第8回 消費者委員会 議事録

日時

2009年12月1日(火)10:00~11:30

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、
下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
消費者庁 原審議官、笠原表示対策課長

【事務局】
齊藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政の活性化に向けての論点(自由討議)
3.執行部門における情報の取扱いについて
4.食品表示部会設置・運営規程(案)について
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 地方消費者行政の充実強化に向けた論点(案) (PDF形式:15KB)
【資料2】 執行部門における情報の取扱いについて (PDF形式:20KB)
【資料3】 食品表示部会設置・運営委程(案)関連資料 (PDF形式:375KB)


≪1.開 会≫

○原事務局長 おはようございます。まだ少し時間があるかと思いますけれども、委員全員おそろいになりましたので、始めたいと思います。
それから、今日から、以前からお話をしておりました、この消費者委員会のネット配信を始めたいと思っておりますので、ここの傍聴の席に来られない方々、それから、遠隔地の方々にも是非、消費者委員会の様子を知っていただきたいと思っております。
ネット配信いたしますけれども、リアルに今のものをそのまま流すということではなくて、1日、2日のタイムラグが生じますけれども、ネット上から、ホームページから見られるようにいたしたいと思います。
それから、ホームページ上でネット配信をしている期間は、議事録を掲載する期間まで、およそ1か月はかからないと思いますが、急いで3週間ぐらいで議事録を上げるようにしておりますので、その間ということで、これはほかの内閣府のそれぞれの会議にならったような形でホームページ上にアップしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 消費者委員会の大きな仕事として、国民の声、消費者の声を消費者行政に届けるというものがあります。これは一方通行ではなくて、我々委員会の側がどういうことを考えているかということについても国民、消費者の皆様に知っていただいて、それについて忌憚のない御意見をいただくという、そういう双方向的なものとして広報・広聴というものが重要であるという議論を委員会としても従来からやってまいりました。こういうカメラでの記録を見ていただくというのもその一つですが、それ以外にもいろいろやるべきことがあると思いますので、これからもさまざまに試みていきたいというふうに考えております。

≪2.地方消費者行政の活性化に向けての論点(自由討議)≫

○松本委員長 それでは、議題に入りたいと思いますが、委員会ではこれまで地方消費者行政の実態に詳しい方々からヒアリングを行うなど、地方消費者行政の充実について議論を行ってまいりました。このテーマにつきましては福島大臣から検討の要請をいただいておりまして、年内に委員会として何らかのアウトプットを出す必要がございます。
そこで本日は、これまでの数回のヒアリング等を踏まえた論点整理に向けてフリーディスカッションを1時間程度行いたいと思っております。
それで、今回のテーマにつきまして、委員の方々の今までの御意見を踏まえまして、山口委員の方から資料をまとめていただいております。まずは山口委員から御説明をお願いいたします。

○山口委員 おはようございます。委員の中で4人の委員がレジュメを出しまして、種々、議論をいたしまして、実は私の出したレジュメは4枚ほどあったんですが、ずたずたに削られまして、今日配っております1枚物にまとまりました。
難しいのは、消費者庁におきまして、3年間のスパンで、活性化基金の活用も含めた地方消費者行政の充実強化のプラン策定に取り組んでおられますので、委員会といたしましては、その後といいますか、3年過ぎた後、どうなるのかという自治体の不安、あるいは先が見えない状況の中で、消費者委員会として4年目以降の地方消費者行政の充実の在り方について、どういう点を議論し、どういう方向を出したらいいのかということを提示する作業として考えるという意味で、多少難しい部分もありましたけれども、一応、4人の委員の中で議論した最大公約数的なところを論点として提示させていただきます。
簡単に、資料1に基づいて説明させていただきます。(総論)といたしましては、地方消費者行政充実強化の必要性につきましては、だれしも認めるところではあると思います。産業育成を中心としたこれまでの行政の政策を消費者重視に転換していく流れの中で、国においては消費者庁、消費者委員会という新しい組織ができましたが、地方におきましては、消費者行政の優先順位は必ずしも高くないのではないか。社会の高齢化、地域や家庭のつながりの希薄化によってそれぞれ特有の問題が生じておりまして、地域の解決能力を高める必要があるのではないかという観点から、私どもとしては地方消費者行政の充実強化が必要であり、切実なものであるという認識でおります。
次に(各論)といたしましては、とりあえず5つの論点にまとめております。
1番目が国と地方のネットワークの在り方でありまして、消費者行政推進に向けた連携・体制の在り方。これは国と地方行政、消費者、勿論、事業者団体等の関係の団体との連携などの在り方も含めた検討が必要と思われます。
次に、消費生活センター・消費生活相談窓口の整備の在り方であります。これは全市町村対応、広域対応をどう考えるのか。消費生活センター、相談窓口の設置基準を設けるかどうか。これにつきましては、人口比等に基づいて設置基準を、最低ガイドライン的なものを設けたらどうかというような意見も出ておりますが、一応、これからの議論の中でより明確化していったらどうかということであります。勿論、市町村あるいは県単位でやることについての限界もあるだろうということで、例えば既に北九州の4県が連携するとか、先般出ました1都4県の連絡網等がありますが、そこら辺の体制の整備はどう考えるのかということも含めております。
それから、地方ネットワークの組み方であります。特にブロック単位、あるいは県と市町村との連携などもありますが、行政と地元の、例えば警察、消防、病院、それから、商工会議所その他の事業者の団体等との連携も含めたものを射程に入れるべきではないかという議論も出ております。
それから、切実なのは人材育成の在り方でありまして、ここにはいわゆる地方消費者行政に関わっていただく地方公務員の方々に意欲を持って、この地方消費者行政に関わっていただくための体制をどうしたらいいのかということも議論の中に含まれております。
2番目の大きな各論の論点といたしましては、情報の収集・分析及び情報提供の在り方であります。これは必要な情報をどう効率的に収集して、それに基づいて適切な分析をするのか。これにはPIO-NETの設置や有効活用の在り方も含まれますが、勿論、それをどう分析して、それを外に出していくのか、消費者に周知していくのかという観点の議論も必要になるかということで議論しております。
事故原因究明テスト機関の在り方、連携の工夫。これも重要な課題としてあると考えております。
それから、情報の提供、情報の公開の在り方でありまして、現在行われている消費者庁の情報提供、情報公開の在り方も含めて、種々、議論をしていったらどうか、一定の方向を生み出したらどうかということであります。
3番目の大きな論点としましては、自治体による法執行の在り方であります。各県において種々の努力はいただいておりますが、現在の法執行の体制でいいのかどうか。消費者庁には31の法律が所管になっておりますが、自治体については必ずしもそこら辺の整備ができておりませんが、その点についてどうするのか。特にブロック体制、県・市相互の執行面における連携。これは既になされている部分もありますが、それをより確実なものにする方向はどうしたらいいのかということでございます。
更には、専門性の確保。多くの自治体から出ておりますのは、警察OBの登用あるいは活用でありますが、その他、弁護士、司法書士、あるいは心理カウンセラーや精神科医等の専門性をどう活用していくのか、あるいは連携していくのかということも法執行の強化という観点からは必要だろうという議論をしております。
4番目の各論のポイントといたしましては、消費者相談員制度の在り方であります。これは相談員、相談体制への支援を国の方からどうしていったらいいのかという1番目の問題とも絡むわけです。更には相談員の研修、あるいは専門家や国民生活センターによる支援などの在り方。
それから、これはこの消費者委員会、消費者庁の設立の過程でもさんざん議論がありました、相談員の処遇改善の問題であります。相談員の皆さんの中には、現実問題として非課税の配偶者控除の枠内でいいという方もおられますし、やはり、これを生活の糧としているといった方もおられる。いろんな、多様な相談員の関わり方がありますので、そういうものも踏まえた上で、資格制度の在り方も含めて方向を出すべきではないかという議論であります。
最後の5番目は、消費者、事業者、行政の三者協働システムの構築でありまして、消費者の啓発や教育をどうするのか。消費者団体の育成あるいは支援をどうするのか。それから、勿論、ここには消費者の生の声を国の消費者行政に反映させていくためのシステムづくりをどうしたらいいのか。あるいは事業者の声をどういう形で反映させていくのかということも含めて、この5番目の中で議論したらどうかということであります。
ほかにも多くの議論が出ておりますが、とりあえず、現段階で4人の中で議論した中では、こういうポイントで議論したらどうかということになっております。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
この中のそれぞれ大きな項目を5点挙げていただきまして、それぞれについて更に小項目が挙がっております。その小項目についてそれぞれ方向性を示す、あるいは幾つかの選択肢を示すということが最終的には必要になってくるわけですが、本日の議論としては、結論に進むもう少し手前の議論として、今、整理していただきました総論、各論。各論として大きく5つの枠組みの中にこういう論点があるのではないかという整理について、こういうものでいいのか、あるいはもっと大きな論点が落ちているのではないかとか、この論点の中にこれをもっと加えてきちんとやるべきではないのではないかといった、議論の枠組みのところでまず御議論をいただきたいと思います。時間があればもう少し、今度はそれぞれについて考えているところをお出しいただくということにしたいと思います。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 一緒に検討しましたが、最後のまとめは、山口委員にお願いしました。意見ですが、この総論のところをもう少しきちんと消費者委員会の中で検討して書くべきではないか。私は特に、国と地方の一体的連携とか一体的推進というものが必要で、地方分権、地方の実態を重視しないと地方消費者行政の充実・強化はできないのではないかと考えています。その辺もきちんと書いたらいいと思っています。
それから、各論の方で言いますと、私は事故原因究明テスト機関の在り方というものが情報の収集・分析及び情報提供の在り方に入っていますけれども、これは1項目挙げた方がいいのかなと思います。テスト関係は事故原因究明テストだけではなくて、斡旋のためのテストがあったり、それから、比較テストがあったり、また、地域では消費者自身がテストをしながら啓発活動も続けたいという希望もありますので、テストに関してはやはりもっと大きく議論をするべきかなと思います。また、どこに委託するとか、国センでやるとか、地方でやるとか、ここでもヒアリングをさせていただきましたけれども、その点を踏まえて、1項目挙げたいと思います。
それから、2番の「PIO-NETの設置について」というものは、私は「PIO-NETの位置づけ」というような形にした方がいいのかなと思います。消費者庁の工程表では新たにシステムを構築と書かれていますが、どんな新たなシステムなのか、私にはわかりませんが、多分、入力しやすいような形のPIO-NET、ソフトのことを言われているんだと思います。入力しやすくしたらもっと使いやすいし、それから、自治体の方のお話などですと、PIO-NETは結構使っていらっしゃって、悪徳商法とか何か事件・事故があったときに検索するということで、かなり重要度が高いと思うので、きちんとPIO-NETに入力していただかなければならないと思います。もう一つはPIO-NETが設置されていないところの苦情相談をどうやって集めるか。それも情報収集の一つなので、ただ設置すればいいのではなくて、その位置づけをどうするか。それから、その他の苦情をどう吸い上げるかというのが必要かと思います。
それから、自治体による法執行のところで、ブロック体制、県・市はいいんですけれども、すごく必要なのが、国がどうやって支援できるかというところです。国による支援もここに入れた方がいいかなと思います。「国、ブロック体制、県・市相互の執行面による連携」というふうにした方がいいかなと思います。
それから、ここの研修の部分ですが、いろいろ聞くところによると、特商法とか法律によった縦割の研修がたくさんあるので、執行という形で研修をまとめてやるという方が実際に動く方々にはいいのではないかと思います。研修の在り方も必要です。
最後に、もう一つ項目を挙げていただきたかったのが、最後に山口委員がおっしゃった、消費者の声をどうやって反映させるかという点です。やはり1項目別に挙げた方がいいのかなと思います。ここは重要な部分で、直接、消費者の意見が届く行政機関の在り方とか、何かそういう形で、地方の消費者行政、または消費者、いろんな市民団体、それぞれから生の声を聞いて、いかに政策に反映させるかという視点について、1項目挙げた方がいいのかなと思います。
以上です。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 山口さん、御苦労様でございました。
総論的なことで少し意見を述べさせていただきたいんですけれども、そもそも消費者庁設立というのは、先ほどの山口さんの総論にも書いてありますように、消費者重視といいますか、消費者目線の行政といいますか、そういうことから消費者庁というものが発足していると思いますので、私はこの消費者庁というものが、これからのあるべき行政の機関とする、いわゆるベストプラクティス、モデルとなるべきような姿になっていくべきだと思っております。
ですから、消費者委員会というものは消費者庁の行政の応援と監視、支援と監視という責務から、この地方消費者行政の充実という面については、初めて委員会がそういう意見を出すならば、そういう消費者庁支援、消費者庁が目指すべき省庁になっていく、あるいは行政となっていくような視点を強く出すべきだと思います。
それと、地方消費者行政の充実のためには新しい行政のやり方という視点が必要だと思います。新しいやり方の視点というものは、1つは先ほど佐野委員も言いましたけれども、やはり分権という考え方を強く出すべきではないか。具体的に言いますと、自治事務といいますか、自治体に任せる。国が余り関与しないという行政のスタイルを、この行政支援という形でも出ていくべきだ。
それと、より一層、省庁横断的な発想で、消費者庁が一元する。そういう発想のことを強く地方消費者行政でも言えばいいと思っております。
そういうことから行きますと、自治体を見るとき、単に都道府県とか市町村とかという単位ではなく、これからの新しい行政として、より広域的に都道府県を見ていく。最終的には道州制になればいいと思うんですけれども、今、関西とか九州で動いているような広域連携も一つはっきり目指したような消費者行政の充実という視点できちんと言えばいいのではないか。
一方で市町村単位になると、この平成の大合併で非常に大きな、広範囲な市が出ているところがありますから、市町村の枠を超えた、よりきめの細かな単位での支援という視点が必要になってくるのではないかと思っております。
それから、最終的に、この地方消費者行政の充実というものも、首長のリーダーシップが発揮できるようなことにつながっていかなければならないと思うんです。それは最終的には、先ほど言いましたように、自治体の自立性・自主性ということにつながっていくというようなことをきちんと言っていくべきであって、最終的にはこういうことを通じて、より消費者が自立することを目指すということを総論できちんとうたうべきではないかと思っております。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 池田さんの御意見に大賛成です。やはり消費者行政の優先順位は、必ずしも地方では高くないのではないかという疑問系ではなくて、本当に高くないんです。ここら辺の地方消費者行政というものは、これからきちんとつくっていくんだというような心構えでもって、やはり国と地方の役割というものをきちんとここで示す。それから、その上に立って、国が何ができるか、地方は自主的に何ができるかということを、ここの総論のところできちんと打ち出していただきたいと思います。
佐野さんの御意見にも賛成で、やはり消費者と事業者、それから、ここの意思をどう吸い上げるか。ここら辺のところもひとつ別に立てて、是非、項目をつくっていただきたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 山口委員、ありがとうございました。
総論のところにおきましては、今まで述べられた方々と同じに考えております。この消費者庁ができましたときの国と地方の役割については、それぞれがきちんと正確性を持たせてやらなくてはいけないというふうになっておりましたので、そこのところを明確にしていくこと。
それと、この各論で幾つか挙がっておりますが、これについては4年目以降どうするかということで消費者委員会が提言をしていく、勧告していくということになるかと思いますので、そうであるならば、どこかに財源について少し入れる必要があるのではないか。1~5と、もう一つ、6ができるかもしれませんけれども、その中で、それでは、これをどうやって地方自治が確立されて、それぞれの首長がそれなりの判断を求めて、地方の消費者行政を充実していただけるそのためには、やはりある程度の財源の確保が必要かなというふうに思っております。それから、3年間はこの活性化基金ができるけれども、それ以降が一番心配だという地方の声がほとんどでございますので、総論の中で何かそういう見通しみたいなものを入れておけばいいのではないかと思っています。
2番目の情報の収集のところですが、先ほど佐野委員もおっしゃられましたのですが「PIO-NETの設置について」ということですけれども、このPIO-NETというものはもともと相談員が相談をするに際して、全国同じような、公平な被害の救済ができるということの下につくられたものです。その後、いろんな法執行と関連をしまして、経済産業省とかいろんなところとの情報の共有化という形で動いておりますが、この共有化というものは、他の省庁が見ているというものが多かったんです。
ただ、今度は消費者庁の中にそれぞれの執行部門も入ってまいりましたので、そこに入ってくる情報、それから、NITEとかいろんなところの情報があります。それをどのように、このPIO-NETの中に取り込んで情報を共有すべきかということになるのではないかと思います。単にPIO-NETだけではなくて、その下の原因究明機関の在り方というふうにも連動はいたしますが、このPIO-NETについては、そのようにもう少し、いろんな形で情報が収集し、そして、なおかつ被害救済に資することにもなり、更には執行等について運用できるような形にすべきではないかというふうに、その辺のところが落ちているかなと思います。
それから、国民生活センターの比較テストはだんだんなくなっておりまして、先ほど佐野委員も言われましたように、究明テスト機関につきましては比較テストとかそういうものも含めたような在り方が必要かなということであります。
3番目の法執行と、1番目の○の4番目の地方ネットワークの組み方、それから、同じく5番目の人材育成の在り方というものがありまして、大きな3番目に自治体による法執行についてのことが書かれております。大きな1番目にネットワーク、ブロック、市町村といろいろありますが、それと法執行のブロック体制というものをどのようにつなげていくかということも必要なのではないかと思いますので、各自治体におけるそういうブロックの連携の在り方について検討が必要であろうと思います。
先ほど、研修について委員の中から出ておりましたので、そのまま賛成いたします。
それから、4番目の消費者相談員制度の在り方につきましては非常に大きな問題で、国会でも取り上げられましたので、この中はもっと細かくなっていくのではないか。今後、議論の中であるかなというふうに思っております。
以上です。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 総論で是非付け加えていただきたいのは、確かに消費者行政の優先順位は低いです。なぜ低くなってしまったのかという経過について少し明確に記述すると、今後、そこを改善していけばいいわけですので、必要性の明確化がより一層できるのではないかというように思います。
それと、池田委員もおっしゃったんですけれども、消費者と事業者が自立して、双方が自立して、いい関係を保ちながら、なおかつそれぞれの立場を堅持しながら、よい経済社会をつくっていくということも一つ必要なのではないかと思いました。
それと各論で、国センの問題は1つ項目を起こした方がいいのではないかと思います。
そして、これらの各論の1~3辺りを実現させていくために、そして、例の基金の30億円が余ってしまったという状況。勿論、これは人件費に使えない。それから、2分の1ルールがある等によって使いにくいということもあったわけですけれども、地方自治体においては何に使っていいのかわからない。消費者行政とは一体何をしていいのかわからないという、市町村レベルではそういうところがあったわけです。
それから、全国的に見ますと、都道府県レベルでも非常に格差がある。非常によくやっているところもあれば、まだまだという、格差が非常に激しいわけです。そこをどうやって埋めていくかということが基本的には非常に重要だと思っています。
そのためには、地方消費者行政に関わっている人の意識を改革させていくことも重要で、今まで余り重要だと思っていなかった消費者行政がいかに重要な課題であるかという認識を持ってもらわなければ、意識が変わっていかなければ、枠組みだけではなかなかうまく進行していかないというように思います。したがって、地方消費者行政担当者の教育をまずきちんとやるということを、是非、基本的な課題として挙げていただきたいと思いました。
以上です。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 来週、消費者委員会の事務局の方で苦労して調べた各地の状況についての報告があるかと思うんですが、一部資料を見たところ、予算の、特に基金活用事業の問題点が非常に各県あるいは市町村から出ておりまして、大きく4つあるんです。
1つが、3年間の期間経過後どうなるかが不明なので、人員増や給与アップがなかなか難しいと4年目から自主財源を手当てする目途がないために活用事業の資金を申請できない。これが1番目。
2番目には、3年間で消化する基金なので、消化できない場合にどうなるのかが不安で、申請しにくい。したがって、この3年間という期間を5年間に延ばせないかというような希望も出ております。
3番目には、年度決算額と同額しか使えないので、それ以上は返還義務があるということで、この2分の1ルールのために申請しにくいという指摘も出ております。
それから、4番目には既存事業の縮小。ほうっておけば既存事業が縮小されかねないというところにこの予算を使いたいんだけれども、それが使えないことになっている。それから、管理的な事務費にもこの基金は使えないことになっているということで、一番切実な部分でこの基金が使えないというような問題があります。
これは4年目以降の問題とは少し性格が違うので、これからどうなるのか。消費者委員会で4年目以降の課題として議論する中には含まれないのかもしれないんですが、先ほど下谷内委員がおっしゃったような財源の問題から考えますと、非常に自治体にとっては切実な問題なわけです。ですから、これはこれからやる大きな枠組みの議論の中に含めるのか、それとも別枠ででも緊急の提言として、この4点の問題についてはどこかで消費者委員会として提言をしていくのか。そこら辺は別途の議論として、是非、俎上に上せていただきたいと思います。

○松本委員長 消費者委員会としては、恐らく、総論レベルでの方向感がある程度出ないと、今の点をどうするかの部分の答えは出にくいのではないかという印象を今までの議論の中で持っております。
つまり、国と地方の関係がどうあるべきなのか。その中で、情報等の連携とか、研修等の連携とかというものがありますが、一番切実な、財源についての国の支援の在り方がどうあるべきなのかというのは、これは極めて総論的な、大きな課題であって、特に3年目、4年目以降どうなるのかというところとの関係で、4年目以降はこうあるべきだけれども、とりあえず3年間は使いやすいようにどんどん使ってもらいましょうというスタンスでいくのかという辺りがあると思いますから、少し上の方のレベルの、国がどこまで財政的に関与してやるべきなのか。あるいは緊急だから3年間はやるけれども、あとはやはり自治事務なんだからということで、地方の一般財源をいかに充実させるかという、地方分権の流れの中でやってもらうというのが筋なのか。それとも、消費者行政だけは特出しをして、国がもっと直轄事業的にどんどんやるべきなのかという全く違う方向があるわけですが、そうでない真ん中の道を選ぶのかとか、そういう少し高いレベルの方向をやった上で、今、使いたいけれども使えない部分をどうするかという点の議論をした方がいいかなと思うんですが、御意見はございませんか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私は、最終的にはやはり自治事務なので、各地域できちんと消費者行政のための予算を取るべきだと思います。しかし、この10年間、余りにも予算が削られ、今、あっぷあっぷの状態なので、3年間で、この基金だけで何とかしろというのはできないのではないかと思います。もう少し国が自治体を支援した上で、自治事務でやっていただく。3年間ではとても無理なので、もう少し延ばした上で考えるべきではないか。今の段階では、私はそう思っています。

○松本委員長 それでは、櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 今の点から入りたいのですが、まず前提としては、自治事務か、法定受託事務かという違いについては、これは少し言葉が独り歩きしているようでして、地方自治法のもともとの考え方としては、自治事務も法定受託事務も地域の事務であるということで、大きなカテゴリーとしては同じところに入っていて、両者の違いは、自治事務だからどうこう、法定受託事務だからどうこうというよりは、グラデーションの相対的な違いしかないというのが大前提なんです。
だから、そういう意味では結局、地方というのは国の一部なのであり、どんな事務であっても国も関与するし、市町村のみならず都道府県もそれなりに関与していくという割合的な感覚というんでしょうか、そういう形で事務の整理がされているので、そこは少し議論が単純化し過ぎていて、自治事務だからどうのという議論では必ずしもないということはまず前提として申し上げたいと思います。
それで、今、出た地方分権について、地域主権ということを政府が言っていますが、地域主権という言葉は学問的に言うと間違っていまして、主権というものは国家主権と連動している概念なので、言葉の使い方がおかしいという指摘はされているところなんですが、それはそれとして、地方分権だから完全に地方がやったらいいのかというと、そういうことではないということが1つです。
それから、地域ができるかというと、それは事務の性質によるんです。この総論のところに「地域の解決能力」という言葉が出てきて、私はこれがキーワードだと思いますが、地域の問題解決能力というものをどういうふうに高めていったらいいのかという、その実質論から入っていくことが、おそらく重要ではないか。
そういうときに、その前提としましては、それでは地域が処理し得る、もしくは地域が処理するのに適性のある事務とは何かということが次に考えられなければいけなくて、市町村レベルでできるような事務と、都道府県にむしろ適性があるような事務と、それから、国ではないとできないような事務というふうに3段階に分かれるわけです。ですから、そういう方向で、地方分権の議論もスローガンとして言うのではなくて、実質論として議論を整理していく必要があるのではないかというのが総論的な話としてはございます。
それで、総論のところで言いますと、消費者行政の優先順位が地方では必ずしも高くないのではないかというのですけれども、別に国だって高くないわけでして、少しロジックといいますか、表現ぶりをもう少しよく考えなければいけませんで、国の場合には新しい組織ができたということで緒についたという言い方はできるのかもしれませんが、これもまだまだですし、それでは、国と比べて地方は格段に低いかといいますと、必ずしもそうではないので、地域固有の問題としての解決能力と、それから、高齢化とか、地域とか、家庭とか、そんなところが恐らく地域に適性のある事務処理の範囲としては想定できるんだろうというふうに思うので、そういう視点で総論を書かれるといいのではないかというのが一般的なことです。
各論としましては、今の話とも関係しますが、今年の3月ぐらいでしょうか、内閣官房の方で消費者事犯についてどういう対応をしたらいいのかというプロジェクトがあったんですけれども、それは報告書がまとまってあるはずですが、どういう事務を想定するかを考えた場合、重要なのは悪質事業者の悪質さの程度いかんが問題となります。まず広域的に活動するかどうかということと、それから、悪質性も差がありますので、寸借詐欺みたいなことをやっている人たちと、本当の犯罪者集団まであるわけですね。そのマトリックスの中で、自治体ができるような事務というものは比較的軽微なもので、小規模のエリアに限られたようなものが適性がありますし、それから、犯罪者集団みたいなものが出てくることになりますと、これは警察にお出ましをいただかないとできませんし、広域的に活動してくると市町村を超えて広域的な対応をする必要がでてくるということになります。そういう整理というものが恐らくはされないと、地方の消費者行政の守備範囲というものが確定できないのではないかというのが大きなテーマの一つです。
もう一つ申し上げますと、長くなって申し訳ないんですが、もう一つは3番目の法執行のところなのですが、これは山口委員にお伺いしたいと思いますけれども、法執行ということも大変多義的なので、どういうイメージで取られておられるのかということは少しお伺いしておいた方がよろしいかなと思います。
とりあえず、ここで切っておきます。

○松本委員長 それでは、山口委員、今のことについて、どうぞ。

○山口委員 これは、具体的には特定商取引法あるいは景表法に基づく、事業者に対する違反の摘発です。これは法律上、自治体が、県がすることになっているわけですが、これがやはり県によってかなり水準の格差があって、必ずしも十全に執行されていない県もあるのではないか。
それから、例えば消費者安全法22条に対処できる陣容能力をそろえるということで、消費者庁に移管した31の法令を所管する独自の課をつくって、法執行といいますか、消費者庁に対応した形で県の消費者行政をやっていこうという体制を追求しているところや、あるいは事業者指導チームを組織して、特商法、景表法、割賦販売法、消費生活用製品安全法、それから、家庭用品品質表示法及び地元の消費生活条例。消費生活条例では、そういう違反事業者の公表などをしておりますが、こういうものを調整して、執行体制を強化しようとしている県もあるんです。しかし、なかなか人や仕切りの関係で十全の執行がなかなかできないという問題もあります。
それから、事業者指導や事案の公表のマニュアルの整備が十全ではないという県あるいは市町村もあります。そういう関係で、自治体による執行能力の強化をどうしたらいいのか。どういう体制があるのか、あるいは成功した自治体の例を出して、これを教訓にしたらどうだろうかという提案も含めて、執行力の強化という議論として立てたらどうかということです。

○松本委員長 櫻井委員、いかがですか。
どうぞ。

○櫻井委員 それで、この委員会としての出し方というものは、提案をするということですか。提案しても、全然、守備範囲ではないこともあると思うのですが、実現可能性みたいなことはどういうふうにとらえればいいのかという点が気になります。

○松本委員長 それは、具体的な提言の段階でこれを加えるか、加えないかを議論すればいいと思います。こんなことを言ってもだれもやってくれないというようなことを言っても無駄と言ってしまっても何ですし、委員会として言うべきことは言うべきだろう。しかし、実現可能性というものもきちんと押さえて、地方にやれないことをやれというのでは、ある意味では無責任ですから、そういうことも踏まえた上で最終的な提言にまとめたいと思います。
どうぞ。

○中村委員長代理 こういうものをまとめるときには、やはり問題状況の認識というものはまず共通にしておかなければいけないと思うんです。大げさに言いますと、歴史認識をきちっと共通にして、問題整理して意見をとりまとめた方がいいと思うんです。
そのときにやはり考えておかなければいけないのは、今回、国会でこの消費者庁、消費者委員会設置の議論がなされたときに、地方についてはどういう議論がなされたかということなんです。それはやはり、10年前と比べて、今は地方消費者予算が半減している。そういう中で、地方の消費者行政は疲弊し切っている。これを何とかしなければ、霞が関に消費者庁を1つつくっても何の役にも立たない。そこから始まったはずだったんです。ですから、予算も大幅に付けられて、3年間の基金が組まれました。
この辺も、実は予算の組み方が集中育成強化期間という3年の位置づけで、それに向けての予算づけ、言ってみれば消費者センターを津々浦々につくりなさいとかというインフラ整備の方にばかり向いていまして、そこの後にだれが担うのか、どうやって担うのかという辺りが実は十分に議論されていない。そういう中での予算づけであった。それが今、まさに37億円を返上したり、使い勝手がわからないとか、手を出しにくいとかというところに議論が来ている。ですから、そういうところを踏まえて物事を整理していくのがいいと思います。
まず、そういう歴史認識といいますか、そこを1つ置いた上で、それでは地方消費者行政の問題が、今、5項目上がっていますけれども、これを更に細分化したり、皆さんの追加を入れると物すごく課題がいっぱいあるんです。これらをいっぱい並べるのは勿論いいんですが、それを実施、推進、考えていくチームといいますか、どこが、だれが、どういう組織でそういうことを考え、推進していくのかという母体つくり、言ってみれば地方における推進体制づくりといいますか、そういうことも言ってあげた方がいいと思うんです。
前々回でしたか、信州大学の樋口教授は、国から押し付けられても言うことを聞きたくないような発言をされたんですけれども、我々は別に押し付けるわけではなくて、アイデアを1つ示すということで受け取ってもらえればいいと思うんですが、やはりそういうことも示して、既に幾つかの自治体では推進本部というものをつくられておるわけですし、そういうことをもっと全国に広げていただくような方向づけも必要だと思うんです。
それと、やはり地方の現場に行くと、消費者行政に手厚い予算をと言ってみても、財政当局はほかの行政部門とのにらみの中で、おまえのところだけ手厚くすることはいかぬというようなことで抑えられる。人を増やせと言っても、人事当局が同じようなことを言う。そういう状況の中で、やはり今、消費者行政に人と金が必要なんだというところをもう少しわかりやすく説明してあげなければいけないのかなというふうに思います。
そのためには、日和佐委員が言われたように、やはり地方自治体に関わる人たちのトップは勿論、首長さんは勿論、議会は勿論、職員の皆さんも含めての意識改革が非常に重要なんです。そういうものを象徴的に一つ進める手段として、私は思うんですが、消費者庁という構想は消費者目線で活動する一つの行政機関をつくろうという国のアイデアだったんです。私たち、これを日弁連が提案するとき、20年前に海外調査へ行ったときに、実は国だけではなくて、地方自治体の中にも消費者庁的なお役所がある。こういうことを学びました。ですから、地方自治体においても消費者行政全体の司令塔となるような部署を、地方版消費者庁のようなものをつくる。あるいはそれを監視する消費者委員会をつくる。こういうことも含めてのアイデア提供というものも、やはりやってあげた方がいいのではないか。そういう辺りも是非、この中に組み入れた方がいいと思います。

○松本委員長 川戸委員、手を挙げておられますね。

○川戸委員 先ほどのあれで、財政とかそういうことの話なんですけれども、櫻井委員がおっしゃったように、やはり国と地方との役割分担というものはグラデーションになっているわけですから、やはりこれは全く新しい消費者庁という組織をつくったわけです。国の方はそういうふうになっていますけれども、地方は真っさらのところからスタートするわけですから、組織とか人件費、そういうことに関しても、やはり当分の間、3年以上だと思いますけれども、やはりグラデーションを濃くして、国の支援というものを厚くした方がいいと思います。議論がまた元に戻ってしまいましたけれども、そういうことを言いたかったわけです。

○松本委員長 わかりました。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
それでは、どうぞ。

○中村委員長代理 それから、山口委員がさっき最後に言われた、どこまで手を広げるかという問題があるんですが、実はたしか消費者庁、消費者委員会設置法の附則の4項に、地方消費者行政の問題については、国が行う支援の在り方について、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとするというふうに書かれておって、これが政府の責務になっているし、消費者委員会が意見を言うべき部門として、しかもそのスケジュールが法の施行後3年以内にというふうになっておりますので、私は先ほどの問題など、特に国会の議論で積み残しになった地方財政法の改正なども一つの方向性として、我々は法の改正の中身まで緻密に言うことはないかもしれませんけれども、方向性ぐらいは示してあげた方がいいのではないかと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 総論のところでの財源の問題ですが、そこは是非やるべきことであって、先ほど委員長もおっしゃられたように、地方分権にするか、特出しにするのか、中間的なものにするかということですが、今、この3年間で使われているものが非常に使いづらいという問題があります。私たちがやっています消費生活相談でも、3年や5年ではなかなか解決が、被害の救済が難しいというところにもありますので、今回の3年間を延長するような形、あるいは今からこの3年分の基金についてはもう少し検討して、それでお金を今から使えるような形にすれば、多分、4年目以降の心配も、それだったらこれができるのではないかということを考えられるのではないか。
なおかつ、やはりこの4年目以降にも国と地方の役割ということで財源をきちんとどうするかということは、それは首長さんも含め、国も含めて検討すべきことではないか。つくったはいいけれども、さあ、あなたたち勝手にやりなさいと言われても、地方は非常に消費者行政に対しては財源が厳しいのは皆さんも御承知のことですが、そこはやはり委員会が言っていくべきことではないかというふうに思います。
その3点について、今はどれがいいのかというのはなかなか難しい。

○松本委員長 どうぞ。

○山口委員 先ほど委員長の方は、総論に盛り込んだらというお話もありましたけれども、やはり調査の結果を見ていますと、自治体の方でこの基金の使い勝手の悪さというものは出ていると思うんです。そもそもそういうことに関心がないんだとか、よけいな仕事はしたくないとかいう自治体の行政官の意識もあるかもしれませんが、使おうとしても、やはりこれは少し目鼻のきく行政官であれば、3年間は資金援助があっても、4年目以降、資金援助がなくなったときに自治体として、例えば相談員の首を切るとか、あるいは給与を下げなければいかぬということになれば、それはやはり上げようがないと思うんです。
そういう観点からすると、この段階でできるだけ早い時期に委員会として消費者庁あるいは財政当局に、この基金の使い勝手について改善を勧告するのか、意見を提言するのかわかりませんが、少しでもこの基金が生かせるような体制を、4年目以降については勿論、それはそれとしてやるとしても、当面の基金の使い勝手の悪さについて、これは調査結果を踏まえた上でで結構なんですが、早目に出したらどうかと私は思います。

○松本委員長 私が問題提起したのは、例えば3年は短いから5年にしましょう。5年間は使えます。ただ、6年目は使えませんとなると、同じ議論の蒸し返しになるのではないかということなので、それ以降の在り方について、ある程度、方向性を我々として持った上で、そこにつなぐこの期間については特別の措置をということでないと、結局、生活スタイルの見直し抜きに借金をどんどんつないでいきましょうというのと同じような発想になるのではないかということなんです。
長ければ、10年であれば、とりあえず、大分先のことですからどうなるかわかりませんからやってみましょうという気になってしまうのかもしれませんけれども、それはある意味ではまた無責任だと思いますので、そういう意味で、将来のあるべき姿について、ある程度、考え方ができた上で、今、どうしようかという方が、消費者委員会の議論のステップとしてはいいのではないかということです。
どうぞ。

○佐野委員 私はここで、先ほどから出ている職員の方々の研修だと思うんです。マインドを変えていく必要があります。消費者行政は大切なんだということを考えていかない限り、ずっと頼るという姿勢からは逃れられない。今すぐ何とかしろというのは大変だと思いますけれども、やはり基金の使い勝手の悪さを何とかしろというのと同時に、地方の消費者行政の担当の方、それ以外の方々もマインドを変えていくということがやはり非常に重要です。そのためには研修をどうやっていくか。地方だけでなく、国も、消費者庁の方々も是非、研修をしていただきたいと思います。そういうプログラムをつくるというのも一つの方法ではないかと思います。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんか。
それでは、どうぞ。

○山口委員 私ばかりで申し上げありません。2つございます。
1つは、使い勝手の悪さの一つの象徴として、PIO-NETの設置基準が、週4日以上の相談をしている、相談員がいる自治体でなければPIO-NETの設置についての資金援助をしませんという限定になっているわけです。そうしますと、週に1~2回、あるいは2~3日しか相談員がいない自治体においてはPIO-NETにつなげないということになるわけですが、そういう自治体の中には週に2~3日しか相談員がいないからこそ、全国の情報を知った上で適切な対応をしたいんですけれども、予算が取れないというような使い勝手の悪さも指摘されておりますので、そこら辺も含めて、4年目以降の提言も重要ですが、短期的なところはひとつ、議論にのせていただくこともあってもいいのではないかと思います。
もう一つ、とても重要なことなんですが、先ほど佐野委員もおっしゃいましたが、地方消費者行政に携わっております行政官の水準と意欲の向上の一つの視点として、公務員の用語で言いますとキャリアパスの構築ということになるそうなんですが、例えば建築課とか福祉課とか総務課とかいろんなところを、2年、3年のスパンで人事で異動する中で消費者行政を偶然担当することになった地方消費者行政の行政官の方にとっては、これはお荷物でしかないというような感覚になるわけです。そういう方に意欲を持っていただく、あるいは一つのキャリアになっていくという観点からの問題提起としては、例えば消費者行政主事制度などをつくるとかということも含めて、研修も重要なんですが、地方自治体の行政官の水準と意欲を向上するための提言といいますか、そこら辺も一つの視野として議論をしていくことが必要なのかなということは、これは3年目以降のテーマになると思うんですが、一応、提起しておきたいと思います。

○松本委員長 今、おっしゃった第1の点のPIO-NETの配置の問題は、基金から2分の1、自治体が残りの2分の1を出すことによって使えるお金とは別枠だったと思うんです。国民生活センターの方の別途予算で配置しているので、2分の1の負担があるから設置できないとかという話ではないので、少し議論は分けた方がいい。そうなりますと、国としてPIO-NETを国民生活センターを通じて配置している基準が今の在り方で適切なのかどうかということだと思います。
それが適切ではない、もっと小規模なところにも設置できるようにすることによって、消費者保護の水準が全国的に均一化していくんだという考え方に立てば、週4日以上というような厳格な基準が不適切だという方向の議論が出てきてもおかしくないと思います。
どうぞ。

○川戸委員 2番目の点の主事制度なんですけれども、そういうものをつくるのもいいんですが、私はやはり意識改革というものは非常に大切だと思うんです。ですから、そういったキャリアパスではなくて、地方の人たちみんなの意識改革。ある意味では行政というものは、みんな消費者のために行政をやっていると思うんです。ですから、その中の一部門としてこういうことがある。みんなが消費者のために行政をやっているという、そこの根本的な意識改革をしなければ、この人だけに消費者行政をやらせて、それで押し込めて、この人がずっと10年間、20年間、やってもらう。これは逆な意識改革の方向だと思いますので、そこはどうかなと私自身は考えます。

○松本委員長 今の問題はかなり大きな問題ですし、幾つかの考え方があると思いますから、今後、議論をしていきたいと思います。
それでは、今回の第1回目のフリーディスカッションとして、共通の意見もあれば、違う方向の意見もあったと思いますが、かなりさまざまな御意見が出ましたので、それを踏まえて、本日のペーパーを更に充実させた論点プラス、少し方向が見えるような感じのものに、委員の有志の方を中心として更におまとめいただきたいと考えます。ありがとうございました。

≪3.執行部門における情報の取扱いについて≫

○松本委員長 次の議題に移りたいと思います。消費者庁といたしましては、少し前のことでありますが、庁内で1か月以上にわたって行政執行に関わる情報の共有化がなされず、迅速な情報の公開ができなかったという事例がございました。この事例を受けて、消費者庁の執行部門においては情報の公開を含めた情報の取扱いについての検討を進めてこられました。本日は、その検討内容について消費者庁より御報告をいただき、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁の笠原表示対策課長より御説明をお願いいたします。

○笠原表示対策課長 表示対策課長の笠原でございます。よろしくお願いいたします。
資料2に検討の結果、現時点での検討したものを整理してございます。これに基づきまして御説明をいたします。
まず「1 現状」でありますけれども、安全と取引、表示、いわゆる財産被害の問題というものとは大きく2つ分けて扱ってございます。
安全につきましては、事故の重大性に応じて、必要な場合には直ちに注意喚起情報として公表するということでございます。これに対して財産的被害につきましては、法律違反があって、消費者事故であるということがはっきりするということがございますので、法律に基づく措置、あるいは行政指導についての情報として、一定以上の措置、公表すべき措置について公表するということを一般的な対応として取ってきたところでございます。
これを今後、消費者に対する適切な情報提供の観点から、どう見直していくかということについての検討の視点として考慮すべき点を「2 論点」として3点挙げてございます。
まず、その前提として、これは事業者の実名あるいは商品名というものが特定できる形で公表する場合について整理をしておるということでございます。このように特定可能な形で公表する場合については、当該事業者に対する重大な影響がございますので、その了解を得ることなく出すというのであれば、了解なき公表が正当化できる根拠として、違法な行為、あるいは違反を構成するような事実があったことなどがなければならないということであると考えてございます。
また、もし違反行為等の認定に至らない段階で、実名等を特定可能な形で公表するというのであれば、例えば、事業者から出てきた自主申告情報といったようなもの、あるいは返品等の対応情報といったようなものを、了解の下に、そういうものとして公表するといったような形での工夫が必要であるということでございます。
第2点として、公表内容の信頼性・有用性を確保するという観点から、まず信頼性の観点からは、やはり取引・表示事案については、消費者被害をもたらすような不正取引、不当表示ということの判断のためには、そのサービス・商品の実際も含めた確認が、あるいは取引実態というものの実際を確認しなければならないということがありますので、それを行わないままに公表を行うことは、逆に消費者に不正確な情報を提供して、消費者利益に反するという問題が出てくるということでございます。
それから、有用性の観点で言えば、例えば家庭用品品質表示法では、実際にカシミヤを使っていても「カシミヤ」が「カシミア」であれば違反であるというような形のたてつけになっておるということもありますので、こういうものも皆、違反であるという形で公表するということは、逆に他の重要な事案が埋もれてしまうといったような点も考える必要があるのではないかということでございます。
第3点として、公表することが消費者庁の大きな柱の一つである執行に対して悪影響を及ぼさないようにする必要があるということでございまして、実際の問題として、いわゆる悪徳業者については、執行当局が関心を持っているということを察知した段階で、会社を解散して、ほかの会社を立てて同じような行為を繰り返すということが、あるいは証拠を隠滅するというような行動を取る者が多いというのは経験的事実としてございますので、公表によってそのような執行の妨げ、あるいは違反行為の拡散を招くようなことがないようにする必要がございます。
また、自主申告案件につきましても、やはり公表の対応によっては自主申告のディスインセンティブになるということが消費者庁の情報収集力、あるいは事業者自身がその自主申告をきっかけとして改善等をしていくという取組みを妨げることになるという問題点についても考慮が必要だと考えてございます。
以上のような点も考慮しながら、消費者に対する情報提供の在り方として、違反行為について、事業者名等々が特定可能な形での公表をどうしていくかということの基本的な考え方が2ページの3のところで整理してございます。大きく表示と取引に分けております。
表示につきましては「ア 原則」として、違反行為があるということを認定し、公表すべき措置を取った時点で、措置の公表として行うということでございます。
なお、消費者庁にいろいろな法律が、表示関係の法律が移管されて集まったことに伴って、複数の法律の調査・適用ということがございますけれども、その場合には、まとまったものから公表していくということで、全部済むまでは公表しないというような扱いはしない、スピーディーな公表を図っていくことにしたいと考えております。
それから「イ 例外」。これは公表の範囲を広げるという方の意味での例外でありますけれども、1つは自主申告につきまして、事実関係を確認し、違反であることが見込まれるということを確認した段階で了承を得て、自主申告があったという内容等につきまして公表するということを考えてございます。
2番目に、これは現在もやっておりますけれども、アレルギー物質の入っていたときに、その表示が欠落していたという場合についてですけれども、これは安全にも影響する問題でございますので、アレルギー物質が入っていた、それで表示がないという事実が確認できれば、行政処分等々の有無にかかわらず、速やかに公表するという扱いを今後もしていくということでございます。
それから、取引につきましては、先ほど申し上げましたような、違反行為が潜ってしまって、更に水面下で拡散するという問題が非常に大きいということがございます。
したがいまして、違反事実を認定、措置を取らない段階での公表は、原則、行わないということで対応していきたいというふうに考えてございます。
以上が、現在、消費者庁で執行関係・違反関係の事業者名特定情報の取扱いについての整理結果でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見・御質問がございましたら、どうぞ、お出しください。
中村委員長代理、どうぞ。

○中村委員長代理 質問なんですが、これは何か規則的な、法的な形式にされる予定なんですか。

○原審議官 執行担当の審議官の原でございます。
消費者庁で、実際に違反行為についていろいろ調査をして、処分をするというようなものといたしましては、取引関係では特定商取引法というものを中心にやってございます。
それから、表示関係ですと景品表示法、JAS法、それから、家庭用品品質表示法というような形で、あと、電子メール関係であれば特定電子メール法というものが、実際に消費者庁の担当官が事実確認をして法的に処分をするという形でございまして、この場合、従来、当然法律に違反して措置を取ったものは原則公表ということでやっておりまして、その点については消費者庁でも当然やる話なんですが、ただ、いろいろな法律の要件等々が違いまして、実際に情報が入ってから措置を取るまでにいろいろな期間、例えば景品表示法ですと、過去ですと3か月か4か月とかかかったりとか、かなり時間がかかるという場合に、当然、そのときに公表という形以外に、途中の段階で早く公表ができるものというのは、いわゆる消費者の注意情報として有効ですので、そういった観点からやっていくということでございます。
実際上、家庭用品品質表示法と景品表示法の観点から、先日問題があったわけでございますけれども、基本的にかなり軽い処分というようなものは早く事実関係が確認でき、景品表示法みたいな形で措置等々をやっていくという場合については、優良誤認のところの分析というものはかなり時間がかかってくるというような形がありまして、当然、初めに軽い措置を取ると、それで安心して、例えば重いものをやるときに、そこまでやったのにというような部分もありまして、通常は重い、長いところに寄せてという形でやっているわけなんですけれども、それを関係人等々に対しても、あと、こういう表示についての措置をやる場合には取っていただくということを言って、軽い段階で事実があったときにはこれを公表していくというような形で、消費者庁としては運用したいと思っております。
それで、ここはこういった基本方針というものは、別に法律でどうこうとかという形ではなくて、消費者庁の一つの考え方、基本方針ということで公表していくというふうに考えておりますので、具体的に何か、もう少し、通知を出すとか等々とかというような形ではなくて、いわゆる運用ということで、今回もここのところで御紹介させていただいて、ここの資料自体についてもホームページで公表されるわけでございますので、そういったことで考えております。

○中村委員長代理 国民生活センターも、やはり情報提供ということを従来からやっていて、そのときの規定、どういう範囲を情報提供するか、しないかというものをちゃんとつくっているんです。それをつくるに当たって、やはり有識者といいますか、広く知識人を集めて議論した結果でそういう規定をまとめるという手法を取っているんですけれども、消費者庁では今回、こういうものを庁内のルール化をするに当たっては、そういう広く各界の意見を聞いて規定をつくるというようなことまでは考えておられないのかどうかという趣旨です。

○原審議官 とりあえず、そういう形で意見を聞いてというふうにやるということは考えております。
ただ、勿論、今回、消費者委員会で御説明させていただいたということは、当然に消費者委員会からの御意見等々もあるでしょうし、また、今の段階で別に確定ということではないので、ホームページ等々で公表するということになりますので、当然、それを受けていろいろな御意見等々があればそういうようなものも、今後、よりよい制度にしていくということで、当然にそれも踏まえて、また、こういうようなものを変えていくというようなこともあり得ますので、そういった形で、かっちりしたものというよりはこういう形でやるということであって、御意見等々があれば聞いて、よりよいものにしていくということを考えております。

○松本委員長 ほかにいかがでしょうか。
それでは、櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 非常に重要なテーマだと思うんですが、特に情報行政というものはアンビバレントなところがありますので、さばき方が難しいと思うのですけれども、少しお伺いしたいのは、2ページの3の「(2)取引事案」のところで、相手が察知するとかえって危険が拡散する可能性があるということで、結局、正式の認定等々をしない段階では公表はしないというのが原則であるということなんですが、お伺いしたいのは、警察の捜査との関係は意識されることがあるのかということです。
捜査の場合も当然、密行性というものがありますが、それとの関連で一般行政との関係でやや微妙なところもありますが、そういう点についてどういうふうにお考えかということ。
それから、税金関係ですと、法制度が少し進んでいて、一般の税務調査があって、犯則調査があって、それで脱税の捜査というものがありまして、この中間的な犯則調査みたいなことは行政がやっているわけです。そうすると、そういうようなものの必要性を感じるか、まだ始まったばかりなんですけれども、多分、相手によってはそういう必要性を感じることもあるのではないかというふうにも思いますし、それから、最近の判例で、それぞれの当局間での情報融通について事実上、風穴が空いたようなところもありまして、警察当局との一般行政組織の間の情報融通みたいなところを積極的に言うのは日本の法制度の根幹に関わるんですけれども、ただ、できないわけではないということを最高裁が認めたというようなこともあって、そういう点について、どういうふうに現場で認識されているか。
それから、消費者庁には、特に警察の方は出向されていないのでしょうか。これは確認です。

○原審議官 警察の方は、今、直接はいないと思います。そういう形かと思います。
警察との関係等々という部分ですけれども、1つは特商法ですと直罰がございますので、行政処分等々を待たなくても摘発ができる。それ以外につきましては、直罰があるものというのは、JAS法での産地の問題は今年の9月に直罰になりました。それ以外については、基本的に直罰がなく、いわゆる処分をして、命令を出して、命令に従わないというところで警察という関係はございます。
そういう意味で、直罰のある特商法等々は今まで経産省さんと警察との関係をやってきたわけでございますけれども、かなり警察の方も特商法の悪徳商法というものは取り締まるというような部分はございますので、当然、警察の方からこちらの方に、具体的には現場になると思いますけれども、いろんな情報照会とか等々という部分もございます。
また、私どもの方からでも、例えば告発をする。9月に近畿経済局の案件でございますけれども、告発をして、警察の方で捜査を開始したという事案もございます。
当然、行政処分で、行政での権限で調査をしていますので、これは犯罪捜査のためにやるものではないという規定がございますので、当然、そういうようなものは前提にしながら、できる限り連携等とはしていくというような形で、特商法の方についてはかなりうまくいっているかと思います。
あと、今後、JAS法での産地表示で、今まではJAS法の産地偽装というものは不適競争防止法でないと警察は動けなかったという部分があるんですが、これからJAS法での違反、産地での表示違反ということで直罰ができるという形になっておりますので、そういった観点等々も、私どもというよりは現場での連携等々が必要かと思いますし、連携するためには警察等の窓口等々というようなことでやっていきたいというふうに考えております。

○笠原表示対策課長 済みません、警察職員の勤務についてですけれども、現在、警視庁の職員1名が行政実務研修員という肩書きで、取引対策課において勤務しているということでございます。

○中村委員長代理 取引事案に関する公表については少し異論があるので申し上げるんですが、安全分野ですと、製品安全などですと「ヒアリハット」情報というものは非常に重要で、次なる大きな事故を防ぐのに必要だということで、極力公表するという姿勢だと思うんですけれども、取引事案にもやはり同じように、これから多数の人が被害に遭いそうだという、そういう「ヒアリハット」段階の兆候という情報は結構集まってくるはずです。現に国民生活センターは、そういう特定商取引関係の分野においても、同種の被害者が多数発生するおそれがあるような場合には、公表の中に実は入れておるんです。
そういうことを考えますと、同じようなそういう被害が発生しそうな取引事案で、国民生活センターの方は公表する、だけれども、消費者庁が公表しないということになると、よけいに皆さんが心配しておられる悪徳業者が執行の対象として、消費者庁は、いよいよ違反事実の認定措置を取ろうとしているのではないかと逆に思われてしまうのではないかと思いますので、ここはやはり、私は国センの公表基準とパラレルにした方がいいのではないかと思うんです。これは2ページの一番下のところは締まりがきつ過ぎて、これではまずいのではないかと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○原審議官 本件は、いわゆる規制部門の情報でやるという形でございますので、当然に、その違反行為を摘発する担当課なり、担当のところでの情報という形でございます。
国センの場合でのいろいろな、例えば悪徳商法等々でたくさん、消費者情報ダイヤルとか、いわゆるそういった情報を収集するところで出てくる。そういったところの段階で、現在ですと重大事故について公表しておりますけれども、そういった観点からの公表ということを、ここの基準では否定しているわけではなくて、そうではない違反の摘発をしている、違反としてやろうとしているものの情報ということにここは限定しておりますので、中村委員長代理のおっしゃっているようなところを消費者庁ではやらないということではないですし、そういった国センでの今までやられてきているような情報提供ということに対しては、こちらとしても評価しているところですので、今後もやっていただきたいと思っておりますし、そういった形で、当然、そういった情報についてどういうふうにやっていくかどうかというところは、別途、規制というよりは情報の提供なり何なりというようなところで基準等々をつくって、今、検討しておりますので、そういったところは分けて考えていただければというふうに思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。
ほかにございませんでしたら、本日、さまざま出されました委員会での意見等も踏まえまして、消費者庁の執行部門というふうに一応限定しての取扱指針でありますので、執行部門の情報の取扱いについてしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
ありがとうございました。

≪4.食品表示部会設置・運営規定(案)について≫

○松本委員長 続きまして、食品表示部会の設置・運営規程(案)について審議を行いたいと思います。
これはJAS法や食品衛生法の規定に基づきまして、消費者庁が食品に関する表示の基準を定めようとするときに消費者委員会が意見を述べるという枠組みになっております。その意見を述べるに当たって、それらの事項について調査審議するための下部組織を設置しようとするものでございます。
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

○齋藤審議官 資料3をごらんいただきたいと思います。「食品表示部会設置・運営規程(案)」という表紙が付いております。
説明の都合上、1枚おめくりいただきまして「食品表示に関する審議体制について(案)」という紙をごらんください。
左の方に「従来の審議体制」ということで、今年の8月末までの審議体制を書いてございます。食品表示につきましては、従来は厚生労働省の中の薬事・食品衛生審議会というところが、食品衛生法に基づく公衆衛生の見地から食品表示について下部組織、ここにありますように表示部会等を設けて審議をしておりました。また、農林水産省におきましては農林物資規格調査会という調査会がございまして、その下に食品表示に関する共同会議という下部組織を設けて審議しておりました。こちらの調査会では、農林物資の品質に関する表示という観点から議論を行ってきておりました。
この関係をもう少し見ていただくために、次の紙をごらんいただきますと絵がございまして、左肩の方に楕円形で2つ重なった絵がございます。緑の方がJAS法に基づく表示項目を並べてございます。青の方の楕円が食品衛生法に基づく表示項目であります。重なる部分がこういう緑色になっておりまして、そこに名称とか賞味期限、保存方法、遺伝子組換え、製造者名等といった表示項目については2つの法律が重なって規制するという形になっております。
こうしたこともありまして、これまでは、1枚戻っていただきますと、従来の審議体制におきましては、食品の表示に関する共同会議という形で、共同の会議体でその重なる部分については審議をしてきたということがございます。
9月以降は、この2つの法律に基づく食品表示に関する権限が消費者庁に移りましたので、その消費者庁から意見を求められる相手先としての審議会も消費者委員会の方に一本化されるということになりました。
その結果として、消費者委員会においてこの2つの法律に基づく審議を行う必要がございます。そのために、ここにあります食品表示部会というものを設ける必要があるということでございます。
そこで、規程の方をごらんいただきたいと思うわけでございますが、第1条、第2条とございまして、第3条(所掌)のところでございますけれども、その1で、これは食品衛生法に基づいて意見を述べるという所掌を書いてございます。
また、2におきまして、これはJAS法に基づいて意見を述べるという所掌を書いてございます。
それから、3のところでは「その他食品の表示に関すること」ということで規定しております。
これまでの審議体制の下では、簡単に、この1と2に関するものについては、かなり詳細な議論が行われてきておりまして、食品のかなり個別の品目についての表示の詳細を定めるような規程が数多くつくられてきておりました。こういったものをこれから審議するに当たりまして、部会という形でそういうものについては部会限りの決定も可能とする。部会の決定をもって委員会の決定とするということも可能になるような形を取りたいということでございます。
勿論、定型的なもの以外に、もう少し政策的な判断が必要となるような事項も出てくるかと思われます。そういったものにつきましては、第8条をごらんいただきたいと思いますが、裏の紙でございますけれども、そこに「部会の議決については、委員長の同意を得て、委員会の議決とすることができる」となっておりますので、そういう政策的な判断が必要なもの、委員会として議論すべきものというものについては、委員長のところで御判断をいただいて、部会限りではなく、委員会として御議論いただいた上で議決するということが可能な形にしてございます。
その他、第4条から第7条と所要の規定を置いておりますが、中身については御説明は省略させていただきます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの食品表示部会設置・運営規程(案)につきまして、御意見・御質問がおありの方はお出しください。 どうぞ。

○佐野委員 今の御説明の中で、確認だけさせていただきたいのですが、部会で結論を出したものでOKだということなんですが、遺伝子組み換え表示とか原産地の表示をどうするかという、いわゆる政策的なことに関しては、きちんと消費者委員会で議論をさせていただきたいということを確認したいと思います。
それから、もう一つ、委員の方はどういう方がなられるかはわかりませんが、私たちからも推薦させていただきたい。
その2点の確認をお願いします。

○松本委員長 1点目については、今後も下部組織をいろいろつくっていって、仕事をしていかなければならないわけですが、私が現在考えております一般的な立て付けとしては、政策的な判断が入ってくるような事柄については、下部組織の方で専門家をたくさん入れてきちんと議論していただいた上で、消費者委員会が最終的な責任を負う形で判断をするということにして、そうではない、比較的技術的な分野に関わって、ある法律が変わった結果、こちらも対応しなければならないといった事柄等々については、下部組織の方で迅速な決定をいただけるような形にするという形で、今後の下部組織の設置のパターンとしていきたいと考えております。
それから、2つ目の委員の件につきましても、これも恐らく、今後の下部組織をつくっていくときの共通のやり方になると思うんですが、例えば下部組織をつくる場合にどういうバックグラウンドの人に委員になっていただくべきだろうかという議論は委員会の方で行って、その上で、それではこういうバックグラウンドの人として、こういう方がいらっしゃるという推薦等については積極的にお名前を出していただくというような機会を設けたいと考えております。
よろしいでしょうか。
それでは、この設置・運営規程についてお認めいただいたということで、ありがとうございました。
なお、部会という形でつくりますので、部会長は消費者委員会の委員でなければならないということになります。幸い、この分野の専門家として田島委員がいらっしゃいますので、部会長につきましては田島委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○田島委員 表示に関する共同会議の座長を長年務めていましたので、その流れをもってお引き受けしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○中村委員長代理 副部会長はどうするんですか。

○松本委員長 副部会長は、後ほど部会長の方から指名をいただくということで、また後ほど改めてということでいいかと思います。
これで一応、予定しておりました議案は終了いたしました。
最後に一言、委員会としての意見を申し述べたいことがございます。
最近の新聞報道等で御存じの方が多いと思いますが、アメリカにおいて日本製の自動車のアクセルペダルがフロアマットにひっかかり、その結果、事故につながるおそれがあるということで、修理といいましょうか、リコールの扱いがなされております。今回の事案は、アメリカ特有の問題だという報道もなされておりまして、日本では同種のようなフロアマットは供給されていないという話もあるんですが、ただ、メーカーが供給しているマット以外のマットを持ち込むとか、2枚重ねるとか、さまざまな使い方をする可能性も十分あります。そういった場合の危険性、あるいは他のメーカーの車であれば、どんなマットを乗せても全く問題がないのかどうかとか、使い方によって危険が発生するというタイプのものであれば、それはすべてユーザーの責任にするのではなくて、メーカーや行政として危険な使い方を避けるようにという情報提供をきちんとやっていく必要があると考えております。
したがって、どのメーカーの車であれ、他のどのメーカーのマットであれ、使い方によって危険になる、組み合わせによって危険になるという可能性があるのであれば、その点についての情報提供を徹底するように消費者庁に対して事務局の方から御連絡をして、そのような措置を取っていただくようにお願いしたいと思っております。
これで、本日の消費者委員会は閉会とさせていただきます。なお、予定よりも大分早くおわりましたので、前回に引き続きまして、今回も傍聴の方々と委員の中で残っていただける方との間で懇談の場を設けたいと思いますので、特に地方消費者行政の支援について委員の議論は不十分である、こういうことが必要だというようなものがございましたら、どうぞお出しいただきたいと思います。
次回の会議ですが、12月8日火曜日の午前10時から行う予定にしております。次回も引き続き、地方消費者行政の活性化につきまして議論を行うとともに、地方消費者行政の実態に詳しい方からヒアリングを行いたいと思います。
それでは、本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

≪ 閉 会 ≫

(以上)