第4回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録

日時

2022年4月22日(金)15:00~16:01

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

  • (構成員)
    【会議室】
    後藤座長
    【テレビ会議】
    飯島座長代理
    清水委員
  • (オブザーバー)
    【テレビ会議】
    黒木委員
    板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
    丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
    万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
    独立行政法人国民生活センター
    一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構
  • (参考人)
    【会議室】
    消費者庁 奥山取引対策課長
    【テレビ会議】
    藤川由彦氏 LINE株式会社 ソーシャルメディア政策企画チームマネージャー
  • (事務局)
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、田村企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 特定商取引法について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤座長 ただいまから、第4回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。

皆様、本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

本日は、私が会議室にて出席、飯島座長代理、清水委員、黒木委員、板倉委員、丸山委員、万場委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構様、独立行政法人国民生活センター様がテレビ会議システムにて御出席です。

大石委員は、途中から御参加の予定です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○田村企画官 本日は、お集まりいただき、ありがとうございます。

本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。

また、画面の設定を皆様オンにしていただければ幸いです。

御発言の際は、混線を避けるため、発言する旨をテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願いいたします。

本日は、感染症拡大防止の観点から、傍聴希望者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。

議事録については、後日、消費者委員会のホームページにて公開いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりです。

お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。

○後藤座長 本日の議題に入る前に、前回のワーキング・グループでの委員からの質問に対して、LINE株式会社様から御回答いただければと思います。前回に引き続きまして、LINE株式会社の藤川様、本日も誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

それでは、御説明は10分程度でよろしくお願いいたします。

○LINE株式会社 ありがとうございます。

LINE株式会社の藤川でございます。よろしくお願いいたします。

前回、私どものサービス、LINE公式アカウントについて御説明差し上げたところ、3点御質問をいただいておりますので、その点、御質問内容と弊社のそれに対する御回答をさせていただきたいと思います。

まず、1点目にいただいているところ、公式アカウントと個人アカウントが連携して消費者に対して勧誘する事例に対応されたことはありますかという御質問をいただいております。

前回の発表と重複するところはありますけれども、弊社の対応としては、通報対応等を含めたモニタリングにおいて、ガイドラインで禁止している情報商材等の業種における利用を検知した場合に、当該アカウントに対して利用停止の対応等を行っているというものとなります。こちらが御質問に対する弊社の対応の御説明となります。

2点目の御質問が、利用者の端末において相手のアカウントやトーク履歴が消えてしまうのはどのような場合ですか。消えてしまう場合、復元することは技術的に可能なのでしょうか。公式アカウントと通常のトークについてそれぞれ御教示くださいという御質問をいただいております。

利用者の端末におけるトーク履歴の削除には2パターンございまして、1つ目が、端末を利用している利用者によるトークの削除、2つ目が、トークの相手によるトークの送信の取消しがあります。

まず、利用者によるトークの削除は、LINEの個人アカウントのトーク及びLINE公式アカウントのいずれにおいても、トーク履歴またはトークをやり取りしているトークルーム自体を削除した場合に、利用者の端末においてトーク履歴が削除されるというものでございます。

2つ目の相手によるトークの送信の取消しについては、相手がトークを送信してきた後、24時間以内に送信を取り消すことで、受信者となっている利用者の端末からトークの履歴が削除されるというものとなっております。

また、相手のアカウントが削除された場合、アカウント名は表示されなくなりますが、利用者の端末におけるトーク履歴は削除されないことになります。

また、利用者の端末からLINE公式アカウント相手に送信したトークの取消しはできないということでございます。

最後に復元なのですけれども、一旦削除されたトーク履歴に関しては、LINEトーク及びLINE公式アカウントいずれの場合でも、利用者が復元する機能はないということでございます。

3つ目の御質問については、消費生活センター様のほうから問合せへの対応として、公式アカウントの電話番号など登録情報を開示することはありますかという御質問でございました。

消費生活センター様からの問合せへの対応として、LINE公式アカウントの登録情報を開示することはございません。登録情報の開示については、裁判所の発行する令状か、その他の法的根拠にのっとり開示を行っているということでございます。

3つの質問についての御説明は以上となります。

○後藤座長 藤川様、どうもありがとうございました。

前回質問された委員からもし補足することがございましたら、簡潔にお願いいたします。

板倉委員、よろしくお願いします。

○板倉委員 ありがとうございます。

1番目と3番目は私だったのですけれども、1番目はあまり正面から回答いただいていないと思うのですが、回答できないというところですか。

○LINE株式会社 要は連携しているからとかということではなくて、実際に情報商材のやり取りが確認できたアカウントにのみ対応しているという状態になっているということです。

○板倉委員 それは恐らく適正にやっていただいていると思うのですけれども、私が知りたいのは、公式アカウントの勧誘に個別アカウントが使われていて、その場合に、そういう利用なので止めたというような事案があったのか、なかったのかだけでも知りたいのですけれども、どうですか。

○LINE株式会社 要は連携をしているということを能動的に確認するということをやっていないということになります。

○板倉委員 ただ見ているだけだと。

○LINE株式会社 そうです。通報もしくはモニタリングで確認していることに対して対応しているということになります。

○板倉委員 分かりました。

○後藤座長 丸山委員、よろしくお願いします。

○丸山委員 私からも、お答えできなければそれで構わないのですけれども、送信者が取り消した場合の復元に関してなのですが、質問の意図としましては、警察とか公的な機関が消えてしまったものを確認したいという状況に至った場合に、その復元が技術的に利用者ではなくて可能なのかという趣旨の質問だったのですけれども、この点はお答えいただけないのか、それとも、技術的にはそういったことは可能ということなのか、いかがでしょうか。

○LINE株式会社 まず、技術的なところで1点言えることに関しては、トークの内容に関しては暗号化を行っております。設定の中でもレターシーリングという機能になっていて、ふだんはオンの状態になっているのですけれども、暗号化されているものに関しては、削除されているか、もしくは送信取消しされているかにかかわらず、私たちは中を確認もできなければ、テキストという形で復元できないものになっているということでございます。その前提で、先ほど申し上げたような内容となっております。

○丸山委員 よく分かりました。ありがとうございます。

○後藤座長 それでは、よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。

前回に引き続き、LINE株式会社様には、御対応、御協力を賜りまして、改めて深く感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。


《2.特定商取引法について》

それでは、本日の議題へ参ります。

これまでのワーキング・グループでの審議において、SNSを利用した情報商材や転売ビジネスなどのもうけ話の消費者トラブルにおいては、インターネット上で契約の申込みがなされており、特定商取引法上、電話勧誘販売または通信販売に該当すると考えられる事例が見られました。これらの事例について、SNSのメッセージやウェブ会議システムといったデジタルツールを利用した勧誘の事例があること、電話勧誘販売の該当性について事業者との間で争いになるケースがあること、販売業者等との関係が明確でない第三者による勧誘も見られること、SNSのみでのやり取りの場合、販売業者等の所在地や電話連絡先が分からないケースがあること等の課題がうかがえます。

前回のワーキング・グループにおいては、SNS事業者の自主規制についてヒアリングを実施しましたが、今回は特定商取引法に関して検討したいと思っております。

本日は、消費者庁取引対策課の奥山課長にお越しいただき、特定商取引法の規定の適用関係や執行状況等について御説明をいただいた後に、意見交換をしたいと思います。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○消費者庁取引対策課 消費者庁取引対策課の奥山でございます。お招きくださいましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

いろいろと御質問を頂戴いたしまして、どうもありがとうございます。

あらかじめお断りなのですけれども、特商法の適用に関しまして、割と限界事例に関する御質問をいただいておるのですが、思いは私もよく理解しますし、そういうところではあるのですけれども、あまりそこに特化していろいろ申し上げますと、今度は言葉尻を捉えたりとか、悪い事業者が悪用するきっかけを与えるといけませんので、これは公開の場でもございますので、そこに関してあまり直截的なお返事ができないところがどうしてもあるところは御理解いただければと思います。むしろこの場では、法の本質的なところの観点から御回答申し上げていくことを中心にすることを御理解いただければありがたいと思います。

まず、「販売業者等」の範囲につきまして御質問を頂戴いたしました。特定商取引法におきましては、「販売業者等」とは、販売等を業として営む者の意味でございまして、業として営むとは、もう御案内とは思いますが、営利の意思を持って反復継続して取引を行うことをいうとされております。そして、例えばリース提携販売のように契約を締結して商品を販売する者と契約の締結について勧誘する者など、一定の仕組みの上での複数の者による勧誘や販売等であるが、総合して見れば1つの訪問販売取引を形成していると認められるような場合には、これら複数の者はいずれも「販売業者等」に該当するとされております。

このように、複数の事業者が連携・協働して事業を行っていると認められるのであれば、それらの事業者はいずれも「販売業者等」として特定商取引法の規制を受けるものとされておりますが、悪質業者による潜脱を招くおそれがあるために、どのような場合に1つの取引を形成していると認められ、「販売業者等」と認められるかといった具体的な基準についてお示しすることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。

1つの例を挙げさせていただきたいと思います。資料を御覧いただければと思うのですけれども、形式的な契約当事者以外の事業者も含めて複数の事業者が連携・協働して通信販売業者であると認定した事例をお示しします。消費者庁が令和3年7月15日に処分をし、16日付で公表いたしました株式会社LIBELLAに対する件でございます。

2ページ目でございますけれども、LIBELLAという会社は、以前に行政処分を受けておりましたGRACEといった関連法人の通信販売事業を統括していたと認められましたことから、販売業者と認定し、行政処分の対象とされたものでございます。当該事例におきましては、資料の5ページに記載していますとおり、LIBELLAは、LIBELLAの関連法人の設立の際に、LIBELLAの代表取締役が出資または資金提供を行い、LIBELLAの従業員等をその役員とするなどした上で、LIBELLAの関連法人が商品の仕入れ先または製造委託先の事業者に対して負担する代金支払債務を連帯保証するほか、LIBELLAの関連法人が行う通信販売における利益状況等をLIBELLAの内部において広く共有し、その事業方針をLIBELLAの従業員等に具体的に指示するなどとしていること。そして、LIBELLAは、LIBELLAの関連法人が販売する商品の開発及び製造に係る業務、ウェブサイトにおける表示を含む商品販売に係る業務、そして顧客対応等に係る業務等を主体的に行っていたことなどといった事情を総合的に考慮しまして、LIBELLAの関連法人の通信販売事業をそれぞれ統括しているものと判断をいたしました。

販売業者に関する御説明は以上でございます。

次に、特定商取引法第11条につきましての御質問を頂戴いたしました。

特商法第11条は、販売業者等は通信販売をする場合の販売条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより当該広告に当該商品に関する一定の事項を表示しなければならないと、販売業者に広告における表示義務を定めております。

このように、特定商取引法第11条は通信販売における広告の表示義務を定めるものである以上、広告するときとは文字どおり広告をしているときでありまして、ウェブサイトにおける広告の場合は、消費者の目に触れる状態にしているときを指すものと考えられます。これは反対解釈ですけれども、そのため、広告をしていなければ広告をするときには該当せず、特定商取引法第11条の義務はかからないことになります。

例えば広告の表示義務事項の一つである電話番号は、確実に連絡が取れるものである必要がありますけれども、広告をしている間、その時点で連絡が取れていたかによって第11条違反の有無は判断されることとなります。

実際、通信販売をしようとする事業者においては、広告の掲載を取り下げる、広告の掲載をしないということは、通信販売事業自体が成立していないような状態とも言えますので、そうした事業をやめてしまった事業者に対して、特商法の規制の範疇とするかどうかはなかなか困難なのではないかと考えられます。これは通信販売に限らず、廃業してしまった会社に対して何か措置を打ちたいときには割と共通する問題になってくるのではないかと考えられます。

また、販売業者等の第11条の遵守に向けた消費者庁の取組でございますけれども、資料の7ページを御覧いただきますと、通信販売事業者に対する改善指導を行っているところでございまして、2016年度以降の数字を挙げてございますが、毎年1,000から1,500件の指導です。最近、巣籠もり需要もありまして通信販売は大変伸びておりますので、それに伴いまして指導件数もかなり大きいものが出ているところでございます。このような指導等も通じまして、販売業者等に第11条の遵守を促している状況でございます。

それから、執行面でございますが、過去5年間で特商法第11条のみを違反事由とした行政処分の事例は存在しませんけれども、第11条の違反が違反行為の認定に含まれる行政処分の事例はございまして、例えば令和2年4月7日に公表いたましたアマゾンにおいて財布またはバッグの偽ブランド品を販売していた通信販売業者に対する行政処分におきましては、販売業者等の所在等を特定することが困難な情報のみがウェブサイトに登録されていたことを処分事由としておりました。いずれにしましても、広告に販売業者等の住所や電話番号が記載されていない、またはそれが虚偽であるといった特商法違反が認められる場合には、今後とも法と証拠等に基づき対処をしてまいります。

続きまして、3番目の論点ですが、特商法第12条関係の御質問を頂戴しております。特にもうけ話を対象とした事案についてお答えを申し上げます。

この点につきまして、国による特商法第12条を処分事由とした処分事例はございませんけれども、東京都が令和2年1月21日に公表いたしました株式会社WAVEに対する件がございます。

当該事案は、副業を探す消費者を副業サイトやSNS上の広告で自社のウェブサイトに誘引して、スマホ錬金術と称するビジネス、以下、スマホ錬金術と言いますけれども、これは誰でも短時間で確実に大金を稼げると消費者を誤認させ、無料情報を受け取れるとしてメールアドレスやSNSの登録を促し、登録した消費者に対し、スマホ錬金術を始めるには自社のビジネスセットの購入が必要であるとメール等で勧誘し、特別に割引価格で7,000円にて御提供などと、あたかも特別な価格に割引するように告げ、ビジネスセットを契約させていたというものでございます。

当該事案については、特定商取引法第12条違反も認定をしていたようでございます。

これは業務停止命令が3か月、電話勧誘販売については業務停止命令6か月という処分でございます。

また、消費者庁におきましても、消費者安全法に基づいて、ウェブサイトにおいて毎月10万円もうかるビジネスなどとうたって多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起、これは令和2年10月7日に公表したものでございます。それから、これは最近の事案ですけれども、簡単な作業をするだけで誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができるなどの勧誘により、副業のマニュアルを消費者に購入させた事業者に関する注意喚起、これは今月13日に公表したものですけれども、これを行っているところでございます。

以上が特商法第12条に関しての御説明でございます。

続きまして、電話勧誘販売についての御説明に移りたいと思います。

資料の9ページ以降に条文を引用してお示ししてございますけれども、特商法第2条第3項が電話勧誘販売についての定義になっておりまして、販売業者等が電話をかけ、または政令で定める方法により電話をかけさせ、その電話において行う契約の締結についての勧誘、以下、電話勧誘行為と言います。それによって、その相手方、電話勧誘顧客から当該契約の申込みを郵便等により受け、もしくは電話勧誘顧客と当該契約を郵便等により締結して行う商品の販売等と規定してございます。

消費者が販売業者等に電話をかけた場合も、説明資料10ページに記載していますとおり、電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法もしくは電磁的方法またはビラもしくはパンフレットを配布して、当該契約の締結について勧誘するためのものであることを告げずに電話をかけることを要請した場合は、電話勧誘販売に該当することとなります。質問事項の4の③の事例に相当するかと思われます。

電話をかけさせる手段ですが、政令で特定の手段が規定されておりますために、どのような手段で電話をかけさせたかを検討する必要がございます。この点につきまして、電磁的方法については説明資料11ページを御覧いただきたいと思いますけれども、特商法の施行規則第11条の2でこれを規定してございまして、その中の第3号、その受信する者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信を送信する方法、他人に委託して行う場合も含むと規定していることから、ウェブサイトやSNS上の広告が、その受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信を送信する方法に該当するか否かを検討して、政令で定める方法により電話をかけさせたかを判断することになります。

また、外形的に電話勧誘販売に該当したとしても、電話勧誘販売の規制の全部またはその一部が適用されないものがございまして、戻っていただくのですが、説明資料9ページにありますとおり、特商法第26条第7項第1号、契約の申込みをし、または契約を締結するために電話をかけることを請求した者に対して行う電話勧誘販売も、第18条、第19条、第21条から第25条までの規定が適用されないと規定しております。消費者が電話予約して、それを受けて販売業者が電話をかけたような場合は、同号によって電話勧誘販売の規定が適用除外となるかは、契約を締結するために電話をかけることを請求したものと言えるか、すなわち、その者が契約の申込みまたは締結をする意思をあらかじめ有し、当該契約の申込みまたは締結を行いたい旨の明確な意思表示をしたと言えるかで判断されることになります。

さらに、通達でも解釈をお示ししているとおりでございますが、Zoom等によるウェブ会議なども含むインターネットを使って通話する形式、これは映像を伴う場合も含みます。それを用いた場合も、それが複数人による場合かどうかを問わず電話勧誘に該当します。ですが、具体的な事案に関しては、個別に電話勧誘に該当するか判断する必要がございます。これが質問の④、⑤です。

なお、例えばセミナーで一方的に説明者が話すだけで出入り自由の場合、ウェブ上のCM等と相似する点で、電話勧誘とは言い難い場合もあり得るとは考えられます。

最後の論点でございますが、SNS事業者との関係でございます。販売業者等の特定商取引法の遵守に向けたSNS事業者等との具体的取組については、この場で特に明らかにするべきものはございませんけれども、一般論としまして、通信販売事業者以外の者への働きかけという点で申し上げますと、通信販売事業者に対して不適切な広告の改善を求めるために、その執行を補完する取組としまして、インターネットサービスプロバイダー等に対してウェブサイトの削除等を促すといった取組は行っておるところでございます。

御説明はこれで一通りさせていただいたと思います。ありがとうございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、御発言のある方は、発言する旨をテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。それを確認した上で私が指名しますので、よろしくお願いいたします。意見交換、質問の時間は40分程度を予定しております。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。御説明ありがとうございました。

特商法第11条についての執行状況、改善指導件数は消費者白書にも載っている件数かと思いますが、2020年度は1,105件を指導してもらっていますけれども、これは口頭なのか、文書なのか、どのような指導方法でしょうか。本来ならば、どういうケースで、結果はどうなったかということも知りたいのですけれども、これは発表されていないですよねという確認です。お願いします。

○消費者庁取引対策課 ありがとうございます。

指導は文書にて行っております。ただ、指導の事実は公表していない情報でございますので、件数のみの公表とさせていただいております。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

○清水委員 ありがとうございます。公表していないならば、残念です。

○後藤座長 それでは、板倉委員、よろしくお願いします。

○板倉委員 御説明ありがとうございます。

私も第11条の運用状況が気になるのですが、第11条は連絡先の公表なので、これが間違っているとそもそも連絡ができないと思うのですけれども、この指導は、連絡はつくけれども不正確というものがほとんどであって、連絡がつかないというものはあまりないのでしょうかということが1つと、連絡がつかない場合に、調査を駆使して連絡先を見つけて指導するというのがどれぐらいあるのか。あまり細かいことはおっしゃれないと思うのですけれども、割とあるのでしょうか。

○後藤座長 お願いします。

○消費者庁取引対策課 すみません、なかなか定量的にお答えするのは難しいのですけれども、連絡先が正確でない、もしくは表示されていないという事案もございまして、その場合、プラットフォーム上に乗っている事業者さんですと、プラットフォームの事業者さんに連絡の御協力をお願いするといった方法でたどり着く努力をしています。ただ、最終的に海外の事業者さんだとか、たどり着くのに実質上なかなか手段がないようなところもあるのが実態でございます。

他方で、連絡先が問題の中でマジョリティーかというと、私の知る限りでは、そこまで大半を占めるようなものではないと承知しております。

○板倉委員 連絡がつかないというよりは、不正確なので直しなさいということのほうが多いという感じだと理解しました。

○消費者庁取引対策課 かつ、第11条の問題の中で、連絡先に関するものがそれほど多数派ではないと私は理解をしております。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

○板倉委員 第11条は第1号から第5号まであるので、ほかのところが不適切な場合ということで、分かりました。

○後藤座長 それでは、清水委員、再度よろしくお願いします。

○清水委員 先ほどの改善指導のところの関連ですが、4月13日に消費者庁が国民に対し注意喚起をしています。簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起、これはとてもよかったと思います。全く同じような事例が全国で行われています。

ここでLINEアカウントから稼げる副業を紹介すると書かれているのですが、これもお答えできないかもしれませんが、これは公式法人アカウントなのか、個人アカウントなのか、把握されていらっしゃいますでしょうか。

実は消費生活センターの相談員の肌感覚ですと、ほとんどが個人アカウントのやり取り、それは相手方も公式法人アカウントだとLINEにモニタリングされているので、恐らく最初は公式法人アカウントで入っていたのに、何回も何回も友達登録して、最終的には個人アカウントで金銭のやり取りがされているのではないかと思っています。なかなかPIO-NETに入り口のところから最後まできちんと書いていないので、PIO-NETではとても分析できないのではないかと思うのですけれども、お答えいただけたらと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁取引対策課 すみません、むしろ今いただいた情報はありがたいと思うのですけれども、私から個別の事案について申し上げるのは控えさせていただいておりまして、かつ、今回の注意喚起なのですけれども、特商法に基づくもの、行為ではなくて、消費者安全法に基づくものでございますので、その意味からもコメントは控えさせていただければと思います。

○清水委員 分かりました。私たち現場では、実名公表の注意喚起をしていただけると、ありがたいです。消費者安全法の関係はどこの部署がやっているのですか。

○消費者庁取引対策課 財産被害対策室でございます。

○清水委員 ありがとうございました。また連携をお願いします。

以上です。

○消費者庁取引対策課 ありがとうございます。

○後藤座長 それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 よろしくお願いいたします。

まず、第1に「販売業者等」の範囲について、具体的な事例を用いて説明をしていただきました。お伺いしたい点としましては、通信販売事業者が、例えば広告とか、あるいは今回問題となっているSNSでの勧誘を全く独立したほかの事業者に委託をしたという事例において、受託事業者が虚偽の広告やSNSで不実の告知を行ったという場合については、最終的に虚偽の広告や不実の告知というのはSNSで行っている場合に、その事実を知らないかもしれないのですけれども、当該通信販売事業者に対しては、特商法上の指導とか措置を取れるという理解でよいのか。また、受託者である独立した広告事業者などそういった勧誘を請け負っている受託事業者に対しては、特商法上の措置を取ることは現行法上は無理であるといった理解でよいのか。現行法の理解について、全く独立した事業者だったという場合についてどう考えたらよいのかというのが質問の第1点です。

第2点としましては、電話勧誘販売のところの質問としまして、電磁的方法の解釈について確認をいただきました。そのときに、受信する者を特定してSNS上の広告などをした場合は、この範疇に入り得るという説明をしていただいたのですけれども、受信する者を特定するという要件は、どういった趣旨から要求されているのか。受信する者を特定して広告等をした場合については電磁的方法に入るというのは、逆に言えば、不特定多数に向けて打っている広告は入らないということになると思うのですけれども、そういった要件が出ているのはなぜかということと、そうであれば、例えばターゲティング広告であれば該当するけれども、そうではない広告であれば該当しないといった解釈、運用がされ得るのかという辺りを確認させていただければと思いました。

よろしくお願いいたします。

○後藤座長 お願いいたします。

○消費者庁取引対策課 ありがとうございます。

まず、第1点目の御質問でございますけれども、基本的に、複数の事業者が連携・協働して事業を行っていると認められるのであれば、それらの事業者がいずれも販売業者等として特商法の規制を受けるというのが基本的な考え方でございます。連携・協働としてというのは、平たく申し上げますと、事業ですので必ずビジネスモデルが存在しますけれども、そのビジネスモデルを構成する要素になっているというのが考え方の根底にあるのかなというのが第1点の御質問に対する回答でございます。その観点から判断していくことになろうかと思います。

それから、電話勧誘販売で電話をかけさせるための方法なのですけれども、消費者を特定して電話をかけさせるための情報を送ることを要件にしておりまして、おっしゃったとおり、不特定多数の者を除外するというのが趣旨でございます。1つ不特定多数の例を申し上げますと、例えば新聞広告に通信販売の広告が出ていますと。消費者の方がそれを見て、買おうと思って電話をするというものであれば、それは自分だけが特別な立場にあるから電話をしなければというよりは、広告によってある程度これを買おうという契約の意思を固めているから電話をしたと捉えられるというところもございますので、そういう観点で、不特定多数の者が入らないような書き方になっているのかなと考えられます。

それから、ターゲティングがどうかというところは、個別の事案は個別のいろいろなほかの周辺事情も含めて判断していくことになりますので、一概にお答えすることは控えさせていただければと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにはございませんでしょうか。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 ありがとうございます。何回もすみません。

これはお願いなのですけれども、副業なんかで2段階目で高額な契約をさせられるというもので、当然に法解釈では電話勧誘、例えば消費者から予約をして事業者から電話がかかってきた場合に、そこで高額な契約をさせられる、特典強調で販売目的隠匿の電話勧誘であったり、また、ウェブ会議やオンラインセミナー等のインターネット回線を使って通話会議をする場合も電話として含まれると解釈するので特商法はすばらしいなと思っています。特に極悪層はこういった法律を理解していないというか、言うことを聞かないのですけれども、今の話は全て特商法の電話勧誘販売で解決できると思っていますが、間違いないでしょうかという点と、これからはお願いなのですが、以前に水詰まりの業者が非常に問題を起こしたときに、消費者庁から考え方、いわゆる来訪要請があったとしても、そこで高額な契約をしたときには訪問販売であるということで、特商法のクーリングオフができるという注意喚起をしていただいて、消費者庁のホームページにも載せていただきました。

なかなか言うことを聞かない会社とかはありますけれども、それは置いておいて、ぜひ今回もこういったことから、消費者庁から、例えば具体的にウェブ会議、オンラインセミナーといったものが電話勧誘である、クーリングオフだとかという見解を出していただけないでしょうかというお願いです。

以上です。

○後藤座長 お願いします。

○消費者庁取引対策課 ありがとうございます。

励ましのお言葉もいただいたりして、ありがたいです。

解釈につきましては、法律の解説本などにも出していたりとか、通達類、ガイドライン類、全部公開しておる情報の中で、今、申し上げたようなお話というのは実は出ておるのです。例えば電話に関しましても、消費者からかけても、電話をかけた段階では予期していない勧誘を不意打ち的に受けるという意味においては、事業者が電話をかけるものと大差はないというようなことが明記してあったりとか、実はあるのです。電話勧誘販売は、電話において顧客の契約に向けた意思の形成に影響を与えるものであれば、それは電話勧誘販売だというような本質のところをぜひ御理解いただいて、細かい解釈とか通達類とかを全部頭に入れて消費者相談をお受けになるというのはおよそ難しいことだと思いますので、本質はそこにあると。電話による勧誘によって、消費者が契約の意思の形成の影響を受けるかどうかというところでお考えいただくのが一番いいのかなと思います。

そもそもあえて法令の都合のいいところだけを取ったりとか、そういうところもありますので、その意味からも、本質的なところに目を向けていただけるとありがたいかなと思います。その上で、法解釈の御相談などがございましたら、それは改めてお受けすることにしたいと思います。

お返事になりましたでしょうか。

○清水委員 ありがとうございます。

本当は、水詰まりのときに消費者庁がホームページで、訪問販売である、クーリングオフが可能と書いたことがすごく現場のあっせんで役に立ったということをお伝えしたかったのです。今回は、電話勧誘はこれであるというのは、なかなか難しいですよね。明示していただけたら、消費者庁と消費生活センターが心一つであると。消費者をとにかく悪質な業者から守れるのではないかと思いました。よろしくお願いします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島座長代理 ありがとうございます。飯島でございます。

今回の御説明で、悪質事業者の脱法的な対応を防ぐために、詳細までは公にできないという点につきまして、私は行政法を専攻しておりますが、例えば行政手続法が処分基準については設定・公表を努力義務にしているといった配慮と共通しているのだろうとは思います。ただ、例えば第11条違反のみではないけれども、改善指導の例で1,000件以上ある。しかもこれは改善指導で、処分ではないという中で、それでもなお、なかなか情報を出せないというのは感覚的にやや理解できないところもございます。大変な御苦労がおありだと存じますが、どのような規制の在り方が望ましいのか、公表することで行動を促すということは期待し得ないのかといったことについてお伺いしたいのが1点目でございます。

もう一つは、「販売業者等」の範囲につきまして、行政法においても政府関係法人などの行政主体性に関して財政面や人事面に着目して一体としてみなすという考え方もあり、先ほどのビジネスモデルを構成する要素になっているかという考え方と通じる部分もあるかと思いました。本日挙げられた執行の事例については、非常に厳格な確定の仕方をしているように理解しましたけれども、そこを広げていくのは難しいということなのか、お教えいただけますと幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤座長 お願いいたします。

○消費者庁取引対策課 ありがとうございます。

今、頂戴しました御質問、行政処分という法執行の一つのツールの使い方の本質にもつながるお話だと思います。私どもが指導を年間1,000件以上打っておるというのは、ネット上の通信販売事業者は立ち上げも簡単ですし、雑駁に申しますと足が速いのです。足が速い人たちを相手にするのに厳正な処分を打とうとしますと、どうしても証拠固めとかというところを相当丁寧にやっていかないといけないような性質のもの。結局、相手に不利益処分をしようとすると、証拠の固め方とかはどうしても固いものを求められるというところがございまして、対照的にスピード重視でやろうとしますと、スピードが実現できるようなやり方によるほうが効果が上がると考えれば、スピードのある、こちらも足の速い手段を使うという考え方で使い分けをしておるようなところでございます。

特商法だけ自分の好きな考え方で動けるのであれば、もう少し選択の幅は広がるのかもしれませんけれども、行政処分という行政府の一部として行う行為につきましては、政府全体の中での執行のやり方というところにのっとっていくことが求められることは御理解をいただければと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

○飯島座長代理 ありがとうございます。

もちろんおっしゃるとおりで、行政処分は慎重な手続を必要としますので、行政指導で柔軟、迅速に対応するという中で、行政指導ですと、言わば継続的な関係の中で相手方を育てていくという機能もあるかと思うのですが、いかがでしょうか。

○後藤座長 いかがでしょうか。

○消費者庁取引対策課 これは手の内の話にもなってきますので、あまりつまびらかに言えないところもあるのですけれども、行政処分というのは1回打ったらそれきりということにはしておりませんので、そこは継続的なことも視野に入れながら動いてはございます。

○後藤座長 飯島委員、よろしいでしょうか。

○飯島座長代理 結構です。ありがとうございました。

○後藤座長 ほかにございませんでしょうか。

それでは、以上にさせていただきます。

本日は、消費者庁取引対策課から、特定商取引法の規定の適用関係や執行の状況について御説明をいただきました。

情報商材や転売ビジネスなどのもうけ話の消費者トラブルにおいては、SNSのメッセージやウェブ会議システムによる勧誘がなされる場合があります。まず、形式的な契約当事者以外の第三者の位置づけに関連しまして、特定商取引法上の「販売業者等」の範囲について、行政処分の事例の御説明をいただきました。

この点につきましては、ある事業者と他の事業者とが言わば一体として事業を行っている場合の対処は理解しやすいところでありますけれども、それ以外の場合の考え方について質問や意見が出されました。

次に、販売事業者等と連絡不能となる場合に関連し、特定商取引法第11条の規定の解釈や運用について御説明をいただきました。

この点につきましては、委員から、特定商取引法第11条の運用状況に関する更なる質問や意見が出されました。

また、特定商取引法第12条の執行状況等について御説明がありました。

さらに、電話勧誘販売の解釈について、電話勧誘販売に当たると解釈するならば、それはどういう考え方に基づくのかという質問、それから、それをめぐる意見も出されました。

本日の説明内容や委員から御発言いただいた意見を踏まえまして、当ワーキング・グループにおいて引き続き検討していきたいと思います。

消費者庁取引対策課におかれましては、本日はお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

御退席ください。

○消費者庁取引対策課 どうもありがとうございました。


《3.閉会》

○後藤座長 本日は以上です。

最後に事務局から、今後の予定について説明をお願いいたします。

○田村企画官 本日はありがとうございました。

次回の開催につきましては、日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)