第65回 消費者委員会 議事録

日時

2011年8月12日(金)15:00~16:54

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、下谷内委員、田島委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  消費者安全課金児企画官
食品表示課増田課長
 厚生労働省  医薬食品局食品安全部企画情報課担当者
医薬食品局食品安全部基準審査課担当者
【事務局】
 原事務局長

議事次第

1.開会
2.原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告について
3.特定保健用食品の表示許可制度について
4.健康食品の表示の検討について
○出席者: 消費者庁    増田食品表示課長
5.こんにゃく入りゼリーについて
○説明者: 消費者庁  増田食品表示課長、金児消費者安全課企画官
厚生労働省  医薬食品局食品安全部企画情報課担当者
 医薬食品局食品安全部基準審査課担当者
6.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会報告書及び概要 【資料2】 特定保健用食品の表示許可制度についての提言(案)(PDF形式:10KB)
【資料3】 「健康食品の表示の在り方」に関する中間整理(たたき台)及び概要 【資料4】 「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言」フォローアップに係る関係省庁ヒアリング質問事項(PDF形式:13KB)
【資料5】 特定保健用食品の表示許可に係る答申書(PDF形式:246KB)
【参考資料1】 「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」報告書(抜粋)(PDF形式:149KB)
【参考資料2】 こんにゃく入りゼリー関連参考資料 【参考資料3】 委員間打合せ概要(PDF形式:10KB)
【追加資料】 原料原産地表示拡大の進め方についての意見(案)(PDF形式:10KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お暑いところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第65回)」の会合を開催いたします。
委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告について≫

○松本委員長 それでは、議題に入ります。
初めに、「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の報告について」です。原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会につきましては、本年1月に第1回の調査会を開催して以降、これまで6回にわたって御審議をいただき、報告書を取りまとめていただいております。本日は、田島座長より調査会の報告書について御説明をいただき、その後、消費者委員会としても意見表明を行いたいと思います。
それでは、田島座長から御説明をお願いいたします。

○田島委員 調査会の座長として報告書を取りまとめさせていただきましたので、まずは私から、「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会」報告書の概要について御説明をさせていただきます。
原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会につきましては、本年1月に第1回の調査会を開催して以降、これまでに合計6回にわたって審議をしていただき、去る7月6日の第6回の調査会におきまして報告書を取りまとめられました。昨年11月の第5回食品表示部会における審議過程で、部会委員より、「原料原産地表示の拡大をより進めるためには、義務対象品目を選定する際の基本的な考え方や対象品目の候補の選定方法等について、改めて議論をする必要があるのではないか」との意見がございました。そのことから部会に調査会が設置され、関係団体、事業者、学識経験者などからヒアリングを行うほか、現地調査を実施して、原料原産地表示の拡大に関して調査・審議するに当たり必要な専門事項について議論を行ってまいりました。
具体的には、約6か月にわたりまして、加工食品の原料原産地表示の義務対象品目を選定する際の基本的な考え方、原料原産地表示を義務づける際の基本的な要件の見直しの必要性、新たな要件を設定すべきかなどについて検討を行いました。この報告書では、JAS法に基づく現行の仕組みの下で原料原産地表示を拡大するための議論とともに、食品表示に関する一元的な法律の制定に向けた取り組みの中で、更に議論を深めるべき課題に分けて整理をしております。
今後、この報告書を受けまして、消費者庁におきまして、食品表示が消費者の商品選択に資するためのものであること、食品表示の根本的な意義を踏まえ、消費者、事業者等から意見も聞きつつ、新たに制定された法体系の下で現行のJAS法にとらわれない議論が行われ、その中で原料原産地表示の対象品目や選定方法等が改めて検討されることを期待したいと考えております。
なお、7月27日の第12回食品表示部会におきましては、現行のJAS法の下で原料原産地表示の拡大を進めていくための要件の見直しを行うことは難しい、ということが部会における共通した認識で、今後の検討については、消費者庁で進めている食品表示の一元的な法体系の在り方の検討の一環として、見直しの検討も含めて行うべきといった意見もありましたことを申し添えさせていただきます。
報告書の内容につきましては、事務局から説明させていただきます。

○原事務局長 それでは事務局から、資料1-2に従って、10分程度ですが、説明をさせていただきたいと思います。
資料1-2、タイトル「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会報告書(平成23年7月6日)」ということで表紙をつくっておりますけれども、中をあけていただくと目次になっております。「1、基本的な考え方の整理」「2、目的と進め方」「3、対象品目の要件Iの考え方について」「4、新たな表示方法の実効性について」「5、義務対象品目の選定方法について」ということで、1から5については、現行のJAS法の下での問題点、改善すべき点というところで整理をしております。6が「食品表示に関する一元的な法律の制定に向けた取り組みの中で、更に議論を深めるべき課題」ということで、大きく分けて2つの点から整理をしております。参考資料についてはそこに書いてあるとおりで、この紹介は割愛させていただきます。
本文ですが、1ページについては田島委員からも御説明がありましたので、2ページから少し内容を御紹介したいと思います。
2ページですが、「1.原料原産地表示に対する基本的な考え方の整理」。最初の3行に書いてありますように、加工食品の原料原産地表示は、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(以下、JAS法)に基づく品質表示基準を根拠として表示義務を課しております。
そこから続く段落で、JAS法における原産地表示の取り扱いについては、青果物の表示から始まっておりますけれども、平成12年に、すべての生鮮食品に原産地表示を義務づけることとされました。
他方、加工食品については、原材料の原産地の差異が製品の品質の差異に与える影響は必ずしも大きくないと考えられてきたことから、義務づけることとはされておりませんでしたけれども、原料調達先のグローバル化などが進展して、原産地に由来する原材料の品質が製品の品質に大きくかかわっているものについては、原料原産地表示を義務づけることとしてきております。
そして、JAS法は品質に関する適正な表示を行わせることによって消費者の商品選択に資することを目的とする法律であることから、本調査会では、同法の目的の範囲内で原料原産地表示を拡大する方策について取りまとめるとともに、消費者庁で進められている食品表示の一元的な法体系の在り方の議論の一環として、原料原産地表示の意義を含め、その議論に資する課題を提起する、としております。
「2.原料原産地表示の目的と進め方」ですが、(1)の目的のところは、JAS法は、消費者の商品選択に資することを目的として品質に関する表示を義務づけております。他方、食の安全・安心に対する消費者の関心の高まりを受け、「消費者の権利の尊重と自立の支援を」基本として、食品表示についてもどのように考えていくかということを検討すべきであろう、としております。
4ページに入りまして、「(2)進め方」ですが、マル1からマル4まで書いております。
マル1で指摘しておりますのは、原料原産地表示は商品選択をする際の重要な情報であるので、消費者が商品選択時に役立つものが求められるとしております。
マル2として、わかりやすい表示の重要性ということで、これは後段でも取り上げますけれども、この視点も落とすことができないということです。
マル3として国際規格との関連性ですが、御存じのように、食品衛生法並びにJAS法とも食品に係る法令及び通達は、国際食品規格(コーデックス規格)に準拠して制定しております。原料原産地表示についても同様で、これについては、過去に議論をされましたが、現在、作業は中止されている状況です。
マル4といたしまして、表示の実行可能性の確保というところです。JAS法に基づいて、虚偽の表示をした者は直罰の対象となるということでかなり厳しい規定がかかっております。そのこともあって、原料原産地表示の技術を検討するに当たっては、事業者にとって表示が実行可能なものである必要があることに留意すべきである。直罰の対象になるということで、その意味からも、過度に事業者負担になることは避けるべきであるということが指摘されました。
6ページは、3ポツといたしまして、義務対象品目の選定要件の考え方について再整理をしております。そこに対象品目の選定要件として要件Iと要件IIを掲げておりますけれども、「食品の表示に関する共同会議」(農林水産省と厚生労働省での共同の会議)の平成15年8月の報告書で、以下の要件Iと要件IIが定められております。
要件Iは、原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目のうち、要件IIといたしまして、製品の原材料のうち、単一の農畜水産物産の重量の割合が50%以上である商品と。この要件Iと要件IIを満たしたものというのでしょうか、それでこれまでも選定されてきたということがありますが、要件Iについては、JAS法の中での原料原産地表示ですと、どうしても品質というところから離れることができないということで、要件Iを外すことはできない。ただ、「要件Iは」と書いてあるものの一番最後のところですが、品質の概念とか定義とか、こういった辺りは変わってきているのではないかということで、まずは消費者庁において原料原産地表示に対する消費者の意識の変化等を調査した上で、「更に検討を進める必要がある」といたしました。
要件IIについては、重量の割合が50%以上であるというところで、これについては、49%だったらどうなのか、こういった%にどれだけの意味があるのか、というのは御意見としてはよく出されているところです。では何%にすれば適正なのかという話でもなく、7ページの上の行に書いておりますが、例えば原産地を強調して表示している商品や冠商品に着目することや、原材料の重量に占める割合が多い順に幾つかの主要原材料を対象とすること、重量に占める主要原材料の割合が一定以上の商品を対象とすることなど、さまざまなことを組み合わせた新たな要件を検討することも考えられる、というふうにいたしました。
「4.新たな表示方法の実効性について」は、これは共同会議でも示されたものですが、マル1切り替え産地を列挙する可能性表示、マル2「国産」・「外国産」または「輸入」といった大括り表示、マル3 輸入中間加工品の原産地表示の方法の導入の案が挙げられました。これについても調査会で議論いたしましたが、どちらがいいという賛否まで出てくるというか、まとまるところまではいきませんでした。さまざまな工夫の中の選択肢としては考えられるだろうというところになっております。
8ページに入ります。「5.原料原産地表示義務対象品目の選定方法について」ということです。要件I、要件IIを満たしても、では何を優先的に取り上げていくかということですが、いろいろな工夫はされております。ただ、真ん中の段落、「他方」から始まっている行ですが、「他方、パブリックコメントを実施しても、原料農林水産物の生産者や食品事業者の要望は収れんしやすいが、消費者の多様な意見をまとめることは難しいとする指摘もあり、国民の意見を十分にくみ上げて意見をまとめていくためには、このような消費者意識にも留意して消費者アンケートを実施するなど、消費者の要望を把握するさまざまな工夫が必要であると考えられる」といたしました。
これまでもさまざまな工夫はされていますけれども、消費者の要望を吸い上げるというのは大変難しいというところです。一番下の段落に書いておりますが、消費者庁においては、これらの意見を踏まえ、消費者と事業者双方の要望がより反映される対象品目の選定方法について、更にさまざまな工夫を行うことを検討すべきである、としております。
9ページに移りまして、「6.食品表示に関する一元的な法律の制定に向けた取り組みの中で、更に議論を深めるべき課題」を掲げております。先ほど田島委員から御説明がありましたように、専門調査会では、JAS法の中で検討していくことについては限界があるだろうというところでは大方の委員の意見が一致したところです。食品表示の一元的な法律の制定に向けての議論が消費者庁で始まっておりますけれども、その検討に関連して、是非、原料原産地表示についても再整理をしていただきたいということで、出された意見をそこに列挙しております。読み上げたいと思います。
JAS法に基づく現行の仕組みの下で更なる品目拡大を図ることには限界がある。
原則としてすべての加工食品の原料の原産地を表示すべきであり、重量順に上位のものを義務化すべき。
「消費者の商品選択に資する」という趣旨を明確にすべき。
加工食品の原料原産地表示は義務化を原則とすべき。
食品のトレーサビリティ制度の検討とも連携すべき。
優良誤認についての考え方を整理すべき。
健康食品も含め議論すべき等の意見が、将来的な課題として提出されております。
食品表示の一元的な法体系の在り方の議論に関しては、このような観点も含め、食品表示が消費者の商品選択に資することも踏まえて、現行のJAS法にとらわれない幅広い議論が行われ、新たな法体系の下で改めて設定されることを期待する、というふうに取りまとめております。
事務局からは、ざっとではございますけれども、報告書の内容について説明させていただきました。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、どうぞ御意見のある方は御発言をください。
特にございませんでしょうか。それでは、田島座長からの調査会の御報告に関する審議は、これで終わります。
田島座長におかれましては、御多忙の中、調査会座長を務めていただき、また、報告書の取りまとめに御尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。
続きまして、消費者委員会としての本件についての意見表明につきまして、案を作成しておりますので、配付をお願いいたします。

(追加資料配付)

○松本委員長 それでは、ただいま配付いたしました「原料原産地表示拡大の進め方についての意見(案)」につきまして、田島委員より御説明をお願いいたします。

○田島委員 御説明させていただきます。「原料原産地表示拡大の進め方についての意見(案)」でございます。

(「追加資料」読み上げ)

以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、この意見案につきまして、どうぞ御意見のある方は御発言ください。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 この意見に賛成です。特に私たち消費者、食品、食べるものについては、これだけグローバルにいろいろなところから入っているとき、ただ単に品質だけの問題ではなく、賢い消費者が賢く選ぶというものの根本的なところ、私たちが選ぶ一番初めのところとして、食品表示をきちんとやっていただきたいと思っております。この意見書に賛成でございます。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
ございませんでしたら、この意見案で消費者委員会としては採択させていただきたいと思います。ありがとうございました。

≪3.特定保健用食品の表示許可制度について≫

○松本委員長 続きまして、「特定保健用食品の表示許可制度について」です。特定保健用食品の表示許可制度につきましては、昨年8月、消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」で取りまとめられた論点整理において、消費者委員会において更に検討が必要であるとされております。これにつきまして、消費者委員会の下に設置しています「特定保健用食品の表示許可制度専門調査会」において御審議をいただいており、第63回の消費者委員会におきまして、山田座長より専門調査会の報告をいただいたところです。本日は、この報告を受けまして消費者委員会として意見表明を行いたいと思います。
資料2として、「特定保健用食品の表示許可制度についての提言(案)」を配付しておりますので、再びでありますが、田島委員から御説明をお願いいたします。

○田島委員 御説明させていただきます。「特定保健用食品の表示許可制度についての提言(案)」でございます。

(「資料2」読み上げ)

以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました提言案につきまして、御意見のある方はどうぞ御発言ください。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 追加で発言させていただきます。特定保健用食品の更新制は、制度が発足した当初は存在していたのですが、それが立ち行かなかった大きな理由というのが、更新のためのデータを評価する体制が十分でなかったということが挙げられると思います。当時は特定保健用食品はまだ100、200ぐらいでしたけれども、今は1,000に達するというふうに数が増えております。ということで、更新制をとれるというのは大変いいことですけれども、果たしてその実効性が確保できるかどうかというのは非常に懸念しておりますので、どういった体制をとるのかというのを消費者庁で十分検討していただきたいということでございます。

○松本委員長 ほかに、御意見ございませんでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 これは前回、座長の報告の中でも発言させていただいたことなのですが、更新の審査の在り方ですけれども、またゼロから審査するということではなく、問題となった新しいデータ、その他を再チェックするというような更新制が前提になると思います。そういう観点からすると、この提言の中で審査体制の整備だけが書いてありますが、報告書の中で触れてありますのでそれでいいのですが、要するに更新の手続の中で何をどう審査するのか、というところの留意も当然ここに含まれているということでよろしいのでしょうか。

○田島委員 その点につきましては報告書で十分に触れておりますので、あえて提言の中では書き込まなかったということでございます。

○松本委員長 ほかにございませんか。
ございませんでしたら、この提言案を採択したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、この提言、そのもとになりました専門調査会の報告書に基づいて、消費者庁として具体的な制度設計を進めていっていただきたいと思います。

≪4.健康食品の表示の検討について≫

○松本委員長 続きまして、「健康食品の表示の検討について」です。つい先ほど議論いたしました、特定保健用食品の表示許可制度に続きまして、消費者庁の健康食品の表示に関する検討会の論点整理におきまして、「消費者委員会において更に検討が必要である」とされた2点目の課題であります。
健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組みについて、消費者委員会ではこれまで6回にわたって、有識者や関連団体からヒアリングを行い議論を行ってまいりました。資料3-1、3-2として、配付しておりますように、これまでの議論の「中間整理」のたたき台を作成しておりますので、本日はこれをもとに議論を行いたいと思います。
なお、本日は、消費者庁の食品表示課にも同席いただいております。
それでは、佐野委員から、中間整理のたたき台につきまして御説明をお願いいたします。

○佐野委員 では、資料3-2で説明させていただきます。今、委員長から背景は説明していただきましたので、まず、1ページの四角の中に4項目、消費者庁から消費者委員会に要請された検討課題を読み上げさせていただきます。
健康増進法・食品衛生法と景品表示法の連携による法執行力の強化、制度の拡充。
食品表示に関する一元的な法体系の在り方の検討と整合性をとりつつ、食品の機能性表示をめぐる制度の見直し。
消費者からの相談を受け付ける体制の整備。
消費者にアドバイスできる専門家の養成や情報を集約・提供する体制の整備。
この4つの課題を消費者委員会では検討してまいりましたが、東日本大震災などがありまして、本来やるべきであった、地方自治体、消費者、事業者のアンケート調査ができませんでしたので、次期の消費者委員会においてきちんと調査をし、運用面の改善または新しい制度の構築について具体化することが求められます。と同時に、私たちとしてはそれを期待したいと思います。
次のページをお願いいたします。「健康食品の表示をめぐる問題点」。消費者委員会としては、検討してきた中で大きくは4点、問題点があると考えております。
まず、「特定成分を抽出・濃縮・乾燥させた『錠剤・カプセル型食品』」。健康食品には法的定義はなく、「いわゆる健康食品」と称されるように、制度上は食品に含まれ、その規制も食品一般としての扱いがなされています。しかし、いわゆる健康食品を一般食品と区別して扱い、日常的に摂取している消費者が少なからず存在します。特に特定成分を抽出・濃縮・乾燥させた錠剤・カプセル型食品には、医薬品的な効能・効果を期待されるものが散見され、表示・安全性・販売方法などをめぐる問題点が指摘されます。
「(II)消費者を誤認させる広告・表示」。事業者の中には、健康食品の販売に当たって誇大に説明し、消費者を誤認させるセールストークや、それらと同様の広告・宣伝を実施している例があります。機能性を示す信頼性あるデータがないにもかかわらず、科学的データに基づき許可される医薬品と同様の効果があるように強調している例も見受けられます。最近では福島原子力発電所事故に伴い、放射性物質の流出・拡散に対して、「放射性物質を除去する」とか、「体内から取り除く」などと言って健康食品を勧誘・販売する事例も増加しています。
「(III)迅速・適正な法執行体制整備の遅れ」。誇大表示や誤認表示が、適正で効果的な法執行が実施されにくいことも健康食品の問題点とされています。迅速な規制措置や適正な法執行体制がとられていないのではないかとの消費者・国民の不信感が根強く存在しています。
「(IV)情報の収集・分析・提供の不十分性」。国民生活センターの情報では、健康食品をめぐる消費者相談件数は5年間で約8万件となってます。食品全体の苦情相談のうちの半分を占め、年間で約1万件を超える高い件数で推移しております。健康不安を覚える高齢者または子ども向け健康食品、そしてインターネット上の売買、規制のない個人輸入などの問題が指摘されています。被害防止には、消費者への適正・迅速な情報提供が必要だが、表示違反事例や健康被害事例についての情報収集・分析・提供体制は不十分なままであると言わざるを得ません。
これら4点の問題点を踏まえて、いただきました課題に沿って、更に検討を深めて具体化に向けて取り組むべき課題を整理いたしました。
まず、最初にいただきました検討課題、「健康増進法・食品衛生法と景品表示法の連携による法執行力の強化、制度の充実について」。健康食品の表示については、食品衛生法、健康増進法、景品表示法で誇大・誤認表示が禁止されています。しかし、各法の目的、権限などが異なっており、法執行の強化のために、これらの法律の運用体制整備へ向けた検討が必要です。
2番目、表示制度の見直しの一環として、健康食品の成分として使用できるものの範囲を見直すべきとする意見も提起されています。
3番目、食品衛生法を見直し、「表示」に加えて「広告」も規制対象に含めるべきとする意見もあり、今後、直罰化の拡大についても検討課題に含むべきです。
4番目、法執行に当たっては、国と地方公共団体との連携や、地方公共団体間の連携の在り方など、地方、消費者行政の充実強化の一環として、国としても早急に検討すべきです。
5番目、消費生活用製品安全法第52条の「内閣総理大臣等に対する申出」のように、消費者からの申出制度の導入・整備についても検討されるべきです。
6番目、消費者庁による事故情報の一元的収集の一環として、食品の事故情報に関する事業者からの報告義務化の必要性も指摘されています。事故情報の報告義務制度の検討に際しては、業界団体の自主規制・ガイドラインの策定・整備によるルール化なども併せて検討するべきです。
7番、薬事法や健康増進法違反の広告・表示について、一定の消費者団体に差止請求権を付与する仕組みの構築が必要との指摘もあります。現在、景品表示法等を対象とした消費者団体訴訟制度がありますが、薬事法への同制度の対象の拡大についても検討すべきです。
8番、インターネット上の健康食品の販売では、違反表示が目立ち、表示の適正化が急務となっています。業界ガイドラインの早急な策定と普及を図るとともに、法改正の是非を含む執行体制の強化を検討すべきです。
次に、2番目の検討課題に入ります。「食品表示に関する一元的な法体系の在り方の検討と整合性をとりつつ、食品の機能性表示をめぐる制度の見直しについて」、これに関しては大きく2つの項目に分けました。1つ目は錠剤・カプセル型食品についてです。
1番、錠剤・カプセル型のいわゆる「サプリメント」を対象にした表示の在り方については、表示の規制あるいはルール化の必要性について、検討を行うべきです。
2番、錠剤・カプセルだけでなく、粉状についても規制対象に加えるべきとの意見もあります。形状ではなく、「特定成分の抽出・濃縮・乾燥」など製造方法を対象にした方が実態に即しているとの指摘についても留意すべきです。
3番、含有成分について「届出制」を導入し、表示制度の整備を図る方策も提案されています。消費者への適切な情報提供を実施する観点から幅広く検討すべきです。
4番、警告・注意表示を導入する際、医薬品との併用についての注意表示や、特定の人への警告表示、摂取上の注意表示等も検討課題に含めるべきです。
5番、一方では、そのような注意表示が記載された食品を、そもそも食品の範囲に含めることには限界がある。錠剤・カプセル型食品を食品に含めると食生活教育を複雑にさせかねないので、食品の範疇から除外すべきだ、との意見があることにも配慮すべきです。
6番、食品から錠剤・カプセル形状食品を除くことは国際整合性から外れるとの意見もあります。錠剤・カプセル型食品の安全性確保について、第三者認証制度を定着させ、素材の安全性と製品の品質を保証したマーク制度の普及が必要との意見もあります。これらの点についても、更に検討を進めるべきです。
2項目に分けたもう1つは、「食品の機能性表示について」です。食品の機能性表示についてはいろいろな意見がありました。これら多様な意見、指摘があることに留意して、消費者にとってどのような表示制度が適切か、検討を進めるべきです。
2番目に、更に消費者への情報提供の必要性と消費者の混乱防止の双方の観点に留意し、検討すべきです。
3番、機能性を暗に示す広告・表示や「体験談」表示については、規制の必要性を求める意見が多かった。法執行体制の強化にあわせて、表示内容をチェックする際の指標の策定と、国と地方自治体とが連携したチェック体制の整備が必要です。
4番、「食品の機能性については研究途上」との意見もあります。研究体制が強化されるべきです。
次の検討課題に入ります。「消費者からの相談を受け付ける体制の整備について」。
1番、健康食品に関する「情報一元化」の体制を早急に構築すべきです。特に、消費者からの相談を受け付ける体制を整備し、寄せられた相談事例を分析・調査し、違反表示を積極的・迅速に指導・処分・公開することに結びつけ、消費者被害の防止に寄与することにつなぐべきです。
2番、健康被害を被ったなどの相談については、その原因究明が求められること、そして地方団体によるさまざまな試みに対しては、国の支援の在り方も検討し、全国的な連携体制を構築すべきです。
最後の検討課題です。「消費者にアドバイスできる専門家の養成や情報を集約・提供する体制整備について」。アドバイザリースタッフ、これは消費者にアドバイスできる専門家ですが、彼らに求められる役割をきちんと明確にするべきである。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの「中間整理(たたき台)」につきまして、御意見のある方はどうぞ御発言ください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 2点ございます。1つは、この委員会でいろいろヒアリングし、かつ意見討議をする中で、私としては、カプセル・錠剤について、ドラッグストア等に行きましても通常の薬品とほとんど同じ形状で健康食品なるものが売られている。表示には確かに効能等について何も書いていない。ただ食品と書いてあるのですが、実際にはインターネット、新聞、その他のコマーシャルでいろいろなことが宣伝されている中で、それをあてにして消費者が買う。そういう実態がまかり通っている状態の中で、少なくともカプセル・錠剤について消費者に注意を喚起するような表示があってしかるべきではないかと考えていたわけです。錠剤・カプセルだけに限定するのか、それとも粉末、その他についてもどうするのか、またどういう内容を表示をするべきだとするのか。具体的に制度化の提言をしようとすると実際はなかなか難しい部分もあって、実態のアンケート、その他を踏まえた提言なり建議をする方がいいだろうという御意見もあって、今回、間に合わなかったのは大変残念ですが、是非、今後も消費者委員会として検討していくべきだと思いますし、消費者庁でも検討していただきたいと思います。
もう一点、これは私自身が担当した事件にかかわっている問題ですが、健康食品ですべての病気がよくなる、糖尿病などは夜明け前だ、つまり朝飯前より簡単だといって、ある食品を大量に摂取することを推奨していた業者がありました。それに頼り過ぎた12歳の糖尿病の女の子が、インシュリンなしでも治るんだと信じたくて、または信じ込まされて、インシュリンなしで生活して死に至りました。その過程で責任を問う裁判をしたところ、裁判所は、お医者さんだったらともかく、健康食品の販売業者にすぎない人物が医者と同レベルの注意義務があるとは言えないということで、地裁、高裁でも責任を否定されまして、今、最高裁に継続中であります。
この事例を見ても、近代医療から見放された末期がんの患者さん、あるいはインシュリン、その他を生涯摂取し続けなければならないような難病の患者さんにとって、いいかげんな、これさえ飲んでいれば病気は治ると言われたときには、しかも、周りの人たちがそれを推奨する場合には医者以上に信頼してしまうわけです。その場合に、注意義務は医者と同レベルで責任がなくていいのかということになりますと、確かに判例上、法律上、非常に難しい問題がある。
そういうことを考えますと、同じような事件は今後も起こります。私自身、末期がんの被害者が、その弱みにつけ込んで不当に薬品を買わされたり、怪しげなものに大量のお金を注ぎ込まされたりという事例を相当数、相談を受けております。そういう観点からしても、健康食品の在り方あるいは表示の在り方、売り方、その他について、このままではいけないと強く思います。その意味で消費者委員会としても、今回は中間整理にとどまっておりますけれども、是非今後とも検討いただきたいし、消費者庁としても検討していただきたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 私は、検討課題の「消費者からの相談を受け付ける体制の整備について」です。これは中間たたき台ではございますが、現在、消費生活センターなどにも、高額な商品を買わされたとか、あるいは、お金を高額に払ったのに全く効果がなかったとか、具合が悪くなったという御相談があります。それは、消費生活センターを知っている方がたまたま御相談できるし、それは自分の健康被害をもって相談されているわけではなく、契約、取引上の問題でほとんどの方が御相談になるわけです。健康被害のものについて、なかなか御相談するところがないというところがございますので、積極的に、国、地方公共団体あるいは消費者団体等の連携をもとに早急な体制の整備を期待したいと思っております。今後、ますますこういうものは重要になってくるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見ございませんか。
それでは、消費者庁から、このたたき台、あるいはただいまの数人の委員の意見につきまして、何か御意見がございましたらお出しください。

○消費者庁食品表示課増田課長 食品表示課の増田でございます。よろしくお願いします。
私は食品表示課でございますので、その関係で申しますと、一つは、この中でも御指摘がございます健康増進法の規制の実効性の確保ということで、今、確かに県の権限がない。これについては、これから食品表示の一元化の検討の中で、健康増進法も含めて、どうするかというのを検討していきたいと思っております。
いわゆる健康食品についての広告の在り方については、当方でも、例えばインターネットの広告について監視を行いまして、問題がある広告については、個別に、法違反のおそれがありますという警告を発して、基本的にはまず実質的な削除を求めるということをやっております。ただ、効果がないとか、そういったことを積極的に認定していくことは一方で難しいということもあって、そこのエビデンスがないと法的措置に入っていくのは難しい面があるということもございます。
もう一つ、これは今後、考えていかなければならない問題ではありますが、特に錠剤等で出てくる、病気が治るとか、治療効果があるといった問題は、どちらかというと薬事法の規制のエリアということもあって、ここは非常に曖昧ではないかという御指摘もあるかと思います。そういうこともあって、治療効果そのものをうたっているものを健康増進法等で規制していくのはもう少し検討が必要ですし、将来の食品表示の問題としてそれをとらえるのかというのも、もう少し考え方の整理が必要かなというふうに思っております。
いずれにしても、今後、我々としても検討していかなければならないことはたくさんあるわけですが、行き過ぎた、あるいは消費者の方に著しい誤認を与えるような広告等については、当方としても関心を持って微力ながら当たっておりますので、そこについては引き続き努力したいというふうに思っております。
以上です。

○松本委員長 ほかに、御意見ございませんでしょうか。
今、食品表示課長から御説明いただいたことですが、一つは、消費者庁サイドからエビデンスがないという立証をしなければならないのは大変だということで、確かにそこに誇大表示等の規制のネックがあるわけです。その点は、景品表示法の方がひと足先に、十分な合理的な根拠があるという証拠を出しなさいという権限を、取り締り当局側に与えるという形で立証責任を転換しているということがございますので、そういった例を参考にして、より執行しやすい方向に変えていくことが考えられるかと思います。
それから、薬事法との切り分けは確かに難しいところがありますが、どうも印象として、薬事当局の方が薬事法違反を摘発する場合を少し限定している。医薬品成分が入っているのに医薬品としての承認を受けていないようなものの場合は、薬事法違反だということで取り締まりをかなり行っているようですが、そうではないケース、つまり毒にも薬にもならない場合で、効果がないけれども効果があると言っている分については、薬事当局としてはそこまで摘発をしないで、そっちの部分はむしろ健康増進法の広告規制の方に任せているのではないか。つまり双方が任せていて間にポテンヒットで落ちている、そういう領域になっているのではないかという気もいたしますので、その点は、食品表示の規制をする側と薬事法サイドの規制当局とで漏れがないように、うまく連携していただくことが必要ではないかと思います。
「健康食品の表示の在り方」についての中間整理につきましては、本日の議論を踏まえまして、後日、消費者委員会として取りまとめを行いたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

≪5.こんにゃく入りゼリーについて≫

○松本委員長 続きまして、「こんにゃく入りゼリーについて」です。こんにゃく入りゼリーにつきましては、これまで消費者委員会において議論を重ね、昨年7月に「こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言」を取りまとめたところです。その後、本年2月に消費者庁より、「こんにゃく入りゼリー等の物性・形状等改善に関する研究会」の報告書について御報告をいただいております。
本日は、更にその後のフォローアップとして、消費者庁、厚生労働省においでいただいておりますので、窒息事故に関連するこんにゃく入りゼリー等の改善のための取り組み等につきまして、ヒアリングを行いたいと思います。
資料4にありますように、「『提言』フォローアップに係る関係省庁ヒアリング質問事項」を事前に関係省庁にお渡ししておりますので、これについてそれぞれ御説明をいただきたいと思います。
また、参考資料2といたしまして、消費者委員会で昨年7月に取りまとめた提言、昨年7月9日及び本年2月4日の委員会議事録抜粋及び消費者庁次長名の通知、「食品衛生法に基づく添加物の表示等について」を配付しております。
それでは、まず初めに、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 消費者庁消費者安全課でございます。
質問事項の1でございますけれども、「改善要請に対する関係者の取り組み状況をどのように評価しているのか」ということでございます。昨年末現在で7社の事業者が、ミニカップタイプのこんにゃく入りゼリーを製造・販売していたと認識しておりますけれども、そのうちの1社につきましては、力学特性上は問題ないと判断しております。残りの6社について事業者の取組状況を確認したところ、新製品を販売している事業者が2社、新製品を検討している事業者が3社、他社の動向を観察している事業者が1社ありました。現在のところ、いずれの事業者も改善に向けた検討を進めているものと認識しております。今後も引き続き、取組状況を確認してまいりたいと考えております。
次に、質問事項の2番目でございますけれども、「こんにゃく入りゼリーに関連して食品安全委員会にリスク評価を依頼するに当たり、どのような準備作業を行ったか。また、その準備作業が十分であったかについて、消費者庁として検証を行っているか」というものでございます。このリスク評価を行ったのは消費者庁の発足前で、内閣府国民生活局でリスク評価の依頼をしたということで、大分前のことでございますので、当時の者に聞いたりしてわかった範囲でお話しさせていただきます。
準備といたしましては、平成21年1月から3月にかけまして、過去数年間のこんにゃく入りゼリーに係る事故のうち3件につきまして、事故関係者に対して詳細なヒアリングを実施いたしました。この結果も含めまして、こんにゃく入りゼリーを含む窒息事故の多い食品に係るリスクプロファイルを作成し、食品安全委員会にリスク評価を依頼する際に提出いたしました。こういった準備作業が十分であったかの検証は、消費者庁では特段行っていないと認識しております。
以上でございます。

○松本委員長 それでは、厚生労働省からお願いいたします。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 3番ですけれども、厚生労働省の食品安全部企画情報課から御説明させていただきます。
食品衛生法上での対応・検討、余地があるのではないかという御質問ですけれども、これまでの御説明と基本的には同じ御説明になりますが、食品衛生法の法律の目的は、第1条にございますけれども、「食品の安全性の確保のために、公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図る」となっております。
なお、食品衛生法は、食品安全基本法が制定されました平成15年に大きな改正を行っておりますけれども、今、申し上げました法律の目的は改正後の目的でございまして、衛生上の危害の発生を防止するという点は従来から変わっておりません。
衛生上の危害として規制しているものですけれども、有害・有毒な物質、残留農薬などの化学物質、食中毒の病原菌等でございまして、これらを公衆衛生上の見地から「衛生上の危害」としてとらえまして規制をしているという状況でございます。今回のこんにゃく入りゼリーをはじめ、食品の物性、物の性質といいましょうか、それから形(形状)、こういったものに起因する窒息事故につきましては、衛生上の危害には該当しないということから食品衛生法の規制の対象にはしてございません。
厚生労働省といたしましては、本件に関しまして、関係省庁間申合せに基づきまして、省内、乳幼児・児童あるいは高齢者の福祉施設なども所管しておりますので、こういった関係部局とも連携をとりながら注意喚起あるいは情報提供等を行っております。今後とも、消費者庁、その他、関係府省と協力しまして、あるいは省内の関係部局とも連携しながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
以上です。

○消費者庁食品表示課増田課長 続いて、5の(1)の部分を消費者庁から説明いたします。平成22年10月の通知は、食品衛生法に基づく表示すべき事項として、添加物を表示しなさいという規定がある関係で、特に食品として使われているもので添加物として使用されることがあるものを例示的に示しております。これは、こういう形で示すことによって、こういった食材について添加物として使用するときは、添加物として表示に書いてくださいということをわかってもらうためのいわば例示リストでございます。
この表示の通知は、従前、食衛法に基づく表示が厚生労働省の所管だったときにおいては厚労省の通知で書かれておりましたが、表示の所管が消費者庁に移ったということで、平成22年10月に消費者庁の通達として改めて通知し直したものでございます。ただ、その内容につきましては、従前、厚労省の通知で書いてあるものを改めて書いたということで、コンニャクイモ抽出物についても従来から書かれたものを書いたということで、新たに書いたものではございません。
以上です。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 続きまして、5の(1)、マル2について説明させていただきます。コンニャクイモ抽出物を含む一般飲食物添加物の規格基準の現状と課題について、ということでございます。食品衛生法第10条におきましては、食品添加物は原則として、厚生労働大臣が指定したもの以外の製造・輸入・販売・使用等は禁止されており、例外的に天然香料と、一般飲食物として飲食に供されているものであって、添加物として使用されるもの(一般飲食物添加物)につきましては、指定の対象外と規定されております。この規定は平成7年の食品衛生法改正の際に設けられ、当時において、添加物として長い使用実績があり、人の健康確保に問題がないとされた天然香料と一般飲食物添加物については、引き続き、使用を認めることとしたものでございます。
一般飲食物添加物につきましては、安全性に問題のない食品として飲食に供されているものであることから、原則的に規格基準の設定は必要ないものと考えております。
続きまして、5の(2)でございます。一般飲食物はもともと食品として飲食されているものを添加物としており、直ちに法的規制の対象となるものではないものの、少し長いので割愛させていただきますが、要約すると、コンニャクイモの使用基準の策定を通じて、ミニカップゼリーにコンニャクイモ抽出物等を使用することを法的に制限することを検討するべきではないかということでございます。添加物の成分規格は、添加物に不純物が含まれるのを防ぐため、純度や製造の際に生じる副産物等の上限値について定めるものであり、使用基準が添加物としての安全性を確保するために設定するものでございます。ここで、成分規格が定められている例があるということでございますけれども、このような考えに基づきまして、赤キャベツ色素については成分規格が設定されているところでございます。
御指摘のコンニャクイモ抽出物につきましては、コンニャクを加工する際に不可欠な原料であり、小麦粉やココアとか、同じく食品として安全性に問題がなく飲食に供されているものでありますので、添加物としての使用基準または成分規格を設定する必要はないと考えております。
繰り返しになりますけれども、そもそもこんにゃく入りゼリーなど、物性・形状に起因する食品の窒息事故は、食品による衛生上の危害の防止を目的とする食品衛生法の規制対象外となりますので、法的に制限する考えはございません。
以上でございます。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 最後、6番のコーデックスの基準の関係でございますけれども、コーデックスでは、こんにゃく入りゼリーに関する基準というものは調べた範囲ではございませんでした。
また、コーデックス基準のうち物性・形状に係る基準としましては、調整粉乳とか乳幼児用食品において、かたさと大きさの規定があるものがございましたが、例えばフォローアップミルクの基準ですと、「使用方法に従って調整したとき、製品は、かたまりや大きな粗い粒子がないこと」、乳幼児向け穀類ベースの加工食品の基準ですと、「製品が意図している年齢の乳幼児にスプーンで与えるのに適した質感を有していること」等という形で、どれも明確な数値を持って定められているものではなく、定性的な規定になっているという状況でございます。
説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの消費者庁、厚生労働省からの御説明につきまして、どうぞ委員の皆様から御意見、御質問をお出しください。
田島委員、どうぞ。

○田島委員 御説明をお聞きして、特に厚生労働省としては全く規制をするお考えがないということがよくわかりました。ですが、こんにゃく入りゼリーで事故が起こっているのは確かでありまして、何らかの規制をしようという気概は持たれないのか、というのはちょっとありますけれども、そもそもは衛生上の危害に該当しないから食品衛生法では検討できないのかというお話で、それはもっともだなという印象は受けるのですが、それでもなお、何とかならないかというのが私の考えです。物性が規制できなくても、例えば異物なんていうのは微生物でもないし有害金属でもないけれども、異物というのは規制しているわけです。あるいは、今、話題の放射能も、食品衛生の観点から規制はできるので、拡大解釈と言っていいのかどうかわかりませんが、拡大解釈すれば、やはり食品の物性でも衛生上の危害に入るのではないかと私は考えますけれども、それは間違っているのでしょうか。その辺、お聞かせ願いたいと思います。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 規格基準を設定するに当たって、放射性物質などは有害物質になりますし、例えばカビ毒とか、そういった有害物質に関しては我々は規格基準は定めているところでございます。ただ、そういう有害物にコンニャクイモ抽出物が該当するかというのはちょっと違うのではないかと考えているところでございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 5の(1)のところで教えてもらいたいのですが、先ほど、22年10月は消費者庁ができたから消費者庁の名前で改めて出したけれども、それ以前からあったということですが、これは、平成8年5月28日の生活衛生局長通知のことを言っておられるのですか。

○消費者庁食品表示課増田課長 そうです。

○中村委員長代理 その平成8年の5月のときに、コンニャクイモ抽出物がリストアップの中に入ったのはなぜですか。そこの理由を教えてもらいたいのですが。

○消費者庁食品表示課増田課長 8年のときに入ったのは、ちょっと言い訳ですが、厚生労働省の時代に入ったものなので確たることはわからないのですが、当時、どんなものが添加物に使われているかというのをヒアリングして、その結果として入れたというようなことを聞いております。

○中村委員長代理 そのときはミニカップ入りのこんにゃくゼリーというものは想定されていたのですか、されていなかったのですか。

○消費者庁食品表示課増田課長 そこまでは、すみませんが、わかりません。更に、これは正確に確認してはいないのでもしかたら間違っているかもしれませんけれども、そもそもこんにゃく入りゼリーのようなコンニャク製品にコンニャクイモ抽出物を使うときは、それは添加物として使っているのではなくて、まさに食材そのものとしても使っているのではないかというふうに思います。そこは勿論、すみません、確認しているわけではございませんが。

○中村委員長代理 今、売られているミニカップ入りこんにゃくゼリーのグルコマンナンの率というのは非常に少ないんですね。だから、むしろ食材そのものではなくて添加物だと思いますけれども、それはまたわかったら教えてください。
もう一つ、5の(2)に関連して、先ほど、赤キャベツ色素で使用基準が定められている例があると言いました。これはたしか着色料は、昆布、食肉、鮮魚貝類、茶、海苔、豆類、野菜及びワカメ類に使用してはならないという使用基準だと思いますが、赤キャベツ色素について、このような使用基準が設定された理由は何だったのですか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 それらの使用基準に関しましては、赤キャベツ色素に限らず色素全体にかけられているものでございます。赤キャベツがそれに該当するのかどうかわかりませんけれども、その色素を使うことによって鮮度誤認等を起こす可能性があるもの、全部がそうかわからないですけれども、そういったものなどに使用しないようにという規定になっているということでございます。

○中村委員長代理 成分規格として定められていると、赤キャベツの方は。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 すみません、もう一度お願いします。

○中村委員長代理 この赤キャベツの例というのは、質問の中で、成分規格が定められている例があると、それで先ほど説明されたのでしたね。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 そうです。

○中村委員長代理 すみません。私の今の質問の仕方があれだったかもしれません。そういう例があるならば、コンニャクイモ抽出物についても何か工夫ができるのではないかということでこういう質問をしているのですけれども、考え方としてはどうですか。

○山口委員 それに付随して、ちょっとよろしいですか。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 先ほど、ココアと同じような扱いをしているような言い方をされませんでしたか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 一般飲食物添加物として、同じように、小麦粉であったり、ココアであったりというのがあるということで例示として出しました。

○山口委員 今の中村委員の質問に付随して言うと、ココアとか小麦粉とか、そういうものと、いわゆる窒息などを、形状あるいは物性として起こす蓋然性がかなりあるコンニャクイモ抽出物は、やはり違って考えるべきではないかと思いますが、それも併せてお答えいただければと思います。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 いわゆる添加物としてのコンニャクイモ抽出物でございますけれども、これに関しましてはコンニャクの加工に不可欠な原料でありまして、コンニャクイモ抽出物そのものには安全性に問題はないものと認識しております。そういった観点から、規格基準の設定は現時点では必要ないものと考えております。

○松本委員長 よくわからないのは、食品の成分と添加物というのはどこが違うのですか。特に一般食品でありかつ添加物というのが、どういうふうに使われれば添加物ということになって、添加物としての表示をしなければならなくて、どういう使われ方であれば食品の成分の表示をするということになるのか。それは割合で決まるのか、それともほかの何かですか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 食品衛生法の第4条に添加物の定義がありまして、「食品の製造の過程において又は食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤、その他の方法によって使用されるもの」と規定しております。

○松本委員長 量は無関係である、加工のために使う。普通我々が考えると、コンニャクというのはコンニャクイモからつくるものであって、グルコマンナンがコンニャクの主成分だというふうに素人は思いますが、そうではないんですか。つまり、コンニャクをつくるためのマンナンと、コンニャクでないものを加工するためのマンナンは違うということではないのですか。それともコンニャクというのは、コンニャクイモではなくてほかの成分が食品成分であって、マンナンという加工用の何かを混ぜて初めてコンニャクというものになる、それがコンニャクの定義ですか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 平成7年の法律改正の際に、コンニャクイモ抽出物が一般飲食物添加物のリストに載せられたわけですけれども、その際にどういった経緯で添加物という扱いになったのかというのは、現在、持ち合わせておりませんので。

○松本委員長 マンナンが少しでも入っていればコンニャクのような歯ざわりのものになるのだとすると、それ以外の成分は何でもいいと。マンナンがちょっとでも入ってああいう歯ざわりになるものをすべてコンニャクだと定義するという話になるのですか。これはJAS法の話になるのかな。何かインチキのような感じがするのですが。コンニャクイモから特定の製法でつくられたものがコンニャクだと消費者は理解しているのではないかと思いますが、コンニャク風のものをコンニャクと言うのですか。
結局、主成分と添加物をどう切り分けるのかという話だと思います。コンニャクは昔から日本人は食べていまして、食経験たっぷりであって、コンニャク風の何かというのも、コンニャクなんだ、日本人は昔から食べていたのだから食経験たっぷりなんだ、というロジックが一般的に使われているのですが、それでいいのですかという質問です。本来のコンニャクとコンニャク風の何かというのが同じなんですか、という質問です。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 すみません、ちょっとその点に関しましては食品衛生法の範疇ではありませんので、少なくとも私からは答えられないところでございます。

○松本委員長 恐らくそういう答えが返ってくるというふうに予想はできるのですけれども、ちょっと何か困った感じがします。コンニャクであれば昔から食べているのだから今更どうだという話ですが、コンニャクのように見えるけれども実はコンニャクではないのだとすれば、それは新たな何かなので、それについての安全性を、食経験がないことを前提にして考える余地は十分あるのではないかと思います。その中の一部のマンナンで固めるという点は共通なんだと言われると、そうかもしれないけれども、新たな加工食品だとすれば、それはコンニャクと似ているけれども、伝統的なコンニャクでないという考え方は十分あり得るのではないかと思います。これはもう厚生労働省に聞いても仕方ございませんが。
では、田島委員、どうぞ。

○田島委員 話をもとに戻しまして、食品衛生法第7条には食品の規格を定めることができるとなっていて、清涼飲料水とか、氷雪とか、いろいろな食品の規格が定まっていますけれども、それでこんにゃく入りゼリーの規格というのはつくれないんですかね。勿論、第7条は「公衆衛生の観点から」という枕詞があるので、公衆衛生の範囲外であるからつくれないという回答なのかもしれないですけれども、つくろうと思えばつくれるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課 平成7年のときに11条に移動している分だと思います。11条に規格基準の話が入っていますけれども、現時点では我々、いわゆる食品衛生法の範囲外というふうに認識しているということでございます。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 本当に素朴な疑問なんですけれども、今、おっしゃったことを聞いていますと、実際にこれでもって被害者がいるわけですね。では、その人たちはどこに持っていけばいいのですか、食品衛生法がないということは。ほかにこれを取り締まる法律はないのですか。または新たにつくらなければ、私たち被害者は救われないということなのでしょうか。そこを教えていただきたいと思います。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 ほかに法律がないということですと、ここでは詳細を省きますけれども、重大事故等が発生し、一定の要件が満たされるということであれば、消費者安全法が使えるというケースはあり得ると思っております。

○川戸委員 この場合はいかがですか。もう既にコンニャクのこれについては被害者がたくさんいるわけですね。結局、どこも動き出していないというのは、そこが私は一番知りたいのですけれども、どうなんでしょう。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 消費者安全法は消費者庁が発足したときに施行された新しい法律でありまして、それ以降はこの要件に当たる事故は起きていないということで、これまでは発動していないということでございます。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 まさに最近、発生したのではないですか。あれはどういうふうに評価するのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 8月9日に私どもが公表しておりますけれども、8月5日に子どもがこんにゃく入りゼリーにより窒息し意識を失ったという旨の通知を、8月8日に総務省消防庁から私どもへいただいております。この件につきましては、私どもも消費者庁職員を現地に派遣いたしまして調査を行いました。その結果、当庁が把握した事実に基づきまして、これはこんにゃく入りゼリーという製品が原因の事故ではないと判断いたしました。ただし、この事故の詳細は、プライバシーにかかわるため公表はできません。

○山口委員 よくわからないのですが、こんにゃく入りゼリーを食べていて窒息しかかった。それがなぜ、こんにゃく入りゼリーが原因ではないということになるのか。もう少し説明をいただかないと、「なんか違うんじゃないの?」と言いたくなるのですが。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 御質問の趣旨は非常によくわかりますけれども、私どもが確認できた範囲ではこの製品が原因ではないと判断しておりまして、これ以上はちょっとプライバシーにかかわることですので、お話できないという状況でございます。

○中村委員長代理 プライバシー、関係ないですけれども、消費者庁に総務省消防庁から来た報告書、これにはどう書いてあったのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 こんにゃく入りゼリーにより窒息し、意識を失って病院に運ばれたという情報でございます。

○中村委員長代理 それで職員を現地に派遣して調査したと。だれにどんな調査をしたのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 この事故に関係する方々でございます。

○中村委員長代理 その関係する方々というのは、どういうところをヒアリングしたか、それを聞きたいのですが。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 ちょっとこれも、なかなか申し上げられないのですけれども、直接被害者とか被害者の御家族に調査をしたということではございません。

○中村委員長代理 ございません? 家族には調査していない、というふうに答えられたのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 ですから、関係する方々に調査をしたということでございます。

○中村委員長代理 後から否定の報道が出たときに私たちが一番気になるのは、消防庁から消費者庁に入った情報を、さかのぼって、どうしてこういう記載になったのかということを調べるのが先だと思いますが、その辺は調べられたのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 はい、調べています。

○中村委員長代理 どうだったんですか。どうしてそういう記載になったのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 そういった記載というのは?

○中村委員長代理 先ほど、こんにゃく入りゼリーで窒息して苦しんでいる人がいたという報告が消費者庁に入ったと言われたけれども、消防庁の方は、なぜこんにゃく入りゼリーで窒息状態で苦しんでいる人がいるという報告を書いたのか。そのそもそもの理由というか根拠、その辺を消防庁に確認したのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 そこは、消防署の救急隊員が現場を見てそう判断したというように聞いております。

○中村委員長代理 それを昨日かなんか否定されて、こんにゃく入りゼリーと関係ないと言われますと、どうして消防庁の最初の段階でそういう記載になったのか、どこか間違ってそうなったのかとか、その辺を説明いただかないと非常にわかりにくい。ただ結論だけで、「あれは違っていました」というのでは、国民に対する説明としては非常に不十分で、どうして消防庁はこんにゃく入りゼリーで窒息状態の子どもが搬入されたという記載をしたのかというところを、もうちょっと詰めていただかないと。そこを、おまえら、こんなこと書いたらだめだよとか、間違っているよというのだったら、それはそれなりのちゃんと指導をしていかないと、今後、情報を一元化して集める消費者庁としてはそういう情報に振り回されることになるわけです。だから、その辺はきっちりと、どうしてそういう誤報なら誤報が消費者庁に届くようなことがあったのか。そこは追及しておかないといけないと思うのですが、その辺はやってあるのですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 誤報だと判断しているわけではないのですけれども、ただ、これ以上お話しすると本当にプライバシーにかかわってしまうということでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私は長官の記者会見についての報道などを聞いて、長官はひょっとしたら、自分で飲み込んだから、自過失だから、こんにゃく入りゼリーが原因ではないと、そう決めつけているのかなと。そうだとしたらとんでもないことをおっしゃっているなというふうに、受けとめました。今、お話があったように、消防庁から連絡があった。その連絡はどう考えても、こんにゃく入りゼリーを食べようとしていて窒息したとしか思えません。ところが実はこんにゃく入りゼリーが原因ではなかったということは、つまり消費者庁長官は、自分で飲み込んで、要するに自過失なんだと決めつけたのかなと私は受けとめました。もしそうだとしたら、とんでもないことだなと思ったんです。
違うのだとおっしゃるならば、プライバシー云々はわからないでもないですが、今後消費者の安全法を適用して一定の措置を講じるかどうかの判断にまさにかかってくる問題ですから、そうではなく、ほかの理由で呼吸困難になったと。例えば熱中症が原因だったんですとか、何か別の原因だったんですということで、積極的な何か別の理由を説明していただかないと、私が先ほど申し上げたような誤解、かどうかわかりませんが、そういう評価を消費者庁でしたのかなというふうに受けとめますよ。是非その辺は御検討いただいて、違うなら違うで、差し支えない範囲でこういう原因だから違うと考えたんだということをおっしゃっていただかないと、そのまま誤解がひとり歩きすると思います。その点、どうでしょうか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 長官の記者会見をお聞きになっていたということですが、私もちょっと長官発言以上のことは話せないので、そのとき、そういった御要望とプライバシーの保護はこの場合両立しないというように長官も申し上げていたと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 こんにゃく入りゼリーに関しては、消費者委員会で何回も何回も検討してきました。わかっているだけで22人の方が亡くなっていて、厚生労働省は何もしようとしない、消費者庁もすき間事案としては受けとめようとしない。今回の事件も何事もなかったようですから、よかったのですが、何か事件が起きなければ消費者安全法も使えないというのは非常におかしくて、わかっているだけで22人の方が亡くなっているわけですから、何とかできないんですか。本当に厚労省も消費者庁も何を待っているのか、なぜ何もできないのか。どうしても私たちには理解できないんです。
これは消費者庁ができる一つの大きなきっかけになった事件でもありまして、ここでも何回も何回もやり取りをしているのですが、どうして何も動けないのでしょうか。国民の命にかかわる、特に子どもたち、高齢者の命にかかわることをなぜこうやって放っておくのか、そこをもう少しきちんと説明していただきたいと私は思います。是非、厚労省も消費者庁も考えて説明していただきたいので。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 何もしていないというつもりはございませんで、前回、説明していますとおり、参照指標をつくり事業者に要請し、今、検討していただいているということをやっております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 同じ質問を厚労省にもう一回お聞きしたいのですが、先ほど来、田島委員が言っているように、食品衛生法の1条の目的規定、「衛生上の危害」という文言に当たるのだと考えれば当たると思うんですね。4月末から5月にかけての生肉の問題のときにも、結局、何人かが死なないと生肉の表示等について本格的に検討しないのかという批判がありました。厚労省というのは国民の生命、安全を守る役所ではないのか、一体どうなっているのかと本当につくづく思ったのです。あのときは、複数の場所で人が死ななければ厚労省は動かないのか、という批判をあちこちで言われました。
今回のこんにゃく入りゼリーの問題は、もう人が死んでいます。先ほど佐野委員が言ったように、22名も死んでいます。ひょっとしたらもっとほかにも、通報がないだけで死んでいるかもしれない。実際問題、食べたことがある方であれば、これはゴクッと飲み込んでしまいかねない。のどにピュッと入っていきますから、子どもや幼児や高齢者はちょっと危ないなあと思います。あなた方も思われると思うのです。それについて杓子定規に1条の衛生上の危害に当たらないとおっしゃっていますが、十分当たると考えられます。そこを何とか厚労省の方でお考えになれないのかというのは、もう一度伺いたいと思います。
別のときには、当たると仮に考えた場合、先ほど田島委員が言った、11条による規格基準がつくりにくいと。つまり大人には大丈夫だけれども、幼児や高齢者には危ないですと、年齢によって物性・形状を定めるというのは実際上、難しいんですという本音の御発言があって、なるほど、それだったらわからないでもないんですよ。それだったらそれで、年齢によってということでいろいろ対策のあり方についてやりようはあると思います。1条の衛生上の危害に当たると考えた上で、しかし、規格基準のつくり方が難しいからどうしましょうかという、前向きの意欲ある議論だったらわかるのですが、実際上は難しいから、衛生上の危害に当たらないことにしようということで逃げているようにしか思えないのです。その辺、先ほどの佐野委員の質問も含めて、田島委員も同じことを言いましたけれども、厚労省で何らかの形でこれを考える余地がないのかというのをもう一度お願いします。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 まず、こんにゃく入りゼリーの関係につきましては、先ほど消費者庁の方から対応しているという御説明がありました。それにつきまして我々としても、関係省庁の申合せに基づいて我々がやるべきことはきちんとやっているというふうに思っております。その話と、食品衛生法上規制の対象となるかどうかということは、申し訳ありませんが、御説明としては同じ御説明をさせていただくことになります。この件は国会でも議論がありまして、当時の厚生労働大臣も、1条で言う衛生上の危害には該当しないということを答弁しておりますので、我々としては、法律に基づいて食品衛生法上で規制すべきことをきちんと行政上の事務を執行しているという状況でして、申し訳ありませんけれども、衛生上の危害としては考えていないという状況です。

○松本委員長 食品衛生法の守備範囲については、従来と変えないというのが厚生労働省のポリシーだということですが、平成14年6月11日の食品安全行政に関する関係閣僚会議というのがございます。これは、食品安全基本法ができ、食品安全委員会ができる直前ぐらいの閣僚会議のようですが、そこで、食品安全基本法の制定と関連して、「食品安全基本法に即し食品の安全性にかかわる関連法について検討し、所与の改正を行うものとする」という、かなり漠としたものといえば漠としたものですが、そういう決定がされているわけです。
食品の安全について食品衛生法が従来、中核を担っていたわけですが、今、お話しいただいたように、安全にかかわるけれども、食品衛生法としては範疇外だとされている部分がはっきりと存在している。この関係閣僚会議の決定から見れば、食品の安全性にかかわる関連法として欠けている部分を、いつまでも食品安全法のすき間事案として任せておくのではなく、食品の物性・形状等の安全性について考えるしかるべき法律をきちんとつくって、何かあればそれに基づいて対応できるという体制にしていただくべきではないかということが、消費者委員会の昨年の提言の一部であったわけです。そういうことについて御検討いただきたいということが入っているわけですが、全く御検討いただけていないということでしょうか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 食品衛生法についてという御質問であれば、改正等の検討はしておりません。

○松本委員長 厚生労働省としては、食品衛生法以外の食の安全については管轄外だという御見解ですか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 先ほども申しましたように、本件につきましても、消費者庁と協力させていただいて必要なことは対応させていただいております。ただ、法律上の権限という意味では、食品衛生法が我々の省の関係する法律というふうに考えております。

○松本委員長 消費者庁としては新法の制定等についての御検討はないですか。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 まずは今行っているこんにゃく入りゼリー事業者への対応、こういったものを踏まえてということになろうかと思いまして、今の段階で法整備などをどうするということは、ちょっと申し上げることはできないと思っております。

○松本委員長 どうぞ、中村委員。

○中村委員長代理 今月発生した新潟の事故というのは、消費者安全法を運用する場合にとって非常に大きな問題を含んでいるので、ちゃんと検証しておいてもらいたいんですね。まず総務省、消防庁は、消費者にとっての重大事故が発生したと思って、法律上の義務があるから消費者庁に報告しているわけです。それを受けた消費者庁として、製品起因でないということで、せっかく行政機関の長が報告したものを切り捨ててしまっているわけです。先ほど聞いたら、現地へは行ったけれども、被害者にも聞いていないで簡単に判断しているというのは、私は非常に問題だと思う。一つの行政機関の長が、自分のところが直接救急隊を通じて体験したことを事実として報告しているのに、家族にも聞かないで、一体何を聞いたのか知らんけれども、製品起因でないということで事故情報としての扱いをしない。
だれかの過失が加わっていたかもしれないけれども、例えばヒヤリハットの可能性がなかったのかということだと、今後、消費者安全法の発動に使える資料になるかもしれないわけです。そういう可能性も含めてのもっと緻密な検討をしてくれないと、ちょっと結論を出すのは早すぎますよ、この切り捨ての。その辺、是非お願いしたいのですけれども、経過をきちんと皆さん方が否定されたことを、プライバシーにかかわるからしゃべれないということでひと括りにして、これからバサバサ情報を切られて追及もできない、国民は検証もできないようなことを重ねられたのでは、せっかく情報を消費者庁に一元化しましょうというルールを決めたのに役に立たなくなるわけです。その辺は消費者庁はもっと自覚をもって、今回の事故の否定した経過、これはもっと国民に説明すべきです。次回でもいいですから、きちっと説明をしてください。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 先ほど委員長もおっしゃられました、昨年の7月に出しました提言において、「食品の形状・物性面での安全性についての法整備について」ということで、まず消費者庁にということを書いてありますが、その下の段落の「また」というところにつきましては、食品衛生法上のことも含めて整理をお願いしたいということを書いてあるわけです。それは、今まで、田島委員やほかの委員からも出ているようなことであったわけです。今、消費者庁、厚生労働省からお話を聞きますと、相変わらずすき間について何もできないということが、きょう、はっきりいたしました。それであったら、この出された提言を検証するとか、法整備について何らか検討する、消費者庁と厚生労働省で連携をしていくということではありますが、それぞれのところで、もっと法整備について検討があってしかるべきではないだろうかと思います。この委員会の席上でもそれぞれ意見が出ておりました。そういうことについて、全く単独ではそういう検討はされなかったということなのでしょうか。それが消費者にとっては非常にわかりにくいところでありますので、お答えをお願いします。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁消費者安全課金児企画官 これも繰り返しになってしまい申し訳ないのですけれども、そういった課題があることは認識しておりますが、まずは今やっている取組を進めるということを考えております。これも以前から申し上げていますけれども、まずそういった取組をやっているわけですから、そこを見守って、それが全く効かないということであったら、また、それは別途の段階に入るということはあるかと考えております。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 昨年のこの委員会の御提言、当然、承知させていただいております。食品衛生法上の規制は困難ということは変わっておりませんけれども、今後とも消費者庁とよく連携させていただいて、必要に応じ対応していきたいと思っております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 では、それぞれこの提言について、厚生労働省はただの連携ということで、検討はされなかったということですか。

○厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 繰り返しになりますけれども、食品衛生法を改正するといった検討はしておりません。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
余り議論が進まなかったといいましょうか、昨年段階と余り変わっていなかったような気がいたしますが、幾つか新たな状況があらわれています。一つは、添加物というアプローチの仕方で何か出てくるのではないかというところで、まだ出てきてはいないのですが、主成分、本来の成分としてのコンニャクと、コンニャク風の何かをつくるための添加物というのでコンニャクの成分が使われる場合を、全く同じように扱うのが適切なのかどうかというのはもう少し議論をしていく余地があるかと思います。それを食品衛生法でやるのか、もっとほかの法律を受け皿にして考えるのかというのは別の問題であって、食品衛生法でやるとすれば、添加物についての規制を手がかりにして何かできるかもしれないけれども、衛生上の問題ではないのだから無理なんです、ということになるのかもしれない。そこはもう少し考えてみる意味があるのではないかと思います。
もう一点は、先日の事故との関係もありますが、消費者庁としては、新しい法律を考えるより先に、現状の参照指標等に基づく事業者の自主的な取り組みを見守っているというお話でした。それで今のところ問題が起こっていないということでしたが、問題が起こっていないのか、それとも起こったのかが、先ほどの中村委員との議論の中でも必ずしもはっきりしていない。消費者庁の説明が、プライバシーにかかわるからということで大部分を黒塗りにしているような感じの御説明で、本当のところがわからないというところがあります。消費者庁の自主規制の取り組みが本当にうまくいっていて事故が起こっていないというふうに信じていいのか。それとも、やはり何かがあったのかという辺りは疑念が払拭しきれないところがありますので、この辺はもう少し慎重に見極めるべきかと思います。
プライバシーという点では、従来から、母親あるいは祖母が食べさせて、その結果、子どもが死亡するというケースがあって、それについて家族はすごい非難を受けました。そういう点ではプライバシーがズタズタにされているようなところがあるので、そういうことをもって、プライバシーにかかわることだから公表できませんという説明をされると、これでは事故防止に全然つながらない。新たな事故の予防等につながらないことになるのだろうと思います。次の事故の防止あるいは抑止につながる形で、事故の情報をきちんと社会に出していける。しかし、不当な個人攻撃、家族攻撃等がされないような工夫は当然されるべきであって、それをいかにやれば両立できるのかということを考えていくべきだろうと思います。消費者委員会の消費者安全専門調査会がつい先日出した報告書の中でも、そういった点は既に指摘されていることであります。今後、消費者委員会として、情報提供の在り方と関係者のプライバシーを守ることを、どういうふうにしてうまく組み合わせていくのかということを考えて審議をしていきたいと思いますし、消費者庁の方でも、その辺を考慮して情報公開、提供に努めていただきたいと思います。
本日は、消費者庁及び厚生労働省におかれましては、消費者委員会の審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪6.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、6月21日に委員会の下部組織であります「新開発食品調査部会」の第5回会合が開催されております。本日は、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条第2項の規定に基づき、田島部会長より、その審議結果の報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長、よろしくお願いいたします。

○田島委員 特定保健用食品の表示許可に係る答申について、私から御報告いたします。
平成23年6月21日に開催した、第5回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第8条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、平成23年8月10日付で内閣総理大臣へ答申を行いました。本日は、同条第2項の規定に基づいて、決定事項を委員会に報告するものでございます。
資料5の答申書をごらんください。内閣総理大臣より諮問を受けて、今回の部会では、17品目の安全性及び効果について審議を行いました。そのうち、1ポツに記載の16品目については、審議の結果、特定保健用食品として認めることとして差し支えないこととされました。また、2ポツに記載の1品目については、審議の結果、特定保健用食品として認めることは適切ではないこととされました。
私からの報告は以上になります。

○松本委員長 ありがとうございました。
最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。次回の委員会ですけれども、定例の日程とは異なりますが、8月23日(火曜日)の10時から行う予定です。
議題としましては、民法(債権関係)の改正につきまして、関係省庁からのヒアリングを予定しております。そのほかの議題につきましては、決まり次第、お伝えしたいと思います。
事務局からは以上です。

○松本委員長 それでは、お盆休み直前の時期にお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。本日はこれにて閉会とさせていただきます。

(以上)