第77回 公共料金等専門調査会 議事録
日時
2023年5月9日(火)10:00~12:00
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- 【専門委員】
- 野村座長、若林座長代理、河野委員、後藤委員、関口委員、坪田委員、寺田委員、長田委員
- 【消費者委員会担当委員】
- 大石委員
- 【資源エネルギー庁】
- 吉瀬電力産業・市場室長
- 【電力・ガス取引監視等委員会事務局】
- 池田取引監視課長
- 東取引制度企画室長
- 【消費者庁】
- 楢橋参事官(公益通報・協働担当)
- 【事務局】
- 小林事務局長、岡本審議官、友行参事官、事務局担当者
議事次第
- 開会
- 査定方針案に関する経済産業省ヒアリング
- 公共料金等専門調査会の論点案に対する回答等に関する経済産業省ヒアリング
- 消費者団体等との意見交換等の概要について
- その他
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:101KB)
-
- 【資料1】 特定小売供給約款の変更認可申請に係る査定方針案について
- (表紙から39ページ)(PDF形式:1451KB)
- (40ページから84ページ)(PDF形式:1894KB)
- (85ページから128ページ)(PDF形式:1258KB)
- (129ページから147ページ)(PDF形式:1183KB)
- (148ページから185ページ)(PDF形式:2141KB)
- (186ページから232ページ)(PDF形式:2103KB)
- (233ページから269ページ)(PDF形式:2162KB)
- (270ページから298ページ)(PDF形式:1706KB)
- (299ページから328ページ)(PDF形式:2074KB)
- (329ページから353ページ)(PDF形式:2075KB)
- (354ページから382ページ)(PDF形式:1767KB)
- (383ページから432ページ)(PDF形式:2832KB)
- (433ページから478ページ)(PDF形式:1296KB)
- (479ページから516ページ)(PDF形式:2551KB)
- (517ページから543ページ)(PDF形式:1274KB)
- (544ページから584ページ)(PDF形式:1174KB)
- (585ページから628ページ)(PDF形式:1125KB)
- (629ページから678ページ)(PDF形式:1429KB)
- (679ページから729ページ)(PDF形式:1951KB)
- (730ページから816ページ)(PDF形式:2037KB)
- (817ページから854ページ)(PDF形式:1232KB)
- 【資料2-1-1】 消費者庁及び消費者委員会からの御意見等に関する御回答(案)(PDF形式:1955KB)
-
- 【資料2-1-2】 各事業者における調達状況について①
- (表紙から87ページ)(PDF形式:1413KB)
- (88ページから149ページ)(PDF形式:1113KB)
- 【資料2-1-3】 各事業者における調達状況について②(PDF形式:1164KB)
- 【資料2-2】 消費者委員会と消費者団体等との意見交換における御意見に対する見解(電力・ガス取引監視等委員会からの御回答)(PDF形式:283KB)
- 【資料2-3】 消費者委員会と消費者団体等との意見交換における御意見に対する見解(資源エネルギー庁からの御回答)(PDF形式:262KB)
※【資料2-3】について、一部修正がありましたので、修正版を掲載しております。 - 【資料3-1】 消費者団体等との意見交換における御意見(概要)(PDF形式:363KB)
- 【資料3-2】 消費者委員会に寄せられた御意見(概要)(東京消費者団体連絡センター)(PDF形式:205KB)
≪1.開会≫
○友行参事官 皆様、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまから第77回「公共料金等専門調査会」を開催いたします。
本日は、寺田委員、星野委員が御欠席、野村座長はじめその他の委員の皆様は全員テレビ会議システムにて御出席でございます。
また、消費者庁の楢橋参事官、資源エネルギー庁の吉瀬室長、電力・ガス取引監視等委員会事務局の池田課長、東室長にも御出席いただいております。
議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。
お手元の議事次第に配付資料を記載しております。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
テレビ会議による開催に当たりまして、お願い申し上げます。ハウリング防止のため、発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いします。また、画面は皆様オンにしていただければ幸いでございます。御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせいただき、それを確認した座長から指名がありました後に御発言をお願いいたします。
一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室にて御参加いただいております。
議事録については、後日公開いたします。
それでは、野村座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
○野村座長 本日はよろしくお願いいたします。
本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れてしまった場合には、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には、事務局に進行をお願いいたします。
≪2.査定方針案に関する経済産業省ヒアリング≫
○野村座長 それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、電気規制料金の値上げ認可申請について審議を行います。特定小売供給約款の変更認可申請に関わる査定方針案について、消費者庁から参考資料1のとおり4月28日付で消費者委員会に対して付議をいただきました。委員の皆様には既に査定方針案を御覧いただいておりますが、本日はまず初めに、この査定方針案について経済産業省から御説明をいただきたいと思います。
本日は、資源エネルギー庁吉瀬電力産業・市場室長、電力・ガス取引監視等委員会事務局池田取引監視課長、電力・ガス取引監視等委員会事務局東取引制度企画室長にお越しいただいております。お忙しい中、誠にありがとうございます。
それでは、電力・ガス取引監視等委員会事務局から40分程度、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○電取委池田課長 取引監視課の池田です。よろしくお願いします。
資料1に沿って、査定方針案について御説明させていただきます。
まず、査定方針案となっていますが、現在のステータスの案のまま、今後、消費者庁との協議プロセスが終了し、物価問題に関する関係閣僚会議に諮った上で案が取れるという形になっております。
早速、中身について御説明させていただきます。
まず、11ページ目を御覧いただきたいのですけれども、これは消費者委員会から御指摘をいただいたところですが、二つ目のポツのとおり、変更認可申請後、燃料価格が大きく変動する中、燃料費等の採録期間の在り方について、これを反映すべきではないか等々の御意見が出てきたところでございます。
後で840ページを御覧いただきたいのですけれども、その点については料金制度専門会合では、燃料費調整制度が適用されるので、燃料費が下がったといっても、採録期間を移しても電気料金にはほとんど影響は出ないのだけれども、昨今のいろいろな御意見もありますし、また、採録期間を移すことによって上限価格は下がります。そういうことでやはり採録期間を移したほうがいいということになりまして、補正を行ったところでございます。
続きまして、審査のプロセスでございますが、20ページを御覧いただきたいと思います。前提条件として、電力需要の想定、あるいは電源確保の計画が適切か…と。要はkWh当たりのコストを出すときの分母になるところですので、これが正しく計算されないと、コストが高く算定されてしまったりという問題が起きることになります。
あとは、能率的な経営を行うことが求められていますので、経営効率化努力についても審査を行うことが必要で、その上で各費用と収入、あとは事業報酬ですけれども資金調達コストについてそれぞれ精査を行って、それを積み上げたものが料金の原価といいますかコストでございまして、それを自由化部門と規制部門に配賦して、それにネットワーク費用を足して、その上で小売料金の額を設定されるといった手順を追って審査を行っていくことになります。
まず、電力需要の想定の部分は、42スライド目からでございます。ここに書いていますように、「需要想定・供給力」は料金原価の各費目の算定に当たって前提条件となるものであるということで、基本的に供給計画等を基に規制部門の電力需要と自由化部門の電力需要をそれぞれ算定することとなっておりまして、その点について確認をいたしました。
55スライド目のとおり、論点として考えられるのは、二つ目のポツの矢羽根の二つ目のとおり、節電効果とか、自社から他社への離脱影響とか、あとは他社から自社に戻る戻り需要などをどのように織り込んでいるかといったところが論点になるわけでございますが、結論としましては59ページ目のとおり、合理的でない手法や根拠に基づいた算定は確認されなかったというところでございます。
あと、供給計画につきましても、86スライド目のとおり、合理的でない考え方に基づいた供給電力量の算定は確認されなかったということで、問題は特段見受けられなかったところでございます。
ちなみに、参考までに、97ページ目に供給計画を策定する際に供給力をどのように積み上げるのかをお示しさせていただきました。まず、需要電力量の想定がありまして、それに対して新エネ・水力・原子力等を優先的に活用するというところで、まずそれを当てはめる。残った部分について、メリットオーダーに基づき、火力とか、要は単価が安い順に配分するとともに、JEPX分とか揚水発電分を仮置きして、それを火力の需給運用にかかる制約を考慮して再配分するとともに、限界費用に応じてJEPXや揚水で差し替えという、行ったり来たりの作業をした上で、供給力の積上げを最適化しているというプロセスになっておりますので、電源については効率性に配慮されたものになっているところでございます。
続きまして、99スライド目からが経営効率化でございます。100スライド目に料金審査要領の抜粋をつけさせていただきましたが、資材調達や工事委託事業等にかかる費用であって、申請後に契約を締結し、又は契約締結に係る交渉を行うものについては、削減を求めることが困難であるものを除き、これまでの入札の実施等による効率化努力の実績や他の事業者の効率化努力との比較を行いつつ査定する…と。つまり、資材調達等々につきましては、既契約分、削減を求めることが困難なものを除いて、これまでの実績、他の事業者との比較といったところがポイントとなってくるわけですけれども、今回非常に苦労したのが、各事業者の効率化の取組が非常にばらばらである…と。102ページ目から各事業者の効率化の取組を紹介させていただきまして、また、107スライド目から今回の申請で織り込んだ各社の効率化の取組を挙げさせていただきましたけれども、範囲がばらばらである…と。しかも、109スライド目を見ますと、例えば北海道電力は3%減とパーセントで出してきているのに対して、東北電力は60億円マイナスと金額で出してきているように、各社ばらばらである…と。そこをどう比較すればいいのかが我々は非常に苦労したところでございます。
その結論が112スライド目でございます。我々は費用を三つに分けて考えました。一つ、燃料費は典型的なのですけれども、変動的な費目。二つ目に例えば公租公課のように固定的な費目のうち外的要因等々による制約を受ける費目、他律的な費用。③として残りの固定的な費用のうち自律性の高い費用。要は燃料費等の変動費、他律的な固定費、自律的な固定費の3区分に分けました。
①については、他律的な要素が強いというのもありますけれども、そもそも燃料費とか個別の審査項目で査定を行うところなので、重ねて査定を行う必要がない…と。②もなかなか効率化を求めるのは難しい…と。ただ、③についてはきちんと効率化しているかということが少なくとも比較できるところではないかというところでございます。
具体的には、113スライド目に費用項目を並べさせていただきましたが、例えば人件費とか消耗品、委託費といったものがそういった費用に該当すると考えるところでございます。
③の費用を全部合算して、kWhで割って、要は単位電力量当たりのコストを計算してみました。それが115スライド目でございます。北海道電力が一番高い値になりましたが、地理的な要因で高くなっているわけでも必ずしもないようで、例えば沖縄とかであれば真ん中辺に来たりとか、そういう結果になっています。
ちなみに北海道からは、人口もまばらで一度ブラックアウトができて予備力の確保がほかよりも厳しくなっているので、kWベースないし契約口数ベースにしてほしいという意見も出たのですけれども、いろいろ検討した結果、kWベースで考えると、稼働率の低い電源をたくさん持っている事業者ほど単位当たりのコストが低くなる、効率的になるというパラドクスが起きてしまうので、やはりkWhベースで比較するのが適切であると考えるところでございます。
これを基に、124ページ目の四つ目のポツを見ていただきたいのですけれども、一つは、まず自社の過去水準と同等の水準まで効率化を求めると。今回、燃料費高騰を理由とする値上げなので、それ以外の部分は少なくとも今までと同じ費用水準にしてくださいということで、まずそれを求めます…と。
①に加えて費用水準の上位、具体的に言うと発電部門については発電部門を切り離した東電EPと中部電力ミライズを除いた8社のうちの上位1から4社の平均、販売部門については全10社のうち上位5社の平均値をベンチマークとして、激変緩和の観点も加味しつつ、効率化の深掘りを求める…と。
さらに、電力会社間それぞれ必ずしも効率的とはいえないのではないかといった指摘もございましたので、経済財政諮問会議で示されたTFPの上昇率の試算とかを参考に、継続的な効率化として年1.4%を求めるということで効率化係数を算定したのが127スライド目でございます。
ここに効率化係数のパーセンテージを設けておりますが、先ほどの③の費用に該当するもののうち、人件費など個別の項目で既に査定を行っているものとか契約済みのものを除いて、ここに掲げた北海道電力であれば申請金額から23.0%を査定するという形にしているところでございます。
また20スライド目に戻っていただいて、以上が前提条件のところでございます。ここから先は費用の精査に移ってまいります。
まず、148スライド目からが燃料費についてでございます。燃料費につきましては、154スライド目ですけれども、最も安い電源から稼働させるメリットオーダーは徹底されているかというところが一つの大きなチェックポイントで、ここはしっかりと確認をさせていただいたところでございます。
石炭については169スライド目を御覧いただきたいのですけれども、過去の石炭燃料費の単価査定においては、過去の申請単価について重量当たりの費用ベースで審査を行ってきたのですけれども、今回の申請においては、例えば石炭の品位を下げて効率化を図るといった申請をして、各社いろいろ補正を行ってきているので、そこをどう取り扱うかというところが問題となりました。
その結果が173スライド目でございまして、三つ目のポツのとおり、各事業者の様々な効率化努力の結果が反映された指標として、発生熱量当たりの調達単価で審査をすべきであるということといたしました。また、一番下のポツのとおり、トップランナー査定を行うことといたしているところです。
続きまして、LNGにつきましては183スライド目を御覧いただきたいのですけれども、東北電力とか中国電力は基本契約数量に対して行使オプションをフルに活用していなかった…と。売り手側から不可抗力が宣言されていて、このオプションが行使できないのではないかということで、フルに活用して申請をしてこなかったのですけれども、スポット価格のほうが高い状況を鑑みれば、必要なLNG調達量を可能な限り中長期契約で行うべく、基本契約数量に対して個別の契約状況を勘案しつつ、買い主が行使オプションを持つ上方弾力性を最大限加えた数字を織り込むべきであるというところを一つ示させていただいている。
あと、184スライド目ですけれども、中長期契約についても先ほどの海外炭と同じく、他の電気事業者との比較を通じた査定、要はトップランナー査定を行うべきであるとしております。
続きまして、196スライド目からが購入・販売電力料でございます。ここのチェックポイントとしましては、197スライド目のとおり、料金審査要領では、購入電力料につきましては、原価算定期間内に契約が満了するものについては、他の事業者の取組状況は、市場の状況を踏まえて、その取組においても実現可能な効率化を反映するとなっております。
そういう観点でいろいろと審査を行った結果が215スライド目でございます。まず、電力を相対で買ってくる場合は、既に織り込まれている効率化努力分が合理的である場合には、その足らざる分について申請者に求める水準、先ほど効率化係数が出ていましたけれども、要は相対購入する電力についても電力会社に対して課せられる効率化係数を掛けて査定を行うべきであると考えるところでございます。
さらに、東京電力についてはどう審査をしていくべきかと。要は発電部門が個別会社になってしまったので、他事業者からの購入電力料と同様に審査すればいいのでないかといった点も疑問になったところでございます。
そこが218スライド目からでございまして、東電EPにつきましては二つ目のポツのとおりJERAからの調達価格が適正な水準となっているか、他の事業者からの調達よりも丁寧に確認する必要があるということで、219スライド目の一番最後のポツのとおり、具体的にはスポット市場価格で調達した場合の費用に対する原価上の相対購入電力料の比率について、東電EPよりも比率の低い事業者の水準まで効率化努力を求める、要はトップランナー査定を行うこととして、その差額を減額するとしたところでございます。
時間があれなのでペースアップします。225スライド目ですけれども、購入のうちの原子力分の取扱いでございますが、いずれの契約についても契約書原本等で契約の相手方との共同開発と認められ、人件費や修繕費等々に関する費用負担の義務があるというところで、購入契約を結んだ原子力発電所について、稼働しなくても委託費、修繕費についてはコストに織り込むことを認めることとしたところでございます。
続きまして、300ページから原子力バックエンド費用でございます。原子力バックエンド費用につきましては、消費者団体あるいは国民の声等々で、原子力があまり稼働していないのに原子力バックエンド費用が増えるのはおかしいのではないかといった指摘があったのですけれども、原子力バックエンド費用というのは301ページのとおり三つの費用から構成されておりまして、それぞれ法令等々で負担が義務づけられているとともに、その額が決められているということで、303スライド目の審査要領の2ポツのとおり、法令に基づき発生する費用のうち算定方法の定めがあるものについては事実関係や算定方法を確認するといったところで、粛々と審査を行っていくといったところでございます。
その結果が323ページで、三つ目のポツのとおり、四国電力が一つは将来の単価を見込んだ料金原価の算定をしていて、それについては認められないだろう…と。もう一つは、原子力発電施設解体費について四国電力はエスカレーションを反映していまして、それについても認められないという判断をしたところでございます。
325ページ目からが人件費でございまして、人件費の審査基準につきましては328スライド目でございまして、基本的に第1節の6.のとおりエスカレーション、要は賃金増については原則として原価への算入を認めない…と。役員報酬や給与手当については基準が設けられていると。こうしたところから審査をしていったところでございます。
347スライド目、人員計画でございます。人員計画というのは、要はどれぐらいの人を採用して、どの部門にどう張りつけるかといったところでございます。ここで問題となるのは非効率的なところはないかというところでございますが、348スライド目以降、いろいろな切り口で各電力会社の労働生産性を検討してみたのですけれども、その結果、7事業者ともにどの事業者が明らかに人員数が過剰な水準にあるといったところは確認されませんでして、人員については特に申請案から査定を求めないこととしたところでございます。
359スライド目、役員報酬につきましては、社内役員の給与水準については審査基準どおりなのですけれども、社外役員の給与水準については、過去の審査では一人当たり800万円としていたのですけれども、それよりも高い水準で申請をしてきている社がございました。昨今は社外取締役の責任も重くなっているので、認めてもいいのではないかという議論もあったのですけれども、消費者に非常に大きな値上げを求めるという今回の申請の趣旨に鑑みまして、前回の800万円というラインを維持することとしました。
360スライド目からが従業員一人当たりの年間給与水準でございまして、東電と北陸と沖縄が賃上げを織り込んできたところでございます。ここは内部でも非常に議論になったところでございますが、365スライド目のとおり、先ほど紹介した審査基準に照らすと、賃上げは原則として認められないと考えるところでございます。
その代わり、2023年に厚生労働省から最近の賃構調査の統計値が公表されまして、結構賃金が上がっているという結果になっておりまして、審査基準で賃構調査を使って計算するというルールになっているのですけれども、それでアップデートすることにしました。
そうすると、四国電力と沖縄電力は幾分ダウンして、北陸もちょっとダウンした。東電EPは横ばいなのですけれども、そのほかは軒並み上がっておりまして、人件費の総額が申請額を上回らない範囲で一人当たりの年間給与水準が増査定になることについては許容することにいたしました。
384ページ目からが修繕費でございます。修繕費については、384スライド目の下の赤字の部分ですけれども、過去実績を基にして帳簿原価に占める修繕費の割合、要は簿価に対する修繕費の割合の5年平均をメルクマールとして、これを超えることは原則として認められないという考えを審査基準としているわけでございますが、386スライド目のとおり、各社の申請内容は、一番下の列が申請原価と直近5年のメルクマール、要は修繕費率の比較ですけれども、みんな修繕費率が超過しておりました。そこをどうするかというのがここの論点でございました。
その検討結果が392ページ目のとおりでございまして、原子力発電所とそれ以外の発電施設で考え方を分ける必要があるなと。要は原子力発電所については、事業者の意思にかかわらず、安全審査とか司法判断による仮処分、差止め等々、言わば不可抗力的な状況によって原子力発電所の停止が必要となって修繕費が抑制されてきたところがありますので、原子力発電所の再稼働を見込んでいる場合には、メルクマール超過分についても認めることとする…と。
他方、火力発電所の点検回数の増加とか、水力の追加的な設備対策といったところは、そういう年度による凸凹があるところも織り込んで、5年の平均を持ってメルクマールとしているところもありますので、そこについては認めないという方針を取りました。
393スライド目でございます。これは消費者委員会からも御意見をいただいたところでございますが、要は再稼働の見込みがない発電所に関して、再稼働とか安全対策のための費用を認めることがいかがなものかという御指摘があったのですけれども、そこについていろいろ検討した結果、具体的には泊発電所3号機でございますが、核燃料貯蔵プールに核燃料が収納されていることもあり、安全性向上のために必要な費用は必要であろう…と。要はBの部分です。
逆に、再稼働時期に応じて追加的に必要となる費用は未確定なので、これは認められないだろう…と。
あと、再稼働に向けていろいろやっていく必要がある費用、ここは議論が分かれたところでございますが、これを認めないと再稼働を目指していろいろ準備していくことができなくなるので、Cまでは認めてあげようという話になりました。
続きまして、設備投資が406スライド目からでございます。408スライド目を御覧いただきたいのですけれども、設備投資はストレートに原価に算入されるわけではなく、一つは建設が終わって減価償却されるとき、減価償却費という形でコストに算入される…と。もう一つは、建設中の設備の簿価の2分の1と、運用中の設備の簿価の二つをレートベースとして、これに事業報酬率を掛けて資金調達コストが算定されるということで、要は事業報酬の算定の基礎という形で影響することになりますが、設備投資については、確認の視点としては、407ページ目のとおり、適切な時期に適切な設備工事、設備除却が行われているか、あるいは不使用設備等が原価に算入されていないかといったところが問題となるわけでございます。
具体的には436スライド目を御覧いただきたいのですけれども、私どもは特別監査をいつも値上げ申請のときに実施しておりますが、今回も特別監査を実施いたしまして、現場に行って帳簿類を見たり、現地を確認するということですけれども、三つ目のポツのとおり、新型コロナウイルス感染症対策で今回はやむを得ずオンラインで実施しました。ただ、オンライン中継によって工事状況を確認したりとか、あるいはちゃんと現物を取り寄せてやったりとか、いろいろ工夫をして行ったところでございます。
その結果が437スライド目でございまして、例えば使っていない土地等々、不使用の理由が合理的でない場合は査定をいたしました。社宅についても、入居率が低い場合は、入居率が低い範囲について査定をしましたし、PR館・厚生施設といったところも、電気事業に真に不可欠な設備とは認められない部分については査定をしました。稼働率が低い発電設備についても、合理的な理由がない場合は査定を行ったところでございます。
続きまして、レートベース・事業報酬ですけれども、459スライド目からになります。事業報酬率は460ページ目に書かれているとおり、要は事業者が資金調達をするために必要な費用ということで、銀行社債等の債権者が期待する負債利子率、あるいは株主が期待する利益率を勘案して、料金算定規則に従った計算ルールに従って計算をされるというところになります。ここはそもそもの計算ルールの在り方について議論があるところでございまして、そのルールについては今後の検討課題とは認識しているところでございます。
ただ、ここで論点となりましたのは、一つはβ値、461ページにありますけれども、自己資本報酬率を計算する際に事業者の事業経営リスク、β値の採録期間が適切かどうかというところが議論になりなりました。
あと、480スライド目でございますが、公社債利回りの実施率とか、その辺が各社必ずしも統一されていないところがありまして、そこが論点となり、また、他人資本報酬率について、東京電力をどう扱うかといったところが論点となったところでございます。
β値につきましては、前回の審査のときには過去2年分のβ値を取ったわけでございますけれども、今回それをやってしまうとβ値が異常に低くなってしまうといったところでございまして、そこで各社前例とは違う申請方法をしてきて、申請方法が481ページのとおりばらばらだったと。そこをどうするかといったところでございますが、そこにつきましては486スライド目のとおり、長期の採録期間を確保すれば異常値が避けられるということで、直近10年間を算定期間とするといった対応を取ったところでございます。
503ページ目からがその他経費でございますまず。その他経費について、論点的なところをかいつまんでいきますと、一つは608スライド目、賃借料でございますが、東北電力とか北海道電力とか、借地借家料が周辺物件の平均的な水準を上回っているところについては査定を行ったり、あるいは610スライド目からでございますけれども、例えば北海道電力の二つ目のポツの住宅設備の省エネ電化機器に関する問合せ対応費用とか、東北電力のウェブ受付業務に含まれる加入促進などの販売促進にかかる費用、611ページの東電EPの節電や省エネ推進を目的とした委託費用やメディアトレーニング、北陸電力の不動産会社向けのポータルサイト、612スライド目の四国電力の将来の課題解決のためのシステム関連費用等々、そういった優先度の低いものとか、電気事業の運営に不可欠とはいえない費用については査定を行いました。
615スライド目ですけれども、普及開発関係費についても、例えば各社PR館に附随する科学・地域展示の管理費とか、観光案内とか、あとは東北電力の脱炭素に係るPR費用、地域イベントに関する費用といったものは優先度が低かったり、あるいは電気事業の運営上必要不可欠とはいえないことから、査定を行っております。
618スライド目の養成費につきましても、東北電力のDX研修にかかる費用についても、優先度の低いものについては査定を行っております。
630スライド目からが公租公課でございまして、公租公課も先ほどの原子力バックエンド費用と同じく淡々と算定方式にのっとって計算されているかというところをチェックしていくことになりますが、634スライド目の法人税がちょっと特殊なところでございまして、この図を見ていただくように、まず1株当たりの配当金額を出発点として、それに発行済株式を掛けて1マイナス実効税率で逆算をして配当所要利益を出して、税率を掛けて法人税等を計算する、要は1株当たりの配当金額から法人税等を出すといった仕組みになっておりまして、前回までの査定では、1株当たりの配当金額が9電力会社で最も低い50円として算定した額を計上することが妥当であるとしたのですけれども、果たして前回の仕切りが適切かどうかというところが論点となりました。
そこにつきましては651スライドのとおりでございまして、要は1株当たりの配当金額は8社の直近マルマル年の単純平均値を採用すると。直近マルマル年というのは、先ほどの事業報酬の算定諸元に合わせて直近10年間とするということで、1株当たりの配当金額は30円とすることが適当であると考えたところでございます。
655スライド、控除収益については特に問題は見られませんでした。
また20スライド目に戻っていただきまして、費用の精査を網羅したわけでございまして、次に今度は自由化部門と規制部門の費用の配賦、そして料金設計、要はレートメイクに移っていくわけでございます。費用の配賦については消費者委員会からもいろいろ、ここは適切に行われているかといった御意見が寄せられているところでございます。そこについて680スライド目を見ていただきたいのですけれども、まず、ネットワークだけは除外しているのですけれども、規制も自由も全部ひっくるめた総原価を水・火・原に分けていって、その後いろいろ操作があるのですが、左から五つ目のボックスのとおり、重要なのはいろいろ途中操作をするのだけれども、最終的には真ん中やや右側にある固定費、可変費、需要家費の三つに分かれるというところが重要です。
可変費は、要は販売電力料に比例してかかる部分ですので、そこは販売電力料にきれいに比例して案分することになります。
赤の下の需要家費というのは調定とか集金にかかる費用で、需要家の数に比例してかかってくる費用なので、ここは契約口数に比例して分けます。
固定費というのは、最大電力量といったところにも左右されるところがありますので、683スライド目を御覧いただきたいのですけれども、料金算定規則で定められているのですが、最大電力量の比率とピーク時における比率、あとは発受電量、その三つを2対1対1の割合でミックスさせた比率で案分するというルールになっているところでございます。
ここはルールに沿って適切に案分されているかどうかがチェックポイントになりますが、その結果が、705スライド目のとおり沖縄電力が一つは先ほどの固定費の案分方法、計算方法を間違えていたところと、708スライド目ですけれども、ネットワーク費用も計算のルールを間違えていたというところもあって、沖縄については間違っていたところを補正していただくことにしてございます。
一番最後にレートメイクでございますが、730スライド目からでございます。レートメイクというのは731スライド目のとおり、規制料金については総固定費・総可変費・総需要家費の合計額と原価算定期間における規制需要の料金収入が一致するように設定する必要があるといったところが決められているわけです。それ以上は事業者の自由に委ねられている範囲が広いのですが、問題点となったのは749ページ目でございます。一つ、基本料金を上げるか上げないかという話で、東北電力と中国電力が基本料金も上げたプランを出してきました。ここについては東北電力の公聴会でも、燃料費の上昇を理由とするのに基本料金が値上げされるのはおかしいといった声が出てきたところでございます。
実態としては、基本料金と自由料金のどこで線引きするかは事業者の自由になるところですし、ぎりぎり固定費と可変費でやってみると、本来であれば基本料金はもっと高くなって自由料金がもっと安くなるという感じにはなるのですけれども、今回の料金改定申請の主たる要因が燃料費の高騰であるという理由からすると、基本料金を据え置き、電力料金を値上げすることは合理性があると。要は需要家から見ても分かりやすいし透明だということで、それを求めることといたしました。
もう一つは、752スライド目の3段階料金についても、等しく上げてきている会社と少し差ができるような形で上げてきている事業者がいて、本来の3段階料金の趣旨からいうと、比較的所得が少ない人とか、省エネとかいうことを考えると、3段階料金の差を縮めるというのは疑義があるところではあるのですけれども、今回は燃料費の値上げが主たる要因であるというところで、明確で透明性があるということで、3段階一律に同じ額ずつ電力量単価を上乗せするのが適切ではないかといったところでございます。
最後に762ページ目以降が、今回の規制料金の変更申請では、料金の変更以外にもいろいろな供給条件の変更内容が盛り込まれておりました。762スライド目にあるように、電気使用量の通知の書面発行の有料化、あるいは契約振込表の書面発行の有料化、口座振替割引の廃止、こういったものについて東電EPの公聴会で、ステルス値上げで問題ではないかといった反対意見が表明されたところでございます。そこについてはいろいろ各社にヒアリングをして確認したのが763ページ目以降にありまして、要は有料化をするのだけれども、インターネットが使えない人にも例えば電話でいつでも問合せに応じて、今まで書面で配布していた内容を電話で教えてあげられるようにしますとか、ここで浮いたコストについては原価に参入をして、電気料金の抑制に使っているといったところが確認されたので、結論としては問題がないと考えるところでございます。
785ページ目以降が、需要家に対する説明状況について我々のほうで確認したものをつけさせていただきました。
説明が長くなりましたけれども、以上が査定方針案のあらましでございます。
○野村座長 大変ボリュームのある資料をかいつまんで御説明いただき、どうもありがとうございました。
≪3.公共料金等専門調査会の論点案に対する回答等に関する経済産業省ヒアリング≫
○野村座長 それでは、ここから30分程度で委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。最初にどなたか御発言いただき、その後、チャットのほうへお名前を入れていただくと助かります。よろしくお願いいたします。
○若林座長代理 どなたもいらっしゃらないようでしたら、口火を切らせていただきます。
若林でございます。
非常に大量の資料で、御説明も詳細にいただいて、どうもありがとうございました。本当にこれを拝見するだけでも、もともとの皆様の作業量がいかに多かったかということがよく分かります。
私の質問は、先ほど最後に御説明のありました3段階料金の設定方法についてです。確認ですけれども、もともとの料金制度の趣旨からすると、確かに燃料費の値上げを前提の値上げということなので、一律に上げるというのも一案だけれども、1段階目について少し差をつけるとかいうこともオプションとして考えられたのではないかと思いますが、やはり明確性を重視されたということなのでしょうか。この辺、先ほども御説明いただきましたけれど、もう一度お願いいたします。
○野村座長 池田様、お願いいたします。
○電取委池田課長 どうもありがとうございます。
お尋ねのとおりでございまして、明確性を重視したということでございます。明確性があるということは、逆を返すと電力会社の恣意性も排除できるということでございます。
あと、一律に上げてしまうと、結局3段階の差が埋まってしまうことになりますけれども、それについては152スライド目の下に表をつけさせていただきましたが、実際としては、差の埋まり具合は1kWh当たり0.02円とかそれぐらいの値に収まるので、何とか許容できる範囲ではないかと考えるところでございます。
○若林座長代理 ありがとうございます。
経済的に苦しい家計などは、電気使用についてもぎりぎりの選択をされているとも聞きますので、小さな変化でも大きく影響するのかなと感じましたので、そういう意味からも御質問させていただきました。
どうもありがとうございます。
○野村座長 ありがとうございました。
池田課長、私から再確認ですが、752ページの上の本文のほうの二つ目のポツ、三つ目のポツですが、要するに二つに分かれてしまったと。3ポツ目のほうが一律上乗せ、二つ目のポツのほうが4事業者は格差をつけていたということで、ダブルスタンダードというのは言い方に語弊があるかもしれませんが、二つのやり方を同時に認めたということでよろしいですか。
○電取委池田課長 全部、3事業者側に合わせたと。東京、四国、沖縄方式に7社とも合わせることとしたということでございます。
○野村座長 分かりました。それは文章で次のページかどこかに出ていますか。
○電取委池田課長 書き方としては疑問系になっておりまして、要は各社に対してそれを促すというか…。
○若林座長代理 4ポツの御説明をされたのかなと思って御質問させていただいたのです。
○電取委池田課長 もう一度お願いできますでしょうか。
○野村座長 私から確認させていただきますが、若林委員は、4ポツ目で統一したのかどうか。多分統一したのだろうと解釈されているのではないかと思います。
○電取委池田課長 737ページに、3段階一律に電力量単価を上乗せすべきであると考えるとまとめさせていただいているところです。
○野村座長 分かりました。結果、そういうふうに統一したということで、若林委員の指摘は今後の課題となるということで理解しました。
若林委員、それでよろしいでしょうか。
○若林座長代理 承知しました。ありがとうございます。
○野村座長 ありがとうございました。
それでは、他の御意見に移りたいと思いますが、いかがでしょうか。
そうしましたら、私から。
618ページのスライドをお願いいたします。上の北海道電力の省エネに関わる研修、東北電力のDX研修に関わる費用、これは原価から除かれたということで、それはそうなのだろうなと思いつつも、ただ、将来的にはそれが前段のほうに出てきました経営効率化に寄与すると判断できなくもないので、その辺りはどうお考えか、電取委様の御意見をお聞かせください。
○電取委池田課長 もう一回、質問をお願いしたいです。
○野村座長 北海道電力の省エネにかかる研修費用、若しくは東北電力のDX研修にかかる費用等が原価から除かれました。優先順位は低いと御判断されたのですが、経営上はこういう観点が、省エネというのは利用者ではなくて社内のことと私は理解したのですが、DXは当然ながら社内のことだと思うのですが、そういうものが将来コスト削減につながるのであれば、そこへの研修を今、含めて査定に入れてもおかしくはないと考えられるのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○電取委池田課長 そこについては、今回の料金値上げが消費者に負担を強いるものでありますので、明らかにコスト削減に資するとか、あるいは業務を実施していく上で必要性があるものについては認めているところでございますけれども、ここで挙げさせていただいた研修というのは、例えばどういう目的で実施するのかというところがいま一つ不明確であったり、対象者の範囲が広かったりして、先生がおっしゃるようにコスト削減に資することが明らかであったりとか、業務への関連性が強いのであれば認めたのですけれども、ここに掲げさせていただいたものはそこまでの必要性や関連性が見受けられなかったものということになります。
○野村座長 承知しました。将来的には特にDXのほうなどは、社外に委託するよりは内部で進めていったほうがコスト削減につながりやすいというようにも思いますので、また御検討ください。今回はこれで通されたということで承知しました。ありがとうございました。
それでは、他の御意見をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
一つ戻りますが、今チャットに関口委員からコメントを入れていただいております。もし御発言があればお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
○関口委員 関口でございます。
論点3についての確認なのですけれども、固定費に相当する部分は基本的には基本料で回収するということが料金算定上の大原則であると思うのですが、今回、燃料費高騰を原因としているということもあって、基本料値上げは認めないということは理解いたしましたが、固定費相当のコストが変動費に回ったと理解してよろしいのでしょうか。この辺、確認させていただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。
○野村座長 池田課長、お願いいたします。
○電取委池田課長 各社の基本料金と電力量料金というのは、745ページ目以降にまとめさせていただきましたけれども、基本料金が安いところもあれば比較的高いところもあって、意外と各社のばらつきが大きいところでもありまして、実際のところは先ほど私が申しましたとおり、本当は固定費の比率はもうちょっと高くて、可変費の比率は低いというのが実際のコスト構造でございまして、そういう点でいいますと、今の電気料金は固定費の部分を相当程度電力量料金で回収しているという構図にはなります。
○野村座長 関口委員、よろしいでしょうか。
○関口委員 ありがとうございました。
基本的に私も了解であります。基本料値上げということになると、経済的に困窮している方たちへの負担が相対的に高まるという配慮もあっての今回の判断だと思いますので、この点、理解いたしました。ありがとうございました。
○野村座長 そうしましたら、別の御質問に移りたいと思います。
お願いいたします。
○後藤委員 燃料費、燃料単価と調達単価の査定について確認をさせてください。
燃料種別に調達単価の査定の方針について非常に細かく検討されたということで拝見しておりました。一つ確認させていただきたいのが、この中で効率化努力の織り込んだ、査定や補正のところで単に条件をそろえるということではなくて、各社の効率化努力を織り込んだ査定をしていくべきではないかという意見がそれぞれの燃料種別に何度か出てくるかと思います。読み方なのですけれども、合意済み、合意済みでない部分という書き方がございますが、合意していない部分というのはどういう扱いになるのでしょうかというのが1点目の質問です。
もう一点が、効率化努力を織り込んだ査定を行うことで、どの程度のコストのインパクトが出てくるのかというところを教えていただきたいと思います。
以上2点、お願いいたします。
○野村座長 よろしくお願いいたします。
○電取委東室長 まず、1点目の合意済みか合意済みではないかというのはLNGのことだと思いますが、契約上、LNGの場合は複数年の契約、特に中長期の契約が多いということで、価格合意済みのものについてここから効率化努力を求めるのは難しいということから、そこは契約書を確認した上で、契約書どおりの単価であればその織り込みを認めるのが妥当だろうという考え方をしております。
一方で、原価算定期間内に例えば契約の更改のタイミングを迎える、また価格交渉のタイミングを迎えるようなものとか、これから新たに契約して調達していくものについては、まだコストカットしていく、正に経営努力をしていく余地があるだろうということで、基本的にはそちら側を対象として査定を行うという考え方で査定方針案をお示ししているものでございます。
2点目の幾らぐらいになるのかということにつきましては、今この瞬間手元に具体の数字があるわけではなくて、最終的に査定方針として取りまとめられましたら、それぞれの費目でどれだけの査定額が出たというのをお示しする形になろうかと思うのですけれども、規模感でいいますと会社によってまちまちでして、イメージでいいますと数パーセントというような感じだと思います。個々の燃料費の中で、またLNGで100お金がかかっている事業者がいたとして、それが98とか97になるとか、そんなイメージで捉えていただければと思います。
○後藤委員 ありがとうございます。
数パーセントというのは、単価で見て数パーセントというオーダーであるということでよろしいでしょうか。
○電取委東室長 そうです。これも会社によって少し異なるのですけれども、考え方として参考になるものがあるとすると、燃料費のところで、査定方針案の中で石炭のカロリー単価の比較をしているところがございます。
○後藤委員 171ページの辺りでしょうか。品位補正のところで、非常に妥当な査定案であると思って拝見しておりました。
○電取委東室長 失礼しました。途中の議論の段階でお示ししていたもので、最終的なところに添付されていませんが、各社の熱単位熱量当たりの価格比較をしておりまして、それで見ますと単価で見たときにいい会社と悪い会社で、先ほど申し上げたように数パーセント程度、単位熱量当たりの調達単価がずれているということで、そういったものを見ながら、ある種、効率的に調達をしてくると、それぐらいまだコストカットできる余地があるだろうということで、そういう考え方で査定を行っております。
審議会でお示ししていた具体的なデータがありますので、よろしければ後でお届けさせていただきます。
○後藤委員 承知しました。ありがとうございます。
効率化努力を織り込んだ単価の査定は妥当な方針であると思っておりますので、どの程度インパクトがあるのか、また、すぐに実行できることなのか、そうでないのか。そうでない場合、どのような理由があるのかというところをしっかり見極めていくことが重要かなと思っております。
ありがとうございました。
○野村座長 ありがとうございました。
とりわけ会社別でかなり違っているのでということですので、示しにくいかもしれませんが、公開できる資料がありましたら可能な範囲でお示しいただきたいと思います。
前段のところも、恐らく主契約になるので、長期で幾らでというのを我々が目にすることは不可能かもしれませんが、それをチェックされているということで理解いたしました。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、本当にボリュームのある内容を御説明いただきましたこと、感謝しております。次の議題もございますので、ここで終わらせていただきたいと思います。
それでは、二つ目の公共料金等専門調査会の論点案に対する回答に関するヒアリングに移らせていただきます。
専門調査会としまして、これまで論点を検討してきたところです。提示していた論点案に対しまして、3月29日の第75回専門調査会で、電力・ガス取引監視等委員会事務局より、その時点での取組状況について御説明いただいたところです。本日は、その最終的な取組状況について御説明をいただきたいと思います。
また、専門調査会において実施した消費者団体等との意見交換における消費者団体等の御意見に対する御見解も用意いただきましたので、併せて説明いただきたいと思います。
また時間が短くて恐縮なのですが、ここは10分程度でお願いしたいと思います。
それでは、電取委様、よろしくお願いいたします。
○電取委池田課長 まず、資料2-1-1を御覧ください。これは消費者委員会からいただいた論点案について、消費者庁からの御意見とかも併せてまとめさせていただいたものでございます。
御意見部分を中心に御説明させていただきますが、一つは7ページ目の値上げの要因が除去された際は料金値下げを実施すべきと考えるかというところにつきましては、燃料費調整制度だけではなく、事後評価という取組も行っておりまして、そこで超過利潤が生じているとか、自由化部分が赤字になっているとか、そういったところが要件に該当すれば、さらに料金変更の要否について検討するといったところになってございます。
続きまして、13ページ目でございます。消費者に対する周知等、原価算定期間内の収入等々、見込み額について、定期的に消費者が理解しやすい形で公表すべきではないかといったところでございますが、これは電気料金情報公開ガイドラインに基づいて、毎年度、決算発表時に事業者が需要家が分かりやすい形で説明することが適当であるとされているところでございますが、今回の料金改定について認可された場合には、各みなし小売電気事業者に対し、消費者にとって分かりやすい情報提供を行うように求めていきたいと考えているところでございます。
続きまして、先ほどの設定方針案でいろいろと説明したところとかぶるのですけれども、人件費については31スライド目にございますが、エスカレーションについては原則として原価への算入を認めないこととしましたが、最新の統計値に基づく再算定を行うということで、多くの申請者が賃金については結果として上昇するという結果になってございます。
39スライド目で、自由化部門と規制部門に関するものということでございまして、規制部門の利益率が必要以上に高くなっていないか、今回の値上げ認可後に燃料費が下落する局面に転じた際には、自由化部門からの料金値下げが始まると想定されるが、規制部門の料金が高止まりし、規制部門の利益率が必要以上に高くならないのではないかといったところにつきましては、一つは燃料費調整制度による反映、さらには事後評価の実施による規制部門の利益率等々についてのチェック、それで社会的経済的事情の変動により著しく不適当となって、公共の利益の増進に支障があると認めないときには、料金変更の要否を検討するということになります。
さらに自由化部分については、40スライド目のとおり、コスト割れで電力供給を行っていないか、半年ごとにモニタリングを行っているところでございまして、これらの取組を通じて規制部門の利益率が必要以上に高くなっていないかなどを継続的に監視していくこととしてございます。ちなみに需要家は規制料金と自由料金について自由に選択することができるということでございます。
あと、電力会社の不適切事案についての御意見をいただいているところでございます。44スライド目でございますけれども、カルテル事案や不正閲覧事案については、小売電気事業者間の公正な競争とか、一般の送配電事業者の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであり、極めて遺憾ということでございます。
その上で、これらの不適切事案について、45スライド目ございますけれども、規制料金に影響を与える可能性のあるシナリオを検討いたしまして、具体的には中国電力の特別高圧、高圧の電力価格が高止まりして、その結果としてコストが高止まる可能性が考えられるところでございまして、そういったことを考えますと、今回検証を行った結果、不適切事案が規制料金に直接的な影響を与えているという明確な因果関係は確認されなかったところでございますけれども、不適切事案を通じて高コスト体質となって、間接的に規制料金に影響を与えているのではないかといった疑念が払拭し切れないという可能性を考慮して、効率化の取組など厳正に審査を行う必要があると考えているところでございます。
具体的な分析としましては、57スライド目以降に示させていただいたカルテル期間中の契約口数の推移、あるいは平均単価の推移、シェアの推移といったものからなかなか影響を伺うことができなかったところでございますが、今、ここの部分については並行して消費者庁からも同じ指摘をいただいているところで、5月2日と5月8日の2回にわたって消費者庁アドバイザー会合にも別途出席いたしまして、5月2日では、経済分析的なものは検証としては十分ではないといった指摘を受けたところでございまして、更にいろいろ深掘りして調べたところ、高圧の公共入札についてはカルテルの影響が直接現れたと思われるところが確認されたところでございますし、また、どういう価格が適切なのかというところは、なかなか検証が難しいというところもありまして、そこは今後、フォローアップ、先ほど事後評価を原価算定期間終了後やっていきますと申し上げましたけれども、事後評価にプラスアルファする形で、3年を待たずに直ちに検証していくと。検証していく範囲も、単に利益率が高くなっていないかといったマクロでの経済指標を確認するだけではなく、発注は適切に行われているかといったところもしっかりと確認をしていきたいと考えているところでございます。
もう一つ、資料2-2のほうに移りまして、消費者委員会と消費者団体との意見交換における御意見に対する見解でございます。ここについてはそれぞれ回答させていただいているところでございますが、この中で一番重要な御指摘だと思われたのは、4ページ目の「6.消費者に対する説明に関するもの」です。2回にわたり私も消費者団体あるいは消費者の方との意見交換に臨席させていただきましたけれども、情報提供が不十分だと。値上げの理由、根拠が消費者に理解できるような内容にはなっていない。あるいは、30番目にありますけれども、消費者にとって電気料金の仕組みや値上げに関する情報は専門的であり理解しづらいといったところは非常に大きな指摘だと受け止めているところでございます。
私どもが今回の査定方針案を850ページ超の分厚い資料にしたのも、基本的なことから発展的なことまでこれを見れば全て説明ができるよう配慮して編集をしてきたところもございまして、また、今までの料金制度専門会合での議論の経過も全て公開をしておりますので、そういったところを御覧いただきたいというところと、電力会社各社に対しては、これは公聴会に出席しても感じたのですけれども、消費者の方が値上げの趣旨とかについて十分理解できていないところがありましたので、そこは電力会社各社に対してもより分かりやすい情報公開に努めるように今後促していきたいと考えているところでございます。
あとはここに書かせていただいたとおりでございます。
説明は以上でございます。
○野村座長 ありがとうございました。
資料2-2の表になっているところにも、それぞれに対して御見解を記載していただいております。その中で、一部は資源エネルギー庁様にというコメントもございますので、資料2-3のほうへ移らせていただきます。
吉瀬様、よろしくお願いいたします。
○エネ庁吉瀬室長 電力産業・市場室長の吉瀬でございます。
「消費者委員会と消費者団体等との意見交換における御意見に対する見解」として、資料2-3で資源エネルギー庁からの御回答をお示ししております。
基本的には、今回の特定小売料金の原価あるいは査定ということの少し周辺にある論点だと認識をしておりますけれども、基本的には記載しておるとおりでございますが、例えば3.原子力発電、4.再生可能エネルギーといった電源についての御意見をいただいておるところでございます。それぞれ記載しておりますけれども、基本的には日本が恵まれていないエネルギー環境の下にあるという前提認識の下で、あらゆるエネルギー源を活用していく、あらゆる選択肢を追求していくことが政策の基本でございます。したがって、何かを取って何かを捨てるということではなく、原子力についても再エネについても必要なものを十分に活用していくという考え方になっておるところでございます。
「7.生活の厳しさに関するもの」ということで、電気料金の激変緩和措置、激減緩和事業についての御説明を記載しております。さらに、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金も3月に7000億円追加で積み増しされております。こういった支援策を政府で講じておりますところ、さらには賃上げあるいは価格転嫁も含めた総合的な対応の中での議論の部分もあろうかと思いますけれども、我々としての取組を記載させていただいております。
また、制度全般に関することとして、規制料金そのものの在り方についての御疑問、御意見などもいただいておるところでございます。現在存在している制度ではございましたが、経過措置でございますので、いずれそれを解消することが大前提ではございますが、現状において競争状況であったりというものを考慮して現在の状況ということでございますので、引き続き必要な検討を進めてまいりますし、一方で今回、前回の会合でも申し上げたかもしれませんが、赤字供給によって逆に言うと新電力との競争関係を歪めているという御指摘もあるところでございますので、そういったところを総合的に考えていく必要があるということでございますし、料金の分かりにくさというような話については、これは電取委とも共通ではございますが、消費者の皆様向けの情報提供を今後更に充実させていく必要があると考えておるところでございます。
簡潔ですが、以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
そうしましたら、委員の先生方から御質問、御意見をお願いしたいと思います。
お願いします。
○長田委員 ありがとうございます。
資料2-1-1、66ページで教えていただきたいことがあります。不正のところなのですけれども、不正閲覧事案等、その他いろいろあると思いますけれども、コストの問題なのですが、コスト効率をよくするということが書いてあって、下のところに再発防止策と書いてあって、再発防止策に関わるコストは原価不算入と書いてあるのですけれども、再発防止策に関わるコストとはどういうものを想定されていて、それが再発防止策だということがどういうふうにお分かりになるのかというところを教えていただければと思います。
○野村座長 では、電取委様、よろしくお願いいたします。
○電取委池田課長 ここで言っている再発防止策にかかるコストというのは、端的に言いますと、例えば今回システムを閲覧できないようにいろいろ遮断したりするコスト、あるいは弁護士の先生とかを雇ったり委託して、いろいろ再発防止のための取組をするコストになります。
そもそもでいうと、不正事案の発覚の時期が二つ目のポツに書いたとおり昨年の12月でございまして、各社が申請したのは11月でございますので、そういう意味でも、今回の原価には含まれていないと見られるところでございます。
○野村座長 長田委員、いかがでしょうか。
○長田委員 そうだとすると、次回、値上げの申請などがあるかどうかは分かりませんけれども、いずれにしろ今後のコストのところにもそれは認めないという考え方でよろしいでしょうか。全体にガバメントを利かせていくとか、いろいろなコストというのはあると思うのですけれども、その中から今回の再発防止策に関するコストを抜き出すことができると。抜き出した上で、また次回にもそれは計上しない、不参入だということで理解してよろしいでしょうか。
○電取委池田課長 そこは入らないように、今後、値上げ申請があるかどうか分かりませんけれども、あるとした場合はちゃんと見ていく…と。
おっしゃるように、なかなか個別に見ていかないと分からないところもありまして、例えば不正閲覧のほうは発覚の時期が申請した以降だったのですけれども、もう一個のカルテルのほうにつきましては発覚した時期がおととしの4月だったので、そこは公正取引委員会に対応する弁護士費用とかが紛れ込んでいる可能性もある一方、一般的な法律の研修、要は責任ある事業者として活動していくのに必要な養成費といいますか、コンプライアンスを図っていく費用ですけれども、そういった費用なのか、あるいはカルテル事案に対応するための費用なのかといったところはきちんと見ていかなければ判断できないところではありますので、もし今後、不正事案がまた繰り返されて、その後、値上げの申請があったときは、問題行為の対応とか、その改善のための費用がオンされていないかというところは、一般論としてですけれども、注意深く見ていくということになります。値上げ申請があるかどうかは分かりませんし、こういった不正事案が今後も繰り返されるということは決してあってはいけないことなので、こういう想定の話をするのも非常にはばかられるところではありますが。
○野村座長 ありがとうございます。
長田委員。
○長田委員 不正が繰り返されないことは大切ですけれども、いずれにしろ、そういう本来我々が負担すべきでないものが経費の中に入ってこないというふうに、是非きちんと見ていっていただきたいなと思います。
それともう一つ、加えてなのですけれども、33ページの事業報酬に関するところで、考え方の最後のポツですけれども、資源エネルギー庁などの関係部局に共有し、今後の課題として検討しますと書いてあるのです。お役所の言葉でよく分からないのですけれども、今回7対3というところで消費者委員会のほうから指摘をしていることに関しては課題だときちんと認識していただけているのかどうかがこの言葉では読み取れないなと思っていて、将来に向かってということにはなると思いますけれども、きちんと検討していただきたいなと思っていますということを申し上げたいと思いました。
以上です。
○野村座長 ありがとうございます。
今の点に関しまして、電取委様、何か御意見があればお願いいたします。
○電取委池田課長 そこはきちんとやっていく所存でございます。
ちなみに、今の料金算定規則には、例えば発電部門の分社化といったところに対応し切れていないのではないかといった議論も事務局で検討していく中でもありましたし、料金制度専門会合でも委員から、単に目の前の審査だけをするのではなくて、今回の審査を通じて審査基準とか料金算定規則とかで改善を要する点があれば、それはちゃんと改正の要否も検討すべきだという指摘を受けているところでございます。
○野村座長 ありがとうございます。
最後に触れられた算定規則そのものが実態に即しているかというのは再確認していただきたいと思っております。
規制料金がなくなってしまう可能性もなくはないとは思うのですが、取りあえず今日の議論の中では今の不正の問題とか、先ほど私が指摘しましたDXの問題とか、過去とは違うような状況に入っておりますので、もちろん緩めるということではなくて、きちんと利用者、消費者に合理的な料金がつくられるような規則に直せるものであれば、修正していただきたいと考えております。ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
お願いいたします。
○若林座長代理 先ほどのカルテルの時期の単価の推移等の御説明についてなのですけれども、例えば60ページ、61ページ辺りを拝見すると、おおむね他の事業者と同様の傾向で推移という御説明があったのですが、表の読み方として、カルテルは、競争の激しい地域について値下げ競争があったので、それを防止するために行われたものと大枠理解をしているのですけれども、そうだとすると、おおむね他の地域と同様の傾向で推移しているというのが何を意味するのかというのはどう読んだらいいのか。本来ならばもっと下がっていたかもしれないともいえるわけで、この辺をどのように読まれたのかということを教えていただきたいと思います。
お願いいたします。
○野村座長 電取委様、お願いいたします。
○電取委池田課長 59ページ目、60ページ目のリード書きに書かせていただいたとおり、中国電力の料金単価に明確な変化は見られない、あるいは他の事業者と同様の傾向で推移しているとこの段階では取りまとめさせていただいたところではありますけれども、そこは先ほど申しました消費者庁との協議の中でも、カルテルの構図が価格を引き上げるためのカルテルではなく、中国電力が非常に安い価格で攻勢をかけてきたため、しんどくなってきて相互不可侵のカルテルを結んだというのが実態なので、要は価格維持のためのカルテルだったのではないかという指摘があったところでございまして、そういう点でいうと、確かにカルテルがなかったらこの間、価格が下がっていたかもしれず、また、全国平均と比較しましたけれども、地域によって事情とかが違いますので、全国平均と同じ動きだからといって、カルテルがなかったとしたら、この間、料金がへこむということはないみたいなことがいえないわけでして、そこは我々の今の理解としては、料金の中に明確な変化は見られなかったのですけれども、かといってカルテルの影響がなかったということも同時に払拭できないと。
さらに、ここに資料では今、つけさせていただいていないのですけれども、昨日の消費者庁の電気料金アドバイザー会合で提示させていただいた資料に、ちょうど私どもが公共入札の落札と負荷率のデータは持ち合わせておりましたので、今、資料がないところで恐縮ですけれども、年度ごとに見ると、負荷率が高くなればなるほど平均単価は下がっていくのです。2018年とかは負荷率が高くなればなるほど単価が下がっていくという線が描かれていたわけですけれども、2019年は関電がきれいに撤退をしておりまして、2019年のカーブを見ますと、落札、要は負荷率が高くなればなるほど料金単価が下がるのではなくて、負荷率が一定以上高くなると、今度は横ばいか、むしろやや上がり傾向にあるみたいな結果が出まして、高負荷率の入札は安価なベースロード電源を有している旧一電が有利な状況に当時ございましたので、関西電力が撤退したことによって高負荷率の入札案件について価格が上がった…と。そういう意味で、カルテルの影響が確認できたところではございます。
要は、再検証した結果、こういったところについてはカルテルの影響が見られたというところでございます。
○野村座長 ありがとうございます。
若林委員、追加で御意見があればどうぞ。
○若林座長代理 ありがとうございます。
カルテルの影響が見られるという部分もあるけれども、明らかにそれが価格にどう反映するかとか、そういうことまではいえないのかなと思いながらお聞きしました。査定のほうがきちんとできていれば、その辺は適切性は担保できると今のところ考えられるのかなと思いながらお聞きしました。ありがとうございます。
○野村座長 ありがとうございました。
恐らく独禁法、経済法専攻の研究者としては、カルテルが競争者を排除しているという段階で問題視されるべきであって、料金は結果論です。御指摘いただいたように、更に下がっていたかもしれないという可能性を含めて審査していただきたいと思っております。今後、不正があるべきではないと考えておりますが、そこが今回のこちらでの論点であったと理解しました。ありがとうございました。
予定していた時間が残り5分になってしまいましたが、すみません、10分だけ超過して次の議題に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○関口委員 1点だけ確認したいことがありますが、よろしいでしょうか。
○野村座長 お願いいたします。
○関口委員 時間が限られているので、手短に。
先ほどの長田委員の御質問、前段の66ページのところに関連してなのですけれども、一番下の再発防止のところの原価算入について、不算入項目として今後とも原価算入を認めないようなお話だったのですけれども、それはサンクション、懲罰的な理由でこれを認めないと考えるべきなのでしょうか。
本来、不正閲覧というあり得ないようなことを電力会社が平気でやってきたという意味でいうと許し難い事案なのだけれども、少なくとも再発防止策を講じさせるということは、当然やらなければいけないことをやらせるということです。少なくとも今まで情報共有が当たり前のように行われてきたということを、決してやってはいけないということで、今回、サーバー分離ということで、物理分離という言葉をお使いのようですけれども、情報を管理する子会社と親会社との間のシステムを遮断するということを講じなければいけないということに伴って、一定のコストが発生するはずなのです。
そこについては、ブルーの2番目のところで今回は原価に含まれていないと。でも、今回の申請期間中ずっと閲覧してきたという甘い状況を見逃してしまったということなので、自己負担で料金に今後とも反映させずに情報遮断、物理遮断をやれとすべきなのかどうかについて確認をしたいと思ったのです。
原価算入期間にかかわらず駄目という扱いにされるとおうことですが、損害賠償請求のような原価不算入とはやや意味が違っていて、やってこなかったことをやらせることについて原価に算入しないということの根拠はここで確認しておく必要があると思いました。
以上です。
○野村座長 電取委様、お願いいたします。
○電取委池田課長 66ページ目の資料は、不正閲覧が規制料金に影響を与えるのではないかといった議論がありましたので、どういうルートであれば規制料金に影響が出るのかというところ、考えられるルートとしてはこういうルートがあるということで示させていただいたものでございます。一般論として、法令遵守のための必要な費用は原価算入に認めませんという趣旨ではございませんし、それについては今後、こういうことは考えたくないのですけれども、不正行為がありながら、料金値上げ申請が行われたときに、そこは個別に認める認めないを判断していく話であると考えます。そういう趣旨でございます。
○関口委員 ありがとうございます。
そのような説明であれば十分納得できるのですけれども、66ページが独り歩きしかねないので、損害賠償請求の場合の原価算入とは全然意味が違うのだと思うので、ブルーの2番目のところの今回の原価には含まれていないという表現は生かしたほうがいいかもしれないと感じました。原価算入は、通常の一般的な認識でいうと今後とも駄目よと読まれかねないとちょっと思いました。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
その点、電取委様は今後もまた学識者の御意見を吸い上げていただければと思います。ありがとうございました。
≪4.消費者団体等との意見交換等の概要について≫
○野村座長 そうしましたら、最後に残りました議事に入らせていただきます。これまでに消費者団体等からいただいた御意見等を確認させていただきたいと思います。
専門調査会では、これまで2回にわたりまして地元の消費者団体等と意見交換を続けてまいりました。消費者委員会ウェブページ等でも御意見を受け付けておりました。その概要について事務局より紹介していただきたいと思います。恐縮ですが、5分以内で御説明のほど、よろしくお願いいたします。
○友行参事官 それでは、まず資料3-1からお願いいたします。「消費者団体等との意見交換における御意見(概要)」でございます。
最初のところは「経営効率化・人件費等に関するもの」でございます。
下から二つ目ですけれども、各社の経営効率化の取組が、合理的で適正であるか、社会的に見て妥当性を欠く値上げがないかを精査する必要がある。電力会社の賃上げが予定されている中で、電気料金が高騰することは納得しづらいといった御意見がございました。
その次の「2.燃料費等に関するもの」でございます。
2ページ目にまいりまして、一番下のポツですが、電気料金は公益的な性格を持つため、燃料価格等の原価上昇分の転嫁は抑制的に行うべきであり、値上げは必要最低限とすべきといった御意見でございました。
「3.原子力発電に関するもの」でございます。下から三つ目のところですが、原発再稼働に関する費用の原価算入には慎重な判断を求めるといったことや、経営効率化のための原子力発電の利用推進に反対する。原発費用の増加傾向が続くのであれば、コストをかけて原発を使い続けることを見直すべきといった御意見がございました。
「4.再生可能エネルギーに関するもの」でございます。
3ページ目にまいりまして、上から二つ目のポツですけれども、世界情勢を背景とした資源価格の高騰は今後も起こる可能性がある。事故のリスクが高い原発等に頼るのではなく、再生可能エネルギーの主力電源化を進めるべきといった御意見でございます。
それから、6.に飛びまして「消費者に対する説明に関するもの」でございます。
一番下のポツです。消費者にとって電気料金の仕組みや値上げに関する情報は専門的であり理解しづらい。消費者に分かりやすい内容の情報公表に取り組むべきといった御意見でございます。
「7.生活の厳しさに関するもの」でございます。
4ページ目にまいりまして、上から二つ目のポツです。積雪寒冷地域におけるエネルギー高騰は生死に関わる問題である。実質賃金や年金が伸び悩む状況では、値上げ幅は極力圧縮すべき。また、激変緩和対策の継続を求める。
その次で、食品をはじめ物価が上昇し続けており、賃上げ以上に値上げが広がっている。電気料金の値上げは生活に厳しく、今後も値上げが行われることは耐え難いといった御意見がございました。
「8.制度全般に関すること」でございます。
下から二つ目のポツですが、電力システム改革の検証・補強が必要である。また、原発回帰でなくエネルギーコスト全体を下げる省エネ技術などへの投資、開発を求めるといったことや、電気料金は生活必需品であることから、社会政策として消費税の軽減税率の対象とすることを要望するといったような御意見がございました。
続きまして、資料3-2でございます。消費者委員会では、常に委員会に対して御意見をいろいろ受け付けておりますが、その中で電力に関するものでございます。
資料3-2の一つ目ですが、「経営効率化・人件費に関するもの」で御意見をいただいております。
「2.燃料費に関するもの」「3.原子力発電に関するもの」についても御意見をいただいております。
2ページ目にまいりまして、「再生可能エネルギーに関するもの」。
「5.消費者の信頼を裏切る不祥事等に関するもの」は中身を御紹介しますと、最初のポツですが、顧客情報生閲覧問題は、送配電分離の問題点をあらわにし、電力自由化・システム改革の根幹を揺るがす深刻な問題である。電力・ガス取引監視等委員会に対し、電力会社・送配電会社の双方に対して厳正な対処を行うこと、送配電会社の資本を切り離す所有権分離への移行について検討することを求めるといった御意見がございました。
次は「6.消費者に対する説明に関するもの」「7.生活の厳しさに関するもの」でございます。
「8.電力会社の経営状況の難しい厳しさに関するもの」として、原価の商品やサービスへの価格転嫁について政府としても推奨している。電気料金も同様であるべきだが、規制料金の制度により、行き過ぎた廉売となっている。是正するため大手電力に対して速やかに値上げを行うことを求めるべきといった方向の意見もございました。
「9.消費者委員会の審議の在り方に関するもの」「10.その他」として御意見を整理させていただいております。
御説明としては以上でございます。
○野村座長 ありがとうございました。
二つの資料で御説明いただきました。
最初の資料3-1に関しましては、後からインタビューさせてもらった北海道電力管内、東京電力管内のところに波線を引いていただいております。
いかがでしょうか。何か御意見、補足の見解がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
かなり辛辣な意見も入っておりますし、我々がここで議論する以外の周辺事項も含まれておりますが、電力制度改革全体としては参考になる意見も多く入っておりますので、電取委様は先ほども御意見、御回答をいただきましたが、このようなものが届いているということを御認識いただければと思います。
≪5.その他≫
○野村座長 御意見がなければ、ここで第77回の専門調査会を終わらせていただきますが、大丈夫でしょうか。全体を通しまして何かコメントがございましたら、今、御発言ください。
大石委員が戻られていますので、どうぞ。
○大石委員 申し訳ありません。一言だけ。
今、御説明いただいた資料3-1、3-2の1番目にある経営効率化について、消費者としては本当に電力会社が経営効率を図っているのかというところ、基本的な疑問があると思うのですが、本日いただきました資料2-1-2と2-1-3に、実際にどのくらい入札が行われているとか、何社応札しているとか、そのような資料を添付いただきました。
監視等委員会としては、この資料を基に経営効率化については各社がきちんとやっていると今回御覧になられたのか、委員会で効率化に対する御意見が委員の方などからありましたら、その辺りを少し御説明いただけると有り難いと思います。時間がないところ、すみません。よろしくお願いします。
○野村座長 了解しました。
本日、詳細は割愛しましたが、二つの資料に関しまして、電取委様、今の大石委員からの御質問にお答えいただきたいと思います。
○電取委池田課長 どうもありがとうございます。
経営効率化に関しては、経営効率化のところで御説明しましたとおり、電力会社の中で経営効率の上位の企業をベンチマークとしまして、それと同等の効率化を求め、更に深掘りを求めていくといったところと、もう一つは今後フォローアップをしっかりと行っていくと。
資料2-1-2、資料2-1-3も、調達状況についての説明は割愛させていただいてしまいましたけれども、ここについては現時点の調達状況としまして、特命発注率が高くて競争入札比率も低いというところとかもありますので、そういったところを含めて今後フォローアップを行っていくことを考えているところでございます。
○野村座長 ありがとうございました。
大石委員、よろしいでしょうか。
○大石委員 ありがとうございました。
○野村座長 ほかによろしいでしょうか。
そうしましたら、本日も有意義な御議論を展開していただき、どうもありがとうございました。
本日の委員の皆様からの御意見を踏まえまして、消費者庁様からの付議にどのように対応して意見を述べていくか、引き続き検討してまいりたいと思っております。
≪6.閉会≫
○野村座長 それでは、最後に事務連絡として、事務局から連絡事項をお伝えください。
○友行参事官 次回の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。
以上です。
○野村座長 ありがとうございました。
そうしましたら、時間をオーバーしてしまいましたが、本日の第77回の専門調査会をこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところ、朝早くからお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。
(以上)