第77回 消費者委員会 議事録

日時

2011年12月13日(火)10:00~12:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 夏目委員、細川委員、吉田委員、村井委員
【説明者】
 公益社団法人日本美容医療協会  西山常任理事
 財団法人関西消費者協会  惣宇利理事長
 上智大学  古城法学部長
 消費者庁  川口審議官
堀井消費者制度課長
加納消費者制度課企画官
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開 会
2.エステ・美容医療サービスについて
○説明者: 公益社団法人日本美容医療協会 西山常任理事
3.公共料金について
○説明者: 惣宇利 紀男 (財)関西消費者協会理事長・大阪市立大学名誉教授
古城 誠 上智大学法学部長
4.集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について
○説明者: 消費者庁  川口審議官
堀井消費者制度課長、加納消費者制度課企画官
5.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式7KB)
【資料1】 美容医療の問題について(日本美容医療協会提出資料) 【資料2】 公共料金規制と消費者の役割(古城氏提出資料)(PDF形式:131KB)
【資料3】 公共料金について(惣宇利氏提出資料)(PDF形式:500KB)
【資料4】 「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」関連資料(消費者庁提出資料) 【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:16KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。
本日は、皆様お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会」の第77回会合を開催いたします。
本日は、所用によりまして田島委員が御欠席、川戸委員が若干遅れて御出席の予定と伺っております。
初めに、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○原事務局長 おはようございます。
配付資料ですが、消費者委員会(第77回)議事次第の下に一覧を付けております。
資料1、日本美容医療協会から御提出をいただきました美容医療の問題についてのヒアリングのための資料です。
資料2と3につきましては、その後、公共料金についてのヒアリングを予定しておりまして、古城先生と惣宇利先生から御提出をいただいた資料です。
資料4、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」ということで、今、消費者庁の方でパブリック・コメントをとるという作業に入っておられますけれども、消費者庁から御提出された資料になります。
参考資料1、この間、12月7日に委員間打合せを開催しておりますので、その概要をお付けしております。
不足がございましたら、また審議の途中でもお申し出いただければと思います。
以上です。

≪2.エステ・美容医療サービスについて≫

○河上委員長 それでは、議題に入ります。
初めに、エステ・美容医療サービスについてです。
エステ・美容医療サービスにつきましては、第71回消費者委員会において、消費者基本計画の検証・評価・監視の各省ヒアリングの中で関連する施策について厚生労働省、経済産業省からヒアリングを行ったところでございます。
本日は、公益社団法人日本美容医療協会においでいただいておりますので、美容医療に関する広告の問題やインフォームドコンセントに関する取り組み等についてヒアリングを行いたいと思います。
それでは、西山理事、よろしくお願いいたします。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 おはようございます。
公益法人日本美容医療協会の西山と申します。
本日は、消費者委員会でお話できる機会をいただきありがとうございます。
まず最初に、美容医療協会について概略をお話させていただきます。
美容医療協会は、平成3年に社団法人として設立されました。今年4月に内閣府より公益法人として認可されました。
学会活動とは違いまして、消費者、すなわち患者さんに対して適正な美容医療の普及と美容医療に関する相談等々のために活動しております。
例えば毎週木曜日の夜19時~20時半まで夜間電話相談室を行っております。また、ネット上ではホームページの上でいろいろ医療相談も行っております。また、学会などのときに市民公開講座も行い、そこで直接、美容医療相談なども行っております。ネット上でできるだけ正確な情報を消費者に提供するために、JAAMトピックスという項を設けて様々な情報を出しております。
なぜこのような活動をしているかと申しますと、1つには美容医療の特殊性というのがあると思います。
資料1-2青い表をお配りしていると思いますが、1つは、悩みの外科であり、地域住民が対象ではなくて、遠方より来られる人が対象のために、広告がどうしても必要であるということがありました。特に美容外科ですが、隠したいとか恥ずかしい、知られたくないということで、口コミが当然少なくなりますから、広告を出せば患者さんが来る。当然、広告を出すわけですけれども、だんだんエスカレートして誇大広告とかを出すようになりますとお金がかかる。お金がかかれば、当然効率を求めますから、違法広告とかよいことしか言わないという問題が起こります。1店舗の広告費用を少なくするためにはチェーン化する。チェーン化することによって医者の確保が必要になります。そうすると、経験不要で高額募集ということで、当然トラブルが発生します。また、お金がかかることから、1人の患者さんからできるだけ稼ごうとする。しなくてよい手術をさせるということはトラブル発生のもとになります。結局、隠したいとか恥ずかしい、知られたくないということがありますから、トラブルがあっても泣き寝入りするか、お金を返してくれと、そこで済んでしまいます。結局、訴訟に持ち込まれるのは非常にまれである。そうすると、世間には結果的にはよい悪いが知らされません。結果的にまた同じ過ちが繰り返されることになります。
我々が目指したのは、この流れをどこかで断ち切ろうということであります。広告を切ることはできませんので、誇大広告、違法広告をやめさせる。広告にはよいことしか書いていませんので、相談室を設け、正確な情報を流しております。世間にはよい悪いが知られないので、ホームページ上で医療相談のほかに現在起きているトラブルケースを載せております。
例えばトッピングに注意ということで、包茎治療のトラブルの事例だとか、医者でないのに、これは韓国から来ている何だかよくわからないんですけれども、エステを通じて注入剤を注入したという例があります。また、顔などに金の糸を、これもエビデンスがありませんけれども、そういうものを入れる。それを注意しております。結局、同じ過ちを起こさせないためにいろいろなことを協会活動でしてきております。
前置きが長くなりましたけれども、これに基づいて、いただきました美容医療の問題についてお話させていただきます。
違法と考えられる広告の現状ですが、現在は、大手出版社の雑誌広告には違法広告は少なくなってきております。ただ、ミニコミ誌とかフリーペーパーとかというのは相変わらずであります。また、近年はネット広告が非常に多くなって、違法な広告が見られるようになってきております。
協会としての取り組みですけれども、ネット上に正確な情報を流すことで、客観的に広告の内容を判断できるようにしようとしております。または、女性週刊誌に「派手な広告に惑わされないで」「ちょっと待って、派手な広告だけで病院を選んでいませんか」という広告を以前から載せております。また、現在も毎月1回、協会活動とともに広告について女性週刊誌に宣伝を出しております。
違法広告に対してですけれども、最初、自主規制案をつくりました。厚生省から都道府県や関係諸団体に自主規制案を周知していただいたんですが、約半年~1年ぐらいで前より悪くなりました。それはいわゆる名刺広告というものは法律どおりですが、本の広告です。自分で書いた本を広告するんだということで、普通、本ですと題名と著者名と出版社名ぐらいは書いて、目次に少し書く程度ですけれども、「目次より」ということで、本文的な広告の下に内容を全部書いてしまう。そうすると、取り締まりようがなくなってしまったということがあったもので、雑誌広告協会と連絡を取り合いながら、広告の改正に取り組んでまいりました。
平成19年と20年の医療法一部改正でポジティブリストの項目をはっきりさせ、罰則も付けたということで、大手出版社は自粛してきております。ただ、ミニコミ誌とかフリーペーパーは相変わらずでございます。
これに対して今やっていることは、全国に会員がおりますから、おかしいと思う雑誌もしくはミニコミ誌を送っていただいて、要望書、2回目からは警告書を入れますが、いわゆる地区の保健所と広告会社、クリニックへ送って、改善を求めております。それでも改善されない場合には厚労省に連絡して、保健所から行政処分をお願いしようと考えておりますけれども、3月11日の震災でとどまっております。
ネット上の違法広告については、まだ我々は何もしておりません。というのは、ホームページ上のものは医療広告ではない、広告に当たらないということだったものですから、動いておりませんけれども、それでも非常に違法が目立つと思います。
今、雑誌が売れなくなってきておりまして、結果的には、携帯の時代になっていますと、全部ネットに行ってしまいます。ですから、これをかなり取り締まらないとまずいのではないかという危機感は持っております。ネット上にもバナー広告とか、検索サイト、スポンサーサイトと言われるところは広告に当たるということですので、これを厳しく取り締まっていただきたいと思っております。
ただ、ホームページ内でも誇大広告、手術の術前・術後比較、手術の件数が多いとか、元からある技術なのに自分が新しく開発した技術だということを平気で載せております。こういうのはやはり何とかしていかないと問題が起きやすい。そのためには、ウエブ制作会社とか、グーグル、ヤフーに医療広告の規制を周知徹底して、協力を求めるべきであろうと思っております。
一般の医療における広告、いわゆる出版社と同様にウエブ制作会社に対しても取り締まりを徹底し、場合によっては罰則を適用する方がよいのではないかという考え方をしております。ホームページについても、客観性、真実性を欠くと思われる情報が氾濫しております。
これは美容医療だけでなくて、自費診療一般に言えると思いますが、いわゆる一般広告のようなガイドラインをつくって、そのガイドラインに基づいて取り締まるのがよいと思いますが、その場合、いわゆる景品表示法のように、広告者に期日を設けて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を提出させるのがよいのではないか。この情報を流すだけで、多分、ホームページはかなり改善されてくるのではないかと思っております。
次に、インフォームドコンセントについてですが、その基本的な考えは、十分な情報を提供した上で、理解、納得してもらってから承諾するということですけれども、美容外科の特色として、患者は長年悩んで、理想を求め、それが達成できると思って医者のところに来ます。医者の前に来て手術してほしいと自分から手術を希望するのは、美容外科以外の診療科にはありません。それだけに、患者さんはすぐ手術を受けることになります。ただ、思い込んだり悩んだり、理想を求めておりますので、1つずつ思い込みを客観的判断させていかないとまたトラブルが生じます。
患者に伝えるべきことというのは、実際には手術結果にしろ、施術結果にしろ、施術内容と施術後の経過、施術により起こる副作用、また終わりまでにかかる金額とかということでいいのかなと思うのですけれども、いわゆる主観的な悩みを客観的に判断させる。これが医者の方に要求されることではないかなと思っております。それでないといつまでたっても主観的な考え方をするとトラブルが生じてきます。
トラブルケースでよく我々のところにくる人でカウンセラーという人がカウンセリングをして、手術台に上がって医者が手術をするという方式は本来違法ではないかなと思っているのですけれども、これを何とかしないとだめだと。そうすると、1人の医者が最初から最後まで、カウンセリングからアフターケアまで見るという体制をつくらないと違法ですよということを何かの形で知らせていくことが大事なのではないかなと思います。
協会の取り組みとしましては、インフォームドコンセント用紙の作成をしました。その次のページ資料1-3にあると思いますが、これが複写式になっておりまして、いわゆる言った言わないを防げるのではないかと思っております。ネット上に注入物などの認可されていないものがたくさんあります。それを成分と起こり得る副作用、各国の認可状況、例えば日本は認可していないけれども、FDAは認可していますよとか、イギリス、フランスは大丈夫ですよという形で、それを載せております。
インフォームドコンセントを徹底的にするにはどうしたらいいだろうかと、繰り返しになりますけれども、やはりカウンセリングから手術まで一貫した方法をとるべきだということと、原則としては、カウンセリングの当日の施術はインフォームドコンセントにならないのではないか。
ドイツでは、当日のカウンセリングで手術というのはインフォームドコンセントになりませんよということになっているらしいんです。これはたまたま先日、協会の理事会がありまして、その席でそういう話が出ました。ただ、そのときの反論としましては、遠方から来る人、患者さん自身がこの日でないとだめなんだという人が多分いるんです。それはどうするんだという話になりましたけれども、形をつくってしまうというのが一番ある意味では簡単なのではないか。要するに、当日来たのは、翌日かそれ以降に手術ともっていくという1つの形をつくることが大切かもしれませんということは話し合いの中で出ました。
あと、違法なことをする病院の多くというのは出資者がおりまして、医者個人がやっているというよりも、むしろ出資者で、医者は雇われ者というのが多いと思います。その辺を法的に対策があるのかどうかということをむしろこういうところでお決めいただいたらありがたいと思います。
あと、罰則がないということが結局うやむやになっております。今までの例を、もう20年間やっておりますけれども、罰則が出ることによってある程度、自粛してくるということがあると思いますので、それをただ任せますよという話ではないのだろうと思っております。
以上、協会の考え方を一部私見を交えてお話しました。
御清聴ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 どうもお忙しいところありがとうございました。
消費者委員会でも9月からいろいろな調査をしてまいっておりまして、私も先生と同僚である原口和久さんからもいろいろお話も聞いたりしたのですが、4点御意見を伺いたいんです。
1番は、先ほどのお話にもございましたが、ネット広告が医療法上、広告の規制対象になっておりません。私ども委員会としても厚労省に考え方を聞いたりしているうちに、厚労省の方も少し方針を変えようかなということもニュースに流れたりしておりまして、大変いい傾向だと思っておりますが、ネット広告につきまして、どのような形で医療法上の広告の規制の在り方、ガイドラインでもいいのかもしれませんが、その辺をどうしたらいいのか御意見を伺えればと思います。広告規制対象にするのは当然だと思うのですが。それが1つです。
2つ目が、エステティックサロンでやる、いわゆる美容エステと、美容医療としてドクターの方々が医師法に基づいてやる行為と、これは境目がなかなか難しいですね。技術も日進月歩なものですから、脱毛とかといっても、ライト脱毛とかといって、皮膚に本当は傷が付くのではないかと思うのですが、傷がつかないからあれは医療行為ではないんだとか、あるいは美白といいますか、その辺についてもいろいろ議論があるようですが、厚労省と経産省の考え方は必ずしもぴったりしていない感じもするのですが、その辺についてどうしたらよいか。これは行政の方もなかなか混乱しているんです。あれは医療行為ではないかなと思うけれども、県の担当課が厚労省に聞いてもはっきりしないというところで、ずるずるとエステのやる範囲が広がって、結局、思わぬ健康被害がもたらされたりしているところがあるようなので、その辺をどうしたらいいのか。なかなか難しい部分だと思うのですが、お考えがあればお聞かせいただければと思います。
3番目は説明義務の問題です。判例もたくさんございまして、美容医療というのは命にかかわらないので、急がないんですね。先生もお話になりましたが、保険診療ではなくて自由診療が多いですね。ベッドの上でいろいろ話しているうちにもっとこれをやった方がいい、あれをやった方がいいということで、思わぬ料金になってしまうという実情もあるので、先生が先ほどおっしゃったように、インフォームドコンセントといいますか、私は書面による確認が必要ではないかと思うんです。美容医療協会では金額を必ずしも書かれておりませんので、金額も書いた方がいいのかなと思うのですが、書面化を義務づけるのはなかなか難しいかもしれませんが、書面化を何らかの形で推奨するか、何らかの形で義務づけるか、あるいは同意を得るべき内容を盛り込んだ指針などを厚労省などできちっと示していただくとか、その辺は何か行政的に措置を講じないとこのままでは、美容医療協会の努力だけではなかなか広がらないような感じもしますので、その辺は具体的にどうしたら各美容医療の現場に浸透できるようになるのかお考えがあれば。これは私どもが考えなければいけないことかもしれませんが。
最後が保健所との関係ですが、先ほど保健所の行政処分のお話もちょっと出ましたけれども、なかなか保健所の方も美容医療のお医者さんの現場に入り込みにくくて、行政処分などを余りやっていないのではないかという感じもあるのです。その辺の実情を、これは私どもはわかりませんので、教えていただければと思います。
以上、4点です。

○河上委員長 よろしくお願いします。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 1番簡単なのというと変ですけれども、最後の保健所の問題ですが、これは多分、行政処分はまだ行われていないと思います。
我々が行政処分を求めようとしたのは、厚労省の方と折衝していまして、最初に何回か要望書と警告書を出しますと。それでも聞かなかった場合、厚労省の方に行って、何とかしてほしいということで、厚労省は権限がありませんけれども、少なくとも保健所に対しては言えるということですので、そちらから回してもらおうと思ったのですが、ただ、これはあくまでもそのときの厚労省の人との関係なんです。ほとんど2年ごとに交代してしまうものですから、全部これは一貫性がないというか、その人によって温度差が全然違いますので、こうなりますよとなかなか言えませんけれども、一応そういう努力をしていこうかなとは思っております。
ネットのガイドラインですが、先ほど申しましたように、ネットの中の広告のページがあります。それは医療広告として認められると思うんです。ですから、それに対してはきちっとやってもらうというのが本筋で、広告ではないですよと言ったのは、ホームページに関してだと思います。要するに、クリックしたら自然に目に入ってくるのではなくて、そこまでたどり着かないと目に入ってこないから広告ではないという言い方をしますが、その中で何を書いてもいいのかというと、結構うそが多いんです。
例えば何千例の手術を今までしていますと言ったとしますと、開業してから、もしくは大学なり何なりで医者になってから何年たっているんだという話です。それはもし直すとすると、1日に何十例やらないとできないじゃないかというような、実質的に不可能な数字を結構載せているところがありますから、要するにそういううそというのははっきりするものが全部チェックできると思うんです。
それを先ほど言いましたように、こちらの担当みたいな、要するに医療施術者がデータを出せと、それをこちらで審査して、改善を命令するかしないかという話になると思うのですけれども、そういう形をとるしかないのではないかなとは思っております。
医療とエステとの堺が非常にあいまいとしているところは確かにあります。これはずっとやってきたことで、厚労省の方からこちらに、実は文章を書いたんです。脱毛の場合には、毛の発生部位と言われるバルジとか、乳頭とかというところを破壊しないと永久脱毛にならないから、これは違法ですよという言い方をしたら逆をとられまして、それを破壊しないんだからいいんだという考え方をされたわけです。逆に言うと、エステでは永久脱毛ということを使いませんけれども、ある意味では、詐欺ではないかという話になるわけです。脱毛ができないものを施術して、脱毛ができますよ、それは一時的脱毛ですよと断る場合は別でしょうけれども、非常にあいまいもことしたところが当然あるんですが、我々としては、光を当てるにしても何にしても、やけどをつくる危険性というのが常にありますから、それはやはり医療として考えるべきであろうという立場に立っております。
説明義務も確かに美容外科というのは急がない、急がないですから、きちっと説明しないといけませんということにはなっているんです。説明するんですけれども、医者の裁量権とよく言われますけれども、これは急がない医療に裁量権はないのではないかと私自身は思っています。
というのは、交通事故だとか、やけどだとかと、その場ですぐ何かをしなければいけないというのは、だれにも相談しないで、免許なり何なりを持って、一番できる人がやればいいということが裁量権になってくると思うんですけれども、急がないのに勝手なことをやっていいのかという話になりますから、そうすると、それはゆっくりと説明しなければいけない。
ところが、今の美容医療の中でよく注射の問題が出ますが、日本の厚生省ではコラーゲンだけ認めております。ただ、ほかのものは一切認めておりません。ただ、ヒアルロン酸とか、そういうのは別の方向で認めておりますから、いわゆるオフラベル的な使い方というのはありますけれども、その材質そのものは何かわからないじゃないかというのがあります。要するに各国どこかで使われているから、それを使っていいですよという話にはならないと思うのです。
この話を昔、国民生活センターのところでちょっとお話したときに、弁護士さんの方がいっぱいおられまして、それはインフォームドコンセントになっていないよ言われたことがあったんです。それに対して我々は、入ってきたものを成分をどういうものがあるのか。これは日本医大の生化学の方でちょっと調べてくれということで、その成分がおかしなものがあれば、それは公表していこうということもやっておりますが、実際調べていると、それほどおかしな成分は入っていないんです。それでもトラブルは結構ありますから、その辺のことを逆に言えば、行政から指摘していただける方がいいのかなという気がします。
回答になりましたでしょうか。
あと、金額の書面化ですね。これはできると思います。ただ、我々の方のホームページ上にできるだけ金額をきちっと最終の金額まで聞きなさいとか何だとかというような何かを出していくということもできますし、そろそろインフォームドコンセント用紙も書き換えないといけないものですから、この中に入れるということもできると思います。

○河上委員長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 お話を聞かせていただきましてありがとうございました。
貴法人がとても前向きなお取り組みをしていらっしゃることはホームページ等で承知しております。
お伺いしたい点は、ネット上で美容医療相談をされているということでございますが、貴法人でもってこの相談で一番多い項目といいますか、事例といいますか、そういうものについて例えば解約についてのお話とか、実際の施術についてのトラブルとか、そういった点についてどのような傾向がおありになるのか、もしお話できるようでしたら聞かせていただきたいというのが1点でございます。
もう一つ、先ほどの御説明の中で外国からのものというお話が出てまいりましたが、例えば医療相談の方にも日本ではない国での施術または治療についてのトラブル、または相談等がおありになるかどうかお聞かせいただきたいと思います。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 ネット上で相談の多いのは目に関して、二重に関してというところが多いんですが、すみません、もう一回、最初だけ何でしたか。

○夏目委員 そういった傾向ですね。医療相談から見られる例えば施術内容についてのトラブルが多いのか、それとも最初の契約のところのトラブルが多いのか。そういう傾向についてお話いただければと思います。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 我々のところでは契約についてはほとんどありません。もし契約についてどうのこうのと言ってくる場合は夜間電話相談室の方が多いかもしれません。ネット上ではほとんどが手術のトラブル、もしくは自分で気に食わないからどうだとかという話はしますが、あとは夜間電話相談室で先ほどの包茎の問題だとか、値段がだんだんつり上がっていったという話の問題はそういうところから入ってきます。
あともう一つは。

○夏目委員 そうしますと、手術についての相談が多いということでしたので、それはやはり先ほどお話がございましたように、インフォームドコンセントにかかわると理解してよろしいのでしょうか。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 インフォームドコンセントに確かにかかわるものもありますし、施術そのもののうまい下手と言ったら変ですけれども、そういうこともあります。美容外科そのものというので、先ほど申しましたように、悩みなものですから、その悩みをどうやってとっておくかというのを施術する前に考えないとだめなんですね。
よく私がやるのは鏡というものの欠点ですね。鏡というのは自分の気にしているところしか見えないよという話になりますから、それを言いながら、ビデオなり写真なりにとって、客観的に目の前でパソコンの上に載せて見せるわけです。あなたが言っているのはこういうことですかという言い方をして、そこで客観的に見ると自分でふだん見ているのと違うんです。だから、その違いをはっきりさせてやると意外と悩みが解消してしまう場合がありますので、そういうやり方をしております。
外国の何でしたか。

○夏目委員 外国で行われている施術、または外国で使われている注入物質のようなものについて例えば具体的に相談された事例とか、あとは協会が把握している事例がございましたらお教えいただきたいと思います。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 外国で使われているのがどうだこうだというのではなくて、業者が外国で使って、安全ですからとって医者の方に持ってくるのが多いんです。だから、消費者の方からああだこうだということは余りありません。業者が持ってくるものを医者がうのみにして使うということに危険性があるのではないかなと思っているわけです。

○河上委員長 ほかにはよろしいですか。
私から1点だけお願いしたいと思います。
美容医療という話は基本的には医療行為だとお考えになっているということでよろしいのですか。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 医療行為と思っております。

○河上委員長 例えばそれに近いところの準医療行為のような、例えば、あかすりとか、そういうようなものについて境界が非常にあいまいな部分が出てくる可能性があるかと思いますが、その辺についてはむしろ意思確認とは別の形で考えるということになりますから、貴協会の言わば管轄外だという御理解ですか。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 いわゆる医者がやるものは何かをやればトラブルが起きますよということに関しては医療行為という考え方をしているんですけれども、あかすりとかそういうものということは一切医療行為などとは思っておりません。ただ、それで例えば皮膚の表皮がむけてどうのこうのとかということになると、それを治療するのは医療行為になってくると思うんですが。

○河上委員長 そうすると、例えばケミカルピーリングのようなことがあるとすると、それ自体は、それはもう医療行為になりますか。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常務理事 ケミカルピーリングの場合は、パーセントを決めていると思います。何%以上だと皮膚に障害を起こすから、それは医療行為ですよという感じで、多分、厚労省もそういう見解を出していると思います。

○河上委員長 恐らくそれは具体的な問題になってくると境界線が見えにくくなってきて、問題が多いということでしょうか。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常任理事 ただ、何にでもそうだと思うんですけれども、トラブルが起こった場合は、全部医療行為に結果的にはならざるを得ないんですよね。だけど、行為そのものが全部トラブルを起こしていないと医療行為とは言えませんよという話があるもので、脱毛にしてもいろいろな問題で境界が非常にグレーゾーンになってしまっているということがあるのだろうと思います。
本当はその行為をやる、要するにトラブルが起きなくても、脱毛で光を当てる、その行為そのものが医療行為なんですよとはっきりしてしまうと、これは話としては非常に楽なのでしょうけれども、内部のいわゆるバルジと言われているものとか、乳頭を破壊するということを言ってしまいますと、これは今度、組織を取ってやらなければいけないじゃないかという話になってきてしまいますので、この辺である意味では失敗したなというところがある。

○河上委員長 はり・きゅう・あんま・マッサージとか、いわゆる「はあま法」と言われているような資格との連携のある法律が幾つかありますけれども、例えばそういう美容医療に関して、医行為とは言えないようなものを含めて何か資格ということについて考えるというのはどうでしょうか。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常任理事 資格というと、我々はそこまで考えたことはないんですけれども、昔、厚労省の課長が、エステ業界が一生懸命資格を取りたいということでやっていましたけれども、カイロの方もあるそうですね。エステを取らせるとカイロも取らせなければいけないということで、それはもう絶対あり得ませんということを言われたことがあったんですね。

○河上委員長 あり得ないと。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常任理事 あり得ないという言い方をそのときはしました。もう20年近く前だったと思います。柔道整復師とかはやはり歴史があるものですから、あれはしようがなかったのだという言い方をしましたね。

○河上委員長 よろしいでしょうか。お忙しいところ、本日は貴重なお話しをどうもありがとうございました。医療との限界や説明義務、広告規制のあり方など、なかなか難しいところがあって、しかもこの患者さんの満足度というのは主観的なものに非常にかかっている部分があって、先ほど主観的な悩みを客観的に判断させるのが大事だとおっしゃったのは、なるほどそうだなと思いました。今日は本当にお忙しいところ、ありがとうございました。

○公益社団法人日本美容医療協会西山常任理事 つたない説明で申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

○河上委員長 本件の問題につきましては、引き続き、消費者委員会としても課題として取り上げていきたいと考えているところでございます。

≪3.公共料金について≫

○河上委員長 続きまして、公共料金についてです。公共料金につきましては、第73回消費者委員会において、消費者基本計画の検証、評価、監視の各省ヒアリングの中で、関連する施策について消費者庁からヒアリングを行ったところでございます。
本日は、公共料金に関する有識者として、惣宇利紀男財団法人関西消費者協会理事長、大阪市立大学名誉教授、並びに古城誠上智大学法学部長のお二人においでいただいております。本日はお2方より、公共料金に関する問題についてそれぞれ説明をいただき、議論を行いたいと思います。
進め方といたしまして、初めにお二方に順に説明をいただきまして、その後、質疑を行いたいと思います。
それでは、最初に惣宇利理事長の方から説明をお願いいたします。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事長 わかりました。私に与えられたタイトルは「公共料金について」、公共経済学の立場から考えてみてくださいということですので、資料を用意いたしました。資料3に従いまして説明させていただきます。
経済学の方では、政府規制としての公共料金というものをどう考えるかというときに、いわゆる市場の失敗、マーケット・フェイリャーという言葉をよく使うんですが、その視点で物事を考えます。
市場の失敗とはどんなものがあるのかということですけれども、少し煩雑なことになりますけれども、4ページ目から説明しようと思います。マーケットが失敗するケースというのは、大きく分けまして、「」が1番、2番と続いているんですけれども、全部で6種類のマーケット・フェイリャーというのがあります。今回議論いたします公共料金の世界というのは、その中でまず4ページの「2」のハのところで、価格支配力と存在に対する管理ということで、真ん中にありますが、公共料金ということですね。これが出てきます。
これが出てくる最大の理由というのは、その事業の性格上どうしても独占的になるということですね。自然独占になりますと価格が独占価格になりまして、独占価格というのは消費者の利益に反する形になりますので、価格を公共的に管理する、そういう分野を公共料金というふうに呼んでいます。
それから、次の5ページの「4」がありますけれども、これがメインの市場が失敗をする公共料金の理由でございまして、規模に関して収穫が逓増するということです。規模に関して収穫が逓減するのが民間の普通の企業ですけれども、公共料金の場合は規模に関して収穫は逓増していきまして、大きくなればなるほど力が強くなるということで、小さい方が参入しても負けるということになりまして、電気、ガス、水道、交通なんかはその典型になります。
それから、次の6ページに「5」と「6」とあるんですけれども、「5」は外部不経済で一応関係ないんですけれども、「6」のところで、料金を公共的に決めるときにどうしても出てくるのは、この料金は公正なのかどうか、公平なのかどうかという形で、料金の公正さが問題になりまして、市場の不備、公平性の確保とありますが、ここの部分も問題になります。だから、「4」が中心で、そして「2」のハと「6」がそれに付随した問題として出てくる。これが通常の公共経済学が考える公共料金の問題ということになります。
それで、世間一般といいますか、一般の感覚に準じた形で視覚に訴えて説明しますと、7ページから9ページにかけてあるんですけれども、普通、我々の日常生活で問題になる経済問題の集合を例えば7ページの長方形の四角のようなものでイメージしますと、この中には衣食住の問題とか、教育の問題とか、病院の問題とか、いろいろな問題があるんですけれども、それを民間がうまく処理できる場合を民間の成功と呼んで、そして民間が必ずしもうまく処理できない場合は民間の失敗と呼びますと、ここに斜線がありますけれども、その左側は便宜的に民間で何とかうまくいくだろうということですね。右側は民間がうまくいかないだろうということです。例えば、具体的には各種の法制度とか、治安だとか、公共施設、道路等は公共部門がやるだろうと。そして、公共部門がその期待に応えてうまくやるのであれば、この斜線の右側は公共部門の成功と呼び、左側は公共部門はうまくいかないから失敗ということになります。
そうすると、我々の日常生活というのは、民間の成功する部分と公共部分の成功する分、この2つでもって成り立っているといいますか、そうなれば非常に都合がいいんですけれども、現実はこういうきれいな形にはなっておりません。
現実は、途中を省略して説明させて頂きますが、9ページ目のような形になっていると考えた方が現実的だと思っております。すなわち、細い斜線は民間が成功する分野としない分野を分断しております。それから、太い方の実線は公共部門の成功する部分と失敗する分を分断している形になっています。そうしますと、どちらがやってもうまくいかないような、両方が失敗するような、逆三角形の部分だとか、あるいは真ん中にある両方がうまくいくような三角形の部分、こういうケースが出てきます。公共料金の世界というのは、歴史的に見まして、この上の失敗の部分に往々にして入ってきたということではないかと思います。
例えば、鉄道を例にとりますと、いわゆる旧国鉄時代ですと、安全で安定しているかもしれないけれども、極めて非効率だということになりますと、効率をよくするためには官から民に移すということで、官の失敗を民の成功で補うという形をやります。しかし、民間に移しますと、効率性を追求する余り、安全性がときとしておろそかになる。そうすると、例えば尼崎の脱線事故のような形の非常な大惨事が起こったりする。そうすると、多少の効率性は犠牲にしても、安全性、安定性を優先すべきではないかという反省がまた起こりまして、民の失敗を逆にまた官の成功でカバーするというような形のキャッチボールが結構行われてきたという歴史があります。
そういう中で、これからどうすればいいかということになってくるわけですけれども、費用低減型という、自然独占の企業の場合にこれからどういうことを考えるべきかということで、今回の私への質問があったんですけれども、1つの問題は、このページ以降、赤で書いている部分は新しく注意して考えるべきところではないかということで書いているところです。
いわゆる効率化の問題は勿論大切です。これはやはりメインです。感覚で言えば、8割5分方はこの効率化の問題だと思うんですけれども、1割5分ぐらい、省エネの問題とか、節電の問題とか、次のページ以降に出てくるんですけれども、危機管理の問題とか、そういうものが出てきております。
それで、政府の取組みの現状はどういうことかということがその次の13ページです。政府は、そこの赤で書いております、その当時の物価安定政策会議ですけれども、そこの特別部会で、「公共料金の構造改革:現状と課題」(平成14年6月)というのと、物価安定政策会議で、やはり赤い文字のものですけれども、時間の関係で読むのは省略しますが、平成15年2月24日付、それから内閣府の方としてはホームページ等で、赤で示されているようなものが平成14年前後から出ております。
ということは、この平成14年とか15年というのは、歴史的には日本の小泉構造改革内閣といいますか、構造改革が非常に大きく叫ばれたときなんですね。このころに結構構造改革という視点で公共料金も議論されまして、私の知っている限りではこの平成15年ぐらいのところで一定の公共料金に対する取組みが一つのピークを迎えていたのではないかと思います。
そして、平成15年以降はどうなったかというと、御承知のとおり、我々が今持っている携帯電話一つにしましても非常に進歩したと思うんですね。私自身はついていけないところまできているので、困っている状態でもあるんですが、非常に技術が進歩しました。そして、今までは電電公社だとか、国際電電というような1社が独占していたような電気通信にかかわるようなものが、技術進歩の中で複数の企業が参入できるようになって、一般の民間企業の競争のような形にシステムが変わってきたということですね。平成15年以降は技術進歩、とりわけ通信技術の変化というものを公共料金の規制でどういうふうに利用していくか、これは今後ある意味最大の問題ではないかと思います。
もう一つは、ごく最近の問題としては、東日本大震災で経験したように危機管理をどう考えるかという問題も出てきております。その例を次の14ページで少し申し上げます。
私自身は大阪で、大阪府と大阪市の水道事業、どちらの方がベターかという審議会を1年半ぐらいそれに関与した経験があります。当初は議論に出ていなかったんですけれども、現時点で出てきている問題というのは、水をきれいにする浄水場が、大阪市の場合は、大阪湾から海抜で言うと約7メートルから8メートルぐらいの高さのところにあるんですね。そうすると、津波が来ると、一発で冠水するかもしれない。一方、大阪府の場合は、村野というところで、海抜が48メートルから50メートル近くありまして大丈夫なんですね。
しかし、効率性だけでいきますと、大阪市の海抜7メートルから8メートルの方がはるかにいいということで結論を出したんですけれども、東日本大震災を踏まえて、安定性とか、危機管理ということになると、確かに効率は悪いんだけれども、海抜49メートル前後というのは非常に捨てがたい魅力があるといいますか、そういう問題が出てきまして、恐らく水道料金なんかは典型的なんですけれども、公共料金を考える場合に、浄水場が危機管理上大丈夫かというような、そういう視点も新しく付け加わってきたのではないかと思っております。
それから、市場化テストも、そこで赤文字で書いておりますけれども、これは時間の関係上、今日は省略させていただきます。
それから、料金設定の中で問題になるのは、ずっとそうなんですけれども、特に公共経済学の視点から見て問題だと思っているのは、電気、ガス、水道などの料金体系です。電気とか水道というのはたくさん使えば使うほど料金が高くなっていきますね。逓増料金体系になっています。しかし、東京ガスとか大阪ガスという都市ガスの方は、たくさん使えば使うほど料金が安くなっております。普通限られた資源を使うんだから節約しないといけないですよ、たくさん使う場合はペナルティーがかかりますよということで、逓増料金というのはごく自然な感じがするんですけれども、現実は皮肉なことがありまして、逓増料金体系をとっているがために、大阪市とか大阪府、それから東京もそうですけれども、ほとんどの水道事業の場合、設備の稼働率が非常に低くなっています。大阪の場合ですと、大阪府と市ともにそれぞれ設備の稼働率は60%を切っております。ということは、どちらか一つがなくなっても、片方がフル稼働すれば大丈夫ではないかということで、ちょっと言葉としては問題があるんですけれども、二重行政ではないかというような形で、一重にすべきだということを議論されたりしております。
その逓増料金体系がどれほど厳しいものかというのを示したのが16ページのところにあります。大阪市の逓増料金体系というのはこういう形で、7段階1m3ごとの単価が上がっていっております。これが逓増料金体系です。
それから、次の17ページの方は、都市ガスですけれども、右端のところにありますように、1m3当たりの単価が153円23銭から110円18銭というような形で、利用促進型になっております。エネルギーに対する利用を促進する政策体系と、エネルギーに対して利用を制限する政策体系、この2つの一種の跛行現象といいますか、これは私は政策的にはこれから再考するべき問題ではないかと思っております。
それから、19ページは、これから規制をやった場合に規制がどれだけ効果があるかというような形のRIAと言われている影響分析の話ですけれども、これも今日は時間の都合上、割愛させていただきます。
それから、料金設定の在り方をどう考えているかという御質問がありまして、それに関しまして民意が十分に反映されているかどうかというのが非常に疑問だということが上がりましたので、これは水道料金を例にとって若干説明しようと思います。
説明する前に、ちょっと飛びますが、23ページを見ていただきますと、大阪府下は大阪市とか堺市という政令指定都市を含めると43の市町村があります。大阪市の20m3を使った場合の平均的な家庭の1か月の料金は約2,000円です。正確には消費税を入れますと2,016円になっているんですけれども、それに対しまして、能勢町とか豊能町とか、その隣にあるようなところは4,500円近いとか、あるいは3,000円以上とか、1か月で1,000円以上違っております。ユニバーサルサービスであるべきような水道料金について、こんなに差があるのはどうかという問題がありまして、大阪府と大阪市とどちらか効率のいい方に絞って、それで安い料金にしようというのが本来の議論だったんですけれども、民意の反映という点で以下の問題が出てきました。
これは、裏表で恐縮ですけれども、21ページの民意の反映という言葉を念頭に置きながら22ページを見ていただきたいんですけれども、大阪府下の42市町村は、ほとんどの場合、水を自己水、自分でつくっている水と、もう一つは大阪府から買っている水と2つで賄っております。
そうした場合に、例えば1つの例を豊中市という名前を使って言いますと、豊中市という市にとってみれば、自分の自己水だけでは足りないので大阪府の水を買う。そのとき、大阪府の水を買うときに、大阪府は豊中市の将来の水需要計画を出してくださいと言う。そうすると、豊中市は水需要計画を出しますと、それに従って大阪府の水道部は水をつくる。そして、設備投資もするということになりますから、大阪府の水道部は注文生産をするような形になるわけですね。
そうすると、注文生産をするわけですから、嫌でもコストが決まっていますから、それを上回る形で価格を設定して豊中市に請求書を出します。そのときに、豊中市の方が水需要が減ったからということで水を買うのを減らしますと、大阪府の方は、水需要計画が豊中市から提出されたから、それに従って設備投資をしたのであって、そのリスクは豊中市がかぶるべきだとなります。
そうすると、豊中市民の本当の民意はどこに出たのかとなりますと、いないわけですね。民意と言いながらも、豊中市の議会が将来の水需要計画を予測して出したのを大阪府が受け取って、そしてそれで水をつくっただけですので、豊中市民の民意というのはそこには出てこないわけですよね。
つまり、大阪府の方からは豊中市に対し責任水量制ということで豊中市の需要計画に従ってつくったんだから、その料金はちゃんと払ってくださいということになりまして、豊中市は払わざるを得ないということになります。豊中市民は結果として高い水を買わざるを得ないということになる。それが、先ほどの棒グラフでお見せしたような形で、ほとんどが高くなってしまっているわけですね。だから、民意は基本的に反映されないようなシステムになっているというのが非常に大きな問題かと思います。
こういう問題は、水道事業以外でもガスはガス、電気は電気、鉄道は鉄道と、違う形でいろいろ出てくるのではないかと思っております。
それから、次の24ページですが、消費者が公共料金に関与する在り方ということでいろいろなことが言われているんですけれども、私のように関西消費者協会ということで消費者の苦情を聞く最前線におりますと、消費者がとにかくどこに相談に行ったらいいかわからないということが結構あります。その例を1つ申し上げます。
これも飛んで恐縮ですけれども、26ページを見てください。26ページでこの例をお示しして理解していただこうと思いますけれども、例えば、少し古い話ですけれども、事件の例として左下に船場吉兆というのがありまして、大阪では有名な料理店なんですけれども、そこでいろいろな法律違反がありました。JAS法違反、食品衛生法違反とか、不正競争防止法違反とか、いろいろな省庁にかかわる違反をしていたわけです。
その場合、消費者はどこに苦情を言っていいのか。恐らくこの霞が関に来ても困るのではないかと思います。ましてや地方におりますと、消費者としてどこに行っていいかというのがわからないというのは非常に大きな問題だと思いますね。これは公共料金全般についても同じようなことが言えると思います。
船場吉兆の場合、但馬産の牛ではないのに佐賀産の牛を但馬産の牛と言ったということになると、原産地表示に関してはJAS法違反になる。そして、もしお腹が痛くなったということになると、保健所の関係になりますから食品衛生法になる。それから、佐賀産の安い肉を但馬産のより高価な肉に見せかけて競争したということになりますと、不正競争防止法が絡んで経産省の問題になるとか、それから一番右側の方は景表法で現在は消費者庁の問題になりますから、牛肉のトラブル一つをとっても消費者が窓口としてどこに行くかというのは非常に混乱しております。
消費者が消費生活センターなどの窓口に公共料金で訪ねてくる件数というのは、非常に少ないですね。圧倒的多数は、電気は関西なら関西電力で、ガスは大阪ガスとか、当該の事業者のところに行っていると思います。
その場合、消費者のクレームをどういう形で水道事業者や電気事業者が経営に反映させていっているかというところは、PDCAのサイクルが実はよく見えてこないというところですね。これを一番はっきりさせないと、公共料金の世界で消費者主権という形にはなかなかなっていかないのではないかと思います。ここが制度上の問題だと思います。
次は27ページ以降、公共料金に関する情報公開の在り方に関する認識のところです。ここに関して一番感じておりますのは、時間もほぼ来たようですので一部だけ紹介しますけれども、やはりインターネットといいますか、そういう特別な媒体を使った形での情報交換が非常に流布しているわけですけれども、実際に情報をきっちり受け取ってもらいたい人に情報が伝わりにくくなっていると言うことです。
デジタルデバイドという問題をどう解決するかというのが非常に大きな問題として、残っております。一番そのときに嘆かわしい例の一つを挙げます。29ページを見ていただきます。これは大阪ガスのホームページにある図です。普通は一番左側の方で「検針票では当月の料金しかわからない」、わからないこの検針のお知らせのこれを我々は支払う。自動引落としの前の月にこれをもらって、その次に自動引落としを銀行の通帳で行われまして、それ以外は我々は全然何もわからないわけですね。それでずっと生活しているような状態なんですけれども、それを右側のような「マイ大阪ガス」のところへインターネット上で会員になりますと、いろいろな情報を提供しますよとなっている。では、インターネットを使えない人の場合、ここにアクセスできるかというと、必ずしもできないわけですよね。そうすると、明らかにこの左上の「検針票では当月の料金しかわからない」というような表現には一種の違和感を覚えます。同様な例は次の関西電力さんとか、大阪市の水道局も見られ、非常に問題があるのかなと思います。
以上、いろいろなことを申し上げましたけれども、一番の問題は、平成15年段階ぐらいで公共料金の料金を下げるためにどうしたらいいかという工夫をする努力がされましたが、今はちょっと休憩状態に入っているのではないかと思います。平成15年以後の通信を中心とした技術進歩を反映した形で、それから東日本大震災のような危機管理も考慮したような形で、公共料金をいかに下げるか、そういう工夫をこれからやっていくべきではないかと、そういうふうに思います。
以上です。ご清聴どうもありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続いて、古城教授の方から説明をお願いいたします。

○上智大学古城法学部長資料2の方が私の資料です。
私は大学では行政法を教えておりまして、レパートリーの1つが料金規制というのもやっております。もう一つは、今やっておりませんけれども、10年くらい経済産業省のガスと電気の料金規制の審議会の専門委員をやっておりましたので、多少、実際上の経験もあると思います。
まず、料金規制は2ページを見てもらうとわかりますけれども、この算定式は各国どこでも用いられている算定式で、料金は料金収入がちょうど原価と事業のために使っている資産、レートベースと適正の報酬率をかけたものの合計ということになっております。単品生産ですと、この料金収入は供給量で割れば単価が出てくるということですけれども、実際は多種のサービスを提供しておりますから、むしろ料金体系という問題がございまして、全体の料金収入は妥当であっても個別のサービスに対する単価の振り分けが違って、値段が違ってくるということが出てきます。
現在の状況だと、すごく一般的に注意しなければいけないのは、事業者が競争部門と規制部門でやっておりますから、規制部門になるべくコストを付け替えて、規制部門を割高に、競争部門を割安にするということで、コスト転嫁が一般消費者に行われるという問題がございます。
こういう問題を規制するのが、こちらの料金体制の規制というものですね。全体として事業者がもうけ過ぎないように料金を規制するのが、料金水準の規制ということになります。料金規制というのはこうなっておりまして、政府が完全に情報を持っていったらうまくいくのですけれども、いかんせん情報が不十分ですから、十分な理論どおりの規制ができないという問題が出てきます。原価についてもレートベースについても報酬率についても、適正に抑制できないという危惧があります。裏返しとして、では、厳しくすればよいかというと、過剰に厳しくなって事業を傷めてしまうという危険もありますので、大きい問題があるということです。この点はもう少し詳しく述べます。
次は料金規制の制度上の仕組みは大体どうなっているかと言いますと、事業者がコストが従来よりかかるようになりますと、値上げを申請する。それから、コストが少なくなれば、値下げを申請するという形で、コストに見合った料金に修正されていくとなって、規制官庁がそれを査定することになっております。
規制官庁はこの料金の査定のときのいろいろな料金算定の基準をたくさんつくっておりまして、ルールと、ルールを当てはめるという両方の作業をやっておりますが、どういうルールを用いるのかということについては、審議会で議論をしております。料金値上げのときも最終的には審議会に諮問を求めるということになります。
審議会は実際にどういう作業をやっているのかと言いますと、審議会は規制官庁の方から専門家と国民の意見を聞くというのが審議会の役割ですから、審議会には事業者、学識委員、消費者の方も必ず入っています。電気やガスですと2名は消費者枠ではなかったかと思います。ここで一般的な議論をするのですけれども、実際は先ほど申しましたように、料金規制は2ページのところにありました算定式に基づいて、ちゃんとやれているかどうかを検討することになりますから、話が専門的になっていくわけです。料金が高過ぎるときに問題意識として、ここの配賦基準がおかしいというのを直せば、もう少し適正になるのではないかとか、こういうものを原価に当てはめるのはどうなのかとか、そういう議論になってきます。料金が高過ぎるときにどこが問題なのかは大体の関心事でありまして、それを直すという議論になります。
そうしますと、審議会では一般的にそういう議論ができませんので、料金制度部会、更には小委員会ということになります。この小委員会レベルになりますと、学者だけの委員会になっています。そこで大体、課題に基づいて議論して、一応の答えを出すという形を取りますので、普通は小委員会のときには、事業者も消費者も入っていないという格好で行われております。
4ページ、料金規制の欠陥ということです。これは先ほど平成15年辺りでいろいろ改革があって、それ以前の非常に古典的な料金規制の欠陥としては、こういうふうに考えられておりました。
先ほど言いました総括原価という形で料金を算定していく算定式は適切でも、役所の情報は不十分ですから、例えば本当にきちんと事業を能率的にやれば、コストは8で済んだのが、10だったといっても、理屈上はコストとして認めるのは8でなければいけないんですけれども、十分な情報がありませんから、10そのまま認めてしまう。水ぶくれを抑止できないという問題があるわけです。これについては処方箋としては、コスト評価を厳格にすることで対応ということになります。
2番目の問題はもうちょっと根本的な問題でして、効率化インセンティブがないということです。例えば今、言いましたように、本当は努力をすれば8のコストでできたのを十分に努力していないから10でコストがかかってしまったと。しかし、10は実際にかかっているわけですから、それはしようがないということで認められた。民間企業ですと競争相手がいますから、これは事業に打撃が被るわけですから、必死で頑張るわけですけれども、それをやらないということになります。これはムチが足りないという話です。
もう一つは、事業者はすごく頑張りましたと。本来はのんびりやったら10ですけれども、すごく頑張ってコスト8まで削減しましたと。普通の民間企業だとごほうびというので利益として残るのですが、規制産業の場合は理論上は8に減ったんだから、8のコストに減らしてもらいますよというので、努力が全部、料金値下げに回されてしまう。したがって、やる気も出ない。これがアメがないというものです。
アメとムチがないというのがありまして、前者の方は消費者の人が批判する論点です。後者は消費者が批判しますし、事業者ももっとインセンティブを与えてくれないとやる気がしない。こういう議論になってきます。事業者も必要とする問題です。
そこで先ほどの改善策ということで、平成15年辺りにやった議論はこういう議論だったと思います。要するに独占だから、こういう問題が出るので、競争を導入しましょうということで、競争を導入することによって競争の抑止力によって料金を抑えましょうという議論です。
ただ、これは事業によって大分違うと思いますが、運送は本当に競争が広がったのですが、電気やガスは御存知のように、小口のところは自由化しても参入者が期待できないということで、結局値上げ自由というだけになりまして、競争と抑止が不十分で、ここが残っています。ここは規制料金のままで残っているということで、部分自由化ということになります。したがって、規制料金と自由化料金の併存という問題が出てきております。
この競争導入ともう一つは、インセンティブ規制。先ほど言いましたように、アメもムチも足りないというのを直しましょうということです。幾つかありまして、1つはヤードスティック査定。これは当然のことですけれども、コストがかかり過ぎるというのを十分な情報を規制機関は持っていません。そうすると何をやるかというと、要するに同じような横並びのほかの事業者を見まして、あなたのところはほかのところより高過ぎるではないかということで、コストを圧縮することができるわけです。ヤードスティック査定というのは前からやっていたんですが、それをもう少し制度化して、正式に導入しております。ヤードスティック査定というのを料金規制のときに入れております。
次の2つが現在いろいろ問題になっていることですが、もう一つは値下げ料金規制をもともとずっと緩和しているんです。これはどういうことかと言いますと、料金値上げのときはコストが10円余分にかかるようになりましたから上げさせてくださいと言うと、そのコストを精査して本当に値上げの必要があるかどうかを見ているわけです。ところがコストが10円減りましたと。減ったときに必ず10円下げなければいけないかというと、今の規制は下げなくても構いませんよとしています。極端なことを言うと一切下げない。全部飲んでしまうというのも可能になっています。
値上げは認可が必要ですけれども、値下げは届け出しなくてもいい。これはどういう理屈になっているかと言いますと、ちょっとオポチュニスティックなところがあるのですが、10円値下げするというのに10円値下げをしないと消費者は損なんですけれども、事業者に甘くしておくと事業者はともかくコストを下げる努力をするでしょうと。それで社会的にもある程度、5円くらいは返すでしょうと。そうすると10円効率化にとどめて、10円獲得して、それを事業者が5円、利用者が5円で折半できれば、事業者が何も努力しないよりもずっと消費者もプラスになりますよという考え方に基づいているわけです。まずそれが1つです。
私の解釈を次に入れますけれども、このときに自由化をやっていますので、事業者にはつらい思いをさせているわけですから、少しは事業者もおめおめ出さなければいけない気持ちもあったと思います。料金査定は非常に大変なんです。これは行政コストが非常に高いので省く。
もう一つは、このときに強調されたのは、こういうことだったんですね。政府が全部料金を賄うというのではなくて、自由化している。事業者は10円コストが下がったんだけれども、下げないという自由を与えられている。しかし、それで済む話ではありませんよと。社会に向かっては、説明しなければいけませんよというので、規制によって10円下げるというのも、その説明責任を課すことによって事業者が自発的に下げるという仕組みも入れますよということで、このとき同時に料金についての情報公開を入れたのは、それが理由です。緩和したから何をやってもいいというのではなくて、緩和したので事業者は説明責任を負う。説明責任を果たすための十分な情報公開をしなければいけないし、質問に答えなければいけないという仕組みに変えたということです。
もう一つありましたのは、選択料金制の許容というものです。これは割引料金で需要喚起割引というのがあります。例えば全電化というのをやりますと、一般の電気利用者に比べて安い電気料金になるわけです。そうすると、そのお客さんからの収入は減るではないかと。そのコストが一般利用者に転嫁されるのではないかという批判がありますが、この理屈は単価が落ちて需要価格が同じだったら収入が減って、一般利用者の負担が増えるけれども、値段を下げることによって、どんとお客さんが増える。そうすると単価が下がるのを埋め合わせるだけの収入増がある。
結局、事業者はもうかるわけですから、そのもうかったお金で一般料金も下げる、あるいは一般料金を下げるとか、その原資なんだから一般消費者も得だと。選択料金の話はネットレベニューテストと言って、選択料金を導入することによって事業者の利益が増える。こういう場合は認める。利益が減る場合は結局、一般消費者の負担になるんだから認めない。こういう理屈で導入したわけです。この2つが自由化事業を行ったということです。繰り返しになりますけれども、これは自由化してインセンティブ規制というのにしましたから、その規制を減らす代わりに事業者は説明責任を果たしてくださいよ。自発的にきちんとやってくださいよという引き換えです。情報公開とセットだということになります。
ちょっと戻りますけれども、料金規制ですが、これは専門家でもそうですが、料金規制は3ページをごらんになってもらうとわかります。3ページは原価というので、こういうふうに収支が出てきます。実際にこれをサービスに割り付けるときに下の段になりますように、ずっとこういうふうに分かれています。
6ページ、これは例えば一般管理費などは、各物に共通するものは、こうやって配賦するわけです。いろいろなところに割り付けていく。割り付けていくのをまた総合して、いろいろなサービスに分配して値段を決めていくことになります。審議会で行うというのは、こういうときにどういう基準で配賦するかということは十分議論します。例えば自由化になりますと、規制部門で起きたコストが自由化部門に配賦されたらまずいので、そういうことは注意して、その基準の議論はやります。全部ではないですよ。そのときに特にポイントを丸ごと議論して、それをやりますと。
ところが、この基準を当てはめて、実際に料金査定をするときは、基準どおり配賦されているかどうか。このコストの単価が割高になっていないか。本来は10円で済むところを20円になっていたら、10円しか認めてはいけないとか、そういうことは審議会の委員はわかりません。すべて役所がやっていますし、結果についても、これは事業者の秘密というので、詳しくは説明してくれないという仕組みになっておりますので、消費者だけではなくて、公益委員もそういう細かいことはわからないということになっております。現在いろいろ議論になっているのは、こういうことだと思います。
8ページをごらんになってください。電力というのは自由化部門と規制部門と両方で事業をやっているんですけれども、販売電力量を見てもらうとわかりますが、自由化部門はもう6割を占めているんです。ですから、これは売上げです。料金の利益から言いますと6割ですけれども、約10%弱しか稼いでいない。ほとんどの稼ぎは約4割の販売量の規制部門で稼いでいるということになります。
これの評価は非常に難しいところで、注意をしなければ、もっと自由化部門で稼げたんだけれども、稼ぐのをやめて規制化部門から補助した危険が出てくる。これが現在出てくる一番の関心事ではないかと思います。自由化によって競争料金は下がる一方、規制料金は比較的高止まりにとどまっている。これが適正かどうかということですね。
したがって、これの裏返しとして、規制需要家へのコスト転嫁の危険があるのではないかということになります。理論上の問題としては当然のことで、競争料金を下げて、規制部門でなるべくもうけようと事業者はインセンティブを持ちますから、それを抑制できているかどうかが一番の問題点だと思います。
特に規制料金規制は実効性が乏しいということです。この間、値上げの機会だったら、そこのところで十分なコストかどうかを審査できますけれども、この間ずっとデフレですから、値上げの必要はなかったわけです。不十分な値下げなのかどうかということは見ない仕組みになっていますから、もしかしたらコストに比べて割高になっているのではないか。この危険が非常にございます。
割引料金コスト、全電化の料金とかございますが、これはネットレベニュー。結局、値下げによって単価が落ちて収入源になる一方、需要が非常に伸びて収入増になって、差し引きをすると収入が増えて利益が上がるという基準で審査することになりますけれども、私の評価では実際には、それはやっておりません。届け出をそのまま見ておりますから、これも詳しく見ますと、もしかするとネットレベニューがマイナスでやっている基準もあります。そういうことは現実には検査できていないと思います。
最後、結論で9ページです。消費者の関与というのは、現在はちょうど審議会への消費者代表参加というのをもう既に行われております。ただし、先ほどお話をしましたように、親審議会レベルで小委員会レベルではございません。
もう一つは、先ほど言いましたように、審議会に入る場合は議論が非常に専門的に話になっていまして、専門的に絞った議論を展開することは、消費者代表も望ましいと思います。一時、生協連の方が委員だったことがございます。この人は非常に詳しく勉強してこられて、非常に効果的に意見を述べられていたと私は記憶しております。今、申しましたように、審議会というのは料金規制の枠組みのみを検討しております。コスト配賦基準や料金規制の原則について検討しますけれども、基準どおり料金算定がなされているかどうかということについては、検討はしておりません。
情報公開と説明要求は活用の余地は非常に大きいわけで、繰り返しになりますけれども、現在の料金規制の枠組みは事業者に自由度をかなり与えて、インセンティブ規制を入れるということで自由度を与えております。その裏返しは、その代わり自由度の中で社会的に納得が得られるような行動を取っているんでしょうねということです。緩やかな値下げ規制は努力した結果を全部はく奪するわけではないのですけれども、ちゃんと本当のレベルで消費者に還元してくださいよと。これが共通の理解の上で導入されているわけですから、本当にそうなっているかどうかは説明義務があると思います。
ここは結局、料金規制といって非常に細かい話になるのですけれども、厳しくしたときは、2000年前後のときも料金規制についていろいろな意見を言って、効果的だったというのは内外価格差とか、内々価格差とかいう、標準的な仕様を見まして、どうしてこうなんですかということで、問題点があるのではないかという浮彫りにしてやっていたわけですから、結局、間接証拠に基づいて問題点を指摘して、それの説明を求めていくという形で関与するのが一番効果的だと私は思います。
以上です。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方、発言をお願いします。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 お二方の話は非常に参考になりまして、どうもありがとうございました。
今まで公共料金政策というと、これは物価政策とイコールだったんですね。経企庁物価局を中心にやっていたわけですけれども、私は今の時代、公共料金政策というのは本当に衣替えをしなければならない時代ではないかと思います。なぜかというと、物価は右肩上がりで上昇する時代ではないので、今までは逆にどんどん右肩上がりということでやってきましたから、いわゆる料金の値上げ申請があったときにチェックして、その値上げを抑制さえすればいいという視点ではなかったかなと思います。
しかし、今はそういう時代ではなくて、年金自体も物価下落とともに値下げをするような時代ですので、本当にその公共料金が消費者にとって適切なのかどうかをチェックして、場合によっては値下げを勧告するとか、そういうシステムもつくらないと、本当に消費者の視点での公共料金政策にはならないと考えるのですが、お二方からその点について、御意見をお聞かせいただければと思います。

○河上委員長 惣宇利先生、お願いします。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事長 今日の話の中では、電気料金や水道料金は逓増型で来たと。そのためにどんどん需要が減少してしまって、現実には稼働率が今50%くらいまで落ちてしまっているんですね。都市ガスだけが例外的に価格は使えば使うほど低くなるという逓減型で、利用促進型だったわけですね。
そして、今、細川委員の言われた通り、どんどんエネルギーを使って、お使いになるとどんどん安くなりますよと。それで国際競争力を付けた形で商品をどんどん販売してもらってやっていくということは、ある意味で今の時代の要請に応えるものになっているかもしれません。いわゆるデフレの局面ではそういうことが言えるかもしれません。
ですから、今、日本政府のエネルギー政策が一種の跛行現象になっているのは問題だというのは、このような意味で言ったんです。

○河上委員長 古城先生、お願いします。

○上智大学古城法学部長 おっしゃるとおりかと思います。今の料金規制の仕組みはコストが落ちても、コストが落ちただけ料金を下げなくてもよいという仕組みですから、効率化のインセンティブを与えるというのが大義名分だったのですが、それもほどほどであるべきですから、欠陥があるのは間違いございません。各事業官庁もこれは検討するのではないでしょうか。時間はもう随分経っておりますからね。この問題は改善の必要があると思います。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今の値下げ勧告について続けて、法律の点から古城先生にお伺いしたいのですけれども、現状の制度というのはせいぜい値下げについては届出で済むようになったということで、自発的にやりなさいということですね。余りいろいろ詳細な審査をしないようにするという、せいぜいその程度の自由化だと思いますが、本来はもっと値下げできるのにしない場合には何の手段もないというのが細川委員からお話のあったことだと思います。そうすると値下げ勧告のようなものが必要になるのですが、その前段階では、おそらく定期的に価格が公正なものかどうかということをチェックするシステムがないと、なかなかすぐに値下げ勧告までいかないのではないかという感じもいたします。
要するに、今は事業者は値上げをしたいときには申請してくるので、そこで公共料金が適正かどうかを見るということですね。ただ、ずっと値上げをしなければ、チェックする機会がないのですけれども、消費者の立場からすると、公共料金は、競争がないところなので規制部門とされているので、今のようなデフレの時代でもっと下げるべきではないかと皆が思ったときに、それをどのように担保していくかということが課題だと思いますが、値下げ勧告などをどこの機関が行うのかという問題もあると思います。そのこともお伺いしたいのですが、併せて、ある程度定期的に料金の公正さを見るときに、事業者の情報公開の在り方なのですが、先ほどの御説明で企業の秘密情報といいますか、ここのところはメスを入れられない、情報公開ができないところがかなりあるというお話だったかと思いますが、競争的な民間企業であれば、企業の競争上の内部機密であるということで情報公開されないのは当然だと思いますが、公共料金の世界では、本当に競争がないところで消費者が選択できないという規制部門においては、どの程度見せられない、情報公開できないという情報を認めるべきかというのがもう一つ議論になるのではないかと思います。その辺りをお伺いできればと思います。

○上智大学古城法学部長 情報公開とか情報収集のあれですね。このコストは本当は幾らなんだ、出せというと、事業者は絶対に出さないし、余り効果がない。自由化して、例えばガスですと産業用は随分下がっているんです。でも、消費者用はほとんど下がっていなくて、当然のことながら、消費者用というか規制分も下げていないのではないかという話が出てきます。間接的には、韓国などはすごく安いんです。規制料金と自由化料金の格差も日本の方が非常に大きいわけですから、非常に疑問があります。そうすると、どうしてこうなるんですかというのを詳しく聞いていくという方法の方が効果的だと思います。内外格差とかそういうので疑わしいものがあったら、それを細かく聞いていく。そうすれば、これは言ってもらわないと国民は納得できませんよ、消費者は納得できませんよという格好で、ピンポイントでいろいろな情報が出てくる。こういう情報公開の方が私は効果的だと考えております。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 民意といいますか、消費者の声を公共料金の決定、値下げあるいは値上げにどう反映させたらいいのかというところが関心事です。消費者も賢くならなければいけませんが、専門性は望むべくもないというところで、公聴会あるいは審議会の中でどう反映させたらいいのかという点については、今もその一端が議論されたかと思いますが、両先生の方から何か現状を踏まえて、こういう点があったらもう少し民意の反映が、あるいは消費者の声が反映されるようになるのではないかというお考えがあったら、お聞かせいただければと思います。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事長 先ほど古城先生も言われたのですが、審議会の委員で出てきておられる場合、正直に言いまして、的確に発言されているケースは、余りお見かけしたことがないのが実情です。
例えば水道などもそうだったのですけれども、水道事業者がどれくらいの設備投資をすべきかということになりますと、40年、50年のスパンで考えますので、40年後にどうなるかということにつきまして、日ごろ、消費者としてはその水を毎日買っておられるかもしれませんけれども、遠い将来の水需要というのはわかるはずもない形なんです。審議会で形式上は消費者代表ということで入っておられますけれども、実際問題としては出てきておられる方も回答するのは大変なのではないかという気がします。
逆に消費者が実際にできるのは、ある意味でどちらが安いかということで選択するしかない。非常に漠とした言い方をしますと、水にしても電気にしてもガスにしても、すべてそうです。1つしか選択できないのではなくて、2つ以上の選択肢がある状態がある意味必須です。それで安い方を取る選択の自由。この選択の自由のようなものを組み入れていくということが一番大きなポイントかと思います。
1社しかなくて、選択の余地がないように見えますが、例えば水あるいは電気などで言うと、深夜の方は安いですよ、昼間は高いですよとなると、時間の選択をするとかですね。いずれにしても、消費者が普通できるのは選択という形で、自分のインセンティブを満足させるといいますか、それが基本になっているのではないか思います。
逆に公共部門の事業体がどうあるべきというロングランな議論については、消費者というのは、いろいろと発言させるのは望ましいことかもしれませんけれども、現実には非常に難しいと思っています。公共料金のあり方には2つの顔ないし側面があるように思っています。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
古城先生、お願いします。

○上智大学古城法学部長 1つは審議会にも大体ポストはありますから、そういうことに関心があって、意欲のある代表の方が消費者団体から入れられるというのが、まず第一には望ましい。
もう一つは、いつも完璧な料金規制などはございませんで、東電の事故があって料金の値上げをしなければいけないので、東電のコスト査定を厳しくやっているわけですが、いつも大体トピックに応じて、その部分を取り上げて厳しくやるということになるのは避けがたいところだと思います。
今、御委員会の権限と今のイシューから言いますと、例えば値下げや届出制でよいということになっているのですけれども、本当に十分な値下げはされているのか、それについて説明が十分にできているのかということについて、これは既にある情報公開の仕組みがあるのですが、今のもので十分かどうかをもう一度再検討されて、改善するところを改善すれば、大分違うのではないでしょうか。

○小幡委員 審議会の委員に実質的には消費者代表が入っているような運用なのかもしれませんが、法律上は余りはっきりとは書いていないようです。ただ、恐らく審議会委員の構成員としては入れた方がよいだろうという運用として、歴史的・慣例的なといいますか、そういう実際的な話でやっているようです。将来的には、公共料金の決め方について、消費者がしっかり関わるというようなことが、法律でもう少し明確になっていると、今後、原告適格などにもかかわると思いますが、そういうことも含めて、取っかかりが強くなるのではないかという感じは受けているのですが、その辺りはどのような感想をお持ちでしょうか。

○上智大学古城法学部長 それは可能であれば、消費者が入っているのは当然だと思いますから、法定できるのでしたら、してもよいかと思います。運用は完全に消費者はどの審議会にも入っているのではないでしょうか。

○河上委員長 初歩的な質問で大変恥ずかしいのですけれども、惣宇利先生に伺いたいのですが、公共料金はどちらかと言うと、制度利用の負担金のような印象があって、その意味では税金に近いような側面を個人的には感じる部分があります。それは通常の商品のようにマーケットメカニズムとかコストパフォーマンスでもって適正料金が決まっていくというタイプのものと考えた方がいいのか。それとも、もっともっと政策的な要素でもって変化するものだと考えた方がいいのか。その辺はいかがなものでしょうか。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事長 通常の公共経済学的に考えているのは、ちょっと技術的で恐縮ですけれども、10ページを開けていただけますでしょうか。
この中で消費者主権という形で、この線は触らないというのは一番上側のP(X)という総需要曲線です。これはお客様は神様ですと。我々が先ほど来、議論をしているのは、その左側の2本下にありますAC曲線という平均費用曲線です。これを何とか下に下がらないかということをやっているわけです。そして、右側の交点で言いますと、M点は高くてけしからぬと。C点に行くのが理想だけれども、C点に行くと、費用逓減型産業の場合にはどうしても赤字になる。したがって、総括原価公式でA点に行くということです。ですから、A点でやっているのですけれども、ここで放っておくとAC曲線が、どんどん上に上がっていくと、AがMの方に近づいていく。ですから、いつも監視しておかないといけない。抑えないといけないという話になるわけです。それを我々は一生懸命議論しているわけですね。
そういう意味では、市場経済のよさを公共料金の世界でも、料金を公共的にコントロールして、この分野でも市場経済と同じようにしようというのがいわゆる効率性の議論で、今までずっとやってきたわけです。
それ以外に委員長のおっしゃったように、税金のように思っているとか、あるいはこれが国が決めているとかいうところになりますと、今度は戦略的なことがあると思います。恐らく今回でも東電の原発絡みで言うと、自然再生エネルギーの方に変えていこうとすると、少しコストはかかるかもしれないけれども、安全ということを考えると大丈夫という形で、政府の政策とか戦略とか、そういう世界の部分は、危機管理を含めまして、非常に出てきているわけです。ここは今、言ったようにCに行くという話ではなくて、Aがもう少し左上に来ても仕方がないよという形の議論になっているわけです。2種類の議論が今、同時並行で走り始めているのかなというのが私の感じ取っているところです。

○河上委員長 それはどちらが上とか下とかではなくて。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事長 はい。特に古城先生が先ほど言われました形でいいますと、韓国などは戦略的にエネルギーコストの操作をしておりますので、エネルギーコストを下げることによって国際競争力を上げようとしているわけです。我々はただ単に普通の競争原理だけで価格を下げなさいという形のインセンティブだけの話でやっていると、どうしても負けてしまうと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 今までのお話を聞くにつけ、やはり情報公開が非常に不足をしていると思います。東電のケ-スも、事件が起こってから総括原価方式みたいな、あんなことがぼろぼろ出てきたんですね。先ほど消費者は選択の自由しかないとおっしゃいましたが、それを考えるためにも情報公開は必要ということで、惣宇利先生に伺いたいのですが、18ページの情報公開の原則のところです。
この説明を多分飛ばされたと思うので、この説明をしていただきたいんです。やはり賢い消費者になるには、情報公開をやっていかなければいけないし、それを受け取って私たちが賢い消費者になって、こういうふうに判断ができるというときに、この公共料金のお知らせと自動振替の怪などと書いてありますが、これはどういうことでしょうか。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事 これは男性は余りわからないかもしれないけれども、女性の方は実感されていると思いますが、大体1か月くらい前に料金のお知らせというのが来ますね。これくらい使われましたので、来月20日にこれだけ銀行預金口座から引き落としますよという小さな紙片の料金のお知らせが来る。それは使った量と予定の金額、いつ引き落とすかという、3つの情報しか基本的には入っていない。そして、引き落とす日は自動的に引き落とされているから、消費者自身も別に感じないわけです。あとで確認をする程度です。
毎日のように電気とかガス、水道を使っているんですけれども、電気、水道、ガスに絡むいろいろなトラブルといいますか、問題点についての情報は何も来ていないわけです。毎日来ていないですね。それを取っている人はインターネットでこまめに電気とガスの事業者のホームページに入ってやっている人くらいにしか、入っていないわけです。いろいろな勘違いがありまして、一事が万事で、時間を取って恐縮ですけれども、電気に関する消費者センターにかかってきた電話の場面はどんなものがあるかと言いますと、こんなことがあるんです。これは消費者問題なのか、センターの話なのかどうか、考えながら聞いていただきたいです。
電力会社の説明の不備で電気契約の変更手続に費用がかかったと。電力会社は謝罪するだけで、手続した電気店にお金を払わねばならないかというのが設問です。その中身はこういうことです。電気の使用量が多いときは、電気契約を従来のA型からB型にすれば安くなると聞き、家族が多かったので電力会社に依頼し、担当者が自宅内の電気容量等を調べて変更手続をした。無料だった。
その後、使用量が減少し、家族も減少したので元のAに戻すために電力会社に連絡すると、コールセンターが手続の日を相談しましょうと言うので、前回と同じ手続と思った。日を決め再度連絡をしたら、電気店を通じて手続をするように言われた。したがって、電気店の指定はなかったのだけれども、知り合いの電気店で手続をしたが、費用が1万5,000円と請求された。無料と思っていたのですが、店に費用を聞かず、店も説明せず、調べたら、手続は原則として電気店がするが、電力会社でも直接無料で手続をする場合があるとわかった。電力会社はコールセンターの説明を謝罪するだけであった。こんな形です。
電気関係でやり取りをするときに、こうすればお金がかかって、こうしたらお金がかからないとか、一事が万事、こんなことがいっぱいあるわけです。そのときの電力会社は誠意がないのではないかとか、こんな形の相談がごまんと来るわけです。こういうときはお金を払った、この場合だったら大丈夫とか、そういう情報はトラブってから気が付くような形のものがほとんどです。今おっしゃっているように、一つでもたくさんの情報を消費者が得れば、言わば賢い消費者になれると思いますが、現実はそうではないということです。

○川戸委員 先ほど細川さんが一番初めにおっしゃったように、公共料金の決めるところを別のところにつくれば、もう少し公共料金全体に目配りできるようなとか、今はそれぞれのところに審議会がぶら下がっているわけですね。そんなところを一つにするとか、そういうようなアイデアは、お二方はありますでしょうか。例えばここへ持っていったら、これがうまく機能するのではないかとか、そういうお考えはおありでしょうか。

○上智大学古城法学部長 私は、それは余り賛成できません。先ほど言いましたように、なぜできないのかというと、やはり情報が不十分なんです。時間も限られて、情報も不十分で、規制官庁もその時々の問題意識で、こちらに光を当てて査定しようということで査定するわけです。
ですから、余り科学的ではなくて、今ですと原発事故があって東電が値上げをすると。しかし、コストがかかり過ぎではないかという世論があって、政治家もそういうつもりですから、規制官庁も非常に厳しい査定をしています。そうではなくて、多分そのときの流れで料金もそこそこに安いし、電気事業者にももう少しインセンティブを与えてやらなければということは緩やかな規制になるということで、世論とかそういうものが大事なわけで、1か所に集めてもその能力が上がるとは、私は思いません。

○河上委員長 惣宇利先生はよろしいですか。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事長 私もその1か所に集めるのは効率性が上がるというより、1か所に集められないというのが私の意見です。鉄道は鉄道の顔をしていますし、電気は電気の顔をしていて、ガスはガスで全然個性が違いますので、私は個別にやらないとうまく対応できないのではないかというのが実感です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
いろいろな意味で公共料金というのは、今、在り方についての議論の必要な時期であろうとは思いますけれども、何が適正な料金か、公正な料金化というのは、非常に判断するのが難しく、一筋縄ではいかないという感じがいたします。

○財団法人関西消費者協会惣宇利理事長 そのことで追加します。誤解を恐れずに言いますと、適正な料金はありません。安い方の料金をもって適正と、あえて言いたいと思います。

○河上委員長 おっしゃる通りかと思います。しかしながら、少なくとも何らかの形で、民意がうまく反映できるような仕組み。特に説明責任といいますか、情報公開の点は大変大事だと私も思いました。消費者の視点で、委員会として何が言えるか、さらに考えさせていただきたいと思います。
本日はお忙しい中、惣宇利理事長、古城教授におかれましては、審議に御協力をいただきまして、大変ありがとうございました。

≪4.集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について≫

○河上委員長 少し時間が押しておりまして申し訳ございませんが、続きまして「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子について」ということでお願いしたいと思います。時間的には15分ほど伸びる可能性がございますが、お許しいただければと思います。
集団的な消費者被害救済制度につきましては、昨年10月から消費者委員会の集団的消費者被害救済制度専門調査会において審議いただき、本年8月に報告書がとりまとめられております。これを受けまして、消費者庁におかれましては、集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の検討を行っており、12月9日に本制度の骨子について意見募集を開始したと聞いております。
本日は消費者庁においでいただいておりますので、本制度の検討状況について御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。

○消費者庁川口審議官 消費者庁審議官の川口でございます。説明の場をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ただいま委員長から、経緯につきましては御紹介をいただきましたとおりでございますが、本年8月の消費者委員会からの御意見でございますが、幅広く関係者から意見を聴取した上で、速やかな立法化を目指して検討作業を進めることという御意見をいただいております。これを踏まえまして、消費者庁におきましては、専門調査会報告書を踏まえた制度の具体的な仕組みづくりを進めてきたところでございますが、この間、事業者系の団体22団体から意見をお聞きしておりますし、消費者団体との意見交換を5回実施しております。この回数に含まれないものでも、いろいろな機会で御説明、御意見の聴取を進めてきたところでございます。
それを踏まえまして、訴訟制度の骨子をつくってきたところでございますが、一方でパブコメを実施してほしいと。意見募集、パブリック・コメントという形で意見募集をしてほしいという御意見が幅広くいろいろな方から寄せられてきたところでございます。ということで、消費者庁の現在までの検討の成果ということで、訴訟制度の骨子というのを世の中に御説明しつつ、意見募集をして、それを踏まえて更に検討しようという段階に来ております。
資料4を配付させていただいておりますが、担当から内容について御説明をいたします。

○消費者庁加納消費者制度課企画官 消費者庁制度課の加納と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元に資料4-1と4-2という形でお付けしております。4-2の方はパブコメにかけた骨子そのものであります。4-1の方がいわゆるポンチ絵でありまして、概要ということで図で示しておりますので、この4-1の方に基づきまして、概要を御説明したいと思います。
資料4-1「制度創設の背景・目的」のところは、既にいろいろと各所で指摘されているところでありまして、簡単に御紹介いたしますと、消費者被害の特性として、同種被害が多発するにもかかわらず、消費者が自ら訴えて被害回復を図ることは困難であると考えられるということで、消費者団体が多数の消費者の権利のために行う新たな訴訟制度を創設し、消費者の請求権の実効性を確保するということを目的としております。
制度の概要につきましては、二段階型訴訟制度と呼んでおりますけれども、手続を二段階に分けまして、一段階目の手続でいわゆる共通争点に関して審理をし、判決を得る。その後に二段階目の手続に移行しまして、そこで個別争点に関して審理をし、最終的には個々の消費者ごとに請求権の内容、主として金額ですけれども、それを確定していく。こういった手続であります。その黄色いところから青いところと流れております。一段階目の手続きは共通争点に関する審理ということで書いてあります。
幾つか論点がございますけれども、訴えの提起については、特定適格消費者団体というふうに今回は呼んでおりますが、そういった適格消費者団体の中から一定の要件を満たすということで認定を受けた適格団体について、追行主体として認めるというような枠組みで考えておりまして、その訴えの提起に基づきまして、共通争点に関する審理を行うというものでございます。共通争点につきましては、消費者問題は事業者の事業活動の反復継続に伴いまして、同種事件が多数の消費者の間で発生するということを踏まえまして、そういった共通争点を審理すれば、消費者の被害の救済に資するとともに、紛争の一回的解決、審理の効率化にも資するであろうということで、こういう枠組みを考えております。
例えば契約条項の場合であれば、ある契約条項が消費者契約法その他の関連法令に照らし、有効か無効かどうかというのが共通争点であり、例えば勧誘行為であれば、一定の勧誘行為が消費者契約法やその他の関連法に照らして不当かどうかといったことを共通争点として争うという枠組みで考えております。
判決につきましては、勝訴の場合は二段階目の手続に進み、敗訴の場合はそこで終わるということで考えておりますが、星印に書いてありますように、一段階目の判決の効力につきましては、原告及び被告に及ぶほか、二段階目手続において請求権を届け出た消費者、加入と俗称しておりますけれども、そういった消費者にも及ぶということで、判決効の拡張を図るというのがこの制度の非常に大きな特徴となっております。
二段階目の手続におきましては、手続に加入するための通知・公告を行うとしております。この通知・公告につきましても、後ほどポイントのところで若干敷衍して申し上げたいと思いますけれども、対象消費者をいかにこの手続に加入させるかというのが制度の実効性を確保する上で非常に重要なポイントでありますので、適格消費者団体が行うというふうにしつつも、事業者が一定の情報の提供などの協力を行うようにするということで実効性を確保することとしてはどうかと考えております。
消費者が加入いたしまして、その加入した消費者ごとに請求権の内容を判断していくということを考えておりますけれども、消費者の負担をできるだけ軽減しつつ、簡易・迅速な手続でその判断することを可能とするということを目的といたしまして、簡易な手続と呼んでおりますけれども、主として書面の審理を中心として、簡易・迅速に当事者間のやり取りに基づきまして、請求権の内容を判断していくというような手続を用意する。
右下のポイントに二段階目の手続の赤枠の中にマル1~マル4と書いておりまして、後ほど御説明したいと思いますけれども、こういったやり取りに基づきまして、簡易迅速に請求権の内容を確定していくという枠組みを想定しております。
大多数はこの簡易な手続において請求権が確定されて、終了していくことを想定しておりますけれども、中には原告・被告双方から異議があるかもしれないということでありまして、そういう場合には上の図の白い矢印の下の「異議がある場合」の点線に移行するところでありますけれども、通常の訴訟手続に移行し、そこで通常の審理を経まして、最終的には判決に至るという枠組みであります。
ポイントとしまして、幾つか主体の問題、一段階目の手続、二段階目の手続、それぞれにつきまして、ポイントとなるところを列挙しておりますので、かいつまんで御説明をしたいと思います。
まず、主体のところであります。特定適格消費者団体というもので、適格消費者団体の中から新たな認定要件を満たす者を申請するという枠組みで考えております。この適格消費者団体につきましては、下の※2に書いておりますが、現行制度上は消費者契約法に基づき認定を受けた消費者団体でありまして、消費者契約法その他の不当な行為に関する差止請求をすることができるという存在であります。これにつきましては、2段階目の手続と訴訟制度で新たに業務が付加されるところがあることにかんがみまして、新たな認定要件を設けまして、その認定要件を満たしているという場合に、特定適格消費者団体としての認定を受けるということで考えております。
その新たな認定要件としまして、幾つか書いておりますけれども、先ほど申し上げました一定の手続を安定的かつ継続的に遂行することができるような体制でありますとか、業務規程、あるいは理事会を置き、その意思決定が適正であるとともに、弁護士の関与を求める。この弁護士の関与につきましては、下の方で報酬費用と書いております。今回の手続で適格消費者団体が報酬を得ることができるようにすると仮定しますと、この手続は弁護士法で言うところの法律事務に該当いたしますので、法律事務を業として行う弁護士でない者が報酬を得るということになりますと、弁護士法72条との関係で抵触問題が生じますので、弁護士法との関係でその弁護士法の潜脱にならないように規制をする必要があるということであります。
この辺につきましては、法制的な検討を進めてまいりましたけれども、現時点の検討におきましては、類例と比較検討いたしまして、弁護士が理事として選任されていることなど、そういった一定の弁護士の関与を強めることを併せて規定するということがよいのではないかと考えております。そういった関与の下で、報酬及び費用については一定の規律の下で受けることができることとするということを考えております。
続きまして、一段階目の手続の方であります。手続の概要は上の図の黄色いところに書いてあるようなイメージであります。対象となる権利というところでありますけれども、この点につきましては、ここに書いてあるとおりですが、消費者契約が存在する場合における一定の金銭マル1~マル4の請求権であり、マル3、マル4の損害賠償請求権につきましては、契約目的に生じた損害に関するもの。これはいわゆる拡大損害を除くということをより直接的に書いたものでありますけれども、それとともに生命身体に生じたものを除くというような記述であります。
この消費者契約が存する場合における請求権としているということにつきましては、先ほど申し上げました判決効の拡張と密接に関係しておりまして、判決効が対象消費者にも及ぶというふうにするというのは、今の民事訴訟の大きな例外と位置づけられますので、これがどうして正当化されるのかというのは、相当慎重に検討をする必要があるところであります。これにつきましては、専門調査会でもいろいろと議論をされたところではありますけれども、一段階目の手続において、被告事業者において、大体どういう消費者が二段階目に加入してくるのかというのがわかる、いわゆる係争利益が把握できる事案であることが必要であると。そういった場合に十分な攻撃防御を尽くすことができるというふうに見ることができるのであれば、そういった判決効の拡張を正当化することができるのではないかということでありまして、こういった消費者契約が存在する場合に対象事案をするというふうにしております。
更にマル1、マル2、マル3、マル4の請求権につきましては、具体的な請求権ということで、例えば契約が無効等の場合の不当利得返還請求権であるとか、消費者契約に基づく履行請求権であるとか、あるいはマル3の不法行為に基づく損害賠償請求権、マル4の債務不履行等の場合の損害賠償請求権などの一定の請求権を列挙しておりまして、こういった請求権に関しまして、いわゆる責任原因を共通争点として確認していくというような枠組みで考えております。
その具体的な例につきまして、それぞれマル1、マル2、マル3、マル4の中に括弧として、例えばマル1でありますと、いわゆる詐欺的商法における契約そのものが公序良俗違反により無効である場合の請求権という形で書いております。これに関しまして、若干補足いたしますと、まず消費者契約が存する場合としておりまして、その関係でいわゆる有価証券報告書の虚偽記載事案につきましては、契約が存在しない。発行者と消費者である当事者との間では、契約関係が存在しないと思われますので、この対象からは外れてくるという整理をしております。
また、マル3のところで民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権と書いております。これはマル1、マル2及びマル4は、いずれも契約責任を追及するというような枠組みであるのに対しまして、マル3は不法行為責任という形で毛色は多少違ってくるというのがあります。契約責任につきましては、先ほど契約責任、消費者契約事案においては係争利益の把握等ができるということを踏まえまして、対象とすることができるということがありましたけれども、不法行為責任につきましては、別途の考慮が必要であるということでありまして、特別法におきましては、事業者と消費者との利益バランスを考慮して、それなりに特別規定が設けられているところであり、そういった点に考慮いたしまして、今回の現時点の骨子におきましては、民法上の損害賠償請求権とするというのが適当ではないかと考えられるということで、そのように書いているところであります。
個人情報流出事案につきましては、消費者契約が存する場合にしております関係上、それがない場合には対象にはならないとい整理であります。ただ、消費者契約がそうする場合において、例えば、当該情報の管理、保管等が契約の内容として含まれる場合にマル4の債務不履行という形での対象にするということはあり得るのではないかと考えております。
二段階目の手続でありますけれども、消費者への通知・公告でありまして、先ほど申し上げましたように、この通知・公告を実効的に行うことによって、対象消費者をできるだけ、この手続に加入させるというのが制度の実効性という観点から、非常に重要であります。そこで特定適格消費者団体がその通知・公告の主体となるとしつつ、事業者も共通争点に関して事業者敗訴の判決が出た段階であるということを踏まえまして、一定の範囲内で協力をするようにするという枠組みを考えております。
海外の手続につきましては、先ほども簡単に触れさせていただいたところでありますけれども、マル1~マル4と書いておりまして、基本的には書面のやり取りによって簡易・迅速に金額を決定していくという枠組みであります。
マル1はこの特定適格団体が消費者の請求権をまとめて裁判所に届出をし、マル2で事業者が認否を行う。この認否におきまして事業者が認めた場合には、その段階で請求権が確定するということを考えておりますが、マル3でその認否に不服がある場合には、特定適格団体から異議の申出をすることができるとしまして、その異議の申出があった場合には、マル4ですけれども、裁判所による決定という形で処理をする。
これは類例で申し上げますと、破産手続における査定決定の制度がありますが、そういったものを参考にしながら、こういった枠組みを考えております。この決定に対して不服がある場合には異議を申し立てまして、通常訴訟手続に移行し、そこで通常の証人尋問等の一定の手続を経まして、判決に至るというのは先ほど申し上げたとおりであります。
以上がこの制度の骨子でありまして、消費者庁といたしまして、消費者委員会の御意見でありますとか、パブリック・コメントの御意見等を踏まえまして、更に法制化作業を進めてまいりたいと考えているところでございます。
早口で恐縮ですけれども、御説明は以上であります。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 大変な作業を御苦労様です。幾つか質問がありますが、時間の関係もありますので、3つに絞りたいと思います。
1つは、まずこの法律は消費者契約法にくっ付ける形で条文づくりをされるのか、それとも新しい独立の法律としてつくられるのか。それはどうなのか。また、是非、来年の通常国会で採択されるように私どもとしても協力していきたと思いますが、タイムスケジュールとして法案、いわゆる条文が確定するのはいつごろになりそうなのか。そこら辺のタイムスケジュールを教えていただければと思います。
2番目は、乱訴防止の関係などもあって、適格消費者団体に訴訟主体を限定するという議論を専門調査会でもしてきたわけですが、今回は更にそれに特定という言葉が付きました。つまり、すべての適格消費者団体ではなくて、特定の要件が具備されたということになるかと思いますが、こうなるとますます訴訟主体が限定されてしまうと思いますが、現在9つある適格消費者団体の中で、どの程度が特定の要件を具備することになりそうとお考えなのか。そこら辺の見込みをお教えいただければと思います。
私は一番心配するのは、弁護士の場合には破産管財業務などで数千名の債権者に配当するなどということは、ある意味ではそういう事件を手掛けている弁護士は慣れているんですね。ところが消費者団体の方々で、自分で事務局をやらなければいけないと誤解されている向きがあるように思います。現実におられる適格消費者団体の事務局の方々が自ら数千名の消費者に被害回復したお金を配分するとなると、これは実際上は無理だと思います。そこら辺でだれが実際にやるのか。それこそ弁護士に属して、弁護士事務所の事務員がやることになるのか、それともアドホックにそういう債権を回収した場合には、それを配当する具体的な実務担当者をアドホックに選任することになるのか。そこら辺の道筋を適格消費者団体の事務局にも示してあげないと、どうも不安に感じている動きもあるように思います。
これは通った後の問題かもしれませんが、通る過程でも是非消費者団体の方に、そんなに難しくないんだよということを含めて御指導いただければと思いますが、この乱訴防止の観点で特定という限定したことと、適格者団体がちゃんとこの訴訟を担い切れるための体制づくりをどうなさるのか。その両面から2番目の質問です。
3番目ですが、対象事案について非常に注目していたのですが、今の御説明ですと要するに、民法に基づく損害賠償に限定するということになりますと、端的に言えば金融商品取引法あるいは金融商品販売法に基づく有価証券虚偽報告のような事案は一応入らないという形になるのかなと思います。
ただし、御存知のとおり、西武鉄道の最高裁判決が先般出ましたけれども、この事案は民法の不法行為に基づく損害賠償請求訴訟なので、有価証券虚偽報告の事案でも不法行為が成立する事案については、この新しい訴訟制度に入るとは思いますが、先ほどの名簿流出についても入る案件と入らない案件があるような御説明でしたが、そこら辺はどうなりそうなのか。
例えば今、茶のしずく事件が非常に注目されているわけですが、あの種の明らかに一つの商品で健康被害が起こった場合には、どうも本件では入らないことになるのだろうなと思いますが、そこら辺も確認のためにお話しいただければと思います。

○河上委員長 では、お願いします。

○消費者庁川口審議官 私の方から第2点目だけお答えをさせていただきます。
今月中パブコメを実施しまして、意見をいただきます。それを踏まえまして、私どもは条文化の作業を急いでまいりますが、平成24年次期通常国会に法案提出を目指して作業を進めていきたいと思っておりますが、現時点でいつ条文が確定すると申し上げる段階ではございません。条文数が大変多くなると思います。民事訴訟法制度の例外をつくるものになりますので、相当程度の条文数になると思います。作業量という面からしても、時間がかかると思いますけれども、次期通常国会に提出を目指して作業をするということでございます。

○河上委員長 単行法になるということですか。それはまだわからないですか。

○消費者庁川口審議官 単行法になるということも十分考えられると思いますけれども、まだそこは確定しているものではございません。スケール的にはそうなってもおかしくないものだと思っておりますが、消費者契約ということを中心に対象を考えておりますので、その辺から最終的に整理をしたいと思います。

○消費者庁堀井消費者制度課長 消費者制度課長の堀井でございます。本日はありがとうございます。
山口委員からの御質問の1点目と2点目は、今、川口審議官の方からお答えをさせていただきまして、私の方からは団体についての御質問について、お答えをしたいと思います。
特定という名称が付いて、現在の消費者契約法に基づく適格消費者団体よりも更に要件が加重されることなどについて御指摘がありましたが、今回2段階の新たな訴訟制度の枠組みは相当、今の差止請求という現在の適格消費者団体が行っている業務よりも負わされるものは多うございます。例えば個々の消費者の方に対し加入などを求める直接的な接触でございますとか、あるいは二段階で勝って、金額を消費者団体の方に1回払ってもらって、それを個々の消費者の方に分配するとか、そういう業務が負わされる。
そういったことを考えますと、やはり一定の加重の要件は必要で、そういう訴訟を適切に遂行していただける団体にやっていただくということは、さまざまな意味で必要とは考えています。
ただ、今ある9団体のうち幾らがというのは、非常に悩ましい御質問でございまして、消費者庁の立場としては、団体についてはなるべく要件を満たした団体が出てもらえればいいと思いますし、更には現在は9団体ですけれども、他の団体で適格消費者団体を希望しているということで、いろいろと御相談をいただいている団体もございます。そういった団体の拾い上げということも場合によっては出てこようかと思いますので、そういったことを全体として見ていきながら、適切な団体に訴訟をやっていただくと。
更にもう一点、非常に重要な御指摘をいただきました。実際に不安に感じて、現在の適格消費者団体がこの制度について担えるのかどうかということを悩んでおられるのではないかという御指摘です。そういったことが解消されるようにということで、私ども消費者庁といたしましては、今回そのパブリック・コメントにかけたこの骨子(案)を基に、現在指定されております適格消費者団体の方々とも意見交換をして、更に具体的な法案を練り上げていきたいと考えております。
私からは以上です。

○消費者庁加納消費者制度課企画官 山口先生の3点目の事案の話でありますけれども、民法上の不法行為というふうにはしておりますけれども、消費者契約があることを前提に、その範囲内では対象になるという理解であります。
茶のしずく事件の健康被害といいますのは、その被害の状況にもよるんですけれども、この一段階目の手続の対象となる権利のところに書いてあるように、生命・身体の被害事案は今回の対象からは外すとしておりますので、そういうことであれば外れるというふうになります。

○河上委員長 ありがとうございました。
大体時間が尽きてしまいました。消費者庁におかれましては、今後パブコメあるいは消費者委員会での意見等々を参考にしていただいて、更に法案作成の作業を精力的に進めていただければと思います。
本日はお忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上になりますが、最後に事務局より今後の予定等について、説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間お疲れ様でした。ありがとうございました。
次回の委員会ですけれども、12月21日水曜日の2時からを予定しております。内容としましては、本日に引き続き、エステ・美容医療サービスについてを取り上げる予定です。また、消費者庁で行われておりました消費者の財産被害に係る行政手法研究会のとりまとめの報告も予定をしております。
なお、21日の委員会終了後には、全国消費者団体連絡会、全国消費者行政ウォッチねっとにお出でいただき、委員との意見交換を行う予定です。来年1月にかけて、他の団体との意見交換も順次行い、2月には傍聴者との意見交換についても行う予定としております。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)