第106回 消費者委員会 議事録

日時

2012年12月4日(火)16:00~18:07

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、
 田島委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  長谷川消費生活情報課長
村山消費者政策課長
地方協力課担当者
宗林消費者安全課長
 文部科学省  笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長
塩見初等中等教育局教育課程課長
 厚生労働省  佐々木医政局総務課保健医療技術調整官
健康局生活衛生課担当者
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
 (1) 消費者教育(施策番号87、90、93、94、95、96、97、98関係)
○説明者: 消費者庁  長谷川 消費生活情報課長
地方協力課担当者
文部科学省  笹井 生涯学習政策局男女共同参画学習課長
塩見 初等中等教育局教育課程課長
 (2) エステ・美容医療サービス等(施策番号39、39-2、39-3、43、153-3関係)
○説明者: 厚生労働省  佐々木 医政局総務課保健医療技術調整官
健康局生活衛生課担当者
消費者庁  宗林 消費者安全課長
3.その他
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者基本計画の平成24 年度前半の実施状況に関する検証・評価・監視 関係省庁ヒアリングの対象施策・対象省庁及びヒアリング項目(PDF形式:120KB)
【資料2】 消費者基本計画(施策番号87、90、93、94、95、96、97、98)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料3】 消費者基本計画(施策番号87、90、93、94、95、96、97、98)関連資料(文部科学省提出資料)(PDF形式:543KB)
【資料4】 消費者基本計画(施策番号39、39-2、39-3、43、153-3関係)関連資料(厚生労働省提出資料) 【資料5】 地方消費者委員会(大分)実施概要(PDF形式:197KB)
【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:56KB)
【追加資料】 河上委員長発言-違法ドラッグ対策について-(PDF形式:74KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第106回)」会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして、川戸委員、夏目委員が御欠席、稲継委員がおくれて御出席の予定でございます。
それでは、配付資料の確認を事務局からお願いします。

○原事務局長 配付資料は、議事次第と書かれた紙の下の欄に掲載しております。
資料1といたしまして、「消費者基本計画の平成24年度前半の実施状況に関する検証・評価・監視関係省庁ヒアリングの対象施策・対象省庁及びヒアリング項目」の一覧をおつけしております。
資料2といたしまして、消費者基本計画の検証・評価・監視の作業に使いますということで、消費者庁から御提出をいただいた資料。
資料3といたしまして、消費者教育関連ということで、文部科学省から御提出をいただいた資料になります。
資料4といたしまして、エステ・美容医療サービス等の検証・評価ということで、厚生労働省から御提出いただいた資料になります。
資料5といたしまして、地方消費者委員会を先週の土曜日に大分で開催いたしましたので、そちらの実施概要。
参考資料といたしまして、この間、委員間打合せを先週の火曜日、11月27日に開催しておりますので、その概要をおつけしております。
以上になります。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○河上委員長 それでは、早速、議題に入ります。
本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。
消費者基本法においては、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため消費者委員会においては、毎年春と年末の2回にわたって、基本計画中の具体的施策の進行状況について、関係省庁に対してヒアリングを実施し、計画の改定に向けた意見表明を必要に応じて行ってきているところであります。
本日は、その第1回目といたしまして、資料1に掲載されている、消費者教育、エステ・美容医療サービス等のそれぞれについて、関係省庁からヒアリングを行いたいと思います。
なお、関係省庁ヒアリングの実施期間中は、消費者基本計画の改定作業を担当している消費者庁消費者政策課の村山課長にも御出席いただくこととしております。計画の内容等について必要が生じた場合には、適宜、御説明をお願いしたいと考えております。よろしくお願いします。


1)消費者教育(施策番号87、90、93、94、95、96、97、98 関係)

○河上委員長 初めに、消費者教育についてであります。消費者庁と文部科学省におかれましては、お忙しいところを御出席いただいて、まことにありがとうございます。本日は、消費者教育推進法の成立に伴い、国・地方自治体が学校・大学や地域における消費者教育、人材育成等に係る新たな責務を担うこととなったことなどを踏まえまして、今後の取組み等について御説明をいただいた後、質疑を行いたいと思います。
なお、年明けに発足予定の「消費者教育推進会議」において、基本方針案についての審議が始まることを踏まえまして、消費者委員会では、同推進会議の議論に反映されることを期待して一定の意見表明を行うことを予定しております。現在、学識経験者、地方自治体、消費者団体などを対象に、消費者教育分野における現在の取組みや課題について、ヒアリングを実施しておりまして、本日の消費者基本計画のヒアリングの結果とあわせて、委員会の意見表明に反映させていただく予定であります。
それでは、まず、消費者庁から御説明をお願いいたします。10分程度ということで、よろしくお願いします。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 消費者庁消費生活情報課長の長谷川でございます。どうぞよろしくお願いします。
お手元に、資料2-12-22-3ということで、消費者教育の推進に関する法律の概要と交付金の創設についての資料をお配りしております。適宜、御参考いただければと思います。
まず、資料1のヒアリング項目の1つ目、推進会議の組織運営についての検討状況の内容、今後の予定ということでございます。推進会議の組織の運営については、法律におきまして、政令で定めることが規定されています。その政令につきましては、現在、作業をまさに進めているところでございまして、できれば早めに、12月の今週、来週辺りに閣議決定していただいて、施行を迎えたいと思っております。
また、政令の制定後、速やかに委員の任命等の手続を行うというプロセスでございますが、やはり政治状況がこういう状況でございますので、全体的にプロセスにおいては少々遅れ気味かと思っております。
年明け速やかに推進会議を設置しまして、基本方針の案について審議をお願いし、また、消費者委員会において委員会の意見を聴くというプロセスも踏まえたいと思っております。
できれば、5月ごろにはパブリックコメントなどを行った上、できるだけ早めに閣議決定を行いたいと思っております。
なお、委員につきましては、消費者教育推進法第19条第2項に規定する委員から任命することになっておりまして、20名程度を選定することとしております。消費者、事業者、教育関係者、消費者団体、さまざまな分野の方々が法律において明示されているところでございます。その方々について任命するという運びになろうかと思っております。
次の2ポツでございます。今後の国・地方の役割分担を踏まえて、消費者教育を推進していく前提として、各地方自治体における消費者教育推進体制の現状、自治体間格差についての実態把握について、調査を行っているか、あるいは予定があるかという話でございますが、現在、自治体の実態把握のためには、地方消費者行政の現況調査を、各都道府県、政令指定都市、市区町村に対して行っているところでございます。消費者教育の推進体制といたしましては、担当部局、あるいは財源、人員、推進計画の整備状況につきまして、本課における例えば相談窓口の業務の内数として調査をしているということでございます。
協議会におきましては、実施状況や概要について調査を行っているということであります。また、さまざまな地域におきます消費者教育についての事業がございますので、それについても、事業ごとに概要、開催実績等を調査しているところでございます。
来年度の予算要求におきまして、消費者教育に関する国内外の調査に関する予算ということで、1,300万円を要求させていただいておりますが、予算等の状況を踏まえて、また、必要な調査を実施してまいりたいと思っております。
3ポツでございます。推進法の成立後、自治体の消費者行政担当部局と教育委員会の連携促進が積極的に図れるよう、消費者庁、文部科学省からどのような働きかけを行っているかというところでございます。
まず、法律が成立しました8月10日の後、公布日の22日付で当庁の長官名で各都道府県知事、政令指定都市の市長宛てに法律の通知を送付いたしまして、教育委員会を含めた関係機関との連携をお願いしたところでございます。また、当該通知は関係省庁にも送付しております。
翌月の9月は、東京におきまして、各都道府県、政令指定都市の消費者行政担当に対する説明会を実施いたしました。担当者に東京に集まっていただきまして、かなり活発な議論ができたと思っております。
また、地方開催のブロック会議というのがございます。これは6ブロックでございますが、要望があった場合にも、各都道府県の市町村担当会議とかございますが、そうした会議におきまして、こちらから出向いた形で説明し、教育委員会を含めた関係機関との連携をお願いしているところでございます。今後、法律の施行に当たりましては、再度、周知を図っていくというところで、文部科学省とその文案等について作成中でございます。
4ポツの、学校・大学における消費者教育の推進に関して、これまで十分に取り組んでこなかった自治体の自主的な取組みを促すため、どのような働きかけを行っているか。また、今後、国はどのような支援策を講じていくのかということでございますが、消費者庁といたしましては、消費者庁設置以来、地方消費者行政活性化基金で、各地の消費者教育の推進を支援したところでございます。24年度当初予算における基金の上積みで5億円を措置するとともに、要領上、多様な団体への間接補助も可能とすることなど、多様な主体との連携といった取組みを支援しているところでございます。
25年度予算要求におきましては、地方消費者行政交付金の創設の予算41億円を要求しているところでございます。消費者教育に関しても、引き続き支援していくこととなっております。
地方消費者行政の充実・強化のためのプラン、地方消費者行政の充実・強化のための指針では、自治体における消費者行政の取組みとともに、消費者団体をはじめとする多様な主体との連携と、担い手育成といった取組みについての事例を挙げ、そういう支援をしてまいったところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、文部科学省から御説明をお願いします。説明時間は、短くて恐縮ですけれども、10分程度でお願いいたします。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 文部科学省で社会教育における消費者教育を担当しております、生涯学習政策局男女共同参画学習課長、笹井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、3、4、5につきまして御説明させていただきたいと思います。なお、途中、教育課程課長の塩見からも、あわせて御説明をさせていただきます。お手元の配付資料の資料3もあわせてごらんいただければと思います。
まず、3ポツ、推進法の成立後の教育委員会と消費者行政部局との連携促進という関係でございます。先ほど、消費者庁からも御説明がございましたように、法律公布の際、消費者庁からまず通知が出されております。また今回、施行を踏まえまして、施行通知という形で文部科学省からも教育委員会に対して通知を出したいと考えているところでございまして、消費者庁とその文案等について協議を行っているところでございます。教育委員会と消費者行政部局が連携を図るようにということについても、その中で触れたいと考えているところでございます。
推進法の内容につきましては、私どもも都道府県教育委員会の担当部課長会議、また、指導主事等を集めた会議の中で、法律の趣旨を説明しているところでございます。そこで、消費者行政部局との連携もきちんと図るようにという要請を行っているところでございます。
また、資料3の1ページ目をごらんいただきたいと思います。これは、私どもで行っている「消費者教育フェスタ」というもので、平成24年度については、来年の1月、2月に開催することとしております。この中で、具体的な連携の取組みも御紹介しながら、教育委員会と消費者行政部局との連携が図られるように、参加者同士で連携が図られるような取組方策も議論し、その共有を図っていきたいと考えているところでございます。
次に、4ポツ目でございますが、塩見から御説明させていただきます。

○文部科学省塩見初等中等教育局教育課程課長 文部科学省教育課程課長の塩見と申します。
私からは、学校教育における消費者教育推進の取組みにつきまして、御説明を申し上げます。
文部科学省から配付しております資料3がございますけれども、4ページ以降をごらんいただければと思います。先生方、御承知のとおりでございますけれども、新しい学習指導要領におきましては、小・中・高等学校を通じまして、社会科、家庭科を中心に消費者教育の充実を図るということで、児童・生徒の発達段階に応じた指導を充実しようということで取り組んでいるところでございます。
新しい学習指導要領は、小学校につきましては23年度から、中学校については24年度から、高等学校については25年度から年次進行でという形で実施されることになっているわけでございまして、この学習指導要領の周知について、ただいま、さまざまな形で取組みを行っております。
その中で、ここに掲げられておりますような消費者教育が各学校で充実したものとして進められますように、例えば、都道府県の教育委員会の指導主事を集めた会議を年に2回開催しておりますけれども、その中で、この消費者教育の内容について説明することはもとより、例えば各地方、各学校でどういった特色のある取組みが行われているかということにつきまして、さまざまな事例をそれぞれ出していただいてお互いに共有し、さらにいいものにするためにはどうしたらいいかという研究・協議も行っていただく取組みも、現在、進めているところでございます。
資料の5ページでございます。学校教育における消費者教育の推進ということで、若干ではございますが、予算も確保して進めている事業もございます。各地におきまして、例えば消費者教育について教科を横断するような取組み、新しいカリキュラム開発、教職員に対する研修の実施、外部人材の活用など、それぞれ特色のある先進的な取組みを進めてほしいということで、各地に委託し、研究をしていただく事業を推進しているところでございます。
その実際につきましては、6ページに、24年度からの新規事業でございますけれども、24年度に委託する8地域につきまして、おおよその内容を掲げてございます。学校設置者における取組み、学校における取組み、それぞれの地域においてさまざまな取組みを進めていただいて、また、この研究の成果を全国に発信できるように、文科省のほうに還元していただこうということで進めているものでございます。
6ページの下のほうにコメ印で小さく書いてございますけれども、あわせまして、それぞれの学校での実践に資するため、優れた実践事例を集めた指導事例集を文科省でつくろうということで、24年度の予算を用いて、今、作業を進めているところでございます。
こうしたさまざまな取組みを通じまして、学校教育における消費者教育の充実に取り組んでいる現状でございます。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 続きまして、4ポツの大学関係でございます。大学関係につきましては、文部科学省において平成22年度に「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」をまとめたところでございます。この指針の中で、大学における消費者教育の推進方策に触れておりまして、この内容の周知を大学に対して行っているところでございます。
その一環といたしまして、パンフレットも作成しております。これは特に教職員向けのパンフレットでございますが、具体的に各大学で取り組まれている内容もこの中に含まれております。こういう紙媒体での配布のほかに、ホームページでの掲載も行っており、現在、そのようなことを通じて周知を図っているところでございます。
各大学等における実施状況につきましては、平成22年度に1度、調査を行っておりまして、現在どういう状況になっているのかということに関しまして、今年度、フォローアップ調査を行うことにしております。
次に、5ポツ目、地域における具体的な主体間の連携、あるいは人材の育成・確保の促進という関係でございます。これにつきましては、推進法でも重要な内容として規定されています。文部科学省といたしましては、先ほど資料でごらんいただきました消費者教育フェスタにおいて、先進事例の紹介や連携・協働をテーマにしたシンポジウムを開催するなどして、連携を促してきているところでございます。
また、資料3の3ページをごらんいただきたいと思いますが、現在、平成25年度の新規事業として、「連携・協働による消費者教育推進事業」を予算要求をしているところでございます。
下半分の緑色のところが事業内容でございます。各都道府県・市町村で、消費者教育を推進するための体制づくりを具体的にやっていただこうという内容でございます。実証的な調査研究を、わずか3地域でございますが、教育委員会や消費者行政部局、その他関係団体等による実行委員会を組織していただきまして、消費者教育のための体制づくりを具体的にやっていただきたい。そして、その成果を広く普及することによって、推進法で求められている体制づくりを推進していきたいと考えているところでございます。
その実証的調査研究を行うために、消費者教育アドバイザーというものも組織化し、派遣したいと考えているほか、この調査研究で得られた成果につきましては、消費者教育連携・協働推進全国協議会というものを開催いたしまして、この中で広く周知をしていくことを考えているところでございます。
文部科学省といたしましては、平成25年度は、地域における効果的な消費者教育の推進体制のモデルを作成し、その推進を図っていきたいと考えているところでございます。もちろん、これまで消費者教育について熱心に、先進的にやっていただいている地方公共団体もございますので、そういうところでは消費者教育アドバイザーの活用も図っていただきながら、体制づくりを行っていただきたいと考えているところでございます。
こうした取組みを通じて、教育委員会と消費者行政部局の連携を図り、地域の人材育成や関係主体間の連携を図っていきたいと考えているところでございます。
文部科学省からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。消費者庁と文科省双方にお聞きしたいのですが、まず、消費者庁について、ことしの10月に、自治体の消費者行政関係者を集めた説明会をなさったときの話として、消費者庁の御説明として、消費者教育推進法が成立したけれども、「これまでと特に変わったことはありませんので」という説明がなされたと聞きます。少しショックだったのは、消費者教育推進法ができた以上、これまでと変わらないどころか、これまでとは格段に変わった形で推進していただきたいと思いますが、これまでどおりでいいというふうに自治体が受けとめたとすると、これは教育推進法の法律の趣旨からは違うのではないかと思います。その辺、どういう御説明をなさったのか。あるいは、今後、自治体の関係でどういうふうになさるのか。これは是非、御説明をいただきたいと思います。
それと、消費者教育を担当している自治体などにお聞きしますと、正直言って、何をしたらいいのかわからないというのが実際のところのようです。その意味で、具体的なイメージを一日も早く出していただきたいと思います。端的に言えば、地域協議会をつくるように努力しなさいと消費者教育推進法の20条に書いてありますが、既に消費者教育の関係のことをやっていらっしゃるとおぼしき組織は、多少ともあるわけです。どことどこをどうくっつけて、どういうふうな会議体として地域協議会を組織して運営していけばいいのかというイメージは出ていますかと言いましたら、まだ全然イメージは出ていないと。その辺は、消費者教育推進会議、国の機関ができたところで、どんな枠組みをつくられるかを見た上で考えますというところで、消費者庁の推進会議でどのようなものを出されるかの様子見というのが実情のようです。
その意味では、具体的なイメージをきちんときめ細かく出していかないと、それぞれの自治体に既にある消費者教育関係の部隊と、いわゆる教育委員会を中心とした教育関係のセクションと、どう融合した形でそれぞれの自治体で地域協議会の実のある活動がなされるのかというのは、非常に不安なので、その辺は是非、消費者庁のほうではどういうふうになさるつもりなのかということを伺いたいと思います。
その意味で心配なのが、19条の消費者教育推進会議のメンバーです。先ほど、長谷川課長の御説明でも微妙な言い方をなさったと思いますけれども、法律の19条3項では、消費者教育推進会議の委員は、消費者、事業者云々、並びに関係行政機関及び関係する独立行政法人の職員のうちから任命するとなっているわけです。私などは、文科省から本日おいでになっている笹井さんや塩見さんのような方も、関係行政機関なので、課長などが委員になられると思っていました。恐らく立法担当者、議員さんもそう思っていたと思いますが、どうもお聞きすると、国の行政機関の職員の方は入らない。八条委員会のガイドブックか何かがあって、それで入らないとおっしゃるようですけれども、ガイドブックと法律とどっちが優先するのかと考えますと、法律ではないかと思います。その辺、どういうふうにお考えになっているのか。
以上、いろいろ申し上げましたが、3点、お聞かせいただきたいと思います。
それと、文科省の関係では、いろいろ成果を上げておられるようですけれども、ちょっと心配なのが、笹井さんが御説明になった3ページで、消費者教育推進委員会というのが既に設置されていて、一定の動きを見せていらっしゃる。全国の組織としても、消費者教育連携・協働推進全国協議会というのが既にあって動いていらっしゃる。これと、新しく法律でつくることになっている消費者教育推進会議あるいは地域協議会とは、どういう関係になるのか。
この辺は、縦割りではなく融合する形で、実のある、文科省関係と消費者庁関係、あるいは地方の消費者行政関係と地方の教育委員会関係で、きちんと連携をとりながら人を送り出しつつやっていくというのは、めんどうとは思いますが、その辺の広がりを確実にやっていかないと、結局、何のことはない、先ほど言ったように、今までどおりでいいんですという話になってしまって、何だったのかという形になりかねない。その辺の融合関係、既に立ち上げられている委員会や協議会との関係がどうなるのか、その辺の見通しについてお聞かせいただければと思います。

○河上委員長 では、長谷川さんからお願いします。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 まず、御質問をいただいた1つ目でございます。10月に、先ほど各方面、地方ブロックにおいて説明しているという話の中で、今回の推進法について御説明したところで、「これまでどおり」という説明というのか、どういう流れでそちらのほうに情報が行ったかわかりませんが、そういう説明は少なくとも私はしたことがありませんし、他の説明ぶりについては消費者庁は統一を持ってやっていますので、これまでどおりというのは、こちらから説明したことはなかろうかと思っています。
ただ、第2番目にも関することですけれども、地域協議会については初めて設置するということで、各地域で不安を持っている点は確かだと思っています。一方、推進法におきましては、まさに地域における教育委員会あるいは消費者行政部局との連携というのがあるわけでございまして、すでに幾つか協議会みたいな形で連携をしているところもあります。そういうものをどうするのかと問われたときには、そういうものを、趣旨としてこの推進法に合った形で改正するとか、見直すとか、そういうものはあるでしょう。つまり、今あるものを活用していく手もあるのではないか、そのような説明はしたかと思います。ですから、まるでこれまでどおりということは全くの誤解でして、ちゃんと法律にのっとった形で、整備していただくのは我々は当然だと思っていますので、我々もそういう気持ちでこれから推進していきたいと思いますし、地域に対してもサポートしていきたいと思っております。
2つ目の、具体的なイメージというところでございます。これは確かに難しいところだと思います。推進会議においてこれからいろいろと御議論いただくと思います。その中で、実際に地方の方々にヒアリングをかけたいと思っています。そうした中で国としてもイメージをつくっていきたいと思いますし、それを地方にフィードバック、と言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、具体的にこういうものをつくればいいといったことを示すような形で御審議、我々もそこはちゃんと検討してまいりたいと思っております。どういうスキームが望ましいか、どういうメンバーが入ったほうが望ましいか。そういうものは地域によって格差がございますので、そういうところも考慮する必要があるかと思いますけれども、具体的なイメージを持てるような形で検討してまいりたいと思っております。
それから、推進法の19条の委員ですが、確かに先生のおっしゃるとおり、国の関係行政機関の職員は、基本的には国の職員はこういういわゆる八条委員会に入れない。そういういわば横串的な審議会、八条委員会の建付けがございますので、それに基づいて基本的に整理しているということになっています。
ただ、行政機関はもちろん、参加しないことはあり得ない話ですので、そこは関係省庁が幹事という形で、責任を持った形で推進会議に参加していただくということで、一応そういう建付けで考えているところでございます。

○文部科学省笹井生涯学習政策局男女共同参画学習課長 文部科学省にいただきました御質問は、連携・協働による消費者教育推進事業の内容に関してでございますが、これについては資料3の3ページをごらんいただきたいと思います。先ほど御指摘がございました消費者教育推進委員会は、この予算事業を実施するために設けているものでございまして、どのようにこの予算事業を行っていけばいいかということを検討する場でございます。実は平成24年度も、消費者教育推進委員会が文部科学省に置かれておりまして、それもやはり予算事業を実施するための委員会でございます。この中には、消費者庁の長谷川課長にもメンバーとして入っていただきまして、この委員会としても、消費者庁との連携を図ることができるような対応をしているところでございます。
また、3ページの一番下に「消費者教育連携・協働推進全国協議会」というのがございます。これも名称からしますと紛らわしい名称でございますけれども、今年度で申し上げますと、消費者教育フェスタという、いろいろな取組みを発表し合って共有化を図る場でございます。実証的調査研究で得られた成果を全国協議会で発表していただいて、これに参加していただいた地方公共団体の方々、あるいは関係団体の方々の間で、共有化を図ることを目的としているものでございます。若干紛らわしい名称のものが幾つかございますけれども、消費者教育推進会議のほかにいろいろなものを作るということではございません。その点は、消費者庁と文部科学省とできちんと連携を図っていきたいと考えているところでございます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 意見として申し上げたいと思います。国と都道府県、区市町村の役割分担を明確にしてそれぞれが頑張らないと、なかなか推進できない、ハードルの高い取組みかなというふうに思っております。そこで、国においてはその役割分担をあらかじめ明確に示して、地方が取り組みやすい、取りかかりやすい形をつくっていただくといいのではないかと思います。特に、実践部隊となるのはやはり区市町村かと思いますけれども、消費者教育・啓発というのは全国どこでやっても、大体その内容、手法というのは相当共通化できるのではないかと思っております。そうなってくると、教材などのひな形となるような何かベースがあれば、あとはそれに若干地域性を加えるだけですぐできるというものを、国の役割としてつくっていただくと、地方の負担が軽くできるのではないかと思います。
また、一番懸念するところは、一生懸命やる自治体とそうではない自治体というふうに差が出て、自治体の意欲とか、能力とか、予算によって消費者教育に格差が生じることがないようにというところです。そこは国の役割としてしっかりと認識していただきたいと思います。場合によっては、その部分を都道府県の役割と位置づけをして、どの国民もきちんと教育・啓発が受けられる体制をつくっていただくように、国のハンドリングをよろしくお願いしたいと思います。

○河上委員長 御意見ですけれども、共有財産の形成という意味では、長谷川さん、何かありますか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 今、私どものほうで、いろいろ評判はよくない面もありますけれども、ポータルサイトというのを整備しています。自治体も含め消費者団体、事業者団体、各方面で、消費者教育・消費者啓発で使われている事例を登録していただく。あるいは、私どもの職員も主立ったところの団体の、地方も入れて、サイトをウォッチしながら掲載を呼びかけたりしているところです。大体700ぐらい集まってきました。確かに格差が大きいところが自治体の間でありますので、ベースとなるようなある一定のクオリティを維持して提供できる仕組みといいますか、評価の仕組みといいますか、そういうものを盛り込んで、これからサイトのほうの改修を利便性が高まるとともに、御指摘をいただいた点も踏まえて、教材とかそういうものを準備してまいりたいと思っています。
また、消費者教育推進法ができましたので、今、地方から先生のおっしゃるような質問も来ていますので、頻繁に寄せられている質問に対しては、我々もQ&Aという形で作成しているところでございます。それも追々、公表してまいりたいと思っています。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 消費者庁も文科省もいろいろ御努力されていて、大変うれしく思います。ただ、進んだなと思う部分とまだまだだなと思う、私は両方の気持ちがあります。そうした中で一つ抜けていると思うのは、教育の出口の部分というか、評価というか、教育の効果の部分の検証が今まで余りなされてこなかったし、そういった研究も不十分ではないかと思います。
例えば教科教育であれば、数学を教育して、試験してみて、このくらいできるようになりましたとか、国語でも英語でもそういうことはできますけれども、消費者教育というのは、一定の分野での学問的な教育というのではなく、横断的な、まさに生きる力です。現代社会には悪い人間もいっぱいいる。そうした中でどうやって自分で判断してリスクを回避するか、そういう能力になりますので、なかなか評価がしづらい部分はあります。そうした中で教育効果をどう見て、また、それを教育にどう生かしていくかというところのフィードバックをしていかないと、フェスタを開きましたとか、研修会を開きましたとか、そういう話だけでは意味がないわけです。その辺の仕組みづくりを、これは消費者委員会もそういう責任もあるかもしれません。消費者庁、あるいは文科省もあるかもしれませんけれども、考えていく必要があるのではないかと思います。
例えば高齢者の消費者教育という中で、クーリングオフの制度を教えるよりも、断る力が日本人にはないということで、断る力というか、それを実践している消費者団体もあります。大声を出して「要りません」と言う、それを訓練する。私はそちらのほうが重要ではないかと思います。特商法で、何の場合は8日間ですとか、こういう場合は除外ですとか、そんなことを教えるよりも、要らないものをはっきり要らないと言えない国民性ということもあるので、例えばそういったものも場合によっては必要になると思います。
私は大学でも消費者教育をやっています。終わった後に感想を書いてもらったりしますけれども、ある学生が、自分は公務員の予備校に池袋近くで行っていて、そこが廃校になって、新宿に移ってくれと言われた。今までだったら仕方ないというふうに諦めていたと思うけれども、私の授業をとって、消費者の権利とかそういうものを学んだので、自分は池袋にあるから通うことを決心したのだから、池袋にないのだったら自分にとってはそれは意味がないとちゃんと主張して、解約できた。私の授業をとった意味があったと書いてくれた学生がいて、まさにそういうことこそが消費者教育の成果だなというふうに、私自身、教員としては感じました。
何かそういう仕組みづくり、モデル校とそうではないところで、消費者教育が、悪質商法に引っかかる率を例えば低減できるかとか、そういったところの研究も是非していただきたいと思います。済みません。長くなりました。

○山口委員長代理 今のことに関連して、よろしいですか。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 文科省の資料の4ページに、先ほど塩見さんから御説明いただいた、新学習指導要領における消費者教育に関する主な内容というのが並んでいます。確かに羅列するとこうなるだろうなと思いますが、これをそのままやると、何かつまらない授業だなあという感じになるんですね。私は前から言っていますが、こんなすばらしい消費者教育ができるなら、自分もやってみようかなという気になるようなモデル授業をバチッとやって、それをDVDか何か、あるいはネットで配信してもいいのかもしれませんが、こういうすばらしい授業をやって生徒も生きる力ができたと。繰り返し出てくるのは、カリキュラムがいっぱいで、公民の先生も、家庭科の先生も、授業の枠を設定するのが忙しくて大変だという中で、消費者教育なんか現場でやっていられないというのが本音だと、繰り返し聞きます。
そういう中で、今、細川委員も言ったような魅力ある授業のモデルが実際に組まれれば、自分もやってみようかなとなる。私は繰り返しそれを言っていますけれども、どうも実現しない。モデル授業を、延々と40分、50分ではなくて、30分か20分でもいいので、それを2本か3本やって、これだったら私もできそうだというのを早くつくったらどうでしょうか。その辺、どうでしょうか。
それと、4ページで一つだけ、食品のとり方というか、今は健康食品に依存しすぎて食育が不十分ということで、食育基本法というのがたしかあったと思いますが、その辺の視点も、当然、消費者教育の関係で出てくると思います。その辺の視点がないのは寂しいなと思ったのですが、その辺もあわせて、モデルのDVDはつくれませんかというのはどうでしょうか。

○河上委員長 何か御感想があれば。

○文部科学省塩見初等中等教育局教育課程課長 ありがとうございます。おっしゃるとおりで、学習指導要領はこれだけごらんいただくと無味乾燥な感じですが、ここは、最低限の教える内容を書いてあるということとして御了解いただいて、実は最近の教科書は、できるだけ生徒たちにわかってもらいやすいように、関心を持ってもらいやすいようにということで、いろいろな工夫がなされています。ただ、今のものが十分というわけではありませんし、いろいろな教材や授業の工夫というのは本当に必要だと思います。先ほどお話ししたような全国の指導主事が集まった会議においても、具体の取組事例を持ち寄って、どうやれば生徒たちの関心を高めて、自分のこととして考えてもらえるような授業ができるかという研究もしております。DVDのお話なども、是非、参考にさせていただきながら、いろいろな形で情報提供しながら進めていければと思っております。
食育の部分については、実は食育も学習指導要領の中で今回、充実した部分でございます。ここでは特に消費者教育の部分で、本当に中心の部分のみ記載しておりますので抜粋はしておりませんが、食育の話も大切なこととして扱っておりますので、そこも是非御理解いただければと思います。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 私は、生活体験というか、生活に根ざした教育を目指すべきだと思っていまして、消費者教育のアイデンティティというのを学会で議論したことがあります。消費者教育というのは独立した科目というよりも、すべての教育科目が生活に根ざした教育をしていくべきではないか。国語であれ、数学であれ、生活に必要だから学ぶわけだから、生活の場面で学ぶというところで学べれば、数学の意味、国語の意味、あるいは英語の意味も学生・生徒は理解できるのではないかと思います。
そういう意味で言うと、前もお話ししたことがありますけれども、今の生徒・学生はほとんど金利の計算ができないです。生活する上で、借金とか住宅ローンのときの金利が、自分にとってどういう情報なのかということが全然理解できない。「金利って何ですか」と、実際どういう意味かという意味での質問ですけれども、してくる学生がいます。
私はリボルビング払いの例をシートをつくって、とりあえず1年間分、毎月幾ら返すと、そのうち元本と金利が幾らになるかというのを計算させています。計算させてみるというところが重要なのです。講義で「金利とは」「リボルビング払いとは」と言うだけでは何も頭に入りませんけれども、そこで実際に計算させてみると、1年間5万円返しても4万5,000円が利息で持っていかれる。「えっ、こんなものなの?」というような驚きですね。
そういうものの中で学ぶことも多いと思いますし、あるいは、私が感心したのは、ある高校の社会科の先生ですが、実際にハウスメーカーの人に来てもらって高校生と商談をさせるということをやっている人がいます。家を買うとなると、当然、土地もなければだめです。お金もないから住宅ローンも必要です。土地を買う、住宅ローンにするということも含めて高校生と商談します。高校生は、自分の親と同じ条件ということの想定で相談するのだと思います。そうすると、いかに家を買うというのがサラリーマンにとって大変かというのがわかる。いかに自分の親は苦労して住宅ローンで家を買って、自分を高校に行かせてくれているかということが、身にしみて理解できるようになったという、そんな話も報告を受けたことがあります。
そういうものを、山口委員代理が言われているように、例えばDVDとかそういうもので、教育事例として引き出せるようにしたらいいのではないかと思いました。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

○小幡委員 今のお話はまさにそうだと思いますけれども、学習指導要領に消費者教育が書かれているのは、教育の現場に義務づけていくのは手段としてなかなかありませんから、家庭科とかそういう教科のところに書かざるを得ないとは思います。したがって、それはそれで書きこんでいただいてありがたいと思いますが、高校は家庭科必修でしたね。ただ、実際にどのぐらいやっているかというのは、何年か前、必修漏れか何かで騒ぎになったことがありました。
もう一押しと思うのですが、実際に教育現場にやってもらうことについては、学習指導要領の拘束力とかいろいろ問題はあるにしても、告示で決まっていることなので、ぜひ教育の現場に働きかけていただきたいということだと思います。細川委員や山口委員長代理がおっしゃったように、家庭科の中でやるといっても、ほぼ時間がなくてやれない。教科書に書いてあるから読みなさいと言って終わってしまったりする。むしろ、教科としてではない取り上げ方も当然あると思いますし、DVDというお話もございましたが、ぜひよい実践例として示していただいて、時間をこれだけ取るからよいというものでもないので、そこは先生方の工夫だと思いますので、学生、児童の皆さんが本当にわかりやすい形での提供ができるようにいま一歩進めていただきたいと思います。

○河上委員長 特にお返事はよろしいですか。

○小幡委員 はい。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
どうもありがとうございました。消費者教育につきましては、これまでも、国、地方自治体、消費者団体、教育関係者などにおいて、それぞれ熱心に活動を続けてきたところであろうかと思います。ただ、現状では、まだまだ取組みに地域間格差があることは否定できないわけで、場合によっては消費者教育を受ける機会が乏しい、そういう消費者もいることは実情かと思います。2009年に消費者庁が設置されて、ことし、消費者教育推進法が成立したという現在の状況は、消費者教育を前に進めるまたとない好機であろうと思われます。この機を逃さずに、これまで多様な主体が蓄積してきたノウハウを大いに生かして、消費者教育を全国の消費者に広く展開して定着させていくことが望まれるかと思います。
実は先週、大分に地方消費者委員会で出かけていきまして、高齢消費者の保護という話でシンポジウムをやりました。そのときも、それぞれの職域の方、特に福祉関係の方であるとか、相談員であるとか、そのほかにも、教育者、PTA、お医者さんも含めて、いろいろな方が連携するいいチャンスだと。ですから、協議会のようなところで、どういう問題があってどういうふうな取組みができるのかということを、お互いに知恵を出すいいフォーラムを、是非、この機会につくってくださいということを申し上げたところでした。大分ではそういう取組みの盛んなところもあるわけですが、それでも、教育委員会との関係はなかなか難しいということを現場の意見としておっしゃっていました。国からも、地域の教育委員会に対して、消費者教育についての指導について、もう少し積極的に取り組んでほしいということを働きかけていただければありがたいと思います。
教えること自身が学ぶことでもありますので、そういう人たちの間での協議を通じて消費者教育のレベルが上がっていくということがございますから、是非、そういうことを進めていただきたい。そのときの具体的イメージが足りないということはよく言われるので、モデルをしっかりつくって、そういうものをいろいろなところで共有できる形をつくっていただければというふうに思います。
消費者教育推進法に明記されました「消費者市民社会」というのは、非常に大きなテーマですけれども、これを実現するには、環境、食育、国際理解、非常に幅広い分野の関係者等と実質的に連携する必要があります。その仕組みをどんなふうに自分たちのためにつくるか、そここそが工夫のしどころだと思います。ですから、各地域においてもそのことを是非進めていただきたい。この教育推進法の施行の初期段階では、国がある程度責任を持ってステージをつくって、その趣旨を周知したり浸透させて、各関係者が連携を強化できるようにするための実効的な施策を推進していくのがやはり効果的ではないかと思います。消費者庁さんにおかれましても、そのステージづくりのために御尽力をいただきたいと思います。
大分でも感じたのですが、既にある母体をある程度使ってやるほうが、新しくすべてを一からつくるよりははるかに効率的だということは、現場の方もおっしゃっていました。全く同じものにしては意味はないのですけれども、ある一定の消費者教育への目的に沿って、今ある母体をうまく再編成して生かすような連携を考えることが効果的だろうということであります。
本日、委員会にお越しいただいております消費者庁、文部科学省におかれましても、より一層、両部署における連携を深めていただいて、全国的に消費者教育を推進させるための旗振り役になっていただきたいと思います。消費者委員会としても、関係省庁の連携に向けた取組みに対する後押しを惜しみませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
きょうは、文部科学省、消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

2)エステ・美容医療サービス等(施策番号39、39-2、39-3、43、153-3関係)

○河上委員長 続きまして、エステ・美容医療サービス等について、移りたいと思います。
本日は、厚生労働省と消費者庁にお越しいただいております。
本件につきましては、全国の消費生活センターに、毎年1万件近くのエステ・美容医療サービス関連の相談が寄せられるなど、消費者被害が頻発している状況を受けて、平成23年度12月に消費者委員会として建議を取りまとめました。「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」というものであります。
この中で、健康被害に関する情報の提供と的確な対応、利用者の安全確保のための措置、不適切な表示・広告の取締りの徹底等について、具体的な提言を行ったところであります。本建議への対応につきましては、これまでにも御報告をいただいたところではありますが、本日は、その後の実施状況等について、再度、厚生労働省から御報告をいただきたいと考えております。
説明時間につきましては、10分程度でお願いいたします。
では、よろしくお願いします。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 厚生労働省生活衛生課でございます。本日はよろしくお願いいたします。
まつ毛エクステンションに関する、「生活衛生関係営業等衛生問題検討会」におきます現在までの検討状況と論点、及びそれらを踏まえました今後の取組み方針について、説明をさせていただきます。
検討会におきましては、まつ毛エクステンションの施術に係る安全なサービスの提供の在り方などにつきまして、検討を行ってまいりました。現実には美容師免許を取得せずに営業を行う者が多いこと、また、美容師が実施するといたしましても、単に美容師養成課程を修了しただけでは、まつ毛エクステンションについての専門教育を受けていないということから、施術を受ける消費者の安全性について確保できない側面があることを踏まえまして、検討会において、まつ毛エクステンションの施術を受ける消費者の安全の確保などについて、論点の整理を取りまとめたところでございます。
お手元の資料4-1をごらんいただけますでしょうか。こちらについては、論点の整理に関しまして主な点について触れさせていただきます。1ページ、消費者に対する適切な情報提供についてでございますけれども、検討会におきましては、消費者が適切な情報に接し、選択を行えるようにすることが第一に優先すべき課題とされました。まつ毛エクステンションに関しましては、目の周りの施術であることから、目や皮膚などの健康被害を生じるおそれがございます。こういった健康被害に関しまして、それは、施術の仕方のみならず、消費者の体調にも影響を受けることなどもございまして、消費者に対しての理解が求められるということが議論されました。消費者に対しまして、施術によって健康被害のリスクがあることについて、わかりやすく情報提供を行い、消費者が適切な自己決定を行いやすくすることが求められました。
2ページは、安全な施術の在り方についてでございます。厚生労働省としましては、平成20年と22年に通知を発出いたしまして、まつ毛エクステンションの実施者は美容師であるとしているが、一方では、美容師養成課程では衛生面全般の教育はあるものの、まつ毛エクステンションを目的とした教育には乏しいことから、美容師免許を取得しただけでは安全な施術には不十分な状態にあると結論せざるを得ませんでした。
本年4月の美容師養成課程で使用する教科書におきましては、まつ毛エクステンションに関する記述を加えられまして、学生に安全な施術についての意識を持てるようにはしたところでございます。その上で、美容師資格を取得した者が、まつ毛エクステンションを安全に実施するための標準的あるいはモデル的な教育プログラムが取りまとめられれば、消費者にとっての安全・安心は向上するということで、4ページをごらんいただけますでしょうか。今後の検討の進め方といたしまして、2点目ですが、今回、論点の整理を行ってまいりましたけれども、これらのうち、消費者への安全な情報の提供の在り方と、安全にまつ毛エクステンションを実施する教育プログラムの開発を優先して検討することが求められています。
資料4-2をごらんいただけますでしょうか。この論点の整理を踏まえまして、教育プログラムの検討につきましては、全日本美容業生活衛生同業組合連合会を事務局として教育プログラム検討会を設置いたしまして、検討を行うこととなりました。
構成員といたしましては、全日本美容業生活衛生同業組合連合会の方、日本理容美容教育センターから養成学校の先生方、まつ毛エクステンションの施術関係者や、眼科や皮膚科の医師の方々で構成することになりまして、厚生労働省といたしましてもオブザーバーで参画することとしております。この検討の状況につきましては、適宜、生活衛生関係営業等衛生問題検討会に報告して御意見をお伺いすることとしております。
第1回の教育プログラム検討会は11月末に実施いたしまして、委員の方々から、現在行われている研修会の具体的な内容についてお話をお伺いして、意見交換を行ったところでございます。できるだけ早期に教育プログラムについて取りまとめたいと考えております。
また、論点の整理を行いましたことから、各自治体に対して過去2回、まつ毛エクステンションの危害防止のための周知や、指導監督をお願いしてきたところでございますけれども、本年11月28日付で各自治体宛て通知を発出いたしました。衛生措置が不十分な店舗について、重点的な指導監督をお願いするとともに、施術による健康被害のリスクなどについて、消費者行政部局と連携し、消費者等に対してわかりやすく周知徹底を図ることをお願いしたところでございます。
以上でございます。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 引き続きまして、美容医療サービスの御指摘について、医政局総務課の佐々木より御回答申し上げたいと思います。
前半部分でございますけれども、「診療情報提供等に関する指針」についてお尋ねいただいております。この指針の再周知、その実効性についてというところでございますけれども、これにつきましては、本年2月に、全国医政関係主管課長会議におきまして、都道府県等の担当者に対して改めて指針の周知を図ったところでございます。
また、今後の機会としましては、主管課長会議は毎年ございますけれども、そのほかに地方のブロック単位で、医療広告に関する都道府県等担当者会議、これは5月から7月ごろ目途の開催ですが、そういうのが各地区で開催する運びとなってございます。こういった場などを活用しまして、引き続き、都道府県とも連携しながら周知を図るとともに、美容医療についてのトラブルに関する情報の収集に努めてまいりたいと思っております。この後に述べますホームページのガイドラインでも、都道府県から問題事例等の報告を受ける仕組みを構築したところでございますので、こういうところとも相まって、しっかり現状について掌握してまいりたいと考えております。そうしていきながら、実効性というのは高められるのではないかと考えているところでございます。
続きまして、金額キャンセル時の取扱い等の事前説明について、指針に盛り込むべきではないかというお尋ね、それから、美容医療サービス等の自由診療について、医療法に民事ルールを導入すべきではないかといった御指摘をいただいておりますので、これについてあわせて御回答申し上げます。
診療情報の提供等に関する指針は、基本的には患者と医療従事者とのよりよい信頼関係の構築、情報共有化することによりまして、医療の質の向上、医療の透明性の確保、患者の自己決定権、患者の知る権利の観点といったものを推進することを念頭に置いておりまして、「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」で御議論いただいた内容を取りまとめ、策定されたものでございます。基本的には、医療従事者が診療中の患者に対して丁寧に説明しなければならない事項として、重要なものや手続については当該指針で十分示されていると考えておりますので、改めてこの指針をどうにかしなければいけないということではないと思っているところでございます。
例えば消費者契約に関する内容が十分でないという御指摘が仮にあれば、これは、医療法の法体系の中で議論すべきかどうかというのは、私どもは議論すべきかなと思っています。建議にもございましたように、特定商取引に関する法律というのがございまして、この施行令の中で、美容医療サービス等の自由診療を位置づけていただくという改正でも十分対応可能かと思っております。ですから、医療法に民事ルールを導入する必要はないのではないか。むしろ消費者契約、法体系の中で整理をしていくことが一つの筋ではないかと考えております。その中で医療関係を所管している厚生労働省として、御協力はいろいろできるのではないかと思っているところでございます。
それから、医療機関ホームページガイドラインについての御指摘でございます。まず、現状認識とガイドラインの効果でございますけれども、御案内のとおり、医療機関のホームページにつきましては、これまで医療法においては、いわゆる広告ではないということで医療法上の規制の対象外でございました。他方で、いろいろと問題事例が挙がってきたところもございましたので、「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」の中で御議論いただきまして、このたび、法規制ではないにせよ、行政が一定の指導をできるツールとしてガイドラインを作成させていただきまして、ことしの9月28日に公表させていただいているところでございます。
この指針につきましては、通知とあわせて添付させていただいておりますけれども、資料4-3をごらんいただきたいと思います。最初の1枚紙は各都道府県宛ての通知文書でございまして、その後ろにガイドライン本体という構成になってございます。2ページの1ポツでございますが、行政指導等に当たりまして、本指針に疑義が生じた場合には、厚生労働省医政局総務課宛てに照会していただくということ。
2つ目は、本指針に従っていない、ガイドラインを守っていないホームページにつきまして、住民・患者から情報提供等があった場合には、その内容について、厚生労働省医政局総務課宛てに報告していただきたいという形でお願いしてあります。今般、ガイドラインの周知だけではなく、それに当たって疑義、問題事案があれば、厚生労働省に報告していただく形。各自治体においても、改善指導を行っていただく形にしているところでございます。
これまで、医療機関のホームページの表現については、何ら規制はなかった、何ら基準もなかったところでございますけれども、今般、このガイドラインを作成したことによりまして、行政指導が可能となりまして、一定の改善効果が見込まれると考えているところでございます。私どもとしましては、このガイドラインの周知徹底を引き続き図らせていただきまして、実効性を高めてまいりたいと考えているところでございます。
最後、ガイドラインに関する問題事例、疑義照会の事例の報告の状況についてのお尋ねでございます。繰り返しになりますけれども、第96回の消費者委員会で申し上げたとおり、今のように都道府県に対しましては、問題事例や疑義照会の事例について、厚生労働省に報告するように求めさせていただいております。その中で、本ガイドラインを公表しました9月末から10月末まで、問題事例が厚生労働省宛てに4件報告をいただいております。詳細については省かせていただきますが、例えば、広告上、許されていない診療科目をホームページに出していた。そんな事例があったとか、そういった形で問題事例について御報告をいただいております。疑義照会についてはまだ御報告はいただいていない、そんな状況でございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
ただいまの御報告に対しまして、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。佐々木さんに伺いたいのですが、消費者委員会で建議して、途中でおいでいただいたこともありますが、医療機関のホームページのガイドラインは、見てもよくわからない。別の記事を見ますと、一定の要件を満たす場合には広告として取り扱うという扱いになっているのでしょうか。患者の受診などを誘引する意図があること、医療機関の名称などが特定可能であること、一般人が認知できる状態であること、いずれの要件も満たす場合には、インターネット上のバナー広告やスポンサー等に関する情報などは広告として規制対象にする、ということになっているのかどうか。では、それについては現実にどういう規制をなさっているのか。これが一つです。
それと、私のほうで事務に指示して、最近の美容医療のインターネットでの発信情報を調べさせてみました。(ペーパーを提示して)みんなこういう宣伝ですよ。こういうビフォーアフターで術前術後の写真をバーッと並べる。こういうのは、インターネットのガイドラインの7ページ辺りを見ると、「マル2 手術・処置等の効果・有効性を強調するもの」で、撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をホームページに掲載し、その効果・有効性を強調することは、誤認させ、誘引するおそれがあることから、どうもだめだと言っているように見えるけれども、現実にはたくさんあります。この辺はどうなっているのかというのが2つ目。
3つ目は、これは具体的にお聞きしたいのですが、大手のクリニックと目されているところの宣伝を見ますと、「プチ豊胸術、切らない、痛くない、短時間で終了。ヒアルロン酸で気軽にバストアップ」、あるいは、「二重まぶたミニ切開法で一重に戻ってしまう心配なし。ほんの少しの切開ですっきりくっきりの二重に」というのが出ています。こういうのはいいのか悪いのか、端的にお答えいただければと思います。

○河上委員長 お願いします。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 3つお尋ねがございましたので、一つずつお答えしたいと思います。
まず、インターネット上のホームページ等の規制に関して、厳密なところでございますけれども、山口委員御指摘のとおり、例えばバナー広告とか、インターネットの中であっても、自分が見たくなくても見える情報というのは、医療法上の広告として扱って、医療法上の規制を受けるとなっております。ホームページ全部が全部、広告の規制の対象外ではなく、そこは正確な説明のなかったところはおわび申し上げますけれども、通知の2ページ目の4ポツ、一番下のところでございますけれども、マル1 誘引性、マル2 特定性(個別の医療機関等が特定されている)、マル3の認知性。見たくなくても見られるといったところでございますけれども、この3つを満たすものについては、たとえホームページ上の情報であっても医療法上の広告規制の対象になります。
2つ目のビフォーアフターの写真の取扱いについてでございます。同じ資料の7ページでございますけれども、御指摘いただきました。端的に申し上げますと、ビフォーアフターが完全にだめということではございません。ビフォーアフターの写真を載せながら、撮影状況を、うまく工夫というか、細工をすることによって、あたかも効果が見られるということを強調しているものについてはだめですということで、ビフォーアフター自体がだめと言っているものではございません。
最後の3つ目は、今、ざっとお伺いした感じでは、かなり効果を強調しているような感じで、ガイドラインからは逸脱しているようには見受けられますけれども、そこは、詳細について後ほど御教示いただければ、今後の指導なりの対処をしたいと思っております。
以上でございます。

○山口委員長代理 今のことで、ことさら強調とおっしゃるけれども、何をもってことさら強調と言うのか。これを実際見ると、ちょっと言葉を選ばずに言うと、余り見栄えのよくない女の子がきれいになっている。明らかにことさら強調していて、行こうかな、うちの娘も行かせようかなと思うぐらいのものになっています。こういうのは、ガイドラインあってなきがごときではないですか。このガイドラインがあるにもかかわらずこういうのがまかり通っているならば。ガイドラインの内容や運用は工夫しないとよくないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
もう一つは、何とかクリニックとか、何とか整形外科ということで出ると、パッと、宣伝かどうかわからないけれども、こういうのが出てくる。こういうのは、2ページの4ポツの広告に当たるのか、当たらないのか。その辺がよくわからないので、もう一回教えていただければと思います。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 まず、最初の御指摘でございますけれども、確かにさまざまな事例があるかと思います。その辺りは我々としても、もちろんこれまでもある程度把握しているものはございますけれども、事例をこれから蓄積していきまして、さらに都道府県や一般の方々からのお声を伺って、どこで線を切るか。いろいろ難しいところはあると思いますけれども、適宜適切に判断していきたいと思っております。
2番目の御指摘でございますけれども、検索結果などに連動して、そこにスポンサーの情報が載っているという形です。直接検索していくのは、別に構わないということでございます。その医療機関なりに、アクセスしたくてアクセスしている過程においては、広告の規制の対象にならないのですけれども、とりあえず検索してみたらズラッと並んでいて、その右横に、飲食店などでは結構あると思いますけれども、その手の広告として載っているようなものであれば、規制の対象になるという趣旨でございます。

○河上委員長 不特定多数の人を相手にして自分の事業に関して情報を提供している状態は、インターネットの中では原則はないということですか。つまり、インターネットの中に入って自分で探していったようなときは、これは広告とは見ないという前提をとっていらっしゃるわけですね。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 インターネットに一たん入って、その後、例えば医療機関を目がけてどんどんクリックしていく分には、それは広告規制の対象にはならないのですけれども、開いていく過程で、先ほどの検索の結果でもそうですし、バナー広告でもそうですが、本当はそういった情報が欲しいわけではないのに視界の中に入るというものについては、街中を歩いて看板が見えるだとか、新聞を開いたらそこにあったみたいな情報と同じということでございまして、従来から、これについては医療広告の規制の対象とさせていただいております。

○河上委員長 本人が見たくないのに目に入ったという話は一つあり得ることですけれども、しかし、ある一定の情報を、一般対象に向けていつでも見られる状態にしているというのは、広告と見てはいけないのですか。

○山口委員長代理 とりあえず見ないという見解を出されているわけです。

○河上委員長 インターネットで自分が必要なサービスを探すというのは今や普通のことですね。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 それについては、御指摘がございましたとおり、ガイドラインに出す前に検討会でもかなり議論をさせていただいてございまして、情報にアクセスする、インターネットも一般的でしょうと。その中で、結構詳細な情報がございますし、かなり有用性も高まっているというところで、これはもう広告の規制の対象としていいのではないかという議論もかなりあったのは事実でございます。
ただ、その情報の内容は、必ずしも患者さんや一般の方に対する誘引性、誘引情報だけではなく、医療機関相互の情報交換。うちはこんな機能を持っていますという、いわゆる情報発信的なところもあるという理屈等々もあり、結果的には、引き続き医療広告とは見なさないというふうに落ち着いたところでございます。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 そもそも、広告をしてはいけないという大もとの規制があって、例えば「○○の治療では日本有数の実績を有する病院です」というのが事実だとしても、これは、優良性について国民・患者を誤認させ不当に誘引するおそれがあるから、そもそも広告してはいけないことになっていますし、このガイドラインによれば、ホームページでもやめておいてくださいという指導がなされているわけです。情報の欲しい人に対して、むしろ沢山の情報を与えたほうがよいというそちら側の圧力と、やはり医療の宣伝はまずいのではないかという方針との間で、大変苦慮するところだというのはよくわかりますが、基本的にホームページに自分の情報を出していくということは、行政指導でしか止められないということですね。
もっと言えば、あくまでこれはガイドラインなので、確かに普通の医療をしているところは余りないとは思いますが、有数の実績、症例はこれこれですという程度のものは、普通の立派な医療機関でも、ホームページを見ればあるのではないでしょうか。ただ、確かにビフォーアフターとか、先ほど山口委員長代理がいろいろ言われたようなものは、比較的美容整形とか、そういうところが多い。ただ、さきほどのビフォーアフターの場合も、事実であれば構わない。このガイドラインによっても構わないということになっているわけですね、本当に真実を載せているのであれば。それを少し加工したらいけないということです。ただ、これさえも行政指導でしかない。その辺りの落差が気になるのですが、これはあくまで指針なので、無視されたらどうしょうもない話ですね。
このガイドライン自体の中にも、いろいろなものが混在していると思うので、もしかすると必要な情報かもしれないものについても、行政指導のガイドラインで出してはいけないと言っているのであれば、これは良くないと思いますし、他方で、本来規制しなければいけないものも、行政指導でしか規制できていない。こういう非常にアンバランスな状況の中で、難しい対処をしていらっしゃるので、このままで大丈夫かという思いがあります。感想のようになりますが。

○山口委員長代理 もう一回、済みません。(ペーパーを提示して)これを見てください。「会員ありがとう。20%、誕生月は25%、モニター治療30%、100%オフ」「プチ整形トライアル・今だったら1,000円」、現実にありますよ。厚労省は現実に目をつぶっているのではないですか。
実際問題、うちの事務員に5、6件、適当なのを見つくろってと10分やらせたら、これですよ。ちょっとやる気があれば問題事例は満載です。ガイドライン自体は行政としてやられているわけだから、ともかくとしても、例えば、来年の3月なら来年の3月まで様子を見ましょう。どの程度これが業界に浸透したのか、その様子を見ましょう。それがだめだったら広告としての評価に踏み切りますとか、一定のめりはりのある行政をしないと、いつまでもたっても美容整形の業界のレベルの低さといいますか、こういう行き過ぎがまかり通ると思うので、その辺は是非御検討いただきたい。
消費者庁にあわせてお聞きしたいのですが、今、佐々木さんのほうから重要な発言があったと思います。医療法上は、民事ルールについて導入するのは筋ではないと。端的に言えば、美容医療とか歯医者さんの自由診療の部分については、高額であるし、しかも不要不急なわけです。患者さん自身は急がないです。きょう中に手術しなければいけないとか、そういうものではないです。二重まぶたにするのを、きょう中にやらなければいけないわけではないです。あるいは、やせるための何かをするというのは、きょう中にやらなければいけないわけではないのだから、きちんとした説明を徹底すべきだと思います。
ところが、前にも佐々木さんにお聞きしたら、インフォームドコンセントというセンスはある、要するに患者さんの安全というセンスはあるけれども、消費者に納得してもらった上で、契約内容、これからどういう治療をする、どんなリスクがある、どの程度の費用がかかる、どのくらいの時間がかかる、その辺をきちんと説明して、例えば特定商取引法であれば、所定の契約書類なり、その他にきちんと書いてもらった上で歯医者さんのインプラントの手術をする、あるいは、自由診療の美容整形の手術をするということの配慮はやはり必要だと思います。
その辺について、厚生労働省は、やる気がありませんと言っているわけです。あるいは、厚労省が規制するのは筋ではないとおっしゃっている。だったら、これは消費者庁が乗り出すべきではないかと思います。その辺について是非御検討いただきたいのですが、どういうふうに考えられるのかをお聞きしたいです。

○消費者庁村山消費者政策課長 厚生労働省のほうも、やる気がないというふうに言っているとは。

○山口委員長代理 でも、筋ではないとかなりはっきりおっしゃいましたよ。

○消費者庁村山消費者政策課長 医療法の趣旨としましては、医療を受ける者の利益の保護が趣旨でもうたわれておりますし、先ほどから議論になっております診療情報の提供等に関する指針においても、診療中の診療情報の提供と。

○山口委員長代理 診療情報の提供もめちゃくちゃ簡単でしょう。3~4行ですよ。ちゃんと説明しなさいと抽象的なことしか書いてありません。だから、自由診療だったら、これこれこういう説明をしなさいぐらいの、10行ぐらい書いたらどうですかというふうに半年前からお話しているけれども、これでいいと開き直っておられるわけです。それは、消費者マインドから言っておかしいでしょう。消費者庁のセンスからいったら、それはちょっといかがなものかと思いませんか。

○消費者庁村山消費者政策課長 やる気がないということでは私どもも受け取ってはおりません。真摯に厚生労働省にも対応していただきたいと思います。

○山口委員長代理 では、この4~5行、きょうは配られていないからあれですが、もっと詳しく書く必要はないのですか。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 済みません。きょう、資料をおつけしておらず大変申しわけございませんでしたが、診療情報の提供等に関する指針は3~4行ということではなく、全12項目にわたってございます。その中で、診療中の診療情報の提供で7項目あるとか、もう少し詳細にあるものでございまして、これは、検討会の結論を踏まえてまとめられたものでございます。

○山口委員長代理 それはいつのものですか。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 平成15年9月です。

○山口委員長代理 これから施術を受ける患者さんに対して、どういう説明を事前にしなければいけないかということについては、3~4行しかないでしょう?

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 いいえ。例えば、6の診療中の診療情報の提供でも、「現在の症状、診断、病名、予後、処置及び治療の方針、処方する薬剤について、薬剤名、服用方法、効能及び特に注意する副作用、代替的治療法がある場合には、その内容及び利害得失。手術や侵襲的な検査を行う場合には、その概要」等という形で、項目は委細にわたってございますので、3~4行ではないということは、違うというところを申し上げたいと思います。
それから、私が申し上げたのは、患者の利益保護という観点で当然医療法という法体系が成り立っているわけですけれども、今回の御指摘、特に消費者契約に関して、全体をざっと見てみますと、より対応というところで迅速性があるのではないかと思っているのが、この特定商取引に関する法律にありましたものですから、きょう、その点を御指摘させていただいたところでございます。
ただ、これに基づいてしっかり消費者保護をやっていきましょうということを、消費者庁と一緒にやれるということであれば、厚労省からも、医療を所管する省として、各都道府県や傘下の医療機関等にその方針をお伝えしていくところは一緒にやらせていただきたいと考えております。

○山口委員長代理 結局、消費者庁は厚労省の様子見ですか。厚労省がどう動くかを見るだけですか。

○消費者庁村山消費者政策課長 消費者庁といたしましては、医療法の体系の中で厚労省が対応しているということですので、先ほどから議論になっております指針の中でも、価格情報などに関して医療機関から提供するようにと、ガイドラインを周知するということですから、それも含めて医療法の中で対応するのが基本かと思います。そういう意味では、いわゆるすき間ということではなく、厚労省が一義的に対応しているということかと思います。

○山口委員長代理 少なくとも自由診療について、何らかの措置を講ずるべきだというぐらいのことは言えませんか。消費者から見たら数十万円、インプラントは数百万円という手術例もあります。それはある程度事前に手術の内容、金額、その他。金額なんて一言も出ていないですよ。

○消費者庁村山消費者政策課長 御指摘がありましたように、例えば代替治療法がある場合は、その内容及び利害得失。つまり、患者が負担すべき費用が大きく異なる場合には、それぞれの場合の費用を含むということですので、消費者庁に寄せられている情報から見ますと、こうしたことにしっかり対応していただくことが、消費者を保護するために必要な説明責任というふうに考えております。

○山口委員長代理 当面、様子見だということですか。

○消費者庁村山消費者政策課長 消費者委員会とともに状況を拝見したいと考えております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 厚労省が言われているのはインフォームドコンセントで、医療行為を行う上での情報提供という視点だと思います。我々が言っているのは契約締結上の情報提供義務。その辺は、今、厚労省にそういう視点はないと思うのです。病気でこちらに選択権がなくて、お医者さんに委ねるというところでやっていた医療を、もう少し引き寄せて、医者と患者の信頼関係の中で議論しながら、情報交換をしながら医療行為をやっていきましょうと。そういう視点はあるけれども、契約締結、医療サービスを選ぶ上での情報提供、情報格差があるわけだから、その情報を十分提供して、その上で消費者が賢い選択をできるようにすることに対してミッションを負っているとは、今の厚労省は思っていないのだと思います。
そういう意味で言うと、確かに山口委員長代理が言われるように、厚労省は特商法でいいと言っているのだから、やればいい話ではないですか。無理にそれを読み込んで別に解釈してあげる必要もないわけですし、遠慮する必要もないわけですから、特商法でしっかりやればいいのではないかと思います。
もう一つ、先ほどビフォーアフターで、ウソがなければいい、事実であるならば、それは違法ではないという話でしたけれども、それもちょっとおかしいなと思います。というのは、医療というのは請負契約ではないですね。出来を保証することはできないわけで、人それぞれ全部違うわけだから、いかにもこうやってきれいになる、誰でもそういうふうになるかのような広告をすること自体、医療行為者としては大問題であるわけです。ほかのところでお話ししましたけれども、アメリカは、「ハーフ・トゥルース(半分の真実)は虚偽」だと。それは事実かもしれないけれども、そんなに目がぱっちりになったのは100人の事例のうち1人だけかもしれない。だとしたら、100人分がどうなったかというのを伝えなければ、それはウソだというものが結構通っていますから、そういうところの適正な情報提供義務は私は医者に課すべきだと思います。

○小幡委員 先ほどアンバランスだと申し上げましたように、このガイドラインで言うビフォーアフターの話は私も本当はおかしいと思っていたのですが、真実だったらよいということになっているのですが他方では、何例というのは書いてはいけないので、優良性を示すための客観的なデータを掲げるのもだめということになっていますから、このガイドライン自身も結構アンバランスではないかと思いました。
先ほどからの話ですが、今、どちらかと押しつけ合っていてもしょうがないと思うのですが、ホームページのガイドラインの資料4-3の10ページに、自由診療を行う場合、ホームページに掲載すべき事項として、費用とか、リスク、副作用、きちんと書きなさいという程度のことは考えていらっしゃるわけですね。ただし、これはホームページに掲載すべき内容としてだけ言っているわけで、医療のほうでは、今まではほぼ安全性だけを考えていらっしゃったかもしれませんが、少なくとも自由診療部分であれば、費用と実際の出来。特に普通の医療の場合は、病気が治るかとか、そういう話で比較的明確ですが、美容整形のものですと、出来の状態が自分の考えていたのとは違うという話になるので、やはり安全性の話だけとはかなり違います。ただ、少しはホームページに掲載すべき事項というところで書いてあるようですし、先ほどのはやはり指針ですか。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 はい。

○小幡委員 それも指針でしかないのですね。より慎重にするのであれば、来診した初回は説明だけにして、2回目以降に施術をすることにすべきかというのを、こちらは考えていたりしたのですが。つまり、1回目は説明を聞いて納得して帰っていただいて、次のときに実際に医療行為を受けるようにするとか、いろいろなやり方があると思います。自由診療の部分について、特に安全だけでない要素について、やはりもう少しきちんとみていかないと、これからは自由診療の方向も育てていかなければいけないというか、保険診療だけではなくて、自由診療もと思っていらっしゃると思うので。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 そうでもなく。

○小幡委員 そうでもないですか。ただ、その部分が完全に抜け落ちてしまうと、厚労省としてそれでよいのかという問題はあると思うのです。消費者庁は、厚労省が本来やるものだと言って自分はしないというのも、それもなすり合いのようになっています。やはり社会現象として存在しているわけで、インプラントも、美容整形もたくさんあるわけですから、それに対して、消費者の利益になるような施策を両方で考えなければいけないのではないかと思います。

○山口委員長代理 ちょっとよろしいですか。先ほどお答えいただけなかったのですが、現実にはガイドラインをつくられているけれども、ほとんど現状は変わっていないです。やっていいものとやっていないものとの、ホームページの枠をつくりましたとおっしゃったけれども、見る限り、ほとんど変わっていないです。そうなると、例えば来年の3月なら3月、一定の期限を決めて、やはり医師会についてきちっと指導をして、それで「改まらなかったらこういうふうにします」という方針を打ち出すべきではないですか。あるいは消費者庁は、このガイドラインをつくるについて、政策課の担当課長は出席しているわけです。作成にもかかわられています。それが現実に守られていないということになれば、消費者庁としても、消費者政策の司令塔として何かの役割を果たすべきではないですか。いつまでもただ様子を見ているということではなく、いつまでにどうだからこうしますと。その辺は厚労省として、あるいは消費者庁として、何かきちっとしたものをお聞かせいただきたいと思います。

○河上委員長 厚労省さん、何かありますか。

○厚生労働省佐々木医政局総務課保健医療技術調査官 厳しい御指摘と受けとめまして、私どもとしては、9月28日に出されたばかりというような言い訳で終わるつもりはございませんで、きょういただいた御指摘を踏まえて検討しまして、しっかり周知を図ってまいりたいと思いますし、改善指導を都道府県に促す。そういう努力は、引き続きというか、さらに強くやっていきたいと思います。
期限の話が出ましたけれども、期限自体、切れるかどうかあれですが、検討会の報告書をまとめたときに言われたのは、このガイドラインは当面の措置である。このガイドラインで十分対応できないということであれば、次の段階として、法規制について検討するということは言われております。我々としては、周知、指導、改善徹底というのをやってまいりたいと思いますけれども、それが至らない場合には、法規制についても検討していきたいと考えております。

○河上委員長 消費者庁さん、いかがでしょうか。

○消費者庁村山消費者政策課長 委員の皆様、特に山口委員長代理からいただいた御指摘を踏まえまして、消費者庁としても、この問題がいろいろと発生していることは認識しておりますし、厚生労働省とともに対応してまいりたいと思います。先ほど、特商法などの御指摘がありましたけれども、消費者庁として何もしないというわけではありませんで、山口委員長代理からいただいた御指摘も踏まえて対処してまいりたいと考えております。
私の申し上げた趣旨としましては、現在の医療法の趣旨の中に、医療を受ける者の利益の保護というものがございますし、医療機関に関する選択に関する情報ということもありましたけれども、まさに医療法の中に医療に関する選択の支援ということも規定されておりますので、そういった意味で医療法の体系の中で考えていくべきものかという趣旨で申しました。

○河上委員長 細川委員。

○細川委員 特商法も昔は経産省にあって、消費者庁に移管したわけです。その時点で、もう少し運用するマインドというのを切りかえてほしいと思います。今までは経産省にあったから、ほかの省庁に遠慮して、適用除外だとか、ほかの法律で消費者保護が図られている分野については、基本的には手を出さないという形でやってきたわけですけれども、だんだんそれが広がってきて、訪問販売法という名では表現しきれなくなって、特定商取引法という名にしたわけです。その後、消費者庁に移行したわけですから、もう少し包括的な消費者保護の行政法規があってもいいと思うし、マインドの上でそんなに遠慮する必要もないと思うし、私は、そろそろ名前も変える時期ではないかぐらいに思っています。これは意見ですけれども、消費者庁なわけですから、消費者庁の行政規制というところでもう少し積極的に考えていただければと思います。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 まつ毛エクステンションのことでお聞きしたいのですが、資料4-1の3ページの真ん中辺りに、「関係団体が10以上もあるとされる中、そうした医師の出席と説明が得られず今日に至っている」ということで、まつ毛エクステンションの業界への指導が必ずしも十分なされていない実情を、自認されているような論点の整理がなされているようですが、その辺はどうなのでしょうか。
それから、まつ毛エクステンションの教育プログラムを整備されるのはいいですが、これは、いつごろまでにどういうふうになさることになるのか。これまでやっていなかった美容師さんが、当然のようにまつ毛エクステンションをやることになるのか。目の周りにセメダインのようなものをつけて、まつ毛をつけるという危なかしいことをよくやるなと思うのですが、きれいになりたいがゆえにやるのよと言われると、はあ、そうですかと言わざるを得ないけれども、危ないと言えば危ないですね。この辺について、全体状況としてこれを広げる形で考えられるのか。それとも、やりたい人はやりなさい、ですが、基準をつくってやっていくというところで、安全基準のようなものをつくってやっていかれるようなことは考えられないのか。その辺を、まつ毛エクステンション全体についての状況も含めてお聞かせいただければと思います。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 論点の整理に記載しております関係団体が10以上、こちらの関係団体に関しましては、そもそも美容師が本来するべき施術でございますけれども、美容師でない方々も含めて行っている団体でございます。そういった団体の方々の教育の体制としては、医学にかかわる部分が不十分ではないかということもございました。まつ毛エクステンションに係る施術は美容師としての資格が必要であるが、美容師であっても、教育施設では、現在、専門教育を受けられる形のところが少ない状況でございましたので、別途、教育プログラムを作成するということで考えております。
そもそもまつ毛エクステンションは、確かに人工のまつ毛をいわゆる接着剤と言われるものでつけるということで、非常にリスクが高いものではございます。眼科の先生、皮膚科の先生も含めて、それは推奨できるような施術ではないとの見解だと思われますが、きれいになりたい、美しくなりたいという女性の方が多く、施術を受けておられる方が非常にいらっしゃる実態を踏まえると、行うのであれば、美容師の教育の中で衛生面全般を受けられていますので、そこに加えて、まつ毛エクステンションにさらに必要な教育をプラスするべきではないか。
例えば皮膚や毛髪に関しましては、美容師の養成課程の中でも受けていますけれども、目やまつ毛に関しての専門的な教育というもの、例えば構造であるとか、機能であるとか、影響を与える因子であるとか、あるいは、眼疾患などについての教育を改めてプラスする必要があると考えられます。まつ毛エクステンションの施術においては、通常のパーマやカットの中で使用しない、いわゆる接着剤と言われるようなものですとか、人工まつ毛をくっつけるためのツイーザーと言われる器具ですとか、特殊なものもございます。そういった器具等は、取扱いも含めて、改めて施術を行いたい方には追加する必要があるのではないか。このように、さらに追加して、美容師の養成課程で必要なものについて、まつ毛エクステンションの施術を行いたいという美容師の方に必要な教育プログラムということで、現在、別途検討にかかっているところでございます。

○山口委員長代理 この全日本美容業生活衛生同業組合連合会というのは、全員加盟なのですか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 こちらは、いわゆる美容所を営業しておられる方々の美容師の団体という形になってまいります。

○河上委員長 うかがっているのは、組合の加入率です。

○山口委員長代理 強制加入ではないですか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 強制ではございません。

○山口委員長代理 どのくらいの人が入っていますか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 本日は資料を持ってきていないので。

○山口委員長代理 半分とか、7割とか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 資料が手元にないので、正確な数が答えられなくて申しわけございません。

○河上委員長 では、また後で教えてください。
予定の時間を超えてしまいましたけれども、なかなか厳しいことも申し上げたかもしれません。ただ、自由診療にかかる部分、それから、医療ではないけれども、美容医療として体に相当影響のあるようなもの、今まで抜け落ちてしまっている部分がかなりありましたので、それを何とか対応していただきたいという思いからでございます。
恐らく視野に入っていらっしゃるけれども、なかなかうまく対応できていないのではないかという気がしてなりません。医師法、医療法というのは、ある意味では医師の資格に関する部分と、施設の適切な維持管理に重点を置いてつくられている法規ですから、市場での医療サービスの提供に関する規律というのが、医療法、医師法の世界ではちょっと異質なところがあることは事実だと思います。そこを踏み越えないでそのままにしておくか、それとも、そこもやはり患者の安全・安心を考えてある程度射程に入れていくかという辺りは、今こそ、考え時ではないかということだと思います。逆に言うと、今、そこが落ちているとすれば、やはり消費者庁の出番ではないかという感じもするわけであります。
まつ毛エクステンションに係る消費者安全の確保については、先ほどの話ですと、厚生労働省の生活衛生関係営業等衛生問題検討会において検討中ということでしたけれども、検討の結果というのは近いうちに出ますか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 論点については取りまとめられましたので、本日、資料4-1として提供しております。その論点を踏まえまして、さらに美容師のための教育プログラムをつくる。それは別途行っておりますので、それに関しては適宜、また検討会に報告して御意見をいただく予定でございます。

○河上委員長 具体的な被害防止のための施策についての結論を、検討会でできるだけ早く得ていただいて、確実な教育体制の話も含めまして、具体的な施策を是非強力に実施していただきたいと思います。

○山口委員長代理 検討会には、消費者庁や国民生活センターの関係者は入っているのでしょうか。

○厚生労働省健康局生活衛生課担当者 消費者庁はオブザーバーで参画いただいておりまして、国民生活センターの担当者の方とも適宜情報交換はしております。

○河上委員長 もう一つ、美容医療サービスを利用する消費者、つまり、患者への説明責任の問題があります。インフォームドコンセントの問題をどこに位置づけるかというのは、確かに一つ問題ですけれども、いずれにしても必要なことなので、その徹底を図るために、診療情報提供等に係る指針の実効性が、今、話題になっております。その検証、及び検証結果に基づく指針の見直しが必要であれば、それを具体的に検討していただきたいと思います。また、取引に係る事前説明について、厚生労働省と消費者庁との間で、取扱いを検討していただければありがたいとと思います。
第3番目に、美容医療サービス等の自由診療について、医療法に民事ルールを導入するなど自由診療における消費者保護の在り方について、厚生労働省と消費者庁の間で是非検討を進めていただきたいということであります。とにかくすき間がないようにしたいということでございますので、その辺を厚生労働省と消費者庁で検討していただければありがたい。
第4番目に、医療機関のホームページに関するガイドラインに基づく医療機関による取組みを徹底するとともに、その実施状況を検証・評価していただきたいと思います。いつまでも様子を見ているというのではなく、ある程度検証・評価してみて、このガイドラインは役に立っていない、ほとんど守られていないということであれば、やはり思い切った形で法律上の手当を考えていくことが必要だろうと思います。今、ここで期限を切るということはしませんけれども、速やかに検証・評価をして、法規制の可能性を検討していただければと思います。
厚生労働省、消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪3.その他≫

○河上委員長 続きまして、議題の「その他」であります。
第1点は、本年4月に消費者委員会が発出いたしました「違法ドラッグ対策に関する提言」についてということで、私のほうから御報告がございます。
消費者委員会として、提言を本年4月24日に出したわけですけれども、その中で、市場から違法ドラッグを排除するために、第1に、成分構造が類似していれば薬事法違反として一括して規制の対象にできる包括指定の導入。第2に、麻薬取締官に指定薬物を独自に捜査、摘発できる司法警察職員としての取締り権限などを持たせるなどの体制強化の検討をお願いいたしました。
厚生労働省では、本年11月28日に、薬事・食品衛生審議会指定薬物部会において、指定薬物の包括指定制度の導入についての答申を取りまとめました。この答申に基づいて、改正厚生労働省令が施行されますと、新たに760種の違法ドラッグが指定薬物として規制されることになると伺っております。
また、麻薬取締官に指定薬物の取締り権限を与えるための「麻薬及び向精神薬取締法及び薬事法の一部を改正する法律案」が、議員立法として策定中であると承知しております。これらの対応は、当委員会が提言を行って以降、厚生労働省を中心に大変なスピード感を持って取り組んでいただいた結果と考えておりまして、その取組みを高く評価いたしますとともに、今後、違法ドラッグに対して強力な取締りを行うことができるようになるものと、大いに期待しているところでございます。
残念ながら、いまだに、興味本位で違法ドラッグを吸引した若者が呼吸困難を起こしたり、死亡したり、時には交通事故を引き起こして他人に危害を加えたといった報道が後を絶ちません。市場から違法ドラッグを排除し、青少年を違法ドラッグから守るために、引き続き、厚生労働省におかれては、包括指定の施行を進めていただくとともに、薬物乱用対策推進会議関係府省におかれては、違法ドラッグ対策を推進していただくように、この場をかりてお願いいたしたいと思います。
これが、違法ドラッグ対策に関する私からの発言でございます。
最後に、先週12月1日に「第6回地方消費者委員会」を大分県で開催いたしましたので、その実施概要について、事務局から報告をお願いいたします。

○原事務局長資料5として準備しております。
先週の土曜日、12月1日の午後、第6回の地方消費者委員会を大分で開催いたしました。
主催としては、消費者委員会とともに、適格消費者団体の大分県消費者問題ネットワークと御一緒しておりまして、大分県大分市も御後援いただいて、大分県の副知事、大分市の市長の方には金曜日の夕刻、委員長をはじめ表敬訪問ということで、消費者行政を是非お願いしますということをお願いしてまいりました。
参加者は66名です。プログラムは「高齢者の消費者トラブルについて」をテーマにいたしまして、委員長から基調講演、大分県大分市の現状について、ケーススタディも交えてお話をお伺いいたしまして、消費者庁からも消費者安心アクションプランの御紹介をいただいた上でパネルディスカッションに入りました。地域包括支援センター長の小倉さんですとか、豊後高田市市民課長の山田さんにも御参画いただいて、幅広い形でのパネルディスカッションができました。
パネルディスカッションは1ページから2ページにかけて紹介しておりますけれども、強調されたのは、それぞれのかかわる団体の組織の連携ということと、高齢者被害対応の特有な状況。2つ目のところに書いてありますけれども、契約当事者が70歳以上の相談のうち、40%近くは本人以外の方からのお申し出だということで、こういったところに、情報提供をしていくことの大切さとか、本人と直接会って理解していただくことの大切さが強調されました。
きょうの消費者教育のヒアリングの中でも委員長から紹介されていましたけれども、消費者教育についても、皆さん、かなり関心をお持ちで、これについてもいろいろと御発言があったところです。委員長の総括コメントの要旨を書いていますけれども、大分の方々にとっては、これから、連携を強めてこの問題に対応していただけるような仕組みづくりのお手伝いができたのではないかなと考えております。いい機会になったと思っております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。うちの委員会からは、夏目委員が一緒に参加してくださいました。
本日の議題は以上であります。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪4.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回の委員会につきましては、来週火曜日の4時からということで、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」の第2回目、「電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について」を予定しております。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

(以上)