権も権利侵害なので、なぜこれに使えないかというところが、必ずしも納得のいく説明がされているとは思えない。こちらも任期が、今月でもう回数がないということで、それ以上、所管の総務省と詰められなかったのは残念です。インターネットの財産被害が深刻になっていることは、国民生活センターやさまざまなところから伝えられているわけですので、少なくとも発信者を特定する方策をとれるような形で、次期のところで速やかに取り組んでいただきたいと思います。我々のところは時間切れだったというのは残念に思っております。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 総務省と再三意見交換を委員会の外でもしたのです。その席上、総務省のほうは表現の自由、つまり、発信者が誰かということを知られないでインターネット上に意見をのせるという権利は保障されるべきだと。これが発信者情報開示請求の範囲を広げることによって侵害されることは、あってはならないという非常に強い御意見をお出しになりました。
ただ、消費者委員会が問題にしているのは、そのような意見の発信ではなくて、端的に言えば、消費者に対して、こういう商品があるからどうですかということで購入を誘うような事業活動。それから、架空の請求を不特定多数の方々に、メールで、あなたはこういう問題があるからこのままでは訴えられますとか、訴えますということを、何万人もの人に投げかける。そこでびっくりした人がポンと反応すると、それをきっかけにしてお金を払わせるように仕向けていくという、その種の被害。
それから、現実に私自身も相談を受け、また、ほかの弁護士からも大変な問題だというふうに相談を受けていますのは、実はヤミ金が、お返事をいただければ融資しますということで、不特定多数に融資の申出をネットで流しています。若者がそれに応じて、1万円、2万円貸してくださいということで返事を書くと、貸しますと。ですが、条件としてあなたのお父さん、お母さんの勤め先から住所、氏名、きょうだいの勤め先まで全部メールで返事をさせるのです。それで1万円、2万円、指定の口座に送金する。それで翌日には2倍とか3倍の金額を請求するわけです。そこでびっくりして、これは不当ではないかということで返さないとなると、これは本当に同じような手口があちこちで起こっているのですが、親の勤め先からきょうだいの勤め先までいやがらせ電話が再三かかってくる。それでどうにもならなくなってノイローゼ状態になって相談に来る。ところが、それがそもそも誰で、誰がかけてきているのかもわからない。
そういう匿名性を悪用した、明らかな犯罪行為がなされている場合もある。しかしながら、被害者側が相当努力しないと、あるいは、努力しても発信者がわからない、犯人がわからないということが完全に悪用されているわけです。そういう問題を消費者委員会なり、消費者問題を問題にする立場として考えているので、表現の自由のレベルとは全然違うのではないかということをさんざん議論してみたのですが、かみ合わなかったというところがございます。
その辺について、今、申し上げたような具体例、あるいは前回、山田司法書士がおっしゃったような事例がどれだけ広がっているのか。それを解決するためにはどうすればいいのかということを、これは一総務省の問題ではなく、消費者庁や警察庁、経済産業省などにもおいでいただいて、そういう実態に詳しい方々にもおいでいただいて、幅広の議論をする。あるいは、諸外国の運用例なども調べた上で、総務省あるいは関係省庁が納得いただくような提言や建議を、是非次にお願いしたいという遺言をいたしまして、意見の取りまとめをさせていただければと思っております。

○河上委員長 我々が問題としているタイプの紛争というのは被害額が小さいみたいですね。5万円とか、10万円とか。だから、訴訟で争うということにはなりにくいもので、それだけに、裁判所から命令をもらってプロバイダ責任制限法で情報開示を求めることも、余り期待できないものです。その意味では、このようなタイプの紛争を前提にしてプロバイダ責任制限法を使うことが従来想定されていなかったのでしょう。総務省の方がよく援用されている検討会の報告書、その審議の議事録を私も全部読みましたけれども、ほとんどが名誉毀損とか、著作権侵害とか、そういうケースを想定した議論になっています。その意味では、我々が述べているような被害が実際にあるということをもう少し説得力をもって示さないと、なかなか動いてくれないようです。強引に建議にまで持っていくという手もあるでしょうけれども、やはりちゃんと手順を踏んで、総務省に動いてもらうためにも、ここは次の委員会での追加審議に期待するということかなと思います。よろしいでしょうか。

(一同うなずき)

○河上委員長 それでは、皆様の御了解をいただいたということで、消費者委員会の現時点の考え方としてこれを取りまとめるということにして、これを公表することにさせていただきます。その上で本問題については、第3次消費者委員会において引き続き検討が深められることを期待したいと思います。

≪5.第2次消費者委員会のこれまでの活動と今後について≫

○河上委員長 次の議題は、議題というよりも、我々の反省会のようなことになってしまうのですが、「第2次消費者委員会のこれまでの活動と今後について」ということです。
第2次消費者委員会は、平成23年の9月の発足以降、各種の消費者問題について精力的に調査審議を行い、8月末に任期満了を迎えることになります。最初にも申し上げましたように、本日の会合が第2次の委員会としては最後の会合になるわけです。
そこで、この2年間にわたる第2次消費者委員会の活動実績というか、活動の状況について、事務局から報告をお願いしたいと思います。
事務局長、お願いします。

○原事務局長 10分程度ということで、資料4の関連、資料4-1から4-6までありますが、これに基づいて御説明をしたいと思います。
実際であれば、年報と言うのでしょうか、報告書をつくる予定でしたけれども、本日の内容も含めて9月にはまとめたいと思っておりますので、詳細はそちらをごらんいただきたいと思います。
まず、資料4-1PDFを別ウィンドウで開きますです。年間の報告の中の巻頭言というのでしょうか、委員長にお書きいただいた資料です。かなり膨大になりますので、御本人から後ほど御紹介いただければということにさせていただけたらと思います。
資料4-2、4-3、4-4で説明してまいりたいと思いますが、資料4-2PDFを別ウィンドウで開きますが、第2次消費者委員会のこれまでの活動ということで取りまとめております。これまで、かなり膨大な課題を手がけてまいりました。まず、(1)消費者基本計画関係としておりますけれども、これについては、毎年4月、5月、11月、12月ということで、2回に分けて重要施策について関係省庁ヒアリングをして、消費者基本計画の検証・評価の作業を行ってまいりました。
(2)からはそれぞれの分野ごとに分類したものになります。(2)が消費者安全関係ということで、エステ・美容医療サービスについて。これについてはこの2年間、検討を継続しておりますけれども、取り上げております。
こんにゃく入りゼリー事故への対応状況についてもずっと関心は持っておりまして、これについても議題として取り上げております。
消費者安全法に基づく国会報告が行われておりまして、随時、消費者委員会としては意見を述べてまいりました。今後、消費者庁の白書と一体化される方向性にあると聞いておりまして、その場を使って今後は意見を述べていくことにしてはどうかと考えております。
違法ドラッグについても、昨年取り上げたものです。
自動車リコール制度についても、第1次の消費者委員会の最初の建議でしたけれども、これについても年明け、リコール隠しの話なども出てまいりましたので、国土交通省のヒアリングを行っております。
それから、先ほど御紹介いたしました、消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についてということを検討しております。
2ページですが、(3)取引・契約ということで、貴金属等の訪問買取りについて、住宅用太陽光発電システムの販売に係る問題、住宅リフォームに関する消費者問題、標準旅行業約款、医療機関債、改正貸金業法、電気通信事業法の販売方法に係る消費者問題について、消費者契約法・民法改正関連、詐欺的投資勧誘について、預託法について、今、御紹介いたしました、インターネットを通じた消費者の財産被害対策についてを取り上げております。
(4)が表示関係で、これも大変大きい問題をそこに2つ書いておりますが、食品表示の一元化について、健康食品について、複数回取り上げております。
(5)が料金・物価関係ですが、これについては第2次消費者委員会としては特筆すべきだと思いますけれども、公共料金について横断的課題、電気料金について、取り組んでまいりました。
(6)が消費者被害救済関係で、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度については、国会に上程というところまでいっておりますけれども、この議題。それから、消費者の財産被害に係る行政手法研究会(消費者庁)の取りまとめについて、御報告を受けております。
(7)は公益通報者保護制度についてですが、これについても、後ほど御紹介いただきますが、2回取り上げております。
(8)は消費者教育関係で、これも、昨年8月に消費者教育の新しい法律ができましたので、複数回取り上げております。
(9)は消費者行政の在り方関係ということで、国民生活センターの在り方について、地方消費者行政についてということで、これも複数回取り上げております。
ちょっと飛ばしまして、囲みの外になりますけれども、建議については7件の建議を提出しております。
「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題」「公共料金問題」「地方消費者行政の持続的な展開」ということで、地方消費者行政についても2回出しております。「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」「消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についての建議」「詐欺的投資勧誘に関する消費者問題についての建議」を出しております。
提言は6件出しておりまして、(2)住宅用太陽光発電システムの販売、(3)違法ドラッグ対策、(4)医療機関債、(5)電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言、(6)公共料金問題に関する提言を出しております。
4ページに入りますが、「4.意見等」については17件出しております。重なる部分もありますので、紹介までは控えさせていただきますが、(15)で「公益通報者保護制度に関する意見」を出しております。これは、第1次消費者委員会で消費者庁に実態調査をお願いしております。その実態調査がまとまりましたので、御報告いただいた上で、今後の取組みについて意見を出したものになります。電力料金関係もたくさん意見を出しております。
5ページに移りまして、諮問に関する答申も17件行っております。
6ポツ、建議・意見表明等に関するフォローアップということで、半年後に建議についてはフォローアップをしておりますけれども、9件のフォローアップを行っております。実は、これにとどまりませず、消費者基本計画の中に重要施策として入れ込むという作業もしておりまして、消費者基本計画の検証・評価の作業の中でもフォローアップは実施しております。
6ページ、最後になりますけれども、「特定保健用食品の表示許可制度についての提言」のフォローアップということです。これは、試験デザインの明確化、新しい科学的知見をどういうふうにして集めるか、更新制の導入について第1次で提案したものですけれども、これについてもフォローアップを実施したところです。
7ポツにありますが、消費者委員会の場だけではなく、部会・専門調査会を設置して審議しておりまして、それについては、資料4-6PDFを別ウィンドウで開きますにその詳細を載せております。報告書については割愛させていただきます。
その次は、簡単に、資料4-3PDFを別ウィンドウで開きますは、平成23年9月から平成25年8月までの委員会の開催数で、第69回~第131回の本日まで63回ほど開催しております。ただ、これにとどまらずに、12月、5月というのは毎週委員会を開いておりまして、この間に委員間打合せ、企画・運営会議も実施しております。
担当委員ということで、専門調査会、部会、それぞれの調査審議にも担当委員としてお入りいただいて活動していただきました。
第2次の特筆すべきことといたしましては、「地方消費者委員会」を開催しております。資料4-5PDFを別ウィンドウで開きますになりますが、これまで9か所において、地方消費者委員会を開催してきております。消費者契約法についても、ワーキングチームを委員長のもとに置きまして、1年半検討した結果を、2月と7月に東京、大阪でシンポジウムを消費者契約法については開催しております。
資料4-4PDFを別ウィンドウで開きますですが、フォローアップの実態ということで簡単に紹介したいと思います。
消費者委員会の建議・提言等の概要と主な成果については、ホームページに掲載して皆さんに現状を把握できるようにしております。中をあけていただいて、7番の「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」からが第2次消費者委員会の活動になります。これを読んでいきますと、8番の「公共料金問題についての建議」のところで、経済産業省と書いておりますが、東京電力の電気料金の値上げ申請に関して、決定過程の透明性等を確保する観点から情報公開を実施されたり、さまざまな取組みがされたと考えております。
9といたしまして、「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」を行っておりますが、これについても、消費者庁で2012年度補正予算において、基金を60.2億円ということで上積みされております。
10番の「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」については、消費者庁で、公表・指導事例を全て収集・分析の上、統一的な留意事項を2013年中に取りまとめて公表する予定、食品表示対策室を設置ということで、徐々に具体化をされてきているところです。
11番の「消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についての建議」については、経済産業省が「製品安全に関する流通事業者向けガイド」を作成されて、公表されています。
そのように具体的に成果も出てきているというところで、主な成果、簡単なものだけ御紹介をさせていただきました。言い尽くせない点は、各委員から補足をお願いできたらと思っております。
事務局からは以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。

○山口委員長代理 ちょっと今の点、いいですか。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 幾つかありますけれども、きょう初めて見たものですから整理できていませんが、4-2の4ページ、「意見等」のところで、消費者庁の消費者白書等について、消費者委員会として問題点を指摘した意見をまとめております。ことしの6月25日の「消費者白書及び消費者安全法に基づく国会報告への意見」、これは私は主観的にはかなり重大なものだと思いますが、それを落としている。それから、きょう、まさに取りまとめたプロバイダ責任制限法といいますか、インターネットの関係の意見、これは載せる必要がある。
それから、これはここに載せてもいいし、最後の報告書にしてもいいのかもしれませんが、先ほど小幡委員が御紹介された食品リコールの関係は、現段階での意見としてまとめてきちんと責任を持って公表する、それは消費者委員会の責任ではないでしょうか。それをきちんと出していただきたいし、それから、きょうの国交省の諮問に対する答えも出したわけですから、それは18番目としてきちんと載せることが必要だと思います。
4-4の成果は、これでは寂しい限りです。一つは、第1期の消費者委員会として最初に出した提言、未公開株についての対策、これを提言して、それを踏まえて金商法の改正がなされたわけです。民事的に無効とする、あるいは罰則を5年に重くすると。これはかなり重大な改正ですし、私は成果だと思っていますので、それはきちっと書いていただきたい。
3ページに住宅リフォームに関する建議がありましたが、その次かその前に、利殖目的のマンション販売勧誘の被害がひどいので、国交省として取り締まるべきだという建議をいたしました。それを踏まえて通達その他を国交省は改正して、運用強化を図って、その成果として、利殖目的のマンション販売勧誘の被害の抑止はかなり実効性が上がったと私は思っています。その点が落ちている。
もう1点、9ページ辺りの時期ですが、電気通信事業法の改正を提言しました。その提言を総務省はこれは本当に真摯に受け止めていただいて、審議会を開いて改正の方向を答申がなされ、今、その作業がなされているところです。これらの提言は、責任でもあり成果でもあると思いますので、それはきちっと明記すべきだと思います。
以上。

○小田審議官 今のところは、山口委員長代理がごらんになっているのは建議のところで、その後ろに12ページから提言という部分がありまして、未公開株とか電気通信事業の販売方式の部分、そこの部分は入っています。

○山口委員長代理 わかりました。利殖目的のマンションについては。

○原事務局長 それも資料4-4の2ページ、4ポツで書いています。

○山口委員長代理 失礼しました。

○原事務局長 先ほど御紹介したのは建議を中心に第2次になってからのお話をしましたので、後半指摘されたところは入っているということです。それから、本日、いろいろと議題になったことについては、もちろん、中に入れ込むということです。
それから、冒頭話された消費者安全法に基づく国会報告と消費者白書の関連です。消費者白書という言葉を使っていなかったので、ちょっと誤解を招きましたけれども、消費者安全関係の中に入れてしまったので、消費者白書についても意見を出したことがわかるような形で、資料4-2、4ページの4で工夫をしたいと思います。

○山口委員長代理 失礼しました。

○河上委員長 続きまして、9月に発足する第3次消費者委員会においても継続して調査審議をしていただきたい主要な議題について、資料5PDFを別ウィンドウで開きますですが、取りまとめさせていただいております。
これは、吉田委員から御説明をお願いいたします。

○吉田委員 それでは、配付しております資料5「次期消費者委員会への主な引継事項(案)」につきまして、御説明をいたします。委員長から御説明があったとおり、第3次委員会においても調査審議を継続していただきたい主要な課題について、項目を御説明いたします。
1つ目は、「速やかに下部組織を立ち上げ、検討を開始・継続することが必要と考えられるもの」として、3つ挙げております。1つ目が食品表示部会、2つ目が新開発食品調査部会、3つ目が公共料金等専門調査会です。それぞれの下部組織で審議していただきたいポイント等につきましては、書かれてあるとおりです。
2つ目としまして、「これまでの成果を踏まえ、さらに掘り下げた議論を行うことが必要と考えられるもの」として、4つ挙げております。1つ目が消費者安全行政の強化、2つ目が地方消費者行政の活性化・基盤整備、3つ目が消費者契約法等の見直し、4つ目として情報通信分野における諸課題への対応です。
3ポツですが、「フォローアップ案件」として、特に主要な課題だと思われているところを1~6まで挙げております。(1)エステ・美容医療サービス、(2)有料老人ホーム、(3)住宅リフォーム、(4)電気通信事業者の販売勧誘方法、(5)詐欺的投資勧誘対策、(6)地方消費者行政。それぞれのフォローアップのポイントにつきましては、書いてあるとおりです。
「4.その他」としまして6つの項目を挙げておりますが、(1)は、消費者基本計画の検証・評価・監視ということで、先ほど事務局から詳細な説明がありましたとおりです。(2)消費者教育、(3)規制改革における健康食品の表示をめぐる動向、(4)消費者庁・国民生活センターとの連携、(5)地方消費者委員会、関係団体との意見交換、(6)広報活動の充実ということで、それぞれのポイントにつきましては書かれているとおりです。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
また、食品表示部会の部会長であられる田島委員からも、食品表示部会に関連して御発言をお願いしたいと思います。

○田島委員 本日午前10時から食品表示部会を開催いたしまして、その際に「次期消費者委員会への要望」という文書を取りまとめました。机上配付資料ということで配付させていただきました。
食品表示法が本年6月に成立・公布されたことを受けて、新たな表示基準の策定等にあたっては、消費者庁の諮問を受けて、下記とおり、十分な調査・審議をしていただきたい、ということでございます。
まず1番として、調査・審議にあたっては、必要に応じて、食品表示部会の下に調査会または調査会に準ずる審議の場を設置すること。
2番、今後の検討課題になっている食品表示の問題については、消費者庁との連携の下、可能なものから、速やかに調査・審議を進めていくことということで、実は5月に表示部会の複数の委員から委員長宛てに、このような下部組織を早急に立ち上げていただきたいという要望を受けております。本来でしたら、第2次消費者委員会の間に立ち上げたかったのですが、国会審議がおくれていたということもあって第3次へ引き継ぐことになりました。第3次では、速やかにこれらの調査会を立ち上げていただくよう要望いたします。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
ただいまの申し送り事項といいますか、引継事項に関して、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 引継事項についてはこれで異論はないですけれども、私は現実的に引継がうまくなされないということを非常に危惧します。第1次から第2次のときに、第2次委員会のメンバーが明らかになるのがおくれて、公表した当日しか第1次の委員も第2次委員もメンバーを知らない。これはまずいだろうということで、我々はだいぶ前から、そういうことのないようにというのを大臣あるいは事務局に言ってきたにもかかわらず、きのうの大臣の記者発表等を聞くと、いまだに決まっていないという話です。しかも、決まっていないということで、委員にすらそれを事務局は全く知らせないという秘密主義を貫いているわけです。
しかも、そうやってようやく9月ぐらいに10名の委員が発表された後に今度、下部組織を立ち上げるというのだから、また同じく2か月、3か月、時間がかかることは当然予想されますので、ここにあります「速やかに下部組織を立ち上げる」というのは、今の時点でもう不可能。そうすると、消費者委員会の機能は2か月、3か月、穴があくのは明らかではないかと思います。だからといって、今ここで何ができるわけではないですけれども、どうなんでしょうね。事務局には、しっかりお願いしますというふうに言うしかないのでしょうか。私の意見です。

○河上委員長 これは、1か月ぐらい前に次の委員を公表するという手続はできないのですか。

○小田審議官 人事に関する話ですので、なかなか難しいのではないかと思います。

○山口委員長代理 私もそういう素朴な意見を事務局に何回も聞いたのですが、審議会の委員とかこういう委員会の委員は、9月1日から任期だとなると、9月1日までは本当にマル秘だというお話です。2次のときに、細川委員が委員になったというのは、9月1日に会合があって初めて、えっ、委員だったの? ということで、聞いて喜んだぐらいで、それはおかしいだろうと思うのです。
第1次のときは、実は準備期間があったのです。7月末か8月初旬には10人の参与委員が選ばれて、参与会ということで、何回か会合を持ちました。ああいうことができたではないですかということで話をしたら、それは大臣訓令か何かで特別にならなければだめだと指示されたらしい。では、大臣訓令をやればいいではないか。いや、大臣がという話で、政治問題でもあるからかもしれないのですが、いずれにしてもそんな調子で、消費者委員会の委員もいろいろな要素で決まらない。私はせめて8月20日と27日くらいは、第3次の委員の候補者も参与として来ていただいて、議論に加わっていただく、あるいは議論状況を聞いていただくことは必要ではないかと思って発信もしたのですが、実現しませんでした。
そういうことで、第4次のときがあるかどうか知りませんが、4次のときはちゃんとその辺はやってほしいなと思います。本当にかなり重要な問題だと思います。

○河上委員長 審議官、先ほど、人事だからこれはなかなかというふうにおっしゃっていたのですが、そこは任命の時期との間でかなりタイトなのですか。早めに任命するというのは難しいのですか。

○小田審議官 任命時期がいつぐらいかというのは、結局はいろいろな手続に絡まってくる話だと思います。いずれにしても発令というのがありますから、そこは非常に大きなポイントだと思いますが。

○河上委員長 早めに発令して何日からと。

○小田審議官 発令というのは9月1日発令。要は任命されるときが発令です。

○山口委員長代理 もし事前にやるとしたら、大臣訓令で参与か何かで任命するしかないのですね。それもあり得ないのですか。

○小田審議官 仕組みがよくわかりませんけれども、第1次の消費者委員会がスタートする前には参与会というものがあって、それ自体には何か任務があったと思います。そういう任務を果たすために参与が任命されていたと思いますけれども、現時点では2次の委員会があるわけですから、その参与というのは何なのだろうかといったことも、よく考えないといけないことではないかなと思います。私もこれが適切な御説明になっているかどうかわかりませんけれども、お気持ちはわかっているつもりで、これまでもずっとそういう御意見を伺っていますからあれですが、やれること、やれないことがあるということは御理解いただきたいと思います。

○細川委員 もうそこを追及する気はないですけれども、ただ、一緒にやるメンバー自体もその人が前日に行かないと本人もわからないわけです。そこで初めて顔を合わせて、そこから自分たちの日程調整とか始まるわけです。我々もそうでしたけれども、初めて顔を合わせた10名で、それぞれ本業を持っているわけだから、まず第1回の委員会を決める。あるいは、それ以降何曜日に開催したらいいかというのも、それぞれ事情があってばらばらなわけです。9月だから、大学の教員もいるので、ようやく半年して次の4月からは固定的に火曜日の4時にやりましょうということで、教員も準備して、火曜日の午後は授業を入れないようにという形でやれたわけです。
下部組織もそうだけれども、ようやく2年目だから、火曜日を定期的にとできたけれども、まずそこの混乱から起きますね。事務局も大変な思いをして日程調整をやっていたわけです。そういう経験をしているのに、またそれを繰り返すというのは、消費者問題は毎日起こっているわけですから、お話はわかりますけれども、消費者委員会の制度の在り方として非常に問題があると思います。

○河上委員長 これは誰に申し送ったらいいのかわかりませんけれども、何か改善の方法を考えないと同じことが繰り返されるかもしれませんね。

○細川委員 そもそも9月1日に任命されても、9月1日に全員集まれないですね。我々もそうだったし、たしか第1回の委員会が9月7日。しかも、全員が集まれないようなケースもあり得ますから、それは制度として考えないと困るのではないかなと思います。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
引継事項に関しては、皆様からいろいろ意見をもらって、私のほうでもこれをお願いしたいという項目を出しておきましたので、大体コンセンサスはあるのではないかと思います。とりあえず今の人事関連の問題は置いておいて、この引継事項に関しては、皆様の御了解をいただいたということで取りまとめることにいたします。この内容については、第3次の委員会の方に十分に尊重していただいて、次の活動にしっかりと反映させていただければと思います。
それでは、最後になりますけれども、皆様から、これまでの委員会活動についての所感といいますか、第3次委員会への期待等について、御発言をお願いしたいと思います。
小幡委員からお願いいたします。

○小幡委員 2期2年務めさせていただきました。私は行政法が専門でございまして、今まで比較的隔たりなく、いろいろな役所の審議会、検討会等の委員をやってまいりましたが、はっきり申し上げて、この消費者委員会の委員ほど激務だったものはございません。本当にこんなにたくさん問題が生じているのかということで、なかなか大変でしたが、基本的に消費者問題というのは、日々動き、また、非常にたくさん発生してきているので、それをここの委員会で全部やるというのは、はっきり言って大変難しいとは思いながらも、事務局も頑張ってくださって、委員は民間ですので、普通の官僚的な審議会にはない良さもあったかと思います。私自身も勉強させていただきました。いろいろありがとうございました。

○河上委員長 川戸委員、お願いします。

○川戸委員 2期4年やらせていただきました。最初に、河上委員長、山口委員長代理、皆様方にお礼を申し上げなければいけないのですが、私は、消費者問題の中身よりも、政治と消費者問題の解決をつなぐぐらいのことしかできませんで、余り貢献ができなかったことをまずおわびしたいと思います。
なぜ私が消費者委員会という場違いなところに出てきたかといいますと、5年前に当時の福田総理が、ちょうど中国のギョウザ事件があったり、エレベーター事故の問題があったり、それから、国民生活センターが行革で廃止されようとしたんですね。福田首相が、行政というのは消費者目線でやらなければだめだ、生産者目線では絶対いけないということで、これからそういった行政をしよう。それで、消費者庁をつくろう、消費者委員会のようなものをつくろうということで、消費者行政推進会議というのをつくりまして、ある日呼ばれて、君それやってくれよということで、それからここにかかわりのあるようになって、消費者問題のために5年間、ここにいさせていただきました。
小幡委員と同じように私も本当にいろいろな勉強をさせていただきましたけれども、そのときの原点を思い出します。要するに、生産者目線ではなく消費者目線で行政をやろう、ここが第一に大切なこと。もう一つは、エレベーター事故にもあったように、すき間事案というのはたくさんあったんですね。省庁の縦割りを廃して、ここの消費者委員会は省庁に横串を刺していろいろなことを言ってくれと。これが2つの原点だと思います。そのつもりでやっていたのですけれども、実は壁が厚くて、第1期のときは事務局とも大げんかをしました。法律というものがあるから、その法律のとおりにやらなければいけない。いくらこちら側で消費者が困っていても、それの助けにはならない。先ほど総務省のネット被害の問題で説明していただいたように、あれと同じことがあったわけです。それだけの大きな壁。それでも、その中で皆様方は建議を出し、意見を出して、改めて見たところ、ここまで随分たくさん、皆さん方お仕事をなさってくださったなと思っています。ただ、やはり壁は厚いし、消費者問題はこれからも幾つも起こることでしょう。
ですから、一つだけ言いたいのは、どうしても建議を出したいというのはすごくよくわかりますけれども、そうではなくて、意見だったり、今のネットはプロ責法にはなじまないという問題でも、「考え方」というのを出しましたね。ネットでこういうふうに市民が皆さんごらんになっているから、何でもいいからとにかくここで思い切っていろいろなことをアグレッシブに取り上げて、山口委員長代理が一番それをやっていらっしゃいますけれども、そういうふうに、これからは途中でもいいから、今、これを消費者委員会は興味を持ってやっているよ、皆様方の代弁者としてこれをやっているよということを、第3次の委員の方には是非やっていただきたい。それだけが願いでございます。本当にどうもありがとうございました。

○河上委員長 それでは、田島委員、お願いします。

○田島委員 私も川戸委員と同じく、2期4年を務めさせていただきました。参与の時代から含めますと、4年半の長きを務めさせていただきました。
第1次はそもそもエコナの問題から始まって、こんにゃく入りゼリーの問題、これは2次まで引き継ぎましたけれども、2次に入りましてからは、何といっても健康食品の建議の取りまとめまで行ったことは、私としては非常にうれしく思っております。
そのほかに、新開発食品調査部会と食品表示部会の2つをお世話させていただきました。これはいわゆる審議会機能がございますので、諮問を受けて答申をしなければいけないという、月に1回弱の会合がございますので、非常に忙しく過ごさせていただきました。
新開発食品調査部会のトピックスとして、これは第1次ですけれども、コーラ飲料を特保として承認したことが、果たしてよかったのか、悪かったのか。これは極端なことを言えば、後世の歴史家にその判断はお任せしたいと考えております。
食品表示部会は、食品表示法ができまして、いよいよ食品表示基準を2年以内につくらなければいけない。第3次の委員会は非常に大きな課題を課せられたということで、第3次の委員に、本当によろしくお願いしますと言っておきたいと思います。
ちょっと余談でございますが、実は3月11日の日に委員会を開いていたんですね。帰宅難民になったというのが今でも鮮烈な印象として残っております。本当に4年間、お世話になりました。私もいろいろ勉強させていただきました。本当にありがとうございました。

○河上委員長 細川委員、お願いします。

○細川委員 きょうの傍聴者はいつもより多いですね。個別的な事業者にかかわる案件でもないのにこれだけの方が集まっていただけるということは、きょうは消費者委員会、消費者行政に純粋に関心のある方なのかなと思いますので、そういう意味で、消費者委員会も多少注目されているのかなと思います。私は日ごろ辛口なので、きょうはもっと辛口なことを言わせていただきたいので、初めにおわびしておきたいと思います。
まず、私は今まで消費者行政に関心を持ってきたので、体制について気づいたことを申し上げたいと思います。これは10名の非常勤の委員で構成されていて、3名の方は常勤的委員という使命を受けていながら、具体的には本業があり、しかも、常勤的だという手当も何もない中でやっているわけです。これはなかなか難しい。今、皆さんのお話があったように、非常に忙しい。普通の審議会と全く違うものです。ちなみに私は、大変なことになると予想して消費者委員会の業務だけのメールアドレスをつくっておいたのです。ですから、どのくらいメールで消費者委員会のためだけにやり取りをしたかというのが把握できるのですが、先ほど見たら、受信メールは4,090件ありました。私が送信したメールは1,160件。2年間です。これでもまだ足りないぐらいの仕事があるということで、出てきたときに仕事をするだけではない、そういう委員会だということです。
ちょっと申しわけないのですが、私は入る前は、事務局長が中心になって消費者委員会の委員がこれから何をやろうかということをやるのかと思ったら、全くそうではなくて、事務局長から、そういう提案とか個人的なものは出てこなかったわけです。どういうところでお忙しいのかわからないけれども、そうなると結局、何かを表明したり、何か案を考えたりすることも含めて非常勤の委員がやらなければならない。その中で、一番そういう役割を演じられてきたのが山口委員長代理だったと思います。本当にボランティアベースで、本業をかなり犠牲にして山口委員長代理はいろいろ動き回られて、それは非常に高く評価します。そういう人が3次にいないとすると、もちろん委員長はいろいろなところでお忙しいと思いますが、本当に動く方がいないとこれは成り立たないという、そういうシステムかなと思います。
あと、これを言うのも申しわけないのですが、委員会における事務局の位置づけというのは非常に不十分だと思います。消費者委員会というのは独立しているという言い方をしていますけれども、現実には、制度として消費者委員会の事務局は独立していないということです。
一つには、消費者委員会の事務局イコール、政府の消費者基本政策室というのがあって、審議官は、それの室長兼官房審議官ということでここにおられるわけです。これの意味がよくわからない。私からすると、消費者委員会を監視するためにそういう制度があるとしか思えない。原事務局長も、不思議なことに兼務になっていて、経済社会総合研究所の情報研究交流部長です。これも何のためか。この事務局に対する内閣府からの指揮命令権をはっきりさせておくために置いているのではないかと私は理解していますけれども、消費者委員会の命によって事務局が動く、そういう形にはなっていない。機能的にはやっていますけれども、2つの役割を持っている。だから、消費者委員会の委員には秘密でそういう人事のことをやったりして、それもまだ公表段階にないからといって、一切我々に事務局は教えてこない。私自身がこれで終わるのか、次にやるのかすら教えてくれないのです。公表するまでは教えませんと。もちろん、次を頼まれている人は言われているのでしょうから、何も言われていないということは、私はこれで終わりだというのは想像はしますけれども、そういうような形ですね。ということで、なかなか難しい部分がある。
例えば消費者庁・消費者委員会設置法8条では、資料要求権というものがありますけれども、これの行使すら事務局は非常に嫌がる。事務連絡でやりたいというふうになってしまったこともありますので、独立した委員会といいながら、形の上ではそうではないという制度だと思います。そういう意味で消費者委員会の委員がよそ者扱いというか、消費者委員会のもとに事務局があるというよりも、事務局のもとに消費者委員会があると言ったほうが実態を反映しているのではないか。まさにそれは審議会というものですね。制度が審議会になっているからということかなと思います。
ちょっと辛口のことを言いましたけれども、これは制度のことを言ったのであって、別に個人を批判するつもりはありません。そういう意味で言えば、今回の成果として建議が7本、提言が6本、意見が17本出せたということは、事務局の方の御尽力があったからこそできたわけで、事務局の方もなかなか苦労されたと思います。ちょっと不思議なポジションですね。内閣府の職員でありながら自由に発言する委員の言うことを聞いて動くというのは、なかなかつらいところがあったのではないかと思います。消費者委員会の委員になって2年、3年すれば必ずいなくなるわけだから、その人たちの意見を聞くよりも、どうしても内閣府の上のほうの意見を聞きたくなるのは、サラリーマンとして当然なわけですから、そういう中でいろいろやっていただいたからこそここまで来たということは評価したいと思います。
ただ、そういう曖昧な形で存在しているからこそ生き残れるかなとも思いますし、事務局は、たしか福田総理のときに議論がありましたが、官僚に任せないで民間人を雇ってという議論もありましたね。そうなると今度は、うまくいくのかと。行政経験がない人がやれるかなというふうに考えれば、それもそうだと思いますけれども、いろいろ課題があって3次に突入するということなので、3次の方もだいぶ大変ではないかというふうに思います。済みません、長くなりましたけれども、以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、吉田委員、お願いします。

○吉田委員 第2次委員会の2年間、本当にありがとうございました。私は地方消費者行政の出身なので、2次最後のお話も地方消費者行政かというふうに思っておりますけれども、先ほどの活動の報告の中にもありましたとおり、建議7件のうち2件が地方消費者行政関係です。地方消費者行政については特に主要な課題ということで2次の委員会でも取り組んでまいりましたが、肝心の金をどうするかというところと、人をどうするかというところについては、まだ道半ばかなというふうに理解しております。
当初から言われたとおり、地方の現場が大事だということは、皆さんの共通認識なんだけれども、なかなか地方の現場が元気になるような話が出てこなかったのではないかと思っておりますので、地方の消費者行政が、持続可能な体制としてきっちり充実してやっていけるような施策につながり得る活動を、3次のほうでも続けていただければありがたいと思っております。
簡単ですが、以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
きょう欠席されております、稲継委員、夏目委員、村井委員からコメントを頂戴しているということですから、御披露いただけますか。

○原事務局長 口頭で恐縮ですけれども、御紹介させていただきたいと思います。
稲継委員からですけれども、「本日は所用により欠席し、申しわけありません。委員会を振り返ってみますと、ひたすら走り続け、勉強し続けた2年間でした。私自身が貢献できたことはごくわずかですが、本務や他の仕事がある中で、非常勤ばかり10人の委員が処理するには、余りにも膨大かつ責任重大な案件が次々にふりかかってきました。河上委員長、山口委員長代理の消費者のことを第一に考えた献身的な働きには、同じ委員として横から拝見していて、本当に頭が下がる思いをしたことが何度あるか数え切れません。ありがとうございました。
最後に、政府に対して一言申し上げるとするならば、非常勤の委員、特に委員長や委員長代理の自己犠牲の上に成立している現行スキームの在り方自体を、見直す時期に来ているものと思います。政府、国会におかれてはスキームの見直しを是非お願いしたいと思います」という御意見をいただいております。
夏目委員からも2年間を振り返っての所感をいただいております。「全国に組織を持つ団体を出身母体にして、この2年間を、『住みよい暮らし、安全・安心な暮らしを充実させるため』を活動の基本として忘れることのないよう過ごしてまいりました。消費者団体代表と申しましても、すべての消費者団体が同じ方向を向いているわけではなく、自分の、あるいは団体の立ち位置をどこに置くべきかを常に自問しながら、さまざまな課題に向き合ってまいりました。
まず、地方を活動の拠点とする私たちの団体、そして自分にとりましても、地方消費者行政の充実は、大きな関心事であります。この2年間は、消費者庁の御尽力もあり、全国に消費者行政を充実させる取組みがなされてきました。住民が『どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制』を実現することは成果を上げつつありますが、それを維持継続していくことは、今後の地方における消費者行政の大きな課題であり、まだまだこれからの段階ですので、引き続き注視してまいりたいと考えます。
次に、消費者安全専門調査会では製品リコールを取り上げましたので、製品の安全に取り組む団体として議論の行く末を期待しつつ、実際の暮らしへの反映をどうするかを常に見つめました。2期目の最後には、食品リコールについて議論がされましたが、今後への持ち越し課題でもあります。さらに、数多く販売されている美白化粧品で5,000人以上に白斑症状を出すという問題はいまだ収束しておらず、医薬部外品の承認の在り方も含めて、今後に大きな問題を提起していると受け止めております。
また、消費者行政にはさまざまな利害関係を持った人や団体がかかわっていること、そして、必ずしも同じ方向を向いているわけではなく、議論の調整の困難な場合も多く感じたところです。食品表示部会にもかかわらせていただきましたが、消費者と事業者を対立軸で見ることもしばしばありました。今後は、消費者の視点を、理念上だけでなく実態上に近づけるかが残された課題であります。
3次委員会に対しましては、2次委員会や各調査部会等から課題が出されておりますので、今後に期待をするところです。この2か月間、療養に専念し、皆様には御迷惑をおかけしましたが、病気や障害を持つ人の立場を体感いたしましたので、今後に生かしてまいりたいと存じます。
河上委員長をはじめ、委員各位並びに委員会事務局の皆様の御教導のもと2年間を過ごしてまいりました。心よりお礼を申し上げます」。
村井委員も所感を出されておりますので、紹介させていただきたいと思います。
「初めに、現役経営者という時間的制約から委員としての期待された十分な活動ができなかったことを、素直におわび申し上げたい。グローバル化、ボーダーレス化が加速度的に進行しつつある中、いわゆる消費者問題は多種多様化しており、消費者対事業者という対立軸での見方だけでは、日々生じている問題に対応できなくなっているのが現状と思います。
例えば福島の原発事故に伴う放射能汚染問題は、日本の食の安全に大きな課題を突きつけており、いまだに汚染水流出が懸念されるなど、消費者の食の安全を揺るがす問題だけでなく、福島の事業者は、直接的な汚染問題に加え風評被害に苦しむ一方、他地域の事業者も、自社製品や従業員の安全の担保に向け大変な負担を強いられています。事故発生以来、消費者庁はリスクコミュニケーションに多大な努力を傾注される一方、当委員会は公共料金問題としての値上げ幅の圧縮の対応に追われました。しかしながら、いまだに汚染問題の解決はほど遠い状況で、いずれも縦割り行政の壁を超えられなかったように思います。委員会として、この汚染問題に何らかの建議が出せなかったのか、忸怩たる思いもあります。
当委員会としても、日々生じる多種多様な消費者問題への対応が重要であることは言うまでもないが、問題のとらえ方を、消費者目線を基本としながらも、国民生活の向上に真に有用な本質的な対応は何かという、幅広い視点で考えることが重要と思います。消費者委員会、消費者庁が期待されている横串機能をより一層強化され、委員長総括にあるように、広く一般法制度や国政全般にかかわる諸問題に、委員会、消費者庁が連携協力して取り組まれることを期待したい。以上」ということです。
御紹介させていただきました。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、山口委員長代理からお願いいたします。

○山口委員長代理 私は、委員会がスタートした2009年の9月から2か月半おくれて委員に就任いたしまして、それ以来、3年と9か月半、委員会の活動にかかわってきました。実は11月末まで任期があることはあるのですが、いろいろ考えまして、新しく委員になった方が中途半端な任期からスタートするのはやりにくいだろうということも考えまして、8月末をもって辞任するということで届けも出させていただいております。
辞任に当たりまして、2点、感想と意見を述べさせていただきます。
第1に、委員会のすばらしさです。委員会は、2009年の春に与野党の妥協の産物として、消費者庁から切り離された独立した行政機関としてスタートしました。私はここは、すばらしい権限を持った組織だと思っています。政府のあらゆる部門に、消費者問題の視点で運用や法制度の改善を建議・提言し、その実現を求めることができる。消費者庁に対してはもとより、多くの省庁に改善を現実にお願いして、それが実現したこともあるし、現在も各省庁で改善の作業中というテーマもあります。こんな組織はこれまで前例がなかったし、これから是非、このような組織が評価されていくことを望みたいと思います。
具体的に申しますと、金融庁には、無登録事業者の金融商品の販売を民事上は無効とするとともに、懲役5年以下という重罰化をしていただきました。これ一つとっても多くのドラマがございます。私は四国のお遍路で歩いていて高知の浜辺にいたときに、金融庁の市場機能強化室の室長と携帯電話で大論争をしてました。私はお遍路をしながら一体何をやっているのだろうと思ったこともありますけれども、本当に思い切ってやっていただいたなと思います。
厚労省には、有料老人ホームの入居一時金の返還の在り方について重要な法改正をしていただきました。現在、美容医療の広告、とりわけネットによる広報の行き過ぎの改善や、不要不急で高額になる美容医療の施術前、契約前の説明義務の改善を再三お願いしておりまして、現在、作業をしていただいているはずです。
国交省には、自動車リコールの改善に始まって、住宅リフォームトラブルの抑止、あるいは投資用マンションの悪質販売勧誘の規制強化など多くの改善をお願いしました。現在も、鉄道運賃、とりわけ加算運賃の廃止の基準の明確化や、運輸審議会など、運賃問題の利用者の声の反映の在り方の問題について具体的に検討して、これは作業をしていただいているところです。
総務省には、テレビ、携帯、メールなどの電気通信事業者や、その代理店の販売のトラブル抑止のための法制度を含む改善をお願いして、現実に今、作業をしていただいております。また、本日は提言には至りませんでしたけれども、プロバイダ責任制限法の改正を含むインターネット通信による財産被害の抑止についても、この間、再三協議してきたところです。
もちろん、これだけではありません。このような成果を大きいと評価するのか、この程度かと批判するのかは歴史の審判を仰ぐしかありませんが、少なくとも消費者委員会としてやれることは全力でやってまいりました。特に事務局の皆さんには、本当に熱い思いを共有してサポートしていただいたと心から感謝申し上げます。
2番目に、役所としての限界であります。私は事務局から、ドラえもんのポケットじゃあるまいし、あったらいいねで、何でも建議、提言できるものではないと言われましたし、同種の言葉で各方面から何回もたしなめられました。私はあくまでも消費者委員会委員として、消費者庁をはじめ多くの省庁の方々に、こうしたらいいのではないかという被害者の立場から申し上げてきたつもりであります。そのために時には事務局長からたしなめられながらも、委員会の委員としていろいろな省庁のいろいろな担当者に直接会って、どうしてこうなっているのかということをヒアリングし、委員会に戻ってそれを報告し、委員会の委員の方々に一緒に考えていただくということを何回も繰り返してきました。
一弁護士や弁護士会は、これまでのいきさつや役所の実情を無視して、あるいは軽視して理想論を言うと、正面から、あるいは別の表現で再三反論されましたし、批判もされました。そこを粘り腰で、何とか消費者被害を抑止するため、消費者の利益の実現のためということで考え、協議してきたつもりであります。
それでも、担当省庁が委員会の建議案や提言案を明確に拒否した場合はどうするのかということで、消費者委員会のスタンスを問われるという厳しい局面が再三ありました。この3年9か月半の間に何回もございました。また、建議や提言をしようかというときに、省庁の反応がわかっているがゆえに、それを関係省庁におはかりするに先立ってどうするかということで決断を迫られたことが何回もありました。特にことしの春以降の詐欺的投資勧誘の問題が象徴的ですが、それ以前にも再三ございました。そんなとき、どうするのがよいのか。説得力を持った内容に深める努力をして、多少時間はかかってもそれを相手省庁にご納得いただだいて実現することを粘り強く追及するべきでありましたし、そうしてきたつもりです。しかし、やはりどうしても時間とマンパワーに限界があるというところで、不本意ながら意見をトーンダウンするということも何回もございました。今後も消費者委員会の活動をしていく上で、このことで多くの委員が悩まれるし、がっかりすることもあるし、喜ぶこともあるかと思います。いずれにしても、安易に引っ込めることなく、最大限主張を貫くよう大変ですが、尽力していただきたいと思います。
以上、2点申し上げました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
私のほうから、取りまとめということでもないでしょうけれども、一言申し上げます。資料4-1に、先ほども事務局長から紹介された「第2次消費者委員会の活動を振り返って」という文章があります。この2年間、どういうことがあったかなと思い出しながら少しずつ書き足していっていると、だんだんあれもこれもということになって、長大なレポートになってしまいました。私の考えるところや思いはここに文章として書かせていただいたので、特にこれ以上追加して申し上げることはございません。個人的には目いっぱいやったつもりですけれども、皆様の御期待に十分応えることはなかなか難しかった点もありまして、その点はおわびをしないといけません。
さまざまな課題に取り組んでまいりましたけれども、私にとって幸いだったのは、この委員会の委員や職員スタッフと一緒に仕事ができたということでありました。委員の方々が、私がこういうふうにしたい、こういう形でまとめたいというふうに言ったときに、意見が少し違うときはもちろんありますが、最終的にはほとんど深刻な対立という形ではなく、わかったということで皆さんから支持をしていただいて、少なくとも私が委員長の間に、意見の取りまとめで苦労したとか、内部の意見調整で難儀をしたという経験は一遍もありません。その意味では、こういう委員会でやってこられたことは本当に私にとっては幸いだったなという気がいたします。その意味で、むしろ委員の皆様方に心からお礼を申し上げたいと思います。特に、いつも切込隊長になって頑張ってくれた山口委員長代理と、横から辛口の批評を言いながらいさめてくれた細川委員など、皆さんそれぞれのお立場で委員会を支えてくださったなということで、感謝しているところであります。
細川委員は先ほど、辛口のというふうに言いながら、いろいろ事務局体制のことについて話されましたけれども、私自身は事務局の方のお力のおかげで委員長として神輿に乗っているような気持ちでおりました。事務局の方の献身的な努力によって委員会が支えられてきたことは、これは間違いない。調査や建議に向けたさまざまな活動、委員の意見を基本的には最大限に尊重して事務局の方は活動しておられます。少なくとも政務から委員会の意見そのものを曲げられた経験はございませんし、事務局も実に謙抑的に動いてくださったと認識しております。
ですから、事務局でいろいろ用意してくださったことが前提でここまで活動ができたということは、大変なことで、裏方の仕事の並々ならぬ大変さというものを、私もわかってはいながら、それはもうお願いするほかないと考えておりました。ところが、内実の見えないところからはいろいろな意見が出るし、いろいろな評価が出ます。それでも職員の人は黙々と使命感を持ってここまでやってこられている、そういう姿勢には委員長室にいてもいつも感銘を受けておりました。委員長として、委員会事務局の職員の活動に関しては、この2年間、誇りを持って見てきたということだけは是非お伝えしたいと思います。
2年の間、いろいろ考えさせられたことはあったのですけれども、最後までわからなかったのは「消費者目線」という言葉でありました。消費者目線というのは一体何だろうと。消費者目線があるとか、ないとか言われますけれども、人によっては自分の目線こそが消費者目線であると思い込んでいる人もいますし、そういう評価で委員会に何かおっしゃる方もいらっしゃる。ただ、全ての人が、社会生活の中である側面は消費者として行動していて、それぞれの人が消費者目線でものを見ているはずであります。ですから、何が消費者目線かと言われたときに、正解というのはないのではないかという気がします。その意味では、委員会としては、人々の生活感覚にできるだけ寄り添いながら、自分で何が消費者目線なのかというのを模索し続ける以外にはないのです。私自身も、その辺はこれからも勉強しながらいろいろ考えていきたいと思います。
最後になりますけれども、次期の消費者委員会が今後どういう形で活動していくかわかりませんが、その活動に対しても、きょうおいでになっている皆様方の温かい御支援を頂戴できればありがたいと思います。私のほうから実質的な内容についての取りまとめはなしということで、御勘弁いただければと思います。

≪6.その他≫

○河上委員長 以上ですけれども、「その他」というのがございまして、消費者委員会に寄せられた意見、要望書に関してであります。これは3か月ごとに取りまとめまして、委員会の場で意見交換をする機会を設けるようにしてきたわけですけれども、実は去る7月29日付で主婦連合会から、「カネボウ化粧品事故についての要望」というのをいただいておりまして、その要望書に一定の回答を求められている部分がございます。
意見や要望書というのは非常にたくさんございますので、委員会として個別に回答することはこれまでいたしておりませんし、これからも個別回答は考えていないところではありますけれども、ただ、本日で第2次消費者委員会は最後になるということがございますので、第2次の委員長として、この件に関して少しだけ発言させていただこうかと思います。発言の内容が、この要望書とのかかわりで申し上げることがございますので、これまた異例ではありますけれども、参考までに要望書の写しを皆様のお手元に配付させていただこうと思います。

(追加資料配付)

○河上委員長 これは、「カネボウ化粧品事故についての要望~リコール基本法の制定を~」という形で出されているものです。
1ページをめくっていただきますと、記と書いてあるところに項目がたくさんあって、多くは消費者庁宛ての内容になっておりますが、4番、8番辺りの関係で、事故情報の一元的収集体制の構築を図るようにという御指摘が出ております。御承知のように、委員会では、平成23年7月22日に発出しました「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」の中で、重大事故等の情報の収集強化、収集範囲の拡大を求めておりまして、そのフォローアップを行ってきたところであります。また、去る8月6日の129回消費者委員会では、消費者庁から報告を受けまして、関係省庁や消費者センターとの恒常的な体制づくり、及びあらゆる情報伝達ルートを活用した回収の促進と健康被害の拡大防止、消費者庁の情報収集体制の点検を求めたところであります。
御承知のように、例のカネボウの化粧品のことについてもそこで御報告をいただいて、その際に私から、「カネボウに何かを言う前に、まず、消費者庁がなぜそれをきちんと把握できなかったのかという原因を、もう一度考え直す必要があります」ということを申し上げたのは、まさにこの要望書を念頭に置いて申し上げたことでもあります。
それから、9番ではリコール基本法が必要であるということが書かれております。平成25年1月29日に専門調査会から報告を受けた、「消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策」では、リコールの自主的な取組みのためのガイドラインや、国内・国際の規格の策定、法令運用の改善などのリコールの効果を上げる方法、さらに、事業者、行政それぞれの責務を定めた包括的な法整備に係る課題についても引き続き検討すること、ということが委員会に求められています。
いうまでもなく消費者委員会は、同様の問題意識を持って対応してきておりまして、その意味では、第3次の委員会でも引き続き検討が継続されることを希望しております。先ほども食品に関する報告がございましたけれども、その中でも、食品ばかりではなく、包括的な制度の検討が必要だと報告書に書いてあったのは、こうした要望書の意見を受け止めた上での取りまとめになっていることを御理解いただければありがたいと思います。
さて、本日の議題は以上でございます。
お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪7.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について御説明をお願いいたしたいと思います。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
9月以降の第3次消費者委員会につきましては、決まり次第、お伝えいたします。
それから、事務局長としても一言述べさせていただきたいと思いますけれども、本当に2年間、お疲れさまでした。がむしゃらに試行錯誤しながら走ってきたという感じがいたします。先ほど細川委員から、個人ではなくて事務局長というところでというお話がありましたけれども、2つ、御回答しておきたいと思います。
一つは、事務局長が余り表で発言しなかったというのはそのとおりで、それが消費者委員会の特性だと思っています。消費者委員それぞれが考えたり、提案をしたり、第1次では取りまとめの原案もつくるということで作業をしてきております。本来の組織であれば、事務局長提案ということもあるだろうと思いますけれども、やはり消費者委員会の委員の方々の自主性を尊重するという立場で運営してまいっております。ただ、全ての課題に根っこから携わっておりますので、仕組み方については、目には見えなかったかもしれませんけれども、私もかなり力を尽くしてきております。
それから、事務局長職が消費者庁・消費者委員会の設置規程の中で兼務になっているという話ですが、消費者委員会自体が国会の審議の中で出てきた話だったので、立ち上げのときに、事務局として定員も2名ということでした。事務局体制、組織、人員、予算とも、それで立ち上がれるという状況ではなかったので、暫定的にそういう規程で置かれたということになるかと思っております。
この間、ずっと委員会に携わってきておりまして、いまも各委員から発言が出ておりましたけれども、委員会の活動は非常におもしろいと思っていて、この機能を最大限に発揮できるような課題の設定ですとか、運営の工夫とか、今後、していっていただきたいと考えております。消費者が、身近にこういう組織があって非常に役に立った、ありがたかったという、消費者にとって身近な組織として感じてもらえるように、今後も是非頑張っていただきたいと思っております。
事務局からは以上です。

○山口委員長代理 では、次回の委員会がいつかはまだわからないわけですね。

○原事務局長 決まりましたら、早速ホームページで公開いたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
2年間にわたって、長い間、どうもありがとうございました。

(以上)