第1回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 議事録
日時
2022年2月28日(月)13:00~13:50
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (構成員)
- 【会議室】
- 後藤座長
- 【テレビ会議】
- 飯島座長代理
- 清水委員
- (オブザーバー)
- 【テレビ会議】
- 大石委員
- 黒木委員
- 板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
- 丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
- 万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
- 独立行政法人国民生活センター
- 一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構
- (事務局)
- 加納事務局長、渡部審議官、太田参事官
議事次第
- 開会
- 開催の趣旨及び今後の進め方について
- 各構成員及びオブザーバーからコメント
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 【参考資料1】 消費者委員会 ワーキング・グループ設置・運営規定(PDF形式:144KB)
- 【参考資料2】 下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ(PDF形式:157KB)
- 【参考資料3】 消費者委員会 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ構成員・オブザーバー名簿(PDF形式:130KB)
《1.開会》
○太田参事官 皆様、本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会第1回デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。
初めに、本日御出席の構成員・オブザーバーの皆様を御紹介いたします。
本ワーキング・グループには、構成員とオブザーバーの皆様がいらっしゃいますが、会議におきましては、呼称を「委員」に統一させていただきます。
本ワーキング・グループの座長は消費者委員会の後藤巻則委員長、座長代理は飯島委員に務めていただきます。
本日は、後藤座長が会議室にて出席、飯島座長代理、清水委員、大石委員、黒木委員、板倉委員、丸山委員、万場委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構の清水委員、独立行政法人国民生活センターの加藤委員がテレビ会議システムにて御出席です。
本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。また、皆様、画面はオンにしていただければ幸いです。御発言の際は、混線を避けるため、チャット機能を使用して発言する旨をお知らせいただき、それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願いいたします。
本日は、感染症拡大防止の観点から、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様につきましてはオンラインにて御参加いただいております。
議事録につきましては、後日公開することといたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。
お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上でございます。
以降の議事進行につきましては、後藤座長にお願いいたします。
よろしくお願い申し上げます。
《2.開催の趣旨及び今後の進め方について》
○後藤座長 このワーキング・グループの座長を務めることになりました、後藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、本ワーキング・グループの運営、開催の趣旨、及び、今後の審議スケジュールにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○太田参事官 事務局でございます。
まずは、配付資料の参考資料1を御覧ください。「消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規程」でございます。令和4年1月28日開催の第363回消費者委員会本会議の審議におきまして改正した規程でございます。本規程に沿ってワーキング・グループの運営をしていただきたいと存じます。
構成員につきましては、後藤座長、飯島座長代理、清水委員の3名でございます。
また、オブザーバーといたしまして、大石委員、黒木委員、板倉委員、丸山委員、万場委員、ソーシャルメディア利用環境整備機構様、国民生活センター様の合計7名になってございます。
以上、構成員及びオブザーバーの計10名に御参画いただいているということでございます。
それでは、本ワーキング・グループの開催目的につきまして、簡単に御紹介させていただきます。
資料1を御覧ください。「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ 開催の趣旨及び今後の進め方について」という資料でございます。
1ページに、開催の趣旨、ワーキング・グループの設置の背景について記載してございます。まず、1つ目のポツにございますように、デジタル化の進展に伴いまして、インターネット社会特有の新たな消費者問題が発生しているということであります。いろいろなものがあるわけでございますけれども、最近特に増えているものといたしまして、括弧内にございますように、SNSの投稿や広告を端緒とした、または、SNSを利用した勧誘等によるもうけ話のトラブルが非常に頻発しているということで、こういう状況を踏まえまして、被害の防止や救済の観点から検討していくことが必要ではないかということでございます。それから、2つ目のポツにございますように、今年の4月1日から成年年齢がこれまでの20歳から18歳に引き下げられるということでございます。冒頭に御紹介したトラブルの特徴といたしまして、20代などの若年者層からのトラブルの相談が多いことが挙げられております。これまでは成年年齢が20歳でございましたので、18歳・19歳の若者層につきましては未成年者取消権が行使できたわけでございますが、成年年齢の引下げに伴いましてそれが行使できなくなる、これまでは20代を中心に消費者トラブルが多かったわけでございますけれども、こういった18歳から19歳といった年齢層にも同様のトラブルが拡大していくのではないかという懸念がされている、こういったことを踏まえましてワーキング・グループで検討を行ってはどうかということでございます。その下の段に「検討イメージ」とございます。まず、1つ目のポツにございますように、PIO-NETなどにいろいろと相談事例などが登録されているわけでございますが、そういった相談事例から消費者トラブルの実態を把握する、その上で課題を整理していくことが1つ目の目的でございます。2つ目のポツといたしまして、被害防止及び救済の観点から、関連法令や業界等の自主的な取組の在り方、消費者教育などを通じた消費者のデジタル・リテラシーの向上を検討していってはどうかということでございます。以上が、開催の趣旨でございます。
2ページを御覧いただきますと、主な被害の事例を2つほど御紹介させていただいております。これは、いずれも国民生活センターの公表資料に掲げられている事例でございます。まず、1つ目の事例でございますが、安価な情報商材を購入し、更に高額な契約を勧められ、高額な金額を支払うわけですけれども、約束されたサポートがないといった御相談でございます。被害の概要を簡単にかいつまんで御紹介申し上げますと、SNSで友達登録をした人から「1日10万円稼げる副業がある」といったメールが送られてくる、ホームページづくり、誰でも簡単に稼げるといったことで興味を持って、インターネット上でデビットカードを使って情報商材を購入したといったことでございます。その後、事業者から電話相談の予約をするように催促された、この業者から電話がある、単にアクセス数を増加させるためのツールということで90万円の契約をするように勧められた、「高額なので、数万円のコースでいい」と言ったけれども、「みんな90万円のコースでやっている」、「途中でやめても返金できる」と言われて、事業者を信じて支払ってしまったということでございます。さらに後日、電話があって、「作業が進まないので、新たな契約をするように」という勧誘で、「お金がない」と断っても、「一部免除するから」と新たに85万円の契約をするように威圧的に迫られた、断り切れず契約して支払ってしまったということでございます。こういったことで高額の金額を支払ってしまったわけでございますけれども、実際にはサポートがなくて、言われたとおりにツールを使って作業をしてももうからない、事業者に解約を申し入れても断られたという被害事例でございます。幾つかポイントがございまして、まず、SNSを端緒として、メールあるいはSNSのメッセージやチャットという形で双方向のやり取りができるツールでもって、密室性のある手段でもって、執拗にいろいろと勧誘をかけてくることが共通の特徴として挙げられるということでございます。販売形態としては通信販売になるわけでございますけれども、その勧誘方法としては電話勧誘に類似しているということでございますが、メールやメッセージであって、厳密には電話ではない、形式的な電話勧誘とは異なっているということでありまして、事業者も電話勧誘ではないのだと言って認めてくれないケースもあるということが言われております。これが1つ目の事例でございます。2つ目の事例といたしまして、オンラインサロンに申し込んでしまった、解約したいけれども、その事業者の住所や電話番号等が分からないといった事例であります。こちらにつきましても、SNSの広告を見て連絡を取った、「不動産投資等でもうける方法を教える」と約25万円のオンラインサロンに無料通話アプリで勧誘された、いろいろと話していくと、会員を増やせば紹介料が入るような内容、マルチ的な商法だということが分かってきたということで、支払いを中止したところ、未納料金の約10万円を支払えと請求されたということでございます。契約時にクーリングオフ等の記載の書面等を受け取っていない、事業者の住所や電話番号等が分からなくて、要は、解約するための手続ができない、契約を解除して返金を求めたいのだけれどもどうしたらいいかという御相談でございます。こちらについてもポイントを若干申し上げますと、勧誘の手法が無料通話アプリでございまして、電話勧誘に当たるのかどうかややグレーな案件かと思われます。さらに、これも通信販売に当たるということであれば特商法上の連絡先の表示義務といった行為規制がかかるはずでございますけれども、そういった事業者の住所や電話番号などについては表示されていないということで、なかなか解約できないという問題が起こっているということでございます。ある意味、法規制の隙間を突くような、盲点となっているようなところで、いろいろな勧誘や契約をしているという特徴が浮かび上がってくるということでございます。以上が、事例でございます。
3ページ目に、こういった事例を見てみますと、共通する特徴として以下のような流れがあるのではないかということで図式化したものでございます。上段と下段がありますけれども、上段の左のほうから進んでいきます。まず、消費者が、インターネットで検索をしたり、広告を見たり、投稿を見て、そういった副業サイトやプラットフォームといったサイトにアクセスをする、ここでメッセージアプリの友達登録で連絡先を交換する、その後に、それを受けてその事業者から勧誘や商品・役務の説明が頻繁にかかってくる、対面や電話のほかオンラインセミナーやメッセージといったいわゆるデジタルツールを活用した形で執拗な勧誘が行われているということでございます。ここで、販売業者のほか、第三者からの勧誘もあるということでございまして、販売業者等との関係が明確でない第三者が介在してきて勧誘を行ってくるということも起こっているということでございます。その後、そういった勧誘を受けて、契約を結ぶ、最初は高額ではなくて無料や少額といった入りやすい形で契約を結ぶスタイルが多い、この際に契約書面とかも交付されていない、これが後々問題になってくるということでございます。いろいろとクレジットカードや振込等々の決済手段で支払う、それで商品受領・役務の提供を受けるということでございますが、なかなかうまくいかないということで、その後にまた事業者からいろいろと更に手厚いサポートをするための契約という勧誘が行われる、これも同じく対面や電話のほかデジタルツールを使った形でこういう勧誘が行われるということでございます。ここで、2段階目の勧誘のところでは、最初の少額のものから比較的高額のもの、数十万円といったサービスの契約を提示されて、いろいろと執拗に威圧的に勧誘をかけられ、断り切れずに契約を結んでしまうということでございます。この際、高額で、自分の資金だけでは支払い切れないので、消費者金融からの借入れを指南されるといった事例もあるということでございます。いろいろと商品を利用して実際にやってみるわけですけれども、やはりもうからない、返金を希望するということでございますが、事業者がいろいろと理屈を並べて返金に応じないとか、そもそも連絡先が分からなくて連絡不能で解約できないといったことで消費生活センターに御相談にいらっしゃるということが、共通する特徴として浮かび上がってくるところでございます。こういう被害、トラブルの防止や救済を図るために、どういった措置を講じていくことが必要かといったことを、本ワーキング・グループにおいて御議論いただければと考えてございます。
4ページ目に、検討のスケジュール、現段階の予定をお示ししております。ポツが4つございまして、1つ目から3つ目のポツは先ほど3ページ目でも御説明したようなことで、こういった被害についてどのように対処すべきか、相談事例等から実態把握をして以下のようなスケジュールで検討を進めていただいてはどうかということでございます。本日、2月末でキックオフ、今後は月1から2回程度の頻度でワーキング・グループを開催していただく、今年の8月頃を目途に一定の結論を得ていただくということで進めていただいてはどうかということでございます。具体的な内容でございますけれども、本日、この設置の趣旨や今後の進め方につきまして説明と質疑をしていただく、2回目以降は、まず、3月にはデジタルツールを利用した消費者トラブルの事案についてもう少し詳しい形でヒアリングを行う、4月から6月にかけて関係団体・有識者・関係省庁からのヒアリングやワーキング・グループの委員・オブザーバーの皆様からプレゼンテーションを行っていただくということで議論を深めていっていただく、そういった議論の結果を踏まえまして7月から8月にかけて意見の取りまとめをしていただくという形で進めていただいてはどうかと考えているところでございます。
事務局からの説明は、以上でございます。
《3.各構成員及びオブザーバーからコメント》
○後藤座長 続きまして、参加いただく皆様から、それぞれ、自己紹介、本ワーキング・グループにて審議するSNSを発端とする消費者問題に関する、問題意識、抱負、先ほどの事務局からの説明への御質問がありましたら、その点も含めて3分程度で御発言いただきます。まずは私から発言させていただいた後、参考資料3の名簿に従って指名させていただきますので、よろしくお願いします。
このワーキング・グループの座長を務めますとともに、早稲田大学で民法と消費者法を担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
社会のデジタル化が進んでいます。デジタル技術を活用した事業活動によって、消費者にとって利便性の向上が期待される一方で、より複雑化した技術を消費者が理解することが一層困難になるなど、ネット社会特有の新たな消費者問題が現れています。デジタル化への対応につきましては、第7次消費者委員会で取り組むべき特に重要な課題として位置づけておりまして、このデジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループを新たに設置したところであります。
このワーキング・グループでは、デジタル化の進展により、SNSの広告や投稿をきっかけとする消費者問題が増加している現状を踏まえ、被害の防止及び救済の在り方について検討することを予定しております。
SNS上の広告がきっかけとなったり、SNS上で知り合った相手からの誘いがきっかけとなって、ウェブサイト上で契約の申込みをしますと、特定商取引法上の通信販売に該当するわけですけれども、通信販売に関する規制は表示・広告規制が中心で、契約の勧誘に関する規制は原則的には存在しません。これは従来通信販売で用いられてきた通信手段には個別の顧客に対する勧誘と言えるような働きかけができるツールがなかったためであると思われますけれども、現在、SNSなどの利用により、高度な通信技術を用いて消費者を取引に誘引することが広く行われ、トラブルを生じさせております。
このような現実を踏まえますと、通信販売における勧誘規制の在り方を検討する必要があると思われます。その際には、特定商取引法上の通信販売として規制対象とすることが適切かどうかといった点も含めて検討する必要があるのではないかと思われます。
委員の皆様の英知を結集して実り多いワーキング・グループとしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、飯島座長代理、お願いいたします。
○飯島座長代理 飯島でございます。
東北大学で行政法と地方自治法を担当しております。昨年9月から消費者委員会の委員を務めることになりまして、今回、こちらのワーキング・グループに参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
知識も経験も浅いもので、デジタル化の問題についても、現段階では抽象的になってしまいますが、御挨拶を兼ねて申し上げます。
消費者問題、デジタル化は特にそうですけれども、社会事象、現実の課題が先行しているという印象を強く受けております。その課題が常に変化していく、流動性があって捉え切れないところがあるのだろうと思います。また、リアルな空間ではなくデジタルの空間ですので、空間もつかめない、先ほどその相手方に第三者も入ってきて、そういう範囲も含めて、いわゆる名宛て人やアクターもつかみにくい、こうした様々な特徴から、法による規制の難しさを改めて感じております。
立法に関しては、非常に感覚的な言い方ですけれども、社会事象と立法、また、立法作業が近いような印象を受けております。法による規制が具体化・細分化されていて、こういったケースに対応するためにこういった規制をしましょうといった議論をしていくところに、私がこれまで勉強してきた分野とはまた異なる特徴を感じております。
特に行政規制になりますと、課題に対して対応する、しかも、法律による行政の原理によると、それぞれについて対応することは当然であるとも思うのですが、例えば、アフィリエイト広告などについて、景表法でまずはいって、その中で特定のものについては薬機法など主務大臣の異なる法に基づく規制をかけざるを得ないという、パッチワーク的な対応になっているという印象も受けております。
確かに、ここでの社会事象は、消費者の日常生活に関わる、また、事業者の経済活動そのものに大きく関わるものですので、こういった立法の在り方ももちろん理由があるとは思います。ただし、事務権限を具体化・細分化して、行政の裁量の余地が狭い、そういう立法の仕組みには限界もあるということで、これまでの御議論にもありますとおり、私人の側での自主規制や消費者教育などをどのようにやっていくのか、このワーキング・グループを通して考えてまいりたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。
○清水委員 こんにちは。清水です。
私は、名古屋市消費生活センターで消費生活相談員をしています。ちょうど約19年目になります。
この間で、私が消費生活相談員を目指した頃から20年で、消費者問題がこんなに変わるかと本当にびっくりしている限りです。常に現場に答えがあるとはいっても、相談者から聞いても、私たちが、言葉が分からなかったり、相談者は何を言っているのかという感じで、片やこっちで必死にインターネットで調べながら聞取りをしている次第です。
ここ2年間、コロナ禍でデジタル化のトラブルが急増しました。特に大学生とかが、本来なら、学校に行って、友達をつくって、友達に相談すれば「こんなばかなことはないよ」と誰かが言うはずなのですけれども、それがないために、1人で、ネットを見て、会ったこともない人の、言葉というか、文字を信じて、信じられないことが起こっています。
この問題は幅広くて、様々な関係者がいます。消費者金融もそうですし、クレジットカード会社もそうなのです。
私たちがあっせんするときに一苦労するのは、当然にこんなばかみたいな話はあり得ませんよねということで、例えば、クレジットカード会社を説得して支払いを止めてもらおうとしても、基本的に、本人がクレジットカードで決済して、内容はどうであれ、信じたのであれば、止めることもできません、センターがちゃんとその業者と取消交渉をして、もし2か月でできなければ落としてしまいますよ、その後、もし取消しができるなら返金しますみたいな悲しいことになっています。当然数多くのクレジット決済をしているカード会社にはすぐに認められないこともあるとは思うのですが、私たち相談員は山ほど同じようなことを聞いていて、中途半端な介入はしていないのに、信じてもらえない、そんな実態があります。
また、消費者金融から借りて、借金をしてしまう。何で、1日で学生が150万も借りられてしまうのか。これが悲しい現実なのですけれども、現金の手渡しをしてしまっている場合などは、消費生活センターではお手上げですね。順番に当たっていっても、結局、無責任な上位がいて、一番の元と交渉することができない。海外に逃げられてしまう。法律があって、マルチのクーリングオフは20日間ですよねと交渉しても、いや、うちは14日です、それもクーリングオフ的な手続をしていますけれども手数料を取りますとか、こんなに悲しい、交渉をやっています。言い出すと切りがなくて長くなって、申し訳ないです。
今回は、できるだけ先生方に生々しいことをお伝えしながら、是非考えていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。
○大石委員 皆様、お世話になります。
現、第7期消費者委員会の委員を務めております、大石と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、高校の家庭科の教員で、今も非常勤で週1度、都立高校で教えております。今回、成年年齢の引下げが4月に迫っている中で、何が一番心配であるかというと、今後、若い人たちの間で更に消費者被害が広がるのではないかということです。特にこのコロナ禍でインターネット関連の環境は広がり続け、どちらがバーチャルでどちらがリアルか分からないぐらい若い人たちの間では当たり前になっております。さらに、それが周りの大人には見えにくくなっているように思います。先ほどの事例にもありましたけれども、もっと周りの大人が関わることによって、悪質な勧誘から若者を守るなど手厚い保護も可能となるでしょうし、未然防止につなげたい、ということを常日頃から思っているところです。
その観点から、今回、いろいろな先生方のお話をお聞きして、何とか若者の被害を未然に防止する、もしくは、被害を最低限に抑えられる方法を社会的に考えていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。
○黒木委員 皆さん、こんにちは。
第7次消費者委員会の委員をしております、弁護士の黒木と申します。
福岡からずっとほとんどオンラインで第7次をやっているわけでして、まさに、こういうSNSというか、デジタル化の利便性というか、とにかく、これによってある程度やれるのだ、リアルでなくてもやれるということを、身をもって体験しているわけでありますけれども、同時に、このデジタル化に関してはプラットフォームと各事業者の情報を詰めて考えていかなくてはいけないのではないかと思っています。
SNSに関しては、その投稿内容自体が名誉棄損とかであれば、プロ責があって、発信者情報の開示ができる、それから、新しい取引DPF消費者保護法によって、今度は、それを利用している販売業者はある程度尻尾をつかむことができるかもしれないぐらいかもしれませんけれどもということなのですけれども、こういう形でお友達になってそういうビジネスに取り込まれたときに、その人が一体誰なのかということはSNSではよく分からない。ここに大きなところがあると思っていまして、その点についても一つ考えていかなくてはならないのではないか。ただ、これはまたなかなか難しい問題を抱えています。そこは本当に難しいと思いますけれども、そこの場を提供しているプラットフォーマーの問題と、最終的にはそうなのでしょうけれども、今度はそこから始まる通信販売をどういうふうに考えるのかということは、なかなか難しい問題がこの背景にあると思っています。
私の所信のところで書きましたけれども、私も弁護士を30年以上やっていまして、昔々、紙しかない時代、情報ツールは紙だった時代があって、そこから、パソコンとかを使って紙にきれいにプリントアウトをするということが主要な目的だった時代も体験し、今では全く紙を介さずに意思疎通をみんながしていくことが当たり前の時代という3つの時代を知っている人間からしたときに、特にいろいろな形の業法は、紙がベース、絶対に立法者は紙で考えているなと思うようなところがいっぱいあるわけですけれども、そういうものも含めて今後考えていけたらいいと思っております。よろしく御指導ください。
以上です。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、板倉委員、よろしくお願いいたします。
○板倉委員 弁護士の板倉です。よろしくお願いします。
私は、この会議との関係では、消費者庁でやっていたデジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会の委員をやらせていただき、その関係で、先ほど黒木委員からもありました取引デジタル・プラットフォーム消費者保護法の衆議院の参考人もやりました。消費者庁の会議でも、衆参の附帯決議でも、SNSを利用した消費者被害は宿題として残っておりますので、宿題返しにやってまいりましたというところでございます。
プロ責は情報の流通によって侵害を受けないと使えませんので、詐欺加害者開示請求権が今はないわけでございます。これについては、証拠保全と検証を使って最高裁まで争った例がありましたが、最高裁は民訴法197条1項2号の類推適用という形でこれを否定してしまいましたので、今、詐欺加害者は匿名性に隠れてやりたい放題だということになっております。ただ、その最高裁の調査官解説でもこれを立法で制定することは問題がないのではないかということも言われていますので、とにかく、私は、この会議では、詐欺そのものではないかもしれませんが、詐欺的被害の加害者及びその加担者の開示請求権をつくる、このためだけに参加しているところがあります。とにかくこれを立法しないと、本当に法律が匿名性に隠れて詐欺をやることを推奨していると言うに近い状態ですので、とにかくここに穴を空けて、やったらばれるというところを是非お願いしたいと思います。それ以外にも行政規制で特商法のいろいろな規制をかけていくのかというところはテクニカルな点等があると思いますが、とにかく私はこの詐欺加害者開示請求権をつくるために参加しているところですので、何とか宿題を返したいと思います。
よろしくお願いいたします。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。
○丸山委員 慶應義塾大学で、民法、消費者法を担当しております、丸山絵美子と申します。
前期で消費者委員会の委員を務めさせていただきまして、今回、ワーキングに参加させていただけるということで、微力ながら尽力したいと思っております。
今回のワーキングなのですけれども、消費者相談の現場におられる清水委員などから出た問題意識と伺っておりまして、相談現場は消費者問題の最先端のアンテナでございますので、SNS等を利用した勧誘等を契機とする契約等に対応すべき問題があることは間違いないのではないかと思います。
SNSの場での契約への勧誘や彼らの場合はC to C取引の問題も多いのですけれども、そういったところに問題があって、しかし、法律を調べてみるとここに穴があるのではないかということをちょうど大学のゼミの学生とも議論をしていたところでございますので、時宜にかなったワーキングのテーマ設定であると思っておりました。
その上で、今回の資料1の4ページ、検討スケジュールを手がかりに、初回でございますけれども、印象論にとどまりますが、コメントを3点ほど述べさせていただきたいと思います。
4ページで指摘されている事象なのですけれども、法的に整理していくと、体系的にといいますか、議論の射程的にといいますか、異なるレベルの問題が混在している可能性もあるのではないかと思いました。まず、1点目のインターネット上の掲載をきっかけとする事例という御指摘につきましては、特商法上・景表法上の広告規制の執行レベルの問題、通信販売業者が行わなければいけない特商法上の表示の示し方と時期の問題、あとは、現在は規制のない先ほどから指摘されております通信販売契約に対して能動的に勧誘が行われる場合の規制の必要性といった問題が含まれていると思いました。
次に、2点目のメッセージアプリで契約に至るという事象は、対面の場合と比べていきますと、アプリ完結型にどういう特有の問題があるのかという点を明らかにしていく必要があるのではないかという印象がありました。どういうことかといいますと、密室での対面勧誘の場合については、退去妨害という問題が生じる可能性が高くて、様々な法令で退去妨害的なことに関する対応が手当てをされている状況にあります。それに対して、アプリ完結型での勧誘の場合に、メッセージの会話で完結する場合に、物理的な退去妨害はないのですけれども、環境的・心理的にどういう問題が生じやすいのかということを理論的・実証的に示していく必要があるのかもしれないという印象を持ちましたので、そういった理論的・実証的な証拠を詰めることも含めていろいろと準備をしたり議論をしていったりする必要があるのではないかと思いました。さらには、御指摘がありましたように、事業者ではない、友達を装った人の勧誘をどうしたらいいかということは媒介者問題に通じると思いますし、契約締結に至るまでに事業者の存在・住所・氏名等を明らかにすることは先ほどの特商法の表示の問題につながると思いますので、そういった問題と接続していくのかなという印象がありました。
3点目なのですけれども、安価なマニュアルの購入等を契機に高額な取引にいざなうといった問題につきましては、もしかすると、プロスペクト理論、損失回避の行動に消費者は出やすいという人間心理を応用した契約勧誘モデルの問題が今回の事例については該当するように思えます。投資などの事例については既にプロスペクト理論を法学に応用するといった研究がされているところなのですけれども、そういった知見を参照できるかもしれません。特に、消費者に初期に小さな損失あるいは投資をさせて、しかしながら、もうからない、少し損をしてしまったという状態を利用して、更に高額な損失に勧誘することは、計画的であれば非常に悪質性が高くて社会的に良いことは何もないような取引類型かと思いますので、勧誘規制をしていくことは一つ考えられるのですが、こういった場合の勧誘規制はデジタル環境に射程は限られないという印象がありますので、そのような点を整理していく必要があるかと思いました。
資料に対する第一印象はこのようなものなのですけれども、私自身は、これまでの研究から得た知見などから、皆様から提示していただいた問題をどのように整理して切り分けることができるのか、そういった選択肢を今後も示していければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局への質問ではないのですけれども、先に述べたような資料や整理が必要になるのではないかということでございました。
以上です。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、万場委員、よろしくお願いいたします。
○万場委員 日本通信販売協会の万場と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
所感といいますか、感想なのですけれども、先ほど事例の紹介が2つほどありましたけれども、商品や手段はどんどん時代とともに変化をしていますよね。今はネット全盛の時代で、ネットは、まともな事業者はうまく使っているわけですけれども、悪い人たちにとっても非常に使いやすい手段なので、そこが変化してきたということではありますけれども、問題の本質は何ら変わらないのですよね。大体もうけ話が多い。副業でもうけませんかとか、ほとんど詐欺的なものばかりだと、問題になるのはそういうものだと思っているのです。国民生活センターさんをはじめ各地の消費者センターさんは正に最前線にいらっしゃいますので、そういう方々の情報でそういう芽が出てきたときに、いかに早くそれを消費者に伝えていって防止をするか、そういう危ない世界に近寄らないということをいかに早く周知するかということが重要なのではないかと思います。悪質商法の芽を早くに察知して、それを、皆さん、関係者が連携して、いかに早くそういう情報を消費者に届けるか、そういう仕組みをしっかりとつくることが重要ではないかと。
私も、長年協会におりますので、特商法の改正のときにはいつも参加させていただきますけれども、大体常にそういう話になるのですよね。悪質商法が出てきたときに、いかにするか。行政規制は、先ほども限界もあるというお話もありました。本当に限界はあるのだろうと思います。だから、そういう早期警戒システムみたいなものを関係者が集まってつくって、いち早く消費者に届ける、それで、事前防止といいますか、悪質商法の芽を断っていく、そして、その悪質商法にだまされない消費者をいかにつくっていくかということが最重要課題ではないかと私は思います。
もちろん詐欺的な者を捕まえるためにはいろいろな規制が必要なのかもしれませんけれども、そのために、情報商材といっても、かなり真面目に真っ当に通信教育などをやっている事業者もおりますので、そういう方々にとって過剰な規制にならないように、そういう観点も是非とも加えながら検討していっていただきたいなと思う次第でございます。
よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○後藤座長 ありがとうございました。
それでは、ソーシャルメディア利用環境整備機構の清水委員、よろしくお願いいたします。
○一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構 よろしくお願いします。一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構、SMAJの清水と申します。
私も、先月ぐらいからSMAJの一員として活動していまして、SMAJの各加盟企業も、20社ぐらいあるのですけれども、それぞれSNS上のトラブルの対策に力を入れていますので、是非このワーキング・グループでも皆様とSNS上の被害への対応について議論させていただければと思います。
今回、第1回のこちらのワーキング・グループはSMAJからは私が参加させていただいているのですけれども、次回以降はまた別の者が参加するかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、国民生活センターから、加藤委員、よろしくお願いいたします。
○独立行政法人国民生活センター 独立行政法人国民生活センターの加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど御説明がありましたとおり、この検討イメージの中で「消費者トラブルの実態を把握し、課題を整理」とありました。私どもは、トラブルの実態を御紹介させていただくという役目を仰せつかっているのかなと理解しております。
美容系、金もうけ系、様々にありますけれども、SNSきっかけのトラブルは非常に多くございます。また、今の若者の方たちが情報収集を何でやるかというと、SNSのツールを利用している。そうすると、おのずと表示される情報はその方たちの興味のある関心事項が表示されるので、そういう勧誘にうまく悪用されている部分があるかと思っています。
また、先ほど丸山委員からもありましたとおり、退去妨害の話ですけれども、コロナ禍もあって、最近はテレビ会議システムを使っての勧誘が増えているのかなと。いつでもブラウザのバツボタンで嫌だったら逃げられたではないかと言われてしまうと困るのですけれども、最後まで聞いて申し込んでしまっている。そこに何か消費者の心理的な要素もあるのかなと思っています。我々はそこの知見はないのですけれども、消費者のそういったリテラシーの向上等も含めて、是非このワーキング・グループの中で勉強させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○後藤座長 どうもありがとうございました。
今、いろいろと御意見を伺っておりまして、この問題の幅広さ、多岐にわたる問題であるということを改めて認識いたしました。現場の御意見として、消費者問題がこんなに変わるものなのかという印象を持っていらっしゃるということ、リアルとバーチャルの境が分かりづらくなっているという御意見もいただいております。資料の整理の仕方について、異なるレベルの問題があるのでそれを整理していく必要があるのではないかというお話や、対面での勧誘の場面との違いに着目するお話も伺っております。それから、結局、問題の本質はもうけ話というところに落ち着くのではないかという御意見も出ております。匿名性に隠れている詐欺加害者の開示請求が大事だという御意見も出されております。そのほか、立法の観点からの問題などたくさんの御意見が出ております。
これらを整理して、次回以降、トラブルの実態を報告していただくなどして、具体的に審議していこうと考えております。
事務局への具体的な御質問はありませんけれども、事務局からコメントが何かありましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
○太田参事官 様々な観点からいろいろと問題提起をしていただきまして、ありがとうございました。
委員の皆様の御指摘の中にも、制度に関わるもの、自主的な取組に関わるもの、消費者教育や情報提供ということで、幾つか、対策の方向性といいますか、類型をお示しいただいたのかなと思っておりまして、私ども事務局といたしましても、そういった必要な対策について明確な方向性を出していただけるよう、しっかりと資料の作成や課題の整理などを行っていきたいと思っております。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
《4.閉会》
○後藤座長 それでは、本日は以上になります。
最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。
○太田参事官 本日は、どうもありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。
以上でございます。
○後藤座長 委員の方々、特に補いたいことはございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)