第14回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録
日時
2023年6月8日(木)10:00~11:56
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (構成員)
- 【会議室】
- 後藤座長
- 【テレビ会議】
- 飯島座長代理
- 清水委員
- (オブザーバー)
- 【会議室】
- 木村委員
- 黒木委員
- 消費者庁取引対策課
- 【テレビ会議】
- 板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
- 坂下哲也 一般財団法人日本情報経済社会推進協会常務理事
- 丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
- 万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
-
- (事務局)
- 小林事務局長、岡本審議官、友行参事官、小沼企画官
議事次第
- 開会
- 報告書(案)について
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
《1.開会》
○後藤座長 本日は、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。
ただいまから、第14回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。
本日は、私、木村委員、黒木委員、消費者庁取引対策課に会議室にて御出席いただいており、飯島座長代理、清水委員、坂下委員、丸山委員、万場委員がテレビ会議システムにて御出席いただいております。大石委員、板倉委員、独立行政法人国民生活センター、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構は御欠席です。
開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。
○小沼企画官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。また、画面は皆様、差し支えない範囲でオンにしていただければ幸いです。御発言の際は混線を避けるため、チャット機能を利用して発言する旨をお知らせいただき、それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願い申し上げます。本日は、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。
議事録につきましては、後日公開することといたします。
配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。お手元の資料に不足がございましたら事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
《2.報告書(案)について》
○後藤座長 本日は、これまでのワーキング・グループで皆様に審議いただいた内容や課題を踏まえて、事務局にて作成された報告書案について審議をしたいと思います。
まず、事務局から御説明いただき、その後、意見交換としたいと思います。
それでは、内容について約20分で御説明をお願いいたします。
○小沼企画官 それでは、(資料1)「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書(チャットを利用した勧誘の規制等の在り方について)(案)」につきまして御説明させていただきます。
本日は、報告書案の初稿をお示しさせていただきます。まだ、形式等が整っていないところがあろうかと思いますが、御容赦いただきますようお願いいたします。
まずは表紙でございます。本報告書案は昨年9月の「SNSを利用して行われる取引における消費者問題に関する建議」におきまして、積極的な勧誘がなされる通信販売における規制等の検討の必要性の指摘がなされたこと、詳細につきましては「はじめに」におきまして御説明させていただきますが、そのことが分かるように括弧書きで副題を設けさせていただいております。ただし、メッセージによる勧誘につきましては必ずしもSNSに限らず、本ワーキング・グループにおきましては、チャットという機能に着目して御検討いただきましたことから、その副題を「チャットを利用した勧誘の規制等の在り方について」とさせていただいております。
1枚おめくりいただきまして、目次でございます。前回の報告書におきましては、多様な機能と利用のしやすさから、近年その利用率が増加し、コミュニケーションのツールとしてのSNSの全般についての本ワーキング・グループで御検討いただいた状況が分かるような目次立てをしておりましたが、表紙の御説明の際に申し上げましたが、本報告書案におきましては、チャットという機能に着目して本ワーキング・グループで御検討いただきましたので、その状況が分かるように目次立てにしております。
目次にございます(参考資料1~3)につきましては、今回は添付を省略させていただいております。なお、(参考資料3)につきましては本報告書案の前提となります本ワーキング・グループの検討におきまして、配付いたしました幾つかの資料も、当該参考資料を補足するものといたしまして添付すべきものがないか検討しております。
1ページ目、「はじめに」でございます。中段になりますが、今回の報告書を取りまとめた本ワーキング・グループの問題意識が分かるように記載しております。具体的に申し上げますと、記載にありますとおり、「デジタル化の進展に伴い、通信販売において、消費者と事業者の接触が一層容易となり、例えば、「副業を探す」意図で事業者と接触を開始したにもかかわらず、最終的には「投資関連等の情報商材」の購入に至る等、消費者と事業者がSNSのメッセージを利用したやり取りを行った結果、消費者が事業者と接触した際の動機とは異なる契約の締結に至る場合がある。このようにSNSのメッセージにも「不意打ち性」や「密室性」等の問題があることが考えられ、訪問販売や電話勧誘販売に類似した特徴を有している。一方で、このような事業者の行為には、通信販売における広告規制のみが適用され、上記のような訪問販売や電話勧誘販売に類似する特徴に十分に対応し得る規制であるとは言えないと考えられたことから、令和5年1月からワーキング・グループを再開し、特に消費生活相談の事例が多く見られるチャットを利用して勧誘がなされる通信販売における特定商取引法の規制等を中心に検討を重ね、その結果を本報告書として取りまとめた。」ということを記載しているところです。
3ページ目、「第1 チャット勧誘販売の事例と問題点」でございます。国民生活センター等で受け付けたチャット勧誘販売の消費生活相談の事例に、チャット勧誘の問題点に該当すると考えられる箇所を太字とし、同事例から見られた問題点の番号を追記し、それらがどのような流れの中で、どのようなイメージで行われたのかを図表にするとともに、チャット勧誘販売の相談の事例から見られた問題点を整理いたしましたことを記載しております。
飛びまして10ページ目、チャット勧誘販売の相談件数につきましては、PIO-NETにチャット勧誘に係るキーワードの設定がないため検索ができないこと及び相談概要に統一した用語で入力されていないこと等から、具体的に何件とは相談件数を出すことができませんでしたが、通信販売のうちSNSに関連する相談件数は年々増加しており、2022年度においては5万件強となっておりますことを記載しております。
11ページ目、「第2 チャット勧誘販売の定義」でございます。「チャットとは」や、「チャット勧誘及びチャット勧誘販売とは」どのようなものかを記載しております。
「1 チャットとは」でございます。チャットとは、本年2月14日の本ワーキング・グループにおきまして、坂下委員の御説明によりますと、システムの定義といたしましては、「ネットワークを介してリアルタイムのメッセージを交換すること」、一般的には、「インターネットにおいて複数の利用者がリアルタイムにメッセージを送信するためのシステム」や、「離れた場所にいる人同士がリアルタイムに短い文章のメッセージを送り合うことで会話のようなやり取りを行う」こととされております。
また、その特徴といたしましては、一つに送信までの時間を短縮できる。二つにグループチャットをつくることで一度に全員にメッセージを送ることができる。三つに送信後のメッセージの編集・削除が可能なことから誤送信のリスクを減らすことができる。最後に送られた者以外は閲覧できない、読んだかどうか確認できる、送信時間が分かる等の点がございます。また、プッシュ通知により開封率や既読率が高まると言われております。
「2 チャット勧誘及びチャット勧誘販売とは」でございます。本報告書案におきましては、これまでの本ワーキング・グループでの御議論を踏まえ、チャット勧誘とは、チャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為、また、通信販売のうちチャット勧誘が行われるものをチャット勧誘販売としております。
チャット勧誘の特徴といたしましては、電話勧誘における特徴と同様に、双方向、即時的、会話的、相手に情報が届いていることが担保されていること、不意打ち性、密室性等といった点が考えられるところでございます。
13ページ目、「第3 チャット勧誘販売の心理学的観点からの考察」でございます。前々回の4月4日の本ワーキング・グループにおける杉谷教授の御発表を踏まえますと、事業者と消費者の間の各コミュニケーションツールの図表の5のとおり、文字と音声の違いはございますが、チャットは電話に近い特徴を持ち、その結果、社会的望ましさの規範や返報性の規範により、相手の説得に答えたい気持ちが生じ、相手の誘いを断りにくくなり、消費者の意思の形成をゆがめる可能性があるとのことを記載しております。
14ページ目、「第4 チャット勧誘販売に必要と考えられる規制の対象と内容」でございます。これまでの本ワーキング・グループでの御議論を踏まえますと、次のとおりとすることが考えられますことを記載しております。
「1 勧誘規制の対象」でございます。チャット勧誘規制の対象は、通信販売のうち第2で述べたチャット勧誘の特徴に合致するものとし、次ページの図表6に記載のある不意打ち性があるものに限定し、【類型①】事業者から消費者にチャット勧誘を行い、消費者が購入の意思を示したもの及び【類型②】ホームページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げずに、消費者にチャット開始されるものの2つのケースを対象とすることが考えられます。
一方、【類型③】ホームページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げ、消費者にチャットを開始させるケースは、従来の通信販売と同様に勧誘規制の対象外とすることが考えられます。
この点に関しましては、本ワーキング・グループにおきまして【類型③】がチャットを利用した通信販売の規範として作用する面があるという御意見、他方で、電話勧誘販売と同様、何らかの商品を販売する意図を告げているだけでは、販売目的を告げているとは言えないものと考えられ、法目的に照らして限定的に解すべきとの御意見がございました。記載のある御意見に御発言の趣旨と異なる点等がございましたら、後ほど御指摘いただきたく存じます。
また、事業者からの発信によるチラシ等の配信、クロスセル取引の一方向のもの、チャットサポートなどの商品検索サポート・入力補助は、チャット勧誘規制の対象外とすべきと考えられます。
「2 勧誘規制の内容」の「(1)勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示」でございます。特定商取引法や景品表示法の現行の規定を踏まえ、第2及び第3で述べたチャット勧誘の特徴や、その心理的影響を考慮いたしますと、チャット勧誘に先立って事業者名や販売目的を明らかにしないということは、消費者がそのような勧誘を受けるか、拒否するか判断する最初の機会を奪うものであることから、その勧誘に対する規制が必要と考えられます。
よって、訪問販売や電話勧誘販売といった他の類型におきましては、勧誘に先立って事業者名・販売目的等の明示義務が規定されていることから、チャット勧誘販売におきましても同様に規定されることが求められます。
この点に関しましては、本ワーキング・グループにおきまして、被害救済のための明示に関する立証責任の所在につきましては引き続き検討すべきとの御意見や、明示義務違反の検証が難しいのではないかとの御意見がございました。記載のある御意見に御発言の趣旨と異なる点がございましたら、後ほど御指摘いただきたく存じます。
また、訪問販売では事業者名・販売目的等を明示すべきこととされておりますが、電話勧誘販売におきましては、それに加えて勧誘を行う者の氏名を告げなければならないとされており、チャット勧誘販売も電話勧誘販売と同様に相手が見えない覆面性という特徴があることから、勧誘を行う者の氏名も明示すべきことも考えられます。
この点に関しましては、本ワーキング・グループにおきまして、AI等で自動応答の場合には、勧誘を行う者が不明なケースがあるとの御意見がございました。記載のある御意見に御発言の趣旨と異なる点がございましたら、後ほど御指摘いただきたく存じます。
「2(2)の禁止行為等の創設」でございます。特定商取引法や景品表示法の現行の規定を踏まえ、2の(1)と同様に、第2及び第3で述べたチャット勧誘の特徴や、その心理的影響を考慮いたしますと、消費者が断っても執拗に勧誘したり、事業者が故意の事実不告知と考えられる行為で消費者を誘引する場合には、消費者の意思の形成におきまして、従来の通信販売が前提としていた「消費者が事業者からの圧力を受けずに契約を締結する意思の形成を行う」状態とは異なり、事業者から何らかの働きがなされていることが想定され、また、適合性原則違反等とが考えられる行為や、契約後に解除を妨げる行為が見られることから、特定商取引法第11条の広告への記載事項及び同第12条の虚偽・誇大広告の禁止などの通信販売に関する規定に基づく対応には限界があると考えられます。
よって、訪問販売や電話勧誘販売におきましては、不実告知や故意の事実不告知等の禁止行為や適合性原則違反等の指示対象行為等の行政規制が定められていることから、チャット勧誘販売におきましてもこれらを参照し、類似の禁止行為や指示対象行為等の行政規制を設けることが求められます。
この点に関しましては、本ワーキング・グループにおきまして、音声による勧誘だけではなく、文字による勧誘を新たな規制の対象とすべきとの御意見や、一般的な通信販売は広告掲載など一方向の発信を行っている顧客の注文を待つ受動的な販売方法であり、チャット勧誘の事例とは異なる状況があるとの御意見がございました。記載の御意見に御発言の趣旨と異なる点がございましたら、後ほど御指摘いただきたいと存じます。
図表6の必要と考えられる規制対象と考えられる規制の内容の中段のチャット内での不実告知・故意の事実不実告知の次に、前回の5月11日の本ワーキング・グループにおける(資料)論点の中で特に重要と考えられるものの3ページの〔論点4〕勧誘規制の対象と考えられる規制の内容についての図表に断定的判断の提供を記載しておりましたが、訪問販売や電話勧誘販売におきまして断定的判断の提供は禁止行為や指示対象行為等とはされておらず、類似の規制を設けるべきとの観点からすると、考えられる規制の内容ではないことから削除しております。
なお、不実告知の対象が契約内容のみならず、当該契約に関連のある事項が広く対象とされておりまして、通達におきまして「契約締結段階で告げている内容が実現するか否かを見通すことが不可能な場合であっても告げている内容が客観的に事実と異なっていると評価できる限り不実告知に該当する」とされていることから、断定的判断の提供の事例が、場合によっては不実告知に該当する場合があると考えられること、この点に関しましては本ワーキング・グループにおきまして、被害救済の実効性の観点から、明示的に断定的判断の提供の規定を設けるべきとの意見がございましたことにつきましては、脚注30に記載しております。記載のある御意見に御発言の趣旨と異なる点がございましたら、後ほど御指摘いただきたく存じます。
18ページ目、「2(3)①ア 取消権」でございます。通信販売に関する民事ルールといたしましては、特定商取引法第15条の4に通信販売における契約申込みの意思表示の取消しがございますが、同条は特定申込みをした消費者が同法第12条の6に違反する表示によって誤認した場合の取消権であるため対応できない場合がある。また、民法や消費者契約法でも対応できない場合があると考えられます。
よって、訪問販売や電話勧誘販売につきましては、不実告知や故意の事実不告知による勧誘により誤認した場合の取消権が規定されていることから、被害回復及び特定商取引法の行政規制の実効性確保の観点から、チャット勧誘販売における取消権についても検討することが求められます。
「2(3)①イ クーリング・オフ」でございます。通信販売に関する民事ルールといたしまして、特定商取引法第15条の3のいわゆる法定返品権がございますが、特約で排除できること等から対応できない場合があると考えられます。この点、図表6で整理いたしましたように、【類型①】や【類型②】の形を取り、不意打ち性が考えられるものにつきましては、訪問販売や電話勧誘販売と同様に、被害回復の観点からクーリング・オフの導入についても検討することが求められます。また、クーリング・オフの起算点が明らかになるように、契約内容の書面交付についても検討が必要と考えられます。
「2(4)(1)から(3)の設け方」でございます。チャット勧誘販売の規制の設け方につきましては、現行の通信販売の中に規制を設けるほか、通信販売から切り出した上で規制を設けることが考えられます。いずれに規制を設けるに当たりましても、現行の通信販売、電話勧誘販売の規定との適用関係について整理するとともに、法執行及び被害回復の観点から実効性を確保できるよう留意する必要があると考えられます。
20ページ目、「第5 第4以外に考えられる規制の内容」でございます。
「1 承諾をしていない者に対するチャットによる広告の提供の禁止」でございます。前回5月11日の本ワーキング・グループにおける(資料)論点の中で特に重要と考えられるものの2ページの5つの論点のうち特に重要と考えられるもので、【論点1、論点5】を検討対象から外す理由の【論点1】に該当するものになります。なお、その際、座長から委員の皆様に必要なことにつきましては報告書に書き込むことの御提案をしていただいているところでございます。
「2 表示事項の追加」でございます。今申し上げました1と同じ【論点1】、【論点5】を検討対象から外す理由の【論点5】に該当するものになります。報告書の取扱いにつきましては【論点1】と同じでございます。
最後に「第6 今後の対応や検討が必要と考えられる事項」でございます。次のとおりとすることが考えられますことを記載しております。
「1 情報商材への対応」でございます。チャット勧誘販売におきましては、本ワーキング・グループにおきまして、情報商材に関する相談が多いことから、収入が得られるとうたい情報商材を販売するケースに着目し、業務提携誘引販売取引の規制での対応も考えられるとの御意見がございました。
この点につきましては、業務提携誘引販売の規定の適用の可能性についても検討することが考えられます。なお、記載のある御意見に御発言の趣旨と異なる点がございましたら、後ほど御指摘いただきたく存じます。
「2 契約不適合責任の検討」でございます。情報商材等の相談の解決に当たりましては、引き渡された目的物の品質が契約の内容に適合しないとして、契約不適合責任を問う観点も考えられることから、民法の契約不適合責任の規定を活用することに加え、消費者契約における契約不適合責任について、被害回復の観点から契約不適合をどのように判断するのか、立証責任を軽減できないかなどの観点で検討することがあり得るとの御意見がございました。
この点につきましては、消費者契約における契約不適合責任の考え方につきましては、今後検討する必要があると考えられます。なお、記載のある御意見に御発言の趣旨と異なる点がございましたら、後ほど御指摘いただきたく存じます。
「3 チャット勧誘以外の通信販売における規制の在り方の検討」でございます。デジタル化の進展に伴い、国際的に規制する動きが広がりつつあるダークパターンなど、消費者の意思の形成に影響を与え得る通信販売につきましては、消費生活相談の状況を勘案しつつ、規制の在り方を検討する必要があると考えられます。以上でございます。
○後藤座長 ありがとうございました。委員の皆様から内容に関して御意見をいただきたいと思います。合計約90分で議論したいと思います。報告書の構成に従いまして審議を行います。
まず「はじめに」から「第3 チャット勧誘販売の心理学的観点からの考察」、次に「第4 チャット勧誘販売に必要と考えられる規制対象と内容」、最後に「第5 第4以外に考えられる規制の内容」及び「第6 今後の対応や検討が必要と考えられる事項」と区切りながら審議を行いたいと思います。「はじめに」から第3で御意見がございましたらお出しください。御発言のある方はテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。よろしくお願いいたします。清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 御説明ありがとうございました。「はじめに」の1ページのところ、思いを書いていただいてありがとうございます。消費生活相談の現場にいますと、チャットが及ぼす消費者の心理というのは痛々しく毎日聞いているところです。電話勧誘とどう違うか、即時性、密室性、双方向性、情報のカスタマイズが可能であること、目的を隠匿して接触することが可能である、また、会話的であり即時的であり、相手の情報が届いていることが担保されていて、また、それが言葉と違って残ってしまう見える化というものもあります。そういう心理的な面を今回きちんと捉えて、このワーキングが進んだことは、まずもってよかったと思います。
しかしながら、PIO-NETという仕組みは本当に残念であったことを身に知らされました。それは数字でどのぐらいの相談があるか、また、SNSという内容キーワード、これは私たち相談員がPIO-NETに入力するときのキーワードなのですが、SNSがありますけれども、チャットという内容キーワードがないのです。そうすると、相談員が共通のキーワードで入力していない限り、フリーワードで拾うしかないです。当然キーワードがないわけですから拾えない、そんな苦しさがありました。しかし、きちんと現場の事例を聞いていただき、ワーキングが進められたというところは、私も満足しております。最初の「はじめに」というところに、その思いが書かれていると思います。訂正事項はございません。よろしくお願いします。
○後藤座長 ありがとうございました。ほかに御意見等はございますでしょうか。
次に、第4について審議いたします。最初に1の勧誘規制の対象に関して御意見がございましたらよろしくお願いいたします。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 第4の1の勧誘規制の対象、14ページのところですけれども、幾つか確認させていただければと思います。
まず、チャット勧誘というものは画面で行われるものと思うのですけれども、報告書の全文に関してなのですが、販売目的を告げずにとかいうような言葉遣いをしているのですけれども、表示せずにというのと、告げずにというのが、どちらが適切なのかというのは、どちらかというと行政的な観点から、どちらかで統一していただければよいので、どちらが適切なのかというのはお考えいただければと思いました。この点が第1点でございます。
第2点としましては、4段落のこの点に関しては類型③がというところなのですけれども、まず、チャットを利用した通信販売の規範として作用する面があるとの意見なのですが、私が一読して何を言っているのかがよく分からない文章であるなと思いましたので、世間一般の方が読むということを前提として、もう少し補足をしていただいて、ここの意図が通じる形で書いていただいたほうがよいと思いましたので、ここはもう少し、どういう意図なのかというのは詳細化していただくと、読むほうとしてはありがたいと思いました。
もう1点、他方でのところ、電話勧誘販売と同様、法目的に照らして限定的に解すべきとの意見があったという部分なのですけれども、恐らく関連した発言をこの部分は私もしていると思うのですが、意図としましては類型③を対象外とするとしても、表示の態様によっては商品の勧誘であることが消費者には認識できない場合もある。例えばすごく小さく書かれているとか、0円スタートだけが大きくて全く目に入らないところにそういった販売目的の表示がされているような例をイメージしておりました。したがって、販売目的を表示しているといえるか否かは、消費者の理解を基準に判断すべきではないかというのが私の発言の意図でございましたので、そのような意図であったということはコメントさせていただければと思います。
最後にもう1点なのですけれども、最後のところに適用除外とすべきだという例が挙がっています。この点について異論はありません。一つ確認をしておきたいと思いましたのは、現在、様々なプラットフォームでお買い物をするときに、あなたにおすすめの商品というのは表示されていると思うのです。技術が進んでいったときに、そういった自分がよく使っているプラットフォームのホームページの画面にアクセスしたらAIが勝手にというか、チャットでおすすめ商品を勧誘してくるというか、薦めてくるようになるような場合については、それは規制の対象に入ってくると考えるのか、それとも、そういう場合も会員登録しているプラットフォームなので、おすすめの商品が、今は表示だけだけれども、チャットで勧誘されるようになった場合、除外すべき例に当たるのかというのは、今後検討すべき課題なのかという辺りは、少し検討したほうがいいのかなと思いました。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。ただいま4つ御意見が出ておりますが、最初の御意見については言葉遣いということで検討するということでよろしいでしょうか。
○小沼企画官 結構でございます。
○後藤座長 2番目の類型③がチャットを利用した通信販売の規範として作用する面があるとの意見があったという部分ですが、ここで記載されているのはどういう意味で記載なさっているのか、事務局のほうで御説明いただけたらありがたいのですが、あるいは意見があったということですので、その意見を出した委員にお聞きしたほうがいいかもしれません。
○小沼企画官 まず、ここに記載いたしましたことにつきましては、事務局から御説明させていただきます。これは前回5月11日の13回のワーキング・グループにおきまして、消費者庁取引対策課長からの御発言を踏まえたもので記載させていただいているところでございます。
○後藤座長 そうすると、奥山課長の御意見の趣旨ということで、もし御説明いただけるのでしたらありがたいのですが。
○消費者庁取引対策課 私はオブザーバーですので意見として申し上げたわけではないのですけれども、類型①と②が新たに規制の対象となるのであれば、それで、類型③が規制の対象にならない、対象外とするということであれば、規制のかかる事業者のビヘイビアとして、類型③規制の対象外に極力なるように行動するだろうと想定されますというお話を申し上げまして、それは確かにそういう面があるという御趣旨で、委員の方から私が申し上げたことに対して御意見の表明がおありでしたので、そういうことかと理解しております。でないと、私が意見を申し上げて報告書に入るというのは変ですので。
○後藤座長 それはおっしゃるとおりです。この書きぶりは今説明していただいたような趣旨で少し書き換えるということでよろしいでしょうか。
○小沼企画官 検討いたします。
○後藤座長 3番目でありますけれども、他方でという部分ですが、電話勧誘販売と同様、法目的に照らして限定的に解すべきとの意見があったという部分なのですけれども、これが消費者の理解を基準とするという意図だと、そういう御発言がおありでしたが、ここに関してはいかがでしょうか。
○小沼企画官 丸山委員の御発言の御趣旨に合うように、修文を検討したいします。
○後藤座長 4番目ですけれども、自分の使っているプラットフォームの画面にアクセスしたら、AIがチャットで勧誘してくるというような状況ですけれども、こういう場合について規制する方向なのか、あるいは除外という形になるのか。事務局、あるいは委員の方々でこういう問題に詳しい方は御意見をいただけるとありがたいのですがいかがでしょうか。
○木村委員 ネットなどで広告規制があると思うので、そういう場合、今回はAIということなのですけれども、何かそういう規制みたいなものがあるのか、教えていただきたいです。
○小沼企画官 ここでの整理としまして、いわゆるクロスセルの一方的なものというのはどういうものを想定しているのかということだと思われますので、その点につきまして事務局から御説明させていただきます。
前々回の4月4日の本ワーキング・グループの(参考資料1-2)の3ページ、一つはチラシ等の配信、ニつ目にQ&A、三つ目に情報商材等の利用の例というようなパターンを描いたもので御説明させていただいております。今申し上げましたチラシ等の配信、あるいはQ&Aのような使い方をされているクロスセルについては一方向のあるものではないかと想定しているところでございまして、それにつきましてはここに書いてあるように、対象から外すべきと考えているところでございます。
さらに補足いたしますと、例えばプリンターを購入する際にインクもいかがですかというようなチャットとともにインクのURLが送られるようなもの、これにつきましては、今申し上げましたチラシの配信や案内にすぎないものと整理されますので、こういったものはクロスセルの一方向のものではないかと考えているところでございます。
一方で、URLの配信やそれに附属した説明に限らず、クロスセルに見せかけて新たな勧誘が行われる際は【類型①】、又は【類型②】に該当してくることもあろうかと考えているところでございます。私からは以上でございます。
○後藤座長 ありがとうございます。坂下委員、御発言の御希望ですけれども、この点に関してでしょうか。
○坂下委員 AIに関する広告規制はEUのほうでも法案が審議されておりまして、世界的にその方向になっていきますから、日本の中でも検討はしなくてはならないと私は考えます。AIの広告については、第6でチャット勧誘以外の規制の在り方の検討というのは最後に出てくるので、ここにダークパターンも入っていますから、この検討の中で、日本でもAIの広告については議論を進めるべきではないかと思います。
○後藤座長 ありがとうございました。丸山委員、よろしいでしょうか。御趣旨に沿った議論になっておりますでしょうか。
○丸山委員 分かりました。基本的には、現在の報告書の論調としましては双方向になる場合は規制の対象に含むということなのですけれども、今御指摘がございましたように、AIの勧誘、あるいは広告というのを全体的にどう規制していくのかというのは、ダークパターン対策の問題も含めて、もしかしたら全体でやったほうがいいということになるので、その点は留保されるべきだろうと私は理解しました。
○後藤座長 ありがとうございました。飯島委員、よろしくお願いいたします。
○飯島座長代理 飯島でございます。改めて確認的にお教えいただきたいです。
第4の1の1段落目ですけれども、チャット勧誘規制の対象につきまして、チャット勧誘の特徴に合致するものという対象の確定の仕方をし、さらにその後に同じような特徴を持つものであれば、包括的に規制の対象とすべきとあるのですが、これによって対象がきちんと特定ないし限定され得るのかということを確認的に教えていただけますと、幸いでございます。お願いいたします。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局はいかがでしょうか。
○小沼企画官 この点につきましては、委員の皆様に御議論いただくところなのかと思っていますが、現行、電話勧誘販売の取引の例に準じまして、同じようなまさに第2で述べたチャット勧誘の特徴に合わせて規定をしていくというようなことを事務局としては考えているところでございます。更にデジタル化の推進に合わせてどんどん技術が進歩していきますので、まずはベースを確定した上で、更にそれに類似するものについては包括的に対象にできないかというところを考えているところでございます。
○後藤座長 ありがとうございます。この点に関して、委員の方々は御意見ございますでしょうか。特徴というのは定義とか要件とはまた別ですので、ここのところは特徴ということだけでよろしいのかどうか。いかがでしょうか。あるいは、定義とか要件までは定式化できないということなのでしょうか。その辺、委員の方々の御意見があればお願いしたいのですが、いかがでしょうか。木村委員、よろしくお願いします。
○木村委員 デジタル化の進展に伴ってというところで、最終的に包括的に規制の対象としていくことは賛成なのですけれども、先ほど委員長がおっしゃった特徴と定義の件については法的にどうなのか。黒木委員、教えていただけますか。
○後藤座長 黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 非常に難しい問題だと思います。技術的には、Eメールは基本的には一つのプラットフォーマーの上ではなくて、プロバイダーとの契約によって、ある意味でオープンなインターネットの世界の中で情報を受領をするというような形にはなっている。技術的にそうではないかなと思います。ここで議論するチャットというのは、一つのサービス提供業者内のフォーマットを利用して情報を交換しているのだと思うのです。専門家ではありませんけれども、技術的には多分そうなのだろうと思っています。その点で、先ほど言った即時性とか、見ている、見ていないとかいうことが、同じプラットフォームの中にあるものだから分かりやすい。その点では、まさにオンラインの電話と同じようなところがあるということが、まず一つ言えるのかなと思っています。
以上が、技術的な特徴なのですけれども、では、こういうようなものを法的に定義するということですけれども、ここの点についてはサービス事業者の法的提供に、日本の場合はデジタルプラットフォームに関しては透明化法(特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律)と取引DPF消費者保護法(取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律)しかないのです。DPFをどのように定義するのかということ自体が、これは私の素朴な感覚ですけれども、法文化としてあまりまだ進んでないのだろうと思うのです。
この点は、前回のカライスコス先生の話にもあったように、EUとかはかなり分析的に議論されていると思うのです。日本の場合は、そこが進んでいない中で、ただ、これについてこれだけ消費者被害が発生しているわけですから、何らかの規制をしなければならないのでしょう。仮に、立法を行わないままに通信販売の今の規定の中にチャットを無理やり取り込むとなってくると、政令を何かつくらなくてはいけなくなるかもしれませんが、そうなると、政令への授権として妥当なのかといった、もっと曖昧模糊とした話になってしまって、野放しなのか、あるいは法の授権があるのかよく分からない政令によって規定することになるのか、よく分からない形になる可能性もあるのです。
私としては方向性として、事務局にも透明化法と、それから、消費者保護法とかの関係も詰めていただいた上で、チャットに関してできれば、もう少し属性を超えた何らかの法的な規制の在り方の枠組みを示す努力はすべきではないかなと考えています。それが最後の電話勧誘販売に近いようなものとの関係を整理できるものになるのではないかなと、私個人は思っています。だから、そこは事務局と今後も議論をしながらやっていかなければならないのでしょうけれども、こんなものだよねという話だけでやるというのは、どっちみち何らかの規制をするとしたときの規制の在り方としての法規範のつくり方としては、まだ今では乱暴かなと思っているところがありますというのが私個人の考えです。すみません、いきなり振られたので、ざっくりした話にしかなりませんでした。
○後藤座長 大変有益な御指摘だったと思います。ありがとうございます。清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 ありがとうございます。黒木先生が法的に整理していただいたことを言いたかったのですが、私は法的な整理というより、現場では、恐らくこれを規制すれば、また抜け道が広がっていくと思っています。ということからすると、この文章の持つ意味は大きくて、チャット機能に限らず大きな特徴を持つものであれば包括的に規制の対象にすべきであるというのは、もう間もなくやってきます。私たちがこうやって議論していると、次のものが出ているのです。ですから、このような書きぶりは必要かと思います。よろしくお願いします。
○後藤座長 ありがとうございました。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 導入しようとしている規制が、行政規制から罰則から民事効までかかるような強い規制ということになりますので、本格的に法改正を議論するとなりましたら、勧誘の対象というのをリジッドに定義せざるを得ないということになると思います。先ほどのチャットの定義のところでは発言しませんでしたけれども、恐らくあれを要件的なところに落としていって定義するしかないのではないかと思っています。
そうなりますと、出発点はそうせざるを得ないと思いますので、そこについては少なくとも電話勧誘との類義性が語れるということをずっと議論してきたのですから、そこはまず規制を入れましょうと。ただ今後、もしかしたら漏れるところが課題になるかもしれませんということは課題としては指摘できると思うのですけれども、今現実にないものについて妄想的に定義を考えるということは非常に難しいかなと思います。先ほどの黒木委員の御発言にもありましたように、規制の対象をどういう形で提案しようとしているのかというのは、もう少しきっちり、もしかしたら提案をしていただいた上で課題は残るかもしれないぐらいがいいのかなという感触を持ちました。
○後藤座長 ありがとうございます。木村委員、よろしくお願いします。
○木村委員 先ほどは黒木委員に突然発言を促して申し訳ございませんでした。大変よく分かりました。先ほど清水委員がおっしゃったように、対策をすればするほど穴は出てくるし、新しい手法が出てくるというところで、日本の法律はどうしても一つ一つを細かく定義していて、それに対してというものが多いのですけれども、そういう法律体系はそろそろ限界かと個人的には考えていて、ざくっと全部被せるみたいな法体系が本当はできるといいと思っているところです。この書きぶりで私は包括的に規制の対象にすべきというところは、ぜひ入れていただきたいと思いますし、規制そのものに対しては現行の法体系で、まだ全然被害が減らないどころかどんどん増えてくるし、規制して少しでも被害を減らしたいというところは私も同感でございます。現行の法律で足りているというのであれば、被害が多いのは執行が行き届いていないではないかと勘ぐってしまうところなのですけれども、やはり規制を行って被害を減らして、悪徳事業者はやめていただくという方向にしていただきたいと思います。
もう1点、14ページに書いていただいているのですけれども、ぱっと見てすごく分かりにくくて、少し箇条書きにしていただくか、まとめていただいたほうが目に留まって見やすいと思うので、内容そのものではないのですけれども、例えば類型①はどんなことかと思ったときに、図表と照らし合わせなければいけないので、一見見づらいと感じましたので、もし御検討いただければと思います。
○後藤座長 ありがとうございました。事務局から何かございますでしょうか。
○小沼企画官 検討いたします。
○後藤座長 ありがとうございました。チャット勧誘規制というか、チャットとは、というところです。やはり法律ということを考えると、定義とか要件ということが問題となってくると思いますけれども、どういうような議論が必要なのかということは、まだここでは少し課題として残っていると思います。
チャットという言葉というのは、どの程度国民の間に普及しているのでしょうか。電話勧誘販売の場合には電話というのは、電話というと分かる状況なのですけれども、電話勧誘販売で電話といわれて、では、電話とはという話はあまりないのではないかと思うのですが、チャットとはといったときにどうなのでしょうか。
○木村委員 メッセージと混同している方もいらっしゃいます。
○黒木委員 まさにこの10年ぐらいの話なので、しかも技術の進歩に伴ってどんどん変わりますから。
○木村委員 今、SNSでも音声でSNSを行うものもありますよね。
○後藤座長 やはり電話とはそういう部分では違うと考えて、それなりのきちんとした対象、定義というようなことを考える必要があるということなのでしょうね。
○黒木委員 そうだと思います。音声でも文字のどちらでも両方あっという間に使ってしまいますからね。
○後藤座長 ありがとうございました。それでは、第4の1については以上といたします。
次に、第4の2の勧誘規制の在り方の(1)の勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示に関して御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 勧誘規制の内容のところの(1)のところで、ページ数で言うと16ページになります。最後のところになりますけれども、「この点に関しては被害救済のための明示に関する立証責任の所在については引き続き検討すべきとの意見があった、また、明示義務違反の検証が難しいのではないかとの意見があった」とあります。確認ですが、ここでの事業者名・販売目的の明示というのは、恐らく民事効には結びついていないのではないかと思います。そうすると、ここで被害救済のための立証責任の所在に言及するというのは、少し違うのではないかという感触がありました。そうではなく、今回の立てつけの場合については、類型②になるのか、類型③になるのかというのが、救済手段が大きく違うということで問題となり得ますので、ホームページに当初販売目的の表示があったかどうかというのを消費者が立証できるかどうかということは、これは救済という観点から問題となり得ると思うのですけれども、チャットの冒頭での氏名・販売等の明示というのは、これは行政規制の対象ということでございますので、チャットの中で語られていることについて、果たして行政執行していけるのか、執行面で何らかの手当がないと難しいのではないかという箇所なのかなと思っていました。私の理解が間違っていたら申し訳ないのですが、そのような整理になるのではないかと思っていましたので、御確認をいただければと思います。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局はいかがでしょうか。
○小沼企画官 今、丸山委員から御指摘いただきました点につきましては、丸山委員の御発言を踏まえて記載させていただいたものでございますので、御発言の御趣旨と異なるということでございましたので、修正をさせていただきます。
○後藤座長 ありがとうございます。黒木委員、よろしくお願いいたします。
○黒木委員 確認的な話なのですけれども、結局チャットはいわゆる今の通信販売の規制はもうかかっているという前提で書かれている、それともかかっていない、そこが少し読んでいて分からなくなってきたのですけれども。創設だとすると、結局、メールに関しては通信販売についての特商法の11条や12条の3といった広告規制にも、電話勧誘販売では入らないということだから創設ということなので、そこをもう1回確認させてください。
○後藤座長 お願いいたします。
○黒木委員 読み方が分かっていないものですから。
○事務局 15ページの一番下の行からで、チャット勧誘販売においては、電話勧誘行為がない限り、16ページに行きまして、通信販売に該当して広告規制がかかる。その下でございまして、具体的には11条の広告の表示義務がございますので、表示することになるのですけれども、その記載事項については一体としてみなす広告の範囲内であれば、そのいずれかに表示してあればよく、また、事業者名・住所なども消費者が容易に認識することができる場所に表示してあればよいとされておりまして、広告の冒頭に表示せよとはなっていないということでございます。そういう前提でございます。
○黒木委員 そうすると、私はマルマル株式会社の何という者ですというようなことを書けば。
○事務局 チャットの中でなくても、チャットからURLで通販のサイトに飛ぶ場合は、その通販のサイトの特商法上の表記というところに書いてあれば、一体としてみなすものと書いてあればいいということではないかと。
○黒木委員 分かりました。ありがとうございます。今でもそのように、マルマルママとかが事業者だとみなされれば、通信販売規制でいけるという、むしろマルマルママだけで全部話が終わっていて、事業者であったにもかかわらず広告規制がかかる。
○事務局 販売業者が何とかママといってチャットで勧誘して、URLで通信販売のサイトに飛びまして購入させるという場合には広告規制がかかるということです。
○黒木委員 分かりました。ありがとうございます。
○後藤座長 奥山課長、よろしくお願いします。
○消費者庁取引対策課 特商法の観点からですと、通信販売に該当するところであれば、それは通信販売の規制の対象ですと、ですから、販売行為のところが最後にどうなるか分からない時点においてはグレーだと思っています。例えばアフィリエイトでも何でもいいですけれども、いわゆるネット空間で客引きみたいなことが結構あります。その場合は、通信販売サイトに飛んだところで必要なものが全部確認されれば、そこが通信販売をやっている場所として解釈するのかなと、そう考えないと、最近どこかのコンビニで出た新製品のお菓子がおいしいね、見てとかいってお友達にURLを送ったら、それはもう既に通信販売の一部ですと言われても、なかなかそのように運用はできないと思うのです。
それをただの友達が何の営利も関係なしにやっている場合、アフィリエイターがやっている場合、いろいろ多分出てくると思うのですけれども、それか会社のオフィシャルアカウントが宣伝というかつぶやいているのか分かりませんけれども、やっている場合とか、ですので、実際にそこに行けば物が買えるサイト、そこまでいけば、それはもう通信販売の広告規制だと思うのですけれども、そこに至るまでの手段というのは、全部が全部、通信販売の広告とみなせるかというのは、実態と比べてもなかなか厳しいと思います。
もっと面倒くさいのは、コンビニの話を先ほど例に出しましたけれども、結果として、コンビニのサイトで買えば通信販売でしょうし、近所のコンビニに行って買えば通信販売ではないですし、ですので、どこぞのコンビニのこれがおいしいよというものは、まだその時点で通信販売にいくのか、何にいくのかよく分からない、もやもやしたところなのではないかなと。いろいろな事例があると思います。
今回の件に関しても、どこまでが、多分実態に照らして判断しないといけないのですけれども、客引きの人が明らかに販売事業者と連携・協働してやっていますと、もう勧誘を通してしかこの商品を売っていませんみたいなことになれば、それは一体としてやっている通信販売の行為とみなされる場合もあるでしょうし、単純にアフィリエイターの一人であって、割と独立性の高い形でやっているのですという場合もあり得るでしょう。これはケースバイケースに最後はなってくると思いますけれども、いろいろな場合があり得るのだろうなと、今、お話を伺いながら考えてもいろいろ思い当たりますので、これはもう実態に即して判断するしかないだろうと考えます。
○後藤座長 ありがとうございました。実態に即して判断するということは、確かにそのとおりだと思います。16ページの「通信販売に該当し」というところは、文章として言い切らない方がいいということでしょうか。事務局のほうで言い切っていいというお考えなのか、あるいはなお検討するということにするのか、いかがでしょうか。
○事務局 奥山課長からのお話のございましたところは、勧誘の時点で、その先が店舗で買うようになるのか、ホームページ上で買って通販になるのか、その時点で分からないという説明だったかと思うのですけれども、ここでのチャット勧誘販売は、定義上は通信販売のうち、チャット勧誘が行われるものをチャット勧誘販売と言っております。ですので、最終的に通信販売となる前提のものとして書いておりますので、切っていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○後藤座長 チャット勧誘及びチャット勧誘販売とはという11ページの記述の中に、チャットというのは通信販売が前提となるという記述はあったのでしたか。
○事務局 12ページの1行目の最後からで、「通信販売のうちチャット勧誘が行われるものを『チャット勧誘販売』」としております。
○後藤座長 そうだとすると、チャット自体が通信販売に該当するということを前提に報告書ができているということですよね。
○消費者庁取引対策課 ですから、チャットという言葉も私はよく分からないですけれども、通信販売の一部とみなされる行為しかここは扱わないということであれば、それはそういう議論の組み方もあり得ると思います。
○後藤座長 ありがとうございます。もともとのチャットとかチャット勧誘販売とか、そこについてのチャットということの定義は、通信販売を前提に考えているということですので、そうだとすると、特に修正は必要ないということになろうかと思います。
○黒木委員 全てがとにかくネット上で完結するのだという前提で、このチャットを議論するのだということで、初めからそういうことであれば、よく分かりました。
○消費者庁取引対策課 通信販売業者が通信販売の一環として行っていると考えられる行為だけをここでは議論の対象とする。そういうことであれば分かりますし、もしそうでしたら、そのように明示していただけるとありがたいと思います。
○後藤座長 ありがとうございました。それでは、ほかにございませんでしょうか。
続いて2の(2)の禁止行為等の創設に関して御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
○消費者庁取引対策課 (2)の②の一行目なのですけれども、チャット販売は通信販売に該当しというのは、結局定義として通信販売に該当するものをここでは議論しているのでということになりますよね。そうではないと、この書き方ですとトートロジーになってしまいますので、むしろ、もう適用されるものに関してここでは論じている。ですから、適用されるか、されないかというのは前提条件の一部であるとお書きいただけるとありがたいです。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局としてはいかがでしょうか。
○小沼企画官 そのとおりに考えております。
○後藤座長 そういう書きぶりだと思います。ほかにございませんでしょうか。
続きまして、2の(3)の民事ルールの創設に関して御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 現場で相談を生々しく聞いていますので、この問題がいかに難しいかとしても、私たち相談員は通信販売のクーリング・オフは必要だと考えています。それは今日の議論のチャットであるように、不意打ち性という部分があり、電話という概念と同一であるということです。現場で戦っていますと、当然に不意打ち性の中で訪問販売や電話勧誘があるような不実の告知等々の取消権がないと、なかなか戦っていけないのは事実です。ですから、ぜひと考えます。難しいと思いますが、法律は最低限ですので、最低限のルールをつくってでも善良な企業には何の関係もありませんので、強くクーリング・オフが必要だと考えます。
○後藤座長 ありがとうございます。黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 方向性自体について反対するものではないのですけれども、しかし、もう少し書き込むべきではないかなというのが私の意見です。仮に、クーリング・オフをいれていくということであれば、結局、この報告書で目的としているところを考えていくと、特商法がeコマースの基礎法になっていく萌芽をこの報告書は持つのだろうと思います。今、eコマースは物すごい勢いで増えていっているわけですけれども、そこで事業者と消費者の接触の仕方が景表法による広告としての接触の仕方というのもあるでしょうが、よりアグレッシブにチャットとかを使って事業者が消費者に接触してくるというようなときには、勿論、類型③は外すのだということなのですけれども、一定程度の行為類型を示した上で、これについてはルールとして、場合によっては取消権があるということを明示することによって、悪質な事業者を排除していこうということです。そして、eコマースの市場環境を今までの1対マスでテレビ等で一律に消費者を勧誘するといった通信販売ではないものもあって、それについてはちゃんとルールを決めようということが今回の報告書の方向性としてあるのだと思います。そういう意味で、新しいルールとして取消権を入れるということは、大変大きな前進だと思うのですけれども、その観点だとすると、それだけのかなりの大きな変更をするのに、もう少しこれは許容性の議論を深めたほうがよくはないかということが私の意見です。では、どう書けばいいのかと言われると、そこは私の中でまだ整理できておりませんけれども、A4の1ページぐらいでこれだけの大きな話をしてしまうというのは、僕としては怖いなみたいな、意見というか感想です。
○後藤座長 ありがとうございました。今の御発言は取消権もクーリング・オフも書き足りないと、書き足せということですね。
○黒木委員 消費者契約法の10条とかが入りますということについては、それは当たり前だと思うのです。だから、そこではなくて、むしろクーリング・オフというイのところに関して、この行数で本当に説得的なのかというのは、読んでいてもよく分からないところがありますので、消契法は契約であれば、eコマースだからどうだからということは関係なく動くと思うのですけれども、クーリング・オフというのは新しい制度を創設しようとしているわけだと思うのです。そうなると、そこについてこれだけの書き方で許容性が本当に満たされているといえるのか、必要性は分かっておりますけれども、ちょっと乱暴かなと端的に思いました。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局はいかがですか。クーリング・オフのところが特に書き足りないという御指摘です。
○小沼企画官 委員の皆様と御相談させていただきながら、記載を充実させていきたいと考えております。
○黒木委員 だから、チャットの定義、機能とかももうちょっと敷衍してやっていかないと、ここのクーリング・オフのところは許容性がちょっと足りないなという気が個人的にはしています。
○後藤座長 ありがとうございました。
○黒木委員 この報告書は出来上がったら、将来的にeコマースの基礎法としての特商法を基礎付けたことになるかもしれません。
○後藤座長 丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 今、御指摘にありましたように、あまりにも短く記載されているというところでございますので、必要性のほか、導入した場合にはどのような形で実務として回していけるのかというところも含めて、記載を深めたほうがよいのではないかと思います。
書面交付につきましても、今回はほぼ通信販売で行われる場合でございますので、特役務のところと同様に原則電磁的にするのかとか、そういったことまで含めて導入した場合の取引がどのように回るのかという辺りも示せたほうがいいのかなと思いました。
○後藤座長 ありがとうございました。確かに貴重な御指摘だと思います。木村委員、よろしくお願いします。
○木村委員 チャットの場合に文字による勧誘を電話勧誘と同じようにと話し合ってきたのですけれども、音声によるチャットというのが今若い人たちであって、これから例えばAIだの何だのいろいろな技術が発展してくると、文字だけではなくて音声も、本当に電話に近いような状態でもチャットであり、そういうことも出てくることを考えると、やはり民事ルールの創設のところで、訪問販売・電話勧誘販売に本当に酷似してくるというところは考えられると思っています。
全体の書きぶりが文字に特化しているところもあるのですけれども、音声ということ、これから例えば高齢者がチャットを使うときに一々文字を打つのを面倒なので、音声を入れて、それを送るみたいなこともあるでしょうし、そういう方向に行くのではないかと思っているところで、不意打ち性とかがますます出てくると思います。もちろんこちらが送るときもそうですし、相手から送ってくるときも音声で送ってくることもあるということで、本当に民事ルールの創設というのはすごく重要になってくると思っているところです。
今、私も消費者団体としては、通信販売はクーリング・オフが実は必要だと思っていますし、消費者も通信販売はクーリング・オフがあるのだと思い込んでいる人が多いのです。そういうところもいろいろあるので、本当にここは課題だと思います。消費者相談を受けていて、クーリング・オフができないのですかと聞かれることは本当にしょっちゅうあります。そのぐらい返品ルールとクーリング・オフのルールをごっちゃにしている消費者は多いというところもありますし、今回、悪質な取引をということで、本当にクーリング・オフというのは重要なものだと思いますので、ぜひ書き加えて、しっかりと決めていけたらと思います。よろしくお願いします。
○後藤座長 ありがとうございます。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 私は、音声で聞こえて音声で返すやり取りだと電話勧誘販売かなと思っていて、音声で入力しても文字が表示されるならチャットかなと思っていたのですが、そこは大丈夫でしょうか。やはりチャット勧誘と電話勧誘販売の定義がどのように画されるのかというところは冒頭でしっかり確認していただき、どちらのほうに落ちていっても、電話勧誘でも規制できるけれども、現在抜けているのはどこなのかというところが重要だったと認識しておりますので、そこは確認をしていただければと思います。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○小沼企画官 事務局で把握しているのは、例えばチャットによる電話、音声の場合につきましては電話勧誘販売の対象になると事務局では理解しているところでございます。
○木村委員 チャットの画面で音声が送られましたと表示されて、ボタンを押すと音声が再生されるというものなのです。それも電話勧誘になるという理解でよろしいのですか。それを私は言っているのです。例えばLINEなどで録音した音声をLINEの画面で送ります。相手はその画面を見てボタンを押すと音声が聞こえてきます。また、自分の音声を録音します、送ります、そういうチャット画面というかLINEの画面があるのですけれども、そういうのを電話勧誘と判断してよろしいのですかという質問です。
○小沼企画官 解釈につきましては、消費者庁さんはいかがでしょうか。
○消費者庁取引対策課 即時性がないやり取りですよね。電話勧誘にならない場合もあると思います。
○木村委員 分かりました。そこは技術の進歩で、そういうこともあるので、今、私も議論の途中で全然思いつかなかったのですけれども、今日初めてそういえばと思って発言させていただいたのです。文字のチャットというのは確かにそうなのですけれども、それ以外のいろいろな手法が今後出てくる。音声を送る、音声をもらうというやり取りも出てくるので、それもチャットに入るときちんと決めていかないと、多分、またそこが抜け道になってしまう可能性もあると思ったのです。
○消費者庁取引対策課 ですから、多分議論の立て方の問題だと思います。先ほどからお話に出ていますけれども、通信販売に該当するもので、何らかSNSなりチャットなり、何か分かりませんけれども、使うものに関して議論しましょうということですので、電話勧誘販売に最初から該当しているものは議論の対象にここではなっていないと理解しています。
○木村委員 先ほどのチャットで音声のときは、チャット機能という整理でよろしいのですよね。
○消費者庁取引対策課 ですから、いろいろなものがありますので、ものによってだと思います。いわゆるビデオメッセージみたいなものを送って、それを閲覧するというのは、むしろテレビコマーシャルを見るような形に近いのかなと、それを一々また録音して送り直すということは、そんなに即応性は求められない形の行為になってくるのかなとか、多分、音がある、音がないだけではなくて、ついてくる特性というのもあると思います。
○木村委員 内容としては、多分文字で書いているのと同じ内容が音声としてやり取りがされるという理解なのです。だから、チャットなのかなと、文字ではないけれどもという理解でよろしいですか。
○消費者庁取引対策課 議論のスコープをどこに置くかです。確かに映像つきのチャットとかもあるようなのです。それから、LINEなどですと、スタンプみたいなビジュアルデータ、いわゆるテキストではないものを使うチャットと呼ばれるものもあります。
○後藤座長 よろしいでしょうか。坂下委員、よろしくお願いいたします。
○坂下委員 私は法律は素人ですので技術の観点で申し上げます。この報告書の2ページ目、第1に、国民生活センターの事例から見る問題点を整理してチャットを利用して勧誘される通信販売について定義を考えて・・・と書かれています。これはケースオリエンテッドに考えてるものだと思います。国民生活センターの事例というのがその後に載ってきますけれども、AIが使われるというようなものなどはないですし、生身の人間が相対してやっている世界のことが書かれているわけです。
ここから考えていくと、私の資料を引用した定義で合っていると思います。また、第2のチャット勧誘販売の定義で合っていると思います。そこに先ほどのAIの話とか、音声チャットの話とかが入ってきてしまうと、これは全体の議論の土台から崩れていってしまうので、その議論というのは、先ほどいろいろなケースがあるというご指摘が消費者庁からありましたように、いろいろなケースがあるからこそ、法律に定められないのだと私は思います。今のこの時代というのは、ケースごとにちゃんと整理をしていって、その対処方針を皆さんで考えて、それを俯瞰的に見たときに、法律にすべきところ、ソフトローにするべきところという整理にしていかないと、なかなか結論が見えないのではないかと思います。
○後藤座長 ありがとうございました。事務局、コメントはございますでしょうか。
○小沼企画官 現時点では特にございません。定義等は坂下委員の御説明を用い、前提は国民生活センターの消費生活相談の事例を基にしておりますので、方向的には、今、坂下委員から御発言のあったとおりと、事務局としては考えているところでございます。
○後藤座長 ありがとうございます。本日、いろいろ議論が発展しまして、報告書をきちんと読み直さないといけないと思います。報告書に書いてある内容ですと、本日議論された内容までは報告書に含むことができないような状況というのも、もしかしたらあるかもしれませんので、そこは慎重に考える必要があろうかと思います。申し訳ありませんが、少しその辺に気をつけて、本日の委員の方々の御意見を十分反映させつつ、報告書の基本的なところと整合するということが大事ですので、その点について御配慮いただけたらと思います。それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 後藤座長の言われたとおりなのですが、現場から言うと、まさしく国民生活センターの報告そのものです。今回のゴールは結構狭い議論です。ただ、14ページのところで、チャット勧誘にかかわらず、同じような特徴を持つものであればというところに重きを置いていて、木村委員がおっしゃったようなものが、当然近々議論されなければいけないということです。今、ビデオでチャットを見たりだとか、相手も即時性がないような形で、記録して声で来るものもありますが、それは通信販売だと言われてしまって、消費生活センターは裁判の場ではないのでジャッジはできないのですけれども、私たちは、それはほぼ電話勧誘に近いと言っているのですが、現場では認められていません。ですから、今回、何としてでもチャットというところの言葉での即時性が規制されるところを望みたいと現場は思っています。
○後藤座長 ありがとうございました。丸山委員、よろしくお願いします。
○丸山委員 繰り返しになりますが、最初のところでのチャット勧誘販売の定義というのを少ししっかりする必要があるのではないかと思いました。今、清水委員からも御指摘がありましたように、将来の懸念というのは、木村委員からもあったようにいろいろあるのですけれども、電話勧誘との対比で即時性等が同等であるといった形で議論を積み重ねてきましたので、恐らく定義としましては、そういったこれまでの議論に即すような形での定義を提案していくしかないのかなと思いました。
○後藤座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。丸山委員が今おっしゃっていたことは重要な御指摘だと思います。ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは2の(4)の(1)から(3)の設け方という部分ですけれども、それに関して御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
○小沼企画官 設け方につきましては、前回の5月11日のワーキング・グループにおきまして御提示させていただきました現行の通信販売の中に規制を設けるか、通信販売を切り出した上で規制を設けるかというような形で両論併記的に記載してございますが、本ワーキング・グループではどのような方向で考えられるのかというのは、お伺いしておきたいと思った次第でございます。
○後藤座長 ありがとうございます。両論併記なのか、あるいはここは一定の方向性を出すかということですけれども、委員の方々、御意見をお出しいただけたらありがたいです。
丸山委員、よろしくお願いします。
○丸山委員 法律のつくり方というのは、ここで決め打ちするのは難しいところがあると思うのですけれども、議論としましては、電話勧誘販売に導入されている規制を割とそのまま設定するというか、備えるような提案というのをしておりますので、そうしますと、外にくくり出されて電話勧誘販売と並ぶような形の箇所を設けるほうがいいのかもしれないと、個人的な感想でございます。通信販売から出してしまって、一つの類型として電話勧誘販売規制もありますし、チャット勧誘販売規制もあるみたいな形になるのかなという印象でした。
○後藤座長 丸山委員にお伺いしたいのですけれども、そうすると、特商法の新たな類型という形で考えるということでしょうか。通信販売の中に置くということではないということですか。
○丸山委員 こだわっていることでは全くないのですけれども、規制の内容が非常に充実しているというか、禁止行為も備えて民事効も備えて、いろいろな制度をほぼ電話勧誘と同様なものをセッティングしていくということになりますので、そうなると、むしろ全く新たなものとして類型として置くほうが整理しやすいのではないかという印象でございました。
○後藤座長 ありがとうございます。この点に関して、ほかの委員の方々はいかがでしょうか。板倉委員、よろしくお願いいたします。
○板倉委員 今の新しい類型にするのか、通信販売のところにアタッチメントでつけるのかというのは結構難しいと思うのですけれども、通信販売ではないチャット勧誘何とかというのがあるのであれば、当然丸山先生がおっしゃったように新類型にしたほうがいいのだろうと思います。何となく前提として通信販売が前提かなと思っていましたが、通信販売でないことはあり得るのですか。全部通信販売だというと、立法の作業をしていったときに、通信販売のところに入れたらと言われるような気はするのです。通信販売ではないけれども、チャット勧誘販売みたいなものがあるとすれば、要するにそれはチャットで勧誘するけれども、最後、勧誘されて行き着いた先が通信販売ではないというものですよね。あり得るのかなと思って、あまり考えていなかったので、これはどうでしょうか。清水委員とか、何か思いつきますか。チャット勧誘通販ではない何かみたいなもの。
○後藤座長 清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 将来的には丸山先生が言われたように外に出していただきたいのですが、現場では早く法制化や解釈を出すことを望んでいますので、チャットで即時性があれば電話勧誘だと思っております。現に成功した例があって、消費者庁が見解を出したのがきっかけで、鍵のレスキューとか、水詰まりなどで、現場で7,000円と言われたけれども、そこで10万円だと言われたら、新たな訪問販売が行われた、クーリング・オフであるという解釈が出され、今やっと浸透してきています。
もう一つ、通信販売だと言っていたのが、Zoom、いわゆるウェブ会議でやって、それは対面だと、通信販売から電話勧誘になった、イメージとしては、まずは電話勧誘だと考えるルートかなと思いました。
○後藤座長 ありがとうございます。万場委員、よろしくお願いいたします。
○万場委員 この報告書で、法律の立てつけまで触れるものなのかどうか、そこら辺は分からないのですけれども、少なくとも事例として挙げられている8事例を見る限り、我々としてみれば、真っ当な通信販売事業者から見れば、明らかに似て非なるものだと思います。どう考えても真っ当な事業者がこういうものを売るわけがない。ほとんど詐欺的なものです。だとしたら、普通の通信販売の規制外で、ぜひともそこは全く別物だということで規制していただきたいと思います。
○後藤座長 黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 貴重な御意見をいただきまして有り難うございます。私も法形式については、最終的には別のところで議論するのだろうと思いますけれども、とにかく我々が考えているのは通信販売、eコマースの中に入っているルールをきちんとつくるのだと、ただ、それはこういう即時性があったりして、ピア・ツー・ピアで対応もしていくようなものというのは電話にも近いのだよねということを真正面から取り上げて、それをどう整理するのかということを議論しているのだと思っています。
その場合に、あとは条文の見方の問題みたいな話になるのかもしれませんけれども、私としてはワーキング・グループでそこを決め打ちするというよりも、きっちり定義を書いて、法形式は考えたとしても、おっしゃるとおり、通信販売とは違うものです、しかし、最後はeコマースで終わってしまいますというのが通信販売なのでしょうし、ただ、電話勧誘販売的なところは否定できないから、この規制の内容は電話勧誘販売に近いというようなものを考えているわけです。最終的な法形式は、ワーキング・グループがこういう法形式でないといけないとまで言わなくても、ちゃんとした意見として判断されるのではないかなと、まだ、十分には練れていませんが、そのような気持ちを持っています。
○後藤座長 ありがとうございました。難しいところだと思いますが、委員の方々、ほかに御意見はありませんか。よろしいですか。今出ました御意見を踏まえて、また、両論併記にするのかどうなのか考えたいと思います。
それでは、先ほどの第5の第4以外に考えられる規制の内容及び第6の今後の対応や検討が必要と考えられる事項についてということで、ございましたらお願いいたします。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 この第5の1のところの承諾をしていない者によるチャット勧誘での広告の提供禁止の部分なのですけれども、チャット広告に対して承諾を取るという話と、販売目的の明記のお話が別問題だということを明確化したほうがいいと思います。第2段落のところなのですけれども、同様に規制を設けることも考えられるというところで、この場合、事業者がチャット広告への承諾をあらかじめ取ったとしても、販売目的の表示、つまり類型③への要件というのを満たさない限り、不意打ち性はなくならないと考えられるといったことを述べておいたほうがいいのかな。そのような修文を仮にするのであれば、次の段落の「また」から「懸念がある」というところは特に要らないのかなと思いました。
○後藤座長 ありがとうございました。事務局、よろしいですか。
○小沼企画官 検討いたします。
○後藤座長 ありがとうございます。清水委員よろしくお願いいたします。
○清水委員 21ページの第6の1の情報商材の対応というところです。そもそも極悪層の人たちを行政処分するためには法律が必要だということだと思ってはいるのですが、そもそも法律があっても守らない人たちをどうするかというのは本当に悩ましい限りです。現場では業務提供誘引販売の話をしても、そんなレベルにない人たちなのです。そもそもBtoBの取引だとかいう人たちに対して、この適用可能性もぜひ検討はしてもらいたいとは思うのですが、なかなか実態では難しいと思います。そもそも情報商材の契約適合性の責任みたいなものをきちんと考えていくような道筋をつけていただきたいということで、1、2というのは大事だと思います。
ただ、情報商材がこれだけ一つの商品化をされて、極悪層だけではなく、まともなのがあるとすれば、そういうのをしっかり明確化する必要はあるとは思います。しかし、相談の現場では、言葉は悪いのですがこんなおかしなものが売られていいのかというような一言に尽きます。このままの書きぶりでいいのですが、課題は山積であると思っております。よろしくお願いします。
○後藤座長 ありがとうございました。坂下委員、お願いいたします。
○坂下委員 手短に、第6のところなのですけれども、一番下にダークパターンが出てくるのですが、先ほどの国民生活センターの事例を見ていると、ステルスマーケティングの要素もあると思っております。ですから、それも書いておいたほうがいいと思いますというのが1つ目です。これエディトリアルな点です。
もう一つは、消費者安全法の注意喚起とか、消費者教育で啓発活動をするというのが1番に出てくるのですけれども、ある事業者のホームページに、「オープンチャットの提供をして、私たちは安心安全なコミュニケーションを担保するために、365日24時間モニタリングをしている」という主旨が書かれています。その中に、どういうものをモニタリングするかという類例が書かれていますが、その中には今回議論されているものは入っていません。やはりこういうことを検討しているということを事業者にもちゃんと伝えていく必要があるのではないでしょうか。先ほどお話がありましたけれども、Eメールのプロバイダー契約をして私たちは使っています。また、チャットの場合もアプリをダウンロードして使うわけです。そこでの本人確認の厳格さとか法人契約の確認の仕方とかいう点も重要だと思うので、事業者に対する啓発もやっていただきたいと私は思います。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局、コメントはいかがでしょうか。
○小沼企画官 冒頭、座長から、板倉委員につきましては本日御欠席と御発言がありましたが、板倉委員におかれましては途中から御出席いただいていますので、まず1点目として御連絡させていただきます。
2点目、今回のワーキング・グループにおきまして議論いただきましたチャットの定義、民事ルールの許容性の追記につきましては、まずは事務局で検討いたしまして、委員の皆様に御相談を申し上げて、また修文等を行っていきたいと考えているところでございます。
定義のところにつきましては、丸山委員から電話勧誘販売の電話の例に準じてというような御発言もあったかと思いますので、消費者庁取引対策課に、それがどのように現行で定義をされているのかということもお聞きした上で、参考にしながらいろいろ検討していきたいと考えているところでございます。私からは以上でございます。
○後藤座長 ありがとうございました。奥山課長、お願いいたします。
○消費者庁取引対策課 今、定義の電話のお話がありましたけれども、電話はもう法令用語として存在をしていまして、この議論で多分一番多いのはチャットとか勧誘ですよね。今まで通信販売に勧誘という概念がなかったので、それをいかに定義することかということだと思っています。
今回のこの報告書ですけれども、ある程度、SNSで何か規制を入れたいという方向で御検討いただいてまとめていただいていると思うのです。議論の中で、割と不都合な事実もいろいろ出てきたかと思うのですけれども、それも報告書にはぜひ残しておいていただけるとありがたいと思います。でないと、恐らく本当に規制に向けて動くとすると、反対の立場からの検討というのを1からやるとすると、今までこのワーキングを何年かしていらっしゃると思うのですけれども、同じぐらいの時間がかかってしまうと思います。SNSが最初は対象かと思っていたら、SNSをなかなか定義できなかったからチャットに行ったけれども、チャットにしてもまだ定義をしきれていませんということですとか、それから、電話との類似性というのは並べていただいていますけれども、チャット、SNSならではの別の機能、電話とは違う性質も出てきていたかと思います。それから、事例の中でも出てくると思うのですけれども、勧誘手段がSNSだけではないということですとか、恐らくSNSだけ何とかすれば何とかなるということでは、現実はないと思っておりますので、この結論に至るには、その限界の部分、論文でもリミテーションズというのは、きちんと論じる項目にあると思いますので、そういったところもぜひまとめておいていただけると、将来の材料に必ずなると思いますので、そこはお願いしたいと思います。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局、コメントはございますか。
○小沼企画官 検討いたします。
○後藤座長 確かに、本日の議論の中で、より慎重に対応しなくてはいけないという部分もしばしば話題になってきていますので、そういうことも含めて取りまとめを行うということが必要だろうと思います。万場委員、よろしくお願いいたします。
○万場委員 先ほど坂下委員も触れられましたけれども、ぜひともSNS事業者、場を提供されている事業者の自主的な取組を強化していただく。とにかく怪しいチャットがあった場合には即座に削除していただく。そういう努力をしっかりやっていただく。そういうことをきちんとやられておれば、法規制とかそういう話にはならないと思いますので、ぜひともそこは一言付け加えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○後藤座長 ありがとうございました。事務局、そういう方向でよろしいでしょうか。
○小沼企画官 検討いたします。
○後藤座長 ありがとうございました。板倉委員、よろしくお願いいたします。
○板倉委員 今、万場委員がおっしゃったことの書き方だけの問題なのですけれども、通信の秘密だと言われる可能性がありますので、通報等の対応を含めとか、何かそのようにうまく書いていただくといいのかな。要するにチャットは通信の秘密だからやりませんというだけの言い訳でやりませんとは言いづらいように、他方、通報とか対応できるのは、中身を見るだけではなくて、ちゃんと証拠があるのだったらアカウントを消すとか、何かそういうのを例示して書いていただくといいのかなと思いました。
○後藤座長 ありがとうございました。それでは、この点も踏まえてまとめていきたいと思います。
本ワーキング・グループでは、昨年8月に取りまとめました報告書において、引き続き検討することが必要とされていた積極的な勧誘がなされる通信販売における勧誘の規制等について、本年1月から検討を再開し、特に相談事例が多く見られるチャットを利用して勧誘がなされる通信販売における特定商取引法の規制等を中心に検討を重ねてまいりました。本日は、報告書案により、これまでのワーキング・グループの審議を踏まえて取りまとめに向けて議論をしていただきました。本日、多様な御意見が出ておりまして、報告書の取りまとめに対して非常に有益な御示唆をいただいていると思います。本日いただいた御意見を踏まえ、次回報告書を取りまとめることを目指しておりますのでよろしくお願いいたします。最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。
《3.閉会》
○小沼企画官 本日は、様々な御意見をいただきありがとうございました。次回の開催につきましては日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。
○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございました。
(以上)