第87回 消費者委員会 議事録

日時

2012年5月15日(火)15:05~18:11

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
消費者庁
黒田消費者政策課長
金田消費者安全課企画官
金児消費者安全課課長代理
坂田消費者安全課長
食品表示課担当者
林地方協力課長
経済産業省
星野産業技術環境局計量行政室長
環境省
江口放射性物質汚染対処特措法施行チーム次長
文部科学省
高谷大臣官房総務課副長
【事務局】
原事務局長、小田審議官

議事次第

  1. 開会
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視について
    (1) 東日本大震災・放射能汚染への対応とリスクコミュニケーション(施策番号21関係)
    ○説明者
    消費者庁
    黒田消費者政策課長
    金田消費者安全課企画官
    経済産業省
    星野産業技術環境局計量行政室長
    環境省
    江口放射性物質汚染対処特措法施行チーム次長
    (2) こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応
    ○説明者
    消費者庁
    金児消費者安全課課長代理
    (3) 消費者安全行政(施策番号4、12、13-2、13-2-2関係)
    ○説明者
    消費者庁
    坂田消費者安全課長
    金児消費者安全課課長代理
    文部科学省
    高谷大臣官房総務課副長
    (4) 食品表示一元化(施策番号69、73関係)
    ○説明者
    消費者庁
    食品表示課担当者
    (5) 地方消費者行政(施策番号121、122関係)
    ○説明者
    消費者庁
    林地方協力課長
  3. その他
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○山口委員長代理 今日は、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○山口委員長代理 本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」であります。消費者基本法においては、消費者基本計画の検証・評価・監視につきまして、結果のとりまとめを行う際には、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため消費者委員会においては、計画の重要課題ごとの施策の進捗状況について、関係省庁に対してヒアリングを実施してきているところでございます。
現在、消費者庁を中心に計画の改定作業が行われておりまして、計画の改定素案がパブリックコメントにかけられているところでありますが、消費者委員会といたしましては、本年3月27日に公表いたしました消費者委員会の意見に関連する施策を中心に、施策の進捗状況についてヒアリングを行い、計画の改定素案に対する委員会としての意見を5月下旬を目途にとりまとめたいと考えております。
また、消費者庁及び消費者委員会設置法附則3項に、「法施行後3年以内に、消費者の利益の擁護及び増進に関する法律についての消費者庁の関与の在り方を見直し、必要な措置を講ずる」ということが規定されていることを踏まえまして、今回の各省庁ヒアリングにおきましては、このような検討に資するための調査審議を併せて行っていきたいと考えております。
本日はその第1回目といたしまして、資料1-1に掲載されています施策について、関係省庁からヒアリングを行いたいと思います。関係省庁からは、3月27日の委員会意見などに対する考え方や、事前に提示させていただいておりますヒアリング項目に対する回答を中心に、御説明をいただきたいと考えております。
なお、各省庁ヒアリングの実施期間中は、消費者基本計画の改定作業を担当している消費者庁の消費者政策課にも委員会に御出席いただくこととしておりますので、計画の内容等について、必要が生じた場合には適宜、政策課長黒田さんからも御説明をいただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。

(1)東日本大震災・放射能汚染への対応とリスクコミュニケーション(施策番号21関係)

○山口委員長代理 まず、第1番目の「東日本大震災・放射能汚染への対応とリスクコミュニケーション(施策番号21)」の関係であります。
初めに、東日本大震災・放射能汚染への対応とリスクコミュニケーションにつきまして、本日は消費者庁、経済産業省、環境省においでいただきまして、初めに、消費者庁から総括的な御説明をいただき、関連項目について、経済産業省と環境省から補足的に御説明をいただいた後、質疑を行いたいと思います。
説明時間につきましては、時間が限られておりますので、大変恐縮ですが、消費者庁は10分ぐらいで、経産省、環境省はそれぞれ5分ぐらいでお願いいたします。
それでは、まず消費者庁からよろしくお願いいたします。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の黒田と申します。よろしくお願いいたします。
お問い合わせに関しまして、資料2-1、2-2、2-3、2-4を使いまして説明させていただきたいと思います。
消費者庁として東日本大震災への対応として実施してきた取組は、大きく言いますと3つございます。まず、消費者サイドで放射性物質を検査するという動きがありまして、それは地方自治体を中心に行われているのですけれども、それに対して体制整備を支援する。あとは消費者へのわかりやすい情報提供、3つ目が、消費者とのリスクコミュニケーションの強化という取組を行っております。
リスコミについては、別途、消費者安全課の金田企画官から説明しますけれども、まず前者について、消費者サイドへの放射性物質検査体制の整備ということですが、国民生活センターと共同しまして、そういった動きに対して地方自治体に検査機器を貸与するという取組を行っています。これは、非常に機械が高価ということで、一つひとつ購入していると大変だということで対応しているということですけれども、お手元の資料2-1にございますように、これまで1次、2次、3次、4次と配分してきておりまして、合計で394台の貸し出しになります。ここに見られますように、かなり広く、基本的にはこれまで出してきた申請に沿う形で配分させていただいているということでございます。
次に、消費者への情報提供ということで、お手元の資料2-2にございますけれども、ホームページに特設ページを設けまして、暫定規制値を超えるセシウムを検出された食品とか、出荷制限、摂取制限の対象品目等の情報を発信しております。
また、お手元の資料2-3、「食品と放射能Q&A」とございます。放射性物質の話は、これまで、事故が起こるまではふだん考えたこともない問題ということもありまして、ネット等で情報はいっぱいありますけれども、コンパクトに必要な情報だけまとまって探せないというニーズに応えるべく、消費者として、食品の放射性物質についての影響を知りたければ、これを見ればわかるというような趣旨でQ&Aを作成しております。3月末までに4万7,000冊ほど印刷して配布しておりまして、ホームページのアクセス数は20万件を超えております。
これは4月から新しい基準になりまして、資料2-4ですけれども、新しい基準値ということで、セシウムの基準値が変わったことについてこういうチラシも配布していますけれども、Q&Aの方も改定しております。
その他、大震災に当たって消費者行政の観点からいろいろ取り組んでおります。例えば、地域の消費生活センター自身の機能が津波の被害で落ちたということもありまして、震災に関連する悪質商法110番を開設したり、自治体の相談窓口へ専門家を派遣して相談業務への支援を行ったりしております。
これは多岐にわたるものですから一つひとつ紹介することは省きますが、関係省庁においても震災対応の取組を実施しており、警察庁は震災に便乗した悪質商法への注意喚起を実施したり、厚労省は放射線の検査を強化したり、法テラスについても被災地における相談を強化するなど、さまざまな取組を行っております。
以上、リスコミ以外について説明させていただきました。続いて消費者安全課よりリスコミについて説明します。

○消費者庁金田消費者安全課企画官 引き続きまして、リスクコミュニケーションについて説明させていただきます。
昨年以来、消費者庁といたしましては、食品と放射能に関するリスクコミュニケーションの各般の取組に取り組んでまいりました。具体的に申し上げますと、シンポジウム形式のもの、消費者庁と自治体または消費者団体が共催するもの、また、市役所の消費生活センターが主催するものに講師を派遣するもの、さまざまな形態のものを実施してきました。昨年度(平成23年度)におきましては45回、今年度に入りましてから十数回の開催のほか、今、予定されているものを含めて31回予定しているところでございまして、今後、その回数はかなり増えてくるところでございます。
リスクコミュニケーションにおいて大切なこととして考えているのは、まずは、必要な正確な情報を消費者の皆様に伝え、それをもとに消費者の皆様に考えていただき、その上で御自身で御判断いただき消費行動につなげていただく、という観点から御説明しているところでございます。すなわち、一方的にこれは安全であるとか、安心してくださいとかいう説得をするのではなく、あくまでも物事を考えるきっかけにしていただきたいという趣旨で行っているところでございます。
このような観点から消費者庁といたしましては、消費者庁のみならず、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省と共同で説明を行い、また、場合によっては有識者も入っていただき、更に、シンポジウム形式の中でパネルディスカッション形式も取り入れながら、各省連携のシンポジウム形式のリスクコミュニケーションを、今年度に入りましてから、東京、横浜、北海道、滋賀といったところで行っているところでございます。要望のある自治体におきましてはまだかなりの数がありますので、これを推進していきたいと考えています。
そのほか、消費者庁といたしましては、2,600万円の復興予算枠をいただくことができましたので、それを活用したシンポジウム形式、消費者庁主催のものも開催することとしているほか、先ほど申し上げましたとおり、消費者庁から人を派遣する、または専門家を派遣する。そういった形式のリスクコミュニケーションにも取り組んでまいりたいと思います。
そういった具体的な取組を通しまして、4月1日から実施されています新たな基準値がどのような考え方に基づき定められ、それが実際にどのような数値であり、それがどのような意味を持っているのかということを御説明する。そのことによって、さまざまな流通の団体または流通にかかわる企業、または、自治体が独自の数値を徹底している場合もありますが、それぞれがどういう意味を持つのか。また、ゼロリスクというものがない食品の世界において、いかなるリスクについてまで許容すると考えるべきなのか。または、それについてどのように考えるのかということについて、是非考えていただきたいというスタンスでリスクコミュニケーションを実施しているところでございます。
係るリスクコミュニケーションについては一回やれば終わりということではなくて、小規模なもの、大規模なもの、いろいろ含めまして、これからも実施していきたいというふうに考えているところでございます。
簡潔でございますが、説明としては以上でございます。

○消費者庁黒田消費者政策課長 すみません。全体の中で、更に除染ビジネスに関してもお問い合わせがあります。私どもは、全国の消費生活相談をデータベースにしたもので内容を把握することが多いのですけれども、そのシステムですと、除染のビジネスで何かトラブルがあるというのは個別になかなか把握できないというのが実態でございます。除染を新しくビジネスでやる業者に投資しませんかといった、怪しい金融商品への投資を勧めるというトラブルが見られることについては、4月に国民生活センターから、そういう手口があるということは注意喚起をしておりますけれども、除染ビジネスそのものについてはまだ現時点では把握しておりませんので、除染に限らず、被災地において、こういった大震災に便乗した悪質な商法がないよう、引き続き注視していきたいというふうに考えております。

○山口委員長代理 ありがとうございました。
経済産業省からお願いいたします。

○経済産業省星野産業技術環境局計量行政室長 経済産業省計量行政室長の星野でございます。よろしくお願いいたします。
お問い合わせにつきましては、「放射線測定器の性能にはバラつきが見られ、正確に測定することが難しい。より正確な測定が可能となるよう、放射能測定器を計量法の規制対象に加えるべきではないか」という御質問でございますけれども、まず、計量法をちょっと御説明させていただきたいと思います。
計量法は、取引や証明に用いる単位、計量器などの計量の基準について定めて、適正な計量の実施を確保し、経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とした法律でございまして、これは、明治24年の度量衡法ができてから100年以上の長い伝統のある法律でございます。計量法の中には計量単位というものが定められていることになっておりまして、例えば物質の状態の量、計量単位、こういったものが定められています。定められた計量単位以外は、取引または証明に用いてはならないという制度になっております。
例えば物質の状態の量で言うと、長さ、質量、時間、放射能というのが物質の量でございまして、法定計量単位としては、メートル、キログラム、秒、放射能であればベクレル、シーベルト、こういったものが計量単位として計量法上に規定されています。
こういった計量単位を用いて、計量器を使用する場合には一部制限がございます。取引や証明のために計量をする場合には、特定計量器という特別な計量器を指定して、適正な計量の実施を確保するため、計量器の構造または器差にかかわる基準を定めて、それに合格したものに都道府県等が検定証印を付与し、検定や定期検査を行うことになっています。
具体的にどのような計量器が特定計量器かといいますと、例えばタクシーメーター、ガスメーター、ガソリンメーター、電力メーターなどがあります。こういったものについて技術基準を定めまして、それらが長期間にわたって正確に計量できるかということを検査します。例えばガスメーターであれば7年、水道メーターで8年、ガソリンメーターで7年、そういった一定の期間、的確に計量ができるという期間を定めてございます。それに都道府県等が検定を行ったりして正確な計量を確保しています。消費者の皆様では計量器が正確に測られているかわかりませんので、それを国が担保して行うということを計量法で規定しております。
そのほかに、商品販売にかかわる計量の確保ということで、例えば食肉や野菜などの商品販売の事業を行う者が、商品を法定計量単位により販売するときには、きちんと許容される誤差を超えないように計量して販売しなければいけませんとか、あるいは、みそ、醤油、牛乳など密封して販売するものに対する内容量の表記の義務づけとか、そういった商品販売にかかわる適正な計量の確保をしなくてはいけないということ。
あと、自主的な計量管理の推進ということで、例えば計量士という資格を盛り込みまして、計量士が都道府県計量検定所等と一緒になって検定や定期検査などを行ったり、あと、適正な計量管理ができる事務所として適正計量管理事業所という制度がございます。そういったことを通じて、消費者の皆様に、適正な計量を確保するシステムが計量法にございます。
今回のお問い合わせの件ですけれども、計量法においては放射能を物質の状態の量の一つとして定義されております。また、ベクレル、シーベルトなどの計量単位が定められております。放射性物質の崩壊に伴い放出される放射線を測定する放射線測定器につきましては、計量法上の計量単位を用いることから、計量器に該当するということになります。
その使用に当たっては、正確に計量することが重要ということになっております。また、放射線測定において正確性を確保するには、測定器の正確性と測定方法の適切性の双方を確保しなくてはいけないということが重要だと思っております。
このような下で、放射線の測定器の正確性を担保するためには、計量法においては、既に測定器の校正に係る制度というのがございます。これはどういうことかといいますと、例えばいろいろな計量器がございますけれども、これは放射能にかかわらず、産業技術総合研究所というところがございまして、ここが標準物質と標準測定器を持っています。これが世界共通のものになっていまして、校正事業者と産総研との間で測定値を合わせることによってトレーサビリティがとれる。校正事業者に測定器を持っていけば、そこで校正してくれて、測定器の正確性を担保できるものです。これは任意制度ですが、測定器の正確性を担保するにはこの制度を活用していくことが重要だと思っております。
放射線測定器を計量法で規制をかけていくかどうかという問題でございますけれども、規制をするとなった場合、水道メーター、ガスメーターのようなものと同等に扱うかどうかということになると思いますが、規制とする対象の種類、範囲を決めることが放射能測定器の場合は技術的に非常に難しいというのがまずあります。勿論、計量法で規制すれば確かに適切な計量をするためには非常に良いことですけれども、そのためには、技術の問題とか、あと、計量法で規制されると全国一律の制度になります。放射能測定器ですとある程度ニーズに地域的な偏りがあるので、それを全国隈なく同じように規制していくのが良いのか、規制するとなると、都道府県計量検定所が放射線測定器の検定をやったり、検査をやったりすることになります。都道府県の計量検定所の職員は放射能の知識は正直なところ持っていないので、新たに放射能に関する知識を構築しなくてはいけない。いろいろな問題がございますので、メリットやデメリットを総合的に勘案する必要があると思っております。
以上でございます。

○山口委員長代理 それでは、環境省からお願いします。

○環境省江口放射性物質汚染対処特措法施行チーム次長 環境省でございます。
今回の件につきましては、先ほど消費者庁からも御指摘があった除染ビジネスについてということで、当省が今日、参加しているというふうに理解しておりますけれども、除染ビジネス、特に悪質な除染ビジネスについて、当省では、現時点で個別具体的なケースというものは報告は上がってきておりません。
除染そのものについては、参考までに申し上げますと、今年の1月から「放射性物質汚染対処特措法」という新しい法律が施行されました。例えば、地域指定を受けた市町村におきましては、市町村が一定の基準を満たす業者に対して委託して、除染を進めていくスキームになっております。それに当たっては、法律に基づく施行規則におきまして、例えば当該業者、委託を受ける業者は、関係法令の違反をしていないこと、暴力団関係者でないこと等々と規定しておりますけれども、それ以上に、いわゆる個別の家庭の方が業者に対して委託されるに当たっての直接的なスキームは、放射性物質汚染対処特措法では予定がされておりません。したがいまして、現時点では私どもの方には、そういった具体的なケースやトラブル等についての情報はないということでございます。
特に除染という意味では、例えば福島の方が最も関心も高く、具体的に取組等が進められているかと思いますけれども、福島市のホームページを拝見したところ、「震災に便乗した詐欺、悪質商法に注意ください」というタイトルの中で、諸々の苦情とか、具体的な悪質のケースが例示されています。その中の一つとして、周辺の放射能検査をいたしますといって高額の要求がある場合には、福島市消費生活センターに御相談ください、という御案内がされているようでございます。
いずれにいたしましても、現時点では私どもの方には具体的なケースというものは上がってきていない、あるいは相談を受けていないという状況でございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。

○山口委員長代理 まず、金田さんから、35回ぐらいのリスクコミュニケーションの機会を持ったという御説明だったかと思いますが、これはどういう場でどういう形でなさったのか。もうちょっと具体的に御説明いただければと思います。また、横浜とか滋賀でもやったというお話ですが、震災対応で滋賀でやるというのはどういうことなのかなと、素朴に疑問を持ちましたので、そこの説明もお願いします。
計量法の趣旨とかその他の関係では、まさに黒田さんの方で御説明になったように、測定機器を四百何十台か貸与して使いやすい環境をつくりましたと。しかし、それでは足りないということで、結局、業者が出てきて、測ります、何とかしますということで除染ビジネスのようなものが出てくる。しかも、測れますということで、余り正確でない放射能測定器が売られているという問題も出てきているところもあって、3つの話は連動しているように思いますが、いずれにしても、水道メーター、ガスメーター以上に、体に直接影響がある放射線を測定するというのはある意味では深刻な問題だと思います。
今の星野計量行政室長のお話ですと、どうするという方向は全然示されませんでしたけれども、今まさに測定器の不正確な状態が悪質商法のもとにもなっているし、逆に言えば、消費者の不安のもとにもなっているわけです。これがきちっと正確に測れて、自分の周辺がどうなっているのかということが客観化すれば、消費者の不安も解消できるし、悪質商法のもとになるいろいろな問題も解決できると思いますので、まずは正確に測れる測定器を流布すること、そのための正確性を担保する制度的な枠組みをつくること。これが前提になると思うので、その辺のところをもう少し星野室長に突っ込んで御説明いただければと思います。
以上、2点です。

○消費者庁金田消費者安全課企画官 リスクコミュニケーションについては、2点、御質問があったと思います。
まず1点目。昨年度、45回行った内訳でございます。消費者庁主催によるシンポジウム形式のもの4回、地方自治体、消費者団体等と消費者庁の共催によるものが11回、消費者庁主催の既存の会議においてそのような説明の機会を持ったものが5回、地方自治体、消費者団体の後援等に当庁から講演者を派遣したものが18回、地方自治体、消費者団体の講演会等に当方から専門家としての講師を紹介したものが7回の計45回であります。それぞれ形態がかなり異なっているというところでございます。
2点目、滋賀県で最近行ったことの意義についてでございます。このことには大きく分けて2つほどの意味があると思います。
まず1つ目。西日本において行うことの意義ですが、東日本、東北、関東、今回の放射性物質による農産物の汚染が見られる地域の特性ですが、農産物の生産県であり、関東平野、東北各県は、食料上の基地として日本の食料生産のかなりの部分を占めている地域でございます。特に千葉県、茨城県は農業総生産額で全国2~3位を常に占めている県でございます。そういった県で生産されたものが西日本に出荷されているという状況があり、こういったものの安全性について正しい技術知識を、西日本の消費者の方に持っていただくことが大変重要な意義があるというのが1点目でございます。
2点目としまして、この事故の後、多数の方が健康不安、社会不安等を理由に西日本に移り住んでいるという事情がございます。特に西日本各県には、原発事故を契機として東日本から移り住んだ方がおられます。中には、福岡県で実際起こりましたように、福島応援フェアを開こうとしたら、東北地方から逃げていった方が全面的に反対され抗議活動が行われ、福島応援フェアが開かれなかったという事実もありました。
そのようないわゆる風評被害的なものについて、どう考えるかという問題はありますが、一方的にこうであるべきだということではなく、まずは正しい知識を持っていただいて、その上で考える契機になっていただく。そういった意味で、滋賀県、今週は大阪でも行いますが、西日本で行うことの意義があるというふうに考えているところでございます。
私からは以上でございます。

○経済産業省星野産業技術環境局計量行政室長 計量法は、取引や証明に用いる計量の基準について定めて、適正な計量の実施を確保するということでございます。先ほど申しました校正制度というのが、基本的には適正に計量を行えるということで、そういう制度を設けている。これを周知徹底して活用していって、正確な適正な計量器を広めていくことが肝心かと思います。
計量法で放射線測定器を規制することはいろいろ議論をしてみないとよくわからないのですけれども、いろいろな問題点があるので、そこは総合的に勘案して考えていくのではないかと思います。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 計量法の関係でお伺いしたいのは、御説明の中に、産総研があり、校正事業者があり、そこに持っていけばきちんと担保されるというお話がございました。ところが、任意制度でございますね。そうしますと、実際にある仕組みが有効に働いているかどうかということを経産省はどの程度おつかみか、教えていただきたいというふうに存じます。

○経済産業省星野産業技術環境局計量行政室長 放射線測定器の校正の件数については、震災以降、増えているということで、活用はされていると言えます。もっと周知徹底しなくてはいけないというのはおっしゃるとおりでございますが、放射能に関してはいろいろな関係機関、いろいろなところで取り組んでいます。計量法では放射能の単位等は決めていますが規制はしておりません。特定計量器に入れれば規制することができますけれども、先ほど申し上げたように、いろいろな課題があり総合的に勘案してやっていかなくてはいけないと考えております。

○夏目委員 御説明はよくわかるのですけれども、今回の放射能が広がった影響というのは、今まで日本が経験したことのないような、広範囲で、量も多く、これから長い先影響を与えるという事象でございます。今までの想定の範囲の中で対応するのではなくて、新しい仕組み、つまり計量法の中にきちっと組み入れていくという方向を、やはり検討する必要があるのではないかというふうに考えているのですけれども、その辺の御議論は、計量法にかかわる経産省の方では始めてはいらっしゃらないということでございますか。

○経済産業省星野産業技術環境局計量行政室長 今のところ、校正制度がうまくいっているということがございまして、計量法では、特定計量器を入れるとかそういう議論は行っておりません。

○山口委員長代理 校正制度で何をするということですか。

○経済産業省星野産業技術環境局計量行政室長 産業技術総合研究所で標準物質とか標準の測定器があって、校正事業者の測定器を産業技術総合研究所の標準物質や標準の測定器といろいろチェックをして比較して、うまく同じような数値が出るように校正を行います。今度は、一般のユーザーが持っている測定器を校正事業者へ持っていき同じように校正を行えば、一般のユーザーの測定器が産業技術総合研究所の標準の測定器と同じように正しく測定されるというトレーサビリティ制度です。これは放射能だけではなく、ほかの物質についても計量器が適正に測れるような制度として計量法にあります。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 引き続き計量器の話で恐縮ですが、消費者庁にお伺いしたいと思います。消費者庁が配分した検査機器は特定計量器ですか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 率直に言って、特定計量器に当たるかどうか分からないんですけれども、ただ、話を伺っていて思うのですが、基本的に何を測るということ自体について問題になっているのかどうかということだと思います。食品ということで言えば、100ベクレルかどうかというのが問題だとすると、そんな持ち運びできるような計量器でそもそも細かい数値なんて測れないということですので、測るのに相当な機械と、測るのも、自然界にも放射線というのはかなりありますし、実際にきっちりその数字を、例えば1ケタ単位まで実際に測るというのは、相当な機械でないと測れない。まずはそういうこと自体を、リスコミなどの場も通じながらよく理解していただくことが大事ではないかというふうに思います。
ですから、貸与した測定器が特定計量器に当たるかどうかという議論をする前提として、計量法に位置づけていないことによる問題がそもそも一体何なのかという部分を、もう少しはっきりお示しいただかないと、我々としてはどういう議論をすればいいか、ちょっとよくわからないということではないかと思います。

○吉田委員 地元岩手の方では、今、キノコ類などは出荷制限が問題になっています。例えば消費者庁が配布した機器がどのような用途に使われるのか、ちょっと資料ではわからなかったのですが、出荷制限をするもとになる数値を測ることに使われているとすれば、恐らくこれは計量法で言う取引に使うものという位置づけになって、計量法上は特定計量器でなければ測ってはいけないということになってくるかと思います。その用途が、要は出荷制限に関係することに使われるとすれば、性能が担保されていない計量器で測った数値をもとに出荷制限をかけていくことになると、ちょっと問題があるのではないかというふうにも思ったものですから、質問したところです。

○消費者庁黒田消費者政策課長 出荷制限を判断するときの、直接の根拠にするという目的で貸与しているということではございません。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

○川戸委員 すみません。頭の方を伺わなかったので、外れているかと思いますけれども、今、黒田さんのおっしゃったのは、配っている分は、土の除染とかそこら辺にある放射能を測定する機械ですね。食品に関してではないと。

○消費者庁黒田消費者政策課長 持ち込んだ食品とか、その自治体によって用途は違うかと思います。もしかしたら土を測っているという人もいるかもしれません。ただ、機器のつくりといいますか、目的は、細かく1ケタのレベルのベクレルを測って、実際に出荷制限するかどうかの判断に用いるような精度のものではない。その一歩手前の、使うとすればスクリーニング等に使うものであります。

○川戸委員 私たちが考えたのは、要するに消費者の立場から、これが安心が得られるかどうかというのが一番大きなことですので、そういう意味では、その機器がどういう使われ方をしているか。それを、私たちも賢くなって、きちんとその判断の目安にしなければいけないと思います。だから、こちらからお願いしたいのは、計量法いろいろあると思いますけれども、こういうものでやればこういう正確さ、確からしさというのがあるということをもっとPRしていただかないと、これだけでは不安が増大するだけであって、どこかの時点で、これについては非常に正確だ、みたいなことをきちんとやってほしいなと思います。

○消費者庁金田消費者安全課企画官 御指摘の点につきましては、リスクコミュニケーションの場でも多々質問される御質問でございます。家電量販店や通信販売で売っているものについては、国民生活センターでも発表したとおり、極めてばらつきが多く、空間線量を測ってしまうだけのものであり、また、自然放射線と今回の原発由来のものが区別できないものであり、それをもって安心だとか、安心でないというものではないという説明は多々しているところではあります。そういう具体的な説明をすることによって、きちんとしたところに持ち込むことが重要である、そういった計量を行わなければいけない、ということを御説明しているところでございます。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
どうぞ。

○山口委員長代理 端的に言うと、消費者委員会として「放射能測定器を計量法の規制対象に加えるべきではないか」と質問しているのですが、これについては、当面そうは考えていないというお答えになるのですか。

○経済産業省星野産業技術環境局計量行政室長 そこはまだ議論されていないということで、勿論、必要性があればそこは検討するべきだと思いますけれども、先ほど消費者庁の方が言われたように、余りよくわからないものを、即、計量法で全国一律に都道府県計量検定所において検定を行うなど規制することが適切かどうか。

○山口委員長代理 そうすると、その必要性があるかどうかの前提議論をまずするべきであるということですね。

○経済産業省星野産業技術環境局計量行政室長 はい。

○河上委員長 よろしいですか。
私もちょっと遅れてきて、最初の方の話を伺えていないのですけれども、行政にとって、計量というのは一番大事なところです。何が基準になるのかということがわからないと非常にまずい。放射能に関して言うと、何のために、どういう目的で、どのものを測るのかということによって違ってくるし、測り方についてもいろんな対応があり得るということになるので、一概に言えない部分があるということはよくわかりますが、放射能汚染に対して消費者は、今、非常に敏感になっていて、不安が逆にいろんな副作用ももたらしているということ、これはもう事実であります。
各省庁でばらばらにいろいろなことをやっていくことは非常にまずいことですから、少なくとも省庁間でのばらつきがないように整合性を保っていただくことと、特に食品の安全性に関しては、きちんとしたリスクコミュニケーションをとっていくことが大事で、これは計画の中にきちんと書き込んでいただければありがたいと思います。
放射線の測定器に関して、一定水準の性能を確保するために、ほかに適切な法律があるかというのはわかりませんけれども、一番考えられるのは計量法だろうと思います。ですから、計量法でうまく規制する方法がないかということを、しっかりと検討していただければありがたいということでございます。
先ほど来出てきました除染ビジネスの問題に関しては、きちんと実態把握をしていくということと、登録制度とか認証制度のようなものを考えて、一定の技術と一定の水準を持った人がやるという仕組みを導入しないと、民間に任せてしまうには限界があるという気がいたします。その辺についても、積極的に検討の余地があるのではないかと思います。
いろいろ難しい問題があることは承知の上での話でございますけれども、頑張っていただきたいと思います。消費者庁、経済産業省、環境省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。

(2)こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応

○河上委員長 続きまして、「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応について」ということです。本件については、消費者庁の発足以降、さまざまな取組が行われまして、消費者委員会としても、平成22年の7月には「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言」を公表したところですけれども、消費者基本計画の中の具体的施策としては位置づけられておりませんで、具体的な法整備も進んでおりません。
本日は、本件に対するこれまでの取組状況と具体的な法整備についての考え方について、消費者庁から説明をいただきたいと思います。説明時間につきましては、10分程度でお願いいたします。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 消費者安全課の金児でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
こんにゃく入りゼリーの件は、以前から御説明させていただいているところですけれども、改めて御説明させていただきます。
平成22年の後半辺りからの取組みをお話しさせていただきますと、平成22年9月から同年12月までの間に、「こんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会」を有識者の方々にお集まりいただき開催いたしまして、「こんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会報告書」をとりまとめました。このときに、ミニカップのこんにゃく入りゼリーについて「参照指標」の考え方を示していただいたところでございます。
これに基づきまして、平成22年12月に、製造・販売事業者団体と製造等事業者7社に対しまして、力学特性・形状等の改善の促進などについて消費者庁から要請いたしました。その1年後の昨年12月に、製造等事業者7社の製品改善等の取組状況を確認いたしました。それが、以前も御説明いたしましたけれども、資料3-1でございます。資料3-1を1枚おめくりいただきますと、各社の取組状況をまとめさせていただいております。新製品を開発済み、あるいは製造・販売終了など、各社が改善に向けて取り組んでいると私どもとしては判断したところでございます。
ただ、その後も従来の製品を販売している事業者が何社かあるということで、その後もフォローしていくこととしております。具体的には4月及び9月に各社の取組を確認することにしておりまして、今、4月の状況についてとりまとめ作業を行っているところでございます。
このほか、資料3-2でございますけれども、こんにゃく入りゼリーに限らず食べ物での窒息事故を防止するために、こういった公表資料によって消費者に向けて注意を呼びかけているところでございます。特に子どもや高齢者の事故防止に重点を置いているということでございます。引き続き、こういった消費者への注意喚起、あるいは事業者への要請によって、事故の再発防止に努めてまいりたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 それでは、御意見、御質問のある方はお願いいたします。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 こんにゃく入りゼリーにつきましては、消費者委員会発足以来、重要な関心を持って、御説明にありましたとおり提言まで行いました。その提言に従いまして厚生労働省にヒアリングを何回か行いましたが、正直言いまして厚生労働省は、食品衛生法の改正を行う予定は全くないという御判断で、物性検証についての規格基準をつくってくださいと消費者委員会から要望を出したのですけれども、それもお応えできないと。本日もおいでいただいていない。ですから、これはもう致し方ないと少々あきらめ気味です。御説明にありましたとおり、参照指標を出して事業者に指導した結果、その後、こんにゃく入りゼリーによる死亡事故がなくなったというのは事実です。ということで、消費者庁の動きはそれなりに効果があったというふうに私は評価したいと思います。
今後、どうしようかということを考えてみると、厚生労働省が動かないとなると、消費者庁のできることといったら表示だけなんですね。表示ならば消費者庁の権限の範囲内ですので、食品表示の問題としてとらえて、製品に乳児・高齢者への注意喚起を表示する。勿論、ガイドラインとして出されていますが、それをもうちょっと詳しくといいますか、効果的な表示を義務化することを考えてみたらどうかなと、今のところ考えていますけれども、いかがお考えでしょうか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 今も従来の製品には割とどぎつい表示がされていると思いますけれども、それを更に改善するというお考えでしょうか。

○田島委員 今のはガイドラインであって、義務ではないですね。それを義務化するということはいかがでしょうか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 実際、製品みんなに表示されているので、義務化することの効果ということと、あと、私どもとしてはそういう製品は売らないでほしいというふうに言っていますので、ちょっとそれと矛盾するのかなという気もいたします。私も表示の担当課ではございませんので、お話しいただいたことはお伝えさせていただきます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
山口委員。

○山口委員長代理 事実関係を確認したいのですが、各社の対応、資料3-1の2枚目のペーパーは、今年の初めにも拝見したように思いますが、マンナンライフの備考に「力学特性を改善」とあるのは具体的に何のことを言っているのか、教えていただきたいのが一つ。
それから、3-2の消費者庁の方で出した応急手当の方法。これはこれで、ないよりはましなのかもしれませんけれども、こんにゃくゼリーというのは、腹部突き上げ法とか、背中から叩いても喉にくっついてしまって取れないという特性があって、そこで窒息事故が起こるというふうに聞いていますが、その辺との関係でどうなのか。この2つです。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 まず、後のご質問ですけれども、今日はここに持ってこなかったのですが、こんにゃく入りゼリーについての注意喚起の文章の中で、そもそも、「お子さん、高齢者の方は食べないでください」という注意喚起の内容にしてございます。

○山口委員長代理 これは、こんにゃく入りゼリー対策用のものではないということになるのですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 そうです。
それから、マンナンライフ社の「力学特性を改善」というところですけれども、これは、取組状況のところに「新製品を開発済み」、その右のところに「蒟蒻畑ララクラッシュ」と書いてございますけれども、この製品が従来の製品よりも力学特性が改善されていると。この改善の内容をここに書かせていただいたものでございます。わかりやすく言うと、やわらかくなっている。この製品は、細かく言いますと、こんにゃくの入っていないゼリーの中に小さいこんにゃくゼリー、粒々のものが入っているというところで、力学特性が改善されていることをここに書かせていただいた次第です。

○河上委員長 よくわからないのですけれども、おもちなどで窒息するのとこんにゃく入りゼリーでの窒息というのは、同じようなものだというふうに考えていいのですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 こんにゃく入りゼリーの方は、健康なお子さんがこういった事故に遭うというところはやはり問題なのではないかと考えております。おもちの場合は、どちらかというとお年寄りの方、表現が適切でないかもしれませんけれども、のどのちょっと弱ってきたような方が多いのではないかと思っております。

○河上委員長 一定の健康人を相手にした商品としてこんにゃく入りゼリーというのが出てきて、それは誤飲による窒息のように、一定のリスクをそもそもその商品そのものが持っているということになるのですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 そうですね。いろんな食品リスクはあると思いますけれども、お子さんにとってはリスクの高い商品ということで、「食べないでください」という表示もさせていただいているということです。

○河上委員長 判断力が弱い人とか小さい子が、無意識に取って口の中に入れてしまうということがあり得るわけですね、普通に売られているわけですから。そうすると、そこに一定の表示をしているというだけで本当にいいのか。そのリスクを低減する何らかの措置をとっておく必要があるのかという辺りになるかと思いますけれども、そこはリスクはリスクとして、注意喚起をする程度で終わりにするということなのでしょうか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 ちょっと難しいお話でよくわからないのですけれども、まずはお子さんの場合は、親や周りの方が注意することが必要。お子さんは判断力がないわけですから、周りの人に注意していただくために表示をして、親が、お子さんが食べないように注意をしていただくということかなと思っております。

○河上委員長 厚生労働省は今日、来ていらっしゃらないわけですけれども、消費者庁として、厚労省に対して何か働きかけをするというようなことはお考えですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 今のところ考えていないというか、消費者委員会の方でもかなり要請されていて難しいということですので、そうなのかなという気はしておりますが。

○河上委員長 物性・形状というのは、今までの食品の安全という観点で考えていたものと相当違った角度からの介入ということになりますので、その意味ではなかなか受け入れてもらえないところがある。ただ、人為的につくり上げたものが一定の高いリスクを持っているとしますと、やはりその部分について、何らかの基準ないしは介入を考えてみることは必要なことではないかという気がします。ですから、改めて厚労省や、場合によっては農林水産省といったところに対して、消費者委員会としても働きかけをしなくてはいけないと思います。こんにゃく入りゼリーの窒息事故はその後、発生していないのでしょうか。それは実際に消費者事故としての数値としてはゼロかもしれないけれども、ある可能性は否定できません。窒息事故の再発防止に向けて、消費者庁としても、今後とも是非ともフォローアップを継続していただくことと、関係省庁に対する働きかけを消費者委員会とともにやっていただければありがたいと思います。将来に向けて、法整備の検討も視野に入れた働きかけが必要な問題ではないかと考えているところでございます。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして誠にありがとうございました。

(3)消費者安全行政(施策番号4、12、13-2、13-2-2関係)

○河上委員長 続きまして、「消費者安全行政」についてでございます。本件については、消費者庁が事故情報を一元的に収集し、消費者行政の司令塔として注意喚起を図っていくという、消費者安全法の趣旨が必ずしも十分に生かされていないこと。更には、関係省庁においても、重大事故情報等の通知において漏れや遅滞等が生じているなどの問題を防止するため、平成23年7月に消費者委員会として建議、すなわち「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」をとりまとめ、重大事故等の情報の収集範囲や公表の範囲、時期等についての見直しの必要性、その在り方について具体的に提言を行ったところであります。
その後、本年の1月31日の消費者委員会等において、関係省庁より、建議内容の実施状況等に関する報告を受けたところでありますが、十分説明が尽くされていない点が残っております。このため、本日は、建議内容の実施状況に関する再質問という趣旨の下、消費者庁と文部科学省から御説明をいただきたいと考えております。
まず、消費者庁から10分以内で説明をいただきまして、その後、関連項目について、文部科学省から5分程度で説明をいただきたいということでございます。
事務局長、どうぞ。

○原事務局長 文部科学省はお声かけしていますけれども、ちょっと遅れておられるようなので、お見えになったら席に着いていただきます。よろしくお願いします。

○河上委員長 いらっしゃることはいらっしゃいますか。

○原事務局長 はい。

○河上委員長 それでは、消費者庁から先にお願いいたします。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 引き続き、よろしくお願いいたします。
まず、事前にいただいていた御質問に沿って説明させていただきます。資料は資料4-1からになります。
公表の基本要領の改定作業ですけれども、「昨年末以降、延び延びの状況と聞いているが、その後の進捗状況について説明されたい。いつごろ改定になる予定か、改定に当たって課題となっていることは何かについても説明されたい」ということでございます。資料4-1は、現在の公表の基本要領でございますけれども、これについての改定の作業をやっているところでございます。具体的には、関係省庁と改定の内容について相談させていただいているところで、文言の中身についての確認とか、細かい作業が中心となっております。
なぜ遅れているのかということですけれども、いろいろな事故への対応の業務が入ってきて、その合間を縫ってやっているような状況です。そういった事故対応が発生すると遅れてしまうというふうな状況でございますけれども、できるだけ早く改定していきたいと考えております。
次の御質問ですけれども、「1月31日の消費者委員会における消費者庁の回答によると、消費者庁と関係省庁間で通知の遅滞等が生じた場合には個別に協議して改善を図るとしているが、具体的に改善を図れているのか」ということでございます。
各省庁間の通知の状況を見ますと、通知が遅いという感じは余りしておりません。ただ、例えばマスコミによる事故の報道がすごく早い場合があります。そういった場合、私どもはそれで事故を把握できますので、これについて各省庁へ、「詳細な情報をすぐにください」というお願いをすることをときどきやってございます。保育所や高齢者施設での事故の情報については、これからになりますけれども、関係省庁に状況を伺ってまいりたいと思っております。
次の御質問ですけれども、「指の切断の事故についての通知が不十分ではないか、各行政機関への協議や要請はどの程度なされているのか」ということでございます。指の切断の事故については、私ども比較的通知いただいているのではないかと思っております。これまでも、例えば、昨年の8月と11月にエア遊具での子どもの事故がありましたし、昨年の9月には、ベビーカーによる子どもの指はさみ事故が私どもに通知されておりまして、それを基に私どもは注意喚起などをさせていただいているところでございます。引き続き各省庁から事故情報が通知されるよう、連絡を取ってまいりたいと考えております。
次の御質問で、「収集する事故情報の範囲等の拡大の検討状況」です。これにつきましては、以前、御説明させていただきましたけれども、入手情報点検チームというものを昨年の11月に設けまして、法令に基づく通知等以外の事故情報もきちんと集める、受け取るという対応をさせていただいているところは、最近のこの件に関する動きでございます。
次の質問ですけれども、「消費者事故を未然に防止するためにはリコール情報の注意喚起の徹底が必要ではないか」ということでございます。こちらにつきましては、従来から定期公表、例えば重大製品事故につきましては、毎週火曜日及び金曜日に重大製品事故情報を公表するときに、併せてリコールについての情報も公表しております。
あと、資料4-2につけさせていただいてございますけれども、この4月から消費者庁でリコール情報サイトの運用を始めました。下の方の「ここがポイント!」というところに書いてございますけれども、これまで各省庁がそれぞれ公表していたリコール情報を収集、一元化して公表していくこと、また、メールでもリコール情報を配信という、メールサービスも行っているところでございます。

○河上委員長 それでは、文部科学省からお願いいたします。

○文部科学省高谷大臣官房総務課副長 文部科学省官房総務課で副長をしております髙谷でございます。
4番の項目の一番最後のところが、私どもにヒアリング項目として御指摘をいただいているところでございます。平成22年度に学校で発生した事故の消費者庁への通知につきましては、日本スポーツ振興センターがまとめた事故件数に比べ少ないレベルにとどまっていると。平成21年9月に「消費者事故等の通知について」ということで、消費者庁と私どもから各都道府県の教育委員会の総務担当課等宛ての事務連絡がなされているが、その後についてということでございます。
このヒアリング項目でも御指摘いただきましたとおり、平成21年9月に各都道府県の教育委員会等に対して、私どもと消費者庁との間で、該当すべき項目について文科省から消費者庁に通報するようにということで、事務連絡を発出しております。この事務連絡を受けまして、実際これまでのところ、複合遊具からの転落事故(21年10月)、22年4月の天窓からの転落事故、ベランダ手すり崩壊転落事故、ほかにも幾つかございます。このような事故につきまして、教育委員会等から私どもにいただきました報告に基いて消費者庁へ通報するととともに、これらの事故に関連いたしまして、教育委員会などに対して、安全確保や防止に関する連絡事務を行ってまいりました。
直接の御指摘でございます、独立行政法人日本スポーツ振興センターがまとめた事故件数でございますが、これは、いわゆる消費者関係の事故とは直接関係しない案件もございます。かなりの件ですので、直接の比較はなかなかできないところでございますが、確かに該当するのではないかと思われるものでも、少ないレベルにとどまっているということは御指摘いただいて、私どももう少し改善を図りたいというふうに考えております。
今回のいただきました御指摘などを踏まえまして、再度通知を出したいというふうに考えて検討を進めているところでございます。再周知の内容といたしましては、消費者事故に該当するかどうか学校で確認をして、通知を出していただくということ。その際に、参考となるように、できる限り多くの事例を少し整理して添付をしたらどうかということを検討してございます。
そのような通知を再度発出することを検討しますとともに、現場でも担当者の異動というものもございます。引き継ぎ等うまくいっているかどうかというのもございます。今後も定期的に再周知の事務連絡を発出することを、随時、私どもとしては検討していきたいというふうに考えております。
以上でございます。

○河上委員長 それでは、今までお話しいただいたところを前提にして、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
どうぞ。

○山口委員長代理 直接この問題とは外れるのですけれども、4月、5月と重大な報道があったと思います。それは、電動シャッターの事故が重なっていることと立体駐車場の事故が重なっていることです。電動シャッターについては、学校やビルやガレージなどに設置されている電動シャッターに体をはさまれたということで、98年からの14年間で10人が亡くなっていまして、少なくとも14人が重軽傷を負っている。全国に345万台あるそうですが、自動停止装置がついていないのが240万台あるということで、このまま放っておいていいのかというところがあります。
立体駐車場につきましては、マンションなどに設置されている機械式の立体駐車場で、2007年以降、少なくとも10人が死亡、26人が重軽傷を負っているということです。立体駐車場と電動シャッターでは重大な事故が相次いでいるし、これからも起こりかねない事態になっていると思います。重大事故情報の公表、その他の基準云々の問題も突き抜けて、この2つの問題を消費者庁ではどういうふうに把握されて、今後、どう対処しようとされているのか、ちょっとお聞かせいただければと思います。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 まさにこういった事故への対応に追われていたというところでございます。立体駐車場の方ですけれども、資料4-6をごらんいただければと思います。この4月2日に大阪府で起きた、お子さんが亡くなった事故をきっかけとして作ったプレスリリースでございます。消費者庁と国土交通省が連名で作ったプレスリリースでございます。こういった消費者向けの注意喚起をまず出させていただいたということです。
それから、別途、国土交通省の方で業界団体に事故の再発防止策などを要請しています。具体的には管理者、取扱者、利用者に向けて、子どもへの対応を含めて安全管理を徹底するように注意喚起を行うことを要請していると伺っております。私どもといたしましても、今後とも事故防止に向けて、必要があれば引き続き国交省と連携し対応してまいりたいと考えてございます。
電動シャッターの方は、最近、ATMのシャッターに体がぶつかって被害を受けたという事故の情報がありまして、公表させていただいているところでございます。これにつきましても、現在、関係省や業界団体等から情報収集をしておりまして、関係省と連携して事故防止のために何ができるかということを、今、検討しているところでございます。

○山口委員長代理 消費者安全法上、20条では消費者委員会は勧告等の権限がありますので、この2つの問題、消費者庁なり国土交通省がちゃんとやらなければ、勧告すべき事案ではないかと思います。今のお話を聞いていましても、消費者庁自身も、消費者安全法17条に基づいて事業者に対する勧告及び命令の権限があります。国交省が業界団体に要請するのはそれはそれで結構ですが、現実に生活の現場において、立体駐車場あるいは電動シャッターでは事故が起こっているわけですから、注意喚起でとどめるのか、それとも更にもう一歩進めて利用者に対する勧告等を出すのか、その辺の基準というのはどうなっているのでしょうか。内部的に何かあるのでしょうか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 それはケース・バイ・ケースというか、その製品に問題があるかどうかということが一つあろうかと思います。あとは、関係する法律をどう適用できるかというのも一つの大事な観点かと思いますけれども、一概にここからはこう、これはこうでというものは今すぐに思い浮かびません。

○山口委員長代理 内部的な基準はまだないわけですね、どういう場合に勧告をするとか。勿論、条文は一定の定めはあるわけですが、その辺をもう少し緻密にしたようなものはないと。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 そこまではございません。どういった場合に17条を発動するかとか、そういう話ですね。そこはないですけれども、今回の立体駐車場の事故事例ですと、どちらかというとお子様が作業中のパレットに跳び込んでしまったといいますか、本当に駐車場施設に起因するかどうかというのはもうちょっと確認が必要ではないかと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
夏目委員。

○夏目委員 文部科学省からお見えになっておりますので、お伺いさせていただきたいと思います。
先ほど、私どもが質問する事項につきまして、指摘どおりなので改善したいという前向きな回答をいただきまして、ありがとうございます。つい先日もメディアで、学校現場で転落して亡くなる児童の数は、トータルでいくとかなりの数にのぼるという話が報道されておりました。その転落事故が消費者事故に相当するかどうかという、その概念の当てはめ方は難しいかと思いますけれども、例えばそれが学校のハードの構造の問題であったり、そういうことを考えますと、全く消費者事故に関係ないとは言い切れませんし、児童を消費者と呼ぶのは難しいかもしれませんが、少なくとも当事者ではあるわけでございます。
転落事故だけではなく、学校現場からなかなかこういう消費者事故等に関する報告が上がりにくい構造的なものというのは、事務連絡等が発出されておりますし、今後は、事例集を添付するとか工夫をされるというお話でございますけれども、学校現場の方で、こういう事故に関して提供すべきというような認識が周知されていないといいますか、少し問題のとらえ方が薄いのではないかという感じを持っていますが、その辺はどのようにお考えでございましょうか。

○文部科学省高谷大臣官房総務課副長 実際に分析したりヒアリングしたりということはしてございませんので、学校現場がどのように考えているか、どう受けとめているかというのは、なかなかこの場では私どもも把握しかねておりますし、申し上げにくいところでございますが、今、御指摘のような面もあるのではないかということを前提に、事例集などをつけて、私どもの事務連絡そのもの自体も改善して発出していきたいというふうに考えております。

○夏目委員 ありがとうございます。事故を未然防止するという観点から情報の共有というのはとても大事なことなので、是非、前向きに今後もお取り組みいただければありがたく思います。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今の関連ですけれども、何年前でしたか、児童が学校の天窓が壊れてしまって転落というのが報道されました。文部科学省としては、例えば学校施設で同様の天窓がある場合については、当然、調査とか動きをとっていらっしゃったことと思いますけれども、同じように天窓構造を持っているのはいろいろな施設にあり得ると思うのですが、そこにお子さんが乗りかかる状態になれる場合は危ないということは、当然、周知して全体で共有すべきと考えるのですが、そういう点、どういうふうになされたかということを伺えますでしょうか。

○文部科学省高谷大臣官房総務課副長 御指摘の天窓でございますが、平成22年4月に天窓から転落事故の報告がございました。報道されましたのはこの件の御指摘になるのかと思いますが、実際に私どもは当時も、消費者庁への通報と併せて、教育委員会等に対して事務連絡を行ってございます。天窓からの転落事故について、4月15日付ですが、都道府県、政令都市の教育委員会(学校設置者)等宛てに、「学校における転落事故などの防止について」という通知を発出してございます。これ以外にも、先ほど少し御紹介をしました遊具からの転落事故、ベランダ手すりの崩壊転落事故、これはいずれも、消費者庁への通報とともに事務連絡を発出して周知徹底を図っているところでございます。

○小幡委員 学校についてはそういうふうになさったということで、消費者庁の方に通知なさり、天窓構造全体については、全般的に何かという取組は消費者庁の方で考えるということになりますか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 学校の天窓構造ということですか。

○小幡委員 学校の天窓構造については文科省で通知を発して、お子さんが近寄ると危険だということで周知なさっていると思いますけれども、ほかの施設でも天窓構造を持っているところはあって、例えばそういうところでも、子どもさんが近づけると乗りかかって壊れるということになる。その辺りについては全般的な話になるので、今度は受け取った消費者庁の方の動きが必要かと思うのですが。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 そういった考え方が言えると思います。

○小幡委員 必要があれば動く用意があるということですね。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 そういうことです。

○河上委員長 私からも少し伺いたいのですけれども、先ほどから、消費者事故に該当するかどうかということを考えた上でという留保が何回かなされましたけれども、文部科学省で考えている消費者事故というのは何なのですか。

○文部科学省高谷大臣官房総務課副長 先ほどの消費者事故かどうかというのは、実はあえて言及いたしましたのは、ヒアリング項目の中で御指摘をいただいております日本スポーツ振興センターがまとめた事故でございますが、これに載っております事故は、マラソンをしていて心臓の病気で倒れてお亡くなりになられたとか、そのような事例もふくまれております。そういうものも含まれているという中で、消費者事故に該当するものはどういうことかということを、整理して御報告する必要があると考えておりますので、具体的にどこが消費者事故かということは、少し事例集を整理したり、消費者庁とも御相談させていただきながら、整理して周知をしていきたいというふうに考えてございます。

○河上委員長 例えばスポーツも、予備の体操はきちんとなされていなかったとか、ウォーミングアップがきちんとできていなかったことで心臓麻痺が起きたということになると、それは教育の過程で起きた事故ではないのですか。

○文部科学省高谷大臣官房総務課副長 教育の過程の中で起きた事故ということになります。

○河上委員長 それは消費者事故とは見ないのですか。

○文部科学省高谷大臣官房総務課副長 私どもも少し整理をさせていただければというふうに思います。一概に言える、言えないというふうに言うには、私どももちょっと整理不足かなと思います。

○河上委員長 私の方も定見があって申し上げているというわけではないのですけれども、学校教育という学校が提供する教育サービスに対する関係では、生徒も児童もすべて消費者だと言えなくもない。医療契約における患者さんというのとも同じ話です。学校の現場で起きている事故について、これは消費者事故だろうか、そうではないだろうかということに拘泥することは、個人的には余り適切な態度ではないという気がしたものですから、むしろ広く見ていただければありがたいと思います。
もう一つ、これは消費者庁に伺いたかったのですけれども、「入手情報点検チーム」というのが動き始めて、今、いろいろなことをなさっているということですけれども、先ほどの立体駐車場の事故は、例えば国交省とタイアップして、こういう形で公表した方がいいだろうというふうな話になっていると。あれは、点検チームの中で一定の評価をした上でそういうふうにしたということですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 これは重大事故としての通知があったものです。従来からやっているものですけれども、今は点検チームでも勿論実行しているというものでございます。

○河上委員長 逆に、今までだったら重大事故で公表することはしないけれども、点検チームで点検した結果、これは公表した方がいいというふうに考えておられる例というのはありますか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 例えば先週、コチニール色素によるアレルギー発症の情報、そういった事例があるということを注意喚起として公表させていただきました。これは消費者安全法に基づく通知ではなく、外部の有識者の方から研究情報として学会で発表するような情報として私どもに寄せられたものでして、それを基に私どもが過去の事例などを調べて、注意喚起したというものがございます。

○河上委員長 点検チームのスクリーニングでむしろ出てきたということですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 そうです。今まではそういった情報はやっていなかったということです。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 事故情報の公表基準ですけれども、消費者委員会としても、早く出してそれをうまく活用できる体制をとっていただきたいと思います。今日、資料4-1で改めて配られていますが、どこが難しいのかというところが一つ、お聞きしたいです。
特に3ページ以下に、公表の際の考慮要素というところで幾つか書いてありますが、確かにこれだけの基準ではわけわからないだろうなと。具体的に言うと、例えば子どもさんの遊具で何かの事故が起こったという場合に、それがどんな遊具なのか、メーカーがどこなのか、事故原因が何なのかということは、できるだけ具体的に公表した方が消費者から見るとわかりやすいし、逆に言えば、ニュースメディアにも扱われやすいと思うのです。一般的な遊具で事故が起こっただけでは、何のことかさっぱりわからないというところもあるので、具体的な商品名といいますか、商品の特性をどういう場合にどう特定して出すのか。
それから事故態様について、これはちゅうちょする理由はないと思うので、できるだけ具体的に出すと。勿論、ここにもありますような事業者の特性に関する情報とか、個人の識別、つまり被害者のプライバシーにかかわるところは配慮しなければいけないかもしれませんが、それでもやはり事態が深刻な場合には、事業者の名前、製品名も特定せざるを得ない場合もあると思います。
その辺について、現場で公表情報の整理に当たっている職員の皆さんが、この判断基準に基づいてさっと動けるようなものに工夫する必要があると思いますが、その辺はどうなっているのか。できるだけ早く出すと数か月前にもお聞きしたような気がしますが、現実にいつごろになるのかということも含めて、もう少し御説明いただければと思います。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 実際に注意喚起を出す際、この基準に当てはめて事業者名を出すかどうかとか、そういったことの検討に時間がかかっているというわけではありません。実際は、事故情報の内容の把握とか、関係事業者との調整とか、有識者から意見を聞いたり、そういったことに時間がかかっているわけでして、この基準に当てはめるかどうかを検討しているということではありません。

○山口委員長代理 いつごろ出るのですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 勿論、できるだけ早く出したいと思っています。

○河上委員長 よろしいですか。

○山口委員長代理 よろしくないです、全く官僚答弁で。現実に業務の基本になるものだと思うのですが、では、どこが問題になっているのか。それさえも言えないのですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 私どもとしてはそんなに大きな問題はないと考えておりますけれども、細かい中身の、例えばこの言葉の定義は何かとか、そういったところです。

○山口委員長代理 ほかの省庁とのすり合わせに時間がかかっているということですか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 すり合わせというか、私どもでそういった中身をしっかり確認するというところでございまして、先ほど申し上げたとおり、他方でいろんな事故が起きると、そっちでの対応を優先しなければいけないという事情がございます。

○河上委員長 マンパワーの問題とかいろいろあるのでしょう。たくさんの情報がワッと来るものですから、それを処理するというのは大変な作業で、御苦労されていることはわかりますけれども、交通整理するための基準なり具体的な判断枠組みが、はっきりしているとかえっていいのではないかということではあります。ほかにはいかがですか。よろしいですか。
消費者安全行政で重大事故の情報の収集・分析・公表、更に活用といったそれぞれの段階で、たくさん問題があるという認識はみんな共有していると思います。今日、話に出ましたのはそのごく一部ということになります。

○原事務局長 委員長、すみません。消費者安全では施策番号12と13-2がまだ残っておりますので。

○河上委員長 では、そこの部分も含めてやりましょうか。

○原事務局長 文部科学省の方には御退席いただきます。ありがとうございました。
施策番号の12と13-2、13-2-2について、回答いただいている部分もありますが、もう一度お願いします。

○河上委員長 では、まとめて残りのところをやっていただきましょうか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 いただいている御質問で、「消費者安全情報総括官制度における成果事例があれば」ということでございます。総括官制度といいますのは、生命・身体被害情報の集約、共有を行い、緊急時にすぐ対応がとれる体制を整備ということを目的として、関係省庁の局長、審議官クラスで構成されているものでございます。
成果といたしましては、まず、こういった事故情報の収集・共有ということで、まさに日々、各省庁の総括官担当部署を窓口として消費者安全法に基づく情報を提供いただいています。また、日ごろから連絡体制を整備しておりまして、土日・祝日を問わず連絡が取れる体制をとっているところが一つの成果であろうと思います。なかなか外の方には見えにくいかと思いますけれども、そういった連絡体制がとられているというところが一つございます。この制度を用いまして、緊急時にも対応できるようにしていく。複数の省庁にまたがるような案件で重大な事故が発生した場合に対応していくこととしてございます。
一例を申し上げますと、平成22年にプールでの事故が起きました。学校、その他自治体の管理するプールとか、いろんなところにプールがございますので、関係省庁が連携いたしまして、この制度の下で会議開催などをいたしまして、安全標準指針の周知徹底や、それぞれ所管のプール管理者に自主点検の要請などを行ったということがございます。
次に、事故情報分析タスクフォースについてですけれども、平成23年度の実績や、アウトプットなどについて御質問をいただいております。事故情報分析タスクフォースは、有識者の方々10名、座長は向殿先生によって構成されておりまして、事故情報の分析、原因究明を進めているというものでございます。
平成23年度には新たな取組として、一つは、平成22年12月から開始された医療機関ネットワーク事業によって集まった事故情報も対象として、事案の抽出や分析を行うということにしました。このことによって、23年度は、一つは被害の重大性の観点から、ベビーベッドからの子どもの転落事故を案件として抽出して、経済産業省と連携して今後の在り方を検討しているというものがございます。あと、いわゆる誤使用によるとされる事故についても、製品の火災事故を対象に分析を始めたというのが新しい案件としてございます。
23年度のアウトプットですけれども、一つは、健康食品に関する消費者事故を従来からテーマとしてございます。これについて、健康被害の情報と、原因となる製品の因果関係を分析することは、トライしているところではありますけれども、なかなか困難であるということがわかってまいりました。まずは注意喚起ということで、消費者が必要としている情報をとりまとめて、昨年度はリスクコミュニケーションとして、全国3か所で意見交換会を開催したということでございます。
家庭用品における中毒事故も従来から取り組んでおります。これについても調査・分析を行いまして、資料4-3につけてございますけれども、子どもの誤飲事故防止に関するチラシを作成いたしまして、全国の保健所や保健センターなどに配布してございます。
資料4-4ですけれども、中毒事故防止についての視聴覚教材を作成し公表してございます。消費者庁のホームページにも動画を掲載しているところでございます。
次の御質問ですけれども、医療機関ネットワークに関する制度の運用実績と、情報の活用状況についての公表がいまだ不十分ではないかということでございます。医療機関ネットワークの運用実績につきましては、たしか昨年9月に1回公表させていただいていますけれども、近々、23年度までの運用実績を公表したいと考えており、今、準備しているところでございます。
次の御質問ですけれども、「食中毒についての事例及び行政対応のさらなる公開に加えて、被害者への賠償についての情報収集も行い、将来的には法的な枠組み構築を検討すべきではないか」ということでございます。食中毒の事故の情報については、各自治体で公表されていますけれども、消費者庁においても、消費者事故として通知されたものについて、毎週、定期公表で公表しております。最終的には事故情報データバンクにその情報は入れてございます。
被害者への賠償についての情報収集や法的な枠組みについては、私ども、今まで余り視野に入れたことがなく、むしろ教えていただければありがたいと思っております。
次の13-2番の御質問でございますけれども、「入手情報点検チームにおける注意喚起情報の選定方法とその運営をより透明なものにすべきではないか」ということでございます。入手情報点検チームについては、資料4-5にあるとおり、これは以前も御説明したものでございますけれども、対応の実施というところの右の方に消費者への注意喚起が出てございまして、その左に「被害の拡大のおそれが大きい場合」とあります。こういった場合に消費者への注意喚起をすることと整理してございます。
これで透明ではないと言われますと、どうしたらいいのかと思いますけれども、実際は私どもとしては、被害が重大な場合、死亡とか死亡に至るおそれが高いものから優先的に注意喚起をしているというのが実態でございます。
入手情報点検チームについて、「消費者安全調査委員会立ち上げ以降における同チームの位置づけについて」ということでございますけれども、これは今後、検討をする必要があるかと思っております。こういった外からの事故情報、あるいは事故情報をきちんと処理することが必要だろうというふうに思いますけれども、今後、検討すべき課題と考えております。
立体駐車場や電動シャッターについては、先ほど議論させていただいたとおりでございます。

○消費者庁坂田消費者安全課長 消費者庁の消費者安全課長をしております坂田でございます。私からは、事故調査機関の準備状況について、御説明させていただきたいと思います。
消費者安全の確保のために必要な事故調査が十分になされているとは言えない、生命・身体分野の消費者事故等の調査を行う消費者安全調査委員会を消費者庁に設置することなどを内容といたします、消費者安全法の一部を改正する法律案を去る2月14日に国会に提出したところでございます。現時点ではまだ国会で御審議いただいていませんけれども、法案成立後の10月1日の施行に備えまして、体制整備に向けた準備を進めているところでございます。
御質問をいただきました1つ目ですけれども、消費者安全調査委員会の調査体制について、ほかの行政機関等による調査結果の評価・検証と自ら調査を実施するときの運用指針の策定等について、具体的にどのような検討を行っているのかという点でございます。御指摘の運用指針の策定等につきましては、1点目に、消費者安全調査委員会が事故等原因調査等を行う事案を選定する際の指針。2点目に、ほかの行政機関の調査等の結果を評価する際に留意すべき観点。3点目といたしましては、自ら調査を実施する場合ですとか、ほかの行政機関の調査等の評価を行う場合の手順などについて、現在、整理をしているところでございます。
今後はこれらの具体的な内容を、1点目として、消費者安全法に規定されております消費者安全の確保のための基本的な方針、いわゆる基本方針に盛り込むということ。2点目は、消費者安全調査委員会が定めると予定されています、運営のための規定などに盛り込んでいく作業を、今後、進めていきたいと考えております。
それから、「既存の事故調査機関との相互の調整・連携についての準備状況について」という御質問でございます。調整・連携が必要な機関といたしましては、1点目として、事故調査の一部である実験分析等を依頼する機関。2点目といたしましては、関連する情報を日常的に情報提供いただいたり、必要に応じてアドバイスをいただける機関等が考えられるわけですけれども、これらの機関につきましては、依頼先となり得る機関のリストアップの作業を行っております。更には依頼事項、効率的な依頼方法について更に検討を進めていきたいと考えております。
以上でございます。

○河上委員長 ただいまのお話に対する御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 先ほどの御説明の中で食中毒の賠償の問題がございましたけれども、これは富山のユッケの食中毒というのが御承知のようにございまして、死者の方が5人出て、業者も倒産して、結局、何の補償もないわけですね。犯罪被害者については補償するという制度が一つございます。しかし、犯罪として成立するかどうかというのも食中毒の場合は難しい。そうすると、保険制度みたいなものが考えられるのではないか。実際に財団法人食品産業センターさんというところが食中毒保険というのをやっていますけれども、これはカバー率が非常に低いんです。加入している業者さんは非常に少なくて、ほとんど実際問題として役に立っていない。
ですから、自動車に乗る人は自賠責保険に必ず加入しなければいけないというように、飲食業を営む人も保険に強制的に加入して、食中毒を起こしたらば、その保険金から補償するということはいかがかなということを私なりに考えておりますけれども、そのようなことは実際問題として考え得るのでしょうか。

○消費者庁金児消費者安全課課長代理 すみません。私も初めて聞いたお話なので、教えていただき、ありがとうございます。

○河上委員長 PLなんかの場合はPLの保険が随分できていて、製品に欠陥があった場合はそれなりに保険で動かせるということだから、場合によっては、食べ物に関しても同じ発想でできなくはないということで、検討してみる価値はありそうです。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
事故情報の扱い方というのは非常に難しくて、実は消費者委員会でも、この情報の扱い方について専門の委員会を立ち上げて検討を始めたところでございます。今後、いろいろな機会にまた提言を申し上げたいと思いますけれども、既に行った建議がございますので、建議の内容等を再度御検討いただいた上で、改善が必要だというものについては、消費者基本計画の具体的な施策の中にできるだけ盛り込んでいただくことをお願いしたいと思います。
消費者庁、文部科学省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

(4)食品表示一元化(施策番号69、73関係)

○河上委員長 続きまして、「食品表示の一元化」についてであります。本件については、消費者基本計画において、食品表示に関する一元的な法律について平成24年度中の法案提出を目指す旨が規定されておりまして、学識経験者、消費者関連団体、事業者団体などから構成される消費者庁の検討会において、昨年の9月から具体的な検討が行われているところであります。
本日は、消費者庁から、これまでの検討の進捗状況や法案提出に向けた見通し等について、御説明をいただきたいと考えております。御説明は10分以内でお願いいたします。よろしくお願いします。

○消費者庁食品表示課担当者 消費者庁食品表示課の谷口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
食品表示の一元化につきましては、本年2月末の消費者委員会におきましても、当庁の神宮司審議官から進捗状況の説明をさせていただいたと思います。その際には、中間論点整理案というものについて説明させていただきましたので、今回はその後の状況について御説明したいと思っております。

○河上委員長 ペーパーはありますか。

○消費者庁食品表示課担当者 ペーパーは特段ございません。口頭で御説明させていただきたいと思います。
まず、3月5日から4月4日にかけまして、中間論点整理について意見募集(パブリックコメント)を実施いたしました。また、その間の3月23日には、中間論点整理についての意見交換会も開催いたしました。その後、第7回の検討会が4月18日、第8回の検討会が5月11日に開催されました。そこでは、論点ごとの検討方向を議論するためにたたき台案をお示ししまして、意見募集、意見交換会の結果を交えまして、更に議論をしていただいたところでございます。
簡単にたたき台案について概要を御紹介したいと思います。中間論点整理でも示しました5つの論点ごとに検討方向のたたき台を示しました。
論点1は、「新たな食品表示制度の『目的』をどのような内容とするべきか」ということについてです。これにつきまして、たたき台案では、消費者基本法に示された消費者の権利、例えば消費者の安全の確保ですとか、実質的かつ合理的な選択の機会の確保、そういったものを踏まえつつ、食品の安全性にかかわる情報が消費者に確実に伝えられることを最優先として、また品質など、消費者の選択に資するための重要な情報の提供ということにしてはどうかとしております。
論点2は、「食品表示の考え方」ということで、「新たな食品表示制度における表示事項はどうあるべきか。食品表示をわかりやすくするため、どのようなことに取り組むべきか」ということです。まず、表示事項につきましては、現在の表示事項を義務表示の対象から外すか否か、新たに表示事項を追加するかについては、慎重な検討が必要ではありますが、検討に当たっては、より重要な情報が確実に消費者に伝わるようにという観点から、優先順位を考慮して検討することとしてはどうかとしております。
また、食品表示をわかりやすくするための取組につきましては、制度的なわかりにくさの解消に向けて、食品衛生法、JAS法、健康増進法の三法のうち、表示制度に関する部分を統合した新法を制定するとともに、新法の解釈運用を一義的で明確なものにする必要があるのではないか。また、食品表示の可視性(見やすさ)の向上のために、例えば一括表示欄が現在ありますが、一括表示欄による記載方法の緩和ですとか、容器包装上の表示の文字の最大ポイント数に応じて、最低のポイントを連動させるといった工夫を検討することとしてはどうかということも挙げております。
論点3は、「食品表示の適用範囲」、つまり、「食品表示に関する法令の適用範囲となっていない販売形態について、新しい食品表示制度の下で、どのように取り扱うべきか」ということについてです。まず、外食や量り売りなどにつきましては、例えば、使用する原材料が多く、かつ頻繁に変更されるといった業態の特殊性があることを十分に踏まえた上で、生命にかかわるおそれのあるアレルギー表示に関しましては、情報提供が可能となるように、義務づけですとか、自主的な取組の推奨を検討することとしてはどうかとしております。
また、インターネット販売、カタログ販売などにつきましては、購入時に商品選択に必要な情報が提供されるように、現在、商品の容器包装に表示すべきとされている義務表示事項と同様の事項を、インターネット上でも記載させることを検討してはどうか。カタログ販売等についても同様に検討してはどうか、としております。
論点4は、「加工食品の原料原産地表示について、どのように考えるべきか」ということです。これにつきましては、これまでのJAS法の品質の差異の観点にとどまらず、原料の原産地に関する誤認を防止して消費者の合理的な商品選択の機会を確保する観点から、加工食品の加工地と原料の原産地が同じであると消費者が誤認しやすい商品につきましては、表示の義務づけの検討の対象とすることとしてはどうか、としております。
論点5は、「栄養表示について」です。現在、任意表示の栄養表示について、「義務化すべきかどうか」。また、「仮に表示義務を課すとした場合、対象となる栄養成分等は、どのように考えるべきか」ということについてです。まず、栄養表示の義務化につきましては、原則として義務表示とした上で、中小事業者など栄養表示が困難な事業者については義務対象から除外して、自主的な取組を推奨することですとか、Webなどにより詳細な情報提供を行った場合には容器包装への表示を省略できることを検討してはどうか。いずれにせよ、義務化導入当初は義務づけの対象を限定して、その後、徐々に義務づけの対象を拡大することを目指すこととしてはどうか、としております。
また、対象となる栄養成分につきましては、現行の基準とほぼ同じ、エネルギー、食塩相当量、脂質、炭水化物、たんぱく質の5成分を必須として、そのほか、事業者が訴求するような栄養成分について表示させることとしてはどうか。
そのほかの栄養成分として、例えば飽和脂肪酸などですけれども、そういったものについて義務化すべきかどうか、努力義務にとどめるべきかどうか、そのようなことをどのように考えるべきかといったことを挙げております。
こういったたたき台案に対しまして、先般の第7回、第8回の検討会では、検討会の委員からさまざまな意見をちょうだいしたところです。今後は、たたき台案に対する委員の意見を踏まえつつ報告書案を作成し、6月までの検討会で更に議論を深めていただいて、報告書をとりまとめる予定でございます。
その後につきましては、消費者基本計画に示しておりますとおり、平成24年度中の法案提出、つまり、年明け平成25年1月からの通常国会になろうかと思いますけれども、そちらへの法案の提出を目指しているところでございます。
検討会全体として何か方向性がまとまっているわけではございませんけれども、消費者庁といたしましては、食品表示は、消費者が食品を購入する際の重要な判断材料であるという考えに立ちまして、より多くの消費者が実際に商品を選ぶ際に役に立つ、わかりやすい食品表示制度の実現を目指し、引き続き検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、この点について御意見、御質問がありましたら、お願いします。
稲継委員、どうぞ。

○稲継委員 質問ですけれども、どうして資料がついていないのか。今、インターネットで拝見すると、食品表示一元化検討会情報のページがあって、その中に第7回、第8回でたたき台案がありまして、8回目で出てきたものは8~9ページ程度なんですね。それがどうしてついていないのですか。今、お話しになった話の9割ぐらいがこのたたき台案の説明です。我々は何もペーパーなしで、私はたまたま見られますけれども、全くペーパーなしで説明するのは何らかの意図を感じるのですけれども、どうしてついていないのですか。

○消費者庁食品表示課担当者 すみません。これは特段、意図というわけではございませんでして、当方の考慮不足ということでお考えいただけたらと思います。

○河上委員長 既に公表されているペーパーですね。

○消費者庁食品表示課担当者 さようでございます。

○河上委員長 私も、ないので、ちょっと今、戸惑っていたのですけれども、できましたら論点だけでもペーパーにしていただければありがたかったと思います。もし可能でしたら、後で追加的にでもお願いいたします。

○消費者庁食品表示課担当者 大変失礼いたしました。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 食品表示の一元化につきましては2月に御報告いただきまして、そのときにも申し上げたのですけれども、委員会を8回開きましたが、御承知のように委員の皆様の御意見はさまざまで、企業側委員、事業者側委員、消費者側委員、第三者委員、百人いれば百人、いろんな意見が出てくるということで、なかなかまとめるのは御苦労だと思います。6月で終了したとして、あとの報告書をおまとめになってもなかなかまとまらないと思います。ですから、24年度中に法案を提出のときには、消費者庁として責任を持って、意見を無理に集約しようと思わないで、消費者庁が、これが私たちのポリシーだということをはっきりお示しになって法案をおつくりになったらいかがでしょうか、ということを御提案したいと思います。
それから、委員会の進め方について、一つ、苦言を呈したいのですけれども、この間の第8回の委員会で課長が委員の皆様に御質問したんですね。その内容というのは栄養成分表示についての質問で、栄養成分表示ができないものはどんなものがあるか。原材料がわかっていて、かつ栄養成分表示ができない例はありませんか、こういう御質問をしたのです。それは委員会の席で質問することではないと思うのです。委員会は時間が限られています。そういった質問は、あらかじめ課の中でちょっと検討すればわかることなんですよ。わからなかったら、消費者委員会の表示部会の委員に聞けばわかることで、それで貴重な委員会の議論の時間をつぶすというのははなはだ問題があると思います。委員会の進め方で、課長から委員の方にこのような御質問を投げかけるなどということは今後は是非やめていただきたいと、苦言を呈したいと思います。
以上です。

○河上委員長 今、いろいろ論点がまとまってきていて、要綱案みたいなものをつくる段階が来るのですか。今は中間論点のとりまとめ的な段階でしょうね。この後、立法的な提案をしようかという、要綱をまとめるような段階がありますか。

○消費者庁食品表示課担当者 今回の検討会におきましては、論点ごとの検討方向を委員間で議論をしていただくためにたたき台案をお示ししたところです。それにつきまして幾つか議論がありまして、意見をさまざまいただきましたので、それをもとに報告書の原案をお示しして、それについて議論をしていただこうということで考えております。法案化の作業については、検討会が終わってから別途、作業をすることになろうかと思います。

○河上委員長 これまでに、例えば表示を受ける側の一般消費者の意見を聞いてみるというような何か作業はやったのですか。どういうことに表示の関心を持って一般消費者が見ているだろうか、ということについての検討調査というのはありますか。

○消費者庁食品表示課担当者 一元化検討会の資料としてお示ししましたけれども、消費者の意向調査といったことも実施しております。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 そうすると、まだ何法を改正するかも固まっていないのですか。

○消費者庁食品表示課担当者 固まっているわけではございませんけれども、現在のイメージといたしましては、食品の表示に関する法律といたしまして、主なものとして食品衛生法、JAS法、健康増進法という三法がございます。それらの条項の中から、表示に関する部分を抜き出してきて、一本、新たな食品表示に関する法律をつくるということをイメージしているということでございます。これについて検討会で議論されているところでございます。

○河上委員長 よろしいですか。
なかなか難しいですね。それぞれの食品に応じて表示の仕方というのは、ウエートの置き方もあるし、限られた場所にどういう情報をどういう形で出すのがいいのかということで、大変難しい問題があることは議論されておりますけれども、平成24年度中の法案提出を目指されているわけですから、これを実現するために皆さんの合意形成を図った上で、速やかに成果を出していただければと思います。
消費者庁におきましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

(5)地方消費者行政(施策番号121、122関係)

○河上委員長 続きまして、「地方消費者行政」についてであります。本件については、いわゆる「集中育成・強化期間」以降の地方消費者行政支援の在り方が大きな話題になっています。これ自身が課題でもあります。消費者委員会としては、平成23年4月にとりまとめた建議、すなわち「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」などを通じて、各種施策の実施に向けた提言を行ってきました。また、消費者庁におかれましても、地方消費者行政の充実・強化のための新たな指針作成のための検討を行っているところですが、地方消費者行政活性化基金終了後の自治体支援のための財源の確保については、なお十分な見通しが立っていないという状況にあります。
本日は、消費者庁から、集中育成・強化期間以降の地方消費者行政への支援の充実や財源確保のための取組を中心に、御説明をいただきたいと考えております。説明は10分以内でお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、お手元にお配りしております資料6に従いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
この資料は、今まで基金の利用、あるいは経年的に調査をしています現況調査、これらを通じて把握しております地方消費者行政の現状について、基金がどの程度貢献できたのかといったことも含めて、今、調査をしたり、自治体との意見交換をしたりということで、検討を進めているところでございます。今、委員長からもお話のありましたように、この6月中にも指針をとりまとめたいと思っております。また、夏の概算要求に向けて、必要な財源の確保についても取り組んでいきたいと思っております。
まず、1ページ目の「地方消費者行政の現状」というところをごらんいただきたいと思います。これは、22年4月1日現在の現況調査に23年度までの基金の利用状況、これは事業計画に基づいて、毎年度、事業計画の変更がある場合には提出をいただいておりますし、また、事業の実施の結果についても報告をいただいております。こうしたことをベースにしながら個別の聞き取りも加えて、地方消費者行政の現状について把握しているものをお出ししたものでございます。
左の欄に消費者行政予算が載っています。これは21年度以降でございますので、その前のデータは載っていないのですけれども、平成10年~20年までの10年間の変化を見ますと、平成10年ごろには、自主財源と書いております右側の欄、ここが200億程度あったのが100億程度まで減ってきて、要するに半減したとよく御指摘をいただきました。また、職員の数もこの間には同様に、全体では10%程度、地方自治体全体の職員数は減っていたわけですけれども、その中でもこの消費者行政予算は同じように半減していたということがございまして、財政基盤が弱体化している。また、人的な体制も減少してきている中で、その傾向に歯止めをかけ、更に地方消費者行政の取組の充実を図るためにこの基金が設けられたということでございます。
それを踏まえて、予算の流れをごらんいただきたいと思います。21年度は決算後の最終予算、22年度、23年度については、それぞれの年度の当初予算と事業計画を通じて把握をした予算ということでごらんいただきたいと思いますが、自主財源はいずれも120億円程度で推移しております。この基金が開始された以前に比べますと、自主財源そのものも2割程度伸びております。
それと同時に、基金は平成21年度が初年度でしたので、この年は9月に消費者庁が発足いたしまして、準備期間が不足していたこともあって、この年度は37億という取崩し額にとどまっておりますけれども、22年度、23年度はそれぞれ60億~70億程度の利用をいただいた結果、総予算額そのものは180億~190億まで回復してきているということでございます。ですから、基金を合わせた予算総額について言うと、10年前の水準に近づいている。また、自主財源も、わずかではありますけれども、新たに消費者行政予算に取り組み始めたその動きが出てきたということも含めて、総額の増加が見られるということでございます。
消費生活センターの設置状況ですけれども、これは、消費者庁創設の際に設けられました消費者安全法の規定に基づくセンターの数を見ますと、21年の4月1日時点は501か所ということでスタートいたしましたが、その後、基金を御利用いただいて、開設日を増やしたり、新たに相談員を配置していただいたりということで、安全法に基づくセンターに移行していただいたものが、この3年間で200か所程度出てきているということでございます。また、センターの要件を満たしていないけれども、住民の方の消費生活相談に応じるという意味での相談窓口についても、この3年間で270程度の自治体で増加されております。
一方で、消費生活センターに移行したものがありますので、窓口そのものの数は若干変動がありますが、左側の下の箱の中で重要なことは、相談窓口が全くないという未設置の自治体が、かつては25%程度あったものが、22年4月1日時点では15%弱まで減ってきて、その後、更に80程度の自治体で新設が見込まれていますので、結果的に10%前後まで未設置自治体が減っているだろうということであります。
右側の欄をごらんいただきますと、相談員の増員の状況です。相談員そのものは、直近の平成20年度~21年度の間でも職員が減少傾向にあったのに対して、ここのところは比較的現状を維持するような水準で推移しておりました。その後、基金を御利用いただいたことで、2,800名というスタート時点から見ますと、全体で550名程度の増員をしていただいた。新たに雇用していただいたり、増員をしていただいたということでございます。
更に、処遇改善という意味で、報酬引上げに取り組んでいただいた自治体も300程度出てきております。
基金のメニュー別の活用状況をごらんいただきますと、新たにセンターや相談窓口を設置するための基盤的な整備に御利用いただいたのが20%程度、相談員の養成や研修に御利用いただいているのが1割程度、相談員の配置や増員といった人件費に活用していただいているのが15%程度。更に、消費者教育や普及・啓発といったところで御利用いただいているのが4割弱というのが主な活用状況でございまして、やはり相談・あっせんの体制の整備、情報提供、普及・啓発といったところに取組をいただいているということが言えようかと思います。
続いて、2ページ~3ページにかけては、これまで財政支援はどういうものが基金を含めて行われてきたのかということと、24年度の取組を載せさせていただいております。これは既に御存じのこととは思いますけれども、改めて御紹介させていただきます。
時系列的には下から上に古い順に並んでいます。まず、21年度の交付税措置の見直しの中で、相談員の方の報酬単価の引上げと枠の増額をやっていただきました。具体的には90億から180億に枠を拡充していただいて、その後、光交付金、この交付金対応ということで、23年度からは、180億にプラスする形で45億加算されておりまして、225億という形になっております。観念上、交付税の中で算定されている基準財政需要と、先ほど御紹介した実際に予算化をされている自主財源の額との差をどう見るか、というのが一つの論点ではあります。
続いて、基金の造成が行われまして、平成21年度の補正で150億、21年度の補正で更に73億が追加されて、全国で223億の基金の造成がされております。取崩額については、先ほど申し述べたとおりでございます。
光交付金が22年度の補正で講じられまして、これは1,000億という枠でしたけれども、これについては、年度内執行で消費者行政に使われたものが10億強。これも基金化が認められておりましたので、消費者行政にも活用できる基金として造成されたものが15億円弱。合わせて25億程度が消費者行政に活用されたということでございまして、これについては、従来、財政的に見て光の当たってこなかった分野に選択的に使える、ある意味、経常的経費の一括交付金化の先取りのような側面があったわけです。
この中でも特に「知の地域づくり」ということで、図書購入や、図書室・図書館の整備などにも活用が可能だったということもあって、知の地域づくりに6割程度が使われたという実態がございます。ソフト対策中心と言いながら、この中でも年度内執行がしやすいものに回されたという側面があります。この点については、光交付金の反省会というのが行われたときに、消費者庁としても御指摘をさせていただいたところでございます。
次のページ、3番目が24年度の取組でございます。24年度は、御承知のように消費者行政活性化基金の最終年度に当たるわけですが、昨年の夏、この基金とは別の新たな交付金として予算要求をさせていただきました。基金がございましたので、基金との差別化を図るために、食の安全・安心といった点、あるいは民間団体による多様な活動への支援といったテーマに絞って要求をさせていただきました。しかしながら、財政的にはまだ基金が存在しているということもあって、20年度、21年度の補正のときに、財源として措置された地方消費者行政活性化交付金という枠組みを利用して5億円という額が新たに認めてられています。ですから、結果的に基金の上積みという整理がされたということでございます。
ただ、この5億円の新たな基金の上積みについては、初めて、当初予算で地方消費者行政向けの支援策が予算的に認められたのは意義のあることだと思っております。昨年も非常に厳しい財政抑制の中で、政策的な経費を切り込む中で枠をつくって、別枠要求ということで基金の上積みを認めていただいております。今年も、引き続き復興の事業、また、社会保障財源の需要というのがございますので、全体としては同様に政策的経費について抑制基調にある中で、この5億円を一つの発射台にさせていただきながら、地方消費者行政の支援をどういうふうに考えていくのかというのが一つのポイントかというふうに思っております。
4ページ目以降、東日本大震災の対応について、また、基金の終了後における消費者庁の取組などについて、資料をつけさせていただいております。震災への対応については、今回の議題と直接関係するものではありませんので、これは後ほどごらんいただければと思います。
5ポツに消費者庁の取組を書いております。先ほど御紹介をいただきましたように、夏に向けては来年度以降の財政支援について、必要な財源が確保できるように努力をしていくことが基本であります。その上で、その前提として、平成22年度に地方消費者行政活性化のためのプランというのをつくっております。この中では、その当時、把握しておりました先進的な事例について、例えば広域連携などの取組についても御紹介をさせていただくということをしておりましたけれども、そこから更に2年ほどたちまして、基金についても活用が進んでおります。また、広域連携の取組などについても、既に50を超える事例が全国で行われておりまして、一方でうまくいっているという評価のところもあれば、それによって出てきた問題に更に対応するために、補完的な取組を併せて行っているところもあります。
そうしたことも含めて事例を収集いたしまして、改めて、今後、地方消費者行政を充実・強化していくためにどうしていくのかという基本的な考え方と、それに対応した取組事例、あるいは消費者庁としての取組をまとめた指針というのを作成させていただきたい。この中では、夏の予算要求に向けて基本的にどういう取組、あるいは、どういう自治体に対してどんな支援を行っていくのかという、基本的な考え方も含めて整理をさせていただきたいと思っております。
次のページは、財政支援のほかに制度的なものとして、現在、別途検討会を設けて、消費生活相談員の資格の法的位置づけについての検討、全国的な消費生活相談に関する情報ネットワークでありますPIO-NETの見直し、これについてもそれぞれ検討を進めておりますので、そのことを御紹介させていただいております。
これ自体も、全国的な消費生活相談の水準を確保したり、底上げをしたりといったようなこと。あるいは、消費生活相談の処理や法執行の支援といった意味で、どう使い勝手のいいシステムにしていくのかといった点で、ある意味、間接的な地方消費者行政の支援になるものとして考えております。これについても、引き続き取組を進めていきたいと思っておりまして、この夏までに、基本的な方向性についてこの検討会でのとりまとめを得たいというふうに思っております。
資料については以上ですけれども、先ほど御紹介させていただきましたように、現在、各地で意見交換などをさせていただいております。また、現況把握の調査が、私どもの取組不足もありまして、23年度、24年の4月1日現在の数字の把握がまだできておりませんので、現在、その把握に努めているところでございます。これも6月上旬までには、取り急ぎ、必要なデータだけ把握させていただきたいと思っております。
意見交換についても、都道府県の担当の方に骨を折っていただいて、県下の市町村を集めて、私どもの担当、私自身も行っていますけれども、参加させていただいて、地方の実情を聞くということを取組として進めております。これまでに、18県で市町村の担当者との意見交換を行わせていただきました。これから更に加えて6県ほどのところで開催がスケジュールされております。こうした取組については引き続き進めさせていただいて、なるべくその地方の実情を直接に把握するということを行わせていただきたいと思っております。
やはり県と市町村との関係というのも非常に大きなポイントだと思っております。従来、私どもの取組の目安として、すべての市町村に窓口を設置し、住民の方が身近なところで相談を受けられる体制環境づくりということを申し上げてまいりました。しかし、この委員会でも御指摘をいただいたように、本当にすべての市町村でそういう窓口を設置することが可能なのかという問題と効率性の問題と、両方あろうかと思います。話を伺っておりますと、島嶼部などもありますし、必ずしもすべての市町村で直接的に窓口を設けることが難しいところも実際にございます。先ほど申し上げましたように、窓口未設置の市町村というのは比率的に見ると1割程度、150前後まで下がってきましたけれども、これから本当にすべての市町村に窓口が設けられるかという問題もありますので、昨年の建議でもいただいていましたように、広域連携の取組というのはもっと工夫が必要なのではないか。
例えば、私も参加させていただきました意見交換の中では、岩手県に参りました。岩手は、吉田委員が働かれていた盛岡市は、もともとボランタリーに周辺市町村の相談需要を受けとめるという取組をずっと続けておられました。一方で、県はブロックごとにサブセンを持っております。このサブセンがある種、各地方部の相談需要を受けとめるということをやっていたわけですが、盛岡モデルを全県に広めるということをやられています。ですから、県下の郡部の中核になる市に消費生活センターを設けていただいて、そこに周辺の町村は負担金を出す形で広域的な相談需要を受けとめる。その意味ではサブセンは縮小しつつ、中核になる市がその機能を代替するという取組を続けておられます。その負担金の財源として基金も活用されているということがございます。
盛岡市は、非常に早くからそういう取組を進められておりまして、必ずしも負担金を取るといった形でやられていたわけではありません。一方、お金を出せばいいのかという問題もありまして、結果的にセンターに集約されてしまうと、そこにぶら下がる町村は消費者行政に対する当事者意識がだんだん希薄になるといった問題もあります。広域連携の取組を続けられているところを見ますと、困難な相談需要、専門的な知識がないと解決できない相談需要というのは、集約的に機能を集めながら、一方で窓口は別途設けていて、身近な方から問い合わせがあったときにちゃんとつなげるような体制をとるといった工夫もされております。
こうしたことも実際に今回行って意見交換をさせていただく中でわかってきたことでもありますので、そうしたことを含めて、この指針の中では改めて整理をさせていただいて、御紹介させていただきたいというふうに思っております。
また、こうしたことを通じて、県と市町村の役割分担という、徐々に、それぞれの地域の中で整理をされてきていますけれども、一方でこうした広域の取組というのは、例えば合併がうまくいかなかったところは、現実には今でも広域連携といってもなかなか取組ができないところがございます。そうしたときに県がどこまで、どの程度カバーをしていくのか。地域的に自分たちだけでは解決できないものを、県がどう役割分担として面倒を見ていくのかということと、もう一つは、広域連携の形で全域がカバーできたとして、その後、県と市町村の関係の役割分担がどうあるべきなのかというのがございます。
県庁の方のお話を伺っていると、センターや窓口を一生懸命開設していただく過程で、特に相談員の方の人材養成をするために、県は研修に力を入れてきたという状況がありまして、基金後の取組として、県がそういう体制を継続できるかというのも一つの課題であります。国も国センを通じて研修業務を実施しておりますので、相談の質を確保するための研修の在り方や、国と県の連携体制というのも、今後の一つの課題かなというふうに思っております。こうしたことも、いわゆる基金を通じた財政支援とは直接関係しないかもしれませんけれども、地方に対する支援の在り方として、こういう面も一つの論点ではないかなというふうに思っています。
いずれにしましても、今後とも、県の方、市町村の方、いろいろ御意見を伺いながら、予算の要求の内容や指針の策定について、取組を進めてまいりたいと思っております。
私からは以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。

○稲継委員、どうぞ。

○稲継委員 御説明ありがとうございました。数で未設置市町村があと幾つ、あと幾つという議論よりも、むしろ人口カバー率とか、そういうことが大事だと。私もそう思っておりまして、実際、未設置市町村をゼロにすることを目標に掲げるというのは、ちょっと非現実的かなと思っておりました。そういう意味では、今、おっしゃったようなさまざまな連携の在り方、中核になる市に対する負担金を負担するやり方、あるいは、そのほかの連携の仕方を模索することが、最終的に全人口がカバーできる方向だと思っております。この市町村が設置していないからけしからんと、そういう見方はもうやめた方がいいのではないかと思っていて、地方協力課の課長のおっしゃったことに私は非常に賛成するところでございます。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 2つありまして、とにかく平成25年4月以降の状態が大変心配です。現場の話を聞きますと、基金によって何とかセンターを拡充したり、新設したけれども、基金がなくなった後の財政的な手当は展望がない、どうしたらいいのだろうか、基金がないならこれは閉じるしかないかなというような話も聞いたりすると、いつまでも基金に頼っていてはいかんというのはわかるけれども、自治体の例えば福祉のセクションや建築のセクションなどのように確立したセクションであれば、放っておいても自治事務として流れていくわけですが、消費者行政の部門というのは部門が確立しているわけではないので、予算がなくなったら人もいなくなる。結局、基金があった前の状態に戻ってしまうことになったら、祭りの後の寂しさみたいな話になってしまって、「あれは何だったの?」ということにもなりかねない事態になりはしないかということで、非常に心配です。
その意味では、本予算で5億円積み上げがなされたというのは希望の光かなとは思いますが、少なくとも基金でこの2、3年は50億、60億円が使われているという状態ですから、そこまでいかないにしても、せめて40億円ぐらいの予算を確保していただいて、これまでの活動をサポートするといいますか、下支えしてやっていくようなことがないと、結局、消費者庁ができて、基金ができて、何とか地方消費者行政を強化しようとしたけれども、何だ、もとに戻ってしまったではないかということになりはしないかと思います。その辺の具体的な展望について、地方交付税措置をやっても、現実に自治体で消費者行政に使われているのはその半分以下とかいう話を聞きますと、現実に消費者庁の方で、地方消費者行政のためにこれだけの財政の措置を講じたから、これをちゃんと使って具体的に地方消費者行政を強化しなさい、あるいは、してほしいというリクエストを出していかないとだめなのではないかと思いますが、その辺がどうかということが一つです。
それから、確かにお金を出せばそれで済むかというと、そうではない。やはり地方消費者行政にかかわっていく人たちのレベルをアップしないとだめだろうと思いますが、そのレベルアップのために具体的にどうしたらいいのか。資格制度の問題なども、今、検討されていると思いますが、これは消費者庁の担当の職員の皆さんもそうですが、地方消費者行政に携わっている県や政令指定都市の職員の方も、人事異動で頻繁に代わる。せっかくある程度わかってきたら、結局、また交代でもとになってしまうということがあるので、定期的に消費者庁が主催して、あるいは国センでもいいですが、地方消費者行政にかかわるキャリアの職員の研修を意識的にしていかなければいけないと思います。そのための予算措置と体制整備が必要だと思いますが、その点についてはどうなのか。
その2点をお願いします。

○消費者庁林地方協力課長 まず、地方の声がどうなのかというところと、今の財政措置、各自治体ごと、どういう実際の予算の置き方になっているのか、この両面があると思います。私どもが実際に地方の方と意見交換をする中で、今まで全く消費者行政に取り組んでいなかった市町村、この基金を活用して新たに取組を始めた市町村の方の声は、やはり何らか財政支援を続けてほしいというのは共通した声です。
一方で、都道府県の方も含めて自由に意見交換をしていますので、いろいろ御指摘があるのは、どこまで、いつまで、何に対して支援をするのかというところについて言うと、やはり地方の方から一番求めが多いのは、相談員の方の人件費について、今後、どうやって予算手当を確保していくのか。これは、0.2とか0.3とかいうのは実際にはないので、1人雇用すれば1人分の人件費は必ず毎年発生するものですから、それをどう規模感として確保していくのかというのが、皆さん共通の課題だと思います。
他方、実は基金の使い方の問題として、それぞれの都道府県単位で、県下の市町村も含めた2分の1ルールというのをずっと維持してまいりました。要するに、各都道府県ごとに県下の市町村の自主財源も含めた予算の積み上げ額と同額まで、基金を取り崩して結構ですという運用をしてきました。その結果として、県の財政規模が大きいと、市町村によっては全額基金で消費者行政を賄うことが可能になっています。他方、それをやっていると、小さな市町村はいつまでたっても自主財源が確保されないということがありましたので、24年度については、24年度まで延長可能にしたときに、最終年度ということもあって、この最終年度は少なくとも2分の1は各自治体で自主財源を用意してください、ということにしてあります。ですから、どちらも今年については2分の1、自主財源を用意していただいているということになっています。
ここから先、どの程度財政需要があるのかということですけれども、基金の活用実績を見ますと、例えば22年度の予算で見ますと、基金の活用額、これは特に当初予算ベースなので、年度途中で数字的には置きかわっている可能性はありますが、政令市を除いた市町村全体の基金の利用額総額は30億弱です。これが多分、全部基金でやっていますというところも含めた、国費に対する需要のある種のアッパーなのだと思います。
その上でこういう基金を使っている自治体の実態を見ますと、私ども一番心配だったのは、基金がスポッと抜けたときに体制がちゃんと維持されるのかどうか。今、山口代理から御指摘のあった点です。これは実を言うと、まだ意向は決まっていませんというところもかなりありましたけれども、そういったところも含めて意向把握をした結果を見ますと、これは恐らく住民との関係を意識されていると思いますが、6割程度、体制は維持したいという答えが帰ってきました。これがどういう意味なのかというのは、私も実を言うと、この数字そのものには若干疑問があって、そういうこともあって、今、具体的に意見交換をさせていただいていますけれども、地方の声は、少しでも財政支援があった方が財政当局との関係で説明がしやすい。しかし、それをすべて国費で面倒を見ることが必要なのかというと、むしろそうではなくて、きちんと財政当局に説明することができるような国としての支援が必要だということなのだと思います。
先ほどの山口代理の御指摘の規模感ですけれども、都道府県、政令指定市との関係をどうするかというのはまた別の問題がありますが、今、自治体の実態を拝見いたしますと、人口10万人以上の自治体で、そもそも窓口もありませんというところは既にありません。ですから、10万人未満のところでまだ窓口もないところがある。窓口はあるけれども、センターにはなっていないとか、相談員が配置されていないという自治体がかなりの程度あります。
それから、基金の占める割合は、これは当たり前の話ですが、小規模な自治体になるほどその比率が高くなる傾向があります。例えば、窓口があるけれども、基金しか予算がないという自治体は10万人以上ではゼロです。しかし、例えば人口2万人未満になると、1割以上の自治体が、基金のみで消費者行政予算を運営しているという実態があります。こういう実態を見ますと、小規模な自治体をいかに支えるのかというところが一つのポイントではないかと思います。
そのときに、本当に必要な額というのがどの程度あれば、そのことが実現できるのか。それと同時に、国としてどこまで支援ができるのか。今までは、県単位で2分の1ルールというのを適用していましたので、その中で県がカバーをして、結果的に全額基金という運用ができていたわけですけれども、それぞれの自治体に対して支援をしていく中で、恐らく全額国費というのはあり得ないのではないかと思います。それなりに自主財源で努力をしていただいた上で必要な支援を国としてどこまでできるか、というのが一つの考え方だろうと思います。更に、支援する対象の自治体の範囲をどこまで考えるのか。このことを通じて、必要な額というのを確保していかなければいけないのではないかというふうに思っております。これは別に組織として決めているわけでも何でもありませんが、いろいろ実態を見ていると、県や政令指定市は、もうそろそろ自立をしていただいてもいいのではないかなという気はしています。
そのこととは別に、代理から御指摘のあった全国的な相談の質や水準をいかに確保するのかという意味で、相談員さんたちに必要な研修の機会をいかに確保するのかというのは、これは別途考えなければいけない課題ではないかと思っております。今、来年度の国民生活センターの研修計画をどうするかというところを国センで考えていただいています。従前、実を言うと、研修のプログラムを決めた後で、それぞれのプログラムに対する受講希望は、予算との関係もあるので、なるべく早い時期に自治体の方から取るようにしていたのですけれども、カリキュラムそのものに対する希望とか、細かな需要というのを、必ずしも計画的にきちっと把握した上で立てていたわけではないというところもあります。例えば無資格で相談業務をやられている方が、地域的にどの程度、どういうところに存在しているのかといったようなことを含めて、もう少し地域の実態にきちっと合わせた研修プログラムを見直さないといけないのではないかということも思っております。
こうした国センの研修機能も、もう少し地方支援に即した形でプログラムを見直すといったことも含めて、今後、考えていかなければいけない課題だというふうに思っております。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 地方のヒアリング、本当にありがとうございます。実態をきちっと見ていただくことは非常に重要だと思っております。
2つ、質問と、それから御意見を伺えればと思っています。まず、1点目ですが、今、この段で改めて基本計画の具体的施策を見ていきますと、マル2とマル3は、地方のやる気を喚起するとともに人を育てていくという施策になるかと思います。それと併せてマル4のところが重要かと思っていますけれども、ここはいろいろな読み方があるかと思いますが、私はこれを最初に見たとき、「望ましい姿」というのが、例えば人口何万人ごとにセンターを1か所置きましょうとか、あるいは、相談員の配置とか処遇ということも書かれてあって、基準というのか、目安というのか、1人当たり何万人カバーできるという形を含めた望ましい姿の目安というのが、何らか提示されるのではないかと思っていたのですが、ちょっと今の段階ではそこまでいっていません。
恐らく地方分権との関係もあって、なかなか目安、基準というのは示しづらいとは思うのですが、せっかくやる気を持った職員をマル2とマル3で育てて、地方がやる気を持ったとしても、国もそうだと思いますが、人事と財政といかに協議してそこをかち取っていくかというところが大きな課題になる。何らか目安があれば、人事、財政と協議しやすい。どこの地方も、国ももしかしてそうかもわかりませんけれども、そんな状況になると思いますから、何らか目安になるもの、人の配置、センターの配置。消防の基準にならって、屯所は何か所置かなければいけない、消防車は何台なければいけない、あんなふうなイメージで、今後、何らか目安を示していただく予定があるのかどうか、ということをお伺いしたいのが1点目です。
2つ目ですけれども、消費者行政の窓口では、最近は国民の間に生活困窮が広がる中で、生活に困った、お金がないとかいう、いわゆる困窮者、弱者の駆け込み寺的な部分が拡大してきているような印象です。特に小さい自治体などはそういう傾向が強いと思いますが、中で頑張っているのが、熊本県の人吉市だったり、長洲町だったりで、消費者行政という窓口ではあるけれども、住民の困り事全般に、役所が直営的に寄り添って継続的に支援していくというふうな体制ができている。まさにそれが、消費者庁ができるときに私たちが目指してきた消費者行政の一つの姿ではないだろうかということも、この間、消費経済新聞などでも指摘されていましたが、私もまさにそうだなというふうに思います。
そうなってくると、消費者行政という縦割り、消費者問題という縦割りはあるにしても、福祉的な色合いがだんだん強くなってきているところも考え合わせると、例えばですが、今、厚労省の社会保障審議会の中に特別部会が置かれて、第2のセーフティネットをどうつくっていくのかというところが検討されています。そこに消費者行政と抱き合わせで考えていくということも、一つ、検討にのせてもいいのではないかという思いが、最近、ちょっとしているところです。
消費者行政は消費者行政で、窓口がしっかりあって相談体制があるというのも、大都市においてはそれでもいいのかもわかりませんが、規模の小さいところだと、消費者行政だけの窓口をポツンとつくるのはなかなか大変です。であるならば、福祉的な窓口と一緒になってやっていくとか、そういうふうな形もあっていいのではないか。現状に合わせて考えればそういうこともあり得るのかなというふうに思っていますが、その辺、もしもそういうお考えがあればお伺いできればと思います。

○消費者庁林地方協力課長 まず、最初の配置基準的な問題についてですが、これも、この委員会で過去にも議論をいただいているところでありまして、自治体の方との意見交換でも、例えば相談員の報酬額のようなもの、これが全国的にどうなっているのかといったことを示してほしいという声もあります。これが、吉田委員が言われるような望ましい姿みたいなことで示せるのかというのは、ちょっと難しいところがありますけれども、少なくともファクトとして、例えば地域的な分布でどうなっているのかとか、一つの目安として、平均値で相談員の方がカバーをしている人口はどのぐらいなのか、受け持ちの相談件数がどの程度なのか、というようなことは事実としてお示しすることはできるのではないかと思います。その上で、自治体の皆さんとお話をしていると、結局、人員、組織と予算をいかに財政当局との関係で確保していくのかというところが一番の苦労の種なので、その苦労を支えるデータとか、そういうものはお示しする必要があると思っています。
一方で、予算を獲得するためにいろんな工夫が地方でされていることもわかってきています。例えば、相談件数というのは一つの目安にはなりますけれども、全国的な傾向として、この5年ほど減ってきています。ですから、件数だけで見せていると、相談需要は減ってきていて、体制も別に今以上に増やす必要はないのではないかということにすぐつながってしまうので、相談処理時間を計測して、1件当たりの処理時間は延びていますとか、あるいは、あっせんを通じて被害回復をしたり、クーリングオフなどを活用して、事前に金銭的な被害を防止して、想定される被害についてこれだけ防ぐことができましたといった数字を、あえて意識的につくって財政当局に見せたりといったようなことも行われています。これを更にマスコミに発表されている自治体もあります。
全国的にそれがすべての自治体で行われているわけではありませんけれども、必要な予算や体制を確保するための知恵としてそういったこともあるということは、いろいろ調べていく中で、お示しできるところをなるべくお示しすることにしたいと思います。なかなか配置基準的なところは手をつけるのは難しいところがありますけれども、繰り返しになりますが、全国的な傾向とか、先進的と言われているところはどんな状況になっているのかとか、そういったところを選択的に御紹介することはできると思いますので、そういう取組については引き続きさせていただくようにしたいと思います。
それから、もう一つは何でしたか。

○吉田委員 社保審の特別部会です。

○消費者庁林地方協力課長 すみません。実は自治体の方と意見交換をする際には、なるべくその地方の消費者団体の皆さんとも意見交換をする機会をつくっています。消費者団体の皆さんとお話をする過程でも、今、吉田委員が言われたように、消費者問題というところに付随して出てくるいろんな問題がある中で、総合的な取組が必要だということはよくお聞きします。また、大きな自治体も含めて、多重債務問題を一つの契機にして、福祉部局ですとか、住宅部局といったところと連携したり、専門的な機関とすぐにつなげるようにしたりといったことで、他部局課の連携は随分進んでいるように思います。そのことが、むしろ複雑な問題、総合生活再建みたいな取組につながっていることも事実だと思いますので、このことについてもいろいろ御紹介をするようにさせていただきたいと思います。
また、国として、消費者行政分野と福祉分野というのは恐らく親和性の高い分野ではあると思います。それが連携して、どこまでどういうふうに具体的にできていくのかというのは、検討しなければいけない分野だと思いますけれども、これも一つの大きな課題だと思います。他省庁の取組を見ていても、そもそも福祉自体が過去の取組に比べると、施設入所型から在宅型に変わったりする過程で、いろいろ変化してきているので、むしろ個別個別の取組とは別に、全体として連携できる分野があるのであれば、そういうことを意識してやっていくようにしたいと思います。
厚生労働省さんというのは財政的には潤沢なので、予算的連携ができると私としてはありがたいのですけれども、なかなかそういう具体的な玉はないので、いずれにしても、消費生活相談とうまくつなげることでお互いに効率的になったり、本当に困っている人に手が届いたりということができるのであれば、何か組織的に協力できる余地は出てくると思いますので、その辺はまた考えさせていただくようにしたいと思います。

○吉田委員 生活支援戦略の中で、第2のセーフティネットをどうするかというところかと思いますが、消費者行政の窓口というのはある意味、セーフティネットになり得ると思うので、まさに課長がおっしゃったとおりで親和性が高いと思います。現にそういうふうな形ができつつありますので、そこを後押ししていただくと。それがみんなの利益につながっていくかと思いますから、是非、検討の俎上にあげていただければありがたいと思
います。ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにはございませんでしょうか。
今、いろいろ意見が出てきましたけれども、私も地方に行くと、みんな共通して基金が終わった後のことをどうしたらいいだろうということで、大変不安に思っています。それは消費生活相談員の人たちばかりではなく、県の担当者も、必ずしも自分たちのところに予算がうまく取れるという自信がなくて、非常に不安感があるということを痛感しています。ですから、集中育成とか強化期間が終わった後も、やはり何らかの形で地方消費者行政の経済的支援を効果的に行う必要があるだろうと思います。確かにかなり温度差があって、もうちょっとしたら独り立ちしてもやっていけそうなところと、まだまだ始まったばかりで、ちょっと手を離したらすぐポシャってしまいそうなところとがありますので、それぞれの実情に応じて対応していただく必要があるかと思います。
先ほども出ましたけれども、高齢社会がどんどん進んでいて、福祉の問題と消費者問題はボーダーレスになっている。その意味でも福祉との連携といったこともやっていただかないといけないし、犯罪に近いような消費者問題も増えていることを考えると、警察との連携とか、いろいろな形で人をつなぐことが必要になると思います。更に、その担い手を育てるというようなことも含めて、まだまだやらないといけないことと、それに伴う費用というのはあると思うのです。消費者問題に対する投資というのは最大の効果を生む投資ですから、ここはやはりきちんとやるべきで、不況のときこそやるべきだと思います。ですから、しっかりと財源確保のための必要な支援策を計画の中でも盛り込んでいただいて、是非、消費者支援のために頑張っていただければと思います。
消費者庁におかれましては、忙しい中、審議に御協力いただきまして、本当にありがとうございました。

≪3.その他≫

○河上委員長 引き続き、その他の議題といたしまして、5月10日に経済産業大臣に対して発出した、東京電力による、「家庭用電気料金値上げに係る認可申請について」の委員長声明を簡単に御説明申し上げます。
この問題が消費生活に与える影響の大きさにかんがみまして、委員会としての意見を一刻も早く述べるべきであるという考えによりまして、資料7にありますような委員長声明を発出したものであります。
今回のポイントは、まず、第1に適切な審査体制を確保していただくこと。第2に、公聴会の適切な開催をする。第3に、適時適切な情報提供をしていただくということで、前の建議で出したものを具体化した形で求めているものであります。この声明は、5月10日には松原消費者担当大臣、5月11日には枝野経済産業大臣に対して直接に手交いたしました。
消費者委員会としては、今後、公認会計士、弁護士、学者等の外部の有識者を交えて、今回の値上げ申請の手続面について、消費者にとって十分な情報が示されているかどうかといった視点から問題に取り組んで、監視作業を進めていきたいと考えております。また必要とあれば、消費者委員会からも更に声明を出していきたいということ考えているところでございます。

○山口委員長代理 よろしいでしょうか。

○河上委員長 どうぞ。

○山口委員長代理 東京電力の値上げの問題、これは、消費者委員会としても大変重要な社会的責務があると思います。公共料金の問題については、基本的な消費者委員会の管轄の事務にも入っておりますので、責任を持って対処しなければならないと思います。
実はきのう、消費者庁の下でつくられている研究会で、経済産業省の資源エネルギー庁の説明も聞いたのですが、まだまだ消費者の視点から検討しなければいけない部分がたくさんあるように思いました。消費者委員会として、何をどこまでやれるかということが問われていると思いますし、責任を持って対処してまいりたいと思いますので、是非、委員の皆様の御協力、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ありがとうございました。速やかに審査ができるような体制を、消費者委員会としてもつくりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題は以上でございます。
お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪4.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いします。

○原事務局長 長時間にわたりまして、ありがとうございました。お疲れさまでした。
次回の委員会ですけれども、今週の金曜日です。5月18日(金曜日)の15時からを予定しております。消費者基本計画の検証・評価の関係省庁ヒアリングを続けてまいりたいと思っております。18日については既にホームページにアップしておりますので、内容についてはごらんいただければと思います。
以上です。

○河上委員長 たくさん内容がございますので、時間が長くなってしまいますけれども、よろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)