第39回 消費者委員会 議事録

日時

2010年11月26日(金)15:00~17:11

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、
 下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員
【説明者】
 消費者庁  黒田政策調整課長
畑野取引・物価対策課長
 警察庁  世取山生活安全局生活経済対策管理官
 金融庁  油布総務企画局企画課調査室長
櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官
小林総務企画局市場課市場機能強化室長
斎藤総務企画局企業開示課開示業務室長
原田監督局総務課金融会社室長
栗田監督局証券課長
其田証券取引等監視委員会証券検査課長
 財務省  大臣官房信用機構課担当者
【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
○説明者: 消費者庁  黒田政策調整課長
畑野取引・物価対策課長
警察庁  世取山生活安全局生活経済対策管理官 他
金融庁  油布総務企画局企画課調査室長
櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官
小林総務企画局市場課市場機能強化室長
斎藤総務企画局企業開示課開示業務室長
原田監督局総務課金融会社室長
栗田監督局証券課長
其田証券取引等監視委員会証券検査課長
財務省  大臣官房信用機構課担当者
3.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:9KB)
【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視にかかるヒアリング対象施策及びヒアリング項目について (PDF形式:21KB)
【資料2】 消費者基本計画 工程表(施策番号43、46、60、62、64)(消費者庁提出資料) (PDF形式:103KB)
【資料3】 消費者基本計画(施策番号43)関連資料(消費者庁提出資料)
(資料3-1) ますますエスカレートするマンションの悪質な勧誘-増加する「強引・脅迫」「長時間」「夜間」勧誘-
【資料4】 消費者基本計画(施策番号46)関連資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:487KB)
【資料5】 消費者基本計画(施策番号46)関連資料(金融庁提出資料) (PDF形式:643KB)
【資料6】 消費者基本計画(施策番号60)関連資料(消費者庁提出資料) 【資料7】 消費者基本計画(施策番号60,62)関連資料(金融庁提出資料) (PDF形式:645KB)
【資料8】 消費者基本計画(施策番号64)関連資料(金融庁提出資料) (PDF形式:255KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要 (PDF形式:10KB)
【追加資料】 消費者基本計画施策番号43 関連について 

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、おそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。
本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会(第39回)」の会合を開催したいと思います。
委員長、進行をよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入らせていただきます。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○松本委員長 本日の議題は、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。消費者委員会では、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、第37回の委員会より、重点施策の実施状況と今後の工程等につきまして各省からヒアリングを行っております。
本日は、その第3回目といたしまして、資料1-1にありますように、消費者取引の適正化に関係する施策である、43番、46番、60番、62番、64番の各施策について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
なお、資料1-2にありますように、それぞれの施策ごとに委員会でお伺いしたい内容をヒアリング項目としてまとめまして、あらかじめ各省庁にお伝えしておりますで、こちらも含めて御説明をいただきたいと思います。
まず初めに、43番の施策について、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田政策調整課長 消費者庁政策調整課長の黒田と申します。よろしくお願いします。
まず、施策43関連について、「調査対象法律一覧」という資料と、参考資料という形で配られている分厚いものをごらんいただきながら、「厳正に執行が行われているか」というところから説明させていただきたいと思います。
これは、計画の本文「特定商取引法の適用除外とされた法律などの消費者保護関連法について、厳正な法執行を行うとともに、執行状況について随時とりまとめ、公表します。消費者庁は、必要に応じ各省庁の具体的な取組みを促します」という規定に基づいて調べました。
今回、調査対象としましたのは74本の法律でございます。考え方としては、消費者庁の所管している法律と、消費者行政推進基本計画、これは消費者庁ができるもとになる閣議決定でございますが、今後、消費者庁による関与について検討すべき法律として別表が掲げられ、例示されておりまして、その例示された法律について執行状況を調査したというものでございます。実はかなり幅広にやっておりまして、実際に執行状況という場合にはいわゆる行政処分等の規定を指すものと理解しておりますが、そもそもそういう規定がない法律もかなり含まれておりましす。2割以下の法律はそもそもそういう規定がない。例えば消費者基本計画法もそうですし、製造物責任法とか。出資法とか、いわゆる無連法などは取締り規定になっておりまして、行政処分というよりは刑事処分に関する法律であったりして、必ずしも行政庁の執行が規定されていないものも含まれています。
これらを個別に説明していくと時間がないので、大ざっぱに申しますと、勿論、該当する事件が起こっていなければ執行していないというものもありましたが、執行を行ったものについては、例えば立入調査とか、タイムリーに報告してしまうとかえって効果が悪いというものについてはその都度というわけではないですが、基本的には、処分等を執行した場合にはプレスリリース等で流した上でホームページに随時掲載していくというパターンです。年間の件数については、年に1回ぐらい、国会報告等、もしくはホームページなどを通じて数をとりまとめて報告をするというパターンでございます。
ちなみに、参考資料の最初に出ていますのは個人情報の保護に関する法律です。2枚目にありますが、執行はそれぞれ主務大臣が行うことになっています。真ん中に「直近3年間の法執行の実績」とありますが、平成19年度、20年度、21年度と、金融庁78件とか、それぞれの省庁が執行した件数を記載しております。
順番が前後しますが、表の見方としては、最初に制度の概要で、そもそもどういう法律か、かつ、主務大臣の権限とかそういったものを記載しておりまして、あと、関係行政機関と分担する。これは主務大臣が行うことになっていますけれども、例えば都道府県と分担している場合がありますので、その分担状況について記載しておりまして、件数、広報状況、そういった調査をしております。<br>
このうち、温泉法、ペットフード規制法、借地借家法については、消費者保護関連ではないということで調査に協力をいただけず、残念ながら回答を得られてません。あとは回答をいただいて、どういう規定があるのか、どういう執行状況なのかということについてとりまとめております。
いただいた質問に応じて別途お配りしております、資料3-1、3-2、3-3の説明を順次したいと思いますが、これは昨日、国民生活センターから報道発表のあったマンションの勧誘についての資料でございます。全国の消費生活センターに寄せられたマンション勧誘相談件数は2009年度で大きく増加しているということで、注意喚起をしておりますし、今年度の分についても前年同期で見て、昨年度の2,321件に対して2,802件と増加傾向にあります。
中身は、5ページになりますけれども、主要相談事例として、勧誘を断ると暴力を振るわれた、強引、強迫による勧誘、長い時間、夜間に及ぶ勧誘、絶対にもうかるとか、自己負担はないとか、そういった断定的判断とか、不実告知を行う例。それから、販売目的を告げずに、最初はマンションの勧誘ではないような話をして、何の話かなとよくよく聞くとマンションの勧誘に変わるというもの。個人情報が行ってしまって、プライバシーが脅かされて不安だということであります。
これについて、それぞれ法律の関係が7ページ以降に書いてあります。例えば暴力などは刑法でだめだとか、強引、強迫、夜間、長時間に及ぶ勧誘等については、宅建業法では、勧誘行為として「威迫」行為とか「困惑」させる行為は禁じられていて、行政処分の対象になるとか、そういったことが今回の発表ではまとめております。
消費者へのアドバイスは、買う気がなければ絶対に会わないこととか、電話で業者から強引に勧められても買う気がなければ毅然と断る等のアドバイスをしておりまして、あと、行政への要望、業界への要望という内容になっております。
次に、資料3-2「留学あっせんサービスをめぐるトラブルと消費者へのアドバイス」ということで、2ページ目に相談件数が書いてあります。件数自体は2009年度と2010年度、これは途中ですが、そう如実に増えているということではないですけれども、関係の業者が倒産したというようなこともあって、消費者庁で7月15日に、消費者へのアドバイスを10のポイントにまとめてお知らせしたものです。<br>
具体的なトラブルとしてどういうものがあったかということですけれども、解約に伴う相談が多かった。解約料の説明を受けていない、解約料が高額である、手続をしたけれども、申込金は返金しないといったもの。自分は留学したいけれども、業者の信用性がわからない。現地の学校への支払いがなされていない、予定されていた滞在先に入居できないなど。
契約内容の相談としては、最初に聞いた話と違う、支払いをせかされた、そういった相談内容に対しまして、例えば、一つの業者に頼らずいろいろな筋から情報を調べましょうとか、複数の事業者を比較検討しましょうとか、自分の希望を明確に伝えるとか、受け入れ先の十分な説明を求める、重要な書類は書面でもらうとか、その他、いろいろポイントを挙げております。<br>
この件につきましては、注意喚起をした後も引き続き消費者庁としては、事業者等のこういうルール化といいますか……、留学あっせんの事業者が倒産してしまうパターンというのは、海外渡航の旅費とか、払い込むお金を事前にもらう。そのお金を消費者の方のために本来使わなければいけないのですけれども、人件費や運転資金が要りますので、そこに手をつけてしまい、申し込みが来なくなると回らなくなって倒れてしまう。その辺をどうにかできないかとか、そういうことも含めて、事業者の団体の方も引き続き検討されていまして、消費者庁も、その検討にはオブザーバーとして参加して議論が続いているという状況でございます。
資料3-3は、「『保証人紹介ビジネス』に関する情報について」ということです。まず、保証人紹介ビジネスとは何かということですが、1枚めくっていただきまして、国民生活センターが今年の5月に公表した資料でございます。保証人を必要とされる場合はさまざまでございますが、例えば家を借りる、入院する、お金を借りる、そういったさまざまな局面で、今、なかなか親戚関係とかで保証人が見つけられない、そういう人のために保証人をあっせんしようという業者です。
相談件数は1枚目にあるとおりですけれども、相談の中でどういう問題があるかといいますと、保証人が必要な人の相談と、「保証人になってもいい」ということで登録した人についてのトラブルと、大きく分けると2つございます。
自分に保証人が必要だという消費者からの相談で言うと、単純に相談してもらえるだけではなく、自分も保証人にならないとだめだったということが後からわかったとか、結局、保証人を紹介してもらえなかった、もしくは保証人を紹介された人が保証人として役に立たなかった、キャンセルしたくてもキャンセルさせてもらえない、多額のキャンセル料を取られるとか、そういったこと。それから、保証人として名義を貸すという場合には、実際に負担はなく、アルバイト的に小遣いかせぎができますよといった勧誘も多いわけです。そういう感じで軽く保証人として登録をして、なってみると実際には債務を負担させられてしまった、そういうことがございます。
これに対して国民生活センターは、安易に保証人にインターネット登録をしないとか、根拠のない請求には応じないとか、そういったアドバイスをしております。
簡単ではございますが、私の説明は以上とさせていただきます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見がおありの方はどうぞお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 御説明、ありがとうございました。特に参考資料で配られました、各法律についての執行状況の調査表は、大変有意義で、消費者庁が司令塔として、各法律の執行状況、あるいは、それがうまく回っていないとするならばどうするのかというようなことを含めて、検討する重要な素材になるかと思います。消費者委員会としても、これを半分教科書的に見ながら考えていきたいと思います。これが1回目の調査ということで終わりにせずに、今後も是非よろしくお願いします。
法律の中で気がついたところが2点あるのですが、1つは、今日の最後のテーマにもあります、正式名称が出てこないのですが、犯罪関連銀行口座の凍結に関する法律です。これは範囲の条文から漏れているのではないかと思います。当然、消費者問題に密接にかかわる口座凍結の法律ですので、それも、できれば次回に調査対象にしていただきたいと思います。<br>
それから、宗教法人法は、必ずしもそのものずばりではありませんが、行き過ぎた宗教法人の活動について一定の枠はめをする法律条文もございますので、それも射程に入れていただければと思います。
参考資料で私が特に注目いたしましたのは、22ページ、23ページに国土交通省関係で宅地建物取引業法の執行状況があります。これを見ますと、24ページには、立入検査も1,800か所で、指導、助言・勧告等も相当件数なされています。それでも、今、黒田課長から御説明があったように、いわゆる投資用マンションについての勧誘が、我々の日常生活であっても結構頻繁に勧誘電話がかかってきますし、恐らくお年寄りや気の弱い人だったら突っ込まれるだろうなという、かなり強引なものが目立ちます。
その観点で2つ伺いたいのですが、1つは、率直に言いますと、経産省や公正取引委員会等が磨いてきました、悪質な事業行為についての摘発のノウハウを国土交通省はお持ちではないのではないか。悪質なマンション勧誘業者(特に電話勧誘が多いですが)について、消費者からの苦情を受け付けて、そして迅速に対応するという、その辺の国土交通省との連携あるいは協力体制を、勿論これは警察もかかわるかもしれませんが、情報交換をして一回検討されたらどうかというのが、一つの提案といいますか、今、そういうことをなさっているのか。あるいは、今後どうするかということも含めて何かお考えがあればと思います。
もう一つは、これは黒田課長も十分御認識のとおり、特商法には再勧誘禁止の条文がございます。消費者の方が一回お断りと言ったらもう勧誘してはいけませんという条文があるわけですが、宅建業法にはありません。条文の建付けが違う点が一つのネックになっているのではないかと思いますが、国交省と条文でつけ加えるべきところがあるなら検討するとか、その辺は何とかならないのかということで、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
それから、留学あっせんと保証人の問題については、せっかく取引・物価対策課の課長がお見えですので、特商法に基づいて、留学あっせんや保証人の手口を何とかすることができないのか、できないとするならばなぜなのか。その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。

○消費者庁黒田政策調整課長 口座凍結の話については、資料に入っておりまして振り込め詐欺救済法(57ページ)で規定されており、「制度の概要」に白マルが2つあります。手続の概要で「金融機関が」と……。このことでよろしいですね。

○山口委員 はい。

○消費者庁黒田政策調整課長 それから、その前の部分で幾つか法律を具体的に挙げていただいて、調査に加えられないかということで御提案をいただきました。今回の調査は、消費者庁の所管する法律と、既に閣議決定された文章で引用している表に基づいて実施しまして、率直に申し上げて、消費者保護関連法の定義のようなものは余りはっきり決めないまま、議論をしながら各省庁に作業をお願いして、御協力をいただいているという部分がございます。
むしろ今後の計画をフォローしていくという観点から、消費者保護関連法は、我々は「消費者に身近な法律」と非常に漠然とした言い方でやっておりますが、例えば宗教の関係の法律も、そういう考え方からするとどういうことなのかということについては、後で個別に相談させていただければと。なぜ消費者庁が調査するのかということについて、関係省庁との関係で議論する必要がありますので、お知恵を拝借できればと思っております。
国交省との連携については、今、この場で私も把握しておりませんので、国交省の方に伝えて話を聞きたいと思います。
再勧誘の禁止については、御指摘のとおり、特商法にはありますが、現状、宅建業法にはないと認識しております。
個別の法律に限らず、基本的な考え方として申し上げますと、やはり消費者を保護する、特に不当な勧誘、不当な取引の勧誘から消費者を守っていく、そういうことについて、法律が違うとルールがでこぼこしているということについては、なるべくないような形で、どんな取引でも基本的には同じようにするのが望ましいのですが、他方で、個別のものの材の性質とか、売り方とか、そういうことによって全部一律というわけにはならないと思います。そのケースに応じてということですが、そうは言いつつも、最終的には消費者の目線から見れば、不当に勧誘されない仕組みをうまくならしていくことは必要だと思っておりますので、今日いただいた御意見も踏まえて国交省の方と議論をしていきたいと思います。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 山口委員からの御指摘にいて、黒田課長の説明に事実関係だけ補足させていただきます。
投資マンションの件について、再勧誘の禁止という話は資料3-1の12ページ、行政への要望、業界への要望という中に、再勧誘の禁止についても検討されてはどうかと記載されています。ただいま山口委員から御指摘があったものと同じ要望が、国民生活センターから関係行政機関、業界へと出されているところです。事実関係でございますので、御紹介させていただければと思います。
もう一点、関係省庁との連携ということで、直接の答えにはなっていないかもしれませんが、宅建業法に基づく処分を国土交通大臣が行う場合には、事前に消費者庁(法文では内閣総理大臣)と協議をしていただくといった規定があることを、補足的に事実関係ということで御紹介させていただきます。
それから、山口委員からは、海外留学のあっせん事業者についてのトラブル事例、保証人の紹介ビジネスについてのトラブル事例、こういったことについて特定商取引法との関係ではどう考えるのか、こういう御質問でございましたが、なかなかストレートにお答えすることが難しいところでございます。あくまでも個々の事例に則しまして、特定商取引法の当てはめという、基本に忠実な作業をしていかなければいけないわけでございます。
その中で、特に海外留学のあっせん事業者に関する契約のトラブルということであれば、これも御存じかと思いますが、特定商取引法との関係では旅行業については、基本的に適用除外となっております。こういった法令の規定に照らしながら、個々のトラブルが、特定商取引法の類型に当てはまるのか、当てはまらないのかといったものについて、個々に検討していかなければいけないということでございます。そのため、大変申し訳ないのですが、ここに書かれた事例の一つひとつについて、特定商取引法で救えるか、救えないかということについて、なかなかお答えしにくいとこでございます。あくまでも個々の事例に則して、法文の規定に照らしてというような作業が必要ではないかと考えております。

○山口委員 保証人は。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 同様です。

○中村委員長代理 済みません、ちょっとお願いがあるのですが、今回の「調査対象法律一覧」の表ですけれども、先ほど山口委員の質問でもあったように、略称と正式名称とごちゃごちゃに法律の名前が入っていて発見しにくかったのだと思うので、できたら両方書いていただくと同時に、分野別にまとめていただけたら助かるなと思います。私も住宅瑕疵担保履行法がないのかと思ったら、一番最後のところに、ほかの住宅関連と離れてあったりするので、できたらその辺をまとめてジャンル別にしていただきたいと思います。今後、これを使うわけですから、よろしくお願いします。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 マンションの勧誘についてお聞きしたいのですけれども、資料3-1の一番最後の行に書いてあるところを見ますと、PIO-NETによると相談ケースは年々増加していると書いてあるのですが、無免許の業者による被害というのは把握されているのか。私は、この無免許の被害というのは特商法で規制できるのではないかと思うのです。それと、消費者庁も国交省も皆さんPIO-NETをごらんになっていて、「年々増加している」というのは把握されていると思いますけれども、それに対する対応はできているのか。もう少し処分はできなかったものだろうかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。

○消費者庁黒田政策調整課長 把握ということですが、相談件数からは、勧誘してきた人が免許を持っていたかどうかというところまでは多分わからないと思いますので、そこは難しいです。

○佐野委員 年々増加している傾向にあることがはっきりわかっていても、何もそういう対応というものはないのですか、ということをお聞きしたい。

○松本委員長 今の問題は、国交省の担当者の方に直接聞かないと、消費者庁サイドでは国交省に問い合わせて情報をとってくださいという話になるから、ここでは恐らくすぐ答えは出てこない。国交省もみずから執行しているわけではなく、恐らく宅建業法は都道府県が執行していると思いますから、情報を集めてくるのにまたプロセスがかかるのではないかと思います。
問題は、宅建業法の執行を行っている都道府県の部署が、消費者保護的な感覚を持って執行しているのかどうかというところが、質問の根底にあるのだと思います。その辺について国交省と少し議論をして、宅建行政にどれぐらい消費者保護の視点が執行段階で入っているのかというのをお聞き取りしていただくか、あるいは、ここに直接国交省あるいは都道府県の担当課の方に来ていただいて、お話を聞くというのがいいかなと思います。
それと別に、宅建業法の無免許業者についてどうなのかというのは、前に金融商品の勧誘のところでも同じような議論がありました。無届け、無許可、無登録等で業を行っている場合にも、当該業に当たれば特商法上の適用除外になるのかという一般論と共通した問題かと思いますので、その点はいかがですか。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 委員長の御指摘のとおりだと思います。佐野委員から御指摘をいただきました点は、今日これから議論になります未公開株の登録をしていない業者との関係を、特定商取引法との関係でどう考えるかといった問題にも共通する話ではないかと思います。
担当課としてはこのように考えております。今、資料を括ったところでは、宅建業法の許可等を受けていない人がそういった業をやった場合、当然これは禁止されているはずですけれども、直ちに罰則がかかるかどうかというところについては、事実関係は把握できておりませんが、例えば金融商品取引法においては、未登録業者による金融商品の販売については直罰があり、してはいけないということになっている。こういう建前があるわけでございます。こういったものにつきましては、適用除外から条文上、文理解釈上外れるため、特定商取引法の規制に任せるべきではないかといった議論はあり得るのではないかと思いますが、やはり禁止されているものはやってはいけないわけでございます。特定商取引法はあくまでも法律の建付けは契約の適正化であり、その背景には、販売事業者等が憲法で保障された営業の自由を前提として、その上で特定の商取引形態については契約の適正化を図るものであります。あくまでもそこで念頭に置かれているのは、適法・適正な形での販売事業者の営業の自由を前提としているわけでございます。
今、御指摘のような事業者というのは、本来やってはいけない事業をやっているということでございます。これは、それぞれの法律、宅建業法、あるいは金融商品取引法の中で、やってはいけないというルールの中で適正に処罰等がされるべきであり、こういった業者について改めて特定商取引法での対応を考えるというのは、一義的にはなかなか監督しがたいところがあるのではないかというのが私どもの見解でございます。

○消費者庁黒田政策調整課長 補足しますと、今日お配りした資料の22ページに宅建業法の執行状況について出ております。例えば立入検査の箇所数で言えば、20年度が1,650か所、21年度が1,800か所。これはケース・バイ・ケースで、件数が多ければそれだけ消費者目線的に動いているということにならないのかもしれません。今日いただいた、佐野委員、松本委員長の御意見は国交省に伝えたいと思いますが、私が直接・間接に接している国交省の方においては、特に担当の方々が、消費者保護的ではない、しっかりやっていないから相談が増えている、という感じではないのではないかと個人的には思いますが、いただいた議論は、今日はここに出席していないものですから、しっかり伝えたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明、ありがとうございます。取引課長にお伺いしたいのですが、特商法と適用除外になっている各法律の間において、「類型ごとに個々別々に判断をする」という言い方をされていたように思います。そういたしますと、そういう案件が入りましたときに、これはどこに入るかということをまずお聞きするのは取引課でしょうか。その次の段階として、各個別の省庁の法律がありました、そちらの方に、どのような形で相談があったときはつなげていくのか。あるいは、そういう問題が上がったときに、どこに適用されるかということを取引課で検討していただいて、それでもって相手の省庁と連携しながら図っていくというふうにとらえてよろしいのでしょうか。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 少し具体的に一つか二つ、例をおっしゃっていただけますか。例えばどういうケースを念頭に置いておられますか。

○下谷内委員 先ほど海外留学も保証人もありましたし、宅建もありました。海外留学は旅行業法になりますね。その場合に旅行業法は適用除外になっておりまして、案件が上がってきたときにどのように考えるか。これは適用除外だからあちら、というふうになるのでしょうか。電話勧誘もありますけれども、最近、留学でいろいろな形で、若い方もそうですが、ホームステイも含めて、非常に興味を持っていらっしゃる方が多くあります。ただ、この社会情勢で、件数が下がっているのはこの不景気な状況もあると伺っております。ですが、あっせん業をやっている方々は、今、非常に問題を深くとらえていらっしゃいまして、研修などをやっていらっしゃるように伺っております。その方たち自身も、どのようにとらえていいかということが、なかなかわかってもらえていないというところがあるようです、お話を伺いますと。
そのときに、例えばここに書いてありますように、行ってみたら内容が違っていたとか、だから行けなかったとか、入国できなかったとか、そういう問題が上がってきたときにどのようにとらえられるのでしょうか。これは旅行業法ですよ、となってしまうということですか。少なくとも消費者目線という言葉でありますから、何らか省庁の連携をしていただいて、問題をどこか一つで取り上げていただけるようなお考えはないか、ということをお聞きしたいです。

○松本委員長 言いかえれば、相談員が消費者庁に相談したら、消費者庁はどう答えてくれるのかという話だと思うのです。消費者庁の方で国交省と話をして、この問題はこちらです、この問題は向こうですということできちんと振り分けて、相談員にそちらの方の問題だというふうに回答が返るのか。それとも、我々のところは関係ありません、さよならで終わってしまうのか。

○消費者庁黒田政策調整課長 留学あっせん業自体について言えば、特に法律がないので、いわゆる「すき間」になります。勿論、一つひとつの相談されている話の中で、それぞれ適用できる法律があれば具体的な事例に基づいて多分答えを返すのだと思いますが、留学あっせん業法というのはないものですから、その取引の中では、それぞれ取引をばらしていけばあるかもしれませんが、業者に対して何かするということについては現行法上はないということです。関係省庁、かつ業者の方たち、実際に留学で行かれている方をサポートするNPOとかもありますので、今、そういう方たちと一緒になりながら、どういうルールができるかということについては、自主ルールのようなものですけれども、検討会をやられています。それについては消費者庁もオブザーバー参加をしております。

○松本委員長 今、すき間だとおっしゃったけれども、少し誤解を与えるのではないか。つまり、特商法は自分の守備範囲を積極的に決めていなくて、適用除外がいろいろありますという書き方だから、旅行業法が適用されるタイプの業者だというふうに決まれば抜けますが、あっせん業は旅行業法ではありませんということになると、自動的に特商法の守備範囲に落ちてくるというふうに私は理解をしています。そういう意味では、法律上はすき間というのはあり得ないものだと思います。ただ、あっせん業者が旅行業的なこともやっているし、そうでないこともやって、複合的なサービスを提供しているのが実態だと評価すると、どこの部分について特商法プロパーの問題になるのか、切り分けが難しいということはあるかもしれませんが。

○消費者庁黒田政策調整課長 済みません。すき間というのは業法がないという意味で申し上げただけで、さっき申し上げたように取引で切り分けていくと、当然、そういうこともあり得ると思います。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 今、松本委員長がおっしゃったとおりだと思います。あっせんということですから、その部分において言えば役務ということに該当すると思います。その役務の中身が旅行業法の中で規制されているということであれば、法律の規定に照らして旅行業法に該当するわけでございますし、そうでないものについて、特定商取引法の類型に該当するものがあるということであれば、特定商取引法で救うといったことも当然出てくると思います。
勿論、すべての商行為ではなく、訪問販売とか、通信販売とか、取引の類型は規定されていますが、いずれにしろ個々の事例、トラブルに照らして考えていくということかと考えております。

○松本委員長 ありがとうございました。いわゆる特商法とその他の業法との執行面でのすき間的なもの、あるいは重なっているようなところで、新しいタイプの消費者被害が次から次と出てきている現状がございますから、この問題は、消費者委員会としても継続的に取り上げていきたいと思います。
法執行を担当されておられます取引・物価対策課におかれましても、積極的に関係省庁と意見交換をしながら法執行を進めていっていただきたいと思います。本日はありがとうございました。
続きまして、46番の施策についてでございます。本日は、関係省庁として消費者庁、警察庁、金融庁においでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田政策調整課長 冒頭、総括的な説明をさせていただきたいと思います。
46番について、計画については「『多重債務問題改善プログラム』を着実に実施します」とありまして、工程表には、その後の状況に応じて、「借り手の目線に立った10の方策」による方策を推進、「改正貸金業法フォローアップチーム」という話がございます。
まず、プログラムについてはとりまとめ等は金融庁がやっておりますが、私どもの課でも簡単に説明しますと、19年4月に多重債務者対策本部においてプログラムを決定しまして、窓口の整備・強化、セーフティネット貸付の提供、金融・経済教育の強化、ヤミ金の撲滅、そういった柱で施策を実施しております。これはフォローアップを毎年やっておりまして、現在も22年度までの状況についてフォローアップを行っております。
消費者庁固有のことを申し上げますが、例えば広報をやったり、金融庁と一緒に街頭で周知活動を行ったり、国民生活センターによる相談対応、研修、こういったことを実施しております。「借り手の目線に立った10の方策」の進捗状況は、詳しくは必要であれば金融庁から説明していただきますが、総量規制の例外の拡充のために内閣府令を改正したり、ポスター、リーフレットの配付で広報を行う、「あなたは大丈夫?キャンペーン」を行うとか、ヤミ金対策の強化などを推進しております。
改正貸金業法のフォローアップチームといいますのは、完全施行に際して、本年6月に金融担当の副大臣を座長とするチームが設置されました。このチームにおきましては、改正貸金業法に係る制度の周知徹底、施行状況の実態把握、制度のフォローアップ点検という3つの柱で施策を進めおりまして、9月、10月、まさに今日もチームの会合でヒアリングを行ったところであります。
消費者庁からは以上です。

○金融庁原田監督局総務課金融会社室長 それでは、マル1、マル2、マル3、マル4と番号が付されておりまして、マル1の実態のところでございます。資料5-4はお手元にございますでしょうか。横の紙でございます。主婦への貸付実績でございますが、22年6月以降のデータを見ていただきますと、CIC、JICC、指定信用情報機関でございます。こちらの方に配偶者貸付情報の登録件数というのがございまして、これを見ていただきますと、増えてきている状況にございます。

○金融庁櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官 続きまして、マル2の前段でございます。ヤミ金対策はきちんとされているかということでございますが、ヤミ金につきましては、その被害防止に向けて貸金業法等の改正によって、無登録貸金業や超高金利(109.5%超)に対する罰則の大幅な引き上げを行っております。具体的には、どちらもともに最高刑を10年以下の懲役、3,000万円以下の罰金に引き上げてございます。
先ほど「10の方策」というのが出ましたけれども、その中にヤミ金対策の強化を盛り込んでございまして、具体的には、金融庁、警察庁、関係機関の連携強化によりまして以下の主に3点に取り組んでおります。1点目は金融機関への口座凍結の要請の実施、2点目はヤミ金融業者への電話警告の実施、3点目は、インターネットに掲載されたヤミ金融業者の違法な広告につきまして、プロバイダ等への削除要請を実施してございます。
また、改正貸金業法の完全施行は本年6月18日でございますけれども、その後のヤミ金融の被害の状況は、特に増加するような状況には至っていない、このように理解しております。ヤミ金対策につきましては、引き続き関係省庁等と連携いたしまして、積極的な対策を図ってまいりたいと思っております。

○金融庁原田監督局総務課金融会社室長 実態面について一言申し上げますと、資料5-6でございます。ヤミ金業者に係る苦情相談件数、金融庁、財務省、都道府県が受け付けたものというデータがございます。これを見ていただきますと、時系列で並んでおりますけれども、やや減少傾向にあります。22年度上期を見ていただきますと、これは半年分ですので倍にしていただきましても、21年度並みぐらいかなという感じがしております。
次のページを見ていただきますと、貸金業協会でも同じようなヤミ金業者に係る苦情相談係数というデータがございます。これは四半期ベースのデータです。こちらを見ていただきますと、20年後半から21年前半が山で、それ以降は減ってきており、足元横ばいといった状況で推移しています。
先ほど、マル1の総量規制のことで申し遅れましたが、資料5-5というものがございます。これを見ていただきますと、総量規制が始まりましたのが6月でございますので、残高ベースで見ていただきますと、消費者向けはゆっくりとおおむね減少してきているという状況かと思います。
今、申し上げたのがストックベースですが、今度はフローベースで見ていただきますと、次のページの月間貸付金額の推移でございます。消費者向け貸付金額というところは、時系列で見ると少し減ってきているという状況があろうかと思います。
簡単でございますが、以上でございます。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 警察庁の生活経済対策管理官でございます。
ヤミ金融事犯の対策ですけれども、私どもが行っている主な対策を御紹介申し上げますと、3つありまして、1つは、各都道府県警察のヤミ金融事犯の集中取締り本部による取り締まりの継続でございます。この点は、今年、もう既に公表しております上半期の検挙状況を見ましても、ほぼ例年並みというか、230のヤミ金融事件を摘発して、386人の被疑者を検挙しているという状況でございます。
2つ目は、犯罪利用預金口座の凍結のための金融機関への情報提供ということで、これはかなり力を入れて進めております。都道府県警察によるでこぼこがないようにということで、実施が低調な都道府県警察には指導を行っておりますし、警察だけではなく、関係省庁、関係機関による情報提供は十分可能なわけでございますから、これを広く行うべく申し合わせを行ったということでございます。ちなみに今年、平成22年1月から9月末までの暫定値ですけれども、既にヤミ金だけで8,506口座の犯罪利用口座を金融機関に情報提供をして口座凍結を求めているところでございます。
3つ目は、インターネット上のヤミ金広告の削除ということで、これは10月1日から実施しているところでございます。無登録貸金業者の広告は貸金業法で禁じられているわけですけれども、最近公表された日本貸金業協会のアンケート等を見ても、やはりインターネット広告で、どこのヤミ金から借りようかということを認知した例が非常に多いということもございまして、私どもも、ヤミ金広告、インターネット上の広告を削除していくことは取締りや口座凍結と併せて重要なことと考えております。これは暫定的な粗っぽい集計の仕方なので、不正確な面はあるかもしれませんけれども、10月1日~11月18日までの間、私どもで把握できたもので76件の削除要請をして、11月18日時点でうち63件が削除されているという状況でございます。
また、ソフトヤミ金についてのお尋ねもございますけれども、ソフトヤミ金というのは定義がよくわからないというところと、ヤミ金でございますから、ハードであってもソフトであっても実態把握が困難な部分はあるわけでございます。いずれにしろ、貸金業法や出資法、あるいは刑法に違反する行為を認知すれば、それがハードであれソフトであれ厳正に対処するという方針をとっております。
ちなみに、今年の9月16日に警視庁がヤミ金事犯で被疑者7名を、出資法と貸金業法で逮捕していますけれども、この被疑者たちは捜査の結果、新しいヤミ金の貸付先のお客さんを確保するのが困難であることから、既存のお客さんを離さないようにする。そのお客さんから長期間にわたって金利を受け取ることが大切である。そういったことから厳しい取り立ては控えていた、そういう話が出ておりまして、こういうものがもしかしたらソフトヤミ金と言われるものなのかなということが後からわかるわけですけれども、いずれにしろ、厳しい取り立てを控えていても、無登録で、しかも法定利息を上回る利息を受領しているということであれば、これはソフト、ハード関係なく取り締まっていくということでございます。
以上でございます。

○消費者庁黒田政策調整課長 マル3のクレジットカードのショッピング枠の現金化ですが、資料4をごらんいただきたいと思います。「『ストップ! クレジットカード現金化』キャンペーンの実施について」ということで、今週の24日に公表いたしました。いわゆるクレジットカードの現金化について、「×」と書いてありますが、消費者の方々に対して利用をやめるよう呼びかけるキャンペーンをいたします。消費者庁のホームページに特設のウェブサイトを設置いたしまして、岡崎大臣のビデオメッセージを掲載したいと考えております。2ページ~4ページは、2ページ目がポスター、その後ろがチラシですけれども、これを、ここにありますいろいろな団体に協力をいただいて周知したいと思っております。
訴えたいことは、2枚目のポスターにありますように、どういう方が考えられるのかということを考えた場合、我々は、借り入れや返済でお悩みの方に特に今回はターゲットを絞って呼びかけたい。そうでない方も当然だめですけれども、結局、債務を増やして支払い困難になりますし、もともと会員の規約で言えば、こういう目的で使ってはいけないことになっていますので、使うことによってそもそもカードが使えなくなってしまうおそれもあります。
実際、国民生活センターの方でも一度注意喚起をいたしておりますが、ネットを通じて現金化をしようとしても、キャンセルできないとか、入金されないとか、そういったトラブルも発生しております。また、中には、特にインターネットの広告などにおきまして、「景品表示法を遵守している」とか、「公安委員会の許可を受けています」と、いかにも適法であるかのように宣伝をしていますけれども、現金化は景品表示法の景品には該当しませんし、別に古物商かどうかということと現金化云々は関係ない話であります。そういったことを消費者の方に御理解いただいて、もしも借り入れや返済でお悩みということであれば、むしろ多重債務関係の窓口に早く相談に行っていただくことが大事ということでやっております。
ちなみに、自分たちで言わなくてはいけないというのも何ですけれども、チラシのデザインをよく見ていただくと、一見クレジットカードっぽくつくってあります。そういう工夫をして、とにかく皆さんにお手に取っていただきたいというふうに考えております。
マル3については以上です。

○金融庁櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官 マル4につきまして、セーフティネットの整備などはどう進められているか、また、十分でないとするとどのような対策を講じようとしているか。NPOバンクについて御説明いたしますと、NPOバンクは通常は、風力発電等の環境関連、また、社会福祉施設等のための貸付を行っているところでございます。本年6月、貸金業法の内閣府令を改正いたしまして、一定の要件を満たすNPOバンクについては、初回の登録に限りますけれども、貸付業務経験者の確保義務を免除するということを府令改正をして行っております。もう1点は、生活困窮者向けなどの貸付を行うNPOバンクについては、一定の要件を満たすものについては総量規制の適用を除外する形で措置を講じております。
このような措置を講じてNPOバンクを支援いたしまして、このNPOバンクが多重債務にかかるセーフティネットとしての役割を担っていただきたい、このように期待しているところでございます。

○消費者庁黒田政策調整課長 その他、厚労省さんとか、いろいろ取り組まれておりますけれども、直接担当しているわけではないものですから、資料を読み上げるだけになりますが、例えば地域生協の話で言いますと、貸付事業を行う県域規制、つまり隣県でもできるようになるとか、そういった緩和が今年の5月に省令改正が行われたり、岩手県の消費者信用生活協同組合が八戸で相談と貸付業務を開始するとか、生活福祉資金についても22年度において相談体制を充実したり、それぞれ施策は講じられております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わります。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして、どうぞ、御質問、御意見がございましたら、お出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今、説明をいただくと、改正貸金業の施行の後、各省庁は非常に成果を上げておられると、私は一定の評価をしたいと思います。ところが、一部のマスコミでは、主婦が借りられなくなって困っているからヤミ金に走るんだとか、皆さんのやっておられる成果を引っ繰り返すような報道等が一方であります。今日、これだけ資料をいただくとある程度見えるのですけれども、もう少し成果を上手に広報して間違った世論が形成されないように、そちらの努力はどういうふうにしておられるのか、お伺いしたいのですが。

○消費者庁黒田政策調整課長 最終的にマスコミの方々にどう報じていただくかということについては、我々もしっかりやっていることを説明していきたいと思います。そういう意味では説明が足りないかもしれないので、しっかり説明していきたいと思いますし、先ほども申し上げたように、フォローアップチームを開催して、その都度、ブリーフィングも行っています。かつ、この資料もホームページに載せたり、今でも相談キャンペーンはやっておりますし、そういったキャンペーン等も、引き続きしっかり広報面も力を入れてやっていきたいと思っております。

○中村委員長代理 できたらほかの省庁も、どういうことをやっておられるのかお伺いしたいのですが。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 警察も同様でございまして、先ほど私が読み上げさせていただいたものについては、半年ごとに取締り状況というものを公表する、あるいはウェブサイトに載せている。それから、そのときどきの取材、問い合わせはよく来ますけれども、そのときは、現状についてこういう認識をしていると。ヤミ金については、相談件数の推移や我々の摘発から、なくなってはいませんけれども、落ち着いている状況にある。事件も、公表しているものによれば、事件数はほぼ横ばいですけれども、摘発される被疑者の数も減っているし、被害者の数も減っているし、被害金額も減っているという状況にあるので、落ち着いた状況にある。我々が知る範囲ではそういう状況にあるという説明は、繰り返し行っているところでございます。<br>

○金融庁櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官 金融庁といたしましても、先ほど消費者庁からお話がありました「改正貸金業法フォローアップチーム」、こちらの方を9月、10月、今日は11月という形で開いております。先ほどもお話がございましたけれども、終わった後、副大臣からブリーフィングを行っていただいておりまして、そういった場でマスコミの皆様に状況を伝えてきているところです。今後も、それに限らず、伝える機会があればそういう説明をしっかりしていきたいと思います。

○松本委員長 クレジットカードショッピング枠の現金化の問題について、少しお聞きしたいのですが、2点あります。
1つは、この業者は現在の日本の法律の下においては完全に合法なのかどうか。あるいは、何らかの規制法の対象になるビジネスなのかどうか。貸金業のあっせんということであれば貸金業法の一定の規制がかかるはずですが、ローンのあっせんということにも当たらない、まさに法のすき間のビジネスであって、消費者に対して自衛しなさい、中小・零細業者に対しては用心しなさいという呼びかけしかできないタイプのものなのか、というのが第1点。
もう1点は、カード会社も被害者であるということで、カード会社もいわばだまされている立場にあると思います。カード会社のショッピング枠を現金化しますと言っている、これが直接のカード会社の加盟店であれば、本来、カード会社は一定の制裁措置、契約解除等をとれると思います。それが簡単にできない背景には、消費者委員会が以前に取り上げました決済代行業者が間に入っているのではないかという指摘もあるわけで、その辺りの実態について金融庁として何か把握されているのか。あるいは、クレジットカードだからこれは経済産業省の所管だというふうに振り分けられているのか、その2点をお願いいたします。

○金融庁櫻井総務企画局企画課信用制度参事官室企画調整官 実態を申し上げますと、現在、関係省庁、金融庁、経済産業省、消費者庁、そういったところで検討している状況でございますので、今ここで、どういう形か、どういうものなのか、どのような形でだめなのか、いいのかとか、そういったところはちょっと申し上げる状況にはないということを御理解いただければと思います。

○消費者庁黒田政策調整課長 事業者の実態については、直接我々は所管しているわけではないですが、日本クレジットカード協会の方に加盟店かどうかということについて聞いてみますと、全部とは限らないようですが、実際には物を売るということで加盟店になって、カード会社との関係では、物を売ったことでデータのやりとりをしているので、実はカード会社の方ではよほど何かがないとわからない、わかりにくいそうです。ですから、代行業者が絡む、絡まないにかかわらず、データは膨大に来ます。かつ、たまたま話を聞けたみたいなんですけれども、副業でやっているような形で実際には物を売っているところもあるそうです。しかし、全然別の看板をネット上で掲げて、そこの住所に行ってみると会社が存在していない、そういった実態だということです。カード会社としては、当然、わかれば契約を解除するということでやりたいのでしょうけれども、わからないというのが実態だということです。

○松本委員長 昔から事業者が、運転資金を調達するために空リースとか空クレジットというやり方をやっておりまして、ショッピング枠の現金化と空リース・空クレジットとは紙一重に近いのではないかと思います。物は一応動いているけれども、大変価値の低いものを高い価格を付けてクレジットに回しているということだろうと思います。今、その辺の対応策をお聞きしましたところ、3省庁で御検討ということですので、積極的な対策を考えていただきたいと思います。
また、多重債務対策については、中村委員も御指摘のように、一定の成果が上がっているということですので、是非これをどんどん進めていっていただきたいと思います。
本日は、お忙しいところを御審議に協力いただきまして、ありがとうございました。
続きまして、60番、62番の施策についてでございますが、関連する施策ですので、一括して御説明をいただき質疑を行いたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。

○消費者庁黒田政策調整課長 政策調整課長の黒田です。最初は私から説明させていただきたいと思います。
お手元の、資料6をごらんいただければと思います。現状ということで申しますと、未公開株の相談件数は、2008年、2009年と、2009年で大きく増えまして、2010年につきましても4,148ということで、特に60歳以上の方を中心に件数が伸びているということでございます。2010年度は11月18日までということですので、去年の同じ時期で言いますと、2,446ということですので、去年に比べても未公開株の相談件数は増えている。社債についても同様でございまして、件数は、まだ途中の段階、年度ですので、4月~11月という段階で去年を大きく上回っております。ちなみに去年の同じ長さではかりますと、501になります。ファンド型というのも2009年度からとり始めたのですが、これも去年のペースでは倍増という状況にございます。
これに対応しまして、今年の3月、警察庁、金融庁等と連携しまして、「新たな手口による詐欺的商法に関する対策チーム」というのを設置いたしました。大きく3つ、「情報集約から取締りまでを一貫的かつ迅速に行う体制の構築」「注意喚起、普及啓発の強化」「制度の運用・整備の在り方の検討」を続けるということで対応しておりまして、次のページに対応状況を記しております。
情報集約・共有については、日本証券業協会から消費者庁に対してデータの提供がありまして、国民生活センターで名寄せしてこれを関係省庁に提供しております。
業者への対応は、前回も報告しておりますが、10月に社名公表を行いました。消費者安全法も、先ほどの執行状況の調査で初の執行ということで、参考資料にもついておりますけれども、具体的な社名をあえて申しますと、マル9という数字がありますが、「ワールド・リソースコミュニケーション株式会社の発行する社債をめぐる消費者事故等に係る情報提供及び注意喚起」ということで、10月に公表しております。
普及啓発についても、ポスター、リーフレットを使い、また、金融庁さんにおいて政府広報を活用した広報を実施しております。
冒頭、消費者庁からは以上です。

○金融庁其田証券取引等監視委員会証券検査課長 では、62番について説明いたします。証券取引等監視委員会証券検査課長、其田と申します。
資料7-9で、62番は、無登録業者による未公開株の販売、あるいはファンド業者による資金の流用等の詐欺的な事案に対しまして、金商法の192条、金商法の違反事例に対して裁判所に差止命令を申し立てるという条文でありますが、この命令申立ての権限をいかに実効的に活用していくかということでございます。
恐れ入りますが、資料7-9の2枚目のポンチ絵をごらんください。制度のおさらいになりますけれども、右側の下に違反行為をしている者がいる。それに対して監視委員会が調査をして違反行為を発見する。平成20年12月施行の金商法改正で監視委員会にも申立て権限が委任されておりますが、それまでは金融庁だけが申立て権限があったということです。この改正によりまして、監視委員会が直接裁判所に禁止命令の申立てができるようになり、それを受けて裁判所が、違反行為者に対して禁止・停止命令を出すということでございます。右側の吹き出しに書いてございますが、今年の6月にも金商法を改正いただきまして、今までは命令違反に対しては、個人だけに罰則ということだったのですが、法人に対しても3億円以下の罰金というペナルティが科せられるようになったということで、この制度の使い勝手がよくなったということでございます。
それを受けまして、資料7-9の1枚目にお戻りください。つい先週ですけれども、192条の申立ての1号案件ということで、私どもの方で申立てをさせていただいた案件でございます。詳細は差し控えますが、株式会社大経という会社が未公開株の募集を無登録でやっていたという案件でございます。今年の2月ごろから6月までの間、ここに書いてあります株式会社生物化学研究所という、健康食品の研究開発をしている会社でございますけれども、同社の未公開株を無登録のまま募集していた。さらに、調査の結果、その下に書いてありますが、他の4つの会社の未公開株についても勧誘をしていたということで、先週の11月17日でございますが、東京地裁に対して未公開株の募集の取扱い等の禁止・停止命令の申立てを行ったということでございます。
監視委といたしましては、今後とも同様の事例が認められた場合には引き続き、この権限を行使してまいりたいと考えております。
説明は以上です。

○金融庁斎藤総務企画局企業開示課開示業務室長 金融庁から1点、補足させていただきます。
施策番号62の御質問の中に、「50人未満の社債の発行だとして、配当率を少しだけ変えた各種社債が多くの被害を生み出している。対策を講じているか」というのがございます。恐縮でございますが、資料7-8をごらんいただければと思います。以前の消費者委員会で、金融庁としてもこのような事案に対応できるようにガイドラインの改正を行って、何らかの対応をしていきたいという御説明をさせていただきましたが、今般、ワールド・リソースコミュニケーション株式会社(旧社名・アフリカントラスト株式会社)につきまして、無届けで募集を行っていることを認定して警告書を発出するとともに、消費者保護の観点からこれを10月29日に公表させていただきました。
ワールド・リソースコミュニケーション株式会社に関しましては、49口ごとに表面上の利率を0.01%あるいは0.001%刻みで微妙に変えた社債を多数発行するという状況にございました。表面上の利率は異なっていたとしても、月の利払い額としては同一なるものが複数含まれておりまして、これらは実態上、同一の社債と認定することが可能であろうということで、この社債に関しては無届募集に当たるという認定をさせていただきました。
金融庁といたしましては、投資者に対する開示の適正性を確保することは重要だと考えておりますので、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 金融庁市場課の小林と申します。
委員会より御提言いただいた事項への対処状況ということで、御質問Q2というところに書いてございます。順に御説明をさせていただきたいと思います。
まず、民事ルールの整備について、「無登録業者による金融商品の販売を無効、もしくは取り消すことを金販法等関連法案に規定することについて」ということでございます。御提言については、顧客の民事救済の幅が広がるといった点で示唆に富むと考えてございます。しかしながら、これらの契約を一律に無効にすることには、中小企業等の円滑な資金調達との関係上、問題がないかどうかとか、無登録業者が業として行う販売行為か否かという、線引きの判断の困難さというような問題があろうと考えてございます。さまざまな考慮すべき課題があると認識しております。また、業法による参入規制に違反した取引について、私法上の効果を一律に否定するという立法例は承知しておりません。したがいまして、法制的に可能かどうかという問題点もございます。いずれにせよ、御指摘の点を含めまして、投資者保護の在り方について勉強をしているところでございます。
Q2のマル2でございますが、「違法行為に対する抑止効果のある制裁措置の検討・導入について」ということで、例えば違反行為に対する罰則を引き上げたらどうかというような御指摘があることも承知してございます。御承知のとおり、罰則の水準というのは我が国法制全体にかかわるもので、それぞれの法令のバランスを踏まえて定められているということでございまして、金商法の無登録業者に対する罰則のみを引き上げることがいいのかどうか。投資者保護の必要性とともに、こうした観点から検討を行っているところでございます。
続きまして、マル3の2つ目のマルでございますが、これは先ほど証券取引等監視委員会の方から説明がございました。「活用することについて。更に、金融庁みずから差止めをできる制度改正を考えるべきではないか」という御質問をいただいておりますけれども、まずは、改正法によって使い勝手がよくなりました差止命令について、活用を図っていきたいというふうに考えてございます。
続きまして、マル4でございます。不招請勧誘の禁止規制の拡大についてということでございます。1つ目のマル、「デリバティブ取引に対する不招請勧誘規制の見直しについて、仕組債についても不招請勧誘の禁止規制を導入すべきではないか」という御指摘でございます。デリバティブ取引に対する不招請勧誘規制の見直しにつきましては、9月13日に当庁の対応・方針を公表しております。個人顧客を相手方とする店頭デリバティブ取引の全般について原則として規制の対象とするなど、現状の規制をより一層強化し、投資者保護の充実を図ることとしております。これに基づきまして、関係法令の改正案を、現在、パブリックコメントに付しているという状況にございます。
その法令による対応の中に、デリバティブを組み込んだ仕組債は対象になっていないわけでございますが、先ほど申しました9月の対処方針の中では、個人顧客にとってリスクがわかりにくい複雑な仕組債については、投資者保護の充実を図る観点から自主規制によって販売・勧誘ルールの強化を図っていただくことにしております。その中で、例えば適合性原則の具体化、顧客に対する説明の充実、勧誘方法に関する注意喚起文書を配るとか、そういう取組みをしていただくこととなっております。現在、各自主規制機関においてルールの検討が行われているところですので、今後、その実施状況について注視してまいりたいというふうに考えてございます。
続いて、2つ目のマルでございますが、「未公開株取引にも拡張できないか」という点でございます。未公開株の取引でございますが、被害については、その大半が無登録業者による詐欺的な販売によるものと認識しております。現状において、登録業者である金融商品取引業者については、自主規制によって原則として未公開株の投資勧誘が規制されているということでございます。こうした中で、登録業者を対象とする不招請勧誘規制の対象に未公開株の勧誘を加えても、必ずしも未公開株に関する被害抑止とはならないのではないかというふうに考えてございます。<br>
長くなりましたが、私からは以上でございます。

○警察庁世取山生活安全局生活経済対策管理官 警察庁でございます。
マル5につきまして簡単に御説明を申し上げますと、高齢者が被害に遭っている悪質商法の対策はどうなっているかということでございますが、私どもが力を入れて進めているのは、当然、被疑者の検挙でございます。今年になりまして、1月からの数字ですけれども、未公開株に関する事件、8事件摘発して41名を検挙している。集団投資スキームに関しましては、これまで9事件・被疑者35名を検挙している。若干毛色は異なりますけれども、イラクの通貨ディナールにつきましても、1事件・被疑者8名を検挙しているところでございます。<br>
また、先ほどヤミ金の関係で申し上げましたけれども、犯罪に利用された口座の凍結、これを悪質商法についても力を入れて行っております。先ほどヤミ金について8,506口座と申し上げましたが、この8,506も含めて、悪質商法あるいは生活経済事犯全体で、今年の9月末までの数字で9,312口座の凍結を求めて金融機関に情報提供をしたところでございます。<br>
また、若干エピソード的になりますけれども、今年、静岡県警が、布団を訪問販売する悪質業者を摘発したわけですが、この事件の過程で被疑者の関係箇所を捜索したところ、非常に悪い言葉ですけれども、彼ら被疑者側が「カモリスト」と称している、マーケティングすべき対象のリストのようなものを押収したと。どうもこれは名簿業者から入手したようですけれども、この名簿に載っている方全員に対して警察から注意喚起の書簡を送りまして、あなたはこういうリストに載っています、今後、もしかしたらまた訪問販売や電話の勧誘があるかもしれませんけれども、是非注意してくださいということを2,200人の方にお送りした。そうしたところ、一部の方から非常に感謝する手紙が県警の方に送り返されてきているという事例もございました。この手のことにつきましては、今後とも広く行っていきたいというふうに考えているところでございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問をお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 御説明、ありがとうございます。未公開株の問題につきましては、昨年末以来ずっと問題があるということで指摘させていただいております。消費者委員会でも対策を提言したところですが、にもかかわらず、先ほど黒田課長の説明があったように、未公開株だけではなく、社債とかファンド型投信ということで被害がなお増え続けているという実態については、私どもも含めて何とかしなければいけないという気持ちでございますので、是非御尽力をお願いしたいと思います。
そういう中で一つの明るい兆しとしては、先ほどお話もありましたように、大経の裁判所への業務停止命令の申立て。こういう形で、これまでは抜かずの宝刀だった宝刀を初めて抜いていただいたことについては、本当に高く評価したいと思います。是非、今後もこのような形での申立てをどんどんやっていただいて、正直言って事業者といいますか、その集団はほくそえんでいるのが実情だと思いますので、「これはまずい」と思わせるように対応していただくようにお願いいたします。
少し実情だけ申しますと、私自身もいろいろな相談を受けますが、1年前までは3か月とか半年ぐらい事業所を借りていました。実際に借りて、その事業所に従業員と称する勧誘員が10人ぐらいいて電話をかけまくる、そういうことをやっていましたが、今はそんな事務所を構えていないんですね。バーチャルオフィスで住所だけそこに登録して、別のところで2週間ぐらいバーッと勧誘活動をしてサッといなくなる。ですから、お年寄りあるいはお年寄りの家族が被害に気がついて、弁護士のところや消費生活センターに駆け込んだときには、もう事業者はいないというような実情がございまして、摘発あるいは対策も迅速にしないとなかなか実効性が上がらないという実情にあります。
その辺は十分おわかりの上で、今、御説明をいただいたところだと思いますので、私は今日、市場機能強化室の方で御尽力いただいている点について幾つか御質問をさせていただきたいのですが、迅速さが求められるということからいたしますと、行政が動くのはやはりなかなか時間がかかるので、気がついたら即、自分で対応するというその辺の民事ルールが必要だと思うんですね。先ほど、違反行為の判断の範囲が難しいとかおっしゃいましたが、私ども、これは消費生活センターもそうですが、「これは詐欺だ」というのは聞けばすぐわかります。微妙どころか露骨ですよ。そこはかなりの限定をしても構いませんので、こういう要件、こういう要件、こういう要件がある場合には、これは民事的に取り消しができるというふうに定めれば、何でもかんでも取り消しができるというふうにする必要はないわけでして、十分検討の余地があると思いますので、そこは是非御検討をお願いしたいと思います。
それから、違法行為についての刑罰の量刑、バランスも考えるというふうにおっしゃいましたが、それも、これだけ悪質な事態になっているわけですから、是非御検討いただきたいと思います。
先ほど、監視委員会の方で裁判所に申立てをなさったということで、これは高く評価したいと思いますが、ただ、申し上げましたように彼らは2週間スパンです。したがいまして、裁判所に申し立てて裁判所がのんびり判断している間にもう行方不明になってしまいます。そういう観点からすると、やはり庁みずから処分するというスタンスでスピーディにやっていかないと、今の事業者の対応には追いつかないのではないかと思います。その辺も是非御検討をお願いしたいと思います。ちょっと回答は難しいかもしれませんが、その辺も含めて、次のヒアリングの機会には一定の結論を出していただけないかなと思います。もしコメントがあれば、お願いします。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 山口委員から御指摘のあった点、趣旨は十分承知しているつもりでございます。民事ルールの整備については、条件をつけてもいいという御指摘がございましたが、対象となる取引をいかに考えるかという問題と、あとは法的な構成をいかにするかという、なかなか重い課題もございます。引き続き勉強させていただきたいというふうに思っております。

○松本委員長 ほかに御意見、御質問、ございませんか。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 不招請勧誘についてお伺いしたいのですけれども、仕組債については自主規制ということでされておりますが、相変わらず高齢者の被害が多いわけです。普通の人たちは仕組債だろうがデリバティブだろうが、商品そのものがわかっていなくて、もうかる話とか、そういうことになって契約をしているわけです。だから被害が多くなると思うのですが、なぜ仕組債を自主規制にされたのか。いっそのこと、一緒に不招請勧誘の禁止ということで取扱いができなかったのかなというのをお聞かせください。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 今回、対処方針をとりまとめるに当たりましては、消費者団体の皆様の御意見も伺いながらまとめたものでございます。おっしゃったように、消費者の側からすれば、本当に理解していれば購入しなかったようなものについても購入する羽目になっているケースが多いということも聞いてございます。そういうことで、説明の充実、説明責任の徹底ということでは十分ではない。顧客の特性に応じた適合性原則を具体化すべきだという御指摘もいただきまして、今回の対処方針ではそれを前面に出しているつもりでございます。
自主規制という形でまとめてございますけれども、これにつきましては、商品も時々刻々と新しいものが出てまいります。それに対するきめ細かい対応ができるということと、自主規制といいましても、会員である業者の中では実効性のあるルールであるということと、金融庁の検査、監督の中でも、そのような自主規制ルールの実施状況等もチェックをするというものでございます。したがいまして、自主規制という形でも十分実効性は上げ得るのではないかというふうに考えた次第でございます。今後、実施状況を注視していきたいと思っております。

○下谷内委員 実施状況を注視していきたいということであります。それは是非お願いしたいと思いますけれども、禁止の方に行くことはないということですか。あくまでも事業者の皆様方の自主規制で、「適合性の原則」というのはいい言葉なんですけれども、それは普通の商品を買った人たちにとっては、適合性の原則だけで言われると非常に難しいと思うのです。私はそうか、そうでないかというところで、そういう言い方をされる方もいらっしゃいますので、できれば簡単に、同じような不招請勧誘の禁止をしていただければ問題はかなり少なくなるのではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 不招請勧誘規制というのは、業界から見れば劇薬に近いという指摘もあるわけでございます。営業の自由にもかかわる問題でもございます。自主規制という形でまずは取り組んでみることが大切かなというふうに思っております。
また、適合性原則という中にも、そもそも商品として顧客を勧誘するのが適切なのかどうかということも含めたチェックをしていただくことにしております。したがいまして商品の販売部門だけではなく、商品開発をする部門にとっての問題でもあるわけで、業界でも幅広い取組みをしていただくことが期待できるかなというふうに考えております。

○下谷内委員 よろしくお願いします。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今のところに関連しますけれども、今回、規制の対象にしようとしているデリバティブ取引というのは、個人向けだけですね。法人という形をとっていても、中小企業で1人しかいないようなところのおじさんが、こういうものの勧誘を受けて被害に遭っている例も随分あります。なぜ法人という形だけで切り離されてしまったのか、その辺の考え方を教えていただきたいのですが。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 法人につきましては、一般的には投資判断に個人よりはすぐれているという特性があるのではないかということで、個人向けの取引に限ったということでございます。

○中村委員長代理 判断力のない、1人か2人しかいないような有限会社とか、何とか商店みたいなところも結構被害に遭っているので、その辺は何とか保護の対象にできないものかと思うのですが、いかがでしょうか。

○金融庁小林総務企画局市場課市場機能強化室長 法人向けで、例えば一方で融資を受けている。抱き合わせと言うと言葉は悪いですけれども、その一方で金融商品を買ってくれないかという勧誘を受けるケースもあると聞いてございます。そういう場合に、いわゆる優越的地位の濫用のようなことがないのかどうか。これについても自主規制の中で対応いただく。そういうことがない対応を図っていただくということも考えてございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今のお話の中でも自主規制で行くということですが、私たちの質問の中に「自主規制では限界があるのではないか」ということをきちんと書いてあります。私は限界があると思っています。これから見守っていくとおっしゃるのですから、見守るのと同時に、どれだけの苦情の件数が本当に減っていくのか。そちらの方もきちんと見守っていっていただいて、もしうまくいかないようであったら、不招請勧誘の禁止をできるだけ早く検討の一つとして加えていただきたいと思います。

○松本委員長 登録業者、つまりインサイダーとそうでない違法業者のそれぞれの相談件数の今後の推移がわかれば、登録業者でそれぞれの自主規制機関に加盟している業者はきちんとしていますが、そうでない、無登録で違法にやっている業者は野放しですと。そこの実態がわかれば、自主規制は自主規制なりに一定の効果はあるけれども、そうではない業者についてはどうするのかというのがはっきり出てくるわけですが、今のところ、そういう2つに分けた統計はとっていらっしゃらないですか。全体として件数が増えた、減ったといっても、自主規制違反でやっていると言えるのがどのくらいあるのかというのは、わかりますか。

○消費者庁黒田政策調整課長 消費生活センターの様式はそこまで細かく書くようにはなっていないので、相談の中にそういうことを書く人がいればわかるのかもしれませんけれども、網羅的ではない。現状ではそうなっております。

○金融庁栗田監督局証券課長 我々の方で、苦情相談室に上がってくる相談はすべて悉皆的に中身を見ていますので、数えれば数えられるということですけれども、数えたことはありません。ただ、申し上げられるのは、無登録業者のやっていることと登録業者で問題になっていることは、全く違っております。登録業者で問題になっているのは、デリバティブとかそういう複雑な商品についてきちんと説明していなかったが、最後に損害が出てしまったというパターンがほとんどです。片や無登録業者がやっているのは明らかに詐欺というパターンでございまして、説明も何もあったものじゃないという、ちょっときつい言い方をするとそういう案件でございます。明らかに性格が全然違うというふうに認識しております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。

○中村委員長代理 先ほど、金融商品取引法192条の申立てをされたという御報告がありましたが、これは初めてのことでわかりにくいかもしれません。この後、裁判所はいつごろ命令にたどり着くのかという辺りがわかったら教えてください。

○金融庁其田証券取引等監視委員会証券検査課長 私の方が申立てをいたしまして、その後、裁判所の審問、意見を聞くという手続があるようでございます。その後、決定が下されるということなのですが、いつになるかは私どもはちょっとわからないということで、私どもとしてはできるだけ早く決定を下していただくことを期待しているところでございます。

○松本委員長 ありがとうございました。消費者委員会としても提言を出させていただきましたし、また、政府においても関係省庁で対策チームを設置されて、さまざまな取組みをされている。刑事摘発も進んでいるし、行政的な、例えば事業者名の公表、裁判所に対する申立てをやっている。あるいは自主規制を強化しようと、いろいろな取組みをされているというのは認識できました。しかし、他方で苦情相談が去年より倍増している。対策がとられているのになぜむしろ増えているのかというのが、皆さんの素直な疑問かと思います。これは非常にうがった見方をすれば、我々が問題を提起して政府も取り組んでいるけれども、決定的な決め手になるような、つまり、悪質なことをやってももうからないぞという部分がまだ少し弱いから、悪質業者としては、どうもこの分野はまだしばらくもうかりそうだということで新規参入を誘っているところが、ひょっとしたらあるのかもしれないと思います。彼らは、もうかるところでさっともうけたら、また次のところに行く。不動産投資の悪質勧誘が増えているというのもそれの一環かなと思います。
そういう点で、悪質なことをやってももうからないぞ、むしろマイナスになるぞというような状況を、我々、そして皆様の力で早くつくっていくことが被害抑止につながるのではないかと思います。引き続き、取組みを強めていっていただきたいと思います。
本日は、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
それでは、最後になりますが、64番の施策について、本日は金融庁、財務省においでいただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。

○金融庁油布総務企画局企画課調査室長 金融庁総務企画局調査室長の油布と申します。よろしくお願いいたします。
大分時間も押してまいりまして、委員の皆様もお疲れではないかと思いますけれども、最後は少し毛色の変わった内容のことを御説明させていただきます。「振り込め詐欺救済法」の関係でございまして、資料8-1というポンチ絵をあけていただきたいと思います。この法律について御存じの方ばかりかどうかわかりませんので、ざっと御説明させていただきます。
2年ほど前から施行になりました議員立法でございますが、振り込め詐欺救済法でございます。現時点で見ましたときに、私どもの課題として2つあるだろうというふうに考えております。この法律の仕組みは、外部からの通報その他によりまして、不審な口座がある場合に金融機関がそれを速やかに凍結して、公告手続を経て失権させる、やや不正確ですけれども、「没収する」という形になります。あとは預金保険機構による公告をかけて、被害者の方に「この口座に振り込んだお心当たりのある方は申し出てください」と。それで、凍結、没収した預金の中から被害の方にお返しする、こういう建前の法律でございます。
図の下に、「支払手続(返金)」というのがございまして、総額73億円と書いてあります。これは8月末現在まで手続が完全に終了したものですけれども、73億円の不審な預金を凍結、没収したということです。このうち総額約35億円を被害者にお返しできて、お返しできなかったのが約38億円でございます。これが預保納付金ということで、預金保険機構に納付するという法律の仕組みになっております。
預金保険機構はそれを預かっているわけですが、どうしなければいけないかといいますと、一部は、「全く事実誤認で、知らない間に自分の預金が失権されていた」という方もいらっしゃる可能性があります。そういう方の事後救済のために一部は留保しておいて、残りは、これは法律の条文そのものでございますが、「犯罪被害者等の支援の充実のために支出」すると書いています。これを一体どういうふうに使うのがいいかということでございます。課題が2つと申しましたけれども、1つは、73億円没収しているのに35億円しかお返しできていないということ。これを何とかする必要がある。もう一つは、犯罪被害者の支援の充実のために、一体どういう使い道にしたらいいのだろうかということを決めなければいけないということです。
資料8-7をお開きいただきたいと思います。この2つの問題について、対策を打つとともに結論を出すということで、9月に政務のお三方を主体とするプロジェクトチームを発足させております。既に2回、会合を開催しております。<br>構成メンバーといたしましては、金融庁の政務官、内閣府で犯罪被害者支援担当、消費者行政を担当しておられる末松副大臣、財務省の吉田政務官のお三方に入っていただいております。消費者庁につきましてはオブザーバーの中には入っていませんけれども、次回のヒアリングで、消費者庁と消費生活センターの方は御意見を聞かせていただきたいと思っております。
ここで、「1.検討課題」に4つポツがありますが、上の3つは一言で申し上げると、「犯罪被害者等の支援の充実のために支出」という、この使い道をどうするのかということ。4つ目のポツは返金率の向上。どうやって返金率を高めていくかということでございます。
今回、消費者委員会からは御質問を2点いただいております。1点目は、警察や弁護士の方からの金融機関に対する不審な口座の情報提供の実情と、その推移がどうなっているかということでございます。これは、警察、弁護士、エトセトラの内訳は数字を持っておりませんでしたので、聞き取りをやりましたところ、おおむね警察からの情報提供が8割程度で、弁護士の方、これは法テラスなども入ると思いますが、そこからの情報提供が1割強、残りが金融庁、財務局、あるいは被害者御本人の方からの情報提供、こういうことになっております。
これ自体がうまくワークしているのかどうかという御趣旨のお尋ねかと思いますが、基本的にそこは私どもはうまくいっているだろうと思っております。なぜかといいますと、資料8-2をごらんいただきたいと思います。これは、通報件数そのものは実は数字をとっていないのでわからないのですけれども、このグラフにありますように、通報に基づいて預金を失権させますので、それが金額ベースで数字でわかります。
最初のころが非常に多いのが目を引くと思いますが、これは、金融機関が預金約款に基づいて自主的に凍結していたものの処理を法律の施行と同時にやりましたので、その分、つまり過去からたまっていた分がたくさん出てきたということで、恐らく21年の半ば、7月以降ぐらいからほぼ安定期に入っているだろうと思います。御案内のように振り込め詐欺の被害自体は、警察庁の資料によりますと、一番被害が多かったのが平成20年に被害金額で275億円、被害件数で2万人でございます。平成21年に入りますと、それが約半分から3分の1近くまで低下している。平成22年も、まだ途中ですけれども、過去と比べると低い水準にとどまっているということを考えると、恐らくこういう通報システム自体はワークしているだろうというふうに考えております。
資料8-3にありますのは、金融庁が情報提供したものだけの数字ですけれども、黄色で塗ってある部分が22年9月末までの累計です。3万件ほど情報提供というか、金融機関に通報しておりまして、金融機関側の対応はどうかということですが、2万9,749件のうち強制解約、利用停止といったものがほとんどでございます。調査中というのはまさに調査中ですが、右端の「その他」というのは、よくよく調べてみると犯罪利用口座ではなかったというものですので、この数字から見る限り、恐らく金融機関側もこの辺のところはしっかりやってくれているだろうと見ております。
問題なのが、せっかく没収したお金をお返しできていないということでございまして、これについては2つ問題点があるだろうと思っております。1つは、一般的な制度周知のお話で、これは引き続きやっていかなければいけないことですが、もうひとつ、もっと効果的な方法は、金融機関が不審な預金を凍結し失権させて、そこで振込履歴を見て、被害に遭ったと疑われる方に対して連絡を差し上げる。「ひょっとして、おたくは何か詐欺に遭ってこの口座に振り込んだ御記憶はありませんか」ということをやらないと、つまり、そういう「掘り起こし」をやらないと、なかなかお返しできない。警察に被害届を出した方だけは大丈夫ですけれども、それ以外の方は救われないという状況なので、これを改善しなければいけないというふうに考えております。
これについては、実は全銀協の方でそういう場合の事務取扱手続、現時点でも一応あるにはあるのですが、非常に抽象的な一般的な規定になっております。従って、各金融機関ごとに、例えば残高が幾らぐらいの方に連絡するのかとか、そういった基準がまちまちですので、ここは先ほど申し上げましたプロジェクトチームの第2回ヒアリングで重点的に取り上げまして、金融業界に対して、統一的な目安というか、事務取扱手続をつくって、まじめにやっているところと、まじめにやっていないところの差が出ないようにしっかり底上げを図ってもらいたいということを要請しております。今、彼らの方で検討してもらっておりますので、いずれ、その結果もフィードバックされてくるのではないかというふうに考えております。
2点目の御質問で、使い道の件でございます。これについては、政務のお三方に決めていただくのが一番適切であろうと思っております。非常に高度な政治判断でありますし、金融庁の事務方として、これを犯罪被害者の何に使うのがいいのかというのを決めるよりは、まさに政務の政治判断で決めていただくのがいいだろうと思っております。
論点が幾つかあるとすれば、これは「犯罪被害者等」と裸で法律には書いてございますが、振り込め詐欺のような経済事犯の被害者の方だけを対象にするのか、身体・生命犯の被害者まで含めるのか。被害者を救済する場合でも、個人救済的に被害に遭った方になにがしかをお渡しするという方法にするのか、それとも、相談、ケア、支援体制の方に重点的に使うのかといったところが恐らく論点になるだろうと思っておりまして、次回の第3回ヒアリング以降、ここを重点的にプロジェクトチームで御審議いただく予定にしております。年度内には結論を出していただくというスケジュールでおります。
少し長くなりました。恐縮でございます。

○松本委員長 それでは、ただいまの説明につきまして、どうぞ、御意見、御質問をお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 ありがとうございました。この法律につきましては、私自身も日弁連の委員長のときに担当の関係の先生方と協力してつくった法律でして、ワークしているということについては大変評価しております。
新しい事態として、一つ、運用の面で問題が出ておりますというか、もう少し何とかならないのかと思うのが、口座凍結をいたしますと、同一の、私に言わせれば犯人、あるいは犯罪にかかわっている人物がまた新しい口座を設定する。銀行は、犯罪に利用される可能性が高いということで、それは認められませんと言えばよさそうなものだけれども、割と簡単に新しい口座の開設を認めるようなのです。あるいは、新橋支店で凍結されたら今度は銀座支店に行く、あるいは新宿支店で比較的容易に同じ詐欺集団の会社の口座がつくられるという実態があるようです。未公開株などの問題に取り組んでいる弁護士の立場からすると、銀行ももうちょっと何とかならんのかなという感じがします。その辺の運用を、大変ワークしているだけに、もう一工夫して犯罪抑止に寄与できる運用ができないものかと思うのですが、いかがでしょうか。

○金融庁油布総務企画局企画課調査室長 おっしゃられたケースは恐らく口座売買のものがかなりある、つまり形式上、表面的に見たときには、犯罪グループのものであるかどうかはすぐわからないケースも相当あるのではないでしょうか。そうでないとすれば、犯収法の手続がちゃんととられていない、本人確認がとられていないということなので、そこはしっかり見ていきたいと思いますが、恐らく簡単に口座がパパッと開けるというよりは、インターネット等で口座を買っているケースが多いのではないか。そこをもう少しうまく止められないかなということのような気がいたしますが、そこは検討してみたいと思います。
ちなみに犯罪収益移転防止法は、今、警察庁でいろいろ改正作業を進めておられまして、うまくすれば法改正が近々行われる可能性があって、もう一段厳しくなる見込みであるというふうに伺っております。

○山口委員 もう1点ですが、例えば、凍結された口座から被害者が100万を5人か10人に振り込んでいたと。それが、振り込まれたその日のうちに特定のB口座に振り込まれるんですね。警察なり弁護士がA口座の凍結を通知いたしますと、ボヤッとした銀行はAしか凍結してくれないのですが、しっかりした銀行は、これはみんなBに行っている、じゃあBも凍結しようということで、Bも凍結してくれるのです。それによって、被害回復とか、その他で実効性が上がっている部分があります。これは銀行によって、その辺をちゃんとやっている銀行とボサッとしている銀行とあるようですが、その辺の運用はもう一工夫できないものか、というのはどうでしょうか。

○金融庁油布総務企画局企画課調査室長 その問題はよく認識しております。現在の振り込め詐欺救済法も、そういう資金移転のケースについては追いかけて凍結するスキームができ上がっておりますが、それをどこまで丁寧にやっているか。しっかりやっている銀行、やっていない銀行があることは予想はされます。
この問題は、今年の9月にプロジェクトチームを立ち上げたのですけれども、その前に、8月ぐらいですか、金融庁では監督方針と検査方針というのを発表しております。その年にこういう項目に重点を置いて監督をする、検査をするということでありますが、監督方針の方には前から、振り込め詐欺救済法のそういった手続や、体制整備をちゃんとやっているかというのが入っていたのですけれども、今年は、もう施行になって2年経ちますので、金融機関側もしっかり体制が整っているはずだ、手順も確立しているはずだということで、検査方針の方にもこれを入れております。金融検査を含めて、そこはしっかり見ていきたいと思っております。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 先ほど、返金率を上げるための方法で言われた振込口座の履歴、振込履歴からわかるから連絡すればいいと。しかし、現状ではまだそれをやっておられないわけですね。そのためのルールづくりで、今、一生懸命議論をしておられるということですが、細かいルールについて時間をかけてやるよりは、先ほど警察庁の方が、悪質業者を摘発したら、カモリスト、要するにカモにする人たちのリスト名簿が売られている。そういうものを押収したと。そうしたら、その名簿に載っている2,200人全員に警察から、あなた方はカモにされそうだから気をつけてくださいという注意喚起をすぐ手紙で出した。そういう対応をされたというのですが、銀行とかこっちの方もそういう対応ができるように指導できないものですか。いかがでしょうか。

○金融庁油布総務企画局企画課調査室長 カモリストの件は詳細はわからないのですが、直観的にはちょっと難しいかなという気がいたしました。というのは、救済返金手続は特定の口座にリンクしているものなので、何々銀行何々支店のこの口座を凍結、失権させて、そこに振り込んだ方だけを救える法律です。同じ犯人グループの被害者の方でも、ほかの口座に振り込んでいればこの法律上は救えないので、やはり一番地道な方法は、その口座の振込履歴を見て電話をする、恐らくこれしかないだろうと。あとは制度周知ではないかなと思っております。

○中村委員長代理 口座に振り込んだ人だけでもいいですけれども、それをもっと迅速にしてほしい。そのためのルールを決めるのに時間がかかっているようなお話をされたので、そうではなく、すぐパッとできないものか。そういう指導を監督官庁からすぐできないものか、ということを申し上げているわけです。

○金融庁油布総務企画局企画課調査室長 そこはいろいろと知恵を絞ってやっていきたいと思います。ちょっと余談になりますが、私は政務のプロジェクトチームを立ち上げるとき、立ち上げるということは大体決まっておったのですけれども、当初、主な御議論をいただく対象は預保納付金の使い道だけを想定していたのです。これは事務方で決められないので、政務に決めていただくということだったのですが、私が8月から担当になりまして、返金率47%というのを見てやや衝撃を受けました。個人的見解ですけれども、日本の金融機関というのはこの程度のものなのかと思ったのですが、それでこの返金率の問題もPTで取り上げていただいて、政務の力も利用しながら、一番効率的なやり方で解決策を探っていこうと思っております。ただ、返金率47%というのは、その後、いろいろ調べてみますと、ややミスリーディングな数字でありまして、47%というのは半分も返せていないということですが、これは、法施行前に自主的に口座を凍結していて、もう今となっては口座履歴の連絡先もわからない方が相当数たまっていて、それを含めると全体として47%ということでございます。資料8-5を見ていただきますと、返金率の個別の推移をとっております。コメ印のところは異常値で低いわけですが、これは御説明を省略いたしまして、基本的には返金率自体は緩やかに上がってきております。グラフ上にはつけておりませんけれども、直近の数字で見ると、8割程度ぐらいまで上がっているのではないかと思われるデータもあります。このためのコストはすべて金融機関の自己負担になりますので、原理主義的に全部やれと言うわけにもいかないだろうと。一番効率的で現実的で合理性のあるやり方で、返金率を極力高めていくアプローチを探っていきたいと思っております。

○松本委員長 振り込め詐欺防止のためのいろいろな手当がなされてきていて、本日は、入金されたものについて、いかに素早く凍結して返済していくかというところについての取組みを御説明いただいたわけです。積極的にもっと素早く凍結できる体制をとっていただくことが、引き続き必要だろうと思います。他方で、返金率が低いという点で、実際に振り込んだ人にいかに認識してもらうかというのは難しい問題かと思いますが、今、銀行で送金しようと思うと必ず注意喚起が出ますね。ATMにあなたは大丈夫ですかという趣旨の注意喚起が出るわけで、以前は出なかったのがそういうふうになったというのは、銀行側も対応を厳しくしてきているということだと思います。
そうしますと、例えば口座が凍結されたという場合、あなたのこの口座から送金された送金先の口座がこういう犯罪の関係で凍結されていますという注意喚起が、預金者がATMを操作したときに出てくるぐらいの仕組みは割と簡単に組めそうな感じもいたしますから、そういった手立ても検討していただければと思います。
本日は、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

≪3.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございます。最後、事務局より、今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうも長時間、ありがとうございました。
次回の委員会は、12月に入り第1週ですけれども、12月3日(金曜日)の15時から、変則的ですが、第1金曜日に開催したいと思っております。
なお、次回の委員会におきましても、消費者基本計画の検証・評価・監視を続けておりまして、消費者教育への取組み強化に関する施策と、環境に配慮した消費行動と事業活動の推進に関する施策についてのヒアリングを予定しております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)