第57回 消費者委員会 議事録

日時

2011年6月10日(金)15:00~16:53

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、
 佐野委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  齋藤参事官
成田企画課長
 文部科学省  高口生涯学習政策局男女共同参画学習課長
平林初等中等教育局教育課程課長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視及び見直しについて
○説明者: 消費者庁  齋藤参事官、成田企画課長
文部科学省  高口生涯学習政策局男女共同参画学習課長
平林初等中等教育局教育課程課長
3.国民生活センターの在り方について
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及びヒアリング項目について 【資料2】 消費者基本計画(施策番号87, 96)関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:506KB)
【資料3】 消費者基本計画(施策番号93)関連資料(文部科学省提出資料) 【資料4】 消費者基本計画(施策番号168, 169, 170)関連資料(消費者庁提出資料)(PDF形式:19KB)
【資料5】 消費者基本計画の平成22 年度の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しについての意見(案)(PDF形式:15KB)
【資料6】 消費者行政体制の一層の強化に向けた検討報告-「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」中間整理を踏まえて- 【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:10KB)
【追加資料】 「消費者行政体制の一層の強化に向けた検討報告-「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」中間整理を踏まえて-」の修正案について(佐野委員提出資料)(PDF形式:105KB)
【追加資料】 消費者行政体制の一層の強化について -「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」中間整理についての意見-(案)(PDF形式:105KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、どうもありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第57回)」の会合を開催いたします。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視及び見直しについて≫

○松本委員長 それでは、開始いたします。
本日は、当初予定しておりました、「消費者基本計画の検証・評価・監視及び見直しについて」に加えまして、「国民生活センターの在り方について」を議題として進めたいと思います。
まず初めに、消費者基本計画の検証・評価・監視及び見直しについてです。消費者委員会として行う消費者基本計画の検証・評価・監視につきまして、重点施策に関する昨年度の実施状況について先月からヒアリングを行っているところですが、本日はその4回目として、資料1-1にありますように、消費者教育への取組強化に関連する施策である87番・93番・96番について、国際化の進展への対応に関連する施策である168番・169番・170番について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。

○原事務局長 カメラの方は、申し訳ございませんが、ここまでとさせていただきたいと思います。定点で撮られているものはそのままで結構です。

(報道関係者退室)

○松本委員長 消費者教育への取組強化に関連する施策につきましては、本日は消費者庁及び文部科学省においでいただいております。初めに、87番・93番・96番の施策についてですが、これは関連する施策ですので、一括して御説明をいただいた後、まとめて質疑を行いたいと思います。
それでは、どうぞ御説明をお願いいたします。

○消費者庁齋藤参事官 消費者庁で消費者教育を担当しております参事官の齋藤でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
まず、施策番号87についてでございます。私どもで用意しました資料2でございますけれども、「消費者庁が行う消費者教育の推進について」という横紙がございます。これを見ながら御説明をさせていただければと思います。
消費者庁の取組としては、この基本計画の体系に沿って大きく3つの柱を立ててやるものでございますけれども、87番の「消費者教育推進会議」については別添1を見ていただきたいと思います。
この推進会議につきましては、昨年の12月にも私どもから御説明申し上げたかと思いますけれども、各関係の学界の方、中学・高校等の校長会の方、学識経験者、消費者団体、事業者団体、労働界等の委員の方にメンバーになっていただきました。その他、推進会議の特徴としては、会長に消費者担当の副大臣である末松副大臣、副会長に文部科学大臣政務官の笠政務官になっていただいておりまして、政務主導で消費者庁、文部科学省が中心となって消費者教育の推進を図っていく、こういった連携をつくっていく枠組みということが一つの特徴でございます。
これまでの開催状況といたしましては、11月に推進会議を行った後、本年はテーマ別会合を順次行って議論を深めていこうということで、1月に「学校教育における消費者教育」、2月に「地域における消費者教育」、そして、間が少しあきましたけれども、6月に「ターゲット教育」をテーマに会合を行ったということでございます。実は当初の予定では3月に、ターゲット教育といいますか、年代別の消費者教育の推進方策を議論し、1月、2月、3月とテーマ別会合で議論をし、それをもとにして4月、5月と集中的に消費者教育推進会議を開催する。こういった意欲的なスケジュールを組んでいたのですが、震災の影響でスケジュールの変更を余儀なくされ、今週の月曜日に3月に予定していたターゲット教育と、併せて震災時等における消費行動をテーマにして御議論をいただいたところです。
今後の予定としては、これまでのテーマ別会合での議論をもとにして中間的な課題の整理をしようということで、7月に次回の推進会議を行いまして、そういった課題の整理を行い、今後の検討を深めていこうということで考えてございます。
推進会議の状況あるいは今の議論というのはお話ししましたとおりでございますけれども、これらの資料あるいは議事録、これはすべて消費者庁のホームページに掲載して公表しております。
また、議論の内容としては、「消費者への情報提供をどのように図っていくのか」とございますけれども、一般の消費者に対して周知を図るというよりは、むしろ消費者教育に関係する方々にこういった議論を知っていただいて、また私どもも、そういった関係者の問題意識をこの推進会議の場にフィードバックをする、そういったところを中心に考えていきたいと思っております。
消費者教育の法制の整備という問題につきましては、現在、与野党の間でいろいろな議論が行われております。自民党では以前より法案の検討がされていたところでございますが、民主党におきましても、消費者教育のワーキングチームが設置されまして、推進法の制定を目指した議論が開始されたところであると承知してございます。
本件につきましては、これまでの議論の経過から見まして、関係の先生方の間では、議員立法で与野党の合意を得て法案化を考えていこうということで進んでいるものだと承知しております。私どもとしても、各党の状況も踏まえてきちんと対応していきたいと考えております。
「具体的な課題の進捗状況について」、これは、施策としては推進会議というよりは他の施策ということになるわけですけれども、資料で言いますと、ポータルサイトにつきましては別添2に紹介してございます。活用の実態、利用者からの反応、使いやすさ、そういった御質問がございますのでお答え申し上げますと、アクセス件数としては月に40万~50万件のアクセスがあるということでございます。これは昨年4月に本格稼働しましたので、この時点でそれ以前に比べてずっと増加いたしまして、その後は安定的に推移しているという状況でございます。反応としては、個別の教材については特段の反応というのはありませんで、これは恐らく教材の作成者の方に反応が行っているのだと思います。
サイトとしては、教員向けの情報源として有効であるということでいただいておりまして、特に教員向けの情報誌を発行するところなどから、紹介したいということはいろいろ言っていただいておりますので、ありがたくそのようにさせていただいているところでございます。
一方で使いやすさというのは、担当としては、少し改善を図っていきたいと思っております。具体的には、今は教材がただ並んでいるだけというところもありますが、これは一部、掲載に当たってヒアリングなども行っておりますので、教材作成の意図といったものも載せていくとか、あるいは陳腐化しないように教材の掲載のメンテナンスもしていくとか、そういったことはやっていきたいと思っております。
それから、「効果的な消費者教育手法と効果測定の検討」ということでございますが、これについては資料の別添3を見ていただきたいと思います。これは昨年度、お茶の水女子大学に委託して実施したものでございますけれども、都内の2校の中学校というのは、国立大の附属と区立中学校でございますが、ここにありますような4つの方式でモデル的に授業を行ったということでございます。アンケート等も行って生徒の反応も見まして、4つの方式でどれが格別すぐれているというよりは、それぞれ、例えば講義方式であれば知識の習得には効果があるとか、生徒の気づきという面では、ゲーム方式を用いたときにそういったものが多く見られたとか、いろいろ特徴がございます。それを踏まえてモデル的な授業例を御提言いただいたということで、これは報告書にまとめていただいておりまして、これも消費者庁のホームページでアップしているところでございます。
教材についてでございますけれども、これは別添4にございます。「消費者センスを身につけよう」ということで、新学習指導要領を反映した教材を作成いたしました。これは、冊子教材、映像教材(DVD)、教師用解説書と3つセットで作成いたしまして、事例としては「携帯電話の落とし穴」というものと、「商品を購入する時には」ということで、自転車を例にしたものをとりあげ、それぞれ、家庭科あるいは社会科で活用できるモデル的な授業例というものも作成してございます。
配付につきましては、全国の2,500の中学校に約27万部配付してございます。
この教材の作成、あるいは先ほどの教育手法につきましては、実は推進会議の中でもいろいろ議論があったものを受けてということもあります。といいますのは、消費者教育というのは非常に重要なものであって、できればもっと枠も拡大して、重要な位置づけをしてというのが望まれているところなのですが、実際に今の学習教育の中で、先生も限られた時間の中で教えなければいけないし、あるいは先生方も必ずしも消費者問題に詳しいとは限らない。そういった中で実践的な教材とか、あるいはモデル的な授業例とか、そういったものがあると大いに助けになるであろうと、こういったことが推進会議の中でも言われておりまして、これに対する私どもとしての一つの回答、取組ということであろうかと思っております。
文部科学省との関係でございますけれども、文部科学省の教育の指針でありますとか、消費者教育フェスタでありますとか、これは私どもも一緒に参画させていただいております。指針の検討委員会の委員ということでは、消費者庁の参事官も委員にさせていただいておりますし、指針の案というものを推進会議の中で報告をいただいて、また、推進会議の委員の意見も述べさせていただきました。消費者教育フェスタにつきましても消費者庁から出展させていただいておりますし、また、地方からいろいろな教育関係の担当者も来られるので、消費者庁の長官から消費者行政につきまして話もさせていただきました。逆に、消費者庁で取り組む事業につきましても文部科学省から参画をいただいております。先ほどの教材作成につきましても、教科担当の調査官にいろいろお知恵をいただいたり、あるいは作成の検討委員会にも文部科学省から来ていただいています。そういった形で、これからも推進会議を中心に文部科学省との連携はしっかり図っていけるのではないかと思っております。
それから、施策96についても私どもから御報告させていただきます。
これは各省で作成している教材でございますけれども、かいつまんで申し上げると、例えば金融教育につきましては、金融庁で「未公開株被害に遭わないためのガイドブック」というものを作成したり、全国の財務局から出前講座を実施している。あるいは、金融広報中央委員会から、教材の作成、講演会の開催、金融広報アドバイザーの派遣、こういったものをしてございます。法教育の関係につきましては、法務省で教材を公開したり、出前授業を実施している。あるいは公正取引委員会において、独占禁止法の教室、消費者セミナー、教材作成、こういったものをやってございます。
消費者庁の取組としては、資料の別添5を見ていただきたいと思いますが、「高齢者の消費者トラブル見守りガイドブック」を20万部ほど印刷しまして、地方公共団体、高齢者、福祉の関係者に主に配付してございます。そのほか、国民生活センターにおきましても出前講座というものを行っている。こういったものが主だったところでございます。
簡単でございますが、消費者庁からの説明は以上でございます。

○文部科学省平林初等中等教育局教育課程課長 続きまして、施策番号93につきまして御説明申し上げます。文部科学省の教育課程課でございます。
資料3-2をご覧いただければと思います。1枚めくっていただきますと、この4月から小学校で新しい学習指導要領が実施されました。今回、御存じのとおり、消費者教育について内容を充実したということがございまして、それぞれ小学校、中学校、高等学校段階における指導要領の全面実施に合わせて、私どももその周知徹底を行っているところでございます。
2ページ目をご覧いただければと思いますが、23年度におきましては、夏に、指導要領の趣旨等につきまして都道府県の指導主事等を対象に説明会を実施し、更に秋口におきましては、具体的に教育課程を編成・実施するに当たっての課題等について協議会を開催する予定にしているところでございます。
また、それを受けまして都道府県におきましても、県内の学校等にそういう内容を説明するための教育課程の説明会を開いているところでございます。文部科学省としては、そういった説明会にも職員を派遣して説明を行っているところでございまして、そういった中で更に消費者教育についても、例えば社会科あるいは家庭科の部会というところで取り扱うことになっていくと考えてございます。
マル2にスタートパックというのがございますが、小学校において新指導要領の実施がこの4月から始まりましたので、各種の指導資料を策定しておりまして、それを各学校にお配りして指導に活用していただこうということを行っております。そういう中で、別添で「指導要領等のポイント」をお配りしておりますけれども、併せて配付しておりまして、その中に少しですけれども、消費者教育について充実しているということも記載しているところでございます。
続いて3ページ目以下に、消費者庁の方で中学校生向けの教材作成をしていただきましたが、今、御説明がありましたように、文部科学省からも作成のための委員会に、オブザーバーという形ですけれども、参加させていただきました。内容につきましては、社会科や家庭科、その担当の教育調査官から内容について確認等もしたというものでございます。
更に、作成された教材につきましては、3ページ~6ページにございますように、文科省からも各教育委員会にこの教材の積極的な活用を促す通知を発出いたしまして、協力を行っているところでございます。
6ページ以下に、消費者教育を実施するために核になるのがやはり教員であろうということで、私どもは平成22年度から、新たに消費者教育指導者養成講座関係の授業を実施しているところでございます。この資料はあくまで国の施策として書かれておりますので、昨年度、学校側が中心ではないではないかといろいろ御指摘がございましたが、そういったものというふうに御理解していただければと思います。今年度におきましても、昨年に続いて、1,850万円の事業として外部機関との連携を図りながら教員の指導力向上のための講座を推進していこうと思ってございます。
大きく2つに分かれるわけでございますが、まず、都道府県におきまして、消費者教育指導者養成講座を実施していただくための経費を計上しております。今年度におきましては、7ページにございますように、13都道府県において実施希望をいただいているところでございまして、御希望をいただきましたすべての都道府県で、大学あるいは消費生活センター等とも連携して、中心としては小・中・高校の社会科、家庭科の先生方が対象になるわけですが、そこで講義であるとか演習、あるいは消費者教育の現状についての認識なり理解を深めていただこうという取組をやっていただくと伺っております。ただ、今年度の各講座の詳細な内容につきましては、現在、それぞれの教育委員会において検討されているところでございます。
それから、中央説明会というものも文科省では行っております。先ほども消費者庁からお話がございましたが、昨年度におきましては2月に、男女課あるいは円卓会議とも一緒に「消費者教育フェスタ」というものを開催したところでございます。その概要につきましては、8ページ目以下にお配りしております。
その中で私どもの課では学校教育分科会というものも開催いたしまして、そこにおきまして、消費者教育における学校と関連機関との連携についてのシンポジウムをやったり、あるいは昨年もこの委員会で、いろいろな教科、特に数学などでも消費者教育を扱うことも考えられるということも御示唆いただいたこともございまして、「数学的リテラシーと消費者教育」といった模擬授業も開催させていただきました。
更に、先ほど御説明申し上げました指導者養成講座の取組事例ということで、岐阜県教育委員会と大阪府の教育委員会の取組を発表していただいたところでございます。特に、数学においても消費者教育の実践が可能だといったことについての関心を多数の方にお持ちいただいたということもございますし、都道府県における取組について、参考になったという御意見を参加者からもお聞きしているところでございます。
反省点では、時間が少し足りなかったというような御指摘をいただきましたので、今年度におきましても、こういった反省を踏まえながら更に充実した説明会を開催していこうと考えているところでございます。引き続き、消費者庁、あるいはその他関係機関とも密接に連携を図りながら、学校における消費者教育の充実に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、お出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 特に消費者庁の方にお聞きしたいのですけれども、一つは、消費者教育推進法の関係です。今、各党の状況を見守りたいというお話があったわけですけれども、消費者基本計画の87番では「消費者教育に関する法制の整備について検討」というふうになっておりますし、例えばOECDの「消費者政策委員会」では、2009年には、消費者教育についての政策勧告においても、消費者教育の目標と戦略を明確にして効果の評価をするように、また、多様な関係者の連携を組織するようにということが勧告されていると思います。
そういう観点を踏まえますと、やはり消費者庁として積極的に、勿論文科省とも協議の上で、実効性のある消費者教育推進法なりその法制の策定を図るべきではないかと思います。見守りますというのでは、勿論、人員の不足もあるかと思うけれども、もう少し何とかしてくれないかというふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
それから、先ほど、「地域消費者グループフォーラム」の開催の御報告がありました。これは実態を聞きますと、全国9ブロックで各1回開催されただけで、まだまだ組織的な推進体制とは言えない状況になっていると聞いているので、これも、もう少し御尽力いただけないかなと思うのですが、どうでしょうか。
3番目は、学校の先生はカリキュラムが大変忙しいというのはよくわかってはいるのですが、魅力あるモデル授業ができて、それによって文科省が言う「生きる力」といいますか、子どもたちが生活力を強めるといいますか、賢い消費者になれる、そういう教育のモデルがきちっと提示されれば、これはおもしろいやということで、どんなに忙しくても、先生方はじゃあやってみようかという気になると思うのです。いろいろ御苦心されているのはよくわかるのですが、例えば幾つかのモデル校を指定して、そこで時間をかけて授業の具体的なデモをやってみて、これはこういうふうにやれば子どもたちは変わっていくとか、こういう成果がありましたということを具体的に提示して、なるほど、それだったらうちでもやってみようかと。何かそういう試みができないのかなと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
以上です。

○消費者庁齋藤参事官 今の山口委員の御質問につきまして、私どもからお答えできることをお答えしたいと思います。
まず、推進法の議論につきましては、今週行った推進会議の中でも、副大臣が最初から最後までずっと出席していたわけですが、副大臣から委員の皆様にも直接、こういった法案についてどう考えるかといった問いかけもしてございます。その場でもそうだったのですが、消費者教育の重要性をきちんと位置づける上でやはり法律があった方が物事も進むし予算等も確保できるのではないか。そういったことで法律があった方がいいという御意見をいただいているわけですが、一方で、法律がないと消費者教育ができないのかというところは、今の法体系の中では消費者基本法があり、基本計画があり、それに基づいて推進会議があり、消費者教育を進めている、一応法律的にはそういった枠の中にありますものですから、別にそういったものを一本立てることがどうなのかというのは法制度的にはいろいろな議論があるところかと思います。
それにつきましてはむしろ国会議員の先生方の方で、きちっとそういったものを位置づけて消費者教育が推進できるように応援してやろうというふうに言っていただいております。先生方の議論としては、これは与野党で本質的に対立する話ではないので、むしろ与野党で合意して法案をつくって後押しをしてやろうと、そういうふうに言っていただいているという状況だと思っております。
推進会議でいろいろな議論をしている中では、制度もそうですが、実際に現場の学校の場面でどういう状況になっているのか。例えば家庭科について言えば、授業数も少ないし、専任の先生もなかなかいない場合もある。そういう中で消費者教育を実際にどうやってやるのかという、より切実な議論といいますか、御意見をいただいておりまして、そういう意味ではモデル校指定をしてきちっとやっていく、それは勿論すごく望ましいことだと思いますけれども、それ以前に先生にきちっと消費者問題というものを理解をして教えていただくとか、あるいは、そのときにすぐに使える教材が手元に届くようにするとか、まず、そういったところをきちっとやるというのが当面の課題かと思っております。
グループフォーラムの話については、実は担当課は私どもではないのですけれども、2月頃に、消費者教育に限った話ではなく、いろいろな消費者団体の皆様との連携の場を持ちました。私も2か所ほど参加したのですけれども、そこでの感じとしては、今まで、県域を越えたこういった交流の場はなかなかなかったということを言っておられました。初年度ということもあり、いろいろな課題があることはわかっておりますけれども、そういったものも踏まえて今年度の実行体制も考えていくと聞いておりますので、今後、きちっとやられていくのではと思います。推進会議の方でも御報告させていただきまして、消費者教育フェスタもそうですし、グループフォーラムも、こういった地域の連携というのは非常に重要なので大いに推進していくようにしてもらいたい、そのようなお話もいただいております。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 資料2の別添1の2ページに、6月6日の会議では「震災時等における消費行動」がテーマで挙げられているようですが、ホームページを見ると、確かにいっぱい資料は張り付けてあります。食と放射能のQ&Aとか、震災時に大臣が表明されたこととか、いろいろ出ているのですが、ここでどういう議論になったのか。私は、震災・津波、原発事故というものがあったときに対応できるように消費者教育をしていくことも重要だと思いますが、そういうことについてどこまで議論されたのか。あるいは、先ほどの文科省の報告を聞いていましても、お話になっていることは平時の消費者教育としては理解できるのですが、こういう緊急時の消費者教育について、例えばそのための教員の教育とか、テキストづくりとか、そういうことに取り組もうとしておられるのか。その辺、ちょっと御説明願いたいのですが。

○消費者庁齋藤参事官 6日の推進会議の議論につきましては、現在、議事録を作成中でありますので、これは追ってホームページにもアップされることになりますが、かいつまんで御報告しますと、時間も限られていた中で、食品と放射能のQ&Aのようなことも実際にはかなり話題となりました。非常時において消費者が適切な行動をとれるようにするためには、情報発信、情報提供がきちんとなされることが必要である。なるべくわかりやすい形できちんと情報を出すのが基本だということ。あるいは、いざというときに限られた情報できちっと判断するためには、日ごろの消費者教育というものが非常に重要。そういう意味では非常時のために何かをやるというよりは、日常をきちっとやっていくことが大事なんだとか、地域の中での関係者の連携というものがこういったときに生きてくるんだとか、そのようなことがございました。詳しくはいずれ議事録が上がると思いますので、よろしくお願いいたします。

○文部科学省平林初等中等教育局教育課程課長 よろしいでしょうか。今回の震災関係で消費者教育はどういうことがあり得るのかという、それ自身が一つの問題になっているのではないかと思いますが、幾つか御説明したいと思います。
例えば一つは、この夏以降、節電が大きなテーマになって、学校現場でもそれに力を入れるようにということが政府としても取り組んでいるところでございます。これにつきまして現在は、資源エネルギー庁で教材を作成しようということがございますので、そちらの方に私どもも協力して、今、作成しているところでございまして、それを早くこの夏に間に合わせるように取り組んでいるところでございます。
それから、3月のときに消費行動の点でいろいろと課題があったのではないかということがございまして、我々も課の問題意識として、先ほど御説明申し上げましたように私どもは指導者養成講座で各県で研修をやっているものですから、そこで何か活用できないかと。そういう講師とか先生がいらっしゃれば、それをお示しして、それぞれの県で研修なりに活用できないかということも考えたのですが、残念ながらそういうリストアップができなかったということがございました。
ただ、そういった問題意識は持っておりますので、いろいろと情報収集をしながら、各県の消費者教育の充実に資することは今後もやっていきたいと思っております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 質問と、あと一つ、意見です。
質問は、消費者教育の指導者養成講座の参加率です。該当する教師のうちの何%までがこの養成講座を受けていらっしゃるのか。そこを教えてください。
この後は意見ですけれども、ポータルサイトも充実してきておりますし、さまざまな副読本等、やれることを一生懸命やっていらっしゃるなということはわかるのですけれども、限定された条件の学校教育の中で消費者教育を入れていかざるを得ない。このことは、かなり限定された条件があるということを自らおっしゃっていらっしゃいました。そこを突破するのは、何があれば突破できるのか。現行法の中でやれるとはおっしゃったのですけれども、きちんと学校教育の中に消費者教育を位置づけるという法律があった方が、前進できる武器、使える武器になるのではないかと思っておりますので、是非その辺りも前向きに検討していただきたいと思います。

○文部科学省平林初等中等教育局教育課程課長 まず、養成講座の点につきまして御説明申し上げます。今年度はこれからということなので数字はございませんが、平成22年度におきましては、14都道府県において実施されまして、そこに参加した先生方は全体では1,500名ちょっとかと思います。必ずしも対象は社会科や家庭科の先生方が全員というわけでもございませんので、それは単純に人数というものではないかと思います。
なお、13県ということですが、それは47都道府県から言うと少ないということになりますけれども、私どもの方で調査をしましたところ、この講座以外に、都道府県で独自に消費者教育についての講座、研修をしているところが25の都道府県でございます。広くとらえた場合にはいろいろな機会はあるだろうということがございますので、我々としては、そういう機会も活用しながら消費者教育について取り組んでいただければというふうに思っております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
消費者教育というのは、消費者問題にとってはある意味で永遠の課題だと思います。少し手を抜けばすぐ効果がなくなるし、絶えずいろいろ働きかけをしていかなければならないものだろうと思います。例えば学校教育においても、消費者教育というのが一定、意識的に取り組まれるという状況にはなっているにしても、それで十分かというと恐らく十分ではない。では、それを単純に増やせるかというと増やせない。となると、一つ考えられるのは、消費者教育と銘打っていない通常の教科教育等の中で消費者教育的な観点、これは消費者教育というよりは、私は、市民教育あるいは人として生きていく力をつける教育だと思いますから、そういう観点からそれぞれの教科教育をやっていただく。その中に生きていくについての必要なことやヒントが盛り込まれるようになっていけば、おのずから身についていく部分もあるのではないかといつも考えている次第であります。消費者教育と言わないとそもそも浸透しないという部分もありますけれども、それにとらわれないで、市民教育あるいは生きる力の教育だというふうに広げていけば、もっと見えてくるところもある。あるいは、教科教育を担当している先生に消費者教育のセンスを身につけてもらうような働きかけといいましょうか、そういう人たちを対象にした消費者教育も一つ考えられていいのかなと思いますので、そういった点もまた御検討をいただきたいと思います。
本日は、消費者庁、文部科学省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
続きまして、168番・169番・170番の施策についてですが、関連する施策ですので、一括して御説明をいただいた後、まとめて質疑を行いたいと思います。なお、本日は消費者庁においでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁成田企画課長 消費者庁企画課の成田でございます。
施策番号168番から170番までにつきまして御報告申し上げます。
これらの施策につきましては、昨年12月10日の第41回消費者委員会でも御報告させていただいたところでございます。お手元の資料は、前回御報告させていただいた内容と重複する事項も含めて主な取組事項を記載しております。ヒアリング項目で、ここ1年というようなこともございましたので、少し広めに書いてございますけれども、昨年12月以降の取組を中心に御報告させていただきつつ、ヒアリング項目につきましても補足させていただきたいと思います。
1のOECD関係でございます。施策番号168になります。消費者政策委員会(CCP)の関係でございますけれども、昨年度も春と秋の2回、本会合に出席しております。本年度も4月に開催されました会合に出席しております。
今回の会合におきましては、通常どおりCCPにおける各プロジェクトの取組状況の報告などが行われたほか、政策調整課の担当者が出席いたしまして、「インターネット消費者取引研究会」の取りまとめにつきまして、その資料を英訳して配付の上、内容の報告を行っております。また、「電子商取引プロジェクト」として開催されました専門家会合でも決済分野の課題や取組につきまして消費者庁から御紹介を行ったところでございます。
製品安全に関する各国との情報共有について御指摘をいただいておりますけれども、これにつきましては、前回、消費者庁において、CPSC(米国消費者製品安全委員会)の情報をもとに消費者への注意喚起を行ってきたことなどを御報告しております。OECDの消費者製品安全プロジェクトにつきましては、昨年12月に第1回のワーキングパーティーが開催されており、今回、第2回のワーキングパーティーがございまして、ここで、製品安全における国際的な情報共有のためのウェブサイト構築などについての議論が更に行われたところでございます。
2のICPENの関係でございます。これまでも会合に出席してきたところでございますけれども、本年度は、4月にCCP会合に引き続き開催された会合に出席いたしまして、各国の最近の動向について報告が行われたところでございます。この会議につきましては、消費者庁の表示対策課から担当者が出席いたしまして、我が国における二重価格表示の考え方についての報告を行って情報交換を行ったところでございます。
(3)のICPENの「詐欺防止月間」につきましては、先月の5月13日の委員会においても少し御指摘がございましたけれども、今年は5月の「消費者月間」に合わせて実施いたしました。消費者庁のウェブサイトにおいて、消費者に対して震災に関連した詐欺・悪質商法への注意喚起やこれまでの注意喚起事例の紹介などを行ったところでございます。更に、消費者庁の取組についてICPENのウェブサイトに掲載を依頼し、各国にもこの取組の情報提供を行っております。更にその前の、3月になりますけれども、ICPENのウェブサイトにおきまして、震災に関する詐欺・悪質商法等に対する取組状況についても、掲載を依頼して掲載されているところでございます。
eConsumer.govにつきまして御指摘をいただいております。この日本語のホームページにつきましては、昨年の委員会でもいろいろと御指摘いただきましたけれども、こういった事項を含めまして、随時、情報の更新・修正等をFTC(米国連邦取引委員会)の担当者に依頼しているところでございます。ただ、対応に時間がかかるケースもございますので、今後とも必要な対応をお願いしていきたいと考えております。
eConsumer.govにおきましては、公開サイトと政府サイト、これは苦情データベースになりますけれども、この2つがございまして、消費者庁は今のところ政府サイトにアクセスする資格がございません。今後、アクセス権の付与のための手続を進めていきたいと考えております。
3の地域間・二国間の関係につきましては、昨年8月の第4回「日中韓消費者政策協議会」の概要について御報告をさせていただいております。
また、(2)で、前回も少し御報告させていただいておりますけれども、APEC基準・適合小委員会の「玩具安全ダイアローグ」に出席いたしまして、意見交換を行ったところでございます。
(3)でございますけれども、韓国との関係では、例えば「インターネット消費者取引研究会」の取りまとめを受けまして、「越境取引に関する消費者相談窓口ネットワーク化プロジェクト」につきまして韓国に説明を行い、参加の表明の連絡をいただいております。
東日本大震災との関係でございますけれども、今年の3月から4月にかけて、食品からの放射能検出に関する一連の蓮舫大臣のメッセージが出されております。これにつきまして消費者庁として英訳を作成いたしまして、ホームページに掲載して情報提供をしているところでございます。
資料の最後になりますけれども、今年2月に国際消費者製品健康安全機構(ICPHSO)の年次会合にも出席しております。その際には会議とは別に、ICPHSO事務局やCPSCの出席者と意見交換の機会を設け、消費者庁の注意喚起の取組などについて情報提供を行っております。
昨年12月にも松本委員長から御指摘をいただきましたけれども、庁内の体制の関係などもございまして、取組が不十分な面が多々あろうかと思います。消費者委員会の委員の皆様方の御指摘もいただきながら対応していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
ただいまの国際面でのさまざまな取組につきまして、どうぞ、御意見、御質問がございましたら、お出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今回の大震災において、海外で、製品について放射線に汚染されていないか、しているかという証明書がほしいということをよく報道されておりますけれども、その辺りはどういう形でされているのか。もしわかったら教えてください。

○消費者庁成田企画課長 今、この場では各省の取組は分かりませんけれども、消費者庁としては、まずは国内の消費者の方に情報提供をするということで、今、申し上げたような取組を行っているところでございます。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
国際的なさまざまなフォーラムがございます。OECDは政府間のフォーラムですが、最後の方に御紹介のありましたICPHSOは、民間だけれども、そこに政府関係の機関も入っているということですし、私はちょうど2週間前、この委員会を欠席させていただきましたが、ISO(国際標準化機構)の消費者政策委員会という会合に出席してまいりました。そこも、民間だけれども、政府系の組織も入っているという複合的な組織でありまして、それぞれがそれぞれの立場でさまざまな取組を行っている。そこでお話がありましたのが、今年の秋に韓国・ソウルで、このICPHSOと韓国公正取引委員会が中心になってアジアの製品安全についての会合を行うということでございました。そういった各国さまざまな動きもやっておりますので、日本としてもリーダーシップをとって積極的に御参加していっていただきたいと思います。
その他、特にございませんでしたら、この課題につきましてはこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
消費者庁におかれましては、お忙しい中を審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
続きまして、消費者基本計画の検証・評価と見直しについてでございます。消費者庁におかれましては、前回の委員会で御説明いただきました素案について、パブリックコメントを行ったところと聞いております。本日は消費者庁においでいただいておりますので、パブリックコメントの状況等について御説明をいただき、併せて議論を行いたいと思います。
それでは、引き続きまして成田課長から御説明をお願いいたします。

○消費者庁成田企画課長 消費者基本計画の意見募集の関係でございます。
前回の消費者委員会におきまして、消費者基本計画の検証・評価と見直しについて、5月25日から6月7日まで御意見の募集を行っていることを御報告させていただいたところでございます。いただいた御意見の概要でございますけれども、今回、30の個人又は団体の方から御意見をいただいております。具体的には、14名の方と16の地方自治体を含む団体等から御意見をいただいております。
内容といたしましては、幅広く御意見をいただいております。例えば、国民生活センターの在り方、消費者教育、地方消費者行政、放射性物質による食品汚染やユッケの食中毒等への対応、食品表示の関係が多かったのではないか、これは私の個人的な印象でございますけれども、そのように受け止めております。
今後、いただいた御意見を整理いたしまして、消費者庁内、関係省庁に検討を依頼いたしまして、作業を進めていきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。

○松本委員長 それでは、ただいまの検証・評価と見直しの意見募集につきまして、委員の皆様から御質問、御意見がございましたら、どうぞお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今、言われた意見が30件ということですが、とりまとめをいつも公表されますけれども、それは大体いつごろですか。

○消費者庁成田企画課長 今、考えておりますのは、いただいた御意見とそれに対する回答といいますか、各省庁の考え方を合わせて、昨年の計画のときもそうでしたけれども、基本計画の改定と同時に公表させていただきたいと思っております。

○中村委員長代理 時期としては。

○消費者庁成田企画課長 閣議決定の日ということになります。今のところは6月末を目途にということで作業をしておりますので、そのときに合わせて公表させていただきたいと思っております。

○松本委員長 ほかに御質問はございませんでしょうか。
それでは引き続きまして、消費者基本計画の検証・評価と見直しにつきまして、消費者委員会としての意見の案を資料5のとおりに作成しております。佐野委員から御説明をお願いいたします。

○佐野委員 では、資料5です。「消費者基本計画の平成22年度の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しについての意見(案)」をご覧下さい。消費者基本計画の今年度の検証・評価及び計画の見直しの素案について、以下のように意見を述べさせていただきます。
まず最初に、「震災対応に関する施策」。東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、消費者施策も充実を図る必要がある。具体的には、次の項目について、新規施策とする、あるいは既存の施策の充実を図るべきだと考えます。
まず、放射性物質対策の推進。被災地の相談体制の支援。多重債務、生活再建に絡む相談体制の強化と救済策の検討。住宅修繕やリフォームによる消費者被害の防止のための体制整備。震災に便乗した悪質商法対策と情報提供。その他、震災対応に関連する消費者庁における情報提供。
2番目は、「消費者委員会の建議・提言に関する施策」です。これは、消費者委員会が建議・提言をしてまいりましたが、それを是非今後の取組方針に盛り込み、更に見直しに生かしていただきたいと思います。時間の関係もありますので、一応項目だけ挙げさせていただきます。
未公開株等投資詐欺被害対策についての提言。
こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面についての安全性についての法整備に関する提言。
自動車リコール制度に関する建議。
決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害対策に関する提言。
有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議。
地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議。
マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議。
以上、7項目です。
3番目は、「個別の施策に関する事項」です。
まず、施策番号69番。これは食品表示一元化に関する項目ですが、食品表示一元化に向けてのプロセスの明示、そして、今、いろいろ新しい表示の仕組みを検討しておりますけれども、どういう形で制度設計に組み込むのかわかるようにしてください。
そして70番。これは原料原産地表示拡大に関する項目です。消費者委員会で調査会を持ってそこで審議しておりますので、見直しには消費者委員会の審議結果も参考にしていただきたい。
次に87番ですが、これは、消費者教育推進会議の開催目標、検討すべき課題など具体的なスケジュールを示してください。
106番は地域包括支援センターなどによる消費者被害防止に取り組む施策についてですが、見直しでは成年後見制度の申し立ての助成など、違う施策になっておりますので、担当省庁に消費者庁を加え、地域包括支援センターを核とする施策の充実を盛り込んでいただきたい。
155番は迷惑メール追放に関する項目ですが、取組方針にプロバイダ責任制限法の見直しが必要とし、検討に取り組むことを盛り込んでいただきたい。
166番は個人情報保護法に関するものです。「社会保障・税に関わる番号制度」の検討状況についても、今後の取組方針、見直しで言及していただきたいと思います。
168・169・170番は、今、説明していただいたところですが、国際的な取組について、是非積極的に消費者へ情報提供をすることを盛り込んでいただきたいと思います。
最後になりますが、これは新規施策で、ユッケなど生食用の肉の安全確保、表示の確立を一つ加えていただきたいと思います。
施策番号130番を飛ばしてしまいました。ごめんなさい。これは、「消費者委員会報告等を踏まえ、法や通報処理制度の実態についての調整を行います」とありますが、更に、具体的な実施状況・制度の実態についての調査の実施計画についても、きちんと工程表に盛り込んでいただきたいと思います。公益通報者保護法についてです。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの意見の案につきまして御意見がございましたら、どうぞお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 前回、ほかにも私の個人的な意見もいろいろ申し上げましたので、それは是非御検討いただきたいのですが、特に私の方で申し上げたいのは155番のプロバイダ責任制限法の問題です。この問題は、もう消費者被害がインターネットを通して広がっている実情がございます。何とかしなければいけないということなのですが、実情としては、要するに名誉棄損等で、発信自体が犯罪の場合には発信者の検索ができるようになっていますが、これが詐欺・悪質商法のツールとして使われる場合には、誰が発信したか、どうしても確認する制度ができない。
あえて申し上げますと、総務省が「表現の自由」を盾にとってこれを頑として受け入れないという実情があるのです。これはやはり問題ではないか。勿論、表現の自由は尊重しなければいけませんが、かといって悪質商法、その他、消費者被害がインターネットを通してまん延している実情が現実にあるわけですから、是非この問題については、消費者庁としても総務省任せにせずに、積極的に協議して消費者被害の抑止のために御尽力いただきたいと思います。私どもも具体的に意見を述べていきたいと思いますけれども、この点は何とか是非お願いしたいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 資料5の提言の1番ですが、放射性物質関連以外のことは、既に阪神・淡路とか新潟中越地震のときから多重債務の問題や住宅再建の問題は議論されていたけれども、不十分なまま来てしまったわけです。今回、東日本であれだけ大きなことが起きて、やはり何とかしなければいかんというのはみんなが言っていることなので、被災者の再建のために消費者関連の法整備をすることがいっぱいあると思います。その辺、是非今度こそ新規立法するなどの施策ができるように基本計画の中にはっきり位置づけていただきたいと思います。

○松本委員長 ほかに御意見ございませんか。
ございませんようでしたら、この案で消費者委員会の意見として公表することで御了解いただけますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、これを消費者委員会の意見として採択させていただきます。
消費者庁におかれましては、素案の修正を行い、閣議決定に向けて案をとりまとめていくと聞いておりますので、ただいまの委員会の意見も踏まえて案をきちんと作成していただきたいと思います。本件につきましては、引き続き委員会の議題として取り上げたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しい中、審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

≪3.国民生活センターの在り方について≫

○松本委員長 続きまして、「国民生活センターの在り方について」です。
国民生活センターの在り方につきましては、これまでに消費者委員会として、地方自治体からのヒアリング、事業者団体、消費者団体、有識者からのヒアリング等を行ってまいりました。本日は、都道府県・政令市に対して消費者委員会として行いました調査結果を含めまして消費者委員会としての検討報告を行い、その後、意見をとりまとめたいと考えております。
それでは、お手元に配付しております、「消費者行政体制の一層の強化に向けた検討報告-「国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース」中間整理を踏まえて-」につきまして、中村委員長代理から御説明をお願いいたします。

○中村委員長代理資料6-1資料6-2をご覧いただきたいと思います。資料6-2が本体でありますが、時間の関係で資料6-1の概要版を見ていただいて、これに基づいて説明をしたいと思います。後ほど詳細は本文をご覧いただきたいと思います。
まず、消費者委員会で今回検討を始めたその課題及びその背景についてでありますが、資料6-1の1~2ページです。検討課題として私たちが設定したのは、「消費者庁、消費者委員会及び国民生活センターを中心とする消費者行政体制を更に強化していく上で、どのような体制整備が必要か?」、このような視点で見ております。そこが消費者庁のタスクとはちょっと違って、より幅広に体制整備を見ようということであります。
このような検討をしようとした背景には、先ほど来御説明もあったと思いますけれども、設置法附則の3項で、「消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から消費者関連法についての検討」が課題とされているし、設置法附則の4項に、「地方消費者行政に対する国の支援の在り方について全般的に検討」ということの中にも含まれるし、更には、国会の附帯決議で、それらの事項の検討に際しては、「消費者委員会の審議結果を踏まえた意見を十分に尊重せよ」ということも書かれております。一方、独立行政法人の見直しの流れが出ておりまして、国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォースが去る5月13日に「中間整理」を出し、パブコメをちょうど終了した段階であります。
こういうことを踏まえて検討に入るわけですが、3ページは、今までの消費者行政・国民生活センター、それと行政改革、独法見直しの関係について歴史的な経過の概要を書いておりますので、これは見ていただくことにとどめたいと思います。
4ページです。検討課題として、「消費者庁、消費者委員会、国民生活センターを中心とする消費者行政体制を更に強化していく上で、どのような体制整備が必要か?」という視点で検討をするわけですが、その進め方として、まず第1のステップとして、現行法制下で消費者行政強化のために、以下の3機関が果たすべき機能・重複の有無の検討ということで、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの機能等のまず現状を分析する。そして第2ステップとして、それらの3機関の各機能が現在抱えている課題・対応状況の確認をするということであります。第3ステップとして、それらの課題解決のために必要な組織の在り方の検討をしようということで進めてまいりました。
資料の5ページ、6ページであります。まず、「消費者行政に関する国の責務」というのは消費者基本法に書いてありまして、消費者庁というのは消費者行政に係る基本的政策の企画立案・推進及び権力的事務を担当する。国民生活センターはむしろ非権力的な実施事務を担当する。消費者委員会は、諮問に対する答申あるいは消費者行政全体に対する監視業務を担当するところ。大きくこのように分けられているわけです。
これらの関係について一覧にした図が7ページの右側の図であります。これらを後々詳しく見てまいりますけれども、いろいろな機能を担っている中で、消費者庁は安全法の15条で注意喚起をする権限があります。一方、国民生活センターはセンター法44条で情報提供をする。そういう法制上の位置づけになっておりまして、これら2つの情報発信に関して法制上は重複はないというふうに我々は整理しました。一方、消費者庁が現在やっているように、法律上の注意喚起ではなく任意の注意喚起をやっておられることについては、自ら実施されること自体は一定の評価もしております。しかし、消費者庁自身の業務における課題を考慮すると、注意喚起は国民生活センターを中心に実施させる方が役割分担として適切ではないか、というふうに見ているということであります。これらの情報提供の問題についても、本文の方で詳しくご覧いただきたいと思います。
8ページは、私どもが2月、3月に各地方公共団体に対して実施したアンケートの中で見られた、国民生活センターの情報提供をどう評価しているかという観点であります。このグラフにあるとおり、「とても役立っている」というのが88%、「どちらかといえば役立っている」が12%で、ほぼ100%が「役立っている」と評価をしているということであります。
次の9ページですが、国民生活センターと消費者庁の情報提供等について機能上の重複感を感じているかという点であります。消費者庁設置によっても国民生活センターの役割に変化はほとんどないと言っておられて、重複感についてもこのグラフにあるとおり、大方の意見は重複を感じていないというのが地方自治体の受けとめ方であります。
次に10ページから、現在抱えている課題と対応策について申し上げます。
まず1番目、11ページは、消費者庁が抱えている現在の課題ということでありますが、消費者庁の業務の企画・立案の問題につきましては、新規立法や法改正等を行う必要が高い課題が山積している。しかし、十分に手が回っていないというのが現在の課題であります。
関係省庁間の各種調整につきましても、消費者行政に関する法令は、消費者庁と他省庁の共管または他省庁の所管であることが少なくないため、常に各省庁との緊密な連携・調整が必要ということで、行政として大変重いところを感じているわけです。
3番目、所管法令の法執行についてでありますが、特定商取引法や景品表示法違反に起因すると見られる事件が全国で多発しており、執行機能を格段に強化する必要が叫ばれておりますが、なかなか十分手が回っていない。食品表示の適正化という観点からは、食品関係法令についても引き続き執行機能を強化する必要も指摘されております。
4番目に、消費者事故等の情報集約・分析・注意喚起・措置命令等の分野ですが、これにつきましても、消費生活用製品の重大製品事故の報告制度の周知をより徹底する必要があるとか、重大事故等の情報の分析・提供の在り方について根本的な改善が必要であると言われております。対応策で右側の欄に書いてあるのは、現在取り組んでおられることをざっと書いたもので、一々の説明は省略します。
12ページは、国民生活センターが抱えている現在の課題であります。国民生活センターの一つ業務機能として支援相談というのがございます。これの現在の課題としては、国民生活センターの経由相談に対する地方公共団体からのニーズが非常に高く、消費者被害の悪質化・複雑化を踏まえると支援相談機能を強化する必要がむしろある。地方の相談支援にあたり、国民生活センターがむしろ消費者から直接相談を受ける必要があるのではないかということも指摘しています。
2番目に商品テストでありますが、国民生活センターに対する商品テストには、地方公共団体から一定のニーズがあるが、受け入れ体制不足の理由で断っていたケースが少なくなかったということであります。13ページに、アンケートの結果がそのように出ているということが書かれております。
更に、国民生活センターが抱える課題の3番目としてADRの問題があります。現在の課題としては、都道府県等の苦情処理委員会の紛争処理解決機関の活動が非常に低調です。一方、平成21年度以降、国民生活センターのADRが開始し、先進事例の蓄積機能を担っており、今後もその機能強化が必要とされております。地方公共団体においても、消費者がADRによる解決を望んだ場合、民間ADRと並んで国民生活センターのADRを紹介するケースが少なくなく、今、大変活発に活動をしている。
4番目に、情報収集・分析・提供の問題です。各地の消費生活センターに寄せられた消費者の相談情報を集積したいわゆるPIO-NETについて、政策企画・立案や、法執行での活用、あるいは入力負担軽減等のためのシステムの抜本的な改善等が指摘されております。
5番目としての機能、相談員等の研修の問題ですが、国民生活センターの相談員研修における地方公共団体のニーズは非常に高いものがあります。各地で消費生活センター等が新設・増設され、相談員も増加していることを踏まえると、研修体制を一層強化する必要があるということが指摘できます。15ページは、そういうことがアンケート結果からうかがわれるということであります。
16ページは、3つ目の機関、消費者委員会が抱える現在の課題と対策であります。消費者委員会は監視機能と諮問答申機能を持っておりますが、これまで、自動車リコール制度に関する建議等各種建議を行ったほか、未公開株の投資詐欺被害等についても提言を実施し、関係省庁では一定の対応を実施してもらっております。それらのほかにも掘り下げるべき課題は山積しています。必ずしも迅速に対応できておらず、監視機能の向上・事務処理の迅速化が今後の課題であります。
17ページからは、4つ目の項目、各機関の組織の在り方についての考え方についてでございますが、18ページ。ここに図式化して、現状の姿は、事業者と消費者と国民生活センターあるいは消費者庁、各省庁の関係はこのようになっていますということを示しています。あっせんと関係省庁との調整関係の図面が18ページです。
19ページは、これを一元化した場合にどうなるかということであります。(カラーでないところはちょっとわかりにくいかもしれませんが、)一元化して、中間整理案のタスクのように消費者庁の中に施設等機関を設けて、支援相談、研修等を担当する仕組みがもしできたとしたらどうなるか。地方公共団体からの依頼を受けてのあっせんは直接消費者庁に来る。このあっせん結果が消費者庁による業界指導と見られる可能性がある。それから、消費者庁によるあっせんとの関係で混乱が生じる可能性、二重行政のおそれも指摘される。あっせんにあたり所管省庁と調整する場合は、処理が遅滞する可能性もある。他の事案の調整にも停滞等の影響を及ぼす可能性があるということが指摘できます。
次に、あっせんと消費者庁の法執行との関係を、20ページに現状の図を書いています。これに関する一元化後の懸念としては、21ページに黄色で囲みましたように、個別事案におけるあっせんの判断は、地方裁判所の裁判例や民法の信義則等も踏まえて行うものということになりますと、その判断が消費者庁の有権解釈と誤解される懸念がある。事業活動の萎縮が起こるのではないかということであります。また、個別事案におけるあっせんの判断が法令の有権解釈と誤解される懸念も指摘されております。
22ページは商品テストとADRの関係での現状の姿であります。ここでは、消費者と事業者の情報の質・量、交渉力等の格差を踏まえ、消費者側に軸足を置いた対応が国民生活センターでなされているのが特長でありました。これを消費者庁と国センを一元化するとどういう懸念があるかということは、23ページに記載したように、行政庁の立場で消費者側に軸足を置いたあっせん・ADRが可能かという問題がある。仮に可能な場合に、逆に、法執行権限を背景として、あっせんにおける事業者側への圧力が生じないか。その懸念により事業者側に過度の萎縮効果が生じるおそれがある。また、事業者側が行政庁によるあっせん・ADRでの解決を望まない可能性があり、円滑な紛争解決が図れないおそれがある。
それから、行政庁の立場で、従来の国民生活センターと同様の消費者側への訴訟追行の援助を行うことが果たして適当か、という問題もあります。
さらに、両組織の間に情報の遮断はないため、あっせん等における事業者の対応が、法執行の判断に影響するおそれがあるという懸念があります。
24ページは情報発信の問題であります。この現状が24ページの図でありまして、国民生活センターの公表資料について、政策的な観点から、修正を要請する事例も今まで消費者庁からは見られました。
これが一元化されると25ページのようになります。懸念されることとして、タスクの中間整理では「情報発信調整会議」というのを設けると書いておりますが、その調整を経た内容が公表されるため、公表時期が遅くなったり、公表内容が不十分なものとなり、国民は生の情報に接することができなくなる可能性があります。
次に26ページ、これらの考え方について、これまでの行政改革の流れとの整合性について書いております。国が自ら実施することが真に必要な事務は国が行い、その他は外出しにするという形だったのですが、今回、必ずしもそうではない形になっておりまして、今まで国民生活センターは事務として、いずれも非権力的な行政サービスの実施に該当するものを担当してきたと思います。他方、消費者庁は消費者庁で、国が自ら実施することが必要な事務をやってきたと現状では言えると思います。
27ページ、最後ですが、この検討の方向性であります。消費者庁と国民生活センターの一元化についての懸念をたくさん申し上げましたが、これに関しては更に慎重な検討を求めたいと思います。それらの検討を深めて、国民生活センターについては、経済性、効率性のみならず有効性の観点からも、専門性、客観性、信頼性を備えた検証を十分に実施すべきであると思います。また、消費者庁と国民生活センターの両組織は、より一層の「緊密な連携」を図る等の見直しを図るべきであります。
細かいことは本文の38ページに「今後の進め方」として書いておりますが、これが私どもの検討報告の結論部分であります。引き続き、是非この在り方について消費者行政全体に関連して公開の場で審議を深めて、最終的な判断を行うように望みたいと思います。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
ただいまの検討報告の概要につきまして、委員の皆様から御意見がございましたら、どうぞ。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 今、中村さんがまとめられたご説明は的を射ていると思いますけれども、経営に携わった人間として少し意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、消費者庁と国民生活センターの大きな課題を克服し、消費者行政を充実するために、消費者庁と国民生活センターが一本化するべきであるということが中間整理でまとめられているのですけれども、そこの理屈がどうもよくわかりません。例えば一本化することによって、消費者行政の充実の具体的な姿とか、ビジョンとか、ある程度の目標の姿が具体的に示されなければ効果の測定というものはできないし、いいか悪いかということもまず判断できません。そういうものが一切出てきていません。
具体的に言いますと、消費者庁の弱点として、各省庁の期限つき執行者が多い、消費者相談のノウハウがないということを指摘しています。そういうのは事実でしょうけれども、逆に国民生活センターの所員を取り込み、プロパー化することによって、問題点が解決されるという説明も信用できません。一方で期限つきの従来どおりの職員がたくさんいるということであれば、問題は同じではないでしょうか。プロパー職員と期限つき出向職員がいるということは同じ状態が続くことを前提としていて、どこが効率化になるかというのがよくわかりません。
もう一つ、国民生活センターにバックオフィスが過剰であるという表現があり、一元化によってその重複が避けられるということが具体的に出ています。では、今、消費者庁に何名いて、それが一緒になることによって具体的に重複が減るのかということは、当然、具体的な数字が示されなければなりません。それについて、一切検討されている気配も何もありません。
それと、少なくとも行政の効率化においては、有効性の問題もありますけれども、経済的な効率性というのが、非常に大事な視点だと思います。総人件費は国民生活センターを取り込んでもそう変わらないと説明していますけれども、これはおかしいと思います。やはり国家公務員にするのと独法の職員でいるのは、明らかにコストは違うと私は思います。もし同じであるなら、あらゆるコストをきちんと比較した上で出すべきだろうと思います。
もう一つ、中村さんも言われましたけれども、事業者の立場から言えば、特に懸念が残るのは、具体的にはADRの問題です。今の国民生活センターならば、まだ事業者側も受け入れて積極的にあっせんに応じていると思いますけれども、国の組織である消費者庁にその機能を、どういう形にしろ一本化することであれば、事業者側は大いに抵抗があり、本来のADRの役割を果たさなくなるのではないでしょうか。そうすると、せっかく緒についてきたADRというものがうまく進まなくなるのではないかなと思います。
したがって、タスクフォースの中間整理を、具体的なビジョンをきちんと書いたものでもう一回検討をする必要があるのではないかと思います。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 今の意見に大賛成ですけれども、その前に、まずタスクフォースですね。思い出していただきたいのですけれども、なぜ消費者庁ができたかというと、そもそも国民生活センターが独法とか公益法人の見直しという点で廃止になる寸前にギョウザ事件などが起こって、消費者のための組織がやはり必要だということで、そこから消費者庁、消費者委員会ができたわけです。ですから、消費者のためを本当に思うのでしたら、今回のタスクフォースが、監督官庁とその下にいる消費者庁、それから国センだけの話し合いではなく、当然、私たちの意見も聞くべき会をつくるべきだと思いますし、それ以上にあのとき私たちの誇りというのは、全国会議員が一致で消費者庁ができた経緯があります。ところが、今回は各政党の意見を聞いていますと、一本化することについてどうも反対の人が多い。その辺も考えてもっと幅広い意見を聞いて、改めてこの問題について考えるべきではないかと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私自身、このタスクフォースをずっと傍聴してきました。消費者庁の代表の3人も国センの3人も、消費者行政をよくするという理想に燃えて議論されていたことは認めるわけですが、ただ、本当に重大な疑問が繰り返し繰り返し出てきておりますので、いろいろ言いたいことは山ほどありますが、簡単に4点だけに整理して述べたいと思います。
資料6-2の長い文章の中に、27ページに私の思いも書かれていますので、これを少し述べたいと思います。国民生活センターの原点は相談業務あるいは相談支援です。そこで生の消費者の被害の声を聞いて、それとPIO-NETの情報を照らし合わせて、こういう悪質商法があるとか、こういう消費者被害の問題があるということをいち早く察知して、それを注意喚起する。国民に知らせる。あるいは事業者に、そのような業務の行為の抑止を要請するところに原点があるわけですけれども、この国センの業務は必ずしも消費者庁所管の法律に限定されないのです。金融庁にかかわる問題も勿論ありますし、農水省やその他の問題にかかわる幅広い分野の問題にかかってくるわけです。
もしこれを消費者庁傘下の業務にして施設等機関でやった場合に、先ほど中村さんのとりまとめにもあったように、一体消費者庁はどういう資格で、この個別の、例えば金融取引の問題について一定のあっせん案を出すとか、一定の消費者トラブルを解決するということをやろうとしているのかというところで誤解を持たれかねない。逆に言うと、庁としては誤解を持たれることをおそれるあまり、個別の問題について足踏みしてしまうのではなかろうか。積極的なあっせん活動、あるいは相談についての指導・助言ができなくなるということが避けられないと思います。この辺についてタスクフォースの中では何も議論されていない。ここには表現としては「慎重検討」と書いてあるけれども、私はこれはむしろ無理ではないかと。要するに、消費者庁の下に一つの施設等機関を置いてそこで相談業務を行い、指導助言をし、あっせんするというのは無理だということを、本質的にきちんととらえなければいけないのではないかというのが一つです。
それから、30ページ、情報提供の問題です。ここで、情報発信調整会議なるものを設置して調整すると言われているわけですが、前回、委員間協議でも出てきたのですが、情報を調整したところでこれは遅れてしまうわけです。情報は、生の情報が重要なので、これを生情報として迅速に出していって注意喚起をしなければいけない。消費者庁であろうが国民生活センターであろうが、これは情報として問題だと出たら、どんどん出さなければいけない。
ところが、実務としては私が聞く限り、内閣府国民生活局のもとにあった国民生活センターのときよりも、消費者庁ができて、そのもとにある国民生活センターの方が情報発信は遅くなっているというわけです。これでは何のための国民生活センター、消費者庁かと言わざるを得ない。これは31ページに指摘してありますが、要するに独立行政法人通則法の原点から言っても、国民生活センターが発表する注意喚起について一々庁がチェックして、内容を精査して訂正を求める、あるいはストップをかけるというのは、これはおかしい。これはもう少し割り切って、国民生活センターが独自の権限のもとにどんどん注意喚起をするという体制を整えなければいけないのではないか。そういうことを考えますと、気持ちはわかるけれども、国民生活センターを強化したい、消費者庁を強化したい。特に消費者庁を強化しなければいけないというのはわかるけれども、今の一元化して施設等機関をつくるというのは、これは違うのではないかと言わざるを得ないと思います。
そこで34ページ、あるいはその後のページにもかかわってくるわけですが、私はこの20年間、公正取引委員会の業務のいろいろな問題にかかわってきたのですが、国民生活センターの理事の選び方とか運営の在り方というのは、公正取引委員会と法的性格が違うのは明らかですが、明らかにおかしい。理事の選任の在り方とか運営の在り方は、もっと透明度を高めて強化していかなければいけない。そういう意味で、国民生活センターの今の運営の在り方そのものを抜本的に見直すことをまずやるべきではないか。国センと消費者庁を一緒にしてそれで解決するという問題ではない。
逆に、37ページに消費者庁の問題があります。消費者庁の強化は必要ですが、かといって国民生活センターから人を引っ張ってくれば解決するという問題ではない。それは池田さんが先ほどおっしゃったとおりだと思います。したがって37ページの中間辺りにあるように、今、国民生活センターと消費者庁の人事交流は1~2名ですが、10名規模でどんどん人事交流をしたらどうか。あるいは、消費者庁に都道府県の消費者行政にかかわっている人をどんどん引っ張ってきて、人事交流をして庁の活性化をしなければいけないし、庁にプロパーの採用をして、庁の中で人材を育てていくということを意識的にやるようにしないと、今の消費者庁の問題は解決しないだろうと思います。そういう意味で私は中間とりまとめについては抜本的に見直さなければいけないと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 国民生活センターと消費者庁は、閣議決定から、国民生活センターの廃止を含めてということでタスクフォースがスタートしたわけですが、私はどうしても納得できないのが、2つの機関が自分たちのことを自分たちだけで検討してどんどん先に進めてしまうというところです。やはりそれはあってはならないことで、確かにヒアリングとかパブコメなどいろいろされておりますけれども、利害関係者がきちんと第三者的に検討して、その後で国センと消費者庁がそれをどう受けとめるかということをきちんとやるべきだと思います。
山口委員がおっしゃっていたように、情報発信調整会議とか幾つか会議をつくるからいいだろうというような案が出ていますけれども、こういうことをやるとなおさら不透明になって、何をやっているのか余計わからなくなる。国センが今のままでいいとは決して思っておりませんが、透明性を確保し情報をきちんと発信していくということ、それから、運営をきちんとし、国センの見直しを図って強化・充実していく、それがまず最初ではないかなと思います。

(追加資料配付)

それから、直接消費者庁と国センの今日のテーマに影響するわけではないのですが、一つ、修正の提案をさせていただきたいと思います。この検討報告、資料6-2の20ページになりますが、商品テストの部分について修正案を出します。
ここに書かれていることですが、私は、国センの苦情・相談テスト、NITEの原因究明テストで根本的な相違があるのは、これは両者の機能ではなく、そのテストの受任規定とかテスト結果の運用にあるように思っています。それで、事故の原因を明らかにすることを目的としたテストはあくまで客観的・科学的・中立的に実施されるものであって、これが、消費者側に立つとか、事業者側に立つとか、そういう立場の違いで実施されるものではないと思っています。
よって、今、修正案を配っていただいたと思いますが、修正後の2ページを見ていただきたい。下線が書いてあるところですけれども、「NITEも国民生活センターも、中立な立場からの原因究明を実施しているが、両者の違いとして、NITEは、メーカーの設計情報・設計思想も含めて原因究明を行うのに対し、国民生活センターは、相談処理・あっせんの一環として」というふうに修正していただきたい。
それから、「両者の機能には根本的な相違があり」と書かれているのですが、これは、2ページに下線がありますが、「両者の機能には一定の相違」と。全く同じではないですけれども、根本的ではなく、「一定の相違があり」というふうに直していただきたいと思います。
それから、注2の部分においても下線のところですが、「なお、国民生活センターにおいても、前記のとおり、運用上の工夫として、事業者から提出された資料の活用等を進めている」と加筆修正の案を提案いたします。
以上です。

○松本委員長 ただいまの佐野委員からの具体的な修正提案について、御意見ございますでしょうか。

(「賛成です」の声あり)

○松本委員長 反対の御意見はございませんか。

(「はい」と声あり)

○松本委員長 それでは、佐野委員の修正提案を採択して、本文につきましてこのように修正したものを、消費者委員会としての「検討報告」とさせていただきます。ありがとうございました。
ほかにございませんか。

○日和佐委員 私もタスクフォースの会議は何回か傍聴をさせていただきました。そこでひどく感じたことは、非常に悲しい議論をしているなという感じでありました。それは今、佐野さんもおっしゃったように、組織を改定していくにあたって、組織の当事者同士で議論をしていることに根本的にやはり問題があるのではないかというように感じていました。ですから、この報告書の最後、38ページに書いてありますように、「専門性、客観性及び信頼性を有する識者を集めて」、要するに第三者ですね。直接に利害関係が強くない第三者を集めて、客観的にその結果が信頼を得るような組織体で議論をしていくのがいいのではないかと思います。勿論、タスクフォースが苦労してつくられた中間報告を参考にしながらという形になると思いますけれども、それが一番いい方法ではないかと思います。
そしてもう一つ、つけ加えたいのですけれども、国民生活センターの活動というのは、直接相談とPIO-NETの情報を検討し分析して、消費者被害を未然に防止するための情報を早く出すことを中心にしながら、それに関連して教育だとか、相談員の援助だとか、相談員の研修ということに活動を広げていって、そこが中心だったと思います。中心だったというのは、直接相談とPIO-NETの情報の集積・分析です。それがタスクフォースの中間整理では分断されているわけです。PIO-NETは消費者庁のシステムの方に移管され、直接相談はやらない。勿論、もう既にやらないでいるわけですけれども、やらない。支援相談だけをやっていくということに分断されていってしまっている。
そうなりますと、今までやってきた国民生活センターの評価されるべき点がこれで薄れてしまう、なくなってしまうという危惧を強く感じます。これまでやってきた国民生活センターの成果も正当に評価しながら、消費者行政全体の充実・強化を図っていくというわけですから、そのことを中心にして、どうすれば消費者行政全体が充実・強化されるかという観点でやはり検討をしていくべきではないかと思っています。ですから、それにあたっては、やめてしまった直接相談をまた復活させるというような、思い切った政策の変更もあっていいのではないかと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見ございませんでしょうか。
それでは、以上のような委員会の議論、それから検討報告を前提といたしまして、消費者委員会としての意見表明につきまして案を作成しておりますので、配付をお願いいたします。

(追加資料配付)

○松本委員長 それでは、ただいま配付いたしました、「消費者行政体制の一層の強化について-『国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース』中間整理についての意見-(案)」につきまして、日和佐委員より御説明をお願いいたします。

○日和佐委員 それでは、説明をさせていただきます。案を御紹介いたします。
この案、大変長くなっておりますので、最初の1、2、3のところが前段になりますので、省略させていただきたいと思います。ここに書かれておりますことは、消費者庁及び消費者委員会設置法に対する衆・参両院の附帯決議、それからタスクフォースの中間整理においても、消費者委員会からの意見を求めるということが明記されているということを書いております。
それに従って、2ページになりますが、消費者委員会としてはマル1からマル4までの課題についてこれまで鋭意検討を進め、「中間整理についての意見」ということでまとめるに至ったということです。
具体的には4から読み上げます。

(読み上げ)

以上です。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま読み上げていただきました意見案につきまして、どうぞ、御意見がございましたらお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 委員の諸先生方、非常に人格円満なのでこういう表現にとどまっているのですが、私としては、もう少しはっきり書いたらどうかという部分も幾つかございます。そこをあえて意見を言わせていただきますと、今、日和佐委員が読み上げられた4のマル1の末尾ですが、こういう論理構成から言いますと、政策立案と権力的事務を中心とする消費者庁と、非権力的な実施事務を所管する国民生活センター、それから消費者委員会は、それぞれ別の役割を持っているわけです。重複するか、重複しないかという議論がタスクフォースでさんざんあったのですが、本質的には重複する部分はないという考え方に立つことになるかと思います。その辺をもっとはっきり書いたらどうかと思うのですが、その点について一定の疑問はございます。
2番目はマル2の末尾ですけれども、「消費者庁自ら行って注意喚起体制を強めている点については、一定の評価はできる」ということは、それはそれでもいいのかもしれませんが、かといって、先ほど申し上げましたように、国民生活センターの注意喚起を邪魔しないでほしい。邪魔するべきではないと私は思いますが、どうもその辺がきちんとした形で、今、運用されていないのではないか。勿論、福嶋長官は一切邪魔をせずにできるだけ早い公表に努めるんだとおっしゃっていますし、そう努めていらっしゃると思いますが、その辺、ちょっとこの文章表現で御理解いただけるだろうかというところは疑問があります。
それから、マル4の部分のタスクフォースについて、「更に慎重に検討を深める必要がある」という表現になっています。はっきり言って、一回作業を止めて原点から議論し直したらどうですかというのが趣旨になるかと思います。何といいますか、非常に円満な委員が多いのでこういう表現になっているかと思うので、若干不満は残りますがということをあえて申し述べておきたいと思います。

○川戸委員 賛成です。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 要は消費者委員会としては、もっと検討を深めてそれからにしましょうよということを言っているわけで、検討するときの一つの考え方、方向性として、本報告書の39ページに再編策についてA、B、Cという案を書いております。それから、38ページの一番上に、「今回の見直しに伴い、例えば、消費者委員会の機能拡充の一環として、消費者委員会の所掌事務に(国センの役割を)変更する」と。今までは消費者庁の下に国センがいるわけですが、消費者委員会を例えば三条委員会等に格上げができれば、そういうところに国民生活センターを所掌事務として位置づける。そういうこともあり得るのではないですかということを考えながら、更に有識者を入れて検討を深めていただきたい。こういうつもりでこの案をまとめているので、一応、今回はこの提案に賛成したいと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私もこの意見に賛成です。最後に書かれていますけれども、いろいろな方を集めて時間をかけてきちんと議論をしてほしいということが結果になっていますし、これまで消費者委員会としてもヒアリングをしたり、自治体のアンケート調査もしてきました。その結果もきちんと踏まえていると思いますので、この意見に賛成いたします。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 一言だけ。私は時間をかけて議論するのは反対でして、「さっさと決めたらどうですか」というのは一言申し述べておきたいと思います。各方面から意見を求めるのはいいですが、それは早く決めた方がいいと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見ございませんか。
この意見書案について、特に反対だという御意見はなかったかと思います。もう少し厳しく表明すべきではないかという御意見もございましたけれども、円満な消費者委員会といたしましては、こういう表現ということで一応最低限のコンセンサスということになるかと思います。
それでは、これで委員会の意見とすることに御賛成いただけますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、この内容をもちまして消費者委員会として意見表明を行いたいと思います。
本日の議題は以上でございますが、最後に、事務局より今後の予定等について御説明をお願いいたします。

≪4.閉会≫

○原事務局長 どうもありがとうございました。
本日、この委員会終了後、17時30分目途で消費者庁の記者会見室において委員長記者会見を行う予定です。議題は、今の国民生活センターの在り方について御報告したいと思っております。
次回の委員会ですけれども、来週、6月17日(金曜日)の15時から行う予定で、議題につきましては、本日に引き続きまして、「消費者基本計画の検証・評価・監視及び見直しについて」を予定しております。追加の議題も出てきましたら、決まり次第御連絡したいと思います。
事務局からは以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)