第8回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録
日時
2022年7月11日(月)10:00~11:42
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (構成員)
- 【会議室】
- 後藤座長
- 【テレビ会議】
- 飯島座長代理
- 清水委員
- (オブザーバー)
- 【テレビ会議】
- 大石委員
- 黒木委員
- 板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
- 丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
- 万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
- 独立行政法人国民生活センター
- 一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構
- (事務局)
- 加納事務局長、渡部審議官、友行参事官、田村企画官
議事次第
- 開会
- ワーキング・グループ報告書(案)について
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
《1.開会》
○後藤座長 本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第8回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。
本日は、私が会議室にて出席、飯島座長代理、清水委員、大石委員、黒木委員、板倉委員、丸山委員、万場委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構様、独立行政法人国民生活センター様がテレビ会議システムにて御出席です。
開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。
○田村企画官 本日もよろしくお願いいたします。
本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。
発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、画面の設定は皆様オンにしていただければ幸いです。
御発言の際は、混線を避けるため、発言する旨をテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願い申し上げます。
本日は、感染症の拡大防止の観点から、傍聴希望者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。
議事録については、後日、消費者委員会ホームページにて公開いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりです。
お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
また、7月1日付で事務局に人事異動がございまして、前任の太田に代わり友行が参事官として着任しておりますので、一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
○友行参事官 友行でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
《2. ワーキング・グループ報告書(案)について》
○後藤座長 本日は、これまでのワーキング・グループで皆様に審議いただいた内容や課題を踏まえ、事務局にて作成された報告書(案)について審議をしたいと思います。
まず、事務局から説明いただき、その後、意見交換をしたいと思います。
それでは、内容について30分程度で説明をお願いいたします。
○田村企画官 企画官の田村です。本日もよろしくお願いいたします。
本日は、報告書の第1案ということでお示しさせていただきます。
まだ体裁等が整っていないところが多々あるかと思いますけれども、御容赦いただければと思います。よろしくお願いいたします。
早速でございますけれども、報告書の案について御説明をさせていただきます。
まず、1ページでございますけれども、「はじめに」ということで記載をさせていただいておりますけれども、下段になりますが、本ワーキング・グループにおきましては、消費生活相談、SNSに関する情報商材や副業等のもうけ話等の消費者被害がかなり上位に見られているということでございまして、そういったことを中心に課題の整理を行い、関係法令や業界等の自主的取組の在り方等について検討を重ね、その結果を本報告書で取りまとめたということにさせていただいております。
2ページ以降、データ等におきましてSNSの定義や利用状況について整理させていただいております。時間の関係もございますので、簡単に御紹介させていただきます。
図表1は、棒グラフの紫色の部分がメールの利用、水色の部分がソーシャルメディア、いわゆるSNSの利用でございますけれども、利用時間を見ますと、図表1は平日の利用時間でございますが、近年、メールと同程度にSNSが使われているということでございます。
続きまして、3ページでございますが、これが休日になりますと、SNSの利用時間がメールの倍ぐらいまでに増えているということが見てとれるかと思います。
SNSの1日の利用時間でございますが、図表3にございますように、特に10歳代後半、20歳代につきましては3時間以上との回答が約4割となっている状況でございます。
続きまして、4ページの図表4、主なSNSの利用状況でございますけれども、LINEがかなり利用率が高くなっている、突出していることが見てとれるかと思います。
続きまして、5ページの図表5、年代別の利用状況でございますけれども、緑色がLINE、赤色がユーチューブでございます。この2つのソーシャルメディアを中心に、50代、60代も含めて利用率がかなり高まっているということでございます。
6ページの図表6、SNS関連の消費生活相談件数の推移でございますけれども、一番多いのは20歳代、赤色の部分でございます。一方、青色の40歳代、オレンジ色の50歳代、これらの年代につきましてもかなりの相談件数が寄せられているということでございまして、特に若者に限ったわけではなく、各年代にわたって幅広くSNSに関連するトラブルが発生しているといったところが見てとれるかと思います。
7ページの図表7は、主に若年層の消費生活相談の商品・サービス別の上位の件数でございます。紫色がいわゆるもうけ話一般に関するものでございまして、かなりもうけ話系の相談が上位に来ている。中でも20歳代、20~24歳、25~29歳の第1位といたしまして、内職や副業といったものが来ているといったところが特徴でございます。
8ページ目の図表8、SNSでの口コミ評価を重視する割合につきましては、10歳代後半、20歳代、これらの世代についてはSNSでの口コミ評価を重視する割合がかなり高くなっていることが見てとれると思います。
9ページの図表10、SNSに表示された広告をきっかけとして商品・サービスを購入した経験があるかどうかでございます。これにつきましては60歳代が51%ということで一番高くて、かなり幅広い年代にわたって、SNSに表示される広告をきっかけとして商品・サービスを購入しているということでございます。
図表11ですが、SNSに表示された広告をきっかけとした購入でトラブルや困った経験があったかどうかでございます。14.4%につきましてトラブルや困った経験があったと回答しているということでございます。
10ページ以降、情報商材と転売ビジネスの相談の状況でございますけれども、図表12を御覧いただきますと、2016年以降、ここ5~6年にわたりまして情報商材の相談件数はかなり高水準で、高くなっているということでございます。2021年度につきましては、2022年1月末までの登録分ということもございまして、2020年度よりは多少下がって見えておりますけれども、集計の状況によってまだ2021年度が完結していないことも御注意いただければと思います。
中でもオレンジ色の棒線にございますように20歳代の割合や、灰色の部分にございますように情報商材全体におけるSNS関連の占める割合が高くなっているということでございます。
11ページ、12ページにつきましては、転売ビジネスのグラフも紹介しておりますけれども、主に情報商材と同じような傾向があるということでございますので、特段説明は割愛させていただきます。
13ページ以降でございますけれども、この後出てきます論点の基となる事例でございます。
簡単に御紹介いたしますと、消費者安全法の注意喚起を消費者庁のほうで行っておりますけれども、【事例1】と【事例2】はそれに基づく事例でございまして、いわゆるSNSのメッセージ上で勧誘がなされた事例として、勧誘の内容に不実告知や断定的判断の提供、あるいは虚偽・誇大な広告といったものが含まれていた事例でございます。
【事例3】【事例4】につきましては、SNSのグループでの働きかけがなされた事例でございまして、【事例3】は、業者に無料通信アプリで連絡したところ、10人ほどいるグループに入れられた。グループ内の人から、私も始めてみることにしました、あるいはこれが稼げると思うなどと、いわゆる働きかけがなされた事例でございます。
【事例4】につきましても、無料メッセージアプリをアカウント登録したところ、3人1組のグループアカウントがつくられた。そのグループが実は抽選で当選したという連絡が入ったけれども、送金事務手数料を取られたり、免税手数料を請求されたりということで、おかしいと気づいたところ、グループの2人に伝えたが反応がなかった。2人もグルではなかったのかという事例でございます。
【事例5】でございますけれども、販売業者等が電話勧誘販売の該当性を認めない事例でございまして、最初の勧誘はSNSのメッセージを受けて情報商材を購入したところ、2段階目で電話で説明を受けて、高額なプランを契約したが、解約したい。相手業者等は電話勧誘販売を認めないという事例でございます。
続いて15ページ目、【事例6】でございますが、こちらもメッセージアプリでSNSのやり取りを開始したところ、その業者のほうから電話で予約を取るように言われて、消費者が予約を取って電話で説明を受けた。相手方業者は電話勧誘販売に該当しないと主張しているケースでございます。
15ページの【事例7】につきましては、SNS上で掲載されているマーケティング広告を見て、起業に興味があったのでメッセージアプリを使って連絡した。オンラインセミナーに参加し、情報商材の勧誘を受けたという事例でございます。
【事例8】につきましては、SNS上で契約の申込みに至る事例ということで、SNSのやり取りからいきなり決済画面に飛んでしまって、事業者のウェブサイトなどを介さずに、業者等の情報がよく分からないという事例でございます。
【事例9】【事例10】につきましては、販売業者等の住所や電話番号が分からない事例ということで、【事例9】は、資産形成オンラインサロンを無料通話アプリで勧誘されて契約したけれども、契約解除しようと思ったが、事業者の住所や電話番号等は分からない。【事例10】も、後々連絡を取ろうと思ったけれどもホームページにもたどり着けないといった事例で、住所や電話番号が分からないという事例の御紹介でございます。
18ページ以降、課題についての検討ということで、5つに分けまして御説明をさせていただきたいと思います。1つ目が「販売業者等からのSNSのメッセージによる勧誘」、2つ目が「電話勧誘販売該当性が問題となる勧誘事案」、3つ目が「『第三者』による不当な広告や勧誘」、4つ目が「販売業者等との連絡不能」、5つ目が「SNS事業者の自主ルール」でございます。これまでワーキング・グループで御説明、御議論いただいたところにつきましては割愛させていただきながら説明させていただきます。
1つ目の「販売業者等からのSNSのメッセージによる勧誘」でございますけれども、先ほど御紹介しました【事例1】【事例2】のように、SNSのメッセージによる勧誘について法制度上どのような規制があるのかということでございます。19ページの4行目以降になりますけれども、特定商取引法の場合、SNSのメッセージについても電子メールと同様に考えられ、URLを表示すること等により紹介しているサイトを一体として、通信販売についての「広告」に該当し得ると考えられております。
19ページの消費者安全法でございますけれども、消費者安全法では、消費者事故等の発生に関する情報を得た場合、消費者被害の発生・拡大防止のため、消費者への注意喚起について公表するとされております。
まさしく【事例1】【事例2】はこの消費者安全法を活用して、情報商材、転売ビジネス消費者被害に関し注意喚起がなされたものでございます。
ウについては、景品表示法の規定もございます。
20ページのエの消費者契約法でございますけれども、消費者契約法第4条において、消費者が事業者から不実告知を受けた場合や将来について変動が不確実な事項について断定的判断を提供された場合等の場合における取消権が規定されているということでございます。
(3)法制度上の課題でございますが、20ページの一番下の注にございますように、SNS、特にLINEのケースの場合、吹き出しによる表示を行うことによって利用者に会話を連想させたり、あるいは実際に自分、もしくは相手が会話をしている、相手と対話しているイメージを持ちやすくなる。またスタンプや絵文字による感情表現ができ、既読機能があるなど、隔地者間のコミュニケーションを促進する様々な機能がある。さらには複数人でのコミュニケーションも可能なものがあるといった特徴が紹介されております。
そういったことを踏まえまして、21ページ、22ページについては以前ワーキング・グループで御紹介させていただきましたけれども、電話勧誘との比較において、(ア)不意打ち性・密室性、(イ)商品情報が断片的なものしか分からないということで不正確、それからSNSのアカウント名しか認識できないということで匿名性が高い、22ページ、架電の容易性ということで、SNSは短時間で多数のメッセージを送ることができる、また相手方の反応によって具体的かつ反復継続して働きかけることもできるといった点で、電話勧誘行為に近い契約意思形成への具体的な働きかけがあるとの指摘もございました。さらに中段でございますが、一方的に大量のメッセージを送信することができる点や、バーチャルな空間で複数人で次々と畳みかけるようにメッセージを送信することができる点など、より強い働きかけが可能となる面もあると考えられております。
23ページ、24ページは、これまでの論点といただきました意見を記載させていただいております。現状、網かけで記載させていただいておりますけれども、この辺りの論点と御意見につきましては、最終的な報告書の段階ではもう少しコンパクトに御紹介できるように工夫をしてまいりたいと思います。
例えば今の点に関する御意見では、24ページで主な意見を御紹介しますと、消費者安全法の注意喚起が非常に大事である。これについてはSNSのユーザーや事業者に分かりやすく伝えていくことが大事ではないかといった点。
24ページの下から3つ目でございますけれども、目的が最初に秘匿されていてチャットでの対話が行われるというSNS勧誘の類型については、その勧誘の特性に応じて電話勧誘規制並みというのか、それに適合したというのか、そういった勧誘規制が必要だと思う。
一方、一番下にございますように、真っ当な事業者も勧誘はするわけなので、そこに対して過剰な規制が入ることは、御容赦いただきたいといった意見も寄せられたということでございます。
25ページ、その論点につきましての必要と考えられる対策でございますが、現行法の活用につきましては、SNSのメッセージの表示につきましても、特定商取引第12条(誇大広告等の禁止)違反について厳正な執行が求められるのではないかという点。
それから、消費者安全法については積極的な注意喚起をこれまでも行っておりますけれども、引き続き注意喚起を行うことが重要である。さらに、注意喚起に関する情報が必要な消費者に効果的に伝わることが必要である。そのため、例えばSNS事業者に分かりやすい形で情報提供するなど、注意喚起の方法を工夫することが望ましいとしております。
なお、近時、特定商取引法上の執行とともに消費者安全法上の注意喚起を行う運用が見られるが、このように関係する法制度を連携させて対処することは適切と考えられ、両法に限らず、関係する法制度を連携させた運用を図ることが必要と考えられるといった記載とさせていただいております。
イの法制度上の検討でございますけれども、先ほど御紹介させていただきましたように、SNSのメッセージについては、虚偽・誇大な広告や表示、不実告知、断定的判断の提供によるものも含まれている。
SNSのグループ内で、複数人から働きかけを受けるものや、グループ内での周囲の評価が加わることで、契約締結に向けた働きかけが後押しされる可能性もあるということでございます。さらに、本人のみがメッセージを受け取り、やり取りに入り込むという点では、一種の密室状態に近い状況がつくり出されているといったこともいえる。
さらに、【事例1】のように、簡単な作業で稼げるといったように、販売業者等がマニュアルの販売を行うという目的の詳細を明らかにしないで勧誘をするということで、不意打ち性があるともいえ、アポイントメント型の電話勧誘販売に状況が類似していると考えられる。
それから、消費者白書等でも分析されておりますけれども、デジタル社会特有の消費者の脆弱性も指摘されておりまして、このような消費者の抱える脆弱性を踏まえることも必要であると考えられます。
26ページの最後の5行、結論の部分でございますけれども、このような、通信販売ではあるが、積極的な勧誘がなされる類型については、SNSメッセージによる勧誘と電話による勧誘の類似性を念頭に置きつつ、勧誘規制等を検討することが必要である。その場合、通信販売規制の中でも特別な類型として位置付けることや、電話勧誘販売として位置付けることが考えられると記載をさせていただいております。特に最後の結論部分につきまして、本日御意見をいただければと思っております。
27ページ以降、2つ目の課題といたしまして「電話勧誘販売該当性が問題となる勧誘事案」でございます。
例えば1段階目で、SNSを通じて販売業者等が販売したマニュアルを購入した場合や、自社サイトにサポート契約の販売条件を記載している等の場合、販売業者側が電話勧誘販売に該当しないとされる事例、あるいはウェブ会議による勧誘がなされた事例の場合にも、電話勧誘販売該当性を事業者側が否定するようなケースがあるということでございます。
こういったケースにつきまして、28ページの必要な対策に飛んでいただきますけれども、被害の未然防止の観点から、ウェブ会議による勧誘も含め、特定商取引法の電話勧誘販売規制の違反行為について、同法の厳正な執行が求められる。また、電話勧誘販売に該当する類型について、消費者庁からの解釈の明確化及び周知が求められるとさせていただいております。
28ページの下の4行でございますけれども、なお、ウェブサイト上の表示を見て消費者から電話をかける場合は、一般的には不特定多数向けの表示ということで、通信販売に該当することになろうかと思いますけれども、被害実態を踏まえ、特定商取引法第2条第3項「政令で定める方法により電話をかけさせることを要請」のうち「電磁的方法」に当たる場合について更に検討する必要があると考えられるとしております。
電磁的販売の例といたしましては、電子メールやSMS、SNSのメッセージがあろうかと思いますけれども、ウェブサイト上の表示は例えばターゲット広告など多様化しているということで、今後検討していく必要があるのではないかということで記載をさせていただいたということでございます。
続きまして、29ページからは「『第三者』による不当な広告や勧誘」でございます。
第三者に該当し得るものといたしましては、例えばSNS上のメッセージを送る特定アカウントの発信者やブロガー、その他の第三者といたしまして検索サイトの運営者、SNS運営者といったものが考えられるかと思います。
関係法令上の整理でございますが、29ページのアの特定商取引法でございますけれども、こういった第三者の考え方につきまして消費者庁からヒアリングをしたところでございますけれども、販売業者等についての考え方でございますが、複数の事業者が連携・協働して事業を行っていると認められるのであれば、それらの事業者がいずれも販売業者等として特定商取引法の規制を受けるというのが基本的な考え方という説明がございました。別の言い方では、ビジネスモデルと構成する要素になっているというのが考え方の根底にあるといった説明もなされたところでございます。
イの消費者安全法につきましては、比較的幅広く注意喚起がなされておりまして、ニックネームのSNSアカウントにより不当な勧誘がなされた事例につきましては、そういったメッセージの中に含まれる不実告知や断定的判断の提供の内容、あるいはリスティング広告の掲載への関与や勧誘メッセージのアドバイス等を行っていた統括的な立場にある事業者に関しても、消費者被害の発生、拡大防止に関する情報として注意喚起に事業者名を含めて掲載されているということでございます。
ウの景品表示法の場合につきましては、規制を受ける対象といたしましては、供給主体性と表示主体性を満たす場合、規制を受けるということでございます。
さらにエの消費者契約法でございますが、第5条において、消費者契約の締結について媒介することの委託を受けた「第三者」が不実告知等をした場合に、消費者が契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消すことができるとされております。
こういったことを踏まえまして、32ページに飛んでいただきまして、必要な対策でございますが、現行法の活用という面におきましては、特定商取引法の場合は、「販売業者等」の解釈、運用によって、厳正な執行が求められる。
それから、消費者安全法の観点につきましては、背景に存在し関与していた事業者名も併せて公表するなど注目される運用もなされているところでございますので、引き続き消費者安全法を活用し、積極的な注意喚起を行うことが重要である。
さらに、SNS事業者に分かりやすい形で情報提供するなど、注意喚起の方法を工夫することが望ましいとさせていただいております。
それから、イの法制度の検討でございますけれども、消費者被害防止の観点からは、勧誘を行う者の独立性が高く販売業者等との一体性が認められない「第三者」についても対応が必要と考えられる。これには、まずSNS事業者において自主規制による対応及び徹底が求められるが、自主規制による対応で被害の未然防止が不十分と考えられる場合においては、規制の対象とすべき第三者の範囲が既存の法律の範囲で適切か、当該第三者を規制対象とすることにつき、検討することも考えられる。また、民事ルールは裁判所の判断事項であり、行政執行の運用がそのまま適用されるとは限らないため、別途規律を設ける必要があると考えられる。そのため、特定商取引法において、消費者契約法を参考にするなどして、「第三者」に関する民事ルールを設けることについて検討することも考えられると、現状整理をさせていただいております。
33ページ、「販売業者等との連絡不能」でございますけれども、情報商材や副業等のもうけ話について、SNS上の投稿や広告を端緒とした、またはSNSを利用した勧誘等による消費者トラブルに関しまして、契約解除を求める段階で連絡がつかないといったトラブルがございます。
こういった点を踏まえまして34ページでございますけれども、大きく分けますと表示が虚偽のケースの場合と、イにあるように表示の場所に関しての問題があるのではないかといったケースが考えられるかと思います。
飛んでいただきますが38ページ、必要な対策でございますけれども、消費者被害の防止の観点からは、販売業者等に対して、特定商取引法第11条の表示義務を遵守させるための方策が求められる。
また、【事例8】のように、SNS上で契約の申込みがなされる事例があることから、特定商取引法第11条に基づく販売業者等の表記事項を、一連の購買プロセスにおいて消費者が容易に認識することができる場所に表示させることを徹底させることが求められるということで、現状、必要な対策を整理させていただいております。
最後の点は、39ページの「SNS事業者の自主ルール」でございます。現状、消費者とのやり取りはLINE社の公式アカウントが使用されているケースがほとんどでございますけれども、公式アカウントでは、情報商材の取扱い自体を禁止しているといった自主ルールが設けられているところもございます。
さらに問題点といたしまして、SNS上の勧誘メッセージの場合、事業者に関する情報が掲載されていないケースがあるということで、消費者は、例えばニックネームしか認識することができずに、事業者の情報をなかなか把握することができないという問題点がございます。
42ページに飛んでいただいて、必要な対策の整理でございますけれども、SNS事業者は、今、申し上げました情報商材の取扱い等を禁止しているところもあるということですが、その実効性がどうかという点がございます。そういった点を踏まえまして、43ページに移っていただきますけれども、モニタリングや違反行為への対応を一層強化することなど、SNS事業者において利用規約等の自主ルールの実効性を確保するための取組が進められることが期待される。
具体的には、SNS事業者と消費生活相談に関わる行政機関等との連携の仕組みを設けて、そこで提供された情報を活用して、最新の事例等をモニタリングに反映し、利用規約等の違反行為のチェックの実効性向上に努めるといったことが考えられるとさせていただいております。
消費生活センターとのホットラインを設けてほしいといった連携に関する御意見をいただいております。そういったことを踏まえまして、このような整理をさせていただいております。
「また」以下でございますが、SNSを端緒とした勧誘メッセージには、販売業者等に関する情報がなかなか掲載されていないケースもあるということでございますので、通信販売の販売事業者等には、そういった表示義務について、消費者が容易に認識することができるような場所に表示をしなければならない。こういったことを踏まえて、例えば表示方法等の好事例をSNS事業者に示していただいて、SNS上の表記における販売業者等に関する情報の表示を促進するとともに、そうした表示方法等の在り方について、更にSNSのユーザーである消費者に対しても丁寧な周知をすること、こういったことによって消費者が販売業者等を適切に選択することにもつなげるといった取組が考えられるとさせていただいております。
さらに、消費者被害の防止の観点から、関係行政機関等から得た情報を活用し、SNSユーザーに対して注意喚起を行うことが期待されると締めくくりをさせていただきました。
44ページ以降につきましては、議論の過程で新しい課題がいろいろ見つかってまいったような状況でございまして、今回の取りまとめまでの期間に十分な議論が難しい点につきましては、今後の課題として整理をさせていただきました。
1.は決済に関するものでございます。要するにキャッシュレス化が進みまして、決済手段が多様化しているということで、法規制が複雑化していることについての御意見もございました。こういった意見を踏まえた消費者被害の防止の観点から、決済の問題は今後検討する必要があるのではないかという点。
2つ目の情報開示請求に関する点は、弁護士法第23条の2への対応ということで、若干議論はさせていただきましたけれども、実態把握も必要ではないかと御意見をいただきまして、今後の検討課題とさせていただいております。
45ページにつきましては、本人確認につながるところでございますけれども、SNS事業者が今、保有されている情報といたしましては、フリーメールアドレスでも登録が可能といったところがございまして、こういった点も今後課題になっていくのではないかということで挙げさせていただいております。
45ページの下に新たな情報開示請求制度ということで記載をさせていただいておりますけれども、これまでの5つのテーマの中で事業者の自主ルールの点につきまして記載をさせていただきましたが、自主ルールの今後の進み具合、あるいは取引DPF法の開示請求権といったものを参考にしつつ、民事上の新たな情報開示請求制度の創設を検討することも考えられるといった点。それから、情報開示請求制度の創設の検討に当たりましては、特定商取引法がなかなか関与できないような場面、例えばロマンス投資詐欺のような事案につきましては個人間のやり取りの性格もなかなか強くなっていくということもございまして、通信の秘密との関係といったものを慎重に検討する必要があるということでございますが、今後の検討課題として、1つ情報開示請求制度についても記載させていただきました。
最後、47ページはデジタルリテラシーの向上ということで、デジタル化の進展に伴って、SNSを端緒とした消費者トラブルの未然防止が重要となってございますけれども、消費者教育、各年代にわたって必要な教育をしていくことや、デジタル化の進展を踏まえて、内容も多岐にわたってまいりますので、内容についても継続的に検討して進めていくことが重要ではないかといった点につきまして、今後の検討課題として整理をさせていただきました。
説明が長くなってしまい申し訳ございませんでした。特に本日は必要な対策の辺りを重点的に御覧いただきまして、パートをある程度区切っていただいて御議論いただき、意見をいただければ幸いでございます。
以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
委員の皆様から、内容に関して御意見をいただきたいと思います。合計で90分程度審議をしたいと思います。報告書の構成に従って審議していきたいと思います。
まず、報告書の第1から第3まで、報告書の2ページから、国民生活センター様に御提供いただいた事例等を含めたデータをまとめております。
第4、18ページ以下では、大きく5つのテーマについて論点を整理しております。
第5、44ページ以下では、今後の検討課題について記載させていただいております。
区切りながら審議をしたいと思います。まずは第1から第3までの部分で御意見をいただけたらと思います。御発言のある方は、テレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。第1から第3までの部分で御意見をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 清水です。
御説明、ありがとうございました。
表にして、数字で示していただき、現状の把握は私たち消費生活センターで受けている肌感覚と全く同じでございます。現在、消費者トラブルの入り口はSNSと言っても過言ではありません。早急に対策が必要だと思います。現場の認識と一緒だということです。よろしくお願いします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。
板倉委員、よろしくお願いします。
○板倉委員 ありがとうございます。
事例なのですが、弁護士のほうでもサクラサイト弁護団等に事例がないかを引き続き聞いていたところ、土日になってしまったので直前にお送りできず恐縮ですが、LINEで勧誘を受けて、もともとユーチューブを見ていたら広告が出て、LINE登録が求められたのでオンラインで勉強会の予約をして、情報商材を買ったのだけれども、要するに詐欺っぽいもので、お金が返ってこなかった。その際に、相手方の特定が結局奏功しなかったという事案をいただきましたので、最終的な御判断はお任せしますが、事例として追加のものとしてお送りするとともに、ここ(チャット欄)に今、貼りますので、個人アカウントで特定できなかった事案はなかなか出てこなかったのですが、いただきましたので、適宜御判断の上、追加できるのであればしていただければと思います。
中身の問題点としては既に出てきているもので、後ろのほうにもあるように、個人アカウントはニックネームしか出ないので特定できませんでしたということですが、直前になってしまいましたが事例としてすっきりしたものが出てきたのはいいかなと思いますので、お願いします。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、検討させていただいて、必要であれば報告書に入れるということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、第4について審議いたします。大きく5つのテーマがございますので、まずは勧誘規制に関する1から3に関して、報告書(案)の18ページから32ページの部分について御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 ありがとうございます。
28ページに書いてあることの思いをお伝えしたいと思います。
必要な対策です。消費者庁からの解釈の明確化及び周知は喫緊の課題です。幾ら法律があっても、解釈の仕方によっては違うということになる場合があります。私たち消費生活センターは裁判所ではありませんので、白黒つける場ではありません。しかし、今、一人でも多くの市民を助けようと思っても、クレジットカード会社とか決済会社も消費者庁の解釈を認めてくれていません。まず市民にお伝えすることももちろんですが、事業者の方に徹底的に周知をお願いしたいと思っています。被害額の1万円でも2万円でも取り戻したいと思っています。強くあっせんしても話にならないという現状が今もあることをお伝えしたいと思います。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、丸山委員、よろしくお願いします。
○丸山委員 確認ですけれども、今、1のSNSのメッセージによる勧誘と2の電話勧誘販売該当性を同時に議論しているという理解で大丈夫でしょうか。
○後藤座長 そういう理解でよろしいです。
○丸山委員 分かりました。
それでは、まずSNSのメッセージによる勧誘の部分について、報告書の25ページから26ページに法制度の検討ということでおまとめいただいているところにつきまして、少しコメントをしたいと思います。
記載の場面につきまして、法制度的な対応を考える必要があるという点には異論はございません。ただ、指摘されている場面ごとに、もしかすると必要となる措置や規定が違ってくる場面が並んでいる印象もございます。この点、どういうことかといいますと、まず、【事例1】などのようなアポイントメント型のSNSの勧誘という場合は、かなりアポイントメント型の電話勧誘の類型に似てくるということで、チャットか電話かの違いにすぎないことになりますので、類似性が基礎づけられるのであれば、勧誘規制やクーリング・オフなどをワンセットで、つまり電話勧誘販売と同等の規制を入れることが正当化しやすい場面と考えます。
他方、そこで挙げられている場面として、SNSのグループで数人の対話の中でほかの人の意見に押されて契約をしてしまうというのは、恐らくサクラが配置されていて、そこでの対話で契約締結に促されてしまう、従来で言うとSF商法的な場面と類似しているという印象があります。そういう場面であると考えた場合には、一括して電話勧誘と同等の規制という方向性でよいのか、それとも、消費者契約法に新たな勧誘規制類型を設けたり、あるいは特定商取引法の勧誘規制類型として指示対象行為を増やすといった法制度を考えたほうがよいのか。議論の余地があると思います。積極的な勧誘がSNSにおいてなされる類型において一定の手当てが必要だという点について異論はないのですけれども、場面に応じて、必要となり、正当化できる措置や規定が異なってくる可能性がありますので、そこも含めて今後も積極的に検討をしたほうがよいのではないか。このような感想を持ちましたので、お伝えしたいと思いました。
1のトピックにつきましては以上のとおりです。
続けて、2の電話勧誘販売該当性が問題となるというところにつきましても、28ページの最後の部分、ウェブサイト上の表示を見て消費者が電話をかけるという場面について一言コメントしておきたいと思います。
ここでの記載の仕方なのですけれども、ウェブサイト上の表示を見て消費者から電話をかける場合については、特定商取引法第2条第3項の「電磁的方法」に当たる場合について更に検討する必要があると考えられると記載されています。とすると、現行法の解釈として、当たる場合と当たらない場合があると読めます。当たる場合と当たらない場合があるということになりますと、この点はそもそも明確化する必要性が実務的要請としては高いのではないかと思います。どのような場合であれば当たるのかということは今後の検討において明確化する必要があるのではないと思いました。
更に申しますと、そもそも勧誘目的を告げていないウェブサイト上の表示を見て連絡を取って商品を勧誘されるという場面は、かなり不意打ち性が高いのではないかと思います。ビラやパンフレットであれば不意打ち性があるので電話勧誘に当たるけれども、ウェブサイト上の表示であれば当たらない、広告であれば当たらないというのは、果たして理論的に、あるいは救済の必要性という観点から、そもそも正当化されるのか疑問があります。そういった観点も含め検討を深めることが、この部分については必要ではないかという印象がありました。結局、検討が必要であるということの強調ではありますけれども、そのような観点からの問題意識を持っているということを述べさせていただきました。
以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。
黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 大変力の入った報告書の案ができてきていて、すばらしいと思っています。
その中で、まず、SNSを通じた勧誘についてですけれども、20ページの「アグレッシヴ通販」という形でこの問題を取り上げて規定をするべきだという指摘があり、それを受けてだと思いますけれども、26ページでも法規制をしなければならないということがまとめられていて、ここは大変重要なところだと思っています。
どういう形でこれを意見書にまとめていくのかは、またこれからの議論だと思いますけれども、通信販売の中の特別な類型なのか、電話勧誘販売類似のものとして考えるのかという点は別として、いずれにしろ、いわゆる電話とこのような通信が融合化しているわけですから、そこを直截に捉えた法規制を考えていくことを検討していくべき時期に来ているので、新しい類型としてこれを考えるということは是非まとめていっていただきたいと思っているところです。意見書なのか、報告書なのか、最終的な形式はよく分かりませんけれども、いずれにしろ一つの白眉になるのではないかと思っていますので、是非ともここの点は掘り下げて、議論をもう少し進めて考えていきたいと思っているところです。
意見みたいになりましたけれども、丸山委員と重なってしまいましたが、以上です。
○後藤座長 よろしいでしょうか。
ほかにございませんでしょうか。
板倉委員、よろしくお願いします。
○板倉委員 ありがとうございます。
今の黒木委員が仰ったところをもう少し明確化してということになるかと思います。26ページで最終的な整理として、通販の特別規制としての勧誘規制と、電話勧誘が書いてあるわけですが、SNSの現状を踏まえて、電話勧誘、通信販売、訪問販売の類型の再構成を含めてみたいなことを最後に入れておいてもいいかなと思います。これまでの会議で議論としては出てきているわけで、もう少し時間はかかるかもしれませんけれども、類型の再構成も含めてというところを最後に一言入れておいてもいいかなと思います。
それから、32ページですが、最後の法制度の検討のところで、第三者規制を行政規制でというのと、民事ルールを何らか特定商取引法に入れてもいいのではないかということが両方書いてあります。「また」以下で「民事ルールは裁判所の判断事項であり」の後、「行政執行の運用がそのまま適用されるとは限らないため」というのは、当たり前なので入れなくてもいいのではないかと。もっと言うと、民事ルールについては別途規律を設ける必要があると考えられるという内容だけでもいいかなと思いました。
その際に、消費者契約法に既に第三者のルールがあるのですけれども、あまりその規定が活躍しているようには思えないので、消費者契約法の運用等も参考にして、第三者に関する特定商取引法上の民事ルールも設けるというように書いたらいいかなと思いました。これは単なる表記の問題です。
以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。
飯島委員、よろしくお願いいたします。
○飯島座長代理 飯島でございます。
2点だけ申し上げたいと思います。
1点目は、場面に応じて必要な措置が異なるのではないかという丸山委員の御指摘は非常に勉強させていただきました。それとの関係で、1番目のテーマに戻ってしまいますが、特に事例で重なるものについては、どのような場面で問題になるのか、何が問題になるのかを、事例の13ページ以下ではっきり分かるように整理することもあり得るのかと思いました。
2点目は清水委員に是非教えていただきたいのですが、28ページの消費者庁からの解釈の明確化が喫緊の課題であるというお話がございました。確かに所管省庁の解釈を示すことは重要だと思うのですが、地方公共団体の正に自治事務について、それぞれに解釈権限を行使するということも、まず問題に直面する地方公共団体としてやっていらっしゃると思います。その実態や可能性などについて教えていただければと存じます。
以上でございます。
○後藤座長 清水委員、今の点に関しまして何かコメントはございますか。
○清水委員 ありがとうございます。
先生、御質問いただいて本当にありがとうございます。もちろん各消費生活センターで事例検討をやりながら、消費者庁の解釈よりもう少し踏み込んで交渉しています。ビラを見たこととウェブはどう違うのか。私たちは一般常識であっせんしています。消費者は法律ありきではないので消費生活センターは常識レベルでも介入しますが、普通の健全な事業者であれば話を聞いてくれます。そして、今後の対策の話合いができるのですが、今、話題にしているのは極悪層ですから、何を言っているのだと言われます。そもそもその法律は関係ない、そういうものではないと言われることもあります。もちろん極悪層でも消費者庁の見解を確認していて、市町村の相談員があっせんしても、消費者庁の見解と違うではないかと否定をされます。消費生活センターは裁判ではなく、地道にお話合いをする場ではありますが、今や詐欺に近い極悪層を相手にしていますと、あっせん解決率が下がっております。
以上です。
○飯島座長代理 ありがとうございました。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、丸山委員、よろしくお願いします。
○丸山委員 第三者による不当な広告や勧誘のところにつきまして、板倉先生からも御発言があったところなのですけれども、1つ発言をしておきたいと思いました。
第三者による不当な勧誘の問題点として、1番対応しなければいけない課題が、販売業者と第三者との関係を明らかにできないという点にあるのだとすると、つまり立証の問題が深刻であるとするならば、仮に消費者契約法第5条と類似の規定を特定商取引法に入れたとしても、販売業者と勧誘者の委託関係が解明されないので、その部分については実効性がないという懸念がやはり出てきてしまうのではないかと思います。
そうすると、法的な手当てをするという点に異論があるわけではないのですけれども、例えば一定の勧誘態様があるような場合については、委託関係を推定できるというような規定まで同時にセットできないと、ここでの立証困難という課題の問題解決にはならない可能性があるということは指摘しておきたいと思いました。
この点、連鎖販売のところでは勧誘者も行為規制の対象となっているということで、勧誘者も規制対象としていくということも一案ではないかと私自身も考えているのですけれども、ここも内部関係の立証なしに不当勧誘をした人を規制の対象や責任主体にできるのであれば、この立証という問題は出てこないのでいいのですけれども、内部関係の立証が必要だということになると、同様の問題が出てくるのではないかと思います。
また、さらに内部関係の立証は必要ないということにして、不当勧誘をした勧誘者を直接規制の対象としたり、責任の主体とする場合については、これも先ほどからの板倉先生の御指摘と重なるのですけれども、そのような勧誘者である個人の特定は、販売業者を特定するよりも難しい可能性がありますので、勧誘者自身を責任の主体としたり、行為規制の対象とする場合については、その方の身元の特定、情報開示もワンセットで考えないとなかなか解決は難しいのではないかと思いました。提案されている事項について異論があるわけではないのですけれども、問題の所在が立証という点にあるとすると、そこに手当てをしない限り、実効性は高まらない懸念があるということを指摘させていただきたいと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
大石委員、よろしくお願いします。
○大石委員 ありがとうございました。
私のほうからは、先ほど飯島委員がおっしゃった点について賛成ですという意見表明ということで発言させていただきます。
26ページの最後のところに、電話による勧誘との類似性を念頭に置きつつ、勧誘規制等を検討することが必要であると書いていただいています。最初の部分の事例のところで、どこが電話勧誘との類似性があるのかないのかということを出していただくと、特に私など制度や法律等に詳しくないものには、これは電話勧誘として見ていいのか違うのでほかの方法を考える必要がある、などが分かりやすくなると思いました。先ほどの議論に戻りますが、可能であれば、関連資料として作成いただけるとありがたいと思いました。
それから、今、丸山先生がおっしゃった32ページの法制度の検討というところで、私も販売事業者との一体性が認められない第三者という点が、もう一つよく分かっていません。具体的にどういう人を指すのかが分からないので、これももし事例の中で、勧誘を行う独立性が高く販売業者等との一体性が認められない第三者の例があれば、是非入れていただくと分かりやすいかと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
万場委員、よろしくお願いいたします。
○万場委員 感想めいたことも含むのですけれども、一部の悪質業者のために規制強化というのは、特定商取引法も含めて常に出てくる永遠のテーマかもしれないのですが、その場合、真っ当に勧誘している、真っ当な情報商材を売っている事業者もあるわけで、それらの事業者に対しての過剰な規制は是非とも避けていただきたい。
これは繰り返し申し上げているところでありますけれども、そのためには、電話勧誘なのか、詐欺的な勧誘なのか、あるいは普通の勧誘なのか、その辺りはしっかりとした定義を明確にした上でやっていかないと、結局一部の事業者のために全体に規制がかかってきます。前回の特定商取引法の改正でも、詐欺的定期購入にターゲットを絞って規制するというお話がありましたが、結果的に出てきた条文は、全ての事業者、それから定期購入に限らず単品の購入を含めて全てにかかってきて、そのため真っ当な事業者はホームページの改訂や改修に相当コスト負担がかかってしまいました。ですから、そういうことがないように、是非、勧誘の定義、あるいはいわゆる詐欺的な勧誘と真っ当な事業者の勧誘、そこら辺の定義をしっかりとした上で議論を進めていっていただきたいという気がします。
最初の頃の議論で、パソコンの調子が悪くて一旦パソコンを替えたりしたものですから、議論に追いついていっていない部分があるのですけれども、一番重要なところは、真っ当な事業者だけを相手にしていただきたい。今、議論されているのはほとんどもうけ話で、ろくでもない詐欺的な勧誘ばかりなわけです。それにどうやって20代、30代、あるいは40代の方々がだまされるのか。そこら辺も行動経済学とかの知見を駆使して、是非とも解析していただいて、その方々を守るためにはどうしたらいいのかを真剣に議論していかないと、結局、常に悪質な事業者はどんどん商売の手法も変えます。新しい便利な手法があればすぐ取り入れて、そっちに乗っかってくるということで繰り返されます。そういったことも含めて議論していけたらいいなと思っています。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の項目に移ります。続いて連絡不能の課題と事業者の自主的取組に関する4から5に関する御意見をいただきたいと思います。報告書(案)ですと33ページから43ページまでです。どうぞよろしくお願いいたします。
清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 ありがとうございます。
37ページです。論点12への意見というところで、消費生活センターの現場では、もう4~5年前から電話がつながらないという相談が多くて、この機会に是非特定商取引法の第11条で連絡がつかないということに対して執行してもらいたいと強く思うと、私の意見を書いていただきました。
まさしくこのとおりなのですが、私たちはずっとこの4年間、特定商取引法できちんと表示すると書いてあるのに何でこんなことが起こっていたのかということは悩み続けました。そして、書いてあればいいのかというと、書いてある電話番号に電話しても、朝昼晩、月曜日と金曜日を除いて例えば火曜日、水曜日、木曜日とかけてみても一切つながらないというのがこの4年間ありました。最近はつながるのですが、電話をかけてから20分後につながるとか、これを何回もやらなければいけないということで、消費者の方は電話がつながらないと相談してきます。よく聞いてみると5分も待っていないのです。だから、私たち消費生活相談員は15分以上鳴らしてくださいとか、こんなアドバイスをしているわけです。
ワーキングの中で、消費者庁から説明を受けました。消費者白書に記載がありますが、消費者庁の取組として通信販売の規制の遵守に向けた指導件数ですが、2017年度は1,342件、2022年度は1,105件の口頭による指導をされたということですが、もう4年間、毎年1,000件超えで消費者庁が指導されているという実績もあります。もちろんこれは第11条だけではなく、第12条、第14条に違反するおそれがあるものということでしたが、せっかく頑張っているのに効果が出ていないということです。
当然、常識的な事業者、JADMAに入っているところはこんなことは少ないのです。JADMAに入っていたら、この間も万場さんに電話したらちゃんと注意しますと言って頂き、現に2か月後には相談が少なくなってきているという成果がありました。いい健全な社会にするためには、事業者団体ときちんと連絡を密にしてやっていくのがいいのだと思うのですが、残念ながら先ほども申し上げたように、アウトサイダー、極悪層ですので、とにかくそういう人たちの実名を公表して、注意喚起するしかないと思っています。
もう一つは42ページなのですが、今の話で、消費生活センターとJADMAが連携しているという例からしても、今後、SNS事業者とも消費生活センターとのホットラインをつくっていただいて、一部の悪い例でこんなに消費生活センターの相談が増えているということを共有して頂く、これから先はとにかく悪い人たちを徹底的に排除できたらと思っています。
よろしくお願いします。
○後藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
万場委員、よろしくお願いします。
○万場委員 清水委員、本当にありがとうございます。
まず、真っ当な通販の会社であれば、お客様からの情報はいいものも悪いものも欲しいので、連絡が取れないということは基本的にないということだと思います。もちろん一時的にキャンペーンの関係で電話が集中したり、フリーダイヤルが取りにくいとかができるだけないように回線数を増やすとかをやるのですけれども、予想以上に注文が入ったとか、そういうときはなかなか電話がつながらないことがあります。一方で、メールでの連絡もできるわけなので、そういうことを駆使して何とか事業者は消費者の声を吸い上げる、あるいは受注を取りたいというのが普通の会社だろうと思います。
今、議論されているのは本当に悪質な事業者なので、基本的に連絡先は表示義務があるにしても、書いてあるのがでたらめな住所であったり、でたらめな電話番号であったというのは、私どもの相談室でも対応に苦慮するところであります。ですから、そういう事業者については消費者団体も含めて情報共有して、しっかりとプロテクトしていくことが重要なのではないかと思います。
ありがとうございます。
○後藤座長 ほかにいかがでしょうか。
清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 何回もすみません。
事業者団体との連携で、最近うまくいったケースをお伝えしたいと思います。
定期購入の事業者は後払い決済サービスを利用しているところが多いです。1年ぐらい前に日本後払い決済サービス協会ができたのですが、こことも最近意見交換をやりまして、センターに相談が多い定期購入業者のP後払いをやっている事業者がそこの8社のうちの1社でして、そのことを言ったら、何か月後かにそこの販売会社の相談が減ったのです。また、その8社の中の別の決済サービス会社の方が、まず表示を見ていますと言われました。もちろん特定商取引法は最終確認画面の表示を規制していますが、そうではないと、広告の部分で消費者をだますようなことがあってはならない、ですから、加盟店契約をするときにはそこをやっていますと言ってみえました。恐らくこの業界がこれからクレジットカード会社の加盟店の審査ぐらい頑張っていただければ相談が減るのではないかと、期待しています。
入り口はSNSと申し上げましたが、販売業者ではないにしろ、どのような問題が入り口にあるのかというところを今後SNS事業者とも対話し連携をしていきたいです。
よろしくお願いします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
板倉委員、よろしくお願いします。
○板倉委員 ありがとうございます。
皆さんの議論も受けて、最終的に43ページに加筆していくという話になると思うのですが、1つ、SNS事業者は、今、情報を例えば政府機関とかが取る場合の最終的な集計は透明性レポートという形で出しています。LINEは日本で一番早く透明性レポートを出していただいているのですけれども、同じように規約違反でどれぐらい追い出したかというのも、これを透明性レポートという形にするのか、取引透明化法でやっているような政府からのモニタリングという形にするのかはともかく、何らかの形で集計を出してほしいなということを入れてはどうかということ。
あと、最後にSNSユーザーに対して注意喚起があるのですが、今、清水委員や万場委員の話を聞くと、具体名で出していかないと注意喚起にならないと思います。定期購入とかは小さく書くインセンティブがあるので、どうしてもみんなに表示をちゃんとしてねという話になるわけですが、本会議で対象としている悪い人たちはまともな悪い人たちではないので、公表して具体名で、この事業者は駄目だということをどんどん出し、消費者庁からの注意喚起も割と面白いものにしてもらって、いろいろなマスコミにも取り上げていただいてバズってもらうというふうにしないと届かないのです。相当有名になってもジャパンライフは最後まで買っている人がいました。買っているというか預かっているのですけれども。
その反省もあって、悪い人の名前はどんどん流通するのだと。心配だと言うのであれば公表の根拠を法律に書いていただいて、法律上の根拠があるから訴えられても勝つのだというふうにしていただくことが重要です。公表されていないところは普通にやっているはずだ、とならないといけません。この検討会は本当に極悪層対策なので、対策のために行われる規制が、きちんとやっているところに及ぶのは、本当は規制としては誤っているのです。少し間違ったら、足を踏み込んでしまうような問題は、申し訳ないけれども全事業者が頑張ってね、きちんとやっている人たちも頑張ってねとなりますけれども、この検討会で問題となっているような悪事は、普通に商売をしようとしている人たちはやらないのです。悪事をしておいて逃げ切ろうという人たちしかいませんから、どんどん名前を出していただく、社長の名前も出していただくというふうにしていただく。実名公表等も含めて法律に書いていただければと思います。
ありがとうございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。
藤川様、自主ルール等に関して御発言いただけるとありがたいのですが、何かございませんでしょうか。
○SMAJ ありがとうございます。
まず、42ページにおまとめいただいたところ、SNS事業者としてもきちんと受け止めて、こういった対策は取っていけたらなと思っているところです。
また、今、板倉先生のほうから御指摘のあったような注意喚起ですけれども、恐らく様々なやり方があると思います。例えば消費者庁様の注意喚起をSNS事業者が何かしらの形で多くの人に見ていただけるように広げるだとかという方法もあると思います。そういったところでユーザーに知らしめて、私どもとしてユーザーを守るといったことができればと、今、聞いていて思っていたところです。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。
どうもありがとうございました。それでは、最後の項目ですけれども、今後の検討課題に関する第5の問題です。報告書(案)では44ページ以下になりますが、御意見をよろしくお願いいたします。
板倉委員、よろしくお願いします。
○板倉委員 ありがとうございます。
私はずっとこれを入れていただきたくてやっていたところがあります。議論させていただきましたが、完全にはまとまらなかったということで、ただ、次につなげる形で書いていただいていると思います。
2つあって、1つは、44ページの弁護士法第23条の2の対応は、会議の中でも話が出ましたが、「郵便事業分野における個人情報保護に関するガイドライン(令和4年個人情報保護委員会・総務省告示第2号)の解説」改正案で、一定程度、対応を形式化するという形が解決の仕方として入っていますので、参照していただいてもいいのではと思います。
まだ案の段階なので、確定を待ってということになるのかもしれませんが、弁護士法第23条照会の対応というのは結構ガイドラインで書くのが難しくて、郵政のほうでも日弁連から委員に会議に出ていただいて調整したのです。ヒアリング先が日弁連だとしても,実際に23条照会をするのは単位会になりますので割と繊細な調整をして書いているのですけれども、こういう記載があるよということは引用していただくといいのではないかと思います。
最後、45ページ以下の新たな情報開示請求制度ですが、「なお」以下は、こうやって書くと通信の秘密でできませんみたいに読みやすいので、1つは、最高裁の調査官解説を下にも引用していただいているのですけれども、文献自体を引用していただくといいのかなということと、通信の秘密との関係を慎重に検討すると書くと、役所用語で「慎重に検討する」というのはやらないという意味なので、「通信の秘密に配慮しつつも検討する必要がある」などと書いていただくと文言としてはいいのかなと思います。「慎重に検討する」は、私は非常に警戒します。あまり「慎重に検討する」は使わない方がよいのではというのがあります。
よろしくお願いします。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、黒木委員、よろしくお願いします。
○黒木委員 ありがとうございます。
今後の検討等も含めてなのですけれども、次回が8月9日に入っていると思うのですが、それまでの間にこの考え方というか、この報告書(案)をできたらフレキシブルデータ、つまりWordか何かで頂いて、個人的にも少し書き込みたいなと思うところがあるので、そういうことができるのかという点です。
今後の検討ですけれども、8月から9月の頭に1回報告が出たとして、今、板倉委員がおっしゃったとおり、今後の検討のところの決済、情報開示も非常に重たい課題があります。その辺りのところについて、どのような形で今後この問題についても考えていくのか。ただ、今回の報告書は結局取引の端緒から意思形成過程までとその相手方というところは非常に出てきていると思うのですけれども、決済は最終的なクロージングに向けての活動であって、これもデジタル化されて、どうなっているかということは非常に重要な問題ですし、先ほどいろいろな法的手段とか相手方を確定させていくという点でも、相手方の情報開示がないというのは非常に問題だということで、これを特定商取引法その他による契約締結時における情報開示と、その後の情報開示と分けられると思うのですけれども、そこについて、どのくらいのタイムスパンでこのワーキング・グループは考えていくのか。
この2点です。1つは、まずこのデータをWordでくれということと、今後の検討課題とかについてどうなのかということです。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
これは事務局でいかがでしょうか。
○田村企画官 御意見の調整の仕方は、中で検討して、また展開させていただきます。
○後藤座長 ほかにございませんでしょうか。
国民生活センターの加藤委員、よろしくお願いいたします。
○国民生活センター ありがとうございます。
ここに決済の問題を記載いただきました。確かにこういった悪質な事業者が商売できてしまっているのは、一つ決済の問題はあるのかなと思っています。
先ほどの表示義務を遵守させるというところで、どうやったら遵守させられるのだろうと思うと、決済代行会社を使っていたりしますので、もう少し加盟店に指導させるようにするとか、今だと振込やクレジット、あとはキャッシュレス決済が選べるようになっていたりするので、そういった決済の問題も深い問題があるのかなと思っていまして、課題として記載いただきましてありがたいと思っています。
また、先ほど板倉先生がおっしゃっていたように、どんどん事業者名を公表してしまえというのは私もおっしゃるとおりだなと思っていて、この問題に限らず、行政処分しても社名を変えて繰り返す人の問題は一方にあるのかなと思っていまして、個人名が特定されて、公表されるのだと。それは素早く公表されるので商売ができないと思わせるようにしないとと思っていますので、情報開示の問題も含めて一緒に考えていかないと、悪質事業者を排除していくというのはなかなか難しいのかなと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
清水委員、よろしくお願いします。
○清水委員 ありがとうございます。
3.のデジタルリテラシーの向上というところです。相談では、広告に流されて引き込まれていくというふうに私たちが相談者に言うのですが、若者は自分の意思でやったのだと言います。自分はいいと思って、突き進んで、次から次へとやっていったと言うのですけれども、私たちが見る限り、そこにはナッジの仕掛けがあって、誘導されたのではないかというところがあります。若者はネット情報を信じていますし、ネット重視ですので、私がそういうことを言っても、相談員はネットに詳しくないのではないかとか、今はこれがはやっているからみんなやっているのだとか、そういう指摘を受けるわけです。ですから、幼少のときからきちんと広告とは誘導するものだとか、もちろん法律で規制することは大事なのですが、消費者教育が必要だと思います。
とても残念であったのは、適格消費者団体のCネット東海がファビウスの最高裁で負けてしまったときに、裁判官が、常識的な人であればこの表示は分かるだろうみたいなことを言われています。そういうことは、我が国は消費者力を持たなければいけない国だということだと思います。消費者力、特にデジタルリテラシー、広告を見抜く目は幼少のときからやっていかなければいけないなと思っています。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
大石委員、よろしくお願いします。
○大石委員 ありがとうございます。
2点ほど申し上げたいと思います。まず、先ほど板倉委員がおっしゃいました46ページのところです。確かに個人情報という観点では「通信の秘密」の関係で特定するのは難しいというのは今までの例だとお聞きしているのですが、消費者が被害を受けているその相手の情報が出せないというのは、根本的になぜなのか、と理解できない気持ちが強いです。そういう意味で、先ほどから問題になっている極悪層、といいますか加害者の情報なのだということで、そこは切り分けて考えていただけるのが消費者として臨むことですので申し上げたいと思います。
それから、今、清水委員がおっしゃった47ページのデジタルリテラシーのところです。おっしゃるように幼少期からの消費者教育は確かに大事なのですけれども、実際に被害に遭っている人たちは消費者教育を受けてきたかもしれないのですが、学校を卒業し社会に出てから、SNSの世界の中だけで生活しているなかでこのような取引の場で引っかかってしまう人たちが多いのではないかと思いました。ですので、消費者教育ももちろん大事なのですけれども、もっと社会全体の情報といいますか、それも消費者教育の一つになるかもしれませんが、学校だけではない社会全体として広い情報提供やバックアップがないと被害を防ぐこと、救うことはなかなか難しいのかなと思いましたので、その辺りも少し加えていただけるとありがたいかと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
万場委員、よろしくお願いします。
○万場委員 デジタルリテラシーのところで、私も清水さんと全く同じ意見です。
私どもは、通販のイロハから、実際にあったトラブルといったものを、学校の先生にまず認識していただこう、勉強していただこうということで、ここ2年ばかり教職員向けのセミナーをやっています。今はオンラインでやっておりますけれども、受注センターや物流センターの見学、これもオンライン上の見学なのですが、そういうものを含めて勉強していただくということをやっていまして、その先生方中心に、家庭科の授業のときなどに、通販の場合にはこうなのだ、こういうのが問題だ、危ないから近づくな、みたいなことを教えていただいて、実践的な教育を現場でしていただければ大変ありがたいなと思います。
消費者庁さんもセミナーをやられたり、パンフレットをつくられたり、いろいろやっておられますけれども、ターゲットになるべき若い消費者の方は、消費者庁のホームページを見ているかというと、あまり御覧になっていない。だから、より現場に近いところでいろいろと情報発信していかないといけないなと痛切に感じております。
以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議論は以上にしたいと思います。
本日は、報告書(案)を使いながら、これまでのワーキング・グループの審議を踏まえて、取りまとめに向けて議論をいたしました。ワーキング・グループでは、SNSを端緒とする副業等の消費者トラブルについて、①「SNSのメッセージによる勧誘について」、②「2段階目の電話による高額な契約の勧誘について」、③「『第三者」による不当な広告や勧誘について』、④「販売業者等との連絡が取れない事案について」の4点について、制度面や運用面での課題について検討を行ってまいりました。
本日の報告書(案)に対する委員の方々の御意見を伺いましたところ、まず、13ページ以下の事例についての疑問点や御意見が多く出されました。事例で重なっているところがあるので整理する必要があるということ、それから、各事例について、例えばこれは電話勧誘販売に当たる事例であるというような形での説明や整理ができないかという御指摘、更に、事例について、場面ごとに必要となる措置や規定が異なってくる可能性があるという御意見がありました
それから、「「販売業者等からのSNSのメッセージによる勧誘」のところで、26ページに結論的なことが出ているのですけれども、「このような、通信販売ではあるが、積極的な勧誘がなされる類型については」というところについては、電話と通信が融合しているような状況が現在起こっているということから、そこをより深掘りする必要があるのではないかという御意見も出ております。本報告書でどこまで扱うことができるかということもございますけれども、この部分については、もう少し問題を展開することも考えられるのではないかと思います。
「第三者」による不当な勧誘につきましては、販売業者等と第三者との関係が分からないという問題がありまして、委託関係があれば消費者契約法第5条の適用、あるいは、特定商取引法に消費者契約法第5条と同旨の規定を入れるということも考えられるわけですけれども、そもそも委託関係があるかどうかが分からないということから、場合によっては委託関係を推定するといった、内部関係の立証も含めた検討も問題となるという御意見もありました。
それから、随所で問題となってきますけれども、真っ当な勧誘をしている事業者に過度な規制にならないようにする。これは非常に重要なことだと思いますけれども、そういうことから、詐欺的な勧誘と真っ当な事業者の勧誘の区別を明確にすべきであるという御意見もいただいております。
また、悪質事業者に関しては、事業者名を公表することも積極的に考えていくべきではないかという御意見も出ております。
さらに、自主規制に関係する問題について、消費者庁の注意喚起が非常に重要であるということから、注意喚起をSNS事業者がユーザーに広めることができるのではないかということですが、これに関しては委員の藤川様からも積極的に取り組むという方向の御発言をいただいて、消費者にとっては非常にありがたい御意見であると受け止めました。
「今後の検討課題等」のところで、まだ付け加えるべきことがあるという御指摘、それから、報告書(案)に新たに加えるべき事例もあるというお話もありまして、多くの有益な御意見をいただきましたので、それらを生かして、報告書の取りまとめに進んでいきたいと思います。
報告書(案)に関しては、事務局から、各委員が直せるような形での報告書の案を送っていただけるということですので、そこに手を加えていただくということも含めて、よろしくお願いしたいと思います。
事務局から、何か補足等はございますでしょうか。よろしいですか。
報告書(案)に各委員が手を加えることができるということについては、よろしいですか。
○田村企画官 一旦、本日いただいた意見を事務局のほうで整理させていただいて、その上で照会させていただくような形で考えております。
○後藤座長 どうもありがとうございます。
本日いただいた御意見につきましては、私の以上の取りまとめでは漏れているものや不正確なこともあると思いますので、事務局で精査していただいて、報告書(案)に生かしていただくという段階を経まして、その後、更に委員の方々の御意見を反映させていただく機会を持ちまして、報告書の完成という方向に次回持っていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
《3.閉会》
○後藤座長 最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。
○田村企画官 本日も様々な御意見をいただき、大変ありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。
以上でございます。
○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)