第6回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録
日時
2022年6月3日(金)14:00~15:21
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (構成員)
- 【会議室】
- 後藤座長
- 【テレビ会議】
- 飯島座長代理
- 清水委員
- (オブザーバー)
- 【テレビ会議】
- 大石委員
- 黒木委員
- 板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
- 丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
- 万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
- 独立行政法人国民生活センター
- 一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構
- (事務局)
- 加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、田村企画官
議事次第
- 開会
- 課題の整理
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
《1.開会》
○後藤座長 皆様、本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第6回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。
本日は、私が会議室にて出席、飯島座長代理、清水委員、大石委員、黒木委員、板倉委員、丸山委員、万場委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構、独立行政法人国民生活センターがテレビ会議システムにて御出席です。大石委員は遅れて御出席されると伺っております。
開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いいたします。
○田村企画官 本日もよろしくお願いいたします。
本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。
発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、画面の設定は皆様オンにしていただければ幸いです。
御発言の際は、混線を避けるため、発言する旨をテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。それを確認した座長から指名がありました後に御発言をお願い申し上げます。
本日は、感染症の拡大防止の観点から、傍聴希望者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。
議事録については、後日、消費者委員会ホームページにて公開いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりです。
お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上でございます。
《2.課題の整理》
○後藤座長 本日は、これまでのワーキング・グループの審議を踏まえて課題を整理し、関係法令や業界等の自主的取組の在り方などについて消費者被害の防止及び救済の観点から議論を行いたいと思います。まずは事務局から御説明をお願いいたします。
○田村企画官 ありがとうございます。それでは、事務局で課題を整理いたしましたので順を追って御説明させていただきます。
まず、課題①でございますけれども、販売業者等からのSNSのメッセージによる勧誘ということでございます。1.問題事例の整理でございますが、前回のワーキング・グループで御説明させていただきました消費者安全法に基づく注意喚起にございますとおり、簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などというLINEのメッセージによる勧誘を受け、副業のマニュアルを購入してしまったが、実際のマニュアルに記載された副業の内容は告げられたものとは異なっていた。こういった相談について消費者庁のほうで調査したところ、不実告知や断定的判断の提供に該当するものが含まれていたという事例でございます。消安法の公表資料にありますように、LINEのメッセージの画面なども公表されております。
2つ目でございますけれども、ワーキング・グループの2回目の資料に掲載させていただいておりましたが、SNSの投稿をきっかけに連絡し高額なサポートプランを契約したが返金してほしいという事例でございます。これにつきましては、無料通信アプリの事業者の公式アカウントを紹介され、事業者とやり取りを始めたということでございまして、SNSのメッセージによる勧誘の事例となります。相談の内容は、副業を始めるに当たって7,000円の教材の購入が必要とのことで、当初クレジットカードで購入したところ、その後電話で説明を受け、より高額なプランを勧められ、契約をしてしまったと。契約後全く収入が得られず、解約したいと事業者に連絡すると、規約に記載された支払金額の半額も返金できていない可能性が高いと言われた。解約して全額返金してほしいといった事例でございます。
2.関係法令でございますが、特商法上の整理でございますけれども、2ページ目をおめくりください。SNSのメッセージによる勧誘を受け、それによりインターネット等により契約の申込みを行う場合は、電話勧誘行為がない限り、特商法2条3項に規定する電話勧誘販売には該当せず、同条第2項に規定する通信販売に該当することになります。
真ん中のほうに進んでいただきまして、特商法上、通信販売については、第11条において広告をするときの表示義務、第12条において誇大広告等の禁止が定められているところでございます。
続きまして、4ページまでおめくりいただきますと、特商法の逐条解説におきまして広告の定義が明記されておりまして、販売業者等がその広告に基づき通信手段により申込みを受ける意思が明らかであり、かつ、消費者がその表示により購入の申込みをすることができるものであれば、ここにいう「広告」に該当するとされております。
さらに、逐条解説におきましては、広告の範囲について、電子メールについて言及がされておりまして、電子メールにより広告をする場合は、その本文及び本文中のURLを表示すること等により紹介しているサイトを一体として広告とみなしているとされております。これらを踏まえますと、SNSのメッセージについても電子メールと同様に考えられ、URLを表示すること等により紹介しているサイトを一体として通信販売についての広告に該当し得ると考えられます。
なお、もうけ話に関する同法第12条違反の処分事例としては、東京都が令和2年1月12日に公表した株式会社WAVEに関する件がございます。ただし、この件につきましては、SNSのメッセージではなく、自社サイト上の表示につき、同法第12条違反を認定している事例でございます。
そこで、論点の1つ目でございますが、被害の未然防止の観点から、販売業者等のウェブサイト上の表示、さらにはSNSのメッセージの表示についても、12条違反について厳正な執行が求められるのではないか。この点について御意見をいただければ幸いでございます。
次に(2)の消費者安全法でございますが、消費者庁は消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生・拡大防止のため、消費者への注意喚起を行うことができるとされており、公表するとされております。
続いて、5ページでございますが、消費者事故等としては、生命・身体事案に加えまして、「虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって、政令で定めるものが事業者により行われた事態」と定められております。この政令で定めるものといたしましては、消費者を勧誘するに際して、不実告知あるいは断定的判断の提供、こういったものが規定されているところでございます。
6ページをおめくりいただきますと、論点でございますけれども、先ほどの1の問題事例にございますように、安全法の場合、既にSNSのメッセージに関する公表事案がございますけれども、引き続き同法を活用して積極的な注意喚起を行うことについて御意見をいただければというのが論点2でございます。
さらに、論点3でございますけれども、第5回で万場委員から御発言いただきましたように、若い人たちが集まるようなSNS上、サイト上で警告できるような仕組みというのはできると思う。そういった場を提供している事業者の協力も得ながら、早めに芽を摘んでいくことができるのではないかという御発言をいただいておりますけれども、消費者被害の防止の観点からは、消安法の注意喚起に関する情報が必要な消費者に効果的に伝わることが必要であり、そのため、例えばSNS運営業者に分かりやすい形で情報提供するなど、SNS運営事業者と連携・協力した注意喚起の方法ができないかと、こういった点について御意見をいただければというのが論点3でございます。
続きまして、6ページの(3)の景表法、7ページの消費者契約法につきましては、本日は制度の説明に留めさせていただいておりまして、論点としては取り上げておりません。
7ページの3.法制度上の課題でございますけれども、通信販売における勧誘規制の在り方といたしまして、(1)総論でございますが、デジタル化の進展に伴いまして、SNSのメッセージを利用することで、隔地者間においても双方向かつ同時性のあるコミュニケーションが可能となっております。
下の注3にございますように、例えば吹き出しによる文字表示、これは専門家の論文によりますと吹き出し表示を行うことによって利用者に会話を連想させたり、実際に自分もしくは相手が発信している、相手と対話しているイメージを持ちやすくなるといった分析もございます。それから、スタンプや絵文字により喜怒哀楽等を表現できる、感情表現ができるといった特徴がございます。さらに、既読機能があるということで、これも専門家の論文によりますと、既読表示の役割として、対話コミュニケーションにおける相づちの代替効果が考えられるといった分析がなされております。そういった特徴を有するのがSNSのメッセージということでございます。
2つ目のポツでございますが、デジタル技術を活用すること等を通じて、個別の消費者の意思形成に影響を与えながら詐欺的・欺瞞的な取引に誘引していく手法を取る通信販売をアグレッシヴ通販と位置づけ、従来型の通信販売とは異なる規律を必要とする指摘もございます。
続いて、8ページの(2)電話勧誘との比較でございますけれども、今御説明させていただいたようなSNS上のメッセージの特徴を踏まえた上で電話勧誘との比較を試みたものが①から④でございます。①から④につきましては、電話勧誘販売が規制対象として追加された際に、電話勧誘販売の問題点として指摘された項目を中心に比較検討を行ったものでございます。①の不意打ち性・密室性でございますけれども、SNSのメッセージによる勧誘の場合、SNSの友達登録をする点では、消費者の能動的な行為がある一方、電話勧誘の場合、一方的に販売業者等から電話がかかってくるという相違があると考えられます。ただ、他方で、自ら検索や友達登録をするといっても、必ずしもその時点でSNSのメッセージにおいて、何の販売について勧誘を受けるのか明確には認識しておらず、SNSのメッセージという場面に誘引されており、消費者が自発的に購入意思を形成した上でメッセージのやりとりを開始しているとは言いがたいという点で不意打ち性があるといえ、アポイントメント型の電話勧誘販売に状況が類似しているといえるのではないかと考えられます。
また、SNSのメッセージは、通常は本人が自ら他者へ見せるといった場合を除きまして、本人のみがメッセージを受け取り、閲覧することから、電話をかける側と受けた側でしか電話内容が把握できない点で、電話勧誘販売と同様、一種の密室状態に近いと言うことができるのではないかと考えられます。
②の商品情報が不正確という項目でございますが、先ほどの1.問題事例の例にありますように、SNSのメッセージでは、簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」といった欺瞞的な勧誘を受け、断片的な情報を得て商品情報を十分に検討できずに契約に至る場合があります。この点は電話での口頭の説明だけで商品情報が曖昧なまま十分に検討ができずに契約に至る電話勧誘と類似しているのではないかと考えられます。
さらに、③の匿名性でございますけれども、SNSのメッセージによる勧誘を受ける場合、消費者は勧誘をする者とはSNS上のみのつながりのため、SNSのアカウント名しか認識できないことが多いということがございます。例えば、消安法の先ほどの例ですと、アカウント名のレイさんですとかアイさん、こういったニックネーム的な名前しか認識できない場合が多いと考えられます。この点は電話勧誘販売に、電話口で相手が名のった名前しか認識することができないことと類似していると考えられるのではないかと思います。
④の架電の容易性でございますけれども、SNSのメッセージは、先ほどの吹き出し機能のようなものがございますので、短時間に多数のメッセージを送ることができる。相手方の反応に応じて具体的かつ反復継続して働きかけることができるという特徴がございます。この点は、電話勧誘において、何度も電話をかけることができる点で類似していると考えられるという整理を行わせていただきました。
さらに、9ページの一番下の段落でございますが、上記の①から④の特徴、電話勧誘との類似性という特徴に加えまして、SNSのメッセージを利用する場合には、一方的に大量のメッセージを送信することができる点や、バーチャルな空間で複数人で次々と畳みかけるようにメッセージを送信することができる。こういった点で、かえって電話よりも強い働きかけが可能となる面もあると考えられるのではないかと考えております。
続いて、10ページ目でございますけれども、参考としてSNSのメッセージの類型でございますが、自動応答型と対話型に分けることができると考えられます。自動応答型は、相手方から一方的にメッセージが届き、消費者が送付したメッセージに対して相手方から個別の反応がないものでございます。対話型については、消費者が送付したメッセージに対して相手方から個別の回答がなされるものでございます。
論点4でございますが、通信販売におきましても、こういったSNSのメッセージを活用した積極的な勧誘がなされるような類型につきましては、上記の要素を念頭に起きつつ、勧誘規制等を検討すること、その必要性、その場合、通信販売規制の中でも特別な類型として位置づけることや、電話勧誘との類似性を鑑みまして、電話勧誘販売として位置づけることが考えられるのではないか。こういった点につきまして御意見をいただければと考えております。
続けて恐縮ですけれども、12ページ、課題②を御説明させていただきます。2段階目の電話による高額な契約の勧誘事案ということでございますが、事案につきましては前半のほうで御紹介させていただいたとおりでございますが、SNSの投稿をきっかけに連絡し高額なサポートプランを契約したが返金してほしいという事例でございます。当初、無料通信アプリの事業者の公式アカウントを紹介され、事業者とのやり取りを始めたということでございますが、途中から電話での説明が入りまして、結果として高額な契約をしてしまったという事例でございます。相手方業者は電話勧誘販売の該当性を認めていないという事例でございます。
この事例を踏まえまして、2.特定商取引法でございますが、電話勧誘販売に該当すると考えられる事例においても、販売業者等が販売したマニュアルや自社サイトにサポート契約の販売条件を記載しているとの理由をつけて事業者は該当性を否定し、通信販売であると主張するケースがあると。
論点5でございますが、こういったものについては被害の未然防止の観点から、電話勧誘販売規制への違反行為に当たるものについては同法の厳正な執行が求められるのではないかと。
13ページにお移りいただきまして、一番上の清水委員が御紹介していただいた事例にございますように、オンライン会議で3時間も4時間も、夜の9時から12時、1時まで、相手方が2人、3人出てきて長時間勧誘を行うといったような案件があると御紹介いただきました。こういった点を踏まえまして、論点6でございますが、ウェブ会議による勧誘も含めて、電話勧誘販売に該当する類型について、消費者庁からの解釈の明確化及び周知が必要ではないかといった点について御意見をいただければと考えております。
14ページにお移りいただきまして、法制度上の課題でございますが、ウェブサイト上の表示を見て消費者から電話をかける場合、「政令で定める方法により電話をかけることを要請」のうち、電磁的方法に当たらないことから電話勧誘販売に該当せず、通信販売となります。ただ、通信販売のうち、例えばオンライン会議のような積極的な勧誘がなされる類型については、勧誘規制等を検討していくことの必要性。その場合、通信販売規制の中でも特別な類型として位置づけることが考えられるのではないか。こういった点について論点7で挙げさせていただいております。
続いて、15ページの「第三者」による不当な広告や勧誘についてということでございます。問題事例の整理でございますが、ランキングサイトの運営者ですとか副業紹介者などの「第三者」により不当な広告や勧誘がなされる事例が見られます。これは問題事例の1で御紹介させていただいたとおりでございます。
「第三者」といたしましては、①として消費者の意思形成過程に直接関わってくるような第三者。例えばSNS上の特定アカウントの発信者あるいはブロガーが考えられます。それから、②その他の第三者として、運営者側、サイトの運営者ですとかSNSの運営者、あるいはDPFといったものが考えられます。このうち不当な広告や勧誘が見られるのは、①の第三者の類型と考えられます。なお、販売業者等が第三者を装っているにすぎず、実際には販売業者等自身がSNS上の発信者となる場合もございます。
2.関係法令でございますが、特定商取引法の規制対象は、販売業者または役務提供事業者でございます。第4回のワーキング・グループにおいて消費者庁からその考え方について説明をいただきましたが、複数の事業者が連携・協働して事業を行っていると認められるのであれば、それらの事業者がいずれも販売業者等として特商法の規制を受けるというのが基本的な考え方との説明がございました。執行の事例を見ますと、形式的な契約当事者以外の事業者について、販売業者等に該当するとして行政処分がなされた例がございます。
こういった点を踏まえまして、「販売業者等」の解釈、運用により、特商法の厳正な執行が求められるのではないかというのが論点8でございます。
(2)の消費者安全法につきましては、16ページをおめくりいただきますと、前半で出てきた論点と同じになりますけれども、安全法の場合、注意喚起ということでございまして、公表事案を見ますと比較的広範囲で割と詳細な注意喚起がなされておりますけれども、そういった同法の活用、積極的な注意喚起の必要性について、論点9で挙げさせていただいております。
それから、同じ論点になりますけれども、論点10につきまして、SNSの運営事業者と連携・協力した注意喚起の方法を工夫できないかということでございます。この点は前に出てきた論点と全く重なるところでございます。
(3)で景表法を紹介しておりますけれども、景表法の場合は供給主体性及び表示主体性を充足した場合に規制対象となるというのがここの記載の内容でございます。
(4)の消契法でございますが、消契法の締結について媒介することの委託を受けた「第三者」が不実告知等をした場合に、消費者が契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消すことができるとされているのが消費者契約法の第5条でございます。
(5)の立証上の課題でございますけれども、SNSは利用者の匿名性が高いことから、個々の消費者が、販売業者等と第三者との関係性を明らかにすることは容易ではないという特徴がございます。なお、アフィリエイト広告等に関する検討会報告書を受けて、ステルスマーケティングについても、今後消費者庁において検討がなさる予定と聞いております。
17ページに移りまして、論点11でございますけれども、広告の消費者や消費生活センターにおいて、販売業者等と「第三者」との関係性を知ることができるように、SNS事業者の望ましい自主規制としてはどのようなものが考えられるかと。例えば、SNS上の広告表記に関する自主ルールなどの設定が考えられますけれども、この点につきましては、自主規制に関する論点について、次回のワーキング・グループで取り上げる予定とさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
17ページの3.法制度上の課題でございますけれども、第三者を対象とする行政規制についてでございます。販売業者等と1.①にございました特定アカウントの発信者のような消費者の意思形成過程に直接関わる「第三者」が行う不当な広告や勧誘について、現行法の規定や運用を前提とすると、必ずしも行政規制上の位置づけが明確となっていない面がございます。
論点12でございますけれども、そういった「第三者」による不当な広告や勧誘を防止するため、SNS事業者の望ましい自主規制としてはどのようなものが考えられるかという点。この点につきましては、自主規制に関する論点でございますので、次回取り上げさせていただく予定でございます。
論点13でございますが、自主規制による対応では足りないと考えられる場合においては、規制の対象とすべき第三者の範囲が既存の法律の範囲では、例えば特商法の連鎖販売取引では「勧誘者」も行為規制の対象としておりますけれども、当該第三者を規制対象とすることについて、検討する必要があるかどうか。こういった点について御意見をいただければと思います。
最後に(2)の民事上の対応でございますけれども、媒介の委託を受けた第三者の不当な契約、不実告知や断定的判断の提供等でございますが、それにより消費者が誤認して契約を締結した場合、消費者契約法に基づき、消費者契約の申込みまたはその承諾の意思表示を取り消すことができると考えられます。また、共同不法行為として損害賠償請求をすることも考えられます。
最後に論点14でございますが、特商法において、消費者契約法を参考にするなどして、「第三者」に関する民事ルール、例えば取消権などを設けることについて検討する必要があるのではないかというのが最後の論点でございます。
なお、課題④といたしまして販売業者との連絡不能、特定商取引法の表示義務、事業者情報の開示の論点については、次回取り上げさせていただく予定でございます。
以上、事務局のほうで課題の整理をさせていただいて、論点をまとめさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ただいま課題については3点、それから、論点については14の論点を示して御説明いただきました。課題ごとに区切って意見交換をしたいと思います。意見交換の時間は合計で80分程度でございます。まずは課題①「販売業者等からのSNSのメッセージによる勧誘」というテーマにつきまして、事務局から説明のありました論点を中心に御意見をいただけたらと思います。御発言される方はチャット欄にてお知らせください。よろしくお願いいたします。
清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。
今の現場がどうなっているかというと、6月1日に特商法が改正されたが、現場では全然変わっていません。デジタル化に伴う消費者問題のトラブルは急増中と言って過言ではないです。もちろん消費者庁が数々の行政処分もされていますが、残念ながら、それだからといって減っていません。極悪層がやりたい放題という現場の状況を最初にお伝えしたいと思います。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 それでは、私のほうから課題①で具体的に論点提起されたことにつきまして、確認と意見について述べさせていただければと思います。
まず、2ページのところでよくまとめていただいていると思うのですけれども、論点①につきまして確認事項になります。ここでの提案、厳正な執行が求められるということについては異論ございません。法制的な概念の整理についてだけ確認させていただきたいのですけれども、例えば特商法では連鎖販売取引や特定継続的役務の場合、広告規制と並んで禁止行為として不実告知なども禁止されているという状況にあると思います。そのような法制を前提とすると、チャットでの会話、SNSのメッセージの会話というのは、広告にも該当するし、禁止行為で不実告知等が禁止されている場合については、勧誘行為として禁止行為にも該当するという整理でよろしいのかという点を、まずは概念整理のレベルでございますけれども、確認させていただければと思いました。
続けてなのですけれども、6ページに論点2としまして、積極的な注意喚起を行うことが重要ではないかと消費者安全法の活用ということを指摘していただいております。それ自体について異論はないのですけれども、ただ、重要なのは、非常に悪質な行動をしている事業者を迅速に止めるということが重要だと思いますので、そのときに果たして消費者安全法の注意喚起で足りるのかというのがやはり疑問としては残ることになります。活用すること自体に全く疑問はないのですけれども、消費者委員会のほうで提言していくに際して、それで足りるというメッセージになるのか、それでは足りないというメッセージになるのかという点は重要ではないかかと思いましたので、指摘させていただきました。
課題①に関する指摘としては最後になるのですが、10ページに行きまして、論点4とされている事項になります。この論点4のところでは、通信販売においても、積極的な勧誘がなされる類型については、勧誘規制ないし電話勧誘並みの規制が必要ではないかという指摘をいただいております。私自身もそれについては異論がないというか、これまでの被害事例などを聞きましても必要なのではないかという認識に至っております。特に、目的が最初に秘匿されていてチャットでの対話が行われるというSNS勧誘の類型につきましては、その勧誘の特性に応じて電話勧誘規制並みというのか、それに適合したというのか、そういった勧誘規制が必要だと思っております。ただ、この部分の必要であるという意見は、恐らく13ページに整理されている論点6で、現在、ウェブサイト上の表示を見て消費者から電話をかけるというのは要請に当たらないという解釈が電話勧誘のところでされているという指摘がされています。そことも関連しまして、目的を秘匿している場合については、私自身は広告であっても目的を秘匿していきなり電話勧誘が行われれば不意打ち性はあると考えているので、その解釈には合理性はないと考えているのですけれども、そこを踏まえても、目的秘匿型のSNSによる勧誘は、何か特別な類型として、まずもって迅速に一定の手当てをする必要があるのではないかと考えおります。したがって、論点4については積極的にどういう範囲で、ということも含めて議論をしていったほうがよいのではないかと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
事務局からお考えになっているところを御教示いただくとありがたいのですが、いかがでしょうか。
○田村企画官 チャットでの会話が広告に該当するかどうかというのが最初の確認事項ということでよろしかったでしょうか。
○丸山委員 はい。チャットでの会話というのがここでは広告に当たるのではないかという整理がされているのは、それでいいだろうと思うのですけれども、広告規制と禁止行為としての勧誘というか不実告知規制がダブルで行われているような取引類型もあるので、そのときの概念整理として、それは広告規制にもチャットでの会話は該当するし、何か不実告知とかをしていれば禁止行為にも該当するという整理にしていって大丈夫ですかという確認でした。
○田村企画官 法律の解釈の話ですので、ちょっと慎重に対応させていただきたいと思いますので、事務局のほうで確認をした上で御回答させていただければと思います。
○丸山委員 よろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうでしょう。私は、特に2つ、広告規制にも該当し、禁止行為にも該当するということであれば、両方とも適用することで特に差し支えないのではないかと考えますけれども、どうなのでしょうか。
事務局長、よろしくお願いいたします。
○加納事務局長 丸山委員の御指摘は、特商法の担当課に確認したほうがよいかということで、今、企画官からお答えいたしましたけれども、事務局の問題意識としてここに書いていますのは、丸山委員が御指摘した、例えば連鎖販売とか特定継続的役務提供とかの場合は、その類型に当たれば通信販売であったとしても、通信販売というか要するにインターネットにおける連鎖販売であったとしても、それぞれの行為規制がかかりますと。ですから、特定継続的役務であったら誇大広告とか不実告知禁止とかの規制は当然かかるということで、問題は、連鎖販売とか特定継続的役務に当たらない通信販売の場合はどうなりますかというと、それは通信販売規制しかかかりませんと。その通信販売規制は誇大広告禁止があり得るかというところで、それ以上の勧誘規制はないというところにどのような手当てを講ずべきかという問題意識がありました。
丸山委員の御指摘は、恐らく今の特商法においても既にある問題になるのではないかという気がいたします。ですから、ぎりぎり言いますと、ネットでそのようなことをされた場合、連鎖販売で例えばそれがあったら、禁止行為としてやっているのか、あるいは誇大広告規制にとどまるのかということで、それは調べればどこか出てくるのかなという気がいたしますけれども、どこかで整理はされているのかなという気がいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
丸山委員、先に進めてよろしいですか。
○丸山委員 大丈夫です。
○後藤座長 それでは、論点2の「積極的な注意喚起等を行うことが重要ではないか」という消費者安全法の問題ですけれども、これで十分なのか、足りるのかという問題提起をなさっていますが、この点についてはいかがでしょうか。
○田村企画官 消安法の仕組みの活用は既に公表の事案も発表されておりまして、なされているところでございますけれども、恐らく論点1と論点3も関連してくるのかと思いますが、それをいかに消費者に効果的に伝えられるかというのが大事な観点かと思っておりまして、まさにそこで万場委員から御発言いただきましたように、SNSの運営業者と連携・協力したような注意喚起が有効ではないかという御発言もいただきましたので、そういった点についてどんなやり方があるのかと、そういった点も含めて論点として挙げさせていただいておりまして、恐らく仕組みの中では既に事案が公表されておりますので、それをいかに活用、周知していくかといった観点がより重要になってくるのではないかと考えております。
○清水委員 すみません。清水です。今の件で発言してよろしいでしょうか。
○後藤座長 お願いいたします。
○清水委員 消費者安全法に基づいて注意喚起したということはとてもすごいことです。ただ、誰も知らない。特にカード会社も知らないですね。消費者はもちろんです。私は相談員ですので、あっせんして一円でも多く取り戻そうと思っていますので、事業者に対して周知していただかないといけないと思います。これは後の問題に出てくると思いますが、今ここで言うべきではないのですが、相談員としては、本当にいいことを消費者庁がやっているのに、何で事業者に伝わらないのかというのが本当に悩ましいことだと思っています。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、論点4に移ってもよろしいでしょうか。論点4についても御指摘をいただいていまして、目的が最初に秘匿されていてチャットでの対話をされるというSNS勧誘の類型について、電話勧誘並みの勧誘規制が必要なのではないかと、そのような御意見だったと思いますけれども、これに関しては、積極的に論点4についての検討を進めるべきだという御意見があったということでよろしいでしょうか。丸山委員、何かつけ加えることはございますでしょうか。
○丸山委員 今の時点では、そういうことで大丈夫です。
○後藤座長 伺いたいのですけれども、積極的に論点4を取り上げていく場合、電話勧誘並みの勧誘規制をする必要があるというときに、その位置づけは具体的に、電話勧誘販売について適正な適用をしていくとか、あるいはより積極的な適用をするということを考える方向と、それから、むしろ通信販売の中で電話勧誘販売並みの規制をしていくという、その2つの方向があると思うのですが、この点については丸山委員、何か御意見ありますでしょうか。
○丸山委員 私としましては、もはや電話というよりは新たな類型が出てきているというように捉えて、その他の問題についてもいろいろと発展的に検討していったほうがよいと考えております。あと、もともと単なる勧誘ではなくて、何らかの不意打ち性など問題性があって規制をかけるということになっておりますので、そういった類型については、通信販売なのだけれども、特殊なタイプのものというような位置づけをしまして、SNSの勧誘に沿った勧誘規制を入れるということを検討したほうがよいと思っております。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
論点6についても丸山委員は触れておられますけれども、これは論点4についての御意見の中で議論されたということでよろしいでしょうか。
○丸山委員 そうですね。関連する指摘と捉えていただければと思います。ウェブ上の広告で目的秘匿となると現在でも壁があるところでございますので、具体的に法制の設計をするに際しては、この点を詰めざるを得なくなるのではないかと認識しております。関連するトピックになるのではという認識でした。
○後藤座長 貴重な御意見をありがとうございました。
それでは、板倉委員、よろしくお願いいたします。
○板倉委員 板倉です。ありがとうございます。
今のSNS等の勧誘を通販の規制に位置づけるか、電話勧誘に位置づけるかは、私はどちらがいいという意見はないのですけれども、名前がよくないと思っていまして、電話勧誘販売という名前だから、消費生活センターがあっせんしようとしても、どれだけ解釈を示しても、悪い事業者の方から「電話」と言っているではないか、と言われると思うのです。なので、何か名前は考えたほうがよいと思います。ただ、法制局とかに持っていくと電話等勧誘販売になりそうなので、一番広く取るのであれば、積極勧誘販売みたいにすれば、「電話」ではないではないか、みたいな不毛なことはなくなります。名前だけで電話だけではないというふうにしないと、たびたび報告されているように、今回規制しようとしている人たちは相当悪い部類に入るので、消費者庁の告示でこう言っているとかいっても聞かないのですよ。名前一発で絶対に電話ではなくても入るという名称にするというのを真面目に考えたほうがいいと思っています。電話等勧誘販売では駄目だと思うのです。等の議論はちゃんとした人にしか通じないのですよ。「餅等で喉が詰まる」ときの「等」は白玉、とかいうのはインテリジェントな人にしか通じないので、積極的勧誘販売でいいと思うのですけれども、それはそれでまた積極的ではないとか言われそうなので、名前一発であなたたちがやっていることは駄目だよというような名称を真面目に割と早い段階で考えたほうがいいと思います。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、ほかの御意見はございますでしょうか。
飯島委員、よろしくお願いいたします。
○飯島委員 ありがとうございます。今の点は私もそう思って、大変興味深く勉強させていただきました。こちらの整理をいただいた実質に鑑みて電話勧誘販売に位置づけるというのは、実質判断で類型を決めることの法的な不安定さなどもあるのではないかと思いまして、丸山委員、板倉委員の御意見は非常に勉強させていただきました。
あと1点ですけれども、厳正な執行が必要だということは当然のように共通認識ができていると思っているのですが、執行のボトルネックがどこにあるのかというところまで、もう少し踏み込むことはできないのだろうかということがございます。いつも清水委員から現場の貴重なお話をいただいておりますけれども、現場で把握しているものが、例えば情報が規制の部局に流れない、情報の問題なのか、それとも、これは恐らく委任などもされていると思うのですけれども、そういう組織の能力の問題なのか、組織編成の問題なのかですとか、あるいは非常に裁量の広い分野だと思いますので、処分基準も出てはいるようですけれども、その処分基準であるとか、あるいは注意喚起の際の基準であるとか、そういうところでの判断ができないのかですとか、もしそういうところがあったら、ここに盛り込むかどうかはともかくとしまして、御教示いただけたらと思っております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
この点に関して、事務局からコメントございますか。よろしいですか。
では、問題提起をいただいたということで、ご指摘を生かして議論を深めていきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。
○黒木委員 ありがとうございます。非常に分かりやすい資料で頭がすっきりしました。本当にすばらしい資料をつくっていただいたと、まずその点、感謝いたします。
結局のところ、このワーキング・グループなのですけれども、特商法とかその辺りは、今からデジタル化の中で進むeコマースを支える基本的な法体系をつくろうとしているのだというふうに僕は思っています。そうなってくると、まさに20世紀型の電話、通信、それから訪問とか、特定役務とかその辺りも違ってきますけれども、そういう消費者に対するアクセスの方法が極めて限定的だった20世紀型の法体系を持ったままでeコマースを考えようとしていること自体がもう今はおかしくなってきているということを直裁に認めるべきではないかと思っているのです。
それでもって、やはりこのeコマースを支える基本法をもう一度、今日すばらしい専修大学の森本教授の論文を読ませていただきまして、まさにそうだと思うのですけれども、音声と文字と動画と絵、そして即応性、今までなかったこれらのものがもうみんなの手元に、ポケットの中にみんな入っているという時代になっているわけですから、これを踏まえた上で、どういう形で含むのかということを大きめに考えてやっていく。もちろんそのベースとなるのは特商法なのですけれども、特商法をeコマースの基本法だという形で位置づけるという、このワーキング・グループはそれを目的にして考えていったらいいのではないかなと思っています。
以上、今日は非常にいい資料が出たので、それを契機として私の意見を述べさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
大石委員、よろしくお願いいたします。
○大石委員 御説明ありがとうございました。オブザーバーということで素人のような意見になって申し訳ないのですが、先ほどから電話型勧誘云々という名称の話があったのですが、やはり電話と今回のSNSは全く違うと思います。電話は、確かにふいにかかってくるというところは一緒かもしれませんけれども、受けないというか、切るといいますか、聞かないようにしようと思えばそれもできますけれども、SNSの場合には、自分が受けたくなくてもそれが届いていて、見たくなくても、消せばいいという話かもしれませんけれども、まず内容が見えてしまうということで、嫌でも各自が持っている端末で読めてしまうというところは、また電話とはちょっと違うのではないかなと思います。
そういう意味で、今、黒木委員もおっしゃいましたけれども、新しい形のものだということで考えていく必要があるかなと思いました。感想までです。
以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。
ほかに御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
事業者の方、何か御意見がございますでしょうか。
○SMAJ ソーシャルメディア利用環境整備機構の藤川でございます。先ほどからありました電話とSNSの違いといったところ、特に、例えばSNSというのはメッセージが届いてしまって中身が見えてしまうというところの御指摘があったかと思います。恐らくそういったときに、SNS上のユーザーを保護しているような機能もあるのですけれども、そういった機能をユーザーの方にも広く知らしめないといけないなと改めて認識したところが1点ございます。
ただ一方で、ユーザー保護機能設定といったところに関しては、当然そのメッセージであったりとか、相手が自分にとってよくないから例えばブロックしたりということになるわけですけれども、そこまでにユーザーが認識できていない中で、例えば勧誘に巻き込まれていくような状況も生まれるのだろうと。そうすると、今ありましたように注意喚起というか、こういったトラブルが起きているということも何かしらの形で広くユーザーにお伝えすべきなのだろうなと改めて認識したところでした。感想めいていますけれども、コメントさせていただきました。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
よろしくお願いいたします。
○万場委員 通信販売協会の万場です。私も感想めいたことですけれども、商売上、お誘いするというのは当然やっていくのですけれども、そのお誘いの仕方があまりにも極端にひどいと、目的秘匿型とか、それについてしっかりと規制していくということは重要なことだろうと。それから、法執行を厳正にやっていくというのは重要なことだと思います。ただ、一方で、真っ当な事業者も勧誘はするわけですので、そこに対して過剰な規制が入ることは、これも繰り返し申し上げているのでこれ以上は申し上げませんけれども、そこはやはり御容赦いただきたいと思います。
それから、SNSの勧誘のところは本当に注意喚起が非常に大事だなと思っているのですけれども、それを消費者に本当に届く、SNSの利用者に届くような形でぜひともやっていくべきだろうと思いますし、そういう悪質な事業者が広告を出せないようにするということが重要なので、これは事業者間の連携とかそういうこともあるのだろうと思います。
それから、清水委員がおっしゃった決済のところです。そういう事業者に決済手段を与えているというのが問題で、クレジットカード決済ができないようにすべきだろうと思いますし、クレジットカード会社も管理責任というか、加盟店審査を厳密にやっていかなければいけないということは、クレジット協会なんかもしっかりやられているのですけれども、そういう観点でも考えていかなければいけないことかなと思います。
以上です。ありがとうございました。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、課題①については以上でよろしいでしょうか。
板倉委員、よろしくお願いいたします。
○板倉委員 端的に申し上げますが、今、万場さんがおっしゃっていただいたように、決済手段を何とかしなきゃというのは全くおっしゃるとおりで、どんどんいろいろな決済手段が出てくるのに合わせて、すごく決済の規制が複雑になっているのですけれども、悪い人はめちゃくちゃ詳しくて、決済代行会社をうまく使ったり、外国の決済代行会社を使ったり、代引きで悪いことをしたり、ちょうど規制がないところを狙ってくるのです。消費者委員会だから申し上げたほうがいいと思いますけれども、決済法制はすごく分からないのですよ。我々も分からない。消費者問題をやっている弁護士も丸一日聞いてやっと現状が分かるぐらいで、どう考えても限界なので、シンプルにして、(欧州の)PSD指令みたいに一本化するという意見があったぐらいは言ってもいいと思います。
各業界団体があって、経産省と金融庁がいて大変なのは分かりますが、もはやプロでも分からないというのは規範的な機能がないので、法律として機能していないということです。悪い人ばかりがうまいことを見つけて悪いことをしますから、やはりシンプルにする方向を、例えば個人情報保護法はすごく珍しいですけれども、行政機関も独法も自治体も含めて何とか一本化したわけで、全くできないわけではないのです。軽い未来の目標でもいいので、シンプルにするというのを考えないと法律として機能しないと思います。
○後藤座長 決済について、黒木委員、よろしくお願いいたします。
○黒木委員 決済のことにつきましては、非常に重大な問題だとずっと思っていまして、日弁連からも決済に関して3本くらい消費者委員会のほうに意見書を出させていただいていると思っています。結局、取引は最終的に資金の移動がない限りは完結しないわけですね。そうすると、勧誘規制も重要です。しかしながら、勧誘された後、その問題点に消費者が気づいた後にどうリバースできるのかというところも、今までのように対面で現金を渡すみたいな訪問販売みたいな話と大分違っているわけですから、スマートフォンで2から3回クリックするとすぐお金が動く時代なので、お金というか、お金ではないですね、データの固まりが移ってしまう。これもやはり1つ考えていかなければならない問題だと思っておりますので、このルール形成ワーキング・グループの中では、まさにさっき言いましたeコマース全体となったら決済は絶対に必要な論点になると思っていますので、特商法に議論をまずするのは全然構いませんけれども、この辺りで私どもも意見書をまとめるためにかなり勉強しましたが、いまだに私も全容はつかめていないと思っています。分からないことがいっぱいあります。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 本当に決済については先生方のおっしゃるとおりです。貸金業界が今、強化して、理由を聞いてくれるようにはなったのですが、やはりマンパワーに任されているところがあって、今なお消費者金融を使ってもうかる話というのは続いております。後払い決済も業界団体ができて私たちも対話を深めております。何でこんな詐欺みたいなのがカードを介して、国際ブランドを介して海外決済、その先に販売会社がいる、この仕組みを何とかすれば相談は半減すると思います。
○後藤座長 どうもありがとうございました。重要な論点の御指摘をありがとうございます。
それでは、次の課題に移らせていただきます。課題②「2段階目の電話による高額な契約の勧誘事案について」ですが、御意見がありましたらお出しください。よろしくお願いいたします。
丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 それでは、私のほうから、課題②に含まれていた論点につきましてコメントをさせていただければと思います。
まず、12ページの論点5については、周知も迅速に徹底していただかないと困るのではないかという問題だと思うので、全く異論はございません。
続けて、13ページの論点6につきましては、先ほど言及したところでございますので、繰り返しは省略させていただきたいと思います。
そこで、17ページに飛びまして「第三者」の勧誘という問題についてどのように対応するのかという点なのですけれども、事務局に非常に細かく精緻に整理をしていただいて、大変助かりました。その上で、私自身、論点の13番目に当たるのでしょうか。特商法の連鎖販売取引とかでは「勧誘者」も行為規制の対象としているという指摘をいただいております。この指摘は重要ではないかと思っておりまして。
○後藤座長 丸山委員、申し訳ないのですが、今扱っているのは課題②なのですけれども、課題③のところも関係するということで御発言なさっているのでしょうか。
○丸山委員 すみませんでした。課題③にはみ出してしまいましたので、課題②のところまでで大丈夫です。では、一旦打ち切ります。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
課題②について、ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、また後でまとめて課題②についても御意見がありましたらお出しください。
課題③に移ります。「『第三者』による不当な広告や勧誘について」ということですが、丸山委員、恐縮ですが、続けていただけたらありがたいです。
○丸山委員 大変失礼いたしました。課題③に分類されております「第三者」による勧誘という問題について、どのように対応するのかという点なのですけれども、先ほども言及をしましたように、事務局で整理していただいた中で論点13に掲げられている「勧誘者」というのも行為規制の対象にすることは検討の余地があるのではないかという指摘をいただいておりまして、私自身もこういった方向性は重要ではないか、必要性があるのではないかと考えております。
勧誘している人自体が不実告知などそういう問題のある発言をしていて、消費者側に損害が生じているということになると、17ページにも記載されておりますように、本来「勧誘者」という人は不法行為責任として損害賠償責任も負い得る立場になると思いますので、「勧誘者」について、自分がそういう行動をすることについて責任があるのだ、規制が及ぶのだということを明らかにすることによって、実は販売業者から委託を受けているのだみたいな内部関係の解明にも資する点が出てくるかもしれません。そういう意味では不当な勧誘をしている勧誘者自身も行為規制を及ぼすとともに、民事的な責任もあるのだということを自覚させて、内部関係を明らかにするような方向性に持っていけないかと思いました。
以上でございます。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。
丸山委員が今おっしゃった論点13のところについて、事務局としては何かございますでしょうか。よろしいですか。
どうもありがとうございます。論点13について「勧誘者」も行為規制の対象とするということ、そういう方向での検討は非常に重要な御指摘だと思います。
それでは、今、課題ごとに御意見いただきましたけれども、各課題が関連するということもありますので、全体を通じて、どこでもよろしいので御発言いただけたらと思います。
大石委員、よろしくお願いいたします。
○大石委員 すみません。今の論点13のところで意見を述べたくて、ちょっと遅れてしまいました。私も、今、丸山先生がおっしゃったところは大変重要だと思っています。ただ、前回、司法書士の方から説明いただいたときに、かなりハードルが高いということはお聞きして、結構難しい点のある課題であると思っておりますけれども、やはり全体として被害を未然に防ぐためにここはすごく重要であると思っていますので、ぜひ論点として進めていただければというのが私の意見です。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 清水です。さっきの課題②の2段階目の電話に関する高額な契約の勧誘事案についてというところ、頭の整理ができていなくて今頃すみません。実は今回の改正ではなくて、今までの特商法の考え方、通達の変更で今年2月に、これは法的に解決できていると言ってもいいと思います。しかしながら、先ほども言いましたが、現場では全然相談が減っていないということなのですが、消費者庁の2月の通達では電話勧誘の考え方が変わっております。もちろん、今や電話勧誘等というのはとても現場では使い切れていないのですが、通達の中ではこの2段階が解消されたと思っています。電磁的方法によって勧誘されたとしても、そこで2段階で電話があったりとか、それは全て電話勧誘と。特商法の電話勧誘というのはすばらしいですので、そこで規制ができるのですが、先ほども申し上げましたが、問題はクレジット会社とか決済代行会社、また販売会社、全てにこの考えが徹底されていないということです。法的には整備されました。消費者庁に言うと、できますと言います。ただ、現場ではできません。残念ながら極悪層が今は増えてしまって、詐欺国家日本と言ってもいいぐらい法律を守らない方たちが何でこんなに多いのかと思っています。ですから、消費生活センターでは今、警察と連携しています。消費生活センターには警察のOBの方が配属されています。
特商法の考え方が徹底すれば、当然に先ほど万場さんも言われたように、業界団体に入っている方は前々からすごく勉強会をしていて、ホームページでもPRしています。今回の改正でクーリング・オフがメールでいいというのも、訪販業も徹底されています。しかしながら、6月1日からまだ2日しかたっていませんが、この2日の契約書を見ていますと、電気とかは全然変わっていません。クーリング・オフは書面でと書いてあるので、これを書面不備と言いたいのですけれども、私たち相談員は書面でのほうがいいので、このすばらしい発信主義は議論の余地なしでいいのですけれども、ほとんど法律を守っていない。
話がそれましたが、そういう現状がありますので、いい事業者は徹底していますけれども、決済関係の事業者に何とか情報を徹底することがこの会で何か発信できないかなと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
板倉委員、よろしくお願いします。
○板倉委員 ありがとうございます。論点14に民事的な対応の一つとして消費者契約法を参照して、「第三者」に勧誘の取消権を設けることについても検討できると書いてあるのですけれども、消費者契約法にあって使えるのであれば、それで本来できるはずなので、立法するのであれば、なぜ今、消費者契約法でできないかというのを考えて立法したほうがいいかなと思いました。
特商法に取消権というか解除権が入って、そのまま広げる形で消費者契約法に後から入ることは多いですけれども、両方あるだけでよく分からないというか、あまりどちらも機能していないことが多いので、なぜ今、消費者契約法でうまくいっていないのか、うまく分析して、それもぱっと思いつくわけではないですけれども、立証責任なのか、要件を1つ削ればいいのか、何かうまくやらないと、また両方あるけれどもどちらもよく分からないということになります。丸山先生が頷いていらっしゃいますが、授業とかで教えるときも2つありますと説明して、違いがよく分かりませんと解説せざるを得ないのですね。大体は先に特商法があって消費者契約法に一般化されることが多いのですけれども、今回もし逆だとすれば、やはり機能していないというか、うまく使えないことを反省して、ここを直したら今回はいけますというふうにうまくやらないといけないなと思いました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
どの箇所でも結構ですが、ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。本日は3つの課題について扱ったということでありまして、課題①「販売業者等からのSNSのメッセージによる勧誘」のところについて議論が多かったわけでありますけれども、ここにつきまして、法制度上の課題(通品販売における勧誘規制のあり方)として、特に電話勧誘との比較を事務局で資料の8ページ、9ページに詳しくまとめて、整理していただいています。
論点4は、通信販売において積極的な勧誘がなされる類型についての問題提起ということでありますが、この論点4の方向での議論の重要性を御指摘いただきましたので、この点について深めることが必要だというふうにまとめることができるのではないかと思います。
位置づけとして、電話勧誘販売として位置づけるのか、あるいは通信販売として位置づけるのかということについても議論がなされ、ある程度の方向は現時点で出てきたのではないかと私は認識しました。
課題②の「2段階目の電話による高額な契約の勧誘事案について」でありますけれども、ここについては特にたくさん意見が出たというわけではありませんが、論点について確認がなされたと位置づけることができるのではないかと思います。
法制度上の課題としましては、論点7の「通信販売のうち、積極的な勧誘がなされる類型については、勧誘規制等を検討することが必要ではないか。その場合、通信販売規制の中でも特別な類型として位置づけることが考えられるのではないか」という指摘が事務局から提供していただいた「課題の整理」にありますけれども、この点についても重要な論点だと思います。あまり議論として積極的に取り上げるということは御意見の中ではなかったのですが、重要な論点として認識しているということで、特に異論は出なかったと理解しました。
それから、課題③「『第三者』による不当な広告や勧誘について」ということでありますけれども、これについては先ほども述べましたが、論点13の「勧誘者」についての規制も重要な論点だという御指摘をいただきまして、全体の取りまとめに向けてこうした点も考える必要があるのではないかと思っています。
それから、全体を通じて、eコマースを支える基本法という構想、21世紀型の法体系を通信販売について考えていく必要があるのだという御指摘、これも重要な御指摘で示唆的だと思いました。
それから、皆さんの御意見の中で決済についての議論が非常に重要だということが出てきておりますので、これも全体の取りまとめの中でどういう形で生かせるかということがありますけれども、いずれにしても消費者委員会としての重要な課題であるということは、本日認識させていただきました。
以上のようなことで、本日のまとめになっているかどうか分からないのですけれども、一応、本日の議論について、以上のようにまとめさせていただきたいと思います。
委員の方々から、私の発言について補う必要があるとか、何か御意見がありましたらお出しいただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
本日の議論は以上にしたいと思いますが、事務局から何か補足はありますか。よろしいですか。
それでは、以上にいたします。
《3.閉会》
○後藤座長 最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。
○田村企画官 本日は大変ありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。
以上でございます。
○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。
(以上)