第20回 消費者委員会 議事録

日時

2010年3月25日(木)10:00~12:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、
田島委員、山口委員

【説明者】
消費者庁 内田長官、成田企画課長、西川企画課企画官、
丸山取引・物価対策課長、取引・物価対策課立石補佐
野村消費者安全課長
金融庁 監督局 栗田証券課長
総務企画局市場課 青戸市場機能強化法令準備室長

【事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画について
3.消費者安全の確保に関する基本的な方針について
4.未公開株取引について(ヒアリング)
 ○金融庁
 ○消費者庁
5.事故情報データバンクについて
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 消費者基本計画関連資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:412KB)
【資料2】 消費者基本計画の検証・評価・監視についての視点(案) (PDF形式:16KB)
【資料3】 消費者安全の確保に関する基本的な方針関連資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:168KB)
【資料4】 特定商取引法(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売)の規制対象について(消費者庁提出資料) (PDF形式:12KB)
【資料5】 未公開株取引等の問題に対する対応状況について(金融庁提出資料)  【資料6】 事故情報データバンク関連資料(消費者庁提出資料) (PDF形式:523KB)
(追加資料1) 「消費者基本計画」の案に対する答申書(案) (PDF形式:14KB)
(追加資料2) 「消費者安全の確保に関する基本的な方針」の案に対する答申書(案) (PDF形式:14KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 おはようございます。若干遅れて申し訳ございません。雨の中、お集まりいただきましてありがとうございました。
それでは、「消費者委員会(第20回)」の会合を開催したいと思います。
それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.消費者基本計画について≫

○松本委員長 おはようございます。
それでは、議題に入らせていただきます。本日、内閣総理大臣より、消費者基本計画の案について諮問がございました。消費者基本計画に関しましては、これまで委員会でも策定作業の非常に早い段階から議論を重ね、意見を述べてきたところでありますが、今回はこれまでの委員会での議論やパブリック・コメントで寄せられました国民の皆様からの御意見を始め、各方面から出されました意見を踏まえて修正されました最終的な案に対して委員会としての意見を求められております。
そこで、まずは消費者政策会議の庶務を務めております消費者庁より、消費者基本計画の案について御説明をいただきたいと思います。
それでは、内田消費者庁長官、成田企画課長より御説明をお願いいたします。

○内田長官 ありがとうございます。今、課長に聞きましたら、この消費者委員会で基本計画を7回、これまで御議論いただくことになるそうでございます。本当にありがとうございます。
前回、修正案をお示しいたしました。その後の修正でございますけれども、大きく3つのことがございます。
1つは、前回この消費者委員会で御指摘をいただいた事項についての修正。
福島消費者担当大臣始め、消費者庁の政務三役の御判断に基づく指示で修正したもの。
私どもの計画と同じく、今年度内に閣議決定が予定されております食料・農業・農村基本計画との整合性を図っていく観点からの修正が前回から今回にかけての修正の考え方でございます。内容については、担当の成田企画課長の方から説明をさせていただきたいと思います。

○成田企画課長 それでは、消費者基本計画の案(PDF形式:412KB)につきまして、前回3月19日にお示しした案との主な変更点について御紹介させていただきたいと思います。
1ページ、まず最初の「すべての人は、消費者です。」からの段落、これは大臣からの御意向等もあり、追加しております。
4段落目からでございますが、「新しい消費者行政は、」と書いてあるパラグラフから先も変えております。例えば、「縦割り行政の弊害を克服しなければなりません。」、「消費者庁は、これまでの行政の在り方を改めます。」、「消費者庁は司令塔として、また『エンジン役』としての役割を発揮していきます。」といったことが書いてございます。
2ページでございますが、形式的な修正でございますが、マル1からマル7まで、「こと」、「こと」という語尾でそろえておりましたけれども、それぞれ1つずつ文にしております。
4ページの「とりわけ」からの段落でございますが、「消費者の安全・安心の確保」の関係で「とりわけ食の安全・安心の確保については大きく前進していく必要がある」ということを書いてございます。
6ページの(5)の一番最後でございますが、重要施策の例がわかりづらいという御指摘をいただきましたので、国民生活センターの施策について少し書きぶりを変えております。
7ページの「(1)地方公共団体への支援・連携」の関係でございますが、3年の集中育成・強化期間後の取組が具体的施策にあるのに、総論にないのではないかという御指摘をいただきましたので「その結果を踏まえて強化に取り組みます」という言葉を追加しております。
8ページ目でございますが、「行政組織体制の充実・強化」というところで「消費者庁については」からの段落の中でございますが「特に、本計画の遂行を確実にするため、食の安全・安心の確保、情報の分析・原因の究明及び消費者教育の推進に関する司令塔・エンジン役の役割について、体制の拡充を図ります」ということを書いております。
8ページの下の方でございます。国際化の関係で、これは前回の御指摘も踏まえまして、「消費者の視点に立った我が国の立場の国際社会への発信を強化しつつ」という文言を加えております。
具体的施策についてでございます。10ページからでございますが、まず施策番号1のPIO-NETの関係で、「入力作業を含め使い勝手のよい仕組みを構築」するということを書いております。
15ページの23番でございますが、これは食料・農業・農村基本計画との関係で、食品安全庁について検討するという施策を新しく追加しております。
24ページの61番でございますが、「マルチ取引」に関する施策を新たに追加しております。
27ページの75番でございますけれども、「遺伝子組換え食品の表示義務の拡大や食品添加物の表示の在り方について…十分な研究を行い、検討します」ということで、少し修正しております。
30ページの87番でございますが、消費者教育の関係で「消費者庁のリーダーシップのもと」という表現を加えております。
40ページ、地方の関係でございますが、まず見出しに「集中育成・強化期間」後の取組も実施しますということを書いた上で、121番ですけれども、「研修の充実などを通じた担当職員の一層の専門性の向上」ということを追加しておりますし、122番につきましては、「国による人材面、ノウハウ面、情報面、財政面などの支援、連携、協働の在り方について」ということを追加しております。
52ページの166番でございますが、個人情報保護法の検討について、新しく追加しております。修正は以上でございます。

○内田長官 以上でございますけれども、特に総論の部分で大臣の指示で修正をした箇所が幾つかございます。冒頭、エンジン役というような言葉が入っておりまして、これについての私どもの大臣からの指示は、今回の計画の策定の趣旨、消費者庁がこれからどういう方向に向かっていくのかという決意を端的に国民にわかるように記述をしたいということで修正をいたしたものでございます。
特にこれまで司令塔とのみ言われておりましたが、この計画でエンジン役という言葉が加わりました。これの大臣の思いは、司令部にこもって指令を出すだけではなくて、消費者庁は率先して一緒に動くんだ、先頭に立って動くんだ。そういう行動をとるべきだし、そのことを国民にしっかりわかっていただきたいということで加えたものでございます。
以上でございますので、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 ありがとうございました。成田課長の声が完全につぶれていらっしゃるのは、恐らく昨晩最終とりまとめに大変御苦労されたことだろうと思います。誠にありがとうございました。
それでは、ただいまの特に修正箇所についての御説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、どうぞお出しください。
田島委員から。

○田島委員 15ページの各論の23番が新たに加わったと御説明をいただきました。食品安全庁という言葉自体も初めて伺うことなんですが、ここに書かれてあることを読みますと、リスク評価機関の権限の強化やリスク管理機関を一元化したとなっているんです。
食品安全委員会ができたときの経緯は、食品のリスク評価とリスク管理を分けようという考え方でもって食品安全委員会ができました。それまでは厚生労働省が評価と管理と両方をやってきたためにいろいろ弊害があったということで、この表現ですと後退したような印象を受けるのでございます。その辺をどういうふうにお考えになっているのか。
食品安全庁については検討を行いますとなっているんですが、安全庁設置のための検討を行うのかどうか。ただ食品安全庁の検討を行いますというのは、日本語的に不十分な記述ではないかと判断いたします。
やはり急に出てきたもので私自身も検討が足りないんですけれども、かなり大きな問題ですので、十分に御検討した上での追加なのかどうか、その辺のことをお伺いしたいと思います。

○松本委員長 中村委員長代理から関連質問です。

○中村委員長代理 関連して15ページの20番、21番に「内閣府及び消費者庁における所要の体制整備を図った上で」ということが出てくるのですが、これは今の食品安全庁のことと関係するのかと思いますが、一体どういうイメージでやろうとしておられるのか。この所要の体制整備というのは何をしようとしているのか。そして、どういうふうにつなげていこうとしているのかという辺りが見えないので説明していただけますか。

○松本委員長 それでは、お願いいたします。

○内田長官 最初に23番の田島委員からの点でございますが、ここに書いているのは評価されたリスク評価機関と、リスク管理機関が一元化した食品安全庁の2つで担っていく体制をつくろうという趣旨でございます。リスク評価機関の機能強化を一方でやる。一方で、リスク管理機関を一元化した食品安全庁をつくったらどうか。その体制を検討していくということでございますので、リスク管理機関、リスク評価機関をともに一元化した食品安全庁ということではございませんというのがまず1点。
おっしゃるように、これが出てまいりましたのは、先ほど冒頭に申し上げた主として食料・農業・農村基本計画との整合ということで出てまいりました。記述も合わせております。いずれにしても大変大きな課題だと思っておりまして、これからしっかりと議論をしていく、中身もこれから詰まっていくことになるものだと考えております。
中村委員からありました20番、21番ですけれども、食品安全について今の司令塔機能の現状は、私の理解では3つに分かれているのかなと思っています。
1つは、当然、食品安全委員会がリスク、特に評価について全体を見ておられる。今の基本的事項は食品安全委員会の時代におつくりになった。
もう一方で、食品安全に関する施策の総合的な環境整備というのを内閣府の本府に残っております。
私どものところにありますのは、全体の言わばこの基本計画に当たるもの、基本的事項を定めるということと、リスクコミュニケーションについての事務の調整というのが来ています。
したがって、役割分担を今言った食品安全庁とか内閣府ともう少しきちっと議論して詰めなければいけないなというのが1つと、いずれにしろ一部の事務が来ているのですけれども、今それを専任で担う体制は全然できておりません。つまり、人員がいないということ。人員というかこの食品安全の部分を担う責任体制が実務的にできていない。
これを早急につくらないと基本的事項もつくれないし、リスクコミュニケーションの事務調整といってもなかなかできないので、まず早急に何とか知恵と力を出して、あるいは場合によってはもちろん組織要求ということになっていくのかもしれませんが、そういう実務的体制を整えないとこれは進まないので、それをしっかりやって与えられた責任を果たしていきたい。その一方で、冒頭に申し上げた整理をもう少しやらないといけないかなということを書いたものであります。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 今の23番の件ですけれども、これは食料・農業・農村基本計画との整合性ということなんですが、実質的に私も何をどういうふうに整合させたのかということについて承知しておりませんけれども、私の感じでは昨年まで私はここの審議会にいたんですけれども、余りにもひどい審議会でございまして、ちゃんと議論していないんです。それは行政体制の問題があって、行政組織が基本的にバラバラだし、議論の中身もひどいし審議会もひどいということで再任をお断りしたという審議会なんです。
というようなことから推察すると、そこと平仄をあわせるといいますか、一体化するということになると、行政内容は後退するのではないかという感じがありまして、整合性を理屈の上では保たなければいけないんだけれども、まさにそこのところが消費者庁としてどのぐらいまで進められるのか、実質下がってしまうようなところを歯止めをかけるのかという辺りがポイントということだと思うのですが、その点については具体的な話をもしできるようであれば是非していただきたいのですけれども、お願いしたいと思います。

○松本委員長 関連問題ですね。山口委員、どうぞ。

○山口委員 23項の表現は、勿論、リスク評価機関の機能強化をする一方で、リスク管理機構を一元化した行政組織を考えるということですね。だから、表現は改めなければいけないと思うんですが、今、櫻井委員が言ったことと関連するかどうかあれですが、食品安全庁という言葉は必要なんですか。消費者庁でなぜやれないのかなという気もするし、また新しい組織をつくってどうこうなどというよりも、そこら辺の行政組織の在り方について一本化も含めて考えるという、安全庁をつくるということは1つのアドバルーンとしてはあるかもしれないんだけれども、もう少し議論した方がいいのかなという気がするんですが、そこら辺も含めて櫻井委員の注文も含めてお願いします。

○内田長官 櫻井委員の御指摘についてですけれども、当然、いずれも閣議決定でありますから、齟齬があってはいけないという意味の調整でありまして、内容について例えば全体についてここに書いてあるからそのままということであって、うちの計画に書くのがふさわしいものという目でチェックはいたしております。
食品安全庁につきましては、まさに検討だと思っておりまして、各省の連携の下、当然最後のところで名称もあるのかもしれませんけれども、これからの検討ということで御了解をいただきたいと思います。
消費者庁なのかどうか、これもそもそもリスク管理をどこがやるのかという議論からきっとなるのかもしれませんけれども、いずれにしてもこれからの議論だと思っております。

○松本委員長 現在はリスク管理機関が農水省、厚労省、消費者庁と3つあります。すき間案件については消費者庁が自らリスク管理をすることができるし、しなければならないということになっておって、リスク管理機関が3つもある。それと別にリスク評価機関が1つあるという四元化された食品安全行政というのは非常によくないと考えておりまして、もう少しすっきりさせるべきである。そういう点で、リスク管理の三元化を何とか一元化するというのは正しい方向だろうと思います。
その上で、リスク評価機関とリスク管理機関の在り方についてどう考えるのかというのはまた別の問題であって、なぜそもそも食品安全基本法がつくられたときにリスク評価機関が分離したのか。単にリスク管理機関とリスク評価機関を分離することだけが目的だったのか、そこはもう一度考える必要がある。
むしろ、産業育成を中心とした縦割り行政から横割りに持っていくために消費者庁をつくったわけですが、それと同じように食品安全というのを産業育成的な行政の枠内でのみ考えるのではなくて、横断的な観点から考えるという視点が必要であって、その中のリスク評価の部分をまず切り出して、内閣府の中に食品安全委員会というのをつくったんだと思っています。
そういう意味では食品安全庁という名前がいいのか、ほかの名前がいいのかは別にして、つくる。それによってリスク管理を一元化するということと、産業育成行政とリスク管理行政の関係をどう考えるのか。そして更にリスク評価というこの3つをどういうふうに配置するのかということを含めて、ここでいろいろ御検討いただくのは大変結構なことだと思います。
今の点も含めまして、ほかに御意見はございますでしょうか。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 私、余りこの議論に表のところでは参画できませんでしたので、少しコメント的なところで申し上げたいのですけれども、まずは最初のところ。変更点だけではなくていいんですよね。

○松本委員長 どうぞ。

○櫻井委員 コメントということで御理解いただければ結構でございます。
1ページ目の書き出しですけれども、いいのか悪いのかよくわかりませんが、生まれてから一生を通じ云々とか、朝目覚めてから夜寝るまで、社会保障について似たような言い方があったかななどと思います。これが国民に本当に訴える文章かどうかというのは疑問があると思いますが、それはそれといたしまして、専門的なことで気になっていることは、まず第一に言葉の使い方についてです。
これは消費者行政において特に顕著な傾向だと思うのですが、例えば消費者庁について、これは1ページ目ですと4段落目のところで「司令塔」と、今度は「エンジン役」という言葉を使われて、消費者委員会に関しましては「監視機能」という言葉があり、2ページ目のマル3のところを見ますと「透明性が高い仕組みで」とか「監視機能」で「独立した第三者機関として」というフレーズをずっと前面に出してきている。あるいは消費者が主役とか、そんな言葉もそうなんですが、全体的にキャッチーでありたいということで感性に訴えかけるような言葉遣いが多いんです。大事なことは実質的な問題であり、法制度レベルでは概念そのものはきっちりとしてもらった上で、わかりやすくということで言われるのは、それは問題ないと思うんです。
ただ、問題は、消費者領域は特にそうだと思うんですけれども、こういうふうに書くと、それを今度額面どおりにしか受け止めないという向きが大変強くて、ある種の非常に不幸な誤解を生むところがあって、そこについて十二分に配慮しませんと、後々何もやっていないではないかと、これはどうなったのかという、そこが行政としては大変大きなリスクとして跳ね返ってくるというところについて、若干懸念を持っているところです。
消費者の権利という言葉もそうなんですが、これも法律を見ますと基本理念としての権利として規定されています。そんなの語義矛盾もいいところでして、基本理念としての権利が認められましたといって喜んでいるようでは全然消費者行政は進まないとむしろ思っていまして、権利と言うからには具体的なきちんとした実益のある請求権的なものを考えるということが最終的なゴールとしてありませんと余り意味がない。ですから、文章の書き方全体としまして、基本的には抑制された形で内容を特に拡散しないで何とかできているのでよろしいかなと思っているんですが、そこが消費者委員会の在り方とか消費者庁の在り方について、今日必ずしも期待どおりになっていないのはその辺り自分で何か種をまいてしまっているところがあって、気をつけないといけないなと思っております。それが第一点です。
そのこととあるいは関係するかもしれませんが、2点目なんですけれども、内容的に少しだけ申し上げると、6ページの(5)の被害者救済の在り方の重点的な取組みの中のアです。これは重ねて申し上げているんですが、今日は長官がいらっしゃるので直訴したいと思いますけれども、アのところが被害者救済の議論は司法的なことだけ考えておられるのです。つまり、裁判所による救済。司法的救済ほど面倒くさいものはありませんで、弁護士さんとか、裁判所、法務省とかそういうところを巻き込んでいるうちは効果的で効率的な救済というのは非常に難しいです。
これはほかの特に国交省などでも敷金の返還請求をどうするのかみたいな議論がありますけれども、行政的に仕組むというのは、むしろなるべく広い人たちをなるべく簡単な手続で救済する。それは100%完璧に救済するということではないのだけれども、8割方あるいは7割方、結局全体としては公益が一番大きくなるというような救済ができるのは行政権ならではなのです。
ところが、そういう点についての御検討が全くされていないということでございまして、この点については行政官の方はわかっているはずなので、行政が問題意識をもってやらないと無理であり、そういうことをやっていただきたい。それは消費者にそれこそ本当に喜ばれる政策だろうと思うので、ここはニーズが本当にある、潜在的ニーズが非常に高いということを前提にしてしっかりと考えていただきたいと思っています。
3点目なんですが、これは中身というよりは消費者委員会と消費者庁の関係ということですけれども、半年経って、私も自分で身につまされるので余り言わなかったのですけれども、消費者委員会の在り様というのが今の新政権と似ているところがありまして、監視機能だぞといって外に出たはいいものの、なかなか動くに動けないというところがあります。いろいろ建前の問題はあるんですが、ぶっちゃけて言うと、やはり消費者庁にきちんとフォローしていただいて、行政のプロはそちらにいらっしゃいますので、そこのところを是非密接な連携の関係を『恩讐の彼方に』ではないんですけれども、これまでのいきさつは超えてフォローをしていただけるとありがたいなと。これは委員長の立場だと言えないと思いますので、私、一委員として是非お願いしたいと思っております。
そうしませんと、制度的な改変というのはなかなかそう簡単にできませんので、今この時点で当面どうするかという場面においては、事実上そのような対応で乗り切っていくしかないのではないか思っております。
以上でございます。

○松本委員長 今のは質問というよりは御意見ですね。こういうことを考慮して今後やっていただきたいということですが、何かそれについて御回答はありますか。
どうぞ。

○内田長官 逐一のことはございませんけれども、その中で特に期待が拡散をしてしまって不幸な誤解を招くのではないかということはしっかり心に留めてやっていきたいと思いますが、1つはこの記述の表現というよりも今回の計画に盛り込まれている施策そのものが今の消費者庁の体制から言うと、相当頑張らないとできないというのは率直なところだと思います。ですから、1つはこの中にもあえて実は今回体制の拡充を例えばこういう項目と消費者庁については書きましたけれども、これが不可避の前提になっているなと思っております。
もう一つは、今回の基本計画の評価・点検のところに工程を明らかにしてと書かせていただきました。ですから、ここで百幾つの施策をばっと並べたわけですけれども、どれから先にやっていくのかということをしっかり引き続き国民にお示しをしながらやっていくのかな。この2つが、今、櫻井委員がおっしゃったことに我々としてそうならないように気をつけていく取組みなのかなとこの計画では思っております。

○松本委員長 では、中村委員長代理、どうぞ。

○中村委員長代理 前回申し上げたことで更に変わりぶりが余り変わっていないところあるので御意見を申し上げたいのですが、20ページの42番で「不招請勧誘の規制」という言葉だけで書かれているのですが、前回私が申し上げたのは、電話の勧誘が一番の入り口なので、そこをアメリカなどはDo Not Callという制度があって、その電話番号を登録するだけでもうそこにはかけてはいけない。違反したら罰金まであるという仕組みをつくっておられて大変効果を発揮していると聞いております。ですから、そういうのを入れられないかと。
調べてみましたら、昨年6月17日の衆議院の経済産業委員会でその話が出ていまして、2回、経産大臣は、消費者庁ができることだし、一緒に検討したいというような回答をしておられます。参議院では昨年7月2日に同様の議論がされております。議事録を確認しました。
ですから、もう率直にそういう制度を入れるというところまで、各論的かもしれませんけれども、踏み込んでいただきたい。これは効果としては随分大きいので、私は是非書きぶりとして具体化していただきたいと思います。それが1点。
前回、地方消費者行政の点について申し上げた点については、40ページで変えていただきましたのでそこの表題はよろしいのですが、気になりましたのは、地方消費者行政、地方自治体の支援、連携というときに中央が上から地方に対してしてやるんだとか、物を申すという雰囲気はどうも漂うのですが、そうではなくて地方が頑張っているところはそこを一生懸命支援してあげるとか、評価してあげるとか、そういうハートの部分も書きぶりで出ないかなと思います。
それはなぜそういうことを感じたかというと、一昨日、子どものライターの事故の警告を消費者庁でお出しになりました。そこの表現を見ますと、消防庁と消費者庁が調査した結果でこういうことを国民に警告するのだと書いてあるのですが、実はその前に東京都は昨年11月18日に生活文化スポーツ局からもう既に東京都が対応策も含めた提案までしておりまして、いわゆる地方消費者行政がそうやって一生懸命、東京都が自分で調べて事故の対策までちゃんと提案して頑張って言っていることを全然引き継がないで、3月23日の消費者庁の警告は書かれているのです。
やはり地方としては、せっかく自分たちが発見して最初に提案したのに、そのことを引き継いだ形で消費者庁が動いているのだと思っているのに、そういうことを何も書かないで消費者庁が独自にやったような書きぶりだと、地方としてはやる気をなくしてしまうのではないかと思って心配するんです。
ですから、これから地方公共団体の支援だとか育成だとか連携というのならば、地方が頑張っているところをちゃんと評価し、引き継いで、なおかつ消費者庁が全国民にこういう警告をするのだというくらいの記述はたった1行でできることだから是非やってあげたらいいと思うのです。
各省庁との関係でもそうですが、経産省も実は昨年既に子どものライターの問題を言っておりますので、そういうことを踏まえて、言ってみれば三番煎じで消費者庁が一昨日発表したのだろうと思うんですが、そういうところをハートとして地方だとか他の省庁がいいことをやったらそれをちゃんと評価、支援するんだというスタンスも是非持っていただきたいと思います。
消費者団体の関係についても、前回申し上げました。42ページの128番、129番に適格消費者団体の支援の話が出ております。ここで逆に落ちてしまって心配なのは、適格消費者団体ではないその他の消費者団体に対する支援の問題であります。参議院の附帯決議の29番の書きぶりと、ここの128、129が違うので指摘しておきますけれども、附帯決議では「消費者団体を含め、消費者被害の情報収集、消費者への啓発等を行う消費者団体に対し」というのが入っていて、関係する情報を提供するとともに、活動のための施設や資金の確保等の支援の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることと書かれています。
今回の42ページの書きぶりですと、消費者団体に対しても関係する情報を提供するとか、そういう連携の在り方についてまるっきり落ちてしまっておりまして、そこら辺もう少しきっちり書いていただきたい。
129番にかろうじて「消費者団体が行う公益的な活動についての育成・支援の在り方を検討します」と書いてあるのですが、もっと参議院の附帯決議では具体的に言っているので、そういう書きぶりにしていただきたいと思います。
質問にも関連するのですが、44ページの136番で「労働相談など他の相談機関においても」ということで、消費生活相談の窓口を案内しろ、となっているのですが、担当省庁欄で「関係省庁等」と書いてあるのですが、労働相談のほかの一体どういう相談をイメージしておられるのか。これはやはり具体的に各省庁で所管している相談機関があったらそこに自覚させる意味でも、もう少し労働相談以外の相談機関、所管官庁を具体的に明示していただきたいと思います。
とりあえず以上です。

○松本委員長 いっぱい指摘されましたが、修正要求ですか。つまり、ここが修正されない限り同意できないという御趣旨の御意見であれば、消費者庁側にきちんと対応してもらわないとだめだということになる。そういう趣旨なのか、それとも、今言ったような御意見を踏まえて、この実施に当たってやっていただきたいという趣旨なのか。前者ですか。

○中村委員長代理 前者です。

○松本委員長 ということですが、消費者庁としてどうお考えなのか。

○内田長官 修正の御指摘と御意見と両方あったように思うんですけれども、最初の施策番号42番のところで御指摘になりました電話勧誘を禁止せよということでございますが、この42番は当然お気づきのようでおっしゃっておられると思いますけれども、ここは幾つかの例示を挙げまして、これらを含めてこれから検討していくと書かせていただきました。
したがって、それが重要な議論であれば当然入ってくるだろうというのが1点と、閣議決定で計画に例示として挙げるものとして、調整、関与と随分言われているように思うのですけれども、今おっしゃったように電話の禁止まで、そこまでの熟度があるかというと、私自身は確かに取り上げられたことはあるのでしょうけれども、ここに並ぶほどの熟度かなというのはやや疑問に思っております。何せここにこれは例示である、したがって、今後の検討の中で重要なものは議論していくという記述であるということで、御理解を是非いただきたいと思います。
上から目線でということがあります。これは十分心したいと思います。ただ、例えば地方消費者行政につきましては、121番のところで挙げてございます地方消費者行政の充実・強化のためのプランがベースになっていくと思います。これは是非ごらんいただければと思うのですけれども、決して上から目線ではございません。むしろ、消費者委員会でもお回りいただきました、私どもも地方をしっかりと回って、そこでやられていることを吸い上げてそこから組み立てていくという、余り国にはないプランのつくり方をしたと思うのですけれども、それは実は今、中村委員長代理がおっしゃったような考え方でやらせていただいたものであります。
ライターについて言えば、東京都から私ども昨年、今、委員がおっしゃった経過を持って協力要請に来られました。そのときに私どもは2つのことを申し上げて、チャイルドレジスタンスの件とこれは経産省とも相談して取り組んでいきたいということ。東京都が都内で広報されたわけだけれども、これは我々としても協力して、全国で展開をしていきたい、警報ということを申し上げました。
東京都の消防庁だけの調査でありましたので、それを受ける形で総務省に協力いただいて、全国の消防機関にお願いをして、全国でもやはり同じようなことが起きているよねということで公表し、注意喚起をしたものであります。したがって、東京都の間ではこれから我々が全国をやる、協力をしていく、一緒にやっていこうということを言った上でありますので、きっとこれで東京都ががっかりとかはないと思います。
ただ、おっしゃるように一言書けばよかったのかなというのは、私ももう一回見てみたいと思いますし、今後の取組みとしては、おっしゃったことは十分に考えていきたいと思います。
団体の支援のことで、適格消費者団体以外の消費者団体の支援のところですけれども、この129番、公益的な活動について特に支援をというのは、パブコメとその後の意見で、むしろ消費者団体の方からいただいた表現振りでございまして、その支援の中には当然おっしゃったこちら側の情報を提供していくというようなことも含まれていると考えております。
136番、これにつきましてはこの施策が136番で入りました。労働以外をほかに書くべきではないかということなのですけれども、ここでは消費生活相談の窓口につないだ方がいい相談事例がいろいろとあるということで労働相談の方からありましたのでこう書きまた。当然、この施策が入りましたので、私ども各省と相談をして、あるいは情報をとってそれぞれの相談窓口でどんなものを持っているのか、そこでどんなものが来ているのだろうかというようなことを把握した上でこの連携をしていくことになると思いますので、恐らくどこがどの窓口が、あるいはどの役所がというのはこれからのこの施策を受けた私どもの取組みの中で明らかになっていくのかなと、そういうところをしっかり呼びかけていきたいと考えております。
以上でございます。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 前回欠席しましたので、私は期待を少し申し上げたいと思います。私もこの委員会活動を通じまして、わずかな経験ですけれども、消費者の皆さんの思いというのが我々事業者にとっても非常に大事なことだと、今更ながらに非常に痛感したところです。
消費者重視の政策をやっていく上で、やはり事業者が対象となる施策が、かなり大きなウェートを占めてくると思います。消費者委員会の論議を通じて一番強く思いましたのは、そのような施策を考える中で、やはり悪質な事業者と健全な事業者という仕分けが非常に大事なのではないかなということを痛切に感じております。
それを単に事業者という言葉で言われると、これはお互いにとって非常に不幸なことではないかなと。ですから、一番大事なことは、難しいことでしょうけれども、犯罪的と言っていいような事業者を社会から追放していく、滅ぼしていくということが一番大事なことであろうと思います。
もう一つは、我々事業者にといっては、日本経済、日本の社会が非常に活性化していくことが望まれているわけでありまして、そのために個別の企業にとって消費者、お客様の動向というのは非常に大事なことであるから、個別企業は非常に一生懸命お客様を見てきたと思うし、お客様との接点を非常に大事にしてきたと思います。
ところが、それでもいろいろ問題があるということは、事業者団体、または業界といいますか、そういうものと消費者の接点というのが非常に薄いのではないかと思うのです。どうしても行政が消費者対策をやっていくと、法制度の充実ということになって非常に時間がかかるということですが、本来は業界が自主規制でスピーディーに対応すれば、かなりの部分が対応できるのではないかと思うんです。
そういう意味では、新しい消費者行政をやっていくときに、もう少し消費者庁が消費者と事業者の間に立って、消費者の意見を団体に伝えていくことが、実質的な活動として非常に大事なことではないかと思うんです。今は情報を一般に消費者に知らせるということがメインになっているような感じがしますけれども、もっとその以前の段階で業界の団体と接触するような機会、あるいは活動についてもう少し考えてもらえれば、もっと実のある消費者行政につながるのではないかと思います。
ですから、消費者委員会の活動も含めて、業界団体、地方に対する行政の在り方を見直すことを新しいパラダイムシフトと言うわけですから、そういうことを業界にも事業者にも、もっと積極的に知らせないことには、おかしいことになってくるのではないか。大変苦労して素案ができたわけですから、是非そういう活動をして、スピーディーな行政をやっていただくことによって、1日も早く成果が上がるということを大いに期待したいと思っています。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 ありがとうございます。今の池田委員の、特に前半部分の御指摘なんですけれども、是非御検討いただきたいのは、結局事業者の中に一般的な事業者と極めて悪質な事業者がいる。
これは今の法制度ですと、十把ひとからげにして規制をかけるとなってしまうことにまります。それは法律というものが普遍的につくらなければいけないというのもあって、基本的にそういう構造でつくられているんですが、ただピンポイントで狙い撃ちにできるような仕組みというのはもう少し工夫の余地があっていいのではないかという問題意識を持っています。今までの例だと、私はまだちゃんと調べていないんですが、例えば暴力団対策法などというのは、一般的な行為規制で従来は刑法犯などの一般的な処罰法でしか対応できておらず、何人もが対象になっていたのですけれども、そういう規制をやっていたんだけれども、同じような暴力行為であっても、指定暴力団の構成員がやった場合には構成要件をもっとゆるくして、狙い撃ち的に規制をかけるという仕組みを作ったわけで、これはその文脈ではひとつの大発明だったといっていいと思います。
多分そういうようなもの、あるいは別の観点でもう少し狙い撃ちにできるような行政の仕組みというものを、やはり法制度は発明だと思いますので、新規の仕組みを考える必要があります。そうしませんと、今日この基本計画もそうなんだけれども、消費者政策は全部入ってしまうんです。すべての人が消費者だというから本当に全部入ってしまうので、そういう意味では普遍的な問題ではあるんですけれども、個別の所管の法律群については、少なくともそういう観点で切り分けができないかということは是非考えていただきたい、大きな課題なのではないかと思っています。
事業者との関係ということも極めて重要なことでして、例えばこの委員会の事業者の数が足りないと思っておりまして、これも将来の検討課題ではないかと思います。
以上です。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 夜中まで御苦労様でございました。ありがとうございます。
1点お聞きしたいことなんですが、私はここへ来て初めて見たような状態なんですけれども、最初の4行、「すべての人は、消費者です」ということなんですが、書いてあることはわかりやすいといえばわかりやすいんですけれども、この「人」というのはどういう人を表しているのか。私人なのかもしれませんけれども、余りにも第一編にこういうものが来るというのは、理解し難いなと思っております。この人について、どういうお考えで書かれたのかということをお伺いしたいことが1点です。それを直せとかというつもりではないです。
先ほど個別のものについては、現在会議も含めまして私も非常に関心のあるところでありますので、例示的なものだということをおっしゃられました。そういたしますと、この中に検証、評価のところがございますので、今後そういうものを毎年評価項目の中に入れていって評価するということをしていけばいいのでないかと思いますので、これ以上修正は難しいと思いますので、今この2点について意見を述べさせていただきます。
中身をいろいろ細かく言っていきますと、非常に不満なところもございますが、これはこれで閣議決定されたということでございますので。

○松本委員長 まだされていません。

○下谷内委員 まだこれからでした、済みません。そういうことで、突然こういう言葉でもって最初に入ってくるのは、子どもにとってはわかりやすいのかもしれないんですけれども、それでも子どもにとってもすべての人が消費者であるというのはどういうものなのかなと思いました。民法の問題だとかいろんな問題もあるかと思います。今、民法改正議論がされており、非常に私どもとしては消費者契約法との関係もございますので、興味のあるところであります。そこのところをお答えいただけるとよろしいのですが。

○松本委員長 それでは、お願いいたします。

○内田長官 今、下谷内委員からございました、ここで書いた含意といいますか、人というのは例えば国民生活局の時代にやった調査でも、実際消費者被害に遭っても、3割の方がどこにも相談に行っていないという数字がございます。恐らくその外側には被害に遭ったということすら気付いていない方もたくさんいらっしゃるのかもしれない。
やはりどこかに消費者問題というのは自分とは少し別なところかなと思っている方がたくさんいらっしゃることもまた一方で事実だと思うんです。
ですから、人というのが法的にどういう定義なのかというのは私どもここでこれについて答えを持ち合わせておりませんけれども、本当に消費者問題というのは自分は無縁ではいられないということを国民に伝えたい、そういう文章だと御理解をいただければと思います。
点検・評価・見直しの中で、逐次熟度の高まったものについては明らかにしていく。それが恐らく工程の中で更に示されていくものだろうと思いますけれども、そこは委員のおっしゃったような方向でしっかり考えていきたいと思います。
先ほど池田委員がおっしゃった点でございます。前回、池田委員は御欠席でいらっしゃいましたけれども、恐らく池田委員の思いを戴しているのではないかと思いますが、御意見をいただきまして、事業者の取組みで消費者とのコミュニケーションに国も何らかの工夫が要るのではないかということも指していただきました。
消費者庁ができて半年過ぎましたけれども、感じているのは、事業者団体の方たちが少し消費者庁を遠巻きに見ているというのでしょうか、どういうところかわからない、触っていいものかどうかわからないというような感じを持っておりまして、私も各会社がお持ちの消費者からの声とかを是非聞きたいなと思いますし、積極的にいろんな意見交換をしていくというのは、消費者問題を前に進めていく上でもとても有効だと思っておりますので、そういうことは心がけて努力をしていきたいなと思っております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 評価・検討・監視について提案させていただきたいのですが、その前に今の事業者の話と地方消費者行政について意見を申し上げたいと思います。
先ほど中村委員長代理がおっしゃっていたライターの件ですが、長官は東京都はがっかりしていないだろうとおっしゃいましたが、私はがっかりしていると思っています。やはり東京都がきちんと調査をして発表して、それを基にして経済産業省が動き、消費者庁が今度きちんと情報を提供した。元は東京都であるときちんと言っていただかないと、これからほかの地方自治体が何か提案しても結局は消費者庁が持っていってしまうようなイメージを受けたのではないかなと思います。是非東京都がまず調査・テストをしたということを発表していただきたい。地方自治体がいいことをやっているときはきちんと発表するということをたしか以前おっしゃっていたので、そのところはよろしくお願いします。
事業者についてですが、消費者目線というのは事業者を排除しているわけではなくて、消費者目線に事業者もなっていただきたい、一緒になっていい市場をつくろうということが消費者庁ができたきっかけにもなったと思います。事業者は、ある日偽装するまではいい事業者なんです。ここ数年来、いい事業者、老舗だと思っていたところが消費者を騙しました。偽装をしたり、クレーム隠しをしたり、やはりその辺りをどう考えるか。池田委員がおっしゃることは非常によくわかりますけれども、ある日突然いい事業者だと思っていたのに偽装が起こる。消費者が一番がっかりするところです。そこの辺りを法律で櫻井委員がおっしゃったようなことができるかどうかは知りませんけれども、考えていただきたいなと思います。
委員についてですが、事業者の委員が必要だとおっしゃいましたが、私は消費者の委員がもっと必要だと思っております。消費者委員会と言いながら、消費者代表が1人というのは、私はこれではいけないと、もっと消費者代表に入っていただくべきだと思います。事業者を増やすだけではなく、消費者側の委員も増やしていただきたい。それは長官に申し上げることではなく、こちら側のことだと思います。

○櫻井委員 中立の人はどうですか。

○佐野委員 中立というのはどういう立場を中立というのか、私はなかなか1人の人間が完全に中立で物を言えると思っていませんので、どちらかに偏ってしまうかなというようなイメージは受けております。
ということで、消費者基本計画の方に入りたいと思います。資料2(PDF形式:16KB)を見ていただきたいのですが、この基本計画で一番重要なのが検証・評価・監視についての視点だと思っております。
今日、その関連で提案したいと思っておりますが、文章は短いので読ませていただきます。
「消費者基本計画は平成22年度から26年度までの5年間を対象とする新たな消費者政策を盛り込んでいます。同計画の実効性を確保するために、日々発生する消費者問題への迅速・機動的対応への必要性などから、政府は検証・評価・監視を毎年度実施し、適切に見直しを行うこととしています」。閣議決定もされると書かれておりました。
「その際、消費者委員会には、『消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ』、検証・評価について関与していくことが期待されています。
新しい消費者基本計画は、消費者行政の『パラダイム(価値規範)の転換』をうたい、『消費者が主役となる社会の実現』を目指すことを表明しています。その実現のためには消費者との協働が重視されることが求められます。消費者行政の充実・強化は、健全な市場を目指す事業者の意見を踏まえ、消費者とともに推進されることが基本となります。
これらの観点から、政府が毎年度実施する検証・評価・監視について、消費者委員会は、平成22年3月3日提示した『消費者基本計画策定に向けての意見』を踏まえ、以下の点を重視して意見を述べていきます。そして、政府においては、その結果を次年度の具体的施策に確実に反映させるべきであると考えます」。
3点挙げました。
まず、「消費者施策に消費者の意見が反映されることを狙った現行のパブリックコメントや申出制度等の運用状況、その課題、新しい制度創出の必要性」。
2番目、「高齢化が急速に進展する中での、高齢者の取引被害への対応状況と有効な施策の実施状況、住環境・製品・サービス等の高齢者の安全への対策の実施状況、及びこれらに関する新しい施策転換の必要性」。
3番目、「消費者基本計画の各施策に盛り込まれている各府省庁、関係機関、地方公共団体及び民間諸団体相互間の連携と協働の実施状況」。
以上3点を今年度は中心的というか重視して検証・評価・監視をしていきたいと考えますという案です。よろしくお願いします。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 2つですが、今、佐野さんが読まれた消費者委員会としての視点については、私としては賛成で、こういう形で消費者委員会としてこれから検証・評価・監視をしていくということで是非やっていきたいと思います。
消費者基本計画については本当に大変な苦労をなさってここまできたというところで、私としては評価したいと思います。
最後に一言だけ申し上げたいのは、これから遠慮しないで、人員増と予算増を大いにやっていただきたい。消費者契約法担当のスタッフが現在の消費者庁に全くいない。消費者教育を担当するスタッフが2人しかいない。しかも兼任でしかいない。情報通信関係についても、これはかなりの専門分野なのでそれなりのチームが必要なはずなんですが、どうもほとんど動いていないということを考えますと、この消費者基本計画を本当にきちんと実施しようと思ったら相当の人員増が必要だと思うんです。
その点、消費者委員会としても声を出していかないといけないと思いますけれども、是非消費者庁においては遠慮しないで、こういう財政状況の中で大変厳しいと思いますが、大いに予算と人員を確保するというところでこれから努力してほしいと思います。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 皆さんの御意見、全くそれぞれに賛成なんですけれども、どうも御苦労様でございました。
下谷内さんのおっしゃった先ほどの頭の4行ですけれども、私もここはすごい違和感を覚えたのですが、でも逆にこういうメディアの立場から言うと、こういうふうに賛否両論のある文言が頭に来ると、これはこれでキャッチになっていいのかなという、逆にそういう気もいたします。
すごいよかったなというのは、「エンジン役として」のというのがきちんと入ったこと。やはり今まで消費者庁とか消費者委員会ができても、何をやっているのといまだに思われているところがあるわけです。ですから、もうこれからは実行あるのみだと思います。
山口さんがおっしゃったように最後の実施項目などは総花的なんですけれども、逆に言えばこれという問題を私たち消費者は抱えているということですから、是非着実に実行していただきたい。体制の強化です。もう声を上げてこれはやっていただかないと。
もう一つは、逆にこの体制の中でできることはどれまでだみたいな優先順位というのをきちっと外に示さないと、逆に言えば人員増もできない、体制の強化もできない。そこら辺は消費者庁とか消費者委員会というのは国民がバックでそこの世論の盛り上げでもってここは実行ができるところだと思うんです。だから、そこら辺のPRも逆に苦しいというPRでも結構だと思いますけれども、そういう形で全部の人を巻き込んで是非実行していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 一通り御意見を出していただきまして、中村委員長代理から数か所について、もう少し具体的に書き込めないかという御要望がありまして、長官の方からはそれは趣旨としてはかなりの分が含まれているんだという御回答があったかと思います。
中村委員長代理としては、その辺についていかがでしょうか。

○中村委員長代理 3月の閣議の日までまだ時間はあるので、最後まで努力していただければと思います。

○松本委員長 という御意見も出ております。本日はこの案につきまして、消費者委員会としてまとまった意見を出すということが期待されているわけですが、いかがいたしましょうか。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 確認ですけれども、佐野さんから御説明いただいた視点ということなんですけれども、この消費者基本計画そのものは政府の計画ということであれば、監視をする対象は消費者庁長官というよりは政府ですね。内閣という含意は当然入っているんでしょうね。
行政レベルでも当然見ていくということはあり得るのでしょうけれども、多分、もう少し政務三役を含めてきちんと働いてもらいたいという感じがあって、この基本計画のまとめ方ももっと最初からちゃんとやっていればもう少し余裕を持ってできたはずなのに、最後の最後になって今日の4時になって資料ができましたとかそんな感じなわけですから、もう少し計画的にやってもらいたいという思いを基本的に持っておりまして、ですから、監視については、ちゃんと政治家の方も我々がウォッチして、言いやすい立場にあると思いますので、やったらいいかなと思っております。

○松本委員長 今回の基本計画については、昨日突然決まったわけではなくて、実に消費者委員会としては8回やっておりまして、第4回の消費者委員会に最初に消費者庁の方から提案といいましょうか、形のあるものではなくて、これから消費者基本計画にどういうことを盛り込むべきかということをまずパブリック・コメントで国民から意見を求めたいというところからスタートしておりますから、かなり丁寧にやっております。
確かに最終段階で政務三役等の意見が相当入ってきて修正されたというようなところはございますが、全体としてはかなり丁寧にやっていると思います。

○櫻井委員 そうなんです。だから、政治家の方もちゃんとしてもらいたいということが私としましては言いたいわけです。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 私はこれで了承でいいのではないかと思います。
9ページに検証・評価・監視のパラグラフがあるわけですが、その7~8行目「消費者委員会の消費者行政全般に対する監視機能を最大限に発揮しつつ」云々ということで、消費者委員会、我々の委員会についても一定の宿題、課題が課されているわけです。この検証・評価・監視をするに当たって、どういう視点で委員会として臨むのかというスタンスも資料2(PDF形式:16KB)のような形で明示しておくということは有意義だと思いますので、私はそういう線で委員会としての意見をまとめたらどうかと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私もこの視点で是非いきたいと思っております。毎年度見直しし、閣議決定されるという今までになかったことが入り、非常にいいことだと思います。今回記載されなかった、中村委員長代理がまだまだ注文があるとのことですが、私も一つずつ見ていたら言いたいことはたくさんあります。今後、1年間見まして、できていないものをきちんとやれとか、見直すとか、そこのところに今私たちの力を注ぎたいと思います。
168だったのが171まで項目が増えました。やることはたくさんあるし、協力しながらいきたいと思います。そして、検証・評価・監視はきちっと消費者委員会、また消費者団体も頑張って実施すると思いますので、その辺りを来年、必ず見直しし、改正に反映させるということで、ここは私はこれでいいと思います。

○松本委員長 いかがでしょうか。中村委員長代理は少しもう一声というお気持ちもおありだと思いますけれども、基本的には今回はこれで御承認いただくとして、今、佐野委員もおっしゃいましたけれども、毎年の検証・評価・監視のところで今出されたような意見を評価の視点の中に盛り込んで、そしてきちんとチェックをして、場合によっては次年度について見直して修正の形で計画に取り込んでいっていただくという方向に、消費者委員会として検証・評価・監視のところで更に意見を述べていくという方向でやっていきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本委員長 それでは、ただいまのような方向で消費者委員会としては与えられた仕事をやるという決意の下に、本日御提案をいただきました消費者基本計画の案につきまして、諮問のあった原案で妥当であるという結論といたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、そのような趣旨で答申を行いたいと思います。答申案につきましては、ただいまから配付をさせていただきます。

(「答申書(案)」配付)

○松本委員長 それでは、答申書(PDF形式:14KB)を読み上げさせていただきます。
日付があいておりますが、本日の日付、平成22年度3月25日ということになります。内閣総理大臣鳩山由紀夫殿。消費者委員会委員長松本恒雄。答申書。
「平成22年3月25日付け消企画第55号をもって当委員会に諮問のあった『消費者基本計画』の案については、消費者基本法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する」。
以上でございます。
それでは、ありがとうございました。
続きまして、佐野委員から御提案いただきました消費者基本計画の検証・評価・監視についての視点という資料2(PDF形式:16KB)の文章ですが、この案のような考え方に基づいて、検証・評価・監視を進めていくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、このような視点に基づいて、検証・評価・監視を行っていきたいと思います。これで消費者基本計画についての審議は終わりました。

≪3.消費者安全の確保に関する基本的な方針について≫

○松本委員長 続きまして、消費者安全の確保に関する基本的な方針に関する議論を行いたいと思います。本日、内閣総理大臣より消費者安全の確保に関する基本的な方針の案について諮問がございました。消費者安全の確保に関する基本的な方針につきましては、これまで委員会でも議論を重ね、意見を述べてきたところです。
本日は、これまでの委員会や各方面から出されました意見を踏まえて、修正されました最終的な案に対して意見を求められております。
まずは消費者庁より、諮問された案につきまして御説明をいただきたいと思います。

○成田企画課長消費者安全の確保に関する基本的な方針(PDF形式:168KB)でございますけれども、基本的に3月19日お出しした資料と変わらない案で諮問させていただいております。
細かい字句修正はございまして、例えば1ページの2つ目の段落の「こうした情勢の変化を受け」というところで「枠組みの構築を求める声」となっていますが、これが前回は「構築する声」となっていましたけれども、基本計画の表現に合わせて変える等々細かい字句修正はしておりますが、基本的には同じ内容になっておりますので御報告させていただきます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの案につきまして、御意見はございますでしょうか。この基本的な方針につきましても、消費者委員会として都合7回審議を重ねてきているところでございまして、前回の案とほとんど変わっていないということで特に御意見がなければ、これでよろしいという答申をするということにいたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、答申案(PDF形式:14KB)を配付させていただきます。

(「答申書(案)」配付)

○松本委員長 お手元に配っておりますが、先ほど消費者基本計画の案に対する答申とほとんど同じ形になっておりますので、本文のみを読み上げます。 「平成22年3月25日付け消企画第56号をもって当委員会に諮問のあった『消費者安全の確保に関する基本的な方針』の案については、消費者安全法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する」。
以上でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。消費者庁の内田長官以下、大変御苦労様でございました。ありがとうございました。

≪4.未公開株取引について(ヒアリング)≫

○松本委員長 次の議題でございますが、消費者委員会ではこれまで金融分野における消費者問題に対しまして、消費者庁、金融庁、警察庁からそれぞれの現状と当面の取組み状況等についてヒアリングを行い、その内容について議論を行ってまいりました。
本日は、金融分野における消費者問題の中でも、未公開株取引に係る諸問題、とりわけ無登録業者への対応策につきまして、金融庁及び消費者庁より、その取組み状況について御説明をいただき、その内容を踏まえて議論を行いたいと思います。
まずは金融庁より、御説明をお願いいたします。どうぞ前にお座りください。
それでは、金融庁の方からお願いいたします。

○栗田証券課長 金融庁監督局証券課長の栗田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
お手元の方に、資料5という形で資料を配付させていただいておるかと思います。前回、2月に御説明をさせていただいた続きというようなことになるかと思いますけれども、去る先週の3月19日に金融庁の方におきまして、「未公開株取引等の問題に対する対応状況について」ということで記者発表をさせていただいたものでございます。これまでもいろいろな施策をやってきたところではございますが、それも含めて新たにやろうという施策も入れまして、1つのパッケージという形で取組みを公表したというものでございます。
今日は、これについて簡単に説明をさせていただきたいと思います。前段の方は前置きですので、省略をさせていただきまして、1ページ目(PDF形式:122KB)の真ん中以降でございます。四角囲みで1、2、3と書いてあるところが今回の発表のポイントでございます。
大きく3つございます。1つ目は「被害の未然防止に向けた取組み」ということ。2番目が「被害の拡大防止に向けた取組み」ということ。3番目が「被害の回復に向けた取組み」という3つのカテゴリーに分けてございます。
大きな1つ目の「被害の未然防止に向けた取組み」ということに関しましては、基本的には、投資家の方に対し、できるだけ、こういう問題があること、危ない取引には近づかないようにしていただきたいことを注意喚起していくことが中心になるかと思います。そういう観点から2つここに書かせていただいております。
1つ目はリーフレットでございます。これは、資料3ページ・4ページ(PDF形式:669KB)に綴じてあるのとは別に、お手元には現物を配付させていただいております。これを金融庁、消費者庁、警察庁の連名で作成いたしました。大体300万枚ぐらいつくることにしておりまして、既にもう発送作業に入っておりますので、来週辺りから配れるかと思います。これにつきましては金融機関、都道府県、警察あるいは消費生活センターなどに配付させていただくことを予定しております。
もう一つは、この資料の中の5ページ(PDF形式:669KB)に付けさせていただいておりますが、日本証券業協会におきまして、消費者庁、警察庁、金融庁と連名でポスターを作成していただいております。これにつきましては、大体5万部ぐらい作成することにしておりまして、これも既に発送作業に入っておりますけれども、基本的には4月1日から掲示したいと考えております。と申しますのは、ここのポスターに出ております証券業協会の専用コールセンターの開設が4月1日になりますので、それに合わせて掲載していきたいということを考えております。
これらが1番目の取組みでございますが、大きな2番目は「被害の拡大防止に向けた取組み」ということでございます。そのうち1つ目は、先般金融庁の方で国会に提出させていただきました「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」におきまして、金商法等に違反する行為を行い、また行おうとする者に対する裁判所の差止命令への違反に係る両罰規定を整備したということでございます。資料6ページ目(PDF形式:352KB)に資料を付けさせていただいておりますので、簡単に中身を説明させていただきます。「問題の所在」の2番目の○のところでございますけれども、現行法上は証券取引等監視委員会の申立てによりまして、裁判所は、一定の要件を満たす場合には、金融商品取引法の違反行為を行う者に対して、当該行為の禁止・停止命令、いわゆる差止命令を行うことが可能である。これは登録業者であろうが無登録業者であろうが可能であるということでございます。「しかしながら」というところですが、現行法上、裁判所の発しました差止命令に違反した者に対しては、一応罰則はあるんですけれども、法人に対する両罰規定がないということでございまして、法人がこの命令に違反しても刑罰を科すことができないというのが現状でございます。そこの穴を埋めるという観点で、法人に対する両罰規定を整備するという法律案を、国会に提出させていただいております。併せて、この差止命令の申立ての前提として、当然調査が必要になるわけですけれども、その権限は現在は証券取引等監視委員会にあるのですけれども、実効性の観点も踏まえまして、これを財務局に委任することも可能とする規定も併せて置かせていただいております。
また元に戻っていただきまして、1ページ目(PDF形式:122KB)、「2.被害の拡大防止に向けた取組み」の2番目でございます。これは先週金曜日、3月19日に、「資産形成事犯対策ワーキングチーム」というものを設置させていただきました。このワーキングチームのメンバーは、警察庁、金融庁、証券取引等監視委員会の課長クラス、更にそこに警視庁、首都圏の県警本部、関東財務局のまさに第一線で取締等をやっていただいている課長さんクラスにも入っていただいております。このワーキングチームの目標とするところは、中心になるのはファンド業者でございますけれども、当然未公開株に運用するファンドというのもかなりあってそれも問題になっておりますので、そういう意味ではかなりこの未公開株の問題にも接近してくるわけでございます。そういう個別の事案につきまして、この事案をどう処理していくか、すぐに警察が捜査に入るのか、それとも登録業者であればまず金融庁が処分を打ってからやるのか、あるいはこういう情報があれば次のステップに進めることができるのではないかという、まさに個別案件を具体的に実践的に取扱うための協議を行うチームであるということでございます。それを3月19日に設置いたしまして、既に第1回会合を行ったということでございます。
大きな3番目は「被害の回復に向けた取組み」でございます。これも1つ目は、今般の国会に提出させていただきました法律案において、破産手続開始の申立て権限を広げたということでございまして、7ページ(PDF形式:352KB)に資料を付けさせていただいております。「背景」のところなんですけれども、特にファンドが問題になるんですが、ファンドの販売業者、運用業者が詐欺的なことをやっている場合が見られる。その場合、当該事業者に対して当然業務停止とか登録取消という行政処分を行うわけでございますけれども、それはあくまで行政上の処分であって、ファンド財産自体を業者から取り上げるということまではできないということでございます。したがいまして、ファンド財産が業者の管理下にまだ残ってしまい、そうすると、被害者への被害回復ということがなかなかうまくいかないという問題があります。そのために、一番公平かつ適切な方法として、裁判所の監督の下できちんと財産を破産管財人が見て、被害者に分配していただくということが必要になってくると思われますが、破産手続開始の申立て権限は、その破産したファンド業者自身か債権者に限られております。当然のことながら、自分で破産を申し立てるというのはなかなか期待できませんので、当局においてこの破産の申立てができるようにするという権限を付与していただくための法律改正案を、提出させていただいたということでございます。
また恐縮でございますが1ページ目(PDF形式:122KB)に戻っていただきまして、最後のポツでございますが、これは何が書いてあるか端的に言いますと、いわゆる「振り込め詐欺救済法」を活用しましょうという話でございます。「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」、いわゆる「振り込め詐欺救済法」でございますが、この法律の規定を読みますと、「詐欺その他の人の財産を害する罪の犯罪行為」に該当する場合には、金融機関が所定の手続を取って被害者に被害金の分配をすることができるということになっております。当然、未公開株の話にしろ、ファンドの話にしろ、「詐欺その他の人の財産を侵害する罪」に該当するような場合は、この法律が活用できるのではないかということであります。そういうことを踏まえて、金融機関に対しまして、そういう手続を適切に実施するように要請したということでございます。これは3月19日に預金取扱い金融機関に対しまして、金融庁監督局長名で要請を出しております。この要請文には、先ほど出ましたリーフレットとかポスターとか、そういうものもきちんと掲載するあるいは配布するなど、注意喚起にも努めてくださいということも併せて要請しております。
私からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○丸山取引・物価対策課長 取引・物価対策課長の丸山です。よろしくお願いします。
私の方から、今、御説明のありました未公開株取引などについての特商法の適用の関係がどうなっているかということについて、御説明をさせていただきたいと思います。
お手元の資料4(PDF形式:12KB)、1枚紙、横長のものがありますけれども、これをごらんいただければと思います。御案内のとおり、昨年12月から施行しております改正特商法でありますけれども、指定制の廃止をやったということが大きな中身の1つでございます。
この表の一番左側をごらんいただきますと、これは今でもそうでありますけれども、特商法の規制対象として、商品と役務と一定の権利というのが規制の対象になっているということであります。特に改正前は、申し上げましたように指定制というものがとられていたということで、そこに当時の条文が書いてありますけれども、指定商品につきましては「国民の日常生活に係る取引において販売される物品であつて政令で定めるもの」。
指定役務につきましては「国民の日常生活に係る取引において有償で提供される役務であつて政令で定めるもの」というようなことが書かれていたということでございます。
ちなみにもう一つ下にある指定権利は、引き続き指定制を置いた形になっておりますけれども、この中身は「施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち日常生活に係る取引において販売されるものであつて政令で定めるもの」という規定でありまして、これについては指定制というのは維持をされておりまして、今回の中でも改正は特にされていないということでございます。
その上で改正後という真ん中のところをごらんいただきますと、今、申し上げましたように商品、役務ともに指定制をなくしたというのが今回のポイントの1つでございました。
その結果として、法的にどういうふうにしたかと言いますと、一番左側にありました指定商品、指定役務の規定というのは全部削除したという形になっておりまして、政令指定をする、政令に委任するということが必要なくなってしまったものですから、それ自身の定義規定は削除されているということでございます。
他方で、商品の3つ目の●のところをごらんいただきますと、商品そのものが変わらず規制対象になっているということでありまして、その範囲はどういうふうに考えるのかということについては、一番左側にありましたように、当時あった「物品であって政令で定めるもの」という一定のコンセプトといいますか、考え方というのはそのまま引きずっているということでありまして、引き続き物品としての、ここに指定制がないというところがみそなわけですけれども、物品としての商品が対象になるという考え方で特商法をたてつけているということでございます。
役務につきましては、同じ形でありますが、この役務の中身は労務ですとか、便益ですとか、そうしたものが入るわけですけれども、こうしたものを役務として引き続き扱っていく。当然指定制はないということになっているわけでございます。
その結果として一番右側をごらんいただきますと、未公開株など金融商品というものに特定商取引法がどういうふうに適用されるかというのを簡潔に書かせていただいております。
商品について言いますと、先ほど申し上げましたように物品としての商品という考え方でありまして、したがって、例えば民法上に動産とみなされている、いわゆるみなし動産とされている無記名債権のようなもの、一番典型的なのは、国債ですとか、地方債といったものだと思いますけれども、こうしたものについては動産ということであれば商品に含まれてくることになるということでありますけれども、その他の例えば株式、社債等、このようなものについては商品には含まれないという考え方でございます。
真ん中の役務のところでありますけれども、こちらの役務については実は仲介あるいはあっせんといったものについては、いわゆるサービスといいますか役務に入るという考え方をとることが可能になりますので、これは株式、社債などを含めて金融商品の取引であってもその仲介をする、言わば証券会社がやっているような業務みたいなものが一番典型だろうと思いますけれども、そうしたものであればこの役務の中で解釈され得るということでありまして、そういうところには特商法のリーチが及んでいるということでございます。
ちなみに、一番下の指定権利のところは改正をしていませんということを申し上げましたけれども、現実に政令指定されている権利というのはどんなものがあるかというのを御参考までに書いてあります。3号立てで政令がつくられておりまして、それを若干ここに縮めて書いておりますけれども、例えば保養施設やスポーツ施設を利用する権利。映画、演劇、音楽などを鑑賞するような権利。あるいは語学の授業を受ける権利。言わばチケット化をされてそれが出回るようなことが過去現実にあったということでありますけれども、そういうものをこれまで政令指定をしてきている。これについては引き続き必要があれば当然政令指定をしていくということでございます。
したがいまして、金融商品全般について直ちに全体に特商法がかぶるということにはなりませんで、商品あるいは役務というものの規制対象としての範囲というのは特商法のたてつけとしてそれぞれあるということでございます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、以上の御説明につきまして、どうぞ御意見、御質問がありましたらお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 2月8日の消費者委員会でのヒアリング以来、何とかならないのかということで再三委員として金融庁あるいは消費者庁の方にお聞きしてきましたけれども、今日の話を聞いて本当に心からがっかりしております。実際に被害がこれだけ起こっている。
簡単に言いますと、2つの大きな課題がありまして、他社の株を間もなく上場するので大きくもうかるという形で勧誘する。これは無登録業者が勧誘する形のパターンです。
もう一つは、前回のアフリカントラストの例で紹介されましたけれども、自社証券型でありまして、自社株や自社転換社債などを将来有望な会社の証券だという形で勧誘する。買い取り業者を装った第三者が高価買い取りを約束して買い増しをさせるという手口で、現実に今まさに丸山課長がおっしゃったように、特定商取引法の適用対象外だと、これを悪質業者はわかっています。
無登録業者あるいは50口未満の販売であれば、金商法、金取法の規制の対象外だということで、あとは警察がとっ捕まえて罰金を科すしかないということで、金融庁も動いておらぬということがわかっていますから、まさに消費者庁や金融庁がやっていない、やれませんと言っていることをかさにとって、彼らはお年寄りを中心にした消費者被害を次々ともたらしているわけです。それについて何とかしようという姿勢が消費者庁には全く見えないというのは本当に残念です。 まず大きく言いますと、これは要するに浜の真砂は尽きないという問題ですから、全面抑止の対策というのは困難なのですが、少なくとも3つの問題を考えるべきではないか。第1に、今、丸山課長は特定商取引法では適用ができないんだということをおっしゃいましたが、少なくとも消費者庁のスタンスとしては到底了解できません。できないならばどう工夫するのかというスタンスが全く見えないではないですか。
この未公開株や転換社債などは現実にペーパーが売られているわけです。なぜこれが商品ということにならないのか。
商品としてなぜ解釈できないのか。法制局の方がそれに入らないんだという見解を出したと聞きますが、ではなぜその法制局と交渉をして株式や証券や社債が商品に当たると解釈や文法を工夫されないのか。どうしてもだめならば、まさにすき間なんです。商品にも当たらない、役務にも当たらない、指定権利にも当たらないというところで、悪質業者がはびこっているわけですから、もしどうしても商品に当たらないというならば、私は当たると思うんですが、あるいは当たるということで統一見解を出して、消費生活センターなどで対処すれば随分被害の抑止はできると思うんですが、どうしてもそれが当たらないとするならば、例えば権利の条文を改正するとか、せっかく指定制を廃止したのに、その商品でも役務でも権利でもないということで悪質業者がはびこっているわけですから、では大きく取引という概念で特商法の適用範囲を広くとって、それによってすき間で悪質事業を展開する者を規制するということはなぜ考えられないのか。是非そういう工夫を考えていただきたいというのが1つです。
金融庁に関しましては、これはイギリスには現実に無登録事業者についての販売行為について無効とするという条文がございます。再三これもできないのかということで申し上げましたら、無登録業者には必ずしも悪質なものでもない者がいるので、要するに事業活動の不当な制約になるとおっしゃるんですが、イギリスの法律ですが金融サービス市場法26条でははっきり無効とするとなっています。もちろん、例外はいろいろあってもいいと思うんですが、なぜこの無登録事業者について、すっきりと法規制、民事救済のルールをつくれないのか。これが1つです。
次に、前回発表されたアフリカントラストなどは、50口未満だということで自社株を発行していますので、今のままの規制法の中では規制の枠からはずれかねないのです。更に第1次募集、第2次募集、第3次募集ということで、数百口、数十億円を売りつけているわけですが、こういうものがなぜ50口未満だとして規制の範囲外になってしまうのか。やはり不特定または多数に販売する場合には、金商法なり金取法の規制の範囲に、原則入れるべきではないか。もちろん、例外は幾つかあっていいと思いますが、もう少しわかりやすい法規制にしないと、これはアフリカントラストのような手口は抑止できないと思います。
以上、3点、是非改正していただきたい。先ほど栗田課長がおっしゃった対策ではほとんど役に立たないと断言せざるを得ないと思いますので、この3点について是非御検討いただきたいと思うんです。

○松本委員長 それぞれについて、金融庁と消費者庁から御回答いただけますか。

○青戸市場機能強化法令準備室長 金融庁でございます。山口委員ご指摘の2点目と3点目、私ども金商法関係で御質問いただきましたのでお答えいたします。
まず、金商法における無登録業者に対する民事効の規定でございますが、私どもこう考えております。無登録業者による金融取引に対する民事効の否定につきましては、一般の金融取引すべてに規定上恐らくかかるような形になるかと思うんですけれども、そういった影響が及び得るものとして、慎重な検討が必要ではないかと考えております。
そういう意味では、未公開株に係る詐欺的商法につきましては、本日御説明させていただきましたように、未然防止に向けた取組みであるとか、被害の拡大防止に向けた取組み、そして被害の回復に向けた取組みの3つございますけれども、こういった取組みを進めているところでありますし、先般3月9日に閣議決定させていただきました改正金商法案でも、現時点で最大限努力させていただいておるところでございます。関係者と協議しながら、何とかできることをやっていきたいと考えているところでございます。
また、先ほどの49人の話でございますが、これはもともと発行者自身による販売、勧誘行為は自己募集する場合、50人以上の者に販売、勧誘を行う場合は、御案内のとおり開示規制の対象になるものでございます。こういった自己募集は、発行者の資金調達のために行われると考えられるものでございますので、金商法においては投資者保護の必要性と発行者の資金調達の便宜というのを双方勘案して、金融商品取引業に該当する自己募集の対象というのは現行ルールの下では集団投資スキーム持分等に限定しているものでございます。このため、未公開株等の自己募集もすべて金融商品取引業の対象とすることにつきましては、やはりそういった発行者の円滑な資金調達という観点と投資者保護の必要性といった双方の観点のバランスを見る必要があると考えております。したがって、これにつきましては慎重な検討が必要であると考えているものでございます。
以上でございます。

○丸山取引・物価対策課長 今の1点目の御指摘のところ、幾つか中身があったと思います。
1つは法制局との関係なんですけれども、私の説明が淡々としていたという御指摘でありましたけれども、法制局とは何度も何度も実は議論を重ねてきていまして、先週も金融庁にも一緒に入っていただいて、民法との関係なりあるいは無記名債権というのはどういうものかとか、そういう議論もずっとしてきているわけですけれども、これは改正の経緯、そのときの考え方、どこまで論じたかいろんなことも含めて法制局は全部わかった上でこれについてはやはり物品ということにならざるを得ないのではないかと、特商法のたてつけなり歴史的経緯なり、あるいは指定制を廃止したときの議論なりということも含めて考えてこういうことだという話でありまして、我々が意図的に外したくてこういう議論をしているわけでは決してないわけですけれども、これまでの事実関係、考え方等々を踏まえると、これを超えるだけの論理が我々としても見出せていないというのが正直なところでありまして、むしろそれを超えるだけのものがあるということであれば、我々も何度でもそれはトライをしたいと思うんですけれども、そういうことで今のところの結論ということになっております。
もう一つ、すき間事案なのではないかというお話がありましたけれども、これは決してすき間だとは思っておりません。特商法がその他一般法のようなたてつけに今なっていると思いますけれども、その一方で当然さまざまな業法ですとか消費者保護法制においてカバーされるところはカバーされているということでございまして、金融商品取引法の範疇で無登録業者についての扱いも更に拡充をされるんだというお話がありました。それは無登録業者としてそもそも業を営むことがアウトである、刑罰の対象であるということも含めて一定の手当があるわけであります。
もちろん、それが有効に機能しているかどうかというのは一方にあるとは思いますけれども、警察との関係なども含めて、これは先週でしたでしょうか、黒田課長の方からPTをつくって執行面の対応をしているというお話を御説明したと聞いております。そういう実効性の上がる取組みがあるだろうということも含めて各省庁やるということになっているんだと理解しておりまして、特商法の規制対象についての議論が一方である中で、できることは何かということをそれぞれ考えていくということで動いているんだろうと思っております。全くのすき間になっているということではないという理解でおります。

○松本委員長 ほかの委員の方から。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 すき間かどうかという議論はひとつの問題ですけれども、伺いたいのは、まず、資産形成事犯という言葉を使っているのはどういう意味合いなのかというのが基本的なところで申し訳ないんですけども、もうかりますよといって財産を取るからということですか。金融庁さんに質問です。

○栗田証券課長 すみません。この「資産形成事犯」という言葉は警察用語のようでございます。警察が使っておられる言葉なんですけれども、要するに、資産形成なり資産運用なりに関連して、「お金を運用してあげます」とか「有利な株があります」とかいうような、人々の資産形成に付け込んだ犯罪行為だという意味だと我々は解釈しております。

○櫻井委員 そうですか。多分株式だからということですね。境目があいまいですけれどもね。次に、今の山口委員の問題意識をどういうふうに具体化するかというようなことを考えると、先ほど少し議論に出ていたんですが、公開株の事犯というのはそれを行っている集団というのがいて、その人たちが社会的実体としてどういうものであるかということが多分密接に係わってきて、多分公の場で議論するのが必ずしも適当ではないような話だろうと推察します。
そうすると、非常に悪質な人たちに対してどういう規制をかけるかというところで、これは一般的な規制ということに必ずしもなじまない、切り出した形での措置というのができれば一番よろしいということになるのだろうと思います。そうしませんと、一般的な規制としてどうしても法制度のたてつけがなってしまうので副作用が大き過ぎるということかと思うので、そこは知恵の絞りどころなので、PTをつくられるのでしたら是非そういうことを考えていただきたいと思います。
法制局の議論ですけれども、法制局の議論はそうは言ってもいいかげんでございまして、昨日聞いた話では地域主権の概念を法律案に入れられるかどうかという点の話を聞きましたが、地域主権という言葉は憲法違反なんです。だから、法制局はこれは通せないと言ったんだけれども、どういうふうに落ちたかというと、地域主権改革と6文字にしたんです。ですから法制上は6字で使わなくてはならず、分解したらだめなんです。ということで法律上定義規定を入れて閣議決定に持ち込んだという経緯だったとうことなのですが、こういうやり方がいいか悪いかという評価の問題はあるでしょうけれども、法律上の規定の仕方については工夫の余地はいろいろあるので、そこは是非更なる検討をお願いしたいと思っています。
3点目で、これはお伺いしたいんですけれども、今犯罪に使われている口座は銀行と警察との間で協定を結んでいて凍結することができるという扱いをされているんですね。法律があるのですね。
先日私が接した事例では、それを悪用している事例というのがあって、ある人に対して金銭を払いなさいという通常の民事上の紛争だったのですが、そうしたら振り込め詐欺の口座になっていますという趣旨のビラを、支払い先の人が住んでいる場所一帯にまかれてしまったんです。そうしたら、口座が凍結されたのでお金が払えませんというふうにして、払う側の方が逃げてしまったという事例があるということです。これは多分それを更に悪用しているケースということで、いうなればこういう行動特性を持っている人たちが関わっているということを示唆する事例だと思われます。
そういうことを含むと、こちらもPTとか立てている場合ではないというか、やはり行政はのんびりしているんです。行政と民間だと特に悪質事業者の場合には時間の進み方が全然違うので、あちらの方が大変迅速に対応してこられるし、しかも何でもありです。しかし、行政の方はそれなりにきちんとしなければいけなくて、違法なことはできませんので、最初から武器対等ではないんです。そこは行政の行動パターンもビジネスモデルを考え直さないと、後追いも限度がありますので、そのあたりは少し課題かなと思っております。
以上です。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明ありがとうございました。私どもの現場の相談員といたしますと、確かに特商法の問題も御説明いただいているのは法律上はそういうことでわかることはわかるんですが、実際に被害の御相談が非常に多いわけです。高齢者などの方が非常に多いわけでして、その人たちに例えばこんなようなチラシをまかれましても、私もこれを見てなんだろうなと思っております。そういたしますと、私が前に言いまして今回と同じようなことを説明を受けたことは受けたんですし、それにまた法制局との関係で一生懸命努力されているのはよく理解しているつもりではあります。
しかし、現場で今実際に起こっている問題に対してどれだけ対処できるかということは、消費者庁や金融庁の方が法制局にしっかりと御説明いただかないと、現場では無登録業者は無効であるからそれでいいのではないかでは通らないわけです。相手先がそういうことではいそうですかというような相手先ではありませんので、そういたしますと先ほど丸山課長がすき間事案でないと思っているとおっしゃられましたが、現場ではまさにこれがすき間事案だと思って日夜格闘しているわけです。
それをどのようにうまく使えるか、相談員の力量にも係わるかもしれませんが、それはまた別の問題だと思うんです。実際にこれだけの被害があることに関して、こういうチラシを作成されたりされるということは、それだけ被害が多いということを十分御理解していただいているのだと思います。そうであるならば、もう少し被害状況などから見た法制度、法の在り方について積極的な関わり方をしていただければいいのではないかなと思っています。
金融庁、消費者庁も出しているこのチラシなんですが、これは高齢者の方が見ても何のことだかよくわからない。見ていただきました。何ですかと言われました。高齢者の方に例えばチェックをしろと言っても、これを読まなければいけないわけです。それよりもっとだまされてはいけないということを端的にわかるようなものをつくっていただかないと、これをつくられた方は頭のいい方だろうと思うんですけれども、現場を余り御存じない方がつくられているのではないかなと、こちらのこれもそうです。そのもうけ話は大丈夫ですとかというのですが、せっかくこんなにいっぱい空間があるので、文字は少なくしてわかるようにつくっていただければ、未然防止になるのではないかなと思います。
ただ、これだけ未然防止をこんなにしっかりやっているとかいろいろおっしゃいますが、現実に被害が非常に多く御相談が上がっております。ですから、もう少しそこのところを迅速にやっていただける方法をお考えいただきたいと思います。
例えば特商法では商品、役務、権利となっておりますが、指定制は廃止されたんですが権利はそのまま残っておりますし、できればすべてのものということで商品の扱いには考え方、先ほど櫻井委員が考え方のあれもできるということでしたので、そういう形ですべて物、商品として取扱うということも御検討いただければ、割とすんなりと問題は解決するのではないかなということです。
それぞれの業法における登録業者についての指導がありまして、そこのところは適用除外になっておりますが、無登録に関しては先ほど無登録は無効である、アウトであるというようなことをちらっとお聞きしたと思います。そういうことであるならば、消費者庁の方でそのような知らせ、通知文というものをきちんと出していただければ、相談の現場では助かると思っております。

○松本委員長 確認ですけれども、下谷内委員の相談現場で困っているということの意味は、例えば特商法が適用されたらクーリングオフが可能だから、契約は効力がなくなって払った代金を返してくれという民法上の主張ができるけれども、今は適用されないからそのような主張ができず、相談現場ではどうしようもなくて困っているという御趣旨ですか。

○下谷内委員 それも1点ありますし、商品そのものについて、そこのところは無登録業者については一切関知しないというようなことを言われていてできないということであります。

○松本委員長 そのできないということの意味ですけれども、民事的な救済が、今だとクーリングオフという形での簡易な救済ができないのが困る。民法上は無効の可能性もあるんですね。こんな犯罪行為だから公序良俗違反で無効だと頑張れば主張できる可能性があるんだけれども、相談現場ではなかなかそこまではやれないから、クーリングオフという単純な形で救済できればいいという趣旨ですね。

○下谷内委員 そうです。民法における無効の主張はなかなか難しいです。ですから、是非そこのところをしっかりと簡単に使える方法を考えていただければいいかなと思います。

○松本委員長 もう一点、金融庁の方に対して山口委員が先ほどおっしゃっていた、無登録業者による取引は一律無効と法律上はっきり書いているイギリスのような例もあるから、そうすればいいという趣旨も、そうすれば民事的な救済がほかの議論を一切しなくて、公序良俗違反かどうかというハードルの高い議論をしなくても、いきなり金を返せという訴訟を起こせる、あるいは相談現場としてそれを使えるという趣旨ですか。

○山口委員 まさにそうです。よろしいですか。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 本当にこの問題は金融庁と消費者庁で、露骨に言いますともうなすり合いをしているとしか思えないんです。責任を押し付けあってしているという、まさに行政の谷間でこれだけの被害が起こっているわけですから、なぜ両方で例えばアフリカントラストの例が具体的にあるわけですから、今日言われた対策ではほとんど対応できないではないですか。消費者庁をつくった趣旨はまさにそこなんだから、消費者マインドに立って、この被害抑止のためにどうしたらいいのかということでなぜ取組まれないのかというのが不思議でしようがない。
法制局がだめだと言われたのだったら、ではどう工夫したらどうなるかという、先ほど櫻井さんがおっしゃいましたけれども、なぜそういう工夫をなさらないのか。我々は何ぼでも協力いたしますので、是非そこの点工夫いただきたいと思います。
金融庁について二言だけ申しますと、とにかく自宅にじっとしているお年寄りが引っかかっているわけですから、チラシを何ぼつくってもチラシを見る機会がお年寄りはないわけです。ですから、電話勧誘でぼんぼん劇場型でやられているわけですから、それはNHKのテレビ辺りでやればそれは多少効き目がありますけれども、チラシでは何の効き目もないです。多少のあれはあるかもしれませんが、ほとんど効き目がない。
金商法の改正で裁判所をかませて無登録業者に対して業務停止命令ができるようにするという条文は、ないよりはましかもしれませんが、私は要するに無登録事業者が違法に不当に消費者に販売活動することについて、いちいち裁判所をかませる必要はないと思います。行政は迅速に、これはしかも内閣総理大臣がという話ですから、こんなことをやっていたらどんどんやり得で逃げてしまいます。だから、行政が迅速に業務停止命令を出せるというたてつけにするべきではないか。
もちろん、前半にありましたように、要するに違法事業者が集めたお金を保全して被害者に還付するという、これから審議する制度の中では裁判所をかませる必要があると思いますが、少なくとも業務停止命令を出す程度についていちいち裁判所をかませていたら、それはやり得で逃げられておしまいとなってしまうんです。その辺の工夫も努力をお願いしたいと思います。
もう一言、消費者庁で工夫をいただけませんか。

○丸山取引・物価対策課長 櫻井委員から言っていただきましたけれども、我々は法制局との特商法についての議論について、絶えずいろんなことで議論していますので、むしろ我々の背中を押していただくのは大変ありがたいんですけれども、是非知恵を貸していただきたいんです。
我々はもう正直言いまして知恵を出し切っていまして、これ以上の知恵があるならばやりたいぐらいなんですけれども、先ほど申し上げたように本当に何回となく法制局に行き金融庁にも行っていただいてという中で、まさにこういう考え方になっています。こういうふうに構成すればこうやれるではないかというのがもしあるのであれば、是非それは御協力をいただけるとありがたいと思います。
この未公開株の問題については金融庁も関わる形で、先ほどまで御議論いただいた消費者基本計画の中にそれなりのことが書き込んであるわけであります。松本委員長にもおまとめいただきましたが、相談現場は民事ルールの話が1つの対策として期待があるのかなと思うんです。そういう意味で特商法のクーリングオフは使い勝手がいいと言っていただけるのは大変ありがたいわけですけれども、他方で特商法だけですべてがカバーできるわけでないというのも実態でありまして、先ほど無登録業者の未公開株ということに対して一般規制というのは無理があるのではないかという櫻井委員の御発言もありましたが、例えば、本当に商品やら役務やら権利という概念をなくしてしまうなどということを考えると、大議論だということは当然のことであるんですけれども、そもそもそれを実現するために無登録業者の未公開株というこの例だけでもって全部の議論を立てるというのはなかなか難しいところがあると思うんです。それに対しては、先ほど申し上げたように行政処分を下そうか下すまいが現に金商法で禁止されており、罰則もかかっているんです。
特商法で行政処分にしたときにそれは1年以内ということで有期の行政処分ができるようになりますけれども、それがあろうがなかろうがそもそも営業が禁止されているということは別途確定している話でもあるものですから、やはり特商法だけではなくてもう少し軒を広げて全体像として執行も含め考えていかないと、本当に効果的な措置はなかなかできないかなと思っております。いずれにしても我々としては知恵も貸していただきながら、多分金融庁さんも一緒だと思いますけれども、何かできることがあればという思いはありますので、それについてはまた御議論を重ねさせていただければと思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。ごく最近、円天という集団詐欺事件のたしか刑事判決が出たと思いますが、あれは出資法違反なんです。私にお金を預ければ何%の利息を付けますという商法ですね。他方で、自社株とか自社社債は出資法違反にならないけれども、中身はほとんど同じですね。だまして高利で返ってきますよということで、預けろといったら出資法違反になり、社債と称すればそうならないという辺りが、実体はほとんど変わらないのに名目を何にするかで変わってくるという辺り、引っ掛かりを感じます。アフリカントラストなど実質的には出資法違反の預かり金商法そのものだという気もいたしまして、その辺も含めて法整備も考えていただきたいかなと。
無登録業者の方の締め付けをやれば、今度は預かり金商法の出資法の方に逃げていくかもしれない。これは変な話ですけれども、そうしたら出資法の方にも無効規定か何か置かなければならないような話にもなってくるかもしれないと思いまして、悪質業者は本当にさまざまな知恵を絞って考えますから、それに対する対応策をいろいろお考えいただきたいと思いますし、消費者委員会といたしましても、この問題については引き続き検討を続けていきたいと思います。
金融庁、消費者庁におかれましても、本日の委員から出されましたさまざまな意見を十分お汲み取りいただいて、そして消費者基本計画にも盛り込まれる予定でございますから、きちんと遂行していっていただきたいと思います。では、ありがとうございました。

≪5.事故情報データバンクについて≫

○松本委員長 予定の12時になりましたが、もう一つ議題が残っておりまして、消費者事故に関する事故情報データバンクについての御説明の件に移りたいと思います。
消費者庁では、関係機関が保有する消費者事故に関する情報をオンラインで集約して活用するためのシステムとして、事故情報データバンクの構築を進めておられます。本年4月からは、インターネットを通じて消費者の方々が自由に利用できるように準備をされていると伺っております。
本日はその事故情報データバンクの準備状況と概要につきまして、消費者庁より御説明をいただきたいと思います。

○野村消費者安全課長 消費者庁消費者安全課長でございます。資料6(PDF形式:523KB)「事故情報データバンクについて」という資料を提出させていただいてございます。
平成19年に事故情報データバンク、旧国民生活審議会で構想の御意見、御提案がありまして以降、関係される消費者団体等からもさまざまな御意見をいただきまして、それらを検討させていただきながら開発を進めてきているところでございます。
1ページ目に位置づけとしてございますが、現在、事故情報データバンクの位置づけとしては、2つのことがあるのかなと思ってございます。1つは消費者安全法に基づきまして、重大事故、消費者事故の通知ということが関係行政機関に義務付けられてございますけれども、その通知の手段といたしまして、関係機関が電子的な方法によりまして、同一の情報を閲覧することができる状態に置く措置を通知とみなすということで、消費者安全法に基づく通知の手段ということで位置づけを与えてございます。
もう一つには、関連法案の附帯決議にもございましたことでありますが、消費者事故情報というのは国民の共有財産であると、十分な開示が行われることが重要であるということが指摘されてございますので、現在のインターネットの情報のアクセスの優れているというところを活用しまして、こうした要請に対応していきたいと考えているところでございます。
3ページ目に「参画機関」とございますけれども、情報を電子的な方法で閲覧することができる状況に置くことができる機関という意味におきます参画機関ということで、現在これらの機関に御協力をいただいているところでございます。
電子的な方法によることができない機関に関しましても、消費者安全法に基づく通知をいただいた情報に関しましては、消費者庁の方で自ら入力をするという形で、国民の方々が閲覧可能な形にしていきたいと考えているところでございます。
スケジュールに関しまして4ページ目、あと5ページ目で閲覧の現在開発中の画面イメージを掲載させていただいてございます。
このページから可能な機能ということで、6ページ目以降を御説明してございます。まず6~8ページ目にかけてでございますけれども、幸いにしまして参画機関の御協力をいただきまして、現在までに1万5,000件ほどの情報の登録が進んできてございます。非常に多くの情報の収集を進めつつあるところでありますが、逆に言いますと余りにも多い情報の中から注意してほしい情報というのを届けるということも必要かと考えてございまして、マル1のところでは近時の特に注目されるような情報に関して1クリックで閲覧が可能な機能を搭載したいと考えてございます。現時点では被害の重大性、多発性、子ども、高齢者など生活弱者に多発しているかどうか、あるいは季節性であって拡大可能性があるといった観点から抽出したい事故情報を注目情報として簡単に閲覧できる機能を搭載したいと考えてございます。
またマル2、隣の注目事故情報リスクという方は、1つの事故情報だけではなくて、関連する事故情報のリストが取り出せる。20~30件程度のリストの取出しができるという機能をマル2のところでは搭載をしたいと考えております。
マル3のところで事故情報を閲覧するという機能で、フリーワードでの検索という機能を搭載してございます。これはもともと構想段階では現在のPIO-NETを参考にいたしまして、できるだけ具体的な項目を入力した上で事故情報に到達できるような検索機能を想定してございましたが、使い勝手のよさを重視すべきであるという御意見をさまざまな方からちょうだいしてきてございまして、フリーワードでかつ複数のフリーワードを自由に入れていただくことで検索、絞込みが可能な機能を搭載しようということで今開発を、少し予算を上乗せいたしまして対応してきているところでございます。
マル4のところでは参画機関等から事故情報そのものではありませんけれども、その後の調査状況でありますとか、事故情報に関連するような参考情報をアクセスできるような情報の登録をしていただくことを働きかけしているところであります。
マル5の閲覧画面の右の上の方では、検索ワードランキングという形で、左の方では行政の側、消費者庁の側からこの事故情報を注目していただいてはどうかということで挙げてございますけれども、逆に利用者の側がどういう情報に注目しているかということを検索機能とリンクをいたしまして、特に利用者の方から注目されている情報が表示されるようにという機能を搭載しようとしているところであります。
あと右側の下の方、マル6というところで事故情報データバンクに対する書き込みの機能を入れてございます。御意見、御要望を自由にお書きいただくとともに、本システムに情報入力機能を搭載した場合に、御自身が危険や事故に遭われたとして情報を入力していただくことができるかどうかという考え方をお伺いするとともに、もし差し支えないという場合には具体的な事故情報や危険情報などについて書き込んでいただくことを促すことを表示したいと思ってございます。
それ以外にも本システムの改善すべき点について御意見をちょうだいたしまして、それらを集約しながら、運用を開始した後も改善を続けていくよう考えていきたいと思ってございます。
御説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問のおありの方はどうぞお出しください。
中村委員長代理、どうぞ。

○中村委員長代理 中村ですが、こういう制度ができたことというのは国民にどうやって知らせるかというところをお聞きしたいのですが、消費者庁のホームページにこっそり載せても多分だれも注目しないと思うのです。どうやって宣伝されるおつもりなのか、そこを聞きたいのが1つです。
当初の御予定ですと、たしか昨年の秋にはスタートすると言っておられたのがなぜこんな4月までずれ込んだのか。これは私ども法律家からすると、契約違反ではないかと、履行遅滞も甚だしいのではないかなという気がします。そういうことに対してこの仕事を落札した業者から何かペナルティーを取らなければいけないような事態が本当はあるのではないかと思うのですが、なぜこういうことになっているのか、その辺も説明していただきたいと思います。

○松本委員長 それでは、消費者庁からお願いします。

○野村消費者安全課長 まず、広報に関しましては、消費者庁としてプレスに対してこういう機能をということをマスメディアの御協力をいただいてというところを1つはしっかりやりたいと思っています。それ以上にプラスαどういう広報があり得るかということは今後検討したいと思います。
消費者庁の発足に併せて、昨年の秋時点でスタートするということが期待をされていたのだろうと思いますが、開発、意外にデータ同士の接合することの難しさというところがありましたものですから、半年の遅れに関してはお詫び申し上げたいと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 事故情報データバンクについては、国民生活局の国生審の時代からずっと検討してきました。私も気になっていたのは、どうやって消費者に知らせるかということです。消費者庁からメディアに伝え、それ以外は今後検討とのこと。非常に重要なことだということで長い間検討してきましたが、ここまで遅れてしまい、本当に4月にスタートできるのか心配しています。重要な広報の方法をまだ考えていないというのは、一体この事故情報データバンクの重要さというのはどの程度お考えになっているのか。消費者庁としてどうお考えなのかお聞かせください。

○野村消費者安全課長 関係機関がばらばらに持っております情報を一元化して、それが非常に簡単な形で国民からアクセスできる環境を整えるという消費者庁構想がある以前からあった構想でありまして、画期的な構想であったということでここまでいろんなその後の環境の変化はありましたけれども、これは是非実現すべきということで関係者の方々の御協力や御理解の中でここまでたどりついたと思ってございます。大事にしていかないといけないシステムだと思っております。
せっかく稼働してみたのだけれども、こんなものは全然使えないということでアクセスする方もない、参画機関もだんだん減ってしまうというようなことのないように、しっかりとした少しずつでもいいものにして、より多くの方に使っていただけるようなシステムづくりをやっていくということが責務かと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 先日、委員間協議の場でも申し上げましたが、例えば8ページの事故情報の例を見ますと、およそわかりにくい表現なんです。やはり中学生あるいは通常こういうものに接していない主婦がぱっと見てぱっとわかる表現していただかないと役にたたぬと思うんです。ですから、多少変わって説明があるかなと思ったんですが全く説明がないんですが、要するに写真のエアコンのスイッチを入れたら変な音がしたため、スイッチを切ってその後もう1回スイッチを入れたらまた変な音がした、室外機から煙が出た。なぜそういうふうに中学生がぱっと見てぱっとわかるような表現にされないのかなと不思議でしようがないです。よほど消費者庁が発注している業者ができが悪いのかなと。業者を変えたらどうかとも思いますけれども、今更できないならばそこら辺は是非工夫をお願いしたいと思います。

○野村消費者安全課長 数日のうちにというところは難しいところがありまして申し訳ございませんが、御指摘として承り、また引き続き検討させていただければと思います。

○松本委員長 中村委員長代理、どうぞ。

○中村委員長代理 昨日、消費者安全の専門調査会があって、この事故情報データバンクのことも話題になって、そのとき委員から出された意見で2つだけアイデアを提供したいと思うのですが、1つは事故情報、こんな製品でこんな事故があったと、例えば家電製品が燃えたならば、燃えた写真を同時に掲載することで非常にわかりやすくなる。そうでないと文字情報だけでは皆さんなかなかイメージがわかないと。うちにある扇風機がこんなふうに燃えてしまうのか、という映像が1枚あれば伝わるということを指摘された委員がいました。
それと3ページに参画機関で大きなところが落ちていますね、という指摘を受けました。文部科学省です。学校事故については文部科学省が全部というか九十数%と言っていましたけれども、把握しています。そこをデータバンクに取り込んでいくということで、是非文部科学省をこの参画機関に呼び込むように努力していただきたいと思います。
以上です。

○松本委員長 いろいろ御要望が出されたと思います。
事故情報データバンクはあくまでインターネット上の情報提供という前提なので、それを知ってほしい国民に一方的にこちらの方から発信元の方から届けるという機能はないんです。インターネットの情報ですから、意識をして探した人に対しては非常に有益なものが出てくる可能性が多いけれども、そういう意識を持たない人、インターネットなどは関係ないという人に対しては届かないというところがありますから、高齢者とか子どもに対して事故防止をこれでやれるというわけでは恐らくないんだろう。
データバンクがすべてではなくて、高齢者に対して近くで接する人が意識をして事故情報等を集められやすくするという補助的な機能としては有益だろうけれども、全国民に対して情報を届けるというものではないということは確認をしておきたいと思いますので、そのような限界がある中でいかに使いやすいようにしていくか。
例えば子ども向けの表現にすべてしてしまうと逆にまた冗漫なものにもなりかねないということもありますから、子ども用の製品事故などについては、子どものためのキッズページというのをつくってやるとか、子どもの安全について特にプロジェクトが動いているようですから、そういった人に応じた情報提供の仕方等も工夫していっていただければと思います。
いずれにしろ、早くスタートして、そして少しずつユーザーの皆さんの要望を入れて手直しをしていっていただきたいと思います。

≪6.閉 会≫

○松本委員長 それでは、本日、約15分間予定の時間をオーバーしてしまいましたが、これで本日の議事はすべて終了いたしました。なお、本日、12時45分ごろに消費者庁の大臣室に福島大臣をお訪ねいたしまして、先ほどの消費者基本計画についての委員会における議論を報告させていただく予定にしております。
また、本日17時ごろをめどにいたしまして、消費者庁の記者会見室におきまして記者会見を行う予定にしております。主たる内容といたしましては、消費者基本計画についての議論の話と、消費者委員会、ほぼ200日経ちました。3か月弱経ちましたので、その消費者委員会の今までを振り返って、記者の皆様と意見交換をしたいと考えております。
どうぞ。

○中村委員長代理 今の関係でちょうど昨日、一昨日と消費者委員会の下部組織、食品表示の部会と消費者安全の専門調査会の第1回がそれぞれ開かれました。両方とも私は参加してみまして、委員の皆さんの期待が非常に大きいことをひしひしと感じました。それだけに、話題、課題が広がり過ぎている感じがします。
そのためだと思うのですが、次回以降どういう方向で持つか、いつごろ持つかということが両方ともの下部組織で全く示されておりませんので、この辺は今後消費者委員会としてきちっと整理していかなければいけない課題だなということを感じましたので、一言申し上げます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、事務局より次回日程等についての御案内をお願いします。

○原事務局長 長時間ありがとうございました。次回は3月31日水曜日の16時からを予定しております。集団的被害救済制度について消費者庁で検討を進められておりますので、そちらの報告を中心にまたほかも加えていきたいと思っております。
今日は以上、どうもありがとうございました。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところをお集まりいただきまして、長時間御審議いただき、ありがとうございました。

(以上)