第7回 消費者委員会 議事録

日時

2009年11月24日(火)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、中村委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
消費者支援機構福岡副理事長 平田弁護士
兵庫県 川久健康福祉部生活消費局長
消費者庁…羽藤審議官、黒田政策調整課長、國井個人情報保護推進室長

【事務局】
齊藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政の充実に関するヒアリング
 ○ 消費者支援機構福岡 副理事長 平田広志 弁護士
 ○ 兵庫県 川久通隆 健康福祉部生活消費局長
3.消費者庁の今後の取組(工程表)について
4.個人情報保護法の施行状況に関する報告
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 九州における適格消費者団体結成の取り組み (平田弁護士配布資料)(PDF形式:85KB)
【資料2】 兵庫県の消費者行政の取組について (兵庫県配布資料)(PDF形式:127KB)
【資料3】 消費者庁の今後の取組(工程表)について 【資料4】 平成20年度個人情報の保護に関する法律の施行状況

≪1.開 会≫

○原事務局長 時間になっていたのに申し訳ございません。おはようございます。本日は皆様お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。まだ到着されていない委員の方もおられますけれども、始めたいと思います。
ただいまから、第7回「消費者委員会」を開催したいと思います。カメラの方はここまでということで、よろしくお願いいたします。
それでは、委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○松本委員長 おはようございます。消費者委員会も本日で第7回、過去6回行いました。その運営等について、傍聴の方あるいはその他消費者、メディアの方から、さまざまな御指摘等をいただいておるところです。そこで、少しずつやり方を工夫しながら運営していきたいということで、本日は見ていただいたらわかりますように、座席配置が少し変わっております。委員の側が傍聴の方と比較的向かい合う形に配置をして、事務局に横に座っていただくという形になっております。
また、本日、比較的順調に議事が進むようでしたら、委員会終了後、あるいは議事の最後の方辺りで、傍聴の皆様と委員長あるいは委員との間で少し懇談するような、質問を受け付けたりするような機会がつくれればつくりたいと考えております。

≪2.地方消費者行政の充実に関するヒアリング≫

○松本委員長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。まずは、前回に引き続きまして、地方消費者行政の実態にお詳しい方からヒアリングを行い、地方消費者行政の充実について議論を行いたいと思います。
本日は、消費者支援機構福岡の平田弁護士と兵庫県の川久局長にお越しをいただいておりますので、お二人からヒアリングを行います。
平田弁護士は、消費者支援機構福岡の副理事長を務めになられていますが、これまでその結成活動に携わってこられました。現在も適格消費者団体の認定を目指して活動をされておられます。
本日は、地域での消費者行政の現状及び九州に広がっている、適格消費者団体結成の動きについてお話を伺いたいと思います。
また兵庫県は、これまでも消費者行政に積極的に取り組んでこられましたが、本年4月には兵庫県消費者行政推進本部を立ち上げられ、庁内の各部局が連携して、全庁的に消費者行政を推進する体制を構築されました。本日は、推進本部を立ち上げるに至った経緯や推進本部も含め、今後どのように消費者行政に取り組んでいかれるかにつきまして、お話を伺いたいと思います。
それでは、まず平田弁護士より御説明をお願いいたします。

○平田弁護士 福岡の平田です。お手元に1枚だけの簡単な「九州における適格消費者団体結成の取り組み」というレジュメをつくっております。
今、九州各県では適格消費者団体をつくる、あるいは将来的に適格消費者団体を念頭に置いた消費者のネットワークづくりというものが急速に広がっております。
適格消費者団体自身は、全国各地で既に7つ、8つというふうに認定を受けていて、九州はこれまで残念ながら適格消費者団体をつくる動きが遅れていた。私どもは、九州あるいは福岡に適格消費者団体がないということについて、恥ずかしい思いをしてきておりました。
ここに来て急速に広がったということに、すべての県に共通する特色というものがあるわけではありません。そこのレジュメを見ていただくとわかるように、大分県は九州の中では比較的早く、既に2年前に消費者問題ネットワークというものがつくられて、一番早く適格消費者団体の認定を受けるための準備が進んでいます。
沖縄県や鹿児島県は、私ども福岡の動きより以前に、消費者ネットワークというものがつくられていて、これらの団体は弁護士や司法書士だけではなくて、生活協同組合や消費生活相談員さんたち、それから、行政も含めた団体として、それぞれの県における消費者運動の拠点というような役割を果たしています。
九州各県は規模も小さいし田舎ですから、消費者団体が幾つも育ってきている状況ではないので、これまで消費者運動に関わった諸団体、あるいはいろんな方々が一堂に会する組織というのは、県にできても一つしかありませんので、こういう組織ができれば、それぞれの地域の消費者運動の拠点になるということになります。
福岡県も、九州の中でも動きは遅れていたんですが、今年の3月、正確に言うと、昨年から弁護士会の中で福岡に適格消費者団体をつくる動きがないのはみっともないという議論の中で、プロジェクトチームをつくりまして、今年に入ってから県下の消費者団体や相談員さんたち、生活協同組合、大学の関係者、司法書士会、行政、そういうところに呼びかけて結成準備会をつくりました。
この動きが、消費者庁消費者委員会がつくられるという政治的な議論の中で、早くつくる方がいいということになって、適格消費者団体をつくる動きの中では、非常に急ピッチで受け皿となる団体設立に結び付いたということは言えるだろうと思います。
レジュメには正確に書いていませんが、熊本県は消費者支援ネット熊本の設立準備会が発足していましたが、最新の情報では、年明け、来年3月6日に適格消費者団体を目指すNPO法人の設立総会を開くということになっているようです。それから、その他の佐賀や長崎でも、新たなネットワークづくりの運動、その中で適格消費者団体を目指すかどうかどういう議論が始まっているところです。
正直に言って、適格消費者団体ということになると、団体の要件もそれなりに厳しいものがありますし、特に九州各県などは、既存の消費者運動や消費者団体というものもありませんので、こういうものをつくっても、独立した団体として維持していく。例えば独立した事務所をつくり、情報がきちんと管理できるようなロッカーを設置し、あるいは人材を確保しということを各県でするとなると、容易ではありません。私どもも、九州で一番大きい福岡でさえそのことを考えると非常に頭が痛い思いをしましたし、福岡以外の各県はこの議論の中で、そのことがやはり非常なネックになって、各県に一つは要らないのではないか。九州に北と南と一つずつぐらいあればいいのではないか。そんな議論も正直言って出て来ています。
しかし、私どもは今この間の消費者庁消費者委員会が設置されて、とりわけ消費者委員会というものが、言わば在野で行政を支え、監督し、批判しという役割を果たしていくことが期待されているということを考えたときに、例えば福岡の適格消費者団体を目指す私どもの団体は、福岡県下の消費者関係諸団体、消費者運動に取り組んでいる人たちが、自分たちの運動の拠点として認識してくれていて、ほぼ網羅して参加してくれているという団体です。そうすると、こういう組織が各地につくられて、市民のため、消費者のために権利擁護活動をしていく、それで情報の共有、フィードバックができるということになると、この各地の消費者運動、消費者ネットワークが、実質上今後の消費者委員会を支えていくということに恐らくなるんだろうと思います。
消費者委員会がまだできたばかりで、どういう役割を果たしていただくのか、本当に私どもの役に立つような仕事をしてくださるのかどうかというのは、正直言ってまだわからないところがありますけれども、そういうふうな役割を消費者委員会に果たしていただくためには、言わば無理をしてでも各地に、適格消費者団体でないといけないかどうかというのはあるにしても、この消費者運動の拠点となるネットワークがつくられて、同時に適格消費者団体としての認定も受けて、本当に力を持った、権限を持った活動をしていくということが非常に意義を持っているというふうに思われます。そういう点では、九州は非常にまとまりがいい地域で、つい先日も弁護士会の九州全体の集まりでそういう議論がありましたけれども、大変でも各県にこのような組織をつくって、日本の消費者運動が発展していくような下支えなればいいと思っております。
レジュメの下の方に「九州の特色」と書きましたけれども、九州は田舎ですし、弁護士会にしても、それぞれの単位会は小さいんですけれども、消費者問題ということを考えた場合には、消費者被害は非常に歴史的にも多い地域です。
多重債務問題で言えば、昔から日掛、ヤミ金が非常に多いし、あるいは自己破産の申立率という点でも、歴史的に九州各県は非常に高い状況でした。あるいはいろんな悪徳商法にしても、九州発、九州でつくられて全国に被害を及ぼしていくというたぐいの悪徳商法も非常に少なくない。そういう地域です。そういう点では、九州でこういう運動が前進していくということの意義は非常に大きいし、その議論をしながら九州各県の生活協同組合や消費生活相談員の方々なども、そのことを踏まえて非常に団結して、この種の運動に取り組んでいる状況になってきておりますので、展望は明るいんですが、いかんせん先ほど申し上げたように、とりわけ財政基盤の確立という問題で、それぞれ苦労している。そういう点では、消費者庁関連法の議論のときに、付帯決議等で示していただいた消費者運動を、直接、間接的に財政的にも含めて支援、支えていただくことも是非行政に期待をしたいと思います。
最後に、適格消費者団体以外の九州あるいは福岡の地方消費者行政の点についても、一言だけ申し上げますけれども、例えば福岡県は市町村が66ありますけれども、消費生活相談員の方が配置されている自治体というのは3分の1弱です。恐らく福岡県がそういう状況であれば、それ以外の九州各県の状況が、それよりも充実している状況にはないんだろうと思います。
しかも、相談員の方の数だけで比較はできないかもしれませんが、福岡県のセンターで言えば、最近増員されましたけれども、それでも13名で、13名の方が全員常勤で毎日勤務しているわけではありません。毎日働いてくれている方は10人に満たない。福岡市で言えば、相談員の方は10人しかいない。そういう状況で、それらの方たちが、自分の勤務時間中には相談業務に忙殺される中で、それ以外にも講師の仕事だとか、啓発活動の原稿を書く仕事だとか、そういうことに追い回されて、そういうことはみんな勤務時間外、あるいは自宅でやらざるを得ないという状況になっています。
先ほど3分の1弱のところには相談員の方が配置されていると言いましたけれども、1人しかいないところも少なくありませんので、そういうところは、先輩の相談員の人に相談をしながら業務をするとか、あるいは勤務の時間を調整して、いろんな研修会に参加するということもできない。例えば弁護士会が事例検討会というのを相談員の方々と一緒にやろうとしても、なかなか参加ができないという状況が現実にあります。そういう点では、消費生活センター、あるいは相談員の方の活動しか今日はしゃべれませんけれども、非常に残念なというか、立ち遅れた現状があって、幸いこの間の消費者庁を設置する動きの中で、私の目から見れば、消費者センターあるいは相談員さんの活動が縮小されたり、後退する活動にはちょっと歯止めがかかるかなというふうには見えますけれども、これが前進し、拡大していくということが今後の課題だと思っています。その点では、そういうことに全体としての予算措置等が不可欠だと思いますので、是非そのことは今後の消費者庁消費者委員会の活動の発展とも密接に関連していると思いますので、そのことに期待をしたいと思います。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの平田弁護士の御説明につきまして、御意見、御質問をお出しください。
どうぞ。

○川戸委員 どうもありがとうございます。大変だと思いますけれども、無理をしてでもおつくりになるということで、是非よろしくお願いしたいと思います。 一番は財政基盤の整備・確立だと思うんですけれども、そのほかに先ほど適格団体の要件が厳しいとおっしゃいましたけれども、もしこれを緩和できるんだったら、もうちょっと簡単につくれるというところはあるんですか。それとも、やはりこれぐらいの厳しい要件できちんとしたものをつくった方がいいというお考えですか。

○平田弁護士 団体として、きちんと人員がいて、組織があって、独立した団体として運営されているとか、あるいは個人情報を管理しますので、個人情報がきちんと管理できるような体制が取られていないといけないとか、そういう面について緩和しろということではありませんけれども、やはり全国津々浦々につくった方が、それこそ消費者がアクセスをして、フィードバックもできてということにつながると思うんですが、そのときに一番ネックになるのは、事務所を借りて専任の事務局の人を雇ってということが相当な負担で、地方に行くほど、率直に言って消費生活協同組合におんぶにだっこという状況に今のところなっています。
これを行政がどう、直接、間接にカバーし支援できるのかということをお考えいただく。そういうところに、お金が発生するような業務委託だとか、そういうことも、積極的にどんどん考えていただくということも一つでしょうし、あと事務所等の負担がないような形で、どう提供できるかということも是非皆さんの知恵をお借りできればというふうに思っております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の関連ですが、適格消費者団体というのは差し止めしかできない、3つの法律しか対象がない、支援制度がない、要件が厳し過ぎる。私は、抜本的に適格消費者団体の法律そのもの改正するべきではないかと思っています。その辺りの運動とか、お考えがありましたら教えてください。

○平田弁護士 適格消費者団体というか、日本の裁判制度の中で、具体的な被害を受けた個人ではない消費者団体が、消費者の利益のために差し止めをしていくということ自体が画期的なことだと思うんですが、早急に適格消費者団体自体の設立を全国に広めながら、適格消費者団体自体がそれ以外にも損害賠償請求がいかにできるか。あるいは違法な収益をいかに凍結して、将来的にきちんと分配できるような制度をつくっていくかというのは、ゆっくり時間をかけて議論すればいい課題ではなくて、早急に改正して、実現しなければいけない課題だと思います。
そういう点では、適格消費者団体自体の要件を、すぐにどういうふうに変えていけばいいのかというのは、私もまだ具体的には申し上げられませんけれども、そういう活動の対象を広げ、役割を広げ、恐らく地方に行けば行くほど適格消費者団体というのは、単に差し止めをしたり、消費者に代わって裁判をしていくだけではなくて、その地域の消費者運動、消費者ネットワークの中心としての役割を果たしていくことになると思いますので、そういう団体の実情にふさわしい活動ができるように、行政が法整備も含めてどう直接、間接の援助ができるかというのが急務だと思います。ちょっと抽象的な話で済みません。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 平田さんの方は、生活保護の関係と貧困対策の取り組みもなさっていると思うんですが、そこら辺の貧困対策の関係の住民運動といいますか、団体としての活動と、この消費者団体として先ほど指摘されたような活動とは、どういうふうに関連するのか。あるいは全く別なのか。そこら辺はいかがでしょうか。

○平田弁護士 おっしゃっていただいたように、私は、福岡県弁護士会の生活保護、あるいは派遣切り等の失業対策の責任者をしていて、最近は消費者問題どころではないような状況になっています。
市民の運動という点では、反貧困ネットワークというものをつくったり、あるいは今は九州で生活保護支援ネットワークという、法律家を中心とした団体をつくって、2、3か月に1回ぐらいの割合で、九州各県で巡回研修をし、各地でこの問題を支える組織をつくっていくということもやっているところです。
そういう点では、今年も何人の人が年末、年を起こせないで寒い中で放り出されるのかということを心配する時期になってきましたので、今、正直言ってその問題で頭がいっぱいなところはあるんですが、具体的にはそういう貧困対策の運動と、この消費者のネットワークづくりというものが連動しているわけではありません。ただ、レジュメの最後にも少し書きましたけれども、九州は多重債務を抱えている人が多い。それから、風土的に余り借金に抵抗感がない土地だということも昔から言われていて、多重債務に関わるようなトラブルも非常に多い。その代わりに、これを支える各地の体制づくりというのは、それなりに進んでいて、そういう点では、九州各県の弁護士や司法書士の消費者問題に対する取り組みをしている人たちの多くは、多重債務の問題に関わっておりますし、この多重債務の問題に関わっている多くの人たちは、生活保護の支援だとか、生存権の養護という活動にも関わっているということで、人的にはほとんどのところで重なっている状況です。
そういった意味では、この消費者の運動というものが、全く連動して一本化というわけではありませんけれども、そういう多重債務の救済を中心にして結び付いていますので、相互に補完していきながら、この運動がもっと盛り上がっていけばいいと思います。
ただ、実際上今のところ、この消費者支援機構の中に、例えばホームレス問題に取り組んでくれているNPO法人とか、そういうところが形の上で加わってきていて、一緒に大きな組織になっているという状況にはまだ至っていません。

○松本委員長 どうぞ。

○日和佐委員 ちょっと現実的なことをお伺いします。福岡県の場合、運営の経費はどのようにされているのか、会費制なのかどうなのか教えていただきたいと思います。もしわかれば、他県の沖縄、鹿児島なども。
それから、2つ目の質問は、適格消費者団体としての要件が厳し過ぎるというお話がありました。ただ、団体が訴権を持つということと、将来的にどうなるかわかりませんけれども、損害賠償訴訟までいけるということになれば、一定の要件は必要だと思っています。ですけれども、今の要件で一番ネックだと思っているのはどこなのか教えてください。

○平田弁護士 私どもの財政基盤は会費です。各団体で、どういうふうに財政をつくっていくかというところは違いがあると思います。恐らく大きく違いが出てくるのは、企業にいろんな形で援助してもらうということをしてもらうかどうかというところに違いがあるのではないかと思いますが、私どもの団体の場合は、今のところ企業からの賛助金というものについては念頭に置いていない。あくまで会員である団体個人が支えるということでやろうとしています。
ただそうなると、一口2,000円というふうにして、できるだけ複数口お願いしますというやり方の会費の運営をしているんですが、個人が年会費をそんなに多額に払えるわけではありません。
生活協同組合等は、団体会費として数万円を負担してくれているので、それでも今のところ、福岡はまだできたばかりですが、年間に財政として確保できるのは100万円には遠く及ばないという状況で、出発するときはいろんな消費者問題に取り組んでいる弁護団のカンパとか、そういうものを含めて資金として出発していますので、今のところ何とかなっていますが、将来的に財政的に支えていける見通しは立っていません。
やむなく、今のところは生活協同組合の生活再生相談のために確保してくれているフロアーの一角を借りて、部屋代は無料で貸してもらって、そこに事務局を置いて福岡の場合は運営している状況で、将来的には別個自前の独立した事務所を確保せざるを得ないと思っていますが、財政的にはそこまでの手当ができていない状況で、九州各県、他も福岡と同じで、むしろそれよりも規模は小さいという状況だと思います。
2番目の適格消費者団体の要件ですが、厳し過ぎて不当だとまで思っているわけではない。勿論、特別にどの団体にも与えられない、おっしゃった訴権を与えて、国民のために特別な役割を果たしてもらうような団体ですから、一定の要件をきちんとはめないといけないと思います。
私が厳しいというふうに言ったのは、そこまでして、非常にルーズな消費者のネットワークということではなくて、この適格消費者団体としての仕事をしていこうと考えれば、この消費者契約法の要件をきちんと満たした団体づくりをしないといけないので、各県でそこまでの大変な仕事をするだけの意義があるかという議論をしているという、そういう文脈で申し上げたので、今のところ、要件が非常に厳しくて不当だというふうにまで思っているわけではありません。
ただ、今後どういうふうに運営していくべきかという点では、勿論団体として独立して規約等を備え、あるいは役員等がきちんと備わっていて、財政基盤も確立し、独立した団体として確保されているということは必要だろうと思いますが、認定の期間の問題だとか、そういう点では柔軟に考えて、それなりの力があるというふうに、あるいはそれなりの実態を備えているところについては早い段階で、例えば2年間という期間までかけないで、この法律が認めた権限が行使できるようにするとか、そういう点での見直しは必要だと思います。

○日和佐委員 ありがとうございました。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 九州でも非常に活発だというお話は伺っておりまして、期待はしております。お伺いしたいのは、適格消費者団体含めて団体運動のネットワークづくりをしたいということをおっしゃっていますが、先ほどの要件のお話で、その中に活動主体としては消費生活相談員と書いてございますが、現在、大概のところに消費者団体連絡会のようなものがつくられていますがどのような形で連携をされていくのかということをお伺いしたいと思います。
もう一点は、法律の整備が必要だということをおっしゃっていました。私どもも適格団体を申請いたしまして、非常に厳しいなと思いながら、いろいろ資料をつくったりいたしておりました。そのときは確かに厳しいと思ったんですが、幾つか差止請求の申し入れなどをするに際して、やはりそれなりの責任というものが入ってまいります。特に不特定多数の方の要件でございますので、個人のあっせんにつきましては、センター等でやっておりますけれども、不特定多数だからといって個人情報が全く入らないというわけではございませんので、その辺のところを考えると、おっしゃるように今後どうするかというところが一番の問題なのではないかと思いますが、何かお考えになっているようなことはありますでしょうか。ここまで九州で急速に設立されていることなので、ほかの地域の方だとか、そういうところも含めてお考えになっていらっしゃることはありますでしょうか。

○平田弁護士 最初の御質問ですが、例えば福岡県の場合は、県にも福岡県消費者協会というものが従前からありました。福岡市にも福岡市消費者協会というものがあって、それは最近NPO法人に変わったんですけれども、この福岡県消費者協会というのは、県下のすべての市町村が賛助金を出してくれる。それから、福岡県下の主だった企業が賛助会員として会費を出してくれて、それなりの財政基盤をつくって、形の上では、例えば弁護士会も理事を出していますし、生活協同組合だとかそういうところも理事を派遣するということで、県下の消費者団体を一応網羅するような形でこれまでも組織としてはつくられてきていて、ここが例えば県のいろいろな委託事業の受け皿になるという形の組織は、あることはあったんですが、私は自分自身も理事をしていますので、批判をする立場にはないんですが、やはり行政主導というか、事務局長は県の天下りという形の組織で、そういう意味ではやはり限界がありましたけれども、今、私どもがつくっている新しい組織づくりというのは、これまでのパターンと違って、そのまま行政のお声がかりというか、上からの組織づくりという従来のものとは全く違った運動ということになっている点が一つの特色だろうと思います。
それから、今おっしゃった従前のそれなりのネットワーク、消費者のネットワークが必要だという議論は勿論我が国でも随分前からされていて、そういう脈絡でつくられた組織も、地域地域にはあるのはあるんですけれども、少なくとも福岡の場合はそういうこれまでの組織の上にというか、組織と別個に新たにあらゆる消費者運動に関わっている人たちが新たにつくった組織という位置づけで今回の組織をつくって、これまでのいろんな組織の方々も皆個々に加わるというふうな思いで、新たな組織ができたというふうに思っております。
ほかの地域も、例えば先ほど申し上げた鹿児島や沖縄の消費者ネットワークというのは、主に生活協同組合が中心になって、ネットワークをつくってきて、会合もそれなりに頻繁に行われてきていて、適格消費者団体を目指すというだけの位置づけで活動している団体ではないんですけれども、少なくとも最近つくったこういう組織は、従来の組織と違って、それぞれの地域の消費者の問題に関わっている弁護士、司法書士、消費生活相談員、生活協同組合、それから学者、研究者、そういう人たちを全部網羅して、その地域の消費者問題のネットワークの拠点にするような、そういう位置づけでできていっている。それが一つの特徴だと思っております。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 消費者庁・消費者委員会設置法の附則に、適格消費者団体の支援の在り方の見直しと実施すべきことを3年以内という期限つきで書かれておりまして、先ほどの説明で、現在の設立段階での問題点を幾つか言っていただいたのですが、今後も稼働し出して、メーカーに通知を出したり、交渉したり、裁判をやったりという段階まで勿論想定して団体をつくっておられると思うので、そういうことも含めて、この3年以内にやるとしたら、これが優先順位だという課題があったら挙げてもらいたいんですが。

○平田弁護士 福岡の場合も認定を受けて初めて動き出すということではなくて、既に9月の終わりに設立して、その後、弁護士会等と協力した相談会を行ったり、特に今、準備しているのは、賃貸借契約の敷引条項というのが、関西等では適格消費者団体が頑張った成果もあって、大体駆逐したと言われているんですが、福岡などでは全くそういう状況ではない。今でも当たり前のように敷引ということが行われているという現状の中で、この実態の調査をし、モデル約款等を頒布している業界団体に対して質問をし、改善申し入れをし、そういうことはもう早速始めるということをしていて、そういう活動を早急に強めながら、できるだけ早いうちに適格団体の認定を受ける。そういう思いで活動はしています。
そういう点では、この私どもの活動がよりスムーズにやれるような支援体制を早急に整備していただきたいというふうに思います。
まだ始めたばかりで、具体的に何が必要かということは、よくわかりませんけれども、私が今一つ思っていることは、行政との連携という問題が一つ。もう一つは、個人情報の管理という問題があるので、情報の管理は厳格にしないといけませんけれども、いろんなところが消費者に関連する情報を持っていて、消費者に被害が発生しようとするときに、その情報をいち早く交換し、一番早く手が打てるところが素早く手を打つということをしないと、せっかく趣旨が消費者被害を未然に防止するんだと言っても、なかなかそうはならないというのが現実問題としてあると思います。
本当に被害が拡大する前に、消費者団体を含めた消費者被害の防止、あるいは救済に責任を負っていると考えているところに的確に情報が伝わって、議論ができてという体制をいかにつくるかということが、実践的には非常に重要だと思っています。
あとは、先ほど一番頭が痛いと申し上げた財政的な問題、直接資金を投入するということはそう簡単にはいかないかもしれませんが、間接的な支援策というのはいろいろ考えられると思うので、それを是非工夫していただきたいと思います。

○松本委員長 では、最後に櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 私は法律の研究者なものですから、どういう法律をつくったらいいかということに関心を持っているのですが、先生は弁護士でいらっしゃるということで、少しお伺いしたいのは、東京大学の大村先生の『消費者法』という御本がありますけれども、あの本の中に、消費者法はある意味では新規の急速に発展した分野なので、隣接したほかの分野を参考にしながらいろいろ議論していったらいいのではないかというくだりがあるり、労働法とか環境法とか、そういうところとアナロジーがあるのではないかという議論があります。先生は、先ほど労働関係の事件もされておられるということで、確かに労働法の仕組みと消費者法の仕組みというのは、事業者対労働者、あるいは事業者対消費者ということで、近代的な合理的主義的な人間像は違う人間を想定した上で、ある種の政策的な形で制度をつくっていくということがあって、そうすると、人間像が違うということと労働者の権利というか消費者の権利というか、これを権利というかということも一つの問題なんですが、そういうこととか、あるいはそれに応じた形で行政体制をどうやってつくっていくかということが論点として出てくると思われます。実際に具体的な事件に対応しておられて、その両者、特に消費者法から見ると、労働法的なところで参考になるようなことはあるかなということに関心を持っているものですから、もし御感触があればお伺いしたいと思います。

○平田弁護士 難しいですね。私自身は、個別労働事件は残念ながら今は余りできていないんです。具体的な事件としては、生活保護の取消し訴訟だとか、最近までやっていました学生の無年金障害者訴訟だとか、そういう福祉の分野の訴訟などは幾つも手がけてはいるんですが、そういう点では、対等当事者間の自由・平等という考え方を福祉国家の理念で修正することは、行政相手の訴訟なので、民法的な考え方をいかに修正するかというものとは違う分野で主にやっているので、労働事件と消費者保護の分野とがいかに共通して、どういう点が参考になるかというのは、残念ながらすぐに申し上げられる意見を持ち合わせておりません。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、兵庫県より御説明をお願いいたします。

○川久局長 兵庫県の生活消費局長の川久と申します。本日は、第7回「消費者委員会」に招きいただきまして、ありがとうございます。御説明に当たり、事務局から依頼がございました本県の取り組みについて、その経緯、体制、体制を整えた考え方、具体的な事業等について説明いたします。
資料2「兵庫県の消費者行政の取組について」でございますけれども、推進体制に入ります前に、若干設立の経緯についてお話ししたいと思います。
本県では、阪神・淡路大震災を経まして、危機管理とか、主にリスクマネージメント機能の強化に、その都度こういった経験の下に、防災部局なり防災監というような体制整備図りながら危機対応をしてきております。また、平成16に発生しました関西地域での鳥インフルエンザ、H5N1の事例におきましても、食品衛生分野、家畜衛生分野での、縦割り的な弊害ということもございましたので、体制整備として課長級の食品安全官、家畜安全官を設置し、危機に対応するべく体制整備をしてきたところでございます。
また、昨年の中国製冷凍ギョウザ事件が本県で発生し、次々と神戸市内でのウナギの産地偽装事件等々もございました。こういったことから、県民の不安の増大、信頼の失墜、信頼の失墜と言いましても、事業者のみならず行政対応についてもそういったことが見られる。信頼に応えられる仕組みづくりについて、この度の体制の見直しを行ったということでございます。
資料に基づきまして、3つの体制整備をいたしました。
1つは「兵庫県消費者行政推進本部の設置」ということで、3ページ目に推進本部の設置要綱を付けております。消費者行政の推進に係る施策について、関係部局間の連絡調整を図り、施策の総合的かつ効果的な推進を図ることとしております。
所掌事務としては、消費者行政の推進に係る施策の企画・総合調整に関わること等といたしております。
組織につきましては、次のページにございます。推進本部体制でございますけれども、知事を本部長として、本部員、防災監等々、関係部長、それから少し重要な点としましては、本県では10地域に分かれておりまして、県民局という体制をとっております。それらの県民局長等。それから、一番下にある警察本部長の入った推進本部体制です。
右側の別表第3の方では、事務局長、事務局として各部の局長を配し、また別表第2で、その中に各課を置くという体制を取っております。
1ページに戻っていただきまして、2つ目に「生活消費局の設置」、この辺りが少しポイントでございまして、生活消費局を構成するのは、従来消費生活相談を受けておりました消費生活課と生活衛生課、生活衛生課と申しますのは、食品衛生法とか生活関連の行政、水道行政なり、旅館、公衆浴場、美容法とか、そういう県民の生活に密着した事業者指導等を行う、規制行政を行うところでございます。そこの課と2課体制で生活消費局を設置いたしました。
3つ目に「健康生活科学研究所の設置」ということですが、これは生活科学総合センター、通常の原因究明テストとか、消費生活相談、商品テスト、そういったことを行う現場と、健康科学研究センター、これは衛生研究所と申しまして、生活衛生課の関連機関であります残留農薬・食品・医薬品等試験・検査部門、そういったところを統合いたしまして、県民からの相談から試験分析・調査研究の実施の情報発信等々を一本化して、一元的に対応できるような仕組みといたしました。
参考のところに、各消費者行政の体制の消費生活課、それから生活衛生課の地方機関、生活科学総合センター、生活化学センター6か所、健康科学研究センター、健康福祉事務所(保健所)13か所、食肉衛生検査センター、動物愛護センター等々の体制となっています。
経緯としましては、昭和38年に「生活の科学化」ということを提唱して、全国初の消費生活センターとして「神戸生活科学センター」を設置いたしております。
次の生活の科学化というのは一体何なのか、非常にわかりずらいんですけれども、現状では科学的なエビデンス、科学的な知見を持った消費者の生活行動という考え方、そういったことについても議論しているところであります。
本庁におきましては、下にございますように、消費生活課の所管しているところが、兵庫県下、随分広うございまして、都市部と但馬とか丹波地域の農村部等々に置かれておりますので、県下41の市町がございますけれども、相談体制の薄い部分に県の生活科学センターを配置して対応しておるという状況でございます。
次に基本方針の考え方でございます。ここに書いてありますとおり、基本的にこういう体制の下に、県民の安心できる暮らしの実現に向けまして、消費者、事業者、行政、それぞれの役割を果たしつつ、相互に連携し、理解を深めることにより、信頼関係を確立することを目指して、下に目指すべき社会【目標】と書いておりますが、1つに、先ほど申し上げましたが、消費者、事業者、行政が、それぞれ必要な力を身に付け、その役割・責任を果たす。その上において、三者の信頼に基づく協働のネットワークを構築し、安全で安心して暮らせる社会を実現することを目標にして、消費者の役割、事業者の役割、行政の役割等を整理した考え方をしております。
1つに、消費者の役割としましては、消費者力は御存じのとおりでございますが、暮らしの自立に向け、基本的な消費生活の知識等を持ち、自分で理解・選択・行動できる力の習得・向上に努め、自ら消費者被害の防止を図る。
それと、社会的責任を果たす事業者の自主的な取組みを評価し、事業の持続的発展を支援する。
また、事業者につきましては、社会の一員として、自主的な行動基準等(コンプライアンス経営、説明責任、リスクマネジメント等)に基づき、事件・事故等の防止や万一発生した場合の適切な対応(クライシスコミュニケーション)に努め、社会的信頼の確保による事業の持続的発展を図るという位置づけにしております。
また、行政の役割としましては、県民からの消費生活相談に迅速・的確に対応し、併せて消費者被害の防止と必要な事業者指導に努めること。
消費生活相談情報を政策や消費者学習等にフィードバックする。
消費者への安心情報や危機回避情報等を適時適切に発信する。
そういうことで、三者の信頼と協働の仕組みの構築を図ることとしております。
具体的な施策でございますが、十分議論した中において、ちょっと簡単に書いておりますけれども、まず1つに、自立した消費生活の確立としまして、消費者への学習機会の充実、これは出前講座等々、さまざまな取組みでございます。また、団体、グループ等との連携強化、通常でありましたら消費者団体のみと従来連携をしていたわけですけれども、やはり各地域にはさまざまなグループ等々がございますので、地域でのさまざまなグループとの連携を強化していくという考え方で事業を行っています。
また、次世代への消費者教育の充実ということで、ここで次世代と書きましたのは、近年の消費者被害事例等々が、インターネットとかワンクリックとか携帯等々、多くの若者をターゲットとしたようなものがございます。そういう意味で、暮らしのヤングクリエーターと我々は称しておるんですけれども、大学生協との連携、委託事業で各大学の学生等に契約のトラブルとか、ネットパトロールとか、そういったことをやっていただく方を登録をしていただいて、事業をしていただきながら消費者教育を実践していく。また、高校生への副教材として消費者学習プログラム等を作成して充実を図っていこうと思っております。
2点目に、事業者主体による信頼の確立についてですが、事業者自主行動基準の導入促進、これにつきましては随分本県においても議論をしたところでございます。いわゆるCSR等について、事業者自らがそういう実践行動をしていただこうということで、検討委員会を立ち上げまして、CSR、自主行動基準といいましても、なかなか従業員まで定着しない、形だけのものであるとか、中小企業まで十分に浸透を図るためにはどうしたらいいのか、もし事件・事故があったときには、企業はどうしても自己防衛的な傾向を示している。倫理・道徳に重点を置いた取組みがどうしても必要であるということについて、信頼され、消費者から応援される業者になるために、事業者の社会的役割、自主行動基準、行動基準策定の手順、作成に当たって留意してもらいたいこと、効果的な監査とQ&A、道徳的なジレンマに遭遇したときの解決手順とか、そういったことについて啓発、導入基準の啓発冊子を作成しているところでございます。我々はガイダンスと申しておりますが、そういったものを作成し広めていこうと思っております。
また、県版HACCP認定の取得促進、食品トレーサビリティーシステムの導入促進等については、消費者の手元に届く食品が、いかに安心感を持って取り扱っていただけるかということも含めて、県独自のガイドライン、トレーサビリティーシステムの一歩川下への追跡、一歩川上への遡及といった、身近に実践できるようなガイドラインを作成しまして、今、事業を展開しているところでございます。
その他、事業者団体等との連携強化等を行っております。
3つ目に、相談体制の整備と正確な情報の発信、迅速な危機への対応につきましては、全市町における消費生活センターの設置促進でございますが、最もベーシックな取り組みでございます。先ほど申し上げましたように41市町ございまして、現在消費生活センターは本県では13市に設置しておりますけれども、この3年間において、消費生活センターの各市町への設置を目標に取り組んでいるところでございます。
併せて、今回、基金を活用させていただきながら相談員養成事業を現在実施しているところでございます。
監視体制の強化と迅速な対応、正確な情報発信等については、食品衛生監視、特定商取引に関わる体制の強化、そういったことについても積極的に取り組んでおるところでございます。
説明につきましては、以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問をお出しください。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 まず、基礎的な知識で、それぞれ人員と予算というのは大体わかりますか。

○川久局長 人員といいますのは、本庁の人員と出先機関の人員ということですか。本庁は、消費生活課が2係体制で課長を含めて8名体制です。出先の生活科学総合センターは神戸にありまして、そこは基幹センターでありまして、はっきりした数字ではございませんが、20名程度の職員がおります。そして、各センターには、職員が2、3名体制、相談員が2名ずつです。各市町には、現在92名の相談員が配置されております。
生活衛生課につきましては、各5つの係がございまして、獣医師、薬剤師等々を含めまして、30名程度の職員がいます。
また、健康福祉事務所には、獣医師、薬剤師等々を含めまして、300名ぐらいの監視員が配置されております。
あと予算につきましては、具体的に基金を予定している、2分の1規定が入っておりますので、十分とは言いませんけれども、対応できる一般財源としての予算はございます。

○川戸委員 各地で減らされていますね。兵庫県の場合もやはり減っているんですね。

○川久局長 どうしても一般財源というのは、消費生活分野、話せば長くなるんですけれども、最初からこういうふうに立ち上げましたけれども、消費生活分野は、どうしても本県の方針でもある生活創造分野とか生涯教育とか、そういった方にシフトしていった感がございまして、消費生活分野としてあることはあるんですけれども、言葉は悪いですけれども、隅に置いていきぼりになっていた状況であったことはあります。
そういった面から、消費生活に関わる予算というのは、減額されていった経過がございます。

○川戸委員 これでリカバリーできそうですか。

○川久局長 今回は基金の関係もございますし、やはりこういった方針を打ち出して、局までつくって、行財改革の中で新たな局をつくるということは、それだけ体制整備をきちっとしていくということで、今、一般財源の支出は非常に難しいかもしれませんけれども、今後おいおい消費者委員会にお願いすることも含めて、お話ししていこうと思っていますけれども、一生懸命財政部局と折衝していこうと思っております。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 幾つかお聞きしたいんですが、まず、信頼に応えられる仕組みづくりをなされたということですが、消費者行政推進本部をつくるに当たって消費者の声を反映されたのか、どこかで消費者が参画する機会があったのかということと、それから、本部自体にどう消費者が関わっているのか、参画するところがあるのかということをお聞きしたいと思います。
それから、お話にはなかったんですが、法執行はどこの部署でおやりになっているのか。
あと、原因究明テストなんですが、兵庫県では随分いろいろ原因究明テストをやられて、公表されている部分もあります。何件くらいのテストをやっているのか、その結果をすべて公表されているのか。それとも、あっせんのためにやられている部分があるのかお聞きしたいと思います。
それから、生活衛生課とか保健所との連携というのは非常に大変だったと思うんですけれども、そこで御苦労なさったところがあったら教えていただきたいと思います。
もう一つ、兵庫県には暮らしのクリエーターという制度があると聞いていますが、それはどういう方が、どんな活動をされているのか。
あと、本部自体はすばらしいメンバーなんですけれども、一体どのくらいの頻度で会合が開かれるのかというのと、事務局長のところに理事と書かれているのはどういうことなのか教えていただきたいと思います。
以上です。

○川久局長 大変多い項目ですが、まず最初の県民の意見を聞きながらということでございますけれども、県民モニターアンケートというものを取る中において、過去2年間に勧誘を受けたことがあるかどうか、県民の69%の方、約7割近い方。それから、過去に勧誘を受けたことを申し出たことがあるかという、約4割の方が泣き寝入りといったらおかしいですが、そういったような状況。それから、消費生活相談に望むようなことについては、一元化した問題解決とか、市町相談の窓口を是非強化してほしいとか、そういったアンケートの実績はございます。
それから、法の執行につきましては、特商法とかは消費生活課、生活衛生は食品衛生法とか公衆浴場、旅館業法、水道法とか、そういったことの法執行を実際にやっております。
商品テストにつきましては、具体的な件数は今、持って来ておりませんけれども、さまざまな商品テストを行っておりますけれども、実際どこまでやるのかということを今、議論しております。健康科学研究センターと合併いたしましたので、高度な残留農薬とかについては、研究センターでできる分野はもう少しそちらに移して、総合センターで行っている商品テストについては、出前講座と言いましょうか、簡易にできるようなことを消費者の目の前でやれるようなものは、そういうところにシフトして整理していこうかと。液クロにしても、ガスマスにしても、2つのところにある必要はございませんので、そういう整理をしております。商品テストの在り方についても、今、議論しているところでございます。
生活衛生課との連携につきましては、確かに私自身前職が生活衛生課長で、ギョウザ問題の主担当であったものですから、どちらかというと、消費生活の方の勉強をしていくということに大変苦労しているんですけれども、そんなに生活衛生と消費生活を、今までも連携をしておりましたけれども、どうしても消費生活の分野の方が部も違いましたけれども、事業サイドとか農林サイドとか御相談に行かれるときに、余り真剣に聞いていなかったといいますか、非常に言葉は悪いですけれども、そういうような観点で受けとめられながらお仕事をされていたのかなと。実際にこういう立場に立って、一緒にすることによって、今まで消費者団体の方と接していたのと少し違った視点で、もう少し一緒に連携しながらやれる分野というものを、県としては真剣に考えていくような方向性になったというふうに思っております。
暮らしのクリエーターについては、知事から237名の方を各地域から、消費者団体の各市町から何名かずつ手を挙げていただて委嘱しております。そういう方は、身近な相談対応に応じていただけるような出前講座とか、寸劇とか、そういうことも含めてやっていただいておりますけれども、なかなか高齢化されておりますので、次世代のヤングクリエーターとコラボしていただきながらやっていこうという取組みをやろうということです。 本部体制ですけれども、理事というのは、まず知事がありまして、知事の次に副知事がおります。その次のポストが理事でございますが、そういった理事の方がやられております。
開催の頻度ですが、これはあくまでも政策の企画立案等々について、議論するところですから、本部会議は年に最初の1回、そして年度末の1回というように年2回程度開催することとしています。
県民局が入っていると申しましたけれども、各市町に消費生活センターを立ち上げるに当たっては、我々の生活科学総合センターの分野の動きだけではなしに、県民局長とか事務分野で、非常によく市町との調整をしていただいておりますので、効果がある本部体制になっていると思っております。
以上です。

○佐野委員 お答えがなかった部分で、テストのところなんですが、テスト結果をすべて公表されているのかということと、それがあっせんのためのテストであるのかということ。あともう一つは、一番最初にお聞きした、推進本部自体に消費者がどういう形で関わっているのか、参画しているのか、事前のアンケートは伺ったんですが、現在どうなっているのかお聞きしたいと思います。2点お願いします。

○川久局長 商品テストについては公表をしています。公表してますけれども、まとめて公表しておりますので、この1年間どういったことをしましたという一覧表にした公表を行っております。苦情に基づいてだけではなしに、8割形がそうだと思いますけれども、調査研究的な商品テストもやっております。
それから、消費者団体等の参画ということで、県民生活審議会というものを本県に設けておりまして、その下に消費生活部会というものを立ち上げております。その消費生活部会の中に、事業者のみならず、消費者団体、生協の方々等々に参画をいただきながら、私が今申し上げたような事業について、消費生活部会に諮りながら事業を行っておりまして、そういった意味でございます。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 御説明ありがとうございます。私が質問したいのは、一番最後にちょっと書いてある、相談体制の整備と正確な情報の発信、ここで相談体制についてお伺いしたいと思います。
兵庫県は先進的な取り組みをずっとされておりまして、相談員からは非常にあこがれを持って見ておりましたが、何年か前に5名いらした相談員さんが2名になったことと合わせて、雇い止めが始まりました。今までそのようなことがなくて、先輩が後輩をきちんと指導しながらということで、非常に兵庫県を高く評価されていたところがあるんですが、最近は2名になって、それも新しい人になっているということで、外から見ていると余り評価できないような状況でいらっしゃいます。
その辺につきまして、先ほど基金について一般財源について十分あるとおっしゃられましたので、そこは相談員に対してどのような手当をされているのかお聞きしたいと思います。
今年の相談員養成講座は何で姫路で開催されるのかと思いましたら、島の人たちとか、各地の方が参加しやすいようにということでやっていますと言われて、それは非常にすばらしいことだと思いました。神戸からちょっと離れたところで、いろんな方が参画されて、今おっしゃられるように、市町に設置したいということをおっしゃられましたので、財源も十分あるのかなと思っております。
そこに関しまして、今度の新しい相談員さんたちが配置される場合に、十分な財源があるということでもありますし、今県の2名ずつしかいない人たちを増やしていただくことと、報酬がそれなりに上がるということを期待してよろしいでしょうか。

○川久局長 本県の実情に随分お詳しいみたいでございますけれども、十分あるというのは、私のお答え方が悪かったと思います。確かに今回基金が予定されておりますことについて、一般財源の2分の1の関係では△はついていない。そういう意味で申し上げたことで、どんどん一般財源は減らされておりますので、決して十分な予算ではありません。
相談員の関係でございますけれども、各センターに2名ですから7か所で14名でございます。先ほどからの経緯もございますように、消費者行政の相談体制についてどういうふうにしていくのか、政令市とか、各市町にも相談員の方がたくさんいらっしゃいますので、県の相談員の役割と市町の相談員の役割等々の議論も財政部局で今、大いにされているところでございます。
ただ、各市町村に相談員が全員配置されたとして、県としての果たす役割、相談員の果たす役割はどういったところにあるのかについて、基本的には我々はこういう消費者相談については、生活のお医者さんというふうに言っていますように、要はかかりつけ医を近くにお持ちいただいて、高度なことについては県の方で十分な支援体制も含めて、そういう役割を担っていこうと思っております。
ただ、十分な予算の中で相談体制をとっているならば、相談員を減らしているのはどうかという質問でございましたけれども、ポイントとしましては、各市町に相談員を配置するに当たっては、やはり3年後のこともございますので、財源がなければこの体制は市町は非常にちゅうちょしております。センターを設置しようとしていると申し上げましたけれども、やはり人件費が一番大きな課題でございますので、3年後の法の見直しなり、相談員の役割ということも明確化されると期待いたしておりますので、かつ23年度は人件費が2分の1ということに基金の中でもなっておりますけれども、そういうことについても何とか基金の間は、10分の10でというようなことを是非お願いしたいと思っております。

○下谷内委員 雇い止めについてはどのようにお考えでしょうか。

○川久局長 雇い止めは一応10年でございます。5年・5年の10年にしておりますけれども、これは県の嘱託員の政策として、そのほか非常勤がたくさんおりますので、その中で総合的に検討していかなければならないと思っています。この場でそれが不適格だというようなお話はできません。申し訳ございません。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 簡単に質問だけ、大変すばらしい総合的な組織をつくられたわけですけれども、これはつくろうと思ってもいろいろ反対があったりして、簡単にはできないと思っているんですが、これが実現できた、現実的なところのリーダーシップを発揮したのは、どの部署なのか、あるいは人であるのか、キーパーソンがいらしたのか、その辺りをお伺いしたいと思います。

○川久局長 キーパーソンは知事でございます。知事の判断です。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 今日は、適格消費者団体の人も来ておられるのですが、適格消費者団体とか消費者団体に対する支援の在り方というのも附帯決議にあるので、勿論あれは政府向けの要請だと思うのですが、地方公共団体として考え得る支援、適格消費者団体やその他の消費者団体に対する支援、こういうものはどういうものが考えられるのか、あるいはここは地方ではできないから国でやってほしいというのは、どういうものがあるのか、その辺をお聞きしたいと思います。

○川久局長 本県では、適格消費者団体がございます。ひょうご消費者ネットの理事長が清水さんですけれども、清水さんも本県の県民生活審議会消費生活部会の専門委員として御参画いただいております。そういった中で具体的な適格消費者団体の支援、事業委託とか、関連団体の先進的な行政の穴を埋めていただけるような、緻密な事業について、どういったことが委託事業としてやっていけるのかどうか。現在議論しているところですが、本県では弁護士会と厳密に連携していこうということで、専門的な助言を受けるべく知事との協定を結んでスタートいたしました。適格消費者団体等についても、これからどんなことができるのかについて十分議論していきたいと思っております。

○松本委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 地方消費者行政活性化基金のことなんですが、どうも現状の活用の状態を見ますと、例えば啓発用のパンフレットとか、そういうものに使いましたということが多くて、4年目以降に予算を組むような、例えば人員増とか、待遇改善とか、そこら辺になかなか結び付いていないような県あるいは市の状態も聞くんですが、この活性化基金がもう少しこうなったら使いやすいのにとか、とりあえず3年間になっているんですが、3年間経った以降、何か検討して、こういう改善があればより使いやすいとか、あるいは活性化しやすいとか、そこら辺の視点があったらお話しいただければと思います。

○川久局長 先ほどちらっと触れましたけれども、活性化基金につきましては、やはり一番の我々の大きな事業としては、各市町に消費生活センターを設置していただくことです。私も各市町を一市一市回りまして、やはり言われることはそういう部署をどうやって持って行くか。やはり人件費でございます。今回7月から新たに雇用される人件費等については措置されておりますけれども、やはり食品衛生監視員とか、保健師とか、そういった法的に必置義務がございますけれども、必置された後、地方交付税で150が300になったとしても市町には全然影響がありませんので、法的にもきちっとした整理をしていただきながら相談員という者の位置づけをはっきりしていただいた方が、3年間以降については、より消費者と密着したような行政が展開できるものと。活性化基金はその間の環境整備と思っております。ですから、将来的にはそういう法整備も含めた対応をしていただきたいと思います。
2分の1規定というのがございます。予算執行をつくるに当たりましても、2分の1の一般財源がないと執行できないということがございますけれども、その辺りも非常に一般財源が減額される中で、使いたくても執行できないという現状がございます。その辺りについても撤廃していただけたらというふうには思っております。
人件費の23年度から2分の1につきましても、財政部局で今折衝をしているところでございますけれども、2分の1になるんだったらもう付けないというようなことも言われております。ただ、お金だけということではなくて、精神としましては、私どもさまざまな行政経験のあるプロとして、この分野についてはかかりつけ医を持てるようなこと。それから、事業者の方については、消費者との相互理解というような言い方をするようにしております。事業者はどうしても消費者主役でと話をしていきますと構えてしまいますので、よりお互いに相互理解を図るような事業を積極的に展開していこうという観点でおります。基金につきましては、そういうことでございます。

○松本委員長 ほかに、御意見、御質問をございませんか。
それでは、平田弁護士、川久局長におかれましては、お忙しい中長時間にわたる審議に御協力をいただきまして、誠にありがとうございました。

≪3.消費者庁の今後の取組(工程表)について≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移りたいと思います。
第4回の委員会におきまして、消費者庁の工程表について御報告をいただき議論を行いました。工程表については、その後パブリック・コメントが実施され、多数の意見が寄せられたと伺っております。本日は、そのパブリック・コメントで、どのような意見が寄せられたのかにつきまして、また、それらの意見がどのように反映されるのかということにつきまして、御報告をいただき皆様の御意見をいただきたいと思います。
それでは、御説明をお願いいたします。

○黒田政策調整課長 消費者庁政策調整課長の黒田でございます。お手元の資料3に従いまして説明させていただきたいと思います。
意見の募集の期間は、10月20日~11月6日まで。ホームページへの掲載、地方公共団体への配付等により広く周知を図りまして意見を募集いたしました。
いただいた御意見、提出者・団体数を見ますと、全体で128名・機関です。内訳は下にあるとおりでございますが、弁護士の方も含めまして、個人の方とカウントさせていただいている方が41名、消費生活相談員の方も実際には個人なんでしょうけれども18名、あと消費者団体、地方公共団体、民間企業、民間企業の団体ということで、意見をいただいております。
1枚おめくりいただきまして、全体の傾向でございます。意見の件数はいろいろな形でいただいておりますので、厳密には分けづらい部分もあるんですが、あえてカウントいたしまして、全体で大体642件。うち上から4、5、6番目が主に地方の消費者行政強化関連の分野なんですけれども、ここで237件ほどいただいておりまして、3分の1以上が地方消費者行政の強化についての意見であります。消費者教育については63件いただいておりまして、この辺りが意見の多かったところでございます。 その他、分類できない御意見、個別の項目について、意見を多くいただいておりまして、全体の傾向で言いますと以上のような感じになります。
では、この意見を踏まえて工程表をどうしたのかということを説明させていただきます。消費者庁の今後の取組みの素案からの変更点と、実際に工程表をごらんになりながらと思います。少し前後しますが、まず新たに追加した点が2点ございまして、これは工程表で言いますと4ページになります。4ページの14番、15番について、「健康食品の表示について、検討会において検討を進め、年度内に論点整理」をするということ。また、「個人情報保護法の見直しの検討」です。消費者委員会の検討結果なども踏まえて必要な措置を実施するというような記述を追加しております。
また戻っていただきまして、その他幾つか細かく修正しておりまして、まず事故情報の分析、原因究明機能の強化、2番の3行目ですけれども、取組みを直ちにやっていくということで、実施期間の部分を変えたのと、検討期間も、独立した調査機関について検討し、結論を得るということで、これは2年にわたって検討することになっていたんですけれども、順次いろいろ答えが見つかり次第取り組んでいくということで斜め線で表現しておりますが、表を改定しております。
1枚めくっていただきまして、地方関係でありますと、まず一番上、地方消費者行政強化プランを作成するということで矢印が終わっていたんですけれども、勿論同プランも推進していきますということで矢印を追加しております。
5.の相談員の待遇改善というところについても、検討の開始の時期を、4.にあります、実態調査を踏まえてという形で、最初の素案では示させていただいていたんですけれども、その答えを待たずに同時並行で検討は始めまして、更に必要な措置についても、例えば23年度予算を要求する段階で何か反映できる部分があれば、そこに手を付けていくということで、若干、措置を実施する部分についても前倒しをしております。
少し戻りますが、消費者ホットラインにつきましては「11月上旬を目途に全国で本格実施」ということにしておりましたが、これはいろいろ技術上の問題等もありまして、可能な限り早期に全国展開するということで表現は修正させていただいております。
細かな表現で申し上げますと、16番の消費者庁、国民生活センター等の体制という部分につきまして、「商品テスト機能の強化、相談員の待遇の改善、研修の充実等国民生活センターの体制について検討」するということでございます。検討する内容も広く深くするということで、検討期間も伸ばしながらも実施もできるものはどんどんやっていくということで、こういう矢印の書き方に修正させていただいております。
工程表について、修正した部分は以上でございまして、その他642件も意見をいただきまして、消費者庁の今後の取組みに対する意見の整理として別の資料にまとめさせていただいております。工程表の該当箇所と、いただいた意見の概要を中央に、消費者庁としての考え方を右側に書かせていただいております。
個別の説明は時間の関係で省略させていただきますが、前回の委員会で御意見をいただいた部分で、今までの説明から漏れている部分を若干補足いたしますと、事業者の意見もよく聞いてほしいというご意見をこの会の場でいただいておりますけれども、そこについては、消費者庁としての考え方の中で、例えば事故情報データバンク等をつくっていく中で、広く事業者の方の意見も含めて伺っていくというふうに書かせていただいております。
未然防止の観点が重要だというご意見もいただいておりますが、これは消費者教育とか情報提供を強化する部分が、我々としてはそういう未然防止の強化の観点で今後やるべきことという認識をしております。
工程表と消費者基本計画の連動、工程表はこれしかやらないというふうにならないようにしてほしいということだったんですけれども、今日、先ほどの閣議後の記者会見で福島大臣が申し上げたこともありますけれども、この工程表はこれで終わりというふうに認識しておりません。適宜見直しを図っていきます。具体的には年度末を経た段階で一度進捗状況を我々自身も点検して、必要に応じて見直しをしていくというふうに考えております。
以上、簡単ではございますが工程表の説明をさせていただきました。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、工程表のパブコメ及び修正部分につきまして、何か御意見、御質問がありましたらお出しください。
どうぞ。

○山口委員 工程表の2ページのところに、今年の12月末までに消費者庁において、地方消費者行政強化プランを作成して公表するという前提で作業をなさっているということでよろしいんでしょうか。

○羽藤審議官 そうです。

○松本委員長 ほかに何かございませんか。
特にございませんようでしたら、次の議題に移りたいと思いますが、どうぞ。

○原事務局長 1点だけ事務局から確認させていただきたいのですが、先ほど工程表と消費者基本計画の関係について御回答があったんですが、消費者基本計画の中に工程表は盛り込まれると考えていいのかどうかという点と、それから4ページに消費者基本計画の改定の項目があって、策定のところは消費者庁がやりますということで書かれていますけれども、評価・検証は消費者委員会の役割と考えてこういう案になっているのか。もう一回御説明いただきたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○羽藤審議官 消費者基本計画との関係は、消費者基本計画自身の取り扱いについても、この場でも御指摘をいただいておりまして、要すれば消費者庁の仕事の進め方と、消費者庁に限らない関係各省庁の仕事、今後どういう項目に取り組んでいくのか、これが工程表と消費者基本計画というふうに、まず基本的な位置づけはそういうふうにあるのではないかと思っております。
それと同時に、消費者庁の仕事の進め方でありますので、工程表をごらんいただいておわかりのように、むしろ検討の中身として、あるいは検討の各論として、まだ具体的な課題やテーマが示されない、あるいはそこまで突っ込んでいけれてない部分がありますので、そういうものは、例えば消費者基本計画の策定をめぐるいろいろな議論の中で、こういうテーマが非常に大事であるという各論も含めたものが、また御議論をこの場も含めていただけると思っています。
したがって、御質問のこの工程表は消費者基本計画に含まれるのか含まれないのかという点については、サブスタンスとして勿論含まれていく部分もありましょうし、それは今後の消費者基本計画の策定の中で、関係各省庁の取組みを促しながら整理をしていくものだと思っておりますし、先ほど黒田課長から申し上げましたように、これは仕事の進め方として、もう一回年度末を1つのポイントとして見直していくという御指示も大臣からもいただいておりますので、そういう意味では、この消費者基本計画策定の作業もよく見ながら、我々の仕事の中に反映していくという意味では、工程表も消費者基本計画の関係を十分に影響を受けながら、我々がこれをしっかりと仕事の進め方として前提にしておかなければいけないことだと思っております。
それから、消費者基本計画自身についての検証であるとか評価についてでございますけれども、これは消費者基本法において消費者政策会議がその役割を担うことは、これは消費者基本法において定めがありますけれども、国会の審議あるいはこれまでのこの場での御議論も含めて考えてまいりますと、消費者委員会において消費者基本計画についての一定のお考えを示していただきながら、それを我々自身もよく全体をとりまとめていく上で、案をつくる上で、事務局として尊重をさせていただくべきことは当然のことだろうと思っております。
ただ、本日に至るまでの間、これまで、例えばかつての消費者基本計画の策定の過程においては、国生審の場でいろいろな個別の具体的なテーマについての御議論があったというふうに伺っております。この消費者委員会において今後どのような形で消費者基本計画についての御意見を出されていくのか、我々はできる限りのものをここに提供させていただこうと思いますし、また関係各省庁からの状況なども適宜御指示の下で御報告させていただこうと思っておりますけれども、そういう形でこれは年度末までに消費者基本計画について定めるということがございますので、そこから逆算をしてまいりますと、今、この消費者基本計画を定めていく。あるいは消費者基本計画の案をつくっていくということについての、また、この消費者委員会での御議論をいただいて、自主的にそれが評価であるとか、あるいは検証というふうことに間に合うような形で、御指示もいただきたい。我々も具体的な案をこの場でも進捗に応じて御報告をさせていただきたいと思っております。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、消費者委員会といたしまして、今の御説明にもありましたように、消費者庁がこの工程表を踏まえて取組みをきちんと進められているかどうかにつきましては、今後とも注視していきたいと思います。

≪4.個人情報保護法の施行状況に関する報告≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移ります。個人情報保護法の施行状況に関する報告を消費者庁よりいただきたいと思います。これは、個人情報保護法に基づいて作成されました、個人情報の保護に関する基本方針において、これは閣議決定だと思いますが、消費者庁はその施行状況を消費者委員会に報告することとされているということに基づくものでございます。
それでは、消費者庁の國井個人情報保護推進室長より御説明をお願いいたします。

○國井個人情報保護推進室長 それでは、個人情報保護推進室長でございますが、平成20年度の個人情報の保護に関する法律の施行状況の概要を御説明させていただきたいと思います。
これの性格については、ただいま委員長から御紹介いただきましたので、省略をさせていただきますが、資料4ということで、本日は、要約版の1枚紙と、白表紙の冊子になりました概要本体を御用意させていただいております。時間の関係上要約版に沿って説明いたしますが、適宜本体を参照していただきながらお聞きいただければと思っております。
個人情報の保護に関する法律の施行状況の概要につきましては、要約版にございますとおり第1章、第2章、第3章と3つの章に分けておりまして、 第1章が、国の個人情報の保護に関する施行状況、
第2章が、事業者等の個人情報の保護に関する取組の状況、
第3章が、地方公共団体における個人情報の適正な取扱いに関する施行状況、
ということで、個人情報の保護について、それぞれ役割を担っている主体ごとに分けて整理をしてございます。
本文は全部で55ページほどですが、最初の16ページまでが本文で、17ページ以降はそのバックデータといいますか、参考資料という構成になっております。
まず第1章、国の個人情報の保護に関する施行状況でございますけれども、個人情報保護法は、いわゆる主務大臣制というものを取っておりまして、民間事業者の義務を定めた法律なのですが、それぞれの事業者に対する指導・監督、それから権限の行使というものは、各事業分野を担当するそれぞれの大臣、官庁が行うということになっております。
第1章のポイントを4点、要約版に掲げてございますけれども、まず事業分野ごとのガイドラインの策定・見直しの状況、これは1ページにございますが、21年3月31日現在で策定されているガイドラインは、24分野につき計38本あるわけでございます。20年度に新たに経済産業分野で1本制定をされておりまして、それと連動するんですけれども、医療分野で見直しを行われたものが1本あるという状況になっております。
2ページになりますけれども、個人情報取扱事業者に対する主務大臣による権限行使の状況です。20年度においては、個人情報保護法に基づく勧告の実績はなく、報告徴収を金融庁、厚労省、国交省が計28件行ったという実績がございます。
それから、勧告の一歩手前の緩やかなアドバイスということで助言というものがあるんですが、これを財務省において1件実施しているという結果になっております。
ちなみに平成19年度は、報告徴収が83件と報告されておりましたので、件数自体は減少しているということでございます。
なお、参考ですが、個人情報保護法の主務大臣権限行使は、勧告の後に続きまして、必要な場合には命令をかけ、それに違反した場合には罰則という間接罰の仕組みを取っているわけなんですけれども、この法律が施行されてから4年半経過しておりますが、命令やそれに違反しての罰則に至ったケースというのは、これまでまだ出ていないということでございます。
3点目、認定個人情報保護団体の認定の状況ということで、これは各事業分野の業界団体などが、それぞれの傘下の事業者に関する一般の方々からの苦情の処理とか事業者に対する情報提供を行うことを主たる目的として主務大臣から認定を受けるという法律上の制度がありまして、それに基づく認定を受けた団体ということでございますけれども、現在計37団体存在しているわけでございます。
20年度に新たに認定したものが3団体ございまして、要約版にありますとおり、警察の警備業1団体、経産省の結婚情報サービス業2団体というふうになっております。
4~6ページの3ページにわたりまして、個人情報保護法全面施行後3年を目途とした見直しについての記述をさせていただいております。これは、個人情報保護法が成立をした際に、国会の附帯決議で全面施行から3年経ったら必要な見直しを行うということが定められたわけでございまして、旧国民生活審議会の個人情報保護部会において必要な措置の検討が行われ、その結果について記してございます。
結論から言いますと、法律の改正というのは見送りになったわけでございますが、大きく3点、閣議決定いたします個人情報の保護に関する基本方針の一部変更というものと、それから法律の施行令の一部改正、それからガイドラインの共通化の取組、大きく分けるとこの3つについて、昨年度においては取り組んだということでございます。
基本方針の一部変更の内容についてはいろいろとございますが、この法律が施行されて、世間で一番問題視されたのが、いわゆる過剰反応というものでしたので、政府としてこの過剰反応に対して法律の仕組み等をしっかり周知していくということが位置づけられたわけでございます。
第2章でございますけれども、事業者等の個人情報の保護に関する取組の状況ということでありまして、7ページ以降に記してございます。まず最初に、苦情処理の状況ですけれども、7、8ページにデータ的にまとめてありますが、基本的に個人情報に関する苦情処理については、国民生活センターの方で一元的に集約していただいております。19年度に寄せられた苦情相談が1万3,000件弱あったわけですけれども、20年度においては9,979件で、1万を少し切る程度ということで、件数の減少が見られている状況になっております。
それから、事業者からの個人情報漏えい事案の状況が、9から14ページまで載せておりますけれども、これは事業者が公表した個人情報の漏えい事案で、各省庁が把握し、こちらに報告してきたものの件数ということでありますが、20年度は合計538件ということでございます。これは、9ページに4年分すべて括弧書きで記してございますけれども、17年度が1,600弱、18年度が900弱、19年度が850程度、それから20年度が538ということで、基本的には減少傾向にあるという状況になっております。
内容については、もともと小規模事案が多いんですけれども、若干大規模事案も横ばい傾向にあるということと、内容的には従業員が関与した過失によるものが多いということでございますので、基本的に事業者にもう少し注意していただければ、まだまだ件数の減少の余地はあるのかなと考えているところでございます。
認定個人情報保護団体の取組状況として、苦情処理の件数が624件あったということを示しております。
最後、第3章でございますが、これは本文では16ページだけですが、地方公共団体における個人情報の適正な取扱いに関する施行状況です。これは、先月末に総務省の自治行政局が公表した地方自治の情報管理概要という公表資料がございますけれども、その中から個人情報の取扱いに関する部分を抜粋させていただいて記載したものです。
条例制定の状況、個人情報保護法制においては各自治体の取り扱う個人情報については、地方分権の観点から、すべて地方自治体の条例によるということになっておりますが、21年4月1日現在で、すべての都道府県と市区町村において条例が制定されているということでございます。
その具体的な中身については、参考資料の方にいろいろ項目を分けて記載しておりますので、またごらんいただければと思います。
それから、先ほどもちょっと申し上げた「過剰反応」への取組状況ということで、これは地方自治体でも積極的に取り組んでいただく必要があるわけですけれども、規模の大小も関係あるのか、都道府県においてはかなり取り組んでいただいているようですけれども、市町村においては、それに比べると若干割合が低くなっているという結果になっております。
駆け足で恐縮でしたけれども、私の方からの説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問のおありの方はお出しください。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 本文の14ページに、漏えい後の改善措置状況等についての数字が出ているんですが、本来ならば漏えい事故を起こした場合に、特に5万人以上の情報を漏えいしたケースが昨年も20件足らずあるようなんですが、その場合に、固有名詞はいいんですが、大口の漏えいの場合に、どういうふうに企業が対応したのか、具体的な対応の在り方を少しわかりやすく、何行かずつでも書いていただければ、漏えいした場合には実際に企業はこんな大変なことになるんだということを痛感するという意味では効果的だと思うんです。
そういう意味で、単に何をしたかという抽象的な件数だけではなくて、具体的な事例を、この5万人以上だけでもいいですから出していただけないでしょうか。それは今後の対応としても是非お願いしたいと思います。

○國井個人情報保護推進室長 今後の課題ということで受け止めさせていただきます。

○松本委員長 資料のところで少し紹介していただくとわかりやすいかと思います。
ほかに御意見ございませんか。どうぞ。

○下谷内委員 16ページの一番最後なんですけれども、いわゆる「過剰反応」の取組状況なんですが、都道府県においては、それなりに取り組んでいらっしゃいますが、市町村においては割合が低くなっているということであります。市町村などには、国民生活センターなどから、各地に説明に伺っていらっしゃいますが、なかなかそれが市町村にまで届いていないという状況があると伺っております。
その取組状況は書いてあるんですが、今後どのように考えていらっしゃるか。過剰反応は、消費生活センターにも結構相談が入ってきます。取り組み方をもう少し、国としてどうあるべきかということを教えていただければと思います。

○國井個人情報保護推進室長 今の御質問でございますが、おっしゃるとおり過剰反応対策というのは非常に重要でございまして、我々といたしましては内閣府の時代から、まさに国民生活センターさんにも御協力をいただいて、全国説明会等を展開しております。
なかなか広報・啓発というものについて、一般的には風当たりが強い中ではありますが、毎年少しずつバージョンアップしたパンフレット等をつくり、あるいは説明会資料をつくって、一生懸命周知に努めているところでございます。
ただこれは、そういうことで都道府県、市町村に我々としても呼びかけなり、材料の提供なりはしているわけでございますけれども、御承知のとおりこちらも地方支分部局があるわけでもなく、なかなか隅々まで情報が行き届きにくいという現状もあります。いずれにしても、引き続き、そういうことで地道な活動を続けていきたいと考えております。
以上です。

○松本委員長 よろしいでしょうか。消費者委員会といたしましても、福島大臣から、個人情報保護法の見直しについて検討してくれという要請もございましたので、今後、委員会あるいは委員会の下に組織をつくって、そこで個人情報保護法のフォローアップをするとともに見直し作業を行っていただくことになると思います。
それでは、本日はどうもありがとうございました。

○松本委員長 これで本日予定しておりました議題は終了いたしましたが、前回の委員会より山口委員が加わりまして、委員としてようやく10名全員がそろうということになりました。また、インフルエンザのまん延シーズンを控えまして、座長が急きょ来られないという事態も十分予想されますので、この機会に、委員長代理の指名を行わせていただきたいと思います。委員長代理といたしまして、この間ずっと日弁連におきまして中心的な活動にかかっておられました、中村委員にお願いをいたしたいと思います。
中村委員、いかがでしょうか。

○中村委員 委員長の御指名を受けまして、代理を務めたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 それでは、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。次回の日程につきましては、また改めて周知をしたいと思いますが、次回につきましても、地方消費者行政の活性化につきまして、これまでのヒアリングで伺った意見も踏まえ、議論を引き続き行いたいと思います。
なお、最初に少し述べましたが、この後もし御希望の方がいらっしゃいましたら、委員長あるいは時間のある委員と若干質疑をする機会を取りたいと思いますので、希望の方はこの場にお残りください。せいぜい30分、12時半ぐらいには終了したいと思います。
ということで、本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

≪ 閉 会 ≫

(以上)