第15回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録

日時

2023年7月20日(木)10:00~11:59

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

  • (構成員)
    【会議室】
    後藤座長
    【テレビ会議】
    飯島座長代理
    清水委員
  • (オブザーバー)
    【会議室】
    木村委員
    黒木委員
    消費者庁取引対策課
    【テレビ会議】
    板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
    坂下哲也 一般財団法人日本情報経済社会推進協会常務理事
    丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
    万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
    独立行政法人国民生活センター
  • (事務局)
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、小沼企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 報告書(案)について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤座長 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第15回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。

本日は、私のほか、木村委員、黒木委員、消費者庁取引対策課に会議室にて御出席いただいております。飯島課長代理、清水委員、坂下委員、丸山委員、万場委員、独立行政法人国民生活センター様がテレビ会議システムにて御出席いただいております。板倉委員は、後ほどテレビ会議システムにて御参加される予定です。大石委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構様は御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について事務局より説明をお願いいたします。

○小沼企画官 本日はテレビ会議システムを活用して進行いたします。発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。また、画面は皆様、差し支えない範囲でオンにしていただければ幸いです。

御発言の際は混線を避けるため、チャット機能を使用して発言する旨お知らせいただき、それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願い申し上げます。

本日は、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。議事録については、後日、公開することといたします。

配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

また、事務局に人事異動がございまして、前任の岡本に代わり、後藤が審議官として着任しておりますので御紹介いたします。

○後藤審議官 審議官の後藤でございます。

7月4日付で消費者委員会の担当の審議官ということで異動しました。どうぞよろしくお願いします。

委員会とこのワーキングの調査・審議をしっかりお支えするように尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小沼企画官 事務局からは以上です。

《2.報告書(案)について》

○後藤座長 本日は、前回に引き続き、ワーキング・グループの報告書(案)について審議を行いたいと思います。

前回のワーキング・グループでは様々な御意見をいただきました。それを踏まえて、本日お配りしております報告書(案)は、前回のワーキング・グループの御意見やその後事務局にいただいた御意見について、事務局から御知見のある委員に御相談させていただき、私と事務局の間で検討の上、前回の報告書から修正をさせていただいたものです。

本日は、この報告書(案)を御確認いただき、御意見をいただければ幸いです。

まずは、前回からの修正などについて事務局から説明をお願いいたします。

○小沼企画官 座長から御発言がありましたとおり、本日は、前回のワーキング・グループの御意見や、その後事務局にいただきました御意見につきまして、事務局から御知見のある委員に御相談させていただき、座長と事務局におきまして検討の上、前回から修正させていただいたものを報告書(案)としてお示しさせていただきます。

それでは、(資料1)「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書(チャットを利用した勧誘の規制等の在り方について)(案)」につきまして御説明させていただきます。

大きな修正は2点ございまして、前回のワーキング・グループにおきまして御意見いただきました、第2でチャットの定義を明確にする、第4で規制の根拠、特に許容性を追記する、ということでございます。そのほか、前回のワーキング・グループ後に事務局にいただきました御意見の座長の御指示を得ての修正、事務局におきまして見直しました、正確性や分かりやすさなどからの修正もございます。以降、主な修正点を御説明させていただきます。

「はじめに」でございます。2ページ目、「はじめに」に記載されていることを、当該報告書を読まれる方に理解いただきやすいよう、図表を2つ追加しております。

図表1を御覧ください。特定商取引法におきまして、隔地者間取引には電話勧誘販売と通信販売がございますことと、チャットを利用した勧誘による販売が現在は通信販売の一形態となっていることをお示ししております。

図表2を御覧ください。電話勧誘販売と通信販売の取引形態と規制等を比較しております。電話勧誘販売には勧誘規制があり、通信販売は広告規制があること、民事規定にも違いがあることをお示ししております。

4ページ目、「第1 チャットを利用した勧誘による販売の事例と問題点」でございます。脚注7でございます。後述する事例が現行の特定商取引法第11条(広告への表示義務)及び第12条(誇大広告等の禁止)に違反する可能性があること、業務提供誘引販売に該当する可能性があることを記載しております。

脚注8でございます。SNSとは、「ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略で、登録された利用者間同士が交流できるWebサイトの会員制サービス」とされております。SNSのサービスには「投稿機能のアプリケーション」と「チャット機能のアプリケーション」がございまして、通常はそれらを区別せずにSNS又はSNSのメッセージなどとされていることも多いが、本ワーキング・グループではこれらを分け、後者の「チャット機能のアプリケーション」を対象に「チャット」に含めて検討を行ったことを記載しております。

続きまして、5ページ目、図表5「チャットを利用した勧誘による販売の問題点」でございます。前回の報告書(案)におきましては、問題点⑦を「契約時の契約内容の情報提供が不十分」、問題点⑧を「その他(焦燥感を煽るなど)」としておりましたが、より客観的な表現に修正し、問題点⑦を「契約時の商品等の種類の不明示」、問題点⑧を「その他(消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を損なう恐れのある行為)」に修正しております。

飛びまして、11ページ目。「チャットを利用した勧誘による販売の相談件数につきましては、具体的には何件と出すことはできなかった。」という記載に続きまして、通信販売のうちSNSに関連する相談件数は年々増加していることと、図表も掲載しておりましたが、SNSに関連する相談が必ずしもチャットを利用した勧誘というわけではなく、当該報告書を読まれる方の誤解を招きかねないということを考え、削除しております。

12ページ目、「第2 チャットを利用した勧誘及び同勧誘による販売の定義」でございます。まずは「1 チャットとは」でございます。前回のワーキング・グループにおきまして、黒木委員や丸山委員からチャットの定義を明確にすべきという御意見をいただきました。第3段落目で、ストーカー規制法におきまして「その受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信」とありまして、「LINEやFacebook等のSNSメッセージ機能等を利用した電気通信がこれに該当」するとされております。また、米国立標準技術研究所のモバイル端末フォレンジックのガイドラインにおきまして、「インスタントメッセージングはインターネット上で他の人とリアルタイムでメッセージを交換し、会話の進行状況を追跡するための機能」と定義されております。

さらに、電気通信事業法施行規則におきまして「電話又はこれに類する双方向の通信」や、仲裁法におきまして「当事者が交換した書簡または電報(ファクシミリ装置等その他の隔地者間の通信手段で文字による通信内容の記録が受信者に提供されるものを用いて送信されたものを含む。)」との用例がそれぞれ見られます。

「これらを踏まえ、本報告書において、『チャット』とは、『受信者を特定して情報を伝達するために用いられる双方向の通信であって、通信内容の記録が受信者に提供されるもの(電子メールを除く)』」と記載しております。

13ページ目、脚注16でございます。今、御説明したチャットの定義から除かれる電子メールとして、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の通信方式を定める省令第1号に定める通信方式(その全部又は一部においてシンプルメールトランスファープロトコルが用いられる通信方式)」と記載しております。

なお、シンプルメールトランスファープロトコル、一般的にはSMTPというものでございますが、インターネットなどで標準的に用いられる電子メールを伝送するための通信手順の一つでございます。

脚注17でございます。チャットの定義の説明として、チャットにより送受信するものは主に文字でありますが、スタンプや絵文字、画像も含むということ。また、機能に着目すると、前述した脚注8のSNSの「チャット機能のアプリケーション」のほか、SMS(ショートメッセージサービス)、Web会議ツールやオンラインゲーム上のものも含むと記載しております。

脚注18でございます。前回のワーキング・グループ後に消費者庁取引対策課から事務局にいただきました、特定商取引法上の定義としては、更に検討の上、明確化するべきとの御意見につきまして、座長に御相談の上、座長の御指示を得て記載しております。

脚注19でございます。前回のワーキング・グループの御意見につきまして、事務局から御知見がある委員に御相談させていただき、その際にいただいた、チャットの定義を明確化する方法の御意見につきまして、座長に御相談の上、座長の御指示を得て記載しております。

13ページ目、下から4行目でございます。チャットの定義との比較として、電子メールとは、電話とはということを記載しております。

14ページ目、下から3行目でございます。チャットの特徴といたしまして、一般的な利用におけるものということで記載しておりましたが、電子メールと比較した場合の特徴という整理にし、「電子メールと比較した場合」と追記し、また、前回の報告書(案)におきまして記載しておりました、「②複数人でやり取りが可能な『グループチャット』を作ることで、一度にメンバー全員にメッセージを送ることができる」、「④送られた者以外は閲覧できない」は電子メールにも言えることですので削除しております。

15ページ目、次に「チャットを利用した勧誘及び同勧誘による販売とは」でございます。1段落目でございます。「チャットを利用した勧誘」の定義でございますが、「本報告書において、『チャットを利用した勧誘』とは、通信販売において上述のチャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為をいう。その行為により取引を行うものを『チャットを利用した勧誘による販売』という。」と記載しております。前回のワーキング・グループにおきまして、通信販売であることを明示したほうがよいとの御意見がございましたので、「通信販売において」を追記しております。

2段落目でございます。前回の報告書(案)におきましては、チャットを利用した勧誘による販売の特徴を、「双方向」、「即時的」、「会話的」等と並べて記載しておりましたが、電話勧誘販売とチャットを利用した勧誘による販売の特徴とを対比の形に記載を整理し、図表6を追加しております。基本的には共通しておりますが、「契約の非書面性」だけが、文字で書かれているという面がありますので電話とは異なりますが、他方で短文で断片的で相手に応じてやり取りがされるということで一覧性がないということがあり、「サンカク」ではないかと考えております。

16ページ目、1行目でございます。覆面性、相手が見えないという特徴につきましては、第4の2の「(1)勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示」に記載しておりますが、特徴の一つでございますので、ここにも記載しております。

17ページ目、「第3 チャットを利用した勧誘の心理学的観点からの考察」でございます。消費者心理学や消費者行動に詳しい杉谷上智大学教授の御発言を基にした記載であることが分かるよう、脚注38及び43に議事録の該当ページを記載しております。

18ページ目、「第4 チャットを利用した勧誘による販売に必要と考えられる規制対象と内容」でございます。まずは「1 勧誘規制の対象」でございます。四角の枠囲みの中でございます。前回の報告書(案)におきましては、「チャット勧誘規制の対象は、通信販売のうち、チャット勧誘の特徴に合致するものとすべきと考えられる。」と記載しておりましたが、飯島座長代理から規制対象が十分示せているのか、という御意見をいただきましたので、「勧誘規制の対象は、第2で述べたチャットを利用した勧誘のうち、不意打ち性のあるものに限定し、図表8の【類型①】及び【類型②】を対象とすることが考えられる。」に修正しております。

次に、木村委員から一目で分かるようにしたほうがよい、という御意見をいただきましたので、【類型①】と【類型②】の文章を改行して見やすくするとともに、図表8を文章と同じページになるように移動しております。

続きまして、丸山委員から幾つか御意見をいただきましたので、その修正等をしております。1つ目として、【類型②】は「告げずに」ではなく「表示せず」にしたほうがよいのではないか、という御意見をいただきました。電話勧誘販売におきましても、電話、郵便、ウェブページ等を利用して「告げずに」となっておりますので、「告げずに」のままとし、脚注45に電話勧誘販売における電話をかけさせる方法を記載しております。

2つ目として、前回の報告書(案)におきましては、【類型③】が「チャットを利用した通信販売の規範として作用する面があるとの意見があった。」と記載しておりましたが、一読では何を言わんとしているのかが分からないのではないか、という御意見をいただきましたので、「なお、【類型①】【類型②】を規制の対象とするのであれば、事業者は【類型③】になるように行動すると考えられ、【類型③】になるケースは限定的に解釈されるべきと考えられる。」に修正しております。

3つ目として、前回の報告書(案)におきましては、「他方で、電話勧誘販売と同様、何らかの商品を販売する意図を告げているだけでは、販売目的を告げているとはいえないものと考えられ、法目的に照らして限定的に解すべきとの意見があった。」と記載しておりましたが、販売目的を表示していると言えるか否かは消費者の理解を基準に判断すべきではないかを意図した御発言である、という御意見をいただきましたので、「この点に関しましては、勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げているかによって、【類型②】と【類型③】が区別されることから、消費者にとって分かりやすい表示により、販売目的を告げることが必要との意見があった。」に修正しております。

4つ目として、前回の報告書(案)におきまして、「2 勧誘規制の内容」の「(1)勧誘規制に先立っての事業者名・販売目的等の明示」の「②必要と考えられる対応」に、「この点に関しては、被害救済のための明示に関する立証責任の所在については引き続き検討すべき意見があった。また、明示義務違反の検証が難しいのではないか、との意見もあった。」と記載しておりましたが、ここに記載しても民事ルールにつながらないのではないかという御意見をいただきましたので、「1 勧誘規制の対象」に移して、「また、事業者がウェブページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げていないことを消費者が事後的に確認することが難しい場合があり、被害救済のための『販売目的を告げていること』に関する立証責任の所在等については引き続き検討すべきとの意見があった。」と記載しております。

最後に、万場委員からの御発表を踏まえて、規制の対象外とするものを記載しております。このうち、チラシ等の配信、クロスセル等の一方向については、第2のチャットの定義に入らないため対象外ということを追記しております。また、チャットサポートや入力補助は従前どおりですが、勧誘とは言えないものと考えられますので、対象外という整理としております。

19ページ目。次に「2 勧誘規制の内容」でございます。まずは「(1)勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示」の「①問題事例の整理」の下から3行目でございます。記載の趣旨が明確になるよう、「チャットを利用したやり取りを続ける中でマニュアルの販売について告げるなど、事業者が真の目的を隠して消費者と接触し、勧誘を始めるケースがある」に修正しております。

「②必要と考えられる対応」の1行目でございます。チャットを利用した勧誘による販売が、前回の報告書(案)におきましては、「特定商取引法においては、電話勧誘行為がない限り、通信販売に該当し」と記載しておりましたが、定義上、通信販売でございますので重複することから削除しております。

20ページ目、2行目でございます。チャットを利用した勧誘による販売には、広告規制がかかることになるので、まずは特定商取引法第11条(広告への表示義務)を遵守するよう、「まずはこれを遵守させることが求められ、令和4年建議においても、消費者庁に表示を徹底させることを求めている。」を追記しております。

20ページ目、3段落目でございます。規制の許容性につきまして追記・整理をしております。「チャットを利用した勧誘は、一般的な通信販売における広告とは異なり、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことや、第2及び第3で述べたチャットを利用した勧誘による販売の特徴である不意打ち性、密室性等やその心理的影響を考慮すると、現行の広告規制ではなく、チャットを利用した勧誘に対する規制が必要と考えられる。チャットを利用した勧誘に先立って、事業者名や販売目的等を明らかにしないということは、消費者がそのような勧誘を受けるか拒否するか判断する最初の重要な機会を奪うものであると考えられ、訪問販売や電話勧誘販売において勧誘に先立って、事業者名・販売目的等の明示義務が規定されていることと同様に捉えることが適切であると考えられる。」と記載しております。

21ページ目、次に「(2)禁止行為の創設」の「②必要と考えられる対応」の1行目でございます。規制の必要性、許容性を整理しております。そもそも規制の考え方として、「従来の通信販売は、消費者が合理的な選択の機会を確保するため、消費者が事業者からの圧力を受けずに契約締結の意思の形成を行うことを前提として、広告規制が設けられている。これに対して、訪問販売や電話勧誘販売における禁止行為等は、事業者の積極的な販売行為によって消費者が望まない契約を締結する恐れがあるという前提で規律が設けられており、両者は規律の前提が異なっている。」と記載しております。

2段落目でございます。チャットを利用した勧誘による販売には広告規制がかかることになるので、まずは特定商取引法第11条(広告への表示義務)や第12条(誇大広告等の禁止)を遵守するよう、「具体的には、まずは特定商取引法第11条及び第12条などの規定を遵守させることが求められ、令和4年建議においても、消費者庁に対して執行の強化を求めている。」を追記しております。

下から3行目でございます。規制の必要性、許容性を追記・整理しております。「チャットを利用した勧誘は、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことや、第2及び第3で述べたチャットを利用した勧誘による販売の特徴である不意打ち性、密室性等やその心理的影響により、消費者が事業者からの圧力を受けずに契約締結の意思の形成を行う状況にはないこと」を記載しております。

22ページ目、2段落目でございます。規制の許容性について追記・整理しております。訪問販売や電話勧誘販売において、再勧誘の禁止のほか、禁止行為と指示対象行為がございまして、不実告知や故意の事実不告知等の不当性の強い行為は禁止し、刑事罰を科しているということと、事業を継続しながら改善していくというものは指示対象行為と区別されているということとし、チャットを利用した勧誘による販売においても、これらを参照し、規制を設けることが考えられると記載しております。

脚注56でございます。不実告知や故意の事実不告知等の「等」の説明として、「威迫困惑、公衆の出入りする場所以外の場所における勧誘を想定している。なお、訪問販売においては、威迫困惑及び公衆を出入りする場所以外の場所における勧誘が禁止行為とされ、電話勧誘販売においては、威迫困惑が禁止行為とされているが、本WGにおいては、解約妨害の事例は確認したが、その他の事例の確認には至っていない。」と記載しております。

23ページ、脚注57でございます。適合性原則違反等の「等」の説明として、「迷惑を覚えさせる仕方での勧誘・解除妨害、判断力の不足に乗じる行為等を想定している。なお、訪問販売及び電話勧誘販売においては、これらが指示対象行為とされているが、本WGにおいては事例の確認には至っていない。」と記載しております。

次に「(3)民事ルールの創設」でございます。黒木委員から民事ルールの許容性の議論を深めたほうがよい、という御意見をいただきましたので、民事ルールそのものの必要性について追記しております。違反行為があれば直ちに指示や業務停止命令等を発令できるわけではないこと、行政庁における調査や対応には人的資源等の面からも限界があるということ、したがって、消費者の被害回復の観点から民事ルールが必要ということを記載しております。

「ア 取消権」でございます。規制の必要性を追記・整理しております。特定商取引法第15条の4の取消権は、特定申込みをした消費者が同法第12条の6に違反する表示によって誤認した場合の取消権であるため、チャットを利用した勧誘における不実告知等には対応できない場合があることを追記しております。

24ページ目、2段落目でございます。民法や消費者契約法でも対応できない場合があることについて若干追記しております。

3段落目でございます。クーリング・オフ期間が経過し、クーリング・オフができない場合にも行使できることや、違法な勧誘を前提とした悪質商法の抑止という効果も期待されることを追記しております。

4段落目でございます。規制の許容性について追記しております。「チャットを利用した勧誘において、不実告知や故意の事実不告知がなされ、その結果、消費者が誤認をして契約をした場合には、一対一で事業者が消費者に勧誘を行う場面」であることから、訪問販売や電話勧誘販売の取消権と同様に捉えることが適切であることを記載しております。

「イ クーリング・オフ」でございます。25ページ目、1段落目でございます。黒木委員からクーリング・オフの許容性の検討が不足しているのではないかという御意見をいただきましたので、「消費者が受動的な立場に置かれ、契約締結の意思の形成において事業者の文言に左右される面が強いため、契約締結の意思が不安定なまま契約の申込みや締結に至り、後日履行や解約をめぐって紛争が生じることが少なくないことから、被害回復の観点から、このような弊害を除去する必要があると考えられる。」と記載しております。

2段落目でございます。「チャットを利用した勧誘は、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことから契約内容は不安定であるため、契約内容を明らかにするためにも書面の交付が必要であり、検討することが求められる。また、訪問販売や電話勧誘販売と同様に、不意打ち性や密室性があることを考慮すると、契約の申込み又は契約後一定期間内は消費者が無条件で申込みの撤回又は契約の解除を行うことができる、クーリング・オフの導入についても検討することが求められる。」と記載しております。

「第5 第4以外に考えられる規制の内容」でございます。「1 承諾をしていない者に対するチャットによる広告の提供の禁止」でございます。丸山委員からの御発言を受けて、「あらかじめ承諾を取ったとしても、チャットを利用した勧誘を行うことの不意打ち性がないとは言えず、第4で述べた勧誘規制の対象から外れることにはならない」ということを記載し、次の段落から重複する記載を削除しております。

27ページ目、「第6 今後の対応や検討が必要と考えられる事項」でございます。「1 情報商材への対応」でございます。2段落目でございます。坂下委員、万場委員から、場の提供者であるSNS事業者の自主的な取組が重要という御指摘がございました。令和4年報告書におきまして、SNS事業者が情報商材の取扱いを禁止していること等、各社それぞれ一定の禁止行為等を定めている一方で、相談事例が発生していることから、消費者被害の防止の観点からは、モニタリングや違反行為への対応を一層強化すること等、SNS事業者において自主ルールの実効性を確保するための取組が進められていることが記載されていることを指摘しておりますので、「令和4年報告書で指摘されたSNS事業者の自主的な取組が引き続き期待される」ことを記載しております。

「3 チャットを利用した勧誘以外の通信販売における規制の在り方の検討」でございます。2行目でございます。前回の報告書(案)におきましては、国際的な規制をする動きが広がりつつあるダークパターンなどを記載しておりましたが、定義が定まっていない用語ですので削除しております。

4行目でございます。前回のワーキング・グループの御意見におきまして、事務局から御知見のある委員に御相談させていただき、その際いただいた行動ターゲティング広告を介した通信販売における規制の在り方の御意見につきまして、座長に御相談の上、座長の御指示を得て記載しております。

以上が、座長と事務局におきまして検討の上、お示しさせていただきました報告書(案)の主な修正点でございます。

また、前回の報告書(案)で省略させていただきました(参考資料1から3)を添付しております。なお、前回のワーキング・グループにおきまして、「(参考資料3)につきましては、本報告書(案)の前提となります本ワーキング・グループの検討におきまして配付いたしました幾つかの資料も、当該参考資料を補足するものとして添付すべきものがないか検討しております。」とお伝えしておりましたが、検討した結果、(参考資料3)を補足する資料の添付はしておりません。

また、資料3につきまして、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ令和5年報告書概要(案)を作成させていただきました。裏表の2ページから成るもので、対外的な説明に当たりましてはこの概要(案)を活用させていただくことを考えております。

以上でございます。

○後藤座長 ありがとうございました。

次に、前回のワーキング・グループ後に消費者庁取引対策課から資料2-1と2-2のコメントをいただいております。

消費者庁取引対策課からいただいたコメントの御説明をお願いしたいと思います。

それでは、取引対策課の伊藤課長、よろしくお願いいたします。

○伊藤取引対策課長 ありがとうございます。改めまして、奥山の後任で、7月4日付で着任しております伊藤でございます。御指導のほどどうぞよろしくお願いします。

今座長からありましたように、私どもの課からのコメントとして、これが全てであるわけではないのですが、私ども一番本質的に考えたいと思っているところについてのコメントを限定して、まずは差し出させていただいております。

1つ目は、資料2-1のほうですけれども、たびたび今の御説明の中にも出ておりますが、私どもとして対象となる行為、これ自体の法運用を適切に行っていくという立場が最初にあるものですから、事業者の予見可能性であったり、また財産、自由権といったところに影響を及ぼすような制限をかける場合には、とりわけ厳格な定義、特に外延、内包をはっきりさせることが大事だと思っています。なので、繰り返しになりますけれども、定義を明確化していくことの必要性についてコメントさせていただいております。

それから、資料2-2のほうです。こちらは追加で出させていただいております。今の報告書(案)の御説明の中にもありましたけれども、その中でとりわけポイントを絞って申し上げれば、まず1つ目は電話勧誘販売との類似点、表にされたりして大変分かりやすくて、私も勉強になったのですけれども、他方で、こういったものを見る場合、どうしてもどこかで線引きをして、反対する人たちに合意形成を促していくという作業も発生するわけですから、客観性というのは大事だろうと思います。なので、電話勧誘との相違点、例えばブロック、関係の解除、こういった機能が備えられ、設定できているとか、あるいは再び望まない相手から接触されないように設定することができるなど、特性上の共通点とは考え難い商品情報の不正確性といったことなど両方を併せ持った検討、表記、記載といった形にしていただけないかということが私どものお願いであります。

2つ目は広告規制です。現行の広告規制の限度ということが議論になっておるかと思うのですけれども、私どもの法運用、執行強化、前回の建議からさらに強化してやっておりますけれども、その上で一般的な消費者の被害を防止できない実情、事情といったものが具体的に検討され得るのかといったことだと思っております。それがない上で、どこまでができていて、どこからができていないのか、それをどう対処していけばいいのかといったことの目星がない中で、新たな規制の導入を主張していくということは、私どもの立場としてはなかなか難しいと思っています。

例えば、より大きく、こういった相談の事例というのは幾つか挙げていただいておりますけれども、やはり法律で制度として運用していくといった立場から申し上げれば、例えば全体の相談件数が増えているのか、減っているのか、どこの地域でどういった内容のものがどういった手段で実際にどういう被害実態を消費者に与えているのかといったところの具体的な実像、実態といったものが、明確化とまで私は言えません、こういったものは手づかみでやる部分はあろうかと思いますけれども、少なくとも立法をしていくのであれば、そういった実態、取引実像が明確になっていかなければ議論が進まないと考えています。

また、心理学的な観点からの考察。上智大の先生の御意見を中心に記載されているのかと思いますけれども、最初、私も全く中立的というか、私も消費者ですから一般的な一個人としてこの報告書を読ませていただいた際に最も違和感があった部分でもありまして、例えばチャットを使うときに、私はそうなのですが、一番警戒して使いますね。それは、仕事用とプライベートを分けているわけではなくて、チャットの危険性をもしちゃんと教育を受けて注意して使っていれば、これは若い方は特にそうだと思いますけれども、危険性を裏腹に持っている手段であるからこそ、そこは慎重にという、例えばそういった見方というか、立場で使っている人たちもいますので、それ自体を当初から規制の対象にしていくという議論はいかがなものなのかといった感じで受け止めています。

そういった視点で、例えば経験則に基づく検討であったり、行動経済学という、例えばスラッジとかナッジの世界が近いのかなという気もしますけれども、より多角的な検討があってもいいのかなと思っています。

そういった観点から、今日、2-1と2-2を出させていただいております。

なお、私自身のこの報告書を読んでのそのほかの所感、感想も、後ほどもしお時間を与えていただけるのであれば、この機会にお話ししたいと思っています。

まず資料の説明ということですので、以上で終わります。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいま御説明いただいたコメントについては、重要な視点も含まれておりますので、私から事務局に指示し、報告書にも一部盛り込んでおります。

それでは、報告書(案)に対して委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。報告書(案)の修正のほか、報告書(案)について特に強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことについても御発言ください。時間は70分程度を予定しております。

報告書の構成に従って審議をしたいと思います。まずは、「はじめに」から「第3 チャットを利用した勧誘の心理学的観点からの考察」、次に「第4 チャットを利用した勧誘による販売に必要と考えられる規制対象と内容」、最後に「第5 第4以外に考えられる規制の内容」及び「第6 今後の対応や検討が必要と考えられる事項」と区切りながら審議をしたいと思います。

まずは、「はじめに」から第3について、御意見、特に消費者庁取引対策課からいただきましたコメントに対する御意見をいただけたらと思います。事務局から補足などがございますでしょうか。

○小沼企画官 消費者庁取引対策課からいただいたコメントにつきまして、まずは事務局から対応についての考え方を御説明させていただければと思います。

まず(資料2-1)の「特に『チャット』や『チャットを利用した勧誘』のような用例のない用語については、意味に紛れが生じないよう内包と外延を明確に定義することが前提であり、その上で、行政処分や罰則等の対象となる行為を創設するに当たっては、その必要性や許容性が具体的に検討されるものである」等の指摘についてでございます。

座長に御相談の上、座長の御指示を得て、本文に「なお、上記の定義については、実際に特定商取引法の改正をするに当たっては、特定商取引法上の定義として、更に検討の上、明確化するべきという意見があった。以上を踏まえ、適切な定義の規定や対象範囲の明確化等が必要と考えられる場合には、更に検討することが求められる」を追記するとともに、消費者取引対策課の意見を脚注18に、事務局から御知見のある委員に御相談させていただき、その際にいただいたチャットの定義を明確化する方法の御意見を脚注19に記載しております。

報告書(案)においては、13ページで、「チャット」とは「受信者を特定して情報を伝達するために用いられる双方向の通信であって、通信内容の記録が受信者に提供されるもの(電子メールを除くとする)」、15ページで、「『チャットを利用した勧誘」』とは通信販売において上述のチャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為をいう」と定義しており、本ワーキング・グループにおいて一定の結論が得られたものと考えております。

続きまして、資料2-2でございます。「1.電話勧誘販売の相違点の検討」の1つ目、「電話勧誘販売との相違点(例えば、即時の応答は義務ではないこと、ブロックや関係の解除の機能が備えられており相手との通信を双方が任意に切断できること、再び望まない相手から接触されないように設定することが可能、といった点)には言及されていない」との指摘についてでございます。

特定商取引法上、電話勧誘販売の「電話」とは、「音声その他の音響を送り、伝え、又は受けるもの」が該当し、電話回線を用いて通話するもののみならず、インターネット回線を用いて通話するものや、Web会議ツールなど、映像を伴うものも含まれるとされ、また、録音音声や人工音声によるものも含まれるとされています。御指摘の電話勧誘販売との相違点は、電話回線とインターネット回線の相違であり、電話とチャットの相違点とは言えないと考えられますため、追記・修正は不要と考えております。坂下委員におかれましては、後ほど補足等をいただきますと幸いに存じます。

2つ目、「特性上の共通点と考え難い商品情報が不正確といった点も挙げられている」との指摘についてでございます。報告書(案)の15ページで記載いたしました、「商品情報が不正確」という問題点は、平成7年に電話勧誘販売が特定商取引法に規制対象として追加された際に、電話勧誘販売の問題点として指摘された事項となります。そのことは脚注35に記載しております。

次に「2 広告規制」の1つ目、「現行の広告規制によってもなお、一般的な消費者の被害を防止できない事情が具体的に検討されていないため、広告規制では十分に対応しきれないとすること及びそれを前提として新たな規制の導入を主張することは、いずれも適切ではない」という指摘についてでございます。

報告書(案)におきましては、次のとおり一定の検討はなされたと考えております。「現行の広告規制によってもなお、一般的な消費者被害を防止できない事情」として、相談事例から見られた問題点のうち、問題点①勧誘に先立っての事業者名等の不明示、問題点②勧誘に先立っての販売目的等の不明示について、報告書(案)の20ページで、特定商取引法第11条の表示義務は、「勧誘に先立って表示しなければならないこととはされていない。」ことを指摘し、「事業者名・販売目的等の明示義務を設けることが求められる。」としております。

問題点③再勧誘、問題点④不実告知・故意の事実不告知、断定的判断の提供、問題点⑤適合性原則違反等、問題点⑥解除妨害について、報告書(案)の22ページで、禁止行為等の創設として、従来の通信販売とは異なり、「消費者が事業者からの圧力を受けずに契約締結意思の形成を行う状況にはないこと、適合性原則違反等と考えられる行為や契約後に解除を妨げる行為が見られること」を指摘し、「再勧誘の禁止のほか、不実告知や故意の事実不告知等について禁止行為として、適合性原則違反等については指示対象行為とする等の行為規制を設けることが求められる。」としております。

民事ルールの創設について、報告書(案)の23ページで、「チャットを利用した勧誘に対する禁止行為や指示対象行為等を設けたとしても、違反行為があれば直ちに指示や業務停止命令等を発令できるわけではない。」ことを指摘し、取消権及びクーリング・オフについて「検討することが求められる」としております。

2つ目、「チャットを利用した勧誘による販売の件数について、『PIO-NETに、チャットを利用した勧誘に係るキーワードが設定されていないため検索できないこと及び相談概要に統一した用語で入力されていないこと等』を理由に具体的な件数を出せないとするにとどまり、消費者被害の規模や割合といった実態把握等の検討がなされていないこと等、新たな規制の導入の必要性・許容性の議論のいずれも欠くものと思料される。」等の指摘についてでございます。

先ほど御説明したとおり、報告書(案)11ページで、通信販売のうちSNSに関する相談件数を掲載しておりましたが、読まれる方の誤解を招きかねないことを考え削除しております。

なお、国民生活センターからは、今後、用語を統一する、あるいは印をつけるというように、特別な作業をすれば相談件数を出す方法はあるとのお話を本年1月16日に開催いたしましたワーキング・グループおきまして伺っております。

最後に「3 心理学的観点からの考察」、「特定の有識者ヒアリングの議事録の一部のみを引用する形で『チャットを利用した勧誘の心理学的観点から考察』として、チャットの特徴や電話との類似点を列挙されているが、チャットの定義も明確でない上に規制強化を必要とする具体的なエビデンスも示されていないため、それを前提として新たな規制の導入を主張することは適切ではない」等との指摘についてでございます。

有識者ヒアリングの議事録から、ワーキング・グループでの検討の関連する部分を引用したものであり、修正は不要と考えております。

以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、御発言のある方はテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。「はじめに」から第3までについてです。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

報告書(案)の訂正はありません。ぜひこの報告書(案)を出して、意見書を出す、そして、建議を出したいと思っています。

今の消費者庁の意見に対して事務局から発言したことは同感です。私は消費生活センターの現場におります。消費者庁と運命共同体と思っています。消費者庁は消費者被害の未然防止と被害回復をするのが目的だと思っております。私たち消費生活センターもそう思っております。ぜひとも、やらないことを前提ではなく、前向きにやっていただきたいと思います。

これにつきましては、今回残念だったことは、PIO-NETのデータが活用できなかったこと。これはかねてからPIO-NETの問題点がありました。すぐに国民生活センターがキーワードをつくって、私たちが問題であるというところを把握していただければ、もう少し私たちのデータを利用していただけたと思います。残念で残念でなりません。

そこで、消費者庁にお願いです。消費者庁こそが、これから現場の声を聞いて、数字を出して、調査をして頂きたいです。今回のこの問題は重要です。件数ではありません。消費者庁が以前に、Zoom会議だとかそういうのが電話勧誘になると見解を出しました。そうしたら、次はチャットの勧誘ではありませんか。ぜひとも調査をしていただいて、この問題点の重要性、現場の声を聞いていただいて対応していただきたいと思います。

もう一つは、現状の法体制で対応できていらっしゃいますでしょうか。現場は全て答えを知っております。消費者庁がたるんでいるとは思っておりません。一生懸命頑張っていらっしゃいます。人数の関係もあるかと思います。しかしながら、法改正をしても、法律改正をしても相談件数が減っていない。今なお国民がだまされ続けている、被害が増え続けている、この現状をぜひ目でしっかり見ていただいてやっていただきたいと思います。

そこで、今までの法律でできる根拠と、今までどれだけ行政処分できたのか、今回持ち合わせていなければ後日でいいですが、きちっと公表していただきたいと思います。現場の声をお聞きください。消費者庁の役割を再度、12年前にできた気持ちを思い出してください。私たち消費生活相談員は期待しております。どうぞよろしくお願いします。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

今の清水委員がおっしゃったことはまさに私も言いたかったことですが、まず、チャットについて、もちろん定義は大変大事です。今回、事務局、座長、有識者の先生方が御相談して、報告書のほうにチャットの定義が書かれました。これについて、消費者庁はどのように思われますかというのをちょっと聞きたいと思います。消費者庁としては、チャットの定義はどのようにお考えなのかを一つ伺いたいと思います。

もう一点は、先ほど清水委員もおっしゃっていましたけれども、広告規制による処分例が今どの程度あるのかというのを教えていただきたいところです。不十分なところはこれから補っていって消費者被害を減らしていくというのが、消費者庁、そして私たち消費者委員会の役割だと思うのですね。そういったところはお互いに補い合って、いろいろ対策していく必要があると思っています。被害防止が今のままではできないのであれば、やはり新しい規制は必要ですし、そこは私も前向きに検討していただきたいと思いますし、していく必要があると考えております。

通信販売は、コロナもありましたけれども、デジタル化もあります。そして、消費者の被害が本当に増えておりますし、先日の消費者白書を読んでいますと、あらゆる世代でデジタルの利用があって、被害が増えていって、そして若い人たちだけではなくて、50代、60代の方が被害に遭っているという結果が出ておりました。必ずしもリテラシーが高い方ばかりではありません。そういったことも含めまして、心理的なところ、もちろんリテラシーが高い方がきちんとお使いになるのは当たり前です。でも、そうではない方も安全・安心に使えるようにしていくのが私たちの役割ではないかと考えておりますので、ぜひその辺りをよろしくお願いいたします。

以上2点、御回答いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤座長 消費者庁に対して御回答をいただきたいという御発言ですので、いかがでしょうか。

伊藤課長、お願いいたします。

○伊藤取引対策課長 ありがとうございます。今、お二方、清水委員、木村委員からおっしゃっていただいたことで、消費者庁は消費者被害の回復に使命感を持って、できないというのではなくて、どうやったらできるかというのを考えていく立場だというのは、私自身、そう思っていますし、そういうのはもう根絶したいという気持ちは、立ち位置としては全く同じなのです。

その上でそれをどう進めていくかということについて触れたいと思うのですけれども、まず1点目、どこまでどういった処分が具体的にできてきたのか、この件を踏まえて限界ラインも示しながらですね。そういったものについて、今具体的に何件ですと申し上げたいところですが、今、手元に私は持っていませんので、それは後日また御説明できればと思っているのですけれども、幾つか前回いただいた建議への回答の中でお返しさせていただいたような案件、例えばSNSのメッセージを利用して副業の情報商材の販売をしていた事業者に、去年の9月、11月に注意喚起、公表を行ったものであるとか、幾つか今の現場として執行できるぎりぎりのところでせめぎ合っているものが実在しているところで、我々にもノウハウがつき、局、相談員の方々なども含めて、こういったものはしっかり対応しなければいけないという意識が高まっているので、徐々にこういった件数は上がってくるのだろうなと思っています。

ただ、そうは言っても、御相談というか御指導いただきたい部分でもあるのですけれども、こういった悪質な事業者は悪質なのであって、あの手この手で規制をしても、また違うツールを使って攻め込んでくるといった部分はどうしても出てくると思うのですね。

チャットの定義についてどうお考えになっていますかという御質問があったのですが、事務局さんのほうで報告書(案)をまとめておられる中の注書きで、電子メールであったり、政府として今どこまで定義づけができているかというところ以上のものを私どもが持っているわけではありません。そこまでしか私どもも定義上はないと思っています。ただ、定義を具体的にしていく、あるいは政策領域を考えていくときに、俯瞰的な視野というのは消費者問題を考えるに際してもどこか頭の片隅に置いておかなければいけないと思っています。

お時間があれば更に二、三点申し上げたいのですけれども、この報告書をどう思ったかということにもなるのですが、一つは、こういったSNS、チャットといったような世界においては、どうしても消費者だけでなくて一個人のニーズを、志向を把握しようとして個別にパーソナライズされた働きかけを行うというのは、消費者分野にかかわらず、どこでも至るところで日々行われていて、その手法も進化してきていると思うのですね。そういったときにまず出てくるのは、プライバシーとか個人情報保護との関係であったり、あるいは諸外国は競争政策上の当局がやっていたりすることもあるので、どうしても消費者問題を考えるに当たってもそういった俯瞰的な視点はあったほうがいいのではないかなと思います。

エビデンスをつくっていかなければいけない。先ほどPIO-NETというものが、具体的なデータが本当は取れたのに取ってこなかったことが今回残念でしたとのご発言がありましたが、それはやらなければいけないと私も思っているし、ほかに、例えば行動経済学のスラッジの話であったり、特に認知バイアスとか近視眼的な傾向を取りがちになるならないといった部分、そういったところがしっかりと議論の中に入ってくると、相談があったからこれぐらいの件数、被害があるのですといった部分以外の底辺のところで、その危険性とか潜在的にそういう目に遭っている人たちの母数が、果たしてこの国、社会の中で今どういった傾向にあるのかという部分も見えてくると思うのですね。なので、この報告書を見て感じたこととして、俯瞰的な視点がもっと入っていると、より説得力があってよいのではないかと思ったということであります。

私どもの立場からいくと、健全な利用実態、利用しているといった人たち、これからAIとかいろいろなものがさらに出てきます。そういったときに、利用の発展の方向性にはどうしてもみんな力を入れて、CSTIもそうですけれども、今の政府全体の動きでいくと、チャットの分野はChatGPTに見られるように、規制と利用のせめぎ合いの中で、今はどうしても利用、利用なのですね。そういった社会の動きを受けた政府全体の検討は止められないということがまず前提だと思います。そういったところで、それを利活用して、あるいは産業利用とかいろいろなところで使っていこうと。個人のプレーヤーも出てきますけれども、そういった人たちに、今回、もし何かこういったところで線引きをするのであれば、その線引きが合理的であるといったことをしっかりと説明していくためのサーベイがあることが前提だと思います。

なので、取引の実情、それから消費者の意思形成に、もちろん与える影響はマイナスの面が多い、これは何となくみんな分かっている、共通認識だと思いますし、私もそう思いますが、それを客観的に裏づける事象をまずはしっかりとサーベイする、分析していく。これが将来のこの分野におけるEBPMの施策を行っていくという観点からも最も必要なのではないか。それがこの報告書を見て私が感じたことです。

いわゆるチャットをどう見ているかとの点についても、定義上の話はさせていただいたのですが、利用とその懸念の交錯の政策領域、まさにその分野だと思うのですね。こういった分野で各方面、消費者分野にかかわらずいろいろな問題が出てくると思います。

ただし、産業構造だけでなくて、社会概念とか家族とかいろいろな価値形成のところにも影響を与えてくるような技術進化、ツールですので、そういった中での規制というのは、これはもしかしたら御異論があるかもしれませんが、できるだけ規制は適正というか、小さければ小さいほどいいのではないかと思っています。

今、チャットの世界で規制として政府の中で言われているのは、特に個人情報保護の観点が強いのですけれども、正確性への疑問であったり、情報漏えい、それから著作権、こういったところがまず先行しています。だから、そういったところの動きも見ながらということが一つあると思います。

ここはさらに大きな議論になるのですけれども、皆さんお感じのとおり、こういったものは新しいパターンが絶えず出現します。追いかけっこになります。かつスピードが上がります。自動的に生成するツールの世界になっています。人間が関知しづらい世界になっています。そういったときに、決定的にこの分野を決め切って規制しますということを仮にやったとした場合に、これは欧州がそうだと思いますが、一般データ保護規則というのがあると思いますけれども、それを学んで、勉強して、それを克服する悪質者がかえって増えるのですね。そこの部分をちゃんと見据えた上で議論していくということが重要と思います。もう一つは、そういったところを防ぐためのソフトローをうまく組み合わせていくという視点がここに加わっていると、さらによかったのではないか。

分かりやすく言えば、僕も勉強不足なのですが、先ほどリテラシーの高い方というお話があったのですが、そのとおりだと思いまして、中国なんかは、友人に聞いたりすると、だまされないようにやるのが普通だろうなみたいなことを真面目に言うわけですね。だから、消費者の教育というと偉そうなのですけれども、そういったソフトローが一つこの問題のキー、根本的なところ、悪質者がここは入り込んでももう駄目だよね、商売にならないよねと思わせるような社会にしていくというのが一番大事なのではないかなと。そういった観点、視点があれば、もう少しぶ厚めになったのではないかなと思っています。

結果として、私はこの特定商取引の商取引の範囲をどう考えるかというのもあると思うのですけれども、商取引に限られない利用者、SNS、チャットを使う全ての利用者のルール形成といった、より大きな次元の話が背後にあって、そこが見えてこないと本当の意味での消費者被害の防止にはつながってこないのではないかと思います。

さらに、これは別に政府の人間として申し上げるわけではないですけれども、消費者目線から規制に入るというのも一つあると思いますが、今の本質的なところに突っ込めば、ユーザーの権利を保護することを目的としたコンピューターシステム、とりわけUX、インターフェースのところをどうアーキテクト、デザインしていくかによって、こういった悪質業者が入り込めないような技術的な世界がつくれれば一番いいのですね。シャットアウトできる。なので、そういったところをきちっとピン止めできるできないといったところの視座も加わると、さらに大きくなってよかったのではないかと思います。

なので、私どもの課としてお出しした2種類のコメントは、もちろん課としての検討ですので、事務局さんのほうから回答をいただいたところですが、また、私はオブザーバーですので、どこまで反映していただけるかに関しての権限はないのですけれども、もともとの立ち位置、私としてこの報告書を受け止めてこれからどう対応していくかという立場に立てば、今申し上げたような俯瞰的な立ち位置からしっかりとエビデンス、EBPMのためにも集め切るというのがまずあって、人を説得、要はこういうのは駄目だと言う人が仮にいれば、その駄目だと言う人にしっかり反論できるだけの材料を、これは消費者庁がやらなければいけないのではないかというのはそのとおりだと思いますけれども、それをまずやった上で進めていくというのがオペレーションだろうなと思います。

長くなりましたけれども、以上です。

○木村委員 ありがとうございました。

確かにそうなのです。エビデンスを集めている間にも被害が増えていくわけですから、応急的な手当になるかもしれませんけれども、今回のこの報告書をやる意味は私はあると思います。

将来的にもちろん課長のおっしゃるような視点ができたらいいなと私も思いますし、今、思い出すのは、携帯電話が普及し始めた頃に、どんなにこんなのは危ないよと言っても広がってしまった、どうしようもなかったという事態がありまして、今のChatGPTとよく似ているなと思うのですけれども、それを止めることはできない、消費者被害がどんどん広がっていく、どうしようということをまた繰り返したくないなと思うのは私の中ではすごくあります。

ですから、まず目の前の被害を止める。それと同時並行的に大きな取組をやっていくといってエビデンスを固めていく、俯瞰的な視点もというふうにやっていくのがいいのではないかなと個人的には思います。ありがとうございました。

○伊藤取引対策課長 ありがとうございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 黒木です。

伊藤課長からも非常に大きな話をいただいたところで大変恐縮なのですけれども、まず13ページのチャットの定義の部分についてです。このような定義をして、しかも脚注19において、デジタルプラットフォーム取引透明化法を参考にしたらどうかというような形で、一定の立法形式を踏まえた上で議論しているわけですから、非常に整合性が取れたチャットの定義ではないかなと思っているところです。これは、板倉さんがこの中では一番この分野について詳しい第一人者が考えていただいたので、これ以上のものはなかなかこのワーキングで出てこないと思うのです。同時に、6月29日に消費者委員会本委員会で総務省が発表していただきました。そのとき総務省の提供資料1-3が提出されています。その資料では、令和5年3月17日に犯罪対策閣僚会議で「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」というのが決定されているのですね。その中では、実行犯を生まないための対策という形で、闇バイトの情報に関する情報収集、削除、取締まりの推進とか、強盗や特殊詐欺の実行犯に対する適正な科刑の実現に向けた取組の推進といったことが対策として出されています。

これは考えてみると、刑事法的に考えると、これは実行犯を募集するということですから予備罪、例えば強盗は強盗予備がありますが、詐欺は予備罪がありません。この詐欺予備罪類似の行為についてSNSを利用して実行犯を募集することに対して取締まりをするためには理論的には刑罰法規をつくらなくてはいけないということになると思います。そうすると、これは単なるクーリング・オフをしようとか、そういうレベルを超えて国が刑事罰を科すというレベルまでSNSやチャットを考えなければならないということが緊急対応プランとして閣議決定されているわけですね。

そこで、いまだに消費者庁でチャットの定義とかその辺りができていないということをおっしゃっているということ自体は、むしろ庁を挙げてこの定義について、この閣議決定をどう考えるかということで御対応されるべきではないかと思っていたところです。

その関係でもうちょっと言わせてもらうと、庁は、令和5年6月26日に消費者安全法に基づいて注意喚起をされていますよね。LINEのアドレスに関して。これも、結局のところは注意喚起にとどまっている。これも、特商法にSNSやチャット関する定義がないから、やせますというようなところについて注意喚起にとどまっているのではないかなと。去年の消費者安全法に基づく財産分野の運用実績も5月26日に発表されていますけれども、そこでは今回WGでも問題にしている情報商材に関する注意喚起が10件あります。ところが、特商法とコラボで注意喚起しているのは、外壁塗装とか屋根がわらとか、全然SNSとは無関係のところでしかないということになったのですね。

そもそも、先ほどの伊藤課長のお話で言わせてもらうと、特商法というのは、事業者と消費者の商取引におけるラストワンマイルの中で非常に問題のある類型を抽出して、その類型の中で問題があるものをどういう形で規制するのかということで、民事法と行政法規とを絡めて消費者の安心・安全な取引を守ろうという法律だと私は考えております。

その中で考えますと、技術が変わってきて、チャットだとかSNSというようなところがラストワンマイルの中に入り込んでいるわけです。そして、そこで実際上こういう消費者安全法に基づく注意喚起までやっているということを考えると、庁は消費者安全法の注意喚起まで行っているのですから立法事実がないということは、言えないのではないかと思うわけです。そうすると、ラストワンマイルに対応するものとして何が必要なのかということを議論するべき時期にもう来ているとしか言いようがないと思います。

したがって、我々としては、それを前提として、これが100%ではないかもしれないし、先ほど言いました犯罪対策閣僚会議からすれば、総務省が主管として、SNSを通じた闇バイトに対する緊急対策の中で、SNSは何かということについて考えなくてはいけないのでしょう。我々は情報を持ちませんので、閣僚で検討されることになるでしょうし、そこには、もちろん消費者庁も加わっていただいて、よりきちっとした定義をすることによって、先ほど伊藤課長がおっしゃったとおり、悪い奴らは現行法の規制を免れるわけです。そして一番悪いやつらが今闇バイトのところにいることはもう明らかなので、そこに関して国として対応しようとしているわけです。そこで、それを踏まえた上で、闇バイトより一つランクは低いかもしれないけれども、いろいろ問題がある事業者と消費者のラストワンマイルのところで、悪さをする事業者に対する民事効と行政効の2つをこの報告書を基に御検討していただくということは、まさに私としては時宜を得ているのではないかと思っておりますので、その辺りのところをもし御意見がありましたらいただければありがたいと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

伊藤課長、御意見はございますか。

○伊藤取引対策課長 今、黒木先生がおっしゃったことに異論、反論があるわけではありません。おっしゃるとおりです。

ただ、実際に全国レベルで規制をかけていくといったときの立法事実として何が足りていて何が足りていないかというのは、もちろんそれはしっかりとまず整理しなければいけないので、今まさにもうその時期に来ているかどうかということで、来ているというお話でしたので、そこは何か自信を持って私は言えるわけではありませんが、そういう方が多いのであれば、そうだと思います。

ただ、そうでないという人もいるので、もしそうでないという人がいて、そこにまた事実があれば、しっかりと事実とエビデンスをそれぞれぶつけ合って議論します。ただし、消費者庁の立場ですので、先ほど来ありますように、消費者被害回復のために取れる手段は最大限取っていくという立場ですから、それはその前提でやるということだと思います。

○黒木委員 ありがとうございます。心強いお話だと思って聞きました。

○伊藤取引対策課長 ただ、やはり最後、結局のところはエビデンスなのです。

○黒木委員 EBPMは分かりますけれども、6月28日に消費者安全法に伴う注意喚起を出されているということがあります。も私は安全法に基づく注意喚起をどれだけの情報に基づいてなさったのか詳細は存じませんが、公表資料として出ているわけですから。ただ、それが注意喚起なので限界が大変あると思っています。先ほど申しましたけれども、特商法はラストワンマイルを安心・安全にするための法体系として恐らく訪問販売を規制対象としたところからつくっていらっしゃるのだと思うのですよ。

そう考えれば、今新しい事業者が消費者にアクセスするツールが増えてきて、それを悪用している。それは同時に、国家的に非常に大問題だと考えられている犯罪にも同じツールが使われているということを考えたとき、どういうベストな規制が考えられるかということについては、政府を挙げてお考えなのだと思いますし、我々としても考えていきたい。

○伊藤取引対策課長 本当に先生がおっしゃるとおりで、この問題は政府を挙げてなのですね。特定商取引という狭い世界でのラストワンマイルとしての必要性というのもあると思いますけれども、より広いところで根絶しなければいけない問題だとした場合に、刑法の世界というのが出てきていて、今、まずそっちから行っているのですね。

詳細を把握していませんが、そこでもし罰則が強化されてという世界の上に、さらに屋上を重ねてこの世界でラストワンマイルで何ができるかというのも議論が具体的にできればよいと思うのですね。また、その辺も含めて教えていただければと思います。結局、差分が何かというところですね。

○黒木委員 ただ、刑事罰というのは、しかもこれは予備行為をどう規定するのかということですから、刑事法的には非常に難しいと思うのですよ。それに比べて、今回の分は、ある意味では社会的なインパクトの少ないクーリング・オフとか、そういう話をしましょうと言っているわけです。EBPMのEの部分の検討については、社会に対するインパクトが、誰かを捕まえるという話と大分違ってくるわけです。従ってEの検討については、より必要性のほう、許容性のレベルが徹底的にないとどうしようもないではなくて、必要性と許容性のバランスの中でこういうような法律はつくっていっていいのではないかなと思います。

以上です。これは私の意見です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、坂下委員、よろしくお願いいたします。

○坂下委員 

今の議論はとても大事なことを言っていると思います

私からは、事務局のほうから言われましたので、チャットの定義、あと電話の勧誘販売との相違点についてコメントしておきます。

今回の報告書のチャットの定義とか電話勧誘販売との相違点は、この記述で問題はないと思います。特に12ページ目の冒頭で、「同じプラットフォーム上でIDを利用し」ということを入れてもらったので、これはプラットフォーマーが提供するアプリケーション同士でやり取りをしているというところがとても大事なところだと思っていますから、ここがあるとないとでは大きな違いがあったと思いますので、入ってよかったと思います。

また、ルールの検討についてなのですけれども、私は法律の専門家ではないですが、インターネットはグローバルなので世界とつながってしまう世界です。この場合、今までの日本のような制度のつくり方、つまり性善説のような形態でつくっていくことが果たしていいのかということを考えなければいけないような気がします。

グローバルなルールのつくり方は、EUを見ていても、やはり性悪説で制度を設計し、違反した場合には厳しく罰するという流れになっています。現状では難しいのかもしれませんけれども、そのような考え方で“できる理由”を考えても良いと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

伊藤課長、何かコメントはございますか。

○伊藤取引対策課長 おっしゃるとおりだと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 私からは、今のやり取りに基づいて少しコメントさせていただければと思います。

消費者庁から指摘されましたように、ターゲティングの技術など、AIなどを利用した被害が増えていくのではないかという懸念はごもっともであると思います。ただ、そういった問題というのが情報法の問題だけなのかというと、決してそういうことではないと思います。

特に、情報を取得したり、収集する場面で、例えば悪質業者に情報が提供されないように第三者提供の範囲を制限するとか、配慮義務を課すみたいなお話は情報政策のほうが受け入れやすいと思います。

他方で、収集したデータなどに基づいて不意打ち的な不当勧誘がされたり、欺瞞的な不当勧誘がされたり、あるいは不当な取引条件が設定されるという場面では、これは消費者法ないし消費者政策の問題として受け止めて対応していく必要があるのではないかと思います。

大きな視点でやっていくというのは大切でございますので、ぜひ、個人情報委員会、公取、経産省などと連携しながら、しかしながら、取引に出てくる部分というのは恐らく消費者政策で受け止めていくことになるのだろうという姿勢で懸念に対しての対応をいただければと思いました。

また、心理学と行動経済学は違うというのはそのとおりなのでございまして、統計などのデータに基づいたり、あるいは実験的なデータに基づいて経済学的なアプローチをしたときにどうなるかということを検討したほうが厚みが増すというのはそのとおりであると思いますので、報告書を受けていただいて、その後で消費者庁でそういった観点からも検討を加えていただければいいのではないかと思います。

いずれにしましても、現在の状況で、チャットを利用した勧誘等、悪質業者から消費者を守れているのかというところについては、消費者庁でぜひ真剣に制度面と実態面というものを調査していただければいいのではないかと思いました。

私からは以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

伊藤課長、コメントはございますか。

○伊藤取引対策課長 おっしゃるとおりだと思いますね。ただ、広げてどこまでどう誰が議論するかとか、仮に実際にそれをやるとした場合は別途議論が必要だと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

この項目についてほかにございませんでしょうか。よろしいですか。

それでは、次の第4について審議いたします。最初に、「1

勧誘規制の対象」に関して御意見がございましたらよろしくお願いいたします。

特にございませんでしょうか。

事務局は特にございませんでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、「2 勧誘規制の内容」の「(1)勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示」に関して御意見がございましたらよろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 これは何回も今まで言ってきたのですが、やはり販売に先立ってということは重要です。最近もチャットの被害がありましたので、紹介します。たった10分だけ時間を確保してください、それだけであなたの人生に革命が起こりますと言って、どんな方でも簡単に毎日3万円の副業収入を稼げることをお約束しているシステムだからですと。これが勧誘に先立った表示になるのかというのはとても問題です。

そこでもういきなり毎月プラス3万円は平均データから基づいて最低ラインの107万6710円だというふうに出てきて、最終的に実践者52名が一人残らず毎月プラス3万円の副収入を得ていますと来て、今すぐ公式LINEにメッセージを送るようにと言って、次に公式LINEでチャットが始まるということなのですね。ここのところが今の一番の問題だと思いますので、重要だと思います。内容について特に強調したかったので、実例を紹介させていただきました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいですか。

それでは、続きまして2の「(2)禁止行為等の創設」に関して御意見がございましたらよろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

ここも、消費者庁が電話勧誘との相違点の検討とおっしゃっていましたので、またくどいなと言われるのですけれども、この書きぶりで問題点はないです。本当に現場では不意打ち性というところで電話勧誘とほぼ同じ規制が必要で、禁止行為等々が必要だと思っています。書いてあるとおりでございます。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

それでは、よろしいでしょうか。

続きまして、2の「(3)民事ルールの創設」に関して御意見がございましたらよろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

もう民事ルールの創設は現場の本当の切なる願いです。私たち消費生活センターは、一人でも多くの国民を助けたいと思っています。武器がないと戦えません。どうぞよろしくお願いします。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 木村です。

私も、別に異論があるわけではなくて、クーリング・オフについてですけれども、一般の消費者の方というのは、まだまだ通信販売にクーリング・オフがないということも御存じないですし、そういったところで被害が増えているというところがあります。救済されない人が少しでも少なくなるように、今回このチャットを利用した勧誘もきちんとクーリング・オフを入れていただくように検討していただきたいと希望いたします。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 民事ルールのところでのクーリング・オフの規定を入れるべきだということの結論については、異論はありません。

それから、私がもうちょっとこれを十分に書き込んでおいてくださいと申し上げたのですけれども、事務局のほうで理由を付記していただいた点、これも私はすごく説得力があると思っております。

したがって、この意見書の内容について異論はないのですけれども、黒木委員の御発言により書き加えましたと言われているので、それは私の意図したところとそんなに相違がないところに落ち着きましたという確認の発言を議事録に残すためにしました。ありがとうございます。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

それでは、最後に、2の「(4) (1)から(3)の設け方」に関して御意見がございましたらよろしくお願いいたします。

丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 (4)のところですけれども、内容的には異論がないのですけれども、皆様の判断次第になりますが、場合によっては一つ留意点というのを脚注レベルでもいいので付してはどうかと考えました。

どこかと言いますと、4行目辺りに、「通信販売、電話勧誘販売の規定との適用関係について整理することが求められる」と書かれております。これで丸投げしてしまうというのも一つの手ですけれども、調整を行うときに、規定の相互間に矛盾なくかつ必要な通信販売の規制の適用というのは維持する必要があるのだということに留意する必要があるというのを書いておいてはいかがかと思いました。

何が言いたいのかといいますと、例えばクーリング・オフというものをチャット勧誘について導入することになりますと、これは法定返品権とは矛盾することになりますので、クーリング・オフの導入の範囲では法定返品権は適用がないと整理されると思います。

その一方で、結局、通販のサイトに誘導されて、そこで購入に至るのであれば、いわゆる11条の特商法の表示であるとか、12条の6などの最終画面といった規制などは維持する必要があると考えられますので、そういった矛盾の回避と必要な規制は残す、そういった点が留意されるべきだということは、脚注レベルでもいいので一言申し添えておいてはいかがかと思いました。

以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

委員の方々、いかがでしょうか。

○板倉委員 定め方のところなのですが、特商法というのは、課長の前で言うのもあれですけれども、全部ばらばらで、本当の総則みたいなのはたしか目的しかないぐらいばらばらになっているのですけれども、場合によっては幾つかの類型に共通するものを1条の2に入れるのは嫌がるかもしれませんが、前のほうにくくり出して入れて、主に通販と関係するけれども、ほかとも関係するのだといったようなことも別にできないわけではないと思います。そうすると、もしかするとほかの規定もくくり出して前に出すというのがあるのかもしれませんが、そんなようなことも排除しないで考えてもいいのかなとは思いました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、先ほどの丸山委員の御発言に関しては、そういう方向で考えるということでよろしいでしょうか。

それから、今の板倉委員の御発言ですけれども、伊藤課長はコメントはございますか。

○伊藤取引対策課長 一つの考え方、整理の仕方として別にないわけではないと思いますので、受け止めましたとしか今は言えないですよね。

確かに、アメリカはそうですかね。総則があって、ぼやっと書いて、歴史、時代、技術が転換していくことを予期して解釈を広げていますよね。非常に柔軟ですよね。そこは実はすごく根深い議論があると思いますので、委員の御意見として受け止めさせていただくというところで今日はお願いできればと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

こういうところの議論がきっかけとなって重要な見直しが行われることは期待されるところですので、よろしくお考えいただけたらと思います。

よろしいでしょうか。

それでは、次ですけれども、「第5 第4以外に考えられる規制の内容」及び「第6 今後の対応や検討が必要と考えられる事項」について審議をいたします。

第5及び第6全体の意見交換を行う前に、第6の「3 チャットを利用した勧誘以外の通信販売における規制の在り方の検討」について、行動ターゲティング広告に関する問題もあるのではないかという御指摘をいただいております。

こちらから指名させていただくのは恐縮ですけれども、板倉委員からこの点について御意見をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○板倉委員 事前にも情報提供したところではありますが、行動ターゲティングの勧誘の部分というのは、実は近年、行動ターゲティング広告に関してはいろいろな改正等もしましたが、残っている宿題だろうと私は認識していまして、取引デジタルプラットフォーム法の中間整理のときにちゃんとやらなければねということにはなったのですが、取引デジタルプラットフォーム法には入らず、個人情報の利用の部分については個人情報保護法を改正して個人関連情報のものを入れたり、電気通信事業法を改正して外部送信規律を入れましたが、そこの勧誘の部分というのは、一種のAI規制に近いところがありますが、残った課題ではあり、実際は個別の関与ではないのですけれども、こういう言い方をするとあれですが、ある程度ボリュームがないと行動ターゲティング広告は出さないので、実際は割とマスに出しているのですが、ただ、個別には勧誘と同じような効果が明らかに生じていて、先ほど伊藤課長の話を私は途中からしか聞いていませんが、その点の御指摘は全くそのとおりで、実は行動ターゲティングに関しては、入れたにもかかわらず、そこの部分は残っていて、しかも今回のチャットと同じように意思形成に影響を与えているという意味では重要な課題ですので、その点は指摘していただくのは必要かなと思いました。

さらに付け加えて言うと、ステマについては消費者庁で経済学の方とか経営学の方も呼んでいただいたのか、最新の研究結果も取り入れていただいて規制を決めたと思います。今回こちらではそういうところまではできていませんが、もし引き続き検討していただけるのであれば、同じようにチャット勧誘についても経済学、さらに行動経済学、経営学、そういった部分のヒアリングもやっていただけるといいと思いますし、私は『アメリカプライバシー法』という本を訳したことがあるのですが、経済学用語がいっぱい入っていて、経済学の先生にも監修していただいたぐらい、法と経済学的なものであるとか、法と行動経済学的なものはもうアメリカは当たり前として立法に使っていますので、日本も消費者庁は先進的だったと思いますが、ステマでもやっていただきましたので、この分野でもそういう機会が今後あると非常によろしいと思います。

それも含めて、行動ターゲティング広告の勧誘というか、本人には勧誘のように見える仕組みがどのように意思形成に働いているのか。これは、広告業界はインプレッションという形で一生懸命分析はしていますが、規制の観点でも見ていただくのが必要だし、そこは残っているというのがあると思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいま板倉委員から御説明がありました部分も含めて、第5及び第6全体について御意見がございましたらお願いいたします。

黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 板倉委員がこのワーキングにいていただいて誠によかったというのは、今の発言でも十分お分かりいただけたのではないかなと思います。

このワーキングを始めるに当たって、私は特商法がeコマースの基本法になる萌芽があるのではないかと思って、このワーキングは始めるべきだと思っていました。けれども、まさに今、板倉委員がおっしゃったとおりであって、そういったところの視野も含めながら議論ができたという点は非常によかったのではないかなと思います。

いずれにしろ、技術開発が進んできて、そして事業者と消費者のラストワンマイルの中で、抜けているけれども、eコマースは非常に大きなマーケットシェアを占め始めているところの規制に関するところで、今回、かなり時間をかけた議論ができて今回の報告書が出来上がってくるということについては非常によかったと思います。その中でも、板倉委員、坂下委員、技術的な観点でも知見の深い方がいらっしゃったこと、しかも板倉委員は技術的な知見に加えて法的な知見の両方を持っているという点ですごかったので、ここの場で感謝を申し上げたい。

最後の注は、前回のときに奥山課長が論点として呈示したことを私がそのまま板倉委員にお願いしたところ、直ちに知見を示していただいたものです。本当にありがとうございました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

本日も活発に御意見をいただきましてどうもありがとうございます。いただいた御意見を反映させ、また細かな加筆あるいは修文が必要であると思います。本日の議論を踏まえまして、取りまとめ案の修正につきましては私、座長に一任させていただけたらと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○後藤座長 それでは必要な修正を行った上で報告書を確定させ、その後、消費者委員会の本会議に報告することといたします。

事務局、何か補うようなことはございますか。

○小沼企画官 ございません。

《3.閉会》

○後藤座長 それでは、本ワーキング・グループは本日が最終回になりますので、お一人ずつ順番に1分程度で感想や御挨拶を頂戴できればと思います。

それでは、飯島座長代理からお願いできたらと思いますが、よろしいでしょうか。

○飯島座長代理 飯島でございます。

大変貴重な、そして社会的に重要になっている問題についてのワーキング・グループに参加させていただきまして、どうもありがとうございました。

この特商法のもともとの音があるかないかというメルクマールというものが既にこの社会事象に適合しなくなっているというところから、行政もまた法的な規制も変える必要が出てくる、恐らくそういう基本的な認識に立って、こういった詰めた議論、実態を踏まえて議論も行って勉強させていただきましたことに改めて感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

このワーキングでは本当に現場のことのみしか話ができずに申し訳なかったですが、多くの先生に助けられました。ありがとうございます。

いつも答えは現場にあるということなのですが、法的なこととか、先生たちに助けられないと前に進められないですが、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。

私もこのワーキングに参加していろいろと考えさせられることも多かったのですけれども、特商法がデジタル化に対応していないというところで、先ほど黒木委員からもお話がありましたけれども、その一つのきっかけというか、こういったこともきちんと対応していかなければならないということに対応していったのではないかと思います。

デジタル化が本当に進んでいて、誰でも被害に遭う可能性があるということを前提に私たちは考えていかなければならないのかなと常に思っております。引き続き、どうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 先ほど半分まとめの話をしてしまいましたけれども、いずれにしろ特商法というのは、いろいろな問題のある取引類型を一つ一つクリアして、そして、法にまとめていったという立法の経緯があるわけです。そうすると、どうしても規制対象として抜けるものが出てくる。そうすると、抜けているなということが出てきたときには、やはり迅速にその問題点を分析して、それに対応することをしていかないといけない。先ほど伊藤課長がおっしゃったみたいに総則があればいいという話ではなくて。

○伊藤取引対策課長 それは僕が言ったわけではないです。

○黒木委員 まあまあお二人の議論の中でありましたけれども、総則があったらいいという話ではなくて、まさに一つ一つの取引類型を見つけてやっていくという立法過程を経ている法律なので。そうすると、技術革新を背景に新しいラストワンマイルの問題点があるということはフォーカスできたと思いますし、それに向けての一定の見解をワーキングとして示す、報告すべきだとしたわけです。その後は、やはりそこに向かってその対応を考えていくということが次は必要なのだろうと思っています。

以上です。ありがとうございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、板倉委員、よろしくお願いいたします。

○板倉委員 私も先ほどおおむね言いたいことは申し上げましたが、これは消費者庁もかなりつらい立場なのも、いたことがあるのでよく分かるのですが、もうこれは消費者犯則調査権限まで要るのかなと思いました。警察はやはりやらないのですよね。できないし、知見もないし、なかなか難しい。サイバー局とかができてもやはり難しいので、もはやこれは税務とか公取みたいに消費者庁自体に刑事捜査の権限まで入れないと、なかなか解決しないかなと思いました。

デジプラの話でも、協議会も日弁連の立場で参加させていただいていますが、どう考えてもただ駄目な、デジタルプラットフォームではない偽物みたいな話が出てきて、悪徳事業者ではないのですよね。ただの悪い人なので、中川先生の分類でも極悪層ですらない。でも、悪い人なのです。だから、非常につらい、大変な立場なのもよく分かりますが、必要な武器は持っていただいて、そこはみんな方向性としては一致していると思いますし、今後、私は消費者犯則調査の話を言っていこうかなとすら思いました。

お疲れさまでした。ありがとうございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

坂下委員は御予定がありまして、退席を現時点ではなさっております。

丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 今回参加させていただきまして、現場で何が起こっているのかを知ることができまして大変勉強になりました。

今後、デジタル、AIなどが悪用されて消費者被害が増えていくのではないかという懸念もあると思います。したがって、消費者政策の側では、特商法と消費者契約法と景表法、これらの役割分担も視野に入れながら、悪質業者の活動を抑止し、消費者の救済を目指して検討をしていければと思っておりますし、皆さんもぜひ議論を続けていただければと思います。どうもお世話になりました。ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、万場委員、よろしくお願いいたします。

○万場委員 皆様、大変お疲れさまでございました。

感想を述べさせていただくと、SNSに限らず、一部の悪質業者のために全体に網をかけるとか行政規制をしていくというのもそろそろ限界に来ているのではないかなという感じがしています。板倉先生のお話ではないですけれども、消費者庁が悪いやつを徹底的に捕まえてやっつけるみたいな権限があると機動的に対処できるのかなと思いますけれども、何より重要なのは、SNSだけではなくて、SNSも同様にですけれども、世の中にうまい話とか簡単にもうかる話はないのだということを徹底して、本物か偽物か、そういうものの見分けがつくような生活力を消費者にぜひとも身につけていただきたい。だから、やはり消費者教育が一番大事なのだなということをつくづく感じた次第です。

以上です。ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、国民生活センターの加藤課長、よろしくお願いいたします。

○国民生活センター(加藤課長) 参加させていただきましてありがとうございました。事務局の皆様もお疲れさまでございました。

相談現場に寄せられる相談事例をかなり整理していただいて、私も参加させていただいて勉強になりました。

それとともに、今後の課題としてターゲティング広告の話が出てきましたけれども、総務省の意識調査だったと思うのですが、広告で消費者の意識が影響されることについてまだ日本は意識が低いというような調査結果が出ていたような気がするのですけれども、今後の課題かなと思っておりまして、そういった記述も盛り込んでいただいたのは大変よかったのかなと思っております。どうもありがとうございました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

消費者庁取引対策課、伊藤課長、よろしくお願いいたします。

○伊藤取引対策課長 今日だけの参加で申し訳ないです。せっかくですので、議事録にぜひ残しいただければと思うのですけれども、私、今日一番よかったのは、現場の声というか、温度感がよく聞けたというのは大変ありがたかったです。その観点から、消費者被害の防止、被害回復に全力を傾けるという姿勢は変わりません。立場上も個人的にもそうです。

その上で、基本的に私の方針としては、怒られるかもしれませんけれども、多くのほとんどの人は普通に楽しんで有効に使っていると思うのですよね。そういった人たちに負担をかけないというか、迷惑をかけないというか、制限させるようなことにならないようにうまく線引きをするというのがとても大事だと思っている一方で、他方で、もう一つのてんびんですけれども、悪質な人たちは必ず徹底的に撲滅したい。その両てんびんの中での手法として何がいいのかといったところで、やはり日本全体でのボリューム感というか、背景はしっかり説明できないといけない立場ですし、海外がどうなっているかとか、それから具体的にどの手法で解決するのがベストなのかということは、単に特商法にとどまらないのかもしれませんし、そういった多様な観点から考察を続けたいと思っていますので、ワーキングは今日で終わりということですけれども、また引き続き個別にお伺いしたりするかもしれませんけれども、ぜひ御指導いただければと思います。ありがとうございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

このワーキングもこれで最終回ということになります。出発するときには、特商法の通信販売規定が広告規制を基本としているので、現在の消費者被害においてはデジタルを問題とするという点が重要だという現状に見合わないのではないかという問題意識でスタートしたわけでありますけれども、考えなければならない問題がたくさんありまして、結局、今回の報告書ではチャットを利用した勧誘の規制等の在り方という形に落ち着いたということであります。

問題を扱っていて、非常に広い問題であって、その第一歩というところを、チャットの定義はどうなるのかというようなところから始まって、このワーキングとして苦労して、ここまで到達できたということでありますが、今後の課題が大きく控えているということは十分に認識しています。

これは、デジタル社会への対応ということであって、消費者問題をデジタルということから捉えるときに、確かに特商法の改正を含む大きな問題で、特商法で受け止める必要がありますけれども、それ以外の法分野にも大きく及んでいるということでありますので、この報告書が各方面から注目されて参照していただくようになればいいなと思っています。そういう資料ができたということでありまして、委員の方々、それから私は座長として事務局の皆さんとの相談も密に行うことが必要な立場ですので、事務局の方々の大変な御苦労を非常に感じております。

そういうことから、委員の方々、事務局の方々、それから伊藤課長は今回が初めてでありますけれども、オブザーバーとして取引対策課の課長さんからいろいろなアドバイスをいただいて、我々の考えが及ばないようなことに関しても、現場の状況等を御教示いただくということも含めて、いろいろ有益な御発言をいただいて大変ありがたかったと思っています。

消費者庁の現在の人員の中でどこまでのことができるのかということもありまして、どの程度の権限が消費者庁に与えられるのかというようなことも含めて、消費者庁のお立場ということも頭に入れながら考えなければいけないというようなことにもだんだん思い及んでいる部分もありますけれども、とはいえ、消費者委員会としてきちんとこういう方向に進むべきだということについては物を申していかなければいけないという立場であり、それが存在意義でもありますので、消費者庁のお立場も理解しつつ、消費者委員会としては消費者委員会が持っている権限や役割を十分意識した上で消費者庁に対して対応していくということになる。そういうことも含めて非常に大きな勉強をさせていただいたと思います。

委員の方々、オブザーバーの方々、事務局の方々に感謝して、これでこのワーキングを閉じたいと思います。どうもありがとうございました。

事務局から何かございますでしょうか。

お願いいたします。

○小林事務局長 事務局長をしております小林です。

後藤座長をはじめ、委員の皆様におかれましては、毎回熱心に御議論いただきありがとうございました。事務局としてもお礼を申し上げさせていただきます。

ワーキング・グループとしては昨年に引き続き報告書をまとめていただいたということになりますけれども、大変重要なこの問題について御議論をいただきありがとうございました。

今、委員の皆様の挨拶にもありましたように、今後引き続き、デジタル、AIをめぐる課題であるとか、特商法、消費者契約法、景表法の役割分担についての御指摘などもありましたが、消費者委員会としては日々の消費生活にまつわるいろいろな課題について議論しているわけですけれども、こうした問題を含めて引き続き検討を重ねていきたいと思っている次第であります。

今回まとめていただいた報告書については、まずは消費者委員会の本会議に報告させていただきたいと思っております。改めてどうもありがとうございました。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を閉会とさせていただきます。

毎回、時間を超過して御議論いただきましたけれども、最終回は時間どおりに収まったということでありまして、皆さんのこれまでの時間を超過しての御議論にも感謝しつつ、時間どおりに終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

(以上)