第81回 消費者委員会 議事録

日時

2012年2月14日(火)16:00~18:25

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 舟田正之   立教大学法学部教授
 山内弘隆   一橋大学大学院商学研究科教授
 消費者庁   長谷川消費生活情報課長
 独立行政法人国民生活センター   宮内相談情報部長 他
 消費者庁   黒田消費者政策課長
坂田消費者安全課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開 会
2.公共料金について
○説明者: 舟田正之  立教大学法学部教授
山内弘隆  一橋大学大学院商学研究科教授
 出席者: 消費者庁  長谷川消費生活情報課長
3.太陽光発電システムに係る消費者問題について
○説明者: 独立行政法人国民生活センター  宮内相談情報部長
4.消費者安全法に基づく国会報告について
○説明者: 消費者庁  黒田消費者政策課長
5.消費者安全法の一部を改正する法律案について
○説明者: 消費者庁  坂田消費者安全課長
6.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 公共料金関連資料(舟田教授提出資料)(PDF形式:46KB)
【資料2】 公共料金の今日的課題(山内教授提出資料)(PDF形式:320KB)
【資料3】 ソーラーシステムに関する相談の最近の状況(国民生活センター提出資料) 【資料4】 消費者安全法に基づく国会報告関連資料(消費者庁提出資料) 【資料5】 消費者安全法の一部を改正する法律案関連資料(消費者庁提出資料)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:30KB)
【追加資料】 「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告」に関する意見(案)(PDF形式:19KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。

○河上委員長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第81回)」会合を開催いたします。
なお、本日は所用により村井委員が御欠席となっております。
初めに、配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 「議事次第」と書かれたものの下に、配付資料の一覧を掲載しております。
資料1は、「公共料金関連資料」ということで、舟田先生から御提出いただいている資料です。
資料2は、同じく山内先生から御提出をいただいている資料です。
資料3は、ソーラーシステムに関する相談の最近の状況について、国民生活センターからお話を聞くことにしておりますので、その関連の資料です。
資料4は、「消費者安全法に基づく国会報告関連資料」です。本体もおつけしておりますので、ちょっと分厚くなっております。
資料5は、「消費者安全法の一部を改正する法律案関連資料」ということで、資料4と5については消費者庁提出の資料になります。
参考資料といたしまして、この間、2回委員間打合せを行っておりますので、1月31日のものと裏面に2月8日のものについて、内容を御紹介しております。
以上です。不足がございましたら、また、審議の途中でお申し出いただければと思います。

≪2.公共料金について≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。
本日は、当初予定していた「公共料金について」に加えまして、「太陽光発電システムに係る消費者問題について」、「消費者安全法に基づく国会報告について」、更に「消費者安全法の一部を改正する法律案について」を議題として取り上げたいと思います。
最初に、公共料金についてでございます。公共料金につきましては、これまで消費者委員会において、消費者基本計画の検証・評価・監視の各省ヒアリングの中で、関連する施策について消費者庁からヒアリングを行い、更に、惣宇利紀男財団法人関西消費者協会理事長・大阪市立大学名誉教授と、上智大学法学部長であります古城誠先生からヒアリングを行うなど、調査・審議を進めているところであります。
本日は引き続きまして、公共料金に関する有識者として、立教大学の法学部教授であられます舟田正之先生、更に、一橋大学大学院商学研究科教授であられます山内弘隆先生においでいただいておりますので、お二方から、公共料金に関する問題についてそれぞれ御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
進め方といたしましては、初めにお二方に順に御説明をいただきまして、その後、質疑を行いたいと考えております。全体としては1時間ぐらいを予定しておりまして、お二方それぞれから20分ぐらいずつ御説明をいただいた後、議論というふうにしたいと思います。
それでは、舟田先生からお願いいたします。

○舟田立教大学法学部教授 立教大学の舟田と申します。
私の専攻は経済法ということで、独禁法を中心に、自由競争が働かない部分では経済的規制についての法的な問題等を勉強しているものです。そういうことで公共料金については昔から少し勉強してきたのですが、実は今回お話をいただいて、もう十数年、公共料金を勉強していないなということを気がつきました。60年代、70年代は物価問題ということで公共料金は非常に大きな問題だったものですから、私どももいろいろ勉強をしたのですけれども、80年代から規制緩和ということで、競争をいかに導入するかということに経済法の多くの方の関心が集中したということもあります。
時間はございませんので、お手元に配付された資料1レジュメに沿ってお話ししたいと思います。20分ということですので、駆け足でお話しさせていただきます。
まず、Iの1です。公共料金に関するいろいろな問題で、それぞれの事業法に基づく規制行政庁と、その他の消費者庁、消費者委員会が併存して検討するということは大変大きな意義があると思っております。その前提は、それぞれの公共料金については各関係法で要件が定められているわけですが、その要件に当てはまるかということはいわば自動的に決定されるものではないことから、所轄の行政庁以外に消費者庁等が検討する意味があるということです。
下の(1)、(2)に書いたのは、皆さんよく御存じのことで、料金を定める要件には不確定概念を用いることが多いことがありますし、(2)にありますように、個別の料金体系については、広範な政策的裁量の余地があるということです。ここに、政策的な観点の例でタクシーの福祉料金を挙げましたけれども、ある意味ではすべての公共料金は政策的な観点が入り得るということであります。
2番目でございますが、消費者代表といいますか、消費者の立場からの委員が非常に重要だということを書いております。規制行政庁はそれなりの観点から料金規制を行うわけですけれども、同時に、消費者の意思を反映させる手続及びできれば消費者が直接参加できる手続が望ましいということであります。しかし、今回調べてみますと、消費者の利益、公共料金にかかわる審議会等においても、消費者なり生活者側の委員が選任されている例はそれほど多くはないことのようであります。
そこで第1に、公共料金を検討する審議会等において、消費者の立場からの委員を必ず入れる、あるいは、何%は消費者の委員というような制度化を図るべきではないかということであります。その際、「消費者の立場に立つ」ということは、ある意味ではすべての人間は消費者でありますから、その中で、自覚的に各種の消費者問題についての知識なり経験等をお持ちの方が望ましいということで、例えば適格消費者団体からの推薦などが考えられるのではないかと思っております。
余計なことですけれども、私も学識経験者ということでいろいろな官庁の委員になりますけれども、私どもとしては、それぞれの専門的見地からの意見を要求されているのではないかということでこういう会議に臨むことが多いわけで、そういう意味では消費者の立場からの意見は抑えるようなことになることが多いです。そういう意味で、学識経験者を消費者委員というのはやはりよろしくないのではないか、実態と合わないのではないかという感じを持っております。
もう一つ、これも小さなことですけれども、消費者代表1名というのは、20名、30名の中で言いますと明らかな少数派でして、一人の委員に重圧がかかるような気がいたしております。例えばもう1名、弁護士で消費者活動に参加している者などを加えるということがあってもいいのではないかということです。
あと、細かいことがいろいろ書いてありますけれども、審議会は大概下部組織を持っているもので、そういうものについての消費者代表委員が大事だということであります。また、消費者の側に立った的確な意見を出せる人材を育成することについて、国ももう少し考えていいのではないでしょうか。
2番目に、委員とは別に、公聴会等によって、消費者の立場からの人々の意見を直接聴取する、あるいは、それについての意見をどうとらえたかということを、例えば答申等において明示することも大事なことではないかと思います。多くはパブコメに対する返答ということで入っているわけですけれども、そういうことをきちんとやるということであります。
第3に、的確な情報開示が前提にないと消費者の側の意見は出てこないということです。レジュメには細かいいろいろなことを書いてありますけれども、ざっと見ますと、公開ということについてはまだ十分ではない審議会等もあるようです。
自治体にかかわる公共料金のことは、きょうは時間もありませんので、お話しいたしません。
さて、きょうは、私はそういうことで経済法、独占禁止法を勉強していることもありまして、競争の観点が大事だということを申し上げたいと思います。まず、公共料金についても独禁法適用の余地があります。例えば、料金認可制の場合であっても独禁法は適用されると解されています。
レジュメ(3)に移りますけれども、そうは言ってもそれは理論的なことで、実際に認可料金に対して公正取引委員会が違法にするとか、あるいは、私人間の訴訟で認可料金を違法にするというのは極めて例外的な場合でありましょう。しかし、そういう理論的可能性があることを踏まえて、消費者庁としても、是非、内外価格差の調査を継続的あるいは精密に行うことをお願いしたいと思います。若干はあるようですけれども、ごく簡単なデータであって、私はこれを精密に評価できませんけれども、例えば電気料金については以前随分議論があったところで、各国の特有の事情を詳細に検討しなければならないということで、単に数字を並べればいいというものではないように思います。各省庁とも内外価格差を調査していることがありますので、それらと突き合わせることもあっていいのではないかということです。
4ページは、具体的により重要なのは、消費者庁として競争促進策を検討してはどうかということであります。例1から例4までぐたぐたと書いてありますが、ここで言っているのは、公共料金あるいは公益事業についても、競争が実際には、特にここ10年、20年、進展していますので、それらを促進することが結局は公共料金の適正化につながるのではないかということであります。
例えば4ページの例2では、電力の制度改革、いろいろ問題がありますけれども、その際に、ユーザー料金のうち、何が送電分・配電分で、何が小売分かということを分けて書いたらどうかというようなことも、一つアイデアとしてあるのではないかと思います。このことは、発送電分離されてもされなくても、やはりこういう問題はあるということです。
時間がないので飛ばしますけれども、5ページの例4としてタクシー料金を取り上げています。取り上げた理由は、現在、タクシー料金は大きな問題になっています。タクシー業界は大変な不況ということもあって、「同一地域同一料金」制という、かなり以前とられてきた行政的な方針を復活しようということで、民主党等に働きかけていることがあると思いますので、それは是非やめていただきたいという思いもあってここに書いてあるわけです。70%ルールとか、低運賃タクシーが選択できるような措置を、もう少し工夫できるのではないかということを書いてあります。
6ページのIII、公共料金それ自体についてもいろいろ思いつきを書いてみましたけれども、きょうは、2の鉄道運賃について少しお話ししたいと思います。
平成不況以来、諸物価は下がり続けているわけですが、鉄道運賃を値下げしたということは余り聞かない。これはどういうことかということは、こちらでも議論になっているようですけれども、考えていいのではないか。
(2)は、定期の料金です。私自身の経験からも、地下鉄は割引が非常に小さいということを今回発見しまして、いかがかなということを考えました。また、定期券の中途解約については消費者団体から問題提起がなされているようで、7ページにちょっと書いておきましたが、有効開始日から4日たつともう返金されないとか、払い戻しができるのは有効期限が1か月以上残っている場合。これはいろいろな会社でいろいろあるようですけれども、こういう扱いをしているところもあるようです。
中途解約の違約金についてはいろいろなところで問題になっていて、私は今、携帯電話の違約金のことが気になっているのですけれども、これは公共料金でないということですので、ここではお話しいたしません。
7ページの(3)では、スイカ、パスモについて、私は全く消費者としての実感から、プレミアムがなくなったのはどうしてか。これは、もしかしたらちゃんとした理由があるのかもしれませんけれども、私ども昔のテレホンカードとか随分使った覚えがある者にとっては、1割プレミアムが乗るのは当然だったわけで、いつからなくなったのかなという気がいたします。
電気通信料金については、問題になるとすれば、公共料金としては3つあります。8ページの冒頭に書きましたが、固定発・携帯着の通話の場合のユーザー料金は十数年前にもかなり大きく問題になって、マスコミ等でも取り上げられたことがありますけれども、この場合だけ割高です。だいぶ改善されましたけれども、現在でも1.4倍から2.6倍高いということで、若い人はこういうことを知らない人も多いと思いますけれども、特殊な事情でこうなっていて、それが妥当かどうかについては議論の余地があるということです。
ただ、十数年前は大きく議論したのですけれども、現在は固定発・携帯着というのは余りトラフィックがないようで、どんどん減っている。携帯・携帯間が増えていますけれども、そういうことから余り大きな問題ではないかもしれません。
まとめといたしまして、電気料金、鉄道料金、国内航空料金などについては、御存じのとおり、個別の料金決定に関し、何らかの競争の影響、あるいは事業者が競争に対応してそういう料金をつけるということがあるわけで、料金の適正さを見る際にも、競争との関連を見る観点が大事ではないかということであります。
例えば、1ということでオール電化問題。これは、電力会社がマンションを建てるときにマンション業者に対して、オール電化にしてくれれば受電施設を免除してあげるとか、電柱をなくしてあげるという事件であります。これは独禁法違反ということになったのですけれども、経産省は、一部の需要家に対する違法な補助の疑いがあるということで行政指導がなされました。ここでは電力会社と都市ガス会社との競争で、そういう観点もあるということであります。
2番目に、電力小売りについては、PPS、すなわち新規参入の電力小売会社と既存の電力各社との競争が、ほんのわずかですが、あるわけです。それについては発送電分離などの問題がありますけれども、それ以外に、PPSと電力各社との間の取引がどうなっているのか、議論をすることが小売料金の適正化につながるというふうに考えます。例えば託送料金、PPSが既存の電力会社に運んでもらう料金です。あるいは、常時バックアップがないとPPSはユーザーに対して適正なサービスを提供できないわけです。その場合の料金などが検討されるべきであって、これは発送電分離をしようとしないと、問題になることです。
電力については、自由化された分野での需要家の問題があって、これは競争ですから、お互い顧客を囲い込もうとする。そこで長期契約を結ぶ。それをやめたら高額の違約金を取りますよという形になりがちで、これも過去に問題になったことがあります。
小売りをする新規参入者と電力各社との取引、あるいは、PPSと需要家の間の取引を見る必要があるのではないかということであります。
最後、9ページにいきますけれども、独禁法上、不当な差別的取扱い、不当な差別対価、優越的地位の濫用、不当な拘束条件付取引などあるわけですけれども、その際に独禁法上は、競争への影響を踏まえて認定されるわけです。
消費者の利益なり権利というのは、公共料金に関する取引の場合、競争が十分働いていないわけですけれども、競争が十分に働いていたとすれば実現したであろう取引内容・条件を想定して、それと実際の取引内容・条件を比較検討する。これはドイツ法、EU法特有の観点で、想定競争の議論と言いますが、そういうことが一つの有力な見方ではないかと思います。消費者行政としても、公正取引委員会やその他、経済的規制をする行政庁と並んで、こういう点からの検討もしてはいかがかということでございます。
私からのプレゼンは以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
続いて、山内教授から説明をお願いいたします。

○山内一橋大学大学院商学研究科教授 御紹介いただきました山内でございます。よろしくお願いいたします。
私の資料は、資料2ということで、パワーポイントのハンドアウトが19枚ほどあります。最初の5枚ぐらいは同じことが書いてあるので余り意味がないですけれども、私の立場をはっきりさせるという意味で、少しくどく資料をつくったということであります。
これからお話しすることは、大きく3つぐらいの内容になります。標題は「公共料金の今日的課題」になっておりますけれども、要するにこれまでの歴史的な、と言うとちょっと大げさですけれども、時間的な流れの中で公共料金がどういうふうに考えられてきたかということをお話しして、最後に、今日どういう問題があるのかという話をしたいということであります。
先ほど、最初の5枚ぐらいは余り意味がないというお話をしましたけれども、経済学でどう考えるかということが書いてあるということです。公共料金はいろいろなところであるわけで、今、話題になっている電気料金、ガス、あるいは運輸交通の分野とか、それだけではなく、例えば教育とか、そういったところも入ってくるだろうと思いますけれども、基本的には私は経済学のディシプリンですので、マーケットが働くか、働かないかというところから出発しているということを言いたいわけです。今、舟田先生のお話にもありましたけれども、競争が機能するかしないかというところです。競争が十分に機能しないときに、料金は何らかの公的な介入とか規制が加わって、その一群を公共料金ととらえたいということであります。
ですから、そのための何をどうすべきか、あるいは、政策的にこういう方向に持っていくべきかという結論は、基本的にマーケットが機能した場合にどうであったかということをなぞるのが基本だと思います。舟田先生もドイツ法の考え方をおっしゃいました。法的には非常に厳格にされていると思いますが、経済学はその意味では大ざっぱなことしか言えないのですけれども、ただ、方向性といいますか、考え方としては同じでありまして、マーケットが機能したときにどうかということであります。
これは一つ、重要なポイントを含んでおりまして、それは、公共料金がどういう性格を持っているのかということであります。これは、公的な介入とか規制によって価格をコントロールするということですので、何らかの政策的意図がそこに含まれるかどうか、こういうことであります。結論的に言うと、私の考えは、公共料金というのは何らかの形の政策的意図は含まざるを得ないのだろうというふうには思いますけれども、出発点として申し上げたいのは、競争がうまく機能する、あるいは経済学の言葉では配分上の効率と言いますが、そういった資源配分上の効率を前提とした在り方が出発点であって、その上に政策的な意図が入るのではないかというところであります。その意味では順番の問題なのかもしれませんけれども、あるべき論で言うと、効率性が基本的に重視されて、その上で政策的な意図が入ってくるということだと思います。
お手元の資料は最初にそういうことが書いてあります。マーケットの失敗であるとか、自然独占の考え方であるとか、こういうことが書いてありますけれども、6枚目まで飛んでいただいて、最適価格規制の分析ということになります。資源配分上の中立性を前提としたプライシングということから出発すると、例えば経済理論から、限界費用に等しい価格とか、それをファーストベストとすれば、セカンドベストのラムゼイ・プライシングとか、あるいは、今、電力などで話題になっておりますけれども、ピーク・ロード・プライシング、時間的・季節的な料金の変動、あるいはタイム・オブ・ユース・プライシングなどと言いますけれども、こういったことになろうかと思っております。
一方で、現実はそういった理論だけでは成り立たないわけでありまして、現実には、御承知のように総括原価主義ということになるわけです。これは後で申し上げますけれども、総括原価主義をどういうふうにとらえるかというのが、多分、今日的な課題になっているだろうというふうに思います。もともと独占から出発いたしましたので、独占の付与に対する公的介入といった視線から、マーケットの構造を、独占を付与する代わりに行動規制をする。最近の流行語で言うと、行為規制という言い方もしますけれども、行動規制をとるということであります。
お手元の資料は7枚目~8枚目を見ていただければよろしいかと思います。そういった独占の付与と、一方でそれに対する規制を加える、こういう考え方に立っているということです。ですから、基本的に総括原価主義は独占的な利潤を抑制すると同時に、独占的な行為、例えば差別的な価格の設定であるとか、そういったものを排除するという目的を持っているということです。もう一つの重要なポイントは、消費者の観点に立って、納得性といいますか、透明性、説明性、こういったものも兼ね備えたもの、これが総括原価主義であろうと思っています。
独占から出発して、そういった価格規制をやってまいりました。価格の適正性を確保するために、総括原価主義がとられたということだと思います。総括原価主義の中身ですけれども、総括原価主義のポイントというのは、利益・利潤という言葉が原価の中に含まれることにあろうかと思います。そのときの一つのポイントは、その利益・利潤が何なのか、どの程度が適切なのか、こういうことだと思っています。この辺の議論も長い間されてきた経緯がございますが、後ほど、電気料金の話なども繰り返されておりますので、そこでもう一度述べたいと思います。
  独占から出発した総括原価主義が実施されたということですけれども、古くから問題点は指摘されています。当然、独占を前提としますので非効率を招来する。非効率というのは経営上の非効率が出る。X性非効率とか呼んでおりますけれども、そういったものが出るということです。
これはやり方によりますけれども、利潤の決め方として、レートベースといいますか、資産を一定額計上した上でそれに対する利潤というやり方をすれば、当然、資産は膨らませるという因が働く。アバーチ・ジョンソン効果と呼んでおりますけれども、そういったものがあります。
次に申し上げるところの中心的な議論になりますけれども、当然、情報の非対称性というものがあって、公的な介入といえども十分な介入はできないのではないか。こういうことに陥るということであります。古典的な公共料金論、我々の立場からすると、自然独占から出発したNo loss,no profitの規制、これがかつての形であったかというふうに思っております。
時間の関係もございますので、その後を飛ばしますけれども、1980年代くらいから、言うまでもなく競争導入が行われて、今、舟田先生のお話にもありましたけれども、いろいろな分野で規制緩和、競争導入が実施されたということであります。お手元の資料で言いますと、10ページ、11ページのところにあります。基本的な認識として、例えばマーケットに対する考え方が1980年代ぐらいから変わったとか、あるいは、マクロ経済政策がうまくいかなくなったので、ミクロの政策、特に競争導入によってそれを補おうとする力が働いたとか、いろいろなことがあると思います。
規制の観点で言うと、公的規制のパフォーマンス悪化というのが一つあると思います。1980年代ぐらいに、一般物価の上昇もありますけれども、それにも増して公共料金が上昇していく、こういったことがよく言われた。あるいは、経営非効率の問題が指摘されたということであります。こういったことから、規制実態の見直しが進んだということがあります。
一方で、IT技術等の進展によりまして、市場を切り分けて、競争ができるところとそうでないところがはっきりしてきたというのがあります。今でも思い出しますが、1987年だったでしょうか、リチャード・シュマーレンシーという経済学者が書いた本で『Markets for Power』という本が売れましたけれども、電力のマーケットをいかに競争にさらすことができるか、これを書いた本であります。要するに発送の分離という形で競争が導入できる、こういうことです。
これはいろんな条件がありますけれども、例えば電力市場というのは時間的にどんどん変化する市場で、それをマーケットに任せてマーケットメカニズムが働くかどうか、こういったところに例えばIT技術は非常に重要なポイントになるということであります。それから、先ほど舟田先生の御専門とおっしゃっておられましたけれども、情報通信、これはITそのものですけれども、そういったところもそうですし、私自身は中心的に勉強してきましたけれども、航空のマーケットなどもまさにこういった力で競争の導入が図られたということだと思います。
3つ目に、マーケット自体が非常に大きくなりましたので、先ほど、規模の経済、自然独占と言いましたけれども、それが出尽くしたところもあるかと思っております。こんなところから競争が導入されたということです。
私の見方からすると、80年代から競争が入りましたが、80年代、90年代、2000年代の前半ぐらいまで、いろいろな規制改革が行われてきたということで、12ページの資料で、ほぼ全面的に競争市場へ移行したものと、競争と独占が併存するものと、更に独占が残っているもの、このような類型になるのではないかと思っています。
「全面的な」と書いてありますけれども、これは「ほぼ」と入れた方がいいですね。先ほど電気通信の話で、まだ規制料金のところが残っておりますので、ほぼということだと思いますけれども、例えば航空、電気通信というのは、基本的にはマーケットメカニズムで価格が決まるようになったということであります。
例えば航空法で言いますと、2000年の改正で運賃を届出制にした。電気通信については暫時どんどん規制が緩んできて、今、特定電気通信役務とか、そういったところだけにコアの規制が残っているということだと思います。
航空法の改正のときに話題になったわけですけれども、競争を導入するのはいいのですが、それだけで本当にいいかどうかと。これは電気通信もそうだったと思いますが、変更命令をかけるとか、こういう形になる。そうすると、マーケットでうまくいかなかった、マーケットに任せるけれども、それでも問題ありというときに変更命令をかけるとか、こういうようなことがあります。そういった点でのフォローがなされる、あるいは、必要であったということだと思います。
もう一方で、競争の有効性確保のための条件設定といいまして、例えば航空であれば空港の発着枠とか、電気通信であれば周波数の割当てとか、こういった形の介入が必要になる。マーケットをつくり出すための介入ということになるかと思います。舟田先生とも一緒に電気通信をやらせていただいておりますけれども、電気通信も競争を有効にさせるための介入というのはかなり強い、このように思っております。しかし、結果的に競争市場に移行したというのはこの分野であります。
競争分野と独占分野の併存と書きましたけれども、典型的なのはガス、電気です。ガス、電気も、1990年代の半ばぐらいから、日本でも競争導入を図られてきたわけですけれども、御承知のように、今、議論になっている電気については、いわゆる家庭用電灯料金、小規模なものについてはまだ規制が残っているということですし、ガス事業についてもしかりであります。こういったところの競争と独占の規制の在り方が、今回も話題になっているということであります。
エッセンシャル・ファシリティの話は、電気通信も同じで、これも舟田先生が言及されていらっしゃいましたけれども、例えば導管とか送電線網をいかに共有するか、それで競争を図るか、というようなこともポイントになると思います。
鉄道は、問題提起の中でございましたけれども、独占と競争の地理的な併存、交通機関間の競争があるということです。日本の事情というのは、新幹線等がございまして、長距離の鉄道の競争力があるわけですけれども、それでも航空との間の競争をいかにするか、こういうポイントがあります。一方で、大都市部の独占的なマーケット、これについては鉄道の価格の妥当性も問題になるのかなというふうに思います。
独占維持の上での規制方式の変化ということですけれども、水道、下水道は独占というのは残る。これに対して例えば包括委託とか、こういった形での民間の関与によって、何らかの形の刺激、費用の削減方式を考えていこう、こういうことだと思います。
道路、空港については民営化、コンセッションということです。道路についてはコンセッションの適用はなされなかったわけですけれども、空港についてはコンセッションという形で民間の力を入れるということだと思います。
13ページに書きましたけれども、市場が有効に機能するために何がポイントかということです。消費者の正しい選択というのは、配分上の問題ですので、それは先ほど述べたとおりであります。
今から10年ぐらい前の時代によく言われたことは、情報の完全性に向けてどういうふうにそれを提供していくかということだと思います。情報の非対称性自体は市場の失敗の主要要因で、マーケットが機能するためには情報はなくてはならない、こういうことであります。その意味で公共料金についても、部分的に競争あるいは全面的に競争ということであれば、どのみち情報公開する、あるいは十分な情報を提供していく、こういう必要性が言われたわけであります。
かつて、「物価安定政策会議」で情報公開の在り方をまとめさせていただきましたけれども、基本的には2つなのかなと思います。
1つは、一般消費者に向けた情報の公開ということです。これは納得性とか、透明性という言葉で表現できるかと思います。一般的に、我々普通の、と言っては変ですけれども、消費者が納得する、あるいは透明性があると理解する、こういうためのものだと思います。これも、かつての情報公開の在り方、ガイドラインをつくるときに問題になったのですけれども、passiveに事業者が情報公開をするのと、activeあるいはpositiveにするのでは随分違うわけであります。恐らく今の時代になってくると、passiveな情報公開から、positiveなといいますか、activeなといいますか、そういう時代に移ってきているのだろうというふうに思っています。
もう一つは、専門的観点からの情報公開の必要性であります。これも、消費者庁ができる前、消費者委員会ができる前から、消費者の選択を正しく行うための情報を、分析的に専門的な見地から出す必要性は言われたわけで、そのための情報公開が必要だということであります。事業自体、透明性を確保するとか、あるいは消費者の正しい選択に向けた、補助的といいますか、それに対して資するような情報をつくり出していく。そういうシステムとそのための情報公開が必要だというものであります。
いずれにしても、規制緩和あるいは競争導入ということで情報の重要性は再認識され、ここでもいろいろ議論されてきたわけですけれども、問題は、それが十分に確保されているか、ということに尽きるのかなと思います。
もう一つは、一番下に書きましたけれども、我々もある事業とかを分析する中で思ったことは、規制下にあった時代は十分な情報が出されていたものであっても、競争になったがゆえに、あるいは規制緩和されたがゆえに、情報開示が減退したケースも随分あるわけで、この辺の方向性も重要なポイントかと思っています。先ほどの航空の例ですと、アメリカなどは完全な競争をしておりますけれども、情報の出し方は日本と比べれば随分進んでいる。そういったところの必要性もあろうかなというふうに思っています。
最後、今日的課題ということですけれども、デフレ下での公共料金という考え方が一つのポイントかと思います。デフレといいましてもいろいろな側面があって、私はマクロの経済学の専門ではございませんので、どう定義するかということについて議論をする気はありません。言いたいのは、15ページにありますけれども、一般物価水準が下落していく中で公共料金のコスト管理をどうしていくか、こういう問題であろうかと思っております。先ほども鉄道運賃の話がありましたけれども、舟田先生も御指摘のように、一般物価が下落していく中で、鉄道運賃はある意味では固定的であったということです。こういった公共料金あるいは規制料金というものを、どう見ていくかということであります。
この点については、原価構成の適正性、経済インフラとしての公共料金の重要性、こういったことかと思います。原価構成の適正性というのは、経営上の効率性、非効率性。どこまで外から、あるいは公的な介入によってそれを正していくかという問題であります。経済インフラとしての公共料金の重要性というのは、要するに冒頭の話に戻りますけれども、公共料金を政策的にどう使っていくかという一環として、経済の成長とか、拡大とか、こういったために公共料金の在り方を考えるということだと思っております。
ここでポイントになるのは、今回の東電の問題に絡んで、電気料金の在り方についていろいろ議論がなされてきて、その中で、ここで言う原価の適正性が一つのポイントになっているということだと思います。要するに総括原価と言われていたものは、会計上、何らかの形できちっと計算されてきたものではあるが、そこに含まれる項目、その範囲、こういったものが本当に適切なのかどうかということを問い直しているということだと思います。
これも舟田先生から御指摘がありましたけれども、オール電化について、例えばそれの広告宣伝費はいいのかどうか。あるいはオール電化に限らず、そのほかの広告宣伝費はいいのかどうか、こういった問題がございます。それから話題になりましたのは、例えば人件費の水準の適切性とか、こういったものも大きなポイントだと思っております。
今回の電気料金の再検討というのは、現在の公正報酬率規制、総括原価主義の下で、その枠組みの中でという議論でありますので、今、申し上げたように、一つひとつを細部にわたって議論をするのも一つのやり方かなというふうに思っております。
もう一つのポイントは、後ほどにと言いましたけれども、利益・利潤の概念のとらえ方、在り方ということになります。公正報酬率規制と言いましたけれども、この場合ですと、レートベースと言われるような資産の一定額を掲示しておいて、それに対するパーセンテージで利益概念をとるということであります。通常の企業で言えば、利益といっても、言い方はちょっとあいまいになりますけれども、資本コストみたいなところをちゃんと確保するというやり方であります。
これも時代的背景があって、需要が拡大していくとか、設備投資が更に必要であるというときは、資産に見合った報酬というものの考え方が適切であったかもしれないけれども、将来的に需要が伸びないとか、経済自体の拡大がそれほど期待できないという中で、公正報酬率規制の在り方がいいのかどうかというのがポイントかと思います。今回も、例えばレートベースの中に含めるべき資産の在り方とか、あるいは公正報酬率自体を、フェア・レート・オブ・リターンと言いますけれども、これをどう計算すべきかとか、こういったところまで議論がありました。
  これは私ごとですが、1980年代ぐらいにそういう勉強をずっとしていたのですけれども、80年代から規制緩和になったおかげで、そういう議論は余りなかったわけです。ただ、今回こういうふうになりまして、当時の議論を振り返ってみると、本質は余り変わらないです。これを問い直したのが現状ではないかというふうに思っています。
それが、そういった規制の分野だとすると、競争分野で言えば、更に一層の競争促進をするということで、先ほど言いましたように情報の問題、それから、ここに市場競争の看視と書きましたけれども、マーケットをいかに競争できるような形でつくり上げていくか、こういう問題だと思います。
下の規制部門については、既に申し上げたので飛ばしますけれども、そういった中でやはり私としては、16ページにありますが、総括原価方式を再考していくのはこれからのやり方かなと思っています。原則として、No loss,no profit、資金回収型の規制ということになるわけですが、そのデメリットとして、X非効率とか、資産の過剰な投資、こういうことがあるわけです。
そこで出てくるのが、17ページにありますが、大きく分けて2つ方向があります。コスト管理を公的介入によって徹底的にやるというのが一つのやり方です。今回、東電の第三者委員会が出されたレポート、東電の財務上のレポートの中ではこれが指摘されています。これも一つのやり方かなというふうに思っています。
それと同時にやらなければならないのは情報公開ですけれども、2つ目の大きな方向性としては、インセンティブ規制というものがあろうかと思います。これは1980年代くらいから、規制緩和と同時に、規制が残る分野についてはインセンティブをつけて、それによってコストの縮減を図るというやり方をしてきた。これを更に進めるのも一つのやり方かなというふうに思っています。
個人的な意見で言うと、極めて詳細な公的介入によって、原価査定あるいは原価の管理をするというのは、費用対効果の面から言ってなかなか難しいのではないかと思っています。私自身も公共料金のことについて少し勉強してまいりましたけれども、こういった情報は、情報といっても、具体的な、極めて実践的といいますか、現場的な情報というのはきりがないほど細かいです。これを徹底的に把握して、それによって規制をすることの非効率というのは、私自身は感じているところであります。もともと規制改革の中で規制コストの削減というのが十分に言われた、こういったことでございますので、それよりは、もう少し仕組みとして効率性を上げていくようなものを求めたい。それがインセンティブ規制だというふうに思っています。
18ページのところに書きましたけれども、情報の非対称性とか、行政コストの問題があれば、規制のサステイナビリティの問題としてインセンティブ規制の有用性があるのではないかと思っております。
具体的なところは19ページにちょっと書いてあります。今回の電気料金の問題についても、原価算定期間を複数年にすることによって規制の遅れが生じる。逆に言うと、これをうまく使ってやって効率性を上げるとか、あるいは、既に日本のいろんな分野でヤードスティック規制をやっておりますけれども、これをもう少し戦略的に使っていくということであります。
今回の電気料金の議論でも修繕費がいろいろ問題になりました。例えば修繕費も、一つのパターン化してモデル化することによって、基準的なもの、水準をつくってやる。これもベンチマークの一つだと思いますので、ヤードスティック、こういったことを入れていくのも一つのやり方かなというふうに思っています。
プライスキャップ規制も一つのやり方ですが、これは、現実に入れてみたときにうまく機能するかどうかという問題があるので、再考の余地はありますが、一つの選択肢ではあります。御承知のように、特定電気通信役務についてプライスキャップを入れておりますし、今、その改定時期に当たっておりまして、計算していますけれども、物価下落の中でのプライスキャップというのはなかなか難しい問題があります。
PBR(Performance Based Rate Making)というのがございますが、これは、現実にも報奨規制というやり方でかつてもやられたことがありますけれども、これを全面的な形で入れていくということ。これは、パフォーマンスが上がった分だけ一定程度事業者にもアメを与えて、一方で効率性の目標をつくるようなムチを使う、こういったこともあるかと思っております。
それから、消費者委員会、消費者庁の立場から言うと、多方面からの意思決定プロセスへの参画というのがございます。具体例で言いますと、パリもロンドンもそうですが、タクシー運賃を決めるのに、消費者の方と事業者さんと行政、そういった連合体のようなもので議論をしながら決めていくということがあります。タクシーは運賃を決めるのに比較的情報量が少なくて済むので、そういったことができるのかと思いますけれども、そういった多方面のステークホルダーが参加することによる料金の決め方があろうかなというふうに思っております。
すみません。かなり時間を超過してしまいました。また、早口でお聞きづらかったかと思いますけれども、私からのプレゼンテーションはこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、残された時間、余りございませんけれども、委員の方々から、何か御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 きょうは貴重なお話をありがとうございました。時間が少なくて、もっと聞きたいなというふうに思いましたけれども、充実した資料をいただいたので参考になりました。
我々は、両先生からもお話がありましたように、このデフレの時代の公共料金の在り方を考えてみるべきではないかと思いまして、今までは公共料金問題イコール物価問題ということでとられてきたわけですけれども、今、物価が余り上がらない時代になってくると、物価を抑制するという視点でしかなかった公共料金の在り方を少し考えなければならない。我々は今、鉄道料金についてやっていますけれども、値下げについては届出制になっていて、自主的に値下げをするのを待つという形です。本当は値下げ命令も法律上はできるのですけれども、それがなっていないという仕組みがあって、これが問題かなというふうに思っております。
もう一つ、今、ちょっと悩んでいるのは、鉄道というのは、余り競争はないから公共料金ですけれども、先ほど山内先生からお話があったように、競争が起きている場合があります。一つは、長距離の例えば新幹線と航空で、東京と新大阪というのは非常に競争が起きていますけれども、逆に、中間駅の消費者がそれによって不利益をこうむっているということがあるわけです。
例えば静岡は停まる新幹線が3本しかない。あるいは、企画商品でも余り割引がないとか、長距離で競争があるがゆえに不利益をこうむっている。あるいは珍しく競争が起きた例、例えば成田スカイアクセスという新しい鉄道ができましたけれども、成田に行くルートが一本できて、成田に人を運ぶというところでは競争が起きたけれども、逆に中間駅での料金が非常に高いということで、沿線住民は非常に不満に思っているわけです。中間駅の料金を高くして、長距離を安く人を運んでいるという批判もあって、訴訟にまでなっていますけれども、こういう問題をどう考えるのかなというふうに思っています。
一番問題なのは、そこで立場の互換性がないところだと思うのです。競争的な市場、競争でない市場があって、いろんな人がそこでモノを買うというのだったら、いろんな人が競争の恩恵を受けて、きょうは恩恵受けなかったなということがありますけれども、鉄道の中間駅の人というのは絶えず不利益をこうむりながら移動しなければいけない。立場の互換性がないというところで、やはり公共料金の公正な在り方として何らかの規制が必要ではないかと思っているのですけれども、その辺、両先生のお考えをお聞きしたいと思います。

○舟田立教大学法学部教授 これは難しい問題ですね。今、具体例を幾つかいただきましたけれども、独禁法でも同じようなことは昔から議論されていて、なかなか一義的な解決がないところであります。一般的に、一つの事業分野でも競争が進んだ分野は価格が下がる。ところが、競争が十分進んでいない分野では高止まりするというのは一般的にあることで、そこで両者の関係をどうするか。御承知のとおり、電気料金で言いますと、産業用電力というのは安く家庭用は高い。それは競争があるかないかです。
ただ、具体的に一言だけ言いますと、一つは、両分野の間で内部補助があるかどうかを見る。新幹線と在来線との間とか、あるいは個別の路線ごとにあるのかもかもしれません。
もう一つは、これは独禁法上の不当廉売に当たるかという問題で、例えば競争対抗料金として新幹線を安くする場合、個別原価を下回っていないかということはやはり見る必要がある。飛行機に対抗するという理由だけで、個別原価も割ってやっているということは問題になります。
そういう意味で、きょう、山内先生がお話になりましたように、原価の管理を精密にやる必要はある。山内先生は最後の方で、原価を精密に見るのは費用がかかり過ぎて限界があるということでした。しかし、例えばドイツの独禁法などもそういう例があって、これは個別原価は幾らだから、原価を下回っているいうような判決もありますので、ある程度はいけるのではないかなと。ちょっとそのぐらい、思いつきですが。

○山内一橋大学大学院商学研究科教授 御提起された問題は非常に難しい問題だと思っております。冒頭に経済の立場からと申し上げて、そして、資源配分の問題だと申し上げましたけれども、よく経済の教科書に出てきますが、独占の価格決定というのはまさにそうでありまして、逃げる客には安く、逃げない客には高く、こういうことで弾力性みたいなものを見て決めていくということです。私の資料の中でもラムゼイプライスというのが書いてありましたけれども、これも教科書によく出てきまして、セカンドベストのプライシングで、例えば超過利潤をあげられないように利潤規制はするけれども、最適な価格の構成は何かというと、ほとんど独占の差別価格と同じで、やはり逃げる客には安く、逃げない客には高く、こういうことになるわけです。ポイントは利潤が超過かどうか、そこだけです。
そうすると、委員がおっしゃるように、結果的にそれの不公平感とか、差別価格的な要素が残るわけでありまして、これをどこまで許容するかということだと思います。私ごとですけれども、私は修士課程のころ、最初の問題意識をまさにそうでして、いろいろな価格というのは、相対価格がありますけれども、簡単に言うと、同じような費用のときにどうやってその相対価格が変わってもいいかというと、今のラムゼイプライスなんていうのは、弾力性に応じて原価費用が同じでも変わっていい、こういう議論ですけれども、それにも限界があるだろうと。それは大ざっぱに言えば、納得感とか、あるいはアクセプタビリティとか、そういった限界があるだろうと思いまして、そんなモデルをつくったことがありますけれども、基本的なコンセプトは私はそう思っています。
ですから、何らかの社会的な制約の中で、効率性といいますか、そういったものを維持できる価格が求められて、これは難しいのですが、何らかの形で個別の価格まで、言われるような値下げとか、あるいは介入するのがいいのかどうかという問題はありますけれども、政策的にそういうものを誘導するのは一つのやり方かと思います。
ただ、このやり方だけではないのでありまして、例えば先ほどの静岡のケースも、競争がないから不利益をこうむっているのであれば、競争を入れるという手があるわけです。例えば静岡は飛行機は飛ばないですけれども、今、中距離バスがかなり競争的になってきているので、そういったところの競争性の効果を発揮できるような条件設定をしてやることによって、鉄道事業者の行動を変化させるということもあろうかと思います。これは、静岡のケースが本当にそうかどうかということはありますけれども、例えば東京と甲府の間の運賃なんていうのはかなりそれを意識しています。そういったこともございますので、競争をうまく使ってやるというのが2つ目のやり方かなというふうに思います。
3つ目は、忘れてはいけないのは、先ほど舟田先生もおっしゃいましたけれども、産業用の電力は非常に安い、電灯料金は高い。産業用で、例えば規模の経済みたいなものを発揮されていて、もしもこれがなかったら、電灯用の料金ももっと上がっていたかもしれない、こういう事例はたくさんあります。ですから、事業全体としての経済効果を見ないと、なかなか言えないこともあるのかなというふうに思います。
これは付随的な意見ですけれども、申し上げたのは最初のもので、価格の差異とか、あるいはサービスの条件も含めて、差異についての納得性みたいなところというのはあって、それを担保する機会、それは一つはレギュレーションかもしれないし、競争をうまく使うのかもしれないし、手段はいろいろあろうかというふうに思っています。
以上が私の意見です。

○細川委員 お話を伺って、山内先生が最後に書かれた、ステークホルダー間の合意としての公共料金、これをうまく活用できないかなとふと思ったんですね。例えば鉄道で言えば、鉄道会社が申請する前に利用者との対話をある程度義務づけて、そういうものを踏まえて申請させるとか、何かそういう仕組みもあっていいかなというふうにちょっと思いました。ありがとうございました。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 もう少しいろいろお聞きしたいのですが、焦点を絞ってお聞きしたいと思います。
まず、舟田先生にお聞きします。消費者の声を実質的に反映させるためには、情報公開をより充実させる必要があると思います。幾つか問題がありますが、2つだけお聞きしたいと思います。
一つは、情報公開の時期です。現在、運輸省が鉄道料金などを決める場合には、料金改定の根拠となる情報、これも非常に不十分だと正直思うのですが、これは、決めた後にしか出さないような運用をしているようで、もっと前に出す必要があるのではないかと思います。つまり運輸審議会で議論をする段階で情報を開示して、多くの人たちが見て、審議会の委員に意見を言えるような状況をつくった上で審議会にかけるというふうにしませんと、結局、ユーザーは何も知らないうちに決まって、決まった結果だけ知らされる。これではよろしくないのではないかと思うのですが、その辺の運用についてどういうふうにお考えか。
もう一つは、どうしても企業秘密という言葉が出てきまして、開示される対象について、これは電気料金についても同じような問題があると思いますが、企業秘密と情報開示の関係を、どういうふうに考えてこれから提起していったらいいのかという点をお聞かせいただければと思います。

○舟田立教大学法学部教授 ちょっと後者の方はよくわかりませんでしたが。

○山口委員長代理 情報公開が必要だという視点と企業秘密、鉄道会社なり電力会社のそれとの関係をどういうふうに考えたらいいのかということです。
それから、山内先生は今回の「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」の審議にかかわっておられますので、その点で伺いたいのですが、実は今回、自由化部門で17%の料金値上げが発表された。これは自由化部門だから、東電がそうすると言えばもう決まってしまうということのようですが、報告書を見ますと、平成17年4月段階で63%ですから、今はもっと大きいパーセントを自由化部門が占めている。つまり、小売りの消費者が使っている部門は3割前後ではないか。
ところが、東京電力が上げている利益の9割ぐらいが、小口の消費者の規制部門から上がっている。これを聞きますと、一体利益配分がどうなっているのか。これは十分に開示されているのか。自由化部門は、自由化だからということで必ずしも十分開示されていないのではないか。その辺についてどういう議論があったのかが一つ。
それから、先生は先ほども、一般の消費者に対して開示するものと専門家に対して開示するものと、2つに分けて議論をされましたけれども、修繕料金など、舟田先生が先ほどおっしゃったように談合があった、あるいはカルテルがあったということを多くの人たちが知る上では、相当程度の情報開示が必要だと思います。現在の情報開示について、どういう議論があったのかを教えていただければと思います。

○河上委員長 時間がなくなってしまっているので、いろいろ欲張って聞いておりますが、すみませんが、簡潔にそれぞれ。

○小幡委員 企業秘密のところを一点。

○河上委員長 どうぞ。

○小幡委員 問題意識としては、例えば情報公開法などで、企業の法人情報については、企業の正当な競争上の利益を害する場合は不開示とできるというふうになっているわけですが、こういう公共料金の規制部門については本当の競争がないので、「企業の競争上の利益を害する」という企業秘密をどのように考えるべきか、そういうことだと思います。

○河上委員長 それでは、それぞれ簡潔にお答えいただければと思います。

○舟田立教大学法学部教授 まず、情報公開の時期です。私は運輸審議会の具体的なやり方は知らなかったのですけれども、私のレジュメでいくと2ページの真ん中辺りに、「即時または適時の情報開示」と書きました。今、おっしられたようなことで、消費者が意見を形成することが可能なスケジュールを組むべきだというふうに思います。
2番目は、山内先生もお書きになられていますけれども、競争を導入して競争になると、すべて非公開になるというのは非常に困ることです。特に公共料金については、私は、経営情報の多くは公開すべきではないかと思っています。それでも、どうしてもこれは競争上出せないというものがあった場合には、実は今、総務省でやっていますけれども、第三者委員会をつくって、そこでインカメラ審理を導入したらどうかと。つまり、キャリア2社が申請する。そうすると、キャリアはほかのキャリアに見せたくない。しかし、委員には見せてもいいというような方式でやればいいのではないか。そのためには、行政庁とは別に第三者機関をつくらなければならないという問題があると思います。
簡単ですけれども、以上です。

○河上委員長 山内先生、お願いします。

○山内一橋大学大学院商学研究科教授 最初の点は極めて重要なポイントで、自由化部門と規制部門があって、結果的に規制部門から利益が上がっていて、自由化部門について余り利益が上がっていない、こういうことだと思います。これは非常に難しいのですけれども、総括原価主義のケースは、どんなケースでも、結果的にどれだけ利益が上がったかということも見て料金を見直すということをしてこなかったというのが事実だと思います。恐らくこれは世界的にもそうではないかと思いますけれども、その意味で利益が上がったことによって料金を下げることは、一つのやり方かなというふうには思いますけれども、ただ、それをやるとなると、逆に費用を膨らませるというインセンティブが当然起きるわけです。
今回の報告書の中にも事後的な検証というのがあるわけですけれども、事後的な検証のやり方によってはコスト自体を膨らませて、そのとき私はちょっと冗談で言ったのですけれども、我々のいる大学のように予算主義に陥って費用を膨らませる、こういう可能性もあるのではないかというふうに思っています。ですから、結果的にやるのは、利益を上げるのだったらばその半分は還元しろとか、半分は利益として与えてあげるとか、単純に言えば例えばそういうやり方があります。そういうインセンティブしかないのではないかというふうに思っています。
関連して、非規制分野といいますか、競争分野での情報公開の在り方は、これは難しいポイントだと思います。でも、今、舟田先生おっしゃったように、競争になったから情報は出さなくてもいいという理屈は十分ではないと思っています。競争分野と言われても、産業用電力のシェアは圧倒的に既存の電力会社が持っているわけですから、そういった問題があるということであります。もしも競争上のというのであれば、競争ができるような市場構造にしなければいけない。あるいは、そういう市場構造になるような仕組みにしなければいけない。今、発送電分離の話が行われておりますけれども、それはまさにそのためのものだというふうに考えております。
規制の情報についてですけれども、報告書を議論する中で、細かいところで言うと、個別原価の構成についてどのようにするかと。例えば共通費の配賦問題。共通費配賦のドライバーと言いますけれども、そのやり方をどういうふうにするかというところまで議論はしました。そういったことを公開すべきだという意見はありましたし、それは正当だというふうに思っています。
ただ、先ほど申し上げましたように、それは極めて細かい情報で、電力会社自身も、すべて誰かが把握しているという問題でもないように思います。ですから、なるべく情報を出すのは当然ですけれども、細かい情報をどこまで出せるかという問題は残るかというふうに思います。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今まで鉄道運賃などは、デフレではないときは、値上げのときは申請させて認可で見ていたわけですけれども、現実にデフレ時代になって物価が下がっているというときに、届出で済むようにしたものですから、現実には変更命令などやったことがないという状況で来ています。そうすると、認可の改定のときだけ情報提供して、あとは情報提供をきちんとしなかったりという形で、コストもしっかりと見られないという状況にあります。
舟田先生は、値下げを命ずるようなこともあり得るのではないかというお話で、山内先生は、どちらかというと規制コストをかけ過ぎるのは大変だというお話だったと思いますが、消費者の立場から見ると、値下げ届出については全くフリーでという状態ですと、本来もっと下がるべきなのに、結局あまり下がらないという状態になってしまう。そこで消費者の声を何とか入れられないかというのが、例えば値下げ命令について消費者がそれを求めたり、あるいは第三者機関を設置してそれを値下げ命令を考えさせるとか、そういう仕組みだと思います。電気事業法23条1項というのは、今は一応、「著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障」があればできるという、伝家の宝刀のような規定がありますけれども、これを将来的にうまく使えるかということもあろうかと思いますが、舟田先生、その辺り何か御意見があれば。

○舟田立教大学法学部教授 業務改善命令は昔から歴史のあるもので、いろいろありますけれども、現在の競争下では、私は、もう少し現代化した方がいいのではないかなというふうに思っています。例えば電気通信事業法では、一般的な業務改善命令とは別に、料金変更命令とか個別のものをつくって、要件を法律自体に詳しく書き込むというふうにしています。それから、実は総務省は過去数回、業務改善命令を発出していて、やろうと思ったらできるのです、基本的には。やる気があるかどうか。こんなことを言っていいのかあれですけれども。いくら要件を書いても、どうしても国民経済に著しい不利益を与える場合とかにならざるを得ないです。
しかし、個別の事例に対して行政庁が何か対応しなければならないという状況を、情報開示等によって、あるいはさまざまな消費者関与の手続によって作り出す。それで規制行政庁は何か対応を迫られるというような仕組みをつくる。ですから私は、業務改善命令の仕組みはどんどん変えていった方がいいと思うのです。行政手続にのせて、その上で発出するという仕組みがないかなというふうに思っています。

○山内一橋大学大学院商学研究科教授 私は法律のことはよくわからないのであれですけれども、私が申し上げたいのは、レジュメの最後に書きましたが、参加プロセスとか、そういう形での規制に代わるもの、あるいは規制でもいいのですが、ステークホルダーが入っていく中でのボイスというのは非常に重要だというふうに思っています。業務改善命令もその一つでありますけれども、高圧的にというか、強権的に行政的な措置としてすることについては、それよりもシステムを変えて、そうせざるを得ないやり方、あるいは規制をするとしても、そういうやり方の方が望ましいのではないかと考えています。電気通信については業務改善命令を使う、ほかのところは、伝家の宝刀で余り使っていないということだと思います。

○山口委員長代理 これは消費者委員会として、こうしていただきたい、あるいはこうすべきではないかということなのですが、鉄道料金について細川委員からいろいろ意見が出ました。是非、電気料金についても、きょうの両先生の御意見を踏まえて、開示の在り方、消費者の声の反映のさせ方について、何らかの形で建議なり提言ができないかということを強く思いましたので、そこだけ発言させていただきます。

○河上委員長 タイムコントローラーとしては非常に苦しいところで、もっともっとお話を伺いたいところもございましたけれども、この辺りでということにしておきたいと思います。
公共料金に関しましては、引き続き、消費者委員会において重大な関心をもって、議題として取り上げてまいりたいと思います。
舟田先生、山内先生におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、2、3分、休憩をとった上で始めたいと思います。

(休 憩)

≪3.太陽光発電システムに係る消費者問題について≫

○河上委員長 それでは、再開いたします。
予定の時刻から20分以上過ぎているので、終わりが若干延びるかもしれませんが、その点、御了承いただきたいと思います。
続きまして、「太陽光発電システムに係る消費者問題について」ということでございます。
太陽光発電システムに係る消費者問題につきましては、太陽光発電システムの普及や余剰電力の買取り制度の開始、あるいは、東日本大震災に伴う自然エネルギーへの関心の高まりなどを背景にして、相談件数が増えていると聞いております。消費者委員会としても重大な関心を持っているところであります。
本日は、国民生活センターにおいでいただいておりますので、太陽光発電システムに関する相談の概況について御説明をいただき、若干の議論を行いたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。
なお、御説明は、申し訳ございませんが、10分程度でお願いいたします。

○国民生活センター宮内相談情報部長 国民生活センター相談情報部長の宮内です。担当しました水越が隣におりますので、後でまた補足させてもらいますが
簡単にポイントだけを説明したいと思います。
国民生活センターでは、資料3-2にありますように、平成21年10月に「ソーラーシステムの訪問販売のトラブルが増加」を情報提供しております。きょうは資料3-1に基づいて説明しますが、資料3-1はその公表後の数字を入れたものでございます。
ソーラーシステムに関する相談件数は、2010年度に若干減少しておりますが、今年度はまた増加しています。このグラフは、2月6日現在2,885件ということで増えている。訪問販売が依然として多いということです。
前回の公表物と比較してみますと、2004年~2009年までの件数がありますが、この平均と今回この3年の平均でざっと比較してみますと、ソーラーシステム全体では、平均で71%ぐらい件数が増えています。訪問販売で見ますと、53%くらい増えています。そのうち、訪問販売の前年度の同時期比で見ても43%くらい増えているということで、相談件数が増えているということです。
その傾向ですが、2009年度の公表のときと大きな変化は見られません。特徴的なのは、年代別のところで高齢者の契約が若干増加しているということがあります。また金額で見ますと、310万円、最も多いので200万円台となっていますが、前回の公表を見ますと平均で404万円ということで、金額的にはむしろ少なくなっています。
また、クレジットを利用した割合が多いのも特徴です。これは前回同様です。
2011年度は、契約前に相談しているケースとか、勧誘を受けたけれども契約していなかったという人からの販売方法に関する苦情が若干多くなっているというのが、一つの特徴かと思います。
2ページの3、相談事例の特徴ですけれども、震災後の原発事故の影響を受けて、消費者の太陽光発電に対する関心が高まっているものと思われます。その影響も相談の内容で見られます。実は、原発なり温暖化に関連する消費者トラブルというのが最近増えていまして、国民生活センターでは、このソーラーシステムもそうですが、先月は「グリーン電力証書」という、実態のわからないものを販売している業者とか、その前にはCO2排出権、これは温暖化に関連するようなトラブルです。消費者の関心も高まっているということで、そういう関係の相談トラブルが出てきて、また、情報提供をしているというところもあります。
ソーラーシステムの特徴としては、売電によって得る電力ですけれども、機器代が賄える、自己資金は一切かからない、こういったセールストークとか、今年度中に申し込めば売電が高い、来年になるともっと安くなるということで急かせたり、補助金が締め切られるということで契約を急かせるというもの。それから、モニターになれば割り引く、今日ならば割り引く、こういったお得感を強調して販売する売り方があります。
ただ、非常に高額なもので、価格帯も数百万ということで、急かされてもなかなか相場感というのは消費者にもない。また、そう簡単には比較する情報もないということで、契約してしまったり、苦情になりやすいということがあるかと思います。また、属性のところの特徴でもありましたけれども、70歳以上の高齢者が契約して、更に15年以上などの長期ローンを組んでいるというケースもあります。
震災に関連した便乗商法として、被災地の営業所が再開できないので、在庫を格安処分するということで勧誘されたけれども、高額だった。こういう申出のように、震災に関連したセールストークも散見されるところです。既に契約したという相談のうち、約4割はクーリングオフに関する相談という傾向があるようです。
その他の問題点として、こういう大形の商品でありますので、取り付け後のメンテナンスの問題とか、契約解除になったときの原状回復の困難さがあったりする場合もあります。また、豪雪地帯での取り付けとありますけれども、太陽が照らない、雪が積もってしまったら発電もできないので、そういったところでの販売も問題があろうかと思います。
資料3-2については読んでいただいているということで、資料3-1について、簡単に説明を終わります。

○河上委員長 それでは、委員の方から、御質問、御意見がございましたら、お願いします。いかがでしょうか。
吉田委員。

○吉田委員 御説明、ありがとうございました。
高価なものなので、消費者が買いたいという意思を決定する際にやはり経済比較をするのではないかと思います。経済比較をしようとしたときに、情報とすれば業者が説明した情報ぐらいしかなくて、果たしてそれが正しいのかどうか、なかなか消費者が判断がつかないところにトラブルの大きなもとがあるのではないかと思います。具体的には、補助金というのは決まっているのでいいと思いますけれども、売電したらばローンを払っても黒字になるということで説明がなされるケースが多い。ただ、その売電は、本当にそれだけ発電できるのかという不確定なものを、ちょっと不安を抱えながらも、業者さんが言っているのだったら正しいだろうなということで意思決定をしていくのではないかと思います。
そこで、21年の10月に国センで情報提供をしておりまして、その際、情報提供先としていろいろな機関にこの課題があるということを伝えていらっしゃると思います。もしも把握されているとすれば、21年に問題喚起をした際に各機関においてどのように改善がなされたのか。もし把握されているようであれば、教えていただきたいと思います。

○国民生活センター相談情報部担当者 具体的にどういうふうに改善されたかという細かい情報までは、こちらで把握していないのですけれども、当センターで公表を行った後に、私どもから業界団体の方に、トラブルの現状について業者の皆さんに話を聞いていただく機会ですとか、あとは、PIO-NETの情報をこちらの手続によって請求していただいて、その情報を参考にして、勧誘時のトラブルの改善に役立てていただくというようなことは行っていますが、それをもとに具体的にどういうふうに改善されたかという細かい情報までは、申し訳ありませんが、把握しておりません。

○吉田委員 ありがとうございました。消費者がいかに安心して買い物ができて、結果的に環境にいい生活ができるように推進していくという立場が、政府の方にもあると思います。一方で、高いものなので、いかに経済的に成り立たせるかというところを、きちんと消費者が情報としてとらえないことにはなかなか進んでいかないし、トラブルになっていくのだろうなというふうに思っております。私も引き続きこの問題に関心を持っていきたいと思いますので、国センでも、是非そのような視点でまた取り組んでいただければありがたいと思います。

○河上委員長 ほかにいかがですか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 ソーラーシステムは例えばストーブなどとは違って、今、吉田委員が言ったように、売電の問題が一つ。それから、補助金の問題もあります。補助金の基準や金額が自治体によってばらばらなものですから、紛らわしい説明をすると誤解されやすい。3番目に、取り付け工事も結構複雑なので、慣れない業者あるいは担当者がやると、それこそ屋根を壊してしまいかねない、そういう問題もあるというところで、普通の電化製品に比べると、かなり周到な説明項目を整理して間違いなきを期するようにする必要があると思います。
その意味で、今、情報提供なさった21年の10月7日、同じ日に、消費者庁が経済産業省その他にトラブル対応についての要請書を出しています。それから、先ほど来あったように、訪問販売に基づく割賦販売になることが多いので、割賦販売法運用の適正を期すことで被害を抑止することもかなり可能性があると思うのです。その辺で、情報提供された後、あるいは21年10月に消費者庁が経産省に要請された後、何か変化があったかどうか。割賦販売法の改正もありましたけれども、その辺も含めて、前と後で状況に変化があったかどうか、ちょっとお話しいただければと思います。

○河上委員長 いかがですか。

○国民生活センター宮内相談情報部長 その辺の情報は、ちょっと持ち合わせていません。

○河上委員長 ほかに、いかがですか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 高齢者の被害が増えているという御説明がございました。事例でも、70歳以上の高齢者に対して15年以上の長期ローンを組ませるなどというのは、これはあってはならないことだろうと消費者として思うわけです。具体的には、今回、2009年以降のデータから出されてきていますけれども、この数年、高齢者の被害が増えたその原因といいますか、その辺はどのように把握されていらっしゃいますでしょうか。勿論、ソーラーシステムだけではなく、高齢者の消費者被害を誘引するような事例はほかにもたくさんありますけれども、おわかりになっている状況を教えていただければと思います。

○国民生活センター相談情報部担当者 具体的な原因として正しいかどうかわからないのですけれども、やはり震災の影響を受けまして、実際の相談事例の中で、被災地でも太陽光を導入している家では役に立ったという話を聞いて、高齢の方も太陽光について興味を持っているというような現状はあるようです。そういった高齢の方が興味を持っているところに話が来るということで、契約につながっているケースはあるのではないかと思います。

○河上委員長 よろしいですか。

○国民生活センター宮内相談情報部長 なおかつ事例を見ますと、80歳代のひとり暮らしですけれども、売電できるから電気代がほぼタダになる、設備代が15年払った後は得になるというふうなセールスをされると、特に収入がないと心が動く。訪問販売ですから、自宅にいる機会も多いということもあるかもしれません。

○山口委員長代理 これ、高齢者は得にならないんですね。20年使ってやっと取り戻せるので。

○国民生活センター宮内相談情報部長 そうです。そういうセールストークをするわけです。

○河上委員長 それでは、よろしければ以上にしたいと思います。
この問題そのものは、恐らく説明義務などの基本的なところの問題で、相当部分は特商法の厳格な適用、あるいは割販法でのクレジット会社による厳格な加盟店の管理といいますか、そういうもので対応可能な問題なのかもしれないですね。今の御時世でまさに出てきている問題ということなのかもしれませんが、いずれにしても、関係省庁は厳格な対応をしていただきたいと期待しておりますが、今後とも慎重に見守っていきたいと思っていますので、また、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

≪4.消費者安全法に基づく国会報告について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者安全法に基づく国会報告について」でございます。
消費者安全法第13条では、「内閣総理大臣は、行政機関、地方公共団体等からの通知により得た情報その他、消費者事故等に関する情報が、消費者安全の確保を図るため有効に活用されるよう、迅速かつ的確に当該情報の集約及び分析を行い、その結果をとりまとめ、そのとりまとめた結果を国会及び消費者委員会に報告するべきもの」とされております。消費者庁におかれましては、一昨年の6月と昨年の2月、そして6月にとりまとめを行っており、それぞれ消費者委員会におきまして御報告をいただいております。
今回、第4回目となるとりまとめを行ったということですので、本日は、それについて御報告をいただきたいと思います。
なお、申し訳ございません、説明は10分以内でお願いいたします。よろしくお願いします。

○消費者庁黒田消費者政策課長 消費者庁消費者政策課長の黒田でございます。お時間をいただき、ありがとうございます。
お手元の資料4-1、4-2に基づいて説明させていただきたいと思います。
国会報告につきまして、今、委員長から御説明のあったとおりでございまして、2月10日に閣議決定して国会に報告したところでございます。
報告本体は4-2でございますが、参考資料といいますか、説明のための資料として4-1を作成しております。主に説明は4-1でさせていただきたいと思いますが、4-2を最初に1枚めくっていただきますと、目次がございます。全体の構成は大きく3部に分かれておりまして、まず、「消費者事故等に関する情報の集約・分析」、どこからどういう情報を集めてきたかということでございます。II以降が、それに基づいてどういう措置を行ったかということで、今回、IIについては消費者安全法に基づく措置を特出ししております。IIIは、その他の措置ということでございます。
具体的な説明は4-1で行いますが、1枚目が全体像でございまして、2枚目が、具体的なデータについて、今回から報告書の中も、字だけではなく、各まとまりごとにグラフや図表を用いました。お時間のない方は、そこだけ読んでいただければ大体の全体像がわかるような形で工夫させていただいております。
4-1の最初に戻っていただきまして、まず、左側の四角が情報の集約・分析ということですけれども、大きく3つの情報源がございます。左側のマル1、マル2、マル3ですけれども、「消費者安全法に基づき通知された消費者事故等」の情報で、これは各省庁、自治体からまいります。次に、全国の消費生活センターにて受け付けられた消費者からの相談情報。最後に消費生活用製品安全法の重大事故の報告ということで、これは事業者から直接来るものです。
安全法に基づく通知については、全体の情報としては7,980件ということで、今回は期間が平成23年4月1日から平成23年9月30日でございますが、前年の同期に比べれば1,000件ほど減っています。
内訳については、消費者事故の部分の重大事故とそれ以外と、いわゆる財産事案に分けられます。重大事故については、前年同期の270件から620件ということで大幅に増えておりますが、内容は、火災が153件から492件になったことによります。ただし、この時期に火災が増えたということではなく、むしろ消防庁からの通知の件数が前年の同期に比べて大幅に増えた。つまり、原因がよくわからないもの、製品起因かどうかわからないものについても、幅広く情報提供をしていただくということでお願いしたこともありまして、すごく件数が増えております。見かけ上増えておりますが、この部分は、そういうことによるものだと御理解いただければと思います。重大事故等を除く生命・身体事案、財産事案についても、それぞれ件数は減っています。
他方、消費生活センターにて受け付けられた消費者からの相談情報はいわゆるPIO-NETを通じて情報がまいりますが、これについては全体の数字が363,763件と増えています。ウエートとしてはいわゆる財産事案が多く、運輸・通信サービスなどが多くなっておりまして、ここの部分に、いわゆるインターネット、出会い系サイトとか、アダルト系のトラブルとか、そういったものが多く含まれています。
事業者からの消安法に基づく報告については若干減っています。
事故情報データバンクにはどれだけ登録されて、医療機関ネットワークについては登録情報が幾つ来たといったことも報告書に書いております。事故情報データバンクについては、それぞれのデータソースからどれだけ登録されたかというのは、その下の図に書いてあるとおりでございます。
右側は「消費者安全法等に基づく消費者庁の措置」ということで、14条というのは、関係機関に対する資料提供の要求等ですが、今回、前年同期の2件に比べまして、42件と大幅に増えています。特に貴金属の訪問買取、いわゆる押し買いということで、今国会に特商法の改正案を出すべく準備しているところでございます。そこにつながる形で、まず現行法制でできることをやるということで、閣議決定した内容に基づきまして、相談事例の多い事業者等に対して、一体どういう取引をしているのかということを聞いてただしたということで、件数が増えています。
個別の事業者名公表として運用でやっております、15条1項に基づく注意喚起については、温泉付有料老人ホームの利用権、鉱山の採掘権等についての悪質な商法について、注意喚起をしたということでございます。その他、重大事故情報については、ここにありますとおり、それぞれ公表してきております。
その他、消費者安全法以外の情報提供等については、右下の四角にあるとおりですけれども、景表法、特商法、それぞれ措置命令や業務停止命令、指示を行ったということです。
各種情報提供として、「子ども安全メール」については、毎週木曜日のちょうど12時に配信しておりまして、登録件数はもう少しで2万にいきそうだというところまで来ています。
この期については、ちょうど東日本大震災直後ということで、震災に関しても情報提供を積極的にやってきております。今回、報告書の中では43ページから1ページ半にわたりまして、それぞれ、例えば生活関連物資等の価格・需給動向についてどういうことを行ったかということについて、報告させていただいております。
その他、関係省庁と連携しながら、例えば資金決済法の改正に関して、商品券の期限切れについて情報提供をしたり、茶のしずく石けんや、安愚楽牧場に関する情報の提供をしたといったようなことも記述しております。
最後、この期間、国民生活センターによる情報提供は42件行っているということで、前年の27件と比較して増加しております。
以上、駆け足ではございますが、国会報告の内容についての説明を終わらせていただきます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、委員の方から、御質問、御意見のある方はどうぞお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 前の3回に比べますと、冒頭にポイントが掲載されていまして、これによって概要がよくわかるので、一定のとりまとめ報告のねらいがここから見えてきます。そういう意味では大変改善されたと思いますし、私どもの意見も取り上げていただいて、改善が見られてよかったと思います。
ただ、幾つかあるのですけれども、相変わらず事故内容の分類、商品別、サービス別の分類が、これは国民生活センターの分類等があるためだと思いますが、ばらばらでわかりにくいままになっているところは、何とか改善できないのかと思います。
それから、これも毎回申し上げているところですが、重大事故の発生時から消費者庁の通知受理日との間に長期間を要している例が依然としてあります。これを、少しでも改善する方向を明示していただけないかというふうに思います。
医療機関ネットワークに関する制度の運用実績と、情報の活用状況に関する説明がちょっとわかりにくいなと思いましたが、この辺は次の機会にでも改善していただければと思います。
私からは以上です。

○河上委員長 ほかには何かございますか。
それでは、夏目委員からお願いします。

○夏目委員 個別のことにつきましては、今、山口委員から御発言があったとおりでございまして、これまで是正を要望してきたところもかなり改善されてきていることと、今後にも更に課題が残されているという話があったところでございます。
更に、今後のことを考えますと、今年度24年度に、消費者庁が、消費者問題の現状や課題、政府の取組等の全体像をわかりやすくするために、「消費者白書(仮称)」を作成することと伺っております。この「消費者白書(仮称)」につきまして、国会報告が目的としております、社会全体で消費者安全の確保が図られるよう収集・分析した情報が幅広く積極的に活用されて、消費者事故の未然・拡大防止に有効に活用できるようにするためには、やはり更なる情報の内容がわかりやすく理解しやすいものであることが前提だと考えておりますので、消費者庁におかれましては、この点を認識して、今後、「消費者白書(仮称)」をとりまとめをしていただくよう要望したいと思います。
また、先ほどの残された課題というところではございますけれども、情報の分析や対応につきまして、件数の多い事故、前年と比べ増加している事故について、その分析、それに基づく措置、対応を、より一層明確に報告していただきたいと思います。そして、事故の未然・拡大防止へ向けて、収集・分析、公表の一層の充実が求められると思っております。

○原事務局長 申し訳ありません。事務局からですけれども、今の発言の要旨を準備しておりますので、それを配付させていただいて、御発言いただいた方がいいと思います。すみません、中断させますが。

追加資料配付)

○河上委員長 今、お手元に配っていただいておりますけれども、先ほどの山口委員の御発言、それから現在、夏目委員から発言していただいておりますが、実は委員会の中でも、安全法に基づく国会報告についての意見を、フォローアップという形で意見案をまとめております。これをごらんになりながら、夏目委員から更に補足的に発言をしていただくということで、お願いしたいと思います。

○夏目委員 手順が違っておりまして、大変失礼いたしました。今、お手元に消費者委員会としての消費者庁の報告に関する意見を、皆様のところにお配りしたところでございます。
消費者庁におかれましては、非常に膨大な情報の集約をし、更には分析を進めていただいておりまして、それは大変感謝するところでございます。これまで、消費者委員会が消費者庁に対して求めてきました問題点等につきましても、是正されていることも十分に承知しておりますけれども、更なる今後に向けての点について、今回も改めて要望させていただくということでございます。
1ページには、「改善された点」ということで、4につきまして掲げさせていただきました。御説明がありましたとおり、山口委員からも御発言がありましたとおりでございます。詳しくはごらんいただければよろしいわけでございますけれども、イ)とウ)につきましては、消費者委員会が是正を要望してきたところが改善されたと考えておりますし、ア)とエ)につきましては、一定の改善が見られましたけれども、なお一層課題は残っているのではないかという指摘でございます。
2ページにまいりまして、「課題が残された点」ということで2つに分けております。ここでも山口委員から既に御発言があったところでございまして、1つ目は、「情報の一元化と社会的共有化への推進について」ということで、5つの個別のことを挙げさせていただきました。ごらんになっていただきたいと思いまして、次の報告のときには、こういったところが更なる改善をされることを期待いたしております。
2つ目は、わかりやすく使いやすい分類ということで、これも既に山口委員から御発言のあったところでございます。
IIIは「今後の課題」ということで、先ほど私が発言させていただいた部分でございます。まだ残された課題も多くございますので、未然・拡大防止へ向けて収集・分析・公表の一層の充実を消費者庁では図っていただくように、お願いしたいということでございます。
消費者委員会といたしましては、今後も、これらの課題につきまして、国会報告並びに予定されております「消費者白書(仮称)」、これが、より消費生活の安全・安心に寄与するよう検証・評価・監視に取り組んでまいります。したがいまして、消費者庁にも一層の努力をお願いしたいということで、消費者委員会の意見とさせていただきます。

○河上委員長 「消費者白書(仮称)」というのはいつごろ出そうなのですか。

○消費者庁黒田消費者政策課長 目途としては6月中には出したいというふうに思って、作業をしたいと思っております。今の段階での努力目標といいますか、そこを目指しております。

○河上委員長 楽しみにしておりますので、是非頑張ってください。
では、意見案を含め、この問題については、よろしゅうございますか。
それでは、どうもありがとうございました。

≪5.消費者安全法の一部を改正する法律案について≫

○河上委員長 続きまして、「消費者安全法の一部を改正する法律案について」でございます。
消費者委員会におきまして、これまで、消費者事故等の調査機関の設置、あるいは消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入について、機会を見てヒアリングを行い議論を行ってきたところでございます。このたび、これらの内容をも盛り込んだ「消費者安全法の一部を改正する法律(案)」について閣議決定がなされたと伺っておりますので、本日は、その内容について消費者庁から御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたしますが、説明は10分以内でお願いいたしたいと思います。

○消費者庁坂田消費者安全課長 消費者庁の消費者安全課長をしております坂田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、お手元の資料5-1に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
今回の法案の改正項目は2つございます。1つは、消費者事故等の調査機関の設置でございます。2つ目は、消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入ということでございます。
消費者安全法は、消費者被害の発生・拡大を防止し、その安全を確保するために、消費者庁設置と同時に制定された法律でございます。消費者安全法によりまして、情報の収集・分析体制は整備されたわけですけれども、消費者事故等の原因究明の体制は整備されておりません。このため、左上の「経緯」にございますように、消費者庁設置法の立法当時の附帯決議では、「消費者事故等について独立した調査機関の在り方について法制化を含めた検討を行う」とされたところでございます。
また、右下のポンチ絵の図でごらんいただきたいと思います。生命・身体分野の重大事故等でいわゆるすき間の対応は講じられておりますけれども、財産分野でのすき間についての対応は未だ講じられておりません。このため、右上の「経緯」にございますように、消費者安全法の附則2項で、「消費者の財産に対する重大な被害を含め重大事故等の範囲について検討すること」とされております。このように、いずれも消費者庁設立以来の課題でございまして、消費者被害の発生・拡大防止のために極めて重要な制度改正と位置づけております。
それでは、消費者事故等の調査機関の設置の部分について、御説明させていただきたいと思います。
まず、改正の趣旨でございます。消費者事故にはさまざまな教訓が含まれているわけでございますけれども、それを十分にくみ取り生かすための仕組みが、まだまだ不十分であるというのが現状でございます。そこで今回、事故調査機関の設置は、事故を専門的に調査し、事故の予防・再発防止に結びつけていく仕組みを整備しようというものでございます。
それでは、左上の「概要」をごらんいただきたいと思います。
組織については、消費者事故等の事故調査機関として「消費者安全調査委員会」を消費者庁に設置いたします。非常勤の委員7名により構成され、合議制の機関として、委員は独立して職権を行使することとなっております。また、必要に応じて、臨時委員、専門委員が任命されるということでございます。いずれも内閣総理大臣が任命することとなっております。これによりまして、機動的でありつつも、事故調査に必要な幅広い分野の専門性を確保できるようにしたいと考えております。
調査対象ですけれども、生命・身体分野の消費者事故等ということで、製品・食品・施設・役務について、生命・身体の消費者事故等が広く対象となるということでありますが、唯一例外がございますのは、運輸安全委員会の調査対象となっております、航空、船舶、鉄道の事故等については除くことにしております。すべての消費者事故等について調査を行うことは不可能ですので、被害の発生・拡大を防止し、被害の軽減を図るために原因究明する必要性が高いものを調査対象とすることになります。法律で、事故調査の対象を重大事故等に限定はしておりませんけれども、調査委員会の有識者の知見に基づいて事案を選定していただくことを想定しております。
次の「事故等原因調査等、提言のイメージ」ですけれども、調査委員会の事務は大きく分けて2種類ございます。1つは、生命・身体事故等の原因究明を行う事故等原因調査等。第2に、事故調査から得た知見を、発生・拡大防止等のための提言として発信することでございます。
端緒情報につきましては、効果的に事案を把握するために、消費者庁に集約される事故情報のほか、今回、調査が必要な事案をより効果的に把握するために、「何人であっても調査委員会に事故等原因調査等の申出ができる」旨の規定を置くこととしております。この申出も端緒として有効に活用することになります。
端緒情報に基づいて選定した事案につきましては、事故等原因を究明することになりますが、その方法としては大きく2つございます。
1つは、「自ら調査」とありますように、調査委員会が自ら報告徴収とか、立入検査等の権限を行使して調査を行うものでございます。これらの権限は、運輸安全委員会と同様の権限を用意するということでございます。
もう一つの方法といたしまして、本来の目的や権限とは異なるものの、自ら調査を実施するのと同等の、事故等原因の究明が可能な他の行政機関等による調査または検査が存在する場合には、これらを活用することとし、他機関の調査等の結果について事故原因を究明しているかどうかを評価いたしまして、必要に応じて意見を述べることとしております。
なお、事故等原因調査等の事務の一部、例えば特定の実験とか、成分分析といったことにつきましては、大学ですとか、民間の研究機関等に委託できることとしております。
更に、「発生・拡大防止等のための提言」ですけれども、事故等原因調査の結果に基づきまして、生命身体被害の発生または拡大の防止のために講ずべき施策または措置について、内閣総理大臣に勧告し、関係行政機関の長に意見具申を行うものとしております。これらの勧告や意見具申を受けまして、内閣総理大臣、関係省庁におきましては、被害の発生・拡大防止等のための各種措置につなげていく、というのが本制度のねらいでございます。
また、被害者等に向き合う事故調査という姿勢が重要であるとの認識に基づきまして、先ほど申し上げた申出について、被害者等からの申出のうち一定の場合につきましては、調査を開始するかどうかについて速やかに被害者等に通知することとしております。また、調査の進捗状況等を、被害者等の心情に十分配慮しつつ適時適切な方法で情報提供をすることとしております。
次に、右半分の「消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入」というところでございます。
まず、改正の趣旨でございます。消費者の財産被害につきましては、法律のすき間において被害が発生・拡大し、事後的に行政として対応することの繰り返しでございまして、すき間をねらった悪質商法との闘いが消費者行政の歴史でございました。こうした財産被害に対してすき間のない対応を設けておくことは、消費者行政において極めて重要であるということでございまして、今回の改正は、すき間事案において重大な財産被害が発生している場合に、内閣総理大臣が行政措置をとることができるようにするということでございます。
まず、マル1の事業者に対する措置ですけれども、行政措置の対象となる「多数消費者財産被害事態」について、次のように定義いたします。「取引の分野の『消費者事故等』のうち、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であって、事業者が示す内容と実際のものが著しく異なる取引などが行われることにより、多数の消費者の財産に被害を生じさせ又は生じさせるおそれのある事態」としております。
典型的な事案といたしましては、架空の有料老人ホームの利用権の取引事案、更には、イラクディナールなどの換金困難な外国通貨の取引事案が対象となり得るということでございます。特定の商品ですとか、取引方法を規制する要件とはなっておりませんので、これらに限らず、要件に該当するものであれば対象になり得るということでございます。また、今後新たな財産被害を生じさせるような事案が生じた場合、機動的に対応できるように、政令でも対象となる行為を定められるようにしております。
措置の内容ですけれども、内閣総理大臣は、そうした財産被害を生じさせる事態が発生した場合におきまして、他の法律の規定に基づく措置がない、いわゆるすき間事案につきまして、事業者に対して不当な取引の取りやめ、その他の必要な措置をとる旨をまず勧告いたします。更に、正当な理由がなくて勧告に従わない場合には、命令の措置をとれるようにしております。命令違反の場合には罰則を課すこととなっております。
次に、マル2であります。関係行政機関等への情報提供のところですが、内閣総理大臣は、消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生または拡大の防止を図るために相当であると認めるときには、関係行政機関の長等に対して、消費者被害の発生または拡大の防止に資する情報を提供することができる、という規定を導入するというものでございます。
具体的には、例えば関係行政機関において、所管法の端緒情報として活用されるよう情報提供するといったことですとか、ここにも例を挙げておりますけれども、消費者庁が調査の過程で犯罪利用預金口座等の情報を入手した場合、いわゆる振り込め詐欺救済法に基づく犯罪利用預金口座等の凍結等のために、金融機関に対し情報を提供するなどが想定されるということでございます。
以上が、本法律案の内容でございます。
施行日につきましては、事故調査機関の設置に係る改正につきましては平成24年10月1日から、行政措置の導入に係る改正につきましては平成25年4月1日から施行することとしております。本法案は本日、閣議決定され、国会に提出されたということでございます。引き続き、早期成立を目指して、更に努力を続けてまいりたいと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、委員から、御質問、御意見ございますでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 これまで何回も説明をいただきましたけれども、きょう、こういう形で法案が示されまして、是非実現していただきたいと思います。私はさっと条文を読ませていただいて重要だなと思ったのは、例えば37条に「不利益取扱いの禁止」があります。つまり、調査委員会の調査に協力して情報提供した関係の従業員とか、その他について、一切、「解雇その他の不利益な取扱いを受けない」という条文がございまして、これは非常に重要だと思います。更には、1年以内に結果が報告できないときには、その旨を報告するというシステムが31条3項にありまして、これも重要だと思います。
あと、何人もこの調査委員会に調査の申出ができると。では、その結果はどうするのかと思って、心配していたのですが、3項に、人身被害等、負傷、疾病を受けた本人あるいはその親族からの申出については、速やかにその旨を通知しなければならないという形で、放ったらかしにならないという建付けになっておりますので、この点も非常にいいのではないかと思います。
そこで2つだけ、心配といいますか、どうするのかというところをお聞きしたいのですが、28条の3項ですが、「その旨を当該被害者等に通知する」ということになっていますが、結果だけ通知してもなかなか納得できない部分はあるのではないか。これは別に条文にまで上げなくてもいいのかもしれませんが、最低限理由も通知するように、これは規則か何かで定めるのかわかりませんが、結果だけではちょっと寂しいのではないか。その辺、どうなさるのかというところを一つお聞きしたい。
それから、18条ですけれども、調査委員会は専門委員を置くということで、いずれも内閣総理大臣が任命するということになっています。専門委員を一々内閣総理大臣が任命していたら間に合わないのではないかという気がします。いろいろな事件が起こったときに、臨機応変に専門家に委嘱して、その筋の専門分野を生かしながら調査の適切を期すということになると、この辺の委員の任命の仕方はもう少し工夫の余地がないのか。この2点だけお答えいただければと思います。

○消費者庁坂田消費者安全課長 御質問、ありがとうございました。
28条につきましては、運用上、どこまで内容を回答するかということも、調査委員会が立ち上がるころに委員の候補者の方と相談させていただいて、基本方針のようなものを固めていただいて、それに沿った形で回答をしていくことになろうかと思います。
18条の点でございますけれども、今、私どもが想定しておりますのは、各専門分野について幅広く人材をまず専門委員として任命しておく。消費者事故として想定される限りの分野の専門家を、かなり多人数、まず発令しておくということを考えております。それでも当然、予期せぬ事件というものが起きるかと思いますので、それは改めて任命手続が必要ということになろうかと思いますけれども、できる限り、事案の調査が遅れることがないように対応していきたいと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
吉田委員。

○吉田委員 ありがとうございます。今回の改正によって、いわゆる財産被害のすき間への対応ができるということで、非常に期待しているところです。その期待が期待はずれにならないためには、法律にのせるだけではなく、機動的な運用をしていくという点が極めて重要かというふうに考えておりますので、その点も是非お願いしたいと思っております。これが一点です。
それから、今回の措置では、事が起こってから、事後に対する措置ということでなされるということですが、そもそも財産被害が起こらない仕掛けづくりとセットでやっていかないことには、なかなかいい成果に結びついていかないのではないかとも思っています。その点、そもそも財産被害を起こさせない仕掛けづくりも併せて形成していただきたい、この2点を是非、重ねてのお願いをしていきたいと思います。

○消費者庁坂田消費者安全課長 御指摘、ありがとうございました。機動的な運用を心がけていきたいということでございますし、2点目につきましては、「被害を生じさせ、または生じさせるおそれのある事態」というふうに書いてございますので、必ずしも被害が顕在化していないケースであっても機動的に対応できるように、要件としては工夫をしているということでございます。先生御指摘のとおり、未然防止という観点は非常に重要な視点でございますので、できる限り被害が起きないように、更に、被害が起きても拡大しないように対応していきたいと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
細川委員。

○細川委員 主に調査機関の設置の方ですけれども、これは前にも私は言いましたが、これは民事法規ではなくて行政法規ですから、法律ができたら終わりではなくて、この理念に基づいて実際に行政が動かなければ何の意味もないわけです。そういう意味で言うと、ただ法律があるだけではなくて、それに基づいて機動的に人なり組織が動かなければならないわけで、本当にこれでやれるのかなというのが私は率直な気持ちなのです。予算的な話とか、人員です。今でも、消費者安全課は、いろいろ情報は来たけれども、それをなかなか的確に分析できないと、非常に苦労されているのを聞いていますので、枠組みだけつくっても、人も予算も少なければ結局これは何にもならないということになってしまうのではないか。
例えば、委員も7名の非常勤であるということです。消費者委員会自体も10名の非常勤でやっていて、いろいろ問題があって、一方で問題は山積しているから、もっと委員会を開くべきだという考えと、一方で、それぞれみんな本業を持ってやっていて、これ以上増えたらとんでもないということがあって、なかなか大変だなというふうに思っています。まさに消費者安全調査委員会というのも人の命を預かっているわけだから、7名の非常勤で、一体どのぐらいの頻度で開くシミュレーションでいるのかなというのも、消費者委員会の委員をやっている私からすると、ちょっと疑問にも思いますし、どうなのでしょうか。今までは、「小さく産んで大きく育てる」などという美名の下にやってきて、小さく産みすぎてしまって、なかなか育たないものがいっぱいあるわけですけれども、その辺どうなのでしょうか。うまくやれそうなのでしょうか。

○消費者庁坂田消費者安全課長 御指摘、ありがとうございます。先ほども若干触れさせていただきましたけれども、本委員と臨時委員以外に、専門委員をできるだけ専門分野に即して多人数、事前に発令できればというふうに思っておりますし、各事案について、担当専門委員を例えば2名という形で決めさせていただいて、その方が中心になってチームを組んで調査を行っていくという手法を、今、想定しているところでございます。

○細川委員 その方も非常勤なわけでしょう。

○消費者庁坂田消費者安全課長 はい。

○細川委員 どこか本業があって、これだけで食べていけるような職ではないわけですね。

○消費者庁坂田消費者安全課長 はい。

○細川委員 うまくいきますかね。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 22条ですけれども、これは原子力の関係でも、企業から補助金をもらっていた学者の方が問題になっていますが、この22条では、「事故原因に関係があるおそれのある者であると認められるとき、又はその者と密接な関係を有すると認めるときは、従事させてはならない」とあります。私も幅広に専門委員を任命しておくことは必要だと思うけれども、幅広くし過ぎると、何か事故が起こったときに、それの関係者とか、その辺もいろいろ含まれてきて大変ではないのか。もう少しアドホックの方がいいのではないかなという気がするのですが、その辺はどういうふうにお考えになっているのでしょうか。

○消費者庁坂田消費者安全課長 そこは、任命の際にできる限りそういったところは確認するということが一つあろうかと思いますし、専門委員の発令をできるだけ多人数にして、その中で適切な方を担当委員としてお願いするという仕組みが、うまく回っていくように制度設計をしていきたいと思っております。

○河上委員長 ほかには。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 財産被害についてのすき間事案の行政措置というのは、前の御説明でも、今後さらに第2弾としていろいろ策を講じていくというお話だったかと思います。今回の法案で、多数消費者財産被害事態という言葉になって、全国的というのがなくなって、よかったなと思っているのですが、「定義」の2条の8項で多数消費者財産被害事態というのが定義されていて、2号の「政令で定めるもの」もありますが、大体どのようなことになりますか。

○消費者庁坂田消費者安全課長 今のところ、第1号で相当部分はカバーされるであろうということでございます。ただ、予想されないような事態が今後生じ得ますので、そこは入念的に政令で定められるように、2号を用意しているということでございます。

○小幡委員 とりあえずはまだ定めておかない、という感じですか。包括的な定めになりますか。

○消費者庁坂田消費者安全課長 はい。そういう意味では今のところは、具体的に想定しているわけではございません。

○小幡委員 どういうものがあるかというのははっきりしないので。ただ、多数というのがどのぐらいで多数かというのはあるかと思いますが、全国というのがなくなったので、そういう地域的縛りがなくなったのは、法令の文言になってよかったと思っております。

○消費者庁坂田消費者安全課長 ありがとうございます。

○河上委員長 よろしいですか。
今回のすき間事案に対して、行政機関が的確に対応できるようにということで、大変重要な立法であると認識しております。それだけに速やかな成立を期待しているところでございます。ただ、せっかくの制度も、運用いかんでは生かされもしたり、あるいは絵に描いた餅にもなったりします。細川委員、吉田委員から先ほど来御指摘がありましたけれども、消費者庁として、その適用の在り方についてやはり幅広な運用を是非お願いしたい。
委員会としては、若干持ち場が重なり合うところが出てくるかもしれませんが、しかし、お互いに協力して、全体としてよい方向で提言や意見を出していけるようにということで、安全委員会と消費者委員会との間でも、一定の協力関係が持てれば、是非持ちたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
きょうは、お忙しい中、御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪6.閉会≫

○河上委員長 以上で本日の議題はすべて終了いたしましたけれども、最後に、事務局から、今後の予定について説明をお願いしたいと思います。

○原事務局長 長時間、どうもありがとうございました。
次回ですけれども、2月28日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題につきましては、決まり次第、御連絡をいたします。
以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)