第36回 消費者委員会 議事録

日時

2010年10月8日(金)15:00~16:57

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、佐野委員、下谷内委員、
 田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
消費者庁
畑野取引・物価対策課長
高野取引・物価対策課企画官
笠原表示対策課長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.特定商取引法・景品表示法の執行について
○説明者:消費者庁
取引・物価対策課 畑野課長、高野企画官 他
表示対策課 笠原課長

3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 特定商取引法の執行について(消費者庁提出資料) (PDF形式:228KB)
 ※2019年8月5日に、7ページから11ページを削除しました
【資料2】 景品表示法の執行について(消費者庁提出資料) (PDF形式:289KB)
【参考資料1】 委員間打合せ概要 (PDF形式:17KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間になりましたので、始めたいと思います。
本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会(第36回)」の会合を開催いたします。委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。本日は、特定商取引法・景品表示法の執行について、取り上げたいと思います。

≪2.特定商取引法・景品表示法の執行について≫

○松本委員長 消費者庁が発足して1年が経過したところでもあり、消費者行政にかかわる法執行につきましては消費者委員会としても強い関心を持っているところでございます。本日は、このうち特定商取引法・景品表示法につきまして、執行の状況等について消費者庁から御説明をいただき、議論を行いたいと思います。
初めに、特定商取引法の執行について、消費者庁取引・物価対策課より御説明をお願いいたします。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 消費者庁取引・物価対策課長を務めております畑野と申します。よろしくお願いいたします。
本日は消費者委員会の場におきまして、特定商取引法の執行体制、執行状況ということで御説明の機会を与えていただいたことに感謝いたしております。お手元に、私の後、御説明をさせていただく表示対策課の分も含めて資料が配付されているかと思いますけれども、そのうち特定商取引法の関係は、資料1(PDF形式:244KB)「特定商取引法の執行について」、こういう題名の資料で御説明させていただきたいと思っております。
限られた時間でございますので、なるべく要点をとらえて御説明を差し上げたいと思いますけれども、大きく2点です。一つは、冒頭に委員長のお話がございましたように、昨年9月に消費者庁が発足したところで、特定商取引法の施行体制に一つ大きな変化があったということでございます。そこのおさらいをさせていただくという点と、執行の状況ということですので、執行の実績につきまして、どれだけ上がっているのか、件数と、時間の許す限り特徴的な幾つかの事例の御紹介、こういう流れで御説明させていただきたいと思っております。
まず、1点目の執行の体制というところでございます。早速でございますが、資料をお開きいただきまして、右下に数字が振ってあります、こちらのページで御紹介させていただきたいと思っております。1ページ目をお開きいただけますでしょうか。「特商法(特定商取引法)の執行は、国(この国のところがポイントでございまして)、消費者庁長官、各経済産業局長、都道府県知事がそれぞれの役割分担のもと執行」ということでございます。
消費者庁の発足前から継続している話であり、かつ特商法の施行体制の特徴かと思いますが、右の方を見ていただきますと、「県域レベルの事案について対処」ということで、都道府県の知事、その下に自治事務とございます。特定商取引法の執行ということで、47の都道府県知事が、自治事務ですから、まさにみずからの事務、国とは関係を切った形で独自に執行事務に携わることができる、こういう特徴が一つあろうかと思います。後で数字で御紹介する機会があろうかと思いますけれども、特に東京都などを中心に、相当の実績を上げているところが見られたというふうに考えております。
それから、消費者庁が昨年9月に発足したことによって大きな変化があらわれたという点が、左の「全国的に被害が及んでいる事案等に対処」というところでございます。何が変わったかということですが、そこに3つの段があります。消費者庁が発足して以降、特定商取引法の責任大臣は主として経済産業大臣、それから、消費者保護をつかさどるということでの内閣府の長たる内閣総理大臣ということでございます。この執行体制につきましては、経済産業大臣の分も含めまして、内閣総理大臣が権限を委任する消費者庁長官が処理をすることになっております。
その特徴が次の下でございまして、消費者庁長官のところから矢印で経済産業局長に矢印がついております。すなわち、消費者庁長官のいわば地方の出先ということで経済産業局長が働く。経済産業局は全国で8つ、また、沖縄の産業部を含めると9つあるわけですけれども、消費者庁長官が、本来は経済産業大臣の監督下に置かれている経済産業局長を、特定商取引法の事務については指揮監督をすることができる。かつ、経済産業局長がみずからの名前で処分をすることができる。こういうところが特徴かと思っております。
全く同じ例になるかどうかわかりませんが、内閣府の金融庁長官と、財務省に置かれている各財務局の関係にこれは並び称されるのではないかということですが、よその役所の地方支分部局を消費者庁長官が使う。こういう体制を消費者庁の発足に伴ってつくったということかと思います。
私の今日の話の2点目。消費者庁長官のもとで経済産業局長が働くという形で、全国的に被害が及んでいる事例に対処ができているかどうかということですけれども、さまざまなとらえ方があろうかと思います。説明は2ページに移らせていただきますけれども、一つのアセスメントの考え方として、行政処分の件数がその一つの評価の指標になるのではないか。勿論、これがすべてではありませんけれども、一つの指標になるのではないかと思います。
消費者庁の発足以降、この件数がどういう推移を示してきたか。まだ消費者庁の発足1年ということで、評価は早いかもしれませんが、実績的に申し上げますと、下の表をごらんいただきます。平成21年の9月以降、したがって7か月間ということで、消費者庁と経産局で26件、今年の上半期6か月で31件でございます。この数字は、上の表の特商法に基づく行政処分の件数との比較においても、消費者庁ができたということで、少なくとも処分のペースが落ち込んではいない。同じようなペース、ないしはそれを若干上回るペースというふうに評価ができようかと思います。
その意味では消費者庁発足のポイントは、長官の下で各経済産業局長が働くといった体制がスムーズにできるかどうかということからすれば、まずは成功したのではないかと考えてよろしかろうというふうに思います。
資料2に書いていない話で大変恐縮でございますけれども、一つPRをさせていただきますと、消費者庁と各経済産業局長は沖縄を含めて全部で9人いらっしゃいますけれども、10月1日に会議を行いました。まさしくこの場所をお借りいたしまして、消費者庁長官以下、消費者庁の幹部と各経済産業局長との間での意見交換会を90分、かなり濃密に行いました。また、同じような会議を本年2月にもやっております。各経済産業局でどういう悩みを抱えながら、あるいはどういう工夫をしながら施行に取り組んでいくのか、消費者庁に対する注文はどんなことがあるのか、といったようなことにつきまして率直な意見交換の場を設定いただき、実りある会議だったのではないかと考えております。そのような形で、消費者庁と経産局が一体となった国の処分について工夫を凝らしていることが、1点目かというふうに考えております。
執行の実績、執行の最近の特徴ということで幾つか御紹介を申し上げたいと思います。今年度に入りましてから、消費者庁と経済産業局で31件。消費者庁が23件、経済産業局が8件ということで処分をさせていただきました。消費者庁の件数が増えているとお思いの方が多いかと思いますが、幾つか特徴的な話の一つが、複数の事業者が一体となって消費者に対して違法な取引をしていたという例でございます。
細かくは御紹介いたしませんけれども、資料の9ページ、10ページをお開きいただけますでしょうか。今年度に入ってからの消費者庁、経済産業局で処分をした案件の概要を記したものでございます。具体的に申し上げますと、「6.有限会社アプローズほか」とあります。かいつまんで申し上げますと、事業者概要のところに4つの会社が掲げてありますけれども、この場合は業務提供誘引販売取引で、(3)の取扱商品のところに記したような形態の事業を行っていたということで、こういった事業者が一体となって違反の事業を行っていた。これを一斉に取り締まったということでございます。こういったものの件数で件数上は増えている、こういったことでございます。
あと、幾つか御紹介いたします。次の10ページ、11ページをお開きいただきますと、例えば、「8.株式会社グローバルマネジメント」という会社に対しまして、今年の8月に業務停止命令処分を下したわけでございます。特徴といたしましては、(3)の提供役務のところに不用品の回収とあります。これは、御承知と思いますけれども、昨年の12月に改正特商法を施行いたしまして、これまでの指定商品あるいは指定役務を撤廃し、この法律につきましては原則すべての商品、役務が対象になる。勿論、一部適用除外もございますけれども、これまでの指定制というものを撤廃したと。不用品の回収業務というのは、従前、指定役務には該当しなかったということですので、改正法の効果がその意味であらわれた例かというふうに思います。
また、違反行為のところでも2番目に「再勧誘」とあります。これは、断ったにもかかわらず更にしつこく勧誘をする。これも、改正特商法で新たに違反行為という形でとらえられるようになった違反行為で、昨年の12月からの改正法の効果があらわれた例かと考えております。
また、9番と10番は、いわゆる有料で出会い系サイトを運営している会社でございますけれども、請求または承諾を得ずに電子メール広告を送信。これも先般の改正特商法の通信販売の中で違反電子メール広告の禁止、初めてオプト・イン規制という手法を導入したわけですけれども、オプト・インの規制に違反した事業者を処分した。このような形で、特定商取引法の改正部分についても徐々に効果があらわれてきているのではないかというのが、最近の特徴であり、また、私どもの執行としても十分に注意をしてやっているところと考えております。
15分の御説明ということで御指定がございましたので、説明はこのくらいにさせていただきまして、質疑応答の中で議論を深めていただければよろしいかと考えております。ありがとうございました。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、どうぞ御質問、御意見がおありの方は発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 質問と意見ですが、まず質問の方は、11ページ、9番、10番のインターネットを使った取引被害だと思いますが、これは、いわゆる決済代行業者がかかわっているのか、かかわっていないのか、その点はどうでしょうか。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 これは決済代行業者がかかわっている例ではないということでございます。これは、本来承諾を得てから電子メール広告を送らなければいけない。逆に申し上げますと、そこに書いてございますように、承諾を得ないで電子メール広告を行うことを、オプト・イン規制という形で違反行為をとらえたものでございます。

○山口委員 問題点の指摘といいますか、かなり深刻な問題だと思っていますが、今、課長がお話しになりましたように、指定商品制が廃止されて、その意味で実効性が上がった部分もあることは高く評価できると思いますが、他方、適用除外になった分野について、相当広い範囲で消費者被害が起こっている点について、どういうふうに対策を講じたらいいのかという点です。
4つ申し上げますと、1番目が不動産業です。勿論、宅建業法等で適用除外になっているわけですが、投資マンションの悪質な勧誘が急増しておりますし、私自身が受けた被害相談でも、お年寄りが持っているアパートを高く買いますということで、不動産業者が話を持ってきてぐちゃぐちゃにして安く売らざるを得ない状況に追い込んでしまう。その種の悪質な不動産業者の高齢者に対する勧誘を中心とした消費者被害、これはかなり広がっていますし、増えています。お年寄り、あるいは皆さんも、平日昼間に自宅にいれば、怪しげな投資マンション、不動産絡みの勧誘がやたら来るという実情です。これが、消費者被害の一つの分野になってしまっていますが、この問題が一つ。
それから、繰り返し消費者委員会でも問題にしておりますが、未公開株、未上場会社の社債、この被害がなお今も熾烈(しれつ)に広がっておりまして、これも特商法の適用対象外になっております。
また、これは東京都等でも問題にされましたし、消費者庁も警戒を呼びかける文書を7月15日付で出されておりますが、留学などあっせんサービスをめぐるトラブルです。この規制は旅行業法にかかわってくるので、必ずしも特商法が適用になっていないと思いますが、被害が広がっております。これからも広がる。逆に言えば、海外に行く青少年が少なくなっている現状、安心して海外に留学できるシステムというのは非常に重大な問題だと思いますが、その辺をどうするのかということです。
4つ目は、携帯電話の通信契約といいますか、電話機販売は特商法の適用があるわけですが、料金支払いの契約関係は、電子通信事業法上の適用になっておりますので、適用除外になっていると思いますが、この分野でもいろいろな形で被害が起こっております。今日は特商法の執行の報告の場ですので、本論として議論できる部分ではないのですが、特商法の適用がかなり効果を上げている一方で、そこから外れている分野の問題についてどういうふうに考えたらいいのか。これは消費者基本計画の問題とも絡みますし、一緒に考えていかなければいけない問題だと思いますが、実態をどういうふうに把握しておられて、どうしたらいいというふうにお考えなのか。差し支えない範囲、あるいは可能な範囲でお話しいただければと思います。

○松本委員長 それぞれ論点は大きいですから、我々としては個別に取り上げて議論したいと思っています。今日は、執行との関係で考えておられることがございましたら、どうぞお出しください。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 山口先生から冒頭、御紹介をしていただきましたように、本日は特定商取引法の執行のこれまでの実績を中心にお話をということでございましたが、御指摘いただいた点、投資マンションの話、社債、未公開株の話、留学あっせん、携帯電話、いずれも大きな問題かと個人の立場としても考えておりますけれども、これは、いみじくも先生もおっしゃいましたように、特定商取引法の適用の相当部分が除外と。除外というのは、それぞれ具体的に申し上げれば、金融商品取引法、宅建業法、電気通信事業法、こういった法律で、それぞれの法目的と消費者保護を担保しながら必要に応じて行政処分を行う。消費者委員会の場できちんと議論した上での適用除外ということになっておりますので、これは個人の見解でございますが、まず、それぞれの法律でどこまできちんとした対応をとることができるのかといったところを追求することが基本かと思います。
いずれにいたしましても、消費者庁のみではなかなか解決がつかない問題かというふうにも思います。消費者庁の中でも、体制もございますので、先生の御指摘はしかと私どもの方でテイクノートさせていただいた上で、また、必要に応じて関係する課にも、問題意識を共有するようにいたしたいと考えております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明ありがとうございます。法改正がされてから、執行もかなり動いているように見えるような、見えないような、現場の相談員をしておりますものですから、感じております。それでちょっとお伺いしたいのですが、実際に執行に際して、最初に端緒があったと思います。それから執行まで至るのに、お答えができれば、大体どのくらいかかっているのかということが1点。
それから5ページ等に、「強化プラン」に基づいて法執行に関していろいろ検討されております。これを拝見いたしますと、いろいろな都道府県から研修生の受け入れをされているということですが、5ページには「三重県、岐阜県より」ということでございますが、ほかのところはどのようになっているのかということが1点。この三重県と岐阜県は、いつごろされたかにもよりますが、そんなに古くないと思いますけれども、それによって、こういう執行、あるいは、何らかそういうようなことがされたのかどうかということを、お聞かせいただければと思います。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 後ろの方からお答えさせていただきたいと思います。
事実関係ということですので御紹介申し上げますと、まず、古いのが三重県でございます。古いと申し上げても、今年の6月から8月まで、大変短い3か月という期間でございましたけれども、三重県から行政実務研修員という形で、受け入れをさせていただきました。岐阜県の方は、今年の8月から1年半ということで、岐阜県にお骨折りいただきまして、私ども取引・物価対策課に、同じく行政実務研修員という形で受け入れをさせていただいております。
三重県から来られた方、岐阜県から来られている方も、まだ研修を積んでおりますけれども、私どもの職員の一人ということで、実際これまでも、会社の方に立入検査をしていただいたり、あるいは、処分に向けていろいろな証拠と申しますか、事実関係を積み上げて、実際に被害に遭われた消費者の方からのいろいろな聴取も、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで、私どもの執行に十分に戦力になっているというふうに考えております。私どもがこういった行政実務研修員を受け入れさせていただく目的は、言うまでもなく、私どもの課でオン・ザ・ジョブ・トレーニングで得た知識、ノウハウを、それぞれの親元の自治体に帰って、それを自治体のところで是非、共有あるいは披露をしていただきたい。
冒頭で御紹介いたしました各経済産業局長との会議の中でも、この資料にもございますけれども、都道府県によって執行の実績がまちまちでございます。執行が多いからどうだということを申し上げるつもりはございませんけれども、やはり執行の実績が上がっているところは、それぞれの県においていろいろな工夫をしておられる。例えば専門の課を設ける、特商法の執行に当たって専門のスタッフを充当する、あるいは、県警との関係での人事交流、OBの受け入れを行う。県によってその熱意の濃淡があり、それがある意味、執行の実績に少なからず影響を与えている。特に執行の実績がないところでは、立入検査のノウハウといったものがやはり少ないと、こういった指摘も実はございました。繰り返しでございますけれども、行政実務研修員が私どもの課でいろいろな経験を積んだその成果が、また県に戻ったときに上がっていただければよろしいのかなというふうに考えております。
それから、1点目の御質問、実際にどれくらいの期間がかかるかということですけれども、勿論これはそれぞれの案件によって違っております。一例を申し上げますと、資料10ページの8番、株式会社グローバルマネジメントという会社で少し御紹介させていただきますと、私どもが調査に着手しましたのは、今年の春ごろ。いつかというところまで具体的に申し上げるのは控えさせていただきますけれども、春ごろ、着手いたしました。処分がございましたのが8月5日、翌8月6日から業務停止命令処分になっております。業務停止命令をかける前の一つの大きなイベントと申しますか、証拠集めが、立入検査といったものでございますが、立入検査に入ったのが6月10日でございます。これは、警察がほかの法令の違反容疑でたまたま同じ日に入ったということで、新聞の報道もされておりましたので御紹介させていただきますけれども、6月10日に立入検査に入っております。従いまして、端緒を見つけて取りかかってから6月10日に立入検査ということですから、その間3か月程度。立入が行われてから8月6日の処分でございますから、これが約2か月程度。これが8番のグローバルマネジメントの例でございます。
今の御質問の答えの冒頭に申し上げましたように、勿論、それぞれの案件によって成績はまちまちでございますけれども、一例ということで御紹介させていただきたいと思います。

○松本委員長 局が立入検査とか処分を行う場合には、局の判断で独自に行っているのか。消費者庁から依頼を受けて、あるいは消費者庁の指示を受けて行っているのか、というのが第1点。もしも独自に行っているのだとすると、端緒となる情報は、局が独自に被害情報等を集めてやっておられるのかどうか、その2点です。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 私どもの方から局の方に、この案件は是非局の方でやっていただきたいといったようなものもございます。それから特商法では、今日の御説明で今まで抜けておりましたけれども、法律上、申出制度といったものがございます。これは法律の言葉をそのまま引用すれば、何人も国に対して、こういう特商法違反の事実があるから調査をしてほしい、こういったことを申出することができます。この申出は消費者庁のみならず、各経産局でも受け付けることになっております。経産局が当該申出を受けて、実際にどれくらいの苦情が寄せられているか、これをPIO-NETなどで調べた上で調査に着手する。そういった意味において、経済産業局がみずからの案件だという形で取り組むパターンもございます。
私もまだ来て2か月というところでお許しをいただければ、この2か月の、半ば感想も含めて申し上げると、後者の方がどちらかというと主流かなと。要するに経産局がみずから案件を見つけてきて、それで調査をするものの方が多いのではないかと思います。勿論、各局のいろいろな取り組みのバランスであるとか、私ども消費者庁の方で少し手いっぱいなので、かつ、この案件についてはわりかし地域的なところでの被害があるといったことが判断される場合には、局の方にお願いをさせていただくこともございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 冒頭の説明、1ページに関連して、移管、共管の業務が比較的成功したという評価を先ほど御説明されたと思います。景表法関係も食品表示もそうですが、役所が新しくできて、法律によって移管になったり共管になったりする業務がそんなにスムーズに行くものだろうかという思いがあります。そこには、皆さん方も非常に悩んだり、問題にぶつかってそれを克服していかれたという過程があっての、比較的成功したという評価になるのではないかと思います。
その辺の悩みというか、もう少し説明していただきたいと思うのですが、本当に主務大臣が二人いて話がパッとうまくまとまったのだろうか。都道府県も権限を持っているのに、そっちと消費者庁との調整はうまくいっていたのか。あるいは、消費者庁長官が経済産業局長に権限を委任するといっても、今まで経産省の地方部局だった人が、消費者庁から言われてそんなにスムーズにハイハイと通っていくのだろうかとか、組織とか法の組み立てが変わったときにやはりいろいろな問題が出てくるのではないか。そういうことを思うもので、率直に実情を教えていただきたいと思います。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 皆様から向かって私の左が企画官の高野でございまして、彼は消費者庁が発足する前後からこの仕事に携わっておりますので、今から御説明する私の説明で不足する部分は、高野企画官から補足ということで考えております。
まず、マクロ的に見て国と都道府県との関係がどうであったかという点と、今、先生が御指摘のとおり、かつ、説明もさせていただきましたように、これまでは経済産業大臣、経済産業局長という関係が、消費者庁と経済産業局長との関係に変わったといったところを、分けて御説明させていただきます。国と都道府県知事との関係は、消費者庁発足との関係では、独立事象と申しますか、昔から国、それから自治事務として都道府県知事がやっていたということで、これは消費者庁が発足したこととの関係では、理屈の上では無関係かと思います。
その上で申し上げれば、各県の力が及ばないといったところがあるのであれば、国の方として県に代わって執行に当たる、あるいは、県の立入検査などの場面で、いろいろなノウハウを御教示させていただくといった意味での協力。これは具体的な執行の場面のみならず、常日ごろから連絡会議等々でお互いの情報を共有してきた、こういったことかと思います。勿論、事前に調整をするといったところの限界がございますから、それほど数は多くありませんけれども、国としてこの事業者をうとうと思っていたら、既に他の県が手をつけていたといったものも当然ございます。そういった意味では、ある局面では競争しながら、また、ある局面では協力しながら、こういう関係が国と自治体との関係では築かれてきたし、今後ともそれが継続していくのが望ましいというふうに考えています。
それから、国の内部の役割分担として、経済産業大臣、経産局長という関係が、消費者庁長官、経産局長という関係に変わったということでございます。これは半ば私の感想というところでお許しいただければ、やはりこれは、この仕事については、自分の上司は経済産業大臣ではなく消費者庁長官なんだといったところ、これをどういうふうに各経済産業局長みずからが意識していただくのかといった点が重要かと思います。
各経済産業局長との会議を今年の2月と、10月。先週に行ったわけですけれども、ずっと見ておられる方が何人かいますので、印象を聞いてみましたら、やはりこの半年の間に局長の認識も相当進化してきたと。要するに、この仕事については消費者庁の長官に目線を当てて仕事をするんだ。こういう意識が局長により深く染みついてきたのではないかということを、ずっと見ていらっしゃる方がおっしゃっておられました。
もう一点、この仕事は、悪質業者対策、悪質業者をいかに駆逐していくのか。ちょっと言葉は悪いですが、そういった思いが、私も含めてやはり相当強くございます。これについては、しっかりとした仕事を上げていくことが重要なんだ、こういった基本的な意識があるからこそ、この移行もスムーズに行ったのではないかというふうに考えております。
多少感想じみたことで恐縮でございますけれども、お答えということでお許しいただければと思います。

○松本委員長 高野企画官、何かございますか。

○消費者庁高野取引・物価対策課企画官 若干重複するかもしれませんが、補足させていただきます。
国と地方の関係で申しますと、局主催であったり、県が持ち回りであったりすることもありますが、局の管内の都道府県の担当者が集まって定期的に情報交換の会議をやっております。そういった形で、顏の見える関係が地方支分局と都道府県との間でもでき上がっているのではないか。その中で、例えば特商法の法令解釈についての照会があると答えるとか、または立入検査とかで、いろいろ調査手法についても支援をすることができているというふうに思っております。
それから、我々消費者庁と経済産業局の関係でございますけれども、先ほど端緒の御質問が松本委員長からございました。端緒も含め、また調査の過程におきましても、立入検査をする際に、局で人員が足りない場合には消費者庁から支援に行ったり、調査の内容的な部分についても常に相談を受け、我々は支援しながら、一言で言えば一体となってやっているということだと思います。
以上でございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今、お聞きしようと思ったことをだいぶ答えていただいたのですけれども、地方と国との関係をどうするかということでお聞きします。この一覧表を見ますと、東京都が圧倒的に件数が多く、一方ゼロ件の県もある。これをどうしたらいいのか。担当者の熱意だけで増えたり減ったりするのは困るわけで、それをどうするかというのは、やはりきちんとした体制を整えていかなければいけない。研修の充実ということで、一応ここでは「執行専門研修」と「法令研修」と2つあるわけですが、これだけでいいのだろうかというのがあります。今まで経済産業省の方でも、フェース・トゥ・フェースの今のお話のような研修については聞いておりました。では、消費者庁になっていかに変わったのか、どんな研修の充実がされているのかということをお聞きしたい。
もう一つ、6ページにあります、「特商法・割販法執行NET」というところですが、このネットをいかに活用できているのかということをお聞きしたい。それから、消費者委員会では昨年、地方の消費者行政について調査いたしましたが、その中では、特商法の執行NETはみんなで入力しなければ意味がない、信頼性が薄まるというような意見が出ています。ここでは「消費者庁が蓄積している法解釈事例を掲載し」と書いてありますけれども、各自治体もきちんとそれぞれの情報を掲載しているのか、それを本気できちんと見ているのかということ。それから、使い方がわからないから入力していない県もあるという調査結果が出ています。そういうところをどういうふうにお考えなのかということをお聞きしたい。
それから、先ほど課長から申出制度の話がありました。確かにパンフレットもきちんとできていますが、このパンフレットも、私は消費者庁の広報室に行ってたまたま発見しました。消費者に知ってもらうにはきちんと広報が必要だし、私はこの制度は非常に重要な制度だと思っていて、申出制度があるということを知らせる必要があると考えています。そのことについてもどんな活動をされているのか、今までどんな申出があって、どういう形で回答されているのかというのもお聞きしたいと思います。

○松本委員長 何点か質問がありましたけれども、どうぞ。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 では、簡潔にお答えさせていただきたいと思います。
まず1点目、研修の工夫ということでございます。資料の5ページ目に書きましたけれども、法令研修は、一つの売りと申しますか、工夫ということで御紹介させていただければ、先だって行った研修で警察庁の方に来ていただきました。警察でも、特定商取引法の関係で行政処分と連動する形、あるいは、警察で独立に動くケースがございますけれども、特商法の違反という形で相当頑張っておられるといったこともございます。
それから、県によってもかなり執行実績が違うことの一つの要素として、やはり警察の協力が、例えば警察のOBを受け入れていただくとか、人事交流という点も含めて、そこのところが必ずしも実績と無関係ではない。例えば、東京都ではかなり警察のOBの方を担当課に受け入れておられるといったことも聞いております。一つのキーワードとしては、警察との連携と。日ごろの業務の遂行という場面、それから、このような法令研修の場にも警察庁の方に講師という形で来ていただいて連携を深めていく。こういった仕掛け、工夫を、一点、指摘させていただきたいと考えております。
執行NETにつきましては、必ずしも都道府県で入力が十分ではないといった先生の御指摘は、しかるべく問題意識として受けとめさせていただきたいと思います。一方で、執行NETにつきましては、今、各県がどういう処分について取り組んでいこうとしているのか、また、私どもの取り組みの概要につきましても、逐次ネットの方に打ち込んでおります。見方として、少し甘いというおしかりを受けるかもしれませんけれども、執行NETを通じたいろいろな協力、情報交換がそれなりの実を上げているのではないかと思います。御指摘をいただいた点は、真摯に受けとめて対応を図ってまいりたいと思います。
申出制度の件でございますけれども、申出については、法律の規定ですべての案件についてこれを調査しなければいけないというふうになっております。したがって、その調査についてはすべて調査しております。具体的に申し上げれば、申出の中に書かれている、特定商取引法を照らした上での問題点の整理ですとか、当然、ここの企業が違反行為をしているということで個別の企業の名前がその申出には出てまいりますので、それについて実際どれぐらいの被害が生じているのかについて、PIO-NETできちんと調査をしております。その中で処分に至らなければいけない案件については、処分に向けた実際の行動を起こす、こういった形で申出制度を活用させていただいております。
PRが足りないという点につきましては、申出制度についての援助機関ということで、日本産業協会にPR等々、ご協力をしていただいているのが現状でございます。足りないところがあるという御指摘でございましたので、早速これにつきましても、どこまで善処ができるか検討させていただきたいと考えております。

○佐野委員 申出というのは何件くらいあるのかお聞きしたいのと、あと、回答はどういうふうにお答えになっているのか。言いっぱなしで終わりなのか、それとも、こういう形で処分しました、こういう形で調査しましたという答えを、一人ひとりにきちんと何らかの形で伝えているのか、その辺を教えてください。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 まず、件数ですけれども、消費者庁、各経済産業局含めて年間で100~150件とお考えていただければよろしいかと思います。実際、申出をされた方に対して、一つひとつその処理についての回答をしているかということにつきまして、これはいたしておりません。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、特商法についての執行の御説明と質疑は、これで終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

○消費者庁畑野取引・物価対策課長 ありがとうございました。

○松本委員長 続いて、景品表示法の執行につきまして、消費者庁表示対策課より御説明をお願いいたします。

○消費者庁笠原表示対策課長 表示対策課長の笠原でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、お配りしております資料2(PDF形式:289KB)に従いまして、執行状況等についてお話をいたします。
まず、1枚目ですけれども、景品表示法の執行状況ということで、いわば入り口のところから出口のところまでを整理した形で出してございます。入り口のところは、私どもは端緒というふうに言っておりますけれども、一般消費者あるいは事業者等から来ている情報提供、あるいは公的機関等から情報があった場合のものも含めた探知ということで、21年度で申しますと、合わせて3,300件です。推移をごらんいただきますと、平成15年度には1,154件、これが18年には2,000件を超える。更に20年、21年と非常に増えてきたという状況であります。
これらの情報につきましては、一つひとつの情報にかかる事実が、事件になるかどうかということの一つひとつのものであるということですので、まず、それについて内容を確認する。それが実際に調査をして、措置に結びつけていくということになり得るものなのかどうかの判断をする。これを全部つぶしておかないと、消費者庁として情報は置いてあるけれども知らないという、「ない」のと同じ状態になってしまうということでございます。これは恐らく、表示の分野のところでの仕事の仕方として特徴になるのではないかと考えております。このような形で端緒として入ってきたものにつきまして、確認、検討、必要なものは調査をして、その結果が法的措置から打切り等までということであります。
法的措置につきましては、20件台から30件を超える、19年度、20年度は50数件という形ではね上がった。19年の56件は表示事案として過去最大でもあったわけですが、21年度については12件ということであります。ここに事案数と書いてございます。同じような種類の商品について、同じような内容の不当表示が行われているものを一体として調査し、主体が異なるので、複数の命令を出しているというものを1事案として数えた場合にどうか、ということでやったものであります。15年度以降は11件~13件で、18年度、20年度は21件、15年度、16年度、21年度は11件ということで、命令件数の推移に比べると、その移動というのが非常に大きくなっている。逆に言えば、一つの事案に対して複数の命令になっているものが余りないという状況が、21年度に生じてきているということではないかと思っております。
このような状況の下で、先ほど申しました急増している情報について、まずは一つひとつ確認をするところの業務負担が非常に大きくなっているという状況があります。先ほど申しましたような一つの事案についてたくさんの命令を出すということであると、外から情報が来た事案に加えてまたいろいろと広げて調べていって、同じようなものを探していくという組み合わせが必要になってくるわけです。なかなかそういうことができにくい状態になっているということもあって、23年度の予算要求、機構・定員要求におきまして、体制の強化を要求して、今、関係当局に説明をしているという状況でございます。
要求内容につきましては、2枚めくっていただいて、3ページのところに書いてございます。管理職クラスの上席景品・表示調査官は、現在1名おりますけれども、2名にする。事件の関係について12名の増員をする。この12名というのは上席調査官も含めてであります。それから、こういう常勤の公務員だけではなく、法執行補助職員を増員することによって、非常に増えている情報提供への対応をスムーズにしてそれを深めていく部分に、人手を割けるようにしていく体制をつくっていきたいと考えているところであります。
1ページ戻っていただきまして、都道府県の関係でございます。国、これは移管前は公正取引委員会、移管後は消費者庁ですけれども、そこにおける排除命令、措置命令の件数を挙げてございます。10月4日現在の数字です。都道府県につきましては、知事による景品表示法に基づく指示の件数を挙げておりまして、ここ数年、増加してきているという状況です。また、各都道府県ごとにつきましては、ほかの法律もそのようですが、かなりばらつきがあるということです。その中でも例えば島根県などは、今年度のところで1件。その前はなかったという形で、それぞれに努力をされているということではないかと理解しております。
都道府県との関係につきましては、消費者庁になってからは、執行研修という形で、景品表示法についてもコマをつくって研修をするほかに、消費者庁の人事異動に伴いまして新任者が出てきた場合には内部研修をする。これは、消費者庁の表示対策課に来た者、公正取引委員会の景表法の担当課、つまり、地方事務所等の取引課に来た職員を集めてやります。そういうときに併せて、都道府県の職員で景表法を担当するようになった職員についても、声をかけて一緒に研修をするという形で、年に1回ですと、異動の時期によっては研修を受けるころには1年近くたってしまっていることもありますので、そういうことのないような対応もしているところであります。また日常的には、一般的な法解釈もそうですし、個別の事案の対応についての解釈、あるいは調査についての相談については、こちらの方としてアドバイスはできる限りしていくことで対応し、都道府県においても確実な執行ができるようにしているところであります。
3ページは先ほどお話ししたとおりですので、1枚飛ばして、4ページをご覧いただければと思います。国と地方の関係ということで簡単に整理をしております。入り口の情報提供については、消費者庁、公正取引委員会、都道府県、いずれのところでも受けているということであります。権限につきましては、違反行為に対して措置命令を行う。措置をとる権限というのは消費者庁長官のみが持っています。
公正取引委員会に対しては、調査の権限を委任しています。実際には公正取引委員会の景表法を具体的に担当する部局は、関東甲信越分は消費者庁に移っておりまして、それ以外の地方事務所、支所ということですので、括弧内にあるような管区のところですけれども、そこで受けたもの。あるいは消費者庁に情報が入って、内容としてそのブロックで対応する事案であるということで、公正取引委員会に対して事件配分をしたものについて公正取引委員会で調査をする。その調査結果、認定事実、集めた証拠を含めて報告を受けて、措置を消費者庁で決定していくという形になっているわけです。公正取引委員会の時代におきましても、措置につきましては、警告あるいは排除命令をはじめとして、東京で最終的な意思決定の確認をしております。そういう意味では東京の部分が、名前が公正取引委員会から消費者庁に変わっているということで、法律上はたてつけが動いていますけれども、基本的な仕事の流れは余り変わっていないというふうに考えております。
都道府県につきましては、移管前と同様でありまして、都道府県知事による指示の権限。指示に従わない等の場合は措置請求をして、措置請求により消費者庁で強制力のある措置命令を、必要があれば行うという形になっております。
後ろには22年度の違反事例の概要を付けておりますけれども、これはこの場では御参考ということで、とりあえず私からの説明は以上とさせていただきます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの景品表示法の執行についての御説明につきまして、どうぞ、御質問、御意見をお出しください。
ちょっと確認ですけれども、最後の方におっしゃったことで、公正取引委員会の権限が消費者庁に移っただけであって、大きなたてつけは変わっていないという御趣旨でしたが、それは、地方事務所と公正取引委員会あるいは消費者庁との関係も同じだということですか。

○消費者庁笠原表示対策課長 実質的にどういう仕事の進め方をするかということで言えば、公取の時代でも、結局、地方事務所が調べてそれを東京に報告する。そこで軽いものであれば注意でいいということで、それは確認してするわけですし、排除命令とか警告ということであれば、それは委員会に上げて委員会が決めるということで、別に地方事務所長が排除命令をやっていたわけではありません。そういう意味で言えば、やはり決め事は東京で行われるという形は変わっていないということでございます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今、変わっていないということなのですが、消費者委員会の事務局で地方消費者行政の調査をしたときの意見としては、やはりすごく変わっていて、ここに書いてあるのを見ますと、現場の方の意見ですが、消費者庁に移管された後は地方事務局は確かに調査を行いますが、立入検査だけを行って、事業者からの問い合わせには一切答えない。困っているのは全部県に問い合わせが来る。県の人も、地方事務局に問い合わせをしてもだめ、消費者庁に聞きなさいということで、非常に困っているという意見がある。消費者庁がきちんと応えてくれていない、とは言っていないのですが、きちんと応えてくれているけれども、フェース・トゥ・フェースではなく、顏が全く見えない。今までのような密接な関係に消費者庁と地方自治体がなるとは思えない、というような意見が出ています。
それだけ地方には負担になっているというふうに私は思っていますけれども、それを、違っていないと言われると、ちょっと違うのではないかなと思います。先ほどの特商法もそうですけれども、消費者庁がきちんと地方自治体を助けて支援をしていかないと、件数は上がらないし、悪質な事業者は排除できないというふうに私は思っているので、その辺りをどうお考えなのか。もう少し地方の支援ということを考えていただけないものかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○消費者庁笠原表示対策課長 今、御指摘のありました部分は、違反調査のところではなく、例えば事業者がこれからする表示について景表法上大丈夫かどうか、ということでの相談が来た場合についての対応でございます。この部分につきましては、公正取引委員会としては措置の決め事のところについての権限がなくなっていますが、相談は、これでオーケーといったらうつことはないですね、ということのいわば確認になるわけですので、それは、措置をとるかどうかを決めるところで答えざるを得ない状況の中で、「消費者庁の方に聞いてください」という形になっているという状況があります。
そういう中で消費者庁表示対策課において、事件担当ではなく、事業者の相談を受けるところの件数はかなり増えております。それに対しても対応できるようにということで、そちらの方も政策調査員の増員をして、そういうニーズに応えられるようにしているということであります。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 顕著に排除命令の件数が下がったところについて既に報道もされておりますし、もう少し率直にお話しいただけないかなと思います。確かに中央の公正取引委員会は従前、処分を決めていた、それが消費者庁に代わっただけだとおっしゃるけれども、公正取引委員会の地方事務所からすれば、自分たちが察知して自分たちが調査して、勿論、中央と相談しながらではありますが、地方事務所独自の努力の結果として排除命令なり、その他の執行ができたのが、今は調査だけをして、あとは消費者庁がやるか、やらないかを最終決定するというたてつけになっているわけです。公正取引委員会の地方事務所としては、当然、インセンティブは格段に落ちると思います。これは、明らかにたてつけの付け間違いと言わざるを得ないのであって、特定商取引法の場合には、先ほど笠原さんの前に御説明をいただきましたけれども、経産局、地方局は独自の処分権限を持っているわけです。あるいは、都道府県知事も独自の権限を持って特商法上の摘発をやっているわけです。
そういう観点からすると、なぜ特商法と景表法がこんなにたてつけが違うのか。景表法でもやはり公正取引委員会の地方事務所に、調査権だけではなく、独自の措置命令の権限を持たせてもいいのではないか、あるいは都道府県知事に持たせてもいいのではないか。現に私の手元にあるデータでは、都道府県に指示権限はありますが、指示については去年でも26件、指示をしています。その辺のたてつけについても、再検討をした上で、実効性の上がる制度づくりをしてみたいというような提案があってもいいのではないか。現状を前提に、ただ人員増を図って実効性を上げますと言うだけでは、ちょっと問題があるのではないかというふうに思いますが、その辺はどうでしょうか。

○消費者庁笠原表示対策課長 公正取引委員会の地方事務所の担当官のインセンティブということもございましたけれども、22年度におきましては、現在までに4件の措置命令と1件の警告を行っております。この中で、実は3件の措置命令と警告はそれぞれ地方事務所において調査を行って、措置命令なり警告なりにつながったという形のものです。21年度で言いますと、そういう形で結びついたもので、ゴールまで行ったものはないわけですけれども、22年度の中でそういうふうになっている。22年度の4月8日に2件の措置命令を行っております。これも九州の事案を、九州事務所で調査したものです。この辺りは21年度からずっとやってきた中で出てきているということです。そういう意味で、地方事務所においても努力をして、それの結果が出つつあるのかなというふうに考えております。
もう一つ、公正取引委員会の地方事務所に、処分権限を委任するなり固有に持たせることができるかどうかということです。これにつきましては、大臣庁の場合は、たとえば地方の経産局等はいわゆる地方支分部局という形で、そこの長が行政庁としてみずから権限を持ってやれる立場にあるということですけれども、公正取引委員会の場合には委員会制度の機関ということであって、地方事務所というのは地方支分部局ではないわけです。委員会の事務を行う、あくまでも事務局の一部が地方にあるという形になっているものですから、そこは行政組織のたてつけの仕方として地方事務所長に措置権限をもたせることはできない。そういうことがあるので、調査権限についても公正取引委員会に委任するという形になっていて、公正取引委員会の名において報告命令をするとか停止命令をかける。立入検査は生身の人間がやりますから、公正取引委員会がその職員に対してやらせるという形になっている。ここのところは、もともと持っている組織ということ自体が違いますので、こういう形の姿にならざるを得ないということでございます。

○中村委員長代理 2ページの先ほどの表、国と都道府県の措置件数の推移で、国の方は先ほどから指摘されているように、平成20年~21年、消費者庁ができて件数が下がってきている。しかし、都道府県の方は逆に件数が随分上がっているわけです。先ほど平成20年の52件は実質15件だと言われましたが、それとの関係で見ても、国の方は減ってきているのに地方が増えているというのは、どうしてこういう現象が起きたと思われますか。その辺を少し説明いただきたいと思います。

○消費者庁笠原表示対策課長 なかなか難しい御質問で、ここ数年、表示の問題、ほかの問題もあるでしょうけれども、いろいろ起きて、そういう中で消費者も含めて関心、意識が高まる。そういう中で今まで埋もれていたものが、問題ではないかという形で出てくる。あるいは地方においても、消費者問題の取り組みの影響下という全体の中で、都道府県においても件数が増えてきたということが言えるのではないかと思っております。21年度の減少につきましては、先ほど申し上げたようなことではないかと思っております。

○山口委員 都道府県知事には指示権限はあっても、措置命令権限はありません。これを都道府県に付与するということは考えられないのですか。

○消費者庁笠原表示対策課長 指示の権限というのは昭和47年に設けられたものですけれども、これが指示にとどまっている一つの要素としては、もともと独禁法の特例法である景表法の位置づけということ、それから独禁法については、特に特別の機関である公正取引委員会をつくってそこの中でやっていた。そういう過去の経緯の中でこういうたてつけがなされたということですので、そこの部分の事情は、消費者庁に移管されたことによって変わってきていることは言えると思います。
そのことを踏まえて、都道府県知事に措置命令の権限まで与えるかどうかというのは、そういう法制的なネックは一つ外れているというところはあると思います。あとは、それを具体的にどういう形で設計をするのか、うまくやれるのかということについては、別途、設計を考える必要のあることではないかと思っております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 ちょっと教えていただければと思います。まず、先ほど特商法でもお聞きしたのですが、どのくらいの期間かかってされているのか。私は相談員の現役のときにものすごくかかりまして、そのうち倒産してしまったというのがあったものですから、端緒からというのが1点。
それから、1ページですけれども、21年度の事件処理件数が3,455件、そのうちの3,041件が「打切り等」になっているわけですが、この打切り等にそういう倒産事案も含まれているということでしょうか。それはやはり期間がかかってこうなったのか、あるいは、「等」が入っておりますので、何らかあるのでしょうか。そこのところを教えてください。

○消費者庁笠原表示対策課長 排除命令、措置命令につきましては、済みません、ちょっと確実なものを手元に持っていないのですけれども、たしか2、3年ほど前、政策評価の中で、半年以内という目標を公正取引委員会時代に立てたことがございます。それについては、ある程度超過した形で達成しているということの整理が、たしかにされていたという記憶があります。消費者庁に来てからは、早いものについては2か月ぐらいで処分ができるものも出てくるということで、そこは、私どもとしてもめりはりをつけてやっていくことに努めているところであります。
それから、「打切り等」ですけれども、情報として受けたものの中で、直ちに調査に着手するだけの材料とならないということで、情報として蓄積していくというものが大多数を占めております。倒産してしまったのでそこで終わったというものは、むしろほとんどないという状況です。

○松本委員長 今の御質問との関係ですけれども、法的措置の件数は、事案数ベースで見るとそんなに大きく落ち込んでいるわけではない。措置の件数から見ると、4分の1ぐらいになっているようだけれども、事案数的に見ればせいぜい半分であって、平成15年、16年が11件だから、それと同じレベルで昨年度もやっているという感じはいたします。平成15年と21年では、端緒情報の総数が3倍ぐらいになっていて、そこで、下谷内委員もおっしゃったように、「打切り等」というのが総数的には突出している辺りがちょっと気になるわけです。さまざまな情報が提供される、あるいは職員が集めてくる件数は増えたけれども、結果として法違反ではないものについての情報提供が大変増えたということなのかどうか。情報提供者の方が過敏になって、「これも不当表示ではないか」というものが、ここのところ、うんと増えたけれども、法的にはそうではなかったという感じなのか。件数が多くなり過ぎて、処理できなくなって打ち切りという感じなのか。その打ち切りの中身はどうなのでしょうか。

○消費者庁笠原表示対策課長 両方あるのかもしれません。これも感覚的なところでありますけれども、寄せられてくる情報の中で、こういうことがあるから違うのではないかという情報よりは、「これは何がということではないが、おかしいに違いない」というような形での情報提供が、かなり多いのではないかという感じは持っております。
一方で、1つの事案数についてたくさんやる場合については、入ってきたものは1件でも、それ以外のところをいろいろ調べてやっていかなければならない。あるいは、見かけは薄いものについて、いろいろと捕捉して積み上げていくことの中から出てくる場合等があるわけです。そこの部分については、まず入ってくる情報についてきちんと仕分けて、こぼさない、漏らさないようにしておくということに追われている部分と、両方の部分が出てきているのかなということだろうと思っています。

○松本委員長 その場合、入ってくる情報について全件、実際に調査をすることはできないという感じなのでしょうか。つまり、その情報の中から問題の大きそうなのを選んで、優先度をつけてやっていくという手法なのでしょうか。それとも、全件当たってみて、もっと調査が必要なものについてはこうだという感じになっているのか。

○消費者庁笠原表示対策課長 やはり事業者に実際に当たるということであるからには、それなりの疑いについてこちらも材料を持っていないと当たれませんので、やはり最初の情報、あるいは若干周りに確認するという中で、そういうことができるかどうかということの判断をして、それが難しいということですと、先ほど申しました情報というような形にしているということです。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 この情報提供というのは申告数ですか。これは全部、申告されたものと考えていいのですか。

○消費者庁笠原表示対策課長 いわゆる自主報告のようなものも含まれております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 都道府県の指示の中には、例えば京都府が、うなぎの蒲焼で四万十川産と書いてあるのが実際は中国や台湾産だったとか、あるいは兵庫県が、国産そば粉と書いてあるのが実際は中国産のものだったとか、そこそこ頑張っているなと思うわけです。お聞きしたいのは、食品の関係で言いますと、JAS法等の原産地表示をちゃんとやりなさいという問題と、優良誤認といいますか、その辺の問題とがだぶる部分があります。その辺で、いわゆるJAS法の関係の摘発部分と全く関係なしにこういう業務をやっておられるのか。それとも、食品の分野については一定の連携をなさってやっているのか。都道府県のレベルではその辺はどうなっているのか、どうでしょうか。

○消費者庁笠原表示対策課長 本庁のところで言えば、食品の関係につきましては、食品表示課のJAS部門との間で個別の事案について情報交換等をしておりまして、どちらでやることが適切かということでの割り振りというか、仕分けということをしております。これは昨年度ですので、ここの例には出ていませんけれども、うなぎの蒲焼に使ううなぎの産地の事案を景表法で措置命令を打ったケースがありますけれども、あれなどは、店内のプライスカードとか、店頭ポップ、チラシといったような、JAS法では対象にならない表示媒体での不当表示ということで景表法が出ていった。逆に、容器包装についての産地偽装という形でやったもの。当然、容器偽装の場合でも景表法にも当たり得るわけですけれども、そこは、JAS法で対応ができるものについてはJAS法の対応に任せる。両方ありそうだなということの情報が入ったときにはお互いそれを共有して、どっちでやろうかというようなことはやっております。
それから、都道府県についてですけれども、こういう事案を県で見つけて、どうしようかということで相談があったときの状況を見ていますと、やはりそれぞれ、景表法担当部門は私どもに、JAS法担当部門は農政局なり農政事務所と話をしながら、県のレベルのところで一緒にやったり調整をしたりということはやっているようです。また、それが本省の方で上がってきているときには、こちらの方でも、どうですかということで、先ほど申しましたような情報の共有と整理はしておりますので、そこは動いていると思っております。都道府県の場合、JAS法と景品表示法は、場合によっては兼務だったり、すぐ横でやっていたり、それ自体、体制の小ささを示すものでもあるかもしれませんけれども、ある意味では情報を共有しやすい状況は県の方にもあるのではないかというふうに理解しています。

○中村委員長代理 5ページの例で、牛肉の種類が違うものが混在するとかいうことは、消費者庁の方では、具体的に中身の調査をする機関とかそういうのは特にないですが、どうやってこういうものを調査されているのか、この辺を教えてもらいたいのですが。

○消費者庁笠原表示対策課長 まず、本件についてどういうことだったかということですけれども、ここの業者が内臓肉を仕入れていた屠殺業者は、牛を解体したときに、内臓は内臓で何頭分かまとめて集めてしまって、それをモツの場所ごとに区分してきれいにして出荷するということをしている。片や正肉の方は、宮崎牛という正肉のブランドを入れるためには品質検査をしなければいけないので、1頭1頭の枝肉ごとに専門の担当者がチェックをして、これは宮崎牛である、これは違う、肉質等級何等というのを検査するわけです。それには2、3日かかる。当然、合格する肉もあれば、宮崎牛に届かない肉もあるわけです。
そういう牛の集めたモツというのは、そういうことをチェックする前に全部集めて混ぜて、部位別に区分した上で出荷をするという状況にありますので、そもそもの仕組みとして、宮崎牛からとれた内臓を確実には集められないような仕組みに、この業者のところではなっておりましたし、実際に正肉のところで見ていると、宮崎牛として売れたものが半分ぐらいという状況があった。そういう事実関係から、ここにありますような認定をしたということです。特に肉そのものを調べる必要はなかった。仮にそういう科学的な調査をしなければいけないということがあれば、その場合には専門機関に鑑定に出すということをしております。

○中村委員長代理 今のそういう仕組み上の問題から察知されたというのは、社員の内部からの通報とか、そういうのが端緒だったのですか。

○消費者庁笠原表示対策課長 調査に入って、一体どういうふうに仕入れているのかということを調査で確認していく中で、こういう形でのやり方が判明したということです。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 前に戻って申し訳ないですけれども、1ページです。20年度、21年度から増えまして、それは、現場の相談員さんは今までは公正取引委員会に聞くというのはなかなかしなかったのですが、消費者庁ができまして、気軽に問い合わせできるのではないか、御相談できるのではないかというふうに思った。私の周りはそうだったのですけれども、それでこの数字がかなり上がっていったのではないかと思います。一方、消費者の方からもあったのかもしれませんし、いろいろな形でお調べになられたということだろうと思います。かなりの人が問い合わせ等をしていると伺っておりますが、その割には打ち切りが非常に多いわけです。先ほどお伺いしたら、調査についてはいろいろと言われましたが、すべてできないということもあったと伺いました。3,455件に対して3,041件という数字はなかなか理解しがたい数字であります。そういう相談員からどれくらいそういうお問い合わせがあったのかとか、あるいは他からとか、PIO-NETで調べられて、その割合というのは出るのでしょうか。お答えできる範囲で結構ですが。

○消費者庁笠原表示対策課長 どのくらいの割合という形では算定しておりません。これも感覚で申し訳ないのですけれども、確かに消費者庁になって、消費生活センターの方からの情報提供が増えているのではないかという実感ですが、持っております。

○佐野委員 公正取引委員会時代には、モニター制度があったり、消費者団体との意見交換というのがときどき行われてきましたけれども、消費者庁になってからモニター制度はどうなったのか。また、消費者団体との意見交換という話も一向に聞いたことがないのですけれども、その辺はどうなっているのか、お聞きしたい。
もう一つ、4条2項というのは私はすばらしいものだと思っているのですが、ここの例に挙げられたものも一つもないし、どの程度それが実行できているのか。というのは、地方には全くその権限も何もありません。判断することもできないというふうになっていますけれども、それはどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

○消費者庁笠原表示対策課長 消費者モニター制度につきまして、消費者庁に移管された中で、幾つかモニターを持っているところが消費者庁の方に集まった。今、それを統合して、消費者情報課で消費者庁としてのモニターを持っているということですので、公正取引委員会時代に消費者取引課が担当課として持っていたモニター制度という形のものは、現在、なくなっているということです。
消費者団体との懇談会につきましても、公正取引委員会において消費者取引課というのは、景品表示法の運用をするところではありますけれども、同時に、公正取引委員会としての消費者政策といいますか、それをやる課ということの中で、消費者取引課が中心となって消費者団体との意見交換等をいろいろやってきたということがあります。この関係につきましても、そういう意味では消費者庁全体の中での対応ということで、逆に各課ばらばらでやる形にはしなくなっているということであります。
他方、地方の消費者団体も含めて、景品表示法について話が聞きたいとか、そういった御依頼がある場合につきましては、表示対策課の担当官を地方も含めて派遣して、それに対応する。そこの中でいろいろなお話も伺いお答えするという形で、景品表示法のスペシフィックな話については対応をしているということであります。
3番目の御質問は、4条2項ですけれども、いわゆる優良誤認表示が当たるかどうかということを判断するためには、根拠となる資料の提出を求めて、その提出が期限内になければ優良誤認、違法な表示であるとみなすという規定であります。例えば効能効果を強調する表示について、効能効果が実際にはないものを、ゼロから立証することの困難性を踏まえた規定ですけれども、資料が出てこない場合には非常に簡単なわけです。出てきた場合には、その資料が合理的なものでないということを消費者庁側が立証しなければいけないわけですので、そこの検証が必要であるということです。
公正取引委員会時代の事例の中でも、細かく見ないとわかりにくいのですけれども、そもそも資料が出てこなかったというのは最初のころはありましたが、最近になってくると、合理的なものとは認められないという認定をされているものが増えているかと思います。事業者の側もここの規定を相当意識するようになってきていて、それなりの資料を出すようになってきていますので、こちらとしてもそれに対しての評価と。ものによっては専門的・技術的な評価にもなるということですので、これもまた専門家の意見を聞くなど、いろいろしながらやっていかなければいけない。そういうことが予想されるということであると、そもそも4条2項を適用するかどうかということの判断に当たって、私どもとしても相当程度の予習をして見通しを立てた上でやっていく。やみくもに、効能効果だからとにかく打ってみようということでは、逆にその後の事案の処理が非常に難しくなる。そういう状況にあります。そういう中で4条2項の運用をしているということであります。
一方、この条項が入ったことで恐らく事業者側は、根拠がないで表示をするというのは非常に危険であるということは認識するようになっています。まじめに考えている事業者は、まず根拠を確認してみて、出せそうもないものは書かないという方に働いているので、実際事件にならない、おかしな表示をしないようにするという部分では、定量的に測ることは難しいですが、効果というのはあるのではないか。例えば事前相談等で受けていても、こういうことで資料を集めていて、こうなんだ、どうでしょうか、という形での問い合わせはかなりありますので、やはりそういうところの意識が強くなっている、という意味の効果は出ているのではないかと考えています。

○山口委員 今、4条の話が出ましたので、4条1項3号の関係で、いわゆる有料老人ホームのガイドラインについての質問です。4条1項3号に基づいてガイドラインが策定されているわけですが、見直しが必要なのではないかと思うのです。大きな理由が2つございます。
一つは、有料老人ホームだけではなく、同じような、かなり大きなお年寄りの住まいの場所として高専賃等がございます。従いまして今後の対応としては、有料老人ホームに限定したガイドラインではなく、もう少し幅広い範囲の高齢者施設についてのガイドラインという形で見直すべきではないか。
もう一つは、これまでは競争法のレベルでのガイドラインでしたから、業者相手、事業者相手だったと思いますが、消費者庁傘下の景表法ということになりますと、消費者、特にお年寄りが見てわかりやすいガイドラインにした方がいいのではないか。今ある有料老人ホームについてのガイドラインは、そのまま見てもお年寄りにはまずわからないだろうなという難しい表現になっています。公正取引委員会がつくったガイドラインについて、消費者庁傘下に移った契機で見直す必要がかなり出てくるのではないかと思いますが、その辺についてはどういうふうにお考えなのか。

○消費者庁笠原表示対策課長 1番目の御質問につきましては、一般論で恐縮ですけれども、世の中の変化の中で見直していくことは必要であろうと思っております。具体的におっしゃられた形態が、有料老人ホームの告示の解釈基準としてのガイドラインですので、まず告示ということの位置づけの中で広げる、あるいは、4条1項3号の枠組みでうまくいくのかどうかということについては、私は現在の時点でどうだということを申し上げられる材料を持ち合わせておりません。
2番目の点についてですけれども、やはりガイドラインについてわかりやすいものである必要はあると思います。公正取引委員会だから事業者向けでいいというつもりでつくってきたものだとは思っておりません。告示の内容を、より詳細に具体的な判断基準を示すということですが、一方で、ガイドラインとは言いながら説明パンフレットのようなわけにはいかない。それに基づいて法の適用をするということですから、それなりの正確性が要求され、そこのはざまでどういうものが適切かということであって、消費者庁においてもそういう面は引き続きあるだろうというふうに思っております。
公正取引委員会から消費者庁への移管に伴って、ガイドラインを全体的に見直すべきではなかったかという御指摘ですが、一つは、景品表示法の目的が変わったということで、不当表示の範囲を、目的と同じようにガラッと変えていくというよりは、当時あった法律を消費者庁に移管して消費者庁が執行していく。公正取引委員会という非常に特殊な組織が持っていた法律ですので、それを消費者庁が執行できるようにするという意味で目的の大改正をしたわけですけれども、何をするかというところについては、かなり継続性のある話ではないかということであります。
また、実際にガイドラインで決めている部分というのは、何について決めているかというと、基本的には、どういう場合に著しく優良有利と誤認する表示であるかということについての具体的な考え方を示したもので、ここは法律も変わっていないところであります。そういうことで、今までのガイドラインを使いながら運用してきたということであります。これも、具体的に見直しの必要があるものについては、その状況に応じて対応していかなければいけない。これは公正取引委員会のときもやっていたことですし、当然、消費者庁でも同じように考えていく。そういう基本的な姿勢は変わらないということであります。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 感覚として、景品表示法にもっと働いてほしいという気持ちがあるわけですけれども、十分に景表法が効果を発揮しているというふうになかなか見えない、実感できないというところがとてもあると思います。この4ページの図を見ていると暗たんとした思いがするわけで、結局、消費者庁が下部組織を持っていないので、苦肉の策でこのように調査権は公正取引委員会にともかく残す。しかし、公正取引委員会は措置権は付与できないという仕組みだから、要するに調査だけをして結果を消費者庁に報告する。仕組みとしてはスムーズではないといいますか、苦肉の策でやらざるを得なかったのだなという構図が見えてくるわけですけれども、やりにくさのようなものは、実際にやっていらして、ないですか。これでよい、という感じなのでしょうか。それをお答えいただくのは難しいかもしれないですけれども。

○消費者庁笠原表示対策課長 どうでしょうか、両面あるのかもしれません。今まで一緒にやっていた相手が違う役所の人になった、という形での戸惑いが最初のところではあったと思いますが、そこは逆に、先ほど申しましたように、地方事務所で調べて措置につながる案件が出てきたりというようなことで、そういうところは慣れてくる部分ということがあるのかなというふうに思います。片や、こういう役割区分がずっと続く中でどういう感覚になってくるか。逆の方に働いてくる部分があるのか、ないのかというのは、検証するにはもう少し時間を。逆にそういうことがマイナスになっていかないように、いろいろ考えていかなければいけないということだろうと思いますけれども、そちらの方は、今はまだ何とも言えないことではないかと思います。

○松本委員長 山口委員がおっしゃったガイドラインの件ですが、そもそもこのガイドラインというのは法執行のためのガイドラインであって、コンプライアンスのガイドラインなのだから、事業者対象であるのは当たり前の話であって、それをおじいちゃんが読んでもわかるようにするというのは、次元が別な話です。有料老人ホームを適切に選ぶための、消費者向けのガイドラインというのを法執行のガイドラインとは別につくるのであれば、意味があると思いますけれども、それをガイドラインという言葉で一緒にしてしまうのは議論を混乱させるだけだと私は思います。
それから、景表法は1962年にできています。日本で消費者行政が始まって最初にできた法律の一つで、表示の問題というのは消費者問題のイロハであるとともに、チリヌルヲの最後まで行ってしまうぐらいの問題だと思いますから、今後とも、消費者からの申出というのはますます増えてくると思います。それに対して対応しようと思うと、人がきちんといなければならない。しかし、先ほどのお話だと、大臣庁と行政委員会では、中央と地方の関係が違うというのは大変重要な御指摘をしていただいたと思います。特商法の場合と同じように地方事務所に何かやってもらうというのはなかなか難しい。
そうなると、中央の消費者庁本体のスタッフを増やすということで、今回もいろいろ要求されているのは当然であるとして、もう一つは、地方の自治体のパワーを使えるようにするというやり方を考えていく必要があるのではないか。この点については笠原課長も、公正取引委員会から消費者庁に権限が移ったことによって、都道府県と消費者庁の関係については再検討する余地があるとおっしゃっているわけですから、今後、ここは消費者委員会としても意識して議論を進めていきたいと思います。やはり消費者からの申出に応えられるだけのパワーが、中央、地方に必要だろうと思います。
本日は、消費者庁表示対策課におかれましては、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でありますが、地方消費者行政専門調査会につきまして、皆様御存じのように、片山善博座長が総務大臣に就任されましたことに伴い専門調査会の委員を辞任されました。そこで、地方消費者行政専門調査会設置・運営規程第2条第3項の規程により、稲継裕昭委員を座長として指名いたします。
続きまして、健康食品の表示に関する消費者委員会における検討方針につきまして、御報告いたします。
消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理において、トクホの表示許可制度、健康食品の表示の効果的な規制や、適切な情報提供の仕組みの2点について、消費者委員会において更に議論することを求められております。これを受けまして、委員間の打ち合わせにおける意見交換を踏まえ、次のとおり取り扱っていきたいと思います。
まず、1点目のトクホの表示許可制度につきましては、消費者庁の論点整理を踏まえて、消費者委員会としての検討に早急に着手できるよう、専門的・技術的な知見を更に集めるなどの準備を進めることといたします。
2点目の、健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組みにつきましては、消費者委員会の本会合におきまして継続的に取り上げて審議をしていく予定としております。

○松本委員長 それでは最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
次回の委員会10月22日(金曜日)の15時からを予定しております。議題といたしましては、消費者基本計画の検証・評価・監視に係る、本年度第2回目のヒアリングです。数回にわたって開始したいというふうに考えております。
事務局からは以上です。

○松本委員長 本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)