第108回 消費者委員会 議事録
日時
2012年12月18日(火)16:00~18:43
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
【委員】河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、田島委員、
夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
金融庁 | 鎌田 総務企画局市場課市場取引対応室長 和瀬 監督局証券課証券監督管理官 鈴木 証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 監督局銀行第一課担当者 総務企画局企画課調査室担当者 総務企画局市場課担当者 |
警察庁 | 福田 生活安全局生活経済対策管理官 刑事局捜査第二課担当者 |
消費者庁 | 山下 取引対策課長 鈴木 取引対策課企画官 後藤 財産被害対策室長 村山 消費者政策課長 |
総務省 | 総合通信基盤局消費者行政課担当者 |
経済産業省 | 苗村 商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 |
法務省 | 河合 民事局商事課長 |
原事務局長、小田審議官
議事次第
1.開会2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
(1) 詐欺的投資勧誘対策 I (関係法令執行力強化、注意喚起等) (施策番号41、48、49、60、62、66 等)
○説明者: | 金融庁 | 鎌田 総務企画局市場課市場取引対応室長 和瀬 監督局証券課証券監督管理官 鈴木 証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 監督局銀行第一課担当者 総務企画局企画課調査室担当者 総務企画局市場課担当者 |
警察庁 | 福田 生活安全局生活経済対策管理官 刑事局捜査第二課担当者 |
|
消費者庁 | 山下 取引対策課長 鈴木 取引対策課企画官 後藤 財産被害対策室長 |
○説明者: | 警察庁 | 福田 生活安全局生活経済対策管理官 刑事局捜査第二課担当者 |
総務省 | 総合通信基盤局消費者行政課担当者 | |
経済産業省 | 苗村 商務情報政策局商務流通保安グループ商取引監督課長 | |
法務省 | 河合 民事局商事課長 | |
金融庁 | 総務企画局企画課調査室担当者 監督局銀行第一課担当者 |
4.閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
議事次第(PDF形式:9KB)【資料1】 消費者基本計画の平成24 年度前半の実施状況に関する検証・評価・監視 関係省庁ヒアリングの対象施策・対象省庁及びヒアリング項目(PDF形式:158KB)
【資料2】 消費者基本計画(詐欺的投資勧誘対策 I )関連資料(金融庁提出資料)
(資料2-2) 適格機関投資家等特例業務届出者の推移(PDF形式:52KB)
(資料2-3) 未然奉行、「未公開株」等被害にあわないためのガイドブック 他資料 (資料2-4) 未公開株等詐欺未然防止への対応について(日本証券業協会)(PDF形式:704KB)
(資料3-1-2) 消費者安全法の一部を改正する法律(概要)(PDF形式:149KB)
(資料3-2-1) 未公開株等の取引を利用した詐欺的商法に対する取組状況(PDF形式:255KB)
(資料3-2-2) 中東の天然ガス関連事業者の名称を用いた「天然ガス施設運用権」の勧誘に関する注意喚起(PDF形式:319KB)
(資料3-2-3) 透析装置等の製造事業者を装った事業者による「信託受益権」の勧誘に関する注意喚起(PDF形式:313KB)
(資料3-2-4) iPS細胞作製に係る特許権の「知的財産分与譲渡権」勧誘に関する注意喚起(PDF形式:319KB)
(資料3-2-5) 通信販売を装った「SIMフリースマートフォン」の勧誘に関する注意喚起(PDF形式:153KB)
【資料5】 消費者基本計画(詐欺的投資勧誘対策 II )関連資料(法務省提出資料)(PDF形式:366KB)
【資料6】 消費者基本計画(詐欺的投資勧誘対策 II )関連資料(金融庁提出資料) 【資料7】 第11回消費者契約法に関する調査作業チーム会合議事要旨(PDF形式:148KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:70KB)
≪1.開会≫
○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第108回)」会合を開催いたします。
本日は、所用により、川戸委員、小幡委員が御欠席になっております。
それでは、配付資料の確認をお願いいたします。
○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた裏に配付資料の一覧を載せております。
資料1といたしまして、消費者基本計画の検証・評価・監視関係省庁ヒアリングの、本日行います対象施策・対象省庁及びヒアリング項目をつけております。
資料2、3、4、5、6につきましては、それぞれ、金融庁、消費者庁、経済産業省、法務省、また金融庁から、御提出いただいた資料になっております。
資料7といたしまして、「第11回消費者契約法に関する調査作業チーム会合」の議事要旨をおつけしております。
参考資料として、この間、委員間打合せを行っておりまして、12月4日、12月11日ですが、その概要を掲載しておりますので、ごらんになっていただければと思います。
資料は以上です。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。
≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫
○河上委員長 それでは、早速、議題に入りたいと思います。
本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。
消費者基本法におきましては、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため消費者委員会においては、毎年春と年末の2回にわたって、計画中の具体的施策の進捗状況等について、関係省庁よりヒアリングを実施し、計画の改定に向けた意見表明を行っているところであります。
本日は、その第3回目といたしまして、資料1に掲載されている詐欺的投資勧誘対策について、関係省庁からヒアリングを行いたいと思います。
なお、関係省庁ヒアリングの実施期間中は、消費者基本計画の取りまとめを担当している消費者庁消費者政策課の村山課長にも御出席いただいております。計画の内容等について、必要が生じた場合には、適宜、御説明をお願いしたいと思います。
1)詐欺的投資勧誘対策 I (関係法令執行力強化、注意喚起等) (施策番号41、48、49、60、62、66 等)
○河上委員長 最初に、詐欺的投資勧誘対策についてのヒアリングを行ってまいります。本件に関しては、御承知のように、未公開株やファンド取引、あるいは、最近では換金性の乏しい外国通貨の取引など、詐欺的な利殖商法によるさまざまな消費者の被害が発生しております。
このような状況の中、消費者委員会では平成22年4月に、「未公開株等投資詐欺被害対策について」の提言、本年9月には「医療機関債に関する消費者問題についての提言」をそれぞれ取りまとめるとともに、消費者基本計画の検証・評価・監視に係るヒアリングにおいて、継続的にフォローアップを行ってきているところであります。
また、この間、金融商品取引法や消費者安全法の改正、CO2排出権取引を行っていた業者を特定商取引法違反で業務停止にするなど、関係省庁においても、その対策には積極的に取り組んでいただいているところでありますけれども、全国の消費生活センターには、高齢者等をねらったいわゆる劇場型詐欺、あるいは二次被害など、深刻な消費者トラブルの相談が後を絶ちません。
消費者委員会としては、引き続き、取組みの強化が必要であると考えて、本年10月から、担当委員を中心として学識経験者等との意見交換を実施しており、本日のヒアリング結果とあわせて委員会の意見表明に反映させていく所存でおります。
本日は、まず初めに、詐欺的投資勧誘対策のうち、関係法令の執行力強化と消費者への注意喚起について、関係省庁からヒアリングを行います。警察庁、金融庁、消費者庁にお越しいただいておりますが、お忙しいところをまことにありがとうございます。
本議題につきましては、ヒアリング内容が極めて多岐にわたりますので、次のように議事を進行したいと思います。
まず、各省庁からそれぞれ10分程度で御説明をいただいた後、質疑につきましては、金融商品取引法関係、特定商取引法及び消費者安全法関係、関係機関による消費者への注意喚起等、その他の3つのパーツに分けて、それぞれ15分程度ずつ議論を行う形にしたいと思います。時間が限られておりますので、議事の進行については御協力をお願いしたいと思います。
それでは、まず、警察庁から説明をお願いいたします。説明時間は10分程度で、よろしくお願いいたします。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 警察庁の生活経済対策管理官の福田でございます。よろしくお願いいたします。
配付資料はございませんので、口頭で説明させていただきます。
まず、執行力強化の中の取締り実績と取締り強化に向けた取組み状況について、説明させていただきます。
警察では、いわゆる出資法や金融商品取引法及び無限連鎖講の防止に関する法律違反を、総称して利殖勧誘事犯と称しております。この利殖勧誘事犯につきましては、最優先で取り締まることとしておりまして、警察内部の全国会議や通達において、都道府県警察に対してその旨指示しているところでございます。
その結果、平成24年の上半期における利殖勧誘事犯の検挙事件数は、20事件。これは前年同期と比べて5事件増です。検挙人員は113人、検挙法人数は4法人、被害人員は3,075人となっております。また、今、申し上げました全20事件における、送致事実に係る65歳以上の高齢者の被害人員は125人で、これは全体の約4分の3を占めております。検挙した事件における高齢者の割合、その被害人員の割合につきましては、平成22年以降、増加傾向にあるところでございます。
続きまして、消費者への注意喚起について御説明させていただきます。
まず、関係機関の消費者に対する注意喚起や啓発に係る取組み、協力体制につきましては、平成23年の6月28日に、消費生活侵害事犯対策ワーキングチームという関係省庁の申合せがありまして、そこでの「消費生活侵害事犯の被害が疑われる相談情報の警察への提供について」という申合せに基づきまして、国及び地方公共団体において行政機関に寄せられた利殖勧誘事犯等の被害が疑われる相談情報を、相談者の同意を得て警察に提供していただく枠組みが構築されております。
これに基づきまして、警察では、平成24年上半期に、金融庁、消費者庁、経済産業省等の関係機関から1,088件の情報提供を受けております。また、日本証券業協会からも、同じく、平成24年上半期に3,216件の相談情報の提供を受けております。これらの各機関から提供された情報につきましては、警察庁で関係する都道府県警察に提供しておりまして、それを受け取った都道府県警察におきましては、犯罪利用預金口座の凍結や被疑者検挙に役立てているところでございます。
さらに、ことしの8月には、未公開株や社債等の金融商品への投資をうたって現金をだまし取る金融商品取引名下の特殊詐欺事件が急増したことなどもありまして、日本証券業協会に対する協力要請文を発出いたしまして、各都道府県警察との合同キャンペーンを順次実施したほか、日証協主催、当庁協力によるPRイベントが開催されるなど、広報・啓発活動を強化しているところでございます。
最後でございますけれども、被害防止のための金融機関の取組み状況及び評価についてでございます。利殖勧誘事犯に悪用されている口座の大多数が法人名義口座である現状にかんがみまして、全銀協等に対して、口座開設に当たっての審査期間の確保や本人確認書類の複写保管、バーチャルオフィスの悪用対策等を内容とする、法人名義口座開設時審査の厳格化を求めるところでございます。また、審査の厳格化の用に供するため、警察が凍結を求めました利殖勧誘事犯の利用法人名義口座に係るリストを、平成24年1月から金融機関に対して順次提供しているところでございます。
大半の特殊詐欺事件では被害金員の原資が預貯金であることから、金融機関等を最後の砦といたしまして、金融機関職員等による声かけが一層励行されますよう、定期的に声かけ強化日を設けるようにいたしまして、金融機関に対する働きかけを推進しているところでございます。ちなみに、平成23年中の金融機関窓口における声かけによる阻止件数は2,467件でございました。
全体の評価でございますが、私どもから申し上げるのもあれですが、あえて申し上げさせていただきますと、これらの警察の要請につきましては、金融機関におかれましては、おおむね適切に対応していただいていると認識しているところでございます。
私からは以上でございます。
○河上委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、金融庁から説明をお願いいたします。
○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 金融庁市場課市場取引対応室長の鎌田と申します。よろしくお願いいたします。
まず最初に、金融庁の関係のうち、金融商品取引法の解釈に関する部分につきまして、私から御説明申し上げたいと思います。
ヒアリング項目のうち、金商法にCO2排出権を取り込むなど、金商法の有価証券の範囲を拡大、あるいは、包括規定化すべきではないかという点についてでございます。この点につきましては、ことしの5月の際にも説明申し上げたところでございますが、そもそも金商法がどんな法律かということでございます。第1条の目的規定によれば、「有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もって国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする」、こう規定されております。
金商法が規律している直接の対象は、マーケットを適正にする、有価証券の発行取引を公正にする、有価証券の流通を円滑にする、そして、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成を図るというところが、金商法の直接の目的とするところであります。したがって、金商法の規制の対象になるものは、まず大前提として、基本的にはマーケットが我が国に存在していることが基本になるわけです。ところが、CO2排出権につきましては我が国にマーケットが存在しない。
ただ、将来的に排出権取引の市場が我が国にもできてくるであろうということが想定されたために、平成19年の金融審議会におきまして、排出権の法的な位置づけや、価格評価、方法等の明確化が図られる等の状況が整った場合、その取引の具体的な対応等も踏まえつつ、金融商品として取り扱うことについても幅広く検討を行っていく必要があるということで、今後の状況を見つつ、金融商品とするかどうかについて検討する必要があるということを指摘しているわけでございます。
そこで、現在の足元の状況がどうかということでございますが、排出権の状況につきましては、国内排出量取引制度の創設を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案が、このたびの衆議院解散のために廃案となりまして、排出権取引の国内制度設立の見通しが立っていない状況にあると承知しております。また、京都議定書につきましても、先日の国際会議の結果によれば、25年以降の国際的な排出権取引の枠組みから我が国は参画しない見込みとなっておりまして、今後、国内企業における国際的な排出権取引の動きが活発化するとも言えない状況にございます。こういう現状にかんがみますと、現段階でCO2排出権取引を金融商品等に指定して、金商法の規制の対象としていくことについては、まだ、その環境が整っているとは言えないと考えているところでございます。
次に、「金商法171条の2の未公開有価証券に集団投資スキーム持分も含めるべきではないか」という御指摘についてでございます。
組合等の集団投資スキーム持分への出資につきましては、未公開株などの取引とは異なりまして、これは組合等の契約でございますので、ある出資者による出資が無効になりますと、出資者による出資も含めた組合等契約全体に影響を与えるおそれがございまして、他の出資者に対して、その意図に反する不測の損害を与えてしまう、こういうおそれがございます。
また、集団投資スキーム持分につきましては、金商法上は、包括的な定義規定によりみなし有価証券と位置づけておりまして、個々のスキームがこれに該当するか否かは、個別スキームごとに実態に即して判断することになっておりますので、組合等の団体と取引を行う者にとっては、その団体に係る持分がみなし有価証券に該当するか否かは、容易に判断しがたい場合がございます。したがいまして、仮に組合等の集団投資スキーム持分を、本件、民事効の無効ルールの対象とした場合においては、当該組合等の外形を信頼して取引をした第三者に対しても不測の損害を与えてしまうおそれがあるということでございます。要するに、民事効の対象にして、集団投資スキームのある出資を無効とした場合には、他の出資者に対して不測の損害を与える可能性もあるし、集団投資スキームを信頼して取引をしている第三者に対しても、不測の損害を与えるおそれがあるということです。関係者に対して法的安定性を害することが著しいために、集団投資スキーム持分については未公開有価証券の対象から除いている、こういうことでございますので、御理解いただければと思います。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 金融庁証券監督管理官の和瀬でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、ヒアリング項目の2番目、10番目、11番目について、御回答させていただければと存じます。
まず、2番目の無登録業者の話と、適格機関投資家等特例業務に係る話、2つに分けさせていただきます。
「無登録業者による未公開株の契約無効化及び罰則の強化の効果について、可能な限り定量的に説明されたい」ということでございます。資料2-1でございますが、無登録業者による未公開株の取引につきましては、近く上場されるといった虚偽の勧誘等に基づき販売されることによる被害が多発している。そういう状況を踏まえまして、昨年の金商法改正におきまして、3つ、大きな規定を整備いたしました。
一つ目は、無登録業者が未公開株の販売を行った場合の、売買契約を原則無効とする民事ルールを創設したということ。それから、罰則を引き上げる、広告勧誘行為を禁止するという規定を整備いたしました。
こうした法令上の規定の整備に加えまして、2ページ目ですが、金融庁、財務局では、無登録業者の存在を把握しました場合には、無登録業者に対しまして、違法な営業行為を直ちにやめるように求める警告書を発出いたします。3ページから4ページ目にかけまして、一般の皆様方への注意喚起のために、警告書を発出した事実等を金融庁のホームページで公表するとともに、警察当局、消費者庁との間で無登録業者の情報を共有するなどしまして、被害の拡大防止を図るための取組みも推進しているところでございます。
資料2-1の1ページに戻っていただきまして、現時点におきまして、未公開株等の契約の無効化、罰則を適用した具体的事案につきましては、必ずしも私ども承知しているわけではございません。そういう意味でも、効果を定量的に検証するといったことは困難でございますけれども、未公開株に関する相談件数、これは国民生活センターの調べでございますが、これまでに比べて減少傾向にあることは明確に見て取れると考えてございますので、一定の効果はあったものと考えているところでございます。
それから、一つ分けさせていただきました適格機関投資家等特例業務に係る規制の強化の効果につきまして、これは資料2-2でございます。これも、無登録業者と同じように幾つかの私どものルール改正を行ってございます。
一つ目は、内閣府令の改正でございますが、届出業者の届出事項に適格機関投資家の名称を必ず追加してくださいということ。もう一つ、届出書受理の際の確認項目を追加いたしました。それは、プロ投資家としての有限責任組合の実態の有無ですとか、組成手続の違法性などを確認するといったことでございます。これを、ことしの4月1日に施行したところでございます。内閣府令を改正した24年4月以降、資料2-2をごらんいただいてもおわかりのとおり、近年、増加傾向にございました届出業者総数が減少に転じてございます。そういうことからしましても、一定の効果があったものとは思われます。
主な減少の原因としましては、届出業者を行う予定がないにもかかわらずとりあえず届出をしていた業者に対しては、私どものほうから積極的に、廃業してはどうかというふうに慫慂してございます。それから、「適格機関投資家の名称を届け出ること」といたしましたために、適格機関投資家からの出資のめどが立たない業者、こういった業者が、安易に届出をすることがなくなったことなどがあるものと考えてございます。
問の10でございますが、資料2-3をごらんいただければと思います。まず、1ページから3ページ目まででございますが、「犯罪摘発、被害防止(特に二次被害)及び被害回復の実効性を上げるため、関係機関が実施している消費者の注意喚起や、啓発に係る取組み、協力体制について説明されたい」ということでございます。
消費者庁、警察庁、私ども金融庁が連携しまして実施した政府広報、「高齢者の消費者トラブル未然防止啓発キャンペーン」におきまして、未公開株、ファンド、社債の購入による詐欺被害への注意喚起を、さまざまな媒体で行ってございます。これは、主として被害を受けておられる御高齢の方々に、ある種身近な存在としての松平健さんを起用させていただいているものでございます。これを、テレビCM、ラジオCM、新聞、ポスター、ウェブ等を通じて行ってございます。
4ページから11ページ目をごらんいただければと思いますが、金融庁独自で未公開株被害に遭わないためのガイドブックを作成し、配布してございます。なお、このキャンペーンのポスター、パンフレットにおいて、一度だまされた人は二度、三度、ねらわれているという旨についても注意喚起をしているところでございます。
金融担当大臣から、政府広報ラジオにおきまして、「未公開株詐欺の防止」というテーマで、一つは、現在横行している詐欺の手口の事例、また、その手口の一つに被害回復型の詐欺があり、二次被害に遭うケースが往々にしてあること。被害に遭わないための注意点、不審な勧誘を受けた際の相談窓口として、金融庁金融サービス利用者相談室の連絡先等について、大臣のほうからお話をさせていただきました。
それから、12ページから14ページ目でございます。先ほど御説明した内容の繰り返しになりますけれども、無登録の業者に対して警告書を発出、公表しているということ。悪質な適格機関投資家等特例業務届出者に対して、資金流用とか、投資者保護上、問題のある行為に対して警告書を発出して公表してございます。警告書を発出した業者の情報は、警察当局、消費者庁とも、適宜、共有させていただいてございます。また、警告書を発出した届出業者については一覧化し、問題があると認められた届出業者リストとして公表してございます。これは、資料2-1の3ページから4ページ目でございます。
関係機関との協力体制でございます。先ほど申し上げた、消費者庁、警察庁と連携しながら実施した政府広報、警告書を発出した業者の情報共有のほか、平成19年12月4日に設置いたしました「集団投資スキーム(ファンド)連絡協議会」、資料の16ページ目ですが、その場におきまして、消費者庁、警察庁、国民生活センターと、詐欺的な事件による消費者被害等について情報交換、意見交換を定期的に行ってございます。内容につきましては、かなり突っ込んだ意見交換をしておりますこともございまして、非公表とさせていただいてございます。
最後、御質問の11番でございます。資料2-4をごらんいただければと存じます。「被害防止の金融機関の取組み状況及び評価について説明されたい」ということでございますが、1ページ目でございます。日本証券業協会において、未公開株、社債等をかたった詐欺の未然防止撲滅を図るため、未公開株詐欺未然防止キャンペーンを平成24年9月に実施しておりまして、協会員(証券会社)、協会事務局が各財務局や各警察本部と協力しながら、主要都市の街頭でティッシュ(2ページ目)、リーフレット(3~5ページ目)を配布したほか、証券会社においては、日証協が作成したリーフレットの顧客への配布、営業店舗でのポスター掲示等を行っているところでございます。
また、実在する金融商品取引業者の商号をかたりまして、社債や未公開株の買取りなどの勧誘をする者がございます。商号をかたられた金融商品取引業者や当該金融商品取引業者の所属する協会のホームページにおきまして、公開スケジュールが確定していない未公開株、社債、そういったものの勧誘、訪問、電話による個別株式・債券の売買の勧誘をすることは決してないという旨の注意喚起を行っているところでございます。これは6ページ、7ページに書いているところでございます。
以上のとおり、関係機関、私ども財務局等の協力のもと、全国規模で被害防止に向けた取組みを行っておりまして、そのことについては私どもも一定の評価をしているところでございます。各金商業者におきまして、引き続き、被害防止に向けた適切な対応がとられるよう、私ども金融庁からも積極的に促していき続けたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○金融庁監督局銀行第一課担当者 続きまして、金融庁監督局銀行第一課の岡田から、振り込め詐欺による被害防止に係る金融機関の取組状況及び評価について、御説明させていただきたいと思います。
金融機関よる振り込め詐欺の未然防止策として考えられるものとしましては、振り込め詐欺に関する顧客への周知活動や、高額な払出、高額の振込の際の顧客への積極的な声かけ活動が考えられると思っております。
金融機関の取組みの一例を紹介させていただきます。顧客への周知活動といたしましては、振り込め詐欺防止のためのパンフレット等を作成しまして、広く顧客への配布を行ったり、振り込め詐欺被害防止のためのポスターやシール等を作成し、店内やATMコーナーへの掲示を行っており、また、最近の振り込め詐欺の事例や対策ポイントをまとめまして、ホームページへの掲載、IR誌への掲載等の取組を行っております。
顧客への積極的な声かけ活動といたしましては、金融機関内のポータルサイト等を利用しまして、金融機関職員への最近の振り込め詐欺の手口の周知でありますとか、金融機関内の広報におきまして被害の未然防止ができた事例でありますとか、被害発生事例を職員に還元して問題認識を共有させる。また、金融機関内通達におきまして、声かけのポイントでありますとか、手順を周知いたしまして、特に高齢者による高額な払出や振込の際の積極的な声かけの実施を徹底する。また、警察との連携も徹底するといった取組などを行っております。
警察庁が公表しております振り込め詐欺の認知件数、被害額といたしまして、平成22年の1年間の認知件数が6,637件、被害額が約82億円、23年の1年間の認知件数が6,233件、被害額が約110億円、平成24年(1月~10月)の認知件数は5,028件、被害額が約117億円となっておりまして、前年同期で比較しますと、被害額は少し増えているようですが、認知件数といたしましては181件減少しておりまして、警察の取締り強化に加えまして、金融機関による被害の未然防止活動の成果が現れてきているのではないかと考えております。
金融庁といたしましては、引き続き、預金口座の不正利用防止の観点から、振り込め詐欺などの犯罪の撲滅に向けた取組に努めるように、金融機関に慫慂してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
○金融庁鈴木証券取引等監視委員会事務局証券検査課長 証券取引等監視委員会で証券検査課長をしております鈴木でございます。
私からは、今回のヒアリング項目の10番、注意喚起等の関係で御説明をさせていただきます。証券取引等監視委員会では、従来、無登録の者、あるいはファンド業者に対して、187条調査と私どもは呼んでおりますけれども、差止申立てをするための調査を中心に検査を行ってきたところです。そのほかに、今年度から特に、集団投資スキーム持分の運用を行う業者について、多数の法令違反事例等が認められているという状況にかんがみまして、差止申立てのための調査でなく、金融商品取引業者に対する検査と同様の検査も本格的に開始しております。適格機関投資家等特例業務届出者は届出でしかないものですから、行政処分の範囲は限られているということではありますけれども、事案の悪質さに応じて、業者名、事案の概要、不適切な行為の概要を公表することを出口として検査をすることとしております。
具体的に検査の実施に当たりましては、消費生活センターやFINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)に寄せられた苦情相談等の情報を活用しまして、検査を実施しております。具体的な違反事例につきましては、実際に検査の結果を踏まえまして、法人名、代表者名、事案の概要をホームページ上で公表しております。
関係機関との連携に関しましては、当然のことながら,金融庁に対して情報提供をしておりますが、そのほか、検査結果、得られた情報につきましては、必要に応じまして消費者庁、捜査当局に情報提供を行っております。注意喚起や啓発につなげられるようにということも、行っているところでございます。
私からは以上です。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、消費者庁から説明をお願いいたします。説明時間は10分ほどで、よろしくお願いします。
○消費者庁山下取引対策課課長 まず、特商法につきまして御説明させていただきます。取引対策課長の山下でございます。よろしくお願いいたします。
4ついただいておりますが、項目5でございます。役務の範囲についてでございます。特商法につきましては、第2条第4項におきまして、「施設を利用し、または、役務の提供を受ける権利うち、国民の生活に係る取引において販売されるもの」としまして、大きく3つの権利を指定権利として指定しているところでございます。
ここで、役務と、冒頭、委員長からもございました権利との関係が問題となるわけでございますが、この2つの違いは、端的に言いますと、2者の間の契約であるか、3者間の契約であるか、その違いであるというふうに考えております。例えばゴルフ会員権を例にとりますと、A社のゴルフ会員権を契約する場合、消費者がゴルフ場運営会社のA社と直接契約したときは、それはスポーツ施設を利用させる役務の提供契約であるととらえます。他方、消費者がゴルフ会員権を取り扱う流通業者B社から購入したときは、スポーツ施設を利用する権利の売買契約ととらえております。
そもそも指定権利制度が導入された趣旨について、若干述べさせていただきますと、一言で言いますと、これは役務提供業者の脱法行為を防止するためのものでございます。すなわち、役務提供業者がその役務の利用権を証券化して、役務の提供事業者が別の販売業者にそれを不当なやり方で販売する場合、直接販売を行わないような役務提供事業者には規制が及ばないでそのまま被害が広がってしまう。こういったことでございますので、役務のみならず権利の販売業者も規制の対象としたものでございます。裏返して言いますれば、現行の指定権利制度が実体のある役務提供がその前提として存在する、こういう建付けであります。
しかしながら、その上で2点申し上げますと、まず1点目としましては、詐欺的投資勧誘におきましても、指定権利以外の権利は、通常だと特定商取引法の規制の対象にならないわけでございますが、事業者が消費者に直接提供している場合においては、役務の提供として認定できる可能性がある。
もう一点は、指定権利以外の権利の販売につきましても、いわゆる手数料等を徴収して販売代行等を行うような事例があるわけですが、こういったものは、販売代行が役務の提供であるとして規制の対象となる、こういうふうに我々は考えております。全くできないわけではないということでございます。
項目6につきましては、「CO2排出権取引の例に見るように役務として取り締まれる事例もあることを、事例集などを使い自治体等に周知すべきではないか」、こういうことでございます。これにつきまして、消費者庁では、最近行ったCO2取引、あるいは最近の例ですと、霊感商法のパーフェクトデイズ、アポイントメントセールスのジェムケリー等々、そういった特徴的な処分事案につきまして、現在、注意喚起文を作成しているところでございます。消費者にもわかりやすいような注意喚起文を、文章の羅列ではないものを作成しております。今後、それを、都道府県の執行担当職員が参加する研修、各経産局が主催するブロック会議、あるいは直接当庁の幹部が行う講演等のさまざまな機会をとらえまして、活用を図っていきたい、こういうことを考えております。また、毎年、国が行った処分事例につきまして、事例集として、これは非公開の冊子になりますけれども、それを局に配布しまして情報共有を図っている、こういったことはやっております。
項目の7でございます。「平成20年の特商法改正の際に『指定権利』を維持した理由、及びこれを廃止した場合の問題について説明されたい」ということでございます。かつては、政令で58の商品、21の役務を指定しておりまして、被害に応じてその対象を拡大してきたわけでございます。権利につきましては、特商法の規制対象が実体のある役務の提供であることが前提であるわけですが、2当事者間ではとらえきれない第三者が役務の提供を権利として転々流通する、こういったものを販売するものを指定権利として指定しているものでございます。
平成20年の法改正で商品と役務の指定制は廃止いたしましたが、指定権利制は維持したわけです。その理由として、当時、3つございました。1、仮に指定制を撤廃した場合、権利の外縁についてどのように定義し、何が対象となるかについて混乱を来す可能性があったこと。2、商品や役務を撤廃することでその対象が拡大し、多くが役務の提供でとらえられるようになったということ。3、役務を拡大したところ、現実的に既存の指定権利以外の権利で、国民の日常生活に係る消費者被害が立法事実として生じていない。こういった理由から、当時の判断といたしまして、商品と役務につきましては指定を撤廃したものの、権利についての指定は維持したというわけでございます。
現行の指定権利制は、実体のある役務提供とひもづけされる権利の販売が前提となっておりますので、仮にそこを切り離して、権利一般の場合を規制するというふうにするのであれば、それは特商法上、新たな立法上の視点となると考えております。
最後の項目8でございますが、「被害の実態を踏まえ、特商法における指定権利制を廃止すべきではないか」ということでございます。繰り返しになって恐縮でございますが、現行の特商法の考え方は役務とひもづけされているのが1点。昨今、いろいろ起きている詐欺的投資勧誘として問題となっている取引、これはそもそも実態が必ずしも明らかではない。いわゆる劇場型の詐欺に近いような行為だと思っております。したがって、特商法というよりは、他の刑法、その他の法令による対処のほうが、我々は妥当であると考えているところでございます。
以上です。
○消費者庁後藤財産被害対策室室長 消費者庁の財産被害対策室長の後藤でございます。
私のほうからヒアリング項目の9と10について、御説明をさせていただきます。
まず、改正消費者安全法の関係でございますけれども、資料3-1-1に基づいて御説明をさせていただきます。
お配りした資料は、「消費者安全法の委任規定の積極的な活用について」という項目がついております。これは、地方消費者行政ブロック会議等、地方公共団体の消費者行政担当者との会合におきまして、消費者安全法の委任規定の趣旨を説明し、地方公共団体に消費者安全法に基づく調査権限、すなわち、立入調査及び報告徴収の権限について、その受任を呼びかけるために作成したものでございます。
消費者安全法に基づく地方公共団体への調査権限の委任につきましては、告示に基づきその範囲及び権限が規定されています。従来、地方公共団体にこの権限が委任されていたのは、生命身体事案のうち、重大事故等が発生した場合に限定されていました。しかし、来年の4月1日、改正消費者安全法の施行によりまして、多数消費者財産被害事態を発生した事業者に対し、勧告、命令、こういった行政措置を講じることができることとなることから、地方に調査権限を委任できれば、より幅広い地域の事案への迅速な対応が可能となることが期待される。
また、冒頭、委員長からお話がありましたけれども、9月4日の消費者委員会によりまして、「医療機関債に関する消費者問題についての提言」をいただきまして、ここにおきまして、安全法の委任規定の積極的活用について提言をいただいたことも踏まえまして、財産事案につきましても地方公共団体に権限を委任できるよう、準備を進めているところでございます。財産事案について、地方公共団体が権限を受任すれば地域住民にとってもメリットになる、このように考えている次第です。資料には具体的に9月27日と書いてありますけれども、この日以降、この会議の資料を用いまして、地方消費者行政ブロック会議等、この機会をとらえて地方公共団体に説明を行い、調査権限の委任に係る理解を求めているところでございます。これに加えまして、現在、改正消費者安全法の施行に向け、政令の改正作業についても着実に進めているところでございます。
なお、資料の2ページの最後のほうに少し触れておりますけれども、先月、都道府県等(政令市も含む)に対し、調査権限に関する地方公共団体からの御意見をお聞きし、告示改正の参考とするためアンケート調査を発送しております。今月中旬に回収しまして、現在、集計・取りまとめの作業を行っております。この調査結果を踏まえて、委任する権限の範囲について検討し、告示に反映してまいりたいと思っております。我々としましても、地方公共団体に積極的に受任していただくよう、今後とも、必要な環境整備を図ってまいりたいと考えております。
次に、ヒアリング項目10ですけれども、安全法に基づく注意喚起等に関してでございます。資料3-1-2になります。若干数字が入っておりますけれども、苦情相談件数の推移でございます。
平成23年度は未公開株関係は前年より減少しているものの、公社債関係は増加し、ファンドの関係も前年の約2.6倍になるということで、相談の対象が未公開株及び社債からファンド型に急速にシフトしております。24年度はどうかといいますと、まだ年度の途中でございますけれども、相談件数を見ますと、昨年度に比べ全般的に減少の傾向は見られます。しかしながら、ここには記載していませんけれども、ファンド型における60歳以上の相談件数を見ますと、昨年同期比でやはり増加傾向にあって、依然と高い状況にあることがわかりました。
消費者庁としましては、利殖勧誘に関する消費者被害の発生、また拡大の防止につきましては、可能な限り迅速に、その情報を消費者に周知することが重要であると考えておりまして、本年度も、安全法に基づき事業者の実名を挙げ、注意喚起を積極的に行ってきました。お配りした資料にございますように、本年度は4件ですけれども、年で区切れば8件ということになります。
これらの注意喚起に当たっては、関係省庁との連携を緊密に行い、情報共有も進めておりまして、各機関における取組みにも一定の参考になっているものと認識しております。それ以外の政府広報とのチャンネルで、消費者本人のみではなく、周囲の人間関係にも訴える注意喚起を行っており、今後も引き続き積極的に対応してまいります。いずれにしましても、今後も、PIO-NET等に寄せられる相談の実情を踏まえ、注意喚起を積極的に実施してまいります。
私からは以上です。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、初めに申し上げましたように、幾つかのパーツについて、御質問、御意見をいただきたいと思います。まず、金融商品取引法関係について、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。質疑の目安は10分から15分ということで進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。
○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。まず、ジャンルの関係ではっきりさせたいのですが、消費者庁の後藤さんから説明がありましたように、公社債の相談、あるいはファンド型投資の相談は、昨年は一昨年に比べると激増している状態で、はなはだ憂慮しているところです。先ほど金融庁からの説明がありましたが、その中で、例えば資料2-3の最後のページに、集団投資スキーム(ファンド)連絡協議会が平成19年の12月に設置されている。つまり、消費者庁ができる前に設置されているのですが、この連絡協議会の射程範囲は、先ほどの消費者庁の枠組みで言う公社債の相談、あるいはファンド型投資商品の対策にかかわっているのかどうか。もしかかわっているとするならば、一昨年から昨年に比べて圧倒的に件数は増えているわけですけれども、これについて金融庁のほうではどういう認識をされているのか。その点、お聞きしたいと思います。
それから、具体的な話になるのですが、銀行局の犯罪関与口座の凍結については、大変な実績が上がっていて、いわゆる振り込め詐欺やヤミ金の被害防止には大変役に立っております。きょう問題になっております未公開株等の詐欺事犯対策についても、非常に効果を発揮していると思います。
難しいのは、投資絡みの詐欺事犯の場合には、場合によっては口座凍結された口座に100万円以上のお金が残っている。それが凍結されるというケースがときどきあります。その場合、被害者側からすると、それなりのお金が凍結されたというのを知らせる仕組みといいますか、それがつくれないものだろうか。相当凍結されましたということなのか、いや、一応凍結はしたけれども、数千円しか残っていない、あるいは数十円しか残っていないということなのか。凍結を申し出た消費者側から言うと、わからないですね。その間に何が起こるかというと、数百万円、場合によっては数千万円のお金が凍結されると、詐欺グループの連中は、翌日かその翌日ぐらいには公正証書をつくって、その口座を差押えしてしまいます。そうすると、持っていかれてしまうのです。口座凍結で、数千万円あるいは数百万円が、凍結された口座のこの有益な被害者への還付が、実効性を発揮しない場合があるところについて、工夫の余地がないか。かなり細かい話になりますが、以上、2点について伺いたいと思います。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 1点目につきまして、証券監督管理官の和瀬から御回答させていただきます。
1つ目は、資料3-2-1にございます未公開株の相談件数、公社債の相談件数、ファンド型投資商品の相談件数と、3つの類型がございますけれども、ファンド連絡協議会の射程は、一番下のファンド型投資商品の相談件数ここに含まれるものでございます。こちらのPIO-NETに寄せられた苦情相談件数は、確かに増加の一途ということでございますが、一方で、私ども金融庁の金融サービス利用者相談室というところがございますけれども、そこに寄せられている相談件数といたしましては、平成19年から比べると増加傾向ではございますが、一方向に激しく増加していることでもないというふうに認識しております。
そういう意味では、どこの受付窓口が増えているか、減っているかというところではございますけれども、全体としてかなり多くの被害者の方々が現に存在することについては、重く受けとめております。そういうこともありまして、ファンド連絡協議会等の各省庁の協議の場を通じて、被害者防止に努めてまいりたいと思っているところでございます。
○山口委員長代理 今のは、おかしいのではないですか。金融庁の相談窓口というのは、ほかに相談がないとか、とりあえずというところで行くわけです。根本的な解決にならない窓口なのですよ。そこの件数が増えていないからというのは、全体の被害傾向の参考にはならないのです。やはりPIO-NETの情報を基準にお考えいただいて対策を講じられる必要があると思いますが、その点はいかがでしょうか。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 済みません。言葉足らずで失礼いたしました。当然、PIO-NETのほうも私どもはよく拝見しておりますし、私どもの資料につけさせていただいております国民生活センターの資料、私どもの直轄しております金融サービス利用者相談室、総合的に拝見をしております。繰り返しになりますけれども、いずれにせよ高い水準の被害者の方々がいらっしゃることについては、重く受けとめてございます。引き続き、前向きに関係省庁と取り組んでまいりたいと思っております。
○山口委員長代理 ファンド連絡会議は消費者庁もかかわって、今、一緒になさっているわけですか。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 おっしゃるとおりです。
○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
先ほど、有価証券の適用範囲の話で、マーケットの存在を前提とする金融商品以外は一応射程外だというお話でした。実際にはにせマーケットが想定されて商品が売られているというときに、実際のマーケットがないのだからということで、手を出さないというのがいいのか、それとも、マーケットを健全なものにするためには、そういう怪しげなものも射程に入れて問題を考えたほうがいいのではないか、という意見もあろうかと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 先ほどの私の説明に対しては、排出権はヨーロッパで取引されているではないか、ヨーロッパにはマーケットがあるではないか。また、委員長がおっしゃったように、ヤミのマーケットのようなものも考えられるではないかというような御意見もあろうかと思います。ただ、実際に行われているCO2排出権取引の実情を見ますと、顧客から排出権取引と称して金を受け取って、それを実際にヨーロッパのマーケットにつないでいるのかというと、ヨーロッパの市場につないでいる業者があるという情報にはまだ接しておりません。問題になっている業者は、いわゆる差金決済取引という形で、デリバティブ取引の形で行っていると承知しております。
また、これら業者は顧客に対しては、カバー取引で別の業者につないでいるなどという説明をしているのですが、本当に別の業者につないで、最終的にはヨーロッパの排出権取引のマーケットとの間で、何かリスクをヘッジしたり、金融商品としての取引をしているのかというと、どうもそういう実情にはない。他方、これまで、いろいろな調査、警察の捜査が入った事案などを見ますと、どうも悪質な業者は、金集めの口実として排出権をかたっている。そこで取引されているのは、排出権というよりも、排出権もどきのようなものであります。そういう実情であれば、それを正面から取り上げて、金商法の例えば金融商品や有価証券として定義するのかということになると、なかなかこれは難しい面があるのかなと思っております。
私どもといたしましては、排出権取引がきちっとした金融商品として実質を伴うものとなって、金融商品としての経済的性質を有するものであるならば、まずもって、既存の金商業者あるいは取引所がそういった取引をするであろうと考えております。既存の金商業者が排出権取引に関する取引をする場合には、届出業務ということで届け出させる。あるいは、取引所が排出権取引をさせる場合には取引所も認可をさせるということで、既に金商法上は手を打っております。将来的に排出権取引というものが、金融商品としての経済的特質、あるいは金融商品としての実質を有するものになるのであるならば、まずもって既存の金商業者や取引所を通して行われるようになる。これが金融商品として社会的にも相当であるということであれば、いずれ将来、金商法上に位置づけられることもあるかもしれませんが、現段階においては、先ほど申しましたとおり、こういう実情では金商法上に位置づけるのは困難であるということでございます。
○河上委員長 おっしゃることはわかりますが、白と灰色のものは捕まえることができそうだけれども、真っ黒のは捕まえられないというもどかしさがあって、それは最終的には警察の問題であるから、金融庁は手が出せないというふうにおっしゃるのか、あるいは、金融庁が持っているいろいろな武器を使ってそういうものに対してもある程度競合して対応するというか、その辺の姿勢の問題ではないかと思いますが。
○金融庁鎌田総務企画局市場課市場取引対応室長 もちろん、関係省庁の連絡を密にいたしまして、金融庁に入ってまいりましたそういった業者の情報につきましては、消費者庁や警察庁にも提供するなどして相互に連携しながら、CO2排出権取引については対応しているところでございます。
○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。
○山口委員長代理 資料2-1の関係ですが、2ページ目に「無登録で金融商品取引を行っている者に対する警告書」の案があります。この警告書は、昨年あるいはことし、何社ぐらいに発出されているのか。発出された場合には、必ず金融庁のホームページでオープンになさるのかどうか。出されていれば、件数は後でホームページを見ればわかるところになりますが、その辺、件数だけでも教えていただければと思います。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 件数につきましては、済みません、今、手持ちがございませんが、必ずその都度、私どものホームページに掲載をしてございますので、カウントすることは容易でございます。例えば4ページ目に掲載させていただいておりますが、これは24年の11月分、まさにことしの11月、これだけでも10件近くやってございますので、年間でかなりの数になることは、済みません、手持ちがないのですが、うかがい知れます。
○河上委員長 実績と内容について、後ほど資料として出していただけますか。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 承知いたしました。
○河上委員長 続きまして、特定商取引法及び消費者安全法関係についての御質問、御意見のある方は、発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。
○吉田委員 警察庁にお伺いしたいと思います。先ほど、特商法の指定権利の廃止のところで、消費者庁からは、結局、詐欺のように使われているのだから、特商法の適用を拡大するという考えではなく、刑法の詐欺のほうでやったらいいのではないかというお話があったかと思います。そうすると、実際に起こっている詐欺的なものの多くが警察のほうに行って、詐欺として対応することになると、警察としては非常に大変なのではないかと思いますけれども、その辺、警察庁としてはどのようにお考えでしょうか。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 一般論で申し上げますと、詐欺として立件するには、行政・民事手続ではなく、刑事手続でございますので、それなりに厳格な証拠が必要になるというのが一点。それから、詐欺の立証の場合、欺網行為が本当に有するかどうかということを立証しなければいけませんので、ある程度調べてみないとわからないわけです。だから、一罰百戒的な効果はあると思いますけれども、大量にあるものをかなりの割合で防ぐということになると、やはり限界があろうかとは思います。
○吉田委員 ありがとうございました。それを踏まえて消費者庁にお伺いしたいのですけれども、詐欺的な投資勧誘の事案が次々に出てきて、終息していくという状況が見えない中で、ヒアリング項目には書いていなかったのですが、省庁横断的な対応が必要だというのは、皆さんそういうふうに思っていらっしゃると思います。司令塔としての采配といいますか、そういうところを消費者庁としてどのようにされているのか、お考えなのか、ということをお伺いしたいと思います。
○河上委員長 消費者庁、いかがですか。
○消費者庁村山消費者政策課長 詐欺的な投資あるいは詐欺的な商品に関してということですけれども、警察のように詐欺として立件するというのもありますが、それに至るまでも、消費者安全法における注意喚起などもございます。そういったことも含めまして被害拡大を防ぐということも行っておりますし、また、消費者安全法の施行におきましても、先ほど説明いたしましたように執行力を高めていくことも取り組んでおります。特になるべく早期に執行できるようにということで、さまざまな取組みを行っているところでございます。
○吉田委員 省庁横断的な取組みを促進する観点からは、どのような取組みを考えていらっしゃるのでしょうか。
○消費者庁村山消費者政策課長 個別と言いますよりも、今、どういった消費者被害が起きているかということに関しましては、先ほど金融庁からも御説明がありましたし、その他のチャンネルを使いましても、各省でいろいろ連携しまして、注目する、あるいは、共有化を図るといったような取組みが基本かと思います。また、執行だけではなく、総合的な取組みということで申しますと、我々、霞が関におります者の連携は必要かもしれませんけれども、実際に執行する、あるいは未然防止に取り組むという現場での連携、総合力の発揮というのは重要だと考えております。
省庁横断的ということで言いますと、いろいろな形で、例えば消費者政策会議などを使った、連携の推進をできる限りしているところございます。具体的には高齢者に関する被害の拡大防止ということで、昨年9月の消費者委員会でも御説明させていただきました。
○吉田委員 詐欺的投資勧誘がまん延しているという状況は、誰しもがいいとは思っていないと思いますので、是非、司令塔、総合プロデューサーという立場をいかんなく発揮していただいて、霞が関のみならず地方等を巻き込みながら、総合的な対策をやっていただければありがたいと思います。
○河上委員長 どうぞ。
○山口委員長代理 先ほどの山下取引対策課長の御説明は、いわゆる権利的なものの詐欺的な投資勧誘を役務取引と考える範囲について、比較的幅広の説明をいただいたかと思います。つまり、指定権利以外の契約関係であっても、二者間なら比較的幅広に役務取引として認められる余地がある。そうでない場合でも、手数料的な要素が入っていれば役務取引としての要素もあるという、比較的幅広の説明があったかと思います。
資料3-2-2、3-2-3でも触れられていますが、例えば天然ガス施設運用権とか、透析装置等の製造事業者を装った事業者による信託受益権とか、iPS細胞作製に係る特許権の知的財産分与譲渡権と。わけのわからない、実際は詐欺の道具にすぎないようなものだと思いますが、こういうもので消費者が被害に遭ったということで消費生活センターなどに相談に来るという場合、相談員がまず困るのが、これが特商法の対象として行政的な措置の対象になるのか、ならないのか。
だからこそ消費者委員会としては、もう少しわかりやすく、いわゆる役務取引の範囲を通達なりで明示されたらどうですかというふうに申し上げているわけです。この種の注意喚起を出される際にも、消費生活センターの相談員の方々には、例えば、これについては役務取引になる余地もこれこれこういう要素があればあるから、相談については効果的なあっせんなり対策を講じてほしいと思います。恐らくこの種のものは、業者に連絡をとろうと思っても連絡がとれないことが多いと思いますが、その辺の工夫をどういうふうになさっているのか。
CO2排出権のときも、最後は役務取引でやっていただきましたけれども、役務取引になるのか、ならないのかというところで現場はかなり混乱いたしました。その辺の対応について、だからこそ指定権利制を廃止して、すべからく特商法の適用対象にしたらどうですかということを申し上げているわけですけれども、そこがいくか、いかないかはともかくとして、現行法下でもその点の工夫はあってしかるべきではないかと思います。いかがでしょうか。これが一つです。
それから、消費者安全法の関係で、後藤さんは財産被害対策室という新しく室ができたことに大変期待しております。いつ、どういう事情でスタートされて、今、どういう形の活動をなさっているのか。これをまず御紹介いただきたいのと、2つ質問があります。
先ほど後藤さんも触れられましたけれども、自治体への委任規定、これは、医療機関債の問題のときに調べてみたら、必ずしも自治体との委任契約が全国にきちっとなされているわけではなくて、3-1-1の資料でも、31都道府県8政令市ですから、まだ委任を受けていない県や政令市もかなりあるわけです。この辺は今後、新しい改正法の中で、どういうふうに自治体への委任を徹底されていくことになるのか。その辺の工夫の方法をひとつお話しいただきたい。
それから、消費者庁による事例公表の前に、消費者庁としては、業者に対する立入調査権などの調査権限があると思います。もう少し活発にそれを使って回答を求めるとか、その辺のことをなさったらどうかと思いますが、消費者安全法14条1項に基づく資料提供要求の執行例が必ずしも多くない。これは、業者がすぐ連絡がとれなくなるという側面はあるかと思いますが、消費者庁のほうから、おたくの事業について消費者庁として関心を持っています、こういうクレームがあるけれどもどうなっていますかとか、あるいは、こういう相談があるけれどもどうなっていますかという、資料提供要求をどんどんなさったらどうかと思います。今年については、平成24年2月3日に太陽光発電についてなさっただけというデータもありますが、どうなのでしょうか。
○河上委員長 山下課長からお願いします。
○消費者庁山下取引対策課課長 特商法についてですけれども、指定権利制を廃止するということはまさに法改正事項ですので、今、この段階で直ちにというわけにはまいりませんが、現行の法律のもとにおきましても、いわゆる手数料等を徴収して販売代行を行うような事例につきましては、販売代行という役務のサービスの提供として、規制対象となり得ると考えていることをもう一度述べさせていただきます。
ただし、個別具体的な事案への適用、当てはめにつきましては、例えば役務と物の両方が介在している場合等、一体どっちでとるのかという悩ましい事例もあります。直ちに役務だから、代行だから、対象だというふうには必ずしもならないということは、一点、御理解いただきたいと思います。
もう一つ、同じく執行上の問題点としまして、最近増えてきているのは、特にこういった悪質な業者につきましては、居場所の特定すら難しいことが多くなっているということがございます。例えばレンタルオフィス、レンタル電話を借りている。そこを数か月に一遍、転々と渡り歩いているような事業者。この間処分した事例につきましては、そもそもレンタルオフィスにすら活動実態がなく、そこに置いてあるレンタル電話から電話を転送して別のところで活動していたとか、手口が非常に巧妙になっているわけでございます。
我々は、特商法の処分に当たっては、当然、物証、事業者の供述、これを重ねないと処分に至りません。いいかげんなことはできませんので、したがって、そこは必ず立入り、報告徴収を求める必要がある。そういった意味で特に詐欺的商法に係る事案につきましては、そういった執行上の困難が多々あることは、申しわけありません、愚痴になりますけれども、述べさせていただきます。その上で先生の御質問に答えれば、どういった形で周知を図っていくのか、混乱を減じていくのかにつきましては、一回、我々のほうで検討させていただきたいと思っております。
○河上委員長 後藤室長、お願いします。
○消費者庁後藤財産被害対策室室長 私から、3点ほど御質問をいただきましたので、それについてお答えします。
順序は不同になりますけれども、最初に、委任規定の関係でお話をさせていただきます。確かに委員の御指摘のとおり、全国で委任環境はできておりません。前は、資料にも書いてありますけれども、生命身体事案についての重大事故が発生した場合における対応ということでありまして、そのときに最初に同意を得たということです。今回、改正によりまして初めて、財産分野においても行政措置の規定ができ、委任することになりました。我々としましても、安全法をいかにワークしていくかということで、当委員会の提言も受けまして、全国的な会議をやるブロック会議等に合わせまして、なるべく地方自治体の方に同意をいただけますよう、そのときの受けた場合の意義、問題点等、こういったものを意見聴取しながら、できれば全部に受けていただけるように、現在もまだ働きかけをしているところでございます。
ただし、やはり自治体によりそれぞれの事情があります。規模によります、予算によります。いろいろなことがありまして、できない、できるもありますけれども、現在は、意見聴取を実施しているところです。我々としましては、全部に受けていただきたいという予定で頑張っているところでございます。
次に、立入調査権限とか、権限の関係です。我々が注意喚起しているところで一番ネックになるのは、どうしても公表が事業者の実名を出してやっているというところでございまして、ということは、事業者のある程度の調査が必要だと。それは確かです。ただ、その事業者が、先生もおっしゃられましたけれども、姿がいつも見えていればいいのですけれども、事業所もない、レンタルオフィス、サイバーオフィス、そういった事業者をいかに探していって、本当にいないのか、いるのか。そういったものに時間を費やしてしまう。そこでどこまで行き着ける話になるか。探しているうちに尻尾はつかむのですが、影しかないという状況で、15条を使い注意喚起するに当たり、立入調査についてはなかなかできなかったというのが現状です。決して我々も手をこまねいているわけではない。あればいつでもする、それは私たちの持論です。
ですから、今、やっているところは、14条でできるものはどんどん出していこうということで、これからも14条をどんどん使っていく予定でおります。たまたまそういう機会があればということですけれども、機会を今度はつくっていって前向きにやっていく予定ですので、御了解を願いたいと思います。
最後、財対室がいつからできたかという話ですけれども、これは消費者庁ができてから、名前がちょっと違って、私の記憶では消費者事故対応室だったと思います。それが、財産被害の場合、事故等の中の事態に始まるので、財産被害対策室ということで出まして、私もことし、着任しました。こういった詐欺事案、きょう初めて参加させていただきましたけれども、高齢者をねらうファンドとか、未公開株とかありますので、力を入れていこうということでラインをつくって、今、頑張っているところでございます。よろしくお願いいたします。
○河上委員長 細川委員。
○細川委員 全体的な話になってしまいますが、よろしいですか。6か月ぐらい前、やはりこういう機会があったときも私は発言させていただいたのですけれども、刑事法規の活用は抑制的であるべきだという考えがある一方で、これだけ被害が発生しているわけだから、刑事法規の活用は必要ではないかというふうに強く思っています。しかも、被害者が出てから、その告訴を待って解決するというのも必要ですけれども、その前に、告発とかそういう制度を活用して、形式犯という段階で取り締まっていくことも今の時代に必要ではないかと思います。
そういう意味で考えると、そういった告発権というようなものが、国民であれ、あるいは刑事訴訟法の中には、官庁というのは告発しなければならないという規定がありますけれども、それが余り活用されていないのではないかという感じがします。先ほど、山口委員長代理から質問があった資料2-1の2ページ、3ページで、例えば、金融庁で無登録で金融商品取引業を行う者に対する警告をやっていますけれども、警告は行政処分ですか。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 行政処分ではございません。
○細川委員 無登録業者なわけですから、違いますね。ということは、無登録でこの行為をやっていることそのものが刑事罰の対象と思います。刑事規定に違反するはずです。それを、警察にその情報提供をしないで、わざわざ御丁寧に警告してあげている。あなたが犯罪者にならないように、御丁寧にお知らせしてあげているというふうにしか私はとれない。何もやっていないよりは、こういうものをやったほうがいいかもしれませんけれども、しかも、それを公表しているわけですね。ということは、犯罪行為をしているのに警察に通知もしないで、それを公表して、消費者は自分でそれを見て注意しなさい、ということを言っているにすぎないとしか私には思えないので、これは、もう少し毅然とした対応をとればいいと思います。
また、警察庁のほうも、今、行政法規がいっぱいあるわけです。しかも、間接罰だけではなく、直罰規定もかなりあるわけです。ところが、官庁のほうも、直罰規定があるからといって、すぐ警察に、それを通告あるいは告発するということも、余りそういうマインドがないようですし、警察庁のほうも、そういったものを促すという制度がないのではないかというふうに思います。
ある事業者団体の方が、直罰規定に違反する事業者があったので、ある省庁に取り締まるように何とかしてくれと言ったら、直罰規定は我々が関与する仕事ではないと言われたと。被害者が申し立てて刑事罰に生かすためのもので、直罰規定に対して行政庁は告発権はないということを平気で言う。そういうことの相談を受けたことがありますけれども、そういったところの問題があるような感じがしますので、金融庁と警察庁にお考えをお聞かせいただければと思います。
○金融庁和瀬監督局証券課証券監督管理官 細川委員に大きな誤解があるようなので、訂正させていただきたいと思います。
まず一つ、私どもは無登録で警告を行った業者に関しては、すべからく警察と情報連絡をつけております。ただ、それを平場で刑事告発という形で行うかどうかについては、立件可能性等を十分に警察のほうと御協議をさせていただきながら、平場でやるか、それとも内々の情報提供を踏まえて、その上で、警察が独自に水面下で動くかということを決めておられるというふうに理解しております。したがって、私どもは、平場にさらして警告書を出してそれで終わりとしていることではなく、一般の国民の方々に、まず警察が証拠固めをして、実際に立件できるかどうかという瀬踏みをしている間に被害が広がることを防ぐために、警告書をまず発表させていただいて、その上で、必ず全件、警察と情報共有をさせていただいております。
○河上委員長 警察庁、いかがですか。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 法の建前からすると、罰則がついているものをすべからく、罰則が重いものも小さいものもすべて取り締まれれば、それはもちろんすごくいいことですけれども、先ほど消費者庁からも話があったと思いますが、この種の事案は、場所がどこにあるかということが完全に特定できる事案もあれば、特定できない事案もございます。また、証拠関係がはっきりしているものもあれば、ないものもある。要はいろいろな事案があるわけです。その中で限られた捜査力といいますか、人的資源、物的資源の中で事件をやっているわけですので、どうしても重点指向にならざるを得ない面はあるわけです。
私どもとしましては年間それなりの事件をやっているわけで、あとは、事件化できるものは事件化しますけれども、どうしても手が回らないものをどうやって未然に防いでいくかという問題が残るかと思います。もちろん、今の何十倍も捜査力があればすべて事件化することは可能かもしれません。ひょっとして法の建前はそうなのかもしれませんが、残念ながら、なかなかそこまでは至っていないという実態の中で、どうやって被害拡大、被害を防いでいくかということが、今、求められていることではなかろうかと思います。
○細川委員 お話、わかりました。ただ、それがうまく刑事規制につながっていないケースが多いのではないかという感じがしたものですから。そこは陣容もありますね。あるいは、私はずっと前から主張していますけれども、特別司法警察職員の制度を活用して、麻薬については麻薬Gメンという麻薬だけを扱う警察官がいるわけですから、例えば金融専門に扱うような、刑事にすぐつながる制度みたいな創設も、今の時代、少し議論していいのではないかとかねがね思っておりまして、そういう視点もあって発言させていただきました。
○河上委員長 金融Gメンみたいなものですね。
それでは、最後に、関係機関による消費者への注意喚起等、その他について、何か御質問、御意見のある方がいらっしゃったら、発言願います。いかがでしょうか。
○山口委員長代理 警察庁にお聞きしたいのですが、いわゆるカモリストが確実に使われて、次々に同じ被害者が被害に遭っているという実情があるわけです。それについて警察庁のほうで、新聞報道によると、63万人ほどの被害者のリストアップを活用して注意喚起を促されている。これは是非実施していただきたいので、その実施の状況をお聞かせいただきたいのと、これを聞いた消費生活相談員が、逆にこれがなりすまし詐欺の口実にならなければいいなと。要するに、警察から来ました、あなたは被害カモリストにのっているから気をつけてください、念のため口座は何番ですかとか何とか言われて、こたえてしまうと、逆に悪用になりますので、悪用にならない工夫はどういうふうになさっているのか。それをしゃべったら、またこれを詐欺師グループが使うと困るので、微妙なところかもしれませんが、その辺もお聞かせいただければと思います。
○警察庁刑事局捜査第二課担当者 警察庁捜査第二課特殊詐欺対策室の高尾と申します。
我々のほうでは、犯人グループから押収した名簿を使った注意喚起事業ということで、対応させていただいているところでございます。我々は特殊詐欺のほうを担当していますけれども、その捜査の過程で押収したもの、まさに犯人グループが使っていたということで、これに載った方々にいろいろな形で注意喚起をさせてもらっております。都道府県によってやり方は異なっております。一部、予算等がうまくいったところではコールセンター事業という形をとっておりまして、民間のコールセンターのほうにお願いするようなこともございます。また、直接的ではございますけれども、地域警察官もしくは私服の警察官がそちらのお宅に直接出向いて、そういった事情を説明した上で注意喚起を行うということをやっております。
今のところ、直接お話をした場合もございますし、注意喚起もさせていただいておりますけれども、やはり驚かれる方もいらっしゃいますし、私のところに電話がかかってくるのはそういうことですか、というふうなお話を聞ける場合もございます。極力、来年度以降も引き続きしっかりと対応してまいりたいと考えております。
これを使った詐欺の手口に対してということですけれども、いろいろな御懸念はあろうかと思いますが、犯行グループというのは、特殊詐欺もそうですが、いろいろな手を使ってまいります。警察官になりすましというのも普通にありましたし、まさにお尋ねのような事例もあるかと思います。現時点、そういった話があるという形の報告は都道府県警察から受けておりませんが、もしそのようなものを認知した場合には直ちに対応をとるようにということで、都道府県ともうまく連絡等をやっておりますので、引き続き、しっかり対応してまいりたいと考えております。
○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
どうもありがとうございました。高齢者をねらった詐欺的な投資勧誘の被害の未然防止、拡大防止、被害回復の迅速化を図るためには、関連法令の執行力の強化と取締りの強化に係る新たな制度整備がやはり必要ではないかと考えております。金融商品取引法においては、無登録業者による未公開株等の契約無効化、罰則の強化、さらに、適格機関投資家等特例業務に係る規制強化について、一定の効果が出ているのではないかと思われます。引き続き、厳正な取組みをお願いしたいということでございます。さらに、ここから先は金商法の直接の目的との関係もあって、いろいろ御議論はあるかと思いますけれども、有価証券の適用範囲の拡大の可能性、無登録業者の171条の2の未公開有価証券に集団投資スキーム持分を含めることについても、さらに検討をしていただければありがたいと思います。
特定商取引法においては、違反事業者に対する指示、業務停止命令等の執行の強化をお願いするとともに、やはり指定権利制を何とかできないか。立法の問題になるということでしたけれども、立法としてそれが可能かどうかというのはもう少し検討していただいて、適用の緩和でも構いませんが、指定権利制を廃止する方向、場合によっては不招請勧誘の禁止といった手法も検討していただければありがたいと思います。
さらに、改正消費者安全法については、多数消費者財産被害事態の措置の執行に向けて万全を期していただくということで、後藤室長にはさらに頑張っていただきたいということです。施行後における勧告・命令等の執行もやはりスピードが勝負なので、迅速に実施していただければありがたいと思います。
委員の間からいろいろ意見が出てまいりましたけれども、やはり行政的な措置を講ずるということ、無効化という形での民事効を与えるということ、もう一つは刑事の責任を追及する。それぞれの救済の方法の長所・短所があろうかと思います。それが一定の要件のもとで動かざるを得ないということは十分承知していますけれども、逆に、例えば行政措置で一定の法律の中では、マーケットがないとだめだとか、他方では、役務と結びついていないと権利とは言えないというふうにして少しずつ要件を自制していきますと、結局、警察のほうに全体がシフトしてしまって、刑事告発しかないという状態になってしまう。
ところが、警察にもマンパワーの問題がありますし、刑事責任ともなればそれなりの要件の高さも要求される。結局、そこにすき間ができて間に落ちてしまって、一番黒いところに手が出せないという状態になる。これはやはり問題ではないかと思います。むしろ少々重なり合ってもいいから、みんなで協力してそこの部分を何とか対応するという方向に、姿勢を転換していただくことができればありがたい。その辺の連携・協力を是非やっていただければと思います。
同じことは、注意喚起とか啓発についても言えることでして、犯罪被害の摘発とか被害回復の実効性を上げるために、やはり関係機関での連携・協力が必要だというのは、当たり前のことですけれども最も重要です。今まで以上に連携・協力関係をしっかりとつくって取り組んでいただければありがたいと思います。
消費者委員会といたしましては、本日の議論も踏まえまして、引き続き、詐欺的投資勧誘対策について審議を行いまして、しかるべき時期に建議を行いたいと考えておりますので、また、よろしくお願いしたいと思います。
本日は、警察庁、金融庁、消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
2)詐欺的投資勧誘対策 I I (ツール規制) (施策番号51、64 等)
○河上委員長 引き続きまして、詐欺的投資勧誘対策のうち、犯罪に使用されるツールの規制について、審議したいと思います。
本日は、警察庁、金融庁、総務省、法務省、経済産業省においでいただいております。忙しいところを、まことにありがとうございます。
詐欺的な投資勧誘に係る犯罪においては、IP電話、レンタル電話、バーチャルオフィス等のツールが悪用されているという指摘がございます。そのような犯罪ツールが使用されている実態とその取締りの状況について、それぞれ御説明をお願いし、議論をしたいと思います。
なお、この議題につきましては、各ヒアリング項目が相互に関連することが想定されますので、先ほどとは違いまして、各省庁から御説明をいただいた後、一括して質疑を行いたいと思います。
まず最初に、警察庁から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 警察庁の生活経済対策管理官の福田でございます。よろしくお願いいたします。
私どもからは、12番、13番、14番、16番につきまして、御説明させていただきます。
まず、12番の、詐欺的な投資勧誘に使用されるツール規制の全般についてでございます。犯罪ツールについては、いろいろな用語があるのですけれども、最近は、きょう御指摘されています電話とか、バーチャルオフィスなどは、金融口座も含めて、「犯行助長サービス」という形でとらえております。要は物そのものが問題なのではない。もちろん、犯罪に使われていることを認識してやっていれば幇助犯になることもありますけれども、その物に付随して、一定の事業者が、通常は知らずに犯罪者にサービスを提供している。それが問題であろうかととらえているところでございます。
では、説明させていただきますけれども、まず、携帯電話についてでございます。警察におきましては、犯罪に利用された携帯電話につきましては、被害の拡大防止を図るため、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」に基づきまして、契約者確認の求めを実施しているところでございます。
加えて、近年、レンタルされた携帯電話が犯行に利用されることが多いところでございますけれども、レンタル携帯電話会社に対しまして、規約に基づく解約依頼を実施しております。
統計は、全体統計が存在しないのでございますけれども、ヤミ金のものしかありませんが、平成23年中にヤミ金融事犯に利用された携帯電話の契約者確認の実施件数は、約3,700件となっております。また、同事犯に利用されたレンタル携帯電話の規約に基づく解約依頼件数は、約2,500件となっています。警察庁ではこれらの対策を今後ともより一層推進するよう、都道府県警察を指示しているところでございます。
続きまして、預金口座についてでございます。取組みといたしましては、被害拡大防止や被害回復を図る目的で、犯罪に利用された疑いがある口座につきましては金融機関に対して情報提供し、口座の凍結を求めているところでございます。また、利殖勧誘事犯に悪用されている口座の大多数が法人名義口座である現状に鑑みまして、警察が凍結を求めました利殖勧誘事犯利用法人名義口座に係るリストを金融機関に提供しておりまして、法人名義口座の新規開設時の審査の厳格化などに利用してもらっています。
続きまして、実績でございます。平成23年中に口座凍結を求めた件数は2,746件で、これは、昨年同期と比較しまして約7倍となっています。このうち、法人名義口座に係る情報提供件数は2,239件、平成23年中に凍結を求めた口座数は2,175口座で、うち法人名義口座は1,708口座でございました。これは全体の5分の4ということで、利殖勧誘事犯につきましては、口座の大多数は法人名義口座でございました。
続きまして、13番、「電話受付サービス業や郵便物受取サービス業の本人確認の実態をどう認識しているのか」ということでございます。これにつきましては、一度、特別調査をしたことがございまして、利殖勧誘事犯利用口座として、凍結を求めた法人名義1,531口座の名義人である法人の数は922法人で、そのうち、少なくとも114法人(12.4%)が金融機関に届けていた事務所の所在地は、電話受付サービス、郵便物受取サービス等を提供するバーチャルオフィスのものと同一でありました。当該114法人のうち、東京都港区、中央区、新宿区、千代田区、または渋谷区の、都心の一等地に所在するバーチャルオフィスを利用していたものは92法人(80.7%)で、大多数を占めるところでございます。
これらのうち、電話受付サービス業と郵便物受取サービス業につきましては、犯罪収益移転防止法の4条に基づいて本人確認義務が課せられていますけれども、このときの調査を行った時点では、同法の本人確認を行っていない事業者が確認されたところでございます。
続きまして、14番、「固定電話、特にIP電話が投資詐欺に用いられている実態について、把握している範囲で説明されたい」ということでございます。具体的な事例といたしましては、詐欺集団による高齢者を対象とした社債募集名下の詐欺等の事件におきまして、IP電話が犯行に使用されたと承知しておりますけれども、件数等の詳細については残念ながら把握していないところでございます。現在、警察では、携帯電話のうちレンタル携帯電話対策については、事業者と協議をするなり、対策を講じているところでございます。IP電話につきましても、今でも一部利用されているようではありますが、今後、レンタル携帯電話対策の推移いかんによりましては、犯罪利用が増加する可能性もあることから、その実態を引き続き注視していきたいと考えているところでございます。
なお、IP電話のうち固定電話につきましては、端末等を設置する必要があるわけですけれども、端末の移動は携帯電話と比較して困難であることから、こうした事犯における使用頻度は、一般例ではございますが、モバイル型のものと比べると低いものと思われます。
最後に、レンタル携帯電話の御指摘でございますけれども、これにつきましては、今、事業者と対策について一部協議しているところでございます。先ほど申し上げましたように、投資詐欺とはちょっと違いますけれども、ヤミ金などでもかなりレンタル携帯電話が使われている実態はあるものと認識しております。レンタル携帯電話につきましては、携帯電話の音声通信事業者による本人確認法、この法律に基づく契約者確認の対象はレンタル携帯電話事業者に限定されておりまして、レンタル携帯電話の貸与の相手方、通常はそれが犯人になるわけですが、それは含まれていないところでございます。
また、規約に基づく解約依頼はそれなりの件数を実施して、現実に解約していただいているところでございます。特にヤミ金の場合がそうなのですけれども、規約に基づく解約依頼がなされたとしても、レンタル携帯電話の貸与の相手方は新たに別のレンタル携帯電話を借り受けることができるわけです。特にヤミ金の場合は、被害者と申しますか、利用者から運転免許証のコピーを取り上げるなどして、新たに契約することが可能でありますので、解約できたとしても、また別のレンタル携帯電話を契約してしまうことがあり得るところでございます。
現在、協議中ですので、今後、どういう形で犯罪実態が推移していくか、ちょっとわからないところはございますけれども、警察では、今後の対策の在り方について、犯罪への利用実態を見ながら、引き続き、検討していく必要があると認識しているところでございます。
私からは以上でございます。
○河上委員長 ありがとうございました。
引き続き、総務省からお願いいたします。時間は5分程度ということで、よろしくお願いします。
○総務省総合通信基盤局消費者行政課担当者 総務省の消費者行政課の森里と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
我々は、ヒアリング項目の13、14、15、16を承っておりますので、順に説明させていただきたいと思います。
まず、13番、「詐欺的投資勧誘を行う事業者の所在を捕捉することは極めて困難であるが、電話受付サービス業の本人確認の実態をどう認識しているのか」という点です。この点につきましては、犯罪による収益の移転防止に関する法律に言うところの電話受付代行業についてだと思われますので、その観点から御説明いたします。
電話受付代行業につきましては、犯罪による収益の移転防止に関する法律におきまして、契約時における顧客の本人確認が義務づけられています。個人の場合には、運転免許証やパスポート等によって本人確認が行われ、法人の場合には、法人自身の本人確認を登記事項証明書等によって行うとともに、法人の契約担当者についても、個人の場合と同じ方法で本人確認が行われる必要があります。そのような本人確認後は、本人確認記録の作成と、あとは保存が義務づけられておりまして、捜査機関におかれましては、捜査関係事項照会等によってその照会を求めることができる、そのようになっております。
電話受付代行業の本人確認の実態につきましては、関係事業者に協力を得て把握した限りですけれども、本人確認の方法としては、運転免許証や写真付の住基カード等の、写真付き公的発行の証明書によって行われることが基本となっております。
次に、本人確認の際のトラブルの有無については、多くの事業者におきまして、発生したことはないというふうに回答しておりました。
契約の事務の過程において、顧客の用いる法人名義が実体のないペーパーカンパニーであることがうかがわれるような、疑わしい取引の有無について確認しましたところ、多くの事業者においては、近時そのような疑わしい取引は減少している、そのような回答をしたところが多かったです。
次に、固定電話、特にIP電話が投資詐欺に用いられている実態についてという点ですけれども、固定電話につきましては、先ほど警察庁から説明がありましたとおり、利用場所への物理的な電話線の引き込みや配線が必要となります。さらに、電話機とモジュラージャックとを接続する必要があります。そのため、事業者側においては固定電話の利用場所を把握しており、また、取り外して持ち運ぶことが想定されているものではないことから、投資詐欺の悪用には適していないのではないか、そのように思っております。IP電話につきましても、基本的には、IP電話におけるモジュラージャック的なものと電話機とを接続するのが、一般的な利用形態であると聞いております。
この点につきまして、今回、ヒアリングを受けまして、改めて事業者に聞き取り調査を行いました。それによれば、事業者自身が、固定電話ないしIP電話が投資詐欺に用いられているかどうか直接把握するすべがなく、警察から照会等があって初めて何か問題があったことがわかるけれども、知る限り投資詐欺に利用されたという話は聞いていない、そのような回答を得ました。
固定電話についても本人確認義務を課すべきではないかという点ですけれども、固定電話につきましては、前述のとおり、移動可能な携帯電話とは異なって、事業者の側で利用場所を把握しており、また、取り外して持ち運び可能ではない点で携帯電話とは違うのではないかと思っているところでございます。
最後に、レンタル電話が何重にも犯罪に使用されている点についてです。この点についてはレンタル携帯電話であると思いましたので、その観点から御説明いたしますと、レンタル携帯電話に関する法律としましては、携帯電話不正利用防止法というものがございます。これにより携帯のレンタル業者は、運転免許証やパスポート等の公的証明書によって相手方の氏名等を確認せずに、携帯電話のレンタルを行うことが禁止されています。本人確認記録の作成及び3年間の保存が義務づけられているところでございます。総務省としましては、ホームページに説明を載せておりますし、リーフレットを作成するなどして、本人確認の手続や方法等について周知を図っているところであります。
今回、ヒアリング項目に挙げられました点について、改めて事業者に聞き取り調査を行いました。それによれば、レンタル携帯電話事業者自身が、レンタル携帯電話が犯罪に用いられているかどうか直接把握するすべがないので、警察からの照会等があって初めて問題があったことがわかるけれども、通常、捜査の必要性とか密行性の観点から、当然ですが、詳しくは教えてもらえないということでした。
なお、私が聞き取りを行いました事業者におきましては、レンタルの契約時に、第三者にさらなるレンタルをすることがわかっている場合には、レンタルを断っているということを話しておりました。
このように事業者自身が把握できることには限りがありますので、詐欺の悪用の実態について把握することは難しいですけれども、引き続き、実態把握に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、経済産業省から説明をお願いいたします。
○経済産業省苗村商務流通保安グループ商取引監督課長 経済産業省の商取引監督課長の苗村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、13番、経済産業省による郵便物受取サービス業者への取組み、そちらについて御説明させていただきます。お手元に資料4というもので1枚お配りしておりますけれども、先ほどの総務省のお話と同様でございまして、郵便物受取サービス業者につきましても、犯罪収益移転防止法に基づく顧客の本人確認の義務、記録の作成・保存などが義務づけられていまして、これに基づきまして指導監督を行っております。
具体的な取組みとして、本日は3点、御説明したいと思います。
資料4のカラーのパワーポイントがございます。まず、具体的な取組みとしまして、1番目として、郵便物受取サービス業者に対する行政処分の実施ということでございます。犯罪収益移転防止法の施行につきましては、私どもは警察庁と極めて緊密に連携をとらせていただいております。警察からの意見陳述を踏まえて立入検査を行いまして、法律が施行されました平成20年以降、29件の是正命令における行政処分を行い、当該業者から是正措置の報告を提出させております。
2番目でございますけれども、郵便物受取サービス業者の実態調査の実施でございます。これは本年11月に実施しておりまして、まだ取りまとめ中でございますけれども、NTTの電話帳等を使いまして、郵便物受取サービス業を行っている可能性のある事業者、これは広めにとりまして、レンタルオフィスのようなものも含めて約4,000事業者を選定しました。その中で、実際に郵便物受取サービスを提供している事業者に対して実態調査を行っております。この調査ですけれども、調査だけではありませんで、3番目に書いてありますような、改正犯罪収益移転防止法の説明会への案内、資料の送付などを致しまして、単なるアンケート調査で終わらない形で取組みを行っております。
3番目がその説明会の実施でございます。これにつきましては、来年1月に実施しようと思っております。来年4月に、犯罪収益移転防止法の規制の強化が行われるということで、強化内容を含め、犯罪収益移転防止法全体について、この機会をとらえて説明会を行うというものでございます。現在のところ、4都市で、東京は2回行いますので、5回行う予定でございます。また、その資料につきましては、2番目のアンケート調査で、実際に事業を行っておられる、または、行う予定のあると回答された方のうち、説明会に参加できないとか、そこまで行くことができないと回答された方にもお送りし、ウェブページにも掲載して、法律の内容の周知に努めてまいります。
以上でございます。
○河上委員長 ありがとうございました。
では、続きまして、法務省から説明をお願いいたします。説明時間は10分程度でお願いします。
○法務省河合民事局商事課長 法務省民事局で商事課長をしております河合でございます。
商業登記の関係で何点か御質問を受けておりますので、それに関してお答えしていきたいと思います。商業登記は、もとより、商人の信用を維持し、取引の安全・円滑を図るための制度ですから、直接この詐欺的な投資勧誘の対策にどこまで関与できるかという点があるかもしれませんが、御質問を受けている項目17~19に即して、御説明させていただきたいと思います。
まず、17番の項目につきまして、資料5を見ていただきますと、本店の所在場所が登記事項とされています。登記するに際しての添付資料につきましては、定款で、本店の所在地を記載しなければいけないことになっていますので、最小行政区画以上に地番まで定めてあるようなものであれば、定款を出していただく。他方、定款では最小の行政区画まで定めているということであれば、設立の段階であれば、発起人の一致により本店をこの場所に定めるといったことを証明する書面も併せて出してもらって、登記をします。設立後の場合であれば、それに代えて、取締役会の議事録を併せて添付してもらうことになっております。
その関係で、「バーチャルオフィスのような事業活動の実態のない住所を登記することについて、どのように考えているか」という御質問です。商業登記で登記されている本店というものについて、最近の学説によりますと、登記されている本店の所在場所は、定款とか取締役会議事録に本店として記載された場所を指すという理解が一般的でございますので、そのような理解を前提としますと、その場所に本店としての実態があるかどうかというのは問われていないということになります。もちろん、このような場所に、会社法上、定款、株主名簿、株主総会議事録等を備え置かなければならないという義務を課されていますので、そのような義務を履行していないのであれば過料の制裁を受け、場合によっては善管注意義務違反として損害賠償責任を負うという関係になると思います。
他方、ここでいう本店をかつての学説のように事業活動の主要拠点としての実態がある場所と見る立場もございます。このような立場からすると、事業活動の主要拠点として実態のない場所を本店として登記している場合には、場合によってはそのこと自体によって犯罪等の成立する可能性もございますが、登記の申請の段階では、定款や、発起人の一致があったことを証する書面又は取締役会議事録に記載されている本店の所在場所を本店の場所として申請する限りは、これを受理するのが扱いとなっているということでございます。
2点目の関係で、「訴状が到達しないケースが多い」という御指摘を受けております。法人に対する訴状は、法人の代表者が訴状の送達の受取人となり、送達の規定によれば、送達を受けるべき者の住所においてするのが民訴法上の原則になっています。そして、株式会社の代表取締役の住所については、資料5の2で書いてありますとおり、氏名及び住所を登記することになっております。代表取締役の住所については、市区町村長発行の印鑑証明書に記載されている住所と一致していることを登記の申請の段階で確認しておりますので、ここでいう訴状が到達しないという事案について、どのような事案を念頭に言われているのか、御教示いただきたいと思っているところです。
仮にこれが平取締役の責任を追及する際の訴状が送達されないということでございますと、資料に書かれていますように、いわゆる平取締役、すなわち代表権のない取締役については、住所については登記事項とされていないという関係がございます。平取締役の住所については、昭和37年の改正前は登記事項とされていましたが、資料5の2にありますように、代表取締役以外の取締役については代表権を有しないから、その住所まで登記する実益が少ないということが議論されて、申請人の負担軽減なども考慮して、その改正によって削除されているということです。近時、代表取締役についての住所ですら、個人のプライバシーの保護の問題、場合によっては犯罪被害につながりかねないといった観点から、登記事項から削除すべきだという議論もいただいているところでございます。ただ、訴状の送達等の関係から、代表取締役については少なくとも必要であるという意見が大多数でして、これを削除する方向にはなっておりませんけれども、そのような状況の中で、平取締役の住所を登記するというのはなかなか難しいのではないかと考えております。
そこで、仮に登記事項とならないとしても、取締役会設置会社の平取締役に印鑑登録証明書等の提出を求めるということは可能ではないかということで、第3の質問を受けているところでございます。御指摘のとおり、取締役会設置会社における平取締役につきましては、登記申請の際に、市区町村長発行の印鑑証明書を添付書面とはしておりません。他方、代表取締役については、昭和47年に、資料5の項目番号3にありますとおり、商業登記規則等の一部を改正する省令によりまして、実在しない者や他人の氏名を冒用した代表取締役の登記がされているという当時の現状を踏まえて、これを防止するため、就任承諾書に印鑑証明書を要するという改正をして現在に至っているわけでございます。
平取締役につきましても、近時において、実際には就任承諾をしていないにもかかわらず登記されている事態が頻発しているとか、実在しないものが登記されているということがあれば、同様の改正を検討していく余地はあると思っていますので、そのような実態があればお知らせいただきたいと思います。そのような検討に際して、代表権がない者について登記をする意味については、平取締役の住所を登記事項から削除するときの法制審議会における50年以上前の議論にもあり、そもそも平取締役については登記事項から全部外したほうがいいのではないかという議論もあったところ、一定の有用性があるということを踏まえて残されたという取締役の登記の意味、また、申請人に与える負担、それから、添付書面ということになれば、利害関係人という範囲に限られますが、閲覧の対象となるので、先ほど、代表取締役についても懸念があった、プライバシーの保護などという観点とのバランスなども考慮しなければいけないということにも、御理解いただきたいと思っているところです。
なお、登記の真実性の確保策につきましては、この秋に開催しました全国の登記部門の責任者を集めた会議でも、検討を行っているところです。今後、関係機関から、詐欺事案に悪用された架空会社に関する情報などを御提供いただき、当該会社の類型を分析するなどした上で、登記手続において、そのような会社の登記を防止することができる手段があるのかどうかという観点から検討を続けていくつもりですので、これに関する情報があれば併せてお知らせいただきたいと考えております。
以上でございます。
○河上委員長 ありがとうございました。
最後に、金融庁から説明をお願いいたします。
○金融庁総務企画局企画課調査室担当者 金融庁の総務企画局企画課調査室の荒瀬と申します。
私からは、20番、振り込め詐欺救済法による被害者への返金率向上の取組みについて、簡単に御説明させていただきたいと思います。
返金率向上の取組みにつきましては、先ほどもちらっと説明がありましたが、お手元の資料6にありますように、リーフレットを金融機関並びに関係機関等に配布させていただいております。振り込め詐欺救済法に基づいて、口座残高や他の被害者の被害額に応じて支払いが受けられる旨、また、被害に遭われた場合は速やかに警察、金融機関に連絡していただく。こういった旨を、このリーフレットによって周知、制度の広報に努めているところでございます。
当該リーフレットの配布につきましては昨年9月に実施しております。例えば都道府県の消費生活センター、警察署、金融機関、我々の地方の組織であります財務局等におきまして、計48万枚配布を行っております。例えば金融機関であれば、先ほど紹介がありましたように、ATMへの掲示、顧客への配布を行っているところでございます。
本年の取組みにつきましては、政府広報という形で、「未然奉行」ということで、松平健さんをキャラクターにして、10月下旬に、全国紙及び地方紙において同じように、振り込め詐欺被害者救済制度の周知徹底を図らせていただいているところでございます。
ちなみに、返金率につきましては、一昨年度までは50%前後の返金率であったところ、昨年度は74%と、大幅な返金率の向上が図られたところでございます。私どもとしても、こういった制度の周知の効果が一定程度あらわれたと見ることもできるのではないかと考えております。
そのほか、金融機関が、より積極的に被害が疑われる者に対して連絡をしていただくように、例えば金融機関との意見交換会の場等を通じて、そういった取組みの促進を要請することもやっております。
私からは以上です。
○金融庁監督局銀行第一課担当者 私からは、21番、「凍結口座の口座人名義及び残高、振替先口座の名義人等の情報については、どのような場合に開示され得るのか説明されたい」というところで、少し説明をさせていただきたいと思っております。
口座の凍結の状況につきましては、全銀協から資料等が公表されていまして、平成23年度におきましては、新規に口座不正利用に伴う口座の利用停止件数として、3万8,311件という件数が公表されています。
凍結口座の情報開示につきましては、金融機関には一般に、守秘義務が負わされているところでございます。法律的には個人情報保護法において、一定の場合を除きまして、あらかじめ本人に同意を得ないで個人のデータを第三者に提供してはならないという旨が規定されておりまして、原則として銀行が第三者に口座情報を開示することはありません。個人情報に限らず法人情報につきましても、同様に考えております。
ただ、振り込め詐欺救済法のように法令に定めがある場合は、銀行は口座情報を第三者に開示することがあると聞いております。振り込め詐欺救済法における口座凍結、口座情報の開示につきまして申し上げますが、振り込め詐欺等の被害について銀行に申出がありまして、預金口座等が犯罪に利用されている疑いがある場合、口座の取引等の停止措置を行います。その後、凍結口座の情報が開示される場合といたしまして、預金口座の失権手続による公告。失権手続により失権された場合、被害者への支払手続に係る公告等によって行われるということでございます。
また、法令の定めに従いまして、権限ある当局からの照会があれば、各金融機関におきまして、口座情報の開示の可否を判断して開示していると承知しております。刑事訴訟法197条の第2項に規定されております、捜査関係事項照会等につきまして照会を受ければ、各金融機関は、警察庁、警察に対して口座情報を開示していると聞いておりますし、ほかの場合であっても、権限ある当局による適正な法の執行であれば、その口座情報を開示していると聞いております。
口座の情報開示につきましては、法令に基づく権限である当局からの照会であるか、振り込め詐欺救済法における公示で開示される場合が、大宗といいますか、ほとんどであるというふうに承知しております。
私からの説明は以上でございます。
○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、以上の御説明をもとに、御自由に、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。
○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。総務省と法務省にお聞きしたいのですが、先ほどの警察庁からの御説明でも、レンタル携帯電話の本人確認義務につきまして、レンタル事業者は義務があるけれども、レンタル電話を借りる側の本人については事業者の裁量に任されているという運用がある。実際問題、私どもが実務で、怪しげな電話を使った者は一体誰なのかということで調べてみると、レンタル業者が転々と名義貸しを重ねていまして、5、6回目にやっとたどり着く。ところが、そうなると本人はどこに行ったかわからないというような実態があるわけです。こういう手合いを保護する必要はないわけでしょうから、レンタル携帯電話の借り主にも本人確認義務、つまり、レンタル事業者にも本人確認義務を法律できちっと整備してはどうかと思います。その辺について、もし立法事実がないならば提供いたしますので、御検討の余地がないのかというのが一つです。
法務省の関係ですが、これも私はびっくりしたのですが、要するに、連絡がとれないという実態があるのかといわれましたが、実際にそんな問題が多くあるわけです。先ほど来お聞きになっているかどうか、警察庁や消費者庁がお話になっていましたけれども、悪質な事業者の場合、消費者被害が発生して1週間後にはもう事業の実態はなくなります。あるいは、千代田区何とかというところが本店所在地になっているけれども、そこは最初からバーチャルオフィスで、実際の詐欺勧誘をやっているのは別のたこ部屋か何かで、10人ぐらいが集まって、きょうは山口商事でやるぞ、明日は鈴木物産でやるぞというようなことで、毎日毎日、適当な会社名で、表向きの本店所在地は千代田区何とかのバーチャルオフィスでやっているわけですよ。そういう被害者が弁護士に頼んで裁判を起こそうといっても、訴状が到達しないのです。そういう実態はあります。
そういうことを考えますと、本店所在地について、犯罪のツールに使われていることは顕著な事実であると言わざるを得ないと思うので、せめて賃貸契約書を提出させられないか。これは、口座を開設するときには銀行は徴求しています。せめて形式上の書類だけでもいいですから、そういうものを徴求して、全くの仮想ではないということを確認するぐらいのことがあってもいいのではないかと思いますが、その辺がどうなのか。
それから、実際これは私がやった事件で、5月に未公開株的な投資詐欺で引っかかったおばあちゃんの関係で、あちらこちらに連絡してみたところ、生活保護を受けている休職中の30歳代の独身の男が、町中のゲームセンターで知り合った男から誘われて、あそこに行けば仕事が見つかるというので、池袋の事務所に行ったら、仕事をあっせんするから印鑑証明と実印を持ってこいと言われて持って行った。それが悪用されたという事案でした。どうも、それがあちこちの被害に使われているようでして、仕事をあっせんするからということで、生活保護なり休職中の青年の名義が使われて、結局、それがバーチャルなわけです。要するに名ばかり代表取締役です。そういう会社には責任追及しようがない。それでは平取にでも責任追及をするしかないということで、やってみると、平取は住所がわからない。
そういうことで、やり得といいますか、責任追及のしようがないという事案が顕著に増えています。このことは、法務省は裁判所に問い合わせをすればすぐわかることです。その送達作業をどうするかというところで、東京地裁の裁判官も頭を痛めています。弁護士がちゃんとやらないというのもあるけれども、要するに送達先について困ってしまう。結局、取締役の住所がわからないものだから、バーチャルオフィスの住所、例えば千代田区何とかの、山口商事内ヤマグチヒロシとか、鈴木何タロウ、田中何とかと表示して訴状送達をするわけですが、代表取締役は実在する人物かどうかさえわからないわけです。最近は、中国人だったり韓国人だったり、外国人の名前が結構使われるものだから、そうなると、その人物が実在かどうかさえもわからない、そういう状態になっている。
この登記制度は、実は崩壊しかかっているという実情を是非把握された上で、登記制度が悪用されている、崩壊しかかっている実情をどう食い止めるかというところの議論を、まじめにしていただかないと、これは法秩序の危機ですよ。私などはそう思うのですが、その辺を踏まえて、先ほどの3点について、改めて是非御検討いただきたいと思うけれども、いかがでしょうか。
○河上委員長 お願いします。
○総務省総合通信基盤局消費者行政課担当者 先ほど、委員が具体例として挙げてくださったものですけれども、レンタルの携帯電話事業者から借り受けた者がさらにレンタルするに当たって、そのときに本人確認義務がない、そういう御指摘というふうに理解すればよろしいでしょうか。
○山口委員長代理 事業者が転々としています。
○総務省総合通信基盤局消費者行政課担当者 携帯電話不正利用防止法のレンタル事業に関する条文としましては、10条があるところですけれども、10条は、「通話可能端末設備等を有償で貸与することを業とする者が、通話可能端末設備等を有償で貸与する契約を締結するに際しては、当該貸与契約を締結しようとする相手方について、」本人確認を行わずに通話可能端末設備等を貸与の相手方に交付してはならないとなっています。貸与された通話可能端末設備等を再び貸与する行為も、ここで言うところの貸与に該当するとなっておりまして、条文上は本人確認が必要となっております。
先ほど、具体的な事案についてお教えいただけるということで、我々としても具体的な事案を是非ちょうだいしたいと考えておりますので、御教示いただければうれしく思います。よろしくお願いいたします。
○法務省河合民事局商事課長 総合的にいろいろ御指摘をいただきました。何点かコメントさせていただきますと、まず、代表取締役の実在すらわからないという点につきましては、先ほど若干御説明しましたが、代表取締役については、日本人であれば印鑑証明をつけていただくこととしております。外国人の場合には、印鑑を強制することはできないこともありますので、その代わり本国官憲のサイン証明をつけていただいております。本国のほうで確認をとってもらった人を登記しているということで、実在しない者が登記されないような仕組みに既になっております。
○山口委員長代理 名ばかり取締役です。名ばかり社長です。
○法務省河合民事局商事課長 平取締役については、先ほども説明したとおり、印鑑証明書等がないわけですけれども、そこをどこまで登記をするべきなのかといったところは、実在しない人もいるという実態の内容等が具体的にもう少しはっきりしてくるようであれば、それも踏まえて、こちらとしても検討していきたいと思っているところです。
それから、本店の所在地について、少なくとも賃貸借契約書を求めたほうがいいのではないかという御指摘も先ほどいただきましたが、秋に開催した全国の登記部門の責任者を集めた会議でも、本店の所在地についての真実性を確保する方策はないだろうかということで、アイデアとしては、そういうものをつけることもあり得ると意見としては出されていたところです。他方、そういうものがない場合もあるだろうという意見もあり、また、本店というのは、会社が設立した時点で初めて本店となるので、登記申請と同時に契約書がなければいけないというのも難しいだろうということもあって、仮に添付書面を見直す議論をするとしても、添付書面として適切なものが想定し得るのかという点は、今後の検討課題であろうということでとどまっているところです。
○山口委員長代理 平取締役の本人確認のために、印鑑証明なり外国人登録証なりを提出させて、一定期間、保管するということはできないのですか。
○法務省河合民事局商事課長 先ほど若干触れましたが、住所を明らかにすることについては、一方で、プライバシー保護の問題があります。印鑑証明書をつけることになれば、登記の付属書類として一定の利害関係者に開示していくことになります。
代表者の住所を登記していることにつきましては、DV等の被害を受ける可能性があるので、何とかそこを隠してもらえないかというような御指摘をいただくこともあります。これに対しては、法人の責任追及するときに住所がないと困りますので、少なくとも代表者については登記をすることになっているということで説明しているところです。
平取締役についても、住所に関する資料を登記所に備えるといったときには、公開を一定限度にするということなので、プライバシーの保護の問題があります。それから、申請人への負担ということで、会社等の設立の登記であれば10万件、取締役の変更の登記は60万件ぐらいございます。取締役が複数いる場合もありますから、それだけ多くの人たちに印鑑証明書をつけてもらうだけの理由も必要となってきます。そもそも、代表者でありますと、訴状の送達とか、裁判管轄の問題とか、そういうところにかかわってくるわけですが、代表権のない者を登記する意味はどこにあるのかといった議論は、先ほど触れましたが、従前からあるところでございます。そういう意味では、会社以外の法人については、代表権のない者については一切登記をしないという扱いをしているところです。それらの整合性も踏まえながら、今、言われたような問題点も御指摘いただいているところですので、そのような実態の内容について更に詳細なデータ等もいただきながら、今後、検討していくように考えていきたいと思っています。
○山口委員長代理 今、取締役は一人でもいいわけです。それがあえて複数名の取締役が登記簿上に並ぶということは、その人の名前が使われることによって、その会社が一定の信用性があるということを対外的に表明しているに等しいわけです。そのためにこそ代表取締役以外の取締役を並べるわけです。それがプライバシー保護のために云々と言うのはおかしいですよ。
つまり、対外的な取引行為をやることが前提で会社が設立され、そこに、単数ではなく複数名の平取締役の名前が並ぶというのは、その信用性を利用して一定の事業活動をしようという目的なのです。その取締役のプライバシーと取引相手の保護は、どちらが重要かといえば、会社組織なのですから、やはり取引先との信用が重要でしょう。そこでプライバシーを主張するような取締役は取締役にならなければいいわけで、そこは、今の御説明は発想が逆転しているのではないか。プライバシーの保護がほしいならば、取締役にならないで、実際上、事業活動に協力すればいいわけです。そこのところを考えれば、今、1円の資本金でも登記できるという時代ですから、規制緩和になっている中で、弊害が起こっているところを重視して検討いただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○法務省河合民事局商事課長 さまざまな御指摘があって、今のような御指摘をいただくこともありますし、先ほど申したような反対の御指摘もあります。それらも踏まえて、今後、検討していきたいと考えております。
○山口委員長代理 日弁連は、既にそういう社会的な被害の事実があるから、今の登記実務は改定すべきだということを、日弁連の正式の意見書としてことしの春に出稿しているはずです。その辺も踏まえれば、実態があればという留保付きというのは、では、日弁連に問い合わせをすればいいではないですか、どんな実態があるのか明らかにしろということで。その辺、是非、御尽力いただきたいと思います。
○法務省河合民事局商事課長 日弁連さんからも情報提供をいただければと思います。
○河上委員長 今の山口委員長代理からの指摘ですけれども、警察庁でも、いろいろな捜査をするときにはこういう問題にぶつかることがあるかと思います。例えば法人登記の問題とか、IP電話の、本人確認がうまくいっていないという辺りの問題については、いかがですか。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 バーチャルオフィスの関係につきましては、先ほど申し上げました調査の後、もう少し詳細な調査をしております。実は、法務省とも連絡をとらせていただいておりまして、近々、概要がまとまりますので、その結果を見ながら、それなりの対策をとっていきたいと考えているところであります。レンタル携帯電話につきましても、ヤミ金融事犯などを中心に非常に使われているところでございますけれども、これにつきましても、今、特定の事業者と協議中でございますので、それを見て対策を考えていきたいと考えております。
ただ、必ずしもレンタル事業者全部ではないのですが、レンタル携帯をやっている事業者は、利用約款の中で、「犯罪に利用されたときは契約を解除できる」という規定を置いている場合が多うございます。警察におきましては、犯罪に携帯電話が利用されていることを把握した場合は、その旨をレンタル携帯事業者に情報提供しまして、利用停止なり契約の解除をしていただいているところでございます。
○河上委員長 私が伺ったのは、山口委員長代理がおっしゃったような実態があって、確かに苦労している、そうだそうだというふうにおっしゃるのか。それとも、いやいや、そんなことはないですよ、というふうにおっしゃるのかを聞きたかったのです。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 大変申しわけありません。当庁におきましても、当然、苦労しております。
○河上委員長 例えば法人登記が、平取締役の部分についていろいろな材料があればもう少し捜査は簡単なのに、という感触ですか。
○警察庁福田生活安全局生活経済対策管理官 平取の関係は捜査との関係では必ずしも承知していないところではございますけれども、一般論で申し上げますと、犯罪者が利用するいろいろなパターンがあるわけで、その中において本人確認をしっかりしていただいて、証拠資料もとっていただいて、それが一定期間保存されているということは、犯罪捜査を遂行する上で非常に大きな武器になると考えております。
○河上委員長 ほかにいかがですか。
○山口委員長代理 これは河合さんも十分御存じだと思いますが、裁判の実務で平取締役の責任を追及しようとしますと、何とかして住所がわかって裁判所に呼び出すと、「名前が利用されただけです、私は何も知りませんでした」と言う人がかなり多いのですよ。それは、印鑑証明の添付義務があるだけで随分違うと思うので、その辺も是非お考えいただければと思います。
○法務省河合民事局商事課長 実態と申しましたのも、どのような類型の会社においてそういう事案が多く、ここで平取締役に対して対処するのであれば、そういう事案がなくなるというような分析が必要であると思っています。今、お話をいただいているのは、裁判実務で、詐欺的な犯罪というものとしてどのようなものがあるのか、場合によっては債務不履行の責任とか、会社法上の第三者責任といったことを追及するときに、どのぐらい必要なのかというところともかかわってくると思いますので、その辺りも含めてまた必要な情報等をいただきながら、具体的な検討を進めていきたいと思います。
○河上委員長 夏目委員、どうぞ。
○夏目委員 今までの議論をお伺いしていて、詐欺的な投資勧誘に使われるツールとしてレンタル携帯電話が非常に大きいということと、利殖勧誘事犯の中でも、法人登記をしているところが犯罪を犯しているというのが明らかになったわけですから、そこのところをもう少し何とか打開する方法を考えていかないと、今の法律ではできません、できませんでは、被害はなくならないわけで、いかにしたらその被害をなくしていくかという観点から考えていただいたほうがいいのではないかと思います。
例えば警察庁の詳細な報告でも、バーチャルオフィスを悪用した実態は詳細に報告されているわけで、例えばバーチャルオフィス利用法人の法人登記のときには、山口委員長代理がおっしゃったように、代表取締役であってもにわか仕立ての人であったり、どうして都心の一等地に会社が実在しているか。それはひとえに利用者を安心させるため。要するに、一等地の金融機関支店に法人名義口座がありますということで、安心させるということがあるわけですね。そういう意味でバーチャルオフィスを一等地につくるわけです。そういったバーチャルオフィスが、郵便物受取サービス業とか電話受付サービスをやっている。それを一方で、実態は事業者が把握していませんと言われてしまうと、どこで消費者は詐欺的な投資勧誘から身を守ればいいのかというところが、今のお話を聞いていて、なかなか見えてこないというふうに感じたのですけれども、いかがでしょうか。
○法務省河合民事局商事課長 実態の内容ということについて触れますと、登記所の現場からくる情報によりますと、法人登記がないにもかかわらず、登記事項証明書を偽造して、それを利用してレンタル携帯電話を契約しようとしているというものがございます。そういうものにつきましては、私どものほうで、登記所から警察官庁に告発するようにという指導をして、告発をしているということがあります。バーチャルオフィスの形だけの会社の登記をして、その登記簿を利用してどういう形で詐欺的なものに関与しているのかといった辺りを、私どもももう少し勉強させていただきたいと思っています。
その実態の中身を具体的に詰めていき、そこで対応ができるものがあれば、商業登記法自体は民事法でございますので、取締法規とは異なりますが、その範囲で関与することで協力ができるところがあれば、検討していくつもりでおります。
○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
犯罪収益移転防止法に基づく電話受付代行業者、郵便物受取サービス業者における本人確認については、引き続き、厳格に取り組んでいただきたいと思います。固定電話、IP電話が犯罪ツールに使われて、特にそれらが転々とレンタルされていたような場合は、探知しても真の犯罪行為者にたどり着けないことも非常に多いことから、これらの電話契約者とレンタルする場合の相手方に対して、何らかの形で本人確認のための手段、これを残していくことについて検討だけでもしていただければということであります。
バーチャルオフィスについては、これによって訴状が送達できない法人が出現しているというお話もありましたけれども、登記の規制強化と適正な規制の導入を検討していただければと思います。実態がどうかということにもよるわけで、その辺の分析をしていただかないといけないのですけれども、我々のほうで出せる情報はどんどん出していきたいと思いますし、警察庁でも、今、情報を取りまとめておられるということですので、その成果を我々にもいただければと思います。法務省ともうまく連携して、そういうものをもと、登記実務のほうでできることを是非考えていただければと思います。
取締役会の設置会社における平取締役、設置会社における監査役についても、登記の申請時に印鑑証明書を添付する必要はないということが、結果的には犯罪の悪用を助長する結果にもなっている状況からすると、これを義務化することも検討の価値があるように思います。
犯罪に利用された凍結口座については、被害者の円滑な被害回復を図る観点からすると、口座残高、口座名義人等の情報の速やかな開示を是非徹底していただきたい。もともと、これは開示されるべきものと認識していますけれども、実務上はなかなか難しい場面が多いと伺っています。そうした情報の速やかな開示が徹底されるように取り組んでいただきたいと考えております。
消費者委員会としては、本日の議論も踏まえまして、引き続き、詐欺的投資勧誘対策について審議を行い、できるだけ早いうちに建議等に結びつけたいと考えておりますので、その節はよろしくお願いします。
山口委員長代理、どうぞ。
○山口委員長代理 総務省に伺いたいのですが、実は弁護士会でも大きな問題になっているのですが、携帯電話による詐欺被害、いろいろな被害があったときに、携帯電話の契約者を弁護士会照会するわけです。従前は、各社、契約者の住所氏名を弁護士会に回答していただいていたのですが、今は1社、大手が回答してくれなくなったのです。したがって、一体この携帯電話による詐欺的投資勧誘は誰からかかってきた電話なのか、ということの調査がそこで頓挫してしまう。大手1社について、実情はもう御存じだと思いますが、これは運用で何とかならないでしょうか。その実態を御存じでしょうか。
○総務省総合通信基盤局消費者行政課担当者 その点については私としては把握しておらなかったところですので、後で構いませんので、情報提供をいただければと考えております。
○河上委員長 では、その点は後で情報提供してあげてください。
ほかにはよろしいですか。
それでは、警察庁、金融庁、総務省、法務省、経済産業省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
≪3.その他≫
○河上委員長 最後に、「その他」で、消費者契約法に関する調査作業チームの第11回会合を11月12日に開催いたしましたので、その議事内容について簡単に御報告させていただきます。
資料7に議事要旨が出ているとおりでございます。第11回では、議題として、適合性原則と不招請勧誘に関する論点整理を行いました。不招請勧誘自身は今回の特商法でも導入された比較的新しい考え方でして、これをどういう形でルールとして消費者契約法の中で生かすか、ということについて理論的な検討をしました。そもそもが、一般ルールとしてそういうものを設けるのかどうかということから始まって、その効果として、どういう効果を認めたらよいかという辺りについても、まだ論点がたくさんあるということであります。この点を法文で明示していくというよりも、場合よっては、「状況の濫用」とか、「迷惑勧誘」といったものを受け皿として、不招請勧誘規制の問題を吸収していくということもあっていいのではないかという意見も出ております。
適合性原則も非常に大きな議論でありまして、実際に消費者基本法の中とかいろいろなところに、この原則に言及する規定はあるのですが、ただ、この原則を具体的にどういう形で置くか。消費者契約法にそれを置くことの意味もさらに検討しないといけないし、実際に適合性原則を置くとした場合の効果も含めて、なお検討すべき点が相当あります。現在のところ、適合性原則というのは、どちらかというと投資行為に関しての規律ですけれども、それ以外の領域で同様の形で問題になるかどうか。あるとしても、「状況の濫用」といった規定でほぼ対応できるのではないかとか、場合によっては、90条をもう少しパラフレーズした、「ミニ一般条項」という形で対応することもできるのではないかという形で、これも、一定の方向へ向かって収れんさせるというよりも、問題点がこんな形で存在するというようなことを整理している段階でございます。
これが、消費者契約法に関する調査作業チームの議事内容であります。
以上で本日の議題はすべてでございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
≪4.閉会≫
○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。
○原事務局長 長時間、お疲れさまでした。
次回の委員会につきましては、12月25日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題につきましては、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」の第4回目ということで、脱法ドラッグ、住宅用太陽光発電システム、特商法を予定しております。
以上です。
○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。
(以上)