第80回 消費者委員会 議事録

日時

2012年1月31日(火)16:00~17:59

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
消費者庁
金児消費者安全課長事務代理
林地方協力課長
消防庁
椎名予防課国際規格対策官
厚生労働省
医薬食品局食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室担当者
雇用均等・児童家庭局保育課担当者
老健局高齢者支援課担当者
【事務局】
原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開 会
2.消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策について
○説明者: 消費者庁  金児消費者安全課長事務代理
消防庁  椎名予防課国際規格対策官
厚生労働省  医薬食品局食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室担当者
雇用均等・児童家庭局保育課担当者
老健局高齢者支援課担当者
3.平成22年度地方消費者行政の現況調査について
○説明者: 消費者庁  林地方協力課長
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策関連資料(消費者庁提出資料)
(資料1-1) 本棚等の転倒防止策について(PDF形式:119KB)
(資料1-2) 子供のライターの使用に関する注意喚起について(PDF形式:97KB)
(資料1-3) 電動車いす(ハンドル形)の使用に関する注意喚起について(PDF形式:241KB)
(資料1-4) 扇風機の発煙・発火などに御注意ください!(PDF形式:287KB)
(資料1-5) 冬の身近な危険について その1 湯たんぽによるやけどにご注意を!(PDF形式:231KB)
(資料1-6) 自転車用幼児座席リコール実施の周知等に関する協力要請(PDF形式:602KB)
(資料1-7) 「医療機関ネットワーク事業」で収集した事故情報について(PDF形式:539KB)
(資料1-8) 消費者庁に寄せられる生命・身体被害情報の適切な処理及びそれに基づく対応の実施(PDF形式:323KB)
【資料2】 消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策関連資料(消防庁提出資料)
【資料3】 消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策関連資料(厚生労働省提出資料)
【資料4】 平成22年度地方消費者行政の現況調査関連資料(消費者庁提出資料)
【参考資料1】 消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議(PDF形式:22KB)
【参考資料2】 消費者安全専門調査会設置・運営規程(PDF形式:24KB)
【参考資料3】 第1回地方消費者委員会関連資料(PDF形式:17KB)
【参考資料4】 特定保健用食品の表示許可に係る答申関連(PDF形式:430KB)
【参考資料5】 委員間打合せ概要(PDF形式:60KB)

≪1.開会≫

○山口委員長代理 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会(第80回)」の会合を開催いたします。
河上委員長は、大学での会議が長引いて5分か10分遅れるということですので、私が代理で議事進行をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
初めに、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、「第80回消費者委員会議事次第」と書かれたものの下に配付資料の一覧をお付けしております。
資料1といたしまして、この後、消費者安全行政の抜本的強化に向けた消費者委員会としての建議のフォローアップを行う予定ですけれども、その関連の資料ということで消費者庁提出資料、資料2が消防庁の提出資料、資料3が厚生労働省提出の資料になります。資料4といたしまして、「平成22年度地方消費者行政の現況調査について」、消費者庁から御説明をいただく予定になっておりますので、消費者庁から提出いただいた資料になっております。
参考資料ですけれども、参考資料1として、「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」。参考資料2として、「消費者安全専門調査会の設置・運営規程」。参考資料3として、「第1回地方消費者委員会」を先日開催いたしましたので、その関連の資料。参考資料4として、「特定保健用食品の表示許可に係る答申関連」の資料、最後に、参考資料5として、1月24日に委員間打合せを行っておりますので、その概要をお付けしております。
審議の途中で不足等ございましたら、お申し出いただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。

≪2.消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策について≫

○山口委員長代理 それでは、議題に入ります。
本日は、当初予定していた「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策について」の議題に加えまして、「平成22年度地方消費者行政の現況調査について」を議題として取り上げたいと思います。
まず初めに、「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策について」であります。消費者委員会では、昨年7月、消費者委員会消費者安全専門調査会の報告を受けまして、「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策について」の建議を、消費者担当大臣をはじめとして関係各大臣あてに提出しております。その中で、事故情報の収集・公表制度を主管する消費者庁が、関係省庁の対応について必要な協議を行った上で、関係省庁としての対応及び消費者庁としての対応について平成23年12月末までに報告することを求める、としております。
本日は、消費者庁、消防庁、厚生労働省においでいただきまして、報告書に記載された各種施策を実施するための対応状況について御報告いただき、議論を行いたいと思います。
それでは、まず消費者庁から、重大事故などの情報の収集強化、収集範囲拡大、緊急を要する事故情報の公表、事故発生後の効果的な注意喚起による回収策、被害拡大防止の強化、誤使用・非重大事故情報に係る集約・分析・活用、更には、各事故情報の集約・分析・活用を強化するための体制強化の5項目につきまして、御説明をお願いします。
なお、説明は10分ぐらいでお願いいたします。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 それでは、建議への報告でございますので、参考資料1(PDF形式:22KB)PDFを別ウィンドウで開きますの各項目に沿って御説明させていただきたいと思います。
2ページの「5」の「(1)重大事故等の情報の収集強化・収集範囲拡大」についてです。
3ページに入りまして、マル1でございますけれども、「消費生活用製品安全法に基づく事業者からの報告や事故情報データバンクの登録情報等を活用して、消費者安全法に係る通知義務が励行されるよう督励するほか、消費者庁と関係省庁間で通知の遅滞等が生じた各事例に関して、定期的な協議の場を設けて改善を図ること」という指摘をいただいております。
これにつきましては、他の機関、事業者からの通知・報告をもとに、対応が必要と判断した事故の情報を関係省庁に提供しております。また、消費者庁と関係省庁間で通知の遅滞等が生じた事案がある場合には、個別に協議することにより改善を図ることとしております。
なお、消費生活用製品安全法に基づく事業者からの重大製品事故の報告では、消費者安全法に基づく通知よりも詳細な情報が得られているところでございます。
次に、マル2でございますけれども、「救急車で搬送された傷病者に関する事故の情報を的確に把握できるよう」にという御指摘でございます。
これにつきましては、中等症以上の救急搬送は年間240万件以上もあり、また、人命救助が優先の救急作業中に、製品や役務に起因する可能性を確認するのは困難な作業であると考えております。したがって、これらをすべて通知対象とすることは現実的に難しいと考えております。
また、重大事故等の要件の一つである治療期間30日間以上を期間短縮することは、他の法令における重傷者の定義との整合性も踏まえ、慎重な検討が必要と考えております。
次に、「(2)緊急を要する事故情報の公表」についてでございます。「中毒情報等の緊急を要する事故情報については、事業者名等の通知漏れや通知の遅滞を防止するために、日ごろから消費者庁として関係省庁を通じて改善を要請すると同時に、緊急を要する事故情報については、定例公表日にこだわらず、事実関係未詳であっても迅速に公表できるように、早急に公表基準を見直す。また、消費者庁としても事故情報を迅速に分析し、必要に応じて関係省庁に対する措置要求等ができるように、所管省庁とは独立した分析体制を強化する」という御指摘です。

○原事務局長 金児さん、ちょっと待ってもらえますか。すみません、参考資料の1が建議の事項です。これに沿って御説明をされています。今、これの3ページ目、「(2)緊急を要する事故情報の公表」のところの御回答をされているところです。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 すみません。
これにつきましては、重篤な被害の発生した食中毒事故等、緊急的な対応が必要な事故に対しては、関係省庁等と連絡を密にし、速やかに情報を収集し、被害拡大防止のために必要な対応を関係省庁に依頼または要請することとしています。公表基準の見直しについては、現行の「生命・身体被害に係る消費者事故情報等の公表に関する基本要領」でも、すでに「被害が重大である事案、その他、社会的影響が多い事案であって、事案の性質が明らかでない事案や被害拡大防止の方策が明らかでない事案等、緊急に対応措置を講ずべき場合には、定期的な公表によらず迅速に公表を行っていく」こととしていますが、更に全般的な見直し作業を行っています。
次に、「(3)事故発生後の効果的な注意喚起等による回収策・被害拡大防止の強化」についてですが、マル1につきましては、複数の製品に重大事故等が生じた製品群については、「事故情報分析タスクフォース」において対応が必要な事案等を抽出し、分析・原因究明を進め公表してきました。このほか、消費者に向けて製品群の事故事例と注意情報を提供したものとして、ライターの火遊びによる火災、電動車いすの転倒、扇風機の発煙・発火、湯たんぽによるやけど等があり、引き続き実施していくこととしております。
今、申し上げた事例の内容については、今回、資料として提出させていただいております。
次に、マル2のところでございますけれども、消費者安全法第15条第1項に基づく公表については、公表の基本要領において、被害の重篤性や事故の発生数等の公表要素を踏まえることとなっており、これに照らし合わせて検討しております。
次に、マル3についてでございます。これまでも、地方自治体への通知や電子メール、国民生活センターが全国各地の消費生活センターに情報提供を行うための電子掲示板等を活用し、情報提供をしてきました。なお、自転車用幼児座席リコール実施の周知の際は、自治体の保育園及び幼稚園所管部局に協力を求めたほか、案件によっては、必要に応じて事業者団体の協力を要請するなど、効果的な周知に努めています。
「(4)誤使用・非重大事故情報に係る集約・分析・活用」については、誤使用による事故や、高齢者・子どもに特有の事故等の情報の収集については、医療機関ネットワーク事業による医療機関からの事故情報を活用しております。また、事故情報データバンクに登録された大量の被害情報の中から、特定の事故を抽出するための検索システム、ソフトウェアを導入することにより、情報の分析・活用の強化を図っていくことにしております。事業者への事故情報の提供は、被害者等の個人情報の保護の方法を検討し、適宜、施設に提供していきたいと考えております。
次に、「(5)各事故情報の集約・分析・活用を強化するための体制強化」についてです。事故情報の分析・活用のための庁内の人員体制は現行で十分とは認識しておらず、また、医学や薬学等、さまざまな分野の専門家も必要となっています。このため、財政状況を見ながら段階的に体制を整備することとしております。
地方消費生活センターの人員・予算の充実については、「地方消費者行政活性化基金」の活用を通じて支援しており、「基金後」については、地方自治体の裁量で自由に使える恒久的な財源の確保等に努めてまいりたいと考えております。
今まで申し上げました事故情報の分析・活用に関する取組に関しては、消費者庁に寄せられた被害情報を漏れのないよう点検し、必要な詳細情報の収集や取組につなげていくため、平成23年11月に「入手情報点検チーム」を設置し、情報の適切な処理とそれに基づく対応に努めているところであります。なお、的確な対応を図るため、専門家から定期的に意見を聞くこととしております。
さらに、平成24年度、消費者庁に第三者機関として「消費者安全調査委員会(仮称)」を設置し、事故調査を行う体制を整備する予定であります。この調査委員会の設置後は、調査委員会と十分に連携し、その調査結果を活用し、積極的に消費者へ情報提供をしていくとともに専門性の高い対応に努めてまいりたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。

○山口委員長代理 ありがとうございました。
ただいまの消費者庁からの説明と関連いたしまして、消防庁から、火災案件での重大事故情報の通知推進の取組状況について、御説明をお願いします。
なお、説明は5分程度でお願いいたします。

○消防庁椎名予防課国際規格対策官 それでは、資料2-1(PDF形式:121KB)PDFを別ウィンドウで開きますをごらんください。「製品の安全対策に関する行政評価・監視」というものが、同じ総務省の行政評価局より、勧告が、消費者庁、消防庁並びに関係省庁に出されています。昨年2月1日に勧告がございまして、それに対する対応を9月30日にフォローアップという形で返しております。
まず、勧告の具体的な中身につきまして御紹介させていただきます。一番表のページでございます。
「製品事故情報の迅速かつ的確な消費者への提供等」ということでありまして、「(1)製品事故情報の迅速かつ的確な収集」。消費者庁及び経済産業省は、消費者の安心と安全を確保するため、製品事故情報の迅速かつ的確な収集を図る観点から、以下の措置を講ずる必要がある。
マル1は略でございます。
マル2といたしまして、消費者庁は、消防庁を通じて消防機関に対し、事業者から消費者庁への製品安全法の規定に基づく報告が迅速に行われるよう、製品事故が疑われる情報を把握した場合には、当該情報を迅速に事業者に連絡するよう協力要請を行うこと。
マル3といたしまして、消費者庁は、警察庁及び消防庁を通じて警察機関及び消防機関に対し、消費者庁への消費者安全法の規定に基づく重大事故等の通知が的確に行われるよう、製品事故が疑われる情報を把握した場合には、幅広く迅速に警察庁または消防庁に報告するよう協力要請を行うこと。
最後に、又書きですが、消防庁から通知される製品に係る重大事故等については、消費者事故等に該当しないことが明らかな事故以外は、幅広く迅速に通知されるようにすることということでございます。
同じ紙の裏側をごらんいただけますでしょうか。ここからが、この勧告を受けた消防庁としての対応でございます。少しさかのぼる状況でございますけれども、勧告前に、消防機関に対しまして「製品火災に係る報告について」という通知を出しております。これは再周知ということで、消費者安全法ができたときに当初通知しておりましたものを再周知しております。ここで、重大製品事故に該当するもの、または該当する可能性があるもの等について、迅速に事業者に連絡するよう周知徹底を図っており、引き続き、消防機関の火災原因調査の担当者が集まる会議等の場を利用するなどして、更に一層の周知・徹底を図っているということでございます。
次のページの補足といたしまして、実際にどのような場所で周知を図っているかということでございます。今年度の具体的な会議で、予定も1件入っておりますけれども、中央省庁が主催する会議として7案件ございます。上記の計で532団体(重複を含んでおります)、延べ1,000名。これはたまたまぴったり合っておりますけれども、延べ1,000名に対しまして、私どもの口からこの再周知の内容の徹底について申し上げているということでございます。
厳密には、消費者安全法における重大事故等というものが、製品あるいは役務を使用したことによる事故というふうに厳密に定義されているものですから、製品が使用されている可能性があるもの、こういったものについては多少グレーゾーンな部分もございます。消防といたしましては、やはり火災現場から、その製品の発火源であることが特定されやすいものにつきましては、速やかに御報告を申し上げているという状況でございます。したがいまして、勧告あるいは専門調査会の調査書におきまして、半数の事例については、むしろ消費生活用製品安全法よりも早い通知となっている。わかるものについては、当然、直ちに報告をしているということでございます。
一方で、なかなか報告が上がってこない事例につきましては、やはり焼損の程度が激しく、あるいは火災現場が全損に至っている、全焼ということです。この場合、原因自体を特定することが難しい中で、限られた情報の中で調査をしていくことに時間を要しているということでありまして、確定報、最終報をもちまして、製品に係るものについては、その確定報をもって速やかに通知をしているという状況になっております。
したがいまして、事業者には、この再周知の通知をもちまして速やかに通知を差し上げております。これによりまして、消費生活用製品安全法におきましては、製品事故である可能性があるものについて10日以内に報告となっておりまして、こちらについては、消防機関からの連絡も含めて有効に機能しているのではないかということでございます。
マル3の後段につきまして、勧告前に、こちらも同様の説明でございます。電気用品及び燃焼機器の火災のうち、構造上の不備、欠陥により発生したと判断される場合及び原因が特定できない場合等についても、消防庁に幅広く迅速に報告するよう周知・徹底を図っており、引き続き、消防機関の火災原因調査の担当者が集まる会議等の場において、一層の周知・徹底を図っております。
この結果といたしまして、消費者安全法に基づく重大事故等の消防庁から消費者庁への通知につきましては、消費者庁とこの勧告を受けて協議を行い、平成23年2月から、通知する対象を、消防機関が製品起因であると判断したものだけでなく(ここが法定的な義務でございます)、製品起因が疑われるものにも拡大して運用しているところでございます。
この運用の改善におきまして、平成22年8月から23年1月までの6カ月間の1カ月当たりの平均通知件数は、これは厳密な解釈であるということで、13.7件でありましたのに対して、23年2月から6月までの5か月間の1か月当たりの平均通知ケースは181.4件ということで、これは、疑わしきもの、製品事故の可能性を含むものも漏れなく速やかに第一報を通知させていただいております。
消防庁からの御報告は以上でございます。

○山口委員長代理 どうもありがとうございました。
続きまして、厚生労働省から、食中毒案件における消費者安全法に基づく重大事故情報の消費者庁への通知推進の取組状況、保育所、老人介護施設などにおいて発生した、消費者安全法に基づく重大事故情報の消費者庁への通知推進の取組状況の2項目につきまして、御説明をお願いします。
なお、説明は5分程度でお願いいたします。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室担当者 それでは、初めに、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室から御報告させていただきます。
資料3-1(PDF形式:114KB)PDFを別ウィンドウで開きますでございます。専門調査会の報告書の中で、焼き肉チェーン店における腸管出血性大腸菌による食中毒の報告の経緯について、2点ばかり、食品衛生法を所管している厚生労働省の食中毒被害情報管理室から御指摘について報告させていただきます。
1番は、福井県から厚生労働省、その後、消費者庁でございまして、事案の通知の遅れに関する御指摘についてでございますけれども、上に書いているのが事実関係でございます。
まず、4月27日に福井県が、これは食中毒ではございませんで、腸管出血性大腸菌のO111による感染症の患者として1名(6歳男児)を探知しました。福井県の県庁の中でも、食品の部署ではなく、健康増進課感染症疾病グループという感染症法を所管しているグループが、4月27日に感染症法に基づいてプレスを発表しております。報告は、福井県から厚生労働省の食中毒の被害情報管理室には、4月28日13時17分にメール、電話等にて来ております。厚生労働省から消費者庁には、4月28日の15時56分にメールをしているところでございます。
もう一点、5月2日(月曜日)の事例でございます。福井県が食中毒として判断し、チェーン店であった福井渕店に対して4日間の営業停止処分をしたということでございます。これは食中毒ということを断定して、店に対して処分を下したということです。この報告につきましては、福井県から厚生労働省については5月2日21時8分でございます。厚労省から消費者庁には、同日の23時26分に報告をメール等でしております。このように自治体と厚生労働省の間は、24時間365日対応ができる体制を構築しております。
報告書におきましては、福井県から厚生労働省に「27日に報告があった旨記載」ということですけれども、上記のとおり、28日に福井県から厚生労働省に報告がなされ、同日中に厚生労働省は消費者庁に通知しているということでございます。
消費者庁への通知の遅れは、「5月2日の福井県からの厚生労働省あて報告も、3日に消費者庁に通知がなされ」ということでございます。2日間にまたがったということでございますが、我々は2日の23時26分にはメールをしているということで、2日中には通知をさせていただきました。
もう一点でございます。福井県の事業者の名前がないことによって消費者庁の報告が遅れたという点でございますけれども、福井県からの最初の通知におきましては、上記のところでも説明しましたように、食中毒としてではなく、腸管出血性大腸菌の感染症としての発生でございまして、感染経路については、県ないし保健所が調査中という段階でございます。県ないし保健所長の判断として食中毒の判断をしていないということで、事業者名の公表をしておりません。
その後、福井県は富山県、これも食中毒の患者数が多い県ですけれども、患者から採取した菌株と福井県の菌株が遺伝子のパターンが一致した。パルスフィールドゲル電気泳動というもので限りなく一致したということで、これをもって食中毒事件として事業者を記載し通知したということでございます。
なお、厚生労働省では、このチェーン店を所管している全自治体に対して情報を提供するとともに、拡大防止の観点から、疑いの事例でも公表するように依頼をしているところでございます。
以上、お話ししましたように、厚生労働省から消費者庁への事前連絡は、今のところ、適切に実施しておりまして、この事案に限らず、引き続き情報の収集及び消費者庁、それ以外の関係機関にも連携を努めているところでございます。
以上でございます。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課担当者 厚生労働省雇用均等・児童家庭局の保育課でございます。
保育所の事故に関する通知でございますけれども、報告書の13ページにございますように、保育所における事故についての通知義務は、現在、設けておりませんけれども、資料3-2(PDF形式:120KB)PDFを別ウィンドウで開きます、昭和46年の局長通知では、「不慮の事故が発生した場合には、速やかに本職にご報告願いたい」となっております。児童福祉施設全般について事故の報告を求めておりますが、1枚おめくりいただきますと、平成22年1月19日に、特に保育所と認可外の保育施設について、事故の形態について詳細に把握できるように、改めて報告を求めるようになっております。
次のページですが、これが事故の報告様式で、保育士の従事者数、事故発生時の状況、性別、年齢、発生状況等を詳細に報告いただくようになっております。
これは都道府県に通知するわけですけれども、保育所から市町村、市町村から都道府県、都道府県を通じて厚生労働省に報告が上がってくる形になっております。
以上でございます。

○厚生労働省老健局高齢者支援課担当者 厚生労働省老健局高齢者支援課でございます。
有料老人ホームにつきまして、報告書の方で、事故に係る通知体制について、なしということで書いていただいております。
まず、資料3-3(PDF形式:115KB)PDFを別ウィンドウで開きますをごらんいただきますと、「社会福祉施設等の利用に係る消費者事故等の通知について」ということで事務連絡を出させていただいております。これで、消費者庁への通知と合わせて厚生労働省にも通知いただくという形で、事故発生のときの報告をお願いしております。
有料老人ホームについては、現在、こういった形で報告の義務等は課していないところですけれども、介護保険法の介護サービスにつきましては、基準におきまして、事故が発生した際は報告をしていただくことになっております。例えば有料老人ホームの7割が指定されております特定施設入居者生活介護も、そういった報告義務がかかっておりますし、それ以外のところについても何らかの介護サービスを実施していますので、そこで事故が発生した場合については、基準上、報告をしていただくことが義務になっております。これは法令の中で定められているものです。
また、有料老人ホームは届出制度でございますので、現在、設置運営指導指針をもとに指導が行われているところでございます。現在、広島県等、事故発生時には報告するようにということで位置づけている都道府県もございます。今般、こういった報告書もございますので、国の方の標準の設置運営指導指針でも、事故発生時の報告について、位置づけをしていきたいというふうに検討をしているところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。
どうぞ。

○細川委員 中身に入る前に、先ほど、消費者庁の御説明のときに資料がわからなくてゴタゴタしましたけれども、そもそも、きょうの消費者庁のこの御報告というのは何なのですか。資料1-1は、ここでの回答ではなくてリリースを集めただけで、御回答が、参考資料1は消費者委員会が出した建議ですね。それを受けて、「口頭でとりあえず説明しちゃえ」みたいな感じで、今のは何ですか、ペーパーがないというのは。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 口頭で御報告させていただいているということでございます。

○細川委員 それはちょっと変ではないですか。確かに今、法制度のところで忙しいというお話はよく聞くし、それは大変だと思いますけれども、こうやって消費者委員会で聞いていることに対して、「面倒くさいから口頭で答えておけ」みたいなのは、私は、ちょっとおかしいのではないかなと思いました。
以上です。

○河上委員長 御感想として承りましたけれども、ほかの委員の方、御意見、御質問ございましたら、お願いします。
村井委員、どうぞ。

○村井委員 今、お三方の報告を聞いて、去年の建議も改めて見まして、厚生労働省あるいは消防庁の方は、十分な情報はちゃんとタイムリーに出しているという御説明だったと思います。それに対して消費者庁として、現状、情報は十分いただいているし、タイムリーに公表はされているとお考えなのか、あるいは、先ほどの新たな体制づくりも含めて、どの辺が不足していると思われているのか、その辺のところを教えていただければと思います。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 食中毒の件は、先ほど厚生労働省から御説明いただいたところについては、迅速に通知をいただいているのではないか思います。
ほかの福祉施設関係ですけれども、ここは確かに通知いただいている件数は比較的少ないです。今、厚生労働省とは意見交換は始めさせていただいているところでございます。
消防庁につきましては、先ほど御説明がありましたとおり、製品火災事故については非常にたくさん事故の通知が来ている、御努力いただいているというふうに私どもは認識しております。

○河上委員長 村井委員、どうぞ。

○村井委員 こういう事故情報をリリースにしろ、出すのは究極的に何の目的かというと、同じような事故が起こらないように、あるいは、事業者がオープンリコールしてもなかなか認知されずに、また同じことが起きてしまうということを完全に防いでいくことが重要だと思います。少し手法的なことかもしれませんが、そのことを、例えば消費者庁のリリースや、ホームページに掲載しましたというだけでは、恐らく伝わらないことが多いのではないでしょうか。
私どもは事業者で、私どもの製品にもしトラブルがあったときのオープンリコールは、主要3紙に出したり、いろいろ手法はありますが、これは費用的な問題がありますから一概には言えませんが、その辺りの情報を広く、消費者の方にお伝えする仕組みは、何か御検討されているのかどうか。失礼な言い方ですが、消費者庁のホームページにどれほどの方がアクセスされているのかわかりません。それほど多いとは思えません。まだ決まっていないことかもしれませんが、教えていただければと思います。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 確かにそういった問題は私どもも認識しておりまして、リコールされた製品について、私どもはプレスリリースで出すわけですけれども、新しいリコールですと記者も取り上げてくれるのですが、既に昔から回収が行われているようなものですと、なかなか取り上げてもらえないというのが実情でございます。
それで、少しでも改善したいということで、私どもは今、各省庁が所管する製品についてのリコール情報を一元化して提供するサイトを構築するという作業を始めております。来年度からそういったサイトを運用して、その中で特に重要なリコール情報は目立つように載せるとか、そういったことも含めて、今、検討しているところでございます。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 消費者委員会で建議した内容は、煎じ詰めて言えば、できるだけたくさんの情報を集め、それを効率的に分析して、緊急を要する案件については効果的に公表して再発防止につなげる、そういうことだったと思います。今の金児さんの御説明では、現実に今の状態をどう改善してどうするのかというのが、わかりませんでした。前回あるいはその前にも何回もこの議論をしているわけですが、年間1万6,000件くらいの事故情報が集まる。それをもっと広く集めなくていいのかということを申し上げると、これで十分だ、これ以上集めても分析に手間がかかってしょうがないということも、本音レベルでおっしゃる。あるいは、前回の議論では、消防庁が効率的に情報をたくさん提供してくれるようになった結果、分析に手間がかかって大変だったけれども、今、何とか遅れず分析して、公表につなげるように努力をしているというようなことをおっしゃったわけです。
つまり、これは本当に心から同情した上で申し上げるのですが、事故情報がたくさん集まれば集まるほど分析は大変になるだろう。しかも、その分析の中から、重大事故につながるような、あるいは、同じような事故再発につながるような事故を抽出して、効果的に消費者に注意喚起するというのは、これを日常的にやるというのは大変な作業だろうと本当に思います。
そういう中で、もう一歩、今の状態をどう具体的に改善して、効果的にたくさんの情報を集めて、効果的に分析して注意喚起につなげるのか、この改善の方向性が見えない。とにかく頑張りますとしか言っていないようにしか聞こえない。要するに建議の趣旨はそういうことなので、改めて、いろいろ法案もかかっていて忙しいのはわかるけれども、今、口頭で金児さんがおっしゃったことも含めて文書でいただけませんか。その上できちっと中身のある議論を、消費者庁の今の業務の実態に照らして、どういうふうに具体的に工夫して改善していったらいいのか。マンパワーのこともあるし、あるいは、事故情報の公表の基準ですが、見直しの結果、公表基準はできたのでしょうか。これはまだですね。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 まだです。

○山口委員長代理 事故情報の公表基準の見直しについても、これから消費者委員会の専門調査会で議論するとしたならば、一緒に議論をして、いいものをつくった方がいいと思うのです。その辺、現在の作業状況も含めて、文書でいただいて、一緒に検討するということができないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 文書でお出しすることは検討できるかと思いますけれども、基本的に、今、私が御説明したことは議事録にも載って文書で残るものだと思って、私は説明させていただいたつもりです。
あと、建議の趣旨は私も非常によくわかります。情報をしっかり集めて分析して、消費者に伝わって事故が再発しないように、そういった趣旨のために公表していくということだと認識しております。私どもは、先ほど御説明したように、別に今までのままでいいというふうに思っているわけではありませんで、各省庁から情報をしっかりもらうように、各省庁と相談していく作業は今もやっているところでございます。特に今年の10月から新しい事故調査機関を発足させると。これはまさに、分析について大きな前進になるのではないかというふうに期待しているところでございます。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
小幡委員。

○小幡委員 私も、最初の方はどこの資料を見てよいかわからなかったので、聞き損なった部分もあるので、確認ですけれども、今後、新しい仕組みができるということのようですが、でも、法律は通っていない状況ですね。こちらの建議としては、ともかくできるだけ早くこういう対応をしてくださいということを建議しているので、少しやっていらっしゃるというようなことでしたが、新しい仕組みができそうだから何もしなくてよいという話ではないと思います。たとえば、各関係省庁との間での定期的な協議の場は、もう設けられているということでよろしいのですか。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 定期的には設けていないです。各省庁個別に会って話をしないと話は進まないと思いますので、まずは個別に御相談しているというところでございます。

○小幡委員 個別で、それぞれでもよいと思いますけれども、要するに定期的にやっているという事実はあるのですか。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 定期的と言うかどうかわからないですけれども、なるべく急いでやっております。

○小幡委員 例えば、消防庁、厚生労働省とはやっていらっしゃいますか。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 始めております。

○小幡委員 それでは、文部科学省との協議などはどうなっていますか。消費者安全専門調査会の報告書では、学校事故の通知が少ないという指摘がされていますけれども、この辺りは文科省と協議をしていらっしゃるのですか。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 まだ始まったばかりといったのが、正直なところだと思います。

○小幡委員 始まったというのは、少々個別に話を聞いてみたことが一回ぐらいあるということでしょうか。

○消費者庁金児消費者安全課長事務代理 担当者と連絡をとったぐらいで、まだフェイス・トゥ・フェイスで会ってはいないという状況です。

○小幡委員 スピード感といいますか、昨年の7月22日の建議に対して真摯に対応してくださっているというのが、伝わってこないという感じを受けました。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 委員からそれぞれ厳しい発言があったかと思いますけれども、委員会として建議し、更にフォローアップをお願いしているというのは、国民の生命・身体を危うくする重大な消費者事故は、やはり早くなくしていく方向に取り組んでいただかなければいけないというふうに思うわけでございます。消費者庁といたしましてもさまざまなお取組をされていて、説明にありましたとおり、「入手情報点検チーム」を11月に始められて、既に3か月たっているわけです。3か月たって、その情報チームがどういうふうに機動的に動いて、どういう結果をもたらしたかということを、きょうの御説明できちんと、年間1万6,000件上がってくる情報の中で現実にたまっている情報を分析し、解決に向けて動き始めましたみたいなことをお示しいただくと、わかりやすかったのかなと思います。
もう一つは、先ほども小幡委員がおっしゃったとおり、まだ法律さえ通っていない消費者安全専門調査会が、スタートするまで待ってはいられないというのがこの消費者の安全の問題だと思います。そういう意味で、やはり今できることを真摯にもう少しお取り組みいただきたいというふうに、私も御説明をいただきながら強く感じたところでございます。
以上でございます。

○河上委員長 山口委員。

○山口委員長代理 厚労省の御説明、消防庁の関係で少し伺いたいのですが、消防庁の方は、従前の事故情報の件数が飛躍的に増大したことについては大変評価できることだと思います。今後ともよろしくお願いしたいと思いますが、本当に難しいのは、消費生活用製品安全法の事故情報のデータを見ましても、火災現場にどうも一番燃えそうなトースターがあったとか、ガス器具があったという場合に、そのガス器具が原因なのか、それとも単に火災があった場所にそういうものが偶然あっただけなのか。その辺は、迷いつつも事故情報として出されていると思うので、難しいところだなと思うのですが、それをNITEの方で分析して、結論が消防庁にフィードバックされているのかどうか。その辺の事故情報の出し方について、進展があれば教えていただければと思います。
なぜこんなことを聞くかといいますと、こんにゃくゼリーの事故情報につきまして、消防庁から消費者庁に事故情報の通知があった。長官が記者会見で述べられたけれども、その後、個人のプライバシーだからこれ以上言えないという形で、中途半端な形で公表が頓挫したということがあるわけです。私は消防庁の対応は大変正しかったと思います。つまり、どうもこんにゃくゼリーらしいものを飲んだ子どもさんがいて、窒息しかかった。それがどういうふうに料理されて、プライバシーでこれ以上言えませんということになったのかわからないのですが、今後とも、消防庁では事故とおぼしきものはどんどん出していただきたい。フィードバックとの関係で感想があれば、お聞かせいただきたいと思います。
それから厚労省の方で、幼児施設と高齢者施設について説明がありました。幼児施設について、大体の件数でいいですが、去年、おととし辺りで年間どのくらいの件数が情報として提供されたのか、それを教えていただければと思います。
高齢者施設についても同様です。特に高齢者施設につきましては、介護用ベッドに体がはさまって亡くなった、大変な事故になったということが頻繁に報告されます。これが、自過失の事故なんだということでなかなか製品の改善に結びつかない実態があります。その辺の改善方について、厚労省としては、経産省なり消費者庁と協議をなさっていないのかどうか。
多面的な質問で恐縮ですが、もう一つ、茶のしずく事件がございました。これは食中毒関係とは違うかもしれませんが、厚労省は一昨年の秋に既に消費者庁に通報された。ところが、消費者庁はそれをちゃんと受けとめきれずに、事故情報として消費者に注意喚起するのが遅れたというところで反省をなさっているわけです。厚労省として、これは被害拡大に結びつきかねないと思うような事件があった場合、茶のしずくなどは典型だと思いますが、消費者庁と、これは重大になるかもしれないからちゃんと協議しましょうとか、メッセージとかその辺を出して、消費者庁で受けとめてもらって協議をするというような、そういう体制ができているのかどうか。いろいろお聞きしましたけれども、可能な範囲でお答えいただければと思います。

○消防庁椎名予防課国際規格対策官 消防庁から、まず御回答させていただきます。
2点ございました。1点目として、NITEとの連携の話でございます。本日、建議の内容にはございませんでしたので、資料としてはお付けしておりませんでしたが、先ほどの行政評価局からの勧告についてやはり同等の御指摘がなされております。口頭で失礼させていただきます。
総務省(消防庁)及び経済産業省は、機構(NITE)が経済産業省からの指示を受けて行う調査において、消防機関が把握している製品火災の情報や原因究明結果等が、迅速かつ有効に活用されるよう、消防機関と機構との連携及び情報共有をより一層促進させることと、まさに同様の趣旨でございます。
それに対する改善状況につきまして、こちらも口頭で失礼いたします。
総務省(消防庁)及び経済産業省は、消防機関と機構との連携及び情報共有を図る方策の検討を行うために、消防庁及び経済産業省が共同で「消防機関とNITEとの連携・情報共有に関する会合」を開催いたしました。平成23年に3回開催しています。必要に応じて、機構、全国消防長会がオブザーバーとして参加しております。消防機関と機構双方の現状把握、相互の問題点の抽出、及び今後の情報共有の在り方について意見交換を実施しております。消防機関と機構との連携強化を図るための、窓口の整備等に向けた所要の検討を行いました。上記の対応を踏まえて、消防庁は消防機関に対して、機構と消防機関との連携強化を図るための情報共有や、窓口の整備等についての通知文書(「製品火災に係る情報及び火災調査結果の一層の情報共有等について」)、こちらを昨年6月23日付で発出しております。
また、消防機関の火災原因調査の担当者が集まる会議等の場、先ほどと同様でございます、こういったところにおきまして、NITEとの連携についても一層の周知・徹底を図っているということでございます。経済産業省においても、同日、6月23日付で、NITEに対して同様の趣旨の通知をしたということでございます。
実際にNITEの方が情報を持っている場合、あるいはNITEが持っている技術的な情報を消防の方が共有した場合、この連携通知をもって有効に活用された事案が徐々に増えてきているということで、ひいては製品事故の型式の確定の迅速化につながっているというふうに、評価しているものでございます。
2点目といたしまして、こんにゃくゼリーの件でございます。こちらは消防ではなく、救急の方に該当する事案だと思います。救急については火災と異なりまして、まず一元的には、法律的な調査権限というものが実はございせん。火災につきましては、消防法31条におきまして、厳密に調査を行うことと義務づけております。救急に当たりましては、まずは、病院に搬送するまでというのが一連の法的な手続でございます。
法に基づかない情報の入手ということになりますので、基本的には、情報公開条例、個人情報保護条例あるいは情報公開法の適用になるということでございます。こんにゃくゼリーの場合は、私も詳細は存じておりませんが、地方公共団体の情報公開の手続にならったものというふうに考えております。これが法的に調査を必要とし、かつ、消費者庁への通知等の義務が法的に発生していれば、別途、消費者安全法等の権限において、個人情報あるいは企業情報にかかわらず、公表もできる可能性はあるということでございますが、現状ではそういった調査権限、公表権限がなかったということで、御説明いただいたような状況になったということでございます。
以上でございます。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課担当者 保育所における事故件数でございますが、23年は死亡事故が14件、22年は12件になっております。負傷の方は、治療期間が30日以上で重篤なものに限りますけれども、ちょっと数字が手元にないので記憶でございますが、23年が89件、22年が60件程度だったと記憶しております。

○厚生労働省老健局高齢者支援課担当者 高齢者施設については、件数につきまして手元に資料がございませんので、ちょっと現状でお話をすることができません。申し訳ございません。
事故の状況については、例えばベッドについてどのように事故が発生しているかということについて、考えていくのは課題でございまして、どういった形で介護によって事故が起こっているのか、機器によって事故が起こっているのかというところの基準が非常に難しい。そういったことについて、今までもいろいろ研究を行わせていただいているところでして、引き続きその課題については取り組んでまいりたいと考えております。
そういった事故の情報につきまして、今回お話をいただいたように、収集してそこをどう分析していくかということもかなり重要になってまいりますので、そこの取組も進めていきたいと考えております。
以上でございます。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課担当者 訂正をさせてください。報告件数ですけれども、負傷は、先ほど89件と申しましたが、75件の誤りでした。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課食中毒被害情報管理室担当者 茶のしずくの御質問でございますけれども、私は食品安全部では食中毒の担当でございまして、ちょっとこれは違う部署になります。私の所轄外でございまして、きょうは権限がありまして、申し訳ございません。

○河上委員長 では、細川委員、どうぞ。

○細川委員 消防庁に御回答いただいて、資料2-1の「行政評価・監視」の概要というところでは、製品事故を消防庁は所掌しなさいというふうになっているのに、きょうの御説明でも火災事故が中心でした。私は今回、救急はどうなっているのか質問しようと思っていて、こんにゃくゼリーのお話が出たのですけれども、消防庁としては、火災事故については消防法31条があって権限があるけれども、ちょっと救急は、という形ですね。
そうなると、火災はでなかったけれども、例えば燃焼器具による一酸化炭素中毒とか、あるいは製品で切ったとか、そういうものは余り扱えないというようなイメージを持ちましたので、その辺は盲点というか、今後の課題かなと。せっかく救命救急で、明らかな商品事故によるけがであったのに、その権限上、うまくそれを情報収集、あるいは消費者庁なりに伝えるとか、公表できないということになると、これは火災であろうがそうでないものであろうが、消費者事故としては同じ重大性があるわけですから、その仕組みの構築が必要だなというふうに私は思いました。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
どうぞ。

○消防庁総務課担当者 消防庁総務課課長補佐の信夫と申します。よろしくお願いいたします。
ただいまお尋ねがございました救急事案でございますが、今、救急の法的にできる範囲といいますのが、傷病者の方々を事故現場から病院にまで搬送するというものでございまして、事故原因の特定まで消防の義務の範囲に入っているわけではないということを、まず御理解いただきたいと思います。実態といたしましても、救急需要というのは、最近、非常に増嵩しておりまして、搬送して次の現場にすぐ赴くということの繰り返しの状態でございます。そういったところで、悉皆的に原因まで特定できるものでないことは御理解いただきたいと思います。
ただ、中等症だけでも240万件という多数の件数がございます。製品事故、あるいはそれの疑いがあるものに関しましては、消費者庁とも御相談させていただいた上で、すべからく消防庁を通じて消費者庁に御報告させていただいている状況でございまして、そこは最大限の努力をさせていただいてございます。先ほど申し上げましたとおり、権限の問題とロット感、件数の問題がございますので、そこはまず、消費者庁に、どういった情報を欲しているのか絞り込みというか、重点的というか、そういったことを御提示いただく。その上で、実際の消防機関の権限やキャパシティと、整合をとりながら、最大限の消費者行政に寄与するやり方をできていければというふうに思ってございまして、協議をさせていただいているところでございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
事故情報について速やかに通知していただいて、情報を共有していくということで、実務が一生懸命努力をされていることは了解いたしました。消費者庁にもその情報はたくさん来ているけれども、残念ながら、それをなかなかさばききれない。キャパシティの問題もあって、今後の立法的な改善に期待しているところが大きいということですけれども、ことは、たくさん情報を一元的に集めただけで済む問題ではないのです。おそらく、現在の体制では、事故原因について一番詳しいところは消費者庁ではないと思います。それぞれの監督官庁であったり、それぞれの専門性を持った機関がそういうことができるということになりますから、情報の上げ方一つとっても、やはり消費者庁が料理しやすい形で上げてあげることが大事なことだし、消費者庁としても、それをある程度分析できた段階でフィードバックしていただいて、そちらの警告などに役立てていただくというふうに連携していかないといけない。
その意味では、先ほど小幡委員からも出ましたけれども、定期的にパイプを持って、それぞれの事故についての反省も踏まえながら、今後、作業をしていただくことが必要なのではないかという気がいたします。プレスの方も後ろの方にいらっしゃるかもしれませんけれども、プレスの方も消費者庁からの情報の出し方について協力をしていただいて、被害の拡大であるとか、予防について更に協力をしていただくことも大事かと思います。
いずれにしても、消費者向けの広報ツールや具体的基準が消費者庁にはまだきちんと確立していない部分があるので、その辺についても一層工夫をしていただければありがたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。
なお、本日は各省庁から、消費者委員会からの建議に対する対応状況について報告をいただきましたけれども、消費者安全の対応については、今後も継続して消費者委員会で関係各省庁から報告を求めたいと考えております。その際には、学校における消費者事故の通知に関連して、文部科学省にもお越しいただいて報告をいただく予定でおります。
また、消費者安全に関する課題について、第1次消費者委員会に引き続き、第2次消費者委員会におきましても、消費者安全専門調査会で調査審議をする必要があると考えております。消費者安全専門調査会につきましては、所属する専門委員の任期が第1次消費者委員会の委員同様、切れているところですが、本委員会におきましても、参考資料2(PDF形式:24KB)PDFを別ウィンドウで開きますの設置・運営規程に沿って運営することとして手続を進めたいと思います。各省庁におかれましては、お忙しい中、審議に今後とも御協力いただきたいと考えております。本日はどうもありがとうございました。

≪3.平成22年度地方消費者行政の現況調査について≫

○河上委員長 続きまして、「平成22年度地方消費者行政の現況調査について」でございます。地方消費者行政の支援策につきまして、前回、第79回消費者委員会におきましても、消費者庁からヒアリングを行ったところであります。消費者庁におかれましては、このたび、平成22年度地方消費者行政の現況調査についてとりまとめをなされたと聞いております。本日は、その調査の結果について消費者庁から御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。
なお、説明は10分以内でお願いいたします。

○消費者庁林地方協力課長 お手元に、22年度の現況調査の概要、「地方消費者行政の現状(ポイント)」という2種類の資料をお配りしております。時間の限りもございますので、資料4-1(PDF形式:416KB)PDFを別ウィンドウで開きますポイントの方の資料で御説明させていただきたいと思います。
なお、冒頭、私の方からお詫びを申し上げたいのは、今、委員長からも御紹介いただきましたように、今日お配りしておりますのは22年度の現況調査でございまして、22年の4月1日現在のデータでございます。今、鋭意23年の調査についても手続を進めておりますけれども、実際にはまだこれから収集・分析に時間がかかると思います。それで、古いデータになってしまいますものですから、このポイントの資料では、担当者で少し手分けをして自治体に直接聞き取りをしたもの、基金の活用との関係で事業計画を通じて把握しているもの、こういったもので現況に近いデータを補足して資料をまとめておりますので、こちらで御説明をさせていただきたいと思います。
1つ目は、相談窓口の状況、いわゆる地方消費者行政の物的なインフラに相当する部分が、どういう状況にあるのかということでございます。
(1)のところをご覧いただきたいと思いますが、消費生活センターの数でございます。21年が基金のスタートをした時点、この4月1日時点の数値が501でございました。この501というのは、安全法に基づきまして週4日以上の開設、資格を持った相談員が配置されている、あるいはPIO-NETの端末があるといった、法定の要件を満たして開設の公告をされている、そういうセンターが幾つあるかというものでございまして、この時点で501あったものが、22年4月1日時点では611ということで、110増加いたしました。
その後、23年4月1日時点、これはあくまでも聞き取りでありますけれども、この時点では665か所に増えていると把握しております。更に、23年度の基金の事業計画に基づいた取組が計画どおり進められていれば、今年度の末までに更に37か所というふうに把握しておりまして、トータルでは700か所程度になる見通しでございます。ですから、21、22、23という3か年間の基金の活用をした取組によって、センターについて言いますと、200か所程度の増加が見込まれているという状況にございます。
(2)は相談窓口、特に法定の消費生活センターではないけれども、何らかの形で消費生活相談の窓口を設けているところでございまして、市町村ベースで申し上げますと、21年4月1日時点では1,008ございました。22年の4月1日時点では1,000に減っております。これは相当部分は、従来の相談窓口が体制強化をしてセンターに衣替えをした。その分、新設されているものが横に書いてございます。21年4月1日時点でも89の市町村で新設されております。また、22年の4月1日時点でも101の市町村で新設されております。その分、逆にセンターに格上げをしたものが多いことを御理解いただきたいと思います。その後、基金の事業計画では、更に80程度の市町村で新設を予定していると把握しております。
(3)の、政令指定市を除いた市区町村における相談窓口の設置状況というところをご覧いただきたいと思います。ポイントは、2つ目の四角にあります、相談窓口未設置の市区町村数というところでございまして、21年4月1日時点では413が未設置でございました。約4分の1です。これが256まで22年4月1日時点では減少してきております。この間の窓口の新設状況を見ますと、100~150程度、更に新設があります。センターに衣替えをするものがあるので、最終的な数は把握しきれておりませんけれども、更に未設置の市町村数は減っていることは確実だと思います。ですから、何らかの形で窓口を設けている自治体は確実に増えてきていて、すそ野が広がっているということは言えるのではないかと思っております。
2つ目は人的なインフラ、担当職員の配置状況でございます。(1)の消費生活相談員の配置については、21年から22年まで、現況調査で把握したところによりますと、346名の相談員数の増があります。残念ながら、この内訳を見ますと、増分のうち資格未保有の者もかなりいて、資格保有の状況は必ずしも順調に伸びているわけではない。従来の傾向のまま余り保有率は上がっていない。これは後でまた、別の数字を御紹介したいと思います。更に、基金の活用によって、22年から23年度末までに200人程度増員される見通しでございまして、21年4月1日時点から見ますと、この3年間で550名程度、相談員については増員されるのではないかと見込んでおります。
1枚おめくりいただきまして、事務職員、いわゆる非常勤ではない一般職の担当職員の数でございますけれども、これも平成10年~20年までの10年間で言いますと、約半減といった非常に厳しい状況に置かれておりました。従前1万人以上いたものが5,000人まで減らされてきているのが地方消費者行政の現状で、これを21年と22年の比較で見ますと、若干微増という形になっております。これは、先ほど申し上げたように、すそ野が広がった分増えたということなのではないかと思います。傾向として見ますと、従来これは兼務職員が比率が高かったのですけれども、若干専任の職員が増えてきているということが言えるかと思います。
3点目、相談員の処遇の問題、これはこの委員会でもかねてから御議論をいただいている課題でございます。これについては、事業計画ベースで自治体へのヒアリングを通じて、21年度、22年度、23年度それぞれについて、報酬引上げを行う自治体を把握しております。これは延べ数ですので、同じ自治体が2回報酬引上げを行っているところがありますから、純粋な市町村数ではありませんが、300程度の自治体で報酬引上げが行われるというふうに把握しております。
次に、相談員の平均報酬額を、現況調査のデータを御紹介させていただいております。21年、22年を見ますと、全体平均では、若干ではありますけれども、300円程度引き上がっております。内訳をご覧いただきますと、やはり都道府県や政令指定市といった、比較的財政規模の大きいところは引上げを行っていただいている。それに対して市区町村は、これは窓口の新設を行ったところも含めて計上されておりますが、ここについて言いますと、特に新設の市区町村へのヒアリングをしますと、隣接と同額、あるいは、従来からある非常勤の職との並びということで金額が設定されている傾向が多い。そうすると、どうしても低めのところにすりつく傾向がある。ここについては全体平均で見ますと、21年と22年を比較しましても、100円程度ですけれども、下がっているという状況がございます。この辺が今後の取組の一つのポイントかなと思っております。
それから、いわゆる雇い止めの関係でございます。(3)に御紹介をさせていただいておりまして、21年、22年、それぞれの数値を御紹介させていただいております。全体の傾向として見ますと、むしろ制限があるというところが、1%程度ですけれども、増えております。これは、特に都道府県が従前、雇い止めをしている比率が高く、3割程度の自治体で制限がある、いわゆる雇い止めを行っているということだったわけですが、ここについては減少しています。
しかし、特に市区町村、ここも新設の市区町村がやはり多く、先ほどの報酬と同様に、雇い止めの関係についても従前、非常勤職員について雇い止めがあると、相談窓口を開設した際に相談員さんを配置するときに、どうしても並びで同じような雇い止めを導入してしまうということがあった。もともと傾向としては、市区町村については15%程度が雇い止めということで、県よりははるかに雇い止めは少なかったのですけれども、ここは若干伸びてしまっている関係上、全体が引き上がっているという状況にございます。これについても、やはり継続して、雇い止めについての見直しの働きかけをしていかなければいけないのではないかと思っております。
4点目ですが、消費者行政予算の状況でございます。21年度、22年度の数字を御紹介させていただいております。自主財源は120億円ベースでほぼ同額の状況になっております。これに対して基金の活用が、21年から22年にかけては伸びましたので、その分が全体予算が伸びているという形になっております。
自主財源について言いますと、平成20年度で見ますと約100億でしたので、20億程度、努力をして増やしていただいた。その分、基金の活用も進めていただいたということかと思います。我々が非常に気にしておりますのは、基金が逆に自主財源に置きかえられ、財源の付けかえが行われて、全体の規模が膨らむけれども自主財源は縮んでしまうということで、こういうことがないように注視をしていきたいと思います。また、これは前回の繰り返しになりますけれども、基金後の支援措置を考える上でも、いかに地方の努力も引き出しながら国として実効性のある支援を行っていくのか、ということを考えてまいりたいと思います。
(2)は一つのポイントでして、窓口のない市町村が減った分、いわゆる予算ゼロの市町村も同様のペースで減ってきております。従前、425の自治体、約4分の1の自治体で消費者行政予算はゼロということでございましたけれども、これが1割程度まで減少してまいりました。ここも今後、すそ野を広げていく努力を続けていく。逆に言うと、ここは頑張って窓口を開設していただいた、その人的あるいは物的なインフラをつくっていただいたところでございますので、こういうところをいかに下支えをしていくのかというのが今後の課題かと思います。
相談業務の状況です。これは、PIO-NETの端末を配置していないところもデータとしてとっておりますので、PIO-NETの登録件数に比べて若干、上の数字が出ています。21年度も100万件以上の相談件数があったという御報告をいただいておりますが、傾向としてはやはり、PIO-NETの傾向と同様で、微減という状況にあります。
ただ、実を言うと、私どもが期待していたよりも出たのが、あっせん率が上がっております。これはこの間、相談員さんの研修をしていただいたり、ベテランの相談員を現地に派遣して巡回指導を行うといったことで、専門性を高める努力をしたことの一つの効果として出てきているのかなとも思っておりまして、こういう取組を、傾向として続くように、私どもとしては働きかけをしていきたいと思っております。
3枚目は、この間、研修などに職員がどの程度参加していただいたのか、あるいは、消費者に向けて消費者教育や啓発といった取組をどの程度していただいたのかというものを、6点目、7点目で御紹介させていただいております。都道府県、政令指定市は勿論のこと、過去から、やっていないというところはございませんでした。市区町村の中で研修に参加している自治体、あるいは、講習などで消費者に向けて消費者教育などを実施している自治体が、徐々に増えてきているということがごらんいただけるかと思います。従前、市区町村では、研修に参加していませんというのが4割程度ありましたけれども、4分の1程度まで減ってきております。それから、講習などいわゆる普及啓発をやっていないところは従前、6割程度あったわけですが、5割程度まで減ってきた。こういう取組も、引き続き継続的に行われるような環境整備をしていかないといけないのではないかと思っております。
最後、8点目は、消費者問題に対する関心を持っていただく行政職員の数、住民の方の数を広げていくために、庁内の関係部局での会議体、外部の有識者や専門家を研修・講習などの機会を通じて活用していく。あるいは団体の力を借りるといった取組をしているのかどうか、といったことを把握させていただいております。これは今回、データとしては初めて整理をさせていただいたものでございます。
庁内の連携組織を見ますと、全体では14%程度にとどまっておりますけれども、都道府県や政令指定市では、都道府県は概ね、各部局との連携体をつくっていただいております。むしろこれからは市町村の中で、これはひょっとすると意識していないということなのかもしれないので、私どもでも改めてこういった取組の働きかけをしていきたいと思っております。また、自治体という枠組みを超えて他の自治体との連携組織を持っているところも、都道府県や政令指定市ではかなり取組を進めていただいておりますけれども、やはり市町村はまだまだそこまで手が届いていないという状況にございます。
外部有識者の活用などについても、都道府県では活用していないというところはございませんけれども、政令指定市も含めて市町村の取組というのは、まだまだ弱いということがおわかりいただけるかと思います。こういったところも、先進事例なども紹介しながら取組を進めていきたいと思っております。
最後に、別枠で基金の活用状況を載せさせていただきました。これは事業計画ベースで把握させていただいたもの、21年度については既に決算も含めて完了しておりますので、そういったものを集計いたしまして、どの程度、どういう用途に活用していただいたのかというのを、3年分、整理させていただいたものでございます。センターや窓口の設置に2割程度活用していただいております。また、相談員の配置や処遇改善、いわゆる人件費に使っていただいているのは15%程度でございます。やはり取組として多かったのは、消費者教育や啓発というところでございました。
こうしたことも参考にしながら、次の支援措置の在り方も検討させていただきたいと思っております。
私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御検討のある方はどうぞお願いいたします。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 調査のとりまとめ、大変ありがとうございました。恐らく時間の制約もあって、調査の内容の御報告にとどまっているかと思いますが、現況を踏まえて地方消費者行政が真に充実していくためのポイント、ここをこうすればもっと充実化するのではないかというところがあると思いますので、是非、そのお考えをお聞かせいただければと思います。ポイントとして8つの項目に分けて御説明いただきましたが、8つの項目それぞれの数字が上がったり、あるいは、じわじわ下がっていくことをもって充実化していくというお考えなのか。それとも、これはこれで現状を単に示したものであり、もうちょっと大なたを振るって、ここをこうしないと真に充実化しないのではないかというお考えがあるとすれば、その辺も伺えればというふうに思います。お願いします。

○消費者庁林地方協力課長 ここは非常に評価の難しいところで、都道府県、政令市、その他の市区町村、特に市町村の中でも市と町村、もう少しミクロに見ると、それぞれ現状で求めるべき水準やレベルというのは、やはり違うと思います。この基金をつくり21年度から集中育成強化期間として始めたときには、従前から体制のある都道府県や政令指定市については、レベルをより向上させて実質的な被害回復につなげていくことが、もともと念頭にあったと思いますし、一方、今まで体制のない小規模な市町村について言えば、まずはそこに住まわれている住民の方、消費者の方が、身近なところできちんとした相談に応じていただける体制、環境をつくることが最大の目標だったと思います。
その意味では、きょう御紹介をしたセンターや窓口の状況というのは、特に市町村でどの程度窓口ができてきているのかというのは、ある意味でのシビルミニマムというのでしょうか、住民の方から見たときに、きちんと相談が受けられる環境がどの程度整備が進んでいるのかということを見る意味では、非常に重要なポイントだと思います。
一方で、相談やあっせんの中身、個々の消費者との関係で、消費者被害に遭わない、あるいは、遭ったときにきちんと解決ができるといったことを内容面で目指すとすると、なかなかこういうデータだけでは把握しきれないところがあると思います。その意味では、先ほど御紹介したように、相談が減少傾向にある中であっせん率は上がっているというのは、これは悪いことではなくて、私どもも今、別途、相談員資格の検討をさせていただいておりますけれども、本来であれば、あっせんにもう少しきちっと力が入れられるような環境をつくっていくことが大事なポイントだろうと思います。
ただ、我々も、あっせんの件数、率、額といったことを把握して、それによってきちんと評価できることが、ある種のインセンティブを与えたり、住民の方たちが、自分が置かれている環境がどうなのかということを肌身で知る上では、非常に重要なポイントだと思いますけれども、特に被害額みたいなことを発表されているセンターもありますが、基本的にはなかなか把握できていないのが実態です。ですから、こういう悉皆的な調査でどこまで実態を浮き彫りにすることができるかというのは、今のところ、限界があるかなというのも感じております。
その意味では、こういう数字の把握だけにとどまらずに、自治体の担当者の方から直接現状をお聞きして、いろいろな課題について具体的にどういう取組を行っているのかという情報を収集しながら、具体策というのは考えていかなければいけないと思います。今、吉田委員から御指摘のあった、あるべき姿というのも、実際には各自治体で、いろいろ御議論はありますけれども、そもそも相談業務を含めた全体を委託に出したりといった動きが出てきている中で、何をベストプラクティスに置くのかというのは結構難しいところだと思っております。なかなか一本には絞りきれないのかもしれませんけれども、あるべき姿というのは、ここで直ちにこれが決定版ですというのを私が持っているわけではありませんが、いろいろなパターンを収集・分析をしながら、こちらの委員会からも建議の中で御指摘をいただいている指針をとりまとめる中で、提示をさせていただくようにしたいというふうに思っております。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 ありがとうございました。おっしゃったとおりで、どこに住んでいてもきちんと医療が受けられるのと同様に、どこに住んでいてもきちんと消費者教育・啓発がなされ、消費者被害に遭ったらきちんと被害回復することを支援されるという形を、全国津々浦々につくっていくことが必要だと思います。御指摘のとおりで、そういう意味では市町村の体制をどうつくっていくのか、あるいは、市町村がどうしたらきちんとできるのかという仕掛けづくりは非常に大事だと思います。是非、その辺も深掘りする調査なり対策なりをつくっていただくとありがたいと思っております。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 説明、ありがとうございました。
2つありまして、1つは、前回も指摘させていただきましたけれども、今年の8月ぐらいが限度で地方自治体それぞれが次年度の予算組みを始めます。そのときに、国からの財政支援がどの程度あるのか、場合によっては、基金が打ち切られるならもうセンターは閉じようかとか、PIO-NETを返上しようかとか、相談員を減らそうかということさえささやかれていると聞く現状ですと、やはり今年の夏までに、地方の消費者行政をどういう形で財政支援するのかという方向をきちんと指し示す必要があると思います。
今、地方協力課は、国センの問題などもあって大変だというのはよくわかりますが、何とか急いで、必要であれば、消費者委員会の事務局とも協力して、あるいは消費者団体などとも協力して、早急に、22年度ではなくて23年末の実情をまとめ上げ、どうするのかというところを今年の夏までに一定の方向が出せるように、是非、御尽力いただきたいと思います。大変だというのはよくわかっていますが、よろしくお願いします。それが一つです。
その関係で、どうしても問題になるのが、国が地方消費者行政に使いなさいということで基金を組む、あるいは一定の財政支援をすることについて、一括交付金的なものにして、あとはそれぞれの自治体が、首長の判断、議会の判断、地元住民の判断で、どういうふうにお金を使うかということを決めればいい。これが地方自治の根幹であるから、国が、地方消費者行政にどういう形で財政支援をするかというようなことをやるのは、本来の姿ではないという御意見があります。原則としてそれはそれで正しいのかもしれないけれども、放っておけば、先ほど財政のところで説明があったように、消費者行政予算がない市町村もある。あるいは、先ほど林課長は、自主財源については幸い21年、22年で減らなかったとおっしゃいますが、これを場合によっては減らそうかと。先ほど話があったように、事務職員は1万人いたのが5,000人に半減した。地方の自治体に、地方消費者行政の重要性についての認識の浸透が不十分だというところがありますので、どういうふうに重要性の認識を持っていただくように努力をしたらいいのか。その辺の方向性についても、お考えをお聞かせいただければと思います。

○消費者庁林地方協力課長 1点目については、冒頭もお詫び申し上げましたけれども、23年度、24年度の現況調査については2回分一遍でやるぐらいのつもりで、これから馬力をかけてとりまとめに当たりたいと思っております。その際に、これは統計的にある程度連続性を意識してとっていますので、項目はほとんど変えないという前提でやっています。ただ、先ほど申し上げましたように、地方消費者行政をこれから充実していく上で必要な論点を調べるためには、この項目だけでは足らないところがあるので、そういったことも含めて調査をするように努力をしていきたいと思います。前回の委員会でも御指摘をいただきましたけれども、委員会事務局として必要な項目を、また、もし御提示いただけるのであれば、そういったことも調整させていただきながら調査については進めていきたいと思います。
2点目のポイントですけれども、これは非常に大きな問題だと思います。これは前回も申し上げましたけれども、一括交付金の動きは、当面、恐らく動きがないだろう。そうすると、地域主権という大きな流れは意識しながらも、一括交付金化できるのかという問題がまずその先にあって、今の政府全体や自治体と国との関係を見てみますと、少なくとも経常的経費の一括交付金化というのは、今年できませんでしたけれども、おいそれと簡単に来年できるかというと、そういうことには多分ならないのではないか。
では、ならないことを前提に消費者行政をいかに支えていくのか。理念的に言えば、自主財源をいかに充実していくかということが本筋だと思いますし、その意味では税源移譲や交付税の充実ということになると思いますけれども、現実の環境がそうでない以上、過渡的にそれを支えるためにどうしていくのかというのは、そのことを前提に考えていかないといけないというふうに思っております。
更に、職員の数ですとか、自治体の自主財源がどうなるのかということについては、マクロ的に言うと、一人消費者庁だけで頑張ってどうにかなるかというと、非常に難しい問題だと思っております。私ども国家公務員も、人勧プラス7.何%ということで人件費削減があるわけですけれども、地方公務員についても同じことが求められています。今、都道府県単位では、3%とか4%ということで人件費カットの話が具体的になりつつあります。これは、個々の職員の給与のカットもあるかもしれませんし、数の抑制もあるかもしれませんし、それは地方消費者行政だからということではなくて、総枠でかかってくることは間違いないと思います。一方で復興ということがありますから、先取りで財源が必要になってくる行政需要というのが横にあるわけで、その中でいかに消費者行政を下支えしていくのかというのは、「減らさない」ということだけでも難しい課題だなと思っております。
私どもでできることは、国で財政支援ができる道筋というのは一生懸命考えたいと思いますけれども、特に常勤職員を含めた職員数をいかに地方のサイドで維持できるのかといったことについて言うと、これは本当に機会をとらえて、首長さん方に問題意識を持っていただくような取組を継続的に行っていくよりないのではないかというふうに思っております。これは正直、決定打は見い出し難い課題だと思っております。むしろ、こういうことをやった方がいいのではないかということがあったら、是非お知恵をいただきたいというふうに思います。

○河上委員長 村井委員、どうぞ。

○村井委員 今のことに関連してですが、冒頭でシビルミニマムとおっしゃいました。それから、従来は1万人いた職員が最近は5,000人に減ってきた。それを、今、再度増やす努力をしている一方で、財政の問題については、今後、すべての政策費用が減っていくだろうと思います。
そうした中で、2年半前、消費者庁をつくられて、厳しい国家財政の中で一定の国費を投入することが決められたわけです。この問題は、消費者庁に言う話ではないのかもしれませんが、先ほど、こういうことが考えられないかという中で、行政の優先順位はだれがつけるのか。これは政治家がつけるのでしょうが、さっきおっしゃったシビルミニマムがきちっと決まった場合、例えば学校でも、1学級30人でそれに対して先生何人というのがあります。設置法のような法整備をしたとします。最低どれぐらいの住民のところに1センター、これぐらいの能力の人間とあっせんができる人をつくると。設置法をつくったとしたら、それは国としての法律ですから、自治体がどう言おうがつくらざるを得ません。そういうことはだれが考えて提案すればいいのですか。消費者委員会として、総理大臣に提言すればいかがでしょうか。
そうでないと、これは繰り返しになると思います。財政は、減っていくといったら間違いなく減っていくと思うわけです。どこまでが消費者行政に使うお金か、人員かというゴールを決めて、それに向けて整備をしていく。それで足らない分は、どこの財源を抜いていくのか、それはやはり政治の責任ではないかと思います。こういったことは消費者庁では多分厳しいかと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁林地方協力課長 実はこの点については、稲継先生がこの間の経緯も非常によく御存じですけれども、昨年、地方消費者行政専門調査会の中でも、いわゆる数的なもののシビルミニマムとしての要件を、決めた方がいいのではないかという議論がございました。そのときも、財政支援と同様に問題になったのは、地域主権との関係です。
今、国全体として見ますと、義務づけ、枠づけと。これは本来は財源とセットですけれども、国がある行政を行うために、こういう専門知識を持った人を何人置きなさいとか、そういう数的な要件をあらかじめ義務づけするというのが、一つの形として昔からありました。ただ、大きな流れとして言うと、それがかえって地方の行政の選択肢や裁量の幅を狭めてしまって、財政を硬直的にしているのではないかとか、むだが出ているのではないかといった議論もあって、こういう義務づけ、枠づけがむしろ廃止、解消されていく傾向にありまして、条例に委任される形で自由度を増す形になってきています。ですから、昨年の議論でも、議論としてはありましたけれども、こういう義務づけ、枠づけみたいな形であらかじめ制度として義務づけてしまうことについては、見送られたという経緯があります。では、そうではない形でどこまでアプローチできるのかというのが、一つの課題ではないか。
今、制度的には、都道府県、市町村についても、相談に応じること、個別のトラブルについてあっせんをすること、先ほど吉田委員も言われましたけれども、情報提供といいまして、普及啓発みたいなことをやること、これはそれぞれの自治体に義務づけられています。義務づけられていますけれども、どういう体制でもってどういうレベルの、というところまでは書いていないのです。恐らく数でというのはなかなか今の時点では難しいと思いますので、どういうレベルまで、どういう内容、水準までそもそも要求できるのか、というところが一つのポイントかなと思っています。先ほど吉田委員からの指摘にもありましたけれども、べき論でなかなか義務づけみたいな形ができないとすると、御推奨版で、「望ましい形」みたいな形でお示しするのが、正直、今のところは現実的な出口なのではないか。
その上で、各自治体が本当にどの程度予算や人員を割いていただけるのかというのは、先ほどのお話にもありましたように、最後は決めていただくのは政治の世界なので、やはり個々の首長さんや地方議会の議員の方たちに、問題意識を持っていただくように働きかけるしかないのかなというのが、先ほどのお話の繰り返しでございますけれども、今、私どもが考えていることでございます。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 要は消費者行政に対する理解度が、自治体の首長や議会にないというところが一番ネックだと思います。そういう意味で言うと、これは前から議論がありますけれども、消費者行政の政策評価。今までは、啓発を何回やりましたとか、何回相談日がありますかとか、インプットというか、投資したものだけの話で、それが国民や県民にどうベネフィットとして返ってきたのか。そういう評価方法という研究が余りなされていなくて、確かに難しいわけです。踏み切りを一本なくしたらどのくらい経済効果があるかという、そういうものではないから。
一つ、非常におもしろかったのは、アメリカの州政府の消費者保護担当は、attorney generalという日本にない官職で、司法長官とか法務総裁という訳をされています。彼らは、ほぼ多くの州で、政治家で選挙で選ばれるからということがありますけれども、そこのパンフレットの一番目に必ず書いてあるのは、1年間に何十万ドルの被害を悪徳業者から取り上げて皆さんに配りましたというのが、政治的なアピールなんですよ。私はこれだけやっているから次も投票してくださいと。まさにそういう、どのくらいベネフィットがあるかという具体的なものが出る仕組みがあると、例えば、うちの県はこれだけ消費者行政をやっているから、何十億円を取り返して皆さんに返しましたということをもし言うことができれば、政治家も、そこに予算を付けたいというふうになりますね。
そういう仕組みづくりをすることによって、国も、消費者庁の存在意義とか、消費者委員会の存在意義もあるけれども、自治体も、そういう評価をすることによって、本当に消費者行政が必要なんだということを示していくという、間接的なやり方が必要ではないか。
実は、私は国民生活センターに勤めているときに、御承知のように国センも今まで、独法で要らないのではないかとさんざん言われてきて、1回、十何年前に20億予算をもらっていて、どのぐらい国民にベネフィットを与えられるかというのを計算してみろと、私は理事長に言われてやったことがあります。相談処理は案外簡単です。クーリングオフとか、そういう被害救済。一番難しいのは啓発です。どのくらい啓発が国民の利益になったか。
そこでとりあえずやったのは、このぐらいの新聞記事が出たら、その新聞のその面の広告料は幾らなのか。500万円かかるけれども、それがただで出たわけだから、500万のベネフィットは与えただろうと。そんな間接的な計算をして、そのときはたしか、20億の予算だけれども30億ぐらいベネフィットを与えているという、別に公表もしていない内部の研究でしたが、そういう政策評価的なものによる地方の消費者行政の理解度を深めるとか、重要性を深めるとか、何かそういう仕組みづくりと。今のお話を伺っていて、あるいは私は今までそう思っていたのですけれども、ちょっとそんな感じを持ちました。どうでしょうか、その辺の研究のようなものは。

○消費者庁林地方協力課長 実はこれは内部の話になりますけれども、私どもでは昨年、自治体の消費者行政のランキングはできないかという議論がありました。ただ、我々が持っているデータというのは本当にインプットのデータしかなくて、アウトプットのデータはなかなか取れないわけです。被害額が幾らだったのかというデータすらないのです。我々は、いろいろ自治体から聞き取ったりして先進事例を調べている中で、兵庫県などは、あっせんの結果で被害回復した額をマスコミに定期公表しています。マスコミを通じて、県民の方からすると、このセンターが活動したことによって、年間何億被害が取り戻せたということがわかるわけです。これは私は非常にいいと思います。
ところが、これは毎年増減はありますし、センターの中でも、例えば兵庫みたいにサブセンターを持っているところですと、それぞれのそれこそ評価につながるわけです。積極的にやられているところもありますけれども、一方で、そういうのはデータとして勘弁してくれというところもあるわけです。正直、こういうのは国民的に見ると非常にわかりやすい。そういうものが、正確な数値でなくて丸めた数字でもいいので、大体の規模感で、毎年このぐらい被害回復に役立っていますみたいなことがデータとして出せれば、県民、市民にとってはものすごくインパクトがあるのではないかと思います。
なかなかこれが、今、みんなでヨーイドンになる環境にないので、どういうふうにアプローチしたらそれができるようになるかというのは、なかなかそこが悩ましいところでして、むしろそうあるべきと言っていただければ、自治体にもそういうことができるように働きかけるのも、一つあるのかなと思いますけれども、委員のおっしゃるのはもっともだと思います。これが多分、一番わかりやすい指標だと思います。
もう一つ、被害の実態というのは、総額で、何かのチャンネルでもって把握する必要があると思いますけれども、警察でもそういうデータを持っていません。なかなか埋もれて出てこないものなので、トータルでの規模感を把握する上でも、そういうものがデータとしてとれると非常にいいのではないかなと思いつつ、なかなかそれができていないというのが現状です。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。

○村井委員 それに関連して、例えば消費者白書のようなものを将来つくられる予定はありますか。

○消費者庁林地方協力課長 実は、消費者教育基本法をつくるという議員立法の動きが国会の中でありまして、その中で、白書を法定化するという動きがございました。なかなかそれはできていませんけれども、予算上は、24年度予算に消費者白書をつくるということで予算をとってありまして、白書はつくるようにしたいと思っています。ただ、その中でどの程度のデータが把握できるのかというのは、なかなか難しいところがあって、被害額をダイレクトにつかむものがないので、何かで代替するとか、それこそ警察で検挙された事件化されたもののデータを使うということしか、今のところは難しいのではないかと思います。

○河上委員長 ほかに、いかがでしょうか。
一つ、私から質問です。この間、実は「地方消費者委員会」というので外へ出かけていって、福島の相談員の方から話をうかがう機会があったのですけれども、特商法なら特商法に違反する業者が栃木で摘発されて福島に逃げてきた。福島では地震や放射能の問題でそれどころではなく、業者がどんどん好き勝手なことをやっているけれども、なかなか対応ができなかった。こういうときに、広域で動いている悪徳業者に対して国に何とか対応してもらえないだろうか、というようなことを切実におっしゃっていました。
例えば、アメリカなどで、州警察の間を縫って両方にまたがって暗躍するやつを、連邦警察が出かけていって退治するという具合に、消費者庁そのものが、そういう広域的な業者に対して直接に対処するというような支援の仕方は考えられないですか。

○消費者庁林地方協力課長 今、委員長がおっしゃられたこの種の広域事犯について、特に特商法との関係でどういうふうに適用関係を整理するのか。これも実は結構議論になりまして、1つの県で処分した効果を、他県とか全国に及ぼせるようにした方がいいのではないかといった制度的な提案もいただきました。
今、どういうふうにしているかというと、基本的には委員長がおっしゃられたように、ある県で処分をしたのに、また隣の県へ行って同じようなことをやっている。その被害がどんどんいたちごっこで広がっていくといった事案については、これは国が対応することにしています。ですから、今のような事案が本当にあるのであれば、これはむしろ積極的に情報提供をしていただいて、国が処分をすべき事案だと思います。今の委員長のお話は担当課の方にも引き継ぎをしたいと思います。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 最後に、自治体、特に市町村の実態ということでお話ししたいのですけれども、どこの自治体も共通で、ヒアリングしていただければ同じように答えが返ってくると思いますが、本当にボールペン一本買うにもすごく神経を使うような予算の状況です。黙っていたら、人とお金が減っていく。私は、地方消費者行政の活性化のキーは、人と金をどう確保するかということかと思っていまして、そのためには3つぐらい方策があるのではないかと思っております。
一つは、再三お話があったように、首長が意識を持ってトップダウンで決めていくやり方、あるいは、議会が同じような役割を果たしていくというやり方。もう一つは、必ずやらなければいけないようにするということ。3つ目として、例えば消費者行政だけ見て事業としてペイする。つまり、持っている資源をどこかに売る、あるいはそういうことによってお金が得られて赤字にならない。この3つでないと、お金と人を握っている人たちは首を縦に振らない。そこで消費者行政の担当者が非常に困っているというところが実態だと思いますから、対策を考える上で、この3つのいずれかなのか、あるいは3つを合わせ技でやるのか、そんなことになっていくのかなというのが私の考えです。

○河上委員長 地方自治体が実際に抱えている問題を、もう少し深掘りして調査をしてみる。場合によっては評価の方法なども改善していく必要があるということで、消費者委員会もこの問題には非常に強い関心を持っております。現時点で専門調査会をつくるという予定はないですけれども、親委員会で取り組むということについては意見が一致しているところです。もしよろしければ、消費者庁さんと一緒に、いろいろな調査とか検討活動をさせていただければと思います。きょうはどうもありがとうございました。

≪4.閉会≫

○河上委員長 以上で、本日の議題はすべて終了いたしました。なお、1月21日(土曜日)に、宮城県仙台市におきまして、「新しい消費者行政を創る宮城ネットワーク」というところと共催いたしまして、県、市からも後援をいただき、第1回地方消費者委員会を開催いたしましたので、ここで御報告いたします。
概要については、事務局から簡単にお願いします。

○原事務局長 お手元に参考資料3(PDF形式:17KB)PDFを別ウィンドウで開きますをお付けしております。当日のプログラムを配付しておりますので、ご覧いただければと思います。
第1部は公開講演会としておりまして、「仙台市における消費者行政の現状と取り組み」について、仙台市消費生活センター所長の熊谷さんから御報告をいただくとともに、「震災後の高齢者の取引被害について」ということで河上委員長から講演をいただき、細川委員、吉田委員にコメンテーターとして加わっていただきました。続く第2部では、「消費者相談事例報告会」といたしまして、現地の消費者団体等から事例報告をいただいた後、事例報告者と消費者委員会委員とでパネルディスカッションを行いました。
当日は大変な雪の中だったのですけれども、約130名もの方にお集まりいただき、また、第1部の冒頭では、郡和子内閣府大臣政務官、奥山恵美子仙台市長からごあいさつをいただいております。
簡単な報告書はつくる予定にしておりますので、ホームページ、そういったところでごらんいただけるようにしていきたいと思っております。
事務局からは、簡単ですが、以上です。

○河上委員長 ありがとうございます。当日出席された細川委員、吉田委員から、何か補足がございましたら、お願いします。

○吉田委員 会場では、震災に伴う消費者被害・問題についての事例報告などもいただいたのですけれども、それに対する感想としては、震災だからといって何か特別な問題、被害が特に起こっているということではなく、日々ある問題・被害が震災によって顕在化した、あるいは、それらの傷が深まっているというのが状況かと理解しております。すなわち、平時からそれらの取組がある程度きちっとできていれば、震災にも十分対応していけるのではないかということも導き出されるのかなというふうな印象でした。
そういうこともあり、東北は消費者行政自体が全体的に疲弊しているような印象を持っていたのですが、当日は、本当にたくさんの関係者をはじめ参加者を得ることができました。これは裏を返せば、消費者委員会に対しての期待、あるいは、ものを言いたいというふうなお気持ちのあらわれでもあるのかなと思っております。私たちの委員会のコンセプトとして、たくさんの方のいろいろな声をお聞きするということからすれば、せっかく集まってきた方々の声を拾い上げていく工夫も、今後、地方消費者委員会の中にあればいいなというふうに思っております。

○河上委員長 震災の復興支援という名のもとに、みんな、大変だ、大変だ、消費者問題どころではないというふうに言いがちですけれども、逆に、震災と消費者問題の救済の問題は連動しているということを現場で私自身は感じました。ですから、復興支援の名のもとに消費者政策が後退しないように、ということを是非申し上げたいと思います。第1回の「地方消費者委員会」は、初めての試みでもありましたので、改善すべき点もいろいろございましたけれども、全体としては、現地の方々の御支援もありまして、盛況であったと思います。
なお、地方消費者委員会は、次回は3月の下旬、愛媛県の松山市において開催する予定ですので、また、詳細が決まりましたら御案内したいと思います。
続きまして、1月13日に「新開発食品調査部会」の第7回会合が開催されておりますので、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条2項の規程に基づきまして、審議結果の報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長、よろしくお願いいたします。

○田島委員 それでは、特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から御報告いたします。
平成24年1月13日に開催した「第7回新開発食品調査部会」の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、平成24年1月18日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。参考資料4(PDF形式:430KB)PDFを別ウィンドウで開きますでございます。答申書をごらんください。
内閣総理大臣より諮問を受けて、今回の部会においては5品目の安全性及び効果について審議を行いました。審議の結果、すべての品目について、特定保健用食品として認めることとして差し支えないこととされました。
なお、資料の2枚目に答申を行った5品目の一覧表を添付しておりますので、御参考になさっていただきたいと思います。
私からの報告は以上になります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
最後に、事務局から、今後の予定について説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
本日、委員会終了後、6時から、5分後ですけれども、この部屋において、日本司法書士会連合会、日本弁護士連合会との意見交換を1時間行う予定です。引き続き意見交換会も傍聴される方につきましては、この部屋にお残りいただければと思います。
次回の委員会は、2月14日(火曜日)の16時からを予定しております。
議題については、決まり次第、また御連絡したいと思います。
以上です。

○河上委員長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)