第25回 消費者委員会 議事録

日時

2010年5月28日(金)15:00~17:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、
 下谷内委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
 消費者庁 内田長官、川辺消費者情報課長、成田企画課長、野村消費者安全課長
 経済産業省 藤代製品安全課製品事故対策室長
 国土交通省 板崎自動車交通局技術安全部審査課リコール対策室長
 国民生活センター 窪田情報部長
 消費者委員会公益通報者保護専門調査会 島田陽一座長

【事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
3.公益通報者保護専門調査会の運営方針について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 「消費者基本計画」における「工程の明確化」関連資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:135KB)
【資料2】 消費者基本計画の具体的施策8に関する今後の取組(工程表)(国土交通省提出資料) (PDF形式:35KB)
【資料3】 公益通報者保護専門調査会関連資料

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、おそろいになりましたので、始めたいと思います。
皆様、本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「第25回消費者委員会」の会合を開催したいと思います。
委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○松本委員長 それでは、議題に入らせていただきます。
本日最初の議題は「消費者基本計画の検証・評価・監視について」です。
平成22年3月30日に閣議決定されました「消費者基本計画」において、消費者基本計画を実効性のあるものとするために、「計画に盛り込まれた具体的施策の取り組み状況について、十分な検証・評価・監視を行うことが重要です」とされています。そして、消費者庁と各施策の推進に当たる関係府省庁等は、「重要課題ごとの施策の実施についての工程を明確化します」というふうに記載されています。
一方、同計画におきましては、「消費者委員会の消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ、検証・評価・監視を行います」と記載されております。このため、先日行われました第23回消費者委員会におきまして、消費者委員会として、消費者庁及び関係府省庁等に重要課題ごとの施策の実施の工程について、消費者庁及び関係府省庁等に対してヒアリングを実施することといたしました。
なお、この時期にヒアリングを行うことにつきましては、できる限り早く重要課題ごとの施策の工程を明らかにしていただき、来年度、平成23年度の予算と体制の要求に反映していただく必要があると判断したことによるものでございます。
そこで消費者委員会では、本年3月3日に委員会として公表しております「消費者基本計画策定に向けての意見」の中で挙げました10の横断的な重点施策をもとに、重要課題と考えられる施策を選び、4回程度に分けてヒアリングを行うことといたしました。
今回はその第1回目といたしまして、重点施策の1つ目、「事故情報の一元的収集・分析・提供が的確かつ迅速に図られるようにする」にかかわる施策である基本計画の1番、2番、4番の各施策。それから、3つ目の重点施策であります、「伝えたい情報が確実に情報を必要とする者に届くようにする」にかかわる施策である基本計画の7番、8番の各施策について、それぞれ関係省庁においでいただいておりますので、ヒアリングを行いたいと思います。
初めに、ヒアリングの進め方についてですが、基本計画の2番、4番、7番の施策の工程についてまとめて御説明をいただき、その後、一つずつ質疑を行いたいと思います。それが終わりましたら、基本計画の1番の施策の工程について、続いて8番の施策の工程について、同様に行わせていただきたいと思います。
それでは、2番、4番、7番の施策の工程(PDF形式:135KB)につきまして、消費者庁より番号順に御説明をお願いいたします。

○野村消費者庁消費者安全課長 消費者庁消費者安全課長でございます。よろしくお願いいたします。
施策番号2、「事故情報データバンクを構築し、個人情報保護に配慮しつつ十分な開示を行い、広く国民からの利用が可能な運用を行う」ということでございます。事故情報データバンクに関しましては、3月の委員会でも、稼働する前にいろいろ御意見をちょうだいしたところでございます。それを踏まえて、4月1日から国民向けの利用の稼働を開始したところでございます。
現在、1日当たり1,000件ぐらいのアクセス数がございまして、新しい情報の登録も1日数十件程度。当初の4月1日は、登録数は昨年の9月からで1万5,000件でございましたけれども、現在、2か月たちましてすでに1万6,000件を超えている状況でございます。新規の情報の登録及び新しくなっているということを踏まえまして、一般の方々からのアクセス件数もまずまずの御利用をいただいている状況ではないかと思っております。
ただ、より改善を図っていくという政策目標を掲げていただいてございますので、それに向けていろいろとこれから検討をしていきたいと思います。本委員会で御指摘をいただいた点、特に有益性、わかりやすさということで、もっと情報の在り方を改善していくところがあるのではないか。例えば表現ぶりでありますとか、あるいは画像情報といったものを出していくと消費者には伝わりやすいのではないか、それから、参画機関数が限定的ではないか、こういったところに関しまして、技術的な面、関係省庁からの御協力の面、両方の面で改善を図るべく、現在、作業に着手しているところであります。本年度内に一定の改善を進めまして、また、適切なタイミングで御報告させていただければと思います。
施策番号の4でございます。消費者安全法及び消費生活用製品安全法の事故情報の報告・公表制度に関しましては、報告・公表の状況の検証をきちんと行い、また、その検証状況を消費者委員会でも御議論をちょうだいしながら改善を図っていく、という政策目標を掲げていただいているところでございます。
これに関しましては、先日開かれました「消費者安全専門調査会」の第2回会合において、議題として個々に挙げ御報告をさせていただき、いろいろな御指摘をちょうだいしたところであります。
通知状況に関しまして、通知件数、分野別の通知状況、各省庁・地方自治体別の通知状況等を御報告させていただきましたけれども、さらなる周知徹底の必要性とか、消費者安全法上の通知情報に該当するかどうかという法施行の観点にあまり厳密になり過ぎず、関連情報を幅広く収集・発信していくような工夫が必要だといった御意見をちょうだいいたしました。そうした方向性で何とか改善が図れるよう、これから通知元になります関係省庁や地方自治体と調整いたしまして、次の第3回の消費者安全専門調査会に御報告させていただくべく、現在、検討を進めているところであります。
施策番号の7、リコール情報の一元的な収集と消費者への提供という点でございます。これに関しましては、私どもは制度としてリコールに関する根拠になるものは持ち合わせておりませんけれども、消費者庁発足後の取り組みとしましては、消費生活用製品安全法に基づきまして、事業者が重大製品事故情報を上げてくるときに、その重大製品事故情報を公表するのに合わせまして、当該製品がリコール製品であったか、なかったかという情報を併せて聴取して、リコール情報である場合には、リコールに関連する取り組み状況、あるいは、対象になっている一連の商品内容等を併せて公表するようにしてきております。
今後、製品のリコール情報だけではなく、食品とか、その他の分野のリコール制度の状況を踏まえまして、消費者庁として関係省庁とでき得る連携の在り方、また、リコール情報の発信の仕方として、わかりやすい消費者に届けるための工夫としてどういうことがあり得るのかということを、国内、あるいは海外の制度・事例の調査をいたしまして、それを踏まえて、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。
御説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、各施策番号ごとに質疑を行いたいと思います。まず初めに、施策番号2番の工程につきまして、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 先ほど、アクセスとか登録件数の数字が出てきまして、消費者からの照会はまずまずではないかというコメントが野村さんからありました。評価されるのはいいと思いますが、例えば、今年じゅうはどれぐらいの数字を目標にしているのか、次年度はどうかとか、こういうものの数値目標は難しいだろうけれども、ある程度決めておかないと評価のしようがないと思うのです。
多い少ないは別にして、今までよりは3倍、データとして受け付けるようにしようとか、あるいは、PIO-NETを設計するときに最大いくらぐらいと決めると思うのです。そういうことをしないと、「まずまず」という文学的・情緒的な表現では、なかなか評価しにくいのではないですか。数値目標が高い低いというのは、1年たってみればわかるところですね。もう少し高い目標でもいけるなということがあると思いますけれども、やはり数字をつくっておかないといけないのではないかと私は思います。

○野村消費者庁消費者安全課長 ありがとうございます。事故情報データバンクの事故情報を登録していくという性格からいたしまして、登録件数が多ければ多いほどいいとか、類似事故、自分が気になる事故があるということで、アクセス件数が増えれば増えるほどいいのか、そういうところはあるかと思いますけれども、今、2か月ほどやってみて感じておりますことは、ウィークデーの方がアクセス件数が明らかに多く、週末は明らかにアクセス件数が少ないという状況は、恐らくは事業者の方々が、自分のところの製品がアップされていないかという観点で見ておられるのではないかと感じているところはあります。
広くいろいろな方々に御利用いただくという創設の目的に照らしますと、例えば週末でのアクセス件数の向上、そこは数値目標ができるかどうか、少し検討させていただければとは思いますけれども、そういう具体的な目標を設定して取り組んで、改善状況を御報告させていただければと思います。

○松本委員長 川戸委員。

○川戸委員 2番ですけれども、「十分な開示を行い、広く国民からの利用が可能な運用を行います」と書いてあります。これまでの間に、これに関していろいろな意見とか、反応とか、そういうのは来ていますでしょうか。十分かどうかとか、こういうところがまずい、改定してくれというようなことはありますでしょうか。

○野村消費者庁消費者安全課長 御意見を書き込みいただく機能をつけておりまして、今、手元に数字はございませんが、ある程度の件数の御意見をちょうだいしています。使い勝手に関する御意見、情報の内容、ここのところは訂正した方がいいというような御意見など、いろいろな立場の方々から御意見をちょうだいしておりますので、それらを踏まえて改善を図っていきたいと思っております。

○川戸委員 具体的に持っていらっしゃる一例を挙げていただけますか。

○野村消費者庁消費者安全課長 集計機能とかグラフィック機能を機能としては搭載していて、使い方がわかりにくいという御意見は、その機能を使っている方は数が少ないようでありまして、このシステムを使ってできることを、もう少しわかりやすく御説明を付すように改善すべきではないかと思っております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 事故情報データバンクは消費者庁ができる随分前から検討されてきまして、事故情報の一元化という象徴的なものとして私たちはとらえてきたわけですけれども、運用を開始して、その機能がはっきりされているとは思えないことがいくつかあると思っています。9月からなので、すごく時間が短いということと、一元化の中身が行政機関の情報一元化であって、消費者のレベルでの共有化になっていないのではないか、社会的共有化ができていないのではないかというふうに思っています。
まず、参画する機関も少ないし、データバンクの情報がうまく活用できないのは、メーカー名が出てこないとか、商品名が公開されていないということで、消費者にとっては非常に使い勝手が悪いと私たちは思っています。どこまで公表できるかということをもう少し検討していただきたいと思います。
ここにも書いてあるように「広く国民からの利用が可能な運用を行います」ということで、そのためには、やはりそれだけの情報、消費者にとって必要な情報が出てこなければならないというふうに思っています。商品名、メーカー名の公表ができるのか、するのかというところ、一歩踏み込んだ対応をぜひ考えていただきたいと思います。
9月1日からの情報を集約しているのですが、各省庁ではそれ以前の情報があります。そこまでの情報を集約する予定はあるのかということを一つお聞きしたいのと、それから、川戸さんと似たような質問ですけれども、この2か月間、私たちがデータバンクを見ることができるようになって、それなりにこれまでの運用の評価をされているのではないかと思います。評価、反省点があったら、ぜひ教えていただきたいと思います。

○山口委員 よろしいですか、関連して。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 今の佐野委員の発言と絡むのですが、事故情報データバンクについて、警察、病院、消防署などの事故情報がどの程度集まる体制ができるのかということは、重要なテーマとしてかねてより議論されていました。さらに、例えば学校、高齢者施設、有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅等、高齢者がお住まいになっている施設における事故情報とか、あるいは、鉄道会社での情報。もう一つは、世界的に同じような商品を使っていることがあるわけですから、日本で使われているものと同じものを使っている外国の情報。
そういう情報が収集される体制は、例えば高齢者施設などについて聞いてみますと、高齢者施設で起こった事故については、地元の市区町村に報告義務があるというふうになっているようです。恐らく学校などもどこかへの報告義務が定められているのではないかと思います。このように、事故情報が集まっている機関との連携ができれば、学校から、病院から、あるいは高齢者施設から直接入手する体制ではなくても、いろいろな工夫でできるのではないかと思います。
やるかやらないかではなくて、そういう体制を、いつごろまでにどういうふうな形で工程としてやると考えるのか。今の佐野委員の質問は、やるのか、やらないのかでしたけれども、当然、やられる必要があると思うのです。その辺は、いつごろまでにどういう検討体制でどういうふうにするのか、日程的なところを検討していただきたいと思います。
あと、メーカー名や商品名の公表は、一定の基準をつくって、やるのかやらないのか、いつごろまでにどうするのかというのは、今のままでいいとは思えないので、何らかの形で工程表に盛り込んでいただきたいと思います。その辺、佐野さんの意見より少し突っ込んだところはあるかもしれませんが、併せてお話しいただければと思います。

○松本委員長 施策の2と施策の4にまたがったような御質問が出ていますが、一応2と4は別の施策ということなので、まず、2の観点から御回答ください。難しいですか。

○野村消費者庁消費者安全課長 まず、佐野委員の御指摘ですが、社会的共有化が十分図られていなくて、もっと裾野を広げていかないといけないというのは、参画機関数を増やすということに象徴されると思います。これは22年度の課題として、関係機関に協力要請をしっかりしていきたいと思っています。
それから、メーカー名、商品名については、確かに御指摘のとおり、それらが入っていない情報の方が圧倒的に多いという状況があります。事故情報の公表に関しまして、現在の考え方としましては、その事故の発生に関して製品に起因している蓋然性が一定程度以上であるときには製品名、事業者名を出す。そこがまだ確定していない場合には、事故の概要を出すという考え方でやらせていただいております。
昨年の9月以降の事故情報ということで、調査中のものが圧倒的に多いというのはそういう状況がありますけれども、ずっと調査中ということではありませんので、少しずつそこは改善していけるものと思っております。少し時間が経過した後にもなお不備が感ぜられるという場合には、より踏み込んだ検討が必要ではないかと思っております。
それから、時点をさかのぼってという御指摘に関しましては、検討はさせていただきますが、今の率直な感じとしては、さかのぼってというのはなかなか難しい部分があるのではないか。申し訳ありませんけれども、何とか検討したいと思いますが、ちょっと難しいかなという気はしております。
警察、消防、病院、あるいは学校、福祉施設等でも、オンラインでデータベースを接続してというところは、これら機関との間では現在はできてはおりませんけれども、それら機関で発生した事故情報をきっちり収集して、我々の方でデータベース化して、事故情報データバンクを通じて一般の用に供していくことは、そこは遺漏のないようにしっかりとやっていきたいと思っております。それら機関からの事故情報の消費者庁への通知がきちんとしているのかどうかという点は、施策番号4のところでもう一度お答えさせていただければと思います。

○松本委員長 中村委員。

○中村委員長代理 今、1万6,000件集まっているということで、これで満足していてはいけないわけで、データバンクとして機能するというのは、できるだけたくさんの情報が集まって、ちゃんと実情を反映している状態まで持ってこなければいけないわけですが、今のシステムでは私はまだ2つ問題があると思っています。
一つは、集める、出す方です。関係行政機関、地方公共団体などから来ている情報が、本当に実態を反映した情報としてデータバンクに届いているかどうかという問題ですが、これは私は非常におぼつかないと思っています。いろいろな機関、いろいろな物資について、行政機関のトップ、あるいは自治体のトップに情報が集まってくる仕組みがなければいけないわけです。
残念ながら今の日本は、経済産業省は、消費生活用製品安全法でメーカーと輸入業者に事故情報の報告義務を課しておられる。法制度があります。だから、かなり集まってきていると思うのです。ただ、ほかの物資、ほかの関係省庁・自治体が、そういうふうに報告義務を課してまでトップのところに情報が集まる仕組みがあるかというと、まだまだないわけです。そういうところをまず整備しないと、事故情報データバンクは、お店を構えてもなかなか商品が入ってこないという状態がいつまでも続くわけです。
今後、これを充実していこうというのであれば、やはり工程表の中に、法制度の不備な部分について、関係省庁や地方公共団体に、法律をつくれ、条例をつくれということを、消費者庁から指令していかなければいけないのではないかと思います。その辺のスケジュール感が全然出てきていない。この辺はぜひ考えていただいて、国会や地方議会を動かすような情報発信をしていただきたい。それが一つ。
もう一つは、このシステムというのは、いただく情報をありがたくいただいて、待っているシステムなのです。ところが、今のIT技術の発達状況からすると、情報は、来るのを待っていなくてもこちらからほしいものを集めに行くことができるのです。先ほど課長が言われたように、前回の消費者安全専門調査会でも専門の先生たちが言っておられたけれども、今のIT技術をもってすれば集めに行ったらかなりの情報が集められると。だから、消費者庁でこういう事故に関してこんな情報がほしいというときに、検索をかけて自分の方から情報を取りに行く。こういうシステムを併せ持って、そしてこのデータバンクの中にほうり込んでいく、こういうシステムづくりもぜひ考えていただきたい。
昨年のちょうど7月に、全国消費者団体連絡会のPLオンブズ会議がそういうデモンストレーションまでやっています。野村課長も来ておられたと思いますが、こういうことがどうしてすぐできないのか。今度の消費者安全専門調査会では、学者の理科系の先生たちはそういうことをこぞって言っておられるので、必ずそういう問題指摘があると思います。ですから、今のうちから、消費者庁に情報を集めに行くシステム、こういうものをちゃんと研究し制度化する、そういう予算を付けていつまでにやるのか、こういう工程表もつくっておいていただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 先日、消費者団体だとか、いろいろなNPOのグループの方とお会いする機会がありました。事故情報データバンクについて、先ほど課長さんが、有益性、わかりやすさ、画像とか、今年度中に構築していくということをおっしゃられました。それはとてもいいことだと思いますし、消費者にはまずまずの評価を得ているだろうということでしたが、そのまずまずというのは現在までのことだろうと思うのです。
参加されていた皆さん方の御意見を聞きますと、割と高齢の方がいらしたからかもしれませんけれども、あのデータバンクを見るのは非常に難しい、「わかりやすくない」ということをおっしゃられたのです。どこがわかりやすくないのかとお聞きしたのですが、そこのところは、要するにあまりパソコンも触ったことのないような人たちが多かったのかもしれませんけれども、ここに書いてありますように「国民からの利用が可能な運用を行います」というのであれば、もう少しわかりやすい方法がとられることが必要ではないだろうか。それを早急に、今年度中に何か考えていただけないだろうかというふうに思っています。
そのときに言われたのは、世の中すべての者がパソコンを持っているわけではない、インターネットを使えるわけではないので、どこかで見られる方法はないだろうかという御意見でした。例えばデータバンクだけでも、図書館とか区役所のどこかで見られたらいいですねという御意見もありました。そういうことはなかなか今の事情では難しいかと思いますが、いろいろなところで利用できるシステムを、何らかお考えいただくときもあるのではないかというふうに思っています。できるだけ多くの方が利用できればいいのではないかと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 このシステムは一般のインターネット上で公開されているわけですから、公民館等に一般の人が使えるインターネット端末が設置されていれば、多分使えるということだと思います。パソコンを使えない人に対して、紙でどう伝えるか、あるいはそれ以外の方法でどう伝えるかというのは、また別の施策として考えていただくことになるのではないかと思います。
日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 ここに「広く国民からの利用が可能な運用」と書いてありますけれども、ただ「利用」としか書いていない。利用の中身、どんな形で利用されるか、いろいろなケースがあると思います。利用されるさまざまなケースを想定して、それに対応するにはどこまでの情報が必要で、どのような提供をすればいいのか。ここをフィットさせていくことで、それこそもう少し利用しやすい仕組みになっていくのではないかと思いますが、まず、どのような利用が想定されるのかということについて議論をしていっていただきたいと思います。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 内容ではないのですけれども、工程表というのは、右側の部分が工程表の本体というふうに理解していいわけですか。

○成田消費者庁企画課長 はい。

○櫻井委員 これは具体的施策で書いてあることとあまり変わらないので、こんなのを出されても議論できないなというのが率直な感想です。これを4回もやるのですか、というのをお伺いしたいのですが。

○松本委員長 これをもとにしてどんどん意見を言っていただくということで、今もいっぱい出ましたから、例えば櫻井委員が、この時期までにこれをやれという御注文があれば出していただく、そういう感じになると思います。

○櫻井委員 では、正式な工程表はこれからつくるのですか。

○松本委員長 これはいわばたたき台のようなもので、具体的に施策をやっていくわけですから、その中で我々が出した要望についても、当然、踏まえてやっていただくことになると思います。確かに漠としているので、もう少し数値目標を出せという意見もありましたし、さまざまな意見が出ています。それをさらに具体化して推進していただくことになると思いますから、さらにつけ加えるべき点がございましたら、お出しください。

○櫻井委員 施策番号2も、平成22年度は2つぐらいしか書かかれていなくて、23年度は「継続的に実施」ということだから、そもそもたたき台になっていないのではないかと思います。これは、いろいろ投げたけれども、結局こんなのしか出てこないということなのでしょうか。

○松本委員長 内田長官、どうぞ。

○内田消費者庁長官 施策のそれぞれによって書き方が違ってくると思うのですが、今、一番上の紙で御説明させていただきました、例えば4番については4枚目のところ、「事故情報の報告・公表制度の拡充」、これが工程のいわば本体だと思っておりまして、概要と、(2)では、どういう問題点について議論していくのか。それと工程詳細をここに載せております。
2番につきましては、今日、いろいろな御意見をいただきましたけれども、基本は一番上に書いているように、今、施策が動き出して、いろいろな御意見をいただいている段階です。それを見てやっていくということで、今年の段階では、2番については一番上のこの程度の工程しか載っていない。これから問題が多分明らかになってきて、詳細になっていくのだろうと思います。2番が4月から動き出したばかりで、4番の施策ついては実際に9月から動き出して、いろいろな議論をしております。したがって、具体的に4枚目に書きましたような形で論点を整理し、意見交換から、運用改善のスケジュール感は、今年の段階でここまでと。恐らく施策によっていろいろ違ってくると思っております。

○櫻井委員 いいアイデアがあるわけではありませんけれども、施策によって違ってくるというと、補足資料の方もこれが本体と言われると、22年の春と夏と秋と12月ですかという話で、意見交換会をやりますとか、国内の制度等の調査をやりますとかいうのは、何も言っていないのと同じ。もちろん、何か具体的ことを検討されているのだろうと思いますけれども、例えば1か月単位とか、もう少し具体的に項目がないと、いいのか悪いのかも言いにくいので、もう少し工夫をしていただかないとコメントしづらい、ということははっきり申し上げたいと思います。

○松本委員長 いろいろ意見が出たと思いますが、事故情報データバンクというのは、各省庁のデータベースをつなぐというのが一つの発想です。そうしますと、当初予定していた数のデータベースが現在つながっているのかどうかという点で、達成度が数値化できるのではないかと思います。例えば、最初は20のデータベースをつなぐつもりが、まだ10しかつながっていないということであれば、半分だし、もっと広げるべきであるという意見もあるわけです。そうすると、これから半年、1年で、この省庁の持っているこれもつなぐように積極的に働きかけますとか、そういう感じの目標が一つ出せるのではないかという感じがいたします。
もう一つは、消費者庁がみずから集めてデータベースに入れていくということもかなり言われました。そちらの方からいくと、既存のデータベースをつなぐというのではなくて、積極的に集めてきて整理して入れるということですから、そこで消費者庁としてどのようなソースに対して働きかけて情報をもらうようにしていくのかということで、やはり数値化が少しは可能ではないか。今まで入っていなかったタイプ、例えば先ほど山口委員が出されたような、高齢者施設における事故についての情報を積極的に消費者庁は集めますということであれば、それについての計画を立ててやるということが考えられるのではないか。
さらに、集める方についてではなく、ユーザーから見ての使いやすさという点で、まだまだ使いにくいという意見もありますから、それを改善していく方向の努力をしていただく必要があるかと思います。
議論をまとめますと、以上の3つぐらいの感じでいいでしょうか。
それでは、すでに4番の議論にも入っておりますから、4番につきましてもどうぞ御意見をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 当初は、消費者庁が消費者安全法と消費生活用製品安全法の一部を所管するということで、情報の一元化が一挙に進んでいくのではないかと私は考えていたのですが、まだ収集とか公表、評価は別々に実施されているように思います。この2つの法律の違いを背景にして商品名の公表の仕方が違ってくる。消費者安全法に基づく通知なのか、消費生活用製品安全法に基づく通報かによって公表の仕方が違うというのは、非常にわかりにくいし、おかしなことだと私は思っています。消費生活用製品安全法で義務づけられている事故情報の報告義務、その対象範囲を拡大すること、それから、重大事故の要件をもっと緩和すること、2つの法律の制度的な整合化を図ることを、ぜひ早急に検討していただきたいと思います。
重大事故ではないことで、「おそれ」というのがありますが、そのおそれということに関して、消費者庁自身、評価や確認を一体だれがどういうふうにやっているのかということを教えていただきたいと思います。
それから、商品事故についてですが、消費者安全法ではほとんどが食中毒だと思います。ところが、国民生活センターの情報を見ますと、健康食品による被害情報や皮膚障害などがあります。食品事故を含めて、重大事故ではない事故について一体どうなっているのか。国民生活センターの事例を一緒に見ているのか、件数の照会をしているのかということを教えていただきたいと思います。
以上です。

○野村消費者庁消費者安全課長 まず、おそれを含めまして通知情報の確認は、通知情報に関しては要件がございます。例えば通知をいただく場合に、施行規則の9条で、事故の発生日時、場所、被害の程度、商品を特定するために必要な情報等々、それらについて第一報の限りで十分でない場合には、通知元にこちらから問い合わせをして確認をさせていただいて、要件に該当しているかどうかの確認作業をする。そういうプロセスを経ているのが現状であります。
重大事故でありまして、すき間事案に該当するような、あるいは、省庁横断的な取り組みが必要であり得るような事例に関しましては、職員を現地に派遣をするとか、例外的にそういう取り組みをしている場合もあります。例えば公園や施設での遊具で、重大事故が10件以上起こっているというような状況が確認されたときに、各現地に職員を派遣して事故の発生状況なりを確認する、あるいは、画像情報を取得して専門家に見てもらう場合もありますけれども、多くの場合は、電話で施行規則の通知要件の確認をするところにとどまっているのが現状であります。
それから、消費者生活センターで収集しておられる相談情報の中から、PIO-NET上で分類される危害・危険情報に関しましては、私どもも日常的に確認するようにはさせていただいておりますけれども、消費者安全法における消費者事故等に該当するかどうかの確認は、PIO-NETに入力されている情報の範囲内では確定的な取り扱いはできておりません。ですから、PIO-NET上の危害・危険情報をどこまで消費者安全法上の情報と見なすかというのは、非常に大きい課題といいますか、今後、改善を図らないといけない点の一つではないかと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 せっかく経産省の方もお見えになっていますので、消費生活用製品安全法で事業者から集められたデータがどういう形で収集されて、それがどういう形で検証・評価に利用されるのか、あるいはどういうシステムになっているのか。それと消費者庁の集める情報との関係はどういう運用になっているのか。御説明いただくことができればと思います。

○松本委員長 消費生活用製品安全法について御説明いただけますか。

○藤代経済産業省製品安全課製品事故対策室長 消費生活用製品安全法の重大事故情報については消費者庁の方でやっていらっしゃいまして、法律に基づかない、いわゆる非重大、30日以上の通院または入院とか、火災以外の事故については、私どもの関係の製品評価技術基盤機構(NITE)に報告を出すように業界の方々に私どもからお願いしております。
件数としては昨年度は4,300件ぐらいですが、そういった情報もNITEの方で公表し、その分析につきましては従来と全く同じで、製品評価技術基盤機構で事故品が入手可能な場合は事故品、あるいは消防庁とか、警察庁とか、そういったところと協力して検証し、その結果を私どもの法律の技術基準に反映したり、業界へ、こういった形で注意喚起をしてくれとか、あるいは消費者団体へ、こういった形でそのまま使ったら危ないです、といったようなことは行っております。こういったお答えでよろしいでしょうか。

○松本委員長 消費者庁から、今、山口委員のおっしゃった、消費生活用製品安全法上の報告対象となった製品についての調査のやり方と、消費者安全法上の通知の対象となったものとで、どこが同じでどこが違うのかという説明をいただけますか。

○野村消費者庁消費者安全課長 消費生活用製品安全法の報告・公表制度は消費者庁に移管されておりまして、事業者からの事故情報の通知先は消費者庁に変わってございます。私どもの方に通知をいただいております。
通知を受けた後に、最終的には改善措置を打ってもらって、場合によって危害防止命令を打つ権限に関しては引き続き経産省でお持ちで、その前提となります調査は、経産省からNITEに指示をして調査をしていただいている。その結果を踏まえて、製品起因であった、なかったというところが判別できたところで、また私どもの方から、この製品で事故があったということを公表するという受け渡しをしております。消費生活用製品安全法に基づく事故情報、通知情報の分析・調査というのは、NITEで経産省経由でやっていただいている状況です。
片や消費者安全法に基づきましては、分析という権能が必ずしも与えられておりませんけれども、私どもから通知元に、その後の調査・分析、あるいは対応の進捗につきまして追跡確認をやっております。例えば食中毒の事案に関しまして、その後、保健所でどういう対応をされたか、あるいは消防から連絡をいただいた情報に関して、その後、消防法に基づく火災調査がどういうふうに進捗したかということを点検させていただいております。点検していきます中で、必ずしも進展がはかばかしくないとか、自治体で手に負いかねるというお話があったり、そういうものをすき間事案的な事案の候補とみなして、これに関しましては、別途、委嘱をしている事故情報分析タスクフォースの先生方などに御助言をいただきながら、いろいろな機関等に委嘱して分析をお願いする、そんな処理の仕方をしてございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今のことに関連しますけれども、そうやって調査した結果、公表制度がありますね。従来、経産省がやっていた当時の消費生活用製品安全法については、製品に起因する事故か否か、不明のものとか、大体4分類に分けて第三者委員会で判定して公表するというシステムをとっていた。現在、それが消費者庁に来て、今、消費者庁側と経産省側と合同でやっておられる。
消費生活用製品安全法で入ってくるものには、そういう公表を事前に判定するシステムがあるのですが、それ以外のものの公表は、だれがどうやって判断して公表するかしないか、製品起因か否か、こういうことを判断しているのか。そういう制度がそもそもあるのかどうか。ないのだったら、これからまさに工程表の中でその辺を決めていかなければいけないのではないか。消費生活用製品安全法のものだけ4分類でやってきて、ほかのものはほったらかし、と言っては怒られるかもしれませんが、きちっと制度的な構えのない中で、一体どうやって公表判断をしておられるのかという問題があると思います。
もう一つは、従来、経産省がやっていた4分類の製品起因か否か云々の判断、あのジャンル分けでいいのかどうかも併せて検討する。まさに消費者庁ができて消費者目線で行政を展開する場合、国民に製品安全に関する情報を提供する在り方としてどういう在り方がいいのか。それは改めて、今のこの公表段階でのアンバランスをどう整えていったらいいかということを検討して、いつごろまでにやって、いつからちゃんとした公表制度にしますという工程表、こういうものもぜひいただきたいと思います。

○松本委員長 先ほどの野村課長のご説明では、消費者庁としては、消費者安全法上の通知を受けた事故についてみずから調査・分析はしていないということでした。他方、消費生活用製品安全法の場合については、NITEによってかなりきちんと原因究明がされた上で評価して公表されている。そもそも最初に入ってくる情報の精度といいましょうか、みずから原因究明まで乗り出せるものと、乗り出せないものという全く違った仕組みだから、同じレベルでの公表というのは、そもそも行うのが不可能ではないかと思いますが、その辺はどうお考えですか。

○野村消費者庁消費者安全課長 現行制度の執行を担当させていただいている立場ですので、お答えできる限度を越えている部分が多いようには思いますけれども、通知元において御判断いただいて、その情報を受けて、複数のところから類似の情報はないかの突き合わせをしたり、迅速に情報を発信していく、発信力を持って広く国民にお伝えしていくというところが、制度としては期待されているのだろうと思っております。そのひとつひとつの事故情報に関して、みずから分析するだけの体制を消費者庁が保有すべきかどうかというところは、事故情報の報告・公表制度、その整合状況を点検・評価いただきながら、御議論をいただくべきテーマであるのかなと思います。
ただ、やってみて感じておりますことは、やはり消費者事故、通知情報の分野としては製品(日用品)と食品が圧倒的に多くて、日用品に関しましては消費生活用製品安全法が制度化されていますし、食品に関する事故のうちの圧倒的多数を占める食中毒に関しましては、保健所の体制が自治体ベースで構築されております。
それ以外に、例えば施設での事故、あるいは役務関係の事故、すきま事案的な事故、そういうものも入ってきます。何を消費者庁のミッションとして考えて、どこの部分はきちんと調査をする、見きわめをした上で、人任せにしないで分析をして精緻な情報を出していくというところは、法の施行状況を踏まえて検証した上で、改善を検討していくべき課題かというふうに思います。

○中村委員長代理 公表制度の整合性の質問に答えてください。

○野村消費者庁消費者安全課長 公表の基本的考え方に関しましては、現在、いろいろな有識者の方、また消費者委員会にも御報告させていただいているところです。事故情報の公表の考え方について「基本要領」というものを定めまして、その文章で定めをしております考慮事項なり留意事項なり、それらの突き合わせをしながら1件1件の情報の公表について、この情報に関しては概要まで、この情報に関しては製品名や事業者名までという形で公表してきております。
公表の仕方それ自体は、庁の職員、基本的には私の責任においてやらせていただいておりますけれども、当然、限られた能力の中でやっておりますので、外部の方の評価・点検を受ける枠組みの必要性については、御議論をちょうだいしなければいけないテーマかと思います。

○松本委員長 事故原因については消費者庁としては判断しないで、通知をしてきた通知元の判断をそのまま尊重して、それを踏まえた上で先ほどの消費生活用製品安全法と同じような基準で公表するかどうかを考える、こういう感じですか。

○野村消費者庁消費者安全課長 そうです。現場、現物を見ておられる、例えば警察なり消防なり、こういう使用状況だった、これは消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるという規定に照らして、こういうふうに解釈させていただきますとか、そういうやり取りの中で、情報の取り扱いを決めさせていただいているのが現状であります。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 先ほども申し上げたのですけれども、今も野村課長が食品関係は食中毒がほとんどであるとおっしゃいました。でも、世の中には、食中毒ではなくて、普通の食品の事故が山ほどあるわけだし、遊具も同様です。食品中毒は報告しなければならないことになっているので、それは必ず集まる、それだけの話だと思います。
日用品の方は重大事故の情報報告の義務化がされているので、報告しなければいけない。それと同じように、食品とか遊具もきちんと重大事故は報告義務化をして、情報を集め、それを分析して消費者に提供するという形にしない限り、日用品だけはきちんと収集でき、ほかのものはできないことになります。ただ協力ベースであって、病院、消防署、警察に協力をお願いするだけでは、多くの情報は集まらないと思います。その辺りをきちんと検討していただきたいと思います。

○松本委員長 中村委員。

○中村委員長代理 私が質問した公表に対するお答えの中で、消費生活用製品安全法のものは公表前の判定委員会がある。でも、それ以外のものは消費者庁で公表の要領を定めて職員が判断している。こういう答えで、その中身を委員長から問われたら、結局は情報発信元の警察や消防の判断を尊重しています、こういうお答えに整理できたのですけれども、警察、消防の判定というのは何のためにやっているかということ。皆さん方消費者庁がこれからやろうとしているのは、何のためなのか。この行政目的の違いをよく踏まえないといけないわけです。
消防は消防目的でやっている。警察は犯人探しのために調査をする。製品の安全、消費者の安全という視点で調査をしているわけではないのです。だから、そういうものを丸受けすると、製品起因か否かのところの判断を問うとすれば、警察、消防はほとんど原因不明なのです。それをそのまま受けて、同じ一定の製品にバーッと事故が起こっているのに、原因不明ですということで情報を垂れ流していいのか。
だから、今までずっと消費生活用製品安全法でやってきたように、警察、消防のそういう情報があっても、さらにNITEで調査をして、できれば被害者からも情報を入れて、消費者目線で、製品の安全性はこれでいいのか、消費者の安全のためにこれでいいのかという視点でもう一回見直して、そして消費者の安全、事故の再発防止、製品の改善につなげるような公表をする。これが重要なので、もし、発信元丸受け、垂れ流しという要領を書いておられるなら、そういうことで運用を続けようということではいけませんから、早速、この工程表の中にそういう作業をするということをぜひうたっていただきたいと思います。

○松本委員長 内田長官、どうぞ。

○消費者庁内田長官 御趣旨はよく理解いたしております。松本委員長が整理してくださったように、消費生活用製品安全法と消費者安全法で公表の根っこの考え方は一緒だと思います。かなり特定ができた段階で公表をしていくということだと思いますけれども、その特定の手法を、消費生活用製品安全法はNITEというものを持ち、消費者安全法は持っていない。
例えば、もっと公表するものを増やせとおっしゃったときに、我々がつい立ちどまってしまうのは、消防、警察というお話がありましたけれども、いただいている情報の3分の1は消費生活相談センターから上がってきている情報であります。つまり、一次情報は消費生活相談センターの方たちがお持ちです。したがって、これをもう少し詳しく特定できるかという作業は、今、相談員の方たちにお願いをして、もう少し聞き取ってもらったりというようなことをしている。出てきた情報から,重大事故かどうか、原因が特定できるのか等は、結局、相談員の方たちにお願いをしなければいけない。そういう仕事を増やすのか、という議論が一つ見えてまいります。そういう問題があります。
例えば、半年で千何件、消費者事故が出てきて、それについて全部調べるためのNITEに相当するものをつくる。これも一つの答えだろうと思います。実際にそういうことができるのかどうか、必要があるのかどうか、あるいは実際どう動いているのかということを、私たちは担当している方たちから聞いてみたい。それも、できればオープンな場でお聞きしてみたいと思うのです。相談員の方たちは、この情報をどう扱ってどう判断してくれているのか、あるいは、公共団体の方たちはどうしておられるのかというようなことを聞いて、その中でどういう解決策を見出していくのか。もちろん、目指す方向は、なるべくたくさんの情報をなるべく早く消費者にお出しする。これは、我々もそのつもりでおります。ただし、今与えられている消費者安全法のメカニズムの中でどこまでできるのか。これは実態を聞いてみたいというのが、この工程表の考え方でございます。
その先に、答えが出てきて方向が見えてくれば、消費者委員会に御相談をするということがここに書いてありますけれども、本当に月に何百件も来るものをチェックするようなものをどうやってつくっていけるのか。これは知恵を出していかなければいけないことだろうと思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。
どうぞ。

○下谷内委員 消費生活センターの相談員からの聞き取りということでありましたが、実は相談員が消費者庁に第一報を入れたときにそれこそその情報の仕分けをされまして、その情報はちょっと受けられないという回答も得たということであります。PIO-NETにもかかわることだと思いますが、危害・危険情報につきましては、かなり聞き取りを詳しくするというふうになっております。消費者の方にお電話をいただくときは、冷蔵庫何番といちいち見ておりませんので、後からの調査になるかと思いますが、できるだけそういう情報が入った場合は、入り口のところでカットされないで、まず上げていただくということ。それをもって消費生活センターに、調査・報告した結果、これは上げられないというのもあるかもしれませんけれども、積極的な調査方法を考えていただく。それから、消費者目線での原因究明機関をつくっていただけるようにと思っております。

○松本委員長 委員会の意見を2点にまとめさせていただきます。
一つは、報告義務の対象をもう少し増やす方向で努力できないかという御指摘。すなわち、消費生活用製品以外のタイプの製品やサービス等にも拡張できないかどうか。もう一つは、消費者安全法の各官庁、自治体から入ってくる情報の、事故原因レベルにおける精度をもう少し高める工夫をしていただきたい。この2つぐらいの方向にまとめられるのではないかと思います。
予定よりも時間がかかっておりますので、次に、7番のリコール情報の部分につきまして、御意見ございますか。
どうぞ、佐野委員。

○佐野委員 リコールについては、2008年にリコール社告をJIS化しました。JISですから日用品なのですが、そこには「食品も準ずる」と珍しく食品に関しても書かれています。今、リコールに関しては実際には分野ごとに非常にばらばらですので、業界が統一できるような形で適正な指導が必要ではないかと思っています。
それと、このリコールの7番の分野は「伝えたい情報が確実に情報を必要とするものに届くようにする」となっています。ここで私はお願いしたいのが、ぜひ全国レベルで、安全ネットワークとか、事故防止ネットワークとか、何かをつくる努力をしていただきたいと思います。幼児、妊産婦の方、障害者、高齢者、それぞれのネットワークをつなげて、そこに情報がのって確実に届く。そんな情報ネットワークをつくれる体制をぜひ考えていただきたいと思います。

○松本委員長 ほかにございませんでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 単純な質問ですが、7番の平成24年度以降の「措置・対応を踏まえたな」のところは、「新たな」とかが抜けているのですか。文章がおかしいのですが。

○松本委員長 平成23年度のところに「検討を踏まえた措置・対応」というのがあるから、この措置・対応を踏まえたという意味ではないですか。

○山口委員 「新たなリコール情報」の提供の制度を考えるとか、そういうことではないですか。

○野村消費者庁消費者安全課長 「検討を踏まえた措置・対応」の内容自体はここでは方向性を出していないのですけれども、何か新しい制度的な措置も可能性としては否定されないと思いますし、この文章自体はニュートラルに書かせていただいております。

○松本委員長 中村委員。

○中村委員長代理 リコール情報の一元化、消費者にわかりやすくするというのは、具体的にどういうことを考えておられるのかというのをもう少し説明してもらいたいのですが、消費者庁のホームページを開くと、あらゆるリコール情報がパッとわかってすぐ調べられるようになっているかというと、なっていないわけです。
我々がリコール情報を探すときはどうやっているかというと、一番役に立っているのは実は民間の「Recall Plus」というホームページです。もう一つは、国民生活センターの回収・無償修理の一覧表、こっちからやります。でも、あれもなかなか使いにくいです。せっかく民間がああいうふうにやっている、あの程度のものは消費者庁でぜひやっていただいて、リコール情報にだれでも簡単にアクセスできるようにしてもらいたいです。
もう一つ、申し上げたいのは、あるメーカーのある製品はリコールがどうもありそうだと思って、メーカーのホームページへ行ってそこから探し出すというのはものすごく大変です。メーカーによっては、できるだけ見てほしくないようなところにこっそり埋めてあるリコール情報も結構ありまして、なかなか見つからないのです。
そういう意味では、消費者庁のホームページへ行けば、過去のリコール情報があらゆる製品について探せるというものをぜひつくっていただきたい。「わかりやすく情報提供します」の具体的中身はどういうことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

○野村消費者庁消費者安全課長 制度的に報告しなければいけないというタイプのリコールに関する情報と、企業が自主的な取り組みの中で行うリコールに関する情報、また、その情報の中には、積極的に発信していこうというタイプのリコール情報と、必要最低限の発信をするタイプのリコール情報と、一言でリコール情報といってもタイプが複数あろうかと思います。
行政の立場で、どのタイプのリコール情報に関して行政コストをかけて、どこまで一元化して発信をしていくことが大事なのかというところは、精査が必要であろうかと思っております。先ほど先生も言及されました民間のリコール情報のサイトというのは、アクセス件数も多い非常に利用勝手のいいサイトだと思いますけれども、そのまねをすることが消費者庁に求められているというよりは、行政機関としてどうしてもコミットすべきリコール情報に関する取り組みは何なのかというところは、リコール情報のそれぞれの性質なり、それらをめぐる制度なり取り組み状況の精査をし、検討した上で取り組みを進めてまいりたいと思っております。

○松本委員長 この施策についても意見を恐らくいくつかにまとめられると思います。一つは、民間企業が行っているリコールの情報をいかに消費者庁が集めるかという点。これは、法令に基づくリコールであれば当然集まるでしょうが、任意のリコールの場合、届け出なければならないという制度になっているものと、そうでないものがあると思います。この辺りはどのようにして消費者庁に情報をいただくか、あるいは、消費者庁が積極的にどういうふうな形で集めるかということを、御検討いただく必要があるだろうと思います。
もう一点は、集まったリコール情報を、いかに必要な人に届けるかという観点の工夫がさまざまに必要だろうと思います。インターネットを検索しやすくするというのも一つでしょうが、インターネットを使わない、しかし、リコール情報を必要とする人もたくさんいらっしゃるわけでしょうから、それはまた別途、御検討いただきたいと思います。

(野村消費者庁消費者安全課長退席)

○松本委員長 次に、当初の順を変えて、自動車リコールの問題に先に進めさせていただきたいと思います。
施策番号8番の工程につきまして、国交省より御説明をお願いいたします。

○板崎国土交通省リコール対策室長 国土交通省自動車交通局リコール対策室の板崎と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、資料の2(PDF形式:35KB)になりますけれども、消費者基本計画には3つ書いてございます。上のものと下のもの、これは継続的に実施していきますということですが、まず、「リコールの迅速かつ着実な実施のため、自動車メーカー等及びユーザーからの情報収集に努め、自動車メーカー等への監査を実施するとともに、安全・環境性に疑義のある自動車については交通安全環境研究所において現車確認等による技術的検証を行います」、これをきっちりと引き続きやっていくということでございます。
具体的には、道路運送車両法に基づきまして、事故、火災情報、不具合情報等をメーカーから収集しております。また一般のユーザーから、ホットラインということでいろいろな不具合情報を集め、さらに、ほかの関係行政機関等から自動車の欠陥が疑われるような情報を集めております。こういった情報をきっちり集めることをやっております。
さらに、自動車メーカー等への監査を実施ということで、リコールの場合は、先生方ご存じだと思いますが、やはり一番重要なのは自動車メーカーそのものの役割でございます。自動車メーカーが販売店を通じていろいろな不具合情報を集めておりますので、その不具合情報がきっちりと処理されているかどうか、こういう観点でメーカーの監査を実施しております。最低、というと少し言い過ぎかもしれませんが、いろいろなメーカーがございまして、大手のメーカーにつきましては少なくとも年に1回はリコールの監査で回っております。また、そのメーカーの情報のもとは各地の自動車のディーラーになってまいりますので、ディーラーで情報を集めてそれをちゃんとメーカーに上げているかどうか。こういったことにつきましても、各地方運輸局を使って監査をして状況を把握しているところであります。
さらに、自動車のリコールの場合、ほかのリコールもそうだと思いますが、自動車メーカーがやはりその自動車の中身については最も詳しいわけでございますので、そういったものが自主的にきっちりとリコールを果たす、これが一番重要なわけでございます。
一方で、過去の三菱の問題等、自動車メーカーだけに任せ切るわけにはいかない。国交省みずからが技術的に検証してやっていかないといけない。こういう話がありまして、平成18年5月から、独立行政法人交通安全環境研究所に自動車リコール技術検証部というものをつくりました。我々も技術系の行政官ですけれども、さらに設計や製造に本当に詳しい人たちを集めて検証部を設置し、そこで、メーカーの言い分が本当に正しいかどうか、こういうような場合につきましては、具体的にそういった専門家の知識を生かし、ヒアリングなり実験をやりながら、それが妥当かどうか、こういったことをやっているところでございます。こういう作業を、引き続ききっちりとやっていくということでございます。
次の「さらに、リコール制度に関し、ユーザーの立場に立ったものとなるよう検討します」、これは、今後、さらにこういったユーザー目線に立った制度にしていかないといけないという問題意識でございます。国土交通大臣もいろいろな場で申し上げていますとおり、ユーザー目線に立った、より迅速かつ着実な対応のために、国交省といたしましては、先ほど申し上げましたようないろいろな情報の収集、技術検証、こういったものを限られた人数でやっているわけですけれども、ここをもう少しきっちりとやれば、より迅速、より着実なものができるだろうという認識の下に、現在、省内でこういった情報収集体制、調査・分析体制、この辺りをどのように充実していくべきかという検討を行っているところでございます。今年度はそういった検討を行いまして、来年度から少し充実したものができればというふうに思っているところでございます。
また、ユーザーに対するリコール関連情報の提供でございます。こちらにつきましても、これまで順次いろいろな強化を行ってきたわけですが、現在、リコールが届け出されますと、必ずインターネットにすぐアップしておりますし、プレス発表も必ずやっております。年間300件ほどになりますけれども、即時にリコールの情報を流す。
もちろん、自動車の場合は登録制度というものがございますので、自動車メーカーは登録情報に基づいて直接ダイレクトメールを送る、また、いろいろな整備業界に対して情報を提供する。こういったことでリコールの情報を提供しているところでございます。
それから、最初のところで述べましたホットラインの情報でございますが、ホットラインで集まった情報からリコールのきっかけとなる場合もありますので、できるだけたくさんの情報を集めたい。これも前回、御説明申し上げたかと思いますけれども、年間3,000件程度集まってくるわけでございますが、具体的なメーカー名、個人情報は外しているわけですが、具体的な車種等がわかる状態でホームページにアップしています。これも、少し時間がかかり過ぎるのではないかという話があったかと思いますが、現在のところ、1か月くらいを目途にできているのではないか。4月の分はネットにアップされている状況です。こういうふうに理解しております。
それから、リコールの届け出、ユーザーの不具合情報、この傾向を分析しまして、できるだけわかりやすい形でホームページ等にアップして注意喚起をしたい。ここ最近で申し上げますと、こういった不具合情報の中に、リコールには該当しないわけですが、使い方とか整備のところでこういった事例がありますということで、火災の情報とか、フロアマットの話、こういったものについて少しまとまった調査を行いまして、その情報をホームページにアップしております。
今後も、そのときそのときのいろいろな話題があると思いますので、トピックス的なものはやはりわかりやすい形で公表していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの施策番号8番の工程表につきまして、御意見、御質問をお出しください。
櫻井委員。

○櫻井委員 工程表は相変わらずアバウトだと思うのですが、消費者委員会の意見もいつもアバウトなので、仕方がありませんので、私もアバウトに申し上げますと、ユーザーの立場ということでユーザー目線と書かれていますが、これは具体的にどういうことなのかということです。ユーザー目線というからには対立する概念は何でしょうか。メーカー目線ですか、企業側なんですかね。それはどういうふうに考えるのか。
両方あり得ると思うので、両者の折り合いをどうやってつけるのかということで、その辺の考え方はまず一般論としてどうかということと、そういうことについて検討体制のようなものを省内で考えておられるのか。一定のラインを引かないと具体的な仕組みはつくりにくいと思いますので、その辺りのお考えをお聞かせいただければと思います。

○板崎国土交通省リコール対策室長 ユーザーの目線に立った、ユーザーの立場に立ったということでございますけれども、自動車の場合、つくる側の論理と使う側の論理で若干ずれがあると思っています。ですから、そこのずれをできるだけなくす。メーカーの方から実際に使う人のことを考えた、いろいろな判定が必要になってくると思っています。
今回もトヨタのリコールで世間の耳目を集めたかと思いますが、あれはブレーキに関して、その制御を変えたことによって若干、空走感が出る、こういうものがあったわけでございます。当初、自動車メーカー側は、多少そういうことがあっても安全上はあまり大きな問題ではないのではないか、こういう考え方があったのは事実だと思っています。
一方、使っている側から見れば、ブレーキという車の大事な部門で、空走感とか、利きが悪いとか、これは、非常に重大に受けとめるものだということが言えたのだと思います。ブレーキのある種の不具合といいますか、そういったものに関して、それが本当に安全に影響するのかどうかという判断を、やはり使う人の立場に立った判断をやっていける体制をつくっていかなければいけない。
こういうことがありまして、そのために、先ほど少し申し上げましたけれども、メーカーの不具合情報が年間6,000件ぐらいあって、また、ユーザーの不具合情報が3,000件。あと、警察とか消防庁とか、いっぱい話が来ます。今、リコール対策室というのは定員14名、技術検証部が正職員1名に非常勤15名です。その体制で、たくさんの不具合情報をリコール対策室でスクリーニングをして、そのスクリーニングをしたものにつきまして、技術的に具体的にそれはどういう状況なのか、どういう現象なのかと細かく検査をしていく、こういったことをやっていくわけです。つまり、たくさんある情報から、より危険度の高いものからそういった作業をやっているのが現状でございますので、もう少しできる範囲を広げていく必要があるということで、そういった体制面の強化。
それから、プリウスの例で申し上げますと、ブレーキの制御について設計変更を行っているわけです。車の場合は、日常茶飯事にどんどん設計変更をしていまして、いい車がどんどん出るようになっています。我々は、安全に直結する、外形的に非常に危ないものはいろいろな認可のときに見ていくわけですけれども、日ごろの設計変更は、何千何万という数になると思いますが、そういったものはすべて国交省が把握しているわけではありません。その中で一部のブレーキ、ハンドル、そういう安全に直結するものは認可制度の方に入りますけれども、それ以外のものにつきましては四半期ごとに報告をいただくことになっています。その報告を見て、これは安全に影響するのではないかと、そういったチェックをリコール対策室でするわけでございます。
今回、ブレーキの話につきましては、四半期報告に入ってくるランクの情報として区分されていたわけです。リコールをしたのが2月の頭だったと思いますが、その時点までは、特に設計変更という情報が国交省に届くシステムになっていなかった、こういう事実もあります。仮に、そういった情報の範囲をもう少し広げて、もっと早く適時適切に情報を集めるようにしておけば、もう少しリコールが早くできた可能性はあるのではないか。
そういったことがありますので、情報収集の密度、レベル、こういったものをもう少しレベルアップする。また、そうやって集まってきた情報を適切に分析・調査していく。こういった体制を整えることによって、よりユーザーの立場に立った形のリコールの行政ができる、こういうふうに考えているところでございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 自動車不具合情報のホットラインの仕組みそのものは大変いい仕組みで、ユーザーからの情報をそのまま出すというのは非常にいいやり方だと思いますが、先ほどもおっしゃったように、メーカーからは年間6,000件の不具合が来ても、ユーザーからの分はその半分ぐらいしかない。やはりユーザーからの集まりぐあいが足りないのではないかと思うのです。実態を反映していない。ですから、集めるための工夫をどういうふうにしておられるのか。
ラクダのマークのパンフレットとかは拝見しておりますけれども、車を買うときに、最初にこういう制度があるよと与えるとか、免許証を取った人にすぐ教えるとか、車検の都度に伝えるとか、そういうことでもっと広報しなければいけないと思います。工程表の中に、少し具体的かもしれませんけれども、できるだけ情報が集まるようにどのような取り組みをするかという辺りをぜひ書き込んでもらいたい。
もう一つは、人から来るのを待っているだけではなく、国交省の方から集めに行くというシステムをつくれるのではないか。今のIT技術をもってすれば、こっちから集めに行けば世の中の情報はいっぱい集められる。大手企業はみんな、そういう検索システムを持って自分の会社のいろいろな情報を集めて、対応を協議したりしているわけで、国交省の中でも、自分の方からも集めに行くシステムをもう一つ加える工夫ができないものか。そういうことはこの検討スケジュール、工程表の中に入れられないものかと思いますが、いかがでしょうか。

○板崎国土交通省リコール対策室長 まず、PRの件でございます。中村先生におっしゃっていただいたように、連ラクダということで大分やりました。やりましたが、限られた予算の中でどこまでできたのかということでなかなか難しかったと思いますし、昨今のいろいろな関係で、そういった系統の予算がどんどん切られているところであることは事実です。
一方、先生がおっしゃっていただいたように、車検場でそういった工夫ができないかとか、そういったことについては取り組んでおります。今、自動車メーカーが車を売るときは必ずオーナーズマニュアルというのを併せて渡します。あれの後ろ表紙か、場所はちょっと正確にわかりませんけれども、ああいったところにも、こういう不具合があった場合は国交省にこういう窓口があって、ここに連絡してくださいというものを入れていただくようになっていると思います。
また、リコール検討会等で、19年、20年という形で、これも前回少し御説明させていただきましたけれども、リコールに対する認知度のアップといいますか、知っていただくことが非常に重要だと言われておりまして、その辺りのこともさらにやっていかないといけないことだと思っております。
それから、情報を国交省サイドから集めに行く、これは、確かに我々もできるだけ集めたいと思っています。そういった意味でホットラインにつきましても、24時間電話、ホームページへの書き込み、そういったいろいろなところは少しずつやっているところであります。例えばリコールが話題になること自体、件数がドンと増えることは、いいと言うとおかしいですけれども、プリウスのリコールのときは、今は世間の注目が低くなってきたのかもしれませんが、2月、3月辺りは通常の月の倍以上の情報が集まってまいりました。
ですから、リコールというのは非常に大切で、いろいろな機会にいろいろなものをいただき、それを、より安全のために生かしているというPRはやっていかないといけないと思っています。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今回のトヨタの問題で注目されましたけれども、アメリカの制度、あるいはヨーロッパの制度、中国の制度で、それぞれリコールの考え方や制度が違うようです。ただ、メーカーは世界じゅうで売っているわけです。もちろん、製造工程の違う面もありますが、各国のリコール制度の調査、あるいは各国のリコール制度との比較検討、国際的な協議、その辺を踏まえた見直しなどは工程表の中に盛り込まないのですか。日本は日本で、独自にやっていけばいいんだという考えなのですか。

○板崎国土交通省リコール対策室長 我々といたしましては、各国の制度がそれほど根本的に違っているとは思っておりません。基本的には同じもので動いていると思います。確かにいろいろな法令の書き方とか、それが異なっている部分はあると思いますが、基本的に日本でリコールになるものはアメリカでもリコールになっていると思いますし、その時期が日本だけ遅れるとか、どこそこだけが遅れるとか、主要な国についてはほぼ同じもので、同じように行われているというふうに思っています。

○山口委員 それはかなり違うのではないですか。そもそもリコールの考え方自体、アメリカと日本で大分違う。しかも、日本の場合は、リコールする前に、いわゆる代替部品が6割程度そろわないとリコールの受理がされないとか、大小交えていろいろ違いがあるので、そこが国際的な摩擦の原因になっているという話を聞くのですが。

○板崎国土交通省リコール対策室長 今、6割ないと受理されないというような事実はないと思います。

○山口委員 そうですか。疑問ありです。

○板崎国土交通省リコール対策室長 実際、今回のプリウスとか、レクサスのハンドルのリコールを見ていただければ容易にわかると思いますけれども、レクサスは、リコールをしてからすぐに直せる状態ではなかった。ですから、しばらく販売停止になったと思いますし、レクサスだけではなく、HSとか、ほかのものについてはさらに遅れることになった。
今回のLSのハンドルにつきましても、トヨタはできる限り早くやらないといけないのですが、あれもハンドルの制御の問題なのです。制御ですからソフトだけかえればいいと思われがちですけれども、あの場合はソフトだけではなかなか直らずに、コンピュータをそれごと入れかえないといけないような部分の制御の問題でありました。これにつきましても、コンピュータの部品の生産が間に合いませんので、当然、新車は直っているわけではないですし、走っているものもまだ直せている状態ではないです。
ただ、ハンドルのニュートラルな位置が歪んでしまうという不具合なのですけれども、あれが常に起こるということではなくて、ある一定の限られた状態で起こるということですので、そういった状態の注意喚起は、当然、しているわけでございます。リコールの内容、ものによってそこは少し変わってくるかと思いますが、必ずしも準備ができないとこういったことはやらないとか、そういったことではないと思っております。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 「自動車メーカー等への監査を実施」と書いてありますけれども、ここのところが重要であって、不具合情報が販売店に入ってきても、それがメーカーに行ったときに、メーカーが、重要な不具合なのか、改善を優先すべき不具合なのかということの受けとめ方が、技術者を含めてそこがきちんとしていないと、リコールすべきであるにもかかわらずなかなかリコールという手続に入っていかない。したがって被害が起こるという状況になっていくわけですので、不具合情報が入ってきたときに、メーカーがどのようなシステムでそれをきちんと漏れがないように取り上げているか。それから、優先順位について判断のミスがないように、きちんと対応できる仕組みをつくっているかどうかというところが重要で、そこの監査をきちんとやっていただくことが、基本的には非常に大事なことであると思っています。
そして、そこで問題点があった場合には、その問題点を解決していくために問題点を共有化する。1社で問題点であった場合は、ほかのメーカーでも問題点であるわけですので、そのような観点で共有化をしていって、全体的にレベルアップしていくような監査の仕方をぜひしていっていただきたいと思いますし、年に1回、企業名は挙げなくてもいいですけれども、その状況について報告があると、国民、消費者はもっと安心できるのではないかと思います。

○板崎国土交通省リコール対策室長 先生の御指摘のとおり、監査というのはまさに大切なことでありまして、我々は何を監査に行くかというと、これも国内のメーカーで基本的なところができていないところはないわけですけれども、ディーラーから集まった情報をどういう形で本社のどういう部門に集めるか。それから、集めた情報をどういうふうに仕分けをするか。これは多分、門外不出だと思いますけれども、それぞれのいろいろなノウハウの中で、簡単に言いますと、S・A・B・Cの4つぐらいのランクに分けて、それぞれのものについていろいろな情報がありますから、ひも付けをするようなコンピュータのシステムが入っています。やはり優先度合いから、S案件についてはどうこう、いついつまでにこうする、S案件の市場措置をするかしないかという、意思決定の仕組みのようなものも全部決まっています。
我々は監査に行く場合、そういった書類をチェックします。基本的にはほぼどこのメーカーもそういう大きな流れがあって、そういったものがきっちりしているか、それから、担当者はだれとだれで、どこの部署のどれが集まるとか、こういうことが全部書いてありますので、それが実際ちゃんと行われているか。それから、メーカーの不具合情報というのはコンピュータで全部管理されていて、一つの情報が細かく書いてあるわけですけれども、そういったものが本当にSランクならSランクにちゃんと入っているのかどうか、Cとかそちらの方に行っていないかどうか、そういったことをチェックしてやっています。
我々が監査に行って、そんなに大きな指摘があることは今はほとんどないわけですけれども、メーカー間のノウハウの部分でもありまして、共有化というところはすぐには難しいとは思いますが、監査官は、ほぼ同じ人たちがいろいろなところに行くわけでございます。そこで、もう少しこうしたらいいのではないでしょうか、こういうような感じのアドバイスといいますか、そういったことをしながら、今、やっているところでございます。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 それはそれで考えの一つでしょうけれども、今、事業者は、いろいろな業務の遂行で非常に厳しい内部統制というので指導を受けているわけです。ですから、そういうものにマッチングするようにしてもらわないと、受ける事業者側にとってみれば、いろいろな関係部署がそういうことで来るようになったら、たまりませんよ。いろいろな法律の横の連絡をして、内部統制法では、あらゆるマニュアルとか部門を一緒に整備していくわけです、各事業者は莫大な費用をかけて。そういうものにそういうことが入ってくるような工夫も、ぜひしてほしいと私は思います。

○板崎国土交通省リコール対策室長 そういう意味では、リコールの監査に行っているのは我が省だけだと思っております。

○池田委員 その監査を否定しているものではないです。今でもSOX法に基づいて企業は、いろいろなものの提出とか準備をしなければいけないという作業をずっとやらされているわけです。そういう中にそういうものを組み入れていけば、企業の中の一つの仕組みとして動くようになるわけですから、そういう工夫もしてくださいということです。

○板崎国土交通省リコール対策室長 それはおっしゃるとおりでありまして、今、自動車のメーカーはそういったものが基本的にはできているというふうに思っております。監査は、特に人の手を止めるというようなことで行っているわけではありません。

○松本委員長 まだいろいろ御意見、御質問があるかもしれませんけれども、本日は、あと2点ほど議論しなければならないことがございますので、施策番号8についてはこれで終了させていただきたいと思います。
国土交通省におかれましては、御協力、どうもありがとうございました。

(板崎国土交通省リコール対策室長退席)

○松本委員長 戻りまして、施策番号1番につきまして、消費者庁から御説明がございます。

○川辺消費者庁消費者情報課長 消費者庁の消費者情報課長の川辺でございます。
施策番号1番につきましては、PIO-NETについてどうやっていくかということだと思います。全部で3点あります。
1つ目は、PIO-NETはこの4月に新しくなりましたので、それを円滑に導入していくこと。2つ目は、これをより使い勝手の良いものにしていくこと。3つ目は、PIO-NETをどこまで配置をしていくか。こういった施策でございます。
申し訳ございません、施策番号1の補足資料をごらんください。
まず一つ、PIO-NETも新しく入っておりますので、実は今、新システムに若干トラブルが起こっております。例えば、大規模な修正をすると少しスピードが落ちてしまうとか、複雑な検索をすると少しスローダウンしてしまうとか、そういうようなことが起こっております。それにつきましては、今、国民生活センターとベンダーでトラブルについて対応しているところで、5月中に安定稼働を目指していきたい、そういうふうに考えているところでございます。
次に、使い勝手の向上でございます。実際にPIO-NETを使って入力していらっしゃる方は全国にいらっしゃる相談員の方なので、相談員の方から御意見をいただきまして、3つぐらいに分けられるのではないかと。一つは、早急に対応できるもの、割と簡単なソフトウェア上の修理でできるもの。対応に時間・コストがかかるもの。それから、今のシステムではなかなかそういったことは難しいのではないか、というものに分けまして、できるものから対応していくということではないかと思っているところでございます。
使い勝手の向上は、一回すればそれで済むということでは多分ないと思いますので、ある程度定期的に、使い勝手についての御意見を伺う仕組みも必要なのではないかと思っております。
これが、システムの安定稼働及び使い勝手の向上についての説明です。
それから、各方面から配備先、利活用について御要請がございます。現在、基本的にPIO-NETは消費生活センター、週4回相談を行っているところに配置しております。今、集中育成強化期間でございまして、平成23年度までに週4回開きますというふうに言っていただいたところについては、特例としてPIO-NETを配置してございます。
また、中央省庁でPIO-NETを見ているところもございまして、10府省庁と、2つの独立行政法人です。これは、製品評価技術基盤機構、いわゆるNITEと、農林水産消費安全技術センター、いわゆるFAMICと言われるところにPIO-NETは配置されているところでございます。
各方面から御要請がございますが、どういうことかというと、例えば相談窓口、週3日以下のところにも拡大できないか。消費生活センターでなく、私どもは本課と呼ぶことが多うございますけれども、地方自治体の実際に消費者行政を行っている課に配置できないか。それから、地方にある経済産業局、公正取引委員会の地方事務所、こういったところに配備できないか。ほかの独立行政法人などに配備することはできないか。適格消費者団体についてどう考えるか。こういった御要請を各方面からいただいているところでございます。
つきましては、来月から秋口ぐらいにかけまして、そもそもPIO-NET情報をどういうふうに位置づけるのか、費用負担をどう考えるか。私どもはPIO-NETをなるべく広げていきたいとは思うのですが、やはり費用上、限られた中でどういうふうに配置していくか。それから、技術的な問題についても少し考えていきたい。これにつきましては、消費者庁、国民生活センター、自治体、相談員等で考えさせていただきまして、その結果を踏まえて、順次、必要なものについては配備を考えていく、こういうふうに考えているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、施策番号1番につきまして、どうぞ御意見、御質問をお出しください。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 「PIO-NETの刷新を円滑に実施します」ということになっておりますが、刷新を円滑にといいましても、なかなか使いづらいようなものになっておりまして、できるだけわかりやすい形でやっていただきたいというのが一点あります。
それから、先ほど使い勝手の良い仕組みで、いろいろなところに行って意見を聞きたいということがありました。たしか意見書を私ども全国消費生活相談員協会も出したかと思いますが、現場でそれを使っている相談員に直接聞いていただくことを、早急にやっていただきたいというふうに思っております。今まで使っていたのとかなり違っておりまして、情報を得るというよりも、情報の収集をし、分析するだけのようなシステムになっているかと思います。
本来あのシステムは、それを受け取った人がどう判断できるかということで、その活用方法があったはずです。最初につくられたのは、相談員が活用できるためのシステムだったのです。それをだんだん大きくしまして、いろいろなところで見られるようにして、その情報を執行などに生かしていただきたいというふうになっているかと思います。そういたしますと、やはり相談員が最初に使いますものですから、その相談員が使いやすい方法、使いやすくできるようなシステムをつくっていただきたいと思います。情報の分析のためにというのは、また別な方法があるのではないかと思います。意見書もありますので、ぜひそこのところを考えていただきたいし、直接現場に行っていただきたいというふうに思っております。
それから、追加配備の件です。他省庁とか、消費者団体とか、それは見るということに対してはいいことかと思いますが、やはり御相談者の個人情報の問題がありますので、そこのところはしっかりと個人情報がわからないようにする。特に消費生活相談というのは、事例、地域、年齢等を見ただけである程度その消費者が特定できることもあります。それは絶対避けなければいけませんし、そういうことで御相談者は御相談されているわけではありませんので、そこのところはぜひしっかりとしたシステムをつくっていただければいいのではないかと思います。
以上です。

○松本委員長 山口委員。

○山口委員 東京都の関係者にも聞いてみたら、かえって使い勝手が悪くなったと言います。相談を受け付けながらPIO-NETの画面を見ようとしても、3回ぐらい色々操作しなければいけない。それで非常に使いにくいと。それから、情報を入れようとするときも、3回ぐらいいろいろやった上でやっと画面が出てきて、それで入れるので、前の方がよほど使いやすかったということです。
その辺は、今、下谷内さんが言ったように、現場サイドの声を聞く。はっきり言って、メーカーの対応がどうも下手なのではないかという感じもするのですが、きちんと競合させて、有能なSEに頼んで対応してもらうことも含めて考えないと、予算ばかり食ってちっともよくないというふうになりかねないと思いますので、ぜひその点はお願いします。
それから、消費者安全法に基づく国会報告の関連でも議論が出たのですが、20~30年前のキーワードで分類して情報を分析されている。コンピュータとかパソコンという用語はめったになかったのが、今は日常用語に使われている時代に、30年前、20年前のキーワードがそのまま墨守されているので、何かわけのわからない分類、キーワードになっていて、現代のニーズに合っていないところがある。今さら、用語を変えるわけにいかないというのはわかりますが、もう少し緻密な分析ができるようなキーワードを、これはインプットする側の負担になっても困るので、その辺はまた工夫していただく必要があると思います。グーグルの検索などのようなシステムでいくらでも合理化できると思うので、その辺はぜひ工夫をしていただく必要があるのではないかと思います。

○松本委員長 中村委員。

○中村委員長代理 今、問題になっている使い勝手の向上というのは2つあるのに、区分けされていない。一つは情報をPIO-NET側に送る側の使い勝手、もう一つは集まった情報を引き出して活用する側の使い勝手。この2つをちゃんと区分けして整理しないと、ごちゃごちゃになっていて、いつまでも同じようなことを繰り返すことになる。ここをきちっと区分けして、送る側ではどういう整理をするのか、活用する側ではどういうことをやるのか。
そしてもう一つ、やってもらいたいのは、PIO-NETを活用して相談事例の解決に役立っているのかどうか、これの検証もぜひやっていただきたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員。

○下谷内委員 これは入札制度に問題があるのではないかと思います。入札というのは、これは価格入札だろうと思うのです。その辺のところを、企画入札できちんとされた方がいいのではないかと思います。

○松本委員長 皆さんの意見は使い勝手のところに集中していたと思いますから、その御意見を受けて、さまざまな点での使い勝手、とりわけ、実際に現場で使う人の観点からの技術的な手直しをきちんとしていただきたいと思います。
もう一つ、私は先日、ある県の相談員の人向けの研修で直接言われたことがありますが、それは制度的な問題なのです。というのは、現在のPIO-NETは、相談員が相談を受けながら直接入力する仕組みになっている。従来であれば、紙に整理したものをだれかが別途、後で入力するという形でしたが、今は直接入力である。となると、相談を受けながら入力していくことになる。これは相談者の個人情報を入れることになる。ところが、自治体の条例によっては、個人情報を入力するコンピュータはネットワークにつないではいけないというルールになっているものがかなりある。したがって、PIO-NETを使ってその場で相談処理ができない。つまり、個人情報を入れないで相談処理はできないわけですから。
そういう点で大変困った状態で、何とかしてほしいということを訴えられました。これは単なる使い勝手の向上の話ではなく、もう少し根源的な話になるのではないかとも思うのですが、その辺り、消費者庁、国民生活センターには何か要望は来ておりませんか。

○窪田国民生活センター情報部長 個人情報の件ですが、そういった話も伺っていまして、今回のシステムは、確かに相談者の氏名とか住所も入力して、一括してデータセンターにサーバーを集めていますから、そこにデータが登録されるという仕組みになっています。自治体の条例の判断によっては、データセンターに置けないというところもありますし、今、松本先生がおっしゃったように、入力できないセンターもあるという話は伺っています。ですから、データセンターにも登録することを選べるし、端末側にも登録できるということを選べる仕組みはつくったのですけれども、今、言われた問題についてはこれからの検討課題にしたいと思っています。今は多分、個人情報はメモか何かで保存してやっているという現状だと思います。
あと、使い勝手の点につきましては、今回、ウェブベースのシステムということで導入しました。経費的には効率的になったのですけれども、ウェブベースでのシステムですので、皆さんの使い勝手を考えながら構築させていただいたのですが、どうしても今までのシステムに比べて使い勝手が悪いというのは、使い始めると出てきてしまいます。これから皆さんの御意見を伺って、全国の消費生活センター、現場に伺って、優先度を決めて、システム全体の影響も考えなくてはいけないので、できるところから改善していきたいというふうに考えています。
キーワードの改定につきましては、以前はホストコンピュータを中心にしたシステムでしたから、キーワードの改定というのも結構システム的に時間がかかったわけです。それでずっとやっていなくて、今回は2009年度にキーワードを改定していますので、2009年度以降に受付けたデータは新しいキーワードが付与されています。過去のデータは過去のキーワードが付与されているため、現在からみると、少し古いものがあるかと思われます。ただ、今度のシステム自体は、今までのシステムに比べればキーワードの改定のようなものも比較的容易にできると考えています。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。消費者庁を始め、関係省庁におかれましては、本日の議論、要望等を踏まえまして、今後の取り組みを推進していただきたいと思います。本日はお忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

○内田消費者庁長官 一言、よろしいですか。

○松本委員長 どうぞ。

○内田消費者庁長官 時間がないので簡潔に申し上げます。工程表についてですが、今回の基本計画で初めてこのシステムでつくりました。つくり方については我々も迷いもありますので、それについて、もちろん、御意見をいただければと思うのですけれども、どういう考え方でこれをつくったのか、一言だけ言いますと、基本計画の実効性を高めるために、消費者委員会が中心になって評価・点検をするという新しい仕組みを入れました。その評価・点検の際のツールとして、工程表をつくるというシステムが入れられました。
そこで我々が考えたのは、消費者委員会が評価・点検をされていくときのチェックポイントをお示しするのが役割だと思いました。そのチェックポイントというのは、チェックされる時期、どういう視点でチェックをするか、そういうことを明らかにするのがまず役割だろうということで用意をいたしました。
したがって、先ほど施策番号4で申し上げましたが、確かに通常の事業の工程表に比べると粗いのですけれども、これをごらんいただきますと、夏ごろに国内調査をやる。それを年内やります。その間、夏に意見交換会を設けます。これは、相談員の方とかいろいろな機関の方から話を聞きたいと思っていますが、例えばこういうふうにしましたので、夏に意見交換を本当にやったのか、やっていなければどうするのか、やったのであればどういう意見が出たのか、その後どうしていくのか。秋口から、できるものについては運用改善をすると右側に書かせていただきました。
ということで、これから評価・点検をされていく際に、どの時期にもう一回、消費者庁はこのテーマで呼んで、ここはどうなったかを聞く。こういったことのツールとして使えればということで、この工程表はつくらせていただきました。ただ、初めてでありますので、こういう情報をもっと入れるべきだというような御指摘をいただければ、私どももそういう工夫をしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○櫻井委員 そういうことであれば、今おっしゃったようなことを、それぞれの施策についてもう少しブレークダウンして具体的に文章にしていただかないと、評価しろと言われても、評価基準もはっきりしませんし、評価の視点もはっきりしませんし、時期もはっきりしません。その点について、原案的なものをむしろ消費者庁でお考えになっているものについてお示しいただきませんと、作業として何をやっていいのかわからないということになると思います。それはお願いできるのでしょうか。

○内田消費者庁長官 原案という意味は、それぞれの施策についてでしょうか。

○櫻井委員 今、施策番号の4についておっしゃったようなことを、それぞれについて、どこに着目したらいいのか。今日、出されている資料では、何だ、継続的に実施するんですか、じゃあやってください、不定期に呼べばいいのでしょうかと、そういうことになりますので、これでは全然評価もできない。チェックするというふうにおっしゃいましたけれども、チェックも具体的に全くできないので、その点については評価する側の立場に立って、もう少し前提の議論となり得るような具体的な説明をしていただきたいということでございます。

○内田消費者庁長官 先ほど申し上げましたけれども、事業によってでこぼこあるのかもしれないので、そこはもう一度見させていただきたいと思います。

○松本委員長 できましたら、これにもう少し肉付けしたようなものを消費者庁で工夫していただいて、出していただければやりやすいわけですが、難しいでしょうか。

○内田消費者庁長官 肉付けの意味ですけれども、もう少し申し上げると、この計画に盛られた施策の大部分は、具体的な目標すら今の時点では明らかでありません。先ほど御紹介しました事故情報の報告・公表制度の拡充は、いろいろ問題があるという御指摘はあるし、例えばこういうことをしたらという御意見はあるのですが、今、この計画でどういうことをやるということが明らかになっているわけではありません。
したがって、まず何をやらなければいけないかという具体的な目標を探ることから始めなければいけない施策が、かなり多いと思っています。ですから、まず意見交換をやって、そこでどんな具体的な目標が出てくるのかということから探していくことになるので、こういうことをやりますということをもっと膨らませて肉付けという意味であれば、できないものがほとんどだと思っています。

○櫻井委員 それは理解できますので、そうすると、例えば機械的に四半期ごとに、業務報告のような感じで、こういうことをやってこういうふうになっておりますと、具体的な事案に即して御報告をいただくと、もう少し有効なことが言えるのではないかと思います。それで対応できるところは、それでやっていただければいいのではないかと思います。

○山口委員 そうしますと、今日のこの議論を踏まえた改定版というのはつくられないのですか。

○内田消費者庁長官 改訂版というか、私どもは実は、今日、御説明していない事業についてももちろんつくっておりますし、それから、ステップが進むごとに、よりクリアーになっていくものだというふうに工程表については思っております。

○山口委員 少なくとも松本委員長がいくつかの項目について、2点、3点、まとめましたね。その辺については何らかのレスポンスをいただきたいと思います。

○松本委員長 恐らく内田長官のおっしゃったのは、ゴールがはっきりしていないものが多いということで、どこをゴールとするかということ自体も工程表の中で検討をするという趣旨に私は理解しました。したがって、今日、我々からいっぱい出しました、こういうことをすべきだという点について、消費者庁として、これはいつごろまでにやれそうだとか、これはやれないだとか、そういったことをこれから検討されながら施策を進めていかれると思います。
そこで、櫻井委員がおっしゃったように、どこかでそれまでの間に検討して、そして、実際やったことについて報告をいただくという形にとりあえずはなるのではないか。いついつまでにこれをやりますというのを出していただければ、それは、やれたか、やれていないかということで検証は可能でしょうし、あるいは、数字で出していただければそれで行けるのでしょうが、今のところ、そうではない形のものが多いわけです。そうすると、検討状況についてときどき報告していただくということが中心になるかと思います。

○内田消費者庁長官 委員長からまとめていただいて、それぞれの施策についていくつか御指摘をいただきました。それから、委員の方からも意見をいただきました。その中には、例えば、事業者への報告の義務づけを検討してその工程を明らかにしてほしいというのもございました。これは、直ちに今日持ち帰って、いついつまでに事業者報告制度を入れますというふうなお答えは多分できない。全体の検討の中で取捨選択していって、あるいは順番を並びかえて、いつごろというのがどこかの時期でお示しできるものもあったと思います。
ただし、これの書き方についての御指摘もあったように思います。それは多分、整理できるし、いただいたものをいつお返しできるかというのも違ってきますが、もちろんきちんとお返しはいたします。

○松本委員長 それでは、今後、消費者庁でこの工程表に沿った作業をどんどん進めていただくことを期待いたします。ありがとうございました。

≪3.公益通報者保護専門調査会の運営方針について≫

○松本委員長 もう予定の時間を過ぎてしまったわけですけれども、本日、もう一つ大きな議題がございまして、公益通報者保護専門調査会について議論を行いたいと思います。
公益通報者保護専門調査会につきましては、第10回の委員会において設置を決定したところであります。その構成員となる専門委員の方々につきましては、配付資料3-3(PDF形式:21KB)にある名簿の方々が去る5月21日付で発令されており、この方々に専門調査会の委員として審議に御参加いただきたいと思います。
なお、中村委員、日和佐委員が専門調査会の担当委員として、専門調査会の調査・審議に参画いたします。
また、公益通報者保護専門調査会設置運営規定の第2条第3項の規定によりまして、委員長が専門調査会の座長を指名することとなっております。そこで、島田陽一委員にお願いしたいと思います。島田委員におかれましては、本日は早くから会場に来ていただいていたわけですけれども、前の審議が長引きまして、誠に失礼いたしました。
島田座長、どうぞメインテーブルにお着きいただきたいと思います。

(島田座長着席)

○松本委員長 早速ですが、それでは、島田座長より一言、ごあいさつをお願いいたします。

○島田公益通報者保護専門調査会座長 ただいま御紹介をいただきました、早稲田大学の島田でございます。
公益通報者保護法の問題につきましては、内閣府時代からいろいろとかかわらせていただいた経緯もございまして、恐らく、このたび御指名をちょうだいしたのかと思います。公益通報者保護法に関しましては見直し規定がございまして、それに則して、これまでの状況を踏まえての具体的な議論をここの中で展開していくことが、消費者委員会から付託されていることだと考えております。微力ながらやらせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

○松本委員長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、公益通報者保護専門調査会の運営方針につきまして、事務局で案を作成していただいておりますので、まず、事務局から説明をお願いいたします。

○原事務局長資料3-1(PDF形式:32KB)に基づいて御説明させていただきます。「消費者委員会 公益通報者保護専門調査会の進め方について(案)」ということで御提示いたします。
1の趣旨ですけれども、本専門調査会は、公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する事項について、消費者委員会の求めに応じて、調査審議する。
公益通報者保護法附則第2条においては、同法の施行(平成18年4月)後5年を目途として、同法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされております。
また、公益通報者保護法の国会審議においては、見直しの検討に当たって一定の事項を含めるべき旨の附帯決議がなされていまして、別紙と書いておりますけれども、裏のページに、法律の附則、衆議院・参議院での附帯決議をお付けしております。これは今後の具体的な検討課題になっていきます。
2のところで主な審議事項を掲げております。
「(1)公益通報者保護制度の現状と課題について」「(2)公益通報者保護制度の在り方・見直しの視点について」「(3)公益通報者保護法の具体的な課題について」ということで、附則や附帯決議の中でも取り上げられておりました、通報者の範囲、通報対象事実の範囲、外部通報の要件、外部通報先の範囲といった辺りを具体的な課題として掲げております。(2)にありますように、公益通報者保護制度の在り方・見直しの視点について、幅広い形でまず現状を認識して、審議を進めていっていただけたらというふうに思います。
3にスケジュールを書いております。「平成22年度中を目途に一定の検討結果を得ることを念頭に、当面以下のスケジュールにて調査審議を進める」と書いてありますが、第1回は6月の上旬に予定をしたいと考えているところでございます。
事務局からは以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、この進め方の案につきまして、御意見がございましたらどうぞお出しください。
特に御意見がございませんようでしたら、この形で専門調査会を運営していただきたいと思います。島田座長におかれましては、専門調査会における御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

≪4.閉 会≫

○松本委員長 本日の議題は以上でございますが、最後に事務局より、次回の日程について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回は、来週の金曜日、第1金曜日になりまして変則的ではございますが、6月4日(金曜日)の15時からを予定しております。消費者基本計画の評価・検証の第2弾ということを中心に進めていきたいと思っております。
以上です。

○松本委員長 第2弾ということで、独立した事故調査機関の設置の在り方、原因究明機関等々が対象になるということでございます。
それでは、これで本日の消費者委員会を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(以上)