第113回 消費者委員会 議事録

日時

2013年2月26日(火)17:30~18:48

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、田島委員、
 夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  村山消費者政策課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者安全法に基づく国会報告について
○説明者: 消費者庁 村山消費者政策課長
3.消費者安全の確保に関する基本方針について
○説明者: 消費者庁 村山消費者政策課長
4.消費者基本計画の検証・評価・監視について
5.その他
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者安全法に基づく国会報告について(消費者庁提出資料) 【資料2】 消費者安全の確保に関する基本方針(消費者庁提出資料) 【資料3】 消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けての意見(案)(PDF形式:220KB)
【資料4】 新開発食品調査部会関連資料(PDF形式:136KB)
【資料5】 第13回消費者契約法に関する調査作業チーム会合議事要旨(PDF形式:154KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:64KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第113回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、稲継委員、川戸委員が欠席でございます。
それでは、配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 配付資料一覧は議事次第の下に書いております。
資料1といたしまして、「消費者安全法に基づく国会報告について」ということで、消費者庁から御提出いただいた資料1-1、資料1-2、資料1-3です。資料1-3自体が報告書になります。
資料2といたしまして、「消費者安全の確保に関する基本方針」ということで、消費者庁から御提出をいただいている資料です。これも資料2-1、資料2-2とございます。
資料3といたしまして、「消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けての意見(案)」ということで、消費者委員会が昨年12月にヒアリングを行った結果を検討いたしまして、取りまとめた意見の案になっております。
資料4といたしまして、「新開発食品調査部会関連資料」。
資料5といたしまして、「第13回消費者契約法に関する調査作業チーム」の会議の議事要旨。
参考資料といたしまして、この間、2月19日に委員間打合せを実施しておりまして、そちらの概要をおつけしております。
不足がございましたら、お申出いただければと思います。

≪2.消費者安全法に基づく国会報告について≫

○河上委員長 それでは、早速、議事に入ります。
最初に、「消費者安全法に基づく国会報告について」であります。消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
消費者安全法第13条では、「内閣総理大臣は、行政機関、地方公共団体等からの通知により得た情報その他消費者事故等に関する情報が消費者安全の確保を図るために有効に活用されるよう、迅速かつ的確に当該情報の集約及び分析を行い、その結果を取りまとめ、国会及び消費者委員会に報告する」とされております。
消費者庁におかれましては、平成22年の6月以降、計5回にわたりまして本報告の取りまとめを行い、それぞれ消費者委員会に御報告をいただいたところであります。このたびは第6回となる取りまとめを行ったということで、本日は、それについて御報告をいただきたいと思います。
なお、説明は、恐縮ですけれども、10分以内でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁村山消費者政策課長 ただいま御紹介いただきました消費者庁消費者政策課の村山でございます。
「消費者安全法に基づく国会報告について」ということで、御説明させていただきます。
ただいま、委員長から御紹介いただきましたように、消費者安全法第13条の規定によりまして、内閣総理大臣は、行政機関、地方公共団体等からの通知により得た情報その他消費者事故等に関する情報の集約及び分析を行い、その結果を取りまとめることとされております。また、同条によりまして、取りまとめたものは国会に対して報告することとされています。
22年6月に本法律に基づく初めての国会報告を行って以降、これまで合計5回の報告を行ってまいりました。今回の報告は24年4月から9月までの期間を対象としております。こちらに関しましては、去る2月15日に閣議決定の上、国会に報告をいたしました。
今回の構成内容につきましては、基本的にこれまでと同様でございます。消費者安全法に基づき通知された消費者事故等に関する情報、PIO-NETを通じて収集された情報について集約しております。それに加えまして、消費者安全法に基づき消費者庁が行った措置や消費者安全法以外の法執行、各種情報提供についても、あわせて記載しております。
今回の報告のポイントを簡単に御紹介したいと思います。
まず、消費者事故等の通知件数につきまして、1点目としまして、消費者安全法に基づき通知された消費者事故等の件数は6,519件。前年同期の7,980件より減少いたしました。このうち、重大事故等(死亡、30日以上の療養が必要な場合)は636件と、前年と比べてほぼ横ばいになっております。
重大事故等を除く消費者事故等のうち、生命・身体事案は647件、前年同期より13%減少、財産事案に関しましては5,236件、21%減少ということで、ともに減少ということになりました。
生命・身体事案につきましては、この時期に食中毒が減少したことが要因と考えております。
財産事案につきましては、金融・保険サービスが中長期的に減少傾向にあること。特に未公開株を含む預貯金・証券等、デリバティブ取引が減少していることによると考えております。
このほかに、PIO-NETにおいて収集された相談件数についても記載しております。この期間の相談件数が約39万件ということで、前年同期比で見て7%の減少となりました。
なお、このうち生命・身体事案につきましては、前年同期比11%と増加しております。増加要因といたしましては、保健・福祉サービスの増加、特に医療サービス、歯科治療などの面で増加していることが考えられます。
今、御説明いたしましたのは消費者事故等の通知件数ですが、消費者被害の発生または拡大防止に関する取組みについても、あわせて記載をしているところでございます。
まず、消費者安全法第15条に基づく注意喚起は、この期間2件でございました。両件とも財産事案です。このほか、生命・身体事案に関して、消費者安全法または消費生活用製品安全法により入手した情報に基づきまして、情報提供という位置づけで注意喚起を行いました。この時期は10件、注意喚起を行っております。
このほか、消費者庁におきましては、消費者安全法以外にも法執行・行政処分等を行っています。これらの実績に関しましても、あわせて記載をしているところでございます。この時期、例えば景品表示法に基づく措置命令は28件、特定商取引法に基づく業務停止命令及び指示につきましては8件等、こういったことについて記載をしております。
また、これら法に基づくものでないものでも、安全に関する事項、表示・取引に関する事項についても各種の情報提供を行っておりますので、あわせて記載をしているところでございます。
簡単ですが、説明とさせていただきます。

○河上委員長 それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 資料1-3の分厚い資料の8ページですけれども、発生施設別分類が出ています。これを見ますと、住宅と道路関係事故が圧倒的で、学校、病院・福祉施設、この辺がことしは学校が2件、病院・福祉施設が9件ということで、重大事故としても学校や福祉施設でこの程度で済んでいるはずはないのです。常識的に考えてもこんなはずではないですね。例えば有料老人ホームとか、特養のホーム、グループホームなどは、それぞれの施行規則がありまして、事故が起こった場合には県知事に報告しなければいけないということになっています。実態を聞くと、保険の関係で保険部局のほうにどうも事故情報が集中しているようですが、それが消費者庁に上げられるシステムができていないというのは、これを見ると明らかだと思います。情報を集めればいいというものでもないかもしれませんが、しかし、これで足りるというのはどう考えてもおかしい。学校も、どれをもって消費者事故と考えるかというのはいろいろあると思いますが、これはちょっとどうなのかなと。
同じような事故の再発防止という視点から言って、何でも集めればいいとは思いませんが、しかし、これは集めなさすぎではないか。かつ、この件数で、「はい、ことしはこれでした」で終わりというのはどうかなと思います。この辺は村山課長にお聞きしてもわからないかもしれませんが、どうしてこの件数になっているのか。あるいは、今後の対策としてどう考えているのか。それから、この件数は何を基準の件数なのか。例えば、学校で死亡事故といったらこんなものでは済まないというのは明らかだと思いますが、消費者庁で集約される場合の事故というのは、例えば学校事故ではどういう事故のことを件数として数えられるのか。その辺をお話しいただければと思います。

○河上委員長 いかがでしょうか。

○消費者庁村山消費者政策課長 この報告の中での事故等の件数ですけれども、これはあくまでも消費者安全法に基づく事故ということで、消費された商品、サービスと。

○山口委員長代理 消安法に基づいて届出があったということですね。

○消費者庁村山消費者政策課長 はい。

○山口委員長代理 件数が少なすぎやしませんか。

○消費者庁村山消費者政策課長 件数が少ないことは明らかという御指摘もありましたが、そこのところはまだ明らかではないと思いますし、法に基づいて情報の提供を受けていると認識しております。ただ、具体的に漏れているというような事例があれば、消費者庁としても調べていく必要はあるのではないかと考えております。

○河上委員長 消費者事故であるか、消費者事故ではないかということのスクリーニングは、消費者庁のどこかでやっているわけですか。

○消費者庁消費者政策課 消費者庁に通知をされる段階で、関係省庁等でこれが消費者事故に当たるかどうかという精査をした上で、消費者事故に当たるものを消費者庁に上げてきているということでございます。さらに、消費者庁でも上がってきたものを見て、これが本当に当たるかどうかという確認はしているということでございます。

○河上委員長 関係機関がこれが消費者庁に通知すべき消費者事故であるかどうかの判断の基準というのは、ある程度明らかにしてそれぞれの機関にお願いしているのですか。それとも、それぞれ勝手に、これは消費者庁へ上げるべきかどうかを考えているという状態ですか。

○消費者庁消費者政策課 済みません。安全課のほうでやっていますので、そこまで詳しくは把握していません。

○山口委員長代理 例えばこんにゃくゼリーを、ゼリーか何かわからないけれども、のどに詰まらせて子どもさんが病院に運ばれてきた。これを消費者事故として届け出るのか、それとも、間違って飲み込んでしまったために単に詰まらせただけであるということで届け出ないのかというのは、現場の病院のお医者さんなり院長が判断するのか、それとも消防署が判断するのか、それとも県の消費者担当が判断するのか、その辺はどうなっていますか。

○消費者庁消費者政策課 それぞれの機関がどういう判断をしているかというのは、今、把握をしてございませんので、必要であればまた御説明申し上げます。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
そもそも消費者事故の概念がはっきりしていないということに何か問題があるのだとすると、それは検討すべきことかもしれませんので。

○消費者庁村山消費者政策課長 消費者事故の概念自体ははっきりしているわけですし、消費者安全法に基づき行政機関等が判断して、消費者庁に通知するということは実際行われているわけでございます。
ただ、学校等で事故が起こるという場合、数が多いと推測いたしますし、実際そうだと思いますけれども、それが必ずしも消費財・サービスに起因するものでないこともあり得ることだと思いますので、ここは、あくまでも消費者安全法の世界の中での把握にとどまるのではないかと考えております。

○河上委員長 現場の方が、これは通知すべき消費者事故かどうかということについての判断がしやすい形にしておくことが必要かもしれないという感じはいたします。
ほかにはいかがでしょうか。

○山口委員長代理 というのは、なぜ申し上げたかというと、高齢者の施設で例えばベッドに首がはさまって亡くなったとか、骨折したとか。車いすから転落しやすいので、車いすから転落して骨折したとか、これが日常的に起こっていると私は認識しています。再発防止という観点からすると、もう少しベッドの仕様をよくするとか、転落しにくい車いすに変えるとか、その辺の努力はあり得ると思うのです。
ところが、きちっとした事故情報が消費者庁なりしかるべきところに集まっていないがゆえに、現場で、「運が悪かった」で終わっている。そういう世界もかなりあるように思うものですから、もう少し安全課のほうと御相談いただいて、効果的な情報収集、警告発信ができるような、その辺の工夫は、こういうものをつくるのとあわせてお願いしたいと思います。

○消費者庁村山消費者政策課長 重要な指摘だと思います。先般も介護ベッドに関する事故がありまして、それに関する社会的な注目もありました。消費者庁としても注意喚起を一層強力に進めたところでございます。そういった事故情報収集に努めまして、御指摘のような再発防止などにつなげていく努力というのは非常に重要な点だと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 消費者庁としては、消費者事故の通報を受けるという受け身だけではなく、それをどのように上がってきやすい状況にできるかということについての御努力はなさっているのですか。例えば学校であれば、文科省と定期的に何かしら機会を設けて事故通報等の把握をしやすい仕組みを設けるとか、以前、そのようなことを我々のほうからお話しした記憶もありますが。

○消費者庁村山消費者政策課長 一般的には委員会のほうでも、安全情報の周知に関しまして、これまでの建議、意見などもいただいていると思いますので、それを受けて対応はしているところでございます。実際、個別の介護ベッドなどの件に関しても、関係省庁と連携して対応していると了解しております。

○原事務局長 先ほど、山口委員長代理が8ページの図についておっしゃったわけですが、これは3ページから始まる、消費者安全法の第12条1項に基づき重大事故として判断されたものです。この重大事故が何かというと、1ページに記述がございまして、上から2行目に「重大事故等が発生した旨の情報を得たときは」となっておりまして、下から4行目は、「消費者事故による被害を拡大し、同種事故が発生するおそれがあると認めるときは」という括りがあります。
それから、その重大事故は何かというのは下に注意書がありまして、消費者事故の中でも、死亡や30日以上の治療を要するという、被害としては深刻な状況だということなので、軽微と判断されたものとか、同種の被害はそれほどないだろう、単発的な事故だろうというふうに思われたものはなかなか入ってこないということも、背景としてはあるのではないかということになると思います。ですから、これでいいのかどうかというところは、また検討です。もっと定義を広げて事故を拾うべきだというのはあると思います。

○山口委員長代理 ちょっとよろしいですか。

○河上委員長 山口委員長代理。

○山口委員長代理 例えば97ページを見ると、「地方公共団体からの通知」というのがありまして、その3つ目に介護サービス(介護施設)というのがあります。介護施設の事件というのは、ほかにも幾つかあって、少ないのですけれども、これを読むと事故内容が、「当該施設において、利用者が、床に置いてあったねずみ獲り粘着紙に足をとられて転倒し、骨折した」という話なのです。これは消費者事故なのか、と思うわけです。もっとほかにあるだろうと思うけれども、何を基準にこれが消費者事故なのか。ほかのところにも、介護士さんと歩いていたら転んでケガをしたというのも消費者事故になっています。
もう少しちゃんとした基準をつくってはどうかと思います。これはまた別の話だと思いますので、少し安全課と相談して、もう少し消費者事故再発防止に役に立つような集約の仕方を工夫されてはどうかと思います。

○原事務局長 ちょっと傍聴の方々に申しわけありませんでした。今の資料1-3で、国会報告の報告書の本体に基づいて何ページ、何ページと言っておりましたが、皆様のお手元にはないということです。ただ、これは2月15日に閣議決定されていますので、消費者庁のホームページには掲載されております。済みませんでした。

○河上委員長 傍聴の方には概要だけが行っているわけですか。

○原事務局長 はい。

○河上委員長 申しわけありません。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、この件に関しては以上にしたいと思いますけれども、冒頭で申し上げましたように、消費者安全法に基づく国会報告というのは今回で6回目になります。その間、消費者委員会としても報告に対して、例えばこういう形にしたほうがいいのではないかとか、表現ぶり等についてもいろいろ意見を述べてまいりました。消費者庁としても、毎回の報告を通じて消費者委員会の意見を取り入れていただく方向で、結果として少しずつ改善されていって、比較的わかりやすく、また、事故の未然防止に向けて活用が進むように報告の見直しを図っていただいていると認識しておりまして、その点、感謝しております。
今回の報告では、消費者庁越境消費者センターの相談概要など新たにつけ加わったところも見えて、今後、国際的な消費者問題についての分析、対応についてもますます期待されてくると思います。
ただ、消費者事故の情報源から、本当に改善につながる問題がきちんと収集できているのかどうかについては、先ほど来、若干問題になりました。事故情報の収集の仕方、その範囲等について現場の人の判断の助けになるような工夫ができれば、また制度課で考えていただければありがたいと思います。
今回で、消費者庁発足後3年分の事故情報が蓄積されたことになります。昨年6月の報告の際にも指摘しているところですけれども、この報告書の名称にありますように、情報の集約と分析が求められているところであります。情報の蓄積が一方でできた分、それに匹敵するように、消費者事故の未然防止に向けた情報の分析の部分に重点を置いて行っていただければありがたいと思います。今回の意見は口頭にとどめまして、次回、6月の報告の際に、今、申し上げた点も含めて消費者委員会として意見を出させていただきたいと思います。
なお、前回の消費者委員会では、消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についての建議を行ったばかりですけれども、新聞報道などでも明らかなように、4名の方が亡くなられた長崎のグループホームの火災において、リコール対象商品が原因と言われております。それだけに、消費者事故情報の収集・分析、公表だけではなく、情報周知の徹底といった辺りも重要な課題であると改めて認識しております。
消費者庁におかれましては、この点についても、さらに頑張って情報の周知徹底について御努力をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

≪3.消費者安全の確保に関する基本方針について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者安全の確保に関する基本方針について」であります。引き続き、消費者庁にお願いいたします。
消費者庁では、発足から3年余りが経過したことや、改正消費者安全法が平成24年10月1日に施行され、平成25年4月1日から全面施行が予定されていることなどを踏まえ、消費者安全法第6条に規定する消費者安全の確保に関する基本方針、平成22年3月決定のものですが、この基本方針の改正を予定していると伺っております。また、法律上、この基本方針を策定、変更するときは、消費者委員会等の意見を聞かなければならないとされています。
本日は、消費者庁から、この基本方針の改正の進め方について説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。
また、説明時間は10分ほどでということで、よろしくお願いいたします。

○消費者庁村山消費者政策課長 それでは、「消費者安全の確保に関する基本的な方針」の改正についてということで、説明させていただきます。
お手元に、この説明紙と、現行の基本方針(資料2-2)、平成22年3月に決定したもの、こちらがございます。
基本方針は、今、委員長から御紹介いただきましたように、消費者安全法第6条の規定に基づき定められているものでございます。今般、消費者安全法につきまして改正が行われたことを踏まえまして、本方針について、その改正の反映を中心に若干の改正を行いたいと考えております。
具体的には、消費者安全法の改正によりまして、「消費者安全調査委員会」の設置、財産事案に係る事業者に対する行政の措置が規定されましたので、その新設された制度、これまでの消費者行政の進展を反映した事項に関して新規に追加をするということでございまして、いわば時点修正が中心と考えております。
他方、消費者安全の確保に取り組む基本的な姿勢自体が変わっているわけではございませんので、骨格自体は維持をした形で進めたいと考えております。
主な改正の概要につきましては、第1に、消費者安全法の改正に関連する記載の追加というのがございます。具体的には、「消費者安全調査委員会の設置」でございます。
「財産事案に係る事業者に対する行政措置の導入」というのが2点目でございます。
さらに、「関係行政機関の長等への情報提供に関する規定の導入」というのが3点目でございます。
消費者安全法の改正以外につきまして、若干の時点修正ということで、幾つかの項目、5点ですが、記述を加えたいと考えております。一つは、食品安全基本法に規定する基本的事項の改正に伴う修正。それから、消費者教育の推進に関する法律の成立を踏まえたものでございます。地方消費者行政に関する記載の修正、リスクコミュニケーションに関する記載の追加、食品表示一元化に関する記載の追加という5点になります。
こちらの改正案の細部につきましては、今後、素案という形で文言を固めた上で、改めて、消費者委員会の皆様の御意見をお伺いしてまいりたいと考えております。素案を固めたところで、消費者その他関係者の意見を反映させるために必要な措置をとるとともに、関係行政機関と協議し、また、消費者安全委員会、消費者委員会からの御意見を聞くなど作業を進めまして、4月1日の改正を目指しているところでございます。できるだけ早く素案をお示しできるように、今後も作業を進めてまいりたいと思います。
簡単ですが、以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
改正の進め方ということで、まだ固まった形のものではございませんけれども、ただいまの御説明を受けて、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。
特によろしゅうございますか。
消安法の適切な運用を通じて消費者の安全・安心の確保は、委員会としても高い関心を持っているテーマの一つであります。この基本方針は、平成22年の策定の後3年ぶりの改正ということで、昨年の改正消安法の成立で新たに設けられた消費者安全調査委員会、財産事案に係る事業者に対する措置、消費者庁から民間を含む関係機関への情報提供の在り方といった、極めて重要な施策に関する事項が追加されることになろうかと思いますので、その内容の具体的な中身については、当委員会としてもしっかりと吟味する必要があると認識しております。
今後、素案ができたところで、また内容について御説明を賜って、検討した上で必要な意見を述べてまいりたいと考えておりますので、次回の委員会には素案を御報告いただけるよう、消費者庁におかれましては引き続き作業を進めていただきますよう、お願いしたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪4.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。
消費者基本法においては、消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際は消費者委員会の意見を聞かなければならないとされています。このため、消費者委員会においては、計画の重要課題ごとの施策の進捗状況等について、昨年12月の第106回から第109回までの計4回の委員会において、関係省庁に対するヒアリングを実施したところであります。
本日は、関係省庁ヒアリングの結果や最近の委員会からの意見表明等を踏まえまして、消費者基本計画の検証・評価及び見直しに向けて、消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。皆様のお手元に、資料3ということで意見の案を配付しております。事務局から簡単に説明をお願いしたいと思います。

○原事務局長 資料3ですけれども、12月に毎週、各省庁のヒアリングを実施いたしまして、その後、1月、2月と、委員間打合せなどで議論を進めまして、最終的な意見の案として提示しております。
「記」のところから読ませていただきますが、1ポツとして、「消費者安全行政」関連です。マル1といたしまして、消費者事故の発生・拡大防止に向けて、消費者安全法に基づき収集する事故情報の拡大やその分析・活用の強化に引き続き取り組むということで、これは第1次委員会のときの建議事項でもありますけれども、強化をお願いしたい。
マル2といたしまして、先日出したばかりですけれども、リコール情報や注意喚起情報を的確かつわかりやすく消費者に伝える仕組みの構築に向けて、建議を出しました。その指摘した各事項を、具体的かつ効果的に実施するための方策を計画に明記されたい。
マル3といたしまして、昨年10月、消費者庁に消費者安全調査委員会が発足しております。大変期待されております。この役割を適切に果たすための体制整備や取組み方針等について具体的施策に明記するとともに、調査審議の透明性を向上し、消費者等への情報提供を強化し、引き続きその方策を検討されたい、としております。
2ポツといたしまして、「個別分野のリコール制度」ですが、マル1につきましては、つい最近、三菱自動車のリコールの話が話題になりましたけれども、自動車リコールの届出が遅延する事例が発生しております。当委員会としては「自動車リコール制度に関する建議」を出しておりまして、この取組みをさらに強化する観点から再度検討を行い、必要な方策を計画の具体的施策に明記されたい、としております。
マル2といたしましては、消費者安全専門調査会で、食品のリコールについてまだ審議不十分なところがございました。食品のリコール社告については少し情報提供もして審議をいたしましたので、食品のリコール社告を通じた消費者への情報提供の適正化を図るため、食品事業者団体に対する文書を通じた周知、これまでの取組みによる効果や課題等についての検証・評価を行い、必要な改善策を計画の具体的施策に明記されたい、としております。
済みません。括弧内にお願いをしている省庁を書いていますけれども、それは省略した形で御紹介しております。
3ポツ、「エレベーター事故」ですけれども、エレベーター事故については、最近でもまた事故が起きているという状況にあります。再発防止策は、特に既設のエレベーターについても対策を講じられたところですけれども、それでも事故が起きているということで、再度十分な検証・評価を行い、確実に再発を防止するための方策を明記されたい、としております。
4ポツ、「食品の安全性に関するリスクコミュニケーション」ということで、これについては、今の森大臣の下、消費者庁としても非常に力を入れておやりになっておられるところで、是非、食品と放射能に関する消費者理解増進を図るためのコミュニケーションの充実を図っていただきたい、としております。
5ポツ、「脱法(違法)ドラッグ」関連です。これについては、昨年の4月に当委員会で提言を出しております。包括指定の導入や取締体制の強化等の方策を提言しておりまして、着実に実施・推進する旨を具体的施策等にしていただきたい、としております。
6ポツ、「エステ・美容医療サービス」関連です。これは継続中ではございますが、マル1といたしまして、「医療機関のホームページに関するガイドライン」について、平成25年3月末時点までの美容医療サービスにおける遵守状況の検証・評価を行い、一定の改善が見られない場合は、医療機関のホームページにおける表示を医療に関する広告とみなすなどの、法規制も含めた表示適正化の実効性を担保する措置を実施する旨を計画の具体的施策等に明記されたい。
マル2といたしまして、美容医療サービスを利用する消費者への説明責任の徹底を図る観点から、平成25年3月末時点までの消費者に対する事前説明及びその同意に係る消費者トラブルの発生状況についての検証・評価を行い、美容医療サービスに特化した事前説明の指針の策定など、必要となる方策を明記されたい。
マル3といたしまして、まつ毛エクステンションに係る安全の確保について、早期に結論を得た上で、必要となる方策を具体的施策に明記されたい、としております。
7ポツ、「住宅用太陽光発電システム」です。これにつきましては、PV施工士認定制度の適切な運用を通じて業界全体の施工品質水準の確保・向上を図るとともに、加えて、設置工事の詳細見積りや発電見込量等を事前に書面で交付させること、勧誘の際に補助金等の説明を行う場合には書面により行わせることということで、どういう工事内容なのか、そういったことについて説明を徹底していただくための方策を具体的施策に明記されたい、としております。
8ポツは「詐欺的投資勧誘」で、これについても継続中の案件です。マル1に挙げておりますように、高齢者を狙った詐欺的な投資勧誘が非常に増えています。これまでの取組みの効果や課題等について検証・評価を行うとともに、下記の事項に積極的に取り組む旨を具体的施策として明記されたい、としております。
法律関係で、金融商品取引法、刑法、特定商取引法、改正消費者安全法等の執行力の強化。
関係機関の密接な連携・協力による消費者に対する注意喚起・啓発の強化。
詐欺的商法のツールとして使われることが多いとされるレンタル電話・IP電話、バーチャルオフィスへの対応、法人登記事項の真実性確保のための措置等、これらのツールについての実態把握を行った上で、所要の方策を検討すること。
犯罪収益移転防止法の厳正な執行を通じて、本人確認等の徹底を図ること。
口座凍結ですけれども、同法に基づく口座凍結が迅速かつ適切に行われるよう、金融機関を指導することを求めております。
マル2といたしまして、医療機関債に係る消費者被害の拡大・再発を防止するためということで、こちらについても当委員会で昨年9月に提言を出しています。この指摘事項に基づき迅速に取組みを進める旨を計画の具体的施策等に明記されたい、としております。
9ポツ、「特定商取引法」です。マル1は、貴金属をはじめとする訪問購入に対して改正特定商取引法が施行されます。この厳正な執行に取り組むとともに、規制の対象外となる物品等を中心に、消費者被害の発生状況について実態把握を重点的に行い、被害の拡大が認められる場合には、必要な見直しを機動的に行う旨を計画の具体的施策に明記されたい。
マル2といたしまして、法執行体制の強化に取り組むとともに、特定商取引法の「5年後の抜本的な見直し」に向けた具体的な取組方針やスケジュールを可能な限り明らかにされたい、としております。
10ポツ、「消費者契約法」関連です。これについては、当委員会でも、法制審議会の民法改正の議論をにらみながらでありますけれども、「消費者契約法に関する調査作業チーム」を設けて論点整理を行っております。これらの論点整理の中間報告の内容を踏まえつつ、できるだけ早期に課題や問題点の整理に着手する旨を計画の具体的施策に明記されたい、としております。
11ポツ、「改正貸金業法」で、これについては「多重債務問題改善プログラム」の徹底をお願いしたいと思っております。
12ポツ、「住宅リフォーム」です。これについては、経費の内訳を明らかにした見積りを実施すること、及び見積書の交付を義務化することの要否について検討し、必要な措置を講じる旨を明記されたい、としております。
13ポツが「有料老人ホーム」ですが、マル1といたしまして、入居一時金の実態を把握し、償却についての透明性をさらに高めるための方策を含めた入居一時金の在り方についての検証・評価を行い、必要となる方策を具体的施策に明記されたい。
マル2といたしまして、これは1次からの懸案事項でございますけれども、先ごろ事故が起きました、有料老人ホーム等におけるスプリンクラー等の消防設備等の設置状況の実態を把握するとともに、その結果を踏まえ、必要な改善策を講じる旨を具体的施策に明記されたい、としております。
14ポツが「企画旅行の安全性」ということで、これについても事故が起きました。これまでの旅行業法の執行体制や、同法に基づく旅行業者への監督・指導の在り方について検証・評価を行い、具体的施策等に明記されたい、としております。
15ポツは「公共料金」です。これも継続している課題になります。公共料金等の決定過程の透明性、消費者参画の機会及び料金の妥当性を確保するためのこれまでの取組みの成果や課題等について、当委員会の「公共料金等専門調査会」の場を活用しつつ検証・評価を行うとともに、これらの課題について関係省庁が一体となって検討を進める旨を計画の具体的施策等に明記されたい。
16ポツが「食品表示一元化」です。これについては、消費者庁で法案を準備されているところです。
マル1として、法案提出に向けて着実に作業を進めるとともに、特に執行力の強化を図っていただき、具体的にどういうことで図るかということを明記されたい、としております。
マル2として、今後の検討課題とされている幾つかの課題がございます。これについての取組方針やスケジュールを可能な限り明らかにされたい。
マル3として、一元化の対象とならなかった関連法令も含めて、関係機関との密接な連携の下、事業者への適切な指導・監督、執行の強化を図っていただきたいということを書いております。
マル4として、食品表示制度に対する消費者の理解を向上するため、消費者教育や食育と連携しつつ、具体的な取組みを進めていただきたいとしております。
17ポツは「健康食品の表示等」です。これについても、当委員会がことし1月に建議を出したところですけれども、ここで指摘した各事項、表示・広告の適正化に向けた取組みの強化、安全性に関する取組みの推進、機能性の表示に関する検討、特性等に関する消費者理解の促進等に対応するための方策を計画の具体的施策に明記されたい、としております。
18ポツが「消費者教育・啓発」です。これについては、「消費者教育の推進に関する法律」が施行されました。これを踏まえて委員会でも、昨年12月、基本方針の策定をされるということで「策定に向けた意見」を出したところです。ここで指摘した各事項を十分尊重した上で「基本方針」を策定するとともに、関係省庁等による密接な連携の下、消費者教育を推進していただきたいということをマル1では書いてあります。
マル2は、消費者自身が社会の一構成員としての自覚を持ち、主体的に行動することが重要であるということで、具体的に下記のような課題を掲げております。こういった消費者自身の主体性にも配慮した形での消費者教育を進めていただきたいということを書いております。
19ポツは「消費者被害救済制度」です。
マル1といたしまして、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度」を今国会への法案提出に向けて作業を進められていますけれども、是非、法案成立をお願いしたいと同時に、あわせて、特定適格消費者団体の設立支援や消費者・事業者等への周知等、同制度が有効かつ適切に活用されるための方策について、具体的施策等に明記されたい、としております。
マル2といたしまして、「財産の隠匿・散逸防止策」や「行政による経済的不利益賦課制度」の具体的な在り方やその実現のための方策について、消費者庁でも検討を進められているところですけれども、できるだけ早期に成案を得た上で、必要な措置を講じる旨を計画の具体的施策に明記されたい、としております。
20ポツ、「地方消費者行政」です。「地方消費者行政活性化基金」等を通じたこれまでの自治体への支援策の効果や課題等について、検証・評価を行うとともに、当委員会は2回建議を行っておりますけれども、ここにおいて指摘した事項への取組方針について、可能な限り明らかにされたい、としております。
21ポツが「公益通報者保護法」です。これについては、一昨年の3月に「公益通報者保護制度の見直しに関する意見」を出しております。これを受けて、消費者庁で、今の法律の実態調査を行っておられるところだと思いますけれども、その検証・評価を行った上で、効果的な運用を促すための方策について、これについても具体的施策に明記されたい、としております。
22ポツが「情報通信」ですが、これも継続した課題になっております。
マル1といたしまして、昨年12月に当委員会が「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」を出しておりますけれども、これらの指摘事項を踏まえ、自主基準等の遵守の徹底を図っていただきたいとともに、状況が改善しない場合には、法令改正を含めて必要な措置を検討し、確実に実施する旨を計画の具体的施策等に明記されたい、としております。
マル2といたしまして、情報通信分野における下記の事項に関するこれまでの取組みや課題等について検証・評価を行った上で、必要となる方策を計画の具体的施策等に明記されたいといたしまして、1つ目は、詐欺的「サクラサイト」商法等のインターネット取引をめぐる消費者トラブルへの対応。
2つ目といたしまして、情報通信技術の進展に伴う個人情報・プライバシー保護に関する新たな課題等への対応ということで、それぞれの省庁で検討は進められているところだと思いますけれども、それについての御報告、具体的な施策への明記をお願いしたい、としております。
長くなりましたけれども、以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
多岐にわたりますので、すぐにというのは難しいかもしれませんが、内容的にはこれまでいろいろ議論してきた点を集約した形になっております。何か御意見のある方は、発言をお願いいたします。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 まず、中身に入る前にこれの性格ですけれども、名宛人は誰になるのかということと、消費者委員会としか書いてありませんけれども、消費者委員会委員長名での公文書という形になるのでしょうか。事務局、どうですか。

○原事務局長 消費者委員会の公文書です。名宛人は、消費者基本計画を担当しておられる消費者庁、それから、省略しましたけれども、括弧書きのそれぞれの施策をお願いしたいという省庁のところにも送ります。

○細川委員 何でこういう質問をするかというと、前に委員打合せの中で議論があったときに、例えば、建議を出して建議の回答が不十分として、私のほうとして納得しないというときに、再建議してはどうかと言ったときに、事務局は、建議というのは強制力がないのだから、再建議をやるよりも基本計画の中にちゃんと盛り込ませたほうがエンフォースメントが強いんだという発言があって、私は唖然としたのですけれども、考えてみれば、これだって意見なわけですね。ここに書いてあることが確かに基本計画に盛り込まれれば、建議よりもいいかなと思います。
ただ、そうなると、建議なんかしないで基本計画にどんどん盛り込ませたほうがいいのではないかと思います。そこの議論はまたほかですべきだと思いますけれども、意見として書いてあることを聞くか聞かないかは政府あるいは省庁なわけで、これを出して終わりではなく、これは本当に重要なことがいっぱい書いてある。特に今の文脈で言うと、6番のエステ・美容医療サービスは、建議で出したけれども、厚労省の対応が不十分だから、再建議といったときに、再建議よりも基本計画に盛り込ませたほうがいいですということで、私も承諾したわけです。確かに書いてあることは私は相談を受けて、この内容はいいと思いますけれども、ただ、政府あるいは厚労省がこれを盛り込んでくれなければ意味がないわけで、そこをどうするかというと、あくまでもこれは意見なわけです。
今、条文を見たら、消費者基本法上は、消費者政策会議は消費者委員会の意見を聞かなければならないという位置づけになっているので、名宛人は、各省庁というより、消費者政策会議、あるいは、消費者政策会議ということは長たる内閣総理大臣になるのではないかと思います。その辺、どういうふうになるのかわかりませんけれども、これをしっかりやっていただきたいという強いメッセージをもって出すべきだというふうに思います。

○河上委員長 基本的には、消費者庁がその原案をつくって内閣でこれを議論することになるので、まずは消費者庁に出すことになるのでしょうけれども、最終的な計画の見直しについての意見は内閣総理大臣あてでしょうね。

○細川委員 法律では、消費者政策会議でやる。そのために消費者委員会に意見を聞くという、そういう建付けになっています。

○河上委員長 政策会議の議長は総理大臣ですから、総理大臣宛てに出すことになるのだろうと思います。ただ、実際には政策会議の中で計画の内容を詰めるのは、各関係担当大臣でして、これを入れてほしいとか、そこはこう変えてほしいという話になりますので、現段階では各省庁に対してもこれを出して、委員会としての意見が反映されるように働きかけるということになりますかね。
どうぞ。

○細川委員 そうなると、そういうときに交渉する場に我々はいられないわけですね。結局、消費者庁と各省庁で頑張ってもらうしかないわけだから。

○原事務局長 12月に各省庁を呼びまして、私たちが大事だと思うものをヒアリングして、今回、意見をつくって、これを、各省庁がつくる次の改定計画案に反映してくださいという形で出しているわけです。反映したかどうかというのは、私たちはまた5月に各省庁を呼んでヒアリングをするので、その場で、そこに同席している消費者委員がやるということになります。

○細川委員 それは交渉の場と理解していいですか。

○原事務局長 そうです。

○細川委員 単なる報告を受けるのではなくて、そこでまた不十分なら、納得いかないと。そういう解釈でいいですか。

○原事務局長 そうです。事前の意見を出しているということです。

○河上委員長 1ページの最後のところに、「当委員会においては、今後、政府がまとめる改定案について、重点施策を中心に再度ヒアリングを行い」とあって、その上で計画案の中にこの意見がうまく反映されているかを検証し、さらに意見表明を行う予定と書いてありますように、大体のステップとしては、今、話が出たような形になるかと思います。
その上で、何か御意見がございましたらお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。

○山口委員長代理 本当に重大な事項ばかりなので、これが各関係省庁の施策に盛り込まれるように我々も努力したいし、消費者庁も頑張ってもらいたいところです。前回、委員会間協議の中で少し話が出ましたが、これは事務局に聞くのがいいかどうかよくわからないですが、どうも消費者庁の御意向としては、この2、3年は、百七十項目余りの各項目ごとの担当省庁の回答等が電話帳みたいに分厚い冊子にとじられて、それが閣議決定まで経ています。各担当省庁の各項目についての認識、これをここまでやった、今後こうするというようなことを各項目について書き込んだ冊子がつくられていたのです。それを今年度からつくるのをやめて、消費者白書に取りまとめて簡略化して盛り込むような話がありました。委員の中からは、あれは貴重なものだから、そういうことではまずいのではないかという意見もあったのですが、その辺はどうなったか、お聞かせいただければと思います。

○原事務局長 一応、私もその発言をしたのですけれども、消費者委員会としては、それぞれの施策についてまた検証・評価をするという作業があるものですから、具体的に各省庁がその施策についてどういう取組みをされたかというのは、明示されたものがあるほうが委員会としての作業ができるということです。
ただ、消費者庁の方々ともお話はしたのですけれども、委員会が話していることは重々よく御理解されていて、消費者白書と今回の基本計画のそれぞれの施策と重複をなくして、うまく切り分けてわかるような形にしたいということの努力と言うのでしょうか、それはおやりになるということですので、白書にどういう記載のされ方をし、こちらの基本計画がどういうふうになるのかというのは、また御相談もしながら、御意見も聞きながらという形になっていくかと思います。

○小田審議官 基本計画はあくまでも基本計画の冊子です。それと別冊のような格好になっていたものに記載されていたものは、できるだけ消費者白書に一元化したい。同じような内容のものを2冊つくる必要はないので、そういった事務の重複はしない。それをできるだけ消費者白書のほうに落としていきたい、こういうことと聞いています。

○山口委員長代理 それが、各項目が省略されて、達成度合いが、事務局長がおっしゃったように、ほかの人たちがチェックしにくいようなものになったらやはり問題だと思いますので、その辺は是非、消費者庁と詰めていただきたいと思います。

○原事務局長 はい。

○河上委員長 それでは、具体的な内容を「記」で書いてある部分については、この意見案でよろしいですか。

(「はい」と声あり)

○河上委員長 では、皆様の御理解をいただいたということで、「案」を取りまして、差し当たり、消費者庁長官と関係省庁宛てに提出することにいたしたいと思います。どうもありがとうございました。

≪5.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題「その他」ですけれども、新開発食品調査部会から、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条第2項の規定に基づき、審議結果の報告をいただきたいと思います。
田島部会長、よろしくお願いいたします。

○田島委員 それでは、「特定保健用食品の表示許可にかかわる答申」について、私から御報告いたします。資料4に答申書が用意してございます。
平成24年12月19日に開催した第11回「新開発食品調査部会」の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、平成25年度2月19日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。
内閣総理大臣より諮問を受けて、今回の部会において安全性及び効果について審議を行った結果、4品目について指摘事項を確認の上、了承するとされ、申請者からの回答を確認し、特定保健用食品として認めることとして差し支えないこととされました。資料の2枚目をごらんください。資料2枚目に、答申を行った4品目の一覧表を添付しております。
私からの報告は以上になります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

○山口委員長代理 ちょっとよろしいですか。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 委員間協議で少し議論をしたところではありますが、この「まめちから大豆ペプチドしょうゆ」というのが、大豆ペプチドを含んでいて血圧が気になる方に適した食品だということで、特保としての審査で、いいのではないかということになったようです。醤油自体は本質的に塩分を含んでいるので、摂りすぎると血圧にいいはずはないのですけれども、この間、ガバガバ食べてもこれさえ飲んでいれば太らないと言わんばかりの特保が宣伝されています。これを認めた後、この醤油だったら幾ら使っても血圧は大丈夫と、そんな宣伝がされないかと心配なのですが、その辺の配慮は認定した後はどうなるのか。その辺を御説明いただければと思います。

○田島委員 私から御報告いたします。平成25年2月19日付で答申を行って、翌日の2月20日に消費者委員会の担当事務官が、事業者、すなわちキッコーマン食品株式会社に赴きまして、私の名前の書簡を手渡しております。その書簡の内容は、委員長代理がおっしゃられたとおり、多量摂取すると高血圧を誘引するので、そのようなことがないように広告宣伝については十分に配慮をもって行っていただきたい、そういった内容でございます。私名でもって書簡を手交したということでございます。

○河上委員長 今後、それをフォローアップするようなことはありますか。

○小田審議官 それはないです。権限外です。

○河上委員長 何かこれは変だなというときには何かできますか。

○小田審議官 広告宣伝ですから、それは権限外です。

○河上委員長 もう一つ、その広告宣伝の在り方について問題にするのだったら、するということですかね。

○小田審議官 それは一般的な広告宣伝の話で、この商品がどうのこうのという話ではなく、要するに、いろいろな商品の広告宣伝の在り方の話です。

○山口委員長代理 著しく誤認とかそういうことであれば、消費者庁の景表法なり健康増進法に基づく行政処分ということになるわけですね。

○小田審議官 食品ですから、食品として扱われるということです。別に特保だからどうのという話ではないです。

○山口委員長代理 ただ、消費者庁認可といって麗々しく宣伝されるということがないように、今の田島部会長の意向がメーカーにどういう形でこれから浸透されるのか、見守る必要があると私は思います。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 個別なものには権限がないということでしょうけれども、そういった特保で出されたものに対しての広告のやり方に問題があれば、それは、特保制度の中で広告規制のようなものを盛り込むように、例えば建議をするとか、そういうことは十分考えられますね。前も発言しましたけれども、特保のマークを、承認したという事実としての表示ではなく、広告に使っているのが最近は多いわけです。
例えばすごく誇大めな文言を入れて、その横にわざと消費者庁認定のマークだけを取り出して、大きくネット上で表示していて、いかにも誇大気味な広告の内容を消費者庁が認めたかのようなイメージを消費者に与えている。そのようなものも少し目立っているので、承認マークの使い方の在り方とか、そういったものが目に余るようだったら、規制の在り方とか、個別のものということではなく、そういうものを消費者委員会で議論をするのは全く構わないし、やるべきではないかなというふうに私は感じています。

○河上委員長 実際にまたそういう問題が起きたということになりましたら、食品部会の部会長とも相談して対応したいと思います。どうもありがとうございました。
最後に、消費者契約法に関する調査作業チームの第13回会合が1月28日に開催されましたので、その議事内容のポイントをまとめた議事要旨について、報告させていただきます。資料5です。
13回では、いわゆる一般条項として、事業者が消費者契約の中で使う不当勧誘行為や不当条項を無効にする、受け皿的な条項の創設が必要ではないかということで議論をさせていただいて、その論点が挙がっております。
ミニ一般条項というのは、民法には、90条という公序良俗違反で契約全体を無効にするというものが旧来からあって、それで契約自由の一番外側にある、言ってみれば土俵を画している概念ということですけれども、それをそのまま使うのではなく、消費者契約のために特化した一般条項が要るのではないか。つまり、契約の締結過程であったり、契約の内容などのいろいろな問題のある要素を取り上げて、その要素から、この消費者契約については全体として無効としたほうがいい、今までは定型的なものについて、消費者契約法で取消権を付与するとか、条項を無効にするとやっていたのですけれども、それ以外の要素をくみ取れるような一般条項が要らないか、という話であります。
民法改正の中でも、実は暴利行為について少し条文の書きぶりを改めて、相手方の無知や窮迫に乗じて不当な利益を得ようとしている、そういうものについて暴利行為として条文を立ててはどうかという議論があるわけですけれども、その現代型暴利行為論というものを参考にしながら、消費者契約法の趣旨に沿った形で要件だてはできないかという議論であります。ただ、どういうものがそれに当てはまるかということについて、さらに要素を精査する必要があります。
それから、消費者契約の締結過程における勧誘の不当性の要素として、現在は威迫・困惑型と誤認惹起型とありまして、それ以外にも、例えば相手方の能力や状況についての不適合といったもの、最近では、適合性原則とか不招請勧誘といった問題が話題になっていますけれども、そういう不当性の要素について更に検討すべきことがあるのではないかということで、従来なかった部分にさらに一般条項的に用意すべきではないか。特に価格とか、価格の関連条項といったものについては、従来は介入しないのが原則のように言われていたけれども、そういうものについても、ミニ一般条項の対象として介入できるようにしてはどうか。このような条文を用意することで、特に、高齢者が過量販売で被害を受けるといったものについても、ある程度手当が可能になるのではないかといった議論がなされました。
いろいろ議論の細かい点はたくさんございますけれども、技術的な点も含めて、また文章で読んでいただければと思います。
以上であります。
本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございます。

≪6.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について、説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、ありがとうございます。
次回の委員会は、3月12日を予定しておりますが、委員会の開催に先駆けて、16時から17時まで関連団体との意見交換会を予定しております。次回は経団連と消費者関連専門家会議にお願いしております。その後、17時より委員会を開催いたしますけれども、議題等につきましては、改めてホームページ等を通じてお知らせします。
また、今週末、3月2日に「第7回地方消費者委員会」を山形県の米沢で開催いたします。テーマは「食品表示の在り方について」ということで、これもホームページに掲載しておりますので、御参加をお待ちしております。
以上です。

○河上委員長 山形委員会では、田島委員からも基調講演をいただくということで、興味のある方は奮って御参加いただければと思います。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。

(以上)