第10回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録
日時
2023年1月16日(月)10:00~11:37
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (構成員)
- 【会議室】
- 後藤座長
- 【テレビ会議】
- 飯島座長代理
- 清水委員
- (オブザーバー)
- 【会議室】
- 消費者庁取引対策課
- 【テレビ会議】
- 大石委員
- 黒木委員
- 板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
- 坂下哲也 一般財団法人日本情報経済社会推進協会常務理事
- 丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
- 万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
- 独立行政法人国民生活センター
-
- (事務局)
- 小林事務局長、岡本審議官、友行参事官、田村企画官
議事次第
- 開会
- 開催の趣旨
- 相談事例
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:141KB)
- 【資料1】 今後の進め方(案)(PDF形式:707KB)
- 【資料2】 SNS等をきっかけとした消費者トラブル ―SNS等で積極的な勧誘が見られる事例を中心に―(PDF形式:857KB)
《1.開会》
○後藤座長 皆様、本日はお忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第10回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。
開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。
○田村企画官 それでは「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」につきまして、本日より再開させていただきます。
まず、今回から委員の先生方あるいはオブザーバーの方で新たに御参加いただく方がいらっしゃいますので、御紹介させていただきます。
まず、消費者委員会の木村委員に御参加をいただくことになっております。
それから、一般社団法人日本情報経済社会推進協会の坂下常務理事にオブザーバーとして御参加いただくことになっております。坂下理事につきましては、本ワーキング・グループにおきましては、デジタルツールの多様化に伴いまして新しい商取引の形態が増えてきていることがございますけれども、デジタルの技術面等で非常に造詣の深いお方でございまして、今回より御参加いただくことになっております。
それから、消費者庁取引対策課、本日は奥山課長に御出席をいただいております。本ワーキング・グループにおきましては、特商法の規制の在り方について検討をしていくということでございますので、法を所管されております消費者庁取引対策課さんに御参加をいただくことになっております。
本日の出席の関係でございますけれども、会議室に御出席いただいておりますのは後藤座長と消費者庁取引対策課の奥山課長でございます。
それから、飯島座長代理、清水委員、大石委員、黒木委員、板倉委員、丸山委員、万場委員、坂下委員、独立行政法人国民生活センターさんにテレビ会議システムにて御出席をいただいております。
それから、本日は木村委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構さんにつきましては、御欠席でございます。
事務的な連絡でございますけれども、本日はテレビ会議システムを活用して進行いたします。発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、画面でございますけれども、差し支えない範囲でオンにしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
御発言の際は、混線を避けるため、チャット機能を使用して発言する旨をお知らせいただき、それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願い申し上げます。
本日は、感染症の拡大防止の観点から、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様にはオンラインにて御参加をいただいております。
議事録については、後日公開することとしております。
配付資料は、議事次第に記載のとおりです。
お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上でございます。
○後藤座長 引き続きこのワーキング・グループの座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
《2.開催の趣旨》
○後藤座長 まずは事務局より本ワーキング・グループの後半審議の開催の趣旨について、御説明をお願いいたします。
○田村企画官 引き続き資料1「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ事務局説明資料」に基づきまして、御説明をさせていただきます。若干これまでの復習のところも含まれておりますけれども、新しく加わっていただいたオブザーバーの皆様もいらっしゃいます。傍聴の方もいらっしゃいますので、少し繰り返しになるところがございますけれども、御説明をさせていただきます。
まず、1ページの「これまでの検討の経緯」でございますけれども、昨年の1月に本ワーキング・グループを設置いただきました。目的といたしましては、デジタル化の進展に伴いまして、SNSの投稿や広告を端緒とした消費者問題等が増加している現状を踏まえて、被害の防止及び救済の在り方について検討するということで始めさせていただいております。
その後、議論を重ねていただきまして、昨年の夏に報告書を取りまとめていただきました。相談事例等からSNSに関する情報商材、副業等のもうけ話等の消費者被害の実態を中心に把握し、課題の整理を行っていただきまして、関係法令における対応や今後考えられる対策を取りまとめていただきました。
内容といたしましては、3つ目の建議、意見のところに記載をさせていただいておりますように、建議につきましては、特定商取引法の執行の強化、特定商取引法で電話勧誘販売に該当する場合の解釈の明確化及び周知、それから、消費者安全法に基づく消費者への注意喚起の積極的な推進といったことを建議で消費者庁さんに対応を求めたところでございます。加えまして、本報告書においては「通信販売ではあるが、積極的な勧誘がなされる類型については、SNSのメッセージによる勧誘と電話による勧誘の類似性を念頭に置きつつ、勧誘規制等を検討することが必要である」と指摘されておりまして、この点については、さらに深く検討することが必要であると考えられることから、引き続き当委員会において調査、審議等を行っていくこととすると。これは建議事項ではございませんけれども、建議の文章の中にこういったことで整理をしていただいたということでございます。
それから、意見を併せて発出させていただいておりまして、主にSNS事業者さんへの自主的取組の在り方ということで意見を述べさせていただいております。具体的にはSNS事業者さんと消費生活相談に関わる行政機関との連携でございますとか、SNS事業者さんが定めている違反行為に対するモニタリングの強化、それから、SNS上で商取引を行う場合における販売事業者等に関する情報表示の促進、こういったことを自主的取組の推進ということで意見を述べさせていただいたところでございます。
2ページでございますけれども、今は主に建議の内容を御説明させていただきましたけれども、報告書の中で示された主な観点を幾つか御紹介をさせていただきます。
まず1つ目でございますけれども、特に今回SNS上のメッセージによる勧誘ということに焦点を当てて検討を主に行ってまいりましたけれども、SNS上のメッセージによる勧誘においては、不実告知や断定的判断の提供が含まれる事例があると。こういったことは消費者安全法に基づく注意喚起の中でも触れられているところでございます。
2つ目でございますけれども、販売の目的を明らかにしないで、消費者にSNSの友だち登録をさせて、SNSのメッセージによる勧誘に至るということでございまして、消費者が最初は例えば副業の紹介といった形で友だち登録をしてメッセージに入っていくのですけれども、結果としてマニュアルの購入に至ると。そういったことで、当初消費者が自発的に購入意思を形成した上でメッセージのやり取りを開始しているとは言い難いのではないかという観点が示されております。
3つ目でございますけれども、本人のみがメッセージを受け取ってやり取りに入り込んでというところでは、一種の密室状態に近い状況でメッセージのやり取りが行われているのではないかと。
4つ目でございますけれども、メッセージ、これは会話的な要素が強いということで、断片的な情報を得て商品情報を十分に検討できずに契約に至る場面があるのではないかと。
5つ目でございますけれども、これはSNSメッセージの特異な点の一つでございますけれども、バーチャルな空間で複数人から次々と畳みかけられるようにメッセージが送信される。こういった点は電話の1対1のやり取りとは違った面もあるのではないかというところでございます。
6つ目でございますけれども、消費者の抱える脆弱性を踏まえていくことも大事だという点が報告書の中で主に示されたところでございます。
報告書の中で結論的な点になりますけれども、留意すべき点といたしまして、消費者が置かれる状況によって、電話勧誘販売との類似性が見られる場面と電話とは違った特有の面があると考えられることから、場面ごとに整理の上、勧誘規制等の内容を検討していくことが必要になると考えられるとされております。さらに検討に当たりましては、過度な規制とならないよう、また、法的安定性の観点から、類型を明確にして規制対象を限定することが必要であると考えられるといったことで整理をいただいたところでございます。
規制の設け方につきましては、通信販売規制の中でも特別な類型として位置づけることや電話勧誘販売として位置づけることが考えられるといったことで、報告書の中で整理をいただいたところでございます。
3ページ、「通販販売に関する消費者被害をめぐる現状」ということでございます。通信販売はいろいろ消費者問題、消費者被害があるわけでございますけれども、本ワーキング・グループにおきましては、特商法の通信販売のうち積極的な勧誘がなされる類型ということで、特にSNSのメッセージによるやり取りのところに焦点を当てて行ってきたということでございます。そのSNSメッセージによる勧誘に基づく消費者被害の代表的なやり取りとして紹介をさせていただいたのがこのページでございます。
(1)でございますけれども、SNS利用の増大等により、消費者と事業者の接触が容易となる状況がつくり出されてきたと。例えば消費者が「副業を探す」意図で事業者と接触を開始したところ、事業者がSNSのチャットで商品の説明等をするなどして当該消費者とのやり取りを継続して行い、これを受けて最終的に「投資関連等の情報商材」の購入に至ると。事業者の行為によって、消費者が事業者と当初接触した際の動機や当初の説明とは異なる契約の締結に至ることによる消費者被害が生じているということでございます。
(2)の具体的な商取引のフローでございますけれども、まず検索サイトで副業を検索いたしまして、副業ランキングサイトというホームページ上のサイトに飛びます。それから、その中の一事業者のホームページに当たりますと、先ほど申し上げましたように「友だち登録」というボタンがございまして、そこからSNSのチャットでのやり取りに引き込まれて、時として意図せざるような契約に至ってしまうというところでございます。
(3)でございますが、このような商取引は現行法上通信販売に当たると考えられておりまして、特商法の通信販売規制がかかってくるところでございます。
(4)の特商法の通信販売規制、現行の規制でございます。主に広告表示の規制が中心となっております。「特商法における通信販売の特徴」とございますけれども、消費者庁の特商法の逐条解説によりますと、通信販売というのは、購入者が販売業者から圧力を受けずに契約を締結する意思の形成を行うものであると。購入者は自らの意思の形成について全面的な自己責任を有するのであるといった整理がなされているところでございます。
※のところでございますけれども、情報商材関連の消費者トラブルにつきましては、初めから高額契約を勧誘するのではなくて、最初の段階では無料であるとか、少額な情報商材等を契約させた後に、情報商材等の説明をするためなどと称して消費者に事業者からの電話連絡の予約等をさせて、その電話によって高額なサポート契約等を勧誘する2段階型の事例がございます。後ほど国民生活センターから事例を紹介していただきますけれども、こういった2段階型の事例が今回御説明いただく事例の中でもかなりの割合を占めているということでございます。主に1段階目の少額の契約のところは、(2)にございますようなSNS上のチャットでやり取り、働きかけを受けて契約をするようなケースが多いというところがございます。そういった点を中心に今回検討していってはどうかというところでございます。
4ページ、「現状考えられる論点」ということでございますけれども、論点につきましては、今後実務家の先生ですとか、いろいろヒアリング等をしながらもう少し細かい論点が出てくるかと思いますけれども、現状事務局で考えられる論点を整理したのがこの4ページでございます。
まず論点1でございますけれども、SNSのチャットという言い方をしておりますけれども、これまで報告書の中でSNSのメッセージという言い方を主にしていたわけでございますけれども、今回我々ワーキング・グループは双方向のやり取りのものを念頭に置いておるわけでございますけれども、SNSのメッセージという言い方ですと、一方的な一方向の広告ですとか、そういったものが含まれ得るのではないかと考えておりまして、できれば今後SNSのチャット型の商取引についてということで呼ばせていただきながらやったほうが分かりやすいのではないかということで、今回SNSのチャットという言葉を使わせていただいております。呼び方としていろいろSNSのトーク型、会話型などあるわけでございますけれども、御提案としてはSNSのチャットを利用した商取引ということで呼ばせていただいてはどうかと考えております。
論点1でございますけれども、SNSのチャットを利用した商取引について、下記のような観点から相談事例の確認をした上で、現行法の通販販売での規定は十分か検討していく必要があるのではないかということでございます。①から⑨まで検討を要すると考えられる場面について挙げさせていただいておりますけれども、今回国民生活センターさんで挙げていただいた事例に含まれているものと必ずしもまだ事例として、今、事務局のほうである程度調べてはおりますけれども、今回お示しできたものもございますけれども、順次事例はワーキング・グループで御紹介させていただきながら追加をさせていただきたいと考えております。こういった事例に基づきまして、現行法の特商法でどの程度対応できるのかといった話、それから、訪問販売と電話勧誘販売で現行設けられている規制との観点でどう考えるのかといった点を御議論いただいてはどうかと考えております。さらに、この論点に書かれておりませんけれども、SNSのチャットが消費者に与える影響ですとか、できれば諸外国の法制の状況ですとか、そういった点も踏まえながら、現行法の通信販売での規定は十分か検討していってはどうかと考えております。
論点の2でございますけれども、規制を設ける必要があると考えられる場合、規制の対象や切り出し方の検討、あるいはその内容について検討していく必要があるのではないかということで、どの段階でどういった内容の規制が必要なのか、そういった点について論点1を踏まえて具体的に御検討いただいてはどうかと考えているところでございます。
5ページ、今後のスケジュールでございますけれども、おおむね月1回程度の頻度で会合を開催させていただければと思っておりまして、夏頃をめどに一定の結論をお出しいただけるとありがたいと考えております。初回ですので、今回は開催の趣旨を私から説明させていただきまして、国民生活センターから事例を紹介していただくと。第2回目以降、実務家の先生や学識経験者の方等からいろいろヒアリングをいただきながら、あるいは現行の法規制での捉え方等につきましては消費者庁さんにも御協力いただきながら、御議論を進めさせていただければと考えております。おおむね6月、7月ぐらいにかけましてある程度取りまとめに向けた審議を行って、夏頃には一定の結論を出していただければと考えているところでございます。
私の説明は以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局説明につきまして、御意見や御質問などがある方はチャット欄にてお知らせください。なお、意見交換の時間は5分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。ただいまの事務局の説明について、御意見や御質問はおありでしょうか。
清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 清水です。
説明のとおりですが、特に3ページの※のところを強化したいと思います。今なお現場ではこのような被害が増えていて、物価高だとか、バイトもうまくやれないということで逆に増えているような感じもします。そんな中で2段階型の事例が多くありますが、ほぼ1段階目の被害回復はできない状態です。1段階目を防止というか、入り口の部分をきちんと見ていくことによって2段階目の契約の未然防止は当然できてきますし、どんどんデジタル化が進んでいますので、特商法の通信販売の規制では時代遅れであることは明白です。このワーキングでぜひとも法改正というところまで持っていけたらいいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 御説明ありがとうございました。
私からは検討の範囲につきまして確認をさせていただければと思います。現在の考えられる論点につきましては、4ページにまとめていただいております。そことの関係で確認をさせていただきたいのは、電話勧誘との類似性を検討していった場合に、大きく違う点としましては、電話勧誘販売につきましては、不意打ち性があるということでクーリングオフ等の制度が完備されております。しかしながら、通信販売につきましては、返品特約で表示していればそれで返品はできなくなるという任意規定になっております。場合によっては民事ルールというか、クーリングオフそのものではないとしても消費者の離脱を容易にするような民事ルールも特定の類型については考えるというところまで今回のワーキングでは射程に入れているのかどうか、そこはオープンなのかという点が第1の確認事項です。
もう一点の確認事項としましては、問題となる類型としまして、いわゆる消費者に誤認を与えるようなものにつきましては、広告規制や景表法の規制で現在でも行政的な規制はかかっていくのではないかと思います。他方で、欠けている部分はいわゆる困惑型とか、その他誤認とは言えないような形で消費者の意思形成をゆがめる類型につきましては、割と行政的な規制は欠けているのではないかと思います。そこは電話勧誘と対比しても、電話勧誘のところでももしかすると規制はされていないということかもしれないのですけれども、そういった誤認以外の消費者の意思形成をゆがめるような困惑その他の類型に消費者契約法だけではないルールを検討することも射程に含み得るのかというところを最初に確認をさせていただければと思いました。
以上です。よろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
これは事務局、いかがでしょうか。
○田村企画官 検討の過程で行政規制だけでなくて民事ルールの点も検討していく必要があるのではないかという御議論があれば、当然そこも含めて御議論いただければと考えております。
2点目の困惑に関してでございますけれども、4ページ目の⑨がそういったところを少し意識して「その他」ということで位置づけておりますけれども、チャットでのやり取りを進めていくうちに焦燥感などを覚えて断れなかったと。そういった事例につきましても、事例等を少し探しながら御議論もしていただければと考えております。ですので、必ずしも困惑のところを議論しないとかそういうことではなくて、⑨のところを少し我々としても念頭に、そういった類型もあるのではないかということで議論をしていただければと思っております。事例等をまた探していきながら御議論いただければと考えております。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
丸山委員、どうもありがとうございました。通信販売でクーリングオフそのものではないとしても消費者の離脱を認めるような民事ルールというと、具体的にどんなイメージでお考えでしょうか。もし現時点でお考えがあれば教えていただけたらありがたいのですが。
○丸山委員 制度的に何か詰めた提案ができるということではないのですけれども、電話勧誘類似性があるような不意打ち性などが語れるような類型につきましては、離脱を容易にする民事ルールを手当てすることは考えられると思います。もっとも、通信販売の場合に現在の訪問販売のようなクーリングオフを入れてしまいますと、影響が大き過ぎるという懸念もあると思いますので、例えば効果論の部分については少し消費者が負担するような形になる、あるいは解約できるものを限定することにはなるかもしれず、現在のクーリングオフとは全く同じにはならないとしても、必要性に応じて離脱を容易にするようなクーリングオフ類似の初期解約権というか、そういった手当も考えられなくはなく、こういった発言をさせていただきました。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。
○黒木委員 御説明ありがとうございます。
今回の検討の範囲の問題と効果の問題と関係すると思うのですけれども、前回の報告書で37ページ以下の「今後の検討課題」という形で3つ論点が揚げられています。決済と情報開示と教育・リテラシーの向上が挙げられています。そして、その中でも特に情報開示の在り方という情報開示請求権についてはかなりのページ数を割いていただいております。先ほど丸山委員からも言っていただいたとおり、民事的なルールを考えるとすると相手方が誰なのかを特定できないといろいろな効果を考えたとしてもなかなか難しいところがあります。とすれば、もちろん特商法の新たな規制なりを考えることも重要だとは思いますけれども、情報開示請求という問題点も第2期のワーキング・グループの中でも検討を続けていっていただきたいという意見というか、お願いというか、質問です。それはどうなりますかという質問です。
以上です。
○後藤座長 事務局、いかがでしょうか。
○田村企画官 「今後の検討課題」として3つ、決済とデジタルリテラシーと情報開示の問題、報告書で挙げられておりますので、事務局としてもその点については認識をしてございます。情報開示の問題は弁護士法照会の問題ですとか、あるいは事業者さんがどういった情報を持っているのかとか、かなり深い議論が必要ではないかとも考えておりますけれども、いずれにしてもどこかのタイミングで議論はしていく必要はあろうかと考えておりますけれども、まずは特商法のところを宿題としていただいておりますので、整理をしていただいて、タイミングについてはまた座長を含めワーキング・グループの先生方と相談していただきながら考えていきたいと思います。
○黒木委員 ありがとうございます。
とにかくこの問題もこの第2期の後期の検討の課題だと理解させていただきました。ありがとうございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
情報開示請求の問題については私も非常に重要な論点だと考えておりますので、タイミングという点ではいつということは予定されていませんけれども、このワーキング・グループの中で扱うということについてはそういう方向で理解していただいて結構だということであります。どうもありがとうございました。
それでは、ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
板倉委員、よろしくお願いいたします。
○板倉委員 板倉です。冒頭、前の会議で遅れて失礼しました。
今の黒木先生からあった点ですが、私はずっとこの会議で開示請求権をつくってくださいという話をしていますが、次善の策というか、郵政、郵便局のほうは最高裁があったのもありますが、23条照会に対応するように調整が進んでおりまして、今、総務省でも並行して議論がされていますので、そちらも参考になると思いますので、適宜私のほうも情報提供しますが、郵便局と弁護士会でこのような約束で23条照会、こういう条件で出したら対応するというものが出てきたら、それも参考にしてぜひメッセージのほうの事業者と何らかの形で情報が出てくるようにというので使っていただければと思います。
以上です。
○後藤座長 貴重な御意見をありがとうございました。
それでは、ほかにございませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。
○消費者庁取引対策課 前回の議論も拝見させていただいての所見なのですけれども、特商法に関しましても議論のスコープに含むということで、規制に関して何らか御検討いただく場合には、規制は非常に重たいものでございますので、国民の権利を制限するというものですので、はっきりとどうした行為が制限されるべきなのかをしっかりと外形的に規定しないと無用のところまで規制が及んでしまう危険がありますし、また、国民から許容されない規制というのですか、そういうものになってしまうと法律が世の中から離れてしまうといいますか、社会に受け入れられないものになってもいけません。それで非常に心配しておるのが、SNSについてしっかりと定義がなされていないのではないかと。今、チャット型とおっしゃっていますけれども、チャットとは何なのか、どう考えられるのかというところの定義。それから、その上でいかなる行為がいけないのか。SNSがいけないではなくて、SNSはツールですので、いかなる行為をすることが規制されるべきなのか、その行為に特化してぜひ御検討いただければありがたいと思います。
以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
私たちも、資料1の2頁の留意すべき点というところなのですが、「検討に当たっては、過度な規制とならないよう、また、法的安定性の観点から、類型を明確にし、規制対象を限定することが必要であると考えられる」と。こういうことについて留意するということで肝に銘じているわけでありますけれども、今、課長から御指摘いただいた点については大変重要な点だと思いますので、ここでまた重ねてその点を念頭に置くということで理解いたしました。どうもありがとうございました。
○消費者庁取引対策課 ありがとうございます。
○後藤座長 それでは、ほかにございませんでしょうか。
どうもありがとうございました。
本ワーキング・グループの後半審議では、事務局から説明がありましたとおり、8月に公表したワーキング・グループ報告書と、それを受けて消費者委員会から発出した建議を踏まえ、特定商取引法の通信販売のうち積極的な勧誘がなされる類型の規制の在り方について検討していきたいと思います。
《3. 相談事例》
続きまして、チャット機能を用いたやり取りによって生じている消費者トラブルの具体的な相談事例について、国民生活センターより御説明をお願いいたします。
○国民生活センター よろしくお願いいたします。
今回事務局から2段階パターンのうち1段階の、要は通信販売のところで積極的な勧誘が行われるものの事例をということで御依頼いただいたのですけれども、先ほども御説明がありましたとおり、2段階目のほうが金額も大きいというところと、初回でその日のうちに契約してしまうというところで、なかなか先ほどの事務局の論点にきれいに当てはまるものを見つけることが難しくて、前回のワーキングで御紹介した事例とあまり代わり映えのないものになっているおり申し訳ありません。できれば口頭で少し補いながら御説明をさせていただこうと思います。
では、事例1ですね。副業と聞いていたのだけれども、FX自動売買ソフトの勧誘だったというものです。このパターンが典型的なものでございます。相談者の方は副業がしたいと思ってランキング等々を調べていましたところ、ランキングサイトで表示された個人名AのアカウントのSNSにアクセスし、友だち登録をしました。そこでチャットのやり取りをしまして、Aから簡単にお金を稼げると説明され、仕事をするのだったら電子書籍とサポートを購入するようにと勧められています。この段階で説明内容から会社名もなくどういう仕事なのか説明もなかったので半信半疑だったのだけれども、相談者がおっしゃるには、公式アカウントのマークがついていたので最後まで話を聞いてみようかと思ったとおっしゃっています。金額は2万円なのだけれども、それをクレジットカードで決済をしたということです。このときに、「仕事を開始するに当たっては2万円のみかかります、この2万円も仕事の報酬から払えますよ」と説明をされたので、決済しました。決済後に登録専用のアカウントを勧められて、そこでまた別の業者とつながりまして、その業者から電話があって、電子書籍の説明をしますと言われて、日時を予約しています。
予約した日に業者から電話があるのですけれども、この日にこのタイミングで電子書籍が送られてきています。そこで初めてFX自動売買ソフトを勧められて、副業ではなく投資話だと分かったと聞いています。ですから、買ったものがどういう商品で2万円に見合ったものなのかを相談者の方が確認する間もなくという状況でございます。事業者から「当座資金は用意する、ソフトの代金はもうけが出てから払えばいいよ」ということを言われたのだけれども、もともと副業するつもりだったわけですから、投資するつもりはないので断り、最初にカードで決済した2万円の返金を求めたところ、業者から電子書籍は通販なので解約できない、この2万円を払ってくださいと言われたと。通販だとしても最終確認画面を見た覚えはなく、業者名も分からない、代金をこのまま支払いたくないということで御相談にいらっしゃったというものでございます。
続いて事例2です。こちらも同様のケースでございます。1か月前に稼げる情報商材を探していて、ランキングサイトがあるのですけれども、そこの上位のサイトを選択しまして、個人情報を登録し、子育て中という女性のAから無料通話アプリへと誘導されたということです。このアプリ上で、「必要なのはスマホ1つ、無料アプリを設定どおりにするだけで毎日3万以上振り込まれますよ」ということを言われています。0円でスタートするには設定方法をまとめたブックに最初は1万円かかるのだけれども、稼いでからの後払いになるとAが言います。稼いでからの後払いというのは、結局カード払いだったら1か月後の引き落としになるので後払いということで、稼いでからで大丈夫ですということを言います。このほかにもチャットの中で、「今まで稼げなかった人はいません」とか、稼いだ人のチャットのやり取り、「これだけ稼げました、ありがとうございます」といったスクショが送られ見せられます。その後、決済の申込みの画面に移動して決済をするのですけれども、この方は報酬払いを希望、つまり、クレジットカードを選択し、決済のURLがチャットに貼られるので、そこで決済を完了しています。決済が先で、その後に副業スタートパック申込画面になって個人情報を入力しました。しかし、ブックと思われるデータは届いたがパスワードが設定されており、内容は確認できないままだったということです。
その後、設定について電話で説明したいので都合のいい日を聞かれて、別の男性Bから電話がかかってきたと。そこでパスワードを教えてもらって初めてブックを見ました。そこにFXとあったと。これでは投資話であって副業ではないと考え、男性に対して返品を申し出たのだけれども断られた。無料通話でFXの投資話だと分かっていれば説明を聞いていないと。届いたブックもパスワードがなければ確認できなかったこと、申込みと決済が逆で最終確認画面はなかったことなど問題ではないか、返金に応じてほしいという相談でございます。決済が先で、契約内容を十分確認することができなかったというものでございます。
事例3です。こちらはまた毛色が1、2とは違ったものでございます。ずっとチャットのやり取りだけで次々とサプリを購入してしまったというものでございます。この方のケースはトータルで相談に至るまでほぼ毎日ダイエットのために相手の管理栄養士を名のる方とやり取りをしたという事例になります。この方はSNSでダイエット広告を見て管理栄養士を名のる人Aと無料メッセージでやり取りを始めました。やり取りを始めますと、最初、年齢や身長、体重などを聞かれまして、10キロ減量したいのですと伝えましたら、50日で痩せますよと案内されます。そして、この管理栄養士と名のる人は個人に合わせてサプリを調合するということをいうのですけれども、相談者は個人に合わせたダイエットサプリや飲むゼリーや足に貼るシート、こういったものを購入することにして、8万円で代引きでお金を支払っています。
商品が到着しましたところ、使い方の説明をされて、言われるままに商品を試しているのですけれども、減量の結果が出なかった、効果が出なかったというところで、使用開始から50日をたたないうちに2段階目に進みましょうと言われます。この方は追加で費用がかかることを聞いていなかったので、「えっ」と思ったのだけれども、前回の8万円が無駄になってしまうと思って、追加で約20万円のダイエットサプリを代引きでまた購入することになりました。しかし、その後も効果が出なくて、さらに50万円分のダイエットサプリの購入を勧められて、このときも「前回もう追加はない、これで最後です」と言ったじゃないですかと断っても、この管理栄養士の人から「諦めないでください」とか「私の指導に従えば必ず目標体重を達成します」などと言われて、これが本当に最後ということを確認の上、代引きで購入しています。しかし、その後も高額なサプリの購入を勧められて、これはさすがにおかしいということでセンターに相談したという流れになります。
続きまして、事例4でございます。こちらはカウントダウンの表示で焦らされて契約してしまったというものでございます。この方は動画配信サイトでもうける方法を教えるというものを見つけ、無料メッセージアプリでアカウントを登録しましたところ、チーフマネジャーを名のるX氏のアカウントに登録し、その人からメッセージが届きました。稼ぐ方法を知るには3日間のセミナー動画の視聴が必要というので視聴を始めました。動画の中でX氏が「何もしなくても毎日自動で稼げる」「月収30万円」などと説明をしていました。この事業者が提供している仕組みを利用するには先着順というメッセージが送信され、また、申請受付の開始まであと何時間ですよといったカウントダウンのメッセージがチャットで送信されるので、焦って申請をしたとのことです。
その後、別アカウントの利用申請者専用のアカウントから稼ぐ方法などを電話で説明するとメッセージが届きまして、電話を受けています。電話の中で「幾ら稼ぎたいか」と聞かれて「10万円」と答えると、50万円のFX自動売買ツールを勧められました。「払えない」と言うと、「カード決済後に後で分割にすればいい」と言われたので、提示された決済用のURLから申し込んでいます。さらに、FXをするには普通のスマホでは難しいのでレンタルサーバーも必須ということで、案内URLから申し込んでいます。実際に口座を開設したりしてやってみているのですけれども、もうかる気がしないし、そもそも動画で見たとおりに稼ぐには100万円の資金が必要ということも後から知った、キャンセルしたいという御相談でございました。
続きまして、事例5です。副業の内容が不明なままマニュアル購入を勧誘された事例です。自宅でできる副業をインターネットで検索していましたら、スタンプ送信がお金になるという広告が表示されました。興味を持ったのでメッセージアプリに登録して、個人名のアカウントなのですけれども、女性からメッセージで説明を受けたと。この副業を開始するには約2万円が必要だが、これ以外は一切お金がかからないと言われています。初日から3万円以上稼げます、作業内容は最新アプリの初期設定のみで、放置するだけで自動でお金が増える、半年で500万円稼げたツールなどとメッセージが続き、残り4枠ですと提示されたので焦って申し込んでしまったと。後払いもできるが手数料4,000円が加算されるので、この方はカード決済をしたということです。その後、購入者専用のアカウントに登録するよう誘導されまして、そこでアンケートに答えて詳細を聞くための電話予約を取ったということです。
この方は最初の2万円を決済するときに何に対する2万円なのかと尋ねていらっしゃるのですけれども、「簡単に稼ぐためのノウハウなので…」などと、仕事についての明確な回答がなかったのがずっと気になっておられたということで、電話を受ける前にネットで調べられたということです。そうしましたら、あまりよくない書き込みがあったので、これはやめたほうがいいのだと気づきすぐに事業者にキャンセルの連絡をしたのだけれども、通信販売なのでキャンセルを受け付けていないと断られたと。まだマニュアルも送られていないので、返金してほしいという御相談でございました。
事例6です。こちらも同様のパターンでございます。0円から始められるという副業に関するSNSの広告を見て、無料通話アプリでアカウント登録をしましたところ、子育て中の女性Aとつながったと。その人から放置で誰でも3万円稼げるなどのメッセージですとか、他の方の体験談などのスクリーンショットなどを見せられて興味を持ったということです。この方は「いろいろとこういう情報商材は詐欺も多いので不安なのです」とAに言うとAからも「分かります、私も半信半疑だったのですけれども、この商材と出会ってとても稼げて家族に喜ばれています」のようなことを言われて興味を持ったようです。また、相談者の方自身も子どもがおり、共通するところもあったり、扶養の範囲内で稼げるのかという質問に対してAからそういうことは気にならないほどたくさん稼げますよと言われたので、そんなに収入が得られるお仕事なのかと思ったとおっしゃっています。その後、仕事を始めるに当たって2万円が必要だと言われたので、カード払いで決済をしています。
決済したその日なのですけれども、業者からマニュアルの説明をしたいと連絡があって、電話で説明を受けています。そこで初めてFXをすることを知らされました。相談者はFXと言われても何か全く分からず、説明を受けても何でそれで簡単に稼げるのか分からなかったということです。事業者から電話でFX自動売買ソフトを入れることや40万円のプランが必要ですと勧められています。このプランだと90日で135万円、1か月で約45万円稼げると言われて、とてもではないけれども無理だと思って「高額」だと言うと、「売上げから後払いで大丈夫ですよ」と言われています。「ここでやめると最初に払った2万円はどうなるのですか」と聞くと、「返ってきませんよ」と言われたので、結局無駄になってしまうことと、40万円を一括で払っても収入の状況で後から分割払いにすればいいではないですかとか、ケアやサポートもしますのでということを言われ、すごく迷われるのですけれども、半ば説得されるような感じで40万円を決済することに決めたということです決済後、海外金融業者に1万3000円を入金すればシステムが稼働すると説明されたので、口座を開設してコンビニから入金して始めてみたのだけれども、全然利益が出ない、1,000円にもならないということでございました。
事前に聞かされていないことが後から次々と出てきて不審だと。また、マニュアルを購入する際にも最終確認画面を見た覚えはないし、FXのマニュアルと思わなかったので返金してほしいという御相談でございます。
事例7です。こちらは電話勧誘の問題なのですけれども、最近、消費生活相談の現場で貸金に誘導するケースが増えていて問題だと思っているので、御紹介のために盛り込ませていただきました。相談者の方は動画共有サイトで動画を再生して「稼げる、簡単作業で即日10万円」という表示を見て、無料通話アプリで友だちを申請しました。そのほか今なら現金プレゼントといった表示もあったようです。1,980円で仕事を始めますかというようにメッセージが来たので、返信して、支払方法はコンビニ決済を選択したということです。コンビニ決済完了の旨を連絡しましたところ、お仕事開始前の説明をするので予約をしてくださいと言われて、同じ日に予約をして、すぐに担当者から電話がかかってきています。
「画面共有しながら説明しますので」と言われて、画面共有アプリというものをインストールするように指示されます。そのアプリで同じ画面を一緒に見ながら、アフィリエイトのノウハウを教えるサポートプランに勧誘されます。この段階で「アフィリエイトを知っているか」と聞かれて、「名前は聞いたことがある程度でよく分からない」と答える、業者から「アフィリエイトをやるにはいろいろ自分でブログなどをつくらなければいけないのだけれども、それはなかなか稼げない」「うちのサポートプランだったらアフィリエイトの先生からノウハウを聞きながらサポートできるので良いですよ」みたいなことも電話で言われたそうです。
パソコンもなく支払いが不安だと伝えると、ローンを組めばいい、稼いだお金から返済できると言われて、そこで消費者金融からの借り入れを指示されます。手続はスマホの画面共有による操作説明と電話での指示を受けながら1社の結果を待たずに次々と申請するように指示されて、相談者のスマホの画面が業者も見えているので、ここをタップしてください、などと指示されるまま申請をしてしまいます。審査が通ると一番高いプランがいいと言われて、その日のうちに事業者の口座に50万を振り込んでしまったということです。後から動画広告と実際の内容があまりにも違うことですとか、生活に余裕がないのに借金をしたことで不安になったということで相談が寄せられました。この事例は午前中に友だち登録をしてから振り込みまで1日の出来事でございます。
事例は7つ、以上でございまして、参考としてデータを入れています。なかなか通信販売で積極的な勧誘が見られたものだけを抽出するのがPIO-NET上は難しいものですから、御参考までに8月の報告書で掲載されたグラフのデータの更新版を掲載しております。
図1はSNS関連の消費生活相談の件数の推移でございます。同様の傾向でございまして、20歳代が最も多いのですが、資料を作成してみて、2022年度(今年度)は50代が増えているなというのが気になっております。原因、理由までは調べ切れておりません。
それから、図2です。情報商材の相談件数と、そのうちSNSに関連する相談の割合です。依然として20歳代が多いのは変わらないかと思っていますが、前年同期で比べると情報商材は減少傾向にあるということでございます。
図3は転売ビジネスに関する相談件数と、そのうちSNSに関する相談の割合、こちらも年度別に見ると、2022年度は843件で前年同期は1,307件ということなので、少し減少傾向でございます。ただ、若い方、20歳代が多い傾向は変わらない状況でございます。
大変駆け足になりましたけれども、説明は以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。御意見や御質問などがある方はチャット欄にてお知らせください。意見交換の時間は40分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。
清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 説明ありがとうございます。
特に最後の事例7ですね。本当に増えていて、大学生の中で広がっているというのが現場で一番悩ましいです。そして、私たちが被害回復したいとしても、銀行口座に振り込んでしまっているので、詐欺事業者との交渉しかないので解決困難です。ひどいものだと1日90万円ぐらい消費者金融3社で借りてしまっています。最近被害額が50万円程度が多いです。弁護士に依頼するのも非常に悩ましい金額になってきています。私たちが交渉するといっても相手の連絡先つまり電話番号が分からなくて、銀行口座だけでは私たちには情報開示依頼などできないので、あっせんができません。結局、そこのところは弁護士に頼むしかないのです。何が問題かというと、相手の電話番号が分からない、LINEだけだからセンターの交渉ができないということです。実は若い人たちがせっかく相談に来てくれても、消費生活センターは役に立たないみたいに言われてしまっています。よく若い人たちが相談に来ないという話がありますが、現場では本当に若い人たちが来てくれるのです。しかし、被害回復ができないという問題で、前段では言わなかったのですけれども、LINEの情報開示が進んでいないので被害回復ができないということで、若い人たちは消費生活センターは役に立たないという絶望感があります。
消費者金融も中には貸さないようにしています。借りる理由は自動車が故障したとか、親が入院したとか、親がコロナで失業したのでお金が要るとか、そういう理由を事業者から数多く示唆される、相談者は事業者からこのように言えば借りられると言われて、借りています。消費者金融の側も貸付けを止めていただいている事例も多く出てきています。しかし、だますほうはその上手を行きますから、いろいろな借りられる方法を示唆してきて、現在では先ほども申し上げたように、学生間で地元の大学名で実は○○大学の先輩だとか、そういうもので広がっているという悩ましい問題があります。
長くなりましたが、被害回復が非常に難しいというところもあるので、先ほどは法律改正と言ったのですが、現場としてはもう少し実効性がある取組が必要だと思っています。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
板倉委員、よろしくお願いいたします。
○板倉委員 板倉です。
50万円とか90万円とか、プロなのですね。弁護士が出てこないぎりぎりで稼ぎに来ますから、完全に相手は合理的だと思ってこちらもかからないといけなくて、繰り返しになりますが、匿名になっている仕組みもよく彼らは把握していますので、はまってくると、あまりにもこうやって公的な会議で問題が指摘されているのに放置しているとなれば、最終的にはLINEさんに対する損害賠償請求だって考えられなくもない話になってきますから、そこは協力していただいて、開示請求権があったほうが対応はしやすいのでしょうけれども、23条照会で出せるのならばこういう条件ならば出すといったものも含めて協力していただかないと、結局無用にコストがかかります。LINE相手だったらタイム名義さえ取れば取れますから、逃げも隠れもできないので、そういうものは不適切ですし、この会議でもヒアリングに来ていただいていますから、協力していただいて、出すものは出していただくというようにしないと、結局彼らからコストを押しつけられているわけですから、適切なルールで匿名性を必要な場合ははげるのだとしないと、みんなで彼らのコストを負担するのは全く間違っていますから、きちんとルールをつくっていきましょうというところです。ありがとうございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
万場委員、よろしくお願いします。
○万場委員 日本通信販売協会の万場です。よろしくお願いします。
法規制に関しては、先ほど奥山課長がおっしゃったとおりでありまして、その御意見に賛成するところでありますけれども、お伺いしたいのは、特定負担のように2万円負担とか5万円負担とかいろいろな例があるのですけれども、そうすると、業務提供誘引販売取引に該当するケースはたくさんあるのではないかと思っていまして、それだとすると既存の法律でカバーできるところが結構あるのかと、ケースをお聞きしてそのように感じたところです。
もともとこの業務提供誘引販売が規制の対象になったのは平成10年頃ですか、宛名書き内職とかいわゆる内職商法が非常にはやったときに導入された規制で、形は変わっているのですけれども、結局同じだなと。根は同じところではないかと思います。プラス、昨今の事情に合わせてFX、投信だとか、金額も非常に多く大きくなってきたという感じがしています。電話勧誘販売に関しても当初何が問題だったかというと、国家資格でもない資格が簡単に講座を受けたら取れますとかと言って、電話勧誘でビジネスマンをだましていくというものが非常に横行して、結果、電話勧誘販売の規制が導入されたということがあるので、悪質な事業者は手を替え品を替え繰り返しそういうところで攻撃を仕掛けてくる、わなをかけてくる感じが非常にしています。
法規制の面でいうと、もう一つは消費者安全法、今回国民生活センター法も改正されて、ある程度非常に悪質な事業者については事業者名の公表もできるとなっていますので、そういうことでしっかりと消費者に対して警告を発していくことが重要ではないかと私は考えているところでございます。ありがとうございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
法改正も必要であれば目指すということなのですが、既存の法律で規制できるものは既存の法律を使えばよろしいわけでありまして、今の御指摘のような業務提供誘引販売取引に当たるということであればその規制が及ぶわけですから、実際の事例の中で当たるものがあるのかどうか、どの程度当たるものがあるのかは調べていく必要があるのではないかと思います。貴重な御意見をどうもありがとうございました。
事務局では特によろしいですか。
○田村企画官 我々も業務提供誘引販売に当たるケースもあるのではないかというのを少し問題意識としては持っているところではございますけれども、具体的な要件としては、仕事を提供しているというのはたしか要件としてあったかと思うので、その辺りが事例としてどの程度あるのかどうかもまた検証していく必要があるのではないかと思っています。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
○板倉委員 業務提供誘引販売も一応業務を提供することが前提になっているではないですか。だから、業務を提供していないと当たらないという、超悪い人に当たらないという問題があるわけですね。そこは問題意識としてあって、通販業界さんの御心配はよく分かるのですけれども、突き抜けてしまっている悪い人たちだから、何回も繰り返し言われていますけれども、要するに、誰だかばれないからやるわけで、匿名性を引きはがすのが重要だと思うのです。もちろんいろいろな徹底されていないところはあるのですけれども、だって、名前は通販業界さんはみんな出しているわけで、もうそこは全部クリアしているわけですし、今、言ったような業務提携ですらないものは単なる悪い人なのですけれども、詐欺までなかなか行かないという問題があるので、何をやっても匿名になっているものを放置しているのは本当によくないと思うので、繰り返しですみません。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
お願いします。
○清水委員 匿名性は本当に現場で悩ましいのですけれども、事例4で業提の関係ですね。現場ではあの手この手であっせんしています。最近はレンタルサーバーなどはチャットのみで契約しています。電話勧誘だと、これはZoom会議でやったのだからクーリングオフだということ主張しているのですが、今、悩ましいのは、オンライン会議を使わないのです。巧妙にメールで、どんどんやります。
このメールの経緯を相談者から書面でもらうと、20枚か30枚になります。それを見たら、ほぼ会話なのです。でも、それは今の法律では駄目なのですね。さっきのレンタルサーバーは全てのアフターフォローをするとか事業者は言っているので、業務提携だと言ってクーリングオフも主張するのですけれども、相手方は否定します。おまえたちはばかか、これは通信販売だと言い切られます。事業者は本当に極悪層です。現場の実態です。
以上です。
○後藤座長 議論を深めていただいてありがとうございます。
それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。
○黒木委員 大分繰り返しになりますけれども、結局事例1と事例3でも販売事業者の情報が把握できないというのが明確に書いてあるわけです。SNSの定義は難しいかもしれませんけれども、しかし、きちんと考え方を考えていかないといけないと思います。今はもう社会のインフラになっているわけです。昔、携帯電話を使った090金融といって090の携帯電話を利用したヤミ金が問題になりました。それは090の通信販売が社会のインフラになったからですね。SNSも今は社会のインフラになっているのです。そうすると、インフラということは、いい人と悪い人と同じ割合で使うのです。もちろんいい人たちが善意で使っていることを全く否定しませんけれども、同じ割合で悪い人たちが使っていて、しかも、彼らはSNSの匿名性に気楽にフリーライドしてくるということです。
だから、民事的な効力を考えていかなければならないことは当たり前だと思いますが、その場合、誰がそういうことをしているのか、これは板倉委員と全く同じ意見ですが、これを知ることができないと、結局どんな法律、どんな規制あるいはどんな自主ルールをつくってもなかなか先に進まないということになると思います。この事例1、事例3の国センでも販売事業者の情報を把握できないというのが問題点として挙げられている例もあるわけだから、そこはこのワーキング・グループで考えていかなければならない論点かと思いました。今の法規制の中で、分析してどこまで規制すべきかは考えなければならないと思いますけれども、しかし、この相手方の特定の問題は重要で、考えていかないといけないと思っているところです。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
販売事業者の情報が把握できない、これは委員の方々から繰り返し出ていることでありまして、非常に重要な論点だと受け止めております。
それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 私からも確認をさせていただければと思います。事例を拝見させていただくと、現在の事例でも特商法の11条とか12条の6違反をしてしまっている業者が多いのではないかと思います。どのようにこの状況を認識したらいいかという点の確認なのですけれども、例えば11条の表示をしっかりしてくださいとか、確認画面をしっかりしてくださいということを求めるだけでは、被害はなくならないような業者がばっこしているということになると、表示の在り方を改善しても問題はなくならないということになりますので、当然ながらそれを前提とした救済のほうに議論をシフトしていかないと問題状況の解決ができないのだと思います。
確認としましては、確認画面をほとんど出さないとか、表示をしっかりしないという業者が多いのですけれども、消費者としてはそういう表示や確認画面があれば思いとどまった事例が多いのだろうかという点と、もう一点としては、認識としてはそういう広告表示や確認画面の執行を強化したとしても言うことを聞かないような業者が現在は多いという認識で考えたほうがいいのか、現場の感覚で教えていただければと思いました。よろしくお願いいたします。
○国民生活センター 丸山先生からの御質問にお答えいたします。
確かに最終確認画面があったほうが、自分が何を購入しているのか、金額、返品ができるのかできないのかを確認できるので、多少は効果はあると思うのですけれども、相談現場に来る人は結局それをよく見ない方もいらっしゃるのではないかと思っています。また、先生が先ほどおっしゃったように、幾ら規制を強化してもそれを守る気のない業者がばっこするので、センターとしては、クレジットカードが使えているということは決済代行会社がいますので、決済代行会社に対して、加盟店にするときにはその業者がどういう販売形態をとっているのか、通信販売であれば当然最終確認画面やサイトのつくりなどを確認しているかということを聞きながら、加盟店管理を求めます。しかし、中には最終確認画面、販売業者から出してもらえないので決済代行会社から提示してもらえないかと言っても断られたケースもありまして、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者であっても多少加盟店管理が甘いかなというところもなくはないです。そういった点から改善を求めていくということをセンターとしてはしております。ただ、割販法改正でPSPの登録制ができたので、昔、サクラサイトの被害がすごく多かったときに比べれば割販法改正の効果はあったかと思います。決済代行会社とお話ができるので、まだ助かっています。業者名が分からない場合も決済代行会社に聞いて教えてもらうなどをしております。
ただ、最近は事例7みたいに、決済代行業者からも契約が切られてしまっているような業者が借金を誘導するみたいな形になってきてしまっているのでそこは消費者への注意喚起と、公式アカウントを使わせるのであればそこのチェック体制みたいなところを何とか強化していただけるとありがたいかと思っております。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。
○大石委員 御説明ありがとうございました。
私からはお聞きしてみたいのが、今のお話にも通じることで、既に先生方のお話の中で実名としてLINEさんのお名前が出てきているのですが、事業者の情報を開示してほしいということを求める場合、SNSの対象者は事業者名でいくとLINEさんだけという理解でよろしいのでしょうか。それとも、ほかにもチャットなどそういう機能を使っていて、対象となるような事業者さんが問題の中で出てきているのかいないのか、素人の質問になりますけれども、その辺りを教えていただければと思います。
それから、これは国民生活センターさんに対してではないのですけれども、先ほどの奥山課長のお話の中でSNSの規定がないので、法改正も難しいというお話だったのですが、そもそも消費者庁の中でのSNSの規定はどのように今はなっているのか、もし検討中であっても分かればぜひこの際ですので教えていただければと思いました。
以上です。
○後藤座長 お願いします。
○国民生活センター 最初の御質問、SNSというと例えば動画投稿だとユーチューブ、画像投稿だとインスタグラム、ツイッターなどがありますが最終的にはLINEでやり取りという形が多いです。LINEはSNSというよりはチャットツールなので、SNSというのはちょっと違うのかと思っています。今、個人が起業するにあたり、LINEを使って集客したりする方も非常に多くいると思うのですけれども、LINEでビジネスをするに当たっていろいろな便利なツールを提供している事業者もあり、LINEでやり取りするのが個別にやりとりもできるし便利なのだろうとは思います。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、奥山課長、よろしいですか。
○消費者庁取引対策課 先ほどSNSの規定が何か今あるかということですけれども、結論から申し上げると、SNSを規定したようなものはないのです。特商法の中の考え方ですけれども、ビジュアルのもの、視覚に訴えるものは全て広告と整理をされていて、音声だけ、画像も含んでもいいのですけれども、音声がやり取りの媒体となるものは電話勧誘であると。対面であればもちろん訪問販売なりに該当していくのですけれども、音声の情報のやり取りはいわゆるZoomなどを使ったとしても電話と整理しているところでございます。
この事例を拝見していますと、そこここで電話が出てくる場面があると思うのですけれども、事業者もできれば電話に分類されると面倒くさいのであまり使いたくないけれども使っているのだろう、使わざるを得ないだろうと。誘引性の違いが出てきているのではないかと考えられるところです。あとは、ここに出てきている事例は全て何らかの現行規制には触れてくる部分が含まれているのではないかという所見も持っております。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
○大石委員 ありがとうございました。
まだもう少し私自身も勉強してみたいと思いますけれども、このようにデジタルが当たり前でありSNSという言葉も頻繁に使われますので、消費者庁でもその辺りをもう少しはっきりさせていただくことも大事かと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
国民生活センターさんにお伺いしたいのですけれども、先ほども加藤課長からLINEというのはSNSというよりむしろチャットツールだというお話がありましたけれども、通信販売のうちチャット機能を利用して勧誘がなされる消費生活相談の件数はどのような件数なのか。もし分かれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○国民生活センター それは分類上難しいので、出すことができないです。
○後藤座長 分類上難しいというのは、どういう点が難しいのでしょうか。
○国民生活センター 相談概要から文字を引っ張ってくるしかないので、それを完全に拾い切るのが難しい、また、検索できる項目がないので難しい、正確に出すことができないような状況です。
○後藤座長 項目としてないというお話なのですけれども、今後の問題として、例えば入力する用語を統一する工夫をするということであれば件数を出すことは可能だということでよろしいのでしょうか。
○国民生活センター そうですね。それは全国のセンターへ協力を依頼することになります。
○後藤座長 件数を把握するための方法は、おっしゃったような方法以外にはもうないのか、何か特別な工夫ができるとか、そういう余地はないのでしょうか。
○国民生活センター 結局各地センターに何か用語を統一する、あるいは、印をつけるというように特別な作業をお願いして集めていかなければならないということにおいては、おっしゃるとおりです。その方法しかないということでございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見、以上でよろしいでしょうか。
本日は、チャット機能を用いたやり取りによって生じている消費者トラブルを中心に議論をしていただきました。委員の方々で強く意識されているのは情報開示請求でして、販売業者の情報が把握できないという問題。それから、規制を強化しても守らない事業者への対応をどのように考えていくのかということですね。このような問題について議論がなされました。国民生活センター様から発表していただいた事例を踏まえまして、現行の特定商取引法における通信販売の規制が十分なのか、十分でないと考えられるとすると、どのような規制が必要か、規制の対象をどうするかといったことについて、引き続き消費者被害の防止、救済の観点から、委員の皆様から御意見をいただきながら検討を進めていきたいと思います。
それでは、本日は以上になります。
《3.閉会》
○後藤座長 最後に事務局から今後の予定について、説明をお願いいたします。
○田村企画官 本日はありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。
事務局からは以上でございます。
○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)