第49回 消費者委員会 議事録

日時

2011年3月4日(金)15:00~17:01

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 社団法人日本医師会 石川常任理事
 弁護士 神山美智子氏
 消費者庁 田邊消費者情報課長
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.健康食品の表示の検討について
○説明者: 社団法人日本医師会 石川常任理事
弁護士 神山美智子氏
3.消費者安全法に基づく国会報告について
○説明者: 消費者庁 田邊消費者情報課長
4.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:73KB)
【資料1】日本医師会の健康食品安全対策について~「食品安全に関する情報システム」事業より~(社団法人日本医師会提出資料)(PDF形式:472KB)
【資料2】健康食品の法規制について(神山弁護士提出資料)(PDF形式:205KB)
【資料3】消費者安全法に基づく国会報告について(消費者庁提出資料)(PDF形式:63KB)
【資料3別添資料】消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告
消費者庁ウェブサイト 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告(平成24年度以前)別ウィンドウで開きますへのリンクとなります。
平成24年度以前についての情報は、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)サイトにて御覧いただけます。
消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告(平成24年度以前)別ウィンドウで開きます
【リンク先のPDF 『消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告 平成23年2月(PDF形式:1.1MB) 』 を御参照ください】(平成30年9月リンク先更新)
【資料4】「消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告」に関する意見(案)(PDF形式:19KB)
【参考資料】消費者安全法に基づく国会報告について今後重視されるべき基本的視点(PDF形式:38KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございました。ただいまから、「消費者委員会(第49回)」の会合を開催したいと思います。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入ります。

≪2.健康食品の表示の検討について≫

○松本委員長 本日は、当初予定しておりました「健康食品の表示の検討について」に加えまして、「消費者安全法に基づく国会報告について」を議題として取り上げたいと思います。
まず初めに、「健康食品の表示の検討について」です。健康食品の表示の検討につきましては、消費者委員会において、これまで3回にわたって、相談や広告業界の自主規制等の実態について関係団体よりヒアリングを行ってまいりました。
本日は、社団法人日本医師会及び神山美智子弁護士においでいただいておりますので、健康食品の表示に関する相談、被害の実態、法規制、法執行の在り方等について、それぞれ御説明をいただきまして、その後、質疑を行いたいと思います。
それでは、初めに社団法人日本医師会より御説明をお願いいたします。

○社団法人日本医師会石川常任理事 日本医師会の常任理事をしております石川と申します。本日は、お呼びいただきまして誠にありがとうございます。このような場をいただきまして、大変光栄に思っております。
事前に配付いたしました資料をもとに説明させていただきたいと思います。本日は、健康食品に関しましての日本医師会の取組みを中心に、これまでの結果と今後ということで御報告したいと思います。
それでは、お手元の資料、パワーポイントの資料になっておりますので、資料1の2ページから見ていただきたいと思います。私どもが健康食品に関して事業をしている一つのモチベーションということでございますけれども、2番目には、健康食品の利用状況が近年、大変多くなってきている。市場も約2兆円に近くなってきているということがございます。
続きまして、3ページを見ていただきたいと思います。健康食品の利用状況としましては、「利用する目的は何ですか」ということに対して、健康維持、健康増進というのは大変多い。「体によさそうだから何となく」ということも含めますと、我々、健康や命を守っている人間からすると大変興味深いものがある。中には「病気を治すため」ということで御利用になっている方もいるということであります。
こういうものを、テレビ・ラジオ、新聞・雑誌等のメディアから得ることが大変多くなってきているということでございます。
続きまして、5ページでございます。「医療提供者の立場から見た健康食品の問題点」をここにまとめております。副作用、アレルギー等の問題、医薬品との相互作用の問題、それから、かなり多く摂取されている過剰摂取もあります。そして、過大な宣伝方法ということで、これは我々がやっている医療とある時点では拮抗することもございます。
続きまして、6ページでございます。我々のこのモチベーションをもちまして、日本医師会は今までも健康食品への対策をやってきました。平成18年度からということで書いてありますので、御参考にしていただけたらと思います。
続きまして、8ページでございます。最近、大変話題になりました「α-リポ酸を含む『健康食品』」ということで、新聞報道もされておりますけれども、この中で、低血糖症という大変難しいメカニズムを持った症状を発しているということがわかったわけでございます。こういうところから、かなり医学的な知識も使わないと国民に注意喚起できない事例もあると思います。
10ページをごらんになっていただきたいと思います。2007年1月~2010年3月まで、我々日本医師会で「食品安全に関する情報システム」モデル事業で行いました。参加医師会と参加医師会員約3万5,000人に訴えて行いました資料が、別の大きな資料としてお手元にあると思います。それも細かく書いてありますので、後ほどごらんになっていただきたいと思います。
11ページをあけていただきたいと思います。受診・相談の患者さんからかかりつけの医師に情報提供がありましたら、この情報に対する判定を行いまして、その後、対応するということをこのモデル事業ではやってきました。
飛ばしまして、15ページでございます。このモデル事業の結果でございますけれども、全国のモデル地区、かなり広範囲で行ったのですけれども、正直言いまして、余り多くは集まらなかったというのが現状でございます。その提供された情報に対して、このような判定をして、真正性、緊急性、重要性というふうに、1~5番までのレベルに合わせて行ったということでございます。
17ページを見ていただきたいと思います。性別と年齢に分けたものでございますけれども、60代、70代、80代、高年齢の方々に多く利用があるということで、また問題が多く起こっているのではないだろうかということでございます。男女比は、女性の方がむしろ多いということでございます。
18ページを見ていただきたいと思います。これは、エビデンスがあるもの、それがどうも原因だろうなということ、医学的に疑いの持てるもの、医学的に推定できるもの、医学的に検証済みのもの。こういったものの中で、重篤なもの、全身的な症状の強い重大な症状がある、こういうものが15件(30%)にわたっているという図でございます。
19ページをごらんになっていただきたいと思います。今度は症状と性別という形で分けてみました。アレルギーと有害成分が含有されているというのが多かったということです。アレルギーも注意した方がよろしいということでございます。
21ページをごらんになっていただきたいと思います。「性別×健康食品の摂取目的」でございます。健康の保持増進ということで利用されていて、いろいろな現象が起こったということでございます。それも女性が多いということでございます。
22ページを見ていただきたいと思います。店頭購入、ネット通販で購入された方が多いということでございます。
23ページをお願いします。かかりつけ医があったかないか、患者がその健康食品を摂取していることを知ったきっかけは何かということでございます。かかりつけ医は、今回、50人中39人でございまして、患者さんの症状、自発的に相談、そういうことがあったということでございます。
24ページを見ていただきますと、かかりつけ医があるからといって必ずしも健康食品を摂取していることを言ってはいないということで、かかりつけ医を持たれて、かかりつけ医のところに来られたという症状の中で、伏せていた例が半数を超えているということでございます。つまり、かかりつけ医には余り相談がなく摂取されているということでございます。
飛びまして、27ページをお願いいたします。こういうモデル事業を経まして、私どもは本年3月から、このシステムを全国的に「健康食品安全情報システム」事業といたしまして、日本医師会全体で行うことを決定いたしました。日本医師会は、毎日毎日、会員の先生方は診療をしている、その現場で何か健康食品に関しての事例があったら、それをくみ上げていきたいということでございます。
28ページをごらんになっていただきたいと思います。診療の現場から情報を集め、それを日本医師会で判定する。その資料をつくりまして現場に返していくというシステムでございます。
31ページをごらんになってください。現在、日本医師会は、合計しますと、開業医の先生方が8万人、勤務医・研修医の先生方が8万人、全国の総医師数が28万人でございます。そのうちの6割を占めている、過半数以上ということで我々はやっております。このシステム事業が浸透するならば、かなりの事例について吸収できるのではないだろうかと考えております。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、神山弁護士より御説明をお願いいたします。

○神山弁護士 神山でございます。本日はお招きいただきまして、ありがとうございました。
資料2というのが私の簡単なレジュメです。
皆さんがこれまで御検討してこられて十分おわかりだと思いますが、こんなにわかりにくい制度はない。何のためにこんなわかりにくい制度を維持しているのか、全く理解できないです。私に与えられたものが「法執行について」ということだったものですから、一所懸命調べましたけれども、調べれば調べるほど藪の中に入っていったようにわからなくなってくるくらい、わかりません。通知、通達、リスト、さまざまなものがあって、これに通暁していないとわからないというのは、事業者の方もわからないでしょうし、規制する行政の担当者の方もわからないのではないか。
一つの例で、地方の衛生部局でオーケーが出て販売したら、健康被害が起きてしまったために、厚労省にこれは薬事法違反だと言われて、その結果、経営者の人が自殺してしまったというケースも起きているくらい、だれがどうやって判断すると正しいのかということがわからないわけです。
これですと、消費者はなおさらわからない。わからないものをいつまで続けていても仕方がないと私は思うのですが、では、どうしたらいいのかというのが、これまた、わかりません。それで、具体的な例で考えてみた方がわかりやすいかなと思って、レジュメには書いていないのですけれども、急に私が調べたもので、コンドロイチンという成分を一つの例として考えると、いかにおかしいかということがわかるのではないかと思いますので、御説明させていただきます。
食品衛生法の定義で、医薬品と医薬部外品を除いたすべての飲食物が食品ということになっています。薬事法上の医薬品の定義は、資料2の3枚目に「参考」として薬事法の抜粋が載っております。「日本薬局方に収められているもの」というのはリスト化されているわけですが、2番目が「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」、3番目は「身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」、こういう書き方ですので、結局、効能効果をうたうと医薬品だという趣旨になってしまうわけです。
医薬品であるかどうかの判断の基準として、御承知のとおり、「46通知」というのが出ていますけれども、資料にも付けていただきました。一番最後の紙にありますが、最高裁判所の昭和57年9月28日、第三小法廷判決、有名な「つかれず判決」というものです。「つかれ酢」という名前で、クエン酸あるいはクエン酸ナトリウムを顆粒や粉状にして売っていて、この方は、酢は新薬、酢で万病が治るというような本を書いていて、薬事法違反に問われたケースです。
最高裁まで争って、当時の伊藤正己判事は反対意見を書いておられて、クエン酸など医薬品として規制する必要はないという意見も書いておられるのですが、多数意見は、正しい医療を受ける機会を奪うおそれがあるということで薬事法違反になっています。昭和40年代、50年代から、何が薬で何が食品なのかがわからないままずっと来ておりましたが、そこへもってきて平成3年に栄養機能食品という制度ができましたときに、カプセル・錠剤型食品を医薬品の範疇から外してしまったものですから、更にわからなさに拍車がかかったのだと思います。
薬事法も実は規制緩和を続けていて、非常にわかりにくくなってきています。御承知のとおり、風邪薬をコンビニなどで売りたいというので、一部の薬を医薬品から医薬部外品に格下げしたり、現在は、同じ医薬品でも第1類、第2類、第3類と分けて、第1類については薬剤師がいる薬局でしか売れないけれども、2類、3類は薬剤師がいなくてもいいということになっていて、リストができております。
この第3類の医薬品の中にコンドロイチン硫酸エステルというものが入っています。これはインターネットなどで調べますと、関節痛に効くということで売っている商品があって、その説明を読みますと、「コンドロイチン硫酸は弾力性や保水性を与える役割をしています」と、薬の宣伝文に書いてあります。
ところが、エステルではなく、「コンドロイチン硫酸ナトリウム」になりますと、食品衛生法に基づく指定添加物という扱いになっています。それから、それが全部とれた「コンドロイチン硫酸」というものは一般飲食物添加物という扱いで、食品衛生法による厚生労働大臣の指定が要らない扱いになっているという通達が出ていますが、私も、コンドロイチン硫酸エステルと、硫酸ナトリウムと、コンドロイチン硫酸がどう違うのかということはさっぱりわかりません。
コンドロイチン硫酸ナトリウムを使った健康食品を売っておりますけれども、コンドロイチン硫酸の説明のところに「なめらかさをサポートする大切な成分」というようなことが書いてある。これは健康食品の宣伝ですが、薬の方は、「膝などの関節痛や腰痛、神経痛に徐々に効果をあらわす」とあって、健康食品には疾病の名前を書いていないのですが、働きとしては同じようなことが書いてあります。当然、第3類でも医薬品の場合には、薬事法に基づく厚生労働大臣の承認が要るわけですから、その製造承認がないと販売することはできません。
それから、指定添加物というのは厚生労働大臣が食品衛生法に基づいて添加物として指定しますので、これも指定がなければ使えません。一般飲食物添加物というのは、本来はオレンジジュースでオレンジ色に染めるとか、ブドウジュースでブドウ色に染めるとか、通常食品として摂取しているものを添加物的に使う場合には、これは指定が要らないということになっていたわけですけれども、どうもこの制度が悪用、という言い方はおかしいかもしれませんが、非常に拡大されて、一般飲食物添加物の中にさまざまな健康食品に使われるような成分を入れて、それを入れて健康食品をつくってもいいということが進んできているように思います。
こういうぐちゃぐちゃの制度をどうすればいいのかというのは、行うは難しいとは思いますが、平成3年に戻って、錠剤・カプセル型食品は栄養機能食品に限る、普通の健康食品に錠剤・カプセル型は使わせないということができれば、わけのわからなさがかなり減ってくるのではないかと思いますが、それがちょっと無理かなというような気もします。
その次にできると思うのは、一般飲食物添加物というのをもっと整理して、食品として食べてこなかっただろうというものは、一般飲食物添加物ではなく指定添加物にして、使わせないということができるのではないかと思います。
それから、根本的な解決にはならないと思いますが、一番簡単だと思いますのが、私が書きました2枚目の「一つの考え方」というところで、食品衛生法施行規則21条の4です。4枚目についていますが、「特定保健用食品及び栄養機能食品以外の食品にあっては、保健機能商品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨の表示をしてはならないこと」というのがあります。この「表示をしてはならない」という部分を「表示並びに広告をしてはならない」というふうに、明示的に「広告」という文言をここに入れてもらえると、「特定保健用食品や栄養機能食品と紛らわしい広告をしてはならない」と。これは直罰規定ですので、「2年以下の懲役または200万円以下の罰金、情状により併科」ということになりますので、少しは効果があるのではないかなというふうに思っています。
それから、今、医師会の石川常任理事がお話しになりましたように、私も被害者から相談を受けたことがありますけれども、食べ物ですので、それだけ食べているという人はいませんから、これが原因でこうなったということの証明がなかなかできません。それから、薬事法違反だと思われるような広告の相談などを私が関係している団体で受けますけれども、それも、どこへ言っていけばいいのかがなかなかわからない。東京の場合ですと東京都に言いに行きますけれども、でも、すぐに動いてくれるのかどうかもわからないということに日常的に接しておりますと、こういった広告の差止請求権を一定の消費者団体に与えてほしい。
今の消費者契約法に基づく団体訴権というのは、いわば取引の場での違法な勧誘とか、違法な広告のようなものをやめさせようということでしょうけれども、健康食品の場合には、取引だけとは言えないと思います。しかも、虚偽または誇大広告の差止めではなく、薬事法違反のような違法な広告も差止請求できるというふうにさせていただくと、市民団体の力を借りてよくしていくこともできるのではないかと思います。
例えばネット検索など消費者庁でやっておられますけれども、私が関係したある事例では、すぐにやめました。文句を言うとやめるのですけれども、違う会社の名前で宣伝文句を変えて同じものを売るとか、明らかな健康影響みたいなことをうたっていたのが、1年ぐらいたったら、そういう具体的な文言は入れないで、「すっきり」と表現する。何がすっきりするかわからないような、「すっきり」という文言で新聞に一面広告をもう一回出すとか、同じ住所で違う会社があるとか、こういったようなことにぶつかっています。
日本弁護士連合会では、かつて「カネミ油症」が起きた後に厚生省が検討していた食品事故被害者救済制度について、こういう救済制度をつくれという意見も出していますが、健康食品の被害ということも含めて、やはり何らかの形の被害救済制度があったらいいなと思っています。
以上です。ありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのお二人の方からの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問がおありの方は御発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 両先生、どうもありがとうございました。
まず、石川先生に伺いたいのですが、10ページに参加医師が3万5,000人と書いてあります。最後の方の御説明で、医師は28万人いて、開業医8万人、勤務医が8万人とありますが、この参加医師はどういういきさつで3万5,000人になったのか、これの説明をいただければと思います。
それから、22ページに、店頭購入が3割、ネットを含む通信販売が22%とありますが、「その他」がかなりあります。その他というのは何なのか。私どもは店頭販売が6割という話も聞くのですが、その辺は正確性がどの程度というところがあるものですから、教えていただければと思います。
24ページですけれども、糖尿病1型、つまり、インスリンさえ打っていれば日常生活に差し支えないけれども、インスリンがないと死んでしまうということを言われた少女とお母さんが、健康食品さえ飲んでいれば大丈夫と言われて、健康食品を飲み続けてインスリンを打たなかったために死んでしまったという事件を、私自身も担当しています。大変優秀なお医者さんにかかっておられたのですが、お医者さんには止められるというのがわかっているものだから、伏せていたのです。結果を知って、非常に優秀な専門医のその先生はびっくりしておられます。
これは個別性があり過ぎるのかもしれませんが、患者はわかっているわけですね。ただ、アトピーだとか、花粉症だとか、1型糖尿病だとか、その種の近代医療ではなかなか治らない病気について、健康食品を飲んでさえいればいいとか、あるいは、それによってということでそちらに依存させ過ぎますと、こういう事態になってしまうわけです。その辺はどう対応すればいいのか。石川先生に今の3点を教えていただければと思います。

○社団法人日本医師会石川常任理事 まず、10ページに、日本医師会から連絡できる参加医師会というのが北海道、東北と、それぞれ幾つか選ばれてございます。この中の参加会員の数を合わせたものが3万5,000という数字でございます。必ずしも自分たちのところでそういう事例が発生したということではございません。その数はそういうことでございます。
続きまして、ネット販売と店頭購入のことでございますけれども、これは、あくまでもそういう事象に至った方たちの購入方法ですので、一般的なものとはやはり違うと思います。もう少し症例が多くなりますと、どういう購入先からどのような事象が多いかということがもっとはっきりすると思いますけれども、このような少ないN数では何とも言えないというふうに考えております。
最後の問題ですけれども、大変由々しき事態は実はいろいろなところで起こっていると思いますし、我々もうまくつかめていないかもしれません。というのは、患者さんたちが自ら選んでいろいろおやりになっているという点では、自分でも気持ちの中に、これはなかなか言い出せないと、そういう抑制の状況が起こるのではないかと思っております。ですから、「先生には悪いけれども、飲んでいた」というふうな表現でよくありますし、「実は日常的にこういうものを飲んでいるのですが、先生、どうですか」というふうに見せられる例もかなりあります。それは毎日診療していれば、1週間に一つや二つ必ずあるぐらいです。
クロレラという有名な食品があります。実は、心臓の病気の方でワーファリンというお薬を飲んでいる方がこのクロレラを食べますと、ワーファリンという薬の効果が著しく失われることがありまして、脳血栓という状況に陥ります。こういうふうな飲み合わせが大変悪いものもあります。我々としましては、啓発をどの地点に置くかということについては、普通のこういう食品であっても、量の問題とかそういった問題もありますが、やはり薬と合わないものもあるので、患者さんにはすべからく報告していただくということ。そのためには、信頼のあるかかりつけ医を健康相談の相手として持つことも重要なのではないか。
ただ、それは既に疾病というものがあっての話でございます。全く疾病がない患者さんで、大量に服用して何かがあったということについては、もしかしたら、かかりつけ医もなかなかつかめないのかもしれないというふうに考えております。よろしいでしょうか。

○中村委員長代理 今のお話に関連しますが、確かに私も相互作用というのはすごく心配です。結構重篤な被害のケースもあるようで、これを防ぐにはどうしたらいいかということを前々から考えているのですが、今の御報告だと、かかりつけの医者に信頼できる方がいて、患者がちゃんと医者に報告するというお話をされましたが、何かほかに方法はないのでしょうか。お医者さんの方から上手に聞き出すとか、あるいは、そもそもお医者さんに健康食品と薬の相互作用についての知識がフルにあるのかどうか。それから、全体的にはやはり教育ももっと必要だと思いますけれども、その辺りで、相互作用による被害を減らす方法というのをもう少しお考えをお聞かせいただければと思います。

○山口委員 その点で、薬と合わせ飲むと危険だという商品について、きちんとした広告宣伝なり表示を義務づけるということは実現可能性がないのでしょうか。そこもお願いします。

○社団法人日本医師会石川常任理事 我々の方から国民あるいは患者さんに注意喚起するというのは、いろいろな広報とか、そういったものしかないと思っております。ただ、例えば院内の至るところにポスターを張るとか、健康食品等を御利用されている方は申し出てください、今、飲んでいるお薬と合わないこともありますのでというふうな、啓発の広報はできると考えております。
それと、医療側ではなく健康食品の側でも、例えば、先ほどα-リポ酸というものについて御説明しましたけれども、α-リポ酸は大変複雑な経路をとって患者さんに低血糖を起こす。中には、糖尿病の治療をしていない方でもα-リポ酸だけで低血糖と。遅いと、重篤な後遺症あるいは死亡することもあるという現象が起こるわけです。これは遺伝的な、ある種の方だけに起こると言われておりますけれども、糖尿病を既に罹患されている患者さんにとっては大変難しいメカニズムで、血糖が不安定になるという要素を持っているわけです。
そういうことは既にわかっていますけれども、健康食品の側にはほとんど表示がないです。つまり、糖尿病の方がそういうものを御利用されるときは、「主治医に相談ください」等の記載はあってもよろしいのではないか。ところが、私も幾つか調べたのですけれども、「動物に食べさせると危害があります」などということは書いてありますが、そのことについては書いていないものもございます。ですから、医療側も啓発する。健康食品をおつくりになっている会社さんも、既に報告があるもの、わかっているものについては、利用される消費者に対してきちんと警告を発するような表示をすることが大事だと考えております。よろしいでしょうか。

○山口委員 ありがとうございます。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 患者さんが主治医に相談するのが一番いいことではあると思いますけれども、ある意味では主治医の治療方法に不満足ということを言わざるを得ないことになっていきますね。そうすると、なかなか言えない、相談しにくいのではないかというふうに思っています。それで、医師会として第三者的に、いわゆる相談窓口のようなもの、心配になったら何でもいいからとにかくここに相談してください、というような窓口を設けられていらっしゃるのかどうか。
それともう一つ、モデル事業の結果についてはかなり具体的で、この具体的な情報を消費者が見ると随分参考になると思いますけれども、いわゆるお医者さんだけではなく、一般の消費者に警告を発する意味合いでの情報提供については、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、聞かせてください。

○社団法人日本医師会石川常任理事 私どもも、このことにつきましては大変重大な事象も起こっていることを認識しておりますので、6ページにありますように、いろいろな対策を打ってきております。その中で、厚生労働省と一緒にいろいろなことをやってきておりまして、一般の方にもわかるようなパンフレットを発出したりしております。
ただ、我々の方も、今の医療というのは、皆さんの問い合わせに十分適応できる窓口をつくれるほどのものは持っておりませんで、今後、やはり検討しなければいけないというふうに考えております。先ほど言いましたように、我々の委員会から例えば先生方のところ、診療所・病院に、患者さん啓発用のポスターとか、そういったものをお配りするということは必要かもしれないと思っております。なかなかこれは難しいと思います。
それから、最初にお話がありました信頼関係の問題でございますけれども、例えば慢性疾患、特に加齢に伴う慢性疾患で腰痛や膝の痛み、これは正直言いまして、現在の医療でも、手術とかそういったものを思い切ってしなければなかなかもとに戻らない、あるいは痛みは続くというふうなことがございます。そのときに、やはり患者さんとしては不安もありますし、どうしても何か別の手段にというふうなこともあると思います。先ほどありましたようなコンドロイチンとか、膝とかそういったところには必要な成分だと。それを飲んだら、あたかも膝のところに行くような印象の名称のつけ方で販売されているわけです。これは胃や消化管を通りますので、もっと細かな分子に消化されなければ吸収できないわけです。それが、また膝で同じような高分子のものに結合するなどということはほとんど考えられないわけです。
ですから、我々としては、先ほどの医薬品とどこが違うのかといったところでは、科学的なエビデンスのあるものしか医薬品としては使わないということを法的にも決められておりますので、やっております。その辺のところでは、患者さんが医療というものと信頼関係をつくっていただいて、信頼関係のある先生に相談する。我々としても、説明責任や努力が必要だというふうに思います。
以上でございます。

○松本委員長 医師会において、モデル事業で集められた事例の健康食品というのは、錠剤・カプセル型が大部分だと理解してよろしいのでしょうか。それとも、在来型の食品の中で成分を強化しているというようなものでも、この種の被害が出ているということでしょうか。

○社団法人日本医師会石川常任理事 今、一般の薬局に行きますと、さまざまな形状の健康食品や栄養食品が置いてあります。それはカプセル・錠剤だけではなく、粉の成分、溶いて飲むとか、何かに混ぜて食べなさいとか、そういった形です。我々のところでは形状でどうこうということではありませんで、もし被害に遭って来られた場合、あるいは袋ごと持ってきた粉だとか、そういうものでも何でも受け付けて相談に乗るということです。
それから、先ほど委員長代理の先生からお話がありましたけれども、我々の方に十分な知識があるかといいますと、薬局のそういうコーナーを見ますと、おびただしい数の種類がございまして、正直言いまして、なかなか十分な知識を持っているとは言えません。ですから我々としましては、少なくとも先生方への情報とかそういったものについても、ウェブ形式で比較的簡単に、きちんとしたデータといいますか、そこにすぐアクセスできるようなことはやっておりますけれども、なかなかお忙しいので、外来の現場ではすぐお答えできるようなものではないのではないかというふうに思っております。

○松本委員長 私がそういう質問をした趣旨は、一定の表示に義務づけをするとして、対象をどういうふうに限定するかという観点から、前回、前々回の議論の中で、錠剤・カプセル型に絞れば、表示の義務づけはかなりしやすいのではないかという議論がございました。そういう関係で、普通の食品からであれば摂取するとしても限られているものを、濃縮して、大量に摂取するようになるというタイプのものをある程度限定できれば、それに義務づけをするのはあり得るのではないかという議論が出ておりました。
他方、神山弁護士からは、こういう成分が入っているものは表示させるべきではないかという御意見もございました。そうなると、圧縮しているとか、形態がこうだからということとは別の視点からの表示の義務づけのやり方がいいのか、その辺りは医師会としてはいかがでしょうか。

○社団法人日本医師会石川常任理事 私は、形態で制限することはなかなか難しいと思っております。例えば、御飯のお茶碗に盛るような食品の食べ方というのは、今、我々がお話ししているようなものではあり得ないわけですから、量のことについてもなかなか言えないと思います。
例えば、有名なウコンというのは香辛料にも使われるものですが、これも実際には健康被害があるわけです。効くといって、肝臓にいいと言われて飲んでいた方が、実は肝障害を起こしていると。ウコンというのは錠剤にもなっておりまして、随分普及していると思いますけれども、あれは基本的には粉です。それから、それを混ぜて飲みなさいと、いろいろな形態であるわけですから、形態で規制するということはなかなか難しいと考えております。量も同じだと思います。

○松本委員長 神山先生、御意見はございますか。

○神山弁護士 これは事業者の方もそうおっしゃっているのですけれども、こんなわけのわからない制度は一遍全部取り壊して更地にして、新たに薬事法から含めてつくり直してもらいたいという御意見もあるくらいで、さっき申し上げましたコンドロイチンも、薬事法にある、食品衛生法にある。しかも、食品衛生法の中でも指定添加物にあったり、一般飲食物添加物にあったりということはだれもわからないですね。こういうわからなさを何とかするためには、表示ではどうしようもないので、そういう仕組みそのものを何とかしなければいけないのではないか。  今、食薬区分の表というのがありますけれども、あの食薬区分の表は薬事法の立場からつくられていて、医薬品的効能効果を標榜しない限り医薬品と判断しない成分本質。だから、食品に入れてもいいとは言っているけれども、担当者の人と話をしていると、「だから安全だと保証したわけではありません」とはっきりおっしゃるくらいで、効能効果を表示しなければ食品に入れてもいいといって、薬事法を適用しないと言っているだけなのです。この表に物すごくたくさん載っているのですが、私は、薬との飲み合わせだけではなく、この成分の中から30種類を組み合わせてつくりましたというような健康食品も売っていますので、いろいろな成分が混ざり合うことによる健康被害も起き得るのではないか。
そうすると、薬の製造承認という厳しい制度、ここでは有効性と安全性を証明しなければいけないという制度と、その下に特保があって、栄養機能食品があって、それ以外のほとんど何の規制もないところで、健康食品という名前、あるいはサプリメントという名前で、効能効果をうたっていないのですが、うたっているかのようにほのめかす、こういう広告が物すごく多い。私は物を買ったことがないのでわかりませんけれども、多分、表示には書いていないのではないかという気がします。表示ではなく、宣伝にいっぱい、軟骨成分ですとか、さっき石川先生がおっしゃったように、膝の関節にある成分ですとか、そういうようなことが書いてある。
例えば蛋白質なんか全部分解されてしまうのに、それを食べると肌がつやつやするかのような、「ような」ことが書いてある。例えばグルコサミンとかコンドロイチンというものには、散歩したり、ウォーキングしたり、ジョギングしている人の写真が載っていたり、絵が描いてある。それで散歩できるとか、ジョギングできるとか言っていないのですけれども、このようなほのめかしが物すごく多い。まず、広告のところを何とか押さえることによって、健康被害あるいは経済的な被害、高いものを買い続けている方もいらっしゃいますので、そういうものが少なくなっていくのではないか。
表示の場合は、私はどういうふうに表示制度をつくるのか、よくわかりません。消費者庁の検討委員会でやっていたときも、入り口を別につくって、この入り口に入った商品は表示許可をするけれども、それ以外は全部、何の表示もしてはいけません、御飯と同じようしなさいという意見も出ました。それから、民間のいろいろなところで、サプリメント法をつくるとか、第三者認証制度をつくるとか、やっている方がいらっしゃるのですが、どれを見ても効能を証明するという制度は一つも提言しておられなくて、安全性だけ認証しようということのようなので、一定の効能があるのだったら何らかのマークでもつけて、それ以外のものは全部禁止したらいいのではないかというのは、どうも実現性がないような気がします。

○松本委員長 禁止ということの意味は、製造販売を禁止するということですか。

○神山弁護士 そうです。

○松本委員長 その理由は、安全ではないから。

○神山弁護士 いえ、何だかわからないからです。つまり、食品は原則として製造販売は自由ですけれども、その自由の中に、錠剤・カプセルとか、たくさんいろんなものが混ざっているとか、わけのわからないものがあるので、これを禁止するためには入り口をつくる必要があるだろうと。

○松本委員長 言いかえますと、錠剤・カプセル型の食品は禁止すべきだということですか。つまり、広告の話と、ある種の成分の入った製品を食品として販売すること自体を禁止するかという話は、少し次元が異なっているわけです。先ほどのお話だと、むしろ広告の方が問題だという御指摘だから、この種の広告を禁止するということでいいという話なのか、そもそも製品そのものがけしからんから、それを市場から排除すべきだという話なのか、どちらでしょうか。

○神山弁護士 説明不足ですみません。例えば化粧品のようなものは広告基準があります。それは、化粧品が薬事法上位置づけられているから広告基準ができるわけです。でも、健康食品は法律の根拠がありませんので、つくるとしたら広告のガイドラインだと思いますが、健康増進法でも景表法でも、欺瞞(ぎまん)性があるかとか、虚偽か誇大かとか、そういう主観的な判断が入ってきて、ここで広告の審査の人たちも非常に困っておられるわけだから、主観性が要らない制度をつくれないか、ということが考え方の最初なのです。
紛らわしいかどうかとか、ごまかしかとか、虚偽はかなり分かりやすいけれども、誇大かどうかというような、主観が入る判断がなくてもいい制度をつくれないだろうかと。マークをつけるとかいう認証制度のようなものを一個つくって、つくったら、それ以外は製造もだめということにすれば、広告の判断が非常に楽ではないか、そういう短絡的な発想から始まったことなのです。
私が思ったのは、有機JASというマークがありまして、有機JASのマークをつけていないと有機と名乗れない。たとえ有機栽培したものであっても、有機JASのマークをつけなければ有機と名乗れないという制度があります。そういうマークをつけたもの以外は何かをうたえないというふうにして、通ってくださいという入り口を設けて、その入り口に入れないものは製造も禁止してしまうというふうにすると、わかりやすくていいのではないかと。

○松本委員長 有機JASは、販売はできるけれども、有機の表示をして販売できないというだけですから、健康食品について、一定の基準を満たしたもの以外は健康食品と名乗れない制度をつくったとしても、そういうふうに名乗らないで販売すること自体までは禁止できないと。そういうレベルの御主張だということですね。

○神山弁護士 はい。

○松本委員長 わかりました。
どうぞ、佐野委員。

○佐野委員 神山先生に伺いたいのですけれども、最高裁の判決の御紹介がありました。この判決も、すごくいい判決が出ているなと思うのですけれども、こういう判決が出た後に制度が変わったり、法律を改正したり、いろいろあることもありますが、いわゆる食品行政にこの判決が与えた影響はあったのでしょうか。
もう一つは、先ほどの法執行の件です。神山先生のおっしゃることは非常によくわかりますが、現在、景表法だと優良誤認とかいって措置命令ができたり、ほかの法律、健康増進法だと3段階あるから、ごめんなさいね、で終わってしまったりとか、ばらばらなわけです。それは非常にわかりづらいし、一本にできたら、した方がいいのかなと思うのは、実は、なぜこれは景品表示法で扱うのか、こっちはなぜ健康増進法なのかというのが、消費者の立場するとわからないわけです。それをどうにかわかる方法とか、それをどっちかにやったらいいのか。何かそういう方法なりお考えがあったら、教えてください。

○神山弁護士 私は、何の法律を適用しているのかというのは全くわかりません。というのは、例えば警察が突然、不正競争防止法で偽装表示に入ったりしますね。不正競争防止法は警察が入れる法律だから、やっているということでしょうし、景表法は立証責任が事業者側にあるので、使いやすいからそれを使う。健康増進法は、言ってみれば規制法ではなくて特保の根拠法です。もともと特保の制度をつくったときの厚生省の方の説明は、良貨で悪貨を駆逐したいんだというお話で、良貨をつくっておくから悪貨はそのうちなくなるでしょう、みたいな感じの思想性のものだったと思いますので、健康増進法でやるというのは実は一番簡単なのですが、効果がないと思います。いろいろなところに申入れをしても、健康増進法違反というのはすぐ言ってくださるのですが、それで指導しておしまいということで、後を絶つことはないような気がします。だから、やはり法律は一本で、もし段階を踏むとしても、どの法律を使うかというのはそれこそ食品の表示は消費者庁の担当なのですから、消費者庁がきちんとやることが必要だと思います。
実は、私ども食の安全・監視市民委員会と主婦連で、昨日、消費者庁に表示の一本化をしろという法案「要綱案」というのを提出してきましたけれども、そういうふうに一本化をしていただくことが必要かと思います。
それから、「つかれず判決」がどういうふうに影響を与えたか。昭和55年ころのことはよく知りませんので、わからないのですが、それよりもむしろ世の中の規制緩和の流れの方がずっと強かったと思います。これは、添加物行政などもそうですけれども、規制緩和の流れが50年代から今日までずっと続いておりまして、「つかれず判決」というのは今は出ない判決のような気がします。医薬品そのものがかなり幅広くなってしまっていまして、当時の少数意見でも、クエン酸ナトリウムというのはレモンの中に入っているものなので、こんなものを禁止する必要はないのではないかという意見がありましたから、これが恐らく多数意見になりそうな気がします。

○中村委員長代理 神山先生のアイデアは非常にいいのですが、法律で入り口を決めて、それを通らないものは禁止とか違反というふうにした場合に、その後の違反者に対する取締りがきちっとできないと、今日の薬事法違反、無許可・無承認医薬品というのはほとんど野放し状態ですが、同じことにならないか。最近の健康食品の広告などを見ていると、基準に違反していると思われるけれども、先ほど言われたように、非常に巧妙な、ぼやかしの広告も確かに増えているけど、まだ露骨に「効く」ということを言い過ぎる、そういうものもいっぱい出ているのに、薬事監視当局は、立入件数は年間何十万件立ち入りしているというのに、全然取締りが徹底していない。もっと取締りのところをきちっとやれば、現行の法律でも何とかうまくいくのではないか。あるいは、神山先生が言われたような法制度を仮につくったとしても、今の取締り体制のままでは、結局、無法状態が再現されるのではないかという心配がありますが、いかがでしょうか。

○神山弁護士 そのとおりだと思います。取締りの部分というのは自治体がやっていますね。東京都はそれなりにいろいろやっていますけれども、地方の担当者というのは、それだけの人もいないでしょうし、予算もない。健康増進法のガイドラインができたときに、これで後はどうなるのでしょうねということを厚労省の方に聞いたら、あとは自治体がやりますとおっしゃいまいたが、保健所に行くと、そんなこと持ってこられても困りますと言われるという話もあります。ですから、きちんとやろうと思ったら、自治体でこういうことができる人をたくさん集めないといけないと思いますけれども、そういう予算もないでしょうし、大変だと思います。
それで、公的なお金でやるのも大変だから、市民団体の力を借りたらどうでしょうかということがありまして、団体の方から、団体訴権で差止めだとか、損害賠償だとか、あるいは刑事告発をしてもいいと思います。そういったことをやるためにも情報を公開して、実名を公表してくださるとかいうことが必要なのではないか。消費者庁がやっているインターネット検索も、薬事法違反に近いものがあったといっても、「1週間たっても改めなかったら公表します」と。大概、1週間以内に改めてしまうので、事業者名の公表というのはありませんから、その人たちがまたやっているかもしれない。毎年500件、違反が見つかるというのは異常だと思うのです。どんどん出てくるということでしょうから、もう少し実効性のあるように、自治体と国だけがやるのではなく、もっと民間の力も必要ではないかと思います。
私は昨年、韓国の食品安全行政の調査に行きましたけれども、消費者監視員という人がいたり、通報制度があったり、通報すると報奨金がもらえたり、違反したところには課徴金があったり、さまざまな制度を組み合わせて違反を防ごうとしていましたので、今ある制度だけではなく、新しい仕組みで、もっと民間の力も活用して、お金をかけないでできる方法はないかということも是非考えていただきたいと思います。

○山口委員 石川先生が、ちょっと難しいのではないかとおっしゃったのですが、5ページに健康食品の問題点が幾つか指摘されています。ここに列挙されている副作用、アレルギー、医薬品との相互作用、あるいは多種摂取、過剰摂取の場合に問題があると。こういう商品に限定して、こういうものについて広告・宣伝・表示を義務づける。あるいは、錠剤・カプセル状のものについては過剰摂取のおそれが大きくなるでしょうから、その辺については、何でもかんでもではないけれども、やはりこういうおそれがあるものについては、何らかの形で広告・宣伝・表示を義務づけることは実効性としてどうか、これが一つです。
それから、神山先生に伺いたいのは、先ほど来話が出ているように、健康増進法あるいは景品表示法などで、虚偽あるいは有利誤認・優良誤認の表示について、これは宣伝・広告も含めて既に規制されているわけです。先生の提案は、食品衛生法の中で、特保や栄養機能食品以外については一切、保健の目的が期待できるような表示・宣伝・広告をしてはいけないと。今、そのような表示はされていませんが、宣伝・広告もしてはいけないと、こう言ってはどうかとおっしゃるのですけれども、「元気はつらつ」何とかとか、「いつまでも美しくさわやかに」とか、その種の抽象的なものだったら、恐らく保健の目的が期待できる旨の表示にならないといいますか、結局、「保健の目的が期待できる表示というのは何なのか」で大論争になって、紛らわしいということで、実効性が上がらないのではないかと思います。その意味では、今、私が石川先生に聞いたような、一定の形状、一定の成分を持ったものについては宣伝・広告・表示を義務づける方が実効性があるのではないかと私などは思うのですが、改めてその辺について神山先生に伺いたいのですが。

○社団法人日本医師会石川常任理事 それでは、私の方から。5番目に書いてあるようなことを医療の側からは考えているというお話ですけれども、一つひとつ、例えばアレルギーということで、結構多く現象としては見られるわけです。実はじんま疹にしましても、例えばちゃんとした医薬品を飲んで、これによるじんま疹だということを証明する手口というのは、もう一回再投与という形になります。再投与というのは結構危なくて、すぐにはできないということもあります。ですから、必ずしも因果関係が一対一でバシッと出るものには、すぐにはならないということでございます。食品でもアレルギーというのは出るわけですから、血液検査をしても、そういう点ではなかなか断定が難しい。
ただ、明らかにエビデンスがある事象については、我々の判定基準というのがやはりありますので、そういうものが多くつかまったときには、厚労省への通知や、国民に啓発するという、27ページにありますような方法を、今後はシステム事業の最後の段階としてお知らせしていくことになります。日本医師会としましてはその判定をきちっとやって、エビデンスある・なし、被害の問題、緊急性、そういったことで厚労省の方にあとはやっていただくということでございます。
それから、「レメディ」という丸薬を赤ちゃんに飲ませたということで、これは恐らく、体にも何も影響がないというふうに思われるものだと思います。ですけれども、それを飲ませていれば何でも効くから、あえて赤ちゃんにK2シロップという今は普通にやっているものを飲ませなかったために、脳内出血が起こったという事例があって、これも裁判という形になっていると思います。それは、医療にかからなかったということで問題になるわけですけれども、そういうものは、我々医学をやっている者として、例えば日本医学会と日本医師会が共同で記者会見をやるという形で、すぐお知らせをしております。
それから、事例としまして、私は小児科医でございますので、20年ぐらい前ですけれども、小児の白血病で非常にいいところまで治ってきていた。ずっと治療しなければいけない方だったのですけれども、それを1年で中断した。そのときには、何だかわからない粉の薬をお母さんが患者さんの子どもに飲ませていて、数年後再発して、再発したときはもう助からない状況というふうなこともありました。
このことについては、そのものが何だったかもわからないし、科学的に検証できるものでもありません。我々としては、その業者を訴えるとか何とかということもできない。患者さんが被害届けとかそういったものを出して裁判になる以外は、我々の治療はもうやらなくなってしまったわけですから、こういう事例については、裁判とかそういうもので明らかにしていただくしか我々としては手の打ちようがないだろうと思っております。

○神山弁護士 表示を義務づける場合には、何を表示させればいいのかということが一番難しいと思います。私も、ある種の健康食品を飲んでアレルギーが出た。アレルギーだけではなく、非常に重大なことで倒れて、救急車で運ばれるくらいまでになったのですけれども、今おっしゃったように、もう一遍飲んでみますかというのはできないので、とりあえず、皮膚にどうかということだけ試したり、その中に血液を入れるとかいうことをやってもらったのですが、なかなか因果関係は証明できないです。
ですから、もし最低限必要だとしたら、例えばアレルギー体質の人には危ないとか、糖尿病の人はこういうものは飲まないようにとか、警告表示的なものは少なくともつけてもらわないとだめ。あとは医薬品との飲み合わせです。できれば化粧品のように全成分表示があれば、何が入っていて、何がおかしかったのかということもある程度は突きとめられる可能性があると思いますが、それがありませんので、わからないというところがあると思います。
表示を義務づける根拠が何だかわからないので、何に基づいてその表示を義務づけるのかという点で、食品衛生法はすべての食品を対象にしていますから、食品衛生法の施行規則の表示のところに無理して入れていけば、一定の表示をさせることはできるのではないかと思います。こういうものが入っています、こういうことは危険ですという表示をしようということになると、今度は、その成分が何かに効くみたいなことを表示したい、という方向に行きはしないかというおそれも感じています。

○松本委員長 では、下谷内委員。これでこのセッションを終わりにしたいと思います。

○下谷内委員 御説明ありがとうございました。それぞれに短くお聞きしたいと思います。
石川先生にお伺いしたいのですが、5ページ、6ページに、最初に問題点があって、その対策を書かれております。今回のモデル事業で定点観測されましたときに、先ほどの山口委員の話にもありましたように、参加人数は少ないのですが、お医者さんがこういう事業をされるときによくあるのは、ほかの先生方になかなか通知が行かないで、そこだけでされている。以前、調査をしましたときにそういうことがありました。今回、医師会として全体的にこういう情報をウェブで流されてはおりますけれども、どの先生方でもこういうものが周知できる方法を、どのようにされているのかというのが1点。
それから、パンフレットというのは、お医者さんの受付のところとか、薬局に、医師会さんがつくられたのが置いてあることがよくあります。お見受けしてそれをいただいてくることはありますけれども、特に高齢者の場合、お医者さんには行くけれども、字が見えないといって、それを手に取って見る方は少ないそうです。ウェブというのは先生方への周知のような感じがいたしますが、一番利用している消費者、高齢者、若いお母さん方に対してはどのような周知をされるのか、お聞きしたいと思います。
それから、神山先生ですが、先ほど表示の一本化ということで、私はとてもすばらしいと思います、基本計画にもかかれています。我々生活している者にとっては、法律が一本化されることによって取り組みやすいと思うのです。そのためには、先生が先ほど申入れをされたということがありますが、どのような形で一般の者がかかわっていくか、あるいは、行政がこういう一本化をおし進めていく早道というのはあるのでしょうか。教えてください。

○社団法人日本医師会石川常任理事 周知というのは、幸いにも私は日本医師会の広報という担当もやっておりまして、その担当の方から言いますと、医師17万という方たちに、すべてあまねくどうやって情報をお伝えするかということでいつも悩んでおります。例えばテレビCMだとか、我々はそういったものもやっておりますけれども、国民の皆さんが医療と健康という問題について、相談しながら生活をしてもらいたいというのが我々の基本的な考え方であります。医療をアクセスよくしていくというのが一方でありながら、宣伝とかそういうものをやっているわけですけれども、例えば健康食品等につきましては、緊急性があれば記者会見、あるいはファックス等を使ってやりますけれども、本当に事例としていっぱいありますので、そういうものをまとめて、例えば年1回発出するというふうな方向に今後はしていきたい。これは会員向けです。
患者さんあるいは国民には、勿論、掲示物とかそういうものはやりますけれども、御指摘のようにすべての方に見ていただけるわけではありません。慢性疾患が治りにくい方がそういう健康食品を利用しやすいということは勿論ありますので、健康問題等につきましては、医療が寄り添える世の中づくりということで日本医師会としては頑張っていきたいと考えております。

○神山弁護士 表示一本化は消費者庁も方針を決めていて、基本計画にも入っていて、来年の7月には法案を提出する予定だそうです。その中身は全然進んでいないようですけれども、一応チームがあるということですので、私たちは、この要綱案を参考にしてつくってくださいといって昨日置いてきましたが、食の安全・監視市民委員会と主婦連では、ホームページとニュース・機関誌に載せて皆様方にお知らせして、御意見を募ることになっています。
昨日、記者会見をしたときに記者の方から、工程表を詰めてこういうふうにやれと消費者庁に言い続けなければ、実現しないのではないでしょうかと言われましたので、是非お力をいただきたいと思います。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
我々は、健康食品の広告・表示の問題を検討しております。一つは、安全にかかわる表示の問題が今日もかなり出されました。飲み合わせ、副作用、あるいはそれに頼ったことによる本来の治療放棄の問題といったたぐいの、当該健康食品のもたらす危険性についての表示をいかに義務づけるかという観点からの議論があります。その場合、対象となる健康食品をどういうふうに限定するのかということが重要で、それで先ほども、錠剤・カプセルという比較的わかりやすいタイプで絞るという議論があることを御紹介したわけです。粉末もそれに近いものとして入れられるかもしれないし、他方で、医薬品としても使える成分が混ざっていればという成分レベルで、こういう成分の入っているものについては表示をさせるという形の、形状とは別の対象の絞り方もあるかもしれないと感じております。
他方、誇大表示まがいの健康を訴求する表示をどこまで許すのか、あるいは、禁止するのかという観点の問題がございます。これは、安全にかかわると問題につながるケースもあれば、安全上は問題ないけれども、経済的にむだなことをさせるという経済被害につながるところもございます。
ただ、健康を訴求する表示をしてもいい食品、してはいけない食品をうまく分けられるかどうか。現在は、特保の枠に入ればしても一定の事項についてはいいということですが、「特定の保険の用途」という部分から外れる健康訴求に関しては、ある意味では野放しで、それは自由ですという世界なので、そこまで広げるとなると、言い方を変えれば、特保の枠組みを緩める代わりに規制の対象を広げていくことに結果としてはなっていくのかなという気もいたします。そうなると、効能効果について、エビデンスを求めるレベルをどうするかというような話が出てきまして、製品のレベルの方から規制対象を決めるのがなかなか難しい。一定の表現をしようと思う場合には、一定のエビデンスがある場合以外は許さないということにするとなれば、特保の枠組みを変えていくに近いような結果になるのではないかなという印象を、現段階では受けた次第でございます。
本日は、社団法人日本医師会及び神山弁護士におかれましては、お忙しい中、当委員会の審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪3.消費者安全法に基づく国会報告について≫

○松本委員長 続きまして、「消費者安全法に基づく国会報告について」です。消費者安全法13条では、内閣総理大臣は、行政機関、地方公共団体等からの通知により得た情報、その他、消費者事故等に関する情報が、消費者安全の確保を図るため有効に活用されるよう、迅速かつ的確に、当該情報の集約及び分析を行い、その結果をとりまとめ、そのとりまとめた結果を国会及び消費者委員会に報告するとされております。
消費者庁におかれましては、昨年6月に第1回目のとりまとめを行っており、第28回の消費者委員会におきまして御報告をいただいております。今回、第2回目となるとりまとめを行ったということでございますので、本日は、それについて御報告をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁消費者情報課より御説明をお願いいたします。

○消費者庁田邊消費者情報課長 消費者庁消費者情報課長の田邊でございます。
お手元に、資料3としてA3の1枚紙、その下に報告の本体、冊子を配付させていただいております。この場では、資料3に基づいて概略を簡単に御説明させていただきます。
資料3、A3の方を見ていただくと、一番上に「消費者安全法に基づく国会報告について」というタイトルがあって、その右側にこの報告の対象期間が記載されており、平成22年4月1日~9月30日まで、6か月となっております。昨年6月が消費者安全法施行後初めて、今回は第2回目の報告です。昨年6月の第1回目の報告のデータ期間は平成21年9月~平成22年3月末の7か月であり、今回の第2回目は、前回後の6か月の期間をデータ期間の対象としております。
全体の構成ですけれども、第1章が消費者庁に寄せられる情報がどういった分類になっているか、そういったものを整理したもの、第2章がこれらの情報を受けての消費者庁等の措置となっております。基本的にこういった記載のスタイルは第1回目の報告を踏襲してございますが、今回は、特に消費者庁等の措置の方の記述を充実して、どういった対応をしているかというのをできる限り理解していただくように努めたところでございます。
それでは、簡単に概要を申し上げます。
第1章でございますけれども、5項目、データが分類されて記述されております。まず、1番目として重大事故。これは、死亡とか、30日以上のけがなど、そういったものでございます。当該6か月期間で270件の通知があって、その内訳を見ると、火災が153件、続いて転落・転倒・不安定、こういったものが多くなっているといったところでございます。
2番目は重大事故等を除く消費者事故等。私どもは非重大と呼んでいますが、重大事故を除く消費者事故は全体で8,737件ございます。これは生命・身体と財産事案に分かれるわけですが、生命・身体事案が803件、財産事案が7,934件です。
それぞれの内訳を見ていきますと、生命・身体につきましては341件。典型的には食中毒を含んでおりますので、こういった形で多くなってございます。2番目として化学物質による危険で、具体的には薬の副作用、農薬の危険、そういったものがこれに該当する。
一方、財産分野を見ていただくと、最も多くなるのが金融・保険サービスの1,768件で、典型的には、例えばヤミ金融にかかるようなものがこれに該当します。そのほか、教養娯楽品。具体的には、パソコンとか携帯にかかる消費者事故がこれに含まれます。
3番目に、全国の消費生活センター(消セン)で受け付けられたPIO-NET情報の相談情報ですけれども、これが34万8,138件と大変多くなってございます。商品別に見ると、運輸・通信サービスが8万件余ある。これには、通信サービスの中でアダルトサイトとか、ネット通販とか、そういったものにかかるものが含まれて多くなってございます。そのほか、金融・保険サービスというのも6万8,000余として多くなっております。
4番目として、消費者安全法とは別に、消費生活用製品安全法に基づいて報告された重大製品事故の情報もこちらにまいりまして、それが560件ありました。分類される内訳の中で最も多いものとして、ガス機器・石油機器に関する事故が149件で、最も多くなってございます。
以上の4つは前回の報告にもあった項目でございますが、今回、新たに平成22年4月1日から事故情報データバンクの登録と閲覧が開始されております。これは、生命・身体の事故情報をホームページで国民の方に見ていただけるものですが、これが開始されましたので、この報告の中で記述させていただいております。
続きまして、第2章を見ていただきますと、これらの情報等を受けて消費者庁がどのような措置を行ったかというのが4項目に分けて記載されております。
まずは、消費者庁による法執行ということで、消費者庁が持っている法律に基づいて、どのような行政処分等が行われたかということが簡単に記載されております。例えば景品表示法に基づく措置は4件あって牛の内臓商品の不当表示といった表示にかかわるものが4件あります。
続きまして、特商法に基づく業務停止命令及び指示、これは31件となっております。例示としてあるのは業務提供誘引販売や連鎖販売取引となっておりますけれども、これは例えばネットショップ関連の案件やアルカリイオン整水器の販売の話とか、そういったものが合計して31件あります。
3番目として、JAS法に基づく指示というところで1件ございます。これは加工食品の表示。具体的には、杏仁豆腐に無添加と書きながら香料を使っていたというような事案でございます。
以上のような法執行のほかに、同期間に消費者安全法14条に基づく資料提出要求が2件ありました。携帯音楽プレーヤーの過熱事故等に関する資料提出要求が、2件あったというものでございます。
次に消費者庁から消費者への情報提供というのがまとめて5項目記載されております。
まずは、消費者安全法及び消費生活用製品安全法によって定期公表されているものです。消費者安全法では、週1回公表して、半年間に270件の事案を公表しました。消費生活用製品安全法では、週2回で、6か月間で560件の事案を公表しております。
続きまして、消費者安全法と消費生活用製品安全法によって得た情報に基づいた情報提供は3件行っております。自転車の使用中の転倒、電動車いすからの転落、こういったものが3件あったということでございます。以上が、法律に基づいて情報を得て、それを消費者に情報提供したというものですけれども、それ以外にも情報提供ということでライターの火遊びによる火災、子どもの誤飲事故、そういったものが7件あったということが記載されています。
またその他、それとは違った形態の情報提供として、昨年の9月16日から「子ども安全メール」を毎週配信していることも、今回、この報告書の中で記載させていただいております。
続きまして、関係機関に対応等を要請したものが8件あります。例えば文科省、国交省等に対して遊具の安全確保対策を要請したとか、厚労省に対して美容医療サービスに関する消費者トラブルの防止を要請したというようなことが8件記載されています。
以上の3つが国による対応ですが、4番目として、国民生活センターにおける注意喚起というのもまとめて書かせていただいています。27件ありまして、この中には、クレジットカード現金化、電子タバコとか、そういった重要なものがあるということでございます。
簡単でございますが、以上が国会報告の概要でございます。説明を終わります。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見をお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 ちょっと形式的なことですけれども、今回、まとめの対象になったのが平成22年4月から9月末まで。それが23年2月25日に発表になっているので、約半年かかっています。昨年の第1回のときは、平成22年の3月末までのものを6月に発表されておりますので、2か月ぐらいで報告されています。今回、なぜこんなに時間がかかったのですか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 国会報告なので、基本的に国会が開いている間に報告すべきものかなと考えております。9月末までの情報ですから、12月あたりが望ましいのですが、国会が開いていないという状況がありました。私どもとしては、通常国会のはじめの方で報告するという形で作業を進めていたわけですけれども、前回よりも私どもなりに改善をしたところもあって、若干作業が遅れてこの時期になってしまったというのが実情でございます。

○中村委員長代理 国会報告の形式というのは、たしか前に聞いたときは国会議員に郵送すると。

○消費者庁田邊消費者情報課長 いえ、郵送ではありません。

○中村委員長代理 郵送というか、配付すると。

○消費者庁田邊消費者情報課長 配付です。

○中村委員長代理 国会が会期中であろうとなかろうと国会議員はいるわけですから、それでお渡しになることが国会報告というふうに聞いたのですが、国会会期中でなければだめなのですか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 会期中でないといけないという定めはないのですが、やはり会期中にお配りして御審議いただくのがいいのかなとは思っています。とはいえ、会期中でないとお配りできないということではない、それはそのとおりだと思います。

○中村委員長代理 去年は審議されたのですか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 実は、第1回の報告については審議されていない状況です。

○中村委員長代理 そうすると、余り会期と関係ないですね。

○松本委員長 いや、逆であって、きちんと審議してもらわないと困るわけで、そういう意味では国会が。

○中村委員長代理 さぼっていると。

○松本委員長 そこまで言うのはあんまりですが、是非国会としても取り上げていただきたいと思います。
ほかにございませんか。
それでは、私から1点ですが、情報を受けての消費者庁等の措置の中で、消費者庁による法執行・行政処分というのが幾つか挙がっていますが、最後の携帯音楽プレーヤーのケースを除くと、すべて取引被害についてのものです。他方で、重大事故等がかなり件数としては多いわけです。それについて、消費者庁が直接法執行権限を持っているケースはほとんどないでしょうけれども、主務官庁のレベルで行政措置をとったというのもほとんどないというふうに理解してよろしいですか。事故があって報告がありましたと。しかし、法律に基づいて一定の措置をとるケースではなく、国民に対する情報提供しかやりようがないケースということでしょうか。

○消費者庁田邊消費者情報課長 法律に基づいて寄せられている通知情報だけが法執行の端緒情報になるというわけではなく、またこれらの通知情報が主に情報提供の方にダイレクトにつながっているというのは、全く事実はそのとおりでございます。

○松本委員長 ほかに、御質問等ございませんか。よろしいでしょうか。
前回御報告をいただきました際に、消費者委員会として、「消費者安全法に基づく国会報告について今後重視されるべき基本的視点」をとりまとめて公表しております。今回、そのフォローアップという視点も含めまして、この報告に対する意見案をとりまとめておりますので、佐野委員から御紹介をお願いいたします。

○佐野委員 では、資料4をごらんください。今、御説明がありましたとおり、消費者委員会としては、昨年の6月25日に消費者庁が最初の国会報告を公表した際に、「消費者安全法に基づく国会報告について今後重視されるべき基本的視点」を提示いたしました。それが参考資料として付いているものです。
今回、消費者庁による2回目の国会報告公表に際して、消費者委員会は、昨年の基本的視点で示した3点をベースに、今後更に取り組むべき課題や新しい対策の必要性などについて、次のように意見を述べます。
「(1)情報の一元化と社会的共有化」、ここで5点挙げました。
まず、消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故の事例が報告書に掲載されていません。
2番目に、追跡確認状況のデータと重大事故事例のデータとの関係が明確でありません。
3番目、重大事故の発生日から消費者庁の報告受理日との間に長期間を要している例がございます。
事故情報データバンクの運用実績が報告されていません。
最後に、重大事故と重大製品事故の公表に整合性がありません。
これは、消費者安全法に基づく重大事故の事例が、ここの報告書では13ページになりますが、件数が書いているだけで、中身については一切触れられていません。
次に、2ページを見ていただきたいのですが、そこに「追跡確認状況」というのが書かれています。追跡確認状況と重大事故事例データというのが後ろの方にありますけれども、それが要するにわからないと。せっかく追跡確認を、対策済とか分析着手とか、いろいろ書かれているのですから、後ろの方の一覧表にも、この事件、この案件は、今、どういう状況なのかというのを一覧入れて、国民に判別できるような形にしてほしいと思います。
また、消費者安全法では、重大事故が発生した旨の情報を得たときには、「行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は直ちに報告しなければならない」とありますが、29ページをごらんください。ここに「関係行政機関からの通知」とありまして、事故発生日が平成21年7月28日、その報告受理が平成22年4月1日と8か月の期間がずれております。これを見ていきますと、長いときには1年以上の誤差があります。これは消費者庁の収集体制自体に課題があるのではないか、それを示しているのではないかと思います。この報告書には、なぜこのぐらいかかったのかということは書かれておりません。理由もないし、改善措置が明記されていません。
次に、事故情報データバンクの件です。14ページに事故情報データバンクについて書かれておりますけれども、せっかく22年の9月にスタートしたのですから、分野別収集結果とか分析結果、また、事故情報データバンクに登録された事故例を活用できているのか、そういうことをきちんと書いていただきたい。本来はこういうデータを報告してこそ、事故防止を求める消費者への活用に向けた解決すべき課題もより明らかになってくるものと考えます。
それから、消費者庁が消費者安全法に基づいて収集する「重大事故」、これは行政機関などから収集しています。そして、消費生活用品安全法に基づいて収集する「重大製品事故」、これはメーカーまたは輸入事業者になるわけで、収集ルートが異なっているために重複する事例もあります。消費者庁としては区別して収集されているわけですけれども、消費者の立場としましては、この2つの法律によって集められてきたものをきちんと整理して公表していただきたい。ここには、最初に申しましたように、消費生活用製品安全法に基づいた事故事例が一切入っておりません。ですから、今、ここで比較することができませんが、最初に御報告があったように毎週定期的に公表されております。それを見る限りでは、事故製品に対する製造事業者等の対応状況、対応結果の記載方法などに整合性がなく、つまり整理の仕方が違って、消費者にはとてもわかりにくいということです。
「(2)分かりやすく使いやすい分類」に移ります。「事故内容分類」「商品・サービス分類」など、分類の在り方に改善措置が講じられていません。
事故内容分類を見てみますと、これは3ページになります。3ページに表1-2がありますが、そこに事故内容別分類とあります。これは、例えば化学物質による危険とか、機能故障と書かれていますが、具体的ではなく抽象的なので、依然として、一体どういう事故なのかということがよくわかりません。
それから、もう一つの商品サービス分類については、一番最後のページを見ていただきますとわかるのですが、63ページの商品等別分類の内容の教養娯楽品を見ると、ここにはパソコン、電話機、音響・映像製品と書かれています。左側の大分類及び大分類と中分類の関係のところを見ますと、パソコンというのは、娯楽品ではなく家電製品のところに入っています。家電製品の中にパソコン、電話機が入っていて、大分類と商品別分類の整合性がない。整理できていないというのは非常にわかりにくい。これは、前回も消費者委員会として申し上げたのですが、まだきちんと整理されていないようです。多分、右側の商品別のところに家電製品というものが入っていると、もう少し整理されるのではないかと思います。次までというのは大変なことかもしれませんが、是非少しずつ整理していっていただきたいと思います。
「(3)原因究明結果と事故防止のための対応措置についての情報提供」です。重大事故等の一覧表では、事故の発生状況、被害内容、事故原因、対応策、処理結果などが整理して記載されていません。2番目に、「相談者非公開希望」の事例が完全非公開となっており、改善措置が講じられていません。
この報告書は、収集した事故情報の分析・原因究明結果とその対応措置結果について、情報提供の在り方が課題となります。今回の報告書では、昨年度よりわかりやすく掲載されています。
しかし、だれもが理解し、事故防止に役立てることのできる報告となるようにするためには、昨年の「基本的視点」でも指摘しているように、事故の発生状況、どのような事故が発生したのか。その被害の内容は何なのか。その事故の原因、そして対応策はどうしたのか、処理結果はどういうことになったのかということが、きちんと整理されて記載される必要があります。今回の報告でもその点が考慮されていません。
また、「相談者非公開希望」という点も、昨年もきちんと指摘しているのですが、ここでもまた同じような結果が出ています。これは、2~3ページをごらんいただくとわかりますが、追跡確認状況の最後、「その他(相談者非公開希望など)」と書かれています。ですが、事故情報というのは国民の共有財産ですから、被害者のプライバシー保護にも配慮しつつ、取り扱いの工夫をして是非公開するべきだと考えます。消費生活用製品安全法では、重大事故事例はすべて公表されています。
「(4)国会報告は迅速に」です。これは、先ほど中村委員がおっしゃったとおりであります。なぜこんなに時間がかかるのか、前回の方が早かったですねということがここに書かれております。
次に、「(5)今後検討すべき課題として、制度的改善の必要性」です。総合的な通知・報告制度の充実化への対応が求められます。
この報告書は、第1回目よりは詳しく記載している点では前進が見られます。しかし、その一方で、関係法律の規定の違いを背景にした課題が改めて明らかになりました。
事故の「追跡確認状況」に関する記載方法の在り方のほかに、消費者安全法と消費生活用製品安全法では通知・報告ルートが異なることから、重複情報が必然的に発生します。それらの重複情報が内容面で整合性がとれないまま公表されていること、消費者安全法に基づく事故収集例では、事故発生から消費者庁への通知までに数か月、長い例は1年以上を要しているものがあること、などです。
また、消費生活用製品安全法は、食品や遊具、施設などを対象にしていないので、その結果、これらの分野の製造・輸入業者には、重大事故の発生を知ったとしても、消費者庁への報告義務が課されていないという分野間のアンバランスが生じています。
通知・報告制度の一層の充実化への対応が求められます。
以上、消費者委員会としては、今後、消費者基本計画の「検証・評価・監視」に際して、以上の視点を重視して取り組みます。

○松本委員長 ただいまの意見案につきまして、御意見ございますでしょうか。
ございませんようでしたら、この内容で消費者委員会としては意見を採択したいと思います。
せっかくですから、もし消費者庁の方で、我々の指摘につきまして、この場でおっしゃられる範囲で御意見がございましたら、どうぞ。

○消費者庁田邊消費者情報課長 意見ということでは必ずしもないかもしれないのですが、私なりにこれについてどう考えているかということを、せっかくなのでこの場でお話しさせていただきたいと思います。
最初に、「情報の一元化と社会的共有化」のところで、消費生活用製品安全法に基づく事例が報告書に掲載されていない。それは事実としてそうなっていて、これは基本的な考え方として、この報告は消費者安全法に基づく報告といったこともあるので、消費者安全法に基づく重大事故の方はフルリストに載せているということがあると思います。消費生活用製品安全法に基づく事例を載せるとボリュームも出ますし、また、現状でそれがベストかどうかというのはいろいろ議論があると思いますが、基本的には消費者安全法に基づくということなので、消費者安全法に基づく重大事故の方が基本的にフルリストに載っているといったところであります。
追跡確認の御指摘もあって、こういう御指摘がもっともなところであろうと思いますので、こういったところは、いつできるかというのはわかりませんけれども、御指摘のとおり、改善のための検討課題ではあるのかなというふうに考えております。
3番目として、長期間を要している例があると。御指摘をいただいたのは火災の例だと理解していますけれども、火災については消防庁が実際に原因を調べてから通知される例が多いと聞いております。つまり、すべての火災を消費者事故として報告するわけにもいきませんし、また、例えば放火によるものもあります。そういったこともあって、期間を要しているのではないかというのが私の理解です。ただ、もう少し早くという話は消防庁ともしている状況だというふうに理解しています。
事故情報データバンクについては、こういう話を御指摘されればなるほどと思いますけれども、前回に報告もありませんでしたので、今回は、とにかくこういうものをやったといったことを記述することが重要かと思って、この程度の記述になっております。もうちょっと運用実績がといえば、そういう指摘が確かにあるのかなと思いますので、こういったところも少しずつ改善できればというふうに思います。
重大事故と重大製品事故の整合性についても、御指摘がありました。毎週の定期公表の中では、例えば重大事故の公表のところで、製品事故で公表されているものについては備考欄などに書いて、そういった形では整合性がとれるように努めているのが現状です。
次に、分類のところです。これは去年も御指摘されていて、私の理解している事実関係を申し上げると、63ページの「商品等別分類の内容の説明」というのがございますけれども、これはたしかPIO-NETでの分類です。これとその前の分類というのは、こういうものをにらみつつ、かつ、PIO-NETよりも生命・身体にかかわる事故情報も網羅的に含むという形で、どうしようかといったところで、いろいろ工夫してつくったのが前の方の大分類・中分類というふうに私の理解ではなっています。63ページの方の分類を直すとなると、そもそもPIO-NETのあれを直すのかと。そういうところから発生するといったことになるのではないかというのが私の理解で、そういった意味でなかなか難しい問題だというのが正直なところです。これでいいというふうに別に開き直る気はないのですけれども、ただ、そういう事情があるということは、この場でちょっとお話しさせていただきたいなといったところです。
3番目のところですけれども、重大事故のリストで、私の方で一つ質問させていただきたいなと思っているのは、整理というのは、つまり、そういう欄がきちんとないからだめだという御指摘なのか。対応策、処理結果が書いていないというのはそのとおりだと思いますが、事故内容のところを見ると、生命・身体の部分については、どこの箇所をけがしたとかそういったことは記載されていると思います。そういう意味で言うと被害内容もわからないことではないのかなといったところで、整理して記載されていないという御指摘は、つまり、そういう欄がないとだめだという御指摘なのか、いかがでしょうか。

○佐野委員 だめだとか、いいとか、そういう問題ではなくて、要するにわかりやすくしてほしいということで、事故の発生状況は、どういうときにその事故が発生したというのは消費者にとっては大きなことで、それはきちんと知りたい。一つの前のところで、先ほど、消費生活用製品安全法と分けて同じようにとおっしゃいましたけれども、この毎週出されている情報の中で違うと申し上げているのは、例えば消費生活用製品安全法では、いつその事件が起きたか、いつその報告を受けたか、製品名があって、型式があって、事業者名があって、被害状況とか、きちんとなっているわけです。消費者安全法の方は、ガチッと幾つかまとまって入っている部分もあったりして非常に見にくいので、それは、わかりやすい整理して出していただきたいということです。

○消費者庁田邊消費者情報課長 御指摘の意味はわかりました。
2番目の話で、これも前回御指摘いただいている非公表の事例の話ですけれども、今回は、重大製品事故はすべて公表されていると記載されていますが、基本的に2つの報告については制度的な違いがあって、消費生活用製品安全法では法律に基づいて公表されているので、すべて公表されている。他方、消費者安全法の重大事故の公表は、ある意味で消費者庁による任意の公表であり、そういった意味で言うと、非公表希望というのもあって非公表になっている。ただし、それが非公表のままでいいかというと、できる限り公表した方がいいというのはそのとおりなので、むしろそういった形で公表できるように御理解いただくというのが、一つのやり方ではないかというのが私の理解です。
4番目の国会報告の時期については、先ほど御説明したものであります。
5番目として、総合的な話で、これは、それまでのものがかなりいろいろ出ていますけれども、今回、若干改善したところは一応評価していただいておりますので、我々も、少しずつでもいいからこの報告を有益なものにして、わかりやすくしていきたいと思っております。そういった面では一生懸命努力していく、そういったところでございます。

○佐野委員 簡単に申し上げますと、最初の1の、消費者安全法に基づく国会報告だから消費者安全法を中心にとおっしゃいますけれども、文章を読む限りでは、消費者安全法のそこの通知から得たのは勿論のこと、「その他、消費者事故等に関する情報の収集及び分析を行い、その結果をとりまとめることとされている」と。では、その他の消費者事故というのは何なのですかというと、やはり消費生活用製品安全法も入るわけで、その辺りもきちんと整理して是非入れていただきたいと思います。件数が多いので、もしかしたら大変なのかなと思いますけれども、これは毎週公表していることであるので、うまく整理すればそんなに時間もかからないのではないかなと思います。
もう一つ、わかりやすく使いやすくと。この商品・サービス分類のところは、同様に昨年もPIO-NETということをおっしゃいました。私もそのとおりだと思いますけれども、いつもPIO-NET、PIO-NETと言っていると、いつまでたっても現実離れした分類しかできないので、少しずつでも何とか努力して今の生活に合った形にしていただきたいと思います。この右と左側の一覧表を見たときに、せめて同じ場所に同じものがある形にしていただかないと消費者は非常に混乱します。
以上です。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 いろいろ御苦心されているのはわかりますが、例えば30ページ、31ページ辺りをごらんいただけますでしょうか。30ページの一番上の電気コンロの事故は、確かに21年9月12日から22年4月1日までかなりの期間かかっています。他方、例えば31ページの下から3つ目のエアコンは3か月足らずで報告があります。どうしてこんなに違うのかというのは、個別性があるのでわかりにくいのですが、できるだけ早く公表して、消費者が同じような事故を防げるように努力する方向をにじみ出していただきたいと思います。
他方、32ページ、33ページ辺りでちょっとわからないのが、32ページの上から2つ目の乗合バスは、単なる交通事故ではないかなとこれだけを見ると思うわけです。バスが急発進して要するに乗客が転んだだけではないか。あるいは、33ページの真ん中辺りのタクシーの事故も、通常の単なる交通事故ではないかと思いますが、これだけだとよくわからないわけです。
その辺は、別に今日、回答は要らないですが、もう少し発表の基準とか、書きぶりとか、これは私どもにも重大事故情報で御連絡をいただきますが、通常の交通事故なのに何なんだろうという感覚もあるものですから、今後、消費者の生活の安全に役立つ選択なり、その他、努力されていると思いますが、ちょっと御工夫はいただきたいと思います。

○消費者庁田邊消費者情報課長 これは、通知されてくれば、我々は通知として受け取るという仕組みになっているので、今の御指摘ですと、通知元との理解の共有がより必要だというのは、そういったことかなと思ったことと、もう一つは、これは単なる交通事故ではないかという事例についての御意見だったわけですけれども、我々としては、消費者事故でない、つまり製品起因でないことが明確でないものであれば、とにかく前広に通知してほしいといったスタンスです。むしろそういったものが通知されているということは、それはそれで、より前広に情報収集している結果ということも一つの見方としてできるのかなと。ただし、最終的に国会報告で出すときにそれがわかりづらいという御指摘については、そういうことをいろいろ改善するのは一つの課題としてあるということも理解しております。

○松本委員長 サービスにかかわる事故はなかなか評価が難しいということで、交通事故でも、ほかの車がぶつかってきてけがをしたというのは交通事故でしょうが、バスの急発進でお年寄りがよろめいてこけたというのは、交通事故の分類に入るのかというと、これは入らないのではないかと思います。むしろ運輸サービスがそれでよかったのかという話になるのではないか。高齢者施設で老人が転んだというのもよく似たタイプだろうと思います。高齢者施設における事故の方は余り通知がないけれども、バスの事故は積極的に通知が入ってくるというのは、通知元の意識の違いがあるのかもしれないですが、その辺り、消費者庁としてなるべく同じ基準で集められるように努力をお願いしたいと思います。
本日は、消費者庁消費者情報課におかれましては、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪4.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上ですが、「消費者安全専門調査会、製品事故情報の公表等に関する調査会」の座長を務めておられました西村隆男委員が、このたび委員を辞任されております。これに伴いまして、消費者安全専門調査会設置・運営規程第4条第3項及び第4項の規程により、消費者安全専門調査会の松岡猛委員を、製品事故情報の公表等に関する調査会の構成員として指名するとともに、本調査会の座長をお願いしたいと思います。
最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
次回の委員会は、来週、3月11日(金曜日)の15時から行う予定です。
議題としましては、引き続き、健康食品の表示の検討について、有識者からのヒアリングを行う予定ですが、追加の議題が出てきた場合は改めて御案内させていただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)