第86回 消費者委員会 議事録

日時

2012年4月24日(火)16:00~17:42

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁 長谷川消費生活情報課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.違法ドラッグについて
3.公共料金について
○説明者: 消費者庁  長谷川消費生活情報課長
4.消費者教育について
○説明者: 消費者庁  長谷川消費生活情報課長
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 違法ドラッグ対策に関する提言(案) 【資料2】 公共料金の決定の在り方について(中間取りまとめ)(PDF形式:610KB)
【資料3】 消費者教育推進のための課題と方向(PDF形式:421KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:103KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第86回)」の会合を開催いたします。
配付資料の確認につきまして、事務局からお願いいたします。

○原事務局長 配付資料は、一覧は議事次第の下の欄に書いておりますけれども、資料1といたしまして、「違法ドラッグ対策に関する提言(案)」をおつけしております。
資料2といたしまして、「公共料金の決定の在り方について」ということで、消費者庁の方で研究会の「中間とりまとめ」が出ておりますので、その資料をおつけしております。
資料3ですけれども、「消費者教育推進のための課題と方向」ということで、これも消費者庁消費者教育推進会議のとりまとめが出ておりますので、その資料をおつけしております。
参考資料1といたしまして、この間、4月1日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をおつけしております。
よろしくお願いいたします。

≪2.違法ドラッグについて≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。
初めに、「違法ドラッグについて」であります。違法ドラッグにつきましては、これまで厚生労働省や東京都からヒアリングを行った上で、本問題に対する消費者委員会としての考え方について一定の検討を行ってきたところであります。本日は、これまでの調査審議の結果を踏まえまして、消費者委員会としての提言をとりまとめたいと思います。お手元に、資料1として「違法ドラッグ対策に関する提言(案)」を配付しておりますので、これについて、田島委員から御説明をお願いいたします。

○田島委員 御指名でございますので、私から説明させていただきます。
「違法ドラッグ対策に関する提言(案)」でございます。日付は平成24年4月24日となると存じます。消費者委員会。
「1.背景」、2の「消費者問題としての違法ドラッグ」については、時間の関係上、読むことを省略させていただきまして、2の最後のパラグラフからいきたいと思います。2ページ目でございます。
「このように、違法ドラッグについては、市場適合商品であるかのような様相を呈しつつ、消費者の健康に対して非常に有害なものが市場に出回っており、消費者問題として違法ドラッグ問題に取り組み、積極的にこれを市場から排除していくことが重要である」。
3番は「違法ドラッグ対策に関する消費者委員会からの提言」でございます。

違法ドラッグによって派生する種々の問題を踏まえ、消費者委員会としては、違法ドラッグを消費者問題の一つ(消費者安全、消費者取引)として捉え、厚生労働省をはじめとする薬物乱用対策推進会議関係府省に対し、以下のとおり提言する。
(1)指定薬物への指定の迅速化
指定薬物に指定されている薬物は平成24年4月現在68物質となっているが、ヨーロッパ等で販売・製造されている違法ドラッグについては、これに該当しないものが日本で新たに輸入・販売される傾向がある。
このため、日本で販売される前にそれら違法ドラッグの成分を調査し、販売前に指定薬物に指定するなどの方法により、指定の迅速化を速やかに図る必要がある。こうした指定をすり抜けて日本で新たに販売された違法ドラッグについては、その事実が確認でき次第、指定薬物に指定することが有効である。
また、厚生労働省にあっては、新たな違法ドラッグに関する情報収集・監視力を高めるとともにより一層の基礎的な研究・分析体制の整備を行い、指定薬物の指定の迅速化を図るよう要請する。
(2)取締りの強化のための方策
指定薬物以外の薬物等については、薬事法では、「人体に影響を及ぼすことを目的とする物質」を医薬品として取り締まることが可能であり、違法ドラッグもその対象である。しかし、違法ドラッグについては、化学構造式を若干変えた新規の違法ドラッグが相次いで出現しており、実際にどのような物質が含まれているか不明なまま流通し、また、用途を一切明示しないままで輸入・販売がされるなど、実効ある取締りが難しい状況にある。
そこで、厚生労働省に対しては、マル1 成分構造が類似していれば薬事法違反として一括で規制対象とする「包括指定」の導入や、マル2 現状では麻薬や覚せい剤などの捜査権限しかない麻薬取締官(員)に違法ドラッグを独自に捜査、摘発できる司法警察職員としての取締権限などを持たせるなどの体制強化を検討するよう要請する。
さらに、薬物乱用対策推進会議関係府省が連携して、マル3 個人輸入等による入手機会を抑制するための施策の実施(違法ドラッグの仕出地や中継地となっている国と国際協力の新たな枠組みを構築する等、水際対策を徹底する)、マル4 合法商品としての様相を呈しつつインターネットを利用して販売活動を行う広告の監視・規制強化についても検討し、必要な対応を行うよう検討することを要望する。
当委員会は、重大消費者被害の発生又は拡大の防止を図る観点から、上記の規制強化など、所要の措置が適切に講じられることを求める。
(3)取締当局との連携強化
これまでも、政府全体では、薬物乱用対策推進会議のもと、厚生労働省をはじめ警察など関係行政機関が連携した対応を行っているが、平成24 年度より、厚生労働省により情報を関係者が共有できる協議会の設置が予定されており、これを基にして今後の取組がより強化されることを期待する。当委員会は、今後とも、さらに関係府省等の間の連携を進めて、消費者被害の効果的抑止が実現できるよう、より一層の努力を求めるものである。
(4)実態把握と消費者への情報提供・啓発の実施
違法ドラッグに関する全国レベルの乱用実態・健康被害情報については、各都道府県単位でそれらの被害数やその程度等を統一的に把握するのは難しいことから、厚生労働省が関係行政機関と連携の上、それらの情報を一元的に把握し、効果的な対応策を検討する必要がある。実態把握の上、健康被害や危険性に関する消費者への情報提供・啓発の強化を求める。その際、特に青少年への影響を踏まえ、大学等をはじめとした学校における啓発の一層の強化を求める。
また、薬物問題相談窓口や消費生活センターを活用する等して違法ドラッグによる健康被害に関する消費者等からの相談窓口の設置の検討を要望する。

以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員。

○山口委員長代理 この問題は河上委員長が特に熱心に取り組まれておりまして、私の方も、平成18年に薬事法が改正されたときの審議経過等についていろいろ調べてみました。この薬事法改正のときには、違法ドラッグの所持や使用まで、麻薬や覚醒剤と同じように禁止して処罰対象にできないのかという議論がなされていたのですが、この提言の中にもありますように、違法ドラッグと一言で言っても、客観的には必ずしも人体に害がないものもあるし、毒性もいろいろで幅が広い。実害性がないにもかかわらず所持や使用を禁止するのは明らかに行き過ぎがあるというような専門的な議論もあって、なかなか難しかったのです。
更には、平成17年段階でも、薬事監視員というのが全国に3,590人いるけれども、ほかの業務があって違法ドラッグの摘発などに実効性が上がっていない、大丈夫かという議論も既にあったのです。その問題も必ずしも簡単に制度改正ができるわけではないというところで、違法ドラッグについての若干の手直し程度の法改正でこの段階では終わっておりました。
しかしながら、平成17年、18年の改正の中での問題がやはり出ていて、被害の抑止にならなくて、提言にありますように、今年になっても2件の死亡事故、本当はもっとあるのかもしれません。違法ドラッグによる被害を制度的に調べるシステムがないものですから、報道によってチェックするしかないという実情ですが、かなり若い人たちに浸透している。週刊誌の情報ですが、自動販売機で売られている地区もあるというようなことを知りますと、やはりこのままではいけないということは明らかだと思います。
そういう中で、現段階で、消費者委員会としてもう少し踏み込めないかと思うのですが、やはりいろいろ難しいところがある。この程度が精いっぱいというところもあるので、こういう提言をした上で、厚労省の対応を見ながら、更に被害抑止のために尽力してもらうしかないのではないか。不満は残りますけれども、やむを得ないのかなというところで賛成ということで、私は意見を言わせていただきます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
包括指定の可能性については、前に田島先生からも御指摘があって、必ずしも不可能ではないのではないかということでした。

○田島委員 はっきりした情報ではございませんが、聞くところによると、諸外国では包括指定をしているところがあるやに聞いておりますので、日本の法律でできない話ではない。それから、同じ厚生労働省が取り扱っている食品衛生法という法律がございますが、そこで食品添加物の指定をしていますが、それでは包括指定をしています。例えばショ糖脂肪酸エステル類というように、ショ糖脂肪酸だったら、ステアリン酸だろうとリノール酸だろうと、脂肪酸の種類は何でもいいという話なのです。そういうふうに包括指定をしていて、同じ省庁が所管する法律ですので、法律は勿論違いますけれども、十分可能だと私は思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 私も提言に賛成でございます。一つ思いましたのは、昨今、公務員削減などで、どうもこういった安全・安心の部分までもが切られてしまうというときにおいて、人数を増やすのではなくて、麻薬取締官または麻薬取締員、こういう方たちに違法ドラッグまで調査、取締りができる権限を付与するというのは、安全・安心につながると思いますので、この辺は是非力を入れてやっていただきたいということが一つ。
それから、海外からの輸入。海外からのというのは非常に多くなっていますので、この辺も是非、入手機会の規制策を実施していただきたいと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 包括指定は多分、今はないので、導入するのにとても慎重になられているのかなと思いますけれども、何度もお話しているように、それがないと指定されていなければ合法だという話になって売られてしまう。それで大変不幸な事故が起きる可能性もある。技術的な問題は私はわかりませんが、ぜひそこをクリアーして踏み出していただきたいと思っております。

○河上委員長 厚労省も、包括指定の方に向けてかなり積極的に動き始めているという情報はありますけれども、できれば委員会としても、それを後押しすることを是非やっていきたいと思います。
それ以外にも、そういうものを買う人たちに対して、これは危険な商品であるということの認識を持っていただく必要があるので、今回の提言に合わせて、消費者委員会から国民全体に対するメッセージを送るということで、4ページにメッセージ案というものを考えました。今更と思われるかもしれませんけれども、やはり消費者委員会としても、この問題に対して、国民に対して強い警告を発する必要があろうかということで、このような形をとらせていただくことにいたしました。
よろしゅうございましょうか。

○山口委員長代理 この「皆様へのメッセージ」は、もとの案はもう少しかたかったのですが、だいぶわかりやすくなったけれども、これでもまだ難しい。大学生の諸君がパッと読む気になる文章かなという心配がないわけでもないけれども、消費者委員会として初めてこういうメッセージを出すわけなので、今後、出す機会があったらもう少しやわいものにする努力はするとして、今回はこれでしょうがないのかなと、私は思います。

○河上委員長 そういうことで御勘弁いただきます。ですます調にしただけでも、かなり進歩かなという感じがしないではないです。この間から考えていたのですけれども、インターネットが普及することによって、国境を越えて取引のボーダーレス化が起きたということが言われます。消費社会が犯罪社会とも無縁ではなくなって、その意味でのボーダーレス状態になっていて、昔だったら市場社会に出てこないような仕組みが、市場に適正な商品であるかのような顔をして出てくる。これは違法ドラッグに限ることではなく、犯罪に類するさまざまな詐欺的行為が出てくるという状態になっているわけでして、特に警察との協力関係をきちんとしながら、消費者問題としてこうした問題を扱って、市場から違法なものを排除していくことを、今後ともしっかりやっていかないといけないのではないかと痛感しております。
では、皆様から、これでよいということでございましたので、このような形で提言をまとめさせていただきたいと思います。
なお、本提言につきましては、委員会終了後、18時30分を目途に、消費者庁会見室において私から記者会見をさせていただきます。その際、本件については注意喚起を消費者に向けて行うことが重要であるということで、メッセージを併せて発信したいと考えております。

≪3.公共料金について≫

○河上委員長 次に、「公共料金について」でございます。公共料金については、消費者委員会において調査審議を行い、去る2月28日に公共料金問題についての建議を行ったところであります。また、消費者庁においても、本年2月に公共料金に関する研究会を立ち上げ、料金改定の手続や情報公開等、公共料金の決定の在り方について検討を行っております。
消費者委員会からも、この検討会に、公共料金問題の担当をなさっていた委員である、山口委員長代理、小幡委員、細川委員がオブザーバーとして参加し、積極的にこの研究会の審議をリードされてこられたことは周知のとおりでございます。
この問題については、「公共料金の決定の在り方について」ということで、去る4月16日に中間とりまとめが行われております。本日は、消費者庁消費生活情報課においでいただいておりますので、中間報告の概要について御報告をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 消費者庁消費生活情報課長の長谷川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
15分ほどで概要をお話しさせていただければと思います。
今、委員長からお話がありましたが、2月に当研究会をスタートさせていただきました。後藤副大臣がイニシアチブをとられまして、こちらの委員会におきますヒアリングにおいて御参加されました、上智大学の古城先生に座長をお願いして進めてまいりました。
今回、中間とりまとめということで、夏に向けて最終報告をまとめるに当たりまして、議論するところが多いものでございますので、そういう意味ではまだ粗いところもございますが、御理解のほどよろしくお願いしたいと思います。
早速でございますが、資料2の1ページ目から、本文は12ページ目になりまして、ごらんいただきますと主に5つのパートになっております。
1つ目のパートといたしまして、委員長からお話がありましたが、料金改定の手続、プロセスの話と、継続的な検証といういわば事後的なチェックの話。
2つ目といたしまして、公共料金の水準と内容ということで、どういうものが適正な水準なのかとか、そういう話を少し詰めさせていただきました。そこは6ページ以降に書いてございます。
3つ目といたしまして、消費者へのわかりやすい情報の公開ということで、公共料金については、メニューの多様化、あるいは、公共料金自体の持つ性格にもよるかと思いますけれども、一般利用者への情報がなかなか届かないという声も聞かれますので、そういう問題について検討いたしました。
4つ目は、今回は余り議論ができなかったものといたしまして、制度改革と技術開発。規制改革の話ですとか、技術の開発によって、中長期的には料金の低廉化というふうに結びつきますので、そういうところについて、今後、引き続き議論してまいりたいと思っております。
5つ目といたしまして、更なる改善のためにということで12ページに書いてございますが、旧経済企画庁あるいは内閣府時代、有識者の会合においていろいろ議論が行われてきたということがございますが、そういう提言が、実際の規制当局あるいは事業者において、実効といったところでやや問題があったのではないか、達成されていない面があったのではないかという認識の下で、どうすべきかというところを議論させていただきました。
まず、1ページ目をごらんいただきたいと思いますが、今回の背景になったものでございます。公共料金につきましては、実は近年、余り議論されておりませんでした。と申しますのは、デフレ下ということもありまして、公共料金は何が問題になるかといいますと、引上げのときに、ライフライン関係のサービスが多いものですから、国民、消費者に負担が大きくなるということでございました。デフレ下にありまして、公共料金についても比較的横ばい、あるいは下がっていたということもありまして、政府においては余り議論がされなかったというところがございます。
ただ、資料の14ページ、15ページをごらんいただきますと、図表3ですが、消費者の負担感というものを、時系列的に平成7年度と平成21年度のアンケート調査を見ますと、例えば電気料金ですと、括弧内が前回の調査で34.4%、平成21年の今回調査が42.7%。都市ガスについても、前回は23.2%、21年度については30.9%ということで、料金は余り上がっていない、あるいは横ばいだったにもかかわらず、料金面での負担感が、この間、上昇が見られたということがございます。
これは基本的には、1ページ目に書いてございますが、所得が伸び悩んだ一方で、15ページ目にございますが、一般物価水準と言われます消費者物価指数(総合)で見ていただきますと、公共料金の幾つかの分野におきましては、それよりも下がっていない、あるいは横ばいにあった、据え置きにあったということで、どうしても相対的な面からしますと、公共料金に対する割高感が感じられたことが、こういう負担感の増というものにあらわれているかと思われます。ですが、やはり一番大きいのは、昨年の震災、原発における電気料金の値上げに対する懸念が大きくなったということだと思います。
それから、公共料金そのものをめぐる環境も大きく変化していることがあります。先ほど申し上げましたように、物価水準が低下している、まさにデフレ下ということで、90年頃までにあったインフレ、あるいは物価が長期的にも上がっていくという環境とは随分違うことに加えまして、規制改革の問題、技術革新というのは90年代から2000年にかけて大きかったということで、随分と公共料金の環境が変わってきた。
消費者関係でも、消費者基本法というものができまして、合理的かつ自主的な選択の確保、情報提供が、まさに消費者の権利として、基本理念として規定されたということもございます。また、公共料金の決定・認定についても、消費者に与える影響を十分考慮するというふうに明確に規定されたということで、近年、公共料金に関する環境は90年代と随分変わってきました。
3ページ目でございます。こうした環境変化の中で、今まで問題と認識されていたとは思いますが、明示的・具体的にこうした方がいいのではないか、というところが議論されてこなかった傾向がございます。今回、そうした反省を踏まえまして、具体的にプロセスのところでどうすべきかといったところを幾つか取り上げております。
まず、料金改定の手続の中では、現在の公聴会、審議会におきましては、意見表明の準備が困難ですとか、実質的な議論をしにくい等の課題がございます。また、消費者団体等が規制当局、事業者に詳細な情報を要求したり、そしゃく・分析し、一般消費者にわかりやすい形で提供する。そういう機能を期待されているわけでございますが、そうしたフィードバックをする機能が十分発揮できる手続が不十分であったということがございます。
こうした問題につきまして、対応の方向ということで整理させていただいておりますが、まずは規制当局にあっては、手続の一環として原則、公聴会を開催する。それから、今、資料の提供、通知につきまして、検討する時間的余裕がないことが問題とされていますので、そうした面につきましては時間的余裕をきちっと確保する。
(ウ)といたしまして、単に一方的に公述人なりが意見陳述をするのではなく、きちっとコミュニケーションのとれた形の質疑応答の機会を設ける。
(エ)といたしまして、消費者団体の代表者の参加を確保することを、ここで提案させていただいております。
また、規制当局、消費者庁、消費者委員会の役割についても、僣越でございましたが、少し整理をさせていただいております。
提供されるべき情報についても、事業者の部門別、要は規制部門あるいは自由化された部門、そういうものについてしっかりと出していく。サービス種類別のセグメント情報と言われていますけれども、そういうものやあるいは連結決算の情報を、手続に当たって、消費者に適切に内容を評価できる形で示すべきということを提案させていただいております。
2つ目の重要な課題でございますが、事後的なチェック、継続的な検証でございます。こちらの委員会におきましても、料金の据え置きに関する問題が提起されたわけでございます。デフレ下におきまして据え置きというのもチェックすべき、あるいは、据え置かれる料金の水準の説明をきちっと行うべきというお話があったと思いますけれども、まさにこの点につきまして、私どもも議論をさせていただきました。
料金が据え置かれた場合をはじめ、料金水準の妥当性について、いかにチェックしていくかということが課題という認識の下で、どう対応の方向があるのかということでございますが、5ページ目をごらんいただきたいと思います。
まず、継続的検証の実施ということでございますが、幾つかの公共料金分野におきましては、長期にわたって料金改定は行われていない、据え置かれているものがございます。現行の制度におきまして、引上げのときには認可という形でチェックは働きますが、引下げの改定ですとか、上限の中で料金内の改定といった場合ですと、基本的には届出制でございますので、そうしたチェックがなかなか働きにくい。やはり長期にわたって料金改定が行われていない分野は、改定時に前提となっていた数字については実際値と乖離している可能性もありますので、そうした妥当性の点検は早急に行うべきというふうに提言させていただいております。
2つ目のパラでございます。事業者が、定期的あるいは継続的に料金の妥当性をチェックすることが必要ではないかということで、その方法について早急に検討すべきということを提言されております。
事業者は、営業年度ごとに経営効率化計画に基づいて、効率化の努力、あるいは、その成果をどのように料金に反映させるかといったものについて、明確な説明を行うべきということを提言しております。ただ、零細な企業はコストの面での負担とかございますので、そこは、規制当局がガイドライン等において定めるべきというふうにさせていただいております。
情報提供や消費者の参画に関しましても、事後的な検証に資するように、料金改定時の各種書類、認定申請書類等料金の算定のもとになったデータについては、原則としてすべて公開すべきということで、こういう提言をさせていただいております。
6ページ目でございますが、料金の水準・内容でございます。
1つ目は、経営効率化・コスト削減ということで、普通の分野、いわゆるマーケットメカニズムが働く財・サービスを提供している分野と違いまして、基本的には地域独占、あるいは自然独占という性格上、経営の効率化努力がなかなか働きづらい。そういう弊害が指摘されてございます。
一方、一般の財・サービスと比べても、重要性の観点からこうした努力は非常に求められているということで、対応の方向といたしましては、人件費などの一般的な経営管理費から、設備投資費、研究開発費、広告宣伝費など、あらゆる項目について、効率化に取り組んで、その取組みをわかりやすく消費者に説明すべきということを提言させていただいております。
(2)といたしまして、今度は料金査定というところで、どちらかといえば規制当局側の課題になるわけですが、原価の範囲、水準の適正性について厳正に評価すべきということを書かせていただいております。
現在、総括原価方式についてはいろいろと議論があるところでございます。目的は、「事業に要する費用すべての回収を認めるのではなく、あるべき適正な費用のみの回収を認めること」、そうした原則にのっとって、原価として認めるかどうかを適正に判断していただきたいということでございます。規制当局は、この基準に従いまして、構成原価の範囲ですとか、原価ごとに算入すべき範囲といった両方を検証すべきと。これについては、引上げの際のみならず据え置きの際の検証、チェックにも該当するということでございます。
例えばということで事例的に、人件費と調達する財・サービスについて、それぞれ、こういう基準があるのではないかということを示させていただいております。やはり適正な範囲におきまして、合理的で客観的な基準ということで、類似の企業群の平均、最もパフォーマンスのいい企業の情報、そうしたものに基づいて査定を行い、その基準は公開すべきであるというふうに提案させていただいています。
財・サービスにつきましても、例えば入札におきます公正落札価格を、適正な原価として算入するということも提案させていただいております。
7ページ目です。効率化を促す規制ということで、総括原価方式のいろいろな問題、あるいは地域独占における効率化がなかなかしづらい環境ということがありますので、インセンティブ規制というのは従来から取り入れていたわけですが、そのインセンティブ規制の導入、既に導入している場合は、その効果をきちっと検証して更なる改善につなげてもらいたい、ということを提案させていただいております。
適正な料金体系ということで、事業者は、二部料金制などの料金体系、メニューの多様化について進めているところでございますけれども、例えば規制部門と自由化部門のところで、当然、自由化部門の方はほかの事業者と競争しなければならないですので、どうしても価格の面で非常に注力する必要がある。そこと規制されている部門との、利用者にとっての公平感が損なわれない形で適切な対応をとるべきであるということで、ここは今回、余り議論はありませんでしたけれども、引き続き詰めてまいりたいと思っています。
一つ、今後の在り方で大きな問題になりますのは、修繕費、更新投資等の負担ということで、高度成長のときにできた公共料金関係の施設、例えば水道とかございますが、あと数年で更新投資、老朽化に伴ってそういうものが求められます。そうした経年劣化に対応する費用は料金水準に大きく影響している。一方、それらの費用は当然ながら将来世代へも影響し、同時にサービスにも影響するということで、こういうものを総合的に見て、規制当局及び事業者は、消費者に対して費用と料金の関係について明確な説明を行うべきということを提言させていただいております。
7ページの一番下になりますが、内部留保や株主配当の取扱いです。規制当局は、内部留保の積み増しや株主配当につきまして、事業者のインセンティブを損なうことも問題ですので、そういったことも考慮しつつも、やはり経営状況に照らして厳正に評価し、料金の査定に対しては必要に応じて適切な対応をとるべきということを書かせていただいております。
8ページ目でございますが、情報公開についてでございます。情報公開の枠組みにつきましては、現在、各事業分野におきましてそれぞれガイドラインというのがありますが、ガイドラインについて、幾つか見直した方がいいのではないかという御指摘をいただきました。
まずは対応の方向を見ていただきますと、わかりやすい・アクセスしやすい情報公開というところで、こちらの委員会でも議論されたと思いますが、必要な情報ということで幾つかここで示させていただいております。料金について、加入金・負担金の根拠、比較対照の情報、そういうものを記載しております。
情報公開の中で評価に資する情報ということで、サービスを受けている利用者にとって、自分が受けているサービスはどの辺りにあるのかというところを、やはり情報提供すべきということで、事業者間、あるいは地域間の比較対照情報を示すということを提言させていただいております。それについては、内外価格差も含めた形で、その重要性についてここでは記載しております。
9ページ目をごらんいただきたいと思います。9ページ目の上については、料金について据え置きされる際にも、きちんとその妥当性について説明すべきであるというところでございますが、これについては再掲させていただいております。
また、投資計画については、メンテナンスの話とほぼ同じでございますが、現在、環境事業とか、震災がありましたので、耐震化等の災害対策といった中で、設備投資の中でもいろいろと要件があります。その要件をクリアーしていく中で、それらがサービスの質あるいは料金の水準にどういう影響があるのか。それらについての選択肢を含む情報提供をすべき。定量的な説明とか、そういうものを含めて情報提供すべきということを提言させていただいております。
情報提供の実効性は、利用者への到達の問題ということで、事業者にとっては「提供している」ということが多いとは思いますけれども、消費者に十分伝わっていないケースもある。その辺についての対応について、情報アクセス能力の格差への対応ということで、最近はホームページで情報提供を行っている事業者が多いものですから、現状ではまだそれに対応されていない方々、例えば高齢者、障害者とかいらっしゃいますので、そうした消費者への適切な対応もあるのではないか。
10ページ目をごらんいただきますと、意見・苦情のフィードバックということで、きっちりと消費者に耳を傾ける。情報を得る。そして、事業者、規制当局にフィードバックするプロセスをきっちりと整備すべきということで、消費者庁なり国民生活センターの機能について書かせていただいております。
消費者団体の機能といたしましても、行政・事業者と消費者をつなぐ存在として、一般の利用者に対してわかりやすい形で情報を提供すること。消費者の利益を代表した意見を述べていくことが期待されるということで、消費者庁のやるべきことを整理しております。
消費者への啓発活動は、消費者教育を含めて、公共料金に関する消費者の知見や理解の向上を支援すべきということで、具体的にここで提言させていただいております。
11ページ目については、制度改革と技術開発ということで、まだ議論が余り進んでいないところで、重要な課題でありますが、どちらかというと中長期的な課題という認識だと思います。これについては、今後、公共料金の決定の在り方の中で何とか議論してまいりたいと思っております。
12ページ目でございます。更なる制度の改善のためにということで、平成21年に廃止されました物価安定政策会議においても、長年いろいろな提言がなされてきたということでございますが、なかなか十分に諸課題への対応は実施されてこなかったという残念な面がある。これについて規制当局の役割ということでございますが、まずは規制当局の在り方といたしまして、料金規制が有効に機能し、規制をやっている所期の目的を達成しているかについて不断に検証し、制度の改善を図ることが求められる。先ほどのインセンティブ規制とか、いろいろな工夫、査定がされていると思いますけれども、それが実際に、当初目的としたものを達成しているのかというところを、きっちりと評価してもらいたいということでございます。また、実施状況に関するフォローアップを行って、実施可能なものについては速やかに実施すべきということを提言させていただいております。
消費者庁及び消費者委員会の役割ということで、新しい仕組みができておりますので、それについて、実効性を高める観点からの役割を提言させていただいております。
それから、消費者の役割ということで、消費者も、公共料金に関する議論等に参画し、制度の改善に貢献することが求められるということを提言しております。
以上でございますが、引き続き夏に向けて、具体的な適用可能性の問題ですとか、そういうものについて議論してまいりたいと思っています。
簡単ですが、以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 短期間のうちにこれだけまとめられたことについては、敬意を表したいと思います。特に12ページで消費者委員会の役割などが書かれておりますし、私どもとしても、この役割についての提起は重く受けとめて、消費者庁と協力しながら、来るべき電気料金の値上げの問題もいろいろ言われておりますので、新しい制度の下で、消費者委員会、消費者庁ができてよかったと思えるような形をつくっていきたいと思います。
2つ、質問ですが、6ページに総括原価方式の本来の目的が書かれています。これを応用した場合にどうなるのかということですが、率直に言いますと、東京電力の発電施設が幾つもございます。その中では、既に顕著な事実ですが、廃炉になった施設、あるいは現実に機能していない発電設備もあります。そういうのが総括原価方式の原価の中に組み込まれることが妥当なのかどうか。これは大変難しい議論だと思いますが、今のところ、有識者会議などでは原価に入っているようですが、その辺の評価がどうなっているのか。この辺は、消費者庁のお考え、あるいはこれまでの議論の経過を踏まえて、長谷川課長とも議論して、それなりの方向が出せないかなと思っております。
もう一つ、8ページですが、情報公開の在り方の中に5つポツがあって、4つ目にセグメント別収支というのがあります。路線別ないし路線群別とありますが、これも例えば電気料金で言いますと、規制部門といわゆる自由化部門という形で出されている部門がございます。しかも、自由化部門の中には、工場施設などの部門と商業施設などの部門とがあるようです。その辺が今後きちんとしたセグメント別で開示されるのかどうか。
実は、今年の3月20日付で資源エネルギー庁が出された電気料金情報公開ガイドラインという文章がございまして、これを見ると必ずしもそこがはっきりしません。どの程度セグメント別に情報が公開されるのかがはっきりしない。この辺はエネルギー庁でも、当然、消費者委員会なり消費者庁の研究会のとりまとめを踏まえて御尽力なされると思いますので、期待したいところではありますが、今後、一緒に見守って、消費者が納得できる対処をしていかなければいけないと思っていますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 今、山口先生からいただいた、両方とも非常に難しい問題で、1つ目のところは、今まで資本投入してきたところに対して、レートベースといいますか、あそこのところをどう整理しているかという話だと思います。それから、2つ目のセグメント情報ということで、規制部門、自由化部門のところは、情報が出にくいというのはおっしゃるとおりだと思っています。その辺りは我々も認識しておりますので、きっちり見ていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 消費者委員会でも建議を出しましたし、公共料金の消費者庁の研究会の方も、我々のうちメンバー3人がオブザーバーとして加わって議論をしてまいりました。中間とりまとめがこの前出たということで、今日、課長から御報告をいただいたわけですけれども、中身としてはもっともだというところばかりで、よく短期間でこれだけのことを書き込んでいただいたなという思いはありますけれども、一方で、今までかなり議論されてきたところなんですね。事実、公共料金に関する研究会のメンバーの方というのは、経企庁時代、内閣府時代の物価安定政策会議とか、そういうところで議論に参加してきた方たちで、かなり中身がよくわかっていて、今までこれは問題だという問題提起をしてきた方々がこれをやっていて、ある意味、今まで言ってきたことをまとめたみたいな形、いわゆる課題の整理という位置づけだと思います。
そうすると、次にそれを具体的にどう実行するかというところが重要なわけですけれども、今のところ、その先が見えない。まさにこの名称も研究会でありますから、ここが権限を持って何かするという第三者委員会でもないわけですから、それを具体的に実行に移すのはまさに消費者庁、あるいは消費者委員会の役割もあるでしょう。あるいは政治の役割もあると思いますけれども、そこでどうするかというところがまだ見えないということであります。先ほどの5の「さらなる制度改善のために」というところでも、「こうした提言を実施するか否か、実施する場合でも、最終的には事業者や規制当局の判断と責任に委ねられるべき部分が大きい」と。ちょっと逃げてしまっているような、こんな姿勢でいて、本当に規制当局にやらせることができるのかというのは非常に疑問に思っているところで、今後どうするかというのは、当然、消費者委員会の役割もありますので、議論していかなければならないところだと思います。
そういう意味で言うと、一つ、私の個人的な提案ですけれども、東京電力はこういう形になっているのでチェックされていますが、東京電力というのはかなり異質なケースですので、東京電力以外の、過去2年、3年間で具体的に認可された、あるいは公聴会も開かれて認可された案件の検証みたいなものをしたらどうか。総括原価がどのように規制当局に把握されて、それがどのような決定をしたのか。その過程で、消費者がどういう意見を述べたのに、どのようにそれが反映されなかったのか。そういったものの具体的な検証を通じて問題点を指摘していく形にしないと、総花的な抽象論で規制当局はやりなさいと言っても、これはなかなか動かないのではないかというふうに思いますので、今後、その仕組みづくりを検討しなければならないというふうに感じます。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。

○小幡委員 消費者委員会で2月に建議をいたしまして、消費者庁の方でもこの研究会が立ち上がって、中間とりまとめということに至ったわけですが、我々が提言の中で出していた課題というのは、今、山口委員、細川委員からございましたように、もともと認識されていたものでもありますので、その課題自身については入れていただいていると思いますが、消費集委員会としては、このデフレ時代に、値下げという仕組みがあるのではないかということを建議しています。
今回、中間とりまとめでは、継続的な検証が4ページ、5ページにありますけれども、それは、今の料金が乖離していないかどうかということをチェックする。チェックの仕方について情報が、ということだけ書かれています。現実に消費者として公共料金について求めているのは、料金がいくらになるというところだと思うので、そこの仕組みをやはり整える。いろいろ課題が出ていますけれども、最終的に消費者にはっきりはね返る形の仕組みがここからは見えないというのがあります。中間とりまとめですので、今後、それが最終のところまでにどの程度進むのかということは期待していますけれども、ここはかなり難しいと思うので、是非、もう一歩進んだところを今後検討いただきたいと思っております。

○河上委員長 長谷川課長から。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 今、細川先生、小幡先生からお話がありましたように、かなり抽象度が高いと言ったらいいですか、具体的に突っ込んでいないものですから、これから少しでも具体的なところにおりた形で議論できればというふうに思っております。確かに小幡先生おっしゃるように、デフレ下においてどういうふうに値下げのメカニズムを構築するか。かなり難しいというふうに思っていますが、まずは今の料金が妥当かどうかというチェックと、それから、効率化を促す規制については引き続き議論をしていただきますので、そこでできれば何か出していきたいと思っております。

○河上委員長 公共料金というのはいろいろなタイプのものがあって、それぞれに市場の状況は随分違うと言われています。しかも、競争状態がどうかとか、全体の仕組み、公共サービスそのものの形成の仕組みが違うので、一概にこうやればいいというのはなかなか難しいという感じがします。しかも、専門的な分析能力が要るということになると、消費者庁や消費者委員会がそこにどういう形で関与したらいいのかという辺りについて、消費者庁としては、一定の方向性というか、そういうものはお持ちなのですか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 確かにリソース不足というのは否めないところでございます。旧経済企画庁ですと、物価局という、物価に関して、公共料金だけではないですが、マクロも含めた形で見ていたわけですけれども、今、そういうところが脆弱になっているというのは事実だと思います。それは基本的にはデフレ下ということで、物価がずっと落ち着いているということもありますけれども、やはり公共料金は重要な課題でありますので、どういうふうに体制強化が可能か。あるいは、ここ数年、公共料金について議論がなされなかったといったところを反省しまして、どのように継続的に議論の場を設定していくか、そこは考えていきたいと思っております。

○河上委員長 狂乱物価に対して、どうやって抑えていくかといった物価安定という観点での物価政策が物価局が主としてやってきていたところだったのかも知れません。しかし、現在はむしろ、適正料金はどうあるべきかという話になるので、違った観点からの分析が要るというのは確かだと思います。それだけに、相当の専門的知識と分析力をもったスタッフを用意しないと、なかなかこの問題というのは難しい。
物価安定政策会議というのが昔あって、平成21年8月に廃止されたということですけれども、この辺は事務局長がお詳しいかと思いますが、廃止された後、物価安定政策会議はどのようにしようという議論があったのか、改めて確認できますか。

○原事務局長 ここは公の議事録で残りますので、不確実なことが言えないのですが、私自身も物価安定政策会議の委員をしていたこともございます。消費者庁、消費者委員会ができるときに、どういう整理をするのかということは勿論一つの課題ではありましたけれども、どういうふうにきちんと整理したかというのは、改めて、残る形でまた御報告をしたいというふうに思います。ほかの閣僚会議の方は残っております。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
山口委員。

○山口委員長代理 この中間とりまとめを踏まえて、あるいは消費者委員会の建議も踏まえて、早速、東京電力の値上げの問題があると思います。これは、消費者庁、消費者委員会の鼎の軽重が問われるところだと思います。特に消費者に負担を強いる値上げの問題ですから、きちんと消費者が納得できる議論といいますか、情報公開をしていただいて、見える議論を消費者庁も消費者委員会も心がけるべきだと思いますので、是非、協力をして、見える議論をして、納得していただけるような、あるいは我々も納得できるような、そういうオープンの議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 短期間に中間とりまとめをまとめていただきまして、ありがとうございました。この夏に向けてとりまとめをされるということで、更に具体的な中身を整理されて、パワフルなまとめになることに期待しているところでございます。
少しお伺いしたいのは、「東日本大震災と原子力発電所事故が電気料金へ与える影響をめぐる議論を契機に」という書き出しのところです。つまり、これが契機になり、電気料金を通じて公共料金に対する国民の関心が高まってきたのですが、例えば電気料金に関しては、単なる原子力発電所に頼る電力の供給という問題ではなく、新しい再生エネルギーを国として取り入れていこうという方向に、国民の世論も向きつつあるという状況になってきたと思います。つい最近、再生エネルギーの全量買取価格が、恐らくこれくらいの値段になるだろうという情報が流れてきました。再生エネルギーの買取り価格というのはまさに公共料金に相当するものであって、国民すべて、つまり電力を使う人すべてについて、これが電気料金に反映され、消費者に反映されてくるべき価格です。
ところが、この再生エネルギーの全量買取制度というのは、国の政策として進めている側面がございますので、経済産業省の調達価格等算定委員会で議論がされています。そうしますと、この7月にでもこの価格が決定され、向こう15年ないし20年という長期間、国民に電気料金として負担させるという内容であるにもかかわらず、例えば、私ども消費者委員会が建議をした公共料金の建議の内容が、きちんと反映されているか。または、今、消費者庁が公共料金に関する研究会で挙げているような検討の仕方、公共料金の決定の在り方がきちんとされているかどうかというのは喫緊に必要な課題だと思います。その辺のところは消費者庁はどのようにお考えか、是非、御意見を聞かせていただきたいと思っております。
今まで5回、調達価格等算定委員会が開かれ、勿論、議事要旨も公開されておりまして、事業者のヒアリングはしておりますけれども、使用する側、利害関係人の消費者としてのヒアリングはまだされておりません。本当に負担する側の意見をきちっと聞いていただけるかどうかというところも、大変関心の強いところでありますので、現在、消費者庁が持っている状況の中で御回答いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 再生エネルギーの買取りについては、御指摘のとおりだと思います。今、議論が進んでいるところでございまして、基本的に国が価格について幾らで買取りをするのかといったところが議論なされているところでございます。
消費者庁に対しては、省庁間の関係では意見を聞くという形になっておりまして、意見を申し述べる機会があろうかと思っております。まさに我々はどういう観点から見るかというところですが、まだ中間とりまとめという点ではございますが、幾つかプロセスについて提言させていただいております。例えば、ちゃんと情報公開がなされているのかどうかとか、消費者へわかりやすい情報公開がなされているかといったところは見てまいりたいと思いますし、また、料金の妥当性についてといったところについて、きっちりと消費者に届く形で説明がなされているかどうかといったところは、我々としても関心を持っていますので、そういうところはちゃんと見てまいりたいと思います。
サーチャージの問題については、恐らくパブリックコメントとかなされる予定でございますので、そういう公開性というのは見られているのではないかと思われますけれども、引き続き、私どもの方でその手続面についてはチェックしてまいりたいと思っています。

○河上委員長 この中間とりまとめの扱いはどういう形になるのですか。まとめましたということで、終わりではないでしょう。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 はい。これをまとめましたと一応公表させていただいたということで、次回以降、これを踏まえて、まだ抽象度が高いところが多いものですから、具体的に議論をしていって、また詰めていくということになろうと思います。

○河上委員長 どこかに対してこれを出して意見を求めるとか、そういうことではないのですね。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 まだ中間取りまとめということもありますので、関係省には提示していますけれども、特にこれをもとにパブリックコメントをやるとか何とかというのは、今、考えていません。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
これから更に詰めていくということでございます。ただ、その過程で、具体的な電気料金のような幾つかの問題が出てきそうだということもございますので、この中間とりまとめの内容をどう実現していくかというのは、かなり難しい問題になろうかと思います。
なお、本中間報告は、消費者委員会が建議等の機能を活用して、公共料金制度に関するこれまでの指摘や提言の実効性を高めるために、重要な役割を果たすべきであるという提言をしておりまして、これを踏まえて、消費者委員会としても公共料金問題に関する調査審議を引き続き行っていきたいと思います。前の建議のときにも、具体的にやっていくつもりだということを申し上げましたけれども、改めてこの中間とりまとめを受けて、消費者委員会としても我々の役目をもう一度はっきりと自覚したいと思います。どうもありがとうございました。

≪4.消費者教育について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者教育について」でございます。消費者教育につきましては、消費者委員会としても重要なテーマであると考えておりまして、従来、消費者基本計画の検証・評価・監視などの機会をとらえて、関係省庁からヒアリングを実施してまいりました。
また、消費者庁においても、平成22年11月に関係省庁、学識経験者、消費者団体、教育関係者らを委員とする「消費者教育推進会議」というのが設置され、平成23年8月には中間整理が行われました。これが去る4月6日に同会議の報告書、「消費者教育推進のための課題と方向」という形でとりまとめられました。
前の議題に引き続きまして、消費者庁消費生活情報課より、本報告書の内容について御報告をいただき、議論を行いたいと思います。
長谷川課長、引き続いて大変ですけれども、よろしくお願いいたします。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 お手元に「消費者教育推進のための課題と方向」を資料3として配付させていただいております。
24ページに構成メンバーを掲げております。後藤副大臣を会長といたしまして、政務、委員として有識者。細川先生も入っていただいていますけれども、有識者の中には、消費者団体、NPO、法曹界、実際の教育の現場で教えられている先生方とか、非常に多様な方を入れております。それに行政委員として、消費者庁と文部科学省の生涯学習政策局長、初等中等教育局長が入り、消費者教育に関する方々を網羅的な形でメンバーといたしまして、今回、スタートさせていただきました。
いろいろな御意見をいただきまして、幾つかのポイントがございます。3ページ目をごらんいただきますと、今回、主に議論させていただきましたのは、多様な主体、消費者教育を担います方々に参加いただきまして、どういう視点で進めるべきかといったところで、一つの柱になりましたのは、消費者教育推進のために、消費者教育の担い手になっている方々、それへの支援が重要ではないかという観点で、かなりそういうところを重視してまとめさせていただきました。「体系化」、「学校での消費者教育」、「社会での消費者教育」。特に社会での消費者教育につきましては、担い手に対するサポートといったところを主に議論させていただきました。
4ページをお開きいただきたいと思います。まず、「体系化」でございますが、消費者教育の目標ということで、これまでも長年議論をしてきた積み重ねがございます。ウをごらんいただきたいと思いますが、消費者教育の目標というところで、「消費者の権利と役割及び消費者の自立について理解し、それに基づいた意思決定と消費行動ができる能力を育む」。マル2といたしまして、「消費生活に関する基本的な知識・技能を習得し、これらを活用して、将来を見通した合理的な意思決定や生活設計を行い、消費者被害等を回避し、他者と協力しながら問題解決ができる能力」というのを2つ目の目標としております。
また、最近の問題といたしまして、持続可能な社会というものがOECD等でも議論されてきました。そうした議論を踏まえまして、「自分の行動と社会経済との関連を意識し、持続可能な社会へ寄与する消費生活を実践するとともに、諸課題について他者と協力して取り組む能力を育む」というところを3つ目の目標として、「体系化」で整理をしております。
この中で一番キーとなります概念は「消費者市民社会」というところでございます。平成20年に閣議決定いたしました、「消費者行政推進基本計画」にも書かせていただいておりますけれども、「個人が、消費者としての役割において、社会倫理問題、あるいは多様性、世界情勢、将来世代の状況等を考慮することによって、社会の発展と改善に積極的に参加する社会を意味する。生活者や消費者が主役となる社会そのもの」と。5ページに書いてございますけれども、1980年以降、内外で議論されたものが、消費者市民社会の概念に集約されているというふうに思われます。今回、こういうことを明示的に書かせていただきました。
また、6ページ目、7ページ目におきましても、消費者市民社会における消費者教育、あるいは持続可能な消費といったものを、ここで記載させていただいております。
こうした枠組みの中で、では、どういう消費者教育を体系化すべきかというところが課題になるわけでございますが、今回、すべてのライフステージを通じまして、消費生活の特徴的な場面(対象領域と我々は言っていますけれども)において、消費者として必要となる能力を整理いたしまして、それぞれのライフステージごと、領域ごと目標を定めまして、今回、一つの枠組みを整理させていただきました。
8ページ目をごらんいただきますと、商品等・サービスの安全、生活の管理と契約、情報とメディア、持続可能な消費の分野について目標を記載しています。9ページには、ライフステージの分類と各段階の特徴ということで、幼児期に始まりまして成人期までのステージごとにおける能力を、ここで記載して明示的にさせていただきました。
特に、幼児期からということで、まずは消費生活への関心の話からスタート。生活に興味関心を持つところから始まりまして、成人期の特に若者にありがちな問題点、それから、高齢者の行動力、情報収集力の低下に伴っていろいろな問題が生じているというところで、そこにおいて、どういう役割といいますか、あるいは周りの人々が期待をされるかというところを、今回、整理させていただきました。
次に、10ページ目の「学校での消費者教育」というのが2つ目の課題となります。学習指導要領におきまして、消費者教育というものも明示的に規定されている。例えば10ページの2つのパラグラフにおきまして、新学習指導要領において、平成23年度から小学校、24年から中学校、25年から高等学校で実施され、消費者教育について織り込まれていますので、引き続き、我々としてもそうした動きを何とか後押ししてまいりたいと思っています。
ここで重要になりますのが3点ほどございます。1つ目は、教員研修の充実です。10ページ目、11ページ目をごらんいただきたいと思いますが、教員の方々が非常に多忙なもので、例えば研修を行っても参加が困難なケースが多いということで、それに対する課題を記しております。やはり教育委員会、行政、消費者団体との連携の必要性、協力が重要である。そして、協力の下での研修プログラムの構築、個別の研修のできる場の提供、そうした多忙な状況への一つの対処方法だと思いますけれども、eラーニング、講座の動画配信、そういうものを書かせていただいております。
また、学校全体で消費者教育に取り組む体制づくりということで、一つの概念といたしまして、消費者教育コーディネーターというものを校務の分掌で設置してはどうかということも、ここで提言させていただいております。いわば消費者教育推進役の教師ということになろうかと思います。
2つ目の重要性ですが、13ページ目をごらんいただきたいと思います。授業時間の確保という点が課題になります。平均的には年間3時間、4時間が、消費者教育に配分される時間というふうに聞いておりますので、基本的に時間が足りないということでございます。そのため、さまざまな教科、国語、算数、数学、理科、あるいは総合的な学習の時間、その中の時間を活用した取組が重要ではないか。そして、学校全体の「消費者教育指導計画」について、そういう計画モデルを作成してはどうか、ということをここで提言させていただいております。
3つ目でございます。少しでも消費者教育を学校において推進をお願いしたいと思っておりますので、それに対して課題ということで、15ページ目に教材・出前授業等の充実というものを書かせていただいております。現在、消費者教育の現場で活動されている方は、いろいろな工夫をして教材とか作成しておりますが、提供されても実際に活用されていないという課題がございます。ですから、消費者庁においても、ホームページ上に消費者教育ポータルサイトを、現場においていろいろな教材がつくられていますので、そういうものを収集して提供しております。そういう点から、学校教育用のポータルサイトをつくってはどうか、ということをここで提案させていただいております。授業で安心して使える教材の掲載の構築が重要ではないかということでございます。
外部機関、消費生活センターとか、消費者団体、そうした団体にも、学校担当者というものを設置してはどうかということを、16ページ目で書かせていただいております。学校担当者というものが設置されますと、やはり責任を持って、教材あるいは出前授業というものに対して取り組んでもらえることが期待されますので、そういう団体での学校担当者の設置が提案されているところでございます。
17ページ目でございますが、「社会での消費者教育」というところでございます。ここでいろいろと議論がございまして、多様な主体による実践事例の共有化の推進ということで、「考え方」に書いてありますが、今回、いろいろな方々から言われましたのは、消費者教育と銘打たずとも実態として消費者教育を行っている、あるいは啓発を行っている担い手が多数存在する。例えば、多くの地域の方々では、高齢者あるいは障害者においていろいろなサポートをされている。そういった方々は、消費者教育と銘打たずともまさに消費者教育をされている方々だと。ここにも事例として書いてありますように、民生委員の方々、ケアマネジャー、医師会、老人クラブ、町会、そうした方々というのはまさに消費者教育をやっている。そうした認識に立って、我々はそうした担い手に対する支援を今回重視して、ここのところをとりまとめさせていただきました。
まずは、情報収集、選定、普及ということで、そうした方々にいかに情報をお届けするか。あるいは、必要な情報をいかにして集めるかといったところを中心に議論させていただきました。18ページ、19ページにおきまして、情報の収集、選定、普及について書かせていただいております。
情報収集に当たりましては、対象となりますレベルと申しますか、適当か、あるいは適当でないかといった基準が重要ではないか。あるいは、収集すべき教材についての選定基準が一つの課題ではないかということが議論されました。また、私どもの消費者教育ポータルサイトが非常に勝手が悪いという御批判もございますので、その問題点について記載させていただいております。活用を促進するにはどうすればいいのかというところを記載させていただいております。
20ページ、21ページでございますけれども、連携の推進ということで、多様な主体間の連携の場の確保、提供と。これまで、消費者教育と銘打たずとも消費者教育を担っていた方々、そういう方々も巻き込んだ形で連携の場を構築したいというところを、具体的な場としてどういうふうにするかというところを提案させていただいております。ここは引き続き議論が必要かと思いますが、定期的な情報提供ですとか、SNSを利用いたしまして、双方向性のある媒体の活用が今回議論されたところであります。
22ページ、23ページといたしまして、では、こうした課題、提言に対して、行政として当面どうするのかというところを整理しております。まず、実施する施策というところで、体系化については、先ほどのマトリックス、体系化のプログラムについて整理させていただきましたけれども、実際に24年度についてプログラムを作成するための研究会をつくることをここで記載させていただいております。
「学校での消費者教育」については、教員指導者養成用の研修プログラム、教材の研究をする。消費者教育推進のための調査研究、情報交換のための協議会の開催、指導事例集の作成を、今年度から進めさせていければというふうに思っています。
23ページ目でございます。「社会での消費者教育」では、地域での各種取組に対する共有化と連携・協働の促進ということで、地域におきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろな主体がある。自治体を含め、消費者団体、福祉団体、環境団体、事業者などもあります。いろいろな主体が多様な教材や啓発資料をつくっている。それを広く実践化するという目的で、「地方消費者グループ・フォーラム」、あるいは「消費者教育フェスタ」というものを開催して、連携・協働の場を提供してまいりたいと思っております。
2つ目は、消費者の自主的な活動・「消費者学習」運動への支援ということで、これまでとトーンが少々違う印象を持たれるかもしれませんが、消費者の自主性を応援して、それがいわば国民運動的に展開される、それを期待したいという趣旨でここで書かせていただいております。主体的に消費者が活動できることを支援する、ということをメインに据えております。
23ページの最後でございますが、消費者教育ポータルサイトの充実は課題だというふうに委員の先生方からも御指摘をいただきましたので、それの充実と双方向性化の検討を、24年度については進めてまいりたいというふうに思っております。
簡単でございますが、概要は以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言願います。

○吉田委員 御説明、ありがとうございました。消費者教育の推進と充実というのは、消費者が主役となる社会の実現のための礎になるものだと思っておりまして、非常に期待しているところです。
今回の課題と方向性の中身を見ますと、地方における消費者教育の推進役として、地方自治体の役割が非常に大きいのではないだろうかと思っております。一方で、自治体は全体的に財政難、人手不足、小規模な自治体においては消費者教育の実績がない、あるいは、あっても低調だというのが実態かと思いますので、このグランドデザインを具現化していくには、相当馬力をかけてやらないといけないのではないだろうという問題意識を持っております。
そこで消費者庁として、自治体とどういう協働体制をしいて消費者教育を推進していくのか。現段階におけるアイデアなり工夫なりがおありでしたら、是非お伺いしたいと思います。また、課題と感じていらっしゃるところがあるとすれば、それを教えていただきたいと思います。
あと、スケジュールですが、24年度から順次実施していくということです。私たちが消費者教育が盛んになってきたかということを実感できるのは、一体いつごろなのか、スケジュール感をお教えいただければと思います。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 確かに地方との関係というのは重要だと思っていまして、まずは地域からだと、我々も認識しております。そういう意味では私どもの方で、いろいろな教材を学校教育で利用していただけるように、中学校、高校レベルからDVDなどを使ってやっていまして、それを今、普及に努めているところであります。やはり消費者庁単独ではなかなか難しいところは非常に多いです。ですから、文部科学省と連携していくのが最も効果的・効率的かなと思っておりますので、文部科学省との連携というのはまずあるだろうと思っております。
我々も、余り予算がないものであれですけれども、先ほど書いてありましたけれども、地方で消費者庁が、消費者教育に限定されてはいませんが、諸問題について議論する場合があります。地方消費者グループ・フォーラムと申しますけれども、そういうところに消費者教育をきっちりと位置づけてもらって、そこで啓発といいますか、普及していく。そういうものをやっていきたいと思っております。
御指摘のとおり、東京よりは地方で非常に活発にやっている方が多いです。そういうエネルギーといいますか、我々もうまく理解しながら、それを広げていくような形に何とかいろいろと工夫してみたいと思っています。
それから、どのぐらいの目途かという話ですけれども、これはなかなか難しいのですが、国会の方で御審議される予定と聞いております推進法が非常に大きいだろうと思っておりまして、それを契機に、我々もそれにのっとった形で、いろいろな計画なりそういうものを構築することになるのではないかと思いますので、それを全力で推進していきたいと思っています。

○吉田委員 ありがとうございます。地方の担当者、特に消費者行政の担当者が熱意と意欲を持って取り組まないと、なかなか進まないだろうと思います。課題と方向のこの紙を地方に送ったところで、余り事態は変わらないという現実があるかと思います。いかに地方の職員が意欲と熱意を持って積極的に取り組み司令塔の役割を果たすようになるか。その辺は工夫が必要なのではないかと思います。私たちの委員会としても、いろいろなアイデアなり出していきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
細川委員。

○細川委員 私は、消費者委員会の委員になる前からこのメンバーだったので、やめずに最後までいまして、これに携わってまいりました。ちょうど長谷川課長から公共料金のまとめのお話もいただきましたけれども、少し似ているところがあって、公共料金も、今までいろいろな課題が指摘されていながらなかなか動かなかった。それと同じで消費者教育も、今まで、重要性、必要なんだということを世の中に訴えながらも、それがなかなか進まなかったというところでちょっと共通点がある。
その両方に私はかかわっていますけれども、この中身よりも仕組みについて私はお話ししたいと思います。24ページ、25ページに委員名簿、経緯と書いてありますけれども、まさに消費者教育推進会議というのは、消費者教育研究会ではなく、推進会議という位置づけが特徴で、会長に内閣府副大臣、後藤さんです。副会長に文科省の政務官を充てて、実際に文科省の初等中等教育局長まで出席しているということで、この会議ができたときに私は隔世の感を持ったわけです。消費者教育もよくここまで来たなと。文科省も一緒になって議論をするというところで、非常にバラ色だなと思っていたのですけれども、右側に経緯がありますように、1年半かけてこの報告書ができただけで終わりという形になってしまいました。
それは一つには、今、課長が言われたように、議員立法で消費者教育推進法ができる動きがあったので、控えめになってしまったという部分もあって、実は消費者委員会自体も、委員長が、消費者委員会の第2次が立ち上がったときに消費者教育は重要だという表明をされましたけれども、消費者委員会も具体的な行動はしてこなかったわけです。それは、消費者教育推進法が議員立法で進んでいるからということもありますけれども、ただ、今、雲行きが怪しい。消費者教育推進法、できるかなと思っていたら、どうも自民党の方で消費者市民社会という言葉について議論があるとかで、これもちょっと不透明になっているわけです。
消費者教育推進法の中に、消費者教育推進会議をつくるということが書いてあるものですから、そういうこともあってか、消費者庁は、消費者教育推進会議の委員の任期が切れてしまって、その後、委嘱していないのです。なくなったと言うと、消費者庁はなくなっていないと言いますけれども、具体的にはメンバーがいない状況になっているわけです。今後、どうなるのかというのは非常に不透明な状況で、政治的な状況を見るしかないということもあるのかもしれませんけれども、消費者庁、消費者委員会も含めて、この消費者教育の推進に一体何をしたらいいのか。この報告書もある意味課題をまとめただけで、これをやるのは大変な話。やはり教育というのは、人対人、フェーストゥフェースの部分が多いので、予算も人も要る話なのです。民事法と違って、法律をつくればあとは裁判所の判例を待つというような政策ではないので、その部分が全く見えない。エンフォースメントの部分が見えないというのが状況ですので、今後、どうしていくかというのは考えなければならない課題だと思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
山口委員。

○山口委員長代理 今、細川委員が言った消費者教育推進会議というのは、今後、どうなるということなのですか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 まさに細川先生が言われたように、任期が3月いっぱいでございましたので、この推進会議というのは、今、存在しないわけです。議員立法における推進法の枠組みの中で、そういうことも念頭にあったものですから、そういう意味ではペンディングと申しますか、宙ぶらりんな状況になっているのは事実でございます。
こういう仕組みと申しますか、多様な方々が集まって議論をしていく、その認識の重要性というのは変わっておりませんので、我々としては、国会での御議論を見守っていくというスタンスでおります。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
夏目委員。

○夏目委員 ありがとうございました。すばらしいまとめをしていただきまして、24年度から順次、事業実施をしていくというお話もございました。消費者教育推進のための事業費というのは、具体的にどんなものをお取りになって、どんな事業を進めるというふうに、もう24年度の予算は確定したわけですから、そのところを御説明いただけるとありがたいです。お願いします。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 具体的には、まずは、消費者教育の副教材の作成というものが一つ入っています。それから、いろいろと課題が多いと言われていました、ポータルサイトの拡充についての予算が確保されています。あとは、効果的な教育手法と効果の測定、それについての検討費用を私どもで計上しているところでございます。その具体的なものが、体系的なプログラムの作成というものになっていくということで、予算の枠としては、今、申し上げたような名目で取らせていただいているということです。

○夏目委員 事業を実施していくに当たっては人と予算が必要だというお話も、ほかの委員から出されたわけですから、スケジュール感と併せて、事業実施をきちっとされていくというお話を確認したのでございます。ありがとうございました。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
山口委員。

○山口委員長代理 今の例えばポータルサイトの拡充なども、どこかの会社に頼むのではなくて、現場で工夫している先生方、若手の先生方4、5人集まってもらって一緒に考えると。どこかの民間会社に頼んで、はい、できたというのではなくて、一緒につくっていくという工夫を是非試していただけないかなと思います。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 まさにそういうのは重要だと思います。やはりユーザーあっての消費者教育ポータルサイトだと思いますので、現場で活動して実際に作成して、あるいは、それを使おうという気になっていただくのが一番重要だと思いますので、検討してみたいと思います。

○河上委員長 山口委員がおっしゃったとおりでして、恐らく、教材をつくったり一緒に練ったりする中で、本当に消費者のためにいろいろ考える人たちがまた育つのだろうと思います。私も一応教育に携わっていますけれども、教えながら自分自身が教育されているという感覚が非常に強いのです。消費者問題もそうでして、現場の人に力になってもらっていろいろなことをやっていくことが必要だろうと思います。これからの消費者施策を担うのはまさに若い世代の人たちなので、若い人たちにこういう形できちんと教育をしていくのは、大変大事だろうと考えております。各段階で、ふさわしい内容、手段、媒体を使って教育をしていく具体的内容をつめる作業には、まだこれから研究していかないといけないことがたくさんあるかと思いますので、消費者委員会としても一緒に考えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、この問題はここまでということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
次回の委員会につきましては、5月15日(火曜日)の16時からを予定しております。消費者基本計画の検証・評価の作業に入りたいと思っておりまして、日程が追加になる可能性もございますので、その際は、改めてまた御連絡をいたします。
それから、本日6時半を目途にしておりますけれども、先ほどの違法ドラッグに関する提言について、記者会見室で委員長記者会見を行う予定ですので、こちらもよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)