第82回 消費者委員会 議事録

日時

2012年2月28日(火)15:59~16:39

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  片桐表示対策課長
鈴木取引対策課企画官
神宮司審議官
平山食品表示課企画官
 経済産業省  石崎商務流通グループ商取引・消費経済政策課長
 資源エネルギー庁  村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.太陽光発電システムに係る消費者問題について
○説明者: 消費者庁  片桐表示対策課長
鈴木取引対策課企画官
経済産業省  石崎商務流通グループ商取引・消費経済政策課長
村上資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長
3.食品表示一元化について
○説明者: 消費者庁  神宮司審議官
平山食品表示課企画官
4.公共料金について
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 太陽光発電システムに係る消費者問題関連資料(消費者庁提出資料) 【資料2】 住宅太陽光発電に係る消費者保護に関する取り組み(経済産業省提出資料)(PDF形式:784KB)
【資料3】 食品表示一元化関連資料(消費者庁提出資料) 【資料4】 公共料金問題についての建議(案)及び概要 【参考資料1】 「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」についての消費者庁の実施状況の報告(PDF形式:196KB)
【参考資料2】 委員間打合せ概要(PDF形式:17KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 おそろいのようですので、始めさせていただきます。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第82回)」会合を開催いたします。
なお、本日は、委員会後の予定との関係で、17時半までの開催とさせていただく予定でございます。よろしくお願いいたします。
また、本日は、所用により夏目委員が御欠席となっております。
初めに、配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 事務局です。
「議事次第」の下に配付資料の一覧を掲載しております。
資料1といたしまして、「太陽光発電システムに係る消費者問題関連資料」ということで、消費者庁から御提出していただいた資料です。
資料2といたしまして、同じく、その関連の取り組みということで、経済産業省から御提出いただいたた資料です。
資料3といたしまして、「食品表示一元化関連資料」ということで、消費者庁から御提出いただいた資料です。
資料4といたしまして、本日予定しております、「公共料金問題についての建議(案)及び概要」の資料をおつけしております。
参考資料1といたしまして、1月31日の消費者委員会の場で、「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」の消費者庁の対応ということで、御回答をお願いしておりましたけれども、文書でいただきましたので、その参考資料でございます。
参考資料2といたしまして、この間、2月21日に委員間打合せを開催しておりますので、その概要をおつけしております。
不足がございましたら、また、審議の途中でおっしゃっていただければと思います。

○河上委員長 議題に入ります前に、先ほども事務局長から御紹介がありましたけれども、1月31日に開催いたしました第80回消費者委員会におきまして、「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」のフォローアップをいたしまして、消費者庁等からヒアリングを行っておりましたが、消費者庁からの報告が口頭のみで行われた件につきまして、その後の動きについて、事務局から報告をお願いいたします。

○原事務局長参考資料1で先ほどちょっと御紹介したものですけれども、1月31日に開催いたしました第80回の消費者委員会におきまして、「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」のフォローアップといたしまして、消費者庁、消防庁、厚生労働省からヒアリングを行いました。その際、消費者庁からの報告が口頭のみで行われたことにつきまして、当日の委員会の場でも委員から、文書で再度提出していただきたい旨の発言がございました。
その後、2月23日付ということで、松原消費者担当大臣名にて、建議についての消費者庁の実施状況の報告につき文書でいただいております。本日の資料とさせていただいております。また、今後については、委員間打合せなどで協議をしたいと考えております。
事務局からは以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

≪2.太陽光発電システムに係る消費者問題について≫

○河上委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
初めに、「太陽光発電システムに係る消費者問題について」であります。太陽光発電システムに係る消費者問題につきましては、前回の第81回消費者委員会におきまして、国民生活センターから相談の最近の状況についてヒアリングを行ったところであります。本日は、消費者庁と経済産業省においでいただいておりますので、太陽光発電システムに係る消費者トラブルへの対応状況について、それぞれ御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、消費者庁の方からまず説明をお願いいたします。
なお、説明は10分以内でお願いいたします。

○消費者庁鈴木取引対策課企画官 消費者庁でございます。
私からは、国及び都道府県の特定商取引法に基づく法の執行状況ということで、平成20年度から平成23年度について御説明をさせていただきます。資料1-1及び資料1-2に基づいて、御説明をさせていただきます。
まず、資料1-1、これは都道府県による処分の状況でございます。平成20年度から平成23年度にかけまして、3件、特定商取引法による行政処分または指導を行っております。
直近時からいきますと、平成23年9月2日、株式会社K.R.Cに対する業務停止命令ということで、和歌山県が6か月の業務停止命令を行っています。業務停止命令の具体的違反事実につきましては、いわゆる販売時における勧誘目的の不明示、不実告知が中心になっております。不実告知につきましては、例えば、今、太陽光のちょうどモデルキャンペーンということで、実際に設置費用がかからないというような形で勧誘をしておきながら、実際は高額の費用を徴求しているという事例でございます。
平成21年11月26日には、株式会社ワールドエナジー及び株式会社サン・ビックプライスにつきまして、北海道が業務停止命令12か月という行政処分を下しています。これもまた同じく、販売目的あるいは不実と同時に、書面の記載不備、迷惑勧誘も行っていたということで、行政処分においては最も重い12か月の処分をしたという事例でございます。
更に、さかのぼりますと、平成20年10月20日、たくみ住設こと水田清一に対する指示処分。これは業務停止命令ではなく、役務提供に関する勧誘時の書面不交付だけであったということもありまして、指示処分ということで、3件のものが過去3年間で行われているという状況でございます。
続きまして、消費者庁で処分をした事例でございますけれども、資料1-2にございます朝日ソーラー株式会社に対する指示処分ということで、昨年の10月25日付で処分を行っております。違反内容については、再勧誘の禁止、迷惑勧誘の禁止に違反するということで、こちらの指示処分を行っております。
私からは以上でございます。

○消費者庁片桐表示対策課長 消費者庁表示対策課の片桐でございます。
引き続きまして、資料1-3というのがございますが、景品表示法の観点からの行政処分等の状況について、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、景品表示法に基づく行政処分、措置命令でございますけれども、平成23年7月に、株式会社日本ホットライフという事業者に対しまして、景品表示法に基づく措置命令を行っております。1枚おめくりいただきました別添で、措置命令をした際のニュースリリースをつけてございますが、簡単に措置命令の概要についてお話し申し上げたいと思います。
このホットライフでございますけれども、平成21年10月ぐらいから、住宅用太陽光発電システムを供給していたということで、戸建ての住宅などにチラシを配布していたということでございます。そのチラシの一部が下に色刷りで載っておりますけれども、4kW型の発電システムを設置した場合の利益等につきまして、「電気買取り価格2倍引き上げで、(年当たり)192,000円の節約」「単純利回りは、なんと約8.0%!!」「導入費用の回収期間は13年となり、回収後の13年以降は、しっかり貯蓄にまわせます」、こういった表示を行っていたというものでございます。
当庁で調べましたところ、実際には電気買取制度はございますけれども、電力会社が住宅用太陽光発電システムの設置者から買い取りますのは、全発電量から自家消費分を除いた余剰電力のみであるということで、通常のパターンですと、余剰電力の割合は全発電量の半分をちょっと越える程度であったということでございます。
そういうことで、表示物に記載の節約のベースとなっていますのは、発電量すべてを電力会社が買い取ることをベースに計算したものでございまして、表示物に記載の節約19万2,000円は実際には達成できないものであったということでございます。
回収期間、利回り等につきましても、こういった節約の金額に基づいて算出されているわけですけれども、機械の破損、経年劣化等ございますので、保証期間経過後に機械の交換、修理等を要する場合がございます。所要の費用が発生するということで、ここに表示の利回り、回収期間というものは実際に達成できるものではなかったということでございます。
以上のとおりでありまして、これらの表示につきましては景品表示法の有利誤認に当たり、措置命令を取ったということでございます。
太陽光発電システムは、本日の議題になっていますが、注目度の高い分野であるということで、太陽光発電システムを導入する際に、それによって得られる予想利益を重視して一般消費者の方はお買い求めになります。本件は、一般家庭が発電システムを導入するに際して得られるであろう予想利益について、現行では、実際にはない全量買取りに基づいて算出した金額を表示していたというものでございます。
措置命令は、違反行為が行われている地域、事業者の規模、違反行為の内容を踏まえて、一般消費者に与える影響を総合的に勘案して措置命令を下しているということでございます。太陽光発電システムについては、近年注目を浴びている、需要も増加しているということで、こういった成長分野の不当表示事案であるということでございます。本件につきましても、九州、中国、関西地区でかなり幅広く売上等が認められた案件でございまして、一般消費者に与える影響が大きいということで措置命令を行ったものでございます。
消費者庁が取った措置命令、景品表示法に基づく行政処分は、以上のとおりでございます。
なお、都道府県につきまして、平成20年から平成23年度まで、太陽光発電システムの販売業者等に対して、景品表示法に基づいて措置を取った例でございますけれども、こちらにつきましては特に該当はないということでございます。
私からは以上でございます。

○河上委員長 続きまして、経済産業省から説明をお願いいたします。

○経済産業省石崎商務流通グループ商取引・消費経済政策課長 経済産業省商取引・消費経済政策課でございます。
私からは、幾つかいただいている質問のうち割賦販売に関する御回答を申し上げたいと思います。
割賦販売法は平成20年に法改正いたしましたが、そのときに、特に個別クレジットについて個別のクレジット業者を登録制の対象とするほか、個別信用あっせん業者が、いわゆる特商法5類型に属する場合のあっせん取引を行う場合に、加盟店の契約のときとか、個別クレジットの契約のときに、一定の調査を行いその記録を作成保存する、そういったことなどが定められています。
事実関係でございますが、個別信用購入あっせんに関する相談件数をPIO-NETベースで見てみますと、平成18年には、8万7,253件が個別信用に関する相談件数でした。それが平成22年時点で2万9,510件となっていますので、約66%、相談件数は減っています。
日本クレジット協会が平成21年に「太陽光発電装置等に係る消費者トラブル実態調査」というのを行いまして、それでの比較を見てみました。当時、太陽光発電装置等を取り扱っている事業者が153社中22社ありました。この22社のうち、現在でも太陽光発電を取り扱っていることが確認できたのが13社でございますので、半分くらいまで、太陽光発電自体を扱っている事業者も減っておりますので、個品割賦をめぐってのところで言えば、本件に関するトラブルは減っていると考えられると思います。
クレジットについては以上でございます。

○資源エネルギー庁村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 続きまして、資料2に基づきまして、バックグラウンド、商品の性格の御説明も含めてやらせていただきます。
めくっていただきまして、2ページ。シリコン云々はおいておきまして、現在、住宅用では、屋根に乗せるのと4kW程度の出力が主流でございます。販売価格にすると、kW当たり50万~60万というところが多いので、コストにすると工事費込みで約200万円程度、補助金なしの状態。発電量は右下のボックスに書いてございます。数字の絶対値はともかくとして、発電の量としては、一般家庭の年間の消費電力よりも普通、多くの電力を発電いたしますが、当然、昼間に発電が集中しますので、昼間は余る一方、夜は買わなければいけないということで、平均的に申し上げますと、従来の電力消費量は平均すると半分に落ちる。かつ、余った分は電力会社に売れる、こういったものでございます。
導入支援制度の流れということで言いますと、大きく補助金と買取制度というものがございます。3ページ目、21年1月に住宅用太陽光発電の補助金の開始。これは正式に言うと、3年のお休み期間を経て再開いたしました。今で言うと、1kW当たり4.8万円の補助を実施ということで、したがいまして、4kWのシステムで20万円弱の補助金が出ているということでございます。200万円のものに対して20万円程度の補助金。都道府県もところによってはのせておりまして、多分、一番条件がいいのが東京都世田谷区で、プラスこれに40万くらいのりますので、150万下回るお値段でお買い上げいただけるという状況でございます。
ただ、次のページを見ていただきまして、併せて、平成21年度11月1日から余剰電力買取制度というものが始まっています。従前も、屋根の上にパネルを乗せていただければ電力会社が安い電気料金で買い取ってはいたのですが、平成21年からは、政府が決めた価格で10年間買い取り続けなさいという、いわば現在議論中の固定価格買取制度を、余剰電力分について住宅用太陽光のみ買い上げるという形で、先行的に住宅用太陽光の固定価格買取制度がスタートしています。現在の買取り価格は42円/kWということで、今、御家庭の平均的な電力使用量が300kW、電気料金7,000円というのが普通でございます。
これを平均的な日照でやりますと、電力会社から買わなければいけない電力料金は約半分、3,600円くらいに落ちます。3,400円分は、発電をしてなお昼間は余りますので、それを電力会社に42円で売りますと、平均9,000円くらいということでございます。9,000円売れて3,000円得すると、月当たり1万2,000円程度キャッシュフローが起きますということですが、ただ、初期投資が150万~200万の間かかるということで、回収には12年から13年程度かかるのが平均的なケースです、というふうに御説明を申し上げております。この期間にパネルが壊れなければ実際にそれできちっと回りますし、これまでの実績を見ると、一部機器の交換が必要になる場合もありますが、普通の場合はそれで回っているということでございます。
ただし、屋根の向きとか構造といった問題がございます。これは、通常南を向いている普通の屋根の場合のケースでございまして、北向きの屋根しかないとか、完全に屋根が西を向いているということになりますと、1万2,000円、9,000円売れるはずだと言っているものが、5,000円、4,000円となっていく。これは機械の問題というよりも、屋根の向きの問題、構造の問題なのですが、万やむを得ないということで、うまく入る場合、入らない場合があり、訪問販売のときのセリフとは違うではないかといったお話が出てくるということでございます。
次のページは、菅総理に首をかけて通していただいた固定価格買取制度の、まさに来年7月の施行に向けて価格を決める作業をやりつつあるということですが、ちなみに、住宅につきましては全量買取りではなく、引き続き余剰買取りとする方向でございます。したがいまして、制度的には実は固定価格買取制度が始まりましても、住宅向けはほとんど変化がございません。ただし、価格水準につきましては、新しいスキームの下にできる委員会が決めるということですので、現在の42円の水準から若干下がることになるか、ならないかということでございます。
これが一つでございます。まだ検討中のため紙を持ってきておりませんが、若干トラブルの種になり得るということで少し心配しておりますのは、これまでは各家庭の住宅で御自身が発電するということだったのですが、今度の新しい制度では、屋根貸しモデルというのを解禁する方向でございます。これは、やはり御家庭で百数十万円の初期投資は非常に厳しい。加えて、本当に壊れないのかというところは、消費者の方から見ると御不安という意味でも、プロの事業者が屋根を貸していただければ設置いたします、売電収入も事業者の方でいただきますが、屋根を借りた代金を消費者の方にお支払いをするという形でやらせていただきます、こういうことでございます。
このモデルの形式自体は、事業者は、自分が損をいたしますから、設置しにくい屋根には設置いたしませんので、避けられるとか、それだけの初期投資負担に耐えられない方にとっても、地球全体、エネルギーをグリーンにするのに協力できるという意味では基本いいことなのですが、ただ、詐欺的な訪販の口実にもなりやすい面があるということで、こういった制度を検討するというふうに大臣にアナウンスしていただくと同時に、早速そういった詐欺等が出ないかどうか、引き続き注視をしている状況でございます。
次のページに普及件数が出ています。平成18年まで補助金制度実施期間というのがございまして、これは、買取制度がない、したがって電力会社が安い値段で買い取っている、補助金だけに頼って普及してきた時期でございます。
実は平成12~13年ごろ、2000年前後くらいまでは、まさに今日、朝日ソーラーさんの件が出ておりますが、屋根の上には、どちらかというと太陽光パネルよりも太陽熱をのせる方が主流でございました。余り言ってはいけないのですが、熱効率から言うと、実は太陽熱の方が単純にカロリー換算したエネルギー効率は上でございます。ところが、当庁にも大変御迷惑をおかけしておりますように、太陽熱業者は訪販でも特に悪質な業者が多かったものですから、全体的に消費者からの信頼が著しく傷ついておりまして、本来であればいいはずの太陽熱が、実際にはそのブランドが傷ついたことによって、今やマーケットの主流は太陽光パネルに取って代わられている。そこでも健全なある種のマーケットメカニズムが働いているということではございますが、逆に言えば、太陽熱の方でも引き続き悪質なケースは残っているということでございます。
そういう意味では2000年代、舞台を太陽光に熱から移しまして普及したのですが、平成18年に一たん、高額補助金だということで補助制度が中止になりました。そこで年間導入量が減ったのですけれども、平成20年度、またこれをやろうということになりまして、補助制度が復活すると同時に、固定価格での余剰買取りがスタートしたということで一挙に導入量が増えている。正直申し上げまして、これに合わせて相談件数も増えている、こういう状況でございます。
相談件数のパターンといたしましては、太陽熱は問題業者がいますので、引き続ききちっと見ていくということだと思いますが、先ほど申し上げました屋根の向き問題、場合によっては構造が弱いと、無理やりパネルを置くと、構造上、屋根にきしみが生じて雨漏りが出るとか、設置工事のクオリティがきちっとついてきているかという問題がございます。これについては、今、経産省と業界がガイドラインをつくるために、まずは業界が自主的な私制度ということで、PV施工士の資格認定制度をつくりたいと。無理な屋根の設置とか、向きの問題とか、解消する方向で働きかけていきたいと考えております。
もう一つ、先ほどの屋根貸しモデルのある種応用でもございますが、実は太陽光は裏にファンドビジネスがついてきています。これは、すべてが悪質というわけではございません。まとめて太陽光パネルを調達して安く入れてあげようという事業者が出てきているわけですが、太陽光パネルをまとめて安く調達して売る、その事業者に対してファイナンスをしようというファンドでございます。
10年以上安定して壊れなければ非常に手堅い収益が上がるのは、かなり事実でございます。先ほどの8%というのは行き過ぎですが、プロが計算しても、場所を間違えなければ5~6%の利ざやが見込めるということで、最低3%のリターンを必要とする年金ファンド辺りは、かなり手堅い商売として、まさに今後決める固定価格買取の価格が幾らになるのかを注目しているという意味では、ファンドという触れ込みのすべてが怪しい事例ではございません。中には、個別の紹介は差し控えますが、飯田市でやっている「おひさま進歩エネルギー」といったように、NPOモデルから始まって、非常にいい新しい公共サービス、民が担う公共サービスとして定着しているケースもございます。ございますがゆえに、実際にはファンドなどは組んでいないと思いますが、逆にそれをかたるといったセールストークも出ているのが現状ではないかと見ております。
最後に7ページでございます。まず、御指導いただいたことも踏まえまして、一般社団法人太陽光発電協会、これは、パネルメーカーのシャープとか、京セラとか、サンヨーとか、中国のメーカーもこの団体に入っています。自分たちで費用を出し合いまして、相談窓口を設置してやっております。右下に、販売、補助金・買取制度の問い合わせ、性能、施工品質等々ございますが、ただ、実績は、相談件数はまだ700件くらいにとどまって、多くは国センの方に相談が行っております。まだまだ国セン頼みになっているという状況でございますので、更に、相談窓口で相談しやすいようにというようなこととか、会員企業に対して、悪質商法を自分たちでモニタリングできたものに対して、こんなファンドをかたっているやつがいるとか、こんなパターンがありますというようなことでの注意喚起と、研修会の実施を各メーカーベースでやってほしいと。大手メーカーは大体年2回以上、各社の販売店等に対してやっているようですが、そういった努力、ないしは、平成23年度では全国29か所で説明会をやらせていただいております。
国センのデータでのソーラーシステムというのは、熱とパネルと両方含めての件数だと思いますが、やはり訪販出自の業界ということで、訪販系のトラブルが多いですが、被害内容の実質を見ると、一番多いのはクーリングオフや解約の関係ということで、それが深刻なトラブルに最後まで引きずるという件数が多数を占める、という事態にはまだなっていないようでございます。
施工についてのトラブル事例というのは、施工についての相談というのは、どちらかというと協会の方を中心に来ますが、トラブルになっているというのは、まだそんなに多くはないということのようでございます。ファンドをかたるような証券詐欺というのも、相談はございますが、実際に取られて空振りをしたといったところまで行った事例は、極めて少数派か、余り多くは確認されていないということです。
ただ、固定価格買取制度が7月施行ということで社会的に盛り上がってくると、自分も大変びっくりしたのですが、朝日新聞の1面で、土曜日に、大臣が屋根貸しモデルを今年解禁するといったら、月曜日に、屋根貸しモデルで私はやっていますので、屋根を貸してくださいというのが、制度も決めてないからできるはずないだろうというのに、早速出てきたという情報をキャッチしました。やはり侮り難しということで、脇を締めてかからなければというふうに考えているところでございます。
なお、御質問にありました消費者相談センターの体制でございますが、現在、事務局員10名が併任で対応しておりまして、これまで延べ700件ということでございます。
それから、一部国センの方で新しい課題として取り上げていただいたネタとちょっと別種のネタとして、今年の冬のネタですが、積雪対応というのがございました。パネルを設置した屋根から雪が落ちてきて、それが器物損壊に当たった例という、詐欺商法的なものとは別の類のトラブルも出てきています。こちらについても、状況を引き続き注視してまいりたいと思います。
8ページには、各種メディアの広報を書いてございますが、こちらは、各種メディアを通じてやっておりますということでごらんいただいて、最後に9ページでございますが、引き続き注意喚起と、品質向上ということでのPV施工士認定制度を含めてやる。それから制度の周知ということで、正確な制度の周知ができるようにといったことも含めて、引き続き対策を経済産業省自身としてもとっていきたいと思っています。
ただ、まだしばらく制度施行に向けて増えるのではないかと思いますので、引き続き消費者庁の皆さんにも御指導いただきながら、状況をよく見つつ、日本の再生可能エネルギーの拡大に向けて頑張っていきたいと思っている次第でございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 御説明、ありがとうございました。
化石燃料への依存を減らしていくライフスタイルを指向することからも、太陽光発電には非常に期待しているところです。そのために家庭用の発電装置が安心して買える状況がないといけないというのは、今までの御指摘のとおりだと思っております。経済産業省におかれましては種々の対策をとられているようですけれども、やはり一番消費者が気になるところは、自分のところでやったときに、予想利益が果たしてちゃんと出るのかどうかというところではないかと思います。先ほどの御説明だと、屋根の向きに大きく影響を受けるということがあるようですので、平均的あるいは一般的な予想利益の説明のほかに、個々に対するある程度の説明といいますか、おたくの場合はこっち向きだから、これの何割ぐらいしか出ませんというのがある程度わかるようであれば、安心して意思決定ができるのではないかと思います。
協会なり相談センターで、そこまできめ細かくできれば理想的かなとも思いますが、一方で、10名の方が兼務なされているという御説明がありましたので、なかなか現実は難しいと思いますけれども、いずれその辺ができてこないと、なかなか安心して買うという意思決定はできないのではないかというふうにも思います。
一方で、悪質業者は、相場のわからないものを商材にするというのが定番になっております。まさに今、太陽光発電装置が相場がわからないという状態にあるがゆえ、悪質業者も入り込みやすいのかなというところもあります。そういうことからも、更にわかりやすく消費者に必要な情報が行くような手立てをとっていただければありがたいと思いますし、消費者庁におかれましては、特商法の適用を、自治体だけではなく国においても厳格にする。景表法もしかりだと思いますけれども、悪質業者が入り込まない、すき間をつくらないという対策を進めることによって、太陽光発電の普及が進んでいけばいいなというふうに思っております。
以上です。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 今、吉田委員が言ったように、本当に伸びてほしい業界なのですが、普通の電化製品と違って、3つ、消費者にわかりにくい部分があります。
1つは、売電の電気料金が一体幾らになるのかということ、これはなかなか素人にはわかりにくいわけです。
2つ目は補助金です。委員会で調べてみたところ、現段階では、基本的なパターンですと国の補助金は16万8,000円ですが、東京都は35万円、千葉県はなし、神奈川県は5万2,000円という補助金がある。更に、例えば柏市は補助金がないけれども、練馬区は8万円あって、川崎市は8万7,000円あるという具合で、都市によってばらばらなのです。補助金の給付要件もいろいろ違っているということで、これはなかなか消費者にわかりにくいわけです。
3つ目が施工です。パネルをつける、パワーコンディショナーをつけるということで、屋根にのぼって、消費者が見えないところで工事をするということがある。
この3つの問題があって、消費者はつけるという決断をするについて、心配があるわけです。伸びてほしいけれども、そういう心配がある。
他方で、これははっきり名前を言っていいと思いますが、朝日ソーラーは繰り返し行政処分を受けています。今日お配りいただいた資料で実際の事件の処分例を見ても、夜12時半になっていたとか、11時半ごろまで営業をしていたとか、もう1件も11時半。もう1件は帰ったのが12時過ぎだった、もう1件が3時間30分と。
実は朝日ソーラーは、岐阜の支店長をやっていた人物が新しい会社をつくって、そこでまた、消費者には絶対負担はかけませんといって、クレジットを組ませて契約させておいて、どんどん自転車操業をやって、数百人の契約をした後、倒産してしまったという事件が起こっているわけです。
そういうことを考えますと、まず消費者庁にお聞きしたいのは、朝日ソーラーの事件の関係で、特定商取引法の7条4号違反、省令の7条1号違反、つまり迷惑勧誘ということで処分をされているわけですが、彼らはわかった上でやっているわけです。こういう業界の信用を崩すようなところは、やはりきちっと取り締まってもらわなければ困ると思います。
しかも、残党がこうやってほかの地域で問題を起こしているということになりますと、貸金業法で、何時以降は債権の取り立てをしてはいけませんという規制がありました。投資用マンションの勧誘について宅建業法の取締りが緩いではないかということで、消費者委員会で建議させていただいたときに、国交省の方でも政令を見直していただきました。やはり夜間の投資用マンションの勧誘についてはよろしくないということで、さすがに時間は特定はいただけませんでしたが、夜間における勧誘については自粛するようにということで、かなり厳しい政令を出していただきました。太陽光関係でこういうことをくりかえしやっているわけですから、取引対策課では、夜間の勧誘についてはだめだということをもう少し徹底する、そういう省令改正なり何らかの形で運用はできないか。
それから、表示対策課においては、今、申し上げたような3つの問題があるわけですから、はっきり言って私は取締件数が少な過ぎると思います。まさに先ほど、エネルギー庁の課長がおっしゃったように、余りにいいかげんな太陽光パネルの宣伝が出ているわけですから、ここは消費者庁とエネルギー庁がタイアップして、これは需要を伸ばしましょう、伸ばすためには消費者が安心して契約できるようにしましょう。そのためにはちゃんと消費者庁が見張って、いいかげんな宣伝・勧誘については取り締まっていますというぐらいのところでやらないと、これは伸びないと思うのです。是非、表示対策課の方では、それこそ新聞チラシ、あるいは大手新聞でもいいですよ。これは明らかに行き過ぎだということになったら、すぐチェックするというぐらいの意気込みでやっていただきたい。
エネルギー庁にお願いしたいのは、契約書を業界団体に行って見せていただいたのですが、チェック項目が余りにもルーズなのです。業界団体の方では、複数の見積もりを取ってくださいということを消費者に推奨していますとおっしゃるのですが、実際上、消費者はなかなか複数見積りは取れないと思うのです。
そういう中で、業界のチェック項目は、契約書の内容について説明を受けましたか、補助金について説明を受けましたかというチェック項目になっているのです。こんなのではチェックにならないではないですか。やはり、契約のこういう内容についてわかりましたかとか、補助金については幾ら出るとあなたは聞きましたかとか、あるいは、売電については幾らの見通しを聞きましたかと、具体的に書いてもらう。実際に契約したものと現実とがどうなるかというのを、後でチェックできるようにするぐらいのシステムをつくって、それを推奨するというぐらいにやらないと、消費者が安心して契約できるようにならないと思います。私は伸びてほしいと思うがゆえに、是非、3つのセクションにお聞きしたいと思います。

○河上委員長 いかがですか。

○消費者庁鈴木取引対策課企画官 まず、特商法について考え方を述べさせていただきます。確かに取り立て行為となると、明らかに消費者にとって迷惑といいますか、また、周辺状況に対して迷惑をかけるということで、これはだれも否定しないことだと思いますけれども、いわゆる商品にあっては、特に太陽光だけではなくて、例えば高額なものを買うとなると、やはり世帯主との相談ということになって、どうしても仕事の関係から夜遅くなってしまう状況もある。そうすると招請勧誘は許されるのかといったことになると、いくら基準をつくってもなかなか難しい。
そういう意味では、特定の商品だけにそういったハードルを設けること自体が、特商法の保護法益に関して妥当なのかどうかというのも慎重に検討しなければいけないということになると、通達のほか、訪問販売協会が自主的にやっているような、一定の協会の中のルールを協会の中で遵守していただくというのが現在の考え方であります。それが、やはり効果的に運用しないとなると、そこは一定の商品、一定の取引についてハードルを設けることも検討せざるを得ないことになるかもしれませんけれども、現段階では、そのようなところまではなかなか行き着いてはいないというふうに考えております。

○消費者庁片桐表示対策課長 消費者庁表示対策課の取組によって、業界全体に対してアナウンス効果といいますか、消費者に適正な情報を開示する、表示するといった、業界全体として適正な取引の方に向かう流れに持っていくことが必要であるという委員の御指摘は、全くそのとおりだと思っております。
表示対策課は、限られた人数ではございますけれども、業界全体が適切な取引に向かっていくようにする観点から、さまざまな取組を工夫してみたいと思いますし、当庁だけですとなかなか限界もございます。都道府県とか、公取の地方事務所もございますが、連携を取って、そういった観点で取組を進めていきたいと思っております。

○資源エネルギー庁村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 吉田、山口両先生の御指摘は本当にそのとおりでございまして、消費者庁にも御指導をいただきながら、御指導いただいた点をどう取り組めるか検討したいと思います。ある種の産みの苦しみなのだと思いますが、ここを耐えて初めて、石油会社、電力会社頼みのエネルギーを消費者自身が生めるエネルギーに取り戻せるということだと思いますので、頑張りたいと思います。
1点だけ、ちょっと補足で、消費者に発電量をどれくらいわかりやすく示せるかというところですけれども、これだけは本当に魔物のようなもので難しくて、日本でも、例えば北海道で一番日照がいいのは十勝だったり、その十勝でもちょっと山ひだに入るとあっという間に悪くなったり、先ほどの長野県の飯田市はめちゃくちゃいいのですけれども、それは浜松よりもいいとか、本当にその現場に入らないとわからないというところが非常に多うございます。逆に統一ガイドラインというのは混乱を生む可能性もあるものですから、PV施工士と申し上げましたが、どうしてもそこでもう1飜、流通のプロを介在させないとなかなか難しいのかなという意味では、施工士制度の確立ときちっとした正確な国からの情報提供、これが対策の車の両輪になるのではないかと思っております。

○細川委員 先ほど村上課長のお話で、太陽熱温水器の方が本当は効率がいいけれども、市場で悪質な業者がいっぱいいて信用されなくなったから、太陽光発電の方にというお話がありましたけれども、私はこの話を聞いて非常に驚きました。
消費者法制を進めようとすると、必ず過剰規制だとか営業の自由の侵害だということで、どんどん萎縮してしまうわけですけれども、今のお話を聞くと、適切な規制をしないことは、消費者の保護につながらないだけではなく、真っ当な事業者が損をすることでもあり、かつ、適正なビジネスの進展を妨げ、本来進むべき産業を阻害して、国民経済あるいは持続可能な経済に重大な影響があるということの証明だと思います。まさに今までの考え方にとらわれず、もう少し発想を変えて行政規制というものを考えなければならないというふうに感じました。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 2点だけ。鈴木企画官に是非お願いしたいのですけれども、投資用マンションの勧誘について、国交省がどういう改善をしたか調査してください。やはり夜中の9時、10時に勧誘に行くことについては基本的にだめだというところは、ちゃんとやっていいのではないでしょうか。本当に国策でこれから太陽光パネルの増設をやらなければいけないわけですから、それに消費者庁も協力するぐらいのスタンスを持って、促進のために何が役に立つのかぐらい考えてくださいよ。一般論ではなくて、是非お願いしたいと思います。
それから、村上さんの方ですが、御存じだと思いますが、要するにPV施工士が育っていないわけです。ほとんど経験のない職員がベテランのように装って工事をして、かえって屋根に穴を開けてえらいことになるということが、まかり通っているわけです。その意味で私はPV施工士の普及は大切なことだと思うので、例えば、PV施工士を使った場合には補助金が5,000円上乗せになりますとか、何かそういう形でPV施工士の普及を急ぐような政策をとるとか、その辺の工夫の余地がないのか。
先ほど、吉田委員に対してはガイドラインをつくるのは無理だとおっしゃったけれども、少なくとも施工の前に、あなたのこの屋根だったら1か月に何kWぐらい出ます、どのぐらいの売電ができますぐらいの数字は見積もらせるべきですよ。その上でちゃんと計算する。ところが、ほとんどは行ってその日に契約して、もうその次は工事なのですから、余りにいいかげんなのです。その辺は業界としてきちっと改善していく必要があると思います。これは、悪い例がそうだということを言っているわけで、もっときちっとやっている業者はたくさんいますが。

○資源エネルギー庁村上省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 1点だけ。自分で自分の首を締めるようですが、さすが悪質業者と思ったのは、PV施工士の研修制度はまだ立ち上がっておらず、今年度は、経済産業省の予算でまずは研修講座を実際にやってみたという段階なのですが、早くもPV施工士研修詐欺というのが出ています。私はJPEA認定の研修講座で、年間200万で取れますから早く200万納めなさいというやつが出ていまして、さすがに引っかかった人はまだ少ないようですが、これも乱暴に立ち上げると、今度は200万取られたという業者が出てくるのではないかと。
ただ、御指導のポイントは全く同じでございます。したがって、良質な施工士たりうる人材をどれだけ早く育てられるか。実態がついてくれば制度もうまく回るし、きちっとした認証・認定も出せる。そういう形でPV施工士が必要な量広がれば、今度はメーカーの方も、PV施工士の資格を持っている人以外に設置工事をやらせないということを、自主的に民民ベースのマーケットのルールとしてできるようにもなるということで、御指導をいただいたとおり、早くそういう実態に近づけるべく頑張るということではないかと思っております。

○河上委員長 先ほど石崎課長から、設置工事自身の数はどんどん増えているけれども、トラブルは比較的そんなに増えていないという話がありましたけれども、これは、先ごろの割賦販売法の改正だとかいろいろなことで、クレジット会社による業者に対する監督とか、加盟店管理が強化されたことと関係があると考えていいのですか。

○経済産業省石崎商務流通グループ商取引・消費経済政策課長 割賦販売法の改正自体は、太陽光を念頭に置いたというよりは、正直申しますと、個別クレジットを利用した過料販売やリフォーム詐欺等の消費者トラブルとかなどを念頭においた対応でございました。ただ、割賦販売法改正の結果として、加盟店管理が厳しくなったことによって、個品割賦による太陽光のトラブルも減ったのではないかと、実態としては言えると思います。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
今日は、どうもありがとうございました。原子力に代わるエネルギーということで、今、大変注目して、国としても推進されているわけです。そうである以上、消費者にとって安心のできる契約環境をつくっていただく必要があって、先ほど来、委員からも話がありましたけれども、契約の段階で、メリット・デメリット、コスト面のことも含めて、的確な情報が個々の消費者に渡るように徹底していただきたい。それとの関連でもPV施工士、電気系統を扱うわけですから、そういう専門家をきちんと養成してこの契約に携わらせるというのは、委員会としても、大変大事なことだというふうに思いますので、是非お願いしたいと思います。
ただ、特商法の厳格な適用で、問題の対処は、かなりのところまで行けるという感じが致します。ですから、不適切な勧誘行為に対して、一歩踏み込んで、厳格な適用を毅然としていただいて、取り締まるべくはきちんと取り締まっていただくことを是非お願いしたいと思います。
なお、本件につきましては、今後も、消費者委員会の議題として今後も随時取り上げていきたいと思っております。
本日は、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.食品表示一元化について≫

○河上委員長 続きまして、「食品表示の一元化について」であります。食品表示の一元化につきましては、消費者委員会において、消費者基本計画の検証・評価・監視の関係省庁ヒアリングの中で、これまでに消費者庁からヒアリングを行ってまいりましたほか、昨年12月には糸田省吾社団法人全国公正取引協議会連合会副会長においでいただいて、意見交換を行ったところであります。
消費者庁におかれては、昨年9月から食品表示一元化検討会を設置して、そこで議論を重ねられておりまして、このたび、「食品表示一元化に向けた中間論点整理」をまとめられたと聞いております。本日は消費者庁においでいただいておりますので、その中間論点整理について御説明をいただいて、議論を行いたいと思います。
恐縮ですが、説明は10分以内でお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁神宮司審議官 消費者庁審議官の神宮司でございます。本日は、食品表示一元化検討会の中間論点整理について説明させていただく機会をいただきまして、大変恐縮でございます。
それでは、資料3-1以下が説明資料になります。
まず、資料3-1でございますけれども、経緯が左側に記載してございます。食品表示の一元化につきましては、消費者基本計画にかねてから盛り込まれていたものですけれども、平成23年7月の閣議決定で基本計画が一部改定された際、平成24年度中、平成25年3月までの法案提出を目指すことが決定されたということでございます。これを受けまして、平成23年9月から食品表示一元化検討会というものを開催いたしまして、これまで6回、会合を開催してまいりました。お手元の資料のうち、3-2以下でお示ししたものが、その第6回の会合で提出した資料です。その日付にございます2月21日というのが、ちょうど第6回の検討会が開催された日付ということになります。
検討会でも、中間論点整理につきましてはいろいろ御意見がございました。このため、資料3-2という形で提出いたしました中間論点整理案を、現在、修正を検討しているところでございまして、お配りしたものはその修正前のものでございます。この点、大変申し訳ございませんが、まだ修正作業が終わっておりませんので、そのような形とさせていただきました。
中間論点整理の内容について御説明させていただきますけれども、まず、中間論点整理案の位置づけは、いわゆる中間報告といった性格のものではございません。その意味においてはまさに文字どおりの論点の整理でございまして、方向性を示す形の部分というのは基本的にこの中に含まれてございません。例えば資料3-2の2ページ、「食品表示の目的について」という形で論点を設定してございますけれども、これについての主な考え方は、「考え方」1-1から1-4まで、幾つかの考え方を提示しておりますが、この中のどれか一つが特定の方向性を示すということではございません。
食品表示を規律している現在の法律といたしましては、食品衛生法、JAS法、健康増進法という3つの法律が、現在、食品一般に関して表示に関する根拠を定めた法律ということになりますが、この三法いずれもそれぞれ目的が違っております。2ページの真ん中のところにもございますけれども、JAS法は品質という切り口、食品衛生法は衛生という切り口、健康増進法は健康・保健という切り口になっています。
考え方1-1では、これら多様な目的を持っている3つの法律を統合するに当たっても、それぞれの目的を並列して目的に掲げるという考え方を一方で提示しているわけでございます。これに対して考え方1-2では、表示の直接的な機能であるところの消費者の商品選択に資する、その機能の部分に絞って新しい食品表示法の目的も考えてはどうか、という形で考え方を提示しているということになります。
以下、ほかの論点も同じでございますけれども、そのような形でそれぞれの論点について、一方の極から他方の極までの考え方を中立的な形で提示させていただいているのが、この論点整理でございます。
各論点の趣旨だけ簡単に御説明いたします。4ページの論点2-1については、簡単に言えば、表示を義務づける事項の範囲をどうするか。表示の義務づけの範囲の外にある、任意の表示事項についてはどうするのかということについて、論点をまとめたものでございます。前者の方が2-2-1から2-1-3までということで、義務づけする表示事項の範囲に関しましても、ここではいろいろな考え方を中立的に述べているということでございます。2-1-4から2-1-6までは、任意の表示事項について、表示すること自体は任意とした上でどのような規制を及ぼすか、ということについてさまざまな考え方を述べております。
6ページの論点2-2では、わかりやすくするためという切り口で書いておりますけれども、わかりやすくするためと書いてあるこの文章自体について、若干わかりにくいところがあったようでございまして、その意味でここの部分は、現在の修正作業でかなり手が入ってくるところになるかと思います。
最終的には、現在の整理で言えば、わかりやすさというのも幾つかに分かれるのですけれども、一つは用語です。現在、三法の目的が違っておりますので、定義が必ずしも同じではないという部分がございますので、そういった用語の観点からのわかりやすさ。もう一つは、表示面積、あるいはそれに対応する形での文字の大きさということになるかと思いますけれども、見やすさという意味におけるわかりやすさ。最後に、現在のところは容器包装だけに限定した表示になっているわけですけれども、それ以外の媒体を活用することによってわかりやすくなるかどうかといった、幾つかの論点になってこようかと思います。
8ページの論点3は、現在、表示規制がかかっているもの以外の販売形態に対して、表示規制を及ぼすかどうかという論点でございます。現在、極めて大ざっぱに言えば、生鮮食品のほかは、容器包装されたものに関して表示の義務づけがなされておりますけれども、それ以外の形態、例えばばら売り、量り売りといったもの、インターネット、カタログ販売といったもの、ほかに、惣菜とか外食とかいろいろな形態のものがございますけれども、それについて表示の義務づけを課していくのかどうか。
もう一つは、仮にこれらの販売形態に対して表示の義務づけを課すとしても、容器包装について現在課しているものと同じ範囲のものを課すのか。そうではなく、それぞれの販売形態の特性等に応じて、表示を義務づける範囲を考えていくのかといったことも論点となっているということでございます。
抽象的でちょっとわかりにくいので、9ページのところで述べておりますけれども、例えば考え方3-6は、アレルギー表示についてはという形で、惣菜や外食についても義務化を考えてはどうかという形で、販売形態に応じて表示事項の範囲を考えていくという考え方を一つ出しているということでございます。これらにつきましても、どれか一つが特定の方向性を示しているということではございません。
以上、論点3つまでが総論的なものになります。10ページの4以下は、食品表示一元化の検討の中で併せて検討することになっている各論でございます。論点4は、加工食品の原料原産地表示でございますけれども、この問題については、委員会でこれまで御議論をいただいてきたところかと思いますので、内容的には省略させていただきます。4-1から4-6まで、特に方向性を限定することなくいろいろな考え方を書いてございます。
12ページにまいりまして、御案内のことではございますが、栄養表示については、現在、表示すること自体は任意とした上で、任意に表示する場合の表示の仕方等について規制がかかっているという形になっています。これにつきまして、まず、義務化すべきかどうか。義務化するといったときに、現在、任意で行われている栄養成分のうちどの部分を義務化するのか、ということについて考えているということでございます。
ただ、栄養表示の場合、数値を書いていくことになるわけですけれども、14ページ以下にございますように、表示値をどうやって設定していくかについては、栄養表示固有の論点がございます。栄養成分につきましては、同じ種類の食品であったとしても、食品のロットごと、あるいは個々の食品ごとにおいて、どうしても成分にばらつきがある程度出てしまうという問題がある一方、それは、長期にわたって食品を摂取したときに初めて、そういった栄養成分の身体に対する影響が出てくるわけでございますので、ばらつきのあること自体が問題だということではなく、それを長期に摂っていた場合にどうなるのかという観点から表示値の設定についても考える必要がある。そういう特性がございます。
したがいまして、実測値というものでなくても、計算値という形の設定も考えられることのほか、誤差の許容範囲を考えなければならないということが、栄養表示の表示値についてはそれ固有の問題が出てくるということでございます。
これが、中間論点整理で設定した論点ということになります。今後のスケジュール的なところにつきましては、資料3-1に戻っていただきまして、現在、中間論点整理案を修正作業中でございまして、これが終わりますれば、近々のうちに中間論点整理案を公表したいと考えております。その上で意見の募集を行い、また、意見交換会も実施して、幅広く御意見等を伺ってまいりたいと思っております。出た意見を踏まえた上で、第7回以降の検討会において、方向性に関する議論をしていくことを予定しています。
検討会のとりまとめ時期は、この検討会を始めますときに、本年6月を目途にということを座長にお願いしております。現在の段階におきまして、6月に向けてのとりまとめ作業を行っていくという姿勢でいきたいと思っております。勿論、目途は目途でございますので、寄せられた意見をまとめていく過程におきまして、できるだけ議論の熟度を高める意味において、とりまとめの作業にはそれだけのエネルギーを注いでいきたいと思っておりますが、一方で、平成24年度中の法案提出につきましては、閣議決定のレベルで決定されていますので、なるべく早い段階でのとりまとめを目指すことについては変わってはいないというところでございます。
説明が少し長くなりましたが、以上のとおりでございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方、発言をお願いします。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 御説明、ありがとうございました。食品表示一元化検討会は、私もずっと傍聴させていただいております。内容はよく承知しているのですが、食品衛生法、JAS法、健康増進法、3つの法律の中で表示を一元化しようという非常に困難な仕事に立ち向かう、御苦労さまだとまず最初に申し上げたいと思います。
食品表示につきましては百人いれば百の意見があるというふうに、なかなか意見がまとまらないと思っております。これから意見交換会、あるいはパブリックコメントにしても、そこで出される意見というのはそれこそ百人百様で、それもとりまとめるというのは至難のわざだと思います。24年度中に法案の提出を目論むのでしたら、ある一定のところで、消費者庁として責任を持って、英断でもってとりまとめていただきたい。なかなかまとめにくいものをまとめるには、かなりの英断が必要だと思っております。そこで、一つだけお願いがあるのですけれども、その際、やはり何といっても法律の実効性ということを十分に考慮していただきたい。生食用食肉の表示問題が、最近、せっかく表示の制度をつくったのですが、ほとんど守られていないという新聞報道があった。せっかく制度をつくってもそれを守らなければ何にもなりませんので、よくよく実効性をにらんだ形で法案整備をしていただきたい、そこだけをお願いしておきたいと思います。
以上です。

○消費者庁神宮司審議官 大変難しい課題であることもわかっております。他方で、この中間論点整理につきまして、ある程度ここで方向性を出していくのかと一種誤解をされていた向きもありまして、方向性を出す前に意見を幅広く聞くべきだという御指摘も受けてまいりました。中間論点整理というのはそういう意味合いで出してきたものということでございますので、至難のわざであるとはいえ、なるべく広く御意見を聞くという姿勢の下でのとりまとめを目指していきたいと思っております。
生食用食肉の件は、レバーにつきましては行政指導というレベルでの対応が前提になってございますけれども、生食用牛肉につきましては、昨年10月に施行規則の改正を行いまして、現在、食品衛生法上に基づく規制が可能な状態になっているところは御案内のとおりかと思っております。
ただ、先般、規格基準と表示基準と双方について都道府県で調査をさせていただいた際には、基本的には行政指導という形での調査及び指導方法を取っていたということで、遵守の状況について大変懸念される状況がございました。改めて消費者庁として、行政処分、場合によりましては刑事処罰を含めた対応につきまして、都道府県に対して改めて伝達いたしまして、厳正な対処を行っていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
村井委員、どうぞ。

○村井委員 本当にこれは大変な難題にお取り組みになっておられると思います。いろいろな御意見が出てくるのを、最大公約数とは言いませんが、わかりやすく、なおかつ抜け駆けがないようにということが大事だと思います。
ただ、問題は、食品はいろいろな視点で見られますが、一人の方もいろいろな生活シーンで使われるわけです。袋詰めの加工食品の場合はいろいろと書いてあるので、もっとこれもあれも表示してほしいとの要望が出ます。一方、ばら売りはスーパーのお惣菜売り場で売られているものについて、特段の表示なく一個売りで買っています。あるいは町のお惣菜屋さんでは、(下町などにいっぱい、おいしい伝統的な食材屋さんがありますが、)そこの煮物一つとっても同じような表示ができるのかどうか。それから、これは個人的な思いですが、例えばハレの日に一流レストランへ行って食事をする場合、老舗でそれなりの料金を払うところで、一々、この肉は○○の肉でカロリーはこうですと言われる、あるいは紙を渡されても、興ざめ致します。種々申し上げたように、いろいろな問題がありますので、先ほど田島委員がおっしゃったように、どこかの時点で消費者庁さんの英断で決めていただくしかありません。
ただ、食品産業は、国内外を問わずに、一次生産者から中小事業者の方、あるいは個人事業者の方もおられます。新たな表示制度が過剰になされますと、特に個人零細事業者を排除してしまうことにもなりかねないということを、同じ食品に携わる人間としては大変危惧いたしておりますので、その辺のところは御検討の中に入れていただければ幸いでございます。
以上でございます。

○河上委員長 何かございますか。

○消費者庁神宮司審議官 基本的に今の段階でございますので、中間論点整理に対する先行した御意見として、今の点については受け取らせていただきたいと思います。消費者、生産者の方を含めまして、食品表示の義務づけの範囲について、例えば拡大すべきであるというような御意見が、当然、一方にあるわけでございます。それについて、中小事業者を含めた製造者の方には、それは事業者側のコストに影響してくるといった形での御懸念というのが、一方にあるわけでございます。事業者側の利益と消費者側の利益の均衡という観点に立つと、この部分というのは、どうやってバランスさせ、ケリをつけるかというのは、非常に難しい問題だと思います。
コストの上昇というものは、事業者の方々は、それを御自身の経営の問題としてお話しになっているということだと思いますが、今、委員の御指摘にもありましたとおり、例えば著しいコストの上昇が、効率的な事業者をも市場から退出させる効果を持つということであれば、これは資源配分上の効率性に害するということにもなるでしょうし、また、コストの上昇が生産効率性を害するという側面も当然あるわけでございます。そういった意味でのコストの上昇は、何らかの形で消費者側の不利益になる側面もあるかと思いますので、これは、やや研究者っぽい言い方になってしまうかもしれませんけれども、消費者側のそういった不利益と、他方、表示の範囲が広がることによる利益とを衡量する、そういった視点で検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。

○河上委員長 ほかによろしいですか。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 田島委員、村井委員のおっしゃっていることはまさに同感です。今、コストの話もされましたけれども、消費者の立場に立って理解できる、選択しやすい、そんな表示の一元化を、これはもう閣議決定しているわけですから、大変でしょうけれども、是非まとめていただきたいと思います。
その中で一つ、皆さんこれだけは一致していると思いますけれども、8ページのウェブサイトやカタログ、ここの表示については皆さん異論がないと思いますので、是非これは入れていただきますよう、よろしくお願いいたします。

○消費者庁神宮司審議官 現状につきまして異論がないかどうかについては、意見を募集後において、また、何らかの形で御説明させていただきたいと思います。
消費者の方々の観点からまとめて欲しいとのお話しでしたが、消費者の姿勢としては、当然のことながら事業者の方々の御意見もお伺いするわけですから、事業者御自身、あるいは特定業界の御意見ということも含めて受けとめてまいりたいと思いますが、消費者庁として最終的に行う上では、基本的には、先ほど申し上げたような意味での消費者の利益と不利益との衡量いう観点からの検討になるのだと思います。
ただ、この問題が非常に難しいのは、食品表示というものについて、消費者によっても、どの部分について御関心があるかというのは当然違ってくるわけでございます。特定の消費者の方々が御関心の強い事項について例えば表示義務を課すというのは、それがコストの上昇に結びつくということであれば、一般消費者が最終的には何らかの形でそれに見合うコストを負担するという話でございますので、そういった意味での消費者の間での利益の衡量もやらなければならない問題と理解しております。今の段階で事務方は、検討会で積極的に意見を述べることは、時間の関係もあるので避けておりますけれども、私自身としては、そういった観点からとりまとめについてお願いをしていきたいというふうに思っております。

○河上委員長 いずれにしても大変なことで、過不足のない情報をきちんと食品につけていくというのは至難のわざでありますから、大変ですけれども、是非、本日の各委員の意見も参考にしていただき、法案の実現に向けて頑張っていただきたいと思います。どっちにしても食品というのは口の中に入れますので、その意味では、健康や安全性に直接関連する情報だけはきちんと表示していただく必要があって、その部分について、実効性のある、わかりやすい表示を是非お願いしたいと思います。ものに表示がなくても、例えば売る人に一定の説明義務をお願いするというような形で、説明義務とタイアップさせることである程度補完できる部分もあるかという気もいたしますので、今後、更に中間整理を踏まえて立法に向けて頑張っていただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

○消費者庁神宮司審議官 温かいお言葉をいただきまして、大変ありがたく思いますので、頑張らせていただきます。

≪4.公共料金について≫

○河上委員長 続きまして、「公共料金について」でございます。公共料金につきましては、消費者委員会において、昨年11月に、消費者基本計画の検証・評価・監視の関係省庁ヒアリングの中で、関連する施策について消費者庁からヒアリングを行うとともに、昨年12月以降公開されております、情報の収集・分析や、学識経験者あるいは関係省庁からのヒアリング等を重ねてきたところであります。
本日は、これまでの調査審議の結果を踏まえまして、建議をとりまとめたいと思います。お手元に資料4として、「公共料金問題についての建議(案)及び概要」を配付させていただいておりますので、これについて、小幡委員から説明をお願いいたします。

○小幡委員 少し時間が押しておりますが、建議案でございますので、私から説明させていただきます。
消費者委員会は、昨年9月、第2期がスタートして以来、公共料金問題に強い関心を持ってまいりました。特に細川委員は、かねてから公共料金問題を研究されてこられまして、山口委員長代理と私と3人でチームを組みまして、ほかの委員の方々からの意見も聞きつつ、有識者ヒアリングを重ねて、本日、ようやく建議の提案となったものでございます。
資料4-2をごらんいただければと思います。かいつまんで申しますと、かつて公共料金というのは、物価問題として、物価が上がっているときに、公共料金を余り上げすぎないという形で規制当局が関与するシステムでございました。ただ、このところデフレ時代になりまして、ほとんど値上げがない。そうであれば、本来もっと値下げしてしかるべきであるのに、実際にはされていないのではないか。現状の公共料金が本当に適正なものであるかというのを、消費者の視点から検証する仕組みが不十分なのではないかというのが我々の問題意識でございます。したがいまして、今回、資料4-2の2ページをめくっていただきますと、消費者庁、経済産業省、国土交通省に対しての建議を行い、24年8月までにその実施状況の報告を求めていきたいというのが提案でございます。
なお、公共料金というのはいろいろございますので、今回、直接の対象とならなかった個別分野についても、随時問題提起を行っていきたいと思っております。
それでは、「1 公共料金の問題に対する取組の推進」、建議事項マル1でございます。
消費者庁は、公共料金の決定過程の透明性及び消費者参画の機会を確保する観点から、以下の取組を行う必要がある。
第1、消費者庁は、消費者委員会と連携して所管省庁における公共料金に係る情報提供の実施状況についてのフォローアップを速やかに実施し、その結果を公表すること。
情報提供というのは、我々消費者が監視するという観点から最も重要なことであると思われます。
第2、消費者庁は、消費者基本計画のフォローアップの一環として、所管省庁における審議会委員の選任状況について確認を行っているところ、消費者の権利・利益を十分代弁し得る人材が実際に委員として登用されているかという視点からの確認も行うこと。
第3、消費者庁は、消費者の視点に立って、物価担当官会議申合せに基づく所管省庁との協議を的確に行うこと。
第4、消費者庁は、消費者委員会と連携して、従前物価安定政策会議において整理された課題のほか、公共料金に関する最近の議論の状況と技術革新の状況等も踏まえ、消費者、学識経験者、事業者、所管省庁等から幅広に意見を聴取する等の方法により、以下の課題について検討を行うこと。
以下の課題とは、まず第1に、情報提供すべき情報の範囲と方法。
第2に、消費者(利用者)の意見を反映させるための方策。
第3に、公共料金について消費者の視点からチェックするための第三者機関設置の必要性。
第4に、デフレ時代に見合った料金水準への「値下げ」を求めることができる仕組みのあり方(例えば、第三者機関からの「値下げ」の要請や消費者団体等からの「値下げ」の求め等の仕組み)。
第5に、公共料金の審査等における原価の査定が厳正に行われるような仕組みのあり方の検討でございます。
このような課題につきましては、資料の4ページの(4)に、「また」というところで記載しておりますが、消費者庁がごく最近、公共料金に関する研究会を立ち上げております。ここの場で是非、精力的に議論をいただくことも考えられると思っております。
5ページにまいりまして、「2 消費者の視点に立った取組の徹底」でございます。今回、鉄道運賃と電力料金を取り上げております。
まず、鉄道運賃についての建議事項マル2でございます。
国土交通省は、鉄道運賃等の決定過程の透明性及び消費者参画の機会を確保する観点から、以下の取組を行う必要がある。
第1に、国土交通省は、「鉄軌道の情報提供ガイドライン」に沿った情報提供を行っているとしているものの、鉄軌道ガイドライン自体が運賃等改定時を主に意識したものであり、横断的ガイドライン、そもそも情報提供はこうあるべきであるという横断的ガイドラインがございますが、そこに示されているような、運賃等改定後及び運賃等認可審査の際の事前の情報提供を念頭に置いたものとはなっていないとみられることから、鉄軌道ガイドラインの見直しを行い、適切に情報提供を行うこと。
つまり、我々が消費者の目線から、この料金で果たしてよいのであろうか、ということを検証するために十分な情報提供がなされていないことが指摘できるかと思います。
第2の、イでございますが、国土交通省は、一定の条件をみたした路線については、加算運賃として消費者(利用者)に相応の負担(受益者負担)を求めることを認めているところ、加算運賃を導入している路線の運賃回収状況や、長期間、加算運賃を継続する必要性等については、説明責任が十分に果たされているとは言い難いことから、当該情報についての確認を行い、適切に情報提供を行うこと。
なお、確認の結果、加算運賃の必要性が乏しくなったと判断される場合には、事業者に対して、加算運賃の見直しに係る適切な指導等を行うこと。
加算運賃と申しますのは、特定区間について、建設費の回収のために特に運賃を上乗せするという仕組みでございますが、かつて、国交省自身が示したおおむね10年、資本費の50%を回収した時点で廃止、減額すべきではないかという国会答弁もございますので、このような見地から、改めて見直すべきではないかということでございます。
第3の、ウでございますが、国土交通省(運輸審議会)は、審議の経過を消費者(利用者)に伝えるために、提供すべき情報(例えば、議事録、審議資料(配付資料、規制当局からの説明の概要等)、公聴会での意見の反映状況等)を拡大するよう検討すること。
また、鉄道運賃等の認可については、原則として運輸審議会へ諮問し答申を受けることによって、判断の透明・公正性を確保しているものとみられるが、説明聴取事案(軽微認定事案)として同審議会への諮問を経ない認可案件も存するので、審議会への諮問を必要としないと判断した理由や判断基準についても明らかにすること。
例えば九州新幹線の運賃などについては、一般的な消費者の目線から、果たして軽微といえるかという疑念もあろうかと思います。
第4の、エで、国土交通省は、他の審議会の例を参考にして、消費者の権利・利益を十分代弁し得るという観点から、運輸審議会の委員を選任することについて検討するとともに、運輸審議会一般規則に定める「利害関係人」の解釈について、例えば、日常的にその交通機関を利用する消費者(利用者)を含めることについて検討を行うこと。
利害関係人というのは公聴会の開催を要請できる人として定めているのですが、この者に利用者をもっと含めるべきではないかということでございます。
続きまして、9ページが電気料金でございます。電気料金については、建議事項マル3となっております。
経済産業省は、電気料金の決定過程の透明性等を確保する観点から、「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」における議論の結果等を踏まえ、料金を決定するために必要な情報の提供等に努める必要がある。
なお、電気料金については、今後、厳正な原価評価が行われるものと理解しているところ、当該評価を行った結果、適正な料金水準を上回っていると判断された場合に、電気事業法第23条に基づく変更命令(「値下げ」)が確実に行えるよう、法令等の見直し・整備を含めた検討を行うことが望ましいと考える、ということでございます。
そこの理由にございますように、東京電力については過去10年以上、値上げということが必ずしもなかったものですから、規制当局が原価というものを把握していなかったことが問題視されています。それから、何を原価に参入してよいかという議論も現在大変盛んに行われております。
次の10ページを見ていただきますと、電気事業法23条は、著しく不適当な場合には値下げを求めるというような、多少「伝家の宝刀」的な規定を置いていますけれども、現下の状況を考えますと、こういう仕組みを、きちんと的確に発動できるような環境整備を更に整えるべきではないかと我々は考えております。したがって、このような建議となっております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、この点に関して御意見のある方は、発言をお願いします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 ここまで建議ができるに至ったことについては、各委員に敬意を表したいと思います。せっかくですので、細川委員と小幡委員に、公式な委員会としての意見ではないと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
まず、細川委員には、1項の(4)で、消費者庁は以下の課題について検討を行うことということで、情報提供の範囲、方法、特にウでは、チェックの第三者機関設置のことなどについて検討してはどうかと書いてあります。ある意味では消費者委員会も、公共料金、物価についての基本的な制度の在り方については検討するのが所管事務になっているわけですが、その辺との関係も含めてどういう方向をお考えなのか、お聞きしたいと思います。
それから鉄道料金について、イで、加算運賃について建議として盛り込むことになっているわけですが、具体例としてここは特に問題ではないかというところがあれば、御指摘いただければと思います。
小幡委員については、これは委員会でこれから議論しなければいけないことだと思いますが、仮に東京電力が規制分野について値上げ申請をしてきた場合には、消費者庁に当然協議があると思いますが、消費者庁としてはどういう対応で臨めばいいとお考えか。あるいは経産省としてもどういうふうに対応していけばいいのか。その辺についてお考えがあれば、お聞かせいただければと思います。

○河上委員長 細川委員、お願いします。

○細川委員 初めに、建議事項1の4の辺りの御質問がありましたけれども、情報提供すべき情報というものは非常に限定的であって、必ず出てくるのは、事業者の営業の秘密とか競争上の秘密ということで、結局、国交省に情報を公開請求してもほとんど黒塗りで返ってきて、自分たち消費者が合理的な意見を言おうとしても、その材料がない。材料がなくて意見を言わせて、最後は合理的な意見ではなかったからはねるという悪循環に陥っていると思います。そういう意味で、競争がないから公共料金分野なのであるから、それが本当に競争上不利益を被る情報なのかどうかというところを、もっと議論すべきですね。それがなく、ただ公開していない情報だから企業秘密だということしかしていない。そこにメスを入れないと、消費者が自分たちの立場での意見を言えなくなるのではないかというふうに思います。
次に、(4)のウというのは、これは非常に難しい問題ですけれども、やはり第三者機関がそれをチェックする。しかも、原局、あるいは原局がある省庁から離れたところで、消費者、利用者の目線に立って意見を言う、そういう設置は必要ですけれども、問題なのは、そこで専門性をどう確保するかというところです。情報を分析するのに専門性が必要になるので、それをだれが担うか。アメリカのように非常に強力な消費者団体がいて、お金も人もあるということであればそれは民間に委ねてもいいかもしれませんけれども、日本はそういう状況ではない。そこでやはり行政的な機関ということになると思いますので、そうした中で、消費者委員会がその役割を果たすべきだという社会の合意ができれば、我々は、積極的にその役割を果たすための法改正とか、予算とか、いろいろあると思いますけれども、そういう努力はしていくべきではないかというふうに思います。
個別な建議の中での問題点ということですけれども、例えば鉄道運賃が今回建議の項目になっていますけれども、本当に消費者の目線に立った行政がなされていない分野だなというふうに思います。一つには、小幡委員から御説明があったように、今までは公共料金問題イコール物価問題だったのです。ということは、国民経済に影響があるような申請についてはチェックしましょうと、そういう視点しかなくて、消費者の権利に帰着していなかったわけです。逆に言うと、申請してきたものを少し下げさせればいいぐらいの観点しかなかったので、しっかり原価計算とかそういうものもしてこなかった。今、デフレ時代であることと、消費者庁ができて、消費者の権利に立った消費者行政ということを言っているわけですから、一人ひとりの消費者の利益、権利という視点から、その公共料金の申請が適切なものかどうかをチェックする、そういう仕組みづくりが必要ではないかと思います。

○河上委員長 小幡委員、お願いします。

○小幡委員 時間もないので、一言だけしか申し上げられませんが、経営財務調査委員会の報告書にも、過去10年以上、規制当局が原価を把握していなかったということが記載されています。つまり、もし値上げを申請することになったとしても、現行の料金が果たして本当に適正なものであったか、そこをまず検証する作業が当然必要になってくると思います。今までデフレ時代において、そこが十分なされていない、情報提供も不十分であったという実態がある中で、値上げしたいというそこの前提となるところの今の料金、そこでの原価をきっちり検証した上で、本当に適正な価格はいくらであったのか、改めてそこから出発して考え直すことが必要ではないかというふうに思っています。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかにございませんでしたら、この建議の案で、委員会としての建議としてお認めいただけますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○河上委員長 どうもありがとうございました。
なお、本件に関連しては、消費者庁が2月24日から公共料金に関する研究会を立ち上げて検討を開始しておりますが、当委員会からは、公共料金問題の担当委員であります、山口委員長代理、小幡委員、細川委員がオブザーバーとして出席しています。今後、その研究会の成果についても参考にしながら、また必要に応じて当委員会で取り上げていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

≪5.閉会≫

○河上委員長 以上で本日の議題はすべて終了いたしましたが、最後に、事務局から、今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
ただいまとりまとめました、公共料金問題についての建議でございますけれども、委員会終了後、5時40分、消費者庁の政務連絡室におきまして、河上委員長から松原消費者担当大臣へ手交を予定しております。その後、6時10分を目途に、消費者庁の記者会見室におきまして、河上委員長、それから担当委員も含めて記者会見を予定しております。
次回の委員会につきましては、3月13日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題につきましては、消費者基本計画の検証・評価・監視の今後の進め方につき、消費者庁からヒアリングを行う予定です。そのほか、追加の議事も考えておりますので、決まり次第、御連絡いたします。
4月以降の消費者委員会の日程につきましては、第2・第4の火曜日、16時から19時の中で、定例で行うことといたします。必要に応じて、金曜日の16時から19時の中で、これは予備日にしておりますけれども、開催することもございますので、御案内をいたします。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)