第118回 消費者委員会 議事録

日時

2013年4月23日(火)16:00~18:30

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 総務省  岡崎情報流通行政局郵政行政部郵便課長
 国土交通省  加賀自動車局貨物課長
 厚生労働省  老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者
社会・援護局地域福祉課担当者
 消費者庁  堀井消費者制度課長
加納消費者制度課企画官
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.詐欺的投資勧誘対策について
○説明者: 総務省  岡崎 情報流通行政局郵政行政部郵便課長
国土交通省  加賀 自動車局貨物課長
厚生労働省  勝又 老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室長
老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室 担当者
社会・援護局地域福祉課 担当者
3.集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について
○説明者: 消費者庁  堀井 消費者制度課長
加納 消費者制度課企画官
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 詐欺的な投資勧誘の被害者による郵便を利用した送金を水際で防ぐための取組について(総務省提出資料)(PDF形式:281KB)
【資料2】 宅配便等を悪用した被害金員の送付防止策について(国土交通省提出資料)(PDF形式:155KB)
【資料3】 市民後見制度の普及促進(厚生労働省提出資料)(PDF形式:621KB)
【資料4】 日常生活自立支援事業について(厚生労働省提出資料)(PDF形式:248KB)
【資料5】 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案関連資料(消費者庁提出資料)
(資料5-1) 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案について(PDF形式:84KB)
(資料5-2) 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案要綱(PDF形式:68KB)
(資料5-3) 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案・理由(PDF形式:120KB)
(資料5-4) 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案新旧対照条文(PDF形式:48KB)
(資料5-5) 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案参照条文(PDF形式:145KB)
【資料6】 第15回消費者契約法に関する調査作業チーム会合 議事要旨(PDF形式:158KB)
【資料7】 第8回地方消費者委員会(札幌)開催案内(PDF形式:147KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:77KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第118回)」会合を開催いたします。
それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第の下に一覧を載せております。本日は、「詐欺的投資勧誘対策について」ということでヒアリングをお願いしておりまして、資料1が、総務省から御提出していただいた資料です。
資料2は、国土交通省から御提出いただいた資料です。
資料3、資料4は、厚生労働省から御提出いただいた資料です。
資料5は、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について」ということで、閣議決定がされましたけれども、消費者庁から御提出いただいた資料になります。
資料6といたしまして、「第15回消費者契約法に関する調査作業チーム会合議事要旨」を載せております。
資料7といたしまして、後ほど御案内いたしますけれども、「第8回地方消費者委員会」を札幌で開催いたしますので、その開催案内を載せております。
参考資料といたしまして、この間、4月9日と4月16日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
不足がございましたら、途中でお申し出いただければと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。

≪2.詐欺的投資勧誘対策について≫

○河上委員長 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
本日の議題は「詐欺的投資勧誘対策について」であります。本件につきましては、これまで、学識経験者等との意見交換や関係省庁からのヒアリングを踏まえ、担当委員を中心に、高齢者に対する被害の防止等に向けた検討を鋭意進めてまいりました。詐欺的投資勧誘に係る事案については、刑法、金融商品取引法、特定商取引法等の厳正な執行が必要であることはもちろんですが、残念ながら、消費者が一度こうした被害に遭遇した場合、実情ではその被害回復を図ることが極めて困難であり、被害の未然防止の観点からの取組みもあわせて推進していくことが重要であると考えられております。
最初に、郵便等宅配便の取組みについて話を進めてまいりたいと思います。周知のように、口座凍結、あるいは金融機関の窓口における注意喚起等の取組みが進められる中で、最近では、口座振込ではなく、現金を書籍等と詐称して郵便あるいは宅配便を利用して送付させるケースも数多く見られています。このため、こうしたケースに対応した消費者への注意の喚起も必要と考えられます。
本日は、郵便等宅配便に関して、総務省及び国土交通省から、被害者の送金を水際で防ぐために考えられる注意喚起等の取組みや、業者による取組み等を御説明いただければと考えております。
総務省、国土交通省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、最初に総務省から御説明をお願いしたいと思います。説明時間につきましては、15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○総務省岡崎情報流通行政局郵政行政部郵便課長 総務省の郵便課長をしております岡崎と申します。きょうはよろしくお願いいたします。
まず、総務省の詐欺的な投資勧誘の被害者による郵便を利用した送金を水際で防ぐための取組みについて、御説明申し上げたいと思います。総務省は、郵便課では郵便を所管しているわけですけれども、郵便を提供していますのは日本郵便株式会社です。日本郵便株式会社は、郵便のほかにゆうパック、ゆうメールという商品名でいわゆる宅配便関係の事業もしております。そちらのほうは、後ほど、ほかの事業者の方とあわせて国土交通省から御説明があると思いますけれども、郵便に特有の問題について御説明を差し上げたいと思います。
まず、資料の1ページをめくっていただきますと、消費者委員会の事務局から御説明を受けまして、我々の理解するところですと、郵便のうちのレターパックというのが最近使われている。これはなぜかと言いますと、金融機関の口座間送金は、犯罪の収益の移転防止に関する法律によって特に本人確認が厳しくなっております。仮にそういう送金をしても、すぐに口座を止められたり、身元がわかってしまったりするということもあって、それ以外の方法の対面であるとか、宅配便であるとか、レターパックもその中の一手段だと思いますけれども、使われているという認識はございます。
ただ、レターパックというものはもともと、郵便法に基づく信書、お手紙なども送付することができる郵便物でございます。これは、専用の大きな封筒を買っていただいて、350円と500円と2種類ありますが、それをポストに投函して届けるというサービスで、窓口の引受けが基本的には要らないサービスになっております。内容品を封筒に入れてそのままポストに入れられます。本来、郵便というのは現金は現金書留しか送ることができません。郵便法では現金封筒以外では郵便は現金を送っていけないとなっていますので、レターパックで送ることはできません。したがって、仮にレターパックに現金を入れて窓口で差し出そうとして、これが現金であることがわかった場合はお断りすることになっております。
3ページを見ていただくと、実際のレターパックの封筒が出ておりますけれども、封筒にも「レターパックで現金を送ることはできません」と大きく書いてあります。さらに、封筒に書いてあるだけではなくて、レターパックそのものは郵便局の窓口で販売しているわけですけれども、販売するときに、そういう被害が起きているということを踏まえて、郵便局では、「このレターパックには現金を入れることはできません」という声かけをしているそうです。
さらに、実際に引き受ける場合にもそうやって確認するわけですけれども、先ほど、委員長から御説明がありましたように、書籍と詐称してというお話があって、本人がどうしてもこれは現金ではないと言うと、郵便というのはそもそも通信ですので、勝手に開けることができないわけです。本人の同意なく開けることはできないので、本人が言い張ると、通信の秘密があるので開けられないので確かめようがありません。それから、詐欺的投資勧誘ということで、「これは一体何のために送るのですか」という目的を聞くのも、本来、郵便では禁止されております。中にどういうものが入っているかというのは、安全や料金の観点からお聞きすることは可能ですけれども、そもそも何のために送るのですかというのは聞くことはできません。例えば今の新しい金融関係の法律ですと、送金の目的を聞くことになっておりますけれども、そういったことができません。
それから、仮に怪しいところに行くというようなことがあっても、これは過去の例ですが、レターパックの前身はエクスパックという貨物でした。そのときは通信の秘密はございませんので、エクスパックが届け先に行くときにちょっと心配だということがあると、警察に通報することも法律上は可能ですけれども、郵便の場合は、そういうことは法律に、もっと言うと憲法に直接違反することになりますので、できませんので、どういうふうにするかというと、5ページを見ていただきますと、31条が引受けの際の取扱いです。
31条でどういうことが書いてあるかと申しますと、引受けの際に「これは何ですか」と聞く。仮に現金ではないというふうにお答えがあったとしても、説明と異なるという疑いがあるときは開示を求めることができると2項に書いてあります。さらに、現金ではないのだから開ける必要はないと言ったら、引受けをしないことができるということで、お断りすることができるように法律ではなっておりますが、先ほど申し上げたように、レターパックというのはポストに投函することができますので、引受けが生じない場合があります。
そういう場合はどうなるかというと、次の32条を見ていただくと、仮に取扱い中の郵便物に現金が入っているとわかった場合、1項で法律に基づく規定に反している。要するに、レターパックで現金は送れないにもかかわらずレターパックで現金を送っていることが疑われるときは、届けるのをやめて、差出人や受取人に「中身は何ですか」と聞くことができるわけです。聞いた上で、開けたくないというふうに言ったら、差出人に返還するというふうに32条の2項はなっています。
そういう状況になっておりまして、仮に現金が入っている可能性があることがわかれば、何らかの措置がとれるのですけれども、これがきちっと包装がしてあって、中に何があるかわからない状態になっておりますと、法律にこう書いてあっても、むやみやたらに疑いをかけて取扱いを中止するわけにはいかないですから、郵便局のほうで届けないという措置をとることは非常に難しいと思います。
もちろん、仮に警察のほうで、受取人のほうがそういう疑いが強いということで、差押令状がちゃんとあって、その令状を持って来れば差押えが可能ですけれども、そうでもない限り、郵便局のほうで勝手にそれを警察に届けるというのは、明確に郵便法というか、通信の秘密に違反することになるので、なかなか難しいかと思います。
とは言っても、直接的ではございませんけれども、現金をレターパックでなるべく運ばせないようにするというか、法律の建前は絶対運ばせないようにするということで、そのためのいろいろな手続を窓口なり取扱中に取るようにしております。
さらに、日本郵便のレターパックの案内があるホームページでも、同じように現金では送れないということのほかに、6ページに出しておりますけれども、振り込め詐欺には注意してくださいということで注意喚起を呼びかけております。地元の警察などから要請があったときは、振り込め詐欺の防止のポスターを郵便局の窓口に張って、レターパックを買うときにそれを見ていただくというような取組みをして防止に努めております。
繰り返しになりますけれども、レターパック自体は郵便ということで通信の一種なのです。したがって、御本人が、これは現金ではない。しかも、現金には見えないという形に包装されたものを、勝手に郵便のほうで、それは絶対現金だから受け取らないとか、運ばないとか、そういうことをするのは法律のつくりから言って難しいところがあると理解しております。
ちなみに、郵便物というのは年間190億通ありまして、こういった封筒に当たるものがその約半数強、89億通ございます。レターパックが正確に何通あるかというのは公表されてはいないのですが、単位としては相当な単位ですので、それを全部チェックしていくというのはほとんど不可能です。仮にしたとすると、一般の郵便にコストの観点で大きなしわ寄せが来ることを考えると、取れる手立てが限られているというふうに考えております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、国土交通省から御説明をお願いいたします。説明時間は、やはり15分程度でお願いできればと思います。

○国交省加賀自動車局貨物課長 国土交通省自動車局の貨物課長の加賀でございます。本日は貴重な機会を頂戴いたしまして、どうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
私は資料2を御説明申し上げたいと思います。最後のページに宅配便の概要を整理させていただきました。資料の最後のページをご覧いただきたいと思います。
宅配便は、幹線部分の輸送をトラックで輸送するか、あるいは航空や鉄道を利用して運送を行うかということで、トラックと航空等利用運送に分かれておりますが、幹線部分の輸送をトラックで輸送するというのがほとんどになります。平成22年度、平成23年度のところを見ていただきますと、対前年度比で102%、あるいは105%となっております。最近、インターネットを利用しての通信販売などで、宅配便だけでなく、メール便もそうですが、需要を伸ばし、国民生活あるいはビジネスになくてはならないものとなっております。
平成23年度は33億6,300万、トラックを使っての宅配便が行われております。固有名詞を挙げるのも何ですが、例えば宅急便といったブランド名で数えてみますと、23ブランドがトラック輸送による宅配便となっております。
また、メール便を下欄に示しております。やはり需要を伸ばしてきておりまして、平成23年度で53億3,892万となっております。メール便というのは、比較的軽量な荷物を荷送人から引き受け、それを荷受人の郵便受箱等に投函する、という形態の運送になります。
こういった宅配便運送の概要に御留意いただきまして、最後のところ、1と2にあわせて、23ブランドほどありますが、ヤマト運輸、佐川急便、郵便事業、この上位の3社で、宅配便につきましても、メール便につきましても、9割を超えるシェアとなっております。本日、説明をさせていただくに当たりまして、この3社にヒアリングなどを行いまして、この資料をまとめさせていただきました。
資料の1ページ目をご覧いただきたいと思います。宅配便の運送のシステムは、御案内のとおりですが、例えば荷送人が当該事業者の営業所などに出向く、コンビニエンスストア等の取扱店に出向く、あるいは取りに来ていただく、こういう形で最初の集荷が行われます。その後、小口で集荷をした荷物が幹線輸送で大型の車両などに積みかえられて、積み合わせで効率的に輸送され、消費者(荷受人)のお手元に届くことになります。効率的に時間単位の指定なども行われつつ、戸口から戸口までの輸送が行われるシステムになっております。
2ポツで、宅配便運送における現金等の取扱いについて、運送約款上のルールを御説明したいと思います。まず、標準宅配便運送約款と書いておりますが、今、総務省から法律の御説明がございました。私どもも類似のものを標準宅配便運送約款という形で告示しておりまして、いわば標準約款制度、モデルを役所が示し、トラブルのない運送を宅配便運送事業者に行わせるという仕組みを採用しております。
そこに書いておりますように、第4条に、「物品の品名又は運送上の特段の注意事項に疑いがあるときは、荷送人の同意を得て、その立ち会いの上で、これを点検することができる」とされています。荷物の点検をすることができるわけですが、そのための要件が規定されています。
また、第6条で2つ下線を引かせていただいております。運送の引受けを拒絶することができる場面を列挙させていただいていますが、一つは、今の第4条に基づいての「点検の同意を与えないとき」というのがございます。同意を与えないときに、「運送の引受けを拒絶することがあります」という規定になっております。
また、「その他当店が特に定めて表示したもの」ということで、これは標準宅配便運送約款の書きぶりになっておりますが、各宅配便運送事業者の約款においては、下にヤマト運輸の宅急便の例を示しておりますが、特に定めて表示したものとして、各事業者とも、現金及び小切手、手形、株券、その他の有価証券類につきましては、「運送の引受けを拒絶することがあります」ということで、判明した場合については現実にお引き受けしないことにしております。メール便につきましても、この宅配便の運送約款と基本的に同じ規定が設けられております。
次に、現在講じている対策等について、御説明をしたいと思います。
まず、消費者に対する周知等について3つほど書いております。自社のホームページに注意喚起をしております。例えば「当社の○○商品の利用を指定した振り込め詐欺の被害が発生しています」と、事前にしっかりと注意を喚起するような文言を掲載しております。それから、自社ホームページ及び宅配便の送り状に、例えば「○○パックで現金を振り込むことはできません」といった表記で、直前のところまでブレーキをかけるという取組みを行っております。
また、警察等関係機関と連携した消費者に対する広報啓発等ということで、例えば警察と協定を締結して、チラシを配布するといったことも実施しております。警察との関係におきましては、例えば詐欺事案に遭った特定の私設私書箱の住所などがわかった場合、その差出人に、「ここの私設私書箱については詐欺事案がありましたが」といった連絡を取らせていただくというような、警察と連携した取組みなども行っております。
実際に対応の具体例を4に書いております。(1)と(2)につきましては、発送中止の連絡をいただいたという事例になります。(1)は、荷送人が実際に送ってしまった後に、心当たりのある身内に確認をして被害に遭ったことに気づいた結果、発送中止の連絡を受けて事案の発生を防止することができた例になります。
それから、集荷依頼の際に不審に思った従業員の判断が功を奏した事例になります。例えば、集荷依頼を電話でやり取りをする場面において言っている内容等々、不審に思った従業員の判断により連絡がなされ、結果、荷送人からの発送中止の連絡によって未然に事案の発生を防止することができた例になります。
(3)は、複数の荷物が同一宛て先とされている場合、当該宛て先の荷物に対して、先ほど申し上げました運送約款の規定を適用いたしました、荷送人に対して、「ちょっと開けさせていただきます」と同意をいただき、「現金がありますね」ということで配達を中止させていただいて、結果として未然に事案の発生を防止することができた例になります。以上のような具体例がございます。
5においては、宅配便運送における特殊詐欺事案に関する問題点を、大きなものを2つ書かせていただいております。先ほどの具体例で申し上げたとおり、宅配便運送事業者としては、お客様の御協力をいただきながら発送を中止していくというのが基本的なパターンであって、(1)に書いてありますのは、被害者の方で、いろいろなお話を申し上げても荷物に現金等が内包されていることはお認めにならず、荷物の点検に同意しないということがあります。標準約款の中では、点検に同意しない場合、引き受けを拒否することも可能でございますが、ビジネスの中で、直ちにそのことだけをもってというのは困難な場面もあるということを承っておりますので、まずはお客様の御協力をいただくことが一つの課題だろうと考えております。
また、宅配便はコンビニエンスストアなどでの取扱いも相当なされております。コンビニエンスストアの店員さんは、かなり多様な業務で、点検等の対応に物理的にやや限界があるのではないか、このように聞いております。
最後、6になります。今後、さらに必要とされる対策を考えてみるとどうなるかということになりますが、一つ目は、未然に防止するためにはさまざまな形で注意喚起していくということで、3に書かせていただいたような注意喚起、ホームページ等による注意喚起もございますが、コンビニエンスストアというのは大変目立つ形で事前に抑止効果が大きいところだと思います。こういう多くの方が目にされるところで効果的なポスターやチラシを配布していくということが考えられます。
もう一つ、(2)は、警察等の関係機関から、宅配便運送事業者に対する特殊詐欺事案に関する情報提供等を実施していくことが考えられます。警察等との関係については相当な形で連携を図ってきているわけですが、宅配便運送事業者としては、怪しい住所はどこなのか、どのようなお客様やどのような荷物の場合にお声がけをしたらいいのか、など当たりをつけていくにあたって情報というのは大変重要でございますので、こういった情報提供等のさらなる実施が効果的ではないかと考えられます。
(3)になりますが、先ほどの事例にも不審に思った従業員の判断というのがありました。利用者との関係では、電話応対時なども含めて、いわゆる声かけということで未然に防止をする、そういうことを展開していくことも重要な対策のひとつであろうと考えております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
いろいろと制度的な制約、事実上の制約があるということで、さまざまな制約条件がある中で、可能と思われる範囲で問題に取り組んでいただいているということがよくわかりました。
では、ただいまの御説明について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。消費者委員会としては、銀行口座あるいは郵便口座を通して詐欺的投資勧誘という手口が多かったのですが、最近は、先ほど総務省もおっしゃったように、そちらのチェックが厳しくなってきたものですから、レターパック等を使った手口がかなり広がっておりまして、実際にかなり被害が出ているものですから、何かの形で抑止ができないだろうかというところで、少し意見交換をさせていただければということでお願いしているわけです。
まず、通信の秘密があるのはよくわかります。何事にもかえ難いルールだと思いますけれども、よく議論が出てきますのは、例えばハガキなどでも、あなたにこれこれの警告があって、お支払いいただけない場合には裁判を起こしますと。差出人がありもしない何とか機構などの組織だというので、我々が見れば明白に詐欺だというのがわかりますけれども、ただ、お年寄りが見ると、びっくりしてそっちに電話をかけてしまう。それがきっかけでズルズルと被害に遭うこともある。通信の秘密が詐欺師連中に悪用されているという要素もかなりあるわけですけれども、開封して中身を調べるというのは、もちろん、これはできないと思いますけれども、ハガキなどで本当に一見して明白というケースもあるので、そういうのもチェックできないのかどうか。これが一つです。
それと、これは双方にお聞きしたいのですが、正直言いまして、総務省の6ページの注意の案文は字が小さいのではないか。これはトップページのリンクですから、75歳、80歳のお年寄りがホームページのリンクをのぞくことはほぼ100%あり得ないと思います。あるいは65歳でも引っかかっている人がいますが、端的に言いますと、3ページのレターパックに書いてあるところを、もう少し大きな字で、「レターパックで現金を送ることはできません」というのと、「レターパックを悪用した詐欺被害が発生しています、ご注意ください」というような注意喚起の文言を、レターパックの現物に目立つ形で表示することはできないでしょうか。宅配便についても、似たような警告表示をどこかに書くことはできないでしょうか。
実は、消費者委員会で宅配便を悪用した問題について議論をしたときに、宅配便の配達の人たちは、車を停めて、時間に追われて、お客さんから荷物を受け取って、それで配達する。そういう業務に追われているので、配達の人たちが、これは現金入っていませんかとか、おかしいのではないかということで声をおかけするのは実際はなかなか難しいだろう。でも、やってくれればありがたいという議論をしているわけです。実際、大手3社が9割を占めていると聞きますと、その辺はある程度の問題意識をもって、特に高齢者が、書籍なのか、現金なのか、わからないようなものが入っているのではないかという場合には、声かけを行うということを運用と工夫としてやることはできないだろうか。それは郵便の窓口でも同じなのですが、どうでしょうかというところをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○河上委員長 では、お願いします。

○総務省岡崎情報流通行政局郵政行政部郵便課長 3点、御質問があったと思いますので、順番に答えさせていただきたいと思います。
まず、ハガキのチェックができないかということですけれども、ハガキも典型的な通信でございまして、郵便法に基づきますと、罰則が信書の秘密を犯すという罪なのですけれども、これは2つありまして、例えば封を開けて見ることのほかに、ハガキの内容をほかの人に漏らすというのも秘密を犯すことでございます。これは、郵便の業務に従事する者の場合は、懲役2年または100万円以下の罰金になっております。端的に申し上げますと、配達員の方がハガキをチェックして、これは危ないから何とかかんとかというのは、ほぼ間違いなく郵便法違反だと思います。御本人ですかと聞くのは配達に必要な範囲内で、もちろん正当な行為ですけれども、配達するのに必要範囲を越えてそういったことを人に漏らしてしまうというのは、通信の秘密に違反します。
ちょっと考えていただけたらわかると思いますけれども、今の場合ですと、何となくいいことをしているようですが、例えばハガキも、非常に信用していただいてかなり個人的なことが書いてあります。それを配達員がじっくり読んで、例えば、お子さん生まれましたねとか、お子さんの病気が治ってよかったですねと、そういうことをやり始めたら、世の中、大問題になると思います。むしろ配達員の教育としては、ハガキの文面は読まない。宛て先しか読まないというふうにかなり厳しく教育をされていると思いますので、ハガキの中を読んでというのを期待するのは現実的ではないし、仮にそういうことを期待し始めると、社会的には、ハガキの効用がかえって薄れると感じる人のほうが多いのではないかと思います。
ただ、郵便の場合は特殊な過去の経緯がありまして、「郵便を不正に利用する罪」という罪が一般の詐欺罪とは別にございます。これが、それほど重くはないのですけれども、50万円以下の罰金という罪になっております。仮に詐欺の実行行為が刑法上認められない場合でも、郵便を不正に利用する罪が認められる場合も可能性としてはありますが、これも要するに詐欺なので、だまされたという人が申し出て警察に行って、検察がしない限りは罪になりませんので、それを勝手に郵便局員が、これはどう見ても詐欺に使われているからといって警察に駆け込むというのは、筋が違う感じがいたします。そういう意味で言うと、ハガキをチェックしてはどうかという御提案に対しては、ほかへの影響が大きすぎて現実的ではないのではないかと考えます。
2番目の、レターパックの封筒にもっと大きな字で書いてはいかがかというのと、警告表示をあわせて書いてはいかがかということですけれども、これは、書くこと自体については何ら法律の制約はございません。ただ、判断するのは、総務省ではなくて郵便会社のほうですから、そういう御意見があったことは私どもから日本郵便会社にお伝えすることは可能で、それを検討してもらうことも可能です。ただ、この場で、そういうことが必ずできますというお約束は、私どもとしてはそういう立場にないものですから、控えさせていただきたいと思います。
それから、3番目の声かけの件です。配達員が声かけをできないかというのは、配達員というのは逆に受取人のほうで、受取人はお金を持って逃げることしか考えていないので、声かけをするというのはあれかもしれませんけれども、後半のほうの窓口でできないかという点では、郵便の場合は、今は現金が入っている可能性があるようなものは声かけをするようにしていると聞いております。
ただ、最初の御説明でも申し上げましたけれども、レターパックというのは郵便の性質上、ポストに入れることができるものですから、声かけをする間もなくポストで取り集められてしまうという事情があります。そうなりますと、声かけができないというふうになっております。ただ、少なくとも窓口にお持ちいただいているものについては、なるべく声かけをしているというふうに私どものヒアリングではお答えいただいております。
以上です。

○国交省加賀自動車局貨物課長 私のほうからは2点お答えいたします。1つは、宅配便における警告表示について、効果的な警告表示を考えてはどうかということにつきましては、本日の委員の御指摘をトラック協会あるいは宅配便運送事業者にお伝えして、どのようなことができるのか、可能であるのか、をお伝えしていきたい、このように考えております。
2つ目でございますけれども、宅配便運送事業者、特に現場で集荷を行う担当者というのは相当多忙となっておりまして、そのためにこの問題に対して効果的な方法をという御指摘については、もっともだと思います。例えば宅配便運送事業者の営業所の責任者が集まる会議、現場の従業員に対する会議、こういうところで、いろいろな事例を各社がきちんと周知していくことが必要であると思います。その事例というのは、こういう手口であったとか、あるいは、こういう対応・対策をしたら、迅速に、あるいは利用者の方の御理解を得ながらできたというような事例を、みんなで共有していくことについては、引き続きしっかり進めていく必要があろうと考えております。
また、今日は3社と申しましたが、この3社の間での情報の共有も大変重要であると考えております。トラック協会におきまして、宅配便運送事業者の関係者が集まる会議などもあります。このような機会も含めまして、それぞれの情報の共有、対応策の共有が重要であると考えております。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 総務省の岡崎課長の御説明に対して、私は少し意見が違います。資料の5ページに関連条文を御用意いただきまして、憲法の規定からいわゆる通信の秘密があるというお話があって、先ほど山口委員長代理が、悪徳商法のハガキのようなものがあったら、それは犯罪に利用されているのだから何とかできないかというところで、通信の秘密があるからというお話でした。例えば憲法だって、犯罪のための集会とか結社、あるいは言論、出版を保障していますか。私はそうは思わないのです。
あるいは秘密の確保において、「郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない」とあります。例えば、あなたに赤ちゃんが生まれた何とかというのを読んで、それを何か言うというのはそれは他人の秘密だけれども、どこかの差出人が千通も二千通もハガキを出して、そこに全くあり得ない住所を書いていて、蓋然性として犯罪に使っているという可能性が高ければ、先ほどおっしゃっていましたけれども、郵便を不正に利用する罪というのがあるわけです。それは郵便局はできないと。警察が動かなければできないとおっしゃっていましたけれども、業法を扱っている公務員が、犯罪を思料するに十分足りる合理的理由がある場合は、刑事訴訟法二百何十条でしたか、告発、告訴、そういった規定もあります。もちろん、立場はよくわかりますけれども、もう少しパターナリズムというか、お節介主義みたいなものは、活用できてもいいのではないかというのが私の思いなのです。杓子定規すぎるのではないかという感じがします。
そういう意味で言うと、国土交通省の加賀課長からお話があった民間の事業者というのは、結構臨機応変にやれる範囲で対応しているような感じがします。国交省でいただいた資料の2ページの4というところで、やはり人間対人間なので、日ごろ出さないような人が郵便を出すとすれば、ちょっと声かけしてみるとか、そういう工夫をされているというお話もありました。立場はわかりますけれども、もう少しやれるところがあって、初めから憲法だとか、通信の秘密で絶対だめなんだと。もうちょっと人間味のある、悪いことをしようとしているわけではないわけですし、郵便だって国民の福利厚生のためにあるわけで、むしろ逆のことで悪用する人たちがいるわけだから、それを何とかする工夫をしていただきたいというのが私の感想です。

○山口委員長代理 今のところ、是非、意見を聞きたいですね。

○河上委員長 総務省として何か御意見はありますか。

○総務省岡崎情報流通行政局郵政行政部郵便課長 そこは、はっきり申し上げますと、考え方だと思います。ただ、パターナリズムというのは非常に便利な言葉ですので、歴史を考えれば、通信の秘密であるとか、個人の権利というのは、謙抑的に規制していかなければいけないというのが教えるところではないかと考えます。
というのは、私は総務省の中で旧郵政省に最初勤務しているわけですけれども、最初は電気通信をやっておりまして、そのときもやはり最初に問題になるのは、通信の秘密とは何ぞやということです。今、千通出すのは通信の秘密かどうかというお話がありましたけれども、通信の秘密は、誰からどの人へ、いつ、どのくらいという、その情報自体も通信に関する秘密であると解釈されております。例えば、この人から千通手紙が出ているという情報自体が通信の秘密に当たると伝統的に考えられております。いや、それは通信の秘密に当たらないという御判断をするのは一つの判断ですけれども、伝統的な考え方からすれば、それはちょっと違うのではないかというのがまずございます。
それから、仮にこれが通信の秘密であっても、もっとパターナリズムを発揮してはいかがかという御提案だと思いますけれども、これも、日本郵便会社は株式会社になっておりますので、社員は民間人です。これが仮に旧郵政省の国家公務員であったとしても、他人のプライバシーに入るところに、かつ、憲法で守られているところに入っていっていいのか。つまり、パターナリズムを発揮するためには、すべてのものをチェックしない限りその中に詐欺が入っているかどうかというのはわからないわけです。
しかし、今の制度はそういうことはしない。郵便物を届ける範囲で、必要な範囲内の差出人、宛名、宛先を見て届けますと。それ以上の情報は、取り扱っている人もなるべく見ないという形で運ばれていて、それで郵便に対する信頼というのが守られている部分があるわけです。それが、パターナリズムを発揮するために基本的に中身は見ていいです、これが怪しかったらどんどんやっていいですということになると、今のお話ですと、パターナリズムを発揮するためにすべての郵便物を基本的には見てもいいという状況になるわけです。それは本当にいいのかどうかということです。
私どもは行政機関なので、法律に基づいて行政をして、法律に基づいた取扱いを事業者に求めるのが仕事です。仮に法律でそういうことをすべきだということが決まるのであれば、そういう取扱いを事業者にしていただくことは可能かと思いますけれども、少なくとも今の法体系のもとでそのようなことを役所の一存でするのは、法律を遵守しながら事業をしていただくという役所の立場からすると、危険な感じがするのではないかというふうに考えております。

○河上委員長 一歩間違うと検閲になりかねないことですから、そこはいろいろな意見があり得るところではあろうかと思いますけれども、ほかにいかがですか。
例えば、郵便とはちょっと話が違いますけれども、インターネットでメールが来たときに、迷惑メールという形ではじくような仕組みがありますね。あれは発信者情報のところを見ているのですか。

○総務省岡崎情報流通行政局郵政行政部郵便課長 本来、私の職務ではありませんが、私がたまたまそういうのを担当したことがありますので、知っている範囲でお答えしますと、迷惑メールは今、迷惑メール防止法という、略称ですけれども、そういった法律で規制されておりまして、どういう形になっているかというと、基本的には本人の同意がなければ送ってはいけないとなっています。ただ、通信者は、本人の同意がないからといって勝手に全部チェックしていいわけではなくて、本人に「迷惑メールははねていいですか」ということを約款で同意することになっています。ですから、皆さん、お気づきではないかもしれませんけれども、迷惑メール防止機能みたいなものがついていると、そういうところではねるということになっています。
ちなみに、通信の秘密は憲法上はすべての通信を扱う人にかかっているのですけれども、憲法には罰則がありませんので、実際に罰則がかかるのは電気通信事業法の適用がある事業者です。電気通信事業法の適用がある事業者というのは、典型的にはNTTとか、携帯電話事業者であるとか、プロバイダの中でもかなり大きなところです。プロバイダは基本的に電気通信事業者ですけれども、例えばグーグルは、日本の法律で言う電気通信事業者ではありませんので、日本の電気通信事業法の通信の秘密はかかっておりません。それ以外、皆さんはどういうのを使っているかわかりませんが、例えばニフティとかNTTを使っている場合は、その人たちは電気通信事業法上の電気通信事業者ですので、勝手に通信の中身を見るということはできない。約款のほうにマルとかバツとかいっぱいつけるところがあって、そこで迷惑防止機能にマルをして、それで同意を得れば通信の秘密は外れますので、それではじくというシステムになっております。

○河上委員長 一般の郵便の場合とか、宅配便の場合は、そういう大きな仕掛けをつくるのはなかなか難しいということでしょうね。

○総務省岡崎情報流通行政局郵政行政部郵便課長 私が答えるべき立場かどうかわかりませんけれども、随分前に、いわゆるダイレクトメールを受け取らないようにしたいという御意見が出たことがあります。実際に迷惑メール防止法は電気通信についてはそういう法律になっていますけれども、そのときも、信書については、結局、何が迷惑で何が迷惑ではないのかを郵便事業者が判断するのは非常に難しい。機械的に判断できないと。というのは、迷惑メール防止法の場合は、ダイレクトメールであるという一定のタグをつけることが、法律上、義務づけられていて、それを見てはじくのですけれども、郵便の場合、そういうシステムをつくるのが機械的に非常に難しいので、そういうふうには法律上もなっておりませんで、物理的なダイレクトメール禁止法みたいなものはないわけです。
そういうことを考えますと、ちょっと難しい。少なくとも今の法体系のもとでは難しいですし、仮に今の法体系の中にそういうものを入れるとなると、なかなか一筋縄ではいかないのではないかと思います。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 まさに先ほどの細川委員の意見と岡崎課長の意見、その辺のところを我々としてもずっと議論しております。しかしながら、わざわざ開封しなくても、ハガキで、明らかにこれは詐欺の現行犯、あるいは詐欺行為の着手に当たるという、そういう文面が書いてある場合、それでも目をつぶって郵便局員はそれを配達するのだろうか。恐らくフーテンの寅さんだったら、「おい、ちょっとおまえ、これ気をつけなさいよ」と言ってどうにかするのではないかと思いますけれども、その辺は、課長がおっしゃったように、チェックし始めるとそれこそいろいろな問題が出てくる。
しかし、現実に犯罪に使われている。パッと見て、何だこれは、この受取りをしたおばあちゃんはだまされかねないなと思ったら、一言、おばあちゃん、気をつけてねと言って渡してもいいかなという気がしないでもない。しかし、この辺は微妙な問題だし、難しい問題なので、今、私どもとして客観的に提案できるのは、気をつけましょうねということを、効果的に注意を呼びかける方法を工夫することしかないのかなと思っております。その辺をまた議論して、場合によってはお願いすることもあるかと思いますが、そのときにはよろしくお願いいたします。

○河上委員長 なかなか難しいということはおっしゃるとおりですけれども、高齢者をねらった詐欺的な投資勧誘の被害の未然防止、水際でお金が渡るのを食い止めるということは、大変重要であるという認識を我々は持っております。郵便や宅配便を悪用している連中がいるときに、それを何とか水際で止めることはできないか。きょうもお話があったように、能う範囲でやっていただいていることもよくわかるわけですけれども、今後、さらにいろいろ工夫をしていただいて、事業者に協力を要請して、こういう手段で現金を送付するように指示するタイプの詐欺被害が多数発生しているということを、利用者にせめて呼びかける等の注意喚起を行うことは有益なことだろうと思います。
総務省、国土交通省におかれましては、事業者における取組みがさらに積極的に行われ、かつ、それが有効なものになるよう事業者に協力を要請したり、必要な支援をしていただけるように、是非お願いしたいと思います。
消費者委員会としては、本日の議論も踏まえまして、引き続き詐欺的な投資勧誘について審議を行い建議を行っていく所存でございます。高齢者投資被害の回避や救済には、これだという決め手がなかなかなくて、総合的に守っていくほかないものですから、その意味でも総務省、国土交通省にいろいろとお願いすることが出てくるかと思います。また、そのときは是非よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

引き続きまして、市民後見制度及び日常生活自立支援事業についてであります。
本日は、厚生労働省におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
詐欺的な投資勧誘の被害者には高齢者が多く、中には判断能力が低下した高齢者がねらわれた例も見られます。こうした高齢者に対する支援等が必要ではないかと考えられるわけです。このため、厚生労働省が実施している、市民後見制度及び日常生活自立支援事業の普及促進のための取組みについて、委員の間でも大変関心をもって拝見しております。本日は、この点について御説明をいただいて意見交換を行いたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたしますが、説明時間につきましては、市民後見制度の取組みの説明と日常生活自立支援事業の御説明、あわせて30分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室の中井と申します。本来、勝又室長が御説明申し上げるところでございますが、業務重複のため、私が代わって説明させていただきます。
では、資料に基づきまして説明させていただきます。「市民後見制度の普及促進」という資料でございます。
市民後見制度と申しますのは、あくまでも民法の成年後見制度が基本でございます。ただ、後ほど説明申し上げますけれども、成年後見制度の担い手というのは基本的には親族がなる、あるいは専門職がなるというのを民法で想定しているのですが、最近の社会情勢の中で、親族の担い手が減ってきており、また、専門職と申しましても数に限界がある。判断能力が衰えた認知症高齢者とか障害者の方の数はこれから増えていくだろうという中にあって、担い手が不足することが予想される。そういった中において、担い手として、専門職以外の一般の市民の方にこういった後見を担っていただく取組みを促進しようというのが、簡単に申し上げますと、市民後見制度の普及促進ということでございます。
制度の根幹でございますので、御承知かとは思いますけれども、成年後見制度につきまして、改めて説明させていただきます。
成年後見制度は、民法の改正、平成12年に行われたのですけれども、従来の禁治産・準禁治産を改正いたしまして、12年から運用されている制度でございます。認知症、知的障害者、精神障害者などの判断能力の衰えた方に対して、本人の権利を守るために法律的に支援する制度でございます。
制度には、任意後見制度と法定後見制度、2種類ございまして、任意後見制度につきましては、任意後見契約に関する法律に基づいて、これは民法とは別の法律で、契約という形態で代理するという制度でございますので、まだ判断能力が発揮している段階で代理者を決める制度でございます。主に後見制度と申します場合は、こちらの法定後見制度を指しておりまして、家庭裁判所に申立てを行い、そこで選任を得て後見が行われるという制度でございまして、後見、保佐、補助の3類型ございます。それぞれ判断能力が重いほうから、後見、保佐、補助の順でございまして、概要につきましてはこちらの表に書いているとおりでございます。
成年後見制度の利用の状況につきましては、2ページに申立て件数の推移が出ていますけれども、最高裁判所で統計をとっておりまして、23年度で3万を超える申立てになっております。
申立ての動機につきましては、民法で想定している主なものはやはり財産管理でございますので、こちらの目的が多うございますが、介護保険契約とか、身上監護、こういった生活上の支援という目的のためにもかなり申立てが行われている状況です。
次の4ページは、申立人と本人との関係ということで、表の下から2番目の検察官以上のところ、本人から検察官の間が民法で規定する申立人でございます。やはり親族が多うございますが、一番下に市区町村長の申立てというのがございまして、これは、民法とは別に、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法という3法において、その福祉を図るため特に必要があると認めるときに市区町村長が申立てができるという制度に基づいての申立てでございまして、これが近年、増えてきているという状況にございます。
成年後見人等と本人との関係でございます。選任を受けた人との続柄でございますけれども、配偶者、その他親族を右のところでちょっと括っておりますが、55.6%。制度発足当時の平成12年は9割を超えておりましたので、このウエートはかなり減ってきているという状況にございます。
その裏返しというか、第三者後見人が44.4%ということで、弁護士、司法書士、社会福祉士という、主に専門職と言われる方が多うございますけれども、23年から最高裁でも初めて、市民後見人という項目を設けて統計を取り始めておりまして、一般の市民の方が後見を担っている方の数が92人という状況となっております。
続いて、市区町村長の申立て件数の推移でございます。平成12年は23件でございましたのが、23年に3,680件ということで、全申立ての1割を超える状況になっております。ただ、家庭裁判所管内別で見ますと、東京、横浜、大阪、こちらがかなりのウエートを占めるということで、利用している地区においてばらつきがあるという状況にございます。
成年後見制度につきまして、厚生労働省といたしましては、私のところは老健局で高齢者の支援、また別に障害部というところが障害者の支援ということで、それぞれ制度を持っておりますが、主に高齢者についての流れを説明させていただきます。
制度の民法自体は法務省が持っていますし、家庭裁判所を所管する最高裁判所が実際に運用に携わることになっておりますが、厚生労働省といたしましては、利用する立場ということで制度に関わっております。本当に成年後見制度が必要だという方でも、利用ができないという状況になると困るということで、その促進を図るための制度を設けたり、担い手を育成するという取組みを行っております。
時系列で申しますと、18年に介護保険法を一度改正しておりますが、地域支援事業という事業を創設いたしまして、その中に権利擁護事業という、成年後見制度に関する情報提供、申立てに当たっての紹介、このような取組みをする必須事業を入れました。それと、13年から補助事業としてありましたけれども、同じく成年後見制度利用支援事業ということで、利用の促進を図るための支援の取組みを、地域支援事業の中で、任意事業でございますが、割と自由度の高まる取組みに変えたということで取り組んでおります。
それから、市民後見推進事業。これは平成23年度から取り組んでいますけれども、専門職の数はやはり限界があり、また、親族はこの社会状況の中で減ってきている中にあって、後見ニーズに対応するためには一般の市民の方の協力が必要であることから、市民後見人の養成、活動を支援する体制の検討、実際への支援のための取組み、そういったものの補助事業を創設して取り組んでおります。
また、23年に改正いたしまして24年の4月から施行されていますが、老人福祉法の32条の2に、市町村が市民後見人を育成するという努力義務を設けて法律上の根拠を定めております。
それから、計画という中で、認知症施策推進5か年計画、オレンジプランと申しておりますけれども、この中に、すべての市町村において市民後見人の取組みを進めようという目標を位置づけて、取り組んでいるところでございます。25年度予算におきましても、認知症施策の推進の中で市民後見推進事業も取り上げてやっているという状況でございます。
個々の事業についてもう少し詳しく説明させていただきます。取組みの背景を再度説明させていただきますけれども、65歳以上の高齢者は今、3,000万を超えておりまして、平成37年、いわゆる団塊の世代の方がすべて後期高齢者になるという年ですが、そのときには3,600万を超える。また、平成12年に介護保険制度が創設されまして、従来の措置から契約と制度が変わったことに伴い、介護保険を利用するには契約しなければならない状況になった。そういった背景の中、認知症の高齢者の状況が9ページでございまして、22年に280万の推計となっておりますが、平成37年には470万、1.7倍に増えるという推計となっております。
10ページはこの説明でございますが、それとあわせまして、11ページは高齢者の世帯形態の推計でございます。2010年の一般世帯、世帯主が65歳以上のうち、単独、お一人で暮らしている世帯、一人世帯の65歳以上の方は498万人おられるということで、それが2025年(平成37年)には700万になる。こちらも1.4倍に増えるということで、こういった状況の中、やはり後見が必要という推測は成り立つという状況でございます。
先ほどの取組みを説明した資料が12ページからでございまして、地域支援事業というのは、地域において自立した日常生活を営むために支援する事業ということで、いろいろなメニューがございますけれども、権利擁護の事業につきましては、権利擁護業務というところに書いております。この中で成年後見制度の利用促進ということで、いろいろ説明とか、申立てに当たっての関係機関の紹介を、主に地域包括支援センターというところで多くやっておりまして、そこで対応しているという状況でございます。
また、(4)の任意事業、こちらのほうで成年後見制度利用支援事業に取り組んでいるということで、具体的な中身は13ページの資料のとおりでございます。
事業内容といたしましては、この制度を知らないがために利用しないということにならないように、広報、普及を図る。あるいは、実際に経済的な理由で利用できないことになってはならないということで、実際の申立ての費用とか報酬の支援、この2つに取り組めるということでございます。任意事業ということもございまして、1,197市町村、7割弱の実施にとどまっておりまして、これをもっと広げることがこれからの課題になっております。
続きまして、市民後見推進事業でございます。これにつきましては平成23年度から実施しておりますけれども、専門職だけでは後見の取組みの担い手として不足することが予測されますので、一般市民の方を活用して取り組める事業を先駆的な取組みとして実施する市町村に対して、10分の10で補助する事業でございます。予算として、23年度から1億、あとは2億、2億と来ておりまして、23年が37で、24年が87という実績で、着実に増えてきているという状況にございます。
先ほど申し上げませんでしたけれども、高齢者権利擁護等推進事業という、高齢者の権利擁護を守るための補助事業の中に都道府県市民後見人育成事業という項目を設けまして、こちらは、都道府県が広域的に市民後見人の育成の取組みをする事業に対して2分の1を補助する事業です。実際の取組み状況ですが、23年は3、24年度は7というところで、少しこちらの取組みは低調というのが現実となっております。
市町村長の申立てでございますけれども、老人福祉法の規定をここに載せております。「福祉を図るため特に必要があると認めるとき」ということで、要は、申立人の親族がいないために申立てができないときには、市町村長が申し立てられるという規定でございまして、こういった規定をもとに成年後見制度の申立てを行っているところでございます。
次の17ページの資料でございますが、32条の2、担い手の育成のために研修を実施したり、家庭裁判所への推薦、その他の必要な措置を市町村が行うという努力義務を設けて、市民後見人の育成の取組みの法的な根拠を定めたところでございます。
市民後見人を活用した取組みのイメージとして、18ページに資料を載せております。実施主体としては市町村が実施する。ただ、実施機関としてよくあるのは、社協とかNPO法人に、研修などを委託して実施するのも構いませんということになっておりまして、そこで実際の研修をして市民後見人の養成を行う。養成を行いましたら、修了者からさらに選別をして、名簿等をつくりまして市町村が保管し、その中から候補者として家庭裁判所に推薦し、家庭裁判所のほうで後見の事例の際に検討して、選任されれば市民後見人としての活動が行われるという状況になっております。
ただ、一般の市民の方ですので、家裁の選任に当たっては、その裏づけというか、支援機関等による保証というか、そういったものがないとなかなか選任されないというのが現実でございまして、実際に取り組んでいる市町村においては、社協などがその後見の監督人になったりしながら取り組んでいるところでございます。
最後に、「今後の認知症施策の方向性について」という資料をつけておりますが、あくまでも認知症高齢者の権利擁護のためには、この成年後見制度を利用し、かつ、その担い手としての市民後見人の育成というのは重要な柱として位置づけております。全国の自治体で取り組むがために、これから推進していこうということで位置づけておりまして、オレンジプランの20~21ページでございますが、21ページの5番、「地域での日常生活・家族の支援の強化」という中に、この取組みを計画として位置づけておりまして、今後、進めていくという状況になっております。
市民後見の取組みの説明は以上でございます。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 厚生労働省社会・援護局地域福祉課の八木澤と申します。よろしくお願いいたします。
私からは、日常生活自立支援事業につきまして、資料4になりますけれども、実態を含めながら説明をさせていただきます。
1枚目でございますが、認知症高齢者、障害者の地域生活への移行が進んでおります。その中で、知的障害者、精神障害者の判断能力が不十分な方、契約はできるのですが、判断能力の劣る方、いわゆる軽度の方を対象に福祉サービスの利用に関する援助等を行うことによりまして、地域において自立した生活が送れるよう支援するものでございます。
対象は、在宅の方に限らず、施設入所、病院に入院している方々も対象としております。また、比較的軽度の方を対象としていますので、手帳等の所持は要件としておりません。
実施主体は、都道府県及び政令指定都市の社会福祉協議会となっております。また、その事業を市区町村の社会福祉協議会に移管することができることになっておりまして、その数は平成24年3月末現在で857か所で、全国の支部を超える数になっております。本来は個々の市町村単位で実施されることが理想ですけれども、財政面、国庫負担が2分の1、都道府県が2分の1となっております。人材確保の面では、財政基盤の弱い都道府県では、基幹となる社協が中心となって近隣の市町村をカバーして当事業を実施しているという実態にございます。
利用者でございますが、平成24年3月末の実利用者数で3万7,814人となっております。利用実態としては、認知症高齢者の方が52%、精神障害者の方が22%、知的障害者の方が21%という感じになっております。最近では、難病や高次脳機能障害の方が増えているという実態がございます。
援助内容としては、福祉サービスの利用援助、苦情解決制度の利用援助、住宅改造、居住家屋の賃借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続、これらに伴う援助として、預金の払い出し、預金の解約、預金の預け入れの手続等、利用者の日常生活費の管理、定期的な訪問による生活変化の察知となっております。基本的には利用者との契約に基づき、福祉サービス申請の助言や同行、サービス利用料の支払い、公共料金の支払い等の日常的金銭管理が中心となっております。
1か月の平均利用回数は約2回というデータがございます。利用料は本人がお支払いいただきますが、これも平均ですが、1回当たり1,200円程度となっております。
2枚目でございますが、事業の担い手と実施方法でございます。当事業は専門員と生活支援員で行われています。基本的に専門員は常勤の社会福祉協議会の専門職で行われています。原則として、高齢者や障害者等への援助経験のある社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を有する者で、利用者の生活状況やニーズを把握して、社会資源を活用した適切な支援ができる高度な社会福祉援助技術を有することが求められております。
生活支援員につきましては、特に資格の必要はございません。基本的に非常勤でございます。地域社会に関心があり、権利擁護の意識をもって事業に取り組める人が望ましいとされています。各都道府県・政令市の社会福祉協議会では生活支援員の研修に取り組んでおりまして、人材養成を実施しています。生活支援員のなり手としては、民生委員の方がそのまま生活支援員となることが多く見受けられます。
専門員につきましては、相談の受付、申請者の実態把握や本事業の対象者であることの確認業務、支援計画の作成、契約締結業務、生活支援員の指導等を行います。生活支援員は、専門員の指示を受けながら具体的な援助を利用者に提供することになっています。生活支援員の業務は金銭管理が基本的に中心となっていますけれども、それ以外では、郵便物の内容確認、整理、日用品の購入の相談、援助、家族関係の調整が多いという状況にございます。
援助のプロセスは以下のとおりでございます。相談の始まりは本人からの相談が5%でございまして、残り95%は、福祉事務所、居宅介護事業所、地域包括支援センター、そういう機関、または他者からの相談によって始まっているのが現状です。
相談から契約締結までに相当時間がかかるというのもございます。3か月程度かかるケースが全体の約4割もございます。軽度の方ですので、なかなか本人の理解を得られないということもございます。親族を探し出して理解をいただくということで、相当な時間を要しているという実態がございます。
3ページは、専門員と支援員の動きでございます。これは基本的に以下のとおりでございますが、利用者の判断能力の低下に伴いまして、専門員が成年後見制度につなげる手続に多忙になるケースが増加しているという現状にあります。それから、生活保護受給者が利用者に多くございまして、ケースワーカーが専門員を頼ることも拍車がかかりまして、専門員の業務が大変多忙な状況にあることを伺っております。
4ページは、問い合わせと相談件数、新規契約締結状況ですが、ともに増加傾向にございます。23年度の相談件数は124万件ございます。それに対して契約件数が1万1,000件となっております。契約までに至らずに相談で終わってしまうケースが多いのが当事業の特徴ですが、やはり軽度の方でございますので、なかなか理解が得られないという状況にあるのではないかと思っております。
また、この事業に対する地域での格差が多くございます。県の負担もございますので、積極的に取り組まれる自治体もある一方で、必要性の認識が低い自治体もございます。その格差は非常に大きくなっています。基本的には国庫負担2分の1でございますが、いわゆる間接補助となりますので、県が負担したものに対する国が2分の1を負担するというスキームになりますので、その事業規模は自治体の財政状況に左右されるのではないかと思います。
自治体も財政状況が厳しいことは重々承知していますけれども、また、事業に対する住民の認知度も低いということがございます。実際、生活指導員等を募集しても人材がなかなか集まらないということもございます。結果として、専門員が担当する1人の契約数は、1人当たり35人という基準。これはケアマネの数に準じているわけですけれども、それを大きく上回る80人を受け持っている専門員もいるということがございます。一方で、事業の待機者が発生している自治体もございます。
こういったこともありまして、私ども25年度予算案におきまして、都道府県・政令市が社協への補助金を前年度より増額した場合、その増額分に対して国庫補助額を上乗せしよう。増額に対する4分の3を補助しましょうということで、財政的な軽減を図ろうと思っております。
最後のページになりますが、基幹的社協数、専門員数、生活支援員数の状況です。それぞれ年々増加はしておりますが、社協1か所当たり平均で、24年3月末現在では、専門員が2名、生活支援員は16名という状況になっております。また、本年度より、安心生活基盤構築事業というのを、専門員や生活支援員の業務を補助する者、権利擁護の普及啓発を担当する者の配置について、国庫補助のメニュー事業として位置づけることとしております。
私どもは、認知症高齢者や障害者が住み慣れた地域での生活、安心した生活をするために本事業の普及は重要であると考えております。都道府県・政令指定都市に対して重点的な財政支援をお願いしているところでございます。また、社協に対しても積極的な取組みをお願いしているところでございます。
以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 御説明、ありがとうございました。地域福祉課にお伺いしたいと思いますが、日常生活自立支援事業は相談現場では非常に役に立っておりまして、私が経験した範囲で言いますと、これを利用したことによって、その後、高額な消費者被害が発生したケースは1件もない状況です。そういう側面からも非常に効果があると思っております。手軽に利用できるというところが非常にいいと思っていますが、御説明があったように、いろいろな実態、課題もあると。例えば、非常に混み合っていて新規の受付をしてもらえるまでに何か月待ちというところもあるし、一方では、そもそも低調、余り積極的にやっていなくて、この制度があまり知れ渡っていない地域もあると聞いております。
この自立支援事業が拡大していくことが消費者被害の低減にもつながると私は理解しているので、財政的な支援だとか、国庫補助をするだとか、いろいろな工夫はされていると思いますが、さらに、例えばこういうふうにしたらもう少し拡大できるのではないかとか、利用が促進されるのではないかというアイデアが、ほかに何かあれば教えていただければと思います。いかがでしょうか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 社協のやる気といいますか、そういうのをまず引き出さないといけないと思います。自治体によっては社協の温度差が非常にございます。一度やると、それをずっと続けなければいけないという覚悟も要ります。途中でやめることはできません。そういったことから、基本的には私どもが働きかけをやらなければいけないのではないかと思っております。それから、銀行の窓口でトラブルがあるとか、そういったこともございまして、私どもは、窓口へ行ったときの対応を全行的にお知らせできるような、そこは金融庁さんとも相談したいなと思っていますが、その辺でしょうか。とにかく社協がやる気になっていただくというのが私どもの大きな課題でございます。

○吉田委員 よくわかりました。ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 大変ありがとうございました。まず、市民後見制度の関係でお聞きしたいのですが、今、認知症の患者さんが300万人ぐらいいると言われています。成年後見は、毎年の申立て件数あるいは開始決定の件数は出ているのですが、現時点において、成年後見、補助なり保佐なりを受けていらっしゃる方はどの程度いるのか。その辺の数値。それから、なぜ補助や保佐が極めて低調なのか、その辺について教えていただければと思います。
それから、9ページでよくわからなかったのは、認知症高齢者の数等の中でII以上というのがあります。IIとはこれこれというのがありますが、これは、成年後見あるいは保佐や補助の関係と比べると、どういう数字で考えておられるのか。その辺を教えていただければと思います。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 まず、成年後見制度ですけれども、平成24年の12月段階で、利用している方としては16万人と最高裁判所から伺っております。毎年の申立て人を単純に足していきますと、20万を超える数字になりますけれども、お亡くなりになったりとか、後見が終了しますので、昨年の12月現在で、成年後見制度としては16万人の方が継続されていると伺っております。
なぜ後見が多いのかというのは、いろいろ御指摘を受けている点でございまして、最終的に家庭裁判所が申立ての医師の診断書とか、そういった鑑定をもとに判断されることになっております。なぜ後見がという点についての理由までは、こちらのほうで承知しているわけではございませんが、あくまでも家庭裁判所で判断された結果というふうに理解しております。
それから、9ページの認知症のIIでございますけれども、誰かが注意すれば自立できる状態、逆に言えば、日常生活に何らかの支障が出るのがII以上ということでございます。10ページにI~Mまでのランクがございまして、一般的に、II以上が認知症の障害というか、そういった数としてとらえております。これと成年後見との関連でございますけれども、あくまでも判断能力が権利擁護のために支障があるという判断のもとに、親族の方が申し立てるのが原則でございますが、親族がいない場合には、市町村長で判断して申し立てることになっております。

○山口委員長代理 II以上だと申立てが妥当ではないか、というぐらいのところですか。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 II以上で申し立てるかというその辺りにつきましては、必ずしもどの段階でというのは一定の線があるわけではございません。医師とか周りの支援をする方が、利用したほうがいいという判断のもとに申し立てることになっております。認知症の程度が上に行くほど判断能力がございませんので、そういった方は利用すべきだとは思いますけれども、幾らだから申し立てするか、しないかという点が決まっているわけではございません。

○山口委員長代理 9ページの真ん中の表の右側は、470万人のうちの12.8%がII以上という意味ですか。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 コメ印2つ目に、下段は65歳以上人口に対する比率ということでございますので、平成37年に推計されている65歳以上の人口に対して、認知症の方が12.8%という数字でございます。

○山口委員長代理 つまり、全人口のうちの1割以上がII以上と。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 いいえ、65歳以上人口に対してです。

○山口委員長代理 65歳以上のお年寄りのうちの1割以上が、かなり問題がありますということですね。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 おおよそ3,600万以上と推定されておりますので、その12.8%が470万ということでございます。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 市民後見制度についてお聞かせいただきたいと思います。先ほどの御説明の中で、14ページの市民後見推進事業につきましては、23年度から始まったものが、これを実施する市区町が増えているというお話で、それに対しまして、同じように23年度から始まりました高齢者権利擁護等推進事業実施は、なかなか実施するところが広がっていかないというお話がございました。先ほど、日常生活自立支援事業でも地域の格差が結構大きくて、自治体によって格差があると、人材不足とか財政の問題も含めて御説明がありましたけれども、同じような状況が市民後見制度の普及促進というところにもあらわれていると見てとれる、ということでよろしいのでしょうか。
つまり、意欲的な市区町はこうした事業に手を挙げて実施する。そこになかなか乗っていけない市区町に対しては、都道府県が広域的な観点から取組みを支援していこうとしているけれども、それもなかなか乗ってこない状況だという判断でよろしいのでしょうか。もしそうだとすれば、単独では手を挙げられない市区町に対して、広域的な支援を広げていくさらなるモチベーションなりインセンティブを与える仕組みなり、そういう方策をどのように考えていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 今、委員が御指摘のとおり、やはりこういった取組みは温度差があるというのが現実でございます。国として補助制度をつくったのは23年度からでございますけれども、成年後見制度ができた12年当時から、既にこういった市民後見の取組みを先駆的に取り組んでいる自治体もございます。東京都では品川区とか世田谷区、また大阪市など、こちらの補助制度をつくる前から独自に実務的に市民後見を研修で養成して、実際に後見業務に活用している自治体は確かにございます。そういった先駆的な自治体を参考としながら、国といたしましても、その当時からいろいろな調査研究等もいたしまして、調査研究をした結果、こういった事業として取り組んでいってはどうかということで、まず、補助事業として広げていこうというふうに取り組んだわけでございます。
そういった中で、成年後見制度の利用などに対する理解とか、やはり小さい自治体では、後見ニーズがないという認識も現実にございますので、そういった自治体に対しては、やはり周知とか、その制度の普及を図る点がまず第一であります。小さい自治体などでなかなかできないという場合の広域的な取組みということで、都道府県の役割も非常に重要になってくると認識しております。そういった意味で老人福祉法の32条の2にも、1項では市町村の取組み、2項では都道府県の取組みという努力義務をそれぞれ設けております。実際に取り組む自治体が増えていくように、国としても検討しているわけでございます。いろいろ予算等の制約もある中で、どのようにしたら広がっていくのか、検討しているところではございます。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 日常生活自立支援事業について、とても大事な取組みだろうと思いますが、お伺いしたいのは、これは法律上の制度ではないですね。補助事業として自治体に補助しているというものですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 事業自体は、社会福祉法の第二種社会福祉事業として位置づけられております。

○小幡委員 社会福祉法の条文の中に日常生活自立支援事業があるということですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 地域福祉権利擁護事業ということで社会福祉法の中では第81条に位置づけられています。

○小幡委員 その中で、例えば日常的な金銭管理をやるということ自身について、特に法律には何も書いていないということですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 はい。

○小幡委員 ただ必要があるので、この中でやっているということですね。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 地域権利擁護という中でやられているということです。

○小幡委員 そうすると、社協さんの意欲次第だということでしたが、金銭管理は、契約を締結して、その契約に基づいて貸し金庫に通帳を預かる。社協の金庫に預かるのですか。いろいろ大変でかなり面倒な部分もありますが、社協だけができるというシステムになっているわけでもないのですね。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 実施主体は県社協、政令市社協になっていまして、その事業の一部を市区町村の社協等と。等と言っていますので、その他以外の団体でも基本的にはいいということにしております。

○小幡委員 そうすると、社会福祉法に基づくので、先ほどおっしゃった事業の担い手は社協だけになっている。そこから来ているのですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 そうです。実施主体は社協になっています。

○小幡委員 大変よい制度だと思いますが、社協だけができる仕組みにしておくのがよいのか。結局、社協の人数とか、規模とか、力のあるところと、ないところといろいろ差があると思うのです。大変大事な事業で、まさに高齢者が詐欺的な被害に遭わないためにも使える制度だと思います。先ほど吉田委員から、待たされるところもあるという話がございましたが、自治体自身がやっているところはないですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 ないです。

○小幡委員 ほかの公益認定法人、NPO法人とかではないですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 今のところはございません。

○小幡委員 もう少しこれが利用しやすいように枠組みを広げられないかと思っていますので、御検討いただければと思います。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 私も同じように思います。どうやったら広がるのだろうかというところを痛切に思いますけれども、そこで具体的なところを伺いたいのですが、まず一つは、都道府県別の格差があるということなので、データをいただけないでしょうか。直近2~3年分のデータをいただければ、どこがよくて、どこがだめかというところが出てくると思いますので、それをいただきたい。
それから、国庫負担が2分の1ということですが、どの程度の国庫負担の金額になっているのか。どういうところに費用がかかるのかを教えていただきたいです。
それから、専門員が80人ぐらいを担当したり、あるいは、1人が35人を上回るという場合ですが、どの程度のフィーがもらえるのか。それこそ35人というとどの程度の費用負担になるのか。ちょっと言葉では言いにくいかもしれませんが、教えていただければと思います。
それから、地域包括支援センターというのはよく知られている存在ですし、非常に活発に動いていると思いますが、その組織との連携はどうなっているのか。ヘルパーさんやケアマネジャーと専門員や生活支援員がどういう関係で動いているのか。その辺がよく見えないので、教えていただけますか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 まず、データです。全社協のほうで調査しているものがあるのですが、過去3年程度というお話でございまして、ちょっとそういうデータはないのかもしれないのですが、定点的なデータで大変申しわけないのですが。

○山口委員長代理 都道府県別で比較しているのはあるでしょうね。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 県ごとにございまして、都市部が基本的に件数としては多いです。ただ、10万人当たりの数、利用者で割り返しますと、東京都はガクンと低くなる実態にございます。逆に、大阪はそのまま多いという感じにはなっております。
それから、実際の額は、今はデータがないので、専門員の負担の額も含めて、追って資料を提供させていただければと思います。地域包括支援センターとの連携も、済みません、そこも追ってお示ししたいと思います。

○山口委員長代理 もう一つ。次々販売とか、いわゆる投資詐欺に引っかかるお年寄りというのは、認知症が一見して判りにくくて、外形的には割としっかりしているように見えるのです。ところが、こういう投資の問題になると非常に弱いとか、あるいは、誘われると断れないという、非常に人の良い、断ることができないお年寄りというのがいるんですね。外形的にはとてもしっかりしている。つまり、対象者について判断力が不十分な者であり、かつ云々とありますけれども、判断力の不十分な者というのは、例えば類型的に、75歳あるいは70歳以上で1人住まいだったら無条件にこの制度を利用できるとか、そういうふうにならないのか。どういう判断で対象者を決めていらっしゃるのか、その辺を教えていただければと思います。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 もちろん、きっかけは相談というのが非常に多いです。こちらから働きかけるというのはまずないのですが、本人からの相談、または福祉事務所等からの相談から始まるというのがきっかけでございます。この事業につきましては、あくまでも本人の決定を尊重する事業ですので、契約はできるけれども、その中身について判断できないという場合もありますし、それを客観的に見て生活支援員、専門員が判断して、軽度ではなく、判断能力が劣ったということであれば、法定後見のほうに移管するとか、そういう形になります。

○山口委員長代理 例えば歩けなくなったと。頭はしっかりしているけれども、銀行に自分でおろしに行ったり預けに行ったり、年金をおろして生活費に充てるとか、そういうことができなくなったというケースの場合は、割と抵抗なく、ではお願いしますという話になると思います。けれども、体はしっかりしている。ところが、頭はどこか真空管が1本抜けていて、だまされてばかりいると。こういうお年寄りというのは現実にいるわけです。この人たちは余りこのサポートを受けたくないと言うと思うのです。それをどう上手に説得して、頼んだほうがいいのかなと思うようにするかというのは重要なところだと思うのですが。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 それで、3か月以上かかるという実態が出ているものもあるわけです。

○山口委員長代理 ですが、年に120万件相談があって、年間1万件というのは異常でしょう。もうちょっと頑張ってよと言いたくなります。そこのところは何とかならないですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 確かにおっしゃるとおりです。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 日常生活自立支援事業について、専門員の方は人数的に限られているわけなので、ここを増やすのはなかなか大変かと思いますけれども、実際にこの事業の現場を担っているのは非常勤の生活支援員の方だと思われます。ちょっと私が聞き漏らしたかもしれませんけれども、資格を特に必要としなくても、要するに関心のある方なら生活支援員になれるという御説明でした。実際に事業の中身を見ますと、大変責任のあるお仕事をされているわけですから、ただ資格を問わないということではなくて、生活支援員になられた後、例えばどんな研修をされているかということを教えていただけますか。この方たちが信頼性を高めていくということが必要かと思うのですけれども、お願いいたします。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 生活支援員になるためには、社協等で研修を行って支援員という形でなります。なる方々は基本的には民生委員の方が非常に多くございます。ある程度福祉に精通している方ではあるのかなとは思っております。
それから、継続的な研修につきましても、各社協におきまして定期的な取組みを行われていることは承知しております。

○河上委員長 2点ほど確認したいのですけれども、現在の成年後見制度は3段階になっていて、事理弁識能力を欠いている状態と、著しく不十分な人、不十分な人という書き方で民法上は分かれています。先ほど、家裁の判断でもってそれが認められたり、認められなかったりの結果なのだというふうにおっしゃっていたのですけれども、例えば厚生労働省で、認知症であったり、そういうものに対する要保護者として考えている程度の判断力の考え方と、家裁での現在の運用にはギャップはあるとお考えですか。それとも、そこは大体一致しているという前提でお考えですか。
もう一つ、自立支援事業のときに、同じように判断力が不十分な方という言葉が出てきましたけれども、それは成年後見制度の中での補助類型との関係で言うと、どういう関係になりますか。大体一致しているのか。ひどくなったら法定後見にというような言い方をされていたので、場合によっては、さらにそれよりも軽い人で要支援者というのを想定していらっしゃるのか。その辺りを少し聞かせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 まず、成年後見制度の選任でございますけれども、判断と家裁との間にギャップがあるのかという点については、申しわけございません、承知していないところであります。あくまでも家庭裁判所が、医師の診断書、鑑定書をもとに判断していると伺っております。その判断につきましては、基本的には裁判所ですから、裁判所の判断ということになりますので、基本的にそれに従うことになっておりますから、それが妥当かどうかという点は、こちらのほうでは承知しておりません。

○河上委員長 中井さんの御感触はどうですか。

○厚労省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 まことに言いにくいのでございますけれども、ちょっと話は違うのですが、今、選挙権が非常に話題になっている中で、今回の申立人の方が、本当に後見類型に当たる方なのかどうか。これはいろいろございますけれども、そういった疑問があるというようなやり取りは承知しております。ですから、今回、選挙権がなくなったことで申し立てた申立人が、後見人を一律に選挙権を排除するのが違憲だという、この裁判の中でのやり取りではございますけれども、そういった中でいろいろな議論をお伺いする中において、本当にこの方が後見なのかどうかという点については、どうなのかという御意見があると伺っておりますし、専門家の方で、日本においては後見が選任される比率が高すぎるのではないかと。いわゆる学者の方ですとか、そういった御意見があることは承知しております。ただ、実際の判断がどうなのかという点については、ちょっと承知していないところではございます。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 日常生活自立支援事業の対象者の話でございますが、精神障害者の方でも、知的障害者の方でも、本来は手帳を所持することができますけれども、基本的にこの事業については、手帳の所持関係なく対象としております。基本的には契約の方を対象にしていまして、それがどんどん重度化して判断能力も非常に劣るようになった場合には、成年後見のほうに移行する。ある意味、つなぎ的な役割も有しているということでございます。

○河上委員長 先ほど、高次の機能障害の場合には事理弁識能力とは無関係に認めているとおっしゃっていたと思いますが。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 高次の機能障害ですか。

○河上委員長 そこでの問題はやはり事理弁識能力の程度なのですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 もちろん、判断能力によってそこは判断しているということです。

○河上委員長 そうすると、やはり、少々のうっかり者というようなのはだめですね。人を信じやすいとか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 うっかり者ですか。

○山口委員長代理 断ることができないお年寄りというのはだめですか。

○厚労省社会・援護局地域福祉課担当者 専門員なりがちゃんとそこは客観的に把握されると思うのです。そこで、こういう方だからこういう支援をしましょうということにはなろうかと思います。

○河上委員長 議論すると微妙な問題がたくさんありそうですけれども、初めにも述べましたとおり、詐欺的な投資勧誘がたくさんの被害を生んでいる。判断力にもいろいろな程度の人がいらっしゃるのですけれども、低下した高齢者がねらわれることが多いわけでして、高齢化が進む中で、親族による援助を受けることが困難なケースも増えていますので、こうした高齢者に対する支援の必要性は高まっているのではないかと認識しております。
厚生労働省におかれましては、こうした判断力が必ずしも十分でない高齢者に対して、日常の金銭管理等の必要な支援を行うために、日常生活自立支援事業の普及に努めていただいておりますし、市民後見人を育成して後見制度のさらなる活用もやっていただいているということで大変有意義であると考えます。そこで、是非、この動きを広げていただけるようにお願いしたいということは、この段階でも申し上げたいと思います。
消費者委員会としては、本日の議論も踏まえまして、引き続き詐欺的な投資勧誘対策について審議を行いまして、何らかの形で建議を行っていきたいと考えております。先ほども申し上げましたけれども、高齢者対策は、これという決め手がなかなかなくて、いろいろなところから総合的に対策を積み重ねて守っていく以外にないのではないかという感じがしております。その意味でも、厚生労働省にも、またこれからいろいろな形でお手伝いをお願いすることになるかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

≪3.集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について≫

○河上委員長 時間が押してしまいました。次の「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について」、議論をいたしたいと思います。きょうは消費者庁にお越しいただいております。どうもありがとうございます。
消費者契約に関して、相当多数の消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するために、特定適格消費者団体が訴えを提起して、事業者がこれらの消費者一般に対して金銭を支払う義務を負うべきことを確認した後に、これを前提として、消費者の債権について事業者に請求を行うことを可能とする、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案」、もう少し短い法律の名前を考えたほうがいいですが、そういう法律案が、去る4月19日(金曜日)に閣議決定されました。
本日は、閣議決定された法案の内容等について、消費者庁から御報告をいただいて、簡単な意見交換を行いたいと思います。
堀井さんと加納さんに来ていただいております。よろしくお願いいたします。

○消費者庁堀井消費者制度課長 消費者庁消費者制度課でございます。本日はお時間をちょうだいしまして、ありがとうございます。
今、河上委員長から御紹介がありました法案、消費者裁判手続特例法案などと私どもは略しておりますが、その法案のポイントを御説明したいと思います。
そもそもこの法案自体は、委員の先生方は御案内のとおり、平成23年の8月に消費者委員会の専門調査会で報告書が取りまとめられ、23年8月26日に「意見」ということでちょうだいしていたものでございます。その意見を踏まえまして消費者庁のほうで制度設計を進め、2回にわたるパブリックコメントなどを経て、そして、都度都度ですが、消費者委員会の場でも御報告をさせていただきながら、制度化を進めてまいりました。本年4月19日に閣議決定という状況に至ったところでございます。
お手元に配らせていただいた資料の2枚のポンチ絵、表裏で簡単に概要を御説明させていただきます。
まず、制度の骨格自体は、専門調査会の報告書でおまとめいただいた内容、二段階型の訴訟手続、一定の要件を満たした団体が訴訟の主体となるというところについて、変更はございません。しかしながら、この訴訟制度自体、今の民事訴訟法の考え方からしますと特例的な部分がある。一段階目の部分で、具体的に個々の消費者がいない時点で団体が訴えを提起するということもありまして、事業者の応訴負担ですとか、消費者の訴えのしやすさ、そのような特性を踏まえて、対象となる請求を法律上、明記することにしています。具体的には、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって、消費者契約に関する以下の請求に係るものということで、マル1~マル5のような形の請求を明示しております。
被告適格につきましても、消費者契約の相手方とした上で、不法行為の損害賠償請求につきましては、若干、被告適格を拡張した形で制度設計をしているところでございます。
ただ、マル3~マル5の損害賠償の請求につきましては、損害賠償の中身が相当因果関係の範囲内で広がるということもございまして、一定のものを対象外にしておりますのが右下のところでございます。4つ書かせていただいておりますが、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料、こういったものにつきましては、個別具体的な事情によって変わってくるということもありまして、二段階目の手続が重くなってしまうことも鑑みまして、対象外という形にさせていただいております。
裏のページ、資料のマル2と書いたところでございます。こちらは、一段階目、二段階目の手続、手続追行主体などについての主な要件を書かせていただいております。まず左側、管轄、移送・併合、個別訴訟の中止、和解などの記載があります。
管轄につきましては、民事訴訟法の原則的な管轄に加えまして、義務履行地の管轄裁判所ですとか、あるいはマル5のところで、一定の数の対象消費者が見込まれるケース、例えば500人以上、1,000人以上、こういった場合については、一定の規模の地裁で扱えるようにということで管轄を決めています。
移送・併合につきましても、同一の訴訟については移送・併合を可能とし、個別訴訟の中止につきましては、既に個別の消費者が事業者に対して訴えを起こしているケース、そういったものも想定されます。そういう場合については、裁判所がその訴訟の進捗状況も勘案し、当事者の意見を聞いて個別の訴訟を中止できる、そのような規定にしています。
そして、和解。これは一段階目で団体が行う和解についてですが、なれあいの和解をして消費者の利益に資さない形になるのを避けるということもあり、そもそもこの一段階目でできる和解については、共通義務があることを認める旨の訴訟上の和解、全部認める、あるいは一部認めるという和解。これを認めて、二段階の手続の開始原因とするという形の規定にしているところでございます。
二段階目の手続のところで、簡易確定手続に消費者の加入を促す仕組みということで、いかに幅広い消費者に呼びかけるかというところがポイントということで、裁判所、団体、事業者、消費者庁、それぞれがやることを法律上、規定をしているところでございます。特に事業者に関しましては、団体からの求めがあったときに、対象消費者の住所、メールアドレス、そういった情報が記載された文書の開示義務、こういったことを課しまして、また、団体が申立てをして、裁判所がその文書の開示を命令するという規定も置いているところでございます。
そして、簡易確定手続、二段階目の手続についての規定を置きまして、ポンチ絵の右上のところ、仮差押えということで、将来の強制執行に備えた形での規定も置いています。今でも民事保全法上、仮差押命令の申立てなどについての規定がありますが、今回、一段階目で、個々の消費者がまだ出てきていない時点で団体が行う場合も想定しまして、要件を特例的に置いている部分がございます。しかしながら、保全の必要性の疎明ですとか、仮差押えの目的物の特定、裁判所の決定による担保、そういったところは今の民事保全法と同様という形になると思います。
そして、手続追行主体の団体についてでございます。団体の適正性というのは、事業者、消費者にとっても重要だということで、こちらについては、現在の消費者契約法に基づき差止請求権を行使している適格消費者団体、現在、全国に11あります。この中から新たな要件を満たすものということで、新たに認定要件などを法律上明記しています。
具体的には、差止請求関係業務という現在の消費者契約法上の業務、これを相当期間にわたり継続して行っている。そういう適正な業務遂行を求め、費用報酬を得たいがためにこの業務に参入してくることを避ける。さらには体制についての要件。今回は二段階目で、個々の消費者から費用報酬を一定受けることができるという規定を設けていますが、その額、算定方法、支払方法など、こういったことについて、業務規程上、明記し、それが消費者の利益の擁護の見地から不当ではないことという規定を法律上は設けています。具体的にはこの報酬の額などについて、認定監督指針ということになろうかと思いますが、基準をガイドラインで設けることを考えています。
団体の責務規定・行為規範につきましても、濫訴などの禁止、あるいは報酬についての規定、弁護士に追行させる義務、通知・報告、個人情報の管理等々の必要な規定を設けているという状況になっています。
その他というところでございますが、特定適格消費者団体の連携促進、これは必要に応じていろいろな通知をお互いにし合うと。ある意味、特定適格消費者団体は運命共同体のようなところもございますので、そういったことの連携促進ですとか、PIO-NET情報などを中心とした、国民生活センターなどからの情報の提供についての規定を置いています。
施行期日でございます。こちらは、公布の日から3年を超えない範囲内で政令で定める日ということで、特に中小の事業者などに配慮して、長い期間の施行期日を定めているところでございます。
次に、経過措置ということで設けています。この訴訟手続を使ってどのような請求を訴えるかという部分に係るところですが、施行前に締結された契約に関する請求、これに関する金銭の支払義務には適用しないということで、基本的には施行後に締結された契約に係るものをこの訴訟で訴えることができるという形にしています。
しかしながら、不法行為につきましては、必ずしも契約締結と実際の加害行為、侵害行為、こういったものがずれてくるということもあり、故意過失というものは予測可能性を超えた部分で評価できるだろうということで、不法行為に関しては加害行為という切り口で、これが施行前であるか、後であるかということで、施行後のものを対象とするという形にしています。
そして、施行後5年の見直し条項を規定しているところです。
駆け足になりましたが、概要の説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。

○山口委員長代理 大変な御苦労で、これからも大変だと思いますが、心から一日も早く採択がされるように、御尽力いただければと思います。正直、私自身は、こんな言い方をしては語弊があるかもしれませんが、これによって大して事態が変わるわけではなさそうだなと。それほど大したものではないと思っているのですが、一部の学者の方や一部の経済界からは、大変なことになるのではないかという心配の意見もございます。私のほうにも経団連から書類が送られてきたので、ちょっと違うのではないかと個人的には思っているのですが、その辺の誤解も含めていろいろあるようですので、御尽力いただければと思います。
2点だけ伺いたいのですが、条文の10ページ辺りに、共通義務確認訴訟における和解ということで第一段階の和解のことが少し書いてあります。これは、例えばでいいと思いますが、学習塾の一定の契約書の内容がおかしいということで損害賠償を起こした場合、第一段階で、事業者のほうが責任を認めて、名乗り出た人には、例えば1人10万円、100人いるなら1,000万円払うから、あとは適格消費者団体のほうで配分してやってくださいと。そういう和解はあり得るのかどうか。第二段階は簡易確定手続という名前になっているようですけれども、第二段階を経ずにそんな形での和解もこの手続の中であるのか、それは排除されるのか。それが一つです。
それから、条文上、費用の規定が48条、49条辺りにありますけれども、裁判所は費用の負担を命ずる決定をすることができるという非常に包括的な規定になっていまして、裁判所は一体どういう費用をどういう基準で命ずるのか。このままだと裁判所も戸惑うだろうなという感じもします。そこは恐らく、施行規則か何かで定められるのかと思いますが、その辺の法案が通った後の作業工程はどういう予定にされているのか、教えていただければと思います。
以上、2点です。

○消費者庁堀井消費者制度課長 2点についての御質問で、まず1点目は、10条の和解に関してでございます。11ページの10条の規定のところにもありますが、基本的に一段階目でこの団体が行う和解につきましては、当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務の存否についての和解ということで、例えば、その義務について全部認める、あるいは一部認めるという和解を想定していて、具体的に対象消費者の請求金額まで含んだ和解は想定しておりません。
したがって、先ほど山口委員長代理から御指摘のあったような、例えば幾らという形のものも一段階目で和解をするということは想定していない。義務のあるなしを和解で決めて、それが二段階目の手続に行って、個々の消費者に呼びかけて金額を決めていくという手続に流れていく。そのようなことで考えています。

○山口委員長代理 裁判外で和解して取り下げるということはあり得るでしょうね。

○消費者庁堀井消費者制度課長 裁判外というのはあり得ると思います。それが1点目です。
2点目につきまして、この法律の施行ということを考えますと、大きく2つのブロックがある。具体的には一段階目、二段階目の裁判の手続に関わる部分と、もう一つは、特定適格消費者団体の認定監督に関わる部分です。前者の部分の手続につきましては、最高裁判所規則で定めていくことになろうかと思います。後者の部分の団体監督につきましては、内閣府令、あるいは団体の認定監督のガイドライン、指針で定めていくことになって、基本的にそれぞれの定める中身によって必要な手続を経ていくという形になろうかと思います。
したがって、最高裁判所の規則の場合は、規則制定諮問委員会などを経て、そして団体監督の部分の内閣府令等については、必要なパブリックコメント等々の意見を経てという形になりますので、一定時間はかかると思います。しかしながら、公布後、3年の範囲内で政令で定める日というふうになりましても、ぎりぎりになってものができてきて全容がわかるという形になると、なかなか厳しいかなという気がしますので、そういう制定手続については、法律を通していただいたら、速やかに着手して準備をしていきたいと考えています。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 閣議決定までいろいろ大変だったようで、ともかくここまで至ってよかったと思っております。あとは国会ということになるのですが、若干伺いたいのは、個別訴訟の並行している訴訟の中止のところですが、今回の集団訴訟の目的にならないものの中で、前にも議論になったと思いますが、得べかりし利益とか、その辺りは、そもそものこれの共通義務確認訴訟の目的にならないわけです。そうすると、並行してそういうものをさらに要求したいという方は、個別訴訟をすることが想定されるわけです。62条のほうでは、それは対象外なので、ここでは中止の対象にならないということになる。そういう理解でしょうか。

○消費者庁堀井消費者制度課長 基本的にここの個別訴訟の中止で、対象外のものと対象になり得るものとワンセットで訴訟していますというケースがあった場合については、一部だけを中止するということではなくて、全体として中止するという形になるのではないかと思います。ただ、その場合、中止をするか否かの判断については、個別訴訟の進捗状況ですとか、あるいは、個別当事者の意見を聞いた上で裁判所が決定をするという形にしています。

○小幡委員 得べかりし利益を求めたいときは、したがって中止されないですね。そうではないのですか。その辺りがなかなか難しいと思って読んでいたのですが。

○消費者庁加納消費者制度課企画官 ちょっと補足させていただきますけれども、例えばこの訴訟では、拡大損害部分は手続に乗りませんので、個別訴訟をやってくださいという話になるわけです。例えば、個別の消費者が個別訴訟をやりましたと。その当該個別訴訟で、この訴訟の対象になるものもやり、かつ、対象にならないものもやるという請求をしたと仮定しますと、今、課長が申し上げましたのは、その場合でも個別訴訟の手続は一個の手続として進行しておりますので、その手続全体として中止するのがいいのかどうかというのを裁判所が判断することになると思います。
今、先生がおっしゃったのは、仮に拡大損害部分は別訴訟でやるということになりますと、その場合についてまで、この規定で直ちに中止するということは想定しておりません。

○小幡委員 わかりました。基本的に並行していることがわかるというのは、事業者が同様に被告となっているからということを裁判所が知って、ということになるのですか。

○消費者庁加納消費者制度課企画官 実務においては、当然、中止するとなると、なぜ中止するのかという話になりますから、集団訴訟が係属していることを裁判所は知らなくてはいけません。それは、裁判所が事実上知るということもあるかもしれませんけれども、通常は、被告事業者が、こういうのがありますということを言うことが多いと思います。ただ、それ以外にも、例えば訴訟代理人が共通しているとかで、こうなりますとその代理人が言うとか、それはバリエーションがいろいろあると思います。

○小幡委員 わかりました。

○河上委員長 私もそれがちょっと気になっていて、訴訟物を分けてしまえばいいのかという話です。同じ紛争の中で、拡大損害とそれ以外の代金相当の部分の損害とが不可分一体になって議論されてしまっていると、なかなか一部だけというのは難しい可能性がある。その辺の切り分けをどうするのかという辺りが気になっていました。

○消費者庁加納消費者制度課企画官 個別訴訟のほうで、拡大損害部分とそれ以外の分をあわせて請求しているという事件、これは大いにあり得るわけですけれども、その場合に中止するかというのは、裁判所においてよく考えないといけないと思います。

○河上委員長 せっかくですが、この制度が個別訴訟の足を引っ張るようなことになると、まずいわけですね。細かい話はいろいろありますけれども、きょうは時間が余りないので。
ほかにはいかがですか。よろしいですか。
いろいろと紆余曲折はございましたけれども、法案がとにかく閣議決定できたということは非常に喜ばしいことであります。これまでの消費者庁の御努力には心から敬意を表したいと思います。中には、これがアメリカ版のクラスアクションと同じではないかという若干の誤解に基づいて、さまざまな発言をなさっている方もいらっしゃいますし、濫訴を危惧されている方もいらっしゃいますけれども、それは全く性格の違うものでございます。その辺も踏まえて、引き続き淡々と国会の審議に向けて対応に万全を期していただけるようにお願いしたいと思います。
今回、遡及効が話題になって、逆の方向からも後退ではないかという議論もございますけれども、他方で、これで仮に一定の義務違反に関する判断が出たとなりましたら、ADRなどでは重要な解決指針になるということもありますから、その存在意義は非常に大きいと私などは考えております。今後の国会審議では成立に向けて是非頑張っていただきたいと思います。
なお、法案が成立した暁には、特定適格消費者団体の設立支援や、消費者・事業者団体に対する制度の周知徹底、同制度が有効かつ適切に活用されるための方策などもとっていただくよう、しっかり検討して実施していただければありがたいと思います。まずは御苦労さまということで、労をねぎらいたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、その他の第1といたしまして、「集団的消費者被害救済制度専門調査会」の廃止についてであります。これまで、消費者委員会のもとに設置してまいりました集団的消費者被害救済制度専門調査会につきましては、今般の法案の閣議決定、国会提出によって一定の区切りがつくことになります。そこで、同専門調査会はひとまず廃止にいたしたいと思いまして、本委員会で決定をいただきたいと思います。
詳細については、事務局から説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料をおつけしておりませんで、申しわけございません。今、委員長から御説明していただいたとおりで、今回、法律ができて閣議決定されて国会上程ということになりました。消費者委員会のもとで集団的消費者被害救済制度専門調査会というのを設けて、平成22年の8月からちょうど1年かけて法案の骨格をつくりまして、消費者庁にお渡しして、消費者庁で法案の策定という作業をしておられて、今回、国会提出ということになりました。
国会上程のタイミングというところで、集団的消費者被害救済制度専門調査会を一応廃止してはどうかという提案です。今後については、消費者委員会本体でフォローアップをしていくことになるかと思いますけれども、廃止について、御検討いただければと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。
今、事務局から説明がありましたように、集団的消費者被害救済制度専門調査会を本日付けで廃止するということで、よろしゅうございましょうか。

(「はい」と声あり)

○河上委員長 それでは、消費者委員会として、集団的消費者被害救済制度専門調査会を廃止することについて決定いたしました。今後、この制度の動向につきましては、消費者委員会本体においてフォローしていきたいと思います。
最後に、消費者契約法に関する調査作業チームの第15回会合を3月18日に開催しておりますので、その議事内容について、簡単に御報告させていただきます。資料6ございます。
ここでは、消費者信用に関する論点整理と団体訴訟に関する論点整理をやらせていただきました。消費者契約法では、商品や役務の提供業者と消費者との個々の契約関係を、規律しているわけですけれども、それとは別に、クレジットを組んで消費者信用、第三者与信型のクレジットを持っている場合とか、電子化した決済システムを使って、契約を最終的に精算していくということをやるわけでして、現行のシステムが全体の利害関係者の間での公正を担保できるようになっているのかどうか、その辺のシステム全体のあるべき仕組みについて検討することが必要ではないかという論点であります。
国内だけでなく外国にもクレジットの取引主体がいるということもあって、なかなか厄介な問題なのですけれども、こうした決済システムについても、場合によっては、消費者の抗弁をうまくクレジット会社に対して接続できるルールが必要ではないかということで、何か方策を考えているところでございます。場合によっては、割賦販売法とか資金決済法等による手当ということで、消費者契約法以外の場所でも検討する余地がございますけれども、まずは、消費者契約法の中でも何か原則的な考え方を示すことはできないだろうかということが議論されました。
それから、団体訴訟における論点は、2ページ目にありますけれども、現在の消費者契約法は、事業者と個別の消費者との間の一つのある民事事件を前提として、それを解決するためのルールということで当初設計された。ところが、その後、差止請求訴訟、それから、きょうも問題になりましたような新しい訴訟手続による損害賠償を想定した、消費者の代表訴訟のようなものができつつある。このような多数の訴訟の場合には、個別の事情とは別に、抽象的な義務や行為規範の存否をめぐる問題、違法性をめぐる問題なども対象とした議論をしないといけないということで、民事ルールの在り方についても考える必要があるのではないか。その民事ルールの規定そのものが、今、非常にザクッとしたものですから、その内容を充実する必要があるのではないか、ということが議論されています。ただ、その具体的な形とか対象をどういう形でつくっていくかということについては、いろいろな意見があって、まだまだ、まとまるところまでは行っていない段階です。詳細については資料を読んでいただければと思います。 本日の議題は以上です。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局より、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、ありがとうございました。
次回の委員会は、連休明けの5月7日の火曜日を予定しております。議題につきましては、確定次第、ホームページで御案内をいたします。
それから、資料7でおつけしておりますけれども、第8回の「地方消費者委員会」を札幌で開催いたします。5月25日に開催ということで、テーマは「製品安全について」ということで、皆さんと意見交換をさせていただければと思っております。またPRもいたしますし、是非、御参加をお願いしたいと思っております。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)