第4回 消費者委員会 議事録

日時

2009年10月26日(月)9:30~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

議事次第

1.開会
2.消費者庁の今後の取組(工程表)について
3.集団的消費者被害回復制度等に関する研究会報告書について
4.新たな消費者基本計画の策定について
5.消費者安全の確保に関する基本的な方針の内容(検討事項案)について
6.消費者安全専門調査会設置・運営規程(案)について
7.新開発食品調査部会における調査会の設置について
8.「特保」を含めた健康食品の表示のあり方について
9.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:81KB)
【資料1】 消費者庁の今後の取組(工程表) (PDF形式:164KB)
【資料2】 「集団的消費者被害回復制度等に関する研究会」とりまとめ (PDF形式:133KB)
【資料3】 新たな消費者基本計画の策定について
 新たな消費者基本計画の策定について (PDF形式:139KB)
(資料1) 現行の消費者基本計画の検証 (PDF形式:594KB)
(資料2-1) 消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案に対する附帯決議(衆議院) (PDF形式:134KB)
(資料2-2) 消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案に対する附帯決議(参議院) (PDF形式:179KB)
(資料3-1) 新たな消費者基本計画の策定に向けて (PDF形式:129KB)
(資料3-2) 消費者の安全・安心の確保に向けた総合的な取組の推進について (PDF形式:111KB)
(別紙) 消費者基本計画 (PDF形式:699KB)
【資料4】 「消費者安全の確保に関する基本的な方針」の内容(検討事項案) 【資料5】 消費者安全専門調査会設置・運営規程(案) (PDF形式:12KB)
【資料6】 消費生活用製品安全法(抄) (PDF形式:11KB)
【資料7】 新開発食品調査部会における調査会の設置について(案) (PDF形式:15KB)
【参考資料】 新開発食品調査部会設置・運営規程 (PDF形式:112KB)

≪1.開会≫

○松本委員長 おはようございます。
本日、皆様雨の中をお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、消費者委員会の第4回会合を開催いたします。
カメラの方は、ここで御退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○松本委員長 なお、本日は国会の関係がございますので、原事務局長が9時40分ごろに一旦退席されます。また、櫻井委員におかれましては、11時半ごろ退室されるということでございますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。

≪2.消費者庁の今後の取組(工程表)について≫

それでは、議題に入らせていただきます。
初めに、消費者庁が今後の取組(工程表)(案)を現在作成しておりますので、消費者庁より現在の検討状況について御説明をいただき、委員の皆様の御意見をいただきたいと思います。
では、消費者庁から御説明をお願いいたします。

○羽藤審議官 おはようございます。
消費者庁の羽藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
時間に限りもございますので、早速ポイントを申し上げたいと思います。
お手元に資料1として「消費者庁の今後の取組(工程表)(素案)」ということでお配りを申し上げております。これは、先週20日(火)、福島大臣から、今後の消費者庁としての仕事の進め方を国民の皆さんにお示しをするということで、この素案をまず公開させていただきまして、そして、政務三役ではいろいろな議論をこれからもしていくのだけれども、消費者庁としてホームページへ掲載をする、消費者団体の方々から意見を伺う、地方にも可能な限り出かけて行って、いろいろな御意見を伺っていく、そういうことも平行して進めさせていただきながら、当然のことながら、この消費者委員会での御意見をしっかりいただくようにという御指示が私ども事務方にございました。それで、先週からいろいろな機会をとらえまして努力をしておるわけでありますけれども、むしろ、そういう地方からの意見、あるいは地方に限らぬ関係のいろいろな方々の意見をどのように汲み上げていくのかということにつきましても、この消費者委員会の皆様方の御指摘をいただきたいと思っております。
中身でございますけれども、実はこれは消費者庁が発足いたしまして、私ども事務方としては、いろいろな観点からの事務方の議論をいろいろな形で重ねてはまいりました。そして、大体考え方として、ここにお示し申し上げております柱が5つあるわけでありますが、これは大臣からも御指示がございまして、1つは「事故情報の一元的な収集、分析・原因究明、発信」が非常に重要な仕事ではないかという点、それから、2番目は「地方消費者行政の充実・環境整備」。これは2枚目でございます。それから、3点目は「被害者の救済、消費者の自立」。これは資料の3ページ目になります。それから、4点目は「制度の見直し・整備等」で、例えば「消費者基本計画の改定」につきましては、きょう別の議題としてお時間をいただいておりますけれども、それぞれ基本的な考え方を消費者庁、それから、政府を挙げてということでの整理をすることが必要ではないかということ。それから、5番目は、消費者庁自身あるいは国民生活センターといった関係機関の体制について、また、国際的な取組の推進についてということで、大体この5つぐらいの柱を従前の消費者関連法案の国会審議の附則、附帯決議がございますので、そういうものを踏まえながらこういう形で整理をいたしまして、これまで事務的には議論を重ねてまいりました。そして、整理をしましたものを素案という形で、先週大臣から決定をいただいた上で御発表をいただいたわけでございます。
今後ですけれども、まず、スケジュールでございますけれども、11月中旬には取りまとめていくという方向で、この具体的な仕事の進め方、それから、仕事の中身ということの方針でございますので、固めてまいりたいと考えておりますし、この工程表では、横で時間軸をお示ししておりますけれども、年内、それから、年度内、そして、発足後法施行ということで考えていきますと、1年目まで、さらに、2年目、3年目、法施行3年目以降、これは附帯決議、附則で御案内のとおり、3年はいろいろな形で示されておるものでもございますし、地方について特に集中強化育成期間で3年が打ち出されておりますので、そういう意味での3年が一つの大きな目安になって、そして、3年目以降ということでございます。こういう形で時間軸を整理しながら、可能な限り、この中でそれぞれの項目について、どういったところまでで一体何がどう整理できるのだろうかということを、この小さい字でございますけれども、整理をすることを試みたものでございます。この政策過程をオープンにすることが非常に重要であると大臣から御指示もいただいております。国民のための省庁、生活者・消費者のための具体的な仕事として、この場でも御意見を是非いただきながら、具体的な政策の取り決め方に反映させていただきたいと思っております。
個々の具体的な内容は、一つ一つ細かく御説明をさせていただく時間には制約があると思いますので、私ども、この中でも特に重要であると考えておりますポイントを簡単に御紹介させていただきながら御意見を是非いただきたいと思います。
まず、「事故情報の収集・集約体制の整備」でございます。これは私どもも試行錯誤をしながら、また、メディアの皆さんを通じていろいろな御指摘もいただきながら、どのような形でこれを分析し、公表していくのかということにつきまして、いろいろな工夫をこれからもしてまいりたいと今考えております。そういう中で、その事故分析・原因究明といったものにつきましては、既に既存の国民生活センター、あるいは関連する機関の商品テスト機能といったものもございますし、専門的あるいは技術的な知見になりますと、外部の人材の方にもこれをお願いをしながらタスクフォースをつくっていく。また、警察や消防といったところの連携も含めて、いろいろな協力をいただかないと、具体的なものとして再発防止にも結びつけにくいのではないか。そのような問題意識を持っておりますので、こういったことを大体年内あるいは年度内に体制をともかくつくっていくことを考えております。
それから、2ページ目は地方消費者行政についてでございます。これは、併せて地方については特に地方の消費生活センター、相談員の方々を初めとする現場の御意見を特に強く伺っていくことが必要ではないかという御指示も政務三役からいただいておりますので、早速ではございますけれども、先週の金曜日に消費者庁の中に、地方消費者行政の強化のプランを策定する本部が設置されております。不肖私が素案の取りまとめを事務的に担うことになっておりますけれども、これから、それぞれどういう形でのここに課題が上げてございますような中身を詰めてまいるかということの素案を準備しまして、そして、それと並行してこの工程表の中に具体的にお示しを申し上げられるように詰めてまいりたいと考えております。
その中でも、地方行政を考えていきますと、特に3つの視点が非常に重要ではないかと考えております。1つは、地方事務が基本ではございますけれども、国が共通のサポートをすることで、やはり国が前に出てやらなければならないものもあるのだろうという点が1つ。それから、2つ目は、これは地方の事務であるということの意味では、その主体性とか発意を促すということで応援をするという、そういう支援的な観点からのかかわり方。それから、3つ目は、地方自治体のみならず関係するいろいろな団体の方々、特に消費者関連団体、あるいは弁護士会の方々をはじめとするいろいろな方々の協力を得ながら、この地方消費者行政を充実させていくという、こういった、国が共通的なことを、それから、地方の支援をするということ、それから、それは自治体だけではなく関係者の御協力をいただかなければいけない。こういった3つのことがこの地方消費者行政を進めていく上では重要な視点になるだろうということでございます。そして、それをこの時間軸の中で、可能な限り明らかにさせていただきたい。そういうふうに考えながら、この4番、5番、6番、それぞれの大きなアイテムは、これまでも国会の質疑の中でも特に強調されてきたことだと思います。
中でも、例えば今申しましたこととの関係で言いますと、各地方公共団体で消費者安全情報統括官ということで体制をつくっていただく。これは地方の中での具体的な取組をそれぞれが進めていただくということですので、では、そのモデル的なやり方とか、あるいは具体的な施行の仕方はこういうやり方があるのではないかということを私どもは地方に実際にお示しを申し上げながら、そういう取組をしていただく。これは促すということで、こうなってまいりますと、首長、トップの方々の意識も改めて強く求めてまいることが必要ではないかと思っております。
また、いろいろな情報インフラにかかわることにつきましては、国民生活センターで既存の持っておりますもの、あるいはこれから取り組もうとしている、あるいは刷新もございますので、そういうふうなものを中心としながら、地方の取組をサポートするということで、先ほど3つと申し上げましたけれども、その第1番に当たるカテゴリーのものではないかと思っております。
それから、この中には相談員の方々に特に教育あるいは研修の機会をということがございます。こういうことについては、勿論国が一定の支援をということがありますけれども、そこは何と申しましてもこれまで御経験のある方々、あるいは専門的にこれまで活動されてきている方々、こういった方々の協力なくしてはこういった研修であるとかということを激増していくことには限界がありますので、そういう御協力を求めてまいりたいということは先ほど申しました3点目につながっていくものであると思っております。それぞれについての項目を、ここに掲げておりますような形で進めさせていただきたいと思っております。
また、次のページの「被害者の救済、消費者自立」ということで、これも各項目について、やや検討に時間を要するというものがございますけれども、それは早く研究会とか、いろいろな取組をまず始めさせていただいて、そして、よく議論を深めてまいりたいと思っております。当然その過程において、個々、個々のテーマに即しまして、この消費者委員会での御議論を是非お願いをしたいと思っております。
それから、4番目につきましては、4ページ目でございます。消費者基本計画を初めとして消費者基本法等で政府として定めなければならないと、法律上されておりますような事務がございます。消費者安全法についても、基本的な方針は、消費者安全法の中でこれを策定することが定められておりますので、こういったものにつきましては、その法律の定めに従いまして準備をしていく必要があろうということがこの中で盛り込んでいるものでもございます。
最後の5ページ目でございます。これはここに掲げてありますことにしておりますけれども、それぞれ消費者庁としての在り方、国民生活センター、独立行政法人という大きなフレームがございますけれども、そういう中で国と連携を取り、そして、地方とのつなぎを果していただくというふうな役割については非常に重要なものがあるのではないか。それを具体的にどのような形で進めてまいるかということについて、これから国民生活センター自身もそうですけれども、よく連携を取りながら、具体的な方向性を固めてまいりたいと思っております。
もとより、ここには各論としてまだ取り上げられていないのではないかという御指摘があるものもあろうと思いますし、そういうものも御意見をいただきながら改定をして、位置づけをしっかりさせていただきたいと、そういうふうに考えておりまして、繰り返しでございますけれども、そういう点での政策をつくり上げていくというところからの御意見をいただきながら、今後進めさせていただきたいと、そのように考えております。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ、委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。
どうぞ、中村委員。

○中村委員 なかなか詳しい工程表ができて、しかも、9月1日からスタートしている項目が30項目ありますね。これらについてはもう既に体制ができているという理解でよろしいのでしょうか。

○羽藤審議官 まだそういうふうに体制ができているというところに至ってないものが多数でございまして、実は、9月1日からの工程にはなっておりますものの、もう既に今は11月の声を聞こうとしており、とにかく考え方としてこういうことをやらなければならないということはここに書いてあるとおりでありますけれども、9月1日から既に全部がスタートしたということではありません。
ただ、大臣からもこれは御指示がございまして、工程表を策定して、皆様の御意見を伺いながらということであると同時に、直ちに実現に着手できるものは着手するようにといただいておりますので、それぞれについて御意見を伺いながら具体化していこうと思っております。

○中村委員 この課題の中には、消費者委員会が国会から附則とか附帯決議で付託されている事項が随分入っておりまして、消費者委員会でもいずれ検討をしなければならない課題が随分あるんですが、この進めるに当たって、消費者庁には200人余りのスタッフがおられるのでこれだけの推進が可能なんですけれども、消費者委員会は16名しかおりませんので、これから消費者庁でまず検討をして、それを後から消費者委員会でもう一回同じことをやるとか、並行してやるのは非常にロスがあると思うので、できればその推進体制の中に消費者委員会の事務局あるいは消費者委員等もポイント、ポイントで入っていくということで効率的にやった方がいいのではないか。勿論、消費者庁と消費者委員会は独立でありますし、監視する方とされる方という立場も当然あるのですけれども、概ねここに出てくるものの中で、企画・立案ものは別に制度の構築を一緒に考えましょうということで全然構わないと思うので、そういうところは推進に当たっては、協働の体制を築くことも検討したらいいのではないかと考えておりますので、御検討いただきたいと思います。

○松本委員長 佐野委員。

○佐野委員 1つまず質問をさせていただきたいのは、これは11月の中旬に大体決めておしまいになるということで、パブリックコメントも出されていますけれど、他方、基本計画があって、基本計画の方はまだもう少し時間がかかると思われるのですけれど、ここに多分いろいろなことをやってほしいという基本計画が入ってくると思います。これを見ている限りでは、先に工程表が出てしまったら、基本計画と連動していくというような形にならないと思いますが、そこら辺はどうお考えになりますか。

○羽藤審議官 確かに今の点は、私どももこの工程表の位置づけと基本計画との関係をどう考えるのかということの中でも議論をしたのですけれども、次のようなことではないかなと考えております。と申しますのは、この工程表は1つには消費者庁としての仕事の進め方であると。したがって、大きな方向性においてそれは中身の結論をあらかじめ方向づけるという意味合いのものも出てまいりましょうけれども、実際の中身の議論は、当然計画もそうですけれども、それぞれの議論を進めていきながら、そのテーマごとに深めていくという場がこれからもあって、そして、そういう中で具体的な中身をつくり上げていくのはおのずと別のそれぞれの場があるのだろうということでもありますので、そういう意味では消費者庁としての一つの仕事の進め方をここで示して、そして、それに対して外の方も、勿論消費者委員会を初めとして、あるいは政府の中もそうですけれども、議論を進めていくのは、また、別途並行的にもしながら詰めていく話だろうと思っております。
例えば、消費者基本計画は、消費者庁以外の政府の取組もそこにはございます。それについても、勿論これからの議論がありますものですから、消費者基本計画は年度内に、つまり来年の3月に向けて、この後お時間もいただきながら、今後の柱もお示しをさせていただきたいと、思っておりますし、我々もこれから議論を進めていって、そして、基本計画で例えばこういう点は非常に重要である、こういう点はもっと加速化すべきであるという御議論がこれから出てまいりますれば、当然工程表もそういう形で前倒しにしていくということで、そこはむしろ消費者委員会からも、そういう意味では素案ということでお示しを申し上げておって、これが11月中旬に固められても、なお、それを必要に応じてリバイスをしていくようなこと、あるいは、基本計画を個々の具体的なテーマ、中身によって、少し急がなければならないものは急ぐというふうに直していくことは、これは当然あることなんだろうと思います。まずは仕事の進め方として、消費者庁としてこういうものが必要ではないかということをお示しを申し上げたのがこの工程表であると、そのように私どもの中では議論をしております。

○佐野委員 今の御説明ではそうかなとは思うんですが、ただ、この工程表を見たときに、これしかやらないというようなイメージが出てしまわないような何か工夫をしていただきたいなと思います。
細かい話でもよろしいですか。

○松本委員長 この議題については10時ぐらいまでを一応予定しておりますので、その範囲内で収まることでございましたら、どうぞ。
では、もう少し大きな点について、ほかの委員の方からの意見を。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 工程表の御説明ありがとうございました。今、審議官の御説明を聞いていまして、お願いが1つあります。関係者とよく調整をする、連絡をするということで、自治体とか消費者団体という言葉が再三出てきますけれども、事業者といいますか、生産者といいますか、そういう関連している側のコメントが一切ないということは、私は少し問題認識が違うのではないか。再三、私はこの席で言っておりますけれども、消費者庁なり消費者委員会は、消費者と事業者を結びつけて、それが共に発展する、レベルアップしていくことの考え方が一つの大きな柱であると思うんですね。ですから、事業者も、直接の消費者であり、また消費者を非常に大事にしているわけですから、そちらの考えにも消費者庁なり消費者委員会がきちんと連絡して意見を聴いていかないとだめだと思うんですね。ですから、是非、こういう工程表とか、基本計画であるときに打ち合わせをお願いしたい。でないと、この席で細かい話をしても際限がないと思うんですよ。ですから、そういう場を是非つくっていただいたらどうかなと思います。

○羽藤審議官 大臣初め政務三役にしっかりと今の御意見について御報告を申し上げたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 今御説明いただきまして、ありがとうございました。大筋のところは大体わかりました。今、池田委員もおっしゃられたように、御検討いただけるということですので喜んでおります。
時間がございませんので、私のところでお願いしたいのは、2枚目の「地方消費者行政の充実支援、環境整備」であります。ここにつきましては、国が本部をつくられまして、地方公共団体にも設置ということで、具体案をお示しいただくということには賛成でありますが、使えるような具体案をつくっていただければと思います。非常に机上の空論のようなものが出てきますと、現場にいる地方行政がそれがなかなか使いづらいということです。今、審議官が3点についてお示しいただきましたが、そこで、現場に行くことを重視だとおっしゃって、とてもうれしく思いましたが、今、現場が何を求めているかということが一番重要なことではないかと思いますので、その辺のところをお示しいただく場合、丁寧にしていただければいいのではないかと思います。
それから、相談員の待遇改善につきましては、是非、国からもよろしくお願いしたいと思います。地方公共団体だけに責任を持たせるのではなく、今現役の相談員さんが報われなければ、新しく入って来る人はいないと思います。新しく入られる相談員の養成や相談員のレベルアップなど一生懸命されてはおりますし、実際に働いている内容から感じまして、賃金とか待遇について今の人たちを改善していかなければ、次に育つ人材が入って来ないと思いますので、その辺のところもよろしくお願いしたいと思います。

○日和佐委員 消費者被害の救済は重要な事項でして、それに力を入れることは当然ですけれども、その前に、未然防止に対することについて余り触れられていません。そこはもっと重要なことではないかと思います。事後処理だけではなく、どうやって被害を未然に防止するかという観点が非常に重要であると思っております。したがって、被害要因の分析等、被害が発生したときの状況を把握することが必要ではないかと思います。
それから、もう一つ、消費者行政担当者の育成も非常に重要で、そこが不足している。特に地方消費者行政では不足していると思いますので、そこも是非具体的に付け加えていただきたいと思います。

○松本委員長 では、佐野委員、簡単に。

○佐野委員 時間のあるところで、ちょっと細かい話をさせていただきたいと思います。
一番最初のところのPIO-NETですが、新たなシステムを構築と書いてあるのですが、どんなシステムで、それが事故情報データバンクとどう絡み合っていくのかというのがよく見えないということ。それから、次の2番目の事故分析の国民生活センターの商品テスト機能の強化と書かれて、主語が一つになっているのですが、右の方の附帯決議を見ますと、それぞれの幾つかの機構が一緒にやると書かれています。私は、ここは一本ずっと長くし、今からいろいろな機構と一緒に検討を始める、附帯決議を反映した形にしていただきたいと思います。
それから、次のページの「消費者安全情報総括官」の設置、すごくいいことだと思うのですが、これが3月31日でプツッと切れてしまって、この後の連携が全く見えない。これはどうするんでしょうかということです。
それから、4.の一番最後、今後3年の集中育成という地方消費者行政の充実のところで、まさに30億円が削られてしまったその理由でもありますが、3年後が見えないところが非常に大きいので、それをこんなに長くやっていないで、22年3月31日までに、次の支援の在り方について全般的検討を前倒しして、できるだけ早く地方自治体に今後どういうふうにするべきかというような形を示せれば、さらに地方の活性化につながるのではないかなと思います。
それから、3ページ目の9番に「消費者団体への支援」があります。「消費者団体相互の交流の機会を提供」とありますが、意味がよくわかりません。ただ交流の機会を消費者庁が提供してくださるという、何かすごく違和感を覚えるところです。あってもいいとは思いますが。それと、次のところに書かれている「消費者団体への支援」を、適格消費者団体も消費者団体も両方とも同じような支援が必要であるわけですから、その辺をもう少し検討をして、消費者団体の方にもきちんとした支援という形を書いていただきたいなと思います。そんなところです。

○松本委員長 個々の点についてこの場でお答えいただいていると大変時間がかかると思いますから、そういう注文が委員から寄せられたということを配慮して作業を行っていただきたい。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 後で基本計画のところで申し上げようかなと思ったのですが、工程表も関係あるので一言だけ申し上げますと、一番最後から2番目のページで、12という項目ですが、消費者行政の中で体制のさらなる整備という御議論がありまして。附則の趣旨から考えると、もう少し幅広な話になるのかもしれないのですが、消費者庁と消費者委員会の関係といいますか、消費者委員会の在り方みたいな問題については、先ほど、中村委員や池田委員からも御議論がありましたが、例えば同一課題について両者がどういうふうに議論をしていくのかというときに、ダブルトラックでやるのかどうかというような問題であるとか、あるいは消費者委員会が消費者目線でやるというような言い方がされるために、事業者をどういうふうに入れ込んでいくのかという利害調整のような問題、それは消費者庁も同じだと思うのですけれども、消費者委員会も含めた消費者行政組織の在り方については、これは新規の仕組みで、非常に独自性があるために、スタートはしたけれども、必ずしも円滑に動いていないというところがあるかと思うんですね。
この2か月ぐらい見ていた感想なんですが、消費者委員会は内部に矛盾する任務を2つ抱えております。1つは、諮問を受けて調査審議する部分と、それから、いわゆる監視の機能があると言われています。監視の機能については、消費者庁との関係では緊張関係がむしろあるわけですね。ところが、諮問の調査審議といった話ですと、これは広い意味での協力関係がないと対応はできないというようなところがあり、この2つはぎりぎり詰めると両立しないんですね。そうすると、それを消費者委員会の中でどういうふうに対応するのかを考えたときに、ある種の機能分担が委員会の内部でできていればいいんですが、そういうことについても不分明なままボンと消費者委員会の親委員会があって、それで消費者庁との関係をつくっていかなければいけないということになっています。私は、これは多分制度設計上の結構重大な欠陥かなと思っています。近い将来、大体問題がはっきりしてきましたので、そこは相応の大きな改善をしないと、消費者委員会が消費者庁との関係でもなかなかうまく機能しないのではないかと、そういう問題意識を最近は強く持っているところです。
その検証をどこでやるのかということですけれども、消費者庁と、消費者委員会も多少自己検証みたいなことをやるのかもしれませんけれども、そちらの方でも問題意識を持っていただいて、体制整備のところの中に論点として是非呼び込んでいただきたいというようなことを考えております。
以上でございます。

○松本委員長 最後のはかなり大きな問題提起で、果して自らをどうするかを自らで決められるかというところがありますから、場合によっては消費者庁、消費者委員会のさらに外側にその両者の関係を検証する組織をつくっていただくとか、国会の方できちんと議論していただくということも必要になってくるのではないかと思います。とりわけ、例えば附帯決議の1つ目の消費者委員会の委員の常勤化等のことについて、委員会として審議して何かを言うのは恐らく余り適切ではなくて、ここは外から見ていただいてどういう委員会が望ましいのかという意見を出していただくという形にしないとちょっと動かないと思うことがございますから、消費者庁の工程表のさらに外側に、もう少し大きな観点からの国の消費者行政全体の見直しの何かが必要かなと思います。
本日も多数の論点をお出しいただいたので、ここにいられる委員の方で個別の論点についていろいろ御意見をお持ちの方もいらっしゃると思いますけれども、それはまた別途消費者庁の方に伝えていただくことにしていただきたいと思いますし、また、消費者庁の方といたしましても、本日出された意見、あるいはパブリックコメントをしておしまいではなくて、池田委員もおっしゃいましたけれども、事業者とか消費者とか、それから、地方とかに出向いて行って意見を聴くというようなことも積極的にやっていただきたいと思います。

≪3.集団的消費者被害回復制度等に関する研究会報告書について≫

○松本委員長 それでは、続きまして次の議題でございますが、工程表の案の中にもございましたが、被害者救済制度の検討にかかわる問題です。
本日は、内閣府の国民生活局に置かれておりました集団的消費者被害回復制度等に関する研究会において座長を務めておられました慶應義塾大学の三木教授にお越しいただいております。被害者救済制度等に関しましては、国会審議における附帯決議において、政府が検討する際に、消費者委員会の意見を十分に尊重するとされておりますので、消費者委員会におきましても検討が求められていることでございます。そこで、これまで検討を進めてこられました研究会の報告書について三木教授より御説明をお願いいたします。

○三木教授 ただいま御紹介ありました三木でございます。15分程度で話をしろということですので、早速中身に入りたいと思います。お手元に資料2というポンチ絵が配られているかと存じますので、これに即して御説明申し上げます。
研究会の経緯はここに書いたとおりですが、申すまでもなく、消費者被害では、個々の消費者自身が自ら訴えを提起して被害回復を図るのは困難でありまして、これは日本だけの状況ではなくて、諸外国でも同様な状況があるということで、特殊な被害回復制度が必要であるという認識は広く共有されているところであります。特に悪質な事案においては、加害者の資産の隠匿・散逸等によって、被害回復が困難になることもございます。
そこで、研究会としましては、大きく2つのことを柱に行いました。1つが、次の「研究会の目的」でありますが、関連する我が国における既存法制度の現状の把握とその評価。既存の制度を踏まえて、どういうところが今穴になっているのか、あるいは既存の制度の改変で対応できる部分と、全く新しい制度をつくらなければいけない部分がどうなっているのかということを考えるための基礎作業ということになります。それから、2つ目は、諸外国の制度の内容や運用状況の調査であります。近年、特にこの21世紀に入りましてから、ヨーロッパや南米等を中心に大きな立法の動きがありまして、諸外国の制度が徐々に整備されてきております。こうしたものを踏まえて調査を行ったということであります。
次の「消費被害の状況」は飛ばしまして、その下の「具体的な被害事例の整備」であります。これはポンチ絵ではわずかなスペースで書かれておりますけれども、今後の制度設計の検討において重要性が高いと思われますので、やや詳しめにお話し申し上げたいと思います。一口に消費者被害と申しましても、被害事例の類型は多様でありまして、それに応じて救済方法も異なり得るということであります。この後、ごく簡単に諸外国の制度の整備について言及しますが、諸外国の制度を見る場合においても、あるいはそれを参考に我が国の制度構築を考える場合においても、被害類型に応じて制度を考えなければいけない。別な言葉で申しますと、単一の制度ですべての被害類型に対応できるかどうか。恐らく難しいのだろうと思います。複数の制度の組合せというようなものも場合によっては検討していかなければいけないということで、被害類型の整備は作業として重要だと認識しております。
1.2.3.4.と分けておりますが、これは2つの座標軸で整理をしております。1つは、被害者の特定が容易か困難かという観点であります。それから、もう一つは、被害内容が定型的か、あるいは個別性が強いかという視点であります。その組合せによって4つの類型に分かれるということであります。
1.で書いておりますのが類型1でありますが、被害者の特定が比較的容易であり、被害内容も定型的と思われる事例であります。括弧に書いたような事例がそれに当たるのではないかと考えられます。こうした類型においては、被害者の特定も容易で、被害内容も定型的ですから、一律の処理が比較的可能であります。したがって、アメリカのクラス・アクションのようなオプト・アウト型の集合訴訟に馴染みやすい側面があります。この類型については、理論的には現在既に存在する個別訴訟でも対応が不可能ではないわけですけれども、しかし、被害金額が少額の場合が多かったりしまして、現実には集合訴訟の必要性が認められると思われます。
次に類型2でありますが、これは被害者の特定は比較的容易であるけれども、被害内容の個別性が強いという事案であります。これもオプト・アウト型の集合訴訟に比較的馴染みやすいのですけれども、各個人の被害内容は個別性が強いわけですので、その後半の方のいわば個別争点の処理方法を考えていく必要があるという類型であります。例えば後に諸外国の制度で申し上げます2段階型のような工夫も一つの方法であります。
次に類型3でありますが、これは被害者の特定の方が困難であるけれども、被害内容は定型的と思われる事案であります。オプト・アウト型の集合訴訟に馴染む側面が多々あるのですけれども、どこかの段階で被害者に名乗り出てもらわないといけないということがあり、その被害者が名乗り出てくるための仕組みを考える必要があります。この3の類型については、オプト・アウト型のクラス・アクションのような訴訟のほかに、利益はく奪訴訟、いわゆる利益はく奪型にも馴染みやすいところがあります。ドイツの利益はく奪制度等も基本的にはこの類型を対象にしていると理解しております。また、我が国でも課徴金が導入されているか、あるいは導入が検討されている分野であります。そもそも利益はく奪型は、被害者救済よりも再発の防止や制裁に重点を置くという制度ですけれども、この被害者の特定が困難であるという類型の場合には、被害者が実質的には存在するとしても、その特定が困難であるわけですから、現実的には個別救済が難しい場合もあります。したがって、利益はく奪という形で、予防に力を入れることもあり得るかという類型であります。
次に4番目の被害者の特定が困難で、被害内容の個別性が強いという事案であります。これはあらゆる意味で個別性が強いという類型でありますので、実際には、集合訴訟であっても、あるいは利益はく奪訴訟であっても、十分な対応が場合によっては困難な分野であります。しばしば集合訴訟や利益はく奪訴訟を導入すると、あらゆる消費者被害類型に対応できるかのごとき誤解もございますけれども、アメリカのクラス・アクションのような強力な制度であっても、このような類型に完全に対応できているかどうかは疑問のあるところであります。現にアメリカのクラス・アクションでは、このような類型について、クラス・アクションとしての認可をするかどうかという点で裁判例が分かれております。ただ、このような類型の場合も、加害者の違法性の確定、あるいはいわゆる責任論の部分は共通争点になり得ますので、オプト・アウト型の集合訴訟で、例えば2段階型等を組み合わせるなどの工夫があり得るところであります。また、集合和解とか、集合調停が場合によっては比較的機能しやすいということになります。
ページを繰っていただければと思いますが、関連する国内制度を簡単にまとめてありますが、大きくは上段と下段で分けております。実線で囲みました上段の制度は、消費者団体訴訟制度、選定当事者制度、課徴金制度等の整理でありますが、これらは今後の制度の検討に当たって直接的にその関係を考えなければいけない。あるいは直接的に新しい制度と関連を持ってくるような既存の制度であります。これに対して、下段の点線で囲んでいる方は、どちらかというと刑事関係の手続や行政関係の手続であります。勿論これらの制度も今後の検討に当たって意識する必要がありますが、いずれも犯罪性の高い行為、あるいは悪性の高い行為を特に対象としている制度であります。消費者被害事案においては、こういった悪性の高い事案がすべてではありませんので、いわばその一部をカバーするものであることを認識しておく必要があろうかと思います。また、民事の分野との仕分けも慎重に検討していく必要があろうかと思います。
次の3ページに移りたいと思います。これまで調査を行った関連する諸外国の制度を一覧表の形でまとめております。まとめる視点としては、訴訟の当事者、権利等の性質、これは集合訴訟型か利益はく奪型かということであります。それから、集合訴訟型の場合における、さらにその中でのさまざまな手続構造、オプト・アウト型、オプト・イン型、併用型、それから、若干視点が異なりますので、枠を分けておりますが、二段階型、あるいはその他というような視点による分類があります。勿論、これは一つの分類の方法であって、異なった分類もまた可能です。この表ですけれども、一覧性を高くするために、1枚の紙に簡略化して収めてつくっておりますので、ごらんいただくときには若干の注意をお願いしたいと思います。3点ほど簡単に申したいと思います。
第1に、この表に整理しているのは、近年の議論を受けて新たにつくられた制度、現代的な制度であったり、あるいはその国で広く機能している制度等です。別な言葉で申しますと、日本の制度構築に当たって参考になる度合いが高いと考えられるものを集めております。反対に、各国に存在はしていても、その国において否定的な評価が既にされていたり、あるいは現代的な文脈での制度ではないものについては取り上げておりません。
次に2つ目ですが、上の方の四角の中で、集合訴訟型と利益はく奪型をいわば並列的に並べて整理しておりますが、各国における運用の実態を見ると、両者の比重は必ずしも同じではないように思われます。もともと利益はく奪型については、ドイツと、それから、アメリカの中のさらにごく一部の分野で存在するだけであります。また、私どもが知る限り、ヨーロッパ等でこれら利益はく奪型の制度を参考にして立法しようという動きは余り見られないようであります。ドイツに関して申しますと、余り利用がされていないように見えますし、また、法律的にもその位置づけについては疑義を呈する見解もございます。
他方、アメリカのFTC等の制度でありますが、これは基本的に特定の分野における特殊な制度であります。代表的なFTCの制度にしましても、FTC法の中にこのような利益はく奪ができるという直接的な明文の根拠はなく、エクイティを前提とした特殊な解釈と運用によって実施されているということであります。実際には、アメリカにおいて利益はく奪の機能を最も営んでいるのはオプト・アウト型のクラス・アクション、つまり上段の集合訴訟の方であります。オプト・アウト型の集合訴訟は、オプト・イン型と違って、被害者救済だけではなくて、同時に利益はく奪の機能も営むということで、消費者被害事案の大半の部分と言っていいかと思いますが、それはクラス・アクションの方でカバーされていると理解をしております。官庁による利益はく奪の制度は、例えば悪性が非常に高い事案で、通常のクラス・アクション等では対応が困難なすき間を埋めるものという位置づけではないかと思います。
3点目ですが、消費者団体ということで整理をしておりますところです。これはしばしば日本の既に存在する団体訴訟制度とアナロジーで見られることがありますので、ここに上げている消費者団体に当事者適格を与えている制度も、日本の現在ある制度、あるいはヨーロッパ等で存在する差止訴訟型の団体訴訟と同じく、行政等による事前認可を受けた団体と受け取られる向きもあります。しかし、ここに上げている国々を見ると、基本的に、いずれもそうした行政の事前認定は不要であると。別の言葉でいえば、いわゆる適格団体である必要はないという制度が主であると思います。その意味では消費者団体である必要すらない場合が多いので、図をつくるときに直すのをちょっと忘れておりましたが、消費者団体の「消費者」という部分は、場合によっては削って見ていただいた方がいいのかもしれません。この当事者が、消費者自身か、団体か、行政機関かというのも、国によって若干異なりますけれども、同じようにその三者が機能しているわけではなくて、我々が調べた範囲では、一番左の消費者自身による訴訟は広く機能しておりますけれども、団体や行政機関による制度は実際には使われないことも多いということで、これはもし後で御質問がございましたら、お答えさせていただきたいと思います。
4枚目は、用語の整理ですので飛ばしまして。最後に「今後の検討について」であります。今後の検討については、どのような「消費者像」を想定すべきかという点を検討の基本的視点に据えなければいけないと考えております。具体的に言いますと、消費者自身がある程度自立的な訴訟の主体となるような制度を主にするのか、それとも、いわば消費者は保護の対象と考えて、行政等が表に出て行く制度を主にするのかというようなことは、制度構築の出発に当たって考えなければいけないと思います。
あと、制度構築に当たりましては、個々の被害者の被害回復をどの程度重視するのか、あるいは違法行為の抑止と収益はく奪の方を重視するのか、あるいは両者のバランスをどうするのかという点が重要ではないかと思います。その際、先ほど申しましたように消費者被害と言ってもさまざまな類型がありますので、どのような類型・事例を想定して、どのような目的を重視するかによって制度設計は異なり得ると考えられます。
最後ですが、諸外国の制度につきましては、時間の関係で、当時は内閣府ですが、消費者庁のもとで調べるべきだと思われる国の制度がまだ調べ切れておりませんので、消費者庁のもとで、今後、海外調査も継続して行っていくとうかがっております。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。大変膨大な情報量をコンパクトに紹介していただきました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見がございましたら、お出しください。
では、池田委員からどうぞ。

○池田委員 質問ですけれども、5ページ目に書いてありますが、「不当な収益」の、「不当」とはどういう意味ですか。

○三木教授 これは制度をどうつくるかによって違ってくるのですけれども、基本的には、何らかの法律に違反しているというのが中心になろうかと思います。先ほど言いましたように、制度をどうつくるかがまだ具体的にできておりませんが、わかりやすく申せば、民法の不法行為、不当利得にかかわるというのが中心です。ただ、恐らく我が国で議論されている「不当収益のはく奪」というときのイメージは、もっと悪性の強いものを指しているのだろうと思います。今言ったような民法の不当利得や不法行為に当たるものは、民事の手続の中でかなり相手方の言い分も聞いて審理をしなければいけない分野ですが、被害者救済のために行政なりが短時間で不当収益をはく奪するというときの我が国におけるイメージは、犯罪に当たるような行為、あるいはそれに準ずるような行為というのを主として想定していると私は理解しています。

○松本委員長 佐野委員。

○佐野委員 1つ質問をさせていただきたいのですが。海外では、オプト・イン、オプト・アウトとかいろいろな形をとられていますけれど、こういう形にするに当たって、事業者の意見というか、そこを反映した部分はどの程度あるのか、もしおわかりになったら教えていただきたい。

○三木教授 必ずしもその点についてはすべての国について存じているわけではありませんが、2008年とか、最近、北欧の方で、具体的にはノルウェーとかデンマーク等ですが、新しい画期的な制度がつくられてきております。あるいは、その少し前になりますが、スウェーデンでも非常によく考えられた制度がつくられておりますが、それらの国について申しますと、事業者の意見をさほど重視はしてなかったといいますか、そういう形で(事業者の意見を反映して)立法化されたというふうに調査では出ておりません。具体的に申しますと、勿論、全く事業者の意見を聞かなかったわけではありませんが、その国の消費者庁なりが、あるいは司法省なりが中心になって、とにかく何か制度はつくるんだと。つくるに当たって、その役所や有識者等を中心につくったということで、公表されるまでどんな制度が立案されているのかよくわからなかったというような国もありますので、意見は勿論聞いているようですけれども、それを強く聞いているわけではないという気がします。
他方で、この報告書には入ってはおりませんが、これは内閣府の調査ではなくて、我々の研究者としての調査ですが、イタリアでも今年新しい法律ができましたが、イタリアなどは事業者が政治に対してかなり発言力が強い国のようでして、事業者のロビーイングがかなり効いたと聞いております。

○松本委員長 中村委員。

○中村委員 質問なんですが、この類型別に制度を考えるのは、私は非常に大事なことだと思います。ここに4類型よく整理されておりまして。きょうは、取りまとめの概要ですが、これの本文を見ますと、それぞれに実際に起きた事件、判決が出たケース、これがずらっと並んでおります。そこで聞きたいのは、裁判すらできなかった消費者被害もあると思うんですね。例えば外国を調査されて、外国ではこんなのも被害者救済されているのに日本では裁判も起こってないなとか、あるいは判決はないけれども、調停や和解で終わっているケースはないかとか、その辺の調査はなされているのでしょうか。

○三木教授 内閣府の調査ということでは、そこをやる時間はさほどなかったのですけれども、私が把握している範囲では、以下のようになります。
今、委員がおっしゃったように、訴訟をやっても判決になるとは限らなくて、和解で終わることがあるわけですが、この集団的消費者保護に関する訴訟制度を持っている国におけるその制度の運用を見ると、これはアメリカでもカナダでも、あるいはヨーロッパの国もそうですが、訴訟は基本的に和解で終わっているんですね。判決まで行く例はごくごくわずかで、アメリカやカナダ、これらの国ではクラス・アクションを本格的に運用しておりますけれども、私が直接会って話をしたクラス・アクション専門の弁護士とか裁判官に話を聞いても、判決は経験したことがない人が多いわけで、ほとんど和解で終わっております。そうしますと、和解は、有名なマスコミの注目を浴びている事案とかはある程度わかりますけれども、基本的に公表されませんので、今の委員の御質問で、日本の訴訟にはならなくて、アメリカ等で訴訟で解決がうまく図られているという事案は、必ずしも現時点ではよく調べ切れていないというのが現状です。御指摘を受けまして、もし、時間的・能力的な余力がありましたら、この秋以降の調査で調べられれば調べてみたいと思っております。

○松本委員長 日和佐委員。

○日和佐委員 今の日本の社会の中で必要とされていて、なおかつ,非常に矛盾があり、その仕組みがないがゆえに消費者のところに不安感が増しているという事案は、表示等に関する偽装事件であろうと思います。期限表示の偽装、あるいは原産地表示の偽装等あるわけですけれども、それが犯罪的であるということで指摘されても、その罰金の制度が非常に甘い。現実、罰金制度は、例えば偽装違反でも1億までたしかあったと思いますけれども、適用されたことがないというような現状で、したがって、事業者のところではやり得になっているわけですね。したがって偽装行為は後を絶たない。ともかくばれなければやれば得という仕組みにむしろなっている。
そこをどうやって改善していくか。やり得感をどうしてなくすか。要するに、インセンティブをどうやって働かせるかということが非常に大きな課題です。食品表示の偽装は、食の安全全体への不安という形で大きな影響を消費者に与えていると思っています。ですから、利益はく奪型で、是非、不当利益・利得を吐き出させる仕組み、そして、吐き出した利益をどうするかというので、国庫に納めてしまうのか、いや、そうではない方に使う。むしろ国庫に納めるのではなくて、適格消費者団体の活動等に基金として充てることも可能であろうと思っております。是非、この辺りを抜本的に考えていただきたいと思っております。

○松本委員長 櫻井委員。

○櫻井委員 消費者法の議論は、民事的な発想が強くて、ずっとそれが生きていると思うのですけれども、その場合に、この「今後の検討について」のところでも出ているのですが、そのために落ちてくる視点といいますか、権利に至らない利益といったところが大分あるかなと思っております。1つは、被害から出発するというところがあって、この検討会自体は、恐らく非常に深刻な被害が発生したと、で、どうするんだというところから出発しているのかなと思われるのですが、一般消費者の利益は、まさに「一般消費者」という言葉が示しているように、従来から言われているように、もともとは公益の一部であるというふうな整理がされてきたこともあって、しかしそれはそうではなくて、もう少し切り出した形で個別に救済の必要があるのだという問題意識は当然あるのですけれども、そういう部分はいわゆる権利侵害という中には入らない、しかし、非常に広くて薄い公益というわけでもないという、そういう中間領域の問題が恐らくは消費者利益の大宗だと思うんですね。そうすると、そういう利益を救済することが消費者利益を実現することの一番重要なところだと思うんです。
その点をまず問題の所在として認識することになると、では、救済手段としてどういうものを考えるかというときに、司法だけを考えていてはちょっとだめでして、とりわけ裁判所のことが中心になっているんですが、裁判所はそうはいっても、基本的には違法か適法かの判断しかしませんので、和解的なものもありますけれども。そうすると、そういう主観的権利とまでいかないような中間的な利益をいかに救済するかといったときには、行政庁の権限発動をどういうふうに促すかというような形で、行政の回し方みたいなところで救済していくというのが、多分そういう種類の利益に対しては一番適切な救済手段ではないかと思っています。
「検討の視点」のところを見ますと、問題意識自体は多分あるのだろうと思われますが、比較的そうした関心はなお薄いのではないかということですね。だから、それは被害回復を重視するか、「違法行為の抑止又は云々」というところがありますけれども、違法行為をいかに抑止するか。結果として、その種の権利侵害まで至らないような利益を救済するというところにターゲットを絞った議論を少しやっていく必要があるのではないかと思います。
それから、やり得というお話がありましたが、罰則については、これは刑事罰ということになるので、刑事罰の世界は謙抑主義がずっと妥当していますから、違法で罰則が発動できるような状況があっても、発動しない方がいいという伝統的な考え方で来ておりますので、そうすると、制裁としては罰則は余りよくないといいますか、現代的な課題に応えられないものであるという認識がむしろ行政法の議論では最近非常に強い。そうすると、企業に対して何がきついかというと、その発動されない罰則よりは免許の取消しとか、そういう現物系の制裁、税金とか、サービス停止とか、いろいろな手段があるのですけれども、そういうアプローチもやっぱり必要で、この辺りもかなり未開拓なままではないかと思っております。御感触が伺えるようでしたら伺いたいと思います。

○三木教授 恐らく消費者被害の類型によるのだと思います。今、委員がおっしゃったようなお話が最も妥当とするのはかなり悪性の強い類型で、それが犯罪ではなくても、いわば一目瞭然というか、悪いんだろうなというのが一般にわかるような類型においてだろうと思います。
実際には、日本ではそういう類型も多いのですけれども、勿論、そういう類型だけではなくて、企業の側にもそれなりの言い分がある事案はたくさんあるわけで、それはさすがに処罰や、あるいは行政の処分で対応することが望ましくない場合もありますので、民事の訴訟の手続の充実はそれなりに図っていかなければいけない。他方で、民事の訴訟はあくまで民事ですので、限界がありまして、民事でやれることとやれないことがありますので、その部分については行政の処分。行政の処分もまたいろいろと企業活動に対するチリング・エフェクトの問題もありますので、さらに、その手続が明確な、おっしゃるように刑事の謙抑性の問題はあるのですけれども、刑事の手続との連動も考えていかなければいけない。すなわち、どれか1つの制度ですべてを賄うのはもともと無理でありまして、刑事、それから、行政処分、それから、民事の訴訟、あるいは訴訟の周辺制度、それは集団調停であったり、集団和解であったりすることもあるかもしれませんが、そういったものをどう組み合わせていくことが重要なのだろうと考えております。

○櫻井委員 そうすると、この研究会の問題意識は、どの辺りにあると理解すればよろしいんですか。

○三木教授 まだこの研究会が方向性を決めてやっているわけではありませんで、現在は、広く諸外国の制度を調べたり、国内の制度がどう動いているかを調べているという段階で、そういった作業はもう少し続くのだろうと考えております。むしろ、この研究会の知見も、勿論、この消費者委員会なり消費者庁に報告しますし、他方で、消費者委員会、消費者庁の方からの御意見も伺いながら方向性を考えていくべきだろうと思っております。

○下谷内委員 本日御報告いただきましたことに関しましては、かなり研究されたということで、ある程度一定の評価をいたします。
それで、お伺いしたいんですが、今、「今後の検討の視点」にもございますが、被害事例を想定した制度をどのようにするかということで、最初に4つ類型を書かれまして、その中に事案と、それから、報告書の中にもかなり多くの判例等が使われておりました。お願いがありますのは、外国のものについては、和解等についてお調べいただくということでございますが、国内においても、かなり和解されているものもありますし、また、適格団体においては、差止請求というもので公表されたものもございます。それから、地方公共団体におきましては、被害者救済委員会なるものもありますし、国民生活センターでは、先生も委員でいらっしゃいますが、ADRがありますので、そういうような公表されないものが多いのですけれども、公表されたものも含めて積極的に検討をしていただければいいのではないかと思います。
それから、先ほど、不当利得のはく奪の件につきまして、日和佐委員からもございましたが、私どもも適格団体でもありますが、如何せん経営状態が非常に悪うございます。特に私どもは公益法人でございますので、減税措置が全くございません。すべて寄附においても税金がかかってしまいます。一般の消費者団体も含めてそうでございますが、そういう不当収益のはく奪につきましては、何か基金のようなものをおつくりいただいて、その中から配分をするということを以前から申し上げているのですが、是非、そのようにお願いしたいと。それについては、課徴金制度も視野に入れて考えるべきではないかなと思いますので、よろしくお願いします。

○三木教授 今の御発言に関して、1点だけちょっと補足的に申し上げたいと思います。先ほど御説明のときに、当事者適格については、被害者個人、あるいは団体、あるいは国といいますか行政という3種類があり得るという話をしましたが、諸外国を見ると、圧倒的に、その機能を果しているのは被害者個人、あるいは被害者団体の主体となる訴訟なり、あるいは手続でありまして、消費者団体とか行政は、限界があるというふうに見ております。
消費者団体に関して言いますと、我が国では、消費者団体にこうした制度の主体を担うという期待が大きいように思いますけれども、実際には、今おっしゃった予算の問題とか、あるいは人員の問題で、ヨーロッパなどでは、我が国よりも消費者団体は予算とか人員でより強いところが多いのですけれども、それでも、この種の訴訟を担うには、かなり負担が大きい、無理があるということで、恐らく現状の日本の状態のままでは、消費者団体が中心になることは、現実問題としてちょっと考えにくいというところがある。なぜならば、現在ある差止訴訟型の団体訴訟は、訴訟の中で最も迅速で簡単にできる部類であるのに対して、過去の被害を回復するという方の訴訟は、非常に手続も大変ですし、時間も費用も人員もかかるという非常に重い訴訟ですので、よほど人員とか予算がなければなかなかこの主体になれない。それは行政も同じでして。行政は予算が限られておりますので、スウェーデンなどでも話を聞きましたが、行政が対応するのにはかなり困難があるということです。スウェーデンは制度ができて十何年になりますが、行政が起こした訴訟は1件しかない、あるいは消費者団体が起こした訴訟はゼロであると。残りは全部被害者個人ないし被害者団体が起こした訴訟であるというような現状もありますので、そうした、やれる・やれないという点も踏まえていかなければいけないと考えております。

○松本委員長 どうもありがとうございました。
いろいろな観点から、こういうのも入れてくれ、検討してほしいという声があったかと思います。研究会として、恐らく被害救済いうところからスタートされているわけですが、その問題と、今後の被害の拡大や発生の抑止という点、それぞれ、被害救済についても、民事・行政両方の手法があるでしょうし、抑止になると、もっと行政的な手法の方が中心でしょうが、民事的な形で抑止効果を発揮できるような手法もあり得るわけで、その辺りを含めて引き続き御検討をいただきたいと思います。この5ページの「今後の検討について」で一定の検討課題が上げられております。これにつきまして、さらに基礎的な調査研究を進めていただきたいと思います。委員会として、随時、消費者庁側から検討状況についてお聞きをし、庁において一定の論点整理を行っていただいた後に、委員会として、この問題について本格的に議論をしていきたいと思います。
三木先生におかれましては、大変御多忙中のところを御足労いただきまして、誠にありがとうございました。

≪4.新たな消費者基本計画の策定について≫

○松本委員長 それでは、次の議題に移りたいと思います。
続きまして、消費者庁で検討されている、新たな消費者基本計画の策定につきまして、消費者庁より、現在の検討状況を御説明をいただき、委員の皆様の御意見を承りたいと思います。
消費者基本計画につきましては、消費者基本法において、関係閣僚から構成される消費者政策会議が、消費者基本計画の案を作成しようとするときには、消費者委員会の意見を聴かなければならないと規定をされております。消費者基本計画は、消費者行政を政府全体として推進していく上で、非常に重要な計画でございます。委員会としても、積極的にこれにかかわっていきたいと思います。
では、まず、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○成田企画課長 消費者庁企画課の成田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
お手元に、「新たな消費者基本計画の策定について」という資料を御用意させていただいているかと思いますが、これに沿いまして御説明させていただきたいと思います。
まず、1の現行の計画でございますけれども、(1)の「経緯」にございますように、平成16年に消費者基本法が成立いたしまして、これを受けまして、平成17年4月8日に、平成17年度から21年度までの5か年を期間とする消費者基本計画が閣議決定されております。この現行の計画につきましては、資料の後ろの方に別紙として付けさせていただいております。
この計画の策定の手続でございますけれども、消費者基本法第27条におきまして、消費者政策会議が案を作成することとされておりまして、その際に消費者委員会の意見を聴かなければならないとされておりまして、また、内閣総理大臣が基本計画の案について閣議決定を求めなければならないとされております。このため、来年度以降の新たな計画の策定につきましては、今年度末までに消費者委員会の御意見を伺った上で閣議決定をする必要があるところでございます。 (2)の現行の計画の「内容」でございますけれども、基本法におきましては、マル1の「長期的に構ずべき消費者政策の大綱」と、マル2の「消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項」を定めるものとされております。現行の計画には、そこのマル1~マル3にございますような、3つの「消費者政策の基本的な方向」と、1ページの下の四角にございます9つの重点施策を定めた上で、121の具体的な施策を書いてございます。
2ページ目にまいりまして、(3)の「計画の検証」でございますけれども、消費者基本法におきましては、消費者政策会議が基本計画の実施状況について検証・評価・監視することとされておりまして、平成18年以降3回にわたりまして、国民生活審議会の審議を経て、検証等が行われているところでございます。この際には、毎回、新たな取組を追加。見直しをしているところでございます。今回、これまでの計画において記載されております重点施策等に対する各省庁の取組を調査いたしまして、資料1ということで、厚い資料になっておりますが、こちらに整理させていただいております。
2の「新たな消費者基本計画の策定に際しての考え方」でございます。まず、(1)で「消費者行政の新たな展開との関係」ということで、御案内のとおり、今年の9月に消費者庁及び消費者委員会が設置されるとともに、消費者安全法が施行されておりますけれども、新たな基本計画においては、こういった消費者行政の新たな展開における政府の責務を具体的に示すものであることが必要ではないかとさせていただいております。
(2)「新基本計画についての要請・決議等」についてでございますが、消費者庁及び消費者委員会設置法の附帯決議(資料2-1、2-2)では、消費者政策会議は、新計画の策定に当たって、国会での議論と消費者委員会の意見を尊重するものとされておりまして、また、消費者安全法では、後ほど御相談をさせていただきます「消費者安全の確保に関する基本的な方針」とこの基本計画との間で調和が保たれたものである必要があるとされております。
また、新しい計画につきましては、国民生活審議会からも要請が行われているところでございます。こちらも資料3として付けさせていただいております。
3ページにまいりまして、こういったことから、新計画の策定に当たっては、こういった要請や決議等を踏まえるとともに、パブリックコメントを実施して、国民各層の意見を幅広く踏まえたものとする必要があるのではないかとしております。
(3)の「新基本計画について」でございますが、まず、アとして「新基本計画の期間・検証等のあり方」についてでございます。基本計画においては、長期的に講ずべき消費者政策の大綱等を定めることとされておりますが、他方で、消費者庁におきましては、先ほど御議論いただきました工程表の策定を通じて、3年間で地方消費者行政の充実を図ること等各政策を履行していくこととなっております。こういったことから、新計画につきましては、計画期間を3年ないし5年という中長期とすることで、各省庁の着実な取組みを促しつつ、計画の策定後は、消費者庁及び消費者委員会が主体となって政府の取組みを検証して、その結果に応じて柔軟に追加あるいは見直しを行うこととしてはどうかとしております。
また、地方消費者行政の集中育成期間終了後の取組みについても、一定の方向性を示すようなものである必要はないかとしております。
イの「新基本計画の構成」でございますが、マル1の消費者政策の基本的な方向性、マル2の重点的な施策の内容、マル3の今後の計画の検討等計画の実効性の確保、マル4別紙の具体的施策というような構成にしてはどうかとしております。
ウの「新基本計画の策定スケジュール」でございますが、現行計画が今年度末で期間が終了いたしますので、あらかじめ消費者委員会の御意見を可能な限り反映した内容の案を取りまとめておくことが望ましいと考えられますので、消費者庁といたしましては、新計画の内容に関する各委員の御要望事項をいただきつつ、それを踏まえて、関係省庁と基本計画の案の策定作業に取り組んでいくこととしたいと考えております。
こういったことで、基本計画の内容等につきまして、御意見をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松本委員長 それでは、ただいまの消費者庁からの御説明につきまして、どうぞ御意見を出してください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員 すみません、ちょっと入口で水を差すようで恐縮なんですが、先の国会で、消費者関連法が審議された際に、参議院の消費者問題特別委員会で、共産党の大門議員が、消費者政策会議の存在について大分質問をされて、消費者委員会という新しいものができたときに、この消費者政策会議の存在は何なんだと、かえって足を引っ張る心配はないかというような質問がありまして。答弁に立たれた仙谷議員が、修正して、なくしてもいいのではないかというような回答をされました。その場では、大門議員も、少なくとも当面凍結でもいいのではないかというような議論で、新たな法改正まではそこでは勿論突っ込まなかったわけですが、日弁連も参考人などが出て、同様の意見を言っていまして。この消費者委員会が基本計画について意見を述べることと、消費者政策会議という閣僚会議級のものとの関係をよく整理して、議論をしておかなければいけないのではないか。特に、きょう、資料2-2で配られている参議院の附帯決議の12項にも書いてありますが、「消費者政策会議については、当委員会で行われた議論を十分踏まえ、消費者庁及び消費者委員会との関係を総合的に判断し、国会と連携を図りつつ存置を含めその在り方の見直しを検討すること」と、明確にいわれております。ですから、この辺をまず議論をして、この位置づけをどうするかというところをやった上で、この各論的な議論をすべきではないかなとちょっと考えておるんですが、この辺についてはどういうふうに考えておられるのですか。

○羽藤審議官 参議院の附帯決議、それから、国会での御審議の経緯については、今御指摘のあったこともそのとおりなんだろうと思います。その上で、私どもが前提とさせていただいておりますことは現行の法律でありまして、現行の法律の消費者基本法は、これは消費者政策会議を置くことが修正されないまま勿論あるわけでありまして。そして、その中で、繰り返しになりますけれども、消費者基本法27条で、この消費者政策会議が、こういう消費者基本計画の案を作成するというたてつけで、その中で消費者委員会の御意見を伺うと、これがあるわけであります。これは法律で定められているものでございます。したがって、私ども行政官は、法律を着実に実施をするというところに尽きるわけでありますけれども、併せて、附帯決議での受けとめを、これを政治としてどのようにされるかということにつきまして、きょう御意見があったことを、改めて福島大臣初め政務三役に御報告をさせていただきたいと思っております。

○中村委員 1点だけ今の話に付け加えたいんですが、この基本計画は3~5年という期間を見て、これから我々がつくろうとか、意見を言おうとするわけですから、この3~5年の間に、消費者政策会議が存在しなくなる可能性も今含んでいるわけですから、そこら辺を念頭に置いてやる必要があるのではないかということを、老婆心ですがちょっと申し上げておきます。

○松本委員長 ほかに、御意見、御質問はございませんか。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私も、今、中村委員がおっしゃったことを考えていたんですけれど。今御説明いただいた「新たな消費者基本計画の策定について」の2ページの(3)「計画の検証」は、今御説明がありましたように、消費者基本法第27条に、消費者政策会議が検証・評価・監視することとされています。そのとおりだと思いますが、右側のページに行って、(3)アの「新基本計画について」の線がある部分の上から3行目辺りに、「消費者庁及び消費者委員会が主体となって政府の取組みを検証して、その結果に応じて」と書かれています。すごく矛盾しているように思われて、法律では、本来、「消費者政策会議が」ときちんと書かれているのに、こちらでは、消費者委員会・消費者庁が主体になってと、現実的にはこれはそうなのかもしれませんけれど、こういうふうに並べて書かれると、すごくおかしいと私は思いまして。この書きぶりを何か変えないと矛盾しているのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○羽藤審議官 そうですね。そういうふうに今御意見をいただきながら、この文章をそういう目で見ますと、私たちの思いとしては、検証は常に必要なんだろうと。そういうことを消費者庁としてもやらないといかんのだろうという思いを書いたわけでありますけれども、法律的な文言、あるいは今御指摘になっておられたこととの関係で言うと、御指摘のとおりかと思います。正確に書こうとすれば、消費者委員会の意見のもとで、この消費者政策会議自身が検証し、評価し、監視するということですから、そういうふうに本来書くべきであったのかもしれません。むしろ、消費者庁としては、そのための案を提示するという、そういう位置づけであり、そういう中で消費者委員会が意見を、そして、監視をされるということなんだろうと、そういうふうに理解をしておりまして、この文章表現については、我々の気持ち、思いとしての今申しましたとおりの方向でとらえなければならないことを改めて直して申し上げたいと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見、御質問はございませんか。

○佐野委員 中身についてすみません。

○松本委員長 どうぞ。

○佐野委員 中身について、3年か5年かという話はずっと前からもいわれてきていますが、非常に難しいところで、附帯決議などはほとんど3年までということで、3年が一つの区切りかなとは思いますけれど、3年でピシッと切っていいものなのかというのがあって、地方消費者行政を見た場合、特に3年以降がどうなるのかという部分が非常に大きなポイントとなっているので、3年プラスもうちょいという感じで、私は、3年が中期、5年が長期で、毎年ある程度見直しができるような形の柔軟性を持っていただきたいと思います。
それから、書き方なんですが、御説明があった1ページ目のマル1から、2ページ目のマル9と、今までこういう形でつくってきているわけですけれど、これだと、すごく幅が狭いような感じに今の段階では受け取れるので、私は、消費者基本法の11条から順番に書いていった方がわかりやすいのではないかなと思われます。
それから、先ほど、一番最初の工程表のときにも申し上げたように、是非、工程表とうまく連動させていっていただきたいと思います。
それから、国民生活審議会から引き継いできているところですが、検証・評価・監視の在り方をどうするか。7月の国生審の検証では、経常的チェック、消費者アンケート、また、第三者の評価も実施してほしいと書かれています。是非、国生審の意見を聴いていただいて、何らかの形で第三者の評価を入れていただきたいと思います。
あとはすごく細かくなるので、また、それなりのことを申し上げたいと思います。

○松本委員長 はい、下谷内委員。

○下谷内委員 細かいことですが、3ページの今、佐野委員もおっしゃられましたように、この計画期間の3~5年でございますが、それはアの下から2つ目に、「地方消費者行政の集中育成期間(3年)終了後の取組みについて」ということで、御検討いただけるように書いてございますが、この基本計画におきましても、その連動性はどうしても必要になってまいります。何回も同じようなことを申しますが、地方も3年以降がどうなるかということを心配をしておりますので、この基本計画につきましても、5年は長いかなとは思いましたが、連動させていただくためには、5年ぐらいをしていただければ、現場にいる者たちも安心はしますし、それを運用していく行政においてもしやすいのではないかなと思っております。
イのところの4つに分けてありますが、「新基本計画の構成」ということで、マル1、マル2、マル3、マル4と書いてあります。基本的には、このような形をしていくことになるとは思いますが、この3番目に、先ほど佐野委員がおっしゃられましたように、今後の計画の検証ということの実効性の確保につきましては、今までヒアリングをして何かと、表をつくられただけで、私どもが見ているのはそんな感じなので、実際にそれがどのように今後につなげていくかというのはなかなか見えにくうございました。今後は、せっかく新基本計画をお立てになるのですから、検証した後、では、実際にどうなっているかというのが見えるようなものを出していただければと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見、御質問ございませんか。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 下谷内さんのおっしゃったとおりだと思うんですね。これから新しい消費者庁ができて、こういう基本計画ができるわけですから、是非、ここの(3)のアのところの、一番大事なのは、3~5年もそうなんですけれども、「その結果に応じて柔軟に追加・見直しを行う」と。今までは、法律ができると、基本計画ができると、どうしてもそれにずっと引きずられがちですよね。今回の「特保」の例も、いい例ですけれども、情勢はどんどん変わってくるわけですから、是非、その結果に応じて、いろいろなところのヒアリングに応じて、柔軟に追加・見直しをするという、その精神だけは是非大切にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 池田委員、それから、櫻井委員。
まず、池田委員からどうぞ。

○池田委員 私は、期間の問題は、5年でいいと思うんですけれども、5年は長いですからね。毎年、新しい状況の変化に対応していくことは大事だと思います。あらかじめ、地方消費者行政みたいに3年くらいと、例えば3年目を第1ステージとか、それから、2年間を第2ステージとか、3年間は考えられる、予測されることをきちんと計画を練って、第2ステージには、新たにそれらを踏まえて追加するとか、そういう柔軟な計画が、中期と見るか、長期的と見ることが大事なのではないかと思います。
それから、私は、計画のつくり方において、消費者サイドで新しい考え方をいろいろつくられてくると思うんですけれども、私は事業者側から見まして、勿論、被害とかそういうものはあってはならないのですけれども、今一番大事なことは教育といいますか、消費者の自立とか、そういうレベルを高めていくこと取り組むということをきちんとうたうことと。
もう一つは、いろいろなものが非常にグローバル化していますのでね。国際的に通用するといいますか、国際的に共通できるようなわかりやすい仕組みをどうやって計画につくっていくかということが非常に必要ではないかと思いますので、そういうところをお願いしたいと思います。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 この計画は、行政上はどういう意味があるのか、ご自分たちではどういうふうに把握されているのかなという点に興味があるので、この点まずお願いします。

○羽藤審議官 実は、先ほど工程表との関係で、委員からの御指摘がありましたけれども、これは、政府が基本的な消費者政策の実施についての取組みを定めるということではあるわけですけれども、これは政府ですので、勿論、消費者庁はそうなんですけれども、消費者庁以外の特に事業を所管している官庁においても、この消費者政策という点で、この消費者基本計画は非常に大事なものであると、そういう投影のされ方をすることによって、政府全体としての取組みがあらわれてくる、その方向性が基本計画としてあらわれてくると、こういうふうなものだと位置づけています。
ですから、中身としましては、今申しましたようなことですので、工程表は、消費者庁の仕事の進め方ということで専らそこにフォーカスをしてつくり上げてきているものである。ところが、この消費者基本計画は、さらにもっと広い、政府のということでもあり、それが計画だということでありまして。そういうことを進めていくに当たって、先ほど来の繰り返しでございますけれども、柔軟に見直さなければならないのは、勿論消費者もそうですけれども、各省庁においてもそういうものであると、そういう受けとめ方をしているものだというふうに理解しています。

○櫻井委員 実質がどのぐらいあるかということなんですけどね。閣議決定をするので、各役所を巻き込んだ形で計画を立てるという意味では、消費者庁に完結しないという、そういう射程を持っているので、そういう意味はあるんだろうなとは思っているんですけど。何となく作文かなという感じもしておりまして、特に計画の検証の部分は余り実質に入ってない、少なくとも出ているペーパーを見る限りはそうなんですよね。だから、ドキュメンテーションが役所は多いので、できれば減らしてあげたいなという気持ちが、国民の一人としてはありまして。
どういうことでしょうかね。何か効用があるとすると、一応問題の投げかけはして、それなりのレスポンスは相手方からあると。それを文字にするということで、ある種の広報的な意味合いはあるだろうとは思いますが、さらに、それを超えて、どのぐらい実質に入れるものだったんだろうか、あるいは、入れる可能性があるのだろうかという辺りがお伺いしたいことなんです。

○羽藤審議官 例えば具体的なことで申し上げますと、先ほど、工程表との関係で、日和佐委員から、被害者救済ということだけではなくて、事故の未然防止という観点が非常に大事ではないかという、そういう御趣旨のお話がございましたけれども、未然防止ということになりますと、例えばものづくりにおける製品の設計のようなことをどうするかという議論になってきます。そうすると、これは当然事業官庁で、そういったことについての取組みをしていただくことになる。場合によっては、ガイドラインづくりとか、そういうことをしっかりやっていただくことになる。あるいは、公園で子供の事故を防ごうとする、そうすると、それは公園の施設の所管ということだけではない広がりが出てくる。こういうふうなことにしっかり取り組むかどうかというのは、恐らく消費者庁ができて、そのもとでの消費者基本計画がつくられようとすることによって、これまでとはかなり意味合いが違ってくるのではないかという期待を私どもは持っています。そう働きかけていかなければならないと思っております。
そして、そのこと自身はどういうふうに生かされるのかということでありますけれども、それぞれのアイテムについて検証をする、あるいは評価をする。これは最近各省庁での政策評価が行われています。そういう中に、例えば政府でつくった、消費者基本計画だけではないと思いますけれども、閣議決定をしたものをどういうふうに政策評価の中で、個別具体的に生かしていくのかというのは、各省庁でも政策評価が行われていくことが重要なんだろうと思います。政治のそれぞれのインターナル・コントロールのもとで、行政は法律に則って、そして、定められた閣議決定に従ってしっかりやるという意味合いで、単に作文に終わらせてはいけないということをどう実施するのかというのは、勿論、消費者庁としてもしっかり働きかけなければいけないということではあるのですけれども、各省庁にもそう取り組んでいただくということを、政治が閣議という場で決めていただくと、そういうことではないかと思っています。

○櫻井委員 政策評価については、私は個人的には、非常に無駄だなと思っていまして。すみません。政策評価の政策評価をやるべきだなと常々思っているわけですけれど、それとこの計画がその並びにすぎないという感じがちょっとしておりまして。ただ、その使いようなので、政治の責任ということになるんでしょうかね。計画のいいもの、ちょっと半歩進んだような計画を出して、その検証をするというプロセスは一応あるので、それをとっかかりにするということで、政治家の方によくウォッチしていただいて、プッシュしていただくと、そういうことであれば意味は一応あるのかなというふうには思います。
以上でございます。

○日和佐委員 消費者政策の新しい展開という意味合いで申し上げると、基本的に、意識を改革してもらわなければいけないと思っています。意識の改革は、国家公務員、地方公務員ともどもそうなんですけれども、今の日本の現状で言うと、消費者教育を何も受ける機会がほとんどなく成人になってきているということですね。その中での新しい消費者政策の展開というわけですので、消費者問題が一体どういうことなのか、消費者行政はどういうものなのか、消費者の権利は一体何だろうというような、基本的な認識がほとんど持たれていない現状だと思います。ですから、そこの基本的なところをしっかり根づかせていくためには、行政担当官の、全般的に言えると思いますけれども、消費者教育という観点での研修が必要であると思います。
それから、もう一つ、消費者教育という観点で言えば、それは、今担当している行政は分散されています。食の問題であったり、クレジットカードの使い方の問題であったりということで、その個々の問題が省に分散化されているわけですね。統一されていないがゆえに、学校教育における消費者教育が非常にばらばらで埋没をしてしまっているという状況ではないかというように思います。学校教育において、きちんと消費者教育を位置づけていかないと、さまざまなところでその問題点が、現在もう発生していると思うんですね。消費者被害の一部もそうでありましょうし、生きることに関しての何を選択して生きていくかというような基本的な問題に関してもそうなんですけれども、きちんとした消費者教育が学校教育の中に位置づけられていないという問題が非常に大きいと思います。これは今までいわれてきましたけれども、なかなかうまくいかなかった。せっかく消費者庁ができたのですから、力を入れて、きちんと学校教育の中に消費者教育が単独で位置づけられるようにということについて、是非基本的な方針として組み入れていただきたいというように思います。

○松本委員長 本日の消費者庁からの報告では、次の消費者基本計画の策定の進め方とか期間といった外枠の議論がありましたが、今、日和佐委員のおっしゃったような、何を重点的な政策として取り入れるべきかについての消費者庁からの原案のようなものは出てないわけで、恐らく一番重要なのはそこになってくると思います。きょうのペーパーの1ページ目の一番下から2ページ目の頭にかけて、前回の基本計画では、9つの柱に重点政策を絞って、しかも、それぞれについてさらに小さな項目を上げているわけです。ここにどのような内容を書き込んでいくかについては、今後、消費者庁がこの基本計画の中身を詰めて行かれる中で、消費者委員会としても、積極的に意見を述べたいと思いますし、国民からのそういう要望なども十分踏まえて、引き続き検討をいただき、逐次、委員会の方に御報告を願いたいと思います。

≪5.消費者安全の確保に関する基本的な方針の内容(検討事項案)について≫

○松本委員長 それでは、続きまして、消費者庁で検討されております消費者安全法に基づく、消費者安全の確保に関する基本的な方針の内容につきまして、消費者庁より、現在の検討事項(案)を説明していただき、皆様の御意見を伺いたいと思います。この基本方針は、消費者安全法に基づき、内閣総理大臣は、基本方針を定めようとするときは、消費者委員会の意見を聴かなければならないとされております。委員会としても、消費者安全の分野は非常に各委員の関心の高いテーマでありますので、しっかりと議論していきたいと考えております。
まずは、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○成田企画課長 それでは、引き続きまして、「消費者安全の確保に関する基本的な方針」について御説明申し上げたいと思います。資料1に消費者安全法の法律を付けさせていただいております。
今、委員長からも御紹介がございましたとおり、この法律は、9月1日から施行されておりまして、資料1の7ページの第6条におきまして「内閣総理大臣は、消費者安全の確保に関する基本的な方針を定めなければならない。」とされております。第2項におきまして、基本方針において定めることとされております事項が、一から五号まで上げられております。また、第3項におきましては「基本方針は、消費者基本計画との調和が保たれたものでなければならない。」とされております。第4項におきまして、基本方針の策定の手続でございますけれども、「内閣総理大臣は、基本方針を定めようとするときは、消費者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、関係行政機関の長に協議し、消費者委員会の意見を聴かなければならない。」とされております。第5項におきまして「内閣総理大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。」とされております。
こういった中で、本日は、この基本方針の内容として考えられる事項の案を2枚の資料にまとめておりますので、この資料に沿いまして、御説明をさせていただきたいと思います。資料に第一から第五まで四角で囲ってある見出しがございます。こちらは、消費者安全法第6条の第2項に規定されております基本方針において定めることとされている事項でございます。それぞれの事項ごとに盛り込むことが考えられる内容を記載しております。
まず、第一の「消費者安全の確保の意義に関する事項」におきましては、近年の消費生活をめぐる情勢変化とか、これを踏まえた、安全確保に関する国・地方公共団体の総合的な施策の重要性といったようなことについて記載することが考えられるのではないかとしております。
それから、第二の「消費者安全の確保に関する施策に関する基本事項」でございますが、こちらは、消費者安全法の内容に沿った項目を上げております。例えば一の「消費生活相談等」につきましては、(1)といたしまして、「消費生活相談等の事務の推進」ということで、現場に近い地方公共団体における的確な対応の重要性や、そのための都道府県と市町村との適切な連携、国及び国民生活センターの必要な援助について、(2)の「消費生活センターの設置等」におきましては、消費生活センターの体制充実や強化に向けた地方公共団体の取組の必要性について記載することが考えられるのではないか。
二つ目の「消費者事故等に関する情報の集約等」につきましては、地方自治体において、関係者の緊密な連携が図られるように、関係機関による協議会の設置等の情報の収集に関する体制の整備とか、消費者庁において、迅速な情報の集約・分析が行えるように、消費者事故の原因究明や追跡調査等を行える体制の整備について盛り込むことが考えられるのではないかとしております。
三の「消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置」につきましては、まず、(1)の「消費者への注意喚起」といたしまして、一元的な情報発信、わかりやすく効果的な情報公表、機密情報の取扱いや風評被害への配慮、(2)といたしまして「他の法律の規定に基づく措置の実施に関する要求」につきましては、消費者庁が行う際の根拠の提示等、(3)の「事業者に対する勧告及び命令等」につきましては、すき間事案の確定に際しての関係行政機関との緊密な連絡調整や、すき間事案をなくすための制度的な手当ての推進等を盛り込むことが考えられるのではないかとしております。
第三の「他の法律の規定に基づく消費者安全の確保に関する措置の実施についての関係行政機関との連携に関する基本的事項」といたしましては、措置要求を行う際の関係行政機関との連携等について盛り込むことが考えられるのではないかとしております。
2枚目にまいりまして、第四でございますが、「消費者安全の確保に関する施策の効果の把握及びこれを基礎とする評価に関する基本的な事項」となっておりますので、政策評価における施策効果の定量的把握、評価結果の施策への適切な反映というようなことが考えられるのではないかとしております。
第五の「その他の重要事項」といたしましては、何を記載するというような決まりがあるわけではございませんけれども、例えば、緊急時における省庁横断的な対策本部の設置といったようなこと、あるいは消費者の自立支援といったことで、分野横断的な消費者教育の取組や、消費者が参加したリスクコミュニケーションの展開等について盛り込むことが考えられるのではないかとしております。
本日は、この資料をもとに、基本方針の内容について御意見をいただければ、その御意見を踏まえて基本方針の案を作成いたしまして、改めて消費者委員会の委員の皆様の御意見を伺いたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
ただいまの検討事項(案)の御説明につきまして、どうぞ御意見をお出しください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 この法律の第6条の3項に、「消費者基本計画との調和が保たれた」と書かれています。調和を保っていくということは、基本計画が変わっていく時期に改訂版というか、基本的方針も変わっていくのかということを1つお伺いしたいのと。
それから、法律どおりに基本的事項がずっと書かれていまして、最後の第五のところだけ、「その他の重要事項」と、急に約されてしまっています。法律によると、消費者安全の確保に関する重要事項なんですが、「その他」でまとめてしまった意味というか、その基本的事項と重要事項とどう違うのかというところがよくわかりません。それから、第五の「その他」の二の「消費者の自立支援」はその他なんでしょうか。私は、基本的事項の方に入れるべきではないかなと思います。
質問と意見と両方申し上げました。

○羽藤審議官 これは、調和を保つという点での基本計画は、先ほどの消費者基本計画との関係は、まだ、例えばこういう形の素案をお示しができてないという中ですので、これはるる繰り返しになりますが、工程表もそうですけれども、全体をそれぞれの法律がそれぞれのものをつくることを求めて、そういう位置づけが既に出ておりますので、その前提の中で、可能な限り、とにかく文字どおり調和を保つことには工夫をしていきながら、素案、あるいは案の段階でここで御議論をいただくようにしていくと、そういうことに尽きると思ってはおります。
そして、この基本方針で、これは原案を作成しました立場で、第一から第五まで上げておりますのは、実はこの法律の第6条の第2項の「基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」と書いてあるものをそのまま置いたつもりではあるのですけれども、一部表現が、確かに「その他の重要事項」は、本来「このほか消費者安全の確保に関する重要事項」と書くべきであったと思います。そういう意味では、それは直したいと思います。
そして、そういう中で「消費者の自立支援」について、どこに位置づけるのが適切であるのかという点は、その上での御議論として仮に考えたときに、あるいは御議論をいただくときに、この一、二、三、法律の条文をちょっとごらんをいただきたいと思いますけれども、その中で、例えば「消費者安全の確保に関する施策に関する基本的事項」という中で、むしろ自立と支援を入れるのが適切であるということでありますれば、そういうふうにさせていただきたいと思いますし、また、この「消費者安全の確保に関する施策に関する基本的事項」は、どちらかといいますと、ストレートに、消費者安全の確保についてのいろいろな手法とか、手段とか、そういうものも含めて施策として実際に展開される。逆に申しますと、きょうお示しをしたものの中には、生活の相談、あるいは情報の集約、注意の喚起、それから、いろいろな措置を実施したりする際にどういうことが必要であるかと、こういうふうな比較的直接的な施策というところを中心にまとめておりますので、そういうこととの関係で、この「自立の支援」をどういうふうに位置づけるのかというのは考えてみたいと思いますけれども、場合によっては、この二号に相当する部分は、そういう意味では具体的な施策を中心としたものであるという、そういう整理のもとでは、場合によって、この原案の第五のところに位置づけることを維持をさせていただいた方がいいのか。ここは御議論もいただきたいと思います。そのような点で原案を作成しておることを今御紹介を申し上げました。

○松本委員長 中村委員。

○中村委員 全体の書きぶりにも関係するんですけれども、特に1ページの第二の二、ここに関連して、基本方針だからこういう表現になるのかなとは思うんだけど、体制の整備しか書いてなくて、ここに問題意識が余り読み取れない。一体今何が問題で、どうしようとしているのかという、そこら辺の問題意識とか、この基本的な方針のポイントになること、何を考えているのかというところをわかるような書きぶりがいいのではないかなと思います。
特に、私は、今、第二の二を取り上げたのは、消費者、国民の安全は非常に重要で、そのためには、情報も集めなければいけないし、そして、事故があったときには、まず原因を究明して、原因究明あっての対策なんですね。そのことが、今、日本の国ではほとんど不十分なわけです。その原因の一つ大きなところは、事故が起こったときに、最初に駆けつけて、独占的に証拠集めする警察、消防、こういうところ、それから、けが人が運ばれる病院、こういうところの情報が、消費者行政機関に十分集まってないというところ、そのために原因究明がなかなかできない。これは裁判の場になっても同じなんですが、裁判の場で究明しようと思っても、そういう警察や消防情報がなかなか集まらない。今はそういう日本の仕組みの中にあると。その中で、一体本当に原因究明体制が整備できるのだろうかという問題があるので、そこら辺りを認識しながら書いていただきたい。
それと、実は、原因究明機関について、福島大臣は、10月1日にさる消費者団体の集まりのときに、エレベーターの被害者も来ておられたので、「オランダの国家安全委員会のように、あらゆる原因究明が担当できるような国家機関をつくりたい」という発言をされたんです。一方、10月21日だったと思うんですが、エレベーターの被害者と弁護団が前原国交大臣にお会いしたときには、前原大臣は「現在ある事故調査、航空機・船舶・鉄道を担当している運輸安全委員会に、そこをふくらませて、エレベーターとか、いろいろな生活上のものによる被害、こういうことも究明できる事故調査機関にする。そのために、運輸「等」安全委員会、と「等」を付けて、体制を検討してみたい」ということをおっしゃっていて、両大臣の方向性が若干違う。
一方、先ほど、工程表の素案をお示しいただいた中に、1ページ目に「独立した調査機関の在り方について検討し、結論を得る」というのが、平成24年3月31日までになされることになっておりまして、この辺の関係をどう整理していくかというのは非常に重要なところなんで、これは大変期待はしているんですが、そういう問題意識をちゃんと明確にあらわした上での基本的な方針という書きぶりに是非していただきたいと思います。

○佐野委員 すみません。今の問題意識の件なんですけれど。この方針が、どの程度のボリュームになるのかわかりませんが、私は、この第一の「近年における消費生活をめぐる情勢変化」には、なぜ消費者庁ができたのかということをきちんと書いていただきたいと思います。情報の一元化、すき間事案、縦割り行政の弊害とか、そういうことをきちんと文章にしていただきたいと思いますので、その辺も付け加えさせていただきます。

○池田委員 同じことを何度も言うのもあれなんだけど、今、皆様の言われている、事故の原因究明は、第二の二ですね。これは、先ほど中村さんが言われたように、国交省では国交省にあるということですから、いろいろなところにこういう既存のそういう委員会なり、そういうものはあると思うんですね。そういうものと消費者庁が、ここに「原因究明や追跡調査等を行える体制の整備」がどういう関係になるのかというのを明確にしない限り、私らから見ると、行政の肥大化を促す施策を次から次につくっていくというふうにしか見えない。そういうところをきちんとしないと、消費者庁なり、消費者に優しい行政をすることになってこないと思うんですね。こういうところは非常に根本的なところだと私も思いますね。

○松本委員長 下谷内委員。

○下谷内委員 基本的な方針につきましては、法律に則って書かれておりますからあれなんですが、今、佐野委員とか池田委員がおっしゃられたように、なかなか見えにくいというところが1点ございます。どれに対してもそうでございますが、見えにくいので、もう少しわかりやすく、そして、なおかつ、丁寧な書き方をこの中に入れていただければ、もう少しできるのではないかなと思います。
例えば、誰も言っていらっしゃらないので、第二の(2)のセンターの設置等につきましても、「消費生活の体制充実や強化に向けた地方公共団体の取組の必要性」というふうに言葉としては書くのはとてもよろしいんですが、では、国はどのようにするのかとか、そういうことをもう少しわかりやすいような形で具体的にお示しいただくような形のものがいいのではないかなと思っております。
全体的な基本方針の中身につきましては、先ほど佐野委員がおっしゃられました、第五の二ですが、「消費者の自立支援」をこの中に入れるのかどうかというのは、私もちょっと疑問を感じます。そうであるならば、この第二の一、二、三、次の四に、「消費者の自立支援」ということで、消費者教育を含めて入れていけばよろしいのではないかなと。勿論、リスクコミュニケーションの展開もあるのではないかと思いますので、そのように考えていただければと思います。

○松本委員長 ほかに、御意見はございませんか。
日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 法律に則ってということなので、これで仕方がないのかなというふうに思うところもあるんですけれども、第二の三の(3)「事業者に対する勧告及び命令等」ですけれども、ここは、何かが起こった場合ですよね。消費者被害の発生、あるいは発生したときの対応というようにどうしても見えてしまって、発生したときだけではなくて、日常的にどう安全な製品を消費者に供給するかという、それは食品だけではなく、家電もそうですし、さまざまな商品がそうなわけで、日常的にどう安全な商品を消費者に提供するのかということについても触れる必要もあるのではないかなと思いました。
それと、同じ三の「わかりやすく効果的な情報の公表」に是非付け加えていただきたいのは、どのような媒体を使えば有効に情報が提供されるのか。それから、どのような情報の質ですね。紙ベースなのか、何なのか、さまざまあると思いますけれども、それについても、少し細かいのですけれども、是非加えていただければと思います。

○松本委員長 消費者安全という概念は、多分、言葉以上に大変広いところがあり、製品安全とか、食品安全とかいわれている問題よりもはるかより広く、取引上の利益とかも入ってくるわけで、そうなると、消費者の利益とか権利が何らかの形で害される、あるいは害されるおそれのある場合が相当入ってくる。となると、消費者基本法に書かれているような項目が場合によっては全部入ってきてもおかしくないというような議論にもなりかねない。今、日和佐委員がおっしゃったような、事業者がまず自発的に安全確保のために積極的な取組みをすべきだというのは当然であって、それは消費者基本法に事業者の責務として書かれていることだと思うわけですが、他方で、消費者安全法の書きぶりからいくと、そういう事業者が自主的にいろいろやるべきだという部分は特に触れていないという構造ですのでこうなってくるんだろうと思うんです。消費者基本計画というレベルになれば、恐らく事業者が積極的に何かをやる取組みを政府としてももっと支援するんだとか、消費者との間の話し合いの場をもっと確保するように政府としては働きかけるとかという項目は当然入ってくるのだとは思いますので、その辺り、基本計画レベルのものと、この安全法上の基本的な方針が重なる部分と、少し重ならない部分があるという辺りをどういうふうに書き分けるのかということだろうと思います。
ここはまだ本当の骨子の大きな項目ですから、さらに文章化されたものがこれから追々出てくると思いますのでそれについても、また、消費者委員会としても積極的に意見を出していきたいと考えます。
では、ありがとうございました。

≪6.消費者安全専門調査会設置・運営規程(案)について≫

○松本委員長 続きまして、次の議題に移りたいと思います。
消費者安全専門調査会設置・運営規程(案)について御審議いただきたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いいたします。

○齋藤審議官 それでは、資料5と資料6をごらんいただきたいと思います。
資料5ですけれども、「消費者委員会 消費者安全専門調査会 設置・運営規程(案)」でございます。消費者委員会の下部組織につきましては、第2回の委員会におきまして、新開発食品調査部会を設置したところでございます。今回は、こういった専門調査会を設置したいということでお諮りするものでございます。
この条文の規程、1条、2条とございますが、第3条をごらんいただきますと、この専門調査会の所掌事務が書いてございます。(1)でございますけれども、消費生活用製品安全法に基づきまして、重大製品事故を公表することが行われておりますけれども、従来、これは消費者庁に移る前までは、経済産業省におきまして、この公表に当たりまして、製品起因ではないと役所が判断した案件等につきましては、経産省の中で消費経済審議会がございますが、その審議会の下部組織であります第三者委員会におきましては、そういう製品起因ではないという判断について妥当であったかということにつきまして、専門家の目で検討を行っておりました。このたび消費者庁が発足したことによりまして、こういった専門家の目による検討を、経済産業省と消費者庁が共同で行うことが必要になってきております。これは資料6の消費生活用製品安全法の第三十六条の第3項をごらんいただきますと、「共同して」という文言が入っております。したがいまして、消費者委員会におきましても、検討の場をつくる必要がございまして、そのためにこの専門調査会を設け、さらに、その下に調査会ということで、さらに一段下の下部組織をつくることができるようにしております。専門調査会の所掌については第3条、それから、その下に設ける調査会につきましては、第4条に規定されているとおりでございます。こういった規程に基づきまして、経済産業省の消費経済審議会の下部組織である第三者委員会と、消費者委員会の下部組織として設ける専門調査会の下の調査会において、両者が共同して検討ができるようにするということで、そのために、こういう規程を設けるものでございます。
また、この第3条の(2)におきましては、一般的な規定で、一般的な書き方で規定しておりまして、この部分は、主に想定しておりますのは、消費生活用製品安全法に基づく事故の通知が来るだけではなくて、その他いろいろなルートから、事故に関する情報が消費者庁に入ってまいりますので、そういったものがある程度まとまったところで、定期的にそういったものを整理・分析し、問題点等について検討をする。そのための場として、こういう専門調査会を使ったらいかがかということで書いておるものでございます。
それ以後、第5条、第6条等ございますけれども、この辺の説明は割愛させていただきます。
いずれにいたしましても、この調査会、専門調査会の実際に想定しております作業は、いずれも議決するような性格のものではなくて、調査・検討が主体となるというものでありますので、下部組織としては、専門調査会方式をとることにいたしたいと考えておるところでございます。
私の方からは、以上でございます。

○松本委員長 この設置・運営規程(案)について、特に御意見はございますか。
特に御意見がございませんでしたら、これで御承認いただけますでしょうか。
ありがとうございます。
先ほど、事故の原因究明が大変重要だという御意見もございました。この消費生活用製品安全法の事故の原因究明に関しましては、製品技術評価基盤機構(NITE)が中心となって取り組んでいただいておりまして、この評価についても、NITEの検討をもとに行っているという実情がございますので、消費者委員会において、NITEの関係の方にいずれ御出席いただいて、どういうふうに原因究明をやっているのか等についてお話をいただく機会を設けたいと考えております。
それでは、続きまして、新開発食品調査部会の設置についての議題に移らせていただきます。

≪7.新開発食品調査部会における調査会の設置について≫

○松本委員長 田島部会長より、部会の下に調査会を設置したいとの御提案をいただいておりますので、御審議いただきたいと思います。
田島部会長より、説明をお願いいたします。

○田島部会長 新開発食品調査部会の部会長を仰せつかっております田島でございます。
新開発食品調査部会では、今後、特定保健用食品等の特別用途表示の許可を行う際等に、調査審議を行ってまいりますが、専門的事項の調査審議を効率的に行うため、担当する評価分野の異なる新開発食品評価第1調査会と新開発食品評価第2調査会の2つの調査会を置きたいと考えております。
新開発食品評価第1調査会は、特別用途食品表示の許可に関する調査審議のうち、腎・血圧・代謝・内分泌に関する事項を、新開発食品評価第2調査会は、消化吸収・免疫、その他、新開発食品評価第1調査会の調査審議事項以外の事項を審議することとしたいと思っております。
これまで、特別用途表示の許可に関する調査審議を行ってきた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会におきましても、同様に、2つの調査会で分担して調査審議を行ってまいりました。それを受けまして、私としても、この調査審議体制が効率的と考えております。
調査会の設置については、新開発食品調査部会設置・運営規程の第4条で、部会長は、必要に応じて当該部会に調査会を置くことができると、そうなっておりますので、お諮りする次第でございます。
以上でございます。

○松本委員長 2つの調査会を設置するという御提案につきまして、御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、御承認いただいたことにいたします。ありがとうございました。
それでは、田島部会長におきましては、この2つの調査会の立ち上げについての御準備を進めていただきたいと思います。

≪8.「特保」を含めた健康食品の表示のあり方について≫

○松本委員長 続きまして、「特保」を含めた健康食品の表示のあり方について、消費者庁において検討が行われるということでございますので、消費者庁より御説明をいただきまして、委員の皆様から御意見をお出しいただきたいと思います。
それでは、消費者庁よりお願いいたします。

○相本食品表示課長 消費者庁食品表示課長の相本でございます。
「特保」の表示に関しましては、前回、13日の第3回消費者委員会におきまして、「食品SOS対応プロジェクト」の報告ということで御説明・御報告申し上げたところでございます。この報告の中で、「特保」に関しましては、その制度の今後の在り方について、消費者委員会において御検討を求めるといった内容のプロジェクトの報告を申し上げたところでございます。
消費者庁といたしましては、先週の水曜日でございますが、政務三役会合からの御指示ということで、消費者庁におきまして、この「特保」も含めまして、健康食品の表示に関して、消費者庁としての検討を行うようにという御指示をいただいたことを踏まえまして、消費者庁内に検討会を発足させる準備を、現在進めているところでございます。
この内容でございますが、趣旨といたしましては、健康増進法に基づく特定保健用食品等の表示制度を含めまして、いわゆる健康食品に関する表示の課題について論点を整理し、検討を進めることとし、このために学識経験者、消費者及び事業者等の代表から構成する検討会を消費者庁内に設置することとしてございます。
具体的な検討内容といたしましては、いわゆる健康食品の表示の現状の把握、これらの食品の表示についてどういう課題があるかということの整理、健康増進法に基づいて規定されております特別用途食品の表示制度についての在り方、また、特別用途食品以外にも、健康食品の表示の適正化を図るための表示の基準や、その表示の基準の執行の在り方といったことを検討項目として検討申し上げたいと考えてございます。
今後の進め方でございますけれども、この検討会を消費者庁内に立ち上げ、自由討議、関係者からのヒアリング等を中心に検討を進めるということで、年度内にも論点整理を行い、この論点整理に関しましては、消費者委員会にも御報告申し上げ、さらに、御検討いただくこととしたいと考えてございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 すみません、今、幾つか検討項目を上げられましたが、これは全部「特保」の表示の在り方とかそういうことで、「特保」制度そのものをどうするかと、今回はそれが結構問題になったと思うのですけれども、そこら辺は検討課題に入ってないのでしょうか。

○相本食品表示課長 勿論、「特保」制度そのものについても検討課題としてございます。いわゆる健康食品と申し上げましたのは、そういった健康に対する効果とか機能性をうたっている食品等、「特保」の表示許可を受けている食品がございますけれども、それ以外に、いわゆる健康食品という形で製造・販売・流通されている食品はたくさんございます。こういったものにつきまして、その表示の在り方を、「特保」の制度も含めて検討をするということがこの検討会の検討課題であると考えてございます。

○松本委員長 どうぞ、田島委員。

○田島委員 ただいまの説明で、検討に要する時間についての御説明はなかったようなんですけれども、一体いつごろまでに大体の結論を得ると考えてよろしいのでしょうか。

○相本食品表示課長 検討会に関しましては、人選を進めまして、できるだけ11月の早いうちに検討会を立ち上げまして、消費者庁あるいは検討会としての論点整理を今年度中、来年3月までに行いたいと考えてございます。

○佐野委員 来年の3月までにその論点整理をいただいて、それをもって消費者委員会の中でさらに検討を続けるという形になるのですか。

○松本委員長 健康食品制度、あるいは「特保」制度の全体の見直しについては、SOSプロジェクトの報告の際に消費者委員会でやってくれということを、政務三役の方から以前に要請されていますから、最終的には消費者委員会の方で、とりわけ制度を変えるということだと、やはり消費者委員会できちんと議論することになるのだろうと思いますから、その前段階の論点をきちんと整理していただいて、たとえば、海外はどうなっているのかといった調査等の部分をきちんとやっていただいて、それを踏まえて消費者委員会として議論をするという順序になるのではないかと思います。したがいまして、消費者庁の検討会で、是非この点について調べていただきたいとか、議論を深めていただきたいということがあらかじめありましたら、お出しいただけると、次の消費者委員会としての議論がスムーズに行けるのではないかと思いますが、何か特に御注文とかございましたら、この点についてというのがございましたら、お出しください。

○日和佐委員 今、委員長もおっしゃいましたように、海外の情報を是非収集していただきたいことと。もう一つは、国内においての使用実態を、どう調査するかはなかなか難しいかとは思いますけれども、消費者がどういう観点で使用しているのかというような使用実態も是非お調べいただきたいと思います。

○佐野委員 この検討会はオープンな、傍聴可能な検討会ですか。

○相本食品表示課長 検討会の公開に関しましては、また、検討会の委員となるメンバーの方々等とも御相談させていただきたいと考えておりますが、できるだけ公開にという御趣旨ですか。

○佐野委員 はい。

○相本食品表示課長 そのような御要請があったことは踏まえさせていただきたいと考えてございます。

○松本委員長 ほかに御意見はございませんか。
消費者庁の方の検討会が動き出せば、消費者委員会の方としても、それを傍聴させていただくというようなことは可能だと思います。
それでは、この件について特に御意見がございませんようでしたら、本日予定しております議題については終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。
次回の日程については、改めて御周知いたしたいと思いますが、次回以降は、大臣より検討要請がございました地方消費者行政の充実について、消費者委員会としての議論をさらに重ねていきたいと思っております。
本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

≪閉会≫

(以上)