第17回 消費者委員会 議事録

日時

2010年3月9日(火)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、
田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 唯根消費者相談室長、玉本最高顧問
日本証券業協会 松川常務執行役
(独)国民生活センター 古畑理事、上原参事役、紛争解決委員会事務局(枝窪主事)

【事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

  1. 開会
  2. ADR(裁判外紛争解決手続)について
    ○社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
    (説明者:唯根常任理事 他)
    ○日本証券業協会
    (説明者:松川常務執行役)
    ○独立行政法人国民生活センター
    (説明者:古畑理事 他)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)


≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間になりましたので始めたいと思います。本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。
ただいまから消費者委員会第17回の会合を開催いたしたいと思います。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.ADR(裁判外紛争解決手続)について≫

○松本委員長 おはようございます。それでは、議題に入りたいと思います。
本日は、当初、消費者基本計画の素案に関する議論を主として取り上げるという予定でございましたが、それを若干変更いたしまして、裁判外紛争解決手続、いわゆる英語でADRと言われている制度の実施状況につきまして取り上げたいと思います。
この点につきまして事務局より御説明をお願いいたします。

○原事務局長 事務局からの説明をさせていただきます。今、松本委員長からございましたように、本日は、当初、消費者基本計画の素案についての検討を取り上げる予定で、前回の委員会が終わったときも、次回はそのテーマで取り上げるというふうにお願い申し上げていたところなんですが、しかし、消費者基本計画につきましては、現在、消費者庁において関係省庁と調整をしている最中というところでもあります。
それから、政務三役におかれましても、大変精力的に取り組んでおられるという状況ということで、現段階で、中間の状況というのがなかなか具体的にはまだお話申し上げる段階にはないということで、今回の会議では取り上げず、次回に繰り越しをさせていただくことといたしました。
併せて、本日の会議では、国民生活センターで裁判外の紛争解決手続、いわゆるADRをスタートしてちょうど1年を経過したということでございましたので、その実施状況を報告していただこうということを予定しておりましたので、ヒアリング自体は是非今日の場でお願いしたいということ。
併せて、その範囲を広げて、本日は、ADRの内容とか仕組みについての議論を消費者紛争解決の立場からどう考えたらいいか、ということの議論をできたらというふうに考えました。
ADRは、私自身も、今この法務省で認証制度が始まっておりますけれども、この認証制度の立ち上げに関わったメンバーでありますが、消費者と事業者の間に起こったトラブルを解決する手段、消費者型のADRというとそういうことになりますが、さまざまなところでADRは利用されておりますけれども、裁判と違い費用や時間というものがかからない。利用しやすく柔軟に解決を図ることができる制度として、さまざまな主体により行われているところです。
平成19年には、法務省により民間ADRの業務の認証制度も発足をしたというところになります。
本日は、そのような手続を実施する主体として、たしか法務省の認証ADRの10番目だったと思いますけれども、民間の、Consumer ADRとして、日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会から御報告をいただき、それから、日本証券業協会、金融ADRの充実ということも、本年度、大変急ピッチで進められておりまして、中でも日本証券業協会はさまざまな工夫をされているところでもございますので、事業者が行われているADRとして日本証券業協会にお願いをし、そして国民生活センターの当初予定しておりました、国民生活センターの取組みについての御報告をお願いしたいと思っております。
それぞれの実施状況について御説明をいただいて上で、後段、消費者の紛争解決の方策に関する議論を皆様方で行っていただければというふうに考えております。
大変前置きが長くなりましたけれども、突然ADRのことを取り上げるということになった経緯について御説明をさせていただきました。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 どうもありがとうございました。以上のようないきさつで本日はADRの特集ということになりまして、3つの異なったタイプでどういう状況なのかということについて、我々も含めて勉強させていただきたいと思います。

○社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会

○松本委員長 まず、最初に、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会から、常任理事で消費者相談室長の唯根妙子様より、御説明をお願いいたします。

○唯根事業者相談室長 御紹介いただきました日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、長い名前なものですからNACSと呼んでいただいております。相談室長の唯根妙子でございます。
今日は、こういう機会を設けていただきましてありがとうございます。早速、報告させていただきます。済みません、座らせていただきます。
お手元の資料で御紹介をさせていただきたいと思います。いただいたお時間が15分ということですので、今日は2つほど事例を持ってまいりまして、私ども民間の消費者団体が少しはお役に立っているのではないかというところを御紹介させていただこうと思います。
まず、私どものNACSについて簡単に御説明させていただきますと、昭和63年、経済産業省の許可を得て設立いたしました社団法人で、今年22年目を迎えますが、公益法人の認定を受ける予定で作業中でございます。
現在、会員は、消費生活アドバイザーと消費生活コンサルタントの有資格者約3,800名が全国7支部で活躍いたしております。また、賛助会員も130ほどの団体、事業者の方に参加をいただいております。消費者問題の専門家集団というふうに呼ばせていただいております。
レジュメ(PDF形式:81KB)の2枚目に私どものConsumer ADR、消費者取引裁判外紛争解決手続ということで、やはり難しい名称、消費者の方にできるだけわかりやすくということで、Consumer ADRと名づけまして、私どもはやらせていただいております。
こちらですが、私どもの相談室が出来る前の設立当時、イベントとして電話相談で、何でも110番というものを開催いたしておりました。この延長線で、やはりクーリングオフや何かもわからない消費者の方々もたくさんいらっしゃるという時代に当時は、土曜、日曜は行政機関の相談窓口がないということで、アドバイザーとコンサルタントの有志の者が、ボランティアで週末相談をやろうということで始まったのが消費者相談室で、平成3年に設立いたしまして、現在まで活動を続けてまいりました。
そういった活動について、平成16年にADR法が成立するのではないかということで、経済産業省の方から、民間のADR機関として、消費者団体として取り組んでみてはどうかという助言をいただきまして、平成15年から19年まで、実証実験という形で、相談室を中心にADRについて取り組んでまいりました。
私どものConsumer ADRの特徴は、消費者の方から直に御相談を受け付けまして、相談室でまず、斡旋・介入で解決を諮りますがその中で勧誘方法や取引の状況、それから法律等に絡めて問題性があるのではないかというものについては精査しまして、ADRをやってみないかと相談者や事業者などの当事者の方々に参加を求めまして、開催していくという一連の流れにあると思います。
現在、東京と大阪で土曜、日曜、1日5時間程度の相談時間ではございますが、ボランティアの相談員50余名で年間4,000件程度の相談を受け付けております。
この中から、ADRまで行きますのは、1年間に3件から5件という状況でございます。
余りデータでお話しするよりは、事例の御紹介をさせていただく時間を持ちたいと思いまして、レジュメの最後のページに具体的な裁定手続事案ということで2つ御用意させていただきました。資料ですが、手続の中で抜粋した書類ですが、参考資料A、Bというもので、実際の実例について御紹介させていただきまして、最後に、私どもが今抱えている課題、それから消費者委員会等へ要請させていただきたいことを述べさせていただきます。
この5年間というか、実証実験が平成19年まで、そして平成20年の3月に法務大臣認証、先ほど原事務局長より御紹介いただきましたように、法務大臣から10番目の認証団体として、また消費者団体としては初めて、このConsumer ADRの資格をいただきまして、運営をさせていただいて2年目を迎えております。
そういった意味で、認証後の最初の年度が昨年の平成20年度になります。毎年報告書を作成させていただいておりまして、この中で御紹介をしている20年度第3回に行った事例が、能力開発プログラムという、簡単に言いますと自己啓発の速聴機と教材、こちらのセットの契約の解約についての紛争です。
こちらの事業者につきましては、私どもの相談室を始め、全国の消費者センターで、長年同じような被害というか、御相談をたくさん扱ってまいりましたけれども、なかなかこちらの事業者はセンター斡旋でも解約に応じない、まして返金に応じた事例というのが、私が知る限り見つからなかった案件なのですけれども、被害者の方は、24歳になって就職間もなくこちらの勧誘に遭いまして、この速聴機を毎日10分から15分利用して、能力開発プログラムを聴くことで脳が活性化して昇進ができて、フェラーリのような高級外車でも買えるくらい収入も上がるという言葉を信じて購入し、これもまた珍しいのですが、3年間毎日本当に聴き続けられていた方だったのです。
ところが、この不況ということもありまして、月々3万5,000円程度の支払いだったのですが、ほとんどこの3年間のボーナスをつぎ込んで、返済を続けてきて1回も遅れていません。
そんな中で、何も効果がない、まして、この不況でボーナスはカットで支払いも難しくなったということで、契約から3年経っての御相談でございました。
こういった場合、ほとんど事業者は、クレジットを利用しておりますからクレジット会社も、「既に商品も、サービスも利用している」ということでなかなか解約に応じていただけない、その当時の勧誘状況をつかむこともなかなか難しいというのが、私ども斡旋をやっている中で、常々解約交渉の難しさを感じているケースなのです。これをADRで当事者の方々に同席していただく。要は、事業者も来て、相談者も来て、クレジット会社も同席するというADRをやることで、その勧誘の実態が、そして、消費者の方、この相談者の真面目さが、第三者である、私どもの裁定手続実施者に理解されたということで、200万円ほど既払金があったのですが、こちらの中から、最終結果としては20万円という金額にはなりましたけれども、返金に応じるという合意が得られた案件です。
さらにこの事案を知ったときには、まだ、今回の特定商取引法、割賦販売法の改正前ということで、クレジット事業者の責任についてまでなかなか問えなかったのですが、この相談者が3通、最初に申し込みをしたクレジットの契約書を持ってまいりました。大手クレジット会社3社が、同じ商品の金額も320万円以上になるのですけれども、同じ支払い期間、同じ商品名、すべて契約書に印刷をしてあるもの、要は契約者がサインをすればいいだけという定型の契約書を用いていたということも、私どもクレジット業界の方には問題視すると申し入れしました。
次に、事例B、こちらは、呉服店の次々販売の解約に関するものです。これは平成18年度の実証実験中の事案になりますので、そのころ割賦販売法の改正前で、高齢者だけでなく全国的にクレジットを利用した次々販売、与信、というんでしょうか、クレジットの審査の問題点についても、私ども事例で、改正が必要ではないかということを行政や業界に申し入れする材料になったものでもございます。30代の若いお母さんが、1歳と3歳のお嬢さんたちの、将来の喪服、大人になったときにつくるべき喪服の契約を結ばせている事例です。たった2週間強の期間に4つの契約、それで170万円以上の金額になるものを勧めていった事業者なのですが、なかなかこちらの事業者につきましても、店舗を構えて、訪問販売等ではないということ。それから、やはり相談者が何度も店に行っているということで、次々販売を認めず、なかなか斡旋交渉が難しい案件でした。
こちらの、事業者、相談者とも遠路で、私ども東京でしかADRが開催できないという非常に狭い条件を持っているために開催は無理ではないかと思われましたけれども、こちらについてはクレジット会社の方の協力も得まして、当事者が集まる形で開催することができました。
そして、こちらについては、最初のお買い物をした呉服は買取り、その後、1歳、3歳の娘さん用の呉服である、喪服のセットについては全面解約ということで合意できた案件です。
この事業者につきましては、私ども相談室を運営しているのが現役の相談員になりますので、各地のセンターの情報などを共有しているところもあり集めた情報では、地元の経済産業局などにこういう次々販売の問題点で、事業者指導をしてほしいと長年申し入れをしていたけれども、口頭注意どまりで動いていただけなかったそうです。ところがこの案件が、私どもの合意の後、事業者側も、クレジット会社もやはり次々販売の実態をきちんと把握していなければいけないということも理解していただいた上で、勧誘、販売方法の改善ですとか、中途解約等についての協力、私どもの和解条件を事例の資料に付けさせていただきましたけれども、苦情対応の考え方について御理解をいただけて、改善されたと報告をいただきました。
このような取組みを、私ども、7年間やっている中で、少しずつ成果が出ているのではないかと思います。
レジュメの前に戻らさせていただきまして、私どもの取組みについてここからは問題提起というか、あと5分しかないのでざっと申し上げて、資料の3に付けさせていただきました私どものADRを実施する中で、問題点が幾つか出ているものを7つ挙げさせていただいております。民間の消費者団体ということで、やはり数字の上でどうしても年間数件やるのが限界です。それはADRという手続についてなかなか消費者にはまだ認知されていないということも影響しておりますが、最近は斡旋中に、公正な判断をするADRですよと、認証をいただいて以降、事業者の方に提案しますと、意外とADRを開催する前に和解に応じる案件が増えてきているという状況もあります。
それから、実務面では、一旦は参加しますという事業者の回答があって開催の準備をした中で、ドタキャンをされるというんでしょうか、今年4件のうち1件につきましては、そういうような状況で開催ができなかったというようなときに私どもADRには何ら強制力がないということでの問題点も出てきております。
それから、運営上では、私どもADR、電話相談から斡旋までは、当然無料で私ども会員のボランティアで開催させていただいておりますが、ADRに移行するときに、5,000円の手数料を御相談者からいただいております。
ただし、5,000円のみということで、ADRに関するすべて、開催の場所、人材、手続実施者の方へのお願いと費用、時間的にやはり準備時間、それから認証をいただいてからの書類等の膨大な作成というような手間や手続、報告の必要がございまして、こういったものを含めまして多くの不安要因がつきまといながらの運営を続けております。
あと、もう一点、これから国民生活センターの取組みについて御紹介をいただくということなのですが、私ども民間の消費者団体としてやっている限りでは、なかなか情報が集まりにくいこと。どういった事業者の問題、同じような案件がたくさんあるのではないかと思われても、そのデータが取れないという中でADRを開催していくため、条件提示や問題点の指摘に関しましてなかなか不利な部分があるなと感じております。
一番最後に支援要請をさせていただきたいと思います。
私ども、ADRは、司法改革制度の大いなる期待を担ってやっております。現況、いろいろな事業の多い中で、消費者のための消費者によるADRということでやらせていただいております。その成果も、今、御紹介したように少しずつ出てきていると自負いたしております。
ただ、前にも申し上げましたとおり、NACSにおける経済的な出費は年間600万円に達しております。これもすべて会員の会費、そして実行については、会員のボランティア精神に頼っているのが現実でございます。消費者庁関連3法の国会審議における衆参の附帯決議においては、消費者団体に対する支援を明記しております。官でできない民の暮らしの安心・安全のインフラ整備こそ重要課題と認識いたしております。今後、御支援を要請する次第でございます。
御清聴ありがとうございました。

○松本委員長 ありがとうございました。

○日本証券業協会

○松本委員長 質疑等につきましては、後ほどまとめてやらせていただくということにいたしまして、続きまして日本証券業協会から松川忠晴常務執行役より御説明をお願いいたします。

○松川常務執行役 御紹介いただきました、日本証券業協会の常務執行役の松川と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、日本証券業協会におけますADRの取組みということで御説明させていただきますが、実は、本年の2月からのことでございますが、私どもの日証協と他の4つの自主規制団体がございますが、そこと連携協力をいたしまして、新たにNPO法人として証券・金融商品あっせん相談センター、長いものですから、これを略称FINMACと称しておりますけれども、これを設立いたしまして、ここに業務委託する方式により、いわゆる金融商品取引のADR業務の一元化をやるということをやらさせていただいております。
したがいまして、本日の御説明は前半部分で、これまでの日証協におけますADR業務への取組みを簡単に御紹介させていただくとともに、新たなADR機関をつくるに至った経緯、その仕組みについて御説明をさせていただきます。
そして、後半部分は、実績としてADRの実績の状況について、主として日証協における実績について御説明させていただきたいと思います。
資料の2(PDF形式:110KB)PDFを別ウィンドウで開きますに沿ってご説明させていただきます。
まず1ページ目でこれまでの沿革でございますが、私どもは昭和48年に全国の協会になりましたけれども、このときと同時に苦情相談室を設置させていただきまして、平成4年にはあっせん業務を開始させていただいております。
そういうことでございますが、その後、苦情相談業務あるいはあっせん制度につきまして、それぞれ後ほど証券取引法上の業務として位置づけられまして、更には平成19年に金融商品取引法が施行された際には、ADRによる投資者保護の枠組みを更に横断的なものにするという観点から、認定投資者保護団体制度などの制度が創設されまして、他の業態にも同じような仕組みが整備されるような形になってまいったわけでございます。
その後も、平成20年の1月の際には金商法の精神を受けまして、電話による相談窓口を各団体でばらばらでやるのはどうかということで、5団体の共通の相談窓口を設置させていただきました。フリーダイヤルでございます。
それから、平成20年の6月には、ADR促進法というのは先ほど御紹介があったとおりですけれども、このADR促進法に基づく認証を取得いたしました。民間団体、そして15番目ということでございます。
それから、同時にこの時期に併せまして、利便性を確保するという観点からあっせんの開催場所を50か所に拡大させていただいております。電話の窓口は東京と大阪で受け付けておりますが、実際にあっせんをするとなると弁護士の先生の立会いを持ってするあっせんの開催場所を決めないといけませんが、これまでは9か所でやっておりましたけれども50か所に拡大したということでございます。
更に翌年の4月には、更に電話相談だけではなくて、あっせん業務そのものを一元化できないかということと、同時に、5団体の業務ではカバーされていない部分も広げられないかということで、新たにNPO法人を、設立するということを当協会の方針として決定させていただきました。
同時期に他の団体にも要請をしておりまして、昨年の8月にNPO法人の法人格を取得いたしまして、今年の1月に、新たな証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACがADR促進法の認証を改めて取得いたしまして、更に、金融庁の方から認定投資者保護団体としての認定を取得いたしております。
そして、先ほど申しました、2月より一元化の業務を開始しているという状況でございます。
それでは、新しいFINMACの運営の仕組みを申し上げます。FINMACと申し上げておりますが、ちょっと資料が書いていなくて恐縮ですが、FINMACというのは、Financial Instruments Mediation Assistance Centerという英文名称の略を用いております。この辺は、ホームページで紹介をさせていただいております。
それから、法人の概要は、5つの協会の連携協力を下に、昨年8月に設立されたと、先ほど申し上げたとおり、関係団体は記載の5つの5団体で、いずれも金融商品取引法上の自主規制団体でございます。
事業の概要は、5団体の会員が行っている取引の紛争の解決を一手にやるということと、第二種金融商品取引業、後ほど説明させていただきますが、これについても窓口を広げようということでございます。
そのほかにも、紛争の未然防止の観点から、これら5団体との連携を図るとともに、相談苦情あっせん状況や、あっせん解決事例の公表等を予定しております。
これは、いずれも日本証券業協会でそういうことをやってきておりますから、そういうことをFINMACでも引き続きやりたいということでございます。
次に、このFINMACで扱う紛争の範囲及び費用でございます。対象範囲には、下記の事業者と、顧客との間に生じた金融商品取引に関する紛争ということで二通りございます。
1つは業務委託をしている5団体の会員である事業者。それから、特定事業者といって、第二種金融商品取引業者の関連でございます。個別に利用登録をした事業者ということで、第二種金融商品取引業というのは、非常に多岐にわたっておりますが、典型的なのは、いわゆる各種ファンド取引、集団投資スキーム等といっておりますけれども、それによるファンド商品の募集の取扱いをしている業者などが一般の投資家では関係がございます。
そのほかにも、その下にもありますけれども、FX取引で、市場で取引されている、金融商品取引所で取引されているFXなんかも、この第二種に当たります。
それから、従来から一部ございますが、投資信託の委託会社が直接の募集の取扱いをやっている場合も、この第二種のジャンルになります。
更には不動産信託受益権の販売というのもこの第二種のジャンルになります。いろいろ多岐にわたっているものでございますので、FINMACとしてはとりあえず最初のスタートは個別の利用登録という形でスタートさせていただいております。
具体的な取引の範囲は、下記のとおりです。
費用につきましては、相談、苦情は無料ということで、あっせんは請求額に応じて、2,000万円から5万円ということでございます。かなり多岐にわたっておりますが、例えば請求額500万円超800万円の場合は1万1,000円ぐらいということでございますので、比較的利用しやすい申立金であろうかと思います。
次のページで実施体制でございますが、業務の拠点が東京と大阪におきまして、全体で23名の体制でやっております。
相談・苦情はフリーダイヤルで受け付けております。
紛争解決のあっせんは、弁護士であるあっせん委員の先生、合計36名、これは東京、大阪のみならず、全国の9か所の場所で地区ごとにあっせん委員の選任をさせていただいております。
それぞれの事案を1人のあっせん委員がやるということで、当事者双方の言い分を聞きながら紛争解決をしているということでございます。
そして、担当のあっせん委員の指定に際しましては、特別利害関係にあるものを除外する等公正中立性確保のための仕組みを整備しているということで、ADR促進法の認証の条件も満たすように整理させていただいているということでございます。
そのほか、業務全体についての重要事項を審議する機関として運営審議委員会というものを設けまして、有識者、自主規制団体の関係者、事業者関係者で構成して、審議をさせて、それを日頃の運営に役立てるようにさせていただいているところでございます。
それから、紛争処理の特色でございます。FINMACでの紛争処理の特色は、日証協での経験を継承しておりますので、次のような特色を有しているかと言えます。
1つは、いわゆる自主規制団体との連携により実施しているということでございますので、いろいろ情報交換等をすることによって、紛争の未然防止に役立てるということ。それから、自主規制団体との連携ということで、専門性をより発揮しやすいという特徴がございます。
あっせんは公正中立の立場の弁護士であるあっせん員が実施するということでございます。
もう一つの特徴は、これはほかのいろいろな消費者団体さんがやっているのとは少し違うと思いますが、事業者に片務的義務がかかっているということでございます。
これはいろいろこれまでの沿革で申し上げましたように、証券取引法上の制度として位置づけられ、更にそれが金商法ということに変わりましたけれども、そこの法律上も、協力義務というのがうたわれております。
更に、日本証券業協会の自主規制規則では、更にそれをもう少し詳細に規定する形で協力義務というのを書かさせていただいております。
そういったことをこのFINMACでは踏襲しまして、紛争解決ルールで細かく書いているということでございますので、ここにあるような義務がかかっていることで、実効性が確保できるようになっております。
4番目は低廉かつ迅速な解決ということで、費用負担は、先ほど申し上げました。迅速な解決は、これは事案によるのでなかなか難しいところでございますが、努力目標といたしましては一応標準処理期間は4か月ということにいたしまして、努力をさせていただいているところでございます。
それから認証を受けている。
6番目は、相談・苦情、あっせんを一体的に運営ということで、いきなりADRのところから入るのではなくて、まず、相談から受け付けて、そして苦情解決という段階でも、あっせんに至らない段階でも、苦情を事業者に取り次ぎまして、その段階での解決を促すという役割を相談員がやっている。それでもどうしても苦情の解決がならない場合には、あっせん制度の利用を紹介いたしまして、そこで意思を確認してあっせんに移行するということで、一体的に運営をしているということが1つの特色でございます。
それから、あっせんの開催は全国50か所ということで実施をさせていただいております。
これは、具体的には都道府県庁の所在地に場所を、ホテルの会議室等なんかを借りる形で、そこに弁護士の先生、それから相談員が、それから事業者の方と、そしてお客の方は、最寄りのところ県庁所在地の場所に行くという形で運営させていただいております。
それから、長年の実績を継承しているということで、たまたま市場環境もありまして、平成20年度はあっせん申立件数は278件、平成21年度も1月末現在で170件ということでございます。
続きまして、後半では、ざっと実績等の紹介をさせていただきます。相談等の実績、相談の受付、苦情の受付、あっせんの新規申立等の状況でございます。
平成20年度は、リーマンショック以降の市場環境の変化等を受けまして、それぞれ急増いたしました。
あっせんにつきましては、終結したもののうち、半分程度が和解に至っているということでございます。
それから、最近の動きということで、8ページでございますが、1営業日当たりの件数ということでグラフにしておりますが、昨年度後半が急増しているというのがこれでわかると思います。青い折れ線のグラフでございますけれども、その後はやや落ち着いているということでございます。
9ページでございますが、相談等のお客さんの地区別の割合ということで、これはフリーダイヤルでございますので、かかってきた電話番号で推定しているものでございますが、ここで見ますと、網かけしておりますように、相談、苦情、あっせんの申立て等も、やや事業者が東京地区に集中していたのが、それが全国の方に広がりが見られるということでございます。
これは一つには、いわゆる金融商品取引の中で投資信託の取引が、銀行等の登録機関で取り扱うウェートが高まっていることなんかも影響しているかと思いますが、実は、相談、苦情のところで見ますと、10%ポイント、十数%ポイント、東京地区のウェートが下がっておりますけれども、あっせんの申立てはそれ以上に下がっていっておりまして、あっせんの申立てのほかの地区の割合が高まっているということは、これは現実にも、先ほど申し上げました50か所であっせんの開催ができるということで、少し地方での人があっせんの申立てをしやすくなっているということも影響しているかと思います。
10ページでございますが、相談の内容でございます。平成20年度、それから今年度の12月までの数字を書いてあります。圧倒的に多いのは取引の制度等の説明、紹介を求めるものが多いわけでありますけれども、実は、関係団体も悩ませておられると思いますけれども、未公開株式の相談が再び増加しているということがございます。そういうような状況にございます。
11ページは苦情受付の内容でございますが、類型別には、勧誘に関する苦情、売買取引に関する苦情が多いということでございます。
それから、商品別に見ますと、投信に関する苦情のウェートが高まって、株式に関する苦情を上回るようにはなってきているというのは、特徴かと言えます。
12ページでございますが、あっせんの申立ての内容でございます。勧誘に関する紛争は7割程度と大宗を占めておりまして、続いて売買取引に関するものとなっております。
勧誘に関する紛争というのは何といいましても、勧誘の際に、説明が不十分であった。更には、やや適合性に問題があるのではないかということで申立がある。
売買取引の場合は、売買を執行する注文を間違えて処理したとか、無断売買をされたとか、そういったたぐいのものでございます。
それから、事務処理のミスなどがあったというようなものでございます。
勧誘に関するウェートは、徐々に高まっておりますが、特に金商法の施行されました19年度に急に増えているというのが特徴でございます。
13ページは紛争解決事例の公表ということを御紹介させていただいております。日証協では、紛争解決事例をホームページにおいて公表させていただいております。FINMACは、これから実績が発生するということで同様の対応を予定しております。
項目は紛争層の区分、紛争の内容、性別年齢で、紛争の概要として申立人と被申立人、申し立てられた側の主張の要点を記載するとともに、紛争解決の状況として、一定の金額を申立人に支払うことで、和解が成立したということを記載させていただいておりますので、ADRを利用する際の参考にしていただいていると同時に、ひいては、紛争の未然防止という観点からも役立てていただければと思っている次第でございます。
なお、最後に、このFINMACの関係がございますので、ほかの4団体も合わせて、5協会での取扱実績を並べたものが、14ページでございます。
平成20年度が全体で9,000件の相談、1,300件の苦情、297件のあっせんということでございますが、あっせんのところにつきましては、現状では日証協関係、金先協の関係、それから、証券投資顧問業の関係、これは投資助言業務の関係が中心ですけれども、その辺のところが目立っているという状況になっております。
最後に、こうした紛争解決だけでなくて、注意喚起もすることが大事だということで、特に未公開株の問題が出ておりますので、日証協のホームページで未公開株への注意喚起は累次やっておりますけれども、その一部を15ページ、16ページに、紹介させていただいております。
本年の1月には昨年の秋に、金融庁のみならず、消費者庁の方にも参加をいただきまして、連絡協議会を設置させていただきまして、そこでの結論を1月にとりまとめて順次対策に、1つの機関として大いに参加させていただこうということでやっているわけでございます。
16ページは、過去の注意喚起に、こんなことがあるということを示したものでございます。
当面の課題でありますけれども、今のところは、5団体の業務にあっせんの業務を拡大しましたので、まずは業務拡大した分をしっかりと、着実に対応して、投資家の紛争解決事務を着実にやっていくということと、それから、第二種金融商品取引業者の関連は、個別利用登録ということになっておりますけれども、今、大手業者のところを中心に17社が対象になっておりますけれども、これをもっと広げていくということが課題になっております。
更には、本年の4月から、改正金商法という形で、より義務付けの程度が拡大された金融ADR制度というのが施行されますので、これへの対応を進めていくということが課題になっております。
差し当たりの御説明は以上でございます。よろしくお願いします。

○松本委員長 ありがとうございました。

○独立行政法人国民生活センター

○松本委員長 それでは、最後に国民生活センターから、古畑欣也理事より御説明をお願いいたします。

○古畑理事 ただいま御紹介に預かりました、国民生活センター理事の古畑です。
私は、本年1月より、センターに参りまして、総務、経理、企画調整、情報、ADR事務局を所掌しております。着席させていただきます。
本日は、当センターのADRにつき、御報告の機会をいただき大変ありがとうございます。
当センターは、PIO-NETという情報インフラを運用しておりまして、年間90万件程度の相談情報が入ってまいります。
近年、消費者トラブルの内容が一般的なことではございますけれども、多様化、複雑化しておりまして、消費者、事業所間には、情報力、交渉力に格段の差があるということ、また個々の被害額が少額であることが多いということで、これはいわゆる情報・資金力の非対称性という言葉で言われているかと思いますけれども、裁判外で迅速、廉価に紛争解決を図るADRは、有効な手法ではないかというふうにとらえて、行政型ADRの一環として事業を開始しております。
消費者紛争の適正・迅速な解決を促進するために、ということで一昨年5月、国民生活センター法、法律が改正され、当センターにADR制度が整備されまして、平成21年4月より運用を開始しております。11か月になります。
このADRを担う当センターの紛争解決委員会は、消費者のための後見的役割を果たしつつ、中立・公正な立場で手続を進めるということで、当センターといたしましては、この制度を円滑に立上げ、実施、定着させていくべく、現在努力しているところでございます。
これまでの申請件数は、2月末現在で97件でございまして、年間100件程度という当初のもくろみ、想定に沿って順調なスタートが切れたのではないかと思います。
本日、ADR事務局長代理の上原、それから枝窪が参っておりますので、こちらの資料3-1(PDF形式:152KB)PDFを別ウィンドウで開きますを使わせていただいて詳細を御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○上原参事役 それでは、恐縮ですけれども、資料3-1(PDF形式:152KB)PDFを別ウィンドウで開きますの国民生活センターADRの実施状況と結果概要についてごらんいただきたいと思います。
それに沿いまして、国民生活センターでやっております、ADRについて御説明申し上げたいと思います。
表紙をめくっていただきまして、次のページに国民生活センター法改正の背景ということなんですけれども、先ほどからいろいろ出ておりますADRなんですけれども、裁判外紛争解決手続ということで、法的なトラブルを裁判外で解決する手段ということで、調停とか仲裁といったものがございます。
この特徴なんですけれども、手続の状況や内容を公開せずにトラブルの解決を図ることができるということで、ここが裁判と大きく異なっている点かと思います。
それから、当事者の事情や意見なども考慮し、柔軟な解決を図ることができるということで、柔軟性も持っている解決方法だと理解しております。
それから、トラブルの種類や内容に応じて、簡易迅速に手続を進めることができるということなんですけれども、これは、施行規則で4か月以内での解決を目指すということが努力義務とされております。消費生活センターで相談を受けてあっせん処理が終了するまでが、大体2か月でございますので、それに対して、ADR手続は当事者への通知などより慎重な手続とする必要性があるため、倍の4か月で解決しようということでございます。
右のところのなぜこういうニーズが出てきたかという点なんですけれども、消費者トラブルの現状ということでございます。平成20年度のところで全国の約590か所の消費生活センターで受け付ける相談件数は、相談といいますかこれは苦情なんですけれども95万件、約100万件ございます。
そのうち、あっせんを行うものが、約6万5,000件ということです。これは各地のセンターによって差がございます。平均して大体5、6%ということでございます。
例えば、高齢者の方から御相談いただいたときには、御自分でというところはなかなか難しいのでセンターがあっせんに乗り出すというケースが多く見受けられます。
あとは情報提供とか助言ということで、消費者の方に回答させていただいているという状況でございます。
あっせんしたうち、あっせん不調になるものが約5,800件と書いてありますけれども、大体10%、1割があっせんをするんだけれども、あっせん不調になってしまうということでございます。
ここまでは苦情処理ですけれども、これによりあっせん不調になったものをこのまま放置しておいていいのかということで、紛争解決の必要性が出てきます。
2の国民生活センター紛争解決委員会によるADRの特色というところをごらんいただきたいんですけれども、そこの消費者トラブルが発生しまして、当事者間での話し合い。それから消費者生活センターにおける相談処理というところで、センターにおけるあっせんの限界というところをごらんいただきたいと思います。
なぜ、あっせん不調になるかということなんですけれども、交渉の入口における問題、つまり事業者の方で、何で消費生活センターが出てくるんだと。これは当事者間で解決するんだから、センターの介入を許さずという事業者も見られます。
それから、交渉過程での問題、あっせんに応じない。耳をかさないというような事業者もおるということでございます。
それから、合意した義務の履行面での問題、合意しても履行しない等々の問題もある。
一方において消費者が要求する内容も、少し社会常識から考えて、無理な面もあるのかなということではあっせん不調になるというケースも間々あります。ただ、消費生活センターでの処理に限界があるのではないかということで、ADRの必要性ということがうたわれたわけでございます。
右側の紛争解決委員会のADRの特色ですけれども、先ほども申しましたように、手続に柔軟性があるということでございます。
当事者の事情や意見、両当事者、申請人と相手方事業者の意見もよく聞いて手続を行っていくということ。
2番目でございますけれども、簡易・迅速な手続を進める、これは先ほど申しましたように4か月という目安、施行規則において4か月以内の解決を目指すという努力義務がございます。裁判所等でやっておられるあっせん等も大体2か月から3か月、4か月と聞いておりますので、その辺のところは、4か月というのも妥当性があるかなと思っております。
それから、紛争解決の専門性の確保というところなんですけれども、ここは中立・公正な手続が法に定められておるということで、それに基づいてやっているということでございます。
国民生活センター、消費者問題に関する知見と消費者からの認知度を備えているという考えも一方でもっております。
それから実効性の担保措置があるという面がございます。履行の勧告等なんかもございますし、結果の概要の公表等もやっております。それから、専門性も持っているというふうに理解しております。
委員の先生方、特別委員の先生方が紛争に当たるということで、具体的なお願いしている先生方の名簿を次の4ページ、5ページに紹介させていただいております。
委員長は、落合誠一先生にお願いしております。
そこで、委員の15名のメンバーのところをごらんいただきたいんでございますけれども、消費者団体御出身の方に委員をお願いしていることとか、消費者問題に詳しい弁護士の先生にもお願いしてございます。
例えばそこに、消費者関連専門家会議の顧問、蔵本先生の名前がございますけれども、ACAPの方とか、サントリービジネスエキスパート、つまり企業におられた方、その下の齋藤憲道先生、今、同志社大学の先生ですけれども、前はパナソニックにおられた先生でございます。それとか、丹野さんとかというのは、現職の相談員さんの方。
それから、大学の先生とか、裁判官御出身の方というような、つまり、有識者の方、それから企業御出身の方、消費者団体御出身の方ということで、つまり、先ほどいろんな立場の方、専門性ということだったんですけれども、偏らず、その構成についても中立・公正性、多様性に配慮し、様々の方々にお願いしているということが特色でございます。
特別委員、24名お願いしておりますけれども、これは消費生活相談員の方に主にお願いして、ここのメンバーに入っておりますけれども、例えば、秋田県で相談員をおやりなっている方とか、佐賀県で相談員をおやりになっている方とか、地方からの申請もございますので、そういったときに全国各地の相談員の方に、ここのメンバーに入っていただいて地方でも開催できるということも考えているということでございます。
こういった組織をつくりまして、実際に何をやっているかということなんですけれども、次のページを御覧いただきたいと思います。4に国民生活センターで行っておりますADRなんですけれども、法律によって重要消費者紛争を取り扱うというふうになっております。国民生活の安定及び向上を図る上で、その解決が全国的に重要である紛争を扱うということでございます。紛争の発生が一地域に限られている紛争や、その地域の住民生活に影響を及ぼす紛争等につきましては、各都道府県にございます苦情処理委員会とか消費者救済委員会というのが設置されておりますので、そちらで取り扱われるということでございます。
その中で、内閣府令で3類型に分けております。1号類型は、多数発生しているもの、同種の被害が相当多数・広域に及んでいるものということでございます。
これは、先ほど全国で年間100万件の苦情があると申しましたけれども、こういうデータベースを使って、同種の紛争、例えば電話勧誘販売による強引な販売とかが全国的にどのくらいあるかとか、そういったようなもので多数性・広域性を見ていくということをやっております。
第2が、危害の問題でございます。生命・身体または財産に重大な危害、具体的には死亡事故とか、1か月以上の治療を要するものとか、後遺症が残るものなどであります。
第3号類型といたしましては、争点が多数あって事件が複雑。例えば、最近ですと、決済代行会社の問題ですとか、インターネット関係のものですとか、そういう新しい商品、消費者がなかなか契約関係なども理解しにくいようなものを3号類型として取り上げるという形になっております。
ということで重要消費者紛争に限って国民生活センターが行うという形にしております。
その下の図なんですけれども、苦情処理と紛争解決というところで、左からごらんいただきたいと思いますが、消費者トラブルが発生して消費者から各地の消費生活センターに相談が参ります。そのときに地域的なものは、都道府県の苦情処理委員会の方で、ここは地方公共団体におけるADRという役割でございますので、そちらで解決していただくということでございますけれども、各地のセンター、それから国民生活センターの苦情処理で扱ったもので、重要消費者紛争、全国的にその解決が重要なものというものであれば、ADRの申請をしていただくという形でございます。
もう一つ、これはこの国民生活センターがやっているADRの特色なんですけれども、消費生活センター、国民生活センターは相談部経由だけではなくて、私どもADR事務局に直接消費者から、これは重要消費者紛争であるということであればADRの申請ができるということの道を設けております。少し線が細くてわかりにくいんですけれども、国民生活センター相談部の下に、消費者から直接ADRの申請ができるようになっております。
それから、適格消費者団体の方々も御利用いただけますし、もう一つ大きな特色は事業者もこれを利用できるということです。事業者の立場から、国民生活センターの重要消費者紛争であれば、申請が可能ですということでございます。
次のページをごらんいただきたいと思いますけれども、こういった特徴を備えている国民生活センターの紛争解決委員会でございますけれども、今、御紹介にございましたように、他の民間ADRとか都道府県の苦情処理委員会というところでも充実がかなり図られておりますので、そことの連携をお願いするということで、今、それを図っている点でございます。
例えば、民間ADRですと弁護士会に仲裁センターがございますし、それから、PLセンターであれば自動車とか家電製品がございます。そういったような民間ADR機関との情報交流とか、そういうことをお願いしていく、連携をさせていただくということでございます。
それから、例えば医療過誤の問題とか、こういったものは、専門のADRがございますので、そういうところの紹介をさせていただくというようなことも日常やっております。
その下の参考として、9ページに掲げさせていただきましたのは、国民生活センターと民間型ADRと金融ADRとのそれぞれの特色について書かさせていただいております。
めくっていただきまして、10ページ、これまでの経緯については、この4月からスタートして約1年経ちました。紛争解決委員会というのを過去4回催しまして、結果の概要についてとか、そういうことについて御審議いただいております。
具体的に今までどれくらいの件数が寄せられているかというのが11ページでございます。
一番下の申請の21年度累計のところをごらんいただきたいと思いますが、97件ございます。今、手続が実施中なのが、これもちょっと表が見にくくて申し訳ございませんけれども、右に3つ動いていただいて、手続実施中の2月のところをごらんいただきたいんですが、少し濃くしてございますけれども、45件でございます。
更に3つ右に行っていただきますと、手続終了が44件でございます、終わったのが44件ということでございます。数字が合わないのは、取下とか、そういうのもありますので、数字が合っていませんけれども、それから和解が成立したものが24件、不成立が19件ということでございます。
そこから3つ動いていただきまして、結果の概要の公表31件ということでございまして、扱いました案件については積極的に結果の概要を公表しているという状況でございます。
具体的な結果の概要については、次の資料の3-2(PDF形式:136KB)PDFを別ウィンドウで開きますの方をごらんいただきますと、今まで国民生活センターがやりました23事案につきまして、先ほどの数字は終わったものでございますので、まだ委員会を経て結果の概要を公表しますので、今まで委員会で公表の結果、これでよろしいという形になったものが資料として3-2に付いてございますので、そこの数字の差はございます。
細かくはちょっと御説明いたしませんけれども、どんなものがあるかというところをごらんいただきたいと思います。12ページですけれども、元の資料に戻っていただきまして、3-1の資料(PDF形式:152KB)PDFを別ウィンドウで開きますの12ページをごらんください。
97件の申請なんですけれども、一番多いのが金融・保険サービス、3割弱でございます。
2番目が、教養娯楽品、18件となっております。この金融・保険の方は、実は内容的には、預貯金・証券等が16件、それから、損害保険、その他の保険というものが各2件というような形になっております。
教養娯楽品というのは非常にわかりにくい概念なんですけれども、他の教養娯楽品というのは、実はペットです。イヌのトラブルだったんですけれども、それは他の教養娯楽品という分類になってしまうんですけれども、これが寄与して18件という数字になっているということでございます。
下の13ページのところ、相談内容別、これは契約関係が9割、販売方法のところは約5割ということで、これは相談全体と同じような傾向でございます。
先ほど紹介させていただきました、重要消費者紛争1号類型、2号類型、3号類型に分けさせていただいておりますけれども、圧倒的に多数性の問題でございます。
申請に至る経緯なんですけれども、消費者が直接申請したものと、消費者生活センター等を経由したものが42、若干消費者の直接の申請が多いんですけれども、これは当初スタートしたころは、消費生活センター経由よりも消費者からの直接の申請が多かったんですけれども、最近は、消費生活センターに一度相談されて、その後紛争という形、相談から紛争に移行して、私どもの方を御利用いただくというような形になっております。
最後になりますが、14ページと15ページでございますけれども、そうは言いましても、これは税金を使って非公開と、先ほど言いましたけれども、税金を使ってやらさせていただいているものでございますので、重要消費者紛争の背後には、多数の同種紛争が存在しているということですので、非公開原則に反しない範囲で、この結果の概要を公表することによりまして、同種紛争の解決にもつながるということで、解決指針を示すという考えの下に、結果の概要を公表するということをしております。
センター法でそれを規定いたしまして、あと、もう一つは、業務規定の52条の公表のところなんですけれども、事業者名の公表のところでございますけれども、15ページの第52条の第3項のところですけれども、どういう場合にできるかということなんですけれども、事業者名を含めて公表できるということなんですけれども、1は当該事業者が同意している、これは問題にならないと思いますけれども、2番目が、相手事業者が和解の仲介手続または仲裁の手続に合理的理由なく協力せず、将来における当該事業者との同種紛争について、委員会の実施する手続によって解決が困難であると認められる場合、これを紛争解決委員会に諮りまして、その場合には、事業者名を含めて公表できるということでございます。
具体的には次の16ページ、17ページに今まで公表した一覧を載せさせていただいておりますけれども、去年8月には年会費が有料となったETCカードに関する紛争ということで、ヤフーについて事業者名を出しております。
11月のときには、イヌのトラブルですけれども、「星の雫」こと西村由美、というのは、法人格を持っていませんので、個人商店名みたいなものですので、事業者の名前も出したということです。
それから、今年の2月には、日本マネジメントアカデミーと、マイクロシステムテクノロジーという会社名も含めて事業者も公表しているということです。
長くなりまして申し訳ありません。以上でございます。

○松本委員長 どうもありがとうございました。

○質疑応答

○松本委員長 それでは、これから以上、3つのADRの御報告につきまして、委員の皆様から質問や御意見を伺うことになりますが、櫻井委員が途中で退席されますので、まず、最初に御発言願います。

○櫻井委員 どうもありがとうございます。それぞれ制度が発足して、基本的にはまだ間がないということで、制度創設期にいろいろと試行錯誤しながら進めておられるということがよくわかりまして、どうも有益なお話をありがとうございました。
日本証券業協会さんの方にまずお伺いしたいと思いますが、こちらの方は従前の蓄積もあり、あと、かなり専門的ということで大分充実しているなという印象は持ったんですけれども、業務の実施体制のところで弁護士の方だけが委員になっているということでしょうか。
そうしますと、報酬はどうしているのかなというのが気になるんですけれども、ADR自体の経営基盤ですが、そこがどうなっているのか。そこが受益者負担というか、有料にするのはいいとは思いますが、全くペイしないと思いますので、その辺はどういうふうに回しておられるのかということをお伺いしたいのと、あと、弁護士以外の方でも、できる可能性はありまして、そこら辺の御感触はいかがでしょうか。

○松川常務執行役 まず、財政運営ということでございますが、これは日証協の場合も同様でございますけれども、できるだけ低廉に利用できるということで申立者の方からは、実費のごく一部を負担していただくという考え方でございます。
あっせん員の弁護士さんの報酬も、1回ごとにお支払いしておりますけれども、これも比較的リーズナブルといいますか、あまり高くない報酬でお引き受けをしていただいているということはあります。
そうは言いましても、相当程度かかりますので、事案によっても異なりますけれども、もろもろの費用を合わせますと、あっせんになった事案は1件当たり80万円ぐらいかかっているのではないかと思います。
そういうことでございますので、基本的にはその部分は、従来、日本証券業協会の中の予算の中で、事業者から徴収している会費の中から充当しておりました。
今度はFINMACに移行しましても、業務委託しますので、日本証券業協会から委託費として出すということで運営させていただいております。
ほかの関係の4つの団体につきましても、紛争の実績の割合に応じて委託費を出していただくということで、それもほかの団体もそれぞれの事業者の会費から基が出ているということでございます。
そういうことでございますが、今回、業務拡大いたしましたので、新たに資本市場振興財団という助成金をやっている、いろいろ投資者教育だとか、そういった関係に助成をしている団体ですけれども、こちらの方から、本年度及び来年度以降、一定の金額の助成金をいただけるようにするということで安定化をしております。
それから、弁護士以外ということも、将来的にはいろいろ考えないといけない面があることはよく認識いたしておりますけれども、何分にも件数が多いということと、それから金融商品の取引の紛争の場合は、かなり事実関係の認定ということで、言った、言わないの紛争になりますので、かなり丁寧にやらないといけないということで機動性ということで弁護士の先生1人ということでやらせていただいております。
勿論、弁護士の先生にいきなりということではなくて相談員の者が、相談の受付をした当時から内容をいろいろ聞いて事業者との間で入っておりますので、その内容を整理したようなことなどを弁護士の委員に報告しながら、弁護士さんの指示を受けてやるということでございますので、そういう意味では、ほかのADRの機関さんがやっているのと、実質的な機能は果たしているんではないかと思いますが、何分件数が多いものですから、それをできるだけ効率的かつ低廉な費用でやるためには、そういう形で今やらせていただいているということでございます。

○櫻井委員 金融ADRですと、悪質事業者などが本当はいるところですけれども、まさかあっせんなんていうのではとても太刀打ちできないという感じもするんですが、基本的に扱われている事案は、あらかじめ利用登録を受けた方とか、仲間うちでちゃんと、まっとうにやっておられる方々で、比較的話が通じる方々を念頭に置いて紛争解決するということでよろしいんですね。そういう意味で守備範囲がかなり限られているので、悪質なものは、裁判所へということでしょうか。

○松川常務執行役 今の御指摘のとおりでございます。悪質な例は適宜必要に応じて、生の情報をそのままというわけにいかないですが、ある程度それは考慮した上で、情報は自主規制団体などであったり、あるいは金融当局であったり、情報提供という形でやる、そちらの方で対応していただくということかなと思っております。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 ありがとうございました。それに関連しまして、協会に参加されている個別企業はこういうことは受付ているというか、やっていたとしても全部松川さんのところに回すということですか。それとも個別企業も受けられるものは受けてやっているということですか。

○松川常務執行役 基本は、各社さんも苦情処理の窓口を設けてやるというのは原則でございまして、自主規制団体に属している以上は、そういうことに努力するというのが、抽象的には努力義務がかかっているというふうに理解しておりまして、それぞれ自主規制のルールを守る上の体制として、コンプライアンスといいますか、そういう専門の部門をできるだけ設けていただいてやるという体制に、規制をしておりますので、コンプライアンスの1つの重大な事項として苦情処理に対して誠実に対応するということがありますので、そこで解決をする。
それでも、その事実関係ということになりますと、やはりもっと中立なところでないと解決が得られないということで、こちらの方に回ってくるというふうに理解をいたしております。

○池田委員 ということは、総数でいくと、各社であるから、まだ相当あるということですね。

○松川常務執行役 そういうことでございます。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 ありがとうございました。幾つか伺いたいんですが、まず、証券業の松川さんの方には、未公開株のような、先ほど櫻井さんからも、質問がありましたけれども、おおよそあっせんになじまないような事件が来た場合には、どういう処理をされているのか、それが1つ。
特に、未公開株の被害者は高齢者が多いので、キャンペーンに努力しているとおっしゃっていますが、キャンペーンをしても、高齢者にとってはほとんど意味がないんではないかと思うんですが、そこら辺のお考えを聞きたい。
それから、金融庁相談センターの機能が、非常に批判を受けており、現実にあまり役に立っていないと思います。
やはり金融庁の相談センターとタイアップして、きちんとそれをフォローして、効率的な解決を図るような努力をどう考えておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
それから、国民生活センターについては、私は、ADR制度作成の段階で、いろいろ審議会等で議論したこともありまして非常に注目しておりましたけれども、ちょっと辛口の、申し訳ないんですが、質問をさせていただきたいと思います。
1つは、この相談の実例が資料3-2(PDF形式:136KB)PDFを別ウィンドウで開きますで、幾つか紹介されております。これを拝見いたしますと、例えば10ページの、掃除機、活水器、マッサージ器の解除の問題、それからパチンコ攻略法の事件は、これは明らかに悪質事業ですから、業者名も公表すべきだと思うんですが、公表されていないのはなぜなのか。そこら辺の基準をどうお考えなのか。
たくさんあるんですが、あえて絞りますが、15番は、原油先物取引の紛争、14番はリゾートクラブ会員権の問題です。これも、事案を見ますと、かなり悪質だと思いますので、むしろ、これは弁護士が相談を受けたときもそうなんですが、これは悪質だから、もう話にならないということで、こういう事業者はつぶれてもらった方がいいと正直言って思うときもあります。
これは、民間のADRとは違って税金を使ったADRなんですから、個別救済も勿論必要かもしれませんが、この手の事業者については、むしろ裁判を進めて、きちんとした解決を図った方がいいのではないか。14、15項の事件などは、長期の分割弁済の解決をしておられるようですが、そうすると、この間はこの企業は生き残るわけです。そうすると、新しい被害者をつくり出すと思うんです。そこについて、国民生活センターとしてはどうお考えの上で、あっせんの実績を上げなければいけない、他方で、公的な機関として悪質な事業者については、これはしかるべき行政的な措置を取らなければいかぬというジレンマがあると思うんです。我々弁護士として、悪質事案を引き受けた場合も非常にジレンマを感じます。そこら辺についてどうお考えの上で対処されているのか伺いたいです。
NACSについても伺いたいのは、今の国センの資料の頭の、回転を高めると称する教材の解約に関する紛争、これはまさに先ほど事例として御紹介いただいた事案と恐らく同じだと思うんです。私は、これは実質的には詐欺だと思うんです。そうしますと、国センでは、25万円既払いのうちの20万円を取り戻すという形で解決されております。
ところが、先ほどの御紹介の例だと、250万円を支払った事案で、20万円取り戻して解決となっております。これは私は基準としては低率ではないかと思うんですが、そこら辺について、大変辛口で申し訳ないんですが、あっせんの制度の難しさを痛感いたしますけれども、どうお考えなのか辛口で大変済みませんがお伺いしたいと思います。

○松本委員長 辛過ぎる御意見かとも思いますが、順次御回答願います。
まずは、証券業協会からお願いします。

○松川常務執行役 それでは、未公開株への対応について答えさせていただきます。
確かに御指摘のとおり、それで十分かというと、まだまだもっと強化していかないと本当にそういった被害というのは後を絶たない状況なものですから、本腰を入れないといけないという認識であります。
そういった観点から、先ほど簡単に触れさせていただきましたけれども、昨年の秋に連絡協議会を要請させていただきまして、そこで関係の機関、これは関係当局も、消費者庁だけではなくて、金融庁、それから、警察関係の方も含めて入っていただきまして、いろいろ情報の共有化をするとともに、さらなる対策を考えるべきだという提案をさせていただきました。
そこで、1つには、私どものADRの観点から言うと、被害救済でございますので、現実に行っていることは限界がございまして、やはり詐欺の疑いがあるので、警察あるいは弁護士さんに相談してくださいということと、2次被害の恐れがありますから、絶対に注意してくださいということで幾つかの注意点をアドバイスさせていただいております。
ただ、反省点として言いますと被害の拡大防止というのは、もう少し情報の共有化という観点からもう少し詳細な情報、実はなかなか被害者の方は余り詳細な情報を提供していただけない例の方が多いんですけれども、そういうこともできるだけ努力する中で、関係当局へ情報を集約化していこうと。
今度、そういうことで、未公開株のための、専用のコールセンターというものを日証協の中で設置をするということを検討しておりまして、これもFINMACとしても協力していくということになります。ここでは今度のコールセンターの方は、被害の相談ということだけではなくて、情報の共有化できるものについては共有化するということで、関係機関等にも情報提供していくということもやるために、連絡のための専門のスタッフを新たに置くということを考えておりますので、そういった形で、まだまだ不十分かと思いますけれども、努力させていただきたいと考えております。
以上でございます。

○松本委員長 国民生活センターとNACSへの質問は、恐らくADRという制度と、悪質事業者の取締りとか規制をどのように関連づけるのか、あるいはそれは切り離して考えるのかというところに集約されると思いますので、それぞれの組織のお考えを御説明願いたいと思います。
では、国民生活センターの方からお願いします。

○古畑理事 山口先生の御指摘に、真正面からお答えになっているかどうかわかりませんけれども、紛争解決委員会に15名の先生がいらっしゃいまして、あと24名の特別委員の先生ということで、40名でいわゆる相談をしていただいているわけなんですけれども、公表につきましては、国民生活センターの理事長・理事のレポートラインを外れまして、私どもの、当局のマネージメントから外れたところで、この事業者名公表については決定されてきております。それが一つ。
それから国センといたしましては、いわゆる公金で運用して、まさに先生のおっしゃるとおりでございますので、あらゆる事案につきまして、手口公表については積極的にどんどんやろうということで、かなりの数をこなしてまいっております。
先日、3月3日も、リンゴとミカンの件、小さい例ではございますけれども、特商法でクーリングオフできるようになっても、実際には、いわゆる販売者がどこへ逃げたかわからないということで、実際には特商法の適用ができないようなところが、いわゆる、同種被害の抑止ということで、記者公表をしております。
事業者名公表につきましては、これは本当に難しく、いわゆる準公務員と申しますか行政型であるがために、やはり民業を圧迫とならないような形で、これも昨年9月に、消費者庁関連3法案が通って、消費者庁ができて、私どもは消費者庁と一々横の連絡を取ってやっているわけでございますけれども、そこのところで、調整をしながら、事業者名公表については脇を固めつつ進めていくということでございます。

済みません、真正面からお答えになっていないかもしれませんけれども。

○紛争解決委員会事務局(枝窪主事) 国民生活センター紛争解決委員会事務局の枝窪と申します。
ただいまの理事からの説明につきまして、委員会事務局の方から実際、委員会が事業者名等を特定して公表するときの判断基準について補足をさせていただきたいと思います。
資料3-1(PDF形式:152KB)PDFを別ウィンドウで開きますの15ページをごらんください。先ほど上原からも御紹介させていただきましたが、事業者名等を特定して公表ができる場合といたしましては、業務規程により規定されていまして、第52条の第3項に3つのパターンが定められています。
これまで公表させていただいたのは、第2号類型に該当するものでして、私どもの委員会のADR手続に合理的な理由がなく実質的に応じていただけなかった場合ということで公表させていただいております。
当委員会の手続といたしましては、やはりADRという手続ですので、両当事者に交渉のテーブルについていただけないとお話し合いが進められないという事情がございます。日証協さんのように事業者の方に対する手続応諾義務という片務的な義務が私どもの制度はかかっておりませんので、任意の手続協力が必要になってきます。
そのような観点から、事業者名を特定しての公表について、任意の手続に応じたにもかかわらず、事業者名をすべての場合において公表されてしまうということになりますと、事業者としては当委員会の手続に応じるインセンティブがないということになってしまいます。
山口先生に御指摘いただきました悪質な事業者との個々のトラブルの解決と、それから被害の拡大防止・未然防止をどのように図っていくのかという両者のバランスを勘案しつつ、これまではこの2号類型を使って事業者名を特定して公表しております。
そのほか、3号類型といたしまして、事案の特徴ですとか、その他被害の状況、特に事業者名を特定して公表する必要が高いと認められる場合には、こちらの規定によって事業者名を特定して公表するということも委員会にて検討がなされるとは思いますが、現在のところは以上のような状況です。
また、ADR手続ではなく裁判所で解決すべき紛争ではないかという御指摘もございましたが、この点につきましては、どちらかといいますと、消費者の方が裁判手続での解決を望まれないというのが現状でございます。御納得いただいた上での和解成立となっておりますが、当委員会での手続ではこれが限界であればということで合意をさせるケースも多くございます。
こういったケースにつきましては、各事案を御担当いただいている委員の方々も非常にジレンマを感じております。事務局といたしましては裁判所との連携について、最高裁判所とも意見交換等を実施しておりますので、ADRから司法手続への移行について、いかにして消費者のハードルを低くするかという観点から、積極的に連携を図ってまいりたいと考えております。
以上です。

○松本委員長 それでは、NACSの方からお願いします。

○唯根消費者相談室長 御質問については、ADRは個別救済の手法ですから、今、国民生活センターの方からの御回答もあるように、テーブルにまず乗っていただけるかどうかというのが、最大のポイントです。事業者の悪質性に関しては、私ども、民間の消費者団体ということで、消費生活センターのようにはあっせんにも応じていただけない事業者の方が経験則の中で多いのです。それから、やはりPIO-NETのような、情報を私どもは持っておりません。ですから、今回ご紹介したこのケースも裁定手続に入りましても、手続実施者の方々に相談担当者がこの事業者の問題性を声を出して言えない、事業者は、国民生活センターの相手方の対応や、私どもの資料も見ていただくとわかるように、こういうケースの常套句である、効果がないとか、効果が出るようなことは言っていない、それから、支払が困難で解約したいんでしょうということを主張されてしまい、基本的に自分の非の部分は認めないというのが現実でございます。
私どもが御紹介した案件は、5年払いの既に3年間お支払いになっておりましたケースです。本来ですと、地元の消費者センター等でも、ここまで年数が経過していますと、まして全部商品が使用済です。商品価値もないということも含めまして、解約のあっせんにも入らないことが多いものです。それを、ADRとして当事者をすべて呼び出す、同じテーブルで話し合うということをやらせていただきました。
返金額については、当初、相談者は、320万円の契約で未払い金が、まだ150万円近い残債務がありましたので、これがなくなるだけでいいという希望でした。私どもは事業者の問題性があるので御指摘のようにもっと全額返してほしいという、あっせん者側の希望はありましても、やはり第三者の手続実施者が最初に提案できたのが30万円、それでも事業者は、開催日には応諾しませんでしたから、その後の説得の作業をした上で、20万円返金という数字が出ました。
相談者の方は、お金が返ってくるとは思わなかったということで、非常に喜ばれた事例です。
それから裁判については、先ほど国民生活センターからも御報告があったように、相談者がまず裁判を望みません。裁判所へ行くのだったらあきらめると、ただ、今、これ以上支払っていけない自分の状態を何とかできないかと言うのが精いっぱいです。、ですから事業者やクレジット事業者に直接相談者が交渉しますと、減額交渉ではなくて、長期間の月々の支払いを下げて、長期で返済してくれというクレジット会社の提案に、ほとんどがなってしまう形ですので、ADRとして解約・返金まで持っていくことができたということでは、民間の消費者団体として権限も情報もないという武器がないというか、ツールがない中でやっているというところでの限界だと思っております。
お答えになっていないかもしれません。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 国民生活センターにまずお聞きします。重要消費者紛争ということで、国民生活安定及び向上を図る上での解決が全国的に重要であるものを扱っていらっしゃり、まさに全国的に影響がある案件を扱っているとのご説明がありました。
私は、あっせん案や解決案、内容については各自治体の紛争解決に役立つことが、1つの目的というか期待されていることではないかと思っています。ご説明の中では、結果が出た時点で内容を公表されるということですけれども、例えば東京都の被害救済委員会は、案件が付託された時点で、概要、これから何をするのかということを発表されていらっしゃいます。
私は国民生活センターもそのような形で発表し、消費者にこういう案件をこれからやるんだという情報を提供することで未然防止のために、非常に役に立つのではないかと思います。是非その観点でお考えいただきたい、事前に付託された時点で、きちんと情報公開をしていただきたいと思います。
それから、質問ですけれども、先ほどの資料3-2(PDF形式:136KB)PDFを別ウィンドウで開きますに手続結果の概要というのがありますが、これを、例えば各地の消費生活センターの方々にもお配りになっているのか。これだと余り参考にならないのではないかと思います。私たちが読む分には概要はわかるんですが、実際に相談員の方々が相談を解決しようとするときに、これで役立つのかというのがちょっと疑問なので、その辺どういう形で情報提供されているのか教えていただきたい。
もう一つ、資料3-1(PDF形式:152KB)PDFを別ウィンドウで開きますの8ページで、紛争解決に当たって連携されているということですが、民間ADR、消費者団体のADRというと、先ほどNACSさんの御説明ではNACSが唯一の消費者団体のADRということですが、どういう連携をされているのか。NACSさんの方では、先ほどの御説明では、もっと相談内容・件数を知りたいということをおっしゃっていらっしゃったんですが、どういう連携の形が今あるのか。例えばこれから、今、NACSさんがおっしゃったようなことを解決できるようなことも考えていらっしゃるのか、その辺をお聞きしたいと思います。

○松本委員長 では、国民生活センターから、よろしくお願いします。

○紛争解決委員会事務局(枝窪主事) 事務局からお答えさせていただきます。
手続開始の段階で事案の公表をすべきではないかという点についてですが、地方公共団体の消費者被害救済委員会等につきましては、知事が委員会に付託をするという形式をとっております。そのため付託をする、手続開始段階で、委員会が取り扱う案件について、一定程度スクリーニングされているという状況がございます。
これに対しまして、当委員会のADRは、当事者からの申し立てによって手続を開始するという制度となってございますので、一方当事者からの申立て内容に基づいて、どういった案件について手続を開始するのかということを発表するということは、真実性の担保という点から考えても、また手続の非公開原則という観点からも難しいということで、手続終了後の手続結果の概要について公表ができるという制度になっております。結果概要の公表制度の趣旨につきましても、当委員会が取り扱う重要消費者紛争の背後には、同種の紛争が潜在的に存在するだろうということで、手続は非公開で行われますが、事後的に手続結果の概要を公表することができるという制度になっております。立法過程では、手続開始時の公表についても議論がなされましたが、これらの事情を勘案した上での制度設計となっております。
地方公共団体への結果概要の公表の在り方についてですが、現在、各地方公共団体のADR機関である、都道府県の苦情処理委員会等との連携については、そちらの機関との関係においても、私ども国民生活センターが中核的な役割を果たすという観点から、各地方公共団体の苦情処理委員会等の活動について活性化の一助となるよう、取り扱う紛争について情報共有を図っていくことを考えております。3-2の資料(PDF形式:136KB)PDFを別ウィンドウで開きますにあります内容よりももう少し具体的な情報について情報交換できるようなスキームを現在構築している最中でございます。結果概要の公表制度は昨年4月から運用を開始しておりますので、これまでの運営状況を含めて、都道府県の苦情処理委員会等と情報共有を進めることを現在検討しており、地方公共団体に意見照会等を行ったところです。
また、民間ADR機関との連携につきましては、NACSさんのような認証ADR機関、それから、今後は金融ADR機関との連携について課題になってくると認識しております。まず、私どもと致しましては、事務局内に設置しております問合せ窓口に、消費者の方々が抱えている紛争をどのような方法で解決したらよいのかということで、御相談やお問合せを申請の前にいただいております。そちらの窓口で、トラブルに応じて適切なADR機関を御紹介するという形で、現在は連携を図っております。各ADR機関の手続の特徴がそれぞれございますので、入口で適切な機関を選択していただくのが消費者の方にとって最も適正かつ効率的な解決が図れると考えております。例えば、日証協さんですと、事業者に対して片務的な義務がかかっているという点で、案件がマッチすれば、私どもの手続よりもスムーズに解決ができる可能性もございます。
また、未公開株の件につきましては、当委員会でも取り扱っていまして、先ほど上原より申請案件を商品別分類で見ると「預貯金・証券等」がトップと御説明申し上げましたが、この多くは未公開株に関するものになっております。日証協さんではなかなか取扱いが難しい分野ということでしたが、当委員会において手続を実施しているといった状況がございます。
従いまして、民間ADR機関との具体的な連携の在り方としては、まず、問合せ窓口で各ADR機関の特徴について、正確に情報を提供し、消費者の適切な選択を確保していくということを考えております。
以上です。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 被害の拡大防止のために「公表」というのは非常に重要なんですが、今のところ公表制度については、NACSと国センは持っておられるようですが、公表する文章の確定はどういう手続でやっておられるのか、何か公表のための文章を評価判定するような委員会みたいなものをつくっておられるのか、それともだれかが書いたらそのままこういう公表資料になるのか、その辺をまずお聞きしたい、その上で意見を申し上げたいと思います。

○松本委員長 それでは、国民生活センターの方から、お願いします。

○上原参事役 今の先生のお話なんですけれども、現実には先程申しましたように、紛争解決委員会で確定ということでございますので、そこの先生方に御審議いただいて、結果をまとめてください。その案をつくるのは仲介委員の先生。それぞれの案件ごとに仲介委員にお願いをしていますので、その案については、仲介委員の先生方に作成していただいた文章を委員会にかけて確定していただくという手続でございます。

○古畑理事 若干補足させていただきますと、今、上原が説明しましたのは、紛争解決委員会のプロセスのラインでございまして、その他の相談事例、危害事例、それから、いわゆる情報公開に関することに関しましては情報提供委員会という組織がございまして、これも第三者で組織しておりまして、こちらで職員が起案した文章を見ていただく、また場合によっては顧問弁護士に見てもらうというプロセスを踏んで公表しています。

○上原参事役 ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。それと、今、委員会にかける前に、当事者、申請人と相手方事業者がいますので、その方々にも文章を見せております。それぞれで意見があれば、それをそのまま取り入れるわけではございませんけれども、施行規則になっていまして、公表を行う場合はあらかじめ当事者の意見を聞かなければならないという条文を設けていますので、両当事者に意見は徴しています。それらについても合わせて委員会にかけて決定していただくということです。

○松本委員長 2つのラインがあって、両者は全く別々のものだということですね。本日の話は、紛争解決の方のルートで解決したもの、解決しなかったものについて事業者名を公表する、しないといったことについては紛争解決の方の委員会ですべてを決める、そうではない一般的な相談とか、あっせんとか等からの情報を基にして、国民に対して被害防止のために事業者名とか商品名等を公表する場合もあるけれども、それは全く別のラインで御判断されている、ただ、同じケースもあり得るわけですね。

○紛争解決委員会事務局(枝窪主事) 松本先生の御指摘のとおりでして、当委員会については独立して職権を行うということが法律上明記されております。ですので、冒頭、古畑より御案内させていただきましたが、個々の紛争解決また、その結果の概要の公表は、委員会の職権になりますので、国民生活センターの指揮・命令、それから公表の仕組みからは独立した制度になっておりまして、上原が申し上げましたとおり、まず、担当した仲介委員が公表案を作成し、当事者の意見を聴き、それらを踏まえ委員会における判断を経て、公表という手続が委員会のプロセスになります。

○松本委員長 では、NACSの方からお願いいたします。

○唯根消費者相談室長 NACSでは、参考資料1でお付けしております、「裁定手続について」の第8で、原則非公開でございます。
ただし、研究等の資料ということで、報告書に作成する中で概要ということで、個人名や事業者名等は除いてということで、事例紹介という形で、扱わせていただいております。
今日、お持ちしたものの中で、ADR実証実験中の中には若干不備な物があるかもしれません。準備の不手際でございます。私どものConsumer ADRは、Consumer ADR特別委員会というのを協会内に設けまして、そちらですべて執り行っております。

○中村委員長代理 一生懸命頑張っていただいたのはいいのですが、例えば、先ほど速聴機で学習すると成功できる、それを踏まえて云々というNACSの参考資料A、これが公表の形式なんだろうと思うんですが、被害防止のためには、こういうものに引っかかりそうな人のレベルで、どういう商品なのかということがわかるようにしなければいけないんですが、これだと、私ははっきり言って商品が非常にイメージしにくい、何がどうなのか、少なくとも特別な商品名を付けているとか何かあるのではないかと思うんですが、そういうところも全く出てこない。それと同じことは、国民生活センターの資料の事案の19で書かれているこの書き方もそうですけれども、そのほかのところも、私としては幾つも非常に気になります。国センの事案の5、ここでまとめられている申請人の主張を見て、一体どういう商品なのか、あるいは中身が、文章がどう変わったのかということの説明がないので非常にわかりにくい。
これでは、私は被害の防止に役立たないと思います。やはり消費者が、あの商品か、あの商品を買ったらこういうことでやられてしまうんだなと思うほど、イメージできるだけの特定性というか、絞り込み、そういうことを是非公表の際には気を付けていただきたい。
本当は、一番いいのは、やはり商品名と、メーカー名とか、その販売者名、業者名を、実名で書くのが、消費者には一番伝わりやすいんです。ですから、実名公表について、余り萎縮した考え方でなく、先ほどいろいろ要件があると、それからまとまったケースは特に難しいとおっしゃるんですけれども、まとまらなかったケースも含めて、次の被害を本当に防止したいのならば、防止できるだけのもっと具体的な情報の提供ということを是非公表で心がけていただきたい。FINMACさんはこれから公表だろうと思いますので、その点を是非御注意いただきたいと思います。

○松本委員長 今の中村委員の御意見について、よろしいですか。特に何かお答えになりますか。NACSの場合は、そもそも公表できないというのが建前ですね。そうするとこんなのではだめだと言われても、本人がこれなら公表してもいいと言っている以上にもっと厳しいことは書けないというだけの話ですね。
あとは、国民生活センターの方ですが、制裁的な形でどんどん実名を公表して、予防ということでやればいいという、先ほど、私が問題提起しましたADRというものの本質と、それから制裁とか、あるいは予防とかいった行政的な目的で何かをやるということを両立させようとしていることから、かなり無理がどこかで出てくるんではないかという気がするんですが、その辺はいかがなんですか。

○紛争解決委員会事務局(枝窪主事) 松本先生から御指摘いただいたとおりかと存じます。先ほどの山口先生からの御指摘と中村先生からの御指摘は同旨だと考えておりますが、ADRという任意の手続応諾の枠組みの中で、事業者名を特定できる情報を公表していく、それぞれ目的が異なるものですから、そのバランスを取っていくということが、委員会としても常に悩ましい課題となっており、審議時間も長くなっております。一方で被害の拡大防止・未然防止等を図りつつ、もう一方でADRに、国民生活センターのADRを利用することについての事業者側のインセンティブも確保していく必要がありますので、両者のバランスを取りながら適切に判断されていくべき事項だろうというふうに考えております。
他方で、紛争解決委員会とは別のスキームである国民生活センターの情報提供機能もございますので、消費者庁との連携も強化しながら引き続き情報提供を行っていく中で対応できるものもあるのではないかと考えております。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 3団体の方、ありがとうございます。今まで皆さん意見が出ましたので、私の方もあと1つ、2つ少しお伺いしたいと思います。
まず、証券業協会さんの5ページのところに、一番下のところですが、金融ADR業務に関する重要事項を審議する機関として運営審議委員会ということで有識者云々と書いてございますが、これはどのような形で運営されているのでしょうか。かかった案件に対する重要事項としてあるのか、今後の公表等も含めたようなものをここで審議されるというのかということをお聞きしたいのが1点ございます。
それから、NACSさんでございますが、少しだけ教えてください。
裁定手続の資料の中で、8番目にその他があって、先ほど裁定手続が原則非公開とあるのですが、その下には、公表について少し書かれておりますが、同意を得て終了したものについては、その他の紛争の当事者及び関係者の秘密の保持に配慮した措置を講じたものに限るというものを印刷物の配付、その他の方法で公表することがありますということですが、これについては、先ほどの表の構成員の特別委員会というところで決定されるのでしょうか。それとも違う機関が別にあるのでしょうか。裁定委員会とはまた違うだろうと思いますが、そこのところを教えてください。

○松川常務執行役 運営審議委員会ですが、これは重要事項といいますけれども、個別事案についての関与をするための機関ではございません。FINMACの全体の運営方針を最終的には理事会で承認をするわけですけれども、やはり専門的な知識を持った方の意見を反映させるということで、例えば予算でありますとか、手続の関係のいろんなルールを決めておりますけれども、そのルールの改正であるとか、それから大事なこととしては、あっせん委員を任命いたしますけれども、あっせん委員の任命は、理事会に諮って理事長が任命するわけですけれども、その前段階で一応こういう弁護士の方を選任したいということをお諮りする、そういう3点が主な点でございます。

○松本委員長 では、NACSの方から。

○唯根消費者相談室長 マル2の資料等で活用するため、印刷物で公表するというのは、私どものこの事業が、会員の出費が600万円と申し上げましたが、それだけでは運営ができないということで、補助金事業として、現在は財団法人JKAから、ADR運営費の半分なんですけれども、補助していただいています。補助金事業ではADR実施の結果報告を印刷物にして提出するのが条件になっております。そのため、マル2の条件というか、印刷物にすることがあるという規定を設けました。それ以外には、基本的には公表しておりません。
それと、委員会につきましては、先ほども申し上げましたが、裁定手続の実施者とは別でございまして、Consumer ADR特別委員会がすべてこの手続に係わる案件に関しましては、決定機関になっております。
よろしいでしょうか。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 私自身は、ADRという考え方は、例えば近隣間の紛争だとか、家族間の紛争等に非常に有効であって、このように消費者被害が起こっている消費者と事業者の間というのは非常に難しいなと思っております。でも、その難しい中で、それぞれの機関が特徴に合わせて努力されていることがよくわかりました。
ですが、やはり、先ほどジレンマという話もありましたけれど、これから起こってくるであろう問題の一つとしては、悪質度の非常に高い事業者がこの制度によって解決されたがゆえに、そのような事業者にとっては有利な解決方法として便利に利用される、例えばずっと事業をやり続けられるという可能性だとかがあると思います。それから消費者にとっては、確かに情報が公開されないということは、消費者のお望みではあろうとは思うんですけれども、法的な解決に従った方がはるかに有利な結果が得られるというようなケースもあると思うんです。
そういうような場合への司法への移行等について、それぞれ皆さんのところではどのようにお考えになっていらっしゃるのか伺いたいです。

○松本委員長 それでは、国民生活センターの方から順に御回答いただけますか。

○古畑理事 枝窪の方から補足させていただきますけれども、先日、最高裁判所の民事局がいらっしゃいまして、このような事案についてどういうような形で共同していけるのか。いわゆる司法に委ねた場合に、本当に時間がかかるのかどうかというような御指摘もいただいておりまして、私どもが設定しているベンチマークである、2か月プラス2か月の4か月というので、それよりも圧倒的にスピード感と、それ以内の期間内で解決することによって、いわゆる金銭だけでなくて、エモーショナルな方の安心の方が消費者に伝われば、国センのADRとしては、よろしいのかなとは考えております。

○紛争解決委員会事務局(枝窪主事) 現在、最高裁判所民事局と、具体的な連携の在り方について意見交換を行なっているところでございます。
また、当委員会の制度といたしまして、訴訟援助制度というものがございます。こちらは、経済的な支援ではないのですが、予算措置との関係から資金面での援助が難しいことから、情報面において消費者をバックアップするものとなっております。当委員会の手続によって解決が図れなかったケースの消費者が、当該紛争を訴訟手続によって解決しようとする際に、私ども国民生活センターが収集しておりますPIO-NET情報ですとか、商品テストの情報等の資料を消費者に提供できるといった制度が用意されております。
また、委員会の手続におきましても、両当事者の実質的な対等ということで、事務局が調査等を行っております。こういった事務局で作成した資料も当事者から要望等がございましたら提供できる制度を整えておりますので、資金面については難しいのですが、情報面においてその格差をできるだけ小さくして、安心して訴訟手続に移行できるよう支援してまいりたいと考えております。

○松本委員長 では、FINMAC。

○松川常務執行役 私どものところについて申し上げますと、1つは手続上の関係で言いますと、NACSさんとも同じだと思いますけれども、認証ADRということでございますので、時効中断効ということがありますので、そこで多少長引いても、そこは心配なく、訴訟には移行できるというところはあります。その点は1つのメリットであろうかと思っております。
もう一つ、実際上はADRの運営で心得ておりますのは、やはり両方の当事者にとって、納得感の得られるような形で、あっせんを試みるということでやっていただいております。
ですから、そういった中で、いろんな話し合いをさせていただきますので、そこでは本当にやはり少額でもいいから、一部でもいいから回復したいということであれば、このあっせんの中でなるだけ努力するということですけれども、やはり、このあっせんの中で話し合いということであれば、やはり限界があるので、お客さんの方で必ずしも十分な被害回復ではないということであれば、むしろそれは訴訟になった方がいいということで、その辺の話し合いといいますか、その辺の情報提供はさせていただいておりますので、一応4か月以内ということになっておりますので、ある程度、3か月、4か月になったところのめどの段階では、あっせん委員の方が適宜適切にそういったことを意見交換されるということで、当事者の選択の自由を確保できる形に運営できるように配意しているところでございます。
以上でございます。

○松本委員長 それでは、NACSからお願いします。

○唯根消費者相談室長 私どももADRに移行する際に必ず消費者の方に裁判で司法判断を仰ぐ方法もあるということの御案内させていただいております。しかしながら裁判手続について、やはり消費者は敷居が高く感じていて、御自身で準備をするとか、申し出をできない方も多うございます。
また、先ほどの事例のように、相談内容がすぐ被害に遭ったということがわかる事案ばかりではございませんので、そういったケースのときには、認証をいただいたことにより、事業者側の認識が変化してきておりますので、消費者の方のメリットも増えて、ADRは個別救済ができる1つの方法だという御案内をできるだけさせていただいているのと、5,000円の費用だけで済むというところで、地理的な拘束があって、全国からの御相談は受付ているんですが、ADR開催が東京ということにしか現状は実施できませんので、その辺の制約はございますが、相談室のあっせん不調の場合には、裁判とADRの御紹介をして選んでいただいております。
以上です。

○松本委員長 よろしいですか。原事務局長、何か御質問等ございましたら、お願いします。

○原事務局長 済みません。もう締めくくりの言葉ばかり考えておりまして、申し訳ありません。
私は、消費者のトラブルの解決というところで、ADRが果たす役割というのを、ずっとADR法の制定作業も関わってまいりましたので注目をしておりまして、日和佐委員がおっしゃられたように、私も当事者同士が対等な関係、例えば人間関係のトラブルですとか、そういうところには非常にお互いが納得すれば有用かなという感じを持って見ておりましたから、非常に消費者トラブルにとっては難しい、ADRで解決していくことの難しさというものは同じように感じておりました。
ただ、一方で、難しいからこそチャレンジしてほしいという気持ちもありまして、やはり事業者と消費者というのはすごく力の格差が存在しているわけで、やはりそこに第三者が入ることで柔軟な解決が図られていくということは、それは非常に大変なことだと思いますけれども、頑張ってやってみる価値はあるかなというふうに思っております。
それが懸念でいろいろ示されたところが、できるだけ腐食されるということで、消費者にとっても納得のある解決、そして、それがまたほかの被害を生み出さない、ほかの被害の救済にもなるという形に何とか結び付いていくような仕組みになっていけばいいかと思っていますので、また、今後も是非こういう場で御検討を重ねていただけたらと思っています。
済みません、突然だったので。

○松本委員長 原事務局長からまとめていただきました。私は何回も指摘しておりますように、やはりADRという当事者が納得して短期間で、迅速にそこそこの解決を図るということと、それから事業者が特に悪質性が高い場合の制裁的あるいは今後の抑止ということが、なかなか両立しにくいという、そこが恐らくずっとジレンマとして残ると思うんですけれども、後者の方は別のルートでいろいろ考えていただくのがいいのかと。
FINMACも、自主規制機関とADRという組み合わせですから、ADRの方がうまくいかなくても自主規制という形で何らかの対応が可能という部分があると思いますし、国民生活センターも先ほど公表については2ルートあるということでしたから、ADRの結果としての公表は結局しないとしても、別の相談情報等からやはり緊急性が高いということで実名公表というのも同じ事業者について考えられるというふうに思います。
純粋民間のNACSについては、そこは本当に難しいと思いますから、ちょっと大変だと思います。
ということで、以上、本日、3つの団体の皆さんにお越しいただきまして、それぞれ特徴あるADRについて御説明をいただきました。長時間にわたる審議に御協力いただきまして誠にありがとうございます。

≪3.閉会≫

○松本委員長 本日の議題は、以上でございます。事務局より次回の日程について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 今日は、充実した議論をありがとうございました。大変感謝申し上げます。
次回は、3月15日月曜日の10時からということで、消費者基本計画の素案についての検討ということで考えております。また、下部組織も立ち上がってまいりますので、その運営方針なんかについても検討ができればと思っております。
今日は、どうもありがとうございました。

○松本委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)