第32回 消費者委員会 議事録

日時

2010年8月6日(金)15:00~16:30

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、下谷内委員、田島委員、山口委員

【説明者】
消費者庁
企画課成田課長、西川企画官、鈴木課長補佐
國井個人情報保護推進室長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.集団的消費者被害救済制度について
 ○説明者:消費者庁企画課 成田課長、西川企画官、鈴木課長補佐
3.集団的消費者被害救済制度専門調査会設置・運営規程(案)について
4.平成21年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要について
 ○説明者:消費者庁 國井個人情報保護推進室長
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 集団的消費者被害救済制度について(消費者庁提出資料) 【資料2】 集団的消費者被害救済制度専門調査会設置・運営規程(案) (PDF形式:14KB)
【資料3】 平成21年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要について(消費者庁提出資料) 【資料4】 集団的消費者被害救済制度の研究会骨子案について(山口委員提出資料) (PDF形式:17KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 時間になりましたので、始めたいと思います。
本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。今日は少し変則的に8月の第1金曜日に消費者委員会を開催しておりますので、委員の参加がちょっと少ないこと、申し訳ございません。
ただいまから、「消費者委員会(第32回)」の会合を開催いたします。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
本日は、当初予定しておりました「集団的消費者被害救済制度について」に関する議題に加えまして、「集団的消費者被害救済制度専門調査会の設置・運営規程について」、それから、「平成21年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要について」も議題として取り上げたいと思います。

≪2.集団的消費者被害救済制度について≫

○松本委員長 最初の議題は「集団的消費者被害救済制度について」です。集団的消費者被害救済制度は第4回及び第21回の当委員会でも取り上げておりますが、消費者庁において開催されている集団的消費者被害救済制度研究会において、現在、とりまとめを行っているということでございますので、その状況について消費者庁から御報告をいただき、それを踏まえて議論を行いたいと思います。
それでは、消費者庁企画課より御説明をお願いいたします。

○成田企画課長 集団的消費者被害救済制度につきましては、今年の3月の消費者委員会においても御報告させていただいたところでございますけれども、昨年10月、松本委員長から、引き続き消費者庁で検討するようにという御指示をいただきましたので、昨年11月から「集団的消費者被害救済制度研究会」を開催し、御議論いただいてきたところでございます。
一昨日、8月4日の第12回研究会において、事務局から報告書骨子案をお示しし、御議論をいただいたところでございます。これにつきまして、担当企画官より御説明させますけれども、今後、26日の第13回研究会において報告書案をお示しした上で、御議論をいただき、報告書のとりまとめを行っていただきたいと考えているところでございます。

○西川企画課企画官 それでは、資料1-1(PDF形式:36KB)、骨子案に基づいて御説明させていただきます。
研究会報告書の骨子ということで、まず初めに集団的消費者被害救済制度研究会の「開催経緯」がありまして、2番目に、現状分析ということで「集団的消費者被害の実態」という章がございます。内容といたしましては、相談件数などを見てみると、少額多数の集団的な消費者被害の事案が非常に多いということで、やはり何らかの制度を設ける必要があるのではないかという分析が成り立つところでございます。
さらに、集団的消費者被害事案を類型化するということで、この報告書の骨子の中では、被害者の特定が容易か困難か、被害内容が定型的か個別的かの視点で整理する。これは、集合訴訟に向くかどうかという点に関係するところでございまして、被害者の特定が容易で、かつ被害内容が定型的なものは一般的には集合訴訟向きと言えるかと思いますけれども、ほかにどのようなものを取り込めるかということについて、後の方で引き続き検討していくということでございます。
もう一つの整理の仕方として、民事訴訟での責任追及が可能であるか困難であるかという視点がございます。これに基づいて考えていきますと、例えば偽装表示に関する事案とか、あるいはシステムとして破綻必至な悪質商法事案、不当勧誘事案、こういうものについては、それぞれ理由はありますが、一般的には民事訴訟での被害回復は困難ということで、集合訴訟以外の何か対応が必要ではないかということが後の方につながっていくわけでございます。
第3で、関係する国内制度の分析というのがありまして、第4が集合訴訟でございます。集合訴訟制度については、これまでの検討を踏まえていろいろなモデル案を考えました。ここにA案からD案まで4つ出てきているものでございます。もちろん、この4つに限られるものではないということでして、A案ないしB案をそれぞれ部分的に修正したものも、当然、制度の詳細を検討する際には候補に上がってくるということでございます。
まず、A案でございます。従前の整理では、通称二段階方式などと呼んでいたものでございまして、比較法的には、フランスの制度やブラジルの制度がこれに近いのではないかと考えられるところでございます。まず手続追行主体が訴訟を提起し、マル4のところですが、責任原因とか、可能であれば債権額の計算方法など、共通争点について先行して判決を出すというところが特徴でございます。
その判決の効力ですが、消費者に不利な判決の効力は対象消費者には及ばないというところも大きな特徴でございます。その認容判決が確定した場合、消費者側の勝訴が確定した場合には公告をするということで、ここから個々の被害者が手続に入ってくるということでございます。それによって、マル7ですが、対象消費者が債権確定をする手続を行いまして、それでも確定されなかったものについては二段階目の判決を行うということで、これが二段階方式と呼ばれるゆえんでございます。
その後、先にC案を御説明した方がわかりやすいかと思います。C案は、従前の整理ではオプト・アウト型と呼んでいたもので、比較法的には、例えばアメリカのクラス・アクションなどはこれに似ている類型かと思います。これも、最初は手続追行主体が訴訟を提起するところは一緒ですけれども、マル3のところ、除外の申出(オプト・アウト)の機会を与えるための通知・公告を行うところが特徴でございます。このオプト・アウトに応じて除外の申出をしなかった人については、マル5ですが、判決の効力が対象消費者に有利にも不利にも、どちらにも及び得るというところでございます。
その判決の内容でございます。C案に特徴的なものとして、いわゆる総額判決と呼んだりしますけれども、対象消費者の範囲を特定した上で、対象消費者の総員に対して支払うべき金額の総額を手続追行主体に支払うよう命ずる判決、こういうものが出るのがC案の特徴でございます。
B案に戻りますけれども、これはA案とC案の特徴を両方とも併せ持っている面がございまして、比較法的にはカナダの制度がこれに近いものでございます。最初は訴訟追行主体が訴訟を提起して、オプト・アウトの通知・公告を行うというのはC案と一緒です。判決の効力は、除外の申出(オプト・アウト)をしない限り、対象消費者に有利にも不利にも及ぶというのもC案と同じですが、その判決の内容はA案と似ていて、責任原因及び可能であれば債権額の計算方法という共通争点について確認する判決が出る。確認判決が出た後は、債権確定の手続を個々の消費者が参加して行う。それでも確定されなかったものについては二段階目の判決を行う、この辺はA案の手続に似ている、そういう案がB案でございます。
最後にD案でございます。従前の整理ではオプト・イン型と言われていたものです。手続追行主体が訴訟を提起するということで、その後、手続に参加するための申出(オプト・イン)を促すための公告を行って、参加者を募るということでございます。マル5ですが、判決の効力は、申出をした対象消費者に有利にも不利にも及ぶところでございます。
以上のA案からD案を、とりあえずの手続モデルとさせていただいたところでございます。
さらにこの骨子では、A案からD案について制度設計上の課題を分析しております。例えば5ページの上、(4)ですが、これはA案の制度設計上の課題でございます。A案の特徴として、対象消費者に不利な一段階目の判決の効力は、対象消費者に及ばないものとするところが特徴としてあったわけです。そういたしますと、消費者の側は何度負けても繰り返し訴えることができるのに、相手方は一度負けるとその判決の効力がすべて及ぶ。この点は相手方にとって不公平ではないかという批判もあり得るところで、今後、引き続き検討をしていく必要があるということでございます。
さらにB案について言えば、6ページの上、(2)ですけれども、やはり大きな問題としては、対象消費者の手続保障が重要となってくるということでございます。オプト・アウトということでしたので、除外の申出をしなかった人は自動的に裁判に巻き込まれてしまう。そういたしますと、通知・公告をすべての人がちゃんと認識しているということはないわけで、場合によっては知らないうちに裁判に巻き込まれ、勝ってくれていれば良いですが、知らないうちに負けている、その結果、個々の消費者が後から自分で訴えることができなくなるということがあり得る訳です。場合によっては、裁判を受ける憲法上の権利の問題が出てくるかもしれない。そういう批判がオプト・アウトにはあるところで、その点についても今後、この手続保障という観点から検討していくということがございます。
C案についても、B案で指摘される問題以外にいろいろな問題がございます。例えば7ページの(3)、総額判決というものを出すのがC案の特徴でしたが、対象者の範囲を特定するけれども、個別には特定しないといった判決が果たして日本の司法制度上あり得るのか。そういったところが問題になるというところで、ここは慎重に検討していくべきであるということを骨子ではうたっております。
こういった課題を見た後に、7ページの真ん中、「モデルの比較」というものが始まります。6の2つ目のマルですが、A、B案とC案を比較していくと、C案では対象となる事案が相当程度限定される。総額判決ができる事案ということになりますと非常に限定される可能性がございますので、そういった問題があるわけですが、その点はA、B案では被害に個別性がある事案にも対応し得る。そういう特徴が一般的には言えるのではないかと考えた次第でございます。
他方、もう一つの比較といたしまして、3つ目のマルです。B、C案については、両方ともオプト・アウトで、手続追行主体が負けた場合に、敗訴の効果が対象消費者に知らないうちに及んでいることもあり得るわけですが、A案ではそういった問題は生じないところが特徴でございます。
それから、紛争の一回的解決に資するかという観点から見れば、B、C案が広くオプト・アウトで対象消費者を集めていくというところで、紛争の一回的解決に資するのではないかという観点もございますし、A案でも、例えば政策的に手当をすれば、その辺は問題ないのではないかといった意見もございました。
そういったモデルの比較をした上で、今後、制度の詳細を示していくということでございますけれども、その際に検討していくべき論点として、7ページの7.ですが、手続追行主体はだれにするのか。適格消費者団体に認めるのか、対象消費者個人にも認めるのかなどの問題点がございますし、8ページに移りますと、例えば通知・公告をどういうふうにやるのか。あるいは(4)ですが、訴訟追行主体が訴訟をちゃんと行っていけるように費用の問題をどうやって考えていくのか、そういった問題等ございます。
9ページです。この研究会報告でもう一つ検討しているテーマとして、「行政による経済的不利益賦課制度」というのがございます。これは最初の方でも述べましたが、例えば、偽装表示、悪質商法、破綻必至のような事案については、集合訴訟でも機能しにくいという点があるのではないか。そういう場合には、何か別の手段を考えなければいけないということで検討しているものでございます。
9ページの下の方ですが、経済的不利益を賦課する方法として、ここではA案、B案、C案と3つ考えております。A案が、違法行為により得た収益とは一応切り離された形で、一定の金銭の納付を命じる。B案は、収益額に相当する金銭の納付を命じる。C案は、被害回復命令といった行政処分を行う。
こういった案がいろいろ考えられているわけですけれども、いろいろ検討した結果、9ページの一番下のマルですが、現実的な制度の運用可能性、現行制度との整合性などの観点から見て、現時点においてはA案を中心として引き続き検討することが適当ではないか、といったことが骨子として出ております。
ただ、仮にA案を軸に検討するといたしましても、クリアしなければいけない論点はまだまだ多いわけで、10ページにございますが、例えば、被害者への配分はどうするのか、あるいは賦課する金銭の算定方法はどうするのか、そもそもどういう違法行為に対してこういう処分を行うのか。それから、外せない問題として、実際に行政が処分をするということですから、事件を調査して法執行していく組織、部隊が必要になるわけでございます。そういった組織を一体だれが担うのかなど非常に問題が多いところで、引き続き検討していくということでございます。
第6は「財産保全制度」でございます。例えば、破綻必至であるような悪質商法事案などについては、集合訴訟で勝ったとしても、相手は悪質事業者ですから、財産を隠してすぐ逃げていくといったようなことが容易に想像できるわけでございます。そういった場合には、財産を保全しておく必要があるのではないかということで検討しているものでございます。
これにつきましてもいろいろな考え方があるところでございます。例えば、(2)の2つ目のマルですが、この骨子で考えていたのは、マル1被保全債権や保全すべき財産を個別に特定せずに、例えば破産手続開始の申立てを行うといった形で財産を保全する方法とか、あるいは、振り込め詐欺救済法などにございますけれども、銀行の口座を凍結してもらうといったマル2のような方法。あるいはマル3にありますけれども、行政が先に財産を特定して保全しておいて、その後に被害者が民事上の責任追究をしていくといった方法等々、いろいろ考えられたところでございます。いずれにいたしましても、これもクリアすべき問題点は多いところでございまして、これについても制度の詳細を示すために、今後、検討していくことがいろいろ多いということでございます。
12ページ、「まとめ」でございます。以上、検討した結果のまとめとしまして、1つ目のマルですが、集合訴訟制度と行政による経済的不利益賦課制度、財産保全制度、これは専門性も違うのではないかということで、検討の場を分けた上で、引き続き検討を進めていくことが必要であると言われております。行政による経済的不利益賦課制度、財産保全制度については、比較法的な検討も不十分であるということで、今後、検討していくことが多いといったことがうたわれております。
骨子の内容については以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見がおありの方は、どうぞ御発言ください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 ご苦労さまでした。やっとここまで来たかなという感想です。私としては、この骨子案に賛成です。どんどん進めていただきたいと思いますが、なおいくつか疑問点がございますので、資料4として急ぎペーパーを準備させていただきました。資料4(PDF形式:17KB)を見ていただきながら、7点ほど御質問させていただきたいと思います。
まず、資料4の冒頭に3つと書いてありますが、「4つ」の誤植です。問題理解のために、4つの類型を想定して議論を出したいと思います。
典型的な場合は、比内鶏の偽装事件、あるいはミートホープ事件のような偽装事件が1つ。イは、大学の入学金をすべり止めでとりあえず払った後に学校に入ることをやめた場合、学納金を返還しない大学について訴訟がたくさん起こりましたけれども、この種の問題。ウとして、1万人の個人情報が企業によって漏えいされた場合。エとして、私は主としてこれにかかわってきたわけですが、マルチまがいなどシステム自体違法な詐欺的金集め商法による被害をどう回復するか。
この4つのパターンを考えますと、いずれにしてもこういう問題について一つの制度で対応できるものではなく、今、西川さんから、A案からD案まで、さらには行政的な手続のことまで御説明がありましたけれども、その複数の制度を実現することによってはじめて効果的な被害救済が可能になる、違法行為の抑止ができるようになるということではないかと思います。したがって私としては、それぞれの事案に応じた適切な制度を準備することが必要ではないかと思っております。
質問といたしましては、先ほど集合訴訟でAからDまでの御紹介がありました。Aについては二段階と言われましたけれども、ある意味では一番遅い段階でのオプト・インを認めるということではないかと思います。これは、エのマルチまがいなどシステム自体が違法な詐欺的金集め、これの被害救済になじむ制度ではないかと思います。今、資料1に基づいて説明がありました。資料2(PDF形式:14KB)の文章全体をこれからさらにくわしくされるでしょうけれども、その中で、A案については少額被害に限定するようなコメントになっております。いわゆる「ワールドオーシャンファーム」、その他、悪徳商法が次々と起こっておりますので、このような被害にも対応できる、そういう制度としてのコメントに表現を変えるべきではないかと思います。その点をお聞きしたいです。
2番目は、公告しても被害者が名乗り出てこないかもしれない、その手続をどうするかということでコメントが資料2の14ページに出ていますが、どういうふうに手続を工夫すると想定されているのか。少し表現を加えていただいたらどうかと思います。
それから、オプト・アウト型の集合訴訟のC案についてです。これは上記のパターンから言うと、1万人の個人情報が漏えいされたようなその種の事案、あるいは、イのような大学の学費を入学しない学生に返還しない学納金返還のような問題、このような場合になじむのではないかと思われます。
ただ、そのような場合、総額判決がどういうイメージになるのか少しわかりにくいので、可能ならば、「例えば」ということで判決主文の例をつけ加えていただいた方がいいのではないかと思います。例えば学納金であれば、何月何日から何月何日までに学費を納め、何月何日までに入学しないことを意思表示した人についてはお金を返す。そうすると、大学側のその期間に対応する者は何人で、合計いくらということが明らかになれば、その金額を明示して判決を下すということになるでしょうけれども、その辺はもう一歩踏み込んだ表現ができれば報告書はわかりやすいのではないかと思います。
マル4ですが、AからDまでの集合訴訟のパターンについては一つの制度で十分機能するとはとても思えません。Cのようなパターンについては、恐らく適格消費者団体による金額が比較的低い事案に限定されるのではないかと思っています。しかし、Cだけで終わりというのでは被害救済に十分には機能しないということで、批判を免れないと思いますので、AからD案の複数の制度を採用することも考えられるという表現をどこかに盛り込んでいただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
私は、AからDの一番重要な争点というか、検討すべき課題は、だれが原告になるかという問題だと思います。ところが、これについては全くコメントがありません。これは当然、適格消費者団体が原告になる場合、アドホックな被害者団体が原告になる場合、それから、個人が原告になってそれがクラス・アクション的な共通利害、共通の法的立場という要件で認めていいという場合、いくつかあると思うので、具体的な想定される場合をそろそろ明示した方が理解を得やすいのではないかと思いますが、その点をお聞きしたいと思います。
行政による賦課制度については、まだまだ検討が不十分だと思います。ただ、とても大変だ、大変だということが書かれてありますが、金融庁はすでにインサイダー取引などで課徴金を課してやっているわけです。その点からすると消費者庁でも、景品表示法違反や特定商取引法違反、あるいは割賦販売法違反などについて取り入れることは十分可能だと思います。そういう具体的なイメージの提案さえないので、最終報告書が公表されたとしても、最終報告書を読んだ人がわかるだろうかという感じもします。もう少し具体案の提示があってもいいのではないかと思います。
それから、保全制度は私もいろいろ考えていて、一番難しい制度でありまして、どのような組織が、どのような違反類型の事業者の行為に、どのような情報収集をして執行するのか。これは早急に詰める課題だと思いますが、難しい。難しいだけに、より踏み込んだ表現にしていただければありがたいなと。
総じて、私の個人的感想から言わせていただければ、集合訴訟については頂上までの4合目か5合目、行政については、2合目か3合目辺りに行ったかどうかというところだと思うので、道はまだ遠いと思いますが、ぜひ、頑張って報告書をつくっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 多数質問が出されましたが、消費者庁から、お答え可能な部分だけで結構ですから、どうぞ。

○鈴木消費者庁企画課課長補佐 山口委員からいろいろ御質問をいただきましたので、今の研究会の議論の状況の中で出てきたことを紹介しつつ、可能な範囲でお答えしようかと思っております。
まず、2.のところの集合訴訟のA案について、少額被害に限定するようなコメントなのではないかという御質問についてです。ここは、そもそも今でも通常訴訟ができて、共同訴訟もできるが、そういった訴訟では現実には消費者の被害は救済されていないということで新たな訴訟制度をつくるのであり、今の訴訟制度の中でも、普通に訴訟を起こして十分被害回復ができるものであれば、新たな訴訟制度で対応する必要はない。新しい制度をつくる以上、制度をつくる必要性が必要なわけなので、今の制度で問題がなければ別に新しい制度は必要ないということになってしまいますから、今の制度ではなかなか救いにくいものを救うということになります。一般論としては個人では訴訟を起こしにくい事件に対応するということ自体は必要なのだと思います。
その場合にどういう要件を設定するかということですが、別に少額被害に限るとはしておらず、少額被害は例示です。個別に訴訟を起こすことが困難な事件の例示として、典型的なものが少額被害であるということです。少額の幅についてもどういうふうに考えるのかというと、具体的な金額でいくら以下は少額であるという議論は、研究会の中では少なくとも主流ではなくて、結局、個別に訴訟を起こすことが困難かどうか、訴訟追行の困難さにより異なるというわけです。A案の場合は共通争点を一段階目で審理していきますから、共通争点がどれほど困難なものであるのかということにかかわってきます。そういう意味で、少額というのはある程度幅の広い概念であるというふうに御理解いただければと思っております。山口委員の御懸念についてはわかりますので、その点も踏まえて検討したいと思っております。
マル2、公告しても被害者が名乗り出てこないかもしれないので手続をどう工夫するか。まさにこの問題意識は研究会でも共有されているところです。二段階目の手続を通常の訴訟にするというのでは、なかなか名乗り出てきにくいだろうということですので、二段階目の手続はいろいろな工夫をしたいということで、調停を活用するとか、書面審理のようなことで、簡単に記入できるフォーマットを決めて情報を消費者に書いてもらって、それによって審理をするということもやってみようかとか、いろいろなアイデアが出ています。それをどういうふうに法的に位置づけて、今の民事訴訟制度と齟齬(そご)のない形で整合させるかということは、また検討していきたいと思っております。
集合訴訟のオプト・アウトのところですが、どういう事案がC案になじむかというのはなかなか難しい問題で、よく検討していかなければいけないと思っておりまして、報告書には解決すべき問題をいろいろ指摘させていただいているところです。
判決の主文のイメージですが、総額判決とこの骨子で言っているものの中には2種類あります。個々の対象消費者を特定して、それに払う金額を決めて、トータルが出るものでトータルを払うというもので、これはやや専門的になりますが、今の選定当事者制度の判決と同じようになることが想定されます。主文のイメージを申し上げると「被告は原告に対しAのために金5万円Bのために金4万円を支払え」という感じの主文になるのではないかと考えられます。
後者の、個々の対象消費者を特定しない形の総額判決の主文がどういうふうになるのかというのは、研究者の先生方に調査もしていただいたのですけれども、総額判決の制度がある国でも大概和解になってしまうということもあって、判決の事例があまりないので、どういう判決にするのかというのは結構難しい。今、言ったようなイメージで考えると、山口委員のおっしゃるように、「被告は、原告に対し、これこれの対象の消費者のために金いくらを支払え」というような主文になるのではないかという感じもしますが、対象範囲は判決理由中の判断に示せばいいのではないかという考え方もあり得ると思うのです。
どういう主文にするかというのは研究会でもあまり詰めて議論はしておりません。そもそも総額判決をどんな事案にできるのかや、総額判決するためにはオプト・アウトにしないといけませんので、オプト・アウトの問題点をどう考えるのかということがまず議論されており、そこまで議論が至っていないという現状ですが、もしこういう制度を考えるのであれば、御指摘のとおり、主文をどう書きあらわすのかということは検討していきたいというふうに思います。
マル4のAかCか、どれか一つの制度で十分機能することはないのではないかと。多分そういう観点はありまして、ですから、行政的な手法も含めて総合的に検討していくことが必要だろうということですが、AからDのそれぞれの案について、A案についても参考資料の方には書かれていますが、理論構成はいろいろな考え方がありまして、いろいろなものが含まれています。それぞれの案をもう少しきちんと詰めていかないといけなくて、詰める過程において多少変容していく可能性があります。そういうことをしてから、組み合わせという議論になるだろうと思います。これとこれを組み合わせるといっても、そこまでは議論が今の時点ではしにくいのではないかと思っておりますが、山口委員の御指摘はもっともなところがありますので、それも踏まえて、制度の詳細を考えるときに検討していきたいと思っています。
また、この制度の場合、原告がだれになるのかというのは重要な問題だと認識しています。この点については研究会の中でもある程度意見は出てきておりまして、今の適格消費者団体のようなものに認めるべきとか、被害を受けた消費者個人に認めるべきとか、あるいはその他の団体とかに認めるべきとかいうことがありまして、それぞれいろいろ難しい問題があります。
特にオプト・アウトの場合は判決が不利な場合にも及ぶので、消費者が知らないうちに判決に負けてしまって、自分の権利を行使できなくなることが起きるので、ある程度適切な代表者に訴訟を追行させる必要がある。適切な人をどうやって選ぶのか、自分が原告になりたいと言っている人が適切だというのを、どうやって判断するのかということをよく詰めないと、いろいろな主体に手続を追行させるのは難しかろうというところが研究会では議論されているところです。そういうことも踏まえて、どういう主体にしたらいいかというのは、今後の検討課題としてお示ししているところです。
3の「行政による課徴金制度と保全」ですが、そもそも景表法、特商法、割販法に入れるのがいいのかどうかというのも、そういうふうに決まっているわけでもなく、一応報告書の中では、偽装表示や悪質商法を事例に挙げて検討していきますが、さらにどういうものにというのはまさにここからの議論だろうというふうに思っております。そういう個別的な法にも着目しながら検討していく必要もあるかもしれませんけれども、これに限定して検討すればそれで足りるというふうに決めていただければ、これだけ検討するのかなということにもなりますが、そうでもないでしょうから、これは今後、どういうものを対象にすべきかを議論する中で考えていきたいと思っているところです。
保全が最も難しいと思うというのはまさに御指摘のとおりで、研究会の中でもいろいろな意見が出されております。いくつかのモデルといいますか、いくつかのアイデアを1から3ぐらいまでいろいろ議論する中で考えていただいて、それぞれ克服すべき問題点を提示していますが、これはまさに消費者委員会にもお知恵をいただいて、消費者被害の救済のために役立つ制度を考えていきたいと思っております。
御質問の趣旨にお答えできたかどうかわかりませんが、基本的には以上です。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 外国の制度も踏まえていろいろ研究されたと思いますが、今回のまとめは、A、B、C、Dという案を掲げて、それぞれにこんな課題がある、こんな課題があるというところで終わっているのですが、諸外国にはすでに類似の制度があるところがあるわけで、諸外国では、課題と皆さんが御指摘されたものをどうやって克服しているのか。そこの御指摘もぜひほしいのですが、最後のまとめのところを見ると、比較法的な検討はこれからまだやらなければいけないと書いてあるので、多分これからの宿題なのかなとは思うのですが、少なくとも今まで海外の報告も研究会でなされていたので、その中で、今、挙げられた課題をどう克服しているのかということも、できたら方向性を指し示す内容にしていただきたいと思います。
もう一つ、昨年、民主党が消費者団体訴訟法案というものを提案して、このような制度についてのたたき台を初めて国会に上げてきました。そのときに出したのは、もう1本、「消費者権利院」というものをつくってそこに強大な行政権限等を与えて、それとセットではじめて団体訴訟制度が成り立つという組み立てだったと思います。今回のこの報告書を見ていますと、そこまでセット物がよく見えなくて、単に訴訟法的な検討をまとめておられるように受け取れます。そこだけで本当にいいのかなと私も心配なので、消費者権利院にしろとは言いませんけれども、もう一本、何か行政機関的なものをセットでイメージした形にいずれ持っていかないと、この制度は動かないのではないかという気がするので、その辺はどこまで視野に入れてあるのか、教えていただけたらと思います。

○鈴木消費者庁企画課課長補佐 中村委員からお尋ねの点で、まず、A案からD案の課題だけ指摘してあって、諸外国であればそういう制度が現にあるものもあって、それはそれなりに克服されているのではないかという御指摘ですけれども、資料1-2(PDF形式:78KB)の参考資料が骨子にさらに書き加えられておりまして、昨日の研究会ではこれを下に、まさにどういうふうに克服すべきかというところの書きぶりについても議論させていただいたところです。
例えば第4が集合訴訟ですけれども、3.や、4.の「制度設計上の課題」と書かれているところについては、課題に関してこういう考え方があり得るのではないかと、それで絶対クリアできるというふうに決め打ちできるわけではないのですけれども、一応考え方としてはこういう考え方があるのではないか、ということを可能な範囲で示しています。さらに検討する必要があるところはございますが、そういうところで検討しておりますので、また何かよい知恵があれば、中村委員にもぜひいろいろお知恵を借りたいと思っているところです。
民主党案の御指摘がありましたが、集合訴訟制度だけではなく行政的手法も考えるべきというのは、そのとおりでして、第5、第6で行政的手法について検討しております。権利院が財産を保全する制度というのは、権利院自体がありませんから、そのものを検討するわけにはいかないのですが、それに近い発想のものは、保全制度の中でも、保全の方法として示して検討しているところです。
ただ、集合訴訟本体の方がどういうふうになるかわからないと、どうやって訴訟手続的に組むかというのは難しいところがありますので、今後、同時並行的に議論をしていくことになろうかと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 短い時間にこれだけまとめていただきまして、ありがとうございます。ただ、なかなか難しくて理解するのは困難なところがあり、もう少しわかりやすいのがいいかなと思うのが一点と、先ほど山口委員がおっしゃられた4つの類型がありますが、私ども現場といたしましては、この4つの類型は今の訴訟制度で十分できるのではないかというふうに考えます。
そういたしますと、参考資料等にも書いてあります消費者被害の事案というものが、現場にとっては非常に被害の回復が難しいということで、この辺りは期待いたしておりましたので、ぜひこの少額についてもしっかりと書き込んでいただきたい。現在の訴訟制度の在り方と、それに加えて集団的消費者被害救済制度については、少額に関してしっかりと書いていただきたい。それが現場で生きるものではないかなと思っております。これが出てきたのは、現場においては、リフォームの問題とか海外先物とかいっぱいあります。そのときに少額被害が高齢者の方に非常に多く出てきておりましたので、私としては、ぜひそのような形で進めていただきたいというのをお願いします。
それから、被害の回復等につきまして、行政による手法のところで課徴金制度というのがいくつかの法律の中でありますが、消費者被害についてどこまで適用されるかというと、法律の組立てがみんな違っていますので、現在の課徴金制度は非常に難しい。ですから、新しい法体系にされるのか、あるいは消費者庁の中でどのようにするかということで、行政的なやり方と民事的なものとの2つがどうしても出てくるかと思います。ぜひそこのところもしっかりと御検討いただき、消費者委員会でもやっていかなくてはいけないのではないかと思っております。よろしくお願いします。

○松本委員長 今の意見でも出ましたけれども、行政型のA案で言われている賦課金というのは、課徴金とは別なものとして御議論されているのですか。

○西川企画課企画官 課徴金が類似する制度ではございますけれども、ただ、現行法で課徴金というものが対象になっているのは、市場の公正性の確保のためとかそういうものでありまして、消費者被害といった分野に課徴金が用いられている例はないので、そういう意味で少し言葉は変えてあるということでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 下谷内委員の御意見は少し誤解されている部分もあると思いますので、2点だけ指摘させていただきたいと思います。
現実に比内鶏事件とか、原産地表示の偽装事件につきましては、今、やり得の実態があって、違法な収益をはく奪する制度がないわけです。景表法違反の行為については、行政がそれをやめなさいという制度はもちろんありますが、例えば原産地表示を偽装して1,000円のものを1万円で売っても、もうけた事業者はそのままになっているという状態があるわけです。これは、やはり新しい制度で何らかの形でこれをはく奪する制度をつくらないと、やり得で終わってしまうという問題がございます。
それから、少額被害の救済が十分なされていない実態を何とかしなければいけないという問題もあるわけですが、例えば私自身が担当した「ジー・オー・グループ」では、年12%の利益が確保できますということで消費者に投資をあおって、国民生活センターには200件ほどの被害がすでに集中していたにもかかわらず、どこも動かない。被害弁護団をつくって警察も動いてやったころには、すでに違法収益は雲散霧消して、被害者は泣きの涙で配当もほとんどなかったという事案でした。
今、「近未來」やその他の集団被害の事件でもそういう状況がございます。これは、行政による保全制度も必要ですが、AからDのどの訴訟パターンによるかはわかりませんが、集団的消費者被害救済制度で救済しないと、お年寄りは、数百万円とか数千万円の高額の被害も泣き寝入りで終わってしまうという実態がございます。もちろん、少額もありますが、高額でお年寄りがターゲットになっている実情を何とかしなければいけない。そのための制度であるということもぜひ御理解をお願いしたいと思います。

○松本委員長 今の山口委員の御指摘だと、集合訴訟制度をつくるより先に保全制度の方をきちんとしないと、結局、訴訟を起こしたときには資産はもうどこかに行ってしまっていますよ、という御趣旨ですね。

○山口委員 そういう被害のパターンも非常に多いです。もちろん、集合訴訟による被害救済も実現していただきたいと思いますが、保全制度も必要性が非常に強いということも申し述べておきたいと思います。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 説明、ありがとうございました。今後は消費者庁と消費者委員会が分担して検討することになると思いますが、その場合に消費者庁としてはどういうことを期待しておられるのか。その点を聞かせてほしい。
また、この問題は一般的な話にしていいでしょうか。むしろ犯罪集団の問題だと思います。一般的な民事的な問題として考えていくべきものでしょうか。消費者保護という目線に立てば、常習的犯罪者集団に対する対応をきちんとどうするかという問題であると考えます。

○松本委員長 それでは、前半の御質問、今後、どういうふうに消費者庁側としてはこの議論を進めていくことを希望されているのかということについて。

○成田企画課長 この後、専門調査会をつくることについて御議論いただくと聞いておりますけれども、調査会ができましたら、そこでどういう形で御議論いただくのか、消費者庁として、例えば、どういう資料を御提供できるのか、どういう点を詰めていただかないと私どもはその先に進めないのか。そういったところをよく御相談させていただきながら、できる限り作業が前に進められるように対応していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 その場合、山口委員が最初の方におっしゃった、民事訴訟についての議論はかなりのところまで来ているけれども、行政的手法の方はまだ2合目、3合目ぐらいだと。ところが、行政的手法の方は、A、B、C、3つの案のうちA案を中心として引き続き検討すべきということで、方向性は一応出したような書きぶりなんですが、民事訴訟の方はA案からD案までが並列的に書かれている感じで、消費者庁の研究会としてはどの案を軸に今後検討を進めるべきだと、そういう形まではまだ行っていないということですか。

○西川企画課企画官 集合訴訟のA案にせよ、B案にせよ、C案にせよ、それぞれに利点があり、それぞれにクリアしなければいけない課題もある。そういう意味では現時点において、この方向性という感じで明確に示せるほどの分析にはまだ至っていないということでございます。
なお、行政的手法の方もおっしゃるとおり、集合訴訟にも増して議論がまだ熟していない度合いは多いかと思います。そこについては消費者庁内で引き続き検討体制を組んで、消費者委員会の御意見も聞きながら可及的速やかに詰めていきたいと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 行政については、何らかの形で消費者庁が、例えば特商法違反、景表法違反の事業者に課徴金を課せる制度をつくればいいではないかと、私は先ほど申し上げたわけですが、それをもしやろうとすると、例えば金融庁にあるような審判制度を設けるとか、その他、マンパワーの問題も出てくるわけです。その辺の具体的な予算の問題、人員の問題もかかわってくると思いますので、その辺も含めて、消費者委員会としても関心を持ちながら積極的な意見をまとめていただきたいし、私どもとしてもそれをサポートすることをしていきたいと思っております。

○西川企画課企画官 ありがとうございます。組織体制の問題は非常に重要な問題ですが、それ以前の問題といたしまして、果たしてどういう消費者被害の分野にどういう法律で対応していくのか。それから、課徴金ということでいいのかという議論も当然まだ残っているわけで、その辺をちゃんと詰めた上で、組織体制の議論にもいろいろ御助言、御助力をいただければということでございます。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
一応いくつかの案が考えられるということで、ある程度の検討はされた。しかし、まだどれが一番いいというところまでは至っていないということでございました。今後、民事訴訟的な部分につきましては、消費者委員会の方で専門調査会をつくって、そこでさらに議論を進めていくことになると思いますが、消費者庁の事務局の御協力も得る必要があると思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
お忙しい中、審議に協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.集団的消費者被害救済制度専門調査会設置・運営規程(案)について≫

続きまして、「集団的消費者被害救済制度専門調査会設置・運営規程(案)について」の審議に移ります。当制度につきましては、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第6項におきまして、「法の施行後三年を目途として加害者の財産の保全に関する制度を含め、不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について必要な措置を講ずるもの」とされていることに加えまして、本年3月に閣議決定された消費者基本計画においても、「消費者委員会の意見を聞きながら必要な措置を講ずる」とされております。
先ほど消費者庁企画課から御報告をいただきましたとおり、現在、消費者庁の集団的消費者被害救済制度研究会がとりまとめを行っているところであり、これを受けて消費者委員会において、この制度について専門的知見を有する方々にお集まりいただき、専門的な視点から調査審議を行っていただくことを目的に専門調査会を設置しようとするものでございます。
それでは、事務局より規程案の説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料2に、「消費者委員会 集団的消費者被害救済制度専門調査会設置・運営規程」の案をお示ししておりますので、ごらんいただきたいと思います。この問題というのは大変大きく、また、非常に難しい課題も抱えているところではありますけれども、委員長からもお話があったとおり、国会で消費者庁・消費者委員会が設置されるときにも、附則でぜひ検討を進めるようにというふうにされていたものです。消費者庁で検討を進められておりましたけれども、今後の審議体制については、短期間ではありましたが、消費者庁とも協議を進めまして、消費者委員会の下に専門調査会を置くという形で審議を進めることにいたしました。そして設置・運営規程案ということで、今日、お示ししているものです。
総則のところ、第1条ですけれども、「消費者委員会の集団的消費者被害救済制度専門調査会の設置、所掌事務、議事録の作成及び会議等については、この規程の定めるところによる」といたします。
第2条に「専門調査会の設置」を書いておりまして、第3条で専門調査会の所掌について掲げております。「第3条 専門調査会は、以下に掲げる事項について、委員会の求めに応じて、調査審議する。(1)集団的な消費者被害の救済に関する制度の在り方。(2)そのほか(1)に関連する重要事項」ということで、(2)で、少し幅広く関連する問題を取り上げることができるという形での規程にいたしました。 第4条「調査会の設置」、第5条「議事録の作成」、第6条「審議の公開」、第7条「専門調査会の会議」、雑則、準用については、ほかの専門調査会の設置・運営規程と同様なものでお示ししております。
事務局からはこの案の提案ということで、審議をお願いしたいと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、この規程案につきまして、御意見ございますでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 これまでの専門調査会は、極めて概括的な形の、例えば地方消費者行政等の制度の在り方を検討するような調査会なわけですが、この調査会は再来年の国会上程に向けて、制度の在り方というよりもむしろ、条文づくりは来年の夏ごろからなさるのでしょうけれども、それに向けた具体的な制度選択も含めた議論をするということになると思います。そうすると、先ほど御説明いただいた方々を含めた消費者庁の全面的協力といいますか、それがなければ、ただ一般的にお話し合いをして何か報告すれば済むというものではない。
要するにこれまでの審議成果を踏まえて、制度選択を含めた具体的な条文づくりの準備作業にかかるわけですから、条文の中に、この専門調査会については例えば消費者庁の協力を得て行うとか、消費者庁の積極的な関与を前提とするとか、そういうことを明示しておかなくていいのでしょうか。そこが少し気になるので、その点はどうなのか。

○松本委員長 恐らく、明示したから消費者庁に対して拘束力が生ずるというものではないと思うんですね。この辺は行政組織法上の何かがあるのかもしれないですが、実際上、消費者庁の協力がないとやれないことは事実で、消費者庁からも協力をいただくということで内々のお約束をいただいていることもありますから、ここにあえて書かなくても実際はそのとおりだということになると思います。

○中村委員長代理 ちょっと逆なんですね。もともと消費者基本計画の中でも、消費者庁が「消費者委員会の意見を聞きながら必要な措置を講ずる」となっているので、我々は、そこの「意見を聞きながら」の意見を言う場面に登場するわけです。今、山口さん言われたようなことは、当然、前提として連携しなければできない話だけれども、主客を入れかえるような明文をわざわざ書かなくても、それは当然の前提だと思いますから、ここにわざわざ入れなくてもいいのではないかなと思います。
それから、消費者基本計画の中では、平成23年夏を目途に制度の詳細を含めた結論を得ますということになっているので、まさにそれをここである程度のところをやらなければいけないわけで、賞味期限としてはこの調査会は来年の夏なのです。あと、その法案づくりは再来年の通常国会を目指して消費者庁の方で完成させる。こういうスケジュール感でいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。

○山口委員 私も行政のシステムはよくわからないので、この規程がどういう意味を持つかというのは別にこだわるものではないのですが、これまでの専門調査会と違って法案の作成を目がけてやるんだというところは、なくていいのか。ちょっと心配は心配ですが、あとはお任せいたします。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 私はこの案で結構ですけれども、あえて言いますと、消費者委員会がつくるという意味がよくわからないのです。現実的には消費者庁がやっていることを引き継ぐという形にならなければ、作業は来年の夏まで進まない。現実的な作業スケジュールを考えますと、そういう意味での専門調査会であるべきだろうと私は思います。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんか。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 この設置・運営規程については、私はこれでいいのではないかと思います。先ほど松本委員長もおっしゃられたように、協力は当然するという内々のことでもありますし、私もそのような説明を受けたような気がいたしております。これが単独に専門調査会でできるということはまずあり得ないことで、参議院の附帯決議とか、基本計画に基づいてこの専門調査会は動く必要がありますので、当然、協力というのはされることを前提に私はこれは承知いたしております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
山口委員が危惧されているような、ここに書いていないことは一切やらないということではなくて、ここに書いていないけれども、当然、消費者庁の企画課が従来どおり事務的な部分ではかなり協力をしていただくことが大前提だし、基本計画等に沿ってターゲットははっきりしているわけです。ここに書いていないから、だらだらと単に議論だけをするというわけではないのも明らかですから、その辺りは心配する必要はないと思います。
では、この案で御承認いただけますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、なるべく早く専門調査会が消費者庁の研究会の後を引き継いで、さらに議論を深められるように準備作業を進めていっていただきたいと思います。

≪4.平成21年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要について≫

○松本委員長 続きまして、「平成21年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要について」です。個人情報保護法に基づいて作成されました「個人情報の保護に関する基本方針」において、消費者庁は、その施行状況について関係行政機関からの報告をとりまとめ、その概要を公表するとともに消費者委員会に報告することとされております。平成21年度の施行状況の概要について、消費者庁より今月3日に公表されておりますので、本日の委員会におきまして、これについて御報告をいただくことにいたします。
それでは、消費者庁個人情報保護推進室より御説明をお願いいたします。

○國井個人情報保護推進室長 個人情報保護推進室長の國井でございます。
ただいま委員長から御説明のありました、「平成21年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」について、私から簡単に御説明させていただきたいと思います。
この報告の性格、公表の日時については、先ほど委員長から御紹介があったとおりでございます。併せて、昨日行われました、消費者委員会の個人情報保護専門調査会においても、議題の一つとして私から御報告させていただいて、御質問、御意見等をいただいたところでございます。
本日の資料ですが、資料3ということで要約版(PDF形式:48KB)白表紙(PDF形式:591KB)の冊子と2種類用意しております。まず資料3、要約版の方で全体の構成等について御説明させていただきます。
本体部分は、大きく第1章、第2章、第3章に分かれております。第1章は「国の個人情報の保護に関する施行状況」、第2章は「事業者等の個人情報の保護に関する取組の状況」、第3章は「法施行後5年間(平成17年度~平成21年度)の施行状況の傾向」ということで整理させていただいております。
ちなみに平成20年度の施行状況の概要につきましては、やはりこの消費者委員会で昨年11月に御報告させていただいたところでありますけれども、その際に報告させていただいた20年度版と今回の21年度版の間で、若干変更している部分があります。それは、昨年まで第3章には地方公共団体における個人情報保護の関係の記述を載せていたわけですけれども、こちらにつきましては、もともと総務省の自治行政局が各地方自治体に調査をかけて、その結果を私どもがいただいてセットしていたわけでございます。
ただ、そちらの調査が昨年から秋に取りまとめられることになりましたものですから、それ以外の、国で取りまとめを行う部分の取りまとめの時期の早さというのを重視しまして、今回は、地方の概要につきましては総務省が早晩公表されるであろうものを御参照いただくこととして、我々が取りまとめている報告からは割愛させていただいたということでございます。そのかわり第3章に、先ほど御説明させていただいた法施行後5年間、ちょうど平成17年の4月1日から民間事業者に適用される義務規定が完全適用され、5年経過したところでございますので、その5年間の傾向を載せさせていただいたという違いがございます。
中身については、本体をごらんいただきますけれども、その第3章の「傾向」については、要約版の別紙ということで見やすいように3つのグラフに整理してございます。それぞれ施行状況の報告の中で、主要なテーマと思われるものについて簡単に5年の経緯を図にしたものでございます。
一番上をごらんいただくと、事業分野ごとに定めている各省のガイドラインの策定数と認定個人情報保護団体の認定数は、17年度から21年度にかけて順々に伸びていっていることがお分かりいただけるかと思います。
別図2は、個人情報取扱事業者に対する主務大臣による権限行使の件数でございます。基本的には間接罰の仕組みをとっておりますので、報告の徴収から助言、勧告と、主務大臣の権限行使の内容がだんだんグレードアップしていくわけですけれども、報告の徴収については折れ線グラフになっていまして、若干の増減はありますが、傾向としては減少傾向にあるということでございます。勧告・助言というのは、報告の徴収をした上で必要があると認めるものに対して行うのが基本でございますので、毎年そうあるわけではございませんけれども、そこにお示ししたような結果になっているところでございます。
一番下が、個人情報に関する苦情相談件数と個人情報の漏えい事案件数でございます。特に苦情相談につきましては、国民生活センターや全国各地の消費生活センター等を中心に受け付けたものを国民生活センターで集計していただいていますので、若干は取扱いについて整理の違いが年によってはあるのかもしれませんが、傾向としては、苦情の相談件数は年々減少傾向にあります。また、事業者が公表している個人情報の漏えい件数も、だんだん減ってきていることがお見取りいただけるのではないかと思います。
要約版の説明は以上でございまして、その他、第1章と第2章については、本体でポイントだけかいつまんで御説明させていただきますので、本体の方をごらんいただきたいと思います。
まず、表紙から2枚ほどおめくりいただきまして、1ページでございます。国の個人情報の保護に関する施行状況で、事業等分野ごとのガイドラインの見直しの状況についてまとめてございますが、本年の3月31日現在、ガイドラインの数は27分野・40本になっております。このうち、平成21年度中に新たに策定したものが3本、見直しを行ったものが9本になっておりますが、注で掲げているとおり、警察分野と農林水産分野は、古いものを廃止して新しいものに変えたということでございます。実質的な意味で言いますと、どちらかといえば見直しに近いということで、全くなかった分野に新しく策定したのは環境分野のガイドラインの1つということになるわけです。
その改正の内容ですが、昨年も御説明したと思いますけれども、形式的な部分については、各省のガイドラインをできるだけ共通化しようという取組を関係省庁の間で申し合わせて行ったところですので、その申合せを受けて、形式面の修正を中心に行ったというのがほとんどとなっております。
3ページは、個人情報取扱事業者に対する主務大臣の権限行使の状況でございまして、21年度は勧告が2件で、報告の徴収が18件という実績になってございます。20年度は助言が1件あっただけですが、今回は勧告が2件行われております。具体的には資料編の22ページに、勧告以上を行った場合には、どこに対して行ったかというのを掲載することにしています。これについては三菱UFJ証券とアリコジャパン、いずれも大きく報道されましたので皆様もお目にされたかと思いますが、その2件に対して金融庁から勧告が行われたというのが実績でございます。
続きまして、4ページでございますが、認定個人情報保護団体の認定の状況ということで、平成22年3月31日現在、認定の団体数は全部で38団体です。平成21年度には新たに4団体認定を行ったわけですけれども、注の一番下にありますとおり、事情により認定業務を廃止した団体も3つありますので、プラスマイナスで言いますと、20年度に比べれば1団体の増になっております。
5ページは、主に国における個人情報保護制度関係の動きについて記載しております。これにつきましては、皆様よく御承知のとおり、消費者庁・消費者委員会の発足と、そちらへの個人情報保護関係の業務の移管。それから、まさに昨日立ち上がりました、個人情報保護専門調査会の設置等について記載させていただいています。
一番下は、これもよく御存知のことと思いますが、新たな「消費者基本計画」の策定ということで、個人情報保護関係部分が2つございます。法制度の周知徹底等を継続的に実施することと、専門調査会において議論が開始された法改正も視野に入れた問題点についての審議、それを踏まえて消費者庁、関係省庁で検討するということが記載されているわけでございます。
続きまして6ページからですが、ここは第2章、「事業者等の個人情報の保護に関する取組の状況」についてのまとめでございます。苦情処理の状況ということで掲げてございますが、全般的な状況としては、5年間の傾向は先ほど御説明いたしましたけれども、21年度については、苦情相談件数は全部で8,600件弱になっております。基本的には消費生活センター、国民の皆さんにとって一番身近なところが受け付けたものが8割強を占めている状況になっております。
続きまして、事業分野の状況です。これは、特に適正な取扱いを確保すべき個別分野(医療、金融・信用、情報通信)が全体の38%を占めているということで、この分野の割合が高いというのは例年の傾向でございます。
7ページ上側のところですが、相談内容の状況については、相談内容のジャンル別に分けられるものは分け、それに当てはまらないものは、その他ということで整理してもらっていますけれども、不適正な取得に関するものが約45%で最も多い等々という結果になっております。
処理結果の状況については、当事者間で自主的に交渉を行うのに必要な助言を行ったというのが8割強で、これがほとんどだったという結果になっております。
続いて8ページからですが、事業者からの個人情報漏えい事案の状況でございまして、事業者が公表した個人情報の漏えい事案の件数について規定しております。この項目については参考ということで平成17年度からの件数をすべて掲げておりますけれども、これは先ほど傾向のところで説明したとおり、年々減少しているという状況でございます。
漏えいの規模と情報の種類についても、数で分類すれば小規模な500人以下の事案が全体の約7割ということで、小規模な事案が多いというのは傾向としては変わっておりません。
情報の種類ですけれども、ほとんどの事案について顧客情報が含まれている。基本情報のみが漏えいした件数が10%ですので、その他、多くの事案において、それ以外の情報も含めて漏えいされているという結果になっております。
10ページは、漏えいした場合に、暗号化等の情報保護措置が行われているかということについて整理をしたものでございまして、電子媒体と紙媒体の比率が4対6ぐらいであったということでございます。それと、漏えいしたものの情報保護措置の有無について見れば、特段措置を講じなかったというものが全体の8割弱を占めていたという結果になってございます。
12ページですが、漏えい元と漏えいした者ということで、事業者から漏えいした事案と、委託先から漏えいした事案について見ますと、3対1ぐらいの割合で事業者から出ている方が多いということであります。これも昨年、御説明したとおりの傾向は変わっておりませんで、基本的には従業者が関与していたというのが全体の83%あるわけですが、従業者が漏えいにかかわった事案というのはほとんどが不注意によるものであり、逆に第三者が漏えいにかかわった事案というのは、ほとんどが意図的なものであるという傾向は変わっておりません。
13ページですが、漏えい後の改善措置状況ということで、基本的には漏えい後にはほとんどの事案において、事業者によって何らかの安全管理対策が講じられているということでございます。具体的にどういうことをしているのかというのは、整理をすれば、その下の表のように、本人への謝罪・連絡、専用窓口の設置、警察への届出が多く行われています。
ここで、若干補足をさせていただきますと、昨年、実際に大規模な漏えいが行われた後、それぞれの企業、事業者がどういうことを実際にやっているかというのが重要であるという、山口委員からの御指摘がございました。今年度版については、後ろの資料編の34・35ページの2ページにわたって、規模が大きい50,001件以上の漏えい事案について、具体的な事業者名と、その他、関連する情報を表として載せさせていただきました。一番右側は漏えい後の対応策です。スペースの関係もありますし、所管省庁が把握して報告した内容ということですので、箇条書き程度になっておりますが、今回、それについて記載しているところでございますので、また後ほどごらんいただければと思っております。
13ページの一番下は、認定個人情報保護団体への報告ということで、その報告件数等について記載してございます。
14ページですが、認定個人情報保護団体の取組状況ということで、もともと傘下の事業者に対する苦情の処理等を中心に行う目的で関係する省庁から認定を受けている団体ですけれども、そこに掲げているとおり、苦情処理を中心に対応を行っております。金融庁の所管団体で勧告を行ったものが2件ありまして、これは基本的には先ほどの行政庁が行った勧告と対をなすものだと理解しております。
第3章は、先ほど要約版で説明いたしましたので割愛させていただきます。
以上、駆け足で恐縮でしたけれども、平成21年度の個人情報の保護に関する法律の施行状況の概要について、説明させていただきました。
以上です。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告につきまして、御意見、御質問がございましたら、どうぞお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 ちょっと記憶がはっきりしないのですが、前の報告書には「過剰反応への対応」というのが項目であったような気がします。個人情報保護の問題で、一つは過剰反応の問題というのはもともと大きな問題と言われていて、それについて今年のこの概要の報告にはどこかに出てくるのですか。

○國井個人情報保護推進室長 それは先ほど御説明したとおり、今回、省略させていただいた地方の取組状況の中で総務省が各自治体に調査をかけたときに、それぞれの市町村・都道府県でどれくらいの対応をしているかということが項目としてありましたので、それが載っていたわけでございます。ですから、今回の場合は、その項目自体を後ほどまとめられる総務省に委ねておりますので、現時点では載っていない。そういう関係になるわけでございます。

○中村委員長代理 今、言われた総務省の後で出てくる報告書と、今回のこの概要の報告との連携ぐあいというのが、国民に何か分かりにくいような気がするのですが、その辺はどこかにアナウンスされているのですか。

○國井個人情報保護推進室長 端書きというか、冊子の最初のページに地方の状況についてはこちらをごらんくださいという注を掲げております。今は時期がずれますので、すでにオープンになっている昨年度版のタイトルしか載せておりませんが、要は別の方でちゃんと調査していますということが分かるようにはしております。

○中村委員長代理 将来、合体するというわけではないのですか。

○國井個人情報保護推進室長 それをしようとすると、2つあって、こちらの公表が遅れてしまうというのと、冊子を二度刷るのもどうかということがありまして、本年度以降は基本的には別ものということで、適宜御参照いただきたいと考えております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 34ページ以下の表を出していただきましたので、今後、企業活動等においては役に立つのかなと思います。ありがとうございました。
今、中村委員も言ったような過剰反応の問題が、やはり個人情報の関係では非常に重要な問題だと思うのです。現実に昨今起こっております、高齢者の生存確認がきちんとなされていないと。もちろん、これはこの分野の問題ではなく地方行政の問題であり、また、家族が立ち入り調査を拒否した場合に、行政がどこまで踏み込んでお年寄りの生存を確認できるのかという問題で、直接個人情報保護法の問題ではないのかもしれませんが、非常にかかわる問題で、官房長官までがあたかもこの法律の問題であるかのようなコメントもされております。
希望としては、きのうの調査会でも意見が出ていましたけれども、関係判例を毎年少しずつ載せていくといいますか、紹介していけないでしょうか。そうすれば、この報告書を見て、なるほど、個人情報保護の関係ではこういう判例があって、こういう考え方をすればいいのかという、一つの指針が示されるのではないかと思います。あまり分厚くなってもあれですけれども、せいぜい1、2ページぐらいで、去年は個人情報保護の関係ではこういう判例が出ましたということを紹介いただくと、この冊子を読んだときに少し理解を深めることになるのかなという気もしますが、その点はいかがでしょうか。

○國井個人情報保護推進室長 これも、きのうの専門調査会でも若干申し上げましたが、ダイレクトにこの法律の適用が争点になったものは実はそれほど多くないと認識しておりまして、例えば年に1本とかそれぐらいしか出ないのであれば、載せるのは比較的容易ではないかと思っております。そこはまた、どこまで載せられるのか、載せるとしたらどういう形になるのか、またお時間をいただいて若干検討してみたいと思っております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
恐らく高齢者の存否の確認が難しいという問題は、個人情報の保護あるいはプライバシー保護の問題であって、個人情報保護法という法律の問題ではないと思うのです。それを法律の問題だというのは、恐らく間違った指摘になるかと思います。

○松本委員長 それから、前回の山口委員の御指摘等を踏まえて、漏えい事件のその後の対応措置について調査し記載していただいたというのは、消費者委員会としての意見を反映していただいたということで、大変うれしく思います。
また、総務省の地方の報告書と別の形で公表されるということですが、総務省の報告書が出ましたら、消費者庁のホームページからリンクを貼るなりしてすぐにつなげるようにというのは、やっていただける予定でしょうか。

○國井個人情報保護推進室長 はい。そこは検討させていただきます。

○松本委員長 お願いいたします。
ほかには、ございませんでしょうか。
それでは、お話にも出ましたように、消費者委員会では昨日、第1回の個人情報保護専門調査会を開催したところでありまして、個人情報保護法の施行状況のフォローアップを含めて引き続き調査審議を行っていきたいと思います。消費者庁の個人情報保護推進室におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。

≪5.閉会≫

○原事務局長 最後に、事務局より、この後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 本日は前回に引き続き5時をめどに、この部屋において、全国消費者団体連絡会、日本経済団体連合会、日本弁護士連合会との意見交換会を行う予定にしております。
引き続き意見交換会も傍聴される方につきましては、すみません、30分お待ちいただくことになりますけれども、お残りいただければと思います。5時ということで御案内をしていて、まだお見えになっていないので、申し訳ございませんが、傍聴の方はお待ちいただくようになりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。資料は受付で改めてお渡しいたします。
次回の委員会ですけれども、定例であれば第2金曜日である8月13日に行うことになっておりますけれども、夏は一回お休みをとらせていただきまして、8月27日金曜日の15時から行う予定にしております。
事務局からは、以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)