第48回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ 議事録
日時
2023年7月28日(金)13:00~14:17
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
- (構成員)
- 【会議室】
- 後藤座長
- 黒木座長代理
- 【テレビ会議】
- 木村委員
- (オブザーバー)
- 【会議室】
- 板谷伸彦 特定非営利活動法人消費者機構日本専務理事
- 【テレビ会議】
- 大石委員
- 中川丈久 神戸大学大学院法学研究科教授
- 川出敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
- 山本和彦 一橋大学法学部教授
- (事務局)
- 小林事務局長、岡本審議官、友行参事官
議事次第
- 開会
- 報告書(案)について
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:162KB)
- 【資料1】 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書(案)(事務局提出資料)(PDF形式:650KB)
- 【資料2】 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書概要(案)(事務局提出資料)(PDF形式:576KB)
≪1.開会≫
○友行参事官 本日は、皆様お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまから、消費者委員会第48回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。
本日は後藤座長、黒木座長代理、板谷委員は会議室にて御出席、その他の皆様はテレビ会議システムにて御出席です。
なお、丸山委員は欠席となっております。
議事に入る前に、配付資料の確認をいたします。
お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。
もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道関係者を除く一般傍聴者の皆様には、オンラインにて傍聴していただいております。
議事録については、後日公開いたします。
ウェブ会議の御留意事項を申し上げます。
ハウリング防止のため、御発言いただく際以外は、マイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。
御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきます。
指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願い申し上げます。
配付資料を参照するなどの場合は、該当ページも併せてお知らせいただきますようお願いいたします。
また、御発言の際には、可能であれば、カメラをオンにしていただきますと幸いでございます。
音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」などと記入していただき、お知らせいただくようお願いいたします。
会場にて御出席の皆様におかれましては、挙手にて御発言をお願い申し上げます。
なお、7月4日付で事務局に人事異動がございました。
前任の岡本に代わりまして、後藤が審議官として着任しております。
一言御挨拶申し上げます。
○後藤審議官 7月4日付で岡本審議官の後任で着任しました、後藤でございます。
この委員会とワーキング・グループが円滑に進むよう、尽力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○友行参事官 それでは、後藤座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
≪2.報告書(案)について≫
○後藤座長 座長を務めています、後藤です。
本日もよろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題に入らせていただきます。
本日は、前回のワーキング・グループでの意見交換を踏まえまして、意見を反映させた部分を中心に、報告書案について意見交換を行いたいと思います。
議論を整理する観点から、本日の意見交換につきましても、前回と同様に、資料1の報告書案の記載順に従って、2つのパートに分けて行いたいと思います。
それでは、まず、事務局より報告書案の「はじめに」から「第3 制度の対象とすべき「破綻必至商法」について」の部分について説明をお願いいたします。
○友行参事官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。
前回の素案から変わったところを中心に御説明申し上げます。
ページをおめくりいただきまして「はじめに」でございます。
ページで申しますと、1ページ、2ページ目になります。
2ページ目の上から2行目でございます。
書き出しは「近年」ですが、2行目の「また」からについて追加しております。
「また、消費者の脆弱性、デジタル化や複雑化する消費者取引に対する消費者のリテラシーの限界等を踏まえ、消費者が安心安全に生活していくためのセーフティネットを整備することが必要と考えられる」といった部分を追加しております。
次でございます。
ページをめくっていただきまして「第1 本報告書が念頭に置くいわゆる「破綻必至商法」事案の実態」の近年の事案の「(2)WILL等」であります。
WILLにつきまして、2段落目に脚注4として付いております。
WILLについては、脚注4ですが、なお、行政処分の期間中にセミナーを開いてUSBメモリの預託商法を勧誘したとして、関係者2名が特商法違反の罪で逮捕され、広島地裁で執行猶予付きの有罪判決を受けているといった事実を追加的に記載いたしました。
また、ページをおめくりいただきまして「3 1.及び2.の事案の検討を踏まえた現行制度の課題」でございます。
6ページ目の一番下の段落の「さらに」ですが、その3行ぐらい上の「また」であります。
「また、個別の訴訟提起が十分になされない結果として違法な収益が事業者の手元に残ることとなり、同様の消費者被害が繰り返されるという問題もある」と追加しております。
次ですが、またページをめくっていただきまして「第2 制度的手当の必要性」でございます。
「3.新たな被害者の発生抑止(潜脱的営業の禁止)」の脚注13であります。
ここは、現行特商法に関することですが、現行の特商法の特性について、若干脚注で追加しております。
次にまいりまして「5.行政の主体的・迅速な対応」であります。
ページでいきますと、9ページ目でございます。
上から3つ目の段落の「この点」です。
「この点、投資における自己責任の観点、あるいは行政の謙抑性という観点から、被害回復にどこまで行政庁が関与することが適切なのかという指摘もあり得るところである。しかし、私法の領域に公法が踏み込まないという伝統的な公法私法二元論は乗り越えるべきであり、公法と私法は協働する必要がある。大規模消費者被害の回復の場面においても、行政庁が協働という観点から関与することは積極的に考えるべきである」と。非常に重要なところですが、この点を追加的に記載しております。
次に、第3にまいります。
「2.WGにおける対象事案」の「(2)WGにおける対象事案」です。
ページで言いますと、10から11ページにかかるところであります。
四角囲みでありますが、順番を入れ替えております。
最初に、事業が行われていないなど事業の実体がないにもかかわらずを最初に持ってきまして、マル2として、金銭の出資をすれば、事業収益により、一定期間経過後に金銭その他の経済的利益の配当等を行う旨を示して消費者を勧誘し、マル3として、多数の消費者に金銭出資をさせ、マル4として、当該金銭出資を原資として、先行の出資者への配当等を継続的に行わざるを得ないスキームを破綻必至商法とこのワーキング・グループでは定義付けているということでございます。
「(3)対象事案についての説明」であります。
上から4行目ですが「そもそも消費者に出資を募って多数の消費者から金銭出資等を受けるという事態が通常想定されないのでマル2とマル3を満たさず、債務の弁済が出資者への配当等でなければマル4を満たさず、制度の対象外となる」。ここは、資金繰りに窮した中小企業は当たらないことを説明するところですが、そもそものところを追記しております。
その次の段落のベンチャービジネスに関わるところでありますが、これも制度の対象外ということを補強する趣旨で「次にベンチャービジネスとの関係では、ベンチャー企業の資金調達の典型的な手段は新株発行とされているところ、そもそもそのような場合はマル2とマル3を満たさず制度の対象外となる」と加えております。
第3までの主な変更点は、以上となります。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、これより30分程度を意見交換の時間とさせていただきます。
ただいまの説明を踏まえ、御質問、御意見等のある方は、御発言をお願いいたします。
御発言をされる際には、チャット欄に御投稿ください。
よろしくお願いいたします。
板谷委員、よろしくお願いします。
○板谷委員 内容ではなく文章上のことなので、最初に発言するような話ではないのですが、一応気が付いたところを指摘させていただきます。
最初に、6ページ目の一番下の「さらに」から始まる段落なのですが、ここの趣旨が読み取りにくいので、段落の冒頭部分に主旨を端的に補ったほうがいいのではないかと思います。
6ページの「3.現行制度の課題」は、最初の段落でこれまでの対策を評価した上で、2段落目と3段落目で、だがしかし限界があった、不十分さがうかがわれると述べ、4段落目で不十分な点としてまず考えられるのが、被害回復のための手段が欠けていることであるとし、それで「さらに」の段落に来るわけです。
なので「さらに」の段落では、「さらに、迅速な対応が困難なことである、例えば2.で述べた事案についてうんぬんという格好で加えていけば、その段落の趣旨がクリアになるのではないかと思いました。それが1点目です。
○後藤座長 すみません。幾つかあるので、ここで区切ってよろしいですか。
○板谷委員 はい。大丈夫です。
○後藤座長 1点目はいかがでしょうか。
○黒木座長代理 さらに。
○板谷委員 6ページ目の下から4行目の「さらに」に、「さらに迅速な対応が困難なことである。例えば2.で述べた事案についてうんぬん」と。
○黒木座長代理 迅速な対応が困難であるということを加えるわけですね。
○板谷委員 はい。
その前の段落が、不十分な点として考えられるものが、被害回復が欠けていることであると。
だから、ここの段落では、さらに迅速な対応が困難なことであると述べたほうが、すっきり理解できるかなと思います。
○黒木座長代理 なるほど。
○後藤座長 事務局、いかがですか。
迅速な対応が困難なことであると「さらに」の後にも加えるということですが。
○友行参事官 かしこまりました。
○後藤座長 ありがとうございます。
それのほうが分かりやすいと思いますので。
○板谷委員 2点目をよろしいですか。
○後藤座長 はい。お願いいたします。
○板谷委員 2点目は、7ページ目の「2.横断的・一元的な対応の必要性」なのですが、7ページ目の下から6行目から始まる「これらの刑罰法規の所管官庁がそれぞれ異なるため」から始まる一文なのですが、この一文の前段と後段を逆にしたほうが、ここでの趣旨に沿うのではないかと思います。
つまり、「これらの刑罰法規の運用は、警察が一元的に行っているものの、所管官庁がそれぞれ異なるため、かくかくという問題もある」と、前段と後段を逆にして、一元的に行っているのだけれども、所管が異なるからこういう問題があるのだとしたほうが、ここの趣旨に沿う流れになるのではないかと思いました。
○後藤座長 なるほど。
そうですね。順序を変えたほうがいいかもしれませんね。
「これらの法規の運用は警察が一元的に行っている」を最初のほうに出すということですか。
○板谷委員 はい。
○後藤座長 よろしいですか。
ありがとうございます。
○黒木座長代理 警察しかないですからね。
○板谷委員 3点目をよろしいですか。
3点目は重要な部分なのですが、11ページ目の四角囲みの中のマル4なのですが、今回、マル4の最初に「そのため」と補っているのですが、マル1から順に読んでいくと「そのため」の「その」が何を指しているのかというのがちょっと分かりにくいので、こんな感じで書いたらどうかと思いました。
「先行出資者へ配当する原資を得るため、新たな消費者を継続的に勧誘し、金銭出資等をさせざるを得ないスキーム」というように前後逆にするような格好ですが。
○黒木座長代理 「そのため」を取るわけですね。
○板谷委員 はい。
「そのため」を取って、文章を組み替えて「先行出資者へ配当する原資を得るため、新たな消費者を継続的に勧誘し、金銭出資等をさせざるを得ないスキーム」と。
○黒木座長代理 「そのため」ではなくて。なるほど。
そうですね。
○後藤座長 「そのため」は、先行出資者へ配当する原資を得るためだけでいいのですか。
そうだとすると、それでよろしいと思うのですが「そのため」は。
○黒木座長代理 事業がない、勧誘していて、出資させて、先行の出資者の配当などを継続的に行わせるために、新たに消費者を勧誘して、金銭出資をさせるのだということですね。
○後藤座長 おっしゃる趣旨は確かに分かるのですが、マル1からマル3と来て、マル1からマル3の全部を受けて「そのため」となっているので、そうすると、先行出資者へ配当する原資を得るためだけではない感じがするのですが。
○後藤座長 黒木座長代理、お願いします。
○黒木座長代理 事業がないということも「そのため」にかかっていると考えると「そのため」をなくすのは、読み方が難しく、逆になるのかもしれないと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうですか。
マル4の「そのため」は、この文章の形からいくと、確かにマル1からマル3を受けるということになるのですが「そのため」だけだと分かりにくいということでしょうか。
○黒木座長代理 「そのため」を外してしまうと。
○後藤座長 なるほど。外してしまうとですね。
○黒木座長代理 だから「そのため」で、順番を変えるのはあるのかもしれないと思います。
やはりおかしいですか。
○板谷委員 「そのため」の代わりに「先行出資者へ配当する原資を得るため」と入れたほうがいいのではないかと思ったわけですが、前段の全体を受けているということでいうと、こういう接続詞のほうがいいのかもしれませんね。
○後藤座長 マル4は「そのため」と書いてあっても、分かりにくいということはないのではないかと思いますが、いかがなのでしょうか。
事務局、いかがですか。
○友行参事官 全体を受けているということもありますので、元のままのほうがいいかとは思いますが。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
では、そういうことで、ありがとうございます。
○板谷委員 それでいいです。
○黒木座長代理 御指摘は重要なものです。
○板谷委員 あとはすごく軽いところばかりなのですが、9ページ目の1行目。
「被害は発生し続けるのではないか」のほうが「被害は出続けるのではないか」というよりは、いいかと思いました。
○黒木座長代理 「出続ける」はおかしいということですね。
○板谷委員 そうです。
「発生し続けるのではないか」のほうがいいかなと。
○後藤座長 そうですね。
「出続ける」よりは「発生」のほうがいいでしょうね。
○黒木座長代理 「発生し続ける」のほうが。
○板谷委員 それから、同じ9ページの5ポツの6行目の「期待するこれまでの手法が適切かは」ですが「適切かどうかは」のほうが、普通の日本語かなと思います。
○黒木座長代理 「かどうか」を加えると。
○後藤座長 そうですね。
○板谷委員 同じところで、第3から上に2行上がってもらったところに「調査権限で十分かについては」も「十分かどうかについては」のほうが、文章の好みだと思うのですが、いいかなと思いました。
気になったところは以上です。
○黒木座長代理 すごく細かく見ていただいて、ありがとうございます。
○後藤座長 ありがとうございました。
確かに、日本語の文章として「かどうか」と付けたほうが分かりやすいと思います。
行政文書はどうなのでしょうか。
こういう報告書などの表現だと、あまり「どうか」は付けないとか、そういうことはあるのですか。
○友行参事官 そういうことはないと思います。
○後藤座長 では、やはり日本語として分かりやすいほうがいいと思いますので「どうか」を付けることにいたします。
以上でよろしいですか。
○板谷委員 はい。大丈夫です。
○後藤座長 今、あまり大きくない修文だと思いますので、皆さんの御意見を伺う形にならなかったのですが、今の板谷委員の御意見で、全体を通じて何か気になったことがあったら、出していただきたいのですが、委員の方々、いかがでしょうか。よろしいですか。
特に異論ないようですので、この問題については以上にさせていただきたいと思います。
それでは、川出委員、よろしくお願いいたします。
○川出委員 ありがとうございます。刑事法に関わる部分の記載についていくつか修正意見を申し上げたいと思います。
まず、6ページの脚注8ですが、最初の「刑事裁判では認定される被害額のうち一部しか認定しないことから」は、「刑事裁判では起訴された事件の被害額しか認定されないことから」としたほうが正確だと思います。
○後藤座長 おっしゃるとおりだと思います。
ありがとうございます。
○川出委員 次に、7ページの最初の3行の記載です。まず、1行目で「公訴を提起して有罪判決を確実に得ることまで見据えて」となっていますが「確実に」とまで言うと、逮捕のために必要とされている嫌疑が起訴するのに必要な嫌疑と同程度であるかのように捉えられかねませんので、「確実に」は削ったほうがよいと思います。「有罪判決を得ることまで見据えて」という表現でも、十分趣旨は伝わります。
○後藤座長 そうですね。
○川出委員 それから、2行目から3行目にかけて、「逮捕の着手が遅くなる」と記載されています。確かに破産手続との関係で見れば時系列としては後になっているのですが、逮捕を行う捜査機関としては、証拠がそろった段階で逮捕をしているわけで着手が遅くなっているわけではありません。あえてこのようなことを言う必要はないと思いますので、そこは削って、「証拠固めを行ってから逮捕に踏み切るとされていることがその理由と考えられる」でよいのではないでしょうか。
○後藤座長 ありがとうございます。
そのとおりだと思います。
○川出委員 次は、内容に関わることなのですが、同じページの「第2 制度的手当の必要性」の「2.横断的・一元的な対応の必要性」の「また」から始まる2段落目についてです。その前の1段落目で書かれていることは、破綻必至商法の中でも、適用される法律によって採り得る手段が異なるということと、いずれの法律においても、事業を完全に止めて被害回復を実現させるための手段がないということです。2段落目がこれに対応するものだとすれば、ここで書くべきことは、破綻必至商法の中には、既存の刑罰法規では対応できない領域があり、そこに言わば刑罰法規の穴があるということになるのではないかと思います。そして、その穴を埋める形で統一的な内容の刑罰法規を作ろうとすれば、ここに書かれているように、所轄官庁が異なるために、そうした一元的な対応をするのは困難であるという問題があるという流れになるように思います。しかし、今の2段落目の文章ですと、その流れに沿った記載になっておらず趣旨が分かりにくいので、もし刑事罰について触れるのであれば、いま申し上げた点をはっきりと書いたほうがいいと思います。
ただ、前提として、現在の刑罰法規に穴があるという点については、このワーキング・グループで詰めた検討をしたわけではありませんので、報告書にそこまで書いてしまってよいのかという問題はあると思います。
仮にそのような記述をするとした場合ですが、この段落の最後の「これらの法規の運用は警察が一元的に行っている」は、1段落目から続く文脈からは外れる話ですので、書く必要はないと思います。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
これは、先ほど板谷委員から御指摘いただいた部分にも関わることであって「これらの法規の運用は警察が一元的に行っているものの」といった形で先ほど修文したのですが、むしろここはないほうがよろしいという御提案です。
黒木座長代理、よろしくお願いします。
○黒木座長代理 確かに、捜査権限は、主に警察が握っていますが、直告で検察・検事が自ら捜査することもあるわけですね。
そうなってくると、警察が一元的に握っているとまで言ってしまうのは、その点でも直告事件とかの関係も考えると、ちょっと行き過ぎかもしれないと思いました。
○後藤座長 ありがとうございます。
ここは、今直ちに直すと、どのように直すかということですが。
○川出委員 繰り返しになりますが、この報告書が対象としている破綻必至商法の中に、既存の刑罰法規では捉え切れないものがあるということを前提にしないと、横断的・一元的な対応の必要性という話になりませんので、そこが書けるかどうかだと思います。そこまでは書けないということでしたら、この段落自体を削るしかないと思いますが、そこは事務局としてどうお考えでしょうか。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○友行参事官 川出委員が最後におっしゃいましたように、「また」の段落は削ってしまってもいいかと思います。
○後藤座長 そうですか。
ありがとうございます。
○友行参事官 そこまでこのワーキング・グループでは議論していただいていないのは事実だと思いますので。
○後藤座長 それでは、川出委員が御指摘のように「また」以下の全体を削ることにさせていただきたいと思いますが、委員の方々、それでよろしいでしょうか。
特に御異論があれば、出していただきたいのですが。
ありがとうございます。
削除することにいたします。
○川出委員 ありがとうございます。
2段落目は削除するとした上で、次の3段落目についてですが、1段落目に書かれていることを生かすとすれば、3段落目の2行目の「横断的・一元的に」の前に、例えば「事業を完全に止めて、被害を回復する手段の創設を含めて」という文言を追加するのがよいと思うのですが、いかがでしょうか。
○後藤座長 おっしゃるとおりと思いました。
事務局、よろしいですか。
○友行参事官 承知いたしました。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
○川出委員 最後に、これは表現の問題ですが、脚注9の1行目から2行目にかけて「運用が確立しており、起訴便宜主義も認められているため」との記載があります。そのとおりなのですが、もう少し分かりやすく書くとすれば、「運用が確立している上に、その見込みがある場合にも、起訴猶予とすることが認められているため」ということになろうかと思います。長くなりましたが、私からの意見は以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。
事務局、よろしいでしょうか。
○友行参事官 承知いたしました。
○後藤座長 それでは、他にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
中川委員、よろしくお願いいたします。
○中川委員 ありがとうございます。
私からは2点です。
9ページの下から2行目ですか。
加えていただいた「徴税その他の行政調査権限との均衡も考慮しつつ」ということですが、これは別に要らないのではないかと思います。
それぞれの法制ごとに、目的に応じて必要な手段である調査権限を定めることに尽きます。他法に権限があるかどうかというのは、単純に、そういう先行例があれば立法担当者が法制局との調整をやりやすいというだけの話でありまして、そんなことまでこちらが配慮する必要はありませんから、これは要らないのではないかと思います。これが1点目です。
もう1点は、山本委員の御意見も伺いたいのですが、12ページのベンチャービジネスのところです。
ベンチャービジネスは今回、全然対象ではありませんよということを強調しましょうという話であったと思うのですが、現在の書きぶりだと、12ページの上のほうになるのでしょうか、そもそもマル1に当たりませんよというのが2番目に来ているのですが、そうではなくて、そもそもマル1に当たりません、マル2、マル3にも当たりませんと上から攻めていく書きぶりをするために、順番を変えたような気がします。その意味では、マル2、マル3よりもマル1を先に書いたほうがいいのではないかと。
今私が見ているものでは、12ページの上から3行目なのですが「さらに」の前後を逆にして、まず、ベンチャービジネスはマル1を満たさないし、典型的にはエクイティなので、マル2、マル3も満たさないという順番にそろえたほうがいいのかなと。
その前の中小企業もマル1から始まっていますので、同じような順番にしてはどうかと思ったのですが、いかがでしょうか。
以上、2点です。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
ここについて、御意見はいかがでしょうか。
山本委員、何かございましたら、コメントをいただけると有り難いのですが。
○山本委員 今の中川委員の御意見に全く異論ありません。
その前の中小企業とも平仄が合うと思いますので、確かにそちらのほうがいいのではないかと思います。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
では、事務局、それでよろしいですか。
どうもありがとうございます。
他にはございませんでしょうか。
先ほどの中川委員の最初の御発言ですが「徴税その他の行政調査権限との均衡も考慮しつつ」を取るということですが、全くそのとおりなのですが、非常に細かいことで申し訳ないのですが「十分かについては、」と点が入っていますが「十分かについては、」の点も取って「検討する必要がある」でよろしいでしょうか。点は、ここに付かないほうがいいかなという感じがするのですが。
○黒木座長代理 そうですね。おかしいですね。
○後藤座長 では、そういうことでよろしくお願いいたします。
他にございませんでしょうか。
それでは「はじめに」から「第3 制度の対象とすべき「破綻必至商法」について」の部分の意見交換は、この辺りにさせていただきます。
引き続きまして、事務局より、報告書案の「第4 破綻必至商法を止めて被害を回復するための具体的方策」から「おわりに」について御説明をお願いいたします。
○友行参事官 それでは、お手元の資料の12ページの第4からになります。
ページをめくっていただきまして、12から14ページの辺りは、大きな変更はございません。
15ページでございます。
「(1)破産手続の目的との関係について」です。
このページの下から4行目ぐらいの「特に」からです。追記しています。
「特に、財政面や情報面で弱い立場にあり、自ら債権者申立てをすることが困難な債権者である被害者について、被害者を保護するために破産手続の開始を申し立てることは、正面から行政庁が行うべき事柄と考えられる」としまして、脚注も42ということで追記しております。
破綻必至商法が犯罪に該当する場合も多いが、そのような場合には不法行為債権者は犯罪被害者にもなり得るところ、犯罪被害者等基本法12条の「犯罪被害者等の行う損害賠償の請求についての援助」という観点からも正当化できるとの指摘があったところを加えています。
ページをめくっていただきまして、16ページ、17ページと大きな修正は入れておりません。
ずっとページをめくっていただきまして、お手元の資料の22ページの第5の上の段落であります。
「なお」といったところですが、「なお、行政処分による一般的な解散命令制度の創設については、解散命令の対象となる法人の根拠法を除いては先行の立法例はなく、中立公正で独立した司法の判断を介在させずに行政の判断だけで法人格の消滅という大きな効果を生じさせるものであり、その濫用による弊害も大きなものがあることから、行政処分による一般的な解散命令制度については慎重に考える必要がある」という一文を加えております。
その他の修正ですが、ページをめくっていただきまして「おわりに」まで大きな修正は入れておりません。
ページで言いますと、26ページ目です。
下から2段落目の上の3行目ぐらいのところから「他の法分野で認められている調査権限との均衡や対象者の手続保障といった観点から許容されるかという点も含めて検討する必要がある」と留意点として加えております。
後半部分についての変更点の主なところは、以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、これより30分程度意見交換の時間とさせていただきたいと思います。
ただいまの説明を踏まえて、御質問、御意見等のある方は、御発言をお願いいたします。
御発言をされる際には、チャット欄に御投稿ください。
よろしくお願いいたします。
特にございませんでしょうか。
中川委員、よろしくお願いいたします。
○中川委員 1点のみです。
最後の26ページに書かれた「他の法分野で認められている調査権限との均衡」を入れると、ほぼ何もできなくなります。先ほどと同じ理由で、本来、別に異なる法制間で均衡せよなどという問題はないのです。
ないのですが「均衡」は、実際に立法する担当者の間では何となく、霞が関のおきてになっているようなのですが、理論的には全くそんなことはなくて、他の法律が必要な改正が間に合っていないこともあり得るわけで、何でそれにそろえなくてはいけないのかということです。このようなことは、この委員会としては言うべきではないことだと思います。
ですので「その調査権限を行政が持つことが」から「均衡や」までを取って「対象者の手続保障といった観点から」だけを残すのでいいのではないかと思います。
どのように整理すればいいか、読みながら申し上げたいと思いますが「第3に調査権限との関係では、各方策を実効的なものとするため具体的にどのような調査権限が必要かについて、対象者の手続保障の観点も含め検討する必要がある」という単純な文章で十分ではないかと思います。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
私は、おっしゃるとおりだと思います。
何かいろいろなことを考慮し過ぎた感じもするわけでして、御指摘どうもありがとうございました。
委員の方々、何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局はいかがでしょうか。
○友行参事官 承知いたしました。
○後藤座長 御指摘どうもありがとうございました。
他にございませんでしょうか。
それでは、御意見はないようですので、これで検討については終了することにしたいと思います。
今後、事務局で軽微なところで何か気付くことがあるかもしれませんが、基本的には、今日のワーキング・グループで委員の方々の御意見を全部反映した形になっております。
本日出された御意見については、基本的には先ほどの議論の範囲で修正等を完了したと思っていますので、これでまとめさせていただきたいと思います。
先ほど申しましたが、何か軽微なところで気が付いたところについては、私の座長としての判断で一任させていただきまして、報告書案についての修文は以上にさせていただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、予定よりも大分スムーズに進行しているということになりますが、最後に、本日がワーキング・グループの最終回となりますので、委員の皆様お一人ずつに御挨拶、報告書に込めた思いや感想、あるいはメッセージなどについて、順にお尋ね。
お願いいたします。
○中川委員 すみません。
概要で1か所だけ意見があるのですが。
○後藤座長 お願いいたします。
中川委員、よろしくお願いします。
○中川委員 中川でございます。
概要のポンチ絵なのですが、スライド1です。マル1からマル5とあって、どういう具体的方策を採るのかというところのマル4の行政手法の創設のところで、ここだけ右側に「被害回復」としか書いていなくて「被害の拡大防止」を書いていないのはなぜかという質問です。先ほどの報告書でも、被害の繰り返し防止という表現ではありましたが、繰り返し防止は、要するに拡大防止なので、拡大防止をするために、被害回復もするのだと、そのように全部書き直したような気がするのですが、ポンチ絵ではそうなっていないのは、何か理由があるのかという点をお尋ねしたいのですが。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○事務局担当者 事務局でございます。
実は、この矢印の横の「被害回復」と「被害の拡大防止」は、前回のワーキング・グループまでの御議論を踏まえて、被害の拡大防止のところは、法人格を完全に消滅させる形での拡大防止という趣旨で書いていたところだったのですが、前回、中川委員から違法な収益を剥奪することで、繰り返し防止による拡大防止という御指摘を頂戴したのですが、そこを概要で反映し切れておりませんでした。大変申し訳ございませんでした。
前回頂戴した御指摘からすると、マル4につきましても「被害の拡大防止」と書くことが適切だと事務局としても考えております。
こちらも、委員の皆様のお許しをいただければ、修正させていただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
委員の方々、今の事務局の御説明でよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
今のポンチ絵の右側のマル1からマル4も、先ほど報告書について御意見があったことを反映させる形になるということでよろしいですね。
中川委員、どうもありがとうございました。
○中川委員 ありがとうございます。
もう1点なのですが、これは微妙な話なのですが、スライドの1ページ目にイメージ図があります。1枚目の右下です。
これだと、消費者が全員損をした絵になっているのですが、恐らく、消費者1くらいはにっこりしているほうがリアルではないかと。
実は消費者の間で利害相反が起きている可能性があるという、より深刻な絵にするのか、それは難しいから、あえてしないとしたのか、どっちにするかはなかなか考えどころだと思うのですが、どちらが被害の実態に近いかという辺りは、少し疑問に思いました。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
これは、事務局、よろしくお願いいたします。
○事務局担当者 事務局でございます。
中川委員から頂戴した御指摘も、どこまではっきりした形で示すかというのは、実は悩んでいたところでございます。
ですので、イメージ図の消費者1から5の人は、顔はみんながっかりした感じの顔になっているのですが、隣からぐるっと回って、配当が来ているところの矢印の先の色が、消費者1はバッテンが薄くて、だんだん色が濃くなっているという意味で、最初の人は、ぐるっと回った配当が幾らかあるのではないか。だんだん進んでいくに従ってバッテンが濃くなっていって、どんどん被害が大きくなっていくのではないかというように、バッテンの色合いのところで、実は利益状況に差があるというところを、あまりはっきりではないのですが、表現しようと考えておりました。
以上でございます。
○中川委員 すみません。そこまでは気付きませんでした。
口のへの字やペケとか、顔の表現にも差を付けてもらわないと、多分、気付かない人が多いのではいないか。私以外の人は気付くのかもしれませんが、私は全然気付きませんでした。被害状況がばらばらということは、一応示しているわけなのですね。
○後藤座長 お願いします。
○事務局担当者 事務局でございます。
利益状況は、最初に加入した人と、だんだん順番が後になっていくに従って変わっていることはあるのかなと考えた上で、一応、イメージ図も作ったつもりではございました。
○中川委員 では、可能であれば、是非顔の表情にも少し差を付けていただくといいかもしれない。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
○事務局担当者 承知いたしました。
適切なアイコンがないか、探して対応するようにいたします。
○後藤座長 にっこりした顔もあると思いますけれども。
これは、消費者1はにっこりしたということで、実態としては、そのように表して特に差し支えないですか。
○事務局担当者 イメージ図で一例という感じにはなりますので、全部の事案で最初の人がお金をもらえるかというところまでは、言い切ることはできないかもしれないですが、イメージとしては、最初のうちはお金をもらえることも多いと思いますので、最初のほうはにっこりとか、普通の表情とすることはおかしくないと考えております。
○後藤座長 では、そういうことでよろしくお願いいたします。
中川委員、どうもありがとうございました。
○中川委員 ありがとうございました。
○後藤座長 板谷委員、よろしくお願いします。
○板谷委員 行政のポンチ絵作りの流儀があるかもしれないし、紙幅の制約もある話なので、最終的には事務局にお任せするという前提で、一応、意見を述べさせていただきます。
3点ありまして、1点目は、報告書で言うと、第1と第2の「本報告書が念頭に置くいわゆる「破綻必至商法」事案の実態」と「制度的手当の必要性」のところを表現した部分ですが、このポンチ絵の案では、報告書の6ページ目に当たる部分「現行制度の課題」のところがほぼ省略されている感じなのですが、説明のしやすさみたいなことを考えると、むしろこの「現行制度の課題」に書いた部分をポンチ絵にうまく表現してもらったほうがいいのではないかと思っています。
説明としては、「これまで破綻必至商法に手が打たれてきたのだけれども、不十分である」、「課題は主に被害回復と迅速さである」、「以下の視点を踏まえた制度的手当が必要である」という流れで整理して、説明しやすいようにしていただいたほうがいいのではないかと思いました。
2点目は、その隣の第3「破綻必至商法の定義」に当たる部分なのですが、ここにマル1からマル4の定義が置いてあり、その下に、今話題になった絵が描いてあるのですが、むしろ絵よりも、この定義の下のところに、ベンチャーはかすりもしないし、中小企業にも影響はない等といったことを分かりやすく説明していただき、無用な懸念を打ち消すためにこのスペースを使った方がいいのではないかと思ったりしました。
それから、裏面に行って、第4と第5の「具体的方策」のところなのですが、私が残念だなと思ったのは、以前の委員間打合せのときに使った、全体の流れを表したイメージ図みたいなものがあった方が良いと思うのです。
端緒情報を迅速にキャッチして、行政処分をして、行政にこういう手段を与えて、中には裁判所が絡む部分もあって、被害回復につなげていくみたいな流れを全体的に鳥瞰できる、制度全体のスキーム図みたいなもの、あれがなくなってしまうのがすごく残念で仕方なくて、ああいう全体のスキームを一覧できるようなものを下敷きにした上で、この案で出していただいているような各方策の中身が配置してある作りにしていただけるといいのではないかと思いました。
あくまで希望ということで述べて、あとはお任せしたいと思います。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
これは、消費者委員会で提案したものについて、説明していただくような機会に、どのような内容や図等を用いれば説明しやすいかという観点からの御指摘ですので、非常に重要な御指摘だと思いますが、事務局、今、3点御指摘されていますが、いかがでしょうか。
お願いします。
○友行参事官 では、こちらで検討させていただいて、やってみます。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
○友行参事官 検討させていただければと思います。
○後藤座長 ちょっと気になりますのは、2番目のベンチャーはかすりもしないというところなのですが、ここは考えると問題がありまして、報告書の11ページのベンチャービジネスについてのところで「ベンチャー企業の資金調達の典型的な手段は新株発行とされているところ、そもそもそのような場合はマル2とマル3を満たさず」というやや留保する書き方をしていまして、ベンチャー企業の場合に、どういう状況になるかというと、ベンチャー企業が資金調達をどうやってしているかということによるものですから、ここは常にかすりもしないと言えるのかどうかはやや問題があるので、事務局にも結構深く調べていただいて、こういう表現になっているわけですので、ベンチャービジネスとの関係では、御提案どおりになるかどうかは分かりませんが。
○板谷委員 特にこだわりはありませんので。
○後藤座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、概要も含めまして、以上でよろしいでしょうか。
それでは、先ほど途中まで言いかけたところでありますが、委員の皆様から一言ずつメッセージをいただきたいと思います。
恐縮ですが、私のほうで指名させていただきますので、その順序に従って御発言いただけたらと思います。
それでは、最初に、黒木座長代理、よろしくお願いいたします。
○黒木座長代理 この問題につきましては、私は個人的に思い入れがあります。思い返せば、私が初めて日弁連の委員会に委員として参加したのが倒産法の改正でして、2002年の現行破産法の中間試案の後注で、「監督官庁による破産の申立て制度等については、破産法に一般的な規定を設けることはせず、個別法の規定に委ねることとする考え方の当否についてはなお検討する」と中間試案で取り上げられていました。
そのときから、では、この問題をどうするのかということを2002年の破産法の中間試案のときからずっと考えていました。この後、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則第6項で、「政府は、消費者庁関連三法の施行後三年を目途として、加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。」と規定され、破産の申立ても含めた制度を検討することとなっています。そして、消費者庁で平成25年に消費者の財産被害に係る行政手法研究会が開催されています。その後、私が、この内閣府消費者委員会のワーキング・グループに参加させていただきました。
そういう意味で、私としても、この問題についてはずっと考えていたところですので、今回、諸先輩方というか、諸先生方の御意見も踏まえて、こういうワーキング・グループの報告書が出来たことについては、大変うれしく思っています。
あわせて、まず、この中で非常に重要な問題だと思うのは、販売預託商法とかそういうものに関しては、既に私法上も実体法上、無効であることが制度的に整備されている。
したがって、問題ないのではないかという話もあるのかもしれませんが、逆に私から言わせてもらうと、無効ですので、業務が続けば続く限り、事業者と取引を続ける人たちはみんな不当利得返還を求められることになっているわけです。それを行政的には規制すると言いながら、私法上の効果とその後の処理について、実は法がサイレントであるという問題点が逆に非常に浮かび上がっているのではないかと。
これをどのように解決するのか。私も論文の中で書かせていただきましたが、一つの制度的に認められたかどうかは難しいかもしれませんが、いわゆる弁護士の被害者弁護団方式による悪徳事業者に対する破産の申立てがあったのです。しかし、例えば利益相反の問題その他のところで限界が来つつあることも踏まえた上で、今回、新しい制度を提言したことについて、私としては、報告書にまとめられたことについては、非常に意味があると思っております。
今後、私も内閣府消費者委員会の委員ですので、これをどういう形で国に働きかけていくのかということについてはまた検討させていただきますが、その貴重な報告書がここでできた。
また、山本和彦委員は、正に先ほど申しました破産法の改正のときには、法制審議会の幹事でいらっしゃいまして、この問題について論文も書かれている、正に先駆者というか、先行実績を非常に挙げられている方と一緒に議論ができたことは、私にとっては大変な喜びでありました。
本当にありがとうございました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。
○木村委員 木村でございます。
今回、この報告書がまとまったことは、大変うれしく思っております。
消費者が被害に遭っていることに気が付きにくくて、気が付いたときには、被害額が高額になってしまって、どうしていいか分からないという状況が本当に見られます。確かに、様々な制度整備が行われているにもかかわらず、そういった被害がまだ発生していることは大変問題だと思っております。
今回、このワーキング・グループにおきまして、様々な観点から専門家の委員方と一緒に検討させていただいたことは大変貴重な機会でしたし、有り難いと思っております。
破綻必至商法による被害の拡大防止や、被害回復がこの報告書によって検討されて、対応が図られることを希望したいと思いますし、先ほど黒木座長代理がおっしゃいましたが、消費者委員会としてどのように働きかけていくかということは、また改めて一緒に考えさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。
○大石委員 ありがとうございます。
私も、全く専門ではない分野で、今回のワーキング・グループにオブザーバーで参加させていただいたのですが、そもそもこういう被害に遭った消費者の被害回復をいかに迅速に進めるかというところが大きな課題と思っておりまして、今回、参加させていただきました。
そもそも何をもって破綻必至商法と言うかという基本的なところから始まり、現在、既にいろいろと法的にも検討が進められている部分があるにもかかわらず、まだまだ被害が続いていることについて、更に消費者の被害回復を図るためには、今回の報告書に書かれている内容は大変重要なものであると認識しております。
私も黒木座長代理、木村委員と同じように、今後、消費者委員会本会議において、この報告書から何を導き出していくか、更に検討させていただければと思います。
今回は本当にいろいろと勉強させていただきまして、ありがとうございました。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、板谷委員、よろしくお願いいたします。
○板谷委員 板谷です。
前回のワーキング・グループの発言の中でも、消費者庁の消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会について少し触れたのですが、つい数日前に、その議論の整理が公表されました。
読んでみたところ、11ページにこんなことが書いてあるのです。「実効性確保の手法としては自主規制から刑事罰まで、民事ルール・行政規制・刑事罰を事業者の悪質性の度合に応じて複層的に整備するという意識が重要である」と書かれています。
このワーキング・グループと問題意識がほぼ同じなのだと改めて思うとともに、このワーキング・グループでの検討は、今後に向けた骨太の議論に具体的な提案を注入するものだという意味でも、意義があったのではないかと思っています。
第37回のワーキング・グループで、消費者機構日本から報告をさせていただいたように、分配金回収に不安のある事案については、民間では取り扱うことがなかなか困難で、行政の迅速な対応が必要だと思います。
今回の報告書で念頭に置いたポンジ・スキーム型というのは、販売預託以外にも多様な契約形態で存在していて、販売預託を原則禁止したからといって解決する問題ではないと思います。
例えば最近話題になった歯科矯正モニターの事件なども、事業の実体があったかどうか疑わしいとの報道もされていますし、今回の破綻必至商法として検討してみる事例の一つなのではないかと思います。
早期に探知して、被害の拡大を抑え、少しでも被害救済をしていくために、行政の役割を期待したいと思っています。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、川出委員、よろしくお願いいたします。
○川出委員 ありがとうございます。
この分野での会議にいろいろと参加させていただくと、こういう問題について、刑事法ができることは限界があるなといつも痛感するのですが、そういう意味で、今回、新たな行政手法を導入する形で報告書がまとめられたことは非常によかったと思います。是非これをきっかけに、新しい制度とか新しい枠組みが作られていくことを期待したいと思います。
また、刑事法も、被害者の問題は、最近、ここ20年ぐらいなのですが、いろいろと関心は高まってきているのですが、どちらかというと、生命・身体犯の被害者の方への注目が多くて、財産的な被害はあまり正面から取り上げられてこなかったものもあると思います。
ですから、この会議に参加させていただいたことをきっかけとして、私自身も財産的な被害の回復を刑事の中でどう図っていけるかということを改めて考えてみたいと思いました。
どうもありがとうございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、中川委員、よろしくお願いいたします。
○中川委員 中川でございます。
この問題は、何度かお話が出てきましたが、ちょうど10年前の消費者庁の行政手法研究会以来、政府としての報告書がやっと出たというところで、非常に感慨深いものがございます。
これはなかなか困難な問題で、途中でもどうなるのかなと心配になるような場面もなかったわけではありませんが、座長、座長代理のリーダーシップ、そして、事務局の皆様、よく様々な委員からの様々な意見に対応いただきまして、ここまでまとめていただいたなと思って、感謝の気持ちを申し述べたいと思います。
この後は、これを受け止める省庁のほうでどのような対応をしていただけるかというところかと思いますが、私は最近、国税審議会に出ているのですが、国税庁はすごく法改正をするのです。
税金逃れは絶対に許さないという決意が物すごく強くて、それに向けて、積極的に必要な権限を作っていく意欲にあふれた官庁であると最近実感しているのですが、是非この問題も、この問題に対する危機感を共有していただいて、前例はないのだけれども、前例は壊すためにあるのだという金言もありますので、是非これを受け止める省庁の側は、積極的に対応していただきたいというのが現在の気持ちです。
以上でございます。
どうもありがとうございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、山本委員、よろしくお願いいたします。
○山本委員 私自身も、この問題は、先ほど黒木座長代理から御紹介いただいたように、破産法改正のときから約20年以上になりますか、いろいろと考えてきたところで、今回、具体的な提案の形で示されるようになったことは、大変感慨深いものがあります。最近は、私が生きているうちには多分駄目なのではないかとも思っていたのですが、希望の明かりが見えてきたところかと思います。
ただ、これが外部に出て、具体的に進んでいけばいくほど、抵抗と言いますか、逆風が強くなっていくことは、多分間違いのないところだろうと思います。そういう反対される方々は、それぞれの具体的な利益・利害を背負って、反対されてくるところがあると思います。
他方で、これを推進する力は、どちらかといえば非常に弱い立場にある消費者の中でも弱い立場にある方々となりますので、具体的に大きな声が上がってくることがなかなか難しいところなのだろうと思います。
そういう意味では、正に公益を担う官庁の方々、消費者委員会の委員の方々を含めて、非常に重い役割を担っておられることになると思いますので、何とかこれが少しでも具体化、制度化に向かうように頑張っていただければ有り難いと思っている次第であります。
長い期間にわたりまして議論に参画させていただきまして、誠にありがとうございました。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、私ですが、このルール形成ワーキング・グループは、今回で第3弾ということでありまして、従来、消費者法分野のルール形成の在り方として、事業者の自主規制、民事ルール及び行政規制のベストミックスが重要であるということで進めてきたということでありますが、第3弾では、一番難しいところ、なかなか大変なところを扱ったということであります。
具体的に扱った問題は、自主的取組とか民事ルールでは対応し切れない悪質商法について、実効的な法整備や違法収益の剥奪、財産保全の制度について検討していくというものであります。このテーマは、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則第6項、それから国会の附帯決議において、多数の消費者に被害を生じさせている者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討する、そういうことが必要だという指摘がなされておりまして、それを受けて検討したということであります。
この問題については、幾つかの法改正が実現したことは確かでありますが、悪質商法による消費者の被害に関して、不当な収益を剥奪して、消費者を救済するための制度について、今回、特に行政を主体とするところを目指したということでありますが、先ほど私の前に御発言なさった山本委員の御発言を伺っていて、正に非常に大切なことを語っていただいたと思いますが、報告書として熱心に議論してきたことについて、今後、抵抗あるいは逆風とか、そういうことが予想されると思いつつ、消費者委員会としての立場をきちんと出そうということで進んできました。
そういう中で、委員の方々、そして事務局のサポートを得ることができまして、何とかこの報告書にこぎ着けたことは、私としても非常に感慨深いところがあります。
今、委員の方々の御発言を伺っていて、だんだん感極まってきた感じがありますが、こういう形で、本日の委員の方々のお言葉も胸に刻んで、これからまた必要なことを考えて、対応すること。これは事務局へのお願いでもありますが、そういう方向で考えていきたいと思います。
どうもお世話になりまして、ありがとうございました。
それでは、小林事務局長から御発言をお願いいたします。
○小林事務局長 事務局長をしております、小林です。
委員の皆様、本日も含め、毎回熱心に御議論いただき、先ほどは力強いメッセージをいただきまして、本当にありがとうございました。
後藤座長からもありましたが、消費者委員会としても、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則第6項で掲げられた重たい宿題があったわけですが、非常に難題に対して、皆様毎回精力的に御議論いただき、今回、報告書として取りまとめていただきまして、厚く御礼申し上げます。委員の皆様の積極的な御発言と、事務局もかなり頑張りまして、難しい議論をここまで皆様の力でまとめていただくことができたと思っております。
今後につきましては、本会議の委員の方からも御発言がありましたが、まずは本会議にこちらの報告書を報告させていただき、そこから何を導き出すのかといった御発言も先ほどありましたが、そんな御議論をいただく場を持ちたいと考えております。
ということで、今日でこのワーキング・グループは最終回となりますが、消費者委員会としては、今後も消費者行政の充実・強化のために、様々な課題に取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続き皆様の御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
≪3.閉会≫
○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
会議画面の赤色のアイコンを押していただき、御退席ください。
どうもありがとうございました。
(以上)