第58回 消費者委員会 議事録

日時

2011年6月17日(金)15:00~17:02

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、川戸委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  福嶋長官
松田次長
林地方協力課長
成田企画課長
 独立行政法人国民生活センター  野々山理事長
井守理事
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.国民生活センターの在り方について
○説明者: 消費者庁 福嶋長官、松田次長、林地方協力課長
独立行政法人国民生活センター 野々山理事長、井守理事
3.「消費者基本計画」の「検証・評価」(平成22年度)及び計画の見直しについて
○説明者: 消費者庁 松田次長、成田企画課長
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 国民生活センターの在り方関連資料(事務局提出資料)(PDF形式:8KB)
【資料2】 国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース関連資料(消費者庁提出資料) 【資料3】 「消費者基本計画」の「検証・評価」(平成22年度)及び計画の見直し関連資料(消費者庁提出資料) 【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:10KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第58回)」の会合を開催いたします。
委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.国民生活センターの在り方について≫

○松本委員長 それでは、議題に入らせていただきます。
初めに、「国民生活センターの在り方について」です。国民生活センターの在り方につきましては、前回の第57回の消費者委員会におきまして、「消費者行政体制の一層の強化について-『国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース』中間整理についての意見-」を取りまとめたところですが、本日は、引き続きこれにつきまして議論を行いたいと思います。
まず初めに、事務局から発言を求められておりますので、御説明をお願いいたします。

○原事務局長 前回、第57回の消費者委員会において取りまとめていただいた、「消費者行政体制の一層の強化について-『国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース』中間整理についての意見-」につきましては、意見を取りまとめる際に事務局から消費者庁に事実関係についての問い合わせを行いました。その中で消費者庁として委員会に対して確認を求められた事項があります。つきましては、資料1に記載いたしました4点について、委員会のお考えをお示しいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、ただいま事務局から御紹介がありました資料1記載の4点につきまして、どうぞ御意見のある委員の方は御発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 1、2、3番についてはほとんど重なる部分かと思いますが、特に3項がわかりやすいので申し上げます。消費者庁が所掌するものは、消費者利益の擁護・増進に関する基本的な政策の企画・立案・推進に関する実施事務が中心を占めるものであることは間違いありませんし、それを是非御尽力いただきたいと思います。この「推進」という言葉の中に消費者への啓発、注意喚起等が入るということで、現在、広報等をなさっているということでありますが、現実には、国民生活センターがもう40年間にわたって注意喚起等の事務をいわゆる非権力的な事務として担当してきたわけです。国民生活センターがこれまでやってきたことを、重複的な形で、推進の業務の一環として庁がやらなければいけないのだからやるんだというのが、果たして合理的なのかということについては、後ほどの議論にも関係しますので申し述べておきたいと思います。

○松本委員長 ほかに御意見ございませんか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 4番の「消費者委員会作成の『中間整理についての意見』」というところで、「『更に慎重な検討を深める必要』『公開の場での審議を深めた上で最終的な判断を行うことが望ましい』との記述については、閣議決定を踏まえて夏までに『タスクフォース』としての結論を得ることについて否定するものではない」と書かれていますけれども、この間のパブリックコメントでも一元化に賛成しているという意見は見当たらない。そして私たちも、消費者庁と国センだけで検討するのではなく、更に有識者、消費者、事業者を入れた、委員会とまでは言わなくても、検討の場をきちんとつくる。そこで結論を得るということで、特に夏までにできればいいですけれども、もうそれ以上進めないというわけではなく、やはり国民生活センターの在り方というのは消費者に、また、事業者にも非常に重要なものでありますから、きちんとみんなが納得するまで考え、検討して結論を出すべきであって、まず日にちありきではないというふうに考えます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今の点はまさに同感でありまして、タスクフォースがスタートするにあたって、消費者委員会として議論に参加したい、できれば傍聴させていただきたいということで要望を出し、傍聴はさせていただきました。そのタスクフォースの確認としては、これで結論を出すということではなかったはずだと思います。あくまでも庁と国民生活センターの幹部の皆さんが意見を出し合って公開の場で討議し、ちょっと正確な表現は忘れましたが、皆さんに信を問うたたき台をつくる作業だと私は認識しておりました。
ところが、この間の動きを見ていますと、タスクフォースで「中間整理」として取りまとめたものがあたかも既成事実のようにひとり歩きしておりまして、今年の人員配置や、予算の来年度に向けた要求も、既成事実のように人員削減されていくんだ、減予算していくんだというような前提になりかねない状況がございまして、ちょっと話が違うのではないかなと。別に時間をかけてやれとは言いませんが、幅広く意見を求めることがあっていいのではないか。そういうニュアンスとして、この4項の事務局長の見解を解釈させていただきたいと思います。

○松本委員長 では、下谷内委員。

○下谷内委員 今回、この4点につきましては私どもも今までいろいろな検討をしてまいりました。タスクフォースも傍聴させていただいております。特に3番につきましては、「国民生活センターの事務は、消費者庁が所掌する~実施事務が大宗を占める」と書いてありますが、先日の行政組織法のヒアリングの中におきましても、はっきりそのような御意見もあったかと理解しております。重複という言葉で、その一言でもって物事が流されていったような気がいたしております。4番も含めてでございますが、消費者庁と国民生活センターの2つの場での論議ではなく、消費者行政の一元化というのは、やはり消費者、被害者があって、それだからこそ私たちは消費者庁をつくりたいという思いでやってきたわけです。どうもそこのところが抜けているような感じがしてなりません。したがいまして、今回、この事項につきまして、タスクフォースの中におかれましても真摯に受けとめていただきたいと強く要望するものであります。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 この問題は、2年前に消費者庁・消費者委員会等を設置する国会審議のときに、地方の消費者行政が非常に疲弊しているのを何とかしようと。そのときに中核になるのは国民生活センターだと位置づけられ、その国民生活センターをまず機能強化・充実することが先決だということで、附帯決議、その他も全部書かれております。そのために活性化基金とかいろいろな予算手当までそこにかなり注いで、向こう3年間やりましょう、更に4年目以降についても引き続きやってくださいというメッセージがあったわけです。それをやった上でなおかつ、消費者庁、消費者委員会、国民生活センター、この3つの機関の関係の在り方とか、所管する法律の在り方、そういうものをその次にきちっと見直しましょうと。こういうことになっているので、まず最初にやることは国センの充実・強化だったわけです。今、「そこができていますか?」ということを我々は言っているのでありまして、そこがまだ不十分だという認識であります。ですから、そこをもっと強化しようと。消費者庁もその次に関係を見直すにあたって、例えばこのように一体化とか一元化とおっしゃるならば、消費者庁も消費者庁としての本来の業務をきちっとやって信頼される姿になって、その上で国センとこういう形でやりましょうというふうに段取りとしては進むべきものだと思うのです。
ところが、今回のタスクのお話は、確かに監督する側とされる側、内部だけの話だというとそうかもしれませんけれども、これが及ぼす影響は非常に大きい。こういう形で今年の夏の概算要求時が締め切りのように設定されますと、2年前の国会審議の意思、国会の意思というものがどこへ行ったのかということを言いたくなるので、まず、国会の意思に従って充実・強化すべきところをして、その上で一体化とか組織のかかわりの在り方を見直す、こういう手順を是非踏んでもらいたいと思います。そういう意味で今年の夏という締め切りを無理に設定されるのは、私は今の段階ではちょっとどうかなと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 消費者行政体制の一層の強化、どう強化していくかということでの議論なわけですね。ですから、これが一定の結論を得た場合には、今後の消費者行政の在り方を規定していくことにつながります。ですから、長期にわたってどうすればいいのかという先を見通した議論であり、なおかつ結論でなければいけないと思うわけですけれども、現在、夏の閣議決定を目指してともかく結論を得ようということで、なおかつ、この中間整理について全面的に大賛成という声ばかりが上がっているならば、まあ、それもよいと思いますけれども、現実はそうではない。危惧する意見がたくさん、たくさん上がってきているわけです。それを、ともかく夏までに閣議決定しなければいけないということで決めてしまったならば、その後、あの閣議決定した方針はいささか問題があったというようなことが起こってきた場合に、組織の問題が絡んでいますから、そう簡単には変更できないと私は思います。したがって、将来を見通した消費者行政強化のための消費者組織はどうあるべきか、ということについてもう少しきちんと議論がされるべきであろうと思います。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 皆様方の意見に全く賛成ですけれども、つけ加えて一つだけ。消費者行政、消費者のためにどういう行政をするかとつくったときには、消費者庁、消費者委員会、国民生活センター、この3つが機能的に働くようにということで、消費者基本計画にも書かれてありますように、そこのところをそれぞれが強化するということだったと思います。ですから、その思いをもって、コスト削減、事業仕分けという観点からだけで、国民生活センターだけを独立してこのような形にしてほしくないということをつけ加えさせていただきます。

○松本委員長 ありがとうございました。大体共通の見解かと思います。1から3に関しては、条文上はこのとおりであり、かつ、一部の情報提供で重複している部分もあるという現実も恐らくそのとおりでしょう。しかし、3項ではっきり出ている、「消費者利益の擁護・増進に関する基本的な政策の企画・立案・推進」の中の推進という言葉でもって、推進すべきさまざまな個々の施策の細かいところまで消費者庁が自ら実施するのが適切なのか、法律はそれを要求しているのかという点について、消費者委員会としては、そうではないのではないかという意見が強かったのではないかと思います。「推進」というのは、環境整備の方が意味としては大きいのであって、個々の施策の実施は国民生活センターや地方公共団体が行い、それの実施を推進するのが消費者庁の役割だろう。役割分担をするという観点が一つ必要なのではないか。消費者庁がやってもいいことすべてを消費者庁がやらなければならないというわけではなく、より適切なところがあればそこにやらせるというのも推進なのだろうと。
4については、どんな結論でもいいからある時期までに決めろというのはやはり適切な議論ではないのではないか。どういう内容の結論を得るかということを含めていつまでにということを考えなければならないので、どんな結論でもいいからいつまでお出しください、という話ではないだろうという御意見だったと思います。
それでは、この点はここまでにいたしまして、次に、本日は消費者庁から福嶋長官と、独立行政法人国民生活センターから野々山理事長においでいただいておりますので、消費者委員会がとりまとめた意見に対するそれぞれの御意見を伺って、消費者委員会として議論を行いたいと思います。
それでは、まず、福嶋長官からお願いいたします。

○消費者庁福嶋長官 具体的なところは林からまた話をしますけれども、一番基本的なところで、これ、わかりやすいと思うのですが、消費者庁ができるときの閣議決定の消費者行政推進基本計画において、こういうふうに書かれています。「消費者庁は、消費生活センターからの情報、国民生活センターのPIO-NETや事故情報データバンクを通じた情報、更には関係機関(保健所、警察、消防、病院等を含む)からの情報などを一元的に集約・分析する」、間は入っていますけれども、「消費者庁は、一元的に集約・分析した情報をもとに司令塔として迅速に対応方針を決定する」。その中で、「悪徳商法の拡大や食品・製品等による消費者の生命・身体への被害の拡大が予想される場合には、原因究明が尽くされる前においても、早期警戒警報を流すなど情報発信機能を担う」というふうに消費者庁の役割が明確にされています。
資料2-2の「機能の重複のマル1」、消費者委員会の皆さんの意見で、「消費者庁の注意喚起と国センの情報提供は法制的に異なるもの」と。これがかなりベースの認識になっているように受け取りましたけれども、消費者庁は、情報の一元的な集約・分析・対応を中核としている。これは消費者庁の最も重要な任務としていると思います。ですから、行政処分などの権力的な事務だけではなく、情報提供、啓発という非権力的な事務も双方担っていて、この部分はやはり消費者庁の重要な役割だと考えています。
ですから、消費者庁ができるときの閣議決定にあったような、情報提供をしていく、情報発信を積極的に行っていくという役割が消費者庁の基本的な役割としてあるわけですが、今、それが十分にできているというふうには総括していません。これをきちっとやっていくためには、これまでずっと国民生活センターがそういった分野を担ってきましたから、国民生活センターの蓄積と、消費者庁のいろいろな権限、これは行政処分の法執行の権限という意味ではありません。情報発信をしていく上でのいろいろな権限を一元化させてこういった本来の役割をきちっと担っていかなければいけない。それが消費者行政全体の強化につながっていくということだと思っています。
ここの点については、もう少し林から話をさせていただきます。

○消費者庁林地方協力課長 それでは、きょうお配りしております資料2-1、2-2、2-3という3種類の資料に基づきまして、これは6月14日に、6月9日まで行っておりましたパブリックコメントを終えて、ここでいただいた200件にわたる意見、二度にわたる公開ヒアリングで提供された意見、6月10日には消費者委員会から御意見をちょうだいいたしましたので、こうしたことを踏まえて、中間整理で発表した内容を私ども消費者庁としてこの時点で整理させていただいて、見直しをしたものをベースにタスクフォースでの議論を行いましたので、そこの時点での考え方を御紹介させていただきたいと思います。
「主な変更点」を資料2-1でお示しいたしております。6点あります。
1点目は、施設等機関の名称という点です。これは、パブリックコメントなどでもやはり国センの存続をすべきだといった御意見。これについてはこの紙では、そもそも機能を廃止するものではなく、組織的には一元化をするけれども、国民生活センターの担ってきた機能は引き続き充実・強化をしていくという整理をしておりますけれども、名称についても、国民生活センターという名称をなるべく継続ができないか。これは与党の先生方からも多く出ていた御意見でもありますので、名称面でも継続性が担保できる形で、「消費者庁国民生活センター」という名称にしてはどうかといった点。
情報の収集・分析・提供に関しては、消費者委員会からも、機動性、迅速性といったことが確保できるのかといった御懸念も示されておりました。また、パブコメなどでもそういった御意見がありましたので、できる限り内部組織の運用の問題で機動性、柔軟性を確保する工夫ができないかということで、中間整理では、「情報発信調整会議」という会議体を設けて、ここで施設等機関と内部部局の調整事務を担っていくことに推しておりましたけれども、更に踏み込んで、もう少し恒常的に動ける体制として「情報発信調整チーム」という形にする。ここで、施設等機関で一時的に整理や分析をした結果をテーブルにのせて、実際の資料作成、あるいは情報提供、注意喚起につなげていく内容の整理もここでやることによって機動的に動ける体制をつくってはどうか、といった見直しを行っております。
3点目、商品テストでございますけれども、商品テストは大きく分けまして2種類ございます。いわゆる消費生活センター由来の相談処理テストと商品群テストというものがございます。商品群テストについては内部部局にという整理を中間整理段階ではしておりました。実際のテストに必要な設備、機器は、当然のことながら今は相模原の施設にございます。また、こういった実態も踏まえながら、相談処理テストに加えて商品群テストについても、実施機能については施設等機関に担っていただくということで再度整理をさせていただきました。
4点目、ADRについてでございます。中間整理段階ではADRについて、指針提示機能、紛争解決機能、この両面について国として維持するという整理をさせていただいておりました。そういった面で最終的にどういった具体的な姿になるのかというのが不明確ではないか、といった御指摘をいただいておりました。現在、国センのADRは、委員を任命する形で、主に弁護士の方や消費生活専門相談員の方を中心に、各分野の専門家を専門委員として補充して運営を行っております。こうした実態を踏まえて消費者庁の中にADR機能を担う合議制の組織を設けさせていただいた上で、施設等機関が事務局機能を担うという形で体制整備をさせていただけないかと思っております。
更に加えて、本文をご覧いただきますと、対象の案件について、今や重要な消費者紛争を対象にしておりますけれども、特に消費生活相談との連続性を考えますと、やはり消費生活センターや相談窓口で解決困難な案件を一つの対象として絞り込みをかけてはどうかということもございまして、そうした記述も加えております。
5点目は相談現場の情報の活用ということでございます。先ほど、情報提供機能の機動性や柔軟性を確保するための仕組みということを申し上げました。施設等機関では引き続き支援相談を行っていただくことにしておりますけれども、こうした相談あるいは商品テストを通じて得られた案件に関する情報、これをきちっと情報提供につなげていくことを担保するために、こういった内部組織としての工夫に加えて、消費者安全法等の関連法規の中で、相談によって得られた情報を政策に反映していく流れを規定させていただいてはどうか、ということも記述を加えさせていただきました。
最後に6点目でございます。これが、パブリックコメントでも一番多くいただいた意見でございますけれども、やはり直接相談を廃止すべきではない、維持すべきだといった御意見がございました。これについては、実はこの週明け6月20日から国民生活センターではスタートいたしますけれども、いわゆる番号を明示して直接に相談を受けるという形ではなく、あくまでも地方の支援という切り口から直接に相談を受けるという役割のものとして、今、全国で運営しております消費者ホットラインを使って、やはり相当数のものが話中になりますので、この話中になったものについて番号案内をさせていただいて、国民生活センターに直接相談を受けていただくという取り組みを、中間整理を変更いたしまして、とりまとめ原案の中ではこのことを明記させていただいた。また、支援相談と呼んでいる中身についても、経由相談、土日祝日相談、それとこの平日バックアップ相談、3つの類型を整理させていただいた形で提示させていただいたということでございます。
資料2-2は主な意見の整理をさせていただいたものでございますので、これはご覧いただければと思います。
私からの説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、野々山理事長から御発言をお願いいたします。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 私は、ちょうど1年くらいになりますけれども、国民生活センターの理事長に就任してこの業務に携わってきました。この間、国民生活センターの機能、役割は非常に重要だということは、日々の活動の中で感じているところであります。ただ、消費者行政全体の観点から見ると、日本の消費者行政が消費者庁創設という大きな変革点を迎えた後、順調かというと、順調ではないと思っております。そういう中で、現在、国民生活センターの在り方が議論されてきていると認識しております。消費者行政全体の強化と国民生活センターの役割を、いかに両方ともより強化する方向で実現をするにはどうしたらいいかということが、一つ大きなテーマとしてタスクフォースでも議論されてきていると考えております。もともとこのタスクフォースの議論というものは、国民生活センターの在り方そのもの、各機能の必要性というところからスタートしていますけれども、現在では、消費者行政全体の方向性がどうなるかということとも絡んできているという認識を私どもは持っております。
そういう中で一元化ということが、閣議決定の中身もありますので、今、そこをベースにして議論をしているわけであります。国民生活センターの役割は一元化された中で十分機能していくかということが最大の問題として、今、さまざまな御意見をいただいていると思っております。その意味で消費者行政全体の強化と国民生活センターの機能の強化を両立させるにはどうしたらいいかということについては、より慎重な検討が必要だということは間違いないと思っているところであります。
この消費者委員会の御意見、パブリックコメントの御意見の中でもさまざまな懸念がありまして、これらは、私どもが持っている懸念とも共通するところがありますけれども、特にこの中で現在議論されてきておりますのが、情報発信の在り方がこれまでどおり、あるいはこれまで以上に強化されていくかということが、一つの大きな懸念としてありますし、考えている仕組みで実現できるのかについては更に詰めなくてはいけないということと、あと、消費者委員会から出されました議論の中では、事業者の対応が大きく変わるのではないかという御指摘があります。この点についてもきちんとした議論が必要かと思っております。そのためにも、事業者の方との意見交換も必要ではないかと考えておりまして、そういう意味でもきちんとした議論が必要になってくるだろうと考えているところであります。なお詰めるべきところがある中で今後も議論をしていきたいと考えております。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの2つの組織からの御発言に対して、委員の皆様から御質問、御意見をお出しいただきたいと思います。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど冒頭に長官から、2年前の6月の閣議決定、「消費者行政推進基本計画」を引用してお話になった中で、あのときの議論になった一元化というのは、例えばパロマとかああいう事故について、いろいろな省庁がばらばらに持っているものを一つにまとめて、情報というのは集約しないと価値が出てこない。そういうものを集めた上で消費者庁が司令塔として行政、法執行をてきぱきやっていきましょうと、こういうことの中での一元化という意味であったのです。今回、タスクでまとめられている一元化というのは、消費者庁がやったらほかのところはやってはいけない、消費者庁だけがやるのが一元化だというふうに間違ってとられそうなんですけれども、もともと安全、表示、取引に対する各行政庁が持っているものを消費者庁に一元化しようというのは、何も消費者庁の中に厚生労働省や農水省等を、全部入れて一つにしましょうということではないわけです。その辺の整理をまず前提としてやっていただかないと。
ですから、先ほど言いましたけれども、2年前のあの国会での議論や、その前の閣議決定では、一元化という言葉は何も取り込むという前提で言っていたわけではないんです。国民生活センターについても勿論ちゃんと触れられていて、それを取り込んで消してしまう。消費者庁と一体化するという意味での一元化ということはあのときは想定していないわけでありまして、一元化の用語の意味合いを正確にしておいていただかないと、一元化といえば、よそはやってはいけない、情報発信は消費者庁がやったら他の役所はやってはいけない、独法もやってはいけないというふうにとられると、これはやはり間違ってくると思います。情報提供とか啓発などというのは、あっちでもこっちでもやってもいいことなんですね。国センでもやっているけれども、消費者庁でも注意喚起をいろいろやっているということがあっても別におかしいことではない。一番利益を受ける国民、消費者の立場からすれば、一つの役所からの発信を聞き落としていても他の役所からまた出てきて聞くということもあるわけです。やはりそういう意味合いで考えていただいて、消費者利益を擁護することの意味合いを位置づけていただかないと、どこか1か所が発信したらあとのところは絶対しゃべるな、みたいなとらえ方はしないでいただきたいと思います。

○松本委員長 今の点につきまして、ほかの委員の方から何かありましたら御発言をいただきたいと思います。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 情報発信の問題は非常に重要ですので、ちょっと細かいこともありますが、具体例に基づいて消費者委員会として憂慮しているところを述べさせていただきたいと思います。これは消費者行政を充実させるためにどうしたらいいかという観点で率直に述べておりますので、受けとめていただきたいと思います。私は4つの実例を指摘させていただきたいと思います。
1つは、「折りたたみ自転車のハンドルの固定力不足に注意!」という去年の2月のセンターの発信です。これは、従来ならばもっと早くできた案件であったはずなのに、消費者庁が経産省との調整を国センに指示したために発表が遅れたと読売新聞に報道されました。
2つ目は、「りんごやみかんの押し売りにご注意!」という去年の3月3日に国センが出した情報です。これについては、その前の年の12月に国センは出すつもりであったけれども、いろいろな消費者庁からの横やりが入って3月に遅れたというふうに私は聞いております。
3つ目は、「高額な施術の契約をせかす美容医療サービス」という去年の7月に国センが出した情報です。これについて国センは、特商法、景表法、医療法、割販法に照らして問題であることを指摘しようとしたけれども、庁からストップがかかって玉虫色の公表になった。私も何でこんなピンボケの公表をしたのだろうと思いましたけれども、そうなってしまった。
4つ目は、これは福嶋長官が長官になられた後の、去年12月の「突然自宅を訪れる貴金属等の買い取りサービスに関するトラブル」のことです。これは単なる情報提供として早くやればいい、何でやらないのだろうと私も思っていたのですが、結局、調整の結果、情報発信が遅くなったというふうに聞いております。
私は、ここから5つ申し述べさせていただきたいと思います。一つは、守備範囲の問題です。つまり国セン、あるいは消費者委員会もそうですが、端的に言えば、例えば医療サービス、その他の分野、あるいは経産省の分野、そういう分野についても国センは、相談の事例から問題があると思えば注意喚起をしていただく必要がある。ただ、庁としてはやはり司令塔としてほかの省庁と調整しないといけないだろう。このお立場も理解できるんです。つまり守備範囲の観点から言うと、宿命的に庁の業務になってしまえば遅れるのではないか。
それから、現実に今の4つの事例から言っても遅れているではありませんか。長官はできるだけ急いでやりますとおっしゃっている。だけど、消費者庁の立場でほかの省庁との調整が必要でしょう。司令塔としての観点から言えば、ある程度慎重にならざるを得ないのはやむを得ないと思います。これを、急ぎます、やります、大丈夫ですと言われても、私はちっとも信用できない。制度的に遅れるだろうと思うんですよ、これは。だから、権力的業務ではない非権力的業務をやる国民生活センターが、より一層奮励努力して早く国民に注意喚起をする。そういう視点を持つ必要があるだろう。これで2番目です。
3番目は、先ほど林さんの指摘で、情報調整のチームか会議をつくるとおっしゃいましたが、情報は調整すること自体が問題だと思うのです。裸の情報として相談業務があって、これは問題だな、これは注意喚起せんといかんと思ったら調整なんか必要ないはずですよ。センターの理事長が責任を取って、腹をくくって公表しなければいけない。そこで一々長官や庁に相談する必要はないということだと思います。これは4つ目の問題とかかわります。
独立行政法人通則法の3条3項で、「独立行政法人の業務運営における自主性は十分尊重されなければならない」という条文がございます。私はいろいろ聞くと、国民生活センターが注意喚起をしようとすると庁の決裁をあおがなければいけないと。このこと自体が問題ではないのか。これは現状どうなっているんですかと、両方に是非お聞きしたい。国センは独自の権限と判断に基づいて、一々庁の了解を得ないで公表すればいいじゃないですか。どういう運用と解釈に基づいてこういうことをなさっているのか。これが4番目です。
5番目、最後ですが、私は、福嶋長官だからこそ今の消費者庁の問題点を自ら率直に認められて、これを改善するためにどうするという視点を提示されたのだと思います。しかし、今の消費者庁の最大の問題は、人が足りないのではなくて、「マインド」だと思うのです。「やる気」だと思います。目の前の消費者の被害をどうやって抑止するのか。これを、あらゆる権限と知恵を働かせて、ほかの省庁にも積極的に働きかけて実現するというマインドがあれば、長官が自ら、この問題を何とかしろ、そのために法律をどうかしろということで陣頭指揮をされれば実現するものだろうと思います。それを、要するに専門性が足りないから国センから人を引っ張ってくる、これで庁がよくなるとはとても思えないんです。
これは平行線の議論になるかもしれませんが、この2年間の消費者庁で、結局、法律改正が一件もなされていない。努力されたのはよくわかります。人が足りないのもよくわかる。これから重要な法律案を改正しようとされているのはよくわかっています。私は繰り返し、例えば特定商取引法はどこどこが問題ではないですかと言ったけれども、いや、それはああだこうだということで、結局、法改正の雰囲気も全然ない。最後の5番目の問題は平行線の議論になるかもしれませんが、人を持ってきたから解決する問題ではなくて、やはり庁自体でどうするかということを考えないとまずいのではないかということを言っておきます。中村委員の言ったことと少し重なる部分もありますが、そういうことです。

○松本委員長 福嶋長官、どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 まず、中村委員からの御指摘です。一元化という言葉は同じなのですが、むろん違う中身で、組織の一元化という話とここの一元化というのは勿論違います。ここで言われている関係機関というのは保健所、警察、消防、病院ですから、一元化でみんな消費者庁に持ってくるって、そんなことは最初からあり得る話ではないので、情報の一元化ということで分析・発信をしていくということです。多様な発信があるということはものすごく大事なんですね。一般論で一つにしろという話は全く私はしていません。むしろ多元的であることが決定的に重要だと思っています。民間も含めていろんな主体が多様な情報を発信することが大事だというふうに、基本的な在り方としては思っています。今は、消費者庁と国民生活センターの体制という具体的な話をしているわけです。
ただ、1点、少し先ほどのお話は違うかなと思ったのは、ここの一元化、組織の一元化でないことは明らかですが、パロマでいろんなところに行ってしまったというのを一元化すると。関係省庁間の話なんだというふうに言われたと思いますが、先ほど文章をそのまま読みましたが、消費者庁は、消費生活センターからの情報、それからPIO-NETや事故情報データバンク、現場からの情報ということを最初に言っているんです。「更に」で関係機関と言っているわけです。だから、各省庁からの情報の一元化だけが消費者庁の情報の一元化という意味で言ったわけではないということは、はっきりしていると思っています。
それから、山口委員からのお話、何点もありましたから、落としたところはまた補足を課長なり次長からしたいと思いますけれども、今、言われた4つの事例は一つひとつ検証しないと、横やりを入れたとか、止めたとか、これは極めて重大な話で、本当に横やりを入れて必要な情報を止めていたらその職員は処分の対象だと思います。それはちゃんと事実関係を調査しないといけませんが、私は一つひとつについて、明確な事実関係を把握しているわけではないので、それはきちっと調べてみたいと思います。
ただ、今の体制でそうなっているわけです。今の事例とは違いますけれども、これまで、国民生活センターで早急に情報発信、注意喚起をしたかったけれども、消費者庁からいろいろ言われて時間がかかってしまったというような例を、国民生活センターから幾つか聞いて、その例は実際に見せてもらいました、私の就任以前のものも。ですが、それを見ると私は全く問題ないと思います。直ちに情報発信をすべきだった。もっと徹底してやってよかったと思います。
ただ、就任前のこともありますし、就任してからも、国民生活センターとの協議の一つひとつが私のところに上がってくるわけではありません。言葉は余りよくないですが、所管官庁と独法という関係の中で協議をしたわけですけれども、むしろ今度組織も一元化すれば(この一元化というのは組織の一元化です)、消費者庁の中の対等な議論になりますから、もしそこで意見が違えば、ちゃんと消費者庁としての意思決定を判断していくことになると思います。だから、具体的な今までの事例に限れば、確実に早くきちんと情報発信できた。もし、これからの体制がそのときにあったら。それは具体的には私はかなり自信を持って言えます。
それから、消費者庁は非権力的な業務も権力的な業務と同時に重要な仕事にしているというのは、先ほど言ったことです。調整の話は今、言ったお話なのですが、ただ、その調整の中で、今の体制で国民生活センターが情報発信をするもの、消費者庁の決裁が必要になっているとおっしゃいましたけれども、多分それは事実と違うと思います。伝聞ではなく、できるだけ正確にその辺は確かめていただければありがたいと思います。

○山口委員 国センが発表するものはすべて、庁が了解しないと発表できていないという実情を聞いていますが。

○消費者庁福嶋長官 調整はしていますが、決裁ということとはまた違います。

○山口委員 決裁と調整と違うんだと、こうおっしゃるわけですか。

○消費者庁福嶋長官 決裁というのはまた別の手続ですので。それは事実関係で理解をしていただけば。調整はしています。

○山口委員 調整の中で、庁がオーケーしない限り国センとしては発表できないのではないですか、現実問題。

○消費者庁福嶋長官 だから、どこまで国民生活センターが腹をくくってやったときにどうなるか、どういう権限関係かというのはありますけれども、現実には今まで調整をしてきたわけですね。その中で遅れてきた事例を、今の事例ではなくて、幾つか国民生活センターから直接教えてもらいました。その事例は、全く問題ない、直ちに出して問題ないという判断を私はしています。だから、今、一元化と言っている体制であったならば、もっと速やかに出せていたというふうに私は確信を持って言えると思います。
最後のマインドの話ですが、まさにマインドなんですよ。勿論、人数が不足しているのは決定的にあります。しかし、まさにマインドの話なのです。専門性という言い方で最初のころ一般的に言ってしまいましたが、専門性は、各省庁から来た職員というのはものすごく高い専門性を持っています。国民生活センターの専門性というのはマインドの部分をまさに言っているわけです。そのマインドというのは、私は、ただ消費者行政を担当する者が集まったからといってマインドが自然に発生してくるものではないと思っています。それから、決意だけで持てるものでもないと思っています。消費者の現場と結びつかないとマインドって出てきませんよ。私はそれは確信を持ってそう思っています。今、自治体の消費生活センター、あるいは相談の現場と直接結びつくのは国民生活センターという構造になっていますので、そこに消費者庁が直接結びつく。相談現場から政策決定までちゃんと結びつく体制にしないとマインドというのは生まれようがない。だから、今回の見直しもあるのだろうというふうに私は思っています。

○松本委員長 ほかにいかがですか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の情報発信についてです。野々山理事長にお聞きしたいのですけれども、今、長官は、常に調整してきたとおっしゃいました。今度新しく情報発信調整チームというのができてそこで調整するということです。国センは今までいろいろな情報を発信してきました、啓発もしてきました。ですが、一部、今度はスピードではなく中身に入りたいと思うのですが、十分でないということはよく言われてきているわけです。どこがというと、悪質業者を特定する情報、手口だけ公開するけれども、どこの企業だかわからない。それは国民生活センターで公表しない。また事故情報があっても、一体どこの製品かも教えてくれない。そういうところの調整は、私はどういうふうに現在やっているのか存じあげませんけれども、消費者はやはりきちんとした情報を知ることによって未然防止ができるわけです。先ほど理事長がおっしゃった、情報発信はこれまで以上に強化しなければならないと。今度、もしここで一元化することになったら、今までの国センの情報提供の在り方を更に強化して、更に消費者にわかりやすく消費者のためになる情報提供ができるようになるとお思いなのか。その辺を教えていただきたい。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 先ほど山口委員が出された事例というのは、私の就任前のこともありますが、その多くは遅れが出ていることもあります。これまでは調整がなかった中で出してきた注意喚起が、消費者庁ができて調整が入るので若干の遅れが出る。消費者庁が司令塔として存在しているということで、主務官庁として機能していくということで調整をしているということです。もう一つは、注意喚起の中で問題提起というものを私たちはやってきたわけです。例えば、美容医療なり買い取りサービスの中では、問題提起の調整にかなり手間取る。それが、我々が考えるよりは、鋭いものではないといいますか、大きなものではないという形になってきております。そういう調整の中で時間がかかるということがあるわけですけれども、今後、一体化の中でどういう形で情報発信をしていくか。今はまだ最終的には議論はされていません。
ただ、今、言ったような執行部門、あるいは立法部門といいますか、今は調整という形でやっていますけれども、そういうものの圧力が消費者庁に一体化することによって強まる可能性というのは懸念として私は持っております。だから、それがそうならないような形にするにはどうしたらいいかということをまず考えておりまして、その中で、いわゆる内部部局との関係をどうしていくかということを、基本的には重要な論点として今、検討をしているところです。その辺の運用がきちっと進むのであれば、情報発信はされていく可能性はあると思っています。

○佐野委員 すみません。あるかもしれないということですが、私たちははっきりわからないんですよ、一元化されたときにどうなるか。前回の消費者委員会では、現在の姿と、一元化した場合にどうなるかという懸念の部分をきちんとわかりやすく出しています。消費者庁も国民生活センターも、強化すれば、運用すればよくなるとおっしゃるが、それだけで私たちは一元化に賛成するわけにはいかないです。ですから、是非見せていただきたい。一元化されたらこの問題はこうなるんだ、こうだからよくなるんだというところを、私たち消費者委員会としては懸念する部分を中心に全部まとめてありますけれども、是非そこをわかりやすく、どこがよくなるのかということを目で見える形で示していただきたいと思います。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 佐野さんの後の方の意見に全く賛成ですけれども、先ほど、多様な情報発信が必要だと長官はおっしゃいましたが、ではなぜ、そういう多様なのが必要なのにこれを一元化して消費者庁一本にするのかという、そこのところは全然わからないですね。そういうメリットを具体的に、これがどうだからというのを教えていただけませんか。

○消費者庁福嶋長官 消費者庁と国民生活センターの体制で言えば、消費者庁が情報発信の過程でいろいろな調査をする、そういう権限を持っています。消費者庁設立のときに新たに与えられたわけです。ですが、先ほど言いましたように今までやってきた蓄積というのがないですので、それぞれの分野の専門性はあっても、消費者の目線で見て問題点を解明して情報発信をしていくという、そこのノウハウは蓄積していないです。そこを蓄積しているのは国民生活センターなんですよ。これを結びつける必要があって、例えば悪質事業者などについて、ちゃんと対応してくれる事業者はまだいいですが、最も注意喚起をしないといけないだろう、情報提供を消費者にしないといけないであろう悪質な業者で、一切情報の開示を拒否したり資料も出さないというときに、国民生活センターの今の力ではなかなかそこまで踏み込んでいけない。消費者庁は権限は持っている。

○川戸委員 ただ、それは、そういうところでそういう発信をすればいいわけであって、逆に言えば、消費者庁が新しくプロパーの人たちを育てるとか、そういうマインドでやれば、それはそれでいいんじゃないですか。なぜ国民生活センターをつぶして一緒にこちらにしなければいけないのか、そこがわからない。やはりそういう多様な情報発信をいろいろなところから発信するのはすごく大事だと思うのです。それを集めて司令塔として消費者庁がやればいいのであって、そこは消費者庁がプロパーをきちっと育てればいいと私などは思いますけれども。

○消費者庁福嶋長官 プロパーというのは消費者庁が採用した職員という意味でよろしいわけですね。国家公務員の制度は、私が説明するより次長か課長が説明した方がわかりやすいと思いますが、今、消費者庁がプロパーをこの規模で大幅に採用してということは、やりたくても無理なんですね。なぜできないかはちょっと説明させていただきますけれども。そういう中で、多様な情報発信は必要ですが、国が税金を使って消費者行政の中心としてやっていく。この部分が分かれていることによって、その機能が強化できていない、充実していない、本来の役割を果たしていないとすれば、それはちゃんとそういう体制をつくる必要があるだろうと思っています。

○川戸委員 私の認識は全く違うんですけれども、いくらそう説明されてもわからないということで。

○山口委員 すみません。先ほど、調整という事実がもう当然のように言われたけれども、その辺は松田次長なり林課長がお考えがあれば教えていただきたいのですが、なぜ調整が必要なのか。主務官庁だとしても、独法なのですから、独法の3条3項で、自主性は十分尊重されるべきだ、配慮されるべきとなっていますよ。それとの関係で今の運用をどう考えられているのか。おかしいんじゃないかな。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁松田次長 中間整理の資料を、いろいろな形でかぶってきますので、ご覧いただきたいのですが、資料2-3の3ページに「現状と問題点」と。そもそも私どもが一元化の案を打ち出すに至った基本的な問題点として、今、長官からも申し上げましたけれども、「機能面の現状と問題点」の2つ目、知見・ノウハウの不足から対応できていない。他方、国民生活センターに蓄積されている人材・能力が機能強化に生かされていない。財産事案は、国センは任意の注意喚起にとどまるけれども、消費者庁はまさに資料提出を求めるとか、そういった権限があるが、ノウハウ・体制が不足。生命身体事案についても書いてあります。
それから、独法制度は「国からの事前関与を排して法人の自律を通じた業務の効率化を目指す制度」なので、似たようなことをやっていますと、まさに行政機関と連携しなさいといっても連携には限界がある。だから一元化というところになっていると。この辺の基本的なところがもとだということを一つ御理解いただきたいと思います。
それから、なぜ多量に採用できないのかという話がございました。御承知のように23年度の増員は、振替12名、これはタマ付きですので除くと、41名でございます。新規採用するとなると、基本的に任期付き任用と申しますのは、弁護士さんとか、あるいは御存じの方もいらっしゃると思いますが、そういった有資格者等に限られまして、多量に人材を集める、かなりの知識のある方をそれだけ確保するというのはなかなか難しいということがございます。国センの場合は相談現場で、まさにいろいろな消費者問題のやり取りをやっているわけで、基礎知識もある方なので、この方たちに消費者庁に来ていただければということでございます。23年度は41でございます。これがこのまま通り続くとは思いません。定員事情はなかなか厳しいところもございます。
ただ、私どもの中間整理案では「24年度から段階的に」と。例えば24・25年度末、そうすると26年4月まで、今のメンバーの一部、任期付き任用の期限切れの補充も含めて、あと3回採用機会がある。当初、つまり消費者庁発足のときに、国民生活局だけでなく国民生活センターも母体にすべきだったというのが我々の考えなんですけれども、そのときに100名以上の方を一挙に新規増員するのは到底無理だったということから、もともと当時も発想はなかった。ただ、消費者庁ができた後、こうした情報提供等の役割がだぶっている中で、これを一元化していい形で一本化すれば、増員も人材を活用できる形でいけるというのがこの案のベースになっているわけでございます。
もう一つ、昨年12月の閣議決定でございますけれども、消費者庁の機能を強化する中で国民生活センターの機能の一部の移管といったようなことが書いてある。今の案は全部の移管でございますが、国民生活センターのこれをやりませんと、消費者庁の機能を強化できないというのが裏で読めなくはない。昨年の12月の閣議決定はそういうことで、今後、消費者庁を伸ばすのであれば国民生活センターとの関係を整理してから持っていらっしゃい、ということも読めるわけでございます。こうしたことから、どこまで機能移管をしようかということを国センさんと議論を重ねたところ、いいとこ取りだとか、そういうことは理事長から絶対だめだと。全部必要なのだから、一元化であれば、また検討の余地はあるだろうというようなお話がございましたので、私どもとしては、中間整理に盛り込むにあたってそういう観点からやったわけでございます。ADRは抜けておりましたけれども、今回入って、これで基本的に国センの全機能を消費者庁に移管する、一元化するということになっているわけでございます。

○川戸委員 要は、一番簡単だからということですね、ほかのところから探すよりも。

○消費者庁福嶋長官 (松田次長に対して)プロパーができない理由を何か簡単に説明できません? ちょっとややこしい話になりますよね。それはまた別個に。

○川戸委員 では、私はこれで引っ込みます。そちら、お願いします。

○松本委員長 確認したいのですが、長官も次長も、情報発信をする場合の調査権限が国民生活センターにはないけれども、消費者庁にはあるのだから、消費者庁がやる方がいいんだという趣旨のことをおっしゃいました。これはひょっとすると、消費者安全法22条の、報告・立入調査を内閣総理大臣はできるということを念頭に置いておっしゃっているのか。それとも、例えば特商法を消費者庁が執行しているのだから、法執行上の権限があるんだという御趣旨なのか、一体どちらで御発言されているのですか。調査権限というのは個別作用法の調査権限をおっしゃっているのか、消費者庁の所管ではないけれども、消費者安全法の施行のために必要な場合は一定の報告徴求等ができるという規定が消費者安全法上にございますね。こちらを言っておられるのか、どっちでしょうか。

○消費者庁福嶋長官 先ほどの情報発信の前の権限ということで言えば、法執行の話をしているわけではありません。

○松本委員長 そうしますと、消費者安全法22条だというふうに理解いたします。過去2年間で消費者庁として、消費者安全法22条に基づく正式の報告徴求とか立入調査をされたことがありますか。

○消費者庁福嶋長官 その前に、だから消費者庁でやった方がいいという話ではなくて、だから一元化した方がいいと申し上げているのです。つまり、先ほど申し上げたのは、消費者庁は権限を持っているけれども、非常に知見の蓄積がない、特に財産事案について。知見の蓄積があるのは、国民生活センターの方が蓄積してきているんですよ。だから、その40年間の蓄積と、新たに与えられた権限を結びつけることが大事だというふうに申し上げています。

○消費者庁松田次長 今のは22条ではなくて、14条。消費者安全法で、「内閣総理大臣は、情報集約・分析、結果の取りまとめを行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長等(あるいは国民生活センター、その他関係者に対し)資料提供、意見の表明、分析・検査等必要な協力を求めることができる」と書いてありまして、基本的に22条という立検の本格的な大なたをやるわけではなく、いわゆる資料提供、情報提供を求めます、こういった文書を出しているのは結構たくさんございます。

○松本委員長 これは、民間に対してもこういう権限があるというふうに読んでよろしいのですか。「行政庁に対する」ではございませんか。

○消費者庁福嶋長官 民間に対しても持っていますし、実績もあります。今、資料自体は持っていませんが、実績を示すということであれば、後に実績を提出したいと思っています。ただ、重ねて言えば、それで十分だと言っているのではなく、その権限を十分使えていないのではないかという問題意識で国民生活センターのノウハウと結びつけるということを申し上げているわけです。

○山口委員 今の観点で言いますと、消費者安全法の9条では、国及び国民生活センターは情報の提供、その他必要な援助を行うと。これは都道府県や市町村に対してです。それから、独立行政法人国民生活センター法の42条では、「センターは、消費生活に関する情報を有する地方公共団体その他の者に対し、情報の提供を依頼することができる」、あるいは通知することができるということで、国民生活センターも情報を集めて、注意喚起として情報を提供することについての根拠規定はありますよ。

○消費者庁松田次長 情報提供とは異なりまして、資料要求という形で、事業者に対して、あなたはこういうことをやっていますか、関係資料をくださいと、制裁規定はございませんけれども、そういった文書を出せるかという根拠規定がこの14条だと申し上げているわけです。

○山口委員 わかりました。

○松本委員長 14条を根拠にして悪質業者に対してさまざまな資料要求ができるということであれば、是非、消費者庁としてこれをどんどんやっていただきたいと思います。
ほかに御質問ございませんか。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 ほかの委員の方もおっしゃっていらっしゃいますが、最初に長官が消費者庁は司令塔に徹するということでしたのですが、その前に読み上げられたときに、情報を一元的に集約・分析する、それを司令塔として対応すると書かれているということをおっしゃっていらっしゃいました。だからといって、すべてのもの、国民生活センターと消費者庁が一元化になるというふうには、どうしてもこれは読み取れないと思います。それは消費者庁の一元化であって、消費者行政の一元化にはならないというふうに思うわけです。司令塔としていろんなところに消費者庁が発信していけばいいことであると理解しております。
情報発信につきましても、幾つもいろいろな形で情報発信をするのは当然だとおっしゃっていらっしゃいますが、そうであるならば、現在やっているように、国民生活センターが注意喚起をすることと、それから、庁として行政処分権限を持ったそういう情報発信の在り方も当然あっていいと思うのです。消費者にとっては一回見たって見過ごしますので、やはりいろんな形で情報を発信されてしかるべきものだと思います。それが今度、消費者庁に一本化になって、権限を持ったところがそれをやるからもっといいものになるというのは、消費者にとっては速やかな情報の発信にはならないのではないかというふうに感じております。今まで国民生活センターの注意喚起というのは、確かに事業者名がないとかいろいろありましたが、あくまでも注意喚起、今、こういう問題が起きていますよ、だから皆さん、ともかくこれに注意してくださいねということを情報発信されたと思う。私たちはそういうふうに理解しておりました。そういう形で、御相談に来られた方、あるいは啓発に行ったときもそのようなお話をしていたわけです。
今度それが消費者庁に行きましたときに、どうしても権限を持ったところが情報発信をするのは、受けとめ方というのは非常に難しいだろうと思います。国民生活センターに呼ばれて行くのと消費者庁に呼ばれて行くのは、非常に重みが違いますと、事業者の方と何人かお話をしましたときもおっしゃっていました。権力を持ったところに呼び出しをかけられるというのは、それに従わざるを得ないというのがまず一点あるということを強くおっしゃっていました。ですから、自分たちがどういうような考えをしているとか、今、何が問題であるかということを伝えるのが非常に難しいというような感じのことをおっしゃっていらっしゃいました。
これから、消費者庁一本になると非常に懸念されるのは、情報発信が重複しているから一つにするということではないと思うんですね。現在、消費者庁さんがされているもので、子どもの携帯に発信されていますね。現在、高齢者等に発信している「見守り新鮮情報」というのは、もともと内閣府がやっていたのが国民生活センターに移行されました、独法の中でやるべきだということで。ですから、すみません、正式名称は忘れたのですが、子どもの安全、携帯でのあれはとてもいいことだと私は思っています。ああいうものは国民生活センター、独法がやればいいことだと思うのです。そういう実施事業に対しては、何もそこまで消費者庁がすることではないのではないか。やはり司令塔に徹していただきたいと私は思っております。幾つかほかにも、平日バックアップ相談とかいろいろなところに問題はあるのですが、まず情報のところにおきましては、私は非常に強くそれを感じております。ですから、その中で一元化するというのは、消費者庁にすべてを持っていくというのは、いかがなものかなという非常に不安感を感じています。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 先ほど、中村委員さんの意見にも申し上げたのですけれども、冒頭引用したのは、だから一元化、組織を一元化するんだということを言っているのではなく、消費者庁も行政処分等の法執行が仕事だということではなくて、非権力の部分の情報発信、注意喚起、消費者にいろいろな情報を事前に提供していく、これは消費者庁の重要な仕事として位置づけられているんですということを説明したくて引用したわけです。だから、今、委員がおっしゃった、法執行を背景にした情報提供とそうでない情報提供という整理ではなく、消費者庁も、行政処分の法執行の部門と、そうでない情報発信の部門、両方がありますと。それはもう重要な仕事として、消費者庁の中心的な業務として位置づけられています。そういう情報発信の部分で国民生活センターと重なっているので、それをどうするか。それは結びつけた方がより強化できるだろう、という考え方としてお話をさせていただいているということです。

○下谷内委員 そういたしますと、独法の制度から言うと、資料2-3の3ページの下に書いてあるこのとり方というのは、私が感じるとり方と消費者庁が考えているとり方が全く違っていると思うんですね。「類似行政を行政機関と密接に連携して行うには限界がある」ということが書かれておりまして、類似行政だから一つにするというふうにおっしゃっているのではないかと思います。そうではなく、その前の「事前関与を排して法人の自律を通じた業務の効率化を目指す制度」であるということならば、そういう重なった部分のところについては独法がやればいいのではないか。それを司令塔として見ていかれるというのが必要なのではないかというふうに私は思います。

○松本委員長 どうぞ、日和佐委員。

○日和佐委員 すごく簡単です、一言。今、おっしゃいました、行政処分権限がある消費者庁にも情報提供の責務がある。それは非常に大きな仕事であると。それはそうであろうと思います。ですけれども、それはあくまでも行政処分権限を持っている消費者庁という組織として情報提供をしている、情報発信をしているということにほかならないわけで、消費者庁の中にある違う組織が、例えば行政サービスを担う独法等のような組織が消費者庁の中にあって、それをやっているというわけではないわけですから、そこはやはり根本的に違う。出す組織が違うわけですから、そこの違いははっきり確認しておいた方がいいと思います。
そして、自らおっしゃっていらっしゃいましたけれども、消費者庁は情報発信が非常に苦手である、不十分である。そこのノウハウを積んでいるのは国民生活センターである。だからといってセンターの職員を消費者庁に持ってくれば、基盤になる組織が違うわけですから、同じ能力を発揮できるかどうかということは全く疑問であると思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 理事長にもちょっとお聞きしたいのですが、5月13日に中間整理が出てきたときに、国センとしての留意点及び論点というのを機能ごとに並べられて、それに対して消費者庁から一定の考え方が示されました。いろいろな機能があるけれども、今、中心になっている情報発信だけについてお聞きしたいのですが、あの中で、情報発信の柔軟性・機動性が確保されるのだろうかという点を指摘されている。それに対する消費者庁の答えは「柔軟性・機動性は十分確保されるものと考えている」という答えで、何かこだまのような答えなんですけれども、これでは何も説明になっていないということで、今回、消費者委員会から6月10日に意見を出したときに、もう一度懸念を指摘しているわけです。情報発信が遅くなるのではないかとか、いろいろな指摘をしておりますけれども、それに対して今日、資料2-2で6月14日の11回目のタスクで整理された回答が出てきています。野々山理事長から見て、もともと指摘された懸念を、今回、私たち消費者委員会も同じ懸念を表明し、それに対する消費者庁の考え方及び対応が6月14日に出たのですが、この回答を見て懸念はなくなりましたか。

○独立行政法人国民生活センター野々山理事長 懸念がなくなったということはありません。そのことは前回のタスクでも指摘したとおりです。だから、まだ懸念はあると考えています。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 いろいろお話を伺っても、やはりよく見えないんですね。ここでヒアリングをしたときも、結局、一体一元化したらどうなるのか。言葉では運用とか、うまくいくとかいろいろ言われていても、本当に見えないから何とも言えないというところが非常に多いとの意見がありました。今日はここには配付されていないのですが、この間、一元化のイメージというのを消費者庁がお出しになっています。まるまる国民生活センターが消費者庁の中に入ってしまうような形が新しい形となっているのですが、こうすることによって本当に消費者にとって利益が生まれるのか。私たちには、今の独法の国センが消費者庁の中に入ったときのそのイメージがよくわからない。先ほど申しましたように、国民生活センターも消費者庁も、どういうところがはっきり変わるのかというものを、きちんと図なり、わかりやすく示していただきたい。長官が頑張ります、頑張りますとおっしゃり、理事長もそうですが、両者とも頑張りますとおっしゃっても、それだけの言葉で私たちは、ああ、そうですか、じゃあ一元化しましょうというわけにはいかないわけです。
国民生活センターは40年の歴史があって、更に、独法としては非常に認知度の高い国民生活センター、それは新聞でもきちんとアンケートされたものが出ています。それを消費者庁の中に入れてしまう、一体これが消費者にとってどれだけのメリットがあるのかというものを、わかりやすく示していただけないものか。それを是非、検討していただいて、何かもし出せるようだったら、わかりやすいものを出していただきたいと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私も是非建設的な議論をしたいんですね。消費者委員会としてセンターが一元化するということについて、個人的な問題ではなく、制度的なところで懸念を指摘しているわけです。それについて今回配られた資料2-2の回答で、とてもじゃないけど、これで、はい、わかりましたとは言えない内容にとどまっていると思います。これまで実績を上げてきた国民生活センター、それでいいとは決して思わないので、国民生活センターはこう改めるべきではないかという具体的な提案も委員会としてさせていただいていますが、そうではなくて一元化が必要なんだと。こういうふうにすれば委員会が指摘している問題点は解消できますと、その辺を是非もう一回御検討いただきたい。別に消費者委員会の後ろに消費者の皆さんがたくさんいるというわけでもないかもしれませんが、少なくとも私どもとしては消費者の声を少しでも代弁したいと考えているわけで、消費者行政をよくしていただきたいという観点で提案し、意見を出しているわけですから、是非お答えいただきたいと思うのですが。そこは是非お願いしたいです。

○松本委員長 どうぞ。

○消費者庁福嶋長官 勿論、そういう努力はさせていただきたいと思います。消費者委員会の皆さんへもそうですし、全国の一人ひとりの消費者の皆さんにきちんと説明しないといけないことですから、そういう努力は最大限させていただきたいと思います。ただ、あえてつけ加えれば、一元化して組織がこうなると必ずこうなります、というものでは何ごともないではないですか。消費者庁と国民生活センターが今のままなら消費者庁が必ずこうなります、国民生活センターが必ずこうなりますと、組織によってすべて未来が決まっているわけではありません。未来を決めるのはそれぞれ、それを運営する人の意思であり、その行動なんですね。だから、一元化して何をするかが大事だと思うのです。何をするために一元化するかということを明確にしていきたいと思います。では、そうしなかったらどうなるのかというのは、それはいずれにしてもだめな話なんですけれども、何のために、何を目指して一元化するのか、それをわかりやすく示していきたいと思います。
それから、これはお願いなのですが、今日の議論の中でもこちらが御説明したときに、いくら聞いてもわからないという結論だけピシャッと言われると、では、それから先は何を説明したらいいのか、何を我々はもう一回考えたらいいのかというのがなかなか深まっていかないので、具体的にここがわからない、ここがどうなんだというふうにお互いそういう議論ができると、もう少し深まるのではないかと思いますので、是非その点もよろしくお願いします。結論を言えば、皆さんから言われたことを是非努力したいと思います。

○松本委員長 今の御発言、それから山口委員の、情報発信が調整をしなければならないために今まで遅れていたのではないかという御指摘に対して、長官は、私が就任する以前のケースについては、こんなのはすぐ出すべき、あるいはもっと早く出すべきものだったというふうにおっしゃいました。ここは、長官だからそうおっしゃれるのではないか。つまり、だれがトップかによって違ってくる可能性があるということだと思います。だから、長官のようなマインドの方が今後もずっと消費者庁長官に就かれれば、情報の発信の遅れという心配はないのかもしれないけれども、組織の問題を人にすべて依存するのは危険だというのが現在の組織論だと思います。今は国民生活センターと消費者庁という2つがありまして、それが一つになると、もっと早く情報が出るかもしれないけれども、逆に言えば全く情報が出ないことにもなりかねない。それはまさに人次第だというところがあるわけで、そこを何か制度的に担保するものとセットにしておかないと、今、おっしゃったような危惧、我々が考えている危惧と言いかえた方がいいですが、それが払拭できないのではないか。私がトップでいる限りは大丈夫ですというだけではなく、やはりもう少し何か制度的なものがほしいというふうに思います。

○消費者庁福嶋長官 ちょっとこれは、余りぎちぎちやると変な議論になるかもしれませんが、できる限りちゃんとそういうことが担保できる組織を、知恵を出してつくっていくというのは勿論やりたいんです。それをやっているつもりです。ただ、全然だめな人が出てきたらどうするんだという話をし出すと、それはもう議論の話ではなくなる。だって、国民生活センターの理事長だって、野々山理事長が永遠にされるわけではないし、お褒めの言葉をいただいたのかどうかよくわかりませんが、私の後、もっといい長官が出る可能性は十分にあると思います。それはそういうことなのですが、でも、できる限り組織的な担保をきちっとやろうというのが我々の目標だと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 私は、独立行政法人ではないですが、公正取引委員会の機能強化のことをアメリカ政府からいろいろ申し入れられたときからずっとやってきました。その中で日本の最大の問題は、ちょっと言葉は悪いけれども、番犬が一つしかないということなのです。独占禁止法の機能強化をするための政府の組織が公正取引委員会しかない、これが最大の問題だと言われてきました。アメリカの場合には、DOJとFTCと各州のそれぞれの長官が競い合って独占禁止法の強化のためにやっているわけです。つまり、一本化すればいいというものではないんですよ。一つの法執行あるいは一つの問題について、さまざまな組織がいろいろな形で問題点を摘出していく中で初めて、それはよくなるという面があるのです。そこのところは一つ別の観点から是非御検討もいただきたいと思います。

○松本委員長 いろいろな議論が行われましたが、論点はまだすれ違いになっている部分、あるいは考えが対立している部分がたくさんあると思います。国民生活センターの問題につきましては、消費者委員会としても引き続き議論を深めていきたいと思います。福嶋長官、野々山理事長にも、再びお越しいただいて議論を深めたいと思っております。
福嶋長官、野々山理事長におかれましては、本日はお忙しい中を審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪3.「消費者基本計画」の「検証・評価」(平成22年度)及び計画の見直しについて≫

○松本委員長 続きまして、「『消費者基本計画』の『検証・評価』(平成22年度)及び計画の見直しについて」です。消費者基本計画の検証・評価と見直しにつきまして、消費者庁におかれましては、パブリックコメントや消費者委員会からの意見等を踏まえて素案の修正を行い、原案の作成を行っているとお聞きしております。本日は、消費者庁においでいただいておりますので、この原案につきまして、パブリックコメントや委員会意見等への対応状況を含めて御説明をいただき議論を行いたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁成田企画課長 消費者庁企画課の成田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、消費者基本計画の検証・評価と見直しにつきまして御報告させていただきたいと思います。資料3-1に沿って御説明させていただきます。
「消費者基本計画の検証・評価と基本計画の見直し」の素案につきましては、6月3日の消費者委員会に御説明をするとともに、先週の消費者委員会におきましては意見募集の結果の概要を御報告させていただいたところでございます。また、先週の消費者委員会では、消費者委員会からも御意見をいただいたところでございます。
資料3-1の2枚目に、パブリックコメント・意見募集でいただいた御意見の概要を少し御紹介させていただいております。実はパブリックコメントでは非常に幅広い内容について御意見をいただきましたので、こういう形で整理をするのは非常に難しかったわけでございますけれども、この資料では左側に、特に消費者庁の関連の施策の中で比較的御意見が多かったと思われる分野を幾つかピックアップいたしまして、それについて、これも御意見の例になりますけれども、御紹介いたしまして、右側にその考え方や対応を整理しております。いただいた御意見の例だけ少し御紹介をさせていただきたいと思います。
例えば最初の欄でございますけれども、東日本大震災の発生に伴う対応や、ユッケなどの安全対策について盛り込むべきではないかといった御意見をいただいております。
2つ目の事故調査機関につきましては、その具体化に向けて会議を設置するべきではないかといった御意見をいただいております。
食品表示につきましては、一元化の検討のプロセスが不明ではないかという御意見などをいただいております。
消費者教育につきましては、例えば具体的な事業を明記すべきではないかといった御意見をいただいております。
国民生活センターにつきましては、その在り方が決定したかのような記載が違和感がある、などの御意見をいただいております。
地方消費者行政につきましては、基金終了後の対応についての御意見など、さまざまな御意見をいただいております。
また、下に「その他」というところがございますけれども、検証・評価の様式において、例えば会議の出席者数、ホームページのアクセス数などを明記して、評価に生かしていくべきではないかといった御意見もあったところでございます。
こういった御指摘を踏まえまして素案を修正いたしましたので、今日は、消費者庁関連施策を中心にその概要を御説明させていただきたいと思います。本日の案につきましては、一部、まだ各省調節中のものですとか、未提出の部分があることにつきまして御理解をいただきたいと思います。
資料の1枚目にお戻りいただきまして、左側の色のついた四角のところに主な修正点を書いてございます。
まず、1番目の点でございます。東日本大震災への対応を書くべきではないかということでございますが、これにつきましては総論に記載を追加したいと考えております。具体的な案文でございますけれども、資料の右側、一番上の四角に書いてございます。わかりやすい情報提供などの消費者政策の各施策を適切に実施していくことを記載いたしまして、実際には各省庁等においてそれぞれの施策の中で、震災への対応を適切に実施していくこととしたいと考えております。
2番目、国民生活センターの在り方につきましては、右側の2つ目の四角に書いてございますけれども、「消費者庁の機能を強化する中で、消費者行政全体の機能強化の観点から、各機能を消費者庁へ一元化する方向で必要な検討を進めます」という記載をすることとしております。
3番目、事故調査機関の在り方につきましては、これはパブリックコメントの段階ではPとなっておりましたけれども、その後で検討会の取りまとめが行われましたので、資料の右下にございます3つの具体的な施策を追加することにしております。1つは、事故調査が十分になされているとは言えない事故等の調査を行う体制に関する施策。それから、消費者事故等の調査の公正・独立についての評価、事故調査機関の調整・連携、事故調査の申出への対応等のための体制に関する施策と、医療分野の体制に関する施策というものを追加しております。
4番目でございますけれども、規制仕分けの対象項目のうちマンション投資への悪質な勧誘、貴金属の訪問買い取りについて、具体的施策を新たに追加することにしております。
その他、5番目に書いてございますけれども、検証・評価の様式の修正を行っております。例えば「食品表示の一元化について検討のプロセスが不明」という御指摘がございましたので、今後の取り組み方針に「事業者、消費者等との意見交換の場を設ける」ということを追加しております。
家庭用品品質表示法に関する施策について、ホームページのアクセス件数等、評価の基準として明記すべきという御指摘がございましたので、消費者庁のホームページの家表法のコーナーへのアクセス件数を明記いたしました。
消費者教育推進会議につきまして、今後の取り組み方針を明記すべきという御指摘がございましたので、今後の取り組み方針に、例えば課題等の整理を7月を目途に行うといったスケジュールを明記することとしております。
個人情報保護法の検討では、消費者委員会から「社会保障・税に関わる番号制度」の検討状況に言及すべきという御指摘をいただきましたので、これも今後の取り組み方針に追加しております。
あと、本日御用意した残りの資料につきまして、御説明だけをさせていただきたいと思います。
一つは、資料3-2ということで、新旧対照表を御用意しております。これは消費者庁の施策だけではなく、全体の施策について、消費者基本計画の変更点について新旧対照表を作成したものでございます。
資料3-3でございますが、今、申し上げました修正を行った後の、消費者基本計画の全体がどうなるかということをお示しした全体の案でございます。
資料3-4でございますけれども、前回、171の具体的施策一つひとつにつきまして検証・評価をした様式を配付して、非常に分厚い資料になっておりましたけれども、本日は、前回から変更された部分のみの施策を抜粋したものを資料として付けさせていただいております。
今後は、A3の資料の左下にもございますけれども、月内に消費者政策会議における案の決定を経て閣議決定ができるように作業・手続を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
御説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問のある方はどうぞ。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今の概要の説明、これはパブコメ等を踏まえて修正されているわけですね。2番の国民生活センターの在り方のところの表現が前とすっかり変わってしまって、前は、「機能充実のための中核機関として同様に点検を行い、その体制の整備に努めます」ということで、一元化する方向で必要な検討は進めるという言葉は一言もなかったんですね。今回は、「消費者庁へ一元化する方向で必要な検討を進めます」と明記されてしまっているんです。これ、どうしてこうなったか不思議でしょうがないのです。先ほど国センの在り方の議題のときに配られた資料2-2に、パブコメなどで出た意見の中に、「一元化は機能強化につながるか懸念」、むしろ、「機能強化につながらない。一元化に反対」というのが2ページ目にある。意見募集の中でも46件もあって、公開ヒアリングでも4件もそういう意見があったとまとめられている。消費者委員会も一元化に懸念を表明しているわけですが、そういうものを踏まえたときに、どうして、「各機能を消費者庁へ一元化する方向で必要な検討を進めます」というまとめになるのか。ここのところをちょっと説明していただきたいと思います。

○消費者庁松田次長 ここの表現では「一元化する方向で必要な検討を進める」となっております。引き続き検討を進めるということでございますが、私どもとしては中間整理をした段階で、国民生活センターと合意のもとに一元化をたたき台としてこの案で世に問うている。それを前提として、その方向で検討を進めているという事実を踏まえてこういう表現としたものでございます。なお、これは大臣・副大臣以下の確認も取った上でこの表現にいたしております。

○中村委員長代理 基本計画をまとめるにあたっては、消費者委員会の意見も尊重しなければいけないということは明記されていることだし、おわかりだと思いますが、私たちはこの間の6月10日の意見で、この問題についてはいろいろ懸念があって、それが払拭できていないし、もう少し議論を深めましょうと、こういう物言いをしています。これをどこにも反映しないで、そして、6月末を目途に閣議決定すると言われますと、国センの議論をこれからやろうとしているのにここで方向性をピシッと打ち出されてしまいますと、後の議論に非常に影響するのではないかということを懸念しているのです。ですから、この国センのところの在り方の表現については、もう一回見直していただきたいと思います。

○消費者庁松田次長 先ほどの資料2-2で、やはり国民生活センターの在り方についてもパブリックコメントをいたしまして、その結果を踏まえて、これから更なる検討もしますという前提ではございますけれども、基本的に私ども中間整理の方向でなお検討しているというファクトには変わりありませんので、この案で行きたいと思っております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 引き続き、同じところであります。合意のもとだとおっしゃられたのですが、5月13日に出された中間報告の中に補論がありまして、「独法改革との関係」というところがあります。別紙1になっていました。その中で「独法見直しの具体化との関係」ということでマルが2つ書いてあります。最初のは、「行政刷新会議は、独立行政法人制度見直しによる『新たな制度・組織』を検討しており、この検討の具体化をまたなければ結論を得られない、という主張はあり得る」と書いています。その下に、「しかし、消費者庁に基本的に一元化する場合には、独立行政法人制度の抜本的見直しの検討の具体化をまつまでもなく、見直しを進めることは可能」と書かれていて、これは上が多分国民生活センターの御意見ではないか、下が消費者庁の意見だというふうに私は聞きました。
大きな力を持っているところが弱いところをのみ込む場合は、合意と言うのかどうか、私にはわからないのですけれども、どうもそういうようなに見えて仕方がないのです。だから、「一元化する方向で必要な検討を進める」と。検討ということはとても使いやすい、いい言葉だと思うんですね。でも、やはりここにはっきりと書かれると非常に問題があるかと思いますので、ここについてはもう一度見直しをお願いしたいと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 結局そういうところなので、総論の3ページの下3行のところの、「国民生活センターについては、消費者庁の機能を強化する中で、消費者行政全体の機能強化の観点から」、その次は20字ぐらいを削って、「観点から、必要な検討を進めます」ぐらいにしませんか。「消費者庁へ一元化する方向で」と入れたい気持ちはわかりますけれども、今、まさに議論を呼んでいるテーマですし、別に削ったからといってできないわけではないし、ここのところは、何かガチンコでこだわられるのもちょっとどうかなと思うんです。

○消費者庁松田次長 先ほどの独法の補論のところは、もともと昨年12月の閣議決定の中に「独立行政法人改革と並行して」というくだりがあったものですから、あえて補論として入れたというのが実際のところでございます。この原案以上にいろいろ議論はあったのですけれども、ここには今回付いておりませんが、中間整理のときの国センの更なる懸念点等々にまとめられている部分において、ここの部分については、中間整理として両方が合意した上でこれをたたき台とするということでございます。
それから、閣議決定は6月末時点ですので、私どもは検討は続けるということでございますけれども、消費者委員会からも御議論がありまして、これからなお、消費者団体、自治体あるいは事業者団体とのヒアリングをタスクフォースの場でやりながら、更に検討を深める。その検討をしていくということを書いておりまして、たたき台が私どもの中間整理案だということで、それを方向として、中間整理をベースにしているという意味でこういう表現になっているということでございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 同じところばかりで申し訳ないのですけれども、やはりこの文章は納得できない。消費者庁は消費者の利益の擁護ということをきちんとやらなければならない中で、パブリックコメントでもヒアリングでも反対の意見が多いことをわかっていながらこういう文章にするというのは、私はちょっと乱暴だと思います。検討していく分には別にだれも反対はしません。検討するべきです。でも、ここになぜこういう形で書かなければならないのかというところは、私は理解できない。是非みんなが納得できるような文章に直して、そして閣議決定に進めていただきたいと思います。

○消費者庁松田次長 先ほど議論につけ加え損ねたのですけれども、例えば長官が代わった、理事長が代わったというところで、先ほど説明をしておりませんが、今回の資料2-2では、8ページ、9ページ辺りですが、例えば内部規定を設けて会議体を設けるとか、実際の根拠規定を置くとか、9ページのポツ2であれば、注意喚起や制度改正など、消費者トラブルの情報等を企画・立案・推進に活用することを法令で規定しましょう、意見の問題提起をくみ上げましょうとか、さまざまな議論を進めながら改善を加えております。
今、こういうことをやっている最中で、そういう中で、これは残念だったんですけれども、例えば資料の10ページに「見直しの効果」とございます。一緒になったらどうなるのかがわからないと言われますけれども、私どもは、一緒になったらこういうことができると、1ページ、書いているわけです。それはまだ理解が得られないのかわかりませんけれども、私どもは4月来、試案を示し、その中でずっとやっておったわけでございます。そういう中で中間整理を行い、更にはパブリックコメント等の意見も踏まえて、今、その方向で検討しているというファクトを、6月の末時点でまだ通過点でございますけれども、その時点での方向性を書くのは問題ないというふうに考えております。

○松本委員長 ほかに御意見、御質問ございませんか。あるいはほかの点で。
日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 今のことですけれども、勿論おっしゃることはそのとおりでありまして、必要な検討を進めていらっしゃる。そのことは事実ですから、そこは書いていいわけですけれども、この「一元化する方向で」ということに関してはかなり批判が多くある課題であります。ここに書かれて閣議決定がされたならば、閣議決定されたではないかということで使われる可能性を非常に危惧する、正直に言いまして。そういう危惧を持っていますので、「機能強化の観点から」、一元化ということを除いて、「必要な検討を進めます」、それで私はいいと思うのですが、御検討ください。

○消費者庁松田次長 何度も申し上げますけれども、6月末の時点での検討の方向性、消費者庁として政府決定ということで方向をあくまで検討中でありますので、その時点での検討中のベクトルを全く書けないというふうには考えておりません。この原案でいいと思っております。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 話題を変えますけれども、事故調査機関のところで、新たに今まで手薄だったところの事故調査を行う体制を整備するということで、実施時期が、今年度中に必要な準備を進め来年度中の体制の具体化を目指すとなると、スケジュール的にはこの夏の予算原案の中にもお入れいただいて、来年の3月ごろに予算が通って、それで4月以降にスタートさせる、こういうスケジュールでいいのか。まず、それを一つ確認です。
そうなると、もう目の前に見えている話なので、予算を組むにしても、どういう体制を考えておられるのかということをもう少し見えるように説明をしていただきたいと思います。

○消費者庁松田次長 今の御質問でございますが、消費者事故に関する在り方検討会が5月31日まで、予定より大幅超過しまして、今、その報告を取りまとめてまだ2週間というところでございます。ここのベースで、まず報告書を受けた形で各省とどこまで詰められるかということで、短期的にこれで調整してぎりぎりのところでございます。最初の御質問であれば、来年度概算要求に何らかの形で盛り込むのかというのは、盛り込むことを考えております。したがいまして、どういう体制になるのか。その場合の事務局スタッフといいますか、どういうものにするのか。すき間事故という概念の中でどういうレベルを想定するのか。ボリュームもありますし、とりあえず何をやっていくのかというところも、在り方検討会で、書いてあるようでなかなか詰まっていないところが多々ございまして、まさにそこは難しいなと思っております。
それから、消費者安全法で消費者委員会の役割は当然書かれておりますので、消費者庁が事故調査をやっていくにあたってどういうふうに関係を整理するのか、そこも大きな課題になっておりますので、もうちょっとお時間をいただきたい。おっしゃるとおり、概算要求するためにはそれなりの準備も必要ですので、しかるべきタイミングでまた御報告できると思いますが、まず、この時点でのぎりぎりの文案だということを御理解いただきたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 教えていただきたいのですが、先ほどの国民生活センターの在り方で、「消費者庁へ一元化する方向」というのは、このままにしたいという御意見でした。施策1番、2番、6番の中に、国民生活センターと連携してPIO-NETの刷新を円滑にとか、国民生活センターとして端末の配備をしますとか、こういうふうに書かれているのですが、あの施設等機関はどう見ても私の理解は、単なる課にしか見えないのです。企画課、調整課というふうにしか見えなかったのです。そうすると、総論のところに一元化と書いてあって、同じ課の中の、消費者庁国民生活センターという名称にするという、あの国民生活センターのことをおっしゃっているのか、今の国民生活センターがあるということを前提にしておっしゃっているのか。そこのところを教えてください。

○消費者庁松田次長 もとより私、先ほどから申し上げておりますように、方向で検討しておりますが、政府として決定しておりませんので、現在の国民生活センターと連携するという表現であります。そこは誤解のないように申し上げておきたいと思います。
それから先ほど来、もうちょっと読んでいただきたいと申し上げたのは、14日、3日前のタスクフォースで追加された赤のところですけれども、資料2-3の7ページをご覧いただきたいと思います。下谷内委員から、何だ、課みたいじゃないのというふうな御指摘もあって、「ちっぽけなものを考えているんじゃないの?」ということの誤解を避ける意味で図を入れたのですが、これはこれでまた議論があるんですけれども、要するに消費者庁に直接ぶら下がる施設等機関でありまして、所長をヘッドとして、部の数とかはこれからですが、部の下に更に課を置く。勿論、本省の課とは違いますけれども、そういう二層構造で、今、国民生活センターの体制をある程度勘案しているところもございます。
先ほど来、余り申し上げなかったのですけれども、ラブコールを送っているので余りあばたの議論をしなかったのですが、4ページ、「組織・ガバナンス面の現状と問題点」のところにございますように、常勤役員4名、管理職22名、管理部門21名。120名の組織でこれだけの頭でっかちの組織になっている。国センさんは非常勤の相談員さんをたくさん抱えているからということを言われますけれども、こういうところも一緒に効率化しようというところがある。しかも、機能は維持しつつというところが抜けておりますので、そういったところを勘案しつつ、かといって、管理職22名いるのに課にすると1人か2人になってしまいます。内部部局にするとそういうことになるということで、そういったことも含めまして施設等機関になっているという実際的な理由も、ひとつ御理解をいただきたいと思います。いずれにしても、そんな1課ぐらいの話ではなく、もう少し重層的なさまざまな役割を担っていただく、そういった組織イメージに持っていきたいと思っております。どうも説明が追加、追加になっていますので、中間整理からいろいろ改良を加えている、この点も併せて御理解をいただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 改良を加えていらっしゃるのはわかるのですが、再度申し上げますけれども、国民生活センターの在り方のところは、「消費者庁へ一元化する方向」というところを削除していただきたい。是非それを検討してください。

○松本委員長 ほかにございませんか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 項目的にはたくさんあるのですが、残念ながらこの程度でとどまってしまうのならばちょっと残念です。地方消費者行政の充実の観点から、PIO-NETの入力費用について、恒常的な予算制度的な措置を講ずるべきではないかということを消費者委員会として建議させていただいております。これについては遠からず御回答をいただくことになっているわけですけれども、これは施策番号で言うと1番になります。PIO-NETの入力システムを改善しますと書いてあるのですが、地方自治体の入力の手間にかかる人件費、あるいは人員、スタッフの充実の観点から、予算措置を講ずることも含めて検討ということが入れられないのかどうか。
もう一つは、景品表示法の執行力の低下の現実をふまえて、これを強化の必要性ということも委員会の建議の中に盛り込んでいるわけですが、今のところ消費者庁の案に何ら盛り込まれていないようなので、この点については早急にもう一回、消費者委員会としての地方消費者行政の強化のための建議の内容を御検討いただいて、盛り込めるものは早急に盛り込んでいただきたいと思います。

○消費者庁松田次長 景表法の強化の話は私も余り詳しくないので、可能なのかどうかわかりませんけれども、1点目の入力経費については、私ども予算要求をする気はありません。これははっきりそう考えております。これは三位一体改革の経緯等から、今、PIO-NETの入力経費を予算補助するということにはならないと考えておりまして、この点では御意見に添えませんので、申し上げたいと思います。
私どもとしては、入力の手間、キーワード検索、キーワードの付与、3,000に及ぶキーワードをどうするか、あるいはそこを口頭で入力できないか、イメージ入力できないかとか、さまざまな相談員さんの負担軽減、これは考えておりますけれども、自治事務に対して補助を出す、新たに措置するということは考えておりません。申し上げておきます。

○松本委員長 ほかに、御意見ございませんか。

○下谷内委員 今のことに関連してお伺いしたいのですが、自治事務だから補助しませんとおっしゃったのですけれども、あのPIO-NETはもともと国の共有財産だということで、たしか長官もおっしゃられたような気がします。それから、消費者庁をつくるときに、いろいろな形でPIO-NETについての情報は国に入る、国の財産だということで、さらに、地方消費者行政の専門調査会でもそのような意見もありました。そういう観点から少しはお考えになるということは全くないということなのでしょうか。

○消費者庁松田次長 財政措置として講ずるということはない。そのかわり、PIO-NETの実際の使い勝手、とにかく現場の負担を軽減する、ここは頑張ります。昔は、そういう入力事務の入力経費、たしかやっていたと思いますけれども、そういうところを復活させろとか云々という話は全く考えておりません。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 佐野さんと同じ。もとに戻りますけれども、私も、「消費者庁に一元化する方向で」というのは削除していただきたいと思っております。

○松本委員長 消費者基本計画につきまして、さまざまな御意見をお出しいただきました。平成22年度の検証・評価と計画の見直しにつきまして、消費者委員会として、本日も含めて過去5回にわたって集中的に議論をしてまいりました。その中で前回の委員会で、消費者基本計画の平成22年度の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しについての「意見」というのをお示しいたしました。本日、御報告をいただきました原案につきましては、こういった消費者委員会の意見もある程度踏まえられているものと思いますが、踏まえられていないものもあるかと思います。
国民生活センターの在り方につきましては、消費者委員会からは前回の委員会におきまして、一元化の案について懸念される点が少なからずあり、これらについて更に検討を深める必要があるという意見を出しておりますし、また本日の審議におきましても、この点について消費者庁とはかなり異なった見解が示されたところでございます。したがいまして、消費者基本計画の見直しにおける国民生活センターの在り方についての施策につきまして、消費者庁におかれましては、本日出された意見も十分に踏まえて更に今後の検討を進めていただきたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。
最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

≪4.閉会≫

○原事務局長 どうも長時間、ありがとうございました。
次回ですけれども、来週金曜日、6月24日の15時からを予定しております。
議題につきましては、本日閣議決定されました消費者安全法に基づく国会報告につきまして、消費者庁からの御報告を予定しております。そのほかの議題につきましては、また決まり次第、御連絡をしたいと思います。
事務局からは以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)