第91回 消費者委員会 議事録

日時

2012年6月5日(火)15:59~16:47

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.健康食品について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 「健康食品の表示等の在り方」に関する考え方(案)関連資料 【参考資料】 委員間打合せ概要(PDF形式:75KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第91回)」の会合を開催いたします。
配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 資料は、資料1-1といたしまして、「健康食品の表示等の在り方に関する考え方(案)の概要」ということで、今日初めてお示しするものですけれども、アンケートの結果に基づく考え方の概要を載せてあります。
資料1-2が、「利用者アンケートの分析結果を踏まえて」ということで、考え方の案そのものになります。
資料1-3が、先日お示しした「アンケート調査の結果概要」。
資料1-4が、実態調査(アンケート調査)の本文になっております。
参考資料といたしまして、この間、5月29日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
以上です。

≪2.健康食品について≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。本日の議題は、「健康食品について」ということであります。
第1次消費者委員会では、消費者庁からの「健康食品の表示の在り方」についての検討要請を受けて、食品の専門家、研究者、事業者団体等の有識者へのヒアリングを行い、平成23年8月に、「健康食品の表示の在り方に関する中間整理」をとりまとめたところであります。そこで、第2次消費者委員会といたしましては、更なる検討を進めていくため、消費者の利用実態や健康食品に対する意識等を把握するべく、健康食品の利用者1万人に対するアンケート調査を実施いたしました。このアンケート調査の結果につきましては、去る5月18日の第88回消費者委員会で報告を行い、意見交換を行ったところであります。
本日は、これまでの委員会等での意見交換の結果を踏まえて、消費者委員会として、「『健康食品の表示等の在り方』に関する考え方~健康食品の利用者アンケートの分析結果を踏まえて~」の案をとりまとめましたので、この点について田島委員から概要を、事務局から、その具体的内容について御説明をいただき、その後、意見交換を行いたいと考えております。
最初に、田島委員から概要説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田島委員 先般の委員会におきまして、健康食品の利用者アンケート、1万人に対して行った結果について御報告申し上げました。それに基づきまして、委員会として「健康食品の表示の在り方」に関する考え方をとりまとめましたので、御報告したいと思います。
まず、私から概要だけ御説明して、細かい点は事務局から説明したいと思います。
資料1-2(PDF形式:227KB)PDFを別ウィンドウで開きます、「はじめに」は、先ほど委員長がおっしゃったことが第1パラグラフに書かれています。第2パラグラフの最後のところ、「なお、消費者委員会としても、本『考え方』を踏まえ、必要に応じて関係省庁とも連携を図りつつ、消費者目線での健康食品の表示の在り方について、建議等に向けた具体的な議論を進めていく所存である」ということで、まずこれが第一歩だということで御了承いただきたいと思います。健康食品についても、消費者委員会が議論を終えたのではなく、これがスタートだというとらえ方でございます。
2ページ目以下に、「考え方の視点」ということで、合計4点の視点でまとめております。
1番が「消費者が重視している『健康食品』の『効き目・有効性』について。マル1 正確な情報の重要性、マル2 既存の制度の活用」。それから、「(2)錠剤・カプセル型食品について」、いわゆるサプリメントでございます。5ページに「医薬品との併用について」、6ページに「(4)消費者からの情報の集約について」という4点から、考え方をとりまとめました。
この考え方で強調したいのは、(1)のマル1とマル2でございます。ここが最初のところでございますし、一番のポイントだと思っております。
では、細かい点は事務局から御説明をお願いいたします。

○原事務局長 それでは、資料1-1(PDF形式:709KB)PDFを別ウィンドウで開きます、概要に基づきまして説明をしたいと思います。
1ページ目をあけていただきたいと思います。検討の経緯が書いてありますけれども、第1次消費者委員会では、有識者からのヒアリングを行い中間整理を行いました。これが去年の8月です。第2次消費者委員会においては、更なる検討を進めていくためにということで、健康食品の利用者である消費者の利用実態、健康食品に対する意識等を踏まえた消費者目線からの検討が不可欠といたしまして、20代から70代までの健康食品の利用者男女1万人を対象にインターネットによるアンケート調査を行いました。その結果をもとに、今回の在り方についての考え方をとりまとめたところです。アンケートについては、5月に御説明したとおりです。
健康食品の概念といたしまして、医薬品と食品の区別があり、食品の中にいわゆる健康食品と呼ばれているグループがあります。その中でも、健康増進法に基づく栄養機能食品と特定保健用食品がありますし、形状に着目すると、錠剤・カプセル型の食品、サプリメントと総称されているものがございます。こういうものを全部入れた形でのアンケート調査を実施しておりまして、それに基づく考え方ということになっております。
右側に論点として書いておりますけれども、今、田島委員からお話があったとおり、健康食品の機能性表示について、錠剤・カプセル型食品、医薬品との併用、消費者からの情報の集約というところにかなり論点があるのではないかというふうに思って、整理をしております。
その次のページですけれども、「1.消費者が重視している『効き目・有効性』について」というところで、ここでは2つの考え方を抽出しています。その1つが、正確な情報提供ということです。「消費者は健康食品に対して『効き目・有効性』を重視、これについて正確な情報を伝えることは、消費者が合理的な選択を行う上での基本的な環境」、(1)として、行き過ぎた表示・広告への対応、(2)として、情報源としての行政機関の活用を掲げております。
健康食品に対して重視する事項は、その下に棒グラフをつけていますけれども、これは、対象の中に栄養機能食品や特定保健用食品を入れていたことも反映しているかもしれませんが、やはり効き目・有効性ということを重視して購入しているということです。
ただ、効き目・有効性については、左下にありますように、「期待したほどの効果がなかった」というのが8割です。これは、不満を抱いた方のうちの8割ということですから、全体の中で3割強といった数字になるかと思いますけれども、期待したほどの効果がなかったということ、一方で、真ん中のグラフですけれども、健康食品のイメージとして、「行き過ぎた宣伝・広告が目立つ」というのは、5割の方々が思っておられるということです。
こういったところから、(1)の3番目、「行き過ぎた表示や過剰な広告等が、健康食品への過大な期待を抱かせ不満を生み出している可能性はある」「健康食品の表示や広告等を十分注視し、不適切な表示や広告を行う事業者に対する適切な法執行が必要」としております。
(2)ですが、右側の図を見ていただきますと、健康食品に関する情報収集経路で、行政機関が1.3%という非常に少ない数字になっておりまして、確実な情報源としての行政機関の認知度・利用度の向上に努めることが重要だと考えられるのではないかと思います。
次のページですが、マル2として既存制度の活用を掲げております。「消費者は、健康食品に『機能性』を重視し、ある程度価格が高くなっても機能性表示を求める傾向がある。このような需要に応えるためには、栄養機能食品や特定機能食品等の既存の制度を十分活用する視点も考えられる」としております。
左側の下の図、健康食品の購入に際して参考にする事項というところで、効果・効能というところが、「参考にしたもの」「そのうち最も重視したもの」という中でも高い比率を占めています。これは先ほども申し上げたとおり、栄養機能食品や特保が範疇に入っていることも反映しているかと思いますけれども、上の方を見ていただいても、原材料名、含有成分名・含有成分量、含まれる成分が無添加か天然由来かというところで、食品としての基本的な表示も重要視されていると考えられます。機能性表示に対するニーズは5割強になっております。
これらについて、既に特定保健用食品の仕組みが平成3年から、それから、この中には規格基準型、疾病リスク低減表示、条件付き特保という制度も盛り込まれていますので、こういったことを十分に活用することは考えられるのではないかと思っております。栄養機能食品も平成13年からスタートしておりまして、こちらの仕組みを活用することも考えられるのではないかと思っております。
それから、「2.錠剤・カプセル型食品(サプリメント)について」です。「錠剤・カプセル型食品(サプリメント)は、特定成分を濃縮含有していることから、当該成分の過剰摂取の危険性があるが、多くの消費者は、サプリメントに表示されている摂取目安量を重視している。複数種類の利用者が多いということを踏まえ、消費者の摂取目安量について確実に利用できるようにすることが重要」というふうに考えております。
これについては、確かに摂取目安量は皆さん遵守されているという状況が出てきたのですが、左側の上の図を見ていただきますと、2~4種類を併用している方々がかなりの数いらっしゃって、過剰摂取だけではなく、食べ合わせ、飲み合わせについての注意喚起のようなものも情報提供としては要るのではないかと考えております。
次のページに、「3.医薬品との併用について」を書いております。「健康食品の中には、特定の医薬品との間で相互作用を懸念されるものもある。健康食品の現在利用者の約3分の1は、医療機関から処方された医薬品も併せて利用しており、多くは医薬品の処方に当たって医師等から健康食品の利用状況について確認を受けていない。医薬品の処方に際して、患者に健康食品に関する注意喚起・情報提供を行うことが必要」としております。
左下の棒グラフを見ますと、病院にかかっており薬を処方されている方が34.2%おられます。ただ、医療機関による確認状況ということですけれども、どんな健康食品を食べておられますか、飲んでおられますかという確認をされたことがない方が77.8%にのぼります。
この辺りの医薬品との併用については日本医師会も問題意識を持っておられて、昨年3月、消費者委員会でも日本医師会からヒアリングを行ったところです。是非、この辺りを深めていっていただきたいと思っております。
次のページ、「4.消費者からの情報の集約について」です。「健康食品による健康被害が発生した場合、被害情報を迅速に把握することが不可欠。健康被害が疑われるトラブルが発生した際、消費者からの通報先が散在し、あるいはそもそも通報されていなかったりといった傾向が見られる。健康食品による健康被害について、保健所で苦情相談を受け付けていることを住民に周知すること等により、保健所に対する情報の集約を促すことが重要」と考えております。
その下の図を見ていただきたいのですが、相談・通報の意思なしという方は6割はいらっしゃいますけれども、相談しよう、通報しようと思われた方があちらこちらに散在して通報されている。中でも保健所が1.0%と大変少ない状況になっていて、厚生労働省としては、保健所等に速やかに通知してほしいというものを出しておらますけれども、まだ集約の拠点にはなっていないということがわかりました。この辺も問題であろうと認識しております。
最後のページは、今までお話ししたことをまとめたものです。消費者は、健康食品の効き目・有効性については重視をしているわけですけれども、やはりこれは、正確な情報の重要性から、まず適切な法執行が必要であろうということ。表示については、既存制度の活用が考えられるのではないかということ。錠剤・カプセル型食品、医薬品との併用、消費者からの情報の集約については、それぞれ課題があるということで、対応を考えておく必要があると考えております。
一応、アンケート調査に基づく考え方ということで提示をいたしましたので、アンケート調査以外にも、いろいろな御意見、御見解があるかと思っておりますけれども、事務局からは、アンケート調査に基づく考え方ということで御紹介いたしました。

○河上委員長 ありがとうございました。
「考え方」の説明をいただいたわけですけれども、これについて、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 健康食品問題につきましては、第1次消費者委員会で5回ヒアリングをいたしまして、いろいろな議論をした上で、冒頭に書いてありますように昨年の8月に中間整理をとりまとめたわけです。その後、どうするかということで、消費者委員会のスタンスが問われてきたわけですが、今回のアンケートの分析結果の、意見書なのか何なのか、訳わからないこの「考え方」という案は、極めて不十分で、これを出してどこまで役に立つのか、疑問に思わざるを得ないので、幾つか質問させていただきます。田島委員でも、事務局からでも結構ですので、お答えいただいた上で議論できればと思います。
まず、1枚めくっていただきまして、「考え方の視点」のマル1、「正確な情報の重要性」とあります。箱で囲んだ3行目以下に、「消費者に誤解を招くような、行き過ぎた表示、広告を行う事業者に対して適切に法執行を行う」とあります。これは、改めて言われるまでもなく極めて当たり前のことでして、問題なのは、何をもって消費者に誤解を招くような行き過ぎた表示、広告と考えるか。ここをさんざん1期目においても議論をして、例えば群馬大学の高橋久仁子先生からは、想像力を駆り立てるような広告・表示をどう基準化して規制するか、非常に難しいという御指摘もあったところでありまして、これでは、問いに問いをもって答えるような、そういう形になるのではないかと思います。
例えば国立健康・栄養研究所では、安全性・有効性について分析して一定の情報を提供していると聞いています。そういう研究所からヒアリングをして、ほかにもこれまでの蓄積はあるわけですから、どのような場合には誤解を招くような行き過ぎた表示、広告になるのかということの考え方も、消費者委員会としてそろそろ提示するべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
2番目に、例えば景品表示法では、効き目や有効性について優良誤認・有利誤認のような表示があった場合、消費者庁は事業者に、どういうふうに効き目があるか、有効性があるか、立証責任を負わせます。それが立証できない場合には有利誤認・優良誤認だということで、措置命令を出せることになっているわけです。そういう意味では事業者側に立証責任を負わせている。ところが、健康増進法ではそういう建付けになっておりませんので、適切に法執行を行うといっても、なかなか法執行できていないというのが実情であることは顕著な事実だと思います。そうしますと、そういうことに何もコメントせずに適切に法執行を行うと言っても、どれだけ意味があるのかと疑問に思います。この点を教えていただければと思います。
マル2の「既存の制度の活用」ですが、第1期でさんざん議論された中で問題になったのは、特保で正式に機能性食品が認められることが難しくなってきているものだから、特保を最初から取らないで、それでもカギ括弧付の健康食品市場に参入して、TV宣伝、その他で売上を伸ばす、そういう事業者が増えていて現実に売上が伸びている。つまり、特保とそうでない食品との差別化の意味合いが減少している、というふうに評価が出来るかと思います。そういう状況の中で、特保の制度の活用というのがどういう意味があるのか。その辺、教えていただければと思います。
端的に言うと、特保の宣伝もかなり行き過ぎている部分もありますが、特保でない健康食品についても行き過ぎた宣伝がまかり通っているように思います。そういう点についてどういうふうにするのかという視点が、このマル2では、ないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
4ページの錠剤・カプセル型食品の問題と、そのあとは、特に異論はないのですが、摂取目安量と言った場合にどういう意味があるのか。私は、これ以上摂ると健康上問題があるかもしれないという意味での、警告表示としての摂取目安量かと思っていました。どうも先ほどの事務局長の話を聞いていてもはっきりしないのですが、大体このぐらい飲むと効くかもしれない、というような摂取目安量のように聞こえなくもない。一体どっちの意味で摂取目安量と言っているのか。どっちかわからないのに摂取目安量云々と言ってみてもはっきりしないので、どっちなのかを、ここで言えるかどうかはともかく、はっきりしなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
以上の点、教えていただければと思います。

○河上委員長 それでは、田島委員の方からお願いします。

○田島委員 いろいろ御指摘をいただきまして、事務局と相談しながらこの考え方をまとめさせていただいた者ですので、お答えできる範囲でお答えいたしたいと思います。
まず、第1点と第2点でございますが、かいつまんで言えば、マル2の既存制度の活用のところで集約できるというふうに私は考えております。というのは、御承知のように特保には4種類あります。1つが個別審査型の特保、2つ目が疾病リスク低減表示型。葉酸とカルシウムですが、ほかの特保は疾病の具体的な名称を書けないのですが、疾病リスク低減表示は疾病を具体的に書けます。3つ目は規格基準型ということで、これは「お腹にやさしい」という、食物繊維とかオリゴ糖とか、そういったものです。4つ目は条件付き。この条件付きというのは、機能の判定の基準が普通の個別評価型よりも若干緩やか。具体的に言えば、ほかのものが5%の危険率でもって有意でなければいけないのを、10%の危険率でもって有意で判定しても構わない。この4種類です。
これ以外のものは、特保ではなくていわゆる健康食品として売られている。いわゆる健康食品と言われているものが、先生おっしゃったように、イメージ広告で販売しているのがある。なぜイメージ広告で販売しているかというと、それは、薬事法、健康増進法に抵触しないようにイメージ広告で販売している。ですが、そのイメージ広告を何とかしたいというのが第1次からの引き継ぎだったと思います。そのためには、イメージ広告で売られている製品も規制できる範疇に入れるべきではないか。それが新しい特保、すなわち4つある特保の第5番目として、機能性表示ができる何らかの枠組みをつくって、それで規制の対象にしたらいいのではないかと。それがマル2の既存の制度の活用の眼目でございます。
3番目にお尋ねの摂取目安量ですが、これはあくまでも効果の目安量で、あくまでもこれは食品ですから、安全性の目安量というのはありません。極端なことを言えば、ちょっと語弊があるかもしれませんが、塩でも砂糖でも食べすぎれば健康被害が出るわけです。砂糖も糖尿病になりますし、塩だって高血圧の原因になるということですので、食品自身の安全性というのは決められないのです。ですから、目安量はあくまでも目安量であって、効果の方の目安量というふうに私は考えます。
なぜそういうことを言うかというと、例えば、今はやりのグルコサミンという商品がありますけれども、製品によって入っている量がまちまちです。ものすごく入っているものもあれば、余り入っていないものもある。それを一緒くたにしてグルコサミンとして売っている。やはりそういうのは、どれだけ飲んだらいいのか、どれだけ食べたらいいのか、目安をサゼスチョンすることが、規制の対象に入れるということで大切なのではないか。
そういうことで、第1点、第2点、第3点の御質問について、私なりの回答とさせていただきたいと思います。

○河上委員長 山口委員、いかがですか。

○山口委員長代理 そうすると、特保の新しい基準をつくって認定の幅を広げて、その広げた中では一定の効果・効能を標榜する広告を認めるけれども、いわゆるイメージ広告については、その代わり厳しく規制する方向をと、そういう意味合いも込めてこの考え方が出されているということでしょうか。

○田島委員 実際問題として、よく利用されている健康食品というのはそれほど数多くないのです。御承知のように、消費者庁が昨年度、お金をかけて委託調査というのを日本健康・栄養食品協会にやって、11の成分について機能性がどの程度科学的な根拠があるかということを調査した、その報告書が4月25日に出ていますが、それを見ると、全く効かないというものはないです。ある程度効く。その「ある程度」というのが、先ほど申し上げたように、特保でデータが出るほどは効かない。ですが、効く。その効く、効かないのグレーゾーンのものが11品目ほとんどなのです。
ということで、ある程度ちゃんとしたことを行えば、巷に出ている、現在イメージ広告で売っているものについても、規制の対象に入れることは十分可能だと。それから外れるものについては、逆に規制を厳しくしていくことが最善の方法ではないか、こう考えております。

○河上委員長 今回、具体的な方策を含めた制度改善とか、提案というところまで踏み込めなかったことについて、山口委員から先ほど御意見がありましたけれども、それについては、具体的に更にどんなことが必要だとお考えですか。

○田島委員 機能性食品の機能性表示というものをやっているのは、私の知るところでは米国と韓国です。ところが、米国は主にサプリメントが対象ですから、日本の栄養機能食品の表示と考えて差し支えないと思います。ですから、参考になるのは韓国です。韓国は、いわゆる日本の機能性食品の表示を、「効くかもしれない」「多分効きます」というふうにグレードをつけて表示をさせています。それが一つの参考になると思いますので、少し諸外国の状況を調査して、諸外国の状況に詳しい先生のヒアリングもして、もう一度、「考え方」から一歩進んだ形でとりまとめをしたらいかがかというふうに考えております。

○河上委員長 山口委員、よろしいですか。

○山口委員長代理 3つありますが、1つは、諸外国については大体答えが出ておりまして、これは村井委員から教えていただいた内容ですが、アメリカでは食品医薬品局(FDA)が一括で規制している。薬品、食品、ダイエタリーサプリメント、この3区分で管理している。あるいはEUでは、フードサプリメントの制度があって、製品の品質に基準がある。このため区分としては日本での医薬部外品に近いということで、フードサプリメントでは、錠剤・カプセルなど医薬品に近い形態のビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブなどが対象になっている。双方それなりにやっていると聞くわけです。
他方、日本の今の健康食品の宣伝たるや、要するに、ガバガバ食べてもあれさえ飲んでいれば太りませんよという、全く消費者を誤導するような宣伝がまかり通っているわけです。そういう特保の制度をもっと活用したらといっても、あの宣伝がもっと増えるのかなという感じがしないでもない。勿論、これから調べてどうこうというのはわからないでもないですけれども、それで特保の制度を活用といっても、もっとひどくなりはしないかと思いますが、どうでしょうか。

○田島委員 特保の宣伝の仕方については、特保の承認の審査をやっています新開発食品調査部会でも話題になっておりまして、メーカーに申入れをするように消費者庁に伝えてあります。おっしゃったように、これさえ飲めば油を、いくら食べても大丈夫だ、というような宣伝は行きすぎではないか。特保というのはあくまでも健全な食生活の補助的なものとして使うべきだと。それを消費者庁はもうちょっと考えて、メーカーさんの指導を徹底してほしいというふうに申し入れてはおります。消費者委員会が直接取締りというのはできませんので、消費者庁に申し入れておりますので、その結果を今しばらく待っていただくと。ですから、今よりひどくなるというふうには私は考えたくないですね。

○河上委員長 消費者庁に対して申し入れている部分について、場合によっては、消費者庁からその後の経緯などを伺って具体的な建議をするとか、提言をするということも、特保について考えないといけないと思います。
ほかに、何か発言はございませんか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 この1万人のインターネットアンケートの実態調査というのは、とても意味のあることだとは思いますけれども、実態として、例えばBS放送などで、健康食品、特保・機能性食品も含めて放映されているテレビCMの状況を見ましたときに、通信販売で購入する消費者は、特に高齢世帯のところには多いのではないかというふうに推測されます。そうしましたときに、この1万人のインターネットのアンケート調査はアンケートモニターを対象として実施されていますので、利用者、消費者の実態をすべて反映しているかどうかというのは、少し考える必要があるのではないかというふうに私自身は感じております。今後、消費者委員会としてこの問題を取り組んでいくときには、インターネットではない調査というのもある意味では必要ではないか。とても難しいとは思いますけれども、実態調査のところでもう少し工夫をする必要があるのではないかというところが一つで、その辺はどんなふうにお考えかということがございます。
もう一つ、既存の制度を活用するということは、それはそれで一つの方法かもしれませんけれども、今のある意味野放しになっている健康食品を、特保なりそういう既存の制度に当てはめる。新しい5つ目の分野とおっしゃいましたけれども、そこに入れることによって、商品そのものに付加価値をつけて高くするのであると、またそれはそれで問題になるかなという感じもいたします。
以上でございます。

○河上委員長 何かございますか。

○田島委員 インターネット以外の調査については、私も、できればやる必要があると思いますが、インターネットですと、健康食品の利用者が果たして本当に把握できているのかどうか。もっと健康食品の利用者が少ないかと思ったのですが、意外と多かったので、インターネットでも結構いろいろなことが調査できたのかなと思っております。1万人という規模のせいかもしれませんが、やはりほかの方法での調査は是非やっていきたいと思います。
2番目ですけれども、今より高くなるということはない。今でも何千円という単位で売られていますから、すごく高いですけれども、制度化すれば、むしろもうちょっと安くなるのではないかと思っておりますが、これは商売のことですので、よくわかりません。

○河上委員長 特に、この意見に関しての訂正要求ということではないですね。

○夏目委員 ございません。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
事務局長。

○原事務局長 事務局ですけれども、今回初めて、こういう「考え方」という形で示しております。今までは建議、提言、意見という形ですけれども、考え方という形で示したのは初めてで、勿論、委員からもいろいろな御意見が出ているところもありますけれども、やはり利用されている皆様方の意見をもう少しいろいろ聞いて、委員会としての意見をとりまとめていくという、建議をポンと出して、その後フォローアップするというのと逆の新しい取組でやっておりますので、是非、消費者の皆さんからまた御意見をいただきたいと考えております。

○河上委員長 そもそも第1次の委員会で議論されてきたものがございますけれども、具体的な制度改善とかいろいろな提言に持っていこうとすると、現実の消費者、利用者が一体どういうふうなことを考えて利用しているのか、その実態をきちんと把握しておく必要があるということで、この間のアンケートをやったわけです。ですから、これは一つの基礎的なデータということになります。勿論、インターネットを使ったということで対象に限定はありますけれども、問題点を抽出するための幾つかの視点は、これによって得られたということになろうかと思います。
特に田島委員から御指摘のあった機能性表示、これを適正化していくための一つの方向性、過剰摂取がもたらす危険性に対する警告、更には医薬品との併用の問題点ということの情報提供、こういうことについて、今後、いろいろな規制等の提言をしていく場合、やはりこうした実態を考えていただくことは必要だろうということで、全体の考え方の方針のようなものを示すことはできたのではないかという気がします。
今後は、先ほど来、山口委員からも御指摘がありますように、これに基づいて何をするか、そこが大事であります。問題点をもう少し絞り込んで深掘りした上で、できれば特保を含む健康食品の在り方についての具体的な提言、建議といったようなものを考えてみるとか、幾つかの作業をこれに基づいて更に次の段階でやる。そんなに遠くない先にやっていく。その一里塚だという位置づけでこのような「考え方」をまず出すということです。
現在、消費者庁でも食品表示の一元化について議論がございます。あれとこれとは連動してはおりませんけれども、ああいうところでも、表示の在り方を考える上で健康食品というものを特出ししていただいて、そこでの表示の在り方についても、配慮いただく一つの視点を提供することになるかなと思われます。いろいろな意味で生煮えであることについての御不満はあるかと思いますけれども、「考え方」をこの段階でまずはとりまとめて次のステップに進むということで、よろしゅうございましょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 最初に質問させていただいた、健康増進法の法執行が全くなされていないというところが何なのか。勿論、消費者庁の担当者は、一生懸命インターネットか何かを見て、行きすぎだというのは注意ぐらいはしているのかもしれませんし、注意しているとは聞くのですが、注意で済むような話ではない、行き過ぎた宣伝が出ていると。これは、JAROの、具体的な広告の行きすぎについての報告も消費者委員会で聞いております。
そういうことを考えると、健康増進法の建付けを改正するか、あるいは、景表法の執行部隊がもう少し健康食品部門にも足を踏み込んでもらうかの必要があると思うのです。ところが、景品表示の方は、むしろ取引の問題とか、コンプガチャの問題とか、いわゆる健康以外の部門の担当者が多いので、健康問題にはどうも目が及ばない、手が及ばない。そうなると、同じ消費者庁の中ではありますが、健康増進法の所管の担当セクションの方に、もう少し執行しやすい環境をつくってやってもらうしかないのではないかと思います。その辺、今日どうこうすることではないのかもしれませんが、何かお考えがあったら、田島委員からお聞きしたいと思います。

○田島委員 健康増進法あるいは景品表示法ですけれども、法律のことは私はよくわかりませんが、非常に取締りが難しいということを漏れ聞いております。そこのところは業者さんもよく心得ていて、薬事法、健康増進法に引っかからないような形の広告ですので、具体的な病名は絶対挙げないとか、イメージだけでもって広告をする。それをどうするかいうのは、それこそ非常に難しい。それを、消費者庁にもっとしっかりやれと言われても、なかなか難しいというような印象を受けます。
これでも昔よりはよくなったと思っています。昔はもっとダイレクトに、すごくやせますというような広告が非常に多かったのですが、最近は業者の方も非常に意識して、間接的な表現しか使わないようになっています。

○河上委員長 消費者も少しは賢くなってきていますしね。景表法での扱いに即したような健康増進法での立証責任の建付けの転換とか、そういうのは将来的には考えていっていい課題ですし、特保の宣伝の在り方に対して一定のことを、消費者委員会として、今は裏から庁の担当者に言っているだけですけれども、表から建議で申し上げるということもあってもいいかもしれません。ですから、これを踏まえて、二弾目、三弾目の作業が行われる必要があることは確かだろうと思います。
それでは、このような形での「意見」ということで、皆様の御了解をいただいたということにいたしまして、この意見案を意見として、消費者庁長官、厚生労働大臣並びに関係省庁に宛てて提出いたしたいと思います。
なお、健康食品の表示等の在り方に関する考え方につきましては、18時を目途に、消費者庁の会見室において私の方から記者会見をさせていただきます。そのときは、田島委員にも同席していただこうと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題は以上でございます。お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 今日は議題が一つということで、少し早めに終わらせていただきます。
次回の委員会につきましては、来週、6月12日(火曜日)の16時からを予定しております。議題としては、電気料金の問題について一つ挙げておりますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)