第53回 消費者委員会 議事録

日時

2011年5月13日(金)15:00~16:06

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  黒田政策調整課長
畑野取引・物価対策課長
 総務省  大村総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官
 経済産業省  大西商務情報政策局消費経済政策課課長補佐
伊藤商務情報政策局取引信用課課長補佐
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.マンションの悪質な勧誘の問題について
3.消費者基本計画の検証・評価・監視について
○説明者: 消費者庁 黒田政策調整課長、畑野取引・物価対策課長
総務省 大村総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官
経済産業省 商務情報政策局消費経済政策課担当者
商務情報政策局取引信用課担当者
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:7KB)
【資料1】 「マンションの悪質な勧誘」に関する実態調査報告(PDF形式:661KB)
【資料2】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及びヒアリング項目について
【資料3】 消費者基本計画(施策番号153)関連資料(消費者庁提出資料)
【資料4】 消費者基本計画(施策番号153)関連資料(総務省提出資料)(PDF形式:267KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要(PDF形式:11KB)
【追加資料1】 マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議(案)(PDF形式:215KB)
【追加資料2】 マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議(概要)(PDF形式:153KB)
【追加資料3】 マンションの悪質な勧誘の問題に関する実態調査結果と建議の概要(PDF形式:518KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第53回)」の会合を開催いたします。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.マンションの悪質な勧誘の問題について≫

○松本委員長 それでは、早速、議題に入ります。
本日は、当初予定しておりました、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」に加えまして、「マンションの悪質な勧誘の問題について」を議題として取り上げたいと思います。
初めに、「マンションの悪質な勧誘の問題について」でございます。マンションの勧誘の問題につきましては、悪質な電話勧誘や訪問勧誘を受けた等の苦情や相談が増加している状況にかんがみまして、昨年秋の「消費者基本計画の検証・評価・監視」の中でヒアリングを行うと同時に、マンションの悪質な勧誘に関する被害情報の把握や、関係機関の間における情報共有の状況等につきまして実態調査を実施してまいりました。
今回、本調査の結果をとりまとめましたので、その内容について御報告するとともに、消費者委員会としての意見のとりまとめを行いたいと思います。

○原事務局長 それでは、申し訳ございませんが、カメラは御退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○松本委員長 それでは、お手元に配付しております資料1の「『マンションの悪質な勧誘』に関する実態調査報告」につきまして、山口委員から御説明をお願いいたします。

○山口委員 時間が余りないようですので、「『マンションの悪質な勧誘』に関する実態調査報告」という冊子に基づきまして、簡単にかいつまんで御報告をさせていただきます。
まず、本文の1ページ、3枚目になりますが、PIO-NET、国民生活センターの情報などを集約いたしますと、この表にありますように、電話勧誘関係の相談全体としては減ってはいるのですが、マンション勧誘に係る相談件数は急速に増加しているという実情があります。これにつきまして、4~5ページになりますが、特に平成22年度の第一四半期のすべての件、1,444件について、委員会において分析してみましたところ、例えば長時間勧誘があった、威迫行為があった、あるいは「もうかります」という断定的判断で提供があったとか、断っても何度も電話をかけてこられた、執拗な勧誘があったということとか、販売目的の隠匿があったというようなことでの相談が多数あったことが判りました。特に執拗な勧誘、断っても、断っても電話をかけてくるという相談が119件と目立っております。
そういうことから当委員会といたしまして、7ページになりますが、47都道府県に対して、特に宅建業者に対する指導監督の実績等について書面による調査をいたしました。6都府県につきましては、対面調査もやらせていただきました。それから、宅建業者からもヒアリングをいたしました。
そういう結果を踏まえまして、ごく簡単にその実情等について御報告いたします。14ページ、15ページ辺りに書いておりますのは、当初の相談があった段階で行政の方で適切な対応をしていれば、その後の被害、相談は防げたのではないかという実情がかなり明らかになっております。
では、各都道府県の宅建業所管部局がどのような行政手続をなさっているかということにつきまして、19ページ以下に書いております。立入検査を毎年一斉にやるなどの限られたスタッフで尽力されているわけですが、これは立入検査を事前に通知するなどの実情がございまして、もう少し手続に工夫をすれば事実認識などが適切にできるのではないかと思える節もかなりございまして、そのようなこともあってか、宅建業部局におけるいわゆる行政処分等の実績が余り出ていないという実情がございます。
22ページの上の方に簡単に書きましたけれども、なぜかというところでそれぞれの回答を見ますと、処分につながる被害情報がないとか、宅建業法違反の事実認定ができないとか、あるいは、事実認定のノウハウが行政処分を行うためには不可欠だというような実情がわかってまいりました。
25ページですが、宅建業法に基づく行政処分は、過去10年間でわずか3件という実情で、大変残念な実情がございます。被害の実態に比べると、この3件というのはいかにも少ないと言わざるを得ないと思います。
他方、26ページにグラフがございますが、特定商取引法に基づく行政処分は平成19年度以降、100件前後を推移しておりまして、宅建業に関する処分と格段の差があることが顕著であります。
その理由といいますか、背景は、27ページに簡単に一覧表がありますが、まず、報告徴収の権限や実情、手続が、宅建業法と特商法では、特商法には例えば帳簿・書類その他の物件の提出命令ができるということで、かなり具体的な権限が明示されております。また、事実確認、マル3の部分、宅建業法の場合には業者が認めないとなかなか処分ができないという実情ですが、特商法の場合には、業者が認めないでも複数の被害が発生していることなどに基づいて総合的に勘案して行政処分を行う。また、このやり方が司法上も是認されている実情があることも顕著であります。そういうことから、さまざまな行政処分の在り方、情報収集の在り方等について、工夫する余地があるのではないかということがわかってまいっております。
最後に、30ページ、31ページ以下ですが、宅建業法と特商法の法律の建付けの違いが顕著にあります。31ページの表を見ますと、例えば強引・威迫勧誘につきましては、宅建業法にも禁止規定があるわけですが、直罰規定がございません。特商法は御存じのとおり直罰規定がございます。
32ページ、1枚めくっていただきますと、不退去や退去妨害等につきましてもやはり直罰規定の有無が目立ちます。それから緑で塗った部分ですが、再勧誘の禁止、つまり、断っても、断っても電話がかかってくる、あるいは勧誘があるということについては、特商法には禁止規定がありますが、宅建業法にはございません。それから、当初声をかける段階で、特商法の場合には、目的を告げなければならないという規定があるわけですが、宅建業法にはありません。
そのような法律の建付けの違いが消費者被害の多数の発生につながっているのではないかという実情がわかっておりますので、以上、簡単ですが、報告させていただきます。

○松本委員長 ありがとうございました。
ただいまの実態調査報告の概要につきまして、御意見、御質問ございますでしょうか。
ございませんようでしたら、消費者委員会としての意見表明につきまして案を作成しておりますので、配付をお願いいたします。

(追加資料配付)

○松本委員長 それでは、ただいま配付いたしました追加資料1の「マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議(案)」につきまして、引き続き、山口委員より御説明をお願いいたします。

○山口委員 先ほど御報告しましたような実情を踏まえまして、消費者委員会としては、国土交通大臣及び内閣府特命大臣、消費者庁担当の大臣に対して、次のとおり、消費者庁及び消費者委員会設置法に基づいて建議をするということで提案申し上げたいと思います。文章は5枚にわたっておりますが、時間の関係もありますので、「概要」と書かれている追加資料2の裏面の方を朗読して提案にかえさせていただきたいと思います。
1番目に、まず提案としては、「被害情報を的確に把握できる体制の整備」を建議したらどうかということです。「国土交通省は、例えば、以下のような措置を講ずることにより、都道府県の宅建業法所管部局が悪質な勧誘を行う事業者の情報を的確に把握できるように体制を整備すること」。
「(1)国土交通省は、相談件数が多く、悪質な勧誘を行っているとみられる事業者について、その名称、住所、悪質な勧誘行為の対応に係る情報を整理した上で、直ちに関係する地方整備局等、又は都道府県の宅建業所管部局に提供し、当該事業者に対する調査等の厳正化について要請等を行うこと」、「(2)国土交通省は、都道府県及び地方整備局等で行った行政処分及び行政指導の情報を集約し、これを各都道府県及び地方整備局等の宅建業所管部局に提供すること」です。
2番目といたしましては、「関係省庁による厳正な処分の実施に向けた連携等の取組み」であります。中身としては、「消費者庁は、特商法の規定に基づき行う電話勧誘販売・訪問販売事業者に対する立入検査、証拠収集、事実認定等の実施方法に係る関係資料等を提供し、国土交通省は、当該関係資料に基づき、マンションの電話勧誘販売及び訪問販売を行う事業者に対する指導監督の実施方法等を整理し、地方整備局等及び都道府県による調査・処分の厳正化について要請等を行うこと」ということであります。
3番目は、「規定の明確化、法制化等について検討」であります。関係省庁(国土交通省及び消費者庁)は、上記閣議決定、これは規制仕分けの関係で、行政刷新会議の規制仕分けにおきましてもマンション投資への悪質な勧誘について討議され、一定の改革の方向が打ち出され、これが4月8日に閣議決定されておりますが、こういう閣議決定の後に、都道府県等からの法制上の対応に係る意見もございますので、これを踏まえて、「規制の実効性確保を図る観点から、マル1 再勧誘の禁止、マル2 長時間・夜間勧誘等の禁止、マル3 威迫行為に対する罰則強化、マル4 勧誘時における販売目的・業者名の告知、マル5 クーリングオフの適用除外等について、規定の明確化、法制化等の措置を講ずることについて検討すること」。
以上の建議を提案いたします。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの建議案につきまして、どうぞ御意見をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 この建議案に賛成いたします。今、御説明があったように、電話勧誘とか訪問販売の相談件数は一般的に下がってきている中でマンションの悪質な勧誘は増えているということで、早急にでもこの建議に沿った政策をしていただきたいと思います。
それから、この建議とちょっと離れるのですが、一つ、各省庁にお願いしたいのは、例えば、ここのPIO-NETを見る限りでは、21年度までの5年間で2.4倍に件数が増えています。現在、各省庁にPIO-NETが設置されているはずですので、是非、PIO-NETを活用していただきたい。活用を見直し、そして改善し、被害が拡大、増加する以前に何とか対応していく、それに是非努力していただきたいというふうに思います。
以上です。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 調査の関係で特に目立ったのが、消費生活センターの方には被害情報が結構入るわけですが、それが宅建業部局に回っていないわけです。つまり、どこの役所もそうですが、都道府県におきましても縦割りで、消費者被害情報が他の部局と連携がうまくいっていないということが特に顕著にこの分野で伺えましたので、その辺の工夫は、当然、国交省あるいは消費者庁から各都道府県にも是非注意喚起をお願いしたいと思っております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 建議に関しては賛成いたします。この建議を踏まえまして、各省庁におかれましても速やかな対応をしていただきたいと思っております。私ども、相談を受けておりますと、やはり高齢者の方のご相談は非常に多くありますし、今後、賃貸住宅なども出てまいりますが、投資を目的としたものが非常に多く出ておりますので、速やかな対応をしていただけるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今回、先ほど山口委員が言われたように、苦情が入ってきているのは地方の消費生活センター。そして、それを集計してPIO-NETで国民生活センターにいっぱい入ってきている。ここがやはり重点というか、問題のポイントで、まさに消費者被害なのです。これに対して今まで、国民生活センターが国交省に宅建業法の改正等を言ったとしても動いただろうか、という点があったわけです。それが、一昨年、消費者庁・消費者委員会ができて、消費者庁で所管ができたり、あるいは、消費者委員会というところが新たに消費者目線で、行政の足りない部分とか、動いていない部分のお尻をたたくという役割を担って、まさにそういう意味では従来の消費者行政が変わったところで、今日のこのような建議を出すことには大変意義がある。歴史的な意味もあると思っておりますので、賛成いたします。

○松本委員長 ほかにございませんか。
特に反対の御意見はなく、賛成の意見がかなり出されたということでございますので、この案については皆様の御了解をいただいたということで、消費者庁及び消費者委員会設置法第6条に基づきまして、国土交通大臣及び消費者担当大臣宛て建議を行いたいと思います。
それでは、1つ目の議題はこれで終了でございます。

≪3.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○松本委員長 続きまして、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。平成22年3月30日に閣議決定されました「消費者基本計画の検証・評価・監視」につきましては、昨年に二度、消費者委員会として重要課題と考える項目につきまして、工程表とその後の施策の実施状況等について関係省庁からヒアリングを実施したところです。消費者基本計画の検証・評価・監視については、毎年度、計画に盛り込まれた施策の実施状況について行うとされており、消費者委員会として、重点施策に関する昨年度の実施状況について本日よりヒアリングを行いたいと思います。
本日は、その第1回目としまして、資料2-1にありますように、情報通信分野における消費者保護に関連する施策の153番について、関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
なお、資料2-2にありますように、委員会でお伺いしたい内容をヒアリング項目としてまとめまして、あらかじめ各省庁にお伝えしておりますので、これも含めまして説明をいただきたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田政策調整課長 消費者庁政策調整課長の黒田でございます。
では、お時間も余りないようですので、資料2-2の御質問をなぞりながら説明させていただきたいと思います。
インターネット消費者取引研究会のとりまとめの概要ということですけれども、お手元の資料3-3をご覧いただければと思います。1枚めくっていただきまして、目次がございます。このとりまとめがまとまった日が3月11日でございまして、今日で約2か月でございます。この間に主に何をしていたのかということについてのお尋ねだと理解しておりますが、この2か月を思い起こしますと、私ども自身が帰宅難民になり、最初は買いだめ対応とか、地方消費者行政の支援、食品から放射能が出たことへの対応とか、49年ぶりの連休中の国会審議、また、いわゆる風評被害に対しても対応している。こういった中で、3月11日に出たこの報告書の内容をどれだけ実行してきたかということで御紹介させていただきたいと思います。
まず、その概要ですが、目次にありますとおり、まず最初に消費者取引の「現状」とありまして、「基本的な視点」。基本的な視点のポイントは、行政の法規制だけではなかなかうまくいかないといいますか、いろいろな手法を組み合わせてやる。自主規制、技術的な対応、消費者自身の取組み、こういったものを組み合わせながらやることが大事だということで申し述べておりまして、この後に続く、「取引の各段階に対応した課題」の2つの視点がある。
消費者の目線で見れば、目次のIII以降にありますけれども、ネットで表示を見て契約して、お金を払って、何かトラブルがあれば解決していく。こういった流れになる一つの見方と、あと、各段階に共通する個人情報の取扱いとか、消費者への啓発、事業者、特に新規参入希望者の知識向上、越境取引への対応、国際的な取組みの推進、こういう横割りの課題を縦横で見ながらその検討をしてまいりました。
具体的に実施内容とタイムスケジュールということで、資料3-1で、代表的なものを特に取り上げて説明させていただきたいと思います。まず、決済代行業者の名称、連絡先等のわかりやすい表示の仕組み、登録制度をつくる。これは、当委員会からも宿題をいただいている件について、一つの私どもの回答ということで取り組んでまいるということですが、決済代行業者は表示がされていないので、何かトラブルがあったのになかなか相談できないということについては、任意の「登録制度」を設けてはどうかということで対応しようとしております。
決済代行業者の「登録簿」を設けて、名称、連絡先、請求する際の業者名などを登録できるようにして、それを公開していく。消費者庁のウェブサイトにおいても公開する。その代行業者は、販売業者の取引において代行業者を使っていることなどを表示するよう求めるものとする。これは、当面の措置として運用してみようということで、更にフォローアップとして、必要に応じて更なる措置の検討を行います。現在は実際に引き受けていただける団体を選定している作業中でございまして、選定作業終了後、速やかに運用を開始したいと考えております。
次に2ページ目、表示について、事業者が守るべき事項を提示することについて、ここにありますように、個別事例とか、「インターネット取引に係る表示について事業者が守るべき事項を、消費者庁として、平成23年度上半期において、図などわかりやすい手法も活用し、提示する」と。以下、検討事項として想定される表示の例、こういった表示がないようにどうすべきかということですけれども、これは平成23年度の上半期を目指しまして、現在、作業中でございます。
次に、3ページ目にあります、広告表示のネット上の監視活動の強化ということですが、これは、今でも随時強化するということで体制を強化しております。
越境取引に関する消費者トラブルの解決に向けて、各国の消費者相談窓口間のネットワークをつくるということでございます。これについては、最初のプライオリティーとしては決済代行業者の登録制度が実は優先しておりまして、当然、今年度中には着手するということですけれども、順番的には1を優先する。勿論、準備は同時並行としては進めておりますが、まずは1の制度を早く立ち上げることに集中しておりまして、その後、順次ネットワークをつくるべく作業をしている、そういう優先順位のつけ方をしております。
「インターネット取引連絡会」を運営する。せっかく報告書をとりまとめてやりますということで決めておりますので、今後もこのモメンタムを維持して、引き続き、インターネットの取引についての問題に取り組むために連絡会を運営するということですけれども、7月までには何とか第1回を開催するということで、今、話を関係者に持ちかけているところでございます。
問いの1番目については以上でございます。
引き続き、2番目について申しますと、これはいろいろな省庁がかかわることですが、まず、消費者庁の方から全体の総論的な話をさせていただければと思います。決済代行問題については、先ほど申し上げましたとおり、当委員会からも提言をいただいておりますが、詳しくは資料3-4に「いわゆる決済代行問題の考え方について」という資料も付けておりますので、後でご覧になっていただきたいと思います。
俗に言われていることもいろいろありますが、調べてみると、現状においても、販売業者よる決済代行業者の連絡先等に関する表示はある程度行われているということ、また、海外のアクワイアラーと加盟店契約を結んでいる場合でも、決済代行業者の連絡先、もしくは営業拠点自体は国内に存在する場合が多いということは、調べた結果、示唆されるということであります。
更に、この研究会の議論を簡単に紹介させていただきますと、代行業者の問題ということもありますけれども、そもそも消費者トラブルを起こしているのは販売業者自身です。決済に至ったところ云々ということもあるのでしょうけれども、そもそも消費者がそういったトラブルに巻き込まれない取組みが必要ではないかということ。消費者がトラブルに直面した場合、決済代行業者が介在していることや、その名称、連絡先が示される必要があるのではないか、また、割賦販売体系の中で決済代行業者をしっかり位置づけるべきという意見も出ておりますが、現行の割賦販売法の下でもカード事業者による加盟店管理は規定されておりますので、その実態をよく踏まえた上で課題を整理していくべきではないか、そういった考え方も示されております。
その辺の議論を踏まえまして、先ほど紹介させていただきました登録制度を、当面の間、運用することによりまして、個々の決済代行業者による判断もしくは取組みを促していくとともに、その辺がわかりやすく消費者・関係者に示されることを私どもは目指しております。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 取引・物価対策課でございます。課長の畑野でございます。
今日いただいたクエスチョンは、今、黒田課長から、Q1とQ2のマル2を御回答したという理解の下に、「マル3 委員会が提言した、決済代行業者が決済にかかわることの表示の義務づけ」。これは、特定商取引法の省令ないしいろいろな解釈の中で、表示の義務づけを検討できないかということを御提言いただいたわけでございますけれども、それについてはどうかということかと思います。
昨年の12月10日、この委員会におきまして、施策番号153の議題が掲げられたときにも同じような御質問がございまして、そのときにもお話し申し上げたことを、恐縮ですけれども、もう一回繰り返させていただきたいと思います。そのときにも申し上げたのですけれども、お答えとしては、法制面、特定商取引法という法律の法益ないしその目的という観点からすると、やはり難しいのではないかというお話を前回も差し上げましたけれども、当然、その考えは変わっていないわけでございます。
もう一度、そのポイントだけ簡単に御紹介させていただきます。今日、消費者庁から提出させていただいております、インターネット消費者取引研究会の資料の中で、資料3-4、「いわゆる決済代行問題の考え方について(平成23年2月10日 消費者庁)」という、パワーポイント横長の資料19ページで見ていただいた方がよろしいのではないかと思います。12月10日の委員会のときに申し上げたのですけれども、いわゆるクレジット決済という形を使って、かつ、決済代行業者も絡んでいます。そういう枠の中で消費者と販売業者、典型的には出会い系サイト業者とか、情報商材の業者ということになりまして、こういう取引を考えるということですけれども、海外アクワイアラーという人たちが出てきますが、これはちょっと捨象させていただいて、最低限4人のプレーヤーを想定する必要があります。1番として消費者、2番としてカード会社、3番として販売業者、4番として決済代行業者、この4人を最低限考えなければいけない。
しからば特定商取引法はどういう法律かというと、販売業者と消費者の間の契約関係を規制する法律だということを前回申し上げました。一方で、お金の流れは、カード会社と消費者の関係、それから、この図は海外アクワイアラーも絡んでいますが、カード会社から販売業者。販売業者、消費者、カード会社、この3者でのお金の流れ、これが決済契約ということになりますけれども、その契約の2本から成立している。そうすると、決済の契約は当然、特定商取引法のカバーする範囲ではないということでございますので、これについての規制を特定商取引法上かけるというのは難しい。
決済代行業者はその中でどこへ出てくるかというと、お金の流れのほうで出てくるわけでございます。カード会社の海外アクワイアラーというのに出てくるのでちょっとややこしいですけれども、基本的にはカード会社と販売業者の間の決済業務、これを円滑にするための代行業者、こういう位置づけでございまして、この図から見ても明らかなとおり、消費者と決済代行業者の間には何の矢印もないわけでございます。消費者からすると、決済代行業者というのは何ら契約関係に至っていない、こういったことでございます。すなわち契約の種類ということで、特定商取引法が規制する契約ということからすると、決済契約は対象になっていないという点、それから、消費者から見ますと、決済代行業者は全く契約関係にない、何ら関係のない人だと。
こういった観点からいたしますと、消費者委員会からいただいた御提言をそのまま特定商取引法の中で実現するのは法制的には相当困難である。これは、12月10日のこの委員会でもお話し申し上げたことの繰り返しでございますけれども、この場でも改めてお話しさせていただきたいと思っております。
また、後ほど御議論があると思いますので、この辺にしておきたいと思います。

○経産省伊藤商務情報政策局取引信用課課長補佐 経済産業省取引信用課の伊藤と申します。私から、Q2のマル1と、あと、これはマル1にも関連する話になってまいりますが、マル4の国際ブランドの直近の状況等について、簡単に御報告させていただければというふうに思っております。
まず、マル1のアクワイアラーと決済代行業者に加盟店監督管理の責任を負わせる、そういった手段によって決済代行問題に対応していくということについて、どう考えるかということでございます。これは、インターネット研究会における議論においても何度も出てきた話ではありますが、基本的には、現行の割賦販売法の体系において、国内のカード会社に対して苦情処理のために必要な体制を整備する、そして適切な苦情処理を行うことを義務づけているという建付けになっているわけでございます。
他方、本件において出てくる、まさにこの図において出てきているように、海外アクワイアラーなどが関与してくる。そういうケースになるわけですけれども、そうした海外アクワイアラー、そこと結びついている決済代行業者、そういったものに起因する取引におけるトラブルが問題になっているときに、海外のアクワイアラーに対して国内法において何らかの規制を設けたとき、それが実効的なサンクションとともに規律を設けることができるのかという問題は、非常に重たい問題としてあるわけでございます。
こうしたこと等を考えると、こうしたアクワイアラーあるいは決済代行業者に対して、何らかの管理責任等を負わせていくのは法制的にはなかなか難しい論点ではないかという考え方で、インターネット研究会においても御報告させていただいているところでございます。
続きまして、まさに海外アクワイアラーが関与してくる取引であることから考えると、国際ブランド会社との関係においてどういう取組みができるのかということが重要になってくるわけでございますが、昨年来、こうした議論がずっと続いているということもありまして、日本国内のクレジット業界としても非常に問題意識を強く持っているということでございます。現在、日本国内のクレジット事業者と、そこに国際ブランドの関係者も加えまして、実際に国際ブランドと連携しながら、こうした問題についてどういう取組みができるのかということを、まだstill going onでございますけれども、検討を進めているということでございます。
更に、国際ブランドの方でも、最近、とりわけこうした問題が日本国内で出てきているという中で、なにがしか対応しなくていいのかという問題意識をかなり持ってきているということを伺っております。例えば国際ブランドの側において、海外アクワイアラーが日本国内にある事業者と加盟店契約を結ぶような、いわゆる国際ブランドのルールにおいて規制をされている、国際ブランドのルールの違反とされているようなクロスボーダーのアクワイヤリングの取引がある場合、これを排除していくということをやっていかなければいけないのではないかという考え方に立って、実際にそうした取引をやっているアクワイアラーがいれば、加盟店契約をちゃんと切るように、是正を求めることを既にやり始めていると聞いております。勿論こういう世界なので、加盟店契約を切ったところで、また新しいところで別のことをやる人たちが出てくるというのは当然考え得るわけですけれども、現状、数としては、クロスボーダーで取引を行うアクワイアラーは徐々に減少しつあるということを聞いております。
また、そうしたルールを強化して、実際にある程度の期間ごとにクロスボーダー取引が行われていないかどうかということを、モニタリングを国際ブランドの側においてしていこうという取組みも、現在、検討が進められているというふうに聞いております。これらの国際ブランド側の問題意識の下に行われている取組みについて、引き続き、状況を注視していくとともに、必要に応じて国内のクレジット会社との連携の場においても、そうした問題意識を国際ブランドに対して打ち込んでいくという対応になるのではないかというふうに考えております。
私からは以上です。

○総務省大村総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 総務省の消費者行政課でございます。
質問の3について状況を御説明させていただきます。
私ども総務省は、電気通信消費者相談センターを設けておりますが、ここに寄せられた苦情相談等を確認させていただいたのですが、その中ではリース電話等に関する相談とわかる事案はございませんでした。一方で、若干とらえ方が異なるのですけれども、転送電話という観点でとらえますと、数は多くないのですが、私どもの方にも苦情相談等が寄せられておりました。また、転送電話については、警察が検挙した振り込め詐欺事案のうち、平成21年では約38.8%、平成22年では約33.2%がそれを利用した事案だったという数値がございます。
そのようなことを踏まえまして、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」という法律がございますが、この法律が先月の28日に公布されたのですけれども、一部改正が行われまして、転送電話についても規制対象に加えられることになりました。その結果として、転送電話の提供者については取引を行う際の本人確認等が義務づけられることになっております。施行日は公布の日から2年以内の政令で定める日となっておりますので、まだ施行はされてございません。これについては、リース電話とはとらえ方が異なるものですけれども、ある程度重なる部分もあるのではないかとも考えておりまして、未施行ですけれども、改正された犯罪収益防止法の施行状況なども含めまして、引き続き、注視してまいりたいと考えております。

○消費者庁黒田政策調整課長 4について、この研究会の報告書にございますように、先に紹介させていただければと思いますが、お手元の資料3-3の10ページの下の方に「紛争解決」とございます。紛争が生じた場合の解決についてどういうことをやるべきかということで、具体的な取組みが11ページに掲載されておりまして、マルが4つありますうちの3番目について、詐欺的な取引をされる場合がありますけれども、相手がわからない場合、そういった情報の開示や訴訟の在り方についてどうするのかということです。相手がわからないので、訴訟を提起することすらできない場合が多いということなので、「権利を侵害したとされる者に係る情報を保有する第三者に対する開示請求権の創設や、相手方がわからない場合の訴訟手続の在り方など、あるべき制度について、他の法益との兼ね合いやインターネット以外の情報発信ツールの場合のルールとの整合性を踏まえつつ、関係省庁において検討する」、こういった記述も書き込んでおります。

○総務省大村総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課企画官 その点につきまして、総務省側での検討状況を御説明させていただきます。
これにつきましては、昨年12月に御説明させていただきましたとおり、資料4の3ページ目ですが、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」という研究会でプロバイダ責任制限法検証ワーキンググループというものを設けまして、こちらで検証を行ってきていただいております。
このWGでは、下に検討スケジュールを書かせていただいておりますけれども、著作権の権利者団体、プロバイダの事業者団体、インターネットのユーザー団体など幅広く意見を伺っているところでございます。更に、昨年12月に御指摘いただきましたことも踏まえまして、日本弁護士連合会にも依頼させていただいて、弁護士の方々から意見を聞くこともさせていただいた上で検証を進めてきているところでございます。今の進捗状況としましては、4月21日の第8回のWGで報告案について検討を行ったところでございます。その中で御指摘がありました悪質な詐欺行為について、プロバイダ責任制限法の観点から言うと、情報の流通によって直接権利を侵害するものではない情報、これをプロバイダ責任制限法の対象にしていくべきかどうかという論点についても御検討いただいております。
これについては、まず、悪質な詐欺事案であって刑事の問題になる場合につきましては、刑事手続の中で裁判所からの令状を取ることによって、発信者の情報を捜査機関が得ることができるということは前提としてありますが、問題となるのは民事上のお話で、被害を受けた方が、相手方がわからないことによって訴訟を起こすことができないという問題があるので、これをどうするのかということになるわけでございます。
WGの中での議論としては、これらの情報は、流通している情報だけでは権利侵害の有無が判断しづらいという情報でございますので、第三者であるプロバイダ等が適切に反論していくことができるのか、なかなか難しいのではないか。そうすると、プロバイダ等に対する負担もさることながら、発信者の表現の自由を不当に害するような事案も出てきてしまうおそれもあるのではないかというような御議論がございます。一方で、御指摘いただいているように、相手方がわからないことによって訴え提起すらできないという問題が存在していることは認識しているということで、方向性としては、プロバイダ責任制限法のみで検討するのではなく、訴え提起を可能ならしめるための情報収集手段の在り方として、より幅広く検討すべきものではないかという旨の御議論、御指摘を現時点でいただいているところでございます。
この研究会の今後の予定ですけれども、現在、WGの方で報告書の最終的な精査の段階にございます。今後、WGの親会の研究会の方で更に議論をしていただいて、その後、パブリックコメントをさせていただき、最終的に決定されるという手続になっております。
以上でございます。

○消費者庁黒田政策調整課長 最後に、資料3-5を配付しておりますので、経緯を申します。事前の打合せでは、クレジットカードの現金化の問題はインターネット取引でも生じていると認識しているが、その対策について消費者庁としてどのように考えているかという質問をいただきましたので、配付させていただいております。今日の質問には入っておりませんので、この資料だけでは十分とは言えないのですけれども、一応その裏面をご覧になっていただくということで説明にかえさせていただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の皆さんから御質問がございましたら。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 時間がありませんので、ただ問題点だけ指摘させていただきたいと思います。
まず、任意登録制度については、期待はいたしますが、これによって加盟店、つまり販売事業者の行為の規制にどこまで役に立つのかということについては、なお疑問があると言わざるを得ない。今後、これは決済代行業者は加盟するかもしれませんが、いわゆる販売業者の方は加盟しないわけでしょうから、その点、行為規制としてどの程度役に立つのかというのは疑問ですが、その辺も含めて見守っていきたいと思いますし、御尽力いただきたいと思います。
なお、マル3のお答えについては、なお難しいというお話ですが、なぜ難しいのかさっぱりわからないです。要するに代金決済の方法の一つなわけですから、消費者はインターネットの取引をして代金を支払うつもりだったのが、わけわからない形でドル決済だとか、いろいろな方法が、決済代行業者がかかわることによって出てくるわけですから、なぜそれを表示することが消費者庁として義務づけができないのか。もう平行線の議論になってしまいますのでお答えは必要ありませんが、全く納得できないということだけ申し上げておきたいと思います。
それから、国際ブランドについては本当に期待しておりますので、是非御尽力いただきたいと思いますし、先ほど黒田課長からお話があった、国際間のいわゆる被害情報の会議、これはまだタイムスケジュールははっきりしていないようですが、非常に重要な会議だと思います。今後、特に東アジア諸国において被害者がいろいろな形で出てくる場合に、横の連携というのは非常に重要になってくると思いますので、是非これは実のあるものにしていただければと思います。
それから、IP電話やリース電話の被害実態がよくわからない、余り件数がなさそうなことをおっしゃっていましたが、これは警視庁などに聞いていただければ、とにかく捜査が頓挫するわけです。未公開株やその他の怪しげな金融取引の勧誘があった場合、一体おじいちゃん、おばあちゃんが何という業者からひっかかったか、電話番号は控えてあるけれども、電話番号からでは、何という事業者が詐欺行為を働いたかわからないという実情があるわけです。この辺は是非警察の方とも情報交換をしていただいて、実のある対策を講じていただくようにお願いしたいと思います。
プロバイダ責任制限法については、なお議論がいろいろあるかと思いますので、今後、見守らせていただければと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明ありがとうございました。今、山口委員が全部言っていただきましたので、私の方からは数点だけにしたいと思います。
やはり決済代行の任意登録制のことですが、あくまでも任意でありますので、登録する人はある程度理解すると思うのですが、それでない、いわゆるすき間になるのでしょうか、そういう方たちをどのようにして登録制の中に入れていただけるかということを、もう少しお考えいただきたいなというふうに思っております。これができたことだけは一歩前進かもしれませんが、やはり任意というところには少し引っかかる問題があります。
それから、決済に係る表示のことでございます。確かに特商法の中で考えると、それぞれの法律の中で考えると、うちの範疇はここです、うちの範疇はここですといってやっていくと、それこそできないだろうとは思うのです。ただし、現実にそういう被害が起きていて、そういう理解しかできない消費者、それが全くわからない人たちがたくさんいらっしゃる。そして、そういう被害が起きていることを踏まえていただきまして、できれば、その個々の法律の範疇だけではなく、もう少し横串を刺したような考え方で、貸金決済とかいろいろなものがあるかと思います。そういうところで御検討いただけたらいいのではないかなと思います。ありがとうございます。

○松本委員長 ほかに御意見ございませんか。
どうぞ。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 答えは必要ないというお話の上で答えを差し上げるのは大変恐縮ですけれども、山口先生の御指摘の点で1点だけお話しさせていただきたいのですが、確かに支払いの方法という、日本語の問題としてはこれはいくらでも書けると思います。決済代行業者が関与するクレジット決済というのも支払の方法でしょうし、銀行の振り込みは支払の方法ということですから、日本語としては何でも書けるということだと思いますけれども、あくまでもそれは特定商取引法という法律の枠の中で、支払の方法という話をどこまで書くことがぎりぎりできるのかというお話で、当然、それはその枠があるわけですから、その話からすると、先ほど私が申し上げたような話に結局戻るのではないか。支払の方法で日本語としては書くことができるけれども、法令として書くことについて言うと、当然、おのずと限界があるのではないか。
こういうお話が1点と、それから、それを仮に置いたといたしましても、少し御紹介をさせていただきたいのですが、先ほどの資料3-4、これは消費者庁の方で調査をしたもので、昨年に消費者委員会で御提言をいただいたその前提として、サイト業者の広告のサイトに決済代行業者の名前は恐らく出てこない。こういう前提で御議論をされていたのではないかというふうに推測します。ですから、決済代行業者の表示を義務づけろというお話ではなかったかと思いますけれども、これはファクトの御紹介ですから、どう評価するかは御自由ですが、資料3-4の14ページ、「調査結果」というところをお開きいただけますでしょうか。
「表示されている情報」で、幾つかサンプルをとって、実際に消費者が出会い系サイトと契約をする。クレジット決済をする、まさに自分のカード番号を入力する直前までの情報の中で、決済代行業者の名前が出てくるか、出てこないかということを調査いたしました。100%、決済代行業者の名前が出てきました。これはサンプルですから、サンプルの範囲ということではありますけれども、現状としては決済代行業者の名前は出てきているのです。その下にありますように、更に、連絡先も128分の122ですから、ほぼ9割以上出てきている。この調査結果からすると、果たして決済代行業者の名前を書くことが、現状、出会い系サイトに入ることについて消費者に対する牽制効果を持っているのかどうなのかといったことについて言うと、どうなのかなというような感じがいたしております。
以上でございます。

○消費者庁黒田政策調整課長 つけ加えますと、先ほど下谷内委員の御発言に関連いたしまして、まさに登録制度というのは表示とセットになっております。特商法では、確かに今、言ったような議論がありますけれども、登録制度というのは名前を登録するだけではなくて、代行業者を使っている販売事業者については、取引において、決済代行業者を使っていることとか、連絡先を表示することとセットになった仕組みを目指しておりますので、それを当面やっていくのだということです。逆に言うと、今から法律を変えるなりいろいろ仕組みを変えてやるよりは、まずは早く取りかかれるものとして、それを横串と言えるかどうかわかりませんけれども、そういったものとして、まずは取り組もうという姿勢だということで御理解いただければと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○佐野委員 消費者庁はこの5月の消費者月間に絡めて、資料3-3の15ページの一番下のマルのところに書いてあるICPEN、いわゆる「消費者保護及び執行のための国際ネットワーク」というところの、詐欺防止月間として、今月、力を入れているということです。このICPENでは、国際的なネットの被害も詐欺防止の中に含んでいます。各国と連携を取りながら、特に今月、具体的に強化している、その進捗状況を教えていただきたいのと、先ほどの御説明の中では、アジアの中でネットワークをつくろうということですが、ICPENとアジアのネットワークの関係など、その辺りを簡単に説明してください。

○消費者庁黒田政策調整課長 その準備状況は調べて、また別途、御説明させていただきたいと思います。
なお、国際的な取組みということであれば、4月にパリでOECDの集まりがあったのですけれども、我々のこの取組み、特にネットワークをつくっていくという取組みについては紹介させていただきまして、中には評価する意見もいただいております。そういったことで、別にアジアに限らず、いろいろな場で今回の検討結果についてはいろいろ働きかけていきたいと思っております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
いろいろ危惧の念も出されていることですけれども、とりあえずはインターネット取引研究会でまとめられました実質的な取組み、登録制度を含む取組みが成果を上げることを期待して、我々としても見守っていきたいと思います。
それから、もう1点。匿名性の問題について、プロバイダ責任制限法の問題、電話の関係の問題、恐らく根っこは同じだろうと思います。匿名の形で取引できるという仕組みが、技術的あるいはビジネスモデルとしていっぱい編み出されてきたことにより、事業者として便利な面もあるのかもしれないけれども、それが詐欺的な形で使われると、消費者被害の救済が大変やりにくくなる。問題が起こらなければ匿名のままで自由な言論を享受できるけれども、問題が起こればそうではないんだぞというところを、どれぐらいきちんと確保していくかということだろうと思います。その点で、本人確認の義務がさまざまな法律の中に入れられたことによって、刑事事件化して捜査当局が令状を取れば、そこから最終的な情報発信者がわかるという状況には来ているのだろうと思いますが、民事として被害救済を追求していく場合、その匿名性の部分がかなりネックになっているところを、今後、どういうふうにしてクリアーしていくかということを消費者委員会としても考えたいと思いますし、ほかの関係省庁でもお考えいただきたいというふうに思います。
本日は、消費者庁、総務省、経済産業省におかれましては、お忙しい中を審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

○山口委員 1点だけ。

○松本委員長 はい。

○山口委員 今、委員長がおっしゃったことで1つだけ事実として違うと思うのは、捜査当局さえもIP電話などでは発信者がわからない。令状があっても取れないという実情がございますので、その辺は是非総務省の方は御検討いただきたいと思います。捜査当局さえわからないという実情です。

○松本委員長 それは技術的な困難性の問題なのか、単に誰も教えてくれない、あるいは法律的に手当ができていないという問題なのかにもよると思いますが、それが今の技術では追跡できないということであれば、ある意味ではどうしようもないということだろうと思います。インターネットを切断するわけにはいかないでしょうから、追跡技術を早急に開発していただくしかないのではないかと思います。技術的な防止策と、法律的な手当、それからビジネスモデル、この3つをうまく進めていくことによって安全を確保するというのが適切なやり方だろうと思います。
それでは、本日はどうもありがとうございました。

≪4.閉会≫

○原事務局長 それでは、今日は、ちょっと早い時間ですけれども、これで終了といたします。
それで、この場所を借りまして委員長記者会見を行う予定にしております。この会議が終わってすぐというところでお願いしたいと思いますので、傍聴者の方々には申し訳ございませんが、退席ということでお願いしたいと思っております。すみません。
それから、17時10分目途で蓮舫消費者担当大臣を訪問いたしまして、先ほどの「マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議」を提出する予定にしております。なお、国土交通大臣には、後日、訪問して建議を提出する予定としております。
次回の委員会は、第3週になりますけれども、来週、5月20日(金曜日)の15時から行う予定です。議題につきましては、本日に引き続いて、消費者基本計画の検証・評価・監視に関するヒアリングの第2回目を予定しております。そのほかの議題につきましては、決まり次第御連絡をいたします。
事務局からは以上でございます。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)