第8回 消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2021年6月24日(木)14:00~15:55

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【構成員】
新川座長、受田座長代理、片山委員
【オブザーバー】
生駒委員
西田佳史 東京工業大学工学院教授
八木洋介 株式会社people first代表取締役
高巖   麗澤大学大学院経済研究科教授
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、大岡企画官

議事次第

  1. 開会
  2. ワーキング・グループ報告書の取りまとめに向けた審議
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大岡企画官 事務局です。定刻になりましたので、会議を始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところ会議に御参加いただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、第8回「消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ」を開催いたします。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、テレビ会議システムにより開催いたします。

本日は、新川座長、受田座長代理、片山委員、高委員、西田委員、八木委員がテレビ会議システムで御出席です。生駒委員はこれから入室される予定になっております。

テレビ会議システムによるワーキング・グループの開催に当たりまして、委員の皆様にお願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際には、マイクのミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。発言が終わりましたら再びマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

なお、御発言のタイミングがつかめない場合には、チャットに「質問」や「発言」などと入力していただきましたら、座長から発言者を指名していただきます。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャット機能でその旨をお知らせいただきますようお願いいたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第に、配付資料一覧が記載されております。資料に不備がございましたらお知らせください。

問題がないようですので、進行を進めます。

以降の議事進行は新川座長にお願いいたしますが、もし新川座長が未接続で受田座長代理が接続されている場合の進行は、受田座長代理にお願いいたします。また、新川座長、受田座長代理がともに未接続の場合は、事務局が進行を行います。

それでは、新川座長、議事進行をお願いいたします。


≪2.ワーキング・グループ報告書の取りまとめに向けた審議≫

○新川座長 本日はお忙しいところ、また、委員の方々には午前中から続けてお集まりいただきまして、ありがとうございます。

このワーキング・グループは、御承知のとおり、消費者関連情報につきましていかに消費者の皆様方に適切にタイムリーにお伝えすることができるかということをテーマに、事業者の方々に特に着目をして、国・地方公共団体と連携した新しい情報提供の在り方、そのルートについて検討しようということで、これまで進めてまいりました。

本日は、ワーキング・グループの報告書を取りまとめる段階にまいりましたので、その方向に向けて審議を進めたいと思っております。あらかじめ事務局から、資料1といたしまして「事業者・地方公共団体ヒアリング結果まとめ」、資料2といたしまして「ヒアリング結果等に基づく情報提供モデル(案)」、資料3「報告書骨子(案)」が提示されてございますので、これにつきまして45分程度で全体の御説明をしていただき、その後、審議を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、まずは事務局のほうから御説明をよろしくお願いいたします。

○大岡企画官 事務局の大岡です。これから資料の説明をさせていただきます。

まず、資料1を御覧いただければと思います。「事業者・地方公共団体ヒアリング結果まとめ」ということで、これまでヒアリングしてきた各社、また自治体のヒアリング結果を整理しております。こちらは報告書にも載せたいという思いで作成しております。

それでは、1ページおめくりいただきまして2ページです。まずはイトーヨーカ堂の「本業を通じた地域貢献の取組」です。

御覧のとおり、各社の資料を掲示して、ポイントを紹介する形式で各社の取組を紹介する形にしております。

まずイトーヨーカ堂ですが、「取組の目的」ということで、社会の活力や課題解決につなげ、地域になくてはならない存在となるという目的で取り組まれているということでございまして、本業を通じた社会課題へ対応すべく、地方公共団体との連携も行っているということでございます。

下のパラグラフで「社内体制」とありますが、本部が全体統括と地域貢献活動のフォローを行うという社内体制で取り組んでいるということでした。

3ページですが、「地域行政との連携」ということで、行政も事業者もともに窓口を一本化することで、生産性の高い議論を行い横断的な取組を推進しているということで、行政との連携の状況を紹介しております。

続きまして、「取組事例」としまして、地域・社会課題の解決に向け、地域行政と連携し認知症啓発イベントや市政情報の発信など、本業とは直接関係のない様々な取組が行われております。

各社ともに、最後に「WGとしてのまとめ」ということで下に四角囲みをしております。特徴など、各社のヒアリングを通じて分かったことを記載する形を取っております。

続きまして、5ページのヤマトホールディングス株式会社です。

「地域共創事業」ということで、「取組の目的」として、上の枠囲みにもありますが、ヤマトホールディングスが築いてきたアセットと生活支援面におけるソーシャルネットワークとを有機的に組み合わせた新規事業を創出するということで取り組まれております。

次に、下の枠にありますように、地域共創事業が目指す姿としまして、総合生活サポートのプラットフォーマーとして、物流を含めた様々なソフトサービスをパートナーと共創し、生活者及び事業者・自治体に持続可能なビジネスモデルとして提供している。このリアルとITのオープンプラットフォーム機能を様々な業種・業態へ展開することで、地域社会のインフラとして、日本の「地域活性化」と「くらしの利便性向上」を実現するということを目指しているという話でした。

続きまして、6ページでございますが、「地域共創による新規事業」として「ネコサポ」というものを御紹介いただきました。四角の枠囲みの「くらしのサポートサービス『ネコサポ』概念図」にございますが、対面接点を通じたリアルなプラットフォームとして価値を創出しているということで、暮らしの相談やコミュニティースペースの提供、各種イベントを開催しているという話でございます。

その下には暮らしの相談の例として、窓口スタッフの「コンシェルジュ」を紹介しております。

7ページに移りまして、「地域共創事業における取組事例」として、ネコサポのスペースと機能を活用し、本業とは直接関係のない様々な住民向けのイベントを他の事業者や住民と連携して開催しているということで、事業者や住民と連携したイベントを開催し、地域コミュニティー活性化に寄与しているということです。

ネコサポをはじめヤマトホールディングスの取組は、地域課題の解決と優良事業化の両立を試行中という紹介がございました。

続きまして、8ページは日本生活協同組合連合会・エフコープ生活協同組合の「生協の本業を通じた地域貢献の取組」でございます。

「取組の概要」としましては、宅配事業のインフラを活用した「地域見守り活動」など、本業を通じた地域貢献活動を積極的に行っているということで、下の枠にありますとおり「包括連携協定の拡大」ということで、行政との連携を活発に行っているという紹介がございました。

9ページは「取組事例」としまして、消費者被害防止チラシの配布や詐欺被害防止学習会の開催などを行っているということでございました。

10ページは「行政への要望」ということで、生協の話を聞いていただきたいということや、コーディネーターとして関係者との間を取り持ってほしいという話がございました。

続きまして、11ページはトヨタ自動車の「トヨタ消費生活アドバイザーの会」でございます。

「トヨタ消費生活アドバイザーの会」の目的としては、会員一人一人がお客様第一の視点を基に、自身のスキル・知識を向上させ、仲間と共に活動し、社内全体へよい影響を与えることで、会社全体へのお客様第一の意識を浸透させるということでございます。

「活動内容」が下にございます。消費者問題に関する研修や活性化を目的としたウェブ上の発信、12ページにありますとおりモビリタ新プログラム検証会といった取組をされている。

下に「資格の合格者数」がございます。累計で500名近くの社員が資格を取得。営業やカスタマーサービス部門よりも、開発・製造・技術部門の資格保有者の方が多いということで、顧客に近い営業やカスタマーサービスの方々よりも、開発等の方々の保有者が多いということでございました。

13ページは「取組事例」で、本業に直接役立てている例となります。カタログやホームページ等をより分かりやすいものにし、顧客満足度を向上させるため、関係部署と連携して改善を行っているということで、カタログのチェックといったことが行われているという話でございました。

続いて、14ページもトヨタ自動車ですが、「この町いちばん活動」という取組の紹介もございました。

こちらはトヨタの全国6,000店舗のネットワークと、これまで築き上げた顧客との信頼関係を生かし、地域の「困りごと」を解決するということで、「取組の体制」としましては、地域の事業者である販売店の地域・社会貢献の取組を支援するため、トヨタ自動車の本社が取組をメニュー化し、販売店に提供・支援を行う。地域・社会貢献の取組は、地域の販売店が中心となり地域の行政や団体等と連携して取り組んでいるという話を御紹介いただきました。

続きまして、15ページは株式会社ファミリーマートの「持続可能な社会に向けて~CSR活動」を御紹介いただきました。

「取組の目的」としましては、地域と加盟店とが、「利便性」に加えて様々な地域社会の課題解決に協力することで「心理的な近さ」を感じていただき、どこよりも「親しみやすさ」を感じていただけることを目指して、CSR活動を展開しているという話でした。

「取組の体制、概要」でございますが、地域の事業者である加盟店の地域・社会貢献の取組を行うために、ファミリーマートの本社が取組をメニュー化し、加盟店に提案し、加盟店と共に取組を行うということでございました。

16ページに「取組事例」がございます。こちらは警察からの特殊詐欺被害防止の協力依頼に対して、提供されたポスターの掲示だけにとどまらず、Famiポートや加盟店の従業員向けの自社専用のツールを作成し、より多くの顧客や加盟店の従業員の目に触れるように工夫しているという御紹介でした。

また、ほかの取組事例として「ファミマサークル」の紹介がありました。高齢者ドライバーによる交通事故や特殊詐欺被害の未然防止等のために、加盟店のイートインスペースを活用して、警察官による講習会を開催しているということで、17ページに「ファミマサークル」の模様を掲載しております。

18ページは「苦労した点、要望事項」として、「WGとしてのまとめ」の一番下にも書いておりますが、事業者向けの窓口がなく、行政の窓口一本化や講師・ガイドがスムーズに手配されると、取組がより推進しやすくなるという御意見がありました。

続きまして、19ページの大和リース株式会社の「地域活性化事業~まちスポ」でございます。

「特定非営利活動法人『まちづくりスポット』の運営組織形態」としまして、大和リースが所有し運営する商業施設内に、地域の住民やNPOなどが交流できるスペースを設け、その交流スペース「まちスポ」を運営するために地域のNPOと協働で新たなNPO「まちづくりスポット」を設立したということでございます。

20ページに「『まちスポ』のスキーム」が出ております。現在、大和リースの全国11か所の商業施設で展開・事業化されているということで、商業施設に地域コミュニティー創出の場ができることにより、商業施設の魅力アップ(集客力の向上等)が図られ、商業施設のテナント企業へのアピールにもつながっているという御紹介がありました。

続きまして、21ページの京都信用金庫の「コミュニティ・バンク」です。

「『コミュニティ・バンク』がめざす経営姿勢」ということで、下の枠囲みにも赤字で書いてありますが、お客様に評価していただくためには、他の金融機関と同じレベルの接客をしていては駄目だという姿勢で仕事をされているということでございました。

下に「金融機関の役割の変化」がございます。金融機関の役割として、決済機能や仲介機能というこれまでの金融機関の役割に加え、これからの金融機関の役割として課題解決機能が必須。課題解決機能とは、お客様の事業の課題を解決したり、地域の社会課題を解決する機能だという考え方であるということで御紹介いただきました。

続きまして、22ページに取組事例を書かせていただいております。

まず「くらしのマッチング掲示板」というもので、こちらは職員が店頭窓口で顧客から聞いた困り事や知りたい情報などを顧客の個人情報を伏せた上で、職員専用のイントラネット掲示板に書き込むと閲覧した別の職員が返答してくることで、解決策を提供する仕組みでした。

ほかに「ビジネスマッチング『QUESTIONビル』」という、ビルの中でビジネスマッチングを会員同士で自由に行っているもの。こちらは顧客以外の方も会員になって参加されているという話でございました。

続きまして、23ページの高知銀行の「お客さま(消費者)保護等の取組」です。

「取組の目的」としまして、独自の「こうぎんSDGs」宣言を制定し、地域の持続可能性の向上と経済の活性化に貢献するため地域との協働を展開していくということで、下に「取組事例」がございます。地域の学校や教育委員会等と共同で子ども向け金融セミナーなどを開催しているという紹介がございました。

24ページに移りまして、認知症の方やその家族が安心して暮らし続けられる地域作りに貢献するため、新入行員全員が認知症サポーターとなるという取組をされているということでございました。

続きまして、25ページからは地方公共団体のヒアリング結果のまとめでございます。

まずは徳島県の「消費者見守りネットワーク等を活用した情報提供」でございます。

消費者庁が、実証に基づいた政策の分析・研究機能をベースとした消費者行政の発展・創造の拠点として、徳島県に新未来創造オフィスを2017年7月に設置し、徳島県等を実証フィールドとした分析・研究プロジェクト等を実施してきた。徳島県の取組が先進的な取組ということで、ヒアリングにもお呼びしましてお聞きしたところでございます。

「とくしま消費者見守りネットワーク」は、図にもありますように、様々な構成員、事業者に、県からの依頼により消費者関連情報の発信を依頼しているということでございました。

26ページに取組事例を載せております。1つは「コロナウイルスに便乗した悪質商法への注意喚起」ということで、高齢者等の消費者被害を未然に防止するため、「消費者被害未然防止チラシ」を作成し、県内に広く周知しているということと、その下に、新聞販売店の協力によりコロナ詐欺対策をテーマとしたチラシを新聞に折り込み配布といった取組の御紹介もございました。

徳島県の情報提供の方法としましては、県や市町村から構成員である事業者に依頼することにより、ネットワークに情報を提供しているという仕組みでございました。

続きまして、28ページは横浜市の「共創」でございます。

「共創に取り組む背景」としまして、長期的に生産年齢人口を中心とした人口減少による税収減と財政需要の増大が見込まれており、行政の知恵・力・資源だけで様々な社会課題の解決を目指すことが難しくなっている。そのため、企業・大学・NPO等民間の多様な主体と連携し、オープンイノベーションを推進して社会課題を解決していくことを政策の基本姿勢の一つに据えているということでございました。

下の箱にありますが、「共創の定義」としまして、企業・NPO・大学などの多様な民間の方々と行政が対話を通じて連携を進め、それぞれが持つアイデアやノウハウ、資源などを活用することで、社会や地域の課題に対し、新たな価値や解決策を共に創り上げていくという考えの下、行われているということです。

29ページは「共創フロントの仕組み」で、枠囲みにあります「対話」の窓口とコーディネート機能ということで、「共創」を進めるための仕組みとして「共創フロント」を設置し、これまでに約400件の連携を実現したということです。

「共創フロント」とは、横浜市と民間とが互いに対話を進め、社会・地域の課題の解決やイノベーションの創出等につながる連携を進めるため、民間の皆様からの相談・提案を受ける窓口ということでございました。

続きまして、30ページに「取組事例」を紹介しております。1つは東映とタイアップした例として、「15周年を迎える『プリキュアシリーズ』と横浜市がタイアップ!」ということで、広報カードを配ったという事例です。

その下の事例6は、株式会社KADOKAWAと横浜市がタイアップして、「文豪ストレイドッグスが横浜の若者を守る!」ということで、ポスター等を作成したというものでございます。

31ページに「WGとしてのまとめ」がございます。「共創」とは、企業・NPO・大学などの多様な民間の方々と行政とが「対話」を通じて連携を進め、それぞれが持つアイデアやノウハウ、資源などを活用するということと、原則として行政側の費用負担はないということも特徴としてあったかと思います。

続いて、32ページが大阪府の「公民戦略連携」でございます。

「公民戦略連携に取り組む背景」としまして、大阪府では、平成27年2月に策定した「行財政改革推進プラン(案)」では、公民連携の強化を改革の柱に位置付け、同年4月に、民間との新たなパートナーシップを実現することを掲げ、スピーディーで柔軟に双方向での連携を進めていけるよう、都道府県では初となる公民連携の専任部署として「公民戦略連携デスク」を設置したというものでございます。

「公民戦略連携デスクの機能・体制」としまして、公民戦略連携デスクでは、企業等からの提案を適切に受け止め、府庁内の各部局とマッチングする一元的な窓口・相談機能、また、その連携が円滑に進むようコーディネートし、府庁内からの提案を企業等に伝えるバックアップ機能を担っているということでございました。

33ページは「大阪府がめざす公民連携の姿」ということで、公民戦略連携デスクにより、府民、企業や大学等の民間、行政の3者が「三方良し」となる取組が生まれることを目指している。まずは「対話」を行うことを重視しているという話でございました。

資料1の「事業者・地方公共団体ヒアリング結果まとめ」につきましては以上でございます。

続きまして、資料2「ヒアリング結果等に基づく情報提供モデル(案)」です。これまでのヒアリングを踏まえて、事業者の取組や情報の届け方を図式化したものでございます。

まず、行政が届けたいと考える情報と、事業者が自社の取組で扱いたいと考える情報はイコールではないということでございます。

上の青の丸で書いております「行政が届けたい情報」は「現在の情報提供」と位置付けておりまして、行政が情報を選択し、事業者に提供するルートである。

また、下の黄色い丸は「事業者が地域や社会に貢献する自社の取組で扱いたい情報」ということで、「消費者行政における新たな情報提供」と位置付けております。行政が事業者の取組に合わせて情報を事業者に提供するものと考えております。

2ページに移りまして、上の「行政が届けたい情報」を「“依頼型”情報提供」と呼びますが、行政が届けたい情報を事業者に「依頼」して消費者に届けるという、従来一般的に行われてきた情報提供。この従来から行われているルートは大事なことですので、引き続き充実したものとなることを期待しているというものでございます。

下の「事業者が地域や社会に貢献する自社の取組で扱いたい情報」は、これまでのヒアリングを踏まえ、我々としては“共創型”と呼ばせていただき提案しております。「“共創型”情報提供」といった形が浮き彫りになってきたのではないかと考えました。キーワードは「対話」ということで、事業者が行う地域や社会に貢献する取組に合った情報やそれを顧客に届ける手段を、行政と事業者が対話の上、事業者に提供するという、双方ウィン・ウィンとなる“共創型”情報提供と位置付けております。

3ページに移りまして、「“共創型”情報提供の必要性」でございますが、今回ヒアリングした事業者に共通することは、地域・社会貢献につながり顧客・住民・消費者等に有益な情報であれば、積極的に自らの取組で提供したいと考えていることである。

次に、消費者行政にとって、ポスター掲示やチラシ配布等を事業者へ依頼するという従来の方法よりも、事業者の取組の場を通じた情報提供は、より消費者に伝わりやすく、少ない予算で多くの消費者に情報提供が可能な、非常に有効な手段となる可能性が高い。

しかし、単に事業者に消費者情報を活用するよう依頼しても、消費者関連情報に詳しくない事業者が、自主的に有益な情報を選び、加工し、使用することは難しい。実際に、他の福祉や防犯等と比べて消費者関連情報が活用されている例は少ないといったことがございます。

4ページも「“共創型”情報提供の必要性」が続きますが、地域・社会貢献につながり顧客・住民・消費者等に有益だと思われる情報が増え、自らの取組の場で使えることは、事業者にとっても望ましく、消費者関連情報も十分活用してもらえる可能性がある。

消費者関連情報を活用してもらうためには、事業者の取組の場に合った情報を、事業者になるべく負担がかからない方法で提供することが必要である。

そのためには、行政がこのような事業者と一緒に考え取組を行うという姿勢、つまり「対話」が必要あるということを考えております。

5ページは行政のメリットということで、1つ目として、事業者の店舗や配送網等のネットワークを活用して消費者に情報を届けることができる。

身近で普段付き合いのある事業者が顧客に直接コンタクトして分かりやすく情報を届けてくれるため、ポスター掲示やチラシ配布だけよりも消費者に届きやすくなる。

全国各地の個々の店舗等に提案しなくても、本社・本部等に提案して効率的に全国各地に広げることができる。また、ポスター掲示やチラシ配布等と異なり、事業者で一度取組が定着すれば、継続して消費者関連情報を活用してもらえるといったことがあります。

ほかにもまだ考えられることはあるかと思いますが、事務局でメリットとして考えたことを記載しました。

6ページは事業者のメリットとはどういうものがあるだろうかということで、自社の取組の場や業種・業態等に合った情報を行政の知見を活用して入手できること。

行政と一緒に取り組むことで、顧客から見た事業者の安心感、信頼感が増し、顧客に参加してもらいやすくなる。その結果、本業の集客効果もある。

行政と一緒に取り組むことで、自社の地域貢献や社会貢献のアピールとなるということがあるかと思います。

7ページは消費者のメリットでございます。身近で普段付き合いのある事業者から情報が届けられるため、安心して情報を受け取ることができるということがあると思います。

また、ポスター掲示やチラシ配布等と異なり、事業者が直接コンタクトして分かりやすく情報を届けてくれるといったことが挙げられると思います。

続きまして、8ページは「“共創型”情報提供モデル図」です。

真ん中に青の枠で囲っておりますが、主に地方公共団体と事業者が包括連携協定などの枠組みで対話を行う。必要に応じて国から情報を入手するといったことも考えられると思います。事業者の扱いたい情報を消費者に届けるというモデル図としております。

続きまして、「対話に基づき情報提供」というところをもう少しかみ砕いて説明しているところが9ページの「“共創型”情報提供モデルの説明」です。地方公共団体が事業者と対話を行い、情報提供の場で扱ってもらえるコンテンツを提供する。協力を依頼するための対話ではなく、事業者の取組に合った情報提供をするための対話を行うということが重要だと考えております。

続きまして、10ページに「“共創型”情報提供モデルのバリエーションの検討」とあります。

11ページで、これまで説明したものを基本モデルと考えますと、決してこの基本モデルがベストというものではないだろうと。むしろ、このモデルを基に、地域の実情に合わせたり、様々な工夫を行ったモデルが求められるのではないだろうか。地域ごとに規模や人口や年齢構成も異なりますので、それぞれの地域に合わせる必要があるのではないかと考えております。

<様々な視点>ということで、早期に事業者に消費者関連情報を活用してもらえるようにするモデルとか、地方公共団体になるべく負担をかけないようにする、AI等を活用しスピーディーに情報を提供する視点、国も地方公共団体や事業者団体等と対話する、地方公共団体の規模や実情に合わせる、地方公共団体の共創や公民戦略連携を活用するといったことが視点としてあるのではないかと思います。

続きまして、12ページです。“共創型”情報提供モデルを基に地域の実情や目的・工夫に合ったいろいろな「バリエーション」が必要ということで、まだバリエーションはあるかと思いますので、後ほど御意見や御知見をいただきたいと思います。

資料2の説明は以上になります。

続きまして、資料3「報告書骨子(案)」に移らせていただきます。

まず、導入として「はじめに」を書かせていただいております。消費者への情報提供は行われているものの、情報が消費者に届いていなかったり、消費者自身が自分事として受け止めていないなど、被害を減らすには課題もあるという現状。

国や地方公共団体は現状でも消費者関連情報の発信を様々なルートで行っておりまして、そのルートの一つとしまして、事業者を経由した消費者関連情報の発信を行っているが、一層の取組が期待される。

一方、事業者におきましては、地域や社会へ貢献するために自主的に二次情報を発信している事業者が現れているということです。

また、地方公共団体においても、“共創”“公民戦略連携”といった取組も増加している。

しかし、事業者や地方公共団体のこのような新たな取組において、消費者関連情報はあまり活用されておりません。

本報告書では、今後さらなる推進が期待されている事業者経由での消費者関連情報発信について、事業者や地方公共団体の取組を紹介するとともに、そのような事業者において消費者関連情報を活用してもらうための方策について検討を行い、目指すべき姿とその対応策を示すということで、報告書の目的を導入のところで書くことにしております。

続きまして、「第1 消費者への情報発信の現状」ということで、まず「1 行政の取組状況」で、消費者庁等の情報発信の取組ということで、様々な取組をされているので紹介をいたします。

次に「2 行政による事業者経由の消費者関連情報発信の現状」ということで、行政から事業者への働きかけを行っている例を挙げまして、代表的な取組として見守りネットワークを活用した情報提供。

また、「3 取組事例」にありますように、先進的な取組の代表例として、徳島県の取組をここで載せたいと思います。先ほど資料1で御紹介しました徳島県のところを、報告書のこの部分に載せたいと考えております。

「第2 事業者による地域や社会に貢献する自主的な情報発信の取組」もヒアリングした事業者の取組を紹介するパートになります。行政からの依頼に応じた従来の情報発信方法とは異なる新しい取組が現れている。事業者の自主的な情報発信の取組において、福祉や防犯分野の情報に比べて消費者関連情報の利用が少ないといったことを紹介した上で、2ページになりますが、取組事例としてヒアリングした各社の取組を御紹介させていただく。先ほど資料1で御説明した部分をこちらで載せたいと考えております。

第3は少し視点が変わります。「地方公共団体における事業者との新たな連携の取組」として、横浜や大阪にありました共創や公民連携について紹介するということで、地域や社会に貢献しようとする事業者の活力をいかすため、事業者と連携しようとする地方公共団体の発現。これを背景とした、公共事業とは異なる新たな官民連携方法の取組ということで、こちらでも3に取組事例を書いておりますが、横浜と大阪の取組の紹介を掲載したいと思っております。

「第4 事業者を経由した消費者関連情報提供策の検討」からは、ワーキングとしての分析といった視点で記載したいと考えております。

まず「ヒアリング結果の分析」を載せております。事業者による地域や社会に貢献する自主的な情報発信は、様々な形で行われているということ。店舗や配送網等の自社資産をフル活用したもの、全国的に取組を行っているもの、経営トップの強いリーダーシップにより実施しているもの等々がございました。

今回ヒアリングした事業者に共通することは、地域・社会貢献につながり顧客・住民・消費者等に有益な情報であれば、積極的に自らの取組で提供したいと考えているということもございました。

しかし、生協等一部の事業者を除いて、このような事業者のほとんどが自らの取組の場において消費者関連情報を活用しておらず、それは事業者が自主的に有益な情報を選び、加工し、使用することは難しいということでございます。実際、他の福祉や防犯等と比べ、消費者関連情報が活用されている例は少ないといったことがあります。

このような取組を行う事業者にとっては、地域・社会貢献につながり顧客・住民・消費者等に有益だと思われる情報が増え、自らの取組の場で使えることは望ましく、消費者関連情報も十分活用してもらえる可能性がある。消費者関連情報を活用してもらうためには、事業者の取組の場に合った情報を、事業者になるべく負担がかからない方法で提供することが必要であろうということでございます。

続きまして、3ページの2では「自主的な情報発信の取組を行う事業者と消費者行政が連携するメリット」ということで、消費者のメリット、行政のメリット、事業者のメリットを記載し、続いて「検討の視点」として、行政が届けたい情報と事業者が地域や社会で貢献する自主的な取組で使いたい情報は異なるという視点で記載をする。

4では「事業者を経由した消費者関連情報提供モデルの検討」として、まずは「事業者と行政の『対話による』情報提供の必要性やメリット」ということで、事業者が扱いたいコンテンツが入手できるというようなこと、続いて「“共創型”の情報提供モデル」として、モデルの説明やバリエーションを示す。次に「共創や公民戦略連携の活用」といったこと。続いて「モデルの活用例」として、コンテンツの活用例や業種別の活用例を記載し、5で「目指すべき姿の実現に向けた対応策」として、各モデルにおける必要な役割や対応体制の提案をしていくことを考えております。

「第5 事業者による自主的かつ持続可能な消費者関連情報提供に向けた環境整備」ということで、消費者関連情報を扱ってもらうための環境整備になります。まず「環境整備の必要性」を記載し、次に「事業者への消費者教育推進の必要性・メリット」ということで、環境整備の一つとしてトヨタの消費生活アドバイザーの取組の事例を紹介する。「事例まとめ」としましては、経営層のメリットや従業員のメリットも書いていく。

「3 事業者の取組を応援する仕組みの必要性」で、消費者志向経営の例や、そのほかを記載する。

「4 目指すべき姿の実現に向けた対応策」として、行政として何をすべきかといったことを述べるということで、これで報告書として締めたいというところでございます。

現在考えております骨子としては以上でございます。

事務局の説明は以上になります。ありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。御苦労様でした。

それでは、ただいま事務局のほうから、これまでのヒアリング等の経緯、その中で得られた示唆、それに基づきまして従来型の情報提供モデルを活用する方法、それから今回特に事業者の方々から多く示唆を得られましたので、事業者の方との「共創」、すなわち「共に創造する」モデルを出していこうということで、今日はこちらに説明のウェイトをたくさんかけていただいて、そうしたモデルを御説明いただきました。

その上で、従来型の情報提供に加えて、事業者を重要な鍵にした情報提供の推進のための新しい具体的な方策に少し入り込んだ形での報告書を考えてはどうだろうかということで、今、報告書の案の枠組みをお示しいただきました。

今日、全体像を初めて皆様方と御議論させていただくことになりますので、これにつきまして、各委員から御質問や御意見、また私たちの最終的な報告の方向等につきまして、それぞれお考えをいただければと思っております。本日のたたき台とでも言ったほうがよいような案について、御自由に御議論いただければと思っております。御質問、御意見合わせて、どこからでもいただければと思いますので、各委員から御自由に御発言いただければと思っておりますので、よろしくお願いします。発言の機会がうまくつかめないときには、チャットにいただければ順次指名もさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

早速、八木委員からコメントをいただいておりますので、八木委員、よろしくお願いいたします。

○八木委員 よろしくお願いいたします。

この報告書の中で、なぜ最近になってこういう動きが出てきているのかという背景の話をしたほうがいいと思います。世の中の動きの中で企業がこのような活動をし始めているというバックグラウンドを説明したほうが、この報告の意義がより分かりやすいと思います。

例えば、統合報告書です。これまでは財務的価値を中心にした有価証券報告書やアニュアルレポートといったもので事業報告をしてきたけれども、企業がお金の評価以外のところでももっと価値を出していかなければならないということが社会的にも要求されるようになり、そのことに積極的に関わっていこうという企業が増えてきており、それを統合報告書という形で伝えていくことが、日本のみならず世界的に起こっているわけです。そういう流れの中で、企業はただもうけていればいいのだ、利益を出していれば社会から評価されているのだということではないということを、かなりの数の企業が意識し始めています。社会課題の解決を事業活動としてしっかりうたっていかないと、企業としての存在意義を認めてもらえないという動きが背景にあるということを伝えたほうがいいと思います。

誰かから責められるからではなく、企業として社会課題を解決するということの意味、自分たちが社会の中で果たしていく役割を、企業が真剣に考え始めたということをきちんと記載したほうがいい。そして、SDGsをはじめ、いろいろな局面で世界の動きが出てきています。繰り返しになりますが、その大きな流れの中で、数多くの企業が社会課題の解決に前向きに取り組もうとしているのだということに触れておいたほうがいいと思っています。

また、事例の紹介にとどまらないで、どういった会社がこういうことに携わろうとしているのか、その傾向をつかむことによって、国あるいは地方公共団体のほうからむしろ積極的に企業のほうにアプローチしていく、こういう業界のこんな会社だったらきっとやるだろうとこちらから積極的にアプローチするような提案もこの中に入れたほうがいいのではないかと感じました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

1つは背景のところで、こうした企業の行動ルールそのものが大きく変わり始めている、意識も行動も変わってきている、社会課題に積極的に取り組み始めている、それが世界の動きでもあるし、日本でも生まれ始めている。逆に私たちは消費者行政、消費者関連情報という観点から、そういう傾向をもっと積極的に捉えて、具体的な私たちのアクションの中でも企業への積極的な働きかけをしていく価値があるし、それに応える企業があるというアプローチの仕方を具体策の中でもうたっていくという御指摘をいただいております。大変重要なお話をいただいたかと思います。

他の委員の皆様方からもどんどんと御意見が出ております。では、順次いただいてまいりたいと思います。

続きまして、生駒委員、お願いいたします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

私も、今の八木委員と全く同じ考えなのですが、たくさんの事業者の優良な事例を拝聴できて、とても勉強になったところがあります。行政が消費者に届けたいと考えている情報がなかなか消費者に届かないという実情がある中で、民間の事業者が積極的に取り組まれている例は大変心強く思いました。

今、企業や金融機関までもが社会課題の解決、そしてイノベーションに貢献しながらの経営を考えるということ。先ほどもおっしゃいましたが、まさにSDGs、ESG投資にもつながる非常に現代的な在り方であるなと思っております。まさしくグリーンエコノミーやサーキュラーエコノミーとうたわれている流れに即するものであり、この流れはどんどん強まっていくでしょうし、私たちからも是非強まっていくことを希望したいと思います。

ですので、事業者の方々への消費者教育推進の必要性は大変重要だと思っています。今、消費者庁のほうで消費者志向経営の事業者を表彰する制度がございますが、そういったこととも連携させて、事業者の指針がそういうよきパラダイムシフトに向かうように応援するようなシステム、例えば表彰システムなのか、今回のこういった調査の中から出てきた優良例をどんどん紹介していくことも重要だと思いますし、是非この流れをこの機会に強めていくような、ますます広めていくような流れをここから作っていければと感じております。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

最後に御指摘いただきました「企業の皆さん方にもっと積極的に関わっていただけるような」という辺りは、まだ工夫の余地があるかもしれません。ありがとうございました。

続きまして、西田委員からいただいております。よろしくお願いします。

○西田委員 よろしくお願いします。西田です。

膨大な資料をありがとうございました。資料3の報告書骨子(案)のところなのですけれども、僕の印象では、今回は事業者との連携というところを強く打ち出している報告書になりそうなので、その点、総花的ではなくていいなと思いました。割とフォーカスされている感じがしたので、そこはいいなと思いました。これは全体的なコメントです。

1つ、資料2に事業者のメリットが書かれているところがあって、そこは非常に大事な点で、そこを分厚く整理されていくとすごくいいのではないかと思いました。銀行の話だったかと思いますが、「事業者のメリットは何ですか」とお聞きしたときに、「わかりやすいメリットはない」といった回答が確かあったような気がするのですが、そのように言われてしまうと非常に分かりにくくなるので、金銭的なメリットに制限せず、ここはちゃんとこういうメリットがあるということを書くといいなと思いました。

次に、資料2の6ページのところで、資料1にあった「WGとしてのまとめ」の部分が全部拾えていないような気がしたので、少し丁寧に全ての事例を拾って、もう一回事業者のメリットを資料2の6ページでまとめ直すといいと感じました。ちょっと抜けている感があったので、そういうことを整理するといいかなと思いました。

先ほど八木委員、生駒委員からも御指摘があったのですけれども、SDGsやエシカルに真摯に向かう企業姿勢が世界的な潮流で、社会貢献するというのが非常に大事になってきているというところも背景で書かれるといいと思った一方で、もっと現実の話として、例えば離職率が高いとか、リクルートが大変とか、よい人材を確保できないとか、ブラックなことをやっているとか企業に多くの問題が出てきていて、今後、社会貢献と本業が本当に一体の取組をしないと、本業も危うい時代になってきているというのが本当の背景ではないかと思っているので、その辺りも書かれるといいのかなと感じました。つまり、離職率は減るし、従業員の満足度も上がるし、こういう方向をしないと本業も立ち行かない時代になってきているというところが示せるといいのかなと感じました。

あと、細かい点ですけれども、コンテンツというのと内容という言い方があるのですけれども、何を指しているかがちょっと分かりにくいところがあるので、事業者に伝えてほしい消費者被害の内容を指しているのか、プリキュアなんかと協働して仕上がったコンテンツのほうを指しているのかが分かりにくい場合があるので、そこは言葉を使い分けてもいいのかなと感じました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

特に「WGとしてのまとめ」として、各事業者の方のまとめのところや全体の取りまとめはまだこれから精査する余地が大分あるかもしれません。背景としての企業の社会的責任うんぬんという話ではなくて、むしろ企業の本来目的の中にこうした社会性がきちんと入ってきていて、そういう動き方が始まっていて、それが広がりつつあるという前提で議論していくというのもありかなと思いながら今、お話を聞いていました。ありがとうございました。

受田座長代理からもコメントをいただければと思います。受田先生、よろしくお願いします。

○受田座長代理 御指名ありがとうございました。

事務局の皆様、本当にお骨折りをいただいて、ヒアリングの概略の整理、また、この報告書骨子(案)を御提示いただいて、本当にありがとうございます。頭が大分すっきりしてきた印象でございます。

今、大枠の話をお聞きして、3点ほど申し上げたいと思います。これをどのように反映していただくかについては、また皆さんの御意見を伺いたいと思います。

まず1つ目なのですけれども、いろいろな事例をお聞きして、最終的にはワーキングとして取りまとめていく上で、ヒアリング結果を分析していくということが第4章にございます。ここのところで、いろいろな事例を踏まえて類型化していく必要があるのではないかと思っています。この類型化の基準は、このワーキングの初めのほうでも申し上げた記憶があるのですけれども、5W2Hに基づくというのも一つの案ではないかと思います。

なぜというWhyの部分のBig Whyを挙げるとすると、例えば消費者関連情報がきちんと伝わらないというのが問題意識ではございますけれども、先ほど八木委員からもございましたように、民間企業がなぜこういう情報を提供するプレーヤーになり得るかというところでは、民間企業の関わる意義として、社会的責任を果たしていく、あるいは自社サービスの充実、信頼の獲得、集客の目的もあるというところから始まると思います。

あと、誰がという部分はこの後にまた触れますけれども、もともと行政が消費者関連情報を消費者に伝えたい内容がたくさんある。ですから、直接的には行政だと言うことができると思います。その一方で、事業者もそれに関連する情報を併せて御提供できるということになれば、事業者がというプレーヤーも当然あるわけです。もう一方で、行政はプラットフォームを構築するという意味でプレーヤーの役割を果たしているケースもあったと思います。

あと、Whereというところでいくと実店舗もありますし、各御家庭への個別ルートもありますし、コミュニティーもありますし、ウェブを使ってというのもあったと思います。

何をに関しては、もう言うまでもないですが、消費者関連情報あるいは課題解決に資する適切な情報をということになると思います。

いつという部分は、その社会的課題がどの程度の機動的要素を含んでいるかということも含めて考えていき、Howの部分は、先ほど言いました場を創出して、ここに顧客を集めるという形もあれば、生協さんのルートのように、個別販売配達ルートを使うこともあり、ウェブあるいは見守りネットワークもHowの部分に入るかもしれません。

あとはウィン・ウィンの関係で、もう一つ経済的な部分でHow muchのところは取り上げていく必要があるのではないかと思います。優良事業もあれば、補完的な関係もあれば、無料の部分もあるということで、ここを類型化していくというのは一つあっていいのではないかというのが提案でございます。

2つ目は、今回のヒアリング、発表してくださった方は事業者様もいらっしゃれば、自治体の皆さんもいらっしゃいました。横浜市さんが共創の場を作り、そこの中でいろいろな優良な事例を挙げていただいたわけですけれども、プリキュアの話があって、東映様のコミットメントの御紹介がありました。もし東映様がここのワーキングで発表されたとすると、印象が全く違うのではないかと私は感じました。

また、徳島県の見守りネットワークの関係で、徳島新聞様が非常に大きな貢献を果たしているという事例がございました。仮に徳島新聞様が事例として発表され、自治体として徳島県がそこに関与しているという文脈でお話しされると、受け止め方が全く違っていたのではないかとも思います。

つまり、事例発表は主体としてそれぞれの事業者様、地方公共団体の皆様ということにはなっていますけれども、関与しているプレーヤーが別のお立場でお話しされたとするとどのような捉え方ができるのか、行政主導あるいは事業者主導で見方を変えてみるというのも、この後類型化していく上では非常に有用なモデルが浮かび上がってくるのではないかと思いました。

最後に3点目なのですけれども、今回、行政・事業者・消費者というように分けて考えています。それぞれ優良な事例を拝聴しました。仮定の話なのですけれども、これの組合せを変えてみるとどのようなことが起きるのか。例えば横浜市様の共創の場の中にファミリーマート様が入ってこられたら、新聞社のどこかが入ってこられたらどういう取組になっていくのかというような視点。あるいは複数の事業者がその行政と連携をしたときに、消費者にとってどのようなメリットが更にシナジーとして得られるかといったように、今回のそれぞれのモデルを架空の上で組み合わせていったときに、どのようなシステムが出来上がっていくのか。ここを描いていくと、今回の消費者関連情報の提供の在り方として、ゴールイメージといいますか、少しビジョン的なものが描けるのではないかとも思いました。

以上、主に3点でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

今、受田委員からは、1つは今日、事務局の御提案でもありましたが、モデル化のときの基準をどうするかということも今、御指摘がございましたけれども、モデル化を少し具体的に進めてはと。

2つ目に、そのモデル化をする際に、発表だけではなくて、相手方やパートナー、また受け止め方、それらの観点で考えてみるともう少し深まりがあるのではないか。

さらには、私どものモデルが次のステップとしてできれば様々な組合せでのある種のシミュレーションをやってみて、そういうもので理想の姿的なものが出てくると、そのモデルそのものの説得力や可能性追求にとても有益なのではないかということで、少しお話をいただいてございました。

何もかも全部対応できるかどうか分かりませんけれども、各委員からも併せて御意見をいただければと思います。

片山委員からも発言の御希望が出ております。片山委員、お願いします。

○片山委員 事務局の皆さん、本当に大変な作業だったと思います。ありがとうございました。このように整理していただいたので、あとどこをどのように補充したらいいかなというところが大変よく見えてきたという感じがしています。

私はちょっと違う観点から、こういう点も今回の報告書の中で議論として書いてはどうかと気付いたところについて、3つほど意見を申し上げたいと思います。

1つは、前々から言っているように、これだけいろいろな事業者が社会貢献を考え、いろいろな取組、行政との連携をしている中で、消費者情報、二次情報がなかなかテーブルにのってこないのはなぜかというのがずっと気になっていまして、その1つは、私たちがイメージしている消費者関連情報の重要性、あるいはそもそも消費者関連情報と私たちが呼んでいるものがどういう情報なのかということのイメージさえも皆さんそれぞれ別々なのかもしれません。そういう意味で、消費者関連情報の重要性をきちんと整理してはいかがかと思っています。

消費者関連情報と言っても考えてみればすごく多様であって、一番に分かるのはオレオレ詐欺のような悪質事業者に注意しましょうという被害への警告ですけれども、それ以外にも例えばいろいろな製品を使ったり取引をするときに、ちょっとした注意で被害に遭わなくて済むのに、消費者というのは実は意外と無意識に生活をしているのが当たり前。だからこういう事故が起きたり、取引被害が発生してしまいますという情報も重要で、お試し商法もそうだと思いますが、消費者自身が自分の消費者としての日常の行動や意識に気付くような啓発も消費者関連情報だと思います。それから、先ほど来、皆さんがおっしゃっていたような、SDGsに絡んでくるような、よりよい持続可能性のある社会へつなげていくための日々の消費者行動の在り方を考える、そのための情報も消費者関連情報だと思います。

まだほかにもあると思いますが、そういう情報を消費者がきちんと理解することの重要性を整理して、そのことによって社会の何が変わってくるのかというところ。あるいは、事業者がそれを伝える手助けをすることによって、消費者と事業者の関係がどう変わってくるのかというところをまとめて、文章化してはどうかと思っています。そこのところが事業者のほうできちんと理解されれば、消費者関連情報を取り扱うこと、消費者に伝えることの意義や事業者にとってのメリットも見えてくるのではないかと思っています。

あと1点です。今回、報告のポンチ絵のところでも書いてもらっています行政と事業者の対話というのは、確かにそうだと思います。私の考えでは、まさに行政と事業者の対話のところで、今、申し上げたような消費者関連情報がいかに消費者にも社会にも事業者にも重要なものであるかということを対話の中で理解し合って、事業者自身が自分の事業の形態だとか姿勢だとかと関連付けてどのように取り扱っていくことができるかを対話の中で見付け出していったらいいのだと思いますが、対話のイメージがなかなか分かりにくいかと思いますので、何について、何のために、行政と事業者がどのように対話していくのかというところも、もう少し報告書の中で具体化できればいいなと思っています。そのためには、たくさんのヒアリングの事例の中で、このような対話の結果、こういう成果が生まれているということも示せるのではないかと思います。

もう一つだけ、行政と事業者の対話のところに、消費者問題の専門家というか、消費者側で消費者問題を取り扱っている消費者団体や専門家がうまく絡んでいってお伝えできれば、その対話をつなぐ役割を果たせたらいいなと思います。その辺も何らか工夫して入れていただければと思います。

長くなりました、以上3点です。よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

大変重要な御示唆をいただいたかと思います。特に消費者関連情報という言い方をしておりますけれども、既にほかの委員からも御指摘いただきましたが、この情報は一体何なのかということ。そして、それがなぜ大切なのか。その情報をもって行政・事業者・消費者が適切にその情報を把握することができれば、本当に世の中が変わる。そういうところをきちんと伝えていくというのは大きなポイントかと思いました。

そのことのためにも、もう一つ重要な御指摘は対話の重要性で、まずは事業者の方に動いていただくということから、行政と事業者との対話を今回は強調していただいていますが、そうした対話の具体的な進め方やそこでの論点、さらには、そうした場に消費者団体や消費者問題の専門家の方々にどう関わっていただくのかといったところの工夫が具体的になければ、よい対話になっていかないということもそのとおりかと思っておりまして、この辺りはまだこれから大いに詰めていく余地があろうかと思いながらお話を聞いていました。ありがとうございました。

いろいろな観点から御意見をいただいておりますが、そのほか各委員からいかがでしょうか。

○高委員 高ですけれども、他の委員の皆様特にないようであればよろしいですか。

○新川座長 高委員、お願いします。

○高委員 皆様方の御意見を聞いておりまして、もうごもっともだと思って、私も納得して聞いておりました。ですから、あえていろいろ追加すべきことはないのですけれども、私自身の個人的な思いで語らせていただきます。

今回のヒアリングを通してやると、ここにいただいたような整理に落ち着くのかなと思うのです。こういう報告書を作ったときに、やったことはきちんと整理できるのですけれども、最後は世の中に向かって何らかの提言をするということにつながると思うのですが、この報告書案では最後のところで、事業者絡みのところで1つ柱が立っていましたね。もう一回見てみます。第5の柱の「目指すべき姿の実現に向けた対応策」というのが提言みたいなものに当たるのかなと思って聞いていたのですけれども、事務局、そういう理解でもよろしいですか。そうではなくて、それぞれにこれを書いているということですか。第4のところにもありますね。

○大岡企画官 そうですね。第4の5でも「目指すべき姿の実現に向けた対応策」がございます。

○高委員 そこの内容をどうするのかというのが実は私は非常に関心があって、今回のヒアリングから具体的なものを固めていくというのは難しいだろうけれども、これでも十分その目的は達成できるかもしれませんが、報告書を作るのであれば、何らかのアクションが起こるようなものを用意してあげることができればと私は思っております。

そういう意味で、コミュニケーションとか対話が重要だというのはまさにそのとおりだなと思って聞いておりました。先ほど受田委員が非常に論理的に整理されて、例えば事業者さんが消費者関連情報を提供するときの場が違うと。店舗だったり、各家庭であったり、モール内であったり、金融機関であったり、媒体は紙であったり、メールであったり、SNSであったり、サイネージであったり、掲示板であったり、そういういろいろなものがある。あるいは、それぞれの事業者ごとで対象となる消費者の方々も若干違ってきます。高齢者の方であったり、主婦の方であったり、あるいは地域住民の方、被災されているときの住民の方。一言で言うと、それぞれの事業者が情報を提供する場合の消費者も、特にぜい弱な消費者も違ってくる可能性があるわけです。受田委員はもっといろいろと挙げられておられましたけれども、少なくとも場所と媒体と対象者は違ってくるだろうと。

そうすると、自治体側から流したい情報というのは、一方的に流しても、それぞれの事業者さんごとで強いところ、つまりどの場所を使うか、どの媒体を使うか、どの消費者の方々が対象かということで、コミュニケーションを取らないと、その事業者さんに流してもらえる一番大切な情報、受け止めてもらえるものは決まらない。だから共創型でやるというのは、本当にそのとおりだなと思って聞いておりました。

私が個人的に感じているのは、先ほど片山委員がおっしゃったことで、消費者関連情報は皆さんそれぞれイメージがあって、違うのでしょうと。片山委員に整理していただいた3通りでいけば、私は最初のものが非常に重いものだと思っておりまして、消費者関連情報を用意したところで、これまでなかなか下に伝わっていかなかった。現在も、事業者さんはこういう取組をしてくださっているのだけれども、そこを通して下には流れていかなかった。だから対話をしなければいけない。コミュニケーションというところで決着をさせているけれども、コミュニケーションも重要だけれども、それ以外のもののほうがかなり重要なのではないかと思っておりまして、仮に関連情報をいわゆるオレオレ詐欺みたいなものだと考えた場合、オレオレ詐欺は警察から出ているわけですけれども、それに近いものを消費者庁とかこれに関わるところの行政機関がしっかり提供・提案してこなかったことも私は問題だったと思っているのです。

これをすぐ解決してほしいというのは無理でしょうけれども、前も申し上げましたが、少なくとも既存のデータを分析するような分析室を設けて、将来的には、例えば一人一人が被る被害額が大きいと予想されるものとか、被害者が多くなると予想されるものとか、その被害がなかなか顕在化しにくいものとか、被害回復が困難になるものとか、過去のものをずっと見てくると、そこには一定のパターンがあると思っています。豊田商事の頃から、また、安愚楽牧場であろうがジャパンライフであろうが、そういった詐欺的商法は多くの消費者被害を出したわけですが、これと類似した事件を2度と起こさせてはならないという気持ちがあります。ですから、過去のそうした事件に関わるデータを分析して、パターンを整理しておけば、類似した事件の予兆をつかんだら、それに対する警報を流す、こうした取組はどこかでやらなければいけないのではないかと思っているのです。対話の中からどのような情報が欲しいかを選ぶのではなくて、情報という滝を流す一番上にいる者は、価値のある情報を用意して流す努力を始めなければいけないのではないか、というのが必要と思っており、このことがずっと私の中で引っかかっています。そういう予算は庁にもなかなかないでしょうけれども、どこかでその必要性をうたっていただけるとありがたいと思います。

個人的な印象で、決して今いただいている案そのものを否定するものではございません。その中に加えていただけるとありがたいと思っております。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

特に報告書(案)の第4、第5のところは、まだこれから中身を詰めていかないといけないところが多いかと思います。第5のところも事業者中心で触れられていますけれども、では消費者庁は何をするのだろうか、地方公共団体は何をすればいいのだろうか、消費者団体は何をしたらよいのかといったことも、場合によっては新しい情報の提供の仕組みを考えていく上で、提言を具体的にしていかないといけないということもあるかもしれません。この辺りは、また各委員から御意見をいただきながら進めていければと思っています。

大きな2つ目は、このワーキングが始まって、高委員からずっと御指摘いただいておりました。先ほど片山先生からもありましたけれども、本当に流すべき情報の優先順位、特に重たい情報というか重要なものをきちんと選んで、そして出していくということは、是非伝えていただきたいということ。同時に、そのことが大事ですねというように事業者の方々にも共有していただける場の作り方も併せて大事かなと思いながらお話を聞いていました。そのために消費者庁にどういう提案ができるかというのは、またこれから議論ができればと思いながら、お話を聞いていました。

いろいろ各委員から御意見をいただいておりますが、そのほかいかがでしょうか。

片山委員、どうぞお願いします。

○片山委員 今の高先生の話をお聞きしていて私も思ったところなのですが、巨額な被害を生み出している悪質事業者の被害の問題もそうなのですけれども、普通の事業者の皆さんは、自分の会社、業界が絡んでいる消費者被害や不祥事には大変敏感に反応されると思いますが、全然違う業界で起こっている消費者被害だとかには、個人的には別かもしれませんが、事業者としてはあまり関心がないというのが実態ではないかと思います。

でも、悪質な事業者の巨額な被害もそうですし、先ほど私が申し上げたような、本来消費者のほうも注意すべきポイントをきちんと理解しておくことの大切さは、そういうことを知ることによって、消費者自身が安全に暮らせること、プラス、社会全体が公正なものになっていく、公正な取引市場が生まれてくるわけであって、業界が違っていても、悪質な人が人をだまして大勢の人間から巨額なお金を巻き上げていくようなゆがんだ不公正な社会を許してはならないという考え方は、事業者全体に浸透していくべきで、まさに持続可能性を考えるのであれば、そこが浸透していくべきだと思うのです。

その辺り、事業者さんはどうしても自分の事業のエリアのことに関心が強いということと、事業者同士で批判をしたり、ほかの業界のことであっても悪く言うということに対して遠慮があるというところもあるのではないかと感じていまして、そういう問題ではなくて、公正な社会を作ってこそ自分たちの事業も消費者の生活も持続可能性が高まるのだという、基本の基のところをみんなで共有できればいいなと、高先生の話を聞いていて思いました。

そういう意味で、先ほど言った消費者関連情報、被害情報をきちんと整理して、一体世の中でどのようなことが起こっているのかということをまずみんなで共有しましょうというところからスタートすることが大切だというのがどこかで伝わればいいなと思っています。

○新川座長 ありがとうございました。

これも、このワーキングの当初からずっと各委員からいただいていた重要な論点ですし、片山委員からもこれまでにいただいていた論点ですけれども、事業者の方々に消費者関連情報の意味をどう理解していただくのか、そして事業者の方々の第一のお客様方に対して、事業者としてなすべきことの中に、実は今ありましたような基本的な消費者のそれぞれの保護や権利を守っていくような情報の提供の在り方についての共通理解があって、その上で、これは高先生からもありましたけれども、実は今、どの消費者にも共通して課題になっているような情報をきちんと伝えていく、そういう整理をしたものをお伝えすることができていくと理想かなというように改めて思いながら聞いていました。

もちろんそのためには事業者の方々がそうした情報の特に消費者関連情報の意義をしっかり理解していただいて、その上で、事業者の方々のキャパシティーに見合った、そして、なおその顧客の方々の範囲あるいはその条件に適合した情報を整理して、事業者の方々に提供していただく仕組みというか、共に創っていく場が重要になってくる側面もあろうかと思っています。

いずれにいたしましても、消費者関連情報をただ単に事業者側だけ、あるいは行政側だけから考えるのではなくて、双方向で議論をしながら、しかし本当に消費者市民社会を実現できるような消費者の気付きと、もちろん消費者保護に直接役に立つという気付きと危険を予防する情報の辺りを意識しながら、これはコンテンツとか情報の内容とかという議論も整理をしないといけないのですが、こういうところをもう少し詰めていけると、この報告書でも、その情報提供の在り方そのものがより具体的に出来ていきますし、関係者の方々、消費者庁を含めて、より具体的な提案が出来ていくのかなと思いながら今、お話を聞いていました。

いかがでしょうか。いろいろな議論、いろいろな御意見をいただいておりますが、加えて、あるいはこれまでの議論と違ったところからでも結構ですが、コメントや御質問などをいただいていければと思います。よろしくお願いいたします。

八木委員、どうぞ。

○八木委員 今の片山先生のおっしゃったこと、あるいは高先生のおっしゃったことはものすごく大事なポイントだと私も思います。私は人事関係の仕事をしておりましたけれども、社員に関するコンプライアンス、例えばハラスメントといったことは、企業で起こったことは業界を超えてすぐに情報をシェアし、我々人事部門の中で議論をしてまいりました。そして、製造物責任に関しても比較的センシティブで、センスが働くような気はいたします。

ところが、消費者問題ということに関しては、それを受けたときの企業側の感度が、確かにおっしゃるように労働者や製造物といったものに比べると低いような気がいたします。今回企業の側で協力していただいたのは、企業の社会的責任という観点からの部門が多かったと思います。けれども、一方で、恐らく法務部門だとか、場合によっては営業の方たち御自身が消費者問題をもっと考えるような刺激を与えていく必要性を今、先生たちのお話の中から感じました。

今回これに関しては特別ヒアリングもしておりませんし、そういった意味で、何か企業側の対応を書いていくことはできないかもしれないけれども、今後の対応の一つとして、消費者問題を労働者の問題だとかと同じように、社会にとってすごく大きな問題なのだということを企業サイドでしっかりと受け止めて、業界を問わず議論していくようなことを指摘していくというのはすごく大事だなと、お伺いしながら思っておりました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

本当に各委員の方々から、また、今、八木委員からもありました点、改めて重要だなと思いながらお話を聞いていました。

事業者の方々の社会性あるいは事業者のマーケットでの存立の意義とかを考えていったときにも、それはただ単に従業員のため、顧客のため、あるいは地域のため、さらには株主のため、いろいろな存立がありますが、その重要な柱の一つとして、むしろ消費者、市民が顧客の基本的な性質として、また、場合によっては従業員の方々やその御家族を守るという意味もあるかもしれませんが、こうした消費者視点が企業の行動の重要な観点、場合によっては倫理的、価値的な視点としてきちんと確立されていくところまでつながっていくと、この提言はどこまで具体的にできるかは別にして、むしろこれからの消費者行政や消費者問題の解決の方向を組み替えていくような議論にもなるかもしれないと思いながら、今、八木委員のお話も受け止めさせていただきました。

いかがでしょうか。私からもいろいろ申し上げてしまいましたが、各委員からも何かございましたらお願いします。

受田委員、どうぞ。

○受田座長代理 すごく重要なポイントで議論が進んでいて、先ほど片山先生がおっしゃった、そもそも消費者関連情報というものがどういうものであるかという定義の部分の問題提起もございました。今回、資料3の報告書骨子(案)の中にも、第2章の2番に福祉や防犯分野の情報に比べて消費者関連情報の利用は少ないというタイトルが上がっています。

一方で、これまでヒアリングを拝聴していて、健康や防犯に関連する分野はある意味、消費者関連情報にも含まれる可能性もあると思いますし、先ほどの八木委員のコメントにもありましたように、社会全体から見て企業あるいは消費者の位置付けと、それに関連する情報は相当大きな考え方、スコープで見ていかないといけないような感じもしまして、改めてこのワーキングでお届けしないといけない消費者関連情報の部分については、かなり議論しておかないといけないと私も感じたところです。

以上、コメントでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

ここは、これから私たちも具体的に消費者関連情報の議論をより積み重ねて、実際に何がどこまでできるのかということを議論していければと思っております。根本的に消費者関連情報として提供すべきもの、より具体的で緊急性のあるような危険情報、問題情報、さらには、それぞれの事業者の顧客あるいは事業活動に見合った情報、少し違ったレベルのものをどのように事業者の方々と議論し、共有しながら、基本的な企業の持つ社会性、そしてより豊かな消費者市民社会の中で企業も繁栄していくような図式の中での消費者関連情報の提供の在り方、その内容のある種のレベルと、それに対応した行動の仕方を考えていかないといけないなと改めて思った次第でした。ありがとうございました。

そのほか、いかがでしょうか。

どうぞ。

○大岡企画官 事務局です。

次に委員間打合せもございますので、御意見がないようでしたら、一度休憩を挟んでもよろしいかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

本委員会はあと数分予定をしておりましたけれども、もし各委員から、この時間帯にお話をしておきたいということがあれば、最後にもう一度呼びかけをさせていただいて、特にないようであれば、この後、また委員間の打合せをさせていただきますので、そこのほうに持ち越させていただければと思います。いかがでしょうか。

特にないようでしたら、ワーキング・グループとしての委員会につきましては、以上にさせていただきます。

ただいまいろいろな御意見をいただいてしまいましたので、少し整理が大変かと思いますけれども、事務局にはよろしくお願いいたしたいと思います。特に背景として企業の立ち位置が大きく変わってきているということ、そしてそれがこうした消費者関連情報の提供についても大きく影響するということ、翻って、企業の自主的な活動にもっと光を当て、それを生かしていかないといけない。そんな観点が重要かということでお話をいただきました。

大きな2つ目として、そういう企業の大きな社会性に向けての変化を踏まえて、まさに企業のメリットあるいは企業が持つべきそうした活動の重要性そのものを私たちもよりクリアに出していく必要があるということで御意見をいただいたかと思いました。

実際のヒアリング等を通じてのモデル構築につきましては、受田委員からも更に類型化を的確にしていくということ、そして、その中で改めてこうした消費者関連情報をいかに的確に伝えていくことができるのかということのモデル化を考えていく。私たちは既にたくさんの事例を持っていますので、そういうものを通じて考えていくこと、そして、できればこうしたモデルを通じて、より適切な情報提供ができていくようなシミュレーション、そこでの新しい試みの在り方等も含めて、モデルを実際によりよく動かしていくような考え方も、最後の提言の辺りになるかもしれませんけれども、考えてはどうだろうかということで御意見をいただいておりました。

大きな3つ目としては、安全情報になるのかもしれませんが、ここで言う消費者関連情報そのものにも本当に多様な情報があって、それをどう整理していくのかということ。そして、何をどのように消費者の方々に事業者を通じて伝えていくのか、そのときに、事業者の基本的、根本的な社会性に着目をして、ある種、共通してよりセンシティブにこの問題に事業者も、そして消費者も取り組んでいくというところの共通の理解や価値観を持っていけるような取組が必要だということ。さらには、事業者の方々がより具体的にそうした共通理解の下で提供しやすい情報の集約の仕方やまとめ方、伝え方をどう準備できるか、行政の役割も非常に大きいのですが、そういう情報の整理ということ。この辺りを積極的に進めていかないとうまく進まないだろうということを御指摘いただきました。

加えて、その問題とも関わりますけれども、こうした情報の適切な伝達ということを考えていくときに、行政もそうですし、事業者もそうですし、消費者あるいは顧客もそうなのですが、一方通行で議論をしていてもなかなか進まないということで、対話の重要性については各委員からもお話しいただきました。ですが、単なる対話ではなくて、本当に意味のある対話をどうしつらえていくのか、対話の条件や在り方、そこにどういう方々に関わっていただくのがより対話の実を上げていくことができるのか。この辺りも今後報告書を作成していく上での重要な論点として、いただいたかと思っております。

今回は事業者に注目をしましたので、消費者団体や消費者問題の専門家の立ち位置についてあまり明確な位置付けができておりませんけれども、恐らくこうした対話の場面、あるいは事業者の方々が実際に情報提供サービスをしていかれる際の消費者団体の役割も、一定程度大きいのではないかと思っております。この辺りは今後更に具体的な報告を考えていく上での重要な論点であると思いながら、お話を聞いていました。

以上、気がついた範囲で取りまとめをさせていただきましたが、抜けている部分がありましたら、そこはまた事務局のほうで議事録等も見ていただきながら、少し補足をしていただければと思います。まずは今日のところはこのくらいの取りまとめとさせていただきまして、今後更に詰めさせていただくということで御了承をいただければと思います。


≪3.閉会≫

○新川座長 それでは、最後に取りまとめのお話を長くしてしまいましたけれども、以上をもちまして本日の第8回消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループは閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

(以上)