第34回 消費者委員会 議事録

日時

2010年9月10日(金)15:00~17:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、佐野委員、下谷内委員、
 田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 消費者庁 福嶋長官、松田次長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者庁の1年及び今後について
 ○説明者:消費者庁 福嶋長官、松田次長
3.消費者委員会の1年及び今後について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 消費者庁の1年及び今後に関する資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:586KB)
【資料2】 平成21~22年度消費者委員会活動報告(案) 【資料3】 消費者委員会の活動と成果(中村委員長代理提出資料) (PDF形式:29KB)
【資料4】 消費者委員会の中間自己評価(山口委員提出資料) (PDF形式:31KB)
【資料5】 消費者委員会 この一年と今後の取り組み(佐野委員提出資料) (PDF形式:23KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間になりましたので、始めたいと思います。
本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会(第34回)」会合を開催いたします。どうぞよろしくお願いします。

○松本委員長 議題に入る前に1点御報告をさせていただきます。前回の第33回委員会でとりまとめをいたしました、自動車リコール制度に関する建議につきましては、その日の委員会終了後に消費者担当の大島副大臣にお会いして、建議を交付いたしておりますし、また、9月1日には前原国土交通大臣にお会いして、建議文を直接お渡ししておりますので御報告いたします。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。昨年9月1日に消費者庁、消費者委員会が発足して以来、ほぼ1年が経過しましたが、本日の委員会におきましては、消費者庁、消費者委員会それぞれにつきまして、発足からの1年と今後についてを議題としたいと思います。

≪2.消費者庁の1年及び今後について≫

○松本委員長 初めに「消費者庁の1年及び今後について」です。消費者庁は消費者庁及び消費者委員会設置法第3条において、消費者基本法第2条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、消費者の利益の擁護及び増進、商品及び役務の消費者による自主的かつ合理的な選択の確保並びに消費生活に密接に関連する物資の品質に関する表示に関する事務を行うことをその任務としており、消費者行政全体の司令塔としての役割を果たしていくことが期待されております。
これまでの消費者委員会におきましても、さまざまな場面で消費者庁から報告をいただいてきたわけですが、本日は改めてこの1年間の取組みや今後について御報告をいただき、意見交換を行っていきたいと思います。
それでは、本日は福嶋消費者庁長官と松田次長においでいただいておりますので、御説明をお願いいたします。

○福嶋長官 どうぞよろしくお願いいたします。それでは、私から10分ほどで資料に沿って御説明をさせていただきます。
まず資料1-1(PDF形式:586KB)をごらんいただきたいと思います。消費者庁の1年間の取組みということでまとめております。今、委員長から消費者庁とは何かということを改めて確認していただきましたけれども、一言で言えば、消費者、生活者が主役になる社会への司令塔としての役割を果たすエンジン役として活動していくということだと思っております。
この1年間の中で非常に大きなこととして、皆様からもいろいろな御提言をいただきながら、今年の3月30日に消費者基本計画を策定しました。これは消費者庁あるいは消費者委員会ができてから初めての計画ということになります。今後これに基づいて着実に進めていくということで、今、取り組んでおります。
「(2)地方消費者行政の充実・強化」ということで、今年の2月になりますけれども、地方消費者行政の充実・強化のためのプランを策定しました。その後、活性化基金について、より効果的な活用ができるように1年の延長をできるようにしたり、あるいは柔軟な活用をさらにできるようにしたりというようなことを実行いたしました。
各自治体の消費生活相談窓口を支援するために消費者ホットラインということで、身近な窓口につなぐことの体制づくりをしたということです。
「(3)情報の一元的集約・分析・提供」。これは非常に消費者庁の生命線の一つの活動だと思いますけれども、事故情報データバンクの運用開始をしたということです。あるいは国会報告もありましたけれども、さらにこうした集約された情報に基づいて、消費者への情報提供や関係機関への対応要請などを行ってまいりました。括弧書きで書いております項目などについての対応の要請などをやってきたということです。
自転車用の幼児座席などについては、製品名の公表がもっと迅速にできなかったのかというような御指摘もありましたけれども、こういったことも今後改善をしていく課題だろうと思っております。
「(4)食の安全・安心の確保」では、食品SOS対応プロジェクトを展開して、エコナの問題やこんにゃく入りゼリーの問題に取り組んできました。こんにゃく入りゼリーについては、まだ取組み中ということになっています。食品表示の一元化の法体系の在り方の検討を開始したりというようなことも、今、行っております。
「(5)その他」でまとめておりますけれども、子どもを事故から守るプロジェクトを展開し、直近では携帯のサイトを立ち上げたり、あるいは子ども安全メールをこちらから送ることを始めたりということを取り組んでおります。
これはこれからの課題の中にもむしろ出てきますけれども、集団的消費者被害救済制度あるいは事故調査機関の在り方などの検討を開始したということがあります。これも消費者庁の重要な柱ですけれども、特定商取引法あるいは景品表示法などの消費者庁が所管する法律の厳正な執行ということに心がけてきたということです。
資料1-2を見ていただきますと、これは21年度の消費者庁の政策評価で、消費者庁自身が評価をしたものです。ただ、これは1年間の評価ということではなくて、年度になっていますので、今年の3月31日までの21年度、9月1日からになりますが、これもまたお時間があれば詳しく見ていただければと思います。
結論だけ申し上げれば、2ページにまとめております。おおむねの項目について、達成に向けて進展があったということは評価できると考えますけれども、国民から大きな期待があったことには十分に応えたとは言えない。大きな期待に反して十分な成果を実現できなかった面もあるという自己評価をしております。決してよくやったという評価を自分自身でしているわけではないということです。これを説明していたら時間がいくらあっても足りませんので、後で詳しく見ていただければと思います。
次に今後ということで、資料1-3で消費者庁の重点施策をまとめております。これも概括的に説明をしたいと思いますけれども、まず2ページを見ていただきたいと思います。
「I 消費者被害の防止(未然防止、拡大防止)」の中の重点施策を掲げています。
「(1)消費者事故情報等の収集・分析・原因究明体制」を充実させていきたいということです。これは特に今、重視をして取り組んでいて、消費者事故というのはそもそも何かということを考えたときに、消費者安全法でどう定義されているかを見ますと、物やサービスを消費する過程で起こった事故が消費者事故だという定義がまずあって、消費安全性を欠くことが原因ではないということが明らな場合は除くとなっています。消費安全性を欠くことによって起こったのではないと明確に判断できれば消費者事故ではありませんが、その原因が必ずしも明らかではない、グレーだというときは消費者事故に法律上は該当するわけですから、そういったことをもう一度再確認しながら、広くまず情報を集めていくということが大切だと思っております。
ただ、広く情報を集めれば集めるほど分析をし、それを適切に対応につなげていくという体制の強化が必要だと考えますので、内部でも今までの消費安全課を中心とした体制だけではなくて、特に生命身体関連の事故情報については、事故情報対応チームというものをつくることにしています。来週には立ち上げることができると思いますが、これは審議官をチーム長にして、消費者安全課と消費者情報課と政策調整課の3課から人を集めて、チームをつくって、さらにこの情報の収集、分析、原因究明、対応につなげていくことを強化していきたいと思っております。
(2)は非常に大きいテーマですが、我が国の事故調査の在り方を検討をし、独立・公正・網羅的な事故調査機関をどう整備していくのかという検討を進めていくということです。
(3)はリコール情報の消費者への情報提供をさらにしっかりやっていこうということで、23年度はプロジェクトを考えています。
(4)は先ほどもお話ししましたが、子どもを事故から守る取組みもさらに強化をしていきたいと考えています。
「II 法執行体制の強化」です。これは景品表示法、特商法、食品表示に関するいくつかの法律の執行をさらに強化をしていく体制整備をぜひしていきたいと考えております。
「III 地方消費者行政の強化及び消費者団体との連携・協働」です。これは消費者事故あるいは消費者問題はすべて地域で起こっているわけですから、地方の消費者行政、地域で活動するさまざまな民間団体、あるいは民間の機関とどう連携をしてネットワークをつくっていくかというのが非常に大きなテーマだと思っておりますので、これらをしっかり取り組んでいきたいと思っております。
それと一体になってということだと思いますが、「IV 消費者教育の体系的・総合的推進」です。
「V 国際的な取組の強化」で、二国間・地域間。先日も次長が日中韓の会議に出席をしてきましたけれども、二国間・地域間の協力。あるいはCCPを中心にした多国間の協力。さらにコーデックス委員会への参画等々、国際的な取組みも強化をしていきたいと思っております
これも先ほどの話とダブるところが多いのですが、新たな課題への対応ということで、食品表示の一元化、集団的消費者被害救済制度、あるいはインターネット取引における消費者問題への取組み等々を進めていきたいと考えております。
駆け足で早口でしゃべりましたけれども、時間になりましたので、まず私からの報告は以上にさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見のある方はお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 どうも御説明をありがとうございました。人員が限られている中で、1年間、スタートから駆け足で、消費者庁の関係者、職員の皆さんは尽力されたと思います。本当に御苦労様です。
前からいろいろ申し上げているところはあるのですが、今日は3点だけ、今後のことも含めて、御相談あるいはお願いをしたい点がございます。
まず第1番目は、消費者委員会として未公開株の提言をさせていただきましたけれども、これは1つは特定商取引法と金融庁関係の法律、ある意味では法的な谷間ではないにしても、その2つの規制の間に落ちた谷間の問題でございました。消費者委員会といたしましては、特定商取引法の見直しを含めて提言させていただいたわけですけれども、現実に特定商取引法の適用除外になっているために大変深刻な消費者問題が起こっているにもかかわらず、手付かずな部分がかなりございます。
例えば投資用マンション。これは熾烈(しれつ)な電話勧誘が皆さんのところにも来ていると思います。我が家にも来ております。これは宅建業法の適用があるということで適用除外になっておりますが、悪質な投資用マンションの押付け販売がかなり蔓延(まんえん)しております。あるいは旅行業関係では留学生の派遣、要するにいくらでどこどこに1か月滞在できますとか言ってお金を集めておきながら、まともな履行をしないという業者の被害がかなり続出しておりますが、これも適用があるかないかはっきりしません。
3番目は、ケーブルテレビや地デジ関連の被害、あるいは携帯電話販売に伴う通信料金のトラブル。また通信販売自体にからむトラブル。あるいはインターネット情報関係の通信販売トラブル。いわゆる決済代行の問題も含みますが、これは電気通信事業法の適用の関係で適用除外になっているという関係もありまして、なかなか手が届かない分野です。
さらには、継続的な美容医療サービスなどといいますのは、いわゆる継続的な指定役務に指定されていないものですから、被害の救済が十分になされておりません。こういう分野につきましては、特定商取引法が改正されてあまり時間は立っていないのですが、特定商取引法の文字どおり網の目をぬって、このような消費者被害がかなり拡大をしておりますので、対策を講じていただくべきではなかろうか。ぜひ検討をお願いしたいと思います。
2番目に安全問題に関しましてですが、これはいわゆる安全分野の問題と取引分野の問題と大きく2つの分野があるわけですけれども、非常に乱暴な言い方をいたしますと、端的に例えば取引関係の被害は国民生活センターに情報を集中して分析して公表する。安全問題については重大事項だけが消費者庁の受付になっているわけですが、重大事故かどうかということがいちいち問題になるようですし、1か月以上という期限を切って重大事項とするのが果たして合理性があるかといろいろな問題がございます。
もちろんこれは法整備との関係もあると思いますが、この際、国民生活センターと調整して、基本的に例えば取引分野は国民生活センターで、安全分野は消費者庁が中心で、もちろん最終的には消費者庁が責任を持って対処するとしても、分野を分けたらどうかということも含めて、迅速かつ効果的な公表の体制も含めて、抽象的に体制を強化しますだけでは、ちょっと間に合わないのではないかという気がいたしますので、その点の御検討もできれば併せてやっていただいたらどうかと思います。
3番目ですが、これは地方消費者行政の問題でもあるし、執行体制の強化の問題でもあるんですが、景品表示法、特定商取引法、JAS法、食品衛生法などについて、中央省庁が処分権限を持つと同時に、地方局、都道府県が権限を持ったり持っていなかったり、ばらばらなんです。例えば特定商取引法につきましては、地方の経産局も独自に処分権限を持っておりますし、都道府県も処分権限を持っておりまして、かなり摘発の実績も上げていただいております。
ところが、景品表示法につきましては御案内のとおり、公正取引委員会の地方局は調査権限だけはあるけれども、処分権限はございません。都道府県も注意まではできるけれども、処分権限はございません。そういう関係で公正取引委員会の地方局がこの景品表示法の関係ではなかなか動きにくいという話も聞いておりまして、ここら辺の景品表示法、特定商取引法、そしてJAS法、食品衛生法の主務省庁と地方局と都道府県。この処分権限なり調査権限なりの整合性のある調整をそろそろ考えないと、ばらばらになっている。この辺は工夫が必要ではないかと思います。
いずれも重大な問題だし大変な問題なんですが、消費者委員会からも提言をさせていただきたいと思いますが、できれば検討をお願いしたいと思います。

○松本委員長 今のは消費者委員会全体の意見ではなくて、山口委員としての御意見ですから、そういうふうに御判断いただいて、お答えいただきたいと思います。

○福嶋長官 1番目ですけれども、特商法の改正をするのか、未公開株なら金融商品の方の法律を改正するのか、いろいろな論点はあるんだろうと思いますが、法的な課題があるところは改正をしていかなければいけない。それは基本的な考え方としては当然ですので、さらに消費者庁としても検討は深めていきたいと思っています。未公開株については金融庁や警察庁と今やっていますので、それをまず確実に取組みを進めなければいけないだろうと思います。
2点目の国民生活センターとの役割分担になるわけですけれども、安全分野は消費者庁で取引分野は国センときれいに完全に分けてしまうことは、なかなか難しいわけです。いずれにせよ、法執行や法的な権限を行使するところは消費者庁がやるわけです。ですから、とにかく連携を強めることが大切だと思っていて、抽象的に体制強化というだけではいけないというのは私も全く同感で、先ほどもお話ししましたが、チームをつくって、このチームは常に情報提供をされた基の情報をチーム全体で確認をしながら、さらに国センのPIO-NETの情報、あるいは海外の情報ですとか、そういったものを広く集めながら検討していきたいと思っております。
ですから、重大情報を区分けして重大事故以外は扱いませんということではなくて、重大事故をきちんと対応していくためにも、周辺の情報は非常に重要になってきますので、そういった意味でまずは連携を強めることが大切だと思っています。ただ、今ちょうど国センとの役割分担もさらに明確化していこうという議論をしていて、重点の置き方としては安全の方は消費者庁が、取引の方は国センがという傾向は今でももちろんあるわけですので、それを踏まえながら、もうちょっとわかりやすい明確な形で適切に役割分担をしていきたいなと思っています。
処分権限等について、その法執行の部分ですね。国の出先あるいは自治体と消費者庁の関係が法律によって違うということで、なかなか単純に全部の法律を同じように一元化しますというのは難しいように思いますけれども、地域主権での地方の権限委譲も含めて、その辺の見直しは今やっているところですので、できるだけわかりやすくて、かつ実効性のある体制を検討していきたいと思っております。

○松本委員長 ほかにございませんか。川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 どうもありがとうございます。自己評価の中で国民からの大きな期待に対して十分な成果が実現できなかった面もあるとおっしゃっていますけれども、1年目で今は緒に就いたばかりだと思うので、これからもぜひ努力を期待しております。よろしくお願いいたします。
1つお伺いしたいのですけれども、主な概算要求事項の中でマイナスになっているのが2つありますね。もちろん財源が限られていますので、当然優先順位はあると思いますけれども、この医療機関とのネットワーク構築と地方消費者施策の推進は大きな重点項目だと思いますが、これもマイナスになっている。ここの理由を教えていただけますでしょうか。

○福嶋長官 医療ネットワークの方は国センに予算を移してということですので、実際の予算が減っているわけではない。消費者庁の予算だけ形式的に見ると減っていると御理解いただければと思います。
もう一つは、地方行政の方ですか。

○川戸委員 ここの下に書いてある重点施策。

○松田次長 整備をした翌年は当然要らなくなるといいますか、その後の関係で対前年度を見て整備が終わったので、その投資費用が落ちたというだけでありまして、特に維持レベルを小さくするとか、そういうことでは決してございません。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 消費者庁創設のきっかけになった3つの事件がありました。1つはエレベーターの事件。1つはパロマの湯沸かし器の事故。もう一つはこんにゃく入りゼリー。この3つの事故について、エレベーター事件については独立した事故原因究明機関を創設してほしいというところに結び付いて、基本計画等にも入っていますけれども、1年経って、その願いがまだ実現していない。
パロマの湯沸かし器の事故で問題指摘された事故情報についても、消費者庁の重点政策には挙げてありますけれども、まだ形ができていない。言っては何ですが、事故情報の一元化、分析、公表がまだまだ不十分だと思います。
先般、自動車リコールに関連して事故情報データバンクの資料提供等をいただきましたが、あれを見ていましても国民目線から見ると、公表のレベルでも収集のレベルでもまだまだ不十分だという問題点を指摘させていただいたところであります。
もう一つ、こんにゃく入りゼリーについても、いろいろ検討していただくのはよくわかりますけれども、多くの方が亡くなった製品が今までどおり市場に出ていて、何ら変わっていない。そうすると明日にもまた同じような事故が起こるかもしれないという緊迫した状態が今ずっと続いているわけですね。だけれども、規制がなされないという状態が続いています。
最初の事故原因究明機関と情報の一元化の問題はまさに制度づくりの問題ですので、これについてはもっとスピード感を持っていただきたい。被害に遭われた方たちから見ると、あの思いが昨年の国会でやっと実現したと思っているのに、1年経ってなかなかまだ形になっていないという思いでおられると思います。ですから、この2つについてはスピード感を持ってやってほしい。
もう一つのこんにゃく入りゼリーについては、検討していただいているのはわかるけれども、まだ実際にストップがかけられないという状況が今日まで続いておりますが、せっかくそのすき間事案対応ということを、消費者庁に消費者安全法に基づく権限が与えられている。だけれども、結局これが行使できないという状態だとしたら、あのときの国会の審議は何だったのかということになるので、もし法律の要件が非常に厳しいならば、さらなる法改正の見直しをするとか、あるいは法改正に時間がかかるから、当面の間は行政指導等で一旦は今の製品、事故を起こした形の製品だけで結構ですけれども、そういうものを市場からストップさせて、その上で今、消費者庁がやっておられる検討を続けて、結論をお出しいただくということで、その間の暫定的な行政指導等はできないものかという思いでおります。この辺についてのお考えをお聞かせいただければと思います。

○福嶋長官 2点というのは、事故調査と消費者事故の収集、分析、公表の2点ですね。
事故情報の方は検討会をようやく発足しましたが、それが遅かったという御指摘だと思います。ようやく発足したところですので、この検討はかなり多面的ないろいろな課題を検討する必要があるので、すぐに結論が出ますということでは確かにないと思っています。
ただ、日航機の事故の御家族の方も、無駄な時間はもうこれ以上使わないでほしいとおっしゃっていたのは非常に重い言葉だと私も受け止めていまして、十分な議論をしないといけないところはきちんと議論をしないといけませんけれども、無駄な時間を使わないように、1日も早く事故調査の仕組みが日本にしっかりとできるように努力をしていきたいと思っています。
事故情報の収集や公表については先ほどから申し上げていることですけれども、自動車についても建議をいただきましたので、そういうことも踏まえながら取り組んでいきたいと思っています。この1年間、消費者庁をスタートして、今までの行政の視点ではなくて、消費者、生活者の視点での行政をやる。そういう社会をつくっていく司令塔になっていくという全く新しい発想の役所だと言えますから、それをスタートさせていくということで正直大変なエネルギーを使ってきたし、それはそれでとても大きな意義があったと思います。
ただ、単に法律で義務づけられているから公表する、集めるという話ではないはずなので、それをちゃんと消費者利益につなげる公表にしていかなければいけない。消費者利益につなげるためにはどういう公表が必要なのか。しっかりそういうマインドを持ってやっていくということがこれから問われると思うので、それをしっかりやっていきたいと思います。
こんにゃく入りゼリーの方は、食品SOS対応プロジェクトの報告に基づいて速やかにやっていこうという方向になっていますので、それに基づく研究会を立ち上げて、これはずるずるということではなくて、できるだけ早く結論を出して、それに基づいた対応を企業等にも求めていくということを確実にやっていきたいと思っています。今の時点ではそういう方針でおります。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 この1年間、消費者庁も消費者委員会もどちらも試行錯誤でやってきました。本当に見本がなく、どうやって暮らしやすい社会をつくろうかということで1年間やってきたのですが、いつまでも甘えてはいられなく、消費者庁も消費者委員会も本当に今年が正念場だと思っています。一緒に頑張っていきたいと思います。
1つお願いがあります。これから事故情報に関して検討会をつくるとか、いろいろな試みをされています。いつも私たちは消費者庁の方に来ていただいて、説明していただいたり、意見交換をいたしますけれども、それで終わっているような気がするんです。私はもう少し密な関係の連絡を取り合って、重複しているとよく言われる消費者庁と消費者委員会、何か同じようなことをやっているね、同じような検討会だねという声があるので、中の私でさえ時々思うときがあるので、そこら辺は協力できるところは協力しながら、きちんとした意見交換、無駄な労力を使わない努力をして、より効果的な方向で両方とも進めていけたらなと思っています。
執行に関して、山口委員がおっしゃったように私も思っていまして、地方自治体との関係、連携をどうやってつくっていくか。先ほど長官は、それぞれの法律がばらばらで、それを一本にぱっとできるものではないとおっしゃった。でも、そういう形でやることが地方消費者行政、地方の方たちの執行に非常に力になるのではないかと思います。人数が少ない中、予算が少ない中でやるときに、それが効果的ではないかと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
もう一つの方は、中村委員がおっしゃった消費者事故情報に関してですが、私も一番最初に長官がおっしゃったように、本当に消費者庁の生命線の活動であると思っています。消費者庁の命の部分だと思います。そこをきちんとやっていただきたい。消費者庁ができる前からずっと検討を続けてきたけれども、まだできていない。ただ、たくさん情報を集めて分析して原因究明して公表ではなくて、未然防止をどうしたらいいのか。消費者にわかりやすい情報提供はどうしたらいいのかという部分。事故情報データバンクで検索したとき、私たちに意味がわかるような内容、メーカー名が入っていたり、どういう状況でどうしてこういう事故が起きたのかをわかりやすく書いていただかないと、事故の未然防止にはつながらないと思っています。その辺りもぜひ今後これから情報課と安全課と検討を進めるようですので、ぜひよろしくお願いいたします。
もう一つ、基本計画ですが、今、消費者庁の重点施策ということでお話になった項目はほとんど基本計画に入っていると思います。この基本計画は本当に消費者庁が御苦労されて、非常によいものができたと思っております。これから毎年毎年きちんと監視も検証も評価もしていかなければならないというところですけれども、ぜひその辺りも意見交換をしながら、できるだけ効率よくやっていきたいと思います。
毎年見直しをするということですので、これは非常に画期的なことだと思っております。見直しをして閣議決定をする。その辺りもぜひきちんとやっていただきたいと思います。消費者委員会は消費者庁のある意味でおしりをたたくというか、きちんとやってくださいと監視をする部分もありますけれども、一緒に協力しながら同じ方向に向かって活動していますので、ぜひ、緊張関係を保ちながら協働していけたらなと思います。消費者庁も消費者委員会もこの1年間が正念場と思っています。期待しておりますので、よりよい活動をお願いしたいと思います。  以上です。

○福嶋長官 1点目と4点目は重なると思いますが、おっしゃっていただきましたように、消費者委員会は監視という役割を持ちますから、その点では緊張感を持って、消費者庁とやっていくということだと思いますけれども、審議会的な機能も持っていただいていますので、そこはぜひ一緒に同じ方向を向いて取り組んでいきたいと思います。
工程表を今回つくりました。赤で入れているのでけばけばしいのですが、工程表の中で消費者委員会にお願いする部分を朱で表示をしております。これを見ていただくとすぐにわかるのですが、かなりの部分を消費者委員会で議論をいただいて、あるいは意見をお聞きして、具体的には専門調査会等で結論を出していただいて、それを踏まえて消費者庁がというものがかなりあります。
ですから、この工程表をきちんと消費者庁として実行していくためには、消費者委員会とちゃんと連携をして、消費者委員会の協力が得られないと消費者庁してもこの工程表を進めていけないという話なので、まさにもっともっと情報交換をしながら一緒にやっていける体制にしていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。
自治体あるいは国の出先との権限。先ほど言いましたように法律が違うと全部同じ関係にするというのは直ちには難しいと思いますが、地域主権との関係もあって、地方にできる限り移譲をしながら、わかりすい関係に整理をしていきたいと思います。御趣旨はそのとおりだと思いますので、さらに努力をしていきたいと思います。それが2点目。
3点目で情報の収集、分析、公表です。こんなことを正式の場であまり言わない方がいいのかもしれませんが、私が就任をした日の情報の公表の中で、自転車の走行中に転倒をして1か月のけがをしたという公表がありました。これは法的な義務はクリアーしているかもしれませんが、一体この公表をしてどういう消費者利益につながるのかということは、とても利益につながるとは言えないと私自身は思いました。つまり、これは実際にはギアをチェンジしたときにギアが入らずに急停止して転倒したという事故です。そこが出せないと、消費者の安全にはつながっていかないわけですね。
その後、消費者庁内部のルールで、ちゃんと製品との関係がわかるように出していくということはルール化したんです。内部のルールですけれども、少し改善はしてきている。その改善は要するに消費者の利益にどうつなげるか。公表をどうつなげるかを常に意識して公表していこうということ。自転車事故はある意味、小さな事故かもしれませんけれども、そういったマインドはすべてに共通をするものですし、大きな問題が起こったときほど、それが真価が問われると思うので、ぜひそういう公表にしていきたいと思っております。
製品名を出すかどうかというのも、これは分析力にすごく関わると思います。1つの事故情報が来たときに、これがどのくらい重大で、製品の疑いがどのくらいあって、すぐに製品が原因かどうかは究明できないとしても、今後起こる可能性がどのくらい高いのか。それを判断するためには重大事故だけではなくて、周辺の事故、重大事故以外でも似たような情報がないのかどうか。ヒヤリ・ハットで近い事故がないのかどうかというのも調査してみないといけない。そこでの判断。そういうことによって的確な判断ができるわけです。これは体制の充実も必要なので大幅な人員増も要求していますが、その体制ができるまでに少なくとも半年とか、あるいはそれ以上はかかるものですから、それまで持っているわけにもいかないので先ほどのチームをつくって、常にチームとして的確な判断ができるように努力をしていきたいと思っています。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 消費者庁が国民の期待に反して十分成果を出せなかった面もあるという記述になっていますけれども、私は1年間でそんなに急に大きな成果が出せるとは思っていませんで、消費者政策というのはやはり地道に積み重ねていく上で成果を出していく面も非常に多い。緊急にやらなければならない課題というのももちろんありますけれども、基本的には時間をかけて、じっくりじっくりやっていって成果を出していくということで見守っていく必要があると思っています。
ですけれども、1つ足りないのは、国民消費者に対する説明だと思います。たまたま最近、海外のオランダとドイツの例ですけれども、これは食品のリスクに関してのコミュニケーションをどのようにやっていくか。食品のリスクということに限られてはいるんですけれども、参考になると思いました。非常に丁寧なコミュニケーションが行われているということです。頻繁に行われているということがまず第一。
説明するに当たって、スピーチの仕方について訓練を受けてからやっている。どういう話し方をすれば一般の消費者にわかってもらえるか。したがって、専門用語は一切使わない。もっとほかにもいろいろありましたけれども、そのような配慮をして、頻繁に説明をしている。
これは前にイギリスで食品安全政策が変わって、新しく食品基準庁ができたときの初代の長官も同じようなことをおっしゃっていました。その説明をするときにどのように説明をするとよくわかるかということについて、マスコミからアドバイスをもらった。要するに機会をつくっては、しょっちゅうマスコミに出るチャンスを求めて、とにかく出て説明するということが使命だと思って、一生懸命にやったというようにおっしゃっていました。その結果、食品安全に関して、イギリスでは信頼を得ていると彼は言っておりました。そこが少し日本の行政はどこも足りないんですけれども、消費者庁も足りないと思うんです。
ですから、長官、ぜひ頑張っていただいて、2週間に1回はリリースをする。特に何かがあってリリースをするということではなくて、この2週間このようなことをやってまいりましたというようなことでいいと思います。そういうことの積み重ねを丁寧に丁寧にやっていくことによって、消費者庁がどんな動きをしているのか。どんなことについて、取り上げて検討をしているのか。一般の消費者に理解をしていただくということは非常に重要なことで、一部のマスコミや一部の消費者団体の代表やそれなりの関係者がわかっていればいいという問題ではないと思います。これは消費者委員会も言われておりまして、何をやっているのかわからないと。ですから、消費者委員会の課題でもあるんですけれども、ぜひ努力をしていただきたいと思います。

○福嶋長官 今おっしゃられたことは、私自身が今までいくつかの仕事に携わってきた中でも、私も大切にしてきたことです。これを消費者、国民に伝えたいという思いが本当にこちらにあるのか。一応言っておかないと後で責任を追及されたら嫌だから言っているのか、本当にこれを伝えたいという思いがあって言っているのかということで、一つは全く変わってくると思いますし、こちらの思いだけではなくて、消費者の立場、国民の立場で本当に何が知りたいのか。本当にこういう言い方をしてわかるのかということをちゃんと考えないといけないと思います。
専門用語ということを言っていただきましたが、本当にわかっていたら専門用語を使わずに全部説明できるはずなんですね。専門用語でしか説明できないということは、説明する者自体が中途半端にしかわかっていないということだと思いますので、ぜひそういうふうになるように。でも、これは簡単なことではないんですが、そういう御指摘をいただいたことは常に心の真ん中にきちんと入れて、やっていきたいと思っております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 ありがとうございます。この1年間の報告につきまして、非常に努力されたということと、私どもも非常に関心を持っておりましたので、今日はしっかりと聞かせていただきました。いろいろな方から意見が出ておりますので、私の方からはお願いとお聞きしたいことがあります。4ページの地方消費者行政でございます。
ここに書いてありますのは、私どもも最近調査をいたしましたところ、23年以降、24年度からどう扱っていけばいいかという行政の方たちの回答であります。今回その集中月間として、3年間それが達成できなかったところは手を挙げて、24年度1年間をするということを報道されていらっしゃいますし、通知されていらっしゃるのですが、そこのところがまだ行政の方でわかっていらっしゃらないというところが、説明してもだれでもできるんだろうと思っている方もいらっしゃいましたので、使い切れなかった分は24年度に手を挙げてもらえるということを、返納ということではなくて、それを通知していただきたいと思います。
ここに書かれているのは、確かに消費者委員会では専門調査会が23年度以降について検討はしておりますが、それにつきまして、具体的に取り組みますと書いてございますが、この報告の後、できるだけ速やかな形で動いていただけることを期待したいと思います。地方の行政や相談員もそうですが、非常に不安がっています。相談員で自分は23年までは雇いがあって、24年度以降はないのではないかとか、そういうような不安を持っている。それは行政がそのようなニュアンスの言い方をしているのではないかと思います。それでは何のためにこの3年間があったのかなと非常に残念な思いがいたしますので、そこのところはきちんと消費者庁がお伝えいただくということが必要であるのではないかと思います。それに向けて消費者委員会の方で専門調査会も力を込めて、一生懸命やっていかなくてはいけないとは思っています。
このページは全部が私にとっては非常に関心の高いところで、ほかのところもあるのですが、この国民生活センターのテスト機能を充実するということで、予算の概算要求も非常に多くなっております。
先日、NITEを見学させていただいたんですが、あそこの施設はものすごくお金がありまして、以前は東京の方はそれほど実験等がなかったのですが、それぞれのところで日本で1台しかないというような非常に高度な機械がありまして、取り組んでいらっしゃる職員の方々は何か訓練されたということをおっしゃっていましたけれども、非常に熱心に取り組みをしていると報告をされました。
そういたしますと、この国民生活センターの予算から見まして、確かに非常に大きな金額にはなっておりますが、これがどのような形で強化されるのかはすごく関心があるところです。これは設備の拡充、人員ということも含まれていると思いますが、そうであるならば、この金額では非常に少ないのかなと思います。NITEやFAMICのようなところと連携をしながら住み分けをするということで考えているにしても、金額的には非常に少ないような感じはいたしております。何をどうするかということは、私も今これを見て考えておりませんが、NITEを見学した限りにおいては、非常に残念な少ない金額かなと感じております。
ここに書いてございますように、都道府県等における相談処理に資する商品テスト依頼に不足なく対応するということであるならば、なおさらもっと苦情案件が出てきたものが速やかにテストしていただけるような施設を考えていただきたい。そのためにはどんな情報や相談が入っているかを消費者庁の方で十分に分析していただいて、国民生活センターと併せてやっていただくということではないかと思います。これが消費者庁の予算と書いてありますので、そのように感じておりますので、ぜひそこのところをテスト機能の強化について強く図っていただいて、消費者のためのテストがあるべき姿を発揮していただきたいと思っております。
PIO-NETですが、新しくできましてから非常に使いづらいということで、今朝もPIO-NETの懇談会がありまして、体制を新たにしようということを考えていらっしゃるとは伺っておりますが、倍に設置されるということですが、小さなところも手を挙げまして、多分設置されると思います。
そういたしますと、設置されて見るだけだということで、入力はなかなかできない。しないで見るだけでもいいというところがあるやに伺っておりますので、そこに設置されたからには、その責任でもって情報を入力することが一番大事なことなのではないかと思います。見るだけ見て、情報がないからしないということではなくて、入力は大変だからしないという表現を使われました。ですから、なるべくこの見直しの機会をもう少しわかりやすいようなものと今まで相談員がこれだけのものを入れていた。また、メモ欄などが非常に使いづらいというところもあるし、そんなものは必要でないといういくつかの御意見もありやに伺っております。
そういうところを地方の人たちからも意見を聞き取っていただきまして、どのように新しいPIO-NETのシステムを構築するかということをぜひやっていただきたいと思います。「入っても何だか使いづらい。」「入れなくてはいけないのだったら、見るだけしかしないわ。」「相談件数があればいいのではないか。」そういうような意見も聞きます。それはやはり使い方が難しいということに始まっていると伺っております。連携強化をするとおっしゃっていますので、せっかく配置されたものが無駄にならないような情報の取り方をしていただければと思っています。

○松本委員長 申し訳ありませんが、もう10分以上お話になっているので、消費者庁の個別政策をそれぞれ深く精査したいというお気持ちはよくわかりますが、それですと今日の2時間では恐らく終わらないと思うので、要領よくお願いします。4時には次の議題に移りたいと思います。でないと消費者委員会自体の反省の時間が取れないので、そちらの方が困ったことになります。

○下谷内委員 わかりました。私の希望といたしまして、一応そういうところです。ですから、積極的に働きかけをもっとやっていただければいいのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○福嶋長官 ありがとうございます。まず地方消費者行政ですけれども、おっしゃられたように、基金の強化期間は強化期間でやって、その後は今、消費者委員会で検討していただいている方向で、スタートの4年後からは突然すとんと変わりますという話では決してないわけです。
ですから、消費者庁としても、今、専門調査会で議論をしていただいている方向をよく見ながら、この基金を使って、その後の期間をリードできるような事業をどう地域にやってもらうのかということがとても大事だという認識をしています。改めてそういう検討を消費者庁でもやっていきたいと思っています。
何よりも、ただお金をあげればという話ではなくて、だからお金は要らないという意味ではないんですが、どんなに財政が厳しくたって消費者行政は最優先でやるという自治体になってもらうのに、どうサポートするのか。そういう自治体になってもらうためには、住民の皆さんが消費者問題ということに対する意識を強めていただく。そういう意識レベルが高まることが自治体を変えていくことにもなると思うので、消費者教育とかいろいろな問題を総合的に進めないといけないということだと思います。言葉で言うのは簡単ですが、実際はものすごく大きな課題だと思いますが、ぜひ取り組んでいきたいと思っています。
国民生活センターの商品テストの体制ですけれども、今回のこの予算で完璧かと言われれば、完璧ではないのかもしれませんけれども、かなり思い切った充実の予算にしているつもりではいます。これも国民生活センターと十分これからも協議して図っていきますということに尽きるんですけれども、これだけ多様な問題が出ている時に、全部国センで商品テストをできるという体制に整えるんだというのは難しい話で、NITEはもちろんですけれども、いかにいろいろな民間機関あるいは大学の研究室などさらに連携を深めて、バックアップ機能を持ってもらうとか、そういうこともとても大事だと思うので、総合的に進めていきたいと思っています。
PIO-NETは端末を広げるからにはぜひ有効になるように、先ほどのお話は消費生活センターで設置されても入力はしないと言われているというお話なんでしょうか。その辺は消費者庁としても、これもまた国センと一緒になって、丁寧な対応をしていきたいと思っています。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 時間のないところを済みません。私は経団連とか同友会で地方の行財政のことに長年携わってきておりまして、福嶋さんの我孫子市長時代の御活躍について、一度お話を伺いたいと思っていました。その機会は、ありませんでしたが、私の経験から、消費者行政というのは地方の行政そのものではないかと思っています。ですから、ぜひ地方の現場におられた方としての目線で、消費者庁長官としての御活躍を期待したいと思っています。
この委員会もちょうど1年経ちまして、そういう面で私は自分の自戒(じかい)も込めて意見を述べたいと思います。ずっと企業の経営に携わってきた立場から見ますと、やはり行政というのは、世の中のスピード感とかけ離れたところで動いているなというのが実感であります。法治国家ですから、法の下で動いているということで、ある程度はやむを得ないと思いますけれども、これだけスピードがある中では、法の改正ということが常にあることを前提で、相当ハードなことをやらないと、今の時代には合っていないのではないかと思っております。
そういう面で2つ申し上げたいのは、消費者庁と消費者委員会というのは発足して1年です。これはちょうど自民党と民主党が、代わったときにできた法律で、突き合わせの法律ですね。ですから、お互いにやってみて、ヒトもカネもモノもない。法律的にも矛盾しているところがあるのではないか。そういう意味で、できて間もないからこそ消費者委員会と消費者庁のやるべきことをもう一回両者が平等に整理すべきではないかと思います。時間が経つと、そういうことが一つの事実になってきますから、調整が付きません。
先ほど佐野委員も少し言っていましたし、委員長も委員会の総括の前書きでそういうことを書いておられます。ぜひ一回そういうチームを消費者委員会と消費者庁でつくって、重複している作業を整理した方がいいと思います。ここまでは消費者庁がやったから、これから消費者委員会というのが最近は結構多いんです。組織として、そんな仕事はおかしいのではないかと思います。それは法律に書いてあるからそうなのかもしれないけれども、物事を決めていくのにそんなことは絶対にあり得ないですね。ここまでやりましたから、新しい組織がやってくださいということはおかしいと思いますので、ぜひ調整していったらどうかと思います。
もう一つ、私は経済人として、日本がおかれている金詰まりの世の中の財政状況を考えますと、日本の成長には規制緩和しかないと思っています。規制緩和する一方で、必ず悪質な事業者の犯罪が増えるわけです。ですから、それに積極的に対応していくということが非常に大事なのではないかと思います。規制緩和をやると悪質な事業者による消費者被害が増えるから規制緩和が進まないということでは、悪い循環になっていくと思います。そこを何とか解決して、知恵を出していくのが我々の仕事ではないかと思います。それがこの消費者庁なり消費者委員会の大事な役目ではないかと思います。消費者行政の司令塔であり、エンジンであるというのは、そういう意味ではないかと思っていますので、ぜひそういう点で御活躍を期待したいと思っています。

○福嶋長官 スピード感のお話は私も同じように感じています。ですから、消費者委員会と消費者庁の役割分担みたいなものをもう一度、チームをつくるかどうかというのもありますが、もう一回きちんと整理をさせていただけたらいいのではないかと思っています。
これは余分な話で、あくまで自治体にいたときの話ですが、3日で結論が出ることを検討会をつくって1年かかって検討しているということはやらないようにと常に言ってきましたので、消費者庁でそういうことがないように気を付けていきたい。日航機事故の宮島さんがおっしゃって、先ほどお話をしました、必要な議論はきちんと時間をかけてやらないといけないと思いますが、無駄な時間を使わないようにしたいなと思っております。
法執行の体制というのも全くそのとおりで、いくら法律をつくっても執行のところがきちんとできないと何もならないですので、そういう意味では人員強化の一つの柱が法執行の体制強化ですので、しっかりやれるようにしていきたいと思っております。

○松本委員長 委員からさまざまな要望等が出されましたが、多くの部分については消費者庁としてすでに取組みを始めている、あるいはこれからしようとしているということだったかと思います。その際に長官が最後におっしゃったように、スピード感を持ってやっていただくのが必要だろうと思います。それが1点。
もう一点は、これも何人かの委員が出されましたし長官もおっしゃいましたが、消費者委員会と消費者庁の間の役割分担、あるいはもう少し広げれば国センとの間の役割分担という設置法の附則で検討すると書かれていること自体ですけれども、それをこの1年の間にきちんとやる必要があると思います。これは消費者庁だけではなくて、我々自身についての宿題でもあると考えています。本日はどうもありがとうございました。

(福嶋長官、松田次長退室)

≪3.消費者委員会の1年及び今後について≫

○松本委員長 それでは、続きまして、消費者委員会の1年及び今後についてです。消費者委員会は消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みであり、かつ消費者庁を含めた関係省庁の消費者行政全般に対して監視機能を有する独立した第三者機関として、設置法に基づき昨年9月1日に消費者庁とともに発足しております。
この1年間の活動につきましては「平成21~22年度消費者委員会活動報告(案)」としてとりまとめておりますので、この報告(案)につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○原事務局長資料2(PDF形式:63KB)に基づいて、事務局から説明をいたします。「平成21~22年度消費者委員会活動報告(案)」。その後ろに「資料」をお付けしておりますけれども、これはいずれ合本をし報告書にしたいと考えているものです。
資料2ですけれども、開けていただくと1ページに目次がございます。「はじめに」の委員長の巻頭言で、これは消費者委員会の1年といろいろと各委員から出たお話も含めた私どもの試行錯誤の1年、それから今後の機能強化に向けてというところで、委員長から少し問題提起型で巻頭言を書いていただいております。
「第1章 消費者委員会の発足」。
「第2章 平成21~22年度の消費者委員会の取組み」。「1.委員会会合」、「2.部会・専門調査会等における審議」、「3.調査」、「4.外部との意見交換等」という構成にしております。
「はじめに」は3~5ページにわたって松本委員長に書いていただいております。
6ページから本文が始まります。「第1章 消費者委員会の発足」ということで、昨年9月1日に発足をし、「2.消費者委員会の所掌事務等」と書かれておりますけれども、(1)で自ら調査審議をするという機能、(2)が重要事項に関し調査審議をするという審議会的な機能。この2つを併せ持った形で発足をしております。
消費者委員会の委員の人数は10名以内という条文になっておりますけれども、この1年は10名の委員で活動をしてまいりました。
8ページからが具体的にどういうことに取り組んできたかを書いております。「1.委員会会合」ですけれども、1年間で33回の委員会会合を開催しております。資料2-1-1と書いておりますけれども、この資料を明示しているところは先ほど御紹介いたしました資料集に詳細を付けておりますので、後からご覧いただけたらと思います。
どういうことを審議してきたかですが、8ページ「マル1消費者基本計画策定にあたっての審議およびその後の検証・評価・監視について」。消費者基本計画に策定に当たっては8回の消費者委員会での検討をしております。第16回の委員会、3月3日に消費者基本計画に向けての意見を提示し、第20回の委員会、3月25日に消費者基本計画の検証・評価・監視についての視点をとりまとめております。
早速、消費者基本計画策定後の検証・評価・監視についての活動に取り組んでおりまして、第25回、5月28日~6月25日までの4回をかけて、すでに1回は実施をしております。重要施策10項目に沿って重要課題を選択した上で、その中からさらに必要と判断した18項目について各省庁に、その工程についてヒアリングを実施しております。
9ページ「マル2消費者委員会からの建議」。前回の消費者委員会で御報告いたしましたけれども、自動車リコール制度に関する建議を行っております。自動車が消費者に身近な製品であること。事故時のリスクの大きさを踏まえて、消費者の安全確保の観点から、この制度ができて相当長い年月が経っておりますけれども、消費者の視点から検証を行い、建議を行ったということになります。
「マル3消費者委員会からの意見表明等」。
「・自動車用フロアマットのアクセルペダル等への影響について」、「・地方消費者行政の充実強化に向けて」。
10ページ「・未公開株等投資詐欺被害対策について」。これは第22回の委員会、4月9日ですけれども、被害救済を迅速に進めるための民事ルールの整備、抑止効果となる制裁措置の検討・導入、効果的な行政対応についてということで提言をとりまとめております。
「・消費者安全法に基づく国会報告について今後重視されるべき基本的視点」。3つの基本的視点を委員会において、とりまとめております。
「・こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言」。これは食品安全委員会と消費者庁の食品SOS対応プロジェクト会合が動いておりましたので、そちらの動きも見ながら消費者委員会としてどう取り組むかだったのですが、6月以降、集中的に委員会でも検討を重ね、第31回委員会、7月23日に消費者安全法上の措置についてと食品の形状・物性面での安全性についての法整備を内容とする提言をとりまとめております。
11ページ「マル4諮問を受けて答申を行った事項等」ということで4つ書いております。
「マル5その他」ということですが、エコナ関連製品への対応、事故原因究明機関の在り方、有料老人ホーム、健康食品の表示の在り方。12ページの消費者教育、決済代行業というような、これらの多種多様な議題について検討をしております。
この間、委員間打合せを随時開催しておりまして、これは資料の50ページを見ていただきたいのですが、どういうふうにして委員間打合せを行っているのかというのはこれまでも質問をいただいておりまして、資料2-1-10として50~51ページにかけて、こういった内容で委員会間打合せも行ってきたということをお示ししております。
本文の12ページに戻っていただきたいのですが「2.部会・専門調査会等における審議」ということで、資料の52ページに今の消費者委員会の審議体制ということで、消費者委員会の下に10の審議体制が置かれております。大変たくさんの審議体制を組むということで、この1年は大変な労力を使っておりますけれども、その資料の後ろにそれぞれ、食品表示部会、新開発食品調査部会、新開発食品評価第一調査会、第二調査会、消費者安全専門調査会、製品事故情報の公表等に関する調査会、個人情報保護専門調査会、公益通報者保護専門調査会、地方消費者行政専門調査会、8月に設置を決めました集団的消費者被害救済制度専門調査会ということで、それぞれ名簿と設置運営規定とこれまでの議事一覧を掲載しておりますので、ごらんいただきたいと思います。
15ページ「3.調査」。調査は大きい調査を2つやっております。1つは「・地方消費者行政の実態調査」ということで、今年の1月に報告書として、とりまとめております。実地調査と書面調査の2つの方法で行っております。
「・自動車リコール制度に関する実態調査」ですが、これについては前回の委員会でも御報告をいたしましたけれども、事務局5人で数か月かかって調査に取り組んで、建議に結び付いたというところになっております。
16ページに書いておりますけれども、これは消費者庁及び消費者委員会設置法第6条に基づき実施した初めての調査ということになります。国土交通省及び消費者庁に対して、各種資料の提出要求、関係団体、自動車メーカー及び輸入事業者へのヒアリング、ユーザーアンケート、インターネット調査を行うという大変大きな調査をしております。
「4.外部との意見交換等」。
「(1)地方懇談会」は13回行っております。
「(2)消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」も開催しております。
「(3)消費者委員会宛ての意見書・要望書」ですけれども、これは資料の105ページに掲載をしております。1年間に85件の要望書と意見書が寄せられております。大変多岐にわたる内容になっております。
「(4)消費者委員会からの情報発信」。ホームページ上での委員会の活動のネット配信、委員長による記者会見というようなものを行っているところです。
「(5)消費者委員会委員と海外の消費者行政関係者との意見交換」。委員長が韓国消費者院、ベトナム政府競争管理局と意見交換を行っております。
1年経ちましたけれども、事務局はたった16名の人数でスタートいたしました。33回委員会を開き、下部組織は10になりましたし、調査も大きい調査を2つして、建議や提言をまとめてきた1年であったということになります。
ただ、やはりこれから2年目というところでは、自ら調査審議として、何を取り上げていくのかは大きな課題だろうと思っておりますし、先ほどから出ております国会での附則・附帯決議の関係、消費者基本計画に盛り込まれている消費者委員会に求められている意見。これをどういうふうに委員会で検討していくのか。さらに、消費者基本計画の評価検証も大きな作業としてあるだろうと思っています。
事務局からは以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。

それでは、活動報告(案)につきまして、どうぞ御意見をお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 報告はまさに報告で事実を淡々と書いてあるのですが、私はどういう活動をしたかということに加えて、消費者委員会のやったことの成果がどういうものがあるのか、ないのか。これも国民の皆さんに明らかにする必要があるだろうと思います。
お配りした資料3(PDF形式:29KB)「消費者委員会の活動と成果(中村委員長代理提出資料)」というものにまとめましたので、お読みいただくとして、簡単に申し上げますと、この1年間、消費者委員会の動きが見えないと言われ続けてきました。その大きな原因は立法過程に1つの大きな要因があります。消費者政策委員会ということで、消費者庁の下の単なる審議会の法案として出ていて、その段階ですでに予算づけが行われた。その後、法案修正によって消費者庁の下から内閣府本府に独立した機関として設置されて、単なる審議だけではなくて、自ら調査、建議できる監視機関として位置づけられた。ところがそのための予算づけは何ら手当されないままスタートしたというのがこの消費者委員会であります。
ですから、国民の期待するところ、法律に書かれていること等から見ると、現実の活動に大きな落差がある。そのことが動きが見えないと言われる大きな要因であろうと思います。その後、予算、人員の要求はしておりますけれども、なかなか思うように本来の活動ができる、与えられた任務が遂行できる状態にまでなりきっていないのが現状であります。
事実に基づいて書かれた報告書、資料の26ページにこれまでの活動というのがあります。これを基に私の方でどんな成果があったのかというところを書いてみましたが、あまり時間がないので象徴的なところを2~3申し上げます。
1つは、消費者基本計画に対する関与でありまして、これは従来の消費者基本計画の成立過程と比べて大きな違いがありまして、昨年の秋という段階から、もう素案の素案みたいな段階から消費者庁から原案を見せていただいて、私どもは重ねて意見を言ってきた。8回の審議。8回の審議だけではなくて、委員間打合せというのが50ページに書かれておりますが、この中でも7回もやっていて、合計15回、基本計画について消費者庁に物を申してきたわけです。それらがことごとく反映されていって、3月30日の基本計画になった。これは従来、国民の声を反映されるということでは、パブコメと公聴会くらいしかなかったことと比べると大きな前進であろうかと思います。
さらにそれの検証・評価・監視ということも早速スタートしております。消費者庁がおやりになる作業の工程表についても、その作成段階からあらかじめ監視をしているという作業もできたと思います。
もう一点、注目すべきは、やはり自動車リコール問題であります。いわゆる設置法の8条に基づく法律上の資料要求権を行使した最初の事例であります。そして、それに基づき報告書をまとめ、消費者目線から現在の自動車リコール制度を見直す建議としての第1号を発表しました。これは消費者委員会の仕事の成果であることを明らかにしておかなければいけないと思います。
この中で私どもは、この法律の権限に基づいて資料要求をしてみると、国民の目に触れていなかった多くの情報が行政機関の中にあるということがわかりましたし、それらを含めて消費者目線で問題指摘をするという新しい作業が今回できたのだろうと思います。さらに、建議も言いっぱなしではなくて、その建議事項について、実施状況を今年の年末までには報告するようにという、これも設置法8条に基づく報告要求をあらかじめ建議の中に明記したという建付けでこの建議を出しているということであります。この辺はやはり大きな成果として御報告しなければならないことだと思っています。それに従事した、たった16人の職員の中から5人が専従的にこの半年ほど携わったことも御報告しておきたいと思います。
広報に関しては、ホームページは確かに途中で立ち上げましたが、実にシンプルで国民から言うとあまり見ばえのしないものだろうと思いますし、国民の側からの意見を聞くコーナーというものがないというところが現実でありますが、これから成果として出していかなければいけない宿題でもあると思います。
とりあえず御報告します。

○松本委員長 では、文書を出していただいている山口委員から、どうぞ。

○山口委員 役所の活動報告ですから、こんなものなのかなというあきらめと同時に、普通だったら次年度以降はこうしますということも含めて書かれるものではないかと思うのですが、どうも委員の中での意見のニュアンスもかなり違いますので、とりあえず私の感想を率直に述べたいと思います。
成果は中村さんのおっしゃったこととそれほど変わりませんが、要するにこの委員会は関係省庁のどこに対しても率直に物を言えるという独自の権限を持っているわけですから、それをもっと発揮するべきだったし、できたのにと残念に思います。
私の資料(資料4)(PDF形式:31KB)の第2のところで問題と書きましたが、私は委員になるときには、この委員会は毎月1回くらいは提言か何かができるものなのかと思っていましたが、本当にできないんだなと。ある意味では役所なので無責任に意見を出すわけにもいかない。言いっぱなしというわけにもいかないというところはもちろんあるのですが、本当に重いなと痛感します。この1年間、去年の11月に任命されてから、本当にフラストレーションばかりたまってまいりました。
2番目の発信しない、発信できない。委員会の下部組織たる専門調査会や部会の機能がこんなものでいいのかなと私はいつも感じながら傍聴し、あるいは担当委員として参加させていただいておりました。先ほど見たら、安全調査会は3回しか開かれていません。これではないのと同じではないかと思います。もっと頻繁に開いて、何をするべきなのか。もっと任務分担をはっきりさせてやるべきではないかと思います。
その最大の原因はやはりスタッフが足りない。もちろん、それぞれの専門調査会の分野に通暁(つうぎょう)した職員ではありませんのでしようがない部分はありますが、もう少し通暁(つうぎょう)した関係省庁の担当者と深く連携をしながら、本当に事務局が努力をしてきたことは認めるし、優秀な人たちなんですが、専門分野に通暁(つうぎょう)しているわけではないので、諮問的な調査会はもう少し関係省庁と任務分担を交通整理してやっていけばよかったのではないかと思います。
そういうことで私は改善の方策も、できれば活動報告にとどまらず、次年度以降はこうするから予算もちゃんと付けてくださいね、人員も増やしてくださいねということも書ければいいのかなと思うんですが、どうも役所の活動報告なので、そういうことはできないというムードなんですけれども、できればやっていただけないかと思います。
私の資料の第3のところですけれども、調査力、専門性のパワーアップ、発信力の強化のために委員の協議や勉強の機会を増やして、あるいは委員のワーキンググループをつくるなどをして、委員がもっと動ける体制をつくるべきではないか。もちろん、事務局の充実とか外部民間調査委員や調査組織との連携。特に国民生活センターとの連携あるいは協力案件の強化をするべきではないかと思います。
監視機能強化のためにも全体でやることと分野別担当を決めて、アドホックの外部調査員と協力して、調査して発信するというテーマを分けて検討作業をスピードアップすべきではないかと思います。
審議会機能の見直しについては、もう繰り返し申し述べてきたところではありますが、いわゆる諮問的な事項について諮問するような、そういう専門調査会についてはもっと大幅に関係省庁、特に消費者庁の方の協力を要請できないだろうか。場合によっては、消費者庁担当職員に併任でもいいから消費者委員会に出向する形にしていただいて、消費者委員会の職員として審議会を切り盛りしていただくくらいのこともできないのだろうか。
また、活動の透明性を高めるという工夫も必要ではないかと思います。委員間協議でどんなテーマでどんな討議をして、正式のヒアリングの場でどういう理由でこのテーマが設定されたのかが見えないということがありますので、この委員間協議で非常に重要な討議、あるいは非常に重要な勉強会をしていますので、せめてどんな討議をしたのか。事務局作成の委員間協議のメモを全員がチェックしていたらいつになるかわかりませんので、関係担当委員2名くらいを毎回決めてチェックして、随時公表することにしたらどうかと思います。
メディアの対応もメディアを定年退職した方で、元気で意欲のある方を広報担当として採用して、積極的に発信していくような工夫をしないと、このままでは何をやっているのと、いつまでもそうなると思います。各委員会の傍聴者数名に感想文をお願いして、ホームページに載せるというようなこともあっていいのではないかと思います。
また、この間のヒアリングでも消費者団体から指摘がありましたけれども、要するに各テーマをいつまでにどういう形で作業をしていくのかという、重要テーマについて工程表をつくってやっていくということが必要かと思います。
内情をさらしますと、委員にとっても2か月先の委員会あるいは委員間協議で何をするのかが決まっていません。これは委員間協議でも決まっていないんです。私はテーマ設定は事務局任せで決していいとは思いませんし、それを次回、次々回は何をするのかというくらいは委員会の中でも話し合って決めたい。次回は何をやるか、2か月先、3か月先あるいは4か月先は何をするかについて全く決まっていません。事前に決まっていれば、その日程に合わせて国民生活センターと事前協議をすることも可能だと思いますが、そこら辺がこれまでなされてこなかった。私はその意味では、これは事務局のせいではなくて、我々委員の責任だと思いますが、もう少し中長期的なテーマ設定を決めて、そのための準備作業をやるようにしたい。
前回の委員間協議で率直な議論がございました。私は毎週あと1日か2日は動けます。火曜日の午前中の委員間協議と金曜日の3~5時の公式のヒアリングだけではなくて、私は委員会の専任にはなりたくないですが、あと週に1日か2日は時間をつぶすことはできますし、しなければいけないと思っています。
しかしながら、例えば忙しい先生方が、私以外はそれぞれの分野の第一人者ですから、第一人者が週3回も4回も時間をつぶすことができないというのはよくわかりますし、お忙しい方々が委員間協議あるいは公式のヒアリングにおいでになることは大変重要なことだと思うし、そういう方々が一つのまとまった意見を出して建議、提言に行くということは意義があるし重要なことだと思います。しかし、それだけで後は事務局任せというのは不十分ではないかと思うので、動ける委員はあと1日か2日は分担を決めて動くべきではないか。
ちなみに公正取引委員会で、これは専従ですから別の要素もありますが、やはり公正取引委員会の委員も一定の分野を決めてやっている。あるいは国家公安委員会などでもみんなが同じことをやるのではなくて、行って動ける分野の担当を決めてやっているということも聞き及んでおります。
私はそういう工夫をしながら、動ける委員は全体に報告しながら動き、かつ効率的に重点項目を決めながら作業工程を決めてやっていかないと、結局次年度もこれと同じことになるのではないかと思います。この点はこういう公開の場で議論をするのか、委員間協議の中で率直に意見を出し合うのがいいのか、私はよくわかりませんが、傍聴席からの意見も含めて、どうやったらもっと発信できる、あるいは消費者に役に立つ委員会になるのかを真剣に議論をするべきだと思います。
念のために言いますが、私は本当に忙しい方々が週に2回出るだけでも大変な負担だと思うし、そういう方々がおいでになることは重要なことだと思いますし、それでいい部分はあると思います。ただ、動ける委員はもっと動くべきだと。また、その動く場所を設定させるべきだと思います。

○松本委員長 では、佐野委員、お願いします。

○佐野委員 消費者庁、消費者委員会が昨年9月1日にスタートして1年経って、今、一番考えなければならないのは、消費者、多くの国民が消費者庁や消費者委員会をなぜつくろうと望んだかということ。私はこれは非常に重要なことだと思って、この「なぜ」を心にとめて常に活動をしていきたいし、活動してきたと思っています。
その「なぜ」というのは、やはり消費者行政の一元化、事故情報の一元化、縦割り行政はやめてほしい、消費者目線で消費者行政の政策を考えてほしい。いろいろなすき間もありました。消費者庁がいくらこの立派なビルの中に入っても、何の役にも立たない、地方消費者行政を何とか活性化させたい。なぜ私たちが消費者庁、消費者委員会をつくってほしいと願ったかというのは、私が今ここにいる原点だと思って活動をしています。
1年間の成果としましたら、先ほど中村委員がおっしゃったように、建議も提言も意見書も出せた、全員で検討しながらそれだけのことができた。私たち委員みんなで文章を考え、意見を交換しながら、最終的な文章を考えて案を出してきた。それは非常に大きなことだと思っています。
また、2つしか調査できませんでしたが、事務局の方々と連携を取りながら、ここまでやってきた。それは1年間、何の見本もなく、何のお手本もない中で私たちが試行錯誤でやってきた中の成果だと思っています。
先ほど、消費者庁長官に申し上げましたけれども、1年間は許してくれるだろう。でも、2年目はだれも許してくれない。これこそ山口委員がおっしゃったように、私たちが頑張って、これから消費者委員会はどうあるべきか。どちらの方向を向いて歩むべきかということをきちんと世の中に見せていかなければならない正念場だと思っています。
ここ(資料5)(PDF形式:23KB)には今後の課題としていくつか書きました。私は何回も申し上げてきましたけれども、消費者の意見をきちんと受け止める。何とかその制度をつくりたいと思っていまして、消費者意見の申出制度、異議申立制度、日本版スーパーコンプライアンス制度。このような制度の導入が必要だと思っています。
先ほど事務局長から説明がありましたが、4月から地方に行って、いろいろな方々の意見を直接聞いていますけれども、それがまだまだ反映されていない。その辺りの反省も含め、何とかよい制度作りをしたいと思っています。
消費者団体、マスコミの方々にもいろいろ言われているのですが、委員間打合せで私たちが一体何をしているのか。たった33回しか委員会をやっていないが、委員会と委員会の間の中身。今回この活動報告の中にきちんと書かれておりますけれども、それをもう少し詳しく公開していったらいいのかなと。透明性がないということは一番いけないことだと思いまして、ぜひ進めていきたいと思っています。
消費者委員会には勧告とか建議、意見、提言の提出などの監視機能が期待されているのですが、それは委員会と事務局との連携推進が強く求められていると思います。確かに事務局は非常に人数が少なく、予算もあまりないし大変だけれども、大変大変と言っているだけでは何も進まないので、できる限りのことは連携をとりながら進めていく。そういうことが必要かなと思っています。
多くの消費者団体、市民団体、弁護士さんたちからも要望書、意見書をいただいています。今回ある程度ざくっとではありますが、まとめて資料となっていますけれども、この中身ももう少し公開してもいいのかなと思っています。そして、その中身をいかに委員会の検討テーマとして反映させていけるのか。反映しているのかというところもきちんと見せていかなければならないかなと思っています。
もう一つ具体的な課題としては、消費者基本計画、重点施策10項目を私たちは出しましたが、それに対応する体制を整備することです。これからまさに検証をしていかなければならない。私たちがどうやって検証していくのかということ。常にこの検証以外に発生している消費者問題をどうやって解決していくのかということなど、もう少し体制を整備する必要があるのかなと思っています。
今、申し上げたことを遂行する上で重要なのは、やはり消費者委員会や消費者庁だけではなくて、消費者行政の現場の取組みを踏まえた連携を構築することだと思います。ここでだけやっているのではなくて、地方の消費者行政とどう連携するのかということをもう少しやっていかなければならないかと思っています。
私が一番決定的なことだと思うのが、この1年間を通して消費者委員会が何をしているかがわからない。何をやっているかが全く見えないという御指摘がいろいろあったことです。消費者委員会の見える化をどうしていったらいいのか。これは広報の体制がうまくできていないと思っています。消費者委員会は消費者が支援してくれないと成り立たない、消費者に一番近い機関が消費者委員会だと私は思っているので、参加型機関として、どういうふうにしたらいいのかなということを考えていきたいと思っています。これは多くの方々のネットワークを構築することかなと思います。
資料5の一番最後のところに四角に囲みましたけれども、これまで試行錯誤で取り組んできましたが、今後の1年が消費者委員会の機能発揮の勝負どころ。ここで再度、消費者委員会が何をするべきなのかということを委員相互で再確認して、消費者問題解決への道筋を付けていきたい。私はそういうふうに考えております。
以上です。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 今、佐野委員が言われたように消費者委員会が立ち上がってきて、私たちの責任が非常に重大であって、試行錯誤しながらやってきたこの1年でありました。私はこの消費者委員会の役割は、自ら調査に必要なものは建議をするということ。監視をするということ。審議会機能を持っているこの3つの機能が十分に果たせられなくてはいけないものだと思っています。
その中で特に自ら調査をし建議をするということに関して、今回は1年間ではリコール制度1件しかなかったのですが、今、佐野さんもおっしゃられましたように、その間においては提言とか意見とか、数多くのことを消費者委員会は検討しながら、意見交換しながらやってまいりました。それを高く評価するとか、そういうことではなくて、本当に一生懸命この1年間みんなで意見を出し合ってやってきたということに重要な意味があるのではないかと思っています。
ただ、今後はやはりこの3つの機能の中で、自ら調査、建議するということに関して、非常に重要な重きを置いていかなくてはいけないのではないかと感じます。そのためには何が必要かというと、事務局の充実、予算です。事務局員はそれなりに専門性を持って、今16人の方々は非常に真剣に取り組んでくださいまして、私たちもそれに勇気づけられたわけであります。ですから、この職員体制をもっと充実をさせることによって、委員それぞれに重要な位置を占めていくのではないかと感じております。
今後は来年度以降につきましては、積極的に私たちが何をしているかということPRをすることによって、少しだけですが予算要求はされて、人員が増えるかもしれないと思っております。先ほど来言われておりますように、委員会は見えないというところをもっと積極的に見せていかなくてはいけないということと、地方の人たちが消費者委員会は何でしょうか、消費者庁は何でしょうかというように、全然区別も付かないということも伺っております。ですから、私たちも積極的に地方に出かけて、そういうようなPR、広報活動をしなければいけないのではないか。その中から、自ら調査をし、建議できるようなものにつながっていくのではないかと思っています。
以上です。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 消費者庁と消費者委員会の役割分担ですけれども、消費者庁の方がこんなことをおっしゃっていたのを伺いました。消費者庁の方は法律にのっとって行政をする場だと。しかし、消費者委員会は法律を超えて何か物事を言えると。私はこれは正しいと思います。これまで1年間を振り返ってみて、自ら調査ももっともっと精緻(せいち)なものがないと建議が出せないとか、こういう法律があるからこんなことは言えないということでストップされたケースが多々あったような気がいたします。
次の1年間は、私たち消費者委員会は本当に現場に一番近いというのが強みだと思います。もちろんスタッフはたくさんほしい。自前でできればいいんですけれども、それができないときには、さっきのパイプ機能は十分に活用して、いかに多くの皆さんの英知を集めて、どんどん意見なり建議なり提言なりを発信していくということが逆に言えば、これが消費者委員会ありということを見せることだと思います。
それにプラスアルファ。では、どういうふうに見せるかと。先ほど日和佐委員も佐野委員もおっしゃったように、そういうことも考えて、消費者委員会はここにありということがわかれば、逆に言えば、私たちの言うこともフィードバックできますから、そこら辺をこの後の1年間は心がけてやっていきたいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 具体的なことは皆様がおっしゃいました。私は皆様の御意見、特にペーパーを出された皆様の御意見に異議があるわけではありません。ただ、全面的に賛成というわけでもありませんで、私としては20%くらいは違う意見を持っているということで具体的なところはとどめたいと思います。
これから課せられた課題ついて審議をしていき、起こった問題について審議をし、提言をするということをやっていくわけですけれども、その基本になる考え方のところで、少し留意しておいた方がいいなということを思っています。消費者、生活者が主役となる社会をつくっていくのだという、この「主役となる社会」は具体的には一体どういう社会なのだろうかということのイメージは、人によって随分違っているのではないかと思います。
それと同時に、この言葉は非常に消費者にとっては快い言葉でもあるわけですけれども、ある意味では危険な言葉でもある。主役になるということは、ある意味では責任も持たなければいけない。要するに好き勝手なことをやることではないですよという意味合いもある。そこは少し配慮しなければいけない。具体的に考えれば、消費者の8つの権利を確立していくことであろうというように考えられるわけでして、その8つの権利が確立されているかどうかという観点で見れば、確立されているとは言いがたいというのが今の状況であろうと思います。
したがって、権利が確立されていない部分に関しては、法的なルールや仕組みの制定や改正や強化というものが必要になってくるわけで、そこは積極的にやっていかなければいけないわけですけれども、1つここで考えなければいけないのは、ルールは万能ではないということなんです。ルールさえつくればうまくいくかというと、そういうわけではない。もちろん不足しているところはつくらなければいけませんし、改正強化ということも必要なわけですけれども、ルールが万能かというとそうではない。
ルールがあるから、それでいいというわけではないわけですので、それに代わるものも育てていかなければいけないということになりますと、それは事業者の自主規制であり、CSR経営を促進していくことでもあると思いますし、もう一方では、消費者のマスコミに対するリテラシーや科学に対するリテラシー能力をもっと増強していかないと、ルールをつくったからそれでいいというようになってしまうと、自主的なところが抜け落ちたしまう危険性があるのではないかと思っています。
ですから、配慮すべきことは、どうやって自主性を惹起(じゃっき)していくことができるのか。消費者教育も非常に重要ですし、消費者自身の能力をどう高めていくかということも一方では非常に重要なことで、そこにも配慮をしていかなければいけないのではないかと思います。
今ここで言うことではないので小さい声で言いますけれども、政権の方針にどうしても左右される面がある。そこは私どもとしては非常に悩ましいといいますか、苦慮する問題であったということもちょっとだけ申し上げておきたいと思います。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 私はこの報告書は報告書で結構だと思います。事実ですから、これに否を唱えるものではないです。しかし、我々の1年の活動を見るときに、この報告書だけでいいのかなということは、もう一回よく我々委員自身が考えなければいけないことではないでしょうか。
要するに自己評価と今後の課題です。評価するためには、少なくとも計画というものが本当はなければいけない。消費者委員会で計画というものをつくる必要があるのかどうかということも含めて、そのことを考えないと、PDCAサイクルは回らないと思います。意見は違う意見が出て当然だと思いますけれども、その中から今後の課題として、どれを取捨選択していくかというのは非常に大事だと思います。私は違う個人の意見も全部網羅してもいいと思うのだけれども、その中で今後こういうことをやりたいということを、我々委員として話し合えるものなら話し合って、公表していく必要があるのではないかと思います。
もう一つ、一番欠けているなと思うのは、さきほど、消費者庁の来年の課題というところで、予算要求が出ていました。消費者委員会としても、先ほどから事務局が足りないと出ているんだけれども、そういうことに対して、どういう手を打っているかを公表していく必要があるわけです。そういう意味でも課題と今後の考え方は、我々としてはどれくらい公表できるかということを考えて、報告と一緒に出していくべきではないかと思います。
今、日和佐委員もいろいろと言われまして、私もそのとおりだと思いますけれども、我々は消費者に対する行政での消費者委員会ということなので、いろいろな消費者の声を聞くということは非常に大事なことです。先ほどから佐野委員や下谷内委員が言われることもそのとおりだと思いますが、もう一つ、聞けない声をどうやって聞いていくかということだと思います。私どもは経営者として一番聞けなかったのは、一人ひとりの消費者の声です。個人の消費者の声をどう集めるか、どう感じ取るかということが大切だと思います。
組織の声はいろいろなルートでいろいろと入ってくると思いますけれども、被害救済とかそういうことは組織の声でもいいんですが、本来の我々が目指す消費者行政というのは、本当に普通の人の一人ひとりの消費者に応えていくということではないでしょうか。そういうことを聞くのは非常に難しいと思うのですけれども、それは常にテーマとして考えていかないと、本当に消費者を中心とした行政をやっていくということに、なかなかなっていかないのではないかということを感じております。

○松本委員長 田島委員、どうぞ。

○田島委員 1つ発言させていただきます。消費者委員会の使命として一番大切なことは、何といっても自ら調査、審議することだと思っております。そのために次年度以降、事務局体制を強化するということで、大変うれしい話でございます。
ただ、事務局を強化すればそれで済むという話ではないと思います。一体何をやるのかというのが大切な話で、これは山口委員もおっしゃっていますが、中長期的なテーマの設定をぜひ、消費者委員会でやってほしい。消費者委員会の活動を1年間振り返ってみると、よく言えば臨機応変、悪く言えば行き当たりばったりだと私は思っています。毎週毎週、委員間打合せ、委員会ということで忙しくしているんですけれども、それが全然見えないというのは、何かここに問題があるのではないかと感じております。
消費者委員会の活動が見えないというのは婉曲的な言い方であって、実際は消費者委員会が何をやっているのか、何もやっていないのではないかと批判されているのだと思っております。そのことも含めて、中長期的なテーマを設定するようにしていただきたいと思います。
もう一つ、実は私は2つの部会の部会長を務めさせていただいておりますが、部会の審議をもって委員会の結論とするということが決められております。それはそれで正しいのですが、もう少し消費者委員会本体に審議過程を報告させていただきたい。というのは、2つの部会とも部会の審議をしているときに非常に判断に迷うことがあるんです。そのときに結局、部会長の独断専行気味でもって審議を進めてしまっているのですが、やはりその部会長の判断の基準となるものをもう少し、消費者委員の先生方から意見を聞いて判断をしたいなと私は常日ごろ感じておりますので、ぜひ2年目はもう少し部会と消費者委員会本体との連携を深めるような仕組みをつくっていただきたいと感じております。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。客観的な1年間の活動報告に基づきまして、さまざまな意見を委員から出していただきました。運営方法の改善については出された意見の中から取り入れられるものを取り入れていくという形でやっていきたいと思います。ただ、消費者委員会がよく言われるのは、決定が遅いということだと思います。消費者庁についてもスピードということを言われますが、消費者委員会の方がそういう点ではスピードが遅いです。
なぜかというと、消費者庁は大臣がいて、長官がいて、次長がいてという完全なラインの機関ですから、トップが決めれば動くというところがあります。消費者委員会はそうではなくて、完全にフラットな機関であって、議論を自由にするという組織です。それにもかかわらず合議制であって、何かを決めなければならない部分があるということで、そのフラットな組織が何かを決めるというのには大変時間がかかるということです。
消費者委員会ができた理念の一部は民主党の消費者権利院法案にあるわけですが、民主党のいう消費者権利院は消費者権利官いう独任制のトップが1人いて、それに消費者権利委員会という諮問機関といいましょうか、権利官プラス常勤の4人からなる機関が付いているという構造ですから、恐らくそちらが実現していれば、もっと早くいろいろなことを決定して動けたんだろうと思います。
そうではなくて、政府案にあった15人からなる審議会を5人減らして10人にして消費者委員会をつくったというところにもともと無理な部分がある。これは制度設計上の問題だということは前から言われていることですが、我々はそのような中で、制度を変えない限り何もやらないというわけにはいかないわけですから、できる範囲内で少しずつやってきたというのが昨年1年間の実情だろうと思います。次の1年間も法律が変わる可能性はほとんどないわけですから、変わらない状況の中でさらに運営上いろいろ工夫をして、少しでも期待されていることをやっていかざるを得ないのだろうと思います。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 これは前回、委員間協議で私が発言して、採用されないまま終わっているのですが、活動報告に語弊のあることは書かないようにいたしますので、それぞれの委員が、あるいは書ける委員は、例えば600~800字の限度でコメントを付けませんか。全く血が通わない、ただ事実だけを述べたような報告書では国会議員に出しても、何だこれはということで読みませんよ。やはりそれぞれの委員がこの1年間、何を考えているのか。今後どうしたらいいと考えているのかを9枚、報告書の下に付けましょうよ。そうすれば必ず国会議員は読みますよ。その上で、今後の消費者委員会なり消費者庁をどうすればいいかということを国会議員も考えてくれますよ。この報告書の案では考えないと思います。ぜひその点を今日決めていただきたい。だめならだめで、そういう委員会なのかということで私はあきらめますけれども、どうなんでしょうか。

○松本委員長 委員の皆様の御意見をお伺いいたします。国会議員のためにそういうのを出した方がいいと考えるかどうか。

○山口委員 国会議員だけではないです。

○池田委員 私はさっきから言っているように、やはり報告書だけではおかしいと思いますから、自己評価と課題は出すべきだと思います。私はそれぞれを出せというならば、出すことは構わないと思います。委員会として、評価なり課題がまとめられないのであれば、9人の意見をそれぞれ書くというのはやむを得ないのではないですか。やはり報告だけで評価も課題も書かない報告書はおかしい。最初に申し上げたとおりであります。

○松本委員長 ほかの委員の皆様、いかがですか。

○中村委員長代理 書くのはいいと思いますけれども、活動報告と一体のものにするのか。添付資料みたいにするのか。やはり使い方だと思います。先ほど山口委員が言ったように、国会議員向けだったら、それはそれで別刷りでも、みんなの考えていることをくっ付けて出せばいいのではないかと思います。

○山口委員 決して国会議員だけではなくて、要するに国民の皆さん、消費者の皆さんも一体おまえらは1年間、日給1万なんぼかもらって何をやっているんだと。今どう考えているんだと。みんなはそれを知りたいと思っていると思います。私どもは日当を税金からもらっている以上、知らせる義務があると思います。
その意味で、この報告書を踏まえて、お互いに紳士淑女ですから、決して足の引っ張り合いとか後ろ向きのことではなくて前向きに、皆さんが大体今日発言したようなことだと思いますので、そういうことをプラスになるように、消費者委員会である程度個人が見えるような、血の通ったものを出すことに非常に意味があると思いますけれども、どうでしょうか。

○中村委員長代理 そういうものが必要だと私は言っているんだけれども、今回の活動報告というタイトルの中に入れてしまうのは違和感があるので、自己評価、課題表みたいなものをもう一冊つくってもいいのではないかということを申し上げています。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 私も自己評価というか、血の通ったというのはあまり賛成しないんですけれども、せっかく消費者庁も消費者庁の評価についてと自分で出しているわけだし、来年度の重点施策を出して、こういうふうに別刷りにしてあるわけですから、こういう形でつくられたらいかがですか。

○山口委員 事務局につくらせるんですか。

○川戸委員 いいえ、一緒につくればいいだけの話であって、個人的にこうするよりは、まとまった何かこういう政策評価とか来年度とか、私たちだけの個人的な感想を書くよりは、きちんしたものをつくった方がいいのではないかと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 まとめというか、来年の課題というものを出した方がいいとは思います。それは先が見えると思います。ただ、それはそれぞれが書けば、また言いっぱなしと言われることと同じようなことになるので、ある程度みんなで意見を出し合って、まとめて出すのはどうかなとは思います。今までの委員会と同じで、言いっぱなしではないかとなってしまうのではないかと感じます。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今年1年何をするか、先ほど山口委員も田島委員もおっしゃったように先が見えない。これは今後、何回か検討して、先が見えるような形で1年間一応基本的に何をしましょうということをみんなで決めて、それを付ける。山口委員がおっしゃるように、みんなが書く、本当にコラム的な感じで文章を書いて、それを資料の最後にでも付けるという形でもいいのかなと思います。下谷内委員がおっしゃったように、一人ずつがこちら、あちらとそれぞれやりたいことをばらばら書くよりかは、そこはきちんとまとめて付けた方がいいと思います。

○日和佐委員 賛成です。

○山口委員 事務局は来年度の方針をつくるのが大変ですね。

○原事務局長 来年度というかもう始まっているんですけれども、何をするのかということについては、委員間打合せに素材のようなものを御提供しているわけです。そこでの議論がまだ時間が足りなくて十分ではないので、もしもこの報告の中に入れるとなると、もうちょっと時間が要るという感じになります。
特に自ら調査の部分はこの1年を見たときに、何を書くべきか。当面のところの部分はあっても、また年が明けたときに大きな課題もあるかなというので、消費者基本計画の評価検証とか国会の附則・附帯決議とか、消費者基本計画で消費者委員会に意見を求められていること。これは消費者庁の今の報告書の中にありましたけれども、その辺りは書けるのですが、自ら調査の部分を何を選択をして、それをスケジュール感をもって示せるかというところに事務方としては苦労をして、素材的なものは委員間打合せでは出したりしてきているというのが今の状況です。それを入れるかどうかは、もう一度、委員間打合せで御相談させてください。

○松本委員長 1つの文書にする必要はないわけで、政策評価を組織としてきちんとできるなら、した上で別に付ければいいし、これから1年間の工程表がつくれるなら、つくって出せばいいのであって、わざわざこの中に入れるために今日中に決めろなどという議論は恐らくできないわけです。客観的なデータとして、これに基づいて評価してくださる方もいるだろうし、批判される方もいるだろうし、委員としてもこれを見て不十分だと言う人もいるし、そこそこやっているではないかと言う人もいるし、どちらの使い方でもできる客観的な資料を提出するという点では、これはこれで意味があると思います。
それとは別に委員会としての政策評価をどうするかというのは、まさに人によって随分見方が違うだろうと思いますし、今後何をやるべきかについても共通の部分とそうでない部分が皆さんにはあるわけなので、もし委員として一言付けたいということであれば、中村委員のおっしゃったように別添という形で各委員が1年間を振り返って、どういうふうに思うかというのを付けて、それを併せて、いろいろな方に見てもらうということぐらいがすぐにできることだろうと思いますが、いかがですか。

○原事務局長 わかりました。では、それで作業を進めるということでよろしいですか。

○山口委員 少なくとも工程表ではないけれども、次年度はどういうことを中心にやっていくんだという、それだけは事務局の方で案をつくってみていただけませんか。特に異論がなければ、添付した方がいいと思います。つまり単なる活動報告ではなくて、次年度が見えない活動報告というのは役所だってあり得ないではないですか。どうなんでしょうか。

○佐野委員 別につくった方がいいと思うけれども、私はこの9人で話し合って何をしようか、何をしたいかというのをもう少し時間をかけてやった方がいいと思います。今、急にここで事務局やってくださいというのは違うのではないかと思います。

○松本委員長 それでは、これは客観的データとしてまとめて、いろいろな人に御批判をいただくと。それに加えて、各委員の1年間について思うことについて、それぞれお書きいただいて別添資料として付けるという形で、とりあえず1年間の反省とすると。今後の部分につきましては、これから委員会の中でいろいろ議論をしていき、まとめられる部分についてはまとめて公表していくということにしたいと思います。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 委員の櫻井先生が辞任されました。私自身は非常に行政法の専門の先生として、率直な物言いをされる尊敬する先生で、この先生が辞められたことは大変残念です。私は行政法の専門家がここの委員会に一人はおられた方がいいと思います。委員会の総意は今日は決められないでしょうけれども、ぜひ、委員間協議あるいは次の場でも議論をして、委員会の総意として、新しい行政法の専門家の先生を委員として任命してほしいということを内閣総理大臣に要望していただきたい。あるいはすべきではないかと思いますので、そのことだけ申し上げます。

○松本委員長 ありがとうございました。

≪4.閉会≫

○松本委員長 それでは、本日の議題は以上ですが、最後に事務局より今後の予定について、御説明をお願いいたします。

○原事務局長 申し訳ありません。少し早めに終わる予定が遅れてしまいましたけれども、本日はこの委員会終了後、この部屋におきまして、傍聴者の皆様と委員の意見交換を久しぶりに行いたいと思っておりますので、御参加される方はこのままお残りいただければと思います。
意見交換の終了後、6時20分ごろをめどに中央合同庁舎4号館の荒井大臣室に、松本委員長が本日の議論の御報告に大臣を訪問する予定としておりますので、報道の方もおられますが、お知らせをいたします。
次回の委員会は9月24日金曜日の15時から行う予定で、決済代行業について行うというところだけは決めておりますので、御案内をさせていただきます。
それでは、委員長にお戻しします。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
この後、意見交換会を行いますので、どうぞ発言希望の方はお残りください。

(以上)