第75回 消費者委員会 議事録

日時

2011年11月29日(火)17:00~18:08

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、川戸委員、
 田島委員、夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  川口審議官
林地方協力課長
 独立行政法人国民生活センター  野々山理事長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.国民生活センターの在り方について
○説明者: 消費者庁  川口審議官
林地方協力課長
独立行政法人国民生活センター  野々山理事長
3.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議での議論の状況について(消費者庁提出資料) 【資料2】 国民生活センターについて(独立行政法人国民生活センター提出資料)(PDF形式:569KB)
【参考資料1】 製品事故情報の公表等に関する調査会関連資料(PDF形式:16KB)
【参考資料2】 委員間打合せ概要(PDF形式:16KB)

≪1.開会≫

○河上委員長 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第75回)」会合を開催いたします。
初めに、配付資料の確認につきまして、事務局から説明をお願いします。

○原事務局長 今日は、国民生活センターの在り方について、審議をお願いしたいと思っておりまして、資料1は、その関連で消費者庁から御提出していただいた資料です。
資料2につきましては、国民生活センターから御提出していただいた資料です。
参考資料1については、後ほど御紹介したいと思います。
参考資料2は、11月24日に委員間打合せをしておりますので、その概要をお付けしております。
事務局からは以上です。

≪2.国民生活センターの在り方について≫

○河上委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
本日の議題は、今、アナウンスがありましたとおり、「国民生活センターの在り方について」です。国民生活センターの在り方につきましては、第1次の消費者委員会において複数回にわたって議論を行いまして、消費者委員会としての意見も、本年6月10日と7月15日の二度にわたってまとめているところであります。その後、本年の8月、消費者庁と国民生活センターにおけるタスクフォースの結論が出たことを受け、当時の政務三役における協議の結果、国民生活センターの在り方の見直しについては、「第三者を含めた検証の機会を設けた上で、政府の独立行政法人改革の動きを視野に入れて、しかるべき時期に政務としての判断を行うこととした」とされております。
これを受ける形で、消費者庁において本年10月より、「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」が開催され、消費者委員会の山口委員長代理もオブザーバーとして参加しているわけですが、これまで5回の議論が行われたと聞いております。
本日は、消費者庁と国民生活センターにおいでいただいておりますので、検証会議の検討状況について御報告をいただき議論を行いたいと考えております。よろしくお願いいたします。
それでは、御説明をお願いいたしたいと思います。消費者庁の方からお願いいたします。

○消費者庁川口審議官 消費者庁審議官の川口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今、御紹介いただきましたが、検証会議は5回開催されまして、ただいま、第6回の準備をしているところでございますが、終了したわけではございませんので、現時点のものということで御紹介いたします。資料1に沿いまして御紹介させていただきたいと思います。
1ページでございます。8月26日、細野担当大臣からの御指示ということで、2ポツ、タスクフォースにおいて、両当事者間(国民生活センター、消費者庁)では、「消費者行政全体の機能強化のためには、国民生活センターの各機能を基本的に消費者庁に一元化する必要がある」という結論でございますが、政務三役におきまして更に検討と。先行的に取り組める事項については「試行」を実施、第三者を含めた検証の機会、独法改革の動きを視野に入れて、然るべき時期政務としての判断を行うということでございます。
2ページ以下がタスクフォースの取りまとめでございます。検証に当たりましても、このタスクフォースも参照いただき、私ども両当事者から説明しながら検証していただいておりますので、ざっと御紹介させていただきます。
6ページでございますが、「見直しの視点」でございます。見出しでございますが、(1)消費者行政全体としての機能強化、効率化を図る。
(2)国民生活センターの人材・ノウハウを活用する。
(3)国民生活センターの各機能の相互補完性・一体性を確保する。この3番などは検証会議でよく議題になっております。
(4)消費者庁と国民生活センターの各機能の相互補完性・一体性。これにつきましては、委員間で少し意見のばらつきがあるように思われます。
(5)国民生活センターによる情報提供の柔軟性・機動性の確保。ここにつきましては、「試行」ということで実際に実施するということでやっております。
(6)国民生活センター職員の雇用問題。
(7)より「消費者目線」に立った消費者庁の実現に向けた組織転換・人材育成。これは細野大臣の指示で、「試行」ということで研修あるいは人事交流などを行っております。
8ページですが、「今後の方向性」。タスクフォースの考え方ですが、支援相談、研修、商品テスト等、「施設等機関」として位置づける。消費者庁に国民生活センターという名前の施設等機関を位置づけ、機能を集めるということですので、独立行政法人を施設等機関にするというのがざっくりしたイメージでございます。
拾い読みで恐縮です、消費者行政全体を高めるという考え方ですが、11ページ(3)の見出しでございますが、「国民生活センターが持つ現場の情報を政策に直結する」。現場の情報を政策に直結するということがメリット、また、ねらいだろうということでございます。
13ページをごらんいただきますと、「見直しの効果等」ということでございます。一元化によってさまざまな相談情報を活かし、現場から注意喚起、法執行、制度改正まで一貫した体系を持ち、被害の実情や消費者の声が政策に直結する消費者行政を実現するということでございます。
下のマルでございます。国民生活センターの職員はノウハウを有する貴重な人材の集団でございますが、これらの人が消費者庁の内部部局で政策の企画立案・法執行にかかわる。一方では、内部部局の職員、私どものような職員が国センで支援相談等に携わるということで、要は相談の現場から政策の企画立案・法執行まで幅広い経験を重ねる。両方にいる職員がそういうことを重ねることで、消費者行政の人的体制を充実させるという考え方でございます。
その他、具体的な充実が書いておりまして、18ページでございます。まとめというところで、ややキャッチフレーズ的ですが、消費者の声が直接届き、政策に直結する新たな消費者庁を実現する。消費者行政全体を強化するため、平成25年度に国センの各機能について消費者庁に移管し、一元化するということでございます。現場力のある国民生活センターと、政策実現力のある消費者庁を直結することによって消費者行政を強化できる。そのために一元化するという考え方でございます。
21ページでございますけれども、検証会議についてでございます。先ほどの指示に沿いまして具体的な制度設計をしております。これにつきましては、消費者委員会の7月の御意見なども参考に検証会議の持ち方も検討されているものでございます。
趣旨というところでございますけれども、細野大臣の趣旨どおりの考え方を現政務三役も引き継いでおります。
検証対象は、機能の消費者庁への一元化及び一元化以外の選択肢に関する論点。それから、執行の実施結果。
副大臣が主宰いたしまして、検証結果を大臣に報告する。有識者10名からなるものでございます。消費者団体の委員、弁護士、事業者、地方自治体の有識者でございます。両当事者は、委員としてではなく当事者としての出席でございます。10月12日から開催しております。
22ページですが、座長は野村豊弘学習院大学法学部教授でらっしゃいまして、オブザーバーに山口消費者委員会委員をお願いしております。
23ページですが、独法改革の動きは適宜参照しながら進めております。行政刷新会議の「独立行政法人改革に関する分科会」というのがございまして、ここでワーキンググループを設置し議論が進んでおります。年内に独立行政法人の制度・組織の見直し案を決定するということで進んでおりまして、12月には制度・組織の見直し案の取りまとめをするということです。通則法の制度について取りまとめるほかに、今、独立行政法人は102ございますが、102の個別の法人についてどうするのかということも併せて決定するということで検討が進んでおります。国民生活センターについてもこの対象になりますので、こういう動きにどう対応するか。そういうことのために有識者の方に御意見、このスケジュールに合うように一定の方向性をいただきたい、というのが政務からのお願いでございます。
24ページでございますが、検証会議が実際にどう行われてきたかということでございまして、日にちを書いております。11月になりまして、試行の実施状況について点検をいただいております。選択肢に関する論点は、幅広く毎回御議論をいただいております。30日に第6回、11月下旬を目途に中間的取りまとめをお願いしておりますので、大詰めのところに来ているということでございます。
25ページ以降、各回どんな議論をしたかということで資料を付けさせていただいておりますが、1回目はタスクフォースの御紹介、行政刷新会議の御紹介でございます。
27ページをお開きいただきますと、第2回からは、本消費者委員会からの御指摘も踏まえながら、国民生活センターの各機能について、国あるいは消費者庁に移管することができるのかということについての検討をしております。消費者行政以外の分野において、あっせん、ADR、研修が実際行われているのかどうかという点についての資料を出しております。国としてはできるとしても、それでは、今、国民生活センターが行っているような形で柔軟な取扱いができるのかということで、更に議論をいただいているということで第3回に至っているわけでございます。
29ページをお開きいただきますと、ADR、行政処分、あっせん、そういうことについて突っ込んだやり取りがありまして、また、効率化とか重複化のような御議論もいただいております。
資料3-1というところで、附則3項の御議論がございまして、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則3項の解釈、あるいは、その趣旨をどう考えるかということでございます。資料3-2は、4名の消費者委員、弁護士委員の方の連名の意見書でございますけれども、附則3項には消費者行政の体制整備についての検討が含まれている。引き続き消費者行政の体制整備についての議論を続ける。この検証会議で終わる、あるいは年内で終わるということではなく、議論を続けるべきであるということで、全体の議論の中で国民生活センターについても修正の余地を残すべき、という御議論でございました。
30ページが第4回でございまして、試行の実施状況についての御説明、御審議をいただいております。
31ページは第5回でございますけれども、試行についての御議論。それから、選択肢に関して突っ込んだ御議論をいただいております。
資料番号はついておりませんが、ここで座長メモが提出されました。座長から、取りまとめの方向についての試案が出され、御議論が行われたというところでございます。
あとは、各回の動きを踏まえまして少し内容に踏み込んだ御紹介をさせていただきます。
32ページでございますが、試行の実施ということでございます。試行の対象は、当委員会からも御指摘をいただきましたが、財産事案の情報提供・政策的対応について。これは、手口や消費者へのアドバイスはセンターが迅速に公表する、政策的対応については共同で作業をするというやり方でやっております。
その他、財産事案、生命・身体事案を併せて、問題提起の政策形成への活用ということで、消費者庁長官、センター理事長をヘッドとする「消費者政策検討会議」を月1回行う。
人事交流については、消費者庁からも双方向で人事交流、出向という形で対処しておりますから、消費者庁の職員がセンターに行って研修を受ける。私自身も研修を受けてまいりました。そういうことをやっております。その辺につきまして、33ページに少し詳しめに資料が付いております。
34ページが、財産事案の情報提供の流れを従来と試行中で分けたものです。従来ですと、いろいろ遅くなったということの議論もございましたけれども、国民生活センターが案件を発掘して役員会にかけ、消費者庁と公表資料を共有し、その後、政策的対応に係る論点についていろいろ調整して公表するという流れでございます。現在行っておりますのは、国センと消費者庁がそれぞれ案件を発掘し、これをかなり早い段階で共有する。これを毎週1回やっておりまして、その上で国民生活センターが、手口公表案件を公表すべきもの考えて、あとは国民生活センターの決裁で公表まで至る。政策的対応をすべきというものについては、国民生活センターから消費者庁に意見が出てくる。これについて両当事者でチームをつくりまして、対応方法を決めていくということでございます。
資料35ページです。手口公表に至った財産事案についての公表の実施に至るまでの期間ですけれども、14日、37日、20日と平均で20日強でございます。これをどういうふうに見るかということですが、37ページをごらんいただきますと、平成22年度の公表案件は33件ありますが、公表まで平均57日。22日というと棒グラフの左2つ目ぐらいのところですので、平均よりは早かったかなということであります。
38ページは「消費者政策検証会議」の概要ということで、いろいろな案件について国民生活センターの提案を受けまして、毎回2~3時間、できるだけそれを実現する方向での議論をしております。この議論を受けまして、今後どうするかですが、意見書につきましては公表する。消費者庁は国民生活センターから意見書をいただいておりますが、今後、公表するということではありますが、政策的対応の目途が立った時点で公表する。公表案件あるいは相談状況など、フォローアップをしていこうということで合意しております。
40ページが人事交流・研修の詳細でございますが、省略させていただきます。
49~50ページに飛んでいただきますと、「独法改革における制度設計に係る議論の整理」ということで、行政刷新会議の独法の分科会の議論の紹介でございます。新しい独法をどういうふうに制度設計をしていくかということでございますが、50ページをごらんいただきますと、今よりも基本的に国の監督権限を強化していくという考え方でございます。事務・事業の実施、中止、改善等の指示を行う、是正命令をする、あるいは主務大臣の指示・命令に従うことを義務として規定し、従わなかった場合、罰則・解任等の措置について検討するというようなことでございます。
51ページは、「透明性が高く、効率的・効果的な財政規律の整備」ということでございます。例えば、今は国民生活センターは96%を交付金で運営されておりますが、交付金の算定ルールを見直しまして、目標を定め、目標不達成の部分においては、次期以降の交付金の算定において実質的に削減する措置が、新たな独法の共通ルールとして設けられるということでございます。
53ページ、ちょっと小さい字で恐縮でございますが、現行制度、全法人共通、個々の法人ということで分類されております。大きく言えば、国が策定する目標の達成に向け、自律的かつ効率的に事務・事業を行う法人と行政執行法人に分かれているということでございます。
55ページが、交付金算定の見直しイメージで、自己収入の数値目標を達成できなかった場合ということですが、下の方をごらんいただきますと、目標を掲げて自己収入の数値目標を達成できないと事業規模を縮減されていくということであります。目標未達成が続く場合には、法人の存廃を含めて事業が再構築されるということでございます。
59ページから、大きく2つ新型独法の類型がありますが、(1)が「法人の自主的・自律的裁量により」というタイプの法人、(2)が「行政執行法人」であります。
60ページをごらんいただきますと、このうち行政執行法人についてのイメージを書いております。組織規律というところをごらんいただきますと、「法人の組織や業務全般にわたり、主務大臣が必要と認める場合には、法人に対して命令を発することができる」「単年度の財政措置を原則とする」となっております。
61ページは、「新たな法人制度に関する消費者庁からの質問」でございます。これは、委員の中から「新たな法人制度についてもう少し行政改革推進室によく聞いてください」という御依頼がございましたので、それについて質問をした回答でございます。
まず、質問1です。「新法人制度の施行後も引き続き、現行制度に基づく独立行政法人を存続させることは可能なのか」ということでございますが、新法人制度を施行した後は、現行制度の独法が存続することはあり得ないという回答でございます。
質問2のマル2でございますが、現在、幾つかの類型の法人が提示されていますが、これらに当てはまらない法人があるとすれば、この「その他」法人には新法人制度の共通ルールが適用されるのかという質問でございますけれども、これについては、「適用される」と。「その他」というのがあったとしても、「自律的かつ効率的に事務・事業を行う法人」の細目の話であって、「その他」法人に対しても共通ルールということで、主務大臣の監督権限の強化、あるいは「廃止を含めた検討」などは適用されるということでございます。
質問3としまして、国民生活センターの機能の維持でございます。「仮に国民生活センターを新法人とする場合、センターの機能の一体性・相互補完性は保たれるのか」ということであります。これについては、新法人制度に移行する際には、国民生活センターがということではなくて、どの法人も厳しく見直しをするということで、他の独立行政法人についてまさにそれを検討しているということでございまして、事業の廃止・縮小、民営化、他の法人との統合ということが検討されることになると言っております。
62ページ以降につきましては、「国民生活センターの在り方の見直しに関する論点」ということで、毎回、委員の意見を反映して少しずつ修正をしているものでございます。これは第5回に提出されたものでございます。第5回の御議論は反映していないものでございますけれども、論点を大きく3つ分けまして、それぞれ各論について委員の意見を御紹介、整理をしたものでございます。
69ページに飛んでいただきますと、それでは、どういう選択肢で議論をしているのかということを御紹介いたしたいと思います。69ページの資料というのは比較的早い時期に提出されたものでございますが、今までどういう議論がされているのかということでございます。「消費者委員会の意見で例示あるいは比較整理された案」ということで紹介させていただいておりまして、まず、選択肢としては、消費者委員会が所管する独立行政法人になるということでございます。これについて概要を書いておりまして、課題・論点といたしましては、消費者委員会の性格からしてどうか。消費者庁とセンターが分離することをどう考えるか、あるいは消費者庁との業務の重複をどう考えるか、そのような論点を提示して御議論をいただいています。
A-2は、消費者庁が所管する新しい独立行政法人。これは、今、御紹介しましたいわゆる新型独法というものでございます。
A-3は、消費者庁へ一元化するけれども、消費者庁の法執行部門、特商法、景表法あるいはJAS法という、消費者庁ができたときに消費者庁に各省から移管された権限をそれぞれもとに戻すという案でございます。
A-4につきましては、消費者庁へ一元化するけれども、消費者庁の特別の機関として位置づけるということでございます。
70ページでございますけれども、日弁連の意見でございます。内閣府本府に独立の行政機関として位置づけるということでございます。どう位置づけるのかということは書いておりませんが、特別の機関あるいは施設等機関というのが通常想定されるところでございます。
B-2は、消費者庁へ一元化し、施設等機関として位置づけるということでございます。これは、出されたときは2月でございますけれども、消費者庁・国民生活センターのタスクフォースは基本的にはこのB-2の案を採用している。消防大学校、自治大学校のような施設等機関として消費者庁の下に国民生活センターを位置づける案として、タスクフォースは取りまとめられております。
B-3は、行政から独立した特別の法人として位置づけるということでありまして、ここのみそは、整理合理化計画の対象となる独立行政法人ではないけれども、制度から独立した法人ということでございます。これは、業務を永続的な業務として位置づけられるような独立の法人組織形態とする考え方ですが、実際どのような制度設計なのかは必ずしも明確ではないということでございます。
71ページが「特別の機関」の主な例ということで、例えば国税庁の国税不服審判所、国交省の海難審判所等があるということを整理しております。勿論、このほかに学術会議等の合議制の機関はございますが、それ以外のものは一応例示をしております。
72ページでございますが、施設等機関の例ということで出しております。内閣府で言えば経済社会総合研究所、あるいは迎賓館というものが施設等機関でございますが、文教研修施設としては、かなりのものがマル3のところに掲げられているということでございます。
73ページですが、行政から独立した特別の法人の主な例ということでは、いわゆる法テラス。これは司法ということで司法の機能を担うものでございますが、国立大学法人、地方共同法人と言われる日本下水道事業団、こういうものを例としております。
74ページでございますが、機能についていろいろ議論をしているときに、あっせん、ADR、特にADRについては、その性格上、消費者庁以外に置いた方がいいのではないかという御発言もございました。それでは、一体性を確保するというのが消費者庁・国民生活センターのタスクフォースの考え方ですが、そこを外してADRだけで考えたらどうかということで提示したものでございます。消費者庁に設置するほかに、内閣府本府に置く、消費者委員会に置く、ADR法に基づく民間ADRになる、廃止するということで、それぞれ論点・課題を書いてございます。消費者委員会に置く場合は恐らくは分科会、消費者庁に置く場合は八条機関を新設するということで整理をしております。
75ページは、国民生活センターのADRの状況ということでございます。表2をごらんいただきますと、消費者が直接ADRに出しているものが4割ございまして、あっせんの延長というよりは直接ADRに申請されるものが4割ある。そういう意味では貴重な情報でもあるということでございます。
76ページ、金融サービス関係が25%、他、いろいろあるということでございます。
77ページは、行政処分、ADR、あっせんの関係が相当議論になりましたので、整理をしたものでございます。事務局で整理いたしましたが、基本的にはこれは性格が違うものでありまして、行政処分は一方的に権利義務を形成する。あっせんは当事者の合意を調達しようとするものである。争点も、片や個別行政法の取締規定違反の有無ということですが、ADR、あっせんは契約の有効・無効。いわば民事ルールになります。解決基準も、片や個別行政法の取締規定ですが、ADRやあっせんというのはいろいろなものがありますので、事の本質的に両者が合意可能な柔軟な解決を図る。基準としては民事ルールが中心になるということでございます。「注」に両者の関係についての通説的な考え方を整理しております。
78ページでございますが、この「座長メモ」が、前回、提示されております。基本的方向として、座長としては、こういうところまでは合意、ほぼ共通の認識があるのではないかということで、ここから先の議論を促すために提示をされたと理解しております。
国民生活センターは、消費者問題の中核的実施機関としてこれらの機能を担っているということですが、これら機能についてはそのすべてを維持し、基本的には一体性を確保しつつ充実させる必要があるという考え方でございます。そのための組織を考えるということですが、基本的には、国への移行と新たな法人制度への移行が考えられるのではないかということであります。新たな法人制度への移行については、その特性から、国民生活センターの機能を維持・充実させていくためには疑念があるということでございます。
国への移行については、いろいろな国への移行がありますが、個々の国への移行、例えば消費者庁、消費者委員会、そういうものについてはそれぞれ議論を尽くすべき論点があるということを言っておりまして、これらを受けて、どういうまとめをするかということで問題提起をされたということでございます。
長くなりまして恐縮でございますが、以上が今までの状況でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
国民生活センターからは何かございますか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 検証会議の中身については特に補足することはありませんけれども、資料2として、国民生活センターの概要についてだけ付けさせていただきました。この資料の4ページに、「国民生活センターの業務」で、6つの事業をやっていることが記載されておりますので、また議論のときに参照していただければというふうに思います。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
どうぞ。

○山口委員長代理 今、川口審議官から御説明がありましたけれども、特に78ページの座長メモにつきまして、先般の5回目の報告をいたします。「基本的方向」の1番目と2番目のマルについては、ほぼ10名の委員は特に異論がなかったかと思いますが、3つ目のマルにつきましては、国への移行、新たな法人制度への移行のほかに、独立した新しい組織、法テラスのように行政から独立した特別の法人、そういう選択肢もあるのではないかという御意見もありました。しかし、それは実現が難しいのではないかという議論もありましたけれども、選択肢が二つなのか、三つなのかというところはなお一致していないところかと思います。
新たな法人制度への移行について、独立行政法人の見直し後の組織において、機能の維持はなかなか厳しいのではないかということは共通の認識だったと思います。しかし、なお捨て難いという意見も一部にございまして、この辺をどうするかというのは今後の議論として残ったところです。そういう意味で国への移行についても、これでいいのかどうかについてはなお次回も議論が続くのではないか。大体そんな状況ですので、委員の皆さんからオープンな議論がいただければと思います。

○河上委員長 今のは御報告ということですね。

○山口委員長代理 そうです。

○河上委員長 では、ほかに御意見のある方、お願いいたします。
稲継委員、どうぞ。

○稲継委員 御説明、ありがとうございました。質問です。69ページに「国民生活センターの法人としての在り方に関する選択肢について」ということで、選択肢と課題・論点が書かれています。A-1で、仮に消費者委員会が所管する独立行政法人になった場合には、こういう課題・論点があるということが3つほど書かれていますけれども、この中身についてもう少し詳しく説明してもらえますでしょうか。

○消費者庁川口審議官 国民生活センターが、消費者委員会が所管する独立行政法人になるという選択肢でございますが、通常、所管するという場合、もともとの行政機関の所掌事務と、所管される方との事務の対応関係が問題になると思われますので、所管といった場合、消費者委員会がそもそも独立行政法人を所管できるのか。独立行政法人のまま所管できるのかということが、合議制の機関である消費者委員会の性格上どうか、というのが1つ目の問題でございます。
2つ目は、消費者庁とセンターの分離。これは分離した方がいいのか、近くにいた方がいいのかというのは、委員間では議論が分かれていると承知しておりますが、分離するということをどう考えるか。タスクフォースの案でも、あるいは現行では、消費者庁が所管する独立行政法人でございますので、日常的に国民生活センターの間では所管することで情報が入ってくるというのがございますが、施設等機関にすれば、同じ組織の中で、切磋琢磨という面がございますけれども、一応消費者庁の外の消費者委員会の所管ということになりますと、今よりも分離する。このことの是非をどう考えるか、ということでございます。
消費者庁と国民生活センターが業務が重複しているかということについて、いろいろ議論をされておりますが、重複しているものを、ほかのところが所管することについてどういうふうに考えるか。同じようなことを別の指揮命令系統のところで行っていくということで、連携をしっかりしていかなくてはいけないのではないか。今まで以上に、連携の在り方をどう考えるかというようなこと等があると思います。

○消費者庁林地方協力課長 一点、補足させていただきます。今、消費者委員会は八条機関として設けられていますので、いわゆる政策の実施事務を担う組織としては、三条委員会のような形に組織がえをする必要があるのではないかということが含まれていることが一点と、消費者委員会で、消費者庁と国民生活センターの業務の重複ということを御議論いただいたときにも申し上げたことでもありますが、今、消費者庁と国民生活センターとの関係では、消費者庁の所掌事務は政策実施という意味で非常に広く書いてございます。ですから、法の所管、あるいは国民生活センターの指揮監督といったことについては特出しして書いてございません。消費者庁設置法で当然読めているということになっています。
極めて事務的な話ですけれども、これを消費者委員会に移管して所管することになれば、消費者委員会の所掌事務を国民生活センターが行っているいわゆる実施事務を内包できる形に広げないと、単に組織の性格を変えるだけでは国民生活センターのやっている事務を指導監督することにならないので、業務の重複の関係というのは、消費者委員会との関係でも恐らく整理が必要になってくるだろうということも、ここの裏には含まれているということでございます。

○稲継委員 今のは6月10日の、消費者委員会が所管する独法にした場合の課題・論点ということで御説明をいただいたのですけれども、この前の座長メモで言うところの国への移行の場合、消費者庁の下に置く場合と、消費者委員会の下に置く場合と、いろいろ考え得ると思います。ほかにもあると思いますが、消費者委員会の下に置く場合には、今、おっしゃった例えば八条機関、三条機関の問題とか、所掌事務の重複とか、大きな組織がえをする必要があるということの理解でよろしいでしょうか。

○消費者庁川口審議官 A-1というのは独立行政法人ということですので、それとは別に論理的にいろいろ考えられるものは、消費者委員会の一部に国民生活センターを持ってくる、国の中の消費者委員会に機能を移すということが論理的に可能性がございまして、その場合、委員会の一部にするということですと、先ほどADRで御説明しましたように、合議体の組織としての性格上、移管できる機能に限られるだろうと。ADRというのは、いずれにせよ八条機関を消費者庁に置くということでタスクフォースは考えておりますので、もともと八条機関である消費者委員会には移管できるのかなという前提ですが、それ以外の事務をどこまで移管できるのかというのは、合議体の組織という性格、八条機関というのを変えない限りにおいては限定されるだろうということです。
施設等機関や特別の機関を消費者委員会に置くことについては、今日の資料に出しておりませんが、委員の御議論の中で、やはり三条機関への改組が必要だろうという御指摘をいただいております。この場合には、内閣府の下に消費者庁と別途、外局が2つとなりますので、そこの整理という中では、消費者庁の所掌事務を消費者委員会に移管するなどの大きな話があろうかと思います。そういうことの整理をしていく中で実現が検討されるということではないか。そういう意味では、独法を所管するのとはまた別の大きな話があるだろうということでございます。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今、お話しになりましたように、消費者庁と消費者委員会と国民生活センターの三者の関係というのは、消費者行政にとって一番よい選択がなされるというのが一番望ましいわけで、そのためにどういうものがよいかということを、この際ですから、白地のところから制度設計していってもよいのではないかと思われます。先ほど、消費者委員会が今は八条機関であるから、そうするとADR程度しかだめではないかとか、そういう話がありましたが、そうではなくて、もう少し根本的なところから、例えば三条機関になればできるかもしれない。そうすると、当然、所掌事務自身も変わってまいりますので、全く新しい制度の構築ということもあり得ると思います。せっかくですので、そういう根本的な議論をした方がよいと思います。
一つ申し上げたいのは、タスクフォースの議論もそうですけれども、消費者庁と国民生活センターが重複している、重複というところがたくさん出てきて、例えば65ページの論点のところにもありますが、検証会議における議論というのがよくわからないのです。「委員等からの意見」というのは何かわかりませんが、この委員の意見に対して事務局からの説明は、やはり重複している、こんなに重複している、消費者庁と国民生活センターは非常に重複している、というふうに非常に強調されています。したがって一元化せよという結論を導かれているのかなとも推測するのですが、本当にそのように重複しているということになると、もし一元化した場合、当然のことながら、こんな重複していたのだからということで、定員も含めてかなり効率化せよという要請が来るような気がいたします。その辺りはどうお考えなのかということと、国民生活センターの側からは重複感というのはどのようにお考えですか。せっかく国民生活センターの方がいらっしゃるので、お伺いしたいと思います。

○河上委員長 では、まず川口審議官。

○消費者庁川口審議官 タスクフォースの基本的な考え方は、事務の重複がありますと。それから、独立していることでバックオフィスの部分が手厚めになっている。消費者庁にも当然ありますし、独立行政法人としてのバックオフィスの部分があります。これはいわば現業部門ではないわけでございますが、それを消費者庁の施設等機関にした場合にはバックオフィスの部分が少なくて済むだろう。重複の部分をどちらに寄せるかは別にして、整理ができるでしょうということで、同じ事務・事業を行うとすれば、より少ない人数、費用でできるでしょうということで効率化されますと。

○小幡委員 65ページの記述では、バックオフィスの話ではなくて、業務自身の目的あるいは内容からしての重複ということが出ていますね。

○消費者庁川口審議官 バックオフィスは直接関係ないのですけれども、そのほかに重複している部分があるでしょうと。情報を集めて情報発信をする部分ですとか、研修とか、いろいろございますが、そこを整理することによって少ない人数で同じことができるようになるでしょうということですが、現在、消費者庁はいろいろな課題がございます。財産事案に関するすき間事案の執行ですとか、事故調査機関ですとか、いろいろ課題があります。そういうことで、消費者行政、消費者庁の体制としてより大きくしていかなくてはいけないというところがございますので、そういうところに浮いた部分を持ってくることができるということで、トータルとして見れば、国民に対する行政サービスの水準がいわば同じ費用で増加することができる。これは、独法も含めた行政体制全体としては、効率化をすることで行政サービスの向上が図られるというふうに考えております。これはタスクフォースの考え方で、これは質問もあって、検証会議でも御説明をしております。

○河上委員長 では、国民生活センターからお願いします。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 現実の重複感ということですけれども、タスクフォースの3ページを見ていただきたいのですが、(3)に「両組織の間では、多くの業務で目的・機能に重複がある」と書いてあります。4ページの(1)の1番目のマルにも、「消費者庁と国民生活センターの業務については、その目的・機能が法執行を除いて大半の分野で重複」とあります。ここには「目的・機能」という言葉を書かせていただいております。
どういうことかといいますと、個々の業務の中で重複はあることはありますが、むしろ重視すべきは同じ目的で行っているということです。例えばパンフレットをつくるにも別々のパンフレットをつくっていますから、そういう意味では別々のことをやっているわけですけれども、一つの啓発ということでやっている。ホームページも同じように、消費者被害をなくしていくという目的機能は同じ形でやっていまして、やっている内容は違い、別々のものがある。
私が就任した当時、マスコミからは、同じ発表を一々両方やるなということをしょっちゅう言われました。国センがやって、消費者庁も手口公表なりいろいろなことをやる。そういうことは注意喚起のところでありましたけれども、そのほかは、いわゆる同じ目的、例えば研修であれば地方消費者行政の支援という同じ目的で、消費者相談の相談員向けには国センがやりますけれども、消費者庁は執行担当の本課の人たちにやっているとか、そういうことです。そういう意味でやっていることは別々の部分が結構多いわけですけれども、目的や中身は共通しているところで重複がある。そこを整理するという理解を私どもはしているところであります。

○小幡委員 目的・機能が同じということは当然の話でございまして、消費者のためにともにできている機関であると思います。

○河上委員長 ほかにはいかがですか。
では、私から少し伺いたいのですけれども、正直なところ、もし行政刷新会議とかそういうところからいろいろなことを言われなければ、国センとしては独法のままの方がいいのですか。それとも、やはり自分たちの組織論として考えたときに、消費者庁と結びつく形の方が動きやすいというようなお考えですか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 これは一つには、消費者行政の現状をどう把握するかという問題だと思っています。タスクフォースのときも、その後の議論でも私は申し上げていますが、国センの組織論というのは各論であって、総論としては、今の日本の消費者行政、これは消費者庁、消費者委員会、国民生活センター、あるいは地方も含めてですけれども、そういうもの全体を見てこれをどう強化していくか。2年半前に消費者庁ができたことによって、それをどう評価して、今後、どうしていくかということの議論の中で考えるべきだと思っています。
そういう観点から考えますと、決して国民生活センターが今の独法のままで、そのままやっていくのがいいとは私は考えておりません。それは、消費者庁というものがきちんとした形で、今は問題点があると私は思っていますが、そういう問題点を解決していくという方向性を示していかなくてはいけない。国センだけが機能を維持してやっていくだけではなくて、そういう方向性を考えなくてはいけないだろうと私は思っています。
タスクフォースの議論の中で出てきた消費者庁の問題点というのは、私は個人的には2つあると思っています。1つは、プロパー職員がおられないということです。プロパー職員の比率を増やしていかなくては、いわゆる消費者目線、あるいは腰を落ち着けた消費者行政はできない。あるいは感性も育っていかないだろうというふうに思っています。
もう一つは、「現場」です。消費者問題というのは別に会議室で起こっているわけではなくて、現場で起こっているわけです。その現場を知っていく。そういう窓がないときちんと消費者行政はできない。できないというか、相対的にという意味です。あと、消費者目線も相対的に育っていかない。職員の皆さんは一生懸命やっていることは私は認識しておりますけれども、風土として、文化として、そこは育っていかない面があると思っています。そういう意味ではそういうものをつくり上げていくということが必要です。
それから、検証会議を行っている中で、役割分担は勿論あるわけですけれども、消費者庁と国民生活センターは、連携を強化していくことがやはり必要だと私は思っています。注意喚起から政策にどうやってつなげていくか。我々がやっている情報を収集・分析し、それを手口公表していく。そういうものをどうやって政策につなげていくかということについては、連携を強化していく、関係を強化していくことが重要ではないか思っています。今、私たちはまな板の鯉ですから、どういう議論をされるか、それはこれからの方向性で是非考えていただきたいわけですけれども、私は、独法だからいいというふうに思っているわけではありません。むしろ消費者行政をどうしていくかという、大きな視点から考えていっていただきたいと思っています。

○河上委員長 その意味ではどういう組織上の位置づけになるかはともかくとして、国センが消費者にとって最もパフォーマンスのいい形で動いていただけることが望ましい。その点については、消費者委員会としても同じ発想を持っているところであります。この間、実は消費者委員会で国センを実地視察させていただきまして、現在の独法の中では国センのパフォーマンスは最高だと実感いたしました。他方で、国センの今のパフォーマンスを改革によって充分に維持・強化できるのかどうかというところについて、まだ社会的にいろいろな疑問が払拭できていないことも事実です。その意味でどういう在り方がよいかということを、我々としても随分考えているところではあります。私は就任のときの記者会見で申し上げたのですが、消費者委員会と国民生活センターと消費者庁というのがいい意味で三極をつくって、それぞれ緊張関係はあるけれども、緊密な連携を持って消費者問題について一緒に取り組んでいく姿勢を持たないといけない。そのための組織づくりということで考えていただきたい。ここは、理事長がおっしゃったことと基本的に同じだろうと思います。
そこで、例えばの話ですが、最近、アロマの特殊な香りのものを紙で巻いて吸うとドラッグになるという話がありまして、都内に50店舗ほどそういうものを販売してる店舗があるという新聞報道に接しました吸引して意識障害を起こした人もいるということが出ていました。これは薬事法ではなかなかうまくつかまえきれない。こうした新しい問題がポッと出てきたときに、果たして消費者庁の内部にある機関として国民生活センターがどう反応し、どういう活動ができるだろうか、というようなことを考えてみたわけです。
今の国センでしたら、「こんな相談がありました」と事例を紹介したり、例えば商品テストをやってみて、閉じた空間の中でこのアロマを吸うとこんな影響がありますというようなことは、ニュートラルにというか、案外簡単にやれる立場にあるのではないかと思うのですけれども、仮に国の機関となったときに果たして速やかにそう行くのか、そこは国による市場介入になることを案じて、抑制的にあるいは慎重に動くようになるのではないのかという疑問がわいてくるのです。、細かいことですけれども、今までのパフォーマンスと比べたときにどうかという疑問を払拭できません。その辺は、野々山さんの感触はいかがですか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 パフォーマンスを軽くできるようなシステムが要ると思っています。国の一つの機関としてそういうことをやるのは私は必要だと思っています。例えば手口公表であったり、商品テストによる情報発信とか、そういうものは、今、このタスクフォースで提案されている施設等機関をどう見るかということだと思っています。施設等機関というのは運用の形でいろいろあると思っています。施設等機関だから必ず独立性が全くないとか、あるいはガチガチの独立性があるとかいうことではないわけです。その柔軟性の中で、消費者庁の中で、施設等機関をどれだけ独自性があるものとして、今、言ったようなことを大事にしてちゃんとやれるかどうかということにかかっているのではないか。それは別に施設等機関ではなくて、特別の機関にしたり、あるいは国の中の別の組織にしたりすることでも同じだと私は思っています。
その意味では、そういう制度的担保と、あとはきちんとした監視体制、こういうものをきちんとつくっていくことがどんな組織になろうと肝要と考えています。それこそ言ったら、何の監督もない組織しかだめだということになるわけですから、それはあり得ないわけです。そういう意味で独自性をどうやってつくっていくか、担保していくか、その後の監視をどうしていくかという問題だというふうに思っています。それと、消費者行政の中で今のようなことが大事だという一つの風土をつくり上げていく。そういうことを考えていくことが大事だと思っています。一つの形として、施設等機関がだめだというなら別ではありますけれども、施設等機関で行うというのは、一つの形だというふうに私は評価しています。

○河上委員長 ありがとうございました。
審議官、何かございますか。

○消費者庁川口審議官 今の関連で言えば、監視という意味では、検証会議の中でその監視の役割を消費者委員会に果たしていただくことも考えられるのではないかという御議論がございました。生命・身体に係る事故という意味においては、現在、消費者庁におきまして、次期通常国会に消費者事故等の調査体制を整備するための法案を準備中でございます。国民生活センターの決着以前に、現状でいきますと、消費者庁の中に消費者安全調査会的なもの、八条機関を置くということで、今、政府部内で調整を行っているところでございます。
いろいろ他省庁を気にしてそういうものを疎かにすることは、私どもとしてはあり得ないことでありまして、消費者庁は、第三者の知恵もいただきながら、生命・身体、消費者事故について、事故の再発防止・拡大防止のために、持っている権限はございますが、権限を実効化するための仕組みをつくっていく準備をしているところでございます。ですから、権限だけあっても消費者の安全は守られないのであります。現場の知識をしっかり持つ、第三者の専門家の知恵をしっかり入れていくという仕組みについては、国センの問題に限らず、今後ともしっかりやっていかなくてはいけないと思っております。

○河上委員長 石橋をたたいたがために、国センの持っている柔軟性とか、時代に対して非常に素早く対応できてきたものが、角を矯めて牛を殺すような結果になってはいけないことは、これはみんなが心配していることであります。ですから、その辺も含めて更に検討をしていただきたいと思います。
何かほかにございましたら、どうぞ。

○山口委員長代理 今日は余り発言がないのですが、国センを消費者委員会の下の施設等機関、あるいは独立の特別な法人とすることについて、委員の方々から委員間協議ではいろいろ意見が出たのですが、どなたも何も発言されない。やはりどなたか御発言いただいた方がいいと思うのですが。

○河上委員長 むしろ山口委員、いかがですか。

○山口委員長代理 いや、私は非常に迷っておりますので。

○河上委員長 では、細川委員、どうぞ。

○細川委員 直接そういう結論というわけではないですけれども、国民生活センターが1970年(昭和45年)にできたときに、マスコミは、消費者の殿堂ができたというような記事を出したわけです。そのときにすごく評価されたのは、事業者と消費者と行政が顔を突き合わせて議論できる場ができたところが非常に新しいと。それまでは対立型で、意見の交換もなかった中で、「消費者問題神戸会議」ができたときは三者合意ということが言われて、初めはこれについて批判もありましたけれども、三者で合意点を見いだしてよくしていく。その一つのセンターとして国民生活センターができたというところを、できたときに非常に高く評価されたわけです。
まさにそれがあるから、こうやって国民生活センターを思う人が多くて、ある意味国民生活センターの在野性のようなところが国民生活センターのよさだったと思うのです。事業者に対して文句を言うだけではなく、行政に対してもある程度フリーハンドで文句を言えるというところに国民生活センターのよさがあった。だからこそこれだけ、国民生活センターが行政機関になってしまうということに対して、多分、消費者庁の方も民主党政権も驚いていると思いますけれども、非常に抵抗が多いところなわけです。
そうした中で、消費者庁というのはまさに新たに消費者のためにつくった行政なのだから、そういう国民生活センターが消費者庁に入ることによって、消費者庁自体が、ある意味在野性と言うのか、国民・消費者のために新たな視点で行政を行う機関になるという意見と、一方で、国民生活センターは行政から距離を置いたところで仕事をしているからよさがあったのに、消費者庁に吸収されると、結局、今までの官僚の目線とか、そういうところに取り込まれてしまうのではないかという懸念の対立があります。それに対しての明確なシミュレーションというか、結論がないから、ここまで尾を引いているというのが私の考えです。
そういう意味で言うと、今、山口先生からもお話があったように、少しワンクッョン置いて、独立性の保障された消費者委員会の下での国民生活センターみたいな位置づけの方が、今までの国民生活センターのよさを反映できた上で、行政機関の中に入って活動できるのではないかという感じがします。今までの国民生活センターは、こういう言い方は変ですけれども、経済企画庁という、ちょっとボワッとした監督官庁の下の独法(その前は特殊法人ですが)、そういうところがあったがゆえに、ある程度監督を受けながらも自由にやれたというところがあるわけです。だけど、今の消費者庁というのは、前の経企庁、内閣府と違って法律も執行しています。そうすると、消費者庁の下に入ってしまうと、自由な意見、あるいは自由な要望は、施設等機関の長たる国民生活センターの、理事長と言うのか、所長と言うのか知りませんけれども、その人が自分の上司たる消費者庁長官に対して、消費者庁がすぐには対応できないようなことを要望するのは、なかなかつらいのではないか。結局どこかで規制がかかってしまうのではないか、そんな懸念もあります。そういう意味で言うと、消費者委員会をもう少し強化して、その下である程度自由にものを言い、それを受けて消費者委員会が建議するという構図の方が、行政機関に入れるという考えの中ではいいのではないかなと、そんなイメージを持っています。

○河上委員長 先ほど消費者委員会の委員間打合せをやったときに、消費者委員会が独立性を守るために一肌脱げということであれば、それはいとわないという意見も出たぐらいでして、消費者委員会としては、国センの機能維持に対してできるだけの支援をしたいと思いますが、何よりも、消費者の立場に立って最も効率的に動ける、そういう国センの理想像を追求していただきたいということでございます。
ほかによろしいですか。
それでは、そういうことでよろしくお願いいたします。本件につきましては、「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」で更に御議論されるとのことですので、委員会としても引き続き十分な議論をしていきたいと考えております。
消費者庁と国民生活センターにおかれましては、お忙しい中、委員会に御出席いただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 本日の議題は以上で終了いたしましたが、「製品事故情報の公表等に関する調査会」について、構成員及び座長の指名を行いたいと思います。製品事故情報の公表等に関する調査会につきましては、消費者委員会消費者安全専門調査会設置・運営規程第3条第1号に掲げる事項について、専門調査会の調査・審議を行うため、同規定第4条第1項に基づき設置されております。第1次消費者委員会の任期切れに伴い、本調査会の構成員についても任期が切れておりましたので、このたび、参考資料1に記載の消費者委員会委員3名につきまして、本調査会の構成員として審議に参画いただきたいと思います。
また、同規定第4条第4項に基づき、調査会の座長は委員長が指名することになっておりますので、夏目智子委員に座長をお願いしたいと思います。
なお、本調査会につきましては、消費者庁と協議した結果、平成24年4月以降は、消費者庁の下の検討会に引き継ぐ予定となっております。
最後に、事務局から、今後の予定について説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回の委員会ですけれども、今週金曜日、12月2日の16時からを予定しております。
議題としましては、「食品表示の一元化について」、糸田省吾全国公正取引協議会連合会副会長からのヒアリングを予定しております。また、消費者基本計画の検証・評価・監視といたしまして、食品表示一元化及び法執行に関する施策の関係省庁ヒアリングを行う予定です。

○河上委員長 本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをありがとうございました。

(以上)