第68回 消費者委員会 議事録

日時

2011年8月30日(火)10:00~10:50

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者委員会のこれまでの活動と今後について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:7KB)
【資料1】 平成22~23 年度消費者委員会活動報告(案)
本文 表紙から26ページ(PDF形式:398KB)
資料
目次 27から30ページ(PDF形式:554KB) / 31から69ページ(PDF形式:997KB) / 70から110ページ(PDF形式:857KB)
111から123ページ(PDF形式:1206KB) / 124から140ページ(PDF形式:1176KB) / 141から160ページ(PDF形式:1020KB)
161から169ページ(PDF形式:782KB) / 170から181ページ(PDF形式:1131KB) / 182から194ページ(PDF形式:722KB)
195から216ページ(PDF形式:753KB) / 217から253ページ(PDF形式:833KB) / 254から258ページ(PDF形式:378KB)
259から263ページ(PDF形式:670KB) / 264から269ページ(PDF形式:697KB) / 270から275ページ(PDF形式:953KB)
276から283ページ(PDF形式:601KB) / 284から297ページ(PDF形式:781KB) / 298から305ページ(PDF形式:835KB)
306から308ページ(PDF形式:565KB) / 309から311ページ(PDF形式:685KB) / 312ページ(PDF形式:378KB)
313から362ページ(PDF形式:1009KB) / 363から377ページ(PDF形式:729KB)
【資料2】 消費者委員会のこれまでの活動と今後について(消費者委員会各委員より)(PDF形式:33KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。本日は皆様、ちょっと変則的で火曜日の午前ですけれども、朝早くお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会(第68回)」の会合、第1次の消費者委員会としては最後の委員会になりますけれども、開催させていただきたいと思います。
それでは、松本委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.消費者委員会のこれまでの活動と今後について≫

○松本委員長 おはようございます。それでは、議題に入ります。
本日の議題は、「消費者委員会のこれまでの活動と今後について」です。消費者庁及び消費者委員会設置法に基づきまして、消費者委員会が平成21年の9月1日に発足してからちょうど2年を迎えようとしております。昨年9月の第34回の消費者委員会におきまして、発足からの1年間の活動について御報告をしているところですが、昨年9月以降、本日までの1年間の活動につきまして、昨年に引き続き、「活動報告(案)」を作成しております。本日は、この活動報告案について事務局から説明をいただき、その後、意見を委員から出していただきたいと思います。
なお、消費者委員会のこれまでの活動と今後につきまして、各委員より事前にいただいた御意見につきましては、資料2として配付しております。
それでは、活動報告案について、事務局より説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料1として、「平成22~23年度消費者委員会活動報告(案)」というのがございます。それから分厚い資料、これは参考ということで、実際にはこれを付けて合本した形で報告書の体裁にしたいと思います。
それでは、資料1に基づきまして簡単に御説明させていただきたいと思います。
開いていただきますと、目次がございます。それから、「はじめに」ということで委員長の巻頭言をちょうだいしております。
「第1章 消費者委員会について」「第2章 平成22~23年度の消費者委員会の取り組み」、2ページですが、「2.部会・専門調査会等における審議」「3.調査等」「4.外部との意見交換、外部への情報発信」としております。それで資料を最後にお付けするということになります。
3ページからが本文になります。「はじめに」ということで松本委員長の巻頭言をいただいておりますが、これについては後ほど委員長からも御説明があるかと思いますので、内容については割愛させていただいて、7ページからが第1章です。
第1章は「消費者委員会について」です。後段のところですけれども、この1年間、消費者委員会の会合は35回、部会・専門調査会等については、2つの部会、6つの専門調査会、4つの調査会の合計で78回開催したほか、委員の間の意見交換等を行う委員間打合せを39回開催しております。
真ん中の段落から「第2章 平成22~23年度の消費者委員会の取り組み」ということで、「1.委員会会合 (1)総論」ということで、通算68回の委員会会合を開催したことを記載しております。
(2)から「主な審議事項」ですが、マル1といたしまして「消費者基本計画の検証・評価・監視について」ということで、8ページにかけましてその作業について書いております。8ページの(i)のところで、昨年3月の末に第1期の消費者基本計画を策定しておりますけれども、これについての検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングを行っております。
どういうふうに行ったかということを書いておりますけれども、平成22年5月から6月にかけて第1期のヒアリング、10月から12月にかけて第2期のヒアリング、平成23年、今年に入りまして、5月から6月にかけて第3期のヒアリングを行っております。具体的には、消費者委員会で昨年、消費者基本計画をまとめるに当たりまして、「消費者基本計画策定に向けての意見」に掲げられました重要施策10項目、これは、今の委員会として重要だと考えている施策を10項目グルーピングをいたしまして、それに関連する施策を中心にヒアリングを行っております。
(ii)の「消費者基本計画の検証・評価及び見直しについて」というところですが、消費者庁における「検証・評価」、見直し作業について、これらのヒアリングを中心に御意見を申し上げて、第61回の委員会、7月8日に開かれました委員会において、消費者庁より取りまとめの御報告があったところです。
マル2といたしまして、「消費者委員会からの建議」です。1つ目は「有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議」、9ページに入りまして、2つ目、「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」、3つ目、「マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議」、10ページに入りまして、4つ目、「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」、5つ目、「住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての建議」、これは先日、8月26日の消費者委員会で建議をとり行ったものです。
10ページの下の段、マル3として、「消費者委員会からの意見表明等」。建議に限らず多数の意見表明を行っております。これについても御紹介したいと思います。
11ページに入りまして、1つ目、「決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害対策に関する提言」、2つ目、「特定保健用食品の表示許可制度についての提言」、3つ目、「消費者契約法の改正に向けた検討についての提言」、4つ目、「『消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告』に関する意見」、これは複数回行っております。5つ目、「公益通報者保護制度の見直しについての意見」、6つ目、「国民生活センターの在り方に関する意見」、13ページに入りまして、7つ目、「原料原産地表示拡大の進め方についての意見」、8つ目、「健康食品の表示の在り方についての中間整理」、9つ目、「集団的消費者被害救済制度の今後の検討に向けての意見」、14ページに入りますが、10番目、「個人情報保護制度について」を取りまとめております。
マル4として、「諮問を受けて答申を行った事項等」です。諮問を受けて答申を行うことも消費者委員会の機能としては重要なものでございまして、特定保健用食品の表示許可、家庭用品品質表示法に基づく表示の標準の改正、食品の品質表示基準の改正、特定商取引に関する法律施行令の一部改正などについて、答申を行っております。
マル5ですけれども、「消費者委員会からの建議・意見表明等に関するフォローアップ」も今年度は実施しております。これは昨年度行いましたが、1つ目として、「自動車リコール制度に関する建議のフォローアップ」を行っております。2つ目、「有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議のフォローアップ」、15ページに入りまして、3つ目、「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議のフォローアップ」、4つ目、「マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議のフォローアップ」、これも前年度になりますけれども、5つ目、「未公開株等投資詐欺被害対策について(提言)のフォローアップ」を行っております。
16ページに入りまして、これも前年度の提言ですけれども、「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言のフォローアップ」、「決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害対策に関する提言のフォローアップ」を行っています。順次、これらについては各省庁で御対応をいただいていることがわかっておりまして、消費者委員会の活動も成果を上げているということが言えるのではないかと思います。
マル6が「その他」ですけれども、今年3月11日、東日本大震災が起こりました。これについて、消費者委員会としても何ができるかというところは考えるところですけれども、消費者庁からのヒアリングなどを行っております。
17ページに入りまして、「2.部会・専門調査会等における審議」です。(1)として「新開発食品調査部会」、その下に置かれています第一調査会、第二調査会。(2)として「食品表示部会」、その下で「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会」。19ページに入りまして、「消費者安全専門調査会」、その下に置かれました「製品事故情報の公表等に関する調査会」、20ページに入りまして、「地方消費者行政専門調査会」「公益通報者保護専門調査会」「個人情報保護専門調査会」、21ページに入りまして、「集団的消費者被害救済制度専門調査会」「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」を行っております。
22ページに入ります。「3.調査等」というのを行っておりますが、内容については読み上げるだけで割愛させていただきます。
「有料老人ホームの契約に関する実態調査」「消費生活相談に関する実態調査」「『マンションの悪質な勧誘』に関する実態調査」、23ページに入りまして、「国民生活センターの在り方の見直しに係る調査」「消費者行政体制の一層の強化に向けた検討」、24ページに入りまして、「住宅リフォームに関する消費者問題への取組についての実態調査」ということで、これらは先ほどの建議、提言に結びついた調査になっております。
4ポツとして「外部との意見交換、外部への情報発信」を列挙しております。2つ目の段落のところに書いておりますけれども、この1年間で120件余りの要望書と意見書をいただいています。これについては感謝申し上げたいと思います。取り上げられない事項もございましたけれども、消費者の声には耳を傾けたいということで大変感謝しております。
情報発信については、消費者委員会の活動を振り返ると弱い部分でありましたので、これについては、強化をしていく必要があるのではないかと考えております。
参考資料として、資料編を付けておりますけれども、前年度に比べると3倍のボリュームになっておりまして、活動もそれぐらいの重みをもってやってきたというふうに考えております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、委員の皆様から、この1年間のただいまの活動報告を踏まえ、あるいは2年間の我々の活動を踏まえて、御意見をお出しいただきたいと思います。
順番ですから、川戸委員からいきたいと思います。よろしくお願いします。

○川戸委員 消費者行政推進会議のときからこちらの消費者委員会をそのまま続けて、行革の立場から、どんなふうに新しい組織ができるのかな、また、つくりたいなというのをやってまいりました。この2年間いろいろなことがありましたけれども、一番反省しなければいけないのは、消費者庁と消費者委員会と国民生活センター、この役割が余り明確でなかったゆえに、2年目の最後になって、消費者庁と国民生活センターを一元化しようなんていう問題が起こってきたのかなと思っております。
それと同時に、事務局の皆さん方いろいろ御苦労なさいまして、建議もたくさん出してくださった。それにしても、もっといろいろ言いたいことがたくさんあって、建議もしたかったのですけれども、それをきちんと調査をして、資料を整理して、建議まで持っていっていただけるような事務局の機能の強化といいますか、そこのところが弱体化、というより、もともと少ない人数で始めたものですから、こういうところを次のときには機能強化をして、やはり世間に認められる消費者委員会と。だれに聞いても「消費者庁の下部組織?」と言われるような状態では、どうしようもありません。今回、こういう評価が出たわけですから、それに応えるような消費者委員会の事務局の機能強化、と同時に、最後に書いてありましたように発信力の強化、この2つが2期目の消費者委員会の課題だと思います。
それにしてもこの2年間、消費者のためにと思ってやってまいりました。拙い仕事ぶりで、政権交代などの政治状況もありまして、この委員会にもなかなか参加できませんでしたけれども、そういうことで総括とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 2年間活動させていただきまして、非常に得難い経験をさせていただいたことに感謝しております。私の意見は既に書類にして出しておりますけれども、少し感想を述べさせていただきたいと思います。
まず、この消費者委員会は、行政の組織のなかでは、完全に民間出身の委員で構成されているというところに最大の特徴があると思います。そういう面で、民間から委員が集まっていることのパワーなり、それを踏まえた意見を出せたかどうかということに関しては、大きな行政の組織の中でなかなか埋没しがちであった、というのが正直な感想です。先ほど川戸委員も申されたとおり、埋没する状況を打破するためにやはりもう少し事務局としての体裁を整えないことには、強化という以前の段階ではないかと思います。仕事をするのに、大変な労苦を強いる事務局機能、スタッフになっているのではないかと思います。ほとんどの人が民間からの出向のスタッフでやっている事実を政府の方は本当に知っているのかと感じました。
2つ目は、これは私自身のことですけれども、私は事業を経営してきた者の立場で、今までの私自身の知識なり経験を持っているわけですが、委員会で、本当に長年、消費者問題に関心を持ってこられた多種多様な方の御意見を聞くことによって、私自身も視野が大変広くなりましたし、いろいろな考えを聞くことができて、感謝にたえないと感じております。
3つ目が、今後への期待です。私は委員会でも再三申し上げましたが、消費者と事業者は対立する関係ではなく、相携えて健全な関係をどうやって築いていくかということを常に考えていくことが、日本の発展のために非常に大事なことだと思います。このような意味での消費者委員会という立場を保ちつつ、ますますこの委員会が新しい組織として、あるいは民間の組織として、国民から、良かったというように評価されることを期待もしたいと思いますし、応援もしていきたいと思います。
以上であります。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 この2年間は、山あり谷ありの本当に厳しい2年間でもありました。どのようにしたら消費者の声を反映できるかということを委員みんなで検討しながら、一生懸命努めてきたつもりであります。消費者委員会は、池田委員がおっしゃったように、私たち委員はすべて民間でありまして、霞が関では当たり前と言われていることでも、私たちには当たり前でないことがあります。その壁を、いかに突き破り、分かりやすくするかということにも努力してきたつもりです。私は個人的に心残りな点が3点あります。
1つは、こんにゃく入りゼリーの問題がきちんと解決できなかった。2つ目としましては、いわゆる健康食品の表示に関するテーマを取り上げたのですが、時間との関係上、実態調査ができず中間整理に終わってしまったこと。3つ目は、消費者庁、国民生活センター、消費者委員会の役割分担、どのようにすれば消費者行政が充実できるのかということを検討する時間がなかった。この3点であります。
今後の大きなテーマとしては、私は放射能汚染の問題だと思っています。特に安全問題については、これから10年、20年と長い間、大きな消費者問題となるでしょう。私たちもそれを消費者団体として取り上げていきたいと思っています。これらの問題を次期の消費者委員会の方々には、消費者の立場に立って消費者目線できちんと取り組んでいただきたいと思います。2年間といっても、まだ本当にスタートしたばかりで手探り状態であります。私が望みたいのは、消費者委員会の委員自らがつくる委員会であってほしいということ。そのことを今後の委員の方々に期待したいと思います。
以上です。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 中村雅人です。私どもは、消費者行政を変えるためにもう20年がかりで日弁連や消費者団体と取り組んできて、ようやく国会審議を経て消費者庁・消費者委員会という消費者目線で行政を行う新しい機関ができて、まさに夢と希望を持ってここに立ったわけですが、2年たってみて、この制度ができてよかったと思う点と、勿論、反省点があります。別紙の私の意見でも書きましたけれども、消費者委員会が自ら調査をして、いろいろな役所がいろいろな情報を持っているのを引っ張り出す。特に私は、実際に事務局の皆さんと一緒に現地調査、報告書作成、建議案作成その他をやった自動車リコールの中で、日本の行政というのはいかに国民の知らないたくさんの情報を持っているかということがよくわかりました。ですから、それを皆さん方に伝えて、できるだけ国民と行政も情報を共有すべきだということでリコール建議を出しました。そういう建議の影響というのは確実に出ておりまして、だいぶ変わりつつあります。6本の建議をこの2年間にやりましたけれども、ちゃんと法律の改正や制度改正にそれぞれがつながっていっているわけです。実を結んでいるわけです。消費者庁・消費者委員会ができる以前の3年以前には日本にはこういうことがなかった。そういう意味では、消費者庁・消費者委員会ができて、消費者委員会が調査、建議をすれば、消費者目線で日本の法律や制度が変わっていくんだということを実験できたというか、実に体験できた。
そういう意味では、消費者委員会制度の創設というのは、日本の国民、日本の国にとって大変ハッピーだったというふうに思っています。これを、この先またずっと続けていっていただかなければいけないのですが、ここに課題が幾つか見えてきています。別紙に書いているので一々述べませんけれども、ここに書いていないことでつけ加えるとしたら、一つは、消費者委員会は非常に広報が弱い。これはもとの原稿に書いていたのですけれども、量が多すぎるといってカットされました。常時、ホームページ上からも国民が声を投げ入れて、それにこちらがアンサーできるぐらいのところがほしいのです。消費者委員会のホームページを開くと、皆さんの声をお聞かせくださいというコーナーがあるのですが、直接入力できるところまでまだいっていないわけです。そういうところは、今後、改善しなければいけない。そういうことのやり取りによって消費者委員会の存在がもっと知られることにもなると思います。
もう一つ、2年前までは、毎日のように消費者団体、弁護士会などが政治家と折衝して制度づくりをやってきた。ところが、できてしまった後、消費者団体も弁護士会もその辺が手薄になったというか、当時、一生懸命頑張った政治家も天上人になってしまって、なかなかお会いできる機会もなくなった。そのことがこの2年間、消費者行政でいろいろ問題が起こったり、議論すべきことが置いていかれたりというところにあらわれていると思います。今後は、政治家にもっと消費者行政に関心を持ってもらうように、消費者団体、弁護士会等々、それから、この消費者委員会そのものが、もう少し政治家にコミットすることを心がける必要があると思います。
いずれにしましても、この2年間で、最初の道は、細々かもしれないけれども、つくりました。今後の2期以降は、その道を歩くという意味では簡単かもしれませんけれども、維持・発展するという意味ではこれから非常に責任が重いと思います。残られる皆さんにはその辺を自覚していただいて、維持・発展に力を注いでいただきたいと思います。下手すると逆風が吹いてきて、この委員会も国民生活センターみたいなことになりかねませんので、その辺を肝に銘じて、2期以降、維持・発展の方向で頑張っていただきたいと思います。2年間、どうもお世話になりました。ありがとうございました。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 下谷内でございます。2年間、お世話になりました。私もこの2年間は、一生懸命私たちが長年検討してまいりました意見を言ってまいりました。消費者庁や消費者委員会ができましたときに、私たち相談員は非常に喜びをもってこれを迎えたわけです。そして、新たに消費者委員会は、全員が民間の委員であって、事務方も、民間の人がほとんどというような新しい組織ができた。それはそれなりに何とか頑張れるのだろうというふうに、すごい期待をしておりました。その中で、私はやはり相談員の出身でございますので、地方消費者行政、相談員の処遇等につきまして国会でも審議されましたので、どのような形でそれに応えていって消費者被害の救済ができるか、公正な救済ができるかということで、2年間、頑張ってきたつもりです。多くの課題がありました。それは一つひとつが皆消費者の被害に結びつくものがあったわけです。その中でどうあるべきかということで、わずかではございますが、意見も言いながら皆さんと一緒に活動してまいりました。
ただ、この2年間を振り返ってみますと、私たちも一生懸命やりました。事務方も一生懸命やっていただきました。でも、予算がついていない、人材がいないというところにつきましては、事務方にはもう少し、今後、大きな目を向けてもらいたいなというふうに思っております。
一つ残念なのは、私どもの消費者担当大臣というのが、毎回いくつも兼任の一つで、一生懸命やってくださった方もいらっしゃるのですけれども、なかなか端っこの方に置かれております。消費者庁・消費者委員会という新しい組織をつくったにもかかわらず、大臣が何だかよくわからないし、消費者庁と消費者委員会を兼任されているというのもよくわからない。今後、消費者大臣は、もう少し前へ出てきていただけるような方を選んでいただける運動もしなくてはいけないのかなと。そのために、やはりこの消費者委員会はいろいろな形でPRをしていかなくてはいけない。そして、活動も重くなってくるのではないかなと思っています。この2年間で私たちは建議を6本出しましたし、先ほど事務局長の説明もありましたし、委員長の説明もありましたが、多くの活動をやってまいりました。次期の方たちには、それを踏まえて大きな活動をお願いしたいと思っております。
そして、私は非常に力になりましたのは、そこにも書きましたのですが、多くの傍聴の方々が来ていただいたことに非常に励まされました。やはり傍聴を受けるということは、それが消費者だけではなく、事業者の方だとかいろいろな方たちがお見えになっていました、そうすることによって委員会の活動も責任が重く、そして活発な活動もできたのではないかと思って、非常に感謝申し上げております。今後も私も応援してまいりたいと思いますので、この2年間、更なる活動がされるように消費者委員会に期待したいと思います。ありがとうございました。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 田島でございます。私は、食品表示部会、新開発食品部会という、いわゆる諮問型の業務を行う部会の運営を担当させていただきました。どちらの部会も、諮問を受けて粛々と業務を遂行できたことはよかったと思っております。それから、両調査会の下部機関であります、例えば特定保健用食品の表示許可制度、原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会、この2つについてもかかわることができました。どちらもそれなりの答申ができたことはよかったことだと思います。ただ、原料原産地表示の拡大につきましては、いわゆる表示の一元化を待って実施するということで、いわば先送りということになってしまったのは残念だと思っております。
何よりも残念に思っているのは、先ほど佐野委員も言いましたけれども、こんにゃく入りゼリーの問題に解決を見なかったことであります。こんにゃく入りゼリーは、消費者委員会の発足した当初から話題になっておりまして、厚生労働省あるいは消費者庁にヒアリング等を行いましたけれども、何ら進展が見られなかったというのは非常に残念でございます。例えば消費者委員会が、消費者庁あるいは農林水産省ともう少し連携を持って事の解決に当たれば、何とかなったのではないかなと。消費者委員会だけで何かするというのは、ちょっと力不足だということを深く痛感しております。こんにゃく入りゼリー問題は、次期委員会でも引き続き検討していただければと思っております。
2年間、私自身にとっても消費者委員会の活動というのは勉強になりました。どうもありがとうございました。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 手探り状態でのスタートであったと思いました。ですけれども、今日的な消費者問題についてはすべて取り上げることができたのではないかと思っております。その中で、人材が少ない事務局が調査活動に大変熱心に時間を割いてくださったということで、事務局の努力を多としたいと思います。
ただ、私自身は、企業、NPO、地方消費者行政等さまざまな組織にかかわっているのですけれども、この消費者委員会が一番ストレスを感じる組織でありました。詳しくは申しませんけれども、ISOではSR26000という規格ができて、松本先生はその規格成立にかかわっていらして大変お詳しいのですけれども、いわゆるCSRのC(コーポレート)が抜けてSRということになった。これは、企業だけではなく、あらゆる組織が守るべき社会的な責任、規範であるという位置づけで成立したと聞いております。企業の中ではコンプライアンスをはじめ、CSRの取り組みはかなり積極的に行われているわけです。そういうところから見ると、行政組織がここが一番不足をしている。ですから、是非、SR26000で何が書かれているのかということをよく理解していただいて、あらゆる行政組織の中にこの考え方が取り入れられていくことになると、もう少し道理が通るといいますか、正義が通るといいますか、当たり前のことが通っていく、論理が通る組織になっていくのではないかと期待しております。
今後ですけれども、やってきたことの中で一番抜けていたのは消費者教育だと思っています。食品の安全の問題、今回の放射性物質による汚染の問題についても、消費者教育をもっともっとしないと正確な情報が理解されにくい。非常にあいまいな情報にのっかって、さまざまな少し的外れな要求がなされる。その的外れな要求にのっとって規制が必要以上に強化される、という悪循環を生み出している面があると思います。消費者教育に、次期の消費者委員会のところでは積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
2年間、大変お世話になりました。ありがとうございました。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私自身は、まさかこういうところに座ることになると夢にも思っていませんでしたし、今でも非常に座り心地が悪く感じております。ほかの委員と75日遅れで就任いたしまして、それ以来ずっと、「私はここにいるべきじゃない」と思いつつ委員としております。私自身は、目の前の消費者の被害をどうするのか、今ここにある被害をどうやったら少しでも減らせるのか、少しでも早くまた多く被害を回復するためにどうしたらいいのか、という視点で常に考えてきたつもりですし、委員の方々にもそうあってほしいなと思います。いろいろ言ってもしょうがないので、これからのことについて3つ具体的なことを希望したいと思います。
1つは、委員間協議が少なかったのではないか。しかも、委員間協議で何をテーマとして議論するのかということについて、委員が自ら発信して、これをやろうよ、あれをやろうよ、じゃあそのためにどうしようかとするのではなく、どちらかといえば事務局がセットしたテーマ設定に沿って、勿論、委員の意見を踏まえながらではありますが、限られた週1回の2時間だけでテーマ設定をして、議論して何かしていくというのは、やはりこれは無理だと思います。委員全員が参加できないとしても、出られる委員が出て、率直に、もっと肝胆相照らしながら、本音の議論をしながらつくり上げていくということが必要ではないかと思います。
2番目に、そういう観点からすると、安全分野、取引分野、その他、大きなテーマについてはチーム分けをして、10人そろってしか委員間協議ができないという杓子定規なことではなくて、もっと臨機応変な運営を考えるべきではないか。
3番目は、専門委員。例えば放射能の問題一つとっても、あるいは他の問題をとっても、専門のこの分野に詳しい、かつ、いろんな知見を持っていらっしゃる方がおられるわけですから、そういう人を人選して、そういう人に協力を求めながら運営していく。決済代行では、それに詳しい弁護士の意見を1、2回聞いたことがありますが、それ以外はほとんどそういう形の運営の仕方はできませんでした。是非、今後はそういう専門委員の知見を活用するような運営を考えていただきたいと思います。
私はこの委員会があったからこそできたことが幾つかありますが、その実現のためには、やはり広い支援と協力の輪を意識的につくっていかないと、「また委員会がきれいごと言ってる」と、ほかの役所が受けとめるような状況では、結局、委員会としては成り立たないと思います。勿論、多くの被害者、あるいは市民、消費者の声をくみ上げて、それを説得力をもって言っていく。あるいは先ほど傍聴の話もありましたけれども、傍聴する気になるような議論のテーマ、傍聴や討議を呼びかけるということを意識的にしていく必要があるし、先ほど中村さんもおっしゃったような広報の努力も必要だと思います。
私は、次年度、勝手に希望を言っておきますと、地方消費者行政をどう強化するのかということ。インターネット絡みの被害をどう抑止するのかということ。美容・医療、エステなどの消費者被害をどう抑止するのかということ。放射能や健康食品、こんにゃく入りゼリーなど、食の安全のことをどういうふうにやっていくのかということ。あるいは、消費者事故の被害原因究明の在り方など、やるべきテーマはたくさんありますし、今後もやってほしいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後に一言だけ。委員選任の在り方です。正直言いまして、9月1日からだれが委員になってどういうふうな運営になるのか、さっぱりわからないという状況がございます。2年前は、たしか7月ごろから準備が始まっていろいろな議論があったかと思います。2年後の話になるのかもしれませんけれども、もう少しオープンな議論の中で、誰がいい彼がいいというのもまた、いろいろあるかもしれませんが、もう少しオープンな人選の過程ができないのかなと思います。
以上です。

○松本委員長 どうもありがとうございました。さまざまな観点から2年間を振り返っていただいたと思います。我々、2年前にスタートしたときは本当にゼロから始めました。スタッフも定員内職員はわずか2人しかいなくて、あとはすべて民間からの助っ人のような形であった。更に、委員会をどのように運営していくのかということについてのコンセンサスもなしに、試行錯誤的に行ってまいりました。
1年目と2年目を比べますと、消費者委員会としての本来的機能であるところの、自ら課題を取り上げて調査・審議の上、意見を発信するという部分につきましては、単純計算で2.6倍の意見を発信できております。本日お配りしております資料は、1年前に最初の1年分を総括した資料のほぼ3倍の分量になっているわけで、そういう点から考えても、1年目と2年目を比べると、2.5~3倍程度の活動ができたのではないかと思います。つまり1年目の試行錯誤から、2年目で、やり方等について一つのスタイルができてきたということ。それから、専門調査会等で審議をお願いしておりました課題がそれぞれまとまってきて、それを踏まえて消費者委員会としての建議や提言等につなげることができたことも、2年目の成果の理由になるかと思います。
ただし、かなりいろいろなテーマを取り上げましたが、まだ途中段階になっているもの、中間的な整理にとどまっているもの、あるいは、今後更にこういう点について検討が必要だという形のまとめになっているものが幾つかございます。また、消費生活センターでの相談件数が多いケースについて取り上げようということで計画をしていたけれども、時間が足りないので取り上げることができなかったテーマとして、例えば留学あっせんの問題とか、美容・医療等の問題もございます。これらについてきちんと取り上げることができなかったというのは、誠に残念に思っております。
理由は、端的にスタッフ不足ということになるかと思います。人員がほとんど増えていないということです。委員が集まって言いたいことを言っているだけでは全く力にならないと思います。きちんとした調査・分析に基づいて、ここが問題だから、ここをこういうふうにすればこうなるのではないかといった説得力のある意見を出さないと、単に井戸端会議に終わっている消費者委員会では全く無力であると思います。そういう意味で、きちんとした調査ができる部隊、委員会あるいは調査会の審議を支えるデータをきちんと収集して、提供して、議論を下支えできる事務局スタッフがたくさんいることが委員会の活動の活性化の不可欠の原因だと思います。しかし、残念ながら、政府の消費者委員会に対する評価は余り高くなくて、国会が全会一致で消費者委員会の監視機能を強調しているにもかかわらず、その監視機能を支える事務局スタッフの増員については非常に冷たい評価をしてきていることは、我々としては大変遺憾に感じているところです。第2期の委員会が一体どういうふうになるのか全くわかりませんけれども、国会の付託に応えて、監視機能をきちんと発揮できる体制をとっていただきたいと思います。
特に委員の皆様でつけ加えるべきことはございますか。よろしいでしょうか。

≪3.閉会≫

○松本委員長 それでは、本日の議題は以上でございますが、事務局より、この後の予定等について御説明をお願いします。

○原事務局長 ありがとうございました。予定よりちょっと早く終わりましたけれども、委員会終了後、11時ごろを目途で、この部屋において、社団法人日本経済団体連合会、全国消費者行政ウォッチねっと、全国消費者団体連絡会、日本司法書士会連合会、日本弁護士連合会の方々との意見交換会を行う予定です。
引き続き意見交換会も傍聴される方につきましては、この部屋にお残りいただければと思います。資料は意見交換会の傍聴券と引き換えに受付でお渡しいたします。
それから、明日、31日になりますけれども、15時30分を目途で、消費者庁記者会見室におきまして松本委員長の記者会見を予定しております。
それから、私からも一言ですけれども、この2年間、本当に膨大な調査、打ち合わせ、審議をいただきまして、ありがとうございました。第1期の消費者委員会の委員というのは、多分、一日も頭から消費者委員会のことが離れることはなかったと思うぐらい御協力をいただいております。組織としても本当に手探りのところがございまして、ものを言っていく組織というものの運営の難しさも感じておりまして、先ほど日和佐委員がおっしゃられたようなことも、私も感じるところがございます。
組織としても手探りでしたけれども、委員会としての一定の道筋は、この2年間で示せたのではないかというふうに思っております。今後とも、委員の皆様方におかれましても御協力をどうぞよろしくお願いしたいと思います。
事務局からは以上です。

○山口委員 最後に、松本委員長にお礼を申し上げたいと思います。私自身は委員長に何回も食ってかかって、いろいろなお願いをいたしました。それも委員長が、本当にすぐれた知見と見識と幅広い経験に基づいて、だめなものはだめ、取り入れるべきものは取り入れるということでやっていただけると思ったので、比較的遠慮なしにいろいろなことを申し上げました。時には失礼なことも言ったかと思いますが、お許しください。
しかしながら、この2年間で前例のない委員会の一定の道筋ができましたのは、やはり委員長のおかげだと思います。ヒラの委員よりも委員長の責任は非常に重くて、大変な思いをされたことも種々聞いております。申し訳ないなと思いながら、それが役割だから受けとめてねと、冷たく受けとめていたわけですけれども、考えますと、委員長が委員の様々な意見を受けとめてやっていただいたことについては、本当に心から感謝申し上げ、ありがとうございました。それだけは一言申し述べさせていただきたいと思います。

○松本委員長 どうも過分な褒め言葉をいただきまして、ありがとうございました。
更に、委員の皆様、あるいは事務局の皆様に、この2年間の御協力を感謝いたしますとともに、消費者委員会に対して多くの意見をお寄せいただきました個人や団体、企業の皆様に対しても、お礼を申し上げたいと思います。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

○原事務局長 9月以降の日程につきましては、決まり次第、御連絡をさせていただきたいと思います。
それでは、11時からまた改めて開催いたしますので、しばらく御休憩ください。

(以上)