第12回 消費者委員会 議事録

日時

2010年1月14日(木)15:00~

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、
下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
消費者庁 野村消費者安全課長、黒田政策調整課長
社団法人情報技術産業協会 佐々木主査

【事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.家庭用品品質表示法に基づく遵守事項の改正について
3.地方消費者行政強化プランについて
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:72KB)
【資料1】 家庭用品品質表示法に基づく表示の標準「テレビジョン受信機」の改正 (PDF形式:105KB)
【資料2-1】 地方消費者行政の充実・強化のためのプラン(案) (PDF形式:467KB)
【資料2-2】 【別紙】 先導的な取組み事例集 (PDF形式:452KB)
【参考資料】 諮問書(消費者庁) (PDF形式:32KB)

≪1.開会≫


○原事務局長 それでは、時間になりました。今年初めての消費者委員会ということで、またどうぞよろしくお願いいたします。「第12回消費者委員会」を始めたいと思いますので、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、事務局長からもごあいさつございましたが、本年も1年間、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.家庭用品品質表示法に基づく遵守事項の改正について≫

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思います。
昨年9月に消費者庁及び消費者委員会が設置されたのに伴いまして、家庭用品品質表示法が改正され、消費者庁の所管となりました。その第11条に基づきまして、表示の標準の改正・廃止等をしようとするときは、消費者委員会に諮問しなければならないということになっております。
今回、エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく省エネ基準が改正されるため、それにあわせて家庭用品品質表示法の表示の基準も見直す必要がありますことから、1月13日に消費者庁から、参考資料(PDF形式:32KB)にございますような諮問がございました。本日は、この諮問に基づきまして消費者委員会において審議するものでございます。つきましては、委員会で専門家からのヒアリングを行い、委員による審議を行った上で委員会としての判断を示すことといたしたいと思います。
なお、本日は専門家といたしまして、社団法人電子情報技術産業協会テレビネットワーク事業委員会テレビ省エネ専門委員会主査の佐々木弘真様にお越しいただいております。
それでは、まず消費者庁の野村消費者安全課長より説明をお願いいたします。

○野村消費者安全課長 法所管課の消費者安全課でございます。よろしくお願いいたします。
今回、お諮りさせていただくことは初めてでございますが、家庭用品品質表示法におきまして、法第11条で表示に関する品目の指定、現在90品目指定してございますが、この指定や、あるいは表示の見直しをするときには、消費者委員会に諮問することとなってございまして、同法に基づく諮問ということで、今回御審議をお願いさせていただくものでございます。
初めてでございますので、同法の概要を簡単に御説明させていただきたいと思いますが、家庭用品品質表示法におきましては、家庭用品の品質の表示の適正化のために、家庭用品の必要な品目に関しましては指定いたしまして、品質に関わる事項を表示の標準として規定してきてございます。現在、繊維関係で35品目、合成樹脂関係で8品目、電気製品関係で17品目、日用雑貨製品で30品目を指定してきているところでございます。
これら表示に関しまして、商品に関わる変化、あるいは消費やニーズに関わる変化を踏まえまして、適時見直しを旧来から所管省庁において行ってきたところでございますが、今回、消費者庁の方に当該事務が移管されて初めてのケースでございますが、表示の標準に関する改正を行いたいということでお諮りさせていただくものでございます。
今回お諮りさせていただきますのは、テレビジョン受信機の表示の標準に係る事項ということでございます。
改正事項のポイントは大きく2つございますが、1つは液晶テレビ及びプラズマテレビの年間消費電力量の算定方法を使用実態に即した測定方法に変更したいということでございます。
もう一つは、プラズマテレビのフルHDとLEDバックライト液晶テレビが普及していることを踏まえて、対象機種に追加したいという2点でございます。
現在、テレビジョン受信機に掲載されている表示は、資料1(PDF形式:105KB)の一番後ろの6ページ目に参考2として表示例を書かせていただいてございます。現在は、年間消費電力量、区分名、受信機型サイズ、使用上の注意という4つの内容について、おおむね20ミリ掛ける50ミリ程度の大きさの表示をしていただいているところでございます。
それで、今回、液晶テレビやプラズマテレビの普及状況や使用実態が変わってきていることを踏まえまして、以下のような改正をしたいということでございますが、資料では2ページ目以降になります。
1つには、年間消費電力量、1つ目の表示事項でございますが、ここが今までは静止画による測定を、電力量を測定する際に行っていたところでございますが、動画映像による消費電力量の測定を採用したいということでございます。
もう一つは、間もなく地デジが導入されますけれども、地デジが導入されますと、テレビジョン、テレビ受信機におきましては、番組表データ取得機能というものが標準装備されることになりますが、これに掛かる電気消費量に関しても算定式の中に取り込む必要があるということで、年間消費電力量を実態に即した形に変更する必要があると考えているものでございます。
もう一点は、プラズマテレビにおきましては、解析度の高いフルHDという機種が普及してきてございます。また、液晶テレビにおきましては、比較的光度の高いLEDというものをバックライトに採用した機種が普及してきてございますが、これらを対象機種に追加したいと考えているところでございます。また、この対象機種の追加に伴いまして、区分に関する若干の変更を行いたいと考えてございますが、2ページから3ページに記載してございます。特に液晶テレビに関しましては、動画機能の高度化が商品の識別に重要なメルクマールに現在なってきてございますので、動画表示に関しまして、ノーマル、倍速、4倍速という違いが表示上、簡単に見てとれるようにということで、区分の中に1つ、こういう項目を記載するような修正を加えたいということでございます。
一方で、区分が細かくなり過ぎて見づらくなることを避けますために、アスペクト比及び機能に関しましては、廃止する、あるいはほかの項に統合させていただくという修正を加えたいと考えているところでございます。
改正をお願いしたいと考えております内容の概要の御説明は、以上でございます。よろしく御審議をお願い申し上げます。

○松本委員長 ありがとうございました。
続きまして、佐々木様より、今回の表示基準見直しについての御意見をお願いしたいと思います。

○佐々木主査 それでは、JEITAでテレビ省エネ専門委員会の主査を担当していますパナソニックの佐々木です。よろしくお願いいたします。
テレビについては、省エネ法で年間消費電力量の算出方法と基準式を決めていただいて、それに基づいて求められた年間消費電力量は、家庭用品品質表示法に従って表示するように定められております。これまで省エネ法につきましては、消費者の皆さんに的確な情報提供を行うとか、新たな製品の普及にあわせていろいろ改正されてきております。直近では、2006年に液晶テレビ、プラズマテレビの普及が広がったということで省エネ法の対象に追加されて、それに伴って家庭用品品質表示法の対象に追加されております。
今回、先ほど説明がありましたように、デジタル放送の普及に伴う機能の変更とか、新しい製品が普及してきたということで、省エネ法の改正が行われることになっております。したがいまして、今回の改正につきましては、より実態に合った測定法、算出方法になっていると思いますので、それに従った表示の変更という形で御検討をよろしくお願いしたいと思います。以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問、御意見等ございましたらお出しいただきたい。どうぞ。

○山口委員 昨年、私もテレビを買ったのですが、区分名のBAとかBHというものが、この分野、私、全く素人なものですから、わからないのです。もう少し一般の消費者にわかるような表示の方法を工夫していただくということはできないのでしょうか。これを見ても、何をもってBGとかBFと言うのかわからないのですが、どうなのでしょうか。

○佐々木主査 確かに区分名につきましては、この記号、アルファベットだけでは非常に難しいです。テレビにつきましては非常に多機能化していて、それを限られたスペースに表示するのは非常に難しいという形で、まずは簡易に区分名をあらわしておいて、あとは取説等で区分名に対する説明等を行うという形で対応させていただきたいと考えております。

○松本委員長 どうぞ、田島委員。

○田島委員 新しく算定方式を変更するということでございますけれども、従来の算定方式と今回の取り上げた新しい方法で、具体的に同じテレビを測定するとどの程度の差が出るものなのでしょうか。

○佐々木主査 物によっても若干違うのですけれども、今回は先ほど説明していただきましたように、EPG(電子番組表)を取得するときの電力を年間消費電力量に追加するということと、測定方法を動画に変えるという形になっております。より実態に合った形で、平均で10%ぐらい、今回は以前より少し高目に出ております。それでほぼ今の実態に合っているのかなと考えております。

○田島委員 10%程度ということであればよろしいと思います。

○佐野委員 よろしいですか。

○松本委員長 どうぞ、佐野委員。

○佐野委員 質問なのですけれども、家庭用品品質表示法というのは、消費者が物を購入するときに参考にする表示だと思っていまして、ここの説明にもありますように、一般消費者の利益を保護する目的と。ただ、先ほど山口委員がおっしゃったように、私たちに意味が通じない区分ABCがなぜ購入に関わるのか、よく理解できないのです。おっしゃったように、確かに取説を見ればわかるかもしれませんが、購入するときに一々取説は私ども、見ませんので、そのときに果たしてこの表示が消費者にとって利益になるのかというところをどうお考えなのか、教えてください。

○佐々木主査 私が答える内容なのかどうか、ちょっと私も疑問ですが、また的外れかもしれませんけれども、家庭用品品質表示法の概要に目的が述べられていますが、製品により求められるものが変わるのではないかと思います。例えば食品を買うときの表示も多分これに従って表示が行われるものと思います。そういうものは、消費者の方、我々もそうですが、そこに書いてある表示を読みながら買うということになると思います。
しかし、テレビは実際には本体の表示を見て買われる人は少ないかもしれないと思って、その辺は各社ともカタログとかで情報提供するという形で、むしろ逆に、テレビの表示については、場合によっては買うときに銘板を見られる方もあるかもしれませんけれども、もっと違う意味であるのではないかと考えています。これは、私がここで答える立場かどうかよくわかりませんけれども、一消費者としてそういうふうに考えております。

○川戸委員 年間消費電力量というのは、大きさとかによってそんなに差があるものなのですかというところが非常に大きな問題で、買うときに年間消費電力量でもって買うのかというと、大体は買わないのではないか。これが売りになればまた別ですけれども、ほかの電気製品と違って、テレビの場合はこれがそんなに差が出てくるのかが1つ問題だと思います。ないのではないかと思いますけれども、どうですか。

○佐々木主査 最近、テレビについても非常に省エネ性能というものが言われております。これは、セットによってかなり差があります。特にサイズによっての差は、もう原理的に出てきます。大きい方が多くなります。ということで、年間消費電力量につきましてはいろいろなところに表示するようになっている。その一つとして、本体にも表示するということになっている形で、差はあります。

○松本委員長 佐野委員。

○佐野委員 済みません、もしかしたら質問する相手が違うのかもしれないのですけれども、法律が改正されるとのことでテレビをいろいろ見て回りました。テレビの裏に、確かにさっきおっしゃったみたいに20掛ける50ミリぐらいの小さな表示が、一番最後のページに書かれている内容が書かれていました。もともとこれを書くようになった今までの歴史ですか、なぜこういう形になったのでしょうか。もしかしたら課長の方がおわかりなのかもしれない。
例えば使用上の注意というのは、ここに書く必要があるのか。2センチ掛ける5センチですから、大したことが書かれていないのです。こういう表示がなぜ必要なのか。もし書くのであれば、消費者にわかりやすくした区分表示をきちんと書いて、使用上の注意は別途ほかに書くとか、何か工夫ができるのではないか。ただ、今までずっとこの表示をしてきたから、続けてするというのではなくて、もう少し工夫して消費者にわかりやすい表示が必要なのではないか。
取説を見ればいいというのでずっと来たのが、私はちょっと理解できないのです。どこで検討すべきなのか分かりませんけれども、野村課長はどうお考えなのでしょうか。今まで来たから、そのまま行ってしまうのか、ここで議論しなさいと言うのであれば、その辺もきちんと今後のためにも検討していくべきではないか。もしかしたら、テレビだけではなく、家庭用品品質表示法自体、何を表示するべきかというものをもう少しきちんと検討していく方がいいのではないかと思います。

○松本委員長 かなり基本的な問題で、例えば我々が衣料品を買う場合に、シャツの背中に洗濯関係のタグが必ず付いていますね。ああいうものが何のためにあるのかということを考えると、あそこを見てから買うか買わないか決める人はむしろ少なくて、購入した後に役立つ部分が多いのではないか。そうすると、テレビもそれと似ていて、購入するときはパンフレットとか小売店の方の説明で基本的に購入する。しかし、買った後、外箱も取説も捨ててしまった場合でも、この後ろを見れば手掛かりになることが最低書いてあるという意味では役立つのではないか。ただ、適切な選択をさせるためという点は、タグや後ろの表示だけだと効果は非常に薄いのではないかと思います。
もう一つ、小売店が誤った表示をするとか、違った品質のものとして売っている場合に、後ろと照らし合わせれば違うというのがわかるのも、1つ意味があるかもしれないわけで、そういうことがやりにくいようにするために製品本体に付けさせているというねらいも、ひょっとしたらあるかもしれない。衣料品だと、あれがないと本当にわからないですから。

○野村消費者安全課長 法を所管しまして4か月ほどたちまして、基本的に私どもの方に照会がありますのは、消費者というよりは事業者の方からございまして、大体月に100件ございます。こういう表示でいいのかとか、新しい商品を投入するのにどういう考え方をしたらいいのかということでありますとか、あるいはタグを発注した業者が間違えたのでということで自主申告してくるケースとか、事業者の方できちんと表示しなければいけないのだという意識を高めていただく意味において、制度が貢献している部分は非常に大きいかと思います。
ただ、消費者の商品の品質に関する識別に資するようにということでありますので、そこは十分わかりやすい工夫がなされているのかどうかというのは、常に検証は必要かと思いますけれども、例えば今、委員長、御紹介いただいた繊維製品に関しましては、単なるもろもろのウールを集めて織ってあるものと、カシミヤとか選ばれたもので織ってあることが表示されているということは、消費者の品質の識別に役に立っているのではないかと思います。
今回、御審議いただいているテレビジョンのような機能が非常に多機能化しているものに関して、ずらずら書くこともできないので、そこは順列、組み合わせで区分名という形で表示させていただいておりますけれども、余りにも簡略化され過ぎていて、わかったようで結局何もわからないという現象を生んでいないかどうかというのは、品目にもよるのかなと。簡単な記述でも十分伝わるタイプの品目と、これだけ高度化しているような機能を持っている品目とが同じようなことでいいのかどうかも含めて、今までの告示も、また消費者庁で所管した以上は、追々、これは全般的に検討していかなければいけないことだろうと思ってございます。今日、即答させていただくだけの用意は持ち合わせておらないのですけれども、大事な御指摘をいただいているということで、引き続き検討させていただければと思ってございます。

○松本委員長 どうぞ。

○日和佐委員 実は、消費者にはほとんど意味がわからないけれども、ここで審議せよと言われて非常に戸惑っているというのが正直な話でございます。ですけれども、売る側としては、これはメーカーで製造段階で付けられるわけですね。ですから、その性能と記号とが合致しているわけで、売る側としては、この記号を見れば、それがどういう性能を持っているものかということの認識はきちんとできるという仕組みになっているということですね。
ですから、売る側がこの記号についてちゃんと説明できるようにしていただきたい。BTとは何ですかと言われたときに、どういう性能を持っているのですよということについて、きちんと答えられるようにしていただいておかないと、余り意味がない。さっきの洗濯のやり方の表示と同じで、消費者が買った後で何か問題があったときに、裏側を見ればBTでしたということだけだと、修理方法等がわかってもらえるということの役にしか立たないことになってしまいますので、表示されているのですからそれを活かして売るときに売る側がこの情報についてきちんと理解して説明できるように、機能させていただければというのが意見です。

○松本委員長 どうぞ。

○下谷内委員 今、何人かの意見がありましたように、区分ということになると、一般消費者にはなかなかわからない。何のためにこういう言葉が使われているのか説明することとあわせて、別な表現の仕方はあるのだろうかと思ったのです。そうした方がまだわかりやすい。
そして、BAとか書いてあるのは、先ほど来から出ていますように、買った後に修理していただくために、パソコンも、修理については下に書いてある番号を言ってくださいと言われましたので、そういうことを想定されたものなのかと思います。そうすると、消費者のためというより、修理するから必要なのかと思いますけれども、そういうものは、今、日和佐委員からも出たように、小売店の方がどこまで理解されているかというと、私も聞きましたけれども、わかりませんと言われました。ですから、小売店の方もしっかりと理解して、聞かれたら購入時に御説明するとか、販売店自身がそういう態度が必要なのかなということと。
もう一つ、20ミリと50ミリという小さいところ、私などだんだん見にくくなっておりますので、できればもうちょっと大きいものにしていただいた方がいいのではないかと思います。

○松本委員長 製品表示、つまりラベリングの方法自体は消費者にとって非常に重要な問題なので、消費者庁なり消費者委員会として、そこにどういう情報が載るのが適切か、大きさはどういうものがいいか、ラベリング以外の情報提供との関係をどうつなぐかという話は、別途またやっていっていただきたいと思います。本日の諮問としては、そういう枠組みを変えるという話よりは、既存の枠組みの中でこういう形で改正する必要が出てきたので、それについて消費者委員会として賛成していただけるかどうかということですので、宿題の部分は宿題として、今後また検討させていただくとして、本日の諮問については、特に反対であるという意見はないと思います。
これで使えるのかなという疑問が若干提起されているということですが、どういうふうにラベリングが利用されてきて、今後どのようにされるべきかというのは、先ほど言いましたように、また議論を続けたいと思います。
ということで、技術的なところまで理解できているわけではないけれども、省エネ法の改正に伴ってやらなければならないということで、更に新しい測定方法で、より現実に見合った形の消費電力量が出るという御説明ですので、現状より正確なものになるかと思います。ということで、特に御異論なければ、この内容で問題ないという形で消費者委員会としては答申を行いたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。また、佐々木様におかれましては、お忙しい中、当委員会の審議に御協力いただきましてありがとうございました。

○野村消費者安全課長 ありがとうございました。

≪3.地方消費者行政強化プランについて≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移りたいと思います。
消費者庁におきましては、地方消費者行政の推進のために地方消費者行政強化プラン策定本部を設置し、地方の関係者等から幅広くヒアリングを行い、地方消費者行政強化プランの案を策定されておられます。本日は、そのプランの現段階の案の内容を御説明いただき、皆様の御意見をいただきたいと思います。
それでは、まず消費者庁の黒田政策調整課長より御説明をお願いいたします。

○黒田政策調整課長 黒田です。よろしくお願いいたします。お手元の資料(PDF形式:467KB)に従いまして、「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」について説明させていただきたいと思います。
昨年末、プランの概要案と先導的な取組み事例集というものを都道府県に提示いたしまして、先導的な取組み事例を募集いたしましたところ、14団体から提案がございまして、その内容を盛り込んだ上で今日の資料として作成しております。今日、この場で御議論いただきまして、更に一般の方にも意見をお伺いしまして、今月中にはこの中身を確定して公表したいと考えております。
今日、既に大島副大臣の方から先ほど記者会見で発言がございましたが、プランの確定後、直ちに庁内に政務三役をヘッドとする地方消費者行政推進本部を設置いたしまして、これから説明する中身に関連してきますが、プランに盛り込まれました施策の具体化を図るとともに、いわゆる活性化基金の運用のあり方と、消費生活相談体制の充実、相談員の処遇の改善を目指して、現段階の法制度のもとで一体何ができるか、もしくはそれが限界で何ができないかということの整理について、ワーキンググループを設置して検討に着手したいと考えております。
それでは、目次を見ていただければと思います。
全体の構成ですが、1.はじめにで、プランを策定するに当たっての経緯、趣旨・目的等を述べております。
2.基本的な考え方は、いわゆる総論でございまして、全体に共通する基本的な認識、考え方、視点等を指摘させていただいております。
3が各論になっております。各論で、プランとしてどういうことをやっていくべきか、5つほど挙げさせていただいておりまして、消費生活相談体制の充実、法律の執行の強化、相談員の処遇の改善、行政・担当職員の取組みの強化、そして、地域における連携・地域を超えた連携・国との連携の強化という5本の柱でもって地方消費者行政を強化していくべきであるという中身でございます。
このプランの特徴としては、先ほど申し上げたように、事例を募集したということで、全国30か所以上の自治体に対して、私ども策定本部が手分けしまして実際に行ってヒアリング等を行って、先進事例と思われるべきものを集めてきて、そこから課題を抽出して、全体の構成として、それぞれの柱ごとに、まず事例を挙げて、そこから導き出される課題は何か、そして、地方自治体に期待すること、そして消費者庁として取組むべきこというまとめ方で、この報告書をまとめさせていただいております。
時間も関係もありますので、具体的に中身を簡単に説明いたします。
まず、1ページのはじめにで、我々の認識としては、消費生活の現場は地域だということで、地方消費者行政の充実・強化なくして消費者被害の防止や救済、消費生活の安定や向上はあり得ないと考えております。
そういう中で、これまでの現場の実態はどうかということについて見ますと、真ん中から下の方になりますけれども、地方消費者行政については、この10年で予算は約3割減になっておりますし、担当職員の数ではほぼ半減と激減している。こういう厳しい環境の中で、相談の件数はどうかといいますと、ピークから少し減少しているとはいえ、10年間で2倍以上の水準に至っている。しかも、その相談の内容については、複雑化、高度化、長期化という傾向も指摘されているという非常に厳しい実情があるということでございます。
このような地方消費者行政の実情については、この消費者庁設置法等の議論を初めとして、いろいろ中で議論・指摘されておりまして、消費者庁におきましても、昨年11月にとりまとめました工程表の中でも、地方消費者行政の充実・強化を重要な課題の一つとして位置付けております。そこで、先ほど御紹介いただきましたように、プラン策定本部を設置してまとめたということでございます。
2ページ目には、先ほど申し上げたように先進事例をまとめたということを書いておりまして、3ページ目に、そういう中で地方消費者行政活性化基金、「基金」と略させていただきますが、基金について、当面の3年間を集中育成・強化期間として、その基金を使って支援に取組んできたところでありますが、この基金につきましても関係者から見直しの要請などの声も強く寄せられてまいりました。
そこで、こういうプランをとりまとめて、基金のあり方やその執行のあり方を見直すことを始めまして、地方公共団体の取組みへの期待とか、消費者庁として取組むべきことを明らかにしたということです。その下に書いてありますように、国も頑張るし、地方にも頑張っていただきたいという観点からまとめたということです。
4ページに行きますと、本プランは、集中育成・強化期間とされている当面の3年間の取組みを中心としています。こちらの消費者委員会におかれましても、附帯決議において、地方の消費者行政の強化について検討を行うこととされております。そういう御議論に私どものプランも役立てていただきたいと思います。消費者委員会との必要な連携を図りつつ、今後とも取組みを一層強化していきたいと考えております。
5ページで、基本的な考え方として、3つのことを大きく挙げております。
地方消費者行政における国と地方の関係についてですが、地方消費者行政は地方自治そのものであると考えております一方、国の行政としての性格を持つと考えてもおります。国が地方公共団体とともに責務を果たすものであると言えるのではないでしょうか。
6ページに移りますと、地方分権だからといって、これは地方の問題だということで、いわば突き放すのではなく、地方公共団体の取組みを支援するとともに、国としての取組みも充実・強化させていくことが不可欠であると考えております。では、国と地方との関係をもう少し見ていきますと、一口に地方といっても、現場の実情はさまざまとなっております。まず、自治体も市町村、都道府県と重層的でありますし、同じ県といっても、いろいろな条件、経済、人口、財政、面積で相違が見られるということで、地方消費者行政の現場は「重層性」、「多様性」というキーワードで課題を抱えていることを認識することができるのではないでしょうか。
「重層性」という意味では、国と地方公共団体についても、役割分担と相互の連携のあり方が問われております。そういう「重層性」と「多様性」に即して、先導的な事例を踏まえまして、各地域の実情を踏まえたものでなくては、地方消費者行政の充実・強化は図れないと考えております。
では、その充実・強化の視点としては、以下の3つが重要でないかと考えております。
まず、「ヒト」と「人材」とあります。だれが担っているか、どのような人が担っているかということで、リーダーシップとかスキル、経験が重要だと考えておりますし、そこを生かすには首長のリーダーシップが重要だと考えております。
次に、地域における「参加」、「連携」というのも一つのキーワードであります。「参加」というのは単に行政部門だけではなく、いろいろな主体、地域における弁護士会、司法書士会を初めとするさまざまな団体の方々に行政にどんどん参加していただく。もしくは、どんどん連携して積極的に取組んでいくのが必要だと考えております。そういう中で、私どもの期待というのは、地方消費者行政の職員、相談員に加えて、こういった協働して一緒に支えていただける、いろいろな消費者団体や市民団体のみならず多様な関係者・団体などの活動を期待しているということでございます。
次のキーワードは、国と地方の「双方向性」ということであります。消費者庁という仕組みをつくったことで、地方から国に対して情報が上がってくる仕組みができたわけですけれども、それを一方的に国が受け取るのではなくて、受け取ってどうしたということをどんどん国の方から発信していく双方向性が重要だということです。更に、単に情報だけではなく、人、人材も含めた双方向性、交流が大事だと掲げております。
11ページ以降、具体的な中身になっておりますが、5つあるうち、まず最初に消費生活相談体制を充実していくことが重要。四角で囲っている部分が具体的な事例でございます。この辺は飛ばさせていただきます。
例えば課題としては、14ページに行きますと、基礎的自治体の役割としては、きめ細かい相談の掘り起こしが効果的だと言いつつ、小規模な市町村では窓口を設置することはなかなか困難であるという課題もあるということです。ただ、相談窓口の充実の意義としては、件数がないから窓口を置かないという考えもあるのですけれども、逆に窓口を置けば件数が増えてくるという事例も紹介しております。
そこで、17ページに飛んでいただきまして、課題を含めて、まず地方へどういう期待をするのか。ここで集めたような事例にありますように、現行の法制度のもとでも、市長などのリーダーシップに後押しされて、さまざまな取組みが見られております。こういうモデル的な事例も踏まえた相談窓口の充実を期待したいと考えております。まだ相談窓口が設置できていないところは、相談窓口設置、常設化に向けて努力していただきたいと考えておりますし、相談員が1名しか配置されていない公共団体では、複数化、増員を求めたいと考えます。ただ、先ほど申し上げましたように、自治体によってそれぞれ置かれた条件が異なりますので、それに応じたやり方、工夫があるのではないか。
58ページに飛んでいただきますと、そういう事例を紹介しております。例えば、1つの中心的な市に周辺の町村が協働して、中心の自治体が非常に強力に周辺の対応も含めてやってしまうやり方。
59ページには、相互乗り入れ方式で、それぞれ窓口を分担するやり方。もしくは、相談員の方が巡回していくやり方、さまざまな方式がございます。広域連合で、また別の組合をつくって相談を受けるやり方も紹介しております。こういうことも参考にしていただきながら、取組みが具体化していくことを期待している。
そういうことで、なかなか条件によって大変なのですけれども、自治体の条件に応じた対応のやり方としては、例えばこのプランでいえばどういう考え方があるのかということについては、61ページ以降に基礎自治体の多様性に応じた、例えばこういう考え方ができるのではないでしょうかという例を掲げております。小規模市町村ではこう、中小規模市ではこう、大規模市ではこうという事例を掲げておりまして、こういう取組みを参照して具体化していただきたい。
更に、そういう窓口と庁内各部局、関係者と連携して、相談を待つだけではなくて掘り起こしもやっていただければと思いますし、基礎的自治体では小回りもきくし、関係部局がすぐにまとまりやすいという特性を生かしていただいて、消費者問題の救済のみならず、福祉・税務などの関連部局とも連携を図って、生活再建に至るまで支援していくことも期待したいと考えております。
そういう地方の取組みに対して、消費者庁としては、これは全体に係る話ですが、地方協力課を新設することでしっかり地方の支援をやります。顔の見える関係というのは、具体的に顔が思い浮かぶということで、例えば私、政策調整課長、黒田という名前ですが、例えば「政官要覧」を調べれば黒田という名前はわかるのですけれども、では、あの課長はどういう顔だというのが、実際にできるだけ多くの自治体の方にわかっていただくような形で、直接出向いてどんどんプランの考え方等を説明に歩きたいと考えております。また、国民生活センターともしっかり連携して支援していくということ。
相談窓口を置くということはどういうことなのかということについて、市の人事当局、財政当局にもう少し説明できるような情報というものを、しっかり実態から分析して発信していくことも行いたいと考えております。先ほどから申し上げたように、やはりリーダーシップが何においても大事だということですので、地方公共団体の首長に対して窓口の設置・充実を働きかける。
これに対応した基金の運用のあり方についても、検討・整理していくということで、先ほど申し上げましたように、そもそもプラン全体を推進する本部もつくるのですが、その下にワーキンググループを置きたいと考えております。
都道府県のセンターについては、各県におけるセンターの中のセンター・オブ・センターズとしての機能。具体的には、例えば市町村の消費生活センターの相談を受けたり、窓口支援を立ち上げたり、補完機能を持つこと。更に、商品テスト機能の充実も期待したいと考えております。ただ、これにつきましては、各県、フルセットで全部そろえるのはなかなか現実的に厳しいことも十分認識しておりますので、うまく連携していただいて、テスト機能としては充実することを期待したいと思います。それに対して、消費者庁としては、国民生活センター自体の商品テスト機能を充実することも含めて、このような取組みを支援していきたいと考えております。
22ページで、各相談窓口の実情に応じて都道府県・市町村と連携していっていただきたいということです。特に、管内の消費者行政を一体的に推進するという発想で体制を整備していただきたいと考えております。これについては、国民生活センターを通じて専門的な事例研修を行うなどによって、支援を充実していきたいと思っております。
次に、法執行の強化でございます。実際に被害に遭われている方について、そこを解決していくためには、事業者の行為を是正するという法執行の強化が不可欠でございます。25ページ、実情を見ますと、大都市圏を中心に積極的な法執行を行っている地域がある一方で、人材、ノウハウの不足もあるため、都道府県の間でばらつきが見られるということでございます。
これについては、63ページに都道府県における景品表示法、特商法の執行実績を一覧表で掲げておりますので、後で御参照ください。
27ページですが、まず法執行の強化という意味では、法執行は少人数で片手間でできるような事務ではありませんので、職員をしっかり配置して、しかも専任化を図っていただきたいということ。ただ、職員を置いただけでは、本人の努力だけでは限界がございますので、置いたからには研修の機会を充実させますとともに、そもそも法執行するということについての優先度をはっきりして、組織として位置付けを強化していただきたい。更に、実際の担当者のやる気、意識の向上を支える取組みを、職場環境の整備という点で是非期待したいと考えております。
これに対して、消費者庁の執行担当部署に地方公共団体からの行政実務研修員を積極的に受け入れたいと考えておりますし、こちらの東京の方まで来るのが遠いということであれば、先導的な取組みを進める都道府県で受け入れていただくことも可能であれば、そういうことについても消費者庁が仲介役を果たしていきたいということです。更に、研修についても、消費者庁自身が行う研修についても勿論充実をしていきたいと考えておりますし、国の出先の機関とも協働してノウハウの伝達等を図っていきたいと考えております。
国と地方の連携の強化について申しますと、まず地方への期待としては、地域の中の連携、都道府県と市町村、また執行担当者と実際に情報を最初に聞かれることの多い相談員の方との連携、もしくは警察との連携、また地域における弁護士などの専門家の方との連携を強化していただきたいと思いますし、更に最近取引がどんどん広域化しておりますので、地域間での連携、更に全国レベルの話であれば、国との連携というものをどんどん図っていただきたいと思います。消費者庁としては、そういう連携の場づくりにブロックごとに会議を行ったりして取組んでいきたい。
30ページには、食品表示については、具体的に食品表示監視協議会の設置等をしている事例を紹介させていただいております。そのためには、情報のネットワークを強化して、情報の共有化を図りたいと考えております。
5つの柱のうちの3番目は、31ページになります。相談員の処遇の改善ということで、課題としては、全般的に専門性に見合った地位と処遇が確保されていないというのが共通の指摘でございました。
雇用形態等については、32ページ以降に具体的に書いております。地方公務員法上では、特別職非常勤職員、一般職非常勤職員、臨時的任用職員の3つで、特に特別職非常勤職員という位置付けが多いということです。
では、それぞれの雇用形態に関してどういう課題があるかについては、64ページに飛びますが、例えば正規職員としての任用、また別の仕組みとして任期付き短時間勤務職員化というのも考えられますし、これまでの議論では、国家公務員化を図るべきという考え方も示されております。また、委託契約の場合には、その特性に応じた問題点もあるという指摘もございました。
こういう実情を踏まえまして、相談員の処遇の改善に向けて、35ページに飛びますが、当面の対策としては、首長のリーダーシップによって相談員の知識や経験を生かす雇用形態、勤務形態に改善していくことを強く期待しております。消費者庁としては、現行制度において、なぜうまくいっていないのかというものをしっかり分析して、その情報を提供していきたいと思いますし、首長にお願いする以上、私どもとしても積極的な取組みをどんどん働きかけていきたいと思います。この問題については、先ほども申し上げた相談体制と同様、ワーキンググループで検討していきたいと思っております。
更に、研修への参加の確保と研修の充実も期待したい。研修に相談員が参加しやすい職場環境、機会を充実する。更に、機会を増やして内容も充実させて、専門家・関係団体と協力を是非とっていただければと思います。消費者庁としては、これまでも研修機会をつくってまいりましたが、更にITとか、これまでと違った媒体なども積極的に活用して研修の中身を充実させたいと思いますし、地方公共団体による研修を積極的に支援していきたいと思います。更に、地方公共団体の専門家・関係団体と連携がうまくいくような協力を、私どもの方からも是非働きかけていきたいと考えております。
執務環境の改善につきましては、特にいわゆる本課と呼ばれる担当課と相談員の間での情報交換や意見交換などの連携の一層の強化を期待しております。職員の方に関しても一層の専門性の向上を期待しておりますし、多分電話1つとっても、ちょっと変えるだけで生産性も大分違うのではないかと思います。その機器や設備の整備も期待したいと考えております。
消費者庁としては、PIO-NETを更に使いやすいシステムとしていくと同時に、配備展開の拡大を図ってまいりたいと思います。また、相談員の方々が直接相談したいという質問がうまく受け付けられる体制にしたいと考えておりますし、相談員の方々同士の意見交換の場も積極的に設けていきたいと考えております。
5つの柱の4番目でございます。行政・担当職員の取組みの強化、ここでもまた首長のリーダーシップが不可欠ということを認識しております。
45ページに飛びますが、リーダーシップを体現するものとして、一つの例として消費者行政推進本部の設置、すなわち、知事自らが本部長となって関係部署が一堂に会する枠組み、器を置いていただくことを期待しておりますし、市町村のレベルにおきましても、本部といかないまでも、連絡会、協議会などの設置を期待しております。消費者庁としては、こういうリーダーシップを発揮していただくよう積極的に働きかけていきたい。現に福島大臣がいろいろな場を通じて働いていただいております。宮崎県では、福島大臣の働きかけに応じて本部を設置していただいたと伺っております。
職員の研修の充実とキャリアパスの構築も大事だということで、職員による相談員に対する積極的なサポートや、消費者行政担当職員としてキャリアパスというものが構築できることも期待したいと考えております。消費者庁として、そういう取組みに対して研修の拡充や、更に人的交流を強化していきたいと考えます。
最後に、地域における連携・地域を超えた連携・国との連携の強化ということで、これまでいろいろな部分で連携ということが言われておりまして、そこはかなり重なる部分がございますので、1つ、ほかにない部分ということで言いますと、54ページになります。消費者教育・啓発活動の展開です。
教育の現場に向けた関係団体との連携の強化ということで、消費者教育は未然防止という意味でも非常に大事な分野でございますので、しっかり現場につながるような連携をしていただきたいと思いますし、地域の特徴や工夫を生かした消費者教育、啓発活動の展開を期待したい。消費者庁といたしましても、まず効果的な消費者啓発や消費者教育のあり方について検討しつつ、連携の重要性について関係部署に働きかけるとともに、しっかり連携していただけるよう具体化を図ってまいりたいと考えております。
以上、簡単ではございますが、この報告書についての説明を終わりたいと思います。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの強化プランの説明につきまして、委員の皆様から御質問、御意見がございましたらお出しください。池田委員、どうぞ。

○池田委員 このプランそのものは、よくまとめられておるし、それぞれがいい悪いということはなかなかコメントしづらいのですけれども、少し私の思いも説明させてください。
これは、先ほど言われた3年間の取組みについての提案だと思いますけれども、逆にいいますと、今、プランの段階の事例集ということだろう。事例を示すのもいいが、そういうプランを実際やってみてどうか、それからどうなっていくかということが、消費者行政ということでは一番大事なことではないか。むしろ、そちら側に非常に関心を持ってほしい。これは消費者委員会の問題でもあると思います。
そういう観点で、少し私から言いますと、先ほど消費者行政の重層性と多様性という言葉が出てきましたけれども、これは何も消費者行政に限らず、いわゆる行政サービスというものは常に重層性と多様性があるのが当たり前であって、それを今さらながら大きく置くと、国と地方のてんでんばらばらのことを全部聞いていかないといかぬことになるわけであります。考え方としては、こういうことを持つと同時に、現状の中で、3年後には例えばこういう役割分担にしていくとか、そういうものがないと片付いていかない問題ではないかと思います。
特に、今の日本の財政とか今後のことを考えますと、先ほどもちょっとフルセットという言葉が出てきましたけれども、都道府県にしろ、基礎自治体にしろ、それぞれの単位でフル装備の行政が実現することは今後非常に厳しくなるのではないかと思います。そういう現実を踏まえると、ここに幾つかの事例で、地域間の連携とか都道府県間の連携というものに重きを置くようなことに持っていかなければいけないのではないか。むしろ、これから小規模自治体の問題が非常に表面化してくると思います。これは、この文章の中にも出てきますけれども、小規模自治体の行政というのは、すべてがよろず相談的な相談の受付体制を充実することが私は大事ではないかと思いますので、専門性の必要な消費者相談というものは、むしろそちらの連携の方で片付けていくというとらえ方になっていかないといけないのではないかと私は思います。
それから、法執行の強化ということは、私は非常に大事だと思いますけれども、これは消費者庁あるいは我々消費者委員会として、どうやってこういうことで警察ともっと積極的に連携していくかということを、具体的にプランを練っていくことがあるのではないかと思います。それぞれの地方レベルに法執行の強化をゆだねても、なかなか限界があるのではないかと思いますので、法執行を強化するのであれば、それを全面的に強く消費者庁として打ち出すべきではないかと思っております。
それから、商品テストとか消費者教育についても、もう少し民間とか学校の活用というものを意識的に入れられて、さっきのフルセットではないですけれども、現実に警察でも監察医とかもすべて民間、大学の力を活用しているわけです。もっとそういう仕組みを参考にしていかないと、すべてが高度化しているわけですから、そういうテストの高度化に対応する機器をそろえるだけでも莫大な予算が要るということですから、そういうところはもう少し現実的なプランにしていく必要があるのではないかと思います。私からは以上です。

○松本委員長 どうぞ、引き続き御意見を。佐野委員。

○佐野委員 今の御説明の中に、独立行政法人国民生活センターがかなりいろいろな場で出てきています。「国民生活センターによる支援を充実する」と何回も出てきますが、独立行政法人は今の段階では今後決して大きくなるようなことはないです。現実的に独立行政法人はどんどん小さくしていこうという中で、消費者庁は国民生活センターを一体どう考えているのか、どうとらえようとしているのか、そこがよく見えない。ただ、国民生活センターの支援ばかり書かれていてもはっきりしないので、消費者庁として国民生活センターの位置付けを本当に真っ正面からきちんと考えて書いていただきたいし、また国セン自体の人とか人材をどうするべきかというところまで考えていただきたいと思います。
それと同じように、商品テストのことなのですけれども、ここでも国民生活センターの機能の充実を図ると書かれています。現実問題としたら、NITEの方が圧倒的に人もテストの件数も多いわけで、ここではただ商品テストとしか書かれていないのですが、いろいろな種類のテストがある中でどうするのか。ただ国センの機能の充実を図るだけでいいのか、ここに書かれているように国センとNITEの連携強化だけでいいのか。国センにテストの軸足をもってくるのか。附帯決議の中では、国セン、NITE、FAMICを並べて体制整備をすべきと書かれていますので、その辺りをもう少しきちんと書いていただきたいと思います。
それから、30ページの執行のところに情報のネットワークを強化しますというのがあるのですが、執行の中では特商法の執行ネットというものがあるはずなので、それとの関連をどうするのか。ネットをうまく利用して、もっと連携をつくっていくのか。また、PIO-NETもあるわけで、各省庁と自治体ともつながっていますから、それもどうしていくのか。執行の部分では、連絡・伝達のネットワークだけではなく、もう少し具体的に書いた方がいいのかなと思います。
最後に1つ質問なのですけれども、私、知らなかったことなのですが、40ページの一番上の機器・設備の整備と書かれています。これは地方への期待としてあるのですが、ここの2行目、電話相談の録音・記録装置とありますけれども、電話相談は録音しているのでしょうか。これは、センターからの要望なのか、それとも消費者庁として地方への期待で録音しなさいというのか、これはどういうことなのか教えていただきたい。以上です。

○松本委員長 御意見と御質問がありましたから、質問のところだけお答え願います。

○黒田政策調整課長 最後のところですが、ここに書いてあるのは、録音を期待しているというわけではなくて、現にそういうものを活用しているところもある中で、そういうものを整備したいところについては、基金なども是非うまく活用してくださいということです。別に、国として録音を推奨するという趣旨ではなくて、そういうものも活用して、そういうことが相談業務にプラスになるということであれば、基金も是非活用してくださいということ。

○佐野委員 現状では録音している地域もあるということで、それはきちんと消費者に録音しますよということは伝えてあるのでしょうか。

○黒田政策調整課長 はい。

○佐野委員 わかりました。

○中村委員 今の関連質問なのですが、私もさっと見て、例えば21、22ページの、「消費者庁としての取組み」の中に、「(独)国民生活センターによる支援を充実します」、という風に、消費者庁としての取組みにこう書かれていて、商品テストとかいろいろ書いてある。それから、40ページにも「消費者庁としての取組み」の中にPIO-NETのことが書かれている。国民生活センターというのは独立行政法人なので、消費者庁の一体何なのさ、という気がするわけで、人間関係ではないけれども、位置付けというか、関係というものをきちんと書いておかないと非常にわかりにくい。消費者庁の中の一部局なのかとか、読みようによってはいろいろ受け取られるのではないか。ここら辺を、きちっと整理していただきたい。
25か所ほど「国民生活センター」という用語が出てくるのですが、やっていただきたいお仕事が物すごく山のように書かれています。こういうことについては、国民生活センターとよく打ち合わせをして、相手も独立の予算と人員がないとこなせない仕事がいっぱいあると思うので、そこら辺はどういう手当をちゃんとしておられるのか。
更に言えば、プラン全体のために、消費者庁としては次年度予算をどう組み立てて、現行比どのくらいのアップをここで見ておられるのか、その辺もあわせて説明していただきたいと思います。

○黒田政策調整課長 国民生活センターにつきましては、そもそもこのプランの策定本部のメンバーにもなっておりますので、一体的につくっておりますので、当事者として書いておりますから、別にプランを書いて改めてお願いするという事態はなくて、一緒にやっていくということです。
予算については、この段階ではまだ具体的な数字を申し上げるところまでは作業は進んでおりません。逆にこういうプランを踏まえて、今後、予算化に向けていろいろ具体的に検討していきたいと考えております。
独立行政法人の国民生活センターが消費者庁の部局だという誤解が生じるおそれがあるかもしれないという御指摘については、何か工夫できればと思います。

○松本委員長 日和佐委員。

○日和佐委員 全体の感想なのですが、ヒアリングの結果を取り入れて非常に細かいことにも触れている関係で、非常に大部になっています。60ページですか。これ、パブコメに出すわけですので、これを一気に読んでいただくのはなかなか難しいので、ポイントがわかる概要版を是非つくっていただきたいというのが全体的な感想です。
それと、消費者教育に関してですけれども、もう少し事業者も巻き込んでやっていくという考え方を入れた方がいいと思います。事業者は専門的な情報も勿論持っていますし、人材も抱えています。ですから活用して、巻き込んでやっていくという記述を、少し意識して書き込んでいただきたい。
それと、期待するという表現が非常にたくさん出てきます。これは、自らやりますということは言えないので、期待するという表現になっているわけですけれども、今後のことですが、具体的に議論して詰めていくときに、ただ期待すると書いても、期待に簡単にはこたえてくれないと思います。ですから、そこのインセンティブをどのように組み立てるかというのは非常に重要なことなので、是非具体化していくところで、そこは大変重要な観点と思っていただきたいということです。
それと、文言がこなれていないところがかなりあって、これは内容ではないですけれども、例えば「改めての把握を進めました」の「の」は要らないとか、結構そういうところがあります。もう一回読み直して、少しすっと入るように。回りくどい言い方をしているところが結構あります。
それと、6ページの(2)の3行目ですけれども、これはいわゆる生活相談のことを言っているのでしょうか。非常にわかりにくい。多分カットする文章がカットされないで入っているのではないか。「高度化する相談内容についての照会に応じる消費生活センターと」、これは意味が通じない。多分、「高度化する相談に応じる消費生活センターでは」ということではないかと思っています。その前は、恐らく生活相談、行政相談のことを言っているのではないかと思われるのですが。

○黒田政策調整課長 ここは言いたいことは、基礎自治体の相談窓口と都道府県の消費生活センターとでは異なっているという文章です。間にいろいろ挟まっているものですから、ちょっとわかりづらいのかもしれません。物すごく短く言うと、基礎自治体の相談窓口と都道府県の消費生活センターとでは、目的は同じであっても直面している課題やそれらの解決のあり方における重点は異なっているという文章でございます。

○松本委員長 下谷内委員。

○下谷内委員 これを拝見いたしまして、かなりわかりやすくなっているのではないかということがあります。ただ、余りにも量が多いもので、例えばこれからパブコメを求められますが、5年前の基本計画のような概要版をつくっていただくと、現場の者たちが、ここを見て、その次という感じでできるのではないかということがあります。
それから、9ページの国と地方の双方向性ということで、とても賛成することではありますが、できればここにお金が付くような表現が入って、全体的に難しいので、この辺りで入れていただくことも。お金と直接は入れられませんけれども、もう少し強力な、さて、どんな言葉がいいのか考えているのですが、なかなか浮かばないのですが、ああ、よかったと相談員が思ってくれるような表現が必要なのかなということが1点。
それから、国民生活センターのことがたくさん書かれていることに関しましては、現場の相談員にとっては非常に期待するものでありますので、この支援を充実しますとか、いろいろ書いてあります。それを実際、実行に移されるように、人員も大していらっしゃらないところではありますが、多分こういうふうに書かれるということは、今後、人員も増えていくのかなという気がしないでもないので、現場の相談員としては非常に期待を高くしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。全体的にそのような流れで、以前から見たらわかりやすくはなっておりますので、よろしいのではないかと思います。

○黒田政策調整課長 国民生活センターについて御指摘が多いので、1点だけ補足させていただきますと、国民生活センターの体制のあり方そのものについては、別途、工程表でも、そのものを議論する、検討していくことにしておりますので、同時並行であわせてやっていきたいと思っております。

○下谷内委員 今、国民生活センターは来年度の事業計画のようなものを出されましたね。21年度と22年度の表があります。それを拝見しますと、相談員の養成講座を地方でたくさんするとなっていますので、そういうものが出されているのであれば、やはり早いうちに是非検討していただければと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 労作だと思います。私ども消費者委員会で昨年末、論点整理したところでも余りにもいろいろな問題があって大変苦労したのですが、消費者庁のプランとしてはやや総花的すぎて、先ほど池田委員も言いましたけれども、3年間で目標数値をどうするのかというところが必ずしもはっきりしていないところがあって、もう少し具体的に出していただけないかという感じがします。
例えば消費者委員会で地方行政の実態について調べたところ、PIO-NETの設置箇所が、平成20年度末は約480か所ぐらいだったのが、23年末には860か所ぐらいと、消費者委員会の事務局の資料ではなっております。これでいいのか、それとももっと増やす方向なのか。あるいは、週4日のところにはPIO-NETを設置するとなると、具体的にどのぐらいの設置数になって、それをどう目指すのか、PIO-NET1つとっても予算が非常に掛かり過ぎるとか、いろいろな問題があるのですが、具体的に数値目標は難しいかもしれないけれども、ちょっと何か考えていただけないのか。
あるいは相談員の処遇改善も議論すればするほど難しくて、一般的に改善しろと言っても、要するに配偶者控除の枠内で働ければいいという相談員の方もおられて、なかなか難しいと思うのだけれども、多様性に応じて改善しますだけでは、消費者委員会の論点整理と余り変わらない感じがして、具体的にどうするのか、その辺少し切り込んでいただけないのか。
そういう観点からすると、これは委員の中でも異論があります。例えば資格制度の問題も、長く関わってこられた下谷内さん辺りは、これは統合するのは歴史的ないきさつもあるから難しいとおっしゃるけれども、私などは外から見ていて、何で一本化しないのか。一本化して資格制度をつくれば、処遇改善にも結び付きやすいのにと思うのです。これを直ちに今、消費者庁の方で方向を出すのは難しいのかもしれませんが、なるほど、3年後にはこうなっているなという何か見えるものができないのかと思いました。いろいろあって大変だと思いますが、読んだ人が、なるほど、消費者庁はここまで目指しているのだということがもう少しわかるように努力していただけないかと思いました。

○黒田政策調整課長 ちょっといいですか。御指摘、ごもっともな部分が多いと思います。
まず1つ、実際に作業していて思ったのは、この段階でそれぞれ全部の課題について方向を出すには余りにも期間が短い中でまとめております。ですから、このプランでもって全部最終的に終わりで、後はまた別の仕事をやるという感じでは全然ありません。
とりあえず、この段階でまとめたものはここで出して、総花的とおっしゃいましたが、更に私どもとしては、この中でも特に基金の運用のあり方とか、相談体制、先ほど御指摘いただいた相談員の処遇改善については、全体を推進する本部の中にも、その2つについてはワーキンググループを別に置いて検討する形で、そういう意味ではある程度めり張りを付けさせていただいておりますし、先ほど御指摘があったPIO-NETにつきましても、これから実際に方向性としては使い勝手をよくする、システムを改善する、更に範囲も広げるということでございますので、予算要求の作業の中で具体的に考えていきたい。そのために地方消費者行政推進本部を設置して、池田委員の御指摘も踏まえて、その数値目標も途中でできることであればやっていきたいと思いますし、まずここの段階ではとりあえず出して、更にこれを具体化するよう引き続きやっていきたいと思います。
また、事例についても、最初の方でございましたように、ここに載せている以外にももっとこういうものがあるというものも当然あると思います。そういうものも期待して、先ほど申し上げたブロック会議のような場でも出していただくとか、このプランを今後ともどんどん進化させていきたいと考えております。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 いくつかあるのですけれども、まず全体的に見まして、いろいろ苦労されているだろうなと思いながら文章を拝見しました。
5ページ目からの基本的な考え方のところで、国と地方の議論をやや教科書っぽく一生懸命書かれていますが、例えば消費者行政について、国の行政としての性格もあるのですよみたいなことをわざわざ書いているということは、これは書いておいた方がいいという御判断が背景にあると理解してよろしいわけですか。期待するという言い方がいいか悪いかという御議論もありましたけれども、そこら辺は国の行政の悩ましいところで、期待するぐらいしか言えない、言わせてもらえないというのがあって、そういう背景の中で書いておられるということでよろしいでしょうかというのがまず1つです。

○黒田政策調整課長 ほかにも見合いの話が出てきますが、趣旨としてはお見合いにしないといいますか。ここでは6ページで、お見合いというよりは突き放すという表現にしておりますけれども、地方消費者行政ですから、勿論地方自治であるのですけれども、当然国として、後でまた一緒に頑張るという趣旨でも書いていますし、そこはあえて書いている。わかり切った議論かもしれませんけれども、我々のしっかりやりますという問題意識を明確にしたかったということでございます。

○櫻井委員 背景があるというよりは、自分の気持ちとして整理しておきたかったということですか。

○黒田政策調整課長 ピュアに書いております。

○櫻井委員 そうですか。それで、政治的には、地方にもやってもらいたいときに、僕もやるから君もやれと言わないと実際には動いてくれないのと、旗自体が振れないことがあるので、そういう点については随分一生懸命苦労して書かれているという雰囲気は感じて、おもしろいなと思って読みました。
それで、ちょっとよくわからないのは、いろいろあるのですが、消費者行政の要諦というのが私はどのあたりにあるのかというのがいま一つよくわからないのです。1つは、悪質事業者を取り締まるというきつい部分があると思います。もう一つは、ここの委員会の議論でもよく出てくるように、消費者相談のようなことをどう拡充していくのかという議論があって、相談の話というのは、悪質事業者を取り締まる云々の議論とは次元が違います。よく安全・安心の議論はありますけれども、安全性確保の問題と安心感を与える問題はレベルが違うとすると、やや情緒的なところもありつつ、人々の不安感を取り除いたり、すぐ相談できるという安心感が大事だったり、それからひどいことにならないうちに初期の段階で対応し得る、オープンにしておくという意味で、相談というのはいろいろな機能があると思います。
全然違う次元の話が2つあって、全体としては相談的な部分、消費者の方の感覚的なところに近い議論が割合なされており、このプランも実はそこを大分意識されている感じがして、それもそれとして重要だと思います。
もう一つは、そのコアの部分というか、きつい部分についてきちんと対応する必要があると思います。それは現場での話でもありつつ、空中戦といいますか、動かせる前提としての法制度がちゃんとあって、本当に悪質な事業者に対して権限発動できるかどうかという部分がないとちょっと虚しい感じがありまして、そのところの議論が余りないのではないか。相対的に薄い感じがしておるところであります。
具体的に言いますと、執行の議論がありましたけれども、23ページ以降に法執行の話が出ていて、それで25ページぐらいからちゃんと権限を発動しろと、そのためには人材が必要とか専任化を図れとか、いろいろ書いてあるのですけれども、どうやったら権限を発動させることができるか。法執行を行政手段も含めてどうさせるかといった場合に、先ほどの家表法もそうなのですけれども、特商法でも、消費者法全体に特徴的な仕組みとして、申し出の規定があります。権限発動の申し出をするというのが、例えば特商法ですと60条という条文があって、これは問題がある場合には、主務大臣に対して何人も権限発動について措置をとることを求めることができるという規定があるのですが、これが動いているのかということが非常に疑問なのです。
しかも、主務大臣と法律には書いてあるのだけれども、それは68条で都道府県が処理する事務の中に入るのでしょうから、これは法律レベルでちゃんとルールが書かれていないのだけれども、政令で都道府県知事が行うことができると包括的に投げておられる。そうすると、都道府県知事に対して、この申し出も当然係ってくるのだろうということになるのですけれども、まず法律レベルでどこがどういうふうに権限が整理されているのかということ自体がはっきりしていない。これは消費者庁の問題というか国の問題ということになり、自治体に対して、そういう特定の投げられてきた権限について、どう発動するのか、地方レベルで申し出の仕組みというものをどう活用させるのかという発想が必要であると思います。
先ほど事業者を巻き込むという議論がありましたが、まさに消費者自身に申し出るということができるわけですから、それこそ弁護士会とか、ある程度法律の素養があった方がやりやすいと思いますけれども、そういうところを具体的に動かすことがなくてはいけないと考えますが、この辺はむしろ消費者庁の責任の話ではないか。地方消費者行政を充実させるための前提条件をきちんと整理する必要があるだろうということです。
それから、警察の話は確かにあるのですけれども、警察は忙しいのでなかなかやってくれない。今、足りないのは行政的執行あるいは司法的執行の部分でして、そこの部分はそれこそちゃんと国の方が意識を持って、警察ばかり頼られても困りますので、そこのところは行政が自分の力で考え方の整理から始めて対応するという発想がないと、新しい局面が開けないと思っています。だから、全体に地方に連携しろとか増員しろとか言っているけれども、同じことはまさに国自身の問題でもあり、そんな人にばかりいろいろ言っていてもだめだと思います。
もう一つは、地方にそういうことをやれと言うのであれば、これは嫌がる人に無理やりやらせるしかなくて、結構強権的にやらないと多分動かないのです。組織の組みかえみたいな話なので、実現は簡単ではありません。そこは幻想を持ってはいけませんので、政務三役の方が政治主導でも何でもいいのですが、責任を持って、仕組みをつくるのは国の責任ということになると思うので、そこは結構シンプルに結論が出ているところ、とるべき措置というのはかなりはっきりしているのではないかと思いました。以上、コメントでございます。

○松本委員長 今まで委員からいろいろな意見が出されて、質問の部分についてはお答えいただきましたが、意見の部分について消費者庁の側としてお考えを述べられたいことがあればどうぞ。

○黒田政策調整課長 最後、櫻井委員がおっしゃった法執行のことにつきましては、目次を見ていただきますと、3の(1)消費者生活相談体制の充実の後、相談つながりで相談員の処遇改善に行かずに、法執行の強化がここに書いてあるということでもって、かなり法執行が大事だという認識はあるのだということを是非御理解いただきたいと思います。相談員の処遇の改善が3番目にあるということ自体について、いろいろ御意見もあるのではないかと想像したりしますが、こういう場で表現がふさわしいかどうか余りわかりませんが、この微妙な位置に置いてあるところでもって、私どもが法執行がいかに重要だと考えているかを御理解いただきたい。
意見にわたる部分については、個々について一々この場でお答えするよりも、御意見を踏まえまして、今後、本部でしっかり具体化して推進するときに是非生かしていきたいと考えております。以上でございます。

○山口委員 よろしいですか。

○松本委員長 はい。

○山口委員 相談体制の充実の中に、あっせん件数、あっせん割合を増やすというコメントを是非書いていただきたい。というのは、相談員が非常に熱心に何とかこの被害を救済してあげたいということで、業者を呼んであっせんしようとすると、行政の担当職員が何、時間が係ることをやっているのだということで、なかなか一つの事件に取組みにくいという実情をよく聞くものですから。しかも、現実に今、あっせん件数の割合は減っているようです。
だから、相談員による解決能力を強める。勿論研修とか執行能力の強化とも関わる問題ですが、体制の充実の中に相談員自ら事業者との間に入ってあっせんができるような能力と体制と人員、その研修も含めた、それを1行でも2行でもいいですから、一言コメントを入れていただけないかと思います。

○黒田政策調整課長 ちょっと工夫したいと思います。
あと、今のお話で私が実際に伺った話で簡単に紹介しますと、割とそう単純でないといいますか、なぜ県の職員がそう言うかというと、あっせんして案件処理に時間がかかると、その分件数が減ってしまう。件数が減ると、財政当局は結局件数しか見ていないものですから、予算が減る。あっせんをやればやるほど自分で自分の首を絞めるという実情があるという話を聞いておりまして、そういった実態も十分考慮しながら、今後ワーキンググループで相談体制のあり方等を考えていきたいと思っております。

○松本委員長 ほかに。

○日和佐委員 1つだけいいですか。

○松本委員長 どうぞ。

○日和佐委員 2の基本的な考え方の(3)のマル1に、地域におけるヒト、人材が非常に重要で、研修等が重要だということ。これは勿論地域だけではなくて、さまざまな場面で必要なわけですが、基本は人だと思います。消費者行政に携わる人だけではなくて、要するに行政マンの意識を改革するということが非常に重要で、消費者行政は一体何なんだということ。どうしてその消費者行政を今、強化しなければいけないのかということについての意識改革が、担当者だけではなくて、全体に必要だと思います。
そうでなければ、消費者行政はなかなか強化されないのです。片隅に置かれているような状況をどうやって打破していくかということは非常に基本的に重要なことです。例えばヒアリングでも伺いましたけれども、一つの催し物をするというので、消費者団体が消費者行政担当官のところに協力要請に行ったら、そうですか、会場の手当てをすればいいのですね、で終わってしまう。そういうことではないわけですから。かなり進んでいる行政でもそういう受けとめ方であるということは、私は非常に大きな問題があるなと思いましたので、その辺りはきちんと認識していただいて取組んでいただきたいと思います。

○黒田政策調整課長 お時間もないようですが、1点だけ今のご発言で申しますと、今年の年頭の内田長官の訓示の中で、消費者庁のミッションを明確にせよということがございました。これは具体的に、職員の中で自主的に参加を募りながら、消費者庁のミッション、消費者行政はどうあるべきかという議論だと思いますが、そういうことはしっかり議論して、少なくとも消費者庁はこうだというものを示すことによって、全体の気運を高めていきたいと考えております。

○下谷内委員 済みません、期待することだけなのですけれども、今回、これはすごくわかりやすいと先ほど申し上げましたが、今、何人かもおっしゃっていますように、これが上っ面のような感じがする。推進本部をつくられて、ワーキングをつくって、各都道府県においても、そのような動きにして推進本部をつくるということをおっしゃっていますし、今、内田長官のミッションを高めるということも含めまして、今後、ワーキングの中で活発な御検討をいただきまして、それを私たちがまた委員会で4年後につなげているような強力なものにしていただければと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 川戸委員。

○川戸委員 今と同じで、プランはプランですけれども、後のドゥーのところのインセンティブをきちんとやっていただきたいというのが1つ。
それから、そのインセンティブで、さっき予算と法律、どういうものをつくるかというのは消費者庁の責任だと思いますけれども、そこがここには何も書いていなくても、具体的なのは法執行の強化なので、そこら辺は消費者庁として、権限の移譲でもいいですけれども、もっと何かするということを書いていただきたいというのが1つ。
もう一つは、さっきも言った消費者庁の取組みというか、全部、国民生活センターと協働でとしか出ていないのです。1つぐらいしか例外はないのです。そうすると、国民生活センターは何なのだ、どういう組織にするのだ、これが非常に大きな問題になるわけです。ですから、これも改組するのかどうか知りませんけれども、先ほどおっしゃったように独法が縮小しているときに、そんなに過大な期待を掛けていいのか、そこら辺が私たちにとってはとても不安なので、そんなに丸投げをするのではなしに逆に取り込むとか、これは大切だから全く新しい組織にするとか、その辺の意気込みがないと、これだけ丸投げしていいのかどうかという不安を持ちます。

○黒田政策調整課長 済みません、見せかけだけの意気込みになるかもしれませんが、この行政改革が叫ばれる中、消費者庁ができたということをきっちり踏まえれば、最初から独法が縮小するということであきらめることなく、具体的にどういうことができるかというのは、結果はどうなるかわかりませんけれども、考えていきたいと思っております。

○川戸委員 そもそもこれができたときには、福田さんが独法の国民生活センター廃止というものを存続という方向にしたぐらいですから、逆にいえば充実するなり何なりして、協力してやっていただきたいと思います。

○松本委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。非常に多様な意見が出されたと思いますので、本日出されました委員からの意見も十分反映させる形で、今後このプランを充実させて、地方消費者行政の推進に向けた取組みを進めていただきたいと思いますし、また当委員会におきましても、地方消費者行政充実・強化に向けた議論を更に深めてまいりたいと思います。
これで本日用意いたしました議題は終わりましたが、最後に事務局より報告がございます。

○齋藤審議官 地方消費者行政の関連ではございますが、昨年12月にこの委員会に報告いたしました地方消費者行政の実態調査報告書につきまして、その後東京都からデータをいただきまして、都のデータも含めた形で報告書の方をアップ・ツー・デートしております。その内容は、消費者委員会のホームページに載せておりますので、どうぞ御参照ください。
それから、東京都以外でも、一部の市町村で、その後当方にデータをお届けいただけているところがございますので、そういうところにつきましてもデータを含めた形で報告書を随時アップ・ツー・デートし、これをホームページに載せていきたいと考えております。以上、御報告と御紹介でございます。

○山口委員 委員長、よろしいですか。

○松本委員長 はい。

○山口委員 前から申し上げているのですが、未公開株の被害が非常に深刻かつ件数が増えております。実態を見ますと、以前は振り込め詐欺で電話を掛けまくってお年寄りから安直にお金を詐取していたグループが、その振り込め詐欺がなかなかやりにくくなったものだから、未公開株の劇場型の手口にシフトしているようでして、明らかに客観的に詐欺なのだけれども、脱法的な手口で被害を生み出しております。公務員として営々と学校の先生をやってきたような御婦人やおじいちゃんが、あっという間に退職金から何からみんな取られてしまうという事件が多発しています。
これは、消費者委員会の方でも取り上げていただけると思いますけれども、大きく2つか3つありまして、1つは、50人未満の私募債と言われる部分については、いわゆる目論見書、その他開示が必要ないと法をくぐった形での販売活動が、これは1次募集、2次募集、3次募集と、実質は何百人に売っていても脱法でなされている。
2番目には、不招請勧誘の問題。昼間、電話や訪問販売に応じるのはお年寄りがほとんどで、このお年寄りは未公開株が何かはわからないけれども、本当にとらの子の1,000万円、2,000万円が0.何%の低利で銀行に預けっ放しになっているものですから、もっといい金利の商品がありますよと言われると、ついついそっちに集ってしまう。それからどんどん深入りしてしまうという現状があります。
もう一つだけ言わせていただくと、いわゆる浪費による被害の続出を後見や保佐で防止できないという今の後見制度の問題もあるかと思います。消費者庁においても準備はいろいろなさっていると思いますが、是非この場で議論して、一定の提言なり方向を金融庁と協力しながら出せないものかと思いますが。

○松本委員長 今のは消費者庁に対する要望ではなくて、消費者委員会で、こういうものを検討したらいかがかという御提案ですね。

○山口委員 そうです。

○松本委員長 わかりました。では、今後検討を続けていきたいと思います。

○黒田政策調整課長 一応参考までに、たまたま私、政策調整課長がこの件を担当しておりますが、年末、福島大臣の方から消費者庁に、そういった新たな手口の詐欺的商法について、今後どう取組んでいくべきかということにつきまして対策チームを設けるよう指示を受けて、今、関係機関と調整中でございますので、近々具体化を図ってまいりたいと考えております。

○松本委員長 それでは、消費者委員会としても議論したいと思いますが、消費者庁の方としても委員会に対して検討経過等について、いろいろ御教示いただきたいと思います。

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○松本委員長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきますが、今後の予定について事務局から。

○原事務局長 次回は1月29日10時から予定しております。内容については、時間が2週間ほどあきますので、検討したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、本日はどうもありがとうございました。

≪ 閉会 ≫

(以上)