第127回 消費者委員会 議事録

日時

2013年7月23日(火)16:00~17:40

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、田島委員、細川委員、
 村井委員、吉田委員
【説明者】
 独立行政法人国民生活センター  鈴木 相談情報部長
浦川 相談情報部相談第2 課課長代理
 総務省  玉田 総合通信基盤局消費者行政課長
松井 総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について
○説明者: 独立行政法人国民生活センター 鈴木 相談情報部長
浦川 相談情報部相談第2課課長代理
総務省 玉田 総合通信基盤局消費者行政課長
松井 総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長
3.公益通報者保護制度について
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 通信関連サービスに関する相談の状況について(国民生活センター提出資料)(PDF形式:497KB)
【資料2】 スマートフォン安心安全強化戦略(案)関連資料(総務省提出資料) 【資料3】 電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言(PDF形式:374KB)
【資料4】 公益通報者保護制度に関する意見(案)(PDF形式:199KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:69KB)
【追加資料】 河上委員長発言 -電気通信事業者の販売勧誘方法の改善について-(PDF形式:78KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第127回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、稲継委員、川戸委員、夏目委員が御欠席、小幡委員が若干おくれて御出席という予定になっております。
それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の下に一覧をつけております。本日は、「電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について」ということで、ヒアリングを予定しておりまして、資料1が、国民生活センターが御提出をいただいた資料。
資料2は、総務省から御提出いただいた資料です。
資料3は、参考ということで、昨年12月11日に消費者委員会が「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」を出しておりまして、それをおつけしております。
資料4は、「公益通報者保護制度に関する意見(案)」ということで、これは消費者委員会で準備をした資料です。
それから、この間、7月16日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
以上になります。

≪2.電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について≫

○河上委員長 それでは、最初の議題は、「電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について」です。
総務省及び国民生活センターにおかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
消費者委員会では、昨年12月に「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」PDFを別ウィンドウで開きますをまとめ、総務省等に発出したところであります。その際、総務省に対して、代理店を含む電気通信事業者による自主基準等の遵守の徹底を図るとともに、クーリングオフや自動更新の問題についても改善を促すこと、また、改善状況の検証を行い、平成25年3月末時点での状況について、データを含む詳細が取りまとまり次第、速やかに委員会に報告をいただくことを求めておりました。
本日は、まず国民生活センターから、提言発出後の相談件数の推移や相談事例、同センターで6月に実施した110番の結果及びそれを踏まえた分析結果等について、御報告をいだたきまして、その後、総務省から提言を受けての改善状況等について、御報告をいただきたいと思います。
それでは、最初に国民生活センターからの御説明をお願いしたいと思います。説明時間については、15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○国民生活センター鈴木相談情報部長 国民生活センター相談情報部の鈴木です。よろしくお願いいたします。
では、お手元の資料に沿って御説明いたします。資料1PDFを別ウィンドウで開きますになりますけれども、「通信関連サービスに関する相談の状況について」ということで、まず、相談件数の推移です。PIO-NETでは、通信関連サービス分野の項目といたしまして、インターネット接続回線、固定電話サービス、携帯電話・スマートフォン、モバイルデータ通信という項目を設けて分類しておりますが、いずれのサービスも相談件数は増加傾向にあります。消費生活相談全体の件数は減少傾向にありますので、それと比べて通信サービスに関しては対照的です。
相談の内容別に見ますと、いずれのサービスにおいても販売方法に問題がありますのは、電話勧誘販売と訪問販売という不意打ち性のある勧誘を伴うものが多くなっております。
まず、インターネット接続回線です。表1、図1にあらわしましたけれども、表1の緑のラインにありますように、特に電話勧誘販売が多くなっております。
続いて、固定電話サービスです。これは、ほかのサービスに比べて相談件数は少なく、件数の減少傾向は続いていたのですけれども、2012年度になって再び増加に転じまして、訪販と電話勧誘販売が多くなっております。これは、事例などを見ますと、電話料金が安くなりますとか、今の固定電話は使えなくなりますなどと言ってIP電話等の契約をさせられるケースが多くなっております。比較的高齢者層に目立ちます。
続いて、表3、図3の携帯電話・スマートフォンです。これは非常に件数が多くなっておりますが、これはスマートフォンが押し上げているところもありまして、ほかのサービスと比べて店舗購入が大半を占めております。携帯電話、スマートフォンということなので、図3を見ていただきたいのですが、品質などを問題にしているという傾向もあります。
続いて、3ページの表4、図4のモバイルデータ通信ですが、最近、モバイルデータ通信の件数が大きく伸びております。ここにお示ししましたように電話勧誘が多いのですが、店舗購入も多く、ほかの商品、例えばタブレット端末ですとか、そういったものとセット販売されている例も目立ちます。
2ポツの相談内容に移ります。表5~表8を見ていただきたいのですが、これは相談の内容を見たものです。いずれのサービスについても、「解約したい」などという解約全般が目立ちますが、それとともに説明不足も非常に多くなっております。昨年12月に出された消費者委員会の提言を受けて、問題のある勧誘方法を防止するように事業者が取組みを始められたところではありますけれども、取組み前と取組み後を見てみますと、残念ながら件数自体も減少傾向にあるとは言えませんし、相変わらず説明不足も目立っているという状況です。
こうしたもろもろの相談の増加を受けまして、全国の消費生活センターでも、こうしたサービスに関する相談の解決には非常に苦慮しているところです。一方、消費者のほうも、契約後、たとえ何かトラブルがあったとしても、ほかのファンド型投資商品などに見られるような高額な金額ではない。支払えない金額ではないので、途中であきらめてしまっているケースも多いと思われます。
ということから、先ほど委員長から御説明がありましたけれども、国民生活センターでは、「ネット回線勧誘トラブル110番」を6月14日~15日の2日間にかけて行いましたが、それに先立って全国の消費生活センターに向けて緊急アンケートを行いました。アンケート用紙自体は、次の6ページを見ていただきたいのですが、このような形で一斉に配信しまして、1週間で約1,500枚集まりました。
アンケート結果を見ますと、相談員さんたちのあふれる思いというのが書かれていまして、相談現場の生の声として、私どもも重く受け止めなくてはいけないと改めて思ったところです。こうした通信サービスに関する契約の相談を受けたことがありますかという問には、大半が「受けたことがある」という回答になっています。それは何の契約だったかという質問には、光回線が最も多く、次いで携帯電話、スマートフォン、プロバイダ、モバイルデータ通信、ADSLの順でした。そのトラブルはどの段階に問題があって生じた事案だと思いますかという問には、契約する前という御回答が一番多くありました。
次に、5ページですが、トラブルを引き起こす要因としてどのような問題点や課題が考えられるかという問には、先ほど申し上げましたPIO-NETからの分析も全く同じですけれども、契約内容の説明不足であると感じている答えが最も多くありました。そして、電話勧誘販売が多いことから、不意打ち性の高い販売、また、御存じのように契約の2年しばりなどというものがありますので、解約料、代理店の苦情対応などとなっております。
最後に、こうしたトラブルの未然防止・拡大防止のために、行政、業界団体、個別事業者の取組みとして望むことがあればお書きくださいということで、フリーアンサーで答えてくださいというふうにしましたら、皆さん、このアンケート用紙だけでは書き切れずに、別紙にもズラズラ書いてくれたというような状況です。
まず、行政に対する要望ということですが、特商法でも電気通信事業法でも、とにかく法規制しかないだろう、「具体的な規制を望む」という声に集約されるように感じました。
続いて、業界団体へ望む声ということでは、自主基準がありますが、その自主基準の遵守はもちろんのこと、契約時の書面交付や、クーリングオフ制度の自主基準への導入を望む声が非常にたくさん寄せられました。また、勧誘時のトラブルが多いことから、代理店管理の強化を求める声、そして、契約や料金体系をわかりやすくする。また、高額な解約料の廃止など、サービスの在り方そのものについても検討を求める声が多く寄せられました。
最後に個別事業者ですが、やはり勧誘方法の改善を求める声が、仕組みなどが複雑であることから圧倒的に多く寄せられております。勧誘時に、安くなるとか、お得というふうにお得感を強調するだけでなく、解約料などのデメリットや契約内容についても十分に説明することや、消費者の適合性に配慮した勧誘を求める声、また相談事例などを見ますと、パソコンも持っていないような高齢者、特に70代、80代の高齢者を勧誘するのはいかがなものかという声も寄せられております。
続いて、7ページを見ていただきたいのですが、この資料は、110番の実施結果報告の速報版ということで7月1日に公表したものです。現在、詳細に分析している最中です。6月14・15日の2日間で合計114件、そのうち、ネット回線勧誘に関する相談は104件寄せられました。(1)に契約当事者の属性等と書きましたが、60歳代、50歳代の相談がそれぞれ20%を超え、半数を占めていましたが、10歳代から90歳代という幅広い年代から相談が寄せられております。地域も、大都市圏などに偏ることなく、全国各地から幅広く御相談が寄せられているという状況です。
8ページになりますが、寄せられた御相談の内容を見ますと、契約内容としては、やはりインターネット回線に関する相談が約半数と最も多く、次いでプロバイダ、スマートフォン、モバイルデータ通信、携帯電話の順でした。
主な相談事例として、代表的なものを4例挙げました。110番全体を通した感想は、110番ということで、私どもは従来のものより個別にいろいろな聞き取り項目を用意していたのですけれども、誰とどんなふうに契約したのか、つまり、どこと契約したのか、どういうサービス内容なのかという基本的な契約内容を、契約している消費者自身が十分にわかっていないというケースが大変多くありました。相談員さんのアンケート結果と同じであるということを改めて感じました。
続いて、10ページを見ていただきたいのですが、現在、110番の結果を詳細に分析しているところで、今の段階で懸念しているものとして別紙にまとめました。
まず、代理店、取次店によるトラブルを挙げました。今、代理店の下に取次店があるなど、よくわからない状況になっているのではないかということが見てとれます。事例1を見ていただきたいのですが、紹介店に申込みをしたネット回線契約ということで、90歳代(女性)の方からですが、数か月前、新聞で光回線とプロバイダを契約すればキャッシュバックがあるという広告を見つけて、電話で光回線と月額約1,000円のプロバイダサービスを申し込んだ。しかし、後日、月額料1,000円ということだったのに、約1,500円という別のプランになっていることがわかった。さらに、キャッシュバックが当初より安い金額になっていたので、業者に苦情を申し出たところ、全く対応されなかったという事例です。
図1、「消費者側から見た申込みの流れ」を見ていただきたいのですが、通信事業者はどうやら枠の中しか把握されていないように見てとれます。消費者にキャッシュバックしますなどと言っているのは、枠外にある取次店で、消費者がかかわっているのはこの取次店ということになります。ですから、通信事業者の管理は及ばないのではないかということが懸念されます。
続いて、11ページ、遠隔操作による勧誘トラブルということで、これは6月13日に報道発表をしましたので、次のページを後で見ていただきたいのですが、110番で寄せられた相談事例としては事例1があります。ただ、これは相談者自身がよくわかっていないという状況もありまして、引き続き聞き取りをしている段階です。
事例2は、110番ではなく私どもに寄せられた相談事例ですけれども、遠隔操作で承諾していない契約を結ばされたケースです。これも消費者側から見た申込みの流れを図2に書きました。ここで強調したいのは、ここにあるようなプロバイダ事業者の中には、電気通信サービス向上推進協議会を構成している電気通信4団体に加盟していない事業者も見られます。業界団体がせっかく出している自主基準ですが、そうした自主基準も及ばない事業者が存在するということで、この辺もちょっと問題ではないかと私どもでは感じているところです。
こちらからは以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは引き続き、総務省からの御説明をお願いいたします。説明時間については、15分程度でお願いできればと思います。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 総務省の松井でございます。本日は資料2PDFを別ウィンドウで開きますについて御説明させていただきます。まずは、本日は説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。
昨年12月にいただいた提言を踏まえて、この問題について総務省といたしましては、12月に、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」、この中に「スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の在り方に関するWG」を設置いたしまして、幅広い関係者に参加いただきまして検討を進めてまいりました。このWG自体は、本日御説明させていただきます「スマートフォン安心安全強化戦略」という報告書案の中のスマートフォンサービス等の適正な提供に係る課題への対応としてまとめております。そのほかに、資料の最後につけておりますけれども、スマートフォンのプライバシーや利用者情報の取扱いに関する問題、青少年利用に関する問題という2つのテーマについて検討を行っております。
こちらの会合は、7月2日の会合で案を取りまとめまして、現在、パブリックコメントにかけているところでございまして、8月2日まででございます。最終的にはパブリックコメントを踏まえて、最終報告として取りまとめたいと考えております。
本日、御説明させていただきますのは、「CS適正化イニシアティブ」と名前をつけておりまして、これはコンシューマーサービス適正化イニシアティブということでございますけれども、これをしっかり実施することで、最終的にはコンシューマーサティスファクションにつなげていきたいという意味を込めてタイトルをつけさせていただいております。
それでは、資料の中身を御説明させていただきます。2ページ目でございますけれども、まずは電気通信サービスの環境の変化ということで、最近の状況でございます。ここ10年間で見ますと、傾向としては固定電話が減少傾向で、ピーク時の6割、現在ではブロードバンドと逆転しておりまして、実際にはブロードバンドが5,300万契約。一方で移動通信は順調に伸びておりまして、主に携帯電話の普及でございますけれども、1億3,000万を超える契約数になっています。
ブロードバンドについて見ますと、光ファイバーが順調に伸びておりまして、DSLを圧倒的に超えて2,300万契約ということで増えております。無線の分野について見ますと、3.9世代の携帯電話、いわゆるLTEサービスがスマートフォンの普及と相まって急速に増えております。現在、さらに増えていますけれども、このグラフ上でも1,300万契約となってございます。
こうした状況を踏まえた苦情・相談の状況ですけれども、先ほど国民生活センター様からも御紹介がありましたが、我々もPIO-NETの苦情・相談の内訳を分析して議論しております。傾向といたしましては、電気通信サービスに係る苦情・相談は、2012年度、4万件を超えておりまして、前年度と比べても20%近くの増加ということで、増加傾向でございます。
内訳を見ますと、特に増えておりますのが、移動通信サービスとインターネット通信サービス。こちらが20%程度増加している。さらに、インターネット通信サービスについて見ますと、光ファイバーが非常に伸びているということも相まって、光ファイバーが20%近くの増加でございます。
続きまして、より詳細な分析に入らせていただきますが、4ページ目でございます。月ベースで見ますと、12年度に入りまして前年度よりもかなり増加したという傾向がございますけれども、御提言をいただきました12月以降、総務省等の取組みもさせていただいておりますが、やや減少傾向が見られるということでございます。携帯電話サービスについて見ますと、今年に入りまして、前年度の相談件数を下回るところまで来ております。一方、モバイルデータ通信、光ファイバーについては、減少傾向は見られますけれども、前年度よりは高い水準で推移しているという状況でございます。
5ページ目です。苦情・相談の状況をさらに契約・利用ステータスごとで申し上げます。特に携帯電話サービスについては、利用が増えているスマートフォンに特化して詳細分析をさせていただいております。スマートフォンにつきましては、利用中のサービスの苦情・相談が多いという状況でございます。モバイルデータ通信について言うと、契約時が多い。光ファイバーについて見ますと、勧誘時が非常に多いという状況がございまして、特徴が出ております。
続きまして、6ページ目です。サービスごとの苦情・相談の傾向分析ということで、こちらについてはかなり詳細な分析をさせていただいております。
販売購入形態別で見ますと、携帯電話サービスについては、性質上、店舗販売が最も多いという状況です。その中では、解約関連、契約時の説明不足、高額請求といったことがキーワードとしては多いところでございます。相談内容の一つひとつをより細かく分析させていただいた結果でございますが、スマートフォンについてはどうしても機器の故障が多いということがございます。それとあわせまして、サービスのところで見ますと、契約解除料、通信エリア、そうしたものが多いということで、傾向といたしましては、サービス品質やエリアに関するもの、契約解除料、解約時の割賦残金、セット販売等による料金プランとその説明に関するもの。2年契約とございますけれども、契約のしばり、期間拘束・自動更新付契約に関するもの、海外利用等の高額請求等のトラブルが挙げられます。
続きまして、モバイルデータ通信についての詳細分析でございます。販売購入形態別について申し上げますと、店舗購入が44%、電話勧誘販売が22%、通信販売が19.3%ということで、電話勧誘、通信販売が割合としては大きくなってきているところでございます。
苦情・相談の具体的な内容については、解約関連、契約時の説明不足、電話勧誘といったキーワードがございますけれども、より詳細について分析いたしますと、通信速度や通信エリアに関するサービス品質・エリアに関するもの、契約解除料、セット販売等の料金プランとその説明に関するもの、代理店等の販売勧誘の適正性に関するもの。やはり同様でございますけれども、契約期間の拘束・自動更新付契約に関するもの。通信速度やエリア等に起因して、契約解除を希望するけれども、期間拘束のためにできないといった解約のルールに関するものが挙げられます。
8ページ目は光ファイバーについてでございます。販売購入形態別で申し上げると、電話勧誘販売が45%、訪問販売が25%となっております。キーワードで申し上げますと、解約関連、電話勧誘、契約時等の説明不足といったことが多く挙げられておりますけれども、より詳細に分析いたしますと、電話勧誘、安さ強調、連絡不通、誤認誘導等、また、高齢者への販売とございますけれども、代理店等における販売勧誘の適正性に関するものが多く挙げられます。やはりこれも共通しておりますけれども、期間拘束・自動更新付契約に関するもの、料金プランとその説明に関するものといったところが傾向として挙げられます。
こうした苦情・相談の現状を踏まえまして、9ページ目以降でございますけれども、関係者の取組みについて、どういった改善がされたかという点を御説明させていただきます。
まずは、業界団体による自主的取組みでございます。これは電気通信サービス向上推進協議会による自主的な取組みですが、広告表示の改善、勧誘・契約解除の適正化、この2つの取組みが進められております。広告表示は、利用者の入り口の部分でございますけれども、昨年4月、今年の4月に改定を行っております。その中では、広告表示におきましても、電気通信サービスの利用状況や習熟度、年齢等を踏まえた「適合性の原則」に配慮したわかりやすい説明を行うという旨の条文が新設されています。そのほか、強調表示、比較表示等に関する解説が盛り込まれています。
さらに、今年の4月の改定では、通信速度の表示に関して、サービス提供エリアにより最大通信速度が異なる場合、その旨を表示し、最大通信速度の該当エリアを何らかの方法で消費者にわかるように記載するといった通信速度に関するもの、人口カバー率に関するもの、端末の通信速度の表示に関するものといったところについての改定がされております。
続きまして、10ページ目でございます。昨年4月に、勧誘・契約解除の適正化ということで、「電気通信事業者の営業活動に関する自主基準」が作成されています。この中では、勧誘に当たっての氏名等の明示、契約締結時の説明、適合性に考慮した説明、さらに、再勧誘の停止、工事前の無償契約解除ということで、FTTH(光ファイバー)とケーブルテレビについては、工事前の無償契約解除を実施するようにというクーリングオフ的な内容、それから代理店の指導、これが盛り込まれています。
こうした自主的な取組みにあわせまして、総務省といたしましても、11ページ目でございますが、昨年12月の消費者委員会の御提言も踏まえまして、業界団体及び電気通信事業者に昨年12月に要請を行っております。代理店に対しても、主要な代理店については、今年の2月、3月におきまして、二次代理店の指導徹底、書面交付等業務プロセスの見直しを含めた改善の要請を行っております。また、その際には、消費者委員会の御提言もあわせて周知をさせていただいております。
事業者においても、代理店からの書面の交付ということで、契約内容を明示するサンキューレターの送付・改善等の取組みが進められております。また、実際に利用者の苦情を分析して改善につなげていくといった取組みを、PDCAサイクルでやっていくことが不可欠であるということで、事業者における対応が検討されているところでございます。
サービスごとの現状と課題を改めて分析して、まとめております。12ページ目でございます。携帯電話サービスについて見ますと、ポイントといたしましては、サービスの品質・提供エリア等の表示について、通信速度、人口カバー率、これが課題として挙げられます。通信速度については、ベストエフォート型のサービスということで記載されておりますけれども、そうした利用者の認識が実際のサービスと異なる、乖離している部分が出ているという状況でございます。人口カバー率についても、携帯電話事業者等の事業者ごとによって算出の手法が違うということで、利用者のとらえるところとなかなかわかりにくいといった課題がございます。
料金プランについても、シンプルな利用プランということは各事業者とも取組みは進められておりますが、引き続き、まだわかりにくいところ、各種割引サービスやオプションとの組合せ、全体が幾らになっているのか、端末購入と通信サービスの契約がございますので、全体像がわかりづらいといった状況がございます。
期間拘束・自動更新付契約について、いわゆる2年契約がございますけれども、自動更新付といったところが利用者にはなかなかわかりづらい。こちらについては、携帯各社が利用者に対して実際に更新のタイミング、自動更新についてのプッシュ型の通知の対応を進めているところでございます。
高額請求につきましては、海外渡航の際の利用等の問題がございますけれども、実際に利用者が思わぬ利用によって高額請求になってしまうことが課題となっております。
13ページ目、モバイルデータ通信と光ファイバーでございます。こちらも共通なところがございまして、サービス品質・提供エリア等の表示について、これが課題でございます。料金プランも携帯電話と同様の問題が指摘されております。モバイルについては、不適切な話法の是正ということで、「光ファイバーより必ず速くなる」といった話法の勧誘の苦情・相談が寄せられている状況でございます。解約のルールも課題として挙げられています。
光ファイバーについては、特に販売の勧誘方法ということで、執拗な電話勧誘、不適切な話法、書面の交付、高齢者の勧誘、こういったところが課題として挙げられます。また、期間拘束、料金プランのところは共通の課題として挙げられます。
そうした課題を踏まえまして、今後の対応について、14ページ、15ページに、全部で11項目について、今後、取り組むということで示されております。
1点目、利用者視点を踏まえたサービス品質・エリア等の表示について。これは、特に通信速度等については実測値の表示・併記をしていくことなども含めて、エリアについても、共通の人口カバー率の表示の仕方等について取組みを進めていきたいということで、こちらも方向性として盛り込まれています。また、諸外国でそうした取組みを行っているところもございますので、それも参照しながら検討を進めていくということでございます。
利用者のニーズに応えるサービス設計については、よりわかりやすい料金プランの設定、説明の実施、期間拘束・自動更新付契約につきましては、プッシュ型で利用者に更新時期をお知らせする等の通知、これは実際に進められておりますけれども、導入・普及を推進していくこと。それから、高齢者、若い方もいらっしゃいますけれども、さまざまなリテラシーの方の利用に合わせてシンプルなメニューを引き続き検討していくということでございます。
販売勧誘の在り方の自己点検でございますが、電気通信事業者において、販売目標が高すぎることが無理な販売勧誘につながっていないかといったことを、もう一度自己点検をしていただくということでございます。事業者による代理店状況の把握と指導の徹底ということで、先ほど御指摘もございましたけれども、二次以下の代理店についても、電気通信事業者と一次代理店が一体となって指導を徹底していくこと。そうした代理店の適正な指導の在り方を、引き続き推進していくということでございます。また、その際には書面の交付の徹底、サービス内容等のわかりやすい説明ということで、利用者の意思を確実に確認する仕組みを構築していくことが挙げられています。
5番目の適合性の原則への配慮。引き続き、知識・経験等、判断能力、経済的負担、サービス利用の目的に合わせた考慮をしていくことが必要だということでございます。
次に、代理店連絡会の設置でございます。代理店間の情報共有、苦情・相談を踏まえた改善を進めていくため、代理店連絡会の設置を進めております。実際に今月末には第1回が開催できる方向で、現在、調整されていると承知しております。
業界全体の取組みといたしまして、業界のコールセンターの設置でございます。実際に苦情・相談を受けて、それを実際に把握して改善につなげていくというプロセスをしっかりとっていけるように、業界全体として共通的な消費者対応窓口の設置を検討していくことが盛り込まれております。その際には、国民生活センター、消費生活センターとの連携をさらに深めていきまして、実際の相談を解決につなげていくプロセスにできればということで盛り込まれています。利用者リテラシーの向上も、サービス内容は複雑化しておりますけれども、実際に利用者の方のリテラシー向上、わかりやすい説明をしながら周知啓発を充実していくこと、こちらを引き続きやっていく必要があるだろうということでございます。
10番目、制度的な対応の検討でございますが、先ほど申し上げたとおり、利用者からの苦情・相談件数は高止まりの傾向でございます。ということで、電気通信事業法における消費者保護ルールの見直し、所要の規定を設ける等の制度的な対応の検討に着手すべきであるということが盛り込まれております。
さらに、新たな取組みと自主基準ということで、実際に苦情・相談を減らす努力は続けていかなければいけないということでございます。新たな相談も発生してきているということですので、苦情・相談をPDCAサイクルで改善していく。自主基準も、引き続き推進していただくように検討していくことが望ましいということが盛り込まれております。
以上がCS適正化イニシアティブの概要でございます。また、16ページ、17ページは残りの第I部と第III部になりますが、その目次をつけさせていただいておりますので、参考にしていただければと思います。
説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。実情を踏まえて今後の運用なり制度の改善にどう結びつけるかということになるかと思いますので、まず、国センに実情について4点お聞きした上で、それが今後はどうなるのか、どう考えておられるのかについて、総務省のほうからお答えいただければと思います。
まず、この分野の消費者トラブルの大きな問題の一つは、口頭で契約が成立してしまうという実情がある。法律上の規制がないものですから、先ほどの国センの説明でも、遠隔地の契約という感じで、電話でやり取りをしただけで、それがもう契約したことになってしまう。そういうトラブルが多いという事実があるので、ここはやはり電気通信事業法の改正で何とかしてもらわなければ困ると思います。口頭で契約が成立してしまったと事業者が主張する場合、国センではどういう紛争解決をなさっているのか。その実情をお聞きしたい。総務省では、今後、それをどういうふうになさるおつもりかをお聞きしたい。
2つ目は、消費者は、どこと契約したか認識していないというのは前のお話でもありました。固有名詞を余り言うといけないのかもしれませんが、特定の携帯電話会社と契約しているのか、その代理店と契約しているのか。それとも、先ほど話がありました、代理店でもない取次店の説明を聞いて、それをその気になって契約した。ところが、それは書面の交付義務がないものだから、消費者としては、どこと契約したかもわからないまま何となく毎月の料金が落ちてしまうということになると、紛争解決がむつかしいことになると思います。その辺の相手方が不明の場合、国センあるいは消費生活センターはどういうふうに具体的に対処をなさっているのか。その問題について、総務省としてはどういうふうにお考えなのかという質問です。
3つ目は、代理店について、契約のインセンティブとかいろいろなことで、契約実績を追求するのが急な余り、代理店なり取次店が頑張りすぎてしまうという実情のもとで、総務省のほうで代理店の指導監督をきちっとなさるのは、これはこれでいいけれども、どうも聞いてみると、一次代理店があって、二次代理店があって、その辺までは、総務省の指導監督のもとで、あるいは通信事業者の指導のもとでそれなりに自主基準でやっていけるとしても、紹介店とか、二次紹介店とか、あるいは取次店、そういうのがある。その取次店は、一番条件のいいところ、今月はAという代理店で、来月はもっとマージンのいいBという代理店でということで、取次店があっちへ行ったりこっちへ行ったりして、指導の枠の中に入っていないという実情があるように思います。その辺、国センのほうではどういうふうに御認識なのか。それについて、総務省では今後の対処としてはどういうふうにお考えなのか。
4つ目は、サービス提供エリアにより最大通信速度が異なる場合、その旨を記載して、最大通信速度の該当エリアを明示しなさいということを自主基準でやっていかれているようですが、それをちゃんと守っていない大手通信業者があって、消費者庁も景表法で行政処分をなさったということですが、実際、そういう形で誤解して契約をしてしまった消費者は取消しができているのかどうか。取消しができていないという話も聞くのですが、その辺、どういう理屈で取消しができないのか。総務省はそれについて、今後、どういうふうになさるおつもりなのか。
長くて申しわけないですが、4点、お願いします。

○河上委員長 それでは、国民生活センターのほうからお願いできますか。

○国民生活センター浦川相談情報部相談第2課課長代理 国民生活センターの浦川でございます。今、山口委員長代理から御質問があった件について、お答えさせていただきます。
まず、口頭で契約が成立したことによるトラブルというのは多数ございます。それの紛争解決の実情でございますが、これは通信回契約に限らず、まず、相談員が消費者から事実関係を確認させていただいた上で、必要な書類を送っていただいたり、お手紙を書いていただいたりすることもございます。もちろん、代理店がわかれば代理店にということにもなるのですが、基本的には通信会社ははっきりしておりますので、そちらにお話を持っていきまして、消費者からこういう苦情がありますということで、事実関係を確認していただく中で消費者の言い分を伝えて、それが正しいのかどうか。それを確認する過程の中で、苦情の解決を図るということを行っております。ケースによっては、消費者が誤解をしていたということもありますが、私どもは相談内容を通信会社に伝えて、そこから通信会社なりに事実関係を調べていただいた中で解決を目指すという手立てをとっております。

○山口委員長代理 代理店が「違う」と言っている場合はどうするのですか。

○国民生活センター浦川相談情報部相談第2課課長代理 代理店が違うと言った場合には、私どもはPIO-NETを使いまして、同種の苦情が入っているかどうかということも見まして、通信会社に確認していくことになります。

○河上委員長 実際には書面を使わないでなされている契約が多いのですか。

○国民生活センター浦川相談情報部相談第2課課長代理 特に電話勧誘や訪問販売については口頭の確認だけで契約にいたるケースが多いように思われます。

○河上委員長 では、次の点をお願いします。

○国民生活センター浦川相談情報部相談第2課課長代理 相手方が不明な場合の対処方法でございますが、消費者がどこの通信会社と契約しているかについては、通信会社から契約確認のはがきが送られますので、それで確認してもらいます。消費者がそれをなくしたと言っている場合、代理店と連絡が取れなくなったとか、どこか覚えていないという消費者についても、消費者にどこの通信会社か聞き取りした上で通信会社を特定します。その上で通信会社に対して事実関係を確認するように依頼します。3番目については、「代理店番号を持っている」代理店については通信会社の目も行き届きやすいと思いますが、その下についている、私どもの資料の中では取次店という言い方をさせていただいているところが消費者と直に契約を取って、通信会社のひもづいている代理店に回していくケースが相談事例の中から把握はしております。こうした事業者は実態として代理店がどういう形なのか、ひょっとしたら個人かもしれないし、先ほど山口委員長代理からお話があった、幾つかの代理店の中を渡り歩いているのではないかという可能性も否定できないのではないかと思っております。通信会社の考える代理店の枠内に入っていないところについては、私どもも通信会社を通じて調べていただいておりますけれども、通信会社も調査の限界があるということをおっしゃいます。
最後の御質問でございます。通信会社が問題があったことを認めなかったり、誤解をした消費者が取消しできていないのではないかというお話でございますが、実際にはそういう事例もございます。通信会社としては、謝罪はしますし、御迷惑をおかけしたことは謝りますと言う一方で、契約の取消し的なところまでは行かないというケースもあります。
ただ、それについても、消費者がなぜこの契約をしたのかといえば、説明を聞いたり、広告などを見て契約をしているという大きなポイントがありますので、通信会社にできるだけ詳しく事情を伝えていく中で、あっせんをしていくように努めております。しかし、うまくいくケース、いかないケースというのもあります。あっせんの限界もございます。

○河上委員長 サービスエリアの誤認というのは、消費者契約法の問題にはならないのですか。

○国民生活センター浦川相談情報部相談第2課課長代理 サービスエリアの問題について、消費者契約法を用いて説得をした場合でも、受け止めていただけるケースばかりではないように思っております。

○山口委員長代理 要するに、勧誘に当たって事実が違っていれば、これは取消し事由になりますが、広告だから勧誘ではないという理屈でいかれると、民事的にはなかなか難しい部分もあるというところなのです。どう考えてもおかしいといえばおかしいのですが。

○河上委員長 ただいまのセンターからの御説明に対して、総務省のほうから御回答をいただけますでしょうか。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 まず、口頭での契約、書面の交付のところでございますけれども、電気通信事業法上、提供条件の説明という義務がございまして、こちらについては書面での交付を原則として義務づけられていります。ですから、これをしっかり徹底していただくことが重要だと思っていまして、自主的な取組みといたしましても、サンキューレターの送付をあわせてやっておりますけれども、これをしっかり徹底していただくこと。また、それをちゃんと認識していない事業者がいらっしゃれば、総務省としてもしっかりやってもらうように話をしていくということかと思っております。
それから、代理店、取次店でございますけれども、以前は通信事業者が代理店と一体となって営業活動をしていたところがありますけれども、今はいろいろな代理店がいて、一つの代理店、取次店でも、いろいろなサービス、一緒に違う事業者のサービスも扱うといった状況もございます。サービスの複雑化に合わせてそうした構造も変わってきているということもあわせまして、代理店の連絡会の実施と、代理店の中でも自分たちの構造を把握していくこと。それから、電気通信事業者もより代理店との連携を図っていくこと。それが一次代理店だけではなくて、二次代理店、さらには取次店もそうだと思いますけれども、そうした取組みを一層進めていきたいということで考えております。
また、広告のところでございますけれども、総務省といたしましては、広告で誤解をされてしまうところがやはり一番問題だと思っています。そういう意味では、サービスエリアの話、速度の話、こういったところを、わかりやすく説明し、利用者の認識と違う、ちょっと盛り込んだ広告をしてしまうといったことは避けていかなければいけないということで考えておりますので、サービスエリアの表示の仕方、通信速度の表示の仕方というところを、事業者の間での共通の、利用者にわかりやすい表示を一層進めていく必要があるだろうと考えております。

○河上委員長 ほかに何か御質問はございますか。

○山口委員長代理 今の総務省の御回答ですけれども、消費者委員会としては、特定商取引法レベルの行政的な指導、あるいは民事効を明示する必要があるのではないかとは思っているわけです。例えば、しかるべき書面、総務省ではどういう契約書面を交付するべきなのか。契約書に盛り込むべき事項を特商法のように政省令で決めていただいて、そういう書面を交付しない場合、あるいは、所定の契約事項が書かれていない書面の契約については、所定の期間クーリングオフがあるという形で、消費者がわけのわからないまま契約させられたような場合には、やはり取消しを主張できることにする必要があるのではないかと思います。
それから、広告表示がきちんとなされるように徹底していきたいとおっしゃっているわけですが、取次店などのオーバートークがあった場合、あるいは、広告が事実誤認的なものであった場合、民事的な効果として、取消しなりその他に結びつくような規定をどういうふうに置かれるのか。ここは、今後の作業過程もお聞きしたいのですが、今、取りまとめのパブコメをなさっているところだと思います。消費者委員会として、特定商取引法レベルの消費者保護のための諸規定を、電気通信事業法あるいは下の政省令の中にきちんと盛り込んでいただければと思いますが、その辺についてどういうふうにお考えなのかということと、今後の作業スケジュールについてお話しいただければと思います。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 御指摘、ありがとうございました。私どもはこの問題について、一昨年にも同じようなWGを開催し、検討して自主規制を盛り込んで対応してきたところですが、なかなか状況が改善しないという指摘をしていただきました。例えば解約関連と言っても、では解約の何なのかというところまで突っ込んだ精緻な検討をしていく必要があるということから、今、御説明いたしましたような詳細な分析をさせていただいたところでございます。そうしてわかりましたのは、ものによっては苦情にならずに済んだもの。例えば光ファイバーで言いますと、連絡不通のようなものが結構上位にあったりするわけです。これは結局、代理店の電話連絡先がお客様に届いていなかったとか、あるいは、回線を準備しておけば対応できた話かもしれないというふうな形で、詳しく分析してわかってきた部分が多々ございました。
そういったところを含めて、それに対応して事業者もいろいろな取組みをやってきたことには一定の評価が与えられるものですけれども、残念ながら、数字に関しては劇的な減少につながっていない。これは重く受けとめるべきであるということから、おっしゃるように、自主的な対応だけではなくて、制度的な対応が必要だというところまで着手すべきであると指摘をしていただいているところでございます。これにどういったことを盛り込むかというのは、まさに今回の分析、この後の取組みを踏まえて検討していくべきことだろうと思ってございます。いずれにしても、こういう具体的な精緻な検討をした上でのものですので、そういったところをしっかり反映できる形でやっていきたいと思っているところでございます。

○山口委員長代理 スケジュールは。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 スケジュールに関しましても、これからのパブコメの結果、それに基づく確定、その後の取組み等を踏まえまして、できるだけ早期に対応していく形になると思います。

○河上委員長 パブコメはいつが締切りでしたか。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 8月2日でございます。

○河上委員長 その後、その結果を取りまとめて検討すると。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 そういうことでございます。

○河上委員長 いずれにしても、今後の方向性として、15ページですけれども、「従来の延長線上にある自主的な取組みだけでは足りず、電気通信事業法における消費者保護ルールを見直し、所要の規定を設ける等の制度的な対応の検討に着手すべきである」というふうにはっきり書いていただいたことは、大変ありがたいことだと思います。パブコメの結果に速やかに対応していただければと思います。
ほかにはよろしいですか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今後の方向性ということで出していただいたので、速やかに実現していただきたいと思うのですが、1点だけ、よくわからないので伺いたいのですが。期間拘束と自動更新付契約のところは、一時期だけの機会を逃すと自動的にまた2年間できなくなるという、非常に理不尽な感じなのですが、プッシュ型通知というのを御説明いただけますか。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 プッシュ型というのは、事業者側から利用者に対して積極的に、更新月になりますよとか、いつが更新月ですよということを通知するということでございます。

○小幡委員 更新月にやらなければまた2年しばりがかかるという、それ自身は変わらないということですね。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 更新月が限られている場合は、更新月を過ぎてしまうと自動契約延長になるという契約でございます。

○小幡委員 なかなかこの辺りは難しいですが、消費者の気持ちとしては、契約時に2年間は継続しておかないと違約金がとられる。ただ、2年継続すれば、その後はよいかなと思いがちですね。そこを違うということを認識させるためには、かなりしつこい言い方をしない限り、思い込みというのはかなりあると思うのです。プッシュ型通知の仕方にもよると思いますが、本質的にはどうしてそのような契約形態なのかという、その辺りに若干疑問があるものですから。言い方をよほど考えないと、単に更新月ですなどという通知では足りないような気がします。細かいことですが。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 そういったところが最終的には苦情・相談につながってくる部分だと思いますので、それが増えているという傾向であれば、より強化していかなければいけないという話になります。事業者側もそのように認識しておりますので、その点を含めてしっかりと周知、最初の店舗販売、ショップでの説明、さらにプッシュ型の通知、そうしたことをあわせて利用者に認識していただく。契約をそういう形態で進めていくのであればしっかり周知していく、これはやっていかなければいけないことだと認識しております。

○河上委員長 最初の2年というのは端末の料金の回収というので比較的わかるのですけれども、それが終わってしまった後はランニングコストの問題だから、いつ解約できてもおかしくないのに、どうしてあれがまた2年拘束するのだろうかと私も不思議に思っていたのですが、どうなのですか。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 プランといたしましては、端末が2年とか、割賦もあるので、そこもややこしくなっている一つの理由なので、そこもしっかり説明をしていくことは必要だと思いますけれども、2年契約ということになると、その分、基本料割引とかそういった割引サービスが受けられる。一方で、契約期間のしばりがない契約に変更することもできるということでございますので、必ずしも2年契約自動更新だけが契約形態ではない。そこも利用者側の選択として事業者側が料金プランの説明をしっかりしていく、ここも必要だと思っています。

○総務省玉田総合通信基盤局消費者行政課長 補足させていただきますけれども、このWGの議論の中でもありましたが、2年しばりを含めて、競争の中で、多少複雑になってもどうやって安く提供していくかという観点がこれまで強うございました。しかしながら、ここへ来て、これだけスマートフォンにしても青少年から高齢者まで使うようになってくると、シンプルなものが必要なのではないかという御指摘もございまして、その点はこの報告にも実は盛り込んでございます。要するに、複雑であっても安ければいいというのではなく、必ずしもそういうタイミングでもないということを踏まえて、シンプルなものも考えるタイミングではないですかという考え方も盛り込まれているところでございます。

○小幡委員 確かに考え方としては、2年しばりにすると安いプランになるということで提供するので、更新という形でよいことになるのだとは思いますが、消費者の立場からみると、2年しばりのものが料金プランとして普通に見えるわけです。そちらを一般的な料金プランだと思うので、そこを出発点にしてとらえると、その契約プランをとらないと急にかなり料金が上がるのですね。事業者側の思いもわかるわけですが、2年しばりにすることで安くしてあげているというつもりだとは思いますが、そこが消費者的に言うと、むしろ標準だとみえるのです。そこの食い違いがあるのではないかと思って伺っていましたが、そういうことですね。

○総務省松井総合通信基盤局消費者行政課電気通信利用者情報政策室長 利用者側の認識と事業者側の思いというのが、料金プランにおいてマッチしていないと苦情が起きるというのは御指摘のとおりだと思います。携帯電話の場合は、基本的には長く使われる方が多いとは思いますけれども、その中でそうした御不満がないように、利用者側が自分の契約内容をしっかり認知できるように理解していただくような御説明はしっかりやっていく必要があるだろうと思っています。

○河上委員長 私も家族に言われてスマートフォンを買わされて、1週間でなくしてしまったのです。紛失届けを出したのですが、2年間ずっとお金を払い続けさせられて、インターネットの基本料も、ずっと使わないとわかっているけれども払い続けさせられまして、これはどうかなと思ったことがありますが。

○山口委員長代理 ハードの割賦なのでしょう。

○河上委員長 ハードの割賦だけではなくて、インターネットの基本料金も払い続けるということらしいのです。これは当初の契約ですからと言われて、ああ、契約法の問題ですかと。
どうも失礼しました。ほかにございませんか。
実は事前に御説明をいただいておりまして、今の審議内容とも重なりますけれども、私のほうから一言申し上げたいと思います。長い発言になりますので、あらかじめ書面を用意させていただきました。お配りください。

追加資料PDFを別ウィンドウで開きます配付)

○河上委員長 発言の後でお配りしたほうがよいのかもしれませんが、長々と発言するのもわかりづらいかと思いますので。事前に伺ったことを前提に発言をさせていただきます。
消費者委員会は、平成24年12月11日に「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」として、総務省に対し、代理店を含む電気通信事業者による自主基準等の遵守徹底を図るとともに、クーリング・オフや自動更新の問題についても改善を促すこと、また、その改善状況の検証を行い、相談件数が明確な減少傾向になる等の一定の改善が見られない場合には、消費者が契約内容を十分理解して利用できる環境の実現を図るための法的措置を講じることを含め、必要な措置を検討し確実に実施することを求めました。
これを受けて、総務省では、業界団体、主な電気通信事業者及び主な大手販売代理店等に対し、代理店を含む自主基準の遵守徹底や販売勧誘適正化等について書面による要請等を行うとともに、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の下に設置された「スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の在り方に関するWG」において、電気通信サービスの適正な提供の在り方について有識者による検討を行ってきたとのことです。
今般、同研究会の提言案である「スマートフォン安心安全強化戦略(案)」において、同WGによる検討内容が「CS適正化イニシアティブ」として盛り込まれ、「従来の延長線上にある自主的な取組だけでは足りず、電気通信事業法における消費者保護ルールを見直し、所要の規定を設ける等の制度的な対応の検討に着手すべき」などの方向性が掲げられております。
同研究会の提言案において、こうした方策が示されたことは、当委員会としても、消費者トラブルの実態及び当委員会の提言に照らして、まことに適切なものであると考えております。これらの方策が同研究会の提言として最終的に取りまとめられた場合には、総務省において、消費者が契約内容を十分理解して利用できる環境の実現を図り、消費者トラブルの防止に十分な実効性が確保されるよう、特定商取引法と同レベルの消費者保護規定導入の検討等に早急に着手されることを求めたいと思います。また、制度的な対応が実現されるまでの間の消費者保護対策についても、取り組んでいただきたいと思います。当委員会においても、消費者トラブルの実態を踏まえ、引き続き、本問題に関するフォローアップを行ってまいります。
ということで、私からのコメントとさせていただきます。今後、頑張って取り組んでいただければありがたいと思います。
総務省、国民生活センターにおかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪3.公益通報者保護制度について≫

○河上委員長 続きまして、「公益通報者保護制度について」であります。本件につきましては、去る6月25日に開催しました第124回委員会において、消費者庁が実施した実態調査の結果について、消費者庁から報告をいただいて、その上で意見交換をしたところであります。本日は、その調査結果を踏まえ、今後の方策や委員会として重要と考える論点等について、委員会としての意見の取りまとめを行いたいと考えております。
それでは、事務局のほうから、意見案について説明をお願い致します。

○原事務局長資料4PDFを別ウィンドウで開きますで準備をしておりますので、そちらをごらんいただきたいと思います。「公益通報者保護制度に関する意見(案)~消費者庁の実態調査を踏まえた今後の取組みについて~」ということで、御了承いただけましたら、本日の日付を入れたいと思います。
消費者庁は、公益通報者保護制度に関し、本年6月25日に、民間事業者及び行政機関における通報処理制度の運用状況並びに通報経験者及び労働者の公益通報に関する経験・意識等に関する調査結果を公表し、同日開催の第124回消費者委員会において報告を行っていただいたところです。
これにつきましては、当委員会で平成23年2月にまとめられた「公益通報者保護専門調査会」の報告書を踏まえて、3月に「『公益通報者保護制度』の見直しについての意見」を消費者庁に対して発出しております。この中で、法や通報処理制度の実態について把握をしていただきたいということで、調査をお願いしておりまして、それの結果を取りまとめていただいたということになります。
当委員会は、この調査で明らかとなった法制度の課題等を踏まえ、今後の方策及び当委員会として重要と考える論点について、下記のとおり意見を述べるということで、「記」から、意見になりますけれども、かなり長めなので要約しながら説明していきたいと思います。
1といたしまして、「調査で明らかになった課題について」ということで、消費者庁では、調査結果を踏まえて次の3点を課題として掲げておりました。
マル1といたしまして、労働者において法制度の認知が進んでいない。マル2といたしまして、中小企業において法制度の認知及び内部通報制度の導入が進んでいない。マル3といたしまして、内部通報制度導入事業者においても取組み状況はさまざまであるということです。
このような実情が改善されない原因と必要な対策の掘り下げがなお求められるところであるといたしまして、2ページをあけていただきたいのですが、具体的に以下の事項を指摘したいと思います。
まず、(1)といたしまして、「中小企業に対する法制度の周知促進について」ということです。ここでは2つの意見を提出したいと思います。
一つが、情報の周知方法の改善ということで、報告書によれば、法が比較的よく認知されている従業員数の多い事業者においては、その認知媒体としては消費者庁のホームページ及びパンフレット・ハンドブック、並びに説明会・シンポジウムを挙げる割合が比較的高くなっております。ついては、法を知らない事業者に、消費者庁によるこれらのツールを活用しての提供を是非検討されたい、ということを求めたいと思います。
2つ目といたしまして、「業界団体、同業者等を通じた認知機会の提供の促進」です。業種別で法の認知度が最も高かったのは金融・保険業ですけれども、業界団体、同業者等を通じた認知が最も高いというふうに調査の結果が出ておりました。これらを踏まえ、他業種においても「業界団体、同業者等」を通じた認知機会の提供を促進する方策を検討されたいということで、お願いしたいと思います。
(2)といたしまして、「労働者に対する法制度の周知徹底について」ということで、労務提供先による労働者への周知活動の支援を挙げたいと思います。
報告書によれば、法を「よく知っている」「ある程度知っている」と回答した労働者は10.5%にすぎませんでした。法を「よく知っている」と回答した労働者は、労務提供先(社内研修、社内報等)において知った割合が高いので、労務提供先における周知活動は38.8%の事業者において何ら行われておりませんので、ここを、実際に社内研修や社内報を使って、労働者に対する法制度の周知徹底を図っていただきたいと思います。特に中小企業による労働者への周知活動の支援をお願いしたいと思います。
(3)といたしまして、「内部通報制度の導入・取組みの促進について」ということで、一つは、マニュアル・規程(例)の提供方法・内容等の改善です。これは、未導入事業者の57.3%が、「内部通報制度の設置・運営に関するマニュアル」を是非活用したいということで、消費者庁が提供しているこういうものについての改善、周知を図っていただきたいと思います。
それから、コンプライアンスに資する取組みであることの周知を挙げておりました。報告書によれば、事業者において、なぜ法の認知が進んでいないのかということですけれども、「優先度が低い」とか「必要性を感じない」という御回答がかなりございました。導入による積極的なメリットを周知することが有用と考えられます。内部通報制度の導入促進に当たっては、公益通報者保護制度の目的が通報者の保護を通じた事業者のコンプライアンス経営の強化にあること、事業者にとっては、内部において法令違反を発見・解決しやすくすることによって違反を抑止することや、違反の事実による損害を最小限に止めることに導入の意義があることを強調すべきであるということで、労働者、中小企業、それから、なかなか周知が徹底していないというところについては、法制度の正確な理解がまず必要であろうと考えております。
それから、規格・認証制度の利用・整備ということで、これは、報告を聞いたとき、ここの委員から出された意見になりますけれども、例えば、ISO国際規格の一つであるISO26000(社会的責任に関する手引)、これを実現するための行動例として「内部通報・相談窓口の設置」が挙げられております。平成24年3月にはJIS規格化もされており、事業者のインセンティブになり得ることを是非周知をしていただきたいと思っております。
2ポツとして、「当委員会として検討を求める事項」を3ページの後半から書いておりますけれども、(1)通報者の保護について、(2)相談窓口について、(3)通報先について、(4)通報内容についてということで、4点挙げております。
まず、3ページから4ページにかけてですけれども、当委員会として従来から課題だというふうに考えておりまして、今回も調査の結果、再度申し上げておきたいということを掲げております。
(1)通報者の保護についてですが、通報者の不利益取扱い禁止の実効性を高めるための方策の検討です。これが、第一次の消費者委員会で、是非消費者庁に実態調査をとお願いした部分で、この辺のお話を聞きたかったところなのですが、報告書によれば、労働者調査に対する有効回答者3,000人のうち、内部通報・相談の経験者が42人おり、このうち、通報・相談によって不利益な取扱いや事実上の嫌がらせを受けたと回答した人が各9人(21.4%)、解雇されたと回答した人が3人(7.1%)存在しておりました。
なお、最初に通報する場合の通報先として、労務提供先ではなく行政機関等を選択すると回答した労働者の43.3%が、労務提供先から解雇や不利益な取扱いを受けるおそれがあるのではないかということを不安視しておられることも、報告から出てきております。
こういった状況を考えますと、法制度の周知徹底もさることながら、通報者を保護するという法目的の実効性を担保することが必要だと考えております。違反した事業者に対して一定の不利益を課す制度の導入等、事業者の法令遵守に対する動機づけとなり得る方策について検討すべきであると考えます。
2つ目といたしまして、通報内容を裏付ける資料の収集の困難性への対応です。これにつきまして、報告書では、通報内容を裏付ける資料収集の困難性が指摘されておりまして、機密情報の漏えいによる民事上・刑事上の責任追及をおそれて通報を断念する労働者の例が複数挙げられています。こういった問題への対応策として、ガイドライン・規程例等により、通報者に対する懲戒処分の発動を減免する旨の規定を設けるよう推奨することを検討してはどうかと考えております。
(2)が「相談窓口について」です。一つ目といたしまして、消費者庁の取組みの位置づけを掲げました。消費者庁には、「公益通報者保護制度相談ダイヤル」が設けられておりまして、年間平均約1,000件程度の質問・相談が寄せられています。これらも貴重な情報として十分に活用すべく検証・分析を行って、必要に応じて適切な措置を講じられたいと思います。
どういった相談が寄せられているかについては、「公益通報ハンドブック」やウェブサイトで一部掲載されておりますけれども、平成19年7月には、ダイヤル相談の事例集のようなまとまった形で公表もされておりますので、こういったことも検討されたいと考えております。
2つ目といたしまして、「民間における相談窓口の周知、増設」で、これがなかなかまだ知られていないという状況にあります。最後の2行に書いておりますけれども、弁護士会による相談窓口の周知を徹底するとともに、業界団体等を単位とした、まず相談窓口の設置を検討してはどうかということで考えております。
(3)が「通報先について」です。
マル1といたしまして、内部通報をする場合の扱いですけれども、社外窓口設置の推奨です。内部通報制度において、匿名通報の受付窓口として社外窓口を指定しているとする事業者が複数ございます。社内窓口による個人情報保護に対する不安から、社外窓口の必要性を訴える通報経験者も複数います。しかし、実情は、事業者の38.0%は設置場所を社内のみとしております。ついては、ガイドライン等により、内部通報制度において社外窓口の導入を推奨することを検討されたい、といたしました。
2つ目が受付機関の拡大ですけれども、社外窓口を設置する場合、アンケート結果では、法律事務所(顧問弁護士)に委託する例が58.0%と過半数を占めております。ただ、これは報告を受けた委員会の場合でも発言が出ておりましたけれども、顧問弁護士を公益通報の窓口とすることは利益相反の観点から問題も指摘されるところである。ついては、内部通報の受付窓口として、弁護士会や法テラス等のその他機関を利用する仕組みをさらに検討してはどうか、ということを掲げております。
マル2といたしまして、外部通報ですけれども、一つ目といたしまして、行政機関の対応力の向上を掲げております。報告書によれば、「労務提供先から不利益な取扱いを受けるおそれがある」ことを主な理由に、労務提供先ではなく行政機関を選択するという回答も、41.9%と多くありました。5~6ページにかけてですが、第三者である行政機関に対するニーズ・期待は高い。しかし、行政機関へ通報したところ、その実態については、「担当者が異動になって、後任にうまく引き継がれていない」「通報しても改善されず放置されている」「行政機関への通報は敷居が高い」などと指摘されております。
ついては、行政機関への信頼は高いわけですので、是非、労働者の信頼を一刻も早く回復すべく、通報受付機能の改善・強化のためのさらなる検証・方策について検討していただきたいと考えております。それから、先ほどの相談窓口と同様ですが、外部通報先の拡大も掲げております。
(4)といたしまして、「通報内容について」ということですが、公益通報に該当しない通報に対する対応の強化。報告書によれば、こういった通報に対しても、限定はしておらず、そういった通報も受けておりますということですけれども、公益通報に該当しない通報であっても受け付ける取扱いについて、ガイドライン、Q&A集において具体化することを検討されたい、としております。
最後ですが、公益通報者保護制度は、公益通報者たる労働者の保護を通じて一般消費者の利益の擁護等にかかわる法令遵守を確保する重要な制度である。消費者庁においては、今般の調査結果を最大限に活用し、その検証・分析を通じて、法制度の周知のための方策のみならず、法制度の実効性を確保すべく、制度の運用改善及び法の改正を含めた措置を検討されたい。
消費者委員会は、法制度をより消費生活の安心・安全に資するものとするため、これらの課題への取組み状況について引き続き注視していくこととしたい。
以上になります。

○河上委員長 ありがとうございました。
124回の委員会での意見交換、その後の委員間協議での意見等をくみ上げて文章として整えた意見案を説明いただきました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。

○山口委員長代理 実は第1期の消費者委員会のときに、この意見書の冒頭にもありますが、23年3月11日付の意見の中で、消費者委員会として消費者庁に対して2つお願いをしていました。一つは、公益通報に関連する紛争の実情、実態を調査して、傾向、問題点を洗い出すこと。2つ目は、この法制度の周知が進まない原因をさらに調査・探索すること、という2点をお願いしていました。
消費者庁の年次的な報告については、周知が進まない原因、周知が進んでいない実情については、かなり詳しく深く調査していただいて、充実した報告がなされていると思いますが、公益通報に関連する紛争の問題点については、必ずしもきちんとした掘り下げがなされていないという印象は持っておりました。今回の消費者委員会の意見は、これまでの検討の結果をまとめたものとして非常に重要だと私は思っておりますし、この間、委員会の内部で議論した中で、一応こういう形で取りまとめられることについては重要な意味があると思っております。
特に、4ページの冒頭から通報者の保護についての指摘をさせていただいています。通報者が多ければいいというものではないですが、現実に、公益のために通報すると不利益を被るのではないかということで、正しいことをやろうとする人が萎縮するような社会であっては、あるいは会社であっては困るわけです。コンプライアンスの充実のためにも、公益通報者は決して不利益を被らないという制度的な枠組みがきちっと充実していませんと、どんなに周知徹底を図っても実効性ある公益通報者保護制度にはならないわけです。その意味では、4ページの前半の「通報者の不利益取扱い禁止の実効性を高めるための方策の検討」というのが非常に重要なところだと思います。現状のこの指摘を見ると、まさに公益通報者の保護を図るという法目的が、必ずしも達成されていないことを伺わせていると言わざるを得ない。これらの実態を放置していては、公益通報によって労務提供先である企業を改善し、ひいては社会の安定・発展に資するというこの制度の目的が達せられないと思います。
今後の議論の中で、違反した事業者に対して一定の不利益を課す。例えば、違反した事業者の会社名を公表して、そういうことをやめなさいということで行政的に措置するとか、そういうことも含めた制度の検討が必要だと思われますので、是非、消費者庁において意欲的な取組みをお願いしたいと思います。その意味で消費者委員会としてこういう意見を出すことは賛成ですし、必要だと思うし、出せるならよかったなと心から思います。

○河上委員長 特に修正ということではないですね。

○山口委員長代理 はい。

○河上委員長 ほかに御発言はいただけますか。

○小幡委員 せっかく公益通報者保護制度があるのに、実際に通報したことによって不利益を課されるのではとてもできない、通報したいとする人がいたとしても二の足を踏むということになろうかと思いますので、山口委員長代理がおっしゃったように、実効性を高めることが必要だと思います。現在は、不利益取扱いに対して、事業者へのサンクションが何もないですね。今、公表というお話がございましたけれども、公表というのは非常にソフトな手法なので、まずはせめて公表は制度としてすべきだと思います。本来はさらに一歩進んでということはあろうかと思いますが、公表というのは少なくとも必須ではないかと思っています。
5ページの最後のところで、外部通報をする先が、不利益取扱いをおそれて行政機関にしているという現状が今の話のセットとしてあるのが現在の状況だと思います。不利益取扱い禁止の実効性を高める方策を検討すると同時に、実態としてやむを得ないので、行政機関に通報すれば不利益はないのではないかと思われるという実情があると思いますので、この辺りは行政機関の対応の話なので、現在でもやれることとして非常に容易だと思います。是非、たらい回し、うやむやなど、そういうことがないようにしっかり対応することは、今後の公益通報者保護制度を活用していただくために、現段階では事業者に対するサンクションが不足していることとセットになるのではないかと思いますので、是非取り組んでいただきたいと思っております。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかにはいかがですか。よろしいですか。
小幡委員の御発言も特に修正ということではないということでしたら、この意見案については皆様の御了解をいただいたということで、消費者委員会の意見として取りまとめることにいたします。案をとっていただいて、きょうの日付を入れて、この意見を発出したいと思います。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、「その他」といたしまして、去る7月20日に開催されました消費者契約法シンポジウムの概要について、事務局から報告をお願いいたします。

○原事務局長 先週の委員会で、消費者契約法に関する調査作業チームにおける論点整理の報告をお受けいたしましたけれども、その報告書をもとに、先週土曜日、7月20日に消費者契約法シンポジウムを東京四ツ谷の主婦会館プラザエフにおいて開催いたしました。学者、弁護士、事業者、消費者団体、相談員の方々と、129名の御参加をいただきました。
前半の基調報告では、論点整理の報告を、河上委員長と、担当していただいておりました司法書士の山田さんに御報告をいただいて、後半は6人の方でパネルディスカッション。具体的な相談事例をもとに消費者契約法の課題について、相談現場で抱える問題や民法改正の動きなどを交え、有識者の方々とさまざまな意見交換をすることができました。2月にも、中間の報告会と言いましょうか、シンポジウムを開催いたしましたけれども、今回は、非常に具体的でわかりやすかったという評価をいただいております。具体的な内容については、今後、議事録等をホームページで公開していきたいと考えております。
また、今週土曜日、27日も大阪で同様のシンポジウムの開催を予定しております。これらのシンポジウムが、今後の法改正の検討に向けた足がかりとなることを期待しております。
委員長からも何か御報告がございましたら。

○河上委員長 今、事務局長からお話ししていただいたとおりでして、全体としては、最初の中間報告のときよりは事例を中心にしてやったので、比較的わかりやすかったですという御意見をいただきました。現在、アンケートの集計をしているようですが、これも後で公表されますか。

○原事務局長 公表したいと思います。

○河上委員長 比較的好評ですけれども、やはりちょっと時間が短いので、場合によってはもう少し説明の時間がほしいというか、パネルもそうですが、ワーキングチームの報告の内容をゆっくりと説明してほしいという意見もございました。この後、金沢で同様のテーマでの地方消費者委員会がありますし、さらに、大阪で東京と同じ形でのシンポジウムをやることが予定されていますけれども、東京での経験を踏まえて、できるだけ改善したいと思います。

○山口委員長代理 私も参加していて、わかりやすくてよかったと思いますが、非常に印象深かったのは、パネリストの経団連の方が、民法改正についてもそうなのですが、問題のある約款の適用を民法なりで定めることについて、今のところ、絶対反対と明言されていて、その辺について、法務省で民法改正について苦労されている元東大教授の内田さん、第一人者ですが、その先生が、財界にも納得いただくためには、そういう改正が必要だという立法事実をきちっと詰めていかなければいけないということをおっしゃいました。それについて、消費者庁の川口審議官もやはりそういう視点が必要だとおっしゃっていて、これからの消費者契約法、実体法の改正を実現していく上で、今後は、そういう事実を踏まえて、あるいは理論的にもそうでしょうけれども、経済界にも、一般の国民の皆さんにも、なるほどそういう改正は必要なんだと納得いただくための材料を、ととのえるといいますか、その作業が必要だと痛感しました。大変おもしろいシンポジウムでしたけれども、法務省も苦労しているんだなと思いました。

○河上委員長 ついでに申しますと、経団連の本部長が、ここまで検討が進んだのであれば、今度は経済界も巻き込んで、消費者委員会のところに専門調査会を早く立てて一緒に議論させてほしいということをおっしゃいましたので、望むところであると応じておきました。まだこれから、ひと山もふた山もあると思いますけれども、少しでもよい消費者契約法をつくるという目的のために、お互いに努力しないといけないなと痛感いたしました。
よろしいでしょうか。

≪5.閉会≫

○河上委員長 それでは最後に、事務局から、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回の委員会ですけれども、来週火曜日、7月30日を予定しております。
議題については、確定次第、ホームページで御案内いたします。
先ほどから話を出しておりますけれども、今週末、7月27日は大阪で消費者契約法のシンポジウムを開催いたします。それから、「第9回地方消費者委員会」を7月26日(金曜日)、金沢で行います。これも「消費者契約法の課題」ということで、当日受付も可能ですので、是非、御案内いただければと思っております。
委員会はこれで終わりですけれども、委員の皆様は委員室に御移動いただき、この後、委員間打合せを行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)