第78回 消費者委員会 議事録

日時

2011年12月21日(水)13:59~14:57

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  川口審議官
堀井消費者制度課長、南消費者制度課企画官
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開 会
2.「消費者の財産被害に係る行政手法研究会」の取りまとめについて
○説明者: 消費者庁  川口審議官
堀井消費者制度課長、南消費者制度課企画官
3.エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議(案)について
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式7KB)
【資料1】 財産に対する重大な被害の発生・拡大防止のための行政措置について(消費者庁提出資料) 【資料2】 エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての実態調査結果と建議(案)及び概要 【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:54KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会」の第78回会合を開催いたします。
なお、本日は所用によりまして村井委員が御欠席となっております。
初めに、配付資料の確認についてお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれたものの次から、資料1といたしまして「財産に対する重大な被害の発生・拡大防止のための行政措置について」ということで、この後御説明いただきます消費者庁から提出をいただいた資料です。
資料2として2-1~2-3までお付けしておりますけれども、エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての実態調査結果と、この後建議を予定しておりますので、建議の案及び概要についての資料をお付けしております。
最後に、参考資料といたしまして、この間、12月16日に委員間打ち合わせを行っておりますので、その概要をお付けしております。
以上です。不足がございましたら、またお申し出いただければと思います。

≪2.「消費者の財産被害に係る行政手法研究会」の取りまとめについて≫

○河上委員長 それでは、早速議題に入ります。
初めに、「『消費者の財産被害に係る行政手法研究会』の取りまとめについて」ということでして、集団的消費者被害の救済につきましては、これまで集合訴訟制度と財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度について、それぞれ検討が行われてきておりますけれども、前者の集合訴訟制度につきましては、前回の第77回の「消費者委員会」におきまして消費者庁から現在の検討状況について御報告をいただいたところです。
後者の財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度につきましては、消費者庁において本年10月に「消費者の財産被害に係る行政手法研究会」を設置し、特に財産に対する重大な被害の発生、拡大防止のための行政措置に関してこれまで4回にわたって検討を行い、このたびその結果をとりまとめたと聞いております。本日は消費者庁においでいただいておりますので、本とりまとめの内容について御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁川口審議官 お時間をいただきましてありがとうございます。消費者庁審議官の川口でございます。冒頭私から趣旨を簡単に説明させていただきます。
行政としてすき間のない迅速な対応を実現するということは消費者庁設置の1つの目的であったわけですが、消費者安全法はその重要なツールとして制定されたものでございます。しかし、生命・身体分野への重大な被害ですき間事案という場合には、消費者庁自らが措置をとることができるということでございますが、財産分野についてはすき間事案の場合に消費者庁自ら措置をとることができない。そのための財産に対する重大な被害が規定されなかったということでございます。
これにつきましては大きく2つ問題がございまして、財産分野について1つ目としては、対象となる行為が予め明確でないと事業者の予見可能性を害し、事業活動に混乱をもたらすおそれがあるということ。
2つ目としましては、被害者の属性から独立して客観的な重大性の基準の設定が困難である。
当時、国会の審議に当たりましてはそういう状況でございました。このため消費者庁自らが措置をとることができる財産に対する重大な被害は規定されなかった。
これを受けまして、資料1-1にございますが、消費者安全法附則第2項が規定されたということでございます。また、私が申し上げた2つの問題につきましては、消費者安全法の法案審議の際、当時の野田消費者行政推進担当大臣からも答弁があったところでございます。
今般、消費者庁におきまして、小早川先生を座長とする研究会で御議論いただきまして、立法当時の課題を踏まえた上で財産に対する重大な被害の考え方について整理をいただいたところでございます。
詳細はこれから担当から説明させますが、研究会とりまとめの整理を踏まえまして、消費者庁において更に詳細に法制的な検討を行いまして、別途検討しております生命又は身体の被害に係る消費者事故等の調査機関の設置に係る改正と併せまして、消費者安全法の改正法案として来年、次期通常国会への提出を目指してまいりたいと考えているところでございます。
それでは、担当から説明させます。

○消費者庁南企画官 消費者庁消費者制度課企画官の南でございます。本日はよろしくお願いいたします。
先ほど事務局長から御紹介がありました資料1-1と1-2が今回のとりまとめの結果の資料でございますが、1-2がとりまとめ本体でございます。こちらの方を去る12月8日に公表させていただいております。本日は時間の関係上、資料1-1のA3の大きい資料の方で説明させていただきます。
まず経緯でございますが、先ほど審議官の方からございました附則2項というものがございます。改めてこれを見ますと、左上でございますが、消費者の財産に対する重大な被害を検討しなさいと。これは先ほど審議官のお話にもありましたように、重大な被害の場合に消費者庁自ら措置がとれるのは生命・身体分野に限られていた、ここが国会で当時議論になり、その結果この附則が設けられた。しかもこの法律の施行後3年以内ということになっていますので、消費者庁が設置されたのは21年9月でございますから、来年になりますともう3年になってしまうということでございます。
委員長の方からも御紹介がございましたように、研究会を4回開催し、議論いただいたわけでございますが、そのとりまとめの結果について御紹介いたします。
まず、「現状」と書いてあるところ、これはもう言わずもがなでございますが、消費生活相談の件数は相変わらず高いわけですけれども、やはり取引、財産に係る相談が8割以上を占めている。こういった財産被害に関しては、各省庁所管の個別法あるいは個別業法、当然消費者庁が持っている特商法等でも対応していくわけでございますが、そういったものではどうも対応できない財産被害事案、いわゆるすき間事案があることが判明した。
そういったものについてどういったものがあるか分析したところ、具体的な事例として真ん中の右の方にあります2つを挙げております。
1つは事例1「温泉付き有料老人ホーム利用権」の取引勧誘事案。こういった事案に関してはいわゆる劇場型と申しまして、買取業者があらわれて、あそこの老人ホーム利用権を買ってくれたら、後で私が何倍で買い取りますよということを消費者に伝え、いいタイミングで販売業者から有料老人ホームのパンフレットの送付がなされる。そこで消費者は買ってしまうわけですが、実際はどうやら利用権なるものは存在しない、言わば架空取引みたいな事例でございます。
事例2は外国通貨の取引勧誘事例です。こちらは外国通貨としては存在するわけですが、イラクディナールとか、あるいはアフガニスタンのアフガニとか、そういったものについて、いつでも両替可能です、平和になれば必ずもうかりますといった口上で勧誘するわけでございますが、実際は日本では換金できないということで、日本で換金できるかどうか、あるいは高額なお金に見合ったサービスであるかどうかという観点からすれば、ある意味紙くず同然みたいな話ということでございます。
こういった事例を踏まえて、ではどういったものを財産分野の重大な被害と位置づけるかということで、「取りまとめの概要」をごらんいただければと思います。
「消費者安全法の改正による対応」と書いてありますが、やはり安全法は行政全体としてすき間のない対策を講じることを立法趣旨としておりますので、まずはすき間事案で重大な被害を生じさせる事業者に対する勧告・命令を導入してはどうかと。
では、消費者の財産に対する重大な被害を生じさせることとは何かといいますと、1つは消費者が支払う金額の相当部分が被害。いわゆる普通の取引でありましたら、仮に勧誘が不当表示あるいは欺瞞的なものであったとしても、商品・サービスがあればそれなりの効用は得られるわけでございますが、先ほどのような架空取引、あるいは換金困難な外国通貨事例でございますと、支払った対価に見合う効用を商品・サービスから受けられない。そういった意味で消費者が支払う金額の相当部分が被害であると。
更にそういったものの何が重大かということですけれども、先ほどのような事例は短期集中的に増加し、全国的に拡大しているような事案でございますので、やはり行政が措置を発動するということですから、公益目的が必要でしょう。それはすなわち消費者被害の発生拡大防止のために発動すべきでしょう。こういったものを消費者の財産に対する重大な被害と位置づけてはどうかというとりまとめの整理でございます。
更にそのほか先ほど劇場型という話を申し上げましたが、劇場型の場合にはサービス・商品を提供する事業者以外に買取業者という消費者をあおる登場人物が出てきます。事案の把握のためにはそういった販売業者以外の者も調査する必要があるでしょうという意見をいただいております。
更に政府全体として現行のすき間のない対策を講じることの実効性を確保するためのもう一つのアイデアとして、消費者被害の発生拡大防止のために有効な情報を関係機関等へ提供できる規定を導入してはどうか。
今の安全法は消費者庁が措置をとることだけではなくて、消費者事故等の情報を消費者庁に集約し、それを消費者庁が司令塔として各省庁に措置要求、あるいは自らの法律に措置、更には生命・身体の場合は事業者に措置をとっていくということになっているわけですが、各省庁とか関係機関との関係では、措置要求しかアウトプットがない。更にはその対象は個別法を所管している大臣に限られている。
そこでより全体として消費者被害発生拡大防止を図るためには、関係省庁だけではなくてその他関係機関も含め、情報提供できるようにしてはどうか。こういった規定が導入できれば、例えばいわゆる振込詐欺救済法がございまして、犯罪利用口座を金融機関が凍結できるという仕組みがあるわけでございますが、消費者庁が入手した犯罪預金口座だと思われる情報提供をすることによって金融機関が口座を凍結すれば、被害の発生拡大だけではなくて、財産隠しの防止にも効果があるのではないかということでございます。
右下の図にありますように、今の消費者被害拡大防止のための政府全体の体系図がこうなっておりますが、まさに色の付いたすき間を埋めてはどうかという話でございます。
今後のスケジュールとしては、先ほど審議官からございましたように、安全法改正法案は来年通常国会に提出したい。
更にその他消費者庁といいますか、政府として検討しなければいけない課題、行政による経済的不利益賦課制度あるいは財産の隠匿・散逸防止策がございまして、これについては小早川座長の研究会で引き続き検討していくとなっております。
簡単でございますが、以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言を願います。いかがでしょうか。
山口委員。

○山口委員長代理 御説明ありがとうございました。
そもそもこの問題は消費者庁、消費者委員会をつくる議論の中で大型の消費者被害、集団的消費者被害の抑止及び救済をどうしたらいいのかという議論の中で、今、まさに上程されようとしている集団的消費者被害の救済の訴訟制度の実現と、課徴金的な行政による不利益賦課制度の実現と、財産の隠匿・散逸防止について保全をするというこの3本柱、今日御説明があった検討作業のマル1、マル2、マル3のうちのマル2、マル3と新しい訴訟制度がセットで、何とか集団的な財産上の被害の抑止あるいは救済を図るべきだということになっていまして、今日御説明のあった行政的な勧告あるいは命令制度の導入は当然のこととして早く実現しなければならないテーマだと思うのです。その意味では是非次期通常国会にしかるべき法案を上程して、改正を実現していただきたいと思います。
その中で私の方で特に御質問させていただきたいのは、資料1-2の詳しい文書の方の18、19ページのところなのです。要するに何を対象事案として消費者庁の方で法案が通った後の作業、お仕事をなさるのですかという確認です。
次の3つの要件を充足するものを対象とするということで、18~19ページにかけてマル1、マル2、マル3とあるのですけれども、マル1がいわゆるすき間事案であることの御説明だと思うのです。他の法律の規定に基づく措置がないこと。
マル2番目が著しく対価性を欠くということで、財産的な被害が決して軽微でないことになるのでしょうか。
マル3番目は今後大量に被害が発生し、または発生する恐れがあることになっている。マル3番目はわかるのですけれども、マル1番目、マル2番目がどうなのかなという疑問もありますので、説明いただければと思います。
マル1番目のすき間の問題なのですけれども、実際問題としてすき間かどうかを判断するのに時間がかかったりすると、結局消費者庁による勧告・命令が遅くなることを危惧します。
具体的には大量に被害を出しました未公開会社の社債のアフリカントラストの事件などでも、これは金商法違反なのかどうかというところで、最初金融庁としては取扱事案ではないという話だったのが、しばらくかかっていろいろ議論していく中で、形式的には50口未満で販売と書いてあるけれども、何回にも分けて販売すると数千人の被害者が出ているということで、やはりこれは金商法の対象になるという判断をなさいました。例えば先ほど御説明があった外国通貨の取引勧誘事案でも、ある意味では消費者は両替料を払いますので、そうすると有償役務取引ということで特商法の適用になるのではないかという解釈も十分あり得るわけです。すき間かどうかどういう判断を具体的にどこがするのか、それについてすき間かどうか判断するために遅れないための法的な措置をどういうふうに講じられることになるのか、そこら辺を御説明いただければと思います。
マル2番目の著しく対価性を欠くということについては、勿論紙っぺらみたいなものを数百万、数十万円で売りつければ対価性を欠くことになると思うのですが、私自身が今、被害弁護団でやっている高島易断みたいな事案ですと、祈祷料ということで例えば1日2,000円で1年分で70万円とか、2年分で140万円を払わせるわけです。先般東京地裁で不法行為だという判決が出ているわけですが、これは祈祷サービスということでいえば特商法の適用対象になっておりますけれども、言うなれば組織的にそういう宗教絡みの詐欺的事案が起こるとか、そういう場合は対価性は余り関係ないのではないか。
あるいはいわゆるクレジットカードの現金化。これは高い金利を実質とることになるわけですですが、これなども著しく対価性を欠くことの要件との関係でどうなるのか。その点はどういう具体的な法文になるのか、あるいはどういう運用になるのか、そこら辺についてお聞かせいただければと思います。
なお、発言の機会ですので一言言っておきますと、21ページにこの行政措置を行うために必要な調査権限のコメントがございまして、下3行にいわゆる劇場型の複数の者が関与する事案が存在するので、「対象となる事業者以外に当該事業者に関連する者を調査の対象とすることが必要である」、これは非常に重要な枠組み設定でありまして、特定商取引法にも同じような調査権限の条文がございます。これによって一番重要なのは銀行です。要するに悪徳事業者が被害者から集めた資金をプールしている銀行に対して、これによって消費者庁が照会できるようになる。これは実務上非常に重要なことなので、揺るがせにせず、是非条文化していただきたいと思います。それは私の意見です。
以上です。

○河上委員長 何かございましたらお願いします。

○消費者庁堀井課長 ありがとうございます。
3点目は御意見ということで、2点御質問いただいた点についてお答えしたいと思います。
まず1点目、すき間かどうかの判断に際して、消費者庁と各省との間で時間を要する、それに伴って実際の措置の発動などが遅れることがないようにという御質問かと思いました。
執行、運用の適切な実施については、研究会の場でも御意見、御要望なども出ておるところでございますし、ごらんいただいている報告書本体の10ページをお開きいただきたいと思うのですが、「(2)消費者安全法の運用・執行等」という記述がございます。こちらのアの下の方で、やはり何がすき間に該当するかという判断に当たっては、こちらに記述があるように、消費者庁及び関係行政機関は平時から消費者事故等に係る情報の共有に努めることとしており、一見当たるかどうかが明確ではないものについては、まず消費者庁がこれをすき間事案になる可能性があるものとして広く受けとめ、その上で関係省庁とも連携を図るという記述がございます。こういったことをいかに効果的にやっていくかということについて研究会の場でも御要望が出ましたので、今でも各省との間で会議などをやっているのですが、より密接な形での連携を図っていくことが必要かと考えております。
2点目でございます。著しく対価性を欠くというところの判断でございます。
研究会でもこの辺りについては皆さんいろいろな形の御意見が出たところでございました。山口委員が先ほど祈祷料ということで具体的に例示をされていたのですが、財産事案における対象の捕捉性の悩ましさというのは、まさに私はこの値段で欲しいとか、価格設定をするときの幅の在り方かなと個人的には思っていまして、今、お話のあったような宗教関係のことですとか趣味嗜好に関するものは特にそういう部分が多いのかなという気がしています。
しかしながら、ここでとらえようとしている部分についてはそういうところを超えて、著しく対価性を欠くということで、その絶対的な金額などは当然設定できない。それは2年前越えられなかった壁でもあるわけですが、しかしながら個別の事案、対象となっているもの、あるいはサービス、シチュエーション、そういったものを勘案して、まさに総合的に判断して検討、運用していくことになろうかなという気がしております。
そのような観点から幾つか、例えばクレジットカードの現金化とか、そういう御質問がありましたが、そういったものについても取引の形態ですとか事象にとらわれずに、逆にそのもの一つひとつについて見ていくことになろうかと考えております。
そして、御指摘の18、19ページにマル1、マル2、マル3と書いてあるのですが、必ずしもこれ自体がそっくりそのまま条文なるわけではないと考えていますけれども、今、申し上げたようなこのとりまとめの考え方を踏まえて、今後法制的な部分、条文の関係の部分を詰めまして、消費者庁としては対応していきたいと考えております。

○河上委員長 ほかにいかがでしょうか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今のお話と多少重なりますが、第1段は私も当然のことだと思いますので、速やかに生命・身体だけではなく、財産に対する重大事故についての法制化をしていただきたいと思います。
第2、第3については、消費者庁のすき間事案だけに関わる話ではないと思いますが、大きな形で、他のところも巻き込んだ形でやはり早く法制化をしていただきたいということです。
それから、今の重大事故の概念ですけれども、山口委員がおっしゃるように、越えられない壁とおっしゃいますが、できるだけ被害が拡大する前に動いて勧告をすることが一番肝なわけなので、余り概念をきつくとると動けなくなる。どちらを見るのかということがございますけれども、資料1-1の大きなA3版の「消費者安全法の改正による対応」の重大事故というところで、左下の上の辺りに2つございますが、「消費者相談が短期集中的に増加し、全国的に拡大」とございますけれども、この「全国的」も余りきつくとりますと、まだ全国ではないのではないかという話になって動けなくなりますので、多分法律にはそこまで書かないで政令でということになると思いますが、いずれにしても余りここの地域的なところを厳しくし過ぎると、せっかくの制度も動かなくなるのではないかと思います。

○河上委員長 御意見は山口委員と重なりますが、何か追加的にございますか。

○消費者庁堀井課長 これから法律の条文をつくって、それから運用して、というところだと思いますが、今の小幡委員の御要望なども踏まえて、今後、運用についても詰めていくことにさせていただきます。

○河上委員長 ほかには。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 お話を伺っていると、今まで検討したものは消費者安全法の附則2項が中心で、消費者庁及び消費者委員会設置法附則6の不当な収益を剥奪する、そちらの方はこれからということなのですけれども、私はこれが本丸だと思いますので、できれば同時にやっていただきたかったなという感じも持ちます。
そしてこの附則6項は、実は2007年のOECD勧告とつながっていると私は思うのです。2007年に消費者の紛争解決及び救済に関するOECD理事会勧告が出ていまして、これは主に国境を越えた取引についてですけれども、被害救済スキームをOECD諸国で考えていきましょうと。その中の1つに、行政を主体とした民事救済制度というようなことを言っているわけです。
ということは、今、越境トラブルが非常に多いですけれども、なかなか海外の企業を相手に消費者が民事訴訟で自分の権利を実現するのは困難ですね。とすれば、何らかの公的な機関が国と国との互恵主義の中で相手国の消費者のために手を貸しますというルールをつくりましょうというのがOECDの趣旨だと思いますので、そういう意味でやはり各国に日本だけが遅れてしまうことになると問題だと思います。
私は1つ経験があるのですけれども、10年くらい前にスカイビズというインターネットマルチが問題になったのは御記憶にございますでしょうか。アメリカなのですけれども、インターネットを介したマルチで、日本人の被害者も非常に多かったのです。そこでアメリカのFTC、連邦取引委員会がいわゆる父権訴訟で民事の被害救済に乗り出したのです。被害を受けている人は手を挙げてくれと告示したのです。そのときに日本人に被害者が多くいたので、私はその当時FTCに確認して、日本人も被害救済のスキームに入るのですかと質問したら、FTCは基本的にアメリカの責任ではないけれども、今後逆の立場になったときに、アメリカ国民が日本政府に救ってもらえることもあるかもしれない、そういうことのためにここでアメリカ政府が日本人を救済することはアメリカの国民の利益にかなうのだという回答が来たことがあるのです。
そういう意味でいうと、これは単に日本国内の消費者の権利あるいは被害救済を守るだけではなくて、今後国際社会の中でそういうルールを整備していきましょうという合意の中で進められている政策でもあると思いますので、3年を目途ですから是非お願いしたいと思います。
以上です。

○河上委員長 よろしいですか。
ほかには。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 今までの委員の意見にもございましたように、消費者側から見ますと、被害発生拡大防止のための措置はここに出ているすべてがワンセットになって初めて効果が上がると思っておりますので、やはりこれは早目に進めていただいて、今後のスケジュールの確認でございます。
消費者安全改正法案は平成24年常会でございますけれども、残された行政による経済的不利益賦課制度、財産の隠匿・散逸防止策につきましては、勿論3年を目途にということでございますから1年以内かと思いますけれども、きちんと期限を区切ってここまでやっていきますという姿勢をお示しいただけると、消費者も非常に頑張ってくださいとエールを送れるかなと思うのでございます。
その辺と、更に残された2つの点につきまして、例えば個別業法の運用・執行、改正でいくのか、それとも新法の制定も含め、またその他の政策も含めてお考えなのか、現在お話しできる範囲で結構ですから、残された2つの課題についてお話しいただければと思います。

○河上委員長 お願いします。

○消費者庁堀井課長 今の夏目委員からの御質問ですが、前回12月6日に第4回の研究会をやった際の最後に小早川座長の方から、これ以降はマル2、マル3のテーマについて検討しますので日程を調整するようにという御指示をいただいています。
そういう意味では、具体的な進め方はまだここでお話ができるほどフィックスされたものは座長ともお話をしていないのですが、非常に重いテーマではありますので、マル2、マル3を一緒にやっていくのか、あるいはマル2をやってマル3をやっていくことになるのか、大変申し訳ないのですけれども、その辺りも研究会の方々と御相談をしてからと考えております。
したがいまして、内容もどういう法的な形式でやるかとか、その辺りについても今後ということになります。そちらはこの研究会の今後の進捗状況、検討状況を踏まえまして、適宜消費者委員会の方にも御報告させていただくということになろうかと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかによろしいですか。
大体時間になりましたけれども、この新しいスキームに関しては消費者委員会としても大変期待していて、立法に向けた活動についてエールを送りたいと思いますので、是非頑張っていただきたいと思います。
ただ、意見の中でも随分出てきましたけれども、問題の対象範囲が要件の限定によって狭くなってしまって、すき間を埋めるべき要件によって結果的にすき間をつくってしまうようなことのないように、的確な運用を期待したいところでございます。
更に対価性にとらわれないで済むという意味では、特商法の改正の部分でこうした有償取引なども全体にとらえることも不可能ではないので、この辺りも引き続き検討を続けていただければありがたいということでございます。残された宿題ばかりが多くて大変申し訳ございませんが、ここはもう一頑張り頑張っていただければありがたいと思います。今日は本当にどうもありがとうございました。

○消費者庁川口審議官 重要な指摘ばかりでございますので、条文化、あるいは運用、今後の研究会の運営につきまして、今日の御意見を踏まえまして対応させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

(説明者退室)

≪3.エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議(案)について≫

○河上委員長 続きまして、「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議(案)について」を御議論いただきたいと思います。
エステ・美容医療サービスにつきましては、第71回委員会において消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、厚生労働省、経済産業省からヒアリングを行い、前回の第77回委員会におきまして、公益社団法人日本美容医療協会からヒアリングを行ったところでございます。
また、消費者委員会では独自に地方自治体に対するヒアリング及び書面調査、更にはエステ・美容医療サービスを利用した経験のある消費者を対象としたアンケート調査なども行っておりまして、本日はこれらの調査結果について御報告をするとともに、調査結果を踏まえ建議をとりまとめたいと考えております。
お手元に資料2としてエステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての実態調査結果と建議案及び概要を配付しておりますので、これに基づいて吉田委員の方から説明をお願いしたいと思います。

○吉田委員 まず初めに、エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての実態調査結果について、資料2-1により御説明いたします。
2ページをごらんください。まずはエステ・美容医療サービスに関する消費者問題について、主に次の4つの方法により実態調査を行いました。
上の棒グラフですが、これはPIO-NETによる情報です。左側はエステ・美容医療に関する相談件数の推移を年度ごとに示しております。エステにつきましては平成20年度を山に漸減傾向にあります。一方、美容医療については直近の年度は横ばい傾向にあることがわかります。
右の棒グラフは商品・役務ごとの機器情報の件数を示していますが、直近の3年度においては医療サービス、化粧品、エステともに一定数横ばいの相談が寄せられております。
これらのことから安全に関するトラブルは減っていない実態が読み取れるかと思います。
次に、都道府県及び政令市の消費者行政担当部局と医療・保健衛生部局並びにエステ・美容医療の業界団体などに対し、エステ・美容医療に関する指導監督の状況などについて対面聴取調査を行いました。これに加え、エステ・美容医療サービスの利用経験のある20歳以上の男女3,100人を対象に、エステ・美容医療サービス利用時の意識、行動等についてウェブアンケートを行いました。
更にはエステ・美容医療に関する相談件数の多い都道府県の消費者行政部局及び政令市の医療・保健衛生部局に対して、エステ・美容医療に関する相談情報の取扱状況や法執行についての書面調査を行いました。これらの調査結果の詳細につきましては資料2-2、厚いものですけれども、実態調査報告書を御参照いただければと思います。
次に資料の3ページについてですが、エステ・美容医療サービスに関する相談・被害の実態についてPIO-NETの情報から具体例を取り出し、整理しました。
相談の内容別に安全に関するものと契約に関するものとに整理ができ、安全に関するものは施術の内容によって医師免許が必要なもの、美容師免許が必要なもの、資格の有無は問わないものに分類されます。
具体的には医師免許が必要なものとしては医療用レーザー機器を使用した脱毛、アートメイク等が挙げられます。
美容師免許を必要とするものとしてはまつ毛エクステンション、また資格の有無は問わない施術としては痩身、美顔などが挙げられ、資格の有無は問わない施術についても安全に問題のある事例が見られます。
一方、契約に関する相談事例では事前の説明が不十分である例、不実告知があった例などが見られます。
これらの実態調査を踏まえて、エステ・美容医療サービスにおける問題点、課題を整理しました。
まず最初に、エステ・美容医療サービスに係る被害防止のための取組みに関する問題点、課題ですが、資料4、5ページのとおり、5つの点を指摘することができます。
1つ目は、地方自治体において、医療・保健衛生部局における行政指導の実績が十分ではないという点が指摘できます。
4ページ左下の棒グラフをごらんください。これは直近3年度におけるエステ・美容医療分野に関する行政指導等の実績ですが、脱毛、アートメイクについては口頭指導、書面指導、報告徴取・立入検査ともに極めて低調であります。一方で、まつ毛エクステンションについては、任意の事実確認をするなど、工夫をして実績を上げている自治体もあります。
2つ目は、被害情報が集約されている消費者行政部局で把握した情報が必ずしも共有されておらず、情報が活用されていない点が指摘できます。
真ん中の円グラフをごらんください。これはエステ・美容医療の相談の多い10の都道府県の消費者行政部局における医師法・美容師法等への違反が疑われる情報の把握情報と取り締まり担当部局への情報提供の状況を示していますが、把握した情報を提供しているところは半数にとどまり、把握していないところが3自治体、把握はしているものの情報提供をしていない自治体が2自治体ありました。
3つ目は、医療・保健衛生部局において指導が困難な状況も見られる一方、効果的な取組みとして関係部局の連携、任意の事実確認等、運用上の工夫を行っているケースもある点です。右下の枠内をごらんください。
都道府県のヒアリングの中で行政指導の実績が低調な理由として、法令に基づいた許可・届出のない施設に対して営業の実態を把握することは難しい、その上で行政指導することは更に困難であるとの声が聞かれました。
一方で、部局間の連携を積極的にとったり、任意の事実確認を行うなどして、実質的に営業実態を把握できるように工夫している自治体もありました。
資料5ページをごらんください。
4つ目の問題点、課題ですが、危害情報の中にはレーザー脱毛、まつ毛エクステンション等、資格を要する施術について法令違反が疑われるものが見られる点が指摘できます。
具体的には左下の相談事例をごらんください。その下のところには医師でない者がレーザー脱毛、アートメイクなどを行うことは医師法に違反する旨及び違反行為情報に接した際には実態調査を行い、必要な指導を行うことを要請した厚労省通知、まつ毛エクステンションについては美容師法に基づく美容に該当するところ、その旨を周知徹底するよう要請した厚労省通知を挙げておりますが、相談事例からはそれらに違反する行為が横行していることが伺われます。
最後に5つ目として、資格が不要で技術レベル、衛生管理等に関する公的指針が特にない施術においても危害が生じている事例が見られる点が挙げられます。これらの相談事例からはさまざまなサービスが拡張的に展開されている現状に対し、消費者の安全確保のための公的な指針の策定が追いついていない実態が指摘できると思います。
以上、5つの点がエステ・美容医療サービスにおける被害防止のための取組みに関する問題点、課題の指摘になります。
続きまして、6ページをごらんください。6ページと次の7ページとではエステ・美容医療サービスにおける表示、広告についての3つの実態、問題点、課題を指摘しております。
まず1つ目、6ページの上のところになりますが、消費行動の実態として、消費者はエステサロン、美容クリニック選択時に、友人知人の口コミのほか、ホームページ、フリーペーパー、折り込み広告等から情報を収集している。特に電子媒体は増加してきているという点が指摘できます。
左下の棒グラフをごらんください。消費者アンケートによる結果ですが、情報収集の媒体として口コミが多く、次いでホームページ、フリーペーパー・タウン誌と続いていることがわかります。
右上の折れ線グラフはPIO-NETの情報です。これは美容クリニックに出向くきっかけとなった広告媒体を年度ごとに追ったものですが、平成16年度以降は電子媒体の件数がウナギ登りに増加していることがわかります。
また、右下枠内で指摘していますが、美容クリニックの広告を考える際に留意しなければならないことは、医療広告ガイドラインにおいては、インターネット上の病院等のホームページは情報提供及び広報であり、原則として広告とは見なしていない点があります。
7ページをごらんください。
エステ・美容医療サービスにおける表示、広告についての問題点、課題点2つ目として、体験談、施術前後の比較写真は消費者の美容クリニック等選択時の決め手情報となっているが、医療法では広告での表示が禁止されている。その他、各種広告には医療法に照らして問題があるものが散見される点が指摘できます。
真ん中の左の棒グラフは消費者アンケートの結果として、サロン・クリニック選択時の決め手となった情報は何かを示したものです。右の枠には実際にフリーペーパー・タウン誌など、広告を確認した結果、問題があると思われる表示の実例を載せています。
3つ目としては、これらの実態がある中で景表法による行政指導も十分に行われていない点を指摘しています。下の円グラフはエステ・美容医療サービスの相談件数の多い10都道府県の消費者行政部局による景表法に基づく指導状況で、左はエステ業者に対するもの、右は美容医療業者に対するものです。いずれも約半分の都道府県では指導等を実施していない実態が明らかになっています。
エステ・美容医療サービスにおける問題点、課題の指摘の最後は、美容医療サービスを利用する消費者への説明責任について、2つの点を指摘します。8ページをごらんください。
1つ目は、美容医療サービスにおいて契約・施術前に施術後の注意や起こり得る副作用等重要な事項について、4割近くの人が説明を受けていない点。
2つ目として、不満が生じた人の約4割が「効果がなかった」「期待していた結果と違った」と回答しており、説明責任が十分に果たされたとは言い難い点です。
左下の枠内で示しているとおり、厚労省通知では診療情報を丁寧に通知すること、それに当たっては具体的な状況に即した適切な方法で行うことを求めています。また、右の枠内には判例を載せていますが、美容医療の場合、一般の医療以上にインフォームドコンセントを徹底する必要性について司法が判断をしています。
今まで御説明をしました実態調査結果のポイントを次の9ページ左手に整理しております。これらの問題意識に立って、このたびエステ・美容医療サービスに関する消費者問題について、4つの項目について建議をすることを提案いたします。
資料2-3「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議(案)」をごらんください。
前文のところは先ほど御説明をしました実態調査に基づいて整理をしております。
2ページのところに建議項目1として、「健康被害等に関する情報の提供と的確な対応」ということで、3つの項目を載せております。

  • 関係省庁(厚生労働省及び消費者庁)は、消費者の安全確保の観点から、以下の措置を講ずること。
  • (1)消費者庁は、都道府県に対し、消費者相談において、エステ・美容医療サービス関連で、健康被害に係る情報や施設の衛生管理等に問題があることが推測される情報を得た場合には、保健所等関係部局に当該情報を提供するよう要請すること。
  • (2)厚生労働省は、健康被害等に関する情報を把握した場合の対応について、運用上の工夫やノウハウ、具体例等を整理し、都道府県及び政令市に示すこと。
  • (3)消費者庁は、今後の健康被害の発生状況、上記取組状況等を踏まえ、必要に応じて、関係省庁への要請、消費者安全法に基づく注意喚起及び措置要求を行うこと。
2つ目の項目としましては5ページの中ほど上に、「エステ等を利用する消費者の安全確保のための措置」として、
  • 厚生労働省は、エステ等を利用する消費者の安全確保の観点から、各施術ごとに健康への影響等を分析し、必要に応じて、各施術の技術基準等を整備するとともに、法解釈の見直し等について検討すること。
    また、エステ等を利用する消費者の安全確保の観点から、エステ等における施術の際の衛生管理の実態を把握し、必要に応じて、衛生管理のための指針を整備する等の措置を講ずること。
建議事項3つ目として、6ページになります。「不適切な表示(広告)の取締りの徹底」。
  • 関係省庁(厚生労働省及び消費者庁)は、取引の適正化の観点から、以下の措置を講ずること。
  • (1)厚生労働省は、消費者視点で好ましくないと判断されるインターネット上等の表示を取り締まるための措置を講ずること。
    また、都道府県及び政令市に対し、保健所等関係部局と消費者行政担当部局との連携について再度要請するとともに、不適切な医療広告等について、法令及び上記措置に基づく法執行を適切に行うよう要請すること。
  • (2)消費者庁は、都道府県(景表法所管部局)に対し、医療機関が行う広告についても法執行の対象となることを徹底するとともに、不適切なインターネット上等の表示について、自らも法執行を適切に行うこと。
最後の4番目の建議事項としまして、8ページ下になりますが、「美容医療サービスを利用する消費者への説明責任の徹底」として、
  • 厚生労働省は、美容医療サービスに関連する相談のうち、患者(消費者)の理解と同意が十分に得られていないことに起因するトラブルが少なからずみられること等を踏まえ、取引の適正化及び消費者の安全確保の観点から、緊急性がそれ程高くない美容医療サービスを提供する場合に、患者(消費者)に必ず説明し、同意を得るべき内容等を盛り込んだ指針等を整備し、周知を図ること。
以上が建議の案になります。
消費者委員会は、この建議への対応について厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣に対して平成24年6月までにその実態、実施状況の報告も求めることも併せて建議の案として載せております。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 是非この案を採択して、厚労省、消費者庁には汗をかいていただければと思います。
この間いろいろ議論してきたのですが、4点指摘しておきたいと思います。
第1番目には、エステの問題は経済産業省の所管でありまして、先般の消費者基本計画の見直しのところでも経産省においでいただいてお話を聞いたわけです。けれども、今回建議の対象とするかどうかで検討しましたが、エステは一応特定商取引法の適用対象になるいわゆる継続的役務取引の範囲になっておりまして、今回は危害情報に焦点を絞って建議をした方がいいのではないかという議論もあり、その点に絞っております。
また、2番目の問題にも関連しますが、勿論医療行為の範囲がどこまでなのかということについては経産省と厚労省の間で詰めていただく必要がありますので、その意味では先ほど吉田委員から話がありました、エステと称してアートメイクとか、あるいはまつ毛エクステンションのような行為もなされておりますので、そういうことがないように経産省の方にも是非配慮をお願いしたいと思います。
2番目としては、今、申し上げた医療行為の範囲がどこまでなのかは一応基準は出ているのですが、もう技術水準が日進月歩で、一言で脱毛といっても、毛根に刺激をして脱毛するものから、光脱毛とかライト脱毛とかいうので皮膚に刺激を与えないから医療行為ではないといわれているものもあります。だけれど実質はいろいろな被害が出ているという問題が出ておりますので、やはりそういう技術の日進月歩の変化に伴う臨機応変な解釈の在り方、運用の在り方を厚労省には努力していただく必要があるのではないかという点です。
3番目は、幸い厚労省の方も見直す機運を持っていただけるようになったようですが、建議の4番目のことなのですけれども、先ほども話がありましたように、今、インターネットが美容医療を受けようかという人の重要な契機になっている。しかもインターネットに本当は医療法上の規制対象になるはずの術前術後のイメージ写真が載っておりまして、これを見てそれならばということで美容医療のお医者さんのもとに行く。そこでまた被害に遭うという事案が多いようですので、美容外科クリニックのホームページでの広報についても広告の対象になるのだという運用の改善、これは4番目の建議に入っているわけですが、是非これは1日も早く実施していただきたいと思います。
最後に、私どもとしては美容医療の説明義務について種々議論しました。特に美容医療については自由診療がほとんどでありまして、金額が高額になることも多い。しかも最初は安い値段でキャンペーン期間中とかいうので行ってみると、実際結果としては100万円を超える費用を請求されるという事案が結構クレームとして出ております。自由診療による問題は美容医療の分野だけでなく、歯医者さんにおいても今、被害相談がかなり出ておりまして、自由診療は勿論否定するものではありませんが、消費者の視点から見ると思わぬ経済的な被害を受けたり、あるいは十分説明を受けないままに施術を受けてこんなはずではなかったという消費者の相談が多い実情がありますので、自由診療の点については相当見直す必要があるのではないかと思います。
ただ、今回の建議ではあえてそこまでは踏み込まずに、美容医療の特殊性にかんがみてきちんとした説明義務を尽くすように、厚労省の方でとりあえずは指針をつくる等の整備をして周知を図る努力をしていただきたいという点にとどめて建議をしております。是非その点でよろしくお願いいたします。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
何かほかに御意見はございますか。
自由診療に関しては例の歯医者さんのインプラントの問題などもいろいろ関心を呼んでいるところではございますけれども、これについてもそれとして問題意識を持って取り組んでいかないといけないと思います。他の機関でも問題意識を持って取り組んでいるところがあると聞いておりますけれども、今回の建議はそこまで踏み込んでいないということです。よろしいでしょうか。
それでは、先ほど御説明いただいた内容で建議を行いたいと思います。消費者庁及び消費者委員会設置法第6条に基づきまして、厚生労働大臣及び消費者担当大臣あてに建議を行うということで御了解をいただけますでしょうか。

(「異議なし」の声)

○河上委員長 では、そのように決めさせていただきます。

≪4.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になりますけれども、最後に事務局の方から今後の予定等について説明をお願いいたします。

○原事務局長 本日委員会は1時間で終了しておりますけれども、この後この場を使いまして全国消費者行政ウォッチねっと及び全国消費者団体連絡会との意見交換を行う予定にしております。引き続き意見交換も傍聴される方につきましてはお残りいただければと思います。
それから、意見交換会終了後、4時5分ごろをめどに今の建議した内容を含めた形で消費者庁の記者会見室におきまして、河上委員長の記者会見も予定をしております。
次回の委員会につきましては年明け以降、改めて決まり次第御連絡をさせていただきたいと思います。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにてひとまず閉会とさせていただきます。
お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)