第13回 消費者委員会 議事録

日時

2010年1月29日(金)10:00~11:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、佐野委員、
下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
消費者庁 成田企画課長、西川企画課企画官

【事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.「消費者基本計画(素案)」について
3.「消費者安全の確保に関する基本的な方針(案)」について
4.新開発食品調査部会(第1回)における決定事項の報告
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 消費者基本計画(素案) (PDF形式:367KB)
【資料2-1】 消費者安全の確保に関する基本的な方針(案) (PDF形式:150KB)
【資料2-2】 消費者安全の確保に関する基本的な方針(平成21年12月21日消費者委員会の各委員の意見) (PDF形式:122KB)
【資料3】 特定保健用食品の表示許可に係る答申関連資料 (PDF形式:76KB)

【参考資料1】 平成22年1月13日付け諮問に対する答申書 (PDF形式:24KB)
【参考資料2・3】 新開発食品評価第一調査会・第二調査会 委員名簿 (PDF形式:16KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、本日、皆様、お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございました。
ただいまから第13回「消費者委員会」の会合を開催したいと思っております。
今日は、まだ、少し遅れておられますけれども、10時から1時間の間の衆議院の消費者問題特別委員会の委員長の末松委員長も傍聴に入られるということなので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
それでは、カメラは、済みませんが、ここで退室をお願いしたいと思います。

(報道関係者退室)

○原事務局長 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

≪2.「消費者基本計画(素案)」について≫

○松本委員長 おはようございます。それでは、議題の1に入りたいと思います。
消費者庁では、新たな消費者基本計画の策定に向けまして、計画に盛り込むべき施策を検討する段階から、素案を作成してパブリックコメントを求める段階へと検討を進めておられます。
当委員会におきましても、第4回の委員会、それから第10回の委員会におきまして、消費者庁から基本計画の検討状況について御報告をいただき、その検討内容に対して意見を述べてまいりました。
本日は、各省庁が実施する消費者政策の具体的施策を盛り込んだ各論の部分も含めまして、現在の素案について、消費者庁により御説明をいただき、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
それでは、まず、消費者庁の成田企画課長より御説明をお願いいたします。

○成田企画課長 おはようございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、資料1「消費者基本計画(素案)」(PDF形式:367KB)についてでございます。
新たな消費者基本計画の策定につきましては、ただいま委員長からも御紹介がございましたとおり、昨年12月14日の消費者委員会におきまして、消費者庁が11月から12月にかけて行いました、計画に盛り込むべき施策などについてのパブリックコメントの募集において寄せられた御意見、その他消費者委員会委員の方々を始め、各方面の方々からいただいた御意見の内容について御紹介させていただくとともに、総論部分のスケルトン案をお示ししたところでございます。
前回お示しいたしましたスケルトン案を作成いたしました際には、いただいた御意見等を反映させる時間が十分にございませんでしたので、その後、消費者庁におきまして、これらの御意見を検討いたしまして、できるだけ御意見を反映した「素案」の作成に向けて作業を行ってきたところでございます。
本日は、この「素案」につきまして、御意見をお伺いしたいと思っております。
今回の「素案」は、大きく総論と各論の部分に分かれております。
まず、総論の「1」の計画の「策定の趣旨」でございますけれども、冒頭で消費者基本法の基本理念や現行の計画について触れました後で、昨年9月の消費者庁、消費者委員会の創設が、「消費者が主役となる社会の実現に向け」、行政の「パラダイムの転換」を行うための真の拠点となるものであるとしております。
次にマル1からマル6までに書いてございますけれども、それぞれ消費者庁、各府省庁、地方消費者行政、事業者、消費者と消費者団体、消費者委員会の役割について触れました上で、「このような新たなステージに入った消費者政策について」、来年度からの5年間を対象とする新たな基本計画を定めるとしております。
「2」の「消費者政策の基本的方向」でございますけれども、前回のスケルトンの段階では大きく4本の柱、具体的には、消費者事故等の再発・拡大防止、地方消費者行政の充実支援、被害者救済等、消費者の自立支援という4つの柱立てとなっておりましたけれども、いただいた御意見として、例えば消費者の自立の部分が強調され過ぎていて、消費者の権利の尊重という側面が不十分である、消費者の自立支援に様々な事項を盛り込み過ぎているのではないか、消費者庁の課題が中心になっているのではないかといった御意見をいただきましたので、今回の素案では、消費者基本法の規定ぶりも踏まえた項目立てとしております。
まず、2の柱書きでございますけれども、「特に高齢者や子ども、障害者など消費者の年齢その他の特性に配慮する」ということを全体に共通することとして挙げた上で、(1)が「消費者の権利の尊重と自立の支援」とし、項目としまして、「消費者の安全・安心の確保」ということで、例えば基準の整備や情報の収集・提供、リスクコミュニケーションといったこと、2つ目が「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保」ということで、契約の適正化ですとか、表示の規制といったこと、「消費者に対する啓発活動の推進と消費生活に関する教育の充実」、次が「消費者の意見の消費者政策への反映と透明性の確保」、「消費者の苦情処理と紛争解決の促進」、「消費者の被害等の適切かつ迅速な救済」といった項目を挙げまして、それぞれの項目につきまして、政府の行う施策についての基本的な方向について記載しております。
「(2)経済社会の発展への対応」ということで、ここでも同様に、項目といたしまして、「環境に配慮した消費行動と事業活動の推進」、「高度情報通信社会の進展への的確な対応」、「国際化の進展への対応」といったような項目を挙げまして、基本的な方向について記載しております。
(3)でございますが、「関係者・関係団体との連携・協働と消費者政策の実効性の確保・向上」ということで、ここは順番に、「消費者団体の連携」、「事業者や事業者団体による自主的な取組の促進」、「地方公共団体等との連携」、「関係機関等による試験、検査などの整備」、「行政組織体制の充実・強化」という項目を挙げまして、それぞれの具体的な内容を示しております。
3の計画の「検証・評価・監視」でございます。消費者基本法におきましても、消費者政策会議が消費者委員会の御意見も伺いながら計画の実施状況の検証・評価・監視を行うことになっておりますけれども、今回の計画につきましては、特に消費者庁関連法案の審議の際の附帯決議や附則なども踏まえまして、毎年度、「検証・評価・監視」を行うこと、その際に、消費者委員会において、例えば各省庁からヒアリングなどを行っていただいて、それを踏まえた御意見をお伺いしながら行うということ、また、「検証・評価・監視」の結果も踏まえた必要な見直しを行うということを記載しております。
また、その際の留意事項をマル1からマル3まで3点挙げております。
マル1が「検証・評価・監視」の方法についてでございますけれども、客観的で可能な限りわかりやすい基準を導入すること、例えば食品の安全性の確保など、特に重要と考えられる課題を選択して行うことなど、効果的な実施に努めることを挙げております。
マル2は、検証・評価についてでございますけれども、消費者団体等へのヒアリングを行ったり、専門家の御意見を伺ったりすることなどによって、消費者などの意見をより的確に反映するということを挙げております。
マル3といたしまして、各府省庁等が検証・評価の結果を次年度の具体的施策に適切に反映するということを記載しております。
検証・評価・監視につきましては、どのような基準、方法で行うかということが重要でございますけれども、この点につきましては、基本計画の策定後も、最初の検証・評価・監視の時期までに消費者委員会の御意見も伺いながら、具体的に検討させていただきたいということで、こういった書きぶりにさせていただいております。
8ページからは、各論の具体的な施策でございます。これまでに消費者委員会の委員の皆様方やパブリックコメントの募集で各方面からいただいた御意見なども踏まえまして、各府省庁等から提出された施策、全部で今のところ167になっておりますけれども、167の施策を並べております。
これらの施策は、総論の2の「基本的方向」の項目ごとに整理して並べさせていただいておりますので、本日は、この各論についても御意見をいただければと思っております。
本日、この素案についていろいろと御意見をいただければと思っており、いただいた御意見を踏まえた修正につきましては、今後、引き続き検討させていただきたいと思っておりますけれども、並行して、私どもとしましても、できるだけ早い段階で、この素案についてのパブリックコメントの募集を行いまして、広く国民の皆様、消費者の皆様の御意見もいただいて、それらをできるだけ反映させていく、検討するという作業も進めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の皆様から御意見、御質問がございましたら、どうぞ、お出しいただきたいと思います。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 ありがとうございました。ここで1つすっぽり抜けているのが、4ページの上から2つ目のポツの「消費者の意見の消費者政策への反映と透明性の確保」というところが、ここには書かれていますが、具体的な施策の中にはありません。これは非常に重要な点なので、きちんと書き込んでいただきたいし、それから、申出制度、ものを言ったらきちんと返事をしてくれるような体制を整える制度の導入を書いていただきたい。
あと、細かい具体策の中で、横ぐしに刺しているものが非常に少ないと思います。例えば事故情報の一元化のところでは、分野横断的なリコール制度の在り方を検討するとか、そこには消費者にわかりやすいリコール社告も入ると思います。例えばここに書かれているのは、経済産業省だけですが、すべての分野に共通することなので、消費者庁や消費者委員会ができたのは、やはり縦割りでなく、横にできるだけ横ぐしを刺すということだと思うので、その辺も入れていただきたいと思います。
もう一つ、非常に事件、事故が多い高齢者とか子どもたちの対策に関して、障害者や妊婦さんたちもそうなんですけれども、消費者被害から守ろうという一元的な施策をきちんと、これも横ぐしを刺してやっていただきたいと思います。
もう一点は、消費生活用製品には、事業者からの重大事故の報告義務制度というのがあります。それを例として、すべての分野、例えば遊具であるとか、施設であるとか、それらもきちんと報告制度をつくっていくという、施策を入れていただきたいと思います。
具体策を1つずつ申し上げると、たくさんになってしまうので、大体横ぐしを刺すというところだけを申し上げておきたいと思います。また、後で細かい点は、時間がありましたら申し上げたいと思います。

○松本委員長 それでは、ただいまの点について、消費者庁の方から御回答をお願いいたします。

○成田企画課長 ありがとうございます。いただいた御意見すべてにつきまして、まず、関係省庁等の話もありますので、私どもでもう一回持ち帰って検討させていただきたいと思います。
消費者の意見の反映ということにつきましては、例えば、今回、この計画を作る段階でパブリックコメントの募集をさせていただくとか、「検証・評価・監視」のところで、広く御意見を伺うということを書いておりますので、そういったようなことも1つあるのかなと。
後は、各論全体について、当然、まさに横ぐしで反映されるべき話であるので、どういうふうに書きぶりをするのかというのは、また、検討させていただきたいと思います。
それから、御指摘の高齢者、子ども、障害者については、今回、総論の中でかなり繰返し書いておりますし、例えば、子どもの話ですと、子どもを守るプロジェクトのような話も、一応、今回各論に入れておりますので、更に何か追加できないか、ちょっと検討はしたいと思います。
個別に、更に御意見がいただけるようであれば、それも是非お願いしたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○佐野委員 子ども、高齢者、障害者、妊婦さんの一元的・統一的な施策が必要で、消費者庁が中心になりますけれども、やはり各省庁、いろんな省庁が協力しながらつくるということで、消費者庁だけではなくて、その辺りの横ぐしをさしていただきたいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 中村ですが、最初にパブコメにかけられた案と今回の案を比較しますと、総論のところで、目指すべき方向性というか、大きな方向性として、最初の案では「消費者市民社会」という言葉が使われていて、それが今回のものには入っていないんですけれども、私は、やはり消費者基本計画5年分ということであるけれども、その先に求める方向というか、展望するものは、どっちの方向なんだというところで、平成20年版の国民生活白書に書かれた「消費者市民社会」という言葉、あの説明は、私は非常に重要だと思っております。
前回のパブコメにかけられた案では、それがあたかも消費者に自己責任を求めたり、自立(自律)を求めるような表現があったために、パブコメの段階で随分反発があったんだろうと思います。
だけれども、「消費者市民社会」というのは、別に消費者に責任を持って勝手にやれとか、自分のことは自分で始末しろという意味合いではなくて、やはり消費者が主体的に社会に影響を及ぼして、消費者がまさに主権者として社会を変えていくという社会、そういうものを構想しているわけですから、私は、やはりそのさらなる5年以上、ずっと先の展望としての「消費者市民社会」、それの実現を展望するような中にこの消費者基本計画があるんだという位置づけは、やはり入れておいていただきたいと思います。

○佐野委員 消費者市民社会については、消費者団体の中でもいろいろ意見があります。新しい言葉なので、まだ、同じ意味で受け取っていないのではないか、いろいろ話し合いをしました。中村委員がおっしゃるように重要なんですけれども、それは1年くらいかけて話し合いをしながら、本当に私たちが望む消費者市民社会とは何かという共通認識を持った時点で、毎年書き換えてくださるということなので、きちんと書き込んだらいいかなと思います。

○松本委員長 それでは、消費者庁の方からお願いいたします。

○成田企画課長 前回、スケルトン案をお示しした際に、私どもの書きぶりの問題で、「消費者市民社会」という概念と、例えば「自ら律する消費者」ですとか、「合理的かつ自主的に行動」する消費者という概念とセットで書かせていただいたということもあるのかもしれないんですが、やはり非常に違和感があるという御指摘を、この委員会の場でもいただいたところでございます。
そういった意味では、まだ、今の段階では、「消費者市民社会」という言葉を入れない方がいいのかなということで、今回は、こういう形でお示しさせていただいております。
そこは、もう少し御意見をいただいて、どちらにさせていただくか、また、考えさせていただきたいと思います。

○松本委員長 ほかに御意見をどうぞ。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 拝見させていただきまして、ありがとうございます。かなり修正されたように思います。
恐れ入りますが、29ページの152のところに、ここに団体名が1つ入っております。ほかのところもかなり修正されましたので、警察の具体的施策の中に入っておりますが、こういう団体名はできれば、ほかのところもかなり直されておりますので、お願いしたいと思います。
それから、20ページ等につきまして、消費者の苦情処理と紛争解決の促進という項目で、多くのものがそれぞれの省庁が積極的に働きかけをしていただけるということで、非常にありがたいと思っておりますが、この中で、やはりそれぞれ消費者庁、例えば97番におきまして、実態調査を踏まえ、国の地方公共団体、国の支援の在り方について検討するというのは、22年度までの一定の結論、それからその下の国民生活センター、その下は、以降、継続的に実施するということで、多分97番というのは、22年度までに一定の結論を得、それを消費者委員会も踏まえて、24年度以降の計画の中に生かされるということでありますが、ここにつきましては、国民生活センターも含めて、何らか協議されるということはないのでしょうか。
国民生活センターのところに来ますと、実務的なものがずっと書かれておりますが、国と地方の役割のことでありますので、消費者庁が中心にされることは当然でありますが、やはりその下につながってまいりますので、この中で担当省庁の中にも国民生活センターのことを入れていただければ、わかりやすいのではないかと思います。
次は地方公共団体の連携とか、あちこちずっと見なければならないので大変ですが、これらのものが速やかに実行されることを期待したいと思います。今後、消費者委員会にかなりの投げかけがされると思いますし、消費者委員会も専門調査会も立ち上がり動きますので、是非、実行に移されるように。先ほど佐野委員も言いましたように、横ぐしのところが非常に各省庁の縦割り制になっておりますので、できれば、いろんなところに消費者庁が入るというような形にしていただけると、もう少し理解がしやすいのではないかと思います。

○松本委員長 それでは、消費者庁の方から、ここに担当省庁等と書かれているところの意味、そこの省庁だけがやるということなのか、ほかの関係省庁とか関係機関との連携のようなことも含んでいるのかという辺りを少し御説明願えますか。

○成田企画課長 基本的には、担当省庁等と書いてあるところは、そこに書かれている省庁等が、責任を持ってやるということになろうかと思いますが、例えばその過程において、いろいろなところに御意見をお伺いするという場合に、そのお伺いする先のところまで、必ずしも全部網羅していなければいけない、つまり、ここに書いていなければ、御意見を全く伺わないというようなことはないと思っております。
例えば、消費者委員会の御意見をお伺いしながらやる施策もあろうかと思いますが、担当省庁等の中に消費者委員会が入っていないからといって、御意見をお伺いしないという趣旨ではないと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 以前の案には、検討する、検討するというのがやたらと多かったんですが、随分減ったし、一定の方向も出てきているところも多くなりましたので、御苦心は評価いたしたいと思いますが、幾つか申し上げさせていただきたいと思います。
特に各論の方で、例えば2項目です。「消費者事故についての独立した調査機関の在り方について検討する」と、まだ2番目にこういうのが残っているというのは、いかがなものかと思います。やはり是非検討の方向性を出していただきたいと思うんです。
例えば「消費者事故について、独立性の確保された広範囲の事故を調査対象とする調査機関の在り方について検討する。」検討するのはいいとしても、一定の方向、どういう方向で検討するのかということを是非明記していただきたい。
3項目につきましても、「重大事故の範囲について検討する」とあるんですが、この範囲を検討する目的はやはり被害の抑止なり救済に役立つように検討するんでしょうけれども、どこの方向を向いて検討するのかさっぱりわからないというのでは話にならないと思います。
あるいは29項目なんですが、これについては、中身がないということで随分強く批判を消費者委員会からもさせていただいたところ、ある程度の改善はあるんですが、ここにはやはり食品安全委員会としての作業の方も入るんではないでしょうか。あるいはこれは諮問機関だから入らないということになるんでしょうか。いずれにしても、これはリスク管理措置を講じるためですが、どういう方向でリスク管理措置を講じるのか、やはり方向を明示していただきたいと思います。
43項目なんですが、景品表示法の運用をちゃんとやりますとしかここには書かれていないんですが、実は、もう景品表示法については、この消費者庁の議論が具体化する前に、課徴金を課して、景品表示法の法規制機能を強化しようという議論があって、国会に改正案が上程された経緯があります。
ところが、消費者庁の構想が出て、それがたなざらしになって、今日に至っているわけです。景表法の規制機能を強化するためには、やはりミートホープ事件とか、比内鶏のようなことを許さないという観点から、違法収益の剥奪をきちんと明示するということを是非やっていただきたい。
それにつきまして、107項目に、「加害者の財産の隠匿または散逸の防止に関する制度を含め、違法な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度に検討を加え必要な措置を講ずる」と、これを平成24年9月をめどに結論を得ると。これはかなり高らかに政府としての方針を約束されているものとして、国会でも附帯決議等あるいは附則に明記されていることですから当然とはいえ、高く評価したいと思うんですが、この107項で触れているから、43項では景表法は何もコメントしないということにはならないんではないか。是非ここは消費者庁のことですから、規制強化の運用を単に頑張りますということだけではなくて、制度の在り方についても検討するということを、是非明示していただきたい。
100項目なんですが、ここでは多重債務について検討しましたとあります。「検討します」というのは、消費者庁がやけに多いんです。消費者のためにできた消費者庁ですから、単に検討ではなくて、一定の方向を是非明示していただきたいと思います。
各論として、最後です。最後の167項です。これは公正取引委員会の消費者問題に関わる役割の問題でありまして、私自身も公正取引委員会とは30年間にわたって、アメリカのFTC、フランス、イギリス、ドイツのFTC、公正取引局などは、必ず消費者保護の部門をもっています。消費者保護の政策のために大きな役割を果たしているのが各国の公正取引委員会です。
ところが、公正取引委員会は、かねてよりうちは競争政策をやる役所であって、消費者問題はやらないんだと言われてきました。
しかしながら、それではいかぬのだということは、国民生活審議会その他で繰り返し公正取引委員会に対して考え直すように提言されてきたと思うんです。
今回、確かに公正取引委員会から景品表示法の部門は消費者庁に移管されたことはありますが、それでもやはり、例えば公正取引委員会の不公正取引の中には、再販売価格維持行為に対してはだめだと、あるいは欺瞞的顧客誘引はいかぬのだと、あるいは不当廉売、その他抱き合わせ販売もいけないということで、消費者保護の観点から執行されるべき課題がたくさんあるはずなんです。
ここは是非、公正取引委員会において、正面から政策の在り方について考え直していただきたいということを申し上げたいと思うんです。167項は、消費者の利益というのは、反射的な利益にとどめた表現になっております。是非、公正取引委員会においても、消費者政策のために一枚かんでほしい。積極的に公正取引委員会が消費者保護のための役割を果たすべきだということで、これは司令塔である消費者庁としても公正取引委員会に対して強く意見を述べていただきたいと思います。
そういうことがあって初めて、私は総論の6ページ、7ページに書いてある検証・評価・監視が実のあるものとなると思いますので、単に検討するということではなくて、いつまでに何をやるということが明記されて初めて検証・評価に値する政策になると思いますので、是非、より一層の御尽力をお願いいたします。

○松本委員長 非常に多くの点を指摘されましたので、お答えできる範囲内でお答えいただきたいと思います。

○成田企画課長 いずれにせよ、持ち帰らせていただいて、関係の課局なり省庁と相談をさせていただきたいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 消費者の大変関心の強い問題である食品の安全に関して、全体から拾うと書かれているんですけれども、あちらこちらから拾わないと、食品の安全に関してどのような施策、どのような基本計画でいくのかという全体像がわかりにくいんです。
そして、先ほどの29番ですが、リスク管理を行うのは、農林水産省だけではなくて、厚生労働省と農水産省双方が同じくらいの力といいますか、施策を持って力を持ってやっているわけで、リスク管理に関しては厚生労働省が抜けているということと、あとは表示と環境、それに事業者の自主的に取り組む課題としてコンプライアンスがあるんですけれども、全部ばらばらにあるものですから、食品の安全に関して非常にわかりにくくなっています。ここは柱立てとの関係で難しいんでしょうか。何らかの工夫があっていいのではないかと思います。
それから、自主的に取り組むことでコンプライアンスだけが書かれているわけですけれども、今はCSR、そして企業だけではなくて組織も含めて全体としてSRということで、ISOの規格はできてしまったんですか。

○松本委員長 いやいや今年中に。

○日和佐委員 今年できるということですので、そういうことを是非盛り込んでいただきたいと思いました。

○山口委員 今の点、これは、皆さんが検討していて、本当にどこの項目にあったかなということになるんです。せめて食品安全と金融関係とか、一定のジャンルについては、これはこれで157項目あるのはいいんだけれども、分野別の、別のINDEXをつくっていただくと、政策が見えやすいと思います。

○松本委員長 今の御提案、大変重要だと思います。例えば先ほど出ました、高齢者、子どもの保護なども恐らく何箇所かにあると思いますので、そういう消費者が大きな関心を持っている塊を別途出していただけると、過不足がわかったりしていいんではないかと思います。是非お願いいたします。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 毎回、事業者と消費者の関係を言っておりますけれども、5ページの3のところに書き込んでいただいて、感謝します。
けれども、これは、願わくば、2ページの消費者政策の基本的方向のところにあるべき文言ではないかと思います。
更に言えば、3ページから5ページに、消費者の自立支援とか経済社会の発展の対応でいろんな各施策で政府とか消費者とか消費者団体とか地方自治体とかの連携協力という言葉で、それぞれの項目で書いておられますけれども、これはむしろ、すべての問題に関わってくる、あるいは先ほどどなたかも言われた横ぐしの問題とも関わるわけですから、5ページの(3)の冒頭に仕事のやり方というか、政策の進め方というところで、今までにない連携や協働をやっていくことを強く意思表示した方が、新しくできた省庁としての意気込みを示す意味では、適当ではないかと思います。
要するに、先ほどから説明されているように、後ほどの各施策で、各省庁ごとに出てきているいろんな問題点を認識した上で、それを消費庁として、更にレベルアップしてやっていくという視点を持って、政策の基本的な方向できちんと訴えられた方が、せっかくできた消費者庁の意気込みがもっと買われるんではないかと思います。これは、私の意見です。
もう一つ、4ページに、被害者救済の問題で、消費者と事業者の間の情報の質と量と、あるいは個別課題でも出てきておりますけれども、不当利益の収奪とか、いわゆる集団訴訟につながっていくようなところだと思うんですけれども、この事業者というのは、事業者一般ではなく、不当な、悪党な事業者だと思うんです。事業者となると、私どもも事業者でございますので、非常に心外に感じる面があるわけです。ですから、やはりそういう不当なことをやっている、事業者と言えないような事業者、会社をつくって儲けたらすぐつぶすような、そういう人が最初の対象だと思いますので、そういうことがはっきりわかるよう、「事業者」という言葉をきちんと区別して書いていただければありがたいと思います。
以上です。

○松本委員長 どうぞ。

○成田企画課長 ありがとうございました。いただいた御意見をどう反映できるかは考えたいと思いますが、1つ、事業者との連携のところでございますけれども、これは「2」の「基本的方向」のところに大きく3つ柱を立てていまして、権利の尊重と自立の促進という話と、経済社会の発展への対応ということと、3本目の柱として、関係者との連携、たまたま(3)にはなっておりますけれども、これも非常に重要な柱だと思っておりまして、そういう意味で位置づけております。書いた趣旨としましては、基本的方向の3本柱の1つだと位置づけております。
その上で、例えば、もっと前段にもってくるべきかどうかということはあると思いますので、また改めて検討させていただきたいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 中村です。これは作成経過のことを質問して申し訳ないんですが、担当省庁等の中に、内閣府の本府が全然出てこない。外局は確かに書いてあるんですが、内閣府本府は、何もこの計画案を出さなかったのか、ちょっと不思議に思うのは、確かに消費者行政は消費者庁という新しい外局ができたけれども、まだ、本府に残っている業務で、消費者関連のことは幾つかあると思うんです。大きい話をすれば、国家戦略とか、行政刷新も含めて本府がやっているわけだし、地域主権とか、男女共同参画とかもやっているわけです。
そういう方面からは、消費者基本計画で、こういうことを盛り込みたいというような案が出てきていないんですか。それとも、あったんだけれども書いていないか、あるいは関係省庁等という言葉に含めているのか、ちょっと御説明をお願いしたいんですが。

○成田企画課長 作成の経緯としましては、各省庁に施策を出してくださいとお願いをしながら、消費者委員会からいただいた御意見ですとか、パブリックコメントでいただいた御意見をその都度投げまして、それを踏まえて検討してくださいということで、各省にその都度お願いをする過程の中で、内閣府にももちろん、お願いはしておりますし、各省から出てきたものを意識的に私どもの方で削除するというプロセスは、今のところは取っておりません。御指摘いただいたことを踏まえて、もう一回相談をしたいと思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 消費者の苦情処理と紛争解決のところなんですが、19ページから20ページにわたって、いろいろなことが書かれているんですが、製品事故の場合なんかは、民間のPLセンターというのが随分ありますし、契約ですと、全くの民間の紛争解決機関、ADR機関があるわけですが、その辺の連携とか、そこで解決したものをどう生かしていくか。皆さん解決しますとおっしゃっているけれども、その後のことがよく見えないので、その辺りも是非検討していただきたいと思います。
それから、19ページの90番のエステティックのところなんですが、ここがやけに細かく書かれています。このように書くのであれば、例えば経産省がやっている冠婚葬祭とか、結婚相手の紹介サービスなども、書けるのではないか。各省庁が出してくるのを待つだけではなく、こちらからも是非出してほしいということを言っていただきたいと思います。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんか。
それでは、本日もまた、さまざまな意見が出されましたので、消費者庁におかれましては、ここで出されました意見をしっかりと持ち帰って検討していただき、基本計画に反映させていただくようにお願いいたします。
また、消費者庁ではパブリックコメントを実施するに当たって、その期間を十分に確保するために、近日中にパブリックコメントを実施されるという話を伺っております。そこに寄せられます国民の皆様の意見を十分に反映させていただきたいと思いますし、委員会におきましても、更に今後も引き続きまして、基本計画策定に当たって意見を述べていきたいと考えております。

○山口委員 済みません、スケジュールはどうなのか、それを最後にきちんとはっきりさせていただきたいんですが、いつからいつまでパブリックコメントをやって、最終的な成案をいつごろ公表、とりまとめて、閣議に提出される予定なのか。

○松本委員長 お願いします。

○成田企画課長 まず、パブリックコメントの募集でございますけれども、できれば、来週早々に始めまして3週間程度御意見をいただきたいと思っております。それをまた集約いたしまして、反映できるものは反映いたしまして、消費者委員会の方にも御報告して、更に御意見を伺うというような作業を進めた上で、来年度からの計画ではございますので、可能であれば年度内に決定したいということで、作業を急いでいきたいと思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。

≪3.「消費者安全の確保に関する基本的な方針(案)」について≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移りたいと思います。
消費者安全法に基づく消費者安全の確保に関する基本的な方針につきまして、既に第4回の委員会及び第11回の委員会におきまして、消費者庁から検討状況を御報告いただき、委員会として、その検討内容に意見を述べてまいりました。
本日は、これまでの議論も踏まえた、現段階の素案につきまして、消費者庁より御説明をいだたき、委員の皆様の御意見をいただきたいと思います。
これにつきましても、まず、消費者庁の成田企画課長より御説明をお願いいたします。

○成田企画課長 それでは、消費者安全法に基づき内閣総理大臣が定めることとされている「消費者安全の確保に関する基本的な方針」についてでございますけれども、昨年12月21日の消費者委員会に案をお示しいたしまして、御審議をいただいたところでございます。
本日は、当日いただいた御意見を踏まえまして、修正した案、これが資料2-1(PDF形式:150KB)でございますけれども、これを作成いたしましたので、まず、変更点を中心に御説明申し上げまして、御意見をいただきたいと思っております。
また、資料2-2(PDF形式:122KB)といたしまして、前回いただいた御意見と、その対応状況についての資料も御用意しておりますので、併せて御参照いただければと思います。 まず、「基本的な方針」の構成でございますが、第1から第5までの構成については変更しておりません。
前回からの変更点でございますが、2ページの上の方でございますけれども、委員会の方から事業者による適正な事業活動に配慮しつつというような点が余り触れられておらず、もっとWin-Winの関係を図るということを入れてはどうかという御指摘をいただきましたので、2ページの2行目から4行目まで記載の追加をしております。
また、基本方針について必要があれば見直すということ、基本方針の変更について、知事が提案することができるということですので、知事の意見を聞くということについても書くべきという御意見がございましたので、そういった内容つきまして、「第1」の最後に、「また、」からの段落を追加しております。
「第2」の関係で、「支援」と「援助」の関係の用語を整理するようにということがございましたので、支援という用語に統一をしております。
4ページの下の方「また、」からの段落でございますけれども、消費者庁で収集する情報について、消費者安全法に基づく情報以外についても触れるべきではないかという御意見がございましたので、「消費者庁は、」の後に一言追加しております。
5ページの上の方でございます。国際連携にも触れるべきという御指摘がございましたので、その旨を追加しております。
5ページの「(2)情報の発信」の2つ目の段落で、「行政行為」という言葉を使っておりましたが、これは変えた方がいいのではないかという御意見をいただきましたので、3行目の「行政の対応」という表現にしております。
その下の段落でございますけれども、わかりやすい情報公表だけではなく、どうやって高齢者、障害者、子どもたちに情報を届けるかということを記載すべきであるという御意見、情報の発信、公表のルールを統一すべきという御意見がございましたので、そういった趣旨を踏まえて表現を少し追加しております。
5ページの下の方から始まります、「第2の3の(1)」の部分と、6ページの下の方から始まります「第3」の部分は、措置要求の関係で、表現が重複している部分があるので、整理するようにということでございましたので、これは少し整理させていただいております。
6ページの「(2)」でございますが、「すき間事案」について「すき間事案」かどうかがはっきりしていない段階での初動をどうするかがポイントだという御指摘をいただきましたので、少し表現を追加しております。
6ページの下、「4 その他」についてですけれども、「活用」という語が2回出てくるので整理するようにとの御意見と、都道府県との関係で「積極的な参画を要請する」といったような表現を使ってはどうかという御意見をいただいておりますので、そういった修正をしております。
それから、全体的にもう少しわかりやすくという御意見をいただきまして、例えば「ものとする」という表現を改めるというような修正を少しさせていただいております。
そのほかに、例えば「第5」の部分をもう少しふくらますべきではないかとか、リコール制度やPL法の見直しについても意識した書き方にすべきではないかというような御意見をいただいております。こういった点につきましては、「消費者基本計画」の方の表現をどうするかというような検討も併せまして、また、御意見をいただきながら検討していきたいと思っております。
本日、この新しい案について御意見をいただきたいと思っておりますし、また、基本方針案につきましても、「消費者基本計画」と併せてパブリックコメントの募集を行っていきたいと考えておりますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 5ページ(2)の情報の発信について、前回、意見を申し上げ、修正していただきました。どのようにということが、やはり非常に大きな問題で、確かにわかりやすい情報公表となるように努めるというのは、その通りなんですが、この情報が本当に必要なところに、どうやって届けるのかということが書かれていません。どういうふうにしてという点を、もう一歩踏み込んで書いていただきたいと思います。
わかりやすい情報公表というのと、きちんと届けるというのは、ちょっと違うので、その部分をもう少し明記していただきたいと思います。

○松本委員長 成田課長。

○成田企画課長 「効果的な媒体を用いて」という表現は、一応、入れてはいるんですが、私ども検討しますが、何かお知恵があれば、是非、拝借したいと思います。

○松本委員長 恐らく媒体という形以外でのことを、佐野委員は考えておられるのではないかと。例えば高齢者の見守りの関係者が直接訪ねていくだとか、そういう最後は人海戦術になるような形で届けなければならない方が、今後は増えてくると思われますから、そういったことだろうと思われます。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 ちょっと細かい用語の問題で気になり出したので、4ページの上から2行目、情報の「集約」という言葉が使われていて、中身の文章を読んでいくと、下の方の段落、情報の「収集」という言葉が出てきて、後ろの方も、ほかのところも大体「収集」という言葉を使っているのが多いような気がするんです。日本語としては、「集約」というと、何か物事を整理して1つにまとめるという意味合いがあるので、要するにここはどんどん集めましょうと、集めた上で分析しましょう、そして発信しましょうというところにつながっていくんだと思うんですが、「集約」という用語は余り適当ではないんではないかと。「収集」でいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○成田企画課長 法律の用語等も確認しまして、整理させていただきたいと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見はございませんでしょうか。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 2ページから3ページのところの第2章のところですが、消費生活相談と事務の実施というところの3ページの後ろの方に行きまして、集中育成・強化月間としてされているという今年、地方公共団体への支援の一環として、活性化基金の活用を促しているところであるが、国は先を見据えた支援を行っていくということですが、これが、すごく抽象的に見えますので、例えば今の基金の使い方だとか、そういうものについて、見直しをするとか、そういうことは書いていただいた方が先を見据えた支援につながるのではないかと思います。非常に使いづらくて、お金が70億くらいしか使えないような状態になっております。今回、専門相談員にかなりの方が合格されていて、それはいろんなところで養成講座を受講された方たちがいます。
現在、この基金を使って、講座を使っていらっしゃるところでは、なかなか今年度の受講について間に合わなかったということですが、伺いますと、かなりの方が消費生活センターとか相談員に非常に関心をもっていらっしゃいますので、今後、来年度、再来年度ありますから、見直しという言葉を少し入れていただいた方が使い勝手がよくて支援をしていただけるというふうに思いますので、その辺、ちょっと文言ですが、御検討いただければと思います。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 お役人の文章なので、なかなか読んでも頭に入らないんですけれども、私自身、今、一番深刻な問題は、お年寄りが安心して生活できない社会といいますか、私も団塊の世代なんですが、これから恐らく団塊の世代は、将来が不安で不安でしようがないという社会をどうするのというところだと思うんです。
ちょっと具体的に言わせていただきますと、確かに振り込め詐欺は減りましたけれども、今度は、劇場型の未公開株などで、昼間お年寄りしかいない自宅に訪問販売あるい電話勧誘でもやたらめったらA社の株を持っていませんか、A社、B社の株を持っていませんかと、逆にその後、A社の株を安く売りますよという勧誘があって、お年寄りはたぶらかされている。
たぶらかされる最大の理由は、やはりおはこの2,000万、3,000万の退職金、あるいは1,000万かもしれませんが、銀行に預けても零コンマ零何%という低金利。したがって、やはりどこかにもう少しいい金利がないのかと思っているところにおいしい話が来るものだから、つい乗ってしまう。
しかも、おはこのお金を払って、老人ホームに入ってみたところ、要介護になったら出ていけと言われて、ほとんどお金が戻ってこない。あるいは1割くらいの老人ホームが倒産して預けたお金が宙に浮いてしまうという。あるいは病気になったときにどうなるのかも含めて、六十そこらまで真面目に社会人としてやってきた人が、今後、10年、20年、どういうふうになって死んでしまうのか、不安で不安でしようがなくて、逆に言えば、消費行動に結び付かないで、このために景気も浮揚しないというような、ちょっと大げさかもしれませんが、そのくらいに大きな問題だと思うんです。
したがって、何かスローガンとして、やはりお年寄りといいますか、高齢者が安心して生活できるような日本をつくりますというぐらいのきちんとしたことをどこかに書いてもらいたい。よく読んでみると、高齢者という言葉がところどころで出てくるなという感じがあることはあるんだけれども、何を目指そうとしているのかが、きちんと出てこないというところがありますので、是非、そこら辺は検討をお願いしたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○成田企画課長 今、いただいた下谷内委員の御意見と山口委員の御意見につきましては、基本方針にどういうふうに書くかということと、基本計画に個別の施策としてどうやって書いていくかということを、併せて検討しまして、また改めて相談させていただきます。

○松本委員長 恐らく高齢者問題は、消費者問題の視点からアプローチできる分野も一定ありますが、それを超えた分野の方がむしろ大きいんではないか。年金の問題、医療の問題、介護の問題、住宅の問題、言わば日本国政府が総力を挙げてやらなければならないような問題だと思いますので、それをここにすべて書き込むというのは、実際は難しいと思うんですが、そういう国全体としての高齢者政策の中で、消費者政策としての高齢者の安全の確保をどこまで頑張るのかというような感じで、書き込めれば書き込んでいただきたいと思います。
ほかに御意見はございませんか。
ありがとうございました。それでは、こちらの基本的方針につきましても、本日の委員の意見等を踏まえまして、反映させていただくようにお願いいたしたいと思います。
また、消費者庁といたしまして、先ほどの消費者基本計画と同様に、この基本方針につきましても、これからパブリックコメントを実施されるというふうに伺っておりますので、パブリックコメントを通じて、国民の皆様から寄せられました意見も十分に反映していただきたいと思いますし、委員会といたしましても引き続き基本方針策定に当たって適宜意見を述べていきたいと思います。
どうもありがとうございました。

≪4.新開発食品調査部会(第1回)における決定事項の報告≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移らせていただきます。
昨年の12月25日に本委員会の下部組織である。新開発食品調査部会の第1回会合が開催されました。本日は新開発食品調査部会設置運営規定第8条、第2項の規定に基づきまして、田島部会長よりその審議結果の報告をいただきたいと思います。
それでは、田島部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

○田島委員 部会長を務めております、田島でございます。委員長から御説明がございましたとおり、昨年12月25日に開催いたしました部会について、新開発食品調査部会設置運営規定第8条に基づきまして、委員長の同意を得て委員会の議決といたしました。
同条の規定に基づき、決定事項を委員会に御報告いたします。
本件につきましては、昨日、プレス向けに公表を行っております。お手元の資料3(PDF形式:76KB)でございます。
この資料3の報道発表資料、特定保健用食品の表示許可に係る答申についてに沿って御説明したいと思います。
1番の(1)に掲げてございます。一般審査型あるいは再許可品目とは何かというのは、資料3の別添2に御説明がございます。
一般審査型の12品目について審議をするものでございますが、そのうち、12月25日の部会では4品目について審議を行いました。
その結果、「グルコバスター カプセル」、これは日清ファルマからの新製品でございますが、保健の用途の分野が血糖値というもので、しかも包装も形態が瓶であり、また形状がカプセルといった要素を持っております。
このような観点から、どのように表示を変更いたしましても、医薬品としても誤認が避けられないということから、特定保健用食品として認めることが適当ではないという結論に達しました。
次に「麦の葉うまれの食物線維」についてでございますが、これはビタミンKや水分の摂取についての注記喚起の表示の方法について、委員の方からさまざまな御指摘があり、結論に至らずに継続審議ということになりました。
それから、残り2品目の「リズムライフコーヒー 無糖ブラック」と、それから「リズムライフコーヒー マイルドミルク」、これは花王からの新製品でございますが、これは審議の結果、特定保健用食品として認めることとして差し支えないとされております。
このほかの8品目については、部会の下に調査会あるいは食品安全委員会における審議を経た上で、再度部会において審議するとしております。
次に、裏のページでございますが、(2)に掲げてあります44品目でございます。
このうち39品目は、特定保健用食品として認めることとして差し支えないとされました。
残りの5品目、例えば「喜々大麦若葉茶」などでございますが、これはビタミンKに関わる含有量の表示と注意喚起表示について、先ほどの「麦の葉うまれの食物繊維」についての御指摘と同様な結論から、更に検討が必要だということで、継続審議扱いになりました。
ということで、以上、述べましたような部会の審議を踏まえまして、答申が行なわれましたので御報告いたします。
私からは以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。ただいまの御報告につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 今回「グルコバスター カプセル」というのは、いわゆる特保の申請が不許可になった初の事例と聞いてよろしいんでしょうか。

○田島委員 かつての厚生労働省に設けられております、薬事・食品衛生調査会まで上がってきた段階で不許可になったというのは初めてだと聞いております。

○中村委員長代理 それで、やはりこういうものは、前例というか、そういう価値が非常に出てくるので、今後、申請される業者の皆さんにとっても、大きな基準になると思うんです。
ここで問題にされた形状、文章で書かれると、カプセル形状とか瓶とかと書かれても、なかなかイメージしにくいので、できたら写真とか映像、そういうものもプレスリリースでも結構ですから付けておいて、こんな形のものが不許可なんだということがわかるようにしていただいた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○田島委員 事務局と検討したいと思います。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 今の件ですけれども、これを特保にしなかった最大の理由というのは、医薬品等の誤認を招くおそれがあるということですね。今までもそういう判断基準というのは、きちんとあったことですか、それとも、今回そういうことが、初めて言葉として出てきたということか、どっちなんですか。

○田島委員 薬事・食品衛生調査部会の議論は、私は残念ながらちょっと承知しておりませんけれども、そもそもカプセルあるいは瓶という形状でもって申請されたケースというのが非常にまれでございますので、余り議論をしていなかったんだと思います。
しかも、保健の用途が血糖値ということに限りますと、今回のケースが初めてだというふうに承知しております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 カプセルの形状は許可になっているけれども※1、今まで余り申請は多くなかったということ、そのように考えていいわけですね。

○田島委員 さようでございます。

○日和佐委員 その上でなんですけれども、カプセルであるということと、瓶であるということと血糖値が問題とされたわけですが、これが例えば瓶ではなくて、普通の食品の包材や紙箱とか、そういうような形状だったならば、これはOKになったのですか。

○田島委員 それは、改めて御審議していただかないと、ここでは何とも申し上げられません。

○松本委員長 恐らく、一般的なルールをつくるのは、この部会の役割ではなくて、申請された製品について、個別の評価をするということだから、とりあえずは、その製品限りなんでしょうが、そこからある程度一般的な考え方が一定は推測できる可能性があるけれども、100%予測可能というわけにはいかないということだろうと思われます。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
なお、第4回の委員会におきまして、新開発食品調査部会に腎、血圧、代謝、内分泌に関する事項について審議する新開発食品評価第一調査会、それから消化、吸収、免疫、その他、新開発食品評価第一調査会の審議事項以外の事項について審議する、新開発食品評価第二調査会という2つの調査会を設置することといたしました。
参考資料として配付しております名簿のとおり、その構成員が決まりました。新開発食品調査部会設置運営規定、第4条第4項の規定により、委員長が調査会の座長を指名するということとなっておりますので、田島部会長とも相談の上で、第一調査会の座長として寺本民生委員に、第二調査会の座長として山田和彦委員にお願いをしたいと思っております。

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○松本委員長 以上で、本日の議題は終了いたします。事務局より、次回の日程等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 次回日程なんですけれども、誠に申し訳ございませんけれども、まだ、調整中というところで、決まり次第、ホームページ等を通じて、皆様には改めて御連絡いたしますし、委員にもきちんとお話をさせていただきたいと思います。
今日の段階に間に合いませんでした。申し訳ございません。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 消費者庁のモットーといいますか、大臣の指示で新しい手口による詐欺的な手法について、正式名称はちょっと言えませんが、検討するための対策チームが消費者庁と金融庁と警察等で構成されたメンバーでできたということが報道されておりますし、私としてはかねてよりそういう対策が必要だと思っておりますので、これは是非頑張って実績を上げていただきいと思うんです。1つだけ気になりますのは、例えば未公開株の問題1つ取りましても、これは単に現行法を前提に頑張りますというだけでは、なかなか対応ができないんではないかと思うわけです。やはり、次から次から新しい手口でどうやって高齢者をだましてお金をふんだくろうかということを考えている、いわゆるそもそも詐欺師集団が無認可でどんどんと新しい被害を生み出しておりますので、本当に後追いになってしまっていると思うんです。抜本的にどういうふうに制度を改善して、被害者が少しでも出ないような体制にするのか、そこら辺については、消費者委員会としてもきちんと監視といいますか、見守りながら実効性を上げていただきたいと思いますので、その点、事務局の方でも、そこら辺の動きをフォローして是非御報告いただきたいし、言うべき提案は、消費者委員会からも言うべきだと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。

○原事務局長 それも含めて、今、調整しております。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、本日は、これで閉会させていただきます。なお、予定よりかなり早く終わりましたので、また、恒例の傍聴の皆様と委員との間の懇談を少しやろうと思います。
特に新開発食品の問題はわかりにくいところもあると思いますので、田島先生もいらっしゃいますから、どうぞ、御質問等をしていただきたいと思いますし、また、衆議院の特別委員会の末松委員長もいらっしゃっておられますので、もし、時間的なゆとりがございましたら、皆様との懇談にも参加していただきたいと思います。
どうも、本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

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※1 委員会後に事務局が確認したところ、平成22年1月29現在、特定保健用食品の表示が許可された品目のうち、カプセル形状の品目はありませんでした。

≪5.閉 会≫

(以上)