第13回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録
日時
2023年5月11日(木)10:00~12:19
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (構成員)
- 【会議室】
- 後藤座長
- 清水委員
- 【テレビ会議】
- 飯島座長代理
- (オブザーバー)
- 【会議室】
- 黒木委員
- 消費者庁取引対策課
- 【テレビ会議】
- 木村委員
- 坂下哲也 一般財団法人日本情報経済社会推進協会常務理事
- 丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
- 万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
- 独立行政法人国民生活センター
- (参考人)
- 【テレビ会議】
- カライスコス アントニオス 龍谷大学法学部教授
-
- (事務局)
- 小林事務局長、岡本審議官、友行参事官、小沼企画官
議事次第
- 開会
- 有識者ヒアリング
- 論点整理②
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:140KB)
- 【資料1】 デジタル化に伴う消費者問題に対するEU法での規律(龍谷大学法学部教授カライスコスアントニオス氏提出資料)(PDF形式:438KB)
- 【資料2】 デジタル化に伴う消費者問題に関する論点整理(令和5年5月)(事務局資料)(PDF形式:833KB)
- 【資料3】 論点の中で重要と考えられるものについて(事務局資料)(PDF形式:900KB)
《1.開会》
○後藤座長 皆様、本日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。ただいまから、第13回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。本日は、清水委員、黒木委員、私が会議室にて出席、それから、消費者庁取引対策課の奥山課長も会議室にて御出席です。
飯島座長代理、木村委員、坂下委員、丸山委員、万場委員、独立行政法人国民生活センターがテレビ会議システムにて御出席です。
大石委員、板倉委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構は御欠席です。
本日は、有識者へのヒアリングとして、龍谷大学法学部教授のカライスコス・アントニオス様にテレビ会議システムにて御参加いただいております。
お忙しいところ、誠にありがとうございます。後ほど改めて御紹介いたします。開催に当たり、会議の進め方等について事務局より説明をお願いいたします。
○小沼企画官 事務局でございます。本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。また、画面は差し支えない範囲でオンにしていただければ幸いです。御発言の際は、混線を避けるため、チャット機能を使用して発言する旨をお知らせいただき、それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願い申し上げます。
本日は、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。議事録については、後日、公開することといたします。
配付資料は議事次第に記載のあるとおりです。お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。以上でございます。
《2.有識者ヒアリング》
○後藤座長 最初の議題である、諸外国における通信販売の規律に関して有識者ヒアリングを行いたいと思います。本日は、龍谷大学法学部教授、カライスコス・アントニオス様にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただきましてありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
○カライスコス教授 ありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりました、龍谷大学のカライスコスと申します。私からは、お配りしている資料を使いながらお話をしたいと思います。最初の部分は私のプロフィールですので、後ほど御覧いただければと存じます。3ページ目の1から始めたいと思います。まず、EUにおける通信販売に関する規制についてお話をしたいと思います。
EUでは、通信販売に関する主な立法としては、2011年の消費者権利指令があります。この消費者権利指令という名称だけを見ると、あたかも消費者の権利の全般について規定している指令であるかのような印象を受けがちですが、実際にはそうではなくて、その立法過程において様々な妥協などを経て、現在では主に資料掲載の①から③の内容がその中核となっています。
すなわち、①としては、消費者との契約において事業者が一般的に負う情報提供義務について定めが置かれています。
また、②ですが、営業所外契約、これは日本法の訪問販売契約に類似しているものです。さらには通信取引契約、これは日本法の通信販売契約に類似しているものですが、これら二つの契約類型において事業者が負う情報提供義務について定められています。
さらに③ですが、②の二つの契約類型、すなわち営業所外契約と通信取引契約において消費者が有する撤回権、この撤回権というのは日本法のクーリング・オフ権に類似するものですが、これについて定められています。
これらのうち、本ワーキング・グループの検討事項との関連性が特に強いのが通信取引契約かと思われますが、通信取引契約の定義規定である2条の7項を見ると、契約が締結された時点を含み、事業者と消費者が同時に同じ場所で物理的に存在することなく、組織化された通信での販売、又は役務提供スキームの下で、一つ又は複数の通信手段のみを用いて締結された契約だとされています。一つ又は複数の通信手段のみを用いてですので、どのような通信手段が用いられたのかについては特に重要ではないということになります。
これについては前文に、この前文というのは拘束力を有しない部分ではありますが、一般的にEUでは規定の解釈をする際によく用いられていて、その中には通信手段としては「通信販売、インターネット、電話、ファクスなど」という感じで、「など」とされていますので、限定列挙ではないということになります。
また、ガイダンスもございまして、これは欧州委員会が消費者権利指令について出しているもので、同じく拘束力は有しないのですが、広く参照されているもので、その中でも消費者権利指令が適用されるかどうか、つまり通信取引契約に該当するのかどうかも含むわけですが、このことについては、事業者がどのような技術的な手段を用いているのかによって影響はないということが明確にされています。
EUでは、いわゆる技術中立性ということがキーワードとされていて、指令の適用など、あるいは消費者の権利が存在するかどうかということが、どのような手段を用いたのか、どのような技術を事業者が用いたのかによって影響を受けないということが一般的に目的とされています。
営業所外契約については、本ワーキング・グループとの関連性がより間接的なものかとは思われますが、この定義規定の中にも、「または通信取引の何らかの手段を通じて」という文言があり、同じように、何らかの手段であれば、それが具体的にどのような手段なのかは問われないというスタンスが取られています。
先ほど申し上げた情報提供義務ですが、消費者権利指令の中には、既に申し上げたように、まず全ての消費者契約において事業者が負う情報提供義務に関する規定が置かれています。
こちらのリストはやや長いので後ほど御覧いただければと思いますが、例えば項目(b)の中には、事業者の商号、設立された地理的住所、電話番号などの事業者の身元、こちらも「など」とされていますので、限定列挙ではなく、一般的に事業者の身元に関する情報を提供しなければならないということが義務化されています。
さらには、イのところですが、営業所外契約及び通信取引契約において事業者が負う情報提供義務についても、項目(b)において、商号などの事業者の身元、項目(c)では、事業者が設立された地理的住所及び事業者の電話番号と電子メールアドレス、さらには、該当する場合には、事業者は、自身がそのために行為する事業者の地理的住所と身元も提供しなければならないということで、事業者がほかの事業者のために行為している場合には、そのほかの事業者の身元に関する情報も提供しなければならないとされています。
項目(d)のところですが、(c)号に従って提供された住所と異なる場合、事業者の事業所の地理的住所、事業者の代わりに行為する事業者の地理的住所という感じで、先ほどの消費者契約全般における情報提供義務と比べた場合、通信取引契約の場合には対面での契約ではないということから、このように情報提供義務も加重されている部分があります。
その下のところに項目がこのようにずらっと並んでいるわけですが、レジュメの6ページに進んでいただくと、今度は撤回権について若干説明をしております。EUでは、撤回権は、営業所外契約と通信取引契約のいずれについても認められていますので、日本法のように、通信販売であれば撤回権、クーリング・オフ権が認められないということにはなりません。
その理由ですが、消費者権利指令の前文の説明によると、営業所外契約については、日本の訪問販売契約に近いものですが、日本法と同じように、不意打ち性とか心理的な圧力というものがその理由となっていることが書かれていますが、通信取引契約についてはそうではなくて、消費者が物品を手に取って確認できないということが理由とされています。
そのため、前文の説明を見てみると、消費者は物品の性質や特徴、機能などを確認するために必要な範囲で試用、さらには検査をすることができるということが認められていて、どの範囲の試用、更には検査が認められるのかということについては、前文においては、店舗で行うことができるのと同じ方法で物品を取り扱い、検査することができるとされています。
これについては、欧州連合司法裁判所というEUの最高裁判所のような裁判所ですが、その判断の中で、例えば店舗で見本が置かれていることが一般的であるような場合には、店舗に行けば製品そのものを開けることができなくても、見本を手に取って見ることができるので、通信取引契約においてもそのような商品については同じように、結局は製品を開けて手に取ることも認められるというような判断がされています。店における消費者の経験と同程度の経験を確保することが徹底されているわけです。
資料の7ページですが、本ワーキング・グループで検討対象とされている各課題について、EU法ではどのように対応されているのかについて若干申し上げたいと思います。
まず、関連する主な立法としては、先ほどの消費者権利指令のほかに不公正取引方法指令という2005年の指令が重要となってきます。この指令は、適用範囲が非常に広いもので、契約という概念ではなくて、取引という概念を用いて、その前に、その際に、あるいはその後に、消費者に対して事業者が行う不公正な取引方法を広く規制しています。取引方法の定義を見てみますと、作為、不作為、行為態様又は表示、取引通信(広告及びマーケティングを含む)という感じにかなり広く設定がされています。一般的に事業者が消費者に対して行うものであって、販売促進などに関連するものであれば、全て適用対象に含まれるということになります。
そして、3段階の規制の仕組み、構造となっています。まず、大きな一般条項が置かれていて、あらゆる不公正な取引方法が禁止されています。そして、この5条1項がその大きな一般条項ですが、2項にその不公正な取引方法に該当するための要件が掲げられています。職業上の注意の要求事項という概念が基準とされていて、さらには平均的な消費者がどのような影響を受けるのかということが基準とされています。
この平均的消費者ですが、二つの種類がこの中にはありまして、一つは消費者全般の平均的な消費者、二つ目は、例えば高齢者向けの商品、あるいは子供向けの商品というふうに、消費者集団の中でも特定のグループだけを対象としているような取引方法については、そのグループ、その集団の平均的な構成員、例えば平均的な高齢者あるいは平均的な子供が基準とされます。
これら2種類の平均的消費者のほかに、さらに日本でよく議論されているところの脆弱な消費者に関する特別規定が5条の3項に置かれています。読み上げると、取引方法が明確に特定できる消費者集団のみの経済的行動を実質的にゆがめるおそれがあり、かつ、事業者においてその消費者集団が精神的若しくは身体的な脆弱性、年齢又は軽信性を理由として、その取引方法又はその対象である商品について、特に保護を要することを予見することが合理的に期待できた場合は、その取引方法はその集団の平均的構成員の立場から評価するとされています。
簡単に申し上げると、脆弱な消費者であるかどうかの基準が精神的若しくは身体的な脆弱性、年齢又は軽信性とされていて、事業者側としてはこのような脆弱な消費者に対する取引方法については、平均的な脆弱な消費者がどのような影響を受けるのかということを判断基準としなければならないということです。裁判や行政当局も、そのような平均的な脆弱な消費者を基準とすることになっています。軽信性という要件が入っていることで、非常に柔軟な仕組みとなっています。
その次ですが、大きな一般条項だけではやや抽象的なものとなっていますので、小さな一般条項も置かれています。誤認惹起的取引方法、日本法でいうところの誤認に類似するものです。また、攻撃的取引方法、こちらは日本法でいうところの困惑に類似するものとなっています。
8ページに入りますが、まず誤認惹起的な取引方法の中に、誤認惹起作為と誤認惹起不作為があります。誤認惹起作為に関する定義を見ると、誤った情報を含むことで不実である場合、又は次に掲げる要素の一つ若しくは複数に関して、この後が大事ですが、全体としての表現方法を含む何らかの方法によって平均的消費者を誤認させ、若しくは誤認させるおそれがある場合(その情報が事実として正確である場合を含む)とされています。
つまり、全体としての表現方法も含まれますので、例えば全体としては誤認を惹起するのだけれども、個々の情報を一つ一つ見ていけばどこかで打ち消しがされていて、実際にはその打ち消しに気がつけば誤認を惹起されることはないという場合でも誤認惹起作為に該当しますし、情報が正確であっても消費者が受ける印象が誤認惹起的であれば、誤認惹起作為に該当することになります。
そのような中に、先ほどの消費者権利指令における情報提供義務にも関連しますが、やはり事業者の性質、属性などに関する情報についても、誤認を惹起させる場合には誤認惹起作為に該当するということが定められています。
次は、9ページですが、誤認惹起不作為です。こちらは、平均的消費者が情報を得た上で取引上の決定を行うために必要となる重要な情報を提供しなかったということが大事になります。重要な情報については、本日は時間との関係で申し上げませんが、一般的に想定されるような情報は全て入っている仕組みとなっていて、規定もございます。
ここで特に興味深いのが2項に置かれている規定ですが、重要な情報を隠匿し、不明確で、分かりにくく、多義的で、若しくは時宜にかなわない方法で提供し、又は事業者がその取引方法の取引上の意図を示さなかったことも誤認惹起不作為になるとされていますので、情報を提供しない場合だけではなくて、提供したけれども何だか分かりにくい方法で提供している、あるいは商売をする目的だということを示さない場合にも誤認惹起不作為に該当するとされています。
最後が攻撃的な取引方法ですが、こちらで特に興味深いのが、困惑行為、強制又は不当な影響によって通常であれば行わないような取引を行った場合が想定されていますが、この不当な影響というものの中には、不当な影響などに該当するのかというところを見てみると、次の矢印のところですが、取引方法の時期、場所、性質又は執拗さ、更には事業者が消費者側のいろいろな事情を利用しているのかといった感じに、日本法でいうところの攻撃的な取引方法に類似する類型である困惑よりもさらに広く設定されていると言えるではないかと思います。
さらには、ブラックリストも設けられています。こちらは、全部は御紹介しませんが、ブラックリストというのはいかなる場合にも不公正となる取引方法のリストで、誤認惹起的取引方法としては、例えば事業者が、自らが商売のために行為しているわけではないという虚偽の主張をしたり、そのような印象を与えたり、あるいは自らあたかも消費者であるかのように振る舞うことも、いかなる場合にも不公正な取引方法に該当します。
また、攻撃的取引方法としては、電話、ファクシミリなどの通信手段を用いて、執拗かつ不招請の勧誘行為を行うことも、いかなる場合でも攻撃的取引方法に該当するとされています。
裁判所や行政当局が実際に判断する際には、ブラックリストに該当するのか、小さな一般条項に該当するのか、そして、最後に受皿規定である大きな一般条項に該当するかを判断することになります。
(2)のところですが、こちらは本ワーキング・グループで検討対象とされているいろいろな課題について、EU法でどのように取り扱われているのかについて御紹介しています。こちらはまた後ほどお読みいただければと思いますが、大事なのが、必ずしもこれらの私が挙げている項目にだけ該当するというわけではなくて、事案によってはほかの項目にも該当し得るということと、大きな一般条項による規制が必ずかかっていますので、ブラックリストや小さな一般条項に該当しないと判断されたからといって不公正ではないというわけではなくて、必ず受皿規定による最終的な判断をされることが大事かと思います。こちらのリストはやや長いですが、もし御質問があれば、また後ほどいただければと存じます。
最後、不招請勧誘への対応ですが、不招請勧誘に関する主な立法としては2002年のeプライバシー指令というものがございます。こちらには、まず、(1)に挙げている自動通話機、ファクシミリ、そして電子メール、この電子メールの中には前文によるとSMSメッセージも含まれますが、これらについてはオプトイン規制が採られています。つまり、加盟国はこれらを原則として禁止した上で、例外的に消費者の同意が得られていれば、これらによって不招請の勧誘を行ってもよいというのがEU全体での規制となっています。
なぜこれらについては厳しい規制が取られているのかというと、少し下の矢印のところですが、低コストでこれらを行うことができるということ、場合によっては受信者側にコストが生じる可能性があるということ、さらには、通信ネットワークなどに問題を引き起こす可能性があることが挙げられています。
電子メールについてですが、勧誘を行う側が製品やサービスの販売に関連して電子メールを取得している場合には、その電子メールを自身の同様の製品又はサービスのダイレクトマーケティングなどに使ってもよいとされていますが、ここで注意が必要なのが、そもそも電子メールを取得したのが製品又はサービスの販売に関連したものであって、かつ、同様の製品又はサービスについてのみ使えるというかなり厳格な要件が設けられているということです。もちろん消費者側は異議を唱える機会を与えられなければならないこととされています。
(2)のところですが、それ以外の類型、例えば人による電話勧誘などについては、加盟国はオプトインあるいはオプトアウトのいずれかを選択することができることとされています。言い方を変えれば、オプトアウト規制、つまり、望まない消費者は登録をすれば不招請勧誘を受けないということがボトムラインとされているわけですが、加盟国は例えばドイツやオーストリアのように、これらについてもオプトイン規制、原則的な禁止を選ぶことができるわけです。
最後のページです。なぜこれらについてはより緩やかな規制が採られているのかということですが、人による電話勧誘ですので、人が電話をしなければならないということで、よりコストがかかるということです。そして、受け手には金銭的なコストが生じないということなどが重視されているようです。
そこで、本ワーキング・グループの検討対象となっているチャットについてはどうなのかというと、まず、オプトインのところにはもちろんチャットは入っていないということになりますが、この指令は先ほど申し上げたように2002年の指令ですので、当時あまりチャットがマーケティングなどを目的として使われていなかった、もう21年前のことなので、チャットの位置付けが今日とは異なったということが一つ事情としてあります。もう一つ注意が必要なのが、チャットは不公正取引方法指令の適用対象には含まれています。不公正取引方法指令は手段を全く限定していませんので、どのような手段であっても不公正な取引方法であれば適用対象となります。
それに加えて、不招請勧誘そのものを禁止するのかということについては入っていないのですが、恐らくそれは単純に2002年においてはチャットがそれほど活用されていなかったということです。ならば今日、(1)と(2)のどちらなのかと言われますと、個人的な見解としては、(1)はコストがあまりかからなくて大量にできるもの、SMSメッセージやメールが入っていますので、恐らくこちらなのであろうと思います。つまり、原則的な禁止が適切なのであろうと思われます。
また、チャットというものについては、私も数年前までは知らない人から急にチャットが来ることはないと思っていたのですが、最近は知らない人からグループに入れられていて勧誘を受けたりするということは、少なくともLINEとTwitterでは経験したことがあり、そのような事情も変わっていますので、チャットは性質が違うというような判断にはならないのではないのかと考えています。
時間的な制約でやや早口になりましたが、私のほうからは以上です。御清聴いただき、誠にありがとうございました。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ただいまのカライスコス教授からの御発言に関して、御質問や御意見がある方はチャット欄にてお知らせください。恐縮ですが、カライスコス先生はこの後授業がありますので、質問時間は最大でも15分ぐらいにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 御説明ありがとうございました。
内容ではなくEUの事情をお聞きしたいのですけれども、我が日本のように、今、消費生活センターでは悪質な定期購入や情報商材、モノなしマルチのような極悪層にハイジャックされているような、相談員はそんなふうに思っているのですが、EUはこのような類似の被害はあるのでしょうか。
○カライスコス教授 御質問ありがとうございます。先ほど時間との関係で飛ばしたところに関連する御質問かと思いますが、資料の10ページの(2)、EU法での対応というところですが、日本法では恐らくこれらのアからケまでの部分については、御指摘のとおり現場でいろいろ苦労がされているところかと思いますが、EU法では全て対応済みになっています。
その理由は、消費者権利指令と不公正取引方法指令の適用範囲がかなり広いということと、かなり網羅的な規制がされていますので、御指摘のとおり、EUから見ると日本の状況はやや特徴的といいますか、あまりEUでは考えられない状況だということになります。
○清水委員 ありがとうございました。
○後藤座長 丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 カライスコス先生、ありがとうございました。時間がありませんので、簡潔に質問させていただきます。3点です。
1点目は通販のクーリング・オフについて紹介していただいたのですけれども、私の記憶では、サービスなどが提供されてしまった場合については価値賠償となるといった規律になっていたかなと思います。今回、ワーキング・グループで問題となっているような電子ブックとか情報商材がダウンロードされた場合についてのクーリング・オフの効果論は、EUではどのように考えられるのかを教えていただければと思いました。
2点目は不公正取引指令の執行なのですけれども、これは国によって違うのかもしれませんが、民事的な救済に結びつくかどうかという点を示唆いただければと思いました。
最後の不招請勧誘に関してなのですけれども、日本ではメールの場合もデフォルトオンというか、チェックがもう入ってしまっていて、分からないうちに承諾しているというパターンが多いのですけれども、EUはその辺りの承諾を取るというのはしっかり行われているのか情報提供いただければと思いました。以上です。
○カライスコス教授 丸山先生、御質問をいただきありがとうございます。1点目につきましては、私も少し記憶が曖昧ではありますが、御指摘のとおりサービスについては一旦提供されてしまうと、それは価値賠償ということで対応されているというのが私の認識です。
2点目につきましては、本日は時間との関係で申し上げませんでしたが、不公正取引方法指令については当初は執行に関する規定は置かれていなくて、御指摘のとおり加盟国に完全に委ねられているという形が取られていました。
例えばドイツの場合には、どちらかというと消費者団体、あるいは事業者団体、商工会議所、あるいは競合する事業者による差止訴訟とか、そのような手段を通じて主に執行されていたのに対して、フランスとか旧加盟国のイギリスでは、民事的な執行、刑事的な執行や行政的な執行というあらゆるメニューが準備されていて、かなり幅広く対応されていましたが、つい最近、2019年かと思いますが、現代化指令という指令によって不公正取引方法指令が改正されました。その目的が、EUにおいても加盟国によって執行の程度にばらつきが見られるということで、執行を強化しようとEUがしたことによる指令なのですが、この現代化指令によって不公正取引方法指令の中にも執行に関する規定が置かれていて、その中で、民事的な執行についても加盟国は定めなければならないということが明確にされましたので、例えばドイツにおいては個々の消費者に損害賠償請求を新たに付与したりというような感じで対応されているところです。
③のメールについてですが、一般的にEUでは事前にチェックが入っているようなボックスは駄目だということが徹底されていて、これは個人情報の保護、GDPRとかも、結局は不公正取引方法指令とどうしても規制が重なるところがありますので、そちらの中でも事前にチェックされたボックスで同意を取ることは一般的にはしてはならないということが徹底されています。そのため、消費者側が自ら積極的に同意をするような方法でなければならないというのがEUでの今の位置付けとなっています。
○丸山委員 ありがとうございました。
○後藤座長 ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。EUにおける通信販売に関する規制について、また本ワーキング・グループで議論しているチャット機能を利用した通信販売に関する規律について御説明をいただき、よく理解することができました。カライスコス先生、本日は御出席いただき、どうもありがとうございました。どうぞ御退席ください。
○カライスコス教授 失礼いたします。
(カライスコス教授退室)
《3.論点整理②》
○後藤座長 続きまして、これまでのワーキング・グループの審議を踏まえて、論点の整理と、論点の中で重要なものについて議論を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○小沼企画官 御説明させていただきます。それでは、資料3の「論点の中で特に重要と考えられるもの」につきまして、続きまして、資料2の「デジタル化に伴う消費者問題に関する論点整理」の前回から見直した箇所につきまして御説明させていただきます。
本ワーキング・グループにおきましては、昨夏に報告書を取りまとめていただきまして、その中で法制度の検討とされておりました「特定商取引法の通信販売のうち、積極的な勧誘がなされる類型につきまして、SNSのメッセージによる勧誘と電話勧誘の類似性を念頭に置きつつ、勧誘規制等を検討することが必要である」との点につきまして、現在御議論いただいているところでございます。
なお、メッセージによる勧誘につきましては、必ずしもSNSに限らないことから、ここではチャットという機能に着目した検討を行っていただいているところでございます。
前回の4月4日のワーキング・グループにおきまして、前々回の2月14日のワーキング・グループの有識者ヒアリングを踏まえて、考えられる広告規制の見直しや勧誘規制等の導入の5つの論点を事務局から提示させていただいたところでございますが、座長と御相談の上、今回はこれまでのワーキング・グループの御審議を踏まえて、5つの論点のうち、被害防止及び被害救済の実効性の観点から、勧誘規制等の導入の三つの論点に絞って御検討いただけないかと考えているところでございます。
資料3の「論点の中で特に重要と考えられるもの」を1枚おめくりいただきまして、1ページ目、論点一覧でございます。前回の4月4日のワーキング・グループにおきまして、論点と規制を必要とする理由等を御説明させていただいておりますので、ここではそのポイントのみを御説明させていただきます。
論点1、「承諾をしていない者に対するチャット機能を利用した広告の提供の禁止」につきましては、特定商取引法におきまして、通信販売の広告規制として、電子メール広告等は消費者の承諾を得ないで送信することは禁止されておりますことから、チャット機能を利用した広告にも同等の規制を設けるべきではないかとの論点と、規制を必要とする理由でございます。お手元の資料2の論点整理の該当するページは、2ページから3ページでございます。
論点2、「チャット機能を利用した勧誘時の氏名・目的等の明示」につきましては、電話勧誘販売等と同等に、チャット機能を利用した勧誘に先立って、販売業者等の氏名、目的、商品等の種類の明示義務を課すべきではないかとの論点と、規制を必要とする理由でございます。お手元の資料2の論点整理の該当するページは4ページから7ページでございます。
論点3、「チャット機能を利用した商取引における新たな規制の導入」につきましては、電話勧誘販売等を参考に、チャット機能を利用した勧誘についても行為規制を設けるべきではないか、また、取消権やクーリング・オフといった民事ルールの検討も必要ではないかとの論点と、規制を必要とする理由でございます。お手元の資料2の論点整理に該当するページは、8ページから12ページでございます。
論点4、「勧誘規制の対象」につきましては、一つ目に、チャット機能のうちどのような特徴を有するものを対象とするべきか、二つ目に、不意打ち性のある形態に限定すべきかとの論点と、対象を検討する前提でございます。お手元の資料2の論点整理の該当するページは13ページから14ページでございます。
論点5、「表示事項の追加項目」につきましては、消費者がトラブルに遭わないためにどのような表示がどこに必要かとの論点と、具体的な表示の例でございます。お手元の資料2の論点整理で該当するページは15ページから16ページでございます。
以上のとおり、前回の4月4日のワーキング・グループにおきましては、広告規制の見直しや勧誘規制等の導入の5つの論点を事務局から提示させていただいたところでございます。
2ページ目、5つの論点のうち特に重要と考えられるものでございます。
これまでのワーキング・グループの御審議を踏まえ、1ページの5つの論点のうち、勧誘規制等の導入の三つの論点の論点2から4に絞って御検討いただくことが考えられるのではないか。論点2から4を御検討いただくことによって、特定商取引法の通信販売に新たに勧誘規制として禁止行為等を設けるべきであるとした場合の根拠や、考えられる規制の内容を示せるのではないかということでございます。
一つ目のマルの論点2から4に絞って検討いただく理由につきましては、通信販売は電話勧誘販売等の他の類型とは異なっておりまして、基本的には消費者が販売業者等から圧力を受けずに契約を締結する意思の形成を行うものでございまして、本来、消費者は自らの意思形成につきまして全面的な自己責任を有するものである。
一方で、チャット機能を利用することによりまして、販売業者等が消費者と直接やり取りをした結果、消費者は当初の想定とは違う、意図しない契約をしてしまう事例が発生していること。
消費者トラブルが見られるチャット機能の利用の特徴といたしましては、密室性、双方向性、情報のカスタマイズが可能、目的を隠匿して接触することが可能、会話的、即時的、相手に情報が届いていることが担保されていること。
また、チャット機能の利用の消費者へもたらす心理的な影響といたしましては、社会的存在感が高くなることから、人間関係のルールが働きやすい状況にあること。返報性の規範、社会的望ましさの規範によって、説得に応えたい気持ちや断りにくさから意思決定がゆがむ可能性があることなどがございます。
二つ目のマルの論点1及び論点5を検討対象から外す理由につきましては、まず、論点1につきましては、消費者がチャット機能を利用した広告を提供することの承諾をしたとしても、形式的に承諾を得るだけであれば、必ずしも被害救済にはつながらないと考えられる。また、承諾の取り方いかんによっては、チャット機能を利用した勧誘を行うことの不意打ち性がないことになり、論点2及び3の規制や救済の対象から外れることとなる懸念がある。さらには、論点2及び3に加えて論点1も設けるとすれば、電話勧誘販売等の取引類型を超える規制ともなり得る。これらのことから、論点1を検討する優先順位は低いのではないかということ。
論点5につきましては、表示事項を増やした場合、全ての販売業者に対しての規制となるため、販売業者等の負担が大きい可能性がある一方、既に広告において契約締結の意思形成がなされている場合には、最終確認画面における被害防止の効果は限定的であることから、論点5を検討する優先順位は低いのではないかということがございます。
3ページ目、論点4、勧誘規制の対象と考えられる規制の内容の全体を総括したものでございます。
勧誘規制の対象といたしましては、チャット機能を利用して勧誘がなされた通信販売のうち、双方向のものが対象で、相談事例を前提にいたしますと、黄色い枠囲みの類型①、販売業者等から消費者にチャット機能を利用した勧誘を行い、消費者が購入の意思を示したもの、類型②、ホームページにより勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げずに、消費者にチャット機能の利用を開始させるものの2類型を今回の規制の対象とすることが考えられるところでございます。
勧誘規制の対象となる類型①、②は、電話勧誘販売との類似性において不意打ち性があり、赤色の枠囲みの論点2に対応した、チャット機能を利用した勧誘に先立っての氏名・目的等の明示、論点3に対応した再勧誘の禁止から書面交付義務、クーリング・オフの規制の内容を通信販売の中の規制に設けるほか、通信販売から切り出した上で電話勧誘販売の規制に当てはめる、新たに別の類型の規制を設けることが考えられるところでございます。
類型③、ホームページにより勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げ、消費者にチャット機能の利用を開始させるものとは、通常の通信販売を想定しておりまして、今回の勧誘規制の対象外で、現行の特定商取引法の通信販売規制がかかり、販売業者等からの発信によるチラシの配信、クロスセル取引の一方的なもの、商品検索サポート、入力補助といったものは勧誘規制の対象外と考えているところでございます。
例えば、テレビショッピングを見て、消費者から販売業者にチャット機能を利用し、エアコンの購入の申込みをした場合には、現行の通信販売の広告規制のみとなりますが、一方で、テレビショッピングを見て、消費者から販売業者にチャット機能を利用し、エアコンの購入に当たっての問合せをし、消費者の気が変わり、消費者が販売業者にエアコンの購入を断ったにもかかわらず、しつこく販売業者がエアコンの購入の勧誘、つまりは再勧誘を行った場合には類型①に該当するものと考えているところでございます。
また、テレビショッピングを見て、消費者から販売業者に、チャット機能を利用し、エアコンの購入の申込みを行った際に、販売業者から消費者に併せて洗濯機の購入の勧誘を行った場合には類型②に該当するものと、考えているところでございます。
4ページ目、類型①の勧誘規制の対象となる例で、このページは、3ページのうちから類型①を切り出したものでございます。3ページ目に記載しております類型①、販売業者等から消費者にチャット機能を利用した勧誘を行い、消費者が購入の意思を示したものの例の三つのパターンを記載しております。
5ページ目、類型②、勧誘規制の対象となる例で、このページは3ページ目のうちから類型②を切り出したものでございます。3ページ目に記載しております類型②、ホームページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げずに、消費者にチャット機能の利用を開始させるものの例の一つのパターンを記載しております。
6ページ目、類型③、勧誘の対象外となる例で、このページは3ページ目のうちから類型③を切り出したものでございます。3ページ目に記載しております類型③、販売業者等からの発信によるチラシの配信、クロスセル取引の一方的なもの、商品検索サポートの例の三つのパターンを記載しております。
続きまして、資料2、「デジタル化に伴う消費者問題に関する論点整理」の前回から見直した箇所につきまして御説明させていただきます。
10ページ目、チャットのやり取りが消費者へもたらす心理的な影響でございます。このページは、前回の4月4日のワーキング・グループの有識者ヒアリングを踏まえて追記したものでございます。
これから御議論いただくに当たりまして、資料2の論点整理のそれぞれの論点に該当するページにつきましては、論点1は2から3ページ、論点2は4から7ページ、論点3は8から12ページ、論点4は13ページから14ページ、論点5は15ページから16ページとなってございます。以上でございます。
○後藤座長 ありがとうございました。ただいまの御説明ですと、論点1と論点5を検討対象から外して、論点2、3及び4に絞って御議論いただきたいということですけれども、この点についてまず委員の皆様にお尋ねしたいと思います。ここでは論点1と論点5を外して議論するということでよろしいでしょうか。
論点1と論点5については、今後、どこでも扱わないということではなくて、報告書の中で必要なことについては書き込んでいくということで、そのときにまた御意見を出していただきたいと思いますけれども、今日の議論としては論点1と5を外す形で議論を進めたいということです。それでは困るという方がいらっしゃれば、委員の方々、論点1や論点5の重要性について何か御指摘いただくようなことがあればお願いいたします。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 論点2から4に絞るという点については異論ありません。ただ、確認をしておきたい点としましては、法規制としては消費者の承諾を取るということは、今回はフォーカスしないというのはいいのですけれども、事業者が積極的にチャット勧誘を受けることの同意を最初の画面で取るような事態は現実には考えられなくはない。そういうことを考えた場合でも、これから議論していく3ページに示されている規制の構造なのですけれども、そういった承諾を現実に実務として取ったとしても、勧誘対象の商品について販売目的が明示されていなければ、こういった規制の対象に入っていくという規制の構造だということで理解して議論をしていっていいのかというのは最初に確認させていただければと思いました。確認として以上です。
○後藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○小沼企画官 そのとおりでございます。
○後藤座長 丸山委員の御理解のとおりということですので、そういう形で進めたいと思います。清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 丸山先生の意見に同調で、現場のことを少しお話ししたいと思います。
昨年の6月に特商法が改正され、最終確認画面における法体制は非常に整っております。事業者が最終確認画面を結構書いてきているのですね。これは消費者庁の事業者向けの教育が徹底されているのではないかと思っております。
しかしながら、私たち現場で交渉していると、最終確認画面に書いてあるからもう一切いいでしょうという事業者が多くて、この極悪層をどうするかという悩みがあります。
最終確認画面を規制した後には、勧誘を規制すべきということです。また、最初にチャットしてもいいかと言って、恐らく事業者はそれを利用してきます。最初にチェックを入れさせて、消費者が納得したからチャットでやりましたというようなエビデンスに使われないようにするためには、今回、論点2から4、特にクーリング・オフ規定とか、不実の告知、再勧誘の禁止、いまやチャットで始まりチャットで終わる、チャットは電話勧誘とほぼ同じと現場は思っています。法律がなくても現場ではあっせんしていますので、ぜひとも今回、そのような方向性でまとめていけたらと思っています。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。それでは、ここでは論点2、3及び4に絞って議論するということでよろしいでしょうか。それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
まず、論点2について御意見をいただけたらと思います。御発言のある方はテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。15分ぐらいで議論をしたいと思います。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 これも確認だけでございますけれども、チャット機能を利用した勧誘のときに、現在あるような氏名と目的の明示をさせていくということでございますけれども、ここでは規制の対象ということなのかもしれませんが、人ではなくてAIによる勧誘みたいなものも今回のチャット勧誘の規律の対象には入っていく、そこで明示させるのは事業者の名前となるという理解でいいのかというのを確認させていただければと思いました。
○小沼企画官 事務局でございます。そのようなことを考えてございます。
○後藤座長 よろしいでしょうか。入るということですね。AI等についても勧誘規制の問題として考えていくということですね。どうもありがとうございます。ほかに論点2についてございますでしょうか。清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 論点2については、もう当然のことだと思っています。信じられないかもしれませんが、現場では、チャットでやり取りして、最後に連絡先が分からないとか、LINEしか連絡先が分からないと。消費生活センターではLINE社に情報開示請求ができませんので、弁護士に頼んでということになりますし、弁護士も情報開示請求をしてもなかなか電話番号を開示してこないという現状がある以上、そういった極悪層を規制するためには、最低限、販売に先立って目的を告げ、私はどこの誰なのだ、電話番号、メール、住所、そういうものを当然書くべき。まともな事業者はきちんと表示しているのですね。まともな事業者からすると何の問題もありません。今問題なのは極悪層を何とかするという規制だと思うので、この論点2は進めていただけたらと思います。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。黒木委員、お願いします。
○黒木委員 私も全く同意見であります。この問題につきまして、第5回ワーキング・グループの時に山田司法書士からも詳細な報告をいただいているところです。そのときからの論点がこういう形でまとまっているということですから、もうこれは当然入れなければならないものであろうと思います。事業者とは考えられない何とかママとかそういうような人とのやり取りで、一体何が何だか分からないうちに契約したのか、契約しないのか分からないうちに物を送ってくるとか、そんな話になるということはおよそあり得ないことです。したがって、これについて異論はないのではないかと思います。当然検討すべきだと思います。
○後藤座長 ありがとうございます。木村委員、よろしくお願いいたします。
○木村委員 私も当然これはやるべきだと思うのですけれども、確認なのですが、先ほど何とかママの話が出ましたけれども、そういう場合も何とかママではなくて、その後ろにいる事業者の名前を書くという方向で検討ということでよろしいのか、確認だけしたいと思いました。お願いいたします。
○小沼企画官 その方向で検討してございます。
○木村委員 分かりました。では、問題になっている、例えば何とかママという方ではないというイメージでよろしいですね。
○小沼企画官 事業者として検討しているところでございます。
○木村委員 分かりました。ありがとうございます。
○後藤座長 坂下委員、よろしくお願いします。
○坂下委員 あまり専門領域ではないので言える立場にはいないのですが、1点だけ。
氏名と目的の明示は同意します。私の家族の話で恐縮なのですけれども、訪問販売で来た際にこれは明示しなければいけないはずなのですが、そのときのチラシを見ますと、最後に小さく化粧品の勧誘をする場合がありますと書いてありました。チラシ自身は勧誘なんていうものは読み取れないものになっていました。そういうものも今回この中で議論して、明確に書けるようにしたらいいと思いました。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。事務局でいかがでしょうか。今御指摘のような問題も含めて考えていくということでよろしいですか。
○小沼企画官 検討いたします。
○後藤座長 ありがとうございます。奥山課長、お願いいたします。
○消費者庁取引対策課 現実に何が起きるだろうというのを考えてみたのですけれども、明示義務があったとして、明示しなかったことが実際に後で検証できるかです。真面目な事業者はやってくださるのでしょうけれども、そこは実際どうするのだろうと。事業者に記録を残させるというアイデアもどこかで拝見したことがあるのですけれども、デジタルデータはいじれるのですよね。そもそも確信犯的な事業者が取り繕ったきれいな美しい記録だけ残されたり。現実に通信された内容が、結構厚い通信の秘密の壁がある中で、規制になったらどうするのか、それはこっちで考えるのかもしれませんけれども、正直言って非常にハードルが高いなと。実際に前回出てきた例ですと、チャット画面に入る前の画面に一通り書いてあると。あれでは誰でも見れる画面ですので、後からも検証ができる。チャットに入ってからのところは、やはり法律が発動されるためには証拠が要るというのが大原則なものですから、画面の記録を残してくださいというのを最近いろいろなところでお願いしているのですけれども、ほぼそれに頼らざるを得ないことになるのかなと感じます。これは意見ではなくて、実際にこういうものが規制になったときにどういうふうに運用するのかなというのを考えた上でのコメントです。
○後藤座長 ありがとうございます。論点2の明示義務に関しては、技術的な問題もあるので慎重に調べる必要はあると思うのですが、ここでは技術的な問題はひとまず置いておいて、こういう規律を設けたいという方向で考えたいと思いますが、そんな方向でよろしいでしょうか。
○黒木委員 技術的な点は今後。フェイスブックのチャットはすごく昔の分まで見られるのですけれどもね。
○清水委員 消費生活相談センターでも再現しているのですよ。スマホがないから自分のスマホで再現するのに、変な出会い系とか定期購入ばかり出てくるのですけれども、偽名を使ったりしてやっているのですけれども、画面がころころ変わる。同じ業者でももう再現ができないというのは今もあるので、確かに奥山課長が言われたのも分かるのですけれども、技術的な問題は後でついていきます。
○後藤座長 ありがとうございます。
○黒木委員 少なくとも大所高所から意見を申し述べる立場からすると、技術中立性を前提として対応させていただきたい。
○後藤座長 丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 やはり立証の問題というのは、実際に動き始めたら出るのかなと思います。技術的なところもそうだと思いますし、立証責任の所在というか、そういった証拠を出させる仕組みがこういった氏名等明示義務のところまで拡大できないかなど、積極的に検討をいただければありがたいかなと思います。以上です。
○後藤座長 重要な御指摘をありがとうございます。坂下委員、よろしくお願いします。
○坂下委員 ありがとうございます。今、技術の話が出たので一言お伝えします。今回のこの件は、登場人物が3人います。舞台を用意する人、舞台の上で物を売る人、舞台の上で物を買う人。今、物を売る人と物を買う人に対してこの論点が提示されています。
それに対して技術は何が対応できるかというと、対応できるものはあります。それがコスト的に妥当なものなのかどうかというのはまた議論になると思います。ですから、まず一旦はこの論点で仮置きをして、やれるかどうかを考えて、やる方法をみんなで議論していくということでいいのではないかと思いました。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。それでは、論点2については以上とさせていただきたいと思います。
恐縮ですが、私の進行で、順序が適切でなかったところがありまして、改めて考えていただきたいのですけれども、ただいま論点2、3、4について議論しているわけですけれども、その前に類型③について事務局資料の整理でよろしいかどうかということを確認したほうがよろしかったわけです。勧誘規制の対象外の例として類型③を出していますけれども、これを勧誘規制の対象外として問題ないかということです。論点についての議論はちょっとストップさせていただいて、類型③を対象外にしてよろしいかどうかということについて御意見がありましたらお願いいたします。清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 現場で相談を受ける限りなのですけれども、対象外にしていいと思います。トラブルはまた別でいろいろあるのですけれども、チャットが問題でというトラブルはないものですから、これは対象外で賛成です。以上です。
○後藤座長 ありがとうございます。ほかの委員の方、いかがでしょうか。類型③について、資料3の6ページでありますけれども、不意打ち性がないということで勧誘規制の対象外として扱うということですが、それで大丈夫かどうかというお尋ねですが、御意見がありましたらお出しください。
○消費者庁取引対策課 また頭の体操なのですけれども、ずっと議論されてきた情報商材の例で言うと、ホームページのつくりを変えて、勧誘の対象となる商品等の販売目的を明示的に告げればあのケースはオーケーになるということですかね。消費者にチャットを開始させていますし、そうすると、事業者はそっちに逃げていくということですか。議論のための議論です。
○清水委員 逆に、そうだからこそ、今の論点の2から4のいよいよ新しい取消権というのが必要ではないでしょうか。相談の現場では、クーリング・オフという概念が市民権を得ていて、先日も、チャットでやって途中で何かおかしいなと思ってやめたいと思ったけれども、最初に自分がやりますと言った以上断り切れなかったと。途中で、クーリング・オフがあるからクーリング・オフすればいいと思って契約してしまったという方もいらっしゃることから、私たち相談員は全て対象にしたいところなのですが、まともなきちんとやっている事業者の方たちの営業妨害をするようなことは、私たち相談員は望んでいませんので、あくまでも極悪層を規制したいというところからすると、まずはこの規制を外す。そうすると、当然、この規制を外したところで利用する極悪層がまだ出てくる。そうしたときにちゃんと取消権がないといけないと私は理解をしておりますが、事務局、これで間違いないでしょうか。
○後藤座長 事務局、その点についてはいかがでしょうか。
○清水委員 言い方がまどろっこしくて分かりにくいのですけれども。
○小沼企画官 その方向で考えております。
○清水委員 ありがとうございます。
○後藤座長 取消権を類型③の場合についても手当てしなればいけないということですか。
○清水委員 別に手当てしなくて、対象外であったとして了解があったとしても、内容的にいかないですか。
○後藤座長 新たな規制を類型③について入れないとすると、消費者契約法の取消しの要件を満たせば消費者契約法の適用はあると思いますけれども、それ以外の取消しの手当てまではしないということになろうかと思うのですが、そういう理解になりませんか。どうでしょうか。
○黒木委員 だから、類型③を外してしまうと、おっしゃるとおりで、結局のところはホームページを見ました、それでホームページで積極的に本人がチャット機能を使います、そうなってくると不意打ち性がないということで、通信販売規制だけになるということですね。
○清水委員 そうですね。だから、通信販売だから、今でもやっているのですけれども、消費者契約法の取消しという。
○黒木委員 だから、対象物の問題とか、そっちの方向に行ってしまう。
○小沼企画官 事務局から御説明させていただきます。類型③は、先ほども申し上げたとおり、通常の通信販売を想定しております。例えば、テレビショッピングを見て、消費者から販売業者にチャット機能を利用してエアコンの購入を申込みした場合は、通常、特段の消費者被害が生じることはないと考えておりまして、現行の通信販売の広告規制と。
仮に、その後、テレビショッピングを見て、消費者から販売業者にチャット機能を利用してエアコンの購入に当たっての問合せをして、そこで消費者の気が変わり、消費者が販売業者のエアコン購入を断ったにもかかわらず、しつこく販売業者がエアコンの購入の勧誘、つまり再勧誘を行った場合には類型①で手当てできる。
さらに、テレビショッピングを見て、消費者から販売業者にチャット機能を利用してエアコンの購入を申込みした際に、販売業者から消費者に併せて洗濯機の購入の勧誘を行った場合は類型②で手当てできる。
いずれにしても、通常の通信販売以外であれば、事務局といたしましては類型①、②で手当てできるのではないかと考えているところでございます。
○後藤座長 黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 奥山課長がおっしゃった、例えば情報商材とかを本当にホームページを見て知りたいなと思っている人がいて、それでチャットで話をして情報商材を取ったという場合は類型③だと思います。この場合は情報商材の内容が価格と合っているかとか、そういうような話になってきて、それは消費者契約法の適用問題であって、特商法は少なくともそこでは機能しません、このような理解になりそうですが、いいのですよね。仮に、今エアコンという機能も大体みんなが一致しやすいものでお話をされましたけれども、奥山課長から頭の体操という問いかけとしておっしゃったことを入れれば、そういう話になっていくのだという理解しておりますけれども、それでよろしいですよね。
○小沼企画官 はい。
○黒木委員 ありがとうございます。
○後藤座長 ありがとうございました。指名して恐縮なのですが、丸山委員、この点、もしお考えがあったらお聞かせいただけたらありがたいのですが。
○丸山委員 ありがとうございます。皆様が発言しているところと同様になるのですけれども、現在、本ワーキング・グループでフォーカスしているのは、一般的な通信販売のように自由に選べる状況にはなくて、非常に情報が限定される中、密室でのやり取りで十分に合理的な意思決定ができない、そこにフォーカスして電話勧誘のような規制を入れられないかというのをまず議論しているということになります。
今ありました問題提起は、情報商材というものが普通の通信販売のように選べる状態で、チャットのやり取りをして、さらに説明を受けて買うということもあり得るのではないか。ただ、情報商材というのは価格に見合う商品でないことも多いのではないか、そこに問題が残るのではないかという御指摘であったと思います。
その点については、確かに問題は残るかもしれないのですけれども、それにつきましては今回フォーカスしているような状況に限定されるのではなくて、例えば消費者契約法のところで契約不適合責任について、特に消費者契約だからということで対応しやすくするような規律を入れるとか、あるいは現在ヨーロッパのほうではデジタル商品とかデジタルコンテンツにフォーカスして契約不適合責任をアップデート義務なども含め法制化し、契約違反、合意した品質に合わないというところにフォーカスした消費者法の規律も充実しているところでございますので、今回のワーキングの話は別の局面に光を当てているのですけれども、そうした少し広い意味での消費者契約における契約不適合責任というものをしっかり規律していくことが必要かどうかなど、別の次元における議論が必要となると思います。課題は残るということについて異論はないのですけれども、今回フォーカスしている局面とは次元を異にしていると私自身は整理しておりました。以上でございます。
○黒木委員 全く同じです。
○後藤座長 ありがとうございました。丸山委員にもう少しお尋ねしたいのですが、今の御発言の中で、消費者契約法の中に契約不適合責任についての規定を入れるというアイデアをお出しになっているのですが、これは民法の契約不適合責任を適用するのでは足りないという認識の下にそうおっしゃっているのでしょうか。その辺、確認させていただけたらと思います。
○丸山委員 民法に契約不適合責任がございますので、これ自体を活用していくというのはもちろん必要でございますし、電子商取引の準則等で解釈論というのは精密に展開されているところでございますけれども、消費者の購入商品にフォーカスしてどうやって契約不適合を判断するのかという点であるとか、あるいはそこまで行けるかどうかも大問題でございますけれども、消費者側の立証責任を何らかの形で消費者契約については軽減できないかという問題もあると思います。
昨今ヨーロッパで導入されているのは、デジタル商品とかデジタルサービスに関する契約不適合責任なのですけれども、そこでは不適合の判断の仕方が特有になってきたり、アップデート義務のような義務を消費者契約にフォーカスする形で入れるということをしておりますので、少し広く視野を取っていただいて、そういった消費者契約に適合的な契約不適合責任という規律が果たして必要かどうか、それがどの範囲で必要かということも本来は深く議論しなければいけない問題ではないかと思っております。もちろん民法の活用はしていかなければいけないと思うのですけれども、判断基準を詳細にしたり、立証の辺りで何か手当てできないのかということは検討課題としては設定できるのではないかと思います。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。大変勉強になりました。事務局、お願いいたします。
○友行参事官 直接の担当ではないのですけれども、発言させていただきます。今のところを念のため確認なのですけれども、奥山課長から御指摘のあった類型③のところについては、最初に販売目的とか販売商品などを明示していて、その後、消費者からチャットをさせる。このチャットのところで何か事業者が悪さをしたとしても、勧誘規制が本来あれば、そのほうの規制で取り締まるべき出来事があったとしても、それは今回のこちらの手当てではもう対象外なのだということで整理していいということでよろしいのかどうかというのをもう一度確認したいと思います。
そもそもチャットというのは、文字ではあるけれども、消費者を実質勧誘しているのではないかというのがこのワーキング・グループの問題提起のスタート地点だったわけです。それが、チャットが出てくる場所によって、これは文字だから広告として規制すればいいのです、消費者契約法で対応できるのですと、時にはそうなったり、こっちはチャット規制が今回かかるので勧誘規制でやりますよということで、チャットがどの画面に出てくるかによって手当てする規則が違うというような整理にこのままだとなると思うのですけれども、それでよろしいかということを念のためもう一度委員の先生方で合意を取っていただきたいと思います。
○後藤座長 今の参事官の御発言ですけれども、いかがでしょうか。
○黒木委員 今御指摘いただきましたけれども、少なくとも類型③につきましては、取引としては初めから終わりまで一貫していて、ホームページに書かれていることについて詳しく情報をもらって、そのままホームページ記載内容の契約で終わるという類型だと僕は思っているのです。不意打ち性なしと書いてあるので。もしも、先ほど小沼企画官がおっしゃっていましたけれども、ここでチャットのところでほかのことを言い出して、ほかの話になってくれば、そこはまた別の論点2、3、4というのがかかってくるはずです。したがって、少なくともこの類型③の意味は、ホームページに書かれていることについて詳細を確認して、それで買ったというような場合であればいいよということだけではないかなと思っています。あとは、対象物件に関する品質とか機能という問題に関しては、契約不適合責任という丸山先生の理解のとおりだと思っています。確かに、ここでチャット機能が入っていますけれども、ここで別の話、別の物、別の商材、そういうところに話が広がれば、それはまた別の論点2、3、4が生きるということで考えられるということではないかなと思います。
○後藤座長 友行参事官、お願いします。
○友行参事官 別の商材ではなくて、例えば一つ買おうと思っていたものが物すごくしつこく再勧誘をされて2個買うことになったとか、そういった場合は再勧誘の規制が入っていなくても大丈夫ですか。
○黒木委員 本人は1個しか買わないつもりだったのが2個になっていけば、それは別の取引ではないでしょうか。
○友行参事官 それは別の取引ということで整理されて、類型①や類型②のほうに流れていくという立てつけだということですか。
○黒木委員 はい。契約個数が、初めから本人が1個だというのを2個に変えさせられた、例えば2個買えば送料が無料になりますという話になってきたときにどうなるのかということはまた考えなければならないのかもしれませんけれども、少なくともこの類型③は、事務局はそういうふうに限定されているのではないかなと理解しています。
○後藤座長 清水委員、お願いいたします。
○清水委員 非常に悩ましいのですが、現場で当てはめると、今、情報商材専用のプラットフォームがあるのですね。多いのは、マッチングアプリでやり取りして、私と一緒に投資をやらないかと言ってSNSに入っていくパターンと、消費者自らがもうけたい、副業をやりたいといってホームページに入っていくパターンをイメージしているのですけれども、ホームページに入っていって、表示があって、Aの情報商材を買いたいと言っていても、そのAという情報商材を買おうとして、これからチャットしていいよと言ったとしても、Aという商材は無料であるとか、5万円だと言っているのですね。5万円だと言いながら、消費者はやりたくてしようがないですから自らチャットをしていく中で、いやいや5万円というノウハウでは駄目なのだ、100%保証付きで50万円ならいいよというふうにやっていくとすると、私はこの理解として、類型③だったものが、不意打ち性なしではなくて、突如不意打ち性ありになったら2から4に行くのかなという理解をしてしまったのです。心配の点は参事官が言っている点と一緒なのですけれども、なかなか敷居が高いとするならば、こういう対象外の規制を入れておきながら、でも、フローチャートで、言うこと聞いていますよと言ってもいきなりはみ出すのですよ。絶対にこういう対象外例をつくると、これを利用するのが極悪層です。今の定期購入もそうなのです。6月にせっかく法改正をしたのに、それをくぐってすごい悪さをするわけですね。そうすると、これをつくったとしても、当然これを悪く利用する人たちはいるので、やはり2から4というようなフローチャートに行くという理解がないといけないと思うのです。言っていることは一緒ですかね。すみません、頭が悪くてよく分かりません。
○黒木委員 同じことだと思います。参事官がおっしゃることはよく分かるので、これはまともな人しか使えませんという王道でしかないということなのでしょうけれども。
○後藤座長 友行参事官、お願いします。
○友行参事官 そうした場合に、類型③では、最初に販売目的・商品を告げるというのは、どこまで告げておくかということが大事ということですか。個数、商品を徹底的に明示しておいて、それをただ買う場合ということになりますね。それが現実的かどうかということも併せて考えていただきたいのです。
○黒木委員 これは、例えばアマゾンの本を買う場合も入ってくる可能性があると思います。アマゾンは、チャットは無理なのかもしれないけれども、例えばほかのECサイトで買おうとすると、モールによっては販売店とやり取りがチャットでできたりするのですけれども、それも本人がちゃんと分かっていればよいと考えます。販売店が持っている商品でチャットで、ただ出荷時期とかを詳しく聞いただけというときでしかないということなのではないかなと思うのですけれどもね。
○清水委員 問題は、アマゾンで買う本は、ノウハウ本なんかは山ほどあるのですね。それが1万もしないのですよ。けれども、情報商材になると、ノウハウ本が例えば5,000円ぐらいのものが50万円になってしまうという現実があって、そういうものの商品の属性をどこまで書くかというのが確かに難しいです。ただ、アフィリエイトなんかで典型的なのですが、誰でもすぐもうかると書いてくれているので、私たち相談員は「うそだ」と言うのですね。それはアフィリエイト協会にちゃんと実績をもらって、何万人に1人しか1,000円以上の収入が出ていないよというデータを持っているから交渉できるわけなのです。だから、この問題としては、商品の明示をするというのは、情報商材は相当具体的にやらないと絵に描いた餅になることは心配しています。意見です。
○後藤座長 木村委員、よろしくお願いいたします。
○木村委員 今のやり取りを伺っていて、最初の類型③のところで、販売目的とか、商品が例えば1個1万円ときちっと明示していて、チャット機能を始めたときにそうではない物を提示されたときに、ほかの類型に移る、そういう理解でよろしいでしょうか。例えば、先ほど例に挙げていましたけれども、2個買ったら送料が無料になるとか、何割引になりますということが初めに提示されていればいいけれども、そうではない場合は不意打ち性になるのでという理解でよろしいのですか。
○後藤座長 私の理解は、他の類型に移るというよりは、むしろ他の類型で対応できるものなので、類型③は除外するという理解なのです。
○木村委員 大抵の場合はそうなのですが、悪徳事業者の場合を考えるとどう理解していいのかなと。もう少し明確に議論したほうがいいかと思いました。
○消費者庁取引対策課 個数は物すごく難しいと思うのですよね。同じ物を何個買うかというのは、別に内容が隠れていたわけでもないですし、個数がまとまって割引、送料無料、ではまとめて買っておこうかというのは。
○木村委員 それでお得に買って納得すればいいのですけれども、そうでない場合は困りますよね。
○消費者庁取引対策課 でも、後で買い過ぎちゃったと後悔することも私は自分であるような気はするのですけれども、内心の問題になっていくと分からないですよね。
○木村委員 普通、通信販売の場合はどうなのですか。
○清水委員 通信販売の場合はきちっと最終確認画面に、そういう特典があっても、まともなところは3個になっていますけれどもいいですかと聞いてくれるのですね。そこで消費者は三つでいくら、割引額がいくらと出てくるので、ほとんど相談はありません。ただ、今、奥山課長が言われたように、深夜に判断能力がないときにやっているものですから、一つか二つ買っておけばいいものを10個買っちゃったから後でどうにかしたいと言っても、それは仕方がないと思いますし、今回はそういうケースはイメージしていないので、問題ないと思います。
○後藤座長 ありがとうございます。丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 線引きの難しい問題の議論に入ってきているのかなという印象はあるのですけれども、おそらくイメージとしては類型③はここに掲げられているような限定されたケースが例外になるという理解なのかなと拝聴しておりました。今までの特商法における経験が役に立っていくのかなと思うのですけれども、相談員の皆さまのほうが詳しいと思うのですが、例えば少し違う規律のところですが、来訪要請に当たるかどうかのところで、例えば5,000円で済むと思ってトイレの修理を頼んだら10万円取られたみたいなときに、そこは来訪要請した取引に入りませんよ、といったことを解釈として特商法は経験として積んできているのではないかなと思います。
そういったこれまでの経験も踏まえて、こういった例外とそれには当たらない場合というのも議論していけるのではないかと思ったのですけれども、限定的に捉えていくという方向で対応ができるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○後藤座長 清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 丸山先生、ありがとうございます。まさしくそのとおりで、これを決めて、さっき言った不意打ち性になってくれば当然クーリング・オフができますという、まさしく今の生活レスキューの問題ですね。あれは消費者庁がちゃんと明確に表示してくれて、消費者に向けてホームページにもアップしています。やっとあれが皆さんに知れ渡り、また事業者も少しは言うことを聞いてくれるようになっている現実がありますので、そんなイメージで私も今思っております。以上です。
○後藤座長 ありがとうございます。確かに特商法で適用除外とされているものについて、こういう範囲で適用除外になるというような知恵が積み重なってきていて、通達なんかを出していただいたということで、類型③は、そういう問題領域なのではないかなという感じはするのです。いずれにしても、類型③を除外という形にするとしましても、報告書では除外についてある意味限定をかけるというような方向で考えていくことがよろしいのではないかと思いますので、ここで方向性を決定するというよりは、類型③を一応除外としておいて、報告書の段階で慎重な書きぶりにしていくという方向性でいかがかと思うのですが、どうでしょうか。黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 友行参事官からきちっとした問題提起をいただいたおかげで、この論点が非常にシャープになったと思います。ありがとうございました。基本的には今の座長のおまとめのとおりでして、これが大きな抜け穴ですよというような話ではなくて、まともな人たちはこれで安心できますよというレベルでしかないよという話でまとめていくことになるのだろうなと思っております。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。
○消費者庁取引対策課 今の黒木先生のおっしゃるとおりだと思いまして、実際に類型③がどういうふうに事業者に対して作用するかというと、恐らくチャットを使った通販はこのやり方でやりなさいと、抜け穴というよりは逆に規範として作用すると思います。そうでないと、相当いろいろな足かせがかかるというのが今議論されている立てつけでしょうから、その意味で規範としてここはしっかりと規定していく、むしろここが肝になるのではないかなと見ております。
○後藤座長 ありがとうございます。それでは、論点の検討に移ってよろしいでしょうか。
時間が足りなくなってしまっていますが、論点3について10分程度で御意見をお出しいただけたらと思います。黒木委員、お願いします。
○黒木委員 これは、このワーキングの設置目的そのものではないかと思っています。基本的には文字か音声かが重要ではなく、通信販売というのはマスに向かって同じ取引条件を提示して、それに対して多くの方々がどう反応するのかということが通信販売である。これに対して、SNSみたいになってくると消費者に対するオーダーメイドの話になってくるわけですから、音声の電話だけがオーダーメイドであって、SNSはオーダーメイドではないみたいな、そんなばかなことはもう今はないと考えます。通信技術が変わっているわけですから、そこは新しい通信技術に従った新たな規制類型をつくることが必要だと思います。先ほど奥山課長がおっしゃいましたけれども、ある意味では従順層に対して類型③みたいなことをしておけば安心ですと。そうではなくて、SNSを利用してオーダーメイドでほかのいろいろなことをやろうとすると、それは電話と同じですよ、場合によってはクーリング・オフの対象になりますよということをすることによって、まともな通信販売はよりまともになっていくという機能を持つと思います。これは当ワーキング・グループの肝ですのでぜひ入れてください。入れましょう。
○後藤座長 ありがとうございました。丸山委員、よろしくお願いします。
○丸山委員 ありがとうございます。私のほうからは、現行の特商法を前提とした場合の確認でございます。
電話勧誘並みの規制を拡大していくというお話なのですけれども、こういった目的を秘匿してチャットの勧誘をするという場合に、現在、例えば訪問販売の規律では、目的を告げないで人が出入りしないところに連れ込んではいけないみたいな行為規制があるのですけれども、チャットの空間での勧誘は、目的秘匿でそこで始めるということ自体が禁止行為に入ってくるというイメージになるのかどうかという現在のイメージの確認でございます。
もう一つ確認をしたいこととしましては、実際、現在の消費者契約法だけが適用される状況、景品表示法が適用されるだけの状況と、どこが大きく違ってくるのだろうかといろいろと考えていたところなのですけれども、最近のこういったチャット勧誘のところでも多く見られる勧誘の方法として、残り何名だとか、何時までに契約しないともう受付できませんというふうに焦らせる現象が見受けられると思います。
そこでは、現行法の解釈の確認になるのかもしれませんけれども、特商法の6条1項7号のところの不実告知の禁止とか取消しの話なのですが、仮に残り何名とか何時までしか受け付けないみたいなことが虚偽であることが立証できる場合、特商法の場合だと6条の2のところで資料提出も可能となりますので、行政の力を借りてということになりますけれども、立証できるような事態も考えられ、残り何名とか何時までと焦らせると、それが実際は虚偽であるという場合は、6条7号と、9条の3の取消しの射程に現行法でも入ってくるのかどうかというのは、現在の解釈論の問題なのですけれども、一度確認させていただきたいなと思っておりました。ワーキング・グループそのものの課題ではないかもしれないのですけれども、規律が拡大した場合にどこまで何が使えるのかを少しイメージしておきたかったので、事務局から何かお考えがあれば聞かせていただければと思いました。
○後藤座長 これは事務局か、あるいは奥山課長か、御発言をいただけたらと思います。
○消費者庁取引対策課 今、引用されていた条文は訪問販売だと思うのですけれども、通信販売でも不実、虚偽表示といいますか、それは禁止規定がありますので、それはおそらく現行法の通販の枠内でも対応ができるところだと思います。立証は割と楽で、いつ見ても「残り3名」であるとか、いつ見ても「あと5分」とか、それは割と分かりやすいです。ただ、チャットの密室性の中でそれが記録として証拠として取れるか、そっちの技術的な話になろうかと思います。
○丸山委員 分かりました。消費者契約法だと4条5項で不実告知取消しの対象というのが重要事項に限定されていましたので、そういうものが行政の力を借りて、これは虚偽だと立証できて取消しできるとなると、それは結構助かるかなという感じがしましたので、確認が取れるのは助かるなと思いました。以上です。ありがとうございます。
○後藤座長 ありがとうございました。ほかに論点3について、御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。続きまして、論点4について御質問や御意見ある方はお出しください。よろしくお願いします。黒木委員、お願いします。
○黒木委員 基本的には、先ほども申し上げましたけれども、文字か音声かということではなく、ピアツーピアでやっているという、通信的には電話もチャットもピアツーピアであり、不意打ち性の有無に拘らず類型的に電話勧誘販売の場合はピアツーピアで取消しができるわけです。そうすると、チャットの中で不意打ち性のあるものというふうにすることは逆に機能しにくいのではないか。むしろ、チャットもピアツーピアなのだからということで考えていっていいのではないかと私はずっと思っていたのです。だから、4-2がよく分からないという感じです。私の今までずっと参加した理解はそうでしたということを申し上げました。
○後藤座長 黒木委員の今の御発言は、論点4のところで、「規制の対象を不意打ち性のある形態(目的秘匿型など)に限定すべきか」という問いかけがあるのですけれども、これについてですか。
○黒木委員 電話であれば不意打ち性があるとかないという議論をあまりしませんよね、ピアツーピアというチャットの特質から考えたら、それと同じでいいのではないのですかと申し上げたい。ピアツーピアだから。
○後藤座長 不意打ち性以外の要素も考えていくべきだということになりますか。
○友行参事官 先生方のお手元に資料2と3と二つあると思いますけれども、資料2の13番と資料3の3ページの図を照らし合わせて御確認いただいたほうがいいと思います。ここにも、不意打ちあり、なし、勧誘規制の対象、対象としないという図が出てきていますので、それとリンクしている話ですから、そこを併せて絵を見て御議論いただければと思います。
○後藤座長 参事官がおっしゃっているように、全体の設計図は不意打ち性があるかないかということで分けて議論をしてきたのですけれども、そういうことでいいのかどうか、ここでまた確認したいという趣旨で今議論しているのですが。
○黒木委員 結局、論点2で考えれば、常に不意打ち性はあるのではないか。この理解なのですけれど。結局、電話勧誘販売だって不意打ち性があるとみんな言っているわけではないですか。そうすると、チャットも全部不意打ち性ありということになって、規制の対象になるよという目で見ていいと考えています。不意打ち性があるかないか、チャットの流れをずっと見ていかないと判断できないということだと、例えば訴訟の例でいくと、LINEとかでずっと何日にもわたるチャットのあれをプリントアウトして見ていって、どこから不意打ち性があるとかないという話をしなくてはいけなくなるようなことをするのはばかげているという感覚です。それだったらもう電話と同じように、こういう話になったら常に類型的に不意打ち性ありだというふうに論点2で考えれば、論点3があるのだとすると、もう論点4は当然のように、チャットであればこうなるのです、電話勧誘と同じですということでよいのではないか。逆に言うと、類型的に不意打ち性ありだと。
○後藤座長 先ほど議論した類型③というのは、不意打ち性がないということで除外をしているのですよね。
○黒木委員 直接やり取りをしている場面であればいいわけですよね。つまり、電話勧誘販売と同じような形で、チャットが来ればクーリング・オフの可能性がある。
○後藤座長 類型③の場合、テレビショッピングなんかで。
○黒木委員 除外しているやつですね。
○後藤座長 除外している。その除外の理由が、不意打ち性がないから除外するのだという理屈だと思うのです。
○黒木委員 だから、チャットでいきなりピアツーピアが始まれば、電話勧誘と同じですねと言っている。だから、あれはホームページを見て、アクセスして、チャットが始まって、ホームページの内容を詳しく聞いて買うということだから不意打ち性がないというか、これは今までの通信販売と同じ類型で、途中にチャットが入ったとしても、詳細のディテールを聞くだけだからいいですねということであって、前のところで言っている資料2でいくと、論点3-1のところで、チャット機能で突然やり取りをしてしまえば電話がかかってくるのと同じだから、したがって、こういう形で始まれば、いずれにしろ類型的に不意打ち性があると。この中で不意打ち性があるものがあるかないかという話を始めると、大変なことになりそうだなと思うのですね。
○後藤座長 言葉の問題になってしまうから恐縮なのですけれども、チャットを用いた場合でも不意打ち性がない場合もあって、だから類型③を除外すると考えるのではないかと思いますが、チャットの場合は類型的に不意打ち性があるということですか。
○黒木委員 そうです。電話勧誘みたいなピアツーピアになってしまえば、ベースは電話勧誘と一緒でしょうと。ただ、それを言っているだけです。
○後藤座長 ありがとうございます。坂下委員、よろしくお願いいたします。
○坂下委員 私、不意打ちの話で書いたのではないのですけれども、大丈夫ですか。
○後藤座長 大丈夫です。お願いします。
○坂下委員 さっきのこの論点の中で、類型のほうで見たほうがいいと思うのですけれども、類型②というところがあって、ホームページの不明示があって消費者にチャット機能の利用を開始させるというところがあるのですけれども、私が伺いたかったのはこの議論の中で隠れBというのは論点に入るのですかという質問です。隠れBというのは、取引データプラットフォーム消費者保護法が成立しておりますが、私はシェアリングエコノミーの認証委員もやっており、これは関係しています。その中で、CtoCをやっているように見せかけて実はBですと。それはやばいよねという話が法案の議論をしている当時あったと思います。それで、向こうのほうはルールができたのですけれども、こっちのほうはこれまでの議論でいろいろな事例を聞いていると、それも多いような気がします。隠れBのところも入るのかというのが事務局に対する質問です。以上です。
○後藤座長 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
○小沼企画官 入ると考えています。
○清水委員 実際、現実にこういう事例が今多いので、当然。
○後藤座長 入らないとは言えないですよね。
○坂下委員 ありがとうございます。了解しました。
○後藤座長 飯島委員、よろしくお願いします。
○飯島委員 論点4と、あとよく理解が及んでおりませんで、先ほどの類型③の適用除外というところと自分の中で関連させて質問させていただきたく存じます。類型③は規範として作用する重要なものになるという御発言がございましたけれども、そういった行為規範として作用することを念頭に類型という形でプロセス全体を見渡す場合と、紛争解決規範として作用する場合、その場合には要件効果で捉えて、プロセスの分節化といいますか、チャットの中で、しかも不意打ち性という要件を満たすときにこの規律がかかってくるという場合とは特に矛盾しないのではないかと考えておりました。
続いて、論点4で、不意打ち性は要件となるのかということに関連しまして、資料2の13ページで、チャット機能の特徴として、密室性以下、改めて確認していただいていますけれども、こういった社会的な事実といいますか、立法事実というものと、要件としての不意打ち性というものは区別されるべきものかとも思うのです。不意打ち性というのが、消費者法の分野では当然かもしれませんけれども、どのように要件として成り立つのか、また、要件として不意打ち性となったときに、効果として電話勧誘販売規制と同等ということに当然になるのか、よく理解できずにおります。そこの辺りの混乱しているところも御指摘いただきながら御説明を頂戴できますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
○後藤座長 お願いいたします。
○事務局 事務局でございます。飯島先生に御質問いただいた不意打ち性をどういうふうに要件にするのかということですけれども、不意打ち性そのものを要件に入れるというイメージではございません。電話勧誘販売の条文を参考にして同じような形で、不意打ち性そのものが要件として入ってくるというよりは、「販売業者のほうから電話をかけ」に当たるところが「販売業者からチャット機能を開始して」となりますし、「政令で定める方法により電話をかけさせ」に当たるところに、「政令で定める方法によりチャットを開始させ」という形で、不意打ち性のある類型を検討することとなるのではないかと考えておるところでございます。
○後藤座長 そうですね。私も同じで、不意打ち性というのは特に要件という位置付けのものではなくて、チャットを用いて勧誘するということがあるとすると、チャット勧誘の特色というのか特徴ということであって、そのうちの非常に重要な特徴と考えているので、手がかりとして不意打ち性があるかないかということを考え方の基本に置いているのですが、要件として考えているわけではないというのが私の理解なのです。
○消費者庁取引対策課 なお要件が要ると私は考えるのです。なぜなら、ピアツーピアの通信は、今パソコンなりスマホなりで行われている通信はみんな個別なのですよね。広告表示にしても、どういうページをたどってきて、どういう属性の人であろうからどういう広告が出ると。その広告も、1回見たのか、何回か見ているのか、その辺も分かるわけですね。大体何時頃に見るのか、何時頃に購買行動を起こしやすい人なのかが分かった上でいろいろ表示していて、チャットというのはテキストデータだけを今想定していらっしゃると思うのですけれども、広告画面に関しても、広告を出している側からすると、素性の知れた消費者との一連のやり取りのメディアとして捉えられているのではないかと理解しています。そうすると、単なるテキストのやり取りより、画像とか動画とか、そういうもののやり取りにしても相当個別性が出てくるのだろうなと考えられますので、一体何がチャット性なのか、何が不意打ち性なのか。
例えばメールのやり取りを通して勧誘を受ける、これも多分あるのですよね。メールがどんどんリアルタイムで進んでいくと、チャットと同じような雰囲気になる。今まさに、メールでもチャットと同じようなインターフェースで表示するようなメールソフトがあります。そうすると、それはメールですけれどもチャット勧誘なのですかとか、そこはある程度要件をもって、何が入って何が入らないのかというのはしっかり決めないと、何でも入り得る規制になると、通販の今の世の中の大きさからすると、なかなか「はい、そうですか」と言ってもらえる規制にならないのではないかというのは物すごく心配をするところです。
○後藤座長 黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 今の点ですけれども、Cookieを利用して行われている画面表示がそれぞれのパソコンユーザーによって全く違いますというのはおっしゃるとおりなのです。しかし、これはまた別の論点として、個人情報とか、Cookieとか、GDPRとか、そっちのほうの話になるのだと思うのですよ。そこまでの法規制のありかたを考えなくてはならないとなったら、特商法ではもう絶対できないことになると思います。それはもっと大きなEUのGDPR規制を導入するか、Cookieをどう利用するのかとか、Cookieをどこまで開示させるのかという話をこの特商法の改正で始めたら、それは恐らく絶対無理だと思います。そうすると、少なくとも一定の事業者が今のところ考えられているチャットというものをもう少し定義をしろとか、ピアツーピアだったら、メールだってピアツーピアではないかとおっしゃったら、そうかもしれませんけれども、いずれにしろチャットというところで社会的に認知されているものだけ、少なくともこういうことを入れておいて、しかも既読がついてずっとやっていくというような新しい技術に対して、これは電話と同じだよねという観点だけで規制をするとして、おっしゃるようなところはまた別の考え方でやらないと。御指摘は非常に正しいのですけれども、これまで特商法で対応するかという話にもなってしまうのではないですかね。GDPRというか、Cookieまでやり始めたら、これは個人情報保護法の話とか、今は技術がどんどん融合しているので、そう思いますけれども、いかがですかね。
○消費者庁取引対策課 さらに、Cookieを使わないでどんどん個人を特定するような方向になっていったり。
○黒木委員 もう技術はどんどん。
○消費者庁取引対策課 そうなのですよね。だから、割とプリミティブなところだけ切り分けて何とかして、それでいいのかというところになると思うのですね。
○後藤座長 確かに難しい問題ですね。
○黒木委員 ただ、今まさに、完全に法が沈黙してしまっているところが問題なのだと思うのです。だから、おっしゃるとおりで、パソコンの画面は一人一人それぞれ違うぐらいになっているのですけれども、そこではなく、少なくともそれを事業者がよりアグレッシブに、単なる画面を表示するだけではなくて、事業者から付き合ってくるというか、まとわりついてくるというか、そういうところの一つの類型としてチャットがあるのだということを考えて、ぼうっとしているときに電話機が鳴って呼び出されるのと同じように、画面の中にポップが出てきて、いろいろな話が始まるというのは電話と同じではないかという意味で、まずここは規制をしましょうと。画面の横のところにいろいろ出てくるというのは、電話ではないよねというのでいいのではないかなという気がするのです。そうしないと、もうずっと何もできなくなってしまうという私の意見です。
○後藤座長 ありがとうございます。丸山委員、よろしくお願いします。
○丸山委員 資料3の「論点の中で特に重要と考えられるもの」の6ページの類型③ですけれども、まず確認をしたいと思いましたのは、勧誘規制の対象外の例として、チラシから入力補助まで①から④というふうに並んでいるのですけれども、それとともに、一番下のところにある、ホームページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げている場合については対象外となりますと記載されています。ホームページ等において勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げているというのをどのように考えるのかというところを詰める必要があるのかなと思いました。仮に、最初の場面のところに情報商材について勧誘することがありますよ、といったことを書いているだけでは、どういった商品かは分からないということになりますので、そこからチャットが始まったら不意打ちがある、そのようなスキームで類型②のほうに入っていくのかなと思うのです。
他方で、先ほど情報商材のプラットフォームがあるみたいなお話が出てきたときに、通販サイトのように、情報商材が、これは1万円コースです、これは10万円コースです、これは20万円コースですと並んでいて、どれがお客様にふさわしいかはチャットで相談できますよとなっていて、チャットでアクセスした。そこで、消費者としては安いほうがいいと思っていたけれども、10万円のほうに誘導されてしまったときに、この場合はホームページ等で示されているという点では電話勧誘のような不意打ち性はないのですね。
他方で、皆さんが気にされているように、チャットのやり取りというのが密室であることは確かでございますので、デパートで商品の勧誘を受けているのともまた違う、電話とも店舗とも違うというのがここでは出現することになります。
仮に強い規制をかけるのであれば、どこかで説得力のある線で割り切る必要はあると思いますので、最初に述べましたような、漠然と「勧誘しますよ」では具体的な商品を告げられていないので規制の枠組みに入るけれども、ホームページでしっかり紹介している中で高いほうに誘導されたというのは、それは今回の規制の枠組みは無理ですよねとなるのか、その辺りは電話勧誘とも店舗販売とも異なるところがあるということを前提に、ホームページ等で勧誘の対象とかが告げられている場合について、しかしながら密室で誘導が行われるということはあり得るということの前提に規制のラインをしっかり考えていかないと、御指摘いただいているように、とても法制としては通らないということになってしまう懸念があるので、そこかなと思いました。以上です。
○後藤座長 ありがとうございます。万場委員、よろしくお願いします。
○万場委員 ちょっと確認なのですけれども、このチャット利用規制については、既存の通販の枠内で規制しようとされているのか、それとも全く通販とは似て非なるものとして新たな章あるいは新たな条文を設けて規制をされるということなのか、そこら辺はどちらの方向性を目指しておられるのかということを教えていただきたいと思います。以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。事務局、お考えはいかがですか。
○小沼企画官 先ほども「論点の中で特に重要と考えられるもの」で御説明させていただきましたが、事務局の考え方といたしましては、まず通信販売の中に規制を設けるほか、通信販売から切り出した上で電話勧誘販売の規制に当てはめる、あるいは新たな別の規制を設けるというところが考えられるところでございまして、まさにそこは御議論していただくところなのかなと考えているところでございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
○万場委員 そうすると、現段階ではどちらでどうするということはまだ決まっていないということですね。
○小沼企画官 まさにそのとおりでございまして、御議論いただいて、いろいろ方向性を見ながら検討していきたいと考えております。
○万場委員 今後もまた議論されるのだと思いますが、私としては、例えば第2条の定義のところがありますけれども、その定義のところでは、通信販売については電話勧誘販売を除くという定義になっています。あそこに、チャット機能を利用した販売を除くというふうに入れていただきたい。だから、全く通販の規制とは対象外である、別の規定であるというふうにする方向をぜひともお願いしたいと思っています。以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございます。万場委員に御質問したいのですが、通信販売とは別の規制であるという場合に、規定を置くとしたらどこに規定を置くのが望ましいというような御意見はありますでしょうか。
○万場委員 全く新たな章を設けて、チャット利用販売とか、そういう規制にする。電話勧誘販売と同様の規制を設けていくということでどうかと思います。
○後藤座長 ありがとうございました。一つの方向性だと理解します。ほかにいかがでしょうか。奥山課長、お願いします。
○消費者庁取引対策課 さっき丸山先生の御指摘のときに、情報商材を念頭に置いて皆さんお話をお聞きになっていたと思うのですけれども、私、この間、普通の本屋さんの通販サイトを見たら、本がいっぱい並んでいるのですけれども、なかなか探すのが大変なので、本のコンシェルジュという方がチャットで対応してくださって、あなたはこういうのが面白いのではないですかというのをお勧めしてくださるのです。そういうサイトは普通に存在していてほしいのですけれども、うまいこと切り分けができるかなと、先ほどの丸山先生のお話を伺っていると、はたと思うのですよね。かつ、情報商材の場合、10万円コース、50万円コース、100万コースと元から書いてあるとなると、勧められ方がどう違うのだろうという気がしてしまうのです。私は、もし制度設計をするとしたらというので限界事例ばかり頭に浮かんでしまうのですけれども、そういった切り分けもどこかで必要だなということでございます。
○後藤座長 清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 今のお話なのですけれども、実際、今、ホームページがあって、Aコースが50万、Bコースが100万、Cコースが150万と明示がある。事業者と交渉すると、ホームページに明示があって、ホームページに明示があったもので電話の場合とかチャットの場合はやっているけれども、全て通信販売だと言うのですね。通信販売だとホームページに明示してあると言われているのですが、しかしながら、それがZoomでやると別の商品を販売したということで、そこからは通信販売ではなくて、電話勧誘の規定を使って私たちは被害回復をしています。だから、今のイメージで、悩ましいのですけれども、例えば通販のホームページに何でも売っています。拡大鏡を売っていて、電話でするとサプリを買わされました。これは電話勧誘です。これをチャットでやるのですね。チャットでやったら、今はクーリング・オフできないのです。私はイメージとしてそれをやりたいのですね。
情報商材も多いのですけれども、情報商材だけではなくて、チャットで某会社がやっていたみたいなことをやっている。でも、もともとの議論からすると、通販で全ての商品が明示されていればいいのですけれども、サプリは明示されていないということでやっていけるのですけれども、私も法律のどういう規制がいいかというのはよく分からないのですが、今ある特商法は結構使えるので、いわゆるチャットであれば、もう「チャット等」にしてほしいのですけれども、メールもチャットと一緒なので、突如として電話勧誘規制が入るみたいな、それがあれば私たち職場や、私たち職場と言えば消費者が助かるのではないかと思っています。時間がないところをすみません。本当に今回の議論で非常に残念だと思っていることが一つあります。
私たちが必死に7、8年前から、定期購入であったり、モノなしマルチであったり、チャットでの取引であったり、一生懸命PIO-NETに書いております。しかしながら、全国の900弱の消費生活センターに相談員が4000人弱、それぞれの知識で書き込んでいます。そこに国民生活センターがキーワードを入れて、SNSを入れろとか、電子書面を入れろと言ってくるのはトラブルがあった3年後、4年後なのですね。その間、消費生活センターがハイジャックされている間の数字が取れなくて、今回、数字で物を言いたいのですが、拾えない残念さがあります。失礼しました。
○後藤座長 ありがとうございました。ほかに御意見等はございませんでしょうか。それでは、もう時間が過ぎていますが、全体を通じて何か御意見や御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。事務局からは、何かございませんでしょうか。
○小沼企画官 特にございません。
○後藤座長 ありがとうございます。それでは、本日の検討はここまでとさせていただきたいと思います。本日は、論点について議論を行いました。論点の中で特に重要なものとして、通信販売におけるチャット機能を利用した積極的なやり取りについて勧誘規制等を設けるべきであるという点を中心に議論をいただいて、委員の皆様からはその点に関してはおおむね賛成の御意見をいただいたと考えております。
その上で、チャット機能での勧誘規制の対象の線引きについては、類型①、類型②、類型③という形で事務局から示されましたけれども、類型③については勧誘規制の対象外とするとしても、より慎重な検討が必要だということで、ここは宿題として残っております。具体的な事業者と消費者のやり取りの状況で、これはそもそも勧誘と言えないのではないか、といったことも考える必要があると思います。
それから、大きな線引きとして不意打ち性ということを出しているのですけれども、チャットを用いた取引の特徴として、資料にも出ておりますような密室性、双方性、情報のカスタマイズが可能、目的を隠匿して接触することが可能等、いろいろな要素がチャットの特徴としてあるわけでして、それを大きく不意打ち性ということで線引きするというのがどこまで妥当なのかという問題がまだ残っていると思います。いずれにしても、不意打ち性ということを手がかりにするというのは一つの方向性ではありますので、それを今日示していただいたということですが、その点も含めてより議論を深めたいと思っております。
《4.閉会》
それでは、最後に事務局から、今後の予定について説明をお願いいたします。
○小沼企画官 本日はありがとうございました。次回の開催につきましては、日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。事務局からは以上でございます。
○後藤座長 ありがとうございました。それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)