第110回 消費者委員会 議事録

日時

2013年1月15日(火)16:00~17:56

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 森内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、松元内閣府事務次官
【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  神宮司 審議官
山下 取引対策課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.森内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)挨拶・懇談
3.特定商取引法について
○説明者: 消費者庁  神宮司 審議官
山下 取引対策課長
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 消費者委員会の当面の主要課題(PDF形式:84KB)
【資料2】 消費者委員会の建議・提言等の概要と主な成果(PDF形式:243KB)
【資料3】 消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(PDF形式:67KB)
【資料4】 第12回消費者契約法に関する調査作業チーム会合議事要旨(PDF形式:183KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:63KB)
【追加資料】 特定商取引に関する法律施行令の一部改正について(答申)(案)(PDF形式:102KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第110回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、小幡委員が欠席、夏目委員が30~40分遅刻ということでございます。
本日は、新内閣が発足いたしまして、年が明けてから最初の委員会ということもございまして、森まさこ内閣府特命担当大臣にお越しいただいております。
開会にあたり、大臣より御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.森内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)挨拶・懇談≫

○森大臣 このたびの安倍内閣の発足にあたり、消費者担当大臣を拝命いたしました森まさこでございます。消費者委員会の開会にあたり、一言、御挨拶をさせていただきたいと思います。
消費者行政に対しては、組閣に際し安倍総理から、消費者庁・消費者委員会の発足当時の理念に立ち返って、消費者の安全・安心を守る、そういった行政機能の強化を図るとともに、自立した消費者の育成、この環境づくりに取り組むこと、という指示があったところでございます。安倍内閣は「日本経済の再生」を掲げておりますが、日本経済再生のカギを握る消費の拡大に向けては、消費者が安心して消費できる環境を整備することが必要不可欠であります。経済成長の強化と消費者行政を車の両輪として進めていくことが重要であり、消費者庁及び消費者委員会が設立された当時の理念に立ち返って、しっかりと取り組んでまいります。
また、こうした観点から言えば、消費者行政における喫緊の課題は、放射能からの食品の安全の確保と消費者とのリスクコミュニケーション、被災地の復興にも資する風評被害対策、そして、地方消費者行政の活性化であると言えます。特にリスクコミュニケーションについては、私が入閣当日、官邸において安倍総理から指示書として文書化して渡されたところでございます。
以上のことを含め、消費者行政が直面する諸課題に適切に対処していくためには、消費者委員会がさまざまな消費者問題について積極的に調査審議を行い、政府の消費者行政全般に対して建議や発言を行っていただくことが重要です。消費者委員会には、このような機能を最大限に発揮していただき、消費者委員会、消費者庁、そして国民生活センターが密接に連携していくことが重要だと考えております。
消費者問題を所管する特命担当大臣として、このような体制がしっかりと構築できますように取り組んでまいりますので、委員の皆様におかれましては、御支援、御協力を賜りますようによろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。身を引き締めて頑張りたいと思います。
大臣におかれましては、この後しばらくの間、委員との懇談にも御参加いただけるということでございますので、よろしくお願いいたします。
また、本日は、内閣府の松元事務次官にも御出席いただいておりますので、御挨拶をいただければと思います。

○松元事務次官 内閣府の事務次官の松元でございます。
森内閣府特命担当大臣のもと、消費者委員会を事務方としてしっかりお支えしてまいりたいと考えております。委員の皆様方には、どうぞよろしくお願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の下に一覧を載せております。
資料1といたしまして、「消費者委員会の当面の主要課題」ということで、後ほど説明させていただいた上で、大臣との懇談をさせていただければと思います。
資料2といたしまして、「消費者委員会の建議・提言等の概要と主な成果」ということで、立ち上げ時から今までの建議・提言の概要、主な成果を掲載しております。これも審議の参考にしていただければと思います。
資料3といたしまして、昨年10月から12月の間に消費者委員会に寄せられた、要望書・意見書・声明文等の一覧を掲載したものをお配りしております。
資料4といたしまして、「第12回消費者契約法に関する調査作業チーム会合」、12月3日に開催したものについて議事要旨を公表しております。
参考資料といたしまして、この間、1月8日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をお配りしております。
資料については以上になります。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 それでは、議題に入ります。
初めに、森大臣と消費者委員会委員との懇談を行いたいと思います。
まず、消費者委員会における当面の主要課題等について、事務局から紹介させていただいて、その後、森大臣と委員との間で自由に懇談を行いたいと思います。
原事務局長からお願いします。

○原事務局長資料1ですが、消費者委員会における当面の主要課題をお手元にお配りしております。当面と書いておりますけれども、春先くらいまでを目途にということで、現在、委員会が取り組んでいます事柄です。
1に「建議・提言等」ということで、1つ目は、健康食品の表示等の在り方に関する建議の取りまとめを1月末を予定しておりますけれども、消費者が正しい情報や理解をもとに健康食品を適切に利用できる環境を整備するため、健康食品の表示・広告の適正化、安全性の確保、消費者理解の促進等を図るための方策について、意見表明を行う予定ということで、これは第1次の委員会から継続して取り組んでいる課題です。
2つ目は、詐欺的投資勧誘対策に関する建議の検討ということで、年度内の取りまとめを予定しております。高齢者をねらった詐欺的投資勧誘による消費者被害が大変な増加を見せておりまして、関係法令の執行力の強化ももちろんですし、例えば口座ですとか、ネット関連のツール規制、消費者への注意喚起の在り方について検討を重ねておりまして、これも年度内に意見表明を行う予定としております。
その他の関心事項のところですが、情報通信分野における個人情報保護の在り方についてということで、情報通信分野は進展が著しいですけれども、そこの課題についての検討を深めてまいりたいと思います。
建議・提言等につきましてはフォローアップも適宜行っておりまして、美容医療・エステ、住宅リフォームについての建議については、この間、フォローアップを行っていきたいと考えております。
2番目に「下部組織等における検討」を書いております。1つ目は新開発食品表示部会、これはいわゆるトクホと呼ばれているものですけれども、その表示許可や、食品表示部会では、食品等の表示基準等について、今、栄養表示基準の在り方について検討を重ねておりますけれども、消費者庁からの諮問に応じて調査審議を行っています。
2つ目は、消費者安全専門調査会の報告書の取りまとめを1月末に予定しています。消費者事故の未然防止のための方策、リコール情報を含む注意喚起の徹底ですが、消費者の手元に注意喚起情報が届いていないために起きている事故も相当数ございます。是非、これを防ぐ、再発防止について何らかの方策が考えられないかということで、この半年余り、検討を重ねております。それについて報告書を取りまとめ、2月に委員会としての意見を表明したいと思っております。
3つ目は、公共料金等専門調査会における調査審議ということで、これについては第2次消費者委員会は大変関心を強めておりまして、昨年2月に、横断的な課題として、情報公開や消費者参画の在り方等、分野横断的な課題について建議をしております。個別の公共料金といたしましては、昨年夏前に東京電力の値上げ問題がございましたが、東京電力の値上げ問題、それから、12月に専門調査会を立ち上げて、現在、関西電力と九州電力の値上げ問題について検討を開始しています。
4つ目は、消費者契約法に関する調査作業チームにおける検討を掲げております。今、法務省で民法改正の作業が進んでいますけれども、その中で、消費者契約、消費者取引に係る分野についてどのように考えるのかということも大きな課題として挙げられております。並行して、消費者契約法についてもどう考えるかということの検討が必要ということで、論点整理を一昨年の12月から1年余り、ワーキングチームで検討を重ねています。これについては2月2日に、中間的な論点整理になりますけれども、シンポジウムを開催したいと考えております。
「その他の関心事項」として、地方消費者行政については、第1次消費者委員会、第2次消費者委員会でも7月に建議を提出したところですけれども、新たに専門調査会を立ち上げて、さらに深めていくべき課題について検討を重ねていきたいと思っております。
「3.消費者基本計画の検証・評価・監視」ということで、消費者基本計画を平成22年度に5年間の計画ということで定めていますけれども、171の施策のうち、重要施策について関係省庁に対してヒアリングを実施しています。年末と春とを考えていますけれども、ヒアリングを実施した結果、基本計画の改定に向けた意見表明を実施するということで、これは消費者庁と連携して取り組んでいる課題になります。
「4.地方・関係団体との連携」ということで、地方消費者委員会の開催を熱心に取り組んでおりまして、昨年1月に宮城で開催したのを皮切りに昨年は6回開催しています。ことしは3月2日に米沢で、食品表示をテーマに開催したいということで、消費者委員が地方に出向いて皆様の意見をお聞きするということを実施しております。
消費者団体等関係団体との意見交換会の開催も、半期に1回、10団体程度ということで、これについては次は2月、3月に実施したいと考え、予定しております。
事務局からの説明は以上です。足りない点がありましたら、委員からも補足をいただきながら懇談をしていただければと思います。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
主要課題だけでもいろいろあるということで、なかなかまとまりませんけれども、時間的にも限られております。4時半くらいを目途にして自由に懇談をさせていただきたいと思います。
今の事務局の発言を受けて、せっかく森大臣もいらっしゃることですから、委員から発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 消費者庁・消費者委員会が設置された目的といいますか、大きな契機となったのは、消費者の被害を消費者に戻すといいますか、行政なり訴訟制度で消費者の被害を効率的に被害者に還付する、この制度の確立が大きな目標の一つだったと思いますが、これがまだ形になっておりません。訴訟制度につきましては、幸いにも消費者庁のほうで法案化の準備はしていますが、まだ法制局との調整が済んでいないということで、国会上程がことしの3月に間に合うのかどうかという、非常に心配される状況もございます。是非ここは大臣のお力で、国会上程まで、あるいは採択まで実現をしていただきたいと思います。
もう一つ、私は驚いていますのは、行政的な手法による課徴金の制度です。例えば景表法違反の事業者に対して、やり得を許さないという視点で課徴金を課す、あるいは、これは実際はなかなか難しいのかもしれませんが、行政が、加害事業者が貯め込んだ被害者からとったお金を保全して、効率的にこれを被害者に還付する、そういう仕組みについて、これは第2クール、3クールまで審議会的な委員会が消費者庁で開かれまして、大変優秀な先生方が会議を重ねておられるのですが、「何をやっているんだ」と歯がゆいばかりの議論が延々と続いております。
これは是非、大臣から檄を飛ばしていただいて、せめて景表法違反に経済的な不利益を課するぐらいの制度はさっさとつくりなさいということで、道筋をつくっていただきたい。これがちっとも形として出きておりません。これは消費者委員会の課題とは直接関係ありませんが、消費者庁の活動を見ておりまして、ここのところは消費者担当大臣として是非お願いしたいところであります。

○森大臣 今の山口委員長代理の御要望にしっかりと応えてまいりたいと思います。私、弁護士1年生のときから目標にしておりました弁護士の中の消費者弁護士、山口先生でございます。この犯罪被害者救済制度は、アメリカではディスゴージメントという制度で入っておりまして、私もニューヨーク大学に留学したときにこの制度の研究をしてまいりましたので、これについて検討をしっかりと進めてほしいということは、就任当初から事務方に申し入れているところでございます。今国会で、政権が交代したばかりで大きな課題が多くありますので、難しい中ではございますが、果敢に挑戦してまいりたいと思います。また、景表法についても、類似の問題ではございますけれども、一つずつ前進はしてきていると思います。
話題が飛びますが、振り込め詐欺の被害者の被害金は、銀行に振り込むわけですから、銀行の中にプールされていて、加害者が引き出す前に銀行に多額の被害額があったということがあります。私が金融庁にいるときですけれども、大きな制度の前に、これについては裁判をしても加害者が不明でございますので、取り返せないという壁がありましたけれども、これも一つひとつ解決をしてきたという歴史がございますので、景表法についても、一つひとつ解決をしていきたいと思います。
大きく言えば、消費者庁と消費者委員会ができたときの構造の問題にさかのぼってしまうと思います。消費者委員会としては、消費者庁のやっているのがとてもゆっくりだな、遅いなという不満が出てきて、それをまたマスコミの方々が聞くと、遅いというふうに報道し、国民からも不満が来るということのサイクルの繰り返しになってしまいます。最初に設立したときに、私は当時、自民党の議員として、消費者庁と消費者委員会は分けるべきではないと。そのようにゆっくりのスピードになってしまうので、これは諸外国の失敗例を踏まえて、最初から一緒にすべきだということを申し上げていたのですが、当時の民主党さんのここは分けるべきだという意見を取り入れて、分けたわけです。
ただ、分けることについてはそれなりのメリットもあるわけです。省庁から独立して国民の意見を客観的に具申する、そういういい面もあるわけですから、そこのいい面を生かしつつ、デメリットとして指摘されるような時間差というものをいかに埋めていくか。これは私が就任して、一つ、自分に課している大きな課題でございますので、ここをなるべくスピード速くするように頑張ってまいりたいと思います。予算編成の中で人員も少ない中で、小さく産んで大きく育てようと思って始まった消費者庁が、小さく産んで小さいままですので、ここも職員の数の増員なども頑張りながら、スピードアップに努めてまいりたいと思います。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 大臣には、今のお話にありましたように、消費者庁をつくるときには本当に御活躍で、ありがたく思っております。ちょっと思いが違ったのかもしれませんけれども、もう一つ、消費者委員会、消費者庁、そして国民生活センターの問題があります。それが、事業仕分けに引っかかったかどうかわかりませんけれども、消費者委員会の大反対にもかかわらず、一応こういう形に今はなっております。大臣の初めの就任なさったときの御挨拶にも、国センをどうするか、改めて見直すとおっしゃっていて、少し後ろ延ばしにされたようですけれども、ここの関係をどういうふうに考えていらっしゃるか、お話を伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○森大臣 ありがとうございます。今、挨拶でも、消費者庁、消費者委員会、そして国民生活センターの密接な連携というふうに申し上げました。私は閣議後、記者会見を火・金、火・金とやって、そのたびに毎回これを言っているのですけれども、きょうは朝の会見では、さらに国民生活センターの今まで果たしてきた役割は重要であったということまでつけ加えました。行政刷新会議、いわゆる事業仕分けで、国民生活センターは独法だから、これはなくすべきだという議論があったわけですが、短い時間でそのような結論が出てしまいました。
そもそも論から考えていくと、独法がなぜ悪と言われたのかというのは、天下りの問題や渡りの問題、退職金の問題ということだと思います。ところが、国民生活センターの場合にはそういった問題がほとんどない。現在はゼロでございます。ですから、その問題がない。そもそも独法が悪だと言われているデメリットがない。一方で、消費者の安全・安心に対する貢献度が高い。これがなくなったときのリスクが大きいことを考えますと、やはり国民生活センターの果たしてきた役割を今後も継続していくことが重要ではないかと思っています。
今後、どのような形でその機能を継続していくか。単に国民生活センターをそのまま独法として残すのがいいのか、それともそれ以外の方法があるのかということを、消費者委員会の皆様方の御意見も聞きながら、私は1年間、時間をいただきましたので、1年の中でじっくりと検討して、必ず答えを出したいと思っています。1年検討してまた先送りということはしたくないと思っておりますので、決断をするときにはきちんと決断していく。今、国の財政が非常に厳しい中で、節約をしていくことはもちろん重要です。そういったことも考えながら、節約をしながらどれだけ国民生活センターの機能を生かし、そして、国から独立していたからこそ振ることができた、さまざまな権能を生かしながらやっていく道を皆さんと一緒に探っていきたいと思っています。

○河上委員長 なかなか難しい問題です。

○森大臣 難しい問題ですね。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 先ほど大臣の御挨拶にあったように、適正な消費者保護というのはむしろ経済発展に必要なものであって、消費者が信用できる市場を維持することが、結果として、消費者が安心して物を買い、豊かな生活、そして事業者ももうかるというウィン・ウィンの関係になるのに、どうも今までの自民党政権は、消費者保護というのは足を引っ張る政策だと。経済発展に足を引っ張る、そのようなイメージで見ていた部分が多かったと思います。だからこそ福田総理がそうではないということをおっしゃって、そこで森大臣のサポートもあって、消費者庁・消費者委員会ができたわけです。
ただ、今でもそういう考えは少なく、消費者委員会でいろいろ建議をしても、事業者との調整とか、そこでハーモニーを大事にするような形で、とにかく事業者からクレームとかパブリックコメントで意見が出ると、それに振られてしまって、時期尚早だとかいうことでなかなかそれに対応できないということは、いまだに変わっていないような感じがします。適切な消費者保護は健全な市場のためには有益なんだという信念を、もちろん森大臣はおわかりだと思いますので、総理、あるいは経産大臣とか、各大臣にもそういうことを認識していただいて、消費者の権利を守ることがいかに有益なのかというところを、是非、閣議などの席でも訴えていただきたいと思います。

○森大臣 ありがとうございます。そのとおりでございまして、私が枕にして寝ている竹内教授の本にしっかりと書いてあります。これは古くて新しい議論ですが、消費者問題というのは経済発展と車の両輪である。そして、決して消費者が善玉で業者が悪玉ではなく、消費者にも善玉も悪玉もあり、事業者にも善玉も悪玉もあると、その本に書いてあります。私も1年生弁護士のときからしっかりとそれを勉強してまいりましたが、その理念をしっかり現場に落とし込んでいくことが大事ですので、そのために頑張ってまいりたい。
まず一つは、このたび、安倍内閣が発表いたしました緊急経済対策、その中にもその理念をしっかりと入れていただいたと思っております。そのために私も閣議でも発言し、入れ込んでいただきました。そもそも、常日ごろこういう発言をしている私を消費者担当大臣に選んだのは総理ですから、総理もしっかり理解していただいていると私は思っています。今まで、そういった理念の説明なり、国民への理解を求める姿勢に国側も欠けていたのではないかと思います。消費者問題というのは一体どういうものなのか、経済発展のために大事なんだということを、今回、私もチームをつくりましたので、消費者とのリスクコミュニケーションという形をとって、消費者の皆様にも、そして経済界、事業者の皆様にもしっかり理解をしていただくことです。
私が大臣に就任しまして、経済界の方にお会いすると、みんな本当に心配をしています。ですから、私はいつも説明をするのですが、サッカーの試合でイエローカード、レッドカードを出すような事業活動をした者には、一たん退場してもらったり休んでいただいて、そしてまた、適正なスポーツマンシップにのっとった取引ができるようになったら戻ってもらいます。そのことが、真面目にお仕事をしている事業者を守ることになるんですよ。レッドカードを出されるような事業者がこのグラウンドの中にいれば、そちらのほうにばかり利益が集中したり、またはそれで消費者が泣いたりして、真面目な事業者の評判まで落としてしまうということを説明していますが、こういったことを国民の皆様に御理解をしていただく活動もしたいと思います。
ですから、報道の方にも、毎回、私は会見で説明をくどいぐらいしていますけれども、例えば新聞の紙面を見たときに、一体消費者側なのか、事業者側なのかという見出しで出ていますが、それは違うのであって、消費者側であるということは事業者側でもあり、善玉の両者にとっていい政策だということを、是非、理解をしていただきたいと思います。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
まだ消費者委員会としては随分いろいろ課題を抱えていまして、消費者契約法も2次の委員会では必ず何とか形をつくりたいと思っております。ほかにもこれからやるべきことはたくさんございます。大臣のお力添えをいただいて、我々の考えているものを、できるだけ消費者の利益になるように行政でも支えていただければありがたいと思います。
残念ですけれども、予定していた時間が来てしまいました。大臣におかれましては、この後、御公務がおありということですので、ここで退席となります。お忙しいところ、まことにありがとうございました。

○森大臣 ありがとうございました。また是非、こういう懇談の機会を設けていただきたいと思います。よろしくお願いします。

(森大臣・松元事務次官退出)

≪3.特定商取引法について≫

○河上委員長 続きまして、「特定商取引法について」であります。
消費者庁にお越しいただたいております。お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
特定商取引法の問題に関しましては、先般、内閣総理大臣から消費者委員会に対して行われた諮問を受けまして、昨年の12月25日の第109回委員会で、消費者庁から政令案の内容について御説明をいただき、議論を行ったところであります。
本日は、その際における議論などを踏まえて、委員会としての答申を取りまとめたいと考えております。取りまとめのための議論を行う前に、消費者庁が、本件について、昨年12月から今月の7日にかけてパブリックコメントを行ったということですので、まずはその結果について御説明をいただき、意見交換を行いたいと考えます。
それでは、説明をお願いいたします。
なお、説明時間は、恐縮ですが、10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁神宮司審議官 今、委員長から御紹介がありましたように、昨年の12月7日から本年の1月7日にかけて、特商法の政令案について、行政手続法上の正式な意見募集という形でのパブリックコメントを求めてきたところでございます。
極めて簡単で恐縮ですけれども、パブリックコメントとして寄せられたものとしては、団体・個人両方をあわせまして200件を超える御意見をいただいたところでございます。内訳について細かい点は整理中でございますが、政令案に賛同するというものが4割強、適用除外を拡大すべきとするものが2割弱、適用除外を抑制的に考えるべきとするものが約2割でございます。
残りの意見につきましては、法律の枠組み自体に関するものとか、そのほか、今回のパブリックコメントにかけた政令案の内容とは直接関係ないものが、残りを占めているという状況でございました。
10分程度ということでございましたけれども、大変恐縮ですが、現在、まだ整理中というところでございますので、極めて簡単ですが、概要としてはそういう内容でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、改めて、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 政令案の中で大型の電化製品が適用除外になっています。平成13年に施行された家電リサイクル法は、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、テレビなど、比較的大型の家電をリサイクルの対象としています。ことしの4月でしたか、たしか小型家電のリサイクル法が施行されることになるわけですが、いわゆるリサイクル法の大型家電・小型家電という定義と、今回の適用除外の移動可能な云々というあの条項との関係、それから、リサイクル法が施行されることとの関係について、御認識を御説明いただければと思います。

○消費者庁神宮司審議官 これまで確かに説明の便宜上、私は大型の家電という言い方をしてまいりましたけれども、政令で具体的に定める場合には、前回お配りした資料にありましたように、携行が容易なものを除いたものという形で家電の定義は定めるつもりでございます。したがいまして、法令のレベルでは特に大型の家電といった定義の仕方をするわけではございませんので、他法令による用法との関係は直接は関係ないのではないかと思っております。
携行が容易なものというのは、結局のところ、消費者から見て、自分でその店舗に持ち込んでいくことが困難な家電については、訪問購入も一定の有用性を持つサービスであると考えているところから見て、そういう切り方をしているということでございます。被害等の実態から見ましても、仮に、貴金属の押し買い業者が家電製品の買取りにシフトすることがあったとしても、普通の乗用車等で彼らが買取りを行うというときに、その車で持っていくことができるものに恐らく限定されるだろうとも想定しております。両方の観点から見て、携行ということをもって定義をしたいと考えているところでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
基本的に物品に関して幾つか解釈の余地が入ってきますね。携行の容易なものであるとか、骨董品かどうかというように、解釈の余地が入って、あるものが適用除外になっている。結局はそこの余地のあるものについては、事業者は、これは大丈夫なんだという口実をもって消費者のところに押しかけ、強引に持っていってしまうということにならないのかどうか。線引きがはっきりしていれば、そこのところは迷いがないのですけれども、解釈の余地があるものというのは逆に口実を与えて、無理にとっていってしまう方向へ行く危険はないかという辺りが気になるのですが、その辺は何か方策的にはお考えですか。

○消費者庁神宮司審議官 方策というほどのことではございませんけれども、政令ですので、どうしても部分的には不確定概念を使わざるを得ないところもございます。申し上げるまでもないことですけれども、法的安定性と具体的妥当性の衡量ということでございますので、やはり解釈の余地が若干は出てくるものはあろうかと思っております。それらについては、施行にあたって、通達等という形で、具体的にどこまでの範囲のものが当たるのかということについて、少なくとも典型的なものについては明らかにしていきたいと考えております。先ほど申し上げましたような貴金属の押し買い業者が行っていた勧誘の実態から見れば、解釈の部分で脱法になるような可能性はそれほど大きくないのではないかと考えているところでございます。

○河上委員長 よろしいですか。

○山口委員長代理 本当に御苦労の上での政令案だと思いますけれども、どうしても納得がしにくいのが、実際に消費者の利益を損なうおそれがないと認められる類型について適用除外とされていると思いますが、中古自動車につきましては、国民生活センターの情報などを見ても、相当程度の押し買いによる被害が現実に発生しているという事実があると思います。前回のお話でも、いわゆる自動車登録制度との関係で適用除外にされるということではありますけれども、自動車登録制度の中でも、押し買いの問題がある場合には、例えばクーリングオフとの対策で考えれば、1~2週間、転売を留保すれば済むことであります。
ここのところの消費者被害の発生の弊害の関係と、流通阻害性と言いますか、業界の流通の問題、あるいは、自動車登録との関係を考えても、ここをあえて適用除外にする必要があるのかどうか。もちろん、消費者庁でもお考えの上でのことだと思いますので、もう一回、どうしてここを適用除外にしても大丈夫なのか。現実に弊害が起こった場合にはどうなさるのか。その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。

○消費者庁神宮司審議官 前回の説明と少し重複するところがあるかもしれませんが、そこはお許しいただきたいと思います。
まず、法律自体で除外する物品を定めるときの要件の書き方として、その部分については、消費者の被害の発生のおそれと、流通が著しく阻害されるおそれについては、「または」という形容詞でつながれています。したがいまして、流通の著しい阻害のおそれがあるということであれば、それはそれで政令での除外の要件を満たします。理由があるということであれば、それを除外することは相当だと思っているということでございます。
その理由としましては、前回の説明の繰り返しになりますけれども、道路運送車両法上の登録制度が持っている公示機能が、特商法の規制が導入されることによって、クーリングオフ制度等によって登録と所有の間に乖離が生じ得るということだとすると、道路運送車両法が持っている登録制度の公示機能を損なうおそれがあるということでございます。
転売をその部分、何日か控えればということは、今、御質問の中にあったかと思いますけれども、物品の流通、転売をクーリングオフ制度を考慮して控えることが、まさに流通に対して阻害を与えることに等しいということになってくる。具体的に言えば、現在のところ、ものによってはクーリングオフ期間内よりも短い期間で相当数の中古自動車が転売されていきますけれども、それが、クーリングオフ制度を考慮して転売を控えることになれば、それが流通の阻害だろうととらえているということでございます。
納得感の部分でお話しいただいたことでございますけれども、今、中古自動車について押し買いという形容詞で御意見があったと思います。その点について申し上げますと、確かに昨年度初めの段階で、国民生活センターから、中古自動車の訪問購入に関してのトラブルが報告されていることは事実でございます。
2つ、御留意いただきたいと思いますのは、当時のトラブルとして報告されていたものの比較的大きなものの一つに、仮にキャンセルした場合には高額な解約料を請求されるというものがございました。これは国民生活センターがトラブルの実態を公表した後、平成24年の6月だったと思いますけれども、実損額を超える解約料を請求することは、業界側の自主的な対応として行わないようにしたと承知しております。したがいまして、去年の年度初めのころの段階と現在とでは、そこは実態の変化があり得るかと思っております。
確かに、例えば多数の事業者から勧誘電話がかかってきて困っているとか、連絡のあったところと契約した後、別の事業者がより高い買取り価格を提示したためすぐ解約しようとしたが、解約を不可と言われたというトラブルは報告されています。そういった勧誘方法の中で、消費者側が強引な勧誘だと考えるような実態もあると認識はしておりますけれども、ただ、貴金属の訪問買取りの被害において見られたものについては、購入業者がいきなり自宅を訪問して、例えば実際に買い取る目的のものとは違うものを買い取る。目的を告げた上で家の中に入って、そもそも売るつもりは全くなかったのに、大事にしていた宝飾品などを持っていかれるという被害が報告されています。
それが押し買いという形容詞をつけて論じられていたと思いますけれども、自動車の被害と貴金属の訪問購入とでは、被害の実態自体は、性質は少なくとも異にしていると考えておりまして、そういったことも今回の政令の検討にあたっては、少し私どもの念頭にあったところではございます。
自動車につきましては、解約料の問題に見られますように、現在、自動車業界のほうで自主的な対応策を検討していると認識しております。そのことについては今後とも注視していき、消費者被害の発生がないように業界が自主的に対応するように、適切に、関係省庁も交えまして対応していきたいと思っております。

○河上委員長 解約料が問題になるということは、結局は解除したい人がいるということですね。それは、不本意ながら契約をしたことを意味しないのですか。

○消費者庁神宮司審議官 実態として、解除したいという消費者が存在したことは確かです。ただ、動機としては、貴金属の訪問買取りのように、本当は必要なものなのに売却させられたというタイプの話というよりは、現在、一括査定のシステムが自動車業界にありますので、消費者のほうが査定のつもりで、買取り業者側、あるいはサイト上、アプローチをする。それを受けて複数の自動車買取り業者が、その消費者に対して勧誘をする。したがって、そこで複数の事業者が勧誘に来るものですから、一度契約したところよりも別の事業者のほうが買取り価格が高かったときに、消費者が解約したいと考えることが解約の動機としては多いものだろうと思っております。

○河上委員長 安定した取引にするためにはむしろ複数の見積りを取って、ここの会社に対して売りたいということになって、消費者が、これを売りたいからお願いしますというふうにすれば、そもそも訪問買取りにもならないわけですね。今の状態ですと、とにかくどれか来て査定をした段階で、そのまま買い取っていくことでトラブルが起きているということは言えるような気はしますが。

○消費者庁神宮司審議官 実態として言えば、査定を消費者側が要求する、それに応じて事業者側が訪問するということになります。そこで事業者側としては、複数回訪問するよりは、その場で話がつけばそこで消費者と契約を獲得したいと思うのは、事業者側の事業活動として特に不合理なわけではないと思います。
もちろん、その段階で別の事業者との間には競争がありますので、より高い提示価格を提示するところがあるかもしれないので、契約に応じなければ済むことだとは思いますけれども、ただ、一方で、競争手段だとは言っても、一たん、消費者としては契約に応ずるという形で最初の事業者が契約を獲得しているわけです。そこの部分をほかの事業者が引っ繰り返すことあり得ることですけれども、ただ、それがクーリングオフという制度によって引っ繰り返すことが保証されているということが、通常の競争の形態においてあるかというと、それはそうではないと思います。
そこは、1回目の訪問のところで消費者をちゃんと説得して契約までこぎつけられるか。あるいは、そこで消費者に留保されてしまうかというのも、競争の在り方としてはあることではあるかと思います。その意味では競争ですから、消費者が、より高い買取り価格を提示したところと契約したいと思うこと自体、おかしいとは思っていません。ただ、そのことが、クーリングオフという制度によって制度的に保証されていなければならないのかということにおいて言えば、それは必ずしもそういうことではないと思います。

○河上委員長 訪問することによって、自分の家や事業所で、そういう形で契約を持っていかれるということの場所的な問題があるからこそ、ほかの訪問販売とかいろいろなところで、実際に契約しているけれども覆す余地を与えているわけです。よく、クーリングオフというのはウォームインだと言いますけれども、よくよく熟慮して契約する機会を保証するのがまさにクーリングオフだということになると、その意味では事業者が、強力に購入を迫るということをむしろやらせないためにも、クーリングオフ制度というのがあったほうがいいのではないかという気もします。
もう一つ、中古車の中でも軽自動車に関して言うと、登録との間でのそごがそんなに出てこないということもあるので、あとは販売システム上の問題だけに限られるとすると、例えば「中古車(軽自動車を除く)」というような書き方をすることができなかったのかという辺りも、まだ腑に落ちていないのですけれども、その辺はいかがですか。

○消費者庁神宮司審議官 軽自動車の取扱いについては、それが道路運送車両法上の登録制度の対象にはなっておりませんので、そこの部分については、軽自動車以外の普通自動車ほど、制度的な部分だけで説明できるものではないことは事実です。
ただ、現在の中古自動車の流通システムでは、オークションを通じて売買がされているという実態が多くございます。軽自動車とそれ以外の四輪の自動車が、そういったオークションを含めた流通のシステムの中では区別なく取引されているという実態がございますので、軽自動車だけを除くことにしますと、一つの流通システムの中に、クーリングオフできる商品とクーリングオフできない商品が混ざってしまうことは、流通システム上の問題が生じることは事実ですので、法律で言うところの流通の著しい阻害という要件には、軽自動車も当てはまっているのではないかと判断したということでございます。

○河上委員長 分ければ済むような気もしますけれども。ほかに何かいかがでしょうか。

○夏目委員 今までの御説明を聞いていても、適用除外になりました大型家電、家具、有価証券、自動車、それぞれがとても難しいのだろうというふうに思います。それをどこまで法律の中に書き込んで、消費者はもちろんのこと、事業者も、例えば家具の中でもこれは除外できる、これは除外できないということを御理解いただくためのプロセスというのは、すごく時間もかかるし、大事かなというふうに思うのです。というのは、今までも委員会の中で議論をしていて、適用除外になる有価証券というのは何を指しているのか。法的な括りでもないし、では、何なのかというような形になるわけです。家具もそうですね。収集品なのか、骨董品なのか。骨董品だったら100年以上たっているとか、そういう括りをするのか、しないのかという、一つひとつが非常に議論のあるところだと思うのです。
もちろん今回の法律の改正が、押し買い規制というところで、消費者被害をなくすために効果を発揮するだろうと期待をしているところですけれども、一方に適用除外でこういった製品を挙げたことによって、委員長発言にもございましたように、逆にそこに事業者が強行に入り込んでくる可能性も、排除できないところを残しているというふうに思います。
ただ、法律はきちんと施行していただくのが一方でとても大切なことだと思いますので、こういった懸念を、消費者側、もしかしたら事業者側も持っているかもしれませんけれども、そういうところの懸念を一掃するような今後の対応と、さらには、政令ができた後に実態をきちんと把握して、消費者被害が発生する可能性が非常に大きい、または新たに発生していることがわかりましたら、やはり法改正をしていく、政令改正をしていくというところを3年を待たずにやっていただきたい、こんなふうに思っております。

○河上委員長 今の点、政令改正についての取組みの姿勢のようなことも、少しお話しいただいたほうがいいのではないかと思います。

○消費者庁神宮司審議官 まず、何を施行後にすべきかということについては、執行担当の審議官として申し上げれば、違反行為に対して厳正に対処することが一番重要なことだと思っております。したがいまして、その部分に関してきちっとした形での行政処分を含めた法執行ができていけば、事業者側に下手に脱法を探すということをさせないようにしていく効果も、期待できるのではないかと思っております。
もちろん、政令でございますので、今、ここで我々が考えているのとは違う実態が出てくる部分があれば、法律の要件に沿って必要な見直しは、法律に比べればできるところはあるかと思います。その場合でも、法律自体に要件が定められておりますので、法律の要件の範囲内での見直しということにはなりますけれども、少なくとも何か問題が入っていった場合には、機動的に見直しのプロセスには入っていきたいと思っております。
他方、法律ということについて言えば、御承知のとおり、平成20年の特商法の改正のときの附則にもございますし、また、今回の訪問購入に係る特商法の改正にも附則で見直し条項が入っております。特商法の改正に関して、将来的な課題として私どもは考えていかなければならないという立場にはございますので、その際には、訪問購入に係る適用除外の在り方についても論点の一つにはなり得るだろうと思っております。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 先ほど、自動車の訪問買取りに現にトラブルがあるという話の中で、実際トラブルが起こったとしても、業界団体の自主規制に委ねるという御説明だったかと思います。業界団体に入らない、小さめのといいますか、そういった事業者がトラブルを起こすことは容易に想定できるのではないかと思います。実態としてそういうことが政令施行後もあるとすれば、先ほど御説明のあった見直しのプロセスに入っていくという理解でよろしいでしょうか。

○消費者庁神宮司審議官 業界団体の場合、自主規制でございますので、アウトサイダーの問題をどうするのかというのは常につきまとう問題でございます。ただ、それは自動車の業界だけに限った話ではなく、自主規制というもの全体の問題ではないかというふうに思っております。自主規制は、予防のため、消費者被害を発生させないようにするためのものでございますので、少なくとも昨年の段階において見られたような形での被害が拡大するということであれば、私どもとして、それについてそのままにするということではございませんで、見直しのプロセスには入っていきたいと思っております。
ただ、先ほど申し上げましたように、政令改正については一応法律上の要件というものがありますので、法律の要件に照らして、ここで除外相当と考えた部分について、実態がどう変化して、それを法律の要件に当てはめたときにどうかという問題であろうと考えております。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 改正法は、貴金属の押し買いの抑止のためには一日も早く執行が必要だと思いますが、いつ施行の予定なのか。そして、今、審議対象になっている政令はいつから施行の予定なのか。仮に、この政令についていろいろな議論の余地があるという場合、政令について中身を詰めるという作業をあと1~2か月延ばすとなると、法律の施行自体はどうなるのか。これは「たられば」の話ですが、法律的にどうなるのかも教えていただければと思います。

○消費者庁神宮司審議官 この法律自体につきましては昨年の8月22日に公布されておりまして、6か月以内に施行しなければならないことになりますので、最終期限は来月、2月21日になります。政令で定める日から施行することになっていますので、施行日を定める政令と施行令自体の改正という形で、政令案を一括で制定していきたいと思っているところでございますので、その意味では、今、時間的には余裕がなくなってきております。
適用除外の内容を定める施行令ではありますけれども、内容的には一部、事業者側の権利義務にかかわる部分も出てきておりますし、適用除外といえども構成要件の一部を構成するものでございまして、その構成要件に定まって罰則は定まるという部分もありますので、一定の周知期間は必要だろうと思っています。その意味では、大変申しわけないのですけれども、政令の公布についてはできるだけ早く行いたいと思っております。それがワンセットで施行ということになりまして、施行令の部分について定まらないまま施行してしまえば、施行時において混乱を来すことになるかと思いますので、その点、御理解をいただければと思っております。

○河上委員長 ということは、施行令が定まらないでも法律は6か月以内で施行してしまうということですか。

○消費者庁神宮司審議官 法律上は、政令で定める日から施行ということになっております。ですから、6か月以内で政令の定める日で施行しなければならないということになりますので、政令で施行日を定めなければ施行できません。法律で定めた施行期限までに政令が定められないことになると、これは重大問題になりますし、恐らく例を見ない問題になるかと思いますので、その意味では、委員長が御指摘になったような形で自動的に施行日が決まるということではございません。政令で定めるということです。施行令に係る政令と施行日を定める政令、これは一括で制定したいと考えているということでございます。
したがいまして、今回のネガティブリストに係る政令の内容を定める話と施行日のことは、私どもとしては一体のものとして考えているということでございます。

○河上委員長 よろしいですか。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
ちなみに、これは訪問買取りですけれども、悪いやつは場合によっては訪問「交換」というのをやるかもしれませんね。何か品物、小さい物を持ってきて交換しましょうと。交換契約をやったときはこれは脱法になるのでしょうか。訪問買取りという構成要件に入らないからといって、外れるのでしょうか。前に、訪問購入という契約類型だけに限定していいのかと、日弁連は有償契約というようなことで言っていたのを、一応、訪問購入だけにとどめましたね。そういうことが起きたとき、そこは特商法の改正に直ちに取り組んでいただくということでしょうか。済みません、政令とは関係ないことですが。

○消費者庁神宮司審議官 次の特商法改正につきましては、平成20年の改正法の附則に基づくという意味で、多岐にわたる検討をしなければならないと思いますので、今はこの訪問購入に関連した部分だけで、何か具体的なことをコミットすることは、お答えとしては差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、一つだけ申し上げますと、例えば、景品表示法あるいは独禁法のように、取引という言葉を使って、購入と販売を包括的に定める法制もあり得ないことではないと思います。それは確かにきれいなことなのですけれども、現実に訪問購入に関して今回の規制の設計をするときに、訪問販売と全く対にすれば、逆に消費者保護に欠ける部分はできてきたわけです。それは、例えば所有権の対抗の規定であるとか、引き渡しの拒絶権であるとか、トラブルの実態に即してやはり訪問購入それ自体の規定であって、訪問販売にはないような規定も定めることが、結局は適切だということになったわけではございます。
確かに、訪問販売と訪問購入が規制の内容としては完全に対になっていないとか、なぜ購入に関する規制は特商法の中で、しかも訪問の部分だけにしかないのかとか、それは言い出せば、きれいでない部分は法制というのはたくさんありますけれども、執行をやっている側から言いますと、法制というのはきれいにしたから使いやすいものかというと、そうではないです。それはむしろ、いろいろな立法事実に基づいてつくられていった法律を、いかに活用していくかということなのです。その意味で言えば、格好を整えてできる限り法律を整合的にしていくほうが執行の面でやりやすいかというと、決してそういうことではない。それは強く申し上げておきます。

○河上委員長 私が申し上げたのは、ずる賢い人というのは、法律の裏をかこう、かこうとしますから、購入がだめなら交換ならいいかというふうに出てくるようなこともあるかもしれないので、ということを申し上げただけでございます。
それでは、長時間にわたり、ありがとうございました。

○消費者庁神宮司審議官 長時間にわたってありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○河上委員長 続きまして、「特定商取引に関する法律施行令の一部改正について」の答申内容について、取りまとめを行いたいと思います。
お手元に追加資料として、「特定商取引に関する法律施行令の一部改正について(答申)」案を配付させていただきました。この答申案は、これまで各委員からいただきました御意見をもとに事務局サイドで文案を作成いたしまして、それを、さらに委員間で所要の調整を行って文章化したものです。
本答申案について、事務局から説明をお願いいたします。

○原事務局長 追加資料でお配りしておりますけれども、答申案について、お示ししたいと思います。本文の部分から、読み上げさせていただきたいと思います。
特定商取引に関する法律施行令の一部改正について(答申案)
平成24年12月14日付け消取引991号で諮問があった特定商取引に関する法律施行令の一部改正については、別紙の理由により、下記の事項を前提として原案のとおりとすることで差し支えない旨、答申します。
記といたしまして、1.政令で定めた訪問購入規制の対象外となる物品や適用除外となる取引態様(以下、「規制対象外物品等」という。)を中心に、訪問購入に係る消費者被害の発生状況についての実態把握を重点的に行い、その結果を定期的に当委員会に報告すること。
2.上記の結果、規制対象外物品等において消費者被害が拡大すると認められる場合には、これを訪問購入規制の適用対象とすることも含め、必要な見直しを機動的に行うこと。
3.政令の施行にあたり、規制対象外物品等の具体的な内容を通達等で明示する際には、売主の立場となった消費者の利益を損なうおそれがあると認められるもの(例えば、家具であっても骨董品としての価値を有するものや有価証券であっても収集品としての価値を有するもの等)については、別途、当該規制の適用対象となる物品等として明確に位置づける等の措置を確実に講じること。
裏面に別紙をつけております。
別紙ですが、「理由」といたしまして、平成24 年8月22 日に公布された特定商取引法の一部を改正する法律については、国会における審議過程において、訪問購入規制の対象範囲を原則として全ての物品に拡大し、訪問購入業者による不招請勧誘を禁止する等の議員修正が行われた。このような経緯に鑑みれば、規制対象外物品等の範囲については、できるだけ限定することが望ましいと考える。
今般、諮問があった政令案に示された規制対象外物品等の範囲を巡っては、平成24年12月25日に開催された第109回消費者委員会での調査審議においても、自動車をはじめとして、売主の立場となった消費者の利益を損なう恐れがある物品等も含まれるのではないかとの懸念が複数の委員より提起されたところである。
しかし同時に、貴金属をはじめとする訪問購入に係る消費者被害を防止するためには、できるだけ速やかに訪問購入規制を実施することも重要である。
これらのことに鑑みて、当委員会としては、政府が前記事項について着実に対応することを前提に、原案のとおりとすることで差し支えない旨、答申するものである。
以上です。読み上げさせていただきました。

○河上委員長 ありがとうございました。
この答申案は、委員間でも随分議論して、メールなどでも御意見をいろいろ出していただいたところですけれども、こういう形で答申を出すことについて、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○山口委員長代理 反対と言いたいところですけれども、先ほど審議官も言われたように、2月21日までに施行ということになると、周知期間や政令の公布のことなどを考えますと、ここで消費者委員会が反対しても恐らく消費者庁は強行されるだろう。そうすると、消費者委員会が反対したという事実はどういう意味が残るのかというようなことをいろいろ考えますと、しぶしぶだけれども、仕方ない。平たく言えば、そういう答申をせざるを得ないのか、それとも正論だけ言っていればいいということですむのか。本当に悩むのですけれども、行政の一環としての消費者委員会であることを考えると仕方がないのかなと思うわけですが、いかがでしょうか、皆さんは。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 今、山口委員長代理がおっしゃったとおりのことでございまして、委員会の中でも議論に時間をかけてさまざまな御意見をいただいて、やっとここまで来たというのが正直なところでございます。先ほど発言させていただきましたように、片方で押し買い規制という新しい法律の枠組みをつくって施行することの意味は大きいと思いますし、だからといって、適用除外を設けていいのかというと、ないほうが法的にはすっきりすると私も思っております。非常に微妙ですけれども、これまでの意見を、答申案の中に事務局が非常に工夫をして盛り込んだ。「別紙の理由により」というふうに、今までの答申案にない形でまとめていただいたところでやむを得ないのかなと、正直なところの感想でございます。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 これも今までさんざん議論して、実は別紙というところが、初めの案では、全く公文書とは別に委員長発言のような形でやるという案も出てきて、それはないだろうと。やはり、答申の中にしっかり我々の懸念するところは入れるべきだろう、そういう議論になって、できれば1枚目に入れるべきだという意見もあったのですけれども、総理大臣に出す文書ということもあって、別紙という形で、公文書の一部という形である意味妥協したというか、その辺もあるのだと思います。そういう意味で、今回は仕方ないのではないかと思います。
考えるべきは、これは消費者庁の人は決して言えないことだと思いますけれども、議員立法の中での議論がちょっと浅かったという部分もあると思います。本来、こういうところが議論した上で国会は当然立法すべきなのに、委任立法の限界というか、そういったものの不備が、今回、露呈したということもあります。もっと言えば、消費者法という概念がかなり広がってきて、消費者がむしろ売り手になるという取引なわけです。厳密に言えばこれは消費者ではないわけだけれども、そういった状況から着目して、消費者保護という中で、しかもその中でのクーリングオフという制度を使うことの問題点もまた出てきたような感じがします。
今、中小企業の経済的弱者の人権とか、そういうものも言われてきて、いわゆる消費者法という概念でとらえられる射程がかなり広がってきた。そこでの被害救済の法理というものを、どう制度設計するかというところの議論をしているところなので、そういうところにもつながってくる、従来の概念と違うような取引形態を特商法で規制するところにも、ちょっと無理が出てきていることもあるかもしれないです。その辺に対して、消費者委員会がどういうスタンスでどういうことをやるかということはわかりませんけれども、これはこれで仕方ないかなと。
ただ、こういった問題がこうやって公に議論されて決まったというところが、今までと違うところなので、先ほど話があったように、例えば中古自動車がこの後に押し買いで被害が多いということであれば、徹底的に我々は、国、政府、あるいは消費者委員会に対して意見を言って、今後、また改善を図るという方向でいいのではないかというふうに感じます。済みません、まとまりないですが。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
正直言うと、私も、十分にはこれでよかったというふうには思えていなくて、消費者庁の政令のつくり方と理由が消費者を納得させるだけのものになったかというと、まだ疑問は払拭できないところがあります。ですが、いつまでも疑問は払拭できないと言い続けて執行を遅らせてしまうことが、肝心の貴金属の押し買いの取締りを遅らせてしまうことになると逆にまずいのではないかという気もあって、山口代理もおっしゃったように、とりあえずはこれでスタートすることもやむを得ない。今後、被害が少しでも芽が出てくるということがあれば、消費者委員会としては、適用除外から排除してもらう方向で速やかに動きたいと思います。
ただいまの皆様の御意見を前提にして、答申案については一応御了解をいただいたということで、「案」をとって、内閣総理大臣宛てに答申をしたいと思います。どうもありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 続きまして、「その他」といたしまして、資料3の消費者委員会に寄せられた要望書等についてということで、時間がだいぶ過ぎてしまいましたけれども、事務局から説明を手短にお願いできればと思います。

○原事務局長 資料3に基づいてですけれども、要望書・意見書について、3か月ごとに取りまとめて公表していこうということでスタートしております。今、お示ししていますのは、昨年10月から12月までのものです。主なものについて若干説明したいと思います。
受付番号63は、全国消費生活相談員協会から、「日本ブライダル振興協会宛て要望書」を参考ということで送ってきていただいております。結婚式場や何かの業務ですけれども、モデル約款にクーリングオフ制度が入っていないということで、クーリングオフ制度の新設などを考えてはどうかという御提案です。
受付番号64は、「民法(債権改正)に関する意見書(その4)-消費者に関する規定部分-」ということで日本弁護士連合会からいただいております。4と書いてありますように、昨年年初めから、課題ごとに、民法(債権改正)に関する意見書を日弁連は出しておられまして、今回は、その中の消費者に関する規定部分についての御意見を提出されておりまして、これも参考で送ってきておられます。
受付番号66は、「Tポイントサービスに関する要望書」ということで薬害オンブズパーソン会議から送ってきておられます。このポイントサービスに参加する企業の中の特に医薬品販売について、個人情報保護との関係で問題があるのではないかということの要望書をいただいております。
受付番号70は、「キャンセルなんでも110番」を日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会が昨年11月10日と11日に実施されています。簡単に取りまとめたものの中で言えることということで送ってきておられるのですが、サイドビジネスや情報商材、互助会や結婚式場などについてトラブルが多い、事業者としてはそういった分野。それから、クレジットカード決済の加盟店管理について、徹底していただけないだろうかということの御要望をいただいております。
ほかは、タイトルを見ていただければ大体内容もわかるかと思いますので、割愛させていただきます。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの点も含めまして、ことしの消費者委員会の活動の基本方針等について、委員の方々から自由に御発言をいただきたいと思います。余り時間はないと申しましたけれども、皆様から一言ずつ、ことしはこういうことをやっていったほうがいいのではないかということについて、何かお考えがあれば、是非、伺わせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 インターネットによる消費者被害というのは増加する一方ですし、インターネットがこれだけ普及し、スマートフォンの使用による問題も含めてさまざまな形で問題が発生していると思います。それについては、消費者庁だけではなく、総務省や経済産業省も合同の対策を検討しなければならない。はっきり言って、消費者庁の手に余る総合的な施策が必要になると思います。その意味では、まさに消費者委員会が舞台を設けて総合的な対策を検討するべきテーマだと思います。ところが、正直言いまして、私も含めて消費者委員会の委員、あるいは事務局の中で、インターネットを我がものとして日常的に使いながら、この問題に触れている人物はなかなかいないというのが現実なわけです。
インターネットの問題は、インターネットの表示内容が詐欺的・欺瞞的、あるいはオーバートークによる勧誘で、実際にそれに応じて契約してみたら話が違っていたというようなトラブルと、それから、消費者団体からの意見の中にもTポイントサービスに関する要望というのがあります。コンビニに行くと、Tポイントをお使いになっていますかと聞かれるわけです。いつ誰が何を買ったかというのは全部、ネットの情報の中に掌握されている。ある事業者は、二百数十億円でこの情報をさまざまな事業者に売っているわけです。これが恐らく、ことし、来年には1,000億円のマーケットになるのではないかと言われている。これはこれで結構な話なわけですけれども、例えばどういう薬品を買ったかということまで事業者が掌握して、消費者のプライバシーが裸になってしまう。そういう問題をやはり消費者委員会の中で取り上げてやるべきではないか。そのためにやはり非常勤の嘱託を何人か採用して、我々の任期は8月ですから、早急にチームを組んでやるべきではないかと思います。

○河上委員長 既にある程度の準備のヒアリングなどはやっているわけですけれども、本格的にIT関連の部分をことしは始めたほうがいいですね。個人情報保護の問題と取引内容の適正化の問題と、両方あるかと思います。全部はできないですけれども、問題点の整理はきちっとやっていったほうがいいという感じはします。
ほかにはいかがですか。
夏目委員。

○夏目委員 ただいま、インターネット問題、個人情報の話が出てまいりましたけれども、一方で、そういったものを消費者の利益、つまり使い勝手のよさだと感じる消費者も現実には多くいることも事実でございます。例えば、何のためにポイントをつけるのかというときに、単に消費者の側からは利益と見られる反面、個人情報を企業が収集して、それを別途の用件に使っていくということも理解できるような消費者の力を伸ばしていく。昨年、消費者教育推進法ができて、これから消費者教育を進めていく実質的な動きになっていくわけですから、消費者の力をもっと上げる消費者教育をするべきだと思います。委員会としても、その面について実効性のある法律にしていくためにも取り組んでいく必要があるのではないか、こんなふうに考えます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。消費者教育も前からのかなり大きなテーマですね。
細川委員。

○細川委員 せっかくの機会なので、やるべきことはありすぎるので、ここで何というよりも、先ほど山口委員長代理もおっしゃったように、我々の任期は8月ですから、もうゴールが見えてきているわけですね。我々が就任したときに不思議に思ったのは、下部組織が、任期が変わると一回御破算になってしまって、また同じことをやるにも内閣総理大臣の任命人事が必要で、我々のスタートが非常に遅れた部分があります。それで、何をしているのかという批判も受けた。
またこういうことが起きるとすると、せっかく公共料金等専門調査会も立ち上げたわけですが、そういったものもチャラになってしまって、また政府と相談して、人事でやって何か月もかかってしまうのですか。余り効率的ではないと思うので、そういうところの工夫をしていかないと、我々は全力を尽くしたいと思いますけれども、すべてが8月までに解決するとは思わない。しかも、こういった下部組織に委ねているものもいくらでもあるし、公共料金はずっと続いてくるわけですし、その辺はどうなのでしょうか。

○原事務局長 下部組織なものですから、委員会の任期ごとに、設置・運営規程で箱は残っているのですが、人選のところが変わる。ただ、やり方だと思います。そんなに大変ではなく、例えば7月、8月まで委員会をやっていて、人選については継続してそのメンバーでやるというふうになっていれば、1か月ぐらいのもう一回手続というのは入りますけれども、最大1か月ぐらいでできると思います。

○河上委員長 消費者委員会というのは継続性はないのですか。

○原事務局長 組織としての継続性はないというか、どう言ったらいいでしょうか。

○河上委員長 それはおかしいと思いますね。

○原事務局長 それはちょっと行政の専門家に。

○稲継委員 そんなことはないと思います。どの審議会でも、委員が代わっても継続性は絶対あるはずで、そのたびに下部組織が入れかわるというのは聞いたことはないです。

○原事務局長 メンバーを入れかえずにやるということは、もちろん、できるということです。

○細川委員 ただ、入れかえずにやるのでも、一回辞めてもらってまた頼むという形になっているわけです。そこで結局、何か月もたってしまう。それはおかしいのではないかという話です。

○原事務局長 何か月も要りません。第1次の立ち上げのときは設置・運営規程からつくらなければいけなかったところがあって、一度立ち上げるところはとても大変だったのですけれども、継続のところはそんなに大変ではないです。

○河上委員長 消費者委員会としては、私は1次の委員会から継続しているという認識なのです。継続になったメンバーは非常に少なかったのですけれども。ですから、1次で出した答申も最大限尊重してフォローアップのためのヒアリングもやってきたわけです。その意味では、1次が仮に何らかの専門調査会を立ててその専門調査会がまだ審議を続けているのであれば、当然、それは尊重してそのまま続けていくというのが普通の感覚だと思います。今回も、例えばインターネットに関する専門調査会を我々が立てたとしたら、3次の委員会の中でもそれはやっていただくのを前提にしてつくっても構わないような気がします。

○細川委員 中身を引き継ぐ、引き継がないという話ではなくて、終わったところで一回切って、そこから初めて人選を始めたりしているから、例えばトクホも申請がたまってしまって、早くつくらなければいけないという話をしていたでしょう。そんなのはおかしい話で、期間があかないように、前もって、続けてやっていただくならやっていただく。そうでないならそうでない人を立てて、期間の空白ができないようにやるというのは行政として当たり前の話でしょう。それができていないのではないかというのが私の問題提起です。

○原事務局長 トクホについては、厚生労働省から消費者庁に来るという、第1次のときはちょっとブランクがあって大変でしたけれども、第1次から第2次のところは全然ブランクはなくやっています。

○河上委員長 私が就任した最初のときに、トクホの委員会をつくったわけです。

○原事務局長 委員会をつくるということはやらなければいけません。

○河上委員長 形式的だけれども、しましたね。

○原事務局長 ただし、審議の期間は3か月ごとということで、そこは変わらずにやりました。

○河上委員長 毎回、その委員会がオーソライズする必要があるんですかね。

○山口委員長代理 よろしいでしょうか。そのために第1次の委員会は、7月末には委員候補を確定させて、準備の期間を1か月ぐらい持って9月にスタートしました。その意味では第2次の消費者委員会の委員は9月1日になるまでわからなかったのです。私も会議室に行って、「あなたも委員だったの?」と、初めて知った。本当にそういう人選だったのですよ。それからスタートして、専門調査会をどうするのかということで、10月、11月ぐらいになってやっと、政務三役の了承を得て専門調査会も12月にスタートしたという、そんな状態でした。
その意味では委員会として案をつくって、森大臣に、消費者委員会の委員なり専門調査会の委員の人選は7月末と。今回、参議院選挙が21日ぐらいにありますが、その前には実行してほしい。その上で、9月からスタートダッシュをやれるように準備すべきである。そういうことを委員会として全委員の希望として出してはどうかと思います。それは本当に必要だと私は思いますが。

○河上委員長 政権の話はともかくとして、いずれにしても、そこは切れ目のないようにしないといけません。

○小田審議官 切れ目なくスムースに行くようにやっていきたいと思います。

○河上委員長 これはかなり大きな宿題ですけれども、やったほうがいいですね。できれば、下部組織の存続の仕方についても、原案を出して相談させていただけるとありがたいです。将来、そこで一たん切られるのかどうか、制度上、そうなのかどうか、また後で教えてください。

○原事務局長 はい。

○河上委員長 ほかにはどうですか。村井委員、何か一言、抱負のようなことでも結構ですが。

○村井委員 先ほど、「スタートダッシュ」とおっしゃいましたが、まさにそのとおりだと思います。私も突然、8月を過ぎてからお声がかかりました。ほとんどの民間企業(事業者)は4月から翌年の3月でスケジュールが組まれていますので、7月、8月にこんな予定がありますと言われても、スケジューリングそのものも大変厳しかったです。しかも、いきなり人手不足なので政策調査員として人材を会社から出して欲しいとの話も頂きました。実際に相当な数の人員が様々な企業から派遣されていますけれども、こういったことも早め早めに先鞭をつけるか、もしくは専従スタッフの予算取りをされるか見直された方が良いかと存じます。突然11月ごろに依頼されても、民間企業は人事異動の時期が官僚とは全く違いますので人材を調整することは困難です。よって早めに次の委員を決められて、スタートダッシュをかけた方が良いと存じます。せっかくいろいろな課題に取り組まれているのに、完全に1か月、2か月、止まっている状態と思いますので。
それから、スタート時、しばらくの間は事務局が主導する方がいいのではないかと考えます。私の場合、2次から加わった者として、理解し難い話ばかりを聞いていたような記憶があります。特に評価の部分ですが、過去からずっと参加されていた1次の方、継続の方はおわかりでしょうけれども、2次から加わったにも関わらず、いきなり「質問項目をつくってください」と言われ、あのときは相当当惑致しました。

○河上委員長 田島委員、1次からの委員ですが、どうですか。

○田島委員 1次から引き続いて新開発と食品表示部会を担当していて、第1次のときには、新開発とか食品表示などは消費者委員会でやることかと、そういうような御発言をなさった委員の先生もいらっしゃいました。特に新開発は、また厚生労働省に戻したほうがいいのではないかということを第1次のときにはかなり言われて、結論的には第2次も引き続いて新開発をやっていますけれども、本当にそれでいいのか。消費者委員会と新開発、いわゆるトクホというのは、どうも据わりが悪いような気がいたしております。トクホ制度というのも正直言いまして曲がり角にあるので、この際、もう一度厚生労働省に戻してはどうかと思っております。

○河上委員長 健康食品の例の問題について建議をと考えると、食品の安全とかそういうものに関して、トクホの問題などを見ていますと、消費者委員会がもの申さないといけない部分も結構あるのではないかと逆に思い始めております。田島委員先生はどうですか。

○田島委員 それでしたら、それなりの事務局体制を。事務局に専門家が一人もいないのです。それで引き受けるというのは非常に難しい問題があるので、本当に消費者委員会でやるのでしたら、事務局に厚労省から派遣していただくなり何なりして、スタッフをそろえてやっていただきたいと思います。そうでなかったら、もう一度厚労省に戻してはどうかなと思います。

○山口委員長代理 消費者庁と合同でというわけにはいかないのですか。

○田島委員 消費者庁にも人がいないですから。厚労省の専門家は全然いないし、消費者庁も、健康食品の安全性について詳しく知っている人間というのは誰もおりません。

○山口委員長代理 厚労省から消費者庁に来ているのではないですか。

○田島委員 トクホの関係では何人か来ていますけれども、すぐ戻ってしまいましたし、腰を入れてやっているということは全く見られませんので。

○河上委員長 森大臣に直訴しますかね。
川戸委員はどうですか。

○川戸委員 私も田島委員の御意見に全く賛成で、私は初めから、ああいう許認可がなぜ消費者委員会にあるのかという、そこの部分がおかしいと思うのです。やはり許認可というのは、すごい責任、科学的知見がないとできませんし、そういう意味で厚生労働省に戻したほうがいいと思います。もっと大きな意味で、アレルギーの問題とか食品の安全の問題で、外側から見て意見を言うことはすごく大事ですけれども、許認可という部分だけは、専門家の科学的知見を持った人に戻したほうがいいのではないかといつも思います。私は特に素人ですから一般的なことしか言えませんし、そこで説明をしていただくと、ああ、なるほどと思うのですけれども、その意見を聞いていても、もうちょっと専門家の方がいらしたほうがいいなという気がしました。それにすごく時間をとられていて、そのエネルギーを私たちは別な部分で使ったほうがいいのではないかと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。
稲継委員、いかがですか。

○稲継委員 抱負ということではないのですけれども、今の話にもあったように、消費者委員会が抱えすぎているのです。何でもかんでも消費者委員会で、建議にするとか、これを取り上げるとか、意見を言うんだということで、ほぼすべてのものを取り上げようとしています。でも、事務局組織が脆弱だということもありますから、委員一人ひとりに非常に負担がかかっている。しかも、私などは余り参加していないほうですけれども、特定の委員の方には非常に負担がかかっている。何か整理しなければならないのではないか。
何でもかんでも消費者委員会で取り上げるということではなくて、今の話のように厚労省に戻すべきものもあるだろうし、ほかの委員会に戻すべきものもあるだろうし、そういうことを考えて、消費者委員会が神様のように偉くて何でもかんでも引き受けるんだという、そういう発想は一度やめる必要があるのではないかと思います。

○河上委員長 私は、あまり委縮すべきではないと思います。委員会に期待されている部分は大きいですからね。スーパーマンのようにやれればいいですけれども、なかなかできないところもあって、一つずつできることをやっていくほかないなという感じはしています。
吉田委員、いかがですか。

○吉田委員 各論になりますけれども、地方消費者行政をどうするかということで、活性化基金というカンフル剤ができて、表面的には少し動いたようにも見えますが、当初期待していたような抜本的な改革といいますか、強化といいますか、そういうものは現実的には地方では余り広がっていないのではないかと理解しております。
一方で、国としてどこまで地方の問題に関与できるのかという限界があることを、委員になってつくづく感じましたけれども、せめて8月までの間、何らか次の橋渡しになるようなことができないかと考えております。先ほどの主要課題の説明の中でも、新たな検討体制をつくるということで予定しておりますので、残りの任期で何とかそこを少しでも形にしたいと思います。

○河上委員長 全国市長会からも提言が来ていましたね。

○原事務局長 市長会や、それから、知事会も大変関心を寄せていただいております。

○河上委員長 消費者教育推進法で協議会などをつくったときに、消費者委員会から一定のメッセージが出せるといいなと思います。
山口委員長代理からは、何かありますか。

○山口委員長代理 さんざん言わせていただきましたけれども、今、吉田委員がおっしゃった地方消費者行政の専門調査会ですが、これは内情をばらすと、やろう、やろうということを委員がいくら言っても、事務局のほうで人選していただかないと動き始めないのです。事務局のほうで、地方消費者行政の専門調査会の人選なりスタートラインはもう固まっているのでしょうか。

○原事務局長 早急にということで作業を進めますので、すぐに御報告できると思います。

○河上委員長 特に議論をまとめるほどのことではないと思いますけれども、山積みされているいろいろな課題、できることからどんどんスピーディーに取り組んでいきたいと思います。消費者庁も新しい長官のもとで、今、活発に動き始めていますし、全体も新大臣のもとで動きそうですから、消費者委員会もこれまで以上にスピードアップして作業をやりたいと思います。8月末まで残された期間はだんだん少なくなってきているので、やれることを効率的にやっていきたいと思います。また、御協力をお願いします。
最後に、消費者契約法に関する調査作業チームの第12回会合を12月3日に開催いたしましたので、議事内容のポイントをまとめたものが資料4に入っております。
この12回では、不当条項リストの補完に関する論点整理を行いました。御承知のように、消費者契約法は、契約締結過程に関する規律と不当条項の規制に関する規律の部分が、大きく実体法部分を構成しているわけですが、後半の不当条項のところで、今までは非常に数が少ない、幾つかの重点的な不当条項しか規制ができていなくて、第10条で、それを受ける一般条項があるだけという状態でした。
それを何とか補完できないかということで議論をしておりまして、不当条項のリストの形式としては、完全に黒だという、常に無効となる条項をピックアップするというブラックリストの方式だけではなく、場合によっては不当ではないかという疑いがかけられる、そういうグレイリストを設けて、逆に不当性を阻却するような事情を、事業者から立証できるタイプのものを組み合わせることはできないか。あるいは、政令で業種ごとのリストを補完することもできないだろうかということが議論されました。
さらに、第10条に一般条項はございますけれども、一般条項の書きぶりが少し表現的に問題を含んでおり、その結果、最高裁がなかなか思い切った判断ができていないのではないかということもあって、その書きぶりに関しても、さらに検討をする必要があるのではないかということでございました。
具体的なリストですけれども、これまでの裁判例、学説、諸外国の立法例などを踏まえた上で、充実したリスト案を考えてみてはどうかということで、そこにあります幾つかの候補が出てきております。免責条項とか、責任制限条項というのが中心にはなりますけれども、例えば次のページには、契約の解除権を確保するための条項とか、今、損害賠償の予定(違約罰)に関する規定がありますけれども、これを広げて、解除の場合の損害賠償の規定、対価の不返還に関する条項なども入れてはどうか。それから、意思表示に関する条項として、一方的にみなし条項が存在することが多いので、一定のことをした、あるいは一定のことをしないことによって、一定の意思表示をしたことにさせる条項はチェックをかける必要がないか。専属的な裁判管轄を定める条項とか、証明責任を消費者側に転換する、あるいは加重するという形で、権利主張を困難にする条項についても考えてみる必要はないかということです。
各論として、現在ある条文に関しても、例えば損害賠償の責任に関しては、人身損害の場合と財産損害の場合を分けたほうがいいのではないか。それから、平均的な損害に関する損害賠償額の考え方について、今、いろいろ議論がありますので、その辺も反映してはどうかというようなこと。3ページの(3)には、インターネット取引におけるいろいろな問題が出ておりますが、インターネット取引に対応する規律を設ける必要があるのではないかということも議論されています。
全体について、また詳しく議論をする機会を持ちたいと思いますけれども、大体このような情報でお許しいただければと思います。
本日、用意しておりました議題は以上でございます。審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回の委員会につきましては、1月29日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題は、消費者安全専門調査会の報告書を座長から御報告いただく予定です。それから、民法改正の中間試案についてのヒアリングなどを予定しております。追加がございましたら、ホームページなどを通じてお知らせいたします。
それから、2月2日に消費者契約法のシンポジウムを開催いたしますので、是非、これにも御参加をいただければと思っております。
以上です。

○河上委員長 では、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

(以上)